(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(54)【発明の名称】接続装置、接続クランプ、及び電子装置
(51)【国際特許分類】
H01R 4/48 20060101AFI20230201BHJP
H01R 9/22 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
H01R4/48 A
H01R9/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529063
(86)(22)【出願日】2020-11-10
(85)【翻訳文提出日】2022-05-27
(86)【国際出願番号】 EP2020081551
(87)【国際公開番号】W WO2021099173
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】102019131145.4
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504019733
【氏名又は名称】フェニックス コンタクト ゲーエムベーハー ウント コムパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・ゲープハルト
【テーマコード(参考)】
5E086
【Fターム(参考)】
5E086DD03
5E086LL16
(57)【要約】
本発明の目的は、導電体を接続するための接続装置(100)であって、バスバー(110)と、保持脚部(112)と圧着脚部(113)とを有している圧着バネ(111)であって、圧着脚部(113)が、圧着位置と解除位置とに移行可能とされる、圧着バネ(111)と、バスバー(110)のセクション(114)と圧着バネ(111)の圧着脚部(113)との間に形成されている導体接続空間(124)と、変位可能に配置されている案内要素(115)であって、案内要素(115)が、圧着バネ(111)の圧着脚部(113)と機能的に接続されており、圧着脚部(113)が、案内要素(115)によって解除位置に保持される、案内要素(115)と、作動要素(129)であって、案内要素(115)が、圧着バネ(111)の圧着脚部(113)を圧着位置から解除位置に移行させるために、作動要素(129)によって変位され、圧着バネ(111)が、バスバー(110)のセクション(114)と作動要素(129)との間に配置されている、作動要素(129)と、を備えている、接続装置(100)を提供することである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電体を接続するための接続装置(100)において、
- バスバー(110)と、
- 保持脚部(112)と圧着脚部(113)とを有している圧着バネ(111)であって、前記圧着脚部(113)が、圧着位置と解除位置とに移行可能とされる、前記圧着バネ(111)と、
- 前記バスバー(110)のセクション(114)と圧着バネ(111)の圧着脚部(113)との間に形成されている導体接続空間(124)と、
- 変位可能に配置されている案内要素(115)であって、前記案内要素(115)が、圧着バネ(111)の圧着脚部(113)と機能的に接続されており、前記圧着脚部(113)が、前記案内要素(115)によって前記解除位置に保持される、前記案内要素(115)と、
- 作動要素(129)であって、前記案内要素(115)が、前記圧着バネ(111)の前記圧着脚部(113)を前記圧着位置から前記解除位置に移行させるために、前記作動要素(129)によって変位され、前記圧着バネ(111)が、前記バスバー(110)の前記セクション(114)と前記作動要素(129)との間に配置されている、前記作動要素(129)と、
を備えていることを特徴とする接続装置(100)。
【請求項2】
前記案内要素(115)が、滑動面(130)を有しており、
前記作動要素(129)が、前記滑動面(130)に沿って案内されることを特徴とする請求項1に記載の接続装置(100)。
【請求項3】
前記案内要素(115)が、2つの長手方向側壁(120a,120b)と、2つの前記長手方向側壁(120a,120b)に対して垂直に配置されている2つの端部壁(123a,123b)とを有しており、
前記滑動面(130)が、前記案内要素(115)の2つの前記端部壁(123a,123b)のうち一の端部壁に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の接続装置(100)。
【請求項4】
前記滑動面(130)が、前記作動要素(129)に形成されている傾斜面(131)と相互作用する傾斜面を形成していることを特徴とする請求項2又は3に記載の接続装置(100)。
【請求項5】
前記滑動面(130)が、2つの端部壁(123a,123b)のうち一の端部壁の端面から、前記作動要素(129)に向かって延在していることを特徴とする請求項2~4のいずれか一項に記載の接続装置(100)。
【請求項6】
前記案内要素(115)が、前記案内要素(115)の変位運動(B)が、前記導体接続空間(124)に対する接続すべき導体の挿入方向(E)に対して横方向において実施されるように、変位可能であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の接続装置(100)。
【請求項7】
前記案内要素(115)が、少なくとも1つのバネ接触縁部(116a,116b)を有しており、前記圧着脚部(113)が、少なくとも1つの前記バネ接触縁部(116a,116b)に当接していることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の接続装置(100)。
【請求項8】
前記圧着脚部(113)が、圧着縁部(118)を具備する主セクション(117)に対して横方向にそれぞれ配置されている2つの滑動セクション(119a,119b)を有しており、
前記案内要素(115)が、互いから離隔して配置されている2つのバネ接触縁部(116a,116b)を有しており、
第1の滑動セクション(119a,119b)が、第1のバネ接触縁部(116a,116b)に当接しており、第2の滑動セクション(119a,119b)が、第2のバネ接触縁部(116a,116b)に当接していることを特徴とする請求項7に記載の接続装置(100)。
【請求項9】
前記案内要素(115)の2つの長手方向側壁(120a,120b)が、2つの前記長手方向側壁(120a,120b)が第1の側面と前記第1の側面の反対側に位置する第2の側面とにおいて前記導体接続空間(124)の境界を形成するように、前記導電体の挿入方向(E)に長く形成されていることを特徴とする請求項3~8のいずれか一項に記載の接続装置(100)。
【請求項10】
前記圧着バネ(111)が、前記圧着バネ(111)の前記保持脚部(112)を介して、前記バスバー(110)に支持されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の接続装置(100)。
【請求項11】
前記接続装置(100)が、前記圧着バネ(111)の前記圧着脚部(113)の前記解除位置において前記案内要素(115)と係合している解除要素(125)を備えており、
前記導体接続空間(124)に対する接続すべき導体の挿入の際に、前記解除要素(125)が、前記解除要素(125)が前記案内要素(115)から係合解除されるように、前記導電体によって作動され、且つ、前記案内要素(115)が、前記導電体を前記バスバー(110)に圧着させるために前記圧着脚部(113)が前記圧着位置に移送されるように、前記圧着脚部(113)のバネ力によって変位可能とされることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の接続装置(100)。
【請求項12】
前記解除要素(125)が、前記案内要素(115)に対して傾斜可能に取り付けられていることを特徴とする請求項11に記載の接続装置(100)。
【請求項13】
前記解除要素(125)が、少なくとも1つの溝部(126)を有しており、
前記溝部(126)が、前記圧着バネ(111)の前記圧着脚部(113)の前記解除位置において、前記案内要素(115)の少なくとも1つの係止突起(127a,127b)と係止されていることを特徴とする請求項11又は12に記載の接続装置(100)。
【請求項14】
前記解除要素(125)が、前記圧着バネ(111)の前記保持脚部(112)に接続されていることを特徴とする請求項11~13のいずれか1項に記載の接続装置(100)。
【請求項15】
ハウジング(210)を具備する圧着端子(200)において、
請求項1~14のいずれか1項に記載の少なくとも1つの接続装置(100)が、前記ハウジング(210)に配置されていることを特徴とする圧着端子(200)。
【請求項16】
請求項1~14のいずれか1項に記載の少なくとも1つの接続装置(100)及び/又は請求項15に記載の少なくとも1つの圧着端子(200)を具備することを特徴とする電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電体を接続するための接続装置に関する。さらに、本発明は、圧着端子及び電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、このような接続装置は、脚部バネとして構成されている圧着バネを有しており、当該圧着バネは、保持脚部と圧着脚部とを有しており、接続装置に挿入された導体は、圧着バネの圧着脚部によってバスバーに圧着される。特に可撓性導体が圧着されている場合には、導体の挿入前に、圧着バネは、作動要素によって解除位置に既に移動され、導体がバスバーと圧着バネとの間の中間空間に挿入されるように圧着バネをバスバーから離隔するように回動させるために作動される必要がある。導体が高剛性ひいては堅牢である場合に限り、導体は、圧着脚部をバスバーから離隔するように回動させるために、当該目的のために利用者によって作動される作動要素を必要とすることなく、圧着バネひいては圧着バネの圧着脚部に十分な力を作用させることができる。可撓性導体を利用することによって、利用者は、最初に作動要素を作動させることによって圧着バネをバスバーから離隔するように回動させ、これにより、可撓性導体を挿入することができる。ここで、一般には、作動要素は、圧着バネの圧着脚部を押圧することによって、圧着脚部をバスバーから離隔するように回動させて、導体接続空間を解放することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、導体が接続されている間の取り扱いが利用者のために簡略化された接続装置、並びに圧着端子及び電子デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
当該目的は、独立請求項の特徴を有する本発明によって達成される。本発明の適切な実施例及び優位な発展例は、従属請求項に規定されている。
【0005】
本発明における接続装置は、バスバーと、保持脚部と圧着脚部とを有している圧着バネであって、圧着脚部が、圧着位置と解除位置とに移行可能とされる、圧着バネと、バスバーのセクションと圧着バネの圧着脚部との間に形成されている導体接続空間と、変位可能に配置されている案内要素であって、案内要素が、圧着バネの圧着脚部と機能的に接続されており、圧着脚部が、案内要素によって解除位置に保持される、案内要素と、作動要素であって、案内要素が、圧着バネの圧着脚部を圧着位置から解除位置に移行させるために、作動要素によって変位される、作動要素と、を備えている。圧着バネが、バスバーのセクションと作動要素との間に配置されている。
【0006】
好ましくは、圧着バネは、脚部バネとして構成されており、当該脚部要素は、保持脚部と、保持脚部に対して回動するように構成されている圧着脚部とを有している。圧着脚部の回動運動によって、圧着脚部は、解除位置又は圧着位置に移行される。解除位置では、圧着脚部が、バスバーから離隔するように配置されており、接続すべき導体が、バスバーと圧着脚部との間に形成された体接続空間に出入りするように案内される。圧着位置では、圧着脚部が、導体をバスバーに圧着するために、バスバー又はに接続された導体に当接している。接続装置は、特に水平方向に変位可能に取り付けられている案内要素を有しており、好ましくは、当該案内要素は、圧着バネの圧着脚部の解除位置及び圧着位置の両方において圧着バネに機能的に接続されている。このことは、圧着脚部が、案内要素との機能的な接続に起因して、案内要素の変位運動ひいては位置に追従することを意味する。案内要素は、圧着脚部を押圧するので、案内要素は、圧着脚部のバネ力に抗して圧着脚部を解除位置に保持する。案内要素は、滑り子の形態とされる。さらに、接続装置は、作動要素を有しており、当該作動要素によって、案内要素は、圧着バネの圧着脚部を圧着位置から解除位置に移送するために変位される。好ましくは、作動要素は、圧着脚部が解除位置に到達するまで、圧着バネの圧着脚部のバネ力に抗して案内要素を変位させるために、案内要素に圧縮力を作用させるように構成されている。当該解除位置では、圧着脚部は、作動要素によって、案内要素を介して間接的に保持される。案内要素は、案内要素の変位運動に起因にして、圧着脚部を圧着位置から解除位置に移送させるために、圧着バネの圧着脚部に引張力を作用させる。好ましくは、作動要素は、案内要素の変位運動の方向に対して横方向に方向づけられている方向において移動可能とされる。好ましくは、作動要素は、単に並進移動可能にすぎない。好ましくは、作動要素の移動方向は、導体接続空間に対する導体の挿入方向に対して平行に方向づけられている。作動要素は、導体接続空間に侵入しないように配置されているので、作動要素と接続された導体との相互作用が防止される。一方、圧着バネとバスバーと作動要素とは、圧着バネが作動要素と接続すべき導体が圧着されるバスバーのセクションとの間に配置されるように配置されている。その結果として、接続装置の取り扱いは、導電体が接続されている場合であっても、使用者にとって著しく単純化される。作動要素が、導体接続空間から離隔するように位置決めされており、これにより導体の挿入が、作動要素の作動によって妨げられないからである。
【0007】
案内要素が、滑動面を有しており、作動要素が、滑動面に沿って案内される。滑動面において、作動要素は、案内要素に密接に当接している。滑動面によって、作動要素は、案内要素に沿って滑動し、ひいては案内要素を移動させるために圧縮力を案内要素に伝達させる。
【0008】
案内要素が、2つの長手方向側壁と、2つの長手方向側壁に対して垂直に配置されている2つの端部壁とを有しており、滑動面が、案内要素の2つの端部壁のうち一の端部壁に配置されている。案内要素は、2つの長手方向側壁と2つの長手方向側壁に対して垂直に配置されている2つの端部壁とに起因して、矩形状に形成されている。案内要素は、特に圧着バネと導体に圧着しているバスバーのセクションとを囲む又は包含するフレームを形成している。好ましくは、滑動面は、当該滑動面が2つの長手方向側壁に対して横方向に延在するように方向づけられている。滑動面は、当該滑動面が配置されている端部壁の延長部分を形成している。
【0009】
滑動面が、作動要素に形成されている傾斜面と相互作用する傾斜面を形成している。滑動面が傾斜面として構成されている場合には、好ましくは、当該滑動面は、一の傾斜を有している。従って、好ましくは、滑動面に当接している作動要素の表面も、作動要素の移動方向に延在している作動要素の長手方向延在部に対して傾斜して形成されている傾斜面として構成されている。滑動面の傾斜と作動要素の表面の傾斜とは、作動要素の作動方向に対して30°~50°の角度で形成されている。滑動面と当該滑動面に沿って滑動する作動要素の表面との両方が傾斜面として構成されている場合には、作動要素の垂直移動方向は、作動要素が滑動面に沿って滑動する際に案内要素の水平変位運動に変換又は移行させることができる。
【0010】
滑動面が、2つの端部壁のうち一の端部壁の端面から、作動要素に向かって延在している。従って、滑動面は、作動要素に向かって、2つの端部壁のうち一方の端部壁の延在部を形成している。
【0011】
好ましくは、案内要素が、接続すべき導体が導体接続空間に挿入される方向に対して横方向において案内要素が変位運動するように、変位可能である。これにより、特に構成が小型化され、その結果として、設置空間が低減されることが、接続装置の特徴となる。
【0012】
案内要素と圧着バネの圧着脚部とを機能的に接続するために、案内要素が、少なくとも1つのバネ接触縁部を有しており、圧着脚部が、羽根接触縁部に当接している。バネ接触縁部は、解除位置と圧着位置との両方において、圧着脚部又は圧着脚部の少なくとも一部分がバネ接触縁部に当接している。バネ接触縁部は、例えば案内要素の肩部に形成されている。
【0013】
案内要素及び圧着バネの圧着脚部の調和した案内を実現するために、2つのこのようなバネ接触縁部は、2つのこのようなバネ接触縁部を介して圧着脚部が案内要素上で案内されるように、案内要素に形成されている。好ましくは、2つのバネ接触縁部は、案内要素上で互いに対して平行に延在している。
【0014】
このように構成することによって、圧着脚部は、圧着縁部を有している主セクションに対して横方向にそれぞれ配置されている2つの滑動セクションを有しており、案内要素は、互いから離隔して配置されている2つのバネ接触縁部を有しており、第1の滑動セクションは、第1のバネ接触縁部に当接しており、第2の滑動セクションは、第2のバネ接触縁部に当接している。好ましくは、2つの滑動セクションの長さはそれぞれ、圧着脚部の主セクションの長さより短い。好ましくは、主セクションと2つの滑動セクションとは、互いに対して平行に延在している。好ましくは、2つの滑動セクションはそれぞれ、バネ接触縁部それぞれに沿って滑動する滑り子(skid)を形成するように湾曲している。しかしながら、好ましくは、主セクションは、直線状に形成されている。
【0015】
案内要素の2つの長手方向側壁は、2つの長手方向側壁が第1の側面と第1の側面の反対側に位置する第2の側面とにおいて導体接続空間を形成するように、導体の挿入方向に長く構成されている。従って、案内要素は、接続すべき導体が導体接続空間に挿入されている場合における、接続すべき導体のための案内部を形成している。2つの長手方向側壁は、導体の過誤の挿入を防止することができる。従って、導体接続空間の2つの側面の境界は、案内要素によって形成されており、導体接続空間の残りの2つの側面の境界は、バスバーと圧着バネの圧着脚部とによって形成されている。2つのバネ接触縁部のうち一のバネ接触縁部が、2つの長手方向側壁それぞれに形成されている。
【0016】
圧着バネの安定した取り付けを実現するために、圧着バネは、保持脚部を介してバスバーに支持されている。このために、例えば、圧着バネは、保持脚部のセクションと密接した状態でバスバーの一部分に当接している。さらに、保持脚部は、保持脚部をバスバーに取り付けることができるように、バスバーの一部分を通過させるための開口部を有している。好ましくは、圧着バネの保持脚部を支持しているバスバーの一部分が、導体が圧着されるバスバーのセクションの反対側に配置されている。バスバーの当該一部分は、バスバーの端部セクションを形成している。
【0017】
また、接続装置は、圧着バネの解除位置において案内要素と係合する解除要素を備えている。接続すべき導体が導体接続空間に挿入されている場合には、解除要素が作動し、これにより解除要素が案内要素から係合解除され、圧着脚部のバネ力によって案内要素が変位されるので、圧着脚部が圧着位置に移送され、導体がバスバーに圧着される。解除要素を設けることによって、特に可撓性導体は、作動要素を作動させないで接続され、バスバーに圧着可能となる。案内要素を解除位置に保持するために、案内要素は、圧着バネの圧着脚部の解除位置において解除要素と係合する。解除要素が案内要素と係合している場合には、案内要素は変位運動することができないか、又は変位運動を停止する。解除要素と案内要素との機能的な接続若しくは結合と、圧着脚部の解除位置における案内要素と圧着バネの圧着脚部との機能的な接続又は結合とによって、圧着脚部は、作動要素の補助を必要としないで解除位置に保持されるので、特に可撓性導体は、バスバーと圧着バネとの間の解放された導体接続空間に挿入可能となる。解除要素は、導体接続空間に向かって面している圧力面を有しており、接続装置における導体の挿入領域と同一平面上に配置されているか、又は導体接続空間と同一平面上に配置されているので、導体は、接続装置に挿入する際には解除要素の圧力面に当接している。その結果として、導体は、圧縮力を解除要素に作用させることができる。圧縮力を圧力面ひいては解除要素に作用させることによって、解除要素は、例えば導体の挿入方向において回動運動又は傾斜運動するので、解除要素が、導体の挿入方向において案内要素から離隔するように回動又は傾斜するようになる。解除要素が回動運動した結果として、解除要素が案内要素から係合解除されるので、案内要素は、再び自在に変位可能となり、ひいては案内要素は、人手を介さずに、圧着脚部のバネ力のみによって変位可能となる。従って、案内要素は、圧着脚部が解除位置から圧着位置に移行される。このような特別な機構によって、可撓性導体は、利用者が例えば作動要素のようなさらなる要素を作動させる必要無く、導体の挿入動作のみによって、圧着バネを解除し、圧着バネを解除位置から圧着位置に移送するために特に簡単な方法で接続可能となる。このことは、接続装置の取り扱いを容易にし、導体の接続に要する時間を節約することができる。好ましくは、解除要素は、圧着バネと導体が圧着されるバスバーのセクションとの間の領域に亘って延在しており、これにより、解除要素は、導体接続空間の一の側面の境界を形成している。
【0018】
導体を導体接続空間に挿入することによって解除要素を案内要素から解除するために、ひいては導体を案内要素から係合解除するために、解除要素は、案内要素に対して傾斜可能であるように取り付けられている。従って、解除要素は、揺動子のように構成されている。接続すべき導体が解除要素に押圧される場合には、解除要素は導体の挿入方向に傾斜するので、案内要素から係合解除され、案内要素が解除されるので、案内要素は、再び自在に変位可能となる。
【0019】
圧着バネの圧着脚部の解除位置において案内要素と解除要素とを係合させるために、解除要素は、少なくとも1つの溝部を有しており、圧着バネの圧着脚部が解除位置に位置している場合に、案内要素の少なくとも1つの係止突起が少なくとも1つの溝部と係止する。その結果として、圧着バネの圧着脚部が解除位置に位置している場合に、案内要素と解除要素とが係止接続される。解除要素は、好ましくは2つの溝部を有しており、案内要素は、好ましくは2つの係止突起を有している。この場合には、案内要素と解除要素とが、複動式に係止される。2つの溝部が設けられる場合には、好ましくは、当該2つの溝部は、互いに対して平行に延伸している解除要素の2つの側面に形成されている。
【0020】
解除要素は、圧着バネの保持脚部に接続可能とされる。好ましくは、解除要素は、解除要素が保持脚部に対して回動可能なように保持脚部に接続される。従って、好ましくは、回動軸は、圧着バネの保持脚部と解除要素との接続領域に形成されている。好ましくは、保持脚部と解除要素とは、保持脚部が解除要素と一体的に形成されるように接続される。しかしながら、解除要素が、圧着バネ、バスバー及び案内要素とは別体に形成されている要素又は構成要素である場合もある。
【0021】
本発明の目的は、上述のように形成及び開発された少なくとも1つの接続装置を有する圧着端子、特に端子台によっても実現される。圧着端子は、例えば回路基板に配置されている。圧着端子が端子台として構成されている場合には、当該圧着端子は取付レールに配置されている。
【0022】
また、一列に配置されている複数の圧着端子を有している圧着端子装置が設けられており、圧着端子それぞれが、上述のように形成及び開発された少なくとも1つの接続装置を有している場合がある。
【0023】
さらに、プラグインコネクタが設けられており、当該プラグインコネクタは、上述した形成及び開発された1つ以上の接続装置を有している場合がある。
【0024】
さらに、本発明の目的は、上述のように形成及び開発された少なくとも1つの接続装置及び/又は上述のように形成及び開発された少なくとも1つの圧着端子を有している電子デバイスによって達成される。
【0025】
本発明について、好ましい実施例に基づく添付図面を参照しつつ、以下に詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】圧着バネの圧着脚部が圧着位置に位置している場合の、本発明における接続装置を具備する圧着端子の概略図である。
【
図2】圧着バネの圧着脚部が圧着位置に位置している場合の、本発明における接続装置を具備する
図1に表わす圧着端子の概略的な断面図である。
【
図3】圧着バネの圧着脚部が解除位置に位置している場合の、
図1に表わす圧着端子の概略図である。
【
図4】圧着バネの圧着脚部が解除位置に位置している場合の、本発明における接続装置を具備する
図3に表わす圧着端子の概略的な断面図である。
【
図5】圧着バネの圧着脚部が圧着位置に位置している場合の、本発明における接続装置を具備するさらなる圧着端子の概略図である。
【
図6】圧着バネの圧着脚部が解除位置に位置している場合の、
図5に表わす圧着端子の概略図である。
【
図7】圧着バネの圧着脚部が解除位置に位置している場合の、本発明における接続装置を具備する
図6に表わす圧着端子の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、絶縁材料から形成されているハウジング210を具備する圧着端子200を表わす。
図1では、図示しない導体を接続するための接続装置100がハウジング210の内部に配置又は収容されている。
【0028】
特に
図2に表わす断面図から理解されるように、接続装置100は、バスバー110と、脚部バネとして構成されている圧着バネ111とを有している。圧着バネ111は、保持脚部112と圧着脚部113とを有している。保持脚部112が、固定位置に保持されている一方、圧着脚部113は、保持脚部112に対して回動可能とされる。圧着脚部113の回動運動によって、保持脚部112は、
図1及び
図2に表わす圧着位置と、
図3及び
図4に表わす解除位置とに移行可能とされる。圧着位置では、圧着脚部113は、バスバー110のセクション114に対して又は接続装置100に挿入された導体に対して押圧し、これにより当該導体をバスバー110のセクション114に対して圧着し、当該導体とバスバー110のセクション114とを接続させる。解除位置では、圧着脚部113は、バスバー110のセクション114から離隔配置されており、これによりバスバー110のセクション114と圧着脚部113との間には、導体を挿入するための自由空間が形成されている。
【0029】
圧着バネ111は、圧着バネ111の保持脚部112を介して、バスバー110に支持されている。このような支持を実現するために、
図1~
図4に表わす実施例の場合には、保持脚部112は、開口部132を有しており、バスバー110の一部分133は、保持脚部112がバスバー110に取り付けられるように、開口部132を通じて突出している。バスバー110の一部分133は、バスバーの端部セクションを形成している。バスバー110の一部分133は、バスバー110のセクション114に対して平行に形成されている。
【0030】
さらに、接続装置100は、案内要素115を有している。案内要素115は、案内要素115が水平変位運動Vを実施可能とされるように、特にバスバー110に対して変位可能に取り付けられている。
【0031】
案内要素115によって、圧着バネ111の圧着脚部113は、圧着位置から解除位置に移行され、解除位置に保持される。このために、案内要素115は、圧着バネ111の圧着脚部113に機能的に接続されている。
【0032】
当該実施例では、案内要素115は、2つのバネ接触縁部116a,116bを有しており、バネ接触縁部116a,116bは、互いに対して平行に配置されており、圧着脚部113は、バネ接触縁部116a,116bに当接している。
【0033】
圧着脚部113は、主セクション117を有しており、圧着縁部118が、主セクション117の自由端に形成されている。2つの滑動セクション119a,119bは、主セクション117が2つの滑動セクション119a,119bの間に配置されるように、主セクション117に対して横方向に形成されている。2つの滑動セクション119a,119bは、案内要素115の2つのバネ接触縁部116a,116bに当接している。ここで、滑動セクション119aは、バネ接触縁部116aに当接しており、滑動セクション119bは、バネ接触縁部116bに当接している。滑動セクション119a,119bは、圧着バネ111の圧着脚部113の解除位置と圧着位置との両方において、バネ接触縁部116a,116bに当接している。
【0034】
滑動セクション119a,119bの長さは、主セクション117の長さより短い。滑動セクション119a,119bは、滑動セクション119a,119bが滑り子の形状(skid shape)を形成するように湾曲しているので、特に
図1及び
図3から理解されるように、圧着脚部113が解除位置又は圧着位置に移送されている場合に、滑動セクション119a,119bがバネ接触縁部116a,116bに沿って滑動可能とされる。
【0035】
2つのバネ接触縁部116a,116bは、案内要素115の対向する長手方向側壁120a,120bに形成されている。2つの長手方向側壁120a,120bは、互いに対して平行に配置されている。2つの長手方向側壁120a,120bはそれぞれ、上縁部121a,121bと、当該上縁部の反対側に位置する下縁部122a,122bとを有している。バネ接触縁部116a,116bはそれぞれ、上縁部121a,121bに対して垂直に延在している。バネ接触縁部116a,116bは、水平に延在している上縁部121a,121bから、案内要素115の水平に延在している下縁部122a,122bに向かって下方に延在している。
【0036】
バスバー110及び圧着バネ111は、案内要素115の2つの長手方向側壁120a,120bの間に配置されている。バスバー110及び圧着バネ111は、案内要素115によって囲まれている。
【0037】
さらに、案内要素115は、互いに対して平行に位置合わせされている2つの端部壁123a,123bを有している。2つの端部壁123a,123bは、案内要素115の2つの長手方向側壁120a,120bに対して横方向に配置されている。
【0038】
接続すべき導体を挿入するための導体接続空間124は、バスバー110のセクション114と圧着脚部113との間に形成されている。導体接続空間124は、案内要素115が接続すべき導体のための案内部を形成するように、案内要素115の2つの長手方向側壁120a,120bによって横方向に覆われているか、又はその境界が形成されている。
【0039】
導体接続空間124は、ハウジング210に形成されている導体挿入開口部211と同一平面上に形成されており、接続すべき導体は、導体挿入開口部211を介して、圧着端子200のハウジング210に挿入可能とされる。
【0040】
また、接続装置100は、解除要素125を有している。解除要素125は、導体挿入開口部211及び導体接続空間124と同一平面上に配置されている。解除要素125は、導体接続空間124の下方の境界を形成している。
【0041】
図3及び
図4から理解されるように、圧着バネ111の圧着脚部113の解除位置では、解除要素125は案内要素115と係合しているので、その結果として、案内要素115は当該解除位置に保持され、ひいてはバネ接触縁部116a,116b及び圧着脚部113の滑動セクション119a,119bを介して当該解除位置に保持されるので、圧着脚部113が不慮の回動により解除位置から圧着位置に戻ることが防止される。
【0042】
解除要素125は、2つの横方向に配置された溝部126を有しており、溝部126は、圧着バネ111の圧着脚部113の解除位置において、案内要素115と解除要素125とが係止するように、案内要素115の係止突起127a,127bそれぞれと係合している。係止突起127aは、長手方向側壁120aの下縁部122aに形成されており、係止突起127bは、長手方向側壁120bの下縁部122bに形成されている。
【0043】
図1及び
図2から理解されるように、圧着位置では、解除要素125は案内要素115から係合解除されているので、案内要素115は自在に変位可能である。
【0044】
解除要素125は、案内要素115に対する傾斜角が変更可能となるように取り付けられている。
【0045】
接続すべき導体が挿入方向Eに沿って導体挿入開口部211を介して導体接続空間124に挿入された場合には、当該導体が解除要素125に衝突するので、その結果として、解除要素125が案内要素115に対して傾いて、これにより案内要素115との係合が解除される。従って、案内要素115が再び自在に変位可能となる。これにより、案内要素115は、人手を介さずに、圧着脚部113のバネ力のみによって変位されるので、圧着脚部113は、解除位置から圧着位置に移行される。解除要素125は、導体接続空間124に面している圧力面128を有しており、導体挿入開口部211又は導体接続空間124と同一平面上に配置されている。従って、導体が接続装置100に挿入された場合に、当該導体が解除要素125の圧力面128に衝突し、その結果として、当該導体によって圧縮力が解除要素125に加えられる。導体が圧縮力を圧力面128に、ひいては解除要素125に加えることによって、解除要素125は導体の挿入方向Eの方向において回動運動又は傾斜運動するので、解除要素125が当該導体の挿入方向Eにおいて案内要素115から離隔するように回動又は傾斜される。
【0046】
当該実施例では、特に
図4から理解されるように、解除要素125は、圧着バネ111の保持脚部112に接続されている。解除要素125は、解除要素125が固定位置に留まる保持脚部112に対して回動可能であるように接続されている。回動軸は、保持脚部112に対する解除要素125の接続領域に形成されている。
【0047】
案内要素115が解除要素125から係合解除されている場合には、案内要素115の変位運動Vは、導体接続空間124に対する接続すべき導体の挿入方向Eに対して横方向において実行される。
【0048】
圧着脚部113のバネ力に抗して案内要素115を介して圧着脚部113を圧着位置から解除位置に復帰させるために、接続装置100は作動要素129を有している。作動要素129は、作動方向Bに沿って変位可能に取り付けられており、作動方向Bは、導体の挿入方向Eに対して平行とされる。作動方向Bは、案内要素115の変位運動Bに対して横方向に延在している。
【0049】
案内要素115は、案内要素115に当接している圧着バネ111の圧着脚部113が圧着位置から解除位置に移行されるように、作動要素129によって変位可能とされる。作動要素129が作動方向Bにおいて作動される場合には、作動要素129は、案内要素115を圧着バネ115の圧着脚部113のバネ力に抗して変位させるために、作動要素129が圧縮力を案内要素115に作用させるように変位される。従って、圧着脚部113が解除位置に到達した場合に、案内要素115が解除要素125と係合する。案内要素115のこのような変位運動Vによって、圧着脚部113は圧着位置から解除位置に向かって回動する。
【0050】
案内要素115は、傾斜面の形態で形成されている滑動面130を有しており、作動要素129は、滑動面130に沿って案内される。当該実施例では、滑動面130は、案内要素115の端部壁123bに形成されている。滑動面130は、端部壁123bから作動要素129に向かって延在している。作動要素129を傾斜面として形成することによって、滑動面129は、当該実施例では滑動面129が案内要素115の端部壁123bに対して130°~160°の角度で延在するように傾斜配置されている。
【0051】
代替的には、滑動面130は、滑動面130が長手方向側壁120a,120bに直接接続されるように、2つの長手方向側壁120a,120bの間に端部壁123bから離隔配置されている。
【0052】
また、作動要素129は、滑動面130の傾斜に対応して形成されている傾斜面131を有している。作動要素129の傾斜面131は、滑動面130に密接(flat)に当接しているので、作動要素129が作動方向Bにおいて作動される場合には、傾斜面131は、案内要素115を変位させるために、滑動面130に沿って下方に滑動される。好ましくは、滑動面130の傾斜と傾斜面131の傾斜とは、作動要素129の作動方向Bに対して30°~50°の角度を有している。
【0053】
作動要素129は、圧着バネ111の保持脚部112に隣接して配置されている。従って、作動要素129は、圧着バネ111の後方に配置されている。圧着バネ111は、バスバー110のセクション114と作動要素129との間に配置されている。
【0054】
図5~
図7に表わす圧着端子200の接続装置100の実施例では、同様に、圧着バネ111は、導体をクランプすることができる作動要素129とバスバー110のセクション114との間に配置されており、導体が、バスバー110のセクション114に圧着されている。従って、作動要素129は、導体接続空間124から離隔して配置されている。圧着バネ111は、導体接続空間124と作動要素129との間に配置されている。
【0055】
図5~
図7に表わす実施例では、
図1~
図4に表わす実施例とは対照的に、接続装置100は解除要素125を有していない。従って、導体を導体接続空間124に挿入するために、
図5に表わす実施例では、圧着脚部113は、作動要素129によって、圧着位置から解除位置に移行される。作動要素129が、作動方向Bにおいて滑動面130に沿って、作動要素129の傾斜面131を滑動させることによって、案内要素115は、バネ接触縁部116a,116bを介して、当該実施例では右側に変位されるからである。圧着脚部113は、圧着脚部113の滑動セクション119a,119bを介して、バスバー110のセクション114から離隔するように引っ張られる。これにより、導体接続空間124が解放され、導体が導体接続空間124に挿入される。
【0056】
図5~
図7に表わす実施例では、圧着バネ111の保持脚部112は、同様に、バスバー110に、特にバスバー110の一部分133に支持されており、保持脚部112の端部セクションは、バスバー110の一部分133に密接に当接している。
【符号の説明】
【0057】
100 接続装置
110 バスバー
111 圧着バネ
112 保持脚部
113 圧着脚部
114 (バスバー110の)セクション
115 案内要素
116a (案内要素115の)バネ接触縁部
116b (案内要素115の)バネ接触縁部
117 (圧着脚部113の)主セクション
118 圧着縁部
119a 滑動セクション
119b 滑動セクション
120a (案内要素115の)長手方向側壁
120b (案内要素115の)長手方向側壁
121a (長手方向側壁120aの)上縁部
121b (長手方向側壁120bの)上縁部
122a (長手方向側壁120aの)下縁部
122b (長手方向側壁120bの)下縁部
123a (案内要素115の)端部壁
123b (案内要素115の)端部壁
124 導体接続空間
125 解除要素
126 (解除要素125の)溝部
129 作動要素(滑動面)
130 (案内要素115の)滑動面
131 (作動要素129の)傾斜面
132 開口部
133 (バスバー110の)一部分
200 圧着端子
210 ハウジング
211 導体挿入開口部
B (案内要素115の)変位運動
E 挿入方向
V (案内要素115の)変位運動
【国際調査報告】