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特表2023-505035ITM内部に埋め込まれた粒子によって吸収された赤外線放射を使用したデジタル印刷におけるインクの乾燥
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(54)【発明の名称】ITM内部に埋め込まれた粒子によって吸収された赤外線放射を使用したデジタル印刷におけるインクの乾燥
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20230201BHJP
   F26B 3/30 20060101ALI20230201BHJP
   F26B 3/04 20060101ALI20230201BHJP
   F26B 25/00 20060101ALI20230201BHJP
   B41F 23/04 20060101ALN20230201BHJP
【FI】
B41J2/01 101
B41J2/01 301
B41J2/01 401
F26B3/30
F26B3/04
F26B25/00 A
B41F23/04 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530321
(86)(22)【出願日】2020-11-10
(85)【翻訳文提出日】2022-06-27
(86)【国際出願番号】 IB2020060552
(87)【国際公開番号】W WO2021105806
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】62/939,726
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514210005
【氏名又は名称】ランダ コーポレイション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ランダ,ベンジオン
(72)【発明者】
【氏名】シマン トブ,アロン
(72)【発明者】
【氏名】ガットマン,アブラハム
(72)【発明者】
【氏名】ネヘミア,イェフェット
(72)【発明者】
【氏名】シュメリング,アミール
【テーマコード(参考)】
2C020
2C056
3L113
【Fターム(参考)】
2C020CA00
2C056EC06
2C056EC29
2C056FD13
2C056HA60
3L113AA08
3L113AB01
3L113AC10
3L113AC31
3L113AC45
3L113AC46
3L113AC48
3L113AC69
3L113BA30
3L113CA04
3L113CB06
3L113CB23
3L113DA24
(57)【要約】
システム(10、110)は:(i)可撓性中間転写部材(ITM)(44、500、600)であって、(a)ITM(44、500、600)の外表面に配置されて、インク液滴を受け取ってその上にインク画像を形成し、そのインク画像を標的基材(50、51)に転写するように構成された、第1の層(602)、および(b)粒子(622)を保持するマトリックスを含み、第1の層(602)を通過する光学的放射(99)を受け、光学的放射(99)を吸収することによってITM(44、500、600)を加熱するように構成された、第2の層(603)、のスタックを含む、可撓性中間転写部材(ITM);(ii)粒子(622)に作用するように光学的放射(99)を方向付けることによってインク液滴を乾燥させるように構成された、照明組立体(113);ならびに(iii)ガス(101)をITM(44、500、600)に方向付けることによってITM(44、500、600)の温度を制御するように構成された、温度制御組立体(121)を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性中間転写部材(ITM)であって、少なくとも(i)前記ITMの外表面上に配置されて、インク供給サブシステムからインク液滴を受け取ってその上にインク画像を形成し、前記インク画像を標的基材に転写するように構成された、第1の層、および(ii)粒子をそれぞれ所与の位置で保持するマトリックスを含む第2の層、のスタックを含み、前記第2の層は、前記第1の層を通過する光学的放射を受けるように構成され、前記粒子は、前記光学的放射の少なくとも一部を吸収することによって前記ITMを加熱するように構成される、可撓性中間転写部材(ITM)と、
前記光学的放射を前記粒子の少なくとも一部に作用するように方向付けることによってインクの前記液滴を乾燥させるように構成される、照明組立体と、
ガスを前記ITMに向けることによって前記ITMの温度を制御するように構成される、温度制御組立体と
を備える、システム。
【請求項2】
前記第1および第2の層は相互に隣接しており、前記粒子は、前記外表面を均一に加熱するために相互から所定の距離を置いて配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記粒子は、前記外表面を均一に加熱するために前記外表面から所与の距離を置いて前記第2の層のバルク内部に埋め込まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ITMの温度を示す温度信号を受信し、前記温度信号に基づいて、(i)前記光学的放射の強度、および(ii)前記ガスの流量、の少なくとも1つを制御するように構成される、プロセッサを備える、請求項1~請求項3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記ITMに対して1つ以上のそれぞれ所与の位置に配置されて、前記温度信号を生成するように構成された、1つ以上の温度センサーを備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記照明組立体は、前記ITMに対して1つ以上のそれぞれ所定の位置に配置された1つ以上の光源を含む、請求項1~請求項3のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記光源の少なくとも1つは、前記インク液滴を前記外表面に方向付けるように構成されている、前記インク供給サブシステムの印刷バーに隣接して取り付けられる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記照明組立体は、少なくとも、複数の前記光源を含む配列を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記配列は、前記ITMの移動方向に沿って配置された前記複数の前記光源を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記光学的放射は赤外線(IR)放射を含み、前記粒子の少なくとも1つはカーボンブラック(CB)を含む、請求項1~請求項3のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記ガスは圧縮空気を含み、前記温度制御組立体は、前記圧縮空気を供給するように構成されている、送風機を含む、請求項1~請求項3のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
少なくとも(i)インク液滴を受け取ってその上にインク画像を形成するため、および前記インク画像を標的基材に転写するために可撓性中間転写部材(ITM)の外表面上に配置された、第1の層、ならびに(ii)1つ以上のそれぞれ所与の位置に配置された粒子を保持するマトリックスを含む第2の層、のスタックを含む前記ITMに光学的放射を方向付けることであって、前記光学的放射は前記第1の層を通過し、前記粒子は、前記ITMを加熱するために前記光学的放射の少なくとも一部を吸収しており、前記光学的放射は、前記外表面上のインクの前記液滴を乾燥させるために前記第2の層の前記粒子の少なくとも一部に作用することと、
ガスを前記ITMに向けることによって前記ITMの温度を制御することと
を含む、方法。
【請求項13】
前記第1および第2の層は相互に隣接しており、前記粒子は、前記外表面を均一に加熱するために相互から所定の距離を置いて配置される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記粒子は、前記外表面を均一に加熱するために前記外表面から所与の距離を置いて前記第2の層のバルク内部に埋め込まれる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記ITMの温度を示す温度信号を受信することと、前記温度信号に基づいて、(i)前記光学的放射の強度、および(ii)前記ガスの流量、の少なくとも1つを制御することとを含む、請求項12~請求項14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
1つ以上のそれぞれ所与の位置で前記ITMの前記温度を感知することにより前記温度信号を生成することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ITMに対して1つ以上のそれぞれ所定の位置に配置された1つ以上の光源を含み、前記光学的放射を方向付けることは前記1つ以上の光源を使用することを含む、請求項12~請求項14のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記光源の少なくとも1つは、前記インク液滴を前記外表面に方向付ける印刷バーに隣接して取り付けられる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記光学的放射を方向付けることは、少なくとも、複数の前記光源を含む配列を使用して前記光学的放射を方向付けることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記配列は、前記ITMの移動方向に沿って配置された前記複数の前記光源を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記光学的放射を方向付けることは赤外線(IR)放射を方向付けることを含み、前記粒子の少なくとも1つはカーボンブラック(CB)を含む、請求項12~請求項14のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記ガスは圧縮空気を含み、前記ITMの前記温度を制御することは、送風機を使用して前記圧縮空気を供給することを含む、請求項12~請求項14のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
可撓性中間転写部材(ITM)を製造するための方法であって、
インク液滴を受け取ってその上にインク画像を形成するため、および前記インク画像を標的基材に転写するために、前記ITMの外表面上に配置された、第1の層を生成することと、
1つ以上のそれぞれ所与の位置に配置された粒子を保持するマトリックスを含む第2の層を、前記第1の層に塗布することと
を含む、方法。
【請求項24】
前記第1の層を生成することは、前記第1の層をキャリアに塗布することを含み、少なくとも第2の層を塗布した後に前記キャリアを前記ITMから取り除くことを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
インク供給サブシステムからインク液滴を受け取ってその上にインク画像を形成し、前記インク画像を標的基材に転写するように構成される、可撓性中間転写部材(ITM)であって、前記ITMはそれぞれ所与の位置に粒子を含み、前記ITMは光学的放射を受けるように構成され、前記粒子は、前記光学的放射の少なくとも一部を吸収することによって前記ITMを加熱するように構成される、可撓性中間転写部材(ITM)と、
前記光学的放射を前記粒子の少なくとも一部に作用するために方向付けることによってインクの前記液滴を乾燥させるように構成される、照明組立体と、
ガスを前記ITMに向けることによって前記ITMの温度を制御するように構成される、温度制御組立体と
を備える、システム。
【請求項26】
前記光学的放射は赤外線(IR)放射を含み、前記粒子の少なくとも1つはカーボンブラック(CB)を含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記ガスは圧縮空気を含み、前記温度制御組立体は、前記圧縮空気を前記ITMに向けるように構成されている送風機を含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記ITMの温度を示す温度信号を受信し、前記温度信号に基づいて、(i)前記光学的放射の強度、および(ii)前記ガスの流量、の少なくとも1つを制御するように構成される、プロセッサを備える、請求項25~請求項27のいずれかに記載のシステム。
【請求項29】
前記照明組立体は、前記ITMに対して1つ以上のそれぞれ所定の位置に配置されている1つ以上の光源を含み、前記光学的放射を前記粒子の少なくとも一部に作用するために方向付けるように構成される、請求項25~請求項27のいずれかに記載のシステム。
【請求項30】
前記光源の少なくとも1つは、前記インク液滴を前記ITMに向ける印刷バーに隣接して取り付けられる、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記照明組立体は少なくとも、前記ITMの移動方向に沿って配置されていて、前記粒子の少なくとも一部に作用するように前記光学的放射を方向付けるように構成されている、光源の配列を含む、請求項25~請求項27のいずれかに記載のシステム。
【請求項32】
前記照明組立体および前記温度制御組立体は、ハウジング内にパッケージ化されている、請求項25~請求項27のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年11月25日に出願された米国仮特許出願第62/939,726号の利益を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は一般にデジタル印刷プロセスに関し、詳細にはデジタル印刷プロセス中に表面に塗布されたインクを乾燥させるための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
赤外線(IR)および近赤外放射などの、光学的放射が、様々な印刷プロセスにおいてインクを乾燥させるために使用されている。
【0004】
例えば、米国特許出願公開第2012/0249630号は、水性インクジェット用インクで基材を印刷して、印刷画像を近赤外線乾燥システムで乾燥させることを含む、画像を印刷するためのプロセスを説明する。様々な実施形態は、インクジェット印刷および、水性、浅色(hypsochromic)インクの改善された乾燥性能のためにスペクトルの近赤外領域において改善された吸収を備えたインクの乾燥のためのプロセス、ならびに黒および黄色のインクジェット用インクの改善されてバランスの取れた近赤外乾燥を備えたインクジェット用インクセットを提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で説明される本発明の実施形態は、可撓性中間転写部材(ITM)、照明組立体、および温度制御組立体を含むシステムを提供する。ITMは、少なくとも(i)ITMの外表面上に配置されて、インク供給サブシステムからインク液滴を受け取ってその上にインク画像を形成し、そのインク画像を標的基材に転写するように構成された、第1の層、および(ii)粒子をそれぞれ所与の位置で保持するマトリックスを含む第2の層、のスタックを含む。第2の層は、第1の層を通過する光学的放射を受けるように構成され、粒子は、光学的放射の少なくとも一部を吸収することによってITMを加熱するように構成される。照明組立体は、粒子の少なくとも一部に作用するように光学的放射を方向付けることによってインクの液滴を乾燥させるように構成される。温度制御組立体は、ガスをITMに向けることによってITMの温度を制御するように構成される。
【0006】
いくつかの実施形態では、第1および第2の層は相互に隣接していて、粒子は、外表面を均一に加熱するために相互から所定の距離を置いて配置される。他の実施形態では、粒子は、外表面を均一に加熱するために外表面から所与の距離を置いて第2の層のバルク内部に埋め込まれる。さらに他の実施形態では、システムはプロセッサを含み、プロセッサは、ITMの温度を示す温度信号を受信し、その温度信号に基づいて、(i)光学的放射の強度、および(ii)ガスの流量、の少なくとも1つを制御するように構成される。
【0007】
一実施形態では、本システムは、ITMに対して1つ以上のそれぞれ所与の位置に配置されて、温度信号を生成するように構成された、1つ以上の温度センサーを含む。別の実施形態では、照明組立体は、ITMに対して1つ以上のそれぞれ所定の位置に配置された1つ以上の光源を含む。さらに別の実施形態では、光源の少なくとも1つは、インク液滴を外表面に方向付けるように構成されている、インク供給サブシステムの印刷バーに隣接して取り付けられる。
【0008】
いくつかの実施形態では、照明組立体は、少なくとも、複数の光源を含む配列を含む。他の実施形態では、配列は、ITMの移動方向に沿って配置された複数の光源を含む。
【0009】
一実施形態では、光学的放射は赤外線(IR)放射を含み、粒子の少なくとも1つはカーボンブラック(CB)を含む。別の実施形態では、ガスは圧縮空気を含み、温度制御組立体は、圧縮空気を供給するように構成されている、送風機を含む。
【0010】
本発明の一実施形態に従って、少なくとも(i)インク液滴を受け取ってその上にインク画像を形成するため、およびそのインク画像を標的基材に転写するためにITMの外表面上に配置された、第1の層、ならびに(ii)1つ以上のそれぞれ所与の位置に配置された粒子を保持するマトリックスを含む第2の層、のスタックを含む可撓性中間転写部材(ITM)に光学的放射を方向付けることを含む方法が追加として提供される。光学的放射は第1の層を通過し、粒子は、ITMを加熱するために光学的放射の少なくとも一部を吸収しており、光学的放射は、外表面上のインクの液滴を乾燥させるために第2の層の粒子の少なくとも一部に作用する。ITMの温度はガスをITMに向けることによって制御される。
【0011】
本発明の一実施形態に従い、可撓性中間転写部材(ITM)を製造するための方法がさらに提供され、本方法は、インク液滴を受け取ってその上にインク画像を形成するため、およびそのインク画像を標的基材に転写するために、ITMの外表面上に配置された、第1の層を生成することを含む。1つ以上のそれぞれ所与の位置に配置された粒子を保持するマトリックスを含む第2の層が、第1の層に塗布される。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1の層を生成することは、第1の層をキャリアに塗布することを含み、本方法は、少なくとも第2の層を塗布した後にキャリアをITMから取り除くことを含む。
【0013】
本発明の一実施形態に従い、可撓性中間転写部材(ITM)、照明組立体、および温度制御組立体を含むシステムがさらに提供される。
【0014】
いくつかの実施形態では、照明組立体は、ITMに対して1つ以上のそれぞれ所定の位置に配置されて、粒子の少なくとも一部に作用するように光学的放射を方向付けるように構成されている、1つ以上の光源を含む。他の実施形態では、光源の少なくとも1つは、インク液滴をITMに向ける印刷バーに隣接して取り付けられる。
【0015】
一実施形態では、照明組立体は、少なくとも、ITMの移動方向に沿って配置されていて、粒子の少なくとも一部に作用するように光学的放射を方向付けるように構成されている、光源の配列を含む。別の実施形態では、照明組立体および温度制御組立体は、ハウジング内にパッケージ化されている。
【0016】
本発明は、図面と一緒に解釈すると、その実施形態の以下の詳細な説明からより完全に理解される:
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のいくつかの実施形態に従った、デジタル印刷システムの概略側面図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態に従った、デジタル印刷システムの概略側面図である。
図3】本発明の一実施形態に従い、デジタル印刷システムにおいてインクを乾燥させるための乾燥機の概略側面図である。
図4】本発明の一実施形態に従い、デジタル印刷システムにおいてインクを乾燥させるための主乾燥機の概略側面図である。
図5】本発明の一実施形態に従い、デジタル印刷システムにおいて使用されるブランケットの概略絵図である。
図6】本発明の一実施形態に従った、デジタル印刷システムにおいて使用されるブランケットを製造するためのプロセス順序の断面図を概略的に示す略図である。
図7】本発明の一実施形態に従った、デジタル印刷システムのブランケットを製造するための方法を概略的に示す流れ図である。
図8】本発明の一実施形態に従い、デジタル印刷プロセス中にインクを乾燥させて、ブランケットの温度を制御するための方法を概略的に示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
概要
以下で説明される本発明の実施形態は、デジタル印刷プロセス中に基材の表面に塗布されたインクを乾燥させるための改善された技術を提供する。
【0019】
いくつかの実施形態では、デジタル印刷システムは、本明細書ではブランケットとも呼ばれる、移動可能な可撓性中間転写部材(ITM)、インク液滴をITMに塗布するための画像形成ステーション、照明組立体、および温度制御組立体を含む。照明組立体は、赤外線(IR)放射をITMに方向付けるように構成される。
【0020】
いくつかの実施形態では、ITMは、(i)IR放射を通し、ITMの外表面に配置されて、照明組立体に面している、剥離層を含む、多層スタックを含む。剥離層は、画像形成ステーションの印刷バーからインク液滴を受け取るように構成され、そのため、ITMが移動するときに、印刷バーが剥離層のそれぞれのセクションにおいて複数のインク画像を形成する。その後、ITMはインク画像を、シートまたは連続ウェブなどの、標的基材に転写するように構成される。
【0021】
いくつかの実施形態では、ITMは、剥離層に結合されて、実質的にIR放射を遮断する、本明細書では「IR層」とも呼ばれる、層をさらに含む。IR層は、適切なタイプのシリコーンを含むマトリックス、およびIR層のマトリックス内に埋め込まれたカーボンブラック(CB)粒子を有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、IR層は剥離層を通過するIR放射を受けるように構成され、IR放射に応答して、CB粒子は、剥離層に塗布されたインク液滴を乾燥させるために、少なくともITMのIR層および剥離層を加熱するように構成される。
【0023】
いくつかの実施形態では、CB粒子はIR層のバルク内に相互に所定の距離を置いて、剥離層の外表面から所与の距離に配置される。かかる実施形態では、シリコーンマトリックスの低熱伝導率のために、CB粒子から放出された熱は、IR層および剥離層内に均一に分散され得、それにより、剥離層の外表面にわたって均一にインクを乾燥させ得る。
【0024】
ITMは、ある温度で、例えば、約140℃または150℃で、損傷し得ることに留意されたい。いくつかの実施形態では、温度制御組立体は、ITMの過熱を防ぐために、約30℃の温度で、ITMに向けられた、圧縮空気を供給するように構成されている、送風機を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、デジタル印刷システムは、プロセッサおよび、ITMに対してそれぞれの位置に取り付けられた複数の温度センサーをさらに含む。温度センサーの各々は、それぞれの位置におけるITMの温度を示す温度信号を生成するように構成される。
【0026】
いくつかの事例では、剥離層の表面は、隣接したインク画像の間に、インク液滴を受け取らない剥き出し(bare)セクションを含み、それ故に、ITMは剥き出しセクションにおいて過熱する傾向がある。いくつかの実施形態では、ITMが移動するときに、プロセッサは剥き出しセクションにおいてITM温度を感知するために温度センサーを制御するように構成される。
【0027】
いくつかの実施形態では、温度信号に基づいて、プロセッサは、剥き出しセクションの温度を前述のある温度未満に保持するために、照明組立体を制御してIR放射の強度を調整し、かつ/または温度制御組立体を制御して圧縮空気の流量を調整するように構成される。他の実施形態では、照明および冷却組立体は、開ループ内で、例えば、温度の測定および調整なしで、動作し得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、画像形成ステーションは複数の印刷バーを含み得、その各々は、インク画像の異なる色を印刷するように構成される。インク画像の一部のセクションは、デジタル印刷システム上に相互に所定の距離を置いて取り付けられた第1および第2の印刷バーにより、個々に連続して、印刷されたインクの第1および第2の異なる色の混合を含み得ることに留意されたい。
【0029】
いくつかの実施形態では、デジタル印刷システムは複数のユニットを有しており、その各々は1つ以上のIR光源および、排出弁を介して、温度制御組立体に連結された、圧縮空気出口を含む。かかる実施形態では、ユニットは、第1と第2の印刷バーの間に取り付けられて、第1の印刷バーによってITMに塗布された第1の色のインク液滴を部分的に乾燥させ、そのため、第2の色の液滴を塗布した後に、第1および第2の色のインク液滴が剥離層の表面上で相互に混ざるようになる。
【0030】
いくつかの実施形態では、デジタル印刷システムは、印刷バーによってITM上に印刷されたインク画像の完全な乾燥を獲得するために、ITMの移動方向に沿って配置された複数(例えば、10)のユニットの配列を含む。
【0031】
開示される技術は、印刷画像にわたる均一な乾燥プロセスを獲得することによって印刷画像の品質を向上させる。さらに、開示される技術は、インクの乾燥時間を短縮することによってデジタル印刷システムの生産性を改善し、したがって、印刷プロセスのサイクル時間を短縮する。
【0032】
システム説明
図1は、本発明の一実施形態に従った、デジタル印刷システム10の概略側面図である。いくつかの実施形態では、システム10は、本明細書では画像形成ステーション60とも呼ばれる、インク供給サブシステム、複数の乾燥ステーション、刷ステーション84およびブランケット処理ステーション52を循環する回転可撓性ブランケット44を含む。本発明の文脈およびクレームでは、「ブランケット」および「中間転写部材(ITM)」という用語は区別しないで使用されて、以下で詳細に説明されるように、インク画像を受け取って、そのインク画像を標的基材に転写するように構成された中間部材として使用される1つ以上の層を含む可撓性部材を指す。
【0033】
操作モードでは、画像形成ステーション60は、ブランケット44の表面の上部ラン上のデジタル画像42の、本明細書では「インク画像」(図示せず)または簡略して「画像」とも呼ばれる、ミラーインク画像を形成するように構成される。その後、インク画像は、ブランケット44の下部ランの下に配置された、標的基材(例えば、紙、折畳み箱、多層ポリマー、またはシートもしくは連続ウェブの形の任意の適切な可撓性パッケージ)に転写される。
【0034】
本発明の文脈において、「ラン(run)」という用語は、ブランケット44がその上を誘導される任意の2つの所与のローラー間のブランケット44の長さまたはセグメントを指す。
【0035】
いくつかの実施形態では、設置中、ブランケット44は、縁と縁が付着されて連続するブランケットループ(図示せず)を形成し得る。継ぎ目の設置のための方法およびシステムの一例が、米国仮出願第62/532,400号に詳細に記述されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
いくつかの実施形態では、画像形成ステーション60は典型的には、複数の印刷バー62を含み、各々は、ブランケット44の上部ランの表面の上に固定の高さで位置付けられたフレーム(図示せず)上に(例えば、スライダを使用して)取り付けられている。いくつかの実施形態では、各印刷バー62は、ブランケット44上の印刷領域と同じ幅の印刷ヘッドの細長片を含み、個々に制御可能な印刷ノズルを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、画像形成ステーション60は、任意の適切な数のバー62を含み得、各バー62は、異なる色の水性インクなどの、印刷流体を含み得る。インクは典型的には、シアン、マゼンタ、赤、緑、青、黄、黒および白などであるがそれらに制限されない、可視色を有する。図1の例では、画像形成ステーション60は、7つの印刷バー62を含むが、例えば、シアン、マゼンタ、黄および黒などの任意の選択された色を有する4つの印刷バー62を含み得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、印刷ヘッドは、インク画像(図示せず)をブランケット44の外表面上に形成するために、異なる色のインク液滴をブランケット44の表面上に噴射するように構成される。
【0039】
いくつかの実施形態では、異なる印刷バー62は、矢印94によって表される、本明細書ではブランケット44の移動方向とも呼ばれる、移動軸に沿って相互に間隔が空けられている。この構成では、バー62間の正確な間隔、および各バー62のインクの液滴の方向付けと移動しているブランケット44との間の同期化は、画像パターンの正確な配置を可能にするために不可欠である。
【0040】
いくつかの実施形態では、システム10は乾燥機66を含む。本例では、各乾燥機66は、赤外線を使用した(IRベースの)加熱器を含み、それは、ブランケット44の温度を上げて、インクの液体キャリアの少なくとも一部を蒸発させることにより、ITM表面に塗布されたインクの液体キャリアの一部を乾燥させるように構成される。図1の例では、乾燥機66は印刷バー62の間に位置付けられて、ブランケット44の表面上に付着されたインク液滴を部分的に乾燥させるように構成される。
【0041】
ブランケット44上に印刷されたインク画像のいくつかのセクションは、異なる色を生成するために、2つ以上の色のインクの混合物を含み得ることに留意されたい。例えば、シアンとマゼンタの混合物は、青色となり得る。この例では、赤の印刷バーは、ブランケット44の移動方向(矢印94によって表される)に沿って、黄色の印刷バーの前に、位置付けられ得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、ブランケット44の表面上の所与の位置で赤のインクを噴射した後、システム10のプロセッサ20は、赤のインクを部分的に乾燥させるために、赤と黄色の印刷バーの間に配置された乾燥機66の1つ以上を制御するように構成される。かかる実施形態では、黄色のインクを所与の位置で噴射した後、赤のインクの部分的な乾燥は、ブランケット44の表面上の所与の位置でオレンジ色を形成するために、赤と黄色のインクの混合を可能にする。
【0043】
いくつかの実施形態では、ブランケット44は動作温度の仕様を有しており、例えば、ブランケット44は、ブランケット44の構造に対する、歪みなどの、損傷を防ぐために、約140℃または150℃を下回る温度で動作するように構成される。いくつかの実施形態では、システム10は、温度制御組立体121(以下の図3および図4で詳細に説明される)をさらに含み、それは、IRベースの加熱器によって加えられた熱を弱めるために、任意の適切なガスをブランケット44の表面に供給し、それにより、ブランケット44の温度を約140℃もしくは150℃または任意の他のある温度未満に維持するように構成される。
【0044】
いくつかの実施形態では、ガスは圧縮空気を含み得、温度制御組立体121は、圧縮空気を、排出弁を介して、乾燥機66に供給するように構成された、中央送風機を含み得る。いくつかの実施形態では、乾燥機66は、ブランケット44を加熱するための、前述のIRベースの加熱器と、ブランケット44を冷却するための気流チャネルの組合わせを含む。かかる実施形態では、圧縮空気は、IRベースの加熱器によって加熱される乾燥機66のセクションを冷却するために使用され得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、温度制御組立体121は排気装置をさらに含み、それは、印刷ヘッドの表面において製品によるインクの凝結を減らすか、または防ぐために、ブランケット44および乾燥機66を冷却するために使用される圧縮空気をポンプで送り込むように構成される。
【0046】
本開示の文脈およびクレームにおいて、「乾燥ユニット」という用語は、ブランケット44を加熱するためのIRベースの加熱器と、ブランケット44を冷却するための気流チャネルの組合わせを含む装置を指し得る。システム10の構成例では、各乾燥機66は単一の乾燥ユニットを含み得る。
【0047】
温度制御組立体121および乾燥機66の構造および機能は、以下の図3および図4に詳細に示されている。
【0048】
いくつかの実施形態では、印刷バー間のこの加熱は、例えば、印刷ヘッドの表面での凝結を減らすか、もしくは排除する、および/またはサテライト(例えば、主インク液滴の周囲に分散された残留物または小さい液滴)を処理する、および/または印刷ヘッドのインクジェットノズルの詰まりを防ぐ、および/またはブランケット44上の異なるカラーインクの液滴が不必要に相互に混ざるのを防ぐ、のに役立ち得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、システム10は、本明細書では主乾燥機64とも呼ばれる、乾燥ステーションを含み、それは、画像形成ステーション60によってブランケット44の表面に塗布されたインク画像を乾燥させるように構成される。乾燥機66の各々は、インク画像の形成中に、インク液滴を乾燥させるように構成されることに留意されたい。
【0050】
システム10の構成例では、主乾燥機64は、ブランケット44の移動方向と平行に一列に配置された10の乾燥ユニットの配列を含む。この構成では、主乾燥機64は、ブランケット44を任意の適切な温度で、例えば、約60℃~約100℃の間で受け取り、主乾燥機64によって加熱された後、ブランケット44の温度を任意の適切な温度まで、例えば、約110℃~約150℃の間に上昇させるように構成される。
【0051】
主乾燥機64を通過する際に、ブランケット44(その上にインク画像を有する)はIR放射に曝されて、前述の温度(例えば、約140℃)に達し得る。いくつかの実施形態では、主乾燥機64は、液体キャリアの大部分または全部を蒸発させて、粘着性のあるインクフィルムになるポイントまで加熱される、樹脂および着色料の層だけをブランケット44の表面上に残すことによってインクをより完全に乾燥させるように構成される。
【0052】
主乾燥機64の構造および機能は、例えば、以下の図4に詳細に示される。
【0053】
いくつかの実施形態では、システム10は、ブランケット44の表面から蒸発したガス残留物を(例えば、真空を使用して)ポンプで吸い出すための組立体を有する縦型乾燥機96を含む。追加または代替として、縦型乾燥機96は空気ナイフを含み得、それは、ブランケット44の温度を低下させ、かつ/または前述のガス残留物をブランケット44の表面から取り除くために、ブランケット44の表面に圧縮空気(または任意の他の適切なガス)を吹きつけるように構成される。
【0054】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、ブランケット44の表面上の所望の清浄度および/または温度を獲得するために、縦型乾燥機96における、真空度および/または空気圧を制御するように構成される。ブランケット44の表面の清浄度は、本明細書で詳細に説明されるように、ブランケット44上に印刷されたインク画像が刷ステーション84に入る前に特に重要であることに留意されたい。
【0055】
いくつかの実施形態では、システム10は、約1120mmの例示的な長さ、または任意の他の適切な長さを有するIR放射源(図示せず)を含む、ブランケット予熱器98を含む。IR熱源は、例えば、Heraeus(Hanau、ドイツ)によって、またはHelios(Novazzano、スイス)によって供給される、指定の出力密度(用途に依存する)に適合する任意の適切な製品を含み得る。かかる実施形態では、ブランケット予熱器98は、画像形成ステーション60によって実行される、インク画像の印刷プロセス(上で説明)のためにブランケット44を準備するために、ブランケット44を約75℃の例示的な温度に均一に加熱するために構成される。
【0056】
ローラー78などの、ブランケットモジュール70の様々な要素は典型的には、室温(例えば、25℃)または、典型的にはブランケット44の表面上に噴射されたインクを乾燥させるために要求される温度よりも低い、任意の他の適切な温度に保たれることに留意されたい。結果として、ブランケット44は、ブランケットモジュール70のこれらの要素に沿って回転するときに冷却される。いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、ブランケット44が刷ステーション84に入る前にインク乾燥の(必要に応じて)完了のために縦型乾燥機96を制御し、画像形成ステーション60に入る前にブランケット44の指定された温度(例えば、約75℃)を維持するためにブランケット予熱器98をさらに制御する。
【0057】
他の実施形態では、ブランケット予熱器98は、ブランケット44の表面を加熱するために温風を供給して方向付けるように構成された送風機(図示せず)を含み得る。本発明人は、IR放射の使用は、画像形成ステーション60からインク画像を受け取る前に、ブランケット44の指定された温度を獲得するための時間を(温風と比較して)短縮することが分かった。短縮された時間は、システム10を始動する際に特に重要であり、したがって、システム10の可用性および生産性を改善する。例えば、本発明人は、ブランケット44は、IR放射を使用すると数(例えば、5)分以内に、または温風を使用すると約半時間以内に、約75℃まで加熱され得ることが分かった。
【0058】
いくつかの実施形態では、システム10は、ブランケット44を含むブランケットモジュール70を含む。いくつかの実施形態では、ブランケットモジュール70は1つ以上のローラー78を含み、ローラー78の少なくとも1つは、エンコーダ(図示せず)を含み得、エンコーダは、ブランケット44のセクションの位置をそれぞれの印刷バー62に対して制御するために、ブランケット44の位置を記録するように構成される。
【0059】
いくつかの実施形態では、ローラー78のエンコーダは典型的には、それぞれのローラーの角変位を示すロータリーベースの位置信号を生成するように構成されたロータリーエンコーダを含む。本発明の文脈およびクレームでは、「を示す(indicative of)」および「指示(indication)」という用語は区別しないで使用されることに留意されたい。
【0060】
他の実施形態では、ブランケットモジュール70は、ブランケット44の1つ以上の基準点の位置を検知および/または追跡するための任意の他の適切な装置を含み得る。例えば、ブランケット44は、ブランケット表面上に配置され、かつ/またはブランケット内に刻まれたマーカーを含み得る。かかる実施形態では、システム10は、マーカーを検知して、例えば、プロセッサ20に、ブランケット44のそれぞれのマーカーの位置を示す位置信号を送信するように構成された検知組立体を含み得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、ブランケット44は、相互に交互配置された2つ以上のセットの繊維で作られた織物を含み得る。織物は、交互配置された繊維の周期性パターンに従って変化する不透明度を有する。いくつかの実施形態では、システム10は、ブランケット44の一方の側に光源を、ブランケット44の他方の側に光検出器を有する光学組立体(図示せず)を含み得る。光学組立体は、ブランケット44を光で照射して、織物を通過する光を検出し、検出された光から、織物の周期性パターン内の1つ以上のそれぞれの位置基準点(例えば、繊維)を示す1つ以上の位置信号を導出するように構成される。
【0062】
いくつかの実施形態では、信号に基づいて、プロセッサ20は印刷プロセスを制御して、ブランケット44などの、システム10の様々な要素の状態を監視するように構成される。
【0063】
追加または代替として、ブランケット44は、システム10の様々なモジュールの動作を制御するための任意の適切なタイプの組込みエンコーダ(図示せず)を含み得る。組込みエンコーダの1つの実施態様は、例えば、米国仮出願第62/689,852号に詳細に記述されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0064】
いくつかの実施形態では、ブランケット44はローラー78、ならびに本明細書でダンサー組立体74とも呼ばれる、動力引張りローラーの上を誘導される。ダンサー組立体74は、ブランケット44における弛みの長さを制御するように構成され、その動きは両方向矢印によって図式的に表されている。さらに、経年劣化に伴うブランケット44の任意の伸びは、システム10のインク画像配置性能に影響を及ぼさず、ダンサー組立体74に張力をかけることによってさらに弛みを取ることを必要とするだけであろう。いくつかの実施形態では、ダンサー組立体74は動力化され得る。
【0065】
ローラー78の構成および動作は、例えば、米国特許出願公開第2017/0008272号および前述のPCT国際公開第WO2013/132424号にさらに詳細に記述されており、その開示は全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
他の実施形態では、ダンサー組立体74は、空気室および空気室内に取り付けられた軽量ローラーを含む、圧縮空気ベースのダンサー組立体(図示せず)を含み得る。空気室は、吸気口および開口部を含み得、それは、ローラーの上にぴったりと適合するようなサイズおよび形にされる。圧縮空気ベースのダンサー組立体は、制御可能な送風機(温度制御組立体121の前述した送風機以外)を含み得、それは、所与の吸気口を介して、圧縮空気を空気室に供給するように構成される。圧縮空気は、ローラーに均一な圧力をかけ、空気室の縦軸に沿ってローラーを移動させる。結果としてローラーは、開口部を通って空気室から突き出る可能性があり、ブランケット44によって回転されている間にブランケット44に張力をかける。圧縮空気ベースのダンサー組立体は、例えば、米国仮出願第62/889,069号にさらに記述されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0067】
いくつかの実施形態では、システム10は、ブランケット44に沿って1つ以上の位置に配置された1つ以上の張力センサー(図示せず)を含み得る。張力センサーは、ブランケット44内に統合され得るか、またはブランケット44に印加された機械的張力を示す信号を取得するための任意の他の適切な技術を使用するブランケット44外部のセンサーを含み得る。いくつかの実施形態では、システム10のプロセッサ20および追加のコントローラは、ブランケット44に印加された張力を監視するため、およびダンサー組立体74の動作を制御するために、張力センサーによって生成された信号を受信するように構成される。
【0068】
刷ステーション84で、ブランケット44は、圧胴シリンダ82と圧力シリンダ90との間を通り、それは、圧縮可能なブランケットを搬送するように構成される。
【0069】
いくつかの実施形態では、システム10は制御コンソール12を含み、制御コンソール12は、以下で説明されるように、ブランケットモジュール70、ブランケットモジュール70の上に配置された画像形成ステーション60、およびブランケットモジュール70の下に配置されて1つ以上の刷ステーションを含む、基材搬送モジュール80などの、システム10の複数のモジュールを制御するように構成される。
【0070】
いくつかの実施形態では、コンソール12は、本明細書ではケーブル57と呼ばれる、電気ケーブルを介して、ダンサー組立体74のコントローラおよびコントローラ54とインタフェースを取るため、ならびにそれらから信号を受信するための、適切なフロントエンドおよびインタフェース回路を備えた、プロセッサ20、典型的には汎用コンピュータを含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、単一装置として図式的に示されている、コントローラ54は、システム10上の所定の位置に取り付けられた1つ以上の電子モジュールを含み得る。コントローラ54の電子モジュールの少なくとも1つは、制御回路またはプロセッサ(図示せず)などの、電子装置を含み得、それは、システム10の様々なモジュールおよびステーションを制御するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサ20および制御回路は、印刷システムによって使用される機能を実行するためにソフトウェアでプログラムされ得、ソフトウェアのためのデータをメモリ22内に格納し得る。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを経由して、プロセッサ20および制御回路に電子的形態でダウンロードされ得るか、またはそれは、光学、磁気もしくは電子メモリ媒体などの、持続性有形的媒体上で提供され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、コンソール12はディスプレイ34を含み、ディスプレイ34は、プロセッサ20から受信したデータおよび画像、または入力装置40を使用してユーザー(図示せず)によって挿入された入力を表示するように構成される。いくつかの実施形態では、コンソール12は、任意の他の適切な構成を有し得、例えば、コンソール12およびディスプレイ34の代替構成が、米国特許第9,229,664号に詳細に記述されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0073】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、画像42の1つ以上のセグメント(図示せず)を含むデジタル画像42および/またはメモリ22内に格納され得る様々なタイプのテストパターンを、ディスプレイ34上に表示するように構成される。
【0074】
いくつかの実施形態では、ブランケット処理ステーション52は、例えば、ブランケットを冷却し、かつ/または処理流体をブランケット44の外表面に塗布し、かつ/またはブランケット44の外表面を洗浄することによって、ブランケットを処理するように構成される。ブランケット処理ステーション52において、ブランケット44の温度は、所望の温度値まで下げることができる。処理は、冷却および/または洗浄および/または処理流体をブランケットの外表面上に塗布するために構成された1つ以上のローラーもしくはブレードの上をブランケット44を通過させることによって実行され得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、ブランケット処理ステーション52は、刷ステーション84に隣接して配置され得る。追加または代替として、ブランケット処理ステーションは、印刷バー62に隣接した、1つ以上のバー(図示せず)を含み得る。この構成では、処理流体は噴射によってブランケット44に塗布され得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、システム10は、ブランケット44に対して1つ以上のそれぞれ所与の位置に配置されて、本明細書では「温度信号」とも呼ばれる、ブランケット44の表面温度を示す信号を生成するように構成された、1つ以上の温度センサー92、本例では、センサー92A、92B、92Cおよび92Dを含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、温度センサー92A~92Dの少なくとも1つは、ブランケット44の表面から放出された温度ベースのIR放射を感知するように構成されている、IRベースの温度センサーを含み得る。他の実施形態では、温度センサー92A~92Dの少なくとも1つは、任意の他の適切なタイプの温度センサーを含み得る。
【0078】
図1の構成例では、システム10は:(i)本明細書ではローラー78Aと呼ばれる、ブランケット張力駆動ローラーにごく近接して配置された、第1の温度センサー92A、(ii)第1の印刷バー62と、本明細書では予熱器66Aと呼ばれる、第1の乾燥機との間に配置された、第2の温度センサー92B、(iii)右端の印刷バー62(移動方向において)と主乾燥機64との間に配置された、第3の温度センサー92C、および(iv)本明細書ではローラー78Bと呼ばれる、ブランケット制御駆動ローラーにごく近接して配置された、第4の温度センサー92Dを含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、ブランケット予熱器98と画像形成ステーション60との間に配置される、温度センサー92Aは、画像形成ステーション60に入る前にブランケット44の温度を検知するように構成される。一実施形態では、温度センサー92Bは、第1の印刷バーに入る前にブランケット44の温度を測定するために、予熱器66Aの後ろに(矢印94によって示される移動方向において)位置付けられる。
【0080】
いくつかの実施形態では、コントローラ54および/またはプロセッサ20は、以下で詳細に説明されるように、前述した温度センサーの1つ以上から温度信号を受信し、受信した温度信号に基づいて印刷プロセスを制御するように構成される。
【0081】
他の実施形態では、温度センサー92Bからの温度信号は、画像形成ステーション60によって実行される印刷プロセスの新しいサイクルの開始を制御するために十分であり、そのため温度センサー92Aは冗長であり得、従って、システム10の構成から除去され得る。
【0082】
ブランケット44の温度は、画像形成ステーション60によって実行される印刷プロセスの品質にとって重要であることに留意されたい。いくつかの実施形態では、ブランケット44の温度は、(i)第1の印刷バーによってITMに塗布された第1の色のインク液滴を乾燥させ、かつ(ii)ブランケット温度(約30℃または35℃の典型的な温度を有するインク液滴によって冷却される)を約70℃の所定の温度に戻すために、所定の温度(例えば、約70℃)に設定される。
【0083】
いくつかの実施形態では、ブランケットの加熱に応答して、第1の印刷流体(例えば、インク)の制御された量の蒸気が典型的には、任意の印刷バー62のノズルに付着することなく、ブランケット表面から蒸発する。さらに、インク画像の要求される配色に基づいて、第1のインクの温度がブランケットの温度によって制御され、それにより、第2の色のインク液滴を塗布した後に、第1および第2の色のインク液滴がブランケット44の剥離層の表面上で要求された色を形成するために相互に混ざるようになる。
【0084】
システム10の構成例では、温度センサー92A~92Dは、ブランケット44の温度に影響を及ぼすか、または影響を及ぼし得る、印刷プロセスのすべての事象またはサブステップの後に配置される。いくつかの実施形態では、温度センサーから受信した温度信号に基づいて、プロセッサ20(および/またはコントローラ54)は、それぞれの加熱器の1つ以上の赤外線源(例えば、以下の図3に示される)に印加される出力密度を調整するために電源(図示せず)を制御するように構成される。
【0085】
かかる実施形態では、プロセッサ20は、閉ループ手法を、フィードバックおよびフィードフォワードモードの両方で使用して、乾燥機に印加される出力密度を調整するように構成される。「フィードバック」という用語は、ブランケットの後続のセクションにおいて要求される温度を獲得するために、所与の乾燥機を使用した後に測定された温度に基づいて、所与の乾燥機における出力密度を調整することを指す。「フィードフォワード」という用語は、要求される温度からの逸脱を補正するために、乾燥機を使用する前に測定された温度に基づいて出力密度を調整することを指す。図1の構成例では、プロセッサ20は、予熱器98および66Aの1つ以上のIR源(複数可)に印加される出力密度を、温度センサー92Aから受信した温度信号に基づき、それぞれ、閉ループのフィードバックおよびフィードフォワードモードを使用して、制御するように構成される。例えば、センサー92Aから受信した信号が、ブランケット44の第1のセクションの温度が事前に定義された70℃の温度を下回っていることを示す場合、プロセッサ20は電源を制御して:(i)ブランケット44の第1のセクションにおいて(フィードフォワードモードを使用して)70℃を獲得するために予熱器66Aに印加される出力密度を上げ、かつ(ii)第1のセクションに続く、ブランケット44の第2のセクションにおいて(フィードバックモードを使用して)70℃を獲得するために予熱器98に印加される出力密度を上げる。
【0086】
いくつかの実施形態では、予熱器66Aの電源(複数可)に印加される出力密度を調整した後、プロセッサ20は、温度センサー92Bから温度信号を受信する。温度が約70℃の事例では、プロセッサ20は、画像形成ステーション60の第1の印刷バーが第1のインクの液滴をブランケット44に塗布するのを可能にする。しかし、温度センサー92Bによって測定された温度が相当に約70℃と異なっている(例えば、約50℃)事例では、プロセッサ20は、画像形成ステーション60の印刷バーがインク液滴をブランケット44に塗布するのを阻止して、ブランケットの温度を約70℃の事前に定義された温度に調整するために電源を制御する。70℃を獲得した後にだけ、プロセッサ20は、前述のように、画像形成ステーション60を制御して、印刷バー62を使用する印刷プロセスを再開する。
【0087】
いくつかの実施形態では、前述の技法を使用して、プロセッサ20は、(i)温度センサー92Cから受信した温度信号に基づいて、主乾燥機64に印加される出力密度を制御し、かつ(ii)温度センサー92Dから受信した温度信号に基づいて、縦型乾燥機96に印加される出力密度を制御するように構成される。追加または代替として、プロセッサ20は、主乾燥機64に印加される出力密度を調整するために温度センサー92Dから受信した信号を使用し得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、温度信号の受信に応答して、プロセッサ20は、以下の図3および図4に示されて詳述される、気流チャネル内の圧縮空気の流量を調整することによってブランケットの温度を制御するように構成される。プロセッサ20は、フィードフォワードおよびフィードバック手法を使用して、システム10の関連送風機に関する閉ループ制御を実行するように構成されることに留意されたい。例えば、測定された温度がブランケット44の要求される温度を上回っている場合、プロセッサ20は、送風機を制御してブランケット44に印加される圧縮空気の流れを増加させるように構成される。同様に、測定された温度がブランケット44の要求される温度を下回っている場合、プロセッサ20は、送風機を制御してブランケット44に印加される圧縮空気の流れを減少させるように構成される。
【0089】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、ブランケット44の温度を制御するために、IR放射の強度(出力密度供給を調整することによる)および圧縮空気の流れの両方を同時に制御するように構成される。例えば、ブランケット44の温度が相当に約140℃と異なることを示す信号の、温度センサー92Dからの受信に応答して、プロセッサ20は、ブランケット44上で約140℃の指定温度を獲得するために、主乾燥機64および縦型乾燥機96の少なくとも1つを制御して、IR放射の強度および/または圧縮空気の流れを調整し得る。
【0090】
他の実施形態では、前述の温度信号に基づいて、プロセッサ20は、ブランケット処理ステーション52などであるが、それに限定されず、システム10の他の組立体およびステーションの動作を制御するようにさらに構成される。かかる処理ステーションの例は、例えば、PCT国際公開第WO2013/132424号および第WO2017/208152号に記述されており、それらの開示は全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0091】
追加または代替として、画像形成ステーションでのインク噴射の前に、処理流体が噴射によってブランケット44に塗布され得る。
【0092】
図1の例では、ステーション52は刷ステーション84と画像形成ステーション60との間に取り付けられているが、ステーション52は、刷ステーション84と画像形成ステーション60との間の任意の他の、または追加の1つ以上の適切な位置にブランケット44に隣接して取り付けられ得る。前述のとおり、ステーション52は追加または代替として、画像形成ステーション60に隣接したバーを含み得る。
【0093】
図1の例では、圧胴シリンダ82は、基材搬送モジュール80によって入力スタック86から出力スタック88へ圧胴シリンダ82を経由して運ばれた、個々のシート50などの、標的可撓性基材上にインク画像を押し付ける。
【0094】
いくつかの実施形態では、ブランケット44の下部ランは、刷ステーション84において圧胴シリンダ82と選択的に相互作用して、圧力シリンダ90の圧力の作用によりブランケット44と圧胴シリンダ82との間で圧迫された標的可撓性基材上に画像パターンを押し付ける。図1に示されるシンプレックスプリンタ(すなわち、シート50の片面上への印刷)の場合、1つの刷ステーション84だけが必要である。
【0095】
他の実施形態では、モジュール80は、1つ以上の両面印刷を可能にするために、2つ以上の圧胴シリンダを含み得る。2つの圧胴シリンダの構成は、両面プリント印刷の2倍の速度での片面プリントの実行も可能にする。加えて、片面および両面プリントの混合ロットも印刷できる。代替実施形態では、連続ウェブ基材上への印刷のためにモジュール80の異なる構成が使用され得る。両面印刷システムおよび連続ウェブ基材上への印刷のためのシステムの詳細な説明および様々な構成は、例えば、米国特許第9,914,316号および第9,186,884号、PCT国際公開第WO2013/132424号、米国特許出願公開第2015/0054865号、ならびに米国仮出願第62/596,926号に提供されており、それらの開示は全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0096】
上で簡潔に説明されるように、シート50または連続ウェブ基材(図示せず)は、モジュール80により入力スタック86から運ばれて、圧胴シリンダ82と圧力シリンダ90との間に置かれたニップ(図示せず)を通過する。ニップ内で、インク画像を搬送しているブランケット44の表面が、例えば、圧力シリンダ90の、圧縮可能なブランケット(図示せず)によりシート50(または他の適切な基材)にしっかりと押し付けられ、それによりインク画像がシート50の表面上に印加されて、ブランケット44の表面からきれいに分離される。その後、シート50は出力スタック88へ搬送される。
【0097】
図1の例では、ローラー78は、ブランケット44の上部ランに位置付けられて、画像形成ステーション60に隣接して通過する際にブランケット44をピンと張ったままに維持するように構成される。さらに、形成ステーション60によって、ブランケット44の表面上へのインク液滴の正確な噴射および付着、それによりインク画像の配置を獲得するために、画像形成ステーション60の下でブランケット44の速度を制御することは特に重要である。
【0098】
いくつかの実施形態では、圧胴シリンダ82は、インク画像を、移動しているブランケット44から、ブランケット44と圧胴シリンダ82との間を通過している標的基材に転写するために、周期的にブランケット44に係合されて、ブランケット44から解放される。いくつかの実施形態では、システム10は、上部ランをピンと張ったまま維持して、ブランケット44の上部ランを、下部ランで生じている機械的振動によって影響を受けることから実質的に分離するために、前述のローラーおよびダンサー組立体を使用してブランケット44にトルクを印加するように構成される。
【0099】
いくつかの実施形態では、システム10は、本明細書で自動品質管理(AQM)システムとも呼ばれる、画像品質管理ステーション55を含み、それは、システム10内に統合された閉ループ検査システムとして機能する。いくつかの実施形態では、ステーション55は、図1に示されているように、圧胴シリンダ82に隣接して、またはシステム10内の任意の他の適切な位置に、配置され得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、ステーション55はカメラ(図示せず)を含み、それは、シート50上に印刷された前述のインク画像の1つ以上のデジタル画像を取得するように構成される。いくつかの実施形態では、カメラは、密着型画像センサー(CIS)または相補型金属酸化膜半導体(CMOS)画像センサーなどの、任意の適切な画像センサー、および約1メートルの幅または任意の他の適切な幅をもつスリットを含むスキャナを含み得る。
【0101】
本開示の文脈およびクレームでは、任意の数値もしくは範囲に対する「約(about)」または「略(approximately)」という用語は、構成要素の部品または集合が本明細書で説明されるその意図する目的のために機能するのを可能にする適切な寸法公差を示す。例えば、「約」または「略」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指し得、例えば、「約90%」は72%~100%の値の範囲を指し得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、ステーション55は、シート50上に印刷されたインクの品質を監視するように構成された分光光度計(図示せず)を含み得る。
【0103】
いくつかの実施形態では、ステーション55によって取得されたデジタル画像は、プロセッサ20またはステーション55の任意の他のプロセッサなどの、プロセッサに伝送され、それは、それぞれの印刷画像の品質を評価するように構成される。その評価およびコントローラ54から受信した信号に基づき、プロセッサ20は、システム10のモジュールおよびステーションの動作を制御するように構成される。本発明の文脈およびクレームでは、「プロセッサ」という用語は、プロセッサ20または、ステーション55に接続されているか、もしくはステーション55と統合されている任意の他のプロセッサもしくはコントローラなどの、任意の処理装置を指し、それは、ステーション55のカメラおよび/または分光光度計から受信した信号を処理するように構成される。本明細書で説明される信号処理操作、制御関連命令、および他の計算操作は、単一のプロセッサによって実行されるか、または1つ以上のそれぞれのコンピュータの複数のプロセッサ間で分担され得ることに留意されたい。
【0104】
いくつかの実施形態では、ステーション55は、シート50との完全な画像位置決め、色と色の間(C2C)の位置決め、印刷された幾何形状、画像均一性、色のプロファイルおよび直線性、ならびに印刷ノズルの機能性などであるが、それらに制限されない、様々な属性を監視するために、印刷画像およびテストパターンの品質を検査するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、幾何学的歪みまたは、前述の属性の1つ以上における他のエラーを自動的に検出するように構成される。例えば、プロセッサ20は、所与のデジタル画像の設計バージョン(本明細書では「マスター」または「ソース画像」とも呼ばれる)と、カメラによって取得される、所与の画像の印刷バージョンのデジタル画像との間で比較するように構成される。
【0105】
他の実施形態では、プロセッサ20は、前述のエラーを示す歪みを検出するために、任意の適切なタイプの画像処理ソフトウェアを、例えば、テストパターンに適用し得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、修正処置を機能不良のモジュールに適用するために検出された歪みを分析し、かつ/または検出された歪みを補正するためにシステム10の別のモジュールもしくはステーションに命令を供給するように構成される。
【0106】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、ステーション55の分光光度計から受信した信号に基づいて、印刷された色のプロファイルおよび直線性における逸脱を検出するように構成される。
【0107】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、ステーション55によって取得された信号に基づいて、様々なタイプの欠陥:(i)基材(例えば、ブランケット44および/またはシート50)における、かき傷、ピンホール、および損傷した縁など、ならびに(ii)不規則なカラースポット、サテライト、および跳ねなどの印刷関連の欠陥、を検出するように構成される。
【0108】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、これらの欠陥を、印刷されたもののセクションと、本明細書でマスターとも呼ばれる、元の設計のそれぞれの参照セクションとの間の比較によって検出するように構成される。プロセッサ20は、欠陥を分類し、その分類および所定の基準に基づき、指定された所定の基準内にない欠陥を有するシート50を拒絶するようにさらに構成される。
【0109】
いくつかの実施形態では、ステーション55のプロセッサは、例えば、欠陥密度が指定された閾値を上回っている場合、システム10の動作を停止するかどうかを決定するように構成される。ステーション55のプロセッサは、前述のように、システム10のモジュールおよびステーションの1つ以上において修正処置を開始するようにさらに構成される。修正処置は、オンザフライで(その間、システム10は印刷プロセスを継続する)、またはオフラインで、印刷動作を停止し、システム10のそれぞれのモジュールおよび/もしくはステーション内の問題を修正することにより、実行され得る。他の実施形態では、システム10の任意の他のプロセッサまたはコントローラ(例えば、プロセッサ20またはコントローラ54)は、欠陥密度が指定された閾値を上回っている場合、修正処置を開始するか、またはシステム10の動作を停止するように構成される。
【0110】
追加または代替として、プロセッサ20は、例えば、ステーション55から、システム10の印刷プロセスにおける追加のタイプの欠陥および問題を示す信号を受信するように構成される。これらの信号に基づき、プロセッサ20は、パターン配置精度および前述されていない追加のタイプの欠陥のレベルを自動的に推定するように構成される。他の実施形態では、シート50上(または前述した任意の他の基材上)に印刷されたパターンを検査するための任意の他の適切な方法も、例えば、外部(例えば、オフライン)の検査システム、または任意のタイプの測定治具および/もしくはスキャナを使用して、使用できる。これらの実施形態では、外部の検査システムから受信した情報に基づき、プロセッサ20は、任意の適切な修正処置を開始し、かつ/またはシステム10の動作を停止するように構成される。
【0111】
システム10の構成は、本発明を明確にするために純粋に例として単純化されて提供されている。前述した印刷システム10で説明されている構成要素、モジュールおよびステーション、ならびに追加の構成要素および構成は、例えば、米国特許第9,327,496号および第9,186,884号、PCT国際公開第WO2013/132438号、第WO2013/132424号および第WO2017/208152号、米国特許出願公開第2015/0118503号および第2017/0008272号に詳細に記述されており、それらの開示は全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0112】
システム10の特定の構成は、本発明の実施形態によって対処される特定の問題を例示するため、およびかかるシステムの性能強化においてこれらの実施形態の適用を例証するために、例として示されている。しかし、本発明の実施形態は、この特定の種類のシステム例に決して制限されず、本明細書で説明される原理は、任意の他の種類の印刷システムに同様に適用され得る。
【0113】
例えば、他の実施形態では、乾燥機66および/またはブランケット予熱器98は、2つ以上のIR放射源を含み得る。同様に、主乾燥機64は任意の他の適切な数の乾燥ユニット、または任意の他の適切なタイプのインク乾燥装置を含み得る。
【0114】
代替実施形態では、乾燥機の少なくとも1つは、IR以外の放射を放出するように構成された放射源を含み得る。例えば、近赤外線、可視光、紫外線(UV)、または任意の他の適切な波長もしくは波長範囲。
【0115】
図2は、本発明のいくつかの実施形態に従った、デジタル印刷システム110の概略側面図である。いくつかの実施形態では、システム110は、上の図1で説明される、画像形成ステーション160、および乾燥ステーション64、縦型乾燥機96、ブランケット予熱器98、ならびにブランケット処理ステーション52を循環するブランケット44を含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、システム110は、インク画像を、移動しているブランケット44から、システム110の標的基材である、本明細書ではウェブ51と呼ばれる、連続可撓性ウェブ基材に転写するように構成される。かかる実施形態では、システム110は、基材搬送モジュール100を含み、それは、ウェブ51を、印刷前バッファユニット186から、インク画像をブランケット44から受け取るための1つ以上の刷ステーション85を経由して、印刷後バッファユニット188に運ぶように構成される。
【0117】
各刷ステーション85は、インク画像をブランケット44からウェブ51へ転写するのに適した任意の構成を有し得る。いくつかの実施形態では、ブランケット44の下部ランは、刷ステーション85において圧胴シリンダ192と選択的に相互作用して、圧力シリンダ190の圧力の作用によりブランケット44と圧胴シリンダ192との間で圧迫されたウェブ51上に画像パターンを押し付け得る。図2に示されるシンプレックスプリンタ(すなわち、ウェブ51の片面上への印刷)の場合、1つの刷ステーション85だけが必要である。図2には示されていない、両面印刷(すなわち、ウェブ51の両面上への印刷)の場合、システム110は、例えば、2つの刷ステーション85を含み得る。
【0118】
いくつかの実施形態では、基材搬送モジュール100は、ウェブ51を運ぶための任意の適切な構成を有し得る。一実施態様例が米国仮出願第62/784,576号(出願人整理番号LCP16/001、代理人整理番号1373-1009)に詳細に記述されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0119】
いくつかの実施形態では、ウェブ51は、アルミ箔、紙、ポリエステル(PE)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、延伸ポリアミド(OPA)、二軸延伸ポリアミド(BOPA)、他のタイプの延伸ポリプロピレン(OPP)、本明細書ではポリマープラスチックフィルムとも呼ばれる収縮フィルム、もしくは連続ウェブの形の可撓性包装に適した任意の他の材料、または、例えば、多層構造体におけるそれらの任意の適切な組合わせなどの、任意の適切な材料の1つ以上の層を含む。ウェブ51は、食品包装、プラスチック袋および管、ラベル、装飾および床張りなどであるが、それらに限定されない、様々な用途で使用され得る。
【0120】
いくつかの実施形態では、画像形成ステーション160は典型的には、複数の印刷バー62を含み、各々は、ブランケット44の上部ランの表面の上に固定の高さで位置付けられたフレーム(図示せず)上に(例えば、スライダを使用して)取り付けられている。いくつかの実施形態では、上の図1でも説明されるように、各印刷バー62はブランケット44上の印刷領域の幅をカバーするように配置された複数の印刷ヘッドを含み、個々に制御可能な印刷ノズルを含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、画像形成ステーション160は、任意の適切な印刷数のバー62を含み得、各印刷バー62は、水性インクなどの、前述の印刷流体を含み得る。インクは典型的には、シアン、マゼンタ、赤、緑、青、黄、黒および白などであるがそれらに制限されない、可視色を有する。図2の例では、画像形成ステーション160は、白の印刷バー61、ならびにシアン、マゼンタ、黄および黒などの任意の選択された色を有する4つの印刷バー62を含む。
【0122】
いくつかの印刷用途では、白のインクは、他の全ての色の前に、ウェブ51の表面に塗布され、ある事例では、ウェブ51の少なくともいくつかのセクション内で、白色は他の色のインクと混ざらないことが重要である。
【0123】
いくつかの実施形態では、システム110は、本明細書では白用乾燥機97と呼ばれる、白インク乾燥ステーションを含み、それは、画像形成ステーション160によってブランケット44の表面に塗布された白インクを乾燥させるように構成される。かかる実施形態では、白用乾燥機97は、5つの乾燥ユニットを含み得、その各々は、ブランケット44を加熱するための前述のIRベースの加熱器と、ブランケット44を冷却するための1つ以上の気流チャネルの組合わせを含む。
【0124】
他の実施形態では、白用乾燥機97は、白インクの乾燥に適した任意の他の構成を含み得、例えば、白用乾燥機97は、任意の他の数の乾燥ユニットを含み得るか、または任意の他の適切な乾燥技術を使用する任意の他の適切な乾燥装置を含み得る。
【0125】
一実施形態では、白用乾燥機97は、プロセッサ20および/またはコントローラ54によって制御され、白の印刷バー61によってブランケット44の表面に塗布された白インクを乾燥させるように構成される。この実施形態では、プロセッサ20および/またはコントローラ54は、ブランケット44の表面に塗布された白インクを部分的に、または完全に乾燥させるために白用乾燥機97を制御するように構成される。
【0126】
システム110の構成では、白用乾燥機97は、白以外の任意の色のインクを乾燥させるために使用される1つの乾燥機66を置き換える。本構成では、システム110は、白用乾燥機97と第1の乾燥機66との間に印刷バーを有していないが、他の実施形態では、システム110は、白用乾燥機97と第1の乾燥機66との間に、任意の適切な印刷構成要素(例えば、印刷バー)または検知構成要素(例えば、温度センサーまたは任意の他のタイプのセンサー)を有し得ることに留意されたい。
【0127】
他の実施形態では、システム110は、白以外の任意の特定の色のインクを乾燥、または部分的に乾燥させるための任意の他の適切なタイプの乾燥機を含み得る。
【0128】
他の印刷用途では、白インクは、他の全ての色の後に、ウェブ51の表面に塗布され得る。代替実施形態では、白インクは、システム110の外部またはシステム110に統合されたサブシステムを使用して、ウェブ51の表面に塗布され得る。かかる実施形態では、白インクは、画像形成ステーション160を使用して、他の色をブランケット44の表面に塗布する前または後に、および特に、刷ステーション85内で他の色をウェブ51の表面に塗布する前または後に、ウェブ51の表面に塗布される。
【0129】
いくつかの実施形態では、温度センサー92Bは、印刷バー62を使用して白以外の色を持つインクを塗布する前に、ブランケット44の表面温度を確認するために、前述の第1の乾燥機66と印刷バー62との間に配置される。さらに、温度センサー92Bは、画像形成ステーション160の最後の印刷バーと、主乾燥機64との間に配置される。温度センサー92A、92Cおよび92Dは、システム110および上の図1のシステム10の両方で同じ位置に配置されることに留意されたい。しかし、温度センサー92Bは、白色の印刷および乾燥(本例では、印刷バー61および乾燥機97の後)の後に、白以外の色(例えば、シアン、マゼンタ、黄、黒または任意の他の色)の第1の印刷バー62の前に、ブランケット44の経路に沿って、配置される。
【0130】
いくつかの実施形態では、温度センサー92B、92Cおよび92Dは、上の図1でも説明されるように、典型的にはブランケット44の温度に影響を及ぼすか、または影響を及ぼし得る、処理サブステップの後に配置される。
【0131】
いくつかの実施形態では、システム110は、本明細書では下部乾燥機75と呼ばれる、乾燥ステーションを含み得、それは、前述の技術を使用してブランケット44上に形成されたインク画像を乾燥させるために、赤外光または任意の他の適切な周波数、もしくは周波数範囲の光を放出するように構成される。図2の例では、下部乾燥機75は、5つの乾燥ユニットを含み得、その各々は、ブランケット44を加熱するための前述のIRベースの加熱器と、ブランケット44を冷却するための1つ以上の気流チャネルの組合わせを含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、システム110は、下部乾燥機75と刷ステーション85との間に、典型的には下部乾燥機75にごく近接して配置された、温度センサー92Eを含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20(および/またはコントローラ54)は、システム110のそれぞれのセクションに沿ってブランケット44の事前に定義された温度を保持するために、上の図1で説明される電源(図示せず)を制御して、それぞれの加熱器および/または乾燥機の1つ以上の赤外線源(以下の図3および図4に示される)に印加される出力密度を調整するように構成される。
【0134】
いくつかの実施形態では、上の図1で説明される技術を使用して、プロセッサ20(および/またはコントローラ54)は、システム110のそれぞれのセクションに沿ってブランケット44の温度プロファイルに関する閉ループ制御を実行するように構成される。制御は、温度センサー92A~92Eの少なくとも1つから受信した温度信号に基づいて実行され、その温度信号に基づいて、プロセッサ20は、それぞれのIRベースの加熱器(例えば、加熱器98ならびに乾燥機97、66、64、96および75の1つ以上)のIR電源に印加される出力密度を制御する。
【0135】
他の実施形態では、下部乾燥機75は、ブランケットが刷ステーション85に入る前に、ブランケット44の下部ランにおけるインクの乾燥に適した任意の他の適切な構成を含み得る。
【0136】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20および/またはコントローラ54は、それぞれ、システム10(図1に示される)およびシステム110(図1に示される)の各乾燥機を制御するように構成される。
【0137】
制御は、特定のデジタル印刷用途の様々な条件に基づいて実行され得る。例えば、ブランケット44の表面に塗布される色のタイプ、順序および表面被覆率レベルに基づく、ブランケット44および標的基材(例えば、シート50またはウェブ51)のタイプに基づく。
【0138】
「被覆率レベル(coverage level)」という用語は、ブランケット44の表面に塗布される色の量を指す。例えば、250%の被覆率レベルは、ブランケット44上に印刷されて、その後標的基材への転写のために指定されるインク画像の事前に定義されたセクション(または全面積)に塗布される2倍半のインク層を指す。2倍半のインク層は、上で説明された前述の色のインクの3つ以上を含み得ることに留意されたい。より大きな被覆率レベルは典型的には、より大きな束のIR照射、およびそれ故に、ブランケット44を冷却するためのより高い空気の流れを必要とすることが理解されよう。
【0139】
他の実施形態では、インク乾燥プロセスは、開ループで、例えば、温度制御組立体121によって(a)IR放射の強度および(b)圧縮空気の流量の少なくとも1つを制御することなく実行され得る。例えば、特定の画像を印刷するためのプロセスレシピの一部として、レシピパラメータはインク画像の被覆率レベルを含み得、プロセッサ20および/またはコントローラ54は、インクを乾燥させてブランケット44の温度を指定温度(例えば、約140℃または約150℃)未満に維持するために、(a)IR放射の強度および(b)圧縮空気の流量の1つ以上を温度制御組立体121によって事前に設定し得る。
【0140】
システム110の特定の構成は、本発明の実施形態によって対処される特定の問題を例示するため、およびかかるシステムの性能強化においてこれらの実施形態の適用を例証するために、例として示されている。しかし、本発明の実施形態は、この特定の種類のシステム例に決して制限されず、本明細書で説明される原理は、任意の他の種類の印刷システムに同様に適用され得る。
【0141】
画像固定ユニット内に実装された乾燥ユニット
図3は、本発明の一実施形態に従い、印刷バー62によって塗布されたインクを乾燥させるための乾燥機66の概略側面図である。いくつかの実施形態では、乾燥機66は、上の図1で簡潔に説明されて、ここで詳細にさらに説明される乾燥ユニットなどの、単一の乾燥ユニットを含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、乾燥機66は、送風機を有していて、圧縮空気101(または任意の他のタイプの適切なガス)を乾燥機66に供給するように構成された、空気吸入口チャネル(AIC)122への1つ以上の開口部を含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、乾燥機66は、ここで説明されるように、少なくともブランケット44の冷却後に圧縮空気101を抜き取るように構成された空気抽出装置(例えば、適切なタイプの真空または陰圧ポンプ)を持つ、空気出口チャネル(AOC)123への1つ以上の開口部をさらに含む。
【0144】
本開示の概念およびクレームでは、「温度制御組立体」という用語は、AIC122およびAOC123の少なくとも1つまたはそれらの組合わせを指し、本明細書で説明されるように、ブランケット44の温度を指定温度(例えば、約140℃または約150℃)未満まで下げるために、圧縮空気101(または任意の他の適切なタイプのガス)をブランケット44の外表面106に向けるように構成される。
【0145】
いくつかの実施形態では、乾燥機66は典型的には画像形成ステーション60内に配置され、主乾燥機64は、刷ステーション84内でインク画像が標的基材(例えば、シート50)に転写される前に、ブランケット44に塗布されたインク画像の乾燥プロセスが実行されるように、画像形成ステーション60と刷ステーション84との間に配置される。温度制御組立体121は、ブランケット44の温度を前述の指定温度範囲内で制御するために、圧縮空気101を、例えば、パイプまたは管(図示せず)を経由して、乾燥機66および主乾燥機64に供給するように構成されることに留意されたい。他の実施形態では、システム10は、複数のAIC122および/またはAOC123、例えば、乾燥機66用のAIC122とAOC123の第1のセットおよび主乾燥機64用のAIC122とAOC123の第2のセット、を含み得る。代替実施形態では、システム10は、プロセッサ20によって、ならびに/またはプロセッサ20と同期され、および/もしくはプロセッサ20によって制御されるローカルコントローラによって制御されるAIC122および/またはAOC123の任意の他の適切な構成を含み得る。
【0146】
いくつかの実施形態では、乾燥機66は、1つ以上のIRベースの加熱器、本例では、簡略して源111と呼ばれる、IR放射源を有する照明組立体113を含む。図3の例では、乾燥機66は、乾燥機66の2つのそれぞれの空洞内に配置された二対の源111を含む。各源111は、IR放射の光線99をブランケット44に方向付けるように構成される。例えば、各源111は、約30w/cm~約300w/cmの間の出力密度をブランケット44の表面106に向かって放出するように構成される。
【0147】
他の実施形態では、乾燥機66は、任意の適切な幾何形状を持ち、任意の適切な構成に配置された、任意の他の適切な数の源111(またはIRもしくは他の適切な1つ以上の波長の光を放出するように構成された任意の他の適切なタイプの1つ以上の光源)を含み得る。
【0148】
いくつかの実施形態では、乾燥機66は、源111と乾燥機66の空洞との間に結合された、1つ以上の反射器108を含み得る。反射器108は、IRベースの乾燥プロセスの効率および速度を改善するため、ならびに光線99によって乾燥機66に印加されるIR放射の量(およびそれ故、余分な加熱)を減らすために、源111からブランケット44に向けて放出された光線99を反射するように構成される。
【0149】
例えば、各反射器108は、ブランケット44に向かう光線99の約90%を反射し得、乾燥機66の空洞における温度を上昇させ得る、残りの10%を吸収し得る。
【0150】
いくつかの実施形態では、乾燥機66は、熱伝達組立体(HTA)104を含み、それは、熱伝導リブおよびトレースとして反射器108の周辺に配置された熱伝導材料(例えば、銅、アルミニウムまたは他の金属もしくは非金属材料)を含む。HTA104は、乾燥機66のそれぞれの空洞から余分な熱を放散させるように構成される。
【0151】
乾燥機66の構成例では、圧縮空気101は、約30℃の例示的な温度で、または約5℃~約100℃の間の任意の他の適切な温度で、AIC122を経由して、乾燥機66に入る。その後、圧縮空気101は、HTA104から熱を(例えば、熱対流によって)輸送するために、乾燥機66の内部チャネルを通って流れ、次いで、乾燥機66の開口部95を経て、表面106上の位置102に方向付けられる。圧縮空気101は、ブランケット44からの熱を伝達するために表面106上を流れ、次いで、AOC123が、ブランケット44の温度を前述の指定温度未満に維持するために、圧縮空気101を表面106から、乾燥機66の空気出口通路112を経て抜き取る。
【0152】
図1図3に示されるように、乾燥機66は、印刷バー62に隣接して、典型的には、2つの隣接した印刷バー62の間に、配置され得る。いくつかの実施形態では、圧縮空気101が印刷バー62のいずれとも物理的に接触しないように、乾燥機66は、圧縮空気101を空気出口通路112を経由して抜き取るように構成される。圧縮空気101は、印刷プロセスと相互作用し得るインク成分の蒸気を含むことに留意されたい。例えば、かかる蒸気は印刷バー62のノズルを部分的または完全に塞ぎ得、それは印刷画像の品質を低下させ得る(例えば、ノズルが完全に塞がれた場合にはインク欠け、またはノズルが部分的に塞がれた場合には乾燥したインクのクラスタを含む欠陥)。
【0153】
いくつかの実施形態では、乾燥機66の構造は、AIC122から入ってくる圧縮空気101が、開口部95を通って表面106に流れ込む圧縮空気101と混ざるのを防ぐ。前述のとおり、開口部95を通って流れた後、圧縮空気101は空気出口通路112を経て、AOC123へ強制的に流入させられる。言い換えれば、インク残留物を含み得る流出空気、および表面106を冷却するための流入空気は、乾燥機66内部で相互に決して混ざらない。
【0154】
いくつかの実施形態では、光線99は、乾燥機66の空洞内での源111の位置に基づいて位置102に方向付けられる。同様に、乾燥機66は、圧縮空気101がブランケット44を冷却するために位置102に向けられるように設計される。乾燥機66の各乾燥ユニットは、空気出口通路112をその間に有する、IRベースの加熱と圧縮空気ベースの冷却の、2つのセットを含む。この構成では、圧縮空気101と印刷バー62との間の接触を防ぐために、圧縮空気101は、乾燥機66の側面からブランケット44の方へ流入し、ブランケット44から、乾燥機66の中央に位置付けられた空気出口通路112を通って流出することに留意されたい。
【0155】
いくつかの実施形態では、乾燥機66と表面106との間の距離である、距離131は、IRベースの加熱および空気ベースの冷却の量を制御するために使用され得る。原理上は、より小さい距離131は、ブランケット44の加熱速度を加速する。言い換えれば、距離131が小さい場合、IRベースの加熱に応答して、ブランケット44は指定温度(例えば、約140℃または約150℃)により速く到達し、ブランケット44の表面上のインクがより高速に乾燥する結果となる。
【0156】
いくつかの実施形態では、距離131は、例えば、乾燥機66をシステム10および/またはシステム110のフレーム上に取り付ける際に、前もって決められ得る。他の実施形態では、距離131は、例えば、乾燥機66をブランケット44に対して移動させるための任意の適切な取付台を使用して、制御され得る。
【0157】
いくつかの実施形態では、距離131を制御することにより、プロセッサ20は、源111によって、ブランケット44の所定のセクションに対して印加される出力密度の強度および均一性を制御し得る。例えば、より大きな距離131は、ブランケット44の所与のセクションに対して印加される、より小さい出力密度となり得るが、その所与のセクション内およびそのごく近接において加熱の均一性を改善し得る。同様に、ブランケット44と乾燥機66との間の近接は、乾燥機66による冷却のレベルに影響し得る。例えば、より大きな距離131は、圧縮空気101によるブランケット表面の冷却の有効性を低下させる。
【0158】
前述のとおり、ブランケット44が矢印94によって示された方向に移動される場合、乾燥機66に隣接して配置されている印刷バー62は、インク液滴をブランケット44に噴射する。以下の図6でさらに詳細に説明されるいくつかの実施形態では、乾燥機66およびブランケットは、光線99がブランケット44を加熱するように構成されるように設計されて、上昇した温度が、表面106上のインクを乾燥させるか、または部分的に乾燥させるために、インクの液体キャリアの蒸発を誘発する。光線99は蒸発のためにインクに向けられるのではなく、ブランケットの温度を上昇させるためにブランケット44に向けられることに留意されたい。同様に、圧縮空気101は、ブランケット44の温度を下げるために、AIC122によって、ブランケット44に方向付けられて、AOC123によってブランケットから抽出される。
【0159】
乾燥機66の乾燥ユニットの特定の構成は、本発明の実施形態によって対処される、ブランケット44に塗布されたインク画像の部分的な乾燥およびブランケットの冷却などの、ある問題を例示するため、ならびに前述のシステム10および110などのデジタル印刷システムの性能強化においてこれらの実施形態の適用を例証するために、例として提供されている。しかし、本発明の実施形態は、この特定の構成および種類の乾燥ユニット例に決して制限されず、本明細書で説明される原理は、デジタル印刷システムまたは任意の他のタイプの印刷システム内の任意の他の種類の乾燥ユニットに同様に適用され得る。
【0160】
他の実施形態では、圧縮空気101は、ブランケット44の温度を下げるためにだけ使用され得、他方、別個の(例えば、専用の)冷却装置がHTA104を冷却するために使用され得る。
【0161】
複数の乾燥ユニットを含む乾燥機
図4は、本発明の一実施形態に従った、主乾燥機64の概略側面図である。いくつかの実施形態では、主乾燥機64は、複数の乾燥ユニット222、およびそれぞれ一対の隣接した乾燥ユニット222間の空気出口通路130を含む。
【0162】
ここで差し込み図133を参照すると、一対の乾燥ユニット222および、それらの間に配置された空気出口通路130が示されている。各乾燥ユニット222は、ブランケット44の表面106から距離132を置いて配置される。距離132は距離131とは異なり得、例えば、上の図3で説明される取付台を使用して、制御可能であり得ることに留意されたい。代替として、距離132は、画像形成ステーションのフレームとブランケット44の位置との間の距離に基づいて事前に決定され得る。
【0163】
いくつかの実施形態では、各乾燥ユニット222は、2つの空洞を有しており、その各々は照明組立体113の一対の源111を持ち、それらは、上の図3で乾燥機66に対して説明された技術を使用して、ブランケット44を加熱するために、光線99を方向付けるように構成される。乾燥ユニット222は、HTA104と同じ冷却機能であるが、乾燥ユニット222の構造に適合する異なる構造を有する熱伝達組立体(HTA)124をさらに含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、圧縮空気101は、約30℃の例示的な温度で、または、例えば、上の図3で説明された任意の他の適切な温度で、AIC122を経由して、乾燥ユニット222に入り、乾燥ユニット222を冷却するためにHTA124を通って流れる。その後、圧縮空気101は、上の図3で乾燥機66に対して説明されるようにブランケット44の温度を下げるために、開口部195を通って、乾燥ユニット222から出て、ブランケット44に向けられて、上の図3で説明されたのと同じ技術を使用して、ブランケット44から、空気出口通路130を経て、AOC123の方に、ポンプで吸い出される。
【0165】
この構成では、圧縮空気101は、乾燥ユニット222の中心からブランケット44に向かって流れ出て、ブランケット44から乾燥ユニット222の側面に配置された空気出口通路130を通ってポンプで吸い出されることに留意されたい。
【0166】
図4の例では、主乾燥機64は、9個の乾燥ユニット222および、主乾燥機64の両端部に乾燥ユニット222の2つの半分を含む。この構成では、主乾燥機64は10個の空気出口通路130を含み、それは、総数9個の空気出口通路130を有する10個のフルサイズ乾燥ユニット222(図示せず)のセットと比較して圧縮空気101の抽出を改善する。
【0167】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20および/またはコントローラ54は、温度センサー92A~92Eの1つ以上から温度信号を受信し、その温度信号に基づいて、(a)源111などの、1つ以上光源によってブランケット44に印加される光学的放射の強度、および(b)ブランケット44の表面106に向けられた、圧縮空気101、または任意の他の適切なガスの流量、の少なくとも1つを制御するように構成される。
【0168】
本例では、プロセッサ20および/またはコントローラ54は、ブランケット44に沿って配置された複数の温度センサーから受信した複数の温度信号に基づいて、IR光強度および圧縮空気101の流量を制御するように構成される。前述のように、ブランケット44は典型的には、周辺環境の温度によって冷却される。例えば、周囲空気およびローラー78の温度は、実質的に100℃より低い(例えば、約25℃~100℃の間の任意の温度)可能性がある。
【0169】
いくつかの実施形態では、システム110の白用乾燥機97および下部乾燥機75は各々、主乾燥機64のそれと類似の構成に配置されているか、または任意の他の適切な構成を使用する、5つの乾燥ユニット222を含み得る。一実施形態では、ブランケット予熱器98は、単一の乾燥ユニット222、または1つの乾燥機66、または圧縮空気111を流すための装置なしで1つ以上の源111を含み得る。
【0170】
いくつかの実施形態では、乾燥ユニット222の構造は、AIC122から入ってくる圧縮空気101が、開口部195を通って表面106に流れ込む圧縮空気101と混ざるのを防ぐ。前述のとおり、開口部195を通って流れた後、圧縮空気101は、隣接したユニット222間に配置された空気出口通路130を経て、AOC123へ強制的に流入させられる。言い換えれば、開口部195を通って流れた後、インクの残留物を含み得る圧縮空気は、乾燥ユニット222内を流れる流入空気と混ざらない。
【0171】
主乾燥機64、白用乾燥機97、下部乾燥機75、乾燥ユニット222、および空気出口通路130の構成は、例として提供される。他の実施形態では、これらの乾燥機およびユニットの少なくとも1つは、任意の他の適切な構成を有し得る。例えば、中央AIC122およびAOC123を持ち、弁(図示せず)を使用して圧縮空気101の流量を制御するのではなく、システム10および/またはシステム110は、前述の乾燥機の1つ以上に結合された複数のAIC122および/またはAOC123を含み得る。
【0172】
インク乾燥プロセスの制御
図5は、本発明の一実施形態に従い、デジタル印刷システムにおいて使用されるブランケット500の概略絵図である。ブランケット500は、例えば、上の図1図4に示されているシステム10および110のブランケット44を置き換え得る。
【0173】
いくつかの実施形態では、ブランケット500は、矢印94によって表される移動方向に移動されて、インク画像がその上に印刷されているセクション502および、隣接したセクション502の間に配置されて、前述された印刷バー61および62からインク液滴を受け取らない、セクション506を含む。
【0174】
いくつかの実施形態では、ブランケット500は、約1040mm~1050mmの幅510を有しており、セクション502は約750mmの長さ504を有し、セクション506は約750mmの長さ508を有する。
【0175】
いくつかの実施形態では、源111は典型的には、幅510に沿って並べられて、源111の少なくとも一部は、ブランケット500の幅全体に沿って均一な加熱を可能にする約1120mmの幅を有する。かかる実施形態では、プロセッサ20および/またはコントローラ54は、ブランケット500の移動を、矢印94の方向に、ブランケット500の全面積の均一な加熱を維持する事前に定義された速度(例えば、秒あたり約1.7メートル)で、制御するように構成される。
【0176】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20および/またはコントローラ54は、温度センサー92(例えば、温度センサー92A~92E)を制御して、ブランケット500の温度を所定の頻度で、本例では約20ミリ秒ごとに、測定するように構成される。かかる実施形態では、秒あたり1.7メートルの移動速度で、各温度センサー92はブランケット500の温度を、約34mmごとの頻度で測定する。
【0177】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20および/またはコントローラ54は、それぞれ、ブランケット500のセクション502および506で(例えば、温度センサー92によって)測定された温度を示す温度信号554および555を受信するように構成される。上の図2で説明されるように、ブランケット温度は、とりわけ、ブランケット表面に塗布されたインクの量である、被覆率レベルによって決まる。
【0178】
ブランケット500の例では、セクション502における被覆率レベルは、インク画像のパターンに従って変化し得、他方、印刷バー61および62からインクを受け取らない、セクション506は、均一な温度を有することが予期される。セクション502上に置かれたインクの潜熱に起因して、光線99のエネルギーの少なくとも一部がインクによって吸収されて、ブランケット500の直接加熱ための効果が低いことに留意されたい。
【0179】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20および/またはコントローラ54が温度信号554および555を温度センサー92の1つ以上(例えば、温度センサー92A~92Eから選択された)から受信する場合、セクション506で測定された温度は典型的には、セクション502で測定された温度よりも高い。
【0180】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20および/またはコントローラ54は、温度信号554および555に基づき、任意の適切な分析を使用して、ブランケット500の最も高い温度を決定するように構成される。例えば、プロセッサ20および/またはコントローラ54は、最新の温度信号554および555の所定の量(例えば、約100)を格納し得る。その後、プロセッサ20および/またはコントローラ54は、格納された信号の中から、上位3つの最高温度を示す温度信号を選択し得、上位3つの最高温度の中央値を計算することによってブランケット500の最高温度を決定し得る。
【0181】
他の実施形態では、プロセッサ20および/またはコントローラ54は、温度信号554および555の任意の適切な分析を使用して、ブランケット500の最高温度を決定し得る。
【0182】
代替実施形態では、プロセッサ20および/またはコントローラ54は、任意の他の適切なサンプリング頻度を使用してブランケット500の温度を測定するために、温度センサー92A~92Eの1つ以上を制御するように構成される。
【0183】
いくつかの実施形態では、ブランケット500の計算された最高温度に基づいて、プロセッサ20および/またはコントローラ54は、源111から放出されたIR放射の強度、および圧縮空気101の流量を制御するように構成される。
【0184】
かかる実施形態では、約140℃の最高温度の計算に応答して、プロセッサ20および/またはコントローラ54は、光線99の強度を下げ、かつ/または圧縮空気101の流量を上げるように構成される。
【0185】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20および/またはコントローラ54は、温度信号554および555の任意の適切なサンプリング量に基づき、ブランケット500の異なるセクションに沿って温度を計算するように構成される。
【0186】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20および/またはコントローラ54は、印刷プロセスの指定された最高および最低温度を示す閾値を保持し、前述された乾燥機(例えば、主乾燥機64および下部乾燥機75)の少なくとも一部を制御することによってブランケット500の温度を維持するように構成される。
【0187】
例えば、主乾燥機64の後、指定された最低温度よりも低い温度レベルの検知および計算に応答して、プロセッサ20および/またはコントローラ54は、下部乾燥機75を制御して光線99の強度を高め、かつ/または圧縮空気101の流量を下げるように構成される。
【0188】
前述のとおり、圧縮空気101の流量に加えて、ブランケットは典型的には、ブランケットと物理的に接触する周辺環境によって冷却される。例えば、ブランケットを取り囲んでいる空気(または他のガス)の温度、およびローラー78の温度は、100℃より相当低い(例えば、約25℃~100℃の間の任意の温度)可能性がある。
【0189】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、上の図1で説明されるように、ブランケットのそれぞれのマーカーまたは他の基準点の位置を示す位置信号を受信し得る。位置信号に基づき、プロセッサ20および/またはコントローラ54は、前述された乾燥機の1つ以上において、光線99の強度および/または圧縮空気101の流量を調整するように構成される。
【0190】
例えば、ブランケットがシステム10内で移動される場合、プロセッサ20は、ブランケット500の第1の特定のマーカーをセクション502と、ブランケット500の第2の特定のマーカーをセクション506と関連付け得る。一実施形態では、第1の特定のマーカーが主乾燥機64の所与の源111にごく近接して通過すると、プロセッサ20は、主乾燥機64を制御して、所与の源111からブランケット500に方向付けられた光線99の強度を高め得る。
【0191】
同様に、第2の特定のマーカーが主乾燥機64の所与の源111にごく近接して通過すると、プロセッサ20は、主乾燥機64を制御して、所与の源111から放出される光線99の強度を低下させ得る。
【0192】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20および/またはコントローラ54は、例えば、乾燥機62において、光線99の一定の強度および圧縮空気101の一定の流量を設定するように構成される。かかる実施形態では、ブランケット表面上の所与の位置に置かれたインク液滴の第1のセットが部分的に乾燥され、それにより、他の印刷バーによって後にその所与の位置に塗布されるインク液滴の第2のセットが、ブランケットの所与の位置において指定の混合色を生成するために、インク液滴の第1のセットと混合されるようになる。
【0193】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20および/またはコントローラ54は、ブランケット(例えば、ブランケット44またはブランケット500)に印加される圧縮空気101の温度を制御するように構成される。例えば、圧縮空気101の指定の温度は約30℃であり得る。システム10および110は、幅広い範囲の環境温度を有する様々な国および季節で動作し得る。例えば、環境温度は、温かい国における夏の約45℃~寒い国における冬の-30℃に及び得る。
【0194】
いくつかの実施形態では、30℃を下回る環境温度において、システム10および110は、AOC123によってブランケット44の表面106から抽出された温風からインク副生成物をフィルタリングするように構成される。かかる実施形態では、プロセッサ20および/またはコントローラ54は、約30℃で圧縮されてブランケット44に印加される空気を有するために、AIC122を制御して、フィルタリングされた温風と、環境の空気を混合するように構成される。
【0195】
いくつかの実施形態では、30℃を上回る環境温度において、プロセッサ20および/またはコントローラ54は、約30℃の空気を有するために、AIC122を制御して、環境の温風と、システム10または110を使用して印刷所によって(例えば、空調システムまたは任意の他の技術を使用して)冷却された空気を混合し、その混合した空気を圧縮してブランケット44に印加するように構成される。
【0196】
いくつかの実施形態では、システム10および110は、電流を源111に供給する電気ケーブル(図示せず)に結合された電流センサー(図示せず)を含む。電流センサーは、電気ケーブル上のインダクタンスレベルを検知するように構成される。かかる実施形態では、プロセッサ20および/またはコントローラ54は、電気ケーブルを流れる電流を示す信号を電流センサーから受信して、それぞれの源111が動作しているか否かを判断するように構成される。
【0197】
インクのIRベースの乾燥に適合したブランケットを製造するためのブランケット構造およびプロセス順序
図6は、本発明の一実施形態に従った、ブランケット600を製造するためのプロセス順序の断面図を概略的に示す略図である。ブランケット600は、例えば、上の図1図5に示されて説明される、システム10および110のいずれかのブランケット44およびその特徴に取って代わり得る。
【0198】
プロセスは、キャリア(図示せず)上に、ブランケット600を含む6層の例示的なスタックの準備から始まる。
【0199】
いくつかの実施形態では、キャリアは、例えば、アルミニウム、ニッケル、および/またはクロムを含む可撓性箔などの、可撓性箔から形成され得る。一実施形態では、箔は、本明細書ではポリエステルとも呼ばれる、アルミをかぶせたポリエチレンテレフタラート(PET)、例えば、フュームドアルミニウム金属(fumed aluminum metal)でコーティングされたPET、のシートを含む。
【0200】
いくつかの実施形態では、キャリアは、帯電防止高分子フィルム、例えば、ポリエステルフィルム、から形成され得る。帯電防止フィルムの特性は、様々な添加剤、例えば、アンモニウム塩、の高分子組成への添加などの、様々な技術を使用して獲得され得る。
【0201】
いくつかの実施形態では、キャリアは、本明細書ではキャリア接触面とも呼ばれる、50nm以下程度の粗度(Ra)を有する研磨された平面(図示せず)を有する。
【0202】
いくつかの実施形態では、第1の流体硬化性組成物(図示せず)が提供されて、剥離層602がそれからキャリア接触面上に形成される。いくつかの実施形態では、剥離層602は、インク画像を、例えば、画像形成ステーション60から受け取って、そのインク画像を、上の図1に示されて説明される、シート50などの、標的基材に転写するように構成されたインク受容面612を含む。層602、特に表面612は、以下で説明されるように、表面612とインク画像との間の、本明細書では後退接触角(RCA)とも呼ばれる、濡れ角によって測定される、インク画像に対する低剥離力を有するように構成されることに留意されたい。
【0203】
低剥離力は、表面612からシート50へのインク画像の完全な転写を可能にする。いくつかの実施形態では、剥離層602は、ビニル末端ポリジメチルシロキサン(PDMS)など、または任意の他の適切なタイプのシリコーンポリマーからの、透明なシリコーンエラストマーを含み得、約10μm~15μmの例示的な厚さ、または10μmよりも大きい任意の他の適切な厚さを有し得る。
【0204】
いくつかの実施形態では、第1の流体硬化性材料は、ビニル官能基シリコーンポリマー、例えば、末端ビニル基、例えば、ビニル官能基ポリジメチルシロキサンに加えて、少なくとも1つの側位ビニル基(lateral vinyl group)を含むビニルシリコーンポリマーを含む。
【0205】
いくつかの実施形態では、第1の流体硬化性材料は、ビニル末端ポリジメチルシロキサン、末端ビニル基に加えて少なくとも1つの側位ビニル基をポリシロキサン鎖上に含むビニル官能基ポリジメチルシロキサン、架橋剤、および付加硬化型触媒を含み得、任意選択で硬化遅延剤をさらに含む。
【0206】
図6の例では、剥離層602は、5~200μmの厚さに平らにされた、PETベースのキャリアに均一に塗布されて、120~130℃で約2~10分間硬化され得る。インク転写表面612の疎水性は、蒸留水の0.5~5マイクロリットル(μl)液滴で、約60°のRCAを有し得ることに留意されたい。いくつかの実施形態では、(以下で説明される表面614と接触する)剥離層602の表面は、著しく高い、典型的には約90°のRCAを有し得る。
【0207】
いくつかの実施形態では、インク転写表面612を生成するために使用されるPETキャリアは、40°以下の典型的なRCAを有し得る。全ての接触角測定は、Kruss(商標)Gmbh、Borsteler Chaussee 85、22453 Hamburg、ドイツによって製造された接触角アナライザ「Easy Drop」FM40Mk2を使用して、および/またはParticle and Surface Sciences Pty.Ltd.、Gosford、NSW、オーストラリアによって製造されたDataphysics OCA15 Proを使用して実行された。
【0208】
いくつかの実施形態では、ブランケット600は、約30μm~150μmの範囲の例示的な厚さを有していて、光線99のIR放射全体またはそのかなりの部分を吸収するように構成された、IR層603を含む。本例では、IR層603は、その上部5μ以内で、光線99のIR放射の約50%を吸収するように適合される。言い換えれば、IR層603は実質的に光線99を通さない。
【0209】
ここで、IR層603の断面図を示す差し込み図611を参照する。いくつかの実施形態では、IR層603は剥離層602に塗布されて、それと接合する表面612、および以下で詳細に説明されるコンプライアンス層604と接合する表面618を有する。
【0210】
いくつかの実施形態では、IR層603は、シリコーン(例えば、PDMS)から作られたマトリックスおよび、層603のPDMSマトリックスのバルク内の所与の位置に配置された複数の粒子622を含む。いくつかの実施形態では、粒子622は、市販のカーボンブラック(CB)粒子などであるが、それに限定されない、任意のタイプの顔料を含み、その各々は約10μm(約30μmのIR層603の厚さに対して)~30μm(約50μmのIR層603の厚さに対して)の間の範囲の典型的な直径を有する。
【0211】
いくつかの実施形態では、粒子622は、IR層603のバルクにおいて、表面614から約10μmまたは20μmの距離616以内に埋め込まれる。粒子622はまた、相互に約0.1μm~5μmの距離617で、層603に沿って均一にも配置される。他の実施形態では、距離616および617は、異なるブランケット間で変更され得、例えば、少なくとも1つの粒子は、表面614または618のいずれかと、ごく近接しているか、または接触し得る。同様に、距離617はIR層603に沿って変わり得る。
【0212】
いくつかの実施形態では、表面614においてではなく、IR層603のバルク内に埋め込まれた粒子622を有することは、IR層603と剥離層602との間の接着力を改善し得る。同様に、IR層603のバルク内に埋め込まれた粒子622を有することは、IR層603とコンプライアンス層604との間の接着力を改善し得る。
【0213】
いくつかの実施形態では、剥離組成物をPET上にコーティングして硬化させた後、CB粒子を有する、IR層603が硬化剥離層上にコーティングされて硬化もされる。CB粒子、または任意の他の適切なタイプの粒子のIR層603への挿入は、その層を剥離層に塗布する前にIR層のマトリックス中に粒子を混ぜることにより、またはIR層を剥離層に塗布した後に粒子を配置することにより、または任意の他の適切な技術を使用して、実行され得ることに留意されたい。その後、PDMS層が硬化されたIR層の上にコーティングされ、ガラス繊維層が塗布されて、全ての構造が硬化される。最後に、シリコーン樹脂がガラス繊維層上にコーティングされて硬化される。
【0214】
他の実施形態では、CB粒子およびその位置は、以下で詳細に説明されるように、剥離層602の表面612に塗布されたインクの乾燥プロセスに影響を及ぼし得る。
【0215】
ここで、ブランケット600の概観を再度参照する。いくつかの実施形態では、ブランケット600は、典型的にはPDMSから作られた、本明細書では共形層とも呼ばれる、コンプライアンス層604を含み、黒の顔料添加剤を含み得る。コンプライアンス層604はIR層603に塗布されて、約150μmの典型的な厚さ、または約100μm以上の任意の他の適切な厚さを有し得る。
【0216】
いくつかの実施形態では、コンプライアンス層604は、例えば、剥離層602ともIR層603とも異なる、機械的特性(例えば、張力に対するより大きな耐性)を有し得る。特性におけるかかる所望の差は、例えば、剥離層602および/もしくはIR層603に関して異なる組成物を利用することにより、剥離層602および/もしくはIR層603の組成物を調製するために使用される成分間の特性を変えることにより、ならびに/またはかかる組成物に対してさらなる成分を添加することにより、ならびに/または異なる硬化条件を選択することにより、獲得され得る。例えば、充填粒子を添加すると、コンプライアンス層604の機械的強度を剥離層602および/またはIR層603と比べて高め得る。
【0217】
いくつかの実施形態では、コンプライアンス層604は、剥離層602および表面612が、その上にインク画像が印加される基材(例えば、シート50)の表面輪郭にぴったりと従うのを可能にする弾性特性を有する。コンプライアンス層602の、インク転写表面612と反対側への付着は、コンプライアンス層602の材料に加えて、接着性または接合用組成物の添加を伴い得る。
【0218】
いくつかの実施形態では、ブランケット600は、コンプライアンス層604に塗布されて、以下で詳細に説明される、本明細書では支持層607またはブランケット600のスケルトンとも呼ばれる、補強スタック層を含む。いくつかの実施形態では、支持層607は、例えば、ローラー78およびダンサー組立体74によって、ブランケット600に印加されるトルクによって引き起され得る変形または断裂に対して改善された機械的耐性をブランケット600に提供するように構成される。いくつかの実施形態では、ブランケット600のスケルトンは、ガラス繊維織物層608と一緒に形成される、PDMSまたは任意の他の適切な材料から作られた、接着層606を含む。いくつかの実施形態では、層606および608は、それぞれ、約150μmおよび約112μmの典型的な厚さ、または任意の他の適切な厚さを有し得、そのため支持層607の厚さは典型的には約200μmになる。
【0219】
他の実施形態では、スケルトンは、任意の他の適切なプロセスを使用して、例えば、層606を配置し、その後層608をそれに結合して重合することにより、または任意の他のプロセス順序を使用することによって、生成され得る。
【0220】
いくつかの実施形態では、重合プロセスは、商業的に「付加硬化」として知られている、白金触媒によって触媒されるヒドロシリル化反応に基づき得る。
【0221】
他の実施形態では、ブランケット600のスケルトンは、任意の適切な繊維強化材を、ウェブまたは織物の形で含んで、ブランケット600が、例えば、システム10内で、張力が維持される場合に、伸びに耐えるためにブランケット600に十分な構造的完全性を提供し得る。スケルトンは、後に硬化されて、硬化後に柔軟なままである、任意の適切な樹脂で繊維強化材をコーティングすることによって形成され得る。
【0222】
代替実施形態では、支持層607は、繊維が、別々に硬化された樹脂内に埋め込まれ、かつ/または含浸されるように、別々に形成され得る。この実施形態では、支持層607は、接着剤層を介してコンプライアンス層604に付着され得、任意選択で支持層607をその場で硬化させる必要性を排除する。この実施形態では、支持層607は、コンプライアンス層604上にその場で、または別々に形成されるかどうかに関わらず、約100μm~約500μmの間の厚さを有し得、その一部は、繊維または織物の厚さに起因し、その厚さは一般に約50μm~約300μmの間で変わる。支持層607の厚さは前述の値に限定されないことに留意されたい。
【0223】
いくつかの実施形態では、ブランケット600は、典型的には透明なPDMSから作られていて、ブランケット600と、それぞれ、上の図1および図2で説明されているシステム10および110のローラーおよびダンサーとの間で物理的に接触するように構成された、本明細書ではグリップ層とも呼ばれる、高摩擦層610を含む。層610は比較的軟質材料から作られるが、ローラーに面している表面は、ブランケット600がローラーおよびダンサーによって印加されるトルクにスライドすることなく耐えるように、高摩擦を有することに留意されたい。実施形態例では、層610は、約100μmの厚さを有し得るが、代替として、例えば、10μm~1mmの間などの、任意の他の適切な厚さを有し得る。
【0224】
ブランケット600の層602、604、606、608および610の生成を実装する追加の実施形態は、例えば、PCT国際公開第WO2017/208144号号に詳細に記述されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0225】
ここで差し込み図611を再度参照する。例えば、上の図1図3および図4で説明されるように、画像形成ステーション60の印刷バー62はインク液滴をブランケット44の表面106に塗布する。図6に示されるブランケット600の例では、画像形成ステーション60の印刷バー62はインク液滴を剥離層602の表面612に塗布する。
【0226】
いくつかの実施形態では、粒子622のCB内容物は、剥離層602を通過する光線99のIR放射を吸収するように構成される。光線99のIR放射に応答して、粒子622は、IR層603のシリコーンマトリックスの温度よりも高い温度を有するように構成される。言い換えれば、CB粒子はIR放射を吸収して、IR層603にわたって熱線620および621を放出する。かかる実施形態では、熱線620および621は、それぞれ、層602および604の温度を上昇させている。
【0227】
いくつかの実施形態では、IR層603のシリコーンマトリックスは低熱伝導率を有しており、そのため熱線620はIR層603内を進んで、均一な温度上昇をIR層603および剥離層602にわたって形成している。
【0228】
追加または代替として、CB粒子は剥離層602内に埋め込まれ得る。
【0229】
いくつかの実施形態では、(IR放射を通す)剥離層602を(IR放射を吸収するように構成されている)IR層603の上に有することは、熱線620および621をブランケット600内で捕捉することであり、それにより、表面612に塗布されたインク液滴の乾燥プロセスを促進させる。
【0230】
かかる実施形態では、熱線620によって生成された熱は、層602と603との間ならびに層602および603内に蓄積され得、これらの層の低熱伝導率はブランケット600の表面612にわたって熱が均一に分散されるのを可能にする。
【0231】
ブランケット600の上の説明に基づき、粒子622と層610の外表面との間の総厚さは約0.5mmであり、一方、粒子622と表面612との間の距離は約20μmまたは30μmである。図6に示されるように、CB粒子によって生成される熱の大部分が表面612に向かって散逸していることを示すために、熱線621は熱線620よりも短く見える。かかる実施形態では、CB粒子によって生成される熱の大部分はブランケット600の表面612に塗布されたインク液滴を乾燥させるために使用される。
【0232】
図7は、本発明の一実施形態に従った、ブランケット600を製造するための方法を概略的に示す流れ図である。本方法は、上の図6で説明されるようにPETベースのキャリア接触面上に形成される剥離層602を生成する第1の層生成ステップ700から始まる。いくつかの実施形態では、剥離層602は、上の図1に示されて説明されるように、インク画像を、例えば、画像形成ステーション60から受け取って、そのインク画像を、シート50などの、標的基材に転写するように構成されたインク受容面612を含む。いくつかの実施形態では、剥離層602は、上の図6に示されて詳細に説明されるように、少なくとも部分的にIR放射の光線99を通し、ブランケット600の外表面に配置される。
【0233】
第2の層塗布ステップ702で、IR層603が剥離層602に塗布される。いくつかの実施形態では、IR層603はシリコーン(例えば、PDMS)から作られたマトリックスを含む。マトリックスは、層603のPDMSマトリックスのバルク内の所与の位置に配置されて、剥離層602を加熱してインク受容面612に塗布されたインク液滴の少なくとも一部を乾燥するために光学的放射(本例では光線99のIR放射)を吸収するように構成された、複数の粒子622(例えば、カーボンブラック粒子)を保持する。ステップ702で図7の方法は完了するが、ブランケット600を製造するための追加のステップが上の図6で詳細に説明される。
【0234】
図8は、本発明の一実施形態に従い、デジタル印刷プロセス中にインクを乾燥させて、ブランケットの温度を制御するための方法を概略的に示す流れ図である。
【0235】
本開示の文脈およびクレームでは、「ブランケット」という用語は、図1図4のブランケット44、図5のブランケット500、図6のブランケット600、および任意の他の種類の適切なITMを指す。図8の方法の実施形態はブランケット600を使用して説明されるが、前述の全てのタイプのブランケットおよびITM、ならびに他の適切なタイプのITMに適用できる。
【0236】
本方法は、光線99などの、IR放射を剥離層602の表面612に方向付ける、光学的放射方向付けステップ800から始まり、剥離層602は光学的放射を少なくとも一部通し、(i)インク液滴を受け取り、(ii)画像をその上に形成して、(iii)その画像を、シート50またはウェブ51などの、標的基材に転写するように構成される。いくつかの実施形態では、光線99のIR放射の少なくとも一部は、層603のPDMSマトリックスのバルク内部の所与の位置に配置された粒子622(例えば、カーボンブラック粒子)によって吸収される。
【0237】
いくつかの実施形態では、粒子622によって吸収されるとき、IR放射は剥離層602を加熱して、剥離層の表面上に形成されたインク画像のインク液滴を少なくとも部分的に乾燥させる。
【0238】
本方法を完了するブランケット温度制御ステップ802で、プロセッサ20は、ブランケットの温度を、例えば、上の図1および図2で説明されるように約70℃または80℃に制御するために、温度制御組立体を制御してガス(本例では、圧縮空気)を所定の流量で方向付ける。
【0239】
例えば、上の図2および図3で説明されるように、乾燥機66は、送風機を持ち、圧縮空気101(または任意の他のタイプの適切なガス)を乾燥機66に供給するように構成された、AIC122への1つ以上の開口部を含む。いくつかの実施形態では、乾燥機66は、ブランケットの冷却後に圧縮空気101を抜き取るように構成された空気抽出装置(例えば、適切なタイプの真空または陰圧ポンプ)を有する、AOC123への1つ以上の開口部をさらに含む。
【0240】
本明細書で説明される実施形態は主にデジタル印刷システムにおける中間転写部材の乾燥に対処し、本明細書で説明される方法およびシステムは、任意の基材からの液体の乾燥などの、他の用途において、または任意の基材の加熱もしくはアニーリングもしくは硬化などであるが、それらに限定されない、他の用途においても使用できる。
【0241】
従って、前述の実施形態は例として引用されていること、および本発明は本明細書で上で具体的に示されて説明されているものに制限されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、前述の様々な特徴の組合わせおよび部分的組合せの両方、ならびに前述の説明を読むと当業者が思い付くような、従来技術で開示されていない、変形およびその修正を含む。本特許出願で参照により組み込まれる文書は、任意の用語が、本明細書で明示的または暗黙的に行われる定義と矛盾する方法で、これらの組み込まれた文書で定義されている範囲を除いて、本出願の一体部分と見なされるべきであり、本明細書における定義だけが考慮されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
可撓性中間転写部材(ITM)であって、前記ITMは、少なくとも(i)前記ITMの外表面上に配置されて、インク供給サブシステムからインク液滴を受け取ってその上にインク画像を形成し、前記インク画像を標的基材に転写するように構成された、第1の層、および(ii)粒子をそれぞれ所与の位置で保持するマトリックスを備える第2の層、のスタックを備え、前記第2の層は、前記第1の層を通過する光学的放射を受けるように構成され、前記粒子は、前記光学的放射の少なくとも一部を吸収することによって前記ITMを加熱するように構成される、ITMと、
前記光学的放射を前記粒子の少なくとも一部に作用するように方向付けることによって前記インク液滴を乾燥させるように構成される、照明組立体と、
ガスを前記ITMに向けることによって前記ITMの温度を制御するように構成される、温度制御組立体と、
を備える、システム。
【請求項2】
前記第1の層および前記第2の層は相互に隣接しており、前記粒子は、前記外表面を均一に加熱するために相互から所定の距離を置いて配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記粒子は、前記外表面を均一に加熱するために前記外表面から所与の距離を置いて前記第2の層のバルク内部に埋め込まれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ITMの温度を示す温度信号を受信し、前記温度信号に基づいて、(i)前記光学的放射の強度、および(ii)前記ガスの流量、のうち少なくとも1つを制御するように構成される、プロセッサを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記光学的放射は赤外線(IR)放射を備え、前記粒子のうち少なくとも1つはカーボンブラック(CB)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
方法であって、
可撓性中間転写部材(ITM)に光学的放射を方向付けることであって、前記ITMは、少なくとも(i)インク液滴を受け取ってその上にインク画像を形成するため、および前記インク画像を標的基材に転写するために前記ITMの外表面上に配置された、第1の層、ならびに(ii)1つ以上のそれぞれ所与の位置に配置された粒子を保持するマトリックスを備える第2の層、のスタックを備え、前記光学的放射は前記第1の層を通過し、前記粒子は、前記ITMを加熱するために前記光学的放射の少なくとも一部を吸収しており、前記光学的放射は、前記外表面上で前記インク液滴を乾燥させるために前記第2の層の前記粒子の少なくとも一部に作用することと、
ガスを前記ITMに向けることによって前記ITMの温度を制御することと、
を備える、方法。
【請求項7】
前記第1の層および前記第2の層は相互に隣接しており、前記粒子は、前記外表面を均一に加熱するために相互から所定の距離を置いて配置される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記粒子は、前記外表面を均一に加熱するために前記外表面から所与の距離を置いて前記第2の層のバルク内部に埋め込まれる、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記ITMの温度を示す温度信号を受信することと、前記温度信号に基づいて、(i)前記光学的放射の強度、および(ii)前記ガスの流量、のうち少なくとも1つを制御することとを備える、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記光学的放射を方向付けることは赤外線(IR)放射を方向付けることを備え、前記粒子のうち少なくとも1つはカーボンブラック(CB)を備える、請求項6~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
可撓性中間転写部材(ITM)を製造するための方法であって、前記方法は、
インク液滴を受け取ってその上にインク画像を形成するため、および前記インク画像を標的基材に転写するために、前記ITMの外表面上に配置された、第1の層を生成することと、
1つ以上のそれぞれ所与の位置に配置された粒子を保持するマトリックスを備える第2の層を、前記第1の層に塗布することと、
を備える、方法。
【請求項12】
前記第1の層を生成することは、前記第1の層をキャリアに塗布することを備え、少なくとも第2の層を塗布した後に前記キャリアを前記ITMから取り除くことを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
システムであって、
インク供給サブシステムからインク液滴を受け取ってその上にインク画像を形成し、前記インク画像を標的基材に転写するように構成される、可撓性中間転写部材(ITM)であって、前記ITMはそれぞれ所与の位置に粒子を備え、前記ITMは光学的放射を受けるように構成され、前記粒子は、前記光学的放射の少なくとも一部を吸収することによって前記ITMを加熱するように構成される、ITMと、
前記光学的放射を前記粒子の少なくとも一部に作用するために方向付けることによって前記インク液滴を乾燥させるように構成される、照明組立体と、
ガスを前記ITMに向けることによって前記ITMの温度を制御するように構成される、温度制御組立体と
を備える、システム。
【請求項14】
前記光学的放射は赤外線(IR)放射を備え、前記粒子のうち少なくとも1つはカーボンブラック(CB)を備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ITMの温度を示す温度信号を受信し、前記温度信号に基づいて、(i)前記光学的放射の強度、および(ii)前記ガスの流量、のうち少なくとも1つを制御するように構成される、プロセッサを備える、請求項13または14に記載のシステム。
【国際調査報告】