(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(54)【発明の名称】ペロブスカイト半導体装置における界面層としての非フラーレン受容体(NFA)
(51)【国際特許分類】
C07D 471/06 20060101AFI20230201BHJP
H10K 30/50 20230101ALN20230201BHJP
【FI】
C07D471/06
H01L31/04 112Z
H01L31/04 166
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022531045
(86)(22)【出願日】2020-11-23
(85)【翻訳文提出日】2022-07-22
(86)【国際出願番号】 US2020061824
(87)【国際公開番号】W WO2021108317
(87)【国際公開日】2021-06-03
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522187568
【氏名又は名称】キュービックピーブイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン,マイケル デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】グエン,ミン トゥ
(72)【発明者】
【氏名】ミエルクツァレク,カミル
【テーマコード(参考)】
4C065
5F151
【Fターム(参考)】
4C065AA07
4C065BB09
4C065CC09
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH09
4C065JJ04
4C065KK04
4C065LL01
4C065PP03
4C065PP08
5F151AA11
(57)【要約】
有機非フラーレン電子伝達化合物を製造する方法は、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物及びアミン化合物をジメチルホルムアミド中で混合することを含む。また、当該方法は、混合物を、70℃以上160℃以下の温度に、1時間以上24時間以下の時間加熱することを含む。本方法はさらに、有機非フラーレン電子伝達化合物反応生成物を単離することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I):
【化1】
(式中、Rは以下の式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、及び(XI):
【化2】
で表される基から選択される)
で表される化合物を含む組成物。
【請求項2】
Rは式(II)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
Rは、式(III)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
Rは、式(IV)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
Rは、式(V)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
Rは、式(VI)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
Rは、式(VII)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
Rは、式(VIII)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
Rは、式(IX)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
Rは、式(X)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
Rは、式(XI)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
有機非フラーレン電子伝達化合物を製造するための方法であって、以下の:
ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物及びアミン化合物を有機溶媒中で混合すること;
混合物を70℃以上160℃以下、1時間以上24時間以下で加熱すること、及び
有機非フラーレン電子伝達化合物反応生成物を単離すること、
を含む、方法。
【請求項13】
有機溶媒は、ジメチルホルムアミド又はイミダゾールを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
アミン化合物は、以下の式(XII)又は式(XIII):
【化3】
(式中、Rは以下の式(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVII)及び(XVIII)
【化4】
で表される基からなる群より選択される)
で表される化合物を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
混合物を、1時間以上24時間以下の時間、100℃以上120℃以下の温度で加熱する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
有機非フラーレン電子伝達化合物反応生成物を単離することが、以下の:
混合物を冷却すること、
冷却された前記混合物へアルコールを導入して、有機非フラーレン電子伝達化合物反応生成物を沈殿させること、
沈殿した前記有機非フラーレン電子伝達化合物反応生成物を濾過して回収すること、
回収された前記有機非フラーレン電子伝達化合物反応生成物をアルコールで洗浄すること、かつ、
洗浄された前記有機非フラーレン電子伝達化合物反応生成物を、再結晶化すること、又はカラムクロマトグラフィーにより単離すること、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
有機非フラーレン電子伝達化合物反応生成物を沈殿又は洗浄するためのアルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はそれらのいかなる混合物を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物及びアミン化合物は、1:2のモル比で混合される、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
有機非フラーレン電子伝達化合物を製造するための方法であって、以下の:
ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物及びアミン化合物を有機溶媒中で混合すること、
混合物を100℃以上120℃以下、1時間以上24時間以下で加熱すること、
前記混合物を冷却すること、
冷却された前記混合物にアルコールを導入して、有機非フラーレン電子伝達化合物反応生成物を沈殿させること、
回収された前記有機非フラーレン電子伝達化合物反応生成物をアルコールで洗浄すること、かつ、
洗浄された前記有機非フラーレン電子伝達化合物反応生成物から、再結晶化又はカラムクロマトグラフィーにより、前記有機非フラーレン電子伝達化合物反応生成物を単離すること、
を含む、方法。
【請求項20】
有機溶媒は、ジメチルホルムアミド又はイミダゾールを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記アミン化合物は、以下の式(XII)又は式(XIII):
【化5】
(式中、Rは以下の式(XIV)、(XV)、(XVI)、(XVII)及び(XVIII)
【化6】
で表される基からなる群より選択される)
を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
有機非フラーレン電子伝達化合物反応生成物を沈殿させるためのアルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はそれらのいかなる混合物を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物及びアミン化合物は、1:2のモル比で混合される、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
有機非フラーレン電子伝達化合物は、以下の式(XIX):
【化7】
で表される、化合物又はエナンチオマーを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
有機非フラーレン電子伝達化合物は、以下の式(XXI)
【化8】
で表される化合物又はエナンチオマーを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
有機非フラーレン電子伝達化合物は、以下の式(XXIII)
【化9】
で表される化合物又はエナンチオマーを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
有機非フラーレン電子伝達化合物は、以下の式(XXV)
【化10】
で表される化合物又はエナンチオマーを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
有機非フラーレン電子伝達化合物は、以下の式(XXVII)
【化11】
で表される化合物又はエナンチオマーを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
有機非フラーレン電子伝達化合物反応生成物から前記有機非フラーレン電子伝達化合物反応生成物を単離することが、再結晶化を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
有機非フラーレン電子伝達化合物反応生成物から前記有機非フラーレン電子伝達化合物反応生成物を単離することが、カラムクロマトグラフィーを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2019年11月27日に出願された発明の名称「ペロブスカイト半導体装置における界面層としての非フラーレン受容体(NFAS)」の米国仮特許出願第62/941,345号の優先権を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
[0002]太陽エネルギー又は放射線から電力を生成するために光起電力(PV)を用いると、例えば、電源、低排出ガス又はゼロ排出、電力網から独立した電力生産、耐久性のある物理構造(可動部品なし)、安定かつ信頼できるシステム、モジュール式構造、比較的迅速な設置、安全に製造及び使用できること、並びに世論が良好、かつ、使用が受け入れられるという、多くの利益を提供しうる。
【0003】
[0003]PVは、光に曝露されると電力を発生する光活性層として、ペロブスカイト材料の層を組み込むことができる。いくつかの光活性層は、温度、湿度、及び酸化を含む環境因子により劣化する場合がある。従って、ペロブスカイト材料の耐久性及び効率の改善が望まれている。また、PV装置内の他の層が改良されると、それにより装置の耐久性及び性能が改良されるため、望ましい。
【0004】
[0004]本開示の特徴及び利点は、当業者には容易に明らかになるであろう。当業者は多くの改変を行うことができるが、当該改変は本発明の趣旨の範囲内である。
【発明の概要】
【0005】
ある実施形態では、 以下の式(I):
【0006】
【化1】
(式中、Rは以下の式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(X)、及び(XI):
【0007】
【化2】
で表される基から選択される)
で表される化合物があげられる。
[0005]ある実施形態では、有機非フラーレン電子伝達化合物を製造するための方法であって、以下の:ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物及びアミン化合物を有機溶媒中で混合すること;混合物を70℃以上160℃以下、1時間以上24時間以下で加熱すること、及び有機非フラーレン電子伝達化合物反応生成物を単離すること、を含む。
[0006]ある実施形態では、半導体装置は、ペロブスカイト材料の層及び有機非フラーレン電子伝達材料の層を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】[0007]本開示のある実施形態による、活性層を含む通常の光起電性(PV)セルの概略図である。
【
図2】[0008]本開示のある実施形態による、例示的PV装置の構成要素を示す様式化された図である。
【
図3】[0009]本開示のある実施形態による、例示的な装置の構成要素を示す様式化された図である。
【
図4】[0010]本開示のある実施形態による、例示的な装置の構成要素を示す様式化された図である。
【
図5】[0011]ラッドルセン-ポッパー(Ruddlesden-Popper)ペロブスカイトの図を示す様式化された図である。
【
図6】[0012]本開示のある実施形態による、アルキルアンモニウムカチオンが添加されたペロブスカイト材料の図解を示す、様式化された図である。
【
図7】[0013]本開示のある実施形態による、1-ブチルアンモニウム表面層があるペロブスカイト材料の図示を示す、様式化された図である。
【
図8】[0014]本開示のある実施形態による、複数のかさ高い(バルキーな)有機カチオンの表面層があるペロブスカイト材料の図解を示す様式化された図である。[0015]
図8Aは、本開示のある実施形態による、複数のかさ高い有機カチオンの表面層があるペロブスカイト材料の図解を示す様式化された図である。
【
図9】[0016]本開示のある実施形態による、1-ブチルアンモニウム(「BAI」)表面コーティングの有無のペロブスカイト材料を撮影した画像の比較による説明図である。
【
図10】[0017]本開示のある実施形態による、1-ブチルアンモニウム(「BAI」)表面コーティングの有無のペロブスカイト材料を撮影した画像の比較例を示す、様式化された図である。
【
図11】[0018]A~Dは、本開示のある実施形態による、ペロブスカイト材料の表面に塗布されうる様々なペリレンモノイミド及びジイミドを示す。
【
図12】[0019]本開示のある実施形態による、ペロブスカイト材料にペリレンモノイミドアンモニウムカチオンを添加した説明図を示す、様式化された図である。
【
図13】[0020]本開示のある実施形態による、ヨウ化鉛ペロブスカイト材料の結晶格子に組み込まれた1,4-ジアンモニウムブタンの図解を示す様式化された図である。
【
図14】[0021]本開示のある実施形態による、様々な濃度の1,4-ジアンモニウムブタンがあるペロブスカイトのX線回折ピーク(XRD)の説明図である。
【
図15】[0022]本開示のある実施形態による、様々な濃度の1,4-ジアンモニウムブタンがあるペロブスカイト材料試料の経時的な画像を提供する。
【
図16】[0023]本開示のある実施形態による、ポリアンモニウムアルキルカチオンの図である。[0024]
図16Aは、本開示のある実施形態による、ホルムアミジニウムヨウ化鉛ペロブスカイト材料の結晶格子に組み込まれた1,8ジアンモニウムオクタンの図解を示す様式化された図である。[0025]
図16Bは、本開示のある実施形態による、ヨウ化鉛ペロブスカイトホルムアミジニウム材料の結晶格子に組み込まれたビス(4-アミノブチル)-アンモニウムの説明図である。[0026]
図16Cは、本開示のある実施形態による、ホルムアミジニウムヨウ化鉛ペロブスカイト材料の結晶格子に組み込まれたトリス(4-アミノブチル)-アンモニウムの説明図である。
【
図17】[0027]本開示のある実施形態による、特定の有機分子の構造の図である。
【
図18】本開示のある実施形態による、特定の有機分子の構造の図である。
【
図19】本開示のある実施形態による、特定の有機分子の構造の図である。
【
図20】本開示のある実施形態による、特定の有機分子の構造の図である。
【
図21】本開示のある実施形態による、特定の有機分子の構造の図である。
【
図22】本開示のある実施形態による、特定の有機分子の構造の図である。
【
図23】本開示のある実施形態による、特定の有機分子の構造の図である。
【
図24】本開示のある実施形態による、特定の有機分子の構造の図である。
【
図25】本開示のある実施形態による、特定の有機分子の構造の図である。
【
図26】本開示のある実施形態による、特定の有機分子の構造の図である。
【
図27】本開示のある実施形態による、特定の有機分子の構造の図である。
【
図28】本開示のある実施形態による、特定の有機分子の構造の図である。
【
図29】[0028]本開示のある実施形態による、ペロブスカイト材料のX線回折パターンを示す。
【
図30】[0029]本開示のある実施形態による、ペロブスカイト材料の無機金属ハロゲン化物部分格子の厚さの様式化された図である。
【
図31】[0030]本開示のある実施形態によるペロブスカイト材料光起電力装置の光学及びフォトルミネセンス画像を示す。
【
図32】[0031]本開示のある実施形態による、ペロブスカイト材料光起電力装置の電力出力曲線を示す。
【
図33】[0032]本開示のある実施形態による、ペロブスカイト材料光起電力装置の電流-電圧(I-V)走査を示す。
【
図34】[0033]本開示のある実施形態による、ペロブスカイト材料光起電力装置の開回路電圧、短絡電流密度、充填率、及び電力変換効率に関するボックスプロットを示す。
【
図35】[0034]本開示のある実施形態による、ペロブスカイト材料光起電力装置の外部量子効率(EQE)曲線を示す。
【
図36】[0035]本開示のある実施形態による、ペロブスカイト材料光起電力装置のアドミタンス分光プロットを示す。
【
図37】[0036]ある実施形態による、NFA層を組み込んだペロブスカイト材料装置3700の様式化された図である。
【
図38】[0037]A及びBともに、本開示のある実施形態による、いくつかのNFA化合物の分子構造を示す図である。
【
図39】[0038]本開示のある実施形態による、官能化NDI分子の合成反応を示す図である。
【
図40】[0039]本開示のある実施形態による、ペリレンジイミド(PDI)の2つのn-置換誘導体の分子構造を示す図である。
【
図41】[0040]本開示のある実施形態によるDEAPPDIを作製するための合成反応を示す図である。
【
図42】[0041]本開示のある実施形態による、TEAPPDIを作製するための合成反応の説明を示す図である。
【
図43】[0042]本開示のある実施形態による、CyHNDI分子を示す図である。
【
図44】[0043]本開示のある実施形態による、電子伝達層として機能しうる化合物の分子構造を示す図である。
【
図45】[0044]本開示のある実施形態による、電子伝達層として機能しうる化合物の分子構造を示す図である。
【
図46】[0045]本開示のある実施形態による、NDI化合物のエネルギー準位を示す図である。
【
図47】[0046]本開示のある実施形態による、PDI化合物のエネルギー準位を示す図である。
【
図48】[0047]本開示のある実施形態による、ITIC及びIEICO化合物のエネルギー準位を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0048]有機PV、非有機PV、及び/又はハイブリッドPVと互換性のあるPV技術の様々な側面の改良により、有機PVと及び他のPVの費用をともにさらに低下させることが期待される。例えば、ペロブスカイト型PV太陽電池等のある太陽電池は、酸化ニッケル界面層等の、費用対効果及び安定性が高い新規な代替部品を利用することができる。さらに、様々な種類の太陽電池は、有利なことに、現在存在する従来の選択肢よりも、とりわけ、費用対効果及び耐久性が高い化学添加物及び他の材料を含んでよい。
【0010】
[0049]本開示は、一般に、太陽放射から電気エネルギーを生成する際に、太陽電池における物質の組成物、装置、及び材料の使用方法に関する。より具体的には、本開示は、光活性物質及び他の物質の組成物、並びに当該物質の組成物の装置、使用方法、及び形成に関する。
【0011】
[0050]本開示のある実施形態による材料の一部又は全部は、有利には、いかなる有機又は他の電子装置に用いることができ、その例としては、電池、電界効果トランジスタ(FET)、発光ダイオード(LED)、非線形光学装置、メムリスタ、コンデンサ、整流アンテナ、及び/又は整流アンテナがあげられるが、これらに限定されない。
【0012】
[0051]ある実施形態では、本開示は、PV及び他の類似の装置(例えば、電池、ハイブリッドPV電池、多接合PV、FET、LED、X線検出器、ガンマ線検出器、フォトダイオード、CCD等)を提供することができる。ある実施形態では、当該装置は、改良された活性材料、界面層(IFL)、及び/又は1つ以上のペロブスカイト材料を含んでよい。ペロブスカイト材料は、PV又は他の装置の1つ以上の態様の様々なものに組み込まれてよい。ある実施形態によるペロブスカイト材料は、一般式CMX3であってよく、ここで、Cは、1以上のカチオン(例えば、アミン、アンモニウム、ホスホニウム、第1族金属、第2族金属、及び/又は他のカチオン又はカチオン様化合物)を含み、Mは、1以上の金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Hg、Sn、Ge、Ga、Pb、In、Tl、Sb、Bi、Ti、Zn、Cd、Hg、及びZrがあげられる)を含み、Xは、1以上のアニオンを含む。様々な実施形態によるペロブスカイト材料は、以下でより詳細に説明する。
【0013】
[0052]
太陽電池等の電子装置
あるPV実施形態は、
図1に示すような太陽電池の例示的な図示を参照して説明することができる。ある実施形態による例示的なPVアーキテクチャは、実質的に基板-アノード-IFL-活性層-IFL-カソードの形態であってよい。ある実施形態の活性層は、光活性であってよく、及び/又は光活性材料を含んでよい。他の層及び材料は、当該技術分野で公知であるように、電池で利用されてよい。さらに、用語「活性層」を用いる場合、いかなる他の層の特性をも、明示的に又は暗示的に、制限又は他の方法で定義することを意味しないことに留意されたい。例えば、ある実施形態では、いずれか又は両方のIFLも、それらが半導体でありうる限り、活性であってよい。特に、
図1を参照すると、様式化された一般的なPV電池1000が示され、PV内のある層の高い界面特性を示す。PV 1000は、ペロブスカイト材料PVの実施形態など、あるPV装置に適用しうる一般的アーキテクチャを表す。PV電池1000は、透明基板層1010を含み、これは、ガラス(又は太陽放射に対して同様に透明な材料)であってよく、太陽放射が層を介して透過することができるようになる。ある実施形態の透明層は、(例えば、
図2の基板層3901と同様)スーパーストレート又は基板ともいい、例えば、ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリイミド、PMMA、PET、PEN、カプトン、又は石英等の様々な剛性又は可撓性の材料のいずれか1つ以上を含んでよい。一般に、用語「基板」は、製造中に装置が堆積される材料を指すのに用いられる。光活性層1040は、電子供与体又はp型材料、及び/又は電子受容体若しくはn型材料、並びに/又はp型及びn型の材料特性をともに示す両極性半導体、並びに/又はn型若しくはp型の特性を示さない真性半導体で構成されてよい。光活性層1040は、ある実施形態では、本明細書に記載されるようなペロブスカイト材料であってよい。
図1に示されるように、活性層又は光活性層1040は、2つの導電性電極層1020及び1060の間に挟まれる。
図1では、電極層1020は、スズドープ酸化インジウム(ITO材料)又は本明細書に記載される他の材料等の透明導電体であってよい。他の実施形態では、第2の基板1070及び第2の電極1060は、透明であってよい。上記のように、ある実施形態の活性層は、必ずしも光活性である必要はないが、
図1に示す装置では、光活性である。電極層1060は、アルミニウム材料又は他の金属、又は炭素等の他の導電性材料であってよい。当技術分野で公知のように、他の材料を用いてよい。セル1010はまた、
図1の例に示される界面層(IFL)1030を含む。IFLは、電荷分離を支援することができる。他の実施形態では、IFL 1030は、多層IFLを含んでよく、これは、以下でより詳細に説明する。また、電極1060に隣接してIFL 1050があってよい。ある実施形態では、電極1060に隣接するIFL 1050はまた、又はその代わりに、多層IFL(再び、以下により詳細に説明される)、多層IFLを含んでよい。ある実施形態によるIFLは、性質が半導体であってよく、固有、両極性、p型、又はn型のいずれであってよく、又は性質が誘電体であってよい。ある実施形態では、装置のカソード側のIFL(例えば、
図1に示すようなIFL 1050)はp型であってよく、装置のアノード側のIFL(例えば、
図1に示すようなIFL 1030)はn型であってよい。しかしながら、他の実施形態では、カソード側IFLはn型であってよく、アノード側IFLはp型であってよい。セル1010は、電極1060及び1020と、バッテリ、モータ、キャパシタ、電力グリッド、又は他のいかなる電気負荷等の放電ユニットによって、電気リード線に取り付けることができる。
【0014】
[0053]本開示の様々な実施形態により、とりわけ、活性材料(正孔輸送及び/又は電子伝達層を含む)、界面層、及び全体的な装置設計を含む、太陽電池及び他の装置の様々な局面における改良された材料及び/又は設計がもたらされる。
【0015】
[0054]
界面層
ある実施形態では、本開示は、薄膜コートIFLを含む、PV内の1つ以上の界面層の有利な材料及び設計を提供する。薄膜IFLは、本明細書で説明される様々な実施形態による、PVの1つ以上のIFLで用いられうる。
【0016】
[0055]様々な実施形態では、装置はいかなる他の2つの層及び/又は材料の間に界面層をいかように含んでよいが、装置はいかなる界面層を含まなくてよい。例えば、ペロブスカイト材料装置は、ゼロ、1、2、3、4、5、又はそれ以上の界面層(例えば、
図2の例示的装置は、5つの界面層3903、3905、3907、3909、及び3911を含む)を含んでよい。界面層は、2つの層又は材料の間の電荷輸送及び/又は収集を強化するためのいかなる適当な材料を含んでよく、電荷が界面層に隣接する材料の1つから移送された後に、電荷再結合の可能性を防止又は低減するにも役立つ。界面層は、さらに、基板の粗さ、誘電率、接着性、欠陥(例えば、電荷トラップ、表面状態)又は消光における変化を生じるために、その基板を物理的及び電気的に均質化することができる。適当な界面材料は、Ag、Al、Au、B、Bi、Ca、Cd、Ce、Co、Cu、Cu、Fe、Ga、Ge、H、In、Mg、Mn、Mo、Nb、Ni、Pt、Sb、Sc、Si、Sn、Ta、Ti、V、W、Y、Zn、Zr、上記金属のいずれかの炭化物(例えば、SiC、Fe
3C、WC、VC、MoC、NbC)、上記金属のいずれかのケイ化物(例えば、Mg
2Si、Si
2、Sn
2Si)、上記金属のいずれかの酸化物(例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、SnO
2、ZnO、NiO、ZrO
2、HfO
2)、酸化インジウムスズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、酸化カドミウム(CdO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)等の透明導電酸化物(「TCO(s)」)、前記金属のいずれかの硫化物(例えば、例えば、CdS、MoS
2、SnS
2)、前記金属のいずれかの窒化物(例えば、GaN、Mg
3N
2、TiN、BN、Si
3N
4)、前記金属のいずれかのセレン化物(例えば、CdSe、FeSe
2、ZnSe)、前記金属のいずれかのテルル化物(例えば、CdTe、TiTe
2、ZnTe)、前記金属のいずれかのリン化物(例えば、InP、GaP、GaInP)、前記金属のいずれかのヒ化物(例えば、CoAs
3、GaAs、InGaAs、NiAs)、前記金属のいずれかのアンチモン化物(例えば、AlSb、GaSb、InSb)、前記金属のいずれかのハロゲン化物(例えば、CuCl、CuI、BiI
3)、前記金属のいずれかの疑似ハロゲン化物(例えば、CuSCN、AuCN、Fe(SCN)
2)、前記金属のいずれかの炭酸塩(例えば、CaCO
3、Ce
2(CO
3)
3)、官能化又は非官能化アルキルシリル基;グラファイト;グラフェン;フラーレン;カーボンナノチューブ;本明細書の他の箇所で考察するいかなるメソポーラス材料及び/又は界面材料;並びにそれらの組み合わせ(ある実施形態では、組み合わせ材料の二重層、三重層、又は多重層を含む)。ある実施形態では、界面層はペロブスカイト材料を含んでよい。さらに、界面層は、本明細書に記載されるいかなる界面材料がドープされた(例えば、YドープZnO、Nドープ単層カーボンナノチューブ)実施形態を含んでよい。界面層はまた、上記材料のうちの3つを備える化合物(例えば、CuTiO
3、Zn
2SnO
4)又は上記材料のうちの4つを備える化合物(例えば、CoNiZnO)を含んでよい。上記材料は、平面状、メソ多孔性(ポーラス状)、又はその他のナノ構造形態(例えば、棒、球、花形、錐体(ピラミッド形態))、又はエアロゲル構造として存在することができる。
【0017】
[0056]まず、上記のように、1つ以上のIFL(例えば、
図1に示すIFL2626及び2627のいずれか又は両方)は、自己組織化単層(SAM)として、又は薄膜として、本開示の光活性有機化合物を含んでよい。本開示の光活性有機化合物がSAMとして適用される場合、それは、それを介してアノード及びカソードのいずれか又は両方の表面に共有結合的又は他の方法で結合されうる結合基を含んでよい。ある実施形態の結合基は、COOH、SiX
3(式中、Xは、Si(OR)
3及びSiCl
3等の三元シリコン化合物を形成するのに適したいかなる部分でありうる)、SO
3、PO
4H、OH、CH
2X(式中、Xは、17族ハライドを含んでよい)、及びOのいずれか1つ以上を含んでよく、結合基は、電子求引性部分、電子供与部分、及び/又はコア部分に共有結合しているか又は他の方法で結合してよい。結合基は、単一分子(又は、いくつかの実施形態では、複数分子)の厚さの方向性のある組織化された層を形成するように、電極表面に付着してもよい(すなわち、複数の光活性有機化合物が陽極及び/又は陰極に結合している場合である)。上記のように、SAMは、共有結合相互作用を介して付着してよいが、ある実施形態では、イオン、水素結合、及び/又は分散力(すなわち、ファンデルワールス)相互作用を介して付着してよい。さらに、ある実施形態では、光暴露時に、SAMは双性イオン励起状態に入り、それにより、活性層から電極(例えば、陽極又は陰極)へ電荷キャリアを誘導することができる高分極IFLを生成することができる。ある実施形態では、この強化された電荷キャリア注入は、活性層の断面を電子的にポーリングすることにより達成され、従って、各電極(例えば、正孔から陽極、電子から陰極)向かって電荷キャリアのドリフト速度が高まる。ある実施形態のアノード適用のための分子は、コア部分に結合した一次電子供与性部分を含み、当該コア部分は、電子求引性部分に結合し、かつ、結合基に結合する、同調可能な化合物を含んでよい。ある実施形態によるカソード用途では、IFL分子は、コア部分に結合した電子不足部分を含む同調可能な化合物を含んでよく、コア部分は、電子供与部分に結合し、かつ、結合基に結合する。光活性有機化合物が当該実施形態によるIFLとして用いられる場合、光活性特性を保持してよいが、ある実施形態では、光活性でなくてよい。
【0018】
[0057]金属酸化物は、ある実施形態の薄膜IFLで用いることができ、半導体金属酸化物、例えば、NiO、SnO2WO3、V2O5、又はMoO3を含んでよい。第2の(例えば、n型の)活性材料が、Al2O3を含む薄膜被覆IFLで被覆されたTiO2を含む実施形態は、例えば、Al(NO3)3・xH2O等の前駆体材料、又はAl2O3をTiO2上に堆積させるのに適したいかなる他の材料で形成することができ、その後、熱アニーリング及び色素コーティングを行う。MoO3コーティングが代わりに用いられる例示的な実施形態では、コーティングは、Na2MO4・2H2O等の前駆体材料で形成されてよく、一部の実施形態によるV2O5コーティングは、NaVO3等の前駆体材料で形成されてよく、一部の実施形態によるWO3コーティングは、NaWO4・H2O等の前駆体材料で形成されてよい。前駆体材料(例えば、Al(NO3)3・xH2O)の濃度は、TiO2又は他の活性材料上に堆積した最終的な膜厚(ここではAl2O3の膜厚)に影響を及ぼす場合がある。従って、前駆体材料の濃度を変更することは、最終的な膜厚を制御することができる方法でありうる。例えば、前駆体材料の濃度を高くすると、膜厚が厚くなる場合がある。膜厚が大きくても、必ずしも、金属酸化物コーティングを含むPV装置のPCEが大きくなるとは限らない。従って、ある実施形態の方法は、濃度が約0.5~10.0mMの範囲である前駆体材料を用いてTiO2(又は他のメソポーラス)層をコーティングすることを含んでよく、他の実施形態は、濃度が約2.0~6.0mMの範囲である前駆体材料で層をコーティングすることを含んでよく、又は他の実施形態では、約2.5~5.5mMである前駆体材料で層をコーティングすることを含んでよい。
【0019】
[0058]さらに、本明細書ではAl2O3及び/又はアルミナを参照して説明されるが、アルミニウム及び酸素の様々な比率がアルミナの形成に用いられうることに留意されたい。従って、本明細書で説明されるある実施形態は、Al2O3を参照して記載されるが、当該記載は、酸素中のアルミニウムの所定の比率を規定することを意図するものではない。むしろ、実施形態は、各々アルミニウム酸化物比がAlxOyであるいかなる1つ以上のアルミニウム酸化物化合物を含んでよく、ここでxは、約1~100の間のいかなる値、整数又は非整数であってよい。ある実施形態では、xは、約1~3であってよい(そして、ここでもまた、整数である必要はない)。同様に、yは、0.1~100のいかなる値、整数又は非整数であってよい。ある実施形態では、yは、2~4の間であってよい(そして、ここでもまた、整数である必要はない)。さらに、様々な実施形態では、アルファ、ガンマ、及び/又はアルミナのアモルファス形態等のAlxOyの様々な結晶形態が存在してよい。
【0020】
[0059]同様に、本明細書のNiO、MoO3、WO3、及びV2O5の化合物は、代わりに又は加えて、各々、NixOy、MoxOy、WxOy、及びVxOyとして表すことができる。MoxOy及びWxOyの各々に関して、xは、約0.5~100の間のいかなる値、整数又は非整数であってよく、ある実施形態では、約0.5~1.5の間であってよい。同様に、yは、約1~100の間のいかなる値、整数又は非整数であってよい。ある実施形態では、yは、約1~4の間のいかなる値でありうる。VxOyに関して、xは、約0.5~100の間のいかなる値、整数又は非整数であってよく、ある実施形態では、約0.5~1.5の間であってよい。同様に、yは、約1~100の間のいかなる値、整数又は非整数であってよく、ある実施形態では、それは、約1~10の間の整数又は非整数値でありうる。ある実施形態では、x及びyは、非化学量論比である値であってよい。本開示において化学量論的処方として書かれたいかなるIFL材料も、上記例の非化学量論的処方でも存在しうることに留意されたい。
【0021】
[0060]ある実施形態では、IFLはチタン酸塩を含んでよい。ある実施形態によるチタン酸塩は、一般式M’TiO3であってよく、ここで、M’はいかなる2+カチオンを含む。ある実施形態では、M’は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Zn、Cd、Hg、Cu、Pd、Pt、Sn、又はPbのカチオン形態を含んでよい。ある実施形態では、IFLは、チタン酸塩の単一の種を含んでよく、他の実施形態では、IFLは、チタン酸塩の2つ以上の異なる種を含んでよい。一実施形態では、チタン酸塩は式SrTiO3で表される。他の実施形態では、チタン酸塩は、式BaTiO3で表されてよい。さらに別の実施形態では、チタン酸塩は、式CaTiO3表されてよい。
【0022】
[0061]説明のため、またいかなる限定も意味しないが、チタン酸塩にはペロブスカイト結晶構造があり、ペロブスカイト材料(例えば、ヨウ化メチルアンモニウム鉛(MAPbI3)及びヨウ化ホルムアミジニウム鉛(FAPbI3))の成長変換プロセスを強くシードする。チタン酸塩は、一般に、強誘電体としての挙動、十分な電荷キャリア移動度、光透過性、整合エネルギーレベル、及び高誘電率等の他のIFL要件も満たす。
【0023】
[0062]他の実施形態では、IFLはジルコン酸塩を含んでよい。ある実施形態では、ジルコン酸塩は、一般式M’ZrO3であってよく、ここで、M’はいかなる2+カチオンを含む。ある実施形態では、M’は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Zn、Cd、Hg、Cu、Pd、Pt、Sn、又はPbのカチオン形態を含んでよい。ある実施形態では、IFLは、ジルコン酸塩の単一の種を含んでよく、他の実施形態では、IFLは、ジルコン酸塩の2つ以上の異なる種を含んでよい。一実施形態では、ジルコン酸塩は式SrZrO3で表される。別の実施形態では、ジルコン酸塩は、式BaZrO3で表されてよい。さらに別の実施形態では、ジルコン酸塩は、式CaZrO3で表されてよい。
【0024】
[0063]説明のため、またいかなる限定も意味しないが、ジルコン酸塩(ジルコネート)にはペロブスカイト結晶構造があり、ペロブスカイト材料(例えば、MAPbI3、FAPbI3)成長変換プロセスを強力にシードする。ジルコン酸塩はまた、一般に、強誘電体としての挙動、十分な電荷キャリア移動度、光透過性、整合エネルギーレベル、及び高誘電率等の他のIFL要件を満たす。
【0025】
[0064]他の実施形態では、IFLはスズ酸塩を含んでよい。ある実施形態によるスズ酸塩は、一般式M’SnO3、又はM’2SnO4であってよく、ここで、M’はいかなる2+カチオンを含む。ある実施形態では、M’は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Zn、Cd、Hg、Cu、Pd、Pt、Sn、又はPbのカチオン形態を含んでよい。ある実施形態では、IFLは、スズ酸塩の単一の種を含んでよく、他の実施形態では、IFLは、スズ酸塩の2つ以上の異なる種を含んでよい。一実施形態では、スズ酸塩は式SrSnO3で表される。別の実施形態では、スズ酸塩は、式BaSnO3で表されてよい。さらにもう一実施形態では、スズ酸塩は、式CaSnO3で表されてよい。
【0026】
[0065]説明のため、またいかなる限定も意味しないが、スズ酸塩にはペロブスカイト結晶構造があり、ペロブスカイト材料(例えば、MAPbI3、FAPbI3)成長変換プロセスを強力にシードする。スズ酸塩は、一般に、強誘電体としての挙動、十分な電荷キャリア移動度、光透過性、整合エネルギーレベル、及び高誘電率等の他のIFL要件も満たす。
【0027】
[0066]他の実施形態では、IFLは、鉛酸塩を含んでよい。ある実施形態による鉛酸塩は、一般式M’PbO3であってよく、ここで、M’はいかなる2+カチオンを含む。ある実施形態では、M’は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Zn、Cd、Hg、Cu、Pd、Pt、Sn、又はPbのカチオン形態を含んでよい。ある実施形態では、IFLは、単一種の鉛酸塩を含んでよく、他の実施形態では、IFLは、2種以上の異なる種類の鉛酸塩を含んでよい。一実施形態では、鉛酸塩は式SrPbO3で表される。他の実施形態では、鉛酸塩は、式BaPbO3で表されてよい。なおもう一実施形態では、鉛酸塩は、式CaPbO3で表されてよい。さらに別の実施形態では、鉛酸塩は式PbIIPbIVO3で表されることができる。
【0028】
[0067]説明のために、かつ何ら制限を意味することなく、鉛酸塩にはペロブスカイト結晶構造があり、ペロブスカイト材料(例えば、MAPbI3、FAPbI3)の成長変換プロセスを強力にシードする。また、プラムベートは、一般に、強誘電体としての挙動、十分な電荷キャリア移動度、光透過性、整合エネルギーレベル、及び高誘電率等の他のIFL要件も満たす。
【0029】
[0068]さらに、他の実施形態では、IFLは、一般式M’[ZrxTi1-x]O3(式中、Xは0より大きいが1より小さく、M’はいかなる2+カチオンを含む)におけるジルコン酸塩及びチタン酸塩の組合せを含んでよい。ある実施形態では、M’は、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ni、Zn、Cd、Hg、Cu、Pd、Pt、Sn、又はPbのカチオン形態を含んでよい。ある実施形態では、IFLは、ジルコン酸塩の単一の種を含んでよく、他の実施形態では、IFLは、ジルコン酸塩の2つ以上の異なる種を含んでよい。一実施形態では、ジルコン酸塩/チタン酸塩の組合せは式Pb[ZrxTi1-x]O3で表される。別の実施形態では、ジルコン酸塩/チタン酸塩の組合せは式Pb[Zr0.52Ti0.48]O3で表される。
【0030】
[0069]説明のため、またいかなる限定も意味しないが、ジルコン酸塩/チタン酸塩の組み合わせにはペロブスカイト結晶構造があり、ペロブスカイト材料(例えば、MAPbI3、FAPbI3)の成長変換プロセスを強力にシードする。ジルコン酸塩/チタン酸塩の組み合わせは、一般に、強誘電体としての挙動、十分な電荷キャリア移動度、光透過性、整合エネルギーレベル、及び高誘電率等の他のIFL要件も満たす。
【0031】
[0070]他の実施形態では、IFLはニオブ酸塩を含んでよい。ある実施形態によるニオブ酸塩は、一般式M’NbO3であってよく、ここで、M’はいかなる1+カチオンを含む。ある実施形態では、M’は、Li、Na、K、Rb、Cs、Cu、Ag、Au、Tl、アンモニウム、又はHのカチオン形態を含んでよい。ある実施形態では、IFLは、ニオブ酸塩の単一種を含んでよく、他の実施形態では、IFLは、ニオブ酸塩の2つ以上の異なる種を含んでよい。一実施形態では、ニオブ酸塩は式LiNbO3で表される。別の実施形態では、ニオブ酸塩は式NaNbO3で表されてよい。さらにもう一実施形態では、ニオブ酸塩は式AgNbO3で表されることができる。
【0032】
[0071]説明のため、またいかなる制限も意味しないが、ニオブ酸塩は、一般に、圧電挙動、非線形光学分極率、光弾性、強誘電性、ポッケルス効果、十分な電荷キャリア移動度、光透過性、整合エネルギーレベル、及び高誘電率等のIFL要件を満たす。
【0033】
[0072]一実施形態では、ペロブスカイト材料装置は、SrTiO3被覆ITO基板上にPbI2をキャスティングすることによって処方することができる。PbI2は、浸漬プロセスによってMAPbI3に変換されうる。このプロセスについては、以下でより詳細に説明する。得られたPbI2のMAPbI3への変換は、SrTiO3を含まない基板の調製と比較して、(光学分光法によって観察されるように)より完全である。
【0034】
[0073]本明細書に記載される界面材料は、ドープされた組成物をさらに含んでよい。界面材料の特性(例えば、電気的、光学的、機械的)を改変するため、化学量論的又は非化学量論的材料は、1つ以上の元素(例えば、Na、Y、Mg、N、P)の1ppb%から50モル%の範囲の量でドープされうる。界面材料のある例としては、NiO、TiO2、SrTiO3、Al2O3、ZrO2、WO3、V2O5、MO3、ZnO、グラフェン、及びカーボンブラックがあげられる。これらの界面材料のための可能なドーパントの例としては、Li、Na、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、Nb、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Ga、Sn、In、B、N、P、C、S、As、ハロゲン化物、擬ハロゲン化物(例えば、シアン化物、シアネート、イソシアネート、フルミネート、チオシアネート、イソチオシアネート、アジド、テトラカルボニルコバルト酸塩、カルバモイルジシアノメタン化物、ジシアノニトロソメタン化物、ジシアンアミド及びトリシアノメタン化物)、及びその酸化状態のいずれかにおけるAlがあげられる。ここで、ドープされた界面材料への言及は、界面材料化合物中の構成要素の比率を制限することを意図しない。
【0035】
[0074]ある実施形態では、異なる材料から作製された複数のIFLは、互いに隣接して配置されて、複合IFLを形成することができる。この構成は、2つの異なるIFL、3つの異なるIFL、又はさらに多くの異なるIFLを含んでよい。結果として生じる多層IFL又は複合IFLは、単一材料IFLの代わりに用いることができる。例えば、複合IFLは、IFL3903、IFL3905、IFL3907、IFL3909、又はIFL3911等の、
図2の例に示されるいかなるIFLを用いることができる。複合IFLは単一材料IFLとは異なるが、多層IFLがあるペロブスカイト材料PV電池のアセンブリは、単一材料IFLのみがあるペロブスカイト材料PV電池のアセンブリと実質的に異なるものではない。
【0036】
[0075]一般に、複合IFLは、本明細書中で説明される材料のいずれかを用いて。IFLに適するように作製されうる。一実施形態では、IFLは、Al2O3の層及びZnO又はM:ZnOの層(ドープZnO、例えば、Be:ZnO、Mg:ZnO、Ca:ZnO、Sr:ZnO、Ba:ZnO、Sc:ZnO、Y:ZnO、Nb:ZnO)を含む。一実施形態では、IFLは、ZrO2の層及びZnO又はM:ZnOの層を含む。ある実施形態では、IFLは、複数の層を含む。ある実施形態では、多層IFLは、一般に、導体層、誘電体層及び半導体層がある。ある実施形態では、層は、例えば、導体層、誘電体層、半導体層、誘電体層、及び半導体層を反復することができる。多層IFLの例としては、ITO層、Al2O3層、ZnO層、第2のAl2O3層があるIFL、ITO層、Al2O3層、ZnO層、第2のAl2O3層、第2のZnO層があるIFL、ITO層、Al2O3層、ZnO層、第2のAl2O3層、第2のZnO層、及び第3のAl2O3層があるIFL、所望の性能特性を達成するために必要な数の層があるIFL、があげられる。上記のように、特定の化学量論比への言及は、様々な実施形態によるIFL層における構成要素の比を制限することを意図しない。
【0037】
[0076]複合IFLとして2つ以上の隣接IFLを配置すると、各IFL材料の属性が単一のIFLにおいて活用されるペロブスカイト材料PV電池において、単一のIFLを上回る場合がある。例えば、ITO層、Al2O3層、及びZnO層があるアーキテクチャでは、ITOは導電性電極であり、Al2O3は誘電体材料であり、ZnOはn型半導体であり、ZnOは、電子伝達特性(例えば、移動度)が良好な電子受容体として作用する。さらに、Al2O3は、ITOへの接着性に優れ、表面欠陥(例えば、電荷トラップ)をキャッピングすることによって表面を均質化し、暗電流を抑制することで、装置ダイオードの特性を改善する物理的に頑強な材料である。
【0038】
[0077]さらに、あるペロブスカイト材料PV電池は、2つ以上のペロブスカイト光活性層があるいわゆる「タンデム」PV電池を含んでよい。例えば、
図2の光活性材料3908及び3906はともに、ペロブスカイト材料でありうる。当該タンデムPV電池では、
図2のIFL3907(すなわち、再結合層)等の、2つの光活性層間の界面層は、多層、又は複合IFLを含んでよい。ある実施形態では、タンデムPV装置の2つの光活性層の間に挟まれた層は、電極層を含んでよい。
【0039】
[0078]タンデムPV装置は、第1の基板、第1の電極、第1の界面層、第1のペロブスカイト材料、第2の界面層、第2の電極、第3の界面層、第2のペロブスカイト材料、第4の界面層、及び第3の電極を、その順序又は反対の順序で記載される以下の層を含んでよい。ある実施形態では、第1及び第3の界面層は、正孔輸送界面層であってよく、第2及び第4の界面層は、電子伝達界面層であってよい。他の実施形態では、第1及び第3の界面層は、電子伝達界面層であってよく、第2及び第4の界面層は、正孔輸送界面層であってよい。さらに他の実施形態では、第1及び第4の界面層は正孔輸送界面層であってよく、第2及び第3の界面層は電子伝達界面層であってよい。他の実施形態では、第1及び第4の界面層は、電子伝達界面層であってよく、第2及び第3の界面層は、正孔輸送界面層であってよい。タンデムPV装置では、第1及び第2のペロブスカイト材料には、異なるバンドギャップがあってよい。ある実施形態では、第1のペロブスカイト材料は、臭化ホルムアミジニウム鉛(FAPbBr3)であってよく、第2のペロブスカイト材料は、ヨウ化ホルムアミジニウム鉛(FAPbI3)であってよい。他の実施形態では、第1のペロブスカイト材料は臭化メチルアンモニウム鉛(MAPbBr3)であってよく、第2のペロブスカイト材料はヨウ化鉛ホルムアミジニウム(FAPbI3)であってよい。他の実施形態では、第1のペロブスカイト材料は臭化メチルアンモニウム鉛(MAPbBr3)であってよく、第2のペロブスカイト材料はヨウ化メチルアンモニウム鉛(MAPbI3)であってよい。
【0040】
[0079]
ペロブスカイト材料
ペロブスカイト材料は、PV又は他の装置の1つ以上の態様に組み込まれてよい。ある実施形態によるペロブスカイト材料は、一般式CwMyXzであってよく、ここで、Cは、1つ以上のカチオン(例えば、アミン、アンモニウム、ホスホニウム、第1族金属、第2族金属、及び/又は他のカチオン又はカチオン様化合物)を含み、Mは、1つ以上の金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Au、Hg、Sn、Ge、Ga、Pb、In、Tl、Sb、Bi、Ti、Zn、Cd、Hg、及びZrを含む例)を含み、Xは、1つ以上のアニオンを含み、w、y、及びzは、1~20の実数を表す。ある実施形態では、Cは、1以上の有機カチオンを含んでよい。ある実施形態では、各有機カチオンCは、各金属Mよりも大きくてよく、各アニオンXは、カチオンC及び金属Mの両方と結合することができる。ある実施形態では、ペロブスカイト材料は、式CMX3であってよい。
【0041】
[0080]ある実施形態では、Cは、アンモニウム、一般式[NR4]+の有機カチオンを含んでよく、ここで、R基は、同一又は異なる基であってよい。適当なR基としては、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルの基又はその異性体;いかなるアルカン、アルケン、又はアルキンCxHy(式中、x=1~20、y=1~42、環状、分枝鎖、又は直鎖);アルキルハライドCxHyXz、(式中、x=1~20、y=0~42、z=1~42、X=F、Cl、Br、又はI);いかなる芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレン);環内に少なくとも1つの窒素が含まれる環状錯体(例えば、ピリジン、ピロール、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロキノリン);いかなる硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィド);いかなる窒素含有基(ニトロキシド、アミン);いかなるリン含有基(例えば、ボロン酸);いかなる有機酸(例えば、酢酸、プロパン酸)及びそのエステル又はアミド誘導体;α、β、γ及びそれ以上の誘導体を含む、いかなるアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5-アンモニウム吉草酸);いかなるケイ素含有基(例えば、シロキサン);及びいかなるアルコキシ又は基、-OCxHy(式中、x=0~20、y=1~42である)があげられるが、これらに限定されない。
【0042】
[0081]ある実施形態では、Cは、ホルムアミジニウム、一般式[R2NCRNR2]+の有機カチオンを含んでよく、ここで、R基は、同一又は異なる基(例えば、酢酸、プロパン酸)。適当なR基としては、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基又はその異性体;いかなるアルカン、アルケン、又はアルキンCxHy(式中、x=1~20、y=1~42、環状、分枝鎖、又は直鎖);アルキルハライドCxHyXz、(式中、x=1~20、y=0~42、z=1~42、X=F、Cl、Br、又はI);いかなる芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレン);環内に少なくとも1つの窒素が含まれる環状錯体(例えば、イミダゾール、ベンズイミダゾール、(アゾリジニリデンメチル)ピロリジン、トリアゾール);いかなる硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィド);いかなる窒素含有基(ニトロキシド、アミン);いかなるリン含有基(例えば、ボロン酸);いかなる有機酸(例えば、酢酸、プロパン酸)及びそのエステル又はアミド誘導体;α、β、γ及びそれ以上の誘導体を含む、いかなるアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5-アンモニウム吉草酸);いかなるケイ素含有基(例えば、シロキサン);及びいかなるアルコキシ又は基、-OCxHy(式中、x=0~20、y=1~42である)があげられるが、これらに限定されない。
【0043】
[0082]
【化3】
式1は、上記のように[R
2NCRNR
2]
+の一般式で表されるホルムアミジニウムカチオンの構造を示す。以下の式2:
【0044】
【化4】
は、ペロブスカイト材料中のカチオン「C」として機能しうるいくつかのホルムアミジニウムカチオンの構造例を示す。
【0045】
[0083]ある実施形態では、Cは、グアニジニウム、一般式[(R2N)2C=NR2]+の有機カチオンを含んでよく、ここで、R基は、同一又は異なる基であってよい。適当なR基としては、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルの基又はその異性体;いかなるアルカン、アルケン、又はアルキンCxHy(x=1~20、y=1~42、環状、分枝鎖、又は直鎖);アルキルハライドCxHyXz、(式中、x=1~20、y=0~42、z=1~42、X=F、Cl、Br、又はI);いかなる芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレン);環内に少なくとも1つの窒素が含まれる環状錯体(例えば、オクタヒドロピリミド[1,2-a]ピリミジン、ピリミド[1,2-a]ピリミジン、ヘキサヒドロイミダゾ[1,2-a]イミダゾール、ヘキサヒドロイミジン-2-イミン);いかなる硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィド);いかなる窒素含有基(ニトロキシド、アミン);いかなるリン含有基(リン酸);いかなるホウ素含有基(例えば、ボロン酸);いかなる有機酸(例えば、酢酸、プロパン酸)及びそのエステル又はアミド誘導体;α、β、γ及びそれ以上の誘導体を含む、いかなるアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5-アンモニウム吉草酸);いかなるケイ素含有基(例えば、シロキサン);及びいかなるアルコキシ又は基、-OCxHy(式中、x=0~20、y=1~42である)があげられるが、これらに限定されない。
【0046】
[0084]
【化5】
式3は、上記のように[(R
2N)
2C=NR
2]
+の一般式で表されるグアニジニウムカチオンの構造を示す。以下の式4:
【0047】
【化6】
は、ペロブスカイト材料中のカチオン「C」として機能しうるいくつかのグアニジニウムカチオンの構造の例を示す。
【0048】
[0085]ある実施形態では、Cは、エテンテトラミンカチオン、すなわち一般式[(R2N)2C=C(NR2)2]+の有機カチオンを含んでよく、ここで、R基は、同一又は異なる基であってよい。適当なR基としては、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基又はその異性体;いかなるアルカン、アルケン、又はアルキンCxHy(x=1~20、y=1~42、環状、分枝鎖、又は直鎖);アルキルハライドCxHyXz、(式中、x=1~20、y=0~42、z=1~42、X=F、Cl、Br、又はI);いかなる芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレン);環内に少なくとも1つの窒素が含まれる環状錯体(例えば、2-ヘキサヒドロピリミジン、オクタヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン、ピラジノ[2,3-b]ピラジン、キノキサリン]);いかなる硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィド);いかなる窒素含有基(ニトロキシド、アミン);いかなるリン含有基(リン酸);いかなるホウ素含有基(例えば、ボロン酸);いかなる有機酸(例えば、酢酸、プロパン酸)及びそのエステル又はアミド誘導体;α、β、γ及びそれ以上の誘導体を含む、いかなるアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5-アンモニウム吉草酸);いかなるケイ素含有基(例えば、シロキサン);及びいかなるアルコキシ又は基、-OCxHy(式中、x=0~20、y=1~42である)があげられるが、これらに限定されない。
【0049】
[0086]
【化7】
式5は、上記の[(R
2N)
2C=C(NR
2)
2]
+の一般式で表されるエテンテトラミンカチオンの構造を示す。以下の式6:
【0050】
【化8】
は、ペロブスカイト材料中のカチオン「C」として機能しうるいくつかのエテンテトラミンイオンの構造の例を示す。
【0051】
[0085]ある実施形態では、Cは、イミダゾリウムカチオン、一般式[CRNRCRNRCR]+の芳香族環状有機カチオンを含んでよく、ここで、R基は、同一又は異なる基であってよい。適当なR基には、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基又はその異性体;アルカン、アルケン又はアルキンCxHy(x=1~20、y=1~42、環状、分枝鎖又は直鎖);ハロゲン化アルキル、アルキルハライドCxHyXz、(式中、x=1~20、y=0~42、z=1~42、X=F、Cl、Br、又はI);いかなる芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレン);環内に少なくとも1つの窒素が含まれる環状錯体(例えば、2-ヘキサヒドロピリミジン、オクタヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン、ピラジノ[2,3-b]ピラジン、キノキサリン[2,3-b]キノキサリン);いかなる硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィド);いかなる窒素含有基(ニトロキシド、アミン);いかなるリン含有基(リン酸);いかなるホウ素含有基(例えば、ボロン酸);いかなる有機酸(例えば、酢酸、プロパン酸)及びそのエステル又はアミド誘導体;α、β、γ及びそれ以上の誘導体を含む、いかなるアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5-アンモニウム吉草酸);いかなるケイ素含有基(例えば、シロキサン);及びいかなるアルコキシ又は基、-OCxHy(式中、x=0~20、y=1~42である)があげられるが、これらに限定されない。
【0052】
[0088]ある実施形態では、Cは、ピリジウムカチオン、一般式[CRCRCRCRNR]+の芳香族環状有機カチオンを含んでよく、ここで、R基は、同一又は異なる基であってよい。適当なR基には、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基又はその異性体;アルカン、アルケン又はアルキンCxHy(x=1~20、y=1~42、環状、分枝鎖又は直鎖);ハロゲン化アルキル、アルキルハライドCxHyXz、(式中、x=1~20、y=0~42、z=1~42、X=F、Cl、Br、又はI);いかなる芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレン);環内に少なくとも1つの窒素が含まれる環状錯体(例えば、2-ヘキサヒドロピリミジン、オクタヒドロピラジノ[2,3-b]ピラジン、ピラジノ[2,3-b]ピラジン、キノキサリン[2,3-b]キノキサリン);いかなる硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィド);いかなる窒素含有基(ニトロキシド、アミン);いかなるリン含有基(リン酸);いかなるホウ素含有基(例えば、ボロン酸);いかなる有機酸(例えば、酢酸、プロパン酸)及びそのエステル又はアミド誘導体;α、β、γ及びそれ以上の誘導体を含む、いかなるアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5-アンモニウム吉草酸);いかなるケイ素含有基(例えば、シロキサン);及びいかなるアルコキシ又は基、-OCxHy(式中、x=0~20、y=1~42である)があげられるが、これらに限定されない。
【0053】
【化9】
[0089]ある実施形態では、Xは、1以上のハロゲン化物を含んでよい。ある実施形態では、Xは、あるいは又はかわりに、第16族アニオンを含んでよい。ある実施形態では、第16族アニオンは、酸化物、硫化物、セレン化物、又はテルル化物であってよい。ある実施形態では、Xは、あるいは又はかわりに、1つ以上の擬ハロゲン化物(例えば、シアン化物、シアネート、イソシアネート、フルミネート、チオシアネート、イソチオシアネート、アジド、テトラカルボニルコバルト酸塩、カルバモイルジシアノメタン化物、ジシアノニトロソメタン化物、ジシアンアミド及びトリシアノメタン化物)を含んでよい。
【0054】
[0090]一実施形態では、ペロブスカイト材料は、経験式CMX3を含んでよく、ここで、Cは、1つ以上の上記カチオン、第1族金属、第2族金属、及び/又は他のカチオン又はカチオン様化合物を含み、Mは、1つ以上の金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Hg、Sn、Ge、Ga、Pb、In、Tl、Sb、Bi、Ti、Zn、Cd、Hg、及びZrを含む例)を含み、Xは、1つ以上の上記アニオンを含む。
【0055】
[0091]別の実施形態では、ペロブスカイト材料は、経験式C’M2X6を含んでよく、ここでC’は、1以上の上記陽イオン、ジアンモニウムブタン、第1族金属、第2族金属、及び/又は他の陽イオン又は陽イオン様化合物を含む2+電荷を備える陽イオンを含み、Mは1以上の金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Hg、Sn、Ge、Ga、Pb、In、Tl、Sb、Bi、Ti、Zn、Cd、Hg、及びZrを含む例)を含み、Xは1以上の上記陰イオンを含む。
【0056】
[0092]別の実施形態では、ペロブスカイト材料は、経験式C’MX4を含んでよく、ここでC’は、1つ以上の上記陽イオン、ジアンモニウムブタン、第1族金属、第2族金属、及び/又は他の陽イオン又は陽イオン様化合物を含む2+電荷を有する陽イオンを含み、Mは1つ以上の金属(例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Hg、Sn、Ge、Ga、Pb、In、Tl、Sb、Bi、Ti、Zn、Cd、Hg、及びZrを含む例)を含み、Xは1つ以上の上記陰イオンを含む。このような実施形態では、ペロブスカイト材料は2次元構造であってよい。
【0057】
[0093]一実施形態では、ペロブスカイト材料は、経験式C3M2X9を含んでよく、ここで、Cは、1つ以上の上記カチオン、第1族金属、第2族金属、及び/又は他のカチオン若しくはカチオン様化合物を含み、Mは、1つ以上の金属(例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Hg、Sn、Ge、Ga、Pb、In、Tl、Sb、Bi、Ti、Zn、Cd、Hg、及びZrを含む例)を含み、Xは、1つ以上の上記アニオンを含む。
【0058】
[0094]一実施形態では、ペロブスカイト材料は、経験式CM2X7を含むことができ、ここで、Cは、1つ以上の上記カチオン、第1族金属、第2族金属、及び/又は他のカチオン又はカチオン様化合物を含み、Mは1つ以上の金属(例として、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Hg、Sn、Ge、Ga、Pb、In、Tl、Sb、Bi、Ti、Zn、Cd、Hg、及びZrnを含む)を含み、Xは、1つ以上の上記アニオンを含む。
【0059】
[0095]一実施形態では、ペロブスカイト材料は、経験式C2MX4を含んでよく、ここで、Cは、1つ以上の上記カチオン、第1族金属、第2族金属、及び/又は他のカチオン若しくはカチオン様化合物を含み、Mは、1つ以上の金属(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Hg、Sn、Ge、Ga、Pb、In、Tl、Sb、Bi、Ti、Zn、Cd、Hg、及びZrを含む例を含む)を含み、Xは、1つ以上の上記アニオンを含む。
【0060】
[0096]ペロブスカイト材料はまた、C、M又はXが2つ以上の種を含む混合イオン配合物、例えば、Cs0.1FA0.9Pb(I0.9Cl0.1)3;Rb0.1FA0.9Pb(I0.9Cl0.1)3Cs0.1FA0.9PbI3;FAPb0.5Sn0.5I3;FA0.83Cs0.17Pb(I0.6Br0.4)3;FA0.83Cs0.12Rb0.05Pb(I0.6Br0.4)3及びFA0.85MA0.15Pb(I0.85Br0.15)3を含んでよい。
【0061】
[0097]
複合ペロブスカイト材料装置設計
ある実施形態では、本開示は、1つ以上のペロブスカイト材料を含む、PV及び他の類似の装置(例えば、電池、ハイブリッドPV電池、FET、LED、非線形光学系(NLO)、導波路等)の複合設計を提供することができる。例えば、1つ以上のペロブスカイト材料は、ある実施形態の第1及び第2の活性材料(例えば、
図3の活性材料3906a及び3908a)のいずれか又は両方として機能することができる。より一般的には、本開示のある実施形態は、1つ以上のペロブスカイト材料を含む活性層があるPV又は他の装置を提供する。当該実施形態では、ペロブスカイト材料(すなわち、いかなる1つ以上のペロブスカイト材料を含む材料)は、様々なアーキテクチャの活性層に用いられうる。さらに、ペロブスカイト材料は、活性層のいかなる1つ以上の構成要素(例えば、電荷輸送材料、メソ多孔質(メソポーラス)材料、光活性材料、及び/又は界面材料)の機能があり、これらは各々は、以下でより詳細に説明する。ある実施形態では、同一のペロブスカイト材料は、複数のこのような機能を果たすことができるが、他の実施形態では、複数のペロブスカイト材料を装置に含めることができ、各ペロブスカイト材料には、1つ以上の上記機能がある。ある実施形態では、ペロブスカイト材料がいかなる機能を発揮しても、それは、様々な状態で装置中に調製及び/又は存在することができる。例えば、ある実施形態では、実質的に固体であってよい。溶液又は懸濁液は、装置内(例えば、メソ多孔質層、界面層、電荷輸送層、光活性層、又は他の層等の装置の別の構成要素上、及び/又は電極上)にコーティングされうるか、又は他の方法で堆積させることができる。ある実施形態では、ペロブスカイト材料は、装置の別の構成要素の表面上にその場形成されてよい(例えば、薄膜固体としての蒸着により)。ペロブスカイト材料を含む層を形成するいかなる他の適当な手段を用いることができる。
【0062】
[0098]一般に、ペロブスカイト材料装置は、第1の電極と、第2の電極と、ペロブスカイト材料を含む活性層とを含むことができ、活性層は、第1の電極と第2の電極との間に少なくとも部分的に配置される。ある実施形態では、第1の電極はアノード及びカソードの一方であってよく、第2の電極はアノード及びカソードの他方であってよい。ある実施形態による活性層は、電荷輸送材料、液体電解質、メソ多孔質材料、光活性材料(例えば、染料、シリコン、テルル化カドミウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、セレン化銅インジウムガリウム、ヒ化ガリウム、リン化ゲルマニウムインジウム、半導体ポリマー、その他の光活性材料)、及び界面材料のいずれか1つ以上を含む、いかなる1つ以上の活性層成分を含んでよい。これらの活性層成分の1つ以上は、1つ以上のペロブスカイト材料を含んでよい。ある実施形態では、活性層構成要素の一部又は全部は、全体的に又は部分的に、サブ層として配置されてよい。例えば、活性層は、界面材料を含む界面層、メソポーラス材料を含むメソポーラス層、及び電荷輸送材料を含む電荷輸送層のうちの1つ以上を含んでよい。さらに、界面層は、ある実施形態では、活性層のいかなる2つ以上の他の層の間及び/又は活性層構成要素と電極との間に含まれてよい。本明細書における層への言及は、最終的な配置(例えば、装置内で別個に定義可能な各材料の実質的に離散的な部分)及び/又は層への言及により、各層における材料はその後に相互混合されるかもしれないにもかかわらず、装置の構築中の配置を意味する場合がある。ある実施形態では、層は、離散的であって、実質的に隣接した材料を含んでよい(例えば、層は、
図2に様式的に示されているようなものであってよい)。
【0063】
[0099]ある実施形態では、ペロブスカイト材料装置は、電界効果トランジスタ(FET)であってよい。FETペロブスカイト材料装置は、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極、誘電体層、及び半導体層を含んでよい。ある実施形態では、FETペロブスカイト材料装置の半導体層は、ペロブスカイト材料であってよい。
【0064】
[0100]ある実施形態によるペロブスカイト材料装置は、場合によっては、1つ以上の基板を含んでよい。ある実施形態では、電極が基板と活性層との間に実質的に配置されるように、第1及び第2の電極のいずれか又は両方を基板上に被覆又はその他の方法で配置してよい。装置の組成物(例えば、基板、電極、活性層及び/又は活性層成分)の材料は、全体的に又は部分的に、様々な実施形態では、剛性又は可撓性のいずれであってよい。一部の実施形態では、電極は基板として機能し、それによって、別の基板の必要がなくなる。
【0065】
[0101]さらに、ある実施形態によるペロブスカイト材料装置は、場合によっては、反射防止層又は反射防止コーティングを含んでよい。さらに、ペロブスカイト材料装置は、本開示のある実施形態に関して上記の添加剤のうちのいかなる1つ以上の添加剤を含んでよい。
【0066】
[0102]ペロブスカイト材料装置に含まれ得る様々な材料のある説明は、
図2を参照して部分的に行われる。
図2は、ある実施形態によるペロブスカイト材料装置3900の様式化された図である。装置3900の様々な構成要素は、隣接する材料を含む離散層として図示されるが、
図2は、様式化された図であることを理解されたい、従って、それによる実施形態は、本明細書で上記した「層」の使用と一致する、当該離散層、及び/又は実質的に混合された非隣接層を含んでよい。装置3900は、第1及び第2の基板3901及び3913を含む。第1の電極3902は、第1の基板3901の内面上に配置され、第2の電極3912は、第2の基板3913の内面上に配置される。活性層3950は、2つの電極3902及び3912の間に挟まれる。活性層3950は、メソポーラス層3904、第1及び第2の光活性材料3906及び3908、電荷輸送層3910、及びある界面層を含む。さらに、
図2は、活性層3950のサブ層が界面層によって分離され、界面層が各電極3902及び3912上に配置される実施形態による例示的装置3900を図示する。特に、第2、第3、及び第4の界面層3905、3907、及び3909は各々、メソ多孔質層3904、第1の光活性材料3906、第2の光活性材料3908、及び電荷輸送層3910の各々の間に配置される。第1及び第5の界面層3903及び3911は、(i)第1の電極3902とメソ多孔質層3904と、(ii)電荷輸送層3910と第2の電極3912との間に各々配置される。従って、
図2に示す例示的な装置のアーキテクチャは、基板-電極-活性層-電極-基板として特徴付けることができる。活性層3950のアーキテクチャは、界面層-メソ多孔質層-界面層-光活性材料-界面層-光活性材料-界面層-電荷輸送層-界面層として特徴付けることができる。上記のように、ある実施形態では、界面層が存在する必要はなく、又は、1つ以上の界面層は、すべてではないが特定の活性層の構成要素及び/又は装置の構成要素の間にのみ含まれてよい。
【0067】
[0103]第1及び第2の基板3901及び3913のいずれか又は両方のような基板は、剛性又は可撓性のいずれであってよい。2つの基板が含まれる場合、少なくとも1つは、電磁(EM)放射線(例えば、紫外線、可視光線、又は赤外線)に対して透明又は半透明であるべきである。1つの基板が含まれる場合、装置の一部が、EM放射が活性層3950に接触しうる限り、同様に透明又は半透明であってよいがそうである必要は必ずしもない。適当な基板材料としては、ガラス、サファイア、酸化マグネシウム(MgO)、マイカ、ポリマー(例えば、PEN、PET、PEG、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、PMMA、ポリアミド、ビニル、カプトン)、セラミックス、カーボン、複合材料(例えば、ガラス繊維、ケブラー、炭素繊維)、織物(例えば、綿、ナイロン、絹、羊毛)、木材、乾燥壁、タイル(例えば、セラミック、複合材料、又は粘土)、金属、鋼、銀、金、アルミニウム、マグネシウム、コンクリート、及びこれらの組み合わせのうちの1つ以上があげられる。
【0068】
[0104]上記のように、電極(例えば、
図2の電極3902及び3912のうちの1つ)は、陽極又は陰極のいずれであってよい。ある実施形態では、一方の電極は陰極(カソード)として機能してよく、他方の電極は陽極(アノード)として機能してよい。電極3902及び3912の一方又は両方は、リード、ケーブル、ワイヤ、又は装置3900への及び/又は装置3900からの電荷輸送を可能にする他の手段に結合されてよい。電極は、いかなる導電性材料を構成することができ、少なくとも1つの電極は、EM放射線に対して透明又は半透明であるべきであり、及び/又はEM放射線が活性層3950の少なくとも一部と接触できるように配置されるべきである。適当な電極材料は、酸化インジウムスズ又はスズドープ酸化インジウム(ITO);フッ素ドープ酸化スズ(FTO);酸化カドミウム(CdO);酸化亜鉛インジウムスズ(ZITO);酸化アルミニウム亜鉛(AZO);アルミニウム(Al);金(Au);銀(Ag);カルシウム(Ca);クロム(Cr);銅(Cu);マグネシウム(Mg);チタン(Ti);鋼;炭素(及びそれらの同素体);ドープ炭素(例えば、窒素ドープ);コアシェル構造(例えば、シリコン-炭素コア-シェル構造)のナノ粒子;及びそれらの組み合わせのいずれか1つ以上を含んでよい。
【0069】
[0105]メソポーラス材料(例えば、
図2のメソポーラス層3904に含まれる材料)は、いかなる孔含有材料を含んでよい。ある実施形態では、孔の直径は、約1~約100nmの範囲であってよく、他の実施形態では、孔径は、約2~約50nmの範囲であってよい。適当なメソポーラス材料は、本明細書の他の箇所で説明されるいかなる界面材料及び/又はメソポーラス材料;アルミニウム(Al);ビスマス(Bi);セリウム(Ce);ハフニウム(Hf);インジウム(In);モリブデン(Mo);ニオブ(Nb);ニッケル(Ni);シリコン(Si);チタン(Ti);バナジウム(V);亜鉛(Zn);ジルコニウム(Zr);上記金属のいかなる1つ以上の酸化物(例えば、アルミナ、セリア、チタニア、酸化亜鉛、ジルコニア等);上記金属のうちのいかなる1つ以上の硫化物;上記金属のうちのいかなる1つ以上の窒化物;及びこれらの組み合わせのうちのいかなる1つ以上を含む。ある実施形態では、IFLとして本明細書に開示されるいかなる材料は、メソ多孔質材料であってよい。他の実施形態では、
図2に示す装置は、メソ多孔質材料層を含まず、メソ多孔質でない薄膜又は「コンパクト」IFLのみを含んでよい。
【0070】
[0106]光活性材料(例えば、
図2の第1又は第2の光活性材料3906又は3908)は、シリコン(例えば、多結晶シリコン、単結晶シリコン、又はアモルファスシリコン)、テルル化カドミウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、セレン化銅インジウムガリウム、セレン化銅インジウム、硫化銅亜鉛スズ、ヒ化ガリウム、ゲルマニウム、リン化ゲルマニウムインジウム、リン化インジウム、1つ以上の半導体ポリマー(例えば、ポリチオフェン)(3-ヘキシルチオフェン)及びその誘導体、又はP3HT;ポリヘプタデカニルカルバゾールジチエニルベンゾチアジアゾール及びその誘導体(例えば、PCDTBT)等のカルバゾール系コポリマー;ポリシクロペンタジチオフェンベンゾチアジアゾール及びその誘導体(例えば、PCPDTBT)及びポリベンゾジチオフェニルチエノチオフェンジイル及びその誘導体(例えば、PTB6、PTB7、PTB7-th、PCE-10)等の他のポリマー;ポリ(トリアリールアミン)化合物及びその誘導体;ポリフェニレンビニレン及びその誘導体(例えば、MDMO-PPV、MEH-PPV)、及びそれらの組み合わせのうちの1つ以上のいかなる光活性化合物を含んでよい。
【0071】
[0107]ある実施形態では、光活性材料は、あるいは又はさらに、色素(例えば、N719、N3、他のルテニウム系色素)を含んでよい。ある実施形態では、(何らかの組成の)色素は、別の層(例えば、メソ多孔質層及び/又は界面層)上にコーティングされてよい。ある実施形態では、光活性材料は1つ以上のペロブスカイト材料を含んでよい。ペロブスカイト材料含有光活性物質は、固体であってよく、又はある実施形態では、ペロブスカイト材料を含む懸濁液又は溶液を含む色素の形態であってよい。当該溶液又は懸濁液は、他の色素と同様の方法で他の装置成分上にコーティングされてよい。ある実施形態では、固体ペロブスカイト含有材料は、いかなる適当な手段(例えば、蒸着、溶液蒸着、固体材料の直接配置)によって蒸着されてよい。様々な実施形態による装置は、1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の光活性化合物(例えば、1つ、2つ、3つ、又はそれ以上のペロブスカイト材料、染料、又はそれらの組み合わせ)を含んでよい。複数の色素又は他の光活性材料を含むある実施形態では、2つ以上の色素又は他の光活性材料の各々は、1つ以上の界面層によって分離されてよい。ある実施形態では、複数の色素及び/又は光活性化合物は、少なくとも部分的に混合されうる。
【0072】
[0108]電荷輸送材料(例えば、
図2の電荷輸送層3910の電荷輸送材料)は、固体の電荷輸送材料(すなわち、いわゆる固体電解質)を含んでよく、又は液体電解質及び/又はイオン液体を含んでよい。液体電解質、イオン液体、及び固体電荷輸送材料のいずれも、電荷輸送材料という場合がある。本明細書で用いられる「電荷輸送材料」とは、電荷キャリアを収集し、及び/又は電荷キャリアを輸送することができる、いかなる材料、固体、液体、又はその他をいう。例えば、ある実施形態によるPV装置では、電荷輸送材料は、電荷キャリアを電極に輸送することができる。電荷キャリアは、正孔(その輸送により、電荷輸送材料がちょうど適当に「正孔輸送材料」と表示されうる)及び電子を含んでよい。正孔は陽極に向かって、電子は陰極に向かって輸送されるが、これはPV又は他の装置の陰極又は陽極のいずれかに対する電荷輸送材料の配置による。ある実施形態による電荷輸送材料の適当な例は、ペロブスカイト材料;I
-/I
3
-;Co錯体;ポリチオフェン(例えば、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)及びその誘導体、又はP3HT);ポリヘプタデデカニルカルバゾールジチエニルベンゾチアジアゾール等のカルバゾール系コポリマー及びその誘導体(例えば、PCDTBT);ポリシクロペンタジチオフェンベンゾチアジアゾール及びその誘導体(例えば、PCTBPDT)、ポリベンゾジチオフェニルチエノチオフェンジイル及びその誘導体(例えば、PTB6、PTB7、PTB7-th、PCE-10);ポリ(トリアリールアミン)化合物及びその誘導体(例えば、PTAA);スピロ-OMeTAD;ポリフェニレンビニレン及びその誘導体(例えば、MDMO-PV、MEH-PV);フラーレン及び/又はフラーレン誘導体(例えば、C60、PCBM);カーボンナノチューブ;グラファイト;グラフェン;カーボンブラック;アモルファス(非晶質)炭素;ガラス状炭素;炭素繊維;及びそれらの組み合わせのいずれか1つ以上を含んでよい。ある実施形態では、電荷輸送材料は、電荷担体(電子又は正孔)を収集することができ、及び/又は電荷担体を輸送することができる固体又は液体のいずれかの材料を含んでよい。したがって、ある実施形態の電荷輸送材料は、n型又はp型能動、両極性、及び/又は真性半導体材料であってよい。電荷輸送材料は、装置の電極の1つに近接して配置されてよい。ある実施形態では、それは、電極に隣接して配置されてよいが、他の実施形態では、界面層が、電荷輸送材料と電極(例えば、
図2に示されるように、第5の界面層3911を有する)との間に配置されてよい。ある実施形態では、電荷輸送材料の種類は、それが近接する電極に基づいて選択されてよい。例えば、電荷輸送材料が正孔を収集及び/又は輸送する場合、正孔を陽極に輸送するように陽極に近接してもよい。しかしながら、電荷輸送材料は、代わりにカソードに近接して配置され、電子をカソードに輸送するように選択又は構成されてよい。
【0073】
[0109]上記のように、様々な実施形態による装置は、場合によっては、いかなる他の2つの層及び/又は材料の間の界面層を含んでよいが、ある実施形態による装置では、いかなる界面層を含まなくてよい。したがって、例えば、ペロブスカイト材料装置は、ゼロ、1、2、3、4、5、又はそれ以上の界面層(例えば、
図2の例示的装置は、5つの界面層3903、3905、3907、3909、及び3911を含む)を含んでよい。界面層は、本明細書の上記実施形態による薄膜界面層(例えば、アルミナ及び/又は他の金属酸化物粒子、及び/又は酸化チタン/金属酸化物二層、及び/又は本明細書の他の箇所で説明した薄膜界面層に従った他の化合物を含む)を含んでよい。ある実施形態による界面層は、2つの層又は材料の間の電荷輸送及び/又は収集を強化するためのいかなる適当な材料を含んでよく、電荷が界面層に隣接する材料の1つから輸送された後の電荷再結合の可能性を防止又は低減するのに役立つ。適当な界面材料としては、本明細書の他の箇所で説明されるいかなるメソポーラス材料及び/又は界面材料;Ag、Al、Au、B、Bi、Ca、Cd、Ce、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、H、In、Mg、Mn、Mo、Nb、Ni、Pt、Sb、Sc、Si、Sn、Ta、Ti、V、W、Y、Zn、Zr、前記金属のいずれかの炭化物(例えばSiC、Fe
3C、WC);前記金属のいずれかのカーバイド(例えばMg
2Si、SrSi
2、Sn
2Si);前記金属のいずれかの酸化物(例えばアルミナ、シリカ、チタニア、SnO
2、ZnO;前記金属のいずれかの硫化物(例えば、CdS、MoS
2、SnS
2);前記金属のいずれかの窒化物(例えば、Mg
3N
2、TiN、BN、Si
3N
4);前記金属のいずれかのセレン化物(例えば、CdSe、FeSe
2、ZnSe)、前記金属のいずれかのテルル化物(例えば、CdTe、TiTe
2、ZnTe)、前記金属のいずれかのリン化物(例えば、InP、GaP)、前記金属のいずれかのヒ化物(例えば、CoAs
3、GaAs、InGaAs、NiAs)、前記金属のいずれかのアンチモン化物(例えば、AlSb、GaSb、InSb)、前記金属のいずれかのハロゲン化物(例えば、CuCl)CuI、BiI
3;前記金属のいずれかの擬ハロゲン化物(例えば、CuSCN、AuCN
2);前記金属のいずれかの炭酸塩(例えば、CaCO
3、Ce
2(CO
3)
3);官能化又は非官能化アルキルシリル基;グラファイト;グラフェン;フラーレン;カーボンナノチューブ;本明細書の他の箇所で説明されるいずれかのメソポーラス材料及び/又は界面材料;及びそれらの組み合わせ(ある実施形態では、複合材料の二層、三層又は多層を含む)のいずれかの1つ以上があげられる。ある実施例では、界面層はペロブスカイト材料を含んでよい。さらに、界面層は、本明細書に記載されるいかなる界面材料(例えば、YドープZnO、Nドープ単層カーボンナノチューブ)のドープされた実施形態を含んでよい。界面層はまた、上記材料のうちの3つを備える化合物(例えば、CuTiO
3、Zn
2SnO
4)又は上記材料のうちの4つを備える化合物(例えば、CoNiZnO)を含んでよい。
【0074】
[0110]一例として、
図3は、
図2に示すペロブスカイト材料装置3900と同様の構造があるペロブスカイト材料装置3900aの実施形態を示す。
図3は、ある実施形態によるペロブスカイト材料装置3900aの様式化された図である。装置3900aの様々な構成要素は、隣接する材料を含む離散層として図示されるが、
図3は、様式化された図であることが理解されるべきである。従って、それによる実施形態は、本明細書の上記「層」の使用と一致する、当該離散層、及び/又は実質的に混合された非隣接層を含んでよい。
図3は、活性層3906a及び3908aを含む。ある実施形態では、活性層3906a及び3908aの一方又は両方は、
図2に関して上記のいかなるペロブスカイト光活性材料を含んでよい。他の実施形態では、活性層3906a及び3908aの一方又は両方は、本明細書に記載されるいかなる光活性材料、例えば、薄膜半導体(例えば、CdTe、CZTS、CIGS)、光活性ポリマー、色素増感光活性材料、フラーレン、低分子光活性材料、及び結晶性及び多結晶性半導体材料(例えば、シリコン、GaAs、InP、Ge)を含んでよい。さらに他の実施形態では、活性層3906a及び3908aの一方又は両方は、発光ダイオード(LED)、電界効果トランジスタ(FET)、薄膜電池層、又はそれらの組み合わせを含んでよい。低分子光活性材料実施形態では、活性層3906a及び3908aの一方は、光活性材料を含んでよく、他方は、発光ダイオード(LED)、電界効果トランジスタ(FET)、薄膜電池層、又はそれらの組み合わせを含んでよい。例えば、活性層3908aは、ペロブスカイト材料光活性層を含んでよく、活性層3906bは、電界効果トランジスタ層を含んでよい。
図3に示される他の層、例えば層3901a、3902a、3903a、3904a、3905a、3907a(すなわち、再結合層)、3909a、3910a、3911a、3912a、及び3913aは、
図2に関して本明細書に記載されるような対応する層に類似していてよい。
【0075】
[0111]さらに、ある実施形態では、ペロブスカイト材料には、3つ以上の活性層があってよい。一例として、
図4は、
図2に示すペロブスカイト材料装置3900と同様の構造があるペロブスカイト材料装置3900bの実施形態を示す。
図3は、ある実施形態によるペロブスカイト材料装置3900bの様式化された図である。装置3900bの様々な構成要素は、隣接する材料を含む離散層として図示されるが、
図4は、様式化された図であることを理解されたい。従って、それによる実施形態は、本明細書において上記した「層」の使用と一致する、当該離散層、及び/又は実質的に混合された非隣接層を含んでよい。
図4は、活性層3904b、3906b、及び3908bを含む。ある実施形態では、活性層3904b、3906b、及び3908bの1つ以上は、
図2に関して上記いかなるペロブスカイト光活性材料を含んでよい。他の実施形態では、活性層3904b、3906b、及び3908bのうちの1つ以上は、本明細書に記載されるいかなる光活性材料、例えば、薄膜半導体(例えば、CdTe、CZTS、CIGS)、光活性ポリマー、色素増感光活性材料、フラーレン、小分子光活性材料、ならびに結晶及び多結晶性半導体材料(例えば、シリコン、GaAs、InP、Ge)を含んでよい。さらに他の実施形態では、活性層3904b、3906b、及び3908bのうちの1つ以上は、発光ダイオード(LED)、電界効果トランジスタ(FET)、薄膜電池層、又はそれらの組み合わせを含んでよい。実施形態では、活性層3904b、3906b、及び3908bの活性層のうちの1つ以上は、光活性材料を含んでよく、他方は、発光ダイオード(LED)、電界効果トランジスタ(FET)、薄膜電池層、又はそれらの組み合わせを含んでよい。例えば、活性層3908a及び3906bは、両方とも、ペロブスカイト材料光活性層を含んでよく、活性層3904bは、電界効果トランジスタ層を含んでよい。
図3に示される他の層、例えば、層3901b、3902b、3903b、3904b、3905b(すなわち、再結合層)、3907b(すなわち、再結合層)、3909b、3910b、3911b、3912b、及び3913bは、
図2に関して本明細書に記載されるような対応する層と類似する場合がある。
【0076】
[0112]ペロブスカイト装置のさらなる、より具体的な例示的実施形態は、例示的装置のさらなる様式化された描写に関して説明される。これらの描写の様式化された性質、
図1~4は、同様に、ある実施形態では、
図1~4のいずれか1つ以上により構成されうる装置の種類を制限することを意図するものではない。すなわち、
図1~4のいずれか1つ以上のアーキテクチャに従って構築される。
図1~4は、本開示の他の実施形態のBHJ、電池、FET、ハイブリッドPV電池、シリアルマルチセルPV、パラレルマルチセルPV、及び他の類似の装置を、いかなる適当な手段(本明細書の他の箇所で明示的に記載されるもの、及び本開示の利益を有する当業者に明らかであろう他の適当な手段の両方を含む)に従って提供するように適合させることができる。
【0077】
[0113]
ペロブスカイト材料活性層の形成
上記のように、ある実施形態では、活性層中のペロブスカイト材料は、CMX3-yX’y(0≧y≧3)という処方を有してよく、ここで、Cは、1以上の陽イオン(カチオン)(例えば、アミン、アンモニウム、第1族金属、第2族金属、ホルムアミジニウム、グアニジニウム、テトラミン、ホスホニウム、イミダゾリウム、及び/又は他の陽イオン又は陽イオン様化合物)を含み、Mは、1以上の金属(例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Hg、Sn、Ge、Ga、Pb、In、Tl、Sb、Bi、Ti、Zn、Cd、Hg、及びZr)を含み、X及びX’は、1以上の陰イオン(アニオン)を含む。一実施形態では、ペロブスカイト材料は、CPbI3-yClyを含んでよい。ある実施形態では、ペロブスカイト材料は、例えば、ドロップキャスティング、スピンキャスティング、スロットダイ印刷、スクリーン印刷、又はインクジェット印刷によって、以下に記載される工程を用いて基板層上に活性層として堆積させることができる。
【0078】
[0114]まず、ハロゲン化鉛の前駆体インクを形成する。ハロゲン化鉛の量は、制御された雰囲気環境(例えば、手袋を含むポートホールを備えた制御された雰囲気ボックスにより、空気のない環境での物質の操作をすることができる)中で清潔で乾燥した容器中でマスクすることができる。適当なハロゲン化鉛としては、ヨウ化鉛(II)、臭化鉛(II)、塩化鉛(II)、フッ化鉛(II)があげられるが、これらに限定されない。ハロゲン化鉛は、単一のハロゲン化鉛の種から構成されてもよく、又は正確な比率のハロゲン化鉛の混合物から構成されてよい。ある実施形態では、ハロゲン化鉛混合物は、0.001~100モル%のヨウ化物、臭化物、塩化物、またはフッ化物のいかなる二元、三元、または四元比から構成されてよい。一実施形態では、ハロゲン化鉛混合物は、約10:90モル:モルの比で塩化鉛(II)及びヨウ化鉛(II)を含んでよい。他の実施形態では、ハロゲン化鉛混合物は、約5:95、約7.5:92.5、又は約15:85モル:モルの比で塩化鉛(II)及びヨウ化鉛(II)を含んでよい。
【0079】
[0115]あるいは、他の鉛塩前駆体を、ハロゲン化鉛塩と共に、又はその代わりに用いて、前駆体インクを形成することができる。適当な前駆体塩は、鉛(II)又は鉛(IV)と、以下のアニオン:硝酸塩、亜硝酸塩、カルボン酸塩、酢酸塩、アセトニルアセトナト、ギ酸塩、シュウ酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、リン酸塩、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロリン酸塩、テトラ(ペルフルオロフェニル)ホウ酸塩、水素化物、酸化物、過酸化物、水酸化物、ヒ酸塩、亜ヒ酸塩、過塩素酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、クロム酸塩、重クロム酸塩、ヨウ素酸塩、臭素酸塩、塩素酸塩、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、シアン化物、シアン酸塩、イソシアネート、フルミネート、チオシアネート、イソチオシアネート、アジド、テトラカルボニルコバルト酸塩、カルバモイルジシアノメタン化物、ジシアノニトロソメタン化物、ジシアンアミド及びトリシアノメタン化物、トリシアンメタン、アミド、及び過マンガン酸塩、とのいかなる組み合わせを含んでよい。
【0080】
[0116]前駆体インクは、前記アニオンの塩として、以下の金属イオンBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Hg、Sn、Ge、Ga、Pb、Pb、In、Tl、Sb、Bi、Ti、Zn、Cd、Hg、及びZrに対してモル比0~100%の鉛(II)塩又は鉛(IV)塩を、さらに含んでよい。
【0081】
[0117]次いで、溶媒を容器に添加して、鉛固体を溶解させて、ハロゲン化鉛前駆体インクを形成することができる。適当な溶媒としては、乾燥N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、アルキル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジアルキルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ホルムアミド、tert-ブチルピリジン、ピリジン、アルキルピリジン、ピロリジン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、及びこれらの組み合わせがあげられるが、これらに限定されない。一実施形態では、鉛固体は、乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解される。鉛固形物は、約20~150℃の温度で溶解することができる。一実施形態では、鉛固形物は約85℃で溶解し、溶液を形成するために必要なだけ溶解することができ、これは、約72時間までおこってよい。得られた溶液は、ハロゲン化鉛前駆体インクのベースを形成する。ある実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インクのハロゲン化鉛濃度は、約0.001M~約10Mであってよい。一実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インクのハロゲン化鉛濃度は、約1Mであってよい。
【0082】
[0118]場合によっては、特定の添加剤をハロゲン化鉛前駆体インクに添加して、最終的なペロブスカイト結晶性及び安定性に影響を与えることができる。ある実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インクは、アミノ酸(例えば、5-アミノ吉草酸、ヒスチジン、グリシン、リジン)、アミノ酸ハロゲン化水素(例えば、5-アミノ吉草酸塩酸)、IFL表面修飾(SAM)剤(例えば、明細書の上記のもの)、又はそれらの組み合わせをさらに含んでよい。ハロゲン化鉛前駆体インクに適するアミノ酸としては、α-アミノ酸、β-アミノ酸、γ-アミノ酸、δ-アミノ酸、及びそれらのいかなる組み合わせがあげられるが、これらに限定されない。一実施形態では、塩化ホルムアミジニウムをハロゲン化鉛前駆体インクに添加してよい。他の実施形態では、本明細書の上記いずれかのカチオンのハロゲン化物を用いることができる。ある実施形態では、例えば、塩化ホルムアミジニウム及び5-アミノ吉草酸塩化物の組合せを含む、ハロゲン化鉛前駆体インクに添加剤の組合せを添加してよい。
【0083】
[0119]説明のため、また、本開示をメカニズムのいずれかの特定の理論に限定することなく、塩化ホルムアミジニウム及び5-アミノ吉草酸は、ペロブスカイト装置のワンステップ製造において添加剤又は対カチオンとして用いられる場合、ペロブスカイトPV装置の安定性を改善することが見出された。また、塩化物は、PbCl2の形態で、PbI2前駆体溶液に加えると、2ステップ法のペロブスカイトPV装置の性能を改善できることが見出された。2ステップペロブスカイト薄膜堆積プロセスは、ハロゲン化鉛前駆体溶液(例えば、PbI2)に塩化ホルムアミジニウム及び/又は5-アミノ吉草酸塩酸塩を直接添加することによって改善することができ、両方の利点を単一材料で利用することができることが見出された。他のペロブスカイト成膜プロセスも同様に、塩化ホルムアミジニウム、5-アミノ吉草酸塩化物、又はPbCl2をハロゲン化鉛前駆体溶液に添加することによって改善することができる。
【0084】
[0120]塩化ホルムアミジニウム及び/又は5-アミノ吉草酸塩酸塩を含む添加剤。得られたペロブスカイト材料の所望の特性に応じて、様々な濃度でハロゲン化鉛前駆体インクに添加することができる。一実施形態では、添加剤は、約1nM~約1Mの濃度で添加することができる。他の実施形態では、添加剤は、約1μM~約1Mの濃度で添加することができる。他の実施形態では、添加剤は、約1μM~約1mMの濃度で添加することができる。
【0085】
[0121]場合によっては、ある実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インクに水を添加してよい。説明のために、また特定の理論又は機構に開示を限定することなく、水の存在はペロブスカイト薄膜結晶成長に影響を及ぼす。通常の環境下では、水は空気から蒸気として吸収される。しかし、特定の濃度のハロゲン化鉛前駆体インクに水を直接添加することにより、ペロブスカイトPVの結晶化度を制御することができる。適当な水としては、蒸留水、脱イオン水、又は実質的に汚染物質(ミネラル含有)を含まない他の水源があげられる。光I-V掃引(スイープ)に基づいて、ペロブスカイトPV光-電力変換効率は、完全に乾燥した装置と比較して、水の添加によりほぼ3倍になることが見出されている。
【0086】
[0122]水は、得られたペロブスカイト材料の所望の特性に応じて、様々な濃度でハロゲン化鉛前駆体インクに添加することができる。一実施形態では、水は、約1nL/mL~約1mL/mLの濃度で添加されてよい。他の実施形態では、水は、約1μL/mL~約0.1mL/mLの濃度で添加されてよい。他の実施形態では、水は、約1μL/mL~約20μL/mLの濃度で添加されてよい。
【0087】
[0123]次いで、ハロゲン化鉛前駆体インクを所望の基板上に堆積させることができる。適当な基板層は、本開示の上記に記載したいかなる基板層を含んでよい。上記のように、ハロゲン化鉛前駆体インクは、ドロップキャスティング、スピンキャスティング、スロットダイ印刷、スクリーン印刷、又はインクジェット印刷を含むが、これらに限定されない様々な手段を介して堆積されてよい。ある実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インクは、約5秒~約600秒の期間、約500rpm~約10,000rpmの速度で基板上にスピンコートされうる。一実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インクを、約3000rpmで約30秒間、基板上にスピンコートすることができる。ハロゲン化鉛前駆体インクは、約0%相対湿度~約50%相対湿度の湿度範囲で、周囲雰囲気で基板上に堆積されうる。次いで、ハロゲン化鉛前駆体インクを、実質的に水を含まない雰囲気、すなわち、相対湿度が30%未満の雰囲気中で乾燥させて、薄膜を形成させることができる。
【0088】
[0124]次いで、薄膜を、約20℃~約300℃の温度で、約24時間までの期間、熱アニールすることができる。一実施形態では、薄膜は、約50℃の温度で約10分間熱アニールすることができる。次いで、ペロブスカイト材料活性層は、0.001M~10Mの濃度の溶媒又は溶媒の混合物(例えば、DMF、イソプロパノール、メタノール、エタノール、ブタノール、クロロホルムクロロベンゼン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水)及び塩(例えば、ヨウ化ホルムアミジニウム、ヨウ化グアニジニウム、1,2,2-トリアミノビニルアンモニウム、5-アミノバレリック酸ヒドロイド)を含む溶液で、前駆体フィルムを浸漬又はリンスする転換プロセスによって完成させることができる。ある実施形態では、薄膜はまた、本段落第1行目と同じ方法で熱的に後焼きなましをすることもできる。
【0089】
[0125]ある実施形態では、鉛塩前駆体を基板上に堆積させて鉛塩薄膜を形成することもできる。基板の温度は、周囲温度にほぼ等しくてよく、又は0℃~500℃の間で制御された温度であってよい。鉛塩前駆体は、スピンコーティング、スロットダイ印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、スパッタリング、PE-CVD、熱蒸着、スプレーコーティングを含むが、これらに限定されない、当該技術分野で公知の様々な方法によって堆積されうる。ある実施形態では、鉛塩前駆体の堆積は、シートツーシート又はロールツーロールの製造方法を含んでよい。鉛塩前駆体の堆積は、大気圧(例えば、高度及び大気条件に応じて、約1気圧)又は大気圧よりも低い圧力(例えば、1mTorr~500mTorr)等、様々な大気中で行うことができる。堆積雰囲気は、周囲空気、制御された湿度環境(例えば、ガスの0~100gのH2O/m3)、純粋なアルゴン、純粋な窒素、純粋な酸素、純粋な水素、純粋なヘリウム、純粋なネオン、純粋なクリプトン、純粋なCO2、又は上記ガスのいかなる組み合わせを含んでよい。制御された湿度環境は、絶対湿度又は%相対湿度が固定値に保持される環境、又は絶対湿度又は%相対湿度が所定の設定点又は所定の機能により変化する環境を含んでよい。ある実施形態では、堆積は、相対湿度が0%~50%である制御された湿度環境で行ってよい。他の実施形態では、堆積は、0g H2O/m3以上かつ20g H2O/m3以下のガスを含む制御された湿度環境で行うことができる。
【0090】
[0126]鉛塩前駆体は、液体、気体、固体、又は溶液、懸濁液、コロイド、フォーム(泡)、ゲル、又はエアロゾル等のこれらの状態の組み合わせであってよい。ある実施形態では、鉛塩前駆体は、1つ以上の溶媒を含有する溶液であってよい。例えば、鉛塩前駆体は、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、アルキル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジアルキルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ホルムアミド、tert-ブチルピリジン、ピリジン、アルキルピリジン、ピロリジン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、及びそれらの組み合わせの1つ以上を含有することができる。鉛塩前駆体は、単一の鉛塩(例えば、ヨウ化鉛(II)、チオシアン酸鉛(II))又は本明細書に開示されたもののいかなる組み合わせ(例えば、PbI2+PbCl2;PbI2+Pb(SCN)2)を含んでよい。鉛塩前駆体はまた、アミノ酸(例えば、5-アミノ吉草酸ヒドロヨウ化物)、1,8-ジヨードオクタン、1,8-ジチオオクタン、ハロゲン化ホルムアミジニウム、酢酸、トリフルオロ酢酸、ハロゲン化メチルアンモニウム、又は水等の1つ以上の添加剤を含んでよい。ハロゲン化鉛前駆体インクは、実質的に水を含まない雰囲気、すなわち、相対湿度が30%未満の雰囲気中で乾燥させて、薄膜を形成することができる。次いで、薄膜は、約20℃~約300℃の温度で、約24時間までの期間、熱アニールされることができる。焼アニールは、大気圧(例えば、高度及び大気条件に応じて、約1気圧)又は大気圧よりも低い圧力(例えば、1mTorr~500mTorr)等、様々な大気中で行うことができる。アニーリング雰囲気は、周囲空気、制御された湿度環境(例えば、ガスの0~100gのH2O/m3)、純粋なアルゴン、純粋な窒素、純粋な酸素、純粋な水素、純粋なヘリウム、純粋なネオン、純粋なクリプトン、純粋なCO2、又は上記ガスのいかなる組み合わせを含んでよい。制御された湿度環境は、絶対湿度又は%相対湿度が固定値に保持される環境、又は絶対湿度又は%相対湿度が所定の設定点又は所定の機能により変化する環境を含んでよい。ある実施形態では、アニーリングは、相対湿度が0%~50%である制御された湿度環境で行ってよい。他の実施形態では、アニーリングは、0g H2O/m3以上かつ20g H2O/m3以下のガスを含む制御された湿度環境で行うことができる。
【0091】
[0127]鉛塩前駆体が堆積された後、第2の塩前駆体(例えば、ヨウ化ホルムアミジニウム、チオシアン酸ホルムアミジニウム、チオシアン酸グアニジニウム)を、鉛塩薄膜上に堆積してよく、ここで、鉛塩薄膜は、周囲温度にほぼ等しくてよく、又は0℃~500℃の間で制御された温度であってよい。ある実施形態では、第2の塩前駆体は、周囲温度で、又は約25℃~125℃の間の高温で堆積されうる。第2の塩前駆体は、スピンコーティング、スロットダイ印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、スパッタリング、PE-CVD、熱蒸着、スプレーコーティングを含むが、これらに限定されない、当該技術分野で公知の様々な方法によって堆積されうる。第2の塩前駆体の堆積は、大気圧(例えば、高度及び大気条件に応じて、約1気圧)又は大気圧よりも低い圧力(例えば、1mTorr~500mTorr)で、様々な大気中で行うことができる。堆積雰囲気は、周囲空気、制御された湿度環境(例えば、ガスの0~100gのH2O/m3)、純粋なアルゴン、純粋な窒素、純粋な酸素、純粋な水素、純粋なヘリウム、純粋なネオン、純粋なクリプトン、純粋なCO2、又は上記ガスのいかなる組み合わせを含んでよい。制御された湿度環境は、絶対湿度又は%相対湿度が固定値に保持される環境、又は絶対湿度又は%相対湿度が所定の設定点又は所定の機能により変化する環境を含んでよい。ある実施形態では、堆積は、相対湿度が0%~50%である制御された湿度環境で行ってよい。他の実施形態では、堆積は、0g H2O/m3以上かつ20g H2O/m3以下のガスを含む制御された湿度環境で行うことができる。
【0092】
[0128]ある実施形態では、第2の塩前駆体は、1つ以上の溶媒を含有する溶液であってよい。例えば、第2の塩前駆体は、乾燥N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、アルキル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジアルキルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ホルムアミド、tert-ブチルピリジン、ピリジン、アルキルピリジン、ピロリジン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、及びそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含有していてよい。
【0093】
[0129]鉛塩前駆体及び第2の塩前駆体の堆積後、基板をアニールすることができる。基板をアニールすることにより、鉛塩前駆体及び第2の塩前駆体をペロブスカイト材料(例えば、FAPbI3、GAPb(SCN)3、FASnI3)に変換することができる。焼きなましは、大気圧(例えば、高度及び大気条件に応じて、約1気圧)又は大気圧よりも低い圧力(例えば、1mTorr~500mTorr)等、様々な大気中で行うことができる。アニーリング雰囲気は、周囲空気、制御された湿度環境(例えば、ガスの0~100gのH2O/m3)、純粋なアルゴン、純粋な窒素、純粋な酸素、純粋な水素、純粋なヘリウム、純粋なネオン、純粋なクリプトン、純粋なCO2、又は上記ガスのいかなる組み合わせを含んでよい。制御された湿度環境は、絶対湿度又は%相対湿度が固定値に保持される環境、又は絶対湿度又は%相対湿度が所定の設定点又は所定の機能により変化する環境を含んでよい。ある実施形態では、アニーリングは、相対湿度が0%~50%である制御された湿度環境で行ってよい。他の実施形態では、アニーリングは、0g H2O/m3以上かつ20g H2O/m3以下のガスを含む制御された湿度環境で行うことができる。ある実施形態では、アニーリングは50℃~300℃の温度で行うことができる。別段の記載がない限り、本明細書に記載されるいかなるアニーリング又は堆積工程も、上記の条件下で実施することができる。
【0094】
[0130]例えば、ある実施形態では、FAPbI3ペロブスカイト材料は、以下のプロセスによって形成することができる。まず、無水DMF中に溶解したPbI2対PbCl2のモル比が約90:10であるハロゲン化鉛前駆体(II)を、スピンコーティング又はスロットダイ印刷によって基板上に堆積させることができる。ハロゲン化鉛前駆体インクは、実質的に水を含まない雰囲気、すなわち、相対湿度が30%未満の雰囲気中で約1時間(+15分)乾燥させて、薄膜を形成することができる。薄膜は、その後、約50℃(+10℃)で約10分間熱アニールすることができる。他の実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体は、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、スパッタリング、PE-CVD、原子層堆積、熱蒸着、又はスプレーコーティングによって堆積されてよい。次に、無水イソプロピルアルコールに溶解した25~60mg/mL濃度のホルムアミジニウムヨウ化物を含むホルムアミジニウムヨウ化物前駆体を、スピンコーティング又はスロットダイ印刷によってハロゲン化鉛薄膜上に堆積させることができる。他の実施形態では、ヨウ化ホルムアミジニウム前駆体は、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、スパッタリング、PE-CVD、原子層堆積、熱蒸着、又はスプレーコーティングによって堆積されうる。ハロゲン化鉛前駆体及びヨウ化ホルムアミジニウム前駆体を堆積した後、基板を約25%の相対湿度(約4~7gのH2O/m3空気)及び約125℃~200℃の間でアニールして、ヨウ化ホルムアミジニウム鉛(FAPbI3)ペロブスカイト材料を形成することができる。
【0095】
[0131]別の実施形態では、ペロブスカイト材料は、C’CPbX3を含んでよく、ここでC’は、1つ以上の第1族金属(すなわち、Li、Na、K、Rb、Cs)である。ある実施形態では、M’はセシウム(Cs)でありうる。別の実施形態では、C’はルビジウム(Rb)でありうる。別の実施形態では、C’はナトリウム(Na)でありうる。別の実施形態では、C’はカリウム(K)でありうる。さらに他の実施形態では、ペロブスカイト材料は、C’vCwPbyXzを含んでよく、ここで、C’は、1つ以上の第1族金属であり、v、w、y、及びzは、1~20の実数を表す。ある実施形態では、ペロブスカイト材料は、例えば、ドロップキャスティング、スピンキャスティング、グラビアコーティング、ブレードコーティング、リバースグラビアコーティング、スロットダイ印刷、スクリーン印刷、又はインクジェット印刷により、以下に記載される工程を用いて基板層上に活性層として堆積されうる。
【0096】
[0132]まずハロゲン化鉛溶液が生成する。ある量のハロゲン化鉛を、制御された雰囲気中で清潔で乾燥した容器中でマスクすることができる。適当なハロゲン化鉛としては、適当なハロゲン化鉛としては、ヨウ化鉛(II)、臭化鉛(II)、塩化鉛(II)、フッ化鉛(II)があげられるが、これらに限定されない。ハロゲン化鉛は、単一のハロゲン化鉛の種から構成されてもよく、又は正確な比率のハロゲン化鉛の混合物から構成されてよい。ある実施形態では、ハロゲン化鉛混合物は、0.001~100モル%のヨウ化物、臭化物、塩化物、またはフッ化物のいかなる二元、三元、または四元比から構成されてよい。一実施形態では、ハロゲン化鉛混合物は、約10:90モル:モルの比で塩化鉛(II)及びヨウ化鉛(II)を含んでよい。他の実施形態では、ハロゲン化鉛混合物は、約5:95、約7.5:92.5、又は約15:85モル:モルの比で塩化鉛(II)及びヨウ化鉛(II)を含んでよい。
【0097】
[0133]あるいは、鉛塩溶液を形成するために、他の鉛塩前駆体を、ハロゲン化鉛塩と共に組み合わせて又はその代わりに用いることができる。適当な前駆体塩は、鉛(II)又は鉛(IV)と、以下のアニオン:硝酸塩、亜硝酸塩、カルボン酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、リン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、テトラ(ペルフルオロフェニル)ホウ酸塩、水素化物、酸化物、過酸化物、水酸化物、窒化物、ヒ酸塩、亜ヒ酸塩、過塩素酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、クロム酸塩、重クロム酸塩、ヨウ素酸塩、臭素酸塩、塩素酸塩、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、シアン化物、シアン酸塩、イソシアネート、フルミネート、チオシアネート、イソチオシアネート、アジド、テトラカルボニルコバルト酸塩、カルバモイルジシアノメタン化物、ジシアノニトロソメタン化物、ジシアンアミド及びトリシアノメタン化物、トリシアンメタン、アミド、及び過マンガン酸塩、とのいかなる組み合わせを含んでよい。
【0098】
[0134]鉛塩溶液は、前記アニオンの塩として、以下の金属イオンBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Hg、Sn、Ge、Ga、Pb、Pb、In、Tl、Sb、Bi、Ti、Zn、Cd、Hg、及びZrに対してモル比0~100%の鉛(II)塩又は鉛(IV)塩を、さらに含んでよい。
【0099】
[0135]次いで、溶媒を容器に添加して、ハロゲン化鉛固体を溶解させて、ハロゲン化鉛前駆体インクを形成することができる。適当な溶媒としては、乾燥N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、アルキル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジアルキルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ホルムアミド、tert-ブチルピリジン、ピリジン、アルキルピリジン、ピロリジン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、及びこれらの組み合わせがあげられるが、これらに限定されない。一実施形態では、鉛固体は、乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解される。鉛固形物は、約20~150℃の温度で溶解することができる。一実施形態では、鉛固形物は約85℃で溶解し、溶液を形成するために必要なだけ溶解することができ、これは、約72時間まで行ってよい。得られた溶液は、ハロゲン化鉛前駆体インクのベースを形成する。ある実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インクのハロゲン化鉛濃度は、約0.001M~約10Mであってよい。一実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インクのハロゲン化鉛濃度は、約1Mであってよい。ある実施形態では、ハロゲン化鉛溶液は、さらに、アミノ酸(例えば、5-アミノ吉草酸、ヒスチジン、グリシン、リジン)、アミノ酸ハロゲン化水素(例えば、5-アミノ吉草酸塩酸塩)、IFL表面修飾(SAM)剤(例えば、明細書の上記したもの)、又はそれらの組み合わせを含んでよい。
【0100】
[0136]次に、第1族の金属ハロゲン化物溶液が形成される。第1族金属ハロゲン化物の量を、制御された雰囲気中で清潔で乾燥した容器中でマスクすることができる。適当な第1族金属ハロゲン化物としては、ヨウ化セシウム、臭化セシウム、塩化セシウム、フッ化セシウム、ヨウ化ルビジウム、臭化ルビジウム、塩化ルビジウム、フッ化ルビジウム、ヨウ化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウム、フッ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、フッ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、フッ化カリウムがあげられるが、これらに限定されない。第1族金属ハロゲン化物は、第1族の金属ハロゲン化物の単一種を含んでよく、又は第1族の金属ハロゲン化物混合物を正確な比率で含んでよい。一実施形態では、第1族金属ハロゲン化物は、ヨウ化セシウムを含んでよい。別の実施形態では、第1族金属ハロゲン化物は、ヨウ化ルビジウムを含んでよい。別の実施形態では、第1族金属ハロゲン化物は、ヨウ化ナトリウムを含んでよい。別の実施形態では、第1族金属ハロゲン化物は、ヨウ化カリウムを含んでよい。
【0101】
[0137]あるいは、他の第1族金属塩前駆体を、第1族金属ハロゲン化物塩と共に組み合わせて又はその代わりに用いることができる。適当な前駆体第1族金属塩は、第1族金属と、以下のアニオン:硝酸塩、亜硝酸塩、カルボン酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、リン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、テトラ(ペルフルオロフェニル)ホウ酸塩、水素化物、酸化物、過酸化物、水酸化物、窒化物、ヒ酸塩、亜ヒ酸塩、過塩素酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、クロム酸塩、亜硫酸塩、重クロム酸塩、ヨウ素酸塩、臭素酸塩、塩素酸塩、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、シアン化物、シアン酸塩、イソシアネート、フルミネート、チオシアネート、イソチオシアネート、アジド、テトラカルボニルコバルト酸塩、カルバモイルジシアノメタン化物、ジシアノニトロソメタン化物、ジシアンアミド及びトリシアノメタン化物、トリシアンメタン、アミド、及び過マンガン酸塩、とのいかなる組み合わせを含んでよい。
【0102】
[0138]次いで、溶媒を容器に添加して、第1族金属ハロゲン化物固体を溶解させて、第1族金属ハロゲン化物溶液を形成することができる。適当な溶媒としては、乾燥N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、アルキル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジアルキルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ホルムアミド、tert-ブチルピリジン、ピリジン、アルキルピリジン、ピロリジン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、及びこれらの組み合わせがあげられるが、これらに限定されない。一実施形態では、第1類金属ハロゲン化物固体は、乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解される。第1類金属ハロゲン化物固体は、約20~150℃の温度で溶解することができる。一実施形態では、第1族金属ハロゲン化物固体は、室温(すなわち、約25℃)で溶解される。第1族金属ハロゲン化物固体は、溶液を形成するために必要な限り溶解することができ、これは、約72時間まで行ってよい。得られた溶液は、第1族金属ハロゲン化物溶液を形成する。ある実施形態では、第1族金属ハロゲン化物溶液のハロゲン化鉛濃度は、約0.001M~約10Mであってよい。一実施形態では、第1族金属ハロゲン化物溶液のハロゲン化鉛濃度は、約1Mであってよい。ある実施形態では、第1族金属ハロゲン化物溶液は、さらに、アミノ酸(例えば、5-アミノ吉草酸、ヒスチジン、グリシン、リジン)、アミノ酸ハロゲン化水素(例えば、5-アミノ吉草酸塩酸塩)、IFL表面修飾(SAM)剤(例えば、明細書の上記したもの)、又はそれらの組み合わせを含んでよい。
【0103】
[0139]次に、ハロゲン化鉛溶液と第1族金属ハロゲン化物溶液を混合して、薄膜前駆体インクを形成する。ハロゲン化鉛溶液及び第1族金属ハロゲン化物溶液は、得られた薄膜前駆体インクの第1族金属ハロゲン化物のモル濃度の比率がハロゲン化鉛のモル濃度の0%~25%であるように混合されてよい。ある実施形態では、薄膜前駆体インクは、第1族金属ハロゲン化物のモル濃度が、ハロゲン化鉛のモル濃度の1%であってよい。ある実施形態では、薄膜前駆体インクは、第1族金属ハロゲン化物のモル濃度が、ハロゲン化鉛のモル濃度の5%であってよい。ある実施形態では、薄膜前駆体インクは、第1族金属ハロゲン化物のモル濃度がハロゲン化鉛のモル濃度の10%であってよい。ある実施形態では、薄膜前駆体インクは、第1族金属ハロゲン化物のモル濃度はハロゲン化鉛のモル濃度の15%であってよい。ある実施形態では、薄膜前駆体インクは、第1族金属ハロゲン化物のモル濃度は、ハロゲン化鉛のモル濃度の20%であってよい。ある実施形態では、薄膜前駆体インクは、第1族金属ハロゲン化物のモル濃度は、ハロゲン化鉛のモル濃度の25%であってよい。ある実施形態では、ハロゲン化鉛溶液及び第1族金属ハロゲン化物溶液は、混合中又は混合後に撹拌又は撹拌することができる。
【0104】
[0140]次いで、薄膜前駆体インクを所望の基板上に堆積させることができる。適当な基板層は、本開示の前に同定されたいかなる基板層を含んでよい。上記のように、薄膜前駆体インクは、ドロップキャスティング、スピンキャスティング、グラビアコーティング、ブレードコーティング、リバースグラビアコーティング、スロットダイ印刷、スクリーン印刷、又はインクジェット印刷を含むが、これらに限定されない様々な手段を介して堆積されうる。ある実施形態では、薄膜前駆体インクは、約5秒~約600秒の期間、約500rpm~約10,000rpmの速度で基板上にスピンコートされうる。一実施形態では、薄膜前駆体インクを、約3000rpmで約30秒間、基板上にスピンコートすることができる。薄膜前駆体インクは、約0%相対湿度~約50%相対湿度の湿度範囲で、周囲雰囲気で基板上に堆積されてよい。次いで、薄膜前駆体インクを、実質的に水を含まない雰囲気、すなわち、相対湿度が30%未満、又は7g H2O/m3未満で乾燥させて、薄膜を形成させてよい。
【0105】
[0141]次いで、薄膜を、約20℃~約300℃の温度で、約24時間までの期間、熱アニールすることができる。一実施形態では、薄膜は、約50℃の温度で約10分間熱アニールすることができる。次いで、ペロブスカイト材料活性層は、前駆体フィルムが、0.001M~10Mの濃度の溶媒又は溶媒の混合物(例えば、DMF、イソプロパノール、メタノール、エタノール、ブタノール、クロロホルムクロロベンゼン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水)及び塩(例えば、ヨウ化メチルアンモニウム、ヨウ化ホルムアミジニウム、ヨウ化グアニジニウム、1,2,2-トリアミノビニルアンモニウムヨウ化物、5-アミノバレリック酸ヒドロイド)を含む塩溶液で浸漬又はリンスされる変換プロセスによって完成されうる。ある実施形態では、ペロブスカイト材料薄膜は、本パラグラフの第1行と同じ方法で熱的に後焼きなましすることもできる。
【0106】
[0142]ある実施形態では、塩溶液は、制御された雰囲気中で、清潔で乾燥した容器中で塩を塊にすることによって調製することができる。適当な塩としては、メチルアンモニウムヨーダイド、ホルムアミジニウムヨーダイド、グアニジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド、エテンテトラミンヨーダイド、1,2,2-トリアミノビニルアンモニウムヨーダイド、及び5-アミノ吉草酸ヒドロヨウ化物があげられるが、これらに限定されない。他の適当な塩は、「ペロブスカイト材料」の項目で記載されたいかなる有機カチオンを含むことができ、この塩は、単一種の塩を含むことができ、又は正確な比率で塩混合物を含んでよい。一実施形態では、塩は、ヨウ化メチルアンモニウムを含んでよい。別の実施形態では、塩はヨウ化ホルムアミジニウムを含んでよい。次いで、溶媒を容器に添加して、塩の固体を溶解させて、塩溶液を形成することができる。適当な溶媒には、DMF、アセトニトリル、イソプロパノール、メタノール、エタノール、ブタノール、クロロホルムクロロベンゼン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水、及びこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、ヨウ化ホルムアミジニウム塩の固体をイソプロパノールに溶解する。塩の固体は、約20~約150℃で溶解することができる。一実施形態では、塩の固体を室温(すなわち、約25℃)で溶解する。塩の固体は、溶液を形成するために必要な限り溶解することができ、これは、約72時間までの期間にわたって起こり得る。得られた溶液は塩溶液を形成する。ある実施形態では、塩溶液の塩濃度は、約0.001M~約10Mであってよい。一実施形態では、塩溶液の塩濃度は約1Mの塩濃度である。
【0107】
[0143]例えば、ヨウ化鉛(II)溶液、ヨウ化セシウム溶液、及びヨウ化メチルアンモニウム(MA)塩溶液を用いて上記方法を用いると、式CsiMA1-iPbI3(式中、iは0と1の間の数字を表す)であるペロブスカイト材料が得られる場合がある。別の例として、ヨウ化鉛(II)溶液、ヨウ化ルビジウム溶液、及びヨウ化ホルムアミジニウム(FA)塩溶液を用いることにより、式RbiFA1-iPbI3(式中、iは0と1の間の数字を表す)であるペロブスカイト材料を得ることができる。別の例として、ヨウ化鉛(II)溶液、ヨウ化セシウム溶液、及びヨウ化ホルムアミジニウム(FA)塩溶液を用いると、式CsiFA1-iPbI3(式中、iは0と1の間の数字を表す)であるペロブスカイト材料を得ることができる。別の例として、ヨウ化鉛(II)溶液、ヨウ化カリウム溶液、及びヨウ化ホルムアミジニウム(FA)塩溶液を用いると、式KiFA1-iPbI3(式中、iは0と1の間の数字を表す)であるペロブスカイト材料を得ることができる。別の例として、ヨウ化鉛(II)溶液、ヨウ化ナトリウム溶液、及びヨウ化ホルムアミジニウム(FA)塩溶液を用いることにより、式NaiFA1-iPbI3(式中、iは0と1の間の数字を表す)であるペロブスカイト材料を得ることができる。別の例として、ヨウ化鉛(II)鉛-塩化物(II)混合溶液、ヨウ化セシウム溶液、及びヨウ化ホルムアミジニウム(FA)塩溶液を用いると、式CsiFA1-iPbI3-yCly(式中、iは0と1の間の数字、yは0と3の間の数字を表す)であるペロブスカイト材料を得ることができる。
【0108】
[0144]ある実施形態では、上記のハロゲン化鉛溶液は、モル基準でPbI2とPbCl2の比が90:10であってよい。ヨウ化セシウム(CsI)溶液を上記の方法によりハロゲン化鉛溶液に添加して、CsIが10モル%である薄膜前駆体インクを形成することができる。FAPbI3ペロブスカイト材料は、この薄膜前駆体溶液を用いて上記の方法により製造することができる。上記のようにCsI溶液によりセシウムイオンを添加すると、塩化物アニオン及びセシウム原子がFAPbI3結晶格子に取り込まれる場合がある。これは、上記のように塩化物イオンを添加せずにセシウム又はルビジウムイオンを添加した場合と比較して、格子収縮の程度が大きくなるかもしれない。下記の表1は、10モル%ルビジウム及び20モル%塩化物(例えば、10モル% PbCl2)、10モル%セシウムを含むFAPbI3ペロブスカイト材料、及び20モル%塩化物を含む10モル%セシウムの格子パラメータを示す。ここで、モル%濃度は、ハロゲン化鉛溶液中の鉛原子に対する添加剤の濃度を表す。表1に見られるように、セシウム及び塩化物を添加したFAPbI3ペロブスカイト材料の格子パラメータは、他の2つのペロブスカイト材料試料よりも小さい。
【0109】
【表1】
[0145]さらに、ルビジウム、セシウム及び/又は塩化物を添加したFAPbI
3ペロブスカイト材料の立方構造がPm3-m立方構造であることを示すデータがある。10モル% Rb及び10モル% Cl、又は10モル% Cs、又は10モル% Cs及び10モル% Clを含むFAPbI
3ペロブスカイトは、立方晶Pm3-m立方晶構造を維持することが観察された。
図29は、表1に示された各試料に対応するX線回折パターンを示す。表2~4は、表1に示す3つのペロブスカイト材料のX線回折ピーク及び強度を示す。データは、リガク社製Miniflex600を用いて、Cu Kα線源を用いて、スキャンレート1.5度2θ/分で、周囲条件で収集したものである。
【0110】
【0111】
【0112】
【表4】
[0146]格子定数=6.3375Åの立方晶Pm3-m材料について、Cu-Kα放射線下で幾何学的に予測されるX線回折パターンを表5に示す。データから分かるように、10モル% Rb及び10モル% Cl、10モル% Cs、及び10% Cs及び10% Clで製造されたペロブスカイト材料の回折パターンは各々、立方晶のPm3-mペロブスカイト材料に対して予想されるパターンに一致する。
【0113】
【表5】
[0147]
強化されたペロブスカイト
いわゆる「層状」2Dペロブスカイトは、ペロブスカイトが、本明細書中で上記したメチルアンモニウム及びホルムアミジニウムカチオンよりもアルキル鎖が長い有機カチオンを用いて処方される場合に形成されることが知られている。層状2Dペロブスカイトには、ラッドルセン-ポッパー(Ruddlesden-Popper)相、Dion-Jacobson相、及びAurivillius相等の構造が含まれる。例えば、上記のメチルアンモニウム又は他のカチオンの代わりに1-ブチルアンモニウムを置換することで、「一段階(ワンステップ)」法(本明細書には記載されていない)によるペロブスカイトの形成中、ラッドルセン-ポッパー2Dペロブスカイトが生じることがある。当該ペロブスカイトでは、1-ブチルアンモニウムはペロブスカイトが完全な結晶格子を形成するのを妨げ、代わりにペロブスカイトがその厚さにおいて単結晶構造を有するペロブスカイトの「シート」で形成される。
図5は、1-ブチルアンモニウムカチオン5510があるラッドルセン-ポッパーペロブスカイト5500の構造を示す。
図5から分かるように、ブチルアンモニウムカチオン5510の「尾部」にて、ペロブスカイト材料の鉛とヨウ化物部分と、他の鉛とヨウ化物構造との間が分離され、2Dペロブスカイトの「シート」をもたらす。従って、ペロブスカイトのラッドルセン-ポッパー形態が望ましくない場合に、ペロブスカイト材料の形成中に、1-ブチルアンモニウム又はベンジルアンモニウム等の「かさ高い」有機カチオンを導入するのは望ましくないであろう。
[0148]しかしながら、ペロブスカイト材料をアニールする前に、希釈した量の1-ブチルアンモニウム溶液を添加すると、
図6に示すようにペロブスカイトが生成する場合がある。
図6は、表面不動態化のためのアルキルアンモニウムカチオンの添加を伴うペロブスカイト材料2000の実施形態を示す。図示された実施形態では、ホルムアミジニウムヨウ化鉛(FAPbI
3)ペロブスカイト材料2010の表面は、表面に1-ブチルアンモニウムカチオン2020を有するように示されている。ある実施例では、1-ブチルアンモニウムカチオン、又は本明細書に記載されているような他の「かさ高い」有機カチオンは、ペロブスカイト材料の結晶格子の表面付近のペロブスカイト材料中に拡散することができる。ある実施形態では、1-ブチルアンモニウムカチオン、又は本明細書に記載されている他の「かさ高い」有機カチオンは、結晶格子表面又は粒界からペロブスカイト材料中に50nm以下で存在することができる。ペロブスカイト材料の近傍又は表面に1-ブチルアンモニウム等の「かさ高い」有機カチオンを含有させると、ペロブスカイト材料の式が、本明細書に開示されているペロブスカイト材料の「理想的な」化学量論から逸脱することがある。例えば、このような有機カチオンの含有により、ペロブスカイト材料は、本明細書に記載された式CMX
3に関して、準化学量論的又は超化学量論的のいずれかである式で表される場合がある。この場合、ペロブスカイト材料の一般式は、CxMyXzで表すことができる。ここで、x、y及びzは実数である。ある実施形態では、ペロブスカイト材料は、式C’
2C
n-1M
nX
3n+1(式中、nは整数である)で表されてよい。例えば、n=1の場合、ペロブスカイト材料は式C’
2MX
4で表されることができ、n=2の場合、ペロブスカイト材料は式C’
2CM
2X
7で表されることができ、n=3の場合、ペロブスカイト材料は式C’
2C
2M
3X
10で表されることができ、n=4の場合、ペロブスカイト材料は式C’
2C
3M
4X
13で表されることができる。
図30に示すように、n値は、ペロブスカイト材料の無機金属ハロゲン化物部分格子の厚さを示す。式C’
2C
n-1M
nX
3n+1で表されるペロブスカイト材料の相は、かさ高い有機カチオンがペロブスカイト材料の結晶格子中に拡散した領域、又はその他の方法で入り込んだ領域において形成されうる。例えば、このような相は、本明細書に開示されているようなかさ高い有機カチオンを含むペロブスカイト材料の結晶格子表面(例えば、表面又は粒界)から50ナノメートル以内に存在することができる。
【0114】
[0149]1-ブチルアンモニウムイオンの炭素「尾部」は、表面から他の分子を効果的に遠ざけることによって、ペロブスカイトの表面に保護特性を提供することができる。ある実施形態では、1-ブチルアンモニウムイオンのアルキル基「尾部」は、ペロブスカイト材料の表面から離れるように、または表面に平行に配向されてよい。特に、1-ブチルアンモニウム「尾部」には、水分子がペロブスカイトの表面に接触するのを防ぎ、ペロブスカイト材料2010の表面を環境中の水から保護する疎水性特性がある。加えて、1-ブチルアンモニウムカチオンはまた、ペロブスカイト材料2010で表面及びいかなる粒界又は欠陥を不動態化するように作用することもできる。不動態化とは、ペロブスカイト材料2010の表面又は粒界における電荷の蓄積又は「トラップ状態」を防止する電気特性をいう。ペロブスカイト材料2010の一部を不動態化するように作用することによって、1-ブチルアンモニウムは、ペロブスカイト材料2010の内外への電荷移動を改善し、光活性層の電気特性を改善することができる。
【0115】
[0150]ある実施形態では、他の有機カチオンは、1-ブチルアンモニウムの代わりに、又はそれと組み合わせて適用することができる。ペロブスカイト材料の表面不動態化に関して作用し得る他の「かさ高い」有機カチオンの例としては、エチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、n-ブチルアンモニウム;ペリレンn-ブチルアミンイミド;ブタン-1,4-ジアンモニウム;1-ペンチルアンモニウム;1-ヘキシルアンモニウム;ポリ(ビニルアンモニウム);フェニルエチルアンモニウム;ベンジルアンモニウム;3-フェニル-1-プロピルアンモニウム;4-フェニル-1-ブチルアンモニウム;1,3-ジメチルブチルアンモニウム;3,3-ジメチルブチルアンモニウム;1-ヘプチルアンモニウム;1-オクチルアンモニウム;1-ノニルアンモニウム;1-デシルアンモニウム;及び1-イコサニルアンモニウム(アイコサンエルアンモニウム)があげられるが、これらに限定されない。さらに、カチオン種に加えて1以上のヘテロ原子を含有する尾部を有するかさ高い有機カチオンでは、ヘテロ原子はペロブスカイト材料結晶格子と配位し、結合し、又は一体となることができる。ヘテロ原子は、窒素、硫黄、酸素、又はリンを含む、水素又は炭素ではない尾部のいかなる原子でありうる。
【0116】
[0151]「かさ高い」有機カチオンの他の例としては、アンモニウム基、ホスホニウム基、又は「ペロブスカイト物質のC部位」に一体化することができる他のカチオン基:ベンゼン、ピリジン、ナフタレン、アントラセン、キサンテン、フェナトレン、テトラセン、クリセン、テトラフェン、ベンゾ[c]フェナトレン、トリフェニレン、ピレン、ペリレン、コランニューレン、コロネン、置換ジカルボン酸イミド、アニリン、N-(2-アミノエチル)-2-イソインドール-1,3-ジオン、2-(1-アミノエチル)ナフタレン、2-トリフェニレン-O-エチルアミンエーテル、ベンジルアミン、ベンジルアンモニウム塩、N-n-ブチル-N’-4-アミノブチルペリレン-3,4,9,10-ビス(ジカルボキシミド)、1-(4-アルキルフェニル)メタンアミン、1-(4-アルキル-2-フェニル)エタンアミン、1-(4-アルキル-2-フェニル)メタンアミン、1-(3-アルキル-5-アルキルフェニル)メタンアミン、1-(3-アルキル-5-アルキル-2-フェニル)エタンアミン、1-(4-アルキル-2-フェニル)エタンアミン、2-エチルアミン-7-アルキル-ナフタレン、2-エチルアミン-6-アルキル-ナフタレン、1-エチルアミン-7-アルキル-ナフタレン、1-エチルアミン-6-アルキル-ナフタレン、2-メチルアミン-7-アルキル-ナフタレン、2-メチルアミン-6-アルキル-ナフタレン、1-メチルアミン-7-アルキル-ナフタレン、1-メチルアミン-6-アルキル-ナフタレン、N-n-アミノアルキル-N’-4-アミノブチルペリレン-3,4,9,10-ビス(ジカルボキシミド)、1-(3-ブチル-5-メトキシブチルフェニル)メタンアミン、1-(4-ペンチルフェニル)メタンアミン、1-[4-(2-メチルペンチル)-2-フェニル]エタンアミン、1-(3-ブチル-5-ペンチル-2-フェニル)エタンアミン、2-(5-[4-メチルペンチル]-2-ナフチル)エタンアミン、N-7-トリデシル-N’-4-アミノブチルペリレン-3,4,9,10-ビス(ジカルボキシイミド)、N-n-ヘプチル-N’-4-アミノブチルペリレン-3,4,9,10-ビス(ジカルボキシイミド)、2-(6-[3-メトキシルプロピル]-2-ナフチル)エタンアミンで官能化された以下の分子があげられる。
図17~28は、ある実施形態による、これらの有機分子の構造を説明する。
図17及び18に関して、各「R基」、Rxは、H、R’、Me、Et、Pr、Ph、Bz、F、Cl、Br、I、NO
2、OR’、NR’
2、SCN、CN、N
3、SR’のいずれであってよく、ここで、R’は、いかなるアルキル、アルケニル、又はアルキニル鎖であってよい。さらに、図示されたRx基の少なくとも1つは、(CH
2)nEXy又は(CH
2)nC(EXy)
2であってよく、ここで、n及びyは、等しくても等しくなくてよく、Eは、C、Si、O、S、Se、Te、N、P、As、又はBからなる群より選択されることができ、Xは、ハロゲン化物又は擬ハロゲン化物であり、例えば、F、Cl、Br、I、CN、SCN、又はHである。さらに、
図19に関して、図示された分子は、各図示されたアミンのいかなるヒドロハライド、例えば、ベンジルアンモニウム塩を含んでよく、ここで、図示されたX基は、F、Cl、Br、I、SCN、CN、又はいかなる他の擬ハロゲン化物でありうる。他の非ハロゲン化物許容アニオンとしては、硝酸塩、亜硝酸塩、カルボン酸塩、酢酸塩、アセトニルアセトナト、ギ酸塩、シュウ酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、リン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、テトラ(ペルフルオロフェニル)ホウ酸塩、水素化物、酸化物、過酸化物、水酸化物、窒化物、ヒ酸塩、亜ヒ酸塩、過塩素酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、クロム酸塩、亜硫酸塩、重クロム酸塩、ヨウ素酸塩、臭素酸塩、塩素酸塩、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、シアン化物、シアン酸塩、イソシアネート、フルミネート、チオシアネート、イソチオシアネート、アジド、テトラカルボニルコバルト酸塩、カルバモイルジシアノメタン化物、ジシアノニトロソメタン化物、ジシアンアミド及びトリシアノメタン化物、トリシアンメタン、アミド、及び過マンガン酸塩が挙げられるがこれらに限定されない。適当なR基には、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル基又はその異性体;アルカン、アルケン又はアルキンCxHy(x=1~20、y=1~42、環状、分枝鎖又は直鎖);ハロゲン化アルキル、アルキルハライドCxHyXz、(式中、x=1~20、y=0~42、z=1~42、X=F、Cl、Br、又はI);いかなる芳香族基(例えば、フェニル、アルキルフェニル、アルコキシフェニル、ピリジン、ナフタレン);環内に少なくとも1つの窒素が含まれる環状錯体(例えば、ピリジン、ピロール、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロキノリン);いかなる硫黄含有基(例えば、スルホキシド、チオール、アルキルスルフィド);いかなる窒素含有基(ニトロキシド、アミン);いかなるリン含有基(リン酸);いかなるホウ素含有基(例えば、ボロン酸);いかなる有機酸(例えば、酢酸、プロパン酸)及びそのエステル又はアミド誘導体;α、β、γ及びそれ以上の誘導体を含む、いかなるアミノ酸(例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン、セリン、ヒスチジン、5-アンモニウム吉草酸);いかなるケイ素含有基(例えば、シロキサン);及びいかなるアルコキシ又は基、-OCxHy(式中、x=0~20、y=1~42である)があげられるが、これらに限定されない。
【0117】
[0152]さらに、ある実施形態では、かさ高い有機カチオンは、ペロブスカイト材料中の粒界及び表面欠陥を不動態化してよい。
図7は、1-ブチルアンモニウム3020がバルクペロブスカイト材料3010の表面及び粒界3015の両方を不動態化するペロブスカイト材料層3000の実施例を示す。上記のように、これらのイオンのアルキル尾部はまた、水及び他の極性種を反発させ、当該種がペロブスカイト材料の表面に到達するのを妨げる疎水性層を形成することもできる。
図7に見られるように、かさ高い有機カチオンの「尾部」は、ペロブスカイト材料層3000の表面又は粒界3015に化学的に結合(例えば、共有結合又はイオン結合)されないことがある。本明細書中で用いられる場合、いかなるかさ高い有機カチオンの「尾部」とは、かさ高い有機カチオンの非イオン性炭素構造をいう。たとえば、1-ブチルアンモニウムの尾部はブチル基であり、ベンジルアンモニウムの尾部はベンジル基である。
【0118】
[0153]かさ高い有機カチオンの尾部は、ペロブスカイト材料の表面又は粒界に関して他の配置をとることもできる。一般に、かさ高い有機カチオンのカチオン性「頭部」は、ペロブスカイト材料の表面又は粒界を50ナノメートル以上こえて拡散しない。尾部とペロブスカイト材料の相互作用は弱く、ペロブスカイト材料結晶粒表面から離れるように配向される。尾部は、ペロブスカイト材料結晶粒表面との間に分子間相互作用(例えば、双極子-双極子又は水素結合)があってよく、その結果、尾部がペロブスカイト材料結晶粒表面の方に配向される配置となる。ある実施形態では、ペロブスカイト材料中に存在するあるかさ高い有機カチオンの尾部は、ペロブスカイト材料の表面又は粒界と相互作用しない場合があり、ペロブスカイト材料中の他のかさ高い有機カチオンの尾部は、ペロブスカイト材料の表面又は粒界と相互作用してよい。尾部は、ペロブスカイト材料中に存在する金属原子(例えば、Pb、Sn、Ge、In、Bi、Cu、Ag、Au)を介してペロブスカイト材料結晶粒表面と共有結合的に相互作用し得る少なくとも1つの電子孤立対を有するヘテロ原子又はアニオン(すなわち、双性イオン)を含んでよい。また、尾部は、少なくとも2つの「C」カチオン部位(ホルムアミジニウム等)上で置換することによってペロブスカイト材料に組み込むことができる、本明細書に記載のジアンモニウムブタン等のカチオン種を含んでよい。また、カチオン種を含む尾部は、2Dペロブスカイト材料の2つの層を架橋し、ペロブスカイト材料の結晶粒表面を横切って傾斜し、又は非イオン性尾部に関して記載されたのと同様にペロブスカイト材料の結晶粒表面から離れるように配向することもできる。他の実施形態では、イミダゾリウムカチオン等の十分に大きな尾部を有するかさ高い有機カチオンは、ペロブスカイト材料中に拡散することなく、単にペロブスカイト表面又は粒界上に存在してよい。
【0119】
[0154]さらに、他の実施形態では、尾部基の長さ又はサイズが異なるかさ高い有機カチオンをペロブスカイトに適用して、ペロブスカイト材料中の粒界及び表面欠陥を不動態化することができる。
図8は、バルクペロブスカイト材料4010の表面及び粒界4015の両方を不動態化する1-ブチルアンモニウム4020、1-ノニルアンモニウム4021、1-ヘプチルアンモニウム4022、及び1-ヘキシルアンモニウム4023の組み合わせがあるペロブスカイト材料層4000の実施例を示す。ある実施形態では、上記で同定されたアルキルアンモニウム化合物のいかなる混合物は、本明細書に記載されるようにペロブスカイト材料に適用されうる。
図8は、バルクペロブスカイト材料4010の表面及び粒界4015の両方を不動態化する1-ブチルアンモニウム4020、1-ノニルアンモニウム4021、1-ヘプチルアンモニウム4022、及び1-ヘキシルアンモニウム4023の組み合わせがあるペロブスカイト材料層4000の実施例を示す。ある実施形態では、上記で同定されたアルキルアンモニウム化合物のいかなる混合物は、本明細書に記載されるようにペロブスカイト材料に適用されうる。ある実施形態では、かさ高い有機カチオンは、ベンジル基を含んでよい。
図8Aは、バルクペロブスカイト材料4510の表面及び粒界4515の両方を不動態化するベンジル基を含む、様々なかさ高い有機カチオンがあるペロブスカイト材料層45500の実施例を示す。
【0120】
[0155]上記ように、ペロブスカイト材料に1-ブチルアンモニウム表面コーティングを加えると、湿った環境におけるペロブスカイトの高温耐久性を高めることが示されている。
図9は、48日間にわたる1-ブチルアンモニウム(「BAI」)表面コーティングの有無によるペロブスカイト材料の画像の比較を示す。両ペロブスカイト材料の組成は同じであり、温度が85℃である環境に55%の相対湿度で48日間曝露された。写真から分かるように、1-ブチルアンモニウム表面コーティングがないペロブスカイト材料は、当該環境への曝露の1日後に著しく色が薄くなり、ペロブスカイト材料が著しく劣化したことを示す。1-ブチルアンモニウム表面コーティングがあるペロブスカイト材料は、48日間にわたって徐々に明るくなり、48日後も部分的に濃いままである。これは、1‐ブチルアンモニウム表面被覆があるペロブスカイト材料が、高温環境への長期曝露の間、1‐ブチルアンモニウム表面被覆がないペロブスカイト材料よりも頑強であることを示す。
【0121】
[0156]
図10は、7日間にわたる1-ブチルアンモニウム(「BAI」)表面コーティングの有無によるペロブスカイト材料の画像の比較を示す。両ペロブスカイト材料の組成は同じであり、温度が85℃である環境に0%の相対湿度で48日間曝露された。写真から分かるように、1-ブチルアンモニウム表面コーティングがないペロブスカイト材料は、環境への曝露の1日後に著しく色が薄くなり、ペロブスカイト材料が著しく劣化したことを示す。1-ブチルアンモニウム表面コーティングがあるペロブスカイト材料は、7日後にはほとんど色変化を示さない。これは、1‐ブチルアンモニウム表面被覆があるペロブスカイト材料が高温高湿環境への長期曝露中に完全には破壊されなかったことを示す。
【0122】
[0157]他の実施形態では、ペリレンn-ブチルアミンイミドは、1-ブチルアンモニウムに関して上記ようにペロブスカイト材料の表面に適用することができる。
図11A~Dは、本開示によるペロブスカイト材料の表面に適用されうる様々なペリレンモノイミド及びジイミドを示す。
図12は、表面不動態化のためのアルキルアンモニウムカチオンの添加を伴うペロブスカイト材料2500の実施形態を示す。図示の実施形態では、ホルムアミジニウム鉛ヨウ化物(FAPbI
3)ペロブスカイト材料2510の表面は、表面にペリレンn-ブチルアミンイミド2520があるように示される。
図6に示す1-ブチルアンモニウムと同様に、ペリレンn-ブチルアミンイミドイオンの炭素「尾部」は、表面から他の分子を効果的に遠ざけることによって、ペロブスカイトの表面に保護特性を提供することができる。特に、ペリレンn-ブチルアミンイミド「尾部」には疎水性があり、水分子がペロブスカイトの表面に接触することを妨げ、ペロブスカイト材料2510の表面を環境中の水から保護する。加えて、ペリレンn-ブチルアミンイミドカチオンはまた、ペロブスカイト材料2510による表面及びいかなる粒界又は欠陥を不動態化するように作用することができる。ペロブスカイト材料2510の一部を不動態化するように作用することによって、ペリレンn-ブチルアミンイミドは、ペロブスカイト材料2510の内外への改善された電荷移動を促進し、光活性層の電気特性を改善することができる。
【0123】
[0158]ペロブスカイト材料をアニールする前に1-ブチルアンモニウムを堆積するための例示的な方法を、以下に記載する。
【0124】
[0159]まず、ハロゲン化鉛の前駆体インクを形成する。ハロゲン化鉛の量は、制御された雰囲気環境(例えば、手袋を含むポートホールを備えた制御された雰囲気ボックスにより、空気のない環境での物質の操作をすることができる)中で清潔で乾燥した容器中でマスクすることができる。適当なハロゲン化鉛としては、ヨウ化鉛(II)、臭化鉛(II)、塩化鉛(II)、フッ化鉛(II)があげられるが、これらに限定されない。ハロゲン化鉛は、単一のハロゲン化鉛の種から構成されてもよく、又は正確な比率のハロゲン化鉛の混合物から構成されてよい。ある実施形態では、ハロゲン化鉛混合物は、0.001~100モル%のヨウ化物、臭化物、塩化物、またはフッ化物のいかなる二元、三元、または四元比から構成されてよい。一実施形態では、ハロゲン化鉛混合物は、約10:90モル:モルの比で塩化鉛(II)及びヨウ化鉛(II)を含んでよい。他の実施形態では、ハロゲン化鉛混合物は、約5:95、約7.5:92.5、又は約15:85モル:モルの比で塩化鉛(II)及びヨウ化鉛(II)を含んでよい。
【0125】
[0160]あるいは、他の鉛塩前駆体を、ハロゲン化鉛塩と共に、又はその代わりに用いて、前駆体インクを形成することができる。適当な前駆体塩は、鉛(II)又は鉛(IV)と、以下のアニオン:硝酸塩、亜硝酸塩、カルボン酸塩、酢酸塩、アセトニルアセトナト、ギ酸塩、シュウ酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、リン酸塩、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロリン酸塩、テトラ(ペルフルオロフェニル)ホウ酸塩、水素化物、酸化物、過酸化物、水酸化物、ヒ酸塩、亜ヒ酸塩、過塩素酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、クロム酸塩、重クロム酸塩、ヨウ素酸塩、臭素酸塩、塩素酸塩、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、シアン化物、シアン酸塩、イソシアネート、フルミネート、チオシアネート、イソチオシアネート、アジド、テトラカルボニルコバルト酸塩、カルバモイルジシアノメタン化物、ジシアノニトロソメタン化物、ジシアンアミド及びトリシアノメタン化物、トリシアンメタン、アミド、及び過マンガン酸塩、とのいかなる組み合わせを含んでよい。
【0126】
[0161]前駆体インクは、前記アニオンの塩として、以下の金属イオンBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Fe、Cd、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Hg、Sn、Ge、Ga、Pb、Pb、In、Tl、Sb、Bi、Ti、Zn、Cd、Hg、及びZrに対してモル比0~100%の鉛(II)塩又は鉛(IV)塩を、さらに含んでよい。
【0127】
[0162]次いで、溶媒を容器に添加して、鉛固体を溶解させて、ハロゲン化鉛前駆体インクを形成することができる。適当な溶媒としては、乾燥N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、アルキル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジアルキルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ホルムアミド、tert-ブチルピリジン、ピリジン、アルキルピリジン、ピロリジン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、及びこれらの組み合わせがあげられるが、これらに限定されない。一実施形態では、鉛固体は、乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解される。鉛固形物は、約20~150℃の温度で溶解することができる。一実施形態では、鉛固形物は約85℃で溶解し、溶液を形成するために必要なだけ溶解することができ、これは、約72時間まで行ってよい。得られた溶液は、ハロゲン化鉛前駆体インクのベースを形成する。ある実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インクのハロゲン化鉛濃度は、約0.001M~約10Mであってよい。一実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インクのハロゲン化鉛濃度は、約1Mであってよい。ある実施形態では、ハロゲン化鉛溶液は、さらに、アミノ酸(例えば、5-アミノ吉草酸、ヒスチジン、グリシン、リジン)、アミノ酸ハロゲン化水素(例えば、5-アミノ吉草酸塩酸塩)、IFL表面修飾(SAM)剤(例えば、明細書の上記したもの)、又はそれらの組み合わせを含んでよい。
【0128】
[0163]場合によっては、特定の添加剤をハロゲン化鉛前駆体インクに添加して、最終的なペロブスカイト結晶性及び安定性に影響を与えてよい。ある実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インクは、さらに、アミノ酸(例えば、5-アミノ吉草酸、ヒスチジン、グリシン、リジン)、アミノ酸ハロゲン化水素(例えば、5-アミノ吉草酸塩酸塩)、IFL表面修飾(SAM)剤(例えば、明細書の上記したもの)、又はそれらの組み合わせを含んでよい。一実施形態では、塩化ホルムアミジニウムは、ハロゲン化鉛前駆体インクに添加されてよい。他の実施形態では、本明細書の上記のいずれかのカチオンのハロゲン化物を用いることができる。ある実施形態では、添加剤の組合せは、例えば、塩化ホルムアミジニウム及び5-アミノ吉草酸塩化物の組合せを含む、ハロゲン化鉛前駆体インクに添加されうる。
【0129】
[0164]塩化ホルムアミジニウム及び/又は5-アミノ吉草酸塩塩化物を含む添加剤は、得られたペロブスカイト材料の所望の特性に応じて、様々な濃度でハロゲン化鉛前駆体インクに添加することができる。一実施形態では、添加剤は、約1nM~約1Mの濃度で添加することができる。他の実施形態では、添加剤は、約1μM~約1Mの濃度で添加することができる。他の実施形態では、添加剤は、約1μM~約1mMの濃度で添加することができる。
【0130】
[0165]ある実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インクに添加するために、第1族金属ハロゲン化物溶液が形成される。第1族金属ハロゲン化物の量を、清浄で乾燥した容器中で、制御された雰囲気中でマスクすることができる。適当な第1族金属ハロゲン化物としては、ヨウ化セシウム、臭化セシウム、塩化セシウム、フッ化セシウム、ヨウ化ルビジウム、臭化ルビジウム、塩化ルビジウム、フッ化ルビジウム、ヨウ化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウム、フッ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、フッ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、フッ化カリウムがあげられるが、これらに限定されない。第1族の金属ハロゲン化物は、第1族の金属ハロゲン化物の単一種を含んでよく、又は第1族の金属ハロゲン化物混合物を正確な比率で含んでよい。一実施形態では、第1族金属ハロゲン化物は、ヨウ化セシウムを含んでよい。別の実施形態では、第1族金属ハロゲン化物は、ヨウ化ルビジウムを含んでよい。別の実施形態では、第1族金属ハロゲン化物は、ヨウ化ナトリウムを含んでよい。別の実施形態では、第1族金属ハロゲン化物は、ヨウ化カリウムを含んでよい。
【0131】
[0166]あるいは、他の第1族金属塩前駆体を、第1族金属ハロゲン化物塩と共に、又はその代わりに用いて、第1族金属塩溶液を形成することができる。適当な前駆体第1族金属塩は、硝酸塩、亜硝酸塩、カルボキシレート、アセテート、ギ酸塩、シュウ酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ホスフェート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、テトラ(パーフルオロフェニル)ホウ酸塩、ヒドリド、酸化物、過酸化物、水酸化物、窒化物、ヒ酸塩、亜ヒ酸塩、過塩素酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、クロメート、ヨウ素酸塩、臭素酸塩、塩素酸塩、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、シアン酸塩、シアン酸塩、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、アジド、テトラカルボニルコバルト酸塩、カルバモイルジシアノメタン化物、ジシアノニトロソメタン化物、ジシアンアミド及びトリシアノメタン化物、アミド、及び過マンガン酸塩のいかなる組み合わせを含んでよい。
【0132】
[0167]次いで、溶媒を容器に添加して、第1族金属ハロゲン化物固体を溶解させて、第1族金属ハロゲン化物溶液を形成することができる。適当な溶媒としては、乾燥N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、アルキル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジアルキルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ホルムアミド、tert-ブチルピリジン、ピリジン、アルキルピリジン、ピロリジン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、及びこれらの組み合わせがあげられるが、これらに限定されない。一実施形態では、第1類金属ハロゲン化物固体は、乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解される。第1類金属ハロゲン化物固体は、約20~150℃の温度で溶解することができる。一実施形態では、第1族金属ハロゲン化物固体は、室温(すなわち、約25℃)で溶解される。第1族金属ハロゲン化物固体は、溶液を形成するために必要な限り溶解することができ、これは、約72時間まで行ってよい。得られた溶液は、第1族金属ハロゲン化物溶液を形成する。ある実施形態では、第1族金属ハロゲン化物溶液のハロゲン化鉛濃度は、約0.001M~約10Mであってよい。一実施形態では、第1族金属ハロゲン化物溶液のハロゲン化鉛濃度は、約1Mであってよい。ある実施形態では、第1族金属ハロゲン化物溶液は、さらに、アミノ酸(例えば、5-アミノ吉草酸、ヒスチジン、グリシン、リジン)、アミノ酸ハロゲン化水素(例えば、5-アミノ吉草酸塩酸塩)、IFL表面修飾(SAM)剤(例えば、明細書の上記したもの)、又はそれらの組み合わせを含んでよい。
【0133】
[0168]次に、ハロゲン化鉛溶液と第1族金属ハロゲン化物溶液を混合して、薄膜前駆体インクを形成する。ハロゲン化鉛溶液及び第1族金属ハロゲン化物溶液は、得られた薄膜前駆体インクの第1族金属ハロゲン化物のモル濃度の比率がハロゲン化鉛のモル濃度の0%~25%で混合されてよい。ある実施形態では、薄膜前駆体インクは、第1族金属ハロゲン化物のモル濃度がハロゲン化鉛のモル濃度の1%であってよい。ある実施形態では、薄膜前駆体インクは、第1族金属ハロゲン化物のモル濃度は、ハロゲン化鉛のモル濃度の5%であってよい。ある実施形態では、薄膜前駆体インクは、第1族金属ハロゲン化物のモル濃度がハロゲン化鉛のモル濃度の10%であってよい。ある実施形態では、薄膜前駆体インクは、第1族金属ハロゲン化物のモル濃度はハロゲン化鉛のモル濃度の15%であってよい。ある実施形態では、薄膜前駆体インクは、第1族金属ハロゲン化物のモル濃度は、ハロゲン化鉛のモル濃度の20%であってよい。ある実施形態では、薄膜前駆体インクは、第1族金属ハロゲン化物のモル濃度は、ハロゲン化鉛のモル濃度の25%であってよい。ある実施形態では、ハロゲン化鉛溶液及び第1族金属ハロゲン化物溶液は、混合中又は混合後に撹拌又は撹拌することができる。
【0134】
[0169]場合によっては、ある実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インクに水を添加してよい。ある実施形態では、溶媒は、2-メトキシエタノール及びアセトニトリルをさらに含んでよい。ある実施形態では、2-メトキシエタノール及びアセトニトリルは、約25:75~約75:25、又は少なくとも25:75の体積比で添加することができる。ある実施形態では、溶媒は、容量ベースで、約1:100~約1:1、又は約1:100~約1:5のDMFに対する2-メトキシエタノール及びアセトニトリルの比率を含んでよい。ある実施形態では、溶媒は、容量ベースで少なくとも約1:100の2-メトキシエタノール及びアセトニトリル対DMFの比率を含んでよい。説明のために、また特定の理論又は機構に開示を限定することなく、水の存在はペロブスカイト薄膜結晶成長に影響を及ぼす。通常の環境下では、水は空気から蒸気として吸収される。しかし、特定の濃度のハロゲン化鉛前駆体インクに水を直接添加することにより、ペロブスカイトPVの結晶化度を制御することができる。適当な水としては、蒸留水、脱イオン水、又は実質的に汚染物質(ミネラル含有)を含まない他の水源があげられる。光I-V掃引(スイープ)に基づいて、ペロブスカイトPV光-電力変換効率は、完全に乾燥した装置と比較して、水の添加によりほぼ3倍になることが見出されている。
【0135】
[0170]水は、得られたペロブスカイト材料の所望の特性に応じて、様々な濃度でハロゲン化鉛前駆体インクに添加することができる。一実施形態では、水は、約1nL/mL~約1mL/mLの濃度で添加されてよい。他の実施形態では、水は、約1μL/mL~約0.1mL/mLの濃度で添加されてよい。他の実施形態では、水は、約1μL/mL~約20μL/mLの濃度で添加されてよい。
【0136】
[0171]次いで、ハロゲン化鉛前駆体インク又は薄膜前駆体インクを所望の基板上に堆積させることができる。適当な基板層は、本開示の上記に記載したいかなる基板層を含んでよい。上記のように、ハロゲン化鉛前駆体インク又は薄膜前駆体インクは、ドロップキャスティング、スピンキャスティング、スロットダイ印刷、スクリーン印刷、又はインクジェット印刷を含むが、これらに限定されない様々な手段を介して堆積されてよい。ある実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インク又は薄膜前駆体インクは、約5秒~約600秒の期間、約500rpm~約10,000rpmの速度で基板上にスピンコートされうる。一実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体インク又は薄膜前駆体インクを、約3000rpmで約30秒間、基板上にスピンコートすることができる。ハロゲン化鉛前駆体インク又は薄膜前駆体インクは、約0%相対湿度~約50%相対湿度の湿度範囲で、周囲雰囲気で基板上に堆積されうる。次いで、ハロゲン化鉛前駆体インク又は薄膜前駆体インクを、実質的に水を含まない雰囲気、すなわち、相対湿度が30%未満の雰囲気中で乾燥させて、薄膜を形成させることができる。
【0137】
[0172]ハロゲン化鉛前駆体又は薄膜前駆体の堆積後、上記のかさ高い有機カチオン(例えば、ベンジルアンモニウム、フェニルエチルアンモニウム、エチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、n-ブチルアンモニウム;ブタン-1,4-ジアンモニウム;1-ペンチルアンモニウム;1-ヘキシルアンモニウム;ポリ(ビニルアンモニウム);フェニルエチルアンモニウム;3-フェニル-1-プロピルアンモニウム;4-フェニル-1-ブチルアンモニウム;1,3-ジメチルブチルアンモニウム;3,3-ジメチルブチルアンモニウム;1-ヘプチルアンモニウム;1-オクチルアンモニウム;1-ノニルアンモニウム;1-デシルアンモニウム;1-イコサニルアンモニウム;又は本明細書に記載又は
図17~28に図示したいかなる他のかさ高いカチオンの塩溶液は、鉛塩前駆体及び第2の塩前駆体の堆積から得られる薄膜に適用してよい。かさ高い有機塩としては、ハロゲン化物、硝酸塩、亜硝酸塩、カルボキシレート、アセテート、ギ酸塩、シュウ酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ホスフェート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、テトラ(パーフルオロフェニル)ホウ酸塩、ヒドリド、酸化物、過酸化物、水酸化物、窒化物、ヒ酸塩、亜ヒ酸塩、過塩素酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、クロメート、ヨウ素酸塩、臭素酸塩、塩素酸塩、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、シアン酸塩、シアン酸塩、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、アジド、テトラカルボニルコバルト酸塩、カルバモイルジシアノメタン化物、ジシアノニトロソメタン化物、ジシアンアミド及びトリシアノメタン化物、アミド、及び過マンガン酸塩があげられる。かさ高い有機カチオン塩溶液は、アルコール、乾燥N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、アルキル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジアルキルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ホルムアミド、tert-ブチルピリジン、ピリジン、アルキルピリジン、ピロリジン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、及びこれらの組み合わせ等の溶媒中にかさ高い有機カチオン塩を溶解することによって形成されうる。ある実施形態では、かさ高い有機カチオン塩をイソプロピルアルコールに溶解することができる。ある実施形態では、かさ高い有機カチオン塩溶液中のかさ高い有機カチオン塩の濃度は、0.0001M~1.0Mであってよい。他の実施形態では、かさ高い有機カチオン塩溶液中のかさ高い有機カチオン塩の濃度は、0.01M~0.1Mであってよい。ある実施形態では、他の実施形態では、かさ高い有機カチオン塩溶液中のかさ高い有機カチオン塩の濃度は、0.02~0.05Mであってよい。ある実施形態では、かさ高い有機カチオン塩溶液中のかさ高い有機カチオン塩の濃度は、約0.05 Mであってよい。かさ高い有機カチオン塩溶液は、溶液堆積に関して本明細書に記載されるいかなる方法によってペロブスカイト材料前駆体薄膜上に堆積されうる。これらの方法は、スプレーコーティング、ドロップキャスティング、スピンキャスティング、ブレードコーティング、スロットダイ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、又はインクジェット印刷を含むがこれらに限定されない様々な手段によって堆積されてよい。一実施形態では、かさ高い有機カチオン塩は、1-ブチルアンモニウムヨウ化物でありうる。他の実施形態では、かさ高い有機カチオン塩は、ヨウ化ベンジルアンモニウムであってよい。さらに別の実施形態では、かさ高い有機カチオン塩は、フェニルエチルアンモニウムヨウ化物であってよい。
【0138】
[0173]次いで、薄膜を、約20℃~約300℃の温度で、約24時間までの期間、熱アニールすることができる。一実施形態では、薄膜は、約50℃の温度で約10分間熱アニールすることができる。次いで、ペロブスカイト材料活性層は、前駆体フィルムが、0.001M~10Mの濃度の溶媒又は溶媒の混合物(例えば、DMF、イソプロパノール、メタノール、エタノール、ブタノール、クロロホルムクロロベンゼン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水)及び塩(例えば、ヨウ化メチルアンモニウム、ヨウ化ホルムアミジニウム、ヨウ化グアニジニウム、1,2,2-トリアミノビニルアンモニウムヨウ化物、5-アミノバレリック酸ヒドロイド)を含む塩溶液で浸漬又はリンスされる変換プロセスによって完成されうる。ある実施形態では、ペロブスカイト材料薄膜は、本パラグラフの第1行と同じ方法で熱的に後焼きなましすることもできる。
【0139】
[0174]ある実施形態では、アニールされた後、第2の塩前駆体(例えば、ヨウ化ホルムアミジニウム、チオシアン酸ホルムアミジニウム、又はチオシアン酸グアニジニウム)を鉛塩薄膜上に堆積させて薄膜を形成することもできる。第2の塩前駆体の温度は、周囲温度にほぼ等しくてよく、又は0℃~500℃の間で制御された温度であってよい。第2の塩前駆体は、スピンコーティング、ブレードコーティング、スロットダイ印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、スパッタリング、PE-CVD、熱蒸着、スプレーコーティングを含むが、これらに限定されない、当該技術分野で公知の様々な方法によって堆積されうる。いくつかの実施形態では、薄膜層を形成するために、第2の塩溶液をその後複数回堆積してもよい。いくつかの実施形態では、第2の塩の前駆体は、1つ以上の溶媒を含む溶液であってよい。例えば、第2の塩前駆体は、乾燥N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、アルキル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジアルキルホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ホルムアミド、tert-ブチルピリジン、ピリジン、アルキルピリジン、ピロリジン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、及びこれらの組み合わせを1つ以上含んでよい。
【0140】
[0175]ある実施形態では、本明細書に記載されるいかなるかさ高い有機カチオン塩は、第2の塩溶液の堆積前に第2の塩溶液と組み合わせることができる。ある実施形態では、かさ高い有機カチオン塩溶液を上記のように調製し、第2の塩溶液の堆積前に第2の塩溶液と混合することができる。ある実施形態では、かさ高い有機カチオン塩溶液中のかさ高い有機カチオン塩の濃度は、0.0001M~1.0Mであってよい。他の実施形態では、かさ高い有機カチオン塩溶液中のかさ高い有機カチオン塩の濃度は、0.01M~0.1Mであってよい。ある実施形態では、他の実施形態では、かさ高い有機カチオン塩溶液中のかさ高い有機カチオン塩の濃度は、0.02~0.05Mであってよい。ある実施形態では、かさ高い有機カチオン塩溶液中のかさ高い有機カチオン塩の濃度は、約0.05 Mであってよい。かさ高い有機カチオン塩溶液は、ハロゲン化鉛前駆体インクまたは薄膜前駆体インクの堆積後に形成されたハロゲン化鉛薄膜上に堆積されてよい。他の実施形態では、かさ高い有機カチオン塩溶液は、第2の塩溶液の堆積後にペロブスカイト前駆体薄膜上に堆積されてよい。
【0141】
[0176]最後に、ペロブスカイト材料前駆体薄膜を有する基板をアニールすることができる。基板をアニールすることにより、鉛塩前駆体及び第2の塩前駆体をかさ高い有機カチオンの表面不動態化層があるペロブスカイト材料(例えば、FAPbI3、GAPb(SCN)3、FASnI3)に変換することができる。焼きなましは、大気圧(例えば、高度及び大気条件に応じて、約1気圧)又は大気圧よりも低い圧力(例えば、1mTorr~500mTorr)等、様々な大気中で行うことができる。アニーリング雰囲気は、周囲空気、制御された湿度環境(例えば、ガスの0~100gのH2O/m3)、純粋なアルゴン、純粋な窒素、純粋な酸素、純粋な水素、純粋なヘリウム、純粋なネオン、純粋なクリプトン、純粋なCO2、又は上記ガスのいかなる組み合わせを含んでよい。制御された湿度環境は、絶対湿度又は%相対湿度が固定値に保持される環境、又は絶対湿度又は%相対湿度が所定の設定点又は所定の機能により変化する環境を含んでよい。ある実施形態では、アニーリングは、相対湿度が0%~50%である制御された湿度環境で行ってよい。他の実施形態では、アニーリングは、0g H2O/m3以上かつ20g H2O/m3以下のガスを含む制御された湿度環境で行うことができる。ある実施形態では、アニーリングは50℃~300℃の温度で行うことができる。別段の記載がない限り、本明細書に記載されるいかなるアニーリング又は堆積工程も、上記の条件下で実施することができる。
【0142】
[0177]例えば、ある実施形態では、FAPbI3ペロブスカイト材料は、以下のプロセスによって形成することができる。まず、無水DMF中に溶解したPbI2対PbCl2のモル比が約90:10であるハロゲン化鉛(II)前駆体を、スピンコーティング又はスロットダイ印刷によって基板上に堆積させることができる。ハロゲン化鉛前駆体インクは、実質的に水を含まない雰囲気、すなわち、相対湿度が30%未満又は17g H2O/m3未満で約1時間(+15分)乾燥させて、薄膜を形成することができる。薄膜は、その後、約50℃(+10℃)で約10分間熱アニールすることができる。他の実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体は、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、ブレードコーティング、スパッタリング、PE-CVD、原子層堆積、熱蒸着、又はスプレーコーティングによって堆積されてよい。次に、ハロゲン化鉛薄膜上に、イソプロピルアルコール中の濃度が0.05Mである1-ブチルアンモニウム塩溶液を成膜してもよい。基板を約25%の相対湿度(約4~7gのH2O/m3空気)及び約100℃~200℃の間でアニールして、1-ブチルアンモニウムの表面層があるヨウ化ホルムアミジニウム鉛(FAPbI3)ペロブスカイト材料を形成することができる。別の実施形態では、1-ブチルアンモニウム塩溶液は、ヨウ化ホルムアミジニウム前駆体の堆積後に形成された薄膜上に堆積されてよい。別の実施形態では、1-ブチルアンモニウム塩溶液は、ハロゲン化鉛前駆体インクの堆積の前に、ハロゲン化鉛前駆体インクと組み合わせることができる。さらに別の実施形態では、1-ブチルアンモニウム塩溶液は、ホルムアミジニウムヨウ化物前駆体の堆積の前に、ホルムアミジニウムヨウ化物前駆体と組み合わせることができる。さらに別の実施形態では、1-ブチルアンモニウム塩溶液は、ヨウ化ホルムアミジニウム前駆体の堆積後、及び薄膜及び基板をアニールする前に、薄膜上に堆積されてよい。さらに別の実施形態では、1-ブチルアンモニウム塩溶液は、薄膜及び基板をアニールした後、薄膜上に堆積されてよい。
【0143】
[0178]他の実施形態では、ヨウ化鉛(II)溶液、ヨウ化セシウム溶液、ヨウ化メチルアンモニウム(MA)塩溶液及び1-ブチルアンモニウム塩溶液を用いて上記方法を用いると、式CsiMA1-iPbI3(式中、iは0と1の間の数字を表す)である表面層が1-ブチルアンモニウムであるペロブスカイト材料が得られる場合がある。別の例として、ヨウ化鉛(II)溶液、ヨウ化ルビジウム溶液、ヨウ化ホルムアミジニウム(FA)塩溶液及び1-ブチルアンモニウム塩溶液を用いることにより、式RbiFA1-iPbI3(式中、iは0と1の間の数字を表す)である表面層が1-ブチルアンモニウムであるペロブスカイト材料を得ることができる。別の例として、ヨウ化鉛(II)溶液、ヨウ化セシウム溶液、ヨウ化ホルムアミジニウム(FA)塩溶液及び1-ブチルアンモニウム塩溶液を用いると、式CsiFA1-iPbI3(式中、iは0と1の間の数字を表す)である表面層が1-ブチルアンモニウムであるペロブスカイト材料を得ることができる。別の例として、ヨウ化鉛(II)溶液、ヨウ化カリウム溶液、ヨウ化ホルムアミジニウム(FA)塩溶液及び1-ブチルアンモニウム塩溶液を用いると、式KiFA1-iPbI3(式中、iは0と1の間の数字を表す)である表面層が1-ブチルアンモニウムであるペロブスカイト材料を得ることができる。別の例として、ヨウ化鉛(II)溶液、ヨウ化ナトリウム溶液、ヨウ化ホルムアミジニウム(FA)塩溶液及び1-ブチルアンモニウム塩溶液を用いることにより、式NaiFA1-iPbI3(式中、iは0と1の間の数字を表す)である表面層が1-ブチルアンモニウムであるペロブスカイト材料を得ることができる。別の例として、ヨウ化鉛(II)鉛-塩化物(II)混合溶液、ヨウ化セシウム溶液、ヨウ化ホルムアミジニウム(FA)塩溶液及び1-ブチルアンモニウム塩溶液を用いると、式CsiFA1-iPbI3-yCly(式中、iは0と1の間の数字、yは0と3の間の数字を表す)である表面層が1-ブチルアンモニウムであるペロブスカイト材料を得ることができる。
【0144】
[0179]他の実施形態では、FAPbI3ペロブスカイト材料は、以下のプロセスによって形成することができる。まず、無水DMF中に溶解したPbI2対PbCl2のモル比が約90:10であるハロゲン化鉛前駆体(II)を、スピンコーティング又はスロットダイ印刷によって基板上に堆積させることができる。ハロゲン化鉛前駆体インクは、実質的に水を含まない雰囲気、すなわち、相対湿度が30%未満又は17g H2O/m3未満で約1時間(+15分)乾燥させて、薄膜を形成することができる。薄膜は、その後、約50℃(+10℃)で約10分間熱アニールすることができる。他の実施形態では、ハロゲン化鉛前駆体は、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、スパッタリング、PE-CVD、原子層堆積、熱蒸着、又はスプレーコーティングによって堆積されてよい。次に、無水イソプロピルアルコールに溶解した15~60mg/mL濃度のホルムアミジニウムヨウ化物を含むホルムアミジニウムヨウ化物前駆体を、スピンコーティング又はブレードコーティングによってハロゲン化鉛薄膜上に堆積させることができる。他の実施形態では、ヨウ化ホルムアミジニウム前駆体は、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、スロットダイ印刷、スパッタリング、PE-CVD、原子層堆積、ブレードコーティング、熱蒸着、又はスプレーコーティングによって堆積されてよい。ハロゲン化鉛前駆体及びヨウ化ホルムアミジニウム前駆体を堆積させた後、イソプロピルアルコール中に濃度が0.04Mであるベンジルアンモニウム塩溶液をペロブスカイト材料前駆体薄膜上に堆積させてよい。その後、基板を約25%の相対湿度(約4~7gのH2O/m3空気)及び約125℃~200℃の間でアニールして、ヨウ化ホルムアミジニウム鉛(FAPbI3)ペロブスカイト材料を形成することができる。ある実施形態では、ベンジルアンモニウム塩溶液は、ヨウ化ホルマミジニウム前駆体の堆積の前にハロゲン化鉛薄膜上に堆積されてもよい。他の実施形態では、ベンジルアンモニウム塩溶液は、ハロゲン化鉛前駆体インクの堆積の前に、ハロゲン化鉛前駆体インクと組み合わされてもよい。さらに他の実施形態では、ベンジルアンモニウム塩溶液は、ヨウ化ホルムアミジニウム前駆体の堆積の前に、ヨウ化ホルムアミジニウム前駆体と組み合わされてもよい。ある実施形態では、得られるペロブスカイト材料は、表面から離れたバルク材料が立方晶構造であってよい。ペロブスカイト材料の表面付近にかさ高い有機カチオンが存在すると、ペロブスカイト材料の表面付近に非立方晶の結晶構造が生じる場合がある。
【0145】
[0180]他の実施形態では、ヨウ化鉛(II)溶液、ヨウ化セシウム溶液、ヨウ化メチルアンモニウム(MA)塩溶液及びベンジルアンモニウム塩溶液を用いて上記方法を用いると、式CsiMA1-iPbI3(式中、iは0と1の間の数字を表す)である、表面層がベンジルアンモニウムであるペロブスカイト材料が得られる場合がある。別の例として、ヨウ化鉛(II)溶液、ヨウ化ルビジウム溶液、ヨウ化ホルムアミジニウム(FA)塩溶液及びベンジルアンモニウム塩溶液を用いることにより、式RbiFA1-iPbI3(式中、iは0と1の間の数字を表す)である表面層がベンジルアンモニウムであるペロブスカイト材料を得ることができる。別の例として、ヨウ化鉛(II)溶液、ヨウ化セシウム溶液、ヨウ化ホルムアミジニウム(FA)塩溶液及びベンジルアンモニウム塩溶液を用いると、式CsiFA1-iPbI3(式中、iは0と1の間の数字を表す)である表面層がベンジルアンモニウムであるペロブスカイト材料を得ることができる。別の例として、ヨウ化鉛(II)溶液、ヨウ化カリウム溶液、及びヨウ化ホルムアミジニウム(FA)塩溶液及びベンジルアンモニウム塩溶液を用いると、式KiFA1-iPbI3(式中、iは0と1の間の数字を表す)である表面層がベンジルアンモニウムであるペロブスカイト材料を得ることができる。別の例として、ヨウ化鉛(II)溶液、ヨウ化ナトリウム溶液、ヨウ化ホルムアミジニウム(FA)塩溶液及びベンジルアンモニウム塩溶液を用いることにより、式NaiFA1-iPbI3(式中、iは0と1の間の数字を表す)である表面層がベンジルアンモニウムであるペロブスカイト材料を得ることができる。別の例として、ヨウ化鉛(II)鉛-塩化物(II)混合溶液、ヨウ化セシウム溶液、ヨウ化ホルムアミジニウム(FA)塩溶液及びベンジルアンモニウム塩溶液を用いると、式CsiFA1-iPbI3-yCly(式中、iは0と1の間の数字、yは0と3の間の数字を表す)である表面層がベンジルアンモニウムであるペロブスカイト材料を得ることができる。
【0146】
[0181]ベンジルアンモニウムを用いてペロブスカイト材料を製造する方法を以下に記載する。まず、PbI2、PbCl2、及びヨウ化セシウム(CsI)をDMF及びDMSO溶媒の混合物に溶解して、ヨウ化鉛前駆体インクを調製する。ヨウ化鉛前駆体の調製には、DMSOにCsIを溶解して1.5M CsI/DMSO溶液を調製する。CsI/DMSO溶液は、ある実施形態では、無水DMSO 1.0 mLあたりCsI 1.5 mmolの割合でDMSO中に、室温で1時間から2.5時間撹拌することにより、調製することができる。次に、上記のCsI溶液をPbI2、PbCl2、及び無水DMF溶媒の溶液に添加して、Pbに対するCsの比が1:10、及びClに対するIの比が9:1である1.28 M Pb2+溶液を形成する。ある実施形態では、1.28 M Pb2+溶液は、CsI溶液を、1.26mmolのPbI2、0.14mmolのPbCl2、及び1.0mLの無水DMF溶媒を含有する容器に、各93.8μLのCsI溶液に対して添加することによって調製することができる。Pb2+溶液を50℃~100℃の温度で1.5時間~2.5時間混合した後、冷却してヨウ化鉛前駆体インクを形成する。ある実施形態では、Pb2+溶液は、85℃で2時間撹拌した後、室温環境で1時間撹拌することにより冷却することができる。ある実施形態では、ヨウ化鉛前駆体インクは、ヨウ化鉛前駆体インクの堆積の前に濾過されてよい。ある実施形態では、ヨウ化鉛前駆体インクを濾過するために、0.2μmフィルタを用いることができる。
【0147】
[0182]ホルムアミジニウムヨウ化物(FAI)及びベンジルアンモニウムヨウ化物(BzAI)溶液を、無水イソプロパノール(IPA)にFAI及びBzAI塩を溶解して、各々0.2M FAI溶液及び0.05 M BzAI溶液を形成することにより調製される。ある実施形態では、FAI及びBzAI溶液の両方を、以下のコーティングプロセス中に75℃に保持することができる。
【0148】
[0183]次に、ヨウ化鉛前駆体インクを基板上に堆積した後、アニールしてヨウ化鉛膜を形成する。ある実施形態では、45℃で保持されたヨウ化鉛前駆体インクを、酸化ニッケル(NiO)薄膜層で被覆された基板上にブレードコーティングした後、50℃で10分間アニールしてヨウ化鉛膜を形成することができる。
【0149】
[0184]次に、ペロブスカイト材料層を形成するために、まずヨウ化鉛膜をBzAI溶液で1回下塗りした後、FAI溶液の3コートで下塗りした。BzAI溶液及びFAI溶液の各被覆の堆積の後、被覆を乾燥させてから、以下の被覆を堆積させる。ある実施形態では、BzAI及びFAI溶液はともに、各々のコートの堆積中に45℃に保持することができる。第3のFAIコートが堆積された後、基板及びコーティングをアニールしてペロブスカイト材料層を形成することができる。ある実施形態では、第3のFAIが堆積された後、基板を直ちに157℃に5分間加熱してペロブスカイト材料層をアニールする。
【0150】
[0185]上記の方法は、ある利点がありうる。例えば、FAI溶液の堆積前にBzAI溶液をヨウ化鉛フィルム上に堆積させることは、2Dペロブスカイト材料の形成による3D FAPbI
3ペロブスカイト材料の成長のための中間テンプレートを提供することができる。BzAIはヨウ化鉛薄膜と反応して中間の2Dペロブスカイト材料相を形成することがある。FAI溶液の蒸着後にFAIと反応すると、2D相中のBzA+カチオンはFA+カチオンで完全又は部分的に置換され、3D FAPbI
3フレームワークを形成する。さらに、BzAIは、3D FAPbI
3ペロブスカイト材料中の結晶欠陥を不動態化することもできる。上記のプロセスによって形成されたFAPbI
3薄膜のフォトルミネセンス強度は、BzAIを含まないプロセスによって形成されたFAPbI
3薄膜のフォトルミネセンス強度よりも明るい(高い)ことを示した。
図31は、本明細書に記載されるように、BzAIを追加せずに生成されたペロブスカイト材料光起電力装置3105及びBzAIを用いて生成されたペロブスカイト材料光起電力装置3110の光学(吸光度)画像及びフォトルミネセンス画像の両方を示す。
図31は、ペロブスカイト材料光起電力装置3110の光学画像が暗く、より高い光吸光度を示し、ペロブスカイト材料光起電力装置3110のフォトルミネセンス画像がペロブスカイト材料光起電力装置3105より明るいことを示す。さらに、電力出力は、BzAIを組み込んだペロブスカイト材料光起電力装置からの方が大きいことが観察されている。
図32は、光起電力装置3105等の、BzAIを含まない光起電力装置に対応する電力出力曲線3205、及び光起電力装置3110等の、本明細書に記載されるような、BzAIを含む光起電力装置に対応する電力出力曲線3210を示す。
図32に示された電力出力測定値は、定常状態性能を示すために、100mW/cm
2 AM1.5G照明下の最大電力点で180秒間測定され、30秒間の暗測定が介在した。
図32から分かるように、製造中にBzAIを組み込んだ光起電力装置は、BzAIを含まない光起電力装置(15.0mW/cm
2、770 mV、及び19.5mA/cm
2)よりも、単位面積当たりの電力(16.0mW/cm
2)が大きく(785 mV)、単位面積当たりの電流(20.3mA/cm
2)が大きくなる。
図33は、試料「5r」ラインとしてラベル付けされた、BzAIなしで製造されたペロブスカイト材料光起電力装置、及び試料「10r」ラインとしてラベル付けされた、BzAIで製造されたペロブスカイト材料光起電力装置の電流-電圧(I-V)走査3320を示す。
図33から分かるように、BzAIを用いて製造されたペロブスカイト材料光起電力装置は、BzAIを用いずに製造されたペロブスカイト材料光起電力装置よりも、ある範囲のバイアス電圧にわたってより大きな電流を生成する。さらに、
図34は、BzAIを用いずに製造された6つのペロブスカイト材料光起電力装置(試料5、r=リバーススキャン、f=フォワードスキャン、及びs=定常状態測定)及びBzAIを用いて製造された6つのペロブスカイト材料光起電力装置(試料10)についての、開回路電圧、短絡電流密度、充填率、及び電力変換効率に関するボックスプロットを示す。
図35は、BzAIなしで製造された6つのペロブスカイト材料光起電力装置(プロット3505)及びBzAIで製造された6つのペロブスカイト材料光起電力装置(プロット3510)の外部量子効率を示す。
図35の各EQE曲線は、mA/cm
2でのJscを推定するために統合されており、これは、BzAIで製造されたペロブスカイト材料装置が、BzAIなしで製造されたペロブスカイト材料装置よりも高いJsc(EQE曲線下面積)を示すことを示す。最後に、
図36は、BzAIなしで製造されたペロブスカイト材料光起電力装置についてのアドミタンス分光プロット3605、及びBzAIで製造されたペロブスカイト材料光起電力装置についてのアドミタンス分光プロット3610を示す。アドミタンス分光プロット3610は、ベンジルアンモニウムを含まない試料装置についてのアドミタンス分光プロット3605と比較した場合の、ベンジルアンモニウムを含む試料装置についての抑制されたイオン移動を示す。過剰なイオン移動は、ペロブスカイト材料装置の性能及び耐久性に有害な影響を及ぼすことが知られており、ペロブスカイト材料光起電力装置にベンジルアンモニウムを含有させると、装置の性能及び耐久性が向上しうることを示す。
【0151】
[0186]
ジアンモニウムブタンカチオン強化ペロブスカイト
ペロブスカイト材料の結晶構造への1,4-ジアンモニウムブタン、又は以下の他のポリアンモニウム有機化合物の取り込みにより、その材料の特性を改善することができる。一実施形態では、以下に記載するような1,4-ジアンモニウムブタンのFAPbI3ペロブスカイトへの添加は、有利な特性があるペロブスカイト材料を提供し得る。ある実施形態では、1,4-ジアンモニウムブタンは、上記の方法において、かさ高い有機カチオン塩の代わりに1,4-ジアンモニウムブタン塩を利用するペロブスカイト材料に組み込むことができ、1,4-ジアンモニウムブタン塩(又は本明細書に記載の他の有機ポリアンモニウム塩)の添加は、かさ高い有機カチオン塩の添加が上記されるペロブスカイト製造方法のいずれのステップ(段階)においても生じ得る。1,4-ジアンモニウムブタン等の有機カチオンをペロブスカイト材料の結晶構造に含めると、本明細書に開示されているペロブスカイト材料の「理想的な」化学量論から逸脱することがある。例えば、このような有機カチオンの含有により、ペロブスカイト材料は、本明細書に記載された式FAPbI3に関して、部分化学量論的又は超化学量論的のいずれかである式で表される場合がある。この場合、ペロブスカイト材料の一般式は、CxMyXzで表すことができる。ここで、x、y及びzは実数である。
【0152】
[0187]一実施形態では、1,4-ジアンモニウムブタン塩溶液は、堆積前にハロゲン化鉛前駆体インク溶液に添加されてよい。ある実施形態では、1,4-ジアンモニウムブタン塩は、0.001モル%~50モル%の濃度で、ハロゲン化鉛前駆体インク溶液に添加されうる。ある実施形態では、1,4-ジアンモニウムブタン塩は、0.1モル%~20モル%の濃度で、ハロゲン化鉛前駆体インク溶液に添加されうる。ある実施形態では、1,4-ジアンモニウムブタン塩は、1モル%~10モル%の濃度で、ハロゲン化鉛前駆体インク溶液に添加されうる。
【0153】
[0188]他の実施形態では、ホルムアミジニウム塩溶液を上記のようにハロゲン化鉛前駆体薄膜と接触させる前に、1,4-ジアンモニウムブタン塩をホルムアミジニウム塩溶液に添加してよい。ある実施形態では、1,4-ジアンモニウムブタン塩は、0.001モル%~50モル%の濃度でヨウ化ホルムアミジニウム塩溶液に添加することができる。ある実施形態では、1,4-ジアンモニウムブタン塩は、0.1モル%~20モル%の濃度でヨウ化ホルムアミジニウム塩溶液に添加されうる。ある実施形態では、1,4-ジアンモニウムブタン塩は、1モル%~10モル%の濃度でヨウ化ホルムアミジニウム塩溶液に添加することができる。
【0154】
[0189]他の実施形態では、1,4-ジアンモニウムブタン塩前駆体溶液を、ハロゲン化鉛前駆体インクの堆積後に形成されたハロゲン化鉛薄膜上に、又はホルムアミジニウム塩溶液の堆積後にペロブスカイト前駆体薄膜上に堆積させることができる。ある実施形態では、1,4-ジアンモニウムブタン塩前駆体溶液の濃度は、0.001モル%~50モル%であってよい。ある実施形態では、1,4-ジアンモニウムブタン塩前駆体溶液の濃度は、0.1モル%~20モル%であってよい。ある実施形態では、1,4-ジアンモニウムブタン塩前駆体溶液の濃度は、1モル%~10モル%であってよい。
【0155】
[0190]1,4-ジアンモニウムブタンを含むペロブスカイト材料を堆積させる例示的な方法は、基板上に鉛塩前駆体を堆積させて鉛塩薄膜を形成し、第1の有機カチオン塩を含む有機カチオン塩前駆体を前記鉛塩薄膜上に堆積させてペロブスカイト前駆体薄膜を形成することを含む。なお、鉛塩前駆体又は有機カチオン塩前駆体は、1,4-ジアンモニウムブタン塩を含んでよく、又は1,4-ジアンモニウムブタン塩前駆体を、鉛塩薄膜又はペロブスカイト前駆体薄膜上に堆積させてよい。最後に、基板及びペロブスカイト前駆体薄膜をアニールして、1,4-ジアンモニウムブタンを含むペロブスカイト材料を形成してよい。鉛塩前駆体及び有機カチオン塩前駆体は、ペロブスカイト薄膜を生成するために本明細書に記載されるいかなる溶液を含んでよい。
【0156】
[0191]1,4-ジアンモニウムブタンのアンモニウム基の間の長さは、ホルムアミジニウムヨウ化鉛ペロブスカイト材料の結晶格子中のホルムアミジニウムカチオン間の長さとほぼ同じである。従って、1,4-ジアンモニウムブタンは、FAPbI3材料の形成中に、2つのホルムアミジニウムイオンを置換することができる。他の実施形態では、ペロブスカイト材料の形成中に、他のアルキルポリアンモニウム塩をハロゲン化鉛前駆体インクに添加することができる。例えば、1,8ジアンモニウムオクタン、ビス(4-アミノブチル)アミン、及びトリス(4-アミノブチル)アミンを添加することができる。さらに、1,4-ジアンモニウムブタンを含むポリアンモニウムポリカチオンは、かさ高い有機カチオンに関して上記ものと同様の機構により、上記かさ高い有機カチオンと同じ利点を提供することができる。
【0157】
[0192]
図13は、ペロブスカイト材料を製造するプロセス中の1,4-ジアンモニウムブタン塩の添加の効果が、得られたペロブスカイト7000に及ぼす場合があることを示す、図式化された図である。
図13に示すように、1,4-ジアンモニウムブタンカチオン7020は、ペロブスカイト材料結晶格子中の2つのホルムアミジニウムカチオン7010を置換することができる。FAPbI
3ペロブスカイトでは、ホルムアミジニウムカチオン間の間隔は約6.35Åである。1,4-ジアンモニウムブタンカチオンの長さは約6.28Åで、差はわずか0.07Åである。したがって、1,4-ジアンモニウムブタンカチオンは、ペロブスカイト結晶格子の特性又は構造を大きく変化させることなく、ペロブスカイト結晶格子に置換することができる。ある実施形態では、ペロブスカイト材料への1,4-ジアンモニウムブタンカチオンの添加は、ペロブスカイト材料の特性及び安定性を高めることができる。1,4-ジアンモニウムブタンカチオンは、ペロブスカイト材料内の剛性構造として作用し、その構造的及び化学的耐久性を高める。例えば、ある実施形態では、1,4-ジアンモニウムブタンカチオンを添加したペロブスカイト材料は、1,4-ジアンモニウムブタンカチオンを添加しないペロブスカイト材料と比較して優れた乾熱安定性を示すことができる。さらに、1,4-ジアンモニウムブタンカチオンを添加したペロブスカイト材料は、ペロブスカイト材料の発光スペクトルの青方偏移を示し得る。ある実施形態では、1,4-ジアンモニウムブタンカチオンは、0~20モル%の濃度でホルムアミジニウム塩溶液に添加されうる。他の実施形態では、1,4-ジアンモニウムブタンカチオンは、1~5モル%の濃度でホルムアミジニウム塩溶液に添加することができる。ある実施形態では、1,4-ジアンモニウムブタンカチオンは、5モル%の濃度でホルムアミジニウム塩溶液に添加された。
【0158】
[0193]ペロブスカイト材料に20%までの1,4-ジアンモニウムブタンを添加しても、格子定数が顕著にシフトしないことが、実験的に示されている。
図14は、0モル%、5モル%、10モル%及び20モル%の1,4-ジアンモニウムブタンヨウ化物(「DABI」)があるペロブスカイトのX線回折ピークを示す。各濃度において主要なピークは同じ位置にあり、ペロブスカイト材料の格子パラメータは、1,4-ジアンモニウムブタンを0モル%~20モル%の濃度で加えても、ペロブスカイト材料の格子定数は大きくは変化しないことが分かる。1,4‐ジアンモニウムブタンを添加すると、Cu‐Kα放射線で13°2θ以下の弱い強度の回折がおこり、2D又は層状ペロブスカイト相が少量であることを示す。
【0159】
[0194]
図15は、0%の相対湿度で85℃の温度に7日間曝露された0モル、1モル、2.5モル%及び5モル%のペロブスカイト試料の画像を提供する。0モル% DABIのペロブスカイト材料は、1日後に顕著な明るい色を示し、7日後にはさらに顕著な黄変を示す。これは、0モル% DABIのペロブスカイト材料が試験条件に曝露された1日後に顕著に劣化したことを示す。1モル%、2.5モル%及び5モル%のペロブスカイト材料試料は全て7日後に暗いままであり、1モル%のDABIを添加すると、ペロブスカイト材料のいわゆる「乾熱」安定性が著しく高まることを示す。
【0160】
[0195]さらに、ペロブスカイト材料へ1,4-ジアンモニウムブタンを添加すると、1,4-ジアンモニウムブタンが含まれないペロブスカイト材料と比較した場合、ペロブスカイト材料で観察されるフォトルミネセンスに、わずかに青方偏移が生じる場合がある。この青方偏移は、1,4-ジアンモニウムブタンの添加によって生じるペロブスカイト材料内のトラップ状態の不動態化の結果である。この青方偏移は、ペロブスカイト材料への1,4‐ジアンモニウムブタンの添加がペロブスカイト材料の結晶構造を変化させずに、ペロブスカイト材料の結晶格子の欠陥密度を低下させることを示す。例えば、1,4-ジアンモニウムブタンを含まないFAPbI3ペロブスカイト材料と比較して、1,4-ジアンモニウムブタンを20モル%添加したFAPbI3ペロブスカイト材料において見られる結果として生じる青方偏移は、1,4-ジアンモニウムブタンを含まない1.538 eVから20モル%1,4-ジアンモニウムブタンを含む1.552 eVへの0.014 eVの変化であることが観察されている。
【0161】
[0196]他の実施形態では、ペロブスカイト材料の形成中に他のアンモニウム錯体を添加することができる。例えば、
図16は、3つのアンモニウム化合物、1,8-ジアンモニウムオクタン、ビス(4-アミノブチル)-アンモニウム及びトリス(4-アミノブチル)-アンモニウムを示し、これらは、1,4-ジアンモニウムブタンカチオンに関して上記と同じ方法でペロブスカイト材料に添加することができる。1,8-ジアンモニウムオクタンは、上記のようなペロブスカイト材料の形成中に導入された場合、FAPbI
3ペロブスカイト材料結晶格子の2つのホルムアミジニウムカチオン(「Aサイト」)の空間を占有することができる。ビス(4-アミノブチル)-アンモニウムは、上記のようにペロブスカイト材料の形成中に導入されると、FAPbI
3ペロブスカイト材料結晶格子の3つのAサイトの空間を占める場合がある。トリス(4-アミノブチル)-アンモニウムは、上記のようにペロブスカイト材料の形成中に導入されると、FAPbI
3ペロブスカイト材料結晶格子の4つのAサイトの空間を占めるかもしれない。
図16A~
図16Cは、
図16に示す3つのアンモニウム化合物のFAPbI
3ペロブスカイト材料結晶格子への組み込みの様式化された説明図を提供する。
図16Aは、FAPbI
3ペロブスカイト材料結晶格子7100への1,8-ジアンモニウムオクタンの組み込みの様式化された説明図である。
図16Aに示すように、1,8-ジアンモニウムオクタンカチオン7120は、ペロブスカイト材料結晶格子中の2つのホルムアミジニウムカチオン7110を置換してよい。
図16Bは、FAPbI
3ペロブスカイト材料結晶格子7200へのビス(4-アミノブチル)-アンモニウムの組み込みの様式化された説明図である。
図16Bに示すように、ビス(4-アミノブチル)-アンモニウムカチオン7220は、ペロブスカイト材料結晶格子中の3つのホルムアミジニウムカチオン7210を置換してよい。
図16Cは、FAPbI
3ペロブスカイト材料結晶格子7300へのトリス(4-アミノブチル)-アンモニウムの組み込みの様式化された説明図である。
図16cに示されるように、トリス(4-アミノブチル)-アンモニウムカチオン7320は、ペロブスカイト材料結晶格子中の4つのホルムアミジニウムカチオン7310を置換し得る。他の実施形態では、炭素原子が2~20個である炭素鎖を有するアルキルジアンモニウム錯体をペロブスカイト材料に添加することができる。ある実施形態では、アンモニウム錯体の組合せをペロブスカイト材料に添加することができる。
【0162】
[0197]
非フラーレン受容体
上記のように、界面層の1つのクラスとしては、受容体材料ともいう場合もある電子伝達材料があげられる。電子伝達材料は、一般にn型半導体である。電子伝達材料は、PV電池、バッテリ、電界効果トランジスタ(FET)、発光ダイオード(LED)、非線形光学装置、メムリスタ、キャパシタ、整流器、及び/又は整流アンテナを含む多くの半導体装置に存在することができる。ペロブスカイト太陽電池で一般的に用いられる電子伝達材料(ETM)としては、金属酸化物(例えば、TiO2、ZnO、SnO2)、フラーレン、及びフラーレン誘導体(例えば、C60、C70、PC61BM)があげられる。しかし、有機非フラーレンETMは、本明細書で非フラーレン受容体ともいい、ペロブスカイト材料及び金属電極材料のエネルギーレベルに適合するように、バンドレベルを調整する機能をもたらす。さらに、有機非フラーレンETMには、疎水性特性があり、装置のペロブスカイト活性層へ水分が浸透することを防ぐことにより、ペロブスカイト安定性を改善することができる。さらに、有機非フラーレンETMは、溶液中で装置に加工及び体積させることができ、大規模生産のための効率的な経路を提供することができる。
【0163】
[0198]
図37は、特定の実施形態による、NFA層を組み込んだペロブスカイト材料装置3700を様式化した図である。ペロブスカイト材料装置3700は、基板3711及び3712、電極3721及び3722、IFL 3732、ペロブスカイト材料層3741、及びNFA層3731を含む。基板3711及び3712は、本明細書に開示されるいかなる基板材料を含むことができ、電極3721及び3722は、本明細書に開示されるいかなる電極材料を含むことができ、IFL 3732は、本明細書に開示されるいかなるIFL材料を含むことができる。ある実施形態では、ペロブスカイト材料層3741は、本明細書に開示されるいかなるペロブスカイト材料を含んでよい。ある実施形態では、ペロブスカイト材料3741は、有機「C」カチオンとしてホルムアミジニウムのみを含む本明細書に開示されるペロブスカイト材料を含んでよい。ある実施形態では、ペロブスカイト材料3741は、本明細書に記載されるように、かさ高いカチオン含有ホルムアミジニウムヨウ化鉛ペロブスカイトであってよい。他のある実施形態では、ペロブスカイト材料3741は、本明細書に記載されるように、ジアンモニウムブタンを含有するホルムアミジニウムヨウ化鉛ペロブスカイトであってよい。NFA層3731を構成することができるNFA化合物は、以下にさらに説明する。NFA層3731は、本明細書に開示される1つ以上のNFA化合物を含んでよい。ある実施形態では、NFA層3731は、さらなる界面層(IFL)を含んでよい。ある実施形態では、NFA層3731は、ドロップキャスティング、スピンキャスティング、スロットダイ印刷、スクリーン印刷、ブレードコーティング、又はインクジェット印刷、及びNFA化合物を溶媒に溶解してから堆積するNFAインクによって堆積されてよい。
【0164】
[0199]ある実施形態では、NFA層は、本開示に記載されるいかなるIFL層として用いられうる。例えば、NFAは、
図1、2、3、又は4に示されるいかなるIFLの全体又は一部として用いられうる。ある実施形態では、本明細書に記載されるようなNFAは、多層IFLの単一層であってよい。本開示のNFAは、ペロブスカイト材料PV装置においてペロブスカイト材料層に隣接して配置することができる。例えば、本開示のNFAは、
図1のIFL 1050、
図2のIFL 3909若しくはCTL 3910(又はその両方の組み合わせ)、
図3のIFL 3909a若しくはCTL 3910a(又はその両方の組み合わせ)、又は
図4のIFL 3909b若しくはCTL 3910b(又はその両方の組み合わせ)として用いられてよい。
【0165】
[0200]
図38A及び38Bは、いくつかのNFA化合物の分子構造を示す。図に例示された化合物は各々、
図38A及び38Bに示された化合物は各々、以下の4つの特徴:(i)ナフタレンジイミド(NDI)コア、(ii)NDIコアの電子特性を微調整できるような、ペロブスカイト材料中の非配位金属又はハロゲン化物イオン(例えば、鉛又はヨウ化物イオン)と結合することができる二次電荷輸送中心及び/又はキレート部位として作用する官能性N-置換基、(iii)溶液処理のための材料溶解度の操作及び膜(フィルム)形態を制御させることができる非対称N置換基におけるキラル中心、及び(iv)望ましい場合には、蒸着を効果的に行うことができるように、N-置換基において置換基が付加される、の4つの特徴を備えるように設計された。
【0166】
[0201]非官能化側鎖を有するNDIは、n型半導体ブロックとして電荷キャリア移動度(最大12cm2/V・s;ACS Omega 2017,2,1,164-170)が高く、熱的及び時間的安定性が高いことが示されている。非置換NDIの最低非占有分子軌道(LUMO)レベルは-4.0 eV(Chem.Commun,2010,46,4225‐4237)であり,これは電子抽出用のペロブスカイト材料の伝導帯レベルとよく一致した。さらに、NDIの最深占有分子軌道(HOMO)が-7.1 eVと深いため、電子伝達層としてホールを効果的にブロックするNDIの容量をもたらし、高性能ペロブスカイト太陽電池に望ましい。しかし、側鎖が官能化されていないNDIは、ペロブスカイト材料中の非協調部位への結合能がない。さらに、側鎖が官能化されていないNDIの溶解性と形態は、望ましい電子特性を維持したままでは制御することができず、側鎖が官能化されていないNDIを有するペロブスカイト材料装置の生産が妨げられる。言い換えると、側鎖が官能化されているNDI誘導体は、側鎖が官能化されていないNDIと比較した場合、ペロブスカイト材料装置での使用に望ましい電子特性を保持しつつ、形態と溶解度の制御を改善することができる。さらに、側鎖が官能化されているNDI誘導体は、蒸気技術を介して薄膜として堆積された場合、最適なモルフォロジー及び電子特性用の設計をすることができる。
【0167】
[0202]官能化されたNDI誘導体を
図38A及び38Bに示された合成方法で合成した。官能化NDIの合成は、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物(NDA)と、対応する図に示す不斉アミン((S)又は(R)エナンチオマー)との間の一段階縮合反応で行われる。
図39は、(S)エナンチオマーアミンを用いる官能化NDI分子の合成反応の説明図を提供する。他の実施形態では、
図39に例示された反応は、例示された(S)エナンチオマーアミンの代わりに(R)エナンチオマーアミンを用いて行うことができる。一般的な方法では、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物と対応するアミンを、有機溶媒中でナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物と対応するアミンとのモル比が1:2になるように混合する。ある実施形態では、有機溶媒は、本明細書に開示されるいかなる有機溶媒であってよい。特別な実施形態では、有機溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)又はイミダゾールであってよい。次いで、反応混合物を70℃~160℃に1~24時間加熱することができる。ある実施形態では、反応混合物は、温度が100℃以上120℃以下、時間が1時間以上24時間で加熱することができる。特別な実施形態では、反応混合物は、約100℃の温度で約20時間加熱することができる。加熱後、混合物を室温に冷却することができる。冷却後、混合物をアルコール(例えば、メタノール、エタノール、又はイソプロパノール)に導入して、所望の官能化NDI生成物の沈殿をもたらすことができる。この沈殿物は濾過によって回収され、未反応の反応物、副生成物、又は残留DMFを除去するためにさらなるアルコールで洗浄される。官能化されたNDI生成物を、次いで、再結晶又はカラムクロマトグラフィーによって単離することができる。
【0168】
[0203]単離後、官能化されたNDI生成物を有機溶媒(例えば、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、クロロホルム、トルエン、ジクロロメタン、トリフルオロエタノール、又はこれらのいかなる組合せ)に溶解して、NFAインクを形成することができる。NFAインクは、IFLに関して本明細書に記載されるいかなる方法によって半導体装置中にIFLとして堆積させることができる。ある実施形態では、NFAインクは、光電池の構築中にペロブスカイト材料層上に堆積させることができる。NFAインクは、本明細書に記載されるいかなるペロブスカイト材料上に堆積させることができる。ある実施形態では、NFAインクをヨウ化鉛ホルムアミジニウムペロブスカイト材料上に堆積させることができる。
【0169】
[0204]
図40は、ペリレンジイミド(PDI)の2つのn-置換誘導体の分子構造を示す。PDIは工業用顔料として利用され、熱安定性と光安定性が高い。PDIの電子移動度はまた、15cm
2/V・sまでと高い(ACS Omega 2017,2,1,164-170)。
図40に示された化合物は各々、以下の4つの特徴:(i)ナフタレンジイミド(NDI)コア、(ii)NDIコアの電子特性を微調整できるような、ペロブスカイト材料中の非配位金属又はハロゲン化物イオン(例えば、鉛又はヨウ化物イオン)と結合することができる二次電荷輸送中心及び/又はキレート部位として作用する官能性N-置換基、(iii)溶液処理のための材料溶解度の操作及び膜(フィルム)形態を制御させることができる非対称N置換基におけるキラル中心、及び(iv)望ましい場合には、蒸着を効果的に行うことができるように、N-置換基において置換基が付加される、の4つの特徴を備えるように設計された。
【0170】
[0205]
図40のDEAPPDI分子は、アミノ基及び脂肪族鎖があるN-置換側基があるPDIユニットを含むように設計された。DEAPPDI分子のN-置換基の、ペロブスカイト材料中の鉛及びヨウ化物イオンとの相互作用は弱く、これは欠陥及びイオン移動抑制に有益である。選択されたN-置換基のアルキル鎖は、有機溶媒中での例示のPDI誘導体の溶解度を高め、それにより電子伝達層としてのPDI誘導体が溶液処理蒸着される。
図40のTEAPPDI分子は、PDI誘導体の電子特性を調整するためのDEAPPDI分子の修飾として設計された。TEAPPDI分子はイオン性であるので、その溶解度及び電子特性(例えば、バンドレベル)は、様々な対アニオンを選択することによって調整することができ、それらは
図40においてXとして示される。考えられる対アニオンとしては、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート、塩化物、臭化物及びヨウ化物があげられるが、これらに限定されない、ハロゲン化物及び擬ハロゲン化物があげられる。本開示に記載されたいずれのアニオンも、
図40及び42に示された対アニオンXとして、用いられることに留意されたい。TEAPPDI分子の側鎖上のアンモニウム中心のカチオン特性は、効果的な電荷抽出用の、ペロブスカイト材料のLUMOレベルをより良くマッチさせるために、TEAPPDI分子のLUMOレベルを高めるのに役立ちうる。特に、既知のN-アルキル置換PDIのLUMOレベルは、約-3.7 eVであり、これは、ヨウ化ホルムアミジニウム鉛の伝導帯(-3.9 eV)よりもわずかに高く、従って、効果的な電子伝達材料には適さない。しかしながら、DEAPPDI分子及びTEAPPDI分子の側鎖にアミノ基を含めると、N-アルキル置換PDIと比較してそれらの分子のLUMOレベルがわずかに低下し、その結果、DEAPPDI分子及びTEAPPDI分子の両方が、他のN-アルキル置換PDIよりもペロブスカイト材料の電子特性により良好にマッチする。さらに、アンモニウムサイトを介してさらなる正電荷をPDI誘導体分子に組み込んで、それらの電子親和性をさらに高め、ペロブスカイト材料の伝導バンドと良くマッチするようにLUMOレベルを低下させることができる。さらに、側鎖が官能化されているNDI誘導体は、蒸気技術を介して薄膜として堆積された場合、最適なモルフォロジー及び電子特性用の設計をすることができる。
【0171】
[0206]
図41は、DEAPPDIを生成するための合成反応の説明図である。
図41に示すように、DEAPPDIは、有機溶媒中、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸二無水物(PDA)と3-(N,N-ジエチルアミノ)プロピルアミンとの一段階縮合反応によって合成される。一部の実施形態では、有機溶媒は、本明細書に開示されるいかなる有機溶媒であってもよい。特別な実施形態では、有機溶媒は、DMF又はイミダゾールであり得る。反応混合物を70℃~160℃の温度に1~24時間加熱することができる。ある実施形態では、反応混合物は、温度が100℃以上120℃以下、時間が1時間以上24時間で加熱することができる。特別な実施形態では、反応混合物は、約100℃の温度に約20時間加熱することができる。加熱後、混合物を室温に冷却することができる。冷却後、混合物をアルコール(例えば、メタノール、エタノール、又はイソプロパノール)に導入して、所望のDEAPPDI生成物を沈殿させることができる。この沈殿物は、濾過によって回収することができ、さらなるアルコールで洗浄して、未反応の反応物、副生成物、又は残留溶媒を除去することができる。次いで、DEAPPDI生成物を再結晶又はカラムクロマトグラフィーによって単離することができる。
【0172】
[0207]単離後、DEAPPDI生成物を有機溶媒(例えば、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、クロロホルム、トルエン、ジクロロメタン、トリフルオロエタノール、又はこれらの組合せを含む)に溶解して、NFAインクを形成することができる。NFAインクは、IFLに関して本明細書に記載されるいかなる方法によって半導体装置中にIFLとして堆積させることができる。ある実施形態では、NFAインクは、光電池の構築中にペロブスカイト材料層上に堆積させることができる。NFAインクは、本明細書に記載されるいかなるペロブスカイト材料上に堆積させることができる。ある実施形態では、NFAインクをヨウ化鉛ホルムアミジニウムペロブスカイト材料上に堆積させることができる。
【0173】
[0208]
図42は、TEAPPDIを作製するための合成反応の説明図を提供する。
図42に示すように、TEAPPDIは、DEAPPDIとヨウ化エチルとのSN
2反応、次いで所望の対アニオン(例えば、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート、塩素、臭化物、ヨウ化物)との塩交換によって合成される。
【0174】
[0209]単離後、TEAPPDI生成物を有機溶媒(例:クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、クロロホルム、トルエン、ジクロロメタン、トリフルオロエタノール、アセトニトリル、イソプロパノール、又はこれらのいかなる組合せ)に溶解して、NFAインクを形成することができる。NFAインクは、IFLに関して本明細書に記載されるいかなる方法によって半導体装置中にIFLとして堆積され得る。ある実施形態では、NFAインクは、光電池の構築中にペロブスカイト材料層上に堆積されてもよい。NFAインクは、本明細書に記載されるいかなるペロブスカイト材料上に堆積され得る。ある実施形態では、NFAインクをヨウ化鉛ホルムアミジニウムペロブスカイト材料上に堆積させることができる。
【0175】
[0210]
図43は、ペロブスカイト材料装置における電子伝達層としても用いられうるCyHNDI分子の説明図を提供する。特に、CyHNDIのバンドレベルは、ペロブスカイト材料太陽電池における電子抽出及び正孔ブロッキングに適することが分かった。CyHNDIは6cm2/V・s (Chem.Mater.2008,20,7486-7491)と12cm2/V・s(ACS Omega 2017,2,1,164-170)の間の電子移動度を示した。さらに、CyHNDIは、熱蒸着技術によって堆積されることができ、これにより、ペロブスカイト材料太陽電池又は他の装置におけるCyHNDI層の大規模生産のための高品質フィルムを得るために用いられうるが、溶液処理に通常用いられる有機溶媒による干渉は最小限である。
【0176】
[0211]
図44及び45は、ペロブスカイト材料装置における電子伝達層として機能することができるいくつかの他の化合物の分子構造を示す。特に、これらの化合物は、本開示のペロブスカイトを含むホルムアミジニウムと対になった場合に有利な特性を発揮する。
【0177】
[0212]
図46は、ペロブスカイト材料PV装置で用いられる他の材料のエネルギーレベルと比較したNDI化合物のエネルギーレベルを示す。NDI化合物について
図46に示されるエネルギーレベルは、
図45のR-Phendiと同様に、
図38A、38B、及び43に示される化合物を含む。特に、NDI化合物のエネルギー準位は、一般的に用いられる電子伝達層であるC60のそれよりも広く、より深く、したがって、C60よりも良好に正孔をブロックすることができる。
【0178】
[0213]
図47は、ペロブスカイト材料PV装置で用いられる他の材料のエネルギーレベルと比較したPDI化合物のエネルギーレベルを示す。PDI化合物について
図47に示されるエネルギーレベルとしては、
図40のDEAPPDI及びTEAPPDI、
図44のDi-PDI、及び
図45のpoly-PMHAPDIがあげられる。特に、PDI化合物のエネルギーレベルは、一般的に用いられる電子伝達層であるC60のエネルギーレベルと類似している。
【0179】
[0214]
図48は、ペロブスカイト材料PV装置で用いられる他の材料のエネルギーレベルと比較した、
図44に示されるITIC及びIEICO化合物のエネルギーレベルを示す。特に、ITIC及びIEICOのエネルギー準位は、ホルムアミジンヨウ化鉛ペロブスカイト材料と近似する。
【0180】
[0215]従って、本発明は、上記目的及び利点、並びにそれらに固有の利点を達成するように優れて適合されている。上記に開示されたある実施形態は、例示的なものに過ぎない。というのは、本発明は、本明細書の教示の利点を有する当業者に明らかな、異なるが等価な方法で修正され、実施されうるからである。更さらに、本明細書に記載された構成又は設計の詳細は、添付の特許請求の範囲以外によって限定されることはない。従って、上に開示された特定の例示的な実施形態は、変更又は修正することができ、すべてのこのような変更は、本発明の範囲及び精神の範囲内であると考えられることは明らかである。特に、本明細書に開示されているあらゆる範囲の値(「約a~約b」、又は同等に「約a~b」、又は同等に「約a~b」)は、各々の値の範囲のべき乗集合(すべてのサブセットの集合)を参照するものとして理解され、値のより広い範囲内に包含されるすべての範囲を記載する。また、クレーム中の用語は、特許権者が別段の明示的かつ明確な定義をしない限り、明白かつ通常の意味を有する。
【国際調査報告】