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特表2023-505110エレクトロクロミックアブレーションパターンの制御されたランダム化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(54)【発明の名称】エレクトロクロミックアブレーションパターンの制御されたランダム化
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/15 20190101AFI20230201BHJP
【FI】
G02F1/15
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022532065
(86)(22)【出願日】2020-12-29
(85)【翻訳文提出日】2022-05-30
(86)【国際出願番号】 US2020067343
(87)【国際公開番号】W WO2021138344
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】62/922,240
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/135,739
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504416080
【氏名又は名称】セイジ・エレクトロクロミクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トレムル、ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ギロン、ジャン - クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、イーガン
(72)【発明者】
【氏名】ニューカム、ロバート
【テーマコード(参考)】
2K101
【Fターム(参考)】
2K101AA22
2K101DA01
2K101DB04
2K101DB05
2K101DB06
2K101EG52
2K101EH15
2K101EH26
2K101EH61
2K101EJ11
2K101EJ16
2K101EK05
2K101EK08
(57)【要約】
様々な実施形態が、ランダム化パターンに従って配置された表面輪郭特徴によって構造化されたエレクトロクロミック(EC)デバイスに関する。例えば、ECデバイスの1つまたは複数の導電層は、そのような表面アブレーションで構造化されてもよい。いくつかの実施形態では、ランダム化アブレーションパターンは、セグメントのグループの1つまたは複数の幾何学的特性のランダム化された変動を含み得る。いくつかの例では、幾何学的特性は、距離特性、配向特性、および/または形状特性などを含み得る。様々な実施形態によれば、ランダム化アブレーションパターンは、いくつかの他のアブレーションパターンと比較して、表面アブレーションに入射する光の回折および/または散乱を低減するように構成され得る。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ECフィルムスタックと、
導電層と、
を備える、エレクトロクロミック(EC)デバイスであって、
前記導電層のうちの少なくとも1つの導電層は、ランダム化アブレーションパターンに従って配置された表面アブレーションを含み、前記ランダム化アブレーションパターンは、非ランダム化アブレーションパターンからの複数の開ループセグメントの少なくとも1つの幾何学的特性におけるランダム化された変動を含み、
前記ランダム化アブレーションパターンは、前記ランダム化された変動を含まない前記非ランダム化アブレーションパターンと比較して、前記表面アブレーションに入射する光の回折または散乱の少なくとも一方を低減するように構成される、
エレクトロクロミック(EC)デバイス。
【請求項2】
前記ランダム化された変動が、少なくとも1つのコンピューティングデバイスを使用して、前記少なくとも1つの幾何学的特性の変動の程度を制限する1つまたは複数の境界制約値に少なくとも部分的に基づいてデジタル的にランダム化される、請求項1に記載のECデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの幾何学的特性が、
前記複数の開ループセグメントのセグメント間の距離、
前記セグメントの向き、または
前記セグメントの形状
のうちの1つまたは複数を含む、請求項1に記載のECデバイス。
【請求項4】
前記導電層が、
前記ランダム化アブレーションパターンに従って配置された前記表面アブレーションを含む上部導電層と、
底部導電層と、
を含み、
前記上部導電層および前記下部導電層は、前記ECフィルムスタックの両側に位置する、
請求項1に記載のECデバイス。
【請求項5】
前記ランダム化アブレーションパターンが、第1のランダム化アブレーションパターンであり、
前記下部導電層は、前記第1のランダム化アブレーションパターンとは異なる第2のランダム化アブレーションパターンに従って配置された表面アブレーションを含む、
請求項4に記載のECデバイス。
【請求項6】
前記導電層が、
前記ランダム化アブレーションパターンに従って配置された第1のセットの表面アブレーションを含む上部導電層と、
前記ランダム化アブレーションパターンに従って配置された第2のセットの表面アブレーションを含む底部導電層と、
を含み、
前記上部導電層および前記下部導電層は、前記ECフィルムスタックの両側に位置する、
請求項1に記載のECデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの導電層が、
酸化インジウムスズ(ITO)の表面を含む導電層
を含み、
前記表面アブレーションは、材料がレーザアブレーションによって除去されたITOの部分によって画定される、
請求項1に記載のECデバイス。
【請求項8】
基板と、
前記基板に結合されたエレクトロクロミック(EC)デバイスと、
を備える装置であって、
前記ECデバイスは、
ECフィルムスタックと、
導電層と、
を含み、
前記導電層の少なくとも1つの導電層は、ランダム化パターンに従って配置された表面輪郭特徴を含み、前記ランダム化パターンは、非ランダム化パターンからの複数のセグメントの少なくとも1つの幾何学的特性のランダム化された変動を含み、
前記ランダム化パターンは、前記ランダム化された変動を含まない前記非ランダム化パターンと比較して、前記表面輪郭特徴に入射する光の回折または散乱のうちの少なくとも一方を低減するように構成される、
装置。
【請求項9】
前記表面輪郭特徴が、表面アブレーションを含み、
前記ランダム化パターンが、ランダム化アブレーションパターンであり、
前記非ランダム化パターンが、非ランダム化アブレーションパターンである、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記複数のセグメントが、開ループセグメントを含み、
前記少なくとも1つの幾何学的特性が、
前記複数のセグメントのセグメント間の距離、
前記セグメントの向き、または
前記セグメントの形状
のうちの1つまたは複数を含む、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの幾何学的特性が、
前記開ループセグメントのセグメント間の距離と、
前記セグメントの向きと、
を含み、
前記開ループセグメントは、直線セグメントまたは曲線セグメントのうちの少なくとも一方を含む、
請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記導電層が、
前記ランダム化アブレーションパターンに従って配置された前記表面アブレーションを含む上部導電層と、
表面アブレーションを有さない底部導電層と
を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記表面アブレーションに少なくとも部分的に基づいて、前記上部導電層が、
第1のシート抵抗を有する第1の領域と、
前記第1のシート抵抗とは異なる第2のシート抵抗を有する第2の領域と
を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記ランダム化アブレーションパターンが、
第1の幾何学的特性の第1のランダム化された変動と、
前記第1の幾何学的特性とは異なる第2の幾何学的特性の第2のランダム化された変動と、
を含み、
前記第1のランダム化された変動は、前記第2のランダム化された変動とは異なる程度の変動を含む、
請求項9に記載の装置。
【請求項15】
前記基板がガラス基板である、請求項8に記載の装置。
【請求項16】
エレクトロクロミック(EC)デバイスを構造化する方法であって、前記方法は、
減法製造または付加製造のうちの少なくとも一方を介して、前記ECデバイスの1つまたは複数の特性に対する局所的な修正を実施するように、前記ECデバイスの少なくとも1つの導電層の表面輪郭を変更するステップであって、前記変更するステップは、ランダム化パターンに従って配置された特徴を含む変更された表面輪郭を生成し、前記ランダム化パターンは、非ランダム化パターンからの複数のセグメントの少なくとも1つの幾何学的特性におけるランダム化された変動を含み、前記ランダム化パターンは、前記非ランダム化パターンと比較して、前記特徴に入射する光の回折または散乱のうちの少なくとも一方を低減するように構成される、ステップ
を含む、方法。
【請求項17】
前記非ランダム化パターンを前記ランダム化パターンに変換するステップであって、前記変換するステップは、コンピューティングデバイスを使用して、前記複数のセグメントの前記少なくとも1つの幾何学的特性の前記変動をデジタル的にランダム化するステップ
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記変更するステップが、
前記ランダム化パターンに従って配置された開ループ表面アブレーションを形成するために、前記少なくとも1つの導電層の表面をレーザアブレーションするステップ
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記変更するステップが、
前記ランダム化パターンに従って配置された表面アブレーションを形成するために、前記ECデバイスの上部導電層の表面をレーザアブレーションするステップ
を含み、
前記ECデバイスの底部導電層に表面アブレーションは形成されておらず、
前記上部導電層および前記下部導電層は、前記ECデバイスのECフィルムスタックの両側に位置する、
請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記ランダム化パターンが、第1のランダム化アブレーションパターンであり、
前記変更するステップが、
前記第1のランダム化アブレーションパターンに従って配置された表面アブレーションを形成するために、前記ECデバイスの上部導電層の表面をレーザアブレーションするステップ
を含み、
前記方法は、
前記第1のランダム化アブレーションパターンとは異なる第2のランダム化アブレーションパターンに従って配置された表面アブレーションを形成するために、前記ECデバイスの底部導電層の表面をレーザアブレーションするステップ
をさらに含み、
前記上部導電層および前記下部導電層は、前記ECデバイスのECフィルムスタックの両側に位置する、
請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
エレクトロクロミックデバイスは、電位差の印加に応答して、着色などのそれらの光学特性を変化させることが知られているエレクトロクロミック材料を含み、それによって、デバイスを多かれ少なかれ透明にし、または多かれ少なかれ反射性にする。典型的なエレクトロクロミック(「EC」)デバイスは、対向電極層(「CE層」)と、対向電極層に実質的に平行に堆積されるエレクトロクロミック材料層(「EC層」)と、対向電極層をエレクトロクロミック層からそれぞれ分離するイオン伝導層(「IC層」)とを含む。さらに、2つの透明導電層(「TC層」)はそれぞれ、CE層およびEC層に実質的に平行であり、接触している。EC層、IC層、およびCE層は、ECフィルムスタック、EC薄膜スタックなどと総称することができる。ECフィルムスタック、およびECフィルムスタックの両側の導電層は、「ECスタック」と総称することができる。
【発明の概要】
【0002】
本明細書で「電圧差」とも呼ばれる電位差が、それぞれのTC層を低電圧電源に接続することなどによってエレクトロクロミックデバイスの層状構造にわたって印加されると、CE層に貯蔵されたLi+イオンを含むことができるイオンが、CE層からIC層を通ってEC層に流れる。また、CE層およびEC層において電荷的中性を保つように、低電圧電源を含む外部回路の周囲でCE層からEC層に電子が流れる。イオンおよび電子のEC層への移動は、相補的ECデバイスにおけるEC層、および場合によりCE層の光学特性を変化させ、それによってエレクトロクロミックデバイスの着色、したがって透明性を変化させる。
【0003】
1つまたは複数の層、スタック、デバイスなどを含むことができる媒体の着色の変化は、媒体の「透過」の変化として説明され得る。本明細書で使用される場合、透過は、可視光を含むことができる電磁(EM)放射の媒体を通過する透過率を指し、媒体の「透過レベル」は、媒体の透過率を指すことができる。媒体が透過レベルを変化させる場合、媒体は、明確な透過状態(「完全透過レベル」)から、入射EM放射の割合が減少して媒体を通過する透過レベルに変化し得る。そのような透過レベルの変化は、媒体の着色を変化させ、透明度を変化させるなどの原因となり得る。例えば、完全透過レベルからより低い透過レベルに変化する媒体は、より不透明になり、着色がより暗くなるなどが観察され得る。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1A】いくつかの実施形態による、1つまたは複数のエレクトロクロミック(EC)デバイスおよび1つまたは複数の基板を含み得る例示的な装置の斜視図であり、少なくとも1つのECデバイスは、ランダム化アブレーションパターンによる表面アブレーションを含む。
図1B】いくつかの実施形態による、1つまたは複数のランダム化アブレーションパターンに従って配置された表面アブレーションを含む1つまたは複数の導電層を含み得る例示的なECデバイスの概略側面図である。
図1C】いくつかの実施形態による、1つまたは複数のランダム化アブレーションパターンに従って配置された表面アブレーションを含む1つまたは複数の導電層を含み得る別の例示的なECデバイスの概略側面図である。
図1D】いくつかの実施形態による、1つまたは複数のランダム化アブレーションパターンに従って配置された表面アブレーションを含む1つまたは複数の導電層を含み得るさらに別の例示的なECデバイスの概略側面図である。
図2】いくつかの実施形態による、距離特性にランダム化された変動を有する例示的なランダム化アブレーションパターンに修正され得る例示的な非ランダム化アブレーションパターンを示す図である。
図3】いくつかの実施形態による、配向特性のランダム化された変動を有する例示的なランダム化アブレーションパターンを示す図である。
図4】いくつかの実施形態による、複数の幾何学的特性(例えば、距離特性のランダム化された変動および配向特性のランダム化された変動)におけるランダム化された変動を有する例示的なランダム化アブレーションパターンを示す図である。
図5】いくつかの実施形態による、形状特性におけるランダム化された変動を有する例示的なランダム化アブレーションパターンの一部を示す図である。
図6】いくつかの実施形態による、ランダム化アブレーションパターンに少なくとも部分的に基づいて異なるシート抵抗の領域で構造化された例示的なECフィルムスタックおよび導電層の斜視図である。
図7】いくつかの実施形態による、ランダム化アブレーションパターンによる表面アブレーションでECデバイスを構造化する例示的な方法のフローチャートである。
図8】いくつかの実施形態による、ランダム化アブレーションパターンを決定する例示的な方法のフローチャートである。
図9】いくつかの実施形態で使用され得る例示的なコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本明細書に記載の様々な実施形態は、様々な修正および代替形態の影響を受けやすい。特定の実施形態は、例として図面に示されており、本明細書で詳細に説明される。しかしながら、図面およびその詳細な説明は、本開示を開示された特定の形態に限定することを意図するものではなく、反対に、その意図は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に入るすべての修正、均等物および代替物を網羅することであることを理解されたい。本明細書で使用される見出しは、構成上の目的のためだけであり、説明または特許請求の範囲を限定するために使用されることを意味しない。本出願を通して使用される場合、「may」という単語は、必須の意味(すなわち、mustを意味する)ではなく、許容的な意味(すなわち、可能性があることを意味する)で使用される。同様に、「含む(include)」、「含む(including)」、および「含む(includes)」という単語は、含むことを意味するが、これに限定されない。
【0006】
様々な実施形態が、エレクトロクロミック(EC)デバイスに関連して使用され得るパターンの制御されたランダム化に関する。例えば、本明細書に開示される様々な技術は、ランダム化アブレーションパターンによるECデバイスのレーザアブレーション面(複数可)に関する。一般に、ECスタックのフィルム(および/または層)の選択的アブレーションは、フィルムの特性および性能を局所的に変更することができる。例えば、アブレーションは、より均一でより速いECスイッチングを生成するために、導電層の抵抗を変化させることができる。しかしながら、非ランダム化アブレーションパターンは、目に見える(例えば、人間の目によって観察可能である)可能性があり、光を散乱させる可能性があり、これは望ましくない場合がある。さらに、非ランダム化アブレーションパターンは、光をレインボーパターンに回折させる可能性があり、これは望ましくない場合がある。そのような望ましくない光学効果は、本明細書に開示される制御されたランダム化アブレーションパターンを使用することによって回避され得る。
【0007】
様々な実施形態によれば、ECデバイスは、ECフィルムスタックおよび導電層を含み得る。例えば、導電層は、ECフィルムスタックの両側に位置する上部導電層および下部導電層を含んでもよい。1つまたは複数の導電層は、ランダム化アブレーションパターンによる表面アブレーションを含んでもよい。いくつかの非限定的な例では、ランダム化アブレーションパターンは、セグメントのグループの1つまたは複数の幾何学的特性のランダム化された変動を含み得る。いくつかの例では、幾何学的特性は、距離特性(例えば、セグメント間の距離)、配向特性(例えば、セグメントの向き)、および/または形状特性(例えば、セグメントの形状)を含み得る。さらに、いくつかの実施形態では、セグメントの一部または全部は開ループセグメントであってもよい。
【0008】
いくつかの非限定的な実施形態では、セグメントのグループは、非ランダム化アブレーションパターンを形成し得、幾何学的特性のランダム化された変動を使用して、非ランダム化アブレーションパターンをランダム化アブレーションパターンに修正(または「変換」)し得る。いくつかの実施形態では、ランダム化された変動は、非ランダム化アブレーションパターンからのセグメントの幾何学的特性のデジタル的にランダム化された変動を含み得る。ランダム化アブレーションパターンは、ランダム化された変動を含まない非ランダム化アブレーションパターンと比較して、表面アブレーションに入射する光の回折および/または散乱を低減するように構成され得る。
【0009】
本明細書で使用される場合、ECデバイス、導電層などを「構成する(configuring)」ことは、ECデバイス、導電層などを「構造化する(structuring)」ことと交換可能に称することができる。何かを行う「ように構成された(configured to)」ECデバイス導電層などは、何かを行う「ように構造化された(structured)」、何かを行う「ように構造的に構成された(structurally configured)」ECデバイス導電層などと交換可能に称することができる。
【0010】
図1Aは、1つまたは複数のECデバイスおよび1つまたは複数の基板を含み得る例示的な装置100の斜視図を示しており、少なくとも1つのECデバイスは、ランダム化アブレーションパターン(例えば、図1B図8を参照して本明細書でさらに説明する)による表面アブレーションを含む。例えば、装置100は、基板104上に配置されたECデバイス102aを含み得る。様々な実施形態によれば、ECデバイス102aは、ECフィルムスタック106と、ECフィルムスタック106の両側の導電層(例えば、上部導電層108aおよび下部導電層110a)とを含み得る。いくつかの実施形態では、対向する導電層108aおよび110aに印加される別々の電圧は、ECフィルムスタック106にわたって電位差を誘発することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、装置100の1つまたは複数の層は、1つまたは複数のランダム化アブレーションパターンによる表面アブレーション112を含み得る。図1Aは、ランダム化アブレーションパターンによる表面アブレーション112を有する上部導電層108aの一例を示している。しかしながら、様々な非限定的な例では、上部導電層108aおよび/または下部導電層110aは、例えば図1B図1Dに示すように、1つまたは複数のランダム化アブレーションパターンによる表面アブレーション112を含み得る。
【0012】
少なくとも図2図5を参照して本明細書でさらに詳細に説明するように、ランダム化パターン(複数可)は、セグメント(例えば、表面アブレーションに対応する)および1つまたは複数の幾何学的特性(例えば、距離、向き、形状など)のランダム化された変動を含み得る。様々な実施形態では、セグメントの一部または全部は、「開ループ」セグメントであり得る。本明細書で使用される場合、「開ループ」セグメント(または「開ループ」表面アブレーション)は、アブレーションされた表面の一部(複数可)を電気的に絶縁しないアブレーションに対応するセグメントを指す。対照的に、「閉ループ」セグメント(または「閉ループ」表面アブレーション)は、アブレーションされた表面の一部(複数可)を電気的に絶縁するアブレーションに対応するセグメントを指す。様々な実施形態では、ランダム化アブレーションパターン(複数可)は、互いに交差しないセグメントを含み得る。
【0013】
図1B図1Dはそれぞれ、いくつかの実施形態による、1つまたは複数のランダム化アブレーションパターンに従って配置された表面アブレーションを含む1つまたは複数の導電層を含み得る例示的なECデバイス102b~102dの概略側面図である。図1Bでは、上部導電層108bは、ランダム化アブレーションパターン(例えば、図1Aに示すECデバイス102aの実施形態と同様である)に従って配置された表面アブレーションを含み得る。いくつかの実施形態では、下部導電層108bは表面アブレーションを含まなくてもよい。図1Cでは、下部導電層110cは、ランダム化アブレーションパターンに従って配置された表面アブレーションを含み得る。いくつかの実施形態では、上部導電層108cは表面アブレーションを含まなくてもよい。図1Dでは、上部導電層108dおよび下部導電層110dの両方は、1つまたは複数のランダム化アブレーションパターンに従って配置された表面アブレーションを含み得る。いくつかの実施形態では、表面アブレーションを含む図1A図1Dの導電層は、複数の異なる領域を有してもよく、そのサブセットは表面アブレーションを含み、その別のサブセットは表面アブレーションを含まない。追加的または代替的に、表面アブレーションを含む図1A図1Dの導電層は、表面アブレーションの異なるランダム化パターンを有する複数の異なる領域を有してもよい。上部導電層108b~108dおよび下部導電層110b~110dは、様々な実施形態において、ECフィルムスタック106の両側に位置してもよい。
【0014】
ECフィルムスタック106は、対向電極(CE)層114、エレクトロクロミック(EC)層116、およびそれらの間のイオン伝導(IC)層118を含み得る。いくつかの実施形態において、CE層114またはEC層116の一方は、特に陽極(またはそれぞれ陰極)エレクトロクロミック材料から作製された、1つもしくは複数のH+、Li+、D+、Na+、K+を含むカチオンまたは1つもしくは複数OH-を含むアニオンなどのイオンを可逆的に挿入するように構造化され得、CE層114またはEC層116の他方は、特に陰極(またはそれぞれ陽極)エレクトロクロミック材料で作られた、前記イオンを可逆的に挿入する構造であってもよい。IC層118は、いくつかの実施形態では、電解質層を含むように構造化されてもよい。ECフィルムスタック106は、CE層114またはEC層116のうちの少なくとも一方が、陽極または陰極エレクトロクロミック材料で作製された層を含む前記イオンを可逆的に挿入するように構造化されていてもよく、前記活性層を電気化学的に分解することなくすべてのイオンが挿入されることを可能にするのに十分な厚さを有すること、電解質機能を有するIC層118が、酸化タンタル、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化アンチモン、酸化ニオブ、酸化クロム、酸化コバルト、酸化チタン、酸化スズ、酸化ニッケル、アルミニウムと任意選択で合金化された酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、アルミニウムと任意選択で合金化された酸化ケイ素、アルミニウムまたはホウ素と任意選択で合金化された窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、アルミニウムと任意選択で合金化された酸化バナジウム、および酸化スズ亜鉛から選択される材料に基づく少なくとも1つの層を含み、これらの酸化物の少なくとも1つは、任意選択で水素化または窒化されていること、CE層114またはEC層116の1つまたは複数が、単独または混合物として、タングステンW、ニオブNb、スズSn、ビスマスBi、バナジウムV、ニッケルNi、イリジウムIr、アンチモンSbおよびタンタルTaの酸化物の化合物の少なくとも1つを含むこと、任意選択でチタン、レニウムまたはコバルトなどの追加的金属を含むこと、およびEC層116またはCE層114の1つまたは複数の厚さが70~250um、150~220umなどであることを特徴とし得る。
【0015】
EC層116は、酸化タングステンを含む様々な材料を含むことができる。CE層114は、1つまたは複数の酸化ニッケルタングステンを含む様々な材料を含むことができる。IC層118は、1つまたは複数の酸化ケイ素を含む様々な材料を含むことができる。充電は、リチウムイオンを含む様々な充電された電解質種を含むことができる。IC層118は、層領域、多層領域、界面領域、それらの何らかの組み合わせなどを含むことができる。界面領域を含むIC層118は、1つまたは複数のEC層116またはCE層114のうちの1つまたは複数の構成材料を含むことができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、ECフィルムスタック106の各層は、カチオンおよび電子を可逆的に挿入することができ、これらの挿入/抽出の結果としてのそれらの酸化度の修正は、その光学特性および/または熱特性の修正をもたらす。特に、可視および/または赤外線の波長でそれらの吸収および/または反射を変調することが可能である。ECフィルムスタック106は、電解質がポリマーまたはゲルの形態であるECデバイス(例えば、図1A図1DのECデバイス102a~102d)に含めることができる。例えば、プロトン伝導性ポリマー、またはリチウムイオンによって伝導する伝導性ポリマーであり、システムの他の層は一般に無機性である。別の例では、ECフィルムスタック106は、スタックの電解質および他の層が無機性であるECデバイスに含めることができ、これは「全固体」システムという用語で呼ばれることがある。別の例では、ECフィルムスタック106は、層のすべてがポリマーに基づくECデバイスに含めることができ、これは「全ポリマー」システムという用語で表すことがある。
【0017】
ECフィルムスタック106が「休止」状態にあり、ECフィルムスタック106を含むECデバイスが完全透過状態にあると見なされる場合、電荷はCE層114に存在し、それを減少させ、それを非常に透明にする。デバイスが切り替えられると、ECデバイス内のECフィルムスタック106の両側の導電層にわたって電位差を誘起することによって、リチウムイオンを含む電荷がCE層114からEC層116に移動し、それによってECスタックの透過レベルが変化する。いくつかの実施形態では、リチウムイオンの一部は、(より大きいことによって、またはCE層114の分子格子構造内でより強く結合することによって)リチウムイオンと比較して、CE層114を依然として還元するが比較的低い輸送速度を有する別の荷電電解質種で置き換えられる。結果として、CE層114の1つまたは複数の領域による透過レベル切り替えのレートおよび量を調整することができる。CE層領域による透過レベル切り替えのレートおよび量を調整することは、対応するEC層116による透過レベル切り替えのレートおよび量を調整することを含む。
【0018】
様々な輸送速度を有する電荷電解質種は、希土類およびアルカリ金属を含むことができる。これらは、リチウムよりも重いかまたはより強く結合した種であり、例えば、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、およびラジウムを含み得る。
【0019】
例えば、いくつかの実施形態では、ECフィルムスタック106のCE層114は、ITOを含む透明導電層を含むことができる導電層上に堆積することができ、様々な異なる荷電電解質種を別々のCE層領域に導入、注入などすることができる。例えば、マグネシウムイオンを1つまたは複数のCE層領域に注入することができ、ナトリウムイオンを1つまたは複数の他のCE層領域に注入することができる。本開示を通して論じられているように、イオン注入のパターン、深さ、および投与量を制御することができることを理解されたい。例えば、アルミニウムフォイルマスキングを利用して、CE層領域のパターンを1つまたは複数の特定の荷電電解質種の注入に選択的に露出させることができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、ECフィルムスタック106の1つまたは複数の部分の加熱は、ECデバイスの一部を通して誘導される電流、電位差などを介して可能にされる。電位差は、所与の導電層(例えば、図6を参照)に結合された2つ以上の電極間の電位差を介してECデバイスの1つまたは複数の部分を通して誘導され得る。このような誘導電位差は、導電層に電流を流すことができる。いくつかの実施形態では、導電層に電流を流すと、電流が流れる導電層の領域の抵抗に少なくとも部分的に基づいて、導電層の1つまたは複数の領域で熱が生成される。導電層は、1つまたは複数の表面アブレーション(例えば、本明細書に開示される1つまたは複数のランダム化アブレーションパターンに従って配置された表面アブレーション)および/または電流に対する1つまたは複数の様々なレベルの抵抗を含む様々な化学種を含むことができる。結果として、導電層の1つまたは複数の領域に電流を流すことは、1つまたは複数の領域における導電層の抵抗に少なくとも部分的に基づいて、1つまたは複数の領域における発熱をもたらすことができる。
【0021】
導電層の領域を加熱することは、例えば、図6を参照して本明細書で同様に説明するように、ECデバイスのECフィルムスタック106の1つまたは複数の領域を加熱することをもたらすことができる。ECフィルムスタック106のそのような領域は、加熱される導電層の領域に対応する領域を含むことができる。例えば、導電層領域で発生した熱を、導電層が結合されたECフィルムスタック106に分配することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、電流が誘導されて導電層の1つまたは複数の領域(本明細書では導電層領域とも呼ばれる)を加熱する導電層はまた、ECデバイスのECフィルムスタック106にわたる電位差を誘導して、ECフィルムスタック106の1つまたは複数の領域(「EC領域」)に透過レベルを変化させるために使用される。少なくとも2つの導電層の間でECフィルムスタック106にわたって電位差を誘起することと、所与の導電層にわたって別個の電位差を誘起することによって導電層のうちの一方の1つまたは複数の領域を加熱することとは、同時に行うことができる。そのような同時電流誘導は、対向する導電層の間でECフィルムスタック106にわたって直流を誘導し、導電層のうちの一方にわたって交流を誘導することに少なくとも部分的に基づいて可能にすることができ、交流の周波数は、少なくとも部分的に交替に基づいてECフィルムスタック106が透過レベルを切り替えることを妨げるのに十分に高い。このような十分に高いスイッチング周波数は、いくつかの実施形態では、100ヘルツ以上のスイッチング周波数を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、ECデバイスのEC領域、導電層領域などの各々は、同じまたは異なるサイズ、体積、および/または表面積を有することができる。他の実施形態では、EC領域、導電層領域などの各々は、同じまたは異なる形状(湾曲または円弧形状を含む)を有してもよい。
【0024】
図2は、いくつかの実施形態による、距離特性にランダム化された変動を有する例示的なランダム化アブレーションパターン200bに修正され得る例示的な非ランダム化アブレーションパターン200aを示している。非ランダム化アブレーションパターン200aおよびランダム化アブレーションパターン200bは、セグメント202のグループを含み得る。セグメント202の各々は、ECデバイス(例えば、図1A図1DのECデバイス102a~102d)が構造化され得るそれぞれの表面アブレーションを表すことができる。図2に示す例示的なXY座標系は、非ランダム化アブレーションパターン200aおよびランダム化アブレーションパターン200bの態様を説明するために使用され、本開示全体を通して実施形態を説明するために使用され得る。
【0025】
セグメント202は、いくつかの非限定的な実施形態では、形状が直線状であってもよい。しかしながら、非ランダム化アブレーションパターン200aおよび/またはランダム化アブレーションパターン200bは、追加的または代替的に、1つまたは複数の他の形状(例えば、曲線、直線と曲線の組み合わせなど)のセグメント202を含んでもよい。様々な実施形態によれば、セグメント202は、アブレーションされた表面の一部(複数可)を電気的に絶縁しないアブレーションに対応する開ループセグメントを含み得る。対照的に、「閉ループ」セグメントは、アブレーションされた表面の一部(複数可)を電気的に絶縁するアブレーションに対応するセグメントを含み得る。様々な実施形態では、非ランダム化アブレーションパターン200aおよび/またはランダム化アブレーションパターン200bは、互いに交差しないセグメント202を含み得る。
【0026】
様々な実施形態によれば、ランダム化アブレーションパターン200bは、セグメント202の1つまたは複数の幾何学的特性にランダム化された変動を有し得る。例えば、ランダム化されたアブレーションパターン200bは、X軸方向におけるセグメント202間の距離などの距離特性のランダム化された変動を含み得る。
【0027】
図2に示す非限定的な例では、非ランダム化アブレーションパターン200aは、長さ5mmの開ループセグメント、例えば直線セグメント202の規則的なパターンを含み得る。この非限定的な例では、非ランダム化アブレーションパターン200aのセグメント202は、X軸方向およびY軸方向のそれぞれにおいて1mmの距離だけ互いに離間していてもよい。非ランダム化アブレーションパターン200aと比較して、ランダム化アブレーションパターン200bは、セグメント202間の距離に対して25%のランダム化された変動を含んでもよく、これは、この非限定的な例では、X軸方向におけるセグメント202間の1mmの距離の25%の変動と考えることができる。いくつかの例では、数値(例えば、25%のランダム化された変動におけるパーセンテージ)は、セグメント(それに対応して、表面アブレーション)の1つまたは複数の幾何学的特性(例えば、距離特性)の変動の程度を制限する境界制約値と考えることができる。例えば、各セグメント202について、-1(-X方向の1mmの距離)と+1(+X方向の1mmの距離)との間の値がランダムに選択され得、ランダムに選択された値に0.25を乗算して(25%の変動を実施するために)、セグメントを(非ランダム化アブレーションパターン200a内の)その「元の」位置からどのようにシフト/平行移動させて、非ランダム化アブレーションパターン200aをランダム化アブレーションパターン200bに変換するかを決定し得る。-0.5が特定のセグメントのランダムに選択された値である非限定的な例では、そのセグメントは-X方向に0.125mm(-0.5mmの25%)だけシフトされてもよい。+1が特定のセグメントのランダムに選択された値である別の非限定的な例では、そのセグメントは+X方向に0.25mm(1mmの25%)だけシフトされてもよい。いくつかの例では、ランダム化された変動は、非ランダム化アブレーションパターン200aからのセグメント202間の平均中心点間距離(または「ピッチ」)が、例えば、この非限定的な実施形態では1mmに維持されるように実施され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、非ランダム化アブレーションパターン200aおよび/またはランダム化アブレーションパターン200bは、例えば、コンピューティングデバイス(複数可)上で実行される1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションを介して、1つまたは複数のコンピューティングデバイス(例えば、図9のコンピュータシステム900)を使用してデジタル的に生成され得る。いくつかの例によれば、非ランダム化アブレーションパターン200aおよび/またはランダム化アブレーションパターン200bは、対応する表面アブレーションで構造化される特定のECデバイス(複数可)に関連する1つまたは複数の設計パラメータ(例えば、シート抵抗、透過率、サイズなど)に少なくとも部分的に基づいて決定され得る。さらに、ランダム化アブレーションパターン200bのランダム化された変動は、非ランダム化アブレーションパターン200aに少なくとも部分的に基づいて決定され得る。
【0029】
いくつかの非限定的な例では、複数の異なるランダム化された変動(例えば、異なる変動の程度/パーセンテージおよび/または異なる幾何学的特性の組み合わせ)を使用して、対応する表面アブレーションで構造化されるECデバイスの特定の設計/用途に適した1つまたは複数のランダム化アブレーションパターンを決定するために(例えば、コンピューティングデバイス(複数可)を使用して)分析された候補のランダム化アブレーションパターンを生成し得る。いくつかの実施形態によれば、「最良の」ランダム化アブレーションパターンは、例えば、分析および/または1つまたは複数の選択基準に少なくとも部分的に基づいて、候補のランダム化アブレーションパターンから選択され得る。いくつかの実施形態では、分析は、候補のランダム化アブレーションパターンに関連する回折および/または散乱パターンをシミュレートするための高速フーリエ変換(FFT)分析を含み得る。そのようなFFT分析は、回折および/または散乱パターン(複数可)の1つまたは複数のシミュレートされた視覚的表現を生成および分析すること、ならびに/あるいはX軸方向および/またはY軸方向に関する回折および/または散乱ピークを示す1つまたは複数のプロットを生成することを含み得る。いくつかの実施形態では、ランダム化アブレーションパターンの選択は、回折および/または散乱ピークを最小化する目的に少なくとも部分的に基づいてもよい。
【0030】
追加的または代替的に、幾何学的特性のランダム化された変動の複数の異なる組み合わせを決定および/または分析する際に、1つまたは複数の機械学習アルゴリズムが使用されてもよい。例えば、いくつかの非限定的な実施形態では、1つまたは複数のニューラルネットワークを使用して、ランダム化された変動の複数の異なる組み合わせをチェックして、候補のランダム化アブレーションパターンを決定し、および/または対応する表面アブレーションで構造化されるECデバイスの特定の設計/用途に適したランダム化アブレーションパターンを選択してもよい。
【0031】
非ランダム化アブレーションパターンおよびランダム化アブレーションパターンを決定および/または生成するための技術に関するこの議論は、図2を参照して説明した実施形態に限定されないことを理解されたい。これらの技術は、非ランダム化パターンおよび/またはランダム化パターンの様々な他の実施形態、例えば、図3図8を参照して本明細書で説明したものに利用され得る。
【0032】
図3は、いくつかの実施形態による、配向特性のランダム化された変動を有する例示的なランダム化アブレーションパターン300を示している。様々な実施形態によれば、ランダム化アブレーションパターン300は、セグメント302のグループを含み得る。セグメント302の各々は、ECデバイス(例えば、図1のECデバイス102)が構造化され得るそれぞれの表面アブレーションを表すことができる。
【0033】
セグメント302は、いくつかの非限定的な実施形態では、形状が直線状であってもよい。しかしながら、ランダム化アブレーションパターン300は、追加的または代替的に、1つまたは複数の他の形状(例えば、曲線、直線と曲線の組み合わせなど)のセグメント302を含んでもよい。様々な実施形態によれば、セグメント302は、アブレーションされた表面の一部(複数可)を電気的に絶縁しないアブレーションに対応する開ループセグメントを含み得る。様々な実施形態では、ランダム化アブレーションパターン300は、互いに交差しないセグメント302を含み得る。
【0034】
様々な実施形態によれば、ランダム化アブレーションパターン300は、セグメント302の1つまたは複数の幾何学的特性にランダム化された変動を有し得る。例えば、ランダム化アブレーションパターン300は、X軸方向および/またはY軸方向に対するセグメント302の角度などの配向特性のランダム化された変動を含み得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、セグメント302のグループは、非ランダム化アブレーションパターンからのセグメントのグループに関連付けられ得る。いくつかの非限定的な例を説明する目的で、図2を参照して上述した非ランダム化アブレーションパターン200aは、図3および図4に関して以下の説明でも参照される。前述のように、非ランダム化アブレーションパターン200aは、長さ5mmの開ループセグメント、例えば直線セグメント202の規則的なパターンを含み得る。非ランダム化アブレーションパターン200aのセグメント202は、X軸方向およびY軸方向のそれぞれにおいて1mmの距離だけ互いに離間していてもよい。非ランダム化アブレーションパターン200aと比較して、ランダム化アブレーションパターン300は、図3に示す非限定的な実施形態におけるセグメント302の配向角の5%のランダム化された変動を含み得る。非限定的な例では、各セグメント302について、(Y軸に対して)-90度と(Y軸に対して)+90度との間の値がランダムに選択され得、ランダムに選択された値に(5%の角度変動を実施するために)0.05を乗算して、セグメントを(非ランダム化アブレーションパターン200a内の)その「元の」位置からどのように回転させて、非ランダム化アブレーションパターン200aをランダム化アブレーションパターン300に変換するかを決定し得る。-40度が特定のセグメントのランダムに選択された値である非限定的な例では、そのセグメントは-2度(-40度の5%)だけ(例えば、その中心点を中心として反時計回りに)回転されてもよい。+60度が特定のセグメントのランダムに選択された値である別の非限定的な例では、そのセグメントは+3度(+60度の5%)だけ(例えば、その中心点を中心として時計回りに)回転されてもよい。
【0036】
図4は、いくつかの実施形態による、複数の幾何学的特性(例えば、距離特性のランダム化された変動および配向特性のランダム化された変動)におけるランダム化された変動を有する例示的なランダム化アブレーションパターン400を示している。様々な実施形態によれば、ランダム化アブレーションパターン400は、セグメント402のグループを含み得る。セグメント402の各々は、ECデバイス(例えば、図1のECデバイス102)が構造化され得るそれぞれの表面アブレーションを表すことができる。
【0037】
セグメント402は、いくつかの非限定的な実施形態では、形状が直線状であってもよい。しかしながら、ランダム化アブレーションパターン400は、追加的または代替的に、1つまたは複数の他の形状(例えば、曲線、直線と曲線の組み合わせなど)のセグメント402を含んでもよい。様々な実施形態によれば、セグメント402は、アブレーションされた表面の一部(複数可)を電気的に絶縁しないアブレーションに対応する開ループセグメントを含み得る。様々な実施形態では、ランダム化アブレーションパターン400は、互いに交差しないセグメント402を含み得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、セグメント402のグループは、非ランダム化アブレーションパターンからのセグメントのグループに関連付けられ得る。例えば、前述のように、非ランダム化アブレーションパターン200aは、長さ5mmの開ループセグメント、例えば直線セグメント202の規則的なパターンを含み得る。非ランダム化アブレーションパターン200aのセグメント202は、X軸方向およびY軸方向のそれぞれにおいて1mmの距離だけ互いに離間していてもよい。様々な実施形態によれば、ランダム化アブレーションパターン400は、距離特性のランダム化された変動および配向特性のランダム化された変動を含み得る。各幾何学的特性のそれぞれの変動の程度(例えば、上記の例のようなパーセンテージ)は、互いに異なっていてもよい。非限定的な例では、非ランダム化アブレーションパターン200aと比較して、ランダム化アブレーションパターン400は、例えば、図4に示すように、距離特性に対して10%の距離変動、および配向特性に対して2%の角度変動を含み得る。
【0039】
図5は、いくつかの実施形態による、形状特性のランダム化された変動を有する例示的なランダム化アブレーションパターン500の一部を示している。ランダム化アブレーションパターン500は、セグメント502のグループを含み得る。セグメント502の各々は、ECデバイス(例えば、図1のECデバイス102)が構造化され得るそれぞれの表面アブレーションを表すことができる。
【0040】
セグメント502は、いくつかの実施形態では曲線形状であってもよい。しかしながら、ランダム化アブレーションパターン500は、追加的または代替的に、1つまたは複数の他の形状(例えば、直線、直線と曲線の組み合わせなど)のセグメント502を含んでもよい。様々な実施形態によれば、セグメント502は、アブレーションされた表面の一部(複数可)を電気的に絶縁しないアブレーションに対応する開ループセグメントであってもよい。様々な実施形態では、ランダム化アブレーションパターン500は、互いに交差しないセグメント502を含み得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、ランダム化アブレーションパターン500は、セグメント502に特徴的な形状のランダム化された変動を含み得る。例えば、図5に示す非限定的な例に示すように、セグメント502は、ランダムに変化する周波数の正弦波を含み得る。セグメント502の他の形状特性は、追加的または代替的に、様々な実施形態において変更されてもよい。
【0042】
上述したように、ECデバイスの導電層をレーザアブレーションすることにより、導電層の1つまたは複数の領域のシート抵抗を変化(例えば、増加)させることができる。場合によっては、ECスイッチング挙動(例えば、より速いECスイッチング、より均一なECスイッチング、異なる領域での異なるECスイッチング挙動など)を修正するために、1つまたは複数の導電層のシート抵抗を修正することが望ましい場合がある。図6は、いくつかの実施形態による、ランダム化アブレーションパターンに少なくとも部分的に基づいて異なるシート抵抗の領域で構造化された例示的なECフィルムスタックおよび導電層の斜視図を示している。
【0043】
ECデバイス600は、ECフィルムスタック604に結合された導電層602を含み得る。いくつかの実施形態では、ECデバイス600の一部または全部は、図1A図1Dに示されるECデバイス102a~102dを含む、本明細書の他の場所に示され開示されるECデバイスの1つまたは複数の部分に含まれてもよい。いくつかの実施形態では、導電層602は、1つまたは複数の絶縁層、結合層、カプセル化層、反射防止層、赤外線遮断フィルタ層、遮蔽層、それらの何らかの組み合わせなどを含む1つまたは複数の中間層を介してECフィルムスタック604に結合されてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、導電層602は、電流に対する異なる抵抗(本明細書では「シート抵抗」とも呼ばれる)を有する異なる層領域を含むように表面アブレーション(図示せず)で構造化されてもよい。例えば、図示の実施形態では、導電層602は、領域606、608A~608B、および610A~610Bを含んでもよく、領域606および610A~610Bは、導電層602に結合された電極612Aと612Bとの間に位置する。いくつかの実施形態では、領域606は、ECデバイス400が選択的に加熱するように構造化される特定の限定された領域であってもよく、電極612A~612Bは、領域606の一組の境界まで延在するように構造化され得、図示のように、電極612A~612Bは、導電層602を通る領域606の幅の間に延在するが、導電層602の全幅に沿っては延在しない。結果として、電極612A~612Bは、この非限定的な例では領域608A~608Bを結合せず、電極612Aと612Bとの間の誘導電位差に少なくとも部分的に基づいて、導電層602を通って流れる電流は、より均一に、いくつかの実施形態では、主に、導電層602の領域610A~610Bおよび606を通って流れることができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、領域606が特定の限定された領域であり、領域610A~610Bおよび608A~608Bが残りの領域である場合、領域610A~610Bは、領域606のシート抵抗よりも小さいシート抵抗を有するように構造化され得る。同様に、いくつかの実施形態では、領域606は、少なくとも領域610A~610Bのシート抵抗よりも大きいシート抵抗を有するように構造化され得る。領域606に対して領域610A~610Bが低減されたシート抵抗を有する導電層602は、電極612Aと612Bとの間の領域610A~610Bおよび606を通る電流の均一性を高めることができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、領域610A~610Bのシート抵抗は、領域608A~608Bのうちの1つまたは複数のシート抵抗よりも小さくてもよい。シート抵抗のこのような変動は、いくつかの実施形態では、領域608A~608Bおよび610A~610Bが共通または同様のシート抵抗を有する実施形態と比較して、領域606を通る電流の均一性の増加をもたらすことができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、領域606は、少なくとも領域610A~610Bのシート抵抗と比較して、より大きなシート抵抗を有するように構造化され、電極612Aと612Bとの間に電位差が誘発されたとき、領域610A~610Bよりも領域606を加熱する(すなわち、領域606の「強化された加熱」)ように導電層602を構造化し得る。さらに、領域606のシート抵抗が少なくとも領域610A~610Bのシート抵抗よりも大きい場合、領域606および610A~610Bが共通のシート抵抗を有する実施形態と比較して、領域606を流れる電流の均一性、したがって領域606の加熱を増加させることができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、導電層の様々な領域にわたるシート抵抗の変動は、様々な領域における導電層の1つまたは複数の特性の変動に少なくとも部分的に基づく。例えば、本明細書に開示されるように、1つまたは複数のランダム化アブレーションパターンに従って配置された表面アブレーションを使用して、導電層の異なる領域にわたってシート抵抗を変化させ得る。非限定的な実施形態では、領域606は、図2を参照して上述したランダム化アブレーションパターン200bによる表面アブレーションを含んでもよく、領域610A~610Bは表面アブレーションを含まなくてもよい。図3図5を参照して本明細書で説明したものを含む他のランダム化アブレーションパターンは、様々な実施形態においてECデバイス600の1つまたは複数の導電層を構造化するために使用され得る。
【0049】
追加的または代替的に、シート抵抗に影響を及ぼし得る導電層の様々な特性は、様々な領域における導電層の化学種組成の変動を含むことができる。化学種は、様々な異なる材料、物質、元素、化合物などを含むことができる。導電層の異なる領域は、1つまたは複数の様々な化学種の異なる分布を含むことができ、本明細書では1つまたは複数の様々な化学種の「別個の」分布とも呼ばれる。領域内の種の異なる分布は、1つまたは複数の異なる層領域の一部または全部にわたる種の密度の変動、1つまたは複数の異なる層領域の一部または全部にわたる種の濃度の変動、1つまたは複数の異なる層領域の一部または全部にわたって1つまたは複数の種が存在する導電層の深さの変動などを含むことができる。例えば、所与の化学種は、1つの特定の濃度で1つの導電層領域に存在し得るが、同じ化学種は別の濃度で別の導電層領域に存在し得る。所与の領域における種の所与の分布は変化することができる。例えば、1つの層領域内の所与の種の分布は、対向する境界間の正規分布に対応する、層領域の対向する境界間の種濃度の変動を含むことができる。領域内の種の異なる分布は、1つの領域に1つまたは複数の分布で存在する種と、異なる領域に存在しない種とを含むことができる。例えば、図示の実施形態では、領域610A~610Bは、金を含む少なくとも金属化学種で構成され得、領域606は、酸化インジウムスズ(ITO)を含む少なくとも1つの別個の化学種で構成され得る。異なる種は、異なる導電性、抵抗などを有することができ、例えば、金は、ITOよりも導電性種であり得、その結果、ITOを含む導電層領域は、金を含む別個の導電層領域よりも大きなシート抵抗を有する。別の実施形態では、領域610A~610BはITOから構成され得、領域606はITOから構成され得、酸素を含む1つまたは複数の酸化化学種の1つまたは複数の異なる分布からさらに構成され得、その結果、領域610A~610Bと比較して領域606のシート抵抗が大きくなる。
【0050】
化学種は、導電層領域のシート抵抗を調整するために、別の領域に対して導電層領域の酸化レベルを増加させる1つまたは複数の酸化種を含むことができる。導入され得る酸化種の非限定的な例は、酸素、窒素などを含むことができる。別の例では、様々な金属種の1つまたは複数を導入して、導電層領域内の電荷キャリア密度、電荷キャリア分布などを変化させることができる。そのような金属種の非限定的な例は、インジウム、スズ、金、それらの何らかの組み合わせなどを含むことができる。要するに、導電層領域内の電荷キャリア密度、電荷キャリア分布などを変化させることができる導電層領域内の1つまたは複数の化学種は、導電層領域のシート抵抗の調整をもたらすことができる。導電層領域内の化学種は、周知のイオン注入プロセスによって実施することができる1つまたは複数の化学種を含むことができる。
【0051】
導電層領域における化学種の導入は、イオン注入、マスクされたイオンビーム、集束されたイオンビームなどを含むことができる。化学種の分布は、様々な領域にわたって変化して、様々な導電層領域のシート抵抗を異なるように変化させることができる。例えば、イオン注入システムを使用して様々な領域に様々なイオンを注入する場合、イオン線量、イオンエネルギーレベル、イオン注入プロセスの数などの1つまたは複数を領域ごとに調整して、様々な領域で異なる化学種分布、電荷キャリア分布、電荷キャリア密度などを確立し、したがって様々な領域で異なるシート抵抗を確立することができる。いくつかの実施形態では、1または複数のイオン注入において、マスクされたイオンビーム、集束イオンビーム(FIB)などを使用して、特定のシート抵抗パターンを1つまたは複数の導電層領域に「引き込む」ことができる。いくつかの実施形態では、化学種「分布」は、導電層の1つまたは複数の領域にわたる、化学種密度、濃度、導電層の厚さを通る導入深さなどの1つまたは複数の変動を含み得る。例えば、導電層内に化学種が導入される深さは、導電層にわたって変化し得、導電層のシート抵抗は、化学種の深さの変動に応じて変化する。別の例では、導入された化学種の濃度、密度などは、導電層にわたって変化してもよく、導電層のシート抵抗は、化学種の濃度、密度などの変動に応じて変化する。
【0052】
いくつかの実施形態では、様々な導電層領域のシート抵抗は、空気または酸素含有ガス中で様々な導電層領域を高温に加熱することに少なくとも部分的に基づいて調整され得る。そのようなプロセスは、加熱中に様々な導電層領域を選択的に大気に暴露すること、レーザまたはキセノンフラッシュランプなどの方法を使用して特定のパターンで導電層を加熱することを含むことができる。導電層領域を高温に加熱することにより、その導電層領域を酸化する1つまたは複数の化学反応を可能にし、誘発などすることができる。いくつかの実施形態では、加熱は、特定の導電層領域が、異なる方法で加熱できる、全く加熱することができないなどの、他の導電層領域とは無関係に酸化されるようにパターン化される。結果として、1つまたは複数の様々な酸化パターンを作成することができ、したがって、導電層内にシート抵抗の1つまたは複数のパターンを確立し、その結果、シート抵抗パターンに対応する透過パターンに選択的に切り替わるようにECデバイスを構造化する。いくつかの実施形態では、導電層のさらなる酸化は、より高いシート抵抗をもたらす。いくつかの実施形態では、レーザアニールを使用して特定の導電層領域を加熱し、1つまたは複数の特定の「パターン」のシート抵抗を変化させることができる。いくつかの実施形態では、様々な導電層領域のシート抵抗は、1つまたは複数の大気圧で1つまたは複数の様々なガスの1つまたは複数の混合物などを含む、1つまたは複数の様々な雰囲気で様々な導電層領域を高温に加熱することに少なくとも部分的に基づいて調整され得る。いくつかの実施形態では、様々な導電層領域のシート抵抗は、真空中で様々な導電層領域を高温に加熱することに少なくとも部分的に基づいて調整され得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、様々な導電層領域のシート抵抗は、様々な導電層領域の相対的な厚さの調整に少なくとも部分的に基づいて調整され得る。例えば、様々な導電層領域のシート抵抗を調整するために、様々な導電層領域に追加の量の導電層材料を堆積させることができる。別の例では、1つまたは複数の除去プロセスを実施して、特定の導電層領域の導電層の厚さの少なくとも一部を選択的に除去して、様々な導電層領域のシート抵抗を調整することができる。除去プロセスは、レーザアブレーションプロセス、レーザ切断プロセス、エッチングプロセスなどのうちの1つまたは複数を含むことができる。所与の導電層領域に厚さを追加または除去することは、導電層領域内のシート抵抗分布がパターン化されるように、特定のパターンに従って導電層領域内の導電層材料を追加または除去することを含むことができる。そのようなパターニングは、いくつかの実施形態では、対応する透過パターンに選択的に切り替わるようにECデバイスを構造化することができる。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、所与の導電層領域に厚さを追加または除去することは、導電層材料および緩衝材料を含む導電層の均一な総厚を確立するために追加の緩衝材料を追加することを含むことができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、電極612Aと612Bとの間に電位差を誘起すると、導電層602の少なくとも特定の限定された領域606で発熱が生じる。そのような熱を、導電層602が結合されているECフィルムスタック604の1つまたは複数の部分に伝達することができる614。導電層602が1つまたは複数の追加のECデバイス層を介してECフィルムスタック604に結合されている場合、導電層602からECフィルムスタック604に伝達された熱614を、1つまたは複数の中間ECデバイス層を介して伝達することができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、導電層602の1つまたは複数の領域からECフィルムスタック604に伝達された熱614は、導電層602の1つまたは複数の領域に対応するECフィルムスタック604の1つまたは複数の特定の領域に伝達されてもよく、その結果、ECフィルムスタック604のこれらの特定の領域は、ECフィルムスタック604の他の領域に対して加熱される。例えば、図示の実施形態では、導電層の領域606で発生した熱は、導電層602の領域606からECフィルムスタック604の対応する領域616に伝達される614。対応する領域616は、ECデバイス600内の領域606と最後に部分的に重なるECフィルムスタック604の領域を含むことができる。例えば、図示の実施形態では、領域606および616は、ECデバイス600内で少なくとも部分的に垂直に重なり、その結果、領域616は、導電層602の領域606にECフィルムスタック604の最も近い領域を含み、導電層602の領域606からECデバイス600の他の層に下方に伝達される熱は、領域618に対してECフィルムスタック604の領域616で主に受け取られる。いくつかの実施形態では、ECフィルムスタックの1つまたは複数の領域に伝達された熱は、ECフィルムスタック全体に伝導され、それにより、ECフィルムスタックの一部または全部は、ECフィルムスタックの1つまたは複数の特定の領域に伝達された熱に少なくとも部分的に基づいて加熱される。
【0057】
図7および図8は、ECデバイス(例えば、図1A図1DのECデバイス102a~102d)を構造化する例示的な方法のフローチャートを提供する。方法は、フローチャートで提供されたものよりも少ないまたは多い動作を含み得ることを理解されたい。さらに、フローチャートの番号順は、必ずしも動作が実行されるべき順序を示すとは限らない。様々な実施形態によれば、方法の動作の一部または全部は、少なくとも部分的に、1つまたは複数のコンピューティングデバイス(例えば、図9のコンピューティングシステム900)を使用して実施され得る。
【0058】
図7は、いくつかの実施形態による、ランダム化パターン(例えば、ランダム化アブレーションパターン)を有するECデバイスを構造化する例示的な方法700のフローチャートである。702において、方法700は、ECデバイスの表面輪郭を変更するために、例えばECデバイスの導電層の表面輪郭を変更するために、ランダム化パターンを決定するステップを含み得る。いくつかの実施形態では、ランダム化パターンは、例えば、コンピューティングデバイス(複数可)上で実行される1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションを介して、1つまたは複数のコンピューティングデバイスを使用してデジタル的に生成され得る。いくつかの例によれば、非ランダム化パターンは、構造化されるべき特定のECデバイス(複数可)に関連付けられた1つまたは複数の設計パラメータ(例えば、シート抵抗、透過率、サイズなど)に少なくとも部分的に基づいて決定され得る。さらに、ランダム化パターンのランダム化された変動は、非ランダム化パターンに少なくとも部分的に基づいて決定されてもよい。
【0059】
704において、方法700は、ランダム化パターンに従ってECデバイスの表面輪郭を変更するステップを含み得る。例えば、表面輪郭は、ECデバイスの1つまたは複数の特性に対する局所的な修正を実施するように、減法製造または付加製造のうちの少なくとも一方を介して変更されてもよい。例えば、導電層のシート抵抗を、導電層の厚さの調整に少なくとも部分的に基づいて調整することができる。例えば、追加の量の導電層材料を堆積させて(例えば、付加製造を介して)、導電層のシート抵抗を調整することができる。別の例では、1つまたは複数の除去プロセス(例えば、減法製造)を実施して、導電層の厚さの少なくとも一部を選択的に除去して、導電層のシート抵抗を調整することができる。除去プロセスは、レーザアブレーションプロセス、レーザ切断プロセス、エッチングプロセスなどのうちの1つまたは複数を含むことができる。所与の導電層領域に厚さを追加または除去することは、例えば、図6を参照して本明細書でも説明されるように、導電層領域内のシート抵抗分布がパターン化されるように、特定のパターンに従って導電層領域内の導電層材料を追加または除去することを含むことができる。そのようなパターニングは、いくつかの実施形態では、対応する透過パターンに選択的に切り替わるようにECデバイスを構造化することができる。
【0060】
表面輪郭を変更することにより、ランダム化パターン(例えば、ランダム化アブレーションパターン)に従って配置された特徴(例えば、表面アブレーション)を含む変更された表面輪郭を生成し得る。ランダム化パターンは、いくつかの実施形態では、非ランダム化パターンからの複数のセグメントの少なくとも1つの幾何学的特性のランダム化された変動を含み得る。ランダム化パターンは、非ランダム化パターンと比較して、フィーチャに入射する光の回折および/または散乱を低減するように構成され得る。
【0061】
図8は、いくつかの実施形態による、ランダム化アブレーションパターンによる表面アブレーションでECデバイスを構造化する例示的な方法800のフローチャートである。802において、方法800は、1つまたは複数の候補のランダム化アブレーションパターンを決定するステップを含み得る。いくつかの実施形態では、非ランダム化アブレーションパターンおよび/またはランダム化アブレーションパターンは、例えば、コンピューティングデバイス(複数可)上で実行される1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションを介して、1つまたは複数のコンピューティングデバイス(例えば、図9のコンピュータシステム900)を使用してデジタル的に生成され得る。いくつかの例によれば、非ランダム化アブレーションパターンおよび/またはランダム化アブレーションパターンは、対応する表面アブレーションで構造化される特定のECデバイス(複数可)に関連する1つまたは複数の設計パラメータ(例えば、シート抵抗、透過率、サイズなど)に少なくとも部分的に基づいて決定され得る。さらに、候補のランダム化アブレーションパターンに対する1つまたは複数のデジタル的にランダム化された変動は、非ランダム化アブレーションパターンに少なくとも部分的に基づいて決定され得る。いくつかの非限定的な例では、複数の異なるランダム化された変動(例えば、変動の異なる程度/パーセンテージおよび/または異なる幾何学的特性の組み合わせ)を使用して、候補のランダム化アブレーションパターンを生成し得る。
【0062】
804において、方法800は、1つまたは複数の候補のランダム化アブレーションパターンを分析するステップを含み得る。対応する表面アブレーションで構造化されるECデバイスの特定の設計/用途に適した1つまたは複数のランダム化アブレーションパターンを決定するために、候補のランダム化アブレーションパターン(複数可)が分析され得る(例えば、コンピューティングデバイス(複数可)を使用して)。いくつかの実施形態では、分析は、候補のランダム化アブレーションパターンに関連する回折および/または散乱パターンをシミュレートするための高速フーリエ変換(FFT)分析を含み得る。そのようなFFT分析は、回折および/または散乱パターン(複数可)の1つまたは複数のシミュレートされた視覚的表現を生成および分析すること、ならびに/あるいはX軸方向および/またはY軸方向に関する回折および/または散乱ピークを示す1つまたは複数のプロットを生成することを含み得る。
【0063】
806において、方法800は、候補のランダム化アブレーションパターンのうちの1つまたは複数が1つまたは複数の選択基準を満たすかどうかを判定するステップを含み得る。806において、1つまたは複数の候補のランダム化アブレーションパターンが選択基準を満たすと判定された場合、方法800は、808において、ECデバイスを構造化するために、選択基準を満たす候補のランダム化アブレーションパターンを選択するステップに進むことができる。いくつかの実施形態によれば、「最良の」ランダム化アブレーションパターンは、例えば、分析に少なくとも部分的に基づいて、候補のランダム化アブレーションパターンから選択され得る。例えば、ランダム化アブレーションパターンの選択は、FFT分析からの回折および/または散乱ピークを最小化する目的に少なくとも部分的に基づいてもよい。
【0064】
806において、候補のランダム化アブレーションパターン(複数可)が選択基準を満たさないと判定された場合、方法800は、802において、1つまたは複数の追加の候補のランダム化アブレーションを決定するステップに戻ることができる。
【0065】
810において、方法800は、選択されたランダム化アブレーションパターンに従って配置された表面アブレーションでECデバイスを構造化するステップを含み得る。いくつかの実施形態では、選択されたランダム化アブレーションパターンを含むデジタルファイルは、コンピューティングデバイス(複数可)を使用して生成され得る。デジタルファイルは、デジタルファイル内のランダム化アブレーションパターン(複数可)に従って配置された表面アブレーションでECデバイスを構造化するためにECデバイスをレーザアブレーションするように構成され得る機械(例えば、CNC機械)と互換性があり得る。
【0066】
図9は、いくつかの実施形態で使用され得る例示的なコンピュータシステム900を示すブロック図である。いくつかの実施形態では、これらに限定されるものではないが、1つまたは複数のランダム化アブレーションパターンによる表面アブレーションでECデバイスを構造化するためのシステムの一部または全部、ならびに本明細書に記載の様々な方法、システム、構成要素、デバイス、および装置を含む、技術のうちの1つまたは複数の一部または全部を実装するシステムは、図9に示すコンピュータシステム900などの、1つまたは複数のコンピュータアクセス可能媒体を含むかまたはそれにアクセスするように構成された汎用コンピュータシステムを含み得る。図示の実施形態では、コンピュータシステム900は、入出力(I/O)インターフェース930を介してシステムメモリ920に結合された1つまたは複数のプロセッサ910を含む。コンピュータシステム900は、I/Oインターフェース930に結合されたネットワークインターフェース940をさらに含む。
【0067】
様々な実施形態において、コンピュータシステム900は、単一のプロセッサ910を含むユニプロセッサシステム、またはいくつかのプロセッサ910(例えば、2つ、4つ、8つ、または別の適切な数)を含むマルチプロセッサシステムであってもよい。プロセッサ910は、命令を実行することができる任意の適切なプロセッサであってもよい。例えば、様々な実施形態において、プロセッサ910は、x86、PowerPC、SPARC、もしくはMIPS ISA、または任意の他の適切なISAなどの様々な命令セットアーキテクチャ(ISA)のいずれかを実装する汎用または組み込みプロセッサであってもよい。マルチプロセッサシステムでは、プロセッサ910の各々は、必ずしもそうである必要はないが、共通して同じISAを実装し得る。
【0068】
システムメモリ920は、プロセッサ(複数可)910によってアクセス可能な命令およびデータを格納するように構成され得る。様々な実施形態において、システムメモリ920は、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、同期ダイナミックRAM(SDRAM)、不揮発性/フラッシュ型メモリ、または任意の他の種類のメモリなどの任意の適切なメモリ技術を使用して実装されてもよい。図示の実施形態では、1つまたは複数のランダム化アブレーションパターンに従って表面アブレーションでECデバイスを構造化するためのシステムの一部または全部、ならびに本明細書に記載の様々な方法、システム、構成要素、デバイス、および装置などの、1つまたは複数の所望の機能を実装するプログラム命令およびデータが、コード925およびデータ926としてシステムメモリ920内に格納されて示されている。
【0069】
一実施形態では、I/Oインターフェース930は、プロセッサ910、システムメモリ920、およびネットワークインターフェース940または他の周辺インターフェースを含むデバイス内の任意の周辺デバイスの間のI/Oトラフィックを調整するように構成され得る。いくつかの実施形態では、I/Oインターフェース930は、ある構成要素(例えば、システムメモリ920)からのデータ信号を別の構成要素(例えば、プロセッサ910)による使用に適したフォーマットに変換するために、任意の必要なプロトコル、タイミング、または他のデータ変換を実行し得る。いくつかの実施形態では、I/Oインターフェース930は、例えば、周辺機器相互接続(PCI)バス規格またはユニバーサルシリアルバス(USB)規格の変形など、様々なタイプの周辺バスを介して取り付けられたデバイスのサポートを含み得る。いくつかの実施形態では、I/Oインターフェース930の機能は、例えば、ノースブリッジおよびサウスブリッジなどの2つ以上の別個の構成要素に分割されてもよい。また、いくつかの実施形態では、システムメモリ920へのインターフェースなどのI/Oインターフェース930の機能の一部または全部をプロセッサ910に直接組み込んでもよい。
【0070】
ネットワークインターフェース940は、例えば、図1A図8に示すような他のコンピュータシステムまたはデバイスなど、コンピュータシステム900と、1つまたは複数のネットワーク950に接続された他のデバイス960との間でデータを交換することを可能にするように構成され得る。様々な実施形態において、ネットワークインターフェース940は、例えば、イーサネットネットワークのタイプなどの任意の適切な有線または無線汎用データネットワークを介した通信をサポートし得る。さらに、ネットワークインターフェース940は、アナログ音声ネットワークまたはデジタルファイバ通信ネットワークなどの電気通信/電話ネットワークを介した、ファイバチャネルSANなどのストレージエリアネットワークを介した、または任意の他の適切なタイプのネットワークおよび/またはプロトコルを介した通信をサポートし得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、システムメモリ920は、図1A図8に関連して上述した方法の実施形態を実施するためのプログラム命令およびデータを格納するように構成されたコンピュータアクセス可能媒体の一実施形態であってもよい。他の実施形態では、プログラム命令および/またはデータは、異なるタイプのコンピュータアクセス可能媒体上で受信、送信、または格納され得る。一般的に言えば、コンピュータアクセス可能媒体は、I/Oインターフェース930を介してコンピュータシステム900に結合された磁気または光学媒体、例えばディスクまたはDVD/CDなどの非一時的記憶媒体またはメモリ媒体を含み得る。非一時的なコンピュータアクセス可能記憶媒体はまた、システムメモリ920または別のタイプのメモリとしてコンピュータシステム900のいくつかの実施形態に含まれ得るRAM(例えば、SDRAM、DDR SDRAM、RDRAM、SRAMなど)、ROMなどの任意の揮発性または不揮発性媒体を含み得る。さらに、コンピュータアクセス可能媒体は、ネットワークインターフェース940を介して実装され得るような、ネットワークおよび/または無線リンクなどの通信媒体を介して伝達される、電気信号、電磁信号、またはデジタル信号などの伝送媒体または信号を含み得る。
【0072】
様々な実施形態は、コンピュータアクセス可能媒体上で前述の説明に従って実装された命令および/またはデータを受信、送信、または格納するステップをさらに含んでもよい。一般的に言えば、コンピュータアクセス可能媒体は、磁気または光学媒体、例えばディスクまたはDVD/CD-ROMなどの記憶媒体またはメモリ媒体、RAM(例えば、SDRAM、DDR、RDRAM、SRAMなど)、ROMなどの揮発性または不揮発性媒体、ならびにネットワークおよび/または無線リンクなどの通信媒体を介して伝達される電気、電磁、またはデジタル信号などの伝送媒体または信号を含み得る。
【0073】
本明細書で使用される場合、「コンピュータシステム」は、様々なコンピュータシステムまたはその構成要素のいずれかを含む。コンピュータシステムの一例は、ラックマウント型サーバである。本明細書で用いられるコンピュータという用語は、従来技術においてコンピュータと呼ばれているそれらの集積回路に限定されず、広く、プロセッサ、サーバ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、特定用途向け集積回路、およびその他のプログラム可能な回路を意味し、これらの用語は、本明細書において互換的に用いられる。様々な実施形態において、メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)などのコンピュータ可読媒体を含み得るが、これに限定されない。あるいは、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、光磁気ディスク(MOD)、および/またはデジタル多用途ディスク(DVD)を使用してもよい。また、追加の入力チャネルは、マウスおよびキーボードなどのオペレータインターフェースに関連するコンピュータ周辺機器を含み得る。あるいは、例えばスキャナを含み得る他のコンピュータ周辺機器を使用してもよい。さらに、いくつかの実施形態では、追加の出力チャネルは、オペレータインターフェースモニタおよび/またはプリンタを含んでもよい。
【0074】
本明細書で使用される場合、「モジュール」は、構成要素または構成要素の組み合わせである。モジュールは、コンピュータシステム、回路基板、ラック、送風機、ダクト、および配電ユニットなどの機能要素およびシステム、ならびにベース、フレーム、ハウジング、または容器などの構造要素を含み得る。
【0075】
図に示され、本明細書に記載される様々な方法は、方法の例示的な実施形態を表す。方法は、ソフトウェア、ハードウェア、またはそれらの組み合わせで実施され得る。方法の順序は変更されてもよく、様々な要素が追加、並べ替え、結合、省略、修正などされてもよい。
【0076】
上記の実施形態をかなり詳細に説明したが、上記の開示が十分に理解されると、多くの変形および修正が当業者に明らかとされよう。以下の特許請求の範囲は、すべてのそのような変形および修正を包含すると解釈されることが意図されている。
【0077】
いくつかの実施形態では、ECデバイスは、紙ガラス箔および接着剤層を含む薄いガラス積層体を含む基板を含む。薄いガラス積層体は、厚さが約25マイクロメートルのガラス箔を含むことができる。いくつかの実施形態では、薄いガラス積層体は、1つまたは複数の様々な厚さを含むことができる。例えば、薄いガラス積層体は、厚さが約50マイクロメートルであり得る。
【0078】
いくつかの実施形態において、フォトクロミック材料またはサーモクロミック材料が、本明細書中に開示されるエレクトロクロミック(EC)材料の代わりに、または、それに加えて使用される場合がある。例えば、デバイスのいくつかの領域は、ECスタックを含むエレクトロクロミック材料を含み得るが、他の領域は、エレクトロクロミック材料、フォトクロミック材料、またはサーモクロミック材料のうちの少なくとも1つを含み得る。適切なフォトクロミック材料としては、トリアリールメタン、スチルベン、アザスチルベン、ニトロン、フルギド、スピロピラン、ナフトピラン、スピロオキサジン、およびキノンが挙げられるが、これらに限定されない。適切なサーモクロミック材料としては、液晶およびロイコ染料が挙げられるが、これらに限定されない。フォトクロミック材料およびサーモクロミック材料の両方を、周知の方法で基板上に形成することができる。光および熱はそれぞれ材料の特性を調節するので、フォトクロミックまたはサーモクロミック動的領域にバスバー、電極などは必要とされない。フォトクロミックおよび/またはサーモクロミック動的領域を使用する1つの例示的な実施形態は、昼光のために能動的に制御され、1つまたは複数の特定の透過パターンなどの間で選択的に切り替わるウィンドウの上部に向かう少なくとも1つのエレクトロクロミック動的領域と、直接光下で自己減光するウィンドウの底部に向かう少なくとも1つのフォトクロミック動的領域と、デバイスの別の領域に位置する少なくとも1つの第2のエレクトロクロミック領域とを有するウィンドウであり得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のECデバイスをカメラデバイス用の開口フィルタ、アイリスなどとして使用することができ、選択的にアポダイズするように構造化されてもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のECデバイスを、さらなる処理の前に長距離にわたって出荷することができるアーキテクチャ「マザーボード」に含めることができる。いくつかの実施形態では、重量が重要である輸送用途および他の使用のために、1つまたは複数のECデバイスを1つまたは複数の単板窓に含めることができる。いくつかの実施形態では、単一の基板を含む1つまたは複数のECデバイスを含む1つまたは複数のECデバイスを使用して、手持ち式デバイス、コンピュータなどのディスプレイ上の情報を隠したり明らかにしたりすることができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のECデバイスを動的アイウェアに使用することができる。
【0080】
さらに、本明細書に開示される主題の一実施形態は、独立して制御される複数の動的領域を含む、単一の窓ガラスまたはライトを有する建築用窓を含む窓を含むことができることを理解されたい。本明細書に開示される主題の別の実施形態は、一方の窓ガラス上にエレクトロクロミックウィンドウの複数の領域を含み、他方の窓ガラス上にクリアガラスを含む断熱グレージングユニット(「IGU」)を含む。本明細書に開示される主題のさらに別の実施形態は、一方の窓ガラス上にエレクトロクロミックウィンドウの複数の領域を含み、他方の窓ガラス上に低E、着色、または反射ガラスを含むIGUを含む。本明細書に開示される主題のさらに別の実施形態は、IGUの一方の窓ガラス上にエレクトロクロミックウィンドウの複数の領域を含むIGUと、他方の窓ガラス上にパターン化または特殊ガラスとを含み、パターン化または特徴は、第1の窓ガラス上の動的領域の面積と一致、補完、および/または対比してもよい。前述の実施形態では、複数の動的領域を含むライトが、透明ライト、低Eライト、反射および/または部分反射ライトであるように構成、構造化などすることができることを理解されたい。
【0081】
いくつかの実施形態では、図1A図9のうちの1つまたは複数を参照して図示および開示されたECデバイス、エンドユーザデバイス、制御システムなどのうちの1つまたは複数を含む1つまたは複数のECデバイスは、ECディスプレイ、輸送用窓、建築用ガラス用途などを含む様々な用途に含めることができる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】