(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(54)【発明の名称】アルファオレフィンの精製方法およびそのためのアルファオレフィン精製用組成物
(51)【国際特許分類】
C07C 7/13 20060101AFI20230201BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20230201BHJP
B01J 20/18 20060101ALI20230201BHJP
B01J 20/20 20060101ALI20230201BHJP
C07C 11/08 20060101ALI20230201BHJP
C07C 11/10 20060101ALI20230201BHJP
C07C 11/107 20060101ALI20230201BHJP
C07C 11/02 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
C07C7/13
B01J20/28 Z
B01J20/18 E
B01J20/20 B
C07C11/08
C07C11/10
C07C11/107
C07C11/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533247
(86)(22)【出願日】2020-12-08
(85)【翻訳文提出日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 IB2020061619
(87)【国際公開番号】W WO2021124008
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0169339
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515298556
【氏名又は名称】サビック エスケー ネクスレン カンパニー ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】オ ヨンオク
(72)【発明者】
【氏名】シム チョン シク
(72)【発明者】
【氏名】シン デ ホ
(72)【発明者】
【氏名】チェ ジェスク
(72)【発明者】
【氏名】イ ホウォン
【テーマコード(参考)】
4G066
4H006
【Fターム(参考)】
4G066AA05B
4G066AA20B
4G066AA61B
4G066BA09
4G066BA20
4G066BA23
4G066BA25
4G066BA42
4G066CA27
4G066DA05
4H006AA02
4H006AB46
4H006AD19
(57)【要約】
本発明は、アルファオレフィンの精製方法およびそのためのアルファオレフィン精製用組成物に関する。より具体的には、本発明は、アルファオレフィン内の不純物の除去効果が卓越したアルファオレフィンの精製方法およびそのためのアルファオレフィン精製用組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
比表面積が1,200m
2/g以上であり、平均粒径が0.8~40mmであり、窒素吸着法によって測定された気孔の体積が0.6cm
3/gを超え、気孔の直径が2nm以上である気孔が全体気孔の60%以上である成形活性炭と、
アルミナ-ゼオライト複合体との組み合わせにより不純物を除去する、アルファオレフィンの精製方法。
【請求項2】
前記アルファオレフィンの精製方法は、ポリアルファオレフィン重合反応またはエチレンオリゴマー化反応時に行う、請求項1に記載のアルファオレフィンの精製方法。
【請求項3】
前記アルファオレフィンの精製方法は、ポリアルファオレフィン重合反応時に行う、請求項2に記載のアルファオレフィンの精製方法。
【請求項4】
前記アルファオレフィンの精製方法は、活性炭で処理した後、アルミナ-ゼオライト複合体で順次処理することで行われる、請求項1に記載のアルファオレフィンの精製方法。
【請求項5】
前記活性炭と、アルミナ-ゼオライト複合体とは、1:1~1:20の重量比で含まれる、請求項1に記載のアルファオレフィンの精製方法。
【請求項6】
前記アルミナ-ゼオライト複合体は、アルミナを50~95重量%およびゼオライトを5~50重量%の含量で含む、請求項1に記載のアルファオレフィンの精製方法。
【請求項7】
前記アルファオレフィンは、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセンおよび1-ドデセンから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物である、請求項1に記載のアルファオレフィンの精製方法。
【請求項8】
前記アルファオレフィンは、1-ヘキセンおよび1-オクテンから選択されるいずれか一つまたはこれらの混合物である、請求項7に記載のアルファオレフィンの精製方法。
【請求項9】
前記不純物は、アミン系化合物である、請求項1に記載のアルファオレフィンの精製方法。
【請求項10】
比表面積が1,200m
2/g以上であり、平均粒径が0.8~40mmであり、窒素吸着法によって測定された気孔の体積が0.6cm
3/gを超え、気孔の直径が2nm以上である気孔が全体気孔の60%以上である成形活性炭と、
アルミナ-ゼオライト複合体とを含む、アルファオレフィン精製用組成物。
【請求項11】
前記アルファオレフィン精製用組成物は、前記活性炭を第1剤として含み、前記アルミナ-ゼオライト複合体第2剤として含む2剤型組成物である、請求項10に記載のアルファオレフィン精製用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルファオレフィンの精製方法およびそのためのアルファオレフィン精製用組成物に関する。より具体的には、本発明は、アルファオレフィン内の不純物除去効果が卓越したアルファオレフィンの精製方法およびそのためのアルファオレフィン精製用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、アルファオレフィンは、オリゴマー化工程またはポリオレフィン重合工程中に発生する不純物を含有する。典型的な不純物は、重合中に使用される触媒からの残渣、例えば、助触媒、除去剤、オリゴマー、副生成物および様々な揮発性低分子量化合物などを含む。用途に応じて、前記不純物は、重合体中に単に低濃度で含有されるとしても否定的な影響を及ぼし得る。
【0003】
一例として、水パイプに使用される重合体は、運搬される水の味またはにおい変質の問題を引き起こし得る。また、電気装置に使用されるフィルムは、金属不純物を含有すると、電気突破を避け難い。また、自動車用途で使用される重合体は、揮発性化合物が揮発して車の窓に凝縮する時に蒸気の問題を引き起こすことがあり、且つ、前記インテリアー部品の外観が劣化する問題があった。
【0004】
特に、アルファオレフィン内に存在する不純物のうちアミン系物質は、吸着剤に強く吸着して再生工程で再生されず、気孔の損失を引き起こして長期的な精製能を著しく低減させる問題がある。
【0005】
このような吸着剤の精製能の低下を著しく防止し、アルファオレフィン内のアミン系物質を除去するための精製能を著しく向上させることができる方法が必要な状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような問題点を解決するために、本発明は、アルファオレフィン内の不純物除去効果を著しく向上させることができるアルファオレフィンの精製方法およびアルファオレフィン精製用組成物を提供することを目的とする。
【0007】
特に、不純物のうちアミン系物質の精製選択度に優れたアルファオレフィンの精製方法およびアルファオレフィン精製用組成物を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、長期的に不純物精製能の低下を著しく防止することで、長期的な精製効果を発現することができるアルファオレフィンの精製方法およびアルファオレフィン精製用組成物を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明によるアルファオレフィンの精製方法は、比表面積が1,200m2/g以上であり、平均粒径が0.8~40mmであり、窒素吸着法によって測定された気孔の体積が0.6cm3/gを超え、気孔の直径が2nm以上である気孔が全体気孔の60%以上である成形活性炭と、
アルミナ-ゼオライト複合体との組み合わせにより不純物を除去する。
【0010】
本発明の一様態による前記アルファオレフィンの精製方法は、ポリアルファオレフィン重合反応またはエチレンオリゴマー化反応時に行うことができる。
【0011】
好ましくは、本発明の一様態によって、前記アルファオレフィンの精製方法は、ポリアルファオレフィン重合反応時に行うことができる。
【0012】
本発明の一様態による前記アルファオレフィンの精製方法は、活性炭で処理した後、アルミナ-ゼオライト複合体で処理することができる。
【0013】
本発明の一様態による前記活性炭と、アルミナ-ゼオライト複合体とは、1:1~1:20の重量比で含むことができる。
【0014】
本発明の一様態による前記アルミナ-ゼオライト複合体は、アルミナを50~95重量%およびゼオライトを5~50重量%含むことができる。
【0015】
本発明の一様態による前記アルファオレフィンは、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセンおよび1-ドデセンなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物であることができる。
【0016】
好ましくは、本発明の一様態によって、前記アルファオレフィンは、1-ヘキセンおよび1-オクテンなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物であることができる。
【0017】
本発明の一様態による前記不純物は、アミン系化合物であることができる。
【0018】
本発明の他の様態は、比表面積が1,200m2/g以上であり、平均粒径が0.8~40mmであり、窒素吸着法によって測定された気孔の体積が0.6cm3/gを超え、気孔の直径が2nm以上である気孔が全体気孔の60%以上である成形活性炭と、
アルミナ-ゼオライト複合体とを含むアルファオレフィン精製用組成物である。
【0019】
本発明の一様態による前記アルファオレフィン精製用組成物は、前記活性炭を第1剤として含み、前記アルミナ-ゼオライト複合体第2剤として含む2剤型組成物であることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によるアルファオレフィンの精製方法は、アルファオレフィン内の不純物のうち、特に、窒素含有不純物の精製選択度に優れるという利点がある。
【0021】
また、本発明によるアルファオレフィン精製用組成物は、低い濃度でも優れた不純物精製能を有するという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を含む具体例または実施例により本発明をより詳細に説明する。ただし、下記の具体例または実施例は、本発明を詳細に説明するための一つの参照であって、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な形態に実現されてもよい。
【0023】
また、他に定義されない限り、すべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者の一人によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本発明において説明に使用される用語は、単に特定の具体例を効果的に記述するためのものであって、本発明を制限することを意図しない。
【0024】
本発明を記述する明細書の全般にわたり、ある部分がある構成要素を「含む」ということは、特別に逆の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0025】
また、明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形態は、文脈で特別な指示がない限り、複数形態も含むことを意図し得る。
【0026】
アルファオレフィンは、原油由来の窒素成分によって発生する不純物を含有しており、既存の精製技術では、前記不純物が含有されていない純粋なアルファオレフィンを製造または提供することが困難であった。
【0027】
これを解決するために、本発明者らは、特定の構成成分および方法による組み合わせにより、著しく向上した窒素含有不純物除去効率を有する精製方法を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0028】
本発明によるアルファオレフィンの精製方法は、具体的には、以下のとおりである。
【0029】
本発明によるアルファオレフィンの精製方法は、比表面積が1,200m2/g以上であり、平均粒径が0.8~40mmであり、窒素吸着法によって測定された気孔の体積が0.6cm3/gを超え、気孔の直径が2nm以上である気孔が全体気孔の60%以上である成形活性炭と、
アルミナ-ゼオライト複合体との組み合わせにより不純物を除去する。
【0030】
前記のように、特定の活性炭およびアルミナ-ゼオライト複合体を組み合わせて使用することで、不純物、特に、窒素含有不純物を著しく優れた効率で除去することができる。
【0031】
また、一様態として、前記活性炭は、窒素吸着法によって測定された気孔の体積が0.6cm3/gを超え、気孔の直径が2nm以上である気孔が全体気孔の60%以上であることができる。さらに具体的には、気孔の体積が0.6cm3/gを超え、気孔の直径が2nm以上である気孔が全体気孔の60~99%であることができる。前記範囲で、窒素含有不純物の吸着効率がより向上することができる。
【0032】
本発明の一様態によって、前記アルファオレフィンの精製方法は、様々な工程で提供されることができる。具体的な例としては、アルファオレフィンを精製するための工程、アルファオレフィンを製造するための工程、アルファオレフィンを重合する工程、アルファオレフィンを再使用する工程およびアルファオレフィンを回収する工程などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の工程で使用することができるが、アルファオレフィンを含む工程であれば、これに制限されるものではない。
【0033】
本発明の一様態によって、前記アルファオレフィンの精製方法は、アルファオレフィンを含む工程中に、導入部、反応部、循環部および回収部などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の位置で行うことができる。
【0034】
具体的な例としては、前記導入部は、反応物質が反応器の内部に移動する経路を意味し、前記反応部は、反応物質が重合または合成を行う反応器を意味する。また、前記循環部は、反応物質のうち残りの物質が再導入されるための循環経路を意味し、前記回収部は、反応が完了した最終物質が排出される経路を意味する。
【0035】
好ましくは、本発明の一様態によって、不純物は、アルファオレフィン内に存在するものであり、精製方法が前記アルファオレフィンを含む経路に設置または投入されることが、不純物精製能を著しく向上させることができる。例えば、アルファオレフィンが単量体として提供される場合、導入部、反応部および循環部などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の位置で精製方法が設置または投入されることができる。他の一例として、アルファオレフィンが製造される場合、反応部、循環部および回収部などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の位置で精製方法が設置または投入されることができる。
【0036】
具体的には、本発明の一様態によって、前記アルファオレフィンの精製方法は、アルファオレフィンが単量体として投入されるポリアルファオレフィン重合反応またはアルファオレフィンが製造されるエチレンオリゴマー化反応時に行うことができる。前記のように、アルファオレフィンが提供または製造される反応時に前記アルファオレフィンの精製方法で不純物を精製することで、高純度のアルファオレフィンが提供されることができ、提供される様々な分野で不純物による性能の低下を防止することができる。さらに、長期的に精製能を有することができ、著しい不純物精製効果を奏することができる。
【0037】
本発明の一様態によって、前記アルファオレフィンの精製方法は、ポリアルファオレフィン重合反応またはエチレンオリゴマー化反応時に行うことができ、具体的に反応前、反応中および反応後から選択されるいずれか一つまたは二つ以上のステップで行うことができる。具体的な例としては、ポリアルファオレフィン重合反応の前またはエチレンオリゴマー化反応の後に行うことができる。好ましくは、不純物、特に、窒素含有不純物の優れた精製効果を奏するために、ポリアルファオレフィン重合反応の前に行うことができる。
【0038】
本発明の一様態によって、前記アルファオレフィンの精製方法は、不純物の精製のために、前記活性炭および前記アルミナ-ゼオライト複合体を混合して処理することができ、それぞれ順に処理することができる。好ましくは、順に活性炭で処理した後、アルミナ-ゼオライト複合体で処理することができる。前記のように、ガードベッドとして活性炭により先ず不純物精製を行った後、アルミナ-ゼオライト複合体でさらに不純物精製を行うことで、著しく向上した不純物精製効果を奏することができる。さらに、アルミナ-ゼオライト複合体の内部に不純物が吸着され除去されない問題を防止し、長期的な精製能を奏することができる。
【0039】
本発明による前記活性炭は、比表面積が1,200m2/g以上であり、平均粒径が0.8~40mmである成形活性炭である。好ましくは、比表面積が1,200~3,000m2/gであることができ、平均粒径が0.8~30mmである成形活性炭であることができる。さらに好ましくは、比表面積が1,200~2,500m2/gであることができ、平均粒径が0.85~20mmである成形活性炭であることができる。この場合、前記成形活性炭は、微細粉末を凝集して形成された多孔性粒子相を意味する。また、前記活性炭は、窒素吸着法によって測定された気孔の体積が0.6cm3/gを超え、気孔の直径が2nm以上である気孔が全体気孔の60%以上、より好まくは60~99%であることができる。
【0040】
前記のような物性を満たす活性炭を提供する場合、アルファオレフィン内の不純物の精製効果が卓越し、特に、窒素含有不純物の吸着選択度に優れる。より具体的には、窒素含有不純物の不純物除去率が85%以上、さらに具体的には85~99.9%、さらに好ましくは87~98%である効果を示すことができる。これは、前記活性炭を使用しない場合に比べて、窒素含有不純物の除去効率を3倍以上、具体的には3倍~5倍まで向上させることができる。
【0041】
また、このような効果は、前記アルミナ-ゼオライト複合体をともに組み合わせて使用することで、発現可能な効果である。
【0042】
前記活性炭は、比表面積が1,200m2/g未満である場合、吸着能が著しく低くてアルファオレフィン内の不純物の除去が難しい。さらに、窒素含有不純物よりも水分、その他の炭化水素などの不純物の選択度が高く、精製性能および寿命が低減し得る。
【0043】
また、前記活性炭は、均粒径が0.8mm未満であるか40mmを超える場合、不純物の吸着が難しく、特に、窒素含有不純物の選択度が低減し、以降提供されるアルミナ-ゼオライト複合体の精製性能を低減させ得る。
【0044】
また、前記活性炭が成形活性炭ではなく粉末状で提供する場合、平均粒径および気孔分布を満たすとしても、圧力損失および精製塔の後段分離などのさらなる工程コストが生じるため、経済性が格段に低下する。
【0045】
本発明の一様態によって、前記アルミナ-ゼオライト複合体は、アルミナおよびゼオライトの複合体であることができ、具体的には、変形活性化したアルミナおよびゼオライト分子体吸収剤の同種配合物であることができる。
【0046】
本発明による前記アルミナ-ゼオライト複合体は、制限されるものではないが、具体的には、例えば、圧壊強度が10~60Nであり、平均粒径が1.0~5.0mmであるビード(Bead)状である。好ましくは、圧壊強度が20~60Nであることができ、平均粒径が1.0~4.5mmであるビード状であることができる。さらに好ましくは、圧壊強度が30~60Nであることができ、平均粒径が1.3~4.5mmであるビード状であることができる。この場合、前記ビード(Bead)は、複合体自体が玉状に粒子をなす形状を意味する。前記圧壊強度(Crush strength)は、ASTM D3102-72に準じて測定する。
【0047】
前記のような物性を満たすアルミナ-ゼオライト複合体を提供する場合、アルファオレフィン内の不純物の精製効果が卓越し、過量の不純物に露出しても、精製能の低下が発生せず、優れた精製効果を発現することができる。このような効果は、前記活性炭をともに構成することで、発現できる効果である。
【0048】
また、前記アルミナ-ゼオライト複合体は、平均粒径が1.0mm未満であるか5.0mmを超える場合、不純物の吸着が難しく、特に、窒素含有不純物の強い吸着によって精製能に対する長期的な耐久性および寿命を低減させることができる。
【0049】
また、前記アルミナ-ゼオライト複合体は、ビード状ではなく粉末状である場合、上述の圧壊強度および平均粒径を満たすことができず、不純物に対する精製効果も著しく低減する。
【0050】
本発明の一様態によって、前記アルミナ-ゼオライト複合体は、アルミナを50~95重量%およびゼオライトを5~50重量%の含量で含むことができる。好ましくは、アルミナを85~90重量%およびゼオライトを10~15重量%の含量で含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0051】
本発明の一様態によって、前記活性炭およびアルミナ-ゼオライト複合体は、1:1~1:20の重量比で含むことができる。好ましくは1:5~1:20の重量比で含むことができる。前記のような割合で含む場合、アルファオレフィン内の不純物、特に、窒素含有不純物の除去効率を著しく向上させることができる。また、不純物が低濃度で存在しても非常に優れた吸着効率を示す。
【0052】
本発明の一様態によって、前記活性炭およびアルミナ-ゼオライト複合体は、全含量が、アルファオレフィン100重量部に対して、1~20重量部含むことができ、好ましくは4~20重量部含むことができる。前記のような含量で含む場合、アルファオレフィン内の不純物の精製能を最大化することができる。
【0053】
本発明の一様態によって、前記アルファオレフィンは、具体的な例としては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセンおよび1-ドデセンなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物であることができる。好ましくは、1-ヘキセンおよび1-オクテンなどから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の混合物であることができる。さらに好ましくは、1-オクテンであることができる。
【0054】
本発明によるアルファオレフィンの精製方法を用いる場合、前記アルファオレフィン内に存在する不純物を著しく精製することができる。特に、1-オクテン内に存在する不純物を著しく向上した精製効率で除去することができる。
【0055】
本発明の一様態によって、前記不純物は、水分、炭素数6以下の炭化水素、炭素数10の炭化水素、炭素数12以上の炭化水素および窒素含有不純物などを含むことができる。本発明による精製方法は、このうち、窒素含有不純物の吸着を著しく除去することができ、前記窒素含有不純物は、具体的には、アミン系化合物であることができる。例えば、前記アミン系化合物は、ジオクチルアミン(dioctylamine)などを含むことができる。前記のような物質は、アルミナ-ゼオライト複合体内に吸着される場合、除去が不可能で永久的に精製能を低減させ、長期的に精製能を維持することが難しい。
【0056】
しかし、本発明によるアルファオレフィンの精製方法を用いる場合、既存の精製能に比べて、著しく向上した精製能を奏するだけでなく、精製寿命を向上させて長期的に使用することができる。
【0057】
本発明によるアルファオレフィンの精製方法は、吸着剤の精製性能の低下に関する問題点を著しく改善したものであり、優れた不純物精製効果を奏することができる。したがって、高純度のアルファオレフィンを製造または提供することで、このように製造されたアルファオレフィンは、様々な分野において高性能を実現することができる。
【0058】
本発明のさらに他の様態は、上述のアルファオレフィンの精製方法に適用されるものであり、比表面積が1,200m2/g以上であり、平均粒径が0.8~40mmであり、窒素吸着法によって測定された気孔の体積が0.6cm3/gを超え、気孔の直径が2nm以上である気孔が全体気孔の60%以上の成形活性炭と、
アルミナ-ゼオライト複合体とを含むアルファオレフィン精製用組成物である。
【0059】
前記活性炭および前記アルミナ-ゼオライト複合体の物性および含量などは上述のとおりであり、以下、説明は省略する。
【0060】
本発明の一様態によって、前記アルファオレフィン精製用組成物は、精製を行うことができる工程中に、導入部、反応部、循環部および回収部などから選択されるいずれか一つまたは二つ以上の位置に適用することができる。精製効果を発現することができれば、提供される形状は特に制限されない。
【0061】
具体的には、本発明の一様態によって、前記アルファオレフィン精製用組成物は、アルファオレフィンが単量体として投入されるポリアルファオレフィン重合反応またはアルファオレフィンが製造されるエチレンオリゴマー化反応時に適用することができる。前記のように、アルファオレフィンが提供または製造される反応時に適用されることで、不純物を精製することができ、高純度のアルファオレフィンが提供されることができ、不純物による提供される分野の性能の低下を防止することができる。さらに、長期的に精製能を有することができ、著しい不純物精製効果を奏することができる。
【0062】
本発明の一様態によって、前記アルファオレフィン精製用組成物は、具体的には、ポリアルファオレフィン重合反応またはエチレンオリゴマー化反応時に適用することができ、具体的には、反応前、反応中および反応後から選択されるいずれか一つまたは二つ以上のステップで適用することができる。具体的な例としては、ポリアルファオレフィン重合反応の前またはエチレンオリゴマー化反応の後に適用することができる。好ましくは、不純物、特に、窒素含有不純物の優れた精製効果を奏するために、ポリアルファオレフィン重合反応の前に適用することができる。
【0063】
本発明の一様態によって、前記アルファオレフィン精製用組成物は、不純物の精製のために、前記活性炭および前記アルミナ-ゼオライト複合体を混合し、同時に適用して処理してもよく、それぞれ順に適用して処理してもよい。
【0064】
好ましくは、それぞれ順に適用するために、前記活性炭を第1剤として含み、前記アルミナ-ゼオライト複合体の第2剤として含む2剤型組成物として適用することができる。
【0065】
具体的に一様態として、前記第1剤で前処理を経た後、前記第2剤で後処理するように提供することができる。例えば、第1剤を含む区域で前処理した後、第2剤を含む区域で後処理することができる。または第1剤を投入して前処理した後、第1剤を除去し、第2剤を投入して後処理することができるが、第1剤および第2剤をそれぞれ順に処理することができれば、これに制限されるものではない。
【0066】
本発明の一様態によって、前記第1剤および第2剤により不純物を精製する時間は、特に制限されるものではないが、それぞれ独立して、1~48時間、好ましくは5時間~30時間行うことができる。
【0067】
前記のように2剤型組成物として提供する場合、ガードベッドの役割として活性炭により先ず不純物が精製された後、アルミナ-ゼオライト複合体でさらに不純物が精製されることで、著しく向上した不純物精製効率を有することができる。さらに、アルミナ-ゼオライト複合体の内部に不純物が吸着されて除去されない問題を防止し、長期的な精製能を奏することができる。
【0068】
本発明の一様態によって、前記アルファオレフィン精製用組成物は、アルファオレフィン内の不純物のうち窒素含有不純物の選択度に優れ、窒素含有不純物の選択的がより向上した精製効果を奏することができる。
【0069】
以下、本発明の好ましい実施例および比較例を記載する。しかし、下記の実施例は、本発明の好ましい一つの実施例であって、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0070】
[物性測定方法]
1.圧壊強度
圧壊強度は、ASTM D3102-72、ASTM D4179-88aに準じて測定した。
【0071】
2.比表面積の測定(BET)
液体窒素温度(-196℃)で窒素吸脱着によるBET(Brunauer-Emmett-Teller)方法とBJH(Barret-Joyner-Halenda)方法により計算された。
【0072】
3.精製能の測定
ジオクチルアミンを1,000ppm含む試料100重量部に対して、活性炭をバッチ式反応器内に投入した後、常温、常圧で24時間精製処理した。この後、アルミナ-ゼオライト複合体をバッチ式反応器に投入した後、常温、常圧で24時間精製処理した。精製処理した採取試料10gに(t-ブチルアミド)ジメチル(テトラメチルシクロペンタジエニル)シランチタン(IV)ジクロライド(4μmol)と助触媒としてトリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートとトリイソブチルアルミニウムを追加した後、常温、常圧で合成を実施した。10分後、反応温度の上昇を測定し、以下のように不純物除去率に換算した。不純物除去率の計算時に精製処理していない採取試料の発熱温度を適用して補正した。
【0073】
不純物の除去率={(当該吸着剤で精製した後の発熱温度-精製前の発熱温度)/(完全に精製された採取試料の発熱温度-精製前の発熱温度)}×100
【0074】
4.気孔の体積および直径
前記BETの測定原理は、密閉された容器内で他の条件の変化なしに容器内のガスの分圧にしたがってガスが試料に対して吸着および脱着する場合、容器内の気体の分圧の変化を測定することで吸着された量を計算し、試料の比表面積を測定することができる。前記メソポアのサイズの測定のために、ケルビン方程式(Kelvin equation)に基づくBJH方法(Barrett-Joyner-Halenda)で計算した。また、前記メソポアの体積の測定のためには、相対圧力0.95以下で吸着された窒素の量を使用して分析した。
【0075】
[実施例1]
ジオクチルアミンを1,000ppm含む試料100重量部に対して、活性炭1重量部をバッチ式反応器内に投入した後、常温、常圧で24時間精製処理した。この後、アルミナ-ゼオライト複合体5重量部をバッチ式反応器内に投入した後、常温、常圧で24時間精製処理した。
【0076】
この場合、活性炭は、比表面積が1,485m2/gであり、95%以上の粒径が0.85~1.7mmである顆粒状であり、窒素吸着法によって測定された気孔の体積が0.6cm3/gを超え、気孔の直径が2nm以上である気孔が全体気孔の60.1%であった。
【0077】
前記アルミナ-ゼオライト複合体は、アルミナ70重量%およびゼオライト30重量%を含有し、圧壊強度が33Nであり、粒径が1.4~2.8mmであるビード状のものを使用した。
【0078】
[実施例2]
前記実施例1で活性炭を1重量部、アルミナ-ゼオライト複合体を3重量部投入した以外は、同様に実施した。
【0079】
[実施例3]
前記実施例1で活性炭を1重量部、アルミナ-ゼオライト複合体を20重量部投入した以外は、同様に実施した。
【0080】
[実施例4]
前記実施例1でアルミナ-ゼオライト複合体を先ず投入した後、活性炭を投入した以外は、同様に実施した。
【0081】
[実施例5]
前記実施例1で活性炭として、比表面積が1,460m2/gであり、窒素吸着法によって測定された気孔の体積が0.6cm3/gを超え、気孔の直径が2nm以上である気孔が全体気孔の61.1%であり、既存の活性炭とは製造方法が異なるものを使用した以外は、同様に実施した。
【0082】
[比較例1]
前記実施例1で活性炭を使用しない以外は、同様に実施した。
【0083】
[比較例2]
前記実施例1でアルミナ-ゼオライト複合体を使用しない以外は、同様に実施した。
【0084】
[比較例3]
前記実施例1で活性炭として、比表面積が1,445m2/gであり、窒素吸着法によって測定された気孔の体積が0.6cm3/gを超え、気孔の直径が2nm以上である気孔が全体気孔の17.1%であるものを使用した以外は、同様に実施した。
【0085】
[比較例4]
前記実施例1で活性炭として、比表面積が746m2/gであり、窒素吸着法によって測定された気孔の体積が0.6cm3/gを超え、気孔の直径が2nm以上である気孔が全体気孔の20.5%であるものを使用した以外は、同様に実施した。
【0086】
[比較例5]
前記実施例1で活性炭として、比表面積が1,166m2/gであり、窒素吸着法によって測定された気孔の体積が0.6cm3/gを超え、気孔の直径が2nm以上である気孔が全体気孔の40.5%であるものを使用した以外は、同様に実施した。
【0087】
[比較例6]
前記実施例1で活性炭として、比表面積が1,249m2/gであり、窒素吸着法によって測定された気孔の体積が0.6cm3/gを超え、気孔の直径が2nm以上である気孔が全体気孔の28.0%であるものを使用した以外は、同様に実施した。
【0088】
[比較例7]
前記実施例1で活性炭として、比表面積が1,505m2/gであり、窒素吸着法によって測定された気孔の体積が0.6cm3/gを超え、気孔の直径が2nm以上である気孔が全体気孔の63.0%であり粉末状であるものを使用した以外は、同様に実施した。
【0089】
[比較例8]
前記実施例1で活性炭として、比表面積が1,273m2/gであり、窒素吸着法によって測定された気孔の体積が0.6cm3/gを超え、気孔の直径が2nm以上である気孔が全体気孔の61.7%であり粉末状であるものを使用した以外は、同様に実施した。
【0090】
前記実施例および比較例で精製された試験片を用いて精製能の測定を行って不純物除去率を下記表1に記載した。
【0091】
【0092】
前記表1に示されているように、本発明によるアルファオレフィンの精製方法を経た場合、著しく優れた不純物精製効果を示すことを確認することができる。特に、不純物除去率が85%以上であり、比較例に比べて3倍以上の精製効率を示すことを確認した。
【0093】
本発明によるアルファオレフィンの精製方法により精製したアルファオレフィンは、10~500ppmまで低濃度から高濃度の不純物を含んでも、検出限界未満に不純物を精製することを確認した。
【0094】
さらに、実施例1および実施例5を比較すると、活性炭で処理した後、アルミナ-ゼオライト複合体で処理する場合、より向上した精製効果を奏することを確認することができた。
【0095】
また、実施例1~3を比較すると、活性炭およびアルミナ-ゼオライト複合体を1:5~1:20の重量比で含む場合、1:3の重量比で含む場合に比べてより優れた精製能を有することを確認することができた。
【0096】
実施例5のように、製造方法が異なるが、比表面積が1,200m2/g以上であり、窒素吸着法によって測定された気孔の体積が0.6cm3/gを超え、気孔の直径が2nm以上である気孔が全体気孔の60%以上である活性炭を使用しても、類似する精製能を有することを確認することができた。
【0097】
比較例1および比較例2のように、活性炭およびアルミナ-ゼオライト複合体のいずれか一つでも含まない場合、微小な水準の精製能を有することを確認することができた。特に、比較例1は、精製過程中にアルミナ-ゼオライト複合体内に不純物が強く吸着して寿命の低下が発生し、耐久性が減少するため、長期的に効果を奏するには不都合があった。
【0098】
比較例3~6のように、本発明による活性炭およびアルミナ-ゼオライト複合体の物性および形状が相違する構成を使用する場合には、本発明の精製効果に満たない微小な効果を有することを確認することができた。
【0099】
比較例7および比較例8のように、窒素吸着法によって測定された気孔の体積が0.6cm3/gを超え、気孔の直径が2nm以上である気孔が全体気孔の60%以上であるが、粉末状の活性炭を使用した場合には、本発明の精製効果に満たない微小な効果を有することを確認することができた。
【0100】
以上のように、特定の事項と限定された実施例により本発明が説明されているが、これは、本発明のより全般的な理解を容易にするために提供されたものであって、本発明は、前記の実施例に限定されるものではなく、本発明が属する分野において通常の知識を有する者であれば、このような記載から様々な修正および変形が可能である。
【0101】
したがって、本発明の思想は、上述の実施例に限定して定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、本特許請求の範囲と均等であるか等価的な変形があるすべてのものなどは、本発明の思想の範疇に属するといえる。
【国際調査報告】