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特表2023-505194無線周波数識別RFIDタグの埋め込み工具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(54)【発明の名称】無線周波数識別RFIDタグの埋め込み工具
(51)【国際特許分類】
   B23B 27/00 20060101AFI20230201BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20230201BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20230201BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
B23B27/00 D
B23Q17/00 F
G06K7/10 264
G06K19/077 220
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533351
(86)(22)【出願日】2020-11-26
(85)【翻訳文提出日】2022-07-29
(86)【国際出願番号】 EP2020083450
(87)【国際公開番号】W WO2021110521
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】1913774
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511148259
【氏名又は名称】ファイファー バキユーム
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】イヴ フォンテーヌ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル グールドゥ
【テーマコード(参考)】
3C029
3C046
【Fターム(参考)】
3C029EE13
3C029EE16
3C029EE17
3C046BB01
(57)【要約】
本発明は、金属部品(200)を機械加工する工具用の工具ホルダに装着される、無線周波数識別RFIDタグ(43)を埋め込むための埋め込み工具(1)に関する。この埋め込み工具(1)は、工具ホルダの端末金具と連携するように構成された標準固定装置(3)と、無線周波数識別RFIDタグ(43)を埋め込むための埋め込み装置(13)を含み、この埋め込み装置(13)は、無線周波数識別RFIDタグ(43)を金属部品(200)の窪み(202)内に挿入するための挿入手段と、前記無線周波数識別RFIDタグ(43)と通信して前記金属部品(200)に関連するデータを記録するように構成されたリーダ/レコーダ(40)とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属部品(200)を機械加工する工具用の工具ホルダに装着される、無線周波数識別RFIDタグ(43)を埋め込むための埋め込み工具(1)であって、
前記工具(1)は、
-前記工具ホルダの端末金具と連携するように構成された1つの標準固定装置(3)と、
-1つの前記無線周波数識別RFIDタグ(43)を埋め込むための1つの埋め込み装置(13)を備え、
前記埋め込み装置(13)は、
-1つの前記無線周波数識別RFIDタグ(43)を1つの前記金属部品(200)の1つの窪み(202)内に挿入する挿入手段と、
-前記無線周波数識別RFIDタグ(43)と通信し、前記金属部品(200)に関連するデータを記録するように構成された1つのリーダ/レコーダ(40)を備えていることを特徴とする無線周波数識別RFIDタグの埋め込み工具。
【請求項2】
請求項1において、
前記挿入手段は、
-複数の前記無線周波数識別RFIDタグ(43)を受け入れるように構成された1つのマガジン(21、21’)と、
-前記工具ホルダの移動によって前記金属部品(200)の前記窪み(202)に面して配置されるように構成された1つの挿入端末金具(15)、および
-1つの前記無線周波数識別RFIDタグ(43)を、前記マガジン(21)から前記挿入端末金具(15)を介して、前記金属部品(200)の前記窪み(202)内に移動させるように構成された1つの機械的装置を備えていることを特徴とする無線周波数識別RFIDタグの埋め込み工具。
【請求項3】
請求項2において、
前記機械的装置は、前記挿入端末金具(15)に面して配置された1つの管状オリフィス(17)内で並進運動可能に取り付けられた、1つのピストン(19)を含んでいることを特徴とする無線周波数識別RFIDタグの埋め込み工具。
【請求項4】
請求項3において、
前記マガジン(21)は、1つの回転するバレル(23)を含んでおり、前記バレルは、それぞれ1つの前記無線周波数識別RFIDタグ(43)を受け入れるように構成された貫通空洞の形態の少なくとも2つのチャンバを含んでおり、
前記バレル(23)の前記各チャンバは、前記バレル(23)の回転により、前記管状オリフィス(17)に交互に面するように構成されており、
前記ピストン(19)は、前記管状オリフィス(17)に面して配置された前記バレル(23)の前記チャンバ内に配置された1つの前記無線周波数識別RFIDタグ(43)を前記挿入端末金具(15)に向かって押すように構成されていることを特徴とする無線周波数識別RFIDタグの埋め込み工具。
【請求項5】
請求項4において、
前記バレル(23)の回転運動と前記ピストン(19)の並進運動は、1つの機械的アセンブリによってリンクされており、
前記機械的アセンブリは、円筒形の1つの駆動軸29上に形成され前記バレル(23)に対して回転するように連結された1つの溝(28)と、前記溝(28)を補完し並進移動するように前記ピストン(19)に連結された1つのピンまたは1つのボール(26)によって構成されていることを特徴とする無線周波数識別RFIDタグの埋め込み工具。
【請求項6】
請求項5において、
前記溝(28)は、前記円筒形の駆動軸(29)の周りに複数のV字形状部を有しており、
前記V字形状部の数は、前記バレル(23)の前記チャンバの数に依存していることを特徴とする無線周波数識別RFIDタグの埋め込み工具。
【請求項7】
請求項3において、
前記機械的装置は、1つの舌状部材(212)を備えており、
前記舌状部材は、
前記マガジン(21’)と前記管状オリフィス(17)との間で、前記管状オリフィス(17)の軸を横切る方向に並進運動が可能であり、かつ
1つの前記無線周波数識別RFIDタグ(43)を前記マガジン(21’)から前記管状オリフィス(17)に向かって移動するように構成されていることを特徴とする無線周波数識別RFIDタグの埋め込み工具。
【請求項8】
請求項3~7のいずれか1項において、
前記ピストン(19)は、空気圧または油圧シリンダ(25、25’)によって並進運動するように構成されていることを特徴とする無線周波数識別RFIDタグの埋め込み工具。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項において、
前記リーダ/レコーダ(40)は、無線接続によって工作機械の制御ユニットと通信するように構成された無線通信手段(51)を備えており、前記無線通信手段は、前記制御ユニットから送信された前記金属部品(200)に関連するデータを前記リーダ/レコーダ(40)に送信するように構成されていることを特徴とする無線周波数識別RFIDタグの埋め込み工具。
【請求項10】
請求項9において、
前記無線通信手段(51)は、ブルートゥース(登録商標)タイプの通信手段であることを特徴とする無線周波数識別RFIDタグの埋め込み工具。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項において、
さらに、タービン(47)を備えており、
前記タービンは、加圧流体または圧縮空気によって動力を供給され、電流を生成して前記リーダ/レコーダ(40)に電力を供給できるように構成されていることを特徴とする無線周波数識別RFIDタグの埋め込み工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属部品の製造の分野、および、例えば真空ポンプなどの機器を製造するための、これらの金属部品の組み立ての分野に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の金属部品の追跡を行うために、機械加工中に各金属部品にシリアル番号をエッチングすることが、良く知られている。そして、様々なリファレンスに関連するデータを含むテーブルに、オペレータが入力することにより、リファレンス番号からこれらのデータを抽出することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ただし、この解決策には多くの欠点がある。
実際、金属部品へリファレンス番号をエッチングするためには、金属部品をかなりの時間固定しておく必要があり、金属部品の製造時間が長くなるので、その金属部品のコストも増加する。さらに、金属部品は一般に機械加工後に塗装されるため、この塗装によりリファレンス番号が判読不能または読み難くなる可能性がある。そのため、オペレータがリファレンス番号を書き留めるときに、かなりの数のエラーが発生する可能性がある。また、オペレータが、データテーブルで関連するデータを検索するときに、エラーが発生することもある。
【0004】
したがって、機械の故障の分析を容易にし、この分析中に発生する可能性のあるエラーを抑制するために、金属部品の追跡とトレーサビリティを強化するための解決策を見出すことが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のために、本発明は、金属部品を機械加工するための工具用の工具ホルダに装着される、無線周波数識別RFIDタグを埋め込むための埋め込み工具に関する。
この工具は、
-工具ホルダの端末金具と連携するように構成された1つの標準固定装置と、
-1つの無線周波数識別RFIDタグを埋め込むための1つの埋め込み装置を備え、
前記埋め込み装置は、
-1つの前記無線周波数識別RFIDタグを1つの金属部品の窪みに挿入するための挿入手段と、
-前記無線周波数識別RFIDタグと通信し、前記金属部品に関連するデータを記録するように構成された1つのリーダ/レコーダを備えていることを特徴とする。
【0006】
本発明による無線周波数識別RFIDタグを埋め込むように構成された工作機械の特定の埋め込み工具を使用すると、金属部品が工作機械内にあるときに、この金属部品にタグを埋め込み、この金属部品に関連するデータを記録することができる。これにより、金属部品の追跡を簡素化し、この金属部品に関連付けられてRFIDタグに記録されたデータで発生する可能性のあるエラーを制限することができる。
【0007】
本発明の別の態様によれば、前記挿入手段は、
-複数の無線周波数識別RFIDタグを受け入れるように構成されたマガジンと、
-前記工具ホルダの移動によって前記金属部品の窪みに面して配置されるように構成された挿入端末金具、および
-1つの前記無線周波数識別RFIDタグを前記マガジンから前記挿入端末金具を介して前記金属部品の窪みへ移動させ、前記窪みに挿入できるように構成された1つの機械的装置を備えている。
【0008】
本発明のさらなる態様によれば、前記機械的装置は、前記挿入端末金具に面して配置された管状オリフィス内で並進運動が可能であるように取り付けられた、1つのピストンを含んでいる。
本発明のさらなる態様によれば、
前記マガジンは、それぞれが無線周波数識別RFIDタグを受け入れるように構成された貫通空洞の形態の、少なくとも2つのチャンバを含む1つの回転するバレルを有しており、
前記バレルの各チャンバは、このバレルの回転によって前記管状オリフィスに交互に面するように構成されており、
前記ピストンは、前記管状オリフィスに面して配置された前記バレルの前記チャンバ内に配置された1つの前記無線周波数識別RFIDタグを、前記挿入端末金具に向かって押すように構成されている。
【0009】
本発明の他の態様によれば、前記バレルの回転運動と前記ピストンの並進運動は、前記バレルに回転連結された円筒形の1つの駆動軸に設けられた1つの溝と、この溝を補完し前記ピストンと並進運動するように連結された1つのボールまたはピンとを含む機械的アセンブリによって連結されている。
本発明のさらなる態様によれば、前記溝は、前記円筒形の駆動軸の周りに複数のV字形状部を有し、このV字形状部の数は、前記バレルの前記チャンバーの数に依存している。
【0010】
本発明の他の態様によれば、前記機械的装置は、前記マガジンと前記管状オリフィスとの間で前記管状オリフィスの軸を横切る方向に並進運動可能であり、1つの前記無線周波数識別RFIDタグを前記マガジンから前記管状オリフィスに向かって移動させるように構成された舌状部材を含んでいる。
本発明のさらなる態様によれば、前記ピストンは、空気圧または油圧シリンダによって並進的に駆動される。
【0011】
本発明の他の態様によれば、前記リーダ/レコーダは、無線接続によって前記工作機械の制御ユニットと通信するように構成され、前記工作機械の前記制御ユニットによって送信された前記金属部品に関連するデータを、前記リーダ/レコーダに送信する、無線通信手段を備えている。
本発明のさらなる態様によれば、前記無線通信手段は、ブルートゥース(登録商標)タイプの通信手段である。
【0012】
本発明のさらなる態様によれば、前記埋め込み工具はまた、前記工作機械によって供給される加圧流体または圧縮空気によって動力を供給されるように構成され、電流を生成して前記リーダ/レコーダに電力を供給するように構成されたタービンを備えている。
工作機械から供給される加圧流体または圧縮空気によって動力を与えられ、電気的装置に動力を供給できる電流を生成するためのタービンの使用は、前記RFIDタグを埋め込むための工具とは独立して、工作機械の他の工具にもの適用できる。より一般的には、この概念は、電源を必要とする全ての装置に適用できる。
【0013】
本発明の他の特徴および利点は、例示的かつ非限定的な例として与えられた以下の説明、および添付の図面からより明確に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態になる、無線周波数識別RFIDタグの埋め込み工具の、第1の位置おける斜視断面図である。
図2図1の工具が第2の位置にある状態の、斜視断面図である。
図3】埋め込み工具のマガジンの概略斜視図である。
図4】埋め込み工具のマガジンの概略断面図である。
図5】埋め込み工具のマガジンの概略斜視図である。
図6】埋め込み工具の端部の概略断面図である。
図7】埋め込み工具の第1の構成例による、閉鎖要素の概略斜視図である。
図8】埋め込み工具の第2の構成例による、閉鎖要素の概略斜視図である。
図9】埋め込み工具のリーダ/レコーダの、透視概略斜視図である。
図10】埋め込み工具のリーダ/レコーダの、構成要素の概略図である。
図11】本発明の第2の実施形態になる、無線周波数識別RFIDタグの埋め込み工具の、第1の位置おける斜視断面図である。
図12図11の工具が第2の位置にある状態の、斜視断面図である。
図13】本発明の第3の実施形態になる、無線周波数識別RFIDタグの埋め込み工具の、第1の位置おける斜視断面図である。
図14図13の工具が第2の位置にある状態の、斜視断面図である。
図15】本発明による1つの製造方法および1つの組み立て方法の、工程のフローチャートである。
図16】本発明における、金属部品の窪み内にある無線周波数識別RFIDタグの概略図である。
図17】本発明の別の構成による、金属部品の窪み内にある無線周波数識別RFIDタグの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
各図において、同一の要素には同じ参照符号が付与されている。以下の実施形態は例である。 説明は1つまたは複数の実施形態に言及しているが、これは、必ずしも各参照符号が同じ実施形態に関連すること、または特徴が単一の実施形態にのみ適用されることを意味するわけではない。異なる実施形態の単純な特徴を組み合わせたり、交換したりして、他の実施形態を提供することもできる。
【0016】
本発明は、金属部品を製造する方法、および無線周波数識別RFIDタグを金属部品の窪みに埋め込むための埋め込み工具に関する。
RFIDタグの埋め込み工具は、金属部品の工作機械で使用するように構成されている。この工具は、工作機械のロボットが使用できるように、工作機械の工具ホルダに取り付けるように構成されている。
【0017】
図1および図2は、本発明の埋め込み工具1の例示的な実施形態の斜視断面図である。埋め込み工具1は、この埋め込み工具1の第1の端部1aに配置され、工具ホルダ(図示せず)の端末金具と協働するように構成された、標準固定装置3を備えている。この標準固定装置3は、例えば、その周囲にチャネル9が形成されるカラー7を含む、一般的に円錐形の端末金具5を備えている。この部分に対応する工具ホルダは、円錐形の端末金具5を補完し、例えばスナップフィットによってカラー7に固定されるように構成されたスピンドルを含んでいる。
【0018】
標準固定装置3は、工具ホルダを埋め込み工具1に固定するだけでなく、工具ホルダを介して埋め込み工具1に、流体的な動力を与えることも可能にする。 そのために、標準固定装置3は、例えば、流体、一般に圧縮空気または加圧油を受け入れるように構成された、1つの中央貫通オリフィス11を有している。
【0019】
埋め込み工具1はまた、第1の端部1aとは反対側の、埋め込み工具の第2の端部1bに配置された、無線周波数識別RFIDタグを埋め込むための埋め込み装置13を備えている。
この埋め込み装置13は、
-1つのRFIDタグ43を、1つの金属部品200の窪み202内に挿入するための1つの挿入手段と、
-前記RFIDタグ43と通信し(図10参照)、前記RFIDタグ43が埋め込まれている前記金属部品200に関連するデータを記録するように構成された、1つのリーダ/レコーダ40(図9および図10参照)を備えている。
【第1の実施形態】
【0020】
a)挿入手段
この挿入手段は、RFIDタグ43(図10図16、および図17参照)を挿入するための、1つの端末金具15を含んでおり、この端末金具は、埋め込み装置13の第2の端部1bの側に突出している。この挿入端末金具15は、RFIDタグ43の受け入れを目的とした金属部品200の窪み202(図16および図17参照)内に導入される、(あるいは、窪み202に面して配置される)ように構成されている。RFIDタグ43は、例えばほぼ円筒形であり、前記窪み202は、例えば、RFIDタグ43を実質的に補完する形態を有している。
挿入端末金具15は、例えば、管状の形態を有しており、1つの管状のオリフィス17の延長部内に配置され、このオリフィス17の中に、プッシュロッドとも呼ばれる1つのピストン19が挿入される。このピストンは、第1の位置(図1参照)と第2の位置(図2参照)の間で移動可能である。第1の位置は、ピストン19が挿入端末金具15から離れており、1つのRFIDタグ43の装填位置である。第2の位置は、1つのRFIDタグ43の挿入位置であり、ピストン19が挿入端末金具15に到達してRFIDタグ43を押し、このRFIDタグを金属部品200の窪み202内へ挿入する。
【0021】
挿入手段はまた、1つのマガジン21(図3および図4参照)を備えている。このマガジンは、埋め込み装置13の長手方向軸Δの周りに規則的に配置された複数の管状の容器210を含んでいる。各管状の容器210は、この管状の容器内に、前後に配置された複数のRFIDタグ43を受け入れることが意図されている。
【0022】
挿入手段はさらに、1つのバレル23を備えている。このバレルは、埋め込み装置13の長手方向軸Δの周りを回転するように構成され、マガジン21の端部に配置されている。
このバレル23は、複数のチャンバを含んでおり、これらのチャンバは貫通空洞によって形成され、埋め込み装置13の長手方向軸Δの周りに規則的に配置されている。これら複数のチャンバは、それぞれ、マガジン21の容器210および挿入手段の管状オリフィス17に面するように、構成されている。これらのチャンバは、マガジン21の1つの容器210から1つのRFIDタグ43を受け入れるように構成されている。各容器210は、巻きばねなどの弾性要素を備えており、これにより、この容器210内に配置されたRFIDタグ43を、バレル23が配置されている端部に向かって引っ張るように構成されている。
【0023】
さらに、バレル23の回転運動およびピストン19の並進運動が、1つの機械的装置によって連結され、その結果、ピストン19が第1の位置から第2の位置に移動すると、バレル23は、所定の角度だけ旋回し、それによって、バレル23のRFIDタグ43が存在する複数のチャンバの1つが、管状オリフィス17に面し、このRFIDタグがピストン19により挿入端末金具15を介して押出し可能になる。
【0024】
この並進運動は、少なくとも1つのシリンダ25よって得られる。例えば、埋め込み工具1が圧縮空気によって動力を供給される場合には、1つの空気圧シリンダによって得られる(圧縮空気は、例えば、中央貫通オリフィス11を介して受け入れられ、次に、アダプタ27によりシリンダ25に分配される)。または、埋め込み工具1が加圧油によって動力を供給される場合には、並進運動が1つの油圧シリンダによって得られる。図1および図2では、2つの空気圧のシリンダ25が示されており、特にピストン19の、並進運動が得られるように構成されている。
【0025】
ピストン19の並進運動は、例えば、スクリュー/ナットタイプのシステムによって得られる。すなわち、前記各シリンダ25が工作機械の固定部分によってその回転が阻止されている間に、標準固定装置3が工具ホルダのスピンドルによって回転駆動される。この標準固定装置3に回転連結された要素と、シリンダ25に回転連結された要素との相対的な回転は、標準固定装置、特にピストン19に対して回転連結された要素の並進を引き起こす。
【0026】
バレル23を駆動する回転運動は、例えば、1つのピンまたは1つのボール26と、埋め込み工具1の長手方向軸Δに対して複数の傾斜領域を有する1つの溝28との間の協調によって得られる。前記複数の傾斜領域は、一連のV字形状部に対応しており、この複数のV字形状部の数は、バレル23のチャンバの数の関数として決定される。1つのピンまたはボール26は、例えば、(並進)移動するようにして1つのピストン19に連結され、1つの溝28が、例えば、バレル23に対して回転しつつ連結されるように、円筒形の1つの駆動軸29上に形成されている。この駆動軸29は、例えば、一対の転がり軸受30によって回転方向にガイドされている。
図5は、そのような駆動軸29の例を示している。溝28の傾斜形状は、ピストン19が第2の位置から第1の位置に切り替わり、次に、第2の位置に戻るとき、バレル23が2つの隣接する容器210間の角度に対応する1つの角度だけ旋回するように、その形状が決定される。例えば、本実施例のように5つの容器210および1つの管状オリフィス17を含むマガジンの場合は、旋回の角度は60°である。
【0027】
閉鎖要素31は、埋め込み工具1の第2の端部1bにおいて、マガジン21を封止し、バレル23を所定の位置に保持する。挿入端末金具15は、例えば、閉鎖要素31と一体に形成されている。
図6で良くわかるように、閉鎖要素31は、例えば、円形の形態を有し、複数の貫通オリフィス310を備えている(この例では、挿入端末金具15にあるオリフィスを数えると6個になる)。これらの貫通オリフィスは、複数の容器210と1つの管状オリフィス17とに面するように構成されている。
さらに、図7および図8に示されるように、閉鎖要素31上に、複数の旋回閉鎖フラップ33を配置することができる。これらのフラップ33は、例えば、弾性要素または磁石による張力で、各容器210の端部をブロックしており、オペレータによって手動で回転させられると、容器210へのアクセスが自由になり、それらの容器210に複数のRFIDタグ43を充填することができる。
【0028】
図6乃至図8に示した例では、各旋回閉鎖フラップ33は、磁石によって専用の窪み35内に保持されている。オペレータは、このフラップ33に対して相補的なオリフィス37に挿入されるように構成された六角レンチなどのレンチを用いて、各フラップ33を個別に回転させることができる。
【0029】
b)リーダ/レコーダ
埋め込み工具1はまた、図9および図10に示すように、1つのリーダ/レコーダ40を備えている。このリーダ/レコーダ40は、金属部品200が機械加工工具に配置されるとき、例えば、金属部品の窪み202内への埋め込まれる時に、RFIDタグ43にこの金属部品200に関連するデータを記録するように構成されている。リーダ/レコーダ40は、特にRFIDアンテナ41を備えており、このアンテナは、埋め込み工具1の挿入端末金具15の近くに配置され、無線周波数波の放射を介してRFIDタグ43と通信するように構成されている。
【0030】
図10に示されるように、リーダ/レコーダ40は、また、マイクロコントローラ45、例えば、ArduinoTM type(登録商標)、特に、ArduinoTM uno(登録商標)を備えている。マイクロコントローラ45は、例えば、タービン47(または電動機、特に直流タイプの電動機)から、電圧整流器49を介して電力を供給される。
リーダー/レコーダ40はまた、工作機械の制御ユニットと通信するための通信装置51を備えており、たとえば、「ブルートゥース(登録商標)」タイプのトランシーバー、または電磁波の交信に基づく他のタイプの短距離プロトコルで通信する。この通信装置51は、金属部品に関連する情報を受信し、その情報をRFIDアンテナ41を介してRFIDタグ43に記録することを可能にする。
タービン47は、工具ホルダによって供給される圧縮空気によって駆動され、この圧縮空気によって供給される機械的エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成されている。あるいは、タービン47は、油などの別の加圧流体によって駆動することができる。電動機の場合は、バッテリーやセルなどの蓄電手段によって電動機に電力を供給できる。
リーダ/レコーダ40を構成する異なる複数のエレメントは、ケーブルによって接続されるか、または1つの共通のプリント回路基板上に配置できる(幾つかのエレメントを1つのプリント回路基板上に配置でき、他のエレメントはケーブルによって接続できる)。
【0031】
さらに、RFIDタグ43を埋め込むための埋め込み工具1とは独立に、前述のように1つのタービン47を使用し、圧縮ガスまたは加圧流体から電力供給源を生成することも可能である。このタービン47は、例えば、電力供給を必要とする工作機械の別の工具に配置することもできる。実際、工作機械の工具にこのようなタービン47を使用することにより、定期的に交換または再充電が必要なセルまたはバッテリーのような定期的な保守を必要とするものとは異なる、連続した電力供給源を提供することが可能になる。
これにより、工作機械を使用するためにオペレータに必要なオペレーションの量を減らし、工作機械の稼動停止期間を制限し、(セルの寿命が尽きたとき、またはバッテリーの充電量が事前に定義された閾値を下回ったときの)機械の整備のスケジューリングに関連するオペレータのストレスを回避することが可能になる。さらに、工作機械は常に圧縮空気または他の加圧流体装置を備えているので、この工作機械の任意の工具にそのような解決策を適用することもできる。
【0032】
実際には、金属部品200に関連する情報の記録は、実質的に、RFIDタグ43の埋め込み時に、例えば、その埋め込みの直前に、RFIDタグ43が挿入端末金具15に配置されるときに実行される。より好ましくは、RFIDタグ43が金属部品200の窪み202内に配置された埋め込みの直後に実行される。
【0033】
RFIDタグ43が金属部品200の窪み202内に配置されたときに、リーダ/レコーダ40とRFIDタグ43との間の無線周波数の通信を可能にするために、RFIDタグ43は、図16に示されるように、窪み202からの突出部を含んでいても良い。この突出部は、例えば、高さhが1mmである。あるいは、またはこれと組み合わせて、窪み202の縁は、例えば、図17に示されるように、45°の面取りによって生成される、広がりのある開口形状を有することができる。
【0034】
さらに、RFIDタグ43は、例えば、金属部品200の窪み202内に強制的にはめ込まれる。あるいは、RFIDタグ43は、金属部品200の窪み202内に接着することができる。
【0035】
c)オペレーション
オペレーションに関し、工作機械の工具ホルダは、金属部品200を機械加工し、この金属部品200内に1つのRFIDタグ43用の1つ窪みを形成した後、埋め込み工具1と協働するように構成されている。そのために、工具ホルダは、標準固定装置3で埋め込み工具1と結合される。
埋め込み工具1が工具ホルダに固定されると、この工具ホルダは、埋め込み工具1を、機械加工され窪み202が形成されている金属部品200へ移動させるように構成されている。この工具ホルダにより、埋め込み工具1は、挿入端末金具15が金属部品200に設けられた窪み202の入口に面し、それに近接、若しくは接触するように、配置される。
【0036】
埋め込み工具1が所定の位置にあるとき、工具ホルダは、圧縮空気(または他の加圧流体)を埋め込み工具1に送るように構成され、これにより、一方で、タービン47を駆動してリーダ/レコーダに電力を供給し、 他方で、1つまたは複数のシリンダ25の作動、および標準固定装置3の回転が開始される。この作動により、管状オリフィス17内のピストン19がバレル23に向かって移動する。バレル23はまた、ボール26と溝28との組み合わせを介して回転駆動され、その結果、マガジン21から1つのRFIDタグ43が管状オリフィス17内へ配置される。
次に、ピストン19は、管状オリフィス17内に配置されたRFIDタグ43に接触し、次いで、挿入端末金具15の通路を経て、このRFIDタグ43を金属部品200内に形成された窪み202へ移動させる。ピストン19の移動により、RFIDタグ43を金属部品200の窪み202内に強制挿入することができる、(あるいは、RFIDタグ43を接着によって窪み202内に固定することができる)。
RFIDタグ43がその窪み202内に挿入されると、タービン47によって電力を供給されるリーダ/レコーダ40は、金属部品に関連し工作機械によって送信された情報を、RFIDタグ43に記録する。
【0037】
また、ピストン19は、第1の位置に向かって移動させられる。したがって、RFIDタグ43は金属部品200内に埋め込まれ、金属部品200に関連する情報は、その埋め込み時にRFIDタグ43に記録され、記録された情報のエラーのリスクを低減することが可能になる。
金属部品に関連付けられて、RFIDタグ43に記録される情報は、例えば、次のフィールドの1つまたは複数を含んでいる。
-リファレンス番号、
-製造日、
-製造方法、
-製造場所、
-製造機械リファレンス、
-工作機械リファレンス、
-金属部品の寸法、
-メンテナンス追跡情報。
【0038】
他のフィールドの情報も記録できることは明らかである。さらに、真空ポンプなどの複数の金属部品200からなる1つののセットを含む機器の組み立て時に、各金属部品200に1つのRFIDタグ43を埋め込み、さらに、マスターRFIDタグとも呼ばれる1つの追加のRFIDタグを、前記機器が一緒に装着されているときにアクセスできる1つの窪み、例えば保護ケーシングに埋め込むこともできる。
このマスターRFIDタグは、例えば、様々な金属部品、特に前記1つの機器を構成する異なる複数の金属部品200に埋め込まれた異なる複数のRFIDタグ43に記録された、全ての情報を含んでいる。したがって、このマスターRFIDタグは、機器の様々な金属部品を分解する必要なしに、様々な複数のRFIDタグ43に記録された様々な情報へのアクセスを可能にする。このマスターRFIDタグは、他のRFIDタグ43と同一の容量にすることもでき、より大きな容量を持つこともできる。
【第2の実施形態】
【0039】
図11および図12に示される第2の実施形態によれば、埋め込み工具1は、シリンダも、スクリュー/ナット原理に基づく機械的アセンブリも含まない。しかし、ピストン19は、圧縮空気または加圧流体によって直接、並進運動される。
そのために、中央貫通オリフィス11’は、ピストン19が配置されている管状オリフィス17に連通しており、これにより、中央貫通オリフィス11’を介して埋め込み工具1に供給される圧縮空気(または加圧流体)が、図11に示されている第1の位置から、図12に示されている第2の位置まで、ピストン19の移動を引き起こす。
第2の位置から第1の位置へのピストン19の復帰は、弾性要素、例えば、管状オリフィスに配置され、圧縮空気(または加圧流体)がない状態で、ピストン19を第1の位置に復帰させるように構成されたた螺旋ばね(図示せず)によって達成される。あるいは、ピストンの第1の位置への復帰は、管状オリフィス17の他端への圧縮空気(または加圧流体)の供給によって得ることができる。(圧縮空気埋め込み工具1の場合)、過圧を回避するために、リークダクト12を、管状オリフィス17と埋め込み工具1の外側との間に形成することができる。埋め込み工具1はまた、前述の第1の実施形態と同一でも良い。
【第3の実施形態】
【0040】
図示されていない第3の実施形態によれば、埋め込み工具1は、シリンダを含まないが、タービン47の出力軸に連結された連結ロッド-クランクアセンブリを含んでいる。この連結ロッド-クランクアセンブリは、タービン47の出力軸の回転運動を並進運動に変換することを可能にし、したがって、第1の位置と第2の位置との間で駆動されるピストン19の移動を可能にする。埋め込み工具1の他の態様は、例えば、前述の第1の実施形態と同様である。
【第4の実施形態】
【0041】
第4の実施形態によれば、埋め込み工具1は、バレル23を含まず、代わりに、図13および14に示されるような、管状オリフィス17での並進運動によって1つのRFIDタグ43を装填するための装置50を含むという点で、前述の各実施形態とは異なる。この第4の実施形態では、マガジン21’は、複数のRFIDタグ43を受入れるように構成された管状の単一の容器210’を備えている。この容器210’は、例えば、管状オリフィス17に平行に延びている。1つのスリット211が、容器210’の第1の端部210’aと管状オリフィス17との間に形成されており、これにより、1つのRFIDタグ43が容器210’から管状オリフィス17へ通過するのを可能にしている。
この埋め込み工具1はまた、1つの舌状部材212を備えており、この舌状部材212は、図13に示した、舌状部材212が管状オリフィス17及び容器210’の外に延びているアイドル位置と、図14に示した、舌状部材212が容器210’を通って管状オリフィス17まで延びる装填位置との間で、管状オリフィス17の軸に対して横方向に並進運動可能である。
【0042】
さらに、容器は、RFIDタグ43を容器210’の第1の端部に引っ張るように構成された弾性要素(表されていない)を含むこともできる。この弾性要素は、例えば、容器210’の第2の端部210’bに配置された、螺旋ばねである。したがって、舌状部材212は、アイドル位置から装填位置への通過時に、容器210’の第1の端部210’aに配置されたRFIDタグ43を管状オリフィス17へ移動させるように構成されている。アイドル位置と装填位置との間の舌状部材212の移動は、例えば、圧縮空気により動力を供給される空気圧のシリンダ25’によって得られる。あるいは、加圧オイルによって動力を供給される油圧シリンダを使用することもできる。
【0043】
本発明はまた、特に、工作機械で金属部品200を機械加工するステップと、金属に埋め込まれたRFIDタグに金属部品に関連するデータを記録するステップとを含む、金属部品200を製造するための方法に関する。この方法はまた、例えば、前述のように埋め込み工具1を使用して、無線周波数識別RFIDタグ43を埋め込むステップを含むことができる。
RFIDタグ43の埋め込みは、工作機械で行われる。したがって、金属部品は機械加工され、RFIDタグ43は機械加工の最後にその金属部品に埋め込まれる。金属部品に形成され、RFIDタグ43を受け入れるように構成された窪みは、機械加工中または機械加工前に製造することができる。あるいは、RFIDタグを、工作機械に導入する前に、金属部品に埋め込むこともできる。
【0044】
したがって、金属部品200に関連するデータは、金属部品が工作機械に配置されるときに、前記金属部品200に埋め込まれたRFIDタグ43に記録される。したがって、ある金属部品が工作機械を離れるときには、その金属部品は、真空ポンプなどの機器の組み立て品を得るために、他の金属部品と組み立てられる準備ができている。
【0045】
本発明はまた、金属部品200を製造するための方法、および複数の金属部品を含む装置を組み立てるための方法にも関連し、その金属部品の少なくとも1つは、前記方法に従って製造される。
【0046】
次に、図15のフローチャートに基づいて、金属部品200を製造する方法、および組み立て方法の、様々なステップを詳細に説明する。
【0047】
第1のステップ101は、金属部品200の機械加工に関する。そのために、未加工の金属部品、例えばアルミニウムのブロックが、工作機械に配置される。この工作機械は、例えば、1つの工具ホルダを備えた数値制御マシンであり、工具マガジンから工具を選択し、選択した工具とオペレータが機械に入力したコマンドを使用して金属部品を機械加工するように構成されている。工具ホルダは、所望の金属部品200を得るために、選択された1つまたは複数の工具を使用して一連の機械加工のステップを実行するように構成されている。工具ホルダは、圧縮空気供給手段を含んでいても良い。
【0048】
第1のステップ101はまた、1つのRFIDタグ43を受け入れるための1つの窪み202の形成を含めることができる。この窪み202のサイズおよび形状は、例えば、RFIDタグ43のサイズおよび形状、ならびに、窪み202内にRFIDタグ43を固定するために選択される手段の関数として選択される。さらに、窪み202には、無線周波数識別RFIDタグ43の配置に関し、少なくとも1つの横方向に突出した隙間を設けることができる。この隙間は、この窪み202内に埋め込まれたRFIDタグ43と近くに配置されるリーダ/レコーダとの間のRF通信を可能にする。この窪み202は、例えば、特に45°の面取りによって生成された、広がりのある開口形状を有している。
【0049】
第2のステップ102は、機械加工された金属部品200内に形成された窪み202内への、1つのRFIDタグ43の埋め込みに関する。したがって、この第2のステップ102では、金属部品200は依然として工作機械内に配置されており、工具ホルダは、前記埋め込み工具1を選択するように構成されている。
【0050】
次に、工具ホルダは、埋め込み工具1、特に挿入端末金具15を、RFIDタグ43を受け入れるための窪みに面するように配置する。次に、工具ホルダは、埋め込み工具1の1つまたは複数のシリンダ25、25’を作動させて、管状オリフィス17内のピストン19を移動させ、かつバレル23を回転させて、1つのRFIDタグ43を、金属部品200内に形成された1つの窪み202へ移動させる。RFIDタグ43は、例えば、埋め込み工具1のピストン19によって窪み202内へ強制挿入される。他のタイプの埋め込み工具を使用することもできる。
【0051】
また、RFIDタグ43は、機械加工する前に、金属部品200内に埋め込むこともできる。この場合、この方法には、オプションのステップであるステップ102は含まれない。
【0052】
ステップ102と同時に実行することができる、第3のステップ103は、機械加工された金属部品に関連するデータの、RFIDタグ43への記録に関する。工具ホルダは、圧縮空気供給を介してタービン47を駆動するように構成され、これにより、埋め込み工具1のリーダ/レコーダ40に電力を供給し、リーダ/レコーダ40が、工作機械の制御ユニットとのブルートゥース(登録商標)接続を介して、機械加工された金属部品200に関連するデータを検索できるようにする。あるいは、このデータの取得を事前に実行することもできる。
次に、リーダ/レコーダ40は、これらのデータを、埋め込まれたRFIDタグ43に転送する。このデータは、例えば、前述のデータ(リファレンス番号、製造日、製造方法など)に対応している。他のタイプのリーダ/レコーダ40や電源も使用できる。
【0053】
RFIDタグ43を事前に埋め込む場合は、単純なリーダ/レコーダを使用して、金属部品200に関連するデータをこのRFIDタグに転送することもできる。
【0054】
ステップ101~103は、1つの金属部品200を製造するための方法に関連している。したがって、これらのステップ101~103は、機械加工されなければならない、前記装置を構成する複数の金属部品200について繰り返される。
【0055】
後続のステップは、複数の部品を組み立てるための方法に関連しており、その少なくとも1つの部品は、ステップ101~103に記載された方法に従って製造される。
【0056】
ステップ104は、異なる複数の金属部品200が機械加工されるとき、これらの異なる複数の部品の組み立て、特に、ステップ101~103で得られた機械加工された複数の金属部品を組み立てて、1つの装置、例えばつの真空ポンプとするのに対応する。
【0057】
ステップ105はオプションのステップであり、装置の1つの窪みへの、マスターRFIDタグと呼ばれる追加の1つのRFIDタグの埋め込みに関する。このマスターRFIDタグは、装置が組み立てられたときに、1つのリーダ/レコーダ40との通信が可能になる。この埋め込みは、例えば、追加のRFIDタグを機器ケーシングの1つの専用の窪みに強制的にはめ込むことによって行われる。
【0058】
ステップ106は、この装置を構成する機械加工された複数の金属部品に関連するデータの、マスターRFIDタグへの記録に関するものであり、これにより、この装置を分解する必要なしにこれらのデータにアクセス可能になる。マスターRFIDタグに記録されたデータは、1つの機器を構成する複数の様々な金属部品に記録されたデータの一部または全てに対応することができる。 その他のデータも、マスターRFIDタグに記録できる。
【0059】
このように、1つの金属部品200が1つの工作機械に配置されたときに、前記金属部品200に埋め込まれた1つのRFIDタグ43に、前記金属部品200に関連するデータを記録することにより、前記金属部品の1つのマーキングおよび1つのトレーサビリティを得ることが可能になり、 誤ったデータを記録したり、データを削除したりするリスクが軽減されるため、信頼性が向上する。さらに、工作機械の工具ホルダーと互換性があり、その電子部品が工作機械の他の工具に加えて追加のエネルギー供給を必要としない1つの埋め込み工具1を使用することにより、RFIDタグ43の埋め込みが容易になると共に、このRFIDタグ43への金属部品200に関連するデータの簡単で信頼性の高い記録を可能にする。
【符号の説明】
【0060】
1 埋め込み工具
1a 第1の端部
1b 第2の端部
3 標準固定装置
5 端末金具
7 カラー
9 チャネル
11 中央貫通オリフィス
13 埋め込み装置
15 挿入端末金具
17 管状オリフィス
19 ピストン
21 マガジン
23 バレル
25 シリンダ
26 ボール
27 アダプタ
28 溝
29 駆動軸
30 転がり軸受
31 閉鎖要素
33 旋回閉鎖フラップ
40 リーダ/レコーダ
43 RFIDタグ
47 タービン
51 無線通信手段
200 金属部品
202 窪み
210 容器
212 舌状部材
310 貫通オリフィス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】