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特表2023-505212立体視画像の対から導出された点群を使用して構造物をモデル化するためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(54)【発明の名称】立体視画像の対から導出された点群を使用して構造物をモデル化するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/593 20170101AFI20230201BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230201BHJP
   G01B 11/245 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
G06T7/593
G06T7/00 C
G01B11/245 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533395
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(85)【翻訳文提出日】2022-08-01
(86)【国際出願番号】 US2020063004
(87)【国際公開番号】W WO2021113439
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】16/703,644
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】522220533
【氏名又は名称】ジオムニ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147511
【弁理士】
【氏名又は名称】北来 亘
(72)【発明者】
【氏名】マンディ,ジョセフ,エル.
(72)【発明者】
【氏名】ポーター,ブライス,ザカリ
(72)【発明者】
【氏名】ジャスタス,ライアン,マーク
(72)【発明者】
【氏名】リヴァス,フランシスコ
【テーマコード(参考)】
2F065
5L096
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA53
2F065CC14
2F065FF01
2F065FF05
2F065FF09
2F065JJ03
2F065JJ05
2F065JJ26
2F065QQ21
2F065QQ24
2F065QQ31
5L096AA09
5L096CA05
5L096FA10
5L096FA26
5L096FA66
5L096FA69
5L096HA11
5L096JA20
5L096KA04
5L096KA15
(57)【要約】
屋根構造物をモデル化するための、空中画像データベース及び空中画像データベースと通信しているプロセッサを備えたシステムである。空中画像データベースは複数の立体視画像の対を記憶しており、プロセッサは空中画像データベースから複数の立体視画像の対の中の少なくとも1つの立体視画像の対及び関連メタデータを地理空間的関心領域に基づいて選択する。プロセッサは、少なくとも1つの立体視画像の対からのターゲット画像と参照画像を識別し、識別されたターゲット画像の各画素について視差値を算定して視差マップを生成する。プロセッサは、視差マップ、識別されたターゲット画像、及び識別された参照画像に基づいて3次元点群を生成する。プロセッサは、随意的には、生成された3次元点群に基づいて、屋根構造物の3次元表現を示すテクスチャマップを生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物をモデル化するためのシステムにおいて、
空中画像データベースと、
前記空中画像データベースと通信しているプロセッサであって、
前記空中画像データベースから少なくとも1つの立体視画像の対を取り出し、
前記少なくとも1つの立体視画像の対からターゲット画像を識別し、
前記少なくとも1つの立体視画像の対から参照画像を識別し、
前記識別されたターゲット画像の各画素について視差値を計算し、
前記識別されたターゲット画像の各画素についての前記計算された視差値に基づいて視差マップを生成し、
前記視差マップ、前記識別されたターゲット画像、及び前記識別された参照画像に基づいて3次元点群を生成し、
前記3次元点群を使用して前記構造物の3次元建築ポリゴンモデルを生成する、プロセッサと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの立体視画像の対は、地理空間的関心領域を使用して識別される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの立体視画像の対は、内部及び外部カメラパラメータに関連したデータを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記識別されたターゲット画像の各画素のコスト視差値を決定するセミグローバルマッチングアルゴリズムを適用することによって、前記識別されたターゲット画像の各画素についての前記視差値を計算する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記視差マップと、前記識別されたターゲット画像と前記識別された参照画像の間の光線交点と、に基づいて前記3次元点群を生成し、前記プロセッサは、前記識別されたターゲット画像中のそれぞれの画素を通るそれぞれの光線と前記識別された参照画像中のそれぞれの対応した画素を通るそれぞれの光線の間の複数の3次元交点を計算する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記3次元点群に亘る特徴をモデル化するための少なくとも1つの3次元ツールを生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記空中画像データベースから第2の立体視画像の対を取り出し、
前記第2の立体視画像の対から第2のターゲット画像を識別し、
前記第2の立体視画像の対から第2の参照画像を識別し、
前記識別された第2のターゲット画像の各画素について視差値を計算し、
前記識別された第2のターゲット画像の各画素についての前記それぞれの計算された視差値に基づいて第2の視差マップを生成し、
前記第2の視差マップ、前記識別された第2のターゲット画像、及び前記識別された第2の参照画像に基づいて第2の3次元点群を生成し、
前記生成された第1の3次元点群と前記生成された第2の3次元点群を融合させることによって融合3次元点群を生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記システムは、立体視画像の第1の対から第1の点群を生成し、立体視画像の第2の対から第2の点群を生成し、前記第1の点群又は前記第2の点群の一方をユーザーへの表示のために自動的に選択する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記3次元点群に基づく3次元メッシュモデルを生成するために前記3次元点群へ表面再構成アルゴリズムを実行する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサはグラフィカルユーザーインターフェースをオペレータへ表示させ、前記グラフィカルユーザーインターフェースは、前記3次元点群と、前記3次元点群の上に特徴の3次元ワイヤフレームモデルを作成するためのユーザーインターフェースツールと、を含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記ユーザーインターフェースツールを介して前記オペレータから入力を受信し、前記オペレータからの前記入力に基づいて前記特徴の前記3次元ワイヤフレームモデルを生成し、前記特徴の前記3次元ワイヤフレームモデルを前記3次元点群の上に表示させる、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記プロセッサは、画像からのテクスチャを前記3次元ワイヤフレームモデルの少なくとも1つの表面へ適用する、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記プロセッサは、屋根の前記3次元ワイヤフレームモデルに基づく直列化可能なデータを生成する、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記プロセッサは、前記3次元モデルに対応した現実世界の構造物の測定値を含む報告書を生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記報告書はデジタルファイルの形態をしている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記報告書は、前記3次元モデルの少なくとも部分に対応した価格設定情報、材料、機材、又はサポート事象のうちの1つ又はそれ以上に関連した情報を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは、テクスチャマップを前記3次元点群の少なくとも1つの表面へ適用する、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記3次元点群の点を色付けする、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
構造物をモデル化するための方法において、
少なくとも1つの立体視画像の対を受信する工程と、
前記少なくとも1つの立体視画像の対からターゲット画像を識別する工程と、
前記少なくとも1つの立体視画像の対から参照画像を識別する工程と、
前記識別されたターゲット画像の各画素について視差値を計算する工程と、
前記識別されたターゲット画像の各画素についての前記それぞれの計算された視差値に基づいて視差マップを生成する工程と、
前記視差マップ、前記識別されたターゲット画像、及び前記識別された参照画像に基づいて3次元点群を生成する工程と、
前記3次元点群に基づいて前記構造物の3次元建築ポリゴンモデルを生成する工程と、
を備える方法。
【請求項20】
地理空間的関心領域を使用して前記少なくとも1つの立体視画像の対を識別する工程、を更に備える請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記識別されたターゲット画像の各画素のコスト視差値を決定するセミグローバルマッチングアルゴリズムを適用することによって、前記識別されたターゲット画像の各画素についての前記視差値を計算する工程、を更に備える請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記視差マップと、前記識別されたターゲット画像と前記識別された参照画像の間の光線交点と、に基づいて前記3次元点群を生成する工程と、前記識別されたターゲット画像中のそれぞれの画素を通るそれぞれの光線と前記識別された参照画像中のそれぞれの対応した画素を通るそれぞれの光線の間の複数の3次元交点を計算する工程と、を更に備える請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記空中画像データベースから第2の立体視画像の対を取り出す工程と、
前記第2の立体視画像の対から第2のターゲット画像を識別する工程と、
前記第2の立体視画像の対から第2の参照画像を識別する工程と、
前記識別された第2のターゲット画像の各画素について視差値を計算する工程と、
前記識別された第2のターゲット画像の各画素についての前記それぞれの計算された視差値に基づいて第2の視差マップを生成する工程と、
前記第2の視差マップ、前記識別された第2のターゲット画像、及び前記識別された第2の参照画像に基づいて第2の3次元点群を生成する工程と、
前記生成された第1の3次元点群と前記生成された第2の3次元点群を融合させることによって融合3次元点群を生成する工程と、
を更に備える請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記3次元点群に基づく3次元メッシュモデルを生成するために前記3次元点群へ表面再構成アルゴリズムを実行する工程、を更に備える請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記方法は、グラフィカルユーザーインターフェースをオペレータへ表示する工程を更に備え、前記グラフィカルユーザーインターフェースは、前記3次元点群と、前記3次元点群の上に特徴の3次元ワイヤフレームモデルを作成するためのユーザーインターフェースツールと、を含んでいる、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記ユーザーインターフェースツールを介して前記オペレータから入力を受信する工程と、前記オペレータからの前記入力に基づいて前記特徴の前記3次元ワイヤフレームモデルを生成する工程と、前記特徴の前記3次元ワイヤフレームモデルを前記3次元点群の上に表示させる工程と、を更に備える請求項25に記載の方法。
【請求項27】
画像からのテクスチャを前記3次元ワイヤフレームモデルの表面へ適用する工程、を更に備える請求項25に記載の方法。
【請求項28】
屋根の前記3次元ワイヤフレームモデルに基づく直列化可能なデータを生成する工程、を更に備える請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記3次元モデルに対応した現実世界の構造物の測定値を含む報告書を生成する工程、を更に備える請求項19に記載の方法。
【請求項30】
前記報告書はデジタルファイルの形態をしている、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記報告書は、前記3次元モデルの少なくとも部分に対応した価格設定情報、材料、機材、又はサポート事象のうちの1つ又はそれ以上に関連した情報を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
テクスチャマップを前記3次元点群の少なくとも1つの表面へ適用する工程、を更に備える請求項19に記載の方法。
【請求項33】
前記3次元点群の点を色付けする工程、を更に備える請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概括的には、構造物のコンピュータモデル化の分野に関する。より具体的には、本開示は、立体視画像の対(stereoscopic image pair)から導出された点群を使用して構造物をモデル化するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル画像(例えば、空中画像、衛星画像など)からのオブジェクトの高精度かつ迅速な識別及び描出が様々な用途にとってますます重要になりつつある。新しく建設される建物の場合はもとより既存構造物を置換及び改修する場合についても材料及び関連コストを特定するために、例えば、屋根、壁、扉などの様な、建物の様々な特徴に関連する情報が建設の専門家によって使用されることは多い。更に、保険業界では、建物/構造物に保険を掛ける場合の適正なコストを決定するために、構造物についての正確な情報が使用され得る。更にまた、政府機関が、区画整理、建設、公園及びレクリエーション、住宅プロジェクトなどの様な、プロジェクトを計画立案するために、指定された区域内の既知のオブジェクトについての情報を使用することがある。
【0003】
空中画像を処理して、空中画像中に存在する構造物の3D(3次元)モデルを生成するために、様々なソフトウェアシステムが実装されている。しかしながら、これらのシステムは、標高を高精度に描写できない、内部の線分を検出できない、又はコスト精度の高いコスト見積もりにとって十分にセグメント化できない、という様な短所を有している。このことが構造物の不正確又は不完全な3Dモデルをもたらすこともある。したがって、2D画像から高精度完全3Dモデルを生成する能力は強力なツールである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上より、この分野における既存技術に鑑みて、望ましいであろうとされるものは、デジタル画像をそのソースに関わらず自動的に且つ効率よく処理してデジタル画像中に存在する3D構造物のモデルを自動的に生成するシステムである。ゆえに、本明細書に開示されるコンピュータビジョンシステム及び方法は、これら及び他のニーズを解消する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、立体視画像の対から導出された点群を使用して構造物の3次元モデルを生成するためのシステム及び方法に関する。開示されているシステムは、ユーザーによって指定された地理空間的関心領域(region of interest)に基づいて、一対の立体視画像及び関連メタデータを取り出すことができる。次いで、システムは、立体視画像の対のターゲット画像の各画素について視差値を算定することができる。次いで、システムは、立体視画像の対のターゲット画像と参照画像を使用して3D点群を算定することができる。随意的には、システムは、算定された点群をテクスチャマッピングすることができる。システムは、追加の立体視画像の対を使用して追加の3D点群を算定し、算定された3D点群を融合して構造物の最終的点群モデルを作成することができる。点群は、構造物の特徴(例えば、屋根、壁、扉、窓など)に対応して点群の上に線を引いたり構造物の3次元ワイヤフレームモデルを生成したりという様な更なるモデル化目的のために使用され得る。
【0006】
発明の上記特徴は、以下の発明の詳細な説明を添付図面と関連付けて考察されることから明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示のシステムを実装するのに利用できるハードウェア構成要素及びソフトウェア構成要素を示すダイヤグラムである。
図2】本開示のシステムによって実施される全体的なプロセスステップを示すフローチャートである。
図3図2のステップ112をより詳細に示すフローチャートである。
図4】スケール変換を算定するために立体視画像の対のターゲット画像と参照画像の間の必要とされる対応関係を示すダイヤグラムである。
図5】セミグローバルマッチングアルゴリズムを使用した立体視画像の対のターゲット画像中の各画素についての視差値の算定を示すダイヤグラムである。
図6】立体視画像の対の矯正済みターゲット画像と、セミグローバルマッチングアルゴリズムによって算定された最小のコスト視差(cost disparity)を示すダイヤグラムである。
図7】任意の画像対を矯正するためにシステムによって実施されるプロセスステップを示すフローチャートである。
図8】矯正済み立体視画像の対を取得するためのカメラジオメトリ矯正変換を示すダイヤグラムである。
図9】矯正済み立体視画像の対を示すダイヤグラムである。
図10】空中画像中に存在する3D構造物に対応した融合点群を示すダイヤグラムである。
図11】空中画像中に存在する3D構造物のテクスチャマッピング済みモデルを示すダイヤグラムである。
図12】空中画像中に存在する3D構造物に対応したそれぞれの点群を示すダイヤグラムである。
図13】本開示のシステムを示すダイヤグラムである。
図14】本開示のシステムの別の実施形態によって実施される全体的なプロセスステップを示すフローチャートである。
図15】本開示のシステムの別の実施形態によって実施される全体的なプロセスステップを示すフローチャートである。
図16図15の処理ステップを示すダイヤグラムである。
図17図15の処理ステップを示すダイヤグラムである。
図18図15の処理ステップを示すダイヤグラムである。
図19図15の処理ステップを示すダイヤグラムである。
図20】本開示のシステムによる立体画像の矯正を示すダイヤグラムである。
図21A】本開示のシステムによるメッシュモデルの生成を示すダイヤグラムである。
図21B】本開示のシステムによるメッシュモデルの生成を示すダイヤグラムである。
図22】本開示のシステムによる屋根構造物についてのワイヤフレームモデルの生成を示すダイヤグラムである。
図23】本開示のシステムの別の実施形態によって実施される全体的なプロセスステップを示すフローチャートである。
図24A】地理空間的関心領域内に位置する構造物を示す入力画像である。
図24B図24Aの入力画像の出力合成画像である。
図25図24Bの出力合成画像の後処理済み画像である。
図26図25の後処理済み画像の推定画像(inference image)である。
図27図26の推定画像中に検出される屋根構造物についてのそれぞれのワイヤフレームモデルの生成を示すダイヤグラムである。
図28図27で検出された屋根構造物についてのワイヤフレームモデルのデータ点を示すダイヤグラムである。
図29図24Aの地理空間的関心領域内に位置する構造物についてのそれぞれの点群を示すダイヤグラムである。
図30図29の点群に対応した色付き点群を示すダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、図1図30と関連付けて以下に詳述される様に、立体視画像の対から導出された点群を使用して構造物の3次元ジオメトリモデルを生成するためのシステム及び方法に関する。以下に説明される実施形態は、3D構造物ジオメトリを構築すること及びその様な構造物の様々な特徴をモデル化することに関連しており、その様な特徴には、限定するわけではないが屋根、壁、扉、窓、建物、日除け、家屋、デッキ、プール、テントの様な仮設構造物、自動車、基礎などが含まれる。
【0009】
図1は、本開示のシステム10を実装するために利用できるハードウェア構成要素及びソフトウェア構成要素を示すダイヤグラムである。システム10は、空中画像データベース12へ連結された中央処理ユニット18(例えば、ハードウェアプロセッサ)として具現化され得る。ハードウェアプロセッサは、立体視画像の対から算定された視差マップと、算定された視差マップから生成される3D点群とに基づいて、屋根構造物の3Dモデルを生成するシステムコードを実行する。ハードウェアプロセッサは、限定するわけではないが、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、サーバ、及び/又はクラウドベースのコンピューティングプラットフォームを含み得る。
【0010】
システム10は、コンピュータ可読媒体上に記憶されていてハードウェアプロセッサ又は1つ又はそれ以上のコンピュータシステムによって実行可能なコンピュータビジョンシステムコード14(即ち、非一時的コンピュータ可読命令)を含んでいる。コード14は、本明細書に論じられているステップ/プロセスを実施する様々な特注ソフトウェアモジュールを含むことができ、限定するわけではないが、空中画像前処理ソフトウェアモジュール16a、3D視差算定ソフトウェアモジュール16b、3D点群生成ソフトウェアモジュール16c、及び随意的なテクスチャマッピングソフトウェアモジュール16dを含み得る。コード14は、限定するわけではないが、C、C++、C#、Java、Python、又は任意の他の適切な言語を含む、任意の適切なプログラミング言語を使用してプログラムされ得る。加えて、コードは、通信ネットワーク上で互いに通信している複数のコンピュータシステムを横断して分散されてもよいし、及び/又は、クラウンドコンピューティングプラットフォーム上に記憶され及び実行されていて、クラウドプラットフォームと通信しているコンピュータシステムによって遠隔的にアクセスされるようになっていてもよい。コードは、コード14と同じコンピュータシステム上に記憶されているか又はコード14と通信している1つ又はそれ以上の他のコンピュータシステム上に記憶されている空中画像データベース12と通信することができる。
【0011】
更にまた、システム10は、本開示の精神又は範囲から逸脱することなく、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array,「FPGA」)、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit,「ASIC」)、埋め込みシステム、又は他のカスタマイズされたハードウェア構成要素の様な、カスタマイズされたハードウェア構成要素として具現化されることもできるだろう。図1は1つの見込まれる構成にすぎず、本開示のシステム10は多数の異なる構成を用いて実装され得るものと理解されたい。
【0012】
図2は、本開示のシステム10によって実施される全体的なプロセスステップ100を示すフローチャートである。ステップ110にて、システム10は、空中画像データベース12から立体視画像の対を取得する。特に、システム10は、ユーザーによって指定された地理空間的関心領域(「ROI」)に基づいて、2つの立体視画像及びそのメタデータを取得する。例えば、ユーザーは、ROIの緯度経度座標を入力することができる。代わりに、ユーザーは、ROIの住所又はワールドポイントを入力することもできる。地理空間的ROIは、住所又はワールドポイントを示すジオコーディングポイントを囲む汎用ポリゴンによって表現されることができる。領域は、領域中に存在する1つ又はそれ以上の構造物が理由でユーザーにとって関心があるのかもしれない。ROI内に含まれる不動産区画がジオコーディングポイントに基づいて選択され、区画の面積に亘ってディープラーニングニューラルネットワークが適用されて、区画上に位置する構造物又は複数構造物が検出されることになる。
【0013】
地理空間的ROIは、緯度経度座標によって境界されたポリゴンとして表現されることもできる。第1の例では、境界は、郵便住所に中心合わせされた矩形又は他の形状とされることができる。第2の例では、境界は、不動産区画境界の調査データから決定されることができる。第3の例では、境界は、(例えば、地理空間的マッピングインターフェースでの)ユーザーの選択から決定されることができる。当業者には、ポリゴンの境界を決定するのに他の方法も使用され得ることが理解されるだろう。
【0014】
ROIは、例えば、周知のテキスト(well-known text,「WKT」)データ、TeXデータ、HTMLデータ、XMLデータなどの様な、何れのコンピュータフォーマットで表現されてもよい。例えば、WKTポリゴンは、区画中の検出された構造物に基づく1つ又はそれ以上の算定済みの独立したワールドエリアを備え得る。ユーザーが地理空間的ROIを入力した後、地理空間的ROIと関連付けられた立体視画像の対が空中画像データベース12から取得される。上述の様に、画像は、空中画像、衛星画像などの様なデジタル画像であるとしてもよい。しかしながら、当業者には、任意のタイプの画像キャプチャソースによってキャプチャされた任意のタイプの画像が使用され得ることが理解されるであろう。例えば、空中画像は、限定するわけではないが飛行機、ヘリコプタ、パラグライダ、又は無人航空機(UAV)を含む画像キャプチャソースによってキャプチャされてもよい。加えて、画像は、限定するわけではないがスマートフォン、タブレット、又はデジタルカメラを含む画像キャプチャソースによってキャプチャされた地上画像であってもよい。複数の画像が地理空間的ROIの全部又は一部と重なり合うこともあるものと理解されたい。
【0015】
ステップ112にて、システム10は、取得された立体視画像の対のターゲット画像の各画素について少なくとも1つの視差値を算定する。次いで、ステップ114にて、システム10は、取得された立体視画像の対のターゲット画像と参照画像を使用して3D点群を算定する。次いで、ステップ116にて、システムは、追加の3D点群を算定するべきかどうかを決定する。もしそうならプロセスはステップ110へ戻り、立体視画像の別の対から別の3D点群が算定され、そうでないならプロセスはステップ118へ進む。なお、各算定された3D点群は特定の視野角(向き)に対応し得る、ということに留意する。加えて、システム10は、各算定された3D点群をレジスタすることができる。
【0016】
ステップ118にて、システム10は、算定された3D点群の1つ又はそれ以上を融合させて最終的点群を作成する。代替的には(又は追加的には)、ユーザーが1つ又はそれ以上の算定された3D点群を手動で整列させ又は融合させて最終的点群を作成することもできる。システム10は更に最終的点群をレジスタすることもできる。なお、システム10は複数の点群を融合させる必要はない、ということに留意する。代わりに(又は追加的に)、システム10は、複数の点群を生成し(それぞれが一対の立体視画像によって生成される)、視野角にとって最良の点群を自動的に選択してユーザーへ表示させることもできる。代替的には、システム10は、最終的点群の1つ又はそれ以上のビュー又は複数の点群のうちの或る点群の1つ又はそれ以上のビューを自動的に選択してユーザーへ表示させることもできる。
【0017】
ステップ120にて、システム10は、随意的には、立体視画像の対中に存在する屋根構造物の3Dモデルを生成するために最終的点群をテクスチャマッピングすることができる。なお、システムは最終的点群をテクスチャマッピングする必要はない、ということに留意する。代替的には、システムは、所望に応じて点群のさまざまな要素へ所望の色又はパターンを適用することもできるだろう。例えば、群中の各点に標準色(例えば、白色、灰色、黄色)を適用する、群中の各点に点の法線に基づいて色を適用する、各点に点の標高に基づいて色を適用するなど、システムが群の要素へ所望の色を適用するカラー化プロセスが適用されてもよいだろう。
【0018】
図3は、図2のステップ112をより詳細に示すフローチャートである。ステップ150及び152にて、システムは、立体視画像の対からのターゲット画像を識別し、立体視画像の対からの参照画像を識別する。次いで、ステップ156にて、システム10は、セミグローバルマッチングアルゴリズムを使用して立体視画像の対の識別されたターゲット画像中の各画素について視差値を算定する。視差値の算定は、以下に図4及び図5を参照してより詳細に論じられる。
【0019】
図4は、スケール変換を算定するために利用される立体視画像の対のターゲット画像202aと参照画像202bの間の対応関係を示すダイヤグラム200である。システム10は、対応した2D画像点208aと208bを整列させるために、スケール変換を利用し、画像の垂直スケールを調整してその行を整列させ、水平スケールを調整して水平画素場所のシフトを最小化させることができる。このシフトは視差として知られている。例えば、2D画像点207は参照画像202b中の画像点の画素場所を表し、視差値dは参照画像202b中の画像行210に沿った対応する画像点208bに到達するための負の平行移動を示している。
【0020】
これらの個々の変換の算定は、ターゲット画像202a及び参照画像202b中の対応した画像場所を必要とする。対応関係は、ゼロ視差平面204と呼ばれるワールド中に水平平面を指定することによって見出される。ゼロ視差平面204の垂直位置は、局所的な地表平面としてもよい。複数の3D点206a、206b、206c、206dが、ゼロ視差平面204からランダムに選択され、矯正回転の適用されたカメラを使用して、それぞれがターゲット画像202aと参照画像202bそれぞれの中へ投影される。例えば、図4に見られる様に、3D点206dは、ターゲット画像202aの中へ2D点208aとして投影され、参照画像202bの中へ2D点208bとして投影される。同じ3D点206Dがターゲット画像202aと参照画像202bのそれぞれへマッピングされるので、結果として得られる2D画像点208aと208bは対応関係にある。各カメラを較正して、ターゲット画像202aと参照画像202bの行を整列させ、行に沿った視差シフトを最小化するために、2Dアフィンスケール変換が適用される。
【0021】
図5は、システムによるセミグローバルマッチングアルゴリズムを使用した立体視画像の対のターゲット画像202a中の各画素についての視差値の算定を示すダイヤグラム240である。ヒルシュミュラーによるセミグローバルマッチングアルゴリズムは、このプロセスを実施するのに利用できる既知の立体再構成アルゴリズムである。立体視画像の対から3D点を再構成するためには、参照画像202b中の対応する画素を定位するために、ターゲット画像202a中の各画素について視差シフトを算定することが必要である。図4及び図5を参照して、視差値dとターゲット画像202a中の画素場所(u,v)が与えられると、参照画像202b中の対応した画素208bの場所は(u+d,v)(即ち、行vに沿ったシフト後の位置)によって与えられる。図3に示されている様に、視差値dは負である。
【0022】
セミグローバルマッチングアルゴリズムの目的は、ターゲット画像202a中の各画素についての視差値の最適割り当てを決定することである。この事例では、最適割り当ては、ターゲット画像202aと参照画像202bの間の対応した画素場所での画像外観の類似性のコストの量(コストの大きさ,cost measure)を最小化する。コストの量は、対応した画素場所にて画像近傍が類似しているほどコスト値が低くなるように定義される。例えば、コストの量は、ターゲット画像202aと参照画像202bの間の強度の絶対差であるとしてもよい。但し、このコストの量は、視点依存反射率関数のせいで生じる画像外観のばらつきの強力な指標にならない。画像外観のばらつきのより強力な指標となり得るコストの量は、限定するわけではないがu方向の強度の導関数及びセンサス変換法を含み得る。なお、異なる画像外観条件を勘案してコストの量が組み合わされてもよい、ということに留意する。
【0023】
セミグローバルマッチングアルゴリズムは、更に、特徴のない平面状の領域で外観にほとんど差のない場合でも平面状の表面を平坦に維持するためにコストの量へ或る形態の条件付けを適用する。つまり、条件付けられたコストの量は、外観一致が十分に局在化されている(即ち、極めて低コストである)場合に視差のギャップを克服させるためのペナルティを含んでいる。例えば、図4は、ターゲット画像202a中のすべての画素244a-244nについて、コストボリューム242の中で視差方向246に沿ってサーチが行われることを示している。コストボリューム242は、各ターゲット画像202a(u,v)列に沿った離散的1画素視差段によって定義される。
【0024】
有効視差は、コストがコストボリューム242のその列に沿って最も小さくなる場所である。しかしながら、外観局在化のための強力な指標が明らかでない場合は、ターゲット画像202a中の前の画素場所での視差値が利用され得る。例えば、図5に示されている様に、掃引248が垂直画像方向に実行され、ゆえに前の画素場所はターゲット画像202a中の前の行の隣接画素である。セミグローバルマッチングアルゴリズムは、ターゲット画像202a中に8つの異なる方向への掃引248を実施し、結果として得られる各画素でのコストを合計する。これらの複数の掃引方向は平滑な視差表面を現出させるために適用される。対照的に、早期のアルゴリズムは水平画像方向への掃引しか実行せず、行間の視差表面に不連続性をもたらす結果となった。
【0025】
掃引248は、視差割り当てを最適化するために動的プログラムを実装する。例えば、最小外観コスト視差値が前の画素と同じでない場合、追加の0コスト243aがインポーズされる。最小コストの視差の位置が+1又は?1のいずれかである場合、追加のPコスト243bが加算される。視差シフトが±1より大きい場合、最小の外観コスト(appearance costs)へPペナルティ243cが加算される。典型的には、Pコスト243bは、傾斜のある表面を勘案して掃引での隣接画素間に幾らかの視差シフトを許容するためにPコスト243cより有意に少ない。結果として得られる視差は、条件付きコストがすべて算定された後に最小合計コストを有する視差に定められる。
【0026】
図6は、立体視画像の対の矯正済みターゲット画像282aと、セミグローバルマッチングアルゴリズムによって計算された最小コスト視差282bを示すダイヤグラム280である。図6に示されている様に、視差の負の値は、より高い標高の表面を示唆していて、より暗い点と関連付けられる。なお、平坦な表面は一貫した視差を示し、幾つかの表面内の数個の孤立した白色点はオクルージョンの存在を示す、ということに留意する。好都合にも、本開示のシステムによる、大凡2000x2000画素の立体視画像の対の処理時間は、ラップトップコンピュータ上で大凡20秒を要するだけである。処理時間は画像の面積に正比例する。例えば、矯正し及び視差を算定する時間は、大凡900x900画素の立体視画像の対については大凡4秒である。したがって、本開示のシステムは、算定の複雑さの低減化及び処理速度の向上の観点で有意な利点をもたらす。
【0027】
図7は、随意的に任意の画像対を矯正するためにシステム10によって実施されるプロセスステップ300を示すフローチャートである。なお、システム10は空中画像データベース12から立体視画像の対を取得する、ということに留意する。また一方で、システム10は、任意の画像対を矯正して立体視画像の対を取得することもできる。ステップ302で始まると、システム10は、空中画像データベース12から任意の画像対を取得する。次いで、ステップ304にて、システム10は、任意の画像対の第1の画像と第2の画像の対応関係を決定する。これらの対応関係は、ランダムに選択された3D点をゼロ視差平面上に投影することによって決定でき、したがって画像中の点の相関付けを要しない。最後に、ステップ306にて、システム10は、第1の画像と第2の画像の間の対応関係に基づいてワープ変換を算定して、矯正済み立体視画像の対を生成する。
【0028】
図8は、矯正済み立体視画像の対を取得するためのカメラジオメトリ矯正変換を示すダイヤグラム320である。図8に示されている様に、第1の画像及び第2の画像とそれぞれ関連付けられたカメラ322a及びカメラ322bが、個々に、対応する中心回転軸324a及び423bに沿って回転され、その結果、カメラ322aは向き326aから328aへシフトし、カメラ322bは向き326bから328bへシフトする。第1の画像及び第2の画像への効果は、2D投影ワープ変換である。特に、一般的な透視カメラ投影行列を考察してみよう、
【数1】

ここに、Kは3x3較正行列であって、カメラの焦点距離及び他の内部パラメータを表す。R及びtは、ワールド原点に対してカメラ中心をシフトさせる3D回転及び平行移動である。Rは3x3行列、tは3x1行列である。分かり易いように、カメラ322a、322bの中心はワールド原点にあると考える。すると、カメラ322a、322bは、次の形をとる。
【数2】

次いで、回転行列
【数3】

がカメラ322a、322bの中心周りに適用でき、カメラ行列に、回転に対応した3x3サブ行列を内包する4x4行列を右から掛ける。
【数4】
【0029】
元の画像の、回転後カメラによって見える画像へのワープ変換は、以下の様に見出される。
【数5】

2D投影ワープ変換行列は、3x3行列である
【数6】

によって与えられる。こうしてワープ変換によって第1の画像と第2の画像のビュー方向を同じにすることができる。
【0030】
図9は、ターゲット画像202aと参照画像202bを含む矯正済み立体視画像の対を示すダイヤグラム340である。画像202aと202bは、対応した点が各画像中の同じ行上に位置するように整列された行を有している。この関係は、各画像中の対応した点を横切る線342によって示されている。
【0031】
図10は、画像363中に存在する3D屋根構造物364に対応した融合点群362を示すダイヤグラム360である。視差値が決定され次第、各ターゲット画素の3D座標が算定され得る。矯正済みカメラが、逆投影カメラ光線の算定をサポートする。特に、ターゲット画像の画素から発せられる3Dターゲット光線は、3D空間において、参照画像の画素から発せられる対応する光線と交差する。光線交点は線形演算であり、ゆえに光線交点処理は算定効率が良い。例えば、図5の2000x2000画素視差画像282bを生成するための光線交点処理の所要時間は大凡10秒である。
【0032】
融合点群362は、画像363中に示される複合切妻屋根364を示している。融合点群362は、地上解像度が大凡50cmの衛星画像から取得された。図6に示されている様に、平面状の平面は大凡この程度の精度へ解像される。なお、より高い画像解像度では、点群362の解像度は相応して増加するだろう、ということに留意する。加えて、衛星画像は、画像品質(例えば、コントラスト)に依存して3D点群解像度が画像地上解像度並みであることを示唆している。
【0033】
1つの立体視画像の対に基づいて、すべての画素にほぼ完全な視差値を有する点群を現出させることが困難な場合もある。点群処理中に最も問題となる区域は、オクルージョンと、陰影に因る表面照明の欠如である。しかしながら、データの異なる時点にて異なる視点から複数の立体視画像の対が利用可能である場合、欠落データ値は、複数の点群を融合することによって充填されることができる。なお、立体視画像の対は画像間の大きいスケール差を未然に防ぐために同じ飛行経路から取得され得る、ということに留意する。特に、多数の立体視画像を所与として、複数の立体視画像の対が固有の組合せとして形成され得る。一般に、N個の立体視画像では、N(N-1)/2通りの固有の立体視画像の対が現出され得る。例えば、10個の立体視画像は45通りの固有の立体視画像の対を生む。なお、45通りの固有の立体視画像の対それぞれのデータは冗長的であり、ゆえに融合点群を生成するのに利用される立体視画像の対は慎重に選択されるべきである、ということに留意する。
【0034】
融合点群を生成するために複数の立体視画像の対の中から利用されるべき特定の立体視画像の対を選択することは、2つの画像ビュー方向の相対配向角に依存し得る。相対画像対配向角の最適選定を推進する競合因子は、限定するわけではないが、2つのビューを横断して画素場所をマッチングさせることを容易にする小さい配向角差と、3D点場所を決定するためのより高精度な光線交点をもたらす大きい配向角差を含む。なお、相対配向角はシーンの内容に依存する、ということに留意する。また一方で、シーンの実験は、大凡20°の範囲が受容可能であることを示唆している。結果として得られる融合点群は、適度に緻密であり、画像地上解像度並みの精度を明白に示す。
【0035】
融合点群を生成するのに複数の立体視画像の対の中から利用されるべき特定の数の立体視画像の対を選択することで、欠落データ点を充填することによって融合点群のジオメトリ精度を改善することができる。例えば、点座標の標準偏差は、融合によって、大凡
【数7】

の係数で縮小され、ここにnは平均される点の数である。融合点群を生成するのに利用されるべき立体視画像の対の実践的な数は、10~100の範囲であり、遮蔽の度合い(degree of occlusion)の様な幾つかの因子に依存する。融合プロセス自体は算定集約的ではなく、その算定コストは、特定の数の立体視画像の対のそれぞれの点群を算定することに比較すれば取るに足らない。それぞれの点群の算定は、データ輻輳ボトルネックなしに並列に実行され得る。そのため、実際の経過時間は、コンピューティングシステム上で利用可能なコアの数に厳密に依存する。
【0036】
図11は、空中画像中に存在する3D構造物384のテクスチャマッピング済みモデル382を示すダイヤグラム380である。生成された最終的点群に基づき、表面へ投影された画像データを用いて3D三角分割表面を作成して構造物のテクスチャマッピング済みモデル382を形成することができる。テクスチャマッピング済みモデル382は、(例えば、テクスチャマッピング済みモデル382の3Dジオメトリの上に屋根ポリゴンを描画することによって、及び/又はそこからワイヤフレームを生成することによって)構造物の3次元建築ポリゴンモデルを手動又は自動で描画することを可能にし得る。連続した表面は、ドロネー三角分割法を利用して点群から自動的に形成され得る。テクスチャマッピング済みモデル382の表示は、広範に様々な3Dツールによってサポートされる。図11に示されている様に、テクスチャマッピング済みモデル382は、グレースケールテクスチャを利用しているが、カラー画像が利用されてもよい。なお、テクスチャマッピング済みモデル382の垂直壁は、衛星画像が配向的に頭上に近いため解像度を欠いている、ということに留意する。
【0037】
図12は、空中画像402a中に存在する3D構造物の屋根構造物の点群を示すダイヤグラム400である。空中画像402aは、屋根構造物404aを有する3D構造物403a及び屋根構造物406aを有する3D構造物405aを示しており、屋根構造物406aの周辺に近い及び/又は張り出す樹木410aが屋根構造物406aの表面へ影410bを投げかけている。したがって、空中画像402bでは、点群406bの屋根境界は、各樹木410a及び樹木から投げかけられた影410bによって崩れている。しかしながら、ユーザーは、手動入力される境界412を介して点群406bの屋根境界を線引きすることができる。
【0038】
図13は、本開示のシステム500の或る実施形態を示すダイヤグラムである。特に、図13はシステム500が実装され得るコンピュータハードウェア及びネットワーク構成要素を示している。システム500は、上述の(コンピュータビジョンシステムコード502として具現化され得る)コンピュータ命令及び方法を実行するための少なくとも1つのプロセッサ及びメモリを有する複数の内部サーバ504a-504nを含むことができる。システム500は、更に、立体視画像データ及び/又はビデオデータを受信するための複数のストレージサーバ506a-506nを含むことができる。システム500は、更に、立体視画像データ及び/又はビデオデータをキャプチャするための複数のカメラデバイス508a-508nを含むことができる。例えば、カメラデバイスは、限定するわけではないが、無人航空機508a、飛行機508b、及び衛星508nを含み得る。内部サーバ504a-504n、ストレージサーバ506a-506n、及びカメラデバイス508a-508nは、通信ネットワーク501上で通信することができる。当然ながら、システム500は複数のデバイス上に実装される必要はなく、実際にシステム500は、本開示の精神又は範囲から逸脱することなく、単一のコンピュータシステム(例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、モバイルコンピュータ、スマートフォンなど)上に実装されることもできるだろう。
【0039】
図14は、本開示の別の実施形態によるシステム10によって実施される全体的なプロセスステップ600を示すフローチャートである。ステップ602にて、システム10は、地理空間的関心領域を受信し、立体対画像及びそれらのメタデータを選択し及び取り出す。ステップ604にて、システム10は、関心領域について1つ又はそれ以上の点群が既に存在するか否かを判定する。ステップ604で否定的な判定がなされた場合、システム10はステップ606へ進み、視差マップを使用して1つ又はそれ以上の立体対から点群が生成される。ステップ604で肯定的な判定がなされた場合、システム10はステップ608へ進み、先在する点群が選択される(例えば、対応したLiDAR点群データが利用可能であるとき)。随意的には、次いでシステム10はステップ610へ進むことができ、そこで点群からポリゴンメッシュが生成され、ポリゴンメッシュは点群を精錬及び軽減化しテクスチャマッピングを適用するために使用され得る。ステップ612にて、システム10は、点群中に示される屋根のモデルを生成するのに使用されるCADインターフェースを人間のオペレータへ提示する。ユーザーにモデル化される屋根のより完全な画像が見えるようにするため、複数のビューからの複数の点群が使用され得る。屋根モデルが生成された後、システム10はステップ614へ進み、現出された3次元ジオメトリがモデル化エラーを内包していないことを確実にするためにモデル妥当性確認が遂行される。妥当性確認が完了し次第、システム10はステップ616へ進み、関心領域の様々な特徴に関連する測定値及び統計がモデルから抽出される。プロセスステップ602-616の特定の実施例が以下に図15図19に関連付けてより詳細に論じられる。
【0040】
図15は、図14と関連付けて説明された全体的なプロセスステップ600に従って、本開示のシステム10によって実施される処理ステップ650を示すフローチャートである。ステップ652にて、ユーザーは、関心領域についての住所、ジオコード、区画などを入力する。ステップ654にて、関心領域が地図から選択される。関心領域が選択されたら、システム10はステップ656へ進み、1つ又はそれ以上の立体画像対が選択され及び取り出される。ステップ658にて、システム10は、関心領域について点群データが存在するか否かを判定する。ステップ658で否定的な判定がなされた場合、システム10はステップ660へ進み、点群が生成される。ステップ658で肯定的な判定がなされ、関心領域について点群データが既に存在する場合、システム10は点群データを取り出すことができる。システム10が関心領域についての点群データを得たら、システムは、随意的に、関心領域のメッシュモデルが作成されるステップ662へ進むことができる。次いで、システム10はステップ664へ進み、屋根がモデル化される。ステップ666にて、システム10はモデル妥当性確認を行い、ステップ668にて、システム10は妥当性確認されたモデルに基づいて屋根統計を生成する。
【0041】
図16図19は、図15に関連付けて説明された処理ステップを示している。具体的には、図16は、図15のステップ652及び654に関連付けて説明されている様に、システム10によって生成されていて、地図702を表示していて、ユーザーによって選択された関心領域704を有しているグラフィカルユーザーインターフェース700を示すダイヤグラムである。図17は、図15のステップ656に関連付けて説明されている様に、図16の関心領域704に対応した一対の立体画像706a及び706bを示している。図18は、図15のステップ658に関連付けて説明されている様に、関心領域704(図16参照)にとって既に利用可能であり、データベースからダウンロードする準備ができている点群708を示す。図19Aは、図15のステップ660に関連付けて説明されている様に、システム10によって生成される点群710aを示し、図19Bは、図19Aの点群710aに基づきシステム10によって随意的に作成されるメッシュモデル710bを示している。追加的に、図19Bに示されている様に、図15のステップ662及び664それぞれに関連付けて説明されている様に、点群710a又はメッシュ710bの上に3D CAD又はワイヤフレームモデル712が生成されることもできるだろう。代わりに(又は追加的に)、ユーザーが、CADソフトウェア内の様々な3Dツールを利用して、点群710a又はメッシュ710bの上にワイヤフレームモデル712を手動で生成してもよい。なお、システムは点群上のワイヤフレームモデルの1つ又はそれ以上のビューを生成し及び表示することができる、ということに留意する。加えて、システムは、ワイヤフレームモデルの1つ又はそれ以上のビューを3Dモデル、2Dモデル、又はテクスチャモデルとして生成し及び表示することができる。点群710a又はメッシュ710bの上にワイヤフレームモデル712をモデル化するための支援として、基準水平平面が、システムによって自動的に又はユーザーによって手動的にのどちらかで、水平平面をシフトさせることによるか又は点群の点を選択することによって水平平面を示すかのどちらかによって、定義される。
【0042】
図14及び図15に関連付けて上述されている様に、プロセスは、システム10がユーザーから地理空間的関心領域を受信したときに始まる。地理空間的関心領域は、緯度経度座標中にポリゴンとして表現され得る。境界は、以下を含む様々なやり方で導出され、即ち、(1)ジオコードから、(2)郵便住所に中心合わせされた矩形又は他の形状として、(3)不動産区画境界の調査データから、又は(4)地理空間的マッピングインターフェースでの人間のユーザーの選択から、導出され得る。なお、点群が既に存在するとシステム10が判定した場合には、点群の生成にとって関心区域の画像は必要ない、ということに留意する。しかしながら、システム10は、本明細書に記載される様に、テクスチャマッピングを作成するために関心区域の画像を利用することができる。
【0043】
点群が生成される必要があるとシステム10が判定した場合には、画像が取得されなくてはならず、システム10は、メタデータを含む立体対画像の1つ又はそれ以上のセットを画像データストアから選択し及び取り出す。点群を生成するためには、斜め立体画像――カメラが関心オブジェクトに対して角度を成している――がモデル化目的にとって望ましいかもしれない。例えば、斜め立体対は、壁材料、窓及び扉の設置位置、及び実質的に頭上の視点からは明白に視認できない他の屋根以外の特徴を決定するのに有用である。
【0044】
以上に論じられている様に、システム10は、所与の関心領域にとって点群が利用可能であるかどうかを判定するための論理を含んでいる。LiDAR又は他の3D感知データの可用性をルックアップするためにデータベース問合せが遂行され得る。利用できる場合、点群がダウンロードされ、システム10はメッシュ作成及び/又はCADモデル化へ直進することができる。問合せがデータなしで戻ってきた場合、システム10は、立体対画像を使用して点群を生成する。立体対画像が取得されたら、それらを使用して視差マップが生成され、画素の逆投影を使用して点群が作成される。
【0045】
図20は、元の画像714a及び714bから矯正済み立体視画像の対716a及び716bを取得するためのカメラジオメトリ矯正変換を示す図である。元の画像714a及び714bへ適用されたときにカメラの主要光線を平行にさせ同じ平面を起点とさせるように変換する変換行列を繰り返し精錬するために、カメラメタデータ及び仮定上の平面が3D点と共に利用される。この行列はまた、画像714a及び714bへ適用されて、矯正済み立体画像対である716a及び716bを作成させる。図20に示されている様に、矯正済みの左右の画像716a及び716bは、今や平行な主要光線を有するカメラを表現している。矯正済みの左右の画像716a及び716bは、次いで、システム10によって、視差マップを生成するのに使用され得る。
【0046】
システム10は、矯正済みの左右の画像を入力として使用するヒルシュミュラーによるセミグローバルマッチングアルゴリズムの様な、任意の適切な視差マップアルゴリズムを使用することができる。アルゴリズムは、動的プログラミングを使用し、左画像中の画素を水平方向へのシフトで以って右側の画像中の各個の対応した画素にマッピングする関数を最適化させる(例えば、以上に論じられている図4を参照のこと)。このシフトは、オブジェクトの奥行を間接的に測る視差を測定する。そのため、オブジェクトがカメラに近いほど、視差は大きくなる。結果として得られた視差マップはシステム10によって点群を作成するのに使用される。
【0047】
システム10は、左画像中の画素を通る光線と右画像中の対応した画素を通る光線との3D交点を計算することによって点群を生成する。視差マップ中の各画素は、最終的点群中に含まれる。また、例えば2つの西向きカメラ、2つの東向きカメラ、2つの天底カメラなど、複数の立体対が利用可能な場合、複数の点群が生成され、それらが点群レジストレーションを用いて組み合わされて、より完全な群を形成させることもできる。複数の立体対から複数の点群を作成することの利点は、モデル化フェーズ中に、システム10が仮想カメラを向き変えさせる能力をユーザーに提供でき、システム10が、仮想カメラの現在位置に最も密接に一致する立体対カメラから生成された点群を選択し及び表示できることである。
【0048】
図21A及び図21Bは、点群720a及び点群に基づいて随意的に作成されるメッシュモデル720bをそれぞれ示す図である。メッシュモデル作成には、(1)点群を精錬し点群中のノイズを低減し、算定上の負荷を軽減するという利点を得る、及び(2)人間のモデル化努力のためのより良好な視覚化を提供する、という二重の目的がある。ドロネー三角分割法又は他の周知の表面再構成アルゴリズムを使用して、図21Aに示される点群720aは、図21Bに示されるポリゴンメッシュ720bへ変えられる。表面再構成アルゴリズムの制約のせいで、群720a中の点の一部はポリゴン化できない。これらの点はノイズと見なされ、除去される。
【0049】
図21Aに示される点群720a及び図21Bに示されるメッシュモデル720bはテクスチャ適用済みである。本開示の幾つかの態様によれば、システム10は、人間が解釈できる視覚化のために元の画像からのテクスチャを点群へマッピングすることができ、それによりオペレータは、特徴のエッジ付近の色変化や陰影区域の暗色などの様な、特徴についての視覚的手がかりの存在に因り、点群上にCAD又はワイヤフレームモデルを更に容易に生成できるようになる。モデル化を更に支援するためにモデルが作成されてゆく際に追加のテクスチャマッピングが適用されることもできる。なお、システムはCAD又はワイヤフレームモデルを自動的に生成する必要はない、ということに留意する。代わりに(又は追加的に)、ユーザーが手動でCAD又はワイヤフレームモデルを生成することもできる。
【0050】
図22は、1つ又はそれ以上の3Dツールを使用して生成された3Dワイヤフレーム屋根構造物モデル724を上に載せた点群722を表示しているグラフィカルユーザーインターフェース画面730を示す図である。なお、システムは、点群上のワイヤフレーム屋根構造物モデルの1つ又はそれ以上のビューを生成し及び表示することができる、ということに留意する。加えて、システムは、ワイヤフレーム屋根構造物モデルの1つ又はそれ以上のビューを3Dモデル、2Dモデル、又はテクスチャモデルとして生成し及び表示することができる。上述の様に、点群又はメッシュモデルは、システム10の3Dモデル化インターフェース構成要素へインポートされる。システム10は、屋根固有の特徴をモデル化するための複数のツールを提供することができ、例えば、寄棟屋根ツール、切妻屋根ツール、小塔ツール、煙突ツール、屋根窓ツール、クリケットツール、パーゴラツール、雨樋ツールなどが提供され得る。当然ながら、システム10は、関心オブジェクト又は関心区域の他の特徴をモデル化するための追加のツールを提供していてもよい。例えば、システム10は、限定するわけではないが点群のプロファイル中の屋根の勾配の様な、点群の検査を通じてモデル化される構造物の特性を識別するためのツールを利用することができる。屋根モデルが作成され次第、システム10は、構造物の壁及び他の垂直表面を近似させることができ、人間のオペレータがテクスチャマッピング中に見ることのできる特徴を壁モデルへ容易に追加することを、つまり、窓、扉、ACユニット、車庫扉、及び壁上に存在する他の建物の特徴を設置することを可能にする。システム10は更に、構造物の点群表現によりよく適合させるために修正される必要のある壁を押し込んだり引き出したりするためのツールを提供することもできる。追加的に、システム10は更に、建物の一部ではないが点群中に含まれる他の特徴、例えば歩道、私道、プール、樹木、ポーチなどをモデル化するためのツールを提供していてもよい。ここで論じられているモデル化ツールは、例えば静的な又は可動の仮想カメラ(点群のビュー)と人間オペレータ入力を使用して3Dモデルジオメトリを現出させるために実装され得る。システムは、モデル化され得る特徴のタイプにおいては限定されず、実際に、その様な特徴は、限定するわけではないが、屋根の特徴、壁、扉、窓、煙突、通気口、雨樋、縦樋、衛星放送受信アンテナ、空調(「AC」)ユニット、私道、パティオ、ポーチ、デッキ、東屋、プール、温水浴槽、納屋、温室、プール囲いなどを含み得る。
【0051】
システム10は、多面体をマージし、モデルを現実世界の屋根ジオメトリと一致に保つために、コンピュテーショナル・ソリッド・ジオメトリ(「CSG」)を遂行することができる。システム10はまた、限定するわけではないが、共平面性チェック、CSGが検出できないソリッド間ギャップについてチェックすること、すべての多面体が閉じていることを確実にすること、すべての屋根傾斜が標準的屋根勾配へスナップされていることをチェックすること、及びすべての屋根面ポリゴンが外を向いた平面法線で巻かれていることを保証すること、を含む一連の数学的妥当性確認を3Dモデルに対して遂行することができる。これらの妥当性確認は、3Dモデルから生成された統計が健全であり、問題の屋根又はオブジェクトの現実世界測定値を綿密に反映していることを確約する。妥当性確認失敗があれば、システム10は、モデルを3Dモデル化インターフェースへ差し戻し、3Dモデルへの補正が必要であることをオペレータに通知することができる。なお、システムは妥当性確認を自動的に遂行する必要はない、ということに留意する。代わりに(又は追加的に)、ユーザーが手動で妥当性確認を遂行することもできる。
【0052】
関心オブジェクト又は関心区域の3Dモデルを生成することに加え、システム10は、屋根についての直列化可能なデータのセットを生成することができる。直列化可能なデータは、限定するわけではないが、屋根面積;フラッシング及びステップフラッシングの長さ;谷屋根、ひさし屋根、寄棟屋根、及び切妻屋根の線の長さ;屋根樋長さ;平方数;優勢な勾配;コーニスストリップの長さ;張り出し長さ;雨樋の場所及び長さ;及び、面の面積、勾配、及び線種長さを含む面毎の統計、を含み得る。このデータは、システム10によって、モデルの3Dジオメトリ形状から相対的な統計を導出することによって現出される。当然ながら、データはJSON、XML、CSV、又は他の機械可読及び人間可読フォーマットへ直列化され得る。更にまた、システム10は、モデル化された構造物の測定値を提供する1つ又はそれ以上の報告書を、報告書上に示された表示(例えば、長さ、幅、面積、傾斜、勾配、体積など)と共に生成することもできるだろう。また、XMLファイル、JSONファイル、TXTファイル、WKTファイル、PDFファイルなどの形式の要約情報がシステムによって現出されることもできるだろう。更にまた、システムは、モデル化された要素の一部又は全部についての、労働力、材料、機材、サポート事象などを含む価格設定情報をその様な報告書中に提供することもできるだろう。
【0053】
上記に加えて、本開示のシステム及び方法は以下の追加的特徴も含むことができる。例えば、システムは、ユーザーが、モデル化されるべき所望の不動産又は構造物を、コンピュータ支援設計(CAD)プログラム内でその様な不動産/構造物を選択することによって選べるようにしてもよい。追加的に、システムによって生成されたモデル/ワイヤフレームは、青写真の様な2次元(2D)フォーマットに印刷され又は提示されることもできるだろう。
【0054】
図23は、点群の特徴を、色付けプロセスを介して分類するために本開示のシステムの別の実施形態によって実施される全体的なプロセスステップ800を示すフローチャートである。ステップ802にて、システム10は、1つ又はそれ以上の関心構造物がその中の位置している地理空間的ROIを示す画像を処理する。次いで、ステップ804にて、システム10は、処理済み画像へディープラーニングニューラルネットワークを適用する。ディープラーニングニューラルネットワークは、限定するわけではないがコンボリューションニューラルネットワーク(convolution neural network,CNN)であってもよい。ディープラーニングニューラルネットワークは、画像中に存在する構造物の特徴(例えば、屋根特徴)を分類する。例えば、ディープラーニングニューラルネットワークは、個々の異なる屋根構造物特徴が固有に色付けされるような色付けプロセスを通して異なる屋根構造物特徴を分類することができる。最後に、ステップ806にて、システム10は、異なる屋根構造物特徴に対応した色付け分類ラベルを点群に適用し、特定の屋根構造物特徴が特定の色を用いて示されるようにする(例えば、屋根平面が1つの色とされ、煙突が別の色とされるなど)。
【0055】
図24A図24B、及び図25は、図2のステップ802と関連付けて説明される処理ステップを示している。具体的には、図24Aは、地理空間的関心領域内に位置する構造物822a、824a、及び826aを示す入力画像820aである。加えて、図24Bは、図24Aの入力画像820aの合成画像820bであり、入力画像820aの構造物822a、824a、及び826aに対応した構造物822b、824b、及び826bを示している。立体点群からのディープラーニングニューラルネットワークを適用するために、点群は合成ビューへ投影され、合成ビューに対応した後処理済み画像(例えば、合成画像820b)に対して推論が実行される。特に、新カメラの位置が、立体視画像の対の参照ビューからのn個の最も近接したカメラの平均値位置として構成される。参照ビューのオメガ、ファイ、カッパが選択され、合成カメラが各軸による8つの固定された向きを有することができるように、向きはπ/4段毎に固定される。新カメラ位置を利用して、点群の点が各画像平面へ投影され、合成画像820bが作成される。図24Bに示されている様に、合成画像820bは、欠落したデータ点及び情報のせいで幾つかの黒色区域を含んでいる。欠落したデータ点及び情報を補償するためにInPaintアルゴリズムが利用され得る。例えば、図25は、図24Bの合成画像820bの後処理済み画像840を示す。図25に示されている様に、後処理済み画像840は、構造物842、844、846、及び848を示しており、ここに、構造物848は、欠落したデータ点のせいでそれまでは合成画像820b中に検出不可能であったものであり、図26は、図23のステップ804と関連付けて説明される処理ステップを示している。特に、図26は、図25の後処理済み画像840の推定画像860を示している。推定画像860は、ディープニューラルネットワークを後処理済み画像840へ適用することによって生成される。図26に示されている様に、ディープラーニングニューラルネットワークの後処理済み画像840への適用は、後処理済み画像840の構造物842、844、846及び848に対応した屋根構造物862、864、866、及び868の異なる特徴を分類する。図27は、図26の推定画像860中に検出される屋根構造物862、864、866、及び868に対応したワイヤフレームモデル882、884、886、及び888の生成を示す図880である。図28は、図27図880のワイヤフレームモデル882、884、886、及び888に対応したデータ点902、904、906、及び908を示す図900である。
【0056】
図29は、図24Aの地理空間的関心領域内に位置する構造物についての各点群を示す図920である。図30は、図23のステップ806によって示されている、図29の点群922、924、及び926に対応したそれぞれの色付き点群942、944、及び946の生成を示す図940である。図30に示されている様に、色付き点群942、944、及び946は、異なる屋根構造物特徴を異なる色で着色することによって屋根構造物の特徴を分類している。なお、システム10は所望に応じて点群の様々な要素へ所望の色又はパターンを適用することができる、ということに留意する。例えば群中の各点に標準色(例えば、白色、灰色、黄色)を適用する、点の法線に基づいて群の各点に色を適用する、点の標高に基づいて各点に色を適用するなどという様な、システム10が群の要素へ所望の色を適用する色付けプロセスが適用されてもよいだろう。
【0057】
以上、システム及び方法を詳細に説明してきたが、上記説明は、その精神又は範囲を限定することを意図するものではないと理解されるべきである。理解しておきたいこととして、ここに記載されている本開示の実施形態は例示に過ぎず、当業者は、開示の精神及び範囲から逸脱することなく、任意の変形及び修正をなすことができる。以上に論じられているものを含む全てのその様な変形及び修正は開示の範囲内に含まれるものとする。特許状によって保護されることが所望されるものは、付随の特許請求の範囲に示されている。
【符号の説明】
【0058】
10 システム
12 空中画像データベース
14 コンピュータビジョンシステムコード
16a 空中画像前処理ソフトウェアモジュール
16b 3D視差算定ソフトウェアモジュール
16c 3D点群生成ソフトウェアモジュール
16d テクスチャマッピングソフトウェアモジュール
18 中央処理ユニット
200 ターゲット画像と参照画像の対応関係を示す図
202a ターゲット画像
202b 参照画像
204 ゼロ視差平面
206a、206b、206c、206d 3D点
207 2D画像点
208a、208b 2D点
210 画像行
240 視差値の算定を示す図
242 コストボリューム
243a 0コスト
243b Pコスト
243c Pペナルティ
244a?244n 画素
246 視差方向
248 掃引
280 矯正済みターゲット画像を示す図
282a 矯正済みターゲット画像
282b 最小コスト視差
320 カメラジオメトリ矯正変換を示す図
322a、322b カメラ
324a、324b 回転中心
326a、326b、328a、328b 向き
340 矯正済み立体視画像の対を示す図
342 各画像中の対応した点を横切る線
360 融合点群を示す図
362 融合点群
363 画像
364 3D屋根構造物
380 テクスチャマッピング済みモデルを示す図
382 テクスチャマッピング済みモデル
400 屋根構造物の点群を示す図
402a、402b 空中画像
403a、405a 3D構造物
406b 点群
404a、406a 屋根構造物
410a 樹木
410b 影
412 手動入力された境界
500 システム
501 通信ネットワーク
502 コンピュータビジョンシステムコード
504a-504n 内部サーバ
506a-506n ストレージサーバ
508a-508n カメラデバイス
508a 無人航空機
508b 飛行機
508n 衛星
700 グラフィカルユーザーインターフェース
702 地図
704 関心領域
706a、706b 立体画像
708 点群
710a 点群
710b メッシュモデル
712 ワイヤフレームモデル
714a、714b 元の画像
716a、716b 矯正済み画像
720a 点群
720b メッシュモデル
722 点群
724 3Dワイヤフレーム屋根構造物モデル
730 グラフィカルユーザーインターフェース画面
820a 入力画像
820b 合成画像
822a、824a、826a 入力画像中の構造物
822b、824b、826b 合成画像中の構造物
840 後処理済み画像
842、844、846、848 構造物
860 推定画像
862、864、866、868 屋根構造物
880 ワイヤフレームモデルの作成を示す図
882、884、886、888 ワイヤフレームモデル
900 データ点を示す図
902、904、906、908 データ点
920 構造物についての各点群を示す図
922、924、926 点群
940 色付き点群生成を示す図
942、944、946 色付き点群
d 視差値
u、v 列
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20
図21A
図21B
図22
図23
図24A
図24B
図25
図26
図27
図28
図29
図30
【国際調査報告】