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特表2023-505246無機物および/またはビタミンならびに多糖を含む製剤、その組成物ならびに前記無機物および/またはビタミンの補充におけるその使用
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  • 特表-無機物および/またはビタミンならびに多糖を含む製剤、その組成物ならびに前記無機物および/またはビタミンの補充におけるその使用 図1
  • 特表-無機物および/またはビタミンならびに多糖を含む製剤、その組成物ならびに前記無機物および/またはビタミンの補充におけるその使用 図2
  • 特表-無機物および/またはビタミンならびに多糖を含む製剤、その組成物ならびに前記無機物および/またはビタミンの補充におけるその使用 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(54)【発明の名称】無機物および/またはビタミンならびに多糖を含む製剤、その組成物ならびに前記無機物および/またはビタミンの補充におけるその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/16 20060101AFI20230201BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20230201BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230201BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230201BHJP
   A61K 33/00 20060101ALI20230201BHJP
   A61K 33/26 20060101ALI20230201BHJP
   A61K 33/04 20060101ALI20230201BHJP
   A61K 33/08 20060101ALI20230201BHJP
   A61K 33/18 20060101ALI20230201BHJP
   A61K 33/24 20190101ALI20230201BHJP
   A61K 33/30 20060101ALI20230201BHJP
   A61K 33/34 20060101ALI20230201BHJP
   A61K 31/355 20060101ALI20230201BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20230201BHJP
   A61K 31/593 20060101ALI20230201BHJP
   A61K 31/714 20060101ALI20230201BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20230201BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20230201BHJP
   A23L 33/15 20160101ALI20230201BHJP
   A23L 33/155 20160101ALI20230201BHJP
   A23L 33/16 20160101ALI20230201BHJP
   A23L 33/115 20160101ALI20230201BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20230201BHJP
【FI】
A61K9/16
A61K47/24
A61K47/36
A61K47/26
A61K33/00
A61K33/26
A61K33/04
A61K33/08
A61K33/18
A61K33/24
A61K33/30
A61K33/34
A61K31/355
A61K31/375
A61K31/593
A61K31/714
A61P7/00
A61P7/06
A23L33/15
A23L33/155
A23L33/16
A23L33/115
A23L33/105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533497
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(85)【翻訳文提出日】2022-07-26
(86)【国際出願番号】 IB2020061521
(87)【国際公開番号】W WO2021111404
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】102019000023016
(32)【優先日】2019-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515028964
【氏名又は名称】アレスコ・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Alesco s.r.l.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ラコルテ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】タランティーノ,ジェルマーノ
(72)【発明者】
【氏名】ブリッリ,エリーザ
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018MD03
4B018MD04
4B018MD05
4B018MD06
4B018MD23
4B018MD25
4B018MD26
4B018MD30
4B018MD33
4B018MD34
4B018MD37
4B018MD45
4B018MD46
4B018ME02
4B018ME03
4B018ME04
4B018ME05
4B018ME14
4C076AA31
4C076BB01
4C076CC14
4C076CC21
4C076CC23
4C076CC24
4C076DD08F
4C076DD15F
4C076DD63F
4C076DD68F
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4C076FF43
4C076GG01
4C086AA01
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4C086DA14
4C086DA39
4C086HA01
4C086HA03
4C086HA04
4C086HA08
4C086HA09
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4C086HA15
4C086HA19
4C086HA20
4C086HA21
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4C086MA05
4C086MA41
4C086MA52
4C086NA11
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4C086ZA36
4C086ZA51
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4C086ZA67
4C086ZA89
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB22
4C086ZC21
4C086ZC33
4C086ZC35
(57)【要約】
本発明は、(a)無機物またはビタミン(b)リン脂質、(c)(c-i)カラギーナンおよび(c-ii)アカシアガムから選択される第1の剤、ならびに、適宜、(d)ショ糖エステルおよび/または(e)植物起源のデンプンを含む、栄養分に基づく固体形態製剤に関する。さらには、本発明は、前記製剤の少なくとも1つを含む組成物ならびに前記無機物および/またはビタミンの欠損症の処置におけるその使用に関する。最後に、本発明は、前記製剤または組成物の調製方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体形態の製剤であって、
(a)無機物またはビタミンである栄養分であって、
前記無機物が、(a-i)マグネシウム、(a-ii)カルシウム、(a-iii)鉄、(a-iv)亜鉛、(a-v)ヨウ素、(a-vi)セレニウム、(a-vii)クロム、および(a-viii)銅(II)を含むかまたは代替的にからなる群から選択され、前記無機物が、前記無機物の塩または複合体または酸化物の形態であり;
前記ビタミンが、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD3、ビタミンEを含むかまたは代替的にからなる群から選択される、
前記栄養分;
(b)リン脂質;
(c)(c-i)カラギーナンまたは(c-ii)アカシアガムから選択される第1の剤
を含むかまたは代替的にからなる前記製剤。
【請求項2】
前記製剤が、(d)少なくとも1つのショ糖エステルまたは脂肪酸炭水化物エステル;
好ましくはショ糖エステルE473;より好ましくは、ショ糖エステルの総重量に対して70重量%~90重量%の、植物起源の1つまたは複数の脂肪酸を用いてスクロースのエステル化を通じて得られるモノエステルを含み、好ましくは前記脂肪酸がステアリン酸および/またはパルミチン酸から選択される、ショ糖エステル(E473)をさらに含む、
請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記(c)第1の剤が、前記(c-i)カラギーナン;好ましくはカラギーナンE407からなる、請求項1または2に記載の製剤。
【請求項4】
前記(c)第1の剤が、前記(cii)アカシアガム;
好ましくはアカシアガムE414;より好ましくは250,000~400,000の範囲内に含まれる平均分子量を有するアカシアガムE414
からなる、請求項1または2に記載の製剤。
【請求項5】
前記製剤が(e)植物起源の糊化またはアルファ化デンプンをさらに含み;
好ましくは、前記(e)デンプンがコメデンプンまたはコーンスターチから選択され;好ましくは、前記デンプンがアルファ化コメデンプンである、
請求項1~4のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項6】
前記(b)リン脂質がホスファチジルコリンまたはレシチンであり;好ましくは、前記(b)リン脂質が、ヒマワリレシチン、トウモロコシレシチン、ダイズレシチンおよびこれらの混合物を含むかまたは代替的にからなる群から選択されるレシチン(E322)である、請求項1~5のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項7】
前記第1の剤(c)および前記リン脂質(b)の間の重量比[(c):(b)]、または、代替的に、前記第1の剤(c)および前記ショ糖エステル(d)の合計の重量、ならびに前記リン脂質の重量の間の重量比[[(c)+(d)]:(b)]が、50:1~10:1、好ましくは40:1~10:1、より好ましくは30:1~15:1に含まれ;
好ましくは前記(b)リン脂質がレシチンである、
請求項1~6のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項8】
前記第1の剤(c)および前記ショ糖エステル(d)の合計を100重量部として、前記第1の剤(c)が1%~100%の重量パーセンテージにおいて含まれ、前記ショ糖エステル(d)が0%(非存在)~99%において含まれ;
好ましくは50%~95%の前記(c)第1の剤および5%~50%の前記(d)ショ糖エステルであり;
より好ましくは、70%~80%の前記(c)第1の剤および20%~30%の前記(d)ショ糖エステルである、
請求項2~7のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の前記栄養分の少なくとも1つの固体形態製剤;ならびに
少なくとも1つの許容される医薬品または食品グレードの添加剤および/または賦形剤
を含む組成物。
【請求項10】
前記栄養分が無機物である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記栄養分がビタミンである、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか1項に記載の無機物の少なくとも1つの固体形態製剤;
請求項1~8のいずれか1項に記載のビタミンの少なくとも1つの固体形態製剤;ならびに少なくとも1つの許容される医薬品または食品グレードの添加剤および/または賦形剤
を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
医薬としての使用のための、先行する請求項のいずれか1項に記載の製剤または組成物。
【請求項14】
必要とする対象における、前記(a)無機物および/またはビタミンの欠損症、ならびに前記欠損症に関するかまたは由来する疾患、症状または障害の予防的および/または治療的および/またはアジュバント処置の方法における使用のための、先行する請求項のいずれか1項に記載の製剤または組成物。
【請求項15】
前記欠損症に関するかまたは由来する前記疾患または症状が、
鉄欠乏症、貧血、不良な鉄吸収、溶血性貧血;
炭水化物代謝における変化ならびに関連する疾患および障害、糖尿病、II型糖尿病、高血糖症、インスリン抵抗性、炭水化物の高い吸収、血中グルコースレベルの脱調節、メタボリックシンドローム;
筋肉エネルギー代謝における変化および/またはそれに関する障害、筋肉量における減少、筋肉強度における減少、筋緊張に対する身体抵抗性における減少、アミノ酸の不良な吸収;
脂質異常症または脂質代謝における変化およびそれに関する疾患および障害、コレステロール血症、高いトリグリセリドレベル、ならびに肥満症または体重過多;
認知障害または認知-感情領域における変化;
心臓代謝障害:
免疫系における変化;
不安およびうつに関するストレス、疲労、慢性疲労、無力症、反射および協調の欠如;
小児におけるくる病または骨成長の遅延、成人における骨軟化症、骨粗しょう症、および副甲状腺機能亢進症、
歯肉炎;炎症または医学的処置後の爪、毛および/または皮膚の脆弱性
を含むかまたは代替的にからなる群から選択される、請求項14に記載の使用のための製剤または組成物。
【請求項16】
健常対象における前記(a)無機物および/またはビタミンの補充のための、請求項1~12のいずれか1項に記載の製剤または組成物の非治療的使用。
【請求項17】
前記使用が、筋肉量を増加させること、筋肉強度を増加させること、筋緊張に対する身体抵抗性を増加させること、身体労作後の強度回復時間を低減させること、精神的パフォーマンスを増加させること、爪および毛を強化することから選択される、請求項16に記載の非治療的使用。
【請求項18】
請求項1~8のいずれか1項に記載の製剤の調製方法であって、
(1)粉末または顆粒の形態の無機物またはビタミン(a)であって、前記無機物が前記無機物の塩、酸化物または複合体の形態である、前記無機物またはビタミン(a)を提供して工程1の無機物またはビタミンを得る工程;
(2)溶媒の非存在下で、工程1の前記無機物または前記ビタミンをリン脂質(b)、好ましくはレシチンと混合して工程2の混合物を得る工程;
(3)溶媒の非存在下で、工程2の前記混合物を、(c-i)カラギーナンまたは(c-ii)アカシアガムから選択される多糖(c)、および、適宜、ショ糖エステル(d)と混合して工程3の混合物または前記製剤を得る工程;
(4)適宜、工程3の前記混合物を植物起源の糊化またはアルファ化デンプン(e)、好ましくはアルファ化コメデンプンと混合して前記製剤を得る工程
を含む、前記方法。
【請求項19】
請求項12に記載の組成物の調製方法であって、
(i)請求項1~8のいずれか1項に記載の無機物の少なくとも1つの固体形態製剤を提供して、およびビタミンの少なくとも1つの固体形態製剤を提供して、または、代替的に、請求項18にしたがって無機物の少なくとも1つの固体形態製剤を生産して、およびビタミンの少なくとも1つの固体形態製剤を生産して、無機物の前記少なくとも1つの固体形態製剤およびビタミンの前記少なくとも1つの固体形態製剤を得る工程;
(ii)無機物の前記少なくとも1つの固体形態製剤およびビタミンの前記少なくとも1つの固体形態製剤を混合して工程(ii)の混合物を得る工程、
(iii)工程(ii)の前記混合物を少なくとも1つの添加剤および/または賦形剤と混合して前記組成物を得る工程
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(a)少なくとも1つの無機物および/または少なくとも1つのビタミン、(b)少なくとも1つのリン脂質、(c)少なくとも1つの多糖ならびに、適宜、(d)少なくとも1つのショ糖エステルおよび/または(e)少なくとも1つの植物起源のデンプンを含むかまたは代替的にからなる栄養分(例えば無機物および/またはビタミン)に基づく固体形態製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
【発明の概要】
【0003】
前記製剤の第1の実施形態において、本発明は、(a)塩の形態の少なくとも1つの無機物または前記無機物の複合体もしくは酸化物、例えばマグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ヨウ素、セレニウム、クロムおよび/または銅、(b)少なくとも1つのリン脂質、(c)(c-i)少なくとも1つのカラギーナン、(c-ii)少なくとも1つのアカシアガム、(c-iii)少なくとも1つのフコイダンおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1つの第1の剤(多糖)を含むかまたは代替的にからなる無機物に基づく固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソーム無機物と称される)に関し、前記製剤は、(d)少なくとも1つのショ糖エステルおよび/または(e)少なくとも1つの植物起源のデンプンをさらに含んでもよい。
【0004】
前記製剤の第2の実施形態において、本発明は、(a)少なくとも1つのビタミン、例えばビタミンA、群Bのビタミン(好ましくはB12)、ビタミンC、ビタミンD(好ましくはD3)および/またはビタミンE、(b)少なくとも1つのリン脂質、(c)(c-i)少なくとも1つのカラギーナン、(c-ii)少なくとも1つのアカシアガム、(c-iii)少なくとも1つのフコイダンおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1つの第1の剤(多糖)を含むかまたは代替的にからなるビタミンに基づく固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソームビタミンと称される)に関し、前記製剤は、(d)少なくとも1つのショ糖エステルおよび/または(e)少なくとも1つの植物起源のデンプンをさらに含んでもよい。
【0005】
前記製剤の第3の実施形態において、本発明は、(a)上記に定義されるような少なくとも1つの無機物および少なくとも1つのビタミン、(b)少なくとも1つのリン脂質、(c)(c-i)少なくとも1つのカラギーナン、(c-ii)少なくとも1つのアカシアガム、(c-iii)少なくとも1つのフコイダンおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1つの第1の剤を含むかまたは代替的にからなる少なくとも1つの無機物および少なくとも1つのビタミンに基づく固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソーム無機物-ビタミンと称される)に関し、前記製剤は、(d)少なくとも1つのショ糖エステルおよび/または(e)少なくとも1つの植物起源のデンプンをさらに含んでもよい。
【0006】
さらには、本発明は、少なくとも1つの添加剤および少なくとも1つの栄養分(すなわち少なくとも1つの無機物および/または少なくとも1つのビタミン)を含む前記固体形態製剤のうちの少なくとも1つを含む、好ましくは固体形態の、組成物、ならびに前記少なくとも1つの栄養分の欠損症、および前記欠損症に関するかまたは由来する疾患、症状および/または障害の処置(治療的または非治療的)における前記組成物または製剤の使用に関する。
【0007】
前記組成物の第1の実施形態において、本発明は、添加剤および少なくとも1つの無機物を含む前記固体形態製剤(サイクロソーム無機物)を含む、好ましくは固体形態の、組成物、ならびに前記少なくとも1つの無機物の欠損症、および前記欠損症に関するかまたは由来する疾患、症状または障害の処置(治療的または非治療的)における前記組成物または製剤の使用に関する。
【0008】
前記組成物の第2の実施形態において、本発明は、添加剤および少なくとも1つのビタミンを含む前記固体形態製剤(サイクロソームビタミン)を含む、好ましくは固体形態の、組成物、ならびに前記少なくとも1つのビタミンの欠損症、および前記欠損症に関するかまたは由来する疾患、症状または障害の処置(治療的または非治療的)における前記組成物または製剤の使用に関する。
【0009】
前記組成物の第3の実施形態において、本発明は、添加剤および無機物を含む前記固体形態製剤(サイクロソーム無機物)のうちの少なくとも1つおよびビタミンを含む前記固体形態製剤(サイクロソームビタミン)のうちの少なくとも1つを含む、好ましくは固体形態の、組成物、ならびに前記無機物および/またはビタミンの欠損症、および前記欠損症に関するかまたは由来する疾患、症状または障害の処置(治療的または非治療的)における前記組成物の使用に関する。
【0010】
前記組成物の第4の実施形態において、本発明は、添加剤および少なくとも1つの無機物および少なくとも1つのビタミンを含む前記固体形態製剤(サイクロソーム無機物-ビタミン)を含む、好ましくは固体形態の、組成物、ならびに前記少なくとも1つの無機物および少なくとも1つのビタミンの欠損症、および前記欠損症に関するかまたは由来する疾患、症状または障害の処置(治療的または非治療的)における前記組成物または製剤の使用に関する。
【0011】
最後に、本発明は、前記少なくとも1つの無機物を含む前記固体形態製剤(サイクロソームもしくはサイクロソーム無機物)またはビタミンを含む前記固体形態製剤(サイクロソームもしくはサイクロソームビタミン)または少なくとも1つの無機物および少なくとも1つのビタミンを含む前記固体形態製剤(サイクロソームもしくはサイクロソーム無機物-ビタミン)の調製方法に関する。
【0012】
追加的に、本発明は、無機物を含む少なくとも1つの製剤(サイクロソーム無機物)および/またはビタミンを含む少なくとも1つの製剤(サイクロソームビタミン)を含む前記組成物のさらなる調製方法(簡略には、本発明の組成方法)に関する。
【0013】
本発明の組成物または製剤中に存在してもよい無機物および/またはビタミンの各々(例えばマグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ヨウ素、セレニウム、クロムおよび銅、またはビタミンA、群B、C、DおよびEのビタミン)は、対象、特にはヒト対象中の細胞および臓器の代謝および機能およびホメオスタシス機構において基礎的な役割を果たす。
【0014】
例えば、鉄は、鉄欠乏症の他に貧血を処置するためならびに対象においてヘモグロビンおよびフェリチン値を増加させるために使用され;マグネシウムは、筋骨格障害、心臓代謝障害、感情領域障害(例えばストレス)ならびに免疫障害(例えば身体的および精神的疲労)を処置するために使用され;カルシウムは、妊娠(すなわち胎児の発生)に関する障害、気分障害、骨障害、筋肉障害および圧力障害を処置するために使用され;亜鉛は、成長および発達障害、代謝障害、免疫系障害、視覚障害ならびに認知障害を処置するために使用され;セレニウムは、妊娠(すなわち胎児の発生)に関する障害、代謝障害および免疫系障害を処置するために使用され;ヨウ素は、妊娠(すなわち胎児の発生)に関する障害、気分障害、圧力障害、代謝障害、心臓血管障害およびエネルギー欠乏障害を処置するために使用され;クロムは、炭水化物、脂質およびエネルギー代謝における変化を処置するために使用される。
【0015】
事実として、クロムは、炭水化物および脂質の両方の、細胞エネルギー代謝における必須の元素であり、血糖を低下させることならびにアミノ酸および脂質の細胞への流入を助長することによりインスリンの効果を増強する能力を有する。
【0016】
最後に、銅は、例えば酵素の産生のための、レドックス反応およびタンパク質合成に関与し、ヒト生物において生物学的呼吸触媒シトクロムCオキシダーゼの構成において基礎的な役割を果たす。
【0017】
しかしながら、前記無機物(例えばマグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ヨウ素、セレニウム、銅および/もしくはクロム)ならびに/または前記ビタミン[例えばビタミンA、群B(例えばB12)、C、D(例えばD3)および/もしくはEのビタミン]が経口経路(簡略には、per os)を通じて対象、好ましくはヒト対象に投与される場合、それらの胃腸または腸吸収およびその血中バイオアベイラビリティは対象毎に異なるか、かつ/または特に高くないことがあり、したがって、不良な有効性の場合と共に、対象の応答における著しい差異を引き起こし得る。
【0018】
したがって、前記無機物(例えばマグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ヨウ素、セレニウム、銅および/もしくはクロム)および/または前記ビタミン[例えばビタミンA、群B(例えばB12)、C、D(例えばD3)および/もしくはEのビタミン]の新規の製剤ならびに前記製剤を含む組成物であって、胃腸レベルにおいて高度に吸収性であり、血中レベルにおいて生体利用可能であり、全てのカテゴリーの対象のために、前記無機物および/またはビタミンの補充において、前記無機物および/またはビタミンの不全症または欠損症の処置において、ならびにそのような欠損症に関するかまたは由来する疾患、症状または障害の処置において、高度に有効である組成物を提供することの必要性は高い。
【0019】
例えば、前記無機物、例えばマグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ヨウ素、セレニウム、銅および/またはクロムの不全症または欠損症に関するかまたは由来する疾患、症状または障害は、炭水化物代謝における変化ならびに/またはそれに関する疾患および障害、例えば、糖尿病、高血糖症、インスリン抵抗性、炭水化物の高い吸収、血中グルコースレベルの脱調節および/またはメタボリックシンドロームなど;筋肉エネルギー代謝における変化および/またはそれに関する障害、例えば、筋肉量における減少、筋肉強度における減少、筋緊張に対する身体抵抗性における減少、アミノ酸の不良な吸収など;脂質異常症もしくは脂質代謝における変化ならびに/またはそれに関する疾患および障害、例えば、コレステロール血症、高いトリグリセリドレベル、および肥満症または体重過多など;認知障害;心臓代謝障害から選択され得る。
【0020】
例えば、前記ビタミン[例えば、ビタミンA、群B(例えばB12)、C、D(例えばD3)および/またはEのビタミン]の不全症または欠損症に関するかまたは由来する疾患または症状は、認知の問題、運動の問題、免疫防御における減少および本明細書において例示されるようなその他から選択されてもよい。
【0021】
最後に、前記少なくとも1つの無機物および/またはビタミンの前記新規の固体形態製剤ならびにその組成物はまた、経時的に安定であり、全てのカテゴリーの対象により忍容性良好であり、調製が容易である必要がある。
【0022】
大規模な研究および開発活動にしたがって、出願人は、前記少なくとも1つの無機物(例えばマグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ヨウ素、セレニウム、銅および/もしくはクロム)および/またはビタミン[例えばビタミンA、群B(例えばB12)、C、D(例えばD3)および/もしくはEのビタミン]を含む新規の固体形態製剤、ならびに添加剤および前記少なくとも1つの無機物および/または少なくとも1つのビタミンを含む前記製剤を含む、好ましくは固体形態の、組成物を提供することにより上述の必要性に対処し、それを解決する。
【0023】
本発明の少なくとも1つの無機物に基づくおよび/または少なくとも1つのビタミンに基づく前記製剤ならびにその組成物は、前記少なくとも1つの無機物および/または前記少なくとも1つのビタミンの部分的なまたはほぼ完全な欠損症の処置において、ならびに前記欠損症に関するかまたは由来する疾患、症状または障害の処置において有効である。
【0024】
本発明の目的は、前記少なくとも1つの無機物(例えば、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ヨウ素、セレニウム、銅および/もしくはクロム)の新規の製剤および/または少なくとも1つのビタミン[例えば、ビタミンA、群B(例えばB12)、C、D(例えばD3)および/もしくはEのビタミン]の新規の製剤、ならびにその組成物であって、例えば無機物の増加した胃腸吸収および血中バイオアベイラビリティにしたがって、有効な、経口経路を通じて投与される前記無機物の補充を行うことができる組成物を提供することである。
【0025】
本発明の文脈において、胃腸吸収および腸吸収という用語は交換可能に使用される。
【0026】
前記無機物および/もしくは前記ビタミンの欠損症の処置、または前記欠損症に由来し、本発明において示される疾患/障害の処置における、そのままの無機物(もしくはその塩もしくは複合体もしくは酸化物)および/またはそのままのビタミンに関する本発明による少なくとも1つの無機物に基づく製剤および/または少なくとも1つのビタミンに基づく製剤の、良好なレベルの有効性および/または、小さい程度であったとしても、増加した有効性は、そのままの無機物(もしくはその塩もしくは複合体もしくは酸化物)および/またはそのままのビタミンに関して必要とする対象に投与されるべき有効な用量における減少を結果としてもたらし、それはしたがってまた、費用効果が高い。
【0027】
そのままの無機物(もしくはその塩もしくは複合体もしくは酸化物)および/またはそのままのビタミンを用いる処置に関して、本発明にしたがって製剤化される無機物および/もしくはビタミンまたはその組成物を用いる上述の処置における前記良好なレベルまたは、わずかな程度であったとしても、増加した有効性は、経口的に投与された場合の、無機物および/またはビタミンの増加した血中バイオアベイラビリティに起因し得、次いでこれは、そのままの無機物(もしくはその塩もしくは複合体もしくは酸化物)および/またはそのままのビタミンに関する本発明の無機物および/またはビタミン対象に基づく製剤の増加した腸または胃腸吸収に起因し得る。しかしながら、前記増加した有効性は他の機序および理由に起因し得る。
【0028】
そのままの無機物(もしくはその塩もしくは複合体もしくは酸化物)および/またはそのままのビタミンに関する本発明の無機物および/またはビタミン対象に基づく製剤または組成物の増加した腸吸収は、腸膜を通じたその輸送を可能とする微小胞中への前記製剤の内部移行に起因することが考えられる。
【0029】
そのままの無機物(もしくはその塩もしくは複合体もしくは酸化物)および/またはそのままのビタミンに関して、本発明の無機物に基づくおよび/またはビタミン対象に基づく製剤または組成物を使用することによる前記無機物の欠損症および/もしくは前記ビタミンの欠損症の処置におけるまたは前記欠損症に由来する疾患/障害の処置における前記良好なレベルまたは増加した有効性は、必要とする対象に同じ量または濃度の無機物および/またはビタミンが投与される場合のより大きな効果の達成を結果としてもたらす。
【0030】
追加的に、本発明の前記少なくとも1つの無機物および/または前記少なくとも1つのビタミン対象を含む製剤および組成物は、化学的/物理的なおよび官能性の観点から経時的に安定である。
【0031】
最後に、本発明の前記少なくとも1つの無機物および/または前記少なくとも1つのビタミン対象を含む製剤および組成物は、いかなる関連する副作用も示さず、忍容性良好であり、したがって、空腹時であっても、小児年齢の対象、青少年、妊娠期または授乳期の女性および高齢者を含めて、全てのカテゴリーの対象に投与され得る。
【0032】
さらには、前記少なくとも1つの無機物(例えば、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ヨウ素、セレニウム、銅および/もしくはクロム)を含む前記固体形態製剤および/または少なくとも1つのビタミン[例えば、ビタミンA、群B(例えばB12)、C、D(例えばD3)および/もしくはEのビタミン]を含む固体形態製剤ならびにその組成物の調製方法は、実行または調製が容易であり、処置潜在能力に比例して費用効果が高い。
【0033】
例えば、本発明の少なくとも1つの無機物および/または少なくとも1つのビタミン対象に基づく固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソーム無機物および/もしくはビタミン)は、経口的使用のための、好ましくは固体形態の、本発明の組成物を提供するために容易に加工され得る。
【0034】
これらの目的ならびに後述の詳細な説明から明らかとなる他の目的は、添付の特許請求の範囲において特許請求されおよび本明細書において報告される技術的特徴のおかげで、本発明の前記少なくとも1つの無機物(例えば、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ヨウ素、セレニウム、銅および/もしくはクロム)の固体形態製剤および/または少なくとも1つのビタミン[例えばビタミンA、群B(例えばB12)、C、D(例えばD3)および/もしくはEのビタミン]の固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソーム無機物および/もしくはビタミン)ならびにその組成物により達成される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】経時的な腸上皮を通過するFe3+の量を表すチャート(ラット単離モデル)。
図2】模擬胃環境pH1.2における本発明または比較物による組成物からのFe3+の放出の速度論を表すチャート。
図3】本発明または比較物による組成物により形成された小胞の寸法(nm)を表すヒストグラム。
【0036】
(発明の概要)
本発明の文脈において、「無機物」という用語は、塩(陽イオンおよび陰イオン)、酸化物、複合体、陽イオン(生物学的に活性の酸化状態にあるもの)、陰イオンまたは凝集物を指し示すために使用される。
【0037】
本発明の目的は、少なくとも1つの無機物の固体形態製剤および/または少なくとも1つのビタミンの固体形態製剤であって、前記無機物および/またはビタミンの他に、リン脂質、多糖ならびに、適宜、ショ糖エステルおよび/または植物デンプンを含む固体形態製剤(簡略には、本発明の製剤)を提供することである。
【0038】
本発明の目的は、少なくとも1つの本発明の製剤(無機物および/またはビタミンに基づく)ならびに医薬品または食品グレードの添加剤および/または賦形剤を含む、好ましくは固体形態の、組成物(簡略には、本発明の組成物)を提供することである。
【0039】
本発明の目的は、医薬としての使用のための本発明の前記製剤または組成物を提供することである。
【0040】
本発明の目的は、必要とする対象に対して、前記少なくとも1つの無機物および/または少なくとも1つのビタミンの欠損症の処置方法における使用のための本発明の前記製剤または組成物を提供することである。
【0041】
本発明の目的は、治療有効量の本発明の前記製剤または組成物を必要とする対象に投与することによる前記少なくとも1つの無機物および/または少なくとも1つのビタミンの欠損症の処置方法を提供することである。
【0042】
本発明の目的は、前記少なくとも1つの無機物および/または少なくとも1つのビタミンを健常対象に補充して、その身体的および/または精神的パフォーマンスを増加させるための本発明の前記製剤または組成物の非治療的(または美容的)使用を提供することである。
【0043】
(発明の詳細な説明)
本発明の目的の形成は、
(a)少なくとも1つの無機物の塩または複合体または酸化物の形態の前記少なくとも1つの無機物であって、前記無機物が、(a-i)マグネシウム(II)、(a-ii)カルシウム(II)、(a-iii)鉄(III)または鉄(II)、(a-iv)亜鉛(II)、(a-v)ヨウ素(V)、(a-vi)セレニウム(IV)、(a-vii)クロム(III)、(a-viii)銅(II)およびこれらの混合物を含むかまたは代替的にからなる群から選択される、前記無機物;
(b)少なくとも1つのリン脂質、好ましくはホスホグリセリド、より好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチン;
(c)(c-i)少なくとも1つのカラギーナン、(c-ii)少なくとも1つのアカシアガム、(c-iii)少なくとも1つのフコイダン、およびこれらの混合物を含むかまたは代替的にからなる群から選択される少なくとも1つの第1の剤;
ならびに、適宜、(d)少なくとも1つの脂肪酸炭水化物エステル(代替的にショ糖エステルと称される)および/または(e)植物起源の少なくとも1つの糊化もしくはアルファ化デンプン、好ましくはコメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる、少なくとも1つの無機物の固体形態製剤(簡略には、本発明の少なくとも1つの無機物の製剤または本発明の製剤または、代替的に、サイクロソームもしくはサイクロソーム無機物)である。
【0044】
少なくとも1つの無機物の前記固体形態製剤の例は、
(a)(a-i)マグネシウム(II)、(a-ii)カルシウム(II)、(a-iii)鉄(III)もしくは鉄(II)、(a-iv)亜鉛(II)、(a-v)ヨウ素(V)、(a-vi)セレニウム(IV)、(a-vii)クロム(III)、または(a-viii)銅(II)から選択される少なくとも1つの無機物;
(b)レシチン、好ましくはヒマワリ、トウモロコシまたはダイズレシチン[好ましくはヒマワリ(E322)];
(c-i)カラギーナン(例えばE407)または(c-ii)アカシアガム(例えばE414);
および、適宜、(d)ショ糖エステル(例えばショ糖エステルE473);
および、適宜、(e)植物起源の糊化またはアルファ化デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる。
【0045】
少なくとも1つの無機物の前記固体形態製剤の例は、
(a)(a-i)マグネシウム(II)、(a-ii)カルシウム(II)、(a-iii)鉄(III)もしくは鉄(II)、(a-iv)亜鉛(II)、(a-v)ヨウ素(V)、(a-vi)セレニウム(IV)、(a-vii)クロム(III)、または(a-viii)銅(II)から選択される少なくとも1つの無機物;
(b)レシチン、好ましくはヒマワリ、トウモロコシまたはダイズレシチン[好ましくはヒマワリ(E322)];
(c-i)カラギーナン(例えばE407)または(c-ii)アカシアガム(例えばE414);
(d)ショ糖エステル(例えばショ糖エステルE473);
および、適宜、(e)植物起源の糊化またはアルファ化デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる。
【0046】
少なくとも1つの無機物の前記固体形態製剤の例は、
(a)(a-i)マグネシウム(II)、(a-ii)カルシウム(II)、(a-iii)鉄(III)もしくは鉄(II)、(a-iv)亜鉛(II)、(a-v)ヨウ素(V)、(a-vi)セレニウム(IV)、(a-vii)クロム(III)、または(a-viii)銅(II)から選択される少なくとも1つの無機物;
(b)レシチン、好ましくはヒマワリ、トウモロコシまたはダイズレシチン[好ましくはヒマワリ(E322)];
(c-i)カラギーナン(例えばE407)または(c-ii)アカシアガム(例えばE414);
(d)ショ糖エステル(例えばショ糖エステルE473);および
(e)植物起源の糊化またはアルファ化デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる。
【0047】
本発明の文脈において、「無機物」という用語は、好ましくは、単一の化学元素、例えば、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ヨウ素、セレニウム、銅またはクロムからなる無機物を指し示すために使用される。
【0048】
本発明の文脈において、「無機物塩」という用語は、無機物の塩を指し示すために使用され、前記無機物は、好ましくは、単一の化学元素、例えば、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ヨウ素、セレニウムまたはクロムからなる陽イオンの形態の無機物(無機物の陽イオン)である。
【0049】
本発明の文脈において、「無機物の陽イオン」(または無機物陽イオン)という用語は、無機物の一価または多価陽イオンの化学的形態を指し示すために使用され、前記無機物は、好ましくは、単一の化学元素、例えば、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ヨウ素、セレニウム、銅またはクロムからなる無機物である。
【0050】
本発明の文脈において、「無機物」および「無機物の陽イオン」(または無機物陽イオン)という用語は交換可能に使用される。
【0051】
本発明のマグネシウム(簡略には、Mg)の固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソームマグネシウム)の以下の実施形態(FR)は本発明に含まれる:
- FRa-Mg:Mg、(b)および(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii);例えばMg、(b)および(c-i)またはMg、(b)および(c-ii)またはMg、(b)および(c-iii)。
- FRb-Mg:Mg、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)および(d);例えばMg、(b)、(c-i)および(d)またはMg、(b)、(c-ii)および(d)またはMg、(b)、(c-iii)および(d)。
- FRc-Mg:Mg、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)および(e);例えばMg、(b)、(c-i)および(e)またはMg、(b)、(c-ii)および(e)またはMg、(b)、(c-iii)および(e)。
- FRd-Mg:Mg、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)、(d)および(e);例えばMg、(b)、(c-i)、(d)および(e)またはMg、(b)、(c-ii)、(d)および(e)またはMg、(b)、(c-iii)、(d)および(e)。
ここで、(a)、(b)、(c-i)、(c-ii)、(c-iii)、(d)および(e)として参照される成分は、本発明において定義される通りである。
【0052】
本発明の実施形態において、マグネシウムの前記固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソームマグネシウムと称される)は、
(a-i)マグネシウム、好ましくはマグネシウム(II)、より好ましくは酸化マグネシウムまたは水酸化マグネシウムの形態のマグネシウム;
(b)少なくとも1つのリン脂質、好ましくはホスホグリセリド、より好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチン、よりいっそう好ましくはヒマワリレシチン、トウモロコシレシチン、ダイズレシチンおよびこれらの混合物から選択されるレシチン(E322);
(c)(c-i)少なくとも1つのカラギーナン、好ましくはカラギーナンE407、(c-ii)少なくとも1つのアカシアガム、好ましくはアカシアガムE414、(c-iii)少なくとも1つのフコイダン、およびこれらの混合物を含むかまたは代替的にからなる群から選択される少なくとも1つの第1の剤;
ならびに、適宜、
(d)少なくとも1つのショ糖エステル、好ましくはショ糖エステルE473;および/または
(e)植物起源の少なくとも1つの糊化もしくはアルファ化デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる。
【0053】
本発明のカルシウム(簡略には、Ca)の固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソームマグネシウム)の以下の実施形態(FR)は本発明に含まれる:
- FRa-Ca:Ca、(b)および(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii);例えばCa、(b)および(c-i)またはCa、(b)および(c-ii)またはCa、(b)および(c-iii)。
- FRb-Ca:Ca、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)および(d);例えばCa、(b)、(c-i)および(d)またはCa、(b)、(c-ii)および(d)またはCa、(b)、(c-iii)および(d)。
- FRc-Ca:Ca、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)および(e);例えばCa、(b)、(c-i)および(e)またはCa、(b)、(c-ii)および(e)またはCa、(b)、(c-iii)および(e)。
- FRd-Ca:Ca、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)、(d)および(e);例えばCa、(b)、(c-i)、(d)および(e)またはCa、(b)、(c-ii)、(d)および(e)またはCa、(b)、(c-iii)、(d)および(e)。
ここで、(a)、(b)、(c-i)、(c-ii)、(c-iii)、(d)および(e)として参照される成分は、本発明において定義される通りである。
【0054】
本発明の実施形態において、カルシウムの前記固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソームカルシウムと称される)は、
(a-ii)カルシウム、好ましくはカルシウム(II)、より好ましくはリン酸三カルシウムの形態のカルシウム、例えばリン酸三カルシウムE341;
(b)少なくとも1つのリン脂質、好ましくはホスホグリセリド、より好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチン、よりいっそう好ましくはヒマワリレシチン、トウモロコシレシチン、ダイズレシチンおよびこれらの混合物から選択されるレシチン(E322);
(c)(c-i)少なくとも1つのカラギーナン、好ましくはカラギーナンE407、(c-ii)少なくとも1つのアカシアガム、好ましくはアカシアガムE414、(c-iii)少なくとも1つのフコイダン、およびこれらの混合物を含むかまたは代替的にからなる群から選択される少なくとも1つの第1の剤;
ならびに、適宜、
(d)少なくとも1つのショ糖エステル、好ましくはショ糖エステルE473;および/または
(e)植物起源の少なくとも1つの糊化もしくはアルファ化デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる。
【0055】
本発明の製剤の実施形態によれば、前記無機物がカルシウムである場合、本発明の製剤はアカシアガムを含まない。
【0056】
本発明の鉄(簡略には、Fe)の固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソームマグネシウム)の以下の実施形態(FR)は本発明に含まれる:
- FRa-Fe:Fe、(b)および(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii);例えばFe、(b)および(c-i)またはFe、(b)および(c-ii)またはFe、(b)および(c-iii)。
- FRb-Fe:Fe、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)および(d);例えばFe、(b)、(c-i)および(d)またはFe、(b)、(c-ii)および(d)またはFe、(b)、(c-iii)および(d)。
- FRc-Fe:Fe、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)および(e);例えばFe、(b)、(c-i)および(e)またはFe、(b)、(c-ii)および(e)またはFe、(b)、(c-iii)および(e)。
- FRd-Fe:Fe、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)、(d)および(e);例えばFe、(b)、(c-i)、(d)および(e)またはFe、(b)、(c-ii)、(d)および(e)またはFe、(b)、(c-iii)、(d)および(e)。
ここで、(a)、(b)、(c-i)、(c-ii)、(c-iii)、(d)および(e)として参照される成分は、本発明において定義される通りである。
【0057】
本発明の実施形態において、鉄の前記固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソーム鉄と称される)は、
(a-iii)鉄、好ましくは鉄(III)、より好ましくはピロリン酸鉄の形態の鉄;
(b)少なくとも1つのリン脂質、好ましくはホスホグリセリド、より好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチン、よりいっそう好ましくはヒマワリレシチン、トウモロコシレシチン、ダイズレシチンおよびこれらの混合物から選択されるレシチン(E322);
(c)(c-i)少なくとも1つのカラギーナン、好ましくはカラギーナンE407、(c-ii)少なくとも1つのアカシアガム、好ましくはアカシアガムE414、(c-iii)少なくとも1つのフコイダン、およびこれらの混合物を含むかまたは代替的にからなる群から選択される少なくとも1つの第1の剤;
ならびに、適宜、
(d)少なくとも1つのショ糖エステル、好ましくはショ糖エステルE473;および/または
(e)植物起源の少なくとも1つの糊化もしくはアルファ化デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる。
【0058】
本発明の亜鉛(簡略には、Zn)の固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソームマグネシウム)の以下の実施形態(FR)は本発明に含まれる:
- FRa-Zn:Zn、(b)および(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii);例えばZn、(b)および(c-i)またはZn、(b)および(c-ii)またはZn、(b)および(c-iii)。
- FRb-Zn:Zn、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)および(d);例えばZn、(b)、(c-i)および(d)またはZn、(b)、(c-ii)および(d)またはZn、(b)、(c-iii)および(d)。
- FRc-Zn:Zn、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)および(e);例えばZn、(b)、(c-i)および(e)またはZn、(b)、(c-ii)および(e)またはZn、(b)、(c-iii)および(e)。
- FRd-Zn:Zn、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)、(d)および(e);例えばZn、(b)、(c-i)、(d)および(e)またはZn、(b)、(c-ii)、(d)および(e)またはZn、(b)、(c-iii)、(d)および(e)。
ここで、(a)、(b)、(c-i)、(c-ii)、(c-iii)、(d)および(e)として参照される成分は、本発明において定義される通りである。
【0059】
本発明の実施形態において、亜鉛の前記固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソーム亜鉛と称される)は、
(a-iv)亜鉛、好ましくは亜鉛(IV)、より好ましくは酸化亜鉛の形態の亜鉛;
(b)少なくとも1つのリン脂質、好ましくはホスホグリセリド、より好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチン、よりいっそう好ましくはヒマワリレシチン、トウモロコシレシチン、ダイズレシチンおよびこれらの混合物から選択されるレシチン(E322);
(c)(c-i)少なくとも1つのカラギーナン、好ましくはカラギーナンE407、(c-ii)少なくとも1つのアカシアガム、好ましくはアカシアガムE414、(c-iii)少なくとも1つのフコイダン、およびこれらの混合物を含むかまたは代替的にからなる群から選択される少なくとも1つの第1の剤;
ならびに、適宜、(d)少なくとも1つのショ糖エステル、好ましくはショ糖エステルE473;および/または
(e)植物起源の少なくとも1つの糊化もしくはアルファ化デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる。
【0060】
本発明のヨウ素(簡略には、I)の固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソームマグネシウム)の以下の実施形態(FR)は本発明に含まれる:
- FRa-I:I、(b)および(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii);例えばI、(b)および(c-i)またはI、(b)および(c-ii)またはI、(b)および(c-iii)。
- FRb-I:I、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)および(d);例えばI、(b)、(c-i)および(d)またはI、(b)、(c-ii)および(d)またはI、(b)、(c-iii)および(d)。
- FRc-I:I、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)および(e);例えばI、(b)、(c-i)および(e)またはI、(b)、(c-ii)および(e)またはI、(b)、(c-iii)および(e)。
- FRd-I:I、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)、(d)および(e);例えばI、(b)、(c-i)、(d)および(e)またはI、(b)、(c-ii)、(d)および(e)またはI、(b)、(c-iii)、(d)および(e)。
ここで、(a)、(b)、(c-i)、(c-ii)、(c-iii)、(d)および(e)として参照される成分は、本発明において定義される通りである。
【0061】
本発明の実施形態において、ヨウ素の前記固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソームヨウ素と称される)は、
(a-v)ヨウ素、好ましくはヨウ素(V)、より好ましくはヨウ素酸ナトリウムの形態のヨウ素;
(b)少なくとも1つのリン脂質、好ましくはホスホグリセリド、より好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチン、よりいっそう好ましくはヒマワリレシチン、トウモロコシレシチン、ダイズレシチンおよびこれらの混合物から選択されるレシチン(E322);
(c)(c-i)少なくとも1つのカラギーナン、好ましくはカラギーナンE407、(c-ii)少なくとも1つのアカシアガム、好ましくはアカシアガムE414、(c-iii)少なくとも1つのフコイダン、およびこれらの混合物を含むかまたは代替的にからなる群から選択される少なくとも1つの第1の剤;
ならびに、適宜、(d)少なくとも1つのショ糖エステル、好ましくはショ糖エステルE473;および/または
(e)植物起源の少なくとも1つの糊化もしくはアルファ化デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる。
【0062】
本発明のセレニウム(簡略には、Se)の固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソームマグネシウム)の以下の実施形態(FR)は本発明に含まれる:
- FRa-Se:Se、(b)および(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii);例えばSe、(b)および(c-i)またはSe、(b)および(c-ii)またはSe、(b)および(c-iii)。
- FRb-Se:Se、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)および(d);例えばSe、(b)、(c-i)および(d)またはSe、(b)、(c-ii)および(d)またはSe、(b)、(c-iii)および(d)。
- FRc-Se:Se、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)および(e);例えばSe、(b)、(c-i)および(e)またはSe、(b)、(c-ii)および(e)またはSe、(b)、(c-iii)および(e)。
- FRd-Se:Se、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)、(d)および(e);例えばSe、(b)、(c-i)、(d)および(e)またはSe、(b)、(c-ii)、(d)および(e)またはSe、(b)、(c-iii)、(d)および(e)。
ここで、(a)、(b)、(c-i)、(c-ii)、(c-iii)、(d)および(e)として参照される成分は、本発明において定義される通りである。
【0063】
本発明の実施形態において、セレニウムの前記固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソームセレニウムと称される)は、
(a-vi)セレニウム、好ましくはセレニウム(IV)、より好ましくは亜セレン酸ナトリウムの形態のセレニウム;
(b)少なくとも1つのリン脂質、好ましくはホスホグリセリド、より好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチン、よりいっそう好ましくはヒマワリレシチン、トウモロコシレシチン、ダイズレシチンおよびこれらの混合物から選択されるレシチン(E322);
(c)(c-i)少なくとも1つのカラギーナン、好ましくはカラギーナンE407、(c-ii)少なくとも1つのアカシアガム、好ましくはアカシアガムE414、(c-iii)少なくとも1つのフコイダン、およびこれらの混合物を含むかまたは代替的にからなる群から選択される少なくとも1つの第1の剤;
ならびに、適宜、(d)少なくとも1つのショ糖エステル、好ましくはショ糖エステルE473;および/または
(e)植物起源の少なくとも1つの糊化もしくはアルファ化デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる。
【0064】
本発明のクロム(簡略には、Cr)の固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソームマグネシウム)の以下の実施形態(FR)は本発明に含まれる:
- FRa-Cr:Cr、(b)および(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii);例えばCr、(b)および(c-i)またはCr、(b)および(c-ii)またはCr、(b)および(c-iii)。
- FRb-Cr:Cr、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)および(d);例えばCr、(b)、(c-i)および(d)またはCr、(b)、(c-ii)および(d)またはCr、(b)、(c-iii)および(d)。
- FRc-Cr:Cr、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)および(e);例えばCr、(b)、(c-i)および(e)またはCr、(b)、(c-ii)および(e)またはCr、(b)、(c-iii)および(e)。
- FRd-Cr:Cr、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)、(d)および(e);例えばCr、(b)、(c-i)、(d)および(e)またはCr、(b)、(c-ii)、(d)および(e)またはCr、(b)、(c-iii)、(d)および(e)。
ここで、(a)、(b)、(c-i)、(c-ii)、(c-iii)、(d)および(e)として参照される成分は、本発明において定義される通りである。
【0065】
本発明の実施形態において、クロムの前記固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソームクロムと称される)は、
(a-vii)クロム、好ましくはクロム(III)、より好ましくはピコリン酸クロム(III)またはニコチン酸もしくはポリニコチン酸クロム(III)または塩化クロム(III)、よりいっそう好ましくはピコリン酸クロム(III)の形態のクロム;
(b)少なくとも1つのリン脂質、好ましくはホスホグリセリド、より好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチン、よりいっそう好ましくはヒマワリレシチン、トウモロコシレシチン、ダイズレシチンおよびこれらの混合物から選択されるレシチン(E322);
(c)(c-i)少なくとも1つのカラギーナン、好ましくはカラギーナンE407、(c-ii)少なくとも1つのアカシアガム、好ましくはアカシアガムE414、(c-iii)少なくとも1つのフコイダン、およびこれらの混合物を含むかまたは代替的にからなる群から選択される少なくとも1つの第1の剤;
ならびに、適宜、(d)少なくとも1つのショ糖エステル、好ましくはショ糖エステルE473;および/または
(e)植物起源の少なくとも1つの糊化もしくはアルファ化デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる。
【0066】
本発明の銅(簡略には、Cu)の固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソーム銅)の以下の実施形態(FR)は本発明に含まれる:
- FRa-Cu:Cu、(b)および(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii);例えばCu、(b)および(c-i)またはCu、(b)および(c-ii)またはCu、(b)および(c-iii)。
- FRb-Cu:Cu、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)および(d);例えばCu、(b)、(c-i)および(d)またはCu、(b)、(c-ii)および(d)またはCu、(b)、(c-iii)および(d)。
- FRc-Cu:Cu、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)および(e);例えばCu、(b)、(c-i)および(e)またはCu、(b)、(c-ii)および(e)またはCu、(b)、(c-iii)および(e)。
- FRd-Cu:Cu、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)、(d)および(e);例えばCu、(b)、(c-i)、(d)および(e)またはCu、(b)、(c-ii)、(d)および(e)またはCu、(b)、(c-iii)、(d)および(e)。
ここで、(a)、(b)、(c-i)、(c-ii)、(c-iii)、(d)および(e)として参照される成分は、本発明において定義される通りである。
【0067】
本発明の実施形態において、銅の前記固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソーム銅と称される)は、
(a-i)銅、好ましくは銅(II)、より好ましくはグルコン酸銅[Cu(2+)]または硫酸銅[Cu(2+);CuSO、例えば、無水、五水和物もしくは七水和物]、よりいっそう好ましくはグルコン酸銅;
(b)少なくとも1つのリン脂質、好ましくはホスホグリセリド、より好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチン、よりいっそう好ましくはヒマワリレシチン、トウモロコシレシチン、ダイズレシチンおよびこれらの混合物から選択されるレシチン(E322);
(c)(c-i)少なくとも1つのカラギーナン、好ましくはカラギーナンE407、(c-ii)少なくとも1つのアカシアガム、好ましくはアカシアガムE414、(c-iii)少なくとも1つのフコイダン、およびこれらの混合物を含むかまたは代替的にからなる群から選択される少なくとも1つの第1の剤;
ならびに、適宜、(d)少なくとも1つのショ糖エステル、好ましくはショ糖エステルE473;および/または
(e)植物起源の少なくとも1つの糊化もしくはアルファ化デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる。
【0068】
グルコン酸銅:化学名:銅、ビス(D-グルコネート-O1,O2)、同義語:D-グルコン酸銅、例示的CAS番号:527-09-3、手を加えていない式:C12H22CuO14、式重量:453.84。
【0069】
本発明の目的の形成は、
(a)少なくとも1つのビタミンであって、(a-i)少なくとも1つの群Bのビタミン(例えば、B12、B9、B6、B3またはB2)、好ましくはビタミンB12、(a-II)ビタミンC、(a-III)ビタミンD、好ましくはD3、(a-IV)ビタミンE、および(a-V)ビタミンAを含むかまたは代替的にからなる群から選択される、前記ビタミン;
(b)少なくとも1つのリン脂質、好ましくはホスホグリセリド、より好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチン;
(c)(c-i)少なくとも1つのカラギーナンおよび/または(c-ii)少なくとも1つのアカシアガムから選択される少なくとも1つの第1の剤(多糖);
ならびに、適宜、(d)少なくとも1つの脂肪酸炭水化物エステル(代替的にショ糖エステルと称される);
ならびに、適宜、(e)少なくとも1つの植物起源のデンプン、好ましくは糊化またはアルファ化されたもの、例えばコメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる少なくとも1つのビタミンの固体形態製剤(簡略には、本発明の少なくとも1つのビタミンの製剤または本発明の製剤または、代替的に、サイクロソームもしくはサイクロソームビタミン)である。
【0070】
少なくとも1つのビタミンの前記固体形態製剤の例は、
(a)(a-I)ビタミンB12、(a-II)ビタミンC、(a-III)ビタミンD、好ましくはD3、(a-IV)ビタミンEから選択される少なくとも1つのビタミン;
(b)レシチン、好ましくはヒマワリ、トウモロコシまたはダイズレシチン[好ましくはヒマワリ(E322)];
(c-i)カラギーナン(例えばE407)または(c-ii)アカシアガム(例えばE414);
および、適宜、(d)ショ糖エステル(例えばショ糖エステルE473);
および、適宜、(e)植物起源の糊化またはアルファ化デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる。
【0071】
少なくとも1つのビタミンの前記固体形態製剤の例は、
(a)(a-I)ビタミンB12、(a-II)ビタミンC、(a-III)ビタミンD、好ましくはD3、(a-IV)ビタミンEから選択される少なくとも1つのビタミン;
(b)レシチン、好ましくはヒマワリ、トウモロコシまたはダイズレシチン[好ましくはヒマワリ(E322)];
(c-i)カラギーナン(例えばE407)または(c-ii)アカシアガム(例えばE414);
(d)ショ糖エステル(例えばショ糖エステルE473);
および、適宜、(e)植物起源の糊化またはアルファ化デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる。
【0072】
少なくとも1つのビタミンの前記固体形態製剤の例は、
(a)(a-I)ビタミンB12、(a-II)ビタミンC、(a-III)ビタミンD、好ましくはD3、(a-IV)ビタミンEから選択される少なくとも1つのビタミン;
(b)レシチン、好ましくはヒマワリ、トウモロコシまたはダイズレシチン[好ましくはヒマワリ(E322)];
(c-i)カラギーナン(例えばE407)または(c-ii)アカシアガム(例えばE414);
(d)ショ糖エステル(例えばショ糖エステルE473);および
(e)植物起源の糊化またはアルファ化デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる。
【0073】
本発明のビタミンB12(簡略には、vit B12)の固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソームビタミンB12)の以下の実施形態(FR)は本発明に含まれる:
- FRa-vit B12:vit B12、(b)および(c)、例えば(c-i)または(c-ii);例えばvit B12、(b)および(c-i)またはvit B12、(b)および(c-ii);
- FRb-vit B12:vit B12、(b)、(c)[例えば(c-i)または(c-ii)]および(d);例えばvit B12、(b)、(c-i)および(d)またはvit B12、(b)、(c-ii)および(d);
- FRc-vit B12:vit B12、(b)、(c)[例えば(c-i)または(c-ii)]および(e);例えばvit B12、(b)、(c-i)および(e)またはvit B12、(b)、(c-ii)および(e);
- FRd-vit B12:vit B12、(b)、(c)[例えば(c-i)または(c-ii)]、(d)および(e);例えばvit B12、(b)、(c-i)、(d)および(e)またはvit B12、(b)、(c-ii)、(d)および(e);
ここで、(a)、(b)、(c-i)、(c-ii)、(d)および(e)として参照される成分は、本発明において定義される通りである。
【0074】
本発明の実施形態において、ビタミンB12の前記固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソームビタミンB12と称される)は、
(a-i)ビタミンB12(コバラミン)(CAS番号の例68-19-9);
(b)少なくとも1つのリン脂質、好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチン、例えばヒマワリレシチン、トウモロコシレシチン、ダイズレシチンおよびこれらの混合物から選択されるレシチン(E322)(好ましくは、ヒマワリレシチン);
(c)(c-i)少なくとも1つのカラギーナン(例えばE407)または(c-ii)少なくとも1つのアカシアガム(例えばE414)およびこれらの混合物から選択される多糖;
ならびに、適宜、(d)少なくとも1つのショ糖エステル(例えばE473);
ならびに、適宜、(e)植物起源の少なくとも1つの糊化もしくはアルファ化デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる。
【0075】
本発明のビタミンC(簡略には、vit C)の固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソームビタミンC)の以下の実施形態(FR)は本発明に含まれる:
- FRa-vit C:vit C、(b)および(c)、例えば(c-i)または(c-ii);例えばvit C、(b)および(c-i)またはvit C、(b)および(c-ii);
- FRb-vit C:vit C、(b)、(c)[例えば(c-i)または(c-ii)]および(d);例えばvit C、(b)、(c-i)および(d)またはvit C、(b)、(c-ii)および(d);
- FRc-vit C:vit C、(b)、(c)[例えば(c-i)または(c-ii)]および(e);例えばvit C、(b)、(c-i)および(e)またはvit C、(b)、(c-ii)および(e);
- FRd-vit C:vit C、(b)、(c)[例えば(c-i)または(c-ii)]、(d)および(e);例えばvit C、(b)、(c-i)、(d)および(e)またはvit C、(b)、(c-ii)、(d)および(e);
ここで、(a)、(b)、(c-i)、(c-ii)、(d)および(e)として参照される成分は、本発明において定義される通りである。
【0076】
本発明の実施形態において、ビタミンCの前記固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソームビタミンCと称される)は、
(a-i)ビタミンC(コバラミン)(CAS番号の例68-19-9);
(b)少なくとも1つのリン脂質、好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチン、例えばヒマワリレシチン、トウモロコシレシチン、ダイズレシチンおよびこれらの混合物から選択されるレシチン(E322)(好ましくは、ヒマワリレシチン);
(c)(c-i)少なくとも1つのカラギーナン(例えばE407)または(c-ii)少なくとも1つのアカシアガム(例えばE414)およびこれらの混合物から選択される多糖;
ならびに、適宜、(d)少なくとも1つのショ糖エステル(例えばE473);
ならびに、適宜、(e)植物起源の少なくとも1つの糊化もしくはアルファ化デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる。
【0077】
本発明のビタミンD(簡略には、vit D)の固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソームビタミンD)の以下の実施形態(FR)は本発明に含まれる:
- FRa-vit D:vit D、(b)および(c)、例えば(c-i)または(c-ii);例えばvit D、(b)および(c-i)またはvit D、(b)および(c-ii);
- FRb-vit D:vit D、(b)、(c)[例えば(c-i)または(c-ii)]および(d);例えばvit D、(b)、(c-i)および(d)またはvit D、(b)、(c-ii)および(d);
- FRc-vit D:vit D、(b)、(c)[例えば(c-i)または(c-ii)]および(e);例えばvit D、(b)、(c-i)および(e)またはvit D、(b)、(c-ii)および(e);
- FRd-vit D:vit D、(b)、(c)[例えば(c-i)または(c-ii)]、(d)および(e);例えばvit D、(b)、(c-i)、(d)および(e)またはvit D、(b)、(c-ii)、(d)および(e);
ここで、(a)、(b)、(c-i)、(c-ii)、(d)および(e)として参照される成分は、本発明において定義される通りである。
【0078】
本発明の実施形態において、ビタミンDの前記固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソームビタミンDと称される)は、
(a-i)ビタミンD(コバラミン)(CAS番号の例68-19-9);
(b)少なくとも1つのリン脂質、好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチン、例えばヒマワリレシチン、トウモロコシレシチン、ダイズレシチンおよびこれらの混合物から選択されるレシチン(E322)(好ましくは、ヒマワリレシチン);
(c)(c-i)少なくとも1つのカラギーナン(例えばE407)または(c-ii)少なくとも1つのアカシアガム(例えばE414)およびこれらの混合物から選択される多糖;
ならびに、適宜、(d)少なくとも1つのショ糖エステル(例えばE473);
ならびに、適宜、(e)植物起源の少なくとも1つの糊化もしくはアルファ化デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる。
【0079】
本発明のビタミンE(簡略には、vit E)の固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソームビタミンE)の以下の実施形態(FR)は本発明に含まれる:
- FRa-vit E:vit E、(b)および(c)、例えば(c-i)または(c-ii);例えばvit E、(b)および(c-i)またはvit E、(b)および(c-ii);
- FRb-vit E:vit E、(b)、(c)[例えば(c-i)または(c-ii)]および(d);例えばvit E、(b)、(c-i)および(d)またはvit E、(b)、(c-ii)および(d);
- FRc-vit E:vit E、(b)、(c)[例えば(c-i)または(c-ii)]および(e);例えばvit E、(b)、(c-i)および(e)またはvit E、(b)、(c-ii)および(e);
- FRd-vit E:vit E、(b)、(c)[例えば(c-i)または(c-ii)]、(d)および(e);例えばvit E、(b)、(c-i)、(d)および(e)またはvit E、(b)、(c-ii)、(d)および(e);
ここで、(a)、(b)、(c-i)、(c-ii)、(d)および(e)として参照される成分は、本発明において定義される通りである。
【0080】
本発明の実施形態において、ビタミンEまたは前記固体形態製剤(サイクロソームまたはサイクロソームビタミンEと称される)は、
(a-i)ビタミンE(コバラミン)(CAS番号の例68-19-9);
(b)少なくとも1つのリン脂質、好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチン、例えばヒマワリレシチン、トウモロコシレシチン、ダイズレシチンおよびこれらの混合物から選択されるレシチン(E322)(好ましくは、ヒマワリレシチン);
(c)(c-i)少なくとも1つのカラギーナン(例えばE407)または(c-ii)少なくとも1つのアカシアガム(例えばE414)およびこれらの混合物から選択される多糖;
ならびに、適宜、(d)少なくとも1つのショ糖エステル(例えばE473);
ならびに、適宜、(e)植物起源の少なくとも1つの糊化もしくはアルファ化デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる。
【0081】
リン脂質はリン酸含有脂質である。有機化合物のこのクラスの分子は、リン酸に基づく水溶性極性ヘッド(すなわち、水溶性および非極性溶媒中で不溶性)ならびに疎水性非水溶性非極性テイル(すなわち、水不溶性および非極性溶媒中で可溶性)を有し、この理由からそれらは両親媒性分子と称される。
【0082】
ホスホグリセリド(グリセロリン脂質とも呼ばれる)はリン脂質の最も重要なクラスである。
【0083】
グリセロリン脂質(またはホスホグリセリド)は全てsn-グリセロール-3-リン酸に由来し、グリセロール(CHOH-CHOH-CHOH)は3位においてオルトリン酸(HPO)でエステル化されている。グリセロリン脂質において、グリセロールは2位において脂肪酸でエステル化されており、1位において異なるクラスの化合物が結合することができ;炭素2は不斉であるため、2つの可能な立体異性体:LおよびDが存在する。天然においてグリセロリン脂質は全てLシリーズに属する。
【0084】
グリセロールの1位に結合する分子の性質に依存して、ホスホグリセリドの3つのサブクラスが区別され得る:1,2-ジ-アシル-リン脂質、1-アルキル-2-アシル-リン脂質、1-アルケニル-2-アシル-リン脂質。
【0085】
ジアシル-リン脂質(ホスホグリセリド)はトリグリセリドの構造に由来し、ここで脂肪酸はリン酸基により置き換えられており、該リン酸基は分子に負電荷およびしたがって極性を与え;この分子は一般名ホスファチドを有する。より複雑な有機分子、一般にセリン、コリン、エタノールアミン、イノシトールまたは単一の水素原子はエステル結合を通じてリン酸基に結合して、それぞれホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン(もしくはレシチン)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトールまたはホスファチジン酸と呼ばれるリン脂質を生じさせる。
【0086】
ジアシル-リン脂質は、水中によく溶解する水溶性極性ヘッドにより特徴付けられるが、2つの飽和脂肪酸は、水溶性ではなく親油性の2つの非極性テイルを表す。
【0087】
レシチンという用語は、動物および植物組織(特には卵黄)中に存在する化学的化合物のクラスを指し示すために使用される。化学的に、レシチンはホスファチジルコリン[(R)-1-オレオイル-2-パルミトイル-ホスファチジルコリン]であるか、または代替的に、レシチンはホスファチジルコリンを主要な成分として含む。
【0088】
ホスファチジルコリンは、ホスファチジン酸がコリンでエステル化されたホスホグリセリドである。ホスファチジン酸は最も単純なホスホグリセリドであり、形式的には1位および2位における脂肪酸でのならびに3位におけるオルトリン酸でのグリセロールのエステル化により生産される。
【0089】
レシチンは、その化学的/物理的特性に起因して天然の乳化剤であり、天然の抗酸化物質に富んでいることを考慮して、二次的な抗酸化機能を有する。
【0090】
レシチンE322は食品添加物(乳化剤)である。「E322」という用語は、レシチンは、欧州の法制により承認され、イタリアの省令N° D.M. 1996により規制される食品添加物であることを指し示す。
【0091】
2008年8月27日の指令2008/84/EC(欧州連合官報第L253号において刊行された)は、食品品質標準(レシチンE322)を満たしていると考えられるためにレシチンが満たさなければならない純度基準を策定している:アセトン中で不溶性(基本的にレシチンの活性部分)::最小60%;水分:最大2%;酸性度数:最大35;過酸化物数:最大10;トルエン中で不溶性(基本的に不純物):最大0.3%。
【0092】
有利には、(a)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)ならびに、適宜、(d)および/または(e)と共に本発明の少なくとも1つの無機物の製剤および/または少なくとも1つのビタミンの製剤中に含まれる本発明の(b)リン脂質は、1,2-ジアシル-リン脂質、1-アルキル-2-アシルリン脂質、1-アルケニル-2-アシルリン脂質、好ましくはジアシル-リン脂質から選択されるホスホグリセリドである。
【0093】
本発明の実施形態において、(a)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)ならびに、適宜、(d)および/または(e)と共に本発明の少なくとも1つの無機物の製剤および/または少なくとも1つのビタミンの製剤中に含まれる前記少なくとも1つのリン脂質(b)は、ホスホグリセリド、好ましくはジアシル-リン脂質、より好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸およびこれらの混合物を含むかまたは代替的にからなるジアシル-リン脂質の群から選択されるもの;好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチン(E322);より好ましくはヒマワリレシチン(E322)、トウモロコシレシチン(E322)またはダイズレシチン(E322);よりいっそう好ましくは、アレルゲンフリーレシチン(E322)、例えばアレルゲンフリーヒマワリレシチン(E322)である。
【0094】
有利には、前記レシチン(E322)は、粉末化または顆粒状レシチン(E322)、好ましくは粉末化または顆粒状ヒマワリレシチン(E322)、トウモロコシレシチン(E322)またはダイズレシチン(E322)、よりいっそう好ましくは粉末化または顆粒状アレルゲンフリーヒマワリレシチン(E322)、トウモロコシレシチン(E322)またはダイズレシチン(E322)である。「アレルゲンフリー」という用語は、いかなるアレルゲン残留物も有しないことを意味する。
【0095】
前記(b)ホスファチジルコリンまたはレシチン(E322)が粉末化または顆粒状レシチンである場合、レシチンは、例えば、レシチンの重量に対して1.5%~4.5%、好ましくは2%~4%、よりいっそう好ましくは2.5%~3.5%の範囲内に含まれる重量%の水含有量を有してもよい。
【0096】
前記(b)ホスファチジルコリンまたはレシチンがヒマワリレシチンE322、好ましくは粉末化されたまたは顆粒状のものである場合、レシチンは、例えば、レシチンの重量に対して20%~60%、好ましくは30%~50%、例えば約45%の範囲内に含まれる重量%のグルコース含有量を有してもよい。本発明の文脈において使用され得る(b)ヒマワリレシチンE322、好ましくは粉末または顆粒のものは、重量%(化学的/物理的分析)で以下の組成を有してもよい:40%~50%のヒマワリレシチン、40%~50%(例えば約42%)の炭水化物、6%~10%のタンパク質、3%~8%の灰、2%~5%の水分および0.5%~1.5%の別の流動剤。
【0097】
本発明の実施形態において、(a)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)ならびに、適宜、(d)および/または(e)と共に本発明の少なくとも1つの無機物の製剤および/または少なくとも1つのビタミンの製剤中に含まれる前記(b)レシチンは、分解または加水分解されたレシチンを含まないかまたは代替的にからなるものではなく、酵素的に分解または加水分解されたレシチンを含まないかまたは代替的にからなるものではない。
【0098】
換言すれば、(a)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)ならびに、適宜、(d)および/または(e)と共に本発明の少なくとも1つの無機物および/または少なくとも1つのビタミンの製剤中に含まれる前記(b)レシチンは、分解されていないまたは酵素的に加水分解されているレシチン(E322)である。
【0099】
好ましくは、本発明による製剤[(a)無機物および/またはビタミン、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)ならびに、適宜、(d)および/または(e)を含む]中、(c)+(d)]:(b)の重量比[すなわち、多糖(すなわちカラギーナンまたはアカシアガム)およびショ糖エステルの総重量:リン脂質(好ましくはレシチン、より好ましくはヒマワリレシチン)]は、50:1~10:1(例えば45:1、40:1、35:1、30:1、25:1、20:1、または15:1)、好ましくは40:1~10:1、より好ましくは30:1~15:1(例えば、約17:1または17:0.6~0.5 1)に含まれる。
【0100】
前記[(c)+(d)]:(b)の重量比は、カルシウムを含む本発明による製剤については得られないことがある。
【0101】
好ましくは、本発明による無機物の固体形態製剤中またはビタミンの固体形態製剤において、成分(a)、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)ならびに、適宜、(d)および/または(e)は、製剤の総重量を100とした重量パーセンテージとして表される以下の量において前記製剤中に含まれる:
- 前記(b)リン脂質、好ましくはレシチンまたはヒマワリレシチン(E322)は、0.05%~15%、好ましくは0.1%~5%、より好ましくは0.1%~2%、例えば約0.5~1.0%で含まれ;
- (c)第1の剤[多糖、例えば(c-i)カラギーナンまたは(c-ii)アカシアガム]および(d)ショ糖エステル(製剤中に存在してもよいショ糖エステル)の合計は、1%~50%(例えば、10%、20%、30%または40%)、好ましくは5%~35%、より好ましくは10%~25%、例えば15%~20%(例えば16%、17%、または18%)で含まれ;
- 前記(a)少なくとも1つの無機物(塩、酸化物もしくは複合体の形態)および/または少なくとも1つのビタミンはその重量の変動につれて変動し;
- 前記(e)適宜のデンプンは無機物および/またはビタミンの前記パーセンテージの変動と共に変動する。
【0102】
好ましい例によれば、(a)、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)ならびに、適宜、(d)および/または(e)を含む、本発明の無機物の固体形態製剤および/またはビタミンの固体形態製剤は、製剤の総重量を100とした重量パーセンテージとして表される以下の量を含む:
- 約0.5~1.0%の前記(b)リン脂質、好ましくはレシチンまたはヒマワリレシチン(E322);
- 15%~20%(例えば16%、17%、または18%)の、(c)第1の剤[多糖、例えば(c-i)カラギーナンまたは(c-ii)アカシアガム]および(d)ショ糖エステル(存在してもよいショ糖エステル)の合計;ならびに
- 前記(a)少なくとも1つの無機物(塩、酸化物または複合体の形態)および/または少なくとも1つのビタミンはその重量の変動と共に変動し;
- 前記(e)適宜のデンプンは無機物および/またはビタミンの前記パーセンテージの変動と共に変動する。
【0103】
(c)第1の剤[多糖、例えば(c-i)カラギーナン(c-ii)アカシアガム]および(d)ショ糖エステル(存在してもよいショ糖エステル)の前記合計の100重量部中、前記(c)第1の剤は、1%~100%(例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%)の重量パーセンテージにおいて含まれ、前記(d)ショ糖エステルは、0%(非存在)~99%(例えば、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%)で変動し;好ましくは50%~95%の前記(c)第1の剤および5%~50%の前記(d)ショ糖エステル[例えば(c)約50%および(d)約50%]、または70%~95%の前記(c)第1の剤および5%~30%の前記(d)ショ糖エステル[例えば、(c)70%~80%および(d)20%~30%、もしくは(c)約75%および(d)約25%]、または5%~30%の前記(c)第1の剤および70%~95%の前記(d)ショ糖エステル[例えば、(c)20%~30%および(d)70%~80%、もしくは(c)約25%および(d)約75%]である。
【0104】
有利には、本発明による少なくとも1つの無機物の製剤および/または少なくとも1つのビタミンの製剤において、(c)第1の剤[多糖、例えば(c-i)カラギーナンまたは(c-ii)アカシアガム]および(d)ショ糖エステルの前記合計の100重量部中、前記第1の剤(c)は約75%であり、前記ショ糖エステル(d)は約25%である。
【0105】
本発明の前記少なくとも1つの無機物の固体形態製剤の実施形態において、成分(a)、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)ならびに、適宜、(d)および/または(e)は、前記少なくとも1つの無機物の製剤の総重量に対する重量%として表される以下の量において前記製剤中に存在する:
- 前記(a)無機物元素(無機物の陽イオン)は以下のように無機物にしたがって変動する:
- Mg(II)またはマグネシウム金属は、5%~80%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~40%の範囲内において含まれる;例えば、約32~38%のMg(II)元素に対応する約53~54%の酸化マグネシウム;
- Ca(II)またはカルシウム金属は、5%~80%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~40%の範囲内において含まれる;例えば、約31~37%のCa(II)元素に対応する約97%のリン酸三カルシウム;
- Fe(III)または鉄金属は、1%~40%、好ましくは1%~30%、より好ましくは5%~20%の範囲内において含まれる;例えば約10~12%のFe(III)元素に対応する約44~45%のピロリン酸鉄(III);
- Zn(II)または亜鉛金属は、10%~80%、好ましくは20%~70%、より好ましくは30%~60%の範囲内において含まれる;例えば、約40~50%のZn(II)元素に対応する約53~54%の酸化亜鉛;
- I(V)またはヨウ素金属は、0.01%~15%、好ましくは0.05%~10%、より好ましくは0.1%~3%の範囲内において含まれる;例えば、約0.9~1.1%のI(V)元素に対応する約1~2%のヨウ素酸ナトリウム;
- Se(IV)またはセレニウム金属は、0.01%~15%、好ましくは0.05%~10%、より好ましくは0.1%~3%の範囲内において含まれる;例えば、約0.9~1.2%のSe(IV)元素に対応する約2.0~2.5%の亜セレン酸ナトリウム;
- Cr(III)またはクロム金属は、1%~40%、好ましくは3%~20%、より好ましくは5%~15%の範囲内において含まれる;例えばピコリン酸クロム(III)により与えられる約9+1%のジCr(III);
- Cu(II)または金属銅は、1%~30%、好ましくは1%~20%、より好ましくは1%~10%の範囲内において含まれる;例えばグルコン酸銅(II)により与えられる約6+1%のCu(II);
- 前記(b)リン脂質、好ましくはホスホグリセリド、より好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチン、よりいっそう好ましくは固体レシチン(E322)または固体ヒマワリレシチン(E322)は、0.05%~15%、好ましくは0.1%~5%、より好ましくは0.1%~2%、例えば約0.6±0.5%または1.0±0.5%の範囲内において含まれる:
- (c-i)カラギーナンまたは(c-ii)アカシアガムまたは(c-iii)フコイダンまたはこれらの混合物の形態の前記(c)第1の剤は、1%~50%(例えば、3%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、または40%)、好ましくは1%~35%、より好ましくは1%~20%または1%~10%または10%~20%、例えば約4~5+1%、12~13+1%または17~18+1%の範囲内において含まれる;
- 存在する場合、前記(d)ショ糖エステル(E473)は、1%~50%(例えば、3%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、もしくは40%)、好ましくは1%~35%、より好ましくは1%~20%もしくは1%~10%もしくは10%~20%、例えば約4~5+1%、12~13+1%もしくは17~18+1%の範囲内において含まれ;または、代替的に、存在しない(0%);
- 存在する場合、前記デンプン(e)、好ましくはアルファ化コメデンプンは、10%~85%、好ましくは15%~60%、より好ましくは25%~50%、例えば約37~38+1%の範囲内において含まれる。
【0106】
本発明のビタミン(ビタミンC、B12またはE)の固体形態製剤の実施形態において、成分(a)、(b)、(c)[例えば(c-i)または(c-ii)]ならびに、適宜、(d)および/または(e)は、製剤の総重量に対する重量パーセンテージとして表される以下の量において前記製剤中に存在し:
- 前記(a)ビタミンCまたはビタミンB12またはビタミンEは、20%~80%(例えば、25%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%)、好ましくは45%~60%(例えば、約50~55%)の範囲内において含まれ;
- 前記(b)リン脂質、好ましくはホスホグリセリド、より好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチン、よりいっそう好ましくは固体レシチン(E322)または固体ヒマワリレシチン(E322)は、0.05%~10%、(例えば、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%または8%)、好ましくは約0.1%~2%(例えば約1.0±0.1%)の範囲内において含まれ;
- 前記(c)第1の剤(多糖)、例えば(c-i)カラギーナンもしくは(c-ii)アカシアガム、または、代替的に、前記第1の剤(c)および前記(d)ショ糖エステル(E473)の合計は、1%~50%(例えば、3%、5%、7%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、25%、30%、または40%)、好ましくは約10%~25%(例えば約15±1~20±1%)の範囲内において含まれ;
- 存在する場合、前記(e)デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプンは、5%~60%、(例えば、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、または55%)、好ましくは約20%~40%(例えば約30±0.1%)の範囲内において含まれる。
【0107】
本発明のビタミンD3の固体形態製剤の実施形態において、成分(a)、(b)、(c)[例えば(c-i)または(c-ii)]ならびに、適宜、(d)および/または(e)は、製剤の総重量に対する重量パーセンテージとして表される以下の量において前記製剤中に存在する:
- 前記(a)ビタミンD3(商用)は、50%~95%(例えば、60%、70%、75%、80%、85%、または90%)、好ましくは約80%~90%(例えば85%)の範囲内において含まれ、純粋なビタミンD3(またはそのままのビタミンD3)の量は約0.10%~0.25%(例えば、0.12%、0.14%、0.16%、0.18%、0.20%、0.22%、または0.24%)、好ましくは約0.20±1%である;
- 前記(b)リン脂質、好ましくはホスホグリセリド、より好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチン、よりいっそう好ましくは固体レシチン(E322)または固体ヒマワリレシチン(E322)は、0.05%~10%、(例えば、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%または8%)、好ましくは約0.1%~2%(例えば約0.5±0.1~1.0±0.1%)の範囲内において含まれる;
- 前記(c)第1の剤(多糖)、例えば(c-i)カラギーナンもしくは(c-ii)アカシアガム、または、代替的に、前記第1の剤(c)および前記(d)ショ糖エステル(E473)の合計は、1%~50%(例えば、3%、5%、7%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、25%、30%、または40%)、好ましくは約5%~20%(例えば約10±1~15±1%)の範囲内において含まれ;
- 存在する場合、前記(e)デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプンは、0.05%~10%、(例えば、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%または8%)、好ましくは約0.1%~2%(例えば約1.0±0.1%)の範囲内において含まれる。
【0108】
本発明によるビタミンD3の固体形態製剤において、本発明の製剤において、製剤の重量に対して約0.10%~0.25%、好ましくは約0.20±1%の純粋なビタミンD3の重量パーセンテージを有するように、商用のビタミンD3の量は、前記商用のビタミンD3中に含まれる純粋なビタミンD3(またはそのままのビタミンD3)の量に依存して変動してもよいことは明らかである。
【0109】
前記(c)が(c-i)カラギーナンである本発明の実施形態Aにおいて、少なくとも1つの無機物の前記固体形態製剤は、
(a)少なくとも1つの無機物の塩または複合体の形態の前記少なくとも1つの無機物であって、前記無機物が、(a-i)マグネシウム(II)、(a-ii)カルシウム(II)、(a-iii)鉄(III)または鉄(II)、(a-iv)亜鉛(II)、(a-v)ヨウ素(V)、(a-vi)セレニウム(IV)、(a-vii)クロム(III)、(a-viii)銅(II)およびこれらの混合物を含むかまたは代替的にからなる群から選択される、前記無機物;
(b)少なくとも1つのリン脂質、好ましくはホスホグリセリド、より好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチン、よりいっそう好ましくはヒマワリレシチン、トウモロコシレシチン、ダイズレシチンおよびこれらの混合物から選択されるレシチン(E322);
(c-i)少なくとも1つのカラギーナン、好ましくはカラギーナンE407;
ならびに、適宜、(d)少なくとも1つのショ糖エステル、好ましくはショ糖エステルE473;
および/または(e)植物起源の少なくとも1つの糊化もしくはアルファ化デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる。
【0110】
前記実施形態Aの好ましい例は、
(a)(a-i)マグネシウム(II)、(a-ii)カルシウム(II)、(a-iii)鉄(III)もしくは鉄(II)、(a-iv)亜鉛(II)、(a-v)ヨウ素(V)、(a-vi)セレニウム(IV)、(a-vii)クロム(III)、または(a-viii)銅(II)から選択される少なくとも1つの無機物;
(b)レシチン、好ましくはヒマワリ、トウモロコシまたはダイズレシチン[好ましくはヒマワリ(E322)];
(c-i)カラギーナン、好ましくはカラギーナンE407;
(d)ショ糖エステル(例えばショ糖エステルE473);
および、適宜、(e)植物起源の糊化またはアルファ化デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる。
【0111】
前記(c)が(c-i)カラギーナンである本発明の好ましい実施形態Aにおいて、少なくとも1つの無機物および/または少なくとも1つのビタミンの前記固体形態製剤は、実施形態Aにおいて定義されるような(a)、(b)、(c-i)、(d)および(e)を含むかまたは代替的にからなる。
【0112】
前記(c)が(c-i)カラギーナンである本発明のさらなる好ましい実施形態Aにおいて、少なくとも1つの無機物および/または少なくとも1つのビタミンの前記固体形態製剤は、実施形態Aにおいて定義されるような(a)、(b)、(c-i)、および(e)を含むかまたは代替的にからなる。
【0113】
カラギーナンは、欧州およびイタリアの法制により承認された食品添加物(増稠剤、安定化剤、ゲル化剤、乳化剤)であり、欧州の法制にしたがって食品添加物「E407」として分類される。
【0114】
カラギーナンまたはカラギーニン[INCI名:カラギーナン EU INCI名:ヤハズツノマタ(Chrondrus Chrispus)粉末]は、その名称がアイルランドのCarragheenに由来する
トチャカ(carrageheen)に由来する生産物である。カラギーナンは、紅藻類から抽出される、直鎖状多糖の複合基、多くの場合にスルフェートである。それらは、スルフェートおよび非スルフェートの両方の、ガラクトースおよび3,6-アンヒドロガラクトース(3,6-AG)の繰返し単位により特徴付けられる、高分子量を有する化合物、すなわち非常に大きい分子である。単位はアルファ1-3およびベータ1-4グリコシド結合を交互に持つ。それらの構造に起因して、カラギーナンは、カールしてらせん状構造物を形成する高度に柔軟な分子のように挙動する。分子の空間的構成は、多様な異なるゲルを室温で形成する能力をそれらに一般に付与する。カラギーナンの主に3つの商用のクラス:ラムダ、カッパおよびイオタがある。
【0115】
カラギーナンは、カルシウム、カリウム、ナトリウムおよびマグネシウム塩、多糖の硫酸エステルから本質的になり、該多糖の硫酸エステルは、加水分解により、ガラクトースおよび3,6-アンヒドロガラクトースを与える。カラギーナンは、決して加水分解または他に化学的に分解されない。それは、粗雑~微細の一貫性の粉末の形態であり、黄色~無色の色で基本的に無臭である。
【0116】
カラギーナンは、特にアイルランドおよび大ブリテン島において、食品、薬および産業目的のために広く使用されているゼラチン(ハチミツ、ビールの清澄化、紙、デンプンおよびその他の製造のために使用される)であり;アイリッシュモスまたはトチャカという名称により公知の北大西洋の岩石海岸上の2つの紅藻類[ヤハズツノマタおよびギガルティナ・マミティオサ(Gigartina mamitiosa)]を煮沸することにより得られる。
【0117】
本発明において使用され得る(c-i)カラギーナンの例は、スクロースを含む標準化されたCSW-2型のカラギーナン[Genuvisco(登録商標)、登録商標、CP Kelco];CAS 9000-07-1、57-50-1であり;欧州標準E407によれば;pH(0.5%溶液)7.0~10.0;乾燥時の損失<=12.0、瞬時粘度- 高塩<=12;瞬時粘度- 低塩>=50。
【0118】
前記(c-i)カラギーナンは、当業者に公知の方法にしたがって、例えば高温(例えばわずかに>100℃)における水およびCa(OH)を用いた海藻からの抽出、中和ならびにエタノールまたはイソプロパノールを用いる沈殿により得られ得る。
【0119】
(c)が(c-i)カラギーナンである本発明の前記少なくとも1つの無機物の固体形態製剤の好ましい実施形態において、成分(a)、(b)、(c-I)ならびに、適宜、(d)および/または(e)は、前記少なくとも1つの無機物の製剤の総重量に対する重量%として表される以下の量において前記製剤中に存在する:
- 前記(a)無機物元素(無機物の陽イオン)は以下のように無機物にしたがって変動する:
- Mg(II)またはマグネシウム金属は、5%~80%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~40%の範囲内において含まれる;例えば、約32~38%のMg(II)元素に対応する約53~54%の酸化マグネシウム;
- Ca(II)またはカルシウム金属は、5%~80%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~40%の範囲内において含まれる;例えば、約31~37%のCa(II)元素に対応する約97%のリン酸三カルシウム;
- Fe(III)または鉄金属は、1%~40%、好ましくは1%~30%、より好ましくは5%~20%の範囲内において含まれる;例えば約10~12%のFe(III)元素に対応する約44~45%のピロリン酸鉄(III);
- Zn(II)または亜鉛金属は、10%~80%、好ましくは20%~70%、より好ましくは30%~60%の範囲内において含まれる;例えば、約40~50%のZn(II)元素に対応する約53~54%の酸化亜鉛;
- I(V)またはヨウ素金属は、0.01%~15%、好ましくは0.05%~10%、より好ましくは0.1%~3%の範囲内において含まれる;例えば、約0.9~1.1%のI(V)元素に対応する約1~2%のヨウ素酸ナトリウム;
- Se(IV)またはセレニウム金属は、0.01%~15%、好ましくは0.05%~10%、より好ましくは0.1%~3%の範囲内において含まれる;例えば、約0.9~1.2%のSe(IV)元素に対応する約2.0~2.5%の亜セレン酸ナトリウム;
- Cr(III)またはクロム金属は、1%~40%、好ましくは3%~20%、より好ましくは5%~15%の範囲内において含まれる;例えばピコリン酸クロム(III)により与えられる約9+1%のジCr(III);
- Cu(II)または金属銅は、1%~30%、好ましくは1%~20%、より好ましくは1%~10%の範囲内において含まれる;例えばグルコン酸銅(II)により与えられる約6+1%のCu(II);
- 前記(b)リン脂質、好ましくはホスホグリセリド、より好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチン、よりいっそう好ましくは固体レシチン(E322)または固体ヒマワリレシチン(E322)は、0.05%~15%、好ましくは0.1%~5%、より好ましくは0.1%~2%、例えば約0.6+0.5%の範囲内において含まれる;
- (c-i)カラギーナンは、1%~50%(例えば5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%または45%)、好ましくは1%~35%、より好ましくは1%~10%(例えば約4~5+1%)または10%~20%(例えば約12~13+1%もしくは17~18+1%)の範囲内において含まれる;
- 存在する場合、前記(d)ショ糖エステル(E473)は、1%~50%(例えば5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%または45%)、好ましくは1%~35%、より好ましくは10%~20%(例えば約12~13+1%もしくは17~18+1%)または1%~10%(例えば約4~5+1%)の範囲内において含まれる;
- 存在する場合、前記デンプン(e)、好ましくはアルファ化コメデンプンは、10%~85%、好ましくは15%~60%、より好ましくは25%~50%、例えば約37~38+1%の範囲内において含まれる。
【0120】
前記(c)が(c-ii)アカシアガムである本発明の実施形態Bにおいて、少なくとも1つの無機物の前記固体形態製剤は、
(a)少なくとも1つの無機物の塩または複合体の形態の前記少なくとも1つの無機物であって、前記無機物が、(a-i)マグネシウム(II)、(a-ii)カルシウム(II)、(a-iii)鉄(III)、(a-iv)亜鉛(II)、(a-v)ヨウ素(V)、(a-vi)セレニウム(IV)、(a-vii)クロム(III)、(a-viii)銅(II)およびこれらの混合物を含むかまたは代替的にからなる群から選択される、前記無機物;
(b)少なくとも1つのリン脂質、好ましくはホスホグリセリド、より好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチン、よりいっそう好ましくはヒマワリレシチン、トウモロコシレシチン、ダイズレシチンおよびこれらの混合物から選択されるレシチン(E322);
(c-ii)少なくとも1つのアカシアガム、好ましくはアカシアガムE414;より好ましくは250,000~400,000の範囲内に含まれる平均分子量、より好ましくは約350,000の平均分子量を有するアカシアガムE414;
ならびに、適宜、(d)少なくとも1つのショ糖エステル、好ましくはショ糖エステルE473;
および/または(e)植物起源の少なくとも1つの糊化もしくはアルファ化デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる。
【0121】
前記実施形態Aの好ましい例は、
(a)(a-i)マグネシウム(II)、(a-ii)カルシウム(II)、(a-iii)鉄(III)もしくは鉄(II)、(a-iv)亜鉛(II)、(a-v)ヨウ素(V)、(a-vi)セレニウム(IV)、(a-vii)クロム(III)、または(a-viii)銅(II)から選択される無機物;
(b)レシチン、好ましくはヒマワリ、トウモロコシまたはダイズレシチン[好ましくはヒマワリ(E322)];
(c-i)アカシアガム、好ましくはアカシアガムE414;
(d)ショ糖エステル(例えばショ糖エステルE473);
および、適宜、(e)植物起源の糊化またはアルファ化デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる。
【0122】
前記(c)が(c-ii)アカシアガムである本発明の好ましい実施形態Bにおいて、少なくとも1つの無機物および/または少なくとも1つのビタミンの前記固体形態製剤は、実施形態Bにおいて定義されるような(a)、(b)、(c-ii)、(d)および(e)を含むかまたは代替的にからなる。
【0123】
前記(c)が(c-ii)アカシアガムである本発明のさらなる好ましい実施形態Bにおいて、少なくとも1つの無機物および/または少なくとも1つのビタミンの前記固体形態製剤は、実施形態Bにおいて定義されるような(a)、(b)、(c-ii)および(e)を含むかまたは代替的にからなる。
【0124】
アカシアガムまたはアラビアガムは、欧州およびイタリアの法制により承認された食品添加物(増稠剤、安定化剤、乳化剤)であり、欧州の法制にしたがって食品添加物「E414」として分類される。
【0125】
アカシアガムは植物起源の天然ガムであり、サブサハラアカシアの2種:アカシア・セネガル(Acacia senegal)(L)およびアカシア・セヤル(Acacia seyal)から抽出されるためアカシアガムと称される。特に、アカシアガムは、アカシア属などの天然系統の幹および枝から得られる乾燥滲出液である。
【0126】
アラビアガムは、高分子量多糖(Mw 250.000~400.000)、そのカルシウム、マグネシウムおよびカリウム塩ならびに糖タンパク質の複雑な混合物であり、該糖タンパク質は、その最も重要な特性の1つ:完全に可食(可食性)であるという事実をそれらに付与する。それは、様々な成分:アラビノース、D-ガラクトピラノース、ラムノピラノース、D-グルクロン酸、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、粘質物からなる。
【0127】
植物起源のほぼ全てのガムおよび樹脂と同様に、それは、自然発生的に活性化してその表面完全性に向けて傷害(傷)を治す「樹脂分泌」(gummosis)の天然プロセスにしたがって植物により生産される。それは、主に食品産業において「安定化剤」として使用される賦形剤であるが、ある特定のインクにおける粘度制御機能も有する。
【0128】
本発明において使用され得る(c-ii)アカシアガムの例は、CAS番号232-519-5、EINECS 232-519-5を有し、E414に準拠し、純度は最小99.9%、乾燥での損失は最大10%、合計の灰は最大4%、粘度(20℃)は最小60cps.、比旋光度は30~60゜であるアカシアガム(商用例 Chimabにより製造される386°アラビアガム、cod. 306045)である。
【0129】
アカシアガムは、遠心分離、濾過、加熱および乾燥の工程を含む当業者に公知の方法にしたがって得られる。
【0130】
前記(c)が(c-iii)フコイダンである本発明の実施形態Cにおいて、少なくとも1つの無機物の前記固体形態製剤は、
(a)少なくとも1つの無機物の塩または複合体の形態の前記少なくとも1つの無機物であって、前記無機物が、(a-i)マグネシウム(II)、(a-ii)カルシウム(II)、(a-iii)鉄(III)、(a-iv)亜鉛(II)、(a-v)ヨウ素(V)、(a-vi)セレニウム(IV)、(a-vii)クロム(III)、(a-viii)銅(II)およびこれらの混合物を含むかまたは代替的にからなる群から選択される、前記無機物;
(b)少なくとも1つのリン脂質、好ましくはホスホグリセリド、より好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチン、よりいっそう好ましくはヒマワリレシチン、トウモロコシレシチン、ダイズレシチンおよびこれらの混合物から選択されるレシチン(E322);
(c-iii)少なくとも1つのフコイダン;好ましくは20,000~約30,000の範囲内に含まれる平均分子量を有するフコイダン;
ならびに、適宜、(d)少なくとも1つのショ糖エステル、好ましくはショ糖エステルE473;
および/または(e)植物起源の少なくとも1つの糊化もしくはアルファ化デンプン、好ましくはアルファ化コメデンプン
を含むかまたは代替的にからなる。
【0131】
前記(c)が(c-iii)フコイダンである本発明の好ましい実施形態Cにおいて、少なくとも1つの無機物および/または少なくとも1つのビタミンの前記固体形態製剤は、実施形態Cにおいて定義されるような(a)、(b)、(c-iii)、(d)および(e)を含むかまたは代替的にからなる。
【0132】
前記(c)が(c-iii)フコイダンである本発明のさらなる好ましい実施形態Cにおいて、少なくとも1つの無機物および/または少なくとも1つのビタミンの前記固体形態製剤は、実施形態Cにおいて定義されるような(a)、(b)、(c-ii)および(e)を含むかまたは代替的にからなる。
【0133】
フコイダンは、様々な褐色藻類種、例えばモズク、コンブ、ロビナ・ベスシカ(rovina vescica)、ワカメおよびヒジキ中に主に存在する硫酸化多糖(平均分子量約20,000~30,000)であり、これらの褐色藻類種から、当業者に公知の方法にしたがって、好ましくは、水を用いる低温抽出方法およびエタノールを用いるその後の沈殿によって抽出される。
【0134】
本発明において使用され得る(c-iii)フコイダンの例は、CAS番号9072-19-9、HOR中の溶解度>95、比重(HO=1) 0.45~0.65g/cmを有するフコイダン(Zhejiang Sanhe Biotech Co., Ltd.により供給される)である。
【0135】
本発明において使用され得る(c-iii)フコイダンのさらなる例は、褐色藻類の種であるマコンブ(Laminaria Japonica)からの抽出により、水を用いる低温抽出によって得られ、以下の化学組成:フコイダン 最小85%(UV)、有機so 2- 最小20%(GBT16484.12-2006)、炭水化物 最小60%、L-フコース 最小23%、アルギン酸 最大31%;ならびに以下の物理的特徴:密度(バルク密度) 40~60g/100ml、全灰 最大3.0%(USP<281>)、乾燥時の損失 最大5.0%(USP<731>)を有するフコイダンである。
【0136】
(c)が(c-ii)アカシアガムまたは(c-iii)フコイダンである本発明の前記少なくとも1つの無機物の固体形態製剤の好ましい実施形態において、成分(a)、(b)、(c)、例えば(c-ii)または(c-iii)ならびに、適宜、(d)および/または(e)は、前記少なくとも1つの無機物の製剤の総重量に対する重量%として表される以下の量において前記製剤中に存在する:
- 前記(a)無機物元素(無機物の陽イオン)は以下のように無機物にしたがって変動する:
- Mg(II)またはマグネシウム金属は、5%~80%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~40%の範囲内において含まれる;例えば、約32~38%のMg(II)元素に対応する約53~54%の酸化マグネシウム;
- Ca(II)またはカルシウム金属は、5%~80%、好ましくは10%~60%、より好ましくは30%~40%の範囲内において含まれる;例えば、約31~37%のCa(II)元素に対応する約97%のリン酸三カルシウム;
- Fe(III)または鉄金属は、1%~40%、好ましくは1%~30%、より好ましくは5%~20%の範囲内において含まれる;例えば約10~12%のFe(III)元素に対応する約44~45%ピロリン酸鉄(III);
- Zn(II)または亜鉛金属は、10%~80%、好ましくは20%~70%、より好ましくは30%~60%の範囲内において含まれる;例えば、約40~50%のZn(II)元素に対応する約53~54%の酸化亜鉛;
- I(V)またはヨウ素金属は、0.01%~15%、好ましくは0.05%~10%、より好ましくは0.1%~3%の範囲内において含まれる;例えば、約0.9~1.1%のI(V)元素に対応する約1~2%のヨウ素酸ナトリウム;
- Se(IV)またはセレニウム金属は、0.01%~15%、好ましくは0.05%~10%、より好ましくは0.1%~3%の範囲内において含まれる;例えば、約0.9~1.2%のSe(IV)元素に対応する約2.0~2.5%の亜セレン酸ナトリウム;
- Cr(III)またはクロム金属は、1%~40%、好ましくは3%~20%、より好ましくは5%~15%の範囲内において含まれる;例えばピコリン酸クロム(III)により与えられる約9+1%のジCr(III);
- Cu(II)または金属銅は、1%~30%、好ましくは1%~20%、より好ましくは1%~10%の範囲内において含まれる;例えばグルコン酸銅(II)により与えられる約6+1%のCu(II);
- 前記(b)リン脂質、好ましくはホスホグリセリド、より好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチン、よりいっそう好ましくは固体レシチン(E322)または固体ヒマワリレシチン(E322)は、0.05%~15%、好ましくは0.1%~5%、より好ましくは0.1%~2%、例えば約0.6+0.5%の範囲内において含まれる;
- (c-ii)アカシアガムまたは(c-iii)フコイダン(例えば80~85重量%のフコイダン)またはこれらの混合物の形態の前記第1の剤(c)は、1%~50%(例えば、3%、5%、7%、10%、12%、15%、20%、17%、25%、30%、または40%)、好ましくは1%~35%、より好ましくは10%~20%、例えば約12~13+1%または17~18+1%の範囲内において含まれる;
- 存在する場合、前記(d)ショ糖エステル(E473)は、1%~50%(例えば、3%、5%、7%、10%、12%、15%、17%、20%、25%、30%、もしくは40%)、好ましくは1%~35%、より好ましくは1%~10%、例えば約4~5+1%の範囲内において含まれるか、または存在しない;
- 存在する場合、前記デンプン(e)、好ましくはアルファ化コメデンプンは、10%~85%、好ましくは15%~60%、より好ましくは25%~50%、例えば約37~38+1%の範囲内において含まれる。
【0137】
本発明の実施形態において、少なくとも1つの無機物および/または少なくとも1つのビタミンの前記製剤は、(a)、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)、(d)および、適宜、(e)を含むかまたは代替的にからなる。
【0138】
本発明の前記実施形態において、(a)、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)および、適宜、(e)と共に本発明の少なくとも1つの無機物の製剤または少なくとも1つのビタミンの製剤中に含まれる前記(d)ショ糖エステルまたは脂肪酸炭水化物エステルは、ショ糖エステルE473、好ましくは、ショ糖エステルの総重量に対して少なくとも50重量%、好ましくは70重量%~90重量%の、植物起源の1つまたは複数の脂肪酸を用いるスクロースのエステル化により得られるモノエステルを含むショ糖エステルE473であり、好ましくは前記脂肪酸はステアリン酸および/またはパルミチン酸から選択される。
【0139】
「E473」という略語は、ショ糖エステルまたはスクロース脂肪酸エステルは、欧州の法制により承認され、イタリアの省令D.M. 1996により規制された食品添加物(乳化剤)であることを指し示すために使用される。
【0140】
「ショ糖エステル」は、炭水化物(サッカリドとも呼ばれる)を用いる脂肪酸のエステル化または脂肪酸メチルエステルのトランス-エステル化から一般に得られる。スクロース(単糖)および多糖は一般に、使用される炭水化物である。これは、ショ糖エステルが「スクロース脂肪酸エステル」とも称される理由である。これらの化合物の化学的/物理的特性は、エステル化される脂肪酸の数および種類に依存する。
【0141】
それらは本質的に乳化剤であり、脂肪相を伴う水性相のより大きい安定化を決定するように組成物に加えられる。
【0142】
例えば、本発明の文脈において使用され得る(d)ショ糖エステル(E473)は、14~18の範囲内に含まれるHLB(親水性-親油性バランス)値、好ましくは約15または16のHLB値を有するショ糖エステルであってもよい。
【0143】
本発明の文脈において使用され得る(d)ショ糖エステル(E473)は、重量により以下の組成を有してもよい:少なくとも90%の総エステル含有量、そのうちショ糖エステルの総重量に対して、植物起源の1つまたは複数の脂肪酸、好ましくはステアリン酸および/またはパルミチン酸を用いるスクロースのエステル化を通じて得られるモノエステルが少なくとも70重量%;3%を超えない遊離脂肪酸含有量(例えばオレイン酸);2%を超えない遊離スクロース含有量;4%を超えない湿度;5を超えない酸値。本発明の文脈において使用され得る(d)商用のショ糖エステルの例は、Chimab S.p.A-Italia社のスクロースエステルSP70である。
【0144】
本発明の実施形態において、(a)、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)、および、適宜、(e)と共に本発明の少なくとも1つの無機物の製剤または少なくとも1つのビタミンの製剤中に含まれる前記(d)ショ糖エステルは、ポリグリセロール脂肪酸エステルを含まないか、または代替的にからなるものではない。
【0145】
本発明の実施形態において、少なくとも1つの無機物の前記製剤または少なくとも1つのビタミンの前記製剤は、(a)、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)、(e)および、適宜、(d)を含むかまたは代替的にからなる。
【0146】
本発明の前記実施形態において、本発明の少なくとも1つの無機物の製剤または少なくとも1つのビタミンの製剤は、(a)、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)、および、適宜、(d)と共に、(e)植物起源のデンプン、好ましくは糊化またはアルファ化されたものをさらに含み;好ましくは、植物起源の前記デンプンは、コメデンプンおよび/またはコーンスターチから選択され;好ましくは、植物起源の前記デンプンは、コメデンプン[イネ(Oryza sativa)]またはネイティブなコメデンプン、好ましくは糊化またはアルファ化されたものであり;より好ましくは、植物起源の前記デンプンはアルファ化コメデンプンである。
【0147】
本発明の文脈において使用され得るアルファ化コメデンプン(E)は、例えば、以下の化学的/物理的特徴を有してもよい:7%を超えない湿度;1%を超えないタンパク質含有量;1%を超えない灰含有量;5.5~7.5に含まれるpH(10%の溶液)、0.40~0.48g/cmの密度;97%の最小デンプン含有量および0.1%を超えない脂肪含有量。商用のアルファ化コメデンプンの例は、Reire Srl -Italiaにより製造されるAX-FG-Pである。
【0148】
本発明の代替的な実施形態において、本発明の少なくとも1つの無機物の製剤または少なくとも1つのビタミンの製剤は、(a)、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)、ならびに、適宜、(d)および/または(e)と共に、(f-i)少なくとも1つのシクロデキストリン、好ましくはα-シクロデキストリン;(f-ii)C6~C18、好ましくはC12~C18の範囲内に含まれる多数の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪酸;(f-iii)少なくとも1つのキトサン誘導体、好ましくはカルボキシメチルキトサン;およびこれらの混合物を含むかまたは代替的にからなる少なくとも1つの第2の剤(f)をさらに含む。
【0149】
本発明の目的の形成は、本発明において記載される実施形態のいずれか1つによる(a)、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)ならびに、適宜、(d)および/または(e)[例えば、(a)~(d)のFR-Mg、(a)~(d)のFR-Ca、(a)~(d)のFR-Fe、(a)~(d)のFR-Zn、(a)~(d)のFR-I、(a)~(d)のFR-Se、(a)~(d)のFR-Cr、(a)~(d)のFR-vit B12、(a)~(d)のFR-vit C、(a)~(d)のFR-vit D、(a)~(d)のFR-vit E]を含むかまたは代替的にからなる無機物の少なくとも1つの固体形態製剤(本発明の少なくとも1つの無機物の製剤)および/またはビタミンの少なくとも1つの固体形態製剤(本発明のビタミンの製剤)を含むかまたは代替的にからなる、好ましくは固体形態の、組成物(簡略には、本発明の組成物)であり、適宜、前記組成物は、少なくとも1つの許容される医薬品または食品グレードの添加剤および/または賦形剤を含む。
【0150】
前記少なくとも1つの許容される医薬品または食品グレードの添加剤および/または賦形剤は、医薬品または食品調製物の技術分野の当業者に公知の全ての物質から選択されてもよく、これは例えば、防腐剤、乳化剤および/または増稠剤、例えばヒドロキシメチルセルロースなど、甘味剤、色素、例えば色素E171など、天然および人工香料、抗酸化剤、安定化剤、充填剤、抗固化剤、例えば植物性ステアリン酸マグネシウム、脂肪酸のマグネシウム塩および二酸化ケイ素など、充填剤、例えば微結晶セルロース、ならびにこれらの混合物である。
【0151】
第1の態様において、本発明の前記組成物は、無機物(例えば、Mg、Ca、Fe、Zn、I、Se、CrまたはCu)の単一の固体形態製剤を含んでもよい。
【0152】
第2の態様において、本発明の前記組成物は、ビタミン(例えば、ビタミンB12、C、D3またはE)の単一の固体形態製剤を含んでもよい。
【0153】
第3の態様において、本発明の前記組成物は、前記無機物(例えば、Mg、Ca、Fe、Zn、I、SE、Crおよび/またはCu)の2、3、または4つの固体形態製剤を含んでもよい。
【0154】
第4の態様において、本発明の前記組成物は、前記ビタミン(例えば、ビタミンB12、C、D3および/またはE)の2、3、または4つの固体形態製剤を含んでもよい。
【0155】
第5の態様において、本発明の前記組成物は、無機物(例えば、Mg、Ca、Fe、Zn、I、Se、CrまたはCu)の単一の固体形態製剤およびビタミン(例えば、ビタミンB12、C、D3またはE)の単一の固体形態製剤を含んでもよい。
【0156】
第6の態様において、本発明の前記組成物は、前記無機物(例えば、Mg、Ca、Fe、Zn、I、Se、Crおよび/またはCu)の2、3、または4つの固体形態製剤ならびにビタミン(例えば、ビタミンB12、C、D3またはE)の単一の固体形態製剤を含んでもよい。
【0157】
第7の態様において、本発明の前記組成物は、無機物(例えば、Mg、Ca、Fe、Zn、I、Se、CrまたはCu)の単一の固体形態製剤ならびに前記ビタミン(例えば、ビタミンB12、C、D3および/またはE)の2、3、または4つの固体形態製剤を含んでもよい。
【0158】
第8の態様において、本発明の前記組成物は、前記無機物(例えば、Mg、Ca、Fe、Zn、I、Se、Crおよび/またはCu)の2、3、または4つの固体形態製剤ならびに前記ビタミン(例えば、ビタミンB12、C、D3および/またはE)の2、3、または4つの固体形態製剤を含んでもよい。
【0159】
少なくとも1つのサイクロソーム無機物および/もしくは少なくとも1つのサイクロソームビタミンまたは、代替的に、複数のサイクロソーム無機物、または代替的に、複数のサイクロソームビタミンを含む本発明による組成物の例は以下の通りである:
鉄+ビタミンC、D3、B12、Eおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1つのビタミン;鉄+ビタミンC;鉄+ビタミンD3;鉄+ビタミンC+ビタミンD3;鉄+ビタミンC+ビタミンB12;鉄+ビタミンD3+ビタミンB12;鉄+ビタミンC+ビタミンD3+ビタミンB12;
鉄+クロム+Mg、Ca、Zn、I、Se、Cr、Cuおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1つの無機物;鉄+クロム+ビタミンD3+ビタミンB12;鉄+クロム+ビタミンD3+ビタミンB12+ビタミンC;鉄+クロム+ビタミンC+ビタミンB12;鉄+クロム+ビタミンC+ビタミンD3;
カルシウム+ビタミンC、D3、B12、Eおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1つのビタミン;カルシウム+ビタミンD3;カルシウム+ビタミンD3+ビタミンC、B12、Eおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1つのビタミン;
カルシウム+マグネシウム+ビタミンC、D3、B12、Eおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1つのビタミン;マグネシウム+カルシウム+ビタミンD3;マグネシウム+カルシウム+ビタミンC;マグネシウム+カルシウム+ビタミンC+ビタミンD3;マグネシウム+カルシウム+ビタミンD3+ビタミンC、B12、Eおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1つのビタミン;
マグネシウム+ビタミンC、D3、B12、Eおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1つのビタミン;
亜鉛+ビタミンC、D3、B12、Eおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1つのビタミン;亜鉛+ビタミンC+ビタミンD;亜鉛+ビタミンC+ビタミンD3+ビタミンB12および/またはビタミンE;
セレニウム+ビタミンC、D3、B12、Eおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1つのビタミン;セレニウム+ビタミンE;セレニウム+ビタミンE+ビタミンC、D3、B12およびこれらの混合物から選択される少なくとも1つのビタミン;
セレニウム+ヨウ素+ビタミンC、D3、B12、Eおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1つのビタミン;セレニウム+ヨウ素+ビタミンE;セレニウム+ヨウ素+ビタミンE+ビタミンC、D3、B12およびこれらの混合物から選択される少なくとも1つのビタミン;
ヨウ素+ビタミンC、D3、B12、Eおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1つのビタミン;
クロム+ビタミンC、D3、B12、Eおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1つのビタミン;
銅+ビタミンC、D3、B12、Eおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1つのビタミン;
クロム+銅+亜鉛;クロム+銅;クロム+亜鉛;銅+亜鉛;クロム+銅+亜鉛+ビタミンC、D3、B12、Eおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1つのビタミン
ビタミンC+ビタミンD3、B12、Eおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1つのビタミン(例えばD3+B12、D3+E、B12+E、D3+B12+E)。
【0160】
少なくとも1つのサイクロソーム無機物および少なくとも1つのサイクロソームビタミンまたは、代替的に、複数のサイクロソーム無機物を含む本発明による組成物の好ましい例は以下の通りである:
鉄+ビタミンC;鉄+ビタミンD;鉄+ビタミンC+ビタミンD;鉄+ビタミンC+ビタミンB12;鉄+クロム+ビタミンD+ビタミンB12;カルシウム+ビタミンD;マグネシウム+カルシウム+ビタミンD;亜鉛+ビタミンC+ビタミンD;セレニウム+ビタミンE;セレニウム+ヨウ素+ビタミンE、クロム+銅+亜鉛。
【0161】
複数の無機物および/またはビタミンが存在する本発明による組成物において、各無機物および各ビタミンは、本発明にしたがって(b)、(c)ならびに、適宜、(d)および/または(e)と共に好ましくは独立して(すなわち各無機物またはビタミンについて別々のおよび独立したサイクロソーム製剤)製剤化される。
【0162】
有利には、本発明の無機物および/またはビタミンの少なくとも1つの製剤[記載される実施形態のいずれか1つによる(a)、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)ならびに、適宜、(d)および/または(e)を含むかまたは代替的にからなる]を含む本発明の組成物は、以下を含むかまたは代替的にからなる群から選択される少なくとも1つのまたはより多くのさらなる活性成分をさらに含む:
(g)(g-i)群Cのビタミン、(g-ii)群Eのビタミン、(g-iii)群Bのビタミン、好ましくはビタミンB6および/またはB9および/またはB12、(g-iv)群Dのビタミン、好ましくはビタミンD3、およびこれらの混合物を含むかまたは代替的にからなるビタミンの群から選択される少なくとも1つのビタミン;好ましくは(g-i)ビタミンC(L-アスコルビン酸および/またはL-アスコルビン酸ナトリウム);
- (h)(h-i)グリシン酸マグネシウム、(h-ii)セレニウムメチオニン、(h-iii)グルコン酸亜鉛およびこれらの混合物を含むかまたは代替的にからなる群から好ましくは選択される少なくとも1つの有機塩または無機塩;
- (l)(l-i)N-アセチルシステイン(NAC)、(l-ii)コエンザイムQ10(CoQ10)、(g-iii)アセチル-L-カルニチン(ALC)およびこれらの混合物を含むかまたは代替的にからなる群から好ましくは選択される少なくとも1つの抗酸化剤;ならびに
- (m)葉酸;
- (n)アミノ酸、例えばフェニルアラニン、イソロイシン、ヒスチジン、ロイシン、リジン、メチオニン、スレオニン、トリプトファン、バリン、アルギニン、システインおよびチロシン。
【0163】
好ましくは、前記ビタミン(例えば、ビタミンB12、C、D3および/またはE)の各々は、本発明による製剤の形態において本発明の組成物中に存在し、前記製剤は、(a)前記少なくとも1つのビタミン、(b)リン脂質(好ましくはレシチン)、(c)第1の剤[好ましくは(c-i)カラギーナンまたは(c-ii)アカシアガム]ならびに、適宜、(d)ショ糖エステルおよび/または(e)デンプンを含む。
【0164】
有利には、存在する場合、各個々のビタミン(g)および/または塩(h)は、100%のRDA(推奨栄養所要量)に等しい量において本発明の組成物中に存在する。
【0165】
有利には、存在する場合、各単一の抗酸化物質(I)は、100mg/日に等しい量において本発明の組成物中に存在する。
【0166】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、固体形態、例えばそのままの固体形態または口内可溶性の固体形態(もしくは口腔中で溶解する口内分散性の固体形態)または水分散性の固体形態である。
【0167】
代替的に、本発明の組成物は、液体形態、例えば液体中の固体の溶液、分散体もしくは懸濁液の形態、または半固体形態、例えばクリームもしくはゲルもしくは軟質ゲルの形態であってもよい。
【0168】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の組成物は、経口投与(簡略には、per os)のために製剤化される。
【0169】
有利には、本発明の組成物は、経口投与のためのそのまままたは口内可溶性または水分散性の固体形態、例えば粉末、顆粒、微顆粒、フレーク、錠剤またはカプセルなどである。
【0170】
本発明の組成物が錠剤形態である場合、前記錠剤は、200mg~2000mgの範囲内に含まれる重量を有してもよく、例えば800mg~1000mgの硬質錠剤であってもよい。
【0171】
前記錠剤は、胃障壁を通過する能力を有する1つまたは複数のコーティング層またはフィルムを用いてコーティングまたはフィルム処理されてもよい。前記コーティングは、ミツバチワックスまたは糖ベースの溶液を含んでもよい。
【0172】
本発明の組成物がカプセルの形態である場合、前記カプセルは、硬質ゼラチンまたは軟質ゼラチンまたは軟質ゲルのカプセルであってもよく;好ましくはゼラチンカプセルは、100mg~1500mgの範囲内に含まれる、より好ましくは約800mgの重量を有してもよい。
【0173】
本発明において記載される実施形態のいずれか1つによる本発明の少なくとも1つの無機物の前記固体形態製剤を含む本発明の組成物は、医薬組成物、医療機器組成物、栄養補助食品、食品または新規の食品もしくは機能性食品組成物であってもよい。
【0174】
本発明の文脈において、「医療機器」という表現は、1997年2月24日付けのイタリア法令n° 46または新規医療機器規則(EU)2017/745(MDR)による意味において使用される。
【0175】
本発明の目的の形成は、一次医薬および他の医薬をサポートするための医薬(アジュバント)の両方としての、医薬としての使用のための、記載される実施形態のいずれか1つによる(a)、(b)、(c)、例えば(c-i)または(c-ii)または(c-iii)および、適宜、(d)および/または(e)を含むかまたは代替的にからなる本発明の少なくとも1つの無機物の前記固体形態製剤および/または少なくとも1つのビタミンの前記固体形態製剤、ならびに記載される実施形態のいずれか1つによる本発明の少なくとも1つの無機物および/または少なくとも1つのビタミンの前記製剤を含む本発明の組成物である。
【0176】
さらには、本発明の目的の形成は、必要とする対象における、前記少なくとも1つの無機物および/もしくは前記少なくとも1つのビタミンの不全症もしくは欠損症、ならびに前記欠損症に関する疾患、症状および/もしくは障害の予防的および/もしくは治療的および/もしくはアジュバント処置の方法における使用のための、または、前記少なくとも1つの無機物および/もしくは前記少なくとも1つのビタミンの補充における使用のための、記載される実施形態のいずれか1つによる、本発明の少なくとも1つの無機物(例えばマグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ヨウ素、セレニウム、銅もしくはクロム)ならびに/または本発明の少なくとも1つのビタミン[例えばビタミンA、群B(例えばB12)、C、D(例えばD3)および/もしくはEのビタミン]の組成物および製剤である。
【0177】
本発明の少なくとも1つの無機物および/または少なくとも1つのビタミンの前記組成物または製剤を対象に投与することにより予防的および/または治療的および/またはアジュバントの方式において処置され得る、無機物(例えばマグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ヨウ素、セレニウム、銅もしくはクロム)および/または少なくとも1つのビタミン[例えばビタミンA、群B(例えばB12)、C、D(例えばD3)および/もしくはEのビタミン]の前記不全症または欠損症に関する疾患、症状および/または障害は、必要とする対象において以下から選択されてもよい:
- 炭水化物代謝における変化ならびに/またはそれに関する疾患および障害、例えば、糖尿病、好ましくはII型糖尿病、高血糖症、インスリン抵抗性、炭水化物の高い吸収、血中グルコースレベルの脱調節および/またはメタボリックシンドロームなど;
- 筋肉エネルギー代謝における変化および/またはそれに関する障害、例えば、筋肉量における減少、筋肉強度における減少、筋緊張に対する身体抵抗性における減少、アミノ酸の不良な吸収など;
- 脂質異常症もしくは脂質代謝における変化ならびに/またはそれに関する疾患および障害、例えば、コレステロール血症、高いトリグリセリドレベル、および肥満症または体重過多など;
- 認知障害または認知-感情領域における変化;
- 心臓代謝障害:- 免疫系における変化;
- 不安およびうつに関するストレス、疲労、慢性疲労、ならびに/または無力症。
【0178】
本発明の少なくとも1つの無機物および/または少なくとも1つのビタミンを含む組成物および製剤は、任意のカテゴリーの対象に投与されてもよく、これには、小児対象、高齢者対象、スポーツ愛好男性/スポーツ愛好女性、妊婦、好ましくは妊娠後の女性ならびに月経周期の前、間および後の女性の両方が含まれる。
【0179】
追加的に、本発明の目的の形成は、必要とする対象もしくは健常対象における、筋肉エネルギー代謝を増加させるため(治療目的および非治療目的の両方のため)および、したがって、筋肉量を増加させるため、筋肉強度を増加させるため、筋緊張に対する身体抵抗性を増加させるため、および身体労作後のエネルギーの回復までの時間を低減させるため;ならびに/または対象、好ましくは健常対象、例えば身体活動および/もしくは研究を行う対象の身体的もしくは精神的パフォーマンスを増加させるための予防的および/または治療的および/またはアジュバント処置の方法(治療的および非治療的の両方)における使用のための、記載される実施形態のいずれか1つによる、本発明の少なくとも1つの無機物(例えばマグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ヨウ素、セレニウム、銅もしくはクロム)ならびに/または本発明の少なくとも1つのビタミン[例えば、ビタミンA、群B(例えばB12)、C、D(例えばD3)および/もしくはEのビタミン]の前記組成物および製剤である。
【0180】
有利には、本発明において記載される実施形態のいずれか1つによる鉄[好ましくはピロリン酸鉄(III)]に基づく組成物または製剤は、免疫系における変化において、必要とする対象、例えば妊娠の前、間および後、授乳の間もしくは月経周期の間の女性、または高齢者またはスポーツ愛好男性/スポーツ愛好女性などにおいて、鉄欠乏症、貧血を予防し、低減させまたは処置するためならびにヘモグロビンおよびフェリチン値を増加させるために使用される。前記製剤は「サイクロソームまたはサイクロソーム鉄」と称される。
【0181】
有利には、本発明において記載される実施形態のいずれか1つによるマグネシウム(好ましくは酸化マグネシウムまたは水酸化マグネシウム)に基づく組成物または製剤は、必要とする対象において、筋骨格、心臓代謝、感情領域(例えばストレス)ならびに免疫系障害(例えば身体的および精神的疲労)を予防し、減少させまたは処置するために使用される。前記製剤は「マグネシウムサイクロソームまたはサイクロソーム」と称される。
【0182】
有利には、本発明において記載される実施形態のいずれか1つによるカルシウム(好ましくはリン酸三カルシウム)に基づく組成物または製剤は、必要とする対象において、妊娠(すなわち胎児の発生)、気分、骨、筋肉および圧力に関する障害を予防し、減少させまたは処置するために使用される。前記製剤は「サイクロソームまたはサイクロソームカルシウム」と称される。
【0183】
有利には、本発明において記載される実施形態のいずれか1つによる亜鉛(好ましくは酸化亜鉛)に基づく組成物または製剤は、必要とする対象において、成長および発生、代謝(中間物代謝、DNA代謝)、免疫系、視覚ならびに認知行動に関する障害を予防し、低減させまたは処置するために使用される。前記製剤は「サイクロソームまたはサイクロソーム亜鉛」と称される。
【0184】
有利には、本発明において記載される実施形態のいずれか1つによるセレニウム[好ましくは亜セレン酸ナトリウム(IV)]に基づく組成物または製剤は、必要とする対象において妊娠(すなわち胎児の発生)に関する障害、代謝障害および免疫系障害を予防し、低減させまたは処置するために使用される。前記製剤は「サイクロソームまたはサイクロソームセレニウム」と称される。
【0185】
有利には、本発明において記載される実施形態のいずれか1つによるヨウ素[好ましくはヨウ素酸ナトリウム(V)]に基づく組成物または製剤は、必要とする対象において、妊娠(すなわち胎児の発生)に関する障害、気分、圧力、代謝、心臓血管障害およびエネルギー欠乏障害を予防し、低減させまたは処置するために使用される。前記製剤は「サイクロソームまたはサイクロソームヨウ素」と称される。
【0186】
有利には、本発明において記載される実施形態のいずれか1つによるクロム[好ましくはピコリン酸クロム(III)]に基づく組成物または製剤は、必要とする対象において、炭水化物、脂質およびエネルギー代謝における変化を予防し、低減させまたは処置するために使用される。前記製剤は「サイクロソームまたはサイクロソームクロム」と称される。
【0187】
クロム欠損症(治療目的および非治療的または美容目的の両方のため)、ならびに前記欠損症に関する疾患または症状を処置するために、本発明のクロム製剤(サイクロソームクロム)またはその組成物の当業者に公知の治療有効量の1日毎の経口投与が推奨され、これは例えば、10μg~500μg(例えば50μg、100μg、150μg、200μg、250μg、300μg、350μg、400μg、または450μg)、好ましくは50μg~250μg、より好ましくは150μg~250μg、例えば約200~250μgの範囲内に含まれるクロム元素[クロム(III)またはクロム金属]の量である。
【0188】
有利には、本発明において記載される実施形態のいずれか1つによる銅(好ましくはグルコン酸銅)に基づく組成物または製剤は、身体的疲労、貧血および白血球数の減少、骨粗しょう症、神経損傷、足および手のヒリヒリ感および感受性の喪失、筋肉衰弱、結合組織疾患(結合組織の炎症により特徴付けられる自己免疫疾患の群)、または酸化ストレスに関する障害(酸化ストレスは、多くの神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病および多発性硬化症の病理発生に関与する機序である)を予防し、低減させまたは処置するために使用される。前記製剤は「サイクロソームまたはサイクロソーム銅」と称される。
【0189】
銅欠損症(治療目的および非治療的または美容目的の両方のため)、ならびに前記欠損症に関する疾患または症状を処置するために、本発明の銅製剤(サイクロソーム銅)またはその組成物の当業者に公知の治療有効量の1日毎の経口投与が推奨され、これは例えば、0.1mg~10mg(例えば0.5mg、1mg、1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、または9mg)、好ましくは1mg~4mg、例えば約2mgの範囲内に含まれる銅元素[銅(II)または銅金属]の量である。
【0190】
有利には、ビタミンB12を含む組成物または製剤(本発明において記載される実施形態のいずれか1つによる)は、ビタミンB12欠損症を予防し、低減させまたは処置するために使用される。ビタミンB12欠損症に関する疾患または症状は、例えば、虚弱および身体的疲労、息切れ、先端におけるヒリヒリ感、記憶喪失または認知困難、バランスの問題に起因する歩行における困難、幻覚、貧血、ならびに蒼白である。前記製剤は「サイクロソームまたはサイクロソームビタミンB12」と称される。
【0191】
有利には、ビタミンCを含む組成物または製剤(本発明において記載される実施形態のいずれか1つによる)は、ビタミンC欠損症を予防し、低減させまたは処置するために使用される。ビタミンC欠損症に関する疾患または症状は、例えば、疲労、うつ病、結合組織障害(例えばコラーゲン、歯肉炎、点状出血、皮膚発疹、内出血および創傷治癒の遅延)、炎症または医学的処置後の爪、皮膚および毛の脆弱性、ならびに小児における骨成長の変化、免疫系における変化、酸化ストレス、鉄吸収の減少である。前記製剤は「サイクロソームまたはサイクロソームビタミンC」と称される。
【0192】
有利には、ビタミンDを含む組成物または製剤(本発明において記載される実施形態のいずれか1つによる)は、ビタミンD欠損症を予防し、低減させまたは処置するために使用される。ビタミンD欠損症に関する疾患または症状は、例えば、小児におけるくる病および成人における骨軟化症(骨塩形成の変更に起因する)、骨粗しょう症、ならびに副甲状腺機能亢進症、免疫系における変化である。前記製剤は「サイクロソームまたはサイクロソームビタミンD」と称される。
【0193】
有利には、ビタミンEを含む組成物または製剤(本発明において記載される実施形態のいずれか1つによる)は、ビタミンE欠損症を予防し、低減させまたは処置するために使用される。ビタミンE欠損症に関する疾患または症状(特に小児対象におけるもの)は、例えば、反射および協調の欠如、歩行困難、筋肉衰弱、赤血球細胞が破壊される形態の貧血(溶血性貧血)、脱毛、皮膚疾患、弱い免疫系、疲労、集中困難、視覚的問題、ならびに筋緊張の喪失、酸化ストレスである。前記製剤は「サイクロソームまたはサイクロソームビタミンE」と称される。
【0194】
ビタミンC欠損症(治療目的および非治療的または美容目的の両方のため)、ならびに前記欠損症に関する疾患または症状を処置するために、本発明のビタミンC製剤(サイクロソームビタミンC)またはその組成物の当業者に公知の治療有効量の1日毎の経口投与が推奨され、これは例えば、100mg~1500mg(例えば、200mg、400mg、600mg、800mg、1000mg、または1200mg)、好ましくは500mg~1000mg、例えば約1000mgの範囲内に含まれる純粋なビタミンC(またはそのままのビタミンC)の量である(現在のところ、許容される最大の1日当たりの用量は1000mgである)。
【0195】
ビタミンB12欠損症(治療目的および非治療的または美容目的の両方のため)、ならびに前記欠損症に関する疾患または症状を処置するために、本発明のビタミンB12製剤(サイクロソームビタミンB12)またはその組成物の当業者に公知の治療有効量の1日毎の経口投与が推奨され、これは例えば、0.5μg~1000μg(例えば、1μg、1.5μg、2μg、2.5μg、5μg、10μg、50μg、100μg、200μg、300μg、400μg、500μg、600μg、700μg、800μg、または900μg)、好ましくは1μg~5μg、例えば約2~2.5μgの範囲内に含まれる純粋なビタミンB12(またはそのままのビタミンB12)の量である(現在のところ、許容される最大の1日当たりの用量は1000μgである)。
【0196】
ビタミンE欠損症(治療目的および非治療的または美容目的の両方のため)、ならびに前記欠損症に関する疾患または症状を処置するために、本発明のビタミンE製剤(サイクロソームビタミンE)またはその組成物の当業者に公知の治療有効量の1日毎の経口投与が推奨され、これは例えば、0.5mg~80mg(例えば、1mg、5mg、10mg、15mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、または70mg)、好ましくは5mg~15mg、例えば約10mgの範囲内に含まれる純粋なビタミンE(またはそのままのビタミンE)の量である(現在のところ、許容される最大の1日当たりの用量は60mgである)。
【0197】
ビタミンD3欠損症(治療目的および非治療的または美容目的の両方のため)、ならびに前記欠損症に関する疾患または症状を処置するために、本発明のビタミンD3製剤(サイクロソームビタミンD3)またはその組成物の当業者に公知の治療有効量の1日毎の経口投与が推奨され、これは例えば、1μg~100μg(例えば、5μg、10μg、15μg、20μg、25μg、30μg、50μg、100μg、150μg、200μg、250μg、300μg、350μg、400μg、または450μg)、好ましくは10μg~100μg、例えば約25~50μgの範囲内に含まれる純粋なビタミンD3(またはそのままのビタミンD3)の量である。
【0198】
前記少なくとも1つの無機物および/または前記少なくとも1つのビタミンを含む、本発明の組成物または製剤の摂取は、その摂取後の対象において有意な変化(有効性)を示す。特に、上記の用量による本発明の組成物または製剤の連続的な摂取は、処置された個体(症候性または健常個体)において、血液中および臓器中の両方、例えば、余剰の鉄がFe(III)の形態において貯蔵され、鉄の部分を血液を通じてそれを必要とする組織に運ぶ(鉄を輸送する)臓器である肝臓中などの無機物および/またはビタミンの相対的なレベルをかなり向上させる。
【0199】
さらには、記載される用量における本発明の組成物または製剤の継続的な摂取は副作用を有さず、満腹時および空腹時の両方の、妊婦を含む、全ての種類の対象により摂取され得る。
【0200】
最後に、本発明の組成物または製剤は、特には固体形態の場合に、摂取が容易であり、望ましくない美味性に関する問題を有しない。
【0201】
追加的に、本発明の組成物または製剤は、経時的な化学的/物理的なおよび官能性の安定性を呈する。
【0202】
本発明の文脈において、「対象」という用語は、ヒトまたは動物対象、好ましくは哺乳動物(例えば愛玩動物、例えばイヌ、ネコ、ウマ、ヒツジもしくはウシ)を指し示すために使用される。好ましくは、本発明の製剤および組成物は、ヒト対象における処置方法における使用のためのものである。
【0203】
本発明の組成物または本発明の少なくとも1つの無機物および/もしくは少なくとも1つのビタミンの製剤(サイクロソームもしくはサイクロソーム無機物および/もしくはビタミン)は、3日~60日または90日の範囲内に含まれる時間的期間にわたり投与されてもよい。
【0204】
本発明の目的の形成は、無機物(例えばマグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ヨウ素、セレニウム、銅および/もしくはクロム)ならびに/もしくは少なくとも1つのビタミン[例えばビタミンA、群B(例えばB12)、C、D(例えばD3)および/もしくはEのビタミン]の不全症もしくは欠損症または前記欠損症に関する疾患、症状および/もしくは障害の予防的および/または治療的および/またはアジュバント処置の方法であり、前記方法は、有効量(治療有効量)の本発明の組成物または本発明の少なくとも1つの無機物および/もしくは少なくとも1つのビタミンの製剤の、必要とする対象への投与を提供する。
【0205】
「治療有効量」という用語は、当業者により求められるおよび定義される組織、系または対象における生物学的または医学的応答を誘発する製剤または化合物の量を指し示すために使用される。
【0206】
さらには、本発明の目的の形成は、健常対象において、筋肉エネルギー代謝を増加させるため、および、したがって、筋肉量を増加させるため、筋肉強度を増加させるため、筋緊張に対する身体抵抗性を増加させるためおよび身体労作後のエネルギーの回復までの時間を低減させるため;ならびに/または健常対象の身体的もしくは精神的パフォーマンスを増加させるため;ならびに/または健常対象において免疫防御をサポートもしくは強化するための、記載される実施形態のいずれか1つによる、本発明の少なくとも1つの無機物(例えば、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ヨウ素、セレニウム、銅および/もしくはクロム)および/または少なくとも1つのビタミン[例えば、ビタミンA、群B(例えばB12)、C、D(例えばD3)および/もしくはEのビタミン]の組成物および製剤の使用(非治療的)である。
【0207】
本発明の目的の形成は、本発明の少なくとも1つの無機物(例えばマグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ヨウ素、セレニウム、銅もしくはクロム)の固体形態製剤(サイクロソームもしくはサイクロソーム無機物)の調製ならびに/または少なくとも1つのビタミン[例えばビタミンA、群B(例えばB12)、C、D(例えばD3)および/もしくはEのビタミン]の固体形態製剤(サイクロソームもしくはサイクロソームビタミン)の調製の方法(簡潔には、本発明の方法)である。
【0208】
本発明の第1の実施形態において、本発明の前記方法(簡略には、本発明の第1の方法)は、特許文献国際公開第2014/009806(A1)号パンフレットの第7頁1行目~第8頁20行目(参照により本出願に組み込まれる)において記載されている。
【0209】
本発明の第2の実施形態において、本発明の前記方法(簡略には、本発明の第2の方法)は、特許文献国際公開第2014/009806(A1)号パンフレットの第8頁22行目~第10頁21行目(参照により本出願に組み込まれる)において記載されている。
【0210】
本発明によれば、本発明の前記第1の方法および本発明の前記第2の方法は、(c-i)、(c-ii)および(c-iii)は、(d)に対する置換または追加としておよび本発明の製剤を得るために好適な量において使用され得ること、ならびに(b)レシチンという用語はリン脂質クラスの代表として読まれるべきこと[ここで、(c-i)はカラギーナンであり、(c-ii)はアカシアガムであり、(c-iii)はフコイダンであり、(d)はショ糖エステルである]を考慮して、特許文献国際公開第2014/009806(A1)号パンフレットに記載されるように応用される。
【0211】
そのため、本発明の文脈において、「サイクロソームまたはサイクロソーム無機物」という用語は、無機物塩または複合体または酸化物(a)を、リン脂質またはホスファチジルコリンまたはレシチン(b)、第1の剤(c)、例えばカラギーナン(c-i)またはアカシアガム(c-ii)またはフコイダン(c-iii)ならびに、適宜、ショ糖エステル(d)および/またはデンプン(e)と共に、国際公開第2014/009806(A1)号パンフレットにおいて記載される前記第1の方法もしくは前記第2の方法にしたがって、または本発明において記載されるように、加工することにより得られ得る前記少なくとも1つの無機物の製剤を指し示す。
【0212】
本発明の文脈において、「サイクロソームまたはサイクロソームビタミン」という用語は、ビタミン(a)を、リン脂質またはホスファチジルコリンまたはレシチン(b)、第1の剤(c)[例えばカラギーナン(c-i)またはアカシアガム(c-ii)]、ならびに、適宜、ショ糖エステル(d)および/またはデンプン(e)と共に、国際公開第2014/009806(A1)号パンフレットにおいて記載される前記第1の方法もしくは前記第2の方法にしたがって、または本明細書において記載されるように、加工することにより得られ得る前記少なくとも1つのビタミンの製剤を指し示す。
【0213】
本発明による前記方法は、少なくとも1つの無機物および/または少なくとも1つのビタミンを含む本発明による製剤、好ましくは無機物またはビタミンを含む本発明による製剤を得るために、成分(a)、(b)、(c)ならびに、適宜、(d)および/または(e)を、本発明の文脈において定義される重量パーセンテージにしたがって混合することにより実行される。
【0214】
好ましくは、例えば国際公開第2014/009806(A1)号パンフレットにおいて記載される実施形態による、無機物および/またはビタミン(好ましくは、無機物のみまたはビタミンのみ)を含む本発明による製剤の調製のための本発明の前記方法は、以下の工程を含む:
- 工程1:粉末または顆粒の形態の無機物(無機物の塩、酸化物もしくは複合体)またはビタミン(好ましくは無機物のみまたはビタミンのみのいずれか)を調製すること;
工程2:前記無機物またはビタミンをリン脂質(b)、好ましくはレシチン(例えばヒマワリレシチン)と混合して工程2の混合物を得ること;有利には前記レシチンは加水分解または酵素的に加水分解されたレシチンではない;
- 工程3:工程2の前記混合物を多糖(c)[例えば-(c-i)カラギーナンまたはアカシアガム]および、適宜、ショ糖エステル(d)と混合して工程3の混合物を得ること;
- 工程4(適宜):工程3の前記混合物を植物起源の糊化またはアルファ化デンプン(e)、好ましくはアルファ化されたもの、例えばアルファ化コメデンプンと混合すること;
- 工程5(工程3の後および/または工程4の後に適宜):150μm~1400μm(例えば180μm、212μm、250μm、300μm、355μm、425μm、500μm、600μm、710μm、850μm、1000μm、または1180μm)、好ましくは600μm~850μm、例えば710μm(25USメッシュ)の範囲内に含まれるサイズ(または名目上のふるい目)を有する少なくとも1つのふるいを好ましくは用いて、ふるい分けすること。
【0215】
有利には、前記混合工程2、3および/または4は、室温(15℃~30℃、好ましくは約25℃)で10分~120分、好ましくは15分~60分、例えば約30分に含まれる時間的期間にわたり実行される。
【0216】
有利には、前記混合工程2、3および/または4は、溶媒の非存在下で実行される(乾燥混合)。
【0217】
前記ショ糖エステル(d)が本発明の製剤中に存在する実施形態において、本発明の方法の前記工程3は、工程2の前記混合物を最初に多糖および次にショ糖エステルと混合すること、または、代替的に、工程2の前記混合物を最初にショ糖エステルおよび次に多糖と混合すること、または、代替的におよび好ましくは、工程2の前記混合物をショ糖エステルおよび多糖と同時に混合することを提供してもよい。
【0218】
本発明の製剤(無機物またはビタミンに基づく)の前記調製方法は、工程2および工程3が同時に実行されることを提供してもよく、すなわち無機物またはビタミンは単一の工程(工程2+3)においてリン脂質、多糖および、適宜、ショ糖エステルと混合される。
【0219】
無機物またはビタミンを含む製剤の調製のための本発明の方法の例によれば、前記方法は噴霧乾燥工程を含まない。
【0220】
本発明の目的の形成は、本発明による無機物(例えばマグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ヨウ素、セレニウム、銅もしくはクロム)(サイクロソーム無機物)を含む少なくとも1つの製剤ならびに/または本発明によるビタミン[例えばビタミンA、群B(例えばB12)、C、D(例えばD3)および/もしくはEのビタミン]を含む少なくとも1つの製剤(サイクロソームビタミン)を含む組成物のさらなる調製方法(簡略には、本発明の組成方法)を提供することである。
【0221】
本発明の前記組成方法は以下の工程を含む:
- 本発明による無機物(例えばマグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ヨウ素、セレニウム、銅もしくはクロム)の少なくとも1つの固体形態製剤(サイクロソーム無機物)を調製(もしくは生産)して、および/または、本発明によるビタミン[例えば、ビタミンA、群B(例えばB12)、C、D(例えばD3)および/もしくはEのビタミン]の少なくとも1つの固体形態製剤(サイクロソームビタミン)を調製(もしくは生産)して、無機物に基づく少なくとも1つの製剤および/またはビタミンに基づく少なくとも1つの製剤を得る工程(i)[簡略には、少なくとも1つの製剤工程(i)];
- 本発明による無機物を含む前記少なくとも1(もしくは2もしくは3)つの製剤[工程(i)から得られたもの]および本発明によるビタミンを含む前記少なくとも1(もしくは2もしくは3)つの製剤[工程(i)から得られたもの]を混合するか、または、代替的に、本発明による無機物を各々含む少なくとも2(もしくは3もしくは4)つの製剤を混合するか、または、代替的に、本発明によるビタミンを各々含む少なくとも2(もしくは3もしくは4)つの製剤を混合して、工程(ii)の混合物を得る適宜の工程(ii);
- 工程(i)の前記少なくとも1つの製剤または工程(ii)の前記混合物を少なくとも1つの添加剤および/または賦形剤と混合して、少なくとも1つの無機物および/または少なくとも1つのビタミン(各々、サイクロソーム形態)および少なくとも1つの添加剤/賦形剤を含む本発明による組成物を得る工程(iii);ならびに
- 工程(ii)の後および/または工程(iii)の後の、150μm~1400μm(例えば180μm、212μm、250μm、300μm、355μm、425μm、500μm、600μm、710μm、850μm、1000μm、または1180μm)、好ましくは600μm~850μm、例えば710μm(25USメッシュ)の範囲内に含まれるサイズ(または名目上のふるい目)を有する少なくとも1つのふるいを好ましくは用いる、適宜のふるい分け工程(iv)。
【0222】
有利には、前記混合工程(ii)および/または工程(iii)は、室温(15℃~30℃、好ましくは約25℃)で10分~120分、好ましくは15分~60分、例えば約30分に含まれる時間的期間にわたり実行される。
【0223】
前記混合工程(ii)は、少なくとも1つの無機物および少なくとも1つのビタミンを混合すること、またはビタミンなしでいくつかの無機物(例えば2、3、4、もしくは5つの無機物)を混合すること、または無機物なしでいくつかのビタミン(例えば2、3、4、もしくは5つのビタミン)を混合することを提供してもよい。そのため、本発明の前記組成方法にしたがって得られ得る組成物は、無機物およびビタミン、または無機物およびいくつかのビタミン(例えば2、3、4、もしくは5つのビタミン)、またはいくつかの無機物(例えば2、3、4、もしくは5つの無機物)およびビタミン、またはいくつかの無機物(例えば、2、3、4、もしくは5つの無機物)およびいくつかのビタミン(例えば、2、3、4、もしくは5つのビタミン)、またはビタミンなしでいくつかの無機物(例えば、2、3、4、もしくは5つの無機物)、または無機物なしでいくつかのビタミン(例えば、2、3、4、もしくは5つのビタミン)を含んでもよい。
【0224】
他に指定されなければ、「x~yの範囲内に含まれる」量において成分を含む組成物またはその他という用語は、前記成分が、前記範囲内に存在する全ての量において組成物または製剤またはその他の中に存在してもよいことを指し示すために使用され、明示的に記載されない場合であっても、範囲の限度が含まれる。
【0225】
他に指定されなければ、組成物または製剤中の成分の含有量は、組成物または製剤の総重量に基づくその成分の重量パーセンテージを指す。
【0226】
他に指定されなければ、組成物が1つまたは複数の成分を「含む」という記載は、特に指し示される1つ、または複数のものの他に、他の成分が存在できることを意味し、組成物が決定された成分「からなる」という記載は、他の成分の存在が除外されることを意味する。
【0227】
本発明の実施形態の例(FRa-nr)が下記において報告される:
【0228】
FRa-1.固体形態の製剤であって、
- (a)少なくとも1つの無機物の塩または複合体の形態の前記少なくとも1つの無機物であって、(a-i)マグネシウム、(a-ii)カルシウム、(a-iii)鉄、(a-iv)亜鉛、(a-v)ヨウ素、(a-vi)セレニウム、(a-vii)クロム、(a-viii)銅(II)およびこれらの混合物を含むかまたは代替的にからなる群から選択される、前記無機物;
- (b)少なくとも1つのリン脂質;
- (c)(c-i)少なくとも1つのカラギーナン、
(c-ii)少なくとも1つのアカシアガム、
(c-iii)少なくとも1つのフコイダン、およびこれらの混合物
を含むかまたは代替的にからなる群から選択される少なくとも1つの第1の剤
を含むかまたは代替的にからなる前記製剤。
【0229】
FRa-2.前記(c)少なくとも1つの第1の剤が、前記(c-i)少なくとも1つのカラギーナン;好ましくはカラギーナンE407からなる、FRa-1に記載の製剤。
【0230】
FRa-3.前記(c)少なくとも1つの第1の剤が、前記(c-ii)少なくとも1つのアカシアガム;好ましくはアカシアガムE414;より好ましくは250,000~400,000の範囲内に含まれる平均分子量、より好ましくは350,000の平均分子量を有するアカシアガムE414からなる、FRa-1に記載の製剤。
【0231】
FRa-4.前記(c)少なくとも1つの第1の剤が、前記(c-iii)少なくとも1つのフコイダン;好ましくは20,000~30,000の範囲内に含まれる平均分子量を有するフコイダンからなる、FRa-1に記載の製剤。
【0232】
FRa-5.前記製剤が、(d)少なくとも1つのショ糖エステルまたは脂肪酸炭水化物エステル;好ましくはショ糖エステルE473;より好ましくは、ショ糖エステルの総重量に対して70重量%~90重量%の、植物起源の1つまたは複数の脂肪酸を用いてスクロースのエステル化を通じて得られるモノエステルを含み、好ましくは前記脂肪酸がステアリン酸および/またはパルミチン酸から選択される、ショ糖エステルE473をさらに含む、Fra-1~Fra-4のいずれか1つに記載の製剤。
【0233】
FRa-6.前記製剤が(e)植物起源の少なくとも1つの糊化またはアルファ化デンプンをさらに含む;好ましくは、前記(e)少なくとも1つの植物起源のデンプンがコメデンプンおよび/またはコーンスターチから選択される;好ましくは、前記(e)がアルファ化コメデンプンである、FRa-1~FRa-5のいずれか1つに記載の製剤。
【0234】
FRa-7.前記(b)リン脂質が、ホスホグリセリド;好ましくはホスファチジルコリンまたはレシチンである;より好ましくは、前記(b)リン脂質が、ヒマワリレシチン、トウモロコシレシチン、ダイズレシチンおよびこれらの混合物から選択されるレシチンE322である、Fra-1~Fra-6のいずれか1つに記載の製剤。
【0235】
FRa-8.- 前記(b)リン脂質、好ましくはレシチンE322、より好ましくは固体ヒマワリレシチンE322が、0.05%~15%、好ましくは0.1%~5%、より好ましくは0.1%~2%の範囲内において含まれ;
- (c-i)カラギーナン、(c-ii)アカシアガム、(c-iii)フコイダンおよびこれらの混合物を含むかまたは代替的にからなる群から選択される前記(c)第1の剤が、1%~50%、好ましくは1%~35%、より好ましくは1%~20%の範囲内に含まれる%において含まれ;適宜、
- 前記(d)ショ糖エステル、好ましくはショ糖エステルE473が、1%~50%、好ましくは1%~35%、より好ましくは1%~20%の範囲内に含まれる%において含まれ;
前記%が製剤の総重量に対する重量%である、
Fra-1~Fra-7のいずれか1つに記載の製剤。
【0236】
FRa-9.FRa-1~FRa-8のいずれか1つに記載の前記少なくとも1つの無機物の固体形態製剤;ならびに、適宜、少なくとも1つの許容される医薬品または食品グレードの添加剤および/または賦形剤を含む、組成物。
【0237】
FRa-10.必要とする対象における、前記(a)少なくとも1つの無機物の欠損症、および前記欠損症に関するかまたは由来する疾患、症状または障害の予防的および/または治療的および/またはアジュバント処置の方法における使用のための、組成物FRa-9に記載の組成物。
【0238】
本発明の実施形態のさらなる例(FRb-nr)が下記において報告される:
【0239】
FRb-1.固体形態の製剤であって、
- (a)無機物またはビタミンである栄養分であって、
前記無機物が、(a-i)マグネシウム、(a-ii)カルシウム、(a-iii)鉄、(a-iv)亜鉛、(a-v)ヨウ素、(a-vi)セレニウム、(a-vii)クロム、および(a-viii)銅(II)を含むかまたは代替的にからなる群から選択され、前記無機物が前記無機物の塩または複合体または酸化物の形態であり;
前記ビタミンが、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD3、ビタミンEを含むかまたは代替的にからなる群から選択される、
前記栄養分;
- (b)リン脂質;
- (c)(c-i)カラギーナンまたは(c-ii)アカシアガムから選択される第1の剤
を含むかまたは代替的にからなる前記製剤。
【0240】
FRb-2.前記製剤が、(d)少なくとも1つのショ糖エステルまたは脂肪酸炭水化物エステル;
好ましくはショ糖エステルE473;より好ましくは、ショ糖エステルの総重量に対して70重量%~90重量%の、植物起源の1つまたは複数の脂肪酸を用いてスクロースのエステル化を通じて得られるモノエステルを含み、好ましくは前記脂肪酸がステアリン酸および/またはパルミチン酸から選択される、ショ糖エステル(E473)をさらに含む、
FRb-1に記載の製剤。
【0241】
FRb-3.前記(c)第1の剤が、前記(c-i)カラギーナン;好ましくはカラギーナンE407からなる、FRb-1またはFrb-2に記載の製剤。
【0242】
FRb-4.前記第1の剤(c)が、前記(c-ii)アカシアガム;
好ましくはアカシアガムE414;より好ましくは250,000~400,000の範囲内に含まれる平均分子量を有するアカシアガムE414
からなる、FRb-1またはFRb-2に記載の製剤。
【0243】
FRb-5.前記製剤が(e)植物起源の糊化またはアルファ化デンプンをさらに含み;
好ましくは、前記(e)デンプンがコメデンプンまたはコーンスターチから選択され;好ましくは、前記デンプンがアルファ化コメデンプンである、
FRb-1~FRb-4のいずれか1つに記載の製剤。
【0244】
FRb-6.前記(b)リン脂質がホスファチジルコリンまたはレシチンであり;好ましくは前記(b)リン脂質が、ヒマワリレシチン、トウモロコシレシチン、ダイズレシチンおよびこれらの混合物を含むかまたは代替的にからなる群から選択されるレシチン(E322)である、FRb-1~FRb-5のいずれか1つに記載の製剤。
【0245】
FRb-7.前記第1の剤(c)および前記リン脂質(b)の間の重量比[(c):(b)]、または、代替的に、前記第1の剤(c)および前記ショ糖エステル(d)の合計の重量、ならびに前記リン脂質の重量の間の重量比[[(c)+(d)]:(b)]が、50:1~10:1、好ましくは40:1~10:1、より好ましくは30:1~15:1に含まれ;
好ましくは前記(b)リン脂質がレシチンである、
FRb-1~FRb-6のいずれか1つに記載の製剤。
【0246】
FRb-8.前記第1の剤(c)および前記ショ糖エステル(d)の合計を100重量部として、前記(c)第1の剤が1%~100%の重量パーセンテージにおいて含まれ、前記(d)ショ糖エステルが0%(非存在)~99%において含まれ;
好ましくは50%~95%の前記(c)第1の剤および5%~50%の前記(d)ショ糖エステルであり;
より好ましくは、70%~80%の前記(c)第1の剤および20%~30%の前記(d)ショ糖エステルである、
FRb-2~FRb-7のいずれか1つに記載の製剤。
【0247】
FRb-9.- FRb-1~FRb-8のいずれか1つに記載の前記栄養分の少なくとも1つの固体形態製剤;ならびに
- 少なくとも1つの許容される医薬品または食品グレードの添加剤および/または賦形剤
を含む、組成物。
【0248】
FRb-10.前記栄養分が無機物である、FRb-9に記載の組成物。
【0249】
FRb-11.前記栄養分がビタミンである、FRb-9に記載の組成物。
【0250】
FRb-12.- FRb-1~FRb-8のいずれか1つに記載の無機物の少なくとも1つの固体形態製剤;
- FRb-1~FRb-8のいずれか1つに記載のビタミンの少なくとも1つの固体形態製剤;ならびに少なくとも1つの許容される医薬品または食品グレードの添加剤および/または賦形剤
を含む、FRb-9に記載の組成物。
【0251】
FRb-13.医薬としての使用のための、FRb-1~FRb-12のいずれか1つに記載の製剤または組成物。
【0252】
FRb-14.必要とする対象における、前記(a)無機物および/またはビタミンの欠損症、ならびに前記欠損症に関するかまたは由来する疾患、症状または障害の予防的および/または治療的および/またはアジュバント処置の方法における使用のための、FRb-1~FRb-13のいずれか1つに記載の製剤または組成物。
【0253】
FRb-15.前記欠損症に関するかまたは由来する前記疾患または症状が、
- 鉄欠乏症、貧血、不良な鉄吸収、溶血性貧血;
- 炭水化物代謝における変化ならびに関連する疾患および障害、糖尿病、II型糖尿病、高血糖症、インスリン抵抗性、炭水化物の高い吸収、血中グルコースレベルの脱調節、メタボリックシンドローム;
- 筋肉エネルギー代謝における変化および/またはそれに関する障害、筋肉量における減少、筋肉強度における減少、筋緊張に対する身体抵抗性における減少、アミノ酸の不良な吸収;
- 脂質異常症または脂質代謝における変化およびそれに関する疾患および障害、コレステロール血症、高いトリグリセリドレベル、ならびに肥満症または体重過多;
- 認知障害または認知-感情領域における変化;
- 心臓代謝障害:
- 免疫系における変化;
- 不安およびうつに関するストレス、疲労、慢性疲労、無力症、反射および協調の欠如;
- 小児におけるくる病または骨成長の遅延、成人における骨軟化症、骨粗しょう症、および副甲状腺機能亢進症。
- 歯肉炎;炎症または医学的処置後の爪、毛および/または皮膚の脆弱性
を含むかまたは代替的にからなる群から選択される、
FRB-14に記載の使用のための製剤または組成物。
【0254】
FRb-16.健常対象における前記(a)無機物および/またはビタミンの補充のための、FRb-1~FRb-12のいずれか1つに記載の製剤または組成物の非治療的使用。
【0255】
FRb-17.前記使用が、筋肉量を増加させること、筋肉強度を増加させること、筋肉労作に対する身体抵抗性を増加させること、身体労作後のエネルギーの回復までの時間を低減させること、精神的効率を増加させること、爪および毛を強化することから選択される、FRb-16に記載の非治療的使用。
【0256】
FRb-18.FRb-1~FRb-8のいずれか1つに記載の製剤の調製方法であって、
- (1)粉末または顆粒の形態の無機物またはビタミン(a)であって、前記無機物が前記無機物の塩、酸化物または複合体の形態である、前記無機物またはビタミン(a)を提供して工程1の無機物またはビタミンを得る工程;
- (2)溶媒の非存在下で、工程1の前記無機物または前記ビタミンをリン脂質(b)、好ましくはレシチンと混合して工程2の混合物を得る工程;
- (3)溶媒の非存在下で、工程2の前記混合物を、(c-i)カラギーナンまたは(c-ii)アカシアガムから選択される多糖(c)、および、適宜、ショ糖エステル(d)と混合して工程3の混合物または上記製剤を得る工程;
- (4)適宜、工程3の前記混合物を植物起源の糊化またはアルファ化デンプン(e)、好ましくはアルファ化コメデンプンと混合して上記製剤を得る工程
を含む、上記方法。
【0257】
FRb-19.請求項12に記載の組成物の調製方法であって、
- (i)請求項1~8のいずれか1項に記載の無機物の少なくとも1つの固体形態製剤を調製して、およびビタミンの少なくとも1つの固体形態製剤を調製して、または、代替的に、FRb-18にしたがって無機物の少なくとも1つの固体形態製剤を生産して、およびビタミンの少なくとも1つの固体形態製剤を生産して、無機物の前記少なくとも1つの固体形態製剤およびビタミンの前記少なくとも1つの固体形態製剤を得る工程;
- (ii)無機物の前記少なくとも1つの固体形態製剤およびビタミンの前記少なくとも1つの固体形態製剤を混合して工程(ii)の混合物を得る工程、
- (iii)工程(ii)の前記混合物を少なくとも1つの添加剤および/または賦形剤と混合して上記組成物を得る工程
を含む、上記方法。
【実施例
【0258】
本発明による製剤の実施例
【0259】
[実施例1]
約40mg~50mgのピロリン酸鉄[Fe(3+)約10~12mg]、0.3mg~2mgのレシチン(例えば、加水分解されていないヒマワリレシチン)、15mg~20mgのカラギーナンまたはアカシアガム、30mg~45mgのアルファ化コメデンプン(ショ糖エステルは存在しない)からなる鉄に基づく本発明による固体製剤(約100mg)。
【0260】
[実施例2]
約40mg~50mgのピロリン酸鉄[Fe(3+)約10~12mg]、0.3mg~2mgのレシチン(例えば、加水分解されていないヒマワリレシチン)、2.5mg~5mgのカラギーナンまたはアカシアガム、10mg~20mgのショ糖エステル、30mg~45mgのアルファ化コメデンプン(多糖:ショ糖エステルの重量比は約25:75)からなる鉄に基づく本発明による固体製剤(約100mg)。
【0261】
[実施例3]
約40mg~50mgのピロリン酸鉄[Fe(3+)約10~12mg]、0.3mg~2mgのレシチン(例えば、加水分解されていないヒマワリレシチン)、10mg~20mgのカラギーナンまたはアカシアガム、2.5mg~5mgのショ糖エステル、30mg~45mgのアルファ化コメデンプン(多糖:ショ糖エステルの重量比は約75:25)からなる鉄に基づく本発明による固体製剤(約100mg)。
【0262】
[実施例4]
約45mg~60mgの酸化マグネシウム[Mg(2+)約32~38mg]、0.5mg~2mgのレシチン(例えば、加水分解されていないヒマワリレシチン)、15mg~20mgの多糖(すなわちカラギーナンまたはアカシアガム)およびショ糖エステル(多糖:ショ糖エステルの重量比は約75:25または50:50または25:75)、20mg~35mgのアルファ化コメデンプンからなるマグネシウムに基づく本発明による固体製剤(約100mg)。
【0263】
[実施例5]
約45mg~60mgの酸化亜鉛(亜鉛元素約40~50mg)、0.5mg~2mgのレシチン(例えば、加水分解されていないヒマワリレシチン)、15mg~20mgの多糖(すなわちカラギーナンまたはアカシアガム)およびショ糖エステル(多糖:ショ糖エステルの重量比は約75:25または50:50または25:75)、20mg~35mgのアルファ化コメデンプンからなる亜鉛に基づく本発明による固体製剤(約100mg)。
【0264】
[実施例6]
約1mg~3mgのヨウ素酸ナトリウム(ヨウ素元素約0.5~1.5mg)、0.5mg~2mgのレシチン(例えば、加水分解されていないヒマワリレシチン)、15mg~20mgの多糖(すなわちカラギーナンまたはアカシアガム)およびショ糖エステル(多糖:ショ糖エステルの重量比は約75:25または50:50または25:75)、75mg~85mgのアルファ化コメデンプンからなるヨウ素に基づく本発明による固体製剤(約100mg)。
【0265】
[実施例7]
約90mg~99mgのリン酸三カルシウム[Ca(2+)約31~37mg]、0.5mg~2mgのレシチン(例えば、加水分解されていないヒマワリレシチン)、1mg~4mgの多糖(すなわちカラギーナンまたはアカシアガム)およびショ糖エステル(多糖:ショ糖エステルの重量比は約75:25または50:50または25:75)、非存在または低いパーセンテージ(例えば0.5~5%w/w)において存在するデンプンからなるカルシウムに基づく本発明による固体製剤(約100mg)。
【0266】
[実施例8]
約1mg~4mgの亜セレン酸ナトリウム(セレニウム元素約0.5~2mg、例えば約1mg)、0.5mg~2mgのレシチン(例えば、加水分解されていないヒマワリレシチン)、15mg~20mgの多糖(すなわちカラギーナンまたはアカシアガム)およびショ糖エステル(多糖:ショ糖エステルの重量比は約75:25または50:50または25:75)、75mg~85mgのアルファ化コメデンプンからなるセレニウムに基づく本発明による固体製剤(約100mg)。
【0267】
[実施例9]
約70mg~80mgのピコリン酸クロム[Cr(3+)約8~10mg]、0.3mg~1mgのレシチン(例えば、加水分解されていないヒマワリレシチン)、15mg~20mgの多糖(すなわちカラギーナンまたはアカシアガム)およびショ糖エステル(多糖:ショ糖エステルの重量比は約75:25または50:50または25:75)、5mg~15mgのアルファ化コメデンプンに基づく本発明による固体製剤(約100mg)。
【0268】
[実施例10]
約13.5mg~18mgのグルコン酸銅[Cu(2+)約2~2.5mg]、0.17mg~0.23mgのレシチン(例えば、加水分解されていないヒマワリレシチン)、5mg~7mgの多糖(すなわちカラギーナンまたはアカシアガム)およびショ糖エステル(多糖:ショ糖エステルの重量比は約75:25または50:50または25:75)、11mg~15mgのアルファ化コメデンプンに基づく本発明による固体製剤(約30~40mg)。
【0269】
[実施例11]
(A)約110mg~135mgのピロリン酸鉄[Fe(3+)27~33mg、例えば約30mg]、1.5mg~1.8mg(例えば約1.6mg)のレシチン(例えば、加水分解されていないヒマワリレシチン)、40mg~50mg(例えば約45mg)の多糖(カラギーナンまたはアカシアガム)およびショ糖エステル(多糖:ショ糖エステルの重量比は約75:25または50:50または25:75)、95mg~115mg(例えば約100mg)のアルファ化コメデンプンからなる鉄に基づく本発明による固体製剤(約250~300mg、例えば約270mg);ならびに
(B)約8.5mg~12.5mgの商用のビタミンD3[20μg~30μg(約0.20%)の純粋なビタミンD3摂取]、0.7mg~0.10mgのレシチン(例えば、加水分解されていないヒマワリレシチン)、1.8mg~2mgの多糖(すなわちカラギーナンまたはアカシアガム)およびショ糖エステル(多糖:ショ糖エステルの重量比は約75:25または50:50または25:75)、0.05mg~0.25mgのアルファ化コメデンプンからなるビタミンD3に基づく本発明による固体製剤(10~15mg、例えば約12mg)
を含む、本発明による組成物。
【0270】
[実施例12]
(A)約15mg~22mgの酸化亜鉛[Zn(2+)約12~18mg、例えば15mg]、0.3mg~0.4mg(例えば約0.35mg)のレシチン(例えば、加水分解されていないヒマワリレシチン)、5mg~8mg(例えば約6mg)の多糖(すなわちカラギーナンまたはアカシアガム)およびショ糖エステル(多糖:ショ糖エステルの重量比は約75:25または50:50または25:75)、8.5mg~12mg(例えば約10mg)のアルファ化コメデンプンからなる亜鉛に基づく本発明による固体製剤(30~40mg、例えば約35mg);ならびに
(B)約17mg~25mgの商用のビタミンD3[40μg~60μg(例えば約50μg)の純粋なビタミンD3摂取]、0.14mg~0.20mg(例えば約0.17mg)のレシチン(例えば、加水分解されていないヒマワリレシチン)、2.5mg~4mg(例えば約3mg)の多糖(すなわちカラギーナンまたはアカシアガム)およびショ糖エステル(多糖:ショ糖エステルの重量比は約75:25または50:50または25:75)、0.1mg~0.5mgのアルファ化コメデンプンからなるビタミンD3に基づく本発明による固体製剤(20~30mg、例えば約24mg);ならびに
(C)0.5g~2g(例えば約1g)のビタミンC、0.01g~0.03gのレシチン(例えば、加水分解されていないヒマワリレシチン)、0.15g~0.3gの多糖(すなわちカラギーナンまたはアカシアガム)およびショ糖エステル(多糖:ショ糖エステルの重量比は約75:25または50:50または25:75)、0.3g~0.6gのアルファ化コメデンプンからなるビタミンCに基づく本発明による固体製剤(1~3g、例えば約2g)
を含む、本発明による組成物。
【0271】
[実施例13]
(A)約1mg~2mg(例えば約1.65mg)のピコリン酸クロム[0.12~0.24mgのCr(3+);例えば0.20mgと同等]、0.01mg~0.02mg(例えば0.013mg)のレシチン(例えば、加水分解されていないヒマワリレシチン)、0.3mg~0.45mg(例えば約0.38mg)の(カラギーナンまたはアカシアガム)およびショ糖エステル(多糖:ショ糖エステルの重量比は約75:25または50:50または25:75)、0.1mg~0.25mg(例えば約0.18mg)のアルファ化コメデンプンからなるクロムに基づく本発明による固体製剤(約2.2mg);ならびに
(B)2μg~3μg(例えば約2.5μg)のビタミンB12、0.025μg~0.075μgのレシチン(例えば、加水分解されていないヒマワリレシチン);0.70μg~1μgの多糖(すなわちカラギーナンまたはアカシアガム)およびショ糖エステル(多糖:ショ糖エステルの重量比は約75:25または50:50または25:75)、1.5μg~2μgのアルファ化コメデンプンからなるビタミンB12に基づく本発明による固体製剤(5μg)
を含む、本発明による組成物。
【0272】
[実施例14]
0.5g~2g(例えば約1g)のビタミンC、0.01g~0.03gのレシチン(例えば、加水分解されていないヒマワリレシチン)、0.15g~0.3gの多糖(すなわちカラギーナンまたはアカシアガム)およびショ糖エステル(多糖:ショ糖エステルの重量比は約75:25または50:50または25:75)、ならびに0.3g~0.6gのアルファ化コメデンプンからなるビタミンC[sucrosomial(登録商標)ビタミンC]に基づく本発明による固体製剤(1~3g、例えば約2g)。
【0273】
[実施例15]
1mg~3mg(例えば約2mg)のビタミンB12、0.02g~0.06gのレシチン(例えば、加水分解されていないヒマワリレシチン)、0.3g~0.6gの多糖(すなわちカラギーナンまたはアカシアガム)およびショ糖エステル(多糖:ショ糖エステルの重量比は約75:25または50:50または25:75)、ならびに0.6g~1.2gのアルファ化コメデンプンからなるビタミンB12[sucrosomial(登録商標)ビタミンB12]に基づく本発明による固体製剤(2~6mg、例えば約4mg)。
【0274】
[実施例16]
5mg~15mg(例えば約10mg)のビタミンE、0.1mg~0.3mgのレシチン(例えば、加水分解されていないヒマワリレシチン)、1.7g~5mgの多糖(すなわちカラギーナンまたはアカシアガム)およびショ糖エステル(多糖:ショ糖エステルの重量比は約75:25または50:50または25:75)、ならびに3mg~9mgのアルファ化コメデンプンからなるビタミンE[sucrosomial(登録商標)ビタミンE]に基づく本発明による固体製剤(10~30mg、例えば約20mg)。
【0275】
[実施例17]
約17mg~25mgの商用のビタミンD3[40μg~60μg(例えば約50μg)の純粋なビタミンD3摂取]、0.14mg~0.20mg(例えば約0.17mg)のレシチン(例えば、加水分解されていないヒマワリレシチン)、2.5mg~4mg(例えば約3mg)の多糖(すなわちカラギーナンまたはアカシアガム)およびショ糖エステル(多糖:ショ糖エステルの重量比は約75:25または50:50または25:75)、ならびに0.1mg~0.5mgのアルファ化コメデンプンからなるビタミンD3[sucrosomial(登録商標)ビタミンD3]に基づく本発明による固体製剤(20~30mg、例えば約24mg)。
【0276】
実験パート
I.単離されたラット腸を通じたFe3+の透過の研究
I.1.方法
透過研究のために、体重250~300gの雄ウィスターラットから腸粘膜を単離した。ラットの屠殺後に、最初に20cmの空腸を直ちに除去した。単離された腸を1.5cmのストリップに切断し、内腔内容物を穏やかに除去し、裏打ちする筋肉層を除去することなくUssing型セル(0.78cmの露出した表面)中にマウントした。塩化ナトリウム(PBS 6.8)を加えることにより等張とした1mlのリン酸緩衝液、pH6.8、0.13Mを頂端側に加え、3mlのpH7.4、0.13Mの等張緩衝溶液(PB 7.4)を側底側に加えた(アクセプター培地)。酸素添加および撹拌を確実にするために、95%のOおよび5%のCOの混合物を各コンパートメント中でバブリングした。Ussingチャンバーを37℃の水浴中に置いた。
【0277】
20分の平衡化後に、各ドナーコンパートメント中の培地を、胃におけるその通過をシミュレートするために以前に処理された試験されるべき組成物の1mlの懸濁液で置き換えた。0.2gのペプシンをHCl 0.1Mの5mlの水性溶液中で可溶化して胃消化をシミュレートした。2.5gのChelex-100樹脂をそこに加え、それらを30分撹拌した。懸濁液を次にカラムに移し、溶出液を1回収集し、さらなる5mlの0.1M HClをカラムに加えた。溶出液の最終容量は8mlであった。予め決定された量の試料を、スクリューキャップを有する容器中に入れ、次にNaCl(140mM)およびKCl(5mM)を含有する10mlの水性溶液を加え、HCl 5Mを使用して懸濁液をpH2とし、0.5mlのペプシン溶液をそこに加えた。懸濁液を次にcarboxicarbを用いて脱気して、胃腸管において存在する嫌気性条件を作出し、次によく閉じられた容器を37℃のシェーカー浴中に60分間置いた。対照として、ドナーコンパートメント中でPBS pH6.8を維持しながら、記載されるものに類似した実験を実行した。
【0278】
1mlの試料を30分間隔で計240分にわたり受容コンパートメントから収集し、同じ容量の新鮮な培地で置き換えた。透過したFe3+の量を分析方法にしたがって決定した。
【0279】
I.2.分析下の組成物
分析下の組成物は全て同じ鉄濃度(1.34mg/mL)を含有した:
- そのままのピロリン酸鉄(III)(本発明によらない実施形態)。
- Fe-Suc-V000:ピロリン酸Fe(III)、ヒマワリレシチン、ショ糖エステルおよびアルファ化コメデンプンを含む;カラギーナン、アカシアガムおよびフコイダンを含まない(本発明によらない実施形態、参照組成物)。
- Fe-Car25-V001(表1):ピロリン酸Fe(III)、ヒマワリレシチン、カラギーナン(25%w/w)およびショ糖エステル(75%w/w)、ならびにアルファ化コメデンプンを含む(本発明による実施形態)。
- Fe-Car75-V001(表2):ピロリン酸Fe(III)、ヒマワリレシチン、カラギーナン(75%w/w)およびショ糖エステル(25%w/w)、ならびにアルファ化コメデンプンを含む(本発明による実施形態)。
- Fe-GA75-V001(表3):ピロリン酸Fe(III)、ヒマワリレシチン、アラビアガム(75%w/w)およびショ糖エステル(25%w/w)、ならびにアルファ化コメデンプンを含む(本発明による実施形態)。
- Fe-GA95-V001:ピロリン酸Fe(III)、ヒマワリレシチン、アラビアガム(95%w/w)およびショ糖エステル(5%w/w)、ならびにアルファ化コメデンプンを含む(本発明による実施形態)。
- Fe-GA100-V001(表5):ピロリン酸Fe(III)、ヒマワリレシチン、アラビアガム(100%w/w)、およびアルファ化コメデンプンを含む(本発明による実施形態、ショ糖エステルは存在しない)。
注記:「%w/w」は、多糖(カラギーナンまたはアラビアガム)およびショ糖エステルの総重量に対する重量パーセンテージを意味する。
- Sideral RM V000-M:ピロリン酸Fe(III)、ヒマワリレシチン、ショ糖エステルおよびアルファ化コメデンプンを含む;カラギーナン、アカシアガムおよびフコイダンを含まない(本発明によらない実施形態)。
【0280】
分析下の各組成物について少なくとも3回の試験を異なる動物において2連で実行した。
【0281】
I.3.結果
単離されたラット腸に対する研究は、Fe3+に対する腸上皮の透過性を評価することを可能とする。図1は、単離されたラット腸を通ったFe3+の透過データを示す。腸の中性pHにおいてFe3+は不溶性Fe(OH)を形成するので、膜を越えて受容相中に見出されるこの種類のイオンは、腸上皮細胞により内部移行される能力を有するナノシステム中に被包されるようにしてのみ輸送され得る。
【0282】
図1、およびFe3+の透過の増強の係数(増強比)が報告される表8から、Fe3+の透過性は、Fe-GA100V001、Fe-Car25V001により、および、より低い程度ではあるが、組成物Fe-GA95-V001により有効に増強されることが観察される。
【0283】
製剤e-GA100V001およびFe-Car25V001は、Fe-Suc-V000およびSideral RM V000-Mから有意に異ならない。
【0284】
組成物Fe-GA100-V001、Fe-Car25V001およびFe-GA95-V001の場合の実験の終わり(4h)に透過した累積パーセンテージもまた、組成物Fe-Suc-V000およびSideral RM V000-Mの場合に透過した累積パーセンテージと同等である。
【0285】
特に、カラギーナンベースのプロトタイプ(Fe-Car25-V001およびFe-Car75V001)の場合、カラギーナンのパーセンテージを増加させることによりFe3+の透過性が低減することが見られ得る。
【0286】
一方でアカシアガム組成物(Fe-GA25-V001およびFe-Car75V001)は、カラギーナンに基づくものと比較して反対の方式において挙動する。事実として、アカシアガムのパーセンテージを増加させることにより、Fe3+の透過性は増加する。
【0287】
アカシアガムは、Fe3+をインタクトなまま腸上皮を通って輸送する能力を有する小胞を形成する能力を有することをこれらのデータは指し示す。
【0288】
上記に報告されるように、腸の中性pHにおいてFe3+はFe(OH)を形成し、Fe(OH)は実質的に不溶性であるため、受容相中に見出されるこの種類のイオンは、腸上皮細胞により内部移行される能力を有するナノシステム中に被包されるようにしてのみ輸送され得る。
【0289】
分析下の組成物、特にSideral RM V000-M、Fe-Car25-V001およびFe-GA100V001は、Caco-2においても試験され、その理由は、様々な組成物の間の差異は、単離ラット腸モデルにおける実験におけるよりも大きな程度までこの基材を用いて強調され得るからである。
【0290】
【表1】
表8
【0291】
II.本発明による組成物または比較用組成物からのFe3+の放出の速度論の研究
II.1 方法
分析下の組成物からのFe3+の放出の速度論の決定のために使用された装置は、37℃の温度に調節された外部循環サーモスタット、およびリフト上に置かれた、サーモスタットジャケットと共に提供されたビーカー(内径、95mm;高さ、100mm)、パドル撹拌器(長さ49mm、高さ15mm)を駆動する120rpmの同期モーターからなり、該パドル撹拌器に500mgの試験されるべき組成物が導入された。
【0292】
時間t=0において、ビーカー中に含有され、サーモスタットで37℃に予備的に調温された受容相(100ml)中に撹拌器を浸した。記載される装置は、マトリックス周囲の水力学を制御することを可能とする。
【0293】
13400rpmにおいて5分間の遠心分離後にFe3+の濃度についてUV下で分析された測定容量(1ml)の受容相を30分間隔において収集した。
【0294】
他に指し示されなければ、溶出手段は、以下の溶液からなる模擬胃腸液であった:
・NaClを用いて等張とされた0.04M HCl、pH1.2(500ml当たり40gの1N HClおよび1gのNaCl)からなる模擬胃液(SGF)。
【0295】
II.2.分析下の組成物
分析下の組成物は全て同じ鉄濃度(1.34mg/mL)を含有した:
- Fe-Suc-V000:ピロリン酸Fe(III)、ヒマワリレシチン、ショ糖エステルおよびアルファ化コメデンプンを含む;カラギーナン、アカシアガムおよびフコイダンを含まない(本発明によらない実施形態、参照組成物)。
- Fe-Car25-V001(表1):ピロリン酸Fe(III)、ヒマワリレシチン、カラギーナン(25%w/w)およびショ糖エステル(75%w/w)、ならびにアルファ化コメデンプンを含む(本発明による実施形態)。
- Fe-Car75-V001(表2):ピロリン酸Fe(III)、ヒマワリレシチン、カラギーナン(75%w/w)およびショ糖エステル(25%w/w)、ならびにアルファ化コメデンプンを含む(本発明による実施形態)。
- Fe-GA25-V001(表3):ピロリン酸Fe(III)、ヒマワリレシチン、アラビアガム(25%w/w)およびショ糖エステル(75%w/w)、ならびにアルファ化コメデンプンを含む(本発明による実施形態)。
- Fe-GA75-V001(表4):ピロリン酸Fe(III)、ヒマワリレシチン、アラビアガム(75%w/w)およびショ糖エステル(25%w/w)、ならびにアルファ化コメデンプンを含む(本発明による実施形態)。
- Fe-GA100-V001(表5):ピロリン酸Fe(III)、ヒマワリレシチン、アラビアガム(100%w/w)、およびアルファ化コメデンプンを含む(本発明による実施形態、ショ糖エステルを含まない)。
- Fe-FU25-V001(表6):ピロリン酸Fe(III)、ヒマワリレシチン、フコイダン(25%w/w)およびショ糖エステル(75%w/w)ならびにアルファ化コメデンプンを含む(本発明による実施形態)。
- Fe-FU75-V001(表7):ピロリン酸Fe(III)、ヒマワリレシチン、フコイダン(75%w/w)およびショ糖エステル(25%w/w)、ならびにアルファ化コメデンプンを含む(本発明による実施形態)。
【0296】
分析下の各組成物について少なくとも3回の試験を2連で実行した。
【0297】
II.3.結果
図2は、カラギーナン(Fe-Car25-V001、Fe-Car75-V001)、アカシアガム(Fe-GA25-V001、Fe-GA75-V001、Fe-GA100-V001)およびフコイダン(Fe-FU25-V001、Fe-FU75-V001)に基づく本発明による組成物ならびに参照組成物(本発明によらない)Fe-Suc-V000の2時間間隔での模擬胃環境(pH1.2)中のFe3+の放出プロファイルを示す。
【0298】
組成物は、胃へのFe3+の放出を制御できることを図2において報告されるデータは示す。そのような放出試験は、鉄を被包する本発明による組成物の能力の測定である。
【0299】
したがって、本発明の組成物が小胞または小胞構造の即時の形成を生じさせるのであれば、鉄は被包されまたは前記小胞構造に結合したままとなる。
【0300】
III.分析下の組成物中のミクロンより小さい粒子の存在の決定およびミセルのサイズの決定。
III.方法
分析下の1gの各組成物を水中に分散させた。分散体を2000rpmにおいて10分間遠心分離した。沈降する、ミクロンより大きい寸法を有する粒子は、この速度においてより小さい寸法の粒子から分離することができる。粉末残留物の存在が両方の場合において観察された。光散乱分析(Coulter N4 plus)に供される上清を収集した。
【0301】
III.2.分析下の組成物:パラグラフII.2と同様。
【0302】
III.結果
図3は、カラギーナン(Fe-Car25-V001、Fe-Car75-V001)、アカシアガム(Fe-GA25-V001、Fe-GA75-V001、Fe-GA100-V001)およびフコイダン(Fe-FU25-V001、Fe-FU75-V001)に基づく本発明による組成物ならびに参照組成物(本発明によらない)Fe-Suc-V000の光散乱分析の結果を示す
【0303】
本発明によるカラギーナンに基づく組成物(Fe-Car25-V001、Fe-Car75-V001)の場合、カラギーナンの存在が増加するにつれて小胞の平均サイズは有意に増加することを図3のデータは示す。
【0304】
この比例の関係性は、ポリマー(カラギーナン)は小胞の表面上に吸着されるという事実に起因することが想定され得る。
【0305】
本発明によるアカシアガムに基づく組成物(Fe-GA25-V001、Fe-GA75-V001、Fe-GA100-V001)および本発明によるフコイダンに基づく組成物(Fe-FU25-V001、Fe-FU75-V001)の場合、フコイダンおよびアカシアガムの両方の存在が増加するにつれて平均小胞寸法は減少することを図3のデータは示す。
【0306】
この逆比例の関係性は、フコイダンおよびアカシアガムの両方は乳化剤および安定化剤として作用するという事実に起因することが想定され得る。
【0307】
事実として、本発明による組成物Fe-GA100-V001について、小胞の寸法は参照組成物(Fe-Suc-V000)から有意に異ならない。
【0308】
しかしながら、本発明による全ての組成物が平均に対して均質な寸法を有するわけではなく、どのような場合でもそれらは参照組成物Fe-Suc-V000から有意に異ならないことを多分散指数(0.8~1.5の範囲、報告せず)は指し示す。
【0309】
【表2】
表1
【0310】
【表3】
表2
【0311】
【表4】
表3
【0312】
【表5】
表4
【0313】
【表6】
表5
【0314】
【表7】
表6
【0315】
【表8】
表7
図1
図2
図3
【国際調査報告】