IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイエスエー ファーマシューティカルズ ビー.ヴイ.の特許一覧 ▶ エラスムス ユニバーシティ メディカルセンター ロッテルダムの特許一覧

特表2023-505304B型肝炎ウイルスに関連する疾患の治療
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(54)【発明の名称】B型肝炎ウイルスに関連する疾患の治療
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/36 20060101AFI20230201BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20230201BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20230201BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230201BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20230201BHJP
   A61K 38/10 20060101ALI20230201BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20230201BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20230201BHJP
   C07K 14/02 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
C12N15/36 ZNA
A61K35/76
A61P31/20
A61K48/00
A61K31/7088
A61K38/10
A61K38/16
C12N15/86 Z
C07K14/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534243
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(85)【翻訳文提出日】2022-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2020084636
(87)【国際公開番号】W WO2021110919
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】19214315.4
(32)【優先日】2019-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514084004
【氏名又は名称】アイエスエー ファーマシューティカルズ ビー.ヴイ.
【氏名又は名称原語表記】ISA Pharmaceuticals B.V.
(71)【出願人】
【識別番号】315006920
【氏名又は名称】エラスムス ユニバーシティ メディカルセンター ロッテルダム
【氏名又は名称原語表記】Erasmus University Medical Center Rotterdam
【住所又は居所原語表記】Dr. Molewaterplein 50, 3015 GE Rotterdam The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ブッショー, ソンヤ, イングリッド
(72)【発明者】
【氏名】デ バイヤー, モニカ, テオドラ, アントネッタ
(72)【発明者】
【氏名】モレナー, ミランダ, ベルナルディーナ, ヨハンナ
(72)【発明者】
【氏名】ビーナッカー, トーマス, ヨハネス, マリア
(72)【発明者】
【氏名】クレバー, ヴィルヘルムス, ヨハネス, テオドルス, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】メリーフ, コルネリス, ヨハネス, マリア
(72)【発明者】
【氏名】ヴィークマイヤー, アンナ-ソフィア
(72)【発明者】
【氏名】ファン ライン, ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン, ダイアン, タリア, サティラ, ルドヴィカ
(72)【発明者】
【氏名】ファン エシュ, ヴィルヘルムス ヨハネス エリザベス
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA13
4C084BA02
4C084BA18
4C084BA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB33
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087MA02
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB33
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA17
4H045BA18
4H045CA02
4H045DA86
4H045EA31
4H045FA10
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、B型肝炎ウイルス(HBV)のXタンパク質及びポリメラーゼタンパク質に由来する新規免疫原性ペプチドを提供する。このペプチドは、複数のHBV変異体間で良く保存されたエピトープを含み、タンパク質の中でウイルス複製に必須の領域に由来する。更に、この新規HBV抗原は複数のHLAタイプに結合し、HBV解消者からのPBMCにおいてIFNγ応答を引き出すエピトープが同定された。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HBVタンパク質の断片を含む免疫原性ペプチドであって、前記断片が20~34アミノ酸長であり、及び前記断片が、
a)HBV-Xの領域57位~78位の少なくとも10連続アミノ酸であって、好ましくは、
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列(x70-78)、及び/又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列(x67-75)、及び/又は
- 配列番号3に示されるアミノ酸配列(x62-73)、及び/又は
- 配列番号4に示されるアミノ酸配列(x58-66)、及び/又は
- 配列番号5に示されるアミノ酸配列(x57-66)
を含むもの、
又は
b)HBV-Xの領域103位~120位の少なくとも11連続アミノ酸であって、好ましくは、
- 配列番号6に示されるアミノ酸配列(x103-111)、及び/又は
- 配列番号7に示されるアミノ酸配列(x104-113)、及び/又は
- 配列番号8に示されるアミノ酸配列(x105-113)、及び/又は
- 配列番号9に示されるアミノ酸配列(x110-120)
を含むもの、
又は
c)配列番号10に示されるアミノ酸配列(x132-140)、
又は
d)配列番号11に示されるアミノ酸配列(p124-133)、
又は
e)配列番号12に示されるアミノ酸配列(p164-173)、
又は
f)配列番号13に示されるアミノ酸配列(p275-283)、
又は
g)HBVポリメラーゼの領域403位~415位の少なくとも10連続アミノ酸であって、好ましくは、
- 配列番号14に示されるアミノ酸配列(p403-412)、及び/又は
- 配列番号15に示されるアミノ酸配列(p404-412)、及び/又は
- 配列番号16に示されるアミノ酸配列(p407-415)
を含むもの、
又は
h)HBVポリメラーゼの領域509位~523位の少なくとも9連続アミノ酸であって、好ましくは、
- 配列番号17に示されるアミノ酸配列(p509-517)、及び/又は
- 配列番号18に示されるアミノ酸配列(p515-523)
を含むもの、
又は
i)HBVポリメラーゼの領域649位~658位の少なくとも10連続アミノ酸であって、
- 配列番号19に示されるアミノ酸配列(p649-658)、及び/又は
- 配列番号20に示されるアミノ酸配列(p650-658)
を含むもの、
又は
j)HBVポリメラーゼの領域693位~706位の少なくとも10連続アミノ酸であって、好ましくは、
- 配列番号21に示されるアミノ酸配列(p693-701)、及び/又は
- 配列番号22に示されるアミノ酸配列(p697-706)
を含むもの、
又は
k)配列番号23に示されるアミノ酸配列(p723-731)、
又は
l)HBVポリメラーゼの領域755位~765位の少なくとも10連続アミノ酸であって、
- 配列番号24に示されるアミノ酸配列(p755-764)、及び/又は
- 配列番号25に示されるアミノ酸配列(p756-765)
を含むもの、
又は
m)配列番号26に示されるアミノ酸配列(p829-837)
を含み、
HBVポリメラーゼ及びHBV-X内でのアミノ酸位置の番号付けが、それぞれ、配列番号28及び配列番号30に示されるコンセンサス配列の番号付けに対応する、ペプチド。
【請求項2】
HBVタンパク質の前記断片からなる、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
20~34アミノ酸長、即ち20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33又は34アミノ酸長など、即ち20~33アミノ酸長、例えば20~32アミノ酸長など、即ち20~31アミノ酸長、例えば20~30アミノ酸長など、即ち20~29アミノ酸長、例えば20~28アミノ酸長など、即ち20~27アミノ酸長、例えば20~26又は20~25アミノ酸長などである、請求項1又は2に記載のペプチド。
【請求項4】
前記断片が、20~33アミノ酸長、即ち20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32又は33アミノ酸長など、即ち20~32アミノ酸長など、即ち20~31アミノ酸長、例えば20~30アミノ酸長など、即ち20~29アミノ酸長、例えば20~28アミノ酸長など、即ち20~27アミノ酸長、例えば20~26又は20~25アミノ酸長などである、請求項1~3のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項5】
a)前記断片が、HBV-Xの領域57位~78位の少なくとも10連続アミノ酸を含み、及び前記断片が、
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列(x70-78)及び配列番号2に示されるアミノ酸配列(x67-75)、又は
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列(x70-78)及び配列番号3に示されるアミノ酸配列(x62-73)、又は
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列(x70-78)及び配列番号4に示されるアミノ酸配列(x58-66)、又は
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列(x70-78)及び配列番号5に示されるアミノ酸配列(x57-66)、又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列(x67-75)及び配列番号3に示されるアミノ酸配列(x62-73)、又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列(x67-75)及び配列番号4に示されるアミノ酸配列(x58-66)、又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列(x67-75)及び配列番号5に示されるアミノ酸配列(x57-66)、又は
- 配列番号3に示されるアミノ酸配列(x62-73)及び配列番号4に示されるアミノ酸配列(x58-66)、又は
- 配列番号3に示されるアミノ酸配列(x62-73)及び配列番号5に示されるアミノ酸配列(x57-66)
を含むか、
又は
b)前記断片が、HBV-Xの領域103位~120位の少なくとも11連続アミノ酸を含み、及び前記断片が、
- 配列番号6に示されるアミノ酸配列(x103-111)及び配列番号7に示されるアミノ酸配列(x104-113)、又は
- 配列番号6に示されるアミノ酸配列(x103-111)及び配列番号8に示されるアミノ酸配列(x105-113)、又は
- 配列番号6に示されるアミノ酸配列(x103-111)及び配列番号9に示されるアミノ酸配列(x110-120)、又は
- 配列番号7に示されるアミノ酸配列(x104-113)及び配列番号9に示されるアミノ酸配列(x110-120)、又は
- 配列番号8に示されるアミノ酸配列(x105-113)及び配列番号9に示されるアミノ酸配列(x110-120)
を含むか、
又は
c)前記断片が、HBVポリメラーゼの領域403位~415位の少なくとも10連続アミノ酸を含み、及び前記断片が、
- 配列番号14に示されるアミノ酸配列(p403-412)及び配列番号16に示されるアミノ酸配列(p407-415)、又は
- 配列番号15に示されるアミノ酸配列(p404-412)及び配列番号16に示されるアミノ酸配列(p407-415)
を含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項6】
配列番号31(SLP1)、配列番号32(SLP2)、配列番号33(SLP3)、配列番号34(SLP4)、配列番号35(SLP5)、配列番号36(SLP6)及び配列番号37(SLP7)
からなる群から選択される配列を含むか、又はそれからなる、請求項1~5のいずれか一項に記載のペプチド。
【請求項7】
HBVタンパク質の断片を含む免疫原性ペプチドであって、前記ペプチドが20~34アミノ酸長であり、及び前記断片が、配列番号1~配列番号26からなる群から選択される配列を含む、ペプチド。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド。
【請求項9】
請求項8に記載のポリヌクレオチドを含む組換えウイルス。
【請求項10】
免疫原性組成物であって、
- 請求項1~7のいずれか一項に記載のペプチド、請求項8に記載のポリヌクレオチド又は請求項9に記載の組換えウイルス、及び
- 薬学的に許容可能な担体
を含み、
任意選択でアジュバントを更に含む、免疫原性組成物。
【請求項11】
HBV関連疾患の治療又は予防方法であって、ヒト対象への、
- 請求項1a)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1b)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1a)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1c)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1a)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1d)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1a)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1e)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1a)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1f)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1a)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1g)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1a)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1h)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1a)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1i)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1a)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1j)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1a)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1k)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1a)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1l)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1a)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1m)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1b)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1c)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1b)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1d)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1b)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1e)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1b)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1f)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1b)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1g)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1b)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1h)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1b)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1i)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1b)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1j)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1b)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1k)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1b)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1l)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1b)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1m)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1c)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1d)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1c)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1e)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1c)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1f)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1c)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1g)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1c)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1h)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1c)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1i)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1c)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1j)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1c)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1k)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1c)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1l)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1c)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1m)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1d)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1e)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1d)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1f)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1d)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1g)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1d)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1h)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1d)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1i)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1d)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1j)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1d)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1k)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1d)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1l)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1d)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1m)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1e)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1f)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1e)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1g)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1e)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1h)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1e)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1i)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1e)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1j)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1e)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1k)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1e)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1l)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1e)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1m)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1f)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1g)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1f)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1h)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1f)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1i)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1f)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1j)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1f)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1k)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1f)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1l)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1f)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1m)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1g)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1h)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1g)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1i)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1g)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1j)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1g)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1k)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1g)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1l)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1g)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1m)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1h)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1i)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1h)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1j)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1h)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1k)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1h)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1l)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1h)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1m)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1i)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1j)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1i)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1k)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1i)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1l)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1i)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1m)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1j)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1k)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1j)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1l)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1j)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1m)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1k)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1l)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1k)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1m)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1l)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1m)に記載されるとおりのペプチド又は
- 上述のペプチドの組み合わせのいずれか1つをコードする配列を含む1つ又は2つのポリヌクレオチド
の投与を含む方法。
【請求項12】
医薬としての使用のための、請求項1~7のいずれか一項に記載のペプチド、請求項8に記載のポリヌクレオチド、請求項9に記載の組換えウイルス又は請求項10に記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
HBV関連疾患の治療又は予防における使用のための、請求項1~7のいずれか一項に記載のペプチド、請求項8に記載のポリヌクレオチド、請求項9に記載の組換えウイルス又は請求項10に記載の免疫原性組成物。
【請求項14】
抗原を負荷した活性化抗原提示細胞又は拡大した抗原特異的T細胞のエキソビボ刺激における使用のための、請求項1~7のいずれか一項に記載のペプチド又は配列番号1~配列番号26からなる群から選択される配列を含むペプチド。
【請求項15】
HBV関連疾患の治療における使用のための、請求項1~7のいずれか一項に記載のペプチド、請求項8に記載のポリヌクレオチド、請求項9に記載の組換えウイルス又は請求項10に記載の免疫原性組成物であって、前記治療が、以下のステップ:
(i)HBV感染患者に抗ウイルス治療を与えてウイルス負荷量を減少させるステップ、
(ii)前記ウイルス負荷量が大幅に減少したところで、前記1つ又は複数の免疫原性ペプチド、ポリヌクレオチド、組換えウイルス又は免疫原性組成物を投与するステップ、及び
(iii)前記患者において初期T細胞応答が起こるのに十分な時間が経過したところで、抗ウイルス治療を中断又は中止するステップ
を含む、ペプチド、ポリヌクレオチド、組換えウイルス又は免疫原性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感染性疾患の分野に関する。詳細には、本発明は、B型肝炎ウイルス(HBV)に関連する疾患を治療するための免疫原性ペプチド、ポリヌクレオチド、免疫原性組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
B型肝炎ウイルス(HBV)による慢性感染症は、世界規模の重大な健康問題である。HBVは、ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)のプロトタイプメンバーであり、肝細胞への強力な感染選択性を有する(Ganem et al,2004 N Engl J Med 350:1118)。
【0003】
30年も前から、B型肝炎の防御に効果的な予防ワクチンが利用可能であるにも関わらず、それでもなお推定20億人がHBVに感染しており、現在、慢性(長期)B型肝炎感染者は2億4000万人を超え、地理的には西ヨーロッパ及び北アメリカを除く地域に頻発している(世界保健機関(World Health Organization)、2013年7月)。
【0004】
このウイルスの人から人への伝播は、血液間の直接接触によるか、又は感染者の精液若しくは膣液を介して起こる。特徴的なことに、流行地では、周産期伝播によって母から子への感染が起こる。このように、HBVは偶発的に伝播するものではないが、このウイルスは、周産期、経皮又は性的曝露によって容易に伝播し得る。これに伴い、医療従事者などの集団にとっては、感染者との人的接触機会が多いことにより、深刻なリスクが生じる。
【0005】
HBV感染症は、全般的な体調不良、食欲不振、悪心、嘔吐、体の痛み、微熱、及び暗色尿から始まり、次に黄疸の発生に進行する病気である急性ウイルス性肝炎として現れ得る。この病気は数週間続き、次にほとんどの罹患成人では徐々に好転するが、一部には、死亡を引き起こし得る重篤な肝疾患(劇症肝不全)に罹る者もいる。この感染症は全く無症候であることもあり、認識されないまま進むこともある。
【0006】
B型肝炎ウイルスによる慢性感染症は、無症候であることも、又は肝臓の慢性炎症を伴うことも(慢性肝炎)、いずれもあり、長年をかけて肝硬変に至り得る。この種の感染症では、肝細胞癌(肝癌)の発生率が劇的に増加し、また潜伏期間も多年に及ぶ。慢性HBV感染者をヌクレオシド/ヌクレオチド類似体(例えばエンテカビル及びテノホビル)などの抗ウイルス薬又はインターフェロン(IFN)αで治療すると、血清ウイルス負荷量が効率的に低下する。しかしながら、抗ウイルス療法が持続的なウイルス学的反応につながることはまれであり、薬剤耐性が起こる(Zoulim et al,2012 B J Hepatol 56 suppl.1 S112;EASL 2017 Clinical Practice Guidelines on the management of hepatitis B virus infection.J.Hepatology 67:370)。更に、HBV保有者の大多数は未治療のままである。
【0007】
慢性HBV保有者の約15~40%は、その生涯のうちに臨床的に有意な肝疾患を発症することになり、肝硬変及び付随する肝不全又は肝細胞癌による死亡リスクが高い(Huang et al,2011 Curr Opin Immunol 23:237)。抗ウイルス薬では感染症を根絶できず、結果的に、一生続くわけではないにしろ、長期にわたる抗ウイルス療法が必要となるが、それには中毒性副作用及び高コストなどの欠点が伴うため、差し迫って新規治療手法が必要とされている(Grimm et al.,2013 Clin Sci(Lond)124:77)。
【0008】
慢性B型肝炎の治療には、治療ワクチン接種が有望な戦略となる。主に現在の予防ワクチンによるHBV感染防御に関わるHBVに対する体液性免疫応答に次いで(Lok,2002 N Engl J Med 346:1682)、細胞性免疫応答は、明白にHBV感染に対する自然の抵抗力に関わる。
【0009】
HBVの母親から新生児への周産期伝播及び生後1年の間の感染は、90%を超える小児に持続感染を引き起こす。対照的に、成人期間の感染は、90%を超える症例で自然に除去され、防御免疫が一生続くことになる(Rehermann et al.,2005 Nat Rev Immunol 5:215)。
【0010】
急性で自己限定性のB型肝炎ウイルス感染症では、多くのHBV抗原に対する活発なポリクローナル多重特異性CD8+細胞傷害性T細胞(CTL)及びCD4+ Tヘルパー(Th)細胞応答が末梢血中に容易に実証される(Michel et al,2011 J Hepatol 54:1286)。
【0011】
これらのT細胞応答は、HBVの除去及び制御において極めて重要である。HBVに感染したチンパンジーにおける実験により、この過程でHBV特異的CD8+ T細胞がエフェクター細胞として不可欠な役割を担うことが示されている(Thimme et al,2003 J Virol 77:68)。HBV感染が解消した患者の応答と対照的に、慢性B型肝炎患者では、T細胞応答は通常極めて弱く、数個のエピトープにのみ集中していて、機能的に損なわれている(Michel et al,2011 J Hepatol 54:1286)。治療ワクチン接種の目標は、多くのHBV抗原を対象とする活発でロバストな多価CTL及びTヘルパー細胞応答を構築し、それによってウイルス除去、肝炎管理及び治癒を推進することである。
【0012】
この疾患の病因学及び疫学の理解が大きく進歩しているという事実にも関わらず、有効な治療用HBVワクチンがなおも必要とされている。
【0013】
当該技術分野においては、特定のHLAタイプに限定的な推定上のT細胞エピトープを含むHBVタンパク質由来のペプチドが記載されている(国際公開第0219986号パンフレット、国際公開第2002020035号パンフレット、国際公開第2014102540号パンフレット、国際公開第15187009号パンフレット)。しかしながら、これらの提案されている抗原の多くには、以下の欠点のうちの1つ以上が見られる:
・ HBV遺伝子型間での配列保存性が低く、有効性が(ごく)一部のHBV遺伝子型に限られることになる、
・ その由来である抗原領域とウイルス複製との機能的結び付きがなく、その領域に対する免疫応答がウイルス複製の妨げとなるであろう可能性が低くなる、
・ 抗原への過剰な曝露に起因した免疫枯渇のため、免疫応答の効果がなくなる、
・ 1種又は数種のHLAタイプのみをまとめて網羅するため、そうしたHLAタイプを欠いているある種の集団では、有効性に欠けることになる、
・ 製造が困難である(特に長鎖のペプチドについて)、
・ T細胞応答を誘導する潜在的能力が確認されていない、
・ そのペプチド抗原に対する免疫応答に感染を解消する潜在的能力があるかどうかに関する指標がない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、これまでに記載されているペプチド抗原に関連する不都合な点の全て又はほとんどを解消するHBV-X及びHBVポリメラーゼタンパク質に由来する新規ロングペプチド抗原を提供する。
【0015】
本明細書に記載されるHBVロングペプチド抗原は、複数のHBV遺伝子型間で良く保存されている新規HLA結合ペプチド配列を含み、ウイルス複製に必須のタンパク質の保存領域に由来し、従ってHBV特異的免疫応答を回避する可能性が低い。更に、この新規HBV由来ロングペプチド抗原は、多様なHLAタイプによって提示される能力のある複数のHLA結合ペプチド配列を持つ。更に、こうしたHLA結合ペプチド配列を含む合成ロングペプチド(SLP)であって、十分な収率及び十分な純度で製造することのできるSLPが記載される。更に、新規に同定されたHLA結合ペプチド配列を含むSLPは、HBV感染が解消した人(HBV解消者)のPBMCにおいてIFNγ応答を引き出すことが分かった。
【0016】
第1の主要な態様において、本発明は、HBVタンパク質の断片を含む免疫原性ペプチドに関し、ここで前記断片は20~34アミノ酸長であり、及び前記断片は、
a)HBV-Xの領域57位~78位の少なくとも10連続アミノ酸であって、好ましくは、
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列(x70-78)、及び/又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列(x67-75)、及び/又は
- 配列番号3に示されるアミノ酸配列(x62-73)、及び/又は
- 配列番号4に示されるアミノ酸配列(x58-66)、及び/又は
- 配列番号5に示されるアミノ酸配列(x57-66)
を含むもの、
又は
b)HBV-Xの領域103位~120位の少なくとも11連続アミノ酸であって、好ましくは、
- 配列番号6に示されるアミノ酸配列(x103-111)、及び/又は
- 配列番号7に示されるアミノ酸配列(x104-113)、及び/又は
- 配列番号8に示されるアミノ酸配列(x105-113)、及び/又は
- 配列番号9に示されるアミノ酸配列(x110-120)
を含むもの、
又は
c)配列番号10に示されるアミノ酸配列(x132-140)、
又は
d)配列番号11に示されるアミノ酸配列(p124-133)、
又は
e)配列番号12に示されるアミノ酸配列(p164-173)、
又は
f)配列番号13に示されるアミノ酸配列(p275-283)、
又は
g)HBVポリメラーゼの領域403位~415位の少なくとも10連続アミノ酸であって、好ましくは、
- 配列番号14に示されるアミノ酸配列(p403-412)、及び/又は
- 配列番号15に示されるアミノ酸配列(p404-412)、及び/又は
- 配列番号16に示されるアミノ酸配列(p407-415)
を含むもの、
又は
h)HBVポリメラーゼの領域509位~523位の少なくとも9連続アミノ酸であって、好ましくは、
- 配列番号17に示されるアミノ酸配列(p509-517)、及び/又は
- 配列番号18に示されるアミノ酸配列(p515-523)
を含むもの、
又は
i)HBVポリメラーゼの領域649位~658位の少なくとも10連続アミノ酸であって、
- 配列番号19に示されるアミノ酸配列(p649-658)、及び/又は
- 配列番号20に示されるアミノ酸配列(p650-658)
を含むもの、
又は
j)HBVポリメラーゼの領域693位~706位の少なくとも10連続アミノ酸であって、好ましくは、
- 配列番号21に示されるアミノ酸配列(p693-701)、及び/又は
- 配列番号22に示されるアミノ酸配列(p697-706)
を含むもの、
又は
k)配列番号23に示されるアミノ酸配列(p723-731)、
又は
l)HBVポリメラーゼの領域755位~765位の少なくとも10連続アミノ酸であって、
- 配列番号24に示されるアミノ酸配列(p755-764)、及び/又は
- 配列番号25に示されるアミノ酸配列(p756-765)
を含むもの、
又は
m)配列番号26に示されるアミノ酸配列(p829-837)
を含む。
【0017】
更なる態様において、本発明は、本発明に係るペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、本発明の免疫原性ペプチド又はポリヌクレオチドを含む免疫原性組成物及びHBV関連疾患の治療における本発明のペプチド、ポリヌクレオチド、組換えウイルス又は免疫原性組成物の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】HBxについてのタンパク質の保存及び機能に対する妥当性確認済みHLA-Iエピトープ及び予想HLA結合ペプチド配列のアラインメント。中心に置いた棒図表がHBxタンパク質のコンセンサス配列の長さを表示し(方法)、ここでは各アミノ酸について、ウイルス遺伝子型間での保存スコアがグレースケールによる色分けによって示される(凡例)。Hepitopesデータベースから入手した既報告の妥当性確認済みエピトープ配列をこのコンセンサスタンパク質配列とアラインメントし、最上段に示す。その下に、各HLAスーパータイプ代表例について、NetMHCpanによって予想される新規結合体候補(9~11アミノ酸)を表示する。アラインメントされた結合体の下に、本発明者らは、タンパク質配列にわたる予想される全ての結合体(8~14アミノ酸長)の範囲内にある各アミノ酸の頻度分布をプロットした。各アミノ酸の保存スコア(凡例)を、水平のグレースケールで色分けした棒図表として示す。その突然変異がウイルス持続性の喪失につながる必須アミノ酸を、保存スコアの色と一致する矢印で指示する。最下部に、HBVdbの命名法に従う機能ドメインを表示する。
図2-1】ポリメラーゼについてのタンパク質の保存及び機能に対する妥当性確認済みHLA-Iエピトープ及び予想HLA結合ペプチド配列のアラインメント。最初の200アミノ酸(A、E)、アミノ酸201~474(B、F)、475~631(C、G)及びアミノ酸632~843(D、H)について表示する。Hepitopesデータベースから入手した既報告の妥当性確認済みエピトープ配列を最上段に示す。その下に、各HLAスーパータイプについて、NetMHCpanによって予想される新規結合体候補(9~11アミノ酸)を表示する(A~D)。加えて、本発明者らは、タンパク質配列にわたる予想される結合体(8~14アミノ酸長)の頻度分布をプロットした(E~H)。各アミノ酸の保存スコア(凡例)を、水平のグレースケールで色分けした棒図表として示す。それについての単一又は複合突然変異がウイルス持続性の喪失(50%以上)につながる必須アミノ酸を、その特定のアミノ酸についての保存スコアの色と一致する矢印で指示する。ウイルスタンパク質の正しい折り畳みに不可欠であると予想されるアミノ酸は、アスタリスクを付して指示する。予め決められた命名法(Cao et al.2014 J Viral Hepat 21:882)に従う一般的ドメインを表示し、ここにはまた、T3ドメイン及びYMDDモチーフも表される。
図2-2】ポリメラーゼについてのタンパク質の保存及び機能に対する妥当性確認済みHLA-Iエピトープ及び予想HLA結合ペプチド配列のアラインメント。最初の200アミノ酸(A、E)、アミノ酸201~474(B、F)、475~631(C、G)及びアミノ酸632~843(D、H)について表示する。Hepitopesデータベースから入手した既報告の妥当性確認済みエピトープ配列を最上段に示す。その下に、各HLAスーパータイプについて、NetMHCpanによって予想される新規結合体候補(9~11アミノ酸)を表示する(A~D)。加えて、本発明者らは、タンパク質配列にわたる予想される結合体(8~14アミノ酸長)の頻度分布をプロットした(E~H)。各アミノ酸の保存スコア(凡例)を、水平のグレースケールで色分けした棒図表として示す。それについての単一又は複合突然変異がウイルス持続性の喪失(50%以上)につながる必須アミノ酸を、その特定のアミノ酸についての保存スコアの色と一致する矢印で指示する。ウイルスタンパク質の正しい折り畳みに不可欠であると予想されるアミノ酸は、アスタリスクを付して指示する。予め決められた命名法(Cao et al.2014 J Viral Hepat 21:882)に従う一般的ドメインを表示し、ここにはまた、T3ドメイン及びYMDDモチーフも表される。
図2-3】ポリメラーゼについてのタンパク質の保存及び機能に対する妥当性確認済みHLA-Iエピトープ及び予想HLA結合ペプチド配列のアラインメント。最初の200アミノ酸(A、E)、アミノ酸201~474(B、F)、475~631(C、G)及びアミノ酸632~843(D、H)について表示する。Hepitopesデータベースから入手した既報告の妥当性確認済みエピトープ配列を最上段に示す。その下に、各HLAスーパータイプについて、NetMHCpanによって予想される新規結合体候補(9~11アミノ酸)を表示する(A~D)。加えて、本発明者らは、タンパク質配列にわたる予想される結合体(8~14アミノ酸長)の頻度分布をプロットした(E~H)。各アミノ酸の保存スコア(凡例)を、水平のグレースケールで色分けした棒図表として示す。それについての単一又は複合突然変異がウイルス持続性の喪失(50%以上)につながる必須アミノ酸を、その特定のアミノ酸についての保存スコアの色と一致する矢印で指示する。ウイルスタンパク質の正しい折り畳みに不可欠であると予想されるアミノ酸は、アスタリスクを付して指示する。予め決められた命名法(Cao et al.2014 J Viral Hepat 21:882)に従う一般的ドメインを表示し、ここにはまた、T3ドメイン及びYMDDモチーフも表される。
図2-4】ポリメラーゼについてのタンパク質の保存及び機能に対する妥当性確認済みHLA-Iエピトープ及び予想HLA結合ペプチド配列のアラインメント。最初の200アミノ酸(A、E)、アミノ酸201~474(B、F)、475~631(C、G)及びアミノ酸632~843(D、H)について表示する。Hepitopesデータベースから入手した既報告の妥当性確認済みエピトープ配列を最上段に示す。その下に、各HLAスーパータイプについて、NetMHCpanによって予想される新規結合体候補(9~11アミノ酸)を表示する(A~D)。加えて、本発明者らは、タンパク質配列にわたる予想される結合体(8~14アミノ酸長)の頻度分布をプロットした(E~H)。各アミノ酸の保存スコア(凡例)を、水平のグレースケールで色分けした棒図表として示す。それについての単一又は複合突然変異がウイルス持続性の喪失(50%以上)につながる必須アミノ酸を、その特定のアミノ酸についての保存スコアの色と一致する矢印で指示する。ウイルスタンパク質の正しい折り畳みに不可欠であると予想されるアミノ酸は、アスタリスクを付して指示する。予め決められた命名法(Cao et al.2014 J Viral Hepat 21:882)に従う一般的ドメインを表示し、ここにはまた、T3ドメイン及びYMDDモチーフも表される。
図2-5】ポリメラーゼについてのタンパク質の保存及び機能に対する妥当性確認済みHLA-Iエピトープ及び予想HLA結合ペプチド配列のアラインメント。最初の200アミノ酸(A、E)、アミノ酸201~474(B、F)、475~631(C、G)及びアミノ酸632~843(D、H)について表示する。Hepitopesデータベースから入手した既報告の妥当性確認済みエピトープ配列を最上段に示す。その下に、各HLAスーパータイプについて、NetMHCpanによって予想される新規結合体候補(9~11アミノ酸)を表示する(A~D)。加えて、本発明者らは、タンパク質配列にわたる予想される結合体(8~14アミノ酸長)の頻度分布をプロットした(E~H)。各アミノ酸の保存スコア(凡例)を、水平のグレースケールで色分けした棒図表として示す。それについての単一又は複合突然変異がウイルス持続性の喪失(50%以上)につながる必須アミノ酸を、その特定のアミノ酸についての保存スコアの色と一致する矢印で指示する。ウイルスタンパク質の正しい折り畳みに不可欠であると予想されるアミノ酸は、アスタリスクを付して指示する。予め決められた命名法(Cao et al.2014 J Viral Hepat 21:882)に従う一般的ドメインを表示し、ここにはまた、T3ドメイン及びYMDDモチーフも表される。
図2-6】ポリメラーゼについてのタンパク質の保存及び機能に対する妥当性確認済みHLA-Iエピトープ及び予想HLA結合ペプチド配列のアラインメント。最初の200アミノ酸(A、E)、アミノ酸201~474(B、F)、475~631(C、G)及びアミノ酸632~843(D、H)について表示する。Hepitopesデータベースから入手した既報告の妥当性確認済みエピトープ配列を最上段に示す。その下に、各HLAスーパータイプについて、NetMHCpanによって予想される新規結合体候補(9~11アミノ酸)を表示する(A~D)。加えて、本発明者らは、タンパク質配列にわたる予想される結合体(8~14アミノ酸長)の頻度分布をプロットした(E~H)。各アミノ酸の保存スコア(凡例)を、水平のグレースケールで色分けした棒図表として示す。それについての単一又は複合突然変異がウイルス持続性の喪失(50%以上)につながる必須アミノ酸を、その特定のアミノ酸についての保存スコアの色と一致する矢印で指示する。ウイルスタンパク質の正しい折り畳みに不可欠であると予想されるアミノ酸は、アスタリスクを付して指示する。予め決められた命名法(Cao et al.2014 J Viral Hepat 21:882)に従う一般的ドメインを表示し、ここにはまた、T3ドメイン及びYMDDモチーフも表される。
図2-7】ポリメラーゼについてのタンパク質の保存及び機能に対する妥当性確認済みHLA-Iエピトープ及び予想HLA結合ペプチド配列のアラインメント。最初の200アミノ酸(A、E)、アミノ酸201~474(B、F)、475~631(C、G)及びアミノ酸632~843(D、H)について表示する。Hepitopesデータベースから入手した既報告の妥当性確認済みエピトープ配列を最上段に示す。その下に、各HLAスーパータイプについて、NetMHCpanによって予想される新規結合体候補(9~11アミノ酸)を表示する(A~D)。加えて、本発明者らは、タンパク質配列にわたる予想される結合体(8~14アミノ酸長)の頻度分布をプロットした(E~H)。各アミノ酸の保存スコア(凡例)を、水平のグレースケールで色分けした棒図表として示す。それについての単一又は複合突然変異がウイルス持続性の喪失(50%以上)につながる必須アミノ酸を、その特定のアミノ酸についての保存スコアの色と一致する矢印で指示する。ウイルスタンパク質の正しい折り畳みに不可欠であると予想されるアミノ酸は、アスタリスクを付して指示する。予め決められた命名法(Cao et al.2014 J Viral Hepat 21:882)に従う一般的ドメインを表示し、ここにはまた、T3ドメイン及びYMDDモチーフも表される。
図2-8】ポリメラーゼについてのタンパク質の保存及び機能に対する妥当性確認済みHLA-Iエピトープ及び予想HLA結合ペプチド配列のアラインメント。最初の200アミノ酸(A、E)、アミノ酸201~474(B、F)、475~631(C、G)及びアミノ酸632~843(D、H)について表示する。Hepitopesデータベースから入手した既報告の妥当性確認済みエピトープ配列を最上段に示す。その下に、各HLAスーパータイプについて、NetMHCpanによって予想される新規結合体候補(9~11アミノ酸)を表示する(A~D)。加えて、本発明者らは、タンパク質配列にわたる予想される結合体(8~14アミノ酸長)の頻度分布をプロットした(E~H)。各アミノ酸の保存スコア(凡例)を、水平のグレースケールで色分けした棒図表として示す。それについての単一又は複合突然変異がウイルス持続性の喪失(50%以上)につながる必須アミノ酸を、その特定のアミノ酸についての保存スコアの色と一致する矢印で指示する。ウイルスタンパク質の正しい折り畳みに不可欠であると予想されるアミノ酸は、アスタリスクを付して指示する。予め決められた命名法(Cao et al.2014 J Viral Hepat 21:882)に従う一般的ドメインを表示し、ここにはまた、T3ドメイン及びYMDDモチーフも表される。
図3-1】選択された予想HLA結合ペプチド配列のインビトロ結合能。予想されるHLA結合ペプチド配列の結合を、指示されるHLAタイプに高親和性を示す陽性対照ペプチド(pos.ct.)に対するパーセント結合として表す。対照(黒色)、結合体(陽性対照の25%超;灰色)及び非結合体(陽性対照の25%以下;白色)について、平均値及び標準偏差を表示する。6つのスーパータイプ代表例について結合能を評価し、加えて、慢性B型肝炎患者集団間でのその高い保有率を考慮して、HLA*11:01を含めた。これらは、各々を別個のグラフに表示する(A~G)。陰性対照として、本発明者らは、各HLAタイプについての公知の非結合ペプチド(neg.ct.)及びペプチドが存在しない条件を含めた。実線の下線を付したペプチドは、検証したHLAタイプに関連してエピトープ配列として記載されることがほとんどないものである。破線の下線を付したペプチドは、これまでのところ別のHLAタイプに関連した記載しかないエピトープ配列であり、そのうち交差反応性のある結合体を表にまとめている(H)。アスタリスクは、どのペプチドが本発明者らの長さ及び保存閾値を満たさなかったかを指示している。
図3-2】選択された予想HLA結合ペプチド配列のインビトロ結合能。予想されるHLA結合ペプチド配列の結合を、指示されるHLAタイプに高親和性を示す陽性対照ペプチド(pos.ct.)に対するパーセント結合として表す。対照(黒色)、結合体(陽性対照の25%超;灰色)及び非結合体(陽性対照の25%以下;白色)について、平均値及び標準偏差を表示する。6つのスーパータイプ代表例について結合能を評価し、加えて、慢性B型肝炎患者集団間でのその高い保有率を考慮して、HLA*11:01を含めた。これらは、各々を別個のグラフに表示する(A~G)。陰性対照として、本発明者らは、各HLAタイプについての公知の非結合ペプチド(neg.ct.)及びペプチドが存在しない条件を含めた。実線の下線を付したペプチドは、検証したHLAタイプに関連してエピトープ配列として記載されることがほとんどないものである。破線の下線を付したペプチドは、これまでのところ別のHLAタイプに関連した記載しかないエピトープ配列であり、そのうち交差反応性のある結合体を表にまとめている(H)。アスタリスクは、どのペプチドが本発明者らの長さ及び保存閾値を満たさなかったかを指示している。
図4】インシリコ予想によって導き出された順位スコアに対する選択された予想HLA結合ペプチド配列の結合能。図3に表示されるとおりのインビトロHLA結合アッセイによる予想HLA結合配列の結合能を、順位スコアとして表されるNetMHCpanによるインシリコ予想HLA結合能に対してプロットする。確定した結合体を低結合体/非結合体と分けるため、陽性対照の25%の結合のカットオフを指示している。
図5-1】HLA結合ペプチド配列の免疫原性。確定したHLA結合ペプチド配列及び十分に確立されているc18-27及びp549-557エピトープ配列(パネルB)とのインキュベーションに応答した9例のHBV解消者からの拡大後PBMCによるIFNγ産生(DMSO減算後)を計測した。灰色の囲みは、各HLA結合ペプチド配列について、応答があったドナーの数を被験対象者の総数に対する分数として表す。実線の下線を付したエピトープ配列は、検証したHLAタイプについて記載されることがほとんどないものである。破線の下線を付したエピトープ配列は、これまでのところ別のHLAタイプに関連した記載しかないものである。アスタリスクは、どのHLA結合ペプチド配列が本発明者らの長さ及び保存閾値を満たさなかったかを指示している。
図5-2】HLA結合ペプチド配列の免疫原性。確定したHLA結合ペプチド配列及び十分に確立されているc18-27及びp549-557エピトープ配列(パネルB)とのインキュベーションに応答した9例のHBV解消者からの拡大後PBMCによるIFNγ産生(DMSO減算後)を計測した。灰色の囲みは、各HLA結合ペプチド配列について、応答があったドナーの数を被験対象者の総数に対する分数として表す。実線の下線を付したエピトープ配列は、検証したHLAタイプについて記載されることがほとんどないものである。破線の下線を付したエピトープ配列は、これまでのところ別のHLAタイプに関連した記載しかないものである。アスタリスクは、どのHLA結合ペプチド配列が本発明者らの長さ及び保存閾値を満たさなかったかを指示している。
図6】ELISpotにより測定したSLP刺激後のIFNγ応答。過去にHBV感染が解消したことのある15例のドナーからのPBMCを10uM SLP又は等価濃度のDMSOと共に20~24時間インキュベートし、続くIFNγ産生をELISpotにより測定した。DMSO対照条件の4レプリケートウェルからの累積スポット形成単位(SFU)を減算した4レプリケートウェルからの累積SFUを表示する。各点が1例のドナーに相当し、全てのドナーを異なる記号で表示する。陰性SFUは0として表示する。図6のドナー数は、必ずしも図5のドナー数に対応しない。
図7】新規SLPは、インビトロでHBV解消者及び慢性HBV患者からの白血球において機能性CD8+及びCD4+ T細胞応答をブーストすることができる。以前にHBVを除去した健常ドナーのバフィーコートから分離したPBMC、rHBV、(A)又は本発明者らの外来患者診療所に来院する慢性HBV患者の全血から分離したPBMC、cHBV、(B)を、指示されるSLP(1、2、4及び6)を含有するSLPプールに曝露し、IL-2の存在下で14日間拡大させた。14日後、拡大した細胞を指示されるSLPで個々に22時間再刺激し、その後、細胞及び培養上清の両方を、それぞれ、機能性T細胞活性化の指標である表面マーカー(maker)及びサイトカインに関して評価した。活性化マーカーCD69を発現するCD4+及びCD8+ T細胞の割合、及び最近のCD8+ T細胞の細胞傷害活性の指標であるCD107aを発現するCD8+ T細胞の割合(DMSO媒体対照試料について観察される割合を減算した)を示す。また、SLP再刺激の結果としての上清中のT細胞サイトカインIFNγ及びTNFαの分泌についてもプロットする。サイトカイン値は、DMSO/無関係のペプチド対照試料について観察される平均値+それらの対照の標準偏差の2倍を減算した。
図8】HBV感染の除去に向けた新規治療スケジュール。治療ワクチン接種(T)の開始前に、ヌクレオシド/ヌクレオチド類似体(NA)治療によってウイルス負荷量を減少させる。ウイルス負荷量が低値に安定したところで、治療ワクチン接種を投与する。T細胞エフェクター機能を更に向上させるため、任意選択で治療ワクチン接種を、抑制性骨髄細胞(MDSC)を標的とする薬物(治療ワクチン接種前に与えられる)、siRNA(治療ワクチン接種前)、T細胞代謝を修飾する薬物(治療ワクチン接種前又は接種中)又はチェックポイント遮断(治療ワクチン接種中又は接種後)と組み合わせてもよい。「天然の」ブースターとして、NA治療を中止してウイルス抗原の存在を増加させることにより、インサイチューでHBV特異的T細胞をブーストし、残っている感染ヘパトサイトの除去を促進する。好ましくは、ウイルス負荷量の適切なモニタリングを行うことによりワクチンの有効性を判定し、フォローアップ(組み合わせ)療法を決定し、及び/又はNAを中止する。時間の経過に伴う指示されるパラメータの展開について、線が概略的な指示を与える。矢印は、介入又はモニタリングの好ましい時期を指示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
用語「HBV」は、B型肝炎ウイルスを指す。HBVについては、A~Hと呼ばれる8つの異なる遺伝子型が記載されている。これらの遺伝子型は、高い配列相同性を共有しているが、配列に少なくとも8%の差異がある。遺伝子型の範囲内で、サブタイプが記載されている:それらはゲノムに4~8%の差異がある。
【0020】
用語「HBVポリメラーゼ」又は単に「ポリメラーゼ」又は「Pol」は、B型肝炎(hepatis B)ゲノムによってコードされるポリメラーゼを指す。GenBank NCBI参照NC_003977.2が、一般に参照として用いられるHBVポリメラーゼ配列を記載しており、本明細書の配列番号27にも示される。配列番号28は、7489個の遺伝子型に基づくHBVポリメラーゼのコンセンサス配列を示す。本発明の一実施形態において、本発明のペプチドに存在するHBVポリメラーゼ断片は、85%超、90%超など、例えば95%超、98%超などが、配列番号27に示される対応する配列と同一である。本発明の別の実施形態において、HBVポリメラーゼ断片は、85%超、90%超など、例えば95%超、98%超などが、配列番号28に示される対応する配列と同一である。別の実施形態において、参照されるHBVポリメラーゼは、A、B、C、D、E、F、G及びHからなる群から選択される遺伝子型のものである。
【0021】
用語「HBV-X」、「HBx」、「HBxAg」、「HBV-Xタンパク質」又は「X-タンパク質」などは、B型肝炎(hepatis B)ゲノムによってコードされるXタンパク質を指す。GenBank NCBI参照NC_003977.2が、一般に参照として用いられるHBV-X配列を記載しており、本明細書の配列番号29にも示される。配列番号30は、8127個の遺伝子型に基づくHBV-Xタンパク質のコンセンサス配列を示す。本発明の一実施形態において、本発明のペプチドに存在するHBV-X断片は、85%超、90%超など、例えば95%超、98%超などが、配列番号29に示される対応する配列と同一である。本発明の別の実施形態において、HBV-X断片は、85%超、90%超など、例えば95%超、98%超などが、配列番号30に示される対応する配列と同一である。別の実施形態において、参照されるHBV-Xタンパク質は、A、B、C、D、E、F、G及びHからなる群から選択される遺伝子型のものである。
【0022】
本明細書におけるHBVポリメラーゼ及びHBV-X内での位置の番号付けは、それぞれ、配列番号28及び配列番号30に示されるコンセンサス配列を基準とする。換言すれば、HBVポリメラーゼ及びHBV-Xタンパク質内でのアミノ酸位置の番号付けは、それぞれ、配列番号28及び配列番号30に示されるコンセンサス配列における番号付けに対応する。一方の配列中にあるもう一方の配列中のアミノ酸位置に「対応する」アミノ酸位置とは、ALIGN、ClustalWなどの標準的な配列アラインメントプログラムを典型的にはデフォルト設定で用いると、他方のアミノ酸と整列するものである。配列をアラインメントして、HBVポリメラーゼ又はHBV-X配列中の特定の位置について、コンセンサス配列中の対応する位置が何かを決定する方法は、当該技術分野において周知と考えられる。例えば、アラインメントは、コンセンサス配列と比べて所与のHBVポリメラーゼにギャップがある場合に、その所与のHBVポリメラーゼのアミノ酸20位~40位の断片がコンセンサス配列の20~41位に対応することを示し得る。誤解を避けるために言えば、位置の番号付けはコンセンサス配列を基準とするが、断片の実際のアミノ酸配列はコンセンサス配列と異なり、HBV遺伝子型に応じてばらつきがあり得る。
【0023】
「配列同一性」は、本明細書では、2つ以上のアミノ酸配列間の、それらの配列を比較することにより決定されるとおりの関係として定義される。配列同一性は、2つのペプチド配列のアラインメントによって決定することができる。同程度の長さの配列は、好ましくは、配列を全長にわたって最適にアラインメントする大域的アラインメントアルゴリズム(例えば、ニードルマン・ブンシュ(Needleman Wunsch))を用いてアラインメントされ、一方、実質的に異なる長さの配列は、好ましくは局所的アラインメントアルゴリズム(例えば、スミス・ウォーターマン(Smith Waterman))を用いてアラインメントされる。
【0024】
「治療」又は「治療すること」は、症状、障害又は疾患状態を緩和、改善、阻止、根絶(治癒)又は予防することを目的とした、有効量の免疫原性組成物の投与を指す。「有効量」は、所望の治療結果を実現するのに必要な投薬量及び期間で有効な量を指す。
【0025】
本明細書で使用されるとき、用語「免疫原性ペプチド」は、免疫応答を惹起する又はブーストする能力を有するペプチドを意味する。本発明の免疫原性ペプチドは、非コンジュゲート型又は非修飾型、即ち、アミノ酸がペプチド結合によって連結した単純な鎖であってもよく、又はこれは、別の分子、例えばアジュバントに共有結合的に結合しているなど、更に修飾、例えばコンジュゲートされていてもよい。
【0026】
本発明の文脈の中で、「20~34アミノ酸長」は、アミノ酸残基の数が20~34、即ち、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33又は34アミノ酸残基であることを意味する。本発明のペプチドは、ロングペプチドとも称され、ヒト白血球抗原(HLA)クラスI及びクラスIIによって提示されるエピトープペプチド配列の長さを超えている。好ましくは、本発明のロングペプチドは合成ペプチドであり、本明細書では合成ロングペプチド(SLP)とも称される。
【0027】
本発明の文脈の中で、用語「HBVタンパク質の断片」は、HBVタンパク質の部分配列に対応する、即ちそれと同一のアミノ酸配列を意味する。従って、これは、挿入、欠失又は置換のない、天然HBVタンパク質の連続配列を指す。ペプチドが特定の長さのHBVタンパク質断片を含むと指定される場合、それは、その断片がそれより短くも長くもないことを意味する。例えば、断片が20~34アミノ酸長であると指定される場合、それは、前記断片が20アミノ酸以上34アミノ酸長以下であることを意味する。従って、かかるペプチドが、例えば、前記HBVタンパク質の35アミノ酸長以上の連続配列を含むことはない。しかしながら、誤解を避けるために言えば、「~を含む(comprising)」は、当該技術分野におけるその通常の意味を有し、即ち「HBVタンパク質の断片を含むペプチド」は、指定される断片を越えて追加的な配列、例えば前記HBVタンパク質に由来しない配列又はHBVタンパク質中で前記断片に隣接しないHBVタンパク質の他の部分配列を含み得る。
【0028】
本発明の文脈の中で、用語「HLA結合ペプチド」又は「HLA結合体」又は「結合体」は、HLA分子に特異的に結合し得るHBV-X又はHBVポリメラーゼの短いタンパク質断片部分を指す。
【0029】
本発明の文脈の中で、「エピトープ」は、指定されるHLA分子に結合する短いHLA結合ペプチドであって、細胞の表面に提示されたとき、個体においてT細胞応答を引き出す能力を有するものとして定義される。
【0030】
不定冠詞「ある(a)」又は「ある(an)」による要素への言及は、その要素が1つあり、且つ1つしかないことが文脈上明確に要求されない限り、その要素が1つより多く存在する可能性を排除しない。従って、不定冠詞「ある(a)」又は「ある(an)」は、通常は「少なくとも1つ」を意味する。
【0031】
本発明の更なる態様及び実施形態
上述のとおり、第1の主要な態様において、本発明は、HBVタンパク質の断片を含む免疫原性ペプチドに関し、ここで前記断片は20~34アミノ酸長であり、及び前記断片は、
a)HBV-Xの領域57位~78位の少なくとも10連続アミノ酸であって、好ましくは、
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列(x70-78)、及び/又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列(x67-75)、及び/又は
- 配列番号3に示されるアミノ酸配列(x62-73)、及び/又は
- 配列番号4に示されるアミノ酸配列(x58-66)、及び/又は
- 配列番号5に示されるアミノ酸配列(x57-66)
を含むもの、
又は
b)HBV-Xの領域103位~120位の少なくとも11連続アミノ酸であって、好ましくは、
- 配列番号6に示されるアミノ酸配列(x103-111)、及び/又は
- 配列番号7に示されるアミノ酸配列(x104-113)、及び/又は
- 配列番号8に示されるアミノ酸配列(x105-113)、及び/又は
- 配列番号9に示されるアミノ酸配列(x110-120)
を含むもの、
又は
c)配列番号10に示されるアミノ酸配列(x132-140)、
又は
d)配列番号11に示されるアミノ酸配列(p124-133)、
又は
e)配列番号12に示されるアミノ酸配列(p164-173)、
又は
f)配列番号13に示されるアミノ酸配列(p275-283)、
又は
g)HBVポリメラーゼの領域403位~415位の少なくとも10連続アミノ酸であって、好ましくは、
- 配列番号14に示されるアミノ酸配列(p403-412)、及び/又は
- 配列番号15に示されるアミノ酸配列(p404-412)、及び/又は
- 配列番号16に示されるアミノ酸配列(p407-415)
を含むもの、
又は
h)HBVポリメラーゼの領域509位~523位の少なくとも9連続アミノ酸であって、好ましくは、
- 配列番号17に示されるアミノ酸配列(p509-517)、及び/又は
- 配列番号18に示されるアミノ酸配列(p515-523)
を含むもの、
又は
i)HBVポリメラーゼの領域649位~658位の少なくとも10連続アミノ酸であって、
- 配列番号19に示されるアミノ酸配列(p649-658)、及び/又は
- 配列番号20に示されるアミノ酸配列(p650-658)
を含むもの、
又は
j)HBVポリメラーゼの領域693位~706位の少なくとも10連続アミノ酸であって、好ましくは、
- 配列番号21に示されるアミノ酸配列(p693-701)、及び/又は
- 配列番号22に示されるアミノ酸配列(p697-706)
を含むもの、
又は
k)配列番号23に示されるアミノ酸配列(p723-731)、
又は
l)HBVポリメラーゼの領域755位~765位の少なくとも10連続アミノ酸であって、
- 配列番号24に示されるアミノ酸配列(p755-764)、及び/又は
- 配列番号25に示されるアミノ酸配列(p756-765)
を含むもの、
又は
m)配列番号26に示されるアミノ酸配列(p829-837)
を含む。
【0032】
一実施形態において、ペプチドは、HBVタンパク質の前記断片からなる。
【0033】
別の実施形態において、前記ペプチドは20~34アミノ酸長、即ち20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33又は34アミノ酸長など、即ち20~33アミノ酸長、例えば20~32アミノ酸長など、即ち20~31アミノ酸長、例えば20~30アミノ酸長など、即ち20~29アミノ酸長、例えば20~28アミノ酸長など、即ち20~27アミノ酸長、例えば20~26又は20~25アミノ酸長などである。
【0034】
更なる実施形態において、前記断片は20~33アミノ酸長、即ち20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33又は34アミノ酸長、例えば20~32アミノ酸長など、即ち20~31アミノ酸長、例えば20~30アミノ酸長など、即ち20~29アミノ酸長、例えば20~28アミノ酸長など、即ち20~27アミノ酸長、例えば20~26又は20~25アミノ酸長などである。
【0035】
更なる態様において、本発明は、HBVタンパク質の断片を含む免疫原性ペプチドに関し、ここで前記断片は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、又は33アミノ酸長など、20~34アミノ酸長であり、及び前記断片は、
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列(x70-78)、
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列(x67-75)、
- 配列番号3に示されるアミノ酸配列(x62-73)、
- 配列番号4に示されるアミノ酸配列(x58-66)、
- 配列番号5に示されるアミノ酸配列(x57-66)、
- 配列番号6に示されるアミノ酸配列(x103-111)、
- 配列番号7に示されるアミノ酸配列(x104-113)、
- 配列番号8に示されるアミノ酸配列(x105-113)、
- 配列番号9に示されるアミノ酸配列(x110-120)、
- 配列番号10に示されるアミノ酸配列(x132-140)、
- 配列番号11に示されるアミノ酸配列(p124-133)、
- 配列番号12に示されるアミノ酸配列(p164-173)、
- 配列番号13に示されるアミノ酸配列(p275-283)、
- 配列番号14に示されるアミノ酸配列(p403-412)、
- 配列番号15に示されるアミノ酸配列(p404-412)、
- 配列番号16に示されるアミノ酸配列(p407-415)、
- 配列番号17に示されるアミノ酸配列(p509-517)、
- 配列番号18に示されるアミノ酸配列(p515-523)、
- 配列番号19に示されるアミノ酸配列(p649-658)、
- 配列番号20に示されるアミノ酸配列(p650-658)、
- 配列番号21に示されるアミノ酸配列(p693-701)、
- 配列番号22に示されるアミノ酸配列(p697-706)、
- 配列番号23に示されるアミノ酸配列(p723-731)、
- 配列番号24に示されるアミノ酸配列(p755-764)、
- 配列番号25に示されるアミノ酸配列(p756-765)、及び
- 配列番号26に示されるアミノ酸配列(p829-837)
からなる群から選択される1つ以上の配列を含み、
好ましくは前記断片は、
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列(x70-78)及び配列番号2に示されるアミノ酸配列(x67-75)、又は
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列(x70-78)及び配列番号3に示されるアミノ酸配列(x62-73)、又は
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列(x70-78)及び配列番号4に示されるアミノ酸配列(x58-66)、又は
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列(x70-78)及び配列番号5に示されるアミノ酸配列(x57-66)、又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列(x67-75)及び配列番号3に示されるアミノ酸配列(x62-73)、又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列(x67-75)及び配列番号4に示されるアミノ酸配列(x58-66)、又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列(x67-75)及び配列番号5に示されるアミノ酸配列(x57-66)、又は
- 配列番号3に示されるアミノ酸配列(x62-73)及び配列番号4に示されるアミノ酸配列(x58-66)、又は
- 配列番号3に示されるアミノ酸配列(x62-73)及び配列番号5に示されるアミノ酸配列(x57-66)又は
- 配列番号6に示されるアミノ酸配列(x103-111)及び配列番号7に示されるアミノ酸配列(x104-113)、又は
- 配列番号6に示されるアミノ酸配列(x103-111)及び配列番号8に示されるアミノ酸配列(x105-113)、又は
- 配列番号6に示されるアミノ酸配列(x103-111)及び配列番号9に示されるアミノ酸配列(x110-120)、又は
- 配列番号7に示されるアミノ酸配列(x104-113)及び配列番号9に示されるアミノ酸配列(x110-120)、又は
- 配列番号8に示されるアミノ酸配列(x105-113)及び配列番号9に示されるアミノ酸配列(x110-120)、又は
- 配列番号14に示されるアミノ酸配列(p403-412)及び配列番号16に示されるアミノ酸配列(p407-415)、又は
- 配列番号15に示されるアミノ酸配列(p404-412)及び配列番号16に示されるアミノ酸配列(p407-415)
を含む。
【0036】
記載されるとおり、一実施形態において、免疫原性ペプチドはHBV-Xの断片を含み、ここで前記断片は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33又は34など、20~34アミノ酸長であり、及び前記断片は、
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列(x70-78)、及び/又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列(x67-75)、及び/又は
- 配列番号3に示されるアミノ酸配列(x62-73)、及び/又は
- 配列番号4に示されるアミノ酸配列(x58-66)、及び/又は
- 配列番号5に示されるアミノ酸配列(x57-66)
を含む、HBV-Xの領域57位~78位の少なくとも10連続アミノ酸を含む。
【0037】
更なる実施形態において、免疫原性ペプチドはHBV-Xの断片を含み、ここで前記断片は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33又は34など、20~34アミノ酸長であり、前記断片は、HBV-Xの領域57位~78位の少なくとも10連続アミノ酸を含み、及び前記断片は、
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列(x70-78)及び配列番号2に示されるアミノ酸配列(x67-75)、又は
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列(x70-78)及び配列番号3に示されるアミノ酸配列(x62-73)、又は
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列(x70-78)及び配列番号4に示されるアミノ酸配列(x58-66)、又は
- 配列番号1に示されるアミノ酸配列(x70-78)及び配列番号5に示されるアミノ酸配列(x57-66)、又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列(x67-75)及び配列番号3に示されるアミノ酸配列(x62-73)、又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列(x67-75)及び配列番号4に示されるアミノ酸配列(x58-66)、又は
- 配列番号2に示されるアミノ酸配列(x67-75)及び配列番号5に示されるアミノ酸配列(x57-66)、又は
- 配列番号3に示されるアミノ酸配列(x62-73)及び配列番号4に示されるアミノ酸配列(x58-66)、又は
- 配列番号4に示されるアミノ酸配列(x62-73)及び配列番号5に示されるアミノ酸配列(x57-66)
を含む。
【0038】
更なる実施形態において、断片の最もN末端側のアミノ酸は、HBV-Xの53位のアミノ酸であるか、又は断片の最もN末端側のアミノ酸は、HBV-Xの53よりもC末端側にある位置、即ち、54位、55位、56位等のアミノ酸である。
【0039】
別の更なる実施形態において、断片の最もC末端側のアミノ酸は、HBV-Xの91位のアミノ酸であるか、又は断片の最もC末端側のアミノ酸は、HBV-Xの91よりもN末端側にある位置、即ち、90位、89位、88位等のアミノ酸である。
【0040】
なおも更なる実施形態において、
- 断片の最もN末端側のアミノ酸は、HBV-Xの53位のアミノ酸又はHBV-Xの53よりもC末端側にある位置のアミノ酸であり、及び
- 断片の最もC末端側のアミノ酸は、HBV-Xの91位のアミノ酸又はHBV-Xの91よりもN末端側にある位置のアミノ酸である。
【0041】
従って、この後者の実施形態において、本発明のペプチド中に含まれるHBV-X断片は、HBV-Xの53位及び91位を越えて広がることはない。
【0042】
別の実施形態において、免疫原性ペプチドはHBV-Xの断片を含み、ここで前記断片は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33又は34など、20~34アミノ酸長であり、及び前記断片は、
- 配列番号6に示されるアミノ酸配列(x103-111)、及び/又は
- 配列番号7に示されるアミノ酸配列(x104-113)、及び/又は
- 配列番号8に示されるアミノ酸配列(x105-113)、及び/又は
- 配列番号9に示されるアミノ酸配列(x110-120)
を含む、HBV-Xの領域103位~120位の少なくとも11連続アミノ酸を含む。
【0043】
更なる実施形態において、免疫原性ペプチドはHBV-Xの断片を含み、ここで前記断片は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33又は34など、20~34アミノ酸長であり、前記断片は、HBV-Xの領域103位~120位の少なくとも11連続アミノ酸を含み、及び断片は、
- 配列番号6に示されるアミノ酸配列(x103-111)及び配列番号7に示されるアミノ酸配列(x104-113)、又は
- 配列番号6に示されるアミノ酸配列(x103-111)及び配列番号8に示されるアミノ酸配列(x105-113)、又は
- 配列番号6に示されるアミノ酸配列(x103-111)及び配列番号9に示されるアミノ酸配列(x110-120)、又は
- 配列番号7に示されるアミノ酸配列(x104-113)及び配列番号9に示されるアミノ酸配列(x110-120)、又は
- 配列番号8に示されるアミノ酸配列(x105-113)及び配列番号9に示されるアミノ酸配列(x110-120)
を含む。
【0044】
更なる実施形態において、断片の最もN末端側のアミノ酸は、HBV-Xの103位のアミノ酸であるか、又は断片の最もN末端側のアミノ酸は、HBV-Xの103よりもC末端側にある位置、即ち、104位、105位、106位等のアミノ酸である。
【0045】
別の更なる実施形態において、断片の最もC末端側のアミノ酸は、HBV-Xの122位のアミノ酸であるか、又は断片の最もC末端側のアミノ酸は、HBV-Xの122よりもN末端側にある位置、即ち、121位、120位、119位等のアミノ酸である。
【0046】
なおも更なる実施形態において、本発明のペプチド中に含まれるHBV-X断片は、HBV-Xの103位及び122位を越えて広がることはない。
【0047】
別の実施形態において、免疫原性ペプチドはHBV-Xの断片を含み、ここで前記断片は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33又は34など、20~34アミノ酸長であり、及び前記断片は、配列番号10に示されるアミノ酸配列(x132-140)を含む。
【0048】
更なる実施形態において、断片の最もN末端側のアミノ酸は、HBV-Xの116位のアミノ酸であるか、又は断片の最もN末端側のアミノ酸は、HBV-Xの116よりもC末端側にある位置、即ち、117位、118位、119位等のアミノ酸である。
【0049】
別の更なる実施形態において、断片の最もC末端側のアミノ酸は、HBV-Xの140位のアミノ酸であるか、又は断片の最もC末端側のアミノ酸は、HBV-Xの140よりもN末端側にある位置、即ち、139位、138位、137位等のアミノ酸である。
【0050】
なおも更なる実施形態において:
- 断片の最もN末端側のアミノ酸は、HBV-Xの116位のアミノ酸又はHBV-Xの116よりもC末端側にある位置のアミノ酸であり、及び
- 断片の最もC末端側のアミノ酸は、HBV-Xの140位のアミノ酸又はHBV-Xの140よりもN末端側にある位置のアミノ酸である。
【0051】
従って、この後者の実施形態において、本発明のペプチド中に含まれるHBV-X断片は、HBV-Xの116位及び140位を越えて広がることはない。
【0052】
別の実施形態において、免疫原性ペプチドはHBVポリメラーゼの断片を含み、ここで前記断片は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33又は34など、20~34アミノ酸長であり、及び前記断片は、配列番号11に示されるアミノ酸配列(p124-133)を含む。
【0053】
更なる実施形態において、断片の最もC末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの155位のアミノ酸であるか、又は断片の最もC末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの155よりもN末端側にある位置、即ち、154位、153位、152位等のアミノ酸である。
【0054】
別の実施形態において、免疫原性ペプチドはHBVポリメラーゼの断片を含み、ここで前記断片は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33又は34など、20~34アミノ酸長であり、及び前記断片は、配列番号12に示されるアミノ酸配列(p164-173)を含む。
【0055】
更なる実施形態において、断片の最もN末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの151位のアミノ酸であるか、又は断片の最もN末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの151よりもC末端側にある位置、即ち、152位、153位、154位等のアミノ酸である。
【0056】
別の更なる実施形態において、断片の最もC末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの174位のアミノ酸であるか、又は断片の最もC末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの174よりもN末端側にある位置、即ち、173位、172位、171位等のアミノ酸である。
【0057】
別の実施形態において、免疫原性ペプチドはHBVポリメラーゼの断片を含み、ここで前記断片は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33又は34など、20~34アミノ酸長であり、及び前記断片は、配列番号13に示されるアミノ酸配列(p275-283)を含む。
【0058】
更なる実施形態において、断片の最もN末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの262位のアミノ酸であるか、又は断片の最もN末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの262よりもC末端側にある位置、即ち、263位、264位、265位等のアミノ酸である。
【0059】
別の実施形態において、免疫原性ペプチドはHBVポリメラーゼの断片を含み、ここで前記断片は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33又は34など、20~34アミノ酸長であり、及び前記断片は、
- 配列番号14に示されるアミノ酸配列(p403-412)、及び/又は
- 配列番号15に示されるアミノ酸配列(p404-412)、及び/又は
- 配列番号16に示されるアミノ酸配列(p407-415)
を含む、HBVポリメラーゼの領域403位~415位の少なくとも10連続アミノ酸を含む。
【0060】
更なる実施形態において、免疫原性ペプチドはHBVポリメラーゼの断片を含み、ここで前記断片は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33又は34など、20~34アミノ酸長であり、前記断片は、
- 配列番号14に示されるアミノ酸配列(p403-412)及び配列番号16に示されるアミノ酸配列(p407-415)、又は
- 配列番号15に示されるアミノ酸配列(p404-412)及び配列番号16に示されるアミノ酸配列(p407-415)
を含む、HBVポリメラーゼの領域403位~415位の少なくとも10連続アミノ酸を含む。
【0061】
更なる実施形態において、断片の最もN末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの390位のアミノ酸であるか、又は断片の最もN末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの390よりもC末端側にある位置、即ち、391位、392位、393位等のアミノ酸である。
【0062】
別の更なる実施形態において、断片の最もC末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの425位のアミノ酸であるか、又は断片の最もC末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの425よりもN末端側にある位置、即ち、424位、423位、422位等のアミノ酸である。
【0063】
なおも更なる実施形態において、
- 断片の最もN末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの390位のアミノ酸又はHBVポリメラーゼの390よりもC末端側にある位置のアミノ酸であり、及び
- 断片の最もC末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの425位のアミノ酸又はHBVポリメラーゼの425よりもN末端側にある位置のアミノ酸である。
【0064】
従って、この後者の実施形態において、本発明のペプチド中に含まれるHBVポリメラーゼ断片は、HBVポリメラーゼの390位及び425位を越えて広がることはない。
【0065】
別の実施形態において、免疫原性ペプチドはHBVポリメラーゼの断片を含み、ここで前記断片は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33又は34など、20~34アミノ酸長であり、及び前記断片は、
- 配列番号17に示されるアミノ酸配列(p509-517)、及び/又は
- 配列番号18に示されるアミノ酸配列(p515-523)
を含む、HBVポリメラーゼの領域509位~523位の少なくとも9連続アミノ酸を含む。
【0066】
更なる実施形態において、断片の最もN末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの503位のアミノ酸であるか、又は断片の最もN末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの503よりもC末端側にある位置、即ち、504位、505位、506位等のアミノ酸である。
【0067】
別の更なる実施形態において、断片の最もC末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの532位のアミノ酸であるか、又は断片の最もC末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの532よりもN末端側にある位置、即ち、531位、530位、529位等のアミノ酸である。
【0068】
別の実施形態において、免疫原性ペプチドはHBVポリメラーゼの断片を含み、ここで前記断片は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33又は34など、20~34アミノ酸長であり、及び前記断片は、
- 配列番号19に示されるアミノ酸配列(p649-658)、及び/又は
- 配列番号20に示されるアミノ酸配列(p650-658)
を含む、HBVポリメラーゼの領域649位~658位の少なくとも10連続アミノ酸を含む。
【0069】
更なる実施形態において、断片の最もN末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの624位のアミノ酸であるか、又は断片の最もN末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの624よりもC末端側にある位置、即ち、625位、626位、627位等のアミノ酸である。
【0070】
別の更なる実施形態において、断片の最もC末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの658位のアミノ酸であるか、又は断片の最もC末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの658よりもN末端側にある位置、即ち、657位、656位、655位等のアミノ酸である。
【0071】
なおも更なる実施形態において、
- 断片の最もN末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの624位のアミノ酸又はHBVポリメラーゼの624よりもC末端側にある位置のアミノ酸であり、及び
- 断片の最もC末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの658位のアミノ酸又はHBVポリメラーゼの658よりもN末端側にある位置のアミノ酸である。
【0072】
従って、この後者の実施形態において、本発明のペプチド中に含まれるHBVポリメラーゼ断片は、HBVポリメラーゼの624位及び658位を越えて広がることはない。
【0073】
別の実施形態において、免疫原性ペプチドはHBVポリメラーゼの断片を含み、ここで前記断片は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33又は34など、20~34アミノ酸長であり、及び前記断片は、
- 配列番号21に示されるアミノ酸配列(p693-701)、及び/又は
- 配列番号22に示されるアミノ酸配列(p697-706)
を含む、HBVポリメラーゼの領域693位~706位の少なくとも10連続アミノ酸を含む。
【0074】
更なる実施形態において、断片の最もN末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの672位のアミノ酸であるか、又は断片の最もN末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの672よりもC末端側にある位置、即ち、671位、670位、696位等のアミノ酸である。
【0075】
別の実施形態において、免疫原性ペプチドはHBVポリメラーゼの断片を含み、ここで前記断片は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33又は34など、20~34アミノ酸長であり、及び前記断片は、配列番号23に示されるアミノ酸配列(p723-731)を含む。
【0076】
更なる実施形態において、断片の最もC末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの751位のアミノ酸であるか、又は断片の最もC末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの751よりもN末端側にある位置、即ち、750位、749位、748位等のアミノ酸である。
【0077】
別の実施形態において、免疫原性ペプチドはHBVポリメラーゼの断片を含み、ここで前記断片は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33又は34など、20~34アミノ酸長であり、及び前記断片は、
- 配列番号24に示されるアミノ酸配列(p755-764)、及び/又は
- 配列番号25に示されるアミノ酸配列(p756-765)
を含む、HBVポリメラーゼの領域755位~765位の少なくとも10連続アミノ酸を含む。
【0078】
別の実施形態において、免疫原性ペプチドはHBVポリメラーゼの断片を含み、ここで前記断片は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33又は34など、20~34アミノ酸長であり、及び前記断片は、配列番号26に示されるアミノ酸配列(p829-837)を含む。
【0079】
更なる実施形態において、断片の最もN末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの815位のアミノ酸であるか、又は断片の最もN末端側のアミノ酸は、HBVポリメラーゼの815よりもC末端側にある位置、即ち、816位、817位、818位等のアミノ酸である。
【0080】
更なる実施形態において、本発明のペプチドは、
配列番号31:HLSLRGLPVCAFSSAGPCALRFTSA(SLP1)、
配列番号32:LSAMSTTDLEAYFKDCLFKDWEELG(SLP2)、
配列番号33:ASSSSSCLHQSAVRKAAYSHLSTSK(SLP3)、
配列番号34:RKLHLYSHPIILGFRKIPMGVGLSP(SLP4)、
配列番号35:GFAAPFTQCGYPALMPLYACIQAKQA(SLP5)、
配列番号36:ARQRPGLCQVFADATPTGWGLAIGH(SLP6)及び
配列番号37:SPSVPSHLPDRVHFASPLHVAWRPP(SLP7)
からなる群から選択される配列を含むか、又はそれからなる。
【0081】
更なる実施形態において、本発明のペプチドは、
配列番号121:KLHLYSHPIILGFRKIPMGVGLSPFLL(SLP8)、
配列番号122:GLLGFAAPFTQCGYPALMPLYACIQAKQAFT(SLP9)、及び
配列番号123:ARQRPGLCQVFADATPTGWGLAIGHQRMR(SLP10)
からなる群から選択される配列を含むか、又はそれからなる。
【0082】
配列番号121、122及び123は、それぞれ、SLP4、SLP5及びSLP6の変異体である。これらの変異体の可能性のある改良点としては、N末端/C末端の伸長によって導入される追加的な推定上のエピトープ/リガンド、又は(推定上の)エピトープ/リガンドの損失のない、N末端/C末端の伸長又は短縮による製造適合性の向上が挙げられる。
【0083】
更なる実施形態において、本発明のペプチドは、国際公開第15187009号パンフレットに配列番号53、54、59、70、76及び79として記載されるペプチド、即ち、
配列番号38:VVNEKRRLKLIMPARFYPTHTKYLPLDKGIKPYY(国際公開第15187009号パンフレットの配列番号53)、
配列番号39:YPTHTKYLPLDKGIKPYYPDQVVNHYFQTRHYL(国際公開第15187009号パンフレットの配列番号54)、
配列番号40:TAESRLVVDFSQFSRGISRVSWPKFAVPNLQSL(国際公開第15187009号パンフレットの配列番号59)、
配列番号41:QRMRGTFVAPLPIHTAELLAACFARSRSGAKL(国際公開第15187009号パンフレットの配列番号70)、
配列番号42:ALPSPSPSAVPADHGAHLSLRGLPVCAFSSAGP(国際公開第15187009号パンフレットの配列番号76)、又は
配列番号43:LEAYFKDCVFKDWEELGEEIRLKVFVLGGCRHKL(国際公開第15187009号パンフレットの配列番号79)
のいずれも含まず、又はそれからならない。
【0084】
更なる主要な態様において、本発明は、HBVタンパク質の断片を含む免疫原性ペプチドに関し、ここで前記ペプチドは20~34アミノ酸長であり、及び前記断片は、配列番号1~配列番号26からなる群から選択される配列を含む。
【0085】
好ましくは、本発明の免疫原性ペプチドは、ヒト対象に投与したときに、抗原指向性CD4+ Tヘルパー及びCD8+細胞傷害性T細胞応答の強力な組み合わせを誘導する能力を有する。好ましくは、本ペプチドは、
- 少なくとも1週間治療した後の、ELISpot若しくはELISAアッセイ又は関連する好適な技法によるか、又はCD4+若しくはCD8+ T細胞のHLA多量体染色によって確立されるとおりの、免疫系の活性化若しくは誘導及び/又は末梢血中若しくは組織中における抗原特異的活性化CD4+及び/又はCD8+ T細胞の増加、又はフローサイトメトリーにおけるCD4+及びCD8+ T細胞の細胞内サイトカイン染色若しくはそれへのサイトカイン捕捉によって確立されるとおりの、これらのT細胞によって産生されるサイトカインの増加;及び/又は
- 抗原関連感染の増殖の阻害又は抗原発現細胞の検出可能な減少又は抗原発現細胞の細胞生存率の低下;及び/又は
- 抗原発現細胞の細胞死の誘導又は誘導増加;及び/又は
- 抗原発現細胞の阻害又はその増加の防止;及び/又は
- ウイルス負荷量の減少(例えば、血清ウイルスDNA、ウイルスRNA又はウイルスタンパク質の減少)疾患の前癌期);及び/又は
- 組み込まれたウイルスDNA及び/又は共有結合性の閉環状DNA(cccDNA)を有するヘパトサイトの減少
- 基準病変サイズの減少;及び/又は
- 基準腫瘍サイズの減少;及び/又は
- 生存率(例えば、無増悪生存率、全生存率)の上昇
によって好ましくは検出可能なとおりの、対象におけるHBV、HBV関連疾患又は病態の予防、部分的除去及び/又は治療又は完全除去に有効に使用することができる。
【0086】
好ましい実施形態において、本発明で使用されるペプチドは、上記に記載されるとおりのCTLエピトープと、治療しようとするヒト対象の集団において優勢なHLAアレルによってコードされるHLAクラスII分子に対して結合親和性、好ましくは少なくとも中程度の結合親和性、より好ましくは高い結合親和性を示すTヘルパーエピトープとを含む。
【0087】
好ましい実施形態において、本発明で使用されるペプチドは、ペプチドのN末端又はC末端にシステイン残基を有しない。
【0088】
更に、別の好ましい実施形態において、本発明で使用されるペプチドは、システイン残基を2個より多く含まない。
【0089】
別の好ましい実施形態において、本発明で使用されるペプチドは、メチオニンを3個より多く含まない。
【0090】
別の好ましい実施形態において、本発明で使用されるペプチドは、N末端にグルタミンを有しない。
【0091】
好ましくは、本発明で使用されるペプチドは、単離されているペプチドであり、ここで「単離されている」とは、ペプチドがどの程度精製されているかを反映するものではなく、そのペプチドがその天然の環境から取り出されている(即ち、ヒトによる操作に供されている)ことを指し示しており、組換えで作製されたペプチド又は合成的に作製されたペプチドであり得る。
【0092】
ペプチドは、典型的には合成的に作製される。これは、固相ペプチド合成によるか、又は他のいずれか好適な方法によって行われてもよい。
【0093】
更なる態様において、本発明は、本発明に係るペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドに関する。上記に説明したとおり、用語「HBVタンパク質の断片」とは、HBVタンパク質の部分配列に対応するアミノ酸配列を意味する。ペプチドが特定の長さのHBVタンパク質の断片を含むと指定される場合、それは、その断片がそれより短くも長くもないことを意味する。例えば、断片が20~34アミノ酸長であると指定される場合、それは、かかるペプチドが前記HBVタンパク質の35アミノ酸長以上の連続配列を含まないことを意味する。結果として、本発明のペプチドは、HBVタンパク質の34アミノ酸長を超える断片を含まないことになる。従って、本発明に係るペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む本発明のポリヌクレオチドもまた、HBVタンパク質の34アミノ酸長を超える断片を含むペプチドはコードしないであろうことが理解されるべきである。
【0094】
更なる態様において、本発明は、
- 本明細書に記載されるとおりの本発明に係るペプチド又は本明細書に記載されるとおりの本発明に係るポリヌクレオチド、及び
- 薬学的に許容可能な担体
を含み、
任意選択でアジュバントを更に含む免疫原性組成物に関する。
【0095】
ポリヌクレオチドベースのワクチン接種に好適な方法については、例えば、Trimble et al.2015 Lancet 386:2078;Kranz et al.2016 Nature 534:396;国際公開第2011015656A2号パンフレット;Kratzer,et al.2018 AASLD,The Liver Meeting 2018,abstract #426;国際公開第2017080920号パンフレット;及びBoni et al.2019 Int J Mol Sci 20(11):2754に記載されている。
【0096】
更なる態様において、本発明は、本発明に係るポリヌクレオチドを含む組換えウイルスに関する。
【0097】
本発明で使用される免疫原性組成物は、好ましくはヒト対象への投与用であり、従ってそれに好適であるように製剤化される。好ましくは、投与は非経口、例えば、静脈内、皮下、筋肉内、真皮内、皮内及び/又は腫瘍内投与であり、即ち注射による。
【0098】
免疫原性組成物は、好ましくは化学的に安定しており、即ち、組成物中のペプチドは化学的に劣化せず、又は分解しない。従って、好ましくは、溶液又は液体組成物を室温で少なくとも約0.5、1、1.5、2又は少なくとも3時間貯蔵した後に、その溶液及び/又は組成物中にある未劣化、未分解及び/又は未反応のペプチドの量は、その当初と比較して重量基準で少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は更には100%である。化学安定性は、当該技術分野において公知の任意の好適な技術を用いて、例えば本明細書に例示されるとおりUPLC/MSを用いて評価することができる。UPLC/MSを用いるとき、室温で少なくとも約0.5、1、1.5、2又は少なくとも3時間貯蔵した後にUVスペクトル上で所望のペプチド産物に相当しない%ピーク面積の合計が、その当初と比較して多くても20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、又は0%である場合に、溶液/組成物は化学的に安定していると定義される。
【0099】
免疫原性組成物は、好ましくはまた、物理的にも安定しており、即ち、組成物中のペプチドは沈殿せず、又は再分散しない。物理的安定性は、当該技術分野において公知の任意の好適な技術を用いて、例えば目視検査によるか、又は本明細書に例示されるとおりMalvern Mastersizerを使用した粒子分布(ここで平均粒径はD(0.5)単位で表される)によって評価することができる。本明細書に例示されるとおり物理的安定性の評価にMalvern Mastersizerを用いるとき、室温で少なくとも約0.5、1、1.5、2又は少なくとも3時間貯蔵した後の平均D(0.5)の増加が、その当初(即ち、調製後そのままの調製したての溶液)と比較して多くても50%、40%、30%、20%、10%又は5%である場合に、溶液/組成物は物理的に安定していると定義される。好ましくは、室温で3時間貯蔵した後の平均D(0.5)の増加が、その当初と比較して多くても50%、40%、30%、20%、10%又は5%、好ましくは多くても20%である場合に、溶液/組成物は物理的に安定していると定義される。
【0100】
一実施形態において、免疫原性組成物は、一緒に投与されることになる乾燥又は凍結乾燥ペプチドの混合物を含むか、又はそれからなる。
【0101】
本発明で使用される免疫原性組成物は、任意の好適な方法によって調製されてもよい。一部の実施形態において、1つ又は複数の免疫原性組成物は、乾燥、好ましくは凍結乾燥ペプチドから調製される。
【0102】
例えば、本組成物は、以下のステップ:
a)乾燥、好ましくは凍結乾燥ペプチドを含むバイアルを提供するステップ;
b)好ましくは約5~30分間、ペプチドを解凍するステップ;
c)ペプチドを含むバイアルに再構成組成物を、好ましくはバイアルを回すことなく加えるステップ;
d)好ましくは約0.5~5分間、混和させておくステップ;及び
e)好ましくは約1~3分間、澄明な溶液が得られるまで回すステップ
を含む方法によって調製されてもよい。
【0103】
好ましくは、ステップb)~e)は室温で実施される。
【0104】
好ましくは、前記バイアルは、予防及び/又は治療方法、好ましくは本明細書に定義するとおりの治療及び/又は予防方法における単回容積としての注射量、即ち、単回医薬投薬量単位、又は対象の体の異なる部位に実質的に同じ時点で複数注射する場合には、その一部のペプチドを含む。
【0105】
一実施形態において、ステップc)の再構成組成物は、DMSO及び/又は注射用水を含むか、又はそれからなる。別の実施形態において、ペプチドの再構成方法のステップc)の再構成組成物は、約60~80%v/vの有機酸含有水溶液、約5~10%v/vのプロピレングリコール(CAS番号57-55-6)、約10~20%v/vの低級アルコール及び約5~10%v/vの非イオン性親水性界面活性剤を含むか、又はそれからなる。一実施形態において、有機酸はクエン酸であり、クエン酸は、水溶液中に約0.05~0.1Mの濃度で存在する。一実施形態において、低級アルコールはエタノールである。一実施形態において、非イオン性親水性界面活性剤は、
a.モノ、ジ又はトリグリセリド、好ましくはエトキシ化トリグリセリドであり、及び/又は
b.親水性親油性バランス(HLB)値9~14を有する。更なる実施形態において、非イオン性親水性界面活性剤は、エトキシ化ヒマシ油、好ましくはポリオキシエチレングリセロールトリリシノール酸35(CAS番号61791-12-6)である。
【0106】
一実施形態において、本組成物は、約75%v/vの約0.1Mクエン酸含有水溶液、約6.25%v/vのプロピレングリコール(CAS番号57-55-6)、約12.5%v/vのエタノール及び約6.25%v/vのポリオキシエチレングリセロールトリリシノール酸35(CAS番号61791-12-6)を含むか、又はそれからなる。
【0107】
好ましくは、ステップc)における再構成組成物の量は、約0.5~2mLの範囲、好ましくは1mLである。好ましくは、ステップ(a)において再構成されるペプチドの量は、ステップe)の後に得られるとおりの、即ち、ステップe)の後に得られる澄明な溶液中にある再構成ペプチドの総量である。
【0108】
一実施形態において、再構成された組成物は、約1~2mg/mLのペプチド、0.038Mのクエン酸、約3.13%v/vのプロピレングリコール(CAS番号57-55-6)、約6.25%v/vのエタノール、約3.13%v/vのポリオキシエチレングリセロールトリリシノール酸35(CAS番号61791-12-6)及び約50%の油系アジュバント、好ましくはMontanide ISA 51 VG(Seppic)を水中に含むか、又はそれからなる。
【0109】
乾燥ペプチドは、更なる構成成分を含まないペプチドであり得るが、トリフルオロ酢酸(TFA)などの緩衝液成分、ナトリウム塩、カリウム塩又はリン酸塩などの塩(例えば、NaCl、KCl及びNaPO)を含むこともある。更なる構成成分の量は、再構成されることになる乾燥ペプチドの総重量の好ましくは30%未満、より好ましくは25%未満である。再構成されることになる乾燥ペプチドは、限定はされないが、回転蒸発、凍結乾燥(フリーズドライ)及び噴霧乾燥などのプロセスによって入手し得るとおりの、物理的に乾燥した状態であり得る。
【0110】
アジュバント
一実施形態において、本発明の組成物はアジュバントを更に含み、又は本発明に係る治療若しくは使用は、アジュバントの投与を更に含む。用語「アジュバント」は、本明細書では、免疫増強効果のある、対象への投与時に抗原に対する免疫応答を亢進させ、誘導し、引き出し、及び/又は調節するために抗原と共投与されるか、又はそれに加えられるか、又はそれと共製剤化される物質を指して使用される。一実施形態において、アジュバントは、再構成されることになる1つ又は複数のペプチドに共有結合的に連結されるなど、物理的に連結される。
【0111】
一実施形態において、アジュバントは乳化アジュバントである。例えば、一実施形態において、アジュバントは油系アジュバントである。油系アジュバントを使用すると、エマルション(例えば、油中水型又は水中油型エマルション)を形成することができ、当該技術分野では、免疫応答を亢進させて、それを誘導することが認められている。好ましくは油系アジュバントは鉱油系アジュバントである。油系アジュバントの非限定的な例は、バイオ系油アジュバント(植物油/魚油等をベースとする)、スクアレン系アジュバント(例えばMF59)、Syntexアジュバント製剤(SAF;Lidgate,Deborah M,Preparation of the Syntex Adjuvant Formulation(SAF,SAF-m,and SAF-1),In:Vaccine Adjuvants,Volume 42 of the series Methods in Molecular MedicineTM p229-237,ISSN1543-1894)、フロイント完全アジュバント(FCA)、フロイント不完全アジュバント(FIA)、ピーナッツ油をベースとするアジュバント(例えば、Adjuvant 65)、Lipovant(Byars,N.E.,Allison,A.C.,1990.Immunologic adjuvants:general properties,advantages,and limitations.In:Zola,H.(Ed.),Laboratory Methods in Immunology.p39-51)、ASO4(A.Tagliabue,R.Rappuoli Vaccine adjuvants:the dream becomes real Hum.Vaccine,4(5),2008,p347-349)、精製スクアレン及び高度に精製したモノオレイン酸マンニドで乳化したスクアレンをベースとするMontanideアジュバント(例えば、Montanide ISA 25 VG、28 VG、35 VG、50 V、50 V2、51 VG、61 VG、70 VG、70 M VG、71 VG、720 VG、760 VG、763 A VG、775 VG、780 VG、201 VG、206 VG、207 VG)である。より好ましくは、油系アジュバントは、Drakeol VRとモノオレイン酸マンニドとの混合物であるMontanide ISA 51VG(Seppic)である。
【0112】
他の好適なアジュバントは、樹状細胞など、抗原提示細胞を活性化するアジュバントである。例えば、かかるアジュバントは、Toll様受容体を介し、及び/又はRIG-I(レチノイン酸誘導性遺伝子-1)タンパク質を介し、及び/又はエンドセリン受容体を介し得る。自然免疫系を活性化する能力を有する免疫修飾化合物は、TLR1~10を含め、トール様受容体(TLR)を介して特に良好に活性化され得る。TLR受容体を活性化する能力を有する化合物並びにその修飾体及び誘導体については、当該技術分野で十分に裏付けられている。TLR1は、細菌リポタンパク質及びそのアセチル化形態によって活性化させることができ、TLR2は、加えて、グラム陽性菌の糖脂質、LPS、LPA、LTA、線毛、外膜タンパク質、細菌由来又は宿主由来の熱ショックタンパク質、及びマイコバクテリアのリポアラビノマンナンによって活性化させることができる。TLR3は、dsRNA、詳細にはウイルス起源のdsRNAによるか、又は化学的化合物ポリ(I:C)によって活性化させることができる。TLR4は、グラム陰性LPS、LTA、宿主由来又は細菌起源由来の熱ショックタンパク質、ウイルス外被又はエンベロープタンパク質、タキソール又はその誘導体、ヒアルロナン含有オリゴ糖及びフィブロネクチンによって活性化させることができる。TLR5は、細菌の鞭毛又はフラジェリンで活性化させることができる。TLR6は、マイコバクテリアのリポタンパク質及びB群ストレプトコッカス属(Staphylococcus)の易熱性可溶性因子(GBS-F)又はスタフィロコッカス属(Staphylococcus)のモジュリンによって活性化させることができる。TLR7は、イミキモド、レシキモドなどのイミダゾキノリン類及びイミキモド又はレシキモドの誘導体(例えば3M-052)によって活性化させることができる。TLR9は、非メチル化CpG DNA又はクロマチン-IgG複合体によって活性化させることができる。特に好ましいアジュバントは、限定はされないが、dsRNAを含む合成的に作製された化合物、ポリ(I:C)、ポリI:CLC、非メチル化CpG DNA(TLR3及びTLR9受容体を惹起する)、IC31、TLR9アゴニスト、IMSAVAC、TLR4アゴニスト、Montanide ISA-51、Montanide ISA 720(Seppic、仏国によって生産されるアジュバント)を含む。RIG-Iタンパク質は、まさにTLR3のように、ds-RNAによって活性化されることが公知である(Kato et al,(2005)Immunity,1:19-28)。
【0113】
更なる特に好ましいTLRリガンドは、pam3cys及び/又はその誘導体、好ましくはpam3cysリポペプチド又はその変異体若しくは誘導体、好ましくは国際公開第2013051936A1号パンフレットに記載されるものなど、より好ましくはU-Pam12又はU-Pam14又はAMPLIVANT(登録商標)である。Pam3cys及び/又はその誘導体は、任意選択で、1つ又は複数のペプチド抗原と共有結合的に連結されてもよい。
【0114】
更なる好ましいアジュバントは、環状ジヌクレオチド(CDN)、ムラミルジペプチド(MDP)及びポリICLCである。好ましい実施形態において、本発明のアジュバントは、国際公開第2013051936A1号パンフレットに記載されるとおりのpam3cysリポペプチド誘導体など、ポリICLC、イミキモド、レシキモド又はその誘導体などのイミダゾキノリン、天然に存在しない配列を有するCpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG-ODN)、及びペプチドをベースとするアジュバント、例えば、天然に存在しないアミノ酸を含むムラミルジペプチド(MDP)又は破傷風トキソイドペプチドなど、天然に存在しないアジュバントである。
【0115】
更に、1018 ISS、アルミニウム塩、Amplivax、AS 15、BCG、CP-870,893、CpG7909、CyaA、dSLIM、GM-CSF、IC30、IC31、ImuFact EV1P321、IS Patch、ISS、ISCOMATRIX、Juvlmmune、リポプレックス、リポソーム、LipoVac、MF59、モノホスホリルリピドA、Montanide IMS 1312、ナノ粒子(アジュバントが組み込まれたナノ粒子など)、OK-432、OM-174、OM-197-MP-EC、ONTAK、PepTel(登録商標)、ベクター系、PLGAマイクロパーティクル、SRL172、ビロソーム及び他のウイルス様粒子、Pam3Cys-GDPKHPKSF、YF-17D、VEGF trap、R848、βグルカン、AquilaのQS21スティミュロン、バジメザン、AsA404(DMXAA)、STING(IFN遺伝子の刺激物質)アゴニスト(例えばc-ジ-GMP VacciGrade(商標))、PCI、NKT(ナチュラルキラーT細胞)アゴニスト(例えば、α-ガラクトシルセラミド又はα-GalCer、RNAdjuvant(登録商標)(Curevac)、レチノイン酸誘導性タンパク質Iリガンド(例えば3pRNA又は5’-三リン酸RNA)からなる群から選択されるアジュバントが好ましい。
【0116】
治療及び使用方法
本発明の免疫原性ペプチド、本発明のポリヌクレオチド、本発明の組換えウイルス及び本発明の免疫原性組成物は、慢性HBV感染症などのHBV感染症の治療及び/又はHBV関連疾患の治療に使用することができる。
【0117】
本発明の免疫原性ペプチド、ポリヌクレオチド及び免疫原性組成物を使用して治療される疾患の例としては、限定なしに、慢性B型肝炎感染症などのB型肝炎感染症、B型肝炎関連肝硬変及びB型肝炎関連肝細胞癌が挙げられる。
【0118】
従って、更なる態様において、本発明は、医薬としての使用のための本発明に係るペプチド、本発明に係るポリヌクレオチド又は本発明に係る免疫原性組成物に関する。
【0119】
更なる態様において、本発明は、HBV関連疾患の治療又は予防における使用のための本発明に係るペプチド、本発明に係るポリヌクレオチド又は本発明に係る免疫原性組成物に関する。
【0120】
更なる態様において、本発明は、HBV関連疾患の治療又は予防方法であって、それを必要としているヒト対象への、本発明に係る免疫原性ペプチド、本発明に係るポリヌクレオチド又は本発明に係る免疫原性組成物の投与ステップを含む方法に関する。
【0121】
好ましくは、投与は、静脈内、皮下、又は筋肉内であるが、粘膜投与又は真皮内及び/又は皮内投与、例えば注射によるなど、他の投与経路も想定することができる。
【0122】
好ましくは、1つ又は複数の免疫原性組成物の投与は、ロングペプチドに含まれるHLAクラスI分子によって提示される少なくとも1つのHLA結合ペプチド配列に対する細胞傷害性CD8+ T細胞応答を誘導する。より好ましくは、1つ又は複数の免疫原性組成物の投与は、細胞傷害性CD8+ T細胞応答を、1つ又は複数の免疫原性組成物に含まれるHLAクラスII分子によって提示されるHLA結合ペプチド配列に対するヘルパーCD4+ T細胞応答と併せて誘導する。好ましくは、投与は、
- 少なくとも1週間治療した後の、ELISpot若しくはELISAアッセイ又は関連する好適な技法によるか、又はCD4+又はCD8+ T細胞のHLA多量体染色によって確立されるとおりの、免疫系の活性化若しくは誘導及び/又は末梢血中若しくは組織中における抗原特異的活性化CD4+及び/又はCD8+ T細胞の増加、又はフローサイトメトリーにおけるCD4+及びCD8+ T細胞の細胞内サイトカイン染色又はそれへのサイトカイン捕捉によって確立されるとおりの、これらのT細胞によって産生されるサイトカインの増加;及び/又は
- 抗原関連感染の増殖の阻害又は抗原発現細胞の検出可能な減少又は抗原発現細胞の細胞生存率の低下;及び/又は
- 抗原発現細胞の細胞死の誘導又は誘導増加;及び/又は
- 抗原発現細胞の阻害又はその増加の防止;及び/又は
- ウイルス負荷量の減少(疾患の前癌期);及び/又は
- 基準病変サイズの減少;及び/又は
- 基準腫瘍サイズの減少;及び/又は
- 生存率(例えば、PFS、OS)の上昇
によって好ましくは検出可能なとおりの、対象におけるHBV関連感染症又は疾患の予防、部分的除去及び/又は治療又は完全除去のための投与である。
【0123】
組み合わせ
一部の実施形態において、治療は、本発明の免疫原性ペプチド、ポリヌクレオチド又は組換えウイルスを更なる免疫原性ペプチド、ポリヌクレオチド又は組換えウイルスと組み合わせた投与を含む。例えば、治療は、3、4、5、6、7、8又はそれ以上など、2つ以上の免疫原性ペプチドの投与を含み得る。
【0124】
2つ以上のペプチドは、全てが1つの免疫原性組成物中に含まれてもよく、又は複数のペプチドが2つ以上の組成物に分けられてもよい。ペプチドが2つ以上の組成物に分けられる場合、それらの組成物は投与前に混合され、ひいては共投与されてもよく、又はそれらは別々に投与されてもよい。典型的には、全ての組成物、ひいては複数のペプチド中の全てのペプチドが、24時間という時間枠の中で、好ましくは4、2又は1時間以内に対象に投与されることになる。
【0125】
2つ以上の組成物が投与される場合、投与は同じ部位、例えば同じ肢、又は2ヵ所以上の異なる部位であってもよい。治療の経過中、1つ又は複数の組成物の投与は1回行われてもよく、又はそれに代えて、限定はされないが2回又は3回など、後に繰り返されてもよい(ブーストされてもよい)。
【0126】
好ましい実施形態において、本治療方法はロングペプチドの組み合わせを含み、ここで前記ロングペプチドの組み合わせは、治療しようとするヒト対象の集団中で優勢なHLAアレルによってコードされるHLAクラスI分子の少なくとも70%、80%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%への結合能を有するHLA結合ペプチド配列を含む。本発明に係るロングペプチドにおける好ましいHLAクラスI HLA結合ペプチド配列は、HLAクラスIアレルスーパータイプクラスHLA-A*01、HLA-A*02、HLA-A*03、HLA-A*24、HLA-B*07、HLA-B*08、HLA-B*27、HLA-B*44、HLA-B*58、HLA-B*62、及びHLAスーパータイプA*01の組み合わせ、HLA-A*01/A*03及びHLA-A*01/A*24並びにこれらのそれぞれのサブタイプ(Sidney et al 2008 BMC Immunology 9)、好ましくはHLA-A0101;HLA-A0201;HLA-A0206;HLA-A0301;HLA-A1101;HLA-A2301;HLA-A2402;HLA-A2501;HLA-A2601;HLA-A2902;HLA-A3001;HLA-A3002;HLA-A3101;HLA-A3201;HLA-A3303;HLA-A6801;HLA-A6802;HLA-A7401;HLA-B0702;HLA-B0801;HLA-B1301;HLA-B1302;HLA-B1402;HLA-B1501;HLA-B1502;HLA-B1525;HLA-B1801;HLA-B2702;HLA-B2705;HLA-B3501;HLA-B3503;HLA-B3701;HLA-B3801;HLA-B3901;HLA-B4001;HLA-B4002;HLA-B4402;HLA-B4403;HLA-B4601;HLA-B4801;HLA-B4901;HLA-B5001;HLA-B5101;HLA-B5201;HLA-B5301;HLA-B5501;HLA-B5601;HLA-B5701;HLA-B5801及びHLA-B5802への結合能を有するHLA結合ペプチド配列である。好ましい実施形態において、本治療方法はロングペプチドの組み合わせを含み、ここで前記ロングペプチドの組み合わせは、治療しようとするヒト対象の集団中で優勢なHLAアレルによってコードされるHLAクラスIの少なくとも70%、80%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%への結合能を有するHLA結合ペプチド配列、及びHLAクラスII分子の少なくとも20%、30%、40%、42%、44%、45%、46%、47%、48%、49%又は50%への結合能を有するHLA結合ペプチド配列を含む。
【0127】
好ましい実施形態において、本発明で使用されるロングペプチドは、治療しようとするヒト対象の集団において優勢なHLAアレルによってコードされるHLAクラスI分子に対して結合親和性、好ましくは少なくとも中程度の結合親和性、より好ましくは高い結合親和性を示し、且つ細胞傷害性CD8+ T細胞応答を引き出すHLA結合ペプチド配列を含む。好ましくは、本発明で使用されるロングペプチドは、以下からなるHLAクラスI分子群の少なくとも1つのHLAクラスI分子に対して結合親和性、好ましくは少なくとも中程度の結合親和性、より好ましくは高い結合親和性を示すHLA結合ペプチド配列を含む:
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】
【0128】
記載されるとおり、治療は、本発明の抗原の2つ以上の投与を含み得る。一実施形態において、本発明は、HBV関連疾患の治療又は予防方法であって、ヒト対象への
- 請求項1a)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1b)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1a)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1c)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1a)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1d)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1a)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1e)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1a)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1f)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1a)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1g)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1a)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1h)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1a)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1i)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1a)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1j)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1a)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1k)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1a)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1l)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1a)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1m)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1b)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1c)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1b)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1d)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1b)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1e)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1b)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1f)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1b)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1g)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1b)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1h)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1b)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1i)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1b)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1j)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1b)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1k)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1b)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1l)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1b)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1m)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1c)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1d)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1c)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1e)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1c)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1f)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1c)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1g)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1c)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1h)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1c)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1i)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1c)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1j)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1c)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1k)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1c)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1l)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1c)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1m)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1d)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1e)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1d)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1f)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1d)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1g)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1d)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1h)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1d)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1i)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1d)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1j)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1d)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1k)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1d)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1l)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1d)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1m)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1e)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1f)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1e)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1g)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1e)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1h)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1e)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1i)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1e)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1j)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1e)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1k)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1e)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1l)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1e)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1m)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1f)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1g)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1f)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1h)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1f)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1i)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1f)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1j)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1f)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1k)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1f)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1l)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1f)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1m)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1g)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1h)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1g)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1i)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1g)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1j)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1g)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1k)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1g)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1l)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1g)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1m)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1h)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1i)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1h)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1j)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1h)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1k)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1h)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1l)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1h)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1m)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1i)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1j)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1i)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1k)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1i)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1l)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1i)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1m)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1j)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1k)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1j)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1l)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1j)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1m)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1k)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1l)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1k)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1m)に記載されるとおりのペプチド、又は
- 請求項1l)に記載されるとおりのペプチド及び請求項1m)に記載されるとおりのペプチド又は
- 上述のペプチドの組み合わせのいずれか1つをコードする配列を含む1つ又は2つのポリヌクレオチド
の投与を含む方法を提供する。
【0129】
好ましくは、免疫原性組成物は、医薬用量を成す量のペプチドを含むか、又はそれからなる。医薬用量とは、本明細書では、所与の時点で対象に適用される活性成分の量(即ち、ペプチドベースの免疫原性組成物中にあるペプチドの総量)として定義される。医薬用量は、単回容積、即ち単回注射で対象に適用されてもよく、又は好ましくは身体の異なる位置、例えば右肢と左肢とに適用される2、3、4、5又はそれ以上の分割容積で適用されてもよい。単回医薬用量を分割容積で適用する理由は、負の副作用を回避すること、抗原競合を回避すること、及び/又は組成分析上の考慮事項など、複数あり得る。
【0130】
医薬用量は、有効量又は有効量の一部であり得る。「有効量」とは、本明細書では、未治療の患者と比べて疾患(例えば、慢性感染症、前癌病態及び/又は癌)の症状を予防し及び/又は低減するのに必要な活性成分の量又は用量と理解されるべきである。疾患又は病態の予防的及び/又は治療的処置のための本発明の実施に使用される1つ又は複数の活性化合物の有効量は、投与方法、対象の年齢、体重、及び全般的な健康に応じて変わる。最終的には、担当の医師又は獣医師が、適切な量及び投薬量レジメンを決断することになる。かかる量が、「有効」量と称される。この有効量はまた、治療しようとする対象において有効な細胞性T細胞応答、又はより好ましくは有効な全身性の細胞性T細胞応答を誘導することが可能な量であってもよい。
【0131】
好ましくは、特定の時点における単回又は頻回のいずれかの注射又は投与での医薬用量、即ち所与の時点で対象に適用されるペプチドの総量は、約0.1マイクログラム、0.5マイクログラム、1マイクログラム、5マイクログラム、10マイクログラム、15マイクログラム、20マイクログラム、30マイクログラム、40マイクログラム、50マイクログラム、60マイクログラム、70マイクログラム、80マイクログラム、90マイクログラム、100マイクログラム、150マイクログラム、200マイクログラム、250マイクログラム、300マイクログラム、350マイクログラム、400マイクログラム、450マイクログラム、500マイクログラム、650マイクログラム、700マイクログラム、750マイクログラム、800マイクログラム、850マイクログラム、900マイクログラム、1mg、1.1mg、1.2mg、1.3mg、1.4mg、1.5mg、1.6mg、1.7mg、1.8mg、1.9mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、5.5mg、6mg、6.5mg、7mg、7.5mg、8mg、8.5mg、9mg、9.5mg、10mg、15mg又は約20mgなど、0.1マイクログラム~20mgの範囲又は間にある任意の値の量のペプチドを含む。医薬用量の好ましい範囲は、0.1マイクログラム~20mg、1マイクログラム~10mg、10マイクログラム~5mg、0.5mg~2mg、0.5mg~10mg又は1mg~5mg又は2~4mgである。
【0132】
一実施形態において、本発明で使用される免疫原性組成物は、1マイクログラム~300マイクログラム、例えば、約100マイクログラムなど、50マイクログラム~150マイクログラムの各ペプチドの用量で投与される。
【0133】
本発明の方法は、他の形態のHBV治療との組み合わせ療法の一部であってもよく、この他方の治療は、別個の治療として提供されてもよく、又は本発明の免疫原性組成物に加えられてもよい。本発明の方法は、ウイルス複製を阻害する薬物(例えば、エンテカビル、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルアラフェナミドを含むヌクレオシド又はヌクレオチド類似体)、及び/又は細胞へのHBVの侵入を防ぐ薬物(例えば、ミルクルデックス)、及び/又はウイルスタンパク質産生を阻害する薬物(例えば、siRNA、shRNA、CRISPR/CAS9をベースとするもの)及び/又は免疫応答を調節する薬物(例えば、PEG-インターフェロンα)、自然免疫応答を活性化させる薬物(例えば、αGalCer)及び/又はワクチンによって誘導される免疫応答を補助するB型肝炎免疫グロブリン(HBIG)及び/又はHBsAg特異的抗体を誘導するHBV予防ワクチン、及び/又は肝切除術又は肝移植及び腫瘍アブレーション療法(例えば、経内皮的塞栓術、高周波アブレーション)及び/又はVEGFR及び/又はキナーゼを阻害する薬物及び/又は免疫チェックポイント分子を阻害又は遮断する薬物(例えば、A2AR(アデノシンA2A受容体)、B7-H3/CD276、B7-H4/VTCN1、BTLA/CD272、CTLA-4/CD152、IDO(インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ)、KIR(キラー細胞免疫グロブリン様受容体)、LAG3(リンパ球活性化遺伝子-3)、NOX2(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸NADPHオキシダーゼアイソフォーム2)、PD-1(プログラム死1)、PD-L1、TIM-3(T細胞免疫グロブリンドメイン及びムチンドメイン3)、VISTA(T細胞活性化のV-ドメインIgサップレッサー)、SIGLEC7/CD328及びSIGLEC9/CD329、NKG2A及び/又は刺激チェックポイント分子を刺激する薬物(例えば、選ばれた腫瘍壊死因子(TNF)受容体スーパーファミリーメンバー(例えば、CD27、CD40、CD122、4-1BB/CD137、OX-40/CD134及びGITR(グルココルチコイド誘導性TNFRファミリー関連))、CD28及びICOS/CD278)、免疫抑制性サイトカイン(例えば、IL-10、TGF-β及びIL-6)及び/又はγCサイトカイン(例えば、IL-7、IL-15、及びIL-21又はIL-2)、サリドマイド及び/又はその誘導体、更なる免疫調節薬(例えば、免疫抑制性Treg及び/又はMDSCを枯渇させることが公知の化合物))と組み合わされてもよい。))
【0134】
一実施形態において、本発明の1つ又は複数の免疫原性ペプチド又は組成物は、以下のステップ
(i)HBV感染患者に抗ウイルス(例えばNA)治療を与えてウイルス負荷量を減少させるステップ、
(ii)ウイルス負荷量が大幅に(例えば、2、5又は10分の1未満に)減少したところで、本発明の1つ又は複数の免疫原性ペプチド又は組成物を(好ましくは皮内又は皮下に)投与するステップ、及び
(iii)患者に初期T細胞応答が起こるのに十分な時間が経過したところで(例えば、免疫原性組成物の最終回投与から2~16週間後、即ち2~12週間後、例えば2~8週間後など)、任意選択の免疫モニタリング(例えば、末梢及び肝内T細胞の特徴付け、詳細には、例えばIFNγ ELISpot分析又は抗原特異的T細胞増殖及び/又はFACSベースの抗原特異的T細胞の表現型タイピングによる、本発明の組成物の1つ又は複数の免疫原性ペプチドの投与に対するワクチン特異的T細胞応答の決定。任意選択で、目的の非ワクチン抗原及び無関係の対照微生物抗原に対するT細胞応答の決定を伴う)を実施して、ワクチンによって好適なT細胞応答が誘発されたかどうかを評価するステップ(例えば、Rivino et al.(2018)J Clin Invest 128:668を参照)を含む治療レジメンにおいて、ヌクレオシド/ヌクレオチド類似体(NA)などの抗ウイルス性化合物と組み合わされてもよい。続いて、ウイルス抗原提示を増加させて、ひいてはインサイチューでHBV特異的T細胞を更にブーストするために、及び感染ヘパトサイトを免疫系に曝露して(即ち、ヘパトサイトHBVタンパク質発現及び抗原提示を増加させることによる)、残る感染ヘパトサイトの除去を促進するために、抗ウイルス治療を中断又は中止する。T細胞エフェクター機能を更に向上させるため、任意選択で治療ワクチン接種を、抑制性骨髄細胞(MDSC)を標的化する薬物(治療ワクチン接種前に与えられる)、siRNA(治療ワクチン接種前)、T細胞代謝を修飾する薬物(治療ワクチン接種前又は接種中)又はチェックポイント遮断(治療ワクチン接種中又は接種後)と組み合わせることができる。好ましくはウイルス負荷量の十分なモニタリングを行うことにより、ワクチンの有効性を判定してフォローアップ(組み合わせ)療法を決定し、及び/又はNAを中止する。図8は、この実施形態に係る治療レジメンの非限定的な図解を提供する。この治療レジメンは、治療指針に従い抗ウイルス治療を受けることが推奨される患者に特に好適である。ワクチン接種前の抗ウイルス治療は、ウイルス負荷が持続的だが低量の感染患者には必ずしも必要でないこともある。かかる患者は、いつでも所与の時点で治療ワクチン接種を受けるのに適格であり、患者に初期T細胞応答が起こるのに十分な時間が経過したとき、任意選択の免疫モニタリングを実施して、ワクチンによって好適なT細胞応答が誘発されたかどうかを評価する。T細胞エフェクター機能を更に向上させるため、任意選択で治療ワクチン接種を、抑制性骨髄細胞(MDSC)を標的化する薬物(治療ワクチン接種前に与えられる)、siRNA(治療ワクチン接種前)、T細胞代謝を修飾する薬物(治療ワクチン接種前又は接種中)又はチェックポイント遮断(治療ワクチン接種中又は接種後)と組み合わせることができる。好ましくはウイルス負荷量の十分なモニタリングを行うことにより、ワクチン有効性を判定し、フォローアップ(組み合わせ)療法を決定する。
【0135】
更なる態様において、免疫原性ペプチド又は組成物は、エキソビボ免疫化レジメンで使用されてもよい。エキソビボ免疫化レジメンでは、本ペプチド又は組成物は、抗原を負荷した活性化樹状細胞(DC)など、抗原を負荷した抗原提示細胞(APC)の作成、及び続く抗原特異的T細胞(例えばCD4及びCD8陽性循環T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL))の拡大の刺激に使用されてもよい。かかる抗原を負荷したAPC又は拡大した抗原特異的T細胞は、続いてヒト対象に投与される。
【0136】
従って、更なる態様において、本発明は、抗原を負荷した活性化抗原提示細胞又は拡大した抗原特異的T細胞のエキソビボ刺激における使用のための、本発明に係るペプチド又は配列番号1~配列番号26からなる群から選択される配列を含むペプチドに関する。
【0137】
同様に、別の実施形態において、本発明の方法は、抗原を負荷した活性化抗原提示細胞(APC)又は拡大した抗原特異的T細胞の集団によってヒト対象を治療することを含み、ここで前記細胞は、本明細書に記載される1つ又は複数の免疫原性組成物を使用してエキソビボで(即ち、体外で)作成されたものである。これは、例えば、患者のPBMCを培養して自家性の活性化APC(例えばDC)を作成し、免疫原性組成物を負荷し(即ち、抗原を負荷したAPC)、続いてPBMCから得られたT細胞又は腫瘍浸潤リンパ球を刺激し、拡大することにより行われてもよい。或いは、抗原特異的T細胞は、免疫原性組成物を負荷した、HLA対応健常ドナーのPBMCから培養した活性化APCと共にインキュベートすることによって拡大してもよい。好適な技法については、当該技術分野において、例えば、McCormack et al.(2018)Cytotherapy 20:385;Stevanovic et al.(2015)J Clin Oncol 33:1543;及びStevanovic et al.(2018)Clin Cancer Res,doi:10.1158/1078-0432に記載されている。
【0138】
更なる実施形態において、活性化抗原提示細胞(APC)又は拡大した抗原特異的T細胞の集団による治療が、本明細書に記載される免疫原性組成物によるヒト対象の直接の免疫化と組み合わされる。かかる組み合わせたプロトコルは、逐次投与及び/又は同時投与を含み得る。
【0139】
本明細書に引用される全ての特許及び参考文献は、本明細書によって全体として参照により援用される。
【実施例
【0140】
実施例1:HBV-X及びHBVポリメラーゼのコンセンサス配列並びに機能ドメインとのアラインメント
HBVdb V42.0(Hayer et al,2013 Nucleic Acid Res 41:566)から、HBV-X(n=8127)及びHBVポリメラーゼ(n=7489)についての全ての遺伝子型のHBV配列に基づき頻度表をダウンロードした。ギャップ(「-」によって指示する)の頻度が最も高い位置を削除した後、各位置で優勢なアミノ酸を決定した。優勢なアミノ酸を含む配列の割合を保存スコアとして計算した。
【0141】
HBVポリメラーゼについての全ての優勢なアミノ酸を組み合わせると、コンセンサス配列(配列番号28):
【化7】

に至る。
【0142】
HBV-Xについての得られたコンセンサス配列は、(配列番号30):
【化8】

と決定した。
【0143】
加えて、単独又は組み合わせで以前にウイルス複製の喪失と関連付けられたアミノ酸をコンセンサス配列とアラインメントした(図1及び図2)。HBV-Xと比較してPolの方が、機能的に関連性のあるアミノ酸が多かった。従って、Polについてウイルス持続性の50%以上の喪失という追加的な閾値を導入して、最も不可欠なアミノ酸を選択した。表1及び表2に、機能ドメイン及びアミノ酸に関する参考文献を掲示する。
【0144】
【表1】
【0145】
【表2】


【0146】
実施例2:HBV-x及びHBVポリメラーゼに由来する新規HLAクラスI結合ペプチドの予想
本発明者らは、白人、アフリカ人又はアジア人によく見られるとともに、結合を確認するインビトロアッセイを随意に用いることのできる6つのHLAスーパータイプ(即ち、スーパータイプHLA-A*01;A*02;A*03;A*24;B*07;B*08)のうちの少なくとも1つに結合できる新規ペプチドの同定に着手した。本発明者らは、初めに、スーパータイプを代表するHLAタイプについて、確立されたインシリコ予測ツールNetMHCpan(Nielsen and Andreatta 2016,Genome Med 8:33)を用いて8~14アミノ酸にわたる結合体を予想することにより、予想される結合体の頻度分布を作成した(図1及び図2、灰色の棒図表)。アミノ酸毎の予想される全ての結合体の密度は、PolとHBxとの間で同様であった(平均値±SD Pol 16.36±12.62、HBx 15.60±9.49;マン・ホイットニー;p=0.57)。続いて、関連性のあるエピトープに相当する可能性は9~11merが最も高いため(Trolle et al.2016 J Immunol 196:1480)、9~11アミノ酸にわたる予想結合体を、実施例1に記載される保存及び機能の概要を描く本発明者らのマップとアラインメントした(図1及び図2)。
【0147】
この予想から、合計でHBxについて251個及びPolについて1655個の新規HLA結合体候補が生じた。これらのうち、本発明者らは、紫外線誘発性ペプチド交換をベースとするインビトロHLA結合アッセイ(Toebes et al.2006 Nat Med 12:246)で結合を検証するために最も有望なペプチドを選択した。実作業上の理由及び経済的理由から、本発明者らは、両方のタンパク質について各種HLAタイプにわたる96個のユニークなペプチド配列の結合を試験することを目指した。本発明者らは、十分な記載がある2つのエピトープ(コア18~27及びPol 549~557)を含めて、本発明者らの新規に同定された結合体の結合能をコンテクストに入れた。これらの96個の結合体候補は、ペプチド長さ(9merが好ましい)、予想されるHLA結合強度、含まれるアミノ酸の保存及び機能的重要性に基づき選択した。96個の結合体候補全てについて、全ての判定基準が常に満たされるとは限らなかった。HLA-A*01及びHLA-A*24については、HBxに対する予想結合体が、保存及びペプチド長さに関する本発明者らの厳しい閾値を維持するには不満足な数しかなかった。従ってこれらの条件については、本発明者らはまた、幾らか保存性の低いペプチド又は8~12アミノ酸にわたるペプチドも含めた(図3にアスタリスクで指示される、実施例3を参照のこと)。加えて、本発明者らは、文献にエピトープとして報告されることがほとんどない(1回又は2回)、従って確立されていないものと見なされる幾つかのペプチドを選択した(図3:実線の下線、実施例3を参照のこと)。c123-130は、HLA-B*08に関連してHepitopesに登録されている唯一のHBV由来エピトープであったため、これにはc123-130を含めた。更に、この選択手順全体を通じて、幾つかのHLAタイプに結合すると予想されたペプチドを優先し、合計113個の一組の結合体候補を試験するに至った。全体では、この選択手順により、インビトロ結合アッセイで検証するためのHBxについて45個及びPolについて68個の結合体候補が得られた。これらの大多数は、機能的重要性が確立されている高度に保存された領域にマッピングされた。選択されたペプチド間での保存中央値は、HBxについて93%を上回り、更にPolに至っては96%を上回った。
【0148】
実施例3:HBx及びポリメラーゼに由来する選択されたペプチドのインビトロ結合能
3.1 方法
以前記載されているとおりのインビトロ結合アッセイにおいて(Karimzadeh et al.2018 J Virol 92:e01891)、選択されたHLA結合体候補の合成ペプチド(Peptide 2.0 Inc)を使用した。端的には、指示されるペプチド(50μM)の存在下又は非存在下で、条件付きペプチド-HLA複合体(pHLA)(0.53μM)を366nm紫外線ランプ(Camag)を使用して長波長紫外線に30分間曝露することにより、ペプチド交換反応を実施した。続いて、交換反応混合物中のペプチド安定化HLAクラスI複合体のβ-2ミクログロブリンを検出するHLAクラスI酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて、ペプチド交換効率を分析した。この目的で、ストレプトアビジン(2μg/ml)をポリスチレン製マイクロタイターウェル(Nunc MaxiSorp)に結合させた。洗浄及びブロッキング後、交換反応混合物中に存在するHLA複合体又は対照をマイクロタイタープレート上のストレプトアビジンによってそのビオチン化重鎖で捕捉した(37℃で1時間のインキュベーション)。洗浄によって未結合の材料を除去した。続いて、ヒトβ-2-ミクログロブリンに対する西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲート抗体(0.6μg/ml;Sanquin Reagents B.V.)を加えた(37℃で1時間のインキュベーション)。未結合のHRPコンジュゲートを洗浄によって除去した後、ABTS[2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)ジアンモニウム塩](Sanquin Reagents B.V.)基質溶液をウェルに加えた。8分(室温でインキュベーション)経った後に、2%(w/v)シュウ酸二水和物停止液(Sanquin Reagents B.V.)を加えることによって反応を停止させて、Thermo Electron Multiskan Ascent ELISAリーダーにおいて414nmで読み取った。各ペプチドにつき独立して2回交換した。このHLAクラスI ELISAでは、全ての交換混合物をデュプリケートで測定した。全てのペプチドの吸光度を、各対応するアレルに高親和性を有する既知のHLAアレル特異的リガンドの吸光度(100%に相当する;表3)で正規化した。陰性対照には、HLAアレル特異的非結合体及びレスキューペプチドの非存在下の条件付きHLAクラスI複合体の紫外線照射を含めた。
【0149】
【表3】
【0150】
3.2 結果
第3.1節に記載されるとおりのプレートベースのインビトロ結合アッセイにおいて、選択のペプチドの結合能を試験した。ペプチドは、その結合能が既知の高親和性ペプチドの25%より高いとき、HLA結合体に分類した。多くのHBV感染症患者がアジア人であり、この集団では、白人で保有率が高いスーパータイプ代表例HLA-A*03:01と比較して、HLA-A*11:01の保有率が高いため(Chang et al 2013 Eur J Immunol 43:1109)、HLA-A*11:01及びHLA-A*03:01は両方とも、HLA-A*03スーパータイプのメンバーとして試験した。
【0151】
本発明者らは、各種HLAスーパータイプにわたるHBxについて13個及びPolについて33個の結合体を同定した(図3の灰色のバー)。これには、以前に別のHLAタイプのコンテクストで記載されている新規結合体が含まれた(図3A図3Gの破線の下線及び図3H)。注目すべきことに、試験した各HLAスーパータイプについて、HBx由来及びPol由来の両方の結合体が同定された。HLA-A*02については、十分に確立されたエピトープc18-27及びp549-557が陽性対照よりもむしろ良いスコアであった(図3B)。対照的に、報告されることがほとんどないエピトープ(図3:実線の下線)の結合は、必ずしも確認できるとは限らなかった。
【0152】
概して、予想された結合体のうち閾値を上回る結合能を有したのは事実上3分の1に過ぎなかったため、この結合予想はかなり悪いことが分かった。強く結合すると予想された(インシリコ予想で低い順位スコアの)多くのペプチドが、インビトロアッセイでは閾値を上回る結合を示さなかった(図4)。
【0153】
表4は、各HLAタイプについて試験したペプチドの予想スコア(順位)をアッセイ結果(結合%)と比較する。
【0154】
【表4】






【0155】
実施例4:選択されたHLA結合ペプチドの免疫原性
4.1 方法
インビトロHLA結合アッセイでスコアが25%より高い結合のペプチドについて、免疫原性を評価した。簡潔に言えば、以前にHBVが解消したことがある9ドナーのバフィーコートから、PBMCをFicoll(GE Healthcare)密度遠心法によって分離した。バフィーコートは、地域の血液バンクによって、対応する2桁のHLAタイプと共に提供された。9ドナーのうち7ドナーで、グローバルスクリーニングアレイ(GSA)(Illumina through Human Genomics Facility Erasmus MC Rotterdam)を用いて4桁のHLAタイピングを実施した(表5)。
【0156】
【表5】
【0157】
全てのドナーが、書面によるインフォームドコンセントを提出した。10μg/ml/ペプチドのHLAの一致に基づく最大5個の目的のペプチドのペプチドプールの存在下に、IMDM(Lonza)+2%ヒト血清(Sanquin)+50IU/ml hIL-2(Miltenyi)でPBMCを培養した。14日後、200,000細胞を目的のペプチドによって10μg/ml/ペプチドとして37℃で48時間、トリプリケートで再刺激した。続いて再刺激の上清をhIFNγ ELISA(BioLegend)において製造者の指示に従い使用した。Infinite 200Pro ELISAリーダーを使用して、プレートを450nm波長で読み取った。製造者によって提供されるhIFNγ標準物質を使用して別個のELISAで定量化したc18-27による以前に成功した再刺激に由来する上清を使用したバックグラウンド減算後のOD値(トリプリケートの平均値)から、hIFNγレベルを計算した。OD平均値が少なくともDMSO対照の平均値+2×SDであるHLA結合体を定量化した。
【0158】
4.2 結果
続いて、HBx由来及びPol由来結合体の免疫原性を確認できるかどうかを試験した。以前にHBV感染が解消したことがある供血ドナーからのPBMCをペプチドプールの存在下で2週間拡大し、続いて第4.1節に記載されるとおり単回ペプチド再刺激及びIFNγ ELISAを行った。予想どおり、十分に確立されたエピトープc18-27及びp549-557に応答したIFNγ産生が検出された(図5B)。IFNγ産生量には極めて大きいばらつきがあり、概して一部のドナーの応答が他と比べて良好であるように見えた(図5)。全体として、本発明者らは、5個の完全に新規のHBx由来ペプチド及び17個の新規Pol由来ペプチドに対する応答を観察した。加えて、本発明者らは、記載されたことがほとんどない1個のHBx由来エピトープ及び3個のPol由来エピトープに応答したIFNγ産生を観察したが、これらの応答はいずれも、あまり高くなかった(図5;実線の下線)。重要なことに、4個の更なるPol由来エピトープが、それらのエピトープが以前に記載されたHLAタイプに関して陰性のドナーにおいて応答を引き出しており(図5;破線の下線及び表3)、これらのペプチド配列が、複数のHLAタイプのエピトープであることが示唆される。6個のPol由来及び7個のHBx由来HLA結合体に対しては、試験したドナーのいずれにおいても計測可能な応答はなかったが(図5;灰色の囲み)、これは、ドナー数の少なさに起因する可能性があった。従って、将来、更なるドナーを試験すれば、これらのHLA結合体の免疫原性が確認される可能性もある。
【0159】
実施例5:
5.1 方法
特許請求されるペプチド断片がヒトのセッティングで免疫原性かどうかを評価するため、エピトープペプチド配列の1つ以上を含有する7つのSLPを設計し、製造し、過去にHBV感染を除去している15例の異なるドナーからのPBMC試料を使用して試験した。
【0160】
7つのSLPの設計は、1)HBVポリメラーゼ遺伝子型配列の天然に存在するHBV-X、2)一般的な合成原理、中でも特に本明細書において上記に記載される原理に基づいた、且つ大規模な現実のペプチド合成収量の集合で訓練されるインシリコ機械学習アルゴリズムを用いて予想される製造適合性が高い、及び3)エピトープペプチド配列(表6を参照のこと)の1つ以上を含んでいることに基づいた。SLPの好ましい長さは25AAに設定した。必要と見なされる場合、確立されたペプチド合成経験に基づいた予想される製造適合性の悪さを考慮して、対応するHBV-X又はHBVポリメラーゼ配列に沿った隣接領域を含めることにより、製造適合性を高めた。長さ25AAのSLPが6個得られ、26AAのSLPが1個得られる。
【0161】
確立された方法に従い、個々のSLP(表6)を固相Fmoc/Bu化学を用いて合成し、切断カクテルで処理し、HPLCによって精製し、UPLC-MSによって分析した。固相ペプチド合成(SPPS)の試薬及び溶媒は全て、Merck、Sigma Aldrich、Actu-All、Bachem及びBiosolve、GL Biochemから購入し、受領時のまま使用した。ペプチド合成はTetrasペプチドシンセサイザー(Advanced ChemTech)で実施した。樹脂を乾燥させて、冷却し、トリフルオロ酢酸(TFA)ベースの切断カクテルで処理した。樹脂のろ過後、反応混合物を室温で振盪した。続いて、ペプチドをエーテルベースの溶液中に沈殿させて、遠心し、上清を除去した。固体の沈殿物をエーテルベースの溶液に再懸濁し、遠心し、上清を除去した。得られたペレットをアセトニトリル(ACN)及びTFA含有又は酢酸含有のHOベースの混合物中に溶解し、一晩凍結乾燥した。HO中TFA及びACN中TFA又はHO中TFA及びtert-ブタノール含有ACN中TFAの溶媒系に基づくHPLCによる精製後、選択された精製画分をプールし、一晩凍結乾燥した。高純度ペプチドのアイデンティティ及び純度をUPLC-MSにより決定した。使用前、SLPを2mMの濃度に達するように10%DMSO及び90%HO中に再構成した。
【0162】
IFNγ ELISpotアッセイを用いて、SLPが24時間の刺激後にPBMCによるIFNγ産生を誘導する能力を試験した。手短に言えば、以前にHBV感染を除去している15例のHLAタイプ決定済みドナーのバフィーコートから(Sanquin血液バンク)、PBMCを密度勾配遠心法によって分離した。10uM SLP又は等価なDMSO対照の存在下に、IFNγ捕捉抗体(5ug/ml、Mab-1-D1K、Mabtech)をコートしたPVDFプレート(MSIPS4510、Millipore)でPBMCを培養した。細胞を4レプリケートウェルに、各ウェルIMDM+8%ヒト血清中200,000細胞の密度で播種した。20~24時間インキュベートした後、IFNγ検出抗体(0.3ug/ml、Mab-7-B6-1-ビオチン、Mabtech)を加え、続いてストレプトアビジン-ALP(1ug/ml、Mabtech)を加えた。BCIP/NBT-plus基質(100ul/ウェル、Mabtech)を加えることによりスポットの発色を実施し、CTL Immunospot S6 Ultimateアナライザー(Immunospot)でスポットをカウントした。4レプリケートウェルからのスポット形成単位(SFU)の数を足し合わせ、4レプリケートDMSO対照ウェルの累積スポット数を減算した。
【0163】
5.2 結果
SLPがIFNγ産生応答を誘導する能力を試験するため、15例のHBV解消者(revolver)からのPBMCでIFNγ ELISpotアッセイを実施した。これらのドナーは過去にHBV感染が解消したことがあり、従ってHBV特異的T細胞応答を有するものと思われる。ポリメラーゼ及びHBxの両方に由来する全てのSLPが、IFNγ応答の誘導能を有した(図6)。
【0164】
【表6】
【0165】
実施例6.新規SLPはインビトロでHBV解消者及び慢性HBV患者からの白血球の機能性CD8+及びCD4+ T細胞応答をブーストすることができる
6.1 方法
新規SLPの機能ブースター能力を拡大実験で試験した。端的には、以前にHBVを除去した健常ドナーに由来するバフィーコート(n=6)又はErasmus Medical Center Rotterdamの外来患者診療所に来院した慢性HBV患者の血液(n=5)のいずれかからPBMCを分離した。SLPプール(3uMの各SLP)の存在下に、IMDM(Lonza)+2%ヒト血清(Sanquin)でPBMCを14日間培養した。2日後、培養物に50IU/ml IL-2を加え、これを14日目まで週3回繰り返した。14日後、各ウェル200,000細胞を個々のSLP(10uMの各SLP)又は媒体対照としてのDMSOによって4レプリケートで再刺激した。22時間後、上清を回収してサイトカイン分析にかけ、細胞をフローサイトメトリー分析に使用した。細胞をプールし、以下のパネル;eBiosciencesからのCD3(SK7)及びCD8(RPA-T8)、BDからのCD4(SK3)、BioLegendからのCD69(FN50)及びCD107a(H4A3)及びInvitrogenからのLIVE/DEADグリーンによって暗所下4℃で30分間染色し、BD FACSCanto機器で捕捉し、FlowJo v10(BD)を用いて分析した。対応するマーカーについてのDMSO対照で観察された発現率を減算することにより、マーカー発現率を決定した。培養上清中の分泌されたサイトカインをLuminex技術を用いて決定した。サイトカインはThermoFisherのカスタムProcartaプレートで分析し、MAGPIX機器(Merck Millipore)を使用して分析した。標準物質を使用して、分泌されたサイトカインの量を計算した。計算値から平均値(DMSO及び無関係のペプチド)+2×SD(DMSO及び無関係のペプチド)を減算することにより、バックグラウンド減算を実施した。
【0166】
6.2 結果
ワクチン接種を模倣するインビトロ拡大実験が示すところによれば、4つの新規SLP(SLP1、SLP2、SLP4及びSLP6)はいずれも、インビトロでHBV解消者(rHBV1-6)及び慢性HBV患者(cHBV1-5)からの白血球において、これらのSLPの各々が少なくとも1例のドナーで応答を惹起したとおり、機能性CD8+及びCD4+ T細胞応答をブーストすることが可能である。両方の細胞型でSLPに応答してCD69の存在が増加したことにより、T細胞活性化が実証された(図7)。細胞傷害性薬剤が新しく分泌されたことを指示する、CD8+ T細胞がSLPに応答してCD107aを提示したという事実により、及びT細胞エフェクター機能に必須のI型T細胞サイトカインIFNγ及びTNFαの存在により、このドナーT細胞の拡大及び活性化がまた機能性T細胞も生み出したことが実証された。
図1
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図2-5】
図2-6】
図2-7】
図2-8】
図3-1】
図3-2】
図4
図5-1】
図5-2】
図6
図7
図8
【配列表】
2023505304000001.app
【国際調査報告】