(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(54)【発明の名称】電気ケーブルの編組位置決めクリップ
(51)【国際特許分類】
H01R 9/05 20060101AFI20230201BHJP
H01R 13/6581 20110101ALI20230201BHJP
【FI】
H01R9/05 Z
H01R13/6581
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534386
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(85)【翻訳文提出日】2022-07-13
(86)【国際出願番号】 IB2020061762
(87)【国際公開番号】W WO2021116974
(87)【国際公開日】2021-06-17
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518345815
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ソリューソンズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】スワンガー,ネイサン ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】シュロール,ニール,フランクリン
【テーマコード(参考)】
5E021
5E077
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FB11
5E021FC19
5E021LA09
5E021LA21
5E077BB06
5E077BB22
5E077DD15
5E077JJ17
(57)【要約】
ケーブル(12)の端部を終端させるためのケーブルアセンブリ(10)および方法である。ケーブルアセンブリ(10)は、ケーブル(12)の端部でケーブルジャケット(14)に固定されたフェルール(30)を備える。ケーブル(12)は、ケーブル(12)の端部から、フェルール(30)に位置決めされた内部コネクタ(50)の一部へ延びる編組シールド(16)も有する。ケーブル(12)の端部とフェルール(30)に位置決めされた内部コネクタ(50)の一部の端部との間に、移行領域(62)が設けられている。編組位置決めクリップ(60)が、移行領域(62)において編組シールド(60)に係合して、編組シールド(60)と信号導体(20、22)との関係を維持し、ケーブル(12)の電気的性能の低下を最小限に抑える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブル(12)の端部を終端させるためのケーブルアセンブリ(10)であって、
前記ケーブル(12)の前記端部でケーブルジャケット(14)に固定されたフェルール(30)と、
内部コネクタ(34)を有する外殻(32、34)であって、前記内部コネクタ(34)の一部が前記フェルール(30)に位置決めされている外殻(32、34)と、
前記内部コネクタ(34)に位置決めされた内部ハウジング(50)であって、前記ケーブル(12)の前記端部から延びる個々の信号導体(20、22)と協働する内部ハウジング(50)と
を備え、
前記ケーブル(12)は、前記ケーブル(12)の前記端部から前記内部ハウジング(50)へ延びる前記個々の信号導体(20、22)と、前記ケーブル(12)の前記端部から、前記フェルール(30)に位置決めされた前記内部コネクタ(34)の前記一部へ延びる編組シールド(16)とを有し、
前記ケーブルアセンブリ(10)は、
前記ケーブル(12)の前記端部と前記フェルール(30)に位置決めされた前記内部コネクタ(34)の前記一部(42)の端部との間に設けられた移行領域(62)と、
前記移行領域(62)において前記編組シールド(16)に係合して、前記編組シールド(16)と前記信号導体(20、22)との関係を維持し、前記ケーブル(12)の電気的性能の低下を最小限に抑える編組位置決めクリップ(60)と
を備える、ケーブルアセンブリ。
【請求項2】
前記編組位置決めクリップ(60)は、円弧部(68)と直線部とを有する、請求項1に記載のケーブルアセンブリ(10)。
【請求項3】
前記編組位置決めクリップ(60)は、2つの円弧部(68)と、前記円弧部(68)の間に延びる直線部(70)とを有する、請求項1に記載のケーブルアセンブリ(10)。
【請求項4】
前記円弧部(68)は自由端(72)を有し、前記自由端(72)は、一列に位置決めされるが互いに離間している、請求項3に記載のケーブルアセンブリ(10)。
【請求項5】
スロット(74)が前記自由端(72)の間に設けられている、請求項4に記載のケーブルアセンブリ(10)。
【請求項6】
前記円弧部(68)は自由端(72)を有し、前記自由端(72)は異なる平面に位置決めされている、請求項3に記載のケーブルアセンブリ(10)。
【請求項7】
前記編組位置決めクリップ(60)は弾性変形可能である、請求項1に記載のケーブルアセンブリ(10)。
【請求項8】
前記編組位置決めクリップ(60)はC字形構成である、請求項7に記載のケーブルアセンブリ(10)。
【請求項9】
前記編組位置決めクリップ(60)は金属から形成されている、請求項7に記載のケーブルアセンブリ(10)。
【請求項10】
前記編組位置決めクリップ(60)はプラスチックから形成されている、請求項7に記載のケーブルアセンブリ(10)。
【請求項11】
前記編組位置決めクリップ(60)の内面(76)が、前記編組シールド(16)を前記信号導体(20、22)に対して封じ込めるまたは圧縮するような寸法であり、前記編組位置決めクリップ(60)は、前記編組シールド(16)を前記信号導体(20、22)に近接して維持することができる、請求項7に記載のケーブルアセンブリ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ケーブルの編組位置決めクリップに関する。特に、本発明は、電気ケーブルの編組と協働して、信号導体との編組関係を保持するクリップに関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波(RF)ケーブルなどの高速ケーブルをコネクタに終端させるプロセスにおいて、多くの電気的および機械的考慮事項がある。一般的な高速ケーブルは、外部ジャケット、編組(接地基準用)、箔、誘電体、および内部信号導体から構成されている。接地基準用の編組を接続することは、常に機械的性能および電気的性能の両方に関する難題である。機械的接続が難しいだけでなく、編組圧着領域を通して電気的性能を維持しようとすると、問題が生じることもある。圧着プロセスは、通常、フェルールなどの機械部品の使用を伴う。フェルールを編組、箔、および内部コネクタ上に圧着するときに、コネクタが終わる移行領域がある。この領域で、編組と箔とが「束ねられ」(get “bunched” up)、電気的性能が低下することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決すべき課題は、箔と編組を「束ねること」(“bunching” up)をなくし、それにより、編組と信号導体との適切な関係を維持して、ケーブルの電気的性能の低下を最小限に抑えるデバイスまたはクリップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、ケーブルの端部を終端させるためのケーブルアセンブリであって、ケーブルの端部でケーブルジャケットに固定されたフェルールを含むケーブルアセンブリによって解決される。外殻が内部コネクタを有し、内部コネクタの一部がフェルールに位置決めされている。内部ハウジングが内部コネクタに位置決めされている。内部ハウジングは、ケーブルの端部から延びる個々の信号導体と協働する。ケーブルは、ケーブルの端部から内部ハウジングへ延びる個々の信号導体を有する。ケーブルは、ケーブルの端部から、フェルールに位置決めされた内部コネクタの一部へ延びる編組シールドも有する。ケーブルの端部とフェルールに位置決めされた内部コネクタの一部の端部との間に、移行領域が設けられている。
編組位置決めクリップは、移行領域において編組シールドに係合して、編組シールドと信号導体との関係を維持し、ケーブルの電気的性能の低下を最小限に抑える。
【0005】
以下で、添付図面を参照しながら、本発明について例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】例示的なケーブルに位置決めされた例示的な電気コネクタの側面図である。
【
図2】移行領域においてケーブルの編組に接触する本発明のクリップを示す、
図1の線2-2に沿った断面図である。
【
図3】移行領域においてケーブルの編組に接触する本発明のクリップを示す、
図1の線3-3に沿った拡大断面図である。
【
図4】本発明のクリップの例示的な実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1~
図3に示すように、電気コネクタアセンブリ10は、ケーブル12に電気的および機械的に接続される。ケーブル12は、記憶デバイス、スイッチ、ルータ、プリント回路基板(PCB)、アナログデジタル変換器、コネクタ、および他のデバイス間でデータを転送することができる。様々な実施形態において、ケーブル12は、100Mbps以上のデータ転送速度をサポートすることができる。いくつかの実施形態において、ケーブル12は、約4.25Gbps~約25Gbpsのデータ転送速度をサポートすることができる。ケーブル12はまた、これらの例示的な速度を上回るまたは下回るデータ転送速度で使用されてもよい。
図3に示すように、ケーブル12は、ケーブルジャケット14と、編組シールド16と、金属化箔18と、2つの中心導体20、22とを有する。
導体20、22は互いに離間し、本質的に互いに平行に延びている。導体20、22は、限定されないが、編組銅シールドなどの編組金属シールド16によって囲まれている。中心導体20、22は、個々の誘電体24、26によって囲まれていてもよい。
【0008】
図2に示すように、ケーブル12の端部は、ケーブルジャケット14を取り除いて編組シールド16および導体20、22を露出させている。圧着フェルール30が、ケーブル12の端部に近接して設けられている。
【0009】
電気コネクタアセンブリ10は、第1の金属外殻32と第2の金属外殻34とを有する。第1の金属外殻32は、相手側コネクタ受入部36と第2の金属外殻受入部38とを有する。第2の金属外殻34は、第1の金属外殻受入部40と導体受入部42とを有する。
【0010】
誘電体ハウジング50が、電気コネクタアセンブリ10に位置決めされている。ハウジング50は、誘電体材料から形成されている。
図2に示すように、ハウジング50は、嵌合端部52と、反対側を向く導体受入端部54とを有する。誘電体リブ56が、誘電体ハウジング50の導体受入端部54から、嵌合端部52から離れる方向に延びている。リブ56は、ハウジング50の長手方向軸58に本質的に平行な方向に延びている。
【0011】
リブ56は、導体受入端部54から第2の金属外殻34の導体受入部42内に延びている。リブ56と第2の金属外殻34とは、導体受入通路(図示せず)を形成する。
【0012】
図2~
図4に示すように、編組位置決めクリップまたはコーム60が、ケーブル12の端部に近接して設けられている。編組位置決めクリップ60は、ケーブルジャケット14の端部64と第2の金属外殻34の導体受入部42の端部66との間の移行領域62に位置決めされている。例示的な編組位置決めクリップまたはコーム60は、内面76を有するC字形である。位置決めクリップ60は、2つの湾曲部または円弧部68と、円弧部68の間に延びる直線部70とを有する。円弧部68の各々は自由端72を有し、この自由端72は、他方の円弧部68の自由端72と一列にまたは同一平面に位置決めされるが、その自由端72から離間している。代替実施形態において、自由端72は、互いに一列に位置決めされないように、異なる平面に位置決めされてもよい。スロットまたは開口部74が、自由端72の間に設けられている。
【0013】
図示の例示的な実施形態において、編組位置決めクリップ60は、弾性特性を有する材料から形成されている。編組位置決めクリップ60は、金属、プラスチック、または所望の特性を有する任意の他の材料から形成されてよい。円弧部68および直線部70は、編組位置決めクリップ60が
図2および
図3に示す位置に移動するにつれて、弾性変形してもよい。より完全に説明するように、編組位置決めクリップ60が適切に位置決めされた状態で、円弧部68および直線部70は、応力を受けない位置に向かって弾性的に戻ることができる。
【0014】
編組位置決めクリップ60はC字形部材として示されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、編組位置決めクリップ60は他の構成を有していてもよい。加えて、編組位置決めクリップ60は、弾性特性を有する材料ではなく、例えば圧着によって変形し得る材料から形成されてもよい。
【0015】
使用中、ケーブル12は、前述したように、ケーブルジャケット14を取り除いて編組シールド16および導体20、22を露出させるように準備される。ケーブル12を準備する前または後に、圧着フェルール30がケーブルの端部に装着され、最初はケーブルの端部から離れて位置決めされる。圧着フェルール30がケーブル12の端部に適切に装着され、ケーブル12が適切に準備された状態で、コネクタアセンブリ10は
図1および
図2に示す位置に移動する。この位置で、導体20、22は、リブ56と第2の金属外殻34の導体受入部42との間の導体受入通路に位置決めされている。導体受入通路における導体20、22は、互いに略平行かつ略同一平面に延びている。第2の金属外殻34が導体20、22を囲んでいるので、導体20、22は保護されて、導体20、22の損傷を防止し、それにより、導体20、22およびそれにより提供される信号経路の完全性を維持する。
【0016】
この位置で、編組シールド16および金属化箔18は、第2の金属外殻34の導体受入部42の外面78上に延びている。編組位置決めクリップ60は、移行領域62において編組シールド16および金属化箔18上に位置決めされ、編組シールド16および金属化箔18を導体20、22に近接して保持する。
【0017】
編組位置決めクリップ60は、特に移行領域62において、編組シールド16および金属化箔18と信号導体20、22との関係を封じ込めて維持するのに役立つ。編組位置決めクリップ60の内面76は、編組シールド16および金属化箔18を導体20、22に対して封じ込めるまたは圧縮するような寸法である。その結果、編組位置決めクリップ60は、移行領域62において編組シールド16および金属化箔18に装着されるので、編組シールド16および金属化箔18は内部信号導体20、22に近接して維持され、それにより、移行領域62において編組シールド16と金属化箔18とを束ねること(bunching)をなくす。図示の例示的な実施形態において、編組位置決めクリップ60は、編組シールド16および金属化箔18と導体20、22との関係を、ばね作用を介して維持する。
しかしながら、他の例示的な実施形態において、編組位置決めクリップ60は、他の方法または手段によって、編組シールド16および金属化箔18を導体20、22に対して保持する。例えば、編組位置決めクリップ60は、編組シールド16および金属化箔18を導体20、22に対して適切に保持するように圧着されてもよく、またはさらに別の圧着プロセスがあってもよい。編組位置決めクリップ60が編組シールド16および金属化箔18と内部信号導体20、22との関係を維持するので、ケーブルの電気的性能の低下が最小限に抑えられ、それにより、電気的性能が向上する。
【0018】
編組位置決めクリップ60が適切に位置決めされた状態で、圧着フェルール30は、次に、
図2に示す位置に移動する。圧着フェルール30の第1の部分80が、コネクタアセンブリ10の第2の金属外殻34の導体受入部42に圧着されている。これにより、編組シールド16および金属化箔18が、第2の金属外殻34の導体受入部42の外面78に機械的および電気的に係合して配置され、ケーブルの編組シールド16および金属化箔18とコネクタアセンブリ10の第2の金属外殻34との連続した電気的接続を提供する。圧着フェルール30の第2の部分82が、ケーブル12のケーブルジャケット14に圧着され、これらの間に機械的接続を提供する。圧着フェルール30は、電気コネクタアセンブリ10をケーブル12に固定する。
【0019】
前述したように、ケーブルをケーブルアセンブリに終端させる方法は、ケーブルの端部のケーブルジャケットを取り除いて信号導体および編組シールドを露出させることと、信号導体を導電性外殻内に位置決めすることと、編組シールドを導電性外殻に電気的に係合させて位置決めすることとであって、外殻が内部コネクタを有し、内部コネクタの一部がフェルールに位置決めされる、位置決めすることと、編組位置決めクリップを、ケーブルの端部と導電性外殻との間の移行領域に位置決めすることと、移行領域において編組シールドと信号導体との関係を維持して、ケーブルの電気的性能の低下を最小限に抑えることとを含む。
【国際調査報告】