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特表2023-505332高電流保護を備えた無指向性水平偏波アンテナ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(54)【発明の名称】高電流保護を備えた無指向性水平偏波アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/10 20060101AFI20230201BHJP
   H01Q 21/24 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
H01Q13/10
H01Q21/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534415
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(85)【翻訳文提出日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 EP2020085469
(87)【国際公開番号】W WO2021116265
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】01582/19
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522224999
【氏名又は名称】フーバー プラス スーナー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グロゴウスキ、ラファウ
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA10
5J021AB05
5J021CA01
5J021FA32
5J021HA10
5J021JA05
5J045AA12
5J045AA22
5J045DA06
5J045FA02
5J045JA03
5J045MA07
5J045NA01
(57)【要約】
本開示は、水平偏波のビバルディタイプの第1のアンテナ(5)を備えるアンテナアセンブリ(1)に関する。第1のアンテナ(5)は、ラジエータ中心(8)の周りに分布して配置されているいくつかのテーパスロット(7)を備える花形の輪郭を有している、水平面(xy)に延びる水平偏波の第1のラジエータ(6)を備える。第1のラジエータ(6)は、ラジエータ中心(8)に対して外向き方向に水平(xy)に延びている。垂直方向(z)で、ラジエータは特定の厚さ(t)だけ延びている。ベースプレート(9)が、ラジエータ(6)の下の特定の距離に配置され、少なくとも1つのポスト(10)によってラジエータ(6)に相互接続されている。電力分配器(11)およびテーパスロット(7)ごとの給電スタブ(12)が、無線信号を第1のラジエータ(6)に結合するために第1のラジエータ(6)に相互接続され、ベースプレート(9)と第1のラジエータ(6)との間に配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナアセンブリ(1)であって、
a.ラジエータ中心(8)の周りに分布して配置されているいくつかのテーパスロット(7)を備えて花形の輪郭を有し且つ水平面(xy)に延びる水平偏波の第1のラジエータ(6)を備えていて前記テーパスロット(7)が
i.前記ラジエータ中心(8)に対して外向き方向に水平(xy)に延びていて
ii.特定の厚さ(t)だけ前記水平面(xy)に対して垂直(z)に延びている、
ビバルディタイプの水平偏波の第1のアンテナ(5)と、
b.前記第1のラジエータ(6)の下の特定の距離に配置され、少なくとも1つのポスト(10)によって前記第1のラジエータ(6)に相互接続されているベースプレート(9)と、
c.無線信号を前記第1のラジエータ(6)に結合するために前記第1のラジエータ(6)に相互接続されていて、前記ベースプレート(9)と前記第1のラジエータ(6)との間に配置されている、電力分配器(11)およびテーパスロット(7)ごとの給電スタブ(12)と、
を備えるアンテナアセンブリ(1)。
【請求項2】
前記第1のラジエータ(6)が固体金属から作られている、請求項1記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項3】
前記第1のラジエータ(6)が本質的に板状である、請求項1または2記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項4】
前記第1のラジエータ(6)が無指向性に設計されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項5】
前記いくつかのテーパスロット(7)が、前記ラジエータ中心(8)の周りに均等に分布して配置されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項6】
前記テーパスロット(7)が、前記ラジエータ中心(8)に対して半径方向の外向き方向に配置されている、請求項1~5のいずれか1項に記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項7】
前記電力分配器(11)および前記給電スタブ(12)が、プリント回路基板(13)上に少なくとも1つの導電体(19)として配置されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項8】
前記電力分配器(11)および前記給電スタブ(12)が、前記第1のラジエータ(6)の底部に取り付けられている、請求項1~7のいずれか1項に記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項9】
前記電力分配器(11)が、前記第1のラジエータ(6)の前記ラジエータ中心(8)から始まっていくつかの分岐(18)を含む星状の設計を有し、前記給電スタブ(12)が、各分岐(18)の外端から前方に曲げられ、各給電スタブ(12)からの結合距離に配置されているテーパスロット(7)を横切って延びている、請求項1~8のいずれか1項に記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのポスト(10)が、線路軌道のカテナリー線路から高電流を受けるのに適した前記第1のラジエータ(6)に電気的に相互接続されている、請求項1~9のいずれか1項に記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項11】
給電ケーブル(14)が、少なくとも部分的に前記第1のラジエータ(6)を通って延びている、請求項1~10のいずれか1項に記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項12】
前記給電ケーブル(14)が、少なくとも部分的に前記第1のラジエータ(6)の溝(15)に配置されている、請求項11記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項13】
給電ケーブル(14)が、少なくとも部分的に前記少なくとも1つのポスト(10)を通って延びている、請求項1~12のいずれか1項に記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項14】
前記給電ケーブル(14)が、少なくとも部分的に前記第1のラジエータ(6)に配置されたコネクタ(16)によって前記電力分配器(11)に相互接続されている、請求項11~13のいずれか1項に記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項15】
前記コネクタ(16)が前記ラジエータ中心(8)に配置されている、請求項14記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項16】
前記ベースプレート(9)が中空スペース(22)を包含する、請求項1~15のいずれか1項に記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項17】
少なくとも1つの無指向性の垂直偏波の第2のラジエータ(21)を有する無指向性垂直偏波の第2のアンテナ(20)を備える、請求項1~16のいずれか1項に記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項18】
前記第2のラジエータ(21)がカップ状である、請求項17記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項19】
前記第2のラジエータ(21)が、前記第1のラジエータ(6)の垂直方向で上および/または下に、および/または、前記第1のラジエータ(6)の水平方向で隣に配置されている、請求項17または18記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項20】
前記第2のラジエータ(21)が、前記第1のラジエータ(6)と同じベースプレート(9)上に配置されている、請求項17~19のいずれか1項に記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項21】
前記第1のアンテナ(5)および前記第2のアンテナ(20)が、ラットレースハイブリッドカプラおよび/またはマジックティーハイブリッドカプラによって互いに相互接続されている、請求項17~20のいずれか1項に記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項22】
アンテナアセンブリ(1)であって、
無指向性水平偏波の第1のアンテナ(5)および無指向性垂直偏波の第2のアンテナ(20)を備え、
前記第1のアンテナ(5)および前記第2のアンテナ(20)が、第1の信号入力(25)と第2の信号入力(26)と第1の信号出力(27)と第2の信号出力(28)とを含むマイクロ波装置(24)によって互いに相互接続されており、
a.前記マイクロ波装置(24)が、
i.前記第1の信号入力(25)によって受信される第1の信号を、前記第1の信号出力(27)と前記第2の信号出力(28)との間で等しく同位相で分割し、且つ、
ii.前記第2の信号入力(26)によって受信される第2の信号を、前記第1の信号出力(27)と前記第2の信号出力(28)との間で、等しくではあるが逆位相(すなわち、位相不一致、180度の位相差)で分割し、
b.前記マイクロ波装置(24)が相反しているため、前記第1の信号出力(27)と前記第2の信号出力(28)を出ている信号が、前記第1の信号入力(25)において同位相で、前記第2の信号入力(26)において逆位相で、加えられる、
という特性を前記マイクロ波装置が有する、アンテナアセンブリ(1)。
【請求項23】
前記第1の信号入力(25)および前記第2の信号入力(26)が、互いに分離されている、請求項22記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項24】
前記マイクロ波装置(24)が、ラットレースハイブリッドカプラおよび/またはマジックティーハイブリッドカプラである、請求項22または23記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項25】
前記第1のラジエータ(6)が、前記中心(8)に対して放射方向に配置された二次スロット(38)を備えるリーフ(17)を備える、請求項1~24のいずれか1項に記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項26】
前記第2のアンテナ(20)の前記垂直偏波の第2のラジエータ(21)が、前記第1のアンテナ(5)の前記第1のラジエータ(6)のグランド区画内に少なくとも部分的に配置されている、請求項17~25のいずれか1項に記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項27】
前記第1のラジエータ(6)が、前記第2のラジエータ(21)が配置されている凹部(39)を含む、請求項26記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項28】
前記凹部(39)は、前記第2のラジエータ(21)が前記第1のラジエータ(6)から一定の距離だけ離間されるように設計されている、請求項27記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項29】
前記水平偏波の第1のアンテナ(5)がインピーダンス変換器(30)を備える、請求項1~28のいずれか1項に記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項30】
前記インピーダンス変換器(30)がクロプフェンシュタイン変換器として設計されている、請求項29記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項31】
前記インピーダンス変換器(30)が、前記第1のラジエータ(6)のくぼみ(33)の内側に配置されている、請求項29または30記載のアンテナアセンブリ(1)。
【請求項32】
GPSアンテナモジュール(40)が前記第1のラジエータ(6)のくぼみに配置されている、請求項1~31のいずれか1項に記載のアンテナアセンブリ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電流保護を提供する無指向性水平偏波アンテナおよび二重傾斜(dual-slant)無指向性アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
高電流保護および無指向性放射パターンを備えた列車用途のアンテナは先行技術から知られている。このような解決策の例は国際公開第2007/048258号に記載されている。代替の解決策も米国特許出願公開第2017/0207539号明細書に示されている。これらのアンテナはすべて、垂直偏波を備える1つまたは複数の放射素子を有しており、場合によっては、システムにGPS受信アンテナが補充される。
【0003】
二重偏波ラジエータを使用することでMIMOシステムに有意な恩恵をもたらすことができることは周知である。2つの典型的な解決策は、垂直偏波と水平偏波のラジエータを組み合わせて使用することか、または二重傾斜構成を使用することである。二重偏波指向性ラジエータを有することは最先端の技術であり、これらに対する異なる解決策が存在する。
【0004】
二重偏波無指向性ラジエータに関して、回転対称性ゆえに無指向性である任意のモノポールを使用することができるため、垂直偏波無指向性ラジエータのみを有することは簡単である。しかし、水平偏波または傾斜偏波のラジエータは、無指向性と広帯域を同時に実現したい場合には問題がある。たとえばループアンテナなどの、典型的な水平偏波ラジエータは狭帯域であるため、水平偏波を備えた無指向性放射を提供するための標準的な解決策は、いくつかの指向性アンテナを使用することであり、それらの各々は1つのセクター(sector)をカバーしている。そのような解決策は、たとえば米国特許第9209526号明細書で使用され、ここで、4つの広帯域モノポールのセットがプリント回路基板(PCB)に配置され、PCBはモノポールラジエータの上に配置され、結果として二重偏波アンテナになる。モノポールは、欧州特許2668677号明細書におけるようにダイポールで囲むこともでき、ここで、モノポールラジエータは4つの別個のダイポールラジエータで囲まれている。最後に、米国特許9748666号明細書では、曲がった板金構造にモノポールが配置され、4つのビバルディアンテナ(Vivaldi antennas)へと形成されている。列車用途で使用されるこのような構成は、米国特許第9496624号明細書に示されている。水平ダイポールおよび一部の垂直モノポールを備えた別の狭帯域の解決策は、米国特許出願公開第2016/0072196号明細書にある。
【0005】
二重垂直/水平偏波は、印刷されたラジエータのみを使用して達成することもできる。そのような解決策は、米国特許第8860629号明細書にある。主に印刷された素子を用いる別の解決策は、米国特許第7936314号明細書にある。別の解決策は、米国特許第7310066号明細書にある。この解決策では、ラジエータは、水平に配置されているPCBのみであるが、第2の偏波を提供するためのいくつかの垂直部分が存在する。
【0006】
二重傾斜構成の場合、標準的な解決策はまた、各々がセクターをカバーする、2つの交差アンテナのいくつかのセットを使用することである。また、二重偏波パッチアンテナを指向性二重傾斜アンテナに使用することができる。二重傾斜指向性ラジエータの交差ペアが、基地局アンテナの標準的な解決策である。そのような解決策は、たとえば米国特許出願公開第2017/0244176号明細書に示されている。同様の解決策は、米国特許第9887708号明細書にあり、他の例は、米国特許出願公開第2017/0358842号明細書にある。
【0007】
各々がセクターをカバーする、いくつかのアンテナを使用する場合、信号分割/合成要素が必要とされる。偏波ごとに別個の信号分割/合成ネットワークが必要とされるため、この解決策の設計および製造は複雑である。列車用途で非常に一般的である別の試みは、2つの無指向性アンテナを使用して、それらを2つの45度の傾斜面に取り付けることである。しかし、この試みの欠点は、実際の二重傾斜偏波が、アンテナの取り付けに使用される表面の上端に沿っているだけであるということである。他の指向では、偏波は、垂直(上端に垂直な方向)または垂直成分が優性な楕円形のいずれかである。文献から知られている他の試みは、単一の傾斜無指向性アンテナに基づいている。すべての解決策の欠点は、それらが単一の傾斜偏波しか提供しないため、二重傾斜偏波を提供するために第2のラジエータが必要となり得ることである。第2のラジエータの使用には、通常、より多くのスペースが必要とされ、設計がより複雑になり、第2のラジエータが第1のラジエータの視野を好ましくない態様で遮る可能性がある。
【発明の概要】
【0008】
特に列車用の屋上アンテナは、いわゆる高電流保護を提供しなければならない。これは、たとえばアンテナに接触する壊れたカテナリー線路(catenary line)の場合に、アンテナが、電流をアンテナグランド(通常は取り付け面)に少なくとも125ミリ秒間短絡させることができなければならず、この間、アンテナコネクタに対する電圧を50V未満に保たれなければならないことを意味している。125ミリ秒よりも短い時間で、保護回路が作動し、カテナリー線路への電源供給が切られることが想定されている。これには、ラジエータが、適切に接地され、十分な断面積に加えて、最大40kAの電流を流すことができるグランド接触を有することが必要とされる。
【0009】
屋上列車用途の移動性により、ほとんどの用途では、列車と基地局の相互位置に関係なくカバレッジを提供するために、無指向性放射パターンが必要とされる。
【0010】
本開示は2つの主要な態様に対処する。1つの態様は、列車用途向けに高電流保護を備えた水平偏波無指向性ラジエータを提供する方法である。好ましい変形例では、このラジエータは、二重偏波の列車屋上アンテナを提供するために、別の垂直偏波のラジエータと一緒に使用するのに適しているが、単独でも使用され得る。これまでに、高電流保護を備えた水平偏波ラジエータは先行技術からは知られていない。本発明の背景技術のセクションで上述したすべてのラジエータは、完全に接地されていないか、またはこの用途には適切でないPCBもしくは比較的薄い金属のような材料を使用することによって作られている。これらの材料は、高電流保護の提供には使用することはできず、この場合、露出したすべての部品は、接地されて、最終的に125ミリ秒の間、最大40kAの電流の特定の変動を誘導するのに十分な厚さの導電性材料(通常は金属)から作られなければならない。したがって、本開示は、第1の態様として、高電流保護をもたらす水平偏波無指向性ラジエータを提供するという問題に対処している。用途の分野に応じて、このラジエータは、高電流保護を備えた二重偏波アンテナを提供するために、高電流保護を備えた垂直偏波無指向性ラジエータと一緒に使用することができる。適切である場合、水平偏波ラジエータは単独で使用することができる。さらに、水平偏波ラジエータは、1つのみまたはいくつかのセクターをカバーするために使用することができる。
【0011】
第2の態様として、本開示は、たとえば無指向性放射を有する二重傾斜偏波アンテナ構成を提供する。二重偏波垂直/水平ラジエータのアンテナの例は数多くあるが、これまでに無指向性二重傾斜アンテナは知られていない。基地局アンテナのほとんどが二重傾斜偏波ダイバーシティを使用するため、二重傾斜アンテナは、MIMO受信機の両方のチャネルに均等に負荷をかけ、スループットの向上に魅力的な偏波マッチングを提供するだろう。本態様は、垂直/水平二重偏波アンテナのペアを二重傾斜構成に採用することによって取り組まれる。開示されたアプローチが、任意の垂直/水平偏波ラジエータのペアで使用することができることに留意することが重要である。しかし、当該アプローチは、上記で提案したアンテナで使用することもでき、これによって、列車用途向けの、すなわち高電流保護を備えた二重傾斜無指向性アンテナが結果としてもたらされるだろう。これに加えて、そのようなアプローチは指向性ラジエータにも適用され得る。提案されるアプローチは、二重傾斜偏波指向性ラジエータを得るために使用することができる。それゆえ、以下でより詳細に提示される二重傾斜偏波アンテナ構成は、したがって、1つまたはいくつかの分割特許出願の対象とされ得る、別個の発明概念と見なされるべきである。
【0012】
第1の態様の変形例では、水平偏波、無指向性パターン、および高電流保護を同時に提供するために、厚い金属で作られているビバルディラジエータのセットが提供される。無指向性パターンを備えた水平偏波は、以下でより詳細に説明されるように、たとえば、水平面に配置されてアンテナ中心点の周りに均等に分布された3~6個のビバルディアンテナと、それらに電力分配器およびそれに相互接続されたPCBスタブにより給電することとによって達成することができる。高電流保護は、高電流を伝導するのに十分な体積を提供するために、十分な厚さの導電性材料のプレートで作られている放射素子(ラジエータ)によって得られる。放射素子は、導電性材料で作られた1つまたはいくつかの十分に大きな脚部に配置され、これによって、効率的な水平偏波放射に必要なグランドプレートまでの距離が提供され、高電流をグランドに運ぶことができる。給電ケーブルは、好ましくは、たとえばカテナリー線路との接触からそれを保護するために、脚部の1つの後ろまたは脚部を通って誘導される。電力分配器PCBは、存在する場合、好ましくは、垂直方向で上に配置された大きなラジエータによってより良好に保護されるように、垂直方向でラジエータの下に配置される。給電ケーブルが、ラジエータの上部にある溝を通って誘導され、そのため、カテナリー線路との接触にさらされない場合に、良好な結果を達成することができる。任意の「高温」部品(たとえば、ケーブルまたはPCB接続インターフェースなど)をカテナリー線路との潜在的な接触にさらすことなく、給電ケーブルとビバルディPCBとを接続するために、米国特許出願公開第2017/0207539号明細書で提案されているものに類似したライトアングルコネクタが使用される場合に、良好な結果を達成することができる。
【0013】
好ましい変形例では、アンテナアセンブリは、無指向性水平偏波の第1のラジエータを備えた無指向性水平偏波のビバルディタイプの第1のアンテナを備え、これは、本質的に水平な面に(取り付け位置で)延びており、ラジエータ中心の周りに分布されて配置されているいくつかのテーパスロット(tapered slot)によって互いに分離されたいくつかのリーフを有する花形の輪郭を有している。用途の分野および達成すべき特性に応じて、テーパスロットの数および配置は異なり得る。たとえば、テーパスロットは、指向性を提供するように設計することができる。テーパスロットは、好ましくは、ラジエータ中心に対して外向き方向に水平に延びている。テーパスロットは、通常、本質的に水平な平面と直角をなして、特定の厚さだけ垂直に延びている。少なくとも1つのポストによってラジエータに電気的に相互接続されているベースプレートが、通常、ラジエータの下の特定の距離に概して平行に配置される。少なくとも1つのポストが、リーフに配置され、そこに、たとえばボルトによって取り付けられている場合に、良好な結果を達成することができる。少なくとも1つのポストおよびラジエータは、1つの部品(one piece)から作ることができる。電力分配器および(テーパスロットごとの)給電スタブが、好ましくは、ベースプレートと第1のラジエータとの間に配置される。それらは、用途の分野および設計に応じて、ラジエータの上に配置することができる。それらは、無線信号を第1のラジエータに結合させるために第1のラジエータに電磁的に相互接続される。第1のラジエータは、好ましくは、それが本明細書で上記されるように容易に高電流に耐えることができるように、少なくとも部分的に固体金属から作られる。第1のラジエータが本質的に板状である場合に、良好な結果を達成することができる。無指向性放射のために、そのいくつかのテーパスロットは、好ましくは、ラジエータ中心の周りに均等に分配される。テーパスロットは、好ましくは、ラジエータ中心に対して半径方向外向きに配置される。用途の分野に応じて、他の配置も可能である。好ましい変形例では、電力分配器および給電スタブは、第1のラジエータの底部に取り付けられたプリント回路基板上に少なくとも1つの導電体として配置される。好ましい変形例では、電力分配器は、ラジエータの中心から始まっていくつかの分岐を含む星状の設計を有している。給電スタブは、各分岐の外端から前方に曲げられ、各給電スタブおよび各テーパスロットの端部からの結合距離(coupling distance)に配置されたテーパスロットを横切って延びている。少なくとも1つのポストは、本明細書で上述したように、線路軌道のカテナリー線路から高電流を受けるのに適した第1のラジエータに電気的に相互接続され得る。給電ケーブルが、少なくとも部分的に第1のラジエータを通って延び得る。これによって、全体の高さが低いコンパクトで堅固な設計が達成され得る。給電ケーブルは、少なくとも部分的に、第1のラジエータの溝に配置することができる。好ましい変形例では、給電ケーブルは、少なくとも部分的に少なくとも1つのポストを通って延びる。給電ケーブルは、少なくとも部分的に第1のラジエータに配置されたコネクタによって電力分配器に相互接続することができる。通常、コネクタはラジエータ中心に配置される。コネクタの中心導体または給電ケーブルの中心導体は、電力分配器に、好ましくははんだ付けされるか、または、他の手段によって電気接続される。
【0014】
先行技術から、ラジエータの高電流保護を備えた無指向性水平偏波アンテナは知られていない。したがって、本開示は、水平偏波が望まれる場合の列車用途のための好ましい提案である。いくつかのサブラジエータを使用することによって、良好な無指向性挙動が達成される一方で、高電流保護に必要な特定の断面厚が得られる。
【0015】
本開示の第2の態様に関して、垂直偏波放射を水平偏波放射に追加することによって、傾斜偏波を生成することができる。V/H偏波の振幅が等しい場合、45度の傾斜偏波が生成される。水平偏波成分に180度の位相シフトを加えることによって、直交傾斜偏波を生成することができる。したがって、一方が垂直偏波、他方が水平偏波であり、どちらも同様のパターンおよびゲインを有する2つのラジエータを備えるシステムを有し得、そして、一方が両方のラジエータ間で均等に同位相で分配され、且つ他方が両方のラジエータ間で均等ではあるが水平成分の位相不一致(180度の位相差)で分配される信号をそれらに供給し得る場合、二重傾斜の直交偏波を生成することが可能である。これは、第1の入力および第2の入力ならびに第1の出力および第2の出力を含むマイクロ波装置によって達成される。マイクロ波装置は以下の特性を提供する:
- マイクロ波装置は、両方の出力間で、第1の入力によって受信される第1の信号を、互いに対して等しく同位相(0度の位相差)である、第1および第2の出力で出る2つの信号に分割する。
- マイクロ波装置は、両方の出力間で、第2の入力によって受信される第2の信号を、互いに等しいが逆位相(すなわち、位相不一致、180度の位相差)である、第1および第2の出力で出る2つの信号に分割する。
- 入力は互いに分離されている。
- マイクロ波装置は相反している(reciprocal)ため、第1および第2の信号出力を励起する信号は、第1の信号入力において同位相で、第2の信号入力において逆位相で、加えられる。
【0016】
このような特性は、いわゆるラットレースハイブリッドカプラ(rat-race hybrid coupler)またはマジックティーハイブリッドカプラ(magic-tee hybrid coupler)によって達成することができる。ラットレースハイブリッドカプラはマイクロストリップまたはストリップライン技術で実現することができる部品であり、マジックティーハイブリッドカプラは導波管技術で実現される。どちらのタイプのカプラも、周知の最先端のマイクロ波装置であり、既製のコンポーネント(off-shelf components)として入手でき、独自の認識を簡単に設計することもできる。好ましい変形例では、二重偏波垂直/水平無指向性アンテナ構成が、そのようなハイブリッドカプラに相互接続される。このようにして、1つのハイブリッド入力が1つの傾斜偏波を生成し、第2の入力が直交傾斜偏波を生成する。このアプローチは、以下のいくつかの問題の解決の助けとなり得る。V/H偏波ラジエータが無指向性である場合、任意の他の方法では不可能であり、センスが異なる2つの単一傾斜偏波無指向性アンテナを隣り合わせて使用する、二重傾斜無指向性アンテナを構築することができる。V/H偏波ラジエータが指向性である場合、これは二重傾斜指向性アンテナを取得する方法である。この解決策の利点は、2つの傾斜指向性ラジエータを単に使用することに関して、水平成分を減衰させる導電性接地面が存在する場合に、水平偏波ラジエータを垂直偏波ラジエータ上に配置することができ、これにより、水平偏波ラジエータから接地面までの距離が増大される(以下の図6を参照)ことである。このようにして、傾斜偏波の水平成分が、より少なく、接地面の存在により減衰され、もって、傾斜偏波の純正さがより良好になる。アンテナは、垂直/水平ラジエータ構成に簡単に再構成することができる。ハイブリッドを単に除去するだけでも十分である。
【0017】
二重傾斜無指向性特性を得るために非常に単純な方法を用いたが、その効果は驚くほど良好で広帯域である。現存する傾斜無指向性アンテナはすべて単一傾斜であり、ほとんどの場合、複雑な形状を有している。標準コンポーネント、たとえば既製のコンポーネントとみなされ得るラットレースハイブリッドカプラまたはマジックティーハイブリッドカプラを使用することによって、無指向性パターンと二重傾斜パターンの両方を得ることができる。最良の知識によれば、そのような解決策(無指向性と二重傾斜の両方)は、文献ではまだ提案されていない。また、これは、高電流保護を備えた標準的な垂直偏波ラジエータおよび上記で提案されるような水平偏波ラジエータからなるアンテナに適用することができるため、高電流保護された無指向性二重傾斜アンテナが得られる。
【0018】
本開示の第2の態様はまた、指向性アンテナに適用することができる。提案された解決策の恩恵は、傾斜放射の水平成分の供給源を接地面からより遠くに配置することを可能にすることであり、そのため、2つのラジエータだけを交差させた場合の標準的な解決策よりも良好な性能が達成される。
【0019】
本開示は、たとえば、以下の用途の分野で使用することができる。本開示の第1の態様によって、二重偏波および無指向性パターンを備えた列車または路面電車用の高電流保護された屋上アンテナを達成することができる。これは、本開示の第2の態様と組み合わされて、二重傾斜無指向性アンテナを有することを可能にする。したがって、列車用途向けの二重傾斜、無指向性、高電流保護のアンテナを得ることができる。本開示の第2の態様は、任意の無指向性特性を備えた垂直/水平偏波ラジエータのペアと組み合わせて使用することで、二重傾斜偏波無指向性放射を得ることができる解決策を提供する。たとえば、これは、たとえば小さなセル用の単純な基地局アンテナまたは建物内を受信範囲とするアンテナで使用することができる。本開示の第2の態様は指向性ラジエータに適用することができる。2つの交差したラジエータの代わりに垂直および水平偏波ラジエータを使用することは、たとえば、接地面が存在し、水平成分を強く減衰させるため水平成分と接地面との間の距離をできるだけ増大させることが望まれる、列車用途に有益であり得る。したがって、これは、導電性表面、たとえば列車の屋根上に配置される薄型の指向性二重傾斜アンテナを得するための実用的な方法である。
【0020】
適切である場合、第1のラジエータのリーフは、第1のラジエータの中心に対して放射方向に配置された二次スロットを備え得る。これにより、水平偏波ラジエータの全体的なマッチングが向上し得る。性能を向上させるために、水平偏波の第1のアンテナはインピーダンス変換器を備え得る。インピーダンス変換器は、たとえば、いわゆる「クロプフェンシュタイン変換器(Klopfenstein transformer)」として設計することができる。好ましくは、インピーダンス変換器は、主ラジエータにおけるくぼみの内側に配置されたPCB上に印刷されているPCBラインとして実現することができる。PCB技術により簡単な製造が可能である一方で、カテナリー線路がラジエータに落下した場合に、くぼみによって変換器を高電流から保護することができる。
【0021】
GPSアンテナモジュールは、本開示によるアンテナアセンブリの一部を形成することができる。GPSアンテナモジュールが第1のアンテナの第1のラジエータの上に配置されると、良好な結果が達成される。GPSアンテナモジュールは、第1のラジエータのくぼみに配置することができる。第1のラジエータのくぼみは、カテナリー線路がラジエータに落ちた場合にGPSアンテナモジュールを高電流から保護するように構成することができる。
【0022】
好ましい変形例では、第2のアンテナの垂直偏波の第2のラジエータは、第1のアンテナの第1のラジエータの(垂直上から見たときの)グランド区画(ground plot)内に少なくとも部分的に配置される。第1のラジエータが、例えば、第2のラジエータが第1のラジエータのグランド区画内に少なくとも部分的に配置される横方向にへこんだ形態で凹部を備えている場合に、非常に省スペースで浅い構成を達成することができる。好ましくは、凹部は、第2のラジエータが第1のラジエータから間隙によって一定の距離だけ離間されるように設計される。間隙は、好ましくは、本質的に均一な厚さを有する。垂直偏波ラジエータのRF性能に影響を与えないように、凹部を備えたそれぞれのリーフを支えるポストがない場合に、良好な結果を得ることができる。水平偏波の第1のアンテナはインピーダンス変換器を備え得る。インピーダンス変換器は、クロプフェンシュタイン変換器として設計することができる。インピーダンス変換器は、第1のラジエータのくぼみの内側に配置され得、ここで高電流から保護されている。
【0023】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方が、実施形態を提示し、本開示の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することを意図していることが、理解されるべきである。添付の図面は、さらなる理解を深めるために含まれており、本明細書の一部に組み込まれ、それを構成している。図面は、さまざまな実施形態を例示しており、説明とともに、開示される概念の原理および動作を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本明細書に記載される発明は、本明細書で以下に与えられる詳細な説明および添付の図面からより十分に理解され、これらは、添付の請求項に記載される発明に限定されると見なされるべきではない。図面は以下を示す。
【0025】
図1】斜視図での第1のアンテナを示す。
図2】斜視図での第1および第2のアンテナを備える部分的に断面化されたアンテナアセンブリの第1の変形例を示す。
図3】上から見た分解図での第1のアンテナを示す。
図4】下から見た分解図での第1のアンテナを示す。
図5】斜視図でのアンテナアセンブリの第2の変形例を示す。
図6】斜視図でのアンテナアセンブリの第3の変形例を示す。
図7】ハイブリッドカプラ装置を模式的に示す。
図8】斜視図でのアンテナアセンブリの第4の変形例を示す。
図9】斜視図でのアンテナアセンブリの第5の変形例を示す。
図10図8の第4の変形例の詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで特定の実施形態が詳細に参照され、その例は、添付の図面に例示され、そこで、すべてではないがいくつかの特徴が示される。実際、本明細書に開示される実施形態は、多くの異なる形態で具体化され得るが、本明細書に明記される実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、適用される法的要件を本開示が満たすように提供されている。可能な限り、同様の参照番号は、同様のコンポーネントまたは部品を指すように使用される。
【0027】
図1は、斜視図での無指向性水平偏波のビバルディタイプの第1のアンテナ5の変形例を示している。隠線は破線で示されている。図2は、図1による第1のアンテナを備えるアンテナアセンブリ1の第1の変形例を示している。図3は、上から見た分解等角図での図1による第1のアンテナ5を示している。図4は、下から見た分解等角図での図1による第1のアンテナ5を示している。図5は、図1による第1のアンテナを備えるアンテナアセンブリ1の第2の変形例を示している。図6は、図1による第1のアンテナを備えるアンテナアセンブリ1の第3の変形例を示している。図7は、本開示の第2の態様に関連して使用されるマイクロ波装置24を模式的に示している。図8は、正面かつ上からの斜視でのアンテナの第4の変形例を示し、図9は、正面かつ上からの斜視でのアンテナの第5の変形例を示している。図10は、アンテナの第4の変形例の断面図を示している(D部詳細)。
【0028】
たとえば図1の斜視図で見ることができるように、本開示の第1の態様によるアンテナアセンブリ1は、好ましくは、無指向性水平偏波のビバルディタイプの第1のアンテナ5を備える。第1のアンテナ5は、ラジエータ中心8の周りに分布されて配置されたテーパスロット7によって互いに分離されたいくつかのリーフ17を備える本質的に花形の輪郭を有している、本質的に水平な面(xy面)に配置されて延びている無指向性水平偏波の第1のラジエータ6を備える。テーパスロット7は、ラジエータ中心8に対して外向き方向に水平に延びている。垂直方向(z方向)には、テーパスロット7は、特定の厚さ(t)だけ、水平面(xy面)に対して直角に延びている。図1で概略的にのみ示されているベースプレート9は、ラジエータ6の下の特定の距離(b)に概して平行に配置され、少なくとも1つのポスト10によってラジエータ6に相互接続されている。図1による変形例では、少なくとも1つのポスト10は、ボルト29によって取り付けられるリーフ17に配置されている。電力分配器11、および-テーパスロット7ごとの給電スタブ12が、ベースプレート9と第1のラジエータ6との間に配置されている。それらは、無線信号を第1のラジエータ6に結合させるために第1のラジエータ6に電磁的に連結されている。第1のラジエータ6は、好ましくは、上記のように高電流に容易に耐えることができるように、固体金属から作られる。第1のラジエータ6が図面に示されるように本質的に板状である場合、良好な結果を達成することができる。適切である場合、第1のラジエータは、それらが性能に悪影響を及ぼさない限り、内側に少なくとも1つの凹部および/または開口部を含み得る。いくつかのテーパスロット7は、好ましくは、ラジエータ中心8の周りに均等に分布されて配置される。テーパスロット7は、通常、ラジエータ中心8に対して放射方向外向きの方向に配置されている。用途の分野に応じて、他の配置も可能である。好ましい変形例では、電力分配器11および給電スタブ12は、第1のラジエータ6の底部に取り付けられたプリント回路基板13上に少なくとも1つの導電体19として配置される。たとえば図3および図4で見ることができるように、プリント回路基板13は円形を有し得る。用途の分野に応じて、他の設計も可能である。
【0029】
少なくとも1つのポスト10は、本明細書で上述したように、線路軌道のカテナリー線路から高電流を受けるのに適した第1のラジエータ6に電気的に相互接続され得る。給電ケーブル14は、好ましくは、少なくとも部分的に第1のラジエータ6を通って延びる。これによって、全体の高さが低いコンパクトで堅固な設計が達成され得る。給電ケーブル14は、少なくとも部分的に、第1のラジエータ6の溝15に配置することができる。好ましい変形例では、給電ケーブル14は、少なくとも部分的に少なくとも1つのポスト10を通って延びる。給電ケーブル14は、少なくとも部分的に第1のラジエータ6に配置されたコネクタ16によって電力分配器11に相互接続することができる。好ましくは、電力分配器11および給電スタブ12は、プリント回路基板13上に少なくとも1つの導電体19として配置される。特に高電流保護に関して、電力分配器11および給電スタブ12は、好ましくは、第1のラジエータ6の底部に取り付けられる。図面に示されるように、電力分配器11は、ラジエータ6の中心8から始まっていくつかの分岐18を含む星状の設計を有し得る。給電スタブ12が、各分岐の外端から前方に曲げられ、各給電スタブ12および各テーパスロット7の端部からの結合距離に配置されたテーパスロット7を横切って延びているときに、良好な結果を達成することができる。通常、コネクタ16はラジエータ中心8に配置される。接続性を確保するために、コネクタ16は、はんだ付けによって導電体19に相互接続することができる。
【0030】
第1のアンテナ5が、少なくとも1つの無指向性垂直偏波の第2のラジエータ21を備えた無指向性垂直偏波の第2のアンテナ20と組み合わされると、良好な結果を達成することができる。好ましくは、第2のラジエータ21は、第1のラジエータ6と同じベースプレート9上に配置される。好ましい変形例では、第2のラジエータ21はカップ状である。用途の分野に応じて、さまざまな配置が可能である。第2のラジエータ21は、第1のラジエータ6の垂直方向で上および/または下、および/または、水平方向でラジエータ6の隣に配置することができる。ベースプレート9は、アンテナアセンブリ1のいくつかの要素のためのケーブル配線を受けるのに適した中空スペースを取り囲み得る。二重傾斜アンテナを得るために、第1のアンテナ5および第2のアンテナ20は、図7に模式的に示されるように、マイクロ波装置によって互いに相互接続され得る。ラットレースハイブリッドカプラおよび/またはマジックティーハイブリッドカプラの形態のマイクロ波装置24によって良好な結果を達成することができる。
【0031】
図8および図10による第4の変形例およびアンテナアセンブリ1の図9による第5の変形例では、水平および垂直偏波の第1のアンテナ5と第2のアンテナ20の両方が統合されている。上記の変形例と比較して、第1のアンテナ5は、たとえば、5Gの700MHZの帯域などの、低周波数帯域もカバーするためにかなり大きい。ハウジング22は、ベースプレート9の上に展開された状態で示されている。図8では、第1のラジエータ6、プリント回路基板13、および図面の前面にある特定のポスト10は、下の構造をより見やすくするために断面図で示されている。通常、プリント回路基板13の下に配置されている給電スタブ12は、カットされずに示されている。
【0032】
各々の第1のラジエータ6は、好ましくは、ビバルディラジエータ6の下側に配置されているプリント回路基板13に印刷されているマイクロストリップライン19の形態である導電体19を使用して給電される。マイクロストリップライン19は、本明細書でより詳細に上述したように、電力分配器/合成器11を使用して給電される。電力分配器11の入力は、示される変形例でビバルディラジエータ6の内部に埋め込まれている給電ケーブル14に接続される。給電ケーブル14は、第1のラジエータ6の下側にある電力分配器11に直接接続されていない。代わりに、それは最初に同軸コネクタ16によってインピーダンス変換器30に接続される。図10で最もよく見ることができるように、示される変形例では、インピーダンス変換器30は、第1のラジエータ6の上側のくぼみ33に配置されているプリント回路基板32上に配置された導電体31として設計されている。第1のラジエータ6の中央領域において、インピーダンス変換器30は、第1のラジエータ6の穴35に配置されたコネクタ34によって第1のラジエータ6の下側に配置された電力分配器11に相互接続される。コネクタ34は、誘電体材料から作られたスリーブ37によって囲まれた接続ピン36を備える。インピーダンス変換器30の利点は、いくつかのビバルディ給電スタブ12が、示される変形例5において、電力分配器18の出力に平行に接続されているため、電力分配器11の入力インピーダンスが比較的低い(20~30オームの範囲)ことである。また、ビバルディラジエータ6の内側に配置された接続ピン34およびスリーブ35は、好ましくは、この低インピーダンスと整合される。インピーダンス変換器30は、好ましくは、同軸アダプタおよび同軸ケーブルで使用される標準の50オームのインピーダンスに適合される。インピーダンス変換器30が、いわゆる「クロプフェンシュタイン変換器」として設計されている場合、良好な結果を達成することができる。しかし、インピーダンス変換器の任意の他の設計(1/4波長、マルチセクション、チェビシェフ、最大平坦(maximally-flat)、指数関数など)は、性能および帯域幅の要件を満たしている場合に適用可能になり得る。
【0033】
単一の隣接する第1のラジエータ6間の相互結合を軽減するために、第1のラジエータ6の「リーフ」において追加の二次スロット38が統合される。二次スロットは、第1のラジエータ6の中心8に対して放射方向に延びている。これにより、水平偏波ラジエータの全体的なマッチングが向上し得る。
【0034】
スペースを節約するために、第2のアンテナ20の垂直偏波の第2のラジエータ21は、第1のアンテナ5の第1のラジエータ6のグランド区画内に少なくとも部分的に配置される。頻繁な高さ制限、およびビバルディの第1のラジエータリーフ17の近接による垂直偏波ラジエータの離調を排除する必要性を考慮して、本明細書に示される第4および第5の変形例は、少なくとも1つのリーフ17に凹部39を含む。凹部39は、カップ状の第2のラジエータ21から一定の距離だけ離間されるように設計されている。垂直偏波ラジエータのRF性能に影響を与えないように、凹部39を備えたそれぞれのリーフ17を支えるポスト10がない場合に、良好な結果を得ることができる。
【0035】
適切である場合、GPSアンテナモジュール40をアンテナアセンブリ1に統合することができる。示される変形例では、GPSアンテナモジュール40を位置づけるための2つの可能なオプションがある。それは、アンテナベースプレート9、または第1のラジエータ6のリーフ17におけるそれぞれの凹部41のいずれかに統合することができる。GPSアンテナモジュールをベースプレート9に統合することは、機械的観点からはより簡単であるが、モジュールの観点での一部は他の要素で覆われている。これによって、GPS信号の受信性能が制限され得る。代替の解決策は、GPSアンテナモジュール40をより制限の少ない位置に取り付けることである。GPSアンテナモジュール40は、好ましくは、第1のラジエータ6の上面の上に突出しないように配置される。これは、依然として、GPSアンテナモジュール40に高電流保護を提供するものである。GPSアンテナモジュール40の上面が第1のラジエータ6の上面より下にある場合、損傷したカテナリー線路が、上記のように十分に接地されている第1のラジエータ6上で停止する。
【0036】
図9による変形例は、既存のアンテナプラットフォームに適合するように最適化されている。水平偏波の第1のラジエータ6は、より小さなハウジング22に適合するように調整される。したがって、ビバルディラジエータリーフ17の一部のセクションが取り外されている。また、ポスト10の高さを低くした。結果として得られるアンテナアセンブリ1は、よりコンパクトであり、既存の要素を使用する。
【0037】
本明細書で使用されている用語は、限定よりむしろ説明の用語であり、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更がなされてもよいことが理解される。
【符号の説明】
【0038】
1 アンテナアセンブリ
5 第1のアンテナ(無指向性水平偏波のビバルディタイプ)
6 第1のラジエータ(無指向性水平偏波)
7 テーパスロット
8 ラジエータ中心
9 ベースプレート
10 ポスト
11 電力分配器
12 給電スタブ
13 プリント回路基板(PCB)
14 給電ケーブル(同軸)
15 溝
16 コネクタ
17 リーフ(第1のラジエータ)
18 分岐(電力分配器)
19 導電体(プリント回路基板)
20 第2のアンテナ(無指向性垂直偏波)
21 第2のラジエータ(無指向性垂直偏波)
22 ハウジング(レドーム)
23 中空スペース(ベースプレート内)
24 マイクロ波装置
25 第1の信号入力
26 第2の信号入力
27 第1の信号出力
28 第2の信号出力
29 ボルト
30 インピーダンス変換器
31 導電体(インピーダンス変換器)
32 プリント回路基板(インピーダンス変換器)
33 くぼみ(インピーダンス変換器用)
34 コネクタ
35 穴(第1のラジエータ)
36 接続ピン
37 スリーブ(接続ピン)
38 第2のスロット(第1のラジエータのリーフ内)
39 凹部(第1のラジエータのリーフ内)
40 GPSアンテナモジュール
41 凹部(GPSアンテナモジュール用)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】