IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ワルデマール リンク ゲーエムベーハー ウント ツェーオー.カーゲーの特許一覧

特表2023-505340インプラントコンポーネントアセンブリ
<>
  • 特表-インプラントコンポーネントアセンブリ 図1
  • 特表-インプラントコンポーネントアセンブリ 図2
  • 特表-インプラントコンポーネントアセンブリ 図3
  • 特表-インプラントコンポーネントアセンブリ 図4
  • 特表-インプラントコンポーネントアセンブリ 図5
  • 特表-インプラントコンポーネントアセンブリ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(54)【発明の名称】インプラントコンポーネントアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/30 20060101AFI20230201BHJP
【FI】
A61F2/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534472
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(85)【翻訳文提出日】2022-07-13
(86)【国際出願番号】 EP2020086181
(87)【国際公開番号】W WO2021122568
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】19216469.7
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514048224
【氏名又は名称】ワルデマール リンク ゲーエムベーハー ウント ツェーオー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】ダラ プリア,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】ハルント,アンジェリカ
(72)【発明者】
【氏名】エトリンガー,アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA03
4C097AA07
4C097AA08
4C097AA11
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC14
4C097SC08
4C097SC09
(57)【要約】
本開示は、関節置換用のインプラントコンポーネントアセンブリ(1)を提供する。アセンブリは、インプラントコンポーネント(10)を備え、インプラントコンポーネントは、他のインプラントコンポーネント(50)とアセンブリチャンネル(11)とを取り付けるための境界部分(20)を備える。アセンブリは、他のインプラントコンポーネントを当該インプラントコンポーネントに固定するためのアセンブリネジ(30)をさらに備え、アセンブリネジは、長手軸(L)と、ネジ頭(31)と、ネジシャンク(32)とを有し、アセンブリチャンネルに挿入可能である。アセンブリのネジ保持ユニット(40)は、アセンブリチャンネル内にアセンブリネジを維持し、長手軸周りにアセンブリネジを回転させるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節置換用のインプラントコンポーネントアセンブリ(1)であって、
他のインプラントコンポーネント(50)とアセンブリチャンネル(11)とを取り付けるための境界部分(20)を含むインプラントコンポーネント(10)と、
前記他のインプラントコンポーネントを前記インプラントコンポーネントに固定するための、長手軸(L)、ネジ頭(31)、ネジシャンク(32)を有し、前記アセンブリチャンネル内に挿入可能なアセンブリネジ(30)と、
前記アセンブリネジを前記アセンブリチャンネル内に維持し、前記長手軸周りに前記アセンブリネジを回転させるように構成されたネジ保持ユニット(40)と、
を備える、インプラントコンポーネントアセンブリ(1)。
【請求項2】
前記ネジ保持ユニット(40)は、前記ネジ頭(31)を支持するためのネジ座部(41)を備え、前記ネジ座部は、前記ネジシャンク(32)を収容するための貫通孔(42)を備える、請求項1に記載のインプラントコンポーネントアセンブリ(1)。
【請求項3】
前記アセンブリチャンネル(11)は、収容部(12)を備え、前記ネジ座部(41)は、前記収容部内に挿入可能である、請求項2に記載のインプラントコンポーネントアセンブリ(1)。
【請求項4】
前記ネジ座部(41)は、形状適合、摩擦適合、及び溶着のうちの少なくともいずれかによって収容部(12)内に堅持される、請求項3に記載にインプラントコンポーネントアセンブリ(1)。
【請求項5】
前記ネジ保持ユニット(40)は、ネジ止め(43)を備え、前記ネジ止めは、前記アセンブリチャンネル(11)の段差として形成されることが好ましい、請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載のインプラントコンポーネントアセンブリ(1)。
【請求項6】
前記アセンブリチャンネル(11)の直径(d1)は、前記ネジ頭の直径(d2)より小さい、請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載のインプラントコンポーネントアセンブリ(1)。
【請求項7】
前記ネジ座部(41)と前記ネジ止め(43)との間の長手方向(L)における空間の伸長は、前記長手方向(l)における前記ネジ頭(31)の伸長より大きい、請求項2乃至4のうちのいずれか一項に従属する請求項5又は6に記載のインプラントコンポーネントアセンブリ(1)。
【請求項8】
前記インプラントコンポーネント(10)の前記境界部分(20)は、前記他のインプラントコンポーネント(50)を搭載するためのテーパ境界面(21)を備え、前記テーパ境界面は、窪みを規定することが好ましい、請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載のインプラントコンポーネントアセンブリ(1)。
【請求項9】
前記前記アセンブリネジ(30)の前記ネジシャンク(32)は、ネジ山付き部(33)と非ネジ山付き部(34)とを有し、前記非ネジ山付き部は、前記ネジ山付き部と前記ネジ頭(31)との間に配置される、請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載のインプラントコンポーネントアセンブリ(1)。
【請求項10】
前記インプラントコンポーネント(10)は、関節部材(60)を取り付けるための他の境界部分(25)をさらに備え、前記他の境界部分は、窪みとして形成され、好ましくはテーパ状の窪みとして形成され、さらに好ましくは、前記関節部材を固定するための関節定着ネジ(65)を収容するための寸法を備えた関節アセンブリチャンネル(13)を備えるように形成される、請求項1乃至9のうちのいずれか一項に記載のインプラントコンポーネントアセンブリ(1)。
【請求項11】
前記インプラントコンポーネント(10)は、軟組織を前記インプラントコンポーネントに固定するための、少なくとも1つの縫合穴(14)及び少なくとも1つの縫合溝(15)のうちの少なくともいずれか一方をさらに備える、請求項1乃至10のうちのいずれか一項に記載のインプラントコンポーネントアセンブリ(1)。
【請求項12】
前記インプラントコンポーネント(10)は、手術手順中、前記インプラントコンポーネントを取り扱うための取り扱いツールに係合するための取り扱いツール係合窪み(16)をさらに備える、請求項1乃至11のうちのいずれか一項に記載のインプラントコンポーネントアセンブリ(1)。
【請求項13】
前記アセンブリネジ(30)は、前記アセンブリネジの長手軸(L)周りの回転方向に、締結ツール(70)を係合させるために形成されたツール境界窪み(35)を備える、請求項1乃至12のうちのいずれか一項に記載のインプラントコンポーネントアセンブリ(1)。
【請求項14】
請求項1乃至13のうちのいずれか一項に記載の関節置換のインプラントコンポーネントアセンブリ(1)を事前組み付けする方法であって、
アセンブリチャンネル(11)と境界部分(20)とを備えるインプラントコンポーネント(10)を設けるステップであって、前記アセンブリチャンネルは、貫通孔として形成され、前記インプラントコンポーネントの基端側から前記境界部分に延設されるステップと、
貫通孔(42)を備えるネジ座部(41)を設けるステップと、
長手軸(L)、ネジ頭(31)、及びネジシャンク(32)を有するアセンブリネジ(30)を設けるステップと、
前記アセンブリネジの前記ネジシャンクを前記ネジ座部の前記貫通孔に挿入するステップと、
前記組み付けられたネジ座部と、前記ネジ頭を備えたアセンブリネジとを、まず、前記境界部分側から前記アセンブリチャンネルの収容部(12)内に挿入するステップと、
前記ネジ座部を前記アセンブリチャンネルの前記収容部に堅持するステップと、
を備える、事前組み付け方法。
【請求項15】
他のインプラントコンポーネント(50)、特に、インプラントステムを設けるステップであって、前記他のインプラントコンポーネントは、前記インプラントコンポーネント(10)の前記境界部分(20)に対応する境界部分(51)と、前記アセンブリネジ(30)と係合するためのネジ山付き穴(52)とを備えるステップと、
前記インプラントコンポーネントを、これらの境界部分を介して接続するステップと、
前記アセンブリネジを締めることにより、前記インプラントコンポーネントを互いに固定するステップと、
をさらに備える、請求項14に記載の事前組み付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アセンブリネジと、他のインプラントコンポーネントへの組み付けに先立って、インプラントコンポーネントアセンブリのインプラントコンポーネントに対して移動可能にアセンブリネジを保持するためのネジ保持ユニットと、を採用したインプラントコンポーネントアセンブリに関連する。本開示はまた、インプラントコンポーネントアセンブリの事前組み付け方法にも関連する。
【背景技術】
【0002】
モジュラー関節置換は、患者の生来の関節と置換する最先端技術である。このようなインプラントのモジュール性により、その形状及び寸法を患者の個々の解剖学的状況に適合させる。このモジュール性は、劣化した関節の治療に利用可能な関節置換を延命及び成功させる理由の1つである。
【0003】
関節置換は、多くの場合、患者に手術前の生活及び活動を与えながら、通常、10年に亘って持続するが、いくつかの理由で置換されなければならないこともある。これらの理由の1つに、経時的な関節置換の摩耗がある。ここでの目的は、交換が必要な程度に摩耗したコンポーネントのために、インプラントコンポーネントの置換を限定することにより、モジュラー性を使用することである。
【0004】
必要な関節置換の再置換を行い得る他の理由に、インプラントを包囲する組織の感染がある。感染の程度により、関節置換を部分交換する場合であれば、この場合、インプラントコンポーネント全体の再置換が必要となることを防ぐのに、インプラントのモジュラー性が好都合に使用可能となり得る。
【0005】
関節置換全体でなく、個々のインプラントコンポーネントの置換は、軟組織、すなわち、間膜と筋肉組織によって主に安定化される滑膜関節のための関節置換の場合にも好都合である。これらの関節に関して、手術手順では、関節置換の少なくとも患側の再置換の場合よりも少ないアクセスが求められるため、個々のインプラントコンポーネントの交換により、手術後の関節の脱臼を防ぐ。結果として、周辺の軟組織の保護が向上される。このような関節の例として、膝関節、肩関節、足首関節、及び手首関節が挙げられる。
【0006】
しかしながら、モジュラー関節置換の個々のコンポーネントの分解は、軟組織構造を保護するために、手術手順中に作られた小さなアクセス開口を通じて実施されなければならないため、多くの場合、面倒である。さらに、インプラントコンポーネント間の接続は、再置換の理由とならないように、長持ちするように作られている。結果として、多くの場合、長期に亘って移植され続けてきたインプラントコンポーネントを分解するのは困難である。
【0007】
特に、関節コンポーネントには、通常、圧縮力が掛かるため、テーパ接続が、関節置換に使用される好適な種別の持続的接続となる。これらの圧縮力は、接続種別や、その自己係止特性に好都合に作用する。より具体的には、日々の使用で掛かる負荷は、結果として、インプラントコンポーネント間の相互係止をより堅固なものにする。
【0008】
それにも拘らず、この種別の接続の利点は、残りのインプラントコンポーネントを非接触にしつつ、インプラントコンポーネントを交換する際に不都合になり得る。この自己係止接続を分離するのが困難であるのみならず、インプラントコンポーネントの分離に要する力を付与するのに利用可能なスペースが限定的になってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
結果として、以下の開示の目的は、分解を容易にするインプラントコンポーネントアセンブリ又はモジュラー関節置換を提供することである。目的は、特に、これらのインプラントコンポーネントの接続を解除するのに必要な力を付与するスペースの限定された環境におけるインプラントコンポーネントの分解を促進する機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のための解決法は、独立項において規定され、従属項では好適な実施形態を特定する。
【0011】
以上の目的は、関節置換用のインプラントコンポーネントアセンブリを提供することによって対処されてきた。アセンブリは、他のインプラントコンポーネントとアセンブリチャンネルとを取り付けるための境界部分を備えるインプラントコンポーネントを備える。アセンブリは、他のインプラントコンポーネントを当該インプラントコンポーネントに固定するためのアセンブリネジを備え、アセンブリネジは、長手軸、ネジ頭、ネジシャンクを有し、アセンブリチャンネル内に挿入可能である。これはまた、アセンブリネジをアセンブリチャンネル内に維持し、長手軸周りにアセンブリネジを回転させるように構成されたネジ保持ユニットも備える。
【0012】
アセンブリネジは、締結時、インプラントコンポーネントを互いに固定する。ネジ保持ユニットは、アセンブリネジを長手方向に回転させつつ、アセンブリチャンネル内にアセンブリネジを維持するため、アセンブリネジは、別々に挿入される必要はなく、代わりに、インプラントコンポーネントとともに挿入される。これにより、特に、他のインプラントコンポーネントが既に患者内部にある場合の、他のインプラントコンポーネントに対する組み付けを促進する。
【0013】
さらに、ネジ保持ユニットはまた、分解中、すなわち、ネジを緩める間、アセンブリチャンネル内にアセンブリネジを保持する。換言すると、アセンブリネジのネジシャンクは、他のインプラントコンポーネントとのネジ係合から逃れている。しかしながら、アセンブリチャンネルに沿ったアセンブリネジの可動性はネジ保持ユニットによって限定されるため、アセンブリネジはまた、インプラントコンポーネントのアセンブリチャンネル内のアセンブリネジの係合のため、他のインプラントコンポーネントから離間するようにインプラントコンポーネントを移動させる。
【0014】
換言すると、インプラントコンポーネントのネジ保持ユニットは、アセンブリチャンネル内に、すなわち、アセンブリチャンネルに沿った双方向に、アセンブリネジを維持又は捕捉する。結果として、保持ユニットは、インプラントコンポーネントの取り扱い中に、アセンブリネジがアセンブリチャンネルから抜け落ちないようにする。好ましくは、保持ユニットは、ネジを捕捉しつつ、ネジをその回転方向には自在に動くようにし、その長手方向には限定的に動くようにする形状適合を付与する。
【0015】
アセンブリネジは、インプラントコンポーネントを他のインプラントコンポーネントに固定するために配されるので、インプラントコンポーネントのアセンブリチャンネルから突出するように配され、好ましくは、インプラントコンポーネントの境界部分で突出するように配される。
【0016】
アセンブリネジを締める又は使用するため、アセンブリネジは、ネジ頭側でアクセス可能である。このアクセス可能性は、アセンブリチャンネルによって付与される。特に、アセンブリチャンネルは、ネジをいずれかの方向に回転させるために、ネジ頭を係合させるツールを収容するように構成される。結果として、アセンブリチャンネルは、境界部分から、境界部分とは反対側である、インプラントコンポーネント側まで延設されることが好ましい。アセンブリチャンネルは、長手軸を有し、まっすぐであることが好ましい。さもなければ、アセンブリチャンネルは、少なくとも部分的に湾曲していてもよい。
【0017】
さらに、アセンブリネジは、例えば、アセンブリチャンネル内にアセンブリネジを追加製造又は搭載することにより、ネジ保持ユニットと係合するように作成されてもよい。
【0018】
好ましくは、ネジ保持ユニットは、ネジ頭を支持するためのネジ座部を備え、ネジ座部は、ネジシャンクを収容する貫通孔を備える。
【0019】
ネジ座部は、インプラントコンポーネント、より具体的には、アセンブリチャンネルに対する、少なくとも1つの方向へのアセンブリネジの移動を限定する単純な構造的特徴である。ネジ座部は、インプラントコンポーネントが他のインプラントコンポーネントに組み付けられる時、少なくともネジ頭を支持する。したがって、ネジ座部は、アセンブリネジの締められるネジ頭を支持する。
【0020】
さらに、ネジ座部はまた、双方向に作用してもよく、すなわち、アセンブリチャンネルの双方向に沿ってアセンブリネジの能力を限定してもよい。特に、ネジ座部は、ネジシャンクに係合し、好ましくは、ネジシャンクのネジ山付き部に比較して縮径されたネジシャンクの部分に係合する。この縮径された部分は、したがって、ネジシャンクのネジ山付き部とネジ頭との間に据えられる。
【0021】
アセンブリチャンネルは、収容部を備え、ネジ座部は、収容部に挿入可能であることが好ましい。
【0022】
この場合、ネジ座部は、挿入可能であり、すなわち、インプラントコンポーネントと一体形成されたコンポーネントでなく、別個の部品又はコンポーネントである。結果として、ネジ保持ユニットは、ネジ座部をインプラントコンポーネントに挿入及び固定するのに先立って、アセンブリチャンネル内にアセンブリネジのネジ頭を位置づけることにより、組み付け可能である。好ましくは、ネジ座部は、アセンブリチャンネルの収容部内に搭載されたネジインサートとして形成される。このため、ネジ座部は、ネジ座部を取り扱い、及び/又は、ネジ座部をインプラントコンポーネントに堅持するツール係合境界を備えてもよい。
【0023】
したがって、このような特徴の組み合わせにより、ネジ保持ユニットを組み付ける簡単なやり方を提供する。これにより、インプラントコンポーネントアセンブリの部品は、追加製造等、同時に製造する必要なく、組み付けに先立って別個に作成されるため、ネジ保持ユニットの製造と品質を向上する。換言すると、ネジ座部は、インプラントコンポーネントと一体形成されない。
【0024】
さらに、ネジ座部は、形状適合、摩擦適合、及び/又は、溶着によって収容部内に堅持されるのが好ましい。
【0025】
ネジ座部を堅持するための形状適合として、スナップ適合アレンジが採用されてもよい。或いは、好ましくは、ネジ座部とネジチャンネルの収容部との間に圧入を生じることにより、摩擦適合を使用してもよい。さもなければ、好ましくは、ネジ座部は、ネジ係合を介してインプラントコンポーネントに組み付け及び堅持され、すなわち、摩擦適合を介してインプラントコンポーネントに堅持される。このアレンジにより、ネジ座部の組み付けと分解とを可能にする。その堅持とは独立して、ネジ座部は、アセンブリチャンネル(ネジ又はアセンブリチャンネルの長手方向)に沿ったいずれかの方向又は双方向における、インプラントコンポーネントに対するネジの移動を限定するように作用してもよい。
【0026】
インプラントコンポーネントの搭載状態においてアセンブリネジのネジ頭を支持するネジ座部の場合、ネジシャフト全体が、ネジ座部の貫通孔を貫通するように構成される。双方向におけるアセンブリネジの移動の自由を限定するネジ座部の場合、ネジシャフトの一部のみが、ネジシャフト及びアセンブリネジの組み付け状態において通過を許容され、長手方向の移動範囲の一端において、ネジ頭がネジ座部に支持され、長手移動の範囲の他端においてネジシャフトの先端部分が、ネジ頭が支持される側とは反対のネジ座部の側で、我々に関してより大きな直径を有するようにする。後者について、アセンブリネジは、形状適合又は摩擦適合によってネジ座部内に保持されることが好ましい。
【0027】
ネジ保持ユニットは、ネジ止めを備えることが特に好ましく、ネジ止めは、アセンブリチャンネルの段差として形成されるのが好ましい。
【0028】
この場合、ネジシャンク側と反対側のアセンブリネジのネジ頭は、アセンブリチャンネル内部でこの方向に移動されるとき、ネジ止めに当接する。換言すると、ネジ止めは、アセンブリチャンネル内にさらに進む、すなわち、アセンブリネジがネジの緩むときに移動する方向への、アセンブリネジの移動を限定する。インプラントコンポーネントアセンブリの組み付けられた状態では、これが、ネジ止めに対向するアセンブリネジの頭の端面である。対照的に、シャンクが突出するネジ頭の端面は、ネジ座部に対向する。
【0029】
この構成の結果として、アセンブリネジは、他のインプラントコンポーネントから離間するように当該インプラントコンポーネントを押圧する。結果として、これらのインプラントコンポーネントの分解の取り扱いがより容易になり、組織損傷のリスクのある任意の急激な力を使用することなく、非常に制御されたやり方で、オントップが実施される。
【0030】
ネジ止めは、アセンブリチャンネル内の段差として形成されることが好ましく、すなわち、境界部分から離間する方向を向いてアセンブリチャンネルが縮径していることが好ましい。結果として、段差の境界側のアセンブリチャンネルの直径は、アセンブリネジのネジ頭を収容するのに十分な大きさとなり、一方で反対側の直径は、より小さくなって、ネジ頭が通過できないようになっている。さもなければ、アセンブリチャンネルのより小さな直径は、締結ツールを通過させて、締め付けたり緩めたりするためにアセンブリネジに係合させるような寸法を備える。
【0031】
したがって、アセンブリチャンネルの直径は、ネジ頭の直径よりも小さく、アセンブリネジが境界部分の位置する側と反対側のアセンブリチャンネルの端部を通じて出ることができないようにする。
【0032】
この段差は、アセンブリチャンネルと一体であることが好ましいものの、別個の部品として挿入及び堅持されてもよい。これに関して、ネジ座部及びネジ止めのいずれか又は双方は、線接触又は点接触でなく、面接触を介してアセンブリネジとの接触を与えるように形成されることが好ましいことに留意しなければならない。
【0033】
ネジ止めを使用する構成において、他の方向におけるアセンブリネジの移動は、上述のとおり、ネジ座部、好ましくは挿入可能なネジ座部によって限定されることが好ましい。ネジ座部及びネジ止めはともに、想定される長手軸に沿ったネジ頭の移動可能性と、ひいてはアセンブリネジの移動を限定するための捕捉部を形成する。
【0034】
したがって、捕捉部は、ネジ座部とネジ止めとの間の長手方向における空間の伸長が、長手方向におけるネジ頭の伸長より大きくなるような寸法を備える。
【0035】
当業者は、アセンブリチャンネルの長手方向における捕捉部の伸長と、ネジの長手方向におけるネジ頭の伸長とが、互いに関連するように(例えば、それらの最大伸長で)測定されることを理解するであろう。
【0036】
好ましくは、インプラントコンポーネントの境界部分は、他のインプラントコンポーネントを搭載するためのテーパ境界面を備え、テーパ境界面は、窪みを規定することが好ましい。
【0037】
特に、テーパ接続として構成されるとき、アセンブリネジは、一方では、テーパ接続を係止するために事前規定の力を使用させ、他方では、インプラントコンポーネントの分解中、テーパ接続の係合解除させる。
【0038】
換言すると、境界部分は、テーパ接続として構成される。これは、代替又は追加として、円筒形境界面との接続として形成されてもよい。好ましくは、テーパ接続を備えた構成は、円錐接続として構成される。窪みとして形成される場合、境界面は、径方向内側を向いた周壁を形成する。同様に、突起として形成される場合、境界面は、径方向外側を向いた周壁を形成する。
【0039】
テーパ状又は円筒形にされることとは独立して、組み付け状態におけるアセンブリネジの長手軸は、境界部分の長手軸、すなわち、インプラントコンポーネントを互いに接触させるベクトルを基本的に規定する長手軸と略平行であることが好ましい。境界部分の長手軸は、インプラントコンポーネントの長手軸に対して平行であってもよく、又は傾斜してもよい。
【0040】
さらに、窪みとして形成される場合、アセンブリチャンネルの口(境界の出口開口)は、窪みの底部に位置付けられる一方、突起として形成される場合、アセンブリチャンネルの口は、突起の先端に位置付けられる。
【0041】
さらに、窪みとして形成される結果として、アセンブリチャンネルを備えるインプラントコンポーネントがよりコンパクトに構築される。
【0042】
好ましくは、アセンブリネジのネジシャンクは、ネジ山付き部と非ネジ山付き部とを有し、非ネジ山付き部は、ネジ山付き部とネジ頭との間に位置付けられる。
【0043】
このアセンブリネジの構成は、アセンブリチャンネルの双方向におけるアセンブリネジの移動を限定するため、ネジ座部との接続において使用されてもよい。これら双方、すなわち、ネジ座部とネジ止めとを含む場合、アセンブリネジのこのような設計は、アセンブリネジのネジ座部の貫通孔との接触と、ひいては、接続時の境界部分と他の重要なコンポーネントの境界部分への影響を確実に防ぐという効果を有する。さらに、非ネジ山付き部は、円筒形であることが好ましい。
【0044】
インプラントコンポーネントは、関節部材を取り付けるための他の境界部をさらに備えることも好ましく、他の境界部は、窪みとして形成され、好ましくはテーパ状の窪みとして形成され、さらに好ましくは、関節部材を固定するための関節定着ネジを収容するための寸法を備えた関節アセンブリチャンネルを備える。
【0045】
アセンブリチャンネルがアセンブリネジのネジ頭より小さな直径を有する場合、これにより、関節部材を取り付けるための境界部分等、複数の境界を備えたインプラントコンポーネントを有することを促進する。当然のことながら、関節アセンブリチャンネルは、上述のアセンブリチャンネルのように構成されてもよい。
【0046】
好ましくは、インプラントコンポーネントは、軟組織をインプラントコンポーネントに固定するための、少なくとも1つの縫合穴及び/又は少なくとも1つの縫合溝をさらに備える。
【0047】
ここで、軟組織構造の取付は、上述の構造的特徴を使用して促進される。インプラントコンポーネントを他のインプラントコンポーネントに取り付ける締結ツールのみがアセンブリチャンネルに通過させられなければならないので、このチャンネルのサイズはより小さいため、インプラント後にインプラントコンポーネントアセンブリに作用する力に耐えるのに必要なインプラントコンポーネントの強度に影響することなく、穴又は窪みとして形成されたより多くの構造的特徴をインプラントコンポーネントに付与することができる。
【0048】
さらに、インプラントコンポーネントは、手術手順中、インプラントコンポーネントを取り扱うための取り扱いツールに係合するための取り扱いツール係合窪みを備えてもよい。
【0049】
上述と同一の理由により、取り扱いツール係合窪みを設けることができる。さらに、この窪みに係合したこのような窪み又は取り扱いツールは、インプラントコンポーネントにトルクを付与する間、インプラントコンポーネントを支持することにより、アセンブリネジを締める又は緩めるのを支援してもよい。好ましくは、取り扱いツール係合窪みは、アクセスをより容易にするため、インプラントコンポーネントの基端側に設けられる。
【0050】
好ましくは、アセンブリネジは、アセンブリネジの長手軸周りの回転方向に締結ツールを係合させるように形成されたツール境界窪みを備える。
【0051】
本開示はさらに、上述の関節置換のインプラントコンポーネントアセンブリを事前組み付けする方法を提供する。この方法は、アセンブリチャンネル及び境界部分を備えるインプラントコンポーネントを設けるステップであって、アセンブリチャンネルは、貫通孔として形成され、インプラントコンポーネントの基端側から境界部分まで延設されるステップと、ネジ座部を設けるステップであって、ネジ座部は、貫通孔を備えるステップと、長手軸、ネジ頭、ネジシャンクを有するアセンブリネジを設けるステップと、アセンブリネジのネジシャンクをネジ座部の貫通部内に挿入するステップと、組み付けられたネジ座部とネジ頭を備えたアセンブリネジとを、まず、境界部分の側からアセンブリチャンネルの収容部に挿入するステップと、アセンブリチャンネルの収容部内にネジ座部を堅持するステップと、を備える。
【0052】
好ましくは、当該方法は、他のインプラントコンポーネント、特に、インプラントステムを設けるステップであって、他のインプラントコンポーネントは、インプラントコンポーネントの境界部部に対応する境界部分と、アセンブリネジと係合するためのネジ山付き穴とを備えるステップと、インプラントコンポーネントを、これらの境界部分を介して接続するステップと、アセンブリネジを締めることにより、インプラントコンポーネントを互いに固定するステップと、をさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1図1は、関節置換のインプラントコンポーネントアセンブリの実施形態の側面図を示している。
図2図2は、異なる斜視図から、図1に示されるインプラントコンポーネントアセンブリの3次元図を示している。
図3図3は、このコンポーネントの境界部分を示すインプラントコンポーネントの3次元図である。
図4図4は、図3に示されるインプラントコンポーネントの断面図である。
図5図5は、関節置換のインプラントコンポーネントアセンブリの他の実施形態の側面図を示している。
図6図6は、図5に示されるインプラントコンポーネントアセンブリの3次元図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下図面は、本発明の好適な実施形態を示している。実施形態は、限定として解釈されるものでなく、以下の説明の文脈における本発明の理解を単に促進するためのものである。これらの図面において、同一の参照符号は、同一又は同等の機能及び/又は構造を備えた、全図面中の特徴を示す。これは特に、末尾2桁が同一の参照符号について適用され、その前の桁は、実施形態を示している。なお、説明の簡潔さのため、これらの構成要素の繰り返しの説明は全般的に省略する。
【0055】
当業者は、インプラントコンポーネントアセンブリを備える関節置換コンポーネントが、滑膜関節の一方側のみに配されてもよいこと、すなわち、滑膜関節の一方側のみを置換してもよいことを理解するであろう。この場合、関節置換コンポーネントは、関節の部分置換のみ、いわゆる半関節形成を表す。それにも拘らず、関節置換は、しばしば、関節の両側の関節面の置換に関係する。さらに、関節置換の一方側及び両側には、関節コンポーネント及びアンカリングコンポーネント等、いくつかのインプラントコンポーネントの組み付けが含まれてもよい。
【0056】
図1及び図2は、関節置換コンポーネント1の例としての実施形態を示している。関節置換コンポーネント1は、第1のインプラントコンポーネント10と、関節部材60と、を備える。図1に示されるとおり、関節部材60は、関節部分61と、中間部分62と、を備えてもよい。関節部分61及び中間部分62は、上述の方法の何れかにより、互いに取り付けられる。関節部材60は、第1のインプラントコンポーネント10に搭載され、すなわち、本実施形態において、関節面を備える関節部分61は、中間部分62を介して、インプラントコンポーネント10に搭載される。中間部分62は、関節面を備える関節部分61の位置及び向きを最適化するアダプタとして機能してもよい。このような中間部分は、以下にさらに詳細に説明されるとおり、締結ネジを介して第1のインプラントコンポーネント10に固定されてもよい。これにより、第1のインプラントコンポーネント10と中間部分62との間の特に確実な接続を可能にする。中間部分62を備えたアレンジでは、関節面がテーパ接続の近くに配されて、緩みなどを生じ得るレバーアームが必須でないため、関節部分61へのテーパ接続の緩みも防ぐ。したがって、ネジを介して関節部分61を固定するのに必要となった関節面に存在する穴が存在しない。アダプタはまた、縫合穴(図示せず)も備えてもよい。
【0057】
それにも関わらず、関節部材60は、第1のインプラントコンポーネント10に直接取り付けられてもよい。
【0058】
第一のインプラントコンポーネント10は、基端及び先端を有する。第1のインプラントコンポーネント10の基端は、関節置換の関節又は関節面の位置により近い端部であり、一方先端は、関節の位置する側とは反対側である。
【0059】
以下にさらに詳細に記されるとおり、第1のインプラントコンポーネント10は、軟組織を取り付けるために構成されることが好ましく、一方第2のインプラントコンポーネント50は、骨組織内のインプラントのアンカリングを行うように構成される。この構成は、肩関節置換の場合に特に好都合である。
【0060】
関節部材62を接続するために、第1のインプラントコンポーネント10は、その基端に、第2の境界部分25を備える。第2の境界部分25は、図3において、関節部材60を伴うことなく、さらに詳細に示されている。同図に示されるとおり、第2の境界部分25は、境界面26によって規定される搭載穴を備えてもよい。例としての実施形態において、境界面26は、テーパ窪みを形成する(図4を参照のこと)。したがって、関節部材60は、テーパ突起を備える(図示せず)。また、テーパ窪み及びテーパ突起は、組み付け時、関節部材60と第1のインプラントコンポーネント10との間のテーパ接続を成す。第2の境界部分25と、関節部材60の対応する境界部分とは、円筒形境界面によって規定されてもよいが、テーパ境界面が好ましく、特に、円錐境界面が好ましい。このようなテーパ接続は、容易に組み付けられ、インプラントの使用中に信頼性が高いことが証明されている。当然のことながら、境界部分の窪みと突起とを入れ替えて、窪みが関節部材60に形成され、突起が第1のインプラントコンポーネント10に形成されるようにすることもできる。
【0061】
図3の例としての実施形態に示されるとおり、第2の境界部分は、凹状境界面27をさらに備えてもよい。図1及び図4の側面図にさらに明確に示されるとおり、関節部材60は、第2の境界部分25の凹状境界面27に対応するように形成される凸状境界面63を備える。図1~4に示される例としての実施形態(と、好ましくは、図5及び図6に示される実施形態と)では、関節部材60と第1のインプラントコンポーネント10との間のテーパ接続を採用しており、関節部材60の凸状境界面63は、或る距離で、第1のインプラントコンポーネントの凹状境界面27に対向し、すなわち、これらの面は接触しておらず、テーパ接続の機能が損なわれないようにする。
【0062】
さらに、図3に示される第2の境界部分25は、位置合わせ穴28のアレイを備える。これらの位置合わせ穴28は、円形に配される。円の中心は、境界面26によって規定される長手軸、すなわち、この例としての実施形態の円錐テーパの回転軸に沿って位置する。位置合わせ穴28は、回転軸周りの関節部材60の向きに対する係止機構を提供してもよい。関節部材60の関節面は、テーパ接続の長手軸に対して回転対称であるため、関節部材60は、テーパ接続の長手軸周りの関節部材60のいずれの回転も防ぐ対応位置合わせピン(図示せず)を備えてもよい。この位置合わせにより、これら2つのインプラントコンポーネント10及び60の間の意図しない相対的回転を防ぎ、ひいては、これらのインプラントコンポーネントの接続の意図しない緩みに対抗するよう補助する。
【0063】
他の実施形態において、関節部材60は、偏心関節部材であってもよく、すなわち、このような関節部材の中心は、2つのインプラントコンポーネントの間の接続中心からオフセットしている。このような実施形態において、位置合わせにより、所定の位置及び向きにおいて、第1のインプラントコンポーネント10に対して関節部材60を調整及び定着させる。
【0064】
さらに、第1のインプラントコンポーネント10は、第1のインプラントコンポーネント10(図3参照)の基端から、第1の境界部分の先端(図4参照)まで延設されるアセンブリチャンネル11を備える。図1に示されるとおり、締結ツール70は、以下にさらに詳細に記されるとおり、アセンブリネジ30(図4を参照のこと)を使用して、第2のインプラントコンポーネント50を第1のインプラントコンポーネント10に締結するために、アセンブリチャンネル11内に挿入されてもよい。
【0065】
図3に示されるとおり、第1のインプラントコンポーネント10は、手術前、又は手術中、このコンポーネントを取り扱うために、第1のインプラントコンポーネント10の基端に設けられる取り扱いツール係合窪み16をさらに備えてもい。換言すると、取り扱いツール係合窪み16及び/又はアセンブリチャンネル11の入口は、関節置換コンポーネントの基端側に位置することが好ましい。これにより、手術手順のアクセス創傷を通じたこれらの構造的特徴の位置決めを促進する。
【0066】
図面に示された例としての実施形態において、第1のインプラントコンポーネント10はまた、1つ以上、特に2つの縫合溝15をさらに備える。さらに、第1のインプラントコンポーネント10は、縫合穴14を備えてもよい。これらの縫合穴14及び縫合溝15は、第1のインプラントコンポーネント10の周辺に配され、特に、略周方向、又は周の接線に平行な方向に延設されることが好ましい。縫合特徴は、軟組織構造を定着させるための縫合を保持することができる。好ましくは、縫合穴14及び/又は縫合溝15は、第1のインプラントコンポーネント10の周の周り、すなわち長手軸L(図4参照)の方向における軸回りに(通常は均一に)分布する。
【0067】
図示の実施形態の少なくとも1つの縫合溝15は、アンカリング構造17を備えるこのコンポーネントの外面の径方向反対側に位置する第1のインプラントコンポーネント10の側に、長手方向窪みとして形成されることがさらに好ましい。アンカリング構造17は、この構造と接触した組織と第1のインプラントコンポーネント10との間の相対的移動を少なくとも妨げる。これは、好ましくは追加製造によって追加される第1のインプラントコンポーネントの本体、コーティング、又は構造の一体構造であってもよい。
【0068】
第1のインプラントコンポーネント10は、例えば、このコンポーネントの先端(図面参照)に位置する第1の境界部分20を備える。第2の境界部分25、すなわち、図示の実施形態においては、境界面26を介した関節部材60への接続は、以下に第1の境界部分20に関して記されるのと同一の原則に基づいてもよい。それにも拘わらず、図示の例において、第1のインプラントコンポーネントと関節部材との間の接続は、関節アセンブリチャンネル13内に挿入される締結ネジ(図示せず)を介して締められ、係止されるテーパ接続を使用して成立される。関節アセンブリチャンネル13は、この窪みの長手軸に沿った境界面26によって規定されるテーパ窪みからテーパ窪みが位置する側の反対側まで延設される。好ましくは、関節アセンブリチャンネル13は、上述の締結ネジとの係合のためのネジ山を備える。
【0069】
上述のとおり、第1のインプラントコンポーネント10は、窪み又はキャビティとして形成される多数の構造的特徴を有してもよい。1つのインプラントコンポーネントにおけるこれらの構造的特徴、特に、他のインプラントコンポーネントへの境界部分20、25(一般的に最もスペースを要する)を設けるために、これらの構造的特徴は、より小さなスペースを要するように設計されることが好ましい。
【0070】
これは、特に、堅固且つ強固な接続と、コンパクトな構築との双方を提供するアセンブリチャンネル11及び第1のインタフェース部分20との関連で、以下に述べる。これは、図4に示される、部分的に組み付けられた関節置換コンポーネント1、すなわち、インプラントコンポーネントアセンブリの断面図中に最もよく示される。同図において、第1の中間部分20は、第2のインプラントコンポーネント50の第1のインプラントコンポーネント10への取付を固定するアセンブリネジ34を採用する。この例としての実施形態の第2のインプラントコンポーネント50は、患者の長骨(本実施形態においては上腕骨)の調整されたキャビティ内でアンカリングされるインプラントステムである。
【0071】
図4に示されるとおり、第1の境界部分20の境界面21は、第2のインプラントコンポーネント50へのテーパ接続に対するテーパ境界面を規定していることが好ましい。このようなテーパ接続は、他のインプラントコンポーネントへの確実な接続を形成することが証明されている。しかしながら、緩みや表面損傷等、インプラントコンポーネント接続のあらゆる問題を防ぐために、本実施形態は、アセンブリネジ30を備える。このアセンブリネジ30により、第2のインプラントコンポーネント50等、第1の境界部分20によって与えられる他のインプラントコンポーネントへの接続を堅固にさせる。特に、テーパ接続の場合、アセンブリネジ30は、テーパ接続の永続的な自己係止を確保する圧縮接続力を付与する。これは、所定のトルクにより、ネジ保持ユニット40のネジ座部41形成部分に対してアセンブリネジ30を締めることによって達成される。このような所定の締めは、通常、ハンマーブローを使用したテーパ接続の組み付けの通常のトルクによっては達成されない。
【0072】
締め付けのため、第2のインプラントコンポーネント50は、境界面53を備えた境界部分51を備える。境界面は、テーパ、特に、第1の境界部分20に対応する円錐テーパを形成することが好ましい。境界部分51はさらに、基端-先端方向に延設され、ネジ座部41を通じて延設された貫通孔42の長手軸Lに並ぶネジ山付き穴52、好ましくはブラインド穴(図示せず)を備える。ネジ山付き穴52は、アセンブリネジ30のネジ山付き部33に係合するように形成される。第1のインプラントコンポーネント10と第2のインプラントコンポーネント50との間の接続を締め、係止する間、第2のインプラントコンポーネント50の第2の境界部分51は、第1のインプラントコンポーネント10の第1の境界部分20内に引き込まれる。第1の境界部分20及び第2の境界部分を互いに対して引き込むことにより、ハンマーブローに比して、より高度に案内された、より安定的な境界の組み付けを行うことができるようにする。雄及び雌の境界部分51及び20は、逆に構成されてもよいことに留意しなければならない。
【0073】
ネジ座部41は、第1のインプラントコンポーネント10に搭載される別個の部品として形成されることが好ましい。図4に示される実施形態において、ネジ座部41は、第1の境界部分20の境界面21に隣接し、好ましくは直接隣接して形成される収容部12内に収容される。換言すると、収容部12は、第1の境界部分20から見ると、境界面21よりも第1のインプラントコンポーネント10の内側に位置する。収容部12は、テーパ境界面21によって形成される窪みから、第1のインプラントコンポーネント10の基端まで延設されるアセンブリチャンネル11の一部として形成される。境界部分20及びアセンブリチャンネルが並べられることが好ましいが、これらは、並行なオフセットを有してもよい。それにも拘わらず、双方の場合において、これらは、境界部分と、ひいてはインプラントコンポーネントを互いに引き込むことができるように並べられなければならない。
【0074】
上述のとおり、ネジ座部41は、形状適合及び/又は摩擦適合によって第1のインプラントコンポーネント10に搭載されてもよい。図4の例としての実施形態において、ネジ座部41は、収容部12内に挿入され、収容部12の内周面とネジ座部41の外周面との間のネジ山係合によって、アセンブリチャンネル11の座部当接段差46又は肩部に対して締め付けられる。ネジ座部41を締め付けるために、ネジ座部41は、好ましくは境界部分20又は第2のインプラントコンポーネント50に対向する側に、ツール係合境界(図示せず)を備える。
【0075】
境界部分20から離間するように向いたネジ座部41の側は、アセンブリネジ30のネジ頭31の支持面を形成する。ネジ座部41のこの側はまた、アセンブリチャンネル11の前述の座部当接段差46に対して当接する側でもある。アセンブリチャンネル11のこの位置において、アセンブリチャンネル11の直径は、収容部12の直径からネジ頭31を収容する直径まで縮径する。この直径により、第2のインプラントコンポーネント50のネジ山付き穴52へのネジ係合を締め付け、及び緩めるために、ネジ頭31を前述の長手軸L周りに回転させる。
【0076】
上述のとおり、ネジ保持ユニット40のネジ座部41は、代替として、第1のインプラントコンポーネント10と一体形成されてもよい。この場合、貫通孔41は、アセンブリネジのネジ山付き部33のネジ山に対して反対方向に作用するネジ山(図示せず)を有してもよい。上述のとおり、ネジ山付き部33は、第2のインプラントコンポーネント50のネジ山付穴51と係合するためのものである。例えば、ネジ山付き部33は、右側のネジ山を有してもよく、一方でネジ座部の貫通孔42のネジ山は、左側のネジ山を有する。後者を係合するには、アセンブリネジ30のネジ頭31には、左側のネジ山も設けられる。
【0077】
組み付けの間、アセンブリネジ30は、ネジ頭31の左側のネジ山をネジ座部41の左側のネジ山付き貫通孔にねじ込むことにより、第1の境界部分20の側から挿入される。ネジ頭31の左側のネジ山が左側のネジ山付き貫通孔を完全に通過して係合解除されるまで、ネジ頭31のねじ込みを継続する。この状態において、アセンブリネジのネジシャンク33の非ネジ山付き部34は、何らの係合もなく、左側ネジ山に対向する。この結果として、アセンブリネジ31が、ネジ頭31の左側ネジ山とネジシャンクのネジ山部33との間のネジ座部41の貫通孔42に捕捉される。さらに、左側ネジ山は、インプラントコンポーネント40及び50を互いに締め付けるとき、係合しない。代わりに、ネジ頭31の左側ネジ山は、ネジ座部41の左側ネジ山によって支持されるであろう。当業者が理解するとおり、上から左側のネジ山は、代わりに、右側のネジ山のように設けられてもよく、逆でもよい。
【0078】
図4に示されるとおり、アセンブリチャンネル11は、アセンブリチャンネル11内の段差として形成されるネジ止め43をさらに備える。ネジ止め43は、アセンブリネジ30のネジ頭31を防ぐアセンブリチャンネルの縮径を、チャンネルの隣接部分、すなわち、図4の実施形態においては、基端部分を通過させる。ネジ止め43及びネジ座部41は、ネジ頭31を捕捉するため、アセンブリチャンネル11内に捕捉部44を形成する。結果として、ネジ保持ユニット40は、アセンブリネジ30がいずれかの方向においてアセンブリチャンネル11を通過しないようにする。
【0079】
より具体的には、ネジ止め43において、アセンブリネジ30は、その端部が境界部分20から離間する方を見て当接する。この端部において、アセンブリネジ30は、アセンブリチャンネル11の開口と反対側のアセンブリチャンネル11の側から境界部分20に向かって、締結ツール70に対してアクセス可能なツール係合境界45を備える。上述のとおり、捕捉部44の他端において、ネジ頭31は、ネジ座部41の表面が境界部分20から離間する方を向くことによって支持される。
【0080】
長手軸Lに沿った捕捉部44の伸長は、長手軸L周りにアセンブリネジ30を回転させる長さを有し、組み付けられた状態で、ネジシャンク32が、ネジ座部41の貫通孔42を確実に通過するようにする。特に、アセンブリチャンネル11の捕捉部44の長さは、ネジシャンク32のネジ山付き部33が少なくとも部分的に、ネジ頭31がネジ止め31に当接するとき、第2のインプラントコンポ―ネント50に対向する側で、ネジ座部41から延設される。
【0081】
上述のとおり、第1のインプラントコンポーネント10は、境界面21から、締結ツール70のためのアセンブリチャンネル11の入口までの長手軸Lに沿った方向において、以下の順で前述の特徴を備える。すなわち、第1の境界部分20の境界面21によって規定されるテーパ窪み、ネジ座部41のための収容部12、アセンブリネジ30のネジ頭31のための捕捉部44、(本実施形態では、第1のインプラントコンポーネント10の基端に据えられた)アセンブリチャンネル11の前述の入口までのアセンブリチャンネル11の残りの部分である。雄境界部分として形成された境界部分20の場合、ネジ座部41は、この境界部分と一体形成されてもよいことに留意しなければならない。
【0082】
同一の方向において、境界部分20及びアセンブリチャンネル11は、互いに対して以下の内径を有する。窪みを規定する境界面21の場合、この窪みの内径は、収容部12の内径より大きいか、又は基本的に等しい。突起を形成する境界面21の場合、ネジ座部41は、この突起と一体形成されてもよい。さらに、収容部12の直径は、捕捉部44の直径より大きい。捕捉部44の直径は、ひいては、このチャンネルへの締結ツール入口までのアセンブリチャンネル11の残りの部分の直径より、少なくとも部分的に大きい。
【0083】
境界部分20、ネジ座部41、アセンブリネジ30、及びアセンブリチャンネル11のこのようなアレンジにより、第2のインプラントコンポーネント50の取付及び分解を向上する。より具体的には、アセンブリネジ30は、上述のとおり、第1のインプラントコンポーネント10と第2のインプラントコンポーネント50との間の堅固な接続を確実にする。確実且つ信頼度の高い接続を提供することにより、この接続は、かなり堅固になり、特に、境界面21、53又は境界部分20、51がテーパ接続を形成する場合、インプラントコンポ―ネント10及び50の分解を困難にする。ここで、アセンブリネジ30と、特に、捕捉部44におけるネジ頭31を捕捉することで、結果として、アセンブリネジ30を緩める際、第2のインプラントコンポーネント50を第1のインプラントコンポーネント10から離間させて押圧する。これは、ネジ頭31が、移動してネジ座部41との接触しなくなり、ネジ止め43に当接することによって生じる。ネジ止め43に一旦当接すると、アセンブリネジ30をさらに緩めることで、第2のインプラントコンポーネント50を、ネジ山付き穴52との係合を介して、さらに離間するように押圧する。結果として、アセンブリネジ30の捕捉構成は、第1及び第2のインプラントコンポーネント10及び50の組み付け及び分解を好都合に支援する。
【0084】
さらに、このアレンジは、ネジ頭31の代わりにツール境界窪みを係合させるため、締結ツールのみがこのチャンネルを通過しなければならないので、アセンブリツール11は、第1のインプラントコンポーネント10を通じて延設されつつ、より小さな直径で構成可能であるという利点がある。これは、結果として、このコンポーネントの設計により高い自由度を与える。本実施形態の場合、第1のインプラントコンポーネント10に関節置換のための所望の機能を付与するために、このコンポーネントの本体に、多数の窪み及び穴が形成されてもよい。
【0085】
例えば、添付の図面に示される第1のインプラントコンポーネント10の実施形態は、骨組織から少なくとも部分的に突出し、第1のインプラントコンポーネント10によって我々の通過を包囲する軟組織構造のための取付構造として機能するように構成される。或いは、第1のインプラントコンポーネント10はまた、軟組織に対して何らの取付構造も伴うことなく、骨組織内にインプラントされるように構成されてもよい。当業者が理解する通り、第1のインプラントコンポーネント10のこのような実施形態に対して、このコンポーネントの外面は、その後、骨の内殖又は骨セメントを介したインプラントコンポーネントのアンカリングに合わせて適合されてもよい。
【0086】
さらに、例としての実施形態の関節置換コンポーネント1は、患者の上腕骨に取り付けられるための、肩関節置換コンポーネントである。しかしながら、当業者は、以上及び以下の説明はまた、以上に挙げた滑膜関節等、患者の他の滑膜関節に対する関節置換にも適用されてよいことを理解するであろう。
【0087】
少なくとも捕捉されたアセンブリネジ30は、第1のインプラントコンポーネント10のインプラントに先立って、事前組み付けされることが好ましい。この事前組み付けには、アセンブリネジ30のネジシャンク32が、ネジ座部41の貫通孔42内に挿入される。その後、アセンブリネジ30とネジ座部41とは、収容部12に係合するために、境界面21によって規定される窪み内に(又は、好ましくは、境界面21が突起を規定する場合はこの面とともに)挿入される。上述のとおり、ネジ座部41と係合部12との間の係合は、図示の例としての実施形態においてネジ係合である。しかしながら、圧入又はスナップフィット等、他の任意の係合形態も可能である。好ましくは、ネジ座部41は、アセンブリチャンネル11内で座部当接段差に当接して、ネジ座部41の挿入範囲を限定する。しかしながら、アセンブリチャンネル11内への挿入を限定する他の任意の手段(例えば、限定的なネジ山、接着剤、ピン、保持リング等)を使用して、この目的を達成してもよい。ネジ座部41が第1のインプラントコンポーネント10に一旦堅持されると、アセンブリネジ30は、アセンブリチャンネル11とネジ座部41とによって形成される捕捉部44内に捕捉される。
【0088】
事前組み付けにはまた、第2のインプラントコンポーネント50への組み付けが含まれてもよい。第2のインプラントコンポーネント50への組み付けのため、第2のインプラントコンポーネント50の境界部分51は、第1のインプラントコンポーネント10の第1の係合部分20へと係合される。この係合中、アセンブリネジ30は、第2のインプラントコンポーネント50のネジ山付き貫通孔52と係合され、好ましくは、第1のインプラントコンポーネント10と第2のインプラントコンポーネント50との間の強固な接続を提供するために、締結ツール70を使用して所定のトルクで締め付けられる。上述のとおり、境界部分20、51は、テーパ境界面21、53を備えて形成されることが好ましく、これらのテーパ境界面のうちの一方が、径方向外側に面し、これらのテーパ境界面のうちの他方が、径方向内側に面する。
【0089】
さらに、第2のインプラントコンポーネント50から第1のインプラントコンポーネント10を分解することは必要であるか、又は少なくとも好都合であることがある。このような分解は、軟組織構造を短くしたり、又は長くする等、解剖学的構成の変化がある場合、又は軟組織の過度の詰め込み又は衝突により、このような分解が必要になることがある。第1のインプラントコンポーネント10と他のインプラントコンポーネント50へのこの組み付けによって可能になる接続とに関連したインプラントコンポーネントアセンブリの効果として、インプラントステム等の関節置換コンポーネント1の一部が、取り外されなくてもよいものの、患者の組織内にアンカリングされたままとなり得る。これは、組織を保護する効果を有するため、患者に対してより優しい。
【0090】
第1のインプラントコンポーネント10と第2のインプラントコンポーネント50の分解のため、締結ツール70は、アセンブリネジ30の締結中のように、前述の入口を通じてアセンブリチャンネル11内へ入れられるものの、このときには、第2のインプラントコンポーネント50からアセンブリネジ30を緩めて、ネジを外すのに使用される。上述のとおり、この結果として、アセンブリネジ30が第1のインプラントコンポーネント10を第2のインプラントコンポーネント50から離間するように押圧する。この押圧作用は、支持として患者の任意の周辺組織構造を使用することなく、2つのインプラントコンポーネントの間でのみ発生する。この結果として、インプラントコンポーネント(関節部材60及び/又は第1のインプラントコンポーネント10等)を修正する場合、患者のストレスと組織損傷とを軽減する。
【0091】
図5及び図6は、第1のインプラントコンポーネント10を使用する関節置換コンポーネント101の他の実施形態を示している。この第1のインプラントコンポーネント10は、上述の実施形態のいずれか1つのように構成されることが好ましい。以上の図、特に図1及び図2に示される実施形態の差異において、関節部材160は、図1及び図2に示される関節部材60とは異なる構成を有する。より具体的には、関節部材160は、凹状関節面164を含む関節部分161を受け入れるための傾斜インレイとして形成された中間部分162を備える。関節置換コンポーネントのこの構成は、リバース肩関節の上腕骨コンポーネントを表し、解剖学的肩関節置換と同一の境界構成を使用することが好ましい。
【符号の説明】
【0092】
以下は、説明及び図面中で使用される参照符号の最後2桁の一覧である。上記及び図面全体を通じて説明したとおり、これらの参照符号は、同一又は同等の機能及び/又は構造を備えた特徴を示している。
1 関節置換コンポーネント
10 第1のインプラントコンポーネント
11 アセンブリチャンネル
12 収容部
13 関節アセンブリチャンネル
14 縫合穴
15 縫合溝
16 ツール係合窪み
17 固着構造
20 第1の境界部分
21 テーパ境界面
25 第2の境界部分
26 境界面
27 凹状境界面
28 位置合わせ穴
30 アセンブリネジ
31 ネジ頭
32 ネジシャンク
33 ネジ山付き部
34 非ネジ山付き部
35 ツール境界窪み
40 ネジ保持ユニット
41 ネジ座部
42 貫通孔
43 ネジ止め
44 捕獲部
45 ツール係合境界
46 座部当接段差
50 第2のインプラントコンポーネント
51 境界部分
52 ネジ山付き穴
53 境界面
60 関節部材
61 関節部分
62 中間部分
63 凸状境界面
65 関節定着ネジ
70 締結ツール
L 長手軸
d1 アセンブリチャンネルの直径
d2 ネジ頭の直径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】