(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(54)【発明の名称】関節置換のためのアンカリング部材
(51)【国際特許分類】
A61F 2/40 20060101AFI20230201BHJP
【FI】
A61F2/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534473
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(85)【翻訳文提出日】2022-07-13
(86)【国際出願番号】 EP2020086183
(87)【国際公開番号】W WO2021122570
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514048224
【氏名又は名称】ワルデマール リンク ゲーエムベーハー ウント ツェーオー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】ダラ プリア,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ,トーマス
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA11
4C097BB01
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC14
4C097DD01
4C097DD09
4C097EE02
4C097SC01
(57)【要約】
本開示は、関節置換のためのアンカリング部材であって、近位境界部分と、遠位部分と、を備え、遠位部分は、骨組織内にアンカリングされるように構成され、近位境界部分は、関節置換の関節部材を搭載するように構成される。近位境界部分は、凹状境界面を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間接置換のためのアンカリング部材(1)であって、
近位境界部分(3)及び遠位部(5)を備えるアンカリング部材(1)を備え、前記遠位部(5)は、骨組織内にアンカリングされるように構成され、近位境界部分(3)は、前記関節置換の関節部材(100)を搭載するように構成され、
前記近位境界部分(3)は、凹状境界面(7)を備える、アンカリング部材(1)。
【請求項2】
前記凹状境界面(7)は、窪みとして形成される、請求項1に記載のアンカリング部材(1)。
【請求項3】
前記凹状窪みは、湾曲プロファイルを有し、前記湾曲プロファイルは、球状、楕円体、又は卵型である、請求項2に記載のアンカリング部材(1)。
【請求項4】
前記アンカリング部材(1)は、前記近位境界部分(3)に搭載穴(18)を備え、前記搭載穴(18)は、前記凹状境界面(7)内に、前記関節部材(100)を固定して装着するために前記関節部材(100)の対応部分を受け入れるように配され、前記搭載穴は、固定部材(12、14)及びテーパ部のうちの少なくともいずれか一方によって係合するためのねじを備えることが好ましい、請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載のアンカリング部材(1)。
【請求項5】
前記アンカリング部材(1)は、骨内への前記アンカリング部材(1)の挿入方向に関して、径方向に延設される複数のフィン(16)を備える、請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載のアンカリング部材(1)。
【請求項6】
前記凹状境界面(7)は、位置合わせ構造を備える、請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載のアンカリング部材。
【請求項7】
前記位置合わせ構造は、少なくとも1つの位置合わせ窪み(20)、好ましくは複数の位置合わせ窪み(20)を備え、前記少なくとも1つの位置合わせ窪みは、前記関節部材(100)の対応突起(106)に嵌合するためのものである、請求項6に記載のアンカリング部材。
【請求項8】
前記アンカリング部材(1)は、骨に挿入されるように構成されたステム部分(15)をさらに備え、前記ステム部分(15)は、モジュラーであることが好ましい、請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載のアンカリング部材(1)。
【請求項9】
近位端(102)と、遠位境界部分(104)と、を備え、前記近位端(102)は、関節表面として形成され、前記遠位境界部分(104)は、前記関節置換のアンカリング部材(1)、特に、請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載のアンカリング部材(1)を搭載するように構成され、
前記関節表面は、ボール関節面であり、
前記遠位境界部分(104)は、凹状境界面を備える、関節置換のための関節部材(100)。
【請求項10】
前記関節部材(100)は、中間コンポーネント(112)と、関節コンポーネントと、を備え、
前記中間コンポーネント(112)及び前記関節コンポーネントは、摩擦適合又は形状適合により、互いに固定して取り付けられることが好ましい、請求項9に記載の関節部材(100)。
【請求項11】
前記関節部材(1)の前記境界面(108)は、位置合わせ構造を含み、前記位置合わせ構造は、アンカリング部材の位置合わせ窪みと嵌合するように構成された突起(106)であることが好ましい、請求項9又は10に記載の関節部材(100)。
【請求項12】
前記関節部材は、解剖学又はリバース関節部材として構成される、請求項9乃至11のうちのいずれか一項に記載の関節部材(100)。
【請求項13】
関節置換コンポーネント(200)であって、関節の一方側を置換するためのもので、
請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載のアンカリング部材(1)と、
請求項8乃至12のうちのいずれか一項に記載の関節部材(100)と、
を備え、
組み付け状態において、前記アンカリング部材の前記凹状境界面(7)と前記関節部材(100)の前記凹状境界面(108)とは、前記関節部材が、前記アンカリング部材内に部分的に収容されるように表面接触する、関節置換コンポーネント(200)。
【請求項14】
前記関節置換は、球状関節、特に、肩関節の置換である、請求項13に記載の関節置換コンポーネント(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節置換全般に関し、特に、肩関節置換に関する。特に、本発明は、骨組織内にアンカリング可能なアンカリング部材に関する。
【背景技術】
【0002】
生来の関節は、例えば、関節炎等、種々の理由により、退行性変化してしまうことがある。また関節は、骨折したり、そうでなくてもその関節表面、特に、これらの表面を形成する硝子軟骨の機能に影響を及ぼす外力によって損傷されることがある。このような関節が著しく劣化又は損傷した場合、生来の関節を関節置換で置換することが必要になる場合がある。
【0003】
このような置換は、表面置換及び/又は半関節形成術で開始することもあり、双方とも、生来の滑膜関節の部分的置換である。これは、一般的には、後に全体的な関節置換が行われる可能性の高い、単なる一時的なソリューションである。さらに、関節置換はまた、摩耗して置換されなければならないことがあり、これが、いわゆる再置換である。
【0004】
例えば、全体的な肩置換には、上腕骨コンポーネントと、関節窩コンポーネントとが含まれる。しかしながら、半関節形成術では、上腕骨コンポーネントは、生来の関節窩キャビティに対して連結される。
【0005】
典型的には、上腕骨コンポーネントは、上腕骨内へ挿入されるアンカリング部材と、解剖学的関節形成術の場合の凸状ヘッド又はリバース関節形成術の場合の凹状カップであり得る、関節表面を提供する関節部材と、を備える。典型的には、関節部材は、生来の関節の配置を再現するために、アンカリング部材の先端部分の長手軸、すなわち、上腕骨の長手軸に対して或る傾斜角で、アンカリング部材のネック部分に連結される。
【0006】
解剖学的関節形成術において、関節置換の構造は、凸状解剖学的ボールヘッドが上腕骨に固定され、凹状解剖学的浅窩コンポーネントが肩甲骨に固定された解剖学的肩に似ている。
【0007】
リバース型関節形成術において、解剖学的構成は、リバース型である。すなわち、リバース凹状ライナーが上腕骨に固定され、リバース凹状グレノスフェアが肩甲骨に固定される。
【0008】
膝関節と同様に、肩関節は、主に、この関節を包囲する靭帯と筋肉とによって安定化される。したがって、上述の手術技術のいずれかにおいて、治療対象の関節の安定性のために、可能な限り多くの軟組織を無傷で維持することが重要である。特に、肩関節は、脱臼しやすく、手術後はさらにそれが顕著である。
【0009】
さらに、関節置換、特に、肩関節置換では、以下の問題が観察されている。骨内に関節置換のアンカリングを行うとき、関節部材は、生来の関節よりも必要とする体積が大きくなることがある。軟組織は当然、生来の関節部材に合わせた寸法を有しているため、この結果として、関節部材が、この関節を包囲する軟組織(筋肉、腱、靭帯、神経、血管)を圧迫し得る。
【0010】
肩関節置換の場合、この問題は、主に、関節の頭側で軟組織に影響を及ぼし、その後、例えば、上腕骨頭と(生来の)肩峰との間に作用する。これは、関節近傍でオーバーストレッチした筋肉及び神経が痛みを生じることに繋がり、関節置換の場合、各腕の外転の動きを限定することが多くある。この問題は、「オーバースタフィング」として知られている。
【0011】
特許文献1は、アンカリング部材と関節部材とを備えた肩関節プロテーゼの上腕骨コンポーネントであって、アンカリング部材と関節部材とは、アンカリング部材と関節部材との間の平坦な境界を介して互いに接続される上腕骨コンポーネントについて記載している。この関節部材は、アンカリング部材の頂上部に載置され、関節置換に大きな体積が必要となる。
【0012】
特許文献2は、肩関節置換のためのグレノスフェアに関する。この文書は、グレノスフェアがアンカリング部材に接続された関節部材と相互作用するリバース型肩関節置換であって、アンカリング部材と関節部材との間の接続は、平坦形状に形成され、上腕骨内に位置付けられるリバース型関節置換を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】欧州特許第1978896B1号明細書
【特許文献2】欧州特許第1064890B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、以上に鑑み、本開示の目的は、肩関節を包囲する軟組織のオーバースフタフィング又はアンダースタフィングを防ぐためのより良好な適合を可能にする肩関節置換を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、独立項1に記載の関節置換のためのアンカリング部材によって対処されるもので、請求項1に従属する請求項は、好適な実施形態に関する。
【0016】
より具体的には、本開示は、関節置換のためのアンカリング部材であって、アンカリング部材は、近位境界部分と、遠位部分と、を備えるアンカリング部材に関する。遠位部分は、骨組織内にアンカリングされるように構成され、近位境界部分は、関節置換の関節部材を搭載するように構成される。近位境界部分は、凹状境界面を備える。
【0017】
関節置換のためのアンカリング部材は、骨内に関節置換をアンカリングする目的で機能する。例えば、肩関節置換の場合、アンカリング部材は、上腕骨の近位端に用意されたキャビティ内に移植される。関節置換が股関節又は手首関節の置換である場合、アンカリング部材は、例えば、各々、大腿骨内、又は、橈骨内に挿入される。結果として、アンカリング部材は、関節置換部材を移植するために、任意の長骨内に挿入可能である。
【0018】
アンカリング部材は、近位境界部分を介して間接部材を装着するように構成され、この関節部材は、関節カウンタパートの対応関節部材を備えた関節を形成する目的を有する。
【0019】
凹状境界面を備えたアンカリング部材の近位境界部分は、アンカリング部材のより先端側、すなわち、より深くに搭載可能となって、関節置換のスペースを削減するという効果を有する。凹状境界面は、アンカリング部材の近位面側を形成する。
【0020】
特に、リバース型肩関節置換の場合、この効果は、所望の機能と動きの範囲を提供するのに特に有利である。本構成において、上腕骨側のリバース型肩関節置換の関節面と、アンカリング部材の凹状境界面とは、互いに対応する曲率を有する(すなわち、これらは、同一の方向に湾曲する)。
【0021】
また、このような凹みにより、上腕骨と関節窩との間の距離を低減する。関節部材(例えば、リバース型関節置換のためのリバース型ライナー)を使用するとき、このような関節部材は、規定の厚さを有し、関節窩に連結された凹状半球(「グレノスフェア」)と相互作用する。したがって、アンカリング部材の凹みは、関節部材の凸状カウンタパートに連結可能であり、この凹みのため、リバース型関節部材の厚さは、例えば、平坦面境界に比して低減することができる。
【0022】
さらに、近位境界部分のこの構成により、靭帯、筋肉、及び腱等、関節を包囲する組織の衝撃が起こりにくくなるように、軸方向への関節部材の突起を低減する。
【0023】
凹状境界面は、2次元又は3次元の凹みとして形成されてもよい。2次元の凹みは、1つの平面(及びそれに平行なすべての面)において凹状のプロファイルを有し、この平面に直交する面において、2次元の凹みのプロファイルは、凹状ではない。代わりに、線形であることが好ましいが、凸状であってもよい。凹状プロファイルを備える平面は、関節置換の近位-遠位方向に延びることが好ましい。さらに、このプロファイルは、湾曲プロファイルであることが好ましく、円形又は楕円形のプロファイルであることがさらに好適である。
【0024】
しかしながら、凹状境界面は、3次元の凹みとして形成されることが好ましい。このような凹状境界面は、窪みとして形成される。結果として、この窪みは、1つの平面と、それに直交する、又は、その間の任意の他の角度の他の平面において、凹状プロファイルを有する。
【0025】
したがって、「窪み」という用語は、本開示中、インデントとして理解され、すなわち、窪みの表面が、環状部分よりも深い点又は部分を有し、この環状部分によって完全に包囲される。換言すると、境界面は、内側に膨らんでいる。
【0026】
好ましくは、アンカリング部材の凹状窪みは、湾曲プロファイルを有し、この湾曲プロファイルは、特に、球状、楕円形、又は卵型である。
【0027】
このようなプロファイルは、3次元に湾曲しており、本明細書中、球状、楕円形、卵型、又はそれ以外の3次元湾曲形状が形成されるように少なくとも2つの非同一且つ非平行である面に湾曲していると理解されなければならない。
【0028】
平坦形状、又は1つの面のみが湾曲している形状等の代替形状とは対照的に、この凹状窪みの3次元湾曲形状により、アンカリング部材と関節部材との間の相対的な向きが2軸周りに調整可能となるという効果をもたらす。
【0029】
アンカリング部材は、関節部材を固定して装着するための搭載穴を備えてもよく、搭載穴は、固定部材及び/又はテーパ部と係合するためのねじを備える。
【0030】
より好ましくは、搭載穴は、近位境界部分内に配され、凹状境界面内に位置付けられる。搭載穴は、関節部材の対応部分を受け入れるためのものである。
【0031】
凹状境界面に搭載穴を提供することにより、関節部材の対応部分、例えば、ねじ山付き突起又はテーパ等の固定部材を、対応するねじ又はテーパを有してもよい搭載穴に挿入することで、アンカリング部材に関節部材を搭載することができる。
【0032】
特に、搭載穴がテーパとして形成される場合、テーパ接続を介してこの搭載穴に搭載される関節部材は、二重嵌合を防ぐため、凹状境界面に一定距離のところにある。
【0033】
アンカリング部材と関節部材との間の搭載穴により、関節部材とアンカリング部材との相対的な向きを良好に調整するための回転軸を提供する。肩関節の場合、これは、結果として、関節部材と上腕骨との相対的向きの調整を生じる。
【0034】
好ましくは、アンカリング部材は、骨内へのアンカリング部材の挿入の規定方向に関し、径方向に延設される複数のフィンを備える。
【0035】
これらのフィンを設けることで、アンカリング部材の挿入軸周りの回転方向に、アンカリング部材を係止するという効果を有する。さらに、これらのフィンは、骨組織内へのアンカリングのために、追加的な表面積を提供する。この追加的な表面により、さらにコンパクトな設計を備えたアンカリング部材も提供できるようにする。換言すると、フィンを備えたアンカリング部材を設けることにより、アンカリング部材の遠位部分のサイズを低減することができる。
【0036】
より具体的には、このような構成は、長手方向ステム、例えば、長骨の骨髄チャンネル内に延びるように構成されたステムを備えないため、実質的にステムレス構成と見なされてもよい。特に、このようなステムレス構成は、1.5未満、より好ましくは1未満の長さ対幅の割合を有することが好ましい。したがって、フィンでない、他の突出アンカリング構造が使用されてもよい。
【0037】
好ましくは、アンカリング部材の凹状境界面は、位置合わせ構造を備える。
【0038】
アンカリング部材のためにこのような位置合わせ構造を設けることにより、関節部材における対応補助位置合わせ構造と協働して、アンカリング部材に対する関節部材の相対的向きを調整及び固定することができるようにする。肩関節置換の場合、この特徴により、関節部材と上腕骨との間の相対的向きのために、このような調整を可能にする。
【0039】
生来の関節の機能を回復するには、異なる患者の生体構造であれば、異なる置換又は移植を必要とする可能性が高いため、関節部材とアンカリング部材との間の異なる向きから選択ができることが好ましい。アンカリング部材に位置合わせ構造を設けることにより、同一のアンカリング部材及び関節部材を使用して、異なる関節置換構成を実現できるようにする。換言すると、これにより、アンカリング部材と関節部材との間の軸周りの向きを調整できるようにする。これにより、関節置換手術のためのストックに保持されなければならない関節置換の部品数を低減する。
【0040】
好ましくは、アンカリング部材の位置合わせ構造は、少なくとも1つの位置合わせ窪み、特に、複数の位置合わせ窪みを備え、少なくとも1つの位置合わせ窪みは、関節部材の対応する突起に嵌合するためのものである。さらに好ましくは、この位置合わせ構造は、アンカリング部材の搭載穴周辺に配置される。
【0041】
アンカリング部材と関節部材とが、アンカリング部材の搭載穴と関節部材の対応部分とを係合することによって連結されるとき、関節部材とアンカリング部材との相対的向きは、搭載穴を通じて、回転軸周りにアンカリング部材に対して間接部材を回転させることにより、変更可能である。
【0042】
回転軸に対して一定距離に設けられる少なくとも1つの位置合わせ窪みであって、回転軸は、搭載穴の長手軸に対応する位置合わせ窪みを備えることにより、形状適合で、アンカリング部材と関節部材の相対的位置を固定することができるようにする。当然、このような位置合わせ構造は、アンカリング部材の搭載穴と、関節部材の対応突起との一部を形成してもよい。
【0043】
1つを超える数の位置合わせ窪みを設けることにより、アンカリング部材と関節部材との相対的な向きを配置するのに、さらに異なる選択肢からの選択を可能にし、ひいては、単一の関節置換手順で用意する必要のある関節部材及びアンカリング部材をより少ない数として、異なる患者の生体構造を治療できるようにする。
【0044】
好ましくは、アンカリング部材は、骨内に挿入されるように構成されたステム部分をさらに備え、ステム部分は、モジュラーであることがさらに好ましい。
【0045】
アンカリング部分の挿入される患者の骨内において、アンカリング部分を固定する安定性は、骨とアンカリング部材との間の相互作用によって大きく決まるため、骨内への挿入のためのステム部分は、安定性を増す。
【0046】
モジュラーステム部分は、一方では、各組み合わせをストックに保持する必要性を伴うことなく、ステム部分の異なる部分に対する材料又は表面テクスチャの異なる組み合わせを使用する可能性を提供する。例えば、1つの材料及び/又は、テクスチャは、骨髄腔内に位置決めされるように、アンカリング部材の一部のために設けられ、他の材料及び/又はテクスチャは、骨の小柱部内に位置決めされるように、その部分に設けられる。しかしながら、他の材料及び/又はテクスチャが、筋肉又は軟組織が存在する、位置決め対象部分のために設けられてもよい。
【0047】
好ましくは、関節部材は、近位端と、遠位境界部分と、を備え、近位端は、関節面として形成され、遠位境界部分は、関節置換のアンカリング部材、特に、上述のようなアンカリング部材を搭載するように構成される。関節表面は、ボール関節表面であり、遠位境界部分は、凸状境界面を備える。
【0048】
本明細書において使用される「ボール関節表面」という用語は、ボール関節のボール部の表面と、ボール関節のキャビティ部との双方のために使用することができる。
【0049】
ボール関節面は、例えば、生来の関節の構成に似た表面であってもよい。肩関節置換の場合、上腕骨関節置換の関節表面は、例えば、対応する関節窩に嵌合する生来の上腕骨の構成に似たものとすることができる。
【0050】
リバース型関節置換の場合、関節表面は、肩関節置換の上腕骨コンポーネントの側に配置されるキャビティを形成し、これは、関節窩骨に取り付けられた関節置換の対応ボール状表面を備えた関節を形成するように構成される。
【0051】
双方の場合において、関節部材の遠位境界部分は、凹状であり、これは、以上に検討したものと同様であり、2つの非同一且つ非平行な軸に沿って湾曲している。
【0052】
この構成により、関節部材の遠位境界部分がアンカリング部材の補助近位境界部分に係合されるようにする。
【0053】
アンカリング部材と関節部材との間の連結は、アンカリング部材の近位境界部分と関節部材の遠位境界部分とが基本的に同一の曲率半径を備えた部分を有するときに、特に好適である。
【0054】
一方では、連結時に接触すると、この構成の結果として得られた面接触により、関節部材に安定的なサポートを提供する。これによりまた、アンカリング部材と関節部材との間のギャップを低減する。このようなギャップを回避することで、デッドスペースを低減し、ひいては、内部に線維組織が形成されることを防ぎ、病原菌の侵入を防ぐ。
【0055】
他方では、この構成は、アンカリング部材と関節部材との間の連結が、搭載穴と関節部材の対応突起との間のテーパ連結によって確立される場合、互いに干渉しないように維持される。信頼度の高いテーパ連結の摩擦適合を確保するために、搭載穴を少なくとも部分的に包囲する境界部分の凹状方面と、上述の対応突起を少なくとも部分的に包囲する境界部分の凹状表面との間で接触が生じないようにしなければならない。基本的に同一の半径を有するこれら2つの境界表面により、以上に検討した他のすべての効果とともに、組み付け状態において、両者間の距離を最短に確保することができる。
【0056】
好ましくは、関節部材は、中間コンポーネントと、関節コンポーネントと、を備え、中間コンポーネント及び関節コンポーネントは、摩擦適合又は形状適合により、互いに固定して装着されることが好ましい。
【0057】
関節部材のために中間コンポーネント及び関節コンポーネントを設けることにより、例えば、関節置換を患者の特有の生体構造に適合させるために、個々の中間コンポーネントが複数の異なる中間コンポーネントから適切に選択可能となる効果を有する。仮にそうであったとしても、関節コンポーネントは、その関節面の寸法のみが異なってもよい。
【0058】
一般的に、コンポーネントは、当分野で既知の任意の方法で互いに固定可能であるが、摩擦適合及び形状適合は、安全な連結を提供することがわかっている。
【0059】
例えば、中間コンポーネントは、同心又は偏心アダプタとすることができ、関節コンポーネントは、上腕骨頭の構造に似た解剖学的頭部とすることができる。
【0060】
リバース型関節置換の場合、中間コンポーネントは、例えば、中立、オフセット、又は傾斜したトレイ、又はアダプタ、又はエクステンダとしてもよく、関節コンポーネントは、リバース型インサート、例えば、中立リバース型インサート、又は例えば5°~25°の間の傾斜を備えたリバース型インサートとすることができる。
【0061】
中間コンポーネントと関節コンポーネントとの傾斜構成及びオフセットにより、執刀医が、すべての具体的な場合に合わせて最も適切な構成を選択できるようにする。これは、特に、中間コンポーネント及び関節コンポーネントに各々異なる傾斜が付与される場合である。これにより、所望に応じて、ステムと関節コンポーネントの凹状関節表面の中心軸との間の角度を調整できるようにする。さらに、傾斜した中間コンポーネントと関節コンポーネントとを選択することにより、異なる平面における関節の向きを補正又は調整することができる。
【0062】
歴史的に、ステムの軸と関節コンポーネントの平面との間の角度は、関節安定性を理由に、約155°に設定されてきたが、昨今、約135°の角度が安全であると考えられている。この角度が低いほど、上腕骨インプラントと肩甲骨との間の衝撃のリスクが低くなる。関節置換に、155°でなく、例えば、135°の角度を与えることは、通常、生来の生体構造によりよく似て、手術手順に関する利点を与え、解剖学的構成をリバース型構成に変換するのを促進する。
【0063】
代替又は追加として、ステムの長手軸と凹状関節表面の中心軸との間の角度の適合は、位置合わせ構造が設けられる場合に調整されてもよい。中間コンポーネントが傾斜しているため、アンカリング部材に対して中間コンポーネントの向きを調整することで、患者の前頭面における傾斜に適合させる。
【0064】
インサートは、例えば、CoCr、又はUHMWPE等のポリエチレン(PE)のような材料で作成されてもよい。これらは、コーティングを有してもよい。
【0065】
さらに、関節置換の構成に中間コンポーネントを一体化することで、骨組織及び/又は軟組織への関節置換の固定への影響を最少化、又は防止さえもする置換の、解剖学的構成とリバース型構成との間の切替えを可能にする。
【0066】
通常、このようなインサートを使用することは、関節置換に必要な空間の増加に繋がるであろう。しかしながら、凹状近位境界面の使用時、インサートの壁厚さは、不安定化又は材料破壊のリスクを伴うことなく、薄くされてもよい。さらに、関節置換を包囲する軟組織のオーバースタフィング及びオーバーストレッチングのリスクを少なくとも低減することができ、結果として、関節置換の所望の機能の所望の動き範囲を得ることができる。これは、結果として、患者のクオリティオブライフをさらに向上する。
【0067】
中間コンポーネント及び関節コンポーネントは、例えば、モールス式テーパ又はねじ連結により、摩擦適合で互いに装着されてもよい。代替又は追加として、これらのコンポーネントは、形状適合、例えば、スナップフィット又はバイオネット連結によって互いに装着されてもよい。
【0068】
好ましくは、関節部材の境界面には、位置合わせ構造が含まれ、位置合わせ構造は、アンカリング部材の位置合わせ窪みに嵌合するように構成された突起であることがさらに好ましい。
【0069】
上述のとおり、このような位置合わせ構造により、異なる患者の生体構造に合わせて、アンカリング部材及び関節部材の相対的な向きを固定及び/又は調整する選択肢を提供する。
【0070】
関節部材は、解剖学的又はリバース型関節部材として構成されてもよい。これにより、対応する解剖学的関節窩置換又はリバース型関節窩置換と係合できるようにする。
【0071】
関節の一方側を置換するための関節置換コンポーネントも開示されている。関節置換コンポーネントは、上述の特徴のいずれかを有するアンカリング部材と関節部材とを備える。組み付けられた状態において、アンカリング部材の凹状境界面と、関節部材の凸状境界面とは、関節部材をアンカリング部材内に部分的に収容させる。
【0072】
この組み付けにより、関節部材の一部が、凹状境界面によって形成されたアンカリング部材の凹み又は窪み内に収容されるため、関節置換コンポーネントに必要なスペースを低減させる。
【0073】
さらに、この構成により、アンカリング部材がよりコンパクトに構築されるため、組み付けられた関節置換の剛性を向上する。
【0074】
アンカリング部材と関節部材との間の連結がテーパ連結である場合、アンカリング部材の近位表面と関節部材の遠位表面とは、互いに接触しないことが望ましい。それでも、凹状境界面により、関節置換コンポーネントに必要なスペースを低減することができる。
【0075】
好ましくは、関節置換は、球状関節、特に、肩関節のための置換である。
【0076】
肩関節置換は、特に、オーバースタフィングによる問題を生じる可能性を増してしまうスペース限定を生じやすいため、本開示を肩関節に適用することが特に有利である。本明細書に開示のとおり、アンカリング部材の構成は、関節置換等を行う患者に所望の結果が得られるようにサポートする。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る関節置換のためのアンカリング部材を示している。
【
図2A】
図2A、2B、及び2Cは、他の実施形態に係る関節置換のための他のアンカリング部材を示している。
【
図2B】
図2A、2B、及び2Cは、他の実施形態に係る関節置換のための他のアンカリング部材を示している。
【
図2C】
図2A、2B、及び2Cは、他の実施形態に係る関節置換のための他のアンカリング部材を示している。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る関節置換コンポーネントの配置を側面図で示している。
【
図4A】
図4A、4B、及び4Cは、先端境界部分の一実施形態の異なる図を示している。
【
図4B】
図4A、4B、及び4Cは、先端境界部分の一実施形態の異なる図を示している。
【
図4C】
図4A、4B、及び4Cは、先端境界部分の一実施形態の異なる図を示している。
【
図5A】
図5Aは、モジュラーアンカリング部の一実施形態を示している。
【
図5B】
図5Bは、アンカリング部の基端部分の一実施形態を示している。
【
図6】
図6は、リバース関節置換の異なる実施形態の展開図を示している。
【
図8】
図8は、リバース関節コンポーネントの一実施形態を示している。
【
図11】
図11は、さらなる実施形態に係るリバース関節コンポーネントを示している。
【発明を実施するための形態】
【0078】
図1は、一実施形態に係る関節置換のためのアンカリング部材1を示している。
【0079】
アンカリング部材1は、2つの部分、すなわち、近位境界部分3と、遠位部5と、を有する。
図1に示される実施形態の遠位部5は、ステム部分15を有する。本実施形態において、ステム部分15は、長尺形状を有し、長骨、例えば、上腕骨又は大腿骨に挿入可能となるように構成され、遠位部5が骨等の骨組織内にアンカリングできるようにする。
【0080】
近位境界部分3は、関節置換の関節部材を搭載するように構成され、凹状境界面7を備える。図示のとおり、凹状境界面7は、窪み、すなわち、内側に膨らんだインデントとして形成されてもよい。それにも拘わらず、3次元の凹みとして形成されるのでなく、上述のとおり、2次元の凹みとして形成されてもよい。
【0081】
図1に示される実施形態の近位境界部分3は、中心穴18と、中心穴18の周辺に配置された複数の位置合わせ窪み20と、をさらに備える。本実施形態において、位置合わせ窪み20は、搭載穴18の中心軸周辺の円上に等距離に配置される。搭載穴18には、ねじ山(図示せず)を設けることができる。或いは、搭載穴18は、テーパ穴として構成することができる。
【0082】
図1は、近位境界部分3が、加熱部材の対応部分を受け入れるための搭載穴18を備え、搭載穴18は、凹状境界面7内に配されることも示している。
【0083】
凹状境界面7内の搭載穴18により、関節部材100の対応部分を搭載穴18内に挿入することにより、アンカリング部材1上に関節部材(以下に検討する関節部材100等)を搭載することができるようにする。
【0084】
好ましくは、アンカリング部材1と関節部材とは、テーパ連結で互いに装着される。したがって、以上に既に述べたとおり、近位に向いた凹状境界面7と、遠位に向いた関節部材の対応する凸状境界面とは、組み付け時、互いに一定距離である。これにより、二重適合が生じるのを防ぐ。
【0085】
図2A、2B、及び2Cは、他の実施形態に係る関節置換のための他のアンカリング部材50を異なる図面中に示している。
図2A、2B、及び2Cに示される実施形態は、アンカリング部材50を示しており、これは、
図1に示されるアンカリング部材1と同様に、2つの部分、すなわち、近位境界部分3と遠位部5とを有する。
【0086】
近位境界部分3は、関節置換の関節部材を搭載するように構成され、凹状境界面7を備える。
図1に示される実施形態と同様に、凹状境界面7もまた、3次元窪みとして形成されることが好ましい。
【0087】
図2に示される実施形態の近位境界部分3は、中心穴18をさらに備える。図示のとおり、複数の位置合わせ窪み20が搭載穴18の周りで等距離に配置されてもよい(
図1を参照のこと)。
【0088】
アンカリング部材50の遠位部5は、上腕骨等、長骨内に挿入されるように構成される。挿入方向は、アンカリング部材50の挿入軸を規定し、これは、
図2に示されるアンカリング部材50の場合、搭載穴18の中心軸である。しかしながら、挿入軸は、搭載穴18の軸に対応することに限られるものでなく、これと異なるものとすることができる。
【0089】
図2A、2B、及び2Cに示される実施形態において、遠位部5は、アンカリング部材50の挿入方向に対して半径方向に延びる複数のフィン16を備える。図示の実施形態は、4つのフィン16を備え、2つの基本的に対称なフィン16の対が、骨への挿入軸に対して互いに反対側に配置される。フィン16の数は、4つに限定されるものでなく、他の任意の数とすることもできる点に留意しなければならない。さらに、図示のアンカリング部材50中のフィン16は、基本的に等しいサイズを有しているが、他の実施形態では、異なるサイズのフィンを含んでもよく、例えば、一対の反対側に配置されたフィンが、挿入方向又はこれに対する放射方向において、他の対の反対側に配置されたフィンより小さい構成であってもよい。
【0090】
図1に示されるアンカリング部材1と比較すると、
図2に示される実施形態は、上腕骨の頭側部分内に挿入可能である。
【0091】
図3は、一実施形態に係る関節置換コンポーネント200の配置を側面図で示している。
【0092】
関節置換コンポーネント200は、基本的に上述のアンカリング部材1、50のうちの一方であり得るアンカリング部材と、関節部材100と、を備える。
図3に示される実施形態において、関節部材100は、解剖学的関節部材である。しかしながら、関節部材100は、リバース型関節部材であってもよい。
【0093】
図3に示される実施形態において、関節部材100は、関節表面として形成される近位端102を備えた関節コンポーネント19と、凸状境界面108を備えた遠位境界部104を備えた中間部分112と、を備える。遠位境界部104は、凸状境界面108を備え、関節置換のアンカリング部材1、50に搭載されるように構成される。近位端102の関節表面は、凸状ボール関節表面として形成される。しかしながら、近位端102は、リバース型関節置換の場合、凹状ボール関節表面としても形成可能であることに留意しなければならない。
【0094】
図3の実施形態に示されるとおり、関節部材100は、中間コンポーネント112と関節コンポーネント19等、別個の部品からなってもよい。中間コンポーネント112は、例えば、固定部材12によってアンカリング部材1、50に固定されてもよく、関節コンポーネント19は、摩擦適合又は当分野で既知の他の方法によって中間コンポーネント112に固定されてもよい。
【0095】
アンカリング部材1、50は、オフセット固定部材115と位置合わせ構造106とにより、中間コンポーネント101に連結することも可能である。
【0096】
しかしながら、アンカリング部材1、50は、一体形成された関節部材150に連結されてもよい。
【0097】
図4A、4B、及び4Cは、中間コンポーネント112の一実施形態の異なる図面を示している。中間コンポーネント112は、関節コンポーネント19(
図4には図示せず)に係合されるように構成された近位係合部22と、凸状境界面108を備える遠位境界部104と、を備える。遠位境界部104は、この場合、アンカリング部材1、50(上述を参照のこと)の対応する搭載穴18に嵌合するように構成される突起である、固定部材14をさらに備える。すなわち、固定部材14は、摩擦適合によって搭載穴18に係合するために、ねじ山を有することができ、及び/又は、テーパ状にすることができる。追加又は代替として、これは、形状適合による係合であってもよい。
【0098】
図4A、4B、4Cに示される中間コンポーネント112は、遠位境界部分の周辺でこれを貫通して配置される複数の穴111も備え、これらは、例えば、縫合穴として使用することができる。
【0099】
中間コンポーネント112がねじ又はリベット等の別個の固定部材12によってアンカリング部材1、50に連結される場合、固定部材14は、搭載穴18に対して中間コンポーネント112を中心に据えるように形成されてもよい。
【0100】
図4に示される実施形態において、固定部材14は、中間コンポーネント112の境界面108に中心を据えて設けられる。しかしながら、固定部材14は、遠位境界部104の回転中心からオフセットして配され、固定部材周りの回転を使用して、例えば、アンカリング部材1,50の搭載穴18に対する中間コンポーネント112の向きを調整できるようにすることもできる。
【0101】
また、位置合わせ構造が設けられてもよい。より具体的には、固定部材14の隣の突起(図示せず)は、アンカリング部材1、50の対応する位置合わせ窪み20に係合してもよい。
【0102】
好ましくは、凸状境界面108は、曲率、特に、曲率と基本的に同一であるか、又はこれより小さな半径、特に、中間コンポーネント112に係合されるアンカリング部材1、50の凹状境界面7の半径を有する。固定部材14がアンカリング部材1、50の搭載穴18とテーパ連結を形成するように構成される場合、中間部材112の凸状境界面108と、アンカリング部材の凹状境界面7とは、互いに接近するものの、互いに接触することはなく、中間部材112がアンカリング部材1、50内部にある程度載置可能となるようにし、これにより、関節置換コンポーネント200に必要とされるスペースを低減できるようにする。より具体的には、境界面7、108は、3、2、又は1mmよりも短い距離等、互いに一定距離を空けることが好ましい。この距離は(さらに)、凸状境界面108の曲率が凹状境界面7の曲率より小さくなることで、発生されてもよい。
【0103】
固定部材14がアンカリング部材1、50の搭載穴18にねじ係合されるように構成される場合、アンカリング部材1、50の境界面と、中間部分112とは、互いに接触してもよい。またこの場合、中間部分112とアンカリング部材1、50の凸形状及び凹形状により、各々、関節置換コンポーネント200の体積を低減できるようにする。
【0104】
図5Aは、モジュラーアンカリング部1の一実施形態を示している。
図5Aに示される実施形態において、アンカリング部材1は、近位境界部分3と、遠位部5と、を備える。
図5Aに示される実施形態の近位境界部分3は、好ましくは、窪みとして形成された凹状境界面7と、中心搭載穴18と、を備える。さらに、近位境界部分3は、搭載穴18の周辺に円形に配置された位置合わせ窪み20を備える。
【0105】
図5Aに示されるアンカリング部材1の遠位部5は、骨組織内にアンカリングされるように構成され、モジュラー構成を有する。特に、モジュラーアンカリング部1は、近位部分301と、遠位部分303と、を備え、これらは、例えば、締結具(図示せず)によって互いに装着される。
【0106】
本実施形態に遠位部分303は、セメント固定されるように実質的に平らな表面、又は、骨の内殖のために構成された表面を有してもよい。近位部分301は、軟組織構造の装着を支持するために、テクスチャのある表面を有してもよい。
【0107】
図5Bは、近位部分301の一実施形態を示している。
図5Bに示される実施形態において、近位部分301の表面は、突起305によってテクスチャを備えるが、これらは、近位部分305の外面の一部から突出する。前記突起305により、周辺組織、例えば、骨組織又は軟組織との相互作用を向上し、アンカリング部材の安定性を向上する。
【0108】
近位部分301と遠位部分303は、異なる材料から作成されてもよい。
【0109】
図6は、リバース型関節置換の異なる実施形態の展開図を示している。
【0110】
図示のとおり、アンカリング部材1、50は、中間コンポーネント412に連結可能であり、これは、リバース型関節置換のためのリバース型関節部材430の一部を形成する。例えば、アンカリング部材1、50は、
図7A及び
図7Bに示される中間コンポーネント412に連結可能であり、これはひいては、
図8に示されるリバース型関節コンポーネント419に連結可能である。或いは、アンカリング部材1、50は、
図9A及び9Bに示される傾斜中間コンポーネント512に連結可能であり、これはひいては、
図10A及び10Bに示される傾斜リバース型関節コンポーネント519に連結可能である。
【0111】
中間コンポーネント412は、中間コンポーネント112と同様に、固定部材414が位置決められる凸状境界面408を備えた遠位境界部分404を有する。
【0112】
中間コンポーネント412は、リバース型関節置換のための関節コンポーネント419の対応突起421に固定されて係合されるために、ねじ山又はテーパを備えて構成可能な窪み420を有する。
【0113】
或いは、リバース型関節部材530は、
図9A及び9Bに示されるような中間コンポーネント512と、
図10A及び10Bに示されるような関節コンポーネント519のアセンブリとすることができる。
【0114】
リバース型関節置換については、中間コンポーネント512は、関節コンポーネント519の対応突起521と係合するための窪み520を備えて形成される。中間コンポーネント512は、固定部材514の軸に対して、傾斜リム515、又は、搭載平面を備えて形成可能である。
【0115】
さらに、中間コンポーネント512には、位置合わせ突起506が設けられ、これは、固定部材14がアンカリング部材1、50の搭載穴18に係合しているとき、アンカリング部材1、50の位置合わせ窪み20に係合可能となるように構成される。これにより、アンカリング部材1、50に対する中間部材512の平面の傾斜の方向を調整できるようにする。
【0116】
図10A及び10Bに示される関節コンポーネント519は、中間コンポーネント512の対応窪み520と係合する突起521を備えて構成される。関節コンポーネント519は、対応する凸状関節関節部材(図示せず)と相互作用するために、凹状関節表面として形成された近位端502を有する。
【0117】
関節表面は、突起521の軸に対して傾斜したリム525を有し、関節コンポーネント519が傾斜関節表面を規定するようにする。
【0118】
傾斜した中間コンポーネント512及び傾斜した関節コンポーネント519によって与えられるような関節表面の傾斜は、
図11に示されるような患者の生体構造に応じて選択可能である。
【0119】
これに関して、
図11は、
‐中立の中間コンポーネント610であって、固定部材614の中心軸と平面616の軸とが実質的に揃えられるものと、
‐正に傾斜した中間コンポーネント620であって、平面626の軸が、固定部材624の軸から前頭方向にずれたものと、
‐中立の中間コンポーネント630であって、固定部材634の中心軸と遠位境界面604の中心軸とがオフセットしたものと、を示している。
【0120】
さらに、
図11は、
‐中立の関節コンポーネント611であって、前頭面618と尾側面619とが、略平行であるものと、
‐10°傾斜関節コンポーネント621であって、前頭面628と尾側面629とが、10°の角度を形成するものと、
‐20°傾斜関節コンポーネント631であって、前頭面638と尾側面639とが、20°の角度を形成するものと、を示している。
【0121】
中間コンポーネント610、620、及び630と関節コンポーネント611、621、及び631とは、各患者に合わせて必要となるように組み付け可能である。
【0122】
中間コンポーネント610、620、630及び関節コンポーネント611、621、631の傾斜及びオフセットが異なることにより、執刀医は、具体的な場合に合わせて構成を適合させる。
【0123】
図6~11に示される実施形態において、中間コンポーネントと関節コンポーネントとはともに、異なる傾斜で設けられる。したがって、以上に説明したとおり、傾斜した中間コンポーネント610、620、630と関節コンポーネント611、621、631を選択することにより、関節の向きを調整することができる。さらに、アンカリング部材に対する傾斜、すなわち、アンカリング部材の長手軸と関節面の中心軸との間の角度は、中間コンポーネントのレベル及び/又は関節コンポーネントのレベルで調整されてもよい。例えば、中間コンポーネント512のリム515によって規定される平面は、アンカリング部材1の境界面7に対して傾斜してもよく(
図9)、及び/又は関節コンポーネント519のリム525によって規定される平面は、中間コンポーネント512のリム515に対して傾斜してもよい。
【0124】
図7A、7B、9A、及び9Bに示す実施形態は、固定部材414及び514としてスナップフィットを使用した例としての実施形態であるが、
図11の実施形態は、テーパ連結614、624、634を有することに留意しなければならない。前者は、トライアルコンポーネントとして使用するのが好ましく、後者は、機能的コンポーネント、すなわち、移植の持続されるコンポーネントとして使用されることが好ましくてもよい。
【符号の説明】
【0125】
1 アンカリング部材
3 近位境界部分
5 遠位部
7 境界面
12 固定部材
14 固定部材
15 ステム部
16 フィン
18 中心穴
19 関節コンポーネント
20 位置合わせ構造
22 近位係合部
50 アンカリング部材
100 関節部材
101 オフセット固定部材を備えた関節部材
102 近位端
104 遠位境界部分
106 位置合わせ突起
108 凸状境界面
111 縫合穴
112 中間部分
115 固定部材
150 関節部材
301 近位部分
302 遠位部分
305 突起
400 関節置換コンポーネント
430、530 関節部材
412、412 中間コンポーネント
419、519 関節コンポーネント
414、514 固定部材
420、520 搭載窪み
421、521 突起
515 中間コンポーネントのリム
525 関節コンポーネントのリム
506 位置合わせ突起
604 固定部材
610、620、630 中間コンポーネント
611、621、631 関節コンポーネント
614、624、634 固定部材
616、626 平面
618、628、638 前頭面
619、629、639 尾側面
【国際調査報告】