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特表2023-505349スイッチングデバイスのアーマチュアを付勢するためのばねアセンブリ、およびそのようなばねアセンブリを備えるスイッチングデバイス
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  • 特表-スイッチングデバイスのアーマチュアを付勢するためのばねアセンブリ、およびそのようなばねアセンブリを備えるスイッチングデバイス 図1
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  • 特表-スイッチングデバイスのアーマチュアを付勢するためのばねアセンブリ、およびそのようなばねアセンブリを備えるスイッチングデバイス 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(54)【発明の名称】スイッチングデバイスのアーマチュアを付勢するためのばねアセンブリ、およびそのようなばねアセンブリを備えるスイッチングデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/24 20060101AFI20230201BHJP
【FI】
H01H50/24 W
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534688
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(85)【翻訳文提出日】2022-06-16
(86)【国際出願番号】 EP2020085178
(87)【国際公開番号】W WO2021116142
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】19215307.0
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501218751
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス オーストリア ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハウツンク
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】グートマン,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ハラー,フィーリップ
(57)【要約】
本発明は、リレー(4)などのスイッチングデバイス(3)のアーマチュア(2)を付勢するためのばねアセンブリ(1)、およびそのようなばねアセンブリ(1)を備えるリレー(4)などのスイッチングデバイス(3)に関する。簡単な構造を有し、容易ながらも信頼性高くスイッチングデバイスに装着することが可能な、スイッチングデバイスのアーマチュアを付勢するためのばねアセンブリを提供するべく、ばねアセンブリ(1)は、ばね基部(7)と、アーマチュア(2)を付勢するためにばね基部(7)から突出する少なくとも1つのばねアーム(8)とを備える。ばね基部(7)は、ばねアセンブリ(1)をスイッチングデバイス(3)において位置決めするための少なくとも1つの型押し部(9)を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リレー(4)などのスイッチングデバイス(3)のアーマチュア(2)を付勢するためのばねアセンブリ(1)であって、
前記ばねアセンブリ(1)は、ばね基部(7)と、前記アーマチュア(2)を付勢するために前記ばね基部(7)から突出する少なくとも1つのばねアーム(8)とを備え、
前記ばね基部(7)は、前記ばねアセンブリ(1)を前記スイッチングデバイス(3)において位置決めするための少なくとも1つの型押し部(9)を備える、
ばねアセンブリ(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの型押し部(9)は、前記ばねアセンブリ(1)を前記スイッチングデバイス(3)において圧入により位置決めするように構成されている、
請求項1に記載のばねアセンブリ(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの型押し部(9)は、隆起パッド(12)を形成する、
請求項1または2に記載のばねアセンブリ(1)。
【請求項4】
前記ばね基部(7)は、少なくとも2つの型押し部(9)を備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載のばねアセンブリ(1)。
【請求項5】
前記ばね基部(7)は、前記ばねアセンブリ(1)を前記スイッチングデバイス(3)においてロックするための基部固定要素(13)を備え、前記基部固定要素(13)は、好ましくはラッチ要素(14)である、
請求項1から4のいずれか一項に記載のばねアセンブリ(1)。
【請求項6】
前記ばね基部(7)は、角度を有し、
前記ばね基部(7)は、前記少なくとも1つの型押し部(9)を有する位置決め領域(20)を第1の脚部(19)として備え、前記少なくとも1つのばねアーム(8)の近位端(24)を保持するばね支持領域(22)を第2の脚部(21)として備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載のばねアセンブリ(1)。
【請求項7】
前記ばね基部(7)は、ばね定数調整部分(25)を備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載のばねアセンブリ(1)。
【請求項8】
少なくとも2つのばねアーム(8)を備える、
請求項1から7のいずれか一項に記載のばねアセンブリ(1)。
【請求項9】
2つのばねアーム(8)が、少なくとも部分的に互いに対して斜めに延びる、
請求項8に記載のばねアセンブリ(1)。
【請求項10】
2つのばねアーム(8)の各々が、一端部が前記ばね基部(7)と接続されている近位側方向設定部分(27)を備え、
前記近位側方向設定部分(27)は、互いに対して斜めに前記ばね基部(7)から離れるように突出する、
請求項9に記載のばねアセンブリ(1)。
【請求項11】
少なくとも1つの、好ましくは各々のばねアーム(8)が、前記ばねアーム(8)を前記アーマチュア(2)と接続するための取り付け要素(29)を備える、
請求項1から10のいずれか一項に記載のばねアセンブリ(1)。
【請求項12】
前記取り付け要素(29)は、ポジティブロック要素(30)である、
請求項11に記載のばねアセンブリ(1)。
【請求項13】
前記取り付け要素(29)は、前記少なくとも1つのばねアーム(8)の遠位端(34)または横方向縁部(33)に配置されている、
請求項11または12に記載のばねアセンブリ(1)。
【請求項14】
前記ばねアセンブリ(1)は、一体に形成されている、
請求項1から13のいずれか一項に記載のばねアセンブリ(1)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のばねアセンブリ(1)を備える、
リレー(4)などのスイッチングデバイス(3)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リレーなどのスイッチングデバイスのアーマチュアを付勢するためのばねアセンブリ、およびリレーのような電磁スイッチングデバイスなどのスイッチングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁リレーなどのスイッチングデバイスは、家庭用機器の基本構成要素であり、スイッチまたは保護デバイスとして発電所および送電網において用いられている。そのような電磁デバイスは、電磁石と、ヨークまたはコアと、電磁石により生成される磁界に基づいてスイッチを開閉する可動アーマチュアと、アーマチュアを付勢するためのばねアセンブリとを備える。静止位置または初期位置では、電磁石により電界が生成されず、ばねアセンブリは、スイッチングデバイスの閉位置または開位置のいずれかへとアーマチュアを付勢する。電磁石が通電されて磁界が生成されると、アーマチュアは、ばねアセンブリの付勢力に抗して作動位置(activated position)へと移動される。スイッチが初期位置において閉じている場合、作動位置は開位置であり、その逆も然りである。
【0003】
市場の需要を満たすために、リレーなどの電磁スイッチングデバイスの発展は、小型化、高信頼化等に向かって進む傾向がある。そのようなスイッチングデバイス用のばねアセンブリは、高い製造複雑性(manufacturing complexity)を要することが多く、スイッチングデバイスの組み立てが困難であり、構造の複雑化や、製造および組み立ての効率の低下をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、本発明の目的は、簡単な構造を有し、容易ながらも信頼性高くスイッチングデバイスに装着することが可能な、スイッチングデバイスのアーマチュアを付勢するためのばねアセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、リレーなどのスイッチングデバイスのアーマチュアを付勢するためのばねアセンブリであって、ばね基部と、アーマチュアを付勢するためにばね基部から突出する少なくとも1つのばねアームとを備え、ばね基部は、ばねアセンブリをスイッチングデバイスにおいて位置決めするための少なくとも1つの型押し部(embossment、エンボス)を備える、ばねアセンブリにより、上記の課題が解決される。
【0006】
本発明に係るスイッチングデバイスは、本発明のばねアセンブリを備える。
【0007】
型押し部は、ばね基部から外方に立ち上がる湾曲した突起などの突出する隆起部または膨出部である。これは、製造が容易であり、ばねアセンブリを対応する受け部に押し込むことにより、ばねアセンブリをスイッチングデバイスに対して簡単に装着および位置決めすることを可能とする。受け部において、型押し部は、ばねアセンブリをスイッチングデバイスにおいて位置決めする。この型押し部、すなわち圧入要素を提供するばね基部の面の上方に突出する形状に起因して、本発明により、構造および製造を大幅に簡略化することができ、より効率的にすることができる。
【0008】
本発明の解決策は、単独で有利であり必要に応じて任意に組み合わせることもできる以下の実施形態によって改善することができる。
【0009】
一実施形態において、少なくとも1つの型押し部は、ばねアセンブリをスイッチングデバイスにおいて圧入により位置決めするように構成される。ここで、型押し部は、ばねアセンブリをスイッチングデバイスにおいて位置決めし固定する圧入(プレス嵌め)を提供する。ねじまたはリベットなどの追加の固定手段が不要となり、それにより、必要な構成要素の数が最小限になり、ばねアセンブリの装着が容易になる。さらに、型押し部により提供される圧入に起因して、ばねアセンブリの装着に関する構造上の制約が生じない。
【0010】
一実施形態において、少なくとも1つの型押し部は、位置決めのための押圧力を所望の表面積にわたって均一に分散させることを可能とする隆起パッドを形成する。例えばばね基部の面から膨出するクッションとして設計されるそのような隆起パッドは、簡単かつ小型な構造をもたらすとともに、ばねアセンブリを装着のために押し込み、スイッチングデバイスにおいて圧入により位置決めすることを可能とするように、容易に製造することができる。
【0011】
型押し部の高さ、すなわち型押し部が基部から突出する長さは、型押し部が基部から突出する方向において測定した基部材料の厚さよりも大きくてよい。これは、ばねアセンブリをスイッチングデバイスにおいて固定的に位置決めするのに十分な押圧力を提供する。
【0012】
さらなる実施形態において、ばね基部は、ばね基部の異なる位置において押圧力を有利に提供する少なくとも2つの型押し部を備えてよい。少なくとも2つの型押し部は、互いに離隔して、特にばね基部がスイッチングデバイスに装着される挿入方向に垂直な方向において互いに離隔して配置されてよい。そのような構造は、圧入による位置決めの力をばね基部の領域にわたってより均一に分散させることにより、安定性を高める。
【0013】
ばねアセンブリをスイッチングデバイスにおける装着位置にロックするために、ばね基部は、基部固定要素(base securing element)を備えてよい。基部固定要素は、ばねアセンブリが意図せず脱離するまたは外れることを回避する。
【0014】
基部固定要素は、スイッチングデバイスの保持面と係合し得るラッチ要素であってよい。ラッチ要素は例えば、フックまたはノーズなどの対応する相手側要素と接続される切り欠き、溝穴(slot)または凹部であってよい。ラッチ要素は、屈曲可能な突起であってよい。そのような弾性的な留め具は、容易に作製することができ、ばねアセンブリをスイッチングデバイスにおいて効率的にロックすることを可能とする。ばねアセンブリをその所定位置に押し込むと、ラッチ要素が屈曲する。ばねアセンブリがスイッチングデバイスにおける最終的な装着位置に達すると、ラッチ要素は、初期位置へとはね返ることで、スイッチングデバイスにおける保持面に当接し、それによりばねアセンブリを取り外しに抗して安定的にロックすることができる。
【0015】
一実施形態において、ラッチフックまたはアームが、ばね基部に設けられてよい。ラッチフックは、好ましくは、挿入方向に面するばね基部の縁部、すなわち、挿入方向に向き、よってばねアセンブリの装着時に最初に挿入されるばね基部の部分に設けられてよい。そのようなラッチフックは、ばね基部のフック部分を曲げ返すことにより容易に作製することができる。上記フック部分は、挿入方向に面するばね基部の最前部である。
【0016】
ばね基部が、角度を有し、少なくとも1つの型押し部を有する位置決め領域を第1の脚部として備え、少なくとも1つのばねアームの近位端を保持するばね支持領域を第2の脚部として備える実施形態において、非常に薄型かつ小型の設計のスイッチングデバイスを実現することができる。
【0017】
さらなる実施形態において、ばね基部は、ばね定数調整部分(spring rate adjustment section)を備えてよい。ばね定数調整部分は、スイッチングデバイスにおけるアーマチュアを付勢しアーマチュアに対して働く、ばねアセンブリによって提供される付勢力を規定する。これにより、単一設計のばね基部を用いることができ、アセンブリの他の部分を同じく保ったまま、単にばね定数調整部分を適合させることにより、ばねアセンブリが用いられるスイッチングデバイスに応じて設定される様々なばね定数が得られる。ばね定数調整部分では、材料がばね基部から取り除かれていてよく、それによりアセンブリのばね定数が小さくなる。
平易かつ小型な構造を有する一実施形態において、ばね基部には切り抜き部が設けられ、それにより貫通孔がもたらされる。切り抜き部の形態、面積および配置により、ばねアセンブリのばね定数を効率的に調節することができる。ばね定数調整部分は、角度を有する実施形態のばね基部の第1の脚部および第2の脚部が交わる角部/肘部に配置されてよい。
【0018】
さらなる実施形態において、ばねアセンブリは、少なくとも2つのばねアームを備える。この設計は、O字形状のアーマチュアを有するリレーに特に好適であり、アーマチュアの2つのアームの各々を付勢することを可能とする。少なくとも2つのばねアームの遠位端は、ばね基部の同じ側から離れる方向に向いていてよく、これは特にO字形状のアーマチュアの設計に適合する。
【0019】
2つのばねアームが少なくとも部分的に互いに対して斜めに延びる実施形態において、非常に小型の設計を実現することができる。そのように斜めに延びることで、ばねアームが互いに平行に延びないV字形状が得られる。この設計により、例えばU字形状の設計と比較して、必要な材料が低減する。さらに、2つのばねアームの各々が近位側方向設定部分を備え、近位側方向設定部分の一端部がばね基部と接続され、近位側方向設定部分が互いに対して斜めにばね基部から離れるように突出する実施形態において、ばね基部のサイズおよび/またはばねアームの長さを低減することができる。近位側方向設定部分は、各ばねアームの遠位端まで延びていてよい。
別の実施形態において、ばねアームは、近位側方向設定部分に加えて、遠位部分を備えてよく、2つのばねアームの遠位部分は、互いに平行に延びる。
【0020】
少なくとも1つの、好ましくは各々のばねアームが、ばねアームをアーマチュアと接続するための取り付け要素を備える実施形態において、スイッチングデバイスの組み立てを容易にし、効率的にすることができる。取り付け要素は、ばねアームの遠位部分または遠位端に配置されてよく、それにより、アーマチュアを付勢するための良好なてこの作用および力の伝達がもたらされる。
【0021】
取り付け要素は、溶接または接着接合部などの材料接合を用いて、アーマチュアと接続されてよい。そのような材料接合を容易にするために、少なくとも1つのばねアームの遠位端には、取り付け部分(attachment section)が設けられてよい。上記取り付け部分は、例えばレーザ溶接によりばねアームをアーマチュアに固定することができる孔を備えてよい。
【0022】
ばねアセンブリの容易な組み立ておよび再組み立てを可能とする別の実施形態において、取り付け要素(attachment element)は、形状嵌合によりばねアームをアーマチュアと係合させるように設計されてよい。そのような実施形態において、取り付け要素は、フックまたはナットなどのポジティブロック要素であってよい。
【0023】
一実施形態において、ポジティブロック要素は、アーマチュアの一部と係合し得るクリップまたはクランプなどの屈曲可能なラッチ要素であってよい。形状嵌合するポジティブロック要素が、アーマチュアの断面領域に対して少なくとも2つ、好ましくは3つの側においてアーマチュアを取り囲む場合、安定的な接続を実現することができる。これはまた、ばねアセンブリによるアーマチュアの付勢を容易にする。
【0024】
小型であり、アーマチュアの設計を著しく変更する必要なく容易に装着することが可能な別の実施形態において、取り付け要素は、ばねアームの横方向縁部に配置される。そのような横方向の配置、すなわち取り付け要素を横向きに設けることにより、ばねアームとアーマチュアとの間の接続を、アーマチュア、例えばO字形状のアーマチュアの任意の位置において並列して設けることが可能となる。
【0025】
製造プロセスを簡単にするために、ばねアセンブリは、一体に形成されてよい。これは、各要素を、例えば金属薄板から切り出し、所望の形状を実現するように曲げ加工および打抜き加工した薄板材料から作製されてよい。
【0026】
本発明のばねアセンブリを備える本発明に係るスイッチングデバイスにおいて、ばねアセンブリは、好ましくはばね基部受け部において圧入により位置決めされてよい。ヨークは、ばね基部がヨークと圧入により係合し得るように、ばね基部受け部に対する制限部を提供してよい。位置決め壁部が、ばね基部受け部に対する代替的または追加的な制限部を提供してよい。位置決め壁部は、ばね基部の全幅またはばねアセンブリ全体にわたって連続的な壁であってよい。代替的に、位置決め壁部は、単に型押し部の反対側に設けられてもよい。
【0027】
基部固定要素を備えるばねアセンブリの実施形態において、上記基部固定要素は、ヨークとも係合してよく、それにより非常に小型の設計が得られる。
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の解決策をより詳細に説明する。有利な実施形態に示す特徴は、必要に応じて任意に組み合わせることもでき、単独でも有利である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】ばねアセンブリの第1の実施形態の斜視図である。
図2図1に示したばねアセンブリ(第1の実施形態)の上面図である。
図3図1に示したばねアセンブリ(第1の実施形態)の背面図であり、スイッチングデバイスのアーマチュアとの取り付けの概略を模式的に示す。
図4図1に示したばねアセンブリ(第1の実施形態)の側面図であり、アーマチュアの取り付けおよびスイッチングデバイスのヨークにおけるばねアセンブリの位置決めおよびロックの概略を示す。
図5図1図4に示したばねアセンブリ(第1の実施形態)を備える本発明に係るスイッチングデバイスの模式的な上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1図4において、ばねアセンブリ1の一実施形態を示す。ばねアセンブリ1は、スイッチングデバイス3、例えば、リレー4のような電磁スイッチングデバイスのアーマチュア2を付勢するためのものである。そのようなスイッチングデバイス3は、ばねアセンブリ1およびアーマチュア2に加えて、電磁石5と、電磁石5が電界を生成する場合に、ばねアセンブリ1により提供される付勢力BFに抗してアーマチュア2を引き付けるためのヨークまたはコア6とを備える。
【0031】
ばねアセンブリ1は、ばね基部7と、アーマチュア2を初期位置または静止位置へと付勢するためにばね基部7から突出する少なくとも1つのばねアーム8とを備える。上記の静止位置において、少なくとも1つのばねアーム8は、アーマチュア2を付勢力BFの方向においてヨーク6から離れるように移動させる。
【0032】
ばね基部7は、ばねアセンブリ1をスイッチングデバイス3において位置決めするための少なくとも1つの型押し部9を備える。図示の実施形態における少なくとも1つの型押し部9は、ばねアセンブリ1をスイッチングデバイス3において圧入により位置決めするように構成される。
【0033】
ばねアセンブリ1は、挿入方向IDにおいて装着受け部10に押し込むことによりスイッチングデバイス3に装着される。図示の実施形態において、装着受け部10は、一方側ではヨーク6により制限されており、反対側ではスイッチングデバイス3の位置決め壁部11により制限されている。挿入方向IDは、付勢力BFの方向の反対方向である。よって、ばねアセンブリのばね基部7を挿入方向IDにおいて装着受け部10に押し込むことにより、ばねアセンブリをスイッチングデバイス3において容易に位置決めすることができる。
装着受け部10において、ばねアセンブリは、ばね基部7に設けられた少なくとも1つの型押し部9に起因して圧入により位置決めされる。位置決め壁部11は、ばね基部7の全幅またはばねアセンブリ1全体にわたって連続的な壁であってよい。代替的に、位置決め壁部11は、単に型押し部9の反対側に設けられてもよい。
【0034】
ばねアセンブリ1を圧入により位置決めするために、装着受け部の幅WMRは、型押し部9の高さHE、すなわち型押し部9がばね基部7から突き出る長さを含めたばね基部7の厚さよりも小さい。型押し部9の高さHEが装着受け部10の幅WMRに等しい、またはそれよりもわずかに小さい場合、ばねアセンブリは、位置決めされるが、圧入により固定されない。
【0035】
ばね基部7を挿入方向IDにおいて装着受け部10に押し込むと、型押し部9が圧縮され、この圧縮に起因してばねアセンブリ1をスイッチングデバイス3において圧入により位置決めする。
【0036】
図示の実施形態において、少なくとも1つの型押し部9は、ばね基部7から膨出するクッションとして設計される隆起パッド12を形成する。
【0037】
図示の実施形態において、ばね基部7は、2つの型押し部9を備える。2つの型押し部9は、ばね基部7がスイッチングデバイス3に装着される挿入方向IDに垂直な方向において互いに離隔している。2つの型押し部9は、ばね基部7の反対側の端部に配置される。
【0038】
ばね基部7は、スイッチングデバイス3の装着受け部10における装着位置において取り外しに抗するようにばねアセンブリ1をロックするための基部固定要素13をさらに備える。図示の実施形態において、基部固定要素13は、ばね基部7の折り返しフック部分16により形成されるラッチフックまたはフィンガ15として設計されるラッチ要素14である。フック部分16は、挿入方向IDに面するばね基部7の遠位縁部17に設けられる。フック部分16は、挿入方向IDの逆方向に折り返されまたは曲げ返されており、それにより、ラッチフック15の自由端における止め面18を備える屈曲可能なフックまたはフィンガを形成する。止め面18は、挿入方向IDの逆方向に向いている。
【0039】
ばねアセンブリ1のばね基部7を挿入方向IDにおいて装着受け部10に押し込むことによりばねアセンブリ1をスイッチングデバイス3に装着するとき、ラッチフック15は、ヨーク6を通過するまで屈曲してばね基部7に押し付けられ、止め面18でヨーク6に係合し当接する。これにより、ばねアセンブリ1は、装着位置に固定され、ヨーク6においてロックされているために挿入方向IDの逆方向においてスイッチングデバイス3から取り外すことができなくなる(例えば図4参照)。
【0040】
図示の実施形態において、ばね基部7は、角度を有し、位置決め領域20を第1の脚部19として備え、ばね支持領域22を第2の脚部21として備える。第1の脚部19および第2の脚部21は、肘部23により接続される。位置決め領域20は、ラッチフック15として設計される基部固定要素13とともに、2つの型押し部9を備える。ばね支持領域22において、ばねアーム8の近位端24が保持される。そのような、角度を有するばね基部7は、ばねアーム8が挿入方向IDに垂直な領域に配置され得る小型の設計を提供する。肘部23は、装着受け部10にロックされている形状嵌合により位置決めされた第1の脚部19に対して第2の脚部21が屈曲することを可能とするばね特性を提供する。
【0041】
図示の実施形態において、ばね基部7は、ばね定数調整部分25をさらに備える。ばね定数調整部分25では、材料がばね基部7から取り除かれている。取り除きのために、肘部23に配置される貫通孔26を形成するように、材料がばね基部において切り取られていてよい。図示の実施形態においては、ばね基部7の肘部23ならびに第1の脚部19および第2の脚部21の両方から材料が取り除かれている。ばね定数調整部分25の形態、設計および位置により、それぞれのスイッチングデバイス3に関して最適化された所望のばね定数付勢力BFを提供することが可能となる。
【0042】
図示の実施形態において、アーマチュア2は、O字形状であり、挿入方向IDにおいて見た場合に電磁石5を横方向に取り囲むフレームとして設計される。図に示すばねアセンブリ1の例示的実施形態は、両方がばね基部7の同じ側から離れる方向に向く2つのばねアーム8を備える。そのような設計は、O字形状のアーマチュア2の平行な脚部を付勢するのに特に好適である。2つのばねアーム8は各々、近位端24がばね基部7のばね支持領域22と接続された近位側方向設定部分27を備える。2つのばねアーム8の近位側方向設定部分27は、互いに対して斜めに、ばね基部7から離れるように突出する。すなわち、2つのばねアーム8は、少なくとも部分的に互いに対して斜めに延びており、V字形状に設計される。
【0043】
各ばねアーム8はまた、遠位側取り付け部分28を備える。遠位側取り付け部分28において、ばねアーム8は、非常に小型ながら効率的な設計でアーマチュア2を付勢力BFの方向に付勢するように、アーマチュア2と接続される。これは、特に図5において見ることができる。遠位側取り付け部分28は、O字形状のアーマチュアの平行な脚部と、図示の実施形態では平行に、かつ挿入方向10において面一に延びる。
【0044】
ばねアーム8をアーマチュア2と接続するために、ばねアーム8は、取り付け要素29を備える。図示の実施形態において、取り付け要素29は、アーマチュア2とぴったり合うように(form-fittingly)接続されるポジティブロック要素30である。これを行うために、ポジティブロック要素30は、クリップまたはクランプ32として設計されるばねラッチ要素31を備える。ばねラッチ要素31は、少なくとも2つの側、つまり挿入方向ID、すなわち付勢力BFの逆方向に面する側、および付勢力BFに垂直な横方向の側において、アーマチュア2を取り囲む。
【0045】
図示の実施形態において、ばねラッチ要素31は、ばねアーム8の横方向縁部33に配置されている。これは同様に、ばねアーム8の遠位端34に配置されてもよい。これにより、図3において見ることができるように、3つの側、すなわち付勢力BF/挿入方向IDに面する側およびその逆側、ならびに横方向の一方側から、ばねアーム8がアーマチュア2に係合する。そのような取り付け要素29をアーマチュア2と接続することは、付勢方向BFの逆方向にばねアーム8から突出する屈曲可能なラッチフックとして設計されるクリップ32を設けることにより、簡単に実現することができる。アーマチュア2に沿って付勢力BFに抗してクリップ32を押し込むことで、それらが係合する。
【0046】
不図示の代替的実施形態において、取り付け要素29は、遠位端34における平坦な取り付けパッドとして設計されてもよい。そのようなパッドには、例えばレーザ溶接または他の材料接合方法によりばねアーム8をアーマチュアに固定することができる孔が設けられてよい。ねじまたはリベットなどの締結手段を用いることも可能である。
【0047】
図示の実施形態において、本発明のばねアセンブリ1は、一体に形成される。これにより、ばねアセンブリ1の製造プロセスを簡単に保つことができる。ばねアセンブリ1は、金属の薄板から切り出され、その後、図1図5に示す例示的実施形態の形状などの所望の形状を実現するように曲げ加工および打抜き加工がなされた、金属薄板から作製されてよい。
【符号の説明】
【0048】
1 ばねアセンブリ
2 アーマチュア
3 スイッチングデバイス
4 リレー
5 電磁石
6 ヨーク/コア
7 ばね基部
8 ばねアーム
9 型押し部
10 装着受け部
11 位置決め壁部
12 隆起パッド
13 基部固定要素
14 ラッチ要素
15 ラッチフック/フィンガ
16 フック部分
17 遠位縁部
18 止め面
19 第1の脚部
20 位置決め領域
21 第2の脚部
22 ばね支持領域
23 肘部
24 ばねアームの近位端
25 ばね定数調整部分
26 貫通孔
27 近位側方向設定部分
28 遠位側取り付け部分
29 取り付け要素
30 ポジティブロック要素
31 ばねラッチ要素
32 クリップ/クランプ
33 横方向縁部
34 ばねアームの遠位端
BF 付勢力
ID 挿入方向
HE 型押し部の高さ
WMR 装着受け部の幅
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】