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特表2023-505361センサフロントエンドのための電荷感受性増幅器回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(54)【発明の名称】センサフロントエンドのための電荷感受性増幅器回路
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/76 20230101AFI20230201BHJP
   H04N 25/77 20230101ALI20230201BHJP
   H04N 25/701 20230101ALI20230201BHJP
   H04N 25/78 20230101ALI20230201BHJP
   H03F 3/08 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
H04N5/374
H04N5/3745
H04N5/369 200
H04N5/378
H03F3/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534755
(86)(22)【出願日】2020-11-12
(85)【翻訳文提出日】2022-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2020081917
(87)【国際公開番号】W WO2021115720
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】19216114.9
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521548733
【氏名又は名称】アーエムエス インターナショナル アーゲー
【氏名又は名称原語表記】AMS INTERNATIONAL AG
【住所又は居所原語表記】Eichwiesstrasse 18b, Jona, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィッツィ アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】エーレンスペルガー ロジャー
【テーマコード(参考)】
5C024
5J500
【Fターム(参考)】
5C024CX03
5C024CX43
5C024EX01
5C024GX01
5C024GX03
5C024GX16
5C024GY31
5C024HX15
5C024HX17
5C024HX35
5C024HX40
5C024HX44
5J500AA01
5J500AA56
5J500AC32
5J500AC41
5J500AC61
5J500AC85
5J500AF10
5J500AF18
5J500AH16
5J500AH26
5J500AH29
5J500AH39
5J500AH44
5J500AK18
5J500AT01
5J500LU02
(57)【要約】
センサフロントエンド用の電荷感受性増幅器回路(1)は、入力電荷を受け取るためにセンサ(2)に接続される入力ノード(I)、電荷変換回路(3)に接続される出力ノード(O)を含む。電荷感受性増幅器回路(1)は、入力電荷を出力ノード(O)に転送するための入力ノード(I)と出力ノード(O)の間に配置された第1の転送スイッチ(10)を含む。電荷感受性増幅器回路(1)は、入力電荷を出力ノード(O)に転送するための入力ノード(I)と出力ノード(O)の間の第1の転送スイッチ(10)に並列で配置された、第2の転送スイッチ(20)をさらに含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサフロントエンドのための電荷感受性増幅器回路であって、
- 入力電荷を受け取るためにセンサ(2)に接続される入力ノード(I)、
- 電荷変換回路(3)に接続される出力ノード(O)、
- 前記入力電荷を前記出力ノード(O)に転送するために、前記入力ノード(I)と前記出力ノード(O)の間に配置された第1の転送スイッチ(10)、
- 前記入力電荷を前記出力ノード(O)に転送するために、前記入力ノード(I)と前記出力ノード(O)との間に、の前記第1の転送スイッチ(10)と並列に配置された第2の転送スイッチ(20)を含む、
前記電荷感受性増幅器回路。
【請求項2】
- 前記第1の転送スイッチ(10)及び前記第2の転送スイッチ(20)のそれぞれの導電率を制御するためのそれぞれの制御信号(CS1、CS2)を生成するための制御回路(30)を含み、
- 前記制御回路(30)は、前記入力電荷を前記入力ノード(I)から前記出力ノード(O)に転送するために、前記第1の転送スイッチ(10)及び前記第2の転送スイッチ(20)のそれぞれの転送時間中、前記第1の転送スイッチ(10)及び前記第2の転送スイッチ(20)を制御するための前記それぞれの制御信号(CS1、CS2)を生成するように構成され、
- 前記制御回路(30)は、前記第1の転送スイッチ(10)及び前記第2の転送スイッチ(20)のための前記それぞれの制御信号(CS1、CS2)を生成するように構成され、前記第1の転送スイッチ(10)及び前記第2の転送スイッチ(20)のそれぞれは、前記第1の転送スイッチ(10)及び前記第2の転送スイッチ(20)の前記それぞれの転送時間中、時間依存動作状態で動作される、
請求項1に記載の電荷感受性増幅器回路。
【請求項3】
- 前記制御回路(30)は、前記第1の転送スイッチ(10)及び前記第2の転送スイッチ(20)を制御するための前記それぞれの制御信号(CS1、CS2)を生成するように構成され、前記第1の転送スイッチ(10)及び前記第2の転送スイッチ(20)の前記それぞれの導電率は、前記第1の転送スイッチ(10)及び前記第2の転送スイッチ(20)のそれぞれの転送時間の終了フェーズよりも、前記第1の転送スイッチ(10)及び前記第2の転送スイッチ(20)の前記それぞれの転送時間の開始時に高い、
- 前記制御回路(30)は、前記第1の転送スイッチ(10)及び前記第2の転送スイッチ(20)を制御するための前記それぞれの制御信号(CS1、CS2)を生成するように構成され、前記第1の転送スイッチ(10)及び前記第2の転送スイッチ(20)の前記それぞれの導電率は、前記第1の転送スイッチ(10)及び前記第2の転送スイッチ(20)の前記それぞれの転送時間の前記開始時から前記第1の転送スイッチ(10)及び前記第2の転送スイッチ(20)の前記それぞれの転送時間の前記終了フェーズまで継続的に減少する、
請求項2に記載の電荷感受性増幅器回路。
【請求項4】
前記第1の転送スイッチ(10)及び前記第2の転送スイッチ(20)の前記それぞれの転送時間の前記開始時は、前記第2のトランジスタ(20)の前記導電率は、前記第1のトランジスタ(10)の前記導電率よりも高い、
請求項3に記載の電荷感受性増幅器回路。
【請求項5】
前記第1の転送スイッチ(10)及び前記第2の転送スイッチ(20)の前記それぞれの転送時間の終了時は、前記第2の転送スイッチ(20)の前記導電率は、前記第1の転送スイッチ(10)の前記導電率よりも低く、特に、前記第2の転送スイッチ(20)が非導電状態で動作し、前記第1の転送スイッチ(10)は低導電状態で動作する、
請求項3または4に記載の電荷感受性増幅器回路。
【請求項6】
前記第1の転送スイッチ(10)及び前記第2の転送スイッチ(20)は、前記第1の転送スイッチ(10)及び前記第2の転送スイッチ(10、20)の前記それぞれの導電率が、前記それぞれの制御信号(CS1、CS2)のレベルが前記第1の転送スイッチ(10)及び前記第2の転送スイッチ(20)のそれぞれの閾値電圧の上または下であるかどうかに依存するように構成される、
請求項2から5のいずれかに記載の電荷感受性増幅器回路。
【請求項7】
- 前記制御回路(30)は、前記第2の転送スイッチ(20)を制御するための前記制御信号(CS2)とは別のレベルの、前記第1の転送スイッチ(10)を制御するための前記制御信号(CS1)を生成するように構成され、
-前記第1の転送スイッチ(10)及び前記第2の転送スイッチ(20)の前記閾値電圧は同じである、
請求項6に記載の電荷感受性増幅器回路。
【請求項8】
- 前記制御回路(30)は、前記第2の転送スイッチ(20)を制御するための前記制御信号(CS2)と同じレベルの、前記第1の転送スイッチ(10)を制御するための前記制御信号(CS1)を生成するように構成され、
- 前記第1の転送スイッチ(10)の前記閾値電圧が前記第2の転送スイッチ(20)の前記閾値電圧と異なる、または
- 前記第1の転送スイッチ(10)に印加される第1のバルクバイアス電圧は、前記第2の転送スイッチ(20)に印加される第2のバルクバイアス電圧とは異なる、
請求項6に記載の電荷感受性増幅器回路。
【請求項9】
前記制御回路(30)は、前記第1の転送スイッチ(10)及び前記第2の転送スイッチ(20)を制御するための前記それぞれの制御信号(CS1、CS2)を生成するように構成され、前記第2の転送スイッチ(20)の前記転送時間の前記終了フェーズは、前記第1の転送スイッチ(10)の前記転送時間の前記終了フェーズの前に終了する、
請求項3から8のいずれかに記載の電荷感受性増幅器回路。
【請求項10】
前記制御回路(30)は、前記入力ノード(I)に結合された入力側と、前記入力電荷のレベルに応じて、前記第1の転送スイッチ(10)を制御するための前記制御信号(CS1)及び/または前記第2の転送スイッチ(20)を制御するための前記制御信号(CS2)を生成する出力側とを有する少なくとも1つの増幅器(31)を備える、
請求項2から9のいずれかに記載の電荷感受性増幅器回路。
【請求項11】
前記制御回路(30)は、異なる閾値または異なるバルク電圧または異なる形状を有する2を超える転送スイッチを含む、
請求項2から10のいずれかに記載の電荷感受性増幅器回路。
【請求項12】
前記制御回路(30)は、前記少なくとも1つの増幅器(31)の利得を調整するように構成され、前記少なくとも1つの増幅器(31)の前記利得は前記転送時間の前記終了フェーズよりも前記転送時間の開始時が高い、請求項10または11に記載の電荷感受性増幅器回路。
【請求項13】
センサ回路であって、
請求項1から12のいずれかに記載の
- センサ(2)、
- 電荷変換回路(3)、及び
- 電荷感受性増幅器回路(1)、を含み
- 前記電荷感受性増幅器回路(1)の前記入力ノード(I)は前記センサ(2)に接続され、前記電荷感受性増幅器回路(1)の前記出力ノード(O)は前記電荷変換回路(3)に接続される、
前記センサ回路。
【請求項14】
- 前記センサ(2)が複数の感光性セル(D1)を含む光学センサとして構成され、
- 前記光学センサ(2)は、前記感光性セル(D1)が順次読み取られ、前記電荷変換回路(3)に転送するために前記感光性セル(D1)のそれぞれの電荷が前記電荷感受性増幅器回路(1)の前記入力ノード(I)に印加されるように制御される、
請求項13に記載のセンサ回路。
【請求項15】
- 前記センサ(2)が複数の容量性センサセルを含む容量性センサとして構成され、
- 前記容量性センサは、前記容量性セルが順次読み取られ、前記電荷変換回路(3)に転送するために前記容量性セルのそれぞれの電荷が前記電荷感受性増幅器回路(1)の前記入力ノード(I)に印加されるように制御される、
請求項13に記載のセンサ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサフロントエンド、例えば、光学センサの感光性セルによって生成された電荷(charge)を、電荷電圧変換(charge-to- voltage conversion)ステージに転送するための光学センサのセンサフロントエンドのための電荷感受性増幅器(charge sensitive amplifier)回路に関する。
【背景技術】
【0002】
多数のピクセルとシリアル読み出しを備えたラインセンサでは、フォトダイオードなどの感光性セル(photosensitive cell)が連続的にラインに接続され、光の入射によってそれぞれの感光性セルで生成された電荷を読み出す。露光時間にフォトダイオードから生成された電荷は、ラインを介して電荷感受性増幅器に印加され、電荷を変換ステージ、例えば、電荷電圧変換ステージに転送する。電荷の転送は、次のピクセル/感光性セルがラインを介して電荷感受性増幅器の入力ノードに接続され、感光性セルで生成された電荷を電荷変換ステージ(charge conversion stage)に転送する。
【0003】
電荷感受性増幅器を含むラインセンサ入力ステージは、短い転送時間の間に高いセトリング精度を必要とし、それは入力ステージと、電荷感受性増幅器の広い平均帯域幅を必要とする。一方、入力ステージのノイズは、読み出し電荷が集積される集積フェーズの終了時に低帯域幅によって最適化される。さらに、センサフロントエンドのための電荷感受性増幅器には、高いダイナミックレンジが必要である。この要件はまた、入力ステージのノイズが可能な限り低い電荷感受性増幅器の帯域幅で最適化されるという要件と対照的である。
【0004】
電荷感受性増幅器は、フォトダイオード/感光性セルから生成された入力電荷を電荷変換ステージに転送するための単一のトランジスタスイッチを備え得る。単一のトランジスタスイッチは、集積の開始時に帯域幅が大きく、電荷転送の終了時に帯域幅が減少するように制御される場合がある。これは、電荷転送中にスイッチに高オーミック(ohmic)フェーズと低オーミックフェーズを使用することで実行できる。動的に行うこともできる。入力の電荷に応じて、低オーミックフェーズで転送時間が長くまたは短くなり、電荷の除去の間にトランジスタスイッチがいっそう高オーミックになっていく。
【0005】
ラインセンサでは、各入力ステージはピクセルのラインに接続されており、その一部のピクセルは欠陥がある可能性があり、他のピクセルは欠陥がない。入力ステージの電荷感受性増幅器によって大きな電荷が除去されない場合、電荷は画像のアーチファクトとして次のピクセルに表示される。信号の電荷は入力ステージの電荷感受性増幅器によって除去される必要があるだけでなく、欠陥ピクセルからの過剰な電荷も除去される必要があるため、入力電荷は数十年にわたって変化する可能性がある。
【0006】
入力ステージの電荷感受性増幅器の入力ノードに印加される入力電荷の高いダイナミックレンジのために、生成された電荷をフォトダイオードから電荷変換ステージに転送するための電荷感受性増幅器に含まれる広すぎる帯域幅(bandwidth)の単一のトランジスタスイッチは、転送フェーズにすべての電荷を除去し、なおも電荷転送の終了時に低ノイズ要件を満たすことを必要とするため、最適な解決策ではない。
【0007】
電荷の入力範囲を制限することなくセンサフロントエンドのノイズを最適化することを可能にする、センサフロントエンドのための電荷感受性増幅器回路を設けることが望まれている。
【発明の概要】
【0008】
入力ステージのノイズを損なうことなく、規定された変換時間(conversion time)にわたって高いダイナミックレンジの入力電荷を有するセンサフロントエンドのための電荷感受性増幅器回路が、請求項1に示されている。
【0009】
センサフロントエンドのための電荷感受性増幅器回路の実施形態によれば、電荷感受性増幅器回路は、入力電荷(input charge)を受け取るためにセンサに接続される入力ノード、電荷変換回路に接続される出力ノードを含む。電荷感受性増幅器回路は、入力電荷を出力ノードに転送するための入力ノードと出力ノードの間に配置された第1の転送スイッチ(transfer switch)、及び入力電荷を出力ノードに転送するための、入力ノードと出力ノードとの間の第1の転送スイッチと並列に配置された第2の転送スイッチをさらに含む。
【0010】
単一の転送スイッチ/転送ゲートを使用する代わりに、第1の転送スイッチ/転送ゲート及び少なくとも第2の転送スイッチ/転送ゲートが、電荷感受性増幅器回路に実装される。両方のトランジスタスイッチは、電荷集積の最後に帯域幅を下げる動的制御を有する。
【0011】
第1の転送スイッチは、集積の開始時に帯域幅が大きくなるように制御され、第1の転送スイッチをほぼオフにすることによって、つまり、導電率(conductivity)の低い第1の転送スイッチに操作することによって、電荷転送の終了時に帯域幅が減少される。第1の転送スイッチは、有利には、電荷移動の終了時に完全にはオフにされない、すなわち、完全に非導電性の状態では操作されない。
【0012】
電荷感受性増幅器回路の可能な実施形態によれば、小さな電荷の転送中、第1の転送スイッチのみがオンになり、すなわち、高導電性状態で動作し、一方、大きな電荷の転送中、第1及び第2の転送スイッチの両方が集積(integration)/電荷転送時間(charge transfer time)の開始時にオンになるが、第1の転送スイッチのみが出力ノードへの電荷出力を終了する。第2の転送スイッチは、集積開始時/電荷移動時間の開始時に多大な入力電荷を除去する必要がある場合にのみオンになる。
【0013】
別の可能な実施形態によれば、電荷転送の終了/電荷転送時間の終了フェーズに第1の転送スイッチがほぼオフになる前に、第2の転送スイッチがオフになる。第1の転送スイッチが最後にオフになるため、集積の終了時の帯域幅制限が、高帯域幅を必要としない第1の転送スイッチによって、引き続き駆り立てられる。
【0014】
したがって、提案された電荷感受性増幅器回路の構成は、入力電荷範囲を減少させることなくノイズを低下させることを可能にする。提案された電荷感受性増幅器回路は可変帯域幅を有し、入力ステージの高いセトリング精度を必要とする広い平均帯域幅の必要性の、一方、入力ステージのノイズを低減するために低い帯域幅を必要とすることの矛盾を克服できる。提案された回路構成は、集積回路に適している。
【0015】
追加の機能と利点は、以下の詳細な説明に記載されている。前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方は、単なる例示であり、特許請求の範囲の性質及び特徴を理解するための概要またはフレームワークを提供することを意図していることを理解されたい。
【0016】
添付の図面は、さらに理解を深めるために含まれており、本明細書に組み込まれ、その一部を構成している。したがって、本開示は、以下の詳細な説明から、以下の添付の図と併せて、より完全近く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】回路のノイズを低減しながら、高い動的入力電荷範囲を有するセンサフロントエンドのための電荷感受性増幅器回路を含む画像センサ回路の実施形態を示す。
図2】電荷感受性増幅器回路の第1及び第2の転送スイッチを制御するためのそれぞれの制御信号を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、センサフロントエンドのための電荷感受性増幅器回路1、センサ2、及び電荷変換回路3を含む画像センサ回路100の実施形態を示している。電荷変換回路3は、電荷から電圧への変換回路、電荷から電流への変換回路、電荷からデジタルへの変換回路などとして具現化され得る。
【0019】
電荷感受性増幅器回路1は、センサ2から入力電荷を受け取るためにセンサ2に接続される入力ノードIと、電荷変換回路3に接続される出力ノードOとを備える。センサ2から受け取った入力電荷を出力ノードOに転送するために、入力ノードIと出力ノードOとの間に配置された第1の転送スイッチ10を備える。さらに、電荷感受性増幅器回路1は、入力電荷を出力ノードOに転送するために、入力ノードIと出力ノードOとの間の第1の転送スイッチ10と並列に配置された少なくとも第2の転送スイッチ20を備える。電荷感受性増幅器回路1の入力ノードIは、センサ2に接続され、電荷感受性増幅器回路1の出力ノードOは、電荷変換回路3に接続されている。
【0020】
センサ2は、フォトダイオードとして構成され得る複数の感光性セルD1を含む光学センサとして構成され得る。各感光性セルD1は、それぞれの制御可能なスイッチによってラインに接続されて、露光時間中にそれぞれのフォトダイオードから生成された電荷を読み取ることができる。電荷を読み取るために感光性セルが接続される線は、図1において容量直線CLINEで表されている。光学センサ2は、感光性セルD1が順次読み取られるように制御することができ、感光性セルD1のそれぞれの電荷は、電荷感受性増幅器回路1の入力ノードIに印加され、電荷感受性増幅器回路1によって電荷変換回路3へ転送される。
【0021】
別の可能な実施形態によれば、センサ2は、複数の容量性センサセルを含む容量性センサとして構成され得る。容量性センサは、容量性セルが順次読み取られるように制御され、容量性セルのそれぞれの電荷が、電荷変換回路3に転送される電荷感受性増幅器回路1の入力ノードIに印加される。
【0022】
電荷感受性増幅器回路1の実施形態によれば、入力ノードIで電荷感受性増幅器回路1によって受け取られた入力電荷は、転送スイッチ10及び転送スイッチ20によって出力ノードOに、したがって電荷変換回路3に転送される。第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20は、フォトダイオードD1の1つから生成され、入力ノードIに印加される電荷の電荷転送が、次のピクセル/感光性セルが、ラインを介して、電荷感受性増幅器回路1の入力ノードIに接続される前に、規定された転送時間/ライン時間で行われるように、制御される。
【0023】
電荷感受性増幅器回路1は、第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20のそれぞれの導電率を制御するためのそれぞれの制御信号CS1、CS2を生成するための制御回路30を備える。制御回路30は、第1の転送スイッチの転送時間中に第1の転送スイッチ10を制御するための制御信号CS1と、第2の転送スイッチの転送時間中に第2の転送スイッチ20を制御するための制御信号CS2を生成するように構成され、入力電荷を、転送スイッチ10及び転送スイッチ20を介して入力ノードIから出力ノードOに転送する。
【0024】
制御回路30は、第1の転送スイッチ10を制御するための制御信号CS1と、第2の転送スイッチ20を制御するための制御信号CS2を生成するように構成され、それぞれの第1の転送スイッチ10及び第2の転送スイッチ20を、第1の転送スイッチ10及び第2の転送スイッチ20のそれぞれの転送時間に時間依存動作(time dependent operation)状態で動作するようにする。
【0025】
電荷感受性増幅器回路の可能な実施形態によれば、制御回路30は、第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20を制御するためのそれぞれの制御信号CS1、CS2を生成するように構成され、第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20のそれぞれの導電率が、第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20のそれぞれの転送時間の終了フェーズよりも、第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20のそれぞれの転送時間の開始時に高くなるようにする。
【0026】
電荷感受性増幅器回路の可能な実施形態によれば、制御回路30は、第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20を制御するため、それぞれの制御信号CS1、CS2を生成するように構成され、第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20のそれぞれの導電率が、第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20のそれぞれの転送時間の開始から、第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20のそれぞれの転送時間の終了フェーズまで継続的に減少するようにする。
【0027】
電荷感受性増幅器回路1の実施形態によれば、第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20のそれぞれの転送時間の開始時は、両方の転送スイッチは導電性/オン状態で動作するが、第2のトランジスタ20の導電率は、第1のトランジスタ10の導電率よりも高い。これは、第1の転送スイッチ10が高オーミックスイッチとして構成され、第2の転送スイッチ20が低オーミックスイッチとして構成されることによって達成される。第1の転送スイッチは、転送時間の開始時に第2の転送スイッチよりも低い導電率を示す。
【0028】
電荷感受性増幅器回路1の可能な実施形態によれば、第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20のそれぞれの転送時間の終了時は、第2の転送スイッチ20の導電率は、第1の転送スイッチ10の導電率よりも低い。特に、第2の転送スイッチ20は、第2の転送スイッチの転送時間の終了フェーズで完全にオフ、すなわち非導電状態で動作し、第1の転送スイッチ10は第1の転送スイッチの転送時間の終了フェーズでほぼオフ、すなわち依然として低導電状態で動作する。この構成は、入力ノードIが負になり、次のピクセルの電荷変換を阻害することを防ぐために、特に第1の転送スイッチの転送時間の終了フェーズにおいて、第1の転送スイッチ10が完全にオフになることは決してないことを保証する。
【0029】
電荷感受性増幅器回路1の実施形態によれば、第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20は、第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20のそれぞれの導電率が、それぞれの制御信号CS1、CS2のレベルが第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20のそれぞれの閾値電圧より上または下であることに依存するように、構成される。
【0030】
第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20は、同じ閾値電圧を有し得る。この場合、制御回路30は、第2の転送スイッチ20を制御するための制御信号CS2とは別のレベルで第1の転送スイッチ10を制御するための制御信号CS1を生成するように構成され得る。特に、制御回路30は、第1及び第2の制御信号CS1、CS2のそれぞれのレベルを生成し、第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20のそれぞれの転送時間の終了フェーズにおいて、第1の転送スイッチ10の導電率が、転送時間の終了時に完全にはオフにならないことを確実にするために、第2の転送スイッチ20の導電率よりも高い。
【0031】
図2は、第1の転送スイッチ10の導電率を制御するための制御回路30によって制御信号CS1を生成し得ることと、転送時間に第2の転送スイッチ20の導電率を制御するための制御回路30によって制御信号CS2を生成し得ることを示し、第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20が同じ閾値電圧を有すると仮定している。
【0032】
図2に示すように、制御回路30は、第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20を制御するためのそれぞれの制御信号CS1及びCS2を生成し、その結果、第1の転送スイッチの転送時間に発生する第1の転送スイッチ10を制御するための制御信号CS1の最小及び最大レベルは、第2の転送スイッチ20を制御するための制御信号CS2の最小及び最大レベルよりも高い。
【0033】
図2は、第1の転送スイッチ及び第2の転送スイッチのそれぞれの転送時間中に制御信号CS2の推移より上のレベルで生成される制御信号CS1の推移を示している。第1及び第2の転送スイッチの閾値のレベルは、図2に水平の破線で示されている。図2に示される実施形態に関して、第1及び第2の転送スイッチは、同じ閾値電圧を有する。
【0034】
第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20は、それぞれの制御信号CS1及びCS2が最大レベルを有するときにオンにされる、すなわち、導電状態で動作される。一方、それぞれの制御信号CS1及びCS2がそれぞれの最小レベルを有するときに、第1の転送スイッチ10は、低導電状態で動作し、第2の転送スイッチ20は、第1の転送スイッチよりも低い導電状態または非導電状態/電源オフ状態で動作する。
【0035】
図2に示すように、制御信号CS2の最小レベルは、制御信号CS1の最小レベルを下回っている。制御信号CS1の最小レベルは、第1の転送スイッチ10の閾値電圧に等しく、これにより、第1の転送スイッチ10は、第1の転送スイッチの転送時間の終了フェーズで低導電状態で動作することができる。しかしながら、第1転送スイッチの閾値電圧を下回らないレベルの制御信号CS1が、制御回路30によって生成されるので、転送時間の終了時に第1の転送スイッチ10が完全にはオフにされないことが保証される。これにより、電荷感受性増幅器回路の入力ノードIが負になり、次のピクセルの電荷変換を阻害するのを防ぐことができる。
【0036】
上で説明したように、第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20は、第2の転送スイッチ20の転送時間の開始時に第2の転送スイッチ20を制御するための制御信号CS2の最大値が、第1の転送スイッチ10の転送時間の開始時に第1の転送スイッチ10を制御するための制御信号CS1の最大レベルを下回っているのであっても、第2の転送スイッチ20の導電率が第1の転送スイッチ10の導電率よりも高くなるように構成される。
【0037】
転送時間の開始時に、第1の転送スイッチ10に、第2の転送スイッチ20よりも低い導電率をもたらす、すなわち高オーミック転送スイッチとしてもたらすために、また第1の転送スイッチ10よりも高い導電率を第2の転送スイッチ20にもたらす、すなわち、低オーミック転送スイッチとしてもたらすために、形状、特に転送スイッチ10及び転送スイッチ20のそれぞれの導電性チャネルの長さ及び幅の関係は、適切な方法で選択されなければならない。
【0038】
電荷感受性増幅器回路1の別の可能な実施形態によれば、制御回路30は、第1の転送スイッチ10の導電率を制御するための制御信号CS1を、第2の転送スイッチ20の導電率を制御するための制御信号CS2と同じレベルで生成するように構成される。この場合、第1の転送スイッチ10の閾値電圧が第2の転送スイッチ20の閾値電圧とは異なり、第2の転送スイッチ20に、第1の転送スイッチの導電率よりも高い導電率をもたらす、すなわち、転送スイッチ10を高オーミックスイッチとして設け、転送スイッチ20を低オーミックスイッチとして設けることを確実にしなければならない。
【0039】
別の可能な実施形態によれば、第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20は、第1の転送スイッチ10に印加される第1のバルクバイアス(bulk bias)電圧が、第2の転送スイッチ20に印加される第2のバルクバイアス電圧とは異なるように実施され得る。この場合、制御回路30はまた、第2の転送スイッチ20を制御するための制御信号CS2と同じレベルで第1の転送スイッチ10を制御するための制御信号CS1を生成するように構成され得るが、それにもかかわらず、第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20のそれぞれの転送時間の開始時の、第2の転送スイッチ20の導電率は、第1の転送スイッチ10の導電率よりも大きくなることが保証される。
【0040】
図2に示すように、制御回路30は、第2の転送スイッチ20の転送時間の終了フェーズが、第1の転送スイッチ10の転送時間の終了フェーズの前に終了するように、第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20を制御するためのそれぞれの制御信号CS1、CS2を生成するように構成される。
電荷感受性増幅器回路1の可能な実施形態によれば、制御回路30は、電荷感受性増幅器回路の入力ノードIに結合された入力側と、入力電荷のレベルに応じて、第1の転送スイッチ10を制御するための信号CS1及び/または第2の転送スイッチ20を制御するための制御信号CS2を生成するための出力側とを有する少なくとも1つの増幅器31を含み得る。少なくとも1つの増幅器31は、演算相互コンダクタンス増幅器(operational transconductance amplifier)として構成され得る。
【0041】
図1の電荷感受性増幅器回路1の実施形態について示されるように、増幅器31によって生成された制御信号CS1は、第1の転送スイッチ10の制御ノードに直接適用することができる。これは、制御信号CS1が増幅器31の出力信号であることを意味する。図1に示される電荷感受性増幅器回路1の実施形態によれば、制御信号CS2は、増幅器31の出力信号から得られる。図1に示すように、レベルシフター32は、増幅器31の出力と、第2の転送スイッチ20の制御ノードとの間に、接続されている。
【0042】
レベルシフター32は、第2の転送スイッチ20が、第1の転送スイッチ10に適用される制御信号CS1のレベルシフトされたコピーである制御信号CS2によって制御されることを可能にする。制御信号CS1の推移より下の推移の制御信号CS2を供給するために、レベルシフター32は、増幅器31の出力で生成された制御信号CS1の推移を下方にシフトし、図2に示すように、制御信号CS2の推移が制御信号CS1の推移の下にあるようにする。
【0043】
電荷感受性増幅器回路1の可能な実施形態によれば、制御回路30は、増幅器31の利得を調整し、増幅器31の利得が、第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20のそれぞれの転送時間の第2のフェーズよりも、第1の転送スイッチ10と第2の転送スイッチ20のそれぞれの転送時間の第1のフェーズにおいて、より高くなるように、構成され得る。この場合、集積の開始時に増幅器31の利得が高く、その後動的に低減されることが保証され得る。
【0044】
増幅器31の利得を低減するために、電荷感受性増幅器回路1の可能な実施形態によれば、制御回路30は、可変抵抗を有する抵抗器33を備える。図1に示されるように、抵抗器33は、増幅器31の出力側及び基準/接地電位GNDに接続されている。参照記号34は、増幅器31の出力側と、基準/接地電位との間に接続された、負荷コンデンサを表す。
【0045】
電荷感受性増幅器回路1の機能を以下に説明する。
【0046】
電荷集積の開始時に、制御回路30は、第1の転送スイッチ10が最初に入力ノードIから出力ノードOへ入力電荷の転送を開始するように、第1の転送スイッチ10を制御するための制御信号CS1及び第2の転送スイッチ20を制御するための制御信号CS2を生成する。
【0047】
入力電荷が高い場合、制御回路30は、増幅器31によって、第1の転送スイッチ10を制御するための制御信号CS1が最大レベルまで上昇し、第2の転送スイッチ20を制御するための制御信号CS2が、第2の転送スイッチ20が入力ノードIから出力ノードOまでと並列で電荷を転送し始めるように生成されることを可能にする。
【0048】
電荷の大部分が入力ノードIから出力ノードOに転送されると、増幅器31の出力信号のレベルが低下し、その結果、第1の転送スイッチ10の制御ノードに印加される制御電圧などの制御信号CS1も、降下する。増幅器31の出力信号、つまり制御信号CS1から得られる制御信号CS2は、第2の転送スイッチ20が完全にオフになるように、すなわち、第2の転送スイッチ20が非導電状態で動作されるように、レベルシフター32によって生成される。転送時間の終了時の電荷の残りのわずかな部分は、第1の転送スイッチ10を介してのみ転送される。
【0049】
特に欠陥ピクセルが原因である過剰な電荷を短い転送時間において電荷感受性増幅器回路の入力ノードIから除去する必要がある場合に、第1の転送スイッチ10が、ノイズの要件に起因して集積の最後に高オーミックでなければならず、また、完全にオフにされることによって、入力ノードIにおいて、決して負電荷を生成してはならないという状況の下で、入力電荷の高いダイナミックレンジに対し第1の転送スイッチ10を最適化することは達成するのが難しい。第1の転送スイッチ10と並列の第2の転送スイッチ20を追加することにより、ノイズのパフォーマンスを損なうことなく、大きな電荷を除去するために必要な時間を短縮することができる。
【0050】
電荷感受性増幅器回路1の提案された概念は、例えば、電荷転送のダイナミックレンジまたは速度を改善するために3つのレベルシフターを備えた4つの転送スイッチ/ゲートを使用して、より多くの転送スイッチ/ゲート及びレベルシフターに拡張することができる。可能な実施形態によれば、制御回路30は、異なる閾値または異なるバルク電圧または異なる形状を有する、2つを超える転送スイッチを含み得る。
【0051】
さらに、電荷感受性増幅器回路1の別の可能な実施形態によれば、増幅器31に加えて、第2の増幅器が、上記と同じ利益を得るために第2の転送スイッチ20を制御する制御回路30に設けられてよい。
【符号の説明】
【0052】
1 電荷感受性増幅器回路
2 センサ
3 変換回路
10 第1の転送スイッチ
20 第2の転送スイッチ
30 制御回路
31 増幅器
32 レベルシフター
33 抵抗器
34 負荷コンデンサ
100 画像センサ回路
D1 感光性セル/フォトダイオード
I 入力ノード
O 出力ノード
CS1、CS2 制御信号
図1
図2
【国際調査報告】