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特表2023-505368ケラチン物質を明色化及び/又は白色化するための組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(54)【発明の名称】ケラチン物質を明色化及び/又は白色化するための組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20230201BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20230201BHJP
   A61K 8/368 20060101ALI20230201BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20230201BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/49
A61K8/368
A61K8/35
A61Q19/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534797
(86)(22)【出願日】2019-12-09
(85)【翻訳文提出日】2022-08-08
(86)【国際出願番号】 CN2019124033
(87)【国際公開番号】W WO2021114024
(87)【国際公開日】2021-06-17
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジエ・チウ
(72)【発明者】
【氏名】シウシア・ワン
(72)【発明者】
【氏名】マリー-ジョスリーヌ・ピグマリオン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AA122
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC211
4C083AC311
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC422
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC662
4C083AC791
4C083AC811
4C083AC841
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC861
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD202
4C083AD211
4C083AD352
4C083AD491
4C083AD531
4C083AD631
4C083BB04
4C083CC03
4C083CC04
4C083CC05
4C083DD31
4C083DD39
4C083EE01
4C083EE07
4C083EE16
(57)【要約】
本発明は、ケラチン物質を明色化及び/又は白色化するための組成物であって、i)少なくとも1種のフラボノイドと、ii)以下の式(I):
(式中、R1は、水素原子、メチル基、2~4個の炭素原子を含有する飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐状炭化水素鎖、-OH基及びハロゲンから選択され、R2は、水素原子、メチル基、及び2~5個の炭素原子を含有する飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐状炭化水素鎖から選択され、R3は、メチル基、又は2~5個の炭素原子を含有する飽和若しくは不飽和の直鎖状若しくは分岐状炭化水素鎖から選択され、R4及びR5は、互いに独立して、水素原子、メチル基、2~5個の炭素原子を含有する飽和若しくは不飽和の直鎖状若しくは分岐状炭化水素鎖、-OH基、又はハロゲンから選択される)の少なくとも1種のヒドロキシル化ジフェニルメタン誘導体と、iii)少なくとも1種の皮膚剥脱剤とを含む、組成物に関する。本発明はまた、ケラチン物質、特にヒト皮膚を明色化及び/又は白色化するための美容方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン物質を明色化及び/又は白色化するための組成物であって、
i)少なくとも1種のフラボノイド、
ii)以下の式(I):
【化1】
(式中、
R1は、水素原子、メチル基、2~4個の炭素原子を含有する飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐状炭化水素鎖、-OH基、及びハロゲンから選択され、
R2は、水素原子、メチル基、及び2~5個の炭素原子を含有する飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐状炭化水素鎖から選択され、
R3は、メチル基、又は2~5個の炭素原子を含有する飽和若しくは不飽和の直鎖状若しくは分岐状炭化水素鎖から選択され、
R4及びR5は、互いに独立して、水素原子、メチル基、2~5個の炭素原子を含有する飽和若しくは不飽和の直鎖状若しくは分岐状炭化水素鎖、-OH基、又はハロゲンから選択される)
の少なくとも1種のヒドロキシル化ジフェニルメタン誘導体、及び
iii)少なくとも1種の皮膚剥脱剤
を含む、組成物。
【請求項2】
前記フラボノイドが、例えば、カルコン、フラボン、フラバノン、フラバノール、フラボノール、ジヒドロフラボノール、イソフラボノイド、ネオフラボノイド、カテキン、アントシアニジン及びタンニンから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記フラボノイドが、前記組成物の総質量に対して、0.01質量%~2質量%、好ましくは0.05質量%~1質量%、より好ましくは0.1質量%~0.5質量%の範囲の量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
式(I)中、
- R1、R2、R4及びR5が、水素原子を表し、
- R3が、メチル基であり、
- 前記-OH基が、2つの芳香族核を互いに連結する炭素により形成される結合に対して、オルト位及びパラ位に存在する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ヒドロキシル化ジフェニルメタン誘導体が、前記組成物の総質量に対して、0.01質量%~2質量%、より好ましくは0.05質量%~1質量%、更により好ましくは0.1質量%~0.5質量%の範囲の量で存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記剥脱剤が、サリチル酸及び式(III):
【化2】
(式中、
Rは、水素原子、又は飽和若しくは不飽和の、直鎖状、分岐状若しくは環式脂肪族アルコキシ、エステル若しくはケトキシ鎖を表し、これらの鎖は、2~22個の炭素原子を含み、場合により、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、及びヒドロキシル基(遊離形態にあるか、又は1~6個の炭素原子を含有する酸により若しくは他にはカルボキシル官能基(遊離しているか、又は1~6個の炭素原子を含有する低級アルコールによりエステル化されている)によりエステル化されている)から選択される少なくとも1つの置換基により置換されており、
R'は、ヒドロキシル基、又は式(IV):
【化3】
のエステル官能基を表し、
R1は、1~18個の炭素原子を含有する飽和又は不飽和脂肪族基である)
の化合物から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記剥脱剤が、サリチル酸、カプリロイルサリチル酸、5-n-デカノイルサリチル酸及び5-n-ドデカノイル-サリチル酸から選択され、特に、カプリロイルサリチル酸である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記剥脱剤が、前記組成物の総質量に対して、0.01質量%~2質量%、好ましくは0.05質量%~1質量%、より好ましくは0.1質量%~0.5質量%の範囲の量で存在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
オキソチアゾリジンカルボン酸、ビタミンB3及びそれらの誘導体、好ましくはナイアシンアミド、キサンチン塩基、好ましくはカフェイン、カンファーベンザルコニウムメトスルフェート、エラグ酸、ヒドロキシフェノキシプロピオン酸、ジエチルルチジネート、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、フェルラ酸、フロレチン、アセチルトリフルオロメチルフェニルバリルグリシン、レスベラトロール、4-ブチルレゾルシノール、アピゲニン、フェニルエチルレゾルシノール、プラステロン、ベンゾフェノン-3、ブチルメトキシジベンゾイルメタン及びジャスモン酸誘導体から選択される少なくとも1種のヒドロトロープ、好ましくはテトラヒドロジャスモン酸ナトリウムを更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記ヒドロトロープが、前記組成物の総質量に対して、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.5質量%~5質量%、より好ましくは0.6質量%~4質量%の範囲の量で存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1種のゲル化剤を更に含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記ゲル化剤が、前記組成物の総質量の0.1質量%~5質量%、好ましくは0.3質量%~3質量%、より好ましくは0.5質量%~2質量%の範囲の量で存在する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
ソルビタンのオキシアルキレン化脂肪酸エステル、及びアルキルポリグリコシドと脂肪アルコールとの混合物から選択される少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を更に含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
ケラチン物質を明色化又は白色化するための組成物であって、前記組成物の総質量に対して、
i)0.1質量%~0.5質量%の、少なくとも1種のフラボン、
ii)0.1質量%~0.5質量%の、以下の式(I):
【化4】
(式中、
- R1、R2、R4及びR5は、水素原子を表し、
- R3は、メチル基であり、
- 前記-OH基は、2つの芳香族核を互いに連結する炭素により形成される結合に対して、オルト位及びパラ位に存在する)
のものから選択される少なくとも1種のヒドロキシル化ジフェニルメタン誘導体、並びに
iii)0.1質量%~0.5質量%の、サリチル酸、カプリロイルサリチル酸、5-n-デカノイルサリチル酸及び5-n-ドデカノイル-サリチル酸から選択される少なくとも1種の剥脱剤
を含む、組成物。
【請求項15】
ケラチン物質、特にヒト皮膚を明色化及び/又は白色化するための美容方法であって、前記ケラチン物質に請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物を施用する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧用組成物に関する。詳細には、本発明は、ケラチン物質を明色化(brightening)及び/又は白色化(whitening)するための組成物に関する。本発明はまた、ケラチン物質を明色化及び/又は白色化するための美容方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚の色は、様々な要因、特に、1年のうちの季節、人種及び性別に依存する。それは、メラノサイトによって産生されるメラニンの性質及び濃度によって主に決まる。メラノサイトは、特定の細胞小器官、すなわちメラノソームによりメラニンを合成する特化された細胞である。更に、ヒトの生涯の様々な時において、ある特定の個体は、皮膚の不均質性をもたらす、皮膚における、よりとりわけ手におけるに黒ずんだ斑点及び/又は着色した斑点の外観を受ける。
【0003】
特に一層高い使用の快適さ(柔らかさ、軟化性等)に関連する様々な理由のため、ケラチン物質、特に皮膚をケアする及び/又はメーキャップするための現行の組成物は、通常、水性分散性連続相及び油性分散不連続相からなる水中油(O/W)型のエマルション、又は油性分散性連続相及び水性分散不連続相からなる油中水(W/O)型のエマルションの形態にある。
【0004】
O/Wエマルションは、外側相として水性相を含み、皮膚に施用された場合、W/Oエマルションよりもそれらに瑞々しさ、低いべたつき感、及び軽い感覚をもたらすので、化粧品分野において最も探求されているエマルションである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Lee J.ら、「Hydrotropic Solubilization of Paclitaxel:Analysis of Chemical Structures for Hydrotropic Property」、Pharmaceutical Research、第20巻、7号、2003年
【非特許文献2】Hodgon T.K.、Kaler E.W.、「Hydrotropic Solutions」、Current Opinion in Colloid and Interface Science、第12巻、121~128頁、2007年
【非特許文献3】Atom/Fragment contribution method for estimating octanol-water partition coefficients、J. Pharm. Sci.、84巻:83~92頁、1995年
【非特許文献4】Exploring QSAR:hydrophobic、electronic and steric constants(ACS professional reference book、1995年
【非特許文献5】http://esc.syrres.com/interkow/kowdemo.htm
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の水中油型エマルションは、その本来の特色のため、特に皮膚の明色化及び/又は白色化に関して、十分に満足なものではない。
【0007】
水中油型エマルションに、シリコーン樹脂、スチレンタイプのコポリマーを顔料及び白色化活性剤と組み合わせて導入する努力が行われてきた。しかし、発明者らは、皮膚に対して良好な明色化作用及び/又は白色化作用を有する組成物を得ることは困難であることを見出した。
【0008】
したがって、ケラチン物質に良好な明色化作用及び/又は白色化作用をもたらす組成物を配合することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、本発明によってそのような必要性が実現され得ることを見出した。
【0010】
したがって、一態様によれば、本発明は、ケラチン物質を明色化及び/又は白色化するための組成物であって、
i)少なくとも1種のフラボノイドと、
ii)以下の式(I):
【化1】
(式中、
R1は、水素原子、メチル基、2~4個の炭素原子を含有する飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐状炭化水素鎖、-OH基及びハロゲンから選択され、
R2は、水素原子、メチル基、及び2~5個の炭素原子を含有する飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐状炭化水素鎖から選択され、
R3は、メチル基、又は2~5個の炭素原子を含有する飽和若しくは不飽和の直鎖状若しくは分岐状炭化水素鎖から選択され、
R4及びR5は、互いに独立して、水素原子、メチル基、2~5個の炭素原子を含有する飽和若しくは不飽和の直鎖状若しくは分岐状炭化水素鎖、-OH基、又はハロゲンから選択される)
の少なくとも1種のヒドロキシル化ジフェニルメタン誘導体と、
iii)少なくとも1種の皮膚剥脱剤(skin peeling agent)と
を含む、組成物に関する。
【0011】
本発明者らは、上記の成分i)~iii)の組合せ物を含む本発明による組成物は、ケラチン物質、特にヒト皮膚に対して、良好な明色化作用及び/又は白色化作用を有することを見出した。
【0012】
別の態様によれば、本発明はまた、ケラチン物質、特にヒト皮膚を明色化及び/又は白色化するための美容方法あって、ケラチン物質に本発明による組成物を施用する工程を含む、美容方法に関する。
【0013】
本発明の目的のため、用語「ケラチン物質」は、ヒト皮膚、粘膜、例えば、唇、爪を覆うことが意図されている。ヒト皮膚、特に、顔の皮膚が、本発明により最も特に考慮される。
【0014】
本発明の他の対象及び特徴、態様及び利点は、以下に続く詳細説明及び実施例を一読すると、更により明解となるであろう。
【0015】
本発明のより具体的な記載は、添付の図面を参照することによってもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】生成物A、B及びC、並びに実施例1で調製したプラセボの明色化作用及び/又は白色化作用を示すグラフである。
図2】実施例2で調製した生成物D、及び実施例1で調製したプラセボの明色化作用及び/又は白色化作用を示すグラフである。
図3】実施例3で調製した生成物E、及び実施例1で調製したプラセボの明色化作用及び/又は白色化作用を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書で使用する場合、特に示さない限り、値の範囲の両境界値は、特に、「・・・から・・・の間」、及び「・・・~・・・」という表現では、この範囲内に含まれる。
【0018】
本明細書で使用する場合、「含む(comprising)」という用語は、すべての具体的に言及された特徴に加え、任意選択の追加の不特定の特徴を包含するものと解釈されるべきである。
【0019】
本明細書で使用する場合、用語「含む」の使用は、具体的に言及された特徴以外の特徴が存在しない(すなわち、「からなる(consisting of)」)実施形態も開示する。
【0020】
特に定義しない限り、本明細書において使用される技術的及び科学的用語はすべて、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本記載における用語の定義が、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと矛盾する場合、本明細書に記載されている定義が、該当するものとする。
【0021】
別段の指定がない限り、本記載及び特許請求の範囲において使用されている成分等の量を表現するすべての数値は、用語「約」によって修飾されているものと理解されたい。したがって、反対に示されていない限り、本明細書に記載されている数値及びパラメータは、必要に応じて得られる所望の性能により変わり得る概算値である。
【0022】
一態様によれば、本発明は、ケラチン物質を明色化又は白色化するための組成物であって、
i)少なくとも1種のフラボノイドと、
ii)以下の式(I):
【化2】
(式中、
R1は、水素原子、メチル基、2~4個の炭素原子を含有する飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐状炭化水素鎖、-OH基及びハロゲンから選択され、
R2は、水素原子、メチル基、及び2~5個の炭素原子を含有する飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐状炭化水素鎖から選択され、
R3は、メチル基、又は2~5個の炭素原子を含有する飽和若しくは不飽和の直鎖状若しくは分岐状炭化水素鎖から選択され、
R4及びR5は、互いに独立して、水素原子、メチル基、2~5個の炭素原子を含有する飽和若しくは不飽和の直鎖状若しくは分岐状炭化水素鎖、-OH基、又はハロゲンから選択される)
の少なくとも1種のヒドロキシル化ジフェニルメタン誘導体と、
iii)少なくとも1種の皮膚剥脱剤と
を含む、組成物に関する。
【0023】
フラボノイド
第1の態様によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種のフラボノイドを含む。
【0024】
フラボノイドは、ポリフェノールの特定の群であり、摂取されている食事中の全フェノール類の約3分の2を構成する、ポリフェノール化合物の最も多い群である。フラボノイドは、化学構造に応じて、カルコン、フラボン、フラバノン、フラバノール、フラボノール、ジヒドロフラボノール、イソフラボノイド、ネオフラボノイド、カテキン、アントシアニジン及びタンニンに更に分類される。4,000種を超えるフラボノイドが同定されており、これらの多数が、果実、野菜及び飲料(茶、コーヒー、ビール、ワイン及びフルーツ飲料)に存在する。フラボノイドは、抗ウイルス、抗アレルギー、抗血小板、抗炎症、抗腫瘍及び抗酸化剤活性を有することが報告されている。フラボノイドは、遊離ラジカルを効果的に捕捉することによって、脂質及びバイタル細胞の構成成分を損傷性酸化ストレスから保護する。
【0025】
好ましくは、使用されるフラボノイドは、フラボンである。
【0026】
中国の薬草であるHuang-chinの成分であるバイカリンは、フラボノイドの一タイプであるフラボンである。バイカリンは、酸化ストレス疾患、炎症、アレルギー、がん、細菌感染等に対する強力な効果を実証する、強力な抗酸化剤である。
【0027】
バイカリンは、タツナミソウ(Scutellaria)属におけるいくつかの種に見出されており、コガネバナ(Scutellaria baicalensis)及びアメリカスキャルカップ(Scutellaria lateriflora)を含む。スクテラリア・ガレリクラタ(Scutellaria galericulata)の葉には、10mg/gのバイカリンが存在する。バイカリンは、ソリザヤノキ(Oroxylum indicum tree)の樹皮分離物中にも存在する。
【0028】
本発明による一実施形態では、バイカリンは、スクテラリア・バイクレンシス(scutellaria baiclensis)の根のエキスの形態で使用される。
【0029】
有利には、フラボノイドは、本組成物の総質量に対して、0.01質量%~2質量%、好ましくは0.05質量%~1質量%、より好ましくは0.1質量%~0.5質量%の範囲の量で存在する。
【0030】
ヒドロキシル化ジフェニルメタン誘導体
第1の態様によれば、本発明による組成物は、以下の式(I):
【化3】
(式中、
R1は、水素原子、メチル基、2~4個の炭素原子を含有する飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐状炭化水素鎖、-OH基及びハロゲンから選択され、
R2は、水素原子、メチル基、及び2~5個の炭素原子を含有する飽和又は不飽和の直鎖状又は分岐状炭化水素鎖から選択され、
R3は、メチル基、又は2~5個の炭素原子を含有する飽和若しくは不飽和の直鎖状若しくは分岐状炭化水素鎖から選択され、
R4及びR5は、互いに独立して、水素原子、メチル基、2~5個の炭素原子を含有する飽和若しくは不飽和の直鎖状若しくは分岐状炭化水素鎖、-OH基、又はハロゲンから選択される)
の少なくとも1種のヒドロキシル化ジフェニルメタン誘導体を含む。
【0031】
-OH、R1、R4及びR5基は、2つの芳香族核を互いに連結する炭素により形成される結合に対して、オルト位、メタ位又はパラ位に存在することができる。
【0032】
本発明の好ましい一実施形態によれば、式(I)(式中、
- R1、R2、R4及びR5は、水素原子を表し、
- R3は、メチル基であり、
- -OH基は、2つの芳香族核を互いに連結する炭素により形成される結合に対して、オルト位及びパラ位に存在する)
の化合物が使用される。
【0033】
この化合物は、以下の式(II):
【化4】
に相当し、4-(1-フェニルエチル)-1,3-ベンゼンジオール若しくは4-(1-フェニルエチル)-1,3-ジヒドロキシベンゼンとして知られているか、又は他にはフェニルエチルレゾルシノール若しくはフェニルエチルベンゼンジオール若しくはスチリルレゾルシノールとして知られている。この化合物は、CAS番号85-27-8を有する。このような化合物は、Symrise社によって、Symwhite377(登録商標)又はBio377という名称で販売されている。
【0034】
有利には、ヒドロキシル化ジフェニルメタン誘導体は、本組成物の総質量に対して、0.01質量%~2質量%、より好ましくは0.05質量%~1質量%、更により好ましくは0.1質量%~0.5質量%の範囲の量で存在する。
【0035】
皮膚剥脱剤
第1の態様によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の皮膚剥脱剤を含む。
【0036】
理論によって拘泥されることを意図するものではないが、皮膚剥脱剤は、皮膚におけるコラーゲン産生を刺激し、これによって、皮膚の白色化作用を更に増強すると考えられる。
【0037】
本発明による好ましい実施形態によれば、皮膚剥脱剤は、サリチル酸及びその誘導体から選択される。
【0038】
本発明の組成物において使用することができるサリチル酸誘導体は、以下の式(III):
【化5】
(式中、
Rは、水素原子、又は飽和若しくは不飽和の直鎖状、分岐状若しくは環式の脂肪族アルコキシ鎖、エステル鎖若しくはケトキシ鎖を表し、これらの鎖は、2~22個の炭素原子を含み、場合により、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、及びヒドロキシル基(遊離形態にある、又は1~6個の炭素原子を含有する酸若しくは他にはカルボキシル官能基(遊離しているか、又は1~6個の炭素原子を含有する低級アルコールによりエステル化されている)によりエステル化されている)から選択される少なくとも1つの置換基により置換されており、
R'は、ヒドロキシル基、又は式(IV):
【化6】
のエステル官能基を表し、
R1は、1~18個の炭素原子を含有する飽和又は不飽和脂肪族基である)
のものから好ましくはから選択される。
【0039】
好ましくは、R基は、少なくとも4個の炭素原子を含む。R基は、例えば、4~11個の炭素原子を含有する飽和の直鎖状アルキル基又はアルコキシ基から形成される。
【0040】
有利には、サリチル酸誘導体は、サリチル酸、カプリロイルサリチル酸、5-n-デカノイルサリチル酸及び5-n-ドデカノイル-サリチル酸から選択され、特に、カプリロイルサリチル酸である。
【0041】
有利には、剥脱剤は、本組成物の総質量に対して、0.01質量%~2質量%、好ましくは0.05質量%~1質量%、より好ましくは0.1質量%~0.5質量%の範囲の量で存在する。
【0042】
水性相
本発明の組成物は、少なくとも1つの連続水性相を含む。
【0043】
本発明による組成物の水性相は、水、及び場合により、1種若しくは複数の水混和性化合物又は少なくとも部分的に水混和性の化合物、例えば、C2~C8低級ポリオール又はモノアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール及びフェノキシエタノールを含む。
【0044】
用語「ポリオール」は、少なくとも2つの遊離ヒドロキシル基を含む、任意の有機分子を意味すると理解されるべきである。挙げることができるポリオールの例には、グリコール、例えば、ブチレングリコール、プロピレングリコール及びイソプレングリコール、カプリリルグリコール、グリセロール(すなわちグリセリン)、エチルヘキシルグリセリン及びポリエチレングリコールが含まれる。
【0045】
水性相はまた、下記の任意の一般的な水可溶性添加物又は水分散性添加物を含むことができる。
【0046】
水性相は、本組成物の総質量に対して、30質量%~98質量%、好ましくは30質量%~95質量%存在することができる。
【0047】
ヒドロトロープ(Hydrotrope)
一部の実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種のヒドロトロープを更に含む。
【0048】
単一タイプのヒドロトロープを使用してもよいが、2種以上の異なるタイプのヒドロトロープを組み合わせて使用してもよい。
【0049】
ヒドロトロープ(又はヒドロトロピー剤)は、両親媒性分子構造を特徴とする化合物であって、可溶性に乏しい有機分子の水中での溶解度を劇的に増大させることができる、上記の化合物の多様なクラスとすることができる。多数のヒドロトロープが、イオン性部分を有する芳香族構造を有する一方、それらの一部は、以下の表に一覧表示されている通り、直鎖状アルキル鎖である。ヒドロトロープは、留意すべきことに、界面活性剤に類似しており、表面張力を低下させる能力を有するが、その疎水性ユニットが小さいこと及びアルキル鎖が比較的より短いことが、両親媒性物質の個別のクラスとして界面活性剤との区別である。
【0050】
一般的なヒドロトロピー分子には、1,3-ベンゼンジスルホン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、4-ピリジンカルボン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、カフェイン、p-トルエンスルホン酸ナトリウム、ブチルモノグリコール硫酸ナトリウム、4-アミノ安息香酸HCl、クメンスルホン酸ナトリウム、N,N-ジエチルニコチンアミド、N-ピコリルニコチンアミド、N-アリルニコチンアミド、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、レゾルシノール、ブチルウレア、ピロガロール、N-ピコリルアセトアミド3.5、プロカインHCl、プロリンHCl、ニコチンアミド、ピリジン、3-ピコリルアミン、イブプロフェンナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、カルバミン酸エチル、ピリドキサール塩酸塩、安息香酸ナトリウム、2-ピロリドン、エチルウレア、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルアセトアミド及びイソニアジドが含まれる。ヒドロトロープは、Lee J.ら、「Hydrotropic Solubilization of Paclitaxel: Analysis of Chemical Structures for Hydrotropic Property」、Pharmaceutical Research、第20巻、7号、2003年;及びHodgon T.K.、Kaler E.W.、「Hydrotropic Solutions」、Current Opinion in Colloid and Interface Science、第12巻、121~128頁、2007年において見出すことができる。
【0051】
化粧品として許容されるヒドロトロープは、化粧用組成物において使用することができる、望ましいヒドロトロープである。ヒドロトロープは、様々な分野において使用される幅広いクラスの分子を表すが、化粧品用途は、安全性及び耐容性制限により限定される。化粧品において好ましいヒドロトロープは、下に一覧表示されている:
【表1】
【0052】
化粧用組成物において使用するためのヒドロトロープの適応性は、皮膚に対する化合物の影響及び生体利用の方法を決定するために、当分野で公知の試験を使用して決定することができる。
【0053】
ヒドロトロープを使用する利点は、安定な溶液を一旦得ると、更なる希釈は、該溶液の安定性に影響を及ぼさない点である。これは、活性物の水溶解度を向上させるために一般に使用される有機溶媒とは非常に異なる。通常、事前に溶解した活性物を含む有機溶媒の水による希釈は、結晶化又は沈殿をもたらす。
【0054】
ヒドロトロープは、非イオン性ヒドロトロープの場合、-0.7~6、好ましくは-0.7~1.0、好ましくは-0.5~0.7、及びイオン性ヒドロトロープ(例えば、酸性ヒドロトロープ)の場合、好ましくは-0.7~5.5であるLogPを有することができる。
【0055】
ヒドロトロープの透明度を最良状態に至らせるために、配合剤がpHを調整することになる。
【0056】
logP値は、オクタン1-オール/水の見掛け分配係数の10を底とする対数の値である。logP値は公知であり、オクタン-1-オール及び水中の化合物の濃度(c)を決定する、標準試験によって決定される。logPは、Meylan及びHoward: Atom/Fragment contribution method for estimating octanol-water partition coefficients、J. Pharm. Sci.、84巻:83~92頁、1995年による論文に記載されている方法に従って計算することができる。この値は、多数の市販のソフトウェアパッケージを使用して計算することもでき、これらによって、分子の構造の関数としてlogPが求まる。例として、米国環境庁製のEpiwinソフトウェアを挙げることができる。
【0057】
この値は、とりわけ、ACD(Advanced Chemistry Development)SolarisソフトウェアV4.67を使用して計算することができる;この値はまた、Exploring QSAR: hydrophobic、electronic and steric constants(ACS professional reference book、1995年)から得ることもできる。概算値を提供しているインターネットサイトも存在する(アドレス:http://esc.syrres.com/interkow/kowdemo.htm)。
【0058】
ヒドロトロープは、オキソチアゾリジンカルボン酸、ビタミンB3及びそれらの誘導体、好ましくはナイアシンアミド、キサンチン塩基、好ましくはカフェイン、カンファーベンザルコニウムメトスルフェート、エラグ酸、ヒドロキシフェノキシプロピオン酸、ジエチルルチジネート、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、フェルラ酸、フロレチン、アセチルトリフルオロメチルフェニルバリルグリシン、レスベラトロール、4-ブチルレゾルシノール、アピゲニン、フェニルエチルレゾルシノール、プラステロン、ベンゾフェノン-3、ブチルメトキシジベンゾイルメタン及びジャスモン酸誘導体から選択される、好ましくはテトラヒドロジャスモン酸ナトリウムであることが好ましい。
【0059】
以下の一層詳細に記載されている、ビタミンB3及びその誘導体、キサンチン塩基、例えばカフェイン及びジャスモン酸誘導体が、より好ましい。
【0060】
(ビタミンB3及びその誘導体)
ビタミンPPとも称されるビタミンB3は、以下の式(V):
【化7】
(式中、Rは、-CONH2(ナイアシンアミド)、-COOH(ニコチン酸又はナイアシン)、又はCH2OH(ニコチニルアルコール)、-CO-NH-CH2-COOH(ニコチン尿酸)又は-CO-NH-OH(ニコニチル(niconityl)ヒドロキサム酸)とすることができる)
の化合物である。ナイアシンアミドが好ましい。
【0061】
挙げることができるビタミンB3誘導体は、例えば、ニコチン酸エステル、例えばニコチン酸トコフェロール、-CONH2の水素基の置換によってナイアシンアミドから誘導されるアミド、カルボン酸及びアミノ酸との反応に由来する生成物、ニコチニルアルコールとカルボン酸、例えば酢酸、サリチル酸、グリコール酸(glycolid acid)又はパルミチン酸のエステルを含む。
【0062】
以下の誘導体:2-クロロニコチンアミド、6-メチルニコチンアミド、6-アミノニコチンアミド、N-メチルニコチンアミド、N,N-ジメチルニコチンアミド、N-(ヒドロキシメチル)ニコチンアミド、キノリン酸イミド、ニコチンアニリド、N-ベンジルニコチンアミド、N-エチルニコチンアミド、ニフェナゾン、ニコチンアルデヒド、イソニコチン酸、メチルイソニコチン酸、チオニコチンアミド、ニアラミド、2-メルカプトニコチン酸、ニコモール及びニアプラジン、ニコチン酸メチル及びニコチン酸ナトリウムもまた、挙げることができる。
【0063】
挙げることがやはりできる他のビタミンB3誘導体は、その無機塩、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン又は炭酸イオン、及びその有機塩、例えばカルボン酸との反応により得られる塩、例えば酢酸塩、サリチル酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、マンデル酸塩、酒石酸塩等を含む。
【0064】
ビタミンB3又はその誘導体は、-0.7~6、好ましくは-0.6~5、より好ましくは-0.5~4であるlogPを有することが好ましい。
【0065】
(キサンチン塩基)
本発明により使用することができるキサンチン塩基のなかで、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、アセフィリン、ニコチン酸キサンチノール、ジニプロフィリン、ジプロフィリン、エタミフィリン及びその誘導体、テオフィリン、プロキシフィリン、ペントフィリン、プロペントフィリン、ピリドフィリン及びバミフィリンを挙げることができるが、この列挙は限定的ではない。
【0066】
キサンチン塩基は、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、アセフィリン及びそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。これらのキサンチン塩基は、cAMPの分解を担う酵素である、ホスホジエステラーゼの阻害剤として知られている。これらのキサンチン塩基は、cAMPの細胞内容量を増加させることによって、脂肪分解活性を促進し、こうして、第1の速度低下活性剤を構成する。
【0067】
キサンチン塩基を含有する植物エキスの例として、特に、茶、コーヒー、ガラナ、マテ茶、及びコラノキのエキスを挙げることができるが、この列挙は限定的ではない。
【0068】
キサンチン塩基は、-0.7~6、好ましくは-0.6~5、より好ましくは-0.5~4、及び更により好ましくは-0.3~2であるlogPを有することが好ましい。
【0069】
(ジャスモン酸誘導体)
ジャスモン酸誘導体は、以下の式(VI):
【化8】
(式中、
R1は、COOR3基を表し、R3は、水素原子、又は1つ若しくは複数のヒドロキシル基によって場合により置換されているC1~C4アルキル基を表し、
R2は、飽和又は不飽和炭化水素基であり、これは、直鎖状であり、1~18個の炭素原子を有するか、又は分岐状若しくは環式であり、3~18個の炭素原子を有している)
に対応するものから選択される化合物、並びに
それらの光学異性体、及び対応する塩である。
【0070】
好ましくは、R1は、-COOH、-COOMe(Me:メチル基)、-COO-CH2-CH3、-COO-CH2--CH(OH)-CH2OH、-COOCH2-CH2-CH2OH又は-COOCH2-CH(OH)-CH3から選択される基を表す。好ましくは、R1は、-COOH基を表す。
【0071】
好ましくは、R2は、好ましくは2~ 個の炭素原子を有する、飽和又は不飽和の直鎖状炭化水素基を表す。特に、R2は、ペンチル、ペンテニル、ヘキシル又はヘプチル基とすることができる。
【0072】
一実施形態によれば、式(I)の化合物は、3-ヒドロキシ-2-[(2Z)-2-ペンテニル]シクロペンタン酢酸又は3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸から選択され、好ましくは3-ヒドロキシ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸である。
【0073】
本発明により使用することができる化合物の塩は、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム又はカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム、マグネシウム又はストロンチウム塩;金属塩、例えば、亜鉛、アルミニウム、マンガン又は銅塩;式NH4 +のアンモニウムの塩;四級アンモニウム塩;有機アミン塩、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、2-ヒドロキシエチルアミン、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミン又はトリス(2-ヒドロキシエチル)アミン塩;又はリジン若しくはアルギニン塩から特に選択される。使用は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、銅、マンガン又は亜鉛の塩から選択される塩から好ましくは行われる。
【0074】
ジャスモン酸誘導体(Mexoryl SBO)として以下の化合物を使用することが好ましい。
【化9】
【0075】
ジャスモン酸誘導体は、-0.7~6、好ましくは-0.6~5、より好ましくは-0.5~4であるlogPを有することが好ましい。
【0076】
ヒドロトロープは、存在する場合、本組成物の総質量に対して、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.5質量%~5質量%、より好ましくは0.6質量%~4質量%の範囲の量で存在する。
【0077】
ゲル化剤
一部の実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種のゲル化剤を更に含む。
【0078】
本発明による組成物において使用することができるゲル化剤は、親水性ゲル化剤及び/又は親油性ゲル化剤とすることができる。好ましくは、本発明による組成物は、少なくとも1種の親水性ゲル化剤を含む。
【0079】
好ましい親水性ゲル化剤としては、より特定すると、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマー、例えば、AMPS(登録商標)、例えば、Clariant社によってHostacerin AMPS(登録商標)という商標名で販売されているアンモニウム2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホネートポリマー、及び2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸コポリマー、及び特に、AMPS(登録商標)とアクリル酸ヒドロキシエチルとのコポリマー、例えばAMPS(登録商標)/アクリル酸ヒドロキシエチルコポリマー、例えば、SEPPIC社によってSimulgel NS(登録商標)という名称で販売されている市販製品(CTFA名称:(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー(及び)スクアラン(及び)ポリソルベート60)、又は例えば、名称アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸Na/アクリル酸ヒドロキシエチルコポリマーという名称で販売されている製品、例えば、市販製品Sepinov EMT10(登録商標)(INCI名:(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー)、AMPSとアクリル酸ナトリウムとのコポリマー、例えば、AMPS/アクリル酸ナトリウムコポリマー、例えばSEPPIC社によってSimulgel(商標)EGという名称で販売されている市販製品に使用されているコポリマー(CTFA名称:(アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー(及び)イソヘキサデカン(及び)ポリソルベート80)を挙げることができる。
【0080】
ゲル化剤は、存在する場合、本発明による組成物中に、該組成物の総質量の0.1質量%~5質量%、好ましくは0.3質量%~3質量%、より好ましくは0.5質量%~2質量%の量で存在する。
【0081】
非イオン性界面活性剤
一部の実施形態では、本発明による組成物は、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を更に含む。
【0082】
非イオン性界面活性剤は、ソルビタンのオキシアルキレン化脂肪酸エステル、ポリオールと8~24個の炭素原子を含有する脂肪酸とのモノエステル、及びアルキルポリグリコシドと脂肪アルコールとの混合物から選択される。
【0083】
ソルビタンのオキシアルキレン化脂肪酸エステルに関すると、以下を挙げることができる:
ソルビタンのオキシエチレン化脂肪酸エステル、例えば(INCI名)ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベー85、イソステアリン酸PEG-5ソルビタン、トリイソステアリン酸PEG-20ソルビタン、イソステアリン酸PEG-20ソルビタン、ヘプタオレイン酸PEG-40ソルビタン、テトラオレイン酸PEG-20ソルビタン及びトリオレイン酸PEG-20ソルビタン。
【0084】
ポリソルベート80、例えばCroda社によってTWEEN80-LQ-(CQ)という商標名で販売されているものを特に挙げることができる。
【0085】
ポリオールと8~24個の炭素原子を含有する脂肪酸とのモノエステルの場合、ポリオールは、グリセロール、ソルビタン及びジグリセロールから好ましくは選択され、脂肪酸は、イソラウリン酸及びオレイン酸から好ましくは選択される。
【0086】
ポリオールと8~24個の炭素原子を含有する脂肪酸のモノエステルの例は、ラウリン酸ポリグリセリル-2、ラウリン酸グリセリル、オレイン酸ソルビタン及びオレイン酸グリセリルであるエステルを含む。
【0087】
アルキルポリグリコシド及び脂肪アルコールの混合物に関すると、オクチルドデシルキシロシドとオクチルドデカノールとの混合物、例えば、INCI名が、オクチルドデカノール(及び)オクチルドデシルキシロシドを有する、SEPPIC社製のFluidanov 20X(登録商標)という商標名で販売されているものを挙げることができる。
【0088】
非イオン性界面活性剤は、存在する場合、本発明による組成物の安定性を確実にするために有効な量で存在する。
【0089】
非イオン性界面活性剤は、存在する場合、本組成物の総質量に対して、0.1質量%~10質量%の範囲の量で存在する。
【0090】
油性相
一部の実施形態では、本発明の組成物は、上記の水性相に分散した、少なくとも1つの油性相を含む。
【0091】
本発明による組成物の油性相の性質は、重要ではない。
【0092】
特に、油性相は、少なくとも1種の油を含む。
【0093】
油という用語は、室温(20~25℃)及び大気圧において、液状形態の任意の脂肪物質を指す。これらの油は、動物、植物、無機又は合成起源であってもよい。
【0094】
油は、揮発性であってもよく、又は非揮発性であってもよい。
【0095】
用語「揮発油」とは、室温(20~25℃)及び大気圧(760mmHg)において、1時間未満のうちに皮膚又は唇から蒸発することが可能な任意の非水性媒体を指す。揮発油は、室温において液体である、化粧用揮発油である。より詳細には、揮発油は、0.01から200mg/cm2/分(これらを含む)の間の蒸発速度を有する。
【0096】
用語「非揮発油」は、室温及び大気圧において、ケラチン物質上に残留する油を意味することが意図されている。より詳細には、非揮発油は、厳密に0.01mg/cm2/分未満の蒸発速度を有する。
【0097】
この蒸発速度を測定するためには、試験対象の油又は油混合物15gを直径7cmの晶析装置に導入し、これを、25℃の温度に温度制御され、50%の相対湿度で湿度制御された0.3m3の大型チャンバ内に位置する秤に載せる。液体を放置して、溶媒を含有する晶析装置の真上に、ブレードを晶析装置に向けて、晶析装置の基部から20cmの距離に配置されたファン(PAPST-MOTOREN社、参照名8550N、2700rpmで回転)を用いて換気することによって、撹拌せずに自由に蒸発させる。晶析装置内に残存する油の質量を、一定の間隔で測定する。蒸発速度は、単位表面積(cm2)あたり及び単位時間(分)あたりに蒸発した油のmgで表される。
【0098】
本発明にとって好適な油は限定されず、炭化水素をベースとするもの、シリコーンをベースとするもの、又はフッ素をベースとするものとすることができる。
【0099】
本発明によれば、用語「シリコーンオイル」とは、少なくとも1個のケイ素原子、特に少なくとも1つ(at least on)Si-O基を含む油を指す。
【0100】
用語「フッ素油」とは、少なくとも1つのフッ素原子を含む油を指す。
【0101】
用語「炭化水素油」とは、主に水素原子及び炭素原子を含有する油を指す。
【0102】
油は、例えば、ヒドロキシル基又は酸基の形態で、酸素、窒素、硫黄及び/又はリン原子を場合により含むことができる。
【0103】
実施形態では、ラウロイルサルコシンイソプロピル及びジメチコンが油として使用される。
【0104】
油性相は、存在する場合、本組成物の総質量に対して、1質量%~50質量%、好ましくは3質量%~40質量%、より好ましくは5質量%~20質量%の範囲の量で存在する。
【0105】
添加物
本発明の組成物はまた、公知の方法で、化粧品又は皮膚科学において一般的な、1種又は複数の添加物を含有してもよい。
【0106】
挙げることができるアジュバントの例は、乳化剤、他の化粧活性剤、保存剤、抗酸化剤、フレグランス、日焼け防止剤(=UV遮蔽剤)、基剤(トリエタノールアミン、ジエタノールアミン又は水酸化ナトリウム)又は酸性剤(クエン酸)、ビタミン(例えば、酢酸トコフェリル)、やはりまた脂質ベシクル、又は任意の他のタイプのベクター(ナノカプセル、マイクロカプセル等)、及びそれらの混合物が含まれる。
【0107】
これらの添加物は、化粧品分野において、例えば、本組成物の総質量の0.01%~30%という通常の割合で使用される。
【0108】
これらの添加物及びその濃度は、本発明の組成物に関する所望の特性を改変しないようでなければならない。
【0109】
好ましい実施形態によれば、本発明は、ケラチン物質を明色化又は白色化するための組成物であって、本組成物の総質量に対して、
i)0.1質量%~0.5質量%の、少なくとも1種のフラボンと、
ii)0.1質量%~0.5質量%の、以下の式(I):
【化10】
(式中、
- R1、R2、R4及びR5は、水素原子を表し、
- R3は、メチル基であり、
- -OH基は、2つの芳香族核を互いに連結する炭素により形成される結合に対して、オルト位及びパラ位に存在する)
のものから選択される少なくとも1種のヒドロキシル化ジフェニルメタン誘導体と、
iii)0.1質量%~0.5質量%の、サリチル酸、カプリロイルサリチル酸、5-n-デカノイルサリチル酸及び5-n-ドデカノイル-サリチル酸から選択される少なくとも1種の剥脱剤と
を含む、組成物に関する。
【0110】
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、ケラチン物質を明色化又は白色化するための組成物であって、本組成物の総質量に対して、
i)0.1質量%~0.5質量%の、少なくとも1種のフラボンと、
ii)0.1質量%~0.5質量%の、以下の式(I):
【化11】
(式中、
- R1、R2、R4及びR5は、水素原子を表し、
- R3は、メチル基であり、
- -OH基は、2つの芳香族核を互いに連結する炭素により形成される結合に対して、オルト位及びパラ位に存在する)
のものから選択される少なくとも1種のヒドロキシル化ジフェニルメタン誘導体と、
(iii)0.1質量%~0.5質量%の、サリチル酸、カプリロイルサリチル酸、5-n-デカノイルサリチル酸及び5-n-ドデカノイル-サリチル酸から選択される少なくとも1種の剥脱剤と、
(iv)0.6質量%~4質量%の、オキソチアゾリジンカルボン酸、ビタミンB3及びそれらの誘導体、好ましくはナイアシンアミド、キサンチン塩基、好ましくはカフェイン、カンファーベンザルコニウムメトスルフェート、エラグ酸、ヒドロキシフェノキシプロピオン酸、ジエチルルチジネート、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、フェルラ酸、フロレチン、アセチルトリフルオロメチルフェニルバリルグリシン、レスベラトロール、4-ブチルレゾルシノール、アピゲニン、フェニルエチルレゾルシノール、プラステロン、ベンゾフェノン-3、ブチルメトキシジベンゾイルメタン及びジャスモン酸誘導体から選択される少なくとも1種のヒドロトロープ、好ましくはテトラヒドロジャスモン酸ナトリウムと、
(v)0.5質量%~2質量%の、少なくとも1種のゲル化剤と
を含む、組成物に関する。
【0111】
本発明の組成物は、ローション、クリーム、化粧水及び美容液の形態で存在し、それらは、化粧品分野において、従来の方法に準拠して調製される。
【0112】
方法及び使用
本発明による組成物は、局所施用が意図されており、とりわけ、ケラチン物質、とりわけヒト皮膚を明色化及び/又は白色化するよう意図されている組成物を構成することができる。
【0113】
したがって、別の態様では、本発明は、ケラチン物質、特に皮膚を明色化及び/又は白色化するための美容方法であって、ケラチン物質に上で定義した組成物を施用する工程を含む、美容方法に関する。
【0114】
本発明は、非限定的な例示として提示される、以下に記載されている実施例によって、より詳細に例示される。
【0115】
百分率は、活性成分又は活性物質基準での質量百分率である。
【0116】
この後に続く実施例では、質量百分率は、本組成物の総質量に対して表示されている。
【実施例
【0117】
(実施例1)
以下の表に一覧表示されている配合物による、生成物A、B及びC、並びにプラセボを調製した:
【表2】
【0118】
プラセボは、本発明による成分i)~iii)のいずれかを含まず、白色化作用の影響の検討におけるベースラインを決定するために使用した。
【0119】
生成物Aは、本発明による成分i)及びiii)を含まず、本発明の対象外である。
【0120】
生成物Bは、本発明による成分iii)を含まず、本発明の対象外である。
【0121】
生成物Cは、本発明による成分ii)及びiii)を含まず、本発明の対象外である。
【0122】
上に一覧表示した生成物は、当分野における従来のプロセスに準拠して調製した。
【0123】
白色化有効性の評価
生成物A~C及びプラセボの白色化有効性は、以下の通りの臨床プロトコルを使用して評価した。
【0124】
様々な生成物の白色化有効性は、背中の範囲を定めた部位に対して同じ対象に検討した。生成物は、1日あたり2回の施用を背中の範囲を定めた部位に、4mg/cm2で施用した。UV照射は、4日連続した太陽シミュレータの下で行った。比色計による測定は、色彩色差計Minolta CR400(CIE L*a*b*)を使用して行った。
【0125】
ΔE:L*、a*及びb*を考慮に入れた皮膚の色調の全評価。ΔEは、以下の式に従って算出する:
【数1】
【0126】
このパラメータが高い程、皮膚は黒くなる。
【0127】
生成物A、B及びC、並びにプラセボの白色化有効性の結果を図1に例示する。
【0128】
生成物Aは、プラセボと比較して、白色化作用を何ら実証しなかったことが図1から分かり得る。
【0129】
生成物B及びCは、プラセボと比較すると、白色化作用を実証したことを観察することがやはりできるが、統計学的に有意ではなかった。
【0130】
(実施例2)
以下の表に一覧表示されている配合物による生成物Dは、当分野における従来のプロセスを用いて調製した:
【表3】
【0131】
生成物Dは、本発明による成分i)を含まず、本発明の対象外である。
【0132】
生成物Dの白色化有効性は、実施例1に記載されている臨床プロトコルを使用して評価した。
【0133】
生成物D及び実施例1において調製したプラセボの白色化有効性の結果を、図2に例示する。
【0134】
生成物Dは、プラセボと比較して、白色化作用を何ら実証しなかったことが図2から分かり得る。
【0135】
(実施例3)
以下の表に一覧表示されている配合物による生成物Eは、以下に記載されているプロセスを用いて調製した:
【0136】
1.水相の調製:水にヒドロトロープ成分(ナイアシンアミド及び/又はカフェイン)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、次に、オウゴン根エキスに加え、完全に溶解するまで撹拌し、75℃の温度のままにした。
【0137】
2.油相の調製:フェニルエチルレゾルシノールと油を一緒に混合し、75℃まで加熱して、フェニルエチルレゾルシノールを完全に溶解して、次に場合によりポリソルベート20を加える。
【0138】
3.VMI型の均質化器によって10分間、1000rpmで均一化しながら、油相を水相に添加する。
【0139】
4.60℃未満に冷却し、場合により、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを添加し、十分に分散するまで撹拌し、次に、水酸化ナトリウムを加えて、pHを5.0に調節する。
【0140】
【表4】
【0141】
生成物Eの白色化有効性は、実施例1に記載されている臨床プロトコルを使用して評価した。
【0142】
生成物E及び実施例1において調製したプラセボの白色化有効性の結果を、図3に例示する。
【0143】
生成物Eは、プラセボと比較して、有意な白色化作用を実証したことが図3から分かり得る。
【0144】
生成物は、2か月間にわたり、室温で良好な安定性を有したことがやはり分かった。
【0145】
(実施例4)
以下の配合物を含む、本発明によるクリームを、実施例3に記載されている類似の調製プロセスで調製した。
【表5】
【0146】
実施例1に記載されている臨床プロトコルによれば、得られたクリームは、生成物Eの白色化作用と比べて、有意な白色化作用があることを実証した。
【0147】
得られたクリームは、2か月間にわたり、室温で良好な安定性を有したことも分かった。
【0148】
(実施例5)
以下の配合物を含む、本発明による化粧水を、実施例3に記載されている類似の調製プロセスで調製した。
【表6】
【0149】
実施例1に記載されている臨床プロトコルによれば、得られた化粧水は、生成物Eの白色化作用と比べて、有意な白色化作用があることを実証した。
【0150】
得られた化粧水は、2か月間にわたり、室温で良好な安定性を有したことも分かった。
【0151】
(実施例6)
以下の配合物を含む、本発明による美容液を、実施例3に記載されている類似の調製プロセスで調製した。
【表7】
【0152】
実施例1に記載されている臨床プロトコルによれば、得られた美容液は、生成物Eの白色化作用と比べて、有意な白色化作用があることを実証した。
【0153】
得られた美容液は、2か月間にわたり、室温で良好な安定性を有したことも分かった。
図1
図2
図3
【国際調査報告】