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特表2023-505381MRI装置と超音波システムとの間の干渉を低減させるためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(54)【発明の名称】MRI装置と超音波システムとの間の干渉を低減させるためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20230201BHJP
   A61N 7/00 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
A61B5/055 370
A61B5/055 390
A61N7/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535125
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(85)【翻訳文提出日】2022-07-21
(86)【国際出願番号】 IB2020001032
(87)【国際公開番号】W WO2021116763
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】62/947,234
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508154863
【氏名又は名称】インサイテック・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】グリーンバーグ, アディ
【テーマコード(参考)】
4C096
4C160
【Fターム(参考)】
4C096AA18
4C096AB44
4C096AD03
4C096AD07
4C096AD10
4C096AD19
4C096BB03
4C096CC26
4C096DA08
4C096DC28
4C096FC20
4C160JJ33
4C160JJ35
(57)【要約】
解剖学的領域に対する超音波動作と併せて解剖学的領域の磁気共鳴(MR)撮像を実施するためのアプローチであって、アプローチは、基本周波数および複数の高調波を有する複数の超音波または超音波パルスを解剖学的領域に伝送することと、MRパルスシーケンスを解剖学的領域に伝送し、解剖学的領域から、ある周波数の帯域内のMR信号を受信することと、周波数の帯域が高調波のうちの2つの隣接する周波数間に位置しているようにすることとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
解剖学的領域に対する超音波動作と併せて前記解剖学的領域の磁気共鳴(MR)撮像を実施するためのシステムであって、前記システムは、
前記解剖学的領域を撮像するためのMR撮像装置と、
前記超音波動作を実施するための超音波トランスデューサシステムと、
前記MR撮像装置および超音波トランスデューサシステムと通信しているコントローラと
を備え、
前記コントローラは、
基本周波数および複数の高調波を有する超音波または超音波パルスを前記解剖学的領域に伝送することを前記超音波トランスデューサシステムに行わせることと、
MRパルスシーケンスを前記解剖学的領域に伝送し、前記解剖学的領域から、ある周波数の帯域内のMR信号を受信することを前記MR撮像装置に行わせることと、
前記周波数の帯域が前記高調波のうちの2つの隣接する周波数間に位置しているようにすることと
を行うように構成されている、システム。
【請求項2】
前記超音波トランスデューサシステムは、前記基本周波数および高調波に関連付けられた位相雑音を低減させるために、低ジッタ周波数発生器または低ジッタスイッチ要素のうちの少なくとも1つを備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記超音波トランスデューサシステムまたは前記MR撮像装置のうちの少なくとも1つは、低周波数ドリフトを有する少なくとも1つの発振器を備え、前記低周波数ドリフトは、前記基本周波数、前記高調波、および/または前記MR撮像装置によって伝送される超音波または超音波パルスに関連付けられた周波数の安定性を改良する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの発振器は、位相ロックループを備え、前記位相ロックループは、前記基本周波数、前記高調波、および/または前記MR撮像装置によって伝送される前記超音波または超音波パルスに関連付けられた前記周波数に関連付けられた位相を前記MR撮像装置の内部クロックにロックする、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記受信されたMR信号から前記基本周波数および高調波をフィルタリングまたは減算するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記基本周波数は、前記受信されたMR信号の帯域幅より大きい、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記MRパルスシーケンスは、2回の連続する繰り返しの間で交互する位相を有するRF伝送パルスを備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記MRパルスシーケンスを前記解剖学的領域に伝送することを前記MR撮像装置に行わせることに先立って、前記解剖学的領域への前記超音波または超音波パルスの伝送に応答して、基準MR信号を検出することを前記MR撮像装置に行わせることと、
少なくとも部分的に前記基準MR信号に基づいて、前記受信されたMR信号を調節することと
を行うようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記受信されたMR信号の帯域幅を低減させるようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラは、MR走査時間を増加させること、または測定されるMR信号の数を低減させることを行うようにさらに構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記超音波パルスのうちの少なくとも1つの波形を成形するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記コントローラは、前記超音波パルスのうちの前記少なくとも1つの波形を成形するために、ガウスフィルタ、レイズドコサインフィルタ、またはsincフィルタのうちの少なくとも1つを実装するようにさらに構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラは、前記パルスのうちのいくつかの間の位相および/または時間遅延が異なるように、前記超音波パルスを調整するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記コントローラは、前記超音波トランスデューサシステム内に実装されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
解剖学的領域に対する超音波動作と併せて前記解剖学的領域の磁気共鳴(MR)撮像を実施する方法であって、前記方法は、
基本周波数および複数の高調波を有する複数の超音波または超音波パルスを前記解剖学的領域に伝送することと、
MRパルスシーケンスを前記解剖学的領域に伝送し、前記解剖学的領域から、ある周波数の帯域内のMR信号を受信することと、
前記周波数の帯域が前記高調波のうちの2つの隣接する周波数間に位置しているようにすることと
を含む、方法。
【請求項16】
前記受信されたMR信号から前記基本周波数および高調波をフィルタリングまたは減算することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記基本周波数は、前記受信されたMR信号の帯域幅より大きい、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記MRパルスシーケンスは、2回の連続する繰り返しの間で交互する位相を有するRF伝送パルスを備えている、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記MRパルスシーケンスを前記解剖学的領域に伝送することを前記MR撮像装置に行わせることに先立って、前記解剖学的領域への前記超音波または超音波パルスの伝送に応答して、基準MR信号を検出することを前記MR撮像装置に行わせることと、
少なくとも部分的に前記基準MR信号に基づいて、前記受信されたMR信号を調節することと
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記受信されたMR信号の帯域幅を低減させることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
MR走査時間を増加させること、または測定されるMR信号の数を低減させることをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記超音波パルスのうちの少なくとも1つの波形を成形することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記超音波パルスのうちの前記少なくとも1つの波形は、ガウスフィルタ、レイズドコサインフィルタ、またはsincフィルタのうちの少なくとも1つによって成形される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記パルスのうちのいくつかの間の位相および/または時間遅延が異なるように、前記超音波パルスを調整することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
解剖学的領域に対する超音波動作と併せて前記解剖学的領域の磁気共鳴(MR)撮像を実施するためのシステムであって、前記システムは、
前記解剖学的領域を撮像するためのMR撮像装置と、
前記超音波動作を実施するための超音波トランスデューサシステムと、
前記MR撮像装置および超音波トランスデューサシステムと通信しているコントローラと
を備え、
前記コントローラは、
基本周波数および複数の高調波を有する超音波または超音波パルスを前記解剖学的領域に伝送することを前記超音波トランスデューサシステムに行わせることと、
複数のRF伝送パルスを有するMRパルスシーケンスを前記解剖学的領域に伝送し、前記解剖学的領域から、ある周波数の帯域内のMR信号を受信することを前記MR撮像装置に行わせることと
を行うように構成され、
前記RF伝送パルスは、2回の連続する繰り返しの間で交互する位相を有する、システム。
【請求項26】
前記超音波トランスデューサシステムは、前記基本周波数および高調波に関連付けられた位相雑音を低減させるために、低ジッタ周波数発生器または低ジッタスイッチ要素のうちの少なくとも1つを備えている、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記超音波トランスデューサシステムまたは前記MR撮像装置のうちの少なくとも1つは、低周波数ドリフトを有する少なくとも1つの発振器を備え、前記低周波数ドリフトは、前記基本周波数、前記高調波、および/または前記MR撮像装置によって伝送される超音波または超音波パルスに関連付けられた周波数の安定性を改良する、請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記少なくとも1つの発振器は、位相ロックループを備え、前記位相ロックループは、前記基本周波数、前記高調波、および/または前記MR撮像装置によって伝送される前記超音波または超音波パルスに関連付けられた前記周波数に関連付けられた位相を前記MR撮像装置の内部クロックにロックする、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記コントローラは、前記受信されたMR信号から前記基本周波数および高調波をフィルタリングまたは減算するようにさらに構成されている、請求項25に記載のシステム。
【請求項30】
前記基本周波数は、前記受信されたMR信号の帯域幅より小さい、請求項25に記載のシステム。
【請求項31】
前記コントローラは、
前記MRパルスシーケンスを前記解剖学的領域に伝送することを前記MR撮像装置に行わせることに先立って、前記解剖学的領域への前記超音波または超音波パルスの伝送に応答して、基準MR信号を検出することを前記MR撮像装置に行わせることと、
少なくとも部分的に前記基準MR信号に基づいて、前記受信されたMR信号を調節することと
を行うようにさらに構成されている、請求項25に記載のシステム。
【請求項32】
前記コントローラは、前記受信されたMR信号の帯域幅を低減させるようにさらに構成されている、請求項25に記載のシステム。
【請求項33】
前記コントローラは、MR走査時間を増加させること、または測定されるMR信号の数を低減させることを行うようにさらに構成されている、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記コントローラは、前記超音波パルスのうちの少なくとも1つの波形を成形するようにさらに構成されている、請求項25に記載のシステム。
【請求項35】
前記コントローラは、前記超音波パルスのうちの前記少なくとも1つの波形を成形するために、ガウスフィルタ、レイズドコサインフィルタ、またはsincフィルタのうちの少なくとも1つを実装するように構成されている、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記コントローラは、前記パルスのうちのいくつかの間の位相および/または時間遅延が異なるように、前記超音波パルスを調整するようにさらに構成されている、請求項25に記載のシステム。
【請求項37】
前記コントローラは、前記超音波トランスデューサシステム内に実装されている、請求項25に記載のシステム。
【請求項38】
解剖学的領域に対する超音波動作と併せて前記解剖学的領域の磁気共鳴(MR)撮像を実施する方法であって、前記方法は、
基本周波数および複数の高調波を有する複数の超音波または超音波パルスを前記解剖学的領域に伝送することと、
複数のRF伝送パルスを有するMRパルスシーケンスを前記解剖学的領域に伝送し、前記解剖学的領域から、ある周波数の帯域内のMR信号を受信することと
を含み、
前記RF伝送パルスは、2回の連続する繰り返しの間で交互する位相を有する、方法。
【請求項39】
前記受信されたMR信号から前記基本周波数および高調波をフィルタリングまたは減算することをさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記基本周波数は、前記受信されたMR信号の帯域幅より小さい、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記MRパルスシーケンスを前記解剖学的領域に伝送することを前記MR撮像装置に行わせることに先立って、前記解剖学的領域への前記超音波または超音波パルスの伝送に応答して、基準MR信号を検出することを前記MR撮像装置に行わせることと、
少なくとも部分的に前記基準MR信号に基づいて、前記受信されたMR信号を調節することと
をさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記受信されたMR信号の帯域幅を低減させることをさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
MR走査時間を増加させること、または測定されるMR信号の数を低減させることをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記超音波パルスのうちの少なくとも1つの波形を成形することをさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記超音波パルスのうちの前記少なくとも1つの波形は、ガウスフィルタ、レイズドコサインフィルタ、またはsincフィルタのうちの少なくとも1つによって成形される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記パルスのうちのいくつかの間の位相および/または時間遅延が異なるように、前記超音波パルスを調整することをさらに含む、請求項38に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、その全開示が参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる2019年12月12日に出願された米国仮特許出願第62/947,234号の利益および優先権を主張する。
(発明の分野)
【0002】
本発明は、概して、磁気共鳴撮像(MRI)によって誘導される医療診断および治療に関し、より具体的に、MRI装置と医療診断および治療のための超音波システムとの間の干渉を低減させるためのアプローチに関する。
【背景技術】
【0003】
磁気共鳴撮像は、種々の医療用途において超音波集束と併せて使用され得る。超音波は、軟質組織を十分に貫通し、その短い波長に起因して、数ミリメートルの寸法を伴うスポットに集束させられることができる。これらの特性の結果として、超音波は、超音波撮像および非侵襲性外科手術を含む種々の診断および療法医療目的のために使用されることができ、使用されている。例えば、集束超音波は、周辺の健常組織に重要な損傷を引き起こすことなく、疾患(例えば、癌性)組織をアブレーションするために使用され得る。超音波集束システムは、概して、音響トランスデューサ表面またはトランスデューサ表面のアレイを利用し、超音波ビームを発生させる。トランスデューサアレイでは、個々の表面または「要素」は、典型的に、個々に制御可能であり、すなわち、それらの振動位相および/または振幅は、互いに独立して設定され、ビームが所望の方向に電子的に操向され、所望の距離において集束させられることを可能にすることができる。超音波システムは、多くの場合、受信要素も含み、受信要素は、トランスデューサアレイに統合されるか、または別個の検出器の形態において提供され、主として、安全性目的のために、集束超音波治療を監視することに役立つ。例えば、受信要素は、皮膚火傷を回避するために除去される必要がある皮膚上の気泡からもたらされ得るトランスデューサと標的組織との間の界面から反射される超音波を検出する役割を果たし得る。受信要素は、過熱された組織におけるキャビテーション(すなわち、組織の液体中に形成される気泡の崩壊に起因する空洞の形成)を検出するためにも使用され得る。
【0004】
療法中に標的組織を可視化し、超音波焦点を誘導するために、MRIが、使用され得る。簡潔に言えば、MRIは、患者等の対象を均質な静的磁場の中に設置し、したがって、組織中の水素原子核のスピンを整列させることを伴う。次いで、適切な周波数(「共鳴周波数」)の無線周波数(RF)電磁パルスを印加することによって、スピンは、反転させられ、整列を一時的に破壊し、応答信号を誘発し得る。異なる組織は、異なる応答信号を生成し、MR画像においてこれらの組織間のコントラストをもたらす。共鳴周波数および応答信号の周波数は、磁場強度に依存するので、応答信号の原点および周波数は、均質な磁場上に磁気勾配場を重ね合わせ、磁場強度を位置依存にすることによって制御されることができる。時変勾配磁場を使用することによって、組織のMRI「走査」が、取得されることができる。多くのMRIプロトコルは、2または3つの互いに垂直な方向における時間依存性勾配を利用する。勾配磁場およびRFパルスの相対的強度およびタイミングは、パルスシーケンスにおいて規定され、パルスシーケンス図に図示され得る。
【0005】
時間依存性磁場勾配は、MRI応答信号の組織依存性と組み合わせて、例えば、脳腫瘍を可視化し、患者の頭蓋骨に対するその場所を決定するために活用され得る。筐体に取り付けられるトランスデューサのアレイ等の超音波トランスデューサシステムが、次いで、患者の頭部上に設置され得る。超音波トランスデューサは、MR画像における標的組織に対するその位置および向きを決定するためのMR追跡コイルまたは他のマーカを含み得る。要求されるトランスデューサ要素位相および振幅の計算に基づいて、トランスデューサアレイは、次いで、超音波を腫瘍の中に集束させるように駆動される。代替として、または加えて、超音波焦点自体が、熱MRIまたは音響共鳴力撮像(ARFI)等の技法を使用して可視化され得、測定された焦点場所は、ビーム向きを調節するために使用され得る。これらの方法は、概して、超音波のMR誘導集束(MRgFUS)と称される。
【0006】
加えて、MRI装置および超音波撮像システムが、両方の撮像モダリティの強みをもたらし、それによって、正常および疾患組織の形態および機能に対する新規の洞察を提供するために、組み合わせられ得る。MRIは、その多断面撮像能力、高い信号対雑音比、および軟質組織形態および機能における微妙な変化に対する感度により、診断用途および療法用途の両方に関して広く使用されている。一方、超音波撮像は、高い時間分解能、音響散乱(石灰化および気泡等)に対する高い感度、優れた可視化、および血流の測定、低費用、および携帯性を含む利点を有する。これらの補完的なモダリティを組み合わせることは、術中の神経外科的用途および乳房生検誘導における利益を提供している。両方のモダリティを用いて撮像を同時に実施することによって、データセットの間の空間的および時間的位置合わせ等の複雑さは、簡略化され得る。加えて、特有の生理学的パラメータの測定が、各モダリティを用いて行われ、進展中の器官または組織を完全に特性評価することができる。
【0007】
しかしながら、超音波とMRI装置との同時動作は、望ましくない干渉につながり得る。例えば、MRIは、集束超音波システムによって発生させられるRF雑音に非常に敏感である(例えば、米国特許第6,735,461号(特許文献1)参照)。逆に、集束超音波手技は、多くの場合、MRIシステムによって発生させられるRF励起信号および/または時変磁場勾配によって容易に擾乱されるRF感受性動作(集束超音波を用いた治療に付随し得る超音波検出等)を伴う。そのような干渉を回避することに対する従来技術のアプローチは、典型的に、線形超音波増幅器および高周波数信号フィルタの使用を伴うが、しかしながら、これらのアプローチは、空間および電力を消費する。
【0008】
故に、超音波とMRシステムとの間の干渉を最小化または回避するためのMRgFUS用途における代替アプローチの必要性が、存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,735,461号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態は、それらの間の干渉を伴わずに、またはそれらの間の低減された干渉を伴って、解剖学的領域を撮像するためのMRI装置および診断および/または療法目的のための超音波システムを同時に動作させることに対する種々のアプローチを提供する。種々の実施形態において、超音波システムおよび/またはMRI装置は、局所化された(例えば、低位相雑音を伴う)超音波周波数を発生させるように、低位相雑音仕様を有するように構成される。例えば、超音波システムは、超音波システムによって発生させられる基本周波数および高調波に関連付けられた位相雑音を低減させるために、低ジッタを有する周波数発生器および/またはスイッチ要素(例えば、スイッチング増幅器)を採用し得る。加えて、または代替として、超音波システム(およびいくつかの実施形態において、MRI装置)内に実装される低ジッタ周波数発生器は、発生させられる周波数の安定性を増加させるために、低周波数ドリフトを有する発振器を採用し得る。一実施形態において、発振器は、発生させられる周波数の安定性をさらに改良するために、発生させられる信号の時間(およびそれによって、位相)をMRI装置の内部クロックの時間(およびそれによって、位相)にロックするための位相ロックループ(PLL)および/またはダイレクトデジタル合成(DDS)回路を含む。これらのアプローチは、超音波システムおよびMRI装置の動作周波数、および、それによって、受信されたMRI信号が、安定し(例えば、低ドリフトを有し、それによって、一時的に「ロック」され)、局所化される(例えば、低位相雑音を有する)ことを効果的に確実にし得る。
【0011】
種々の実施形態において、超音波システムおよび/またはMRI装置によって発生させられる信号が、局所化され、安定した後、超音波システムによって発生させられる基本周波数は、受信されたMR信号の帯域が、2つの隣接する高調波のピークの間に位置し、それらの間の最小の干渉を確実にするように、調節され得る。その後、受信されたMR信号における超音波システムによって引き起こされる干渉は、好適な従来の技法を利用して、フィルタリングまたは減算され得る。
【0012】
いくつかの実施形態において、MRI装置は、超音波システムがアクティブに波を伝送する間、アイドリング状態である(すなわち、非アクティブであるか、または、いずれのMRIパルスも標的にアクティブに伝送しないが、信号を検出することが可能である)。MRI装置がアイドリング状態である間に超音波システムの動作からもたらされる検出されたMRI信号は、MRI装置および超音波システムの両方が同時に動作させられるときに測定された受信されたMR信号を補正するための基準(またはベースライン)信号としての役割を果たし得る。例えば、MRI装置および超音波システムの両方がアクティブであるときに測定された受信されたMR信号は、それらから以前に取得された基準信号を減算することによって補正され得る。
【0013】
種々の実施形態において、MRパルスシーケンスにおけるRF伝送パルスは、2回の連続する繰り返しの間で交互する位相を有するように構成される。これは、有利なこととして、超音波システムによって発生させられる信号とMRI装置との間の干渉が、受信されたMR信号のk空間スペクトル外に「エイリアス」(またはシフト)されることを可能にし得る。加えて、または代替として、受信されたMR信号の帯域幅は、超音波システムとの干渉を低減させるように、例えば、MRサンプリング時間を増加させること、および/または測定されるMRサンプルの数を低減させることによって、狭くされ得る。一実施形態において、超音波システムによって発生させられる信号の基本周波数は、それに関連付けられた高調波が、MR画像を構築するためにあまり重要ではないMR受信信号の周波数帯域内の場所に位置するように調節される。
【0014】
種々の実施形態において、超音波システムは、パルス化ベースで動作する。超音波システムとMRI装置との間の干渉を回避する(または、少なくとも低減させる)ために、超音波パルスの波形は、結果として生じる基本周波数および高調波が、狭い帯域を形成し、それによって、受信されたMR信号から容易にフィルタリングまたは減算され得るように成形され得る。加えて、または代替として、超音波パルスは、少なくともいくつかの隣接するパルスの間の位相および/または時間遅延が異なる(または一実施形態において、ランダムである)ように調整され得る。結果として、パルスに関連付けられた雑音は、スペクトルにわたって確率的に広げられ、したがって、平均化され、このアプローチは、受信されたMR信号における干渉雑音を効果的に低減させ得る。
【0015】
故に、一側面では、本発明は、解剖学的領域に対する超音波動作と併せて解剖学的領域の磁気共鳴(MR)撮像を実施するためのシステムに関する。種々の実施形態において、システムは、解剖学的領域を撮像するためのMR撮像装置と、超音波動作を実施するための超音波トランスデューサシステムと、MR撮像装置および超音波トランスデューサシステムと通信しているコントローラとを含む。一実装では、コントローラは、超音波トランスデューサシステムに、基本周波数および複数の高調波を有する超音波または超音波パルスを解剖学的領域に伝送させ、MR撮像装置に、MRパルスシーケンスを解剖学的領域に伝送させ、解剖学的領域から、ある周波数の帯域内のMR信号を受信させ、周波数の帯域が高調波のうちの2つの隣接する周波数間に位置しているようにするように構成される。
【0016】
いくつかの実施形態において、超音波トランスデューサシステムは、基本周波数および高調波に関連付けられた位相雑音を低減させるために、低ジッタ周波数発生器および/または低ジッタスイッチ要素を含む。加えて、超音波トランスデューサシステムおよび/またはMR撮像装置は、基本周波数、高調波、および/またはMR撮像装置によって伝送される超音波または超音波パルスに関連付けられた周波数の安定性を改良するように、低周波数ドリフトを有する1つ以上の発振器を含み得る。発振器は、基本周波数、高調波、および/またはMR撮像装置によって伝送される超音波または超音波パルスに関連付けられた周波数に関連付けられた位相をMR撮像装置の内部クロックにロックするための位相ロックループを含み得る。
【0017】
いくつかの実施形態において、コントローラは、受信されたMR信号から基本周波数および高調波をフィルタリングまたは減算するようにさらに構成される。加えて、基本周波数は、受信されたMR信号の帯域幅より大きくあり得る。一実施形態において、MRパルスシーケンスは、2回の連続する繰り返しの間で交互する位相を有するRF伝送パルスを含む。コントローラは、MRパルスシーケンスを解剖学的領域に伝送することをMR撮像装置に行わせることに先立って、解剖学的領域への超音波または超音波パルスの伝送に応答して、MR撮像装置に、基準MR信号を検出させ、少なくとも部分的に基準MR信号に基づいて、受信されたMR信号を調節するようにさらに構成され得る。
【0018】
種々の実施形態において、コントローラは、受信されたMR信号の帯域幅を低減させるようにさらに構成される。加えて、コントローラは、MR走査時間を増加させること、または測定されるMR信号の数を低減させることを行うようにさらに構成され得る。一実装では、コントローラは、超音波パルスのうちの1つ以上のものの波形を成形するようにさらに構成される。加えて、コントローラは、超音波パルスの波形を成形するために、ガウスフィルタ、レイズドコサインフィルタ、および/またはsincフィルタを実装するようにさらに構成され得る。コントローラは、パルスのうちのいくつかの間の位相および/または時間遅延が異なるように、超音波パルスを調整するようにさらに構成され得る。一実施形態において、コントローラは、超音波トランスデューサシステム内に実装される。
【0019】
別の側面では、本発明は、解剖学的領域に対する超音波動作と併せて解剖学的領域の磁気共鳴(MR)撮像を実施する方法に関する。種々の実施形態において、方法は、基本周波数および複数の高調波を有する複数の超音波または超音波パルスを解剖学的領域に伝送することと、MRパルスシーケンスを解剖学的領域に伝送し、解剖学的領域から、ある周波数の帯域内のMR信号を受信することと、周波数の帯域が高調波のうちの2つの隣接する周波数間に位置しているようにすることとを含む。
【0020】
方法は、受信されたMR信号から基本周波数および高調波をフィルタリングまたは減算することをさらに含み得る。基本周波数は、受信されたMR信号の帯域幅より大きくあり得る。加えて、MRパルスシーケンスは、2回の連続する繰り返しの間で交互する位相を有するRF伝送パルスを含み得る。いくつかの実施形態において、方法は、MRパルスシーケンスを解剖学的領域に伝送することをMR撮像装置に行わせることに先立って、解剖学的領域への超音波または超音波パルスの伝送に応答して、基準MR信号を検出することをMR撮像装置に行わせることと、少なくとも部分的に基準MR信号に基づいて、受信されたMR信号を調節することとをさらに含む。
【0021】
加えて、方法は、受信されたMR信号の帯域幅を低減させることをさらに含み得る。一実施形態において、方法は、MR走査時間を増加させること、または測定されるMR信号の数を低減させることをさらに含む。加えて、方法は、超音波パルスのうちの1つ以上のものの波形を成形することをさらに含み得る。例えば、超音波パルスの波形は、ガウスフィルタ、レイズドコサインフィルタ、および/またはsincフィルタによって成形され得る。一実施形態において、方法は、パルスのうちのいくつかの間の位相および/または時間遅延が異なるように、超音波パルスを調整することをさらに含む。
【0022】
本発明の別の側面は、解剖学的領域に対する超音波動作と併せて解剖学的領域の磁気共鳴(MR)撮像を実施するためのシステムに関する。種々の実施形態において、システムは、解剖学的領域を撮像するためのMR撮像装置と、超音波動作を実施するための超音波トランスデューサシステムと、MR撮像装置および超音波トランスデューサシステムと通信しているコントローラとを含む。一実装では、コントローラは、超音波トランスデューサシステムに、基本周波数および複数の高調波を有する超音波または超音波パルスを解剖学的領域に伝送させ、MR撮像装置に、複数のRF伝送パルスを有するMRパルスシーケンスを解剖学的領域に伝送させ、解剖学的領域から、ある周波数の帯域内のMR信号を受信させるように構成される。加えて、RF伝送パルスは、2回の連続する繰り返しの間で交互する位相を有し得る。
【0023】
超音波トランスデューサシステムは、基本周波数および高調波に関連付けられた位相雑音を低減させるために、低ジッタ周波数発生器および/または低ジッタスイッチ要素を含み得る。加えて、超音波トランスデューサシステムまたはMR撮像装置は、基本周波数、高調波、および/またはMR撮像装置によって伝送される超音波または超音波パルスに関連付けられた周波数の安定性を改良するように、低周波数ドリフトを有する少なくとも1つの発振器を備えている。発振器は、基本周波数、高調波、および/またはMR撮像装置によって伝送される超音波または超音波パルスに関連付けられた周波数に関連付けられた位相をMR撮像装置の内部クロックにロックするための位相ロックループを含み得る。
【0024】
いくつかの実施形態において、コントローラは、受信されたMR信号から基本周波数および高調波をフィルタリングまたは減算するようにさらに構成される。加えて、基本周波数は、受信されたMR信号の帯域幅より小さい。コントローラは、MRパルスシーケンスを解剖学的領域に伝送することをMR撮像装置に行わせることに先立って、解剖学的領域への超音波または超音波パルスの伝送に応答して、MR撮像装置に、基準MR信号を検出させ、少なくとも部分的に基準MR信号に基づいて、受信されたMR信号を調節するようにさらに構成され得る。
【0025】
種々の実施形態において、コントローラは、受信されたMR信号の帯域幅を低減させるようにさらに構成される。加えて、コントローラは、MR走査時間を増加させること、または測定されるMR信号の数を低減させることを行うようにさらに構成され得る。一実施形態において、コントローラは、超音波パルスのうちの1つ以上のものの波形を成形するようにさらに構成される。例えば、コントローラは、超音波パルスの波形を成形するために、ガウスフィルタ、レイズドコサインフィルタ、および/またはsincフィルタを実装するように構成され得る。加えて、コントローラは、パルスのうちのいくつかの間の位相および/または時間遅延が異なるように、超音波パルスを調整するようにさらに構成され得る。一実施形態において、コントローラは、超音波トランスデューサシステム内に実装される。
【0026】
また別の側面では、本発明は、解剖学的領域に対する超音波動作と併せて解剖学的領域の磁気共鳴(MR)撮像を実施する方法に関する。種々の実施形態において、方法は、基本周波数および複数の高調波を有する複数の超音波または超音波パルスを解剖学的領域に伝送することと、複数のRF伝送パルスを有するMRパルスシーケンスを解剖学的領域に伝送し、解剖学的領域から、ある周波数の帯域内のMR信号を受信することとを含む。一実装では、RF伝送パルスは、2回の連続する繰り返しの間で交互する位相を有する。
【0027】
方法は、受信されたMR信号から基本周波数および高調波をフィルタリングまたは減算することをさらに含み得る。加えて、基本周波数は、受信されたMR信号の帯域幅より小さい。いくつかの実施形態において、方法は、MRパルスシーケンスを解剖学的領域に伝送することをMR撮像装置に行わせることに先立って、解剖学的領域への超音波または超音波パルスの伝送に応答して、基準MR信号を検出することをMR撮像装置に行わせることと、少なくとも部分的に基準MR信号に基づいて、受信されたMR信号を調節することとをさらに含む。
【0028】
加えて、方法は、受信されたMR信号の帯域幅を低減させることをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、方法は、MR走査時間を増加させること、または測定されるMR信号の数を低減させることをさらに含む。加えて、方法は、超音波パルスのうちの1つ以上のものの波形を成形することをさらに含み得る。例えば、超音波パルスの波形は、ガウスフィルタ、レイズドコサインフィルタ、および/またはsincフィルタによって成形され得る。一実施形態において、方法は、パルスのうちのいくつかの間の位相および/または時間遅延が異なるように、超音波パルスを調整することをさらに含む。一実施形態において、方法は、パルスのうちのいくつかの間の位相および/または時間遅延が異なるように、超音波パルスを調整することをさらに含む。
【0029】
本明細書に使用されるように、用語「実質的に」は、±10%を意味し、いくつかの実施形態において、±5%を意味する。本明細書全体を通した「一実施例(one example)」、「ある実施例(an example)」、「一実施形態(one embodiment)」、または「ある実施形態(an embodiment)」の言及は、実施例に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本技術の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通した種々の箇所における語句「一実施例では(in one example)」、「ある実施例では(in an example)」、「一実施形態(one embodiment)」、または「ある実施形態(an embodiment)」の表出は、必ずしも全てが同一の実施例を指すわけではない。さらに、特定の特徴、構造、ルーチン、ステップ、または特性は、技術の1つ以上の実施例において任意の好適な様式で組み合わせられ得る。本明細書に提供される見出しは、便宜上のためだけのものであり、請求される技術の範囲または意味を限定または解釈することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図面では、同様の参照文字は、概して、異なる図全体を通して同一の部分を指す。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、概して、本発明の原理を図示することに重点が置かれている。以下の説明では、本発明の種々の実施形態が、以下の図面を参照して説明される。
【0031】
図1A図1Aは、本発明の種々の実施形態による、例示的MRIシステムを図式的に描写する。
【0032】
図1B図1Bは、本発明の種々の実施形態による、例示的超音波システムを図式的に描写する。
【0033】
図2図2は、本発明の種々の実施形態による、MRIシステムと超音波トランスデューサシステムとの間の相互作用を図式的に図示する。
【0034】
図3A図3Aおよび3Cは、本発明の種々の実施形態による、超音波システムによって発生させられる周波数および受信されたMR信号に関連付けられた周波数帯域を図式的に描写する。
【0035】
図3B図3Bは、本発明の種々の実施形態による、発振器の搬送周波数に関連付けられた位相雑音成分を描写する。
図3C図3Aおよび3Cは、本発明の種々の実施形態による、超音波システムによって発生させられる周波数および受信されたMR信号に関連付けられた周波数帯域を図式的に描写する。
【0036】
図4図4は、本発明の種々の実施形態による、例示的MRパルスシーケンスおよび受信されたMRエコー信号を図示する。
【0037】
図5図5は、本発明の種々の実施形態による、MRI装置によって検出される信号を描写する。
【0038】
図6A図6Aは、本発明の種々の実施形態による、超音波システムおよびMRI装置の同時動作を描写する。
【0039】
図6B図6Bは、本発明の種々の実施形態による、成形された超音波パルスを図式的に描写する。
【0040】
図6C図6Cは、本発明の種々の実施形態による、超音波パルス列を図式的に描写する。
【0041】
図6D図6Dは、本発明の種々の実施形態による、成形されたパルスを有する超音波パルス列を図式的に描写する。
【0042】
図7A図7Aおよび7Bは、本発明の種々の実施形態による、超音波システムとMRI装置との間の干渉を排除/低減させるためのアプローチを図示するフローチャートである。
図7B図7Aおよび7Bは、本発明の種々の実施形態による、超音波システムとMRI装置との間の干渉を排除/低減させるためのアプローチを図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1Aは、例示的MRI装置102を図示する。装置102は、円筒形電磁石104を含み得、円筒形電磁石104は、電磁石104のボア106内に必要な静的磁場を発生させる。医療手技中、患者は、移動可能支持台108上でボア106の内側に設置される。患者内の着目領域110(例えば、患者の頭部)が、電磁石104が実質的に均質な磁場を発生させる撮像領域112内に位置付けられ得る。円筒形磁場勾配コイル113の組も、ボア106内に提供され、患者を包囲し得る。勾配コイル113は、所定の大きさの磁場勾配を所定の時間に、3つの互いに直交する方向において発生させる。磁場勾配を用いて、異なる空間場所が、異なる歳差運動周波数に関連付けられ、それによって、MR画像にその空間分解能を与えることができる。撮像領域112を包囲するRF送信機コイル114が、RFパルスを撮像領域112の中に放出し、患者の組織に磁気共鳴(MR)応答信号を放出させる。生のMR応答信号が、RFコイル114によって感知され、MRコントローラ116に渡され、MRコントローラ116は、次いで、MR画像を計算し、MR画像は、ユーザに表示され得る。代替として、別個のMR送信機および受信機コイルが、使用され得る。MRI装置102を使用して入手された画像は、放射線科医および医師に、従来のX線技術では可視化されることができない異なる組織間の視覚的コントラストおよび患者の解剖学的構造の詳細な内部ビューを提供し得る。
【0044】
MRIコントローラ116は、パルスシーケンス、すなわち、磁場勾配およびRF励起パルスおよび応答検出期間の相対的タイミングおよび強度を制御し得る。MR応答信号は、画像処理システムを使用して増幅され、調整され、生データにデジタル化され、当業者に公知の方法によって画像のアレイにさらに変換される。画像データに基づいて、治療領域(例えば、腫瘍)が、識別される。画像処理システムは、MRIコントローラ116の一部であり得るか、または、MRIコントローラ116と通信する別個のデバイス(例えば、画像処理ソフトウェアを含む汎用コンピュータ)であり得る。いくつかの実施形態において、1つ以上の超音波システム120または1つ以上のセンサ122が、下でさらに説明されるように、MRI装置102のボア106内で変位させられる。
【0045】
図1Bは、本発明のいくつかの実施形態による、MRIシステム102と同時に動作させられる、超音波システム等の例示的システム150を図示するが、MRIシステム102とインターフェースをとり得る超音波または他の機能性を伴う代替の同時に動作させられるシステムも、本発明の範囲内である。示されるように、超音波システムは、筐体154の表面においてアレイ153において配置された複数の超音波トランスデューサ要素152を含む。アレイは、トランスデューサ要素152の単一の行または行列を備え得る。代替実施形態において、トランスデューサ要素152は、調整なしに配置され得、すなわち、それらは、規則的に間隔を置かれる必要も、規則的パターンにおいて配置される必要もない。アレイは、図示されるように、湾曲(例えば、球状または放物線状)形状を有し得るか、または、1つ以上の平面または別様に成形された区分を含み得る。その寸法は、数ミリメートルから数十センチメートルの間で、用途に応じて変動し得る。トランスデューサ要素152は、圧電セラミック要素であり得る。圧電複合材料、または概して、電気エネルギーを音響エネルギーに変換することが可能な任意の材料も、使用され得る。要素152間の機械的結合を減衰させるために、それらは、シリコーンゴムまたは任意の他の好適な減衰材料を使用して、筐体154上に搭載され得る。
【0046】
トランスデューサ要素152は、別個に制御可能であり、すなわち、それらは、各々、他のトランスデューサの振幅および/または位相から独立した振幅および/または位相において超音波を放出することが可能である。トランスデューサコントローラ156が、トランスデューサ要素152を駆動する役割を果たす。n個のトランスデューサ要素に関して、コントローラ156は、各々が増幅器と位相遅延回路とを備えているn個の制御回路を含み得、各制御回路は、トランスデューサ要素のうちの1つを駆動する。コントローラ156は、典型的に、0.1MHz~10MHzの範囲内のRF入力信号をn個の制御回路のためのn個のチャネルに分割し得る。それは、同一の周波数においてであるが、異なる位相および異なる振幅においてアレイの個々のトランスデューサ要素152を駆動するように構成され得、それによって、アレイの個々のトランスデューサ要素152は、集束超音波ビームを集合的に生成する。いくつかの実施形態において、各トランスデューサ要素152は、スイッチマトリクス内の対応するチャネルおよび対応するスイッチ要素を介して、同一または異なる信号ドライバに接続される。スイッチマトリクス内のスイッチをトグルすることによって、それらの対応するトランスデューサ要素が、アクティブおよび非アクティブにされ得る。トランスデューサコントローラ156は、望ましくは、所望の焦点場所のために要求される位相および振幅を計算するために、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、ハード配線、または、それらの任意の組み合わせにおいて実装され得る計算機能性を提供する。一般に、コントローラ156は、周波数発生器(発振器を含む)、増幅器および位相遅延回路を含むビーム形成器、および計算を実施し、個々のトランスデューサ要素152に関する位相および振幅をビーム形成器に通信するコンピュータ(例えば、汎用コンピュータ)等のいくつかの分離可能な装置を含み得る。そのようなシステムは、容易に利用可能であるか、または、過度の実験を伴わずに実装されることができる。
【0047】
超音波撮像を実施するために、コントローラ156は、トランスデューサ要素152を駆動し、音響信号を撮像されている領域の中に伝送し、患者の身体内の種々の構造および器官から反射信号を受信する。各トランスデューサ要素152に印加されるパルスを適切に遅延させることによって、集束超音波ビームが、所望の走査線に沿って伝送されることができる。患者の身体内の所与の点から反射された音響信号は、異なる時点でトランスデューサ要素152によって受信される。トランスデューサ要素は、次いで、受信された音響信号を電気信号に変換することができ、それらは、ビーム形成器に供給される。各トランスデューサ要素152からの遅延信号は、ビーム形成器によって合計され、所与の走査線に沿った反射エネルギーレベルの表現である走査装置信号を提供する。このプロセスは、患者の身体の処方領域の画像を発生させるための信号を提供するために、複数の走査線に関して繰り返される。典型的に、走査パターンは、走査線が、超音波トランスデューサの中心を起点とし、異なる角度に方向付けられる扇状走査である。線形、曲線、または任意の他の走査パターンも、利用されることができる。
【0048】
超音波システムは、MRI装置102のボア106内に配置されるか、または、MRI装置102の近傍に設置され得る。超音波システム150とMRI装置102との相対的位置を決定することを支援するために、超音波システム150は、それに関連付けられたMRトラッカ160をさらに含み得、MRトラッカ160は、システム150に対して固定された位置および向きに配置される。トラッカ160は、例えば、超音波システム筐体の中に組み込まれ得るか、または、それに取り付けられ得る。MRトラッカ160と超音波システム150との相対的位置および向きが、既知である場合、MRトラッカ160のMR走査は、MRI座標における(すなわち、MRI装置102の座標系における)超音波システム150の場所を陰に示す。
【0049】
図1Aおよび1Bに描写されるように、MRI装置102と、超音波システム150とを含む組み合わせられたシステムは、着目解剖学的領域を撮像し、超音波信号を検出することが可能であり得、組み合わせられたシステムは、治療および/または安全性目的のために超音波の印加を監視する役割を果たし得る。例えば、超音波ビーム経路に沿った組織界面からの超音波反射が必要な場合、治療プロトコルの調節によって、そのような界面が不注意に過熱されないことを確実にするために分析され得る。さらに、受信されたキャビテーションスペクトルの測定値が、超音波エネルギーと水含有組織との相互作用からもたらされるキャビテーションを検出するために使用され得る。加えて、組織および標的の可視化は、例えば、移動する標的の追跡を促進するために、超音波撮像によって補足され得る。超音波検出が、超音波トランスデューサアレイ153を用いて遂行され得る。例えば、治療期間と撮像期間とが、インターリーブされ得るか、または、アレイ153の連続する部分またはトランスデューサ要素152の不連続な一部が、撮像専用であり得る一方、アレイ153の残りの部分は、治療目的のために超音波を集束させる。代替として、別個の超音波受信機172、例えば、単純な超音波プローブまたは要素のアレイが、提供され得る。別個の受信機172は、超音波トランスデューサアレイ153の近傍に設置されるか、または、その筐体154に統合され得る。加えて、受信機172は、MRI装置102のボア106内に配置されるか、または、その近傍に設置され得る。
【0050】
図2は、本発明の種々の実施形態による、MRI装置200と位相アレイ超音波トランスデューサシステム202との間の相互作用を図式的に図示する。上で説明されるように、MRI装置200は、必要な静的磁場Bを発生させるための円筒形電磁石と、撮像されるべき組織を横断して時変磁気勾配を発生させるためのRF送信機コイルおよび勾配コイルとを含む。典型的に、MRIパルスは、約50MHz~約150MHzの範囲内の周波数を有し、超音波治療/撮像手技および/またはキャビテーション検出(または他の並行して実施されるRF感受性動作)の基本動作周波数は、0.1MHz~10MHzに及ぶ。したがって、超音波動作に関連付けられた基本周波数の高調波は、潜在的に、受信されたMR信号に干渉し得る。MRIパルス周波数は、概して、印加される静的磁場Bに緊密に結合されるので、本明細書の種々の実施形態は、下でさらに説明されるように、超音波システム202によって発生させられる基本周波数および対応する高調波が受信されたMR信号の帯域外であるようにすることによって、超音波システム202とMRI装置200との間の干渉を回避する(または、少なくとも低減させる)。
【0051】
図3Aは、本明細書による、診断または療法用途のために超音波システム202によって発生させられる基本周波数302およびその対応する高調波304-312を図示する。加えて、図3Aは、周波数帯域314内の受信されたMR信号の周波数を図式的に描写し、周波数帯域314は、超音波システム202によって発生させられる周波数302-312に干渉し得る帯域幅を有する。理想的な発振器は、純粋な正弦波を発生させ、純粋な正弦波は、周波数ドメインでは、発振器の搬送周波数においてディラックデルタ関数として表されるであろうが、実際の発振器は、典型的に、位相変調された雑音成分を有する。例えば、図3Bに描写されるように、位相雑音成分が、信号のパワーを隣接する周波数に広がり、雑音側波帯320をもたらし得る。雑音側波帯320は、時として、周波数302-312とMR帯域314内の受信されたMR信号との間の干渉を引き起こすために十分であり得る。したがって、干渉を排除する(または、少なくとも低減させる)ために、発生させられた周波数302-314が局所化される(例えば、低位相雑音または狭い側波帯320を有する)ことが、重要である。
【0052】
種々の実施形態において、超音波システム202は、発生させられた基本周波数および対応する高調波に関連付けられた位相雑音を低減させるように、低位相雑音仕様を有するように構成される。例えば、超音波システム202は、低ジッタ(例えば、低位相雑音を有する)周波数発生器および/または低ジッタスイッチ要素(例えば、スイッチング増幅器)を採用し得る。一実施形態において、周波数発生器および/またはスイッチ要素のジッタ性能は、1ps未満である。加えて、または代替として、超音波システム202は、システムジッタを低減させるために、ジッタ減衰器を含み得る。いくつかの実施形態において、MRI装置200も、その伝送信号に関連付けられた位相雑音を低減させるために、低ジッタ周波数発生器および/またはジッタ減衰器を含む。
【0053】
加えて、または代替として、再び図2を参照すると、超音波システム202および/またはMRI装置200内に実装される発振器204は、発生させられる周波数の安定性を高めるように、低周波数ドリフトを有し得る。例えば、発振器204は、-40℃~85℃の温度範囲内で1ppmを下回る周波数ドリフトを有し得る。いくつかの実施形態において、発振器204は、超音波信号の周波数をMRI装置200のMR内部クロックにロックするために、PLLおよび/またはDDS回路を含み、これは、発生させられる周波数の安定性をさらに改良し得る。これらのアプローチは、超音波システム202および/またはMRI装置200の動作周波数(および、それによって、受信されたMR信号の周波数帯域314)が、安定する(例えば、一緒に結び付けられ、それによって、「ロック」され、いかなる周波数ドリフトも有していない(または、少なくとも非常に限定された周波数ドリフトを有する))ことを効果的に確実にし得る。結果として、超音波システム202に関連付けられた周波数とMR装置200とによって引き起こされる干渉も、安定し得、これは、それによって、干渉が、従来のフィルタリング/減算技法を使用して、受信されたMR信号からより容易にフィルタリングまたは減算されることを可能にする。例えば、メディアンフィルタまたはローパスフィルタが、受信されたMR信号から干渉をフィルタリングするために実装され得る。加えて、または代替として、超音波システムがアクティブに伝送しているが、MRI装置がアイドリング状態であるときに入手された1つ以上のMR基準(またはベースライン)信号が、下でさらに説明されるように、MRI装置と超音波システムとの両方がアクティブであるときに測定されたMR信号を補正するために利用され得る。
【0054】
再び図3Aを参照すると、種々の実施形態において、超音波システム202によって発生させられた周波数302-314および/または受信されたMR信号に関連付けられた周波数帯域314が、局所化され(例えば、低位相雑音を有する)、安定する(例えば、低ドリフトを有する)ことを確実にした後、超音波システム202によって発生させられた基本周波数302は、受信されたMR信号の周波数帯域314が、2つの隣接する高調波(例えば、描写されるような高調波310、312)のピーク(およびそれらの関連付けられた位相雑音成分)の間に位置するように調節される。したがって、発生させられた超音波信号の隣接する高調波の間の周波数差は、好ましくは、受信されたMR信号に関連付けられた周波数帯域314の帯域幅より大きい。これは、例えば、それが帯域幅より大きくなるように、超音波システム202の基本周波数302を調節することによって達成されることができる。図3Cを参照すると、一実施形態において、超音波システム202の基本周波数は、以下の式を満たすように選択される:
N×fultrasound<fMR-0.5×BWMR 式(1)
(N+1)×fultrasound>fMR+0.5×BWMR 式(2)
式中、fultrasoundは、超音波システム202によって発生させられる基本周波数を表し、NおよびN+1は、それぞれ、基本周波数に関連付けられたNおよび(N+1)番目の高調波を表し、fMRは、受信されたMR信号の中心周波数を表し、BWMRは、受信されたMR信号の帯域幅を表す。このアプローチは、受信された信号の比較的に狭い帯域幅BWMRを有するMR走査のために特に好適である。
【0055】
いくつかの実施形態において、超音波システム202によって発生させられる基本周波数302は、受信されたMR信号の帯域幅より小さく、高調波は、MR帯域314内に位置し得、結果として、基本周波数302は、上で記載される式(1)および(2)を満たさないこともある。これは、例えば、MR走査が、受信された信号に関連付けられた広い帯域幅を有するとき、および/または、超音波システム202によって発生させられる基本周波数302が、超音波診断および療法用途の要件(米国特許公開第2016/0008633号および第2020/0205782号(その内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されるように、ピーク音響強度を最大限にすることおよび/または標的領域における集束性質を最適化すること等)に基づいて決定されるときに起こり得る。この状況は、決定された基本周波数とMR帯域幅との間の差異が小さい(例えば、5%未満、またはいくつかの実施形態において、10%未満)限り、許容可能であり得る。超音波システム202に関連付けられた基本周波数302が、MR受信帯域幅314より小さいとき、超音波システム202によって発生させられる信号とMRI装置200と間の干渉を排除する(または、少なくとも低減させる)ために、種々の実施形態が、MR伝送パルスに関連付けられた位相を調節する。例えば、図4を参照すると、MRパルスシーケンス402は、2回の連続する繰り返しの間で交互する位相を有するRF伝送パルス404を含み得、すなわち、印加される各RFパルスに関して、反転(すなわち、180°の位相差を有する)RFパルスが、繰り返し時間(TR)の終了時に印加される。このアプローチは、特に、短いTR(すなわち、高入手率)が望ましいとき、定常状態磁化を改良し得る。典型的に、反転RFパルスに応答して標的組織から受信されたMR信号406は、それから画像を再構築することに先立って、位相が180°反転させられる。しかし、位相交互は、超音波システム202とMRI装置200との間の周波数干渉に対していかなる効果も有していない(または、少なくとも非常に限定された効果を有する)ので、干渉は、MRパルスシーケンス402全体を通して一貫し得る。180°位相反転を一定の干渉に適用し、その位相を交互する反転の率を用いて変調することによって、干渉は、受信されたMR信号のk空間スペクトル外に「エイリアス」、すなわち、シフトされ得る。例えば、干渉は、fからf+fおよびf-fにシフトされ得、fは、干渉周波数(例えば、MR中心周波数の近傍)であり、fは、変調周波数である。加えて、2つのシーケンス(およびそれによって、2つの走査)の間のRF伝送パルスは、交互する位相を有するので、受信されたMR信号に関連付けられた位相雑音は、有利なこととして、MR画像を再構築するときに相殺され得る。
【0056】
超音波システム202とMRI装置200とに関連付けられた周波数の干渉をエイリアスするために、種々の実施形態において、周波数干渉は、MRIパルスの中心周波数の近傍(例えば、数ppm、またはいくつかの実施形態において、数百ppm以内)にあるように調節される。例えば、コントローラ156は、以下の式を満たすように超音波システム202の基本周波数302を選択し得る。
N×fultrasound=fMR
式中、Nは、N番目の高調波を表し、好ましくは、低振幅の偶数番目の高調波である。低振幅高調波は、それによって、MR画像に対して限定された効果をもたらし得る。さらに、エイリアス後、k空間スペクトル内に存在するいずれの残留干渉も、上で説明されるような好適な従来のフィルタリング/減算技法を使用して、フィルタリングおよび/または減算され得る。
【0057】
加えて、または代替として、超音波システム202によって発生させられる基本周波数302が、受信されたMR信号に関連付けられた帯域幅より小さいと決定すると、コントローラ116は、超音波システム202との干渉を低減させるために、MR帯域幅を狭くし得る。これは、例えば、MRサンプリング時間を増加させること、および/または測定されるMRサンプルの数を低減させることによって達成され得る。別の実施形態において、超音波システム202の基本周波数は、それに関連付けられた高調波が、MR画像を構築するためにあまり重要ではないMR帯域内の場所に位置するように調節される。例えば、画像の中心が、画像の縁より重要である(例えば、より着目される)場合、高調波は、画像の中心を構築するためにあまり関連しない場所に現れるように調節され得る。
【0058】
種々の実施形態において、超音波システム202に関連付けられた高調波によって引き起こされる干渉は、画像処理技法を使用して、受信されたMR信号からフィルタリングまたは減算されることができる。図5を参照すると、種々の実施形態において、画像を取得するためにMRI装置202をアクティブにすることに先立って、超音波システム202の動作からもたらされるk空間または実空間基準(またはベースライン)MR画像が、入手されることができる。例えば、MRI装置200は、アイドリング状態である(すなわち、非アクティブである)か、または、いずれのMRパルスも標的にアクティブに伝送していないが、帯域502内の信号を検出することが可能であり得る一方、超音波システム202は、波を標的領域にアクティブに伝送する。MRI装置202は、次いで、その受信帯域502内で標的から1つ以上の信号504を検出し得る。検出された信号は、本明細書では基準信号(またはベースライン信号)と称され、これは、k空間基準画像を発生させるために、および/または実空間基準画像を再構築するために、さらに処理されることができる。MRI装置200と超音波システム202との同時の動作中、標的からのMR信号506-510が、検出され、それらは、次いで、それらからMRI装置200がアイドリング状態であるときに測定された基準信号を減算することによって補正され得る。一実施形態において、補正は、画像レベルにおいて実施され、すなわち、MRI装置200および超音波システム202の両方が動作させられているときに入手されたk空間または実空間MR画像は、それからMRI装置200がアイドリング状態であるときに測定されたk空間または実空間基準画像を減算することによって補正される。基準信号504を使用してMR信号506-510を補正するためのアプローチが、例えば、米国特許第10,571,540号(その全開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に提供されている。
【0059】
いくつかの実施形態において、コントローラ116は、MRI装置200および超音波システム202の同時動作中に受信された複数のMR信号506-510をスペクトルにわたって平均化し、次いで、1つ以上の干渉特性(例えば、振幅、位相、位相ドリフト等)に基づいて、それらにおける安定した干渉を識別し得る。識別された干渉は、次いで、上で説明される従来の技法を使用して、フィルタリングおよび/または減算されることができる。加えて、または代替として、従来の機械学習技法が、MR画像において周期的に観察される干渉を識別するために実装され得る。再び、識別された干渉は、次いで、MR画像からフィルタリングおよび/または減算され得る。
【0060】
図6Aを参照すると、種々の実施形態において、超音波システム202は、パルス化(連続的と対照的に)ベースで動作するように構成される。超音波システム202とMRI装置200との間の干渉を回避する(または、少なくとも低減させる)ために、超音波システム202は、MRI装置がMRパルスシーケンスを伝送しているときのみパルスを伝送するように動作させられ、MRI装置が標的から信号を受信している間、非アクティブにされ得る。MRI装置に基づいて超音波システム202を動作させるためのアプローチが、例えば、米国特許第6,735,461号および米国特許公開第2016/0029969号(その全開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に提供されている。
【0061】
加えて、または代替として、超音波パルスおよび/または超音波基本周波数に関連付けられたパルスエンベロープは、結果として生じる基本周波数および高調波が、狭い帯域を形成し、それによって、容易にフィルタリングまたは減算され得るように成形され得る。例えば、図6Bを参照すると、超音波パルス602は、比較的に徐々に変化する平滑な形状を有する新しい波形604に成形され得る。一実施形態において、パルス成形は、ガウスフィルタ、レイズドコサインフィルタ、またはsincフィルタ等の好適なフィルタを使用して達成される。結果として、新しい波形604に関連付けられた基本周波数および対応する高調波は、元のパルス602に関連付けられたそれらと比較して、比較的に狭い帯域を形成し得る。基本周波数および高調波の狭くなった帯域は、MR受信信号とのより少ない干渉および受信されたMR信号からのより容易なフィルタリングまたは減算をもたらし得る。同様に、超音波パルスが、正弦波であるとき、それに関連付けられたエンベロープは、基本周波数および/または高調波の帯域幅を低減させるために、(例えば、パルスに時間窓を乗算することによって)成形され得る。
【0062】
図6Cを参照すると、いくつかの実施形態において、超音波システム202内のコントローラ156は、いくつかの隣接するパルス606の間の位相および/または時間遅延が異なる(またはいくつかの実施形態において、ランダムである)ように、パルス列608におけるパルス606を調整し得る。結果として、基本周波数および高調波に関連付けられた雑音は、周波数空間において、スペクトルにわたって確率的に広げられ、パルス列の印加にわたって平均化され得る。このアプローチは、受信されたMR信号における超音波システム202によって引き起こされる雑音レベルを効果的に低減させ得る。加えて、このアプローチは、超音波トランスデューサとMRI装置との間の干渉をさらに低減させるように、上で説明される(図6Dに描写されるような)超音波パルス(および/または超音波基本周波数に関連付けられたパルスエンベロープ)の成形と組み合わせられ得る。
【0063】
図7Aは、本明細書による、超音波システム202によって発生させられる連続波の周波数と受信されたMR信号と間の干渉を排除する(または、少なくとも低減させる)ための例示的アプローチ700を描写する。第1のステップ702において、超音波システム202および/またはMR装置200は、局所化され(例えば、低位相雑音を有する)、安定した(例えば、低ドリフトを有する)超音波周波数を発生させるために、低位相雑音および/または低周波数ドリフト仕様を有するように構成される。例えば、超音波システム202および/またはMR装置200は、低ジッタ(例えば、低位相雑音を有する)周波数発生器および/または低ジッタスイッチ要素(例えば、スイッチング増幅器)を採用し得る。加えて、超音波システム202および/またはMR装置200内に実装される発振器は、発生させられた超音波信号の周波数をMRI装置200のMR内部クロックにロックするために、PLLおよび/またはDDS回路を含み得る。第2のステップ704において、標的に対する診断および/または療法効果を最適化するための超音波システム202に関連付けられた基本周波数302および標的のMR撮像を最適化するための受信されたMR信号の周波数帯域幅が、決定される。超音波システム202に関連付けられた基本周波数302が、MR信号の帯域幅より大きい場合、超音波システムの基本周波数は、上で記載される式(1)および(2)を満たすように調節される(ステップ706)。その後、受信されたMR信号における超音波システムによって引き起こされる干渉は、好適な従来の技法を利用して、フィルタリングまたは減算され得る(ステップ708)。しかしながら、基本周波数302が、MR帯域幅より小さい場合、MRパルスシーケンスにおけるRF伝送パルスは、2回の連続する繰り返しの間で交互する位相を有するように構成され得る(ステップ710)。続けて、超音波システムとMRI装置との間の干渉は、受信されたMR信号のk空間スペクトル外にエイリアスされ得る(ステップ712)。代替として、超音波システム202の動作からもたらされるk空間または実空間基準(またはベースライン)MR画像が、MRI装置202をアクティブにすることに先立って入手されることができる(ステップ714)。MRI装置200および超音波システム202の同時動作中、標的からのMR信号は、検出され(ステップ716)、次いで、それらからMRI装置200が非アクティブであるか、または、アイドリング状態であるときに測定された基準信号を減算することによって補正され得る(ステップ718)。いくつかの実施形態において、受信されたMR信号の帯域幅は、超音波システム202との干渉を低減させるように、例えば、MRサンプリング時間を増加させる、および/または測定されるMRサンプルの数を低減させることによって狭くされる(ステップ720)。加えて、または代替として、超音波システム202の基本周波数は、それに関連付けられた高調波が、MR画像を構築するためにあまり重要ではないMR帯域内の場所に位置するように調節され得る(ステップ722)。
【0064】
図7Bは、本明細書による、超音波システム202によって発生させられるパルスの周波数と受信されたMR信号との間の干渉を排除する(または、少なくとも低減させる)ための例示的アプローチ750を描写する。図7Aに記載されるアプローチ700と同様に、第1のステップ702において、超音波システム202および/またはMR装置200は、局所化され、安定した超音波周波数を発生させるために、低位相雑音および/または低周波数ドリフト仕様を有するように構成される。加えて、超音波システム202に関連付けられた基本周波数302および受信されたMR信号の周波数帯域幅が、決定され得る(ステップ704)。その後、超音波システム202は、MRI装置がMRパルスシーケンスを伝送しているときのみパルスを伝送するように動作させられ、MRI装置が標的から信号を受信している間、非アクティブにされる(ステップ756)。加えて、または代替として、超音波パルスおよび/または超音波基本周波数に関連付けられたパルスエンベロープは、結果として生じる基本周波数および高調波が、狭い帯域を形成するように、好適なフィルタ(ガウスフィルタ、レイズドコサインフィルタ、またはsincフィルタ等)を使用して成形され得る(ステップ758)。超音波システム202によって発生させられる周波数とMR受信信号との間の干渉は、次いで、従来の技法を使用して、受信されたMR信号からフィルタリングまたは減算されることができる(ステップ760)。加えて、または代替として、超音波システム202によって発生させられるパルス列におけるパルスは、いくつかの隣接するパルス間の位相および/または時間遅延が異なるように、またはランダムであるように調整される(ステップ762)。これは、受信されたMR信号における超音波システム202によって引き起こされる雑音レベルを効果的に低減させ得る。
【0065】
故に、種々の実施形態は、最初に、超音波システムおよび/またはMR装置内に低位相雑音および/または低周波数ドリフトを有する周波数発生器(および/またはスイッチ要素)を実装し、それによって発生させられる周波数を局所化し、安定させる。加えて、発生器は、それから発生させられる信号をさらに安定させるために、PLLおよび/またはDSS回路を採用し得る。超音波システムおよびMRI装置によって発生させられる局所化された安定した信号の干渉は、上で説明されるアプローチ700、750を使用して、受信されたMR信号からより容易に排除され、または低減させられ得る。
【0066】
一般に、上で説明されるように、標的に対する診断および/または療法効果を最適化するための超音波システムに関連付けられた基本周波数を決定すること、標的のMR撮像を最適化するためのMR装置に関連付けられた受信されたMR信号の帯域幅を決定すること、超音波システムによって発生させられる基本周波数を調節すること、超音波システムとMRI装置との間の干渉をエイリアスすること、受信されたMR信号の帯域幅を調節すること、受信されたMR信号から基本周波数および高調波をフィルタリングおよび/または減算すること、基準MR信号を測定すること、超音波システムの動作中にMR信号を測定すること、k空間または実空間MR画像を発生させること、超音波システムから伝送されるパルスを成形すること、および/または超音波システムから伝送されるパルスの位相および/または、時間遅延を調整することを含むMRI装置および超音波システムを同時に動作させるための機能性は、MRIおよび/または、超音波システムのコントローラと統合されるか、または別個の外部コントローラによって提供されるかにかかわらず、ハードウェア、ソフトウェア、または両方の組み合わせにおいて実装される1つ以上のモジュールにおいて構造化され得る。機能が1つ以上のソフトウェアプログラムとして提供される実施形態に関して、プログラムは、PYTHON、FORTRAN、PASCAL、JAVA(登録商標)、C、C++、C#、BASIC、種々のスクリプト言語、および/またはHTML等のいくつかの高レベル言語のうちのいずれかにおいて書き込まれ得る。加えて、ソフトウェアは、標的コンピュータ(例えば、コントローラ)上に常駐するマイクロプロセッサを対象とするアセンブリ言語において実装されることができ、例えば、ソフトウェアは、それがIBM PCまたはPCクローン上で実行するように構成される場合、Intel 80x86アセンブリ言語において実装され得る。ソフトウェアは、限定ではないが、フロッピー(登録商標)ディスク、ジャンプドライブ、ハードディスク、光学ディスク、磁気テープ、PROM、EPROM、EEPROM、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはCD-ROMを含む、製造品上で具現化され得る。ハードウェア回路を使用する実施形態は、例えば、1つ以上のFPGA、CPLD、またはASICプロセッサを使用して実装され得る。
【0067】
加えて、本明細書に使用される用語「コントローラ」は、広義に、上で説明されるような任意の機能性を実施するために利用される全ての必要なハードウェアコンポーネントおよび/またはソフトウェアモジュールを含み、コントローラは、複数のハードウェアコンポーネントおよび/またはソフトウェアモジュールを含み得、機能性は、異なるコンポーネントおよび/またはモジュール間で広げられることができる。さらに、MRIコントローラ116は、超音波コントローラ156とは別個であり得るか、または、超音波コントローラ156とともに統合システム制御設備に組み合わせられ得る。
【0068】
本発明のある実施形態が、上で説明される。しかしながら、本発明が、それらの実施形態に限定されず、むしろ、本明細書に明確に説明されるものに対する追加および修正も、本発明の範囲内に含まれることに明確に留意されたい。
【0069】
特許請求の範囲
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
【手続補正書】
【提出日】2022-07-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
解剖学的領域に対する超音波動作と併せて前記解剖学的領域の磁気共鳴(MR)撮像を実施するためのシステムであって、前記システムは、
前記解剖学的領域を撮像するためのMR撮像装置と、
前記超音波動作を実施するための超音波トランスデューサシステムと、
前記MR撮像装置および超音波トランスデューサシステムと通信しているコントローラと
を備え、
前記コントローラは、
基本周波数および複数の高調波を有する超音波または超音波パルスを前記解剖学的領域に伝送することを前記超音波トランスデューサシステムに行わせることと、
MRパルスシーケンスを前記解剖学的領域に伝送し、前記解剖学的領域から、ある周波数の帯域内のMR信号を受信することを前記MR撮像装置に行わせることと、
前記周波数の帯域が前記高調波のうちの2つの隣接する周波数間に位置しているようにすることと
を行うように構成されている、システム。
【請求項2】
前記超音波トランスデューサシステムは、前記基本周波数および高調波に関連付けられた位相雑音を低減させるために、低ジッタ周波数発生器または低ジッタスイッチ要素のうちの少なくとも1つを備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記超音波トランスデューサシステムまたは前記MR撮像装置のうちの少なくとも1つは、低周波数ドリフトを有する少なくとも1つの発振器を備え、前記低周波数ドリフトは、前記基本周波数、前記高調波、および/または前記MR撮像装置によって伝送される超音波または超音波パルスに関連付けられた周波数の安定性を改良する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの発振器は、位相ロックループを備え、前記位相ロックループは、前記基本周波数、前記高調波、および/または前記MR撮像装置によって伝送される前記超音波または超音波パルスに関連付けられた前記周波数に関連付けられた位相を前記MR撮像装置の内部クロックにロックする、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、前記受信されたMR信号から前記基本周波数および高調波をフィルタリングまたは減算するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記基本周波数は、前記受信されたMR信号の帯域幅より大きい、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記MRパルスシーケンスは、2回の連続する繰り返しの間で交互する位相を有するRF伝送パルスを備えている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記MRパルスシーケンスを前記解剖学的領域に伝送することを前記MR撮像装置に行わせることに先立って、前記解剖学的領域への前記超音波または超音波パルスの伝送に応答して、基準MR信号を検出することを前記MR撮像装置に行わせることと、
少なくとも部分的に前記基準MR信号に基づいて、前記受信されたMR信号を調節することと
を行うようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記受信されたMR信号の帯域幅を低減させるようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラは、MR走査時間を増加させること、または測定されるMR信号の数を低減させることを行うようにさらに構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記超音波パルスのうちの少なくとも1つの波形を成形するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記コントローラは、前記超音波パルスのうちの前記少なくとも1つの波形を成形するために、ガウスフィルタ、レイズドコサインフィルタ、またはsincフィルタのうちの少なくとも1つを実装するようにさらに構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラは、前記パルスのうちのいくつかの間の位相および/または時間遅延が異なるように、前記超音波パルスを調整するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記コントローラは、前記超音波トランスデューサシステム内に実装されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
解剖学的領域に対する超音波動作と併せて前記解剖学的領域の磁気共鳴(MR)撮像を実施するためのシステムであって、前記システムは、
前記解剖学的領域を撮像するためのMR撮像装置と、
前記超音波動作を実施するための超音波トランスデューサシステムと、
前記MR撮像装置および超音波トランスデューサシステムと通信しているコントローラと
を備え、
前記コントローラは、
基本周波数および複数の高調波を有する超音波または超音波パルスを前記解剖学的領域に伝送することを前記超音波トランスデューサシステムに行わせることと、
複数のRF伝送パルスを有するMRパルスシーケンスを前記解剖学的領域に伝送し、前記解剖学的領域から、ある周波数の帯域内のMR信号を受信することを前記MR撮像装置に行わせることと
を行うように構成され、
前記RF伝送パルスは、2回の連続する繰り返しの間で交互する位相を有する、システム。
【請求項16】
前記超音波トランスデューサシステムは、前記基本周波数および高調波に関連付けられた位相雑音を低減させるために、低ジッタ周波数発生器または低ジッタスイッチ要素のうちの少なくとも1つを備えている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記超音波トランスデューサシステムまたは前記MR撮像装置のうちの少なくとも1つは、低周波数ドリフトを有する少なくとも1つの発振器を備え、前記低周波数ドリフトは、前記基本周波数、前記高調波、および/または前記MR撮像装置によって伝送される超音波または超音波パルスに関連付けられた周波数の安定性を改良する、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの発振器は、位相ロックループを備え、前記位相ロックループは、前記基本周波数、前記高調波、および/または前記MR撮像装置によって伝送される前記超音波または超音波パルスに関連付けられた前記周波数に関連付けられた位相を前記MR撮像装置の内部クロックにロックする、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記コントローラは、前記受信されたMR信号から前記基本周波数および高調波をフィルタリングまたは減算するようにさらに構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記基本周波数は、前記受信されたMR信号の帯域幅より小さい、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記コントローラは、
前記MRパルスシーケンスを前記解剖学的領域に伝送することを前記MR撮像装置に行わせることに先立って、前記解剖学的領域への前記超音波または超音波パルスの伝送に応答して、基準MR信号を検出することを前記MR撮像装置に行わせることと、
少なくとも部分的に前記基準MR信号に基づいて、前記受信されたMR信号を調節することと
を行うようにさらに構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項22】
前記コントローラは、前記受信されたMR信号の帯域幅を低減させるようにさらに構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項23】
前記コントローラは、MR走査時間を増加させること、または測定されるMR信号の数を低減させることを行うようにさらに構成されている、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記コントローラは、前記超音波パルスのうちの少なくとも1つの波形を成形するようにさらに構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項25】
前記コントローラは、前記超音波パルスのうちの前記少なくとも1つの波形を成形するために、ガウスフィルタ、レイズドコサインフィルタ、またはsincフィルタのうちの少なくとも1つを実装するように構成されている、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記コントローラは、前記パルスのうちのいくつかの間の位相および/または時間遅延が異なるように、前記超音波パルスを調整するようにさらに構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項27】
前記コントローラは、前記超音波トランスデューサシステム内に実装されている、請求項15に記載のシステム。

【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
本明細書に使用されるように、用語「実質的に」は、±10%を意味し、いくつかの実施形態において、±5%を意味する。本明細書全体を通した「一実施例(one example)」、「ある実施例(an example)」、「一実施形態(one embodiment)」、または「ある実施形態(an embodiment)」の言及は、実施例に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本技術の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通した種々の箇所における語句「一実施例では(in one example)」、「ある実施例では(in an example)」、「一実施形態(one embodiment)」、または「ある実施形態(an embodiment)」の表出は、必ずしも全てが同一の実施例を指すわけではない。さらに、特定の特徴、構造、ルーチン、ステップ、または特性は、技術の1つ以上の実施例において任意の好適な様式で組み合わせられ得る。本明細書に提供される見出しは、便宜上のためだけのものであり、請求される技術の範囲または意味を限定または解釈することを意図していない。
本発明はさらに、例えば、以下を提供する。
(項目1)
解剖学的領域に対する超音波動作と併せて前記解剖学的領域の磁気共鳴(MR)撮像を実施するためのシステムであって、前記システムは、
前記解剖学的領域を撮像するためのMR撮像装置と、
前記超音波動作を実施するための超音波トランスデューサシステムと、
前記MR撮像装置および超音波トランスデューサシステムと通信しているコントローラと
を備え、
前記コントローラは、
基本周波数および複数の高調波を有する超音波または超音波パルスを前記解剖学的領域に伝送することを前記超音波トランスデューサシステムに行わせることと、
MRパルスシーケンスを前記解剖学的領域に伝送し、前記解剖学的領域から、ある周波数の帯域内のMR信号を受信することを前記MR撮像装置に行わせることと、
前記周波数の帯域が前記高調波のうちの2つの隣接する周波数間に位置しているようにすることと
を行うように構成されている、システム。
(項目2)
前記超音波トランスデューサシステムは、前記基本周波数および高調波に関連付けられた位相雑音を低減させるために、低ジッタ周波数発生器または低ジッタスイッチ要素のうちの少なくとも1つを備えている、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記超音波トランスデューサシステムまたは前記MR撮像装置のうちの少なくとも1つは、低周波数ドリフトを有する少なくとも1つの発振器を備え、前記低周波数ドリフトは、前記基本周波数、前記高調波、および/または前記MR撮像装置によって伝送される超音波または超音波パルスに関連付けられた周波数の安定性を改良する、項目1に記載のシステム。
(項目4)
前記少なくとも1つの発振器は、位相ロックループを備え、前記位相ロックループは、前記基本周波数、前記高調波、および/または前記MR撮像装置によって伝送される前記超音波または超音波パルスに関連付けられた前記周波数に関連付けられた位相を前記MR撮像装置の内部クロックにロックする、項目3に記載のシステム。
(項目5)
前記コントローラは、前記受信されたMR信号から前記基本周波数および高調波をフィルタリングまたは減算するようにさらに構成されている、項目1に記載のシステム。
(項目6)
前記基本周波数は、前記受信されたMR信号の帯域幅より大きい、項目1に記載のシステム。
(項目7)
前記MRパルスシーケンスは、2回の連続する繰り返しの間で交互する位相を有するRF伝送パルスを備えている、項目1に記載のシステム。
(項目8)
前記コントローラは、
前記MRパルスシーケンスを前記解剖学的領域に伝送することを前記MR撮像装置に行わせることに先立って、前記解剖学的領域への前記超音波または超音波パルスの伝送に応答して、基準MR信号を検出することを前記MR撮像装置に行わせることと、
少なくとも部分的に前記基準MR信号に基づいて、前記受信されたMR信号を調節することと
を行うようにさらに構成されている、項目1に記載のシステム。
(項目9)
前記コントローラは、前記受信されたMR信号の帯域幅を低減させるようにさらに構成されている、項目1に記載のシステム。
(項目10)
前記コントローラは、MR走査時間を増加させること、または測定されるMR信号の数を低減させることを行うようにさらに構成されている、項目9に記載のシステム。
(項目11)
前記コントローラは、前記超音波パルスのうちの少なくとも1つの波形を成形するようにさらに構成されている、項目1に記載のシステム。
(項目12)
前記コントローラは、前記超音波パルスのうちの前記少なくとも1つの波形を成形するために、ガウスフィルタ、レイズドコサインフィルタ、またはsincフィルタのうちの少なくとも1つを実装するようにさらに構成されている、項目9に記載のシステム。
(項目13)
前記コントローラは、前記パルスのうちのいくつかの間の位相および/または時間遅延が異なるように、前記超音波パルスを調整するようにさらに構成されている、項目1に記載のシステム。
(項目14)
前記コントローラは、前記超音波トランスデューサシステム内に実装されている、項目1に記載のシステム。
(項目15)
解剖学的領域に対する超音波動作と併せて前記解剖学的領域の磁気共鳴(MR)撮像を実施する方法であって、前記方法は、
基本周波数および複数の高調波を有する複数の超音波または超音波パルスを前記解剖学的領域に伝送することと、
MRパルスシーケンスを前記解剖学的領域に伝送し、前記解剖学的領域から、ある周波数の帯域内のMR信号を受信することと、
前記周波数の帯域が前記高調波のうちの2つの隣接する周波数間に位置しているようにすることと
を含む、方法。
(項目16)
前記受信されたMR信号から前記基本周波数および高調波をフィルタリングまたは減算することをさらに含む、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記基本周波数は、前記受信されたMR信号の帯域幅より大きい、項目15に記載の方法。
(項目18)
前記MRパルスシーケンスは、2回の連続する繰り返しの間で交互する位相を有するRF伝送パルスを備えている、項目15に記載の方法。
(項目19)
前記MRパルスシーケンスを前記解剖学的領域に伝送することを前記MR撮像装置に行わせることに先立って、前記解剖学的領域への前記超音波または超音波パルスの伝送に応答して、基準MR信号を検出することを前記MR撮像装置に行わせることと、
少なくとも部分的に前記基準MR信号に基づいて、前記受信されたMR信号を調節することと
をさらに含む、項目15に記載の方法。
(項目20)
前記受信されたMR信号の帯域幅を低減させることをさらに含む、項目15に記載の方法。
(項目21)
MR走査時間を増加させること、または測定されるMR信号の数を低減させることをさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記超音波パルスのうちの少なくとも1つの波形を成形することをさらに含む、項目15に記載の方法。
(項目23)
前記超音波パルスのうちの前記少なくとも1つの波形は、ガウスフィルタ、レイズドコサインフィルタ、またはsincフィルタのうちの少なくとも1つによって成形される、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記パルスのうちのいくつかの間の位相および/または時間遅延が異なるように、前記超音波パルスを調整することをさらに含む、項目15に記載の方法。
(項目25)
解剖学的領域に対する超音波動作と併せて前記解剖学的領域の磁気共鳴(MR)撮像を実施するためのシステムであって、前記システムは、
前記解剖学的領域を撮像するためのMR撮像装置と、
前記超音波動作を実施するための超音波トランスデューサシステムと、
前記MR撮像装置および超音波トランスデューサシステムと通信しているコントローラと
を備え、
前記コントローラは、
基本周波数および複数の高調波を有する超音波または超音波パルスを前記解剖学的領域に伝送することを前記超音波トランスデューサシステムに行わせることと、
複数のRF伝送パルスを有するMRパルスシーケンスを前記解剖学的領域に伝送し、前記解剖学的領域から、ある周波数の帯域内のMR信号を受信することを前記MR撮像装置に行わせることと
を行うように構成され、
前記RF伝送パルスは、2回の連続する繰り返しの間で交互する位相を有する、システム。
(項目26)
前記超音波トランスデューサシステムは、前記基本周波数および高調波に関連付けられた位相雑音を低減させるために、低ジッタ周波数発生器または低ジッタスイッチ要素のうちの少なくとも1つを備えている、項目25に記載のシステム。
(項目27)
前記超音波トランスデューサシステムまたは前記MR撮像装置のうちの少なくとも1つは、低周波数ドリフトを有する少なくとも1つの発振器を備え、前記低周波数ドリフトは、前記基本周波数、前記高調波、および/または前記MR撮像装置によって伝送される超音波または超音波パルスに関連付けられた周波数の安定性を改良する、項目25に記載のシステム。
(項目28)
前記少なくとも1つの発振器は、位相ロックループを備え、前記位相ロックループは、前記基本周波数、前記高調波、および/または前記MR撮像装置によって伝送される前記超音波または超音波パルスに関連付けられた前記周波数に関連付けられた位相を前記MR撮像装置の内部クロックにロックする、項目27に記載のシステム。
(項目29)
前記コントローラは、前記受信されたMR信号から前記基本周波数および高調波をフィルタリングまたは減算するようにさらに構成されている、項目25に記載のシステム。
(項目30)
前記基本周波数は、前記受信されたMR信号の帯域幅より小さい、項目25に記載のシステム。
(項目31)
前記コントローラは、
前記MRパルスシーケンスを前記解剖学的領域に伝送することを前記MR撮像装置に行わせることに先立って、前記解剖学的領域への前記超音波または超音波パルスの伝送に応答して、基準MR信号を検出することを前記MR撮像装置に行わせることと、
少なくとも部分的に前記基準MR信号に基づいて、前記受信されたMR信号を調節することと
を行うようにさらに構成されている、項目25に記載のシステム。
(項目32)
前記コントローラは、前記受信されたMR信号の帯域幅を低減させるようにさらに構成されている、項目25に記載のシステム。
(項目33)
前記コントローラは、MR走査時間を増加させること、または測定されるMR信号の数を低減させることを行うようにさらに構成されている、項目32に記載のシステム。
(項目34)
前記コントローラは、前記超音波パルスのうちの少なくとも1つの波形を成形するようにさらに構成されている、項目25に記載のシステム。
(項目35)
前記コントローラは、前記超音波パルスのうちの前記少なくとも1つの波形を成形するために、ガウスフィルタ、レイズドコサインフィルタ、またはsincフィルタのうちの少なくとも1つを実装するように構成されている、項目34に記載のシステム。
(項目36)
前記コントローラは、前記パルスのうちのいくつかの間の位相および/または時間遅延が異なるように、前記超音波パルスを調整するようにさらに構成されている、項目25に記載のシステム。
(項目37)
前記コントローラは、前記超音波トランスデューサシステム内に実装されている、項目25に記載のシステム。
(項目38)
解剖学的領域に対する超音波動作と併せて前記解剖学的領域の磁気共鳴(MR)撮像を実施する方法であって、前記方法は、
基本周波数および複数の高調波を有する複数の超音波または超音波パルスを前記解剖学的領域に伝送することと、
複数のRF伝送パルスを有するMRパルスシーケンスを前記解剖学的領域に伝送し、前記解剖学的領域から、ある周波数の帯域内のMR信号を受信することと
を含み、
前記RF伝送パルスは、2回の連続する繰り返しの間で交互する位相を有する、方法。
(項目39)
前記受信されたMR信号から前記基本周波数および高調波をフィルタリングまたは減算することをさらに含む、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記基本周波数は、前記受信されたMR信号の帯域幅より小さい、項目38に記載の方法。
(項目41)
前記MRパルスシーケンスを前記解剖学的領域に伝送することを前記MR撮像装置に行わせることに先立って、前記解剖学的領域への前記超音波または超音波パルスの伝送に応答して、基準MR信号を検出することを前記MR撮像装置に行わせることと、
少なくとも部分的に前記基準MR信号に基づいて、前記受信されたMR信号を調節することと
をさらに含む、項目38に記載の方法。
(項目42)
前記受信されたMR信号の帯域幅を低減させることをさらに含む、項目38に記載の方法。
(項目43)
MR走査時間を増加させること、または測定されるMR信号の数を低減させることをさらに含む、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記超音波パルスのうちの少なくとも1つの波形を成形することをさらに含む、項目38に記載の方法。
(項目45)
前記超音波パルスのうちの前記少なくとも1つの波形は、ガウスフィルタ、レイズドコサインフィルタ、またはsincフィルタのうちの少なくとも1つによって成形される、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記パルスのうちのいくつかの間の位相および/または時間遅延が異なるように、前記超音波パルスを調整することをさらに含む、項目38に記載の方法。
【国際調査報告】