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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-09
(54)【発明の名称】セラミックサセプター
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20230202BHJP
   H05B 6/54 20060101ALI20230202BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20230202BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20230202BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H05B6/54
H01L21/31 C
H01L21/302 101G
C23C16/458
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528019
(86)(22)【出願日】2021-10-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-20
(85)【翻訳文提出日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 KR2021015160
(87)【国際公開番号】W WO2022145668
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0188893
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520139620
【氏名又は名称】ミコ セラミックス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ、チュ ソン
(72)【発明者】
【氏名】ペ、ハンウム
【テーマコード(参考)】
3K090
4K030
5F004
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
3K090BA05
4K030GA02
4K030KA24
4K030KA26
4K030KA39
4K030KA45
4K030KA46
5F004AA01
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB26
5F004BB29
5F004BD04
5F004CB12
5F045AA08
5F045BB02
5F045DP02
5F045EJ04
5F045EJ09
5F045EJ10
5F045EK07
5F045EK22
5F045EM05
5F045EM09
5F045GB05
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA13
5F131BA03
5F131BA04
5F131BA11
5F131BA19
5F131CA09
5F131CA17
5F131DA02
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA04
5F131EB11
5F131EB14
5F131EB16
5F131EB17
5F131EB18
5F131EB78
5F131EB79
5F131EB81
5F131EB82
(57)【要約】
本発明は、セラミックサセプターに関し、本発明のセラミックサセプターは、高周波電極が配置された絶縁プレート、前記絶縁プレートに接続されたシャフト、前記シャフトの長手方向の端部に接続された連結マウント、前記高周波電極に連結され、前記シャフトの前記長手方向の端部を通過して前記連結マウントに延長される、第1ロッド及び第2ロッド、及び前記連結マウント内に配置された連結部材を含み、前記連結部材は前記第1ロッドと前記第2ロッドとを連結させる。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電極が配置された絶縁プレート、
前記絶縁プレートに接続されたシャフト、
前記シャフトの長手方向の端部に接続された連結マウント、
前記高周波電極に連結され、前記シャフトの前記長手方向の端部を通過して前記連結マウントに延長される、第1ロッド及び第2ロッド、及び
前記連結マウント内に配置された連結部材を含み、
前記連結部材が前記第1ロッドと前記第2ロッドとを連結させる、
セラミックサセプター。
【請求項2】
前記高周波電極は、第1高周波電極及び第2高周波電極を含み、
前記第1ロッド及び前記第1高周波電極、前記第2ロッド及び前記第2高周波電極がそれぞれ、電気的に連結されている、請求項1に記載のセラミックサセプター。
【請求項3】
前記シャフトの長手方向の端部に形成された隔離板をさらに含み、
前記第1ロッド及び第2ロッドは前記隔離板を貫通して前記連結マウントに延長される、請求項1に記載のセラミックサセプター。
【請求項4】
前記連結マウントの内部温度を測定するための温度センサーをさらに含む、請求項1に記載のセラミックサセプター。
【請求項5】
前記連結マウントを冷却させるための冷却構造物をさらに含む、請求項1に記載のセラミックサセプター。
【請求項6】
前記連結部材に連結された引込ロッドをさらに含み、
前記連結マウントは、密閉された形態であり、冷却媒体の循環のための引込口及び排出口を含み、前記引込ロッドが、密閉された前記連結マウントを貫通して外に露出される、請求項1に記載のセラミックサセプター。
【請求項7】
前記引込ロッドを固定する固定板をさらに含み、
前記引込ロッドが、前記固定板を貫通し、前記連結マウントを貫通して外に露出される、請求項6に記載のセラミックサセプター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックサセプターに関し、特に、高周波電極部における発熱を低減させる構造を有するセラミックサセプターに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体装置又はディスプレイ装置は、誘電体層及び金属層を含む多数の薄膜層を、ガラス基板、フレキシブル基板又は半導体ウエハー基板上に順次に積層した後、パターニングする方式で製造される。これらの薄膜層は、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition,CVD)工程又は物理気相蒸着(Physical Vapor Deposition,PVD)工程を通じて基板上に順次に蒸着される。前記CVD工程としては、低圧力化学気相蒸着(Low Pressure CVD,LPCVD)工程、プラズマ強化化学気相蒸着(Plasma Enhanced CVD,PECVD)工程、有機金属化学気相蒸着(Metal Organic CVD,MOCVD)工程などがある。
【0003】
かかるCVD装置及びPVD装置には、ガラス基板、フレキシブル基板、半導体ウエハー基板などを支持し、所定の熱を印加するためのヒーターが配置される。前記CVD装置及びPVD装置に設置されるヒーターは、半導体素子における配線微細化などの精密工程のために、プラズマ蒸着工程などにおいて正確な温度制御及び熱処理の要求などに応じてセラミックサセプター(Ceramic Heater)が広く用いられている。また、前記ヒーターは、半導体ウエハーの基板上に形成された薄膜層のエッチング工程(etching process)、又はフォトレジスト(photoresist)の焼成工程などにおいて、プラズマの生成及び基板の加熱のために用いられる。
【0004】
図1のように、従来のセラミックサセプター1は、シャフト20に結合した絶縁プレート10を含み、絶縁プレート10は、セラミック材質内に配置された高周波(RF)電極12を含み、高周波(RF)電極12は、負荷を減少させるために、並列ロッド21,23を通じて電源部26に連結される。半導体工程の微細化及び生産性の向上からRFパワーは高まりつつあり、このため、シャフト20内の高周波電極ロッド21,23を2つに分離設置して負荷を減少させ、シャフト20内で別のロッド25を通じて電源部26に連結された連結部材24を用いて、その電極ロッド21,23を連結させる。かかる従来の技術は、特許登録番号第10-2137719号(2020.07.24.)に開示されている。
【0005】
しかしながら、かかる従来の構造では、シャフト内の高温酸化雰囲気で高周波電極ロッド及び前記連結部材の酸化によって電気的特性が変化したり周囲の配線との短絡が発生したりする問題点があった。その上、シャフトの小径の孔中で前記連結構造を用いて高周波電極ロッドを連結させる作業も容易でないという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、前述した問題点を解決するために案出されたものであり、本発明の目的は、シャフト内の高周波電極ロッドを2つ以上に分離し、連結マウント内で連結させ、前記連結マウントの周囲を冷却構造により冷却させることによって、高周波電極に印加されるRF電力が増加しても、複数の連結ロッドでの電流の分岐により、高周波電極と高周波電極ロッドの周辺でのクラックの発生がなく、アーキング(arching)の発生がなく、発熱による基板上における成膜特性の均一化を可能にし、高周波電極ロッドの酸化による短絡の発生無しで電気的特性を保持することができる、セラミックサセプターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
まず、本発明の特徴を要約すれば、前記目的を達成するための本発明の一面に係るセラミックサセプターは、高周波電極が配置された絶縁プレート、前記絶縁プレートに接続されたシャフト、前記シャフトの長手方向の端部に接続された連結マウント、前記高周波電極に連結され、前記シャフトの前記長手方向の端部を通過して前記連結マウントに延長される、第1ロッド及び第2ロッド、及び、前記連結マウント内に配置された連結部材を含み、前記連結部材は、前記第1ロッドと前記第2ロッドとを連結させる。
【0008】
前記高周波電極は、第1高周波電極及び第2高周波電極を含み、前記第1ロッド及び前記第1高周波電極、前記第2ロッド及び前記第2高周波電極がそれぞれ電気的に連結される。
【0009】
前記シャフトの長手方向の端部に形成された隔離板をさらに含み、前記第1ロッド及び第2ロッドは前記隔離板を貫通して前記連結マウントに延長される。
【0010】
前記セラミックサセプターは、前記連結マウントの内部温度を測定するための温度センサーをさらに含んでよい。
【0011】
前記セラミックサセプターは、前記連結マウントを冷却させるための冷却構造物をさらに含んでよい。
【0012】
前記セラミックサセプターは、前記連結部材に連結された引込ロッドをさらに含み、前記連結マウントは、密閉した形態であり、冷却媒体の循環のための引込口及び排出口を含み、前記引込ロッドが、密閉された前記連結マウントを貫通して外に露出される。
【0013】
前記セラミックサセプターは、前記引込ロッドを固定する固定板をさらに含み、前記引込ロッドが、前記固定板を貫通し、前記連結マウントを貫通して外に露出される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るセラミックサセプターによると、シャフト内の複数の高周波電極ロッドを、冷却構造がある連結マウント内で連結させることによって、RF電力が増加しても、複数の連結ロッドでの電流の分岐により、高周波電極と高周波電極ロッドの周辺でのクラックの発生がなく、アーキング(arching)の発生がなく、発熱による基板上における成膜特性の均一化を可能にし、高周波電極ロッドの酸化による短絡の発生無しで電気的特性を保持することができる。
【0015】
本発明に関する理解を助けるために、詳細な説明の一部として含まれる添付図面は、本発明に係る実施例を提供し、詳細な説明と共に本発明の技術的な思想を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来のセラミックサセプターに関する概略的な断面図である。
図2】本発明の一実施例に係るセラミックサセプターに関する概略的な断面図である。
図3】本発明の一実施例に係るセラミックサセプターの概略的な斜視図である。
図4】本発明の一実施例に係るセラミックサセプターのシャフト及び連結マウントの内部構造物に関する具体的な構成図である。
図5】本発明の一実施例に係るセラミックサセプターの連結部材を拡大した斜視図(a)及び底面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明について詳細に説明する。ここで、各図において、同一の構成要素は、できるだけ同一の符号で示す。また、既に公知された機能及び/又は構成についての詳細な説明は省略する。以下に開示する内容は、様々な実施例に係る動作を理解する上で必要な部分を重点的に説明し、その説明の要旨を濁し得る要素に関する説明は省略する。また、図面中の一部の構成要素は、誇張、省略又は概略して示されることがある。各構成要素の大きさは、実際の大きさを全的に反映するものではなく、したがって、各図に示される構成要素の相対的な大きさ又は間隔によってここに記載の内容が制限されるわけではない。
【0018】
本発明の実施例を説明するに当たって、本発明に関連した公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を不要に濁し得ると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。また、後述する用語は、本発明における機能を考慮して定義された用語であり、それらは使用者、運用者の意図又は慣例などによって変わってもよい。したがって、その定義は、本明細書の全般にわたった内容に基づいて下されるべきであろう。詳細な説明において使われる用語は、単に本発明の実施例を記述するためのものであり、決して制限的であってはならない。特に断らない限り、単数形態の表現は、複数形態の意味をも含む。本説明において、「含む」又は「備える」のような表現は、ある特性、数字、段階、動作、要素、それらの一部又は組合せを示すためのものであり、記述された以外の、1つ又はそれ以上の他の特性、数字、段階、動作、要素、それらの一部又は組合せの存在又は可能性を排除するように解釈されてはならない。
【0019】
また、第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために使用可能であるが、前記構成要素が前記用語によって限定されるものではなく、これらの用語は、ある構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使われる。
【0020】
図2は、本発明の一実施例に係るセラミックサセプター100に関する概略的な断面図である。
【0021】
図3は、本発明の一実施例に係るセラミックサセプター100の概略的な斜視図である。
【0022】
図2及び図3を参照すると、本発明の一実施例に係るセラミックサセプター100は、絶縁プレート110、シャフト(shaft)120及び連結マウント(mount)140を含む。絶縁プレート110、シャフト120及び連結マウント140は順次に接続されており、シャフト120と連結マウント140との間には、互いの内部空間を隔離させるためにシャフト120の長手方向の端部に形成された隔離板130が含まれる。
【0023】
本発明の一実施例に係るセラミックサセプター100は、半導体ウエハー、ガラス基板、フレキシブル基板などの様々な目的の加工対象基板を支持し、当該加工対象基板を所定の温度で加熱する半導体装置であってよい。また、セラミックサセプター100は、静電チャックとして用いられてもよく、プラズマ強化化学気相蒸着などの工程に用いられてもよい。
【0024】
絶縁プレート110は、セラミック材質の間に高周波電極112が配置(埋設)されるように構成され、場合によって、発熱体114がさらに、高周波電極112と所定の間隔で離隔して配置(埋設)されるように構成されてよい。絶縁プレート110は、加工対象基板を安定して支持しながら、発熱体114を用いた加熱及び(又は)高周波電極112を用いたプラズマ強化化学気相蒸着工程などの様々な半導体工程を行い得るように構成される。また、本発明の一実施例に係るセラミックサセプター100は、高周波電極112を用いた加工対象基板のチャッキングとデチャッキングのための静電チャックとして用いられてもよい。絶縁プレート110は、所定の形状を有する板状構造物で形成されてよい。一例として、絶縁プレート110は、円形の板状構造物で形成されてよく、必ずしもこれに制限されない。ここで、セラミック材質は、Al、Y、Al/Y、ZrO、AlC(Autoclaved lightweight concrete)、TiN、AlN、TiC、MgO、CaO、CeO、TiO、B、BN、SiO、SiO、YAG、ムライト(Mullite)、AlFのうち少なくとも一つの物質であってよく、好ましくは、窒化アルミニウム(AlN)であってよい。さらに、前記セラミック材質の粉末が成形・焼結されて絶縁プレート110を構成してもよく、そのためのそれぞれのセラミック粉末は、選択的に0.1~10%程度、好ましくは約1~5%程度の酸化イットリウム粉末を含んでよい。
【0025】
高周波電極112は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、金(Au)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、窒化アルミニウム(AlN)又はそれらの合金からなってよく、好ましくはモリブデン(Mo)からなってよい。高周波電極112は、連結ロッド121,122を連結(短絡)させる連結部材141に連結された引込ロッド129を通じて電源(例えば、接地(ground))に連結されてよい。連結ロッド121,122は、シャフト120の内部を通過して隔離板130を貫通するように配置される。以下、連結ロッド121,122は2本であるとして説明するが、場合によって3本以上であってもよい。
【0026】
シャフト120の長手方向の端部に連結マウント140が接続され、シャフト120の長手方向の端部に形成された隔離板130を貫通した連結ロッド121,122は、密閉された形態の連結マウント140の内部に配置された連結部材141により連結され、連結部材141に連結された引込ロッド129は、連結マウント140の下部を貫通して外に出るように延長される。高周波電極112は、ワイヤータイプ(wire type)又はシートタイプ(sheet type)のメッシュ(mesh)構造を有する。ここで、メッシュ構造とは、第1方向に配列された複数の金属と第2方向に配列された複数の金属が互いに交差して形成された網目状の構造である。
【0027】
発熱体114は、発熱線(又は抵抗線)による板状コイルの形態又は平らなプレートの形態で形成されてよい。また、発熱体114は、精密な温度制御のために、多層構造で形成されてよい。このような発熱体114は、連結ロッド210,220(図4の説明で後述される)を通じて別途の発熱体114用の電源に連結され、半導体工程において、基板の加熱や蒸着工程及びエッチング工程などを行うために、絶縁プレート110上の加工対象基板を所定の一定温度で加熱する機能を行ってよい。図2に示されていないが(図4に後述される)、連結ロッド210,220は、シャフト120の内部を通過し、隔離板130を貫通するように配置される。隔離板130を貫通した連結ロッド210,220は、密閉された形態の連結マウント140の下部を貫通して外に出るように延長される。
【0028】
シャフト120は、貫通孔を有する管(pipe)形であって、絶縁プレート110の下面に結合する。シャフト120は、絶縁プレート110と同一のセラミック材質から形成され、結合してよい。ここで、セラミック材質は、Al、Y、Al/Y、ZrO、AlC(Autoclaved lightweight concrete)、TiN、AlN、TiC、MgO、CaO、CeO、TiO、B、BN、SiO、SiC、YAG、ムライト、AlFのうち少なくとも一つの物質であってよく、好ましくは窒化アルミニウム(AlN)であってよい。さらに、前記セラミック材質の粉末が成形・焼結されてシャフト120を構成してもよく、そのためのそれぞれのセラミック粉末は、選択的に0.1~10%程度、好ましくは約1~5%程度の酸化イットリウム粉末を含んでよい。
【0029】
シャフト120は、下記のように、セラミックペーストなどの接合物質125により絶縁プレート110と結合してよい。場合によって、シャフト120は、ボルト、ナットなどにより機構的に絶縁プレート110と結合してもよい。シャフト120の貫通孔を通じて、高周波電極112及び(又は)発熱体114に電力を供給するそれぞれのロッド121,122,210,220が収容され、それらは、密閉された形態の連結マウント140を通過して外に出るように延長される。
【0030】
本発明の一実施例に係るセラミックサセプター100は、特に高周波電極112と連結されるシャフト120内の2本以上の複数の連結ロッド121,122を、冷却構造(冷却媒体の循環のための引込口191と排出口192とを含む。)がある密閉された形態の連結マウント140内で連結させることによって、RF電力が増加しても、複数の連結ロッド121,122での電流の分岐により、高周波電極112、及び高周波電極112に連結されるロッド121,122の周辺におけるクラックの発生がなく、アーキング(arching)の発生がなく、発熱による基板上における成膜特性の均一化を可能にし、高周波電極112に連結されるロッド121,122の酸化による短絡の発生無しで電気的特性の保持を可能にした。特に、連結マウント140は、冷却を保持するため、既存のシャフトの内部のように高温に露出されず、連結マウント140内に連結ロッド121,122及び連結部材141が位置するので、それらは酸化しにくく、連結マウント140の内部の冷却により酸化及び短絡の発生無しで電気的特性を保持可能にした。また、従来は、シャフトの小径の孔内で高周波電極ロッドを連結する作業が容易でなかったが、本発明では、連結部材141がシャフト120内に位置せず、連結マウント140に備えられるので、連結部材141を通じて連結ロッド121,122を連結する作業を、既存の構造に比べて容易にさせている。
【0031】
本発明において、図2に示すように、1つの高周波電極112に連結される複数の連結ロッド121,122が連結マウント140内で連結部材141により連結される構成を説明したが、これに限定されず、場合によって、高周波電極112は、2つ以上の複数の分離電極(例えば、第1高周波電極及び第2高周波電極を含む2つの分離電極)から構成されてもよい。このとき、前記複数の連結ロッドのそれぞれが前記複数の分離電極にそれぞれ電気的に連結される構成が可能である。ここで、1つの高周波電極112に複数の連結ロッドを連結する前者の場合、連結ロッド121,122を高周波電極112の端子と連結するために絶縁プレート110に形成する貫通孔の大きさを最小化することによって、連結ロッド121,122と絶縁プレート110との熱膨張係数差によるクラックの発生を防止するのに有利な構造となり得る。
【0032】
図2及び図3を参照すると、シャフト120の長手方向の端部に連結マウント140が接続される。連結マウント140は、シャフト120の長手方向の端部に形成された隔離板130を挟んでシャフト120と機構的に結合してよい。シャフト120と隔離板130との接続は、ボルト、ナットなどによる機構的な結合で行われてよい。また、シャフト120に結合した隔離板130と連結マウント140の上部との接続は、ボルト、ナットなどによる機構的な結合で行われてよい。隔離板130を貫通する連結ロッド121,122,210,220のための隔離板130の貫通孔(holes)の周囲は、前記のようなセラミック材質のペーストなどにより隙間なく密封され、連結マウント140の上部は、隔離板130の周囲を取り囲むように締め付けられる。連結マウント140の上部と隔離板130との間も隙間なく前記のようなセラミック材質のペーストなどにより密封される。
【0033】
連結マウント140の下面においても、連結ロッド121,122,210,220,129と温度センサー180が貫通するための貫通孔(holes)の周囲は、隙間なく前記のようなセラミック材質のペーストなどにより密封される。連結マウント140の下面は、図2及び図3に示すように、連結マウント140の胴体の壁面と一体に製作されてもよいが、これに限定されず、別個の下面プレート(plate)が連結マウント140の胴体の壁面とボルト、ナットなどによる機構的な結合でなされ、連結マウント140を密閉された形態にすることも可能である。
【0034】
図4は、本発明の一実施例に係るセラミックサセプター100のシャフト120及び連結マウント140の内部の構造物に関する具体的な構成図である。
【0035】
図4を参照すると、高周波電極112と連結される連結ロッド121,122は、シャフト120の内部でシャフト120の長手方向の端部を通過して連結マウント140に延長される。すなわち、連結ロッド121,122は、シャフト120の長手方向の端部に形成された隔離板130を貫通するように配置される。隔離板130を貫通した連結ロッド121,122は、2本に分離されており、密閉された形態の連結マウント140の内部に配置された連結部材141により連結(短絡)され、連結部材141に連結された引込ロッド129は、連結マウント140の下部を貫通して外に出るように延長される。引込ロッド129は、電源(例えば、接地(ground))に連結されることにより、高周波電極112が高周波電源の一方の電極をなすようにする。
【0036】
図5は、本発明の一実施例に係るセラミックサセプター100の連結部材141を拡大した斜視図(a)及び底面図(b)である。
【0037】
図5を参照すると、連結部材141は、Cu、BeCu又はここにAuコーティングされた金属、Au、Agなどの電気伝導度に優れた金属材質からなってよく、‘T’形状を有する。このような連結部材141は、胴体50の一側に、高周波電極112と連結される連結ロッド121,122を挿入するための孔53,54を含み、反対側に、引込ロッド129を挿入するための孔63を含む。孔53,54,63に挿入される連結ロッド121,122、引込ロッド129の端部をラウンド状に面接触するようにした場合、図示のように、孔53,54,63はラウンド状にしてよいが、場合によって、連結ロッド121,122及び引込ロッド129の端部を四角形などの多角形状に製作し、それに対応する孔53,54,63を当該多角形状にし、電気的接触がなされるようにしてもよい。
【0038】
図5に示すように、連結ロッド121,122は、孔53,54間の余裕間隙により連結部材141の胴体50の一側の孔53,54に容易に挿入され、胴体50の一つ以上のスクリュー孔55,56に結合するスクリューにより連結部材141に堅固に固定されてよい。
【0039】
胴体50から延長された部分61にも一つ以上のスクリュー孔65,66が含まれており、引込ロッド129が孔63に挿入される。胴体50から延長された部分61の後には別途の接続片62が含まれ、胴体50から延長された部分61における孔63の位置に引込ロッド129を配置し、後に接続片62を当てて、引込ロッド129を結合させる。すなわち、スクリュー孔65,66に結合するスクリューにより、胴体50から延長された部分61に接続片62が噛み合いながら、引込ロッド129が連結部材141に堅固に固定されてよい。
【0040】
このように隔離板130を貫通して高周波電極112に連結される連結ロッド121,122は、2本に分離されており、連結マウント140の内部に配置された連結部材141により連結(短絡)され、連結部材141に連結された引込ロッド129は、連結マウント140の下面を貫通して外に出るように延長される。
【0041】
図4において、発熱体114に連結される連結ロッド210,220は、シャフト120の内部を通過して隔離板130を貫通するように配置される。隔離板130を貫通した連結ロッド210,220は、密閉された形態の連結マウント140の下面を貫通して外に出るように延長される。
【0042】
ここで、連結ロッド210,220は2対(211,212/221,222)からなり、各対が、発熱体114の2つのゾーン(zone)のそれぞれに配置された各発熱体に連結される例を示している。したがって、発熱体114がゾーン(zone)の区分無しに配置された単一の発熱体であれば、発熱体114に連結される連結ロッドは、2本のロッドからなる1対の連結ロッドでよい。その他にも、3つ以上のゾーン(zone)に区分された発熱体114では、3対以上の連結ロッドがシャフト120の内部を通過して隔離板130を貫通するように配置されてよく、隔離板130を貫通した連結ロッドは、密閉された形態の連結マウント140の下面を貫通して外に出るように延長されてよい。
【0043】
一方、図4において、本発明に係るセラミックサセプター100は、連結マウント140の内部温度を測定するための温度センサー180(例えば、サーモカップル(thermocouple))をさらに含み、連結マウント140には連結マウント140を冷却させるための冷却構造物190が含まれてよい。
【0044】
冷却構造物190は、空気、水、ガス、冷却油などの冷却媒体の循環のための引込口191及び排出口192を含む。冷却構造物190は、引込口191を通じて連結マウント140に冷却媒体を注入し、排出口192を通じて連結マウント140から冷却媒体を排出させるために、所定のモーターポンプ(図示せず)を含んでよい。
【0045】
また、温度センサー180は、コンピュータなどの制御装置(図示せず)と連結されてよく、制御装置(図示せず)のディスプレイ画面を通じて連結マウント140の内部温度をモニターすることができる。
【0046】
さらに、制御装置(図示せず)は、温度センサー180が測定する温度値に応じて、前記ポンプ(図示せず)の作動を制御してもよい。例えば、制御装置(図示せず)は、温度センサー180の測定する温度値が臨界値(例えば、80℃)以上である場合、引込口191及び排出口192に連結された前記ポンプ(図示せず)を作動させて連結マウント140を冷却させ、温度センサー180の測定する温度値が臨界値(例えば、80℃)よりも小さい場合、前記ポンプ(図示せず)の作動を中止させるように制御してもよい。
【0047】
また、図4に示すように、本発明に係るセラミックサセプター100の連結マウント140内には、連結ロッド121,122,210,220,129を固定するための固定板150をさらに含んでよい。
【0048】
すなわち、引込ロッド129、及び発熱体114に連結され、シャフト120の内部を通過して隔離板130を貫通するように配置された一つ以上のロッド121,122,210,220が、固定板150によりさらに固定されることにより、揺れなどによる短絡の防止など、安全を保持することができる。引込ロッド129、及び発熱体114に連結され、シャフト120の内部を通過して隔離板130を貫通するように配置された一つ以上のロッド121,122,210,220は、固定板150を貫通して連結マウント140の下面を貫通して外に露出される。
【0049】
前述した連結マウント140、隔離板130、固定板150などは、アルミニウム(Al)のような金属材質であってもよく、前述したようなセラミック材質からなってもよい。すなわち、前記セラミック材質は、Al、Y、Al/Y、ZrO、AlC(Autoclaved lightweight concrete)、TiN、AlN、TiC、MgO、CaO、CeO、TiO、B、BN、SiO、SiC、YAG、ムライト、AlFのうち少なくとも一つの物質であってよく、好ましくは窒化アルミニウム(AlN)であってよい。さらに、前記セラミック材質の粉末が成形・焼結されてシャフト120を構成してよく、そのためのそれぞれのセラミック粉末は、選択的に0.1~10%程度、好ましくは約1~5%程度の酸化イットリウム粉末を含んでよい。
【0050】
また、前述した連結ロッド121,122,210,220及び引込ロッド129の内部コアの伝導体はいずれも、前記のようなセラミック材質のチューブにより被覆された形態であってよい。すなわち、シャフト120の内部の連結ロッド121,122,210,220は、前記のようなセラミック材質のチューブにより被覆されている。また、隔離板130を貫通した後、固定板150を貫通して連結マウント140の下面を貫通した露出部分までの連結ロッド210,220、及び固定板150を貫通して連結マウント140の下面を貫通した後の露出部分までの引込ロッド129が、前記のようなセラミック材質のチューブにより被覆された形態であってよい。
【0051】
前述したように、本発明に係るセラミックサセプター100は、高周波電極112と連結されるシャフト120内の複数の連結ロッド121,122を、冷却構造(冷却媒体の循環のための引込口191及び排出口192を含む。)がある密閉された形態の連結マウント140内で連結させることによって、RF電力が増加しても、複数の連結ロッド121,122での電流の分岐により、高周波電極112と高周波電極112に連結されるロッド121,122の周辺でのクラックの発生がなく、アーキング(arching)の発生がなく、発熱による基板上における成膜特性の均一化を可能にし、高周波電極112に連結されるロッド121,122の酸化による短絡の発生無しで電気的特性を保持可能にした。
【0052】
以上、本発明は、具体的な構成要素などのような特定事項、限定された実施例及び図面によって説明されたが、これは、本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものであるだけで、本発明が上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な修正及び変形が可能であるだろう。したがって、本発明の思想は、説明された実施例に限られて定められてはならず、後述する特許請求の範囲の他にもこの特許請求の範囲と均等又は等価的な変形がある技術思想はいずれも、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-05-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電極が配置された絶縁プレート、
一端が前記絶縁プレートに接続され、他端に隔離板を備えるシャフト、
上部が前記シャフトの他端に接続された連結マウント、
前記高周波電極に連結され、前記シャフトの他端の隔離板を通過して前記連結マウント内部に延長される、第1ロッド及び第2ロッド、
前記連結マウント内に配置され、前記連結マウント内に延長される第1のロッドと第2のロッドとを引込ロッドに接続するための連結部材、及び
前記連結マウントを冷却させるための冷却構造物を含み、
前記引込ロッドは前記連結マウントを貫通して外部に延長される、
セラミックサセプター。
【請求項2】
前記高周波電極は、第1高周波電極及び第2高周波電極を含み、
前記第1ロッド及び前記第1高周波電極、前記第2ロッド及び前記第2高周波電極がそれぞれ、電気的に連結されている、請求項1に記載のセラミックサセプター。
【請求項3】
前記連結マウントの内部温度を測定するための温度センサーをさらに含む、請求項1に記載のセラミックサセプター。
【請求項4】
前記連結マウントの上部と前記シャフトの隔離板の間は密封され、
前記連結マウントは、冷却媒体の循環のための引込口及び排出口を含み、
前記引込ロッドが、密閉された前記連結マウントを貫通して外に露出される、請求項1に記載のセラミックサセプター。
【請求項5】
前記引込ロッドを固定する固定板をさらに含み、
前記引込ロッドが、前記固定板を貫通し、前記連結マウントを貫通して外に露出される、請求項4に記載のセラミックサセプター。
【国際調査報告】