IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニムの特許一覧

特表2023-505423ポリヒドロキシアルカン酸を含む中空管セグメントを備えるエアロゾル発生物品
<>
  • 特表-ポリヒドロキシアルカン酸を含む中空管セグメントを備えるエアロゾル発生物品 図1
  • 特表-ポリヒドロキシアルカン酸を含む中空管セグメントを備えるエアロゾル発生物品 図2
  • 特表-ポリヒドロキシアルカン酸を含む中空管セグメントを備えるエアロゾル発生物品 図3
  • 特表-ポリヒドロキシアルカン酸を含む中空管セグメントを備えるエアロゾル発生物品 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-09
(54)【発明の名称】ポリヒドロキシアルカン酸を含む中空管セグメントを備えるエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/14 20060101AFI20230202BHJP
   A24D 3/17 20200101ALI20230202BHJP
   A24D 3/10 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
A24D3/14
A24D3/17
A24D3/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022529018
(86)(22)【出願日】2020-11-26
(85)【翻訳文提出日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 EP2020083556
(87)【国際公開番号】W WO2021110541
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】19386052.5
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ジョルディル イヴ
(72)【発明者】
【氏名】パパキリロー ステファノス
【テーマコード(参考)】
4B045
【Fターム(参考)】
4B045BA02
4B045BA08
4B045BB10
(57)【要約】
加熱に伴って吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品(10、100、310)が提供されており、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体(12、114、312)のロッドと、繊維質の濾過材料を含み、かつロッド(12、114、312)の下流にロッド(12、114、312)と長軸方向に整列して配設された中空管セグメント(14、120、320)とを備え、繊維質の濾過材料は、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)ポリマーまたは共重合体を含む繊維を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱時に吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品であって、前記エアロゾル発生物品が、
エアロゾル発生基体のロッドと、
繊維質の濾過材料を含む中空管セグメントであって、前記ロッドの下流に、前記ロッドと長軸方向に整列して配設されている、中空管セグメントと、を備え、
前記繊維質の濾過材料が、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)ポリマーまたは共重合体を含む繊維を含み、前記中空管セグメントが、少なくとも約25重量パーセントの前記PHAポリマーまたは共重合体を含む、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記繊維質の濾過材料が、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)ポリマーまたは共重合体を含む繊維を少なくとも約85重量パーセント含む、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記繊維質の濾過材料が、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)ポリマーまたは共重合体を含む繊維を少なくとも約90重量パーセント含む、請求項1または請求項2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記繊維質の濾過材料が、セルロースアセテートを含む繊維を少なくとも約5%含む、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記繊維質の濾過材料が、セルロースアセテートを含む繊維を少なくとも約10%含む、請求項4に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)ポリマーまたは共重合体を含む前記繊維が、デンプン、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチラートアジペートテレフタレート(PBAT)、熱可塑性デンプンおよび熱可塑性デンプンブレンド(TPS)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコリド(PGA)、ポリビニルアルコール(PVOH/PVA)、ビスコース、再生セルロース、多糖類、2.1未満の置換度(DS)を有するセルロースアセテート、ポリアミド、タンパク質ベースのバイオポリマー、キトサン-キチン系バイオポリマー、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの生分解性高分子をさらに含む、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記少なくとも一つの生分解性高分子が、PBAT、PCLおよびPBSのうちの一つ以上である、請求項6に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記繊維質の濾過材料が、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート(TEGDA)、エチレンビニルアセテート、ポリビニルアルコール、デンプン、またはそれらの組み合わせから選択される可塑剤を少なくとも約3重量パーセント含む、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)ポリマーまたは共重合体を含む前記繊維のフィラメント当たりデニールが3.2~5である、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)ポリマーまたは共重合体を含む前記繊維が捲縮されている、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記フィルターセグメントのRTDが、約10ミリメートルH2O未満である、請求項1~請求項10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記中空管セグメントが、少なくとも約0.3ミリメートルの壁厚さを有する、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
前記中空管セグメントが、約1.5ミリメートル以下の壁厚さを有する、請求項1~請求項12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項14】
前記中空管セグメントが、少なくとも約4ミリメートルの長さを有する、請求項1~請求項13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項15】
前記中空管セグメントの乾燥半径方向硬度が、少なくとも約90パーセントである、請求項1~請求項14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生物品で使用するための中空管セグメントと、中空管セグメントを備えるエアロゾル発生物品に関する。本発明はさらに、エアロゾル発生装置と、そのようなエアロゾル発生物品を備えるエアロゾル発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
フィルター付き紙巻たばこなどの従来のエアロゾル発生物品は典型的に、紙ラッパーによって包囲されたたばこカットフィラーの円筒状のロッドと、巻かれたたばこロッドとほとんどの場合端と端とが当接する関係で軸方向に整列した円筒状のフィルターとを備える。円筒状のフィルターは典型的に、紙プラグラップによって囲まれたセルロースアセテートトウなどの繊維質の濾過材料の一つ以上のプラグを備える。従来、巻かれたたばこロッドおよびフィルターは、フィルターの長さ全体および巻かれたたばこロッドの隣接部分を囲む、通常は不透明の紙材料から形成されたチッピングラッパーの帯によって結合される。
【0003】
たばこ含有基体などのエアロゾル発生基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品もまた、当業界で周知である。典型的には、こうした物品では、エアロゾルは熱源から物理的に別個のエアロゾル発生基体または材料への熱伝達によって発生される。
【0004】
一例として、エアロゾルが、エアロゾル発生基体の電気加熱によって発生されるエアロゾル発生物品が提案されている。数多くの先行技術文書は、エアロゾル発生物品を消費するためのエアロゾル発生装置を開示している。こうした装置としては、例えばエアロゾル発生装置の一つ以上の電気ヒーター要素から加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体への熱伝達によってエアロゾルが発生される、電気加熱式エアロゾル発生装置が挙げられる。別の例としては、エアロゾルが、可燃性燃料要素または熱源からエアロゾル発生基体への熱の伝達によって発生されるエアロゾル発生物品もまた周知である。可燃性燃料要素または熱源は、エアロゾル発生基体に接触して、エアロゾル発生基体内に、エアロゾル発生基体の周りに、またはエアロゾル発生基体の下流に位置してもよい。
【0005】
そのようなエアロゾル発生物品の使用中、揮発性化合物は、熱伝達によってエアロゾル発生基体から放出され、エアロゾル発生物品を通して引き出された空気中に同伴される。放出された化合物は冷めるにつれて凝縮してエアロゾルを形成する。
【0006】
典型的には、記載されたタイプのエアロゾル発生物品は、セルロースアセテートなどの多孔性濾過材料で形成されたフィルターセグメントを備えるマウスピースを含み得る。一部の周知のエアロゾル発生物品では、エアロゾル発生基体と物品の口側の端との間の場所に、セルロースアセテートなどの濾過材料で形成された中空管状セグメントが提供され、物品に構造的強度を付与する。
【0007】
繊維質の濾過材料で形成された中空管セグメントを備えるいくつかのエアロゾル発生物品も記載されている。一例として、エアロゾル発生基体のロッドに加えて、中空アセテート管の形態の支持要素を備えるエアロゾル発生物品が開示されている。特定の一実施形態において、そのようなエアロゾル発生物品は、直線状の連続的な配設で、エアロゾル発生基体のロッドと、エアロゾル形成基体のすぐ下流に位置する中空アセテート管と、中空アセテート管の下流に位置するエアロゾル冷却要素と、ロッド、中空アセテート管およびエアロゾル冷却要素を囲む外側ラッパーとを備える。
【0008】
さらに、フィルターが繊維質の濾過材料で形成された中空管セグメントを備え、好ましくは、この中空管セグメントが繊維質の濾過材料で形成された別の非中空セグメントと組み合わせられて、軸方向に整列している、従来型のエアロゾル発生物品が提案されている。一例として、中空管セグメントによって内部的に画定された空洞が外部環境に開くように、そのような中空管セグメントがフィルター紙巻たばこの口側の端に配設されている、フィルター紙巻たばこが開示されている。そのような中空管セグメントが、繊維質の濾過材料で形成された非中空セグメント間に配設されたフィルター紙巻たばこも開示されている。中空管セグメントによって内部的に画定され、二つの非中空セグメントによってその端部で区切られた空洞は、吸収材材料または壊れやすい風味剤カプセルなどのエアロゾルを変化させる物質を含有してもよい。
【0009】
エアロゾル発生物品が消費され廃棄された後、濾過材料を含む物品の任意の構成要素はできるだけ迅速に分解することが望ましい。しかし、セルロースアセテートおよび他の多くの一般的に使用される濾過材料は、生分解性が高くない。しかしながら、代替的な分散性または生分解性の材料は、消費者に対して許容可能な濾過効率および喫煙体験を提供することができないことが多い。さらに、多くの周知の分散性および分解性材料は、既存の製造プロセスでの使用に適さないため、それらの使用を商業的に実現可能にするためには、既存の方法および設備の過度に大幅な修正が必要となることになる。
【0010】
さらに、セルロースアセテートは、従来の喫煙物品に使用された場合、主流煙からの水の比較的高いレベルの吸着および捕捉を提供することが見出されている。従って、消費者に送達される主流煙は水分含有量が大幅に減少し、特定の条件下では望ましくないほど「乾燥している」と知覚され得る。これは、全体的な喫煙体験に悪影響を及ぼし得る。
【0011】
このように、セルロースアセテートなどの従来の濾過材料を含む周知の物品と比較して、生分解特性が強化された、新規かつ改善されたエアロゾル発生物品を提供することが望ましいことになる。また、消費者に対して許容可能な喫煙体験を提供する、とりわけ、濾過材料としてセルロースアセテートを含む物品でしばしば見られる「乾燥した」煙の影響を低減する能力を有する、新規かつ改善されたエアロゾル発生物品を提供することが望ましいことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
濾過材料セグメントの引き出し抵抗(RTD)を、物品全体としての許容可能なRTDを達成するために調整することができるような、エアロゾル発生物品を提供することが望ましいであろう。さらに、既存の機器の大きな修正を必要とせずに、自動的かつ高速の製造プロセスで効率的に製造することができるようなエアロゾル発生物品を提供することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示は、加熱に伴い吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品に関する。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドと、繊維質の濾過材料を含む中空管セグメントとを備えてもよい。中空管セグメントは、ロッドと長軸方向に整列して配設されてもよい。繊維質の濾過材料は、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)ポリマーまたは共重合体材料を含む繊維を含んでもよい。
【0014】
さらに、本開示は、エアロゾル発生物品で使用するための中空管セグメントに関する。中空管セグメントは、繊維質の濾過材料で形成されてもよい。繊維質の濾過材料は、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)ポリマーまたは共重合体材料を含む繊維を含んでもよい。
【0015】
加えて、本開示は、エアロゾル発生装置と、エアロゾル発生装置と使用するためのエアロゾル発生物品とを備えるシステムに関する。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドと、繊維質の濾過材料を含む中空管セグメントとを備えてもよい。エアロゾル発生装置において、中空管セグメントは、ロッドと長軸方向に整列して配設されてもよい。繊維質の濾過材料は、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)ポリマーまたは共重合体を含む繊維を含んでもよい。
【0016】
本発明によれば、加熱に伴って吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品が提供されており、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドと、繊維質の濾過材料を含み、かつロッドと長軸方向に整列して配設された中空管セグメントとを備え、繊維質の濾過材料は、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)ポリマーまたは共重合体を含む繊維を含む。
【0017】
「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾル発生基体が加熱されて、エアロゾルを生成して消費者に送達する物品を記述するために、本発明に関して本明細書で使用される。本明細書で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、加熱に伴い揮発性化合物を放出してエアロゾルを発生する能力を有する基体を意味する。
【0018】
従来の紙巻たばこは、ユーザーが紙巻たばこの一方の端に炎を当てて、もう一方の端を通して空気を引き出す時に点火される。炎と紙巻たばこを通して引き出された空気中の酸素によって提供された局在化した熱は、紙巻たばこの端部を点火させて、その結果生じる燃焼は吸入可能な煙を発生する。これに反して、加熱式エアロゾル発生物品において、エアロゾルは、例えば、たばこ由来の基体、またはエアロゾル形成体および風味剤を含有する基体などの風味発生基体を加熱することによって発生する。公知の加熱式エアロゾル発生物品としては、例えば電気加熱式エアロゾル発生物品と、可燃性燃料要素または熱源から、物理的に分離されたエアロゾル形成材料への熱伝達によってエアロゾルが発生するエアロゾル発生物品とが含まれる。
【0019】
本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、エアロゾル発生物品の上流端と下流端の間に延びる、エアロゾル発生物品の主長軸方向軸に対応する方向を指す。本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、使用中にエアロゾル発生物品を通してエアロゾルが搬送される方向に関してエアロゾル発生物品の要素(または要素の部分)の相対的な位置を説明する。
【0020】
簡潔に上述したように、既存のエアロゾル発生物品とは対照的に、本発明による物品は、繊維質の濾過材料を含む中空管セグメントを備え、繊維質の濾過材料は、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)ポリマーまたは共重合体を含む繊維を含む。
【0021】
このように、本発明によるエアロゾル発生物品の中空管セグメントでは、PHAポリマーまたは共重合体が繊維質の濾過材料の少なくとも一部分を占める。これは、繊維質の濾過材料の残りの部分が、PHAポリマーまたは共重合体以外の材料を含んでもよいことを意味する。さらに、これは、例えば、繊維質の濾過材料を囲むプラグラッパー、またはインサート、流量制限器などの非切断性物体、または易破壊性カプセルなどの添加剤送達材料などで、中空管セグメントに沿った位置に提供され得る、中空管セグメントのその他の構成要素は、PHAポリマーまたは共重合体以外の材料を含んでもよいことを意味する。
【0022】
PHAポリマーまたは共重合体(以下、PHA繊維とも呼ぶ)を含有する繊維は、本発明によるエアロゾル発生物品内における、同等の重量のセルロースアセテートなどの他の濾過材料の繊維と比較して親水性が低いため、中空管セグメントは、水/蒸気を吸収する傾向が著しく低いことが見出されている。結果として、それらの実施形態では、中空管セグメントが、従来の喫煙物品のマルチセグメントフィルターの構成要素として使用された時、主流煙中の水のレベルは有利にも、より高いレベルに維持され得る。これは、従来の喫煙物品でよく生じる「乾燥煙」の問題に直接対処し、消費者に改善された喫煙体験を提供する。
【0023】
PHA繊維は、セルロースアセテートなどの他の濾過材料の繊維と比較して、はるかに高いレベルの生分解性を有するため、本発明による物品は全体として生分解性がより高い。同時に、PHA繊維は、天然の発酵プロセスによって得られるため、本発明によるエアロゾル発生物品はまた、製造プロセスに対して持続可能性の改善を提供する。そのうえ、中空管セグメントは、円筒状プラグと比較してより大きな露出表面積を有し、これも生分解にさらに有利であり得る。
【0024】
フィラメント当たりのデニール、総デニール、断面形状などのパラメータを調整することによって、フィルターセグメントのRTDを、任意の所与のフィルター長さまたはフィルター設計に対して望ましい範囲に調整することが可能である。
【0025】
「フィラメント当たりのデニール」(dpf)という用語は、9000メートルの長さを有する単一の繊維またはフィラメントの重量(グラム)に対応する。従って、本発明では、dpfの値は、フィルターセグメント内の個々のPHA繊維の各々の厚さの表示を提供する。フィラメント当たりのデニールはデニールの単位で表され、1デニールは9000メートル当たり1グラムに対応する。
【0026】
濾過材料の「総デニール」は、濾過材料を形成する組み合わせられた繊維9000メートルの総重量(グラム)を定義する。従って、フィルターセグメントの総デニールは、フィラメント当たりのデニールに、フィルターセグメントの繊維の総数を乗じたものに対応する。
【0027】
加えて、中空管セグメントの全体的な重量は有利にも制御することができ、これはまた、中空管セグメントおよびエアロゾル発生物品全体としての生分解に寄与し得る。
【0028】
PHA特性はまた、良好なフィルター硬度にもつながり、これは、硬いプラグラップで中空管セグメントを囲むことによってさらに強化することができる。
【0029】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドを備える。
【0030】
エアロゾル発生基体のロッドは、たばこ材料のランダムに配向させた断片、ストランド、または細片を使用して生産されてもよい。別の方法として、例えば国際特許公開公報第A-2012/164009号に提案されているように、エアロゾル発生基体のロッドは、たばこ材料の一つ以上のシートの集合体から形成されてもよい。均質化したたばこ材料のストランドから形成されていて、粒子状たばこおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含む混合物をキャスト、圧延、カレンダー加工、または押出成形することによって形成され得る、エアロゾル発生物品の代替的なロッドも提案されている。さらに、エアロゾル発生基体のロッドは、粒子状たばこおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含む混合物を押出成形して、均質化したたばこ材料の連続的な長さを形成することによって得られた均質化したたばこ材料のストランドから形成されてもよい。
【0031】
エアロゾル発生基体のロッドは、エアロゾル発生物品の外径にほぼ等しい外径を有することが好ましい。
【0032】
エアロゾル発生基体のロッドは、少なくとも5ミリメートルの外径を有することが好ましい。エアロゾル発生基体のロッドは、約5ミリメートル~約12ミリメートルの外径、例えば約5ミリメートル~約10ミリメートルの外径、または約6ミリメートル~約8ミリメートルの外径を有してもよい。好ましい一実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは7.2ミリメートル±10パーセント以内の外径を有する。
【0033】
エアロゾル発生基体のロッドは、約5ミリメートル~約100mmの長さを有してもよい。エアロゾル発生基体のロッドは、少なくとも約5ミリメートルの長さを有することが好ましく、少なくとも約7ミリメートルの長さを有することがより好ましい。加えて、または代替として、エアロゾル発生基体のロッドは、約80ミリメートル未満の長さを有することが好ましく、約65ミリメートル未満の長さを有することがより好ましく、約50ミリメートル未満の長さを有することがなおより好ましい。特に好ましい実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは、約35ミリメートル未満の長さを有し、25ミリメートル未満の長さを有することがより好ましく、約20ミリメートル未満の長さを有することがなおより好ましい。一実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは、約10ミリメートルの長さを有してもよい。好ましい一実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは、約12ミリメートルの長さを有する。
【0034】
エアロゾル発生基体のロッドは、ロッドの長さに沿って実質的に均一な断面を有することが好ましい。エアロゾル発生基体のロッドは、実質的に円形の断面を有することが特に好ましい。
【0035】
好ましい実施形態において、エアロゾル発生基体は、一つ以上の均質化したたばこ材料のシートの集合体を含む。一つ以上の均質化したたばこ材料のシートは、テクスチャ加工されていることが好ましい。本明細書で使用される「テクスチャ加工されたシート」という用語は、捲縮された、エンボス加工された、デボス加工された、穿孔された、またはその他の方法で変形されたシートを意味する。本発明で使用する均質化したたばこ材料のテクスチャ加工されたシートは、複数の離隔したへこみ、突出部、穿孔、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。本発明の特に好ましい実施形態によれば、エアロゾル発生基体のロッドは、ラッパーによって囲まれた均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含む。
【0036】
本明細書で使用される「捲縮したシート」という用語は、「しわ付けしたシート」という用語と同義語であることが意図され、複数の実質的に平行した隆起または波形のあるシートを意味する。均質化したたばこ材料の捲縮したシートは、実質的に本発明によるロッドの円筒軸に平行な複数の隆起または波形を有することが好ましい。これは有利なことに、ロッドを形成するための均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合を容易にする。しかし、当然のことながら、本発明で使用する均質化したたばこ材料の捲縮したシートは別の方法として、または追加的に、ロッドの円筒軸に対して鋭角または鈍角で配置された複数の実質的に平行な隆起または波形を有する。ある特定の実施形態において、本発明の物品のロッドで使用する均質化したたばこ材料のシートは、実質的にその表面全体にわたって実質的に均等にテクスチャ加工されてもよい。例えば、本発明によるエアロゾル発生物品で使用するロッドの製造に使用する均質化したたばこ材料の捲縮したシートは、シートの幅にわたって実質的に均一に離隔した複数の実質的に平行な隆起または波形を含んでもよい。
【0037】
本発明で使用する均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、乾燥重量基準で少なくとも約40重量パーセントのたばこ含有量を有してもよく、乾燥重量基準で少なくとも約60重量パーセントのたばこ含有量を有することがより好ましく、乾燥基準で少なくとも約70重量パーセントのたばこ含有量を有することがより好ましく、乾燥重量基準で少なくとも約90重量パーセントのたばこ含有量を有することが最も好ましい。
【0038】
エアロゾル発生基体で使用する均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、粒子状たばこを凝集するのを補助するために、一つ以上の内在性結合剤(すなわち、たばこ内因性結合剤)、一つ以上の外来性結合剤(すなわち、たばこ外因性結合剤)、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生基体で使用する均質化したたばこ材料のシートは、たばこ繊維および非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、水性および非水性の溶媒、ならびにこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない他の添加物を含んでもよい。
【0039】
エアロゾル発生基体で使用する均質化したたばこ材料のシートまたはウェブに含める適切な外因性結合剤は当業界で周知であり、ガム(例えばグアーガム、キサンタンガム、アラビアゴム、およびローカストビーンガムなど)、セルロース系結合剤(例えばヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、およびエチルセルロースなど)、多糖類(例えばデンプン、有機酸(アルギン酸など)、有機酸の共役塩基塩(アルギン酸ナトリウムなど)、寒天、ペクチンなど)、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0040】
エアロゾル発生基体で使用する均質化したたばこ材料のシートまたはウェブに含めるための適切な非たばこ繊維は当業界で既知であり、セルロース繊維、針葉樹繊維、広葉樹繊維、ジュート繊維、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。エアロゾル発生基体で使用する均質化したたばこ材料のシートに含める前に、非たばこ繊維は、当業界で周知の適切なプロセスによって処理されてもよく、プロセスには機械パルプ化、精製、化学パルプ化、漂白、硫酸塩パルプ化、およびこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
加熱式エアロゾル発生物品用の基体は典型的に、「エアロゾル形成体」、すなわち使用時にエアロゾルの形成を容易にし、かつ好ましくはエアロゾル発生物品の使用温度で熱分解に対して実質的に耐性がある化合物または化合物の混合物を含む。適切なエアロゾル形成体の例には、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられる。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、最も好ましくはグリセリンなど)である。
【0042】
エアロゾル発生基体は、好ましくは少なくとも約10重量パーセントのエアロゾル形成体、より好ましくは少なくとも約12重量パーセントのエアロゾル形成体、より好ましくは少なくとも約15重量パーセントのエアロゾル形成体を含む。別の方法としてまたは追加的に、エアロゾル発生基体は、好ましくは30重量パーセント以下のエアロゾル形成体、より好ましくは約25重量パーセント以下のエアロゾル形成体、より好ましくは約20重量パーセント以下のエアロゾル形成体を含む。例えば、エアロゾル発生基体は、約10重量パーセント~約30重量パーセントのエアロゾル形成体、または約12重量パーセント~約25重量パーセントのエアロゾル形成体、または約15重量パーセント~約20重量パーセントのエアロゾル形成体を含んでもよい。特に好ましい実施形態では、エアロゾル発生基体は、およそ18重量パーセントのエアロゾル形成体を含む。
【0043】
本発明によるエアロゾル発生物品において、フィルターセグメントは、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)ポリマーまたは共重合体を含む繊維を含む繊維質の濾過材料で形成されている。繊維質の濾過材料は、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)ポリマーまたは共重合体を含む繊維を少なくとも約85重量パーセント含むことが好ましい。
【0044】
PHAは、3-、4-、5-、および6-ヒドロキシアルカン酸のポリヒドロキシエステルのファミリーであり、過剰な炭素が存在する栄養制限条件下で、様々な細菌種によって産生され、細菌細胞中の個別の細胞質内封入体として見出される。生体適合性が優れているため、PHAは、薬物送達システムおよび組織工学の足場を含む、幅広い生物医学用途での使用に対して提案されてきた。
【0045】
PHA分子は、典型的には、600~35,000(R)-ヒドロキシ脂肪酸単量体単位からなる。PHA単量体内の炭素原子の総数に応じて、PHAは、短鎖長PHA(scl-PHA;3~5個の炭素原子)、中鎖長PHA(mcl-PHA;6~14個の炭素原子)、または長鎖長PHA(lcl-PHA;15個以上の炭素原子)のいずれかに分類することができる。
【0046】
第一の最も広く認められるPHAは、ポリ(β-ヒドロキシ酪酸)(PHB)である。PHAファミリーの次のメンバーは、ペンダントエチル基を有する、ポリ(3-ヒドロキシ吉草酸)またはPHVである。PHBのメチル基の代わりにエチル基(HV単位)を有することは、PHVにPHBよりも大きな柔軟性およびより低い結晶化度を与える。
【0047】
本発明によるエアロゾル発生物品において、中空管セグメントは、少なくとも約25重量パーセントのPHAポリマーまたは共重合体を含むことが好ましい。中空管セグメントは、少なくとも約50重量パーセントのPHAポリマーまたは共重合体を含むことがより好ましい。中空管セグメントは、少なくとも約60重量パーセントのPHAポリマーまたは共重合体を含むことがなおより好ましい。特に好ましい実施形態において、中空管セグメントは、少なくとも約70重量パーセントのPHAポリマーもしくは共重合体、または少なくとも約80重量パーセントのPHAポリマーもしくは共重合体を含む。一部の非常に好ましい実施形態において、中空管セグメントは、少なくとも約85重量パーセントのPHAポリマーまたは共重合体を含む。PHAポリマーまたは共重合体は、ポリヒドロキシプロピオン酸、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシヘキサン酸、およびポリヒドロキシオクタン酸のうちの一つ以上であることがより好ましい。特に好ましい実施形態では、PHA化合物はポリ(3-ヒドロキシ酪酸)である。
【0048】
中空管セグメントは、少なくとも約90重量パーセントのPHAポリマーまたは共重合体を含むことがなおより好ましい。理論に拘束されることを望むものではないが、中空管セグメントのより高いPHA含有量は、中空管セグメントおよびエアロゾル発生物品全体の生分解性の改善と一般的に関連付けられていることが理解される。
【0049】
繊維質の濾過材料は、少なくとも約91パーセントの重量のPHAポリマーもしくは共重合体、または少なくとも約92重量パーセントのPHAポリマーもしくは共重合体、または少なくとも約93重量パーセントのPHAポリマーもしくは共重合体、または少なくとも約94重量パーセントのPHAポリマーもしくは共重合体を含むことがより好ましい。一部の特に好ましい実施形態では、繊維質の濾過材料は、少なくとも約95重量パーセントのPHAポリマーまたは共重合体を含む。
【0050】
PHAフィルターセグメント内の繊維の残りの部分は、任意の適切な材料を含んでもよい。適切な繊維質材料は、当業者には周知であり、ポリ乳酸(PLA)およびセルロースアセテートを含むが、これらに限定されない。
【0051】
一部の実施例において、中空管セグメントの繊維質の濾過材料は、いくらかのセルロースアセテートを含んでもよい。理論に拘束されることを望むものではないが、中空管セグメント中の一定量のセルロースアセテートは、中空管セグメントの製造を容易にし得るのみならず、中空管セグメントに望ましい濾過特性および機械的特性を付与し得ることが理解される。
【0052】
特定の実施形態において、中空管セグメントの繊維質の濾過材料は、少なくとも約5重量パーセントのセルロースアセテートを含む。一例として、繊維質の濾過材料は、少なくとも約6重量パーセントのセルロースアセテート、または少なくとも約7重量パーセントのセルロースアセテート、または少なくとも約8重量パーセントのセルロースアセテート、または少なくとも約9重量パーセントのセルロースアセテートを含んでもよい。一部の実施形態において、繊維質の濾過材料は、少なくとも約10重量パーセントのセルロースアセテートを含む。
【0053】
本発明によるエアロゾル発生物品において、繊維質の濾過材料は、約15重量パーセント未満のセルロースアセテートを含むことが好ましい。
【0054】
一部の実施形態では、中空管セグメントの繊維質の濾過材料は、約5パーセント未満の重量のセルロースアセテート、好ましくは3重量パーセント未満のセルロースアセテート、より好ましくは1重量パーセント未満のセルロースアセテート、なおより好ましくは0.1重量パーセント未満のセルロースアセテートを含む。これは、中空管セグメントおよびエアロゾル発生物品全体の生分解性の強化にさらに都合よく寄与し得る。
【0055】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の全重量に関して測定された約10重量パーセント以下のセルロースアセテートを含むことが好ましい。本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の全重量に関して測定された約7重量パーセント以下のセルロースアセテートを含むことがより好ましい。本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の全重量に関して測定された約5重量パーセント以下のセルロースアセテートを含むことがなおより好ましい。これは、有利なことに、中空管セグメントのセルロースアセテート含有量が低いかまたはゼロであるだけでなく、繊維質の濾過材料を含有する物品の任意の他の構成要素がセルロースアセテートをほとんどまたは全く含有しないことを示す。このように低いセルロースアセテート含有量を有する本発明によるエアロゾル発生物品の実施形態は、特に好ましい生分解性特性を示す。
【0056】
一部の好ましい実施形態において、本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の全重量に関して測定された約3重量パーセント以下のセルロースアセテートを含む。本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の全重量に関して測定された約2重量パーセント以下のセルロースアセテートを含むことがより好ましい。本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生物品の全重量に関して測定された約1重量パーセント以下のセルロースアセテートを含むことがなおより好ましい。
【0057】
一部の非常に好ましい実施形態において、本発明によるエアロゾル発生物品は、セルロースアセテートを実質的に含まない。
【0058】
一部の実施形態において、繊維質の濾過材料は、デンプン、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチラートアジペートテレフタレート(PBAT)、熱可塑性デンプンおよび熱可塑性デンプンブレンド(TPS)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリグリコリド(PGA)、ポリビニルアルコール(PVOH/PVA)、ビスコース、再生セルロース、多糖類、2.1未満の置換度(DS)を有するセルロースアセテート、ポリアミド、タンパク質ベースのバイオポリマー、キトサン-キチン系バイオポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも一つの生分解性高分子をさらに含む。
【0059】
発明者らは、それからフィルターセグメントの繊維性材料が形成されるブレンドにこれらの成分のうちの一つ以上を含めることが、フィルターセグメントおよびエアロゾル発生物品全体としての生分解性の強化にさらに寄与することを発見した。
【0060】
加えて、既存の技術および装置を使用してPHA含有フィラメントまたは繊維を製造することは技術的に困難であることが以前に見出されてきたが、発明者らは驚くべきことに、PHAが上述のようにブレンドで組み合わされた時は、これが紡糸技術によってフィラメントを形成することをより容易にするため、高いレベルのPHAを組み込んだフィラメントまたは繊維を製造することが可能であることを発見した。
【0061】
一部の実施形態では、繊維質の濾過材料は、少なくとも約5重量パーセントのそのような追加的な生分解性高分子を含む。好ましい実施形態では、繊維質の濾過材料は、少なくとも約10重量パーセントのそのような追加的な生分解性高分子を含む。繊維質の濾過材料は、少なくとも約11重量パーセント、または少なくとも12重量パーセント、または少なくとも13重量パーセント、または少なくとも14重量パーセントの追加的生分解性高分子を含むことがより好ましい。繊維質の濾過材料は、少なくとも約15重量パーセントのそのような追加的な生分解性高分子を含むことがなおより好ましい。
【0062】
特に好ましい実施形態では、少なくとも一つの生分解性高分子は、PBAT、PCLおよびPBSのうちの一つ以上である。理論に拘束されることを望むものではないが、発明者らは、これらの選択された生分解性高分子のうちの一つ以上の使用が、ポリマー混合物の機械的特性、熱的特性、および形態学的特性の改善に寄与することを発見した。特に、PBATとPBSを組み合わせて使用することは、特に引張強度および伸長に関して、特にバランスのとれた機械的特性を提供することが判明している。
【0063】
一部の実施例において、繊維質の濾過材料は、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート(TEGDA)、エチレンビニルアセテート、ポリビニルアルコール、デンプン、またはそれらの組み合わせから選択される可塑剤を少なくとも約3重量パーセント含む。
【0064】
一部の実施例において、繊維質の濾過材料はさらに水性接着剤も含む。これは、中空管セグメントの構造を構造的に補強する効果を有する。一例として、デンプン接着剤、メチルセルロース、またはポリビニルアセテートなどの化合物を、この目的に使用してもよい。
【0065】
中空管セグメントの繊維質の濾過材料は、PHAポリマーまたは共重合体を含み、かつフィラメント当たり少なくとも約1デニールを有する複数の繊維を含むことが好ましい。中空管セグメントの繊維質の濾過材料は、PHAポリマーまたは共重合体を含み、かつフィラメント当たり少なくとも約2デニールを有する複数の繊維を含むことがより好ましい。中空管セグメントの繊維質の濾過材料は、PHAポリマーまたは共重合体を含み、かつフィラメント当たり少なくとも約3.2デニールを有する複数の繊維を含むことがなおより好ましい。
【0066】
好ましい実施形態において、中空管セグメントの繊維質の濾過材料は、PHAポリマーまたは共重合体を含み、かつフィラメント当たり約10デニール以下を有する複数の繊維を含む。中空管セグメントの繊維質の濾過材料は、PHAポリマーまたは共重合体を含み、かつフィラメント当たり約7.5デニール以下を有する複数の繊維を含むことがより好ましい。中空管セグメントの繊維質の濾過材料は、PHAポリマーまたは共重合体を含み、かつフィラメント当たり約5デニール以下を有する複数の繊維を含むことがなおより好ましい。
【0067】
一部の実施形態において、中空管セグメントの繊維質の濾過材料は、PHAポリマーまたは共重合体を含み、かつフィラメント当たり約1~約10以下、より好ましくは約2~約10、なおより好ましくは約3.2~約10デニールを有する複数の繊維を含む。他の実施形態において、中空管セグメントの繊維質の濾過材料は、PHAポリマーまたは共重合体を含み、かつフィラメント当たり約1~約7.5以下、より好ましくは約2~約7.5、なおより好ましくは約3.2~約7.5デニールを有する複数の繊維を含む。さらなる実施形態において、中空管セグメントの繊維質の濾過材料は、PHAポリマーまたは共重合体を含み、かつフィラメント当たり約1~約5以下、より好ましくは約2~約5、なおより好ましくは約3.2~約5デニールを有する複数の繊維を含む。
【0068】
理論に拘束されることを望むものではないが、発明者らは、中空管セグメントが1.5~3.2の比較的低いdpfを有するPHA繊維で形成される時、中空管セグメントは特に低いRTDを呈することを見出し、これは特定のエアロゾル発生物品の設計のために望ましい可能性がある。そのような低い範囲のdpfはまた、有利なことに、中空管セグメントの全重量を減少させ、これはエアロゾル発生物品の生分解性をさらに著しく改善する。
【0069】
フィルターセグメントのPHAポリマーまたは共重合体を含む繊維は、捲縮されることが好ましい。
【0070】
PHA繊維の横断面形状は、例えば、中空管セグメント内の繊維の外部表面積を制御するために変化してもよい。PHA繊維の外部表面積を制御することによって、中空管セグメントを通過する際にエアロゾルに曝露されるPHA繊維の総表面積も制御され得る。これが次に、例えば、従来の可燃性喫煙物品の繊維によって吸収される水の量など、PHA繊維の濾過特性をある程度制御することになる。
【0071】
一部の実施形態では、PHA繊維は、実質的に丸い断面を有する。こうした実施形態では、中空管セグメント内のPHA繊維の総外部表面積は、約0.15平方メートル/グラム~約0.30平方メートル/グラムであることが好ましい。
【0072】
代替的な実施形態では、PHA繊維は、Y字形状の断面を有する。こうした実施形態では、中空管セグメント内のPHA繊維の総外部表面は、約0.15平方メートル/グラム~約0.55平方メートル/グラムであることが好ましい。中空管セグメント内のPHA繊維の総外部表面は、より好ましくは約0.2平方メートル/グラム~約0.5平方メートル/グラム、なおより好ましくは約0.25平方メートル/グラム~約0.45平方メートル/グラムである。
【0073】
一部の実施形態では、中空管セグメントは、主流煙中の特定の成分を低減するための一つ以上の添加剤を含んでもよい。一例として、フィルターセグメントは、フェノールおよびフェノール誘導体の低減のための添加剤を含むことが好ましい。 〔...〕
【0074】
主流煙からのフェノール化合物の減少のためのPEGなどの添加剤とのPHAの組み合わせは、特に有効であることが見出されている。PHA繊維は一般的に、望ましくない煙成分に対して良好な濾過効率を提供するが、フェノール化合物の除去にはあまり有効ではない。主流煙中のフェノール化合物のレベルを特異的に低減する化合物を組み込むことによって、特に上述のような中空管セグメントが、フィルター紙巻たばこなどの可燃性喫煙物品の複数の構成要素フィルターの構成要素として使用される場合、本発明によるエアロゾル発生物品の中空管セグメントの濾過能力をさらに最適化することが可能である。これにより次に、消費者に送達されるエアロゾルの知覚特性が改善される。
【0075】
特に好ましい実施形態において、中空管セグメントは、濾過材料の総重量に基づいて、少なくとも約5重量パーセントのポリエチレングリコールをさらに含む。中空管セグメントは、濾過材料の総重量に基づいて、10重量パーセント以下のポリエチレングリコールを含むことが好ましい。
【0076】
上述のように、PHA繊維は、水に対するPHA繊維の親和性がより低いため、同等量のセルロースアセテート繊維よりも、主流煙から吸収する水がより少ないことが見出された。以下の実施例で示されるように、PHAフィルターセグメントによって吸収される水の量は、同等の重量のセルロースアセテート繊維で形成された比較フィルターセグメントによって吸収される水の量よりも著しく低い。
【0077】
例えば、液体状の水に曝露された場合、本発明のエアロゾル発生物品の中空管セグメントは、セルロースアセテート繊維から形成された同等の中空管セグメントによって同じ条件下で吸収される水の量の半分未満しか吸収しないことが好ましい。
【0078】
セルロースアセテートと比較した、本発明の中空管セグメントのPHA繊維による水の吸収の減少は、使用中にエアロゾル発生物品から送達される主流煙中に、より高いレベルの水をもたらす。
【0079】
例えば、ISO条件下でのPHA繊維を用いた本発明によるフィルターを備える可燃性喫煙物品の喫煙中に収集される主流煙中の水の量は、同じ条件下でのセルロースアセテートトウのフィルターセグメントを有する同等の可燃性喫煙物品の喫煙中に収集される主流煙中の水の量よりも少なくとも10パーセント高く、好ましくは少なくとも15パーセント高かった。
【0080】
従って、PHA中空管セグメントを含むフィルターを備えるエアロゾル発生物品は、より高い水分レベルを有する主流煙を送達することができ、これは消費者に知覚的により満足される。特に、従来のセルロースアセテートフィルターを用いたエアロゾル発生物品の喫煙中に経験され得る「乾燥煙」の影響を、有利なことに低減することができる。
【0081】
フィルターセグメントのPHAポリマーまたは共重合体を含む繊維は、溶融紡糸、ゲル紡糸、および電界紡糸を含むいくつかの技術のうちの一つによって製造されてもよい。本発明によるエアロゾル発生物品のフィルターセグメントのPHAポリマーまたは共重合体を含む繊維は、融解紡糸によって製造されることが好ましい。融解紡糸は、溶液紡糸とは対照的に、溶媒を回収または蒸発させる必要がないため、最も経済的な紡糸プロセスとしばしばみなされる。さらに、融解紡糸による紡糸速度は一般的にかなり高く、これは全体的な生産性および製造効率の点で有利である。
【0082】
本プロセスでは、ポリマーまたはポリマーブレンドの粘性溶融物が、いくつかの穴を含む紡糸口金を通してチャンバー内に押出され、ここで冷気またはガスの突風が、紡糸口金から発するフィラメントの表面に向けられる。空気がフィラメントに当たると、フィラメントは凝固し、テークアップホイールなどの上に集められる。融解紡糸プロセスは、画定されたフィラメント断面形状によって有利なことに特徴付けられ、非常に様々な細かさおよびフィラメント数を与える。紡糸口金の開口数を増やすことにより、高い紡糸能力を達成することができ、これは他の紡糸プロセスでは匹敵させることが困難である。
【0083】
本発明によるエアロゾル発生物品において、中空管セグメントは、エアロゾル発生物品の全体的なRTDに実質的に寄与しないことが好ましい。
【0084】
このように、本発明によるエアロゾル発生物品では、中空管セグメントの全体的な体積のかなりの割合が実質的に空であり、そのため中空管セグメントは全体的なRTDにわずかに寄与するのみであるため、物品の全体的なRTDは、ロッドのRTDに本質的に依存することが好ましく、マウスピースまたはフィルターセグメントなどの任意選択の追加的構成要素のRTDにさらに依存してもよい。
【0085】
実際には、中空管セグメントは、およそ0ミリメートルH2O(約00Pa)~およそ20ミリメートルH2O(約200Pa)の範囲のRTDを発生させるように適合され得る。中空管セグメントは、およそ0ミリメートルH2O(約00Pa)~およそ10ミリメートルH2O(約100Pa)のRTDを発生させるように適合されていることが好ましい。
【0086】
エアロゾル発生物品は、約90ミリメートルH2O(約900Pa)未満の全体的なRTDを有することが好ましい。エアロゾル発生物品は、約80ミリメートルH2O(約800Pa)未満の全体的なRTDを有することがより好ましい。エアロゾル発生物品は、約70ミリメートルH2O(約700Pa)未満の全体的なRTDを有することがなおより好ましい。
【0087】
エアロゾル発生物品は、少なくとも約30ミリメートルH2O(約300Pa)の全体的なRTDを有することが好ましい。エアロゾル発生物品は、少なくとも約40ミリメートルH2O(約400Pa)の全体的なRTDを有することがより好ましい。エアロゾル発生物品は、少なくとも約50ミリメートルH2O(約500Pa)の全体的なRTDを有することがなおより好ましい。
【0088】
一部の実施形態において、エアロゾル発生物品は、約30ミリメートルH2O(約300Pa)~約90ミリメートルH2O(約900Pa)、好ましくは約40ミリメートルH2O(約400Pa)~約90ミリメートルH2O(約900Pa)、より好ましくは約50ミリメートルH2O(約500Pa)~約90ミリメートルH2O(約900Pa)の全体的なRTDを有する。他の実施形態において、エアロゾル発生物品は、約30ミリメートルH2O(約300Pa)~約80ミリメートルH2O(約800Pa)、好ましくは約40ミリメートルH2O(約400Pa)~約80ミリメートルH2O(約800Pa)、より好ましくは約50ミリメートルH2O(約500Pa)~約80ミリメートルH2O(約800Pa)の全体的なRTDを有する。さらなる実施形態において、エアロゾル発生物品は、約30ミリメートルH2O(約300Pa)~約70ミリメートルH2O(約700Pa)、好ましくは約40ミリメートルH2O(約400Pa)~約70ミリメートルH2O(約700Pa)、より好ましくは約50ミリメートルH2O(約500Pa)~約70ミリメートルH2O(約700Pa)の全体的なRTDを有する。
【0089】
エアロゾル発生物品のRTDは、ISO3402で定義された通りの試験条件下で、物品を通して安定した空気の体積流量17.5ml/sを維持するために、物品の下流端に印加される必要がある陰圧として評価されてもよい。上記に列挙したRTDの値は、エアロゾル発生物品上でそれ自体に対して(すなわち、物品をエアロゾル発生装置の中に挿入することなく)、また物品に通気ゾーンが提供されている場合は、通気ゾーンのどの穿孔も遮断することなく、測定されることが意図されている。
【0090】
他の実施形態において、エアロゾル発生物品は、少なくとも約150ミリメートルH2O(約1500Pa)、好ましくは少なくとも約200ミリメートルH2O(約2000Pa)、より好ましくは少なくとも約250ミリメートルH2O(約2500Pa)の全体的なRTDを有する。
【0091】
本発明によるPHA繊維を含む中空管セグメントは、RTDに良好な安定性を提供することが追加的に見出されており、これは、RTDの高い変動性を有利にも回避できることを意味する。例えば、本発明によるエアロゾル発生物品の20のサンプル内で、典型的には、2パーセント~10パーセント、より好ましくは2パーセント~5パーセントの標的RTDからの標準偏差があるであろう。
【0092】
中空管セグメントは、少なくとも約0.3ミリメートルの壁厚さを有することが好ましい。中空管セグメントは、少なくとも約0.4ミリメートルの壁厚さを有することがより好ましい。中空管セグメントは、少なくとも約0.5ミリメートルの壁厚さを有することが、なおより好ましい。
【0093】
中空管セグメントは、約1.9ミリメートル以下の壁厚さを有することが好ましい。中空管セグメントは、約1.5ミリメートル以下の壁厚さを有することがより好ましい。中空管セグメントは、約1.2ミリメートル以下の壁厚さを有することがなおより好ましい。中空管セグメントは、約0.9ミリメートル以下の壁厚さを有することが特に好ましい。
【0094】
特定の実施形態では、中空管セグメントは、約0.3ミリメートル~約1.9ミリメートル、好ましくは約0.4ミリメートル~約1.9ミリメートル、より好ましくは約0.5ミリメートル~約1.9ミリメートルの壁厚さを有する。一部の実施形態では、中空管セグメントは、約0.3ミリメートル~約1.5ミリメートル、好ましくは約0.4ミリメートル~約1.5ミリメートル、より好ましくは約0.5ミリメートル~約1.5ミリメートルの壁厚さを有する。他の実施形態では、中空管セグメントは、約0.3ミリメートル~約1.2ミリメートル、好ましくは約0.4ミリメートル~約1.2ミリメートル、より好ましくは約0.5ミリメートル~約1.2ミリメートルの壁厚さを有する。さらなる実施形態では、中空管セグメントは、約0.3ミリメートル~約0.9ミリメートル、好ましくは約0.4ミリメートル~約0.9ミリメートル、より好ましくは約0.5ミリメートル~約0.9ミリメートルの壁厚さを有する。特に好ましい例示的な実施形態では、中空管セグメントは、約0.6ミリメートルの壁厚さを有する。
【0095】
一部の実施形態では、中空管セグメントは、典型的には、少なくとも約4ミリメートルの長さを有してもよい。中空管セグメントの長さは、少なくとも約5ミリメートルであることが好ましい。中空管セグメントの長さは、少なくとも約7ミリメートルであることがより好ましい。中空管セグメントの長さは、少なくとも約10ミリメートルであることが、なおより好ましい。
【0096】
特定の実施形態では、中空管セグメントの長さは、約35ミリメートル以下である。中空管セグメントの長さは、約25ミリメートル以下であることが好ましい。中空管セグメントの長さは、約20ミリメートル以下であることがより好ましい。中空管セグメントの長さは、約15ミリメートル以下であることがなおより好ましい。
【0097】
好ましい実施形態において、中空管セグメントの長さは、約4ミリメートル~約35ミリメートルである。中空管セグメントの長さは、約5ミリメートル~約35ミリメートルであることが好ましい。中空管セグメントの長さは、約7ミリメートル~約35ミリメートルであることがより好ましい。中空管セグメントの長さは、約10ミリメートル~約35ミリメートルであることがなおより好ましい。
【0098】
他の特定の実施形態において、中空管セグメントの長さは、約4ミリメートル~約25ミリメートルである。中空管セグメントの長さは、約5ミリメートル~約25ミリメートルであることが好ましい。中空管セグメントの長さは、約7ミリメートル~約25ミリメートルであることがより好ましい。中空管セグメントの長さは、約10ミリメートル~約25ミリメートルであることがなおより好ましい。
【0099】
他の実施形態において、中空管セグメントの長さは、約4ミリメートル~約20ミリメートルである。中空管セグメントの長さは、約5ミリメートル~約20ミリメートルであることが好ましい。中空管セグメントの長さは、約7ミリメートル~約20ミリメートルであることがより好ましい。中空管セグメントの長さは、約10ミリメートル~約20ミリメートルであることがなおより好ましい。
【0100】
さらなる実施形態において、中空管セグメントの長さは、約4ミリメートル~約15ミリメートルである。中空管セグメントの長さは、約5ミリメートル~約15ミリメートルであることが好ましい。中空管セグメントの長さは、約7ミリメートル~約15ミリメートルであることがより好ましい。中空管セグメントの長さは、約10ミリメートル~約15ミリメートルであることがなおより好ましい。
【0101】
本発明によるエアロゾル発生物品では、中空管セグメントは、少なくとも約80パーセント、より好ましくは少なくとも約85パーセント、なおより好ましくは少なくとも約90パーセントの平均半径方向硬度を有することが好ましい。従って、中空管セグメントは、エアロゾル発生物品に望ましいレベルの硬度を提供することができ、これは従来のセルロースアセテート中空管セグメントによって提供されるものと同等であるる。
【0102】
必要に応じて、本発明によるエアロゾル発生物品の中空管セグメントの半径方向硬度は、例えば、少なくとも約80グラム/平方メートル(gsm)、または少なくとも約100gsm、または少なくとも約110gsmの坪量を有するプラグラップなどの硬いプラグラップで中空管セグメントを囲むことによって、さらに増加させ得る。
【0103】
本明細書で使用される「半径方向硬度」という用語は、中空管セグメントの長軸方向軸を横断する方向の圧縮に対する抵抗を指す。中空管セグメントの周りのエアロゾル発生物品の半径方向硬度は、中空管セグメントの位置で、物品の長軸方向軸に対して横断方向に物品を横切って負荷をかけ、物品の押し下げられた直径の平均(平均値)を測定することによって決定され得る。半径方向硬度は以下によって与えられる。
【0104】
【数1】
【0105】
式中、DSは元の(押し下げられていない)直径であり、Ddは設定継続時間にわたり設定された負荷をかけた後の押し下げられた直径である。材料が硬いほど硬度は100%に近づく。
【0106】
エアロゾル物品の一部分(中空管セグメントなど)の硬度を決定するには、エアロゾル発生物品を平面内で平行に整列させるべきであり、試験される各エアロゾル発生物品の同一の部分は、設定継続時間の間、設定された負荷を受けるべきである。この試験は、周知のDD60A Densimeter装置(Heinr. Borgwaldt GmbH(ドイツ)が製造・市販)を使用して実施され、これは紙巻たばこなどのエアロゾル発生物品用の測定ヘッドが装着されていて、またエアロゾル発生物品容器付きである。
【0107】
一度にすべてのエアロゾル発生物品の直径を横切って延びる、二つの負荷印加円筒状ロッドを使用して負荷がかけられる。この機器のための標準的な試験方法によって、エアロゾル発生物品と負荷印加円筒状ロッドとの間に20か所の接触点が生じるように試験が実施されるべきである。一部の場合において、試験される中空管セグメントは、各々の喫煙物品が両方の負荷印加ロッドに接触する20か所の接触点を形成するためにエアロゾル発生物品10本のみが必要となるように、十分に長くてもよい(これらが両方のロッド間に延びるだけ十分長いため)。その他の場合において、これを達成するには中空管セグメントが過度に短い場合、以下にさらに考察する通り、20か所の接触点を形成するためにエアロゾル発生物品20本を使用するべきであり、各々のエアロゾル発生物品は負荷印加ロッドのうちの一つのみに接触する。
【0108】
エアロゾル発生物品を支持し、かつ負荷印加円筒状ロッドの各々によってかけられる負荷に対抗するために、2本のさらなる固定された円筒状ロッドがエアロゾル発生物品の下に位置する。
【0109】
このような装置のための標準作業手順については、2kgの全体的な負荷が20秒間かけられる。20秒が経過した後(かつまだ負荷が喫煙物品にかけられている状態)、負荷印加円筒状ロッドにおける押し下げが判定され、次いで上記の方程式から硬度を算出するために使用される。温度は摂氏22度±2度の領域内に保たれる。上述の試験は、DD60A試験と呼ばれる。フィルター硬度を測定する標準的な方法は、エアロゾル発生物品がまだ消費されていない時である。平均半径方向硬度の測定に関する追加情報は、例えば米国公開特許出願公報第2016/0128378号に見いだすことができる。
【0110】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドと共に、かつ同じラッパーの中空管セグメントと共に組み立てられ得る、一つ以上のさらなる構成要素を含んでもよい。
【0111】
こうした追加的な要素の例には、マウスピース濾過セグメント、マウスピースに到達する前のエアロゾルの冷却に有利に働くように適合された冷却要素などが含まれる。
【0112】
一例として、マウスピースは、濾過材料のプラグである、フィルターセグメントを含んでもよい。マウスピースは、特に、繊維質の濾過材料のプラグを含んでもよい。適切な濾過材料は当業界で周知であり、例えば、セルロースアセテートトウなどの繊維質の濾過材料、ビスコース繊維、ポリ乳酸(PLA)繊維および紙、例えば活性アルミナ、ゼオライト、分子ふるいおよびシリカゲルなどの吸着剤、ならびにそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0113】
一部の好ましい実施形態では、マウスピースを形成するために使用される繊維質の濾過材料は、本発明の中空管セグメントについて上述したPHA含有ポリマーまたは共重合体を含有する同じ繊維質の濾過材料であってもよい。これは、生分解性および吸収特性の点から、PHA含有ポリマーまたは共重合体を含む繊維質の濾過材料に関連付けられた望ましい効果は、マウスピースプラグにも延びるため、特に有利であり得る。そのため、特に有利な特性を有するエアロゾル発生物品が提供され得る。
【0114】
加えて、マウスピースのフィルターセグメントは、一つ以上のエアロゾル修飾剤をさらに含んでもよい。好適なエアロゾル修飾剤は当業界で既知であり、例えばメントールなどの風味剤を含むが、これに限定されない。
【0115】
一部の実施形態では、中空管セグメントは、エアロゾル発生物品の下流端で、マウスピースフィルターセグメントと軸方向に整列して、好ましくはマウスピースフィルターセグメントの下流端に隣接して使用されてもよい。こうした実施形態では、中空管セグメントは、濾過材料のプラグの下流の口側端陥凹部を画定する。このように、中空管セグメントは、エアロゾル発生物品の下流端で外部環境に開いている口側端に空洞を形成する。
【0116】
こうした実施形態では、マウスピースのフィルターセグメントは、典型的には、約30ミリメートル以下の長さを有してもよい。フィルターセグメントの長さは、約27ミリメートル以下であることが好ましい。フィルターセグメントの長さは、約25ミリメートル以下であることがより好ましい。フィルターセグメントの長さは、約20ミリメートル以下であることがなおより好ましい。
【0117】
こうした実施形態において、フィルターセグメントの長さは、好ましくは約5ミリメートル~約30ミリメートル、より好ましくは約10ミリメートル~約30ミリメートル、なおより好ましくは、約15ミリメートル~約30ミリメートル、最も好ましくは約20ミリメートル~約30ミリメートルである。別の方法として、こうした実施形態では、フィルターセグメントの長さは、約4ミリメートル~約27ミリメートル、好ましくは約5ミリメートル~約27ミリメートル、より好ましくは約10ミリメートル~約27ミリメートル、なおより好ましくは約15ミリメートル~約27ミリメートル、最も好ましくは約20ミリメートル~約27ミリメートルであってもよい。さらなる別の方法として、こうした実施形態では、フィルターセグメントの長さは、約4ミリメートル~約25ミリメートル、好ましくは約5ミリメートル~約25ミリメートル、より好ましくは約10ミリメートル~約25ミリメートル、なおより好ましくは約15ミリメートル~約30ミリメートル、最も好ましくは約20ミリメートル~約25ミリメートルであってもよい。
【0118】
フィルターセグメントは、エアロゾル発生物品の外径とほぼ等しい外径を有することが好ましい。フィルターセグメントは、少なくとも5ミリメートルの外径を有することが好ましい。フィルターセグメントは、約5ミリメートル~約12ミリメートルの外径、例えば約5ミリメートル~約10ミリメートル、または約6ミリメートル~約8ミリメートルの外径を有してもよい。好ましい実施形態において、フィルターセグメントは7.2ミリメートルから10パーセント以内の範囲の外径を有する。
【0119】
一部の実施形態において、マウスピースは上述のような単一のフィルターセグメントを備える。他の実施形態において、エアロゾル発生物品は一つ以上の追加的なフィルターセグメントを備えてもよい。一部の好ましい実施形態では、マウスピースのフィルターセグメントの各々は、上述のようなPHAポリマーまたは共重合体を含む。
【0120】
別の方法として、PHAポリマーまたは共重合体を含むフィルターセグメントは、PHA含有繊維を含まない繊維質の濾過材料で形成された、軸方向に整列した一つ以上のフィルタープラグと組み合わされてもよい。別の方法としてまたは追加的に、PHAポリマーまたは共重合体を含むフィルターセグメントは、厚紙管で形成された管状要素と組み合わされてもよい。
【0121】
本発明によるエアロゾル発生物品のマウスピースフィルターセグメントは、随意に風味剤を含んでもよい。風味剤は、様々な異なる手段を用いて組み込むことができ、これは当業者には周知であろう。例えば、風味剤は、PHAポリマーまたは共重合体を含むフィルターセグメントに提供され得るカプセルの形態で組み込まれてもよい。
【0122】
例えば、好ましい一実施形態では、エアロゾル発生物品は、直線状の連続的な配設で、濾過材料の第一のプラグと、濾過材料の第一のプラグのすぐ下流に位置するエアロゾル発生基体のロッドと、ロッドのすぐ下流に位置する支持機能を有する上述のような中空管セグメントと、中空管セグメントの下流に位置する濾過材料の第二のプラグと、第一のプラグ、ロッド、支持要素および第二のプラグを囲む外側ラッパーとを備える。
【0123】
ここで、図を参照しながら本発明をさらに記述する。
【図面の簡単な説明】
【0124】
図1図1は、ヒーター要素を備えるエアロゾル発生装置で使用するための、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生物品の概略的な長軸方向断面図を示す。
図2図2は、一体型の熱源を備える、本発明の第二の実施形態によるエアロゾル発生物品の概略的な長軸方向断面図を示す。
図3図3は、本発明の第三の実施形態によるエアロゾル発生物品の概略的な長軸方向断面図を示す。
図4図4は、電気的に作動するエアロゾル発生装置と、図1に示すエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムの概略的な長軸方向断面図を示す。
【0125】
図1に示すエアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生基体12のロッド、中空の管状要素として提供される支持要素14、冷却要素16、および口側端フィルターセグメント18を備える。これら四つの要素は連続的に、かつ同軸に整列して配設されていて、基体ラッパー20によって囲まれていて、エアロゾル発生物品10を形成する。エアロゾル発生物品10は、口側端22と、口側端22に対して物品の反対側の端に位置する遠位端24とを有する。図1に示すエアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生基体のロッドを加熱するためのヒーターを含む、電気的に作動するエアロゾル発生装置で使用するために特に適切である。
【0126】
使用時に、空気は、ユーザーによってエアロゾル発生物品を通して遠位端24から口側端22に引き出される。エアロゾル発生物品の遠位端24はまた、エアロゾル発生物品10の上流端として記述されてもよく、エアロゾル発生物品10の口側端22はまた、エアロゾル発生物品10の下流端として記述されてもよい。口側端22と遠位端24との間に位置するエアロゾル発生物品10の要素を、口側端22の上流にあると記述することができ、または別の方法として、遠位端24の下流にあると記述することができる。
【0127】
エアロゾル発生基体12は、エアロゾル発生物品10の最遠の遠位端または上流端に位置する。図1に図示した実施形態において、エアロゾル発生基体12は、ラッパーによって囲まれた、捲縮した均質化したたばこ材料シートの集合体を備える。均質化したたばこ材料の捲縮したシートはエアロゾル形成体としてグリセリンを含む。
【0128】
支持要素14はエアロゾル発生基体12のすぐ下流に位置し、またエアロゾル発生基体12に当接する。図1に示す実施形態では、支持要素は、繊維質の濾過材料で形成された中空管である。支持要素14は、エアロゾル発生装置の発熱体によって貫通されることができるように、エアロゾル発生物品10の最遠の遠位端24にエアロゾル発生基体12を位置させる。実際には、支持要素14は、エアロゾル発生装置の発熱体がエアロゾル発生基体12の中に挿入されている時に、エアロゾル発生基体16がエアロゾル冷却要素16に向かってエアロゾル発生物品10内で下流に押し込まれるのを防止する役目を果たす。支持要素14はまた、エアロゾル発生物品10のエアロゾル冷却要素16をエアロゾル発生基体12から離隔するためのスペーサーとしての役目を果たす。
【0129】
エアロゾル冷却要素16は支持要素14のすぐ下流に位置し、支持要素14に当接する。使用時に、エアロゾル発生基体12から放出される揮発性物質は、エアロゾル発生物品10の口側端22に向かって、エアロゾル冷却要素16に沿って通る。揮発性物質は、エアロゾル冷却要素16内で冷却されて、ユーザーが吸入するエアロゾルを形成してもよい。図1に示す実施形態では、エアロゾル冷却要素は管状要素20を含む。ポリ乳酸の捲縮したシートの集合体は、エアロゾル冷却要素40の長さに沿って延びる複数の長軸方向チャネルを画定する。
【0130】
フィルターセグメント18はエアロゾル冷却要素16のすぐ下流に位置し、エアロゾル冷却要素16に当接する。
【0131】
図1に示す実施形態では、フィルターセグメント18は、フィラメント当たりおよそ3デニールおよびおよそ27,000総デニールを有する複数のPHA繊維で形成された繊維質の濾過材料の単一の円筒状プラグを備える。PHA繊維は、円形の断面形状を有し、フィルターセグメントの長さに沿って相互に実質的に長軸方向に整列している。PHA繊維の露出表面積は、約0.16平方メートル/グラムに相当する。PHA繊維は、融解紡糸プロセスによって形成されており、かつ捲縮されている。繊維質濾過材料のプラグは、プラグラップ(図示せず)によって囲まれている。
【0132】
さらに、支持要素14は、フィラメント当たりおよそ3デニールおよびおよそ27,000総デニールを有する複数のPHA繊維で形成された繊維質の濾過材料を含む中空管セグメントである。PHA繊維は、円形の断面形状を有し、フィルターセグメントの長さに沿って相互に実質的に長軸方向に整列している。PHA繊維の露出表面積は、約0.16平方メートル/グラムに相当する。PHA繊維は、融解紡糸プロセスによって形成されており、かつ捲縮されている。より詳細には、繊維は、PHAポリマーまたは共重合体の約85重量パーセントと、PBAT対PBSの比が1:1のPBAT/PBSブレンドの15重量パーセントとを組み合せたものを含有する。
【0133】
図2に示すエアロゾル発生物品100は、可燃性熱源112、エアロゾル発生基体114のロッド、移動要素116、エアロゾル冷却要素、118、スペーサー要素120、およびマウスピースフィルターセグメント122を含む。これらの要素は連続的に、かつ同軸に整列して配設されていて、基体ラッパーによって囲まれていて、エアロゾル発生物品100を形成する。
【0134】
可燃性熱源112は、約10ミリメートルの長さを有する炭素質の材料の実質的に環状の円柱状本体を含む。可燃性熱源112は、ブラインド熱源である。言い換えると、可燃性熱源112は、それを通って延びる空気チャネルを備えない。
【0135】
エアロゾル発生基体114のロッドは、可燃性熱源112の近位端に配設されている。エアロゾル形成基体114は、フィルタープラグラップ126によって囲まれたたばこ材料の実質的に環状の円筒状プラグ124を備える。
【0136】
不燃性で、実質的に不通気性の第一のバリア128は、可燃性熱源112の近位端とエアロゾル発生基体114の遠位端との間に配設されている。第一のバリア128は、アルミ箔のディスクを備える。第一のバリア128はまた、可燃性熱源112の近位面からエアロゾル発生基体114の遠位面に熱を伝導するために、可燃性熱源112とエアロゾル発生基体114との間に熱伝導性部材を形成する。
【0137】
熱伝導性要素130は、可燃性熱源112の近位部分およびエアロゾル形成基体114の遠位部分を囲む。熱伝導性要素130は、アルミ箔の管を備える。熱伝導性要素130は、可燃性熱源112の近位部分およびエアロゾル発生基体114のフィルタープラグラップ126と直接接触している。
【0138】
マウスピースフィルター122は、フィラメント当たりおよそ3デニールおよびおよそ27,000総デニールを有する複数のPHA繊維で形成された繊維質の濾過材料の単一の円筒形プラグ126を備える。PHA繊維は、円形の断面形状を有し、フィルターセグメントの長さに沿って相互に実質的に長軸方向に整列している。PHA繊維の露出表面積は、約0.16平方メートル/グラムに相当する。PHA繊維は、融解紡糸プロセスによって形成されており、かつ捲縮されている。繊維質濾過材料のプラグは、プラグラップ(図示せず)によって囲まれている。
【0139】
スペーサー要素120は、本発明による中空管セグメントとして提供されていて、フィラメント当たりおよそ3デニールおよびおよそ27,000総デニールを有する複数のPHA繊維で形成された繊維質の濾過材料を含む。PHA繊維は、円形の断面形状を有し、フィルターセグメントの長さに沿って相互に実質的に長軸方向に整列している。PHA繊維の露出表面積は、約0.16平方メートル/グラムに相当する。PHA繊維は、融解紡糸プロセスによって形成されており、かつ捲縮されている。より詳細には、中空管セグメントは、約3.30ミリメートルの内径および約7.10ミリメートルの外径を有し、これは約1.90ミリメートルの壁厚さに対応する。
【0140】
図3に示すエアロゾル発生物品310は、相互に同軸に整列して配設されたエアロゾル発生基体312とフィルター314とを含む可燃性喫煙物品である。エアロゾル発生基体312は、外側ラッパー(図示せず)によって囲まれたたばこロッドを備える。チッピングラッパー316は、フィルター314およびエアロゾル発生基体312の端部分の両方を囲み、フィルター314をエアロゾル発生基体312に取り付ける。
【0141】
フィルター314は、フィラメント当たりおよそ3デニールおよびおよそ27,000総デニールを有するPHA繊維で形成された繊維質の濾過材料の円筒状プラグ318を備える。PHA繊維は、円形の断面形状を有し、フィルターセグメントの長さに沿って相互に実質的に長軸方向に整列している。PHA繊維の露出表面積は、約0.16平方メートル/グラムに相当する。PHA繊維は、融解紡糸プロセスによって形成されており、かつ捲縮されている。繊維質濾過材料のプラグは、プラグラップ(図示せず)によって囲まれている。
【0142】
加えて、フィルター314は、プラグ318と軸方向に整列して、プラグ318のすぐ下流に配設された中空管セグメント320を備える。中空管セグメント320は、フィラメント当たりおよそ3デニールおよびおよそ27,000総デニールを有するPHA繊維で形成された繊維質の濾過材料を含む。PHA繊維は、円形の断面形状を有し、フィルターセグメントの長さに沿って相互に実質的に長軸方向に整列している。PHA繊維の露出表面積は、約0.16平方メートル/グラムに相当する。PHA繊維は、融解紡糸プロセスによって形成されており、かつ捲縮されている。
【0143】
図4は、図1に示すエアロゾル発生物品10のエアロゾル発生基体12のロッドを加熱するためのヒーターブレード210を利用する電気的に作動するエアロゾル発生システム200の一部分を示す。ヒーターブレード210は、電気的に作動するエアロゾル発生装置212のハウジング内にあるエアロゾル発生物品チャンバー内に取り付けられている。エアロゾル発生装置212は、図4に矢印で図示されている通り、空気がエアロゾル発生物品10に流れることを可能にするための複数の空気穴214を画定する。エアロゾル発生装置212は、電源および電子部品を備えるが、これらは図4で図示されていない。
【0144】
比較例
〔IDRからの試験1および2についての話し合いを組み入れるか?〕
【0145】
本発明によるPHAフィルターセグメントは、以下の表1に示されるパラメータで、PHA繊維から調製される。PHA繊維は、融解紡糸プロセスを使用して形成され、その後、繊維は捲縮され、標準的なフィルター製造装置を使用してフィルターセグメントへと形成される。比較の目的で、従来のセルロースアセテート(CA)トウフィルターセグメントを、同様の値のフィラメント当たりデニール(dpf)および総デニールで調製する。
【0146】
【表1】
【0147】
第一の試験では、本発明によるPHAフィルターセグメントとCAフィルターセグメントの水への曝露による吸水を比較する。各フィルターセグメントについて、プラグラップを取り除き、フィルターセグメントを、力学式張力計(KRUSS力学式張力計、モデルK100)のプローブに取り付ける。フィルターセグメントは、プローブによって水の容器に向かって下に移動し、フィルターセグメントが水に接触すると自動的に停止する。フィルター材料が水を吸収できるように、フィルターセグメントを300秒間水と接触したまま保持し、次いで、試験時間中に吸収された水の量を決定するために、フィルターセグメントを計量する。PHAフィルターセグメントおよびCAフィルターセグメントのそれぞれについて、この試験を3回繰り返し、以下の表2に示すように、吸水の平均値を計算した。
【0148】
【表2】
【0149】
従って、試験中に本発明によるPHAフィルターセグメントによって吸収された水の量は、CAフィルターセグメントによって吸収された水の量の40パーセント未満であった。従って、この試験は、従来のCAフィルターセグメントと比較して、本発明によるPHAフィルターセグメントの水親和性が著しく減少したことを示す。
【0150】
第二の試験では、本発明によるPHAフィルターセグメントとCAフィルターセグメントの水分への曝露による吸水を比較する。各フィルターセグメントについて、プラグラップを取り除き、フィルターセグメントを形成している繊維をペトリ皿に置いて、22℃および50パーセントの相対湿度で70時間、空気に曝露する。これは、蒸気吸着分析器(ProUmid SPSx-1μ)で実施する。各フィルターセグメントについて、試験開始時に繊維の重量を測定し、繊維の水蒸気の吸収による経時的な重量の変化を測定する。PHAフィルターセグメントおよびCAフィルターセグメントのそれぞれについて、試料の質量のパーセンテージ差(%dm)の値を計算し、試料の重量の増加を元の重量のパーセンテージとして表す。70時間試験の終了時の各試料の%dmの値を以下の表3に示す:
【0151】
【表3】
【0152】
結果は、70時間の試験中にセルロースアセテート繊維によって吸収された水蒸気の量は、PHA繊維によって吸収された水蒸気の量よりも50倍超大きかったことを示す。PHA繊維は、試験中にほとんど水蒸気を吸収しなかった。これは、従来のCAフィルターセグメントと比較して、本発明によるPHAフィルターセグメントの水との親和性が著しく減少したことをさらに示す。
【0153】
第三の試験では、本発明によるPHAフィルターセグメントと従来のCAフィルターセグメントによる主流煙からの水の吸収を比較する。フィルターセグメントのそれぞれについて、従来の喫煙物品は、可燃性たばこロッドおよびフィルターを形成する濾過材料の単一のセグメントを用いて、図3を参照して上述したように調製される。次いで、喫煙物品の各々を、ISO 3308:2000(吸煙容積35ml、60秒毎に2秒の吸煙持続時間)に記載されたISO条件下で、紙巻たばこ喫煙機械で喫煙し、結果として生じる煙の分析を実施する。
【0154】
フィルターセグメントのそれぞれについて、表4に示すように、喫煙試験中に収集された主流煙中の水の量を測定する:
【0155】
【表4】
【0156】
これは、同等の条件下で喫煙した場合、PHAフィルターセグメントを組み込んだ喫煙物品は、CAフィルターセグメントを含む喫煙物品からの主流煙の含水量よりもおよそ20パーセント高い含水量を有する主流煙を生成することを示す。これは、PHAフィルターセグメントが、CAフィルターセグメントほど主流煙から水を吸収せず、それによって上述のように乾燥煙の潜在的な問題を減少させることを示す。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】