(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-09
(54)【発明の名称】油圧作動可能な作業機用切換弁ブロックを有する油圧システム
(51)【国際特許分類】
F15B 11/00 20060101AFI20230202BHJP
F15B 20/00 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
F15B11/00 D
F15B20/00 G
F15B20/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533216
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(85)【翻訳文提出日】2022-07-11
(86)【国際出願番号】 EP2020084525
(87)【国際公開番号】W WO2021110866
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】102019132884.5
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522218149
【氏名又は名称】リープヘル-ヴェルク ビショフスホーフェン ゲーエムベーハー
(71)【出願人】
【識別番号】520196553
【氏名又は名称】ダンフォス・スコットランド・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DANFOSS SCOTLAND LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルテンベアガ フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】フットエッガー ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ヘットエッガー マリオ
(72)【発明者】
【氏名】キーガール クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ドール アレクシス
【テーマコード(参考)】
3H082
3H089
【Fターム(参考)】
3H082AA02
3H082AA20
3H082CC02
3H082DA18
3H082DA22
3H082DA32
3H089BB15
3H089CC01
3H089CC11
3H089DA03
3H089DA07
3H089DA14
3H089DB45
3H089DB48
3H089FF07
3H089GG02
3H089HH01
3H089JJ01
(57)【要約】
本発明は、1つ又は複数の油圧流体ポンプの圧力出力へのそれぞれの接続のための複数の弁ブロック入力を有し、加圧された油圧流体を出力するための複数の弁ブロック出力を有し、弁ブロック入力と弁ブロック出力との間に配置され、第1の弁ブロック入力と第1の弁ブロック出力との間、又は第1の弁ブロック入力と第2の弁ブロック出力との間に流体接続を選択的に生成するように適合された少なくとも1つの弁と、複数の圧力源、好ましくは、それぞれがそれぞれの弁ブロック入力に接続された複数の別個に制御可能な圧力源と、それぞれがそれぞれの弁ブロック出力に接続された複数の油圧消費機器とを有する切換弁ブロックを備えた油圧作動可能な作業機械のための油圧システムに関する。このシステムは、さらに、第1の弁ブロック出力が、第2の弁ブロック入力に固定された流体接続部、好ましくは固定された専用流体接続部を有し、ステアリングが第1の弁ブロック出力に接続されることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の油圧流体ポンプの圧力出力へのそれぞれの接続のための複数の弁ブロック入力と、
加圧作動油を出力するための複数の弁ブロック出力と、
前記弁ブロック入力と前記弁ブロック出力との間に配置され、第1の弁ブロック入力と第1の弁ブロック出力との間、又は第1の弁ブロック入力と第2の弁ブロック出力との間に流体接続を選択的に生成するように適合された少なくとも1つの弁と、
それぞれがそれぞれの弁ブロック入力に接続される複数の圧力源、好ましくは、複数の別個に制御可能な圧力源と、
それぞれがそれぞれの弁ブロック出力に接続される複数の油圧消費機器と、
を有する切換弁ブロックを備える、油圧作動可能な作業機械のための油圧システムであって、
前記第1の弁ブロック出力がさらに既に第2の弁ブロック入力に固定された流体接続部、好ましくは固定された専用流体接続部を有し、
ステアリングが前記第1の弁ブロック出力に接続される
ことを特徴とする油圧システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの弁は、前記1つの弁ブロック入力を前記複数の弁ブロック出力のうちの1つに排他的に接続する切換弁である、
請求項1に記載の油圧システム。
【請求項3】
前記複数の圧力源は、各々が少なくとも1つの圧力出力、好ましくは少なくとも1つの別々に制御可能な圧力出力を有する、少なくとも2つの油圧流体ポンプによって提供される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の油圧システム。
【請求項4】
前記第1の弁ブロック入力が、第1の油圧流体ポンプの圧力出力に接続され、
前記第2の弁ブロック入力が、第2の油圧流体ポンプの圧力出力に接続される、
請求項3に記載の油圧システム。
【請求項5】
少なくとも2つの油圧流体ポンプの各々が、好ましくはそれぞれ異なる電圧源に接続された、それ自体の制御ユニットを有する、
請求項3又は4に記載の油圧システム。
【請求項6】
前記少なくとも2つの油圧流体ポンプの前記別個の制御ユニットは、前記第2の弁ブロック入力に接続され、
前記ステアリングへの固定された、かつ、切換不可能な流体接続を表す前記圧力源の不具合事象において、
前記弁を、前記第1の弁ブロック出力への他の制御要求とは独立して切り換えて、前記ステアリングのための流体供給を確実にし続けるために、互いに接続される、
請求項5に記載の油圧システム。
【請求項7】
センサが、印加される圧力を決定するために、関連する油圧流体ポンプの各圧力出力に存在し、
前記センサは、そこに印加される圧力に応じて不具合事象を検出することができるように、前記少なくとも2つの油圧流体ポンプの関連する制御ユニットに接続される、
請求項5又は6に記載の油圧システム。
【請求項8】
負荷圧力を感知するためのセンサが、前記第1の弁ブロック出力の下流、好ましくはステアリングシリンダの直前に接続され、
前記センサは、前記少なくとも2つの油圧流体ポンプの前記制御ユニットに接続されて、前記ステアリングが圧力調整モードで作動することを好ましくは可能にする、
請求項5-7のいずれか1項に記載の油圧システム。
【請求項9】
互いに独立している負荷圧力のそれぞれの検知のための2つのセンサが、第1の弁ブロック出力の下流に配置され、少なくとも2つの油圧流体ポンプの制御ユニットにそれぞれ接続され、
互いに独立している2つのセンサが、好ましくは、異なる設計及び/又は異なる測定範囲を有する、
請求項8に記載の油圧システム。
【請求項10】
前記制御ユニットは、故障の場合にステアリングに一定の圧力を提供するように適合される、
請求項6-9のいずれか1項に記載の油圧システム。
【請求項11】
前記少なくとも2つの油圧ポンプの各圧力出力に逆止弁が設けられ、
前記制御ユニットは、
前記センサの値がステアリング供給圧力の感知のために使用され、
好ましくは接続されたポンプ出力における検査によって測定される圧力が、より高いランクのステアリング供給圧力よりも高くなることができないという点で、
前記圧力出力における前記センサの機能性を監視するように適合される、
請求項7又は8に記載の油圧システム。
【請求項12】
前記少なくとも2つの油圧ポンプの各圧力出力に逆止弁が設けられ、
前記制御ユニットの1つが、
前記圧力出力でセンサの故障を検出した場合、
好ましくはポンプ出力での圧力値がより高いランクのステアリング供給圧力に対応すると仮定される点で、
前記センサを、ステアリング供給圧力を感知するために使用しながら、
故障したセンサに連結された圧力源の制御が継続される、
請求項7又は8に記載の油圧システム。
【請求項13】
前記ステアリング供給圧力を感知するための前記センサが、前記弁ブロック出力の直後に配置される、
請求項11又は12に記載の油圧システム。
【請求項14】
前記第2の弁ブロック出力が、作動油圧機器、例えば、傾動シリンダ又はリフトシリンダに接続されている、
請求項1-13のいずれか1項に記載の油圧システム。
【請求項15】
請求項1-14のいずれか1項に記載の油圧システムを有する、
作業機械、特に車輪付ローダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧作動可能な作業機用切換弁ブロックを有する油圧システムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械は、典型的には、複数の油圧消費機器、例えば、荷を上昇又は傾動させるための油圧ステアリング、油圧昇降シリンダ又は傾動シリンダを有する。
【0003】
これらの異なる油圧消費機器が共通の油圧流体ポンプによって作動される場合、油圧消費機器によって要求される最高圧力は、ポンプによって提供されなければならない。これは、この消費機器が、実際にこのような高圧を必要としないにもかかわらず、流体が特定の状況下で非常に高い圧力で消費機器に供給されるという結果を有し、他の消費機器が現在その運動性能のために非常に高い流体圧力を必要とするので、このことのみが行われる。これは、そのような作業機械の効率を低下させるかなりの損失をもたらす。
【0004】
上述の事実のために、従来技術から、油圧消費機器の要件に応じて、小さな寸法の複数の圧力源を、切換弁ブロックを介して束ね、小さな動力要件を有する油圧消費機器がより小さな動力を受け、大きな動力要件を有する油圧消費機器がより大きな動力を受けるようにすることが知られている。
【0005】
特許文献1は、このような概念の実現を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2008/009950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この概念では、油圧消費機器の始動時の応答時間が著しく増大し、このことが、このような作業機械の取扱い及び操作性に悪影響を及ぼすという欠点がある。最終的には、個々のより小さな圧力源が弁を介して互いに組み合わされて、油圧消費機器を作動させることが必要である。
【0008】
機械の運転継続中に、車両制御装置は、運転者の仕様(例えば、制御ジョイスティック)に応じて、あらゆる油圧作業機能の作動油要求(又は油圧流体要求)を感知し、決定する。車両制御装置は、この要件に応じて、切換弁ブロックにおける入力及び出力の切換、又は含まれる弁の作動/調整(切換位置)を決定する。作業機能に応じて必要油量を結果として設定する。
【0009】
機械運転中に、異なる油圧消費機器(例えば、作業機能又はステアリング機能)への油供給速度の、この連続的に変化する分配/関連付は、極めて困難である。これは、操作者の快適さを保証するために、非常に複雑なアルゴリズムと、迅速かつ正確に切り換える弁技術とを必要とし、このような弁技術は、市場での経済的なロットサイズでは利用できないので、比較的コスト集約的に実施する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、上述の課題を同時に軽減又は解決しながら、機能的安全性を達成することである。これは、請求項1の全ての特徴を有する油圧システムを使用して行われる。さらなる有利な実施形態は、本件の従属クレームに列挙されている。
【0011】
油圧作動式作業機械のための、本発明による油圧システムは、1つ又は複数の油圧流体ポンプの圧力出力へのそれぞれの接続のための複数の弁ブロック入力を有し、加圧された油圧流体を排出するための複数の弁ブロック出力を有し、弁ブロック入力と弁ブロック出力との間に配置され、第1の弁ブロック入力と第1の弁ブロック出力との間、又は第1の弁ブロック入力と第2の弁ブロック出力との間に流体連通を選択的に生成するように適合された少なくとも1つの弁を有する切換弁ブロックを備える。油圧システムは、複数のしかし必ずしも全てではないが、それぞれがそれぞれの弁ブロック入力に接続される圧力源、好ましくは、複数の別個に制御可能な圧力源と、それぞれがそれぞれの弁ブロック出力に接続される複数の油圧消費機器と、を有する。油圧システムは、さらに、第1弁ブロック出力が、第2弁ブロック入力に固定された流体接続部、好ましくは固定された専用流体接続部を有し、ステアリングが第1弁ブロック出力部に接続されることを特徴とする。
【0012】
現在、本発明によれば、ステアリングの作動に2つの異なる圧力源を使用することができるので、ステアリングは、圧力源の1つの故障及び弁の対応する位置に加圧流体を供給することもできる。
【0013】
さらに、本発明によれば、少なくとも1つの弁は、1つの弁ブロック入力を複数の弁ブロック出力の1つに排他的に接続する切換弁であるようにしてもよい。それに応じて、切換弁は、複数の弁ブロック出力の1つに弁ブロック入力を接続するが、弁ブロック入力を別のスイッチ位置の少なくとも1つの他の弁ブロック出力に切り換えることもできる。
【0014】
本発明の任意のさらなる発展によれば、複数の圧力源は、各々が少なくとも1つの圧力出力、好ましくは少なくとも1つの別個に制御可能な圧力出力を有する少なくとも2つの油圧流体ポンプによって提供されるようにしてもよい。
【0015】
ここで、第1の弁ブロック入力が第1の油圧流体ポンプの圧力出力に接続され、第2の弁ブロック入力が第2の油圧流体ポンプの圧力出力に接続されている場合には、さらに有利である。
【0016】
したがって、複数の油圧流体ポンプのうちの1つは、例えば、供給された油圧流体のステアリングへの全面的な不具合が発生することなく、故障する可能性がある。故障していない油圧作動油ポンプは、さらに、ステアリングの作動のために加圧された流体を送達することができる。
【0017】
好ましくは、少なくとも2つの油圧流体ポンプの各々が、それぞれ異なる電圧供給に接続されることが好ましい、独自の制御ユニットを有するようになされてもよい。
【0018】
したがって、2つの制御ユニットの冗長設計に加えて、2つの油圧流体ポンプのうちの少なくとも1つは、2つの電圧供給のうちの1つの電圧故障でも作動され続け得る。
【0019】
この観点で、少なくとも2つの油圧流体ポンプの別個の制御ユニットが、第2の弁ブロック入力に接続されてステアリングに固定され、かつ、切換不可な流体接続を表す、圧力源の不具合事象においてステアリングのための流体供給を確保し続けるための、第1の弁ブロック出力への他の制御要求とは無関係に弁を切り換えるように、互いに接続されるようにすることもできる。
【0020】
したがって、ステアリングに固定的に接続された圧力源が故障した場合、すなわち、圧力源からステアリングへの流体経路にスイッチ等がない場合、切換弁は、切換位置に応じて流体をステアリング又は別の弁ブロック出力に導くことができる他の圧力源がステアリングに案内されるように切り換えられる。したがって、ステアリングに固定的に連結された圧力源の故障は、少なくとも部分的に補償される。
【0021】
本発明のさらなる任意のさらなる発展に従って、付加される圧力を決定するために、関連する油圧流体ポンプの各圧力出力にセンサが存在し、前記センサは、少なくとも2つの油圧流体ポンプの関連する制御ユニットに接続されており、それによって、付加される圧力に依存してエラー事象を検出することができるようにすることもできる。
【0022】
さらに、本発明によれば、負荷圧力を検出するセンサが、好ましくはステアリングシリンダの直前に、第1の弁ブロック出力の下流に接続され、このセンサは、少なくとも2つの油圧流体ポンプの制御ユニットに接続されて、好ましくは、ステアリングが圧力調整モードで作動することを可能にする。
【0023】
この点に関し、互いに独立している負荷圧力をそれぞれ検知するための2つのセンサは、ここで、好ましくは、第1の弁ブロック出力の下流に配置され、各々が、少なくとも2つの油圧流体ポンプの制御ユニットに接続され、互いに独立している2つのセンサは、好ましくは、異なる設計及び/又は異なる測定範囲を有する。
【0024】
冗長性は、この時点での圧力測定の障害の可能性を減らす2つのセンサの意匠によって作成される。センサが同じ設計のものでない場合、及び/又は異なる圧力値範囲を含む場合、このプロセスにおいて有利である。
【0025】
本発明の任意の変形例によれば、制御ユニットは、故障の場合にステアリングに一定の圧力を提供するように適合される。この一定の圧力は、例えば、ステアリング圧力の通常の作動範囲の中間にあることができる。ここでの結果は、明らかに、より感度の低い操縦であるが、これは、機能的安全性に関して重要ではない。
【0026】
さらに、少なくとも2つの油圧ポンプの各圧力出力に逆止弁が設けられ、好ましくは、ステアリングに接続されたポンプ出力が決して高いランクの圧力センサよりも高い値を呈しないようにする監視によって、センサの値がステアリング供給圧力の感知に使用されるという点で、圧力出力におけるセンサの機能性を監視するように制御ユニットが構成されることが、本発明の有利な修正に従って提供され得る。
【0027】
ステアリングに接続された圧力源が、上位ランクのステアリング供給圧力を決して上回らない圧力を発生すると仮定すると、この情報を介して、それぞれの油圧流体ポンプの圧力出力における圧力センサの欠陥を認識することができる。ここでの逆止弁は、切換弁ブロックからの作動油の不要な流出がなく、弁ブロックの出力を介してしかブロックから出られないことを保証する。
【0028】
さらに、少なくとも2つの油圧ポンプの圧力出力毎に逆止弁が設けられ、制御ユニットの1つが圧力出力でセンサの故障を検出した場合、そのセンサを使用してステアリング供給圧力を検知する間、故障したセンサに接続された圧力源の制御が継続されるようにすることもできる。
【0029】
本発明のさらなる変形例によれば、ステアリング供給圧力を検知するセンサが、弁ブロック出力の直後に配置されるようにしてもよい。
【0030】
さらに、第2の弁ブロック出力が、作動油圧、例えば、傾動シリンダ又は昇降シリンダに接続されるようにしてもよい。
【0031】
さらに、本発明は、前述の変形例の1つによる油圧システムを有する作業機械、特に車輪付ローダに関する。
【0032】
弁ブロック入力及び弁ブロック出力は一貫して特許請求の範囲で言及されているが、例えば、圧力源P1から直接接続し、一方、物理的に形成された切換弁ブロックを油圧消費機器にバイパスすることが、同様に本発明の保護範囲に含まれることは、当業者にとって明らかである。切換弁ブロック及び弁ブロック入出力は、圧力源の油圧消費機器、特にステアリング制御部への直接接続もまた本発明の保護範囲に入るように抽象的に規定される構造である。(物理的な)切換弁ブロックを介した直接切換は必要ない。本発明にとって重要なことは、油圧消費機器が圧力源の直接的な接続部に接続され、その結果、そこから流出する流体が直接的に利用可能となることである。例えば、油圧消費機器、特にステアリングへの圧力源の直接的な管接続は、ここでは本発明の保護範囲によって含まれる。
【0033】
本発明のさらなる特徴詳細及び利点は以下の図面の説明を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図3】本発明による油圧システムの別の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1に油圧システムの概略図を示す。モータ1は、トランスファーケース2を介して2つのポンプ3を駆動することを認識することができる。ここでの2つのポンプ3のうちの1つは、圧力源P1を有し、圧力源P1は、それによって与えられる流体圧力又は流体量がステアリングシリンダ6を作動させるように、ステアリング制御部4に直接接続される。
【0036】
本件では、互いに独立して作動可能な合計8つの圧力源P1~P8があり、縦列動作で配置された2つのポンプ3,3として実現され、そのうちの各々が別々に制御可能な複数(本件では4つ)の圧力流体出力を有する。合計8つの圧力流体出力の各々は、ここでは、弁ブロック出力12に直接連結されるか、又は弁V1~V7(=同じく切換弁)に導かれる、それ自体の関連する弁ブロック入力11に接続される。
【0037】
同図では、1つを除くポンプ3,3の全ての圧力流体出力P1~P8は、切換弁10に接続されている。圧力流体出力P1のみが、スイッチなしでステアリング制御部4に案内される弁ブロック出力12に直接接続される。つまり、ステアリング制御部4は、圧力源P1のポンプ吐出量を、切換弁ブロック9内の切換弁V1~V7のスイッチ位置から永久的かつ独立的に有することが確保される。これを超えるポンプ吐出量がステアリング制御部によって必要とされる場合、それらの関連する圧力源P2,P3が同様にそれらの動力をステアリング制御部4に供給するように、切換弁V1及びV2を切り換えることができる。したがって、3つのポンプ源P1,P2,P3が、ステアリング制御部4を作動させ、ステアリングシリンダ6を動かすために必要に応じて全体的に利用可能である。
【0038】
傾動油圧消費機器51及び昇降油圧消費機器52並びに別の消費機器53,54(図示せず)が配置された制御弁ブロック5は、
図1の右側の切換弁ブロック9の横に配置されており、切換弁ブロック9内の切換弁V1~V7の対応する弁設定により、傾動制御部51は、傾動シリンダ7の作動のための傾動機能のために十分な動力が存在するように、圧力源P2及びP4~P8に連結することができる。
【0039】
状況は、弁V2~V7の対応する位置を有する、関連する圧力源P3~P8に同様に接続可能な昇降制御部52と同様である。また、昇降制御部52は、ここでは、簡略化された図示の理由から詳細には示されていない別の消費機器53,54にポンプ吐出量を送ることができる。
【0040】
それに応じて、複数の圧力源のポンプ吐出量は、動力要求に依存してこの油圧システムによってそれぞれの消費機器6,7,8に導くこともでき、従来のような応答性の悪さの挙動の欠点が緩和され、例えばステアリングが永久的かつ専ら圧力源(ここでは圧力源P1)に接続されるという点で軽減される。
【0041】
図2は、ステアリング制御部4が専用のポンプ吐出量を有するだけでなく、昇降制御部52も備えた本発明の実施例を示す。この点において、ポンプP7及びP8は、昇降シリンダ8を作動させるために、油圧消費機器の「昇降」と排他的にかつ変更不可能に関連している。
図1と同様の方法で、4つのさらなる圧力源P3を、弁V3~V5の対応する切換を介してP6に追加することも可能であり、その結果、難易度の高い昇降作業も達成することができる。
【0042】
傾動制御部51は、弁V1~V3及びV5の対応する弁位置を有する合計4つの圧力源P2~P4及びP6に接続することができる。同様に、別の消費機器53及び54は、傾動制御部51を介して(
図2には示されていないが、昇降制御部52を介して)供給されることも可能である。
【0043】
本発明による付加価値は、縦列運転される2つのポンプ3,3が、それぞれの圧力出力P1,P5の1つをステアリング制御部4に切り換えることができるという点で、
図2において明確になる。ポンプ3,3が縦列運転で作動するという状況は、ポンプの別個の運転も同様に考えられ、発明の基本的な考え方の妨げになるので、発明にとって下位の意味を持つ。
【0044】
左側ポンプ3の圧力出力P1は、圧力出力P1から流出する流体が完全にステアリング制御部に供給されるように、ステアリング制御部4に既に固定的に接続されている。
【0045】
さらに、弁V4を介して、他方の油圧流体ポンプ3(
図2の右側ポンプ3)のさらなる圧力源P5がステアリング制御部4に割り当てられる可能性がある。
【0046】
例えば、圧力出力P1又はP2が、ポンプの欠陥により、もはや十分な油圧流体を送達することができないか、又は非常に低い圧力でしか油圧流体を提供することができない場合には、ステアリング制御部に油圧流体が十分に供給され続けることを弁V4の切換を介して確実にすることができる。
【0047】
圧力出力P2を介して供給される作動油の量及び圧力は、少なくとも緊急ステアリング機能のために十分である。このような状態では、通常のステアリング快適性は認められないが、安全なステアリングと操縦性の維持が確保される。
【0048】
その結果、示された2つのポンプ3,3のうちの1つの故障でも確実に作動し続ける、より欠陥のないステアリングが提供される。
【0049】
図3は、本発明の別の概略図を示す。ここで、切換弁ブロック9は単純化された形で示され、ここでは、ポンプ3,3の圧力出力の完全な配管は示されず、圧力出力P1及びP5の配管のみが示される。圧力源P1の圧力出力は、ここでは、ステアリング制御部4に固定的かつ変更不能に接続される。圧力源P5の圧力出力は、圧力出力P5を作動油圧A(図示せず)又はステアリング制御部4に選択的に接続する切換弁10に作用する。
【0050】
さらに、2つの作動油ポンプ3,3の各々は、互いに接続された独自の制御ユニット13,14を有することを認識することができる。
【0051】
2つの制御ユニット13,14には、さらに、異なる供給電圧15,16を介してエネルギーが供給され、その結果、2つの供給電圧15,16のうちの1つの故障時に、2つのポンプ3,3のうちの少なくとも1つが依然として制御可能である。
【0052】
さらに、ステアリング制御部4の直前、すなわち図示しないステアリングシリンダの直前には、そこに加えられた圧力の重複測定を提供する2つの圧力センサ19,20が存在する。図示とは異なり、センサ19,20のそれぞれによってそこで測定された圧力は、2つの制御ユニット13,14に供給される。
【0053】
さらに、切換弁ブロックの直後に、ステアリング制御部に入る圧力を測定する別の圧力センサ18が配置されている。この測定された圧力は、データラインを介して2つの制御ユニット13,14に転送され、これは任意の車両制御装置を介して行うことができる。
【0054】
したがって、弁ブロック出力12に存在する圧力が、ステアリング制御部に切り換えられる可能性のある複数の圧力源P1及びP5の個々の圧力値と一致するかどうかを、制御ユニット13,14の一方又は両方で計算することができる。
【0055】
また、圧力源P1又はP5の圧力測定に失敗した場合にも、この値を使用することができる。
【国際調査報告】