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▶ ジェネラル ダイナミクス ヨーロピアン ランド システムズ−モワク ゲーエムベーハーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-09
(54)【発明の名称】オフロード多目的車両用の車両部品
(51)【国際特許分類】
   B60G 13/04 20060101AFI20230202BHJP
   B60G 21/055 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
B60G13/04
B60G21/055
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533422
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(85)【翻訳文提出日】2022-06-03
(86)【国際出願番号】 EP2020084800
(87)【国際公開番号】W WO2021111002
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】102019133138.2
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517428610
【氏名又は名称】ジェネラル ダイナミクス ヨーロピアン ランド システムズ-モワク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュレーター,イェンス
(72)【発明者】
【氏名】クルクザー,ユルゲン
【テーマコード(参考)】
3D301
【Fターム(参考)】
3D301AA04
3D301AA59
3D301AB21
3D301BA11
3D301DA08
3D301DA36
3D301DA70
3D301DB02
(57)【要約】
オフロード走行可能な多目的車両(100)のための車両部品(1)であって、シャーシ(2)と、シャーシ(2)上に収容するために設けられた駆動系(12)とを備える。駆動系(12)は、それぞれ1つのトルクチューブフレーム(4)を有する2つの固定アクスルユニット(3)から構成される。トルクチューブフレーム(4)は、シャーシ(2)に取り付けられたアンチロールバー装置(5)によって、回動可能に相互連結されている。アンチロールバー装置(5)には、車両(100)の回転運動を減衰させるためのダンパー装置(6)が割り当てられている。ダンパー構成要素(7)は、制御可能なダンパー(9)を含んで構成されている。ダンパー装置(6)は、制御可能なダンパー(9)のダンパーパラメータを、センサ装置(36)によって記憶および/または取得可能な特性量に依存して設定するのに適した制御装置(26)を含んで構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのシャーシ(2)と、前記シャーシ(2)上に収容可能な少なくとも1つの駆動系(12)と、を備え、
前記駆動系(12)が、それぞれ少なくとも1つのトルクチューブフレーム(4)を有する少なくとも2つの固定アクスルユニット(3)を含むオフロード多目的車両(100)用の車両部品(1)であって、
前記駆動系(12)が、前記シャーシ(2)に取り付けられた少なくとも1つのアンチロールバー装置(5)により枢動可能に相互連結され、
少なくとも前記2つの固定アクスルユニット(3)の前記トルクチューブフレーム(4)が、前記シャーシ(2)に取り付けられた少なくとも1つの前記アンチロールバー装置(5)によって枢動可能に相互連結されており、
少なくとも1つのダンパー構成要素(7)からなる少なくとも1つのダンパー装置(6)が、前記オフロード多目的車両(100)の回転運動を減衰するために前記アンチロールバー装置(5)に割り当てられ、
前記ダンパー構成要素(7)が少なくとも1つの制御可能なダンパー(9)からなり、
前記ダンパー装置(6)が少なくとも1つの制御装置(26)を含み、
前記制御装置(26)は、前記制御可能なダンパー(9)の少なくとも1つのダンパーパラメータを、少なくとも1つの特性量に依存して設定する、
ことを特徴とするオフロード多目的車両用の車両部品。
【請求項2】
請求項1に記載のオフロード多目的車両用の車両部品であって、
前記特性量は、センサ装置(36)によって取得される、および/または、前記制御装置(26)に記憶されている、
オフロード多目的車両用の車両部品。
【請求項3】
請求項1に記載のオフロード多目的車両用の車両部品であって、
前記ダンパー構成要素(7)は、前記アンチロールバー装置(5)と少なくとも部分的に結合されており、前記オフロード多目的車両(100)の回転運動から生じる前記アンチロールバー装置(5)の少なくとも一部の運動が、前記ダンパー構成要素(7)により減衰され得る、
オフロード多目的車両用の車両部品。
【請求項4】
請求項1に記載のオフロード多目的車両用の車両部品であって、
前記アンチロールバー装置(5)が、前記トルクチューブフレーム(4)と結合され、
少なくとも1つのバランスビーム軸受(25)によって前記シャーシ(2)に回転可能に連結される少なくとも1つのバランスビーム(35)を備え、
前記ダンパー構成要素(7)が、少なくとも1つの前記バランスビーム(35)と結合され、
前記ダンパー構成要素(7)によって前記バランスビーム(35)の少なくとも1つの回転運動が減衰できるように構成されている、
オフロード多目的車両用の車両部品。
【請求項5】
請求項4に記載のオフロード多目的車両用の車両部品であって、
前記ダンパー構成要素(7)は、バランスビーム軸受(25)に組み込まれている、オフロード多目的車両用の車両部品。
【請求項6】
請求項4に記載のオフロード多目的車両用の車両部品であって、
前記アンチロールバー装置(5)は、少なくとも2つのバランスビーム(35)を備え、その各々に少なくとも1つの前記ダンパー構成要素(7)が設けられている、
オフロード多目的車両用の車両部品。
【請求項7】
請求項1に記載のオフロード多目的車両用の車両部品であって、
前記特性量は、前記シャーシ(2)に対する前記アンチロールバー装置(5)の動作位置、および/または前記トルクチューブフレーム(4)の少なくとも1つに対する相対位置を規定する、
オフロード多目的車両用の車両部品。
【請求項8】
請求項1に記載のオフロード多目的車両用の車両部品であって、
前記アンチロールバー装置(5)は、前記トルクチューブフレーム(4)と結合され、
少なくとも1つのバランスビーム軸受(25)によって前記シャーシ(2)に回転可能に連結された少なくとも1つのバランスビーム(35)を備え、
前記特性量が少なくとも1つの前記バランスビーム(35)のたわみを規定する、
オフロード多目的車両用の車両部品。
【請求項9】
請求項1に記載のオフロード多目的車両用の車両部品であって、
前記特性量は、少なくとも1つのバランスビーム(35)の少なくとも1つの回転角位置を規定する、
オフロード多目的車両用の車両部品。
【請求項10】
請求項8に記載のオフロード多目的車両用の車両部品であって、
前記アンチロールバー装置(5)は、少なくとも2つのバランスビーム(35)を備え、
前記特性量は、1つの前記バランスビーム(35)に対する少なくとも1つの回転角位置のそれぞれ、および/または前記バランスビーム(35)の回転角位置の互いに対する差を規定し、
個々の前記ダンパーパラメータは、前記バランスビーム(35)のそれぞれに対して調整可能である、
オフロード多目的車両用の車両部品。
【請求項11】
請求項1に記載のオフロード多目的車両用の車両部品であって、
前記制御装置(26)は、少なくとも1つのセンサ装置(36)によって前記特性量を取得する、
オフロード多目的車両用の車両部品。
【請求項12】
請求項8に記載のオフロード多目的車両用の車両部品であって、
センサ装置(36)は、バランスビーム(35)の回転角度位置を取得するための少なくとも1つの回転角センサを備え、好ましくは少なくとも1つの前記回転角センサがそれぞれ前記バランスビーム(35)に対して設けられ、
前記バランスビーム(35)の回転角度位置が別々に取得できるように構成されている、オフロード多目的車両用の車両部品。
【請求項13】
請求項1に記載のオフロード多目的車両用の車両部品であって、
前記制御装置(26)は、動作中に前記制御可能なダンパー(9)の少なくとも1つのダンパーパラメータを適合させるのに適した構成である、
オフロード多目的車両用の車両部品。
【請求項14】
請求項1に記載のオフロード多目的車両用の車両部品であって、
前記制御可能な前記ダンパー(9)は、油圧式に構成され、少なくとも2つのダンパーチャンバー(19)と、流体の観点から前記ダンパーチャンバー(19)を接続する少なくとも1つのバルブ装置(29)と、を備え、
前記バルブ装置(29)を作動させることによって前記ダンパーパラメータが適合される、
オフロード多目的車両用の車両部品。
【請求項15】
請求項1に記載のオフロード多目的車両用の車両部品であって、
前記ダンパー装置(6)の少なくとも1つのテークアップ装置(16)に任意に挿入可能であり、少なくとも1つの減衰特性が異なる少なくとも2つの前記ダンパー構成要素(7)を備え、前記ダンパー構成要素(7)を選択することによって前記ダンパー装置(6)の少なくとも1つのダンパーパラメータを設定および調整する、
オフロード多目的車両用の車両部品。
【請求項16】
請求項15に記載のオフロード多目的車両用の車両部品であって、
任意に挿入可能な前記ダンパー構成要素(7)は、前記アンチロールバー装置(5)のバランスビーム軸受(25)に組み込まれている、
オフロード多目的車両用の車両部品。
【請求項17】
請求項15に記載のオフロード多目的車両用の車両部品であって、
任意に挿入可能な前記ダンパー構成要素(7)は、少なくとも弾性力および/または復元力および/または進行度および/または減衰比において異なる、
オフロード多目的車両用の車両部品。
【請求項18】
請求項15に記載のオフロード多目的車両用の車両部品であって、
任意に挿入可能な前記ダンパー構成要素(7)は、少なくとも1つのエラストマー部品の少なくとも1つの特性において異なり、その特性が、前記エラストマー部品のショア硬度および/または組成および/または質量に関連する、
オフロード多目的車両用の車両部品。
【請求項19】
請求項15に記載のオフロード多目的車両用の車両部品であって、
任意に挿入可能な前記ダンパー構成要素(7)は、少なくともダンパーの種類によって異なる、
オフロード多目的車両用の車両部品。
【請求項20】
請求項15に記載のオフロード多目的車両用の車両部品であって、
少なくとも1つの前記ダンパー構成要素(7)は、少なくとも2つのバッキング層(27)の間に同心円状に配置された少なくとも1つのエラストマー層(37)を有する少なくとも1つのダンパーブッシュ(17)からなり、
前記バッキング層(27)の少なくとも1つのバッキング層(27)および/または前記エラストマー層(37)が少なくとも部分的にスロット(47)を有する、
オフロード多目的車両用の車両部品。
【請求項21】
請求項20に記載のオフロード多目的車両用の車両部品であって、
任意に挿入可能な前記ダンパー構成要素(7)は、少なくとも1つの減衰特性が異なる少なくとも2つのダンパーブッシュ(17)からなる、
オフロード多目的車両用の車両部品。
【請求項22】
請求項15に記載のオフロード多目的車両用の車両部品であって、
少なくとも1つの前記ダンパー構成要素(7)は、少なくとも1つの軟質のエラストマー(67)によって第1の回転角度範囲において減衰され、
少なくとも1つの硬質のエラストマー(77)によって前記第1の回転角度範囲に続く第2の回転角度範囲において減衰される少なくとも2段階のダンパーブッシュ(57)からなる、
オフロード多目的車両用の車両部品。
【請求項23】
請求項22に記載のオフロード多目的車両用の車両部品であって、
任意に挿入可能な前記ダンパー構成要素(7)は、少なくとも1つの減衰特性が異なり、少なくとも2つの段階を有する少なくとも2つのダンパーブッシュ(57)からなる、
オフロード多目的車両用の車両部品。
【請求項24】
請求項15に記載のオフロード多目的車両用の車両部品であって、
少なくとも1つの前記ダンパー構成要素(7)は、少なくとも1つの油圧式ダンパーブッシュ(8)を備え、当該油圧式ダンパーブッシュ(8)は、好ましくは少なくとも1つのばね装置(18)における少なくとも1つのエラストマーによって復元可能である、
オフロード多目的車両用の車両部品。
【請求項25】
請求項24に記載のオフロード多目的車両用の車両部品であって、
任意に挿入可能な前記ダンパー構成要素(7)は、少なくとも1つの減衰特性が異なる少なくとも2つの油圧式ダンパーブッシュ(8)からなる、
オフロード多目的車両用の車両部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にオフロードにおける多目的車両(ユーティリティ車両)用の車両部品、および、車両部品を操作するための方法に関するものである。車両部品は、少なくとも1つのシャーシと、シャーシ上に収容されるように設けられ、それぞれが少なくとも1つのトルクチューブフレームを有する少なくとも2つの固定アクスルユニットからなる少なくとも1つの駆動系と、を備える。トルクチューブフレームは、シャーシに取り付けられた少なくとも1つのアンチロールバー装置によって相互に連結されている。車両のローリング運動を減衰させるための少なくとも1つのダンパー構成要素を含む少なくとも1つのダンパー装置が、アンチロールバー装置に割り当てられている。
【背景技術】
【0002】
この車両タイプは、特に困難な地形での走行に適しており、例えばスイス国特許発明第663767号明細書で説明されている。固定アクスルユニットは、それぞれ1つの牽引装置で構成され、台形のトルクチューブフレームを形成している。トルクチューブフレームは、制御アームを介して、またアンチロールバー装置によって、縦方向および横方向において、それぞれ車両フレームに連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】スイス国特許発明第663767号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような観点から、本発明の目的は、このような多目的車両の走行特性・乗り心地をさらに向上させることである。特に意図されるのは、複雑ではなく、故障しにくいと同時に、多種多様な運転条件において最適なロール安定性を達成する、信頼性の高い選択肢を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有する車両部品によって解決される。本発明の好ましい具体的な実施形態は、従属項に示されている。本発明の更なる利点と特徴は、一般的な説明と例示的な実施形態の説明から得ることができる。
【0006】
本発明による車両部品は、特にオフロードが可能な自動車、好ましくはユーティリティ車両などと称されるいわゆる多目的車両(以下、多目的車両と記す)のために提供される。車両部品は、少なくとも1つのシャーシと、シャーシ上に収容するために設けられた少なくとも1つの駆動系と、を備える。駆動系は、それぞれが少なくとも1つのトルクチューブフレームを有する少なくとも2つの固定アクスルユニットから構成される。少なくとも2つの固定アクスルユニットのトルクチューブフレームは、特に、シャーシに取り付けられた少なくとも1つのアンチロールバー装置によって枢動可能に相互連結される。アンチロールバー装置には、特に車両のローリング運動を減衰させるための少なくとも1つのダンパー構成要素を含む少なくとも1つのダンパー装置が割り当てられている。ダンパー構成要素は、少なくとも1つの制御可能なダンパーからなる。ダンパー装置は、少なくとも1つの特性量に依存して制御可能なダンパーの少なくとも1つのダンパーパラメータを設定するのに適した少なくとも1つの制御装置からなる。好ましくは、特性量は、センサ装置によって得ることができ、および/または(例えば制御装置において、ダンパー曲線として)記憶される。
【0007】
本発明による車両部品は、多くの利点を提供する。特に適応された減衰は、特性量に依存して相当の利点を提供する。別の利点は、ダンパー装置がアンチロールバー装置に割り当てられていることである。したがって、転がり運動の減衰は、特に制御され、例えば、ホイールショックアブソーバまたはフレームショックアブソーバを用いた従来の減衰よりも格段に信頼性が高くなる。したがって、本発明は、走行特性を格段に改善し、転がり運動に関して、車両は、安定化されるだけでなく、最適に減衰される。
【0008】
好ましくは、ダンパー構成要素は、少なくとも部分的にアンチロールバー装置と結合される。したがって、ダンパー構成要素は、特に、車両のローリング運動から生じる、アンチロールバー装置の少なくとも一部の少なくとも1つの運動を減衰させることができる。ダンパー構成要素は、特に、少なくとも部分的に、間接的および/または直接的に、アンチロールバー装置と結合される。
【0009】
特に有利な実施形態では、アンチロールバー装置(以下、より詳細に説明する)は、少なくとも1つのバランスビームを含んで構成されている。バランスビームは、特に、トルクチューブフレームと結合されている。バランスビームは、特に、少なくとも1つのバランスビーム軸受によって、シャーシに回転可能に連結されている。特に、ダンパー構成要素は、少なくとも1つのバランスビームと(直接的および/または間接的に)結合されている。したがって、ダンパー構成要素は、特に、バランスビームの少なくとも1つの回転運動を減衰させることができる。なお、ダンパー構成要素が、バランスビーム軸受に組み込まれることが可能であることが好ましい。
【0010】
好ましくは、アンチロールバー装置は、少なくとも2つのバランスビームを含んでいる。好ましくは、少なくとも1つのダンパー構成要素が、バランスビームの各々に設けられる。バランスビームの両方は、特に、それぞれ少なくとも1つのバランスビーム軸受によって、シャーシに回転可能に連結される。
【0011】
特に好ましい具体的な実施形態は、特性量が、シャーシに対するアンチロールバー装置の動作位置、および/またはトルクチューブフレームの少なくとも1つに対する相対位置を規定することを提供する。ダンパーのパラメータは、特に、そのような特性量の少なくとも1つに依存して設定され得る。
【0012】
同様に、特に有利な別の実施形態は、特性量が少なくとも1つのバランスビームの偏向を指定することを提供する。ダンパーパラメータは、特に、偏向に依存して設定されることができる。特性量が、1つのバランスビームの少なくとも1つの回転角位置にそれぞれ、および/またはバランスビームの回転角位置間の差を規定することが好ましい。好ましくは、バランスビームのための別々のダンパーパラメータを設定することができる。これにより、地形やその他の運転状況における非常に多様な条件に対して、ダンピングを特に有利に適合させることができる。
【0013】
特性量は、特に、少なくとも1つのバランスビームの少なくとも1つの回転角度位置を規定する。センサ装置は、特に、少なくとも1つのセンサ装置によって(または以下に説明するように)、バランスビームの回転角度位置を直接および/または間接的に取得するように構成されている。
【0014】
特性量は、それぞれ1つのバランスビームの少なくとも1つの回転角度位置、および/またはバランスビームの互いに対する回転角度位置の差を定義する。アンチロールバー装置は、特に少なくとも2つのバランスビームから構成される。少なくとも1つの個別のダンパーパラメータは、各バランスビームのために(それぞれ1つのダンパー構成要素によって)設定することができる。
【0015】
全ての構成において、制御装置は、少なくとも1つのセンサ装置によって特性量を連続的に取得するように構成され、好ましくは動作中であることが好ましい。センサ装置は、特に、上述した特性量のうちの少なくとも1つを取得するのに適しており、かつ構成されている。センサ装置は、特に、車両のローリング運動において少なくとも部分的に移動する少なくとも2つの構成要素の間の少なくとも1つの相対運動を取得することができる。構成要素の少なくとも1つは、アンチロールバー装置と結合されているか、またはアンチロールバー装置によって提供されている。この目的のために、センサ装置は、特に少なくとも1つのセンサ手段、例えば少なくとも1つの変位センサ、回転角センサそれぞれ回転角センサ、距離センサ等から構成される。他の適切なセンサタイプも同様に考えられる。
【0016】
センサ装置は、バランスビームの回転角度位置を取得するための少なくとも1つの回転角センサを含んでいることが特に好ましい。好ましくは、少なくとも1つの回転角センサは、バランスビームの回転角位置を特に個別に取得できるように、バランスビームの各々に対して設けられる。回転角センサは、好ましくは、バランスビームと結合される。回転角センサは、特に(非回転式に)バランスビーム軸受を通って延びるバランスビーム軸と結合され、および/またはバランスビーム軸受に組み込まれる。
【0017】
制御可能なダンパー(それぞれ制御可能なダンパーを備えたダンパー構成要素)は、特に、任意に挿入可能なダンパー構成要素に関して以下に説明するように構成される。制御可能なダンパーは、特に、以下に説明するダンパー構成要素のうちの1つによって提供される。
【0018】
車両部品は、特に、ダンパー装置の少なくとも1つのテークアップ装置に任意に挿入可能な少なくとも2つのダンパー構成要素から構成される。ダンパー構成要素は、少なくとも1つの減衰特性によって異なるので、ダンパー構成要素を選択することによって、ダンパー装置の少なくとも1つのダンパーパラメータがそれぞれ設定、調整されることができるようにする。
【0019】
この車両部品には、更に多くの利点がある。大きな利点は、異なる減衰特性を持つオプションで挿入可能なダンパー構成要素によってもたらされる。これは、非常に信頼性が高く、また構造的に複雑でなく(簡単な)オプションで、車両の意図された用途にダンパー装置を適合させることができる。もう一つの利点は、ダンパーパラメータの設定が特に安定していて、トラブルがないことである。
【0020】
アンチロールバー装置は、特に少なくとも1つのバランスビームから構成される。バランスビームは、特に、トルクチューブフレームと結合され、好ましくは、少なくとも1つの軸を中心に回転するように枢動可能に結合される。バランスビームは、特に、少なくとも1つのバランスビーム軸受によって、シャーシと回転可能に連結される。任意に挿入可能なダンパー構成要素は、特に、バランスビーム軸受を提供するか、または少なくともその一部を形成する。好ましくは、任意に挿入可能なダンパー構成要素は、バランスビーム軸受に組み込まれる。
【0021】
ダンパー構成要素の少なくとも1つは、特に好ましくは、バランスビームの回転運動を減衰させ、耐えるようにも構成される。ダンパー構成要素は、特に、ロータリーダンパーとして構成される。ロータリーダンパーの回転軸は、特に、バランスビームの回転軸に対応する。ダンパー構成要素は、特に、少なくとも1つの回転方向、好ましくは少なくとも2つの回転方向において、バランスビームの回転運動を減衰させる。バランスビームの回転軸は、特にバランスビームの長手方向の軸に対して横方向に延び、好ましくはそのビームアームに対して横方向に延びる。バランスビームの回転軸は、特にシャーシの長手方向の軸に対して横方向に延び、特に車両の操作上の前進走行方向に対して横方向に延びている。この構成に対して代替的にまたは追加的に、ダンパー構成要素の少なくとも1つは、バランスビームの横方向および特にバランスビームの回転軸に対して半径方向の動きを減衰させるのに適した構成であってよい。ダンパー構成要素の少なくとも1つは、特に、バランスビームの回転運動とバランスビームの横方向および特にバランスビームの回転軸に対して半径方向の運動との両方を減衰させる組み合わせダンパーとして構成することができる。
【0022】
好ましくは、任意に挿入可能なダンパー構成要素は、少なくともその弾性力および/または復元力および/または進行度および/またはその減衰比それぞれ減衰定数において異なる。任意に挿入可能なダンパーの構成要素の少なくとも1つが、少なくとも2段階の進行および/または減衰を示すことが可能である。代替的に、3段階または4段階または5段階またはそれ以上の段階が考えられる。
【0023】
好ましくは、任意に挿入可能なダンパー構成要素は、少なくとも1つのエラストマー部品の少なくとも1つの特性において異なる。したがって、ダンパーのパラメータの設定は、実現において煩雑でありながら特に効率的である。この特性は、好ましくは、エラストマー部品のショア硬度および/または組成および/または質量に関連する。エラストマー部品はまた、材料の別の特性において異なっていてもよい。また、ダンパー構成要素が、そのエラストマー部品の量において異なることも可能である。これらの構成は、好ましくは、ダンパーブッシュ、特に金属ブッシングのエラストマー部品に関するものである。エラストマー部品の材料は、例えば、加硫ゴムまたは未加硫ゴム、プラスチックなどであってもよい。エラストマー部品は、特に、後述するエラストマー層またはエラストマーがそのまま構成される。
【0024】
任意に挿入可能なダンパー構成要素は、少なくともそのダンパーのタイプによって異なることが好ましい。異なるダンパーのタイプは、特に、少なくとも、ロータリーダンパー、リニアダンパー、ダンパーブッシュ、スロットブッシュ、エラストマーダンパー、1段ダンパー、2段ダンパー、多段ダンパー、油圧ダンパー、ハイドロマウント、電気または磁気粘性ダンパー、アクティブにそれぞれ制御可能ダンパーからなるタイプ群から選択される。本発明において、リニアダンパーは、特に、直線方向に作用するダンパーを意味すると理解される。本発明において、リニアダンパーという用語は、特に、減衰力の直線曲線に関連するものではない。上述したダンパーは、好ましくは、減衰力を具体的に設定および調整することができるように、制御可能なダンパーとして構成される。
【0025】
ダンパー構成要素の少なくとも1つは、好ましくは、少なくとも1つのダンパーブッシュ、特にロータリーダンパーブッシュからなるか、またはそのように構成される。ダンパーブッシュは、特に、少なくとも2つのバッキング層の間に同心円状に配置された少なくとも1つのエラストマー層から構成される。特に、少なくとも1つの外側バッキング層と少なくとも1つの内側バッキング層が提供される。内側バッキング層と外側バッキング層との間に、さらなるバッキング層が配置されてもよい。そして、少なくとも1つのエラストマー層がそれぞれバッキング層の間に配置されてもよい。ダンパーブッシュは、少なくとも2つのエラストマー層または少なくとも3つ以上のエラストマー層から構成されてもよい。ダンパーブッシュは、バネ性を兼ね備えていてもよい。
【0026】
好ましくは、少なくとも1つの外側バッキング層、特に最も外側のバッキング層および/または少なくとも1つのエラストマー層は、少なくとも部分的にスロットが形成されている。ダンパーブッシュは、特にスロット付きブッシュとして構成される。ダンパーブッシュは、特に、好ましくは半径方向内側に先細りとなったテーパ状である少なくとも1つのスロットから構成される。最も内側のバッキング層は、非スロット式に構成されている。スロットは特に軸方向に延びている。バッキング層は、金属材料またはプラスチックまたは複合材料または他の適切な材料で製造されてよい。
【0027】
ダンパー構成要素、例えばダンパーブッシュは、バランスビームの横方向、特にバランスビームの回転軸に対して半径方向の動きのみを減衰させることが可能である。そして、必要な回転自由度は、特に、少なくとも1つの軸受ユニット、例えば滑り軸受および/またはローラー軸受によって、バランスビームの回転可能性を実現する。この目的のために、このような軸受ユニットは、特に、トルクチューブフレーム、例えばトルクチューブフレーム上に固定的に配置されたジャーナル上、および、バランスビームに取り付けられたダンパー構成要素の間に配置される。代替的に、ダンパー構成要素が、バランスビームの回転可能のための回転自由度を与えるように設けてもよい。その場合、ダンパー構成要素は、特にロータリーダンパーとして構成される。そして、それぞれの軸受は、このようにダンパー構成要素に設けられる。
【0028】
任意に挿入可能なダンパー構成要素は、特に、少なくとも1つの減衰特性が異なる少なくとも2つのダンパーブッシュから構成されている。ダンパーブッシュは、好ましくは、上記のように構成される。ダンパーブッシュは、特に、そのエラストマー層および/またはバッキング層に関して異なる。例えば、バッキング層および/またはエラストマー層の量および/または組成が異なる。好ましくは、ダンパーブッシュは、その少なくとも1つのエラストマー層のショア硬度および/または減衰比によって異なる。ダンパーブッシュは、異なる溝を有するように構成されることが可能である。
【0029】
好ましい実施形態において、ダンパー構成要素の少なくとも1つは、少なくとも2段を示す少なくとも1つのダンパーブッシュからなる、またはそのように構成される。多段、例えば3段または4段のダンパーブッシュも同様に考えられる。これにより、減衰特性を特に制御して適合させることができる。ダンパーブッシュは、特に、少なくとも1つの軟質エラストマーによって、少なくとも1つの第1の回転角度範囲において減衰される。ダンパーブッシュは、特に、少なくとも1つの硬質エラストマーによって、少なくとも第1の回転角度範囲に続く少なくとも1つの第2回転角度範囲において減衰される。代替的にまたは追加的に、2段ダンパーブッシュは、バランスビームの回転軸に対して横方向、特に半径方向のバランスビームの運動を減衰させるのに適しており、そのように構成されてもよい。
【0030】
特に、硬質エラストマーは、回転運動のストッパーとなる。このストッパーは、特に第1の回転角度範囲の終点で到達する。ストッパーに到達した後、特に第2の回転角度範囲が続く。ストッパーは、特に第2の回転角度範囲において変形される。軟質エラストマーは、特に第1の回転角度範囲において、硬質エラストマーに当たるまで変形される。多段構成は、ダンパーブッシュが、好ましくは、異なる硬度の少なくとも3つの硬質エラストマーからなることを提供する。エラストマーは、特に、各回転角度範囲の端部にストッパーとして設けられる。エラストマーは、特に、少なくとも2つの支持体の間に配置される。一方の支持体は、特にバランスビームに取り付けるためのものであり、他方の支持体は、シャーシに取り付けるためのものである。
【0031】
任意に挿入可能なダンパー構成要素は、特に、少なくとも2つの段階を示し、少なくとも1つの減衰特性において異なる少なくとも2つのダンパーブッシュから構成される。ダンパーブッシュは、特に上記のように構成され、すなわちダンパーブッシュは、その段数において異なることが可能である。例えば、1つの単段および1つの少なくとも2段のダンパーブッシュから構成される。
【0032】
ダンパー構成要素の少なくとも1つが、少なくとも1つの油圧式ダンパーブッシュから構成されるか、またはそのように構成されることが可能であり好ましい。このようなダンパーブッシュは、特に、少なくとも1つのバルブ装置によって相互接続された少なくとも2つのダンパーチャンバーから構成される。バルブ装置は、特に、ダンパーチャンバーの一方から他方へのダンパー流体の流量を制御する。油圧式ダンパーブッシュを調節可能に構成することが可能である。特に、ダンパー力(減衰力)および/または異なる減衰曲線を調整することができる。
【0033】
ダンパー流体は、電気粘性流体および/または磁気粘性流体として構成されてもよい。そして、油圧式ダンパーブッシュは、特に、電気粘性流体それぞれ磁気粘性流体ダンパーブッシュを意味すると解される。そして、バルブ装置は、特に、少なくとも1つの電気コイルおよび/または少なくとも1つの磁石から構成される。すべての構成において、バルブ装置は、電気的および/または電磁気的および/または電気機械的に構成されてもよい。
【0034】
特に、油圧式ダンパーブッシュは、少なくとも1つのばね装置、好ましくは少なくとも1つのエラストマーによって弾性力の回復を有する。ばね装置は、少なくとも1つのガス圧ばね、および/または、空気ばね、および/または、ねじりばね、および/または、コイルばね、および/または、金属ばね等から構成されてもよい。これにより、油圧ダンパーの簡単でありながら信頼性の高い回復が可能になる。
【0035】
油圧式ダンパーブッシュは、特に、ロータリーダンパーおよび/またはリニアダンパーとして構成される。油圧式ダンパーブッシュは、コンビネーションダンパーによって提供されることが可能である。コンビネーションダンパーは、特に、バランスビームの回転運動と、バランスビームの回転軸に対して横方向、特に半径方向の運動の両方を回転的に減衰するように構成され、好適である。コンビネーションダンパーは、少なくとも1つの半径方向にアクティブな(油圧)リニアダンパーと作動的に結合された少なくとも1つの(油圧)ロータリーダンパーで構成されてもよい。これらのダンパーは、特定の走行状況においてかなりの利点を有する。ダンパーは、減衰力調整を制御することができるように、制御可能なダンパーとして構成されることが好ましい。
【0036】
任意に挿入可能なダンパー構成要素は、特に、少なくとも1つの減衰特性が異なる少なくとも2つの油圧式ダンパーブッシュで構成されている。ダンパーブッシュは、上述したように構成される。
【0037】
有利な実施形態において、ダンパー構成要素の少なくとも1つは、少なくとも1つの制御可能なダンパーとして構成される。ダンパー装置は、好ましくは、制御可能なダンパーの少なくとも1つのダンパーパラメータを適合させるのに適した少なくとも1つの制御装置を含んでいる。ダンパーパラメータは、特に、乗車中に適合させることができる。制御可能なダンパー、単独で、特に任意に挿入可能なダンパー構成要素との組み合わせで、乗り心地の大幅な改善とダンパー装置の特に有利な適合が提供される。制御装置は、また、制御可能なダンパーのばねの少なくとも1つのパラメータを適合させるのに適した構成であってよい。
【0038】
制御装置は、好ましくは、センサ装置によって記憶されている、および/またはセンサ装置によって取得することができる。少なくとも1つの特性量に依存して、少なくとも1つのダンパーパラメータを調整するように構成される。これは、減衰におえる、特に制御された個々の適応を提供する。制御装置は、特に、特性量に依存して、車両のローリング運動を低減または防止するように構成される。特性量は、例えば、アンチロールバー装置の状態値であってもよく、例えば、バランスビームの偏向を記述してもよい。代替的に、特性量は、シャーシの別の状態値および/または車両の積載状態に関連してもよく、および/または地形を特徴付けてもよい。記憶された特性量は、少なくとも1つのアルゴリズムによって提供されてもよい。少なくとも1つのアルゴリズムによって特性量を適合させることが可能である。アルゴリズムに、ユーザ入力および/または他の何らかの仕様を考慮することが提供されてもよい。
【0039】
少なくとも1つのセンサ装置が、センサによって特性量を取得するために設けられている。センサ装置は、特に、操縦のための、および/またはアンチロールバー装置の状態のための、少なくとも1つの特性量を取得するために構成されている。センサ装置は、特に、バランスビームの角度位置、好ましくはバランスビームの回転角度を直接的または間接的に取得することができる。
【0040】
例えば、センサ装置は、バランスビームの回転軸の回転角度を直接的に取得するために、少なくとも1つの回転角センサを含んで構成される。間接的に取得するために、センサ装置は、バランスビームの回転運動を直線運動に変換する、伝達装置を割り当ててもよい。少なくとも2つのバランスビームからなるアンチロールバー装置では、各バランスビームの回転角度を個別に取得することができる。ダンパーのパラメータは、減衰させる予定のバランスビームの回転角度に依存して調整することができる。
【0041】
制御可能なダンパーは、油圧式に構成することが可能である。制御可能なダンパーは、特に少なくとも2つのダンパーチャンバーから構成される。制御可能なダンパーは、特に、流れの力学的観点からダンパーチャンバーを連結する少なくとも1つのバルブ装置から構成されている。少なくとも1つのダンパーのパラメータは、特にバルブ装置を作動させることによって適合させることができる。バルブ装置は、特に、一方から他方のダンパーチャンバーへのダンパー流体の流量を制御する。好ましくは、制御可能な油圧ダンパーは、上記のように構成されるか、または少なくとも1つの油圧式ダンパーブッシュで構成される。
【0042】
もしくは、制御可能な油圧ダンパーは、上述したコンビネーションダンパーによって構成されてもよい。制御装置は、特に、バランスビームの回転運動を減衰させるための少なくとも1つのダンパーパラメータと、バランスビームの回転軸に対して横方向、特に半径方向の運動に対する少なくとも1つのダンパーパラメータとを別々に、好ましくは互いに独立して調整するように構成されていることが好適である。また、バランスビームの回転軸に対して横方向、特に半径方向の運動に対するダンパーパラメータを調整することができる。また、ダンパーパラメータを従属的に調整することも可能である。ある種の走行状況では、回転減衰と組み合わせて半径方向の減衰にそれぞればね剛性を影響させると、格段の利点が得られることが判明している。
【0043】
本出願人は、少なくとも1つのシャーシと、シャーシに収容するために設けられた少なくとも1つの駆動系とを含む車両部品を操作するために役立つ方法を請求する権利を留保する。駆動系は、それぞれが少なくとも1つのトルクチューブフレームを有する少なくとも2つの固定アクスルユニットから構成される。少なくとも2つの固定アクスルユニットのトルクチューブフレームは、特に、シャーシに取り付けられた少なくとも1つのアンチロールバー装置によって枢動可能に相互連結される。アンチロールバー装置には、特に車両のローリング運動を減衰させるための少なくとも1つのダンパー装置が割り当てられている。ダンパー装置の少なくとも1つのテークアップ装置に挿入可能な少なくとも2つのダンパー構成要素のうちの少なくとも1つは、ロール安定性を、アドオンユニットを備えた機器に、および/または多目的車両の積載状態に、および/または走行した地形プロファイルに、および/または多目的車両の少なくとも1つの意図した用途に適合させるために選択される。そして、選択されたダンパー構成要素は、テークアップ装置内に挿入される。
【0044】
この方法は、再び、実用車両のロール安定性にかなりの改善をもたらす。挿入可能なダンパー構成要素は、好ましくは、上述した本発明による車両構成要素のために構成される。本方法は、特に、上述した車両部品を操作するのに役立つ。上述した車両部品は、特に、本発明による方法を用いて操作するのに適している。
【0045】
特に好ましい構成では、アンチロールバー装置は、少なくとも2つのバランスビームを含んでいる。バランスビームは、特に、共有された(仮想の)回転軸を中心に回転可能である。バランスビームは、特に、シャーシの対向する長手方向面に配置される。バランスビームは、特に、それぞれ2つのトルクチューブフレームと結合される。バランスビームは、特に、少なくとも1つのフロントアクスルユニットのそれぞれ1つのトルクチューブフレームと結合され、同時に、少なくとも1つのリヤアクスルユニットのトルクチューブフレームと結合される。
【0046】
少なくとも2つのバランスビームのそれぞれには、特に少なくとも1つのバランスビーム軸受が設けられている。バランスビームの各々は、特に、少なくとも1つの専用のバランスビーム軸受によってシャーシに回転可能に連結される。すべての構成において、バランスビームは、少なくとも部分的に互いに独立して回転することが特に好ましい。少なくとも2つのバランスビームは、特に、シャフト等によって回転不能に相互接続されない。
【0047】
少なくとも1つの減衰特性が異なる少なくとも2つの任意に挿入可能なダンパー構成要素が、特にバランスビームのために設けられる。任意に挿入可能なダンパー構成要素は、特に少なくとも2つのバランスビームに対して、それぞれ同一の減衰特性を示すダンパー構成要素の組で構成される。したがって、アンチロールバー装置の全てのバランスビームは、それぞれ類似した同一のダンパー構成要素を備えることができる。
【0048】
バランスビームは、特に、バランスビーム軸受から延びる少なくとも2つのビームアームを含んで構成される。バランスビームは、特に少なくとも2つのビームアームそれぞれからなり、バランスビームは、ビームアームの1つによって共有トルクチューブフレームと結合される。バランスビームは、ビームアームの1つずつによって1つの共有されたトルクチューブフレームと結合される。
【0049】
ビームアームは、特に少なくとも1つのプッシュロッドを用いてトルクチューブフレームに枢動可能に連結するための少なくとも1つの連結点を有する。プッシュロッドを枢動可能に連結するための少なくとも1つの連結点は、特にトルクチューブフレーム上に配置されている。
【0050】
特にトルクチューブフレームは、固定アクスルユニットのアクスルボディを構成し、牽引バーまたは牽引バーに類似するものとして構成されることが好ましい。トルクチューブフレームは、特に、牽引バーのように移動可能にシャーシに連結されている。トルクチューブフレームは、特に、それぞれ少なくとも1つのジョイント装置(現在、中央ジョイントと呼ばれる)によってシャーシに移動可能に取り付けられる。中央ジョイントは、ボールジョイントおよび/または球状ジョイントおよび/またはゴムパッド等として構成されてもよい。中央ジョイントは、好ましくは、トルクチューブフレームの横方向のチューブに連結される。このジョイントは、特に、トルクチューブフレームそれぞれの牽引バーの長手方向ガイドとして機能する。駆動系は、特に、駆動されるように設けられた少なくとも2つの固定軸装置からなる。
【0051】
好ましくは、中央ジョイントは、縦方向の力を実質的に吸収し、特に、圧縮(車両座標系のy軸の周りの回転)および交差(x軸の周りの回転)の軸移動を確保しながら、縦方向の力を吸収する。トルクチューブフレームまたは牽引バーを横方向に案内するために、固定アクスルユニットは、好ましくは、それぞれ少なくとも1つの横方向ガイドを含んでいる。横方向ガイドは、特に少なくとも1つのバーリンク装置からなり、このバーリンク装置は、同様に、ジョイントによってシャーシと上部構造とそれぞれ接続されている。横方向ガイドは、少なくとも1つのパナールロッド(ラテラルロッドとも称される)および/またはワットリンクケージおよび/または少なくとも1つのシザーズガイドから構成されてもよい。
【0052】
上述した固定アクスルユニットは、好ましくは、フロントアクスルユニットとリヤアクスルユニットの両方に設けられる。固定アクスルユニットは、好ましくは、アンチロールバー装置の少なくとも1つの回動可能なバランスビームを介して相互に連結される。バランスビームは、特に、シャーシに回動可能に連結されている。固定アクスルユニットは、特に、それぞれ少なくとも1つのジョイントを介してバランスビームに枢動可能に連結され、それぞれ関節で連結される。
【0053】
すべての構成において、固定アクスルユニットは、ディディオンアクスルとして構成されるか、または少なくともディディオンアクスルから構成されることが好ましい。また、固定アクスルユニットの少なくとも1つが、ディディオンアクスルとして構成されるか、または少なくともディディオンアクスルから構成されることが考えられる。特に、車両を駆動するために設けられた伝達部品、例えばデファレンシャルギヤは、トルクチューブフレームの外側に配置される。これにより、特に有利には、ばね下質量および減衰下質量をそれぞれ低減することができる。好ましくは、係る固定アクスルユニットを駆動するのに役立ち、特に歯車伝動装置と作動的に結合される駆動接続部が、それぞれアクスルチューブのトルクチューブフレームの外部に配置される。固定アクスルユニットは、特に、それぞれ少なくとも1つの固定アクスルから構成される。もしくは、固定アクスルユニットが、例えば半独立サスペンションなどの少なくとも1つの半固定車軸として構成される、または半固定車軸からなることが可能である。
【0054】
固定アクスルユニットは、好ましくは、それぞれ少なくとも1つのデファレンシャルギヤを含んでいる。デファレンシャルギヤは、好ましくは、トルクチューブフレームの外部に配置される。もしくは、他の駆動接続部は、トルクチューブフレームの外部に配置されてもよい。デファレンシャルギヤは、アクスルデファレンシャルと呼ばれることもある。
【0055】
駆動系は、特に、少なくとも1つの主変速機および/または少なくとも1つの伝達ギヤを備えた少なくとも1つの歯車伝動装置から構成される。歯車伝動装置は、特に、駆動される固定アクスルユニットごとに、少なくとも1つの差動ギヤを備える。デファレンシャルギヤは、特に、少なくとも部分的または全体的にロックすることができる。デファレンシャルギヤは、ロックが開くことを禁止するように構成されてもよい。トランスファーギヤはまた、少なくとも1つのデファレンシャルギヤを含んでいてもよく、このデファレンシャルギヤは、特に、少なくとも部分的に、または全体的にロックされないようにすることができる。主変速機は、手動変速機、または、半自動変速機、または、全自動変速機として構成されることができる。主変速機は、特に、手動変速機として構成される。駆動系は、少なくとも1つの車輪から構成されてもよい。主変速機および/または伝達ギヤおよび/または差動ギヤは、特に、フレームに固定的に配置される。
【0056】
アンチロールバー装置は、特に、バランスビームの回転運動を直接および/または間接的に支持するのに適切かつ構成された少なくとも1つのばね装置を割り当てられている。例えば、回転支持体が考えられる。ばね装置が、少なくとも1つの伝達装置を介してバランスビームと結合されることも可能であり、この伝達装置は、バランスビームの回転運動をばね装置のための直線運動に変換する。ばね装置は、特に少なくとも1つのばねから構成される。ばね装置は、特に、ばねおよび他の適切な種類のエネルギー蓄積する装置を意味すると解される。
【0057】
任意に挿入可能なダンパー構成要素は、特に好ましくは、同じテークアップ装置に任意に挿入されるように構成される。任意に選択的に挿入可能なダンパー構成要素は、特に、テークアップ装置への取り付けに関して、同一の取り付け寸法および/または同一のテークアップ装置を示す。ダンパー構成要素が、それぞれ少なくとも1つのばね装置から構成されるか、またはそれらによって構成されることが可能である。ダンパー構成要素は、特に、減衰とばねの両方のために好適に構成される。
【0058】
ダンパー構成要素はそれぞれ、特に、互いに相対的に移動可能な少なくとも2つのダンパー構成要素から構成される。少なくとも2つのうちの第1のダンパー構成要素は、特に、シャーシと作動的に結合される。第1のダンパー構成要素は、シャーシと直接的に結合されてもよく、および/またはアンチロールバー装置によってシャーシと間接的に結合されてもよい。少なくとも2つのうちの第2のダンパー構成要素は、特に、トルクチューブフレームの少なくとも1つと作動的に結合される。第2のダンパー構成要素は、トルクチューブフレームと直接的に結合されてもよく、および/またはアンチロールバー装置によってトルクチューブフレームと間接的に結合されてもよい。そして、2つのダンパー構成要素の動きは、減衰され得る。
【0059】
ダンパーの各構成部品は、少なくとも1つのロータリーダンパーから構成される、またはロータリーダンパーとして構成されることが好ましい。もしくは、ダンパー構成要素はそれぞれ、少なくとも1つのリニアダンパーから構成されるか、またはリニアダンパーとして構成されることができる。そして、特に、バランスビームの回転運動をダンパーに適した運動に変換する少なくとも1つの伝達装置が設けられる。
【0060】
本発明による別の車両構成要素は、少なくとも1つのシャーシと、シャーシに収容するために設けられた少なくとも1つの駆動系とからなる。駆動系は、それぞれが少なくとも1つのトルクチューブフレームを有する少なくとも2つの固定アクスルユニットから構成される。少なくとも2つの固定アクスルユニットのトルクチューブフレームは、特に、シャーシに取り付けられた少なくとも1つのアンチロールバー装置によって、枢動可能に相互連結される。少なくとも1つのダンパー装置が、特に車両のローリング運動を減衰させるために、アンチロールバー装置に割り当てられている。ダンパー装置は、少なくとも1つの制御可能なダンパーから構成される。ダンパー装置は、特に、運転中(特に車両が運転モードにある間)、制御可能なダンパーの少なくとも1つのダンパーパラメータを、特に継続的に適合させるのに適するように構成された少なくとも1つの制御装置を含んでいる。
【0061】
好ましい具体的な実施形態において、制御可能なダンパーは、本発明による車両部品について上述したように構成される。制御装置は、好ましくは、制御可能なダンパーを上記のように選択することができる。この車両部品は、乗り心地の大幅な改善と、減衰の設定および調整における多くの利点を有する。
【0062】
本発明のさらなる利点および特徴は、添付の図を参照して後述する例示的な実施形態の説明から理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】本発明に係る車両部品を搭載した多目的車両の斜視スケルトン図である。
図2図1に記載の車両部品の概略図である。
図3】車両部品のダンパー構成要素の側面図である。
図4】車両部品の更なるダンパー構成要素を透視して示す模式図である。
図5】車両部品の更なるダンパー構成要素の側面図である。
図6】車両部品のダンパー装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1は、例示的に4×4(四輪駆動)として構成されたオフロードが可能なオフロード多目的車両100(以下、単に車両100とも記す)のための本発明による車両の一部である車両サブアセンブリ1を図示している。車両サブアセンブリ1は、シャーシ2と、駆動モータおよび変速装置を有する駆動系12とから構成される。理解を深めるために、変速装置のハーフシャフト53と最終減速機301が示されている。駆動系12は、フロントアクスルユニットとして構成された第1のアクスルユニットと、リヤアクスルユニットとして構成された第2のアクスルユニットとからなる2つの固定アクスルユニット3を備えている。
【0065】
例えば、変速装置は、図示しない主変速機を備え、この主変速機は、シャフトによって駆動モータと接続され、トランスファーギヤと連結されている。トランスファーギヤは、例えば、リヤアクスルユニットのデファレンシャルギヤと直接的に結合される。この結果、トランスアクスル構造が実現される。そして、エンジンは前部に配置され、主変速機とトランスファーギヤは、駆動されるリヤアクスルユニットに配置される。さらに、トランスファーギヤは、フロントアクスルユニットのデファレンシャルギヤと結合される。そして、デファレンシャルギヤは、ハーフシャフト53によって、車輪とそれぞれその最終減速機301と結合されている。
【0066】
図示の固定アクスルユニット3は、それぞれ1つのワットリンク300を備えている。他の適切なスタビライザタイプも同様に設けることができる。さらに、フロントアクスルユニットは、サスペンションストラットを形成するように組み立てられたスプリング302と、ショックアブソーバ303とを備えている。図示のリヤアクスルユニットは、4つのスプリング302と2つのショックアブソーバ303とを備えている。
【0067】
固定アクスルユニット3は、それぞれ1つのトルクチューブフレーム4を備え、このトルクチューブフレーム4は、車輪の間に延びる横軸14と、この横軸14に連結された2つのトルクチューブ24とから構成されている。トルクチューブフレーム4におけるトルクチューブ24は、横管34によって連結されている車両中心方向で長手方向に延びている。
【0068】
図示の構成では、トルクの伝達部品を有する変速装置が、トルクチューブフレーム4の外部に配置されるようになっている。差動ギヤは、トルクチューブフレーム4の横軸14とは別にシャーシ2に取り付けられている。このように、固定アクスルユニット3は、ドディオンアクスル構造に構成されている。駆動用に設けられたハーフシャフト53は、同様にトルクチューブフレーム4の外部に延びている。
【0069】
シャーシ2は、ラダーフレームとして構成され、右側と左側の縦ビーム42から構成される。縦ビーム42は、クロスストラットを介してその端部で相互に接続されている。中央領域において、また、縦ビーム42は、アンチロールバー装置5に係るトラバース15と接続されている。図示の構成では、トラバース15は、2つの平行に間隔を空けたトラバース部材によって構成されている。ラダーフレームは、図示しないクロスストラットまたは補強材を設けてもよい。
【0070】
トルクチューブフレーム4は、中央ジョイント43によって、シャーシ2に移動可能に取り付けられている。中央ジョイント43は、横管34およびトラバース15に連結され、例えばボールジョイントまたは球面ジョイントとして、あるいはゴムパッドとして構成される。これにより、固定アクスルユニット3、または、車輪の特に広範囲な横断が可能となり、大きな障害物も通過することができる。
【0071】
アンチロールバー装置5は、特に、良好な走行安定性とオフロード性能を達成するために設けられている。これにより、車両運転時または障害物通過時のローリング動作が大幅に低減される。アンチロールバー装置5は、2つの対向するバランスビーム35を備え、これらのバランスビーム35は、それぞれバランスビーム軸受25によって縦ビーム42に回転可能に支持されている。
【0072】
フロントアクスルユニットおよびリヤアクスルユニットのトルクチューブフレーム4は、それぞれ1つのバランスビーム35に連結されている。このため、バランスビーム35と当該トルクチューブフレーム4との間には、ローリングを安定化させるためのストラット45が配設されている。このように共有のバランスビーム35に連結することで、好ましくないローリング運動を打ち消しつつ、トルクチューブフレーム4の交差を可能にする。
【0073】
車両100をローリング運動に対して安定させるだけでなく、ローリング運動を減衰させるために、アンチロールバー装置5には、ダンパー装置6が割り当てられている。図示のダンパー装置6は、2つのダンパー構成要素7からなり、バランスビーム軸受25の各々がダンパー構成要素7を備えるように構成されている。図示の車両100は、図6に示すように、制御可能なダンパー9として構成されたダンパー構成要素7をそれぞれ備えている。
【0074】
ダンパー装置6を運転条件、例えば車両100の機器(装置)、負荷、または、地形に最適に適合させるために、制御可能なダンパー9のダンパーパラメータは、センサ装置36によって取得される特性量に依存して設定される。
【0075】
さらに、様々なダンパー構成要素7が選択され設置される。この目的のために、任意に挿入可能なダンパー構成要素7は、図示しないテークアップ装置16において、バランスビーム軸受25内の縦ビーム42にそれぞれ挿入できるように構成されている。ダンパー構成要素7は、例えば、安全かつ単純な交換を可能にするために、同じ寸法および同じはめ込み装置を備えている。したがって、要求に応じて、特定のダンパー構成要素7が選択され、それによって1つまたは複数のダンパーパラメータが変更される。
【0076】
図2には、ダンパーブッシュ17として構成されたダンパー構成要素7が示されている。さらに、分解図には、ダンパー構成要素7のための縦ビーム42およびテークアップ装置16が示されている。図示のダンパーブッシュ17は、外側のバッキング層27と内側のバッキング層27とからなり、その間にエラストマー層37が配置されている。例えば、バランスビーム35(図2では図示せず)は、内側のバッキング層27に連結される。ダンパーブッシュ17は、外側のバッキング層27とともに、テークアップ装置16に挿入される。
【0077】
なお、ダンパーブッシュ17は、バランスビーム35の回転軸に対して半径方向にのみ減衰するように設けてもよい。そして、内側のバッキング層27とトルクチューブフレーム4に取り付けられたジャーナルとの間に、回転自由度のために、例えば、滑り軸受またはローラー軸受が配置される。このような軸受は、バランスビーム35と外側のバッキング層27との間にも設けられてもよい。あるいは、ダンパーブッシュ17における軸受により回転可能であってもよい。
【0078】
エラストマー層37および内側のバッキング層27の量に関連して、またはエラストマー層37の組成、および、例えばショア硬度に関連して異なるダンパーパラメータが実施されてもよい。減衰特性を適合させるために、図示のダンパーブッシュ17は、例えば図3図6に示されているように、テークアップ装置16に挿入可能な他のダンパー構成要素7によって置換されてもよい。
【0079】
図3は、任意に挿入可能なダンパー構成要素7を示し、ダンパーブッシュ17がそれぞれスロット付きのブッシュとして構成されている。この目的のために、例えば、図示するように、内側のバッキング層27と1つ以上のエラストマー層37が配設されている。ここで、スロット47は、内側のバッキング層27およびエラストマー層37の外側を貫通して、半径方向内側に先細りしたテーパ状に延びている。図示のダンパーブッシュ17は、例えば、バランスビーム35の減衰をより硬く、または、より柔らかくする。したがって、ダンパー特性の適合は、このダンパーブッシュ17をテークアップ装置16に挿入することによって制御することができる。
【0080】
図4は、2段式のダンパーブッシュ57として構成された、別の任意に挿入可能なダンパー構成要素7を示している。このために、異なる硬度を示す2つのエラストマー67,77が、内側および外側の支持体87の間に配置される。外側の支持体87は例えばシャーシ2に連結され、内側の支持体87は例えばバランスビーム35に連結されている。図示のダンパー構成要素7は、図示の他のダンパー構成要素7と交換可能にテークアップ装置16に挿入され得る。2段式のダンパーブッシュ57は、回転式ダンパーとして機能し、好ましくは、バランスビーム35の回転軸に対する半径方向の減衰も可能にする。
【0081】
バランスビーム35が回転運動によって回転するとき、その回転運動は、まず、第1の回転角度範囲において、より柔らかいエラストマー67によって減衰される。第1の回転角度範囲の終わりには、次に、より軟らかい(軟質)エラストマー67がより硬い(硬質)エラストマー77に突き当たる。それに応じてより強い転がり運動が与えられると、ダンパーブッシュ57は、次に、第1の回転角度範囲を越えて第2の回転角度範囲に移動させられる。そして、第2の回転角度範囲では、より硬いエラストマー77によって減衰が行われる。こうして、特徴的なダンパー曲線の制御が実現される。したがって、例えば小さな転がり運動を特に柔らかく減衰させることができ、大きな転がり運動の場合には、底付きや減衰不足を回避することができる。
【0082】
図5は、任意に挿入可能なダンパー構成要素7を示し、これは、油圧式ダンパーブッシュ8として構成されている。この目的のために、バルブ装置29によって連結された2つのダンパーチャンバー19が設けられている。バランスビーム35の回転運動によって、ダンパー流体が一方から他方のダンパーチャンバー19に流れ、バルブ装置29が流量を規定し、したがってダンパー力を規定する。油圧式ダンパーブッシュ8は、実施形態では、コンビネーションダンパーとして構成されている。代替的に、油圧式ダンパーブッシュ8は、ロータリーダンパーのみとして構成されてもよい。
【0083】
そして、バルブ装置29は、固定された予め定めた流量、または、任意に設定可能な流量にすることができる。偏向したダンパーブッシュを復元することを可能にするため、または少なくとも支持するために、例えばエラストマーのようなばね装置18が設けられる。図示の油圧式ダンパーブッシュ8は、図示の他のダンパー構成要素7と交換可能にテークアップ装置16に挿入することができる。
【0084】
図6は、制御装置26によって制御可能なダンパー9を有するダンパー装置6を示す。図示された制御可能なダンパー9は、バルブ装置29によって接続された2つのダンパーチャンバー19を有する。制御装置26は、例えば異なる特性のダンパー曲線を調整するようにバルブ装置29を選択することができる。制御装置26によって1つまたは複数のダンパーパラメータを適合させるために、制御可能なダンパー9の他の構造も同様に考えられる。図示された制御可能なダンパー9は、コンビネーションダンパーとして構成されている。代替的に、制御可能なダンパー9は、回転式ダンパーのみとして構成されてもよい。例えば、同図を参照して説明したシャーシ2において、バランスビーム35の各々は、制御可能なダンパー装置6によって減衰される。
【0085】
図示の制御装置26は、センサ装置36と作動作可能に結合されている。センサ装置36は、例えば操縦のための特性量、好ましくはバランスビーム35の各々に対する回転角度を感知する。このため、各バランスビーム35には、回転角センサが設けられている。そして、センサ装置36によって取得された特性量は、制御装置26に送信される。バランスビームの偏向に関連して、適合されたダンパー力が各ダンパー装置6に対して個別に提供されるように、特性量に依存して2つのダンパーを選択する。図示の制御可能なダンパー9は、図示の他のダンパー構成要素7と交換可能にテークアップ装置16に挿入されてもよい。
【0086】
図示されたダンパー構成要素7は、例えば、アドオンユニットを有する装置に基づいて、または多目的車両の積載状態に依存して、かつ横断されることが意図される地形プロファイルを考慮して選択され、テークアップ装置16に設置される。したがって、非常に多様な運転状態において、転がり運動の最適な減衰、特に高い転がり安定性が達成される。
【符号の説明】
【0087】
1 車両部品
2 シャーシ
3 固定アクスルユニット
4 トルクチューブフレーム
5 アンチロールバー装置
6 ダンパー装置
7 ダンパー構成要素
8 ダンパーブッシュ(油圧式)
9 制御可能なダンパー
12 駆動系
14 横軸
15 トラバース
16 テークアップ装置
17 ダンパーブッシュ
18 ばね装置
19 ダンパーチャンバー
24 トルクチューブ
25 バランスビーム軸受
26 制御装置
27 バッキング層
29 バルブ装置
34 横チューブ
35 バランスビーム
36 センサ装置
37 エラストマー層
42 縦ビーム
43 ボールジョイント
45 ストラット
47 スロット
53 ハーフシャフト
57 ダンパーブッシュ
67 エラストマー
77 エラストマー
87 支持体
100 オフロード多目的車両
300 ワットリンク
301 最終減速機
302 コイルスプリング
303 ショックアブソーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】