(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-09
(54)【発明の名称】フィードバック機構
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20230202BHJP
A61M 5/315 20060101ALN20230202BHJP
【FI】
A61M5/20 510
A61M5/315 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533580
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(85)【翻訳文提出日】2022-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2020081037
(87)【国際公開番号】W WO2021110344
(87)【国際公開日】2021-06-10
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520011887
【氏名又は名称】エスエイチエル・メディカル・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シュアン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】リン-シアン・チャオ
(72)【発明者】
【氏名】メン-ジェン・チョウ
(72)【発明者】
【氏名】チア-シン・ス
(72)【発明者】
【氏名】ツー-チェン・イェ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066EE06
4C066FF05
4C066GG15
4C066HH01
4C066HH13
4C066QQ77
(57)【要約】
薬剤給送開始通知機構が提示され、通知機構は、医療デバイスのハウジング内に配置され、ハウジングの遠位端に固定された後部キャップを含み、後部キャップは中空の管状ハウジングを有し、管状ハウジングは、後部キャップの遠位端から近位方向に延び、それによって、ハウジング内に片持ち梁式に設置され、ハウジングに対して回転可能に固定され、ハウジングの長手方向軸に対して平行となる。回転体が、管状ハウジングの周りに回転可能に配置され、それによって、管状ハウジングに対して第1の位置から第2の位置まで回転することができ、第2の位置は、ある用量の薬剤の給送の開始と一致する。回転体は、接触面をさらに有し、接触面は、回転体が第1の位置から第2の位置まで移動する際に後部キャップ上またはハウジングの内面上に位置する対応する接触面に係合し、その後対応する接触面から係合解除され、接触面を対応する接触面から係合解除すると、可聴または触覚フィードバックが生じる。フィードバック機構に関するいくつかの他の実施形態についても説明する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤給送デバイス用の回転体(110)であって、前記回転体(110)が、
軸(122)に対して近位端から遠位端まで軸方向(120)に延びる管状体(112)と、
前記管状体(112)の表面から延びる1つまたは複数のリッジ(130)であって、
前記1つまたは複数のリッジ(130)が、前記管状体(112)の前記表面上にトラック(132)を画定し、前記トラック(132)が、前記トラック(132)の遠位端から前記トラック(132)の近位端まで前記軸方向(120)に延び、
前記トラック(132)が、前記トラック(132)の前記遠位端にある1つの経路(136)と、前記トラック(132)の前記近位端にある2つの経路(134、138)と、を備え、前記トラック(132)の前記近位端にある前記2つの経路(134、138)が、前記1つまたは複数のリッジ(130)のうちの少なくとも1つによって分離されている、1つまたは複数のリッジ(130)と、
前記トラック(132)の前記表面から延びる突起(141)であって、
前記突起(141)が、前記トラック(132)内を延びる表面を備え、
前記突起(141)の前記表面が、第1のスロープ部(142)と、前記第1のスロープ部(142)よりも前記管状体(112)の前記遠位端に近い第2のスロープ部(144)と、を備え、前記第1のスロープ部(142)および前記第2のスロープ部(144)が前記トラック(132)の前記表面に対して角度を付けられ、
前記第1のスロープ部(142)が前記管状体(112)の前記近位端に向かって角度を付けられ、前記第2のスロープ部(144)が前記管状体(112)の前記遠位端に向かって角度を付けられている、突起(141)と、
を備える回転体(110)。
【請求項2】
前記回転体は舌部(140)を備え、前記突起(141)は前記舌部(140)上に位置し、前記舌部(140)は、前記トラック(132)における前記表面の開口部(139)内に延び、前記舌部(140)は、前記トラック(132)の前記表面に対して撓むように構成される、請求項1に記載の回転体(110)。
【請求項3】
前記舌部(140)は、近位端から遠位端まで前記軸方向(120)に延び、前記舌部(140)の前記近位端は、前記管状体(112)に取り付けられ、前記舌部(140)の前記遠位端は、前記トラック(132)の前記表面に対して撓むように構成される、請求項2に記載の回転体(110)。
【請求項4】
前記舌部(140)は、近位端から遠位端まで前記軸方向(120)に延び、前記舌部(140)の前記遠位端は、前記管状体(112)に取り付けられ、前記舌部(140)の前記近位端は、前記トラック(132)の前記表面に対して撓むように構成される、請求項2に記載の回転体(110)。
【請求項5】
前記表面は、前記回転体(110)の前記軸から離れる方向を向き、前記1つまたは複数のリッジ(130)は前記表面から延びる、請求項1から4のいずれか一項に記載の回転体(110)。
【請求項6】
前記第1のスロープ部(142)の前記遠位端は、前記軸(122)から前記第1のスロープ部(142)の前記近位端よりも遠くまで延びる、請求項1から5のいずれか一項に記載の回転体(110)。
【請求項7】
前記第1のスロープ部(142)の少なくとも一部は、前記軸(122)から前記トラック(132)の前記表面よりも遠くまで延びる、請求項1から6のいずれか一項に記載の回転体(110)。
【請求項8】
前記トラック(132)における前記表面の開口部(149)内に延びる第2の舌部(150)を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の回転体(110)。
【請求項9】
前記第2の舌部(150)は、近位端から遠位端まで前記軸方向(120)に延び、前記第2の舌部(150)の前記遠位端は、前記管状体(112)に取り付けられ、前記第2の舌部(150)の前記近位端は、前記トラック(132)の前記表面に対して撓むように構成される、請求項8に記載の回転体(110)。
【請求項10】
前記第1のスロープ部(142)と前記トラック(132)の前記表面との前記角度(A1)は105度から165度の間であり、前記第2のスロープ部(144)と前記トラック(132)の前記表面との間の角度(A2)は105度から165度の間である、請求項1から9のいずれか一項に記載の回転体(110)。
【請求項11】
前記突起(141)の前記表面は、前記第1のスロープ部(142)に隣接する第3のスロープ部(146)を備え、前記第3のスロープ部(146)は、前記近位端に向かってスロープとされ、前記軸(122)に対して周方向(124)にスロープとされている、請求項1から10のいずれか一項に記載の回転体(110)。
【請求項12】
前記トラック(132)の前記遠位端にある前記経路は、前記軸方向において前記トラック(132)の前記近位端にある前記2つの経路のうちの1つのみと整列される、請求項1から11のいずれか一項に記載の回転体(110)。
【請求項13】
前記突起(141)は、前記回転体(110)の前記近位端(114)よりも前記回転体(110)の前記遠位端(116)に近い、請求項1から12のいずれか一項に記載の回転体(110)。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の回転体(110)を備える薬剤給送デバイス。
【請求項15】
前記薬剤給送デバイスは、近位端から遠位端まで前記軸方向に延びかつ前記軸周りで周方向に延びるハウジングと、薬剤給送部材ガード(160)と、を備え、
前記回転体(110)は前記ハウジング内に位置し、前記回転体(110)は、前記薬剤給送デバイスの使用時に前記ハウジング内を前記周方向に移動することができ、
前記薬剤給送部材ガード(160)は前記ハウジング内に位置し、前記薬剤給送部材ガード(160)は、前記薬剤給送デバイスの使用時に前記ハウジング内を前記軸方向に移動することができ、
前記薬剤給送部材ガード(160)は突起(162)を備え、前記突起(162)は、前記回転体(110)の前記トラック内に配置される、請求項14に記載の薬剤給送デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、欧州特許出願第19213746.1号、欧州特許出願第20159266.4号、および欧州特許出願第19217947.1号の優先権を主張する。これらの出願の開示内容全体が、参照により本出願に組み込まれている。
【0002】
本発明は、薬剤給送デバイスに関し、詳細には薬剤給送デバイス用のフィードバック機構に関する解決手段に関する。
【背景技術】
【0003】
特許文献1に記載されたような薬剤給送デバイスは、堅牢性、簡素さ、および使いやすさなどの特性の組合せに起因してすでに商業的に顕著な成功を収めている。それにもかかわらず、出願人は、特許文献1に記載されたような薬剤給送デバイスにおけるフィードバック要素には依然として改善の余地があることを認識している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2011/123024号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2017/140452号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲を参照する必要がある。
【0006】
本開示では、「遠位方向」という用語が使用されるとき、これは、薬剤給送デバイスの使用時に用量給送部位から離れる方向を指す。「遠位部/端」という用語が使用されるとき、これは、薬剤給送デバイスの使用時に用量給送部位から最も遠くに位置する、給送デバイスの各部/端部または給送デバイスの各部材の各部/端部を指す。これに対応して、「近位方向」という用語が使用されるとき、これは、薬剤給送デバイスの使用時に用量給送部位に向かう方向を指す。「近位部/端」という用語が使用されるとき、これは、薬剤給送デバイスの使用時に用量給送部位から最も近くに位置する、給送デバイスの各部/端部または給送デバイスの各部材の各部/端部を指す。
【0007】
さらに、「長手方向の」、「長手方向に」、「軸方向に」、および「軸方向の」という用語は、デバイスまたはその構成要素の近位端から遠位端にデバイスまたはその構成要素に沿って、一般にデバイスおよび/または構成要素の最も長く延びる方向に延びる方向を指す。
【0008】
同様に、「横方向の」、「横断方向の」、および「横方向に」という用語は、長手方向に概ね垂直な方向を指す。
【0009】
本開示の一非限定実施形態では、医療デバイスのハウジング内に位置し配置される薬剤給送開始通知機構であって、給送通知機構が、ハウジングの遠位端に固定された後部キャップを含み、後部キャップが、後部キャップの遠位端から近位方向に延びる中空の管状ハウジングを備える薬剤給送開始通知機構が提示される。管状ハウジングは好ましくは、ハウジング内に片持ち梁式に設置されハウジングに対して回転可能に固定され、ハウジングの長手方向軸に平行に配置される。回転体は、管状ハウジングの周りに回転可能に配置され、それによって、回転体は、管状ハウジングに対して回転することができ、デバイスの作動時に第1の位置から第2の位置まで移動し、第2の位置の確立が、たとえば、注射針を通じたデバイスからのある用量の薬剤の給送の始まりと一致する。回転体は、接触面を有し、接触面は、回転体が第1の位置から第2の位置まで移動する際に1)後部キャップ上または2)ハウジングの内面上に位置する対応する接触面に係合し、その後対応する接触面から係合解除する。接触面を対応する接触面から係合解除すると、薬剤給送が開始したことのユーザへの通知を表す可聴または触覚フィードバックが生じる。
【0010】
フィードバック機構の後部キャップはまた、管状ハウジング上に配置された可撓性アームを含むことができ、半径方向内側を向いた内側突起を有することができる。この可撓性アームは、回転体が第1の位置にあるときにプランジャロッドに解放可能に係合してハウジングに対して軸方向に固定されたプランジャロッドを保持するように構成することができる。さらに、可撓性アームは、回転体が第2の位置に到達したときに薬剤給送が始まる時にフィードバックを生成することができる。
【0011】
本開示の別の実施形態では、用量給送開始通知機構を有する医療デバイスが提示され、医療デバイスは、長手方向軸と、遠位端と、近位端と、を有するハウジングを有し、遠位端は開放される。後部キャップは、ハウジングの遠位端に固定され、ハウジングの開放遠位端に嵌るように構成された遠位端を有する。後部キャップは、後部キャップの遠位端から近位方向に延びる中空の管状ハウジングをさらに有し、それによって、管状ハウジングは、ハウジング内に片持ち梁式に設置され、ハウジングに対して回転可能に固定され、長手方向軸に平行に配置される。可撓性アームを管状ハウジングに固定するかまたは管状ハウジングと一体化することができ、可撓性アームは、半径方向内側を向いた内側突起を有することができる。管状ハウジングの周りに回転体を回転可能に配置することができ、それによって、回転体は管状ハウジングに対して第1の位置から第2の位置に回転することができる。回転体が第1の位置にあるときに可撓性アームによってプランジャロッドをハウジングに係合させハウジングに対して軸方向に固定保持することができる。
【0012】
上記の実施形態における回転体は、内側を向いたニブを含むことができ、内側を向いたニブは、回転体が第1の位置から第2の位置に回転するときに可撓性アームに係合して可撓性アームを移動させ、それによって、回転体が第2の位置に到達した後に可聴または触覚フィードバックが放出される。回転体の回転時に、好ましくは、可撓性アームを管状ハウジングに対して横方向に移動させる。可撓性アームはまた、半径方向外側を向いた外側突起を有することができ、それによって、可撓性アームは回転体の内面上のニブに係合することができる。ニブと外側突起との係合は、回転体が第1の位置から第2の位置まで回転し、それによって、可撓性アームが横方向において第1の方向へ移動したときに行うことができる。ニブを外側突起から係合解除することによって、可撓性アームは、横方向において第2の方向に移動し、回転体の切欠き壁に当たる。好ましくは、可撓性アームは、管状ハウジングの壁の切欠き内に配置され、可撓性アームが管状ハウジングの壁に当たって可聴または触覚フィードバックを生じさせる。
【0013】
可撓性アームは、管状ハウジングに固定された遠位端と管状ハウジングの切欠き内に配置された自由近位端とを有することができ、可撓性アームはテーパとされ、それによって近位端は遠位端よりも小さい幅を有する。内側突起および外側突起はまた、好ましくは可撓性アームの近位端に配置される。
【0014】
上述の医療デバイスはまた、針カバーを有することができ、針カバーは、作動時にハウジングに対して軸方向に移動して回転体を第1の位置から第2の位置まで移動させる。
【0015】
同様に上記で説明した医療デバイス内に含まれる給送開始フィードバック機構の別の実施形態では、回転体は可撓性レバーを有することができ、回転体を第1の位置から第2の位置に回転させると、可撓性レバーがハウジングの内面に係合し、それによって、回転体が第2の位置に到達した後に可聴または触覚フィードバックが放出される。この実施形態では、可撓性レバーは、半径方向外側にハウジングの内面に向かって付勢され、ハウジングの内面は、フォロアとカム面とが互いに相互作用するのと同様の態様でレバーに係合するように構成された傾斜部または他の突起を有することができる。可撓性レバーは好ましくは、回転体の回転時に傾斜部に乗り上げるように構成され設計される。レバーと傾斜部とを係合解除すると、可撓性レバーがハウジングの内面に当たって、医療デバイスからの薬剤の給送が開始されたことをユーザに通知する可聴または触覚フィードバックが生じる。可撓性レバーはまた、外側に突き出るノブを有するように構成することができ、ノブは、回転体の回転時にハウジングの内面に係合する。さらに、レバーは、ハウジングおよび回転体の長手方向軸に平行にまたは長手方向軸に対して横方向に配置することができる。
【0016】
本開示のフィードバック機構のさらに別の実施形態では、後部キャップの中空の管状ハウジングは、管状ハウジングの近位端上に位置する1つまたは複数のブロックを有することができる。回転体は、好ましくは回転体の終端面の周りに周方向に配置された1つまたは複数の傾斜面を有する近位端を備えることができる。回転体が第1の位置から第2の位置まで回転すると、少なくとも1つのブロックが傾斜面のうちの少なくとも1つに係合して回転体を後部キャップに対して軸方向において遠位方向にわずかに移動させる。ブロックが傾斜面から係合解除されると、可聴または触覚フィードバックが生じる。可聴または触覚フィードバックは、回転体の近位端がブロックに当たることによって生じる。後部キャップはまた、近位方向に突き出る1つまたは複数のフィンガを有することができ、フィンガは、回転体の回転時に回転体が軸方向において遠位方向に移動し、ブロックと傾斜面とが係合して互いに対して移動するにつれて半径方向外側に撓む。突起フィンガは、フックを含むことができ、フックは、回転体が第1の位置から第2の位置に回転する際に回転体の遠位端の内面に係合して内面を保持する。
【0017】
本開示の追加の実施形態は、給送開始フィードバック機構であって、1つまたは複数の可撓性フィンガが、後部キャップの遠位端から近位方向に突き出ており、回転体の内面が、内側を向いた突起を有し、内側を向いた突起が、回転体が第1の位置から第2の位置まで移動するときに可撓性フィンガのうちの少なくとも1つに係合し、それによって、回転体が第2の位置に到達した後に、フィンガの近位端が回転体に当たって、可聴または触覚フィードバックを生じさせる給送開始フィードバック機構を対象とする。
【0018】
本発明の別の態様は、薬剤給送デバイス用の回転体であって、軸に対して近位端から遠位端まで軸方向に延びる管状体と、管状体の表面から延びる1つまたは複数のリッジであって、1つまたは複数のリッジが、管状体の表面上にトラックを画定し、トラックが、トラックの遠位端からトラックの近位端まで軸方向に延び、トラックが、トラックの遠位端にある1つの経路とトラックの近位端にある2つの経路とを備え、トラックの近位端にある2つの経路が1つまたは複数のリッジのうちの少なくとも1つによって分離される、リッジと、トラックの表面から延びる突起であって、突起が、トラック内に延びる表面を備え、突起の表面が、第1のスロープ部と、第1のスロープ部よりも管状体の遠位端に近い第2のスロープ部と、を備え、第1のスロープ部および第2のスロープ部がトラックの表面に対して角度を付けられ、第1のスロープ部が、管状体の近位端に向けて角度を付けられ、第2のスロープ部が、管状体の遠位端に向けて角度を付けられる、突起と、を備える回転体に関する。これによって、回転体が薬剤給送デバイス内で使用されるときに第1のクリックを可能にすることができる。
【0019】
一実施形態では、回転体は舌部を備え、突起は舌部上に位置し、舌部は、トラックにおける表面の開口部内に延び、舌部は、トラックの表面に対して撓むように構成される。
【0020】
一実施形態では、舌部は、近位端から遠位端まで軸方向に延び、舌部の近位端は管状体に取り付けられ、舌部の遠位端は、トラックの表面に対して撓むように構成される。一実施形態では、舌部は、近位端から遠位端まで軸方向に延び、舌部の遠位端は管状体に取り付けられ、舌部の近位端は、トラックの表面に対して撓むように構成される。
【0021】
一実施形態では、表面は、回転体の軸から離れる方向を向き、1つまたは複数のリッジは表面から延びる。一実施形態では、第1のスロープ部の遠位端は、軸から第1のスロープ部の近位端よりも遠くまで延びる。一実施形態では、第1のスロープ部の少なくとも一部は、軸からトラックの表面よりも遠くまで延びる。
【0022】
一実施形態では、回転体は、トラックにおける表面の開口部内に延びる第2の舌部を備える。これによって、注射の終了時に薬剤給送部材ガードロックを構成することができる。一実施形態では、第2の舌部は、近位端から遠位端まで軸方向に延び、第2の舌部の遠位端は、管状体に取り付けられ、第2の舌部の近位端は、トラックの表面に対して撓むように構成される。一実施形態では、第2の舌部は、近位端から遠位端まで軸方向に延び、第2の舌部の近位端は、管状体に取り付けられ、第2の舌部の遠位端は、トラックの表面に対して撓むように構成される。
【0023】
一実施形態では、第1のスロープ部とトラックの表面との間の角度(A1)は105度から165度の間であり、第2のスロープ部とトラックの表面との間の角度(A2)は105度から165度の間である。一実施形態では、舌部の表面は、第1のスロープ部に隣接する第3のスロープ部を備え、第3のスロープ部は、近位端に向かってスロープとされており、軸に対して周方向にスロープとされている。
【0024】
一実施形態では、トラックの遠位端にある経路は、軸方向においてトラックの近位端にある2つの経路のうちの1つのみと整列される。
【0025】
一実施形態では、舌部は、回転体の近位端よりも回転体の遠位端の近くに位置する。
【0026】
本発明の別の態様は、薬剤給送デバイス用の回転体であって、軸に対して近位端から遠位端まで軸方向に延び、軸周りで周方向に延びる管状体と、管状体の表面から延びる1つまたは複数のリッジであって、管状体の表面上にトラックを画定し、トラックが、トラックの遠位端からトラックの近位端まで軸方向に延び、トラックの遠位端にある1つの経路とトラックの近位端にある2つの経路とを備え、トラックの近位端にある2つの経路が、1つまたは複数のリッジの少なくとも1つによって分離される、リッジと、トラックの表面から延びる突起または舌部であって、突起または舌部の遠位端から突起または舌部の近位端まで軸方向に延びる、突起または舌部と、を備える回転体に関する。一実施形態では、突起または舌部は舌部であり、舌部の近位端は回転体に取り付けられ、舌部の遠位端は、軸に対して半径方向において可撓性を有する。
【0027】
本発明の別の態様は、薬剤給送デバイス用の回転体であって、軸に対して近位端から遠位端まで軸方向に延び、軸周りで周方向に延びる管状体と、管状体の表面から延びる1つまたは複数のリッジであって、管状体の表面上にトラックを画定し、トラックが、トラックの遠位端からトラックの近位端まで軸方向に延び、トラックの遠位端にある1つの経路とトラックの近位端にある2つの経路とを備え、トラックの近位端にある2つの経路が、1つまたは複数のリッジの少なくとも1つによって分離される、リッジと、トラックの表面の開口部内に延びる第1の舌部であって、第1の端部から第2の端部まで軸方向に延び、一方の端部において管状体に取り付けられ、他方の端部において管状体に対して半径方向に自由に移動する、第1の舌部と、トラックの表面の開口部内に延びる第2の舌部であって、第1の端部から第2の端部まで軸方向に延び、一方の端部において管状体に取り付けられ、他方の端部において管状体に対して半径方向に自由に移動する、第2の舌部と、を備える回転体に関する。
【0028】
本発明の別の態様は、上記で説明した回転体のいずれかを備える薬剤給送デバイスに関する。一実施形態では、薬剤給送デバイスは、近位端から遠位端まで軸方向に延び、軸周りで周方向に延びるハウジングと、薬剤給送部材ガードと、を備え、回転体はハウジング内に位置し、回転体は、薬剤給送デバイスの使用時にハウジング内を周方向に移動することができ、薬剤給送部材ガードはハウジング内に位置し、薬剤給送部材ガードは、薬剤給送デバイスの使用時にハウジング内を軸方向に移動することができ、薬剤給送部材ガードは突起を備え、突起は回転体のトラック内に配置される。
【0029】
一態様では、薬剤給送デバイス用のフィードバック機構であって、近位端と遠位端とを有し、長手方向軸に沿って延びるハウジングと、フィードバック要素と、ハウジングに対応付けられ、ハウジングとフィードバック要素との両方に対して軸方向に移動できるように構成されたプランジャロッドと、プランジャロッドをハウジングの近位端に向かって付勢し、フィードバック要素をハウジングの遠位端に向かって付勢するように構成された駆動部材と、を備え、プランジャロッドは、薬剤給送デバイスのユーザにフィードバックを提供するために、プランジャロッドがハウジングとフィードバック要素との両方に対して移動したときにフィードバック要素と相互作用するように構成された相互作用部材を備える、フィードバック機構が提供される。これによって、薬剤給送デバイスの給送動作を示すための薬剤給送デバイス用の簡素で信頼できるフィードバック機構を提供することができる。
【0030】
一実施形態によれば、フィードバックは、可聴フィードバック、触覚フィードバック、視覚フィードバック、もしくは電子フィードバック信号、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つである。
【0031】
一実施形態によれば、駆動部材はばねまたはガスボンベとすることができる。
【0032】
一実施形態によれば、相互作用部材は管状くぼみを備え、管状くぼみは、プランジャロッドがハウジングとフィードバック要素との両方に対して移動したときに管状くぼみを通って延びるフィードバック要素の弾性部分を半径方向内側に押すように構成される。
【0033】
一実施形態によれば、相互作用部材は、プランジャロッドの外面上に配置された半径方向外側に延びる突起を備える。
【0034】
一実施形態によれば、フィードバック要素は、長手方向に延びる弾性アームを備え、半径方向外側に延びる突起は、プランジャロッドがハウジングと弾性フィードバック要素との両方に対して移動したときに長手方向に延びる弾性アームの一部を撓ませるように構成される。
【0035】
一実施形態によれば、相互作用部材は接触部を備える。
【0036】
一実施形態によれば、フィードバック要素は、カウンタ接触部を有する長手方向に延びる弾性アームを備え、カウンタ接触部は、相互作用部材の接触部に接触するように構成され、それによって、長手方向に延びる弾性アームは、プランジャロッドがハウジングおよびフィードバック要素に対して移動するときに間に摩擦が生じた際にハウジング内で振動する。
【0037】
一実施形態によれば、フィードバック要素はハウジングに軸方向に固定される。
【0038】
一実施形態によれば、駆動部材は駆動ばねであり、フィードバック要素は、駆動ばねを半径方向に支持するように構成された案内部材を備える。
【0039】
一実施形態によれば、案内部材は弾性部分を備える。
【0040】
一実施形態によれば、フィードバック要素は保持部材を備え、保持部材は、ハウジングのカウンタ保持部材に解放可能に接続される。
【0041】
一実施形態によれば、フィードバック要素は、ハウジングの内面と付勢されたプランジャロッドの外面との間に配置され、保持部材は、付勢されたプランジャロッドの外面がもはやフィードバック要素に接触しなくなったときにカウンタ保持部材から解放されるように構成される。
【0042】
一実施形態によれば、フィードバック要素は、保持部材がカウンタ保持部材から解放されたときにハウジングに対して付勢されるように構成され、それにより、弾性フィードバック要素が移動してハウジングと相互作用し、それによって第2のフィードバックが生成される。
【0043】
一実施形態によれば、第2のフィードバックは、可聴フィードバック、触覚フィードバック、視覚フィードバック、電子フィードバック信号、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つである。
【0044】
本開示のこれらおよびその他の態様ならびに利点は、本開示の以下の詳細な説明、特許請求の範囲、および添付の図面から明らかになろう。概して、特許請求の範囲において使用されるすべての用語は、特に明白な別の定義がない限り、当技術分野における通常の意味に従って解釈されるものとする。要素、装置、部材、構成要素、手段などのすべての参照について、特に明記しない限り、要素、装置、部材、構成要素、手段などの少なくとも1つの例を参照するときにオープンに解釈されるものとする。
【0045】
次に、本発明の実施形態について、一例としてのみ、添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本開示のフィードバック機構のうちの1つまたは複数を組み込むことができる1つの実施可能な完全な薬剤給送デバイスの斜視図である。
【
図2】
図1における薬剤給送デバイスの分解図である。
【
図3】本開示のフィードバック機構の後部キャップおよび回転体の斜視図である。
【
図4】本開示のフィードバック機構の1つの実施可能な実施形態の後部キャップおよび回転体の斜視図である。
【
図5】本開示のフィードバック機構の第2の実施可能な実施形態の後部キャップおよび回転体の図である。
【
図6】本開示のフィードバック機構の第3の実施可能な実施形態の後部キャップおよび回転体の図である。
【
図7】本開示のフィードバック機構の第4の実施可能な実施形態の後部キャップおよび回転体の進行図である。
【
図10】回転体のトラックの別の例の簡略直線図である。
【
図11】舌部と薬剤給送部材ガードの突起とがどのようにクリックを生じさせることができるかの例を示す、注射の様々な段階における舌部と薬剤給送部材ガードの突起との相互作用の様式化された断面側面図である。
【
図13】
図8における回転体を対応する薬剤給送部材ガードと一緒に示す断面図である。
【
図14】フィードバック機構を備える薬剤給送デバイスのパワーパックを示す図である。
【
図15A】
図1のパワーパックに実装することができるフィードバック機構の第1の実施形態の断面図である。
【
図15B】
図1のパワーパックに実装することができるフィードバック機構の第1の実施形態の断面図である。
【
図16A】
図1のパワーパックに実装することができるフィードバック機構の第2の実施形態の断面図である。
【
図16B】
図1のパワーパックに実装することができるフィードバック機構の第2の実施形態の断面図である。
【
図16C】
図1のパワーパックに実装することができるフィードバック機構の第2の実施形態の断面図である。
【
図17】
図1のパワーパックに実装することができるフィードバック機構の第3の実施形態の断面図である。
【
図18】第2の実施形態および第3の実施形態に実装することができる保持部材を有する
図1のパワーパックの断面図である。
【
図19A】
図1のパワーパックに実装することができる第2のフィードバックを生成するシーケンスを示す図である。
【
図19B】
図1のパワーパックに実装することができる第2のフィードバックを生成するシーケンスを示す図である。
【
図19C】
図1のパワーパックに実装することができる第2のフィードバックを生成するシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図に示された同じ番号は、説明全体にわたって同じ要素を示す。
【0048】
給送開始フィードバック機構および使用可能な医療デバイス
本開示の一部では、詳細には、薬剤給送の開始に関する情報をユーザに提供するために医療デバイスに組み込まれたフィードバック機構について説明する。具体的には、注射デバイスにおいて、フィードバック機構は、設定された用量の薬剤の給送の開始を触覚信号または可聴信号を通じてユーザに自動的に示す。
【0049】
ユーザまたは患者に有益な任意の数の動作を実行することができる多数の薬剤給送デバイスが市販されている。たとえば、1回または複数回分の薬剤を自動的に、半自動的に、または手動で注射(針による注射および無針注射)、吸入、注入、噴霧、滴下、パッチ、およびインプラントによって給送する様々なデバイスが存在する。各々の場合に、患者と医療関係者との両方が、認識し監視することが有益であると考えるいくつかの重要なデバイス属性がある。このようなデバイス属性にはたとえば、使用前のデバイスの作動、用量給送プロセスの開始、用量給送の取消しまたは中断、および用量給送プロセスの完了または終了がある。詳細には、オートインジェクタなどの自動薬剤給送デバイスでは、デバイスのユーザが薬剤給送プロセスが開始した旨の可聴通知または触覚通知(フィードバック)を受信すると有利である。ユーザが薬剤給送開始の通知を受信すると、給送プロセスが完了する前にユーザが給送プロセスを中断するかまたは誤って停止する可能性を低減させるかまたは完全になくすことができる。
【0050】
公知の医療デバイスは、薬剤給送の進捗を示し、給送シーケンスが完了したときにそのことを示すフィードバック機構を備えて構成されるが、薬剤給送開始の通知はそれほど知られていない。オートインジェクタを対象とする1つの公知の参考文献(特許文献2)は、薬剤給送プロセスの始まりの通知を開示している。本開示は金属製ブラケットを含み、金属製ブラケットをデバイス内部で遠位方向に移動させてオートインジェクタの内面に当て、したがって、ユーザに触覚信号または可聴信号を与える。
【0051】
特に薬剤給送デバイスにおいて医療デバイス属性を監視し、収集し、評価する必要がある場合、製造コストがかからず、薬剤給送プロセスが開始するときにユーザに自動的に通知することができる薬剤給送デバイスなどの医療デバイスを提供することが望ましい。したがって、本開示の目的は、給送プロセスが開始したことをユーザに正確に通知するフィードバック機構を含む医療デバイスを提供することである。以下に提示する開示は、薬剤給送の開始を示す自動フィードバック信号を実現するためのいくつかの実施可能な解決手段を提供することによってこの目標を実現する。
【0052】
本開示は、限定はしないが、1回または複数回分の薬剤を自動的に、半自動的に、または手動で注射(針による注射および無針注射)、吸入、注入、噴霧、滴下、パッチ、およびインプラントによって給送するデバイスを含む、いくつかの医療デバイスに適用することができる。これらの医療デバイスに1つまたは複数の自動フィードバック機構を組み込むと、デバイスのユーザは、確実に薬剤給送シーケンスの開始を通知される。
【0053】
指摘したように、薬剤給送デバイス用の自動フィードバック機構、およびそのような自動フィードバック機構を組み込んだ薬剤給送デバイスについて次に説明する。
【0054】
上記の概要から明らかなように、本開示のフィードバック機構は、多数の異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載された実施形態のみに限定されると解釈すべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が綿密で完全なものになり、フィードバック機構の範囲を当業者に完全に伝達するように一例として提供されている。
【0055】
以下に説明する医療デバイスは、オートインジェクタなどの使い捨てシングルユースペン型インジェクタとして構成された薬剤給送デバイスであるが、限定はしないが、吸入器または点眼器を含む任意の種類のシングルユース自動薬剤給送デバイスが、本開示のフィードバック機構を組み込むことができる。同様に、医療デバイスは、薬剤給送デバイスを模倣する訓練デバイスであってもよい。
【0056】
給送開始フィードバック機構のうちの1つまたは複数を有することができる医療デバイスの一例は、
図1に示すペン型オートインジェクタ1である。完全な注射デバイス1が図示されており、デバイスの分解図が
図2に示されている。
【0057】
以下により詳細に説明するオートインジェクタは、近位端と遠位端とを有するハウジング3と、ハウジングによって受け入れられ、ハウジングに対して初期位置から最終位置まで軸方向に変位可能なプランジャロッドと、管状ハウジングを有する後部キャップと、を有する。後部キャップは、ハウジングの開放遠位端に受け入れられ、ハウジングに対して回転方向で固定される。管状ハウジングは、プランジャロッドを受け入れるように構成され、用量給送信号生成部材の端部を内部に受け入れることができ、プランジャロッドは、信号生成部材によって受け入れられるように構成される。第1のエネルギー蓄積部材は、中空のプランジャロッド内部に配置され、プランジャロッドを近位方向にハウジングの近位端に向かって付勢し、信号生成部材を近位方向とは逆の遠位方向に付勢する。
【0058】
初期位置において、プランジャロッドは、事前に張力を加えられた状態であり、信号生成部材の近位端を半径方向外側に後部キャップの管状ハウジングに向かって撓ませるかまたは押し、それによって、信号生成部材を管状ハウジングに係合させ、遠位方向に付勢された信号生成部材をハウジングに対して固定軸方向位置に保持するように構成される。この軸方向位置では、信号生成部材は、後部キャップの遠位内面から離れた位置に配置される。
【0059】
使用前に、プランジャロッドは、軸方向においてプランジャロッドの初期位置に固定配置される。薬剤給送デバイスを作動させ、すなわち、ユーザが薬剤給送を始めると、プランジャロッドが初期位置から解放され、第1のエネルギー蓄積部材によって近位方向に押される。プランジャロッドが用量給送の終了を示す距離に対応する距離だけ変位されると、プランジャロッドと信号生成部材との接触が終了し、信号生成部材が半径方向に付勢されていない状態に向かって半径方向内側に撓むことが可能になる。それによって、信号生成部材は管状ハウジングから係合解除する。信号生成部材は第1のエネルギー蓄積部材によって遠位方向に付勢されるので、用量給送終了信号供給部材は後部キャップの遠位内面に向かって送られる。これによって可聴「クリック」音が生じ、また、ユーザに触感が与えられる。以下に説明するような用量給送終了通知機能は必須ではないが、オートインジェクタは薬剤給送開始フィードバック機構を含む。
【0060】
本明細書で説明するオートインジェクタはまた、薬剤給送部材、たとえば、注射針と、ハウジングによって受け入れられハウジングに対して回転方向で固定された針カバーと、プランジャロッドおよび後部キャップの管状ハウジングを受け入れるように構成された回転体と、を含む。針カバーは、ハウジングの近位端に対して延在位置と引込み位置との間で軸方向に変位可能である。針カバーは、第2の付勢部材によって延在位置に向かって付勢される。回転体は、針カバーと相互作用するように構成され、案内構造を有し、案内構造は、針カバーの遠位方向での直線運動または軸方向運動をハウジングおよびハウジング内に片持ち梁式に配置されハウジングの長手方向軸に平行な管状ハウジングに対する回転体の回転運動に変換するように構成される。
【0061】
上述のように、
図1は、ハウジング3内に配置された薬剤の容器25から針25aを通じて一定の用量の薬剤を自動的に注射するように設計され構成されたオートインジェクタデバイス1の例を示す。オートインジェクタは、シングルユース使い捨てデバイスとして構成することができる。ハウジング3は、近位端3aと、遠位端3bと、長手方向軸3cと、を有する。そのようなデバイスは一般に、取り付けられたときに、薬剤給送部材25a、たとえば針(
図2参照)を無菌状態に維持するキャップ10を備える。デバイスはまた、管状ハウジング5aと管状ハウジング上に配置されるかまたは管状ハウジングと一体化された可撓性アーム5bとを有する後部キャップ5を有する。好ましくは、可撓性アーム5bは、管状ハウジングの切欠き5cの一部として形成される。後部キャップ5は、ハウジング3の遠位端3bに取り付けられた単体部材とすることができ、それによって、後部キャップおよびその近位方向に突き出る管状ハウジング5aはハウジングに対して回転方向で固定される。デバイスは、ハウジング3内部に滑り可能に受け入れられるように構成された針カバー7をさらに含み、それによって、針カバー7は軸方向にのみ移動することができ、第2の付勢もしくは弾性部材またはエネルギー蓄積部材9によって近位方向に付勢されるように構成される。
【0062】
図2の分解図が示すように、薬剤給送デバイス1は、中空のプランジャロッド11をさらに含み、プランジャロッド11は、第1の付勢もしくは弾性部材またはエネルギー蓄積部材15によって近位端3aに向かって付勢されるように構成される。薬剤容器25、好ましくは事前に充填された注射器は、プランジャまたはピストン13を有し、取り付けられた針25a、好ましくはステーキング加工された注射針を有する。プランジャロッド11は、薬剤容器25のバレル内部でプランジャ13に当接し、第1のエネルギー蓄積部材15によって近位方向に付勢される。第1のエネルギー蓄積部材15はばねとすることができる。同様に、第2の弾性部材またはエネルギー蓄積部材9も、針カバー7を近位方向に付勢するように構成されたばねとすることができる。
【0063】
回転体17は、プランジャロッド11、第1のエネルギー蓄積部材15、ロッド19、薬剤給送終了信号生成部材21、および後部キャップ5の管状ハウジング5aを受け入れるように構成され設計される。信号生成部材21は、好ましくはU字形金属製ブラケットである。オートインジェクタは薬剤容器ホルダ23をさらに含む。中空のプランジャ13は、用量給送時に、プランジャロッド11を直線的に変位させることによって薬剤容器25に対して軸方向において近位方向に移動し、それによって、針25aを通じて薬剤を排出するように構成される。
【0064】
本例によれば、プランジャロッド11は、半径方向開口部11aを有し、プランジャロッド11を受け入れるように構成された管状ハウジング5aは、対応する可撓性アーム5bを有し、可撓性アーム5bは、半径方向に撓み、それによって、開口部11aと係合及び係合解除することができるように設計される。回転体17が第1の位置にあるとき、可撓性アーム5bがプランジャロッドに係合し、それによって、プランジャロッドがハウジング3および管状ハウジング5aに対して軸方向に固定保持される。回転体17を第2の位置に回転させると、可撓性アーム5bが半径方向において長手方向軸3cから離れる方向に撓み、したがって、可撓性アームが開口部11aから係合解除される。このように可撓性アームが係合解除されると、第1のエネルギー蓄積部材15がプランジャロッドの内部への近位方向に向けられた力を解放し、プランジャロッドを軸方向において近位方向に移動させ、それによって、プランジャロッドがプランジャ13を同じ方向に押し、容器25内の薬剤の針25aからの排出が開始される。
【0065】
回転体17の第1の位置から第2の位置への回転は、針カバー7の近位端がデバイスのユーザによって注射部位に押し付けられたときに生じる。これによって針カバー7がハウジング3に対して軸方向において遠位方向に滑り、それによって、針カバーの近位端7aが、回転体17の外面上に位置する溝17a内を移動する(
図3参照)。針カバーが軸方向において近位方向にさらに移動すると、遠位端7aが溝17aの側面に係合して回転体17を回転させ、それによって、遠位端7aが溝17bに入る。回転体が回転する前に、回転体の内面17dが、可撓性アーム5bが切欠き5cおよびプランジャロッド11に対して半径方向外側に撓むのを妨げ、したがって、可撓性アーム5bとプランジャロッドとの係合を維持してプランジャロッドの軸方向における近位方向への移動を防止する。管状回転体17の内側構造は、回転体17が第1の位置から回転したときに、管状回転体17の内側構造が可撓性アーム5bに加える半径方向の力が弱くなり、可撓性アーム5bが半径方向外側に撓み、プランジャロッド11から係合解除することができるように設計される。プランジャロッド11は、近位方向に付勢され、それによって、軸方向に変位され、したがって、プランジャロッド11がプランジャ13を薬剤容器25内部に押し込むときに薬剤投与が開始される。
【0066】
薬剤給送が完了し、針ガードの近位端を注射部位から取り外すと、第2の弾性部材9の結果として針カバーが近位方向に移動する。このような針カバー7の軸方向における近位方向への移動によって、遠位端7aが溝17b内を近位方向に移動し、ロック17cに係合する。針カバーは、ロックされた後、もはやハウジングに対して遠位方向に移動せず、ロックされた延在位置に配置されて針25aを覆い、したがって、誤って針が突き刺さるのを防止する。
【0067】
本明細書で開示する用量給送開始通知機能またはフィードバック機構は、回転体17と後部キャップ5との相互作用および/またはハウジング3の内面3dとの相互作用(
図6参照)に関する。具体的な実施形態が
図4~
図7に示されており、これらについて以下で詳しく説明する。これらのフィードバック機構の各々は、薬剤容器25からの薬剤の排出の開始をユーザに通知するように構成される。
【0068】
まず、第1の実施形態において、
図4に示すように、薬剤給送開始機構は、後部キャップ5と回転体17の内面52との相互作用に関する。具体的には、後部キャップ5の遠位端から近位方向に突き出る可撓性フィンガ50は、回転体17が第1の位置から第2の位置まで移動する際に可撓性フィンガ50に係合する内側を向いた突起53と相互作用し、それによって、回転体が第2の位置に到達すると、フィンガ50の近位端またはフック51が回転体17の内面52に当たり、可聴または触覚フィードバックが生じる。可撓性フィンガ50の近位端は通常、半径方向外側に付勢される。回転体がフィンガ50に対して旋回すると、内側を向いた突起53との係合によってフィンガ50が撓むかまたは曲がり、それによってフィンガ50は、長手方向軸3cに対して概ね横方向である方向において半径方向内側に付勢される。フック51が突起の側面に接触すると、フックは、フォロアがカムの表面に係合するのと同様にして突起の外面に沿って滑る。フック51は引き続き突起53の表面に係合し、基本的に、突起の形状の一部を辿り画定する経路を辿る。この経路は、フック51が突起53に乗り上げて乗り越えると表すことができる。フック51が突起53の頂点に到達すると、フック51は半径方向内側への最大撓みに達し、最大撓みはフック51に半径方向偏向力を加える。この最大偏向点に到達した後、フック51は瞬間的に突起53の表面から係合解除し、半径方向偏向力によってフック51は逆方向に半径方向外側に撓み戻り、すなわち反発し、フック51はその後、突起53の表面または内面52のいずれかに当たる。このようにフック51が回転体に当たると、薬剤給送が開始した旨の可聴または触覚フィードバック通知が生じる。
【0069】
図5は、薬剤給送開始機構の別の実施形態を示し、この実施形態は、回転体17の終端近位端面58と後部キャップ5の管状ハウジング5aの近位端から半径方向外側に突き出る1つまたは複数のブロック56との相互作用に関する。回転体17の終端近位端面58は、1つまたは複数の傾斜面55を含む。傾斜面は概ね三角形または楔形であり、近位終端面58から近位方向に向けられている。傾斜面55は、傾斜面55の角度付き側面、すなわち傾斜部がブロック56に係合するように終端面58上に配置され、それによって、ブロック56はまず、実質的に終端近位端面58と一列になって同じ高さに位置する傾斜部の底部に接触(係合)する。デバイスの作動時に針カバー7が軸方向に移動することによって回転体が回転すると、傾斜面55の角度付き側面がブロック56に係合し、すなわち、フォロアがカムの表面に係合しこの表面に沿って滑るのと同様にして係合する。回転体が静止した後部キャップ5およびその管状ハウジング5aに対して回転すると、ブロック56は傾斜面55の角度付き側面の表面に沿って滑り、実質的に、傾斜面55の形状の一部を辿り画定する角度付き経路を辿る。言い換えれば、角度付き側面とブロックとは、互いに対して移動するように滑り係合し、それによって、ブロックは概ね三角形の傾斜面55の角度付き側面に乗り上げる。ブロック56と傾斜面55の角度付き側面とのこのような滑り係合は、傾斜面55が、デバイスハウジングに対して回転方向で固定されたブロック56に対して移動する(回転する)にもかかわらず、ブロック56が傾斜面55の角度付き側面に「乗り上げる」と表すことができる。
【0070】
ブロック56が傾斜面55の角度付き側面の端部に到達したときには、回転体17は遠位方向において最大軸方向距離だけ押されている。この最大軸方向距離に到達した後、回転体17がさらに回転すると、ブロック56が傾斜面55の角度付き側面から係合解除する。ブロック56がこのように係合解除すると、回転体17は軸方向において逆(近位)方向に戻り、すなわち「反発し」、それによって、ブロック56は、突起53の傾斜面の第2の側面または終端面58のいずれかに当たる。このようにブロック56が回転体に当たると、薬剤給送が開始した旨の可聴または触覚フィードバック通知が生じる。
【0071】
傾斜面55の角度付き側面が後部キャップ5に対して回転すると、ブロック56と滑り係合し、それによって、回転体17が遠位方向に押され、方向矢印57aによって示されるように、フィンガ50が半径方向外側にしなる。これによって、回転体の終端遠位端面59に対する近位方向の力57bが発生する。フィンガ50の近位端にあるフック51は付勢力57bを回転体に伝達する。傾斜面55の角度付き側面とブロック56との相対移動をブロック56が傾斜面55の角度付き側面を「滑り上がる」と表すことができる。ブロックが角度付き側面をより高く滑り上がる(または乗り上げる)ほど、フィンガ50がしなり続けるにつれてより大きい力57bが生成される。傾斜面55と角度付き側面の角度(または高さ)とは、回転体が第1の位置から第2の位置への回転を完了したときに、ブロック56が、傾斜面の角度付き側面の端部に到達しており、次いで角度付き側面から係合解除し、すなわち、角度付き側面から「落下し」、薬剤給送開始フィードバック信号が生成されるように設計され、回転体の端面58に配置される。薬剤給送開始フィードバック信号は上述のように可聴信号または触覚信号とすることができる。力57bによって、傾斜面がブロックから係合解除した後に回転体が近位方向に駆動され、近位端面58がブロック56に当たってフィードバック信号を生成する。
【0072】
図6は、ハウジング3の内面3dと回転体17の外面上に位置する可撓性レバー61との相互作用に関する薬剤給送開始機構のさらに別の実施形態を示す。
図6は、可撓性レバー61が長手方向軸3cに平行に配置されることを示しているが、可撓性レバーは代替的に、軸を横切るように回転体外面上に配置することができる。回転体17を第1の位置から第2の位置まで回転させると、可撓性レバー61の端部に位置する外側に突き出るノブ62がハウジング3の内面3d上に配置された傾斜部60の角度付き側面に係合する。この傾斜部60は、概ね三角形または楔形とすることができ、共成形などによってハウジングと一体化することができ、またはハウジングの内部に取り付けられ、たとえば接着または溶接された別個の構成要素とすることができる。傾斜部60の角度付き側面は、ノブ62がまず、実質的に内面3dと一列になって内面3dと同じ高さに位置する角度付き側面の最低部分、すなわち、傾斜部の底部に接触するようにハウジングの内面3dに対して配置される。針カバー7を軸方向において遠位方向に移動させることによって注射器を作動させる間、回転体は、第1の位置から第2の位置まで回転する。傾斜部60および可撓性レバー61/ノブ62の構成および向きは、回転体の回転時に、ノブ62が傾斜部60の角度付き側面に係合し、傾斜部60を滑り上がり、すなわち傾斜部60に「沿って移動する」ように設計され、それによって、可撓性レバー61が軸3cに対して半径方向内側に撓み、したがって、半径方向外側に付勢された半径方向の力をレバー61に加える。ノブ62と傾斜部60の角度付き側面との滑り係合は、フォロアがカムの表面に係合しカムの表面に沿って滑るのと同様である。回転体が第2の位置に到達するとき、ノブは、傾斜部60の角度付き側面の端部に到達しており、次いで傾斜部60から係合解除し、すなわち、傾斜部60の縁部60aから「落下し」、可撓性レバー61が半径方向に跳ね返り、それによってノブ62がハウジングの内面3dに当たる。このようにノブ62がハウジングの内面3dに当たることによって、薬剤給送開始フィードバック信号が生成される。薬剤給送開始フィードバック信号は、可聴信号または触覚信号とすることができ、回転体が第2の位置に到達しており、薬剤の排出が開始したことを示す。
【0073】
図7は、回転体17と管状ハウジング5aの可撓性アーム5bとの相互作用に関する本開示の薬剤給送開始機構の第4の実施形態を示す。より具体的には、回転体17は、回転体が第1の位置から第2の位置まで回転するときに可撓性アーム5bに係合する内側を向いたニブ72を有する。この係合は、ニブ72と、可撓性アームの近位端上に位置する半径方向外側を向いた外側突起71と、の係合とすることができる。回転体17が注射器の作動時に管状ハウジング5aに対して方向74に回転すると、ニブ72と可撓性アーム5bとの係合によって、可撓性アームが長手方向軸3cに対して横方向に移動し、回転体が第2の位置に到達した後に可聴または触覚フィードバックが放出される。
図7は、可撓性アームの3つの状態または位置、すなわち、75、76、および77を示す。可撓性アームが、切欠き5c内の概ね中心に位置する概ね中立位置または非付勢位置にある第1の状態75から、可撓性アームが、切欠き5cの側壁70に概ね隣接して配置される方向に傾けられるかまたは荷重を加えられる第2の状態76へ移動し、可撓性アームが、荷重を取り除かれて第1の状態75に戻っており、それによって、側壁73に当たって、可聴または触覚フィードバックとすることができる薬剤給送開始フィードバックを生じさせる第3の状態77へ移動する。このことは、回転体が第2の位置に到達し、薬剤の排出が開始したことを示す。
【0074】
ニブ72および可撓性アームの外側突起71の設計および構成は、回転体の回転時に、回転体が第1の位置から第2の位置まで移動する際に移動するニブが可撓性アームを横方向に傾けるかまたは撓ませるのを可能にするのに十分な解放可能な係合部を形成するようにニブと突起とが相互作用するような設計および構成である。第2の位置に到達すると、ニブ72が突起71から係合解除し、したがって、可撓性アーム5bを解放して逆の横方向に撓むのを可能にし、次いで可撓性アーム5bが側壁73に当たってフィードバック通知を放出する。好ましくは、可撓性アームは、可撓性アームが管状ハウジング5aに接続するかまたは管状ハウジング5aから延びる可撓性アームの近位端が、切欠き5c内で浮遊する遠位端よりも幅が小さくなるようなテーパを有するように設計され構成される。
【0075】
上記に提示した説明および図は、例示を意図したものに過ぎず、以下の特許請求の範囲に記載されたことを除いていかなる点でも本発明を限定することを意図したものではない。当業者が、上記で説明した様々な例示的な実施形態の様々な要素の様々な技術的態様を他の多数の方法で容易に組み合わせることができ、これらのすべての方法が本発明の範囲内と見なされることに特に留意されたい。
【0076】
薬剤給送デバイス用の回転体
本開示の別の部分は、薬剤給送デバイス用の回転体を対象とする。
【0077】
図8および
図9は、本発明による薬剤給送デバイス用の回転体110の一例の斜視図を示す。回転体110は、近位端114から遠位端116まで軸方向120に延びる管状体112を備える。リッジ130が管状体112の表面から延び、リッジ130が管状体112の表面上にトラック(ラビリンス)132を画定し、トラック132がトラック132の遠位端からトラック132の近位端まで軸方向120に延びている。トラック132は、トラック132の遠位端に1つの経路136を備え、トラック132の近位端に2つの経路134、138を備える。経路の代表的な形状については、
図10に示す別の同様な例を参照しながらさらに詳細に説明する。トラック132の近位端にある2つの経路134、138は、リッジ130の一部によって分離される。
図8の例では、舌部140がトラック132における表面の開口部139内に延び、トラック132の表面に対して撓むように構成される。舌部140(および特に舌部の突起141、たとえば、
図12を参照されたい)は、トラック132内に延びる表面を備える。舌部の表面は、第1のスロープ部142と第2のスロープ部144とを備える。第2のスロープ部144は、第1のスロープ部142よりも管状体112の遠位端116に近い。第1のスロープ部142および第2のスロープ部144は、トラック132の表面に対して角度を付けられ、第1のスロープ部142は管状体112の近位端114に向けて角度を付けられ、第2のスロープ部144は管状体112の遠位端116に向けて角度を付けられる。
【0078】
図8および
図9には舌部140の表面における任意の第3のスロープ部146も見ることができる。
図8および
図9におけるトラック132の表面の第2の開口部149に任意の第2の舌部150も示されている。第3のスロープ部146および第2の舌部150の構造および目的について以下にさらに詳しく説明する。
【0079】
図12および
図13において、
図8および
図9の回転体110のさらなる図を見ることができる。
図13には、薬剤給送部材ガード160も示されており、薬剤給送部材ガード160の突起162がトラック132内に示されている。特に
図12および
図13を見るとわかるように、回転体110の舌部140の突起141は、以下にさらに詳細に説明するように、使用時に薬剤給送部材ガード160の突起162に係合するように位置合わせされる。
【0080】
上記で説明した回転体は一般に、薬剤給送デバイスにおけるスタンドアロン構成要素である。回転体を使用することのできるある種の薬剤給送デバイスの例については、参照により本明細書に組み込まれている特許文献1において、特に
図8および
図9ならびに対応する説明を参照しながら説明されている。簡単に言えば、回転体を組み込んだ薬剤給送デバイスは、ハウジング(外側ハウジングなど)と、薬剤給送部材ガードと、回転体と、を備える。回転体は、薬剤給送デバイスの使用時にハウジング内を(周方向に)回転しながら移動することができる。薬剤給送部材ガードは、薬剤給送デバイスの使用時にハウジング内を軸方向に移動することができる。一般に、ハウジングに対する回転体の軸方向移動は制限される。一般に、ハウジングに対する薬剤給送部材ガードの回転運動は制限される。薬剤給送デバイスはまた一般に、回転体とプランジャロッドとを備えるパワーパックをハウジング内部に備え、外側ハウジング内部に薬剤バレルを備え、薬剤給送デバイスはさらにキャップを備える。薬剤バレルは一般に、薬剤容器と針などの薬剤給送部材とを備える。
【0081】
回転体110と薬剤給送部材ガード160とを備える薬剤給送デバイスでは、回転体110と薬剤給送部材ガード160とは互いに対して移動することができる。次に、薬剤給送部材ガードに対する回転体の典型的な運動について
図10および
図11を参照しながら説明する。
図10は、別の例示的なトラック132の簡略図を示し、
図8の例と
図10の例との主な違いは舌部の位置である。
図11は、別の同様の例における突起162と舌部140との相互作用の簡略図を示す。上述のように、トラック132は、3つの別々の経路、すなわち、第1の経路134、第2の経路136、および第3の経路138の組合せと見なすことができ、これらの経路は、
図10では点線によって分けて示されている。遷移部135は第1の経路134の一部と見なされる。
【0082】
第1の経路134および第3の経路138は一般に、上記で説明したようなトラックの近位端にある2つの経路に相当し、第2の経路は一般に、上記で説明したようなトラックの遠位端にある経路に相当する。突起162は、トラック/経路を「辿る」と表されるが、このことは実際には、突起が、リッジ130によってトラック/経路に沿った移動に制限され、その結果、トラック内の管状体の表面に接触するかまたは近接することを意味する。
【0083】
遷移部135は、周方向における第1の経路の幅がより狭くなっている部分であり、遷移部は、回転体の遠位端に向かって幅がテーパとなっている(小さくなっている)。この遷移部は、突起162を案内するように設計され、通常、この部分が回転体の回転を生じさせる。このことについては以下にさらに詳しく説明する。
【0084】
薬剤給送部材ガード160の突起162は最初、組み立てられた未使用の薬剤給送デバイス内の
図10に示す位置に配置される。薬剤給送デバイスを使用して注射が行われるときには、薬剤給送部材ガードがデバイスの他の部分に対して(たとえば、回転体に対しておよび外側ハウジングに対して)遠位方向に移動する。言い換えれば、薬剤接種者に対して、薬剤給送部材ガードは、薬剤給送部材ガードの近位端が用量給送部位に接触した状態で静止したままであり、一方、デバイスの他の部分は用量給送部位に向かって近位方向に移動する。薬剤給送部材ガードが回転体に対して移動すると、突起162も回転体に対して移動し、トラック内に配置されてトラックを辿り、まず第1の経路に沿って移動し、次いで第2の経路に沿って移動する。薬剤給送部材ガードは一般に、薬剤給送デバイスの他の部分(たとえば、ここでは一例として使用される外側ハウジング)に対して回転方向で固定される。第1の経路における突起の初期移動の間、薬剤給送部材ガードは外側ハウジングに対して軸方向に移動し、回転体は外側ハウジングに対して静止したままである。突起が遷移部135に進入し、第2の経路136に移るときに、薬剤給送部材ガードは、引き続き外側ハウジングに対して軸方向に移動し、回転体も外側ハウジングおよび薬剤給送部材ガードに対して(周方向に)回転する。突起162はまた、この段階で舌部140と相互作用し、この相互作用については
図11を参照しながら以下でさらに詳しく説明する。一般に注射が開始する点は、少なくとも概ね舌部140と突起162とが相互作用する点と一致する。すなわち、突起は、注射が開始する指示を与えることができ、たとえば、薬剤給送デバイスの様々な部分の正確な相対位置に応じて、注射が開始する直前であること、開始していること、または開始した直後であることのいずれかを示すことができる。
【0085】
実際の注射の間、薬剤給送部材ガード、回転体、および外側ハウジングは一般に、互いに対して静止している。注射の終了(このことは一般に、薬剤給送デバイス内の他の場所で生成される終了クリックによって示される)後、薬剤給送デバイスが注射部位から取り外され、薬剤給送部材ガードが回転体および外側ハウジングに対して軸方向において初期相対移動とは逆方向に移動する。その結果、突起が第2の経路に沿って戻り、第3の経路138に入る。注射後の突起の最終位置は一般に、点線で示され、
図10における参照符号163によって示されている位置またはそれに近い位置である。
【0086】
突起162と舌部140との相互作用の例を
図11に示す。最初、位置1において、突起162は舌部に当接するが、まだ舌部の移動を開始させていない。位置2において、突起は軸方向に移動しており、舌部を半径方向に変位させている。突起は、軸方向への移動を継続するときに、位置3に示すように舌部を越える。突起が舌部を越え始めると、位置4において、舌部と突起との間に隙間ができ、隙間はその後舌部がその元の位置に戻る(撓む)ときに閉じ、舌部が突起に当たって、注射の開始を示すクリック音を生じさせる。
【0087】
ユーザが突起を位置1から位置2へ移動させるために必要とする力は、舌部を半径方向に変形させるために必要な力に起因して、その後必要とされる力よりも大きい。舌部によってもたらされる障害が解消された後、ユーザによって加えられる力は、突起を軸方向に移動させ続けるのに必要な力よりも大きくなり、したがって、突起は舌部に対して位置2から位置4まで著しく高速に移動し、それによって、(突起が
図11に示す距離D
1およびD
2にわたって舌部に対して高速に移動する際に)舌部と突起との間に隙間が生じ(隙間を生じさせるのを支援し)、舌部が、所定の位置に跳ね返り、突起に対する速度を増し、突起に当たることによってクリック音を生じさせる(位置5)ことが可能になる。
【0088】
図11には、突起が変形しないように示され、舌部が変形するように示されている。代替的に、舌部は、突起が変形する間所定の位置に留まることができる。代替的に、舌部と突起との両方が変形することができる。舌部、突起、および他の周囲の部分の形状に応じて、舌部は追加としてまたは代替的に、薬剤給送部材ガードまたは回転体の別の部分などの、突起以外の何かに当たってクリック音を生じさせることができる。代替的に、または追加として、クリック音は、突起が所定の位置に跳ね返り、舌部、トラック132の表面またはリッジ130の遠位部131(
図8参照)などの回転体110の一部に当たることによって生じさせることができる。そのような場合、舌部は必ずしも撓むとは限らない。したがって、舌部はもはや回転体の残りの部分に対して撓むことができなくてもよく、舌部は代替的に、回転体の突起として表すことができる。舌部の周りのトラックの表面に開口部を設ける必要もない。
【0089】
回転体110は、軸122に対して軸方向120に延び、かつ軸周りで周方向124に延びている。各図において、回転体は全体が軸周りで周方向に延びるように示されており、したがって、軸周りで360度にわたって延びるように示されているが、回転体は軸の周りの一部のみに延びることもできる。
図8の例には回転体の様々な他の構造要素を見ることができるが、これらの要素は、本明細書で説明する発明において必須ではない。回転体は、単一の一体型部材とすることも、または互いに接合されたいくつかの部材とすることもできる。回転体は、軸122に対して互いに反対側の2つのトラック(2つのラビリンス)を備えるように示されているが(たとえば、
図12参照)、回転体上に1つ、3つ、または4つ以上のトラックを設けることができる。
【0090】
リッジ130は、単一のリッジとするか、または代替的に、互いに隣接するかもしくは互いに離隔された2つ以上の別々の部分とすることができる。リッジのいくつかまたはすべてが、回転体用の構造支持を可能にすることなど、さらなる機能を有することができる。
図8におけるリッジは単一のリッジと見なすことができる。
図8におけるリッジは、一連の直線状部分として示されているが、
図8に示すリッジの特定の形状は必須ではなく、たとえば、代わりに湾曲部分を使用することができる。トラック132は、回転体の遠位端から回転体の近位端まで延びるように示されているが、トラックは、回転体の遠位端および/または回転体の近位端から離隔させることもできる。一般に、本出願で説明するトラックは、突起がリッジによって囲まれた状態で内部を移動することのできるある容積の空間と見なすことができる。一般に、トラックの表面(トラックに隣接する回転体の表面)はまた、実際には突起の移動を制限する。ただし、このことは本発明が機能するうえで必ずしも必要であるとは限らない。トラックは、完全な薬剤給送デバイスに組み込まれると、一般に、たとえば、外側ハウジングによってトラックの表面の反対側から物理的に囲まれる。ただし、このことは、突起をトラック内に維持するうえで必ずしも必要であるとは限らない。トラックの遠位端にある経路は一般に、軸方向においてトラックの近位端にある2つの経路のうちの一方のみと整列される。
【0091】
トラックの表面の開口部139は、舌部140が回転体の残りの部分に対して移動するのを可能にする。トラックの表面は、トラックの形状を形成するリッジ同士の間の回転体の表面である。
図8に示す例の場合、トラックは回転体の外面、すなわち、軸122から離れる方向を向いた回転体の表面上に位置し、突起162は、薬剤給送部材ガードから軸に向かって半径方向に延びている。代替的に、トラックは回転体の内面上に位置することができ、その場合、突起は薬剤給送部材ガードから、軸から離れる方向へ半径方向に延びる。回転体110の舌部の突起141は、トラック132の表面に対して軸122から離れる方向に延びるように示されている。ただし、突起はまた、トラックが回転体の内面上に位置する例では軸に向かって延びることができる。
【0092】
舌部140は、
図11では半径方向に変形するように示されている。しかし、いくつかの例では、舌部は追加としてまたは代替的に、たとえば舌部の形状、トラックにおける舌部の位置、および突起の形状に応じて、周方向および/または軸方向に変形することができる。
【0093】
舌部は一般に、
図8に示すように主として軸方向に延び、たとえば、近位端から遠位端まで延びている。ただし、舌部は他の方向に延びることができる。
図8の例では、舌部の近位端は回転体の残りの部分に取り付けられ、遠位端は回転体の残りの部分に対して自由に移動することができる。この特定の解決手段の代わりに様々な代替実施形態が利用可能である。たとえば、遠位端を回転体に固定し、近位端を自由に移動させることができ、または舌部が遠位方向ではなく周方向に延びることができる。
【0094】
注射時の適切な時間にクリック音をもたらす(注射の開始時またはそれに近い時間に第1のクリック)にはそれぞれに異なるデバイスにある程度異なる位置が必要になることがあるので、舌部140の位置は、薬剤給送デバイスの他の部分の形状および相対位置に応じて変更してもよい。したがって、舌部の近位端147および遠位端148は、各図に示す位置とは異なる位置に配置されてもよい。
図9の例では、舌部140の近位端147は、軸方向において第1の経路の遷移部135に隣接し、一方、
図10の例では、舌部の近位端は、軸方向において第1の経路の遷移部から離隔される。
【0095】
突起141(たとえば、
図11および
図12に示されている)は、本明細書に示す例では舌部上に位置する。突起141は、舌部上に配置されるとき、舌部上の様々な場所に位置することができる。一般に、突起(または突起の少なくとも一部)は、舌部が回転体に取り付けられる場所から離隔され、これによって、舌部は、薬剤給送部材ガードの突起が舌部の突起に作用するときに回転体に対して撓むことができる。たとえば、突起は、舌部が回転体に取り付けられる場所に対して遠位方向の舌部の端部から延びてもよい。しかし、上述のように、突起は必ずしも回転体の残りの部分に対して移動しなくてもよく、したがって、舌部が撓むことは必須ではない。舌部自体も必須ではない。そのような場合、突起141は、トラックの表面から延び、舌部140も開口部139も必要とされない。舌部および舌部上の突起は、様々な他の方法、たとえば、
図12の図における断面(軸に平行)が、
図12の例に示す比較的三角形に近い形状ではなくV字形(突起がVの中心に位置する)になるように舌部を角度を付けることによって形作ることができる。上記で突起141について説明したのと同じコンセプトを追加としてまたは代替的に使用して第2の舌部を突起で置き換えることができる。一般に、本明細書で説明するスロープ部は、トラック132の表面に対してスロープとされている。スロープ部は平面状であってもよい。代替的に、スロープ部は別の形状であってもよく、たとえば、1つまたは複数の方向に湾曲してもよい。スロープ部は、トラック132の表面に対して角度を付けられると表すことができる。このことを定量化する1つの方法を
図5および
図6に示す。角度A1、A2は、トラックの表面およびスロープ部によって表される角度を示す。スロープを設ける場合、角度は90度よりも大きく180度未満であり、たとえば105度から165度の間または120度から165度の間であり、たとえば150度である。
図12における角度A1は、舌部140の第1のスロープ部142とトラック132の表面との間の角度である。第1のスロープ部142は、トラックの表面に対して角度を付けられ、回転体110の近位端114に向けて角度を付けられる。同様に、
図13の角度A2は、舌部140の第2のスロープ部144とトラック132の表面との間の角度である。第2のスロープ部144は、トラックの表面に対して角度を付けられ、回転体110の遠位端116に向かって角度を付けられる。この例では、第1のスロープ部と第2のスロープ部とはどちらも同じ角度に傾斜しているが、代替的に、それぞれ異なる角度に傾斜することができる。第1のスロープ部の遠位端は一般に、軸から第1のスロープ部の近位端よりも遠くまで延びる。同様に、第2のスロープ部の近位端は一般に、軸から第2のスロープ部の遠位端よりも遠くまで延びる。
【0096】
第3のスロープ部146は、管状体112の近位端114に向かって角度を付けられ、また、
図10に経路134として示される経路の部分に向かって角度を付けられ、言い換えれば、軸方向において角度を付けられ、周方向においても角度を付けられる。このスロープは、すべての実施形態に設けられるとは限らず、特に舌部の一部または全部が軸方向で第1の経路と(または特に第1の経路の遷移部と)重なり合う例において突起が舌部により円滑に乗り上げるのを可能にするために設けることができる。
【0097】
第2の舌部150は、たとえば
図8および
図9に示すように、トラックにおける第2の開口部149内に設けることができる。第2の舌部は一般に、一部または全体が第3の経路内に位置する。突起が両方向(すなわち、軸方向における各方向)において舌部を越えるのを可能にするように第1の傾斜部と第2のスロープ部とを有する舌部140に対して、第2の舌部150は、突起162が一方向にのみ移動できるようにし、逆方向には移動できないように設計される。突起が第2の舌部150を越えた後(それによって、突起が、第3の経路138において第2の舌部の位置よりも回転体の近位端114に近い位置に配置される)、突起は、第2の舌部によって妨害されるので遠位方向に戻ることができなくなる。これは、薬剤給送部材ガードロックを形成することができ、薬剤給送部材ガードロックは、薬剤給送部材を使用後に保護し、針刺損傷などの問題を回避することができる。
【0098】
トラックにおける表面の第2の開口部149を
図8に示すように開口部139から離隔することができ、または開口部139と第2の開口部149とを単一の開口部として組み合わせることもできる。同様に、舌部140と第2の舌部150とを
図8に示すように互いに離隔することができ、または単一の構造として組み合わせることもできる。
【0099】
薬剤給送部材ガードは突起162を備え、突起162は、各図における例に示す形状以外の様々な形を取ってもよい。
【0100】
フィードバック機構
本開示の別の部分は、薬剤給送デバイス用のフィードバック機構に関し、詳細には、薬剤給送デバイスの給送動作を指示するためのフィードバック機構に関する。
【0101】
オートインジェクタ、吸入器、オンボディデバイスなどの薬剤給送デバイスは一般に、患者が正式な医療訓練なしに薬剤を自己投与できることで知られている。たとえば、糖尿病に罹患している患者または人為受精治療を受けている人は、インスリンまたはホルモンを繰り返し注射することが必要になる場合がある。他の患者は、成長ホルモンなどの他の種類の薬剤を規則的に注射することが必要になる場合がある。
【0102】
それらの薬剤給送デバイスは正式な医療訓練を受けない患者向けに設計されるので、それらの薬剤給送デバイスの操作は、通常、専門的な健康/医療の場、たとえば、病院、診療所、または医療センター、に位置しない患者の家で行われる場合がある。薬剤給送デバイスのユーザによって給送動作が行われるたびに1回の給送動作のそれぞれに異なる段階に応じてユーザにフィードバックを与えることが要求されている。このフィードバックは、ユーザが薬剤給送デバイスを扱うことを支援することができ、または検出することができ、ユーザによって給送動作が行われるたびに給送動作ごとに記録して、ユーザが自分の薬剤接種を追跡するのを支援するか、もしくは次の動作のリマインダとしてアラームの基礎とすることができ、かつ/または医師もしくは医療関係者が治療法に関するユーザの順守を追跡するのを支援することができる。
【0103】
特許文献1は、いくつかの自動機能を備える薬剤給送デバイスを開示しており、この薬剤給送デバイスは市場で好評である。この薬剤給送デバイスは、薬剤給送が実行されたときに可聴および/または触覚および/または可視注射確認信号を生成するように適合された信号生成部材を有するフィードバック機構を備える。
【0104】
大部分の例では、この解決手段は非常にうまく機能する。しかし、薬剤給送デバイスのユーザに薬剤給送動作の始まりを示すことが要求されている。
【0105】
本コンセプトは、薬剤給送デバイス用のフィードバック機構を対象としており、このコンセプトについては、例示的な実施形態を示す添付の図面を参照しながら以下でさらに詳しく説明する。しかし、このフィードバック機構は、多数の異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載された実施形態に限定されるものと解釈すべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が、綿密で完全なものになり、本発明のコンセプトの範囲を当業者に完全に伝達するように一例として与えられている。同じ番号は、説明全体にわたって同じ要素を指す。
【0106】
図14は、第1の実施形態におけるフィードバック機構が近位端P、遠位端Dを有し、長手方向軸Lに沿って延びるハウジング210と、プランジャロッド220と、を備え、プランジャロッド220は、プランジャロッド220の軸方向移動が妨げられるプランジャロッド220の初期位置でハウジング210内に受け入れられる。
図15Aに示すように、フィードバック機構は、プランジャロッド220の内側空間内に配置されたフィードバック要素230と、駆動部材240、好ましくはばねとしての弾性部材と、をさらに備える。駆動部材の一方の端部は、フィードバック要素230の遠位端においてフィードバック要素230の内側支持表面232によって支持され、駆動部材の他方の端部は、プランジャロッド220の近位端においてプランジャロッド220の内側ショルダ222によって支持される。駆動部材240は、プランジャロッド220をハウジング210およびフィードバック要素230に対して近位方向に付勢するように構成される。
【0107】
代替的に、フィードバック要素が、
図15Aに示すようにプランジャロッド220とハウジング210との間に配置されてもよく、または別の実施形態では、フィードバック要素が、プランジャロッド220と、プランジャロッド220が所定の近位位置に到達した後に第2のフィードバックを生成するように構成された第2のフィードバック要素と、の間に配置されてもよいことに留意されたい。
【0108】
フィードバック要素230は、ハウジング210と一体化されるか、または駆動部材240の反動力によってハウジング210に固定される。フィードバック要素230は、弾性部分231、好ましくは弾性アーム231の対を備え、駆動部材240を半径方向に支持するように構成された案内部材、好ましくはロッド部材をさらに備えてもよい。
【0109】
プランジャロッド220は、相互作用部材221、好ましくは管状くぼみ221を備える。弾性アーム231の対は、管状くぼみ221を通って延び、プランジャロッド220の初期位置においてプランジャロッド220に対して半径方向外側に延びるように構成される。
【0110】
給送動作が始められると、プランジャロッド220が駆動部材240からの付勢力によって押されて近位方向に移動する。プランジャロッド220が近位方向に移動すると、管状くぼみ221が弾性アーム231の対を通過する。管状くぼみ221は、弾性アーム231の対を通過した後、弾性アーム231の対を半径方向内側に移動させ、弾性アーム231の対は次いで、
図15Bに示すように接触する。弾性アーム231の対が接触すると、薬剤給送デバイスのユーザに対して可聴フィードバックが生成される。
【0111】
弾性アーム231の対が接触することによって、弾性アーム231の対の間に電子接続が確立されてもよい。フィードバック要素230は、2つの電極を有する回路を備えてもよく、弾性アーム231の対の接触によって電極間に電子接続が確立される。回路は、LEDなどの視覚インディケータ、ブザーなどの可聴インディケータ、および/または振動ユニットなどの触覚インディケータをさらに備えてもよく、それによって、薬剤給送デバイスのユーザは給送動作の始まりの指示を得ることができる。回路は、RFID、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、GPRA、3G、4G、または5Gなどの通信ユニットをさらに備えてもよく、それによって、給送動作の始まりに応じた信号が、スマートフォンなどのローカルコンピューティングデバイスまたはクラウドサーバなどのリモートコンピューティングデバイスに送られてもよい。
【0112】
図16A~
図16Cは、フィードバック機構の第2の実施形態を示す。ハウジング210とプランジャロッド220と駆動部材240との間の構成は、第1の実施形態で説明した構成と同じである。駆動部材240は、プランジャロッド220とフィードバック要素230’の遠位端との間に配置され、それによって、駆動部材240は、プランジャロッド220を近位方向に付勢し、フィードバック要素230’を遠位方向に付勢するように構成される。案内部材、好ましくはロッド部材241は、駆動部材240を半径方向に支持するように構成され、駆動部材240の遠位端に係合するように構成された内側支持表面241aと、フィードバック要素230’の内側遠位端に係合するように構成された外側支持表面241bと、を備える。第2の実施形態におけるフィードバック要素230’は、プランジャロッド220が初期位置にあるときおよび薬剤給送デバイスの給送動作の間、ハウジング210に固定するかもしくはハウジング210と一体化するか、またはハウジング210に解放可能に固定することができる。フィードバック要素230’は、プランジャロッド220上で半径方向に付勢するように構成された接触部231’を備える長手方向に延びる少なくとも1つの弾性アームを備える。フィードバック要素230’は、プランジャロッド220が初期位置にあるときおよび薬剤給送デバイスの給送動作の間、ハウジング210に固定するかもしくはハウジング210と一体化するか、またはハウジング210に解放可能に固定することができる。
【0113】
第2の実施形態におけるプランジャロッド220の相互作用部材は、外面上に配置された半径方向外側に延びる突起221’を備える。突起221’は、
図16Aに示すように、プランジャロッド220がその初期位置にあるときに接触部231’に対して遠位方向に配置される。給送動作が始められた後、プランジャロッド220が、駆動部材240からの付勢力を受けて近位方向に移動する。プランジャロッド220が軸方向に移動すると、半径方向外側に延びる突起221’がフィードバック要素230’上の接触部231’を通過する。半径方向外側に延びる突起221’が接触部231’を通過すると、
図16Bに示すように接触部231’が半径方向外側に撓む。半径方向外側に延びる突起221’が接触部231’を通過し、プランジャロッド220が近位方向に移動した後、
図16Cに示すように、接触部231’が元に戻ってプランジャロッド220の外面に当たり、それによって、可聴フィードバックが生成される。
【0114】
図17は、フィードバック機構の第3の実施形態を示す。ハウジング210とプランジャロッド220と駆動部材240との間の構成は、第1の実施形態において説明した構成と同じである。駆動部材240はまた、第2の実施形態において説明したようにプランジャロッド220とフィードバック要素230”の遠位端との間に配置される。第3の実施形態におけるフィードバック要素230”は、カウンタ接触部231”を有する長手方向に延びる弾性アームを備える。カウンタ接触部231”は、プランジャロッド220の外面に接触し、より好ましくはプランジャロッド220の外面上に配置された接触部221”に接触するように構成される。プランジャロッド220上の接触部221”とフィードバック要素230”のカウンタ接触部231”とは、同じプラスチック材料によって作られるか、または接触部221”もしくはカウンタ接触部231”の一方が樹脂などの巨大分子および高粘性材料によって作られるかもしくは被覆される。それによって、接触部221”とカウンタ接触部231”との摩擦が増大する。
【0115】
給送動作が始められると、プランジャロッド220が駆動部材240の付勢力を受けて近位方向に移動する。プランジャロッド220の近位方向への移動によって接触部221”がカウンタ接触部231”に対して移動する。接触部221”とカウンタ接触部231”との間の相対移動によって生じる高摩擦によって、長手方向に延びる弾性アームがハウジング210内で振動し、それによって、薬剤給送デバイスのユーザに対して、薬剤給送動作の始まりを示す可聴フィードバックが生成される。
【0116】
第2の実施形態および第3の実施形態におけるフィードバック要素230’、230”は、保持部材234をさらに備えてもよく、保持部材234は、
図18に示すようにハウジング210のカウンタ保持部材に解放可能に接続されるように構成される。
【0117】
フィードバック要素230’、230”は、ハウジング210の内面とプランジャロッド220の外面との間に配置される。
図19Aおよび
図19Bに示すようにフィードバック要素230’、230”の初期位置においてフィードバック要素230’、230”の遠位端233およびハウジング210によって隙間D’が画定される。
【0118】
保持部材234は、ハウジング210のカウンタ保持部材に対して半径方向外側に延びるように構成され、それによって、フィードバック要素230’、230”の軸方向における遠位方向への移動が妨げられる。フィードバック要素230’、230”の保持部材234とハウジング210のカウンタ保持部材との間に形成される界面は、長手方向軸Lに対して所定の角度をなして形成される。そのような角度付き界面によって、ハウジング210のカウンタ保持部材によって加えられる保持力が軸方向における近位方向への分割力と半径方向内側への分割力とに分割される。したがって、プランジャロッド220が解放され近位方向に移動し、付勢されたプランジャロッド220の外面がもはやフィードバック要素230’、230”に接触しなくなった後、フィードバック要素230’、230”の保持部材234が半径方向内側への分割力に起因して内側に付勢され、それによって、保持部材234がハウジング210のカウンタ保持部材から係合解除される。
【0119】
保持部材234がハウジング210のカウンタ保持部材から係合解除された後、フィードバック要素230’、230”は駆動部材240によって遠位方向に付勢され、それにより、フィードバック要素の遠位端233がハウジング210の内面に当たり、それによって、第2のフィードバックが生成される。
【0120】
代替実施形態では、第2のフィードバックは、フィードバック要素が当たる動作によって、ハウジング210の遠位端上に配置された電子回路のスイッチがオンに切り替えられ、薬剤給送デバイスの給送動作の終了を示す視覚フォーマット、可聴フォーマット、または触覚フォーマットの指示として第2のフィードバックが薬剤給送デバイスのユーザに与えられるように構成することができる。
【0121】
代替実施形態では、第2のフィードバックの代わりに、第2の実施形態および第3の実施形態において説明したフィードバック機構が給送動作のプロセスを示すように構成されてもよい。第2の実施形態は、プランジャロッド220の外面上の複数の突起221’またはフィードバック要素230’上の接触部231’を備えることができる。第3の実施形態では、接触部221”とカウンタ接触部231”との間の接触長さをプランジャロッド220の長さと等しく設定することができる。
【0122】
説明した実施形態の様々な修正実施形態が実施可能であり、以下の特許請求の範囲によって定義される発明から逸脱せずに当業者に想到されよう。
【0123】
付記項
[項1]
医療デバイスのハウジング内に配置される薬剤給送開始通知機構であって、前記薬剤給送開始通知機構は、
前記ハウジングの遠位端に固定された後部キャップであって、前記後部キャップが、前記後部キャップの遠位端から近位方向に延びる中空の管状ハウジングを備え、それによって、前記管状ハウジングが、前記ハウジング内に片持ち梁式に設置され、前記ハウジングに対して回転可能に固定され、前記ハウジングの長手方向軸に平行となる、後部キャップと、
前記管状ハウジングに対して第1の位置から第2の位置まで回転することができるように前記管状ハウジングの周りに回転可能に配置された回転体であって、前記第2の位置が、ある用量の薬剤の給送の始まりと一致する、回転体と、
を備え、
前記回転体は接触面をさらに有し、前記接触面は、前記回転体が前記第1の位置から前記第2の位置まで移動する際に前記後部キャップ上または前記ハウジングの内面上に位置する対応する接触面に係合し、その後前記対応する接触面から係合解除し、
前記接触面が前記対応する接触面から係合解除すると、可聴または触覚フィードバックが生じる薬剤給送開始通知機構。
[項2]
前記接触面は、前記回転体の内面に動作的に対応付けられたニブを備え、前記対応する接触面は可撓性アームを備え、前記可撓性アームは、前記管状ハウジングに動作的に対応付けられ、それによって、前記回転体が回転すると前記ニブと前記可撓性アームとが係合する、項1に記載の薬剤給送開始通知機構。
[項3]
前記可撓性アームは、回転体の運動の間、横方向に移動する、項2に記載の薬剤給送開始通知機構。
[項4]
前記可撓性アームは、半径方向外側を向いた外側突起を有する、項2または3に記載の薬剤給送開始通知機構。
[項5]
前記ニブは、前記回転体が前記第1の位置から前記第2の位置まで回転する間、前記外側突起に係合し、それによって、前記可撓性アームを横方向において第1の方向へ移動させる、項4に記載の薬剤給送開始通知機構。
[項6]
前記ニブが前記外側突起から係合解除すると、前記可撓性アームが横方向において第2の方向へ移動し、前記管状ハウジングの切欠き側壁に当たって前記可聴または触覚フィードバックを生じさせる、項5に記載の薬剤給送開始通知機構。
[項7]
前記接触面は可撓性レバーを備え、前記対応する接触面は傾斜部を備え、前記傾斜部は、前記ハウジングの内面に動作的に対応付けられ、それによって、前記回転体が回転すると、前記可撓性レバーと前記傾斜部とが滑り係合する、項1に記載の薬剤給送開始通知機構。
[項8]
前記可撓性レバーは、半径方向外側に前記ハウジングの前記内面に向かって付勢され、前記可撓性レバーは、外側に突き出るノブを備える、項7に記載の薬剤給送開始通知機構。
[項9]
前記ノブは、前記回転体の回転時に前記傾斜部に乗り上げ、前記傾斜部から係合解除したときに前記ハウジングの前記内面に当たって、前記可聴または触覚フィードバックを生じさせる、項8に記載の薬剤給送開始通知機構。
[項10]
前記接触面は、前記回転体の近位終端に動作的に対応付けられた傾斜面を備え、前記対応する接触面はブロックを備え、前記ブロックは、前記管状ハウジングの近位端に動作的に対応付けられ、それによって、前記回転体が回転すると前記ブロックと前記傾斜面とが係合する、項1に記載の薬剤給送開始通知機構。
[項11]
前記ブロックが前記傾斜面から係合解除すると、前記回転体の前記近位終端が近位方向に移動して前記ブロックに当たり、前記可聴または触覚フィードバックを生じさせる、項10に記載の薬剤給送開始通知機構。
[項12]
前記後部キャップは、近位方向に突き出るフィンガをさらに備え、前記近位方向に突き出るフィンガは、前記回転体の遠位端に係合し、それによって、前記突き出るフィンガが前記回転体の回転時に半径方向外側に撓み、近位方向に向けられた付勢力が前記回転体に加えられる、項10または11に記載の薬剤給送開始通知機構。
[項13]
前記突き出るフィンガは、前記回転体の前記遠位端の内面に係合して前記内面を保持するフックを備える、項12に記載の薬剤給送開始通知機構。
[項14]
前記傾斜部は、前記回転体の前記近位終端面に沿って周方向に配置される、項10から13のいずれか一項に記載の薬剤給送開始通知機構。
[項15]
前記接触面は、前記回転体の遠位端の内面に動作的に対応付けられた内側を向いた突起を備え、前記対応する接触面は可撓性フィンガを備え、前記可撓性フィンガは、前記後部キャップに動作的に対応付けられ、それによって、前記回転体が回転すると、前記可撓性フィンガと前記内側を向いた突起とが係合する、項1に記載の薬剤給送開始通知機構。
[項16]
前記回転体が前記可撓性フィンガに対して旋回すると、前記内側を向いた突起との係合によって前記可撓性フィンガが撓み、それによって、前記可撓性フィンガが半径方向外側に付勢され、前記可撓性フィンガが前記内側を向いた突起に乗り上げ乗り越えるとき、前記可撓性フィンガは逆方向に内側に跳ね返り、その後前記回転体の前記内面に当たる、項15に記載の薬剤給送開始通知機構。
[項17]
薬剤給送デバイスであって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置された、項1から14のいずれか一項に記載の用量給送開始通知機構と、
を備える薬剤給送デバイス。
[項18]
前記薬剤給送デバイスは、針カバーを備え、前記回転体は、前記針カバーの遠位方向への直線運動または軸方向運動を前記ハウジングに対する前記回転体の回転運動に変換するように構成された案内構造を備える、項17に記載の薬剤給送デバイス。
[項19]
薬剤給送デバイス用の回転体(110)であって、前記回転体(110)が、
軸(122)に対して近位端から遠位端まで軸方向(120)に延びる管状体(112)と、
前記管状体(112)の表面から延びる1つまたは複数のリッジ(130)であって、
前記1つまたは複数のリッジ(130)が、前記管状体(112)の前記表面上にトラック(132)を画定し、前記トラック(132)が、前記トラック(132)の遠位端から前記トラック(132)の近位端まで前記軸方向(120)に延び、
前記トラック(132)が、前記トラック(132)の前記遠位端にある1つの経路(136)と、前記トラック(132)の前記近位端にある2つの経路(134、138)と、を備え、前記トラック(132)の前記近位端にある前記2つの経路(134、138)が、前記1つまたは複数のリッジ(130)のうちの少なくとも1つによって分離されている、1つまたは複数のリッジ(130)と、
前記トラック(132)の前記表面から延びる突起(141)であって、
前記突起(141)が、前記トラック(132)内を延びる表面を備え、
前記突起(141)の前記表面が、第1のスロープ部(142)と、前記第1のスロープ部(142)よりも前記管状体(112)の前記遠位端に近い第2のスロープ部(144)と、を備え、前記第1のスロープ部(142)および前記第2のスロープ部(144)が前記トラック(132)の前記表面に対して角度を付けられ、
前記第1のスロープ部(142)が前記管状体(112)の前記近位端に向かって角度を付けられ、前記第2のスロープ部(144)が前記管状体(112)の前記遠位端に向かって角度を付けられている、突起(141)と、
を備える回転体(110)。
[項20]
前記回転体は舌部(140)を備え、前記突起(141)は前記舌部(140)上に位置し、前記舌部(140)は、前記トラック(132)における前記表面の開口部(139)内に延び、前記舌部(140)は、前記トラック(132)の前記表面に対して撓むように構成される、項19に記載の回転体(110)。
[項21]
前記舌部(140)は、近位端から遠位端まで前記軸方向(120)に延び、前記舌部(140)の前記近位端は、前記管状体(112)に取り付けられ、前記舌部(140)の前記遠位端は、前記トラック(132)の前記表面に対して撓むように構成される、項20に記載の回転体(110)。
[項22]
前記舌部(140)は、近位端から遠位端まで前記軸方向(120)に延び、前記舌部(140)の前記遠位端は、前記管状体(112)に取り付けられ、前記舌部(140)の前記近位端は、前記トラック(132)の前記表面に対して撓むように構成される、項20に記載の回転体(110)。
[項23]
前記表面は、前記回転体(110)の前記軸から離れる方向を向き、前記1つまたは複数のリッジ(130)は前記表面から延びる、項19から22のいずれか一項に記載の回転体(110)。
[項24]
前記第1のスロープ部(142)の前記遠位端は、前記軸(122)から前記第1のスロープ部(142)の前記近位端よりも遠くまで延びる、項19から23のいずれか一項に記載の回転体(110)。
[項25]
前記第1のスロープ部(142)の少なくとも一部は、前記軸(122)から前記トラック(132)の前記表面よりも遠くまで延びる、項19から24のいずれか一項に記載の回転体(110)。
[項26]
前記トラック(132)における前記表面の開口部(149)内に延びる第2の舌部(150)を備える、項19から25のいずれか一項に記載の回転体(110)。
[項27]
前記第2の舌部(150)は、近位端から遠位端まで前記軸方向(120)に延び、前記第2の舌部(150)の前記遠位端は、前記管状体(112)に取り付けられ、前記第2の舌部(150)の前記近位端は、前記トラック(132)の前記表面に対して撓むように構成される、項26に記載の回転体(110)。
[項28]
前記第1のスロープ部(142)と前記トラック(132)の前記表面との前記角度(A1)は105度から165度の間であり、前記第2のスロープ部(144)と前記トラック(132)の前記表面との間の角度(A2)は105度から165度の間である、項19から27のいずれか一項に記載の回転体(110)。
[項29]
前記突起(141)の前記表面は、前記第1のスロープ部(142)に隣接する第3のスロープ部(146)を備え、前記第3のスロープ部(146)は、前記近位端に向かってスロープとされ、前記軸(122)に対して周方向(124)にスロープとされている、項19から28のいずれか一項に記載の回転体(110)。
[項30]
前記トラック(132)の前記遠位端にある前記経路は、前記軸方向において前記トラック(132)の前記近位端にある前記2つの経路のうちの1つのみと整列される、項19から29のいずれか一項に記載の回転体(110)。
[項31]
前記突起(141)は、前記回転体(110)の前記近位端(114)よりも前記回転体(110)の前記遠位端(116)に近い、項19から30のいずれか一項に記載の回転体(110)。
[項32]
項19から31のいずれか一項に記載の回転体(110)を備える薬剤給送デバイス。
[項33]
前記薬剤給送デバイスは、近位端から遠位端まで前記軸方向に延びかつ前記軸周りで周方向に延びるハウジングと、薬剤給送部材ガード(160)と、を備え、
前記回転体(110)は前記ハウジング内に位置し、前記回転体(110)は、前記薬剤給送デバイスの使用時に前記ハウジング内を前記周方向に移動することができ、
前記薬剤給送部材ガード(160)は前記ハウジング内に位置し、前記薬剤給送部材ガード(160)は、前記薬剤給送デバイスの使用時に前記ハウジング内を前記軸方向に移動することができ、
前記薬剤給送部材ガード(160)は突起(162)を備え、前記突起(162)は、前記回転体(110)の前記トラック内に配置される、項32に記載の薬剤給送デバイス。
[項34]
薬剤給送デバイス用のフィードバック機構であって、
- 近位端(P)、遠位端(D)を有し、長手方向軸(L)に沿って延びるハウジング(210)と、
- フィードバック要素(230、230’、230”)と、
- 前記ハウジング(210)に対応付けられ、前記ハウジング(210)と前記フィードバック要素(230、230’、230”)との両方に対して軸方向に移動できるように構成されたプランジャロッド(220)と、
- 前記プランジャロッド(220)を前記ハウジング(10)の前記近位端(P)に向かって付勢し、前記フィードバック要素(230、230’、230”)を前記ハウジング(210)の前記遠位端(D)に向かって付勢するように構成された駆動部材(240)と、
を備え、
前記プランジャロッド(220)は、前記薬剤給送デバイスのユーザにフィードバックを提供するために、前記プランジャロッド(220)が前記ハウジング(210)と前記フィードバック要素(230、230’、230”)との両方に対して移動したときに前記フィードバック要素(230、230’、230”)と相互作用するように構成された相互作用部材(221、221’、221”)を備える、フィードバック機構。
[項35]
前記相互作用部材(221)は、管状くぼみ(221)を備え、前記管状くぼみ(221)は、前記プランジャロッド(220)が前記ハウジング(210)と前記フィードバック要素(230)との両方に対して移動するときに前記管状くぼみ(221)を通って延びる前記フィードバック要素(230)の弾性部分(231)を半径方向内側に押すように構成される、項34に記載のフィードバック機構。
[項36]
前記プランジャロッド(220)は、その外面上に配置された半径方向外側に延びる突起(221’)を備える、項34に記載のフィードバック機構。
[項37]
前記フィードバック要素(230’)は、長手方向に延びる弾性アームを備え、前記半径方向外側に延びる突起(221’)は、前記プランジャロッド(220)が前記ハウジング(210)と前記フィードバック要素(230’)との両方に対して移動するときに前記長手方向に延びる弾性アームの一部(231’)を半径方向外側に撓ませるように構成される、項36に記載のフィードバック機構。
[項38]
前記相互作用部材(221”)は接触部(221”)を備える、項34に記載のフィードバック機構。
[項39]
前記フィードバック要素(230”)は、カウンタ接触部(231”)を有する長手方向に延びる弾性アームを備え、前記カウンタ接触部は、前記相互作用部材(221”)の前記接触部(221”)に接触するように構成され、それによって、前記プランジャロッド(220)が前記ハウジング(210)および前記フィードバック要素(230”)に対して移動するときに間に摩擦が生じた際に前記長手方向に延びる弾性アームが前記ハウジング(210)内で振動する、項38に記載のフィードバック機構。
[項40]
前記フィードバック機構(230)は、前記ハウジング(210)に軸方向に固定される、項34または35に記載のフィードバック機構。
[項41]
前記駆動部材(240)は駆動ばね(240)であり、前記フィードバック要素(230)は、前記駆動ばね(240)を半径方向に支持するように構成された案内部材を備える、項40に記載のフィードバック機構。
[項42]
前記案内部材は、弾性部分(231)を備える、項41に記載のフィードバック機構。
[項43]
前記フィードバック要素(230’、230”)は保持部材(234)を備え、前記保持部材(234)は、前記ハウジング(210)のカウンタ保持部材に解放可能に接続される、項36から39のいずれか一項に記載のフィードバック機構。
[項44]
前記フィードバック要素(230’、230”)は、前記ハウジング(210)の内面と前記プランジャロッド(220)の外面との間に配置され、前記保持部材(234)は、前記プランジャロッド(220)の前記外面がもはや前記フィードバック要素(230’、230”)に接触しなくなったときに前記カウンタ保持部材から解放されるように構成される、項43に記載のフィードバック機構。
[項45]
前記フィードバック要素(230’、230”)は、前記保持部材(234)が前記カウンタ保持部材から解放されたときに前記ハウジング(210)に対して付勢されるように構成され、それにより、前記フィードバック要素(230’、230”)が移動して前記ハウジング(210)と相互作用し、それによって第2のフィードバックが生成される、項44に記載のフィードバック機構。
【符号の説明】
【0124】
3 ハウジング
3a 近位端
3b 遠位端
3c 長手方向軸
3d 内面
5 後部キャップ
5a 管状ハウジング
5b 可撓性アーム
5c 切欠き
7 針カバー
7a 近位端
9 弾性部材またはエネルギー蓄積部材
10 キャップ
11 プランジャロッド
11a 半径方向開口部
13 プランジャ
15 第1のエネルギー蓄積部材
17 回転体
17a 溝
17b 溝
17c ロック
19 ロッド
21 信号生成部材
23 薬剤容器ホルダ
25 容器、薬剤容器
25a 針
50 可撓性フィンガ
51 近位端またはフック
52 内面
53 内側を向いた突起
55 傾斜面
56 ブロック
57a 方向矢印
57b 力、付勢力
58 終端近位端面、終端面
59 終端遠位端面
60 傾斜部
60a 縁部
61 可撓性レバー
62 ノブ
71 外側突起
72 内側を向いたニブ
73 側壁
74 方向
75 第1の状態
76 第2の状態
77 第3の状態
112 管状体
114 近位端
116 遠位端
120 軸方向
122 軸
124 周方向
130 リッジ
131 遠位部
132 トラック
134、136、138 経路
135 遷移部
139 開口部
140 舌部
141 突起
142 第1のスロープ部
144 第2のスロープ部
146 第3のスロープ部
147 近位端
148 遠位端
149 第2の開口部
150 第2の舌部
160 薬剤給送部材ガード
162 突起
210 ハウジング
220 プランジャロッド
221 相互作用部材
221’ 突起
221” 接触部
222 内側ショルダ
230、230’、230” フィードバック要素
231 弾性アーム、弾性部分
231’ 接触部
231” カウンタ接触部
232 内側支持表面
233 遠位端
234 保持部材
240 駆動部材
【国際調査報告】