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特表2023-505512低弾性係数シーラント用ポリエーテルの合成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-09
(54)【発明の名称】低弾性係数シーラント用ポリエーテルの合成方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/28 20060101AFI20230202BHJP
   C08F 4/42 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
C08G65/28
C08F4/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534420
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(85)【翻訳文提出日】2022-06-06
(86)【国際出願番号】 CN2020098800
(87)【国際公開番号】W WO2021109557
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】201911243263.4
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522225055
【氏名又は名称】浙江皇馬科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG HUANGMA TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Zhangzhen New Industrial Zone, Shangyu District Shaoxing City,Zhejiang 310000 (CN)
(71)【出願人】
【識別番号】522225066
【氏名又は名称】浙江皇馬尚宜新材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG HUANGMA SHANGYI NEW MATERIAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Shangyu Economic And Technological Development Zone, Hangzhou Bay, Shangyu District Shaoxing City, Zhejiang 312000 (CN)
(71)【出願人】
【識別番号】522225077
【氏名又は名称】浙江緑科安化学有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG LUKEAN CHEMICAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Shangyu Economic And Technological Development Zone, Hangzhou Bay, Shangyu District Shaoxing, Zhejiang 312000 (CN)
(71)【出願人】
【識別番号】522225088
【氏名又は名称】浙江皇馬特種表面活性剤研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGYU HUANGMA SURFACE ACTIVATED REAGENT RESEARCH INSTITUTE CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Zhangzhen New Industrial Zone, Shangyu District Shaoxing, Zhejiang 312000 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】王偉松
(72)【発明者】
【氏名】金一豊
(72)【発明者】
【氏名】冦然
(72)【発明者】
【氏名】王馬済世
(72)【発明者】
【氏名】趙興軍
【テーマコード(参考)】
4J005
4J015
【Fターム(参考)】
4J005AA12
4J005BA00
4J005BB02
4J005BB04
4J005BC00
4J015DA00
4J015DA37
(57)【要約】
本発明は、低弾性係数シーラント用ポリエーテルの合成方法を開示し、有機化合物合成技術分野に属する。本発明の合成方法において、主に、モノオールポリオキシプロピレンエーテルとポリオールポリオキシプロピレンエーテルの混合物を開始剤とし、プロピレンオキシドを鎖延長剤とし、金属錯体触媒を加えて、反応を行い、反応が完了した後に前記低弾性係数シーラント用ポリエーテルを得る。本発明により製造されるポリエーテルは、シーラントの剛性強度を良く向上させることができるだけでなく、弾性係数を低減させることもでき、従来のポリエーテルシラン変性シーラントの弾性係数が高いという問題を克服し、合成プロセスが簡単であり、生産と制御が容易であり、生産周期が短く、エネルギー消費が低い。
【選択図】なし











【特許請求の範囲】
【請求項1】
低弾性係数シーラント用ポリエーテルの合成方法であって、モノオールポリオキシプロピレンエーテルとポリオールポリオキシプロピレンエーテルの混合物を開始剤とし、プロピレンオキシドを鎖延長剤とし、金属錯体触媒を加え、反応を行い、反応が完了した後に前記低弾性係数シーラント用ポリエーテルを得るステップを含むことを特徴とする、低弾性係数シーラント用ポリエーテルの合成方法。
【請求項2】
前記開始剤におけるモノオールポリオキシプロピレンエーテルとポリオールポリオキシプロピレンエーテルとの重量比は、(5:95)~(30:70)であることを特徴とする
請求項1に記載の低弾性係数シーラント用ポリエーテルの合成方法。
【請求項3】
前記モノオールポリオキシプロピレンエーテルは、ブタノールポリオキシプロピレンエーテル、エタノールポリオキシプロピレンエーテル、プロパノールポリオキシプロピレンエーテル、C6アルコールポリオキシプロピレンエーテル、C8アルコールポリオキシプロピレンエーテル、C10アルコールポリオキシプロピレンエーテル、C12アルコールポリオキシプロピレンエーテルのうちの1つ又は任意の2つ以上の混合物であることを特徴とする
請求項1又は2に記載の低弾性係数シーラント用ポリエーテルの合成方法。
【請求項4】
前記ポリオールポリオキシプロピレンエーテルは、グリセリンポリオキシプロピレンエーテル、エチレングリコールポリオキシプロピレンエーテル、プロピレングリコールポリオキシプロピレンエーテル、ペンタエリスリトールポリオキシプロピレンエーテル、ソルビトールポリオキシプロピレンエーテル、スクロースポリオキシプロピレンエーテルのうちの1つ又は任意の2つ以上の混合物であることを特徴とする
請求項1又は2に記載の低弾性係数シーラント用ポリエーテルの合成方法。
【請求項5】
前記モノオールポリオキシプロピレンエーテルとポリオールポリオキシプロピレンエーテルの分子量は、いずれも300~4000であることを特徴とする
請求項1又は2に記載の低弾性係数シーラント用ポリエーテルの合成方法。
【請求項6】
前記低弾性係数シーラント用ポリエーテルの分子量は、4000~30000であることを特徴とする
請求項1又は2に記載の低弾性係数シーラント用ポリエーテルの合成方法。
【請求項7】
前記触媒の使用量は、開始剤とプロピレンオキシドの総量の10~100ppmであることを特徴とする
請求項1又は2に記載の低弾性係数シーラント用ポリエーテルの合成方法。
【請求項8】
前記触媒は、二重金属錯体触媒DMC又は多重金属錯体触媒MMC又は両者の混合であることを特徴とする
請求項7に記載の低弾性係数シーラント用ポリエーテルの合成方法。
【請求項9】
前記プロピレンオキシドの使用量は、開始剤の重量の4~15倍であることを特徴とする
請求項1又は2に記載の低弾性係数シーラント用ポリエーテルの合成方法。
【請求項10】
反応温度は、100~180℃であることを特徴とする
請求項1又は2に記載の低弾性係数シーラント用ポリエーテルの合成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機化合物合成技術分野に関し、具体的には低弾性係数シーラント用ポリエーテルの合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
わが国が省エネルギーと環境保全を日増しに重視することに伴い、組み立て式建築は、施工周期が短く、エネルギー消費が低く、汚染が少なく、施工上の安全性が高いなどの利点を有するため、ますます、将来の建築の発展の主な方向の1つとなっている。具体的には、組み立て式建築は、従来のコンクリート建築に比べて、現場のゴミ量が80%ほど減少し、材料の損耗が約60%減少し、建設者が約90%減少し、建築周期がおよそ70%短縮することができる。組み立て式建築の組立プロセスにおいて、防水封止処理を必要とする大量の継ぎ目が存在する。特に、外壁の継ぎ目にとって、シーラントは、防水封止のための第一防御線であり、その性能の優劣は、防水封止効果に直接的に影響を及ぼす。
【0003】
シーラントの耐変位性、弾性回復率及び耐候性に対して組み立て式建築が求める要件が高いため、市場の需要を満たすために、低弾性係数シーラントを早急に必要とする。現在では、建築材料市場において用いられる低弾性係数シーラントは、主に、ポリウレタン(PU)建築シーラント、シラン変性ポリエーテル(MS)建築シーラント及びシリコーン(SR)建築シーラントである。ポリウレタン建築シーラントは、価格が低く、粘着性が高く、優れた変形適応能力を有するが、その構造に大量のカルバメート結合が含まれ、耐紫外線性能などの方面ではひどく不十分である。シリコーンシーラントは、酸塩耐性、耐候性に優れているが、その塗装不可能性がその応用範囲を制限する。シラン変性ポリエーテルシーラントは、最近の30年では、発展が最も速い建築封止材料であり、ポリウレタンの良好な粘着性能とシリコーンシーラントの優れた酸塩耐性と耐候性能を兼ね備え、且つ環境に優しく、無臭で基材を汚染せず、表面が塗装可能であり、工業化建築では最も適切な建築封止材料である。しかしながら、完全にポリオールポリエーテルシラン変性(例えば、グリセリンポリエーテルシリコーンオイル変性、プロピレングリコールポリエーテル変性シーラント)を用いるシラン変性ポリエーテルシーラントは、弾性係数が高いことによって、その弾性が不十分であることを引き起こし、その使用効果に影響を与える。
【0004】
従って、低弾性係数シーラント用ポリエーテルの合成方法の開発は、絶対に必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の不足を克服するために、本発明の目的は、低弾性係数シーラント用ポリエーテルの合成方法を提供することである。本発明によって製造されるポリエーテルは、シーラントの剛性強度を向上させるだけでなく、弾性係数を低減させることもでき、従来のポリエーテルシラン変性シーラントの弾性係数が高いという問題を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明に用いられる技術的解決手段は、以下のとおりである。
【0007】
低弾性係数シーラント用ポリエーテルの合成方法であって、モノオールポリオキシプロピレンエーテルとポリオールポリオキシプロピレンエーテルの混合物を開始剤とし、プロピレンオキシドを鎖延長剤とし、金属錯体触媒を加え、反応を行い、反応が完了した後に前記低弾性係数シーラント用ポリエーテルを得るステップを含む。具体的な反応式は、以下のとおりである。

本発明の好適な実施形態として、前記開始剤におけるモノオールポリオキシプロピレンエーテルとポリオールポリオキシプロピレンエーテルとの重量比は、(5:95)~(30:70)である。
【0008】
本発明の好適な実施形態として、前記モノオールポリオキシプロピレンエーテルは、ブタノールポリオキシプロピレンエーテル、エタノールポリオキシプロピレンエーテル、プロパノールポリオキシプロピレンエーテル、C6アルコールポリオキシプロピレンエーテル、C8アルコールポリオキシプロピレンエーテル、C10アルコールポリオキシプロピレンエーテル、C12アルコールポリオキシプロピレンエーテルのうちの1つ又は任意の2つ以上の混合物である。
【0009】
本発明の好適な実施形態として、前記ポリオールポリオキシプロピレンエーテルは、グリセリンポリオキシプロピレンエーテル、エチレングリコールポリオキシプロピレンエーテル、プロピレングリコールポリオキシプロピレンエーテル、ペンタエリスリトールポリオキシプロピレンエーテル、ソルビトールポリオキシプロピレンエーテル、スクロースポリオキシプロピレンエーテルのうちの1つ又は任意の2つ以上の混合物である。
【0010】
本発明の好適な実施形態として、前記モノオールポリオキシプロピレンエーテルとポリオールポリオキシプロピレンエーテルの分子量は、いずれも300~4000である。
【0011】
本発明の好適な実施形態として、前記低弾性係数シーラント用ポリエーテルの分子量は、4000~30000である。
【0012】
本発明の好適な実施形態として、前記触媒の使用量は、開始剤とプロピレンオキシドの総量の10~100ppmである。
【0013】
本発明の好適な実施形態として、前記触媒は、二重金属錯体触媒DMC又は多重金属錯体触媒MMC又は両者の混合である。
【0014】
本発明の好適な実施形態として、前記プロピレンオキシドの使用量は、開始剤の重量の4~15倍である。
【0015】
本発明の好適な実施形態として、反応温度は、100~180℃である。
【発明の効果】
【0016】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は、以下のとおりである。
【0017】
(1)本発明に記載の低弾性係数シーラント用ポリエーテルの合成方法において、モノオールポリオキシプロピレンエーテルとポリオールポリオキシプロピレンエーテルの混合物を開始剤とし、更に、プロピレンオキシドを鎖延長剤とし、ポリエーテルを合成する。一方では、ヒドロキシポリオールポリオキシプロピレンエーテルをシランによってブロッキングして変性した後、水架橋してメッシュ状構造を形成することで、硬化強度を効果的に確保する。他方では、モノオールポリオキシプロピレンエーテルの、水酸基を有する一端が架橋反応に関与してメッシュ状構造に結合し、他端のアルキル基を不活性基として残すことで、全体の引張弾性を効果的に増加させることができ、それにより本発明のポリエーテルによって製造されるシーラントは、剛性強度を有するだけでなく、弾性係数が低減することもでき、高い引張性能を有する。
【0018】
(2)本発明の合成方法は、プロセスが簡単であり、プロセスのステップが少なく、生産周期が短く、エネルギー消費が低く、生産と製造が容易である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
低弾性係数シーラント用ポリエーテルの合成方法であって、反応釜にモノオールポリオキシプロピレンエーテルとポリオールポリオキシプロピレンエーテルの混合物と金属錯体触媒を加え、真空引きを行い、Nを用いて反応釜における空気を置換し、真空度≧-0.096Mpaである時、真空引きを行いながら、昇温脱水を行い、120~130℃に昇温する時、0.5~2h保温脱水するステップと、プロピレンオキシドを加えて反応を行い、反応温度を100~180℃とし、反応釜内の圧力を-0.05~0.40Mpaとし、保温して反応し続け、圧力が降下しないまで継続するステップと、反応が完了し、真空脱気を行い、真空度≧-0.098Mpaである時、10-30min維持し、降温した後に分子量が4000~30000である前記低弾性係数シーラント用ポリエーテルを得るステップと、を含む。
【0020】
具体的な反応式は、以下のとおりである。

上記方法において、モノオールポリオキシプロピレンエーテルとポリオールポリオキシプロピレンエーテルとの重量比は、(5:95)~(30:70)である。プロピレンオキシドの使用量は、開始剤の重量の4~15倍である。触媒の使用量は、開始剤とプロピレンオキシドの総量の10~100ppmである。
【0021】
好ましくは、モノオールポリオキシプロピレンエーテルは、ブタノールポリオキシプロピレンエーテル、エタノールポリオキシプロピレンエーテル、プロパノールポリオキシプロピレンエーテル、C6アルコールポリオキシプロピレンエーテル、C8アルコールポリオキシプロピレンエーテル、C10アルコールポリオキシプロピレンエーテル、C12アルコールポリオキシプロピレンエーテルのうちの1つ又は任意の2つ以上の混合物である。ポリオールポリオキシプロピレンエーテルは、グリセリンポリオキシプロピレンエーテル、エチレングリコールポリオキシプロピレンエーテル、プロピレングリコールポリオキシプロピレンエーテル、ペンタエリスリトールポリオキシプロピレンエーテル、ソルビトールポリオキシプロピレンエーテル、スクロースポリオキシプロピレンエーテルのうちの1つ又は任意の2つ以上の混合物である。モノオールポリオキシプロピレンエーテルとポリオールポリオキシプロピレンエーテルの分子量は、いずれも300~4000である。触媒は、二重金属錯体触媒DMC又は多重金属錯体触媒MMC又は両者の混合物である。
【0022】
以下、具体的な実施形態を結び付けて本発明を更に詳しく説明する。下記実施例において、反応前に、いずれも、蒸留水を用いて高圧撹拌反応釜を数回繰り返して洗浄し、きれいになるまで継続し、反応釜を乾燥し、常温まで冷却した後に使用に備える。特に説明しない限り、以下の実施例に用いられる成分は、いずれも市販のものである。
【0023】
実施例1
2.5Lの高圧撹拌反応釜に分子量が400であるプロピレングリコールポリオキシプロピレンエーテル92gと分子量が300であるブタノールポリオキシプロピレンエーテル8g及び二重金属錯体触媒DMC 0.026gを加え、真空ポンプを用いて真空引きを行い、Nを用いて反応釜内の空気を置換し、3回置換した後に、真空度≧-0.096MPaである時、真空引きを行いながら、昇温脱水を行い、温度が120℃になった後に、1h保温脱水する。脱水が完了した後に、プロピレンオキシド1175gを加える。反応温度を110-130℃、反応釜内の圧力を-0.05~0.40MPaに制御し、続いて保温して反応し続け、圧力が降下しないまで継続する。反応が完了し、真空脱気を行い、真空度≧-0.098MPaである時、10min維持した後に、降温、排出を行い、前記低弾性係数シーラント用ポリエーテル完成品を得る。
【0024】
製品の指標:ゲルクロマトグラフィーテストにおける分子量が4980であり、化学法テストにおけるサンプルの水酸基価が21.6である(GB/T 7383-2007方法でテストを行い、以下は同様である)。
【0025】
比較例1
2.5Lの高圧撹拌反応釜に分子量が400であるプロピレングリコールポリオキシプロピレンエーテル100g及び二重金属錯体触媒DMC 0.026gを加え、真空ポンプを用いて真空引きを行い、Nを用いて反応釜内の空気を置換し、3回置換した後に、真空度≧-0.096MPaである時、真空引きを行いながら、昇温脱水を行い、温度が120℃になった後に、1h保温脱水する。脱水が完了した後に、プロピレンオキシド1148gを加え、反応温度を110-130℃、反応釜内の圧力を-0.05~0.40MPaに制御し、続いて保温して反応し続け、圧力が降下しないまで継続する。反応が完了し、真空脱気を行い、真空度≧-0.098MPaである時、10min維持した後に、降温、排出を行い、ポリエーテル完成品を得る。
【0026】
製品の指標:ゲルクロマトグラフィー分析における分子量が4982であり、化学法テストにおけるサンプルの水酸基価が22.5である。
【0027】
実施例2
2.5Lの高圧撹拌反応釜に分子量が800であるグリセリンポリオキシプロピレンエーテル115gと分子量が1200であるエタノールポリオキシプロピレンエーテル20g及び多重金属錯体触媒MMC 0.060gを加え、真空ポンプを用いて真空引きを行い、Nを用いて反応釜内の空気を置換し、3回置換した後に、真空度≧-0.096MPaである時、真空引きを行いながら、昇温脱水を行い、温度が120℃に上昇した後に、1h保温脱水する。脱水が完了した後に、プロピレンオキシド1230gを加え、反応温度を120-150℃、反応釜内の圧力を-0.05~0.40MPaに制御し、続いて保温して反応し続け、圧力が降下しないまで継続する。反応が完了し、真空脱気を行い、真空度≧-0.098MPaである時、10min維持した後に、降温、排出を行い、前記低弾性係数シーラント用ポリエーテル完成品を得る。
【0028】
製品の指標:ゲルクロマトグラフィーテストにおける分子量が8610であり、化学法テストにおけるサンプルの水酸基価が18.6である。
【0029】
比較例2
2.5Lの高圧撹拌反応釜に分子量が800であるグリセリンポリオキシプロピレンエーテル100g及び二重金属錯体触媒DMC 0.060gを加え、真空ポンプを用いて真空引きを行い、Nを用いて反応釜内の空気を置換し、3回置換した後に、真空度≧-0.096MPaである時、真空引きを行いながら、昇温脱水を行い、温度が120℃に上昇した後に、1h保温脱水する。脱水が完了した後に、プロピレンオキシド986gを加え、反応温度を120-150℃、反応釜内の圧力を-0.05~0.40MPaに制御し、続いて保温して反応し続け、圧力が降下しないまで継続する。反応が完了し、真空脱気を行い、真空度≧-0.098MPaである時、10min維持した後に、降温、排出を行い、前記低弾性係数シーラント用ポリエーテル完成品を得る。
【0030】
製品の指標:ゲルクロマトグラフィー分析における分子量が8588であり、化学法テストにおけるサンプルの水酸基価が19.6である。
【0031】
実施例3
2.5Lの高圧撹拌反応釜に分子量が1500であるペンタエリスリトールポリオキシプロピレンエーテル108gと分子量が3000である直鎖Cアルコールポリオキシプロピレンエーテル27g及び二重金属錯体触媒DMCと多重金属錯体触媒MMCの婚物0.1gを加え、真空ポンプを用いて真空引きを行い、Nを用いて反応釜内の空気を置換し、3回置換した後に、真空度≧-0.096MPaである時、真空引きを行いながら、昇温脱水を行い、温度が130℃に上昇した後に、1.5h保温脱水する。脱水が完了した後に、プロピレンオキシド1250gを加え、反応温度を130-160℃、反応釜内の圧力を-0.05~0.40MPaに制御し、続いて保温して反応し続け、圧力が降下しないまで継続する。反応が完了し、真空脱気を行い、真空度≧-0.098MPaである時、20min維持した後に、降温、排出を行い、前記低弾性係数シーラント用ポリエーテル完成品を得る。
【0032】
製品の指標:ゲルクロマトグラフィー分析における分子量が18200であり、化学法テストにおけるサンプルの水酸基価が12.1である。
【0033】
比較例3
2.5Lの高圧撹拌反応釜に分子量が1500であるペンタエリスリトールポリオキシプロピレンエーテル100g0及び二重金属錯体触媒DMC 0.1gを加え、真空ポンプを用いて真空引きを行い、Nを用いて反応釜内の空気を置換し、3回置換した後に、真空度≧-0.096MPaである時、真空引きを行いながら、昇温脱水を行い、温度が130℃に上昇した後に、1.5h保温脱水する。脱水が完了した後に、プロピレンオキシド1160gを加え、反応温度を130-160℃、反応釜内の圧力を-0.05~0.40MPaに制御し、続いて保温して反応し続け、圧力が降下しないまで継続する。反応が完了し、真空脱気を行い、真空度≧-0.098MPaである時、20min維持した後に、降温、排出を行い、ポリエーテル完成品を得る。
【0034】
製品の指標:ゲルクロマトグラフィー分析における分子量が18250であり、化学法テストにおけるサンプルの水酸基価が12.3である。
【0035】
実施例4
2.5Lの高圧撹拌反応釜に分子量が2500であるソルビトールポリオキシプロピレンエーテル100gと分子量が4000である直鎖C10アルコールポリオキシプロピレンエーテル35g及び二重金属錯体触媒DMC 0.13gを加え、真空ポンプを用いて真空引きを行い、Nを用いて反応釜内の空気を置換し、3回置換した後に、真空度≧-0.096MPaである時、真空引きを行いながら、昇温脱水を行い、温度が130℃に上昇した後に、1.5h保温脱水する。脱水が完了した後に、プロピレンオキシド1250gを加え、反応温度を140-170℃、反応釜内の圧力を-0.05~0.40MPaに制御し、続いて保温して反応し続け、圧力が降下しないまで継続する。反応が完了し、真空脱気を行い、真空度≧-0.098MPaである時、30min維持した後に、降温、排出を行い、前記低弾性係数シーラント用ポリエーテル完成品を得る。
【0036】
製品の指標:ゲルクロマトグラフィー分析における分子量が29215であり、化学法テストにおけるサンプルの水酸基価が10.1である。
【0037】
比較例4
2.5Lの高圧撹拌反応釜に分子量が2500であるソルビトールポリオキシプロピレンエーテル100g及び二重金属錯体触媒DMC 0.13gを加え、真空ポンプを用いて真空引きを行い、Nを用いて反応釜内の空気を置換し、3回置換した後に、真空度≧-0.096MPaである時、真空引きを行いながら、昇温脱水を行い、温度が130℃に上昇した後に、1.5h保温脱水する。脱水が完了した後に、プロピレンオキシド1250gを加え、反応温度を140-170℃、反応釜内の圧力を-0.05~0.40MPaに制御し、続いて保温して反応し続け、圧力が降下しないまで継続する。反応が完了し、真空脱気を行い、真空度≧-0.098MPaである時、30min維持した後に、降温、排出を行い、ポリエーテル完成品を得る。
【0038】
製品の指標:ゲルクロマトグラフィー分析における分子量が29015であり、化学法テストにおけるサンプルの水酸基価が11.6である。
【0039】
実施例5
2.5Lの高圧撹拌反応釜に分子量が4000であるスクロースアルコールポリオキシプロピレンエーテル144gと分子量が3800である直鎖C12アルコールポリオキシプロピレンエーテル41g及び多重金属錯体触媒MMC 0.14gを加え、真空ポンプを用いて真空引きを行い、Nを用いて反応釜内の空気を置換し、3回置換した後に、真空度≧-0.096MPaである時、真空引きを行いながら、昇温脱水を行い、温度が130℃に上昇した後に、2h保温脱水する。脱水が完了した後に、プロピレンオキシド1217gを加え、反応温度を140-180℃、反応釜内の圧力を-0.05~0.40MPaに制御し、続いて保温して反応し続け、圧力が降下しないまで継続する。反応が完了し、真空脱気を行い、真空度≧-0.098MPaである時、30min維持した後に、降温、排出を行い、前記低弾性係数シーラント用ポリエーテル完成品を得る。
【0040】
製品の指標:ゲルクロマトグラフィー分析における分子量が28815であり、化学法テストにおけるサンプルの水酸基価が12.0である。
【0041】
比較例5
2.5Lの高圧撹拌反応釜に分子量が4000であるスクロースアルコールポリオキシプロピレンエーテル144g及び二重金属錯体触媒DMC 0.14gを加え、真空ポンプを用いて真空引きを行い、Nを用いて反応釜内の空気を置換し、3回置換した後に、真空度≧-0.096MPaである時、真空引きを行いながら、昇温脱水を行い、温度が130℃に上昇した後に、1h保温脱水する。脱水が完了した後に、プロピレンオキシド918gを加え、反応温度を140-180℃、反応釜内の圧力を-0.05~0.40MPaに制御し、続いて保温して反応し続け、圧力が降下しないまで継続する。反応が完了し、真空脱気を行い、真空度≧-0.098MPaである時、10min維持した後に、降温、排出を行い、ポリエーテル完成品を得る。
【0042】
製品の指標:ゲルクロマトグラフィー分析における分子量が28756であり、化学法テストにおけるサンプルの水酸基価が15.6である。
【0043】
実施例6
2.5Lの高圧撹拌反応釜に分子量が3000であるグリセリンポリオキシプロピレンエーテル110gと分子量が4000である直鎖C6アルコールポリオキシプロピレンエーテル40g及び二重金属錯体触媒DMC 0.10gを加え、真空ポンプを用いて真空引きを行い、Nを用いて反応釜内の空気を置換し、3回置換した後に、真空度≧-0.096MPaである時、真空引きを行いながら、昇温脱水を行い、温度が130℃に上昇した後に、2h保温脱水する。脱水が完了した後に、プロピレンオキシド1135gを加え、反応温度を140-180℃、反応釜内の圧力を-0.05~0.40MPaに制御し、続いて保温して反応し続け、圧力が降下しないまで継続する。反応が完了し、真空脱気を行い、真空度≧-0.098MPaである時、30min維持した後に、降温、排出を行い、前記低弾性係数シーラント用ポリエーテル完成品を得る。
【0044】
製品の指標:ゲルクロマトグラフィー分析における分子量が27650であり、化学法テストにおけるサンプルの水酸基価が5.3である。
【0045】
比較例6
2.5Lの高圧撹拌反応釜に分子量が3000であるグリセリンポリオキシプロピレンエーテル120g及び二重金属錯体触媒DMC 0.10gを加え、真空ポンプを用いて真空引きを行い、Nを用いて反応釜内の空気を置換し、3回置換した後に、真空度≧-0.096MPaである時、真空引きを行いながら、昇温脱水を行い、温度が130℃に上昇した後に、2h保温脱水する。脱水が完了した後に、プロピレンオキシド1000gを加え、反応温度を140-180℃、反応釜内の圧力を-0.05~0.40MPaに制御し、続いて保温して反応し続け、圧力が降下しないまで継続する。反応が完了し、真空脱気を行い、真空度≧-0.098MPaである時、30min維持した後に、降温、排出を行い、ポリエーテル完成品を得る。
【0046】
製品の指標:ゲルクロマトグラフィー分析における分子量が27550であり、化学法テストにおけるサンプルの水酸基価が6.1である。
【0047】
性能テスト:
実施例1~6と比較例1~6で製造されたポリエーテルサンプルと2-イソシアネートエチルトリエトキシシランを触媒による作用でそれぞれ反応させ、シラン変性ポリエーテルを製造する。材料の配合比は、一定の-OHと-NCOモル比1:1.1であり、他の反応条件は一致する。ポリエーテルによりシラン変性ポリエーテルを製造する反応式は、以下のとおりである(ジヒドロキシポリエーテルを例とする):

シーラントを製造する具体的なステップは、以下のとおりである。
【0048】
(1)各実施例と比較例で製造されるシラン変性ポリエーテルを用いて、下記表における配合方式に応じてシーラントを製造する。
注記:「*」は、実施例と比較例によるポリエーテルで製造されるシラン変性ポリエーテルを表す。
【0049】
(2)シーラントの具体的な製造プロセスは、以下のとおりである。
【0050】
a、二重遊星式撹拌機を用いて混合生産を行う。軽炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、シラン変性ポリエーテルポリマー、カップリング剤、可塑剤をシリンダに投入し、均一に撹拌する。
【0051】
b、脱水剤を加え、高速撹拌し、均一に分散して材料に顆粒が存在しないまで継続する。
【0052】
c、100~150℃に昇温し、真空引きを行い、1~3h保温する。
【0053】
d、30~60℃に降温し、真空引きを停止する。
【0054】
e、触媒を加え、均一に撹拌した後に、脱泡を行い、シーラントを得る。
【0055】
(3)各実施例と比較例で得られたシラン変性ポリエーテルシーラントに対して、引張強度、破断伸び率及び引張弾性係数を測定する。
【0056】
そのうち、引張強度と破断伸び率は、GB/T528-2009-『加硫ゴム又は熱可塑性ゴムの引張応力歪み性能の測定』によって規定されるテストに応じて測定され、引張弾性係数は、GB/T 13477-2002「建築封止材料のテスト方法」に応じて測定され、結果は、表1に示される。
【0057】
表1 各実施例及び比較例のポリエーテルにより合成されるシーラントの効果データ
表1における6組の比較データから分かるように、本発明の実施例実施例1~6で製造されたシーラントは、比較例1~6で製造されたシーラントに比べて、引張弾性係数が20%以上低く、破断伸び率が10%以上増加し、且つモノオールポリオキシプロピレンエーテルの割合の増加に伴い、引張弾性係数の低下幅が増大し、破断伸び率が増加し、引張強度の変化が小さい。これによれば、本発明において、ポリオールポリオキシプロピレンエーテルとモノオールポリオキシプロピレンエーテルの混合物を開始剤とすることで製造されたポリエーテルがシーラントの剛性強度を良く向上させることができるだけでなく、弾性係数を低減させることもでき、従来のポリエーテルシラン変性シーラントの弾性係数が高いという問題を克服したことを証明した。
【0058】
上記実施形態は、本発明の好ましい実施形態だけであり、本発明の保護範囲を限定するものではない。当業者が本発明に基づいて行ったいかなる非実質的な変化及び置換はいずれも本発明の保護が請求される範囲に属する。
【国際調査報告】