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特表2023-505518ヘテロ環化合物及びこれを含む有機発光素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-09
(54)【発明の名称】ヘテロ環化合物及びこれを含む有機発光素子
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/10 20060101AFI20230202BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20230202BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20230202BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20230202BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20230202BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
C07D401/10 CSP
C07D401/14
C07D405/14
H05B33/14 A
H05B33/22 B
H05B33/12 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534452
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(85)【翻訳文提出日】2022-06-07
(86)【国際出願番号】 KR2020017902
(87)【国際公開番号】W WO2021118217
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】10-2019-0162705
(32)【優先日】2019-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513298491
【氏名又は名称】エルティー・マテリアルズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LT Materials Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】113-19, Dangha-Ro, Namsa-Myeon, Cheoin-Gu, Yongin-si, Gyeonggi-do 17118, korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】イ,ギ-ベク
(72)【発明者】
【氏名】ラ,ヒョン-ジュ
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ウォン-ジャン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン-ジュン
【テーマコード(参考)】
3K107
4C063
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC04
3K107CC12
3K107CC21
3K107DD52
3K107DD75
3K107DD78
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB01
4C063BB06
4C063CC29
4C063CC43
4C063CC76
4C063DD08
4C063DD12
4C063DD43
4C063EE05
(57)【要約】
本出願は、有機発光素子の寿命、効率、電気化学的安定性及び熱的安定性を大きく向上させることができるヘテロ環化合物及び前記ヘテロ環化合物が有機物層に含まれている有機発光素子を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式1で表されるヘテロ環化合物:
【化20】

前記式1において、
は、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であり、
~Xは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
Arは、置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基;ヘテロ原子としてNを含む置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であり、
m及びnは、それぞれ独立して、0~2の整数であり、m及びnがそれぞれ2の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なる。
【請求項2】
前記「置換もしくは非置換」とは、炭素数1~60の直鎖または分岐鎖のアルキル基;炭素数2~60の直鎖または分岐鎖のアルケニル基;炭素数2~60の直鎖または分岐鎖のアルキニル基;炭素数3~60の単環または多環のシクロアルキル基;炭素数2~60の単環または多環のヘテロシクロアルキル基;炭素数6~60の単環または多環のアリール基;炭素数2~60の単環または多環のヘテロアリール基;シリル基;ホスフィンオキシド基;及びアミン基からなる群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換であるか、または前記例示の置換基の中から選択される2以上の置換基が連結された置換基で置換もしくは非置換であることを意味するものである、請求項1に記載のヘテロ環化合物。
【請求項3】
前記式1のArは、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基;下記式2で表される基;置換もしくは非置換のカルバゾリル基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基である、請求項1に記載のヘテロ環化合物;
【化21】

前記式2において、
*は、前記式1のLと結合する位置であり、
~Yは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、NまたはCRaであり、CRaが2以上の場合、それぞれのRaは互いに同一または異なり、
前記Raは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基;及び置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は互いに結合して置換もしくは非置換の炭素数6~60の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換の炭素数2~60ヘテロ環を形成する。
【請求項4】
前記式2は、下記式3~5のいずれかで表される、請求項3に記載のヘテロ環化合物:
【化22】

【化23】

【化24】

前記式3~5において、
*は、前記式1のLと結合する位置であり、
~Zは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、NまたはCHであり、Z~Zのうちの少なくとも1以上はNであり、
及びLは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であり、
Ar~Arは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基であり、
o及びpは、それぞれ独立して、0~2の整数であり、o及びpがそれぞれ2の場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なる。
【請求項5】
前記式1は、下記化合物のいずれかで表される、請求項1に記載のヘテロ環化合物;
【化25】










【請求項6】
第1の電極;第2の電極;及び前記第1の電極と前記第2の電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、請求項1~5のいずれか一項に記載のヘテロ環化合物を含む、有機発光素子。
【請求項7】
前記有機物層は、電子輸送層を含み、前記電子輸送層は前記ヘテロ環化合物を含む、請求項6に記載の有機発光素子。
【請求項8】
前記有機物層は、正孔ブロッキング層を含み、前記正孔ブロッキング層は前記ヘテロ環化合物を含む、請求項6に記載の有機発光素子。
【請求項9】
前記有機発光素子は、第1の電極;前記第1の電極上に備えられ、第1発光層を含む第1のスタック;前記第1のスタック上に備えられる電荷発生層;前記電荷発生層上に備えられ、第2発光層を含む第2のスタック及び前記第2のスタック上に備えられる第2の電極を含む、請求項6に記載の有機発光素子。
【請求項10】
前記電荷発生層は、前記ヘテロ環化合物を含む、請求項9に記載の有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、2019年12月09日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2019-0162705号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
本明細書は、ヘテロ環化合物及びこれを含む有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
電界発光素子は、自発光型表示素子の一種であって、視野角が広く、コントラストに優れるだけでなく、応答速度が速いという長所がある。
有機発光素子は、2つの電極間に有機薄膜を配置させた構造を有する。このような構造の有機発光素子に電圧が印加されると、2つの電極から注入された電子と正孔が有機薄膜で結合して対をなした後、消滅しながら光を発する。前記有機薄膜は、必要に応じて単層または多層から構成されることができる。
【0003】
有機薄膜の材料は、必要に応じて発光機能を有していてもよい。例えば、有機薄膜の材料としては、それ自体が単独で発光層を構成できる化合物が使用されてもよく、またはホスト-ドーパント系発光層のホストまたはドーパントの役割を果たす化合物が使用されてもよい。その他にも、有機薄膜の材料として、正孔注入、正孔輸送、電子ブロック、正孔ブロック、電子輸送、電子注入などの役割を果たす化合物が使用されてもよい。
有機発光素子の性能、寿命または効率を向上させるために、有機薄膜の材料の開発が求められ続けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,356,429号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書は、ヘテロ環化合物及びこれを含む有機発光素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の一実施態様は、下記式1で表されるヘテロ環化合物を提供する。
【化1】

前記式1において、
は、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であり、
~Xは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
Arは、置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基;ヘテロ原子としてNを含む置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であり、
m及びnは、それぞれ独立して、0~2の整数であり、m及びnがそれぞれ2の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なる。
【0007】
また、本出願の一実施態様において、第1の電極;第2の電極;及び前記第1の電極と第2の電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は、前記式1で表されるヘテロ環化合物を含むものである、有機発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本明細書に記載のヘテロ環化合物は、有機発光素子の有機物層材料として使用することができる。前記ヘテロ環化合物は、有機発光素子において正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料、電子輸送材料、電子注入材料などの役割を果たすことができる。特に、前記ヘテロ環化合物を有機発光素子の電子輸送層材料、正孔ブロッキング層材料または電荷発生層材料として使用されてもよい。
具体的には、前記式1で表されるヘテロ環化合物を有機物層に用いる場合、素子の駆動電圧を低くし、光効率を向上させ、素子の寿命特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本出願の一実施態様による有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
図2】本出願の一実施態様による有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
図3】本出願の一実施態様による有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
図4】本出願の一実施態様による有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0011】
前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合された水素原子が他の置換基に置き換わることを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置、すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0012】
本明細書において、「置換もしくは非置換」とは、炭素数1~60の直鎖または分岐鎖のアルキル基;炭素数2~60の直鎖または分岐鎖のアルケニル基;炭素数2~60の直鎖または分岐鎖のアルキニル基;炭素数3~60の単環または多環のシクロアルキル基;炭素数2~60の単環または多環のヘテロシクロアルキル基;炭素数6~60の単環または多環のアリール基;炭素数2~60の単環または多環のヘテロアリール基;シリル基;ホスフィンオキシド基;及びアミン基からなる群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換であるか、または前記例示の置換基の中から選択される2以上の置換基が連結された置換基で置換もしくは非置換であることを意味する。
【0013】
より具体的には、本明細書において、「置換もしくは非置換」とは、炭素数6~60の単環または多環のアリール基;または炭素数2~60の単環または多環のヘテロアリール基;群から選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換であることを意味することができる。
【0014】
本明細書において、前記ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であってもよい。
【0015】
本明細書において、前記アルキル基は、炭素数1~60の直鎖または分岐鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。前記アルキル基の炭素数は1~60、具体的には1~40、より具体的には1~20であってもよい。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、1-メチル-ブチル基、1-エチル-ブチル基、ペンチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、ヘプチル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、オクチル基、n-オクチル基、tert-オクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、n-ノニル基、2,2-ジメチルヘプチル基、1-エチル-プロピル基、1,1-ジメチル-プロピル基、イソヘキシル基、2-メチルペンチル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0016】
本明細書において、前記アルケニル基は、炭素数2~60の直鎖または分岐鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。前記アルケニル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には2~20であってもよい。具体例としては、ビニル基、1-プロフェニル基、イソプロフェニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、3-メチル-1-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、アリル基、1-フェニルビニル-1-イル基、2-フェニルビニル-1-イル基、2,2-ジフェニルビニル-1-イル基、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル基、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル基、スチルベニル基、スチレニル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
本明細書において、前記アルキニル基は、炭素数2~60の直鎖または分岐鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。前記アルキニル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には2~20であってもよい。
【0018】
本明細書において、アルコキシ基は、直鎖、分岐鎖または環状鎖であってもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~20であることが好ましい。具体的には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、3,3-ジメチルブチルオキシ、2-エチルブチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシなどであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0019】
本明細書において、前記シクロアルキル基は、炭素数3~60の単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、多環とは、シクロアルキル基が他の環基と直接結合または縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、シクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えばヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記シクロアルキル基の炭素数は3~60、具体的には3~40、より具体的には5~20であってもよい。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、2,3-ジメチルシクロヘキシル基、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
本明細書において、前記ヘテロシクロアルキル基は、ヘテロ原子としてO、S、Se、NまたはSiを含み、炭素数2~60の単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、多環とは、ヘテロシクロアルキル基が他の環基と直接結合または縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、ヘテロシクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記ヘテロシクロアルキル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には3~20であってもよい。
【0021】
本明細書において、前記アリール基は、炭素数6~60の単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、多環とは、アリール基が他の環基と直接結合または縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、アリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記アリール基はスピロ基を含む。前記アリール基の炭素数は6~60、具体的には6~40、より具体的には6~25であってもよい。前記アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントリル基、クリセニル基、フェナントレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、フェナレニル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、フルオレニル基、インデニル基、アセナフチレニル基、ベンゾフルオレニル基、スピロビフルオレニル基、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル基、これらの縮合環基などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0022】
本明細書において、ホスフィンオキシド基は、-P(=O)R101R102で表され、R101及びR102は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;及びヘテロ環基のうちの少なくとも1つからなる置換基であってもよい。前記ホスフィンオキシド基は、具体的にはジフェニルホスフィンオキシド基、ジナフチルホスフィンオキシドなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
本明細書において、シリル基はSiを含み、前記Si原子がラジカルとして直接結合している置換基であり、-SiR104R105R106で表され、R104~R106は互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;及びヘテロ環基のうちの少なくとも1つからなる置換基であってもよい。シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
本明細書において、前記フルオレニル基は置換されてもよく、隣接する置換基が互いに結合して環を形成することができる。
【0025】
本明細書において、前記スピロ基は、スピロ構造を含む基であって、炭素数15~60であってもよい。例えば、スピロ基は、フルオレニル基に2,3-ジヒドロ-1H-インデン基またはシクロヘキサン基がスピロ結合している構造を含むことができる。具体的には、下記のスピロ基は、下記構造式の基のいずれかを含むことができる。
【化2】
【0026】
本明細書において、前記ヘテロアリール基は、ヘテロ原子としてS、O、Se、NまたはSiを含み、炭素数2~60の単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、前記多環とは、ヘテロアリール基が他の環基と直接結合または縮合した基を意味する。ここで、他の環基とは、ヘテロアリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基などであってもよい。前記ヘテロアリール基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には3~25であってもよい。前記ヘテロアリール基の具体例としては、ピリジル基、ピロリル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、フラニル基、チオフェン基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、フラザニル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ジチアゾリル基、テトラゾリル基、ピラニル基、チオピラニル基、ジアジニル基、オキサジニル基、チアジニル基、ジオキシニル基、トリアジニル基、テトラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、イソキナゾリニル基、キノゾリリル基、ナフチリジル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、イミダゾピリジニル基、ジアザナフタレニル基、トリアザインデン基、インドリル基、インドリジニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ジベンゾカルバゾリル基、フェナジニル基、ジベンゾシロール基、スピロビ(ジベンゾシロール)、ジヒドロフェナジニル基、フェノキサジニル基、フェナントリジル基、イミダゾピリジニル基、チエニル基、インドロ[2,3-a]カルバゾリル基、インドロ[2,3-b]カルバゾリル基、インドリニル基、10,11-ジヒドロ-ジベンゾ[b,f]アゼピン基、9,10-ジヒドロアクリジニル基、フェナントラジニル基、フェノチアチアジニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾリル基、5,10-ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザシリニル、ピラゾロ[1,5-c]キナゾリニル基、ピリド[1,2-b]インダゾリル基、ピリド[1,2-a]イミダゾ[1,2-e]インドリニル基、5,11-ジヒドロインデノ[1,2-b]カルバゾリル基などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0027】
本明細書において、前記アミン基は、モノアルキルアミン基;モノアリールアミン基;モノヘテロアリールアミン基;-NH;ジアルキルアミン基;ジアリールアミン基;ジヘテロアリールアミン基;アルキルアリールアミン基;アルキルヘテロアリールアミン基;及びアリールヘテロアリールアミン基からなる群から選択されてもよく、炭素数は特に限定されないが、1~30であるものが好ましい。前記アミン基の具体例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、ジビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9-メチル-アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、トリフェニルアミン基、ビフェニルナフチルアミン基、フェニルビフェニルアミン基、ビフェニルフルオレニルアミン基、フェニルトリフェニレニルアミン基、ビフェニルトリフェニレニルアミン基などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0028】
本明細書において、アリーレン基は、アリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらはそれぞれ2価の基であることを除けば、前述したアリール基の説明が適用可能である。また、ヘテロアリーレン基は、ヘテロアリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価の基を意味する。これらはそれぞれ2価の基であることを除けば、前述したヘテロアリール基の説明が適用可能である。
【0029】
本明細書において、「隣接する」基は、当該置換基が置換された原子と直接結合された原子に置換された置換基、当該置換基と立体構造的に最も近く位置した置換基、または当該置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味することができる。例えば、ベンゼン環においてオルト(ortho)位に置換された2つの置換基及び脂肪族環において同一炭素に置換された2つの置換基は、互いに「隣接する」基として解釈されることができる。
【0030】
本明細書において、「化学式または化合物の構造において置換基が表示されていない場合」は、炭素原子に水素原子が結合されたことを意味する。ただし、重水素(H、Deuterium)は、水素の同位元素であるので、一部の水素原子は重水素であってもよい。
【0031】
本明細書において、「化学式または化合物の構造において置換基が表示されていない場合」は、置換基として置換可能な位置全部が水素または重水素であることを意味することができる。すなわち、重水素の場合、水素の同位元素であって、一部の水素原子は同位元素である重水素であってもよく、この場合、重水素の含有量は0%~100%であってもよい。
【0032】
本出願の一実施態様において、「化学式または化合物の構造において置換基が表示されていない場合」において、重水素の含有量が0%、水素の含有量が100%、置換基はいずれも水素などと重水素を明確に排除しない場合には、水素と重水素は化合物において混在して使用されてもよい。
【0033】
本出願の一実施態様において、重水素は水素の同位元素(isotope)のうちの一つであって、陽子(proton)1個と中性子(neutron)1個からなる重陽子(deuteron)を原子核(nucleus)として有する元素であり、水素-2と表すことができ、元素記号はDまたは2Hとも書くことができる。
【0034】
本出願の一実施態様において、同位元素は原子番号(atomic number、Z)は同一であるが、質量数(mass number、A)が異なる原子を意味する同位元素は同数の陽子(proton)を有するが、中性子(neutron)の数が異なる元素としても解釈することができる。
【0035】
本出願の一実施態様において、特定の置換基の含有量T%の意味は、基本となる化合物が有し得る置換基の合計数をT1と定義し、そのうち、特定の置換基の個数をT2と定義する場合、T2/T1×100=T%と定義することができる。
【0036】
すなわち、一例において、
【化3】

で表されるフェニル基において、重水素の含有量20%というのは、フェニル基が有し得る置換基の合計数は5(式中T1)個であり、そのうちの重水素の個数が1(式中T2)である場合、20%で表示されることができる。すなわち、フェニル基において重水素の含有量20%であるというのは、下記構造式で表されることができる。
【化4】
【0037】
また、本出願の一実施態様において、「重水素の含有量が0%であるフェニル基」の場合、重水素原子を含まない、すなわち、水素原子5個を有するフェニル基を意味することができる。
【0038】
本出願の一実施態様は、下記式1で表されるヘテロ環化合物を提供する。
【化5】

前記式1において、
は、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であり、
~Xは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
Arは、置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基;ヘテロ原子としてNを含む置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であり、
m及びnは、それぞれ独立して、0~2の整数であり、m及びnがそれぞれ2の場合、括弧内の置換基は、互いに同一または異なる。
【0039】
前記式1で表されるヘテロ環化合物は、ピリジン(Pyridine)構造に特定の置換基が結合して正孔特性が向上され、これによりホモ(HOMO、Highest Occupied Molecular Orbital)エネルギーレベル(level)とルモ(LUMO、Lowest Unccupied Molecular Orbital)素子の有機物層に活用しやすいエネルギーレベルを有する。すなわち、適正エネルギーレベルとバンドギャップを形成し、発光領域内のエキシトンが増加するようになる。発光領域内のエキシトンが増加するということは、素子の駆動電圧と効率を増加させる効果を有することを意味する。
【0040】
また、高いT1値を有するようになり、優れた正孔輸送能力及び熱的安定性を備えた長寿命の素子を具現することができる。ここで、T1値は三重項状態(Triple state)のエネルギー準位値を意味する。
【0041】
本出願の一実施態様において、前記式1のLは、直接結合;置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0042】
また他の一実施態様において、前記Lは、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0043】
また他の一実施態様において、前記Lは、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0044】
また他の一実施態様において、前記Lは、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0045】
また他の一実施態様において、前記Lは、直接結合;置換もしくは非置換のフェニレン基;置換もしくは非置換のビフェニレン基;置換もしくは非置換のナフチレン基;または置換もしくは非置換のアントラセニル基であってもよい。
【0046】
また他の一実施態様において、前記Lは、直接結合;フェニレン基;ビフェニレン基;ナフチレン基;またはアントラセニル基であってもよい。
【0047】
また他の一実施態様において、前記Lは、直接結合である。
【0048】
また他の一実施態様において、前記Lは、フェニレン基である。
【0049】
また他の一実施態様において、前記Lは、ビフェニレン基である。
【0050】
また他の一実施態様において、前記Lは、ナフチレン基である。
【0051】
また他の一実施態様において、前記Lは、アントラセニル基である。
【0052】
本出願の一実施態様において、前記式1のX~Xは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよい。
【0053】
本出願の一実施態様において、前記X~Xは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基;または置換もしくは非置換のビフェニル基であってもよい。
【0054】
本出願の一実施態様において、前記X~Xは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、フェニル基;またはビフェニル基であってもよい。
【0055】
本出願の一実施態様において、前記X~Xは、いずれもフェニル基である。
【0056】
本出願の一実施態様において、前記式1のArは、置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基;ヘテロ原子としてNを含む置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であってもよい。
【0057】
本出願の一実施態様において、前記式1のArは、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基;ヘテロ原子としてNを含む置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であってもよい。
【0058】
本出願の一実施態様において、前記式1のArは、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基;下記式2で表される基;置換もしくは非置換のカルバゾリル基;または置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基であってもよい。
【化6】

前記式2において、
*は、前記式1のLと結合する位置であり、
~Yは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、NまたはCRaであり、CRaが2以上の場合、それぞれのRaは、互いに同一または異なり、
前記Raは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基;及び置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基からなる群から選択されるか、または互いに隣接する2以上の基は、互いに結合して置換もしくは非置換の炭素数6~60の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロ環を形成することができる
【0059】
本出願の一実施態様において、前記式2のY~Yのうちの少なくとも1以上はNであってもよい。
【0060】
本出願の一実施態様において、前記式2のY~YがいずれもCRaである場合、互いに隣接する2以上のRaは、互いに結合して置換もしくは非置換の炭素数6~60の芳香族炭化水素環または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロ環を形成することができ、前記芳香族炭化水素環またはヘテロ環は、少なくとも1以上のNを含むものであってもよい。
【0061】
本出願の一実施態様において、前記式2は、下記式3~5のいずれかで表されることができる。
【化7】

【化8】

【化9】

前記式3~5において、
*は、前記式1のLと結合する位置であり、
~Zは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、NまたはCHであり、Z~Zのうちの少なくとも1以上はNであり、
及びLは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であり、
Ar~Arは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基であり、
o及びpは、それぞれ独立して、0~2の整数であり、o及びpがそれぞれ2の場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なる。
【0062】
本出願の一実施態様において、前記式3のZ~Zは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、NまたはCHであり、Z~Zのうちの少なくとも1以上はNであってもよい。
【0063】
本出願の一実施態様において、前記Zは、Nであり、Z及びZは、CHである。
【0064】
本出願の一実施態様において、前記Zは、Nであり、Z及びZは、CHである。
【0065】
本出願の一実施態様において、前記Zは、Nであり、Z及びZは、CHである。
【0066】
本出願の一実施態様において、前記Zは、CHであり、Z及びZは、Nである。
【0067】
本出願の一実施態様において、前記Zは、CHであり、Z及びZは、Nである。
【0068】
本出願の一実施態様において、前記Zは、CHであり、Z及びZは、Nである。
【0069】
本出願の一実施態様において、前記Z~Zは、Nである。
【0070】
本出願の一実施態様において、前記式3のL及びLは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0071】
本出願の一実施態様において、前記L及びLは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0072】
本出願の一実施態様において、前記L及びLは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基;または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0073】
本出願の一実施態様において、前記L及びLは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基であってもよい。
【0074】
本出願の一実施態様において、前記L及びLは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;または置換もしくは非置換のフェニレン基であってもよい。
【0075】
本出願の一実施態様において、前記L及びLは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、直接結合;またはフェニレン基であってもよい。
【0076】
また他の一実施態様において、前記Lは、直接結合である。
【0077】
また他の一実施態様において、前記Lは、フェニレン基である。
【0078】
また他の一実施態様において、前記Lは、直接結合である。
【0079】
また他の一実施態様において、前記Lは、フェニレン基である。
【0080】
本出願の一実施態様において、前記式3のAr及びArは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基であってもよい。
【0081】
本出願の一実施態様において、前記Ar及びArは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基であってもよい。
【0082】
本出願の一実施態様において、前記Ar及びArは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリール基であってもよい。
【0083】
本出願の一実施態様において、前記Ar及びArは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のフェニル基;置換もしくは非置換のビフェニル基;置換もしくは非置換のターフェニル基;置換もしくは非置換のトリフェニル基;置換もしくは非置換のジベンゾフラン基;置換もしくは非置換のジベンゾチオフェン基;または置換もしくは非置換のカルバゾリル基であってもよい。
【0084】
本出願の一実施態様において、前記Ar及びArは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、フェニル基;ビフェニル基;ターフェニル基;トリフェニル基;ジベンゾフラン基;ジベンゾチオフェン基;または置換もしくは非置換のカルバゾリル基であってもよい。
【0085】
本出願の一実施態様において、前記式1のo及びpは、それぞれ独立して、0~2の整数であり、o及びpがそれぞれ2の場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なる。
【0086】
本出願の一実施態様において、前記oは、2である。
【0087】
本出願の一実施態様において、前記oは、1である。
【0088】
本出願の一実施形態において、前記oは、0である。
【0089】
本出願の一実施形態において、前記oが2の場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なる。
【0090】
本出願の一実施態様において、前記pは、2である。
【0091】
本出願の一実施態様において、前記pは、1である。
【0092】
本出願の一実施態様において、前記pは、0である。
【0093】
本出願の一実施形態において、前記pが2の場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なる。
【0094】
本出願の一実施態様において、前記式4のArは、水素;重水素;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基であってもよい。
【0095】
本出願の一実施態様において、前記Arは、水素;重水素;置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリール基であってもよい。
【0096】
本出願の一実施態様において、前記Arは、水素;重水素;置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリール基であってもよい。
【0097】
本出願の一実施態様において、前記Arは、水素;重水素;または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよい。
【0098】
本出願の一実施態様において、前記Arは、水素;重水素;または置換もしくは非置換のフェニル基であってもよい。
【0099】
本出願の一実施態様において、前記Arは、水素;重水素;またはフェニル基であってもよい。
【0100】
本出願の一実施態様において、前記式5のAr及びArは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換の炭素数6~60のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~60のヘテロアリール基であってもよい。
【0101】
本出願の一実施態様において、前記Ar及びArは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換の炭素数6~40のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~40のヘテロアリール基であってもよい。
【0102】
本出願の一実施態様において、前記Ar及びArは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基;または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリール基であってもよい。
【0103】
本出願の一実施態様において、前記Ar及びArは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であってもよい。
【0104】
本出願の一実施態様において、前記Ar及びArは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;または置換もしくは非置換のフェニル基であってもよい。
【0105】
本出願の一実施態様において、前記Ar及びArは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;またはフェニル基であってもよい。
【0106】
本出願の一実施態様において、前記式1のm及びnはそれぞれ独立して、0~2の整数であり、m及びnがそれぞれ2の場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なる。
【0107】
本出願の一実施態様において、前記mは、2である。
【0108】
本出願の一実施態様において、前記mは、1である。
【0109】
本出願の一実施態様において、前記mは、0である。
【0110】
本出願の一実施態様において、前記mが2の場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なる。
【0111】
本出願の一実施態様において、前記nは、2である。
【0112】
本出願の一実施態様において、前記nは、1である。
【0113】
本出願の一実施態様において、前記nは、0である。
【0114】
本出願の一実施態様において、前記nが2の場合、括弧内の置換基は互いに同一または異なる。
【0115】
本出願の一実施態様において、前記式1は、下記化合物のいずれかで表されるものである、ヘテロ環化合物を提供する。
【化10】










【0116】
また、前記式1の構造に多様な置換基を導入することにより、導入された置換基固有の特性を有するヘテロ環化合物を合成することができる。例えば、有機発光素子の製造時、用いられる正孔注入層物質、正孔輸送層物質、発光層物質、電子輸送層物質及び電荷発生層材料に主に用いられる置換基を前記コア構造に導入することにより、各有機物層にて要求される条件を満たす材料を合成することができる。
【0117】
また、前記式1の構造に様々な置換基を導入することにより、エネルギーバンドギャップを微細に調整が可能であり、一方で有機物間の界面での特性を向上させ、物質の用途を多様にすることができる。
【0118】
一方、前記ヘテロ環化合物は、ガラス転移温度(Tg)が高いので、熱的安定性に優れる。このような熱安定性の増加は、素子に駆動安定性を提供する重要な要因となる。
【0119】
本出願の一実施態様によるヘテロ環化合物は、多段階化学反応で製造することができる。一部の中間体化合物を先に製造し、その中間体化合物から式1の化合物を製造することができる。より具体的には、本出願の一実施態様によるヘテロ環化合物は、後述する製造例を基に製造することができる。
【0120】
本出願の他の実施態様は、前記式1で表されるヘテロ環化合物を含む有機発光素子を提供する。前記「有機発光素子」は、「有機発光ダイオード」、「OLED(Organic Light Emitting Diodes)」、「OLED素子」、「有機電界発光素子」などの用語で表すことができる。
【0121】
本出願の一実施態様において、第1の電極;第2の電極;及び前記第1の電極と第2の電極との間に備えられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうちの1層以上は前記式1で表されるヘテロ環化合物を含むものである、有機発光素子を提供する。
【0122】
本出願の一実施態様において、前記第1の電極は陽極であってもよく、前記第2の電極は陰極であってもよい。
【0123】
本出願のまた他の一実施態様において、前記第1の電極は陰極であってもよく、前記第2の電極は陽極であってもよい。
【0124】
本出願のまた他の一実施態様において、前記有機発光素子は青色有機発光素子であってもよく、前記式1によるヘテロ環化合物は、前記青色有機発光素子の材料として使用することができる。
【0125】
本出願の一実施態様において、前記有機発光素子は緑色有機発光素子であってもよく、前記式1によるヘテロ環化合物は、前記緑色有機発光素子の材料として使用することができる。
【0126】
本出願のまた他の一実施態様において、前記有機発光素子は赤色有機発光素子であってもよく、前記式1によるヘテロ環化合物は前記赤色有機発光素子の材料として使用することができる。
【0127】
前記式1で表されるヘテロ環化合物についての具体的な内容は、前述したとおりである。
【0128】
本出願の有機発光素子は、上述のヘテロ環化合物を用いて1層以上の有機物層を形成することを除けば、通常の有機発光素子の製造方法及び材料によって製造することができる。
【0129】
前記ヘテロ環化合物は、有機発光素子の製造時、真空蒸着法だけでなく、溶液塗布法により有機物層に形成することができる。ここで、溶液塗布法とは、スピンコーティング、ディップコーティング、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、スプレー法、ロールコーティングなどを意味するが、これらのみに限定されるものではない。
【0130】
本出願の有機発光素子の有機物層は、単層構造からなることもできるが、2層以上の有機物層が積層された多層構造からなることができる。例えば、本発明の有機発光素子は、有機物層として正孔注入層、正孔輸送層、正孔補助層、発光層、電子輸送層、電子注入層などを含む構造を有することができる。しかし、有機発光素子の構造はこれらに限定されず、より少ない数の有機物層を含むことができる。
【0131】
本出願の有機発光素子において、前記有機物層は電子輸送層を含み、前記電子輸送層は前記ヘテロ環化合物を含むことができる。前記ヘテロ環化合物を電子輸送層に用いる場合、適正エネルギーレベルとバンドギャップを形成するようになり、発光領域内のエキシトンが増加し、素子の駆動電圧と効率が向上する。また、高いT1値を有するようになり、優れた正孔輸送能力及び熱的安定性を備えた長寿命の素子を具現することができる。
【0132】
本出願の有機発光素子において、前記有機物層は正孔ブロッキング層を含み、前記正孔ブロッキング層は前記ヘテロ環化合物を含むことができる。前記ヘテロ環化合物を正孔ブロッキング層に用いる場合、適正エネルギーレベルとバンドギャップを形成し、発光領域内のエキシトンが増加し、素子の駆動電圧と効率が向上される。また、高いT1値を有するようにより、優れた正孔輸送能力及び熱的安定性を備えた長寿命の素子を実現することができる。
【0133】
本発明の有機発光素子は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、正孔補助層及び正孔ブロッキング層からなる群から選択される1層または2層以上をさらに含むことができる。
【0134】
図1~3に本出願の一実施態様による有機発光素子の電極と有機物層の積層順序を例示した。しかし、これらの図面によって本出願の範囲が限定されることを意図したものではなく、当技術分野で知られている有機発光素子の構造を本出願にも適用可能である。
【0135】
図1によれば、基板100上に陽極200、有機物層300及び陰極400が順次積層された有機発光素子が示されている。しかし、このような構造のみに限定されるものではなく、図2のように、基板上に陰極、有機物層及び陽極が順次積層された有機発光素子を具現することもできる。
【0136】
図3は、有機物層が多層である場合を例示したものである。図3による有機発光素子は、正孔注入層301、正孔輸送層302、発光層303、正孔ブロッキング層304、電子輸送層305及び電子注入層306を含む。しかし、このような積層構造によって本出願の範囲が限定されるものではなく、必要に応じて発光層を除いた残りの層を省略してもよく、必要な他の機能層をさらに追加してもよい。
【0137】
前記式1で表されるヘテロ環化合物を含む有機物層は、必要に応じて他の物質をさらに含んでもよい。
【0138】
また、本出願の一実施態様による有機発光素子は、第1の電極;前記第1の電極上に備えられ、第1の発光層を含む第1のスタック;前記第1のスタック上に備えられた電荷発生層;前記電荷発生層上に備えられ、第2の発光層を含む第2のスタック;及び前記第2のスタック上に備えられた第2の電極を含む。
【0139】
このとき、前記電荷発生層は、前記式1で表されるヘテロ環化合物を含むことができる。前記ヘテロ環化合物を電荷発生層に用いる場合、有機発光素子の駆動、効率、及び寿命に優れることができる。
【0140】
また、前記第1のスタック及び第2のスタックは、それぞれ独立して、上述した正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層などを1種以上さらに含んでもよい。
【0141】
前記電荷発生層は、N型電荷発生層であってもよく、前記電荷発生層は式1で表されるヘテロ環化合物以外に当該技術分野で知られたドーパントをさらに含んでもよい。
【0142】
本出願の一実施態様による有機発光素子として、2-スタックテンデム構造の有機発光素子を下記図4に概略的に示した。
【0143】
このとき、下記図4に記載の第1の電子ブロッキング層、第1の正孔ブロッキング層、及び第2の正孔ブロッキング層などは、場合によっては省略されてもよい。
【0144】
本出願の一実施態様による有機発光素子において、前記式1の化合物以外の材料を下記に例示するが、これらは例示のためのものに過ぎず、本出願の範囲を限定するためのものではなく、当技術分野で公知の材料に代替されてもよい。
【0145】
陽極材料としては、比較的仕事関数の大きい材料を用いることができ、透明導電性酸化物、金属または導電性高分子などを使用することができる。前記陽極材料の具体例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金などの金属またはこれらの合金;酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、インジウム酸化亜鉛(IZO)等の金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO:Sbのような金属と酸化物の組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロール及びポリアニリンなどの導電性高分子などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0146】
陰極材料としては、比較的仕事関数の低い材料を用いることができ、金属、金属酸化物または導電性高分子などを使用することができる。前記陰極材料の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、錫、及び鉛などの金属またはそれらの合金;LiF/AlまたはLiO/Alなどの多層構造材料などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【0147】
正孔注入材料としては、公知の正孔注入材料を用いることもできるが、例えば、米国特許第4,356,429号に開示された銅フタロシアニン等のフタロシアニン化合物または文献[Advanced Material,6,p.677(1994)]に記載されているスターバースト型アミン誘導体、例えば、トリス(4-カルバゾイル-9-イルフェニル)アミン(TCTA)、4,4’,4’’-トリ[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン(m-MTDATA)、1,3,5-トリス[4-(3-メチルフェニルフェニルアミノ)フェニル]ベンゼン(m-MTDAPB)、可溶性導電性高分子であるポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid)またはポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(4-styrenesulfonate))、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Polyaniline/Camphor sulfonic acid)またはポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Polyaniline/Poly(4-styrene-sulfonate))等を用いることができる。
【0148】
正孔輸送材料としては、ピラゾリン誘導体、アリールアミン系誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などを用いることができ、低分子または高分子材料を用いることもできる。
【0149】
電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8-ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体等を用いることができ、低分子材料だけでなく、高分子材料を用いることもできる。
【0150】
電子注入材料としては、例えば、LiFが当業界で代表的に使用されるが、本出願がこれに限定されるものではない。
【0151】
発光材料としては、赤色、緑色または青色発光材料を用いることができ、必要な場合、2以上の発光材料を混合して使用することができる。このとき、2以上の発光材料を個別の供給源として蒸着して使用するか、または予備混合して1つの供給源として蒸着して使用することもできる。また、発光材料として蛍光材料を用いることもできるが、燐光材料として用いることもできる。発光材料としては、単独として陽極と陰極からそれぞれ注入された正孔と電子を結合して発光させる材料が使用されてもよいが、ホスト材料とドーパント材料が共に発光に関与する材料が使用されてもよい。
【0152】
発光材料のホストを混合して使用する場合には、同一系列のホストを混合して使用してもよく、異なる系列のホストを混合して使用してもよい。例えば、n型ホスト材料またはp型ホスト材料のいずれか2つ以上の材料を選択して発光層のホスト材料として用いることができる。
【0153】
本出願の有機発光素子において、前記有機物層は発光層を含み、前記発光層はヘテロ環化合物を発光材料のホスト材料として含むことができる。
【0154】
本出願の有機発光素子において、前記発光層は2つ以上のホスト材料を含むことができ、前記ホスト材料のうちの少なくとも1つは、前記ヘテロ環化合物を発光材料のホスト材料として含むことができる。
【0155】
本出願の有機発光素子において、前記発光層は、2つ以上のホスト材料を 含むことができ、前記2つ以上のホスト材料はそれぞれ1つ以上のp型ホスト材料及びn型ホスト材料を含み、前記ホスト材料のうちの少なくとも1つは、前記ヘテロ環化合物を発光材料のホスト材料を含むことができる。この場合、有機発光素子の駆動、効率、及び寿命に優れることができる。
【0156】
本出願の一実施態様による有機発光素子は、使用される材料によって前面発光型、後面発光型、または両面発光型であってもよい。
【0157】
本出願の一実施態様によるヘテロ環化合物は、有機太陽電池、有機感光体、有機トランジスタなどをはじめとする有機電子素子においても有機発光素子に適用されるものと同様の原理で作用することができる。
【実施例
【0158】
以下、実施態様を通じて本明細書をより詳細に説明するが、これらは本出願を例示するためのものに過ぎず、本出願の範囲を限定するものではない。
【0159】
<製造例>
<化合物1の製造>
【化11】
【0160】
1)化合物1-2の製造
中間体(a)(20g、0.1mol、1eq)、中間体(b)(42.4g、0.21mol、2eq)、NHOAc(7.5g、0.016mol、1.5eq)、硝酸アンモニウムセリウム(Ceric Ammonium Nitrate、CAN)(11.8g、0.02mol、0.2eq)にエタノール(EtOH)(200ml)を入れ、室温(「RT」と略す)で12時間(h)攪拌した。水を入れて反応を終了させた後、塩化メチレン(Methylene chloride、以下、MC)と水を用いて抽出した。その後、無水NaCOで水分を除去した。シリカゲル(Silicagel)カラムで分離して化合物1-2を24g、40%の収率で得た。
前記室温は、約20℃~約30℃、約22℃~約27℃、約25℃を意味する。
【0161】
2)化合物1-3の製造
化合物1-2(28g.0.052mol,1eq)、ビス(ピナコラート)ジボロン(bis(pinacolato)diboron)(19.8g,0.077mol,1.5eq)、KOAc(15.3g,0.155mol,3eq)Pd(dppf)Cl(3.8g,0.005mol,0.1eq)を1,4-ジオキサン(1,4-Dioxane)(280ml)に入れ、100℃で7h攪拌した。水を入れて反応を終了させた後、MCと水を用いて抽出した。その後、無水NaCOで水分を除去した。シリカゲル(Silicagel)カラムで分離して化合物1-3を25g、82%の収率で得た。
【0162】
3)化合物1の製造
化合物1-3(8g、0.013mol、1eq)、中間体(c)(4g、0.015mol、1.1eq)、KPO(5.8g、0.026mol、2eq)、Pd(PPh(0.49g)、0.0004mol、0.05eq)を、1,4-ジオキサン(1,4-Dioxane)(160ml)、HO(40ml)に入れ、80℃で5時間攪拌した。得られた固体をフィルター乾燥後、化合物1を8g、85%の収率で得た。
前記製造例1において、前記中間体(a)、(b)及び(c)の代わりに下記表1の中間体A及びBを用いて同様の方法で製造して目的化合物を合成した。
【0163】
【表1】

【0164】
前記製造例と同様の方法で化合物を製造し、その合成確認結果を下記表2及び表3に示す。下記表2は NMR(CDCL3、200Mz)の測定値であり、下記表3はFD-質量分析計(FD-MS;Field desorption mass spectrometry)の測定値である。
【0165】
【表2】
【0166】
【表3】
【0167】
[実験例]
<実験例1>
1)有機発光素子の作製(比較例1)
OLED用ガラス(サムスン-コーニング社製)から得られた透明電極ITO薄膜をトリクロロエチレン、アセトン、エタノール、蒸留水を順次用いて各5分間超音波洗浄をした後、イソプロパノールに入れて保管した後に使用した。次に真空蒸着装置の基板フォルダにITO基板を設け、真空蒸着装置内のセルに下記4,4’,4’’-トリス(N,N-(2-ナフチル)-フェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4’’-tris(N,N-(2-naphthyl)-phenylamino)triphenyl amine;2-TNATA)を入れた。
【化12】
【0168】
次いでチャンバ内の真空度が10-6torrに達するまで排気させた後、セルに電流を印加して、2-TNATAを蒸発させ、ITO基板上に600Åの厚さの正孔注入層を蒸着した。真空蒸着装置内の他のセルに下記のN,N’-ビス(α-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジアミン(N,N’-bis(α-naphthyl)-N,N’-diphenyl-4,4’-diamine;NPB)を入れ、セルに電流を印加して蒸発させ、正孔注入層上に300Åの厚さの正孔輸送層を蒸着した。
【化13】
【0169】
このように正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後、その上に発光層として次のような構造の青色発光材料を蒸着させた。具体的には、真空蒸着装置内の一方のセルに青色発光ホスト材料であるH1を200Åの厚さに真空蒸着させ、その上に青色発光ドーパント材料であるD1をホスト材料に対して5wt%真空蒸着させた。
【化14】
【0170】
次いで、電子輸送層として下記構造式E1の化合物を300Åの厚さに蒸着した。
【化15】
【0171】
電子注入層としてフッ化リチウム(litium fluoride;LiF)を10Åの厚さに蒸着し、Al陰極を1,000Åの厚さにして、OLED素子(比較例1)を作製した。
【0172】
一方、OLED素子作製に必要な全ての有機化合物は、材料別にそれぞれ10-6~10-8torr下で真空昇華精製してOLED作製に使用した。実験例1において電子輸送層を形成する際に用いたE1の代わりに、表4に示す化合物を用いたこと以外は、実験例1と同様に行い、実施例1~11、比較例2及び3の有機発光素子を製作した。
【0173】
2)有機発光素子の駆動電圧及び発光効率
前記と同様に製造された実施例1~11及び比較例1~3の有機発光素子に対して、マックサイエンス社のM7000で電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもってマックサイエンス社で製造された寿命測定装置(M6000)を通じて基準輝度が700cd/mのとき、T95を測定した。前記T95は、初期輝度対比95%となる時間である寿命(単位;h、時間)を意味する。
【0174】
本発明により製造された青色有機発光素子の駆動電圧、発光効率、外部量子効率、色座標(CIE)を測定した結果は、下記表4のとおりであった。
【0175】
【表4】
【0176】
前記表4の結果から分かるように、本発明の青色有機発光素子の電子輸送層材料を用いた有機発光素子は、比較例1、2及び3に比べて駆動電圧が低く、発光効率及び寿命が著しく改善された。特に化合物1、7、41、77及び267を用いた素子は、駆動、効率、寿命全部の面で優れていることが確認できた。
【0177】
このような結果の要因は、適切な長さと強度及び平坦な特性を有する発明された化合物が電子輸送層として使用されたとき、特定の条件下で電子を受けて励起された状態の化合物を作り、特に、化合物のヘテロ骨格部位の励起された状態が形成されると、励起されたヘテロ骨格部位が他の反応前に励起されたエネルギーが安定した状態に移動し、比較的安定した化合物は化合物の分解や破壊は起こらず、電子を効率的に伝達できるからと判断される。
参考までに、励起されたときに安定な状態を有するものは、アリールもしくはアセン類化合物もしくは多元環ヘテロ化合物であると考えられる。したがって、本発明の化合物が電子-輸送特性あるいは安定性を向上させ、駆動、効率、寿命全部の面で優れたと判断される。
【0178】
<実験例2>
1)有機発光素子の作製(比較例4)
OLED用ガラス(サムスン-コーニング社製)から得られた透明電極インジウムチンオキシド(ITO)薄膜をトリクロロエチレン、アセトン、エタノール、蒸留水を順次使用し、各5分間超音波洗浄を行った後、イソプロパノールに入れて保管した後に使用した。次に真空蒸着装置の基板フォルダにITO基板を設け、真空蒸着装置内のセルに下記4,4’,4’’-トリス(N,N-(2-ナフチル)-フェニルアミノ)トリフェニルアミン(4,4’,4’’-tris(N,N-(2-naphthyl)-phenylamino)triphenyl amine;2-TNATA)を入れた。
【化16】
【0179】
次いでチャンバ内の真空度が10-6torrに達するまで排気させた後、セルに電流を印加し、2-TNATAを蒸発させ、ITO基板上に600Åの厚さの正孔注入層を蒸着した。真空蒸着装置内の他のセルに下記のN,N’-ビス(α-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-4,4’-ジアミン(N,N’-bis(α-naphthyl)-N,N’-diphenyl-4,4’-diamine;NPB)を入れ、セルに電流を印加して蒸発させ、正孔注入層上に300Åの厚さの正孔輸送層を蒸着した。
【化17】
【0180】
このように正孔注入層及び正孔輸送層を形成した後、その上に発光層として次のような構造の青色発光材料を蒸着させた。具体的には、真空蒸着装置内の一方のセルに青色発光ホスト材料であるH1を200Åの厚さに真空蒸着させ、その上に青色発光ドーパント材料であるD1をホスト材料に対して5wt%真空蒸着させた。
【化18】
【0181】
次いで、電子輸送層として下記構造式E1の化合物を300Åの厚さに蒸着した。
【化19】
【0182】
電子注入層としてフッ化リチウム(litium fluoride;LiF)を10Åの厚さに蒸着し、Al陰極を1,000Åの厚さにし、OLED素子(比較例4)を作製した。一方、OLED素子作製に必要な全ての有機化合物は、材料別にそれぞれ10-6~10-8torr下で真空昇華精製してOLED作製に使用した。
【0183】
前記実験例2にて発光層を蒸着した後、下記表5に示す化合物を厚さ50Åとして正孔ブロッキング層を形成した後、前記正孔ブロッキング層の上部に電子輸送層E1の厚さを250Å形成したことを除けば、前記実験例2と同様に行い、実施例12~22、比較例5及び6の有機発光素子を作製した。
【0184】
2)有機発光素子の駆動電圧及び発光効率
前記と同様に製造された実施例12~22及び比較例4~6の有機発光素子に対して、マックサイエンス社のM7000で電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもってマックサイアンス社製の寿命測定装備(M6000)を通じて基準輝度が700cd/mのとき、T95を測定した。前記T95は、初期輝度対比95%となる時間の寿命(単位;h、時間)を意味する。
【0185】
本発明により製造された青色有機発光素子の駆動電圧、発光効率、外部量子効率、色座標(CIE)を測定した結果は、下記表5のとおりであった。
【0186】
【表5】
【0187】
前記表5の結果から分かるように、本発明の青色有機発光素子の正孔ブロッキング層材料を用いた有機発光素子は、比較例4、5及び6に比べて駆動電圧が低く、発光効率及び寿命が著しく改善された。正孔の場合、発光層で結合されず、電子輸送層を通過して陰極に移動すると、OLED素子の効率及び寿命が減少する現象が発生する。このような現象を防ぐために、深いHOMOレベルを有する化合物を正孔ブロッキング層として用いると、発光層を通過して陰極に移動しようとする正孔が正孔ブロッキング層のエネルギー障壁に遮られる。したがって、正孔と電子がエキシトンを形成する確率が高くなり、発光層から光に放出される可能性が高くなり、有機発光素子の駆動、効率、寿命を向上させることができる。
【0188】
すなわち、本発明の化合物は、深いHOMOレベルを有する化合物であって、これを正孔ブロッキング層に用いる場合、上述の原理によってエキシトンを形成する確率が高くなることにより、有機発光素子の駆動、効率、寿命全部の面で優れたと判断される。
【符号の説明】
【0189】
100 ・・・基板
200 ・・・陽極
300 ・・・有機物層
301 ・・・正孔注入層
302 ・・・正孔輸送層
303 ・・・発光層
304 ・・・正孔ブロッキング層
305 ・・・電子輸送層
306 ・・・電子注入層
400 ・・・陰極
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】