IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴィーブ、ヘルスケア、カンパニーの特許一覧

特表2023-505543カボテグラビルを含んでなる医薬組成物
<>
  • 特表-カボテグラビルを含んでなる医薬組成物 図1
  • 特表-カボテグラビルを含んでなる医薬組成物 図2
  • 特表-カボテグラビルを含んでなる医薬組成物 図3
  • 特表-カボテグラビルを含んでなる医薬組成物 図4A
  • 特表-カボテグラビルを含んでなる医薬組成物 図4B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-09
(54)【発明の名称】カボテグラビルを含んでなる医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4985 20060101AFI20230202BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20230202BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20230202BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20230202BHJP
   A61K 31/58 20060101ALI20230202BHJP
   A61K 31/7076 20060101ALI20230202BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20230202BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230202BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
A61K31/4985
A61P31/18
A61K31/517
A61K31/519
A61K31/58
A61K31/7076
A61K47/34
A61K47/10
A61K9/10 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534860
(86)(22)【出願日】2020-12-07
(85)【翻訳文提出日】2022-08-08
(86)【国際出願番号】 IB2020061582
(87)【国際公開番号】W WO2021116872
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】62/945,412
(32)【優先日】2019-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/982,305
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521396042
【氏名又は名称】ヴィーブ、ヘルスケア、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】VIIV HEALTHCARE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】ニマ、アハベイン
(72)【発明者】
【氏名】ケビン、チュー
(72)【発明者】
【氏名】エミール、フェルトハイゼン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076BB15
4C076BB16
4C076CC35
4C076EE23
4C076EE49
4C076FF16
4C076FF31
4C076FF36
4C076GG45
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC46
4C086CB07
4C086CB09
4C086CB22
4C086DA12
4C086EA18
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA12
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA66
4C086NA03
4C086NA12
4C086ZB33
4C086ZC55
(57)【要約】
本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の治療に関する。具体的には、本発明は、長時間作用型HIV治療薬として有用な、カボテグラビルまたはその薬学上許容可能な塩、ポリエチレングリコールおよびポロキサマーを含んでなる医薬組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カボテグラビルまたはその薬学上許容可能な塩、ポリエチレングリコールおよびポロキサマーを含んでなる医薬組成物。
【請求項2】
前記ポリエチレングリコールがポリエチレングリコール3350である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記ポロキサマーがポロキサマー407、ポロキサマー237またはポロキサマー338である、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記ポロキサマーがポロキサマー407またはポロキサマー338である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記ポリエチレングリコールがポリエチレングリコール3350であり、前記ポロキサマーがポロキサマー407である、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記ポリエチレングリコールがポリエチレングリコール3350であり、前記ポロキサマーがポロキサマー338である、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
カボテグラビルが、粒径の中央値が約0.1~10μmの粒子の形態で存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
カボテグラビルが、粒径の中央値が0.15~0.25μmを超える粒子の形態で存在する、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
マンニトールをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
350~600mg/mLのカボテグラビル濃度を含んでなる、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
350~500mg/mLのカボテグラビル濃度を含んでなる、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
380~420mg/mLのカボテグラビル濃度を含んでなる、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
約400mg/mLのカボテグラビル濃度を含んでなる、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
4~50mg/mLのポロキサマー濃度を含んでなる、請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
5~50mg/mLのポリエチレングリコール濃度を含んでなる、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
非経口医薬組成物である、請求項1~15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
注射可能な組成物としての使用に好適である、請求項1~16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
必要とするヒトにおけるヒト免疫不全ウイルス(HIV)の治療または予防のための方法であって、治療上有効な量の請求項1~17のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記ヒトに投与することを含んでなる、方法。
【請求項19】
前記医薬組成物を皮下または筋肉内投与するステップを含んでなる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
約1mL~約3mLの前記医薬組成物を前記ヒトに投与する、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記医薬組成物を前記ヒトに1か月に1回、2か月に1回または3か月に1回投与することを含んでなる、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
1~1.5mLの前記医薬組成物をヒトに1か月に1回皮下投与することを含んでなる、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
2.5~3mLの前記医薬組成物を前記ヒトに3か月に1回筋肉内投与することを含んでなる、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記医薬組成物をN6-LS、
【化1】
と組み合わせて投与することを含んでなる、請求項18~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
HIVの治療または予防における使用のための、請求項1~17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
ヒトに筋肉内または皮下投与される、請求項25に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項27】
約1mL~約3mLの医薬組成物がヒトに投与される、請求項25または26のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項28】
1か月に1回、2か月に1回または3か月に1回投与される、請求項25~27のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項29】
1~1.5mLの医薬組成物が1か月に1回皮下投与される、請求項25~28のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項30】
2.5~3mLの医薬組成物が3か月に1回筋肉内投与される、請求項25~29のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項31】
N6-LS、
【化2】
と組み合わせて投与される、請求項25~30のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項32】
請求項1~17のいずれか一項に記載の医薬組成物を作製するための方法であって、
カボテグラビルまたはその薬学上許容可能な塩をポリエチレングリコールおよびポロキサマーと接触させることを含んでなる、方法。
【請求項33】
カボテグラビルまたはその薬学上許容可能な塩、ポリエチレングリコールおよびポロキサマーを含んでなる、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の治療薬に関する。具体的には、本発明は、長時間作用型HIV治療薬に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
HIV感染症の患者は、一般に、毎日定期的に複数の錠剤を服用することを含む複雑な治療レジメンを受ける。患者のノンコンプライアンスは、これらの複雑なHIV治療レジメンに伴う既知の問題であり、HIVの多剤耐性株の出現につながる可能性がある。
【0003】
長時間作用型非経口薬の適用は、何十年にもわたって臨床診療で、特に、避妊、抗精神病薬および麻薬中毒の分野で確立されてきた。最近では、HIVの治療および予防における使用のために、長時間作用型非経口薬が検討されている。長時間作用型の注射剤は、HIV治療レジメンに関するノンコンプライアンス問題を克服する方法として提案されている。長時間作用型の注射可能な処方物は、臨床開発中であり、臨床研究では、注射後の長時間の曝露(30日以上)が実証されており、月に1回の間隔での投与が可能である。
【0004】
患者体験を維持するためにこれまでのHIV治療レジメンと同じ注射量を維持しながら、より少ない頻度で投与し、HIV治療レジメンに関するノンコンプライアンス問題を克服するために、高濃度の抗HIV薬で注射可能な懸濁液を達成することが望ましい。高濃度の懸濁液は、一般に、再懸濁と粒子サイズの成長が困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
同じ患者体験を依然として達成し、高濃度懸濁液に関する既知の困難を克服しながら、より少ない間隔で投与することができる、HIVを治療するための長時間作用型注射剤が当技術分野で必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
本発明の第1の態様によれば、カボテグラビル、またはその薬学上許容可能な塩、ポリエチレングリコール(PEG)およびポロキサマーを含んでなる医薬組成物が提供される。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、必要とするヒトにおけるヒト免疫不全ウイルス(HIV)の治療または予防のための方法であって、治療上有効な量の本明細書に定義されるような医薬組成物を前記ヒトに投与することを含んでなる方法が提供される。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、HIVの治療または予防における使用のための本明細書に定義されるような医薬組成物が提供される。
【0009】
本発明のさらなる態様によれば、カボテグラビルまたはその薬学上許容可能な塩、ポリエチレングリコールおよびポロキサマーを含んでなるキットが提供される。
【0010】
本発明の組成物は、多くの点で有利であり得る。本発明の組成物は、その組成物中に高濃度のカボテグラビルが存在することを可能にする。現在、薬物濃度が312mg/mLより高い市販の懸濁液は存在しない。医薬用途の市販の懸濁液を検討する場合、薬物濃度が最も高い懸濁液は、ARISTADA INITIO(アリピパゾールラウロキシル、統合失調症の成人を治療するために使用される)およびINVEGA TRINZA(パルミチン酸パリペリドン、統合失調症の成人を治療するために使用される)であり、これらは、固形薬物濃度がそれぞれ281.25mg/mLおよび312mg/mLである。本発明の組成物は、その組成物中に最大600mg/mLのカボテグラビルが存在することを可能にする(例えば、約400mg/mL)。
【0011】
本発明の組成物によって可能とされる高濃度のカボテグラビルは、既知のHIV治療よりも少ない頻度で患者に投与される濃度を可能にする。本発明の組成物はまた、粒子サイズの安定性を示し、貯蔵後に再懸濁を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、2つの懸濁液の再懸濁の比較を示し、図1Aは、カボテグラビル、P338(ポロキサマー)およびPEG3350を含んでなる懸濁液を示し(左)、図1Bは、カボテグラビル、P338およびKollidon 12(ポリビニルピロリドン)を含んでなる懸濁液を示す(右)。左のバイアルは、ほとんど透明なバイアル底部を示し、懸濁液が再懸濁され、デカンテーションされたことを示している。右のバイアルは、懸濁液がバイアルの底に付着しているバイアル底部を示し、再懸濁が達成されなかったことを示している。
図2図2は、200mg/mLのカボテグラビルと18mg/mLのPS20(ポリソルベート)および18mg/mLのPEG3350(▲);400mg/mLのカボテグラビルと28mg/mLのP338(■);または400mg/mLのカボテグラビルと50mg/mLのP338および50mg/mLのPEG3350(●)を、10mg/kg筋肉内投与した後の個々のラットの血中カボテグラビル濃度を示す。処方物には、等張化用のマンニトール(14~30mg/mL)も含まれた。1処方物につき3個体のラットを使用した。
図3図3は、400mg/mLのカボテグラビルと50mg/mLのP338、50mg/mLのPEG3350および30mg/mLのマンニトール(●)を、10mg/kg皮下投与した後の個々のラットの血中カボテグラビル濃度を示す。3個体のラットを使用した。
図4図4は、懸濁液の顕微鏡画像を示す。図4A(左)は、30℃/65%RHで6か月間直立させて貯蔵した後に完全に再懸濁された懸濁液3aを示し、図4B(右)は、30℃/65%RHで6か月間直立させて貯蔵した後に再懸濁されなかった懸濁液2aを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
定義
本明細書で使用する場合、用語「医薬組成物」とは、医薬用途に好適な組成物を意味する。
【0014】
本明細書で使用する場合、用語「薬学上許容可能な塩」とは、対象化合物の所望の生物学的活性を保持し、最小限の望ましくない毒物学的効果を示す塩を指す。これらの薬学上許容可能な塩は、化合物の最終的な単離および精製中にin situで、または遊離酸もしくは遊離塩基の形態の精製化合物をそれぞれ好適な塩基もしくは酸と別々に反応させることによって調製することができる。
【0015】
薬学上許容可能な塩には、とりわけ、Berge, J. Pharm.Sci., 1977, 66, 1-19に記載されているもの、またはP H Stahl and C G Wermuth編, Handbook of Pharmaceutical Salts; Properties, Selection and Use, 第2版 Stahl/Wermuth: Wiley-VCH/VHCA, 2011 (http://www.wiley.com/WileyCDA/WileyTitle/productCd-3906390519.html参照)に掲載されているものが含まれる。好適な薬学上許容可能な塩には、酸または塩基付加塩が含まれ得る。本発明の好適な薬学上許容可能な塩には、塩基付加塩が含まれる。
【0016】
代表的な薬学上許容可能な塩基付加塩は、限定されるものではないが、アルミニウム、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール(TRIS、トロメタミン)、アルギニン、ベネタミン(N-ベンジルフェネチルアミン)、ベンザチン(N,N’-ジベンジルエチレンジアミン)、ビス-(2-ヒドロキシエチル)アミン、ビスマス、カルシウム、クロロプロカイン、コリン、クレミゾール(1-p クロロベンジル-2-ピロリジン-1’-イルメチルベンズイミダゾール)、シクロヘキシルアミン、ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、ジエチルトリアミン、ジメチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ドーパミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、L-ヒスチジン、鉄、イソキノリン、レピジン、リチウム、リジン、マグネシウム、メグルミン(N-メチルグルカミン)、ピペラジン、ピペリジン、カリウム、プロカイン、キニン、キノリン、ナトリウム、ストロンチウム、t-ブチルアミン、および亜鉛が挙げられる。
【0017】
本明細書で使用する場合、用語「治療」または「治療する」とは、特定の状態を緩和し、その状態の症状をなくすかまたは軽減し、その状態の進行、浸潤、または拡大を遅延するかまたはなくし、以前苦しんでいた対象の状態の再発を軽減するかまたは遅延させることを指す。
【0018】
本明細書で使用する場合、用語「予防」または「予防する」とは、特定の状態またはその状態の症状を起こらないようにすることを指す。
【0019】
発明の記載
本発明は、カボテグラビルまたはその薬学上許容可能な塩、ポリエチレングリコールおよびポロキサマーを含んでなる医薬組成物を提供する。
【0020】
本明細書に記載の医薬組成物は、適当な経路によって投与し得る。好ましい実施形態において、その組成物は非経口投与される(皮下、筋肉内、静脈内、または皮内を含んでなる)。1つの実施形態において、その組成物は筋肉内投与される。別の実施形態において、その組成物は皮下投与される。
【0021】
カボテグラビル(N-((2,4-ジフルオロフェニル)メチル)-6-ヒドロキシ-3-メチル-5,7-ジオキソ-2,3,5,7,11,11a ヘキサヒドロ(1,3)オキサゾロ(3,2-a)ピリド(1,2-d)ピラジン-8-カルボキサミド)は、米国特許第8,129,385号、実施例Z-1に記載されており、この実施例は、引用することにより本明細書の一部とされる。カボテグラビルは、ナノモル以下の効力と広範囲のHIV-1株に対する抗ウイルス活性を示すインテグラーゼ阻害薬(INSTI: integrase strand transfer inhibitor)である。カボテグラビルの経口投与は、許容可能な安全性と忍容性のプロファイル、長い半減期、および薬物間相互作用がほとんどないことを示した。カボテグラビルは、経口および非経口投与形の両方でHIVの治療および予防に有効であることが実証されている。例えば、Margolis DA, Brinson CC, Eron JJ, et al. 744 and Rilpivirine as Two Drug Oral Maintenance Therapy: LAI116482 (LATTE) Week 48 Results.(第21回レトロウイルス・日和見感染症会議(Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections)(CROI);2014年3月3~6日;マサチューセッツ州ボストン)、Margolis DA, Podzamczer D, Stellbrink H-J, et al. Cabotegravir + Rilpivirine as Long-Acting Maintenance Therapy: LATTE-2 Week 48 Results.(第21回国際エイズ会議(International AIDS Conference);2016年7月18~22日;南アフリカ共和国ダーバン)、抄録THAB0206LB. Levin(全国エイズ治療擁護プロジェクト(Conference reports for National AIDS Treatment Advocacy Project)(NATAP)会議報告;2016年)、およびMarkowitz M, Frank I, Grant R, et al. ECLAIR: Phase 2A Safety and PK Study of Cabotegravir LA in HIV-Uninfected Men. 発表抄録(第23回レトロウイルス・日和見感染症会議(CROI);2016年2月22~25日;マサチューセッツ州ボストン)を参照。
【0022】
カボテグラビルは、式(I):
【化1】
によって表される。
【0023】
本発明の1つの実施形態において、カボテグラビルは、遊離酸として医薬組成物中に存在する。
【0024】
本発明の医薬組成物は、ポロキサマーを含んでなる。ポロキサマーは、ポリオキシエチレン(ポリエチレングリコール)の2つの親水性鎖に隣接するポリオキシプロピレン(ポリプロピレンオキシド)の中央の疎水性鎖で構成される非イオン性トリブロックコポリマーである。ポロキサマーは、式IIによって表される。ポロキサマーは、Synperonics、Pluronics、およびKolliphorの商品名でも知られている。ポロキサマーは、一般に、「P」の文字の後に3桁の数字が続く名前が付けられ、最初の2桁×100は、ポリオキシプロピレンコアのおおよその分子量を示し、最後の桁×10は、ポリオキシエチレン含有量のパーセンテージを示す(例えば、P407=ポリオキシプロピレン分子量4,000g/molおよびポリオキシエチレン含有量70%のポロキサマー)。
【化2】
【0025】
本発明の1つの実施形態において、ポロキサマーは、ポリオキシプロピレンの分子量2000~5000g/molおよびポリオキシエチレン含有量60%~90%を有し得る。本発明の1つの実施形態において、ポロキサマーは、P237、P338またはP407であり得る(これらのポロキサマーのa値およびb値は、表1に見ることができる)。P237、P338およびP407は、は市販されている。
【0026】
【表1】
【0027】
本発明の1つの実施形態において、ポロキサマーはP237である。1つの実施形態において、ポロキサマーはP407である。1つの実施形態において、ポロキサマーはP338である。
【0028】
前記組成物中に高濃度のカボテグラビルを有することが望ましい(例えば、およそ400またはおよそ500mg/mLのカボテグラビル濃度)。本発明者らは、組成物中にポロキサマーを使用することにより、医薬組成物中に高濃度のカボテグラビルが存在することを可能にすることを見出した。カボテグラビルは、粒子形態で組成物中に存在する。本発明者らは、高い粒子濃度では、より多くの粒子間相互作用があることを見出した。これらの粒子間相互作用は、不安定な懸濁液につながる可能性がある。ポロキサマーは、疎水性鎖および親水性鎖の両方を有する。ポロキサマーの疎水性ポリオキシプロピレン鎖はカボテグラビル粒子の表面に吸着し、それによって、粒子間の立体障害が生じると考えられている。これにより、粒子凝結または軟凝集に対する安定化がもたらされる。ポリエチレングリコール鎖は、立体障害による安定化を提供し、それによって、全体の組成物中により高い濃度のカボテグラビルが存在することを可能にし、高い粒子濃度に通常関連する粒子間相互作用を最小限に抑えると考えられている。
【0029】
本発明者らは、ポロキサマーP237、P407またはP338を使用することで本発明の医薬組成物に物理的安定性の増強がもたらされることを見出した。特定の理論に縛られることを望むものではないが、この安定性の増強は、P237、P407およびP338が、他の市販のポロキサマーよりも多くのポリエチレングリコール鎖を含んでなるという事実に由来すると考えられる。
【0030】
本発明の医薬組成物はまた、ポリエチレングリコール(PEG)を含んでなる。PEGは、エチレンオキシドのポリマーであり、式(III):
【化3】
によって表される。
【0031】
本発明の複数の実施形態において、nは、任意の好適な数であり得る。本発明の1つの実施形態において、PEGは、1000~8000g/molの数平均分子量(number average mean molecular weight)(Mn)を有する。本発明の1つの実施形態において、PEGは、2500~5000g/molのMnを有する。本発明の1つの実施形態において、PEGは、3000~4000g/molのMnを有する。本発明の1つの実施形態において、PEGは、3100~3700g/molのMnを有する。本発明の1つの実施形態において、PEGはPEG3350であり、すなわち、PEGは、3350g/molのMnを有する。PEG3350は市販されている。
【0032】
特定の理論に縛られることを望むものではないが、本発明者らは、PEGが本発明の組成物において安定剤として作用し、ポロキサマーに存在するPEG鎖とともにカボテグラビルをさらに安定化すると考えている。PEGは、非吸着性ポリマーとして、粘度の増加および懸濁液中の粒子間の立体反発の提供により本発明の組成物を安定化すると考えられている。
【0033】
PEGとポロキサマーの組合せにより、上記の高いカボテグラビル濃度を達成することができる。これにより、本発明の組成物は、患者におけるHIVを最大6か月間治療することができる。1つの実施形態において、本発明の組成物は、患者におけるHIVを最大3か月間治療することができ、従って、1か月、2か月または3か月に1回の投薬を可能にする。1つの実施形態において、約1mL~3mLの医薬組成物が患者に送達される。既知カボテグラビル組成物および提案されているカボテグラビル組成物と比較して、本発明は、注射量をこれまでの製品と同じに保ちながら、より少ない頻度の投薬でより高い用量を患者に送達することを可能にする。
【0034】
本発明の1つの実施形態において、その組成物は、カボテグラビル、ポリエチレングリコール3350およびポロキサマー407を含んでなる。本発明の代替実施形態において、その医薬組成物は、カボテグラビル、ポリエチレングリコール3350およびポロキサマー338を含んでなる。本発明の代替実施形態において、その医薬組成物は、カボテグラビル、ポリエチレングリコール3350およびポロキサマー237を含んでなる。
【0035】
本発明の1つの実施形態において、その医薬組成物は、350~600mg/mLのカボテグラビルを含んでなる。本発明の1つの実施形態において、その医薬組成物は、350~500mg/mLのカボテグラビルを含んでなる。別の実施形態において、その医薬組成物は、380~420mg/mLのカボテグラビルを含んでなる。別の実施形態において、その医薬組成物は、約400mg/mLのカボテグラビルを含んでなる。代替実施形態において、その医薬組成物は、約500mg/mLのカボテグラビルを含んでなる。
【0036】
1つの実施形態において、その医薬組成物は、4~50mg/mLのポロキサマー濃度を含んでなる。別の実施形態において、その医薬組成物は、20~50mg/mLのポロキサマー濃度を含んでなる。1つの実施形態において、その医薬組成物は、30~40mg/mLのポロキサマー濃度を含んでなる。別の実施形態において、その医薬組成物は、35~40mg/mLのポロキサマー濃度を含んでなる。
【0037】
上記のように、ポロキサマーのPEG鎖は立体障害による安定化を提供するため、組成物中に存在するPEGが0mg/mLである可能性がある。しかしながら、ポロキサマーおよびPEGを含んでなる組成物は、その組成物に追加の安定性、特に粒子サイズの安定性を提供し、好ましい。0~50mg/mLのポリエチレングリコール濃度を含んでなる医薬組成物が本明細書に開示されている。
【0038】
本発明の1つの実施形態において、その医薬組成物は、0~75mg/mLより高いポリエチレングリコール濃度を含んでなる。別の実施形態において、その医薬組成物は、5~50mg/mLのPEG濃度を含んでなる。別の実施形態において、その医薬組成物は、20~40mg/mLのポリエチレングリコール濃度を含んでなる。別の実施形態において、その医薬組成物は、30~40mg/mLのポリエチレングリコール濃度を含んでなる。別の実施形態において、その医薬組成物は、32~38mg/mLのポリエチレングリコール濃度を含んでなる。
【0039】
1つの実施形態において、本発明の医薬組成物は、カボテグラビルまたはその薬学上許容可能な塩、>0~75mg/mLのPEGおよび4~50mg/mLのポロキサマーを含んでなる。
【0040】
本発明の1つの実施形態において、その医薬組成物は、表2aに記載されている通りである。
【0041】
【表2】
【0042】
1つの実施形態において、その医薬組成物は、表2bに記載されている通りである。
【0043】
【表3】
【0044】
さらなる実施形態において、その組成物は、表2cに記載されている通りである。
【0045】
【表4】
【0046】
本発明の医薬組成物は、結晶性カボテグラビルの粒子を含んでなる。1つの実施形態において、その粒径の中央値は、0.1μm~10.0μmである。別の実施形態において、その粒径の中央値は、0.1μm~0.4μmである。別の実施形態において、その粒径の中央値は、0.15μm~0.25μmである。別の実施形態において、その粒径の中央値は、約0.2μmである。本発明者らは、粒径の中央値が0.15μm~0.25μm、例えば、約0.2μmの組成物は、より大きな粒子サイズを有する組成物よりも再懸濁が改善されることを見出した(本明細書で使用する場合、「再懸濁」とは、沈殿した生成物が分散して易流動性の懸濁液となることを意味する)。粒径の中央値は、いずれの好適な方法によっても測定することができ、例えば、粒径の中央値は、本明細書の実施例節に記載されるように、レーザー回折(Malvern Mastersizer 3000)によって測定することができる。
【0047】
本発明の医薬組成物は、それらの粒子サイズを経時的に保持し得る。粒子サイズの増加は、再懸濁不良につながる可能性があるため、これは有利である。再懸濁不良は、例えば、医療従事者が医薬組成物を、例えば、バイアルまたはフラスコから回収することを困難にする可能性がある。粒子サイズの安定性は、組成物の経時的な再懸濁にとって重要であり、薬物動態が変化するリスクを減少させると考えられる。
【0048】
1つの実施形態において、本発明の医薬組成物は、カボテグラビルまたはその薬学上許容可能な塩、>0~75mg/mLのPEGおよび4~50mg/mLのポロキサマーを含んでなり、カボテグラビルの粒径の中央値は0.1μm~10.0μmである。
【0049】
1つの実施形態において、本発明の医薬組成物は、カボテグラビルまたはその薬学上許容可能な塩、>0~75mg/mLのPEGおよび4~50mg/mLのポロキサマーを含んでなり、カボテグラビルの粒径の中央値は0.15μm~0.25μmである。
【0050】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、等張化剤をさらに含んでなる。等張化剤は、いずれの好適な等張化剤からも選択し得る。本発明の1つの実施形態において、等張化剤は、250~350mOsmol/kg以内に等張化する。別の実施形態において、等張化剤は、285~310mOsmol/kg以内に等張化する。1つの実施形態において、マンニトールは、等張化剤として使用される。本発明の1つの実施形態において、マンニトールは、250~350mOsmol/kg以内に等張化する。別の実施形態において、マンニトールは、285~310mOsmol/kg以内に等張化する。本発明の1つの実施形態において、マンニトールは、医薬組成物中に15~30mg/mLの濃度で存在する。
【0051】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、約4以上のpHを有する。その組成物を注射によって投与する場合、約4以上のpHは患者の疼痛を軽減する。
【0052】
1つの実施形態において、本発明の医薬組成物は、少なくとも1つのヒアルロニダーゼをさらに含んでなる。本明細書で使用する場合、用語「ヒアルロニダーゼ」とは、細胞外マトリックスの構成要素であるヒアルロン酸の分解を触媒するヒアルロニダーゼのファミリーの任意の酵素を指す。ヒアルロン酸の分解により皮下および筋肉内組織の透過性が高まり、流体または医薬が細胞外マトリックスに拡散し、周囲組織によってより迅速に取り込まれることが可能になる。特定の理論に縛られることを望むものではないが、本発明の医薬組成物をヒアルロニダーゼと組み合わせて投与することにより、より多量の医薬組成物の投与が可能になり、その結果、投薬頻度を減らすことができると考えられる。さらに、少なくとも1つのヒアルロニダーゼの使用は、投与部位での医薬組成物の忍容性の改善をもたらすと考えられている。
【0053】
第2の態様において、本発明は、必要とするヒトにおけるヒト免疫不全ウイルス(HIV)の治療または予防のための方法であって、前記ヒトに治療上有効な量の本明細書に定義されるような医薬組成物を投与することを含んでなる方法を提供する。
【0054】
1つの実施形態において、その方法は、前記医薬組成物を非経口投与することを含んでなる。1つの実施形態において、その医薬組成物は筋肉内投与される。1つの実施形態において、その医薬組成物は皮下投与される。
【0055】
1つの実施形態において、およそ1mL~およそ3mLの医薬組成物がヒトに投与される。1つの実施形態において、およそ1mLの医薬組成物がヒトに投与される。別の実施形態において、およそ2mLの医薬組成物がヒトに投与される。1つの実施形態において、およそ3mLの医薬組成物がヒトに投与される。
【0056】
1つの実施形態において、その医薬組成物は、ヒトに1か月、2か月または3か月に1回投与される。1つの実施形態において、その医薬組成物は、ヒトに1か月に1回投与される。代替実施形態において、その医薬組成物は2か月に1回投与される。代替実施形態において、その医薬組成物は3か月に1回投与される。
【0057】
1つの実施形態において、その医薬組成物は、患者に1か月に1回送達される。その医薬組成物は、いずれの好適な手段によっても投与し得る。1つの実施形態において、その医薬組成物は、患者によって自己投与される。本明細書で使用する用語「自己投与される」とは、医療従事者以外の誰かによる投与を意味し、例えば、患者が自分自身に医薬組成物を投与してよく、または医療従事者以外の誰かが医薬組成物を患者に投与してよい。この実施形態において、その医薬組成物は、注射によって皮下投与され得る。その皮下注射は、1~1.5mLの医薬組成物を含んでなり得る。本発明の1つの実施形態において、医薬組成物は、月に1回、皮下注射によって自己投与される。
【0058】
代替実施形態において、その医薬組成物は、患者に3か月に1回送達される。その医薬組成物は、いずれの好適な手段によっても投与し得る。1つの実施形態において、その医薬組成物は、注射によって筋肉内投与される。1つの実施形態において、その筋肉内注射は、医療従事者によって投与される。その筋肉内注射は、1~3mLの医薬組成物を含んでなり得る。本発明の1つの実施形態において、医薬組成物は、3か月に1回、筋肉内注射によって投与される。
【0059】
1つの実施形態において、本発明の医薬組成物は、多剤治療レジメンの構成要素としての他の医薬組成物と組み合わせて投与される。1つの実施形態において、他の医薬組成物は、HIVを治療するまたは予防する薬物である。市販薬は、現在、HIVを治療するために利用可能である。
【0060】
1つの実施形態において、本明細書に記載の医薬化合物は、広域中和抗体と組み合わせて投与される。1つの実施形態において、その中和抗体はN6-LSである。N6-LSは広域中和抗体であり、これは、(a)重鎖可変領域(VH)(配列番号1として示される)(VHの重鎖相補性決定領域(HCDR)1、HCDR2、およびHCDR3を含んでなる);(b)軽鎖可変領域(VL)(配列番号2として示される)(VLの軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、LCDR2、およびLCDR3を含んでなる)もしくは配列番号2のものと少なくとも90パーセント同一のアミノ酸配列を含んでなるVL;または(c)(a)および(b)の組合せを含んでなり;さらに、M428LおよびN434S突然変異を含んでなるIgGl定常ドメインを含んでなり;ここで、抗体または抗原結合フラグメントは、HIV-1 gpl20と特異的に結合し、HIV-1感染を中和する。
【0061】
配列番号1は、特許出願PCT/US2016/023145に開示されているN6 mAbのVHのアミノ酸配列である。配列番号2は、特許出願PCT/US2016/023145に開示されているN6 mAbのVLのアミノ酸配列である。配列番号1および配列番号2を以下に記載する:
配列番号1:
【化4】
配列番号2:
【化5】
【0062】
1つの実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物は、カプシド阻害薬、成熟阻害薬またはヌクレオシド系逆転写酵素トランスロケーション阻害薬(NRTTI: nucleoside reverse transcriptase translocation inhibitor)と組み合わせて投与される。
【0063】
その医薬組成物は、カプシド阻害薬と組み合わせて投与され得る。1つの実施形態において、そのカプシド阻害薬は、式I:
【化6】
[式中、
G1は、-N(CH3)S(O2)CH3、-S(O2)C(CH3)3、-CHF2、-CF3、-OCHF2、-OCF3、または-C(CH3)2OHで一置換されたフェニルであり、ただし、G1が-CHF2またはCF3である場合、G1は、パラ位に存在しないか、または以下:
【化7】
の1つであり;
およびGは、独立して、Hまたは-CHから選択され;
は、H、-CH、または-OCHであり;
4aは、-CH、または-OCHであり;
は、-CH、またはCHCHであり;
は、H、-CH、またはCHCHであり;
は、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、-CHF、または-CFであり;
は、H、メチル、エチル、-CHF、-CF、-OCH、または-OCHCHであり;
は、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、-CHOH、-OCHであり;
10は、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、tert-ブチル、-CHF、または-CFであり;
11は、メチル、-OCH、-CHF、-CF、-S(O)CHであり;
12は、F、-CH、-CHF、-CF、-OCH、-S(O)CHであり;
13は、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、-CHO(C-Cアルキル)であり;
14は、H、C-Cアルキル、-CHF、-CF、-O(C-Cアルキル)であり;
15は、H、F、-CH、またはOCHであり;
は、H、F、Cl、-CH、または-OCHであり;
は、HまたはC-Cアルキルであり、ここで、C-Cアルキルは1~3個のフッ素で置換されていてもよく;
は、C-CアルキルまたはC-Cシクロアルキルであり;
Wは、
【化8】
(式中、Rは、1~3個のフッ素で置換されていてもよいメチルである)
から選択される]
の化合物、またはその薬学上許容可能な塩である。
【0064】
式Iの化合物は、引用することにより本明細書の一部とされるWO2020/084492に記載されている。1つの実施形態において、カプシド阻害薬は、化合物1またはその薬学上許容可能な塩である。化合物1は、WO2020/084492に実施例59として記載されており、この実施例は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【化9】
【0065】
1つの実施形態において、カプシド阻害薬は、化合物2 その薬学上許容可能な塩である。化合物2は、特許出願番号PCT/IB2020/055653に実施例1として記載されており、この実施例は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【化10】
【0066】
代替実施形態において、カプシド阻害薬はレナカプラビル(Lenacapravir)である。
【0067】
前記医薬組成物は、成熟阻害薬と組み合わせて投与され得る。1つの実施形態において、その成熟阻害薬は、式II:
【化11】
[式中、
は、イソプロペニルまたはイソプロピルであり;
Aは、-C1-6アルキル-ORであり;
ここで、Rは、ヘテロアリール-Qであり;
は、-H、-CN、-C1-6アルキル、-COOH、-Ph、-OC1-6アルキル、-ハロ、-CFの群から選択され、
Yは、-COOR、-C(O)NRSO、-C(O)NHSONR、-SONRC(O)R、-テトラゾール、および-CONHOHの群から選択され、
ここで、n=1~6;
は、-H、-C1-6アルキル、-アルキル置換C1-6アルキルまたは-アリール置換C1-6アルキルであり;
Wは、存在しないか、または-CH-もしくは-CO-であり;
は、-H、-C1-6アルキルまたは-アルキル置換C1-6アルキルであり;
は、-H、-C1-6アルキル、-C1-6アルキル-C3-6シクロアルキル、-C1-6置換C1-6アルキル、-C1-6アルキル-Q、-C1-6アルキル-C3-6シクロアルキル-Q、アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-COR、-SO、-SONR、および
【化12】
(式中、Gは、-O-、-SO-および-NR12-の群から選択され;
は、-C1-6アルキル、-C1-6フルオロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ハロゲン、-CF、-OR、-COOR、-NR、-CONRおよび-SOの群から選択される)
の群から選択され;
は、-H、-C1-6アルキル、-C3-6シクロアルキル、-C1-6アルキル置換アルキル、-C1-6アルキル-NR、-COR、-SOおよび-SONRの群から選択され;
ただし、Wが-CO-である場合、RまたはRは-CORではなく;
さらに、RまたはRの1つのみが、-COR、-COCOR、-SOおよび-SONRの群から選択されるという条件があり;
は、-H、-C1-6アルキル、-C1-6アルキル-置換アルキル、-C3-6シクロアルキル、-C3-6置換シクロアルキル-Q、-C1-6アルキル-Q、-C1-6アルキル-置換アルキル-Q,-C3-6シクロアルキル-Q、アリール-Q、-NR1314、および-OR15の群から選択され;
ここで、Qは、アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-OR、-COOR、-NR、SO、-CONHSO、および-CONHSONRの群から選択され;
は、-H、-C1-6アルキル、-C1-6置換アルキル、-C3-6シクロアルキル、-CF、アリール、およびヘテロアリールの群から選択され;
およびRは、独立して、-H、-C1-6アルキル、-C1-6置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、-C1-6アルキル-Q、および-COORの群から選択され、
またはRおよびRは、隣接するNと一緒になって、以下:
【化13】
の群から選択される環を形成し;
Mは、-R15、-SO、-SONR、-OHおよび-NR12の群から選択され;
Vは、-CR1011-、-SO-、-O-および-NR12-の群から選択され;
ただし、RおよびRの1つのみが、-COORであり得;
10およびR11は、独立して、-H、-C1-6アルキル、-C1-6置換アルキルおよび-C3-6シクロアルキルの群から選択され;
12は、-H、-C1-6アルキル、-アルキル置換C1-6アルキル、-CONR、-SO、および-SONRの群から選択され;
13およびR14は、独立して、-H、-C1-6アルキル、-C3-6シクロアルキル、-C1-6置換アルキル、-C1-6アルキル-Q、-C1-6アルキル-C3-6シクロアルキル-Q、およびC1-6置換アルキル-Qの群から選択され;
は、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-NR12、-CONR、-COOR、-OR、および-SOの群から選択され;
15は、-C1-6アルキル、-C3-6シクロアルキル、-C1-6置換アルキル、-C1-6アルキル-Q、-C1-6アルキル-C3-6シクロアルキル-Qおよび-C1-6置換アルキル-Qの群から選択され; R16は、-H、-C1-6アルキル、-NR、および-COORの群から選択され;
ただし、Vが-NR12-である場合、R16は-NRではなく;
17は、-H、-C1-6アルキル、-COOR、およびアリールの群から選択される]
の化合物またはその薬学上許容可能な塩である。
【0068】
式IIの化合物は、引用することにより本明細書の一部とされるWO2017/134596に記載されている。1つの実施形態において、成熟阻害薬は化合物3である。化合物3は、WO2017/134596に実施例25として記載されており、この実施例は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【化14】
【0069】
前記医薬組成物は、NRTTIと組み合わせて投与され得る。1つの実施形態において、NRTTIは、式3:
【化15】
[式中、
は、
【化16】
(式中、
Xは、NH、FおよびClからなる群から選択され;
は、Hおよび(C-C14)アルキルからなる群から選択され;
は、Hおよび-(C=O)-(C-C14)アルキルからなる群から選択される);
であり:
は、(C-C24)アルキル;(CHn1-O-(CHCHO)n2-(C-C14アルキル)(式中、n1およびn2は、独立して、1~4から選択される整数である);-R-NH-(C=O)-R(式中、Rは、(C-C14)アルキルであり得、かつ、Rは、独立して、Hおよび(C-C14)アルキルから選択され得る);-R-(C-C14)アリール(式中、Rは、結合もしくは(C-C)アルキルである);-R10-(C-C14)シクロアルキル(式中、R10は、結合もしくは(C-C)アルキルである);-(C-C20)アルキレン-(C=O)-O-R11(式中、R11は、Hおよび(C-C20)アルキルから選択され得る);
【化17】
からなる群から選択され;
は、H、-(C=O)-(C-C24)アルキル;-(C=O)-O-(C-C24)アルキル;およびC-C14シクロアルキルからなる群から選択され;または
およびRは、結合して、C~C28の環状構造を形成し;
ただし、Rが(C-C14アルキル)である場合、R、RおよびRの少なくとも1つは、Hでない]
の化合物である。
【0070】
式3の化合物は、引用することにより本明細書の一部とされるWO2020/178767に開示されている。1つの実施形態において、本発明の医薬組成物は、化合物4と組み合わせられる。化合物4は、WO2020/178767に実施例18として記載されており、この実施例は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【化18】
【0071】
代替実施形態において、NRTTIはイスラトラビルである。
【0072】
本発明の1つの実施形態において、本発明の医薬組成物は、ヒアルロニダーゼと組み合わせて投与される。1つの実施形態において、本発明の医薬組成物とヒアルロニダーゼは、連続して投与される。ヒアルロニダーゼは、注射によって皮下または筋肉内に投与され得る。1つの実施形態において、ヒアルロニダーゼは、医薬組成物の投与の前に投与される。この実施形態において、医薬組成物は、ヒアルロニダーゼの注射部位の可能な限り近くに投与される。ヒアルロニダーゼは、医薬組成物に対する注射部位組織の透過性を高めると考えられている。
【0073】
第3の態様において、本発明は、HIVの治療または予防における使用のための本明細書に定義される医薬組成物を提供する。
【0074】
1つの実施形態において、医薬組成物は、注射可能な組成物としての使用に好適である。1つの実施形態において、その使用は、医薬組成物を非経口投与することを含んでなる。1つの実施形態において、その使用は、医薬組成物を筋肉内投与することを含んでなる。別の実施形態において、その使用は、医薬組成物を皮下投与することを含んでなる。
【0075】
1つの実施形態において、その使用は、およそ1mL~およそ3mLの医薬組成物を患者に投与することを含んでなる。1つの実施形態において、その使用は、およそ1mLの医薬組成物を患者に投与することを含んでなる。別の実施形態において、その使用は、およそ2mLの医薬組成物を患者に投与することを含んでなる。1つの実施形態において、その使用は、およそ3mLの医薬組成物を患者に投与することを含んでなる。
【0076】
1つの実施形態において、その使用は、医薬品(the pharmaceutical)を1か月、2か月または3か月に1回患者に投与することを含んでなる。1つの実施形態において、その使用は、医薬組成物を1か月に1回患者に投与することを含んでなる。代替実施形態において、その使用は、医薬組成物を2か月に1回投与することを含んでなる。代替実施形態において、その使用は、医薬組成物を3か月に1回投与することを含んでなる。
【0077】
1つの実施形態において、その使用は、医薬組成物を患者に1か月に1回送達することを含んでなる。この実施形態において、その医薬組成物は、いずれの好適な手段によっても投与し得る。その医薬組成物は、患者によって自己投与され得る。この実施形態において、その医薬組成物は、注射によって皮下投与され得る。その皮下注射は、1~1.5mLの医薬組成物を含んでなり得る。本発明の1つの実施形態において、医薬組成物は、月に1回、皮下注射によって自己投与される。
【0078】
代替実施形態において、その使用は、医薬組成物を患者に3か月に1回送達することを含んでなる。この実施形態において、その医薬組成物は、いずれの好適な手段によっても投与し得る。その医薬組成物は、注射によって筋肉内投与され得る。1つの実施形態において、その筋肉内注射は、医療従事者によって投与される。その筋肉内注射は、2.5~3mLの医薬組成物を含んでなり得る。本発明の1つの実施形態において、医薬組成物は、3か月に1回、筋肉内注射によって投与される。
【0079】
本発明の1つの実施形態において、本発明の医薬組成物の使用は、多剤治療レジメンの構成要素としての他の医薬組成物と組み合わせて投与することを含んでなる。1つの実施形態において、他の医薬組成物は、HIVを治療するまたは予防する薬物である。市販薬は、現在、HIVを治療するために利用可能である。
【0080】
1つの実施形態において、その使用は、本発明の医薬組成物を、N6-LSと組み合わせて投与することを含んでなる。N6-LSは上に記載される。
【0081】
1つの実施形態において、その使用は、本発明の医薬組成物を、カプシド阻害薬、成熟阻害薬またはヌクレオシド系逆転写酵素トランスロケーション阻害薬(NRTTI)と組み合わせて投与することを含んでなる。
【0082】
その医薬組成物は、カプシド阻害薬と組み合わせて投与され得る。1つの実施形態において、そのカプシド阻害薬は、式I:
【化19】
[式中、
G1は、-N(CH3)S(O2)CH3、-S(O2)C(CH3)3、-CHF2、-CF3、-OCHF2、-OCF3、または-C(CH3)2OHで一置換されたフェニルであり、ただし、G1が-CHF2またはCF3である場合、G1は、パラ位に存在しないか、または以下:
【化20】
の1つであり;
およびGは、独立して、Hまたは-CHから選択され;
は、H、-CH、または-OCHであり;
4aは、-CH、または-OCHであり;
は、-CH、またはCHCHであり;
は、H、-CH、またはCHCHであり;
は、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、-CHF、または-CFであり;
は、H、メチル、エチル、-CHF、-CF、-OCH、または-OCHCHであり;
は、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、-CHOH、-OCHであり;
10は、エチル、イソプロピル、シクロプロピル、tert-ブチル、-CHF、または-CFであり;
11は、メチル、-OCH、-CHF、-CF、-S(O)CHであり;
12は、F、-CH、-CHF、-CF、-OCH、-S(O)CHであり;
13は、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、-CHO(C-Cアルキル)であり;
14は、H、C-Cアルキル、-CHF、-CF、-O(C-Cアルキル)であり;
15は、H、F、-CH、またはOCHであり;
は、H、F、Cl、-CH、または-OCHであり;
は、HまたはC-Cアルキルであり、ここで、C-Cアルキルは1~3個のフッ素で置換されていてもよく;
は、C-CアルキルまたはC-Cシクロアルキルであり;
Wは、
【化21】
(式中、Rは、1~3個のフッ素で置換されていてもよいメチルである)
から選択される]
の化合物、またはその薬学上許容可能な塩である。
【0083】
式Iの化合物は、引用することにより本明細書の一部とされるWO2020/084492に記載されている。1つの実施形態において、カプシド阻害薬は、化合物1またはその薬学上許容可能な塩である。化合物1は、WO2020/084492に実施例59として記載されており、この実施例は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【化22】
【0084】
1つの実施形態において、カプシド阻害薬は、化合物2 その薬学上許容可能な塩である。化合物2は、特許出願番号PCT/IB2020/055653に実施例1として記載されており、この実施例は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【化23】
【0085】
代替実施形態において、カプシド阻害薬はレナカプラビル(lenacapravir)である。
【0086】
前記医薬組成物は、成熟阻害薬と組み合わせて投与され得る。1つの実施形態において、その成熟阻害薬は、式II:
【化24】
[式中、
は、イソプロペニルまたはイソプロピルであり;
Aは、-C1-6アルキル-ORであり;
ここで、Rは、ヘテロアリール-Qであり;
は、-H、-CN、-C1-6アルキル、-COOH、-Ph、-OC1-6アルキル、-ハロ、-CFの群から選択され、
Yは、-COOR、-C(O)NRSO、-C(O)NHSONR、-SONRC(O)R、-テトラゾール、および-CONHOHの群から選択され、
ここで、n=1~6;
は、-H、-C1-6アルキル、-アルキル置換C1-6アルキルまたは-アリール置換C1-6アルキルであり;
Wは、存在しないか、または-CH-もしくは-CO-であり;
は、-H、-C1-6アルキルまたは-アルキル置換C1-6アルキルであり;
は、-H、-C1-6アルキル、-C1-6アルキル-C3-6シクロアルキル、-C1-6置換C1-6アルキル、-C1-6アルキル-Q、-C1-6アルキル-C3-6シクロアルキル-Q、アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-COR、-SO、-SONR、および
【化25】
(式中、Gは、-O-、-SO-および-NR12-の群から選択され;
は、-C1-6アルキル、-C1-6フルオロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ハロゲン、-CF、-OR、-COOR、-NR、-CONRおよび-SOの群から選択される)
の群から選択され;
は、-H、-C1-6アルキル、-C3-6シクロアルキル、-C1-6アルキル置換アルキル、-C1-6アルキル-NR、-COR、-SOおよび-SONRの群から選択され;
ただし、Wが-CO-である場合、RまたはRは-CORではなく;
さらに、RまたはRの1つのみが、-COR、-COCOR、-SOおよび-SONRの群から選択されるという条件があり;
は、-H、-C1-6アルキル、-C1-6アルキル-置換アルキル、-C3-6シクロアルキル、-C3-6置換シクロアルキル-Q、-C1-6アルキル-Q、-C1-6アルキル-置換アルキル-Q,-C3-6シクロアルキル-Q、アリール-Q、-NR1314、および-OR15の群から選択され;
ここで、Qは、アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-OR、-COOR、-NR、SO、-CONHSO、および-CONHSONRの群から選択され;
は、-H、-C1-6アルキル、-C1-6置換アルキル、-C3-6シクロアルキル、-CF、アリール、およびヘテロアリールの群から選択され;
およびRは、独立して、-H、-C1-6アルキル、-C1-6置換アルキル、アリール、ヘテロアリール、置換アリール、置換ヘテロアリール、-C1-6アルキル-Q、および-COORの群から選択され、
またはRおよびRは、隣接するNと一緒になって、以下:
【化26】
の群から選択される環を形成し;
Mは、-R15、-SO、-SONR、-OHおよび-NR12の群から選択され;
Vは、-CR1011-、-SO-、-O-および-NR12-の群から選択され;
ただし、RおよびRの1つのみが、-COORであり得;
10およびR11は、独立して、-H、-C1-6アルキル、-C1-6置換アルキルおよび-C3-6シクロアルキルの群から選択され;
12は、-H、-C1-6アルキル、-アルキル置換C1-6アルキル、-CONR、-SO、および-SONRの群から選択され;
13およびR14は、独立して、-H、-C1-6アルキル、-C3-6シクロアルキル、-C1-6置換アルキル、-C1-6アルキル-Q、-C1-6アルキル-C3-6シクロアルキル-Q、およびC1-6置換アルキル-Qの群から選択され;
は、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、-NR12、-CONR、-COOR、-OR、および-SOの群から選択され;
15は、-C1-6アルキル、-C3-6シクロアルキル、-C1-6置換アルキル、-C1-6アルキル-Q、-C1-6アルキル-C3-6シクロアルキル-Qおよび-C1-6置換アルキル-Qの群から選択され; R16は、-H、-C1-6アルキル、-NR、および-COORの群から選択され;
ただし、Vが-NR12-である場合、R16は-NRではなく;
17は、-H、-C1-6アルキル、-COOR、およびアリールの群から選択される]
の化合物またはその薬学上許容可能な塩である。
【0087】
式IIの化合物は、引用することにより本明細書の一部とされるWO2017/134596に記載されている。1つの実施形態において、成熟阻害薬は化合物3である。化合物3は、WO2017/134596に実施例25として記載されており、この実施例は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【化27】
【0088】
前記医薬組成物は、NRTTIと組み合わせて投与され得る。1つの実施形態において、NRTTIは、式3:
【化28】
[式中、
は、
【化29】
(式中、
Xは、NH、FおよびClからなる群から選択され;
は、Hおよび(C-C14)アルキルからなる群から選択され;
は、Hおよび-(C=O)-(C-C14)アルキルからなる群から選択される);
であり:
は、(C-C24)アルキル;(CHn1-O-(CHCHO)n2-(C-C14アルキル)(式中、n1およびn2は、独立して、1~4から選択される整数である);-R-NH-(C=O)-R(式中、Rは、(C-C14)アルキルであり得、かつ、Rは、独立して、Hおよび(C-C14)アルキルから選択され得る);-R-(C-C14)アリール(式中、Rは、結合もしくは(C-C)アルキルである);-R10-(C-C14)シクロアルキル(式中、R10は、結合もしくは(C-C)アルキルである);-(C-C20)アルキレン-(C=O)-O-R11(式中、R11は、Hおよび(C-C20)アルキルから選択され得る);
【化30】
からなる群から選択され;
は、H、-(C=O)-(C-C24)アルキル;-(C=O)-O-(C-C24)アルキル;およびC-C14シクロアルキルからなる群から選択され;または
およびRは、結合して、C~C28の環状構造を形成し;
ただし、Rが(C-C14アルキル)である場合、R、RおよびRの少なくとも1つは、Hでない]
の化合物である。
【0089】
式3の化合物は、引用することにより本明細書の一部とされるWO2020/178767に開示されている。1つの実施形態において、本発明の医薬組成物は、化合物4と組み合わせられる。化合物4は、WO2020/178767に実施例18として記載されており、この実施例は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【化31】
【0090】
代替実施形態において、NRTTIはイスラトラビルである。
【0091】
さらなる実施形態において、本発明は、カボテグラビルまたはその薬学上許容可能な塩、ポリエチレングリコールおよびポロキサマーを含んでなるキットを提供する。1つの実施形態において、そのキットは、本発明の組成物を含んでなるシリンジと、使用説明書を含んでなるリーフレットを含んでなる。
【0092】
以下、非限定的な実施例により本発明を説明する。
【実施例
【0093】
実施例1:本発明の組成物
【0094】
【表5】
【0095】
表3は、次の方法を使用して作製した本発明の例示的な医薬組成物(医薬組成物はまた、これらの実施例では「懸濁液」としても記載されている)を示す。
【0096】
処方物ビヒクルは、9.5gのポロキサマー338(BASF)、5.0gのマンニトール(Roquette Freres)、および8.7gのPEG3350(Clariant)を164.2gの注射用水(WFI)に溶解し、その溶液を0.2μmフィルターで濾過することによって調製した。処方物ビヒクルをカボテグラビル(遊離酸)に加えて、400mg/mlの粗大懸濁液を調製した。粗大懸濁液は、所望の粒径の中央値が、レーザー回折によって測定した場合に0.2~1.0μmに達するまで、撹拌しながら、0.30mm YTZ粉砕ビーズ(Nikkato Corp)が入った、29.7Hzに設定した湿式ビーズミル(Netzsch MiniCer)で73~145ml/分にて循環させた。湿式ビーズミルを冷却して、温度を1~25℃に維持した。得られた懸濁液をタイプIガラスバイアルに充填し、窒素でフラッシュし、栓をし(FM457ストッパー)、密封した。懸濁液は、最終的に、最小線量25kGyでのガンマ線照射によって滅菌した。
【0097】
実施例2:カボテグラビル、ポロキサマー338およびPEG3350を含んでなる組成物の安定性
処方物ビヒクルは、7.5gのポロキサマー338(BASF)、5.7gのマンニトール(Roquette Freres)、および7.5gのPEG3350(Clariant)を166.7gの注射用水(WFI)に溶解し、その溶液を0.2μmフィルターで濾過することによって調製した。処方物ビヒクルを100gのカボテグラビル(遊離酸)に加えて、400mg/mlの粗大懸濁液を調製した。粗大懸濁液は、所望の粒径の中央値が、レーザー回折によって測定した場合に0.25μmに達するまで、撹拌しながら、0.30mm YTZ粉砕ビーズ(Nikkato Corp)が入った、29.7Hzに設定した湿式ビーズミル(Netzsch MiniCer)で73~145ml/分にて循環させた。湿式ビーズミルを冷却して、温度を1~25℃に維持した。粉砕された懸濁液をタイプIガラスバイアルに充填し、窒素でフラッシュし、栓をし(FM457ストッパー)、密封した。得られた懸濁液は、最終的に、最小線量25kGyでのガンマ線照射によって滅菌した。表4は、作製した懸濁液を示す。
【0098】
【表6】
【0099】
懸濁液1は、周囲実験室条件で3か月間貯蔵し、その後、自動バイアルシェーカーを使用して再懸濁について評価した。懸濁液の再懸濁にかかった時間の評価は、振盪の変動を減少させるために自動シェーカー(Glas-Col製ベンチトップシェーカー)を使用することにより行った。前記組成物を含んでなるバイアルをシェーカー上のホルダーに入れ、目視検査でバイアルの底に沈降した/固化した懸濁液物質がないと評価されるまで、30秒間隔で230~350モーター速度で振盪した。図1は、自動シェーカーによる30秒の振盪後の、懸濁液1が入ったバイアルの底の顕微鏡写真を示す。顕微鏡画像に基づくと、懸濁液1(図1の左の画像)は、上記の方法を使用して作製した同じ処方物であるが、PEG3350の代わりにKollidon 12(ポリビニルピロリドン)を含んでなる懸濁液2と比較して、再懸濁に優れていた。懸濁液1(図1の左の画像)は、ほとんど透明なバイアル底部を示し、懸濁液が再懸濁され、デカンテーションされたことを示している。懸濁液2は、懸濁液(すなわち、結晶性カボテグラビル粒子)がバイアルの底に付着しているバイアル底部を示し、再懸濁が達成されなかったことを意味している。両方の処方物を、自動シェーカーを30秒間使用して振盪したが、懸濁液2は手で振盪して、生成物のさらなる再懸濁を試みた。
【0100】
懸濁液1の粒子サイズは、加速安定性条件(40℃/75%RH)およびストレス安定性条件(50℃/周囲)にてバイアルを直立配置で貯蔵した後に測定した。懸濁液中の粒子についての粒子サイズ分析は、レーザー回折(Malvern Mastersizer 3000)を使用して行った。この方法によりサンプルの粒子サイズ分布を作成する。この機器は、独自のアルゴリズムを使用して、レーザーとサンプル中の粒子との相互作用によって生成された二次元散乱パターンを粒子サイズ分布に変換する;散乱パターンは、サンプル中の粒子のサイズ分布に依存する。表6は、粒子サイズ分布の報告に使用される定義を説明している。
【0101】
【表7】
【0102】
【表8】
【0103】
表5は、経時的および様々な条件での懸濁液1の粒子サイズの最小変化を示し、懸濁液の安定性を示している。
【0104】
実施例3:400mg/mLのカボテグラビルとポロキサマー338または407
約400mg/mLのカボテグラビルを含んでなる注射用懸濁液は、ポロキサマー407または338を加えて調製した。マンニトールもまた、等張化剤(tonicity agent)として加えた。処方物ビヒクルは、7.0gのポロキサマー338および3.5gのマンニトールを177.0gのWFIに(懸濁液4)、または7.5gのP407(BASF)および4.7gのマンニトール(Roquette Freres)を175.3gのWFIに(懸濁液3)溶解し、その溶液を0.2μmフィルターで濾過することによって調製した。処方物ビヒクルを100gのカボテグラビル(遊離酸)に加えて、400mg/mlの粗大懸濁液を調製した。粗大懸濁液は、所望の平均粒径がおよそ0.2μmに達するまで、撹拌しながら、0.30mm YTZ粉砕ビーズ(Nikkato Corp)が入った、29.7Hzに設定した湿式ビーズミル(Netzsch MiniCer)で73~145ml/分にて循環させた。湿式ビーズミルを冷却して、温度を1~25℃に維持した。懸濁液をタイプIガラスバイアルに充填し、窒素でフラッシュし、栓をし(FM457ストッパー)、密封した。得られた懸濁液は、最終的に、最小線量25kGyでのガンマ線照射によって滅菌した。
【0105】
表7は、作製した懸濁液を示す。各懸濁液は、40℃/75%RHにて直立配置で貯蔵した。初期の粒子サイズおよび1か月後の粒子サイズを懸濁液の安定性の指標として測定した。表8は、1か月後の各懸濁液の粒子サイズを示す。初期の粒子サイズと1か月後の粒子サイズとの間に変化はなかった。粒子サイズに変化がないことは、懸濁液の安定性の指標である。
【0106】
【表9】
【0107】
【表10】
【0108】
実施例4:カボテグラビル、ポロキサマー338およびPEG3350を含んでなる組成物が再懸濁する能力
表9に示すように、16の懸濁液を、様々なレベルのPEG3350、p338および粒子サイズで作製した。総ての処方物は、上記の方法を使用して、すなわち、ポロキサマー338(BASF)、マンニトール(Roquette Freres)、およびPEG3350(Clariant)を注射用水(WFI)に溶解し、その溶液を0.2μmフィルターで濾過することによって調製した。処方物ビヒクルをカボテグラビル(遊離酸)に加えて、約400mg/mlの粗大懸濁液を調製した。粗大懸濁液は、所望の平均粒径が、レーザー回折によって測定した場合に0.2、0.6または1.0μmに達するまで、撹拌しながら、0.30mm YTZ粉砕ビーズ(Nikkato Corp)が入った、29.7Hzに設定した湿式ビーズミル(Netzsch MiniCer)で73~145ml/分にて循環させた。湿式ビーズミルを冷却して、温度を1~25℃に維持した。懸濁液をタイプIガラスバイアルに充填し、窒素でフラッシュし、栓をし(FM457ストッパー)、密封した。充填された懸濁液は、最終的に、最小線量25kGyでのガンマ線照射によって滅菌した。処方物は、再懸濁までの時間、粒子サイズの安定性、粘度および射出力に基づいて選択した。作製した総ての懸濁液は、約400mg/mLのカボテグラビルおよび約30mg/mLのマンニトールを含んでなった。P338およびPEG338の濃度は変えた。作製した懸濁液を以下の表9に示す。
【0109】
【表11】
【0110】
各懸濁液を、再懸濁する能力について試験した。バイアルは、試験まで直立配置で貯蔵した。次に、バイアルをベンチトップシェーカー(Glas-Col)のホルダーに挿入し、バイアルは地面に対しておよそ45°(1か月および2か月)(バイアルの上部が下向き)、または地面に対して0°(3か月および6か月)の角度になるようにした。バイアルを230~250のモーター速度設定で30秒間振盪した。振盪後、サンプルを目視検査して、懸濁液が再懸濁したかどうかを確認した。再懸濁は、バイアルの底に固化した生成物がないこととして視覚的に決定した。バイアルの底が光を透過した場合、懸濁液が再懸濁したと判断した。生成物がまだ再懸濁されていない場合は、さらに30秒間振盪し、バイアルの底を再度チェックした。振盪と目視検査は、6か月時点で最大4回の振盪追加(3か月まで)または最大5回の振盪追加後に生成物が再懸濁したように見えるまで続けた。
【0111】
30℃/65%RHにて2か月経過後、懸濁液の大部分が再懸濁しなかったため、再懸濁を改善するために、試験の振盪角度を2か月後に45°から0°に変更した。45°の角度は、投与前の懸濁液の再分散に関する使用説明書(IFU)の指示に従った場合、0°の角度ほど人間による振盪としての役割を果たさない。2か月の時点で、目視観察によりバイアルが完全には再懸濁されなかった場合には、サンプルにアスタリスクを付けて記した。3か月および6か月の時点で、顕微鏡画像を使用して、生成物が完全に再懸濁されたかどうかを判断した。バイアル底部に残留生成物を含むサンプルにはアスタリスクを付けて記した。完全に再懸濁されたと見なされる懸濁液(A)および再懸濁されていない(B)と見なされる懸濁液の例を図4に示す。
【0112】
表10は、30℃/65%RHでの2か月の直立貯蔵後の再懸濁データを示す。1懸濁液につき3つのバイアルを再懸濁するための30秒の振盪間隔(shaking intervals)の回数を示す。自動シェーカーを使用して、振盪中にバイアルが受ける力およびトルクの変動を減少させた。
【0113】
懸濁液3aは、バイアルを再懸濁するために最少数の振盪間隔を必要とした。最少数の振盪間隔を必要とする3つの懸濁液は総て0.2μm処方物であり、この粒子サイズが良好な再懸濁を可能にすることを示している。
【0114】
表11は、30℃/65%RHでの3か月および6か月の直立貯蔵後の再懸濁データを示す。1懸濁液につき3つのバイアルを再懸濁するための30秒の振盪間隔の回数を示す。懸濁液3aは、他の処方物のほとんどと比較して、6か月後の生成物の再懸濁のために1バイアルにつきベンチトップシェーカーでの30秒単位の振盪回数がより少ないことを必要とし続けた。
【0115】
【表12】
【0116】
【表13】
【0117】
実施例5:カボテグラビル、ポロキサマー338およびPEG3350を含んでなる組成物の粒子サイズおよび粘度
実施例4の表9の作製した各懸濁液の粘度は、作製後初期に測定した。それらの懸濁液の粒子サイズも、作製後初期と、40℃/75%RHにて2か月、3か月および6か月の貯蔵後に測定した。結果を表12および13に示す。懸濁液全体にわたって、加速条件下での貯蔵後の粒子サイズの変化は最小限であった。粘度は、懸濁液によって異なった。目標×50が0.2μmである、50mg/mLのP338を含む懸濁液は、最も粘度が高かった。懸濁液の剪断粘度は、粗面化コーンプレートを装備したMalvern Kinexus Proレオメーターを使用して測定した。データは20℃で収集し、データ収集は、0.1s-1~10s-1の剪断速度範囲にわたって、1ディケード(decade)当たり10ポイントで行った。
【0118】
【表14】
【0119】
【表15】
【0120】
実施例6:懸濁液6aの12か月の安定性
懸濁液6aのP338・PEG3350組成と目標サイズを有する懸濁液を、非臨床安全性試験のために製造し、12か月間の安定性について監視した。データを表14に示す。含有量、不純物、または粒子サイズに変化は観察されなかった。pHの低下が観察されたが、pHは依然として注射に許容可能なpH範囲内にある。
【0121】
【表16】
【0122】
実施例7:薬物動態
カボテグラビル懸濁液の薬物動態を雄Sprague Dawleyラットで評価した。3つの懸濁液を試験した:(i)200mg/mLのカボテグラビルとPS20およびPEG3350;(ii)400mg/mLのカボテグラビルとP338;ならびに(iii)400mg/mLのカボテグラビルとP338およびPEG3350。試験した懸濁液を表15に示す。
【0123】
【表17】
【0124】
ラットにカボテグラビル懸濁液を200または400mL/kg(投与直前にラットの体重を測定)で、右側腓腹筋への筋肉内注射によりまたは皮下注射により投与し、目標用量10mg/kg/回を達成した。1懸濁液につき合計3個体のラットを使用した。血液サンプルは、外側尾静脈または尾端切断を介して500uLのKEDTAチューブに採取した。次いで、75uLの全血を新しいマトリックスチューブに移し、75uLの滅菌水と合わせ、ボルテックスし、ドライアイス上で保存した。薬物濃度分析のために、サンプルを-80℃で保存した。カボテグラビルの血中濃度は、タンパク質沈殿に基づく分析方法と、その後のUHPLC/MS/MS分析を使用して決定した。25μLアリコートのサンプルを使用して、カボテグラビルの定量下限(LLQ)は50ng/mLであった。この研究でデータを取得および定量するために使用したコンピュータシステムには、Analystバージョン1.6.1およびSMS2000バージョン3.1が含まれていた。
【0125】
図2は、個々のラットの、懸濁液i、iiまたはiiiの筋肉内投与後の血中カボテグラビル濃度を示す。全体として、3つの懸濁液総ての薬物動態プロファイルは類似していることがわかった。特に、「フリップフロップ動態」という仮定の下で長時間作用型処方物の吸収率を表す最終相の勾配は、試験した総ての処方物で重複している。これは、400mg/mLの懸濁液では、200mg/mLの懸濁液と比較して、カボテグラビルの長時間作用型プロファイルが維持されていることを示唆している。
【0126】
図3は、50mg/mLのP338、50mg/mLのPEG3350および30mg/mLのマンニトールを含む400mg/mLのカボテグラビルを10mg/kg皮下投与した後の血中カボテグラビル濃度を示す。3個体のラットを使用した。各線は、別々のラットの血中濃度を表す。皮下投与により、12週間まで血中カボテグラビル濃度が検出された。
【0127】
実施例8:400mg/mLのカボテグラビルとポリソルベート20(PS20)およびポリエチレングリコール3350(PEG3350)を含んでなる懸濁液との比較
200mg/mLのカボテグラビル、20mg/mLのPS20および20mg/mLのPEG3350を含んでなる長時間作用型懸濁液を調査して、カボテグラビル濃度を400mg/mLに増加したときの安定性を試験した。
【0128】
懸濁液は、Netzsch miniCerおよび0.3mm YTZ粉砕ビーズを使用して、250mLバッチで調製した。添加剤濃度の範囲を検討した。
【0129】
処方物ビヒクルは、ポリソルベート20(Croda)、ポリエチレングリコール3350(Clariant)、およびマンニトール(Roquette Freres)を注射用水(WFI)に溶解し、その溶液を0.2μmフィルターで濾過することによって調製した。次いで、処方物ビヒクルをカボテグラビル(遊離酸)に加えて、400mg/mlの粗大懸濁液を調製した。粗大懸濁液は、所望の粒径の中央値が、レーザー回折によって測定した場合に0.25μm未満に達するまで、撹拌しながら、0.30mm YTZ粉砕ビーズ(Nikkato Corp)が入った、29.7Hzに設定した湿式ビーズミル(Netzsch MiniCer)で73~145ml/分にて循環させた。湿式ビーズミルを冷却して、温度を1~25℃に維持した。次いで、懸濁液をタイプIガラスバイアルに充填し、窒素でフラッシュし、栓をし(FM457ストッパー)、密封した。充填された懸濁液は、最終的に、最小線量25kGyでのガンマ線照射によって滅菌した。
【0130】
30mg/mLのPS20、30mg/mLのPEG3350および19mg/mLのマンニトールと400mg/mLのカボテグラビルを含むものを調製した。バイアルに入ったガンマ線照射済懸濁液を直立配置に設置し、40℃/75%RHにて貯蔵した。1か月および3か月の貯蔵後に、懸濁液を安定性について試験した。表16は、30mg/mLのPS20、30mg/mLのPEG3350、19mg/mLのマンニトールを含む400mg/mLのカボテグラビル処方物についての処方後および40℃/75%RHにて1か月の貯蔵後の粒子サイズを示す。1か月の時点で、粒子サイズは初期の時点と比較して増加していた(表13および図3)。3か月の時点で、懸濁液は、シリンジを用いてバイアルから取り除くことができない回収不能のゲルになった。
【0131】
【表18】
【0132】
カボテグラビル、PS20およびPEG3350を含んでなるさらなる懸濁液を、表17に示す濃度で調製した。実験1、2および5は、20mg/mLのPS20およびPEG3350に関する上記の方法を使用して調製した。実験3では、懸濁液を最初にPS20(PEG3350なし)で粉砕し、次に、PEG3350を加え、ここで、400mg/mLのカボテグラビルを30mg/mLのPS20で粉砕した。粉砕後、PEG3350の濃縮溶液(400mg/mL)を加えて、400mg/mLの懸濁液を、360mg/mLのカボテグラビル、27mg/mLのPS20、27mg/mLのマンニトールに希釈した。組成物は総て、0.3mm YTZ粉砕ビーズを備えたNetzsch miniCerを使用して250mLバッチスケールで調製した。
【0133】
【表19】
【0134】
実験1、2、4および5では、miniCerでの湿式ビーズ粉砕中に、懸濁液は増粘してペースト状になり、回収できなかった。実験3では、400mg/mLのPEG3350溶液の添加から5分以内に、懸濁液は増粘し、もはや撹拌できなくなった。PS20およびPEG3350と400mg/mLのカボテグラビルとの組合せでは、物理的に安定した懸濁液は生成されなかった。
【0135】
実施例9:500mg/mLのカボテグラビルとポロキサマー338または407
約500mg/mLのカボテグラビルを含んでなる注射用懸濁液は、ポロキサマー407またはポロキサマー338を加えて調製した。マンニトールもまた、等張化剤(tonicity agent)として加えた。処方物ビヒクルは、8.8gのポロキサマー338および7.0gのマンニトールを159.3gのWFIに(懸濁液4)、9.7gのP338(BASF)および11.1gのマンニトール(Roquette Freres)を159.3gのWFIに(懸濁液5)、ならびに9.7gのP407(BASF)および11.1gのマンニトール(Roquette Freres)を159.3gのWFIに(懸濁液6)溶解し、その溶液を0.2μmフィルターで濾過することによって調製した。処方物ビヒクルを125gのカボテグラビル(遊離酸)に加えて、500mg/mlの粗大懸濁液(懸濁液4)を調製し、または138.8gのカボテグラビル(遊離酸)に加えて、555mg/mLの粗大懸濁液(懸濁液5&6)を調製した。粗大懸濁液は、所望の平均粒径がおよそ0.2μmに達するまで、撹拌しながら、0.30mm YTZ粉砕ビーズ(Nikkato Corp)が入った、29.7Hzに設定した湿式ビーズミル(Netzsch MiniCer)で73~145ml/分にて循環させた。湿式ビーズミルを冷却して、温度を1~25℃に維持した。懸濁液5&6の場合、粉砕した懸濁液を濃縮PEG3350溶液で希釈して、500mg/mLのカボテグラビル、35mg/mLのP338またはP407、40mg/mLのマンニトール、および0~40mg/mLのPEG3350の最終懸濁液組成物を生成した。懸濁液をタイプIガラスバイアルに充填し、窒素でフラッシュし、栓をし(FM457ストッパー)、密封した。得られた懸濁液は、最終的に、最小線量25kGyでのガンマ線照射によって滅菌した。
【0136】
表18は、作製した懸濁液を示す。各懸濁液は、40℃/75%RHにて直立配置で貯蔵した。初期の粒子サイズおよび1か月後の粒子サイズを懸濁液の安定性の指標として測定した。表19は、1か月後の各懸濁液の粒子サイズを示す。初期の粒子サイズと1か月後の粒子サイズとの間に変化はなかった。粒子サイズに変化がないことは、懸濁液の安定性の指標である。
【0137】
表18の作製した各懸濁液の粘度は、作製後初期に測定した。それらの懸濁液の粒子サイズも、作製後初期と、50℃にて1か月の貯蔵後に測定した。結果を表19に示す。懸濁液全体にわたって、加速条件下での貯蔵後の粒子サイズの変化は最小限であった。懸濁液4の粘度は、カボテグラビルの400mg/mL組成物のDoEで観察された粘度の範囲内であり、同様のP338組成と同様のサイズ目標×50 0.2μmを有する懸濁液3aの粘度(上記で論じた)よりも多少は高い。懸濁液の剪断粘度は、粗面化コーンプレートを装備したMalvern Kinexus Proレオメーターを使用して測定した。データは20℃で収集し、データ収集は、0.1s-1~10s-1の剪断速度範囲にわたって、1ディケード(decade)当たり10ポイントで行った。
【0138】
【表20】
【0139】
【表21】
【0140】
実施例10:カボテグラビル懸濁液強度の限界を定義するための湿潤性研究
38mg/mLのP338、35mg/mLのPEG3350、および20mg/mLのマンニトールでのカボテグラビルの湿潤性を評価して、このビヒクル中のカボテグラビル懸濁液のおおよその濃度限界を推定した。これは、粗大懸濁液特性の全体的な変化が観察されるまで、漸増量のカボテグラビルを5gのビヒクルに加えることによって行った。結果を表20にまとめると、このビヒクル中のカボテグラビル固体の懸濁液濃度の上限は600mg/mL以下であることが示される。
【0141】
【表22】
【0142】
本発明は、単に例として上記に記載されており、詳細の変更は、本発明の範囲内で行うことができることが理解されよう。本明細書に開示されている各特徴と、必要に応じて、特許請求の範囲および図面は、独立してまたは任意の適当な組合せで提供され得る。
図1
図2
図3
図4A
図4B
【配列表】
2023505543000001.app
【国際調査報告】