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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-09
(54)【発明の名称】細胞を画像化する組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/40 20060101AFI20230202BHJP
   A61K 49/00 20060101ALI20230202BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20230202BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20230202BHJP
   G01T 1/161 20060101ALI20230202BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20230202BHJP
【FI】
A61N1/40
A61K49/00
A61B6/03 377
A61B6/00 330Z
G01T1/161 B
G01T1/161 A
G01T1/161 D
A61B5/055 390
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535658
(86)(22)【出願日】2020-11-30
(85)【翻訳文提出日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 IB2020000984
(87)【国際公開番号】W WO2021116748
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】62/946,803
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519275847
【氏名又は名称】ノボキュア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】タリ・ボロシン-セラ
(72)【発明者】
【氏名】ハダス・ハーシュコヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ゼーヴ・ボンゾン
【テーマコード(参考)】
4C053
4C085
4C093
4C096
4C188
【Fターム(参考)】
4C053LL20
4C085HH03
4C085HH05
4C085HH07
4C085JJ20
4C085KA28
4C085KA29
4C085KB12
4C085LL18
4C093AA01
4C093AA22
4C093EE30
4C093FA59
4C096AA18
4C096FC20
4C188EE02
4C188FF04
4C188FF07
(57)【要約】
第1の交流電場を第1の周波数でがん細胞に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数でのがん細胞への第1の期間の印加ががん細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;がん細胞にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子ががん細胞膜を越えられるようにする工程;及びがん細胞を画像化する工程を含む、がん細胞を画像化する方法が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.第1の交流電場を第1の周波数で細胞に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数でのがん細胞への第1の期間の印加が細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;
b.細胞にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子が細胞膜を越えられるようにする工程;及び
c.細胞を画像化する工程
を含む、細胞を画像化する方法。
【請求項2】
第1の周波数での第1の交流電場が細胞を画像化する前に除かれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
細胞ががん又は腫瘍細胞である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
第2の交流電場を第2の周波数でがん又は腫瘍細胞に第2の期間について印加する工程であって、第2の周波数が第1の周波数とは異なり、第2の周波数での第2の交流電場ががん又は腫瘍細胞の生存率を低下させる工程を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
がん又は腫瘍細胞における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度が変化する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ナノ粒子が、導電性ナノ粒子、非導電性ナノ粒子、磁性ナノ粒子、Gd3+で装飾されたナノ粒子、ガドリニウムベースの造影剤で装飾されたナノ粒子又は放射性同位元素で装飾されたナノ粒子である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ナノ粒子が、導電性ナノ粒子である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
がん又は腫瘍細胞におけるインピーダンスが低下する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
がん又は腫瘍細胞における導電率が増加する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
第2の交流電場が腫瘍治療電場である、請求項4から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
がん細胞が、神経膠芽腫細胞、子宮肉腫細胞、乳腺癌細胞、膵臓がん細胞、非小細胞肺がん、肝細胞、胃がん細胞又は脳がん細胞である、請求項4から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
がん細胞が神経膠芽腫細胞を含み、第1の周波数が250kHzから350kHzの間であり、第2の周波数が150kHzから250kHzの間である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
がん細胞が子宮肉腫細胞を含み、第1の周波数が125kHzから175kHzの間であり、第2の周波数が75kHzから125kHzの間である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
画像化がMRI、CT、光学画像化、X線、PET、PET-CT、SPECT、SPECT/CT、PEMを使用して実行される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
a.第1の交流電場を第1の周波数で対象における腫瘍標的部位に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数での対象への第1の期間の印加が対象の腫瘍標的部位におけるがん又は腫瘍細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;
b.腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子が腫瘍細胞標的部位におけるがん又は腫瘍細胞の膜を越えられるようにする工程;及び
c.対象における腫瘍細胞標的部位におけるがん又は腫瘍細胞を画像化する工程
を含む、対象におけるがん又は腫瘍細胞を画像化する方法。
【請求項16】
第1の周波数での第1の交流電場が細胞を画像化する前に除かれる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
細胞ががん又は腫瘍細胞である、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
第2の交流電場を第2の周波数でがん又は腫瘍細胞に第2の期間について印加する工程であって、第2の周波数が第1の周波数とは異なり、第2の周波数での第2の交流電場ががん又は腫瘍細胞の生存率を低下させる工程を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
がん又は腫瘍細胞における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度が変化する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ナノ粒子が、導電性ナノ粒子、非導電性ナノ粒子、磁性ナノ粒子、Gd3+で装飾されたナノ粒子、ガドリニウムベースの造影剤で装飾されたナノ粒子又は放射性同位元素で装飾されたナノ粒子である、請求項15から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
ナノ粒子が、導電性ナノ粒子である、請求項15から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
がん又は腫瘍細胞におけるインピーダンスが低下する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
がん又は腫瘍細胞における導電率が増加する、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
第2の交流電場が腫瘍治療電場である、請求項18から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
がん細胞が、神経膠芽腫細胞、子宮肉腫細胞、乳腺癌細胞、膵臓がん細胞、非小細胞肺がん、肝細胞、胃がん細胞又は脳がん細胞である、請求項18から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
がん細胞が神経膠芽腫細胞を含み、第1の周波数が250kHzから350kHzの間であり、第2の周波数が150kHzから250kHzの間である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
がん細胞が子宮肉腫細胞を含み、第1の周波数が125kHzから175kHzの間であり、第2の周波数が75kHzから125kHzの間である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
画像化がMRI、CT、光学画像化、X線、PET、PET-CT、SPECT、SPECT/CT、PEMを使用して実行される、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
第1の交流電場を第1の周波数でがん又は腫瘍細胞に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数でのがん又は腫瘍細胞への第1の期間の印加ががん又は腫瘍細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;がん又は腫瘍細胞にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子ががん又は腫瘍細胞膜を越えられるようにする工程;がん又は腫瘍細胞を画像化する工程;第2の交流電場を第2の周波数でがん又は腫瘍細胞に第2の期間について印加する工程であって、第2の周波数が第1の周波数とは異なり、第2の周波数での第2の交流電場ががん又は腫瘍細胞の生存率を低下させる工程を含む、がん又は腫瘍細胞を画像化する及び対象におけるがん細胞の生存率を低下させる方法。
【請求項30】
第1の交流電場を第1の周波数でがん又は腫瘍細胞に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数でのがん又は腫瘍細胞への第1の期間の印加ががん又は腫瘍細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;がん又は腫瘍細胞にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子ががん又は腫瘍細胞膜を越えられるようにする工程;がん又は腫瘍細胞を画像化する工程;第2の交流電場を第2の周波数でがん又は腫瘍細胞に第2の期間について印加する工程であって、第2の周波数が第1の周波数とは異なり、第2の周波数での第2の交流電場ががん又は腫瘍細胞の電気インピーダンスが変化する工程を含む、がん又は腫瘍細胞を画像化する及び対象におけるがん又は腫瘍細胞における電気インピーダンスを変化させる方法。
【請求項31】
対象における標的部位にナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に交流電場を印加する工程であって、対象の標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化する工程を含む、対象の標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる及び対象の標的部位を画像化する方法。
【請求項32】
対象におけるがん又は腫瘍細胞にナノ粒子を導入する工程;及び対象におけるがん又は腫瘍細胞に交流電場を印加する工程であって、がん又は腫瘍細胞における交流電流の電気インピーダンスが変化する工程を含む、がん又は腫瘍細胞における交流電場の電気インピーダンスを変化させる及び対象のがん又は腫瘍細胞を(in vitroで)画像化する方法。
【請求項33】
対象におけるがん又は腫瘍細胞にナノ粒子を導入する工程;及び対象におけるがん又は腫瘍細胞に交流電場を印加する工程であって、がん又は腫瘍細胞における交流電流の電気インピーダンスが変化する工程を含む、がん又は腫瘍細胞における交流電場の電気インピーダンスを変化させる及び対象におけるがん又は腫瘍細胞を(in vivoで)画像化する方法。
【請求項34】
第1の交流電場を第1の周波数でがん又は腫瘍細胞に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数でのがん又は腫瘍細胞への第1の期間の印加ががん又は腫瘍細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;がん又は腫瘍細胞にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子ががん又は腫瘍細胞膜を越えられるようにする工程;がん又は腫瘍細胞を画像化する工程;対象におけるがん又は腫瘍細胞に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象におけるがん又は腫瘍細胞に隣接する部位に交流電場を印加する工程であって、対象におけるがん又は腫瘍細胞に隣接する部位における交流電流の電気インピーダンスが変化する工程を含む、がん又は腫瘍細胞を画像化する及び対象におけるがん又は腫瘍細胞に隣接する部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法。
【請求項35】
対象における腫瘍標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象における腫瘍標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程であって、対象の腫瘍標的部位に隣接する部位における交流電流の電気インピーダンスが変化する工程及び腫瘍標的部位におけるがん又は腫瘍細胞を画像化する工程を含む、対象における腫瘍標的部位に隣接する部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる及び対象におけるがん又は腫瘍細胞を画像化する方法。
【請求項36】
対象における腫瘍標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び第1の交流電場を第1の周波数で第1の期間について対象における腫瘍標的部位に隣接する部位に印加する工程であって、対象の腫瘍標的部位に隣接する部位における交流電流の電気インピーダンスが変化する工程、第2の交流電場を第2の周波数でがん又は腫瘍細胞に第2の期間について印加する工程であって、第2の周波数での第2の交流電場のがん又は腫瘍細胞への第2の期間についての印加ががん又は腫瘍細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;がん又は腫瘍細胞にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子ががん又は腫瘍細胞膜を越えられるようにする工程;第3の交流電場を第3の周波数でがん又は腫瘍細胞に第3の期間について印加する工程であって、第3の周波数が第2の周波数とは異なり、第3の周波数での第3の交流電場ががん又は腫瘍細胞の生存率を低下させる工程を含む、がん又は腫瘍細胞の生存率を低下させる方法。
【請求項37】
第1の周波数での第1の交流電場が細胞を画像化する前に除かれる、請求項1から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
細胞ががん又は腫瘍細胞である、請求項1から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
第2の交流電場を第2の周波数でがん又は腫瘍細胞に第2の期間について印加する工程であって、第2の周波数が第1の周波数とは異なり、第2の周波数での第2の交流電場ががん又は腫瘍細胞の生存率を低下させる工程を更に含む、請求項1から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
がん又は腫瘍細胞における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度が変化する、請求項1から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
ナノ粒子が、導電性ナノ粒子、非導電性ナノ粒子、磁性ナノ粒子、Gd3+で装飾されたナノ粒子、ガドリニウムベースの造影剤で装飾されたナノ粒子又は放射性同位元素で装飾されたナノ粒子である、請求項1から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
ナノ粒子が、導電性ナノ粒子である、請求項1から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
がん又は腫瘍細胞におけるインピーダンスが低下する、請求項1から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
がん又は腫瘍細胞における導電率が増加する、請求項1から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
第2の交流電場が腫瘍治療電場である、請求項1から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
細胞ががん細胞である、請求項1から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
がん細胞が、神経膠芽腫細胞、子宮肉腫細胞、乳腺癌細胞、膵臓がん細胞、非小細胞肺がん、肝細胞、胃がん細胞又は脳がん細胞である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
がん細胞が神経膠芽腫細胞を含み、第1の周波数が250kHzから350kHzの間であり、第2の周波数が150kHzから250kHzの間である、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
がん細胞が子宮肉腫細胞を含み、第1の周波数が125kHzから175kHzの間であり、第2の周波数が75kHzから125kHzの間である、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
画像化がMRI、CT、光学画像化、X線、PET、PET-CT、SPECT、SPECT/CT、PEMを使用して実行される、請求項1から49のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2019年12月11日出願、米国仮特許出願第62/946,803号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍治療電場又はTTFieldsは、中間周波数範囲(100~300kHz)内の典型的には低強度(例えば、1~3V/cm)交流電場である。TTFを通じて、腫瘍の解剖学的領域に非侵襲性トランスデューサーアレイを通じて交流電場を送達できる。TTFは、分裂中期の際に正確な微小管アセンブリを妨害し、分裂終期、細胞質分裂又は続く静止期に細胞を最終的に破壊することから、抗有糸分裂がん治療様式として確立された。TTFieldsは、その低強度のために非分裂正常細胞、神経及び筋肉の生存率に影響を与えないことが示されている。TTField治療は、再発性神経膠芽腫のための承認された単一処置であり、新たに診断された神経膠芽腫及び切除不能悪性胸膜中皮腫患者のための、化学療法との承認された併用療法である。これらの電場は患者の頭皮に直接置かれたトランスデューサーアレイ(すなわち、電極のアレイ)によって非侵襲性に誘導される。TTFieldsは、身体の他の部位の腫瘍を処置するためにも有益であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,565,205号
【特許文献2】PCT/US19/40479
【特許文献3】米国特許第8,977,365号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Remington: The Science and Practice of Pharmacy (19th ed.) ed. A.R. Gennaro、Mack Publishing Company、Easton、PA 1995
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の交流電場を第1の周波数で細胞に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数でのがん細胞への第1の期間の印加が細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;細胞にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子が細胞膜を越えられるようにする工程;及び細胞を画像化する工程を含む、細胞を画像化する方法が開示される。
【0006】
第1の交流電場を第1の周波数で対象における腫瘍標的部位に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数での対象への第1の期間の印加が対象の腫瘍標的部位におけるがん又は腫瘍細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子が腫瘍細胞標的部位におけるがん又は腫瘍細胞の膜を越えられるようにする工程;及び対象における腫瘍細胞標的部位におけるがん又は腫瘍細胞を画像化する工程を含む、対象におけるがん又は腫瘍細胞を画像化する方法が開示される。
【0007】
第1の交流電場を第1の周波数でがん又は腫瘍細胞に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数でのがん又は腫瘍細胞への第1の期間の印加ががん又は腫瘍細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;がん又は腫瘍細胞にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子ががん又は腫瘍細胞膜を越えられるようにする工程;がん又は腫瘍細胞を画像化する工程;第2の交流電場を第2の周波数でがん又は腫瘍細胞に第2の期間について印加する工程であって、第2の周波数が第1の周波数とは異なり、第2の周波数での第2の交流電場ががん又は腫瘍細胞の生存率を低下させる工程を含む、がん又は腫瘍細胞を画像化する及び対象におけるがん細胞の生存率を低下させる方法が開示される。
【0008】
第1の交流電場を第1の周波数でがん又は腫瘍細胞に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数でのがん又は腫瘍細胞への第1の期間の印加ががん又は腫瘍細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;がん又は腫瘍細胞にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子ががん又は腫瘍細胞膜を越えられるようにする工程;がん又は腫瘍細胞を画像化する工程;第2の交流電場を第2の周波数でがん又は腫瘍細胞に第2の期間について印加する工程であって、第2の周波数が第1の周波数とは異なり、第2の周波数での第2の交流電場ががん又は腫瘍細胞の電気インピーダンスを変化させる工程を含む、がん又は腫瘍細胞を画像化する及び対象におけるがん又は腫瘍細胞の電気インピーダンスを変化させる方法が開示される。
【0009】
対象における標的部位にナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に交流電場を印加する工程であって、対象の標的部位における交流電場の電気インピーダンスが変化する工程を含む、対象の標的部位における交流電流の電気インピーダンスを変化させる及び対象の標的部位を画像化する方法が開示される。
【0010】
対象におけるがん又は腫瘍細胞にナノ粒子を導入する工程;及び対象におけるがん又は腫瘍細胞に交流電場を印加する工程であって、がん又は腫瘍細胞における交流電流の電気インピーダンスが変化する工程を含む、がん又は腫瘍細胞における交流電場の電気インピーダンスを変化させる及び対象のがん又は腫瘍細胞を(in vitroで)画像化する方法が開示される。
【0011】
対象におけるがん又は腫瘍細胞にナノ粒子を導入する工程;及び対象におけるがん又は腫瘍細胞に交流電場を印加する工程であって、がん又は腫瘍細胞における交流電流の電気インピーダンスが変化する工程を含む、がん又は腫瘍細胞における交流電場の電気インピーダンスを変化させる及び対象におけるがん又は腫瘍細胞を(in vivoで)画像化する方法が開示される。
【0012】
第1の交流電場を第1の周波数でがん又は腫瘍細胞に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数でのがん又は腫瘍細胞への第1の期間の印加ががん又は腫瘍細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;がん又は腫瘍細胞にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子ががん又は腫瘍細胞膜を越えられるようにする工程;がん又は腫瘍細胞を画像化する工程;対象におけるがん又は腫瘍細胞に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象におけるがん又は腫瘍細胞に隣接する部位に交流電場を印加する工程であって、対象におけるがん又は腫瘍細胞に隣接する部位における交流電流の電気インピーダンスが変化する工程を含む、がん又は腫瘍細胞を画像化する及び対象におけるがん又は腫瘍細胞に隣接する部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法が開示される。
【0013】
対象における腫瘍標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象における腫瘍標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程であって、対象の腫瘍標的部位に隣接する部位における交流電流の電気インピーダンスが変化する工程及び腫瘍標的部位におけるがん又は腫瘍細胞を画像化する工程を含む、対象における腫瘍標的部位に隣接する部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる及び対象におけるがん又は腫瘍細胞を画像化する方法が開示される。
【0014】
対象における腫瘍標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び第1の交流電場を第1の周波数で第1の期間について対象の腫瘍標的部位に隣接する部位に印加する工程であって、対象の腫瘍標的部位に隣接する部位における交流電流の電気インピーダンスが変化する工程、第2の交流電場を第2の周波数でがん又は腫瘍細胞に第2の期間について印加する工程であって、第2の周波数での第2の交流電場のがん又は腫瘍細胞への第2の期間についての印加ががん又は腫瘍細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;がん又は腫瘍細胞にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子ががん又は腫瘍細胞膜を越えられるようにする工程;第3の交流電場を第3の周波数でがん又は腫瘍細胞に第3の期間について印加する工程であって、第3の周波数が第2の周波数とは異なり、第3の周波数での第3の交流電場ががん又は腫瘍細胞の生存率を低下させる工程を含む、がん又は腫瘍細胞の生存率を低下させる方法が開示される。
【0015】
第1の交流電場を第1の周波数でがん細胞に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数でのがん細胞への第1の期間の印加ががん細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;がん細胞にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子ががん細胞膜を越えられるようにする工程;及びがん細胞を画像化する工程を含む、細胞を画像化する方法が開示される。
【0016】
第1の交流電場を第1の周波数で対象における腫瘍標的部位に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数での対象におけるがん細胞への第1の期間の印加が対象の腫瘍標的部位におけるがん細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子が腫瘍標的部位におけるがん細胞の膜を越えられるようにする工程;及び対象における腫瘍標的部位におけるがん細胞を画像化する工程を含む、対象におけるがん細胞を画像化する方法が開示される。
【0017】
開示される方法及び組成物の追加的有利点は、続く記載に一部記載され、一部は記載から理解される又は開示される方法及び組成物の実行によって得ることができる。開示される方法及び組成物の有利点は、添付の特許請求の範囲に特に示される要素及び組合せの手段によって理解され、達成される。前述の概要及び続く詳細な記載の両方は例示であり、説明のためのみであり、特許請求される本発明の限定ではないことは理解される。
【0018】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図は、開示される方法及び組成物のいくつかの実施形態を例示し、開示される方法及び組成物の原理を記載と共に説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】TTFields強度での腫瘍導電率の増強の例示的効果を示す図である:(図1A)患者の全腫瘍容積領域に印を付けたGBMを有する患者のMRIの軸方向の切片、(図1B)増強した腫瘍組織の導電率値0.24S/mの割り当てからのコンピューター処理した頭部モデルのシミュレーション結果、(図1C)増強した腫瘍組織の導電率値0.3S/mの割り当てからのコンピューター処理した頭部モデルのシミュレーション結果、(図1D)0.3S/m対0.24S/mのシミュレーション結果の相対的差異。
図2】TTFieldsを用いて処置されたGBM患者の45個の頭部モデルの全腫瘍容積における平均LMiPDのヒストグラムを示す図である(number of patients: 患者数、relative increase in TTFields intensity: TTFields強度の相対的増加)。
図3】BTNPの物理化学的特徴付けを示す図である。BTNPの(図3A)FE-SEM及び(図3B)TEM画像、(図3C) FBSコートBTNPのサイズ及びゼータ電位値。
図4】乳がん細胞におけるBTNPの細胞適合性を示す図である。(図4A及び図4B)細胞増殖、(図4C及び図4D)クローン原性アッセイからの代表的な画像、並びに(図4E及び図4F)BTNP処置でのMCF-7及びBT-549細胞におけるコロニー数。データは、3回の独立した実験の平均±標準偏差を表す;**P<0.01及び*P<0.05。N.S.有意でない。
図5】低TTField感受性MCF-7細胞においてBTNPがTTFieldsの抗腫瘍活性を増強したこと示す図である。(図5A)MCF-7、MDA-MB-231及びBT-549細胞におけるTTFields後の細胞増殖、(図5B) MCF-7細胞へのTTFields又は、TTFields及びBTNP処置での細胞の相対数、並びに(図5C)コロニーの定量。データは、3回の独立した実験の平均±標準偏差を表す;**P<0.01及び*P<0.05。
図6】TTFieldsへの応答でのMCF-7及びBT-549細胞におけるBTNPの細胞質内蓄積を示す図である。(図6A及び図6B)フローサイトメトリーヒストグラム並びに(図6C及び図6D)TTFields又は、TTFields及びBTNPを用いて処置されたMCF-7及びBT-549細胞におけるBTNPのサイトゾル局在を示す代表的な画像。(図6E)TTField処置MCF-7細胞におけるBTNPのサイトゾル局在を確認するTEM画像。データは、3回の独立した実験の代表的なものである。
図7】TTFields及びBTNPコンビナトリアル処置でのMCF-7細胞における遺伝子コピー数の変化を示す図である。TTFields又は、TTFields及びBTNPを用いて処置された細胞についての(図7A)グローバル有意性スコア(global significance score)及びグローバル有意性統計(global significance statistics)を用いたヒートマップ、(図7B)方向付けられたグローバル有意性スコア。
図8】TTFieldsと併用されたBTNPによる細胞周期アポトーシス経路の調節を示す図である。TTFields又は、TTFields及びBTNPを用いて処置されたMCF-7細胞の(図8A)ヒートマップにグループ化された細胞周期経路に関連する遺伝子サイン、及び(図8B)ウエスタンブロット。データは、3回の独立した実験の代表的なものである。
図9】TTFieldsの存在下でのBTNPによって誘導されるがん細胞増感の提案される機序の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
開示される方法及び組成物は、本明細書に含まれる具体的な実施形態及び実施例の続く詳細な記載、並びに図面及びそれらに先行する及び続く記載の参照によって更に容易に理解される。
【0021】
開示される方法及び組成物が、他に別段の規定のない限り、具体的な合成方法、具体的な分析技術又は特定の試薬に、それらが変更する場合があることから限定されないことは理解される。本明細書において使用される用語は、具体的な実施形態を記載するのみの目的のためであり、限定することを意図しないことも理解される。
【0022】
本開示の方法及び組成物のために使用され得る、それと併せて使用され得る、その調製において使用され得る又はその産生物である材料、組成物及び成分が開示される。これら及び他の材料は本明細書において開示され、これらの材料の組合せ、サブセット、相互作用、群等が開示される場合に、これらの化合物それぞれの種々の個々の及び集合的な組合せ及び並べ替えの具体的な言及が明確に開示されない場合があるが、それぞれが具体的に検討され、本明細書に記載されることは理解される。それにより、分子A、B及びCのクラスが分子D、E及びFのクラスと共に開示され、分子A~Dの組合せの例が開示される場合に、それぞれが個々に列挙されていなくても、それぞれは個々に及び集合的に検討される。それによりこの例では、組合せA~E、A~F、B~D、B~E、B~F、C~D、C~E及びC~Fのそれぞれは、具体的に検討され、A、B及びC; D、E、及びF;並びに組合せ例A~Dの開示から開示されると見なされるべきである。同様にこれらの任意のサブセット又は組合せも具体的に検討され、開示される。それにより例えばA~E、B~F、及びC~Eのサブグループは、具体的に検討されA、B及びC; D、E及びF;並びに組合せ例A~Dの開示から開示されると見なされるべきである。この概念は、これだけに限らないが、開示される組成物を作製する及び使用する方法における工程を含む本出願のすべての態様に適用される。それにより、実施され得る種々の追加的工程がある場合、これらの追加的工程それぞれが開示された方法の任意の具体的な実施形態又は実施形態の組合せと共に実施され得る、及びそのような組合せのそれぞれが具体的に検討され、開示されたと見なされるべきであることは理解される。
【0023】
A.定義
開示される方法及び組成物は、それらが変化する場合があることから、記載される特定の方法、プロトコール及び試薬に限定されないことは理解される。本明細書において使用される用語が特定の実施形態を記載するのみの目的のためであり、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図しないことも理解される。
【0024】
本明細書において及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上明確に示されていない限り複数の参照物も含むことは注目されるべきである。それにより、例えば「ナノ粒子(a nanoparticle)」に言及することは、単一の又は複数のそのようなナノ粒子を含み、「ナノ粒子(the nanoparticle)」に言及することは1つ又は複数のナノ粒子及び当業者に周知のその等価物に言及することである等。
【0025】
本明細書において使用される場合「標的部位」は、対象又は患者内にある又は存在する特定の部位又は位置である。例えば「標的部位」は、これだけに限らないが、細胞、細胞の集団、器官、組織、腫瘍又はがん細胞を指し得る。一部の態様では、器官として、これだけに限らないが、肺、脳、膵臓、腹部器官(例えば、胃、腸)、卵巣、乳房、子宮、前立腺、膀胱、肝臓、結腸又は腎臓が挙げられる。一部の態様では、細胞又は細胞の集団として、これだけに限らないが、肺細胞、脳細胞、膵臓細胞、腹部の細胞、卵巣細胞、肝細胞、結腸細又は腎細胞が挙げられる。一部の態様では、「標的部位」は、腫瘍標的部位であり得る。
【0026】
「腫瘍標的部位」は、1つ若しくは複数のがん細胞を含む若しくはそれに隣接する、1つ若しくは複数の腫瘍細胞を以前含んだ、又は1つ若しくは複数の腫瘍細胞を含むと疑われる対象又は患者内にある又は存在する部位又は位置である。例えば、腫瘍標的部位は、転移する傾向がある対象又は患者内にある又は存在する部位又は位置を指し得る。追加的に標的部位又は腫瘍標的部位は、対象又は患者内にある又は存在する原発腫瘍の切除の部位又は位置を指し得る。追加的に標的部位又は腫瘍標的部位は、対象又は患者内にある又は存在する原発腫瘍の切除に隣接する部位又は位置を指し得る。
【0027】
本明細書において使用される場合、1つ又は複数の「交流電場」は、対象、対象から得られた試料又は対象若しくは患者内の特定の位置(例えば、標的部位若しくは腫瘍標的部位)に送達される非常に低い強度の方向性(directional)中間周波数交流電場を指す。一部の態様では、交流電場は、単一方向性又は複数方向性であってよい。
【0028】
交流電場の例として、これだけに限らないが腫瘍治療電場が挙げられる。一部の態様では、TTFieldsは、処置される腫瘍内に垂直場を発生させる2対のトランスデューサーアレイを通じて送達され得る。例えばOptune(商標)システム(TTField送達システム)について、1対の電極は腫瘍の左及び右(LR)に配置され、他方の対の電極は腫瘍の前側及び後側(AP)に配置される。これらの2方向(すなわち、LR及びAP)で場を循環させることは、最大範囲の細胞方向を標的化することを確実にする。
【0029】
本明細書に記載される場合、TTFieldsは、分裂中期の際に正確な微小管アセンブリを妨害し、分裂終期、細胞質分裂又は続く静止期に細胞を最終的に破壊することから、抗有糸分裂がん処置様式として確立されている。TTFieldsは、固形腫瘍を標的化し、TTFieldsの教示についてその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,565,205号に記載されている。
【0030】
in-vivo及びin-vitro研究は、TTFields治療の有効性は、電場の強度が増加するにつれて増加することを示している。したがって、脳の疾患領域における強度を増加させるために患者の頭皮上のアレイ配置を最適化することは、Optuneシステムのための標準的技法である。アレイ配置の最適化は、「経験則」(例えば、できるだけ腫瘍の近くの頭皮にアレイを置くこと)、患者の頭部の形状、腫瘍の大きさ及び/又は腫瘍位置を表す測定によって実施され得る。インプットとして使用される測定値は、画像データ由来であってよい。画像データは、例えば、単一光子放射断層撮影(SPECT)画像データ、X-線コンピューター断層撮影(X線CT)データ、磁気共鳴画像法(MRI)データ、ポジトロン断層撮影(PET)データ、光学機器(例えば、写真用カメラ、電荷結合素子(CCD)カメラ、赤外線カメラ等)によって取り込まれ得るデータ等の任意の種類の映像データを含むことが意図される。ある特定の実行では、画像データは、3Dスキャナー(例えば、点群データ)から得られた又はそれによって生成された3Dデータを含み得る。最適化は、アレイの位置の関数として電場が頭部内でどのように分布しているかの理解に依存する場合があり、一部の態様では、さまざまな患者の頭部内での電気的特性の分布における多様性を考慮する。用語「対象」は、投与の標的、例えば動物を指す。それにより、開示される方法の対象は、哺乳動物等の脊椎動物であってよい。例えば対象は、ヒトであり得る。用語は、特定の年齢又は性別を意味しない。対象は、「個体」又は「患者」と互換的に使用され得る。例えば、投与の標的は、交流電場のレシピエントを意味する場合がある。
【0031】
「任意選択」又は「任意選択で」は、続いて記載される事象、環境又は材料が、生じる又は存在する場合としない場合があり、記載が事象、環境又は材料が生じる又は存在する場合及びそれが生じない又は存在しない場合を含むことを意味する。
【0032】
範囲は、本明細書において「約」ある特定の値から及び/又は「約」別の特定の値として表される場合がある。そのような範囲が表される場合、ある特定の値から及び/又は他の特定の値までの範囲が、文脈上特に明記されていない限り、同様に具体的に検討され、開示されたと見なされる。同様に、先行する「約」の使用によって値がおよそとして表される場合、文脈上特に明記されていない限り、開示されると見なされるべきである別の具体的に検討される実施形態を特定の値が形成することは理解される。範囲の各端点は、文脈上特に明記されていない限り、他方の端点との関連において及び他方の端点とは独立に、の両方で重要であることは更に理解される。最終的に、明確に開示された範囲内のすべての個々の値及びそれに含まれる値の部分的な範囲も、文脈上特に明記されていない限り、具体的に検討され、開示されていると見なされるべきであることは理解されるべきである。特定の場合においてこれらの実施形態の一部又はすべてが明確に開示されているかどうかに関わらず、前述のことは適用される。
【0033】
他に定義されない限り、本明細書で使用するすべての技術的及び科学的用語は、開示される方法及び組成物が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似の又は等価の任意の方法及び材料は、本方法及び組成物の実行又は検査において使用され得るが、特に有用な方法、デバイス及び材料が記載される。本明細書において引用される刊行物及びそれらが引用する材料は、本明細書に参照により具体的に組み込まれる。本明細書の記載は、先行する発明を理由に本発明が、そのような開示に先行する権利がないことの承認として解釈されない。いかなる参考文献も先行技術を構成すると承認されない。参考文献の考察はそれらの著者が主張することを述べており、出願人は引用された文献の正確性及び妥当性を検証する権利を保持している。多数の刊行物が本明細書において参照されているが、これらの文献のいずれかが当技術分野における共通の一般的知識の一部を形成することの承認をそのような参考文献が構成しないことは明白に理解される。
【0034】
本明細書の記載及び特許請求の範囲の全体を通じて、語「含む(comprise)」及び「含んでいる(comprising)」及び「含む(comprises)」等の語の変化形は、「これだけに限らないが含む」を意味し、例えば他の添加物、成分、整数又は工程を除外することを意図しない。特に、1つ若しくは複数の工程又は操作を含んでいるとして述べられている方法において、各工程が列挙されているものを含む(工程が「から構成される(consisting of)」等の限定する用語を含まない限り)ことが具体的に検討され、各工程が工程において列挙されていない、例えば他の添加物、成分、整数又は工程を除外することを意図しないことを意味する。
【0035】
B.ナノ粒子
ナノ粒子を含む方法が本明細書において開示される。本明細書に記載されるいずれのナノ粒子も開示される方法の1つ又は複数のために使用され得る。
【0036】
一部の態様では、ナノ粒子は、導電性又は半導電性材料を含み得る。例えばナノ粒子は、カーボンゴールド、二価鉄、セレニウム、銀、銅、白金、酸化鉄、グラフェン、鉄デキストラン、超常磁性酸化鉄、ホウ素ドープデトネーションナノダイアモンド(boron-doped detonation nanodiamond)、又はこれらの組合せを含み得る。一部の態様では、ナノ粒子は、Au/Ag、Au/Cu、Au/Ag/Cu、Au/Pt、Au/Fe、Au/Cu又はAu/Fe/Cuから選択される合金を含む。
【0037】
一部の態様では、ナノ粒子は導電性ナノ粒子であり得る。導電性ナノ粒子は標的部位又は腫瘍標的部位において導電率を増加でき、インピーダンスを低下できる。それにより開示された方法の一部の態様では、標的部位若しくは腫瘍標的部位におけるインピーダンスは低下する及び/又は標的部位若しくは腫瘍標的部位における導電率は増加する。
【0038】
一部の態様では、ナノ粒子は非導電性ナノ粒子である。一部の態様では、非導電性ナノ粒子は強誘電性ナノ粒子である。強誘電性ナノ粒子は、細胞及び組織の電気的刺激を増強するために有望なツールとして現れた。数個のナノトランスデューサーは、光力学的及び熱磁気効果転換を媒介し、ナノ腫瘍学(nanooncology)の分野において腫瘍負荷に抗がん剤刺激を局所的に送達することが明らかになった。これらのナノトランスデューサーの細胞及び組織浸透は、遠隔の電気的な刺激によって調節され得る。強誘電性ナノ粒子のうち、チタン酸バリウムナノ粒子(BTNP)は、高い生体適合性と共に高い比誘電率及び好適な圧電性を有する。そのような非導電性ナノ粒子は、TTField刺激を介して細胞に取り込まれるように及び、がん細胞における細胞周期関連アポトーシスを増強することによるTTFieldsの抗腫瘍性作用を促進するように、本明細書に開示される方法において使用され得る。一部の態様では、非導電性ナノ粒子は強誘電性ナノ粒子ではない。非導電性ナノ粒子は、標的部位又は腫瘍標的部位において導電率を減少でき、インピーダンスを増加できる。それにより開示される方法の一部の態様では、標的部位若しくは腫瘍標的部位におけるインピーダンスは増加し、及び/又は標的部位若しくは腫瘍標的部位における導電率は減少する。
【0039】
一部の態様では、ナノ粒子の集団は、本明細書に開示される方法において使用され得る。一部の態様では、ナノ粒子の集団は、導電性及び非導電性ナノ粒子を含み得る。
【0040】
細胞へのナノ粒子(NP)内部移行は、粒子サイズ及びそのゼータ電位に依存することが周知である。200nmを下回るNPはクラスリン依存性経路又はマクロピノサイトーシス経路を通じてがん細胞によって貪食され得る。一部の態様では、ナノ粒子のサイズは、0.5nmから100nmの間であり得る。一部の態様では、ナノ粒子のサイズは、0.5nmから2.5nmの間であり得る。一部の態様では、ナノ粒子のサイズは、100nmから200nmの間であり得る。一部の態様では、ナノ粒子のサイズは、100nmより大きい場合がある。一部の態様では、開示された方法は、in vivoでがん細胞を標的化するために100nm~200nmのサイズ範囲(肝臓及び脾臓での蓄積を避けるために150nmまでを優先)のナノ粒子(例えば、金属/磁性)の使用を可能にする。
【0041】
一部の態様では、ナノ粒子は、三次元形状を有する。例えば、ナノ粒子は、ナノキューブ、ナノチューブ、ナノ双角錐、ナノプレート、ナノクラスター、ナノチェーン、ナノスター、ナノシャトル、ナノ中空、デンドリマー、ナノロッド、ナノシェル、ナノケージ(nanocage)、ナノ球体、ナノファイバー若しくはナノワイヤー又はこれらの組合せであり得る。
【0042】
一部の態様では、ナノ粒子は、メソ多孔性又は非多孔性である場合がある。
【0043】
一部の態様では、ナノ粒子は、多糖類、ポリアミノ酸又は合成ポリマーでコートされる場合がある。ナノ粒子のために好適なコーティングは、ナノ粒子の毒性を減少させ、ナノ粒子にさまざまな種類の細胞及び生物学的分子との選択的相互作用のための能力を提供できるように選択され得る。ナノ粒子のために好適なコーティングは、それらの凝集能力を減少させる又は、それらの安定性を増加させることによってナノ粒子生体適合性並びに水及び生体液中の溶解度を改善するように選択され得る。ナノ粒子のために好適なコーティングは、ナノ粒子薬物動態に影響を与える、ナノ粒子のパターン、並びに/又は身体における分布及び蓄積を変更するように選択され得る。
【0044】
一部の態様では、ナノ粒子は、対象にナノ粒子を導入する前にスキャホールドに組み込まれ得る。一部の態様では、ナノ粒子は、対象にスキャホールドを導入する前又は後にスキャホールドに又はその中にロードされ得る。例えば、スキャホールドは、対象に外科的に提供されてよく、続いて本明細書に記載される1つ又は複数のナノ粒子は、ナノ粒子がスキャホールドに組み込まれることを可能にする条件下で対象に投与され得る。代替的にナノ粒子は、対象の外でスキャホールドに組み込まれてよく、次いでナノ粒子がロードされたスキャホールドは、対象に外科的に提供され得る。
【0045】
スキャホールドの例として、ヒアルロン酸、フィブリン、キトサン及びコラーゲン等の天然ポリマーを含むスキャホールドがこれだけに限らないが挙げられる。スキャホールドの例として、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレンフマレート(PPF)、ポリ酸無水物、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリホスファゼン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ乳酸(PLA)及びポリ(グリコール酸) (PGA)等の合成ポリマーを含むスキャホールドがこれだけに限らないが挙げられる。
【0046】
一部の態様では、ナノ粒子は1つ又は複数のリガンドにコンジュゲートされる。一部の態様では、1つ又は複数のリガンドは、リンカーを介してナノ粒子にコンジュゲートされる。一部の態様ではリンカーは、チオール基、C2からC12アルキル基、C2からC12グリコール基又はペプチドを含む。一部の態様では、リンカーは、一般式HO-(CH)n,-S-S- (CH2)m-OHによって表され、式中n及びmが独立に1から5の間であるチオール基を含む。一部の態様では、1つ又は複数のリガンドは、小分子、核酸、炭水化物、脂質、ペプチド、抗体、抗体断片又は治療剤である。例えば、1つ又は複数のリガンドは、これだけに限らないが、抗がん薬、細胞障害性薬物、疼痛管理薬、シュードモナス菌体外毒素A、非放射性同位元素(例えば、ホウ素中性子捕獲療法のためのホウ素10)又は光増感剤(例えば、フォトフリン、フォスカン(foscan)、5-アミノレブリン酸、モノ-L-アスパルチルクロリンe6、フタロシアニン、メタテトラ(ヒドロキシフェニル)ポルフィリン、テキサフィリン(texaphyrin)、エチルエチオプルプリンスズ)であってよい。
【0047】
一部の態様では、ナノ粒子は、標識ナノ粒子であり得る。一部の態様では、標識ナノ粒子は、磁性ナノ粒子、Gd3+で装飾されたナノ粒子、放射性同位元素(例えば、テクネチウム99m、ヨウ素123、ヨウ素131、フッ素18炭素11、窒素13、酸素15、ガリウム68、ジルコニウム89及びルビジウム82)で装飾されたナノ粒子、蛍光標識(例えば、量子ドット)で装飾されたナノ粒子、光増感剤(例えば、フォトフリン、フォスカン、5-アミノレブリン酸、モノ-L-アスパルチルクロリンe6、フタロシアニン、メタテトラ(ヒドロキシフェニル)ポルフィリン、テキサフィリン、エチルエチオプルプリンスズ)で装飾されたナノ粒子、色素で装飾されたナノ粒子であり得る。一部の態様では、ナノ粒子は標識抗体でコートされてよく、それによりナノ粒子は間接的に標識される。一部の態様では、サイズの制約がある場合、大きな成分で装飾される又はそれにコンジュゲートされる場合にナノ粒子は、大きな成分に合わせて小さなものであってよい。
【0048】
ナノ粒子の他の例として、これだけに限らないが、シリカナノ粒子、親水性ポリマー(例えば、ポリアクリルアミド(PAA)、ポリウレタン、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリルアミド)(pHEMA)、ある種のポリ(エチレングリコール)及び疎水性ポリマー(例えば、ポリスチレンナノ粒子)が挙げられる。
【0049】
一部の態様では、ナノ粒子は、標的部位に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、腫瘍標的部位に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、腫瘍又はがん細胞に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、1つ又は複数の腫瘍細胞を含むと疑われる対象における位置に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、転移する傾向がある対象又は患者内にある又は存在する部位又は位置に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、対象又は患者内にある又は存在する原発腫瘍の切除の部位又は位置に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、原発腫瘍切除後の注射を介して腫瘍又はがん細胞に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、標的部位に隣接する部位に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、1つ又は複数の腫瘍細胞を含むと疑われる対象における位置に隣接する部位に導入され得る。
【0050】
一部の態様では、ナノ粒子は、腫瘍標的部位に隣接する腫瘍標的部位に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、腫瘍又はがん細胞に隣接する腫瘍標的部位に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、1つ又は複数の腫瘍細胞を含むと疑われる対象における位置に隣接する腫瘍標的部位に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、転移する傾向がある対象又は患者内にある又は存在する部位又は位置に隣接する腫瘍標的部位に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、対象又は患者内にある又は存在する原発腫瘍の切除の部位又は位置に隣接する腫瘍標的部位に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、原発腫瘍切除後の注射を介して、腫瘍又はがん細胞に隣接する腫瘍標的部位に導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、腫瘍内注射を介して(例えば、手術若しくは生検の際のコンピューター断層撮影ガイド下)、腫瘍又はがん細胞に隣接する腫瘍標的部位に導入され得る。
【0051】
一部の態様では、ナノ粒子は、腫瘍内に、頭蓋内に、脳室内に、くも膜下腔内に、硬膜外に、硬膜内に、血管内に、静脈内に(標的化若しくは非標的化)、動脈内に、筋肉内に、皮下に、腹腔内に、経口で、鼻腔内に、腫瘍内注射を介して(例えば、手術若しくは生検の際のコンピューター断層撮影ガイド下)又は吸入を介して、導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、腫瘍標的化成分を使用して腫瘍又は腫瘍標的部位に標的化され得る。腫瘍標的化成分は、これだけに限らないが、葉酸、トランスフェリン、アプタマー、抗体、核酸及びペプチドであり得る。それにより一部の態様では、ナノ粒子は、標的化又は非標的化された様式で対象に導入され得る。
【0052】
一部の態様では、ナノ粒子は、腫瘍容積、送達の方法、交流電場を施すデバイスの制約、画像を取得するデバイスの制約、患者体重、患者年齢、腫瘍のサイズ、腫瘍若しくはがんの種類、腫瘍若しくはがん細胞の位置、患者の年齢又は、患者、がん細胞若しくは腫瘍の任意の他の身体的若しくは遺伝子型の特質に基づく濃度で導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子のサイズは、導入されるナノ粒子の濃度を決定するために使用され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、腫瘍1mm3あたり約0.001から0.01、0.01から0.1、0.1から0.5、0.5から5、5から10、10から20、20から50、50から100、100から200、200から300、300から400、400から500、500から600、600から700、700から800、800から900又は900から1000ngで導入され得る。一部の態様では、ナノ粒子は、約0.001から0.01、0.01から0.1、0.1から0.5、0.5から5、5から10、10から20、20から50、50から100、100から200、200から300、300から400、400から500、500から600、600から700、700から800、800から900又は900から1000μgで導入され得る。
【0053】
一部の態様では、ナノ粒子は、対象に1回、2回、3回又はそれ以上導入され得る。
【0054】
1.医薬組成物
本明細書に記載される1つ又は複数のナノ粒子を含む、医薬組成物が本明細書において開示される。一部の態様では、本明細書に記載されるナノ粒子は、医薬組成物中に提供され得る。例えば本明細書に記載されるナノ粒子は、薬学的に許容される担体を含んで配合され得る。
【0055】
一部の態様では、医薬組成物は、化学療法剤を含み得る。一部の態様では、医薬組成物は、化学療法剤及び本明細書に記載される1つ又は複数のナノ粒子を含み得る。例えば、本明細書に記載される1つ又は複数のナノ粒子及び抗がん薬、細胞障害性薬物、疼痛管理薬、シュードモナス菌体外毒素A、非放射性同位元素(例えば、ホウ素中性子捕獲療法のためのホウ素10)、及び/又は光増感剤(例えば、フォトフリン、フォスカン、5-アミノレブリン酸、モノ-L-アスパルチルクロリンe6、フタロシアニン、メタテトラ(ヒドロキシフェニル)ポルフィリン、テキサフィリン、エチルエチオプルプリンスズ)を含む、医薬組成物が本明細書において開示される。
【0056】
薬学的に許容される担体等の担体を更に含む本明細書に記載される1つ又は複数のナノ粒子を含む組成物が本明細書において開示される。例えば、本明細書において開示されるナノ粒子及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が開示される。
【0057】
例えば、本明細書に記載されるナノ粒子は、薬学的に許容される担体を含み得る。「薬学的に許容される」によって、活性成分のいかなる分解も最小化しかつ対象におけるいかなる有害な副作用も最小化するように選択される、当業者に周知である材料又は担体が意味される。担体の例として、ジミリストイルホスファチジル(DMPC)、リン酸緩衝生理食塩水又は多胞性リポソームが挙げられる。例えば、PG:PC:コレステロール:ペプチド又はPC:ペプチドは、本発明において担体として使用され得る。他の好適な薬学的に許容される担体及びそれらの配合物は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (19th ed.) ed. A.R. Gennaro、Mack Publishing Company、Easton、PA 1995に記載されている。典型的には、適切な量の薬学的に許容される塩は、配合物において配合物を等張にするために使用される。薬学的に許容される担体の他の例として、これだけに限らないが、生理食塩水、リンゲル溶液及びブドウ糖溶液が挙げられる。溶液のpHは、約5から約8又は約7から約7.5であり得る。さらなる担体として、組成物を含有する固形疎水性ポリマーの半透性マトリックス等の徐放調製物が挙げられ、そのマトリックスは、成型品の形態、例えば、フィルム、ステント(血管再建術手順の際に血管に埋入される)、リポソーム又は微小粒子の形態である。ある特定の担体が、例えば投与の経路及び投与されるナノ粒子の濃度に応じて更に好ましい場合があることは当業者に明らかである。最も典型的にはこれらは、滅菌水、生理食塩水及び生理学的pHの緩衝液等の溶液が挙げられる、ヒトへの薬物の投与のための標準的担体である。
【0058】
医薬組成物は、本発明のポリペプチド、ペプチド、核酸、ベクターの意図する活性が損なわれない限り、担体、増粘剤、希釈剤、緩衝液、保存剤等も含み得る。医薬組成物は、抗菌剤、抗炎症剤、麻酔剤等の1つ又は複数の活性成分も(本発明の組成物に加えて)含み得る。医薬組成物は、局所又は全身性処置が望ましいかどうか、及び処置される領域に応じて多数の方法で投与され得る。
【0059】
非経口投与の調製物として、滅菌水性又は非水性溶液、懸濁剤及び乳剤が挙げられる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油及びオレイン酸エチル等の注射可能な有機エステルである。水性担体として、生理食塩水及び緩衝媒体を含む、水、アルコール性/水性溶液、乳剤又は懸濁剤が挙げられる。非経口ビヒクルとして、塩化ナトリウム溶液、リンゲルブドウ糖、ブドウ糖及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル又は固定油が挙げられる。静脈内ビヒクルとして、補充液及び栄養補充薬、電解質補充薬(リンゲルブドウ糖に基づくもの等)等が挙げられる。例えば抗菌剤、抗酸化剤、キレート薬剤及び不活性ガス等の保存剤及び他の添加物も存在してよい。
【0060】
最適な投与のための配合物として、軟膏、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、滴下剤、座薬、スプレー剤、液剤及び粉剤が挙げられる。従来の医薬用担体、水性の、粉末の又は油性の基材、増粘剤等が必要である又は望ましい場合がある。
【0061】
経口投与のための組成物として、粉剤若しくは顆粒剤、水若しくは非水性媒体中の懸濁剤若しくは溶液、カプセル、サシェ(sachet)又は錠剤が挙げられる。増粘剤、香味剤、希釈剤、乳化剤、分散補助剤(dispersing aid)又は結合剤は望ましい場合がある。一部の組成物は、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸及びリン酸等の無機酸、並びにギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸及びフマル酸等の有機酸との反応によって、又は水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム等の無機塩基並びにモノ-、ジ-、トリアルキル及びアリールアミン及び置換エタノールアミン等の有機塩基との反応によって形成された薬学的に許容される酸又は塩付加塩として投与される可能性もある。
【0062】
本明細書に記載される方法において、本明細書において開示されるナノ粒子又は医薬組成物の対象への送達(又は投与又は導入)は、種々の機序を介してであってよい。
【0063】
C.画像化
歴史的に、対象において小さな微小転移を画像化することは困難であることが示されている。主に、対象における小さな微小転移を画像化することは、そのような小さな微小転移におけるシグナルがしばしば低すぎることから困難であることが示されている。細胞(例えば、がん又は腫瘍細胞)を画像化する改善された方法が本明細書において開示される。
【0064】
ナノ粒子が細胞の細胞膜を選択的に越えられるように対象にナノ粒子を導入する工程、及びナノ粒子が細胞内部にある場合にナノ粒子を画像化する工程を含む、細胞(例えば、がん又は腫瘍細胞)を画像化する方法が本明細書において開示される。一部の態様では、画像化の方法は、細胞に交流電場を印加する工程であって、交流電場の印加が細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程を含む。
【0065】
細胞に一定期間交流電場を印加する工程であって、交流電場の印加が細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;細胞にナノ粒子を導入する工程及び前期細胞を画像化する工程を含む、細胞を画像化する方法が開示される。一部の態様では、交流電場は、細胞膜の透過性を増加させ、ナノ粒子が細胞の細胞膜を越えられるようにする。一部の態様では、細胞は、がん又は腫瘍細胞である。一部の態様では、細胞は、がん又は腫瘍細胞ではない。
【0066】
ナノ粒子ががん又は腫瘍細胞の細胞膜を選択的に越えられるように対象にナノ粒子を導入する工程、及びナノ粒子ががん又は腫瘍細胞の細胞膜を越えたら細胞を画像化する工程を含む、がん又は腫瘍細胞を画像化する方法が本明細書において開示される。
【0067】
開示される画像化の方法は、本明細書において開示される任意の他の方法と関連して使用され得る。例えば、がん又は腫瘍細胞を画像化し、次に対象を処置する方法が本明細書において開示される。
【0068】
第1の交流電場を第1の周波数でがん又は腫瘍細胞に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数でのがん又は腫瘍細胞への第1の期間の印加ががん細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;がん又は腫瘍細胞にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子ががん又は腫瘍細胞膜を越えられるようにする工程;及びがん又は腫瘍細胞を画像化する工程を含む、がん又は腫瘍細胞を画像化する方法が開示される。
【0069】
第1の交流電場を第1の周波数で対象における腫瘍標的部位に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数での対象への第1の期間の印加が対象の腫瘍標的部位におけるがん又は腫瘍細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程であって、がん又は腫瘍細胞の細胞膜の透過性の増加がナノ粒子が腫瘍的部位におけるがん又は腫瘍細胞の膜を越えられるようにする工程;及び対象における腫瘍標的部位におけるがん又は腫瘍細胞を画像化する工程を含む、対象におけるがん又は腫瘍細胞を画像化する方法が開示される。
【0070】
本明細書において開示される画像化の方法は、本明細書において開示される対象の標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法との組み合わせで使用され得る。
【0071】
本明細書において開示される画像化の方法は、本明細書において開示される対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる方法との組み合わせで使用され得る。
【0072】
本明細書において開示される画像化の方法は、本明細書において開示される細胞の細胞膜を越えるナノ粒子の輸送を改善するための方法との組み合わせで使用され得る。
【0073】
本明細書において開示される画像化の方法は、本明細書において開示される細胞の生存率を低下させる方法との組み合わせで使用され得る。画像化方法及び/又は、標的部位若しくは腫瘍標的部位においてナノ粒子が細胞に入れるようにするある周波数(第1の周波数)を用いて標的部位若しくは腫瘍標的部位における電気インピーダンスを変化させ、次に第2の周波数を標的部位若しくは腫瘍標的部位に印加する方法であって、標的部位又は腫瘍標的部位における第2の周波数への電気インピーダンスが変化し、複数回の第1の及び第2の周波数を印加することを更に含む方法が開示される。
【0074】
第1の交流電場を第1の周波数でがん又は腫瘍細胞に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数でのがん又は腫瘍細胞への第1の期間の印加ががん又は腫瘍細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;がん又は腫瘍細胞にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子ががん又は腫瘍細胞膜を越えられるようにする工程;がん又は腫瘍細胞を画像化する工程;第2の交流電場を第2の周波数でがん又は腫瘍細胞に第2の期間について印加する工程であって、第2の周波数が第1の周波数とは異なり、第2の周波数での第2の交流電場ががん又は腫瘍細胞の生存率を低下させる工程を含む、がん又は腫瘍細胞を画像化する及び対象におけるがん細胞の生存率を低下させる方法が開示される。例えば、画像化ががん又は腫瘍細胞の存在を示す結果を示す場合、次に第2の交流電場は、ナノ粒子ががん又は腫瘍細胞に既に存在している間にがん又は腫瘍細胞の生存率を低下させるように印加され得る。
【0075】
第1の交流電場を第1の周波数でがん又は腫瘍細胞に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数でのがん又は腫瘍細胞への第1の期間の印加ががん又は腫瘍細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;がん又は腫瘍細胞にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子ががん又は腫瘍細胞膜を越えられるようにする工程;がん又は腫瘍細胞を画像化する工程;第2の交流電場を第2の周波数でがん又は腫瘍細胞に第2の期間について印加する工程であって、第2の周波数が第1の周波数とは異なり、第2の周波数での第2の交流電場ががん又は腫瘍細胞における電気インピーダンスを変化させる工程を含む、がん又は腫瘍細胞を画像化する及び対象におけるがん又は腫瘍細胞における電気インピーダンスを変化させる方法が開示される。
【0076】
対象における標的部位にナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に交流電場を印加する工程あって、対象の標的部位における交流電場の電気インピーダンスが変化する工程を含む、対象の標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる及び対象における標的部位を画像化する方法が開示される。
【0077】
対象におけるがん又は腫瘍細胞にナノ粒子を導入する工程;及び対象におけるがん又は腫瘍細胞に交流電場を印加する工程であって、がん又は腫瘍細胞における交流電流の電気インピーダンスが変化する工程を含む、がん又は腫瘍細胞における交流電場の電気インピーダンスを変化させる及び対象のがん又は腫瘍細胞を(in vitroで)画像化する方法が開示される。対象におけるがん又は腫瘍細胞にナノ粒子を導入する工程;及び対象におけるがん又は腫瘍細胞に交流電場を印加する工程であって、がん又は腫瘍細胞における交流電流の電気インピーダンスが変化する工程を含む、がん又は腫瘍細胞における交流電場の電気インピーダンスを変化させる及び対象におけるがん又は腫瘍細胞を(in vivoで)画像化する方法が開示される。
【0078】
本明細書において開示される画像化の方法は、本明細書において開示される対象の標的部位に隣接する部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法との組み合わせで使用され得る。
【0079】
本明細書において開示される画像化の方法は、本明細書において開示される対象の標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法との組み合わせで使用され得る。ナノ粒子が標的部位若しくは腫瘍標的部位における細胞に入れるようにするある周波数(第1の周波数)を用いて標的部位若しくは腫瘍標的部位における電気インピーダンスを変化させ、次に第2の周波数を標的部位若しくは腫瘍標的部位に印加する方法であって、標的部位又は腫瘍標的部位における第2の周波数への電気インピーダンスが変化し、複数回の第1の及び第2の周波数を印加することを更に含む方法が開示される。一部の態様では細胞は、がん細胞である。一部の態様ではがん細胞は、神経膠芽腫細胞、子宮肉腫細胞、乳腺癌細胞、膵臓がん細胞、非小細胞肺がん、肝細胞、胃がん細胞又は脳がん細胞である。一部の態様では、がん細胞は神経膠芽腫細胞を含み、第1の周波数は250kHzから350kHzの間であり、第2の周波数は150kHzから250kHzの間である。一部の態様では、がん細胞は、子宮肉腫細胞を含み、第1の周波数は125kHzから175kHzの間であり、第2の周波数は75kHzから125kHzの間である。一部の態様では、がん細胞は、乳腺癌細胞を含み、第1の周波数は75kHzから175kHzの間であり、第2の周波数は100kHzから300kHzの間である。一部の態様では、ナノ粒子を導入する工程は所与の時期に開始し、ここで第1の交流電場を印加する工程は所与の時期の少なくとも12時間後に終了する。一部の態様では第1の交流電場を印加する工程は、所与の時期の少なくとも1時間前に開始する。一部の態様では、第2の期間は、第2の交流電場が第2の周波数でがん細胞に印加される際に複数の連続しない間欠期を含み、複数の連続しない間欠期は合計で少なくとも1週間になる。
【0080】
本明細書において開示される画像化の方法は、本明細書において開示される対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる方法との組み合わせで使用され得る。一部の態様では、細胞は、がん細胞である。一部の態様では、がん細胞は、神経膠芽腫細胞、子宮肉腫細胞、乳腺癌細胞、膵臓がん細胞、非小細胞肺がん、肝細胞、胃がん細胞又は脳がん細胞である。一部の態様では、がん細胞は神経膠芽腫細胞を含み、第1の周波数は250kHzから350kHzの間であり、第2の周波数は150kHzから250kHzの間である。一部の態様では、がん細胞は、子宮肉腫細胞を含み、第1の周波数は125kHzから175kHzの間であり、第2の周波数は75kHzから125kHzの間である。一部の態様では、がん細胞は、乳腺癌細胞を含み、第1の周波数は75kHzから175kHzの間であり、第2の周波数は100kHzから300kHzの間である。一部の態様では、ナノ粒子を導入する工程は所与の時期に開始し、ここで第1の交流電場を印加する工程は所与の時期の少なくとも12時間後に終了する。一部の態様では、第1の交流電場を印加する工程は、所与の時期の少なくとも1時間前に開始する。一部の態様では、第2の期間は、第2の交流電場が第2の周波数でがん細胞に印加される際に複数の連続しない間欠期を含み、複数の連続しない間欠期は合計で少なくとも1週間になる。
【0081】
本明細書において開示される画像化の方法は、本明細書において開示される対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる方法との組み合わせで使用され得る。一部の態様では、細胞は、がん細胞である。一部の態様では、がん細胞は、神経膠芽腫細胞、子宮肉腫細胞、乳腺癌細胞、膵臓がん細胞、非小細胞肺がん、肝細胞、胃がん細胞又は脳がん細胞である。一部の態様では、がん細胞は神経膠芽腫細胞を含み、第1の周波数は250kHzから350kHzの間であり、第2の周波数は150kHzから250kHzの間である。一部の態様では、がん細胞は子宮肉腫細胞を含み、第1の周波数は125kHzから175kHzの間であり、第2の周波数は75kHzから125kHzの間である。一部の態様では、がん細胞は乳腺癌細胞を含み、第1の周波数は75kHzから175kHzの間であり、第2の周波数は100kHzから300kHzの間である。一部の態様では、ナノ粒子を導入する工程は所与の時期に開始し、ここで第1の交流電場を印加する工程は所与の時期の少なくとも12時間後に終了する。一部の態様では、第1の交流電場を印加する工程は、所与の時期の少なくとも1時間前に開始する。一部の態様では、第2の期間は、第2の交流電場が第2の周波数でがん細胞に印加される際に複数の連続しない間欠期を含み、複数の連続しない間欠期は合計で少なくとも1週間になる。
【0082】
一部の態様では、本明細書において開示される方法は、複数回の第1の及び第2の周波数を印加することを更に含み得る。
【0083】
第1の交流電場を第1の周波数でがん又は腫瘍細胞に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数でのがん又は腫瘍細胞への第1の期間の印加ががん又は腫瘍細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;がん又は腫瘍細胞にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子ががん又は腫瘍細胞膜を越えられるようにする工程;がん又は腫瘍細胞を画像化する工程;対象におけるがん又は腫瘍細胞に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象におけるがん又は腫瘍細胞に隣接する部位に交流電場を印加する工程であって、対象におけるがん又は腫瘍細胞に隣接する部位における交流電流の電気インピーダンスが変化する工程を含む、がん又は腫瘍細胞を画像化する及び対象におけるがん又は腫瘍細胞に隣接する部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法が開示される。
【0084】
対象における腫瘍標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の腫瘍標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程であって、対象の腫瘍標的部位に隣接する部位における交流電流の電気インピーダンスが変化する工程及び腫瘍標的部位におけるがん又は腫瘍細胞を画像化する工程を含む、対象における腫瘍標的部位に隣接する部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる及び対象におけるがん又は腫瘍細胞を画像化する方法が開示される。
【0085】
対象における腫瘍標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び第1の交流電場を第1の周波数で第1の期間について対象における腫瘍標的部位に隣接する部位に印加する工程であって、対象の腫瘍標的部位に隣接する部位における交流電流の電気インピーダンスが変化する工程、第2の交流電場を第2の周波数でがん又は腫瘍細胞に第2の期間について印加する工程であって、第2の周波数での第2の交流電場のがん又は腫瘍細胞への第2の期間についての印加ががん又は腫瘍細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;がん又は腫瘍細胞にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子ががん又は腫瘍細胞膜を越えられるようにする工程;第3の交流電場を第3の周波数でがん又は腫瘍細胞に第3の期間について印加する工程であって、第3の周波数が第2の周波数とは異なり、第3の周波数での第3の交流電場ががん又は腫瘍細胞の生存率を低下させる工程を含む、がん又は腫瘍細胞の生存率を低下させる方法が開示される。
【0086】
がん又は腫瘍細胞の細胞透過性を増加させる、及び/又はナノ粒子が細胞(例えば、がん又は腫瘍細胞)に入るようにする第1の周波数を用いて細胞を越える輸送を改善し、次に細胞内のナノ粒子の存在に基づいて細胞を画像化する方法が開示される。一部の態様では、細胞は、がん又は腫瘍細胞ではない。
【0087】
一部の態様では、2019年7月3日出願PCT/US19/40479の方法は、本明細書において開示される方法において使用され得る。例えば、2019年7月3日出願PCT/US19/40479は、同書の教示について参照により本明細書に組み込まれ、細胞の細胞膜を越えて物質を送達する方法及びプロセスを記載している。例えば、2019年7月3日出願PCT/US19/40479は、細胞に一定期間交流電場を印加する工程であって、交流電場の印加が細胞膜の透過性を増加させる工程;及び細胞近傍に物質を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加が物質が細胞膜を越えられるようにする工程を含む、方法及びプロセスを記載している。
【0088】
一部の態様では、本明細書において開示される画像化の方法は、対象において又はについて(in vivoで)実施され得る。一部の態様では、本明細書において開示される画像化の方法は、in vitroで(例えば、対象から得られた試料で)実施され得る。一部の態様では、本明細書において開示される画像化の方法は、対象ががんを有すると診断される前又は後に実施され得る。一部の態様では、本明細書において開示される画像化の方法は、対象ががんのための処置又は治療を受ける前又は後に実施され得る。一部の態様では、本明細書において開示される画像化の方法は、対象ががんのための処置又は治療を受ける前及び後に実施され得る。一部の態様では、本明細書において開示される画像化の方法は、対象ががんのための処置又は治療を受ける前、その間に及び後に実施され得る。
【0089】
一部の態様では本明細書において開示される画像化の方法は、疾患又は医学的状態を有する患者を診断するため、又は診断を補助するために使用され得る。例えばがん及び腫瘍細胞を画像化する方法は、がんを有する患者を診断する又は診断を補助するために使用され得る。一部の態様では画像法に基づいて対象を診断した後に、処置(例えば、対象に腫瘍治療電場を印加すること)は対象に適用され得る。本明細書において開示される方法を使用して診断されると、方法は適切な治療、治療剤又は処置を対象に投与することを更に含む場合がある。
【0090】
一部の態様では、本明細書において開示される任意のナノ粒子は本明細書において開示される画像化の方法において使用され得る。一部の態様では、細胞の細胞膜を越えて送達されるナノ粒子は、導電性ナノ粒子である。一部の態様では、ナノ粒子は、非導電性ナノ粒子である。一部の態様では、非導電性ナノ粒子は、強誘電性ナノ粒子ではない。それにより一部の態様ではナノ粒子は、非強誘電性ナノ粒子である場合がある。
【0091】
一部の態様では、細胞を画像化する方法において、方法は、細胞に一定期間交流電場を印加する工程を一部含む。一部の態様では、交流電場は、がん細胞にだけナノ粒子を導入するために使用され得る。一部の態様では、交流電場は、約200kHzの周波数で印加され得る。一部の態様では、交流電場は、50から190kHzの間の周波数で印加され得る。一部の態様では、交流電場は、210から400kHzの間の周波数で印加され得る。一部の態様では、交流電場は、少なくとも1V/cm RMSの場の強度を有する。一部の態様では、交流電場は、50から190kHzの間の周波数を有する。一部の態様では交流電場は、210から400kHzの間の周波数を有する。一部の態様では、交流電場は、少なくとも1V/cm RMSの場の強度を有する。一部の態様では、交流電場は、1から4V/cm RMSの間の場の強度を有する。
【0092】
一部の態様では、ナノ粒子を導入する工程は所与の時期に開始し、ここで交流電場を印加する工程は所与の時期の少なくとも12時間後に終了する。一部の態様では、交流電場を印加する工程は、所与の時期の少なくとも1時間前に開始する。一部の態様では、交流電場を印加する工程は、所与の時期の少なくとも1からおよそ24時間前に開始する。
【0093】
一部の態様では、ナノ粒子は、画像化及び/又は検出を更に補助するための標識ナノ粒子であり得る。一部の態様では、標識ナノ粒子は、磁性ナノ粒子、Gd3+で装飾されたナノ粒子、放射性同位元素(例えば、テクネチウム99m、ヨウ素123、ヨウ素131、フッ素18炭素11、窒素13、酸素15、ガリウム68、ジルコニウム89及びルビジウム82)で装飾されたナノ粒子、蛍光標識(例えば、量子ドット)で装飾されたナノ粒子、光増感剤(例えば、フォトフリン、フォスカン、5-アミノレブリン酸、モノ-L-アスパルチルクロリンe6、フタロシアニン(pthalocyanines)、メタテトラ(ヒドロキシフェニル)ポルフィリン、テキサフィリン、エチルエチオプルプリンスズ)で装飾されたナノ粒子、色素で装飾されたナノ粒子であり得る。一部の態様では、ナノ粒子は標識抗体でコートされている場合があり、それによりナノ粒子は間接的に標識される。一部の態様では、サイズの制約がある場合、大きな成分で装飾される又はそれにコンジュゲートされる場合にナノ粒子は、大きな成分に合わせて小さなサイズのものであってよい。
【0094】
一部の態様では、ナノ粒子のサイズは、0.5nmから100nmの間であり得る。一部の態様では、ナノ粒子のサイズは、0.5nmから2.5nmの間であり得る。一部の態様では、ナノ粒子のサイズは、100nmから200nmの間であり得る。一部の態様では、ナノ粒子のサイズは、100nmより大きい場合がある。一部の態様では、開示された方法は、in vivoでがん細胞を標的化するために100nm~200nmのサイズ範囲(肝臓及び脾臓での蓄積を避けるために150nmまでを優先)のナノ粒子(例えば、金属/磁性)の使用を可能にする。細胞に入らなかったナノ粒子のクリアランス(すなわち、バックグラウンドクリアランス)後に、対象の標的領域は直径3mm未満である腫瘍を検出するために画像化(例えば、CT及び/又はMRIスキャンを通じて)され得る。このことは、直径3mm未満である腫瘍を検出するためには不十分である現在使用されている診像画断プラットフォームの解像度を超えて有利である。
【0095】
一部の態様では、画像化は、磁気共鳴画像法(MRI)、コンピューター断層撮影(CT)、光学画像化(例えば、蛍光)、X線、ポジトロン断層撮影(PET)、ポジトロン断層撮影コンピューター断層撮影(PET-CT)、単一光子放射断層撮影(SPECT)、スペクトルコンピュータ断層撮影(SPECT/CT)及び/又はポジトロン放出マンモグラフィ(PEM)を使用して実行され得る。
【0096】
MRI画像法が使用される場合、画像化を実施するためのMRIシステムは、当技術分野において周知であるMRIシステムでの従来法で見出される構成要素を含み得る。任意選択で、MRIシステムが当技術分野において周知である臨床用全身MRIシステム(clinical whole body MRI system)であり得ることは検討される。しかし、例えば「オープン」MRIシステムが挙げられる任意の周知のMRIシステムが使用され得ることは検討される。例示的態様では、MRIシステムは、本明細書において更に開示されるとおり、画像化される領域周辺に強磁場を形成するように設定されたスキャナーを含み得る。これらの態様では、スキャナーは、対象の標的領域が位置付けられるボアを明確にできる。さらなる態様では、MRIシステムは、振動磁場からのエネルギーへの応答で画像化領域内の励起原子(プロトン)によって放出されるシグナルを測定できる少なくとも1つの受信コイルを含み得る。さらなる態様では、MRIシステムは、主磁場を変動させるように設定された1つ又は複数の傾斜磁場コイルを含み得る。MRIシステムの受信コイル及び傾斜磁場コイルが特定の印加のために選択又は最適化され得ることは検討されるが、本明細書において開示される方法を実施することができる他のMRIシステム構成要素と併せて提供される限り、任意の従来の受信コイル又は傾斜磁場コイルが使用され得ることは検討される。例示的態様では傾斜磁場コイルは、スキャナーボアの少なくとも一部の周囲を囲んでいてよいが、一方受信コイルは標的領域近くでボア内に位置付けられ得る。任意選択でMRIシステムは、少なくとも1つの処理装置(例えば、1又は複数のプロセッサ)を更に含み得る。任意選択でMRIシステムの少なくとも1つの処理装置は、MRIシステムの他の構成要素と物理的に関連され得る。追加的又は代替的に本明細書において更に開示されるとおり、少なくとも1つの処理装置は、MRIシステムに通信可能に接続され(又は別の方法では、通信して位置付けられ)得る。これらの処理装置が、例えば、MRIシステム構成要素に通信可能に接続されたリモートコンピュータデバイス等が挙げられる任意の従来の形態で提供され得ることは検討される。任意選択で処理装置は、スマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータ、クラウ
ドベースコンピュータシステム等であってよい。
【0097】
使用では、画像化が、例えば、限定することなく、T1-及びT2-強調画像化、拡散テンソル画像法(DTI)又は、拡散強調スピンエコー(DWSE)及び/若しくは拡散強調誘発エコー(DWSTE)画像化技術を含む拡散強調画像法(DWI)等の1つ又は複数の従来のMRI技術を使用して実施され得ることは検討される。さらなる態様では、MRIシステムのコイルのシグナル雑音比が標的細胞の個別の深度のために最適化され得ることは検討される。
【0098】
従来のMRI法は、標的領域からのシグナルが弱すぎることから小さな微小転移を適切に検出できない。しかし、従来のMRI法が標的細胞の細胞透過性を増加させる本開示の方法と併せて使用される場合、標的細胞の画像化のための強いシグナルを提供するために十分なレベル/容積でナノ粒子が標的細胞内に存在し得ることが検討される。例示的適用では、この様式で標的細胞を画像化する能力は、微小転移の早期検出を可能にできる。任意選択で一部の態様では、本明細書において開示されるナノ粒子は、MRI画像の明瞭さを改善するように設定されている1つ又は複数の造影剤(例えば、ガドリニウム)を含み得る。
【0099】
さらなる例示的態様では、本明細書において開示される画像化法は、本明細書において更に開示されるとおり、標的領域(例えば、標的細胞)の画像の取得を開始するためのMRIシステムの(又はそれと通信する)少なくとも1つの処理装置を使用することを含み得る。さらなる態様では、少なくとも1つの処理装置が、対象に送達されるナノ粒子の種類、画像化される細胞の種類、及び/又は画像化される細胞の位置における変化を考慮するためにMRIシステムの1つ又は複数のパラメーターを修正できることは検討される。任意選択で、対象内の複数の標的領域の画像がMRIシステムのパラメーターの適切な調整後に連続的に作成され得ることは検討される。
【0100】
上に示されたとおり、一部の態様では、細胞の本開示の画像化は、CT技術を使用して実施され得る。CTに関して本明細書において使用される場合、用語「従来の」は、画像をもたらす放射線源を使用する全スペクトルエネルギー範囲(whole spectral energy range)でのX線を使用する標準的CT法及び実行を指す。例えば従来のCTスキャンの際に、多数のX線投影像のコンピューター処理された組合せは、走査された物体(例えば、対象)の特定の容積の横断面(断層撮影)画像(仮想「切片」)をもたらすようにさまざまな角度から撮られてよい一方で、スペクトルCTは、高原子番号元素を含む注入された粒子に通常基づいて、走査された物体(例えば、対象)のスペクトルCT画像をもたらすように、複数のエネルギービン又はウインドウを用いるX線を使用するコンピューター断層撮影の比較的新しい様式である。用語「従来のCT」の使用は、本開示の任意の他の態様が周知又は従来法であることを示さない。
【0101】
使用では、従来のCT技術は、本明細書において更に開示されるとおり、細胞の高品質画像を作成するために使用され得る。CT画像を作成するために、X線源/発生装置は、X線検出器がX線源の反対の位置に位置付けられて、対象の標的領域の周囲を回る。走査データが取得された後に、当技術分野において周知のとおりトモグラフィー再構成が、一連の横断面画像を作成するために使用され得る。任意選択で、従来のCTは、低軟組織コントラストを用いた統合モード(integration mode)で操作されたX線検出器を使用し得る。スペクトルCT、特に光子計数検出器に基づくものは、走査された細胞の成分組成を示すスペクトル情報を明らかにできるような高エネルギー分解能を提供できる。スペクトルCTは、機能的及び分子的レベルのプロセスに関連する組織の化学分析を提供できる。SPECT技術は、細胞内プロセスを研究するための核画像化法として使用され得る。
【0102】
例示的態様では、開示される方法は、低線量での造影(contrast-enhanced)解剖学的画像化を提供するスペクトルCT画像、及びゴールドナノ粒子等の標的化ナノ粒子を介する分子画像化及びリニアアクセレレータへの標的化ラジオプローブを介する分子画像化を提供するSPECT画像化を統合できる。この統合は、従来の解剖学的画像化様式(kV画像化及びコーンビーム断層撮影法(CBCT)を含む)によって検出可能なサイズにがんが増殖するよりずっと前に変化する細胞の特徴、組織機能及び生化学/代謝を同定することによってがんを検出する能力を提供できる。
【0103】
従来のCT及びスペクトルCT画像化では、X線源は、当技術分野において周知のとおり、ピクセル化光子計数イメージャーに向けて対象の標的領域を通過するkV X線光子を放出できる。イメージャーは、各ピクセルと相互作用する各X線光子のエネルギー及び位置情報を記録する。本明細書において記載されるナノ粒子は、1つ又は複数の高原子番号元素又は材料及び同位体標識放射性医薬品を含有するCT造影剤(例えば、ヨード造影剤)を含み得る。
【0104】
任意選択で、SPECT画像を取得する場合、X線管はオフにされていてよく、ガンマ線多孔コリメーターは、ガンマ線の等方性放出によりイメージャーピクセルの表面に通常方向付けられるガンマ線の視準を合わせるためにイメージャーの前に置かれてよい。例示的なコリメーター型は、コリメーターの孔がイメージャーのピクセルのサイズに適合するように設計され得る平行孔コリメーターであってよいが、単一又は多孔ピンホールコリメーターも使用され得る。
【0105】
蛍光画像化が使用される場合、画像化は、励起源、光ディスプレイオプティクス(light display optics)、光アソートメントオプティクス(light assortment optics)、フィルトレーションアセンブリ及び検出アセンブリを使用して実施され得る。励起源は、広波長光源(例えば、UV光)又は狭波長光源(例えば、レーザー)のいずれも生じることができる。光ディスプレイオプティクスは、励起源からの光を標的領域の細胞に照射(例えば、直接照射)するように設定され得る。レンズ、鏡及び/又はフィルターを含み得る光アソートメントオプティクスは、励起源によって発せられた光を標的領域内の細胞による光の吸収後に回収するように設定され得る。フィルトレーションアセンブリは、反射及び散乱光が蛍光に含まれないようにする1つ又は複数の光学フィルター(例えば、ロングパス、ショートパス及び/又はバンドパスフィルター)を含み得る。検出アセンブリは、放出されたプロトンを検出及び定量するように設定された光電子増倍管(PMT)又は電荷結合素子(CCD)を含み得る。蛍光画像化が、例えば及び限定的することなく、全反射照明蛍光顕微鏡(単一分子の蛍光を選択的に観察するためにエバネッセント光を使用する)、ライトシート蛍光顕微鏡(検査の垂直の方向で試料の薄片に照射する)及び/又は蛍光寿命画像化顕微鏡(fluorescence-lifetime imaging microscopy)(経時的に蛍光における変化を記録する)が挙げられる任意の従来の顕微鏡技術を使用して実施され得ることは検討される。
【0106】
PET画像化が使用される場合、画像化システムは、放射性トレーサーを含むナノ粒子を通じて細胞に導入されるポジトロン放出放射性リガンド(例えば、フッ素18)によって間接的に放出されるガンマ線対を検出する。放射性トレーサーがポジトロン放出減衰を受けることから、反対方向に移動するガンマ光子は、PET走査デバイスのシンチレーターによって検出でき、従来の検出器(例えば、光電子増倍管又はシリコンアバランシェ光ダイオード(silicon avalanche photodiodes))によって受け取られる光のバーストを作り出す。従来の分析及び再構成技術は、特定のポジトロン放出事象を判定及び分析するために、PET走査デバイスによって回収された生データに適用され得る。任意選択で、PET画像化は、本明細書において更に開示されるとおり、画像化された細胞の同時登録を提供するようにCT及び/又はMRI画像化プロセスと組み合わされ得る。例えば一部の例示的態様では、当技術分野において周知であるとおり、細胞がPET-CT装置を使用して画像化され得ることが検討される。これらの装置は、PETスキャナー及びCTスキャナーの両方を支持する単一のガントリーを含み得る。対象をガントリーに近接して位置付けて、両方のスキャナーからの連続的画像が取得され得、次いで単一の共記載された画像に組み合わされ得る。
【0107】
さらなる態様では、PEM画像化が乳房組織内の細胞を画像化するために使用され得ることが検討される。これらの態様では、本明細書に記載されるナノ粒子は、本明細書で更に記載される方法を使用して標的細胞内に又は近接して位置付けられるポジトロン放出同位体を含み得る。PEM画像化は、検出器のリングを有する小型PETスキャナー(上記)を使用して実施され得る。代替的にPEM画像化は、乳房の上及び下に置かれた一対のガンマ線検出器によって実施され得ることは検討される。画像化の際に穏やかな乳房圧迫は、乳房の厚みを低減するために適用されるべきである。そうでなければ検出プロセスは、従来のPETスキャナーで使用されるプロセスに一般に対応し得ることが検討される。
【0108】
D.標的部位におけるインピーダンスの変化
対象における標的部位にナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化する方法が開示される。
【0109】
対象における腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程;及び対象の腫瘍標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の腫瘍標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の腫瘍標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化する方法が開示される。
【0110】
対象における腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程;及び対象の腫瘍標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の腫瘍標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の腫瘍標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、腫瘍標的部位が1つ若しくは複数のがん細胞に隣接している、1つ若しくは複数の腫瘍細胞を以前含んだ、又は1つ若しくは複数の腫瘍細胞を含むと疑われる方法が開示される。対象における標的部位にナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、対象の標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度が変化する方法が開示される。対象における腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程;及び対象の腫瘍標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の腫瘍標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の腫瘍標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、対象の腫瘍標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度が変化する方法が開示される。
【0111】
対象における腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程;及び対象の腫瘍標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の腫瘍標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の腫瘍標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、対象の腫瘍標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度が変化し、腫瘍標的部位が1つ若しくは複数のがん細胞に隣接している、1つ若しくは複数の腫瘍細胞を以前含んだ、又は1つ若しくは複数の腫瘍細胞を含むと疑われる方法が開示される。
【0112】
一部の態様では、標的部位又は腫瘍標的部位における電流密度は増加する。一部の態様では電流密度は、標的部位又は腫瘍標的部位において減少する。一部の態様では、標的部位又は腫瘍標的部位における電力損失密度は増加する。一部の態様では、標的部位又は腫瘍標的部位における電力損失密度は減少する。
【0113】
一部の態様では、ナノ粒子は導電性ナノ粒子である。一部の態様では、導電性ナノ粒子は標的部位又は腫瘍標的部位において導電率を増加でき、インピーダンスを低下できる。それにより開示された方法の一部の態様では、標的部位若しくは腫瘍標的部位におけるインピーダンスは低下する及び/又は標的部位若しくは腫瘍標的部位における導電率は増加する。
【0114】
一部の態様では、ナノ粒子は非導電性ナノ粒子である。一部の態様では、非導電性ナノ粒子は強誘電性ナノ粒子ではない。一部の態様では、非導電性ナノ粒子は標的部位又は腫瘍標的部位における導電率を減少でき、インピーダンスを増加できる。それにより開示された方法の一部の態様では、標的部位若しくは腫瘍標的部位におけるインピーダンスは増加する、及び/又は標的部位若しくは腫瘍標的部位における導電率は減少する。
【0115】
一部の態様では、ナノ粒子の集団は、本明細書において開示される方法において使用され得る。一部の態様では、ナノ粒子の集団は、導電性及び非導電性ナノ粒子を含み得る。
【0116】
一部の態様では、本明細書において開示される方法において使用される交流電場は、腫瘍治療電場である。一部の態様では、交流電場(例えば、腫瘍治療電場)は、処置されるがん又は腫瘍の種類に応じて変化する場合がある。一部の態様では、がん細胞は、神経膠芽腫細胞、子宮肉腫細胞、乳腺癌細胞、膵臓がん細胞、非小細胞肺がん、肝細胞、胃がん細胞、脳がん細胞、腎臓がん細胞、神経芽細胞腫細胞、結腸がん細胞、膀胱がん細胞、前立腺がん細胞又は胸腺がん細胞である。一部の態様では、交流電場の周波数は、200kHzである場合がある。交流電場の周波数は、これだけに限らないが、約200kHz、50から500kHzの間、100から500kHzの間、25kHzから1MHzの間、50から190kHzの間、25から190kHzの間又は210から400kHzの間である場合もある。
【0117】
一部の態様では、交流電場の場の強度は1から4V/cm RMSであり得る。一部の態様では、さまざまな場の強度が使用され得る(例えば、0.1から10V/cmの間)。
【0118】
一部の態様では、交流電場は、0.5時間から72時間の範囲のさまざまな間隔で印加され得る。一部の態様では、さまざまな持続時間が使用され得る(例えば、0.5時間から14日間の間)。一部の態様では、交流電場の印加は、定期的に反復され得る。例えば、交流電場は、2時間の持続時間で毎日印加され得る。
【0119】
一部の態様では、ナノ粒子は、組織又は細胞誘電率を増加させるナノ粒子である。
【0120】
一部の態様では、対象の標的部位又は腫瘍標的部位における交流電流の電気インピーダンスの変化は、標的部位における交流電場の抗有糸分裂作用の増加をもたらす。例えば抗有糸分裂作用の増加は、分裂終期、細胞質分裂又は続く静止期に標的部位内に又は標的部位に存在する細胞(例えば、がん細胞)を最終的に破壊し得る、分裂中期の際の正確な微小管アセンブリの妨害を指し得る。
【0121】
標的部位又は腫瘍標的部位においてナノ粒子が細胞に入れるようにする、ある周波数を用いて標的部位又は腫瘍標的部位における電気インピーダンスを変化させ、次に第2の周波数を標的部位又は腫瘍標的部位に印加する方法であって、標的部位又は腫瘍標的部位における第2の周波数への電気インピーダンスが変化する方法が開示される。標的部位又は腫瘍標的部位においてナノ粒子が細胞に入れるようにするある周波数(第1の周波数)を用いて標的部位又は腫瘍標的部位における電気インピーダンスを変化させ、次に第2の周波数を標的部位又は腫瘍標的部位に印加する方法であって、標的部位又は腫瘍標的部位における第2の周波数への電気インピーダンスが変化し、複数回の第1の及び第2の周波数を印加することを更に含む方法が開示される。例えば、第1の交流電場を第1の周波数で標的部位又は腫瘍標的部位に第1の期間印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数での標的部位又は腫瘍標的部位への第1の期間の印加が標的部位又は腫瘍標的部位に存在する細胞の細胞膜の透過性を増加する工程;標的部位又は腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子が細胞膜を越えられるようにする工程;及び第2の交流電場を第2の周波数で標的部位又は腫瘍標的部位に第2の期間印加する工程であって、第2の周波数が第1の周波数とは異なり、対象の標的部位又は腫瘍標的部位における第2の交流電場の第2の周波数でのインピーダンスが変化する工程を含む、対象の標的部位又は腫瘍標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法が開示される。一部の態様では、対象の標的部位又は腫瘍標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度が変化する。一部の態様では、第2の交流電場は腫瘍治療電場である。一部の態様では、細胞は、がん細胞である。一部の態様では、がん細胞は、神経膠芽腫細胞、子宮肉腫細胞、乳腺癌細胞、膵臓がん細胞、非小細胞肺がん、肝細胞、胃がん細胞又は脳がん細胞である。一部の態様では、がん細胞は神経膠芽腫細胞を含み、第1の周波数は250kHzから350kHzの間であり、第2の周波数は150kHzから250kHzの間である。一部の態様では、がん細胞は、子宮肉腫細胞を含み、第1の周波数は125kHzから175kHzの間であり、第2の周波数は75kH
zから125kHzの間である。一部の態様では、がん細胞は、乳腺癌細胞を含み、第1の周波数は75kHzから175kHzの間であり、第2の周波数は100kHzから300kHzの間である。一部の態様では、ナノ粒子を導入する工程は所与の時期に開始し、ここで第1の交流電場を印加する工程は所与の時期の少なくとも12時間後に終了する。一部の態様では、第1の交流電場を印加する工程は、所与の時期の少なくとも1時間前に開始する。一部の態様では、第2の期間は、第2の交流電場が第2の周波数でがん細胞に印加される際に複数の連続しない間欠期を含み、複数の連続しない間欠期は合計で少なくとも1週間になる。
【0122】
第1の交流電場を第1の周波数で標的部位又は腫瘍標的部位に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数での標的部位又は腫瘍標的部位への第1の期間の印加が標的部位又は腫瘍標的部位に存在する細胞の細胞膜の透過性を増加する工程;標的部位又は腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子が細胞膜を越えられるようにする工程;及び第2の交流電場を第2の周波数で標的部位又は腫瘍標的部位に第2の期間について印加する工程であって、第2の周波数が第1の周波数とは異なり、対象の標的部位又は腫瘍標的部位における第2の交流電場の第2の周波数でのインピーダンスが変化し、標的部位又は腫瘍標的部位が1つ若しくは複数のがん細胞に隣接している、1つ若しくは複数の腫瘍細胞を以前含んだ、又は1つ若しくは複数の腫瘍細胞を含むと疑われる工程を含む、対象の標的部位又は腫瘍標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法が開示される。一部の態様では、対象の標的部位又は腫瘍標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度は変化する。一部の態様では、第2の交流電場は腫瘍治療電場である。一部の態様では、細胞は、がん細胞である。一部の態様では、がん細胞は、神経膠芽腫細胞、子宮肉腫細胞、乳腺癌細胞、膵臓がん細胞、非小細胞肺がん、肝細胞、胃がん細胞又は脳がん細胞である。一部の態様では、がん細胞は神経膠芽腫細胞を含み、第1の周波数は250kHzから350kHzの間であり、第2の周波数は150kHzから250kHzの間である。一部の態様では、がん細胞は、子宮肉腫細胞を含み、第1の周波数は125kHzから175kHzの間であり、第2の周波数は75kHzから125kHzの間である。
【0123】
一部の態様では、がん細胞は、乳腺癌細胞を含み、第1の周波数は75kHzから175kHzの間であり、第2の周波数は100kHzから300kHzの間である。一部の態様では、ナノ粒子を導入する工程は所与の時期に開始し、ここで第1の交流電場を印加する工程は所与の時期の少なくとも12時間後に終了する。
【0124】
一部の態様では第1の交流電場を印加する工程は、所与の時期の少なくとも1時間前に開始する。一部の態様では、第2の期間は、第2の交流電場が第2の周波数でがん細胞に印加される際に複数の連続しない間欠期を含み、複数の連続しない間欠期は合計で少なくとも1週間になる。
【0125】
開示される方法の一部の態様では、第1の交流電場は細胞(例えば、がん細胞又は腫瘍細胞)の細胞膜の透過性を増加させるように印加され得る。一部の態様では、第1の交流電場は第1の周波数で細胞に第1の期間について印加され、第1の交流電場の第1の周波数での細胞への第1の期間の印加は細胞の細胞膜の透過性を増加させる。一部の態様では第2の交流電場は腫瘍治療電場である。
【0126】
標的部位又は腫瘍標的部位における細胞を死滅させる又は除去するために熱又は高熱を使用する方法も本明細書において考察される。例えば、本明細書において開示される方法は、本明細書において開示される1つ又は複数のナノ粒子を使用でき、ここでナノ粒子は標的部位又は腫瘍標的部位における細胞に導入され、次に交流電場又は交流磁場(AMF)に曝露される。標的部位又は腫瘍標的部位における細胞の交流電場又は磁場(AMF)への曝露は、ナノ粒子を加熱(例えば、華氏100度を超える温度に達する)し、標的部位又は腫瘍標的部位における細胞の死滅をもたらし得る。
【0127】
対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位に隣接する部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の部位における交流電流の電気インピーダンスが変化する方法が開示される。
【0128】
対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位に隣接する部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、対象の標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度が変化する方法が開示される。
【0129】
対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位に隣接する部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、標的部位に隣接する部位における導電率が減少する方法が開示される。
【0130】
対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位に隣接する部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、標的部位に隣接する部位におけるインピーダンスが増加する方法が開示される。
【0131】
対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位に隣接する部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、標的部位における導電率が増加する方法が開示される。
【0132】
対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位に隣接する部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、標的部位におけるインピーダンスが減少する、方法が開示される。
【0133】
対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位に隣接する部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、非導電性ナノ粒子が強誘電性ナノ粒子ではない方法が開示される。
【0134】
対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位に隣接する部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、対象における標的部位にナノ粒子を導入する工程及び対象の標的部位に交流電場を印加する工程を更に含む方法が開示される。一部の態様では、標的部位におけるインピーダンスは低下する、及び/又は標的部位における導電率は増加する。
【0135】
対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位に隣接する部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、ナノ粒子が非導電性ナノ粒子である方法が開示される。一部の態様では、標的部位におけるインピーダンスは増加する、及び/又は標的部位における導電率は減少する。
【0136】
対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位に隣接する部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、交流電場が腫瘍治療電場である方法が開示される。
【0137】
対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位に隣接する部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、標的部位が腫瘍標的部位である方法が開示される。一部の態様では、対象の標的部位における交流電流の電気インピーダンスの変化は、標的部位における交流電場の有糸分裂作用の増加をもたらす。
【0138】
対象における標的部位に導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化する方法が本明細書において開示される。
【0139】
対象における標的部位に導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、対象の標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度が変化し、標的部位におけるインピーダンスが低下する、及び/又は標的部位における導電率が増加する方法が本明細書において開示される。
【0140】
対象における標的部位に導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、対象の標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度が変化し、対象における標的部位に隣接する部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に隣接する部位に交流電場を印加する工程を更に含む方法が本明細書において開示される。一部の態様では、対象の標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度は変化する。一部の態様では、標的部位に隣接する部位における導電率は減少する。一部の態様では、標的部位に隣接する部位におけるインピーダンスは増加する。一部の態様では、標的部位における導電率は増加する。一部の態様では、標的部位におけるインピーダンスは減少する。
【0141】
対象における標的部位に導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、対象の標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度が変化し、非導電性ナノ粒子が強誘電性ナノ粒子ではない方法が本明細書において開示される。一部の態様では、標的部位におけるインピーダンスは増加する、及び/又は標的部位における導電率は減少する。
【0142】
対象における標的部位に導電性ナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、対象の標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度が変化し、交流電場が腫瘍治療電場である方法が本明細書において開示される。一部の態様ではナノ粒子は組織誘電率を増加させるナノ粒子である。一部の態様では、標的部位は腫瘍標的部位である。一部の態様では、対象の腫瘍標的部位における交流電流の電気インピーダンスの変化は、腫瘍標的部位における交流電場の有糸分裂作用の増加をもたらす。
【0143】
対象における標的部位にナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化する方法が開示される。
【0144】
対象における腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程;及び対象の腫瘍標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の腫瘍標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の腫瘍標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化する方法が開示される。
【0145】
対象における腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程;及び対象の腫瘍標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の腫瘍標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の腫瘍標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、腫瘍標的部位が1つ若しくは複数のがん細胞に隣接している、1つ若しくは複数の腫瘍細胞を以前含んだ、又は1つ若しくは複数の腫瘍細胞を含むと疑われる方法が開示される。対象における標的部位にナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、対象の標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度が変化する方法が開示される。対象における腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程;及び対象の腫瘍標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の腫瘍標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の腫瘍標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、対象の腫瘍標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度が変化する方法が開示される。
【0146】
対象における腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程;及び対象の腫瘍標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の腫瘍標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の腫瘍標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、対象の腫瘍標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度が変化し、腫瘍標的部位が1つ若しくは複数のがん細胞に隣接している、1つ若しくは複数の腫瘍細胞を以前含んだ、又は1つ若しくは複数の腫瘍細胞を含むと疑われる方法が開示される。
【0147】
一部の態様では、標的部位又は腫瘍標的部位における電流密度は増加する。一部の態様では、電流密度は、標的部位又は腫瘍標的部位において減少する。一部の態様では、標的部位又は腫瘍標的部位における電力損失密度は増加する。一部の態様では、標的部位又は腫瘍標的部位における電力損失密度は減少する。
【0148】
一部の態様では、ナノ粒子は導電性ナノ粒子である。一部の態様では、導電性ナノ粒子は標的部位又は腫瘍標的部位において導電率を増加でき、インピーダンスを低下できる。それにより開示された方法の一部の態様では、標的部位若しくは腫瘍標的部位におけるインピーダンスは低下する及び/又は標的部位若しくは腫瘍標的部位における導電率は増加する。
【0149】
一部の態様では、ナノ粒子は非導電性ナノ粒子である。一部の態様では、非導電性ナノ粒子は強誘電性ナノ粒子ではない。一部の態様では、非導電性ナノ粒子は標的部位又は腫瘍標的部位における導電率を減少でき、インピーダンスを増加できる。それにより開示された方法の一部の態様では、標的部位若しくは腫瘍標的部位におけるインピーダンスは増加する、及び/又は標的部位若しくは腫瘍標的部位における導電率は減少する。
【0150】
一部の態様では、ナノ粒子の集団は、本明細書において開示される方法において使用され得る。一部の態様ではナノ粒子の集団は、導電性及び非導電性ナノ粒子を含み得る。
【0151】
一部の態様では本明細書において開示される方法において使用される交流電場は、腫瘍治療電場である。一部の態様では、交流電場(例えば、腫瘍治療電場)は、処置されるがん又は腫瘍の種類に応じて変化する場合がある。一部の態様では、がん細胞は、神経膠芽腫細胞、子宮肉腫細胞、乳腺癌細胞、膵臓がん細胞、非小細胞肺がん、肝細胞、胃がん細胞、脳がん細胞、腎臓がん細胞、神経芽細胞腫細胞、結腸がん細胞、膀胱がん細胞、前立腺がん細胞又は胸腺がん細胞である。一部の態様では、交流電場の周波数は、200kHzである場合がある。交流電場の周波数は、これだけに限らないが、約200kHz、50から500kHzの間、100から500kHzの間、25kHzから1MHzの間、50から190kHzの間、25から190kHzの間又は210から400kHzの間である場合もある。
【0152】
一部の態様では、交流電場の場の強度は1から4V/cm RMSであり得る。一部の態様では、さまざまな場の強度が使用され得る(例えば、0.1から10V/cmの間)。
【0153】
一部の態様では、交流電場は、0.5時間から72時間の範囲のさまざまな間隔で印加され得る。一部の態様では、さまざまな持続時間が使用され得る(例えば、0.5時間から14日間の間)。一部の態様では、交流電場の印加は、定期的に反復され得る。例えば、交流電場は、2時間の持続時間で毎日印加され得る。
【0154】
一部の態様では、ナノ粒子は、組織又は細胞誘電率を増加させるナノ粒子である。
【0155】
一部の態様では、対象の標的部位又は腫瘍標的部位における交流電流の電気インピーダンスの変化は、標的部位における交流電場の抗有糸分裂作用の増加をもたらす。例えば抗有糸分裂作用の増加は、分裂終期、細胞質分裂又は続く静止期に標的部位内に又は標的部位に存在する細胞(例えば、がん細胞)を最終的に破壊し得る、分裂中期の際の正確な微小管アセンブリの妨害を指し得る。
【0156】
標的部位又は腫瘍標的部位においてナノ粒子が細胞に入れるようにする、ある周波数を用いて標的部位又は腫瘍標的部位における電気インピーダンスを変化させ、次に第2の周波数を標的部位又は腫瘍標的部位に印加する方法であって、標的部位又は腫瘍標的部位における第2の周波数への電気インピーダンスが変化する方法が開示される。標的部位又は腫瘍標的部位においてナノ粒子が細胞に入れるようにするある周波数(第1の周波数)を用いて標的部位又は腫瘍標的部位における電気インピーダンスを変化させ、次に第2の周波数を標的部位又は腫瘍標的部位に印加する方法であって、標的部位又は腫瘍標的部位における第2の周波数への電気インピーダンスが変化し、複数回の第1の及び第2の周波数を印加することを更に含む方法が開示される。例えば、第1の交流電場を第1の周波数で標的部位又は腫瘍標的部位に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数での標的部位又は腫瘍標的部位への第1の期間の印加が標的部位又は腫瘍標的部位に存在する細胞の細胞膜の透過性を増加する工程;標的部位又は腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子が細胞膜を越えられるようにする工程;及び第2の交流電場を第2の周波数で標的部位又は腫瘍標的部位に第2の期間について印加する工程であって、第2の周波数が第1の周波数とは異なり、対象の標的部位又は腫瘍標的部位における第2の交流電場の第2の周波数でのインピーダンスが変化する工程を含む、対象の標的部位又は腫瘍標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法が開示される。一部の態様では、対象の標的部位又は腫瘍標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度は変化する。一部の態様では、細胞は、がん細胞である。一部の態様では、がん細胞は、神経膠芽腫細胞、子宮肉腫細胞、乳腺癌細胞、膵臓がん細胞、非小細胞肺がん、肝細胞、胃がん細胞又は脳がん細胞である。一部の態様では、がん細胞は神経膠芽腫細胞を含み、第1の周波数は250kHzから350kHzの間であり、第2の周波数は150kHzから250kHzの間である。一部の態様では、がん細胞は子宮肉腫細胞を含み、第1の周波数は125kHzから175kHzの間であり、第2の周波数は75kHzから125kHzの間である。
【0157】
一部の態様では、がん細胞は乳腺癌細胞を含み、第1の周波数は75kHzから175kHzの間であり、第2の周波数は100kHzから300kHzの間である。一部の態様では、ナノ粒子を導入する工程は所与の時期に開始し、ここで第1の交流電場を印加する工程は所与の時期の少なくとも12時間後に終了する。一部の態様では、第1の交流電場を印加する工程は、所与の時期の少なくとも1時間前に開始する。一部の態様では、第2の期間は、第2の交流電場が第2の周波数でがん細胞に印加される際に複数の連続しない間欠期を含み、複数の連続しない間欠期は合計で少なくとも1週間になる。
【0158】
第1の交流電場を第1の周波数で標的部位又は腫瘍標的部位に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数での標的部位又は腫瘍標的部位への第1の期間の印加が標的部位又は腫瘍標的部位に存在する細胞の細胞膜の透過性を増加する工程;標的部位又は腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子が細胞膜を越えられるようにする工程;及び第2の交流電場を第2の周波数で標的部位又は腫瘍標的部位に第2の期間について印加する工程であって、第2の周波数が第1の周波数とは異なり、対象の標的部位又は腫瘍標的部位における第2の交流電場の第2の周波数でのインピーダンスが変化し、標的部位又は腫瘍標的部位が1つ若しくは複数のがん細胞に隣接している、1つ若しくは複数の腫瘍細胞を以前含んだ、又は1つ若しくは複数の腫瘍細胞を含むと疑われる工程を含む、対象の標的部位又は腫瘍標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法が開示される。一部の態様では、対象の標的部位又は腫瘍標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度は変化する。一部の態様では、第2の交流電場は腫瘍治療電場である。一部の態様では、細胞は、がん細胞である。一部の態様では、がん細胞は、神経膠芽腫細胞、子宮肉腫細胞、乳腺癌細胞、膵臓がん細胞、非小細胞肺がん、肝細胞、胃がん細胞又は脳がん細胞である。一部の態様では、がん細胞は神経膠芽腫細胞を含み、第1の周波数は250kHzから350kHzの間であり、第2の周波数は150kHzから250kHzの間である。一部の態様では、がん細胞は、子宮肉腫細胞を含み、第1の周波数は125kHzから175kHzの間であり、第2の周波数は75kHzから125kHzの間である。一部の態様では、がん細胞は乳腺癌細胞を含み、第1の周波数は75kHzから175kHzの間であり、第2の周波数は100kHzから300kHzの間である。一部の態様では、ナノ粒子を導入する工程は所与の時期に開始し、ここで第1の交流電場を印加する工程は所与の時期の少なくとも12時間後に終了する。一部の態様では第1の交流電場を印加する工程は、所与の時期の少なくとも1時間前に開始する。一部の態様では第2の期間は、第2の交流電場が第2の周波数でがん細胞に印加される際に複数の連続しない間欠期を含み
、複数の連続しない間欠期は合計で少なくとも1週間になる。
【0159】
対象における標的部位にナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化する方法が開示される。
【0160】
対象における腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程;及び対象の腫瘍標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の腫瘍標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の腫瘍標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化する方法が開示される。
【0161】
対象における腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程;及び対象の腫瘍標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の腫瘍標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の腫瘍標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、腫瘍標的部位が1つ若しくは複数のがん細胞に隣接している、1つ若しくは複数の腫瘍細胞を以前含んだ、又は1つ若しくは複数の腫瘍細胞を含むと疑われる方法が開示される。対象における標的部位にナノ粒子を導入する工程;及び対象の標的部位に交流電場を印加する工程含む、対象の標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、対象の標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度が変化する方法が開示される。対象における腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程;及び対象の腫瘍標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の腫瘍標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の腫瘍標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、対象の腫瘍標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度が変化する方法が開示される。
【0162】
対象における腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程;及び対象の腫瘍標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の腫瘍標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法であって、対象の腫瘍標的部位における交流電流の電気インピーダンスが変化し、対象の腫瘍標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度が変化し、腫瘍標的部位が1つ若しくは複数のがん細胞に隣接している、1つ若しくは複数の腫瘍細胞を以前含んだ、又は1つ若しくは複数の腫瘍細胞を含むと疑われる方法が開示される。
【0163】
一部の態様では、標的部位又は腫瘍標的部位における電流密度は増加する。一部の態様では電流密度は、標的部位又は腫瘍標的部位において減少する。一部の態様では、標的部位又は腫瘍標的部位における電力損失密度は増加する。一部の態様では、標的部位又は腫瘍標的部位における電力損失密度は減少する。
【0164】
一部の態様では、ナノ粒子は導電性ナノ粒子である。一部の態様では、導電性ナノ粒子は標的部位又は腫瘍標的部位において導電率を増加でき、インピーダンスを低下できる。それにより開示された方法の一部の態様では、標的部位若しくは腫瘍標的部位におけるインピーダンスは低下する及び/又は標的部位若しくは腫瘍標的部位における導電率は増加する。
【0165】
一部の態様では、ナノ粒子は非導電性ナノ粒子である。一部の態様では、非導電性ナノ粒子は強誘電性ナノ粒子ではない。一部の態様では、非導電性ナノ粒子は標的部位又は腫瘍標的部位における導電率を減少でき、インピーダンスを増加できる。それにより開示された方法の一部の態様では、標的部位若しくは腫瘍標的部位におけるインピーダンスは増加する、及び/又は標的部位若しくは腫瘍標的部位における導電率は減少する。
【0166】
一部の態様ではナノ粒子の集団は、本明細書において開示される方法において使用され得る。一部の態様ではナノ粒子の集団は、導電性及び非導電性ナノ粒子を含み得る。
【0167】
一部の態様では、本明細書において開示される方法において使用される交流電場は、腫瘍治療電場である。一部の態様では、交流電場(例えば、腫瘍治療電場)は、処置されるがん又は腫瘍の種類に応じて変化する場合がある。一部の態様では、がん細胞は、神経膠芽腫細胞、子宮肉腫細胞、乳腺癌細胞、膵臓がん細胞、非小細胞肺がん、肝細胞、胃がん細胞、脳がん細胞、腎臓がん細胞、神経芽細胞腫細胞、結腸がん細胞、膀胱がん細胞、前立腺がん細胞又は胸腺がん細胞である。一部の態様では交流電場の周波数は、200kHzである場合がある。交流電場の周波数は、これだけに限らないが、約200kHz、50から500kHzの間、100から500kHzの間、25kHzから1MHzの間、50から190kHzの間、25から190kHzの間又は210から400kHzの間である場合もある。
【0168】
一部の態様では、交流電場の場の強度は1から4V/cm RMSであり得る。一部の態様では、さまざまな場の強度が使用され得る(例えば、0.1から10V/cmの間)。
【0169】
一部の態様では、交流電場は、0.5時間から72時間の範囲のさまざまな間隔で印加され得る。一部の態様では、さまざまな持続時間が使用され得る(例えば、0.5時間から14日間の間)。一部の態様では、交流電場の印加は、定期的に反復され得る。例えば交流電場は、2時間の持続時間で毎日印加され得る。
【0170】
一部の態様ではナノ粒子は、組織又は細胞誘電率を増加させるナノ粒子である。
【0171】
一部の態様では、対象の標的部位又は腫瘍標的部位における交流電流の電気インピーダンスの変化は、標的部位における交流電場の抗有糸分裂作用の増加をもたらす。例えば、抗有糸分裂作用の増加は、分裂終期、細胞質分裂又は続く静止期に標的部位内に又は標的部位に存在する細胞(例えば、がん細胞)を最終的に破壊し得る、分裂中期の際の正確な微小管アセンブリの妨害を指し得る。
【0172】
標的部位又は腫瘍標的部位においてナノ粒子が細胞に入れるようにする、ある周波数を用いて標的部位又は腫瘍標的部位における電気インピーダンスを変化させ、次に第2の周波数を標的部位又は腫瘍標的部位に印加する方法であって、標的部位又は腫瘍標的部位における第2の周波数への電気インピーダンスが変化する方法が開示される。例えば、第1の交流電場を第1の周波数で標的部位又は腫瘍標的部位に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数での標的部位又は腫瘍標的部位への第1の期間の印加が標的部位又は腫瘍標的部位に存在する細胞の細胞膜の透過性を増加する工程;標的部位又は腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子が細胞膜を越えられるようにする工程;及び第2の交流電場を第2の周波数で標的部位又は腫瘍標的部位に第2の期間について印加する工程であって、第2の周波数が第1の周波数とは異なり、対象の標的部位又は腫瘍標的部位における第2の交流電場の第2の周波数でのインピーダンスが変化する工程を含む、対象の標的部位又は腫瘍標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法が開示される。一部の態様では、対象の標的部位又は腫瘍標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度は変化する。一部の態様では、第2の交流電場は腫瘍治療電場である。
【0173】
第1の交流電場を第1の周波数で標的部位又は腫瘍標的部位に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数での標的部位又は腫瘍標的部位への第1の期間の印加が標的部位又は腫瘍標的部位に存在する細胞の細胞膜の透過性を増加する工程;標的部位又は腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子が細胞膜を越えられるようにする工程;及び第2の交流電場を第2の周波数で標的部位又は腫瘍標的部位に第2の期間について印加する工程であって、第2の周波数が第1の周波数とは異なり、対象の標的部位又は腫瘍標的部位における第2の交流電場の第2の周波数でのインピーダンスが変化し、標的部位又は腫瘍標的部位が1つ若しくは複数のがん細胞に隣接している、1つ若しくは複数の腫瘍細胞を以前含んだ、又は1つ若しくは複数の腫瘍細胞を含むと疑われる工程を含む、対象の標的部位又は腫瘍標的部位における交流電場の電気インピーダンスを変化させる方法が開示される。一部の態様では、対象の標的部位又は腫瘍標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度は変化する。一部の態様では、第2の交流電場は腫瘍治療電場である。
【0174】
標的部位又は腫瘍標的部位における細胞を死滅させる又は除去するために熱又は高熱を使用する方法も本明細書において考察される。例えば、本明細書において開示される方法は、本明細書において開示される1つ又は複数のナノ粒子を使用でき、ここでナノ粒子は標的部位又は腫瘍標的部位における細胞に導入され、次に交流電場又は交流磁場(AMF)に曝露される。標的部位又は腫瘍標的部位における細胞の交流電場又は磁場(AMF)への曝露は、ナノ粒子を加熱(例えば、華氏100度を超える温度に達する)し、標的部位又は腫瘍標的部位における細胞の死滅をもたらし得る。
【0175】
ナノ粒子が標的部位又は腫瘍標的部位における細胞に入れるようにするある周波数を用い、次に標的部位又は腫瘍標的部位に交流電場又は交流磁場を印加して、標的部位又は腫瘍標的部位における細胞を死滅させる又は除去する方法であって、ナノ粒子が交流電場又は交流磁場を熱エネルギーに変換し、それにより標的部位又は腫瘍標的部位における細胞を死滅させる又は除去する方法が開示される。
【0176】
例えば、標的部位又は腫瘍標的部位に第1の交流電場を第1の周波数で第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数での標的部位又は腫瘍標的部位への第1の期間の印加が標的部位又は腫瘍標的部位に存在する細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;標的部位又は腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子が細胞膜を越えられるようにする工程;及び第2の交流電場を第2の周波数で又は交流磁場を標的部位又は腫瘍標的部位に第2の期間について印加する工程であって、標的部位又は腫瘍標的部位に存在する1つ又は複数の細胞が死滅される又は除去される工程を含む、対象の標的部位又は腫瘍標的部位における細胞を除去する又は死滅させる方法が開示される。一部の態様では、第2の交流電場は、腫瘍治療電場である。一部の態様では、標的部位又は腫瘍標的部位は、1つ若しくは複数のがん細胞に隣接している、1つ若しくは複数の腫瘍細胞を以前含んだ、又は1つ若しくは複数の腫瘍細胞を含むと疑われる。一部の態様では、対象の標的部位又は腫瘍標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度は、変化する。一部の態様では、第2の交流電場は腫瘍治療電場である。
【0177】
本明細書において開示される任意の方法において方法は、抗がん薬、細胞障害性薬物、疼痛管理薬、シュードモナス菌体外毒素A、非放射性同位元素(例えば、ホウ素中性子捕獲療法のためのホウ素10)、光増感剤(例えば、フォトフリン、フォスカン、5-アミノレブリン酸、モノ-L-アスパルチルクロリンe6、フタロシアニン、メタテトラ(ヒドロキシフェニル)ポルフィリン、テキサフィリン、エチルエチオプルプリンスズ)を対象に投与すること、又は細胞機能に影響を与えるように電子装置を対象に印加する又はそれに対象を曝露することを更に含む。例えば、本明細書において開示される任意の方法では、対象は曝露され得る、又はシステムは対象に適応され得、ここでシステムは、1つ又は複数の制御可能な低エネルギーHF(高周波数)キャリア信号発生回路、制御情報を受け取るための1つ又は複数のデータ処理装置、1つ又は複数の振幅変調制御信号発生装置(control generator)及び1つ又は複数の振幅変調周波数制御信号発生装置を含む。一部の態様では、振幅変調周波数制御信号発生装置は、振幅変調の周波数を1つ又は複数の定められた又は予め定められた基準振幅変調周波数と比較して少なくとも1000ppm、最も好ましくは約1ppm内の精度で正確に制御するために適合される。特定のがんについての追加的実施形態及び特異的な周波数は、対象において細胞機能又は機能不全に影響を与えるために有用なシステム及び方法の教示についてその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,977,365号に記載されている。
【0178】
ナノ粒子を利用して電場の分布を変化させることによるTTFの抗腫瘍性活性の増加
対象における標的部位にナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる方法であって、対象の標的部位における交流電場の有効性が増加する方法が開示される。
【0179】
対象における腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程;対象の腫瘍標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の腫瘍標的部位における交流電場の有効性を増加させる方法であって、対象の腫瘍標的部位における交流電場の有効性が増加する方法が開示される。
【0180】
対象における腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程;対象の腫瘍標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の腫瘍標的部位における交流電場の有効性を増加させる方法であって、対象の腫瘍標的部位における交流電場の有効性が増加し、腫瘍標的部位が1つ若しくは複数のがん細胞に隣接している、1つ若しくは複数の腫瘍細胞を以前含んだ、又は1つ若しくは複数の腫瘍細胞を含むと疑われる方法が開示される。
【0181】
対象における標的部位にナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる方法であって、対象の標的部位における交流電場の有効性が増加し、交流電場の電流密度の大きさが標的部位において増加する方法が開示される。
【0182】
対象における腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程;対象の腫瘍標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の腫瘍標的部位における交流電場の有効性を増加させる方法であって、対象の腫瘍標的部位における交流電場の有効性が増加し、交流電場の電流密度の大きさが腫瘍標的部位において増加する方法が開示される。
【0183】
対象における腫瘍標的部位にナノ粒子を導入する工程;対象の腫瘍標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の腫瘍標的部位における交流電場の有効性を増加させる方法であって、対象の腫瘍標的部位における交流電場の有効性が増加し、交流電場の電流密度の大きさが腫瘍標的部位において増加し、腫瘍標的部位が1つ若しくは複数のがん細胞に隣接している、1つ若しくは複数の腫瘍細胞を以前含んだ、又は1つ若しくは複数の腫瘍細胞を含むと疑われる方法が開示される。
【0184】
対象における標的部位にナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる方法であって、対象の標的部位における交流電場の有効性が増加し、対象における標的部位に隣接する非標的部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程を更に含む方法が開示される。一部の態様では、標的部位は腫瘍標的部位である。一部の態様では、腫瘍標的部位は、1つ若しくは複数のがん細胞に隣接している、1つ若しくは複数の腫瘍細胞を以前含んだ、又は1つ若しくは複数の腫瘍細胞を含むと疑われる。
【0185】
対象における標的部位に隣接する非標的部位に非導電性ナノ粒子を導入する工程;対象の標的部位に交流電場を印加する工程を含む、対象の標的部位における交流電場の有効性を増加させる方法であって、対象の標的部位における交流電場の有効性が増加する方法が開示される。一部の態様では、標的部位は腫瘍標的部位である。一部の態様では、腫瘍標的部位は、1つ若しくは複数のがん細胞に隣接している、1つ若しくは複数の腫瘍細胞を以前含んだ、又は1つ若しくは複数の腫瘍細胞を含むと疑われる。
【0186】
一部の態様では、ナノ粒子は導電性ナノ粒子である。導電性ナノ粒子は、標的部位又は腫瘍標的部位において導電率を増加でき、インピーダンスを低下できる。それにより開示された方法の一部の態様では、標的部位若しくは腫瘍標的部位におけるインピーダンスは低下する及び/又は標的部位若しくは腫瘍標的部位における導電率は増加する。
【0187】
一部の態様では、ナノ粒子は非導電性ナノ粒子である。一部の態様では、非導電性ナノ粒子は強誘電性ナノ粒子ではない。非導電性ナノ粒子は、標的部位又は腫瘍標的部位における導電率を減少でき、インピーダンスを増加できる。それにより開示された方法の一部の態様では、標的部位若しくは腫瘍標的部位におけるインピーダンスは増加する、及び/又は標的部位若しくは腫瘍標的部位における導電率は減少する。一部の態様では、標的部位若しくは腫瘍標的部位に隣接する部位におけるインピーダンスは増加する、及び/又は標的部位若しくは腫瘍標的部位に隣接する部位における導電率は減少する。
【0188】
一部の態様では、本明細書において開示されるいずれのナノ粒子も本明細書において開示される対象の標的部位又は腫瘍標的部位における交流電場の有効性を増加させる方法において使用され得る。
【0189】
一部の態様では、交流電場は本明細書において開示される腫瘍治療電場である。
【0190】
一部の態様では、交流電場は、0.5時間から72時間の範囲のさまざまな間隔で印加され得る。一部の態様では、さまざまな持続時間が使用され得る(例えば、0.5時間から14日間の間)。一部の態様では、交流電場の印加は、定期的に反復され得る。例えば、交流電場は、2時間の持続時間で毎日印加され得る。
【0191】
一部の態様では、標的部位又は腫瘍標的部位における交流電場の有効性の増加は、標的部位又は腫瘍標的部位における交流電場の有糸分裂作用の増加をもたらす。例えば、有糸分裂作用の増加は、分裂終期、細胞質分裂又は続く静止期に標的部位若しくは腫瘍標的部位内に又は標的部位若しくは腫瘍標的部位に存在する細胞(例えば、がん細胞)を最終的に破壊し得る、分裂中期の際の正確な微小管アセンブリの妨害を指し得る。
【0192】
一部の態様では、交流電場の電流密度の大きさは、標的部位又は腫瘍標的部位に隣接する部位において減少する。
【0193】
E.ナノ粒子の取り込みの増加
ナノ粒子が細胞に入れるようにするある周波数を用い、次に、細胞中のナノ粒子の存在に基づいて腫瘍治療電場を介する処置のために第2の周波数を印加する、細胞(例えば、腫瘍又はがん細胞)の細胞透過性を増加させる方法が開示される。一部の態様では、本明細書において開示される方法は、複数回の第1の及び第2の周波数を印加することを更に含み得る。一部の態様では、第1の周波数はナノ粒子が通過できるように、細胞膜における開口を最大化するように選択され得る。一部の態様では、第2の周波数は、細胞へのTTFieldの効果を増強するように選択され得る。
【0194】
細胞に一定期間交流電場を印加する工程であって、交流電場の印加が細胞膜の透過性を増加させる工程;及び細胞にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子が細胞膜を越えられるようにする工程を含む、細胞の細胞膜を越えるナノ粒子の輸送を改善する方法が開示される。一部の態様では、細胞は、がん又は腫瘍細胞である。一部の態様では、細胞は、がん又は腫瘍細胞ではない。
【0195】
一部の態様では、2019年7月3日出願PCT/US19/40479の方法は、本明細書において開示される方法において使用され得る。例えば、2019年7月3日出願PCT/US19/40479は、同書の教示について参照により本明細書に組み込まれ、細胞の細胞膜を越えて物質を送達する方法及びプロセスを記載している。例えば、2019年7月3日出願PCT/US19/40479は、細胞に一定期間交流電場を印加する工程であって、交流電場の印加が細胞膜の透過性を増加させる工程;及び細胞近傍に物質を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加が物質が細胞膜を越えられるようにする工程を含む、方法及びプロセスを記載している。
【0196】
一部の態様では、ナノ粒子又は第1のナノ粒子は導電性ナノ粒子である。導電性ナノ粒子は、細胞、標的部位又は腫瘍標的部位において導電率を増加でき、インピーダンスを低下できる。それにより開示された方法の一部の態様では、細胞、標的部位若しくは腫瘍標的部位におけるインピーダンスは低下する、及び/又は細胞、標的部位若しくは腫瘍標的部位における導電率は増加する。
【0197】
一部の態様では、ナノ粒子は非導電性ナノ粒子である。一部の態様では、非導電性ナノ粒子は、強誘電性ナノ粒子ではない。非導電性ナノ粒子は、細胞、標的部位又は腫瘍標的部位において導電率を減少でき、インピーダンスを増加できる。それにより開示された方法の一部の態様では、細胞、標的部位若しくは腫瘍標的部位に隣接する非標的部位におけるインピーダンスは増加し、及び/又は細胞、標的部位若しくは腫瘍標的部位に隣接する部位における導電率は減少する。
【0198】
一部の態様では、本明細書において開示されるいずれのナノ粒子も細胞の細胞膜を越えるナノ粒子の輸送を改善するための開示された方法において使用され得る。
【0199】
一部の態様では、細胞の細胞膜を越えるナノ粒子の輸送を改善するための方法は、細胞に一定期間交流電場を印加する工程を一部含む。一部の態様では交流電場は、がん細胞だけにナノ粒子を導入するために使用され得る。一部の態様では、交流電場は、約200kHzの周波数で印加され得る。一部の態様では、交流電場は、50から190kHzの間の周波数で印加され得る。一部の態様では、交流電場は、210から400kHzの間の周波数で印加され得る。一部の態様では、交流電場は、少なくとも1V/cm RMSの場の強度を有する。一部の態様では交流電場は、50から190kHzの間の周波数を有する。一部の態様では交流電場は、210から400kHzの間の周波数を有する。一部の態様では、交流電場は、少なくとも1V/cm RMSの場の強度を有する。一部の態様では、交流電場は、1から4V/cm RMSの間の場の強度を有する。
【0200】
一部の態様では、ナノ粒子を導入する工程は所与の時期に開始し、ここで交流電場を印加する工程は所与の時期の少なくとも12時間後に終了する。一部の態様では、交流電場を印加する工程は、所与の時期の少なくとも1時間前に開始する。一部の態様では、交流電場を印加する工程は、所与の時期の少なくとも1からおよそ24時間前に開始する。
【0201】
ナノ粒子の取り込みの増加及び処置
ナノ粒子が細胞に入れるようにするある周波数を用いて細胞(例えば、腫瘍又はがん細胞)の細胞透過性を増加させ、次に細胞中のナノ粒子の存在に基づいて腫瘍治療電場を介する処置のために第2の周波数を印加する方法が開示される。一部の態様では、第1の周波数はナノ粒子が通過できるように、細胞膜における開口を最大化するように選択され得、第2の周波数は、細胞へのTTFieldの効果を増強するように選択され得る。
【0202】
第1の交流電場を第1の周波数で細胞に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数での細胞への第1の期間の印加ががん細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;細胞にナノ粒子を導入する工程であって、細胞の細胞膜の透過性の増加がナノ粒子が細胞膜を越えられるようにする工程;及び第2の交流電場を第2の周波数で細胞に第2の期間について印加する工程であって、第2の周波数が第1の周波数とは異なり、第2の周波数での第2の交流電場が細胞の生存率を低下させる工程を含む、細胞の生存率を低下させる方法が開示される。
【0203】
第1の交流電場を第1の周波数でがん細胞に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数でのがん細胞への第1の期間の印加ががん細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;がん細胞にナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加がナノ粒子が細胞膜を越えられるようにする工程;及び第2の交流電場を第2の周波数でがん細胞に第2の期間について印加する工程であって、第2の周波数が第1の周波数とは異なり、第2の周波数での第2の交流電場ががん細胞の生存率を低下させる工程を含む、がん細胞の生存率を低下させる方法が開示される。
【0204】
第1の交流電場を第1の周波数で細胞を含む標的部位又は腫瘍標的部位に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数での標的部位又は腫瘍標的部位への第1の期間の印加が細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;細胞に第1のナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加が第1のナノ粒子が細胞膜を越えられるようにする工程;及び第2の交流電場を第2の周波数で標的部位又は腫瘍標的部位に第2の期間について印加する工程であって、第2の周波数が第1の周波数とは異なり、第2の周波数での第2の交流電場が細胞の生存率を低下させる工程を含み、第2のナノ粒子を対象における標的部位又は腫瘍標的部位に隣接する部位に導入する工程を更に含む、細胞の生存率を低下させる方法が開示される。一部の態様では、対象における標的部位又は腫瘍標的部位に隣接する部位は、細胞を含有しない、細胞に隣接する任意の部位であってよい。例えば、対象における標的部位又は腫瘍標的部位に隣接する部位は、がん又は腫瘍細胞を含有しないがん又は腫瘍細胞に隣接する任意の部位であってよい。
【0205】
第1の交流電場を第1の周波数でがん細胞に第1の期間について印加する工程であって、第1の交流電場の第1の周波数でのがん細胞への第1の期間の印加ががん細胞の細胞膜の透過性を増加させる工程;がん細胞に第1のナノ粒子を導入する工程であって、細胞膜の透過性の増加が第1のナノ粒子が細胞膜を越えられるようにする工程;及び第2の交流電場を第2の周波数でがん細胞に第2の期間について印加する工程であって、第2の周波数が第1の周波数とは異なり、第2の周波数での第2の交流電場ががん細胞の生存率を低下させる工程を含み、第2のナノ粒子を対象におけるがん細胞に隣接する非標的部位に導入する工程を更に含む、がん細胞の生存率を低下させる方法が開示される。一部の態様では、非標的部位は、がん細胞を含有しない、がん細胞に隣接する任意の部位であってよい。
【0206】
一部の態様では、ナノ粒子又は第1のナノ粒子は導電性ナノ粒子である。導電性ナノ粒子は、細胞、標的部位又は腫瘍標的部位において導電率を増加でき、インピーダンスを低下できる。それにより開示された方法の一部の態様では、細胞、標的部位若しくは腫瘍標的部位におけるインピーダンスは低下する、及び/又は細胞、標的部位若しくは腫瘍標的部位における導電率は増加する。
【0207】
一部の態様では、第2のナノ粒子は非導電性ナノ粒子である。一部の態様では、非導電性ナノ粒子は強誘電性ナノ粒子ではない。非導電性ナノ粒子は、細胞、標的部位又は腫瘍標的部位において導電率を減少でき、インピーダンスを増加できる。それにより開示された方法の一部の態様では、細胞、標的部位若しくは腫瘍標的部位に隣接する非標的部位におけるインピーダンスは増加し、及び/又は細胞、標的部位若しくは腫瘍標的部位に隣接する部位における導電率は減少する。
【0208】
一部の態様では、細胞、標的部位又は腫瘍標的部位における交流電流の電流密度及び/又は電力損失密度は、変化され得る。一部の態様では、細胞、標的部位又は腫瘍標的部位における電流密度は増加する。一部の態様では、電流密度は、細胞、標的部位又は腫瘍標的部位において減少する。一部の態様では、細胞、標的部位又は腫瘍標的部位における電力損失密度は増加する。一部の態様では、細胞、標的部位又は腫瘍標的部位における電力損失密度は減少する。
【0209】
一部の態様では第2の期間は、第2の交流電場が第2の周波数でがん細胞に印加される際に複数の連続しない間欠期を含み、複数の連続しない間欠期は合計で少なくとも1週間になる。
【0210】
一部の態様では、細胞は、生存している対象の身体に配置されており、ここで第1の交流電場は、第1の交流電場を対象の身体に印加することによって細胞(例えば、腫瘍又はがん細胞)に印加され、第2の交流電場は、第2の交流電場を対象の身体に印加することによって細胞に印加され、ここで導入する工程はナノ粒子を対象に投与する工程を含む。一部の態様では、第1の及び第2の交流場の印加は、対象におけるがんの種類及び位置に基づいて対象の身体での位置で生じる。例えば、神経膠芽腫のために、第1の及び第2の交流場は、頭部に印加され得る。
【0211】
一部の態様では、第1の交流電場は、少なくとも1V/cm RMSの場の強度を有する。一部の態様では、第1の交流電場は、1から4V/cm RMSの間の場の強度を有する。
【0212】
キット
上に記載される材料及び他の材料は、本開示の方法を実施する、又は実施を補助するための有用なキットとして任意の好適な組合せで併せて包装され得る。所与のキットにおけるキットの構成要素は、本開示の方法における合わせた使用のために設計され、適合される場合に有用である。例えば、画像化及び/又は処置のためのキットが開示される。一部の態様では、キットは、1つ又は複数の本開示のナノ粒子を含み得る。キットは、交流電場を印加するための機器も含み得る。
【0213】
本明細書に記載される1つ又は複数のナノ粒子及び交流電場を与えることができるデバイスを含む、キットが本明細書において開示される。例えば、本明細書に記載される1つ又は複数のナノ粒子及びTTFieldsデバイス(例えば、Optune(登録商標)、Novocure Ltd.社)を含む、キットが本明細書において開示される。
【実施例
【0214】
腫瘍導電率を増加し、腫瘍において交流電場強度を増強するためのナノ粒子の使用
前臨床研究は、がん細胞を死滅させることにおける腫瘍治療電場(TTFields)の有効性と場の強度との間の相関を示した[1]。近年の研究[2]は、腫瘍領域におけるTTFields強度が新たに診断された神経膠芽腫患者における転帰に対応することを示した。この研究ではTTFields強度は、TTFields(200kHzにおいて)を用いて処置された患者317名の患者特異的な頭部モデルのコンピューターによるシミュレーションを利用して算出した。これらのシミュレーションにおいてにモデルに割り当てた誘電性特性は、文献[3~4]からの値に基づき、TTFields強度についての計量は患者頭部にTTFieldsを送達するために使用した各対のトランスデューサーアレイに由来する2つの値からの最小電力密度として定義した(LMiPDと称される)。
【0215】
腫瘍におけるTTFields強度での腫瘍導電率の増強の影響を実証するために、患者の45個のモデルをコンピューターによる研究から利用し[2]、腫瘍容積全体の電気伝導率は25%(0.24S/mではなく0.3S/m)増加し、シミュレーションを再実行した。これらの研究の結果は、患者45名すべてについて腫瘍導電率の増加が導電率における相対増加と同様の又は更に高い百分率で、腫瘍容積全体において平均LMiPDを増強することを実証している、図1Aに示すとおり(26%~46%、中央値=32%、std=4%)。強度の増加は、種々の腫瘍容積(206~85091mm3)について観察された。これらの結果は、腫瘍導電率の増加がTTFields有効性の増強をもたらし得ることを示している。
【0216】
組織導電率への金ナノ粒子(GNP)の影響を調査する研究は、GNPを組み込むことが組織導電率を増強したことを示した[6]。この研究は、周波数10kHzでは分割した脂肪組織の平均導電率が0.0191S/mから0.0198S/に、及び分割した筋肉組織において0.55S/mから0.57S/mに増加したことを報告した。
【0217】
ナノ二酸化チタン(ナノTiO2)の電気インピーダンス断層撮影(EIT)のシグナルへの効果を調査する研究は、腋窩に腫瘍を接種されたマウスの腫瘍にナノTiO2を注射することがEITシグナルを増強したことを示した[7]。この研究は、40kHzで腫瘍インピーダンスがナノTiO2粒子の注射後に、12.5kOhmから11.2kOhmに減少し、12%の導電率の増加を報告した。
【0218】
溶液中のナノ粒子の導電率を調査する研究も実施した。エチレングリコールベースの液体に分散させた酸化鉄ナノ粒子の電気伝導率を調査する研究は、ナノ液の電気伝導率が25℃での4容量%酸化鉄のロードで0.39μS/cmから2.419mS/cmに増加したことを示した[8]。
【0219】
ポリエチレングリコール(PEG)は、無毒性の特性のために封入剤としてしばしば使用され、それはナノ粒子の分散性を増加させることができる。PEGは、凝集を妨げ、細胞環境へのナノ粒子の浸透を増加させるために有利である。PEGにカプセル化されたMn0.5Zn0.5Fe2O4ナノ粒子(MNP)の誘電性特性を調査する研究は、MNPがカプセル化後に周波数範囲5kHzから120kHzで導電性のままであることを報告している[9]。
【0220】
(参考文献)
【0221】
チタン酸バリウムナノ粒子は、腫瘍治療電場の抗腫瘍性作用に対して治療抵抗性乳がん細胞を増感させる。
序論:多数の前臨床及び臨床研究は、TTFieldsが乳房、肺、膵臓及び卵巣がんが挙げられる他の種類の腫瘍に適用できることを示している。初期の臨床試験は、GBM患者に対してTTFieldsだけの処置では従来の化学療法より顕著に良好でないと示した。しかし近年の前臨床研究は、化学療法、免疫治療及び放射線治療が挙げられる従来の処置とTTFieldsとの併用治療は、GBMにおいてTTFields単一療法よりも有効であることを示唆している。実行可能ながん治療としてTTFieldsによって示された有望さにも関わらず、TTFields応答性増感剤についてあまり解明されていない。
【0222】
強誘電性ナノ物質(非導電性ナノ粒子)は、細胞及び組織の電気的刺激を増強するために有望なツールとして現れた。強誘電性材料のうち、チタン酸バリウムナノ粒子(BTNP)は、高い生体適合性と共に高い比誘電率及び好適な圧電性を有する。近年の報告は、BTNPが、非線形画像化目的、薬物送達、組織工学及び生物刺激が挙げられるナノ医薬における幅広い応用において使用され得ることを示唆している。例えばBTNPはヒト神経芽細胞腫細胞においてドキソルビシンの更に高い内部移行を促進し、ポリエチレンイミンを含むBTNPは細胞画像化及びDNA送達のための細胞取り込みを改善することが示されている。BTNPがTTFieldsへの応答においてTTFieldsの抗腫瘍性作用を増強できるかどうかを調査した研究が本明細書において開示される。本明細書においてデータは、BTNPは単独で乳がん細胞と細胞適合性であるが、TTFieldsへの応答においては、TTFieldsの抗腫瘍性作用に対してTTField抵抗性乳がん細胞を増感させることができることを示している。更に本明細書におけるデータは、BTNPがTTFields刺激によって取り込まれ、これらが乳がん細胞において細胞周期関連アポトーシスを促進することによってTTFieldsの抗腫瘍性作用を促進することを実証している。したがってこの研究は、乳がん細胞におけるTTField応答性増感剤、BTNPを示している。本明細書に記載される研究は、BTNPがTTFields刺激によって取り込まれ得、これらが他のがん細胞の種類において細胞周期関連アポトーシスを促進することによってTTFieldsの抗腫瘍性作用を促進する追加的証拠を示すために他のがん細胞でも実施できる。
【0223】
結果:
乳がん細胞におけるBTNPの特徴及び細胞適合性
BTNPの誘電性誘電率がそのサイズに応じて最大化され得ることから、2つの異なるサイズのFBS(ウシ胎児血清)コートBTNPを調製した(100nm及び200nm)。100nm及び200nm BTNPのSEM画像は、ナノ粒子の典型的な円形及び均一なサイズを示した(図3a及び図3B)。それぞれ、100nm及び200nmのBTNPの流体力学半径は110±35nm及び224±63nmであり、100nm及び200nmのBTNPのゼータ電位は-14.1±10.4mV及び-14.5±12.8mVであり(図3C)、BTNPが水性分散において比較的安定であったことを示している。次に、100nm及び200nmのBTNPの細胞適合性を2つの乳がん細胞株MCF-7及びBT-549における細胞生存率及びクローン原性アッセイによって調べた。エタノールをこれらのアッセイにおける陽性対照として使用した。細胞生存率アッセイは、20μg/mlの濃度までの100nm及び200nm BTNPを用いた処置は、MCF-7及びBT-549細胞において細胞生存率に影響を与えなかったことを示している(図4A及び図4B)。加えてクローン原性アッセイは、100μg/mlの濃度までの100nm及び200nm BTNPを用いた処置がMCF-7及びBT-549細胞においてコロニー形成に影響を与えなかったことを示した(図4C図4F)。併せてこれらの結果は、BTNPが乳がん細胞において細胞毒性効果を有さずに細胞適合性を示すことを示している。
【0224】
BTNPは、TTFieldsへの応答においてTTField抵抗性乳がん細胞を増感させる。
TTFields有効性を3種の乳がん細胞株、MCF-7、MDA-MB-231及びBT-549において検査した。これらのうちMCF-7細胞はTTFieldsに最も抵抗性であり(図5A)、以前の報告と一致している。そのため、BTNPとTTFieldsとのコンビナトリアル効果をMCF-7細胞において調べた。細胞生存率及びクローン原性アッセイは、100nm及び200nmのBTNPを用いた処置がTTField抵抗性MCF-7細胞においてTTFieldsの抗腫瘍性作用を増強したことを示した(図5B図5D)。注目すべきことに200nm BTNPは100nmのものより強力であり(図5B図5D)、サイズがTTFieldsの存在下でのBTNPの抗腫瘍性活性における重要な要因である可能性があることを示している。それによりこれらの結果は、BTNPがTTFieldsへの応答においてTTField抵抗性乳がん細胞を増感させたことを示した。
【0225】
TTFieldsは、乳がん細胞においてBTNPのサイトゾル蓄積を誘導する。
TTFieldsの存在下でBTNPによって媒介される増感の機序を調査するために、TTFieldsへの応答においてBTNPが乳がん細胞に蓄積するかどうかを調べた。最初に蛍光標示式細胞分取(FACS)分析をTTField処置及びBTNP/TTField処置細胞における細胞サイズ及び粒度を判定するために実施した。これらのパラメーターは、対照とTTField処置MCF-7及びBT-549細胞との間で同様であった(図6A及び図6B、左パネル)。細胞サイズ及び粒度は、BTNP/TTField処置MCF-7及びBT-549細胞において増加していた(図6A及び図6B、中央及び右パネル)。加えてメチレンブルー染色は、MCF-7及びBT-549細胞においてTTFieldsへの応答でのBTNPのサイトゾル蓄積を示した(図6C及び図6D)。加えて透過型電子顕微鏡(TEM)分析は、BTNPがTTField処置MCF細胞の細胞質において蓄積したことを示した(図6E)。したがって、これらの結果は、BTNPがTTFieldsへの応答で乳がん細胞の細胞質に蓄積したことを示した。
【0226】
BTNPと併用したTTFieldsは細胞周期アポトーシス経路を調節する。
TTFields/BTNP併用アプローチの制御作用を更に調査するために、13種類のがん経路に関連する700個の転写物を標的化するプローブを含有するNanoString nCounterTM Pan-Cancer pathway analysisをTTFieldsに曝露し、200nm BTNPを用いて処置していない、又は48時間処置したMCF-7細胞において実行した。TTFieldsに曝露せず、BTNPを用いて処置したMCF-7細胞も対照として含めた。遺伝子発現パターンは、対照とBTNP処置MCF-7細胞との間で同様であった一方で、TTFields処置は9種の異なる種類のがん経路において劇的な変化を誘導した(図7A)。それらのうち、細胞周期アポトーシス、Wnt、転写移動(transcriptional migration)、形質転換増殖因子ベータ(TGF-β)、ドライバー遺伝子、Notch、ヤヌスキナーゼ-シグナル伝達及び転写の活性化因子(JAK-STAT)並びにRasシグナル伝達は、TTField処置及びBTNP/TTField処置MCF-7細胞において顕著に調節され(図7B)、BTNP/TTFieldsが数個のがんシグナル伝達経路を調節する能力を有し得ることを証明している。細胞周期経路を更に分析した。データは、サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)、RB1、腫瘍タンパク質TP53、サイクリン依存性キナーゼ6(CDK6)、MDM2及びCDKN1A/2Aが挙げられる数個の細胞周期制御転写物がBTNP/TTField処置MCF-7細胞において調節されたことを示した(図8A)。加えて、細胞周期制御遺伝子についてのウエスタンブロット分析も、CDK6及び転写因子E2F1の顕著な減少によって判定されたとおり、BTNPと併用したTTFieldsが細胞周期進行を阻害したことを示した(図8B)。これらの結果は、BTNPと併用したTTFieldsが、がん関連経路を調節することによって乳がん細胞において抗がん剤活性を発揮し、細胞周期進行を特異的に阻害することを示している。
【0227】
考察
BTNPは、乳がん細胞において細胞毒性効果を有さずTTFieldsへの応答でTTField抵抗性乳がん細胞の抗腫瘍性活性を増強した。更にTTFieldsは、細胞周期関連アポトーシス経路を促進したBTNPの蓄積を引き起こしたことが見出された。これらのデータは、BTNP等の生体適合性ナノ物質ががん細胞においてTTField応答性増感剤として使用され得ることを示している。
【0228】
これらの結果は、BTNPが乳がん細胞において高濃度(100μg/ml)でさえ細胞毒性効果を有さなかったことを示し、それらが生体適合性であることを示している。これらの結果と一致して、他の報告は、ヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞、HeLa細胞及びラット間葉系幹細胞等の複数の種類の細胞における代謝活性、生存率/細胞傷害性、初期アポトーシス及び反応性酸素種(ROS)生成が挙げられる数個のアッセイから明らかであるとおり、BTNPを用いた処置が最小限の有害作用を有することを示した。結果は、BTNPだけを用いた処置が13種類の主ながん経路及び細胞周期制御タンパク質を顕著には変更しなかったことも示した(図7)。BTNP及びその被覆複合体は、TTFieldsのための生体適合性増感剤として使用され得る。
【0229】
データは、TTFields有効性が、種々のがん細胞株において細胞倍加時間に依存することを示している。しかしMCF-7とMDA-MB-231細胞との間での同様の細胞倍加時間にも関わらず、MCF-7細胞はMDA-MB-231及びBT-549細胞よりもTTFieldsに抵抗性であった。データは、TTFieldsへの応答でBTNPがTTField抵抗性MCF-7乳がん細胞を感受性にしたことを示し、BTNP等のTTField応答性増感剤がTTField抵抗性がん細胞においてTTFieldsの有効性を増強できたことを示している。この文脈においていくつかの研究は、化学療法薬又は放射線治療が種々のがん細胞においてTTFieldsの有効性を増強することを示した。しかし、これらの併用処置はTTFieldsに応答せず、従来の化学療法薬又は放射線治療が物理的処置様式であるTTFieldsについての特異的な増感剤ではないことを示している。したがってデータは、BTNPをTTField抵抗性腫瘍に対するTTField応答性増感剤として使用できることを示している。
【0230】
データは、TTFieldsへの応答でBTNPが乳がん細胞の細胞質に蓄積したことを示している。細胞へのナノ粒子(NP)内部移行は、粒子サイズ及びそのゼータ電位に依存することが周知である。200nm未満のNPは、クラスリン依存性経路又はマクロピノサイトーシス経路を通じてがん細胞によって貪食され得る。しかし、クロルプロマジン、アミロライド及びサイトカラシンD等のこれらの経路に対する特異的阻害剤は、TTFieldsへの応答において細胞質におけるBTNPの蓄積を調節せず、細胞質におけるBTNP蓄積がクラスリン依存性経路又はマクロピノサイトーシス経路によって媒介されていないことを示している。本明細書におけるデータは、TTFieldsによる膜透過性の増加が、がん細胞の細胞質におけるBTNP蓄積を誘導できることを証明している。
【0231】
本明細書におけるデータは、BTNPと併用したTTFieldsが、関連する他の経路を越えて細胞周期アポトーシス経路を顕著に調節したことを示している。有糸分裂欠損を有する細胞が分裂期細胞死又はG1停止老化を受けることから、データは、BTNP/TTField処置細胞におけるCDK4/6、p-RB及びE2F1が挙げられるG1細胞周期制御因子の減少から明らかなとおり、BTNPと併用したTTFieldsが細胞周期アポトーシス経路を調節することによって分裂期細胞死又はG1停止老化を誘導できることを示している。細胞周期アポトーシス経路に加えて、Wnt、転写移動、形質転換増殖因子ベータ(TGF-β)、ドライバー遺伝子、Notch、ヤヌスキナーゼ-シグナル伝達及び転写の活性化因子(JAK-STAT)並びにRasシグナル伝達が挙げられる数個のがん経路の顕著な調節がTTField処置及びBTNP/TTField処置MCF-7細胞において観察された。データは、高い生体適合性及び強誘電性特性によって特徴付けられるBTNPが、細胞周期アポトーシス経路を調節することによって乳がん細胞へのTTField応答性増感剤として作用することも示した(F 9)。したがって、BTNP等の電場応答性ナノ物質は、がん細胞におけるTTFieldsの治療有効性を増強するためのTTField応答性増感剤として使用され得る。
【0232】
方法
細胞培養: MCF-7及びBT-549乳がん細胞株は、American Type Culture Collection(ATCC、Manassas、VA)から購入した。ATCCによって提供された情報によって確認したとおり、両細胞株をそれらの核型、画像及び詳細な遺伝子発現によって確認した。両細胞株をATCCプロトコールに従って、2カ月未満保存及び継代し、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって1週間に1回マイコプラズマ感染について検査した。MCF-7細胞はダルベッコ変法イーグル培地 (DMEM、Corning社、NY、USA)中で培養し、BT-549細胞はRPMI (Corning社、NY、USA)中で培養した。すべての種類の培地に10%ウシ胎児血清(FBS、Corning社、NY、USA)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma-Aldrich社、MO、USA)を補充した。すべての細胞株を加湿した5%CO2インキュベーター中、37℃で維持した。
【0233】
TTFields印加: MCF-7 (1.5×104個)及びBT-549 (1×104個)細胞を18mmガラスカバーガラス(Marienfeld-Superior、Mediline、Lauda-Konigshofen、ドイツ)又は22mmプラスチックカバーガラス(Thermo Fisher Scientific社、MA、USA)上に24時間播種し、これらのカバーガラスをオートクレーブしたピンセットを使用してceramic inovitro dishes (NovoCure社、Haifa、イスラエル)に移した。TTFields処置のために本発明者らは、inovitro system (NovoCure社、Haifa、イスラエル)を72時間、以前記載のとおり適用した。簡潔には、カバーガラス上の細胞を1V/cmに150kHzでinovitro TTFields発生装置(NovoCure社、Haifa、イスラエル)によって発生させた150mAの電流を用いて曝露し、プレート温度を19℃の冷蔵インキュベーター(ESCO Technologies社、USA)によって37℃に維持した。
【0234】
BTNPの生成及び物理化学的特徴付け:チタン酸バリウムナノ粒子(100nm、200nm)をUS Research Nanomaterials Inc.社(TX、USA)から購入し、更に精製することなく使用した。BTNPをエタノール中に分散させ、凝集を軽減するために超音波処理した。加えて、細胞への添加前にBTNPの表面をタンパク質コロナでコートするように5%FBSを加えた。調製されたBTNPのナノ構造及び形態をSirion-400 (FEI社、OR、USA)を用いた電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)及びJEM-2100F (JEOL社、日本)を用いたTEMによって調べた。FBSコートBTNPのゼータ電位をZetasizer Nano ZS (Malvern Instruments Ltd.社、UK)において動的光散乱法によって測定した。
【0235】
細胞生存率アッセイ:細胞生存率アッセイをWST-8試薬(Cyto X; LPS溶液、Daejeon)を使用して実施した。MCF-7細胞(0.5×104個)を96ウエルプレートに播種し、BTNPの濃度を増加させて含有する又はビヒクル対照としてエタノールを含有する培地で処置した。72時間後、WST-8試薬(10μl)を各ウエルに加え、プレートを2時間、37℃でインキュベートした。続いて吸光度を450nmでVersaMaxマイクロプレートリーダー(Molecular Devices社、CA、USA)を使用して測定した。
【0236】
クローン原性アッセイ:クローン原性アッセイを以前記載のとおり実施した。MCF-7又はBT-549細胞(500個)を6ウエルプレート中で22mmプラスチックカバーガラスに24時間播種した。オートクレーブしたピンセットを使用して、カバーガラスをceramic inovitro dishesに移し、inovitro TTFields発生装置を用いて72時間インキュベートした。TTFields処置後、カバーガラスを6ウエルプレートに移し、37℃でインキュベートした。7日後、コロニーを固定し、1%クリスタルバイオレット(Sigma-Aldrich社)及び40%メタノール溶液を用いて染色し、コロニーの数を計数した。
【0237】
細胞計数:同じ容積中の生存細胞の数を評価するために、絶対細胞数をBD AccuriTM C6フローサイトメーター(BD Biosciences社、CA、USA)を以前記載のとおり使用して取得した。簡潔には新鮮培地(500μl)中の脱離したMCF-7及びBT-549細胞をヨウ化プロピジウム(50μg/ml; PI; Sigma-Aldrich社、MO、USA)を使用して染色し、PI陰性集団中の細胞の数を100μl容積中で計数した。
【0238】
細胞周期分析:細胞周期分析を実施した。簡潔には、上に記載の条件で処置した細胞をトリプシン処理し、PBS中で2回洗浄し、氷冷70%エタノール中で固定した。固定した細胞をPI(50μg/ml)及びRNase(100μg/ml)を用いて、37℃、30分間インキュベートし、次にBD AccuriTM C6フローサイトメーター(BD Biosciences社、CA、USA)を用いて分析した。
【0239】
アポトーシス分析:脱離した細胞を回収し、FITC Annexin V Apoptosis Detection Kit (BD Biosciences社、CA、USA)を製造者のプロトコールに従って使用してアポトーシスを検出した。試料をBD AccuriTM C6フローサイトメーター(BD Biosciences社、CA、USA)を使用して分析した。
【0240】
メチレンブルー染色:細胞を4%パラホルムアルデヒドを用いて固定し、次にダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)に溶解した0.1%メチレンブルー(Sigma-Aldrich社、MO、USA)を用いて5分間染色した。DPBSを用いた数回の洗浄後、スライドをグリセリンでマウントし、画像をLSM 710共焦点顕微鏡(Carl Zeiss社、ドイツ)を使用して得た。
【0241】
TEM画像化: BTNP処置をした又はしていないTTFields処置MCF-7細胞を脱離させ、2.5%グルタルアルデヒド(Sigma-Aldrich社、MO、USA)及び0.1Mリン酸緩衝液(pH7.3)中で4℃、一晩固定した。固定後、細胞を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.3)中の1%四酸化オスミウム及び1.5%フェロシアン化カリウムを用いて1時間、4℃、暗所で処置した。続いてこれらをエタノール及びプロピレンオキシドの処置サイクルでの脱水後にEpon 812 (Sigma-Aldrich社、MO、USA)に包埋した。ポリマー反応を純粋なレジンを使用して70℃、2日間実行した。超薄試料をUltraCut-UCT ultramicrotome (Leica社、オーストリア)を用いて得て、150メッシュ銅グリッド上に回収した。2%酢酸ウラニルを用いた10分間及びクエン酸鉛5分間の染色後、試料を120kVでTecnai G2 Spirit Twin TEM装置で調べた。
【0242】
RNA単離及びNanoString分析:総RNAをQIAzol試薬(Qiagen社、Hilden、ドイツ)を使用して処置細胞から単離した。nCounter XT CodeSet Gene Expression Assays (NanoString Technologies社、WA、USA)から提供された手順に従って、100ngのRNAをプローブにハイブリダイズするために使用した。
【0243】
ウエスタンブロット分析:ウエスタンブロットを以前記載のとおり実施した。簡潔にはタンパク質をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離し、ニトロセルロース膜に移行させ、特異的抗体を使用して検出した。次の抗体を使用した:ウサギポリクローナル抗CDK4、ウサギモノクローナルCDK6、ウサギモノクローナルホスホ-RB、ウサギポリクローナルRB (Santa Cruz Biotechnology社、CA、USA);マウスモノクローナルp21、マウスモノクローナルE2F1、マウスモノクローナルMDM2、マウスポリクローナル抗β-アクチン(Santa Cruz Biotechnology社、CA、USA)及びマウスモノクローナルp53 (Merck社、NJ、USA)。ブロットをペルオキシダーゼコンジュゲート二次抗体を使用して発色させ、enhanced chemiluminescence detection system (Amersham Life Science社、Buckinghamshire、UK)を用いて視覚化した。
【0244】
統計解析:両側スチューデントのt検定を群間の統計的差異を分析するために実施した。0.05未満のP値を統計的に有意と見なした。統計解析をMicrosoft Excel及びXLSTATソフトウェアを使用して実施した。
【0245】
当業者は、日常的な実験を使用するだけで、本明細書に記載される方法及び組成物の具体的な実施形態についての多数の等価物を認識する又は確認することができる。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
図1A-1D】
図2
図3
図4
図5
図6A-6E】
図7
図8A-8B】
図9