(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-10
(54)【発明の名称】有効性の増強のための合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグと医薬剤との相乗的組合せ
(51)【国際特許分類】
A61K 31/522 20060101AFI20230203BHJP
A61K 31/195 20060101ALI20230203BHJP
A61K 31/197 20060101ALI20230203BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230203BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230203BHJP
A61K 31/045 20060101ALI20230203BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20230203BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20230203BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230203BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20230203BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20230203BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20230203BHJP
【FI】
A61K31/522
A61K31/195
A61K31/197
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/045
A61K9/12
A61K9/06
A61K9/08
A61K9/107
A61P31/12
A61P31/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022525262
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(85)【翻訳文提出日】2022-06-23
(86)【国際出願番号】 US2020057877
(87)【国際公開番号】W WO2021087058
(87)【国際公開日】2021-05-06
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522169911
【氏名又は名称】トラネキサミック テクノロジーズ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート, ダブリュ. ポール
(72)【発明者】
【氏名】マードック, フランク
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA12
4C076AA17
4C076AA24
4C076AA25
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(57)【要約】
一実施形態において、本開示は、医薬剤の有効性を増強するための組成物に関する。いくつかの実施形態において、組成物は、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグと医薬剤とを含む。いくつかの実施形態において、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグと抗ウイルス剤とは相乗的組合せを形成する。さらなる実施形態において、本開示は、相乗的組合せを、それを必要とする対象に投与することを一般的に含む、医薬剤の有効性を増強するための方法に関する。さらなる実施形態において、本開示は、相乗的組合せを一般的に含む医薬剤の有効性を増強するためのキットに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬剤の有効性を増強するための組成物であって、
合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグと、
医薬剤とを含み、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグと抗ウイルス剤とが相乗的組合せを形成する、組成物。
【請求項2】
合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグが、トラネキサム酸、イプシロン-アミノカプロン酸(EACA)及びAZD 6564からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグがトラネキサム酸である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
医薬剤が、ヌクレオシドアナログ、核酸塩基アナログ、ヌクレオチドアナログ、抗菌剤、抗がん剤、遺伝子療法剤、免疫増強剤、ホルモン療法剤、抗ウイルス抗体、及びその組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
医薬剤が、アシクロビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、ペンシクロビル、バラシクロビル、又はバルガンシクロビル、デオキシアデノシンアナログ、アデノシンアナログ、デオキシシチジンアナログ、グアノシン及びデオキシグアノシンアナログ、チミジン及びデオキシチミジンアナログ、デオキシウリジンアナログ、ジダノシン、ビダラビン、シタラビン、ゲムシタビン、エムトリシタビン、ラミブジン、ザルシタビン、アバカビル、アシクロビル、エンテカビル、スタブジン、テルビブジン、ジドブジン、イドクスウリジン、トリフルリジン、オセルタミビル、バロキサビルマルボキシル、ドコサノール、及びその組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
医薬剤がアシクロビルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
医薬剤がドコサノールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
医薬剤がアジュバント療法又は療法剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
相乗的組合せが溶液中にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
溶液が、濃度0.5~30重量%の合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグを有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
溶液が、スプレー、ミスト、エアロゾル、又は洗口剤として製剤化されている、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
溶液が、ヒト皮膚に適応する賦形剤の一部として適用されるように製剤化されている、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
賦形剤が、ゲル剤、ローション剤及びクリーム剤からなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
溶液が、鼻孔に投与されるように製剤化されている、請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
溶液が、上気道に投与されるように製剤化されている、請求項9に記載の組成物。
【請求項16】
溶液が、静脈内投与されるように製剤化されている、請求項9に記載の組成物。
【請求項17】
溶液が、相乗的組合せが徐放的に送達されることを可能にする賦形剤を介して適用されるように製剤化されている、請求項9に記載の組成物。
【請求項18】
相乗的組合せが、濃度1%~60重量%の合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグ及び1/8~標準的用量又はそれ以上の医薬剤を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
相乗的組合せが、経口送達されるように製剤化されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
相乗的組合せが、徐放的に送達されるように製剤化されている、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
相乗的組合せが、ウイルスの薬物耐性株若しくは変異又は他の疾患の発生を治療するか、又は低下させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
相乗的組合せが、1日当たり少なくとも1回投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
医薬剤の有効性を増強する方法であって、
相乗的組合せを、それを必要とする対象に投与することを含み、相乗的組合せが、
合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグと、
医薬剤とを含む、方法。
【請求項24】
合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグが、トラネキサム酸、イプシロン-アミノカプロン酸(EACA)及びAZD 6564からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグがトラネキサム酸である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
医薬剤が、ヌクレオシドアナログ、核酸塩基アナログ、ヌクレオチドアナログ、抗菌剤、抗がん剤、遺伝子療法剤、免疫増強剤、ホルモン療法剤、抗ウイルス抗体、及びその組合せからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
医薬剤が、アシクロビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、ペンシクロビル、バラシクロビル又はバルガンシクロビル、デオキシアデノシンアナログ、アデノシンアナログ、デオキシシチジンアナログ、グアノシン及びデオキシグアノシンアナログ、チミジン及びデオキシチミジンアナログ、デオキシウリジンアナログ、ジダノシン、ビダラビン、シタラビン、ゲムシタビン、エムトリシタビン、ラミブジン、ザルシタビン、アバカビル、アシクロビル、エンテカビル、スタブジン、テルビブジン、ジドブジン、イドクスウリジン、トリフルリジン、オセルタミビル、バロキサビルマルボキシル、ドコサノール、及びその組合せからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
医薬剤がアシクロビルである、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
医薬剤がドコサノールである、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
医薬剤がアジュバント療法又は療法剤である、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
相乗的組合せが溶液中にある、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
溶液が、濃度0.5~30重量%の合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグを有する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
溶液が、スプレー、ミスト、エアロゾル、又は洗口剤として製剤化されている、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
溶液が、ヒト皮膚に適応する賦形剤の一部として適用されるように製剤化されている、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
賦形剤が、ゲル剤、ローション剤及びクリーム剤からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
溶液が、鼻孔に投与されるように製剤化されている、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
溶液が、上気道に投与されるように製剤化されている、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
溶液が、静脈内投与されるように製剤化されている、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
溶液が、相乗的組合せが徐放的に送達されることを可能にする賦形剤を介して適用されるように製剤化されている、請求項31に記載の方法。
【請求項40】
相乗的組合せが、濃度1%~60重量%の合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグ及び1/8~標準的用量又はそれ以上の医薬剤を有する、請求項23に記載の方法。
【請求項41】
相乗的組合せが、経口送達されるように製剤化されている、請求項23に記載の方法。
【請求項42】
相乗的組合せが、徐放的に送達されるように製剤化されている、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
投与が、1日当たり少なくとも1回である、請求項23に記載の方法。
【請求項44】
相乗的組合せが、ウイルスの薬物耐性株若しくは変異又は他の疾患の発生を治療するか、又は低下させる、請求項23に記載の方法。
【請求項45】
医薬剤の有効性を増強するためのキットであって、
合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグと、
医薬剤とを含み、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグと抗ウイルス剤とが相乗的組合せを形成する、キット。
【請求項46】
合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグが、トラネキサム酸、イプシロン-アミノカプロン酸(EACA)及びAZD 6564からなる群から選択される、請求項45に記載のキット。
【請求項47】
合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグがトラネキサム酸である、請求項46に記載のキット。
【請求項48】
医薬剤が、ヌクレオシドアナログ、核酸塩基アナログ、ヌクレオチドアナログ、抗菌剤、抗がん剤、遺伝子療法剤、免疫増強剤、ホルモン療法剤、抗ウイルス抗体、及びその組合せからなる群から選択される、請求項45に記載のキット。
【請求項49】
医薬剤が、アシクロビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、ペンシクロビル、バラシクロビル又はバルガンシクロビル、デオキシアデノシンアナログ、アデノシンアナログ、デオキシシチジンアナログ、グアノシン及びデオキシグアノシンアナログ、チミジン及びデオキシチミジンアナログ、デオキシウリジンアナログ、ジダノシン、ビダラビン、シタラビン、ゲムシタビン、エムトリシタビン、ラミブジン、ザルシタビン、アバカビル、アシクロビル、エンテカビル、スタブジン、テルビブジン、ジドブジン、イドクスウリジン、トリフルリジン、オセルタミビル、バロキサビルマルボキシル、ドコサノール、及びその組合せからなる群から選択される、請求項45に記載のキット。
【請求項50】
医薬剤がアシクロビルである、請求項45に記載のキット。
【請求項51】
医薬剤がドコサノールである、請求項45に記載のキット。
【請求項52】
医薬剤がアジュバント療法又は療法剤である、請求項45に記載のキット。
【請求項53】
合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグが第1の媒体中にあり、医薬剤が第2の媒体中にある、請求項45に記載のキット。
【請求項54】
第1の媒体及び第2の媒体の少なくとも1つが丸剤、錠剤又はカプセル剤である、請求項52に記載のキット。
【請求項55】
第1の媒体及び第2の媒体の少なくとも1つが溶液である、請求項52に記載のキット。
【請求項56】
溶液が、濃度0.5~30重量%の合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグを有する、請求項55に記載のキット。
【請求項57】
溶液が、鼻孔又は上気道に投与されるように製剤化されている、請求項55に記載のキット。
【請求項58】
溶液が、ヒト皮膚に適応する賦形剤の一部として適用されるように製剤化されている、請求項55に記載のキット。
【請求項59】
賦形剤が、ゲル剤、ローション剤及びクリーム剤からなる群から選択される、請求項58に記載のキット。
【請求項60】
相乗的組合せが、濃度1%~60重量%の合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグ及び1/8~標準的用量又はそれ以上の医薬剤を有する、請求項45に記載のキット。
【請求項61】
相乗的組合せが、1日当たり少なくとも1回投与される、請求項45に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年10月29日出願の米国仮特許出願第62/927,540号からの優先権を主張し、参照によってその開示全体を組み込む。
【0002】
本開示は一般的に相乗的組合せに関し、限定するものではないが、より具体的には、限定されるものではないが、合成化学化合物又は生体由来の化合物、細胞、医薬目的で投与される他の物質及びその組合せを含む、医薬剤の有効性の増強のための、又は合成リジン(lysing)アナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグの有効性の増強のための、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグと医薬剤との相乗的組合せのための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本セクションは、本開示の種々の局面のより良い理解を促進するための背景情報を提供する。本文書の本セクションにおける記載は、この観点で読まれるべきであり、先行技術の認定として読まれるべきではないことが理解されるべきである。
【0004】
種々の例において、同様の効果を個々にもたらす2つ以上の構成要素は、組合せで投与された場合、効果の増強を示すことがある。必要とされる濃度が低いこと、又は類似の濃度でより陽性に反応することのいずれかによって、組み合わせた効果が、個々の構成要素のそれぞれの個々の効力により予測されるものを上回る場合、組合せは相乗的であると言われる。相乗的相互作用により、例えば、組合せ構成要素のより低い濃度の使用が可能になる場合があり、これは、個々の構成要素それぞれの有害反応を低下し得る状況である。したがって、本開示は一般的に、相乗効果に基づく、医薬剤又は合成リジンアナログ、誘導体又は模倣物の有効性の増強のための、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグ及び医薬剤に関する。
【発明の概要】
【0005】
この概要は、以下の詳細な説明でさらに記載する概念の選択を紹介するために提供される。この概要は特許請求する主題の重要な、又は必須の特徴を特定することを意図したものではなく、また、特許請求する主題の範囲を限定することを補助するものとして使用されるべきでもない。
【0006】
一実施形態において、本開示は、医薬剤の有効性を増強するための組成物に関する。いくつかの実施形態において、組成物は、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグ及び医薬剤を含む。いくつかの実施形態において、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグと抗ウイルス剤とは、相乗的組合せを形成する。
【0007】
いくつかの実施形態において、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグとしては、限定されるものではないが、トラネキサム酸、イプシロン-アミノカプロン酸(EACA)及びAZD 6564が挙げられる。いくつかの実施形態において、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグはトラネキサム酸である。いくつかの実施形態において、医薬剤としては、限定されるものではないが、ヌクレオシドアナログ、核酸塩基アナログ、ヌクレオチドアナログ、抗菌剤、抗がん剤、遺伝子療法剤、免疫増強剤、ホルモン療法剤、抗ウイルス抗体、及びその組合せが挙げられる。いくつかの実施形態において、医薬剤としては、限定されるものではないが、アシクロビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、ペンシクロビル、バラシクロビル又はバルガンシクロビル、デオキシアデノシンアナログ、アデノシンアナログ、デオキシシチジンアナログ、グアノシン及びデオキシグアノシンアナログ、チミジン及びデオキシチミジンアナログ、デオキシウリジンアナログ、ジダノシン、ビダラビン、シタラビン、ゲムシタビン、エムトリシタビン、ラミブジン、ザルシタビン、アバカビル、アシクロビル、エンテカビル、スタブジン、テルビブジン、ジドブジン、イドクスウリジン、トリフルリジン、オセルタミビル、バロキサビルマルボキシル、ドコサノール、及びその組合せが挙げられる。いくつかの実施形態において、医薬剤はアシクロビルである。いくつかの実施形態において、医薬剤はドコサノールである。いくつかの実施形態において、医薬剤はアジュバント療法又は療法剤である。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは溶液中にある。いくつかの実施形態において、溶液は、濃度約0.5~約30重量%の合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグを有する。いくつかの実施形態において、溶液は、スプレー、ミスト、エアロゾル、又は洗口剤として製剤化されている。いくつかの実施形態において、溶液は、ヒト皮膚に適応する賦形剤の一部として適用されるように製剤化されている。いくつかの実施形態において、賦形剤としては、ゲル剤、ローション剤及びクリーム剤が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、溶液は、鼻孔に投与されるように製剤化されている。いくつかの実施形態において、溶液は、上気道に投与されるように製剤化されている。いくつかの実施形態において、溶液は、静脈内投与されるように製剤化されている。いくつかの実施形態において、溶液は、相乗的組合せが徐放的に送達されることを可能にする賦形剤を介して適用されるように製剤化されている。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、濃度約1~約60重量%の合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグ及び約1/8~およそ標準的用量又はそれ以上の医薬剤を有する。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、経口送達されるように製剤化されている。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、徐放的に送達されるように製剤化されている。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、ウイルスの薬物耐性株若しくは変異又は他の疾患の発生を治療するか、又は低下させる。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは1日当たり少なくとも1回投与される。
【0008】
さらなる実施形態において、本開示は、医薬剤の有効性を増強する方法に関する。一般的に、方法は、相乗的組合せを、それを必要とする対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグと医薬剤とを含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグとしては、トラネキサム酸、イプシロン-アミノカプロン酸(EACA)及びAZD 6564が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグはトラネキサム酸である。いくつかの実施形態において、医薬剤としては、ヌクレオシドアナログ、核酸塩基アナログ、ヌクレオチドアナログ、抗菌剤、抗がん剤、遺伝子療法剤、免疫増強剤、ホルモン療法剤、抗ウイルス抗体及びその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、医薬剤としては、アシクロビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、ペンシクロビル、バラシクロビル又はバルガンシクロビル、デオキシアデノシンアナログ、アデノシンアナログ、デオキシシチジンアナログ、グアノシン及びデオキシグアノシンアナログ、チミジン及びデオキシチミジンアナログ、デオキシウリジンアナログ、ジダノシン、ビダラビン、シタラビン、ゲムシタビン、エムトリシタビン、ラミブジン、ザルシタビン、アバカビル、アシクロビル、エンテカビル、スタブジン、テルビブジン、ジドブジン、イドクスウリジン、トリフルリジン、オセルタミビル、バロキサビルマルボキシル、ドコサノール及びその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、医薬剤はアシクロビルである。いくつかの実施形態において、医薬剤はドコサノールである。いくつかの実施形態において、医薬剤は、アジュバント療法又は療法剤である。いくつかの実施形態において,相乗的組合せは溶液中にある。いくつかの実施形態において、溶液は、濃度約0.5~約30重量%の合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグを有する。いくつかの実施形態において、溶液は、スプレー、ミスト、エアロゾル、又は洗口剤として製剤化されている。いくつかの実施形態において、溶液は、ヒト皮膚に適応する賦形剤の一部として適用されるように製剤化されている。いくつかの実施形態において、賦形剤としては、ゲル剤、ローション剤及びクリーム剤が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、溶液は、鼻孔に投与されるように製剤化されている。いくつかの実施形態において、溶液は、上気道に投与されるように製剤化されている。いくつかの実施形態において、溶液は、静脈内投与されるように製剤化されている。いくつかの実施形態において、溶液は、相乗的組合せが徐放的に送達されることを可能にする賦形剤を介して適用されるように製剤化されている。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、濃度約1%~約60重量%の合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグ及び約1/8~およそ標準的用量若しくはそれ以上の医薬剤を有する。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは経口送達されるように製剤化されている。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、徐放的に送達されるように製剤化されている。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、ウイルスの薬物耐性株若しくは変異又は他の疾患の発生を治療するか、又は低下させる。いくつかの実施形態において、投与は1日当たり少なくとも1回である。
【0010】
さらなる実施形態において、本開示は、医薬剤の有効性を増強するためのキットに関する。いくつかの実施形態において、キットは、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグと医薬剤とを含む。いくつかの実施形態において、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグと抗ウイルス剤とは相乗的組合せを形成する。
【0011】
いくつかの実施形態において、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグとしては、トラネキサム酸、イプシロン-アミノカプロン酸(EACA)及びAZD 6564が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグはトラネキサム酸である。いくつかの実施形態において、医薬剤としては、ヌクレオシドアナログ、核酸塩基アナログ、ヌクレオチドアナログ、抗菌剤、抗がん剤、遺伝子療法剤、免疫増強剤、ホルモン療法剤、抗ウイルス抗体、及びその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、医薬剤としては、アシクロビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、ペンシクロビル、バラシクロビル、又はバルガンシクロビル、デオキシアデノシンアナログ、アデノシンアナログ、デオキシシチジンアナログ、グアノシン及びデオキシグアノシンアナログ、チミジン及びデオキシチミジンアナログ、デオキシウリジンアナログ、ジダノシン、ビダラビン、シタラビン、ゲムシタビン、エムトリシタビン、ラミブジン、ザルシタビン、アバカビル、アシクロビル、エンテカビル、スタブジン、テルビブジン、ジドブジン、イドクスウリジン、トリフルリジン、オセルタミビル、バロキサビルマルボキシル、ドコサノール、及びその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、医薬剤はアシクロビルである。いくつかの実施形態において、医薬剤はドコサノールである。いくつかの実施形態において、医薬剤は、アジュバント療法又は療法剤である。いくつかの実施形態において、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグは第1の媒体中にあり、医薬剤は第2の媒体中にある。いくつかの実施形態において、第1の媒体及び第2の媒体の少なくとも1つは丸剤、錠剤又はカプセル剤である。いくつかの実施形態において、第1の媒体及び第2の媒体の少なくとも1つは溶液である。いくつかの実施形態において、溶液は、濃度約0.5~約30重量%の合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグを有する。いくつかの実施形態において、溶液は、鼻孔又は上気道に投与されるように製剤化されている。いくつかの実施形態において、溶液は、ヒト皮膚に適応する賦形剤の一部として適用されるように製剤化されている。いくつかの実施形態において、賦形剤は、ゲル剤、ローション剤及びクリーム剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、濃度約1~約60重量%の合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグ及び約1/8~およそ標準的用量又はそれ以上の医薬剤を有する。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは1日当たり少なくとも1回投与される。
【0012】
本開示の主題のより完全な理解は、添付の図面と組み合わせて考慮した場合に、以下の詳細な説明を参照して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】独立した、種々の濃度のトラネキサム酸(TA)及びアシクロビル(ACV)の抗ウイルス活性を示す。
【
図2】単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)DNA複製に対する2%TAの効果を示す(感染多重度(MOI)0.05)。
【
図3】HSV-1 DNA複製に対する2% TAの効果を示す(MOI0.5)。
【
図4】単純ヘルペスウイルス(HSV)遺伝子が3つの時間的クラス:(i)最初期;(ii)早期;及び(iii)後期に転写されることを示す。
【
図5】感染細胞タンパク質4(ICP4)転写に対する2% TAの効果を示す(MOI0.5)。
【
図6】ICP4転写に対する2% TAの効果を示す(MOI0.05)。
【
図7】感染細胞タンパク質27(ICP27)転写に対する2% TAの効果を示す(MOI0.5)。
【
図8】ICP27転写に対する2% TAの効果を示す(MOI0.05)。
【
図9】感染細胞タンパク質8(ICP8)転写に対する2% TAの効果を示す(MOI0.5)。
【
図10】ICP8転写に対する2% TAの効果を示す(MOI0.05)。
【
図11】チミジンキナーゼ転写に対する2% TAの効果を示す(MOI0.5)。
【
図12】チミジンキナーゼ転写に対する2% TAの効果を示す(MOI0.05)。
【
図13】糖タンパク質C転写に対する2% TAの効果を示す(MOI0.5)。
【
図14】ビリオンタンパク質16(VP16)転写に対する2% TAの効果を示す(MOI0.5)。
【
図15】糖タンパク質C転写に対する2% TAの効果を示す(MOI0.05)。
【
図16】VP16転写に対する2% TAの効果を示す(MOI0.05)。
【
図17】種々の濃度における、独立した、及び組合せのTA及びACVの抗ウイルス活性を示す。
【
図18】TA用量応答(半数最大阻害濃度(IC
50)=40.87mM)を示す。
【
図19】抗ウイルス活性(IC
50=40.87mM)を示す。
【
図20】非感染細胞のTA細胞傷害性(細胞傷害性濃度(CC
50)=320.3mM TA)を示す。
【
図21】株17+に正規化したMOI0.5の感染細胞のTA細胞傷害性を示す(CC
50=446.0mM TA)。
【
図22】複数の薬物耐性であるHSV-1の臨床的単離物HO-1のウイルス収量に対する処置の効果を示す。
【
図24】TA及びACVがマウス足蹠モデルにおいてHSV-1感染の致死性を低下させる上で相乗性を示すことを示す。
【
図25】トラネキサム酸が、マウス足蹠モデルにおいてHSV-1感染の致死性を低下させる上で有効性を示すことを示す。
【
図26】独立した、及び組み合わせたTA及びドコサノールによるHSV-1収量のパーセント阻害を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の開示は、種々の実施形態の異なる特徴を実施するための、多くの異なる実施形態又は例を提供するものであることが理解されるべきである。成分及び配置の特定の例は、本開示を単純化するために以下に記載するものである。これらは、当然のことであるが、単に例に過ぎず、限定的であることを意図するものではない。本明細書において使用するセクション見出しは、組織化目的のためであり、記載する主題を限定するものと考えられるべきではない。
【0015】
3つの正電荷のアミノ酸であるリジン、アルギニン及びヒスチジンは、種々の生物活性及び特定の疾患の発生、例えばウイルスの複製に関連する複数のタンパク質-タンパク質、タンパク質-DNA、及びタンパク質-RNA結合に必要な正荷電残基と負荷電残基の間の静電結合に正の電荷を提供する。これらの3つのアミノ酸は類似の化学構造を有するため、1つ又は複数の追加の量を添加することによって、追加されていないアミノ酸の1つ又は複数の活性をブロックし得る。同様に、十分な量のリジン、アルギニン又はヒスチジンの適切な合成アナログ、誘導体、又は模倣物を供給することによって、3つのアミノ酸の1つ又は複数の活性をブロックし得る。
【0016】
一態様において、本開示は一般的に、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物及びプロドラッグ(本明細書において「リジンアナログ」とも称する)に関し、リジンアナログが他の医薬剤、例えば、限定されるものではないが、合成化学化合物又は生体由来の化合物、細胞、医薬目的又は療法のために投与される他の物質、及びその組合せと相乗的に組み合わされることが可能になる複数の生物学的効果を有することが見出されているためである。さらに、逆が真であり、すなわち、医薬剤もまた、リジンアナログの効果を相乗的に増強し得る。より具体的には、限定されるものではないが、リジンアナログは、他の種々の生物学的効果の中で、抗フィブリン溶解性効果、抗炎症性効果、抗ウイルス効果、及び免疫増強効果を有する。したがって、リジンアナログは、医薬剤の作用様式に干渉しなければ、任意の医薬剤と有益なように組合せ得る。さらに、リジンアナログの生物学的効果の1つ又は複数は、例えば、その活性をより急速又は完全なものにする、より低い用量の医薬剤が使用されることを可能にする、又はリジンアナログによって引き起こされる二次的効果を介して患者の状態を改善する、又は患者を治癒することによって、医薬剤の効果を増強する。さらに、医薬剤の有効性を低下させる、又は除去する遺伝学的変異が生じ得る疾患又は状態について、リジンアナログの相補的な活性により、遺伝学的変異が、医薬剤とリジンアナログの組合せ効果を回避することはより困難になっており、これは、複数の変異は、ほとんど同時に生じなければならないためである。医薬剤に分与された全ての相乗的利益はまた、医薬剤に分与されたリジンアナログによっても実現し得ることが理解されるべきである。
【0017】
例として、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)は、世界の人口の最大80%がHSV-1のキャリアであり、約30%がHSV-1による再発性の単純疱疹発症を有することを示す、種々の推定がされている、ヒト人口における非常に一般的なウイルスである。治療するための1つの手法は、抗ウイルス薬物療法、例えば、アシクロビル又はドコサノール(ベヘニルアルコール)の使用である。下記により詳述するように、トラネキサム酸(リジンアナログ)も、HSV-1を阻害すること、及びそのHSV-1に対する作用様式は、アシクロビルとは異なっていることが示されている。したがって、その2つは、2つの異なる作用様式を介してHSV-1を阻害するように相乗的に作用することができ、さらに、ウイルス複製に対して同様の効果を達成しながら、相乗的組合せにおいてそれぞれをより低い用量で使用し得る。さらに、異なる作用方法を有する薬剤の相乗的組合せを使用することによって、ウイルスの耐性を発生させる能力が低下する。さらに、治療されているウイルス(例えばHSV-1)の株が、偶然、抗ウイルス薬物療法(例えばアシクロビル)に対して既に耐性である株の1つである場合、トラネキサム酸を含む相乗的組合せはそれでも有効であり得る。さらに、トラネキサム酸はそれ自体がHSV-1の複製の複数の局面に影響を与えるため、トラネキサム酸はさらなる程度の有効性及びウイルス耐性の回避を提供する。さらに、トラネキサム酸の抗フィブリン溶解性効果、抗炎症性効果及び免疫増強効果は、特定の目的のウイルスがHSV-1である場合、水疱及び単純疱疹の発症の他の局面のより急速な治癒についての二次的な利点を提供する。
【0018】
抗ウイルス剤、例えば、限定されるものではないが、アシクロビルは、水痘(varicella)(水痘(chickenpox))、帯状疱疹(herpes zoster)(帯状疱疹(shingles))、初回又は反復性のHSV-1又は単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)の発症又は種々の他のウイルス感染を有する人における疼痛を軽減し、例えば、疱疹又は水疱の治癒を加速するために使用される。さらに、ドコサノールは、皮膚を透過し、健康な細胞に対してバリアをさらに供給しながらウイルスをブロックする単純疱疹の薬物療法の例である。抗ウイルス剤はさらに、時としてHSV-1、HSV-2又は他の種類の再発性ウイルス発症又は休止状態のウイルス感染に感染している人における疱疹又は水疱の発症を予防又は抑制するために予防的に使用されることがある。いくつかの抗ウイルス剤、例えばアシクロビルは、ヌクレオシドアナログとして知られる抗ウイルス薬物療法のクラスにある。アシクロビルは、ヌクレオシドアナログであり、同様の作用機序、例えば、下記に詳述するようなチミジンキナーゼへの依存を有する任意のヌクレオシド又はヌクレオシドアナログ抗ウイルス剤は、アシクロビルと同様の方式でリジンアナログと相互作用すると推論される。下記にさらに開示するように、トラネキサム酸は、例えば、チミジンキナーゼの遺伝子転写には影響を及ぼさず、したがってトラネキサム酸は、複数の抗ウイルス目的のために、同様の作用機序に依存する薬物のクラスと相乗的に使用し得る。さらに、相乗的な利点は、リジン及びリジンアナログの作用方法とは異なる作用方法を有する任意の抗ウイルス薬物療法、例えば、レムデシビルによって実現し得ることが推論される。この相乗的な利点は、また、作用方法が、リジン及びリジンアナログの作用方法に関連していない、天然及び組換え抗体治療において実現される。
【0019】
ヌクレオシドアナログはウイルス酵素チミジンキナーゼの高度に強力及び選択的な阻害剤である。ヌクレオシドアナログは、アナログをモノホスフェート形態に変換し、次いでウイルスDNA複製に干渉するようにウイルスチミジンキナーゼの活性に依存する。ヌクレオシドアナログの抗ウイルス活性は、ウイルスが、細胞の対応物よりもはるかに低い基質特異性を有するそれ自体のヌクレオシドキナーゼをコードするという事実に依るものである。したがって、それらは特定のヌクレオシドアナログをモノリン酸化することができ、一方、細胞ヌクレオシドキナーゼはそうできないか、又は非常に限定的な程度に過ぎない。結果として得られるアナログモノホスフェートは、細胞キナーゼによって、各トリホスフェートに代謝され、これは、細胞DNAポリメラーゼよりもウイルスコードDNAポリメラーゼについて、明らかに低いモル阻害定数を示す。この工程は、選択的に偏性鎖終結を引き起こし、それによってウイルス産生の休止をもたらすことができる。
【0020】
例示的であるが、限定的ではない例として、アシクロビルは、ウイルスコード酵素チミジンキナーゼによって触媒されるモノリン酸化を受ける。モノホスフェートの形成は、ウイルスの存在下にのみ起こり得るものであり、そのためアシクロビルは、感染細胞においてのみモノホスフェートとして集積する。これは、次いで細胞中の通常の宿主酵素によってジホスフェート及びトリホスフェートに変換される。これは、次いでウイルスDNAポリメラーゼがグアノシントリホスフェートの取り込みを阻害し、それ自体が取り込まれる。DNAは、さらに成長することができず、鎖が終結する。
【0021】
作用機序は3部分:(i)ウイルスDNAポリメラーゼの競合的阻害;(ii)核酸に取り込まれる際の、DNAの鎖終結;及び(iii)ウイルスDNAポリメラーゼ酸の不活性化から構成されている。このクラスの抗ウイルス剤は、例えば、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV-1及びHSV-2)、及びヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対して使用し得る。
【0022】
リジンアナログは、リジン、アルギニン及びヒスチジンの1つ又は複数をアンタゴナイズすることによって、種々のウイルス、例えば、HSV-1、HSV-2、HIV、インフルエンザA、及びインフルエンザB等の複製を阻害することが示されている。本明細書に例示する例である、HSV-1に関しては、リジンアナログであるトラネキサム酸は、少なくとも4つの異なる遺伝子の転写に干渉することによって、ウイルス複製を阻害する。さらに、トラネキサム酸は、天然のリジンと同じ機構を介して、同様にHSV-1の複製を阻害する。アルギニンがHSV-1のウイルス増殖を支持し、リジンがアルギニンのこの作用をアンタゴナイズすることを実証する種々の研究が行われている。リジンの作用は、多因子性であり、1つの機構は、宿主真核細胞のDNA周辺のヒストン層に関連するものである。5つの異なる種類のヒストンが同定されており、これらはDNA複製の間のみ合成され、ここで、リジンに富むヒストンは、中期及び間期の間にクロマチンのDNAフィブリルを架橋し、これにより、クロマチンがよりコンパクトになることによってヒト染色体の構造的一体性が維持される。ウイルスのDNAヌクレオシド組成物は、リジンに対してアルギニンの高い比率を含み、感染細胞は、リジンに対してアルギニン比率が高いタンパク質を合成する。ウイルス、例えば単純ヘルペスは、グアニン(G)-含有コドンを頻繁に使用し、一方、ヒト宿主細胞は、シトシン(C)-グアニン使用の頻度が低い。アルギニンコドンは6つ存在し、リジンコドンは2つしか存在しない。1つのヌクレオチドの単純なシフトはアルギニンを産生する。これは、感染宿主細胞の翻訳装置では非常に急速に起こり得る。リジンに富む宿主細胞タンパク質はウイルスDNAによって変更され、アルギニンに富むタンパク質を合成する新しいアルギニンtRNAが産生される。
【0023】
リジン及びリジンアナログもまたアルギニンをアンタゴナイズし、HSV-1に関しては、例えば、アルギニンの代謝拮抗物質及びアナログに見えることによって、尿細管における再吸収について競合し、アルギニン排出の増加をもたらし、腸壁を通過する輸送について競合し、アルギナーゼ誘導因子として作用し、アルギニンの分解をもたらし、輸送系に入ることによって細胞組織内のアルギニンの細胞内含有量を低下させることによってアンタゴナイズする。さらに、細胞核内で複製するウイルスについては、核局在配列(NLS)が、ウイルスが細胞の細胞質内で作成し、新しいビリオンの形成のためには核内に入らなければならない全てのタンパク質について必要であり、全てのNLSは、タンパク質上に一連のリジン及びアルギニン残基を含む。さらに、リジン及びアルギニン残基をブロックすることによって、リジンアナログは、詳細は下記に議論する細胞内の作用に加えて細胞外の環境をウイルスの付着及び進入を阻害するように変更し得る。
【0024】
本明細書において、トラネキサム酸もHSV-1の複製に必要な特定の遺伝子の転写を阻害することを示す例示的な例を記載する。下記に示すように、トラネキサム酸は、少なくとも2つの最初期(IE)ステージ遺伝子の転写を阻害し、及び、少なくとも2つの後期ステージ遺伝子の転写を阻害し得るが、チミジンキナーゼについての早期ステージ遺伝子の転写を有意に阻害することはなく、これは、アシクロビル又は他のヌクレオシドアナログ抗ウイルス剤が、アシクロビルトリホスフェートになるためのプロセスを開始するために必要な酵素であり、これによってウイルスDNAの複製をブロックする。したがって、本開示は、医薬剤の有効性の増強をもたらすため、すなわち、HSV-1のウイルス複製を阻害するための、リジンアナログ、トラネキサム酸と医薬剤、例えばアシクロビルとの相乗的組合せの例を提供する。本明細書に示すデータに基づけば、他のヌクレオシドアナログ抗ウイルス剤は、アシクロビルと類似の作用方法を有すると容易に推論される。さらに、リジンアナログ、例えばトラネキサム酸の利点は、相乗的組合せからも利益を得るものである。
【0025】
トラネキサム酸及びアシクロビルの個々の抗ウイルス活性を
図1に示し、これは、種々の濃度におけるトラネキサム酸及びアシクロビルの抗ウイルス活性を独立して示す。上記で簡潔に記載するように、個々に類似の効果をもたらす2つ以上の化合物は、組み合わせて投与した場合に時として効果の増強を示す場合がある。例えば、必要とされる濃度が低いこと、又は類似の濃度でより陽性に反応することのいずれかによって、組み合わせた効果が、個々の構成要素の個々の効力により予測されるものを上回る場合、組合せは相乗的組合せであると言われる。この相乗的相互作用により、例えば、組合せ構成要素のより低い濃度の使用が可能になり、これは、個々の構成要素それぞれの有害反応を低減し得る状況である。さらに、一時的効果を増強する、又は他の利点、例えばより早い治癒を提供する組合せの構成要素の1つの二次的効果も、相乗的と考えることができる。例えば、リジンアナログは、プラスミノゲンのプラスミンへの活性化を阻害する。プラスミンは、フィブリン凝固を崩壊させ、炎症性効果を有し、特定の免疫機能に対して負の効果を有する。さらに、プラスミンは、例えばインフルエンザウイルスにおける病原性に影響を与え得るため、プラスミンを制限することによって抗ウイルス効果がもたらされるようになっている。したがって、他の機構の中で、プラスミンの形成を阻害することにより、リジンアナログは、有効な抗フィブリン溶解剤、抗炎症剤及び免疫増強剤である。
【0026】
したがって、本開示は、医薬剤及びリジンアナログの有効性を増強するために、医薬剤、例えばアシクロビルと、リジンアナログ、例えばトラネキサム酸との相乗的組合せを利用することを目的とするものである。これは、例えば、同等の効果を達成するために、医薬剤及びリジンアナログの各々を種々の用量で使用すること、又は、個々に投与されるのと同じ用量を使用し、より高い効果をもたらす相乗的組合せに依存することによって行うことができる。例えば、リジンアナログは、医薬剤と比較して、より高い又はより低い濃度であってもよく、又は、医薬剤は、リジンアナログと比較して、より高い又はより低い濃度であってもよい。
【実施例】
【0027】
本開示の、より具体的な実施形態及びそのような実施形態を支持するデータをここで参照する。しかしながら、以下の開示は、例示目的に過ぎず、特許請求される主題の範囲をいかなる方法でも限定することを意図するものではないことに留意されたい。
【0028】
HSV-1転写に対する2%トラネキサム酸の効果。
図2及び
図3に示すように、トラネキサム酸が、感染多重度の高い及び低いHSV感染の間の感染性ウイルスの産生を有意に低下させること、及びトラネキサム酸がHSV DNAの複製を有意に低下させることが以前に示されている。したがって、トラネキサム酸が感染の間にHSV遺伝子の発現に干渉するかどうかを決定しようと試みた。
【0029】
HSV転写に対するトラネキサム酸の効果の検討。HSV遺伝子は、3つの時間的なクラスで転写される(
図4):(i)最初期(IE)-感染直後に転写される;(ii)早期(E)-感染の2~4時間後に転写される;及び(iii)後期(L)-DNA複製後に転写される。本開示は、3つのクラスのそれぞれの選択遺伝子の転写に対するトラネキサム酸の効果を検討するために、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT-qPCR)を利用した。この方法によって、本開示は、感染後どの時点でトラネキサム酸が感染に干渉していたかを評価している。
【0030】
HSV転写に対するトラネキサム酸の効果。ウサギ皮膚細胞単層を感染多重度(MOI)0.5又は0.05でHSV-1株17+に感染させた。ウサギ皮膚細胞の24ウェルプレートの半分を2%(127.2mM)トラネキサム酸で処理し、残りの半分を賦形剤で処理した。プレートを次いで、37℃、5%CO2で2時間インキュベートした。全てのウェルを、MOI0.5又は0.05でHSV株17+に感染させ、ウイルスを細胞に1時間吸着させた。1時間インキュベートした後、接種材料を除き、2%トラネキサム酸又は賦形剤のいずれかを含有する培地に置換し、37℃、5%CO2でインキュベートした。MOI0.5シリーズについては、ウェルを3、6、9、及び18hpiのウェルで回収した。MOI0.05のシリーズについては、ウェルを12、24、48及び72hpiで回収した。RNAを抽出し、細胞から精製し、デオキシリボヌクレアーゼ(DNase)で処理し、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)分析のためにcDNAを産生するために逆転写を行った。各処理群及び各時点からのcDNAについて、代表的なHSV IE、E及びL遺伝子をプローブするqPCRを行った。
【0031】
HSV最初期遺伝子RNAの集積に対する2%トラネキサム酸の効果(MOI0.5及び0.05)。
図5~
図8は、感染細胞タンパク質4(ICP4)(ウイルストランス活性化因子)及び感染細胞タンパク質27(ICP27)(スプライシング、核からのRNS輸送の制御因子)に対するトラネキサム酸を示す。これらのウイルス遺伝子は、ウイルスDNAが核に進入した直後に発現し、その発現は早期遺伝子発現において使用される。結論として、有意であるが、軽度のICP27及びICP4 RNA両方に対する1/2~1/4の低下が見られ、このことは、トラネキサム酸が、IE遺伝子の転写/集積の干渉において感染後非常に早期に作用することを示している。効果はより低いMOI(0.05)においてはより大きいことに留意されたい。
【0032】
HSV早期遺伝子RNAの集積に対する2%トラネキサム酸の効果(MOI0.5及び0.05)。
図9~
図12は、感染細胞タンパク質8(ICP8)(HSV DNA結合タンパク質、HSV DNA複製のための前駆体)及びチミジンキナーゼ(HSV DNA複製のためのヌクレオチドプールを増加させるキナーゼ)に対するトラネキサム酸を示す。これらのウイルス遺伝子は、IE遺伝子後が生成され、その転写を活性化させた後に発現する。早期遺伝子は、群として、HSV DNA複製に使用されるタンパク質を生成する。
【0033】
HSV後期遺伝子RNAの集積に対する2%トラネキサム酸の効果(MOI0.5及び0.05)。
図13~
図16は、HSVの細胞への付着に使用されるビリオンエンベロープ成分である、糖タンパク質C(gC)及びウイルスIE遺伝子のトランス活性化に使用されるビリオン「外被」の成分であるビリオンタンパク質16(VP16)に対するトラネキサム酸を示す。これらのウイルス遺伝子は、ウイルスDNA複製が起こった後に発現する。後期遺伝子は、群として、ウイルス粒子(ビリオン)を産生するのに使用される構造タンパク質であるタンパク質を生成する。
【0034】
結論として、上記の結果は、トラネキサム酸が高MOI及び低MOIの両方において後期ウイルスRNAの集積を有意に低下させることを示す。したがって、トラネキサム酸は、IE遺伝子発現を1/2~1/4に有意に低下させ、効果は、低いMOIにおいてより高いことが示されている。対照的に、トラネキサム酸は一般的には、早期遺伝子転写において有意な低下を引き起こさない。これは、トラネキサム酸が、プロモーター/転写因子依存的にHSV転写に影響を与えている可能性があることを示している。さらに、トラネキサム酸は、高MOI及び低MOIの両方において後期遺伝子発現を有意に低下させる(およそ1/8まで)。理論に縛られるものではないが、これは、HSV後期プロモーターからの転写の開始に対するトラネキサム酸の特異的な効果の結果又はウイルスDNA複製に対する効果の結果であり得る。このデータは、感染後非常に早期に生じるウイルス転写をブロックする新規の機構を指しており、これは、下記にさらに詳述するように、特に異なる機構下で作用する抗ウイルス剤と組み合わせた場合に有意な治療上の利点を有し得る性質を指している。
【0035】
トラネキサム酸及びアシクロビル。ウサギ皮膚細胞単層をHSV-1株17+に感染させ、トラネキサム酸又はアシクロビルのいずれか単独、又は相乗的組合せを形成する組合せのトラネキサム酸及びアシクロビルで処理した。ウサギ皮膚細胞の24ウェルプレートのウェルを、単独又は組合せの、異なる用量の組合せのトラネキサム酸及びアシクロビルで2時間前処理した。ウェルをMOI0.05でHSV-1株17+に感染させ、1時間吸着させた。感染させた単層に、適切な濃度の、単独のトラネキサム酸若しくはアシクロビル、又は組合せのトラネキサム酸及びアシクロビルを含有する培地を重ねた。その後、ウェルを24hpiで回収し、DNA精製及びHSV-1 UL30遺伝子領域をプローブする定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR;TagMan)を行った。全ての処理を3重で行い、1つの完全な実験の複製を行った。
【0036】
図17に示すように、実験データにより、25μMアシクロビルと組み合わせた127.2mMトラネキサム酸の使用が、トラネキサム酸又はアシクロビル単独のいずれかよりもおよそ1/5にHSV-1複製を抑制することが示された。さらに、実験データにより、アシクロビルと組み合わせた、半分の用量のトラネキサム酸が、HSV-1複製をおよそ1/4に低下させる上で相乗的に効果的であることが示された。
【0037】
上記に示すように、アシクロビルと組み合わせたトラネキサム酸は、相乗的に作用して、in vitroでHSV-1複製を低下させる。さらに、トラネキサム酸及びアシクロビルの各々を、無効用量90(sub-ED90)で使用する場合であっても、組合せの相乗作用により、個々の化合物のいずれかと比較して、4倍~5倍の抗ウイルス抑制の増強がもたらされる。理論に縛られるものではないが、2つの化合物は、HSV-1感染プログラムの異なる成分を阻害することによって作用し、これは、この相乗効果に寄与する可能性が高いと考えられている。
【0038】
トラネキサム酸はin vitroでHSV-1ウイルス産生を阻害する:用量及び傷害性分析。コンフルエントなウサギ皮膚細胞単層をHSV-1株17syn+にMOI5で感染させた。比較コントロールは50μMアシクロビル(ACV)であり、ネガティブコントロールはモック(非感染)及び株17syn+感染(薬物処理なし)であった。
【0039】
ウサギ皮膚細胞の24ウェルプレートを、適切な処理(モック、株17+、200mMトラネキサム酸(TA)、100mM TA、10mM TA、1mM TA、0.1mM TA、50μM ACV)で2時間、3重で前処理した。その後、細胞をHSV-1 17syn+に、MOI5で感染させ、ウイルスを1時間吸着させた。細胞及び上清を感染24時間後に回収した。プラークアッセイを試料の10
-1~10
-4希釈について行い、ウイルス収量を決定した。次いで、半数最大阻害濃度(IC
50)を決定した。
図18は、トラネキサム酸用量-応答を示す(IC
50=40.87mM)。
図19は、抗ウイルス活性を示す(IC
50=40.87mM)。
【0040】
細胞傷害性アッセイ-50%細胞傷害性濃度(CC50)。細胞傷害性アッセイを、2アームで行った:(1)薬物なしの非感染細胞;及び(2)薬物あり、及びなしの、HSV-1にMOI0.5で感染させた細胞。MOIは、HSV-1株17+(感染ウェル)については0.5であった。ポジティブコントロールは50μM ACVであり、ネガティブコントロールはモック、株17+(処理なし)であった。ブランクは細胞がなく、培地のみであった。ウサギ皮膚細胞の96ウェルプレートを、適切な処理(モック、株17+、200mM TA、100mM TA、10mM TA、1mM TA、0.1mM TA、50μM ACV)で2時間、3重(×2)で前処理した。
【0041】
プレートの半分を株17+にMOI0.5で1時間感染させ、残りの半分は非感染のままであった。細胞を48時間、後処理した。CELLTITER-GLO(登録商標)細胞傷害性アッセイを行い、CC
50を決定した。
図20は、非感染細胞のトラネキサム酸細胞傷害性を示す(CC
50=320.3mM TA)。
図21は、株17+(CC
50=446.0mM TA)に正規化したMOI 0.5の感染細胞のトラネキサム酸細胞傷害性を示す。
【0042】
結論として、ウサギ皮膚細胞系において、トラネキサム酸は、40.87mMのID50を有する。100mMの用量において、HSV-1の阻害は約80%である(アシクロビルに近い)。CC50は、非感染細胞については320.3mMである。興味深いことに、感染細胞についてのCC50はより大きく(400mMを超える)、これはHSVの抗固有応答機構によるものである可能性がある。このデータは、トラネキサム酸が、HSV-1に対してin vitroでCC50を十分下回るID50を有することを示す。
【0043】
アシクロビル耐性PAAr5ウイルスに対するトラネキサム酸の効果。アシクロビルは株17+に対してトラネキサム酸よりも有効であり、一方、トラネキサム酸は、HSV-1のアシクロビル耐性株に対する抗ウイルス剤として作用する可能性がある。アシクロビル耐性は、HSVチミジンキナーゼ及び/又はポリメラーゼ遺伝子における変異によって生じる。初期のデータは、トラネキサム酸が、アシクロビルとは異なる機構によって作用することを強く示す。
【0044】
ウサギ皮膚細胞の24ウェルプレートを、2%トラネキサム酸及び50μM アシクロビルで2時間、3重で前処理した。6ウェルは培地のみを使用し、3ウェルはモックを使用し、3細胞は、Txなしのコントロールのために使用した。全ての壁(wall)(モックを除く)を、複数の薬物耐性である、HSV-1の臨床的単離物であるHO-1に、MOI5で1時間感染させた。ウェルを前処理と同じ方法で後処理した。24時間hpiにおいて、各ウェルをマイクロ遠心チューブに回収した。各試料について凍結融解(Freeze-that)サイクルを行った。各試料の10-1~10-4希釈についてプラークアッセイを行い、各処理についての平均力価を決定した。
【0045】
図22は、HO-1ウイルス収量に対する処理の効果を示す。このデータは、トラネキサム酸がHSV-1の複数の薬物耐性臨床的単離物に対して有効であることを示していた。これは、トラネキサム酸がヒトの薬物耐性HSV-1感染、例えばHSV-1/HSV-2皮膚病変及びHSV-1間質性角膜炎についての治療的選択肢を提供し得ることを示している。
【0046】
マウス足蹠モデルにおける致死的HSV-1感染に対するトラネキサム酸処理の有効性。以前の実験により、トラネキサム酸がin vitroでHSV感染後の感染性ウイルスの産生を有意に低下させることが示されている。この阻害は用量依存的であり、アシクロビルの抗ウイルス活性にアプローチする(
図1)。したがって、トラネキサム酸はHSV-1感染のマウスモデルにおけるHSVの感染及び拡散を低減しているはずである。
【0047】
致死的HSV-1感染のマウス足蹠モデルはよく確立されたHSV-1感染のモデルである。これは、高い感受性で、HSV-1の皮膚における複製、神経系への侵入、及び拡散能を測定する。マウスをその後部足蹠の足底表面においてHSV-1に感染させる。ウイルスは、足蹠上皮において複製した後、皮膚を神経支配する神経末端に進入する。ウイルスは、坐骨神経を上方に、後根神経節神経細胞まで移動し、ここで複製し、脊髄に拡散する。ウイルスは、脊髄神経細胞で複製した後、脳に拡散する。感染したマウスの一部は、ウイルス株及び用量依存的に、HSV脳炎に屈する。抗ウイルス剤を、感染時に足部に適用し、in vivoにおけるウイルス複製及び拡散への干渉能について評価し得る。
図23は、マウスの足蹠HSV-1潜伏モデルを示す。
【0048】
致死的感染のマウス足蹠モデルにおけるトラネキサム酸の有効性を評価するための実験デザイン。マウスをイソフルランで麻酔し、4~6週齢の雌のND4 Swissマウスの両方の後部足蹠の足底表面を10%食塩水(0.05ml s.c.)で前処理し、角化上皮を軟化させた。3時間後、マウスを、キシラジン、ケタミン及びアセプロマジンの混合物で麻酔した(i.p.)。両方の後部足蹠の足底表面をエメリーボードで軽く擦過した。マウス足蹠を、25μlの、賦形剤、2% トラネキサム酸又は50μmアシクロビルのいずれかで処理した。処理群当たり20匹のマウスがいた。マウスを次いで25μlのHSV-1株17syn+(1000 pfu/マウス)に感染させた。マウスを、改変した致死的エンドポイントについて遮蔽様式で毎日モニターした(両側性の後肢麻痺を示す、歩き回ることができない、又は痙攣を示したマウスを安楽死させた)。
図24は、トラネキサム酸及びアシクロビルが、マウス足蹠モデルにおけるHSV-1感染の致死性を低下させる上で相乗性を示すことを示す。
【0049】
マウスをイソフルランで麻酔し、4~6週齢の雌のND4 Swissマウスの両方の後部足蹠の足底表面を10%食塩水(0.05ml s.c.)で前処理し、角化上皮を軟化させた。3時間後、マウスを、キシラジン、ケタミン及びアセプロマジンの混合物で麻酔した(i.p.)。両方の後部足蹠の足底表面をエメリーボードで軽く擦過した。次いで、マウスを、25μlのHSV-1株17syn+(1000pfu/マウス)に感染させた。マウスに、賦形剤、50mg/kg アシクロビル又は1000mg/kg トラネキサム酸のいずれかを1日に1回投与した。マウスを、改変した致死的エンドポイントについて遮蔽様式で毎日モニターした(両側性の後肢麻痺を示す、歩き回ることができない、又は痙攣を示したマウスを安楽死させた)。
図25は、トラネキサム酸が、マウス足蹠モデルにおけるHSV-1感染の致死性を低下させる上で有効性を示すことを示す。
【0050】
マウス足蹠モデルは、トラネキサム酸が足蹠感染後のマウスにおけるHSV-1致死性を有意に低下させることを示した。有効性の程度は、局所投与した場合、アシクロビルと同様である。さらに、トラネキサム酸及びアシクロビルは、相乗的に作用して、局所投与した場合のマウス生存を増強すると考えられる。このデータは、トラネキサム酸がヒトにおけるHSV-1感染の治療においてアシクロビルの安全及び有効な代替物としての有意な潜在的可能性を有し得ることを示す。
【0051】
トラネキサム酸がアシクロビルエスケープ変異を低下させ得るかを評価するための実験デザイン。組合せウイルス療法は、例えばHIV/AIDSの治療、及び、薬物耐性変異の発生の予防に有効であることが証明されている。したがって、トラネキサム酸及びアシクロビル処理は、アシクロビル耐性変異の発生を低下させ得る。これを研究するために、HSV株17syn+を連続的に、単独、又は2%トラネキサム酸と組み合わせた50μM アシクロビルの存在下で、コンフルエントなウサギ皮膚細胞の60mmディッシュ中で10回継代した。各継代は、MOI0.01pfuで行った。10回の継代の終了時に、ストックを100μM アシクロビルの存在下 対 アシクロビルなしでウサギ皮膚細胞の100mmディッシュ上に播種した。アシクロビル耐性変異をカウントし、変異のパーセント比率を決定した。表1は、トラネキサム酸が、アシクロビル耐性変異の発生を防止したことを示す。
【0052】
トラネキサム酸は、アシクロビルエスケープ変異の発生を有意に低下させる。このデータは、アシクロビル及びトラネキサム酸の併用療法を有する治療が、実際に、HSVのアシクロビル耐性株の発生の可能性を低下させ得ることを示している。これは、アシクロビル耐性の発生率が上昇していることを考慮すると、顕著な進歩であり得る。
【0053】
全体的な知見及び結果。上述するように、トラネキサム酸は、HSV遺伝子発現を1/2~1/8に有意に低下させる。HSV最初期遺伝子の転写に対するトラネキサム酸の効果は、これが、感染サイクルの非常に早期に作用することを示す。対照的に、アシクロビルは、DNA複製を阻害することによって、感染の後期に作用する。このデータは、感染後非常に早期に生じるウイルス転写をブロックする新規の機構を指しており、これは、顕著な治療上の利点を有し得る性質である。トラネキサム酸は、ウイルス遺伝子の転写に直接的に、又は固有の抗ウイルス応答の活性を介して間接的に干渉するように作用し得る。
【0054】
上述するように、トラネキサム酸は、in vitro及びin vivoの両方においてHSV-1に対して有意な抗ウイルス活性を示す。トラネキサム酸の抗ウイルス作用は、HSV-1溶解性遺伝子転写の干渉として顕在化し、これは感染後非常に早期に生じる。さらに、トラネキサム酸は、in vitro及びin vivoの両方においてアシクロビル処理の相乗的な増強を示す。トラネキサム酸は、マウスにおける局所適用後、in vivoでHSV-1感染をブロックするのに特に有効である。最終的に、トラネキサム酸は、アシクロビルと組み合わせて投与すると、アシクロビル耐性変異の発生をin vitroの検出レベルより下に低下させる。したがって、トラネキサム酸は、HSVのアシクロビル耐性株の治療についてのアシクロビルの代替的な療法並びにアシクロビル耐性の発生を防止し得る有効な併用療法の両方において顕著な潜在的可能性を有し得る。
【0055】
トラネキサム酸及びドコサノール。ウサギ皮膚細胞のコンフルエントな単層をトラネキサム酸、n-ドコサノール、トラネキサム酸及びn-ドコサノール又は賦形剤のいずれかで12時間、前処理した。次いで、細胞をHSV-1にMOI1で感染させた。12時間後、細胞を回収し、凍結させ、2回の凍結融解サイクルに供した後、標準的なプラークアッセイによって感染性ウイルスについて用量設定した。
図26に示す結果は、HSV-1収量の(賦形剤処理コントロールに対する相対値)パーセント阻害として表す。
図26は、トラネキサム酸及びドコサノールの相乗的な性質を強調している。
【0056】
本明細書の相乗的組合せは、より低い用量の、トラネキサム酸、アシクロビル、ドコサノール、又はアシクロビル若しくはドコサノールに類似の作用機序を有する他の抗ウイルス剤のいずれかが、組合せで投与されることを可能にするものであると推論される。さらに、トラネキサム酸及びアシクロビル、ドコサノール、又はアシクロビル若しくはドコサノールと類似の作用機序を有する他の抗ウイルス剤の、相乗的組合せにおける使用は、HSV-1及びHSV-2の薬物耐性株又は変異の、特に免疫減弱状態の宿主における発生を低下させ得ると推論される。
【0057】
治療及び予防的使用。上述のデータに加えて、種々の治療及び予防的使用の研究が、ヒト対象について行われ、記録されている。例えば、治療活性は、口唇上又は付近の単純疱疹の再発性の発症歴を有する54歳の女性対象によって例示されている。この症例において、対象は発症の最初の兆候、この場合、関連する刺痛、疼痛及び敏感性を伴う、周辺に小さい白色の点がある赤色の傷を認知し、即座に少量のおよそ0.25mLの5%(w/v)トラネキサム酸水溶液を単純なスワブによってその領域に適用した。この実施を、36時間の過程にわたって5回繰り返し、驚くべきことに、この36時間の期間内に、単純疱疹は、小さい赤い点が見える程度にまで治癒し、これはその後直ぐに消散した。この活性は、局所抗ウイルス治療、例えばABREVA(登録商標)を使用した場合でも、通常およそ14日間持続していた、対象の発症の典型的な期間の顕著な改善であった。5%(w/v)濃度のトラネキサム酸は有効であることが示されているが、送達される一定範囲の濃度及び総用量、例えば1~14日間の過程にわたって、0.25から5mLに増加して送達される0.5~30%(w/v)も同様に有益であると証明し得る。
【0058】
上述の処理研究に加えて、さらなる研究が行われ、ここでは、通常約2週間持続する、再発性単純疱疹の経験を有する3人のヒト対象に、発症の開始が検出されると、1日数回、3%(w/v)トラネキサム酸を局所適用し、発症の症状は48時間以内に消散した。より長い発症を避けるためだけに、通常数日間ABREVA(登録商標)を適用する、再発性単純疱疹の経験を有する4人目の対象に、発症の開始を感じ、非常に小さい水疱を認識した際に、1回10%(w/v)トラネキサム酸を局所適用し、次の朝、水疱はなくなっており、発症は止まっていた。さらに、対象の1人は、顔に約1年間、毎日3~10%(w/v)トラネキサム酸を適用し、通常3~5回の発症を経験するにもかかわらず、その年は、1回単純疱疹を経験したのみであった。
【0059】
さらに、3%(w/v)トラネキサム酸溶液を鼻孔及び喉に、風邪又はインフルエンザ感染の症状を感知した際に6時間~8時間毎に適用した個人は、症状が、通常約2週間持続するのに対し、36~48時間以内に消散した3つの例が見られた。
【0060】
治療及び予防的使用の両方における、トラネキサム酸のデータを考慮すると、トラネキサム酸は、対象における免疫応答の増強の効果を示す。このデータは、上記に議論するデータと組み合わせて、トラネキサム酸が、その免疫系増強により、二次的な抗ウイルス効果を示すことを示す。したがって、特定の実施形態において、トラネキサム酸は、種々の他の医薬剤、例えば限定されるものではないが、ワクチンと組み合わせて、患者における免疫応答を増強するために投与し得る。したがって、いくつかの実施形態において、トラネキサム酸はアジュバントとして投与し得る。
【0061】
上記を考慮すると、本開示の一実施形態は、医薬剤と組み合わせた、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグの相乗的組合せの適用に関する。いくつかの実施形態において、医薬剤は、相乗的組合せの薬理学的活性を利用することによって、ウイルス阻害を提供するための抗ウイルス剤である。いくつかの実施形態において、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグはトラネキサム酸であり得る。いくつかの実施形態において、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグは、イプシロン-アミノカプロン酸(EACA)又はAZD 6564であり得る。いくつかの実施形態において、医薬剤はアシクロビルであり得る。いくつかの実施形態において、医薬剤は、ファムシクロビル、ガンシクロビル、ペンシクロビル、バラシクロビル又はバルガンシクロビルであり得る。いくつかの実施形態において、医薬剤はドコサノールであり得る。いくつかの実施形態において、医薬剤としては、抗菌剤、抗がん剤、遺伝子療法剤、免疫増強剤、ホルモン療法剤、抗ウイルス抗体、及びその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
いくつかの実施形態において、医薬剤は、ヌクレオシドアナログ、例えば、限定されるものではないが、デオキシアデノシンアナログ、アデノシンアナログ、デオキシシチジンアナログ、グアノシン及びデオキシグアノシンアナログ、チミジン及びデオキシチミジンアナログ、デオキシウリジンアナログ、及びその組合せであり得る。いくつかの実施形態において、医薬剤としては、ジダノシン、ビダラビン、シタラビン、ゲムシタビン、エムトリシタビン、ラミブジン、ザルシタビン、アバカビル、アシクロビル、エンテカビル、スタブジン、テルビブジン、ジドブジン、イドクスウリジン、トリフルリジン、及びその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、医薬剤としては、核酸塩基アナログ、ヌクレオチドアナログ、及びその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
いくつかの実施形態において、医薬剤は、マルチクラスの組合せ薬物、例えば限定されるものではないが、アバカビル/ドルテグラビル/ラミブジン、ダルナビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド、ドルテグラビル/リルピビリン、エルビテグラビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、エルビテグラビル/コビシスタット/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド、エファビレンツ/エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、エムトリシタビン/リルピビリン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、エムトリシタビン/リルピビリン/テノホビルアラフェナミド、ビクテグラビル/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド、及びその組合せであり得る。いくつかの実施形態において、医薬剤は、インテグラーゼ阻害剤、例えば、限定されるものではないが、ドルテグラビル、エルビテグラビル、ラルテグラビル、ラルテグラビル持続放出、及びその組合せであり得る。
【0064】
いくつかの実施形態において、医薬剤は、ヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、例えば、限定されるものではないが、アバカビル、アバカビル/ラミブジン、アバカビル/ラミブジン/ジドブジン、ラミブジン/ジドブジン、ラミブジン、ジドブジン、エムトリシタビン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、エムトリシタビン、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド、ジダノシン、ジダノシン持続放出、スタブジン、及びその組合せであり得る。いくつかの実施形態において、医薬剤は、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、例えば、限定されるものではないが、エファビレンツ、エトラビリン、ネビラピン、ネビラピン持続放出、リルピビリン、デラビルジンメシル酸塩、及びその組合せであり得る。
【0065】
いくつかの実施形態において、医薬剤は、プロテアーゼ阻害剤、例えば、限定されるものではないが、アタザナビル/コビシスタット、ダルナビル/コビシスタット、ロピナビル/リトナビル、リトナビル、アタザナビル、ダルナビル、ホスアンプレナビル、チプラナビル、ネルフィナビル、インジナビル、サキナビル、及びその組合せであり得る。いくつかの実施形態において、医薬剤は進入阻害剤(融合阻害剤を含む)、例えば、限定されるものではないが、エンフビルチドであり得る。いくつかの実施形態において、医薬剤は、ケモカイン共受容体アンタゴニスト(CCR5アンタゴニスト)、例えば、限定されるものではないが、マラビロクであり得る。いくつかの実施形態において、医薬剤は、シトクロムP4503A(CYP3A)阻害剤、例えば、限定されるものではないが、コビシスタット、リトナビル、及びその組合せであり得る。いくつかの実施形態において、医薬剤は、免疫ベース療法を含み得る。いくつかの実施形態において、医薬剤は、アジュバント療法又は療法剤である。いくつかの実施形態において、医薬剤は抗ウイルス抗体である。
【0066】
いくつかの実施形態において、医薬剤は、例えば、オセルタミビル(抗インフルエンザ療法として使用される)であってよく、これは、ウイルス複製及び拡散の正に最後のステージである、新しく形成されたウイルスが宿主細胞を出ることを可能にするノイラミニダーゼ酵素を阻害する。同様に、いくつかの実施形態において、医薬剤は、バロキサビルマルボキシルであってもよく、これは、ウイルス複製の中間ステージにおけるものであり、トラネキサム酸の作用機序とは異なる、ウイルスDNAの複製を可能にする酵素であるポリメラーゼ酸性エンドヌクレアーゼを阻害する。
【0067】
いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、単純な水溶液、不活性添加物を含む溶液、又は賦形剤、例えばゲル剤、クリーム剤、又はローション剤と組み合わされた形態であってもよく、これは、任意に他の治療成分を含み得る。取り扱い又は治療送達を改善するためのさらなる実施形態、例えば、粘性の溶液又は相乗的組合せを遅延させる、遅くする、又は予測可能なように送達するように設計された溶液もまた考えられている。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、鼻孔に投与されるように製剤化されていてもよい。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、上気道に投与されるように製剤化されていてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、ウイルス発症の兆候を示している、又は何らかの他の疾患又は状態に罹患した皮膚の領域に直接的に投与してもよい。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは局所形態であり得る。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、丸剤、錠剤又はカプセル剤の形態であり得る。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは全身的に送達し得る。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、例えば、罹患領域に適応可能であることによって、適用が容易であってもよい。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、ウイルス発症、例えばHSV-1の最初の兆候において、発症の重症度及び期間を低下させ、急速な治癒を促進するために、相乗的組合せの活性を利用し得る。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、頻度の高い、例えば、毎日のベースで、疾患の発症又は発生を回避するために適用し得る。
【0069】
いくつかの実施形態において、相乗的化合物は、将来のウイルス発症を抑制し得る。いくつかの実施形態において、相乗的化合物は、ウイルス発生を阻害、例えば、限定されるものではないが、HIVのウイルス発生を阻害する。いくつかの実施形態において、相乗的組合せの使用は、ウイルス潜伏を提供する。例えば、HSV-1において、相乗的組合せの使用は、ウイルス発生の数を低下させ得る。いくつかの実施形態において、相乗的組合せの使用によって、発症が有意に低下するか、又は除去されることが可能になり得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、治療は、相乗的組合せの全身投与によって実施し得るが、急速な活性及び利益を提供するために、有効な濃度及びレジメンでさらに局所形態で適用してもよい。いくつかの実施形態において、相乗的組合せの濃度は、例えば、60%(w/v)までの濃度の合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグ及び規則的に処方される量までの医薬剤であってもよい。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは局所形態であり、相乗的組合せの濃度は、20%(w/v)までの合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグ及び標準的に処方される用量までの医薬剤である。
【0071】
さらに、本開示の実施形態は、相乗的組合せの薬理学的活性を利用することによって医薬剤又はリジン(lysing)アナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグの有効性の増強を提供するための相乗的組合せの適用に関する。相乗的組合せは、単純な水溶液、不活性添加物を含む溶液、又は賦形剤、例えばゲル剤、クリーム剤、又はローション剤と組み合わされた形態であってもよく、これは、任意に他の治療成分を含み得る。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、対象の鼻孔又は上気道に投与されるように製剤化されている。
【0072】
取り扱い又は予防的送達を改善するためのさらなる実施形態、例えば、粘性の溶液又は相乗的組合せを遅延させる、又は予測可能なように送達するように設計された溶液もまた考えられている。相乗的組合せは皮膚領域に直接的に投与されてもよく、所望の適用領域への適応可能性によって適用が容易であってもよい。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは局所形態であり得る。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、丸剤、錠剤又はカプセル剤の形態であり得る。いくつかの実施形態において、相乗的組合せの濃度は、60%(w/v)までの合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグ及び標準的に処方される用量までの医薬剤であり得る。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは局所形態であり、相乗的組合せの濃度は、20%(w/v)までの合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグ及び標準的に処方される用量までの医薬剤である。
【0073】
いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、例えば、ウイルス、例えば、限定されるものではないが、HIV、一般の風邪ウイルス及びインフルエンザウイルス又は他の一過性のウイルス(例えば、コロナウイルス)によって引き起こされる、そのようなウイルスによる感染への暴露の危険性が高い、又は暴露されているが、感染の症状をまだ示さない個人、又はそのようなウイルスによる感染が、生命を脅かすイベントを表し得る個人における感染及び疾患の予防若しくは治療のために使用し得る。これらのウイルスのいくつかは、喉及び鼻孔の背部に付着するため、いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、例えば、鼻孔又は上気道を含む、口腔、鼻又は喉の領域に適用し得る、スプレー、ミスト、エアロゾル、洗口剤、又はスワブするための溶液として製剤化し得る。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、一過性のウイルス、例えばコロナウイルスによって引き起こされる感染及び疾患の予防又は治療に使用し得る。
【0074】
いくつかの実施形態において、本明細書中に表す相乗的組合せは、ウイルス発症の予防又はウイルス感染の発生の抑制、又は他の疾患若しくは状態の予防又は抑制のために利用してもよく、経腸及び非経口方法、例えば、丸剤、錠剤、カプセル剤又は注射によって投与し得る。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、長期間投与のための、注入した、又は埋め込んだリポソーム送達デポーによって投与し得る。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、皮膚接触を介して薬物を投与する経皮パッチの形態であり得る。
【0075】
いくつかの実施形態において、本開示は、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグ及び医薬剤、並びにその使用方法に関し、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグと医薬剤とが、医薬剤又は合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグの有効性を増強するための相乗的組合せを形成するようになっている。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは溶液中にある。いくつかの実施形態において、溶液は、鼻孔に投与されるように製剤化されている。いくつかの実施形態において、溶液は、上気道に投与されるように製剤化されている。いくつかの実施形態において、溶液は、スプレー、ミスト、エアロゾル、又は洗口剤として製剤化されている。いくつかの実施形態において、溶液は、ヒト皮膚に適応する賦形剤の一部として適用されるように製剤化されている。いくつかの実施形態において、溶液は、静脈内投与されるように製剤化されている。いくつかの実施形態において、溶液は、相乗的組合せが徐放的に送達されることを可能にする賦形剤を介して適用されるように製剤化されている。
【0076】
いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、濃度約1%~約60重量%の合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグ及び1/4~標準的用量の医薬剤を有する。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、濃度約1%~約60重量%の合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグ及び約1/2~標準的用量の医薬剤を有する。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、経口送達されるように製剤化されている。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、徐放的に送達されるように製剤化されている。
【0077】
いくつかの実施形態において、本明細書の相乗的組合せによって、より低い用量のリジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグ又は医薬剤が組合せで投与されることが可能になってもよい。いくつかの実施形態において、本明細書の相乗的組合せによって、より低い用量の、トラネキサム酸又は医薬剤、例えば、アシクロビルのいずれかが、組合せで投与されることが可能になってもよい。いくつかの実施形態において、リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグ及び医薬剤の使用によって、種々の疾患の薬物耐性株又は変異等の発生を低下し得る。いくつかの実施形態において、相乗的組合せのトラネキサム酸及び医薬剤(例えば、アシクロビル)の使用は、ウイルスの薬物耐性株又は変異の発生を低下し得る。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、HSV-1及びHSV-2の薬物耐性株又は変異の発生を低下し得る。いくつかの実施形態において、HSV-1及びHSV-2の薬物耐性株又は変異の発生の低下は免疫減弱状態の宿主におけるものである。
【0078】
いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、同一の溶液、錠剤又はカプセル剤の形態であってもよく、相乗的組合せが同一の媒体(例えば錠剤)で投与し得るようになっている。いくつかの実施形態において、相乗的組合せは、2つの個別の媒体の組合せであってもよい。例えば、いくつかの実施形態において、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグが第1の媒体の形態であってもよく、医薬剤が第2の媒体の形態であってもよい。合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグ及び医薬剤が個別の媒体中にある実施形態において、相乗的組合せはキットの形態であり得る。いくつかの実施形態において、キットは、第1の媒体中に合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグを含む。いくつかの実施形態において、第1の媒体は、溶液、錠剤又はカプセル剤である。いくつかの実施形態において、キットは第2の媒体中に医薬剤を含む。いくつかの実施形態において、第2の媒体は、溶液、錠剤、又はカプセル剤である。相乗的組合せがキットの形態である実施形態において、キットは、種々の媒体の組合せを含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、キットは、溶液ベースのリジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグ及びカプセルベースの医薬剤を含み得る。いくつかの実施形態において、キットの各成分は、ピーク薬物代謝(例えば薬物動態)を利用して異なる時間に投与し得る。
【0079】
いくつかの実施形態において、キットは、限定されるものではないが、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグと医薬剤とを含んでいてもよく、ここで、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグと抗ウイルス剤とは相乗的組合せを形成する。いくつかの実施形態において、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグは第1の媒体中にあり、医薬剤は第2の媒体中にある。いくつかの実施形態において、第1の媒体及び第2の媒体の少なくとも1つは丸剤、錠剤又はカプセル剤である。いくつかの実施形態において、第1の媒体及び第2の媒体の少なくとも1つは溶液である。
【0080】
本開示の種々の実施形態は、添付する図面において例示されており、上記の詳細な説明に記載されているが、本開示は本明細書に開示する実施形態に限定されるものではないが、本明細書に記載の開示の精神から離れることなく、無数の再配置、改変、及び置換が可能であることは理解されるであろう。
【0081】
用語「実質的に」は、当技術分野の当業者に理解されるように、特定されるものの「大部分」と定義されるが、必ずしも全体ではない。任意の開示される実施形態において、用語「実質的に」、「およそ」、「一般的に」及び「約」は、特定されるものの「[パーセント比率]の範囲内」で置換されていてもよく、ここでパーセント比率は、0.1、1、5及び10%を含む。
【0082】
上述の概要は、当業者が本開示の局面をよりよく理解し得るためのいくつかの実施形態を特徴づけるものである。当業者は、本明細書において紹介された同一の目的の実行及び/又は同一の利点の達成のために、他のプロセス及び構造を設計又は改変するための基礎として本開示を容易に使用し得ることを理解しているべきである。当業者はまた、このような同等の構成が本開示の精神及び範囲から離れるものではなく、本開示の精神及び範囲から離れることなく、本明細書に記載の種々の変化、置換及び変更を加えることができることも理解するべきである。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の言葉によってのみ決定されるべきである。特許請求の範囲における用語「含む(comprising)」は、請求項における記載される要素の列挙が開放群であるように「少なくとも含む(including at least)」を意味することを意図している。用語「a」、「an」及び他の単数形の用語は、特に除外しない限りは複数形態を含むことを意図している。
【手続補正書】
【提出日】1991-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬剤の有効性を増強するための組成物であって、
合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグと、
医薬剤とを含み、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグと抗ウイルス剤とが相乗的組合せを形成し、
医薬剤が、アシクロビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、ペンシクロビル、バラシクロビル又はバルガンシクロビル、デオキシアデノシンアナログ、アデノシンアナログ、デオキシシチジンアナログ、グアノシン及びデオキシグアノシンアナログ、チミジン及びデオキシチミジンアナログ、デオキシウリジンアナログ、ジダノシン、ビダラビン、シタラビン、ゲムシタビン、エムトリシタビン、ラミブジン、ザルシタビン、アバカビル、アシクロビル、エンテカビル、スタブジン、テルビブジン、ジドブジン、イドクスウリジン、トリフルリジン、オセルタミビル、バロキサビルマルボキシル、ドコサノール、及びその組合せからなる群から選択される、組成物。
【請求項2】
合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグが、トラネキサム酸、イプシロン-アミノカプロン酸(EACA)及びAZD 6564からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグがトラネキサム酸である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
医薬剤がアシクロビルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
医薬剤がドコサノールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
医薬剤がアジュバント療法又は療法剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
相乗的組合せが溶液中にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
溶液が、濃度0.5~30重量%の合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグを有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
溶液が、スプレー、ミスト、エアロゾル、又は洗口剤として製剤化されている、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
溶液が、ヒト皮膚に適応する賦形剤の一部として適用されるように製剤化されている、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
賦形剤が、ゲル剤、ローション剤及びクリーム剤からなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
溶液が、鼻孔に投与されるように製剤化されている、請求項7に記載の組成物。
【請求項13】
溶液が、上気道に投与されるように製剤化されている、請求項7に記載の組成物。
【請求項14】
溶液が、静脈内投与されるように製剤化されている、請求項7に記載の組成物。
【請求項15】
溶液が、相乗的組合せが徐放的に送達されることを可能にする賦形剤を介して適用されるように製剤化されている、請求項7に記載の組成物。
【請求項16】
相乗的組合せが、濃度1%~60重量%の合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグ及び1/8~標準的用量又はそれ以上の医薬剤を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
相乗的組合せが、経口送達されるように製剤化されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
相乗的組合せが、徐放的に送達されるように製剤化されている、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
相乗的組合せが、ウイルスの薬物耐性株若しくは変異又は他の疾患の発生を治療するか、又は低下させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
相乗的組合せが、1日当たり少なくとも1回投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
医薬剤の有効性を増強する方法であって、
相乗的組合せを、それを必要とする対象に投与することを含み、相乗的組合せが、
合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグと、
医薬剤とを含み、
医薬剤が、アシクロビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、ペンシクロビル、バラシクロビル又はバルガンシクロビル、デオキシアデノシンアナログ、アデノシンアナログ、デオキシシチジンアナログ、グアノシン及びデオキシグアノシンアナログ、チミジン及びデオキシチミジンアナログ、デオキシウリジンアナログ、ジダノシン、ビダラビン、シタラビン、ゲムシタビン、エムトリシタビン、ラミブジン、ザルシタビン、アバカビル、アシクロビル、エンテカビル、スタブジン、テルビブジン、ジドブジン、イドクスウリジン、トリフルリジン、オセルタミビル、バロキサビルマルボキシル、ドコサノール、及びその組合せからなる群から選択される、方法。
【請求項22】
合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグが、トラネキサム酸、イプシロン-アミノカプロン酸(EACA)及びAZD 6564からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグがトラネキサム酸である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
医薬剤がアシクロビルである、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
医薬剤がドコサノールである、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
医薬剤がアジュバント療法又は療法剤である、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
相乗的組合せが溶液中にある、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
溶液が、濃度0.5~30重量%の合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグを有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
溶液が、スプレー、ミスト、エアロゾル、又は洗口剤として製剤化されている、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
溶液が、ヒト皮膚に適応する賦形剤の一部として適用されるように製剤化されている、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
賦形剤が、ゲル剤、ローション剤及びクリーム剤からなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
溶液が、鼻孔に投与されるように製剤化されている、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
溶液が、上気道に投与されるように製剤化されている、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
溶液が、静脈内投与されるように製剤化されている、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
溶液が、相乗的組合せが徐放的に送達されることを可能にする賦形剤を介して適用されるように製剤化されている、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
相乗的組合せが、濃度1%~60重量%の合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグ及び1/8~標準的用量又はそれ以上の医薬剤を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項37】
相乗的組合せが、経口送達されるように製剤化されている、請求項21に記載の方法。
【請求項38】
相乗的組合せが、徐放的に送達されるように製剤化されている、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
投与が、1日当たり少なくとも1回である、請求項21に記載の方法。
【請求項40】
相乗的組合せが、ウイルスの薬物耐性株若しくは変異又は他の疾患の発生を治療するか、又は低下させる、請求項21に記載の方法。
【請求項41】
医薬剤の有効性を増強するためのキットであって、
合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグと、
医薬剤とを含み、合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグと抗ウイルス剤とが相乗的組合せを形成し、
医薬剤が、アシクロビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、ペンシクロビル、バラシクロビル又はバルガンシクロビル、デオキシアデノシンアナログ、アデノシンアナログ、デオキシシチジンアナログ、グアノシン及びデオキシグアノシンアナログ、チミジン及びデオキシチミジンアナログ、デオキシウリジンアナログ、ジダノシン、ビダラビン、シタラビン、ゲムシタビン、エムトリシタビン、ラミブジン、ザルシタビン、アバカビル、アシクロビル、エンテカビル、スタブジン、テルビブジン、ジドブジン、イドクスウリジン、トリフルリジン、オセルタミビル、バロキサビルマルボキシル、ドコサノール、及びその組合せからなる群から選択される、キット。
【請求項42】
合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグが、トラネキサム酸、イプシロン-アミノカプロン酸(EACA)及びAZD 6564からなる群から選択される、請求項41に記載のキット。
【請求項43】
合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグがトラネキサム酸である、請求項42に記載のキット。
【請求項44】
医薬剤がアシクロビルである、請求項41に記載のキット。
【請求項45】
医薬剤がドコサノールである、請求項41に記載のキット。
【請求項46】
医薬剤がアジュバント療法又は療法剤である、請求項41に記載のキット。
【請求項47】
合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグが第1の媒体中にあり、医薬剤が第2の媒体中にある、請求項41に記載のキット。
【請求項48】
第1の媒体及び第2の媒体の少なくとも1つが丸剤、錠剤又はカプセル剤である、請求項46に記載のキット。
【請求項49】
第1の媒体及び第2の媒体の少なくとも1つが溶液である、請求項46に記載のキット。
【請求項50】
溶液が、濃度0.5~30重量%の合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグを有する、請求項49に記載のキット。
【請求項51】
溶液が、鼻孔又は上気道に投与されるように製剤化されている、請求項49に記載のキット。
【請求項52】
溶液が、ヒト皮膚に適応する賦形剤の一部として適用されるように製剤化されている、請求項49に記載のキット。
【請求項53】
賦形剤が、ゲル剤、ローション剤及びクリーム剤からなる群から選択される、請求項52に記載のキット。
【請求項54】
相乗的組合せが、濃度1%~60重量%の合成リジンアナログ、誘導体、模倣物又はプロドラッグ及び1/8~標準的用量又はそれ以上の医薬剤を有する、請求項41に記載のキット。
【請求項55】
相乗的組合せが、1日当たり少なくとも1回投与される、請求項45に記載のキット。
【国際調査報告】