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特表2023-505667伝達材料と一体化された交絡複合材料およびその作製方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-10
(54)【発明の名称】伝達材料と一体化された交絡複合材料およびその作製方法
(51)【国際特許分類】
   D03D 15/533 20210101AFI20230203BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20230203BHJP
   D03D 15/46 20210101ALI20230203BHJP
   D03D 15/25 20210101ALI20230203BHJP
   D03D 15/547 20210101ALI20230203BHJP
【FI】
D03D15/533
C08J5/04 CER
C08J5/04 CEZ
D03D15/46
D03D15/25
D03D15/547
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534639
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(85)【翻訳文提出日】2022-08-02
(86)【国際出願番号】 US2020064157
(87)【国際公開番号】W WO2021119224
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】16/711,668
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522226591
【氏名又は名称】ウィーヴスリーディー、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オベルステ、クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】チェン、フィリップ、スン ツェ
【テーマコード(参考)】
4F072
4L048
【Fターム(参考)】
4F072AA08
4F072AB06
4F072AB08
4F072AB09
4F072AB28
4F072AD42
4F072AL02
4L048AA02
4L048AA03
4L048AA04
4L048AA25
4L048AA52
4L048AB06
4L048AB27
4L048AB28
4L048AC02
4L048AC13
4L048BA01
4L048CA00
4L048CA05
4L048EA00
(57)【要約】
フレーム、堆積面、2以上の経糸ヘッドの第1セット、2以上の経糸ヘッドの第2セット、および、緯糸挿入機を備える、3次元に交絡された複合材料コンポーネントを作製するための機械。互いに平行である2以上の経糸フィラメントの第1セットと、互いに平行である2以上の緯糸フィラメントの第1セットとを含む、交絡された複合材料コンポーネント。経糸フィラメントは、緯糸フィラメントに交絡され、結合される。経糸フィラメントおよび緯糸フィラメントは、少なくとも2つの異なる織パターンで交絡される。経糸フィラメントおよび緯糸フィラメントは連続し、織パターンは1つのパターンから別のパターンに遷移する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気伝達のための織られた複合材料を連続的に形成する方法であって、前記方法は、
複数の経糸テープおよび複数の緯糸テープを提供する段階と、
第1サブセットの経糸テープを第1の縦方向の位置に、第2サブセットの経糸テープを第2の縦方向の位置に縦方向に配置する段階であって、前記第1サブセットにおける各経糸テープの前記縦方向の高さは、前記第2サブセットにおける前記経糸テープより高い、段階と、
前記第1サブセットに関連する経糸テープと前記第2サブセットに関連する経糸テープとの間に1または複数の緯糸テープを挿入する段階と、
前記第1サブセットの経糸テープを第3の縦方向の位置に、前記第2サブセットの経糸テープを第4の縦方向の位置に、縦方向に再配置することによって、前記第1サブセットに関連する前記経糸テープと、前記第2サブセットに関連する前記経糸テープとの間に前記1または複数の緯糸テープを固定して複合材料織を形成する段階であって、前記第1サブセットにおける各経糸テープの前記縦方向の高さは、前記第2サブセットにおける前記経糸テープより低い、段階と
を備え、前記複数の経糸テープの少なくとも1つ、または、前記複数の緯糸テープの少なくとも1つは伝達材料を含む、
方法。
【請求項2】
前記伝達材料は金属線を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記伝達材料は光誘導材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記光誘導材料は光ファイバである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記伝達材料は、少なくとも1つのテープに事前包含される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの経糸テープは全体的に前記伝達材料から構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第1テープは、第1タイプの伝達材料を含み、第2テープは、第2タイプの伝達材料を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
交絡された複合材料であって、
第1直線方向の複数の経糸テープと、
第2直線方向の複数の緯糸テープと
を備え、前記複数の経糸テープの少なくとも1つは、前記複数の緯糸テープの少なくとも1つの上を通り、前記複数の緯糸テープの少なくとも別の1つの下を通り、前記複数の経糸テープまたは前記複数の緯糸テープの少なくとも1つは、伝達材料を含む伝達テープである、
交絡された複合材料。
【請求項9】
前記伝達材料は金属線である、請求項8に記載の交絡された複合材料。
【請求項10】
前記伝達材料は光誘導材料である、請求項8に記載の交絡された複合材料。
【請求項11】
前記光誘導材料は光ファイバである、請求項10に記載の交絡された複合材料。
【請求項12】
少なくとも1つの伝達テープは全体的に前記伝達材料から構成される、請求項8に記載の交絡された複合材料。
【請求項13】
第1伝達テープは、第1タイプの伝達材料を含み、第2伝達テープは、第2タイプの伝達材料を含む、請求項8に記載の交絡された複合材料。
【請求項14】
前記少なくとも1つの伝達テープは、
非伝導性樹脂と、
前記非伝導性樹脂に包含された伝導性伝達材料と
を含む、請求項8から13のいずれか一項に記載の交絡された複合材料。
【請求項15】
交絡された複合材料であって、
第1直線方向の複数の経糸テープであって、前記複数の経糸テープの少なくとも1つは、伝達材料を含む伝達テープである、複数の経糸テープと、
第2直線方向の複数の緯糸テープであって、前記複数の緯糸テープの少なくとも1つは、伝達材料を含む伝達テープである、複数の緯糸テープと
を備え、前記複数の経糸テープの少なくとも1つは、前記複数の緯糸テープの少なくとも1つの上を通り、前記複数の緯糸テープの少なくとも別の1つの下を通り、前記少なくとも1つの経糸伝達テープからの伝達材料は、前記少なくとも1つの緯糸伝達テープからの前記伝達材料と接触する、
交絡された複合材料。
【請求項16】
前記少なくとも1つの経糸伝達テープおよび前記少なくとも1つの緯糸伝達テープが交差する接合デバイスを更に備える、請求項15に記載の交絡された複合材料。
【請求項17】
クリンチデバイスが、前記少なくとも1つの経糸伝達テープの前記伝達材料と前記少なくとも1つの緯糸伝達テープの前記伝達材料とを物理的に接続する、請求項16に記載の交絡された複合材料。
【請求項18】
少なくとも1つの追加の前記複数の経糸テープは伝達テープであり、
少なくとも1つの追加の前記複数の緯糸テープは伝達テープであり、
電流が前記伝達テープの各々の前記伝達材料を通るとき、複数の前記経糸伝達テープおよび複数の前記緯糸伝達テープは、電気グリッドを形成する、
請求項15に記載の交絡された複合材料。
【請求項19】
前記少なくとも1つの経糸伝達テープの前記伝達材料、および、前記少なくとも1つの緯糸伝達テープの前記伝達材料は、電流が通るときに熱を生成する高抵抗性金属である、請求項15に記載の交絡された複合材料。
【請求項20】
前記少なくとも1つの経糸伝達テープの前記伝達材料、および、前記少なくとも1つの緯糸伝達テープの前記伝達材料は、高い熱伝導率を有する金属である、請求項15から19のいずれか一項に記載の交絡された複合材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照および優先権の主張
本願は、2017年10月19日に出願された(係属中の)、米国出願公開第2018/0038045号の一部継続出願である。これは、2014年8月8日に出願された米国仮特許出願第62/034,930号に対する優先権を主張する、2015年8月7日に出願された米国特許第9,809,926号の分割出願である。本願はまた、2016年5月16日に出願された米国仮特許出願第62/336,974号に対する優先権を主張する、国際出願第WO2017/200935号の一部継続出願である。上の出願の各々の内容および要旨の全体は、参照によって、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、複合材料の分野に関する。より具体的には、本開示は、液状重合体マトリックスにおける交絡繊維を有する複合材料に関する。
【背景技術】
【0003】
重合体複合材料は、マトリクス材料および1または複数の補強材料を含む。補強材料は、製品の強度および/または剛性を強化する。一方、重合体マトリックスは、複合材料が複雑な形状で形成されることを可能にする。もっとも初期の複合材料は、紙または綿織物で補強された。後の重合体複合材料は、マトリックス内にランダムに乱された、刻まれた、または、壊された補強繊維によって補強された。補強繊維の不連続の性質により、著しい補強の達成が防止された。なぜなら、隔離された繊維間の強度は、マトリクス材料自体の強度によって、または、マトリクス材料と繊維間の接着によって制限されたからである。
【0004】
後の重合体複合材料は、補強繊維の織布を組み込んだ。織布により、複合材料に張力が加えられるときに、繊維の完全な強度および剛性がはたらき、圧縮および曲げのときにより低い程度になることが可能となった。また、織布により、部分の予測される負荷に応じて、補強繊維のストランドが、最適な方向、または、方向の組み合わせを向くことが可能となった。しかしながら、織布から製造された複合材料は、製造コストおよび複雑性を大きく増加させる。なぜなら、織布は一般に、事前に切断され、手によって鋳型内に配置される必要があるからである。
【0005】
3D印刷は、所望の部分が得られるまで、材料の層を堆積(追加)することによって完成部分を作成するプロセスである。もっとも古い形態の3D印刷は、液状重合体がUV放射によってその表面に選択的に重合される光造形法である。固化された重合体は次に、液体内に浸漬され、その結果、前の層の上に追加の層が作られ得る。
【0006】
3D印刷における次の大きなイノベーションは、熱溶解積層法(FDM)の開発であった。FDMは、重合体または金属製のフィラメントを融解し、融解した材料を薄層状に堆積する。FDMは光造形法より速く、より幅広い様々な印刷材料を可能にする。しかしながら、FDM印刷または光造形法のいずれも、構造コンポーネントの作製にはあまり適していない。構造コンポーネントの製造に好適な第1の3D印刷システムは、選択可能レーザ焼結であった。このシステムにおいて、金属粉末の薄層は、印刷表面上に堆積され、レーザによって選択的に焼結された。以前に焼結された層の上に粉末の別の層が塗布され、プロセスが反復され、その結果、第2層が第1に焼結される。作製された、これらの焼結された金属コンポーネントは、構造用途に好適であるが、それらは比較的高密度であるため、いくつかの用途には適さない。補強繊維を液状重合体フィラメント内に追加することによって構造複合材料を作成するためにFDM印刷を適合する様々な試みが行われてきた。これにより機械的特性は改善するが、作製されたコンポーネントの強度は、高性能用途における使用には不十分なままである。
【0007】
自動化されたテープ配置は、単方向事前包含テキスタイル(プリプレグ)テキスタイルから複合材料を作成するための高度に精密なプロセスである。それは、人間のオペレータがロボットによって置き換えられた、より高度な形態のハンドレイアップFRPプロセスであると考えられ得る。これにより、非常に精密な繊維配置が可能となるが、比較的単純な曲面上のみで使用できる。自動化されたテープ配置によって作製された複合材料は、ハンドレイアップと同一の方法で硬化される。
【発明の概要】
【0008】
交絡した複合材料を生産するための方法が記載される。方法は、堆積面上に、第1の1または複数の経糸フィラメントを第1直線方向に堆積させる段階と、第1の1または複数の経糸フィラメントの上に、第1の1または複数の緯糸フィラメントを第2直線方向に挿入する段階であって、第2方向は第1の1または複数の経糸フィラメントと同一平面にあるが、第1の1または複数の経糸フィラメントの方向と平行でない、段階と、1または複数の第1緯糸フィラメントの上に、1または複数の第2経糸フィラメントを第1直線方向に堆積する段階であって、第2の1または複数の経糸フィラメントは、第1の1または複数の経糸フィラメントと同一直線状にない、段階と、第2の1または複数の経糸フィラメントの上に、第2の1または複数の緯糸フィラメントを第2方向に挿入する段階とを備える。
【0009】
3次元に交絡された複合材料コンポーネントを作製するための機械も開示される。機械は、フレームと、フレームによって支持される印刷板と、フィラメントを印刷板上に堆積させて第1平面内を互いに平行に移動させるフレームによって支持される第1の複数の経糸ヘッドとを含む。機械はまた、フレームによって支持される第2複数の経糸ヘッドを含む。これも、フィラメントを印刷板上に堆積させ、第1平面内を互いに平行に移動させ、また、第1の複数の経糸ヘッドのいずれかと同軸上に移動させない。機械はまた、フレームによって支持される緯糸挿入機を含む。これは、第1および第2の複数の経糸ヘッドとは異なる方向で、緯糸フィラメントを印刷板上に堆積させ、第1および第2の複数の経糸ヘッドと同一の方向で、印刷板の長さを横切る。
【0010】
複数の緯糸フィラメントと交絡され結合された複数の経糸フィラメントを有する複合材料コンポーネント構造も開示される。ここで、経糸フィラメントは、互いに平行であり、重合体マトリックスに結合された1または複数の補強繊維を含む。緯糸フィラメントは、互いに平行であり、重合体マトリックスに結合された1または複数の補強繊維を含む。複数の緯糸フィラメントおよび複数の緯糸フィラメントは、斜文織および繻子織のうち少なくとも2の織パターンで交絡される。複数の緯糸フィラメントのフィラメントおよび複数の緯糸フィラメントのフィラメントは連続し、ここで、織パターンは、1つのパターンから別のパターンに遷移する。
【0011】
伝達材料を含むテープ構造も開示される。伝達材料は、熱を伝導する、または、信号、データもしくは電流を伝達することが可能な任意の材料(伝導金属線および光ファイバのような光誘導材料を含む)で作られ得る。伝達材料は、圧密プロセスの一部として、圧密または包含の前に、フィラメントにおいて事前包含され得る。交絡された複合材料は、異なる機能を実行する複数の伝達材料タイプを含み得る。交絡された複合材料はまた、互いに相互作用し得る複数のテープにおける同一タイプの伝達材料を含み得る。
【0012】
上記の一般的説明および以下の詳細な説明は、例示的なものであり、例示のみであり、請求される例に制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示による経糸および緯糸フィラメントの交絡を示す平織の図である。
【0014】
図2】本開示による経糸および緯糸フィラメントの交絡を示す斜文織の図である。
【0015】
図3】本開示による経糸および緯糸フィラメントの交絡を示す繻子織の図である。
【0016】
図4】本開示による単純な1/1平織についての堆積プロセスを示す一連の図である。
【0017】
図5】本開示による2/2斜文織についての堆積シーケンスを示す一連の図である。
【0018】
図6】本開示による1/4繻子織複合材料についての堆積シーケンスを示す一連の図である。
【0019】
図7】異なる場所において異なる材料特性を提供するために、本開示による同一の交絡構造内に3つの異なる織を一体化する複合材料の図である。
【0020】
図8】本開示による、経糸および緯糸が互いに直交しない平織の図である。
【0021】
図9】本開示による、3Dの交絡された複合材料プリンタの簡略化形態を示す概略図である。
【0022】
図10】本開示による、経糸印刷ヘッドの一実施形態を示す概略図である。
【0023】
図11】本開示による、経糸印刷ヘッドの一実施形態の断面を示す概略図である。
【0024】
図12】本開示による、3Dの交絡された複合材料プリンタのより精巧な実施形態を示す概略図である。
図13】本開示による、3Dの交絡された複合材料プリンタのより精巧な実施形態を示す概略図である。
【0025】
図14】本開示による、エアジェット緯糸挿入システムの一実施形態を示す概略図である。
【0026】
図15】本開示による、延長可能なはさみ切断機構の一実施形態を示す概略図である。
【0027】
図16】本開示による、回転切断機構の一実施形態を示す概略図である。
【0028】
図17】本開示による、ドラッグナイフ切断機構の一実施形態を示す概略図である。
【0029】
図18A】本開示による、2つのテープ間に囲まれるワイヤ形態の伝達材料の展開図である。
【0030】
図18B】本開示による、2つのテープ間に囲まれる伝達材料の断面の一例を示す。
【0031】
図18C】本開示による、2つのテープ間に囲まれるリボン形態の伝達材料の展開図である。
【0032】
図18D】本開示による、2つのテープ間に囲まれる伝達材料の断面の一例を示す。
【0033】
図19】本開示による、単一フィラメントに包含される伝達材料の断面の一例を示す。
【0034】
図20A】本開示による、複数の織層を含む交絡された複合材料の展開図である。
【0035】
図20B】本開示による、複数の織層を含む交絡された複合材料の断面の一例を示す。
【0036】
図21】伝達材料を含む織の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
開示される技術の原理および特徴の理解を促進するべく、例示的な実施形態を下に説明する。開示する技術の様々な要素を形作るものとして以下で説明するコンポーネントは、例示することを意図しており、限定的であることを意図していない。本明細書で説明するコンポーネントと同じ機能または同様の機能を実行するであろう多くの好適なコンポーネントは、開示する電子デバイスおよび方法の範囲内として受け入れられることを意図している。本明細書において記載されない、そのような他のコンポーネントは、例えば、開示される技術の開発後に開発されたコンポーネントを含み得るが、それに限定されない。
【0038】
また、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、「a」、「an」および「the」の単数形は、文脈において明示的な別段の定めが無い限り、複数形の言及を含むことに留意する必要がある。
【0039】
「備える」、または「有する」、または「含む」は、少なくとも、挙げられた化合物、要素、粒子または方法の段階が、組成物または品目または方法に存在することを意味し、他の化合物、材料、粒子、方法の段階の存在を除外するものではなく、他のそのような化合物、材料、粒子、方法の段階が、挙げられたものと同一の機能を有する場合でも同様である。
【0040】
また、1または複数の方法の段階の言及は、追加の方法の段階、または、明示的に識別されるこれらの段階の間の中間にある方法の段階の存在を除外するものではないことが理解されるべきである。同様に、デバイスまたはシステムにおける1または複数のコンポーネントの言及は、追加のコンポーネント、または、明示的に識別されるこれらのコンポーネント間の中間にあるコンポーネントの存在を除外するものではないことが理解される。
【0041】
本明細書において使用される場合、「経糸」とは、平面内の堆積の一次方向に沿って堆積される平行のフィラメントを指す。
【0042】
本明細書において使用される場合、「緯糸」とは、平面内の堆積の一次方向に平行でない任意の軸に沿って堆積される任意のフィラメントを指す。
【0043】
本明細書において使用される場合、「平面」とは、堆積システムを1回通す間に生成された、交絡された複合材料の厚みを指す。
【0044】
本明細書において使用される場合、「堆積」とは、制御された方式およびパターンにおいて複合材料構造に複合材料フィラメントを追加することを指す。
【0045】
本明細書において使用される場合、「圧密」といは、単一のシート構造を形成するべく、熱可塑性材料の組立品を加熱および加圧することを指す。
【0046】
本明細書において使用される場合、「複合材料」とは、マクロスケールで形態または組成が異なる2以上の材料の組み合わせを指す。本明細書において使用される場合、複合材料は、少なくとも複合材料、マトリクスバインダ、および補強要素を含む。複合材料は、連携して作用するが、互いに対して完全に溶解または結合しない。
【0047】
本明細書において使用される場合、「テープ」とは、幅または厚みより遥かに大きい長さを有する要素を指す。
【0048】
本明細書において使用される場合、「フィラメント」とは、樹脂を含み、かつ、その幅または直径より遥かに大きい長さを有する要素を指す。好ましい実施形態において、フィラメントはまた、1または複数の補強繊維を含む。
【0049】
本明細書において使用される場合、「伝達材料」とは、樹脂を含まず、かつ、熱を伝導する、または、信号、データ、もしくは電流を伝達することが可能である要素を指す。本明細書において使用される伝達材料の形態の例は、ヤーン、繊維、ワイヤ、シート、ストリップ、フィルム、またはリボンを含み得る。
【0050】
本明細書において使用される場合、「伝達テープ」とは、部分的または全体的に伝達材料から構成されるテープを指す。
【0051】
本明細書において使用される場合、「樹脂」とは、複合材料内のマトリクスバインダとして使用される等方性の材料を指す。
【0052】
本明細書において使用される場合、「熱硬化性」とは、不可逆の化学反応に起因して、処理中に液体形態から固化する重合体を指す。
【0053】
本明細書において使用される場合、「熱可塑性」とは、凍結に起因して、処理中に融解形態から固化する重合体を指す。
【0054】
本明細書において使用される場合、「エンジニアリング重合体」とは、ポリエチレン「PE」などの「バルク」重合体より優れた、少なくとも1つの機械的、熱的、または電気的材料特性を有する重合体を指す。エンジニアリング重合体の例は、これらに限定されないが、ナイロン(PA)、ポリカーボネート(PC)、アセタール(PMA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ(p‐フェニレンスルフィド)(PPS)、およびポリエーテルケトンケトン(PEKK)を含む。
【0055】
本明細書において使用される場合、「サイジング」とは、処理中にその特性を変更するべく、別の物質で補強繊維を前塗装することを指す。
【0056】
FRP複合材料は、単方向繊維の層を積層することによって作られ得る。しかしながら、非平行のフィラメントを交絡させて、織られた構造を作成することによって、よりバランスのとれた複合材料が作成される。例えば、直交テキスタイルにおいて、経糸および緯糸ヤーンを交絡させることにより、ヤーンにおいて、クリンプまたは湾曲が発生し、これにより、テキスタイルの全体的な機械的特性に影響が生じる。交絡された補強繊維に基づく複合材料の機械的特性において、同様の効果が観察される。織られた構造は、ファブリックの形状によって、平織、斜文織、および繻子織テキスタイルのカテゴリに分類され得る。
【0057】
ここで、同様の参照番号が同様の部分を表す図を参照すると、開示の様々な実施形態が詳細に開示される。図1は平織の例示である。平織は、テキスタイル形状のもっとも単純な形態であり、経糸繊維が1つの緯糸ヤーンの上、および、別の緯糸ヤーンの下を通る反復構造から成る。平織ファブリックは、高い度合いのクリンプの存在に起因して、任意の規則的なファブリック形状の中で、もっとも低い平面内引張剛性、および、もっとも高い平面内剪断剛性を有する。
【0058】
図2は斜文織の例示である。斜文織ファブリックは、経糸ヤーンが、1、2、または3つの緯糸ヤーンの下を通る前に2または3つの緯糸ヤーンの上を通る反復構造を保持する。これは、非常に特徴的な斜めの線の形成をもたらす。斜文織は、中程度の平面内引張剛性および剪断剛性を保持する。
【0059】
図3は、繻子織の例示である。繻子織は、これらの織に固有の非常に低いクリンプに起因して、平面内引張剛性のための最高のテキスタイル構造である。繻子織において、経糸ヤーンは、緯糸ヤーンと交絡する前に、4以上の緯糸ヤーンの上を通る。クリンプの度合いが低いことは、平面内剛性にとっては良いが、隣接するヤーン間の交絡のレベルが低いことにより、平面内剪断強度が低くなる。
堆積シーケンス
【0060】
堆積プロセスは少なくとも、2以上のグループの経糸フィラメントの一連の短いセグメントにおいて、連続するフィラメントを堆積させ、介在する緯糸フィラメントの堆積を組み入れることから成る。好ましい実施形態において、複合材料コンポーネントの幅を実質的にカバーするのに十分な経糸フィラメントが堆積される。経糸セグメントの長さは、緯糸の所望されるピッチによって決定される。このセクションにおける明確性および簡潔性のために、経糸セグメントは、「[数値]セグメント、[数値][タイプ]グループ」と称される。例えば、第1グループの経糸フィラメントの第1セグメントは、「第1セグメント、第1経糸グループ」と称される。
【0061】
図4は、単純な1/1平織についての堆積プロセスを示す。堆積プロセスは、第1セグメント、第1経糸グループの堆積で開始する(400)。第1緯糸フィラメントは次に、第1セグメント、第1経糸グループの上に堆積される(402)。第1セグメント、第2経糸グループは次に、第1緯糸フィラメントの上、かつ、第1セグメント、第1経糸グループの隣に堆積される(404)。大部分の実施形態において、第1セグメント、第2経糸グループの堆積は、第1セグメント、第1経糸グループの堆積の少なくとも2倍の長さである。第2緯糸フィラメントは次に、第1セグメント、第2経糸グループの上に堆積される(406)。これに、第2緯糸フィラメントの上の第2セグメント、第1経糸グループが続く(408)。これに、第2セグメント、第1経糸グループの上の第3緯糸フィラメントが続く(410)。第2セグメント、第2経糸グループは次に、第3緯糸フィラメントの上に堆積され(412)、当該プロセスは、当該部分の第1層全体が作られるまで反復される(414)。当該部分の第1層全体が完了するとき、経糸フィラメントは切断され、当該部分の隣の層の製造が同一の方式で開始する。当業者であれば、同様のプロセスが、他のタイプの平織複合材料を堆積するために使用されることを理解するであろう。例は、緯糸と交絡される1より多くの経糸フィラメントを有する平織複合材料(例えば、1つの緯糸フィラメントと交絡される2つの経糸フィラメントを有する「ダック」織)を含むが、これに限定されない。または逆も同様である。
【0062】
より複雑な織パターンは、2より多くのグループの経糸フィラメントを必要とし得る。特定の織パターンについて、経糸グループの最小の数は、緯糸が上を通る経糸フィラメントの最大数と、緯糸が下を通る経糸フィラメントの最大数との和に等しい。例えば、図5は、2/2斜文織についての堆積シーケンスを示す。プロセスは、共に堆積される、第1セグメント、第1経糸グループおよび第1セグメント、第2経糸グループで開始し(500)、第1緯糸フィラメントが続く(502)。これに、共に堆積される、第1セグメント、第3経糸グループおよび第1セグメント、第4経糸グループが続く(504)。次に、第2セグメント、第1経糸グループおよび第2セグメント、第4経糸グループは、共に堆積され(506)、第2緯糸フィラメントが続く(508)。次に、第2セグメント、第2経糸グループおよび第2セグメント、第3経糸グループが共に堆積される(510)。これに、共に堆積される、第3セグメント、第3経糸グループおよび第3セグメント、第4経糸グループが続き(512)、第3緯糸フィラメントが続く(514)。次に、第3セグメント、第1経糸グループおよび第3セグメント、第2経糸グループが共に堆積され(516)、第4セグメント、第2経糸グループ、および第4セグメント、第3経糸グループが続く(518)。第4緯糸フィラメントが次に堆積され(520)、第4セグメント、第1経糸グループおよび第4セグメント、第4経糸グループが続く(522)。これにより、2/2斜文織についてパターンが完了し、これが次に反復する。当業者であれば、同様のプロセスが、他のタイプの斜文織複合材料を堆積するために使用されることを理解するであろう。例は、1/2、1/3、2/1、3/1、および3/3斜文織複合材料を含むが、これらに限定されない。
【0063】
図6は、1/4繻子織複合材料についての堆積シーケンスを示す。600において、第1セグメント、第1経糸グループが堆積される。602において、第1緯糸フィラメントが堆積される。604において、第1セグメント、第2、第3、第4、および第5経糸グループが堆積される。606において、第2セグメント、第2経糸グループが堆積される。608において、第2緯糸フィラメントが堆積される。610において、第2セグメント、第1、第3、第4および第5経糸グループが堆積される。612において、第3セグメント、第3経糸グループが堆積される。614において、第3緯糸フィラメントが堆積される。616において、第3セグメント、第1、第2、第4、および第5経糸グループが堆積される。618において、第4セグメント、第4経糸グループが堆積される。620において、第4緯糸フィラメントが堆積される。622において、第4セグメント、第1、第2、第3、および第5経糸グループが堆積される。624において、第5セグメント、第5経糸グループが堆積される。626において、第5緯糸フィラメントが堆積される。628において、第5セグメント、第1、第2、第3、および第4経糸グループが堆積される。当業者であれば、同様のプロセスが、他のタイプの繻子織複合材料を堆積するために使用されることを理解するであろう。例は、1/5、1/6、4/1、5/1などの繻子織複合材料を含むが、これに限定されない。
【0064】
いくつかの実施形態において、堆積シーケンスはまた、単一の交絡された複合材料構造の同一平面内の異なる場所において異なる織パターンを生産するように調整され得る。ハンドレイアップFRP、または、自動化テープ配置機械のいずれも、この効果を達成できない。図7は、異なる場所において異なる材料特性を提供するために、同一の交絡された構造内に3つの異なる織を一体化する複合材料を示す。図7における織は、平織700から斜文織702、繻子織704に遷移する。層内の織が平織700から繻子織704に遷移するとき、剪断強度は減少し、平面内引張強度は増加する。このことは、引張剛性および衝撃抵抗にも当てはまる。
【0065】
いくつかの実施形態において、複数の層が同一の時間に堆積され得る。これらの実施形態において、経糸フィラメントおよび緯糸フィラメントの第1の2以上のグループは、上に記載された方式で堆積される。しかしながら、その層における隣の緯糸フィラメントに進む前に、別の緯糸フィラメントに沿って、経糸の第2の2以上の追加のグループが層の上に堆積され、交絡された複合材料の2つの層を作成する。一度に堆積され得る層の数は、堆積機械の精巧度および利用可能な経糸グループの数のみによって限定される。いくつかの実施形態において、この技法はまた、層間で経糸フィラメントを交絡させ得る。上に記載された2層の例を使用して、経糸グループは交互であり、その間に、各緯糸の場所について層が最初に堆積された。故に、第1の緯糸の場所の後に、隣の緯糸の場所において、第2の2以上の経糸グループおよびそれらの緯糸フィラメントが最初に堆積し、第1の2以上の経糸グループおよびそれらの緯糸フィラメントが続く。このようにして、第1の2以上の経糸グループは今、上位層にあり、第2の2以上の経糸グループは下位層にある。
【0066】
大部分の実施形態において、経糸および緯糸は互いに直交する。しかしながら、いくつかの実施形態において、好ましい材料特性が、経糸と緯糸との間のより小さい角度(90°未満)を作ることによって達成され得る。例えば、図8は、経糸および緯糸が互いに45°である平織を示す。
【0067】
いくつかの実施形態において、後処理操作として、追加の樹脂でフィラメント間の隙間が充填され得る。他の実施形態において、堆積中に共に融着して空間無しの層を作成するために、フィラメントは、共に十分に近い間隔を空けられ得る。更なる実施形態において、後処理ステップが任意の隙間を除去し得る堆積中に、フィラメントは、共に十分に近い空間を空けられ得る。例えば、フィラメントのマトリックスをリフローするために、最後の部分が除去され、加熱され、圧縮され得、これにより、隙間を充填し、隙間に留まった任意のガスを排出する。
【0068】
しかしながら、いくつかの実施形態において、密度および亀裂伝播を減少するために、隙間は意図的にその場に残され得る。例えば、樹脂および繊維のいくつかの組み合わせにおいて、隙間の充填は、最終の複合材料部分の強度および/または衝撃抵抗を減少させ得る。なぜなら、樹脂で隙間を充填することにより、亀裂伝播を促進するからである。いくつかの実施形態において、最終部分の強度および衝撃抵抗は、樹脂と補強繊維との間の界面の近くの亀裂に特に影響を受け得る。これらの実施形態において、隙間を空のまま残すことにより、亀裂が界面に伝播する経路を除去し得、より優れた機械的特性をもたらす。他の実施形態において、隙間を空のまま残すことにより、フィラメントの座屈抵抗を改善し、対応して、当該部分の全体的な圧縮強度を改善し得る。これらの実施形態において、隙間を残すことを可能にする結果として生じる高い界面強度により、繊維が樹脂の補強カラムとして作用することが可能となる。ここで、補強繊維は「鉄筋(rebar)」として作用する。
フィラメント設計
【0069】
好ましい実施形態において、複合材料フィラメントを作成するために、フィラメントは、重合体樹脂でコーティングされた高性能補強ヤーンを含む。いくつかの実施形態において、重合体はエンジニアリング重合体である。好ましい実施形態において、樹脂はポリエーテルケトンケトン(PEKK)である。
【0070】
複数の重要な機械的および処理パラメータは、処理の挙動および複合材料の最終的な機械的特性(融解粘度、融解温度、剛性、靱性、密度、ならびに、化学的および熱的安定性を含む)に関連する。補強繊維は、結果として生じる複合材料における強度および剛性の大部分を提供するので、複合材料フィラメントが最適な性能を達成するために、適切な繊維が選択されるべきである。いくつかの実施形態において、樹脂と補強繊維との間の界面は、複合材料の特性に対して、もっとも強い影響を有する。界面が弱い場合、繊維はマトリックスから引き抜かれ、負荷に耐えることに失敗し、より低い全体的な複合材料強度をもたらす。従って、いくつかの実施形態において、フィラメントが良好な界面強度を呈するために、繊維の表面改変(例えば、エッチング、サイジング)が必要であり得る。いくつかの実施形態において、ナイロン6またはナイロン6、6が、サイジングされていない炭素繊維とペアになり得る。好ましい実施形態において、PEKK樹脂は、サイジングされていない炭素繊維とペアになり得る。
【0071】
いくつかの他の実施形態において、補強繊維は、アラミド(例えば、Nomex(登録商標)、Kevlar(登録商標))、金属、ガラス、炭化ケイ素、酸化ジルコニウム、または酸化アルミニウムであり得る。当業者であれば、他の好適な補強繊維も使用され得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態において、異なる補強繊維および/または樹脂を有する異なる経糸フィラメントが堆積され得る。いくつかの実施形態において、経糸グループにおける経糸フィラメントのすべては同一であり得る。他の実施形態において、経糸グループにおける経糸フィラメントは異なり得る。
【0072】
いくつかの他の実施形態において、フィラメントは熱硬化樹脂を含み得る。これらの実施形態において、熱硬化樹脂は、堆積中に硬化しない。樹脂は堆積後に硬化され、経糸と緯糸フィラメントとの間の結合を生じさせる。いくつかの実施形態において、樹脂は、堆積シーケンスにおける各ステップ中に選択的に硬化され得る。いくつかの他の実施形態において、層全体の樹脂は同時に硬化され得る。いくつかの実施形態において、樹脂はUV光によって硬化され得る。いくつかの他の実施形態において、樹脂は、熱を適用することによって硬化され得る。これらの実施形態において、伝導、対流、放射、または、これら3つの任意の組み合わせによって熱が適用され得る。
【0073】
いくつかの実施形態において、フィラメントは、樹脂で事前包含または事前コーティングされる補強繊維の代わりに、混合された熱可塑性樹脂繊維および補強繊維を含み得る。これらの実施形態において、樹脂は堆積プロセス中に融解され、その時間において、補強繊維に染み込む。
【0074】
いくつかの実施形態において、使用されるフィラメントは、複数の熱可塑性繊維の単一重合体熱可塑性繊維またはヤーンであり得る。これらの実施形態において、樹脂は堆積中に融解されない。代わりに、経糸および緯糸は、堆積後に融解および融着されて交絡する。これは、(例えばレーザまたは加熱ローラによって)局所的に生じ得るか、または、熱源を上に通すことによって層全体が融着され得る。このプロセスは、補強複合材料によって生じるものより低い剛性の軽量コンポーネントが望ましい場合に、望ましいことがあり得る。
経糸堆積
【0075】
複合材料プリンタの機械的システムとして、ジャカード織機およびFDMプリンタの組み合わせが考えられ得る。ここで、複合材料プリンタ900の簡略化された形態を示す図9を参照すると、プリンタのベースユニットは、経糸フィラメントを印刷板916上に堆積させる経糸印刷ヘッド902(経糸ヘッド)である。複数の経糸ヘッドが経糸ラック920に組み込まれ得る。緯糸挿入機(示されない)は、緯糸が織られて各経糸ヘッド902から押出された経糸フィラメントになることを可能にする。上に記載されるように、経糸ラック920における経糸ヘッド902は、織形状を制御するべく、緯糸挿入の間に互いに対して相対的に移動する。
【0076】
一実施形態において、経糸ヘッド902は、ガイドロッド906およびリードスクリュー904によって各々支持される。リードスクリュー904はまた、経糸ヘッド902の動きを駆動する。リードスクリュー904およびガイドロッド906は、端部プレート908によって支持される。端部プレート908および印刷板916はフレーム910によって支持される。各リードスクリュー904はモータ918によって駆動される。いくつかの実施形態において、リードスクリュー904およびガイドロッド906は、より密にパックされた経糸ヘッド902に対応するべく、交互の経糸ヘッド902において、上の位置から下の位置へ交互になり得る。別の実施形態において、より長いリードスクリュー904に接続された追加のモータ918に対応するべく、追加の搭載されたプレート908が、印刷空間からさらに遠く後ろに提供され得る。これらの実施形態はまた、より高い経糸ヘッド密度を可能にする。いくつかの実施形態において、リードスクリュー904は、柔軟なカップリング912を通じてモータ918に接続され得る。いくつかの実施形態において、結合を防止するべく、リードスクリュー904の非駆動端部は、浮きベアリングによって支持され得る。いくつかの実施形態において、経糸ヘッド902の位置を制御デバイスに示すべく、モータおよび/またはリードスクリューには、エンコーダが設けられ得る。いくつかの実施形態において、モータはステッピングモータであり得る。いくつかの他の実施形態において、当業者によって理解され得るように、モータはサーボモータ、直流モータ、または交流モータであり得る。
【0077】
いくつかの他の実施形態において、当業者によって理解され得るように、経糸ヘッド902は、1または複数のビームによって、または、複数のガイドロッドによって支持され得る。更なる実施形態において、当業者によって理解され得るように、経糸ヘッド902は、リニアモータ、チェーン、ベルト、空圧、または液圧によって駆動され得る。
【0078】
図10および図11はそれぞれ、経糸ヘッド902、および、その経糸ヘッド902の断面の一実施形態を示す。経糸ヘッド902は、駆動セクション930、ヒータセクション932、およびカバープレート934を含む。本実施形態において、リードスクリュー、ベアリングおよびガイドロッドの組み合わせは、駆動セクション930を通じて経糸ヘッド902を駆動する。もっとも単純な構成において、駆動セクション930は、ガイドロッド906およびリードスクリュー904それぞれのための2つの貫通穴936を含む。2つの横断穴938は、リードスクリュー904のためのボールスクリューまたはガイドロッド906のための直線ベアリングの搭載を可能にする。モータ918が回転するとき、リードスクリュー904は、回転運動を直線運動に変換し、一方で、ガイドロッド906は、回転から経糸ヘッド902を防止するように作用する。経糸ヘッド902がガイドロッドと結合することを防止するために自動調心ベアリングが使用される。
【0079】
一実施形態において、複合材料フィラメントは、固体状態で経糸ヘッドに入り、そこで加熱および押出される。ヒータセクション932はカバープレート934と篏合する。ヒータセクションは、加熱素子940のための穴を含む。一実施形態において、加熱素子は、セラミックカートリッジヒータであり得る。他の実施形態において、当業者によって理解され得るように、加熱素子は、ニクロム線などの別の抵抗性要素、または、誘導性コイルであり得る。堆積されるフィラメントは、ヒータセクション932とカバープレート934との間のチャネル942を通って移動する。いくつかの実施形態において、経糸ヘッド902はヒータセクション932を有しないことがあり得る。これらの実施形態のいくつかにおいて、フィラメントの熱可塑性樹脂は、例えばレーザによって堆積されるとき、遠くで融解され得る。
【0080】
経糸フィラメントは好ましくは、リール(示されない)から供給される。リールは好ましくは静止型であり、経糸ヘッド902から遠くに搭載される。配置を制御するべく、フィラメントは、張力を受け続ける必要がある。一実施形態において、経糸ヘッド上のローラ(示されない)は、印刷板916に対して圧力を適用し、堆積中にフィラメント上の張力を生じさせる。張力は、張力を受けたリール(示されない)からフィラメントを引っ張って取る。これは、「フィラメント引き」システムと記載され得る。別の実施形態において、「フィラメント押し」システムにおいて、駆動されるローラ(示されない)のペアが、フィラメントをリールから引っ張って取り、フィラメントを経糸ヘッド902へ誘導する管(示されない)に押し込む。当業者によって理解されるように、本実施形態は、溶接ワイヤをトーチに送るためのMIG溶接機の駆動システムと同様である。押出プロセス中のフィラメントに対する全体的な荷重は、融解フィラメントに埋め込まれたフィラメント上の張力と、経糸ヘッドにおける圧力との組み合わせである。別の実施形態においてフィラメントにおける張力は、リードスクリュー904上のトルクを変化させることによって制御され得る。
【0081】
図12および図13は、より精巧なプリンタ1200の2つの図を示す。より複雑な3D複合材料構造は、追加の経糸ラックをプリンタ1200に追加することによって達成され得る。本実施形態において、一次経糸ラック1210および二次経糸ラック1220がある。一次経糸ラック1210は、上で記載されたように動作する。二次経糸ラック1220上の経糸ヘッド1222は、自身のガイドロッド1224およびリードスクリュー1226を有し、一次経糸ラック1210のためのガイドロッド1214およびリードスクリュー1216の上に位置する。一次経糸ラック1210のためのガイドロッド1214およびリードスクリュー1216は、二次経糸ヘッド1222が一次経糸ヘッド1212とは独立に移動することを可能にする、ベアリング上の二次経糸ヘッド1222の下位部分を通る。二次経糸ヘッドの加熱素子1228および押出機1230は、二次経糸ヘッドの加熱素子1218および押出機1208と同一の高さに位置する。上に記載されたように、追加の経糸ラックは、複数の層の複合材料を単一の通過で堆積させることを可能にする。それらはまた、上で記載されたように、層間の交絡を可能にする。
印刷板
【0082】
印刷板916、1270はまた、プリンタシステムの重要なコンポーネントである。一実施形態において、印刷板916は、縦(Z)軸方向だけ移動する。複合材料の各層が完了したとき、印刷板916が下に落ち、その結果、新しい層を前の層の上に堆積させることができる。
【0083】
より精巧な印刷板1270が図12および図13に示される。加えて、Z軸方向に移動するために、このプリンタのための印刷板1270がZ軸を中心に回転する。これにより、繊維配向が層間で変更されることが可能となり、最終複合材料部分における有益な材料特性を提供し得る。一実施形態において、Z軸の周りの回転は、印刷板の下側における遊星歯車構成によって達成される。当業者によって理解されるように、本実施形態において、遊星キャリアは固定され、その結果、太陽歯車の回転により、環状歯車の回転が生じる。上に記載されるように、層が印刷されるとき、印刷板1270も下がり、これにより、経糸ヘッド1212、1222と印刷板1270との間の一定の隙間を維持する。当技術分野における当業者によって理解されるように、リードスクリュー、液圧もしくは空圧リフト、リニアアクチュエータ、または他の手段を使用して、縦の動きが達成され得る。
【0084】
いくつかの実施形態において、印刷板1270はまた、経糸ヘッドの動きに対して横断する方向に移動する。横断方向の動きにより、経糸ヘッド間の中心間距離より共に近い経糸フィラメントの堆積を可能にする。例えば、一実施形態において、層が完了した後に、印刷板1270は、経糸ヘッド間のピッチの1/2に等しい量だけ横断方向に移動し、層を反復し得る。この技法は、互いの上で経糸フィラメントを反復するより高い経糸密度をもたらす。なぜなら、第2層経糸フィラメントは、第1層経糸フィラメント間の空間に「落ち着く」からである。
【0085】
いくつかの実施形態において、印刷板1270はまた、Z軸と直交する軸を中心に回転する。これらの実施形態において、印刷板は傾き得、より複雑な3次元複合材料構造の形成を可能にする。好ましい実施形態において、印刷板は、3つの直交方向において直線的に移動し、これらの方向に平行な3つの軸を中心に回転し得る。
【0086】
いくつかの実施形態において、印刷板1270は印刷プロセス中に加熱される。これにより、熱可塑性樹脂の冷却速度を制御する。一実施形態において、印刷板1270は、印刷板に埋め込まれた抵抗性加熱素子によって加熱され得る。熱可塑性マトリックスの融解温度より高い動作温度を必要とする経糸ヘッド1212、1222とは異なり、印刷板1270は、融解温度の下で動作し、従って、経糸ヘッドと比べて、必要な温度制御の精度が低い。他の実施形態において、印刷板は、水または水‐グリコール混合物などの加熱流体によって、または蒸気によって加熱され得る。当業者によって理解されるように、熱可塑性鋳型の温度を制御するための多くの方法が、印刷板1270の温度を制御するために使用され得る。
【0087】
いくつかの実施形態において、最終的な複合材料部分の剥離を促進するために、印刷板1270は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など、永久的な表面処理で処理され得る。他の実施形態において、当業者によって理解されるように、印刷板1270は、例えば、シリコーン流体などの一時的な剥離剤を用いて、各部分の前に処理され得る。
圧縮ローラ
【0088】
いくつかの実施形態において、プリンタは圧縮ローラ1260を含み得る。これらの実施形態において、圧縮ローラ1260は、層の堆積間で交絡された複合材料構造を圧縮する。いくつかの実施形態において、これにより、最終的な複合材料部分において、より大きい整合性を提供する。他の実施形態において、圧縮ローラ1260は加熱され得る。加熱は、以下の1または複数の目的に役立ち得る。(1)フィラメントにおける融解された熱可塑性樹脂の冷却を制御する。(2)複合材料フィラメント間の高品質の結合(経糸と緯糸の結合、および、層と層の結合を含むが、これらに限定されない)を確実にするために、熱可塑性樹脂を融解または再融解する。(3)それらを採用する複合材料における熱硬化樹脂を硬化する。
【0089】
一実施形態において、圧縮ローラ1260は、少なくとも2つのリードスクリュー1266および2以上のガイドロッド1268によって駆動される駆動セクション1264のペアを有する。リードスクリュー1266は、圧縮ローラ1260をそれらと共に運ぶ駆動セクション1264を駆動する。特定の実施形態において、圧縮ローラ1260は、1または複数の駆動モータ1262を組み込み得る。いくつかの実施形態において、駆動モータ1262は、動力のすべてを提供し得、駆動セクションは、4つのガイドロッド1268上で動き得る。他の実施形態において、駆動モータ1262は、リードスクリュー1266と協働して圧縮ローラ1260を移動させる。
緯糸挿入
【0090】
緯糸挿入機は、経糸ヘッドが挿入間で移動することを可能にするために、完全に印刷空間の外部で各挿入を開始および終了できる必要がある。図12および図13はまた、緯糸挿入システム1240の一実施形態を示す。本実施形態において、緯糸は、ラック‐ピニオンレピア1242によって挿入される。当業者によって理解されるように、一実施形態において、レピア1242は、一致する歯車ピニオン1246によって駆動されるラック1244(一例の直線歯車歯)を含む。別の実施形態において、ラック1244は、ピニオン1246として円滑なラバーホイールによって駆動される円滑な壁のトラックであり得る。ピニオン1246は、モータ1248によって駆動される。ピニオン1246が半時計周りに回転するとき、レピア1242は、緯糸フィラメントを共に運びながら、印刷空間1244内に延在する。本実施形態において、ラック1244およびレピア1242は剛性である。一実施形態において、緯糸フィラメントは、挿入動作によって、張力を受けたスプール(示されない)から引き込まれる。好ましい実施形態において、ピニオン1246は次に、反転して時計回りに回転し、レピア1242を戻し、レピア1242が戻されるときに緯糸を堆積する。緯糸は次に、ピニオン1246の近くで切断される(切断技法については下を参照されたい)。別の実施形態において、緯糸は、レピア1242の挿入中に堆積され、緯糸は、適切な距離に挿入された後に切断される。ピニオン1246は次に反転し、時計回りに回転し、レピア1242を戻す。
【0091】
一実施形態において、緯糸は挿入中に融解されない。なぜなら、融解された経糸フィラメントは、堆積されるときに緯糸に結合するからである。別の実施形態において、融解された緯糸フィラメントを堆積するために、熱モジュール(示されない)は、レピアの端部に追加され得る。当業者によって理解されるように、別の実施形態において、レピア1242は、スプロケットまたは駆動ローラによって駆動される柔軟な金属テープであり得る。
【0092】
本実施形態において、緯糸挿入システム1240の全体は、経糸ヘッド1204、1296と同一方向に印刷空間の長さを移動する。これにより、適切な場所における緯糸の挿入を可能にする。一実施形態において、緯糸挿入システム1240は、2つの誘導レール1248上に乗り、リードスクリュー1250およびモータ1252によって駆動される。当業者によって理解され得るように、他の実施形態において、緯糸挿入システムは、リニアモータ、チェーン、ベルト、空圧または液圧によって駆動され得る。
【0093】
図14は、緯糸挿入システムの別の実施形態を示す。本実施形態、エアジェット挿入システム1400において、圧縮空気のパルスは、経糸フィラメントの間に挿入するために、事前切断された緯糸フィラメントを放出する。レピア挿入システム1240と同様に、エアジェット挿入システム1400は、経糸ヘッド1204、1296と同一方向に印刷空間の長さを移動する必要がある。本実施形態において、システムは、ノズル1402、圧縮空気リザーバ1404、一次空気弁1406、緯糸カッター1408、緯糸リール1410、および緯糸押出機1412を含む。動作中、緯糸押出機1412は、緯糸フィラメントを緯糸リール1410から引き込み、所望の長さまでノズル1402内に供給する。緯糸カッター1408は、カッタースロット1414を通じて、例えばブレードによって、緯糸フィラメントを切断する。緯糸押出機1412は、圧縮空気が緯糸リール1410ハウジングに入ることを防止するために空気弁を含む。次に緯糸押出機1412バルブが閉じ、次に、制御された期間にわたって一次空気弁1406が開き、切断された緯糸フィラメントに圧力を適用し、ノズル1402から排出する。フィラメントは樹脂で事前包含されるので、ノズル1402から放出されるときに直線状に維持するのに十分な剛性を保持する。好ましい実施形態において、放出された緯糸フィラメントは、印刷エリアの反対側の停止プレート(示されない)に衝突するときに停止する。一実施形態において、印刷板は固定される。別の実施形態において、放出された緯糸フィラメントが最終的に落ち着く場所を変えるために、印刷板は、経糸ヘッドに対して横断方向に移動し得る。レピア緯糸挿入システムと同様に、同一の場所に緯糸を挿入するべく、エアジェット緯糸挿入システム1400は、経糸ヘッドと同一方向に印刷空間の長さを移動する必要がある。そのような動きについて上で説明された機構のすべては、エアジェット緯糸挿入機にも適切である。
フィラメント切断
【0094】
上で留意されたように、堆積された経糸および緯糸フィラメントは、所望の長さに到達したときに切断される必要がある。フィラメントを切断するために複数の方法が使用され得る。一実施形態において延長可能なはさみが使用され得る。図15は、延長可能なはさみの一実施形態の切断機構を示す。一実施形態において、緯糸挿入機について使用されるものと同様に、切断機構は、レピア上の印刷空間内に延在する。当業者によって理解され得るように、緯糸挿入機と同様に、延長可能なはさみの機構は、ラックおよびピニオン、リニアモータ、チェーン、ベルト、空圧または液圧によって駆動され得る。延長可能なはさみは、フィラメントが独立に切断されることを可能にし、これにより、より複雑な形状が印刷されることを可能にする。経糸フィラメントを切断するために、延長可能なはさみはプリンタの端部に搭載され、フィラメントを切断するために、レピアは経糸が動く方向に延在する。いくつかの実施形態において、単一の延長可能なはさみカッターは、経糸ヘッドすべてを横断し得、各経糸フィラメントを個別に切断する。これにより、切断の制御を簡略化し、フィラメントの選択的切断を可能にし、例えば、複合材料の完全性を損なうことなく、留め具のための穴を作成する。別の実施形態において、各経糸ヘッドは、それ自体の延長可能なはさみを有し得る。本実施形態は、機械のために、より高い動作速度を提供する。別の実施形態において、動作速度を増加させるために、切断システム(はさみなど)は、経糸ヘッド内に一体化され得る。
【0095】
切断機構は、2つの切断ブレード1502、2つのレバー1504、一次ピボット1506、2つの二次ピボット1508、フレーム1510、および中空レピア1512を含む。レバー1504は、二次ピボット1508の一端部において、切断ブレード1502に接続される。レバー1504の他の端部は開放端である。切断ブレードは、一次ピボット1506において、フレーム1510に回転可能に固定される。切断動作中、中空レピア1512内のワイヤまたはロッド(示されない)は、レバー1504の開放端を引き、一次ピボットから離れるように引く。引く力は、二次ピボット1508および切断ブレード1502の端部を中空レピア1512に向かって引く傾向がある。これにより、一次ピボット1506を中心に回転する切断ブレード1502にモーメントを付与し、切断アクションを生じさせる。
【0096】
別の実施形態において、回転カッターが、フィラメントを切断するために使用され得る。図16は、ローラカッターの一実施形態を示す。ローラカッターは、回転ブレード1602、ピボット1606、およびハウジング1608を含む。回転ブレードは、鋭利なグラウンドエッジ1604を有する。回転カッターは、延長可能なアームの端部に搭載される。緯糸挿入に使用されるレピア、または、延長可能なはさみとは異なり、回転カッターのためのアームは、切断のためのダウンフォースを提供するほど十分に剛性である必要があるので、十分に堅牢である必要がある。
【0097】
動作中、アームは、切断されるフィラメントに対して横断方向に、印刷空間内に延在する。例えば、経糸フィラメントを切断するべく、回転カッターは、経糸ヘッドの動きに対して横断方向に、切断空間内に延在する。アームは、印刷板916、1270と回転ブレード1602との間のダウンフォースを提供する。回転ブレード1602が各フィラメントの上を通るとき、フィラメントは、回転ブレード1602と印刷板916、1270との間で切断される。回転カッターが延在する距離は制御であるが、その上を通るフィラメントのすべてを切断する。従って、回転カッターが、不要なフィラメントを切断することなく、必要なフィラメントのすべてを切断できるように、複雑な端の形状を有する複合材料構造は、切断空間内において慎重に位置決めされる必要がある。この限定は、回転カッターが、内部に穴を有する複合材料構造の印刷に適さないことを意味する。
【0098】
別の実施形態において、ドラッグナイフ型カッターが、フィラメントを切断するために使用され得る。図17は、ドラッグナイフカッターの一実施形態を示す。ドラッグナイフは、切断ポイント1704、フレーム1706、ブレードチャック1708を有するブレード1702を含む。ブレードチャック1708は、ブレード1702をフレーム1706に強固に保持する。ブレードチャック1708は、ネジ1710によって保持される。一実施形態において、ブレード1702は、標準のユーティリティナイフブレードであり得る。別の実施形態において、ブレードは、高速度鋼、炭化タングステン、ダイヤモンド、サファイア、または別の好適な硬質材料からできている鋭利なカッターであり得る。当業者であれば、フィラメントの材料に応じて、他のブレード材料も適切であり得ると理解するであろう。回転カッターと同様に、ドラッグナイフカッターは、延長可能なアームに搭載される。回転カッターと同様に、延長可能なアームは、切断に必要なダウンフォースを提供するほど十分に剛性を有する必要がある。
【0099】
動作中、アームは、切断されるフィラメントに対して横断方向に印刷空間内に延在する。例えば、経糸フィラメントを切断するために、ドラッグナイフカッターは、経糸ヘッドの動きに対して横断方向に切断空間内に延在する。アームは、印刷板916、1270とドラッグナイフ1602との間のダウンフォースを提供する。ドラッグナイフ1602が各フィラメントの上を通るとき、フィラメントは、ドラッグナイフ1602と印刷板916、1270との間で切断される。一実施形態において、ドラッグナイフはアームの端部に固定され、回転カッターと同一の制限を有する。別の実施形態において、補助アクチュエータは、ドラッグナイフを切断表面からわずかに上昇させ得、これにより、ドラッグナイフが印刷板を越えて通るとき、フィラメントの選択的切断を可能にする。
伝達ヤーンの統合
【0100】
いくつかの実施形態において、1または複数のテープは、伝達材料を含む伝達テープであり得る。伝達材料は、熱を伝導し、または、データ、信号、もしくは電流を伝達するために好適な任意の材料を含み得る。伝達材料の例は、金属線、光ファイバ、および金属または光誘導材料を含み得る。伝達テープの機械的および処理パラメータは、使用される伝達材料のタイプおよび所望の機能性に応じて変化し得る。
【0101】
例えば、いくつかの実施形態において、伝達材料は、圧密プロセス中に2つのテープ間に囲まれ得る。一例として、図18Aは、圧密中に形成され得る伝達テープ1800の展開図を示す。伝達テープ1800は、下部テープ1810と重なる上部テープ1830を含み、それらの間に伝達ワイヤ1820が位置する。伝達ワイヤ1820の一例は、ワイヤ形態の伝達材料を含み得る。圧密の前に、下部テープ1810および上部テープ1830は、共に融着されないことがあり得るが、圧密中に単一の経糸または緯糸テープとして作用し得る。圧密後、下部テープ1810および上部テープ1830は、共にに融着され得、それらの間の伝達ワイヤ1820を囲む。図18Bは、複数の伝達ワイヤ1820を含む図18Aからの伝達テープ1800の一例の断面を示す。上部テープ1810は下部テープ1830と重なる。伝達ワイヤ1820は、上部テープ1810と下部テープ1830との間に位置する。この例において、上部テープ1810および下部テープ1830は、既に共に融着されており、結果として、伝達ワイヤ1820がそれらの間に囲まれている。
【0102】
図18Cは、図18Aにおける伝達テープ1800と同様の伝達テープ1850の展開図を示すが、伝達テープ1850が伝達ワイヤ1820の代わりに伝達リボン1870を含む点が異なる。伝達リボン1870の一例は、リボン形態の伝達材料を含み得る。伝達リボン1870は、圧密中に上部テープ1860と下部テープ1880との間に位置する。圧密後、上部テープ1860および下部テープ1880は、共に融着され得、それらの間に伝達リボン1880を囲む。
【0103】
図18Dは、伝達リボン1870を含む図18Bからの伝達テープ1850の一例の断面を示す。上部テープ1860は下部テープ1880と重なる。伝達リボン1870は、上部テープ1860と下部テープ1880との間に位置する。この例において、上部テープ1860および下部テープ1880は、既に共に融着されており、結果として、伝達リボン1870がそれらの間に囲まれている。
【0104】
いくつかの実施形態において、伝達テープ1800および1850は、国際出願第WO2017/200935号(本明細書において全体が組み込まれる)の段落0082から0086および図7から図9に記載される方法を使用して製造され得る。例えば、伝達ワイヤ1820または伝達リボン1870は、経糸フィラメント222b-cまたは212b-cなど、中間の経糸フィラメントの1つの位置において、複合材料織機械100に供給され得る。段落0082~0086に記載される圧密プロセスの結果、伝達ワイヤ1820または伝達リボン1870が、上の少なくとも1つのテープと、下の1つのテープとの間に囲まれる。
【0105】
いくつかの実施形態において、伝達材料は、圧密前に、樹脂において包含され得る。例えば、図19は、複数の包含された伝達ワイヤ1910を含む伝達テープ1900の断面図を示す。図18Aから図18Bの伝達テープ1800とは対照的に、伝達ワイヤ1910は、2つのテープの間ではなく単一のテープ内に包含される。圧密中に伝達材料を包含することと比較するとき、伝達リボンを事前包含することにより、構造支持品質がより高く、性能がより高いフィラメントの使用を可能にするが、金銭的なコストがより高い。
【0106】
これらの実施形態において、使用される樹脂は、伝達材料の組成および使用に依存し得る。一例として、伝達テープは、電流の伝達に使用される金属線である伝達材料を含み得る。金属製伝達材料を通じて電流を伝達することにより、伝達テープの温度を増加させ得る。そのような伝達テープは、温度上昇に耐え得る樹脂に金属製伝達材料が包含されることを必要とする。一実施形態において、樹脂は、伝達テープにおける予測された温度上昇の上の加熱撓み温度を有する熱可塑性液状重合体であり得る。別の実施形態において、樹脂は熱硬化性液状重合体であり得る。熱硬化性液状重合体は、熱が適用されるときに、再融解のリスクを回避する利点を有する。いくつかの例において、選択された樹脂は、格子構造における他のフィラメントにおいて使用される樹脂に適合するべきである。例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)およびポリカーボネートは、十分な接着性を経験する熱可塑性液状重合体である。また、ポリアミドおよびポリエステルなど、同一の重合体ファミリーにおける樹脂は、より容易に互いに結合する。対照的に非極性樹脂が伝達テープと共に使用され、かつ、格子構造における他のフィラメントが極性樹脂を有する場合、伝達テープは、圧密中に他のテープに結合しない。
【0107】
いくつかの実施形態において、伝達テープの温度を増加させることが望ましいことがあり得る。例えば、車両または航空機の構造コンポーネントに一体化された伝達テープは、蓄積された氷を取り除くために加熱され得る。そのような実施形態は、高い抵抗性および耐酸化性を有する抵抗性ワイヤからできた伝達材料を含み得る。例えば、ニッケルとクロムが80/20の合金であるニクロムは、加熱の目的に使用される、一般的に使用される抵抗性材料である。伝達テープの加熱は、熱硬化性液状重合体などの伝達材料によって作成される、より高い温度に耐え得る樹脂を必要とし得る。
【0108】
いくつかの実施形態において、伝達テープは、構造物から熱を吸収し得る。例えば、いくつかの実施形態は、銅またはアルミニウムなど、高い熱伝導率の伝達材料を有するテープを含み得る。伝達テープは、交絡された複合材料が一体化された、回路基板または電池などの構造物、または、構造物に固定されたコンポーネントから熱を吸収し得る。これは、構造物またはコンポーネントを冷却するのに役立ち得る。伝達テープがフィラメントである例において、使用される樹脂は、熱が伝達リボンに伝わることを可能にする必要がある。いくつかの例において、樹脂の伝導性による潜在的な障害を回避するべく、伝達テープは全体的に伝達材料から構成されることが好ましいことがあり得る。そのような例において、構造物またはコンポーネントからの熱は次に、伝達材料に直接伝わり得る。
【0109】
いくつかの実施形態において、金属製伝達材料を含む伝達テープは、他のテープにおいて使用され得る伝導材料からの絶縁を必要とし得る。例えば、いくつかの実施形態において、金属製伝達材料は、閉回路の一部であり得る。炭素繊維は、テープにおいて使用され得る伝導材料の一例である。織が、金属製伝達材料と接触する炭素繊維テープを含む場合、金属製伝達材料を通る電流の一部は、炭素繊維テープに伝達し得る。織パターンに応じて、これは、回路の短絡を生じさせ得る。この例において、電気的絶縁体として機能するために、金属製伝達材料と炭素繊維テープとの間に非伝導材料が必要である。例えば、いくつかの実施形態において、金属製伝達材料は、非伝導性樹脂に事前包含され得る。
【0110】
他の実施形態において、交絡された複合材料は、2つの伝導層間に少なくとも1つの非伝導層を有する複数の織層を含み得、それにより、非伝導層は、伝導層を互いに電気的に絶縁する。一例として、図20Aは、金属製伝達テープ層2010、非伝導テープ層2020、および伝導テープ層2030を含む多層複合材料2000を示す。金属製伝達テープ層2010は、閉電気回路の一部である金属製伝達材料を含み得る。伝導テープ層2030は、炭素繊維などの伝導材料を含み得る。それは、金属製伝達テープ層2010と直接接触する場合、閉電気回路を短絡させる。非伝導テープ層2020は、ガラスファイバなどの非伝導材料から構成され、圧密中に金属製伝達テープ層2010と伝導テープ層2030との間に構成され得る。非伝導テープ層2020は、電流が金属製伝達テープ層2010から伝導テープ層2030に伝わることを防止し得る。いくつかの実施形態において、絶縁を増加させるべく、複数の非伝導テープ層2020が使用され得る。
【0111】
図20Bは、図20Aからの多層複合材料2000の断面を示す(層の平面テープの外のいくつかは省略されている)。金属伝達テープ2012および2014は、金属製伝達テープ層2010の一部である。金属伝達テープ2012は伝達材料2016を含む。非伝導テープ2022は非伝導テープ層2020の一部である。伝導テープ2032および2034は伝導テープ層2030の一部である。いくつかの実施形態において、テープ2014、2032および2034などの追加のテープも伝達材料を含み得る。非伝導テープ層2020は、そのような実施形態を、電気回路の短絡のリスクから保護する。
【0112】
いくつかの実施形態において、経糸と緯糸テープとの間に電流を伝達することが望ましいことがあり得る。例えば、図21に示されるように、車両の窓など、構造的な隙間に対応するための穴を有する織パターン2100が形成され得る。図21に示されるように、経糸テープ2110は、構造的な隙間2130に起因して連続していない。伝達材料2140は、示されるように、伝達材料2140を経糸テープ2110の第1部分から緯糸テープ2150、経糸テープ2120、緯糸テープ2160、および経糸テープ2110の第2部分へ迂回させることによって、構造的な隙間2130を回避し得る。電流を伝達するべく、伝達テープは、直接的に、または、追加のコンポーネントを通じて互いに接触する必要がある。一実施形態において、経糸および緯糸テープが交差する場所で絶縁材料が除去され、故に、伝達テープにおいて伝達材料を露出させ得、その結果、それらは、伝達テープが交差する場所で直接接触する。別の実施形態において、伝達テープが遭遇する場所に接合デバイスが適用され得る。接合デバイスの一例は、リベットまたはクリンチデバイスであり得る。リベットまたはクリンチデバイスは、伝達テープを貫通し得る。一実施形態において、リベットまたはクリンチデバイスは、伝達テープの伝達材料を互いに固定する。別の実施形態において、リベットまたはクリンチデバイスは、銅またはアルミニウムなどの伝導材料からできていることがあり得、その結果、電流がデバイスを通じて伝達材料間を流れ得る。接合デバイスの別の例は、光ファイバジャンクションボックスであり得る。当技術分野において、伝達テープの伝達材料を接続するための他の方法があり得ることが考えられる。
【0113】
光誘導材料は、織テープに組み込まれ得る別のタイプの伝達材料である。光誘導材料は、光を1つの場所から別の場所へ誘導するために使用され得る伝達媒体である。光ファイバなど、いくつかの光誘導材料は、光を使用するデータ伝達を可能にする。光誘導材料は、従来の金属線より大きい距離、より速い速度の伝達を可能にする。追加的に、金属線と異なり、光誘導材料は、電磁干渉による影響を受けない。しかしながら、いくつかの光誘導材料は、より繊細であり、金属線より低いストレスレベルで損傷を受け得る。そのような場合、熱または超音波溶接など、より軽い圧力を織に適用するテープ融着方法が好ましいことがあり得る。
【0114】
いくつかの実施形態において、光誘導伝達テープを作成するべく、光誘導伝達材料は、アクリル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、または同様のものなど、光の拡散を可能にする透明または半透明なフィラメント材料において包含され得る。光誘導材料を通る光は、フィラメント材料を通って拡散し得、フィラメントは次に、光源として機能し得る。例えば、そのような光誘導伝達テープを含む織は、車両の屋根など、半透明な屋根構造内に組み込まれ得る。光を光誘導材料に通す光源をアクティブ化することにより、光誘導伝達テープは、キャビン照明を提供し得る。
【0115】
いくつかの実施形態において、交絡された複合材料における複数の経糸および緯糸テープは、伝達材料がグリッドを形成するように配置された金属製伝達材料を含み得る。そのようなグリッドは、構造物が接触または損傷を検出することを可能にし得る。例えば、一実施形態において、グリッドは、容量型タッチパネルのための透明な電極層を作成し得る。別の実施形態において、弾性超音波が振動としてテープを通って伝達され、表面音響波(SAW)タッチパネルを作成し得る。
【0116】
伝達材料を交絡された複合材料内に一体化することにより、データおよび電力が構造物内を移動することを可能にする。これにより、本明細書に既に記載されたものに加えて、多くの適用を提供する。例えば、交絡された複合材料は、無線周波数(RF)モジュールに接続された金属製伝達材料を含み得る。金属製伝達材料は、RFモジュールのためのRFアンテナとして作用し得る。伝達材料は、セキュリティシステムの一部として構造物に対する損傷を検出するために、または、見られるようになる前に損傷を検出するために使用され得る。伝達材料はまた、ユーティリティキャビネットなど、構造物に対する変更を検出するために使用され得る。追加的に、伝達材料は、構造物のライフサイクルデータを蓄積するために使用され得る。例えば、プロセッサおよびメモリを含む車両は、伝達材料によって検出された衝撃または損傷の情報を保存し得る。データおよび場所データは、いくつかの例において、車両損傷の記録を作成するために、衝撃情報に関連付けられ得る。
【0117】
交絡された複合材料は、異なる機能を実行する複数の伝達リボンを含み得る。例えば、交絡された複合材料は、RFアンテナとして作用する金属伝達リボン、光を提供する繊維光学材料、データ伝達を提供する追加の繊維光学材料、および、タッチパッドとして機能するために電気グリッドを作成する追加の金属製伝達材料を含み得る。いくつかの実施形態において、単一の経糸または緯糸テープは、異なる機能を実行する伝達材料タイプを含み得る。互いに干渉しない限りにおいて可能である、任意の数の可能な伝達材料の組み合わせがあり得ることが考えられる。
【0118】
本明細書において記載されるようにデータおよび電力の伝達機能を交絡された複合材料に一体化することにより、電気および他のワイヤを収容する多くの構造物において必要な体積を減少させ得る。例えば、多くの車両部品のサイジングおよび形状は、電気コンポーネントを車両本体に通す必要性によって制限される。車両ドアは、窓および他の機能を駆動するために必要なワイヤを収容し得るために必要な最低限の厚みを有する。追加的に、交絡された複合材料のタッチセンサ機能は、パワーウインドウおよびドアロックなどのための、より大きいボタンおよびノブを置き換え得る。本明細書に記載されるように一体化された複合材料を使用して、ワイヤをドアの構造物に一体化することにより、車両のドアは、より薄く、より強く生産され得、故に、安全性を損なうことなく車の車内空間を拡張する。
【0119】
本願に記載される設計および機能性は、本質的に例示的であるように意図されており、本開示を限定する意図は決してない。当業者であれば、本開示の教示は、本明細書で開示される形態、および、当業者に知られている追加形態を含む、様々な好適な形態で実装され得ることを理解するであろう。例えば、当業者であれば、実行可能命令は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に保存され得、1または複数のプロセッサによって実行されるとき、上に記載された方法を1または複数のプロセッサに実装させることを認識するであろう。
【0120】
本開示の特定の実施形態は、もっとも現実的であると現在みなされるもの、および、様々な実施形態に関連して記載されているが、本開示は、開示された実施形態に限定されるものではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲内に含まれる様々な修正および同等の構成をカバーすることを意図していると理解されるべきである。具体的な用語が本明細書において採用されているが、それらは一般的および説明的な意味のみで使用されており、限定を目的とするものではない。
【0121】
この書かれた説明は、例を使用して、技術の特定の実施形態を開示し、また、当業者が、本技術の特定の実施形態を実施すること(任意の装置またはシステムを作成および使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含む)を可能にする。技術の特定の実施形態の特許可能な範囲は、特許請求の範囲において定義され、当業者が思いつく他の例を含み得る。そのような他の例は、特許請求の範囲の文字通りの文言と異ならない構造要素を有する場合、または、特許請求の範囲の文字通りの文言との非実質的な違いと共に同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内であることが意図される。
図1
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図18A
図18B
図18C
図18D
図19
図20A
図20B
図21
【国際調査報告】