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特表2023-505730嗅覚的に汚染されたプラスチックを処理する方法及び設備
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  • 特表-嗅覚的に汚染されたプラスチックを処理する方法及び設備 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-10
(54)【発明の名称】嗅覚的に汚染されたプラスチックを処理する方法及び設備
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/06 20060101AFI20230203BHJP
【FI】
C08J11/06 ZAB
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536509
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(85)【翻訳文提出日】2022-06-28
(86)【国際出願番号】 EP2020085856
(87)【国際公開番号】W WO2021116463
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】102019134203.1
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522232684
【氏名又は名称】ヴィッシング ヨハネス
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッシング ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】シェンマン ヴェルナー
【テーマコード(参考)】
4F401
【Fターム(参考)】
4F401AC10
4F401BB20
4F401CA02
4F401CA04
4F401EA40
(57)【要約】
任意の種類のプラスチック、特に食品のプラスチックパッケージは様々な不純物、特に嗅覚に作用する堆積物を有し、それらはこの種類のプラスチックのさらなる使用の前に除去されなければならない。公知の調製方法は時間がかかり、コストがかかり、環境を汚染する。加えて、公知のクリーニング方法が実行された後でもプラスチックの継続する臭気汚染を除去できない。本発明の目的は、嗅覚に作用する堆積物を有するプラスチックの物質利用オプションを増加させ、それでそれらが廃棄される必要が無いようにすることである。この目的は、前処理、酸化剤処理及び調整を含む方法及び装置を用いて実行される。生成される最終サブストレートは、押し出し成形法又は射出成形法の範囲内で板状材料、成形品、パーケージ及びフィルムの製造のための原材料として又は他の製品のための添加剤として使用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
嗅覚的に汚染されたプラスチック(10)を処理する方法(1)であって、
これらプラスチックが複数の一連の方法ステップで処理される方法(1)において、
・嗅覚に作用する残留物及び定義されたフラグメントサイズを有する原サブストレート(11)を前処理して、中間サブストレート(14)を創出し、
・酸化剤で前記中間サブストレート(14)を処理して、湿潤サブストレート(15)を創出し、ここで前記酸化剤は専らそのために決定され、その量及び/又は濃度は前記嗅覚に作用する残留物を変更し及び/又は分解することを目的とし、
及びここで前記酸化剤の添加の開始が反応保持時間の開始を定義し、反応保持時間の終わりにおいて嗅覚に作用する残留物はもはや存在せず、
ここで、前記プラスチックの使用特徴が保持されたままであり、及び
・前記湿潤サブストレート(15)を或る水分含量に調整して(8)、乾燥サブストレート(16)を創出する、
方法ステップを特徴とする方法(1)。
【請求項2】
前記原サブストレート(11)を創出するために、嗅覚的に汚染されたプラスチック(10)がフラグメント化される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フラグメントは、30mmまでの、好ましくは5~8mmの最大エッジ長さを有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記前処理は少なくとも1つのクリーニングステージを含み、
前記クリーニングステージは、乾燥機械的クリーニング(3)及び/又は冷洗浄及び/又は温洗浄を含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記前処理は発酵ステージを含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
マッシュを創出するために、前記原サブストレート(11)はマッシング(4)のために水と混ぜられる、ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記調整(8)の間に生じる水が前記マッシング(4)に供給される、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
発酵(5)において、エネルギー回収(21)のために使用される高エネルギーガス(19)が得られる、ことを特徴とする請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
発酵(5)前の前記マッシュの水分含量が5~15%、好ましくは8~12%であり、及び
前記発酵(5)後の前記中間サブストレート(14)の水分含量が15~30%、好ましくは15~20%である、ことを特徴とする請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
過酸化水素が前記酸化剤として使用される、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記過酸化水素は9~60%、好ましくは35~45%、特に好ましくは40%の濃度を有する、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
定義された量の前記酸化剤が添加され、反応保持時間が前記添加から始まり、
及び前記反応保持時間が決定され、
すなわち前記嗅覚的に作用する化合物が事前決定された値まで分解されるまで、決定され、
及び特定の反応保持時間が実現されるように、添加された前記酸化剤の量が調整される、ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記反応保持時間は20~40分、好ましくは30~35分続く、ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記湿潤サブストレート(15)は紫外線放射処理(7)をさらに受ける、ことを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
複数のセンサーが有機物質の分解を検出するように、前記湿潤サブストレート(15)は前記反応保持時間の間センサーにより監視される、ことを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
事前設定された規定値からずれた或る実測値の場合に、処理強度が適合される、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記乾燥サブストレート(16)が、0~5%、好ましくは2~3%の目標湿度を有する、ことを特徴とする請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
嗅覚的に汚染されたプラスチック(10)を処理する設備であって、
・中間サブストレート(14)を創出するために、原サブストレート(11)が前処理される少なくとも1つの処理容器、
・前記中間サブストレート(14)を収容する処理キャリア、
・湿潤サブストレート(15)を創出するために、前記処理キャリア上に位置する前記中間サブストレート(14)に酸化剤を塗布する塗布ユニット、及び
・乾燥サブストレート(16)を創出するために、前記湿潤サブストレート(15)の定義された水分含量を調節する調整ユニット、
から成る設備。
【請求項19】
入力側に配置された粉砕装置を有する、ことを特徴とする請求項18に記載の設備。
【請求項20】
処理容器が篩装置を有する、ことを特徴とする請求項18又は19に記載の設備。
【請求項21】
処理容器が低温の及び/又は高温の洗浄流体のための供給ラインを有する、ことを特徴とする請求項18~20のいずれか一項に記載の設備。
【請求項22】
処理容器がバイオリアクターとして構成されている、ことを特徴とする請求項18~21のいずれか一項に記載の設備。
【請求項23】
少なくとも1つの混合要素が、前記湿潤サブストレート(15)を撹拌させるように配置されている、ことを特徴とする請求項18~22のいずれか一項に記載の設備。
【請求項24】
前記塗布ユニットが少なくとも1つのスプレーヘッドを有する、ことを特徴とする請求項18~23のいずれか一項に記載の設備。
【請求項25】
複数の紫外線放射の放射体が前記処理キャリアのサブストレート支持面に対向して配置されている、ことを特徴とする請求項18~24のいずれか一項に記載の設備。
【請求項26】
前記処理キャリアはコンベヤベルトであり、
前記中間サブストレート(14)を前記コンベヤベルトに載せるサブストレート出力部が前記コンベヤベルトに割り当てられている、ことを特徴とする請求項18~25のいずれか一項に記載の設備。
【請求項27】
前記コンベヤベルト上の前記原サブストレート(11)の層厚さが100mmまで、好ましくは50mmまでであることを保証する層厚さ制御装置を有する、ことを特徴とする請求項18~26のいずれか一項に記載の設備。
【請求項28】
前記処理キャリアが混合容器として構成されており、
前記混合容器が少なくとも1つの混合要素を有し、及び
酸化剤が前記混合容器内にある前記中間サブストレート(14)に塗布可能であるように、少なくとも1つの塗布ユニットが配置されている、ことを特徴とする請求項18~25のいずれか一項に記載の設備。
【請求項29】
前記調整ユニットがドライヤーとして構成されており、
前記処理キャリア及び前記塗布ユニットが前記ドライヤー内に配置されている、ことを特徴とする請求項18~28のいずれか一項に記載の設備。
【請求項30】
最終サブストレート(17)を創出する分類装置を有する、ことを特徴とする請求項18~29のいずれか一項に記載の設備。
【請求項31】
請求項1~17のいずれか一項に記載の方法(1)により製造される最終サブストレートの使用、
及び/又は、以下の少なくとも1つのための原料としての請求項18~30のいずれか一項に記載の設備により製造される最終サブストレートの使用:
・板状材料、
・成形品、
・包装材料、
・フィルム、
・添加物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプレアンブル部分における特徴に従う方法に関し、当該方法により嗅覚的に汚染されたプラスチック(プラスチック材料)が多段プロセスに照らした加工のために処理される。
【背景技術】
【0002】
全ての種類のプラスチック、特に食料品のプラスチック包装は使用後に有機残留物(有機付着物)を有し得る。例えば成長促進的に影響される動物の及び/又は植物の微生物の成長のために、これらの残留物は嗅覚的な負荷・汚染をプラスチックに与え得る。臭気・悪臭がその使用オプションを著しく制限するので、このようなプラスチックが再利用される前に、それらは清掃されなければならない。
【0003】
本提案の範囲内において、この臭気が平均の臭気感度を有する人々の一団の相当数に大部分はもはや知覚可能でなく、又は臭気強度がもはや不快に感じないとき、嗅覚に作用する汚染は、変更された及び/又は分解されたと考えられる知覚可能な臭気である。臭度測定が例えばこの臭気を評価するための検出方法として使用できる。
【0004】
実際に、プラスチックをさらなる使用のために利用可能にするために、技術的設備内で有機的に汚染されたプラスチックを精練・浄化する複数の処理方法が知られている。プラスチックの液体ベースの洗浄の多数の公知の方法がある。
【0005】
特許文献1は、プラスチックが流体に入れられ、流体-プラスチック混合物が回転され、清掃され、分画される方法を教示している。原則として、大量の洗浄流体が必要になり、それが次に浄化されなければならず、生じる残留物が廃棄されなければならず、それがコストがかかる点で、洗浄プロセスは問題がある。加えて、高温の洗浄流体の使用は非常にエネルギー集約型である。しかしながら、長続きする臭気が全ての場合において除外され得るわけではない。
【0006】
特許文献2は、臭気汚染された生体サブストレート(bio-substrate)、とりわけ硫化水素形成廃棄物を手動で処理する方法を開示している。その提案によれば、嗅覚に作用する物質を結合する臭気処理物質が加えられ、それにより臭気が防がれるように、臭気的に汚染されたサブストレートが浄化される。しかしながら、添加物の製造と準備の両方ともコスト集約型である。さらには、マスクされた不純物がサブストレート内に残り、それによりその後の使用に関して制約が残り得る。
【0007】
特許文献3は、おむつなどの汚れた衛生用品をクリーニングするための殺菌方法を開示している。汚れた衛生用品は、殺菌剤を含有する様々な水浴内で挽き砕かれ、クリーニングされる。一方で、粉砕物質を懸濁液から除去するために、濾過が必要である。他方で、洗浄水の処理が非常にエネルギー集約型である。
【0008】
特許文献4は、廃水及び有機廃棄物を処理する方法及び装置を開示している。液相と固相が互いに分離された後、液相を処理し、バイオガスを生成するために液相をバイオガスプラントに送ることが提案されている。材料として固相を使用することを準備していない。
【0009】
全ての公知の方法に共通する問題は、多段処理プロセスが一般的に非常にコスト集約的及び非常に時間がかかることである。さらに、公知の方法は高い環境汚染に関連しており、というのも特にプラスチックをきれいにするために使用される洗浄水を処理する必要があり、またそれが高価だからである。嗅覚作用化合物が完全に除去されず、むしろこのようなプラスチックのリサイクル可能性が本質的に制限されたままになるように化学的に隠されることは極めて問題である。結局、材料処理オプションは完全には使用されず、代わりに、環境ストレスが、例えば熱処理の場合に、気候関連COを放出することで増大される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO2017/167725A1
【特許文献2】DE102012024111A1
【特許文献3】特開2002-292304号公報
【特許文献4】WO2014/079469A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、廃棄物処理又は熱利用を環境に過負荷をかけずに省略できるように、嗅覚に作用する付着物・残留物を有するプラスチックの材料としての使用オプションを拡張させることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1の特徴を有する方法によって及び/又は請求項18の特徴を有する設備によって達成される。さらに、処理されるプラスチックのための使用オプションは請求項31に記載されている。有利な実施形態は従属請求項に示されている。
【0013】
言い換えれば、本発明は、例えばプラスチック内に残る物質が導入されずに又はこの目的のために多量の洗浄水又はプロセス水を必要とせずに、プラスチックが多段プロセスによって浄化される方法を提供する。とりわけ、嗅覚に作用する汚染・負荷を基本的に変更・軽減し及び/又は分解するために、このようなプラスチックは酸化剤を用いて処理され、それにより使用オプションに関する臭気に関連する制限が取り除かれる。例えば殺菌物質を含有する水浴内でプラスチックを洗浄する必要はない。このような洗浄水は高い処理消費・処理労力を必要とする。加えて、汚染に適合する処理が、嗅覚的な汚染を基本的に減少させるために、しかし他方でプラスチックを過剰に分解しないように実行され、それによりなるべく多くの使用オプションが可能になる。
【0014】
提案される本方法のための出発点は、それらに付着した嗅覚に作用する付着物(例えば、脂肪、タンパク質及び菌類又は真菌胞子など)を有する任意の種類のプラスチックである。特に、元々食料品の包装材料として使用されたプラスチックが考慮される。定められたフラグメントサイズの分配によって特徴付けられる嗅覚的に汚染されたプラスチックは、本提案において原サブストレート/未加工サブストレート(raw substrate)と称する。
【0015】
本提案によれば、第1の方法ステップで、原サブストレートが例えば機械的に前処理され、それにより粗い汚染物質が原サブストレートから取り除かれ、及び/又は嗅覚に作用する化合物が部分的に破砕され、変更され及び/又は分解される。前処理の結果、大部分が固相から成る、いわゆる中間サブストレートが創出される。
【0016】
本発明に従う更なるプロセスが、酸化剤を用いた中間サブストレートの処理を含む。いわゆる反応保持時間が酸化剤の添加の開始により始まり、いわゆる湿潤サブストレート(moist substrate)が創出される。反応保持時間の終わりは、嗅覚に作用する残留物が大部分は変更され及び/又は分解されて、もはや汚染が存在しない時点により決定される。好ましくは、酸化剤は液体の形態で加えられる。しかしながら、パウダーなどの代わりのアプリケーションフォームも除外されない。酸化剤の使用の結果即座に、構成要素が、特に脂肪、タンパク質及び菌類又は真菌胞子など有機物質が、変更され及び/又は分解される。更なる物質、特に酸化剤の機能として反応する物質の添加はもたらされず、ここで中間サブストレートの水分含量の分布及び含有量が酸化剤の作用に直接影響し得る。
【0017】
反応保持時間が経過した後、本発明に従う更なるプロセスステップが、湿潤サブストレートを或る水分含量に調整することを含む。これはいわゆる乾燥サブストレートを創出する。乾燥サブストレートの目標水分は、その意図されるリサイクル利用に依存しており、追加の水又は水蒸気を乾燥することで及び/又は供給することで設定される。サブストレートは、例えば温度を増加させることで又は空気を吹きつけることで乾燥され得る。
【0018】
嗅覚的に汚染されたプラスチックが本方法の実施の前に大きな寸法を有する場合、又は広いスペクトルのサイズ分布が存在する場合、所定のフラグメントサイズの分布が作られて、原サブストレートが創出されるように、嗅覚的に汚染されたプラスチックは有利には砕かれ得る(フラグメント化され得る)。フラグメントのために、30mmの最大エッジ長さが有利であり、好ましくは5~8mmである。後続の方法ステップのために十分反応しやすい表面の形成を保証するために、大規模に定められた幾何学形状のフラグメントが有利である。
【0019】
これに関連して、原サブストレートのフラグメントを事前分類することも有利であり、それは破片サイズに加えて、嗅覚的汚染のタイプ及び/又は処理すべきプラスチックのタイプを考慮する。本方法の経済効率が処理すべきプラスチックの増大する均一性により顕著に増大され得、例えばプロセスパラメータが限界条件に具体的に適合される。しかしながら、原則として、様々な嗅覚的残留物を有する相違するプラスチックの混合物もまた本方法で処理され得る。
【0020】
有利には、臭気が後続の方法ステップによって決定的に除去されていわゆる中間サブストレートが創出されるように原サブストレートを事前洗浄するために、前処理が、乾燥機械的クリーニング及び/又は冷洗浄及び/又は温洗浄を含む少なくとも1つのクリーニングステージを有し得る。
【0021】
乾燥機械的クリーニングは、有利には、原サブストレートの粗い汚染物質を除去するために供され得る。これは、次に浄化されなければならない洗浄流体が使用される必要が無いため、有利である。洗浄流体によって不純物を嗅覚的に汚染されたプラスチックから分離するために、洗浄方法はより強い汚染物質のために使用できる。例えば、冷水洗浄プロセス及び/又は温水洗浄プロセスが、嗅覚的に汚染されたプラスチックの集中的な事前洗浄を可能とするオプションのプロセスを表す。原則として、温水洗浄プロセスは有利には、極めて汚染された原サブストレートの場合にのみ使用される。
【0022】
嗅覚的に汚染されたプラスチックの生物学的処理(biological processing)を実行することは特に有利である。発酵プロセスにより、嗅覚に作用する化合物及び限定的にプラスチックは、破砕され、変更され及び/又は分解されるが、プラスチックの強力な分解は無く、従って弾性-機械的特性の損失は被らず、それで本提案に従って処理されるプラスチックは多数の使用オプションで使用できる。特に、発酵プロセスとしていわゆる乾燥発酵が有利であり、サブストレートの及び/又は非常に手間のかかる物質を有するサブストレートの増加した乾燥度の場合でも充分な生物学的反応性を実現することができる。洗浄流体を用いた資源集中的な洗浄方法は、乾燥機械的クリーニングと発酵の組み合わせの使用により省略でき、それで高い資源節約が実現され得る。
【0023】
発酵プロセスは発酵すべきサブストレートの或る水分含量を必要とするので、マッシュ・原汁を作るために発酵の前に水を原サブストレートに加えると有利である。増加した水分含量は、サブストレート搬送を容易化するポンプ能力を改善する。特に、マッシュのために湿潤サブストレートを調整する間に副産物として得られる水を使用すると有利であり、それにより水消費が最小になり、また凝縮水のコストのかかる処理及び/又は廃棄が最小になる。
【0024】
有利には、高エネルギーガス、特にメタンがマッシュの発酵によって生成され得る。これらのガスは、例えばそれらを火力発電所に供給することで、従って一方では電気設備のオペレーションを駆動させるプロセスで使用できる又は外部顧客に送ることができる電気エネルギーを生成することで、エネルギー回収のために使用できる。例えば、熱エネルギーは発酵温度を最適化することで得られ、又は熱エネルギーは有利には湿潤サブストレートの調整ステージにおいて使用できる。使用される資源の効率はそれによって顕著に増加される。
【0025】
有利には、マッシュは、発酵前に5~15%、好ましくは8~12%の水分含量を有し得る。発酵後に、前処理が終了され、中間サブストレートは、15~30%、好ましくは15~20%の水分含量を示す。水分含量は更なる処理のために重要であり、化学的プロセスのための反応性及び流動性が影響を受ける。流動性は、設備技術の設計のために特に重要である。一方で、低い粘性を有するサブストレートは、ポンプ技術によってより効率的に搬送され得る。他方で、必要に応じて、処理キャリア上の安定した配置が保証される程度に、定義された粘度が考慮される。
【0026】
1つの実施形態では、過酸化水素が酸化剤として提供されてもよい。別な酸化剤とは異なり、過酸化水素はコスト効率的に経済的に産業的に製造でき、プロセスにおける使用がコスト効率的に実施され得る。別な酸化剤、例えばオゾンを使用する場合のように、労働安全及び錆び止めの点で対応的に異なる工場技術を実施する必要はない。さらには、純粋な過酸化水素は破壊的な副産物の形成を伴わずに水と酸素に分解し、技術的使用のために十分な化学的安定性を有するので、環境危険が低い。
【0027】
酸化剤としての過酸化水素は有利である、というのもそれが細胞毒性作用を有し、脂肪、タンパク質及び菌類又は真菌胞子及び他の有機分子群を変更し及び/又は分解するからである。分子の変更及び/又は分解は基(ラジカル)-誘起される。高揮発性物質は処理プロセスから除去され、例えば熱回収のために提供される。低揮発性フラグメントから非揮発性フラグメントは処理された湿潤サブストレートに残るが、さらなる臭気汚染の発展を招くことはない。例えば嗅覚的に汚染されたプラスチックにおける汚染物質として含まれ得るミネラル成分を有するこれらフラグメントの凝集が部分的に生じ得る。特に、揮発性の分解生成物がセンサーにより検出され得、本方法を調整するため、例えば分解の強度のインジケーター又は処理プロセスの進行のインジケーターとして有益に機能し得る。
【0028】
簡単な操作及び経済的な使用のために、過酸化水素の濃度は9~60%、好ましくは35~45%、特に40%であり得る。原則として、過酸化水素の濃度は、プラスチック及び嗅覚に作用する化合物の性質に適合される。効率的な処理方法のために、濃度は最大値にほぼ一致される。したがって、過度の量の過酸化水素がプロセスに加えられた場合、それは完全には消費されず及び/又は湿潤サブストレートの弾性-機械的特性が強く損なわれる。反応は主に水を加えることで終了する。不十分な量の場合、嗅覚に作用する化合物は十分に変更されず及び/又は分解されず、それで臭気が依然として存在し得る。
【0029】
湿潤サブストレートが酸化剤と反応する反応保持時間は、酸化剤の適用・塗布から始まり得る。プロセスパラメータ及び最終サブストレートの物理化学的特徴は、反応保持時間の間の化学プロセスによって決定的に影響される。発熱反応によって開始されると、プロセス温度は反応保持時間中、外部エネルギー供給の必要無く、好ましくは60~80℃に増加する。上昇したプロセス温度は湿潤サブストレートの感熱成分を分解させ得る。さらに、上昇したプロセス温度は湿潤サブストレート内の液体温度を増加させる。結局、ポテンシャルエネルギー消費が調整フェーズで減少可能である。
【0030】
本発明に従う方法のプロセス制御の可能な最高の効率が、最適な反応保持時間を定義することで実現され、酸化剤の量及び濃度は、プロセス技術により対応的に嗅覚に作用する化合物の種類、量及び分布に適合される。
【0031】
有利には、酸化剤の濃度及び量とプロセスにおけるその効果の監視は、特に有機化合物の分解に関して、例えば湿潤サブストレートのすぐ上のガス組成の解析、湿潤サブストレートの色の光学的検出又はプロセス温度の把握・記録により、自動化される。有利には、検出されるガス組成の実測値が特定の値から逸れる場合、嗅覚に作用する化合物が反応保持時間の最後に本質的に分解されるように、すなわち使用オプションの臭気に起因する制限が存在しないように、酸化剤の濃度及び/又は量が適合され得る。
【0032】
プロセスパラメータが適合された後、20~40分の反応時間、特に30~35分が有利である。反応保持時間の最後に、嗅覚に作用する化合物が大幅に変更及び/又は分解され、それでもはや汚染が存在せず、湿潤サブストレートの弾性-機械的特性が最終サブストレートの使用要件により定義される強度レベルを下回らない。
【0033】
1つの実施形態では、湿潤サブストレートは反応保持時間中に紫外線放射に晒され得る。一方では、これは基・ラジカルの形成を強化し、それで酸化剤の効果が増大される。他方で、嗅覚に作用する化合物は直接分解され得、それでプロセス効率が増大される。酸化剤の濃度及び量に加えて、紫外線放射による湿潤サブストレートの処理はしたがって、反応保持時間の間の工程順序及び反応保持時間の持続時間に決定的な影響を及ぼすさらなる制御変数を表す。
【0034】
有利には、湿潤サブストレートは特有のセンサー装置により反応保持時間の間監視され得、それによりセンサーは有機物質の分解を検出し、そこから例えば処理の進行を導き出し、また先に定義された目標値のプロセスパラメータのずれが生じた際、例えば酸化剤の濃度及び量及び/又は紫外線の強度が、継続中の処理プロセスを中断する必要無く直接適合可能である。当業者はこの目的のために多数の検出方法を想起し得る。
【0035】
最適な監視のために、事前設定された規定値からずれた事象、例えば白くなった湿潤サブストレートの事象を自動的に光学的に検出するカラーセンサーが有利であり、それは酸化剤の濃度又は量の及び/又は紫外線放射の強度の適切な調節を対応的にトリガーする。有利には、ガスセンサーは湿潤サブストレートのすぐ上の定義された揮発性の有機化合物を検出でき、また例えばガス又は物質の特定の濃度が特定の濃度を下回った時に処理強度の増加を開始できる。
【0036】
温度センサーは有利には、プロセスの周囲空気の温度を及び/又は直接に湿潤サブストレートの温度を検出することができる。発熱反応は処理の際決定的であるので、温度データからプロセスについて結論を出すことが可能であり、それに基づいてプロセスパラメータが調整され得る。
【0037】
湿度センサーは、塗布ユニットを介して必要とされる湿潤サブストレートの加湿を開始させるために、湿潤サブストレートの水分含量を検出することができる。水分含量は化学反応に、したがって処理の効率に直接影響を及ぼすので、サブストレート湿度を監視し調整することが有利である。
【0038】
有利には、処理の後、乾燥サブストレートを作るために、湿潤サブストレートは0~5%の目標湿度に、好ましくは2~3%の目標湿度に調整され得る。目標湿度は、最終サブストレートの意図された使用によって定義され、それは一般的に比較的低い目標湿度を必要とする。乾燥サブストレートの減少した水分含量は有利には、プラスチック粒子の凝集を減少させる。
【0039】
工場技術に依存して、本提案に従う方法は連続的な又は不連続の方法として実施できる。
【0040】
さらに、本発明は、例えばプラスチック内に残る物質を導入せずにプラスチックが処理される設備を提案する。とりわけ、酸化剤が、嗅覚作用汚染物質を本質的に変更し及び/又は分解するために嗅覚的に汚染されたプラスチックに適用され、それにより使用オプションの臭気に関連する制限が取り除かれ、その際中間サブストレートは処理キャリアに位置する。設備は、請求項1に従う提案方法を実施するよう機能し得る。本提案により、設備は、例えば食物残留物及び/又は菌類又は真菌胞子などの任意の種類の残留物を有するプラスチックを処理するために使用できる。
【0041】
本提案によれば、装置は少なくとも1つの処理容器を有し、その中で定義されたフラグメントサイズを有する原サブストレートが前処理され、中間サブストレートが作られる。処理容器は、機械的応力と化合物の作用の両方に耐性を有する。
【0042】
さらに、本発明に従う設備は、中間サブストレートのための支持部として機能する処理キャリアを有する。中間サブストレートが載る支持部表面は、サブストレート支持面と呼ばれる。処理キャリア上に位置する中間サブストレートは、とりわけ量られた均一な塗布を可能にする本提案に従う塗布ユニットにより酸化剤を塗布することで酸化剤により処理される。
【0043】
酸化剤が本発明に従う塗布ユニットによって中間サブストレートに塗布されると、いわゆる湿潤サブストレートが創出される。好ましくは、酸化剤は液体形状で塗布される。しかしながら、塗布の別な形態、例えば粉体も可能である。酸化剤の添加によって、酸化剤が塗布されると、いわゆる反応保持時間が開始する。反応保持時間の最後は、嗅覚に作用する付着物を大幅に変更し及び/又は分解して、それで汚染・負荷が存在しなくなるまでの時点により決定される。処理キャリアの及び塗布ユニットの実施形態は、例えば湿潤サブストレートの強度の分布に決定的となる均一な酸化剤処理を可能とする。
【0044】
本提案によれば、設備はさらに、乾燥サブストレートの目標水分をその後の使用の要件に対応的に調整する機能を果たす調整ユニット(conditioning unit)を有する。例えば、調整ユニット内の気温が加熱装置を介して増加され得、その結果サブストレート水分が減少可能である。好ましくは、95~175℃のプロセス温度が達成され、それで更なる主に有機成分が熱誘導によって変更され又は分解され得る。短時間内にサブストレート水分を増加させ又はプロセス温度を減少させることが意図される限り、ノズル又は噴霧ユニットによって、水又は水蒸気が加えられ得る。調整ユニットは本発明に従う設備をその使用の点で非常に柔軟にする、というのもそれが次の使用オプションによって定義されるサブストレート水分を実現可能だからである。
【0045】
1つの実施形態では、材料に固有のプロセス制御を増加した効率で実施できるようにするために、嗅覚的に汚染されたプラスチックを事前分類する装置が設けられ得る。しかしながら、異なる嗅覚に作用する残留物を有する異なるプラスチックの材料混合物もまた、本発明に従う設備により処理可能である。
【0046】
前処理の前に嗅覚的に汚染されたプラスチックの機械的粉砕が可能である。粉砕装置は入力側に配置でき、それで嗅覚的に汚染されたプラスチックは有利には粉砕装置を介して設備に置かれ得る。創出されるサブストレートは原サブストレートと呼ばれる。粉砕装置は、嗅覚的に汚染されたプラスチックをほぼ均一な幾何学形状で寸断・断片化するために、例えば大きめのプラスチック片のためのハンマーとして及び/又はプラスチックフィルムのためのドラムカード機として設計され得る。得られるフラグメントは有利である、というのもこれらのフラグメントは水とより均一に混和でき、それで例えばマッシュを作る場合にプラスチックフラグメントの幾何学形状に関連する分離が回避可能だからである。加えて、小さなプラスチック片が大きなプラスチック片で覆われるのを大幅に防ぐことにより、フラグメントは、酸化剤の均一な塗布を可能とする。
【0047】
覆い装置を有する処理容器が設けられ得る。例えば、乾燥機械クリーニングの枠組み内で嗅覚的に汚染されたプラスチックを前処理するために、このような手で持って操作できる容器が篩ローターとして構成され得る。粗い汚染物質が質量に基づいてプラスチックから非常に効果的に分離可能なので、篩ローターは有利である。処理されなければならない又は廃棄されなければならない凝集物質は必要でない。プラスチックの汚染の程度に依存して、使用される篩の網目サイズは前処理の強度に影響を及ぼし得る。
【0048】
有利には、処理容器が冷たい及び/又は熱い洗浄流体のための供給ラインを有する洗浄装置として構成され得る。例えば、嗅覚的に汚染されたプラスチックを事前洗浄するために、冷水が洗浄装置での冷たい洗浄のために使用できる。これは、主に易溶性の付着物を除去し、これら付着物は次に冷たい洗浄水によって搬送される。より集中的な事前洗浄が、洗浄装置において温水を使用することで実現され得、それにより低溶解の付着物、例えば脂肪でさえ結集でき、除去できる。
【0049】
特に、処理容器をバイオリアクター(生物反応器)として構成すると有利であり、それにより発酵サブストレート又はマッシュの温度調整が可能となる。対応する制御を備えたパイプライン及びポンプ装置が、例えばバイオリアクター内でのガスバランスを調整するために必要となり得る。撹拌機がマッシュの撹拌を可能とする。バイオリアクターをプラグフローリアクター(plug flow reactor)として構成すると特に有利であり、それで嫌気性細菌方法の枠内で分解しにくく比較的乾燥したサブストレートもまた、本アプリケーションのように、連続的なプロセスで発酵され得る。加えて、マッシュをリアクター内で直接又はリアクターのセクションで作ると有利である。又は別個の容器がマッシュを調製するために使用できる。
【0050】
処理効率を増加させるために、設備は有利には、少なくとも1つの混合要素を有してもよく、それは処理キャリア上にある湿潤サブストレートをかき混ぜるように配置されている。その目的は、例えば湿潤サブストレートと酸化剤の間の接触面を最大化することで処理強度を増加させることである。混合要素は、例えば処理キャリアに一体化された混合羽根として具体化され得、及び/又は混合要素は処理キャリアから離して設けられている。
【0051】
中間サブストレートを酸化剤で処理するために、1又は複数のスプレーヘッドによって液体の酸化剤を中間サブストレートに分布する塗布ユニットが特に有利である。有利には、スプレーヘッドは基本的に処理キャリアの表面全体にわたって分配され得、それで酸化剤を用いた処理がサブストレートを担持している表面全体にわたって効果的に分布される。塗布ユニットは酸化剤の正確な計量のための計量ユニット(metering unit)を有してもよい。その結果、経済性が増加する。最適な噴射幾何学に関連した酸化剤の噴霧により、高い空間分解能を有する正確な塗布が実現され得、それで酸化剤が必要に応じて及び経済的に使用できるという利点を有する。それに代えて、酸化剤は注入、蒸着、又は冷噴霧によって塗布することもできる。
【0052】
1つの実施形態では、処理キャリアのサブストレート支持面は紫外線放射の放射体(エミッター)に対向して配置され得、それで処理キャリア上にある湿潤サブストレートが基本的に反応保持時間の間その全表面積にわたって放射される。投資コスト及び操作コストを最小化するために、放射線源の部分的な分布だけが存在してもよい。加えて、先に定義された処理パターンからずれる湿潤サブストレートの領域を選択的に処理するために、個々の放射線源の別個の制御が有利である。
【0053】
酸化剤の濃度又は量及び/又は紫外線放射の強度は、反応保持時間を定義する、サブストレート組成に対応的に適合されるプロセスパラメータを表す。塗布ユニットのスプレーヘッド及び/又は紫外線放射の放射体は別個に制御可能であり、それでセンサー装置が例えばプロセス温度、サブストレート水分、サブストレート着色の変動及び/又はガス濃度若しくは物質濃度の変動のために先に定義された規定値と比べてずれた実測値を検出した場合に、湿潤サブストレートの複数の領域が高い空間分解能で処理可能である。
【0054】
有利には、処理キャリアは、酸化剤、紫外線放射及び/又は有機酸の作用に対して耐久性のあるコンベヤベルトを有する。コンベヤベルトは1m/minより少ない送り速度で駆動され得る。サブストレート出力部が、中間サブストレートをコンベヤベルト上に載せるためにコンベヤベルトに割り当てられ得、中間サブストレートはコンベヤベルトの幅にわたって基本的にどこにでも配置され得る。
【0055】
中間サブストレートの差異的な処理のために、100mmまでの中間サブストレートの層厚さ、特に50mmの層厚さを補償する層厚さ制御装置を使用すると有利である。大きめの層厚さは効率的な処理を妨げる。乾燥物質の最適な設定により、中間サブストレート又は湿潤サブストレートがコンベヤベルト上に残ることが保証される。層厚さ制御装置は、適合したセンサー装置、例えばはかりによって、定義された量の中間サブストレートだけが処理キャリアに供給されることを保証する計量ユニットを有してもよい。層厚さ制御装置は定義されたサブストレート通過口を有してもよく、それにより機械的剥ぎ取りにより定義された層厚さが作られる。
【0056】
処理キャリアは、混合容器として、例えばドラムミキサーとして構成されてもよい。湿潤サブストレートを撹拌するために、少なくとも1つの混合要素が、例えば混合羽根の形態で混合容器内に配置され得る。酸化剤は、酸化剤を混合容器内にあるサブストレートに塗布する1又は複数の塗布ユニットにより塗布され得る。湿潤サブストレートの表面への酸化剤の分布は、湿潤サブストレートを撹拌することで改善可能であり、これが本方法の効率を増加させる。さらに、混合容器内での湿潤サブストレートの混合又は撹拌は、それが紛失・損失なく実施できるため、有利である。特に湿潤サブストレートの水分含量が準最適に調節されているとき、例えば、湿潤サブストレートがコンベヤベルトとして構成された処理キャリアから落下すると、湿潤サブストレートの紛失・損失が起こり得る。
【0057】
有利には、湿潤サブストレートが酸化剤の塗布に加えて混合容器内で放射され得るように、混合容器のための紫外線放射の放射体は配置され得る。
【0058】
調整ユニットは有利には、ドライヤーとして、例えば濃縮ドライヤーや赤外線乾燥機として構成され得る。処理キャリア、塗布ユニット及び紫外線放射の放射体は、ドライヤー内に配置され得る。内蔵混合技術を備えた混合容器が処理キャリアとして有利である。コンパクトで閉鎖可能な構造によって、プロセス雰囲気中の気温やガス組成などのプロセス条件は簡単なセンサーによって検出でき、また例えば酸化剤の量及び/又は濃度及び/又は紫外線照射の強度などのプロセスパラメータは要件に応じて調整できる。作業安全性及びプロセス安全性は非常に高い。原則として、エネルギー消費は顕著に少ない、というのも熱放散に起因するエネルギー損失が閉じた構造によって最小化され得るからである。混合容器内での湿潤サブストレート又は乾燥サブストレートの混合は、機械的クリーニングのために及びプラスチックフラグメントの集塊の防止のために有利である。スペース要件及びしたがって投資コストを最小化するために、設備のコンパクトな設計が有利である。
【0059】
有利には、乾燥工程で得られるプロセス水は嗅覚的に汚染されたプラスチックのマッシュを作るために利用できる。プロセス水の広範囲の、コスト集約的な廃棄又は処理が排除され得る。
【0060】
分類装置が有利には設置されてもよく、それは調整ユニットの下流に配置され、いわゆる最終サブストレートを生成する。乾燥サブストレートは篩及び/又は空気分離器によって清掃可能である。ミネラル成分及び/又は有機残留物は除去され得、それで高純度の最終サブストレートが保証され得る。分類によって、プラスチック粒子の大きさに依存する分別が可能となり、最終サブストレートの今後の使用が考慮され得る。
【0061】
本提案によれば、嗅覚的に汚染されたプラスチックは基本的に分解されず、むしろその代わりに材料としての今後の使用にアクセス可能である。特に、物質依存のプロセス制御がこの目的のために必要であり、そこでは例えば使用される酸化剤及び/又は材料の分解が処理の間監視され、関連するプロセスパラメータが必要に応じて調整され、最終的に後の材料としての使用を経済的にする特性を有する原料が作られる。
【0062】
本発明はさらに、提案される方法によって及び/又は提案される設備にて製造される最終サブストレートの使用を提案する。嗅覚的に汚染されたプラスチックから調製される最終サブストレートは、押し出し成形法と射出成形法の両方で使用できる。
【0063】
均一な板状材料又は不均一な複合材料が最終サブストレートを基に製造され得る。このような材料はとりわけ家具製造やパレット製造のために使用可能である。板状材料から出発して、成形品のための使用が提案される。三次元に形成される成形品又は射出成形法により直接製造される製品は、とりわけ家具製造やクラッディング要素において又は構造用部品としての材料組成物の適切な形成の際に使用され得る。
【0064】
本発明は包装材料としての使用を予見し、その際外側保護カバーとしての使用、及びスペース充填及び衝撃吸収用の使用が考慮される。本発明はまた、フィルムの製造のための使用に関する。ここで、特に高い要件が最終サブストレートの純度に課されることを付言する。
【0065】
本提案によれば、最終サブストレートはまた、さらなる材料の混合のための添加剤として使用できる。例えば、充填材料の機能を果たすため、最終サブストレートは後続製品のための製造コストを低下させ得る。
【0066】
本発明の例示の実施形態を純粋に概略的な描写に関連してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1】嗅覚的に汚染されたプラスチックの処理のための工程順序(プロセスシーケンス)である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1は、嗅覚的に汚染されたプラスチック10の処理のための多段プロセス1の順序を示す。一般に、どの種類のプラスチックも、特に食品のプラスチック包装は、使用後に、例えば脂肪、タンパク質及び菌類又は真菌胞子などの有機残留物を有し、それらはプラスチックを嗅覚的に汚染する。ゆえに、さらなる後続使用の前に、有機残留物の除去が必要となる。
【0069】
図1に示される方法1は、最終サブストレートの多数の使用18が実施され得るようにクリーニングされ分類された最終サブストレート17を製造する。基本的に、方法1のプロセスパラメータは、プラスチックの種類に及び嗅覚に作用する残留物に適切に適合されなければならない。方法1の経済性は、有機的に汚染されたプラスチック10を事前分類することで相当増加される。
【0070】
図1に示されるように、有機的に汚染されたプラスチック10は第1工程ステップで粉砕される。大きめのサイズのプラスチック部品の粉砕2はハンマーミルで行われる。プラスチックフィルムはドラム内で引き裂かれる。粉砕2により、断片化された原サブストレート11が嗅覚的に汚染されたプラスチック10から作られる。フラグメントは均一なサイズ分布を示し、それでその後のさらなる方法ステップのための効率及びプロセス安全性が増加される。
【0071】
粉砕2は、原サブストレート11の前処理のためのクリーニングステージに後続する。この目的のために、原サブストレート11はまず乾燥機械クリーニング3を受ける。洗浄流体を使用せずに、粗い汚染物質が、例えば篩ローターにおいて、原サブストレート11から切り離される。発酵5が次に実行される。この目的のために、粗くクリーニングされた原サブストレート11が処理容器に詰められ、マッシュ4を作るために水と混ぜられる。マッシュ工程(原汁工程)4では、原サブストレート11の水分含量は8~12%に増加される。発酵5による嗅覚作用残留物の及び原サブストレート11の分解を可能にするために、マッシュステップ4が必要である。さらに、水分含量を増加させることにより、設備内での原サブストレート11の搬送特性が最適化される。必要な水レベルは、方法1のさらなる加工ステップの途中で副産物として得られるプロセス水20の使用によって部分的にカバーされ得る。
【0072】
方法1の途中で後続の処理ステップのための嗅覚に作用する付着物の又はプラスチックのアクセス可能性を改善できるように、原サブストレート11の発酵5はマッシュ4の製造に後続して行われる。この目的のために、ポンプが原サブストレート11をバイオリアクターに搬送する。乾燥発酵により、原サブストレート11は、プラグフロー発酵槽として設計されたリアクター内で変換され、中間サブストレート14が形成される。プラグフロー発酵槽における乾燥発酵はパルプ化工程として特に適している、というのも疎水性プラスチックの乾燥及び極めて手間のかかる物質を部分的に含有するサブストレートの乾燥はプロセス1の効率を本質的に減少させないからである。さらに、嫌気性微生物の分解が連続的な工程として方法1に一体化され得る。構造的に、プラグフロー発酵槽は特に耐摩耗性及び耐食性材料を必要とする、というのも原サブストレート11はミネラル成分(無機成分)及び/又は有機酸を含有し得るからである。原サブストレート11の発酵5の後、中間サブストレート14は15~20%の水分含量を有する。
【0073】
図1は、エネルギー含有ガス19、例えばメタンが発酵5から得られること、またそれがエネルギー回収21のために利用できることを示す。エネルギー含有ガス19は、電気エネルギーと熱エネルギーの両方を得るために、火力発電所で使用される。発電機によって生成される電気エネルギーは、方法1を実施する設備の操作のために使用される。エネルギー含有ガス19の燃焼中に開放される熱エネルギーは、一定の最適な発酵温度を維持できるようにプラグフロー発酵槽に供給される。熱エネルギーの供給過剰がある場合、熱エネルギーは方法1のさらなる進行において湿潤サブストレート15の調整8のために使用される。
【0074】
発酵5と連動して乾燥機械クリーニング3による原サブストレート11の前処理が、ゆえに原則として特に有利である。原サブストレート11の後続の工程順序において処理工程の効率に悪影響を及ぼし得る粗い汚染物質が除去される。さらに、嗅覚作用残留物がより良好にアクセス可能になり又は最初の変更工程及び/又は分解工程が実行され得るので、方法1の効率はさらに増加される。特に、副産物がエネルギー回収21のために直接利用でき、後続の工程順序で生じるプロセス水20が廃棄される必要なく、むしろマッシング4に加えられ得ることが有利である。
【0075】
図1はまた、発酵5の後に、酸化剤の添加6による中間サブストレート14の処理が行われ、それにより湿潤サブストレート15が創出されることを示す。高い細胞毒性作用を有する過酸化水素が酸化剤として使用され、それによりもともと嗅覚的に汚染されたプラスチック10の脂肪、タンパク質及び菌類又は真菌胞子及び他の有機分子群などの有機成分が変更され及び/又は分解される。この場合、乾燥されるべき湿潤サブストレート15が一様な処理に対抗・抵抗するように、過酸化水素の作用は、湿潤サブストレート15の最適な水分含量に密接にリンクしており、それで非常に高い処理強度が局所的に生じ得、また過度に高い湿潤サブストレート15の水分含量が処理強度に抑止的に反作用する。
【0076】
方法1では、40%の濃度を有する過酸化水素が使用され、その際嗅覚作用残留物の成分又はプラスチックの種類に依存して濃度の僅かな適合が必要となり得る。
【0077】
酸化剤の添加6の前に、中間サブストレート14は処理キャリアとしてのコンベヤベルト上に配置される。処理キャリアは、過酸化水素と他の作用がコンベヤベルトの機能を損なわないように耐久性をもって構成される。中間サブストレート14を最適に処理できるようにするために、中間サブストレート14は、最大50mmの層厚さを有するコンベヤベルトの幅にわたってサブストレート出力部によって基本的に分配され、それで中間サブストレート14が過酸化水素によって最大限浸透されることが保証される。中間サブストレート14がコンベヤベルト上に均一に分配されるが、中間サブストレート14が例えばコンベヤベルトから流れ落ちないように、中間サブストレート14の水分含量を最適に調整する必要がある。
【0078】
過酸化水素は、正確に制御可能なスプレーヘッドを介して塗布される。スプレーヘッドは、まず中間サブストレート14がコンベヤベルトの幅全体にわたって過酸化水素を噴霧されるようにコンベヤベルトの上に固定されている。スプレーヘッドはさらに、酸化剤の正確な計量を可能にする計量ユニットに接続している。搬送経路に沿うコンベヤベルトの上の付加的な複数のスプレーヘッドは、過酸化水素の塗布のために必要に応じて使用され得る。スプレーヘッドは個々に制御可能であり、それで定義された量の過酸化水素の塗布が高い空間分解能で行われる。結局、過酸化水素の消費が減少し、最終サブストレート17の使用特徴、例えば弾性-機械特性が最適化される。
【0079】
さらに、図1から、湿潤サブストレート15は酸化剤の添加6に加えて紫外線放射処理7にさらに晒されることが分かる。これは、嗅覚作用成分の変更及び/又は分解の強化をもたらす。紫外線放射の放射体はコンベヤベルトの上に配置されており、それにより湿潤サブストレート15の紫外線放射処理7が酸化剤の添加6の直後に実施され、基本的にコンベヤベルトの幅と搬送距離の長さである表面にわたって延びる。紫外線放射の放射体は個々に制御可能であり、それでコンベヤベルト上に位置する湿潤サブストレート15の特定の領域が処理され得る。
【0080】
酸化剤の添加6が開始されると、反応保持時間が始まる。この反応保持時間の間に、湿潤サブストレート15は過酸化水素と反応し、必要に応じて追加の酸化剤の添加6が行われ、反応が紫外線放射処理7により強化される。発熱反応のために、プロセス温度は反応保持時間の間60~80℃に上昇し、それで湿潤サブストレート15の感熱成分が分解され、湿潤サブストレート15内の液体の温度が上昇する。高揮発性有機物質群は湿潤サブストレート15から発散し、吸引により除去される。低揮発性有機フラグメント及び非揮発性有機フラグメントは湿潤サブストレート15内に残る。湿潤サブストレート15のミネラル成分を有するこれらの変更製品及び/又は分解製品の凝集が幾らか生じる。
【0081】
反応保持時間の間に生じる変更工程及び/又は分解工程は、最終サブストレート17の弾性-機械特性に決定的に影響を及ぼす。したがって、自動化された工程監視、特に嗅覚作用化合物の分解のモニタリング、及び反応保持時間のアクティブ制御が必要である。
【0082】
コンベヤベルトのサブストレート支持面の上に設置されたセンサーは、湿潤サブストレート15を反応保持時間の間、光学的に、化学的に及び物理的に監視する。温度センサー及び湿度センサーは気温又は湿潤サブストレート15の水分含量を検知する。温度データ及び湿度データから化学反応について結論が導出され得る。カラーセンサーは湿潤サブストレート15の外観を検出する。湿潤サブストレート15が或る領域で事前設定された規定値から光学的にずれる場合、追加の過酸化水素が狙い通りに塗布され得る。さらに、酸化反応は、過酸化水素濃度及び/又は過酸化水素量を調節することで制御可能であり、それにより最適化されたプロセスパラメータが次の処理のために考慮され得、処理工程が絶え間なく最適化される。
【0083】
さらに、湿潤サブストレート15内の嗅覚作用成分の変更及び/又は分解を最適化するために、紫外線放射処理7の狙い通りの強化が行われる。湿潤サブストレート15は、ガス発生のその場分析によって反応保持時間の間化学的に監視される。例えば、減少するVOC含有量が検出される場合、処理強度はとりわけ追加の紫外線放射線源をスイッチオンすることにより増加可能である。
【0084】
処理強度に影響を及ぼすさらなる制御変数がコンベヤベルトの送り速度である。その目的は、30~35分である反応保持時間の最後に有機成分、特に嗅覚作用汚染が大部分は変更され及び/又は分解され、それで臭気に関連する悪影響・障害が次の使用オプションの妨げにならない。コンベヤベルトはゆえに好ましくは1m/minの送り速度で駆動される。
【0085】
図1から分かるように、反応保持時間は、湿潤サブストレート15の調整8の後に続く。その結果、いわゆる乾燥サブストレート16が創出される。調整8は、湿潤サブストレート15を2~3%の目標水分まで乾燥させる濃縮ドライヤーにて実行される。意図される最終サブストレートの使用18に依存して、目標水分が、温度を増加させること及び/又は水若しくは水蒸気を導入することにより調節される。湿潤サブストレート15は95~175℃の温度で乾燥され、必要に応じて、まだ含まれている嗅覚作用成分が熱応力を受け、それでさらなる変更及び/又は分解が実現可能である。さらには、上昇したプロセス温度は有機フラグメントを結集でき、それでそれらは湿潤サブストレート15から発散し、それによって湿潤サブストレート15の追加の浄化に貢献する。
【0086】
乾燥サブストレート16の分類9は調整8に後続する。様々なメッシュサイズを有する篩と様々な流れ速度を有するセパレータが、処理されたプラスチックの個々のフラグメント断片を互いから分離し、ミネラル成分を分離・析出することが可能となる。非常に様々な使用オプションに利用可能な最終サブストレート17が分類9から生じる。
【0087】
最終サブストレート17は、押し出し成形法又は射出成形法で使用でき、最終サブストレート17は、様々な最終サブストレートの使用18に、とりわけ板状材料(パネル形状材料)、成形品、包装、フィルムとして、又は例えば詰め物(フィラー)の機能の添加剤として、供給され得る。原則として、様々な使用オプションは定義された要件、特に最終サブストレート17の弾性-機械特性に結び付けられる。最終サブストレート17のこの特徴に決定的なのは、一方でプラスチックの種類であり、他方で方法1のプロセス制御である。酸化剤の濃度及び/又は量と紫外線放射7の強度が例えば、個々の適合を必要とする基本的なプロセスパラメータを表す。
【符号の説明】
【0088】
1 方法
2 粉砕
3 乾燥機械クリーニング
4 メッシング
5 発酵
6 酸化剤の添加
7 紫外線放射処理
8 調整
9 分類・選別
10 嗅覚的に汚染されたプラスチック
11 原サブストレート
14 中間サブストレート
15 湿潤サブストレート
16 乾燥サブストレート
17 最終サブストレート
18 最終サブストレートの使用
19 エネルギー含有ガス
20 プロセス水
21 エネルギー回収
図1
【国際調査報告】