(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-10
(54)【発明の名称】R124H突然変異を備えたトランスフォーミング増殖因子ベータ誘導遺伝子の短鎖干渉RNAを使用したアレル特異的サイレンシング
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20230203BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230203BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230203BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20230203BHJP
C12Q 1/6883 20180101ALN20230203BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61P27/02
A61K48/00
A61K31/713
C12Q1/6883 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536545
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(85)【翻訳文提出日】2022-08-11
(86)【国際出願番号】 IB2020061852
(87)【国際公開番号】W WO2021117009
(87)【国際公開日】2021-06-17
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515179406
【氏名又は名称】アベリノ ラボ ユーエスエー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Avellino Lab USA, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】コワルチク,アマンダ
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,タラ
【テーマコード(参考)】
4B063
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4B063QA17
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4C086NA14
4C086ZA33
(57)【要約】
本開示は、対象者の顆粒状角膜変性症2型に伴う症状を予防、改善又は治療するための、リボ核酸(RNA)複合体及びその使用方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1~19のうち1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む鎖を含んでいるリボ核酸(RNA)複合体。
【請求項2】
前記鎖は配列番号4、11又は16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む、請求項1に記載のRNA複合体。
【請求項3】
前記鎖は、配列番号4、11、若しくは16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端の突出端、又は配列番号4、11、若しくは16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の突出端、のうち少なくとも一方を含む、請求項2に記載のRNA複合体。
【請求項4】
前記鎖は、配列番号4、11、又は16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端のシチジン1リン酸(rC)、配列番号4、11、又は16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端のウリジン1リン酸‐シチジン1リン酸(rU‐rC)、配列番号4、11、又は16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個のウリジン1リン酸(rU‐rU)、配列番号4、11、又は16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個のデオキシチミジン1リン酸(dT‐dT)、配列番号4、11、又は16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル化グアノシン1リン酸(oG‐oG)、及び配列番号4、11、又は16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル‐ウリジン1リン酸(oU‐oU)、のうち少なくとも1つを備えている、請求項3に記載のRNA複合体。
【請求項5】
配列番号23、30又は35に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む鎖をさらに含む、請求項2~4のいずれか1項に記載のRNA複合体。
【請求項6】
配列番号23、30又は35の配列を含む鎖をさらに含む、請求項2~4のいずれか1項に記載のRNA複合体。
【請求項7】
鎖は配列番号4、11、又は16の配列を含む、請求項1に記載のRNA複合体。
【請求項8】
RNA複合体は、野生型の124CのTGFBI遺伝子と比較して少なくとも1つのTGFBI R124H突然変異部位を各々含んでいる第1鎖及び第2鎖を含む、請求項1に記載のRNA複合体。
【請求項9】
前記第1鎖は、1個の塩基が第2鎖の相対する塩基に対してミスマッチであることを除いて配列番号4、9又は11の配列と同一の配列を含む、請求項8に記載のRNA複合体。
【請求項10】
ミスマッチである塩基はTGFBI R124H突然変異部位から3~7塩基離れている、請求項9に記載のRNA複合体。
【請求項11】
前記第1鎖及び第2鎖は各々が16~23塩基の長さである、請求項8~10のいずれか1項に記載のRNA複合体。
【請求項12】
RNA複合体はデオキシチミジンの突出端を有する、請求項8~11のいずれか1項に記載のRNA複合体。
【請求項13】
配列番号20~38のうち1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む鎖を含んでいるリボ核酸(RNA)複合体。
【請求項14】
前記鎖は配列番号23、30又は35に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む、請求項13に記載のRNA複合体。
【請求項15】
前記鎖は、配列番号23、30若しくは35に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端の突出端、又は配列番号23、30若しくは35に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の突出端、のうち少なくとも一方を備えている、請求項85に記載のRNA複合体。
【請求項16】
トランスフォーミング増殖因子ベータ誘導(TGFBI)タンパク質のメッセンジャーRNA(mRNA)の配列とオーバーラップする配列を有する鎖であってTGFBI遺伝子のエキソン4のc.371G>Aという一塩基多型(SNP)に対応する位置にアデニンを含んでいる鎖を含む、リボ核酸(RNA)複合体。
【請求項17】
センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、センス鎖及びアンチセンス鎖のうち少なくとも一方はdTdT突出端を含む、リボ核酸(RNA)複合体。
【請求項18】
前記センス鎖及びアンチセンス鎖は各々がdTdT突出端を含む、請求項17に記載のRNA複合体。
【請求項19】
前記センス鎖は突出端としてGGヌクレオチドを含み、前記アンチセンス鎖は突出端としてUCヌクレオチドを含む、請求項17に記載のRNA複合体。
【請求項20】
(a)前記センス鎖は一連の繰り返される2’‐OMeを含み、かつ(b)前記アンチセンス鎖は2’‐OMeを含む;
(a)センス鎖は、15個の塩基と、交互パターンをなす2’‐OMe及び2’‐Fとを含み、かつ(b)アンチセンス鎖は交互パターンをなす2’‐OMe及び2’‐Fを含み、RNA複合体はセンス鎖及びアンチセンス鎖両方の3’及び5’末端に追加のホスホロチオエート結合を含む;又は、
(a)センス鎖は、5’末端に2ユニットの2’‐OMeと、9位以外のU又はG残基のいずれかに少なくとも2個の2’‐OMe修飾とを含み;かつ(b)アンチセンス鎖は、5’末端から2番目の位置に1個の2’‐OMeと、dTdT突出端にPS結合とを含み、すべてのピリミジンが2’F‐RNAユニットに置換されている、
請求項17~19のいずれか1項に記載のRNA複合体。
【請求項21】
前記RNA複合体は、短鎖干渉RNA二重鎖;短鎖干渉RNA二重鎖を形成するために構成された二本鎖RNA複合体;及び/又はRNAヘアピンを備えている、請求項1~20のいずれか1項に記載のRNA複合体。
【請求項22】
対象者に請求項1~21のいずれか1項に記載のRNA複合体を投与するステップを含む、対象者の顆粒状角膜変性症2型を予防、改善、又は治療する方法。
【請求項23】
投与するステップは、RNA複合体を、トランスフォーミング増殖因子ベータ誘導(TGFBI)遺伝子のエキソン4のc.371G>Aという一塩基多型(SNP)を有しているデオキシリボ核酸(DNA)分子を含有及び発現している細胞に導入することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
対象者にRNA複合体を投与するステップの前に:
対象者の配列情報を入手するステップ;及び、
対象者がTGFBI遺伝子のエキソン4のc.371G>AというSNPを有するアレルと、TGFBI遺伝子のエキソン4のc.371G>AというSNPを有していないアレルとを有することを判定するステップ
をさらに含む、請求項22~23のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して低分子干渉リボ核酸(siRNA)を介した遺伝子発現の阻害に関し、特に、対象者における突然変異型トランスフォーミング増殖因子ベータ誘導(TGFBI)タンパク質の発現を阻害するための方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
リボ核酸(RNA)は生細胞において様々な役割を果たす。特に、メッセンジャーRNA(mRNA)分子は、タンパク質の合成を可能にするためにデオキシリボ核酸(DNA)からの遺伝子情報を伝える。RNA干渉(RNAi)は、疾患の原因となる遺伝子のような特定の遺伝子の発現を阻害又は低減する方法として明らかにされている。臨床試験でRNAi療法による治療がなされた病気には、先天性爪肥厚症、加齢黄斑変性症、C型肝炎、及び慢性骨髄性白血病が挙げられる(Davidson BL, McCray PB. “Current prospects for RNA interference-based therapies.” Nat Rev Genet., (英), 2011, vol. 12, p. 329-340)。
【0003】
角膜は、前眼部にみられる無血管の透明な組織である。角膜の主な機能は、外界に対する構造的な障壁として作用すること、及び目の屈折力の大部分を提供することである。角膜は、5つの層すなわち上皮層、ボーマン層、実質層、デスメ膜、及び内皮層に分けられる。
【0004】
TGFBI遺伝子は、細胞遺伝学的バンド5q31.1に位置する。TGFBI遺伝子の突然変異は、顆粒状角膜変性症I型、顆粒状角膜変性症II型、格子状角膜変性症I型、ティール‐ベンケ角膜変性症、及びライス‐ビュックラー角膜変性症を含む一連の角膜変性症を引き起こす(Munier FL, Frueh BE, Othenin-Girard Pら, “BIGH3 mutation spectrum in corneal dystrophies.”, Invest Ophthalmol Vis Sci., (米), 2002, vol. 43, p. 949-954)。これらの角膜変性症は、角膜におけるTGFBIタンパク質の過剰蓄積をもたらしその結果として視覚障害を生じる可能性がある。
【0005】
そのような角膜変性症の従来の治療法は、レーザー表層角膜切除術、及び、病変角膜組織が(全層又は一部のいずれかを)切除されて移植ドナー組織に置き換えられる侵襲的処置である外科的角膜形成術である。これらの治療法は部分的にしか有効ではなく、長期にモニタリングする経過観察を必要とし、かつ様々な合併症を伴う可能性がある。特に、これらの治療法は、治療中に生じた角膜の損傷に起因する突然変異型TGFBIタンパク質の発現上昇を誘発する可能性があり、これにより通常は視覚障害の再発がもたらされる。
【0006】
同様に、同じく角膜の損傷の原因となるレーザー角膜内切削形成術(LASIK)は、突然変異型TGFBIタンパク質の過剰蓄積を誘発することにより視覚障害を加速させる可能性がある。特に、一般にLASIK手術を受けなければ視覚障害を遅発することになるヘテロ接合の人は、LASIK手術後に視力の低下を加速し始めることが観察されている(Jun, R. M.ら, Ophthalmology(米), 2004, vol. 111, p. 463)。
【0007】
角膜変性症は常染色体優性遺伝病である場合がある。よって、1個の野生型TGFBIアレル及び1個の突然変異型TGFBIアレルを有しているヘテロ接合の人は、角膜変性症に罹患する可能性がある。しかしながら、野生型TGFBIアレル及び突然変異型TGFBIアレルの両方をサイレンシングすると、細胞接着の調節及び角膜の創傷治癒など細胞内で極めて重要な役割を果たしている野生型TGFBIタンパク質の発現が阻害される。
【発明の概要】
【0008】
したがって、細胞の生命力を維持し、かつ突然変異型TGFBIに関連した角膜変性症を治療、低減、及び予防するために、突然変異型TGFBIアレルのアレル特異的サイレンシングが必要である。突然変異型TGFBIアレルのそのようなアレル特異的サイレンシングは、本明細書中に開示される1又は複数のRNA複合体によって達成される。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、リボ核酸(RNA)複合体は、配列番号1~19のうち1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を備えた鎖を備えている。
【0010】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。
【0011】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は、配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端の突出端、又は配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の突出端、のうち少なくとも1つを備えている。
【0012】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は、配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端のシチジン1リン酸(rC)、配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端のウリジン1リン酸‐シチジン1リン酸(rU‐rC)、配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個のウリジン1リン酸(rU‐rU)、配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個のデオキシチミジン1リン酸(dT‐dT)、配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル化グアノシン1リン酸(oG‐oG)、及び配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル‐ウリジン1リン酸(oU‐oU)、のうち少なくとも1つを備えている。
【0013】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号23に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む鎖をさらに含む。
【0014】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号23の配列を含む鎖をさらに含む。
【0015】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号23の配列で構成される鎖をさらに含む。
【0016】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は配列番号4の配列を含む。
【0017】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は、配列番号4の配列の5’末端の突出端又は配列番号4の配列の3’末端の突出端のうち少なくとも一方を備えている。
【0018】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は、配列番号4の配列の5’末端のシチジン1リン酸(rC)、配列番号4の配列の5’末端のウリジン1リン酸‐シチジン1リン酸(rU‐rC)、配列番号4の配列の3’末端の2個のウリジン1リン酸(rU‐rU)、配列番号4の配列の3’末端の2個のデオキシチミジン1リン酸(dT‐dT)、配列番号4の配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル化グアノシン1リン酸(oG‐oG)、及び配列番号4の配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル‐ウリジン1リン酸(oU‐oU)、のうち少なくとも1つを備えている。
【0019】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、野生型124CのTGFBI遺伝子と比較して少なくとも1つのTGFBI R124H突然変異部位を各々含んでいる、第1鎖及び第2鎖を含む。
【0020】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、第1鎖は、1個の塩基が第2鎖の相対する塩基に対してミスマッチであることを除いて配列番号4の配列と同一の配列を含む。
【0021】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、第1鎖及び第2鎖は各々が1個のTGFBI R124H突然変異部位を含む。
【0022】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、ミスマッチである塩基はTGFBI R124H突然変異部位から3~7塩基離れている。
【0023】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、ミスマッチである塩基はTGFBI R124H突然変異部位から3塩基離れている。
【0024】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、ミスマッチである塩基はTGFBI R124H突然変異部位から4塩基離れている。
【0025】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、ミスマッチである塩基はTGFBI R124H突然変異部位から5塩基離れている。
【0026】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、ミスマッチである塩基はTGFBI R124H突然変異部位から6塩基離れている。
【0027】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、ミスマッチである塩基はTGFBI R124H突然変異部位から7塩基離れている。
【0028】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、第1鎖及び第2鎖は各々が16~23塩基の長さである。
【0029】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、第1鎖及び第2鎖は各々が22塩基の長さである。
【0030】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体はデオキシチミジンの突出端を有する。
【0031】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、第1鎖は、1個の塩基が第2鎖の相対する塩基に対してミスマッチであることを除いて配列番号9の配列と同一の配列を含む。
【0032】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、第1鎖及び第2鎖は各々が1個のTGFBI R124H突然変異部位を含む。
【0033】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、ミスマッチである塩基はTGFBI R124H突然変異部位から3~7塩基離れている。
【0034】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、ミスマッチである塩基はTGFBI R124H突然変異部位から3塩基離れている。
【0035】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、ミスマッチである塩基はR124H突然変異部位から4塩基離れている。
【0036】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、ミスマッチである塩基はR124H突然変異部位から5塩基離れている。
【0037】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、ミスマッチである塩基はR124H突然変異部位から6塩基離れている。
【0038】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、ミスマッチである塩基はR124H突然変異部位から7塩基離れている。
【0039】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、第1鎖及び第2鎖は各々が16~23塩基の長さである。
【0040】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、第1鎖及び第2鎖は各々が22塩基の長さである。
【0041】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体はデオキシチミジンの突出端を有する。
【0042】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、第1鎖は、1個の塩基が第2鎖の相対する塩基に対してミスマッチであることを除いて配列番号11の配列と同一の配列を含む。
【0043】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、第1鎖及び第2鎖は各々が1個のR124H突然変異部位を含む。
【0044】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、ミスマッチである塩基はR124H突然変異部位から3~7塩基離れている。
【0045】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、ミスマッチである塩基はR124H突然変異部位から3塩基離れている。
【0046】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、ミスマッチである塩基はR124H突然変異部位から4塩基離れている。
【0047】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、ミスマッチである塩基はR124H突然変異部位から5塩基離れている。
【0048】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、ミスマッチである塩基はR124H突然変異部位から6塩基離れている。
【0049】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、ミスマッチである塩基はR124H突然変異部位から7塩基離れている。
【0050】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、第1鎖及び第2鎖は各々が16~23塩基の長さである。
【0051】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、第1鎖及び第2鎖は各々が22塩基の長さである。
【0052】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体はデオキシチミジンの突出端を有する。
【0053】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号23に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む鎖をさらに含む。
【0054】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号23の配列を含む鎖をさらに含む。
【0055】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号23の配列で構成される鎖をさらに含む。
【0056】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は配列番号4の配列で構成される。
【0057】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号23に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む鎖をさらに含む。
【0058】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号23の配列を含む鎖をさらに含む。
【0059】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号23の配列で構成される鎖をさらに含む。
【0060】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は、配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。
【0061】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は、配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端の突出端、又は配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の突出端、のうち少なくとも一方を備えている。
【0062】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は、配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端のアデノシン1リン酸(rA)、配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端のウリジン1リン酸‐アデノシン1リン酸(rU‐rA)、配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個のウリジン1リン酸(rU‐rU)、配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個のデオキシチミジン1リン酸(dT‐dT)、配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2’‐O‐メチル化されたシチジン1リン酸‐ウリジン1リン酸(oC‐oU)、及び配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル‐ウリジン1リン酸(oU‐oU)、のうち少なくとも1つを備えている。
【0063】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号30に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む鎖をさらに含む。
【0064】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号30の配列を含む鎖をさらに含む。
【0065】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号30の配列で構成される鎖をさらに含む。
【0066】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は配列番号11の配列を含む。
【0067】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は、配列番号11の配列の5’末端の突出端、又は配列番号11の配列の3’末端の突出端、のうち少なくとも一方を備えている。
【0068】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は、配列番号11の配列の5’末端のアデノシン1リン酸(rA)、配列番号11の配列の5’末端のウリジン1リン酸‐アデノシン1リン酸(rU‐rA)、配列番号11の配列の3’末端の2個のウリジン1リン酸(rU‐rU)、配列番号11の配列の3’末端の2個のデオキシチミジン1リン酸(dT‐dT)、配列番号11の配列の3’末端の2’‐O‐メチル化されたシチジン1リン酸‐ウリジン1リン酸(oC‐oU)、及び配列番号11の配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル‐ウリジン1リン酸(oU‐oU)、のうち少なくとも1つを備えている。
【0069】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号30に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む鎖をさらに含む。
【0070】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号30の配列を含む鎖をさらに含む。
【0071】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号30の配列で構成される鎖をさらに含む。
【0072】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は配列番号11の配列で構成される。
【0073】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号30に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む鎖をさらに含む。
【0074】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号30の配列を含む鎖をさらに含む。
【0075】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号30の配列で構成される鎖をさらに含む。
【0076】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は、配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。
【0077】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は、配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端の突出端、又は配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の突出端のうち少なくとも一方を備えている。
【0078】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は、配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端のグアノシン1リン酸(rG)、配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端の2個のグアノシン1リン酸(rG‐rG)、配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個のウリジン1リン酸(rU‐rU)、配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個のデオキシチミジン1リン酸(dT‐dT)、配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2’‐O‐メチル化されたグアノシン1リン酸‐シチジン1リン酸(oG‐oC)、及び配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル‐ウリジン1リン酸(oU‐oU)、のうち少なくとも1つを備えている。
【0079】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号35に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む鎖をさらに含む。
【0080】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号35の配列を含む鎖をさらに含む。
【0081】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号35の配列で構成される鎖をさらに含む。
【0082】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は配列番号16の配列を含む。
【0083】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は、配列番号16の配列の5’末端の突出端、又は配列番号16の配列の3’末端の突出端のうち少なくとも一方を備えている。
【0084】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は、配列番号16の配列の5’末端のグアノシン1リン酸(rG)、配列番号16の配列の5’末端の2個のグアノシン1リン酸(rG‐rG)、配列番号16の配列の3’末端の2個のウリジン1リン酸(rU‐rU)、配列番号16の配列の3’末端の2個のデオキシチミジン1リン酸(dT‐dT)、配列番号16の配列の3’末端の2’‐O‐メチル化されたグアノシン1リン酸‐シチジン1リン酸(oG‐oC)、及び配列番号16の配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル‐ウリジン1リン酸(oU‐oU)、のうち少なくとも1つを備えている。
【0085】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号35に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む鎖をさらに含む。
【0086】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号35の配列を含む鎖をさらに含む。
【0087】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号35の配列で構成される鎖をさらに含む。
【0088】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は配列番号16の配列で構成される。
【0089】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号35に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む鎖をさらに含む。
【0090】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号35の配列を含む鎖をさらに含む。
【0091】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、配列番号35の配列で構成される鎖をさらに含む。
【0092】
いくつかの実施形態によれば、リボ核酸(RNA)複合体は、配列番号20~38のうち1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を備えた鎖を備えている。
【0093】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は、配列番号23に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。
【0094】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は、配列番号23に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端の突出端、又は配列番号23に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の突出端のうち少なくとも一方を備えている。
【0095】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は、配列番号30に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。
【0096】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は、配列番号30に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端の突出端、又は配列番号30に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の突出端のうち少なくとも一方を備えている。
【0097】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は、配列番号35に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む。
【0098】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、鎖は、配列番号35に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端の突出端、又は配列番号35に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の突出端のうち少なくとも一方を備えている。
【0099】
いくつかの実施形態によれば、リボ核酸(RNA)複合体は、トランスフォーミング増殖因子ベータ誘導(TGFBI)タンパク質のメッセンジャーRNA(mRNA)の配列と重複する配列を有する鎖であってTGFBI遺伝子のエキソン4のc.371G>Aという一塩基多型(SNP)に対応する位置にアデニンを含んでいる鎖を備えている。
【0100】
いくつかの実施形態によれば、リボ核酸(RNA)複合体はセンス鎖及びアンチセンス鎖を備え、センス鎖及びアンチセンス鎖のうち少なくとも一方はdTdTの突出端を備えている。
【0101】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、センス鎖及びアンチセンス鎖は各々がdTdTの突出端を含む。
【0102】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、センス鎖は突出端としてGGヌクレオチドを含み、アンチセンス鎖は突出端としてUCヌクレオチドを含む。
【0103】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、(a)センス鎖は一連の繰り返される2’‐OMeを含み;かつ(b)アンチセンス鎖は2’‐OMeを含む。
【0104】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、(a)センス鎖は、15個の塩基と、交互パターンをなす2’‐OMe及び2’‐Fとを含み;かつ(b)アンチセンス鎖は、交互パターンをなす2’‐OMe及び2’‐Fを含み;RNA複合体は、センス鎖及びアンチセンス鎖両方の3’及び5’末端に追加のホスホロチオエート結合を含む。
【0105】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、(a)センス鎖は、5’末端に2ユニットの2’‐OMe、及び9位以外のU又はG残基のいずれかに少なくとも2個の2’‐OMe修飾を含み;かつ(b)アンチセンス鎖は、5’末端から2番目の位置に1個の2’‐OMe、dTdT突出端にPS結合を含み、すべてのピリミジンが2’F‐RNAユニットに置換されている。
【0106】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は短鎖干渉RNA二重鎖を備えている。
【0107】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体は、短鎖干渉RNA二重鎖を形成するために構成された二本鎖RNA複合体を備えている。
【0108】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、RNA複合体はRNAヘアピンを備えている。
【0109】
いくつかの実施形態によれば、対象者の顆粒状角膜変性症2型を予防、改善、又は治療する方法は、対象者に対して本明細書中に記載の任意のRNA複合体を投与するステップを含む。
【0110】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、投与するステップはRNA複合体を対象者に注射することを含む。
【0111】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、投与するステップは、RNA複合体を含有する溶液を対象者に施用することを含む。
【0112】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、投与するステップは、RNA複合体を、トランスフォーミング増殖因子ベータ誘導(TGFBI)遺伝子のエキソン4のc.371G>Aという一塩基多型(SNP)を有しているデオキシリボ核酸(DNA)分子を含有及び発現している細胞に導入することを含む。
【0113】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、対象者は脊椎動物である。
【0114】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、対象者はヒトである。
【0115】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、方法は、対象者にRNA複合体を投与するステップの前に:対象者の配列情報を入手するステップ;及び、対象者がTGFBI遺伝子のエキソン4のc.371G>AというSNPを有するアレルと、TGFBI遺伝子のエキソン4のc.371G>AというSNPを有していないアレルとを有することを判定するステップをさらに含む。
【0116】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、対象者の配列情報はTGFBI遺伝子のエキソン4の配列情報で構成される。
【0117】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、対象者の配列情報は、TGFBI遺伝子のエキソン4のうち全部ではなく一部の配列情報を備えている。
【0118】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、対象者の配列情報は、TGFBI遺伝子のエキソン4のc.371G>AというSNPの配列情報のみを備えている。
【0119】
上述又は後述の実施形態のうち各々又はいずれかの一部の実施形態では、対象者の配列情報は、対象者の全ゲノムの配列情報を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0120】
上述の概要、加えて本開示の以降の詳細な説明は、添付の図面と併せて読めば一層よく理解されるであろう。本開示を例証する目的で、図面には現時点で好ましい実施形態が示されている。しかしながら、本開示は示されたそのままの配置構成、実施例及び手段に限定されないことは理解されるべきである。
【0121】
【
図1】
図1A~1Uは、siLUC(
図1A)、NSC4(
図1B)、siRNA1/配列番号1(
図1C)、siRNA2/配列番号2(
図1D)、siRNA3/配列番号3(
図1E)、siRNA4/配列番号4(
図1F)、siRNA5/配列番号5(
図1G)、siRNA6/配列番号6(
図1H)、siRNA7/配列番号7(
図1I)、siRNA8/配列番号8(
図1J)、siRNA9/配列番号9(
図1K)、siRNA10/配列番号10(
図1L)、siRNA11/配列番号11(
図1M)、siRNA12/配列番号12(
図1N)、siRNA13/配列番号13(
図1O)、siRNA14/配列番号14(
図1P)、siRNA15/配列番号15(
図1Q)、siRNA16/配列番号16(
図1R)、siRNA17/配列番号17(
図1S)、siRNA18/配列番号18(
図1T)、及びsiRNA19/配列番号19(
図1U)を使用した、トランスフェクションの24時間後のルシフェラーゼ発現に対する様々な野生型(青色)及び突然変異型(丸の付いた線)のsiRNAの効果について示す図。Dual‐Luciferase(登録商標)レポーターアッセイ(英国サザンプトンのプロメガ(Promega))を、製造業者の説明書に従ってルシフェラーゼの発現を計測するために使用したが、ここで、第1に培地を除去して細胞をPBSで洗浄してからパッシブライシス(passive lysis)バッファー(プロメガ)に置き換え、第2に細胞をプレートシェーカーで15分間振盪して確実に十分に溶解させ、次いでホタル及びウミシイタケ(Renilla)の両方のルシフェラーゼの活性を、LUMIstar OPTIMA(英国エールズベリーのビーエムジーラブテック(BMG Labtech))を使用して順次計測した。
【0122】
【
図2】siRNAの配列について、R124H突然変異を赤色とし、該siRNA配列に導入されたミスマッチには黄色マーカーを付けて示す図。
【0123】
【
図3】様々な長さのsiRNA配列についてsiRNA4を長さ改変の基準として示す図。「5」又は「3」は基準の配列に対してヌクレオチドが付加(+)又は除去(-)された末端を表し、「-n-n」は両末端から除去された塩基対の数を表し、「+n+n」は両末端への付加を表す。
【0124】
【
図4】長さを改変したsiRNAの0.25nM用量における上位5つを示す図。4連での結果を平均して非処理群のウェルに対して標準化した。青色の棒は野生型(wt)TGFBIバリアントのノックダウンを、赤色の棒は疾患を引き起こす突然変異型(mut)のノックダウンを表わしており、標準誤差のバー及びデータの表と共に示されている。
【0125】
【
図5】長さを改変したsiRNAの6.25nM用量における上位5つを示す図。4連での結果を平均して非処理群のウェルに対して標準化した。青色の棒は野生型(wt)アレルのノックダウンを、赤色の棒は疾患を引き起こす突然変異型(mut)アレルのノックダウンを表わしており、標準誤差のバー及びデータの表と共に示されている。
【0126】
【
図6】1nM用量における平均のノックダウンを非処理群のウェルに対して標準化して示す図。4連での結果を平均して非処理群のウェルに対して標準化した。灰色の棒はluc2プラスミドのノックダウンを表わし、標準誤差のバー及びデータの表と共に示されている。
【0127】
【
図7】8連のluc2プラスミドの平均のノックダウンを、非処理群のウェル(0nM)に対して標準化して示す図。使用した用量は0.1nM~10nMである。緑色で示すのは化学的に改変されていないsiLuc‐dTdTの応答曲線であり、紫色でプロットしたのはsiLuc‐mod3の応答である。標準偏差を示すエラーバーも示されている。
【0128】
【
図8】ウシ胎児血清中に見られるヌクレアーゼによって引き起こされるsiRNAバリアントの0~72時間の段階的分解について実証する、同時実施のゲル電気泳動を示す図。安定性アッセイは2連で策定された。
【0129】
【
図9】最終の78時間時点のsiRNAバリアントについて追加のゲル電気泳動のデータを示す図。
【0130】
【
図10】第2候補のsiRNAであるsiRNA11‐ミスマッチ2についての平均ルシフェラーゼ活性を示す図。プロットは8ウェルの平均であり;4連で別々に2回実験を行い、標準誤差のバーを示し、活性は非処理群のウェルに対して標準化した。青色の線は健康な野生型アレルの活性を表わす一方、丸の付いた線は疾患を引き起こす突然変異型アレルの活性を表わす。
【0131】
【
図11】siRNA4(
図11A)、siRNA9(
図11B)、及びsiRNA11(
図11C)についての平均のルシフェラーゼ活性を示す図。グラフはそれぞれ8ウェルの平均を表わし;4連で別々に2回実験を行い、標準誤差のバーを示し、活性は非処理群のウェルに対して標準化した。青色の棒は健康な野生型アレルのノックダウンを表わす一方、丸の付いた橙色の棒は疾患を引き起こす突然変異型アレルのノックダウンを表わす。負の値は、野生型プラスミドに対するノックダウン効果がなかったことを意味する。ミスマッチを有するsiRNAについて、2用量すなわち0.25nM(左パネル)及び6.25nM(右パネル)でスクリーニングした。
【0132】
【
図12】長さを改変したsiRNA4による非処理群と比較した平均のノックダウンを、2つの用量すなわち0.25nM(
図12A)及び6.25nM(
図12B)について示す図。各グラフは4連の平均値に標準誤差のバーを付けて示しており、活性は非処理群のウェルに対して標準化されている。青色の棒は健康な野生型アレル(wt)のノックダウンを示す一方、丸の付いた橙色の棒は疾患を引き起こす突然変異型アレル(mut)のノックダウンを示す。
【発明を実施するための形態】
【詳細な説明】
【0133】
本明細書全体を通じて使用されるように、範囲はその範囲内にある全ての値について述べるための簡易表現として使用されている。範囲内のいずれの値も、その範囲の端の値として選択することができる。加えて、本明細書中で引用された参照文献はすべて、参照によりあらゆる目的においてその全体が本願に組み込まれる。本開示における定義と引用された参照文献における定義とが矛盾する場合には、本開示が優先される。
【0134】
リボ核酸(RNA)は遺伝子の発現において極めて重要な役割を果たす。RNA干渉(RNAi)は、二本鎖RNA(dsRNA)分子が標的遺伝子の転写後の発現をサイレンシング又はノックダウンする生物学的機構である。短鎖干渉RNA(siRNA)は合成のRNAi機構仲介因子である。siRNAは典型的には21~23個の塩基対を含有するdsRNA分子であり、標的遺伝子の発現をサイレンシングするように特別に設計されている。siRNAは、外部から細胞内へと短い形態で(最初からsiRNA二重鎖として)、又は長いdsRNA分子の形態で導入可能であり、長いdsRNA分子は細胞内で(例えばダイサー酵素により)プロセシングを受けてsiRNAに変換される。ダイサー酵素は典型的には3’方向に2ヌクレオチドの突出端を、5’方向にリン酸基を残す。siRNAはその後、RISC‐Ago2酵素複合体によって認識される。siRNA鎖のうちの一方は分解され、アンチセンス鎖は、RISC複合体がサイレンシングを必要とする正しいmRNA配列を見つけるためのガイドとして働く(
図3)。
【0135】
いくつかの実施形態によれば、リボ核酸(RNA)複合体は、配列番号1~19のうちの1つに対して少なくとも80%(例えば80%、82%、84%、85%、86%、88%、90%、92%、94%、95%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を備えた鎖(例えばセンス鎖)を備えている。いくつかの実施形態では、鎖は以下に示すように突然変異部位の近傍に(例えば突然変異部位から3塩基対、5塩基対、又は7塩基対離隔して)1個のヌクレオチドミスマッチを有する。
【0136】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されたRNA複合体は、各々が野生型のTGFBIと比較してTGFBI遺伝子の中の部位に相当する少なくとも1個又は1個の突然変異部位を含んでいる、第1鎖及び第2鎖を含むことができる。典型的なTGFBI突然変異については、Yamazoeら(R124H; doi.org/10.1371/journal.pone.0133397)及びKitamotoら(Nature, Scientific Reports, 2020, vol. 10, Article No. 2000)の文献に記載されており、前記文献は参照によりその全体が援用される。いくつかの実施形態では、第1鎖は、1個の塩基が第2鎖の相対する塩基に対してミスマッチであることを除いて配列番号1~19の配列と同一の配列を含む。いくつかの実施形態では、第1鎖は、1個の塩基が第2鎖の相対する塩基に対してミスマッチであることを除いて配列番号4、9又は11の配列と同一の配列を含む。さらなる実施形態では、ミスマッチである塩基はTGFBIのR124H突然変異部位から3、4、5、6、又は7塩基離れている。さらに別の実施形態では、第1鎖及び第2鎖は各々16~23塩基の長さである。さらに別の実施形態では、RNA複合体はデオキシチミジンの突出端を有する。
【0137】
いくつかの実施形態では、鎖は標的配列に対してミスマッチである2以上のヌクレオチドを有する。いくつかの実施形態では、標的配列に対してミスマッチである2以上のヌクレオチドは連続して配置される。いくつかの実施形態では、標的配列に対してミスマッチである2以上のヌクレオチドは互いに離れて配置される。
【0138】
いくつかの実施形態では、同一度(%)は、鎖の配列の突出端を含めて測定される(例えば、2個のウリジンの突出端が19量体の配列に付加されている場合、同一度は突出端を含む21量体の配列に基づいて測定される)。いくつかの実施形態では、同一度(%)は、鎖の配列の突出端を除いて測定される(例えば、2個のウリジンの突出端が19量体の配列に付加されている場合、同一度は突出端を含まない19量体の配列に基づいて測定される)。
【0139】
いくつかの実施形態では、鎖は配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を備えている。
【0140】
いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端の突出端、又は配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の突出端のうち少なくとも1つを備えている。いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端のシチジン1リン酸(rC)、配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端のウリジン1リン酸‐シチジン1リン酸(rU‐rC)、配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個のウリジン1リン酸(rU‐rU)、配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個のデオキシチミジン1リン酸(dT‐dT)、配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル化グアノシン1リン酸(oG‐oG)、及び配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル‐ウリジン1リン酸(oU‐oU)、のうち少なくとも1つを備えている。
【0141】
いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号23に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を備えた鎖(例えばアンチセンス鎖)をさらに備えている。いくつかの実施形態では、配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列及び配列番号23に対して少なくとも80%の同一性を有する配列は、同じ鎖(例えばヘアピン構造を形成する一本鎖)に位置付けられる。いくつかの実施形態では、配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列及び配列番号23に対して少なくとも80%の同一性を有する配列は、別々の鎖に位置付けられる。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号23の配列を備えた鎖をさらに備えている。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号23の配列で構成された鎖をさらに備えている。
【0142】
いくつかの実施形態では、鎖は配列番号4の配列を備えている。
【0143】
いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号4の配列の5’末端の突出端又は配列番号4の配列の3’末端の突出端のうち少なくとも一方を備えている。いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号4の配列の5’末端のシチジン1リン酸(rC)、配列番号4の配列の5’末端のウリジン1リン酸‐シチジン1リン酸(rU‐rC)、配列番号4の配列の3’末端の2個のウリジン1リン酸(rU‐rU)、配列番号4の配列の3’末端の2個のデオキシチミジン1リン酸(dT‐dT)、配列番号4の配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル化グアノシン1リン酸(oG‐oG)、及び配列番号4の配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル‐ウリジン1リン酸(oU‐oU)、のうち少なくとも1つを備えている。
【0144】
いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号23に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を備えた鎖(例えばアンチセンス鎖)をさらに備えている。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号23の配列を備えた鎖をさらに備えている。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号23の配列で構成された鎖をさらに備えている。
【0145】
いくつかの実施形態では、鎖は配列番号4の配列で構成されている。
【0146】
いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号23に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を備えた鎖(例えばアンチセンス鎖)をさらに備えている。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号23の配列を備えた鎖をさらに備えている。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号23の配列で構成された鎖をさらに備えている。
【0147】
いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を備えている。
【0148】
いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端の突出端、又は配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の突出端のうち少なくとも1つを備えている。
【0149】
いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端のアデノシン1リン酸(rA)、配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端のウリジン1リン酸‐アデノシン1リン酸(rU‐rA)、配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個のウリジン1リン酸(rU‐rU)、配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個のデオキシチミジン1リン酸(dT‐dT)、配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2’‐O‐メチル化されたシチジン1リン酸‐ウリジン1リン酸(oC‐oU)、及び配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル‐ウリジン1リン酸(oU‐oU)、のうち少なくとも1つを備えている。
【0150】
いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号30に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を備えた鎖(例えばアンチセンス鎖)をさらに備えている。いくつかの実施形態では、配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列及び配列番号30に対して少なくとも80%の同一性を有する配列は、同じ鎖(例えばヘアピン構造を形成する一本鎖)に位置付けられる。いくつかの実施形態では、配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列及び配列番号30に対して少なくとも80%の同一性を有する配列は、別々の鎖に位置付けられる。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号30の配列を備えた鎖をさらに備えている。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号30の配列で構成された鎖をさらに備えている。
【0151】
いくつかの実施形態では、鎖は配列番号11の配列を備えている。
【0152】
いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号11の配列の5’末端の突出端、又は配列番号11の配列の3’末端の突出端のうち少なくとも一方を備えている。いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号11の配列の5’末端のアデノシン1リン酸(rA)、配列番号11の配列の5’末端のウリジン1リン酸‐アデノシン1リン酸(rU‐rA)、配列番号11の配列の3’末端の2個のウリジン1リン酸(rU‐rU)、配列番号11の配列の3’末端の2個のデオキシチミジン1リン酸(dT‐dT)、配列番号11の配列の3’末端の2’‐O‐メチル化されたシチジン1リン酸‐ウリジン1リン酸(oC‐oU)、及び配列番号11の配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル‐ウリジン1リン酸(oU‐oU)、のうち少なくとも1つを備えている。
【0153】
いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号30に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を備えた鎖をさらに備えている。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号30の配列を備えた鎖をさらに備えている。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号30の配列で構成された鎖をさらに備えている。
【0154】
いくつかの実施形態では、鎖は配列番号11の配列で構成されている。
【0155】
いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号30に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を備えた鎖(例えばアンチセンス鎖)をさらに備えている。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号30の配列を備えた鎖をさらに備えている。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号30の配列で構成された鎖をさらに備えている。
【0156】
いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を備えている。
【0157】
いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端の突出端、又は配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の突出端のうち少なくとも一方を備えている。いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端のグアノシン1リン酸(rG)、配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端の2個のグアノシン1リン酸(rG‐rG)、配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個のウリジン1リン酸(rU‐rU)、配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個のデオキシチミジン1リン酸(dT‐dT)、配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2’‐O‐メチル化されたグアノシン1リン酸‐シチジン1リン酸(oG‐oC)、及び配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル‐ウリジン1リン酸(oU‐oU)、のうち少なくとも1つを備えている。
【0158】
いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号35に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を備えた鎖をさらに備えている。いくつかの実施形態では、配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列及び配列番号35に対して少なくとも80%の同一性を有する配列は、同じ鎖(例えばヘアピン構造を形成する一本鎖)に位置付けられる。いくつかの実施形態では、配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列及び配列番号35に対して少なくとも80%の同一性を有する配列は、別々の鎖に位置付けられる。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号35の配列を備えた鎖をさらに備えている。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号35の配列で構成された鎖をさらに備えている。
【0159】
いくつかの実施形態では、鎖は配列番号16の配列を備えている。
【0160】
いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号16の配列の5’末端の突出端、又は配列番号16の配列の3’末端の突出端のうち少なくとも一方を備えている。いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号16の配列の5’末端のグアノシン1リン酸(rG)、配列番号16の配列の5’末端の2個のグアノシン1リン酸(rG‐rG)、配列番号16の配列の3’末端の2個のウリジン1リン酸(rU‐rU)、配列番号16の配列の3’末端の2個のデオキシチミジン1リン酸(dT‐dT)、配列番号16の配列の3’末端の2’‐O‐メチル化されたグアノシン1リン酸‐シチジン1リン酸(oG‐oC)、及び配列番号16の配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル‐ウリジン1リン酸(oU‐oU)のうち少なくとも1つを備えている。
【0161】
いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号35に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を備えた鎖をさらに備えている。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号35の配列を備えた鎖をさらに備えている。
【0162】
いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号35の配列で構成された鎖をさらに備えている。いくつかの実施形態では、鎖は配列番号16の配列で構成されている。
【0163】
いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号35に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を備えた鎖(例えばアンチセンス鎖)をさらに備えている。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号35の配列を備えた鎖をさらに備えている。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号35の配列で構成された鎖をさらに備えている。
【0164】
いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号9に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を備えている。
【0165】
いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号9に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端の突出端、又は配列番号9に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の突出端のうち少なくとも一方を備えている。
【0166】
いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号9に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端のグアノシン1リン酸(rG)、配列番号9に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端のウリジン1リン酸‐グアノシン1リン酸(rU‐rG)、配列番号9に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個のウリジン1リン酸(rU‐rU)、配列番号9に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個のデオキシチミジン1リン酸(dT‐dT)、配列番号9に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2’‐O‐メチル化されたアデノシン1リン酸‐グアノシン1リン酸(oA‐oG)、及び配列番号9に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル‐ウリジン1リン酸(oU‐oU)のうち少なくとも1つを備えている。
【0167】
いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号25に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を備えた鎖をさらに備えている。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号25の配列を備えた鎖をさらに備えている。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号25の配列で構成された鎖をさらに備えている。
【0168】
いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号9の配列を備えている。
【0169】
いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号9の配列の5’末端の突出端、又は配列番号9の配列の3’末端の突出端のうち少なくとも一方を備えている。
【0170】
いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号9に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端のグアノシン1リン酸(rG)、配列番号9に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端のウリジン1リン酸‐グアノシン1リン酸(rU‐rG)、配列番号9に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個のウリジン1リン酸(rU‐rU)、配列番号9に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個のデオキシチミジン1リン酸(dT‐dT)、配列番号9に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2’‐O‐メチル化されたアデノシン1リン酸‐グアノシン1リン酸(oA‐oG)、及び配列番号9に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル‐ウリジン1リン酸(oU‐oU)のうち少なくとも1つを備えている。
【0171】
いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号25に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を備えた鎖をさらに備えている。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号25の配列を備えた鎖をさらに備えている。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号25の配列で構成された鎖をさらに備えている。
【0172】
いくつかの実施形態では、鎖は配列番号9の配列で構成されている。
【0173】
いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号25に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を備えた鎖をさらに備えている。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号25の配列を備えた鎖をさらに備えている。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、配列番号25の配列で構成された鎖をさらに備えている。
【0174】
いくつかの実施形態によれば、リボ核酸(RNA)複合体は、配列番号20~38のうち1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を備えた鎖(例えばアンチセンス鎖)を備えている。
【0175】
いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号23に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を備えている。いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号23に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端の突出端、又は配列番号23に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の突出端のうち少なくとも一方を備えている。
【0176】
いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号30に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を備えている。いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号30に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端の突出端、又は配列番号30に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の突出端のうち少なくとも一方を備えている。
【0177】
いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号35に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を備えている。いくつかの実施形態では、鎖は、配列番号35に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端の突出端、又は配列番号35に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の突出端のうち少なくとも一方を備えている。
【0178】
いくつかの実施形態によれば、リボ核酸(RNA)複合体は、トランスフォーミング増殖因子ベータ誘導(TGFBI)タンパク質のメッセンジャーRNA(mRNA)の配列と重複する配列を有する鎖であって、TGFBI遺伝子のエキソン4のc.371G>Aという一塩基多型(SNP)に対応する位置にアデニンを含んでいる鎖を、備えている。
【0179】
いくつかの実施形態では、RNA複合体は短鎖干渉RNA二重鎖を備えている。いくつかの実施形態では、RNA複合体は短鎖干渉RNA二重鎖である(例えば、RNA複合体は、30量体よりも短いセンス鎖及び30量体よりも短いアンチセンス鎖を備えた二本鎖RNA構造を有する)。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、24量体よりも短いセンス鎖及び24量体よりも短いアンチセンス鎖を備えた二本鎖RNA構造を有する。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、18量体よりも長いセンス鎖及び18量体よりも長いアンチセンス鎖を備えた二本鎖RNA構造を有する。
【0180】
いくつかの実施形態では、RNA複合体は、短鎖干渉RNA二重鎖を形成するために構成された二本鎖RNA複合体を備えている(例えば、RNA複合体は、少なくとも1つの鎖が30量体よりも長い二本鎖RNA構造を有する)。いくつかの実施形態では、RNA複合体は、両方の鎖が30量体よりも長い、場合によっては50量体又は100量体よりも長い、二本鎖RNA構造を有する。
【0181】
いくつかの実施形態では、RNA複合体はRNAヘアピンを備えている。例えば、RNA複合体は、同じ一本の鎖にセンス鎖の配列及びアンチセンス鎖の配列を含んでいる一本鎖によって形成されてもよい。
【0182】
上記に説明されたように、細胞内にあるダイサー酵素は二本鎖RNA複合体又はRNAヘアピンを開裂してsiRNA二重鎖を提供することができる。
【0183】
いくつかの実施形態によれば、対象者の顆粒状角膜変性症2型を予防、改善、又は治療する方法は、対象者に対して本明細書中に記載された任意のRNA複合体を投与するステップを含む。例えば、RNA複合体は、lipofectamine(登録商標)、リン酸カルシウム、又はカチオン性脂質のようなトランスフェクション試薬によって細胞内に送達可能である。別例として、RNA複合体は電気穿孔法を使用して細胞内に送達されてもよい。場合によっては、RNA複合体はウイルス感染(例えばアデノウイルス、レトロウイルス、又はその他のウイルスベクターを使用)によって送達される。他のいくつかの場合には、RNA複合体を送達するためにナノ粒子が使用されてもよい。
【0184】
いくつかの実施形態では、投与するステップは対象者にRNA複合体を注射することを含む。例えば、RNA複合体を含有する溶液が実質内注射によって提供される。
【0185】
いくつかの実施形態では、投与するステップは、RNA複合体を含有する溶液を対象者に施用することを含む。例えば、RNA複合体を含有する点眼剤が、眼内にRNA複合体が吸収されるように眼に対して施用されてもよい。
【0186】
いくつかの実施形態では、投与するステップは、RNA複合体を、トランスフォーミング増殖因子ベータ誘導(TGFBI)遺伝子のエキソン4のc.371G>Aという一塩基多型(SNP)を有しているデオキシリボ核酸(DNA)分子を含有及び発現している細胞に導入することを含む。例えば、該細胞が、GCD2の原因となる突然変異型TGFBIタンパク質を生産する突然変異型アレルを含有していてもよい。
【0187】
いくつかの実施形態では、対象者は脊椎動物である。いくつかの実施形態では、対象者はヒトである。
【0188】
いくつかの実施形態では、該方法はさらに、対象者にRNA複合体を投与するステップの前に、対象者の配列情報を入手するステップ;及び、対象者がTGFBI遺伝子のエキソン4のc.371G>AというSNPを有するアレルと、TGFBI遺伝子のエキソン4のc.371G>AというSNPを有していないアレルとを有することを判定するステップを含む。この場合、対象者がGCD2の突然変異型アレルを有するという診断情報により、GCD2の突然変異型アレルを有していない患者を本明細書中に記載のRNA複合体で治療することを回避又は低減することができる。加えて、対象者が野生型アレルも有しているという診断情報は、その対象者が、実施すればTGFBIタンパク質が生産されないTGFBI遺伝子の完全なサイレンシング(例えば両方のアレルのサイレンシング)に伴う何らかの悪影響を経験する可能性が低いことを示す。
【0189】
いくつかの実施形態では、対象者の配列情報はTGFBI遺伝子のエキソン4の配列情報で構成される。
【0190】
いくつかの実施形態では、対象者の配列情報は、TGFBI遺伝子のエキソン4のうち全部ではなく一部の配列情報を備えている。
【0191】
いくつかの実施形態では、対象者の配列情報は、TGFBI遺伝子のエキソン4のc.371G>AのSNPの配列情報のみを備えている。いくつかの実施形態では、TGFBI遺伝子のエキソン4のc.371G>AのSNPの配列情報は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイ(例えばリアルタイムPCRアッセイ)のような、点突然変異を検出する方法によって得られる。
【0192】
いくつかの実施形態では、対象者の配列情報は、対象者の全ゲノムの配列情報を備えている。
【実施例】
【0193】
実施例1:siRNAの設計
<方法及び材料>
R124H突然変異を含有する可能な全ての配列をスクリーニングするために、合計19種のsiRNAを合成した(ドイツ連邦共和国エーバースベルクのユーロフィンズ・エムダブリュジー・オペロン(Eurofins MWG Operon))。siRNAはそれぞれ19ヌクレオチドに2個の3’デオキシチミジンヌクレオチド突出端を備えて構成された。対照として、それぞれ特異的効果を持たないように、及びルシフェラーゼの発現を阻害するように作用する、非特異的なsiRNA及びルシフェラーゼsiRNAも設計した。
【表1】
【表2】
【0194】
NSC4のセンス配列は5’‐UAGCGACUAAACACAUCAAUU‐3’(配列番号39のβ‐ガラクトシダーゼ逆配列にウラシル2個の突出端を備えたもの)であり、siLUCのセンス鎖は5’‐GUGCGUUGCUAGUACCAACUU‐3’(配列番号40にウラシル2個の突出端を備えたもの)である(両方ともユーロフィンズ・エムダブリュジー・オペロンにより合成された)。NSC4のアンチセンス配列(配列番号41を備えている)及びsiLUCのアンチセンス配列(配列番号42を備えている)も表3に示す。
【表3】
【0195】
<細胞培養>
AD293ヒト胎児腎細胞(ライフ・テクノロジーズ(Life Technologies))を、10%ウシ胎児血清(インビトロジェン)が添加されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(英国ペイズリーのインビトロジェン(Invitrogen))で培養した。
【0196】
<Dual Luciferaseレポーターアッセイ>
siRNAのスクリーニング用に、AD293細胞を、トランスフェクションの24時間前に6.5×103個/ウェルとして96ウェルプレートに播種した。Lipofectamine2000(インビトロジェン)を使用して製造業者の説明書に従って細胞をトランスフェクションした。細胞を、突然変異型及び野生型のTGFBI及びホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ発現構築物、及び濃度0~6.25nMの突然変異特異的siRNA(いずれもOptiMEM(登録商標)(インビトロジェン)で希釈した)を用いて4連でトランスフェクションした。非特異的対照siRNA(NSC4)、及びベクターのルシフェラーゼ部分を標的とするsiLUC対照も、突然変異特異的なsiRNAと同じ濃度でトランスフェクションした。
【0197】
Dual‐Luciferaseレポーターアッセイ(英国サザンプトンのプロメガ)を使用して、トランスフェクションの24時間後にルシフェラーゼの発現に対するsiRNAの効果を計測した。アッセイは製造業者の説明書に従って利用され、すなわち、培地を取り除き、細胞をPBSで洗浄した後にパッシブライシス(passive lysis)バッファー(プロメガ)に置き換えた。細胞をプレートシェーカーで15分間振盪して十分な溶解を確実とし、その後ホタル及びウミシイタケのルシフェラーゼ両方の活性を、LUMIstar OPTIMA(英国エールズベリーのビーエムジーラブテック)を使用して順次計測した。
【0198】
<結果>
図1は、様々な構築物についてのルシフェラーゼの活性を示す。各パネルに示す結果は、4連で別々に2回の実施に相当する8ウェルの平均に基づいている。siRNA1の結果は配列番号1を使用して得られ、siRNA2の結果は配列番号2を使用して得られ、siRNA3の結果は配列番号3を使用して得られ、siRNA4の結果は配列番号4を使用して得られ、siRNA5の結果は配列番号5を使用して得られ、siRNA6の結果は配列番号6を使用して得られ、siRNA7の結果は配列番号7を使用して得られ、siRNA8の結果は配列番号8を使用して得られ、siRNA9の結果は配列番号9を使用して得られ、siRNA10の結果は配列番号10を使用して得られ、siRNA11の結果は配列番号11を使用して得られ、siRNA12の結果は配列番号12を使用して得られ、siRNA13の結果は配列番号13を使用して得られ、siRNA14の結果は配列番号14を使用して得られ、siRNA15の結果は配列番号15を使用して得られ、siRNA16の結果は配列番号16を使用して得られ、siRNA17の結果は配列番号17を使用して得られ、siRNA18の結果は配列番号18を使用して得られ、siRNA19の結果は配列番号19を使用して得られた。
【0199】
図1は、配列番号4、11、及び16が、野生型アレル(WT)の発現を維持する一方で突然変異型アレル(MUT)の発現を抑制することを示している。よって、いくつかの実施形態では、突然変異型アレルの発現を抑制するために配列番号4が使用される。いくつかの実施形態では、突然変異型アレルの発現を抑制するために配列番号11が使用される。いくつかの実施形態では、突然変異型アレルの発現を抑制するために配列番号16が使用される。
図1はさらに、配列番号9が強力なノックダウン効果を有することを示している。よって、いくつかの実施形態では、突然変異型アレルの発現を抑制するために配列番号9が使用される。
実施例2:R124H突然変異部位近傍への1個のヌクレオチドミスマッチの付加によるアレル特異性の改善及び候補siRNAの長さの改変による能力の改善
【0200】
TGFBI R124H siRNAの識別力を改善するために、R124H突然変異を含有する19種の可能な配列全てを用いた遺伝子ウォーキング研究で事前に発見された、高いアレル特異性及び活性(突然変異型アレルのノックダウン)を備えた上位2候補であるsiRNA4及びsiRNA11、並びに全体的には能力が最も高いが強いアレル特異性を欠くもう1つの候補(siRNA9)を改変することにより、新たなミスマッチsiRNAを設計した。ミスマッチsiRNAは、R124H突然変異部位から3bp及び5~7bp離れておりかつsiRNAのシード領域内に追加のミスマッチヌクレオチド(誤った対合)を含有するものとした(
図2)。全てのsiRNAsが、デオキシチミジンの突出端(dT‐dT)を備えた19ヌクレオチド二重鎖で構成された(ドイツ連邦共和国エーバースベルクのユーロフィンズ・エムダブリュジー・オペロン)。
【0201】
加えて、上位3つの候補siRNA(siRNA4、siRNA11及びsiRNA16)を併用混合してトランスフェクションし、突然変異型プラスミドの全体的なノックダウンが向上するかどうかを確認した。事前のデータからは、転写物内の複数の領域を標的とするsiRNA配列混合物がオフターゲット効果の低減に有益かもしれないことが示唆された。最後に、最良の候補siRNAを、
図3に示されるように16bpから23bpまで様々に改変された長さを有するように再設計した。siRNAの有効性に対する長さの潜在的な影響を確認するために、5’末端又は3’末端のいずれかにおいてヌクレオチドをさらに付加又は除去した。
【0202】
<方法及び材料>
ヒトAD293細胞を、10%ウシ胎児血清(インビトロジェン)を添加したDMEM(英国ペイズリーのインビトロジェン)で培養した。siRNAのスクリーニング用に、AD293細胞を、トランスフェクションの24時間前に6.5×103個/ウェルとして96ウェルプレートに播種した。細胞を、Lipofectamine2000試薬(インビトロジェン)を使用して製造業者の説明書に従ってトランスフェクションした。細胞を、TGFBI‐ルシフェラーゼの野生型又は突然変異型プラスミドを用いて4連でトランスフェクションし、細胞トランスフェクションの内部標準用のウミシイタケルシフェラーゼ発現構築物、及び被験物の突然変異特異的siRNAを、同時にトランスフェクションした。この研究では、現時点で最も強力な候補と、そのバリアントであって配列内に追加のミスマッチヌクレオチドを含有するものとの間の差を確認することを目標とした。アッセイは、OptiMEM(インビトロジェン)で希釈して調製された2用量の各siRNAについて実施し、使用した濃度は以下すなわち0nM(非処理)、0.25nM(低用量)及び6.5nM(高用量)とした。同じ方法論を、候補siRNAの長さの改変についての評価にも使用した。
【0203】
対照として、非特異的なsiRNA(NSC4)及びベクターのルシフェラーゼ部分を標的とするsiRNA(siLUC)も、突然変異特異的siRNAsと同じ濃度でトランスフェクションした。対照のsiRNAは、それぞれ、非特異的な効果を持たないように(NSC4)、及びTGFBI発現構築物に組み込まれたルシフェラーゼレポーターの発現を阻害するように(siLUC)、設計した。NSC4のセンス配列は5’‐UAGCGACUAAACACAUCAAUU‐3’(β‐ガラクトシダーゼ逆配列)であり、siLUCのセンス鎖は5’‐GUGCGUUGCUAGUACCAACUU‐3’である(いずれもユーロフィンズ・エムダブリュジー・オペロンにより合成された)。
【0204】
Dual‐Luciferaseレポーターアッセイ(英国サザンプトンのプロメガ)を使用して、トランスフェクションの24時間後にTGFBI‐ルシフェラーゼの発現に対するsiRNAの効果を計測した。アッセイは製造業者の説明書に従って利用され;すなわち、簡潔に述べると、培地を取り除き、細胞をPBSで洗浄した後にパッシブライシスバッファー(プロメガ)に置き換えた。細胞をプレートシェーカーで15分間振盪して十分な溶解を確実とし、その後ホタル及びウミシイタケのルシフェラーゼ両方の活性を、LUMIstar OPTIMA(英国エールズベリーのビーエムジーラブテック)を使用して順次計測した。結果を非処理のウェル(0nMのsiRNA)に対して標準化し、平均ノックダウンを計算して標準誤差のバーを含めた。
【0205】
<ミスマッチヌクレオチドを備えたsiRNAについての結果>
未改変のsiRNA4、siRNA9及びsiRNA11は、低用量・高用量を問わず突然変異型アレルの強いノックダウンを示すことが確認された(表4)。siRNAを併せた試料には、TGFBI R124Hのサイレンシングに対する好ましい効果がなく、アレル特異的なターゲティングには非常に厳密な設計が必要であることから個々のsiRNA配列を使用するほうがより良好な結果が生じるであろうことが示唆された。
【0206】
追加のミスマッチヌクレオチドが導入された場合に、アレル特異性が改善された。一般に、ミスマッチsiRNAは野生型アレルと突然変異型アレルとの間の識別力により優れていることが観察された。siRNA11のミスマッチ型は突然変異型アレルのみを標的とし、突然変異部位から5bp離れた部位のミスマッチ(siRNA11‐ミスマッチ2)が最も強力であった。siRNA9のバリアントはいずれも野生型アレルに対する効果を全く又はほとんど示さなかった(特異性が改善された)が、突然変異型アレルのノックダウンが低減された。siRNA4の配列へのミスマッチヌクレオチドの導入は改善を示さなかった(siRNA4‐ミスマッチ1)。したがって、両方の選択肢(siRNA4及びsiRNA11‐ミスマッチ2)についてさらに検討し、結果を
図10~12に示し、かつ表4にまとめた。表4は、試験したミスマッチ導入型の全てのsiRNAの平均ノックダウンを、野生型(wt)及び突然変異型(mut)アレルのノックダウンの差と共に示しており、負のノックダウン値はwt及びmutのノックダウンの差を計算するために0に丸めてある。
【表4】
【0207】
結果に基づくと、低用量及び高用量において最も高いノックダウンを示し、加えて野生型及び突然変異型のアレル間の最も高い識別を実証していることから、siRNA4が最良の候補であると同定され、したがってsiRNA4が潜在的に最も優れた治療可能性を有するであろうことが示された。
【0208】
<長さを改変したsiRNA4についての結果>
siRNAの有効性に対する長さの潜在的効果について確認するために、siRNA4を16bp~23bpの様々に改変された長さを備えるように再設計した。基本のsiRNA4の長さが変更されると、効果は著しく変化した。試験した長さ改変siRNAの平均ノックダウンについて野生型(wt)及び突然変異型(mut)のアレルのノックダウンの差も含めて示す表5に見られるように、大多数のsiRNAはその効力又はアレル特異性が低下した(表中、負のノックダウン値はwt及びmutのノックダウンの差を計算するために0に丸めてあり、最高の力を発揮した上位5つのsiRNAは強調表示されている)。しかしながら、いくつかの配列は改変前の候補と同様の活性を示した。
【0209】
図4及び5は、低用量(0.25nM)及び高用量(6.25nM)において最高の力を発揮した上位5つのsiRNA、すなわちsiRNA4-5+1、siRNA4-5+2、siRNA4-5+3、siRNA4-3+1、siRNA4-5-1を示す。これらのsiRNAのうち、siRNA4-5+1が最高の効力を示してmutは低用量で81%及び高用量で84%ノックダウンされたが、アレルの識別については、siRNA4-5+1によってwtの25%(低用量)及び23%(高用量)がノックダウンされたので、wtについて13%/22%のノックダウンを示したsiRNA4と比較して負の影響がもたらされた。加えて、siRNA4-5-1は低用量では優れた効力を示したが、用量を6.25nMに上げてしまうとアレルの識別が損なわれてwtの46%がノックダウンされた(
図10~12)。
【表5】
【0210】
この結果に基づくと、siRNA4は、低用量及び高用量において最も高いノックダウンを示し、加えて野生型及び突然変異型アレルの間の最も高い識別力を示すことから最良の候補であると特定され、したがってsiRNA4は潜在的に最も優れた治療可能性を有するであろうことが示された。siRNA11‐ミスマッチ2は、配列4よりも能力がわずかに低いにもかかわらずこのsiRNAが健康な野生型アレルには影響を及ぼさなかった(
図10~12)ので、代替候補として特定された。
【0211】
siRNA4の配列の長さが変更されると、その活性及び特異性に対する様々な影響が観察された。siRNA4-5+1は、より優れた能力を示した一方で野生型と突然変異型との間の違いがsiRNA4と同様のままであったが、長さが伸びることにより、意図せぬ経路に対して害になる効果を有する可能性のあるオフターゲットの可能性が高まることが考えられた。siRNA4-5+1は、in vivoでの適用のためさらなる能力が必要な場合のsiRNA4候補に対する実現可能な代案とすることも考えられる。とはいえ、19ntの標準的なsiRNA設計物について既に最適化されている化学的改変のための新たな設計物も必要であろう。
【0212】
実施例3:siRNAの活性及び血清中安定性に対する化学的改変設計の効果
siRNAの化学的改変の重要な側面は、siRNAの薬らしい面を洗練することにより治療法におけるその有用性を改善することである。薬らしい面には、全体的な安定性(ヌクレアーゼ分解に対する抵抗性)、遺伝子サイレンシング効果の持続、特異性の増大及び細胞毒性の低減が挙げられる。この有用性の改善を達成するために、様々な改変を施し、かつ該siRNA分子のアレル特異性及び安定性に対する化学的改変の効果を比較することによりアベリノ角膜変性症という観点で実験的に検証することが考えられる。遺伝子ウォーキング由来のsiRNA候補の効力をさらに高めるために、3つの可能な改変候補を選んだ。
【0213】
siRNA分子の活性及び安定性に対する化学的改変設計の効果について調査した。ルシフェラーゼを標的とするsiRNA(siLuc)を選択したが、その理由は、(a)ルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現が迅速に検出されること、(b)プラスミドを介して細胞内で、及び遺伝子改変された生物発光レポーターマウスの中で生得的に発現させることが可能なルシフェラーゼと同じsiLuc配列を使用してin vivo及びin vitroの両方で実験を実施することが可能なこと、である。文献検索を実施して、候補siRNAの総合的性能を改善する可能性のある化学的改変、すなわちsiLuc‐mod1、siLuc‐mod2、siLuc‐mod3を見出した。これらを、dTdT突出端又はrNrN突出端のいずれかを含有する未改変のsiRNA配列と比較した。最も効果的なパターンを、最も優れたアレル特異的な候補siRNAに適用した。
【0214】
<方法及び材料:化学的改変siRNAの設計>
≪siLuc‐未改変≫ これは、19bp及び各鎖にdTdT突出端を含んだ標準的な設計であった。このsiRNAを基準として用い、3つの異なる化学的改変siRNAを比較した。
【0215】
≪siLuc‐rNrN≫ 19bpそのままのsiRNAにrNrN突出端を備えたこのバリアントは、dTdT突出端によってもたらされるヌクレアーゼ抵抗性を検査するために加えられた。センス鎖ではGGヌクレオチドが突出端として付加された一方、アンチセンス鎖ではUCヌクレオチドが付加されたが、どちらもluc2の遺伝子配列と一致する。
【0216】
≪siLuc‐mod1:改変を最小限としたsiRNA≫ この設計には、(1)RNAi活性を阻害してセンス鎖が関与するオフターゲット効果を防止する、一連の繰り返される2’‐OMeを有する(ヌクレオシドのリボース部分の2’水酸基にメチル基が付加された)センス鎖;(2)ガイド鎖の以下の位置すなわち(a)オフターゲット効果を低減するためにシード領域に、及び(b)ヌクレアーゼから鎖を保護するために3’末端に、付加される追加の2’‐OMe;並びに(3)ヌクレアーゼによる分解からsiRNAをさらに保護するために含まれるdTdT突出端、が含まれた。
【0217】
≪siLuc‐mod2:最大限改変された非対称siRNA≫ この設計には、(1)センス鎖がRISCに取り込まれるのを防止し、従って全てのセンス鎖のオフターゲット効果を防止する、15bpに短縮されたセンス鎖;(2)アンチセンス鎖上への、2’‐OMe(2’‐O‐メチル‐リボヌクレオチド)及び2’‐F(2’‐デオキシ‐2’‐フルオロ‐リボヌクレオチド)が交互になったパターンの適用であって、最良のパターンではほとんどのピリミジンが2’‐F‐RNAで置換されるもの;(3)センス鎖上への、2’‐OMe及び2’‐Fの交互パターンの適用であって、例えば(a)MFMFMF<センス鎖及び(b)FMFMFM<アンチセンス鎖のように最初に異なる修飾で始まるもの;(4)アンチセンス鎖の5’末端の、5’‐リン酸の復活;並びに(5)両方の鎖の3’末端及び5’末端へのホスホロチオエート結合(*)の付加、が含まれた。
【0218】
≪siLuc‐mod3:文献探索に基づいた部分的な改変≫ この設計には、(1)パッセンジャー鎖をブロックしてRISCによるアンチセンス鎖の取り込みを促進することによりオフターゲット効果を低減する、センス鎖の5’末端の2個の2’‐OMeユニット;(2)siRNAの特異性を改善し、mRNAの3’UTRへのシード領域の相同性に関係するオフターゲット効果を低減する(miRNA経路への関与を阻止する)、ガイド鎖の5’末端から2番目の位置の単一の2’‐OMe;(3)免疫賦活作用を低減する、センス鎖のU残基又はG残基のいずれか(9位のもの以外)における少なくとも2個の2’‐OMe修飾の組み込み;(4)アンチセンスのdTdT突出端を安定させるための該突出端への3’‐エキソヌクレアーゼ安定性を改善するPS結合の導入と、これとは対照的にセンス鎖に単純なdTdTを残してパッセンジャー鎖を不安定化して免疫賦活作用を維持すること;並びに(5)アンチセンス鎖のすべてのピリミジンの2’F‐RNAユニットによる置き換え(最初のヌクレオチドが5’末端にある場合、5’Pを復活させる)、が含まれた。
【0219】
<Dual‐luciferaseレポーターアッセイ>
ヒトAD293細胞を、10%ウシ胎児血清(インビトロジェン)を添加したDMEM(英国ペイズリーのインビトロジェン)で培養した。化学的改変のスクリーニング用に、AD293細胞を、トランスフェクションの24時間前に6.5×103個/ウェルとして96ウェルプレートに播種した。細胞を、Lipofectamine2000試薬(インビトロジェン)を使用して製造業者の説明書に従ってトランスフェクションした。細胞を、luc2プラスミドを用いて4連でトランスフェクションし、細胞トランスフェクションの内部標準用のウミシイタケルシフェラーゼ発現構築物、及び被験物の化学的に改変されたsiRNAを、同時にトランスフェクションした。実験は、siRNAへの化学的改変の付加によって引き起こされる何らかのノックダウンの低下を特定することを目標とした。アッセイは2つの濃度すなわち0nM(非処理)及び1nMで実施した。
【0220】
Dual‐Luciferaseレポーターアッセイ(英国サザンプトンのプロメガ)を使用して、トランスフェクションの24時間後にluc2の発現に対するsiRNAの効果を計測した。アッセイは製造業者の説明書に従って使用した;簡潔に述べると、培地を取り除き、細胞をPBSで洗浄した後にパッシブライシスバッファー(プロメガ)に置き換えた。細胞をプレートシェーカーで15分間振盪して十分な溶解を確実とし、その後ホタル及びウミシイタケのルシフェラーゼ両方の活性を、LUMIstar OPTIMA(英国エールズベリーのビーエムジーラブテック)を使用して順次計測した。結果を非処理のウェル(0nM siRNA)に対して標準化し、平均ノックダウンを計算して標準誤差のバーを含め、さらに結果を未改変のsiLuc siRNAと比較した場合のノックダウンの相対的な差として示した。
【0221】
<siRNA安定性アッセイ>
siRNA安定性アッセイを使用してsiRNAのヌクレアーゼに対する抵抗性及び安定性を計測した。4μgのsiRNAを(20μLのヌクレアーゼ非含有水の中に)含有するストックをウシ胎児血清(インビトロジェン)に添加して100μlの全体積に対して80%FBSとし、試料を37Cに一定させてインキュベートした。使用した時点は以下すなわち0、0.5、1、2、4、6、24、48、72、及び78時間とした。5μlのアリコートを各時点で採取し(200ng相当)、6×ローディングバッファーに加え、続いてドライアイス上で瞬間凍結させ、-80Cで保管した。アリコートを、2%TBEアガロースゲルを用いた100Vで20分間のゲル電気泳動を使用して分析した。
【0222】
<結果>
未改変のsiLucは、使用した3’突出端の種類(dTdT又はnNrN)にかかわらずルシフェラーゼ発現の顕著なノックダウンを引き起こした(
図3)。siLuc‐mod1の化学的改変によりsiRNAは不活化され、したがってノックダウンは観察されなかった。対してsiLuc‐mod2は性能が損なわれ、未改変のsiRNAより27%低い平均ノックダウンを示した。最後に、siLuc‐mod3は全ての化学的改変バリアントの中で最も優れた性能を示し、未改変のsiLucと比較した場合に最小のノックダウン低下は1%未満、最大のノックダウン低下は18%、全体で平均10%低い活性を備えていた。siLuc‐mod3及び未改変のsiLuc‐dTdTの完全な力価測定についても分析し、化学的改変が配列に適用されると一貫して悪影響があり、1nMより高い用量及び0.1nM用量において重なり始めることが実証された(
図7)。この活性のわずかな差は、siRNAの濃度が0.1~10nMに固定されているというトランスフェクション条件の一方で配列各々の分子量は変化した(未改変のsiLuc‐dTdTは13345g/molであり、siLuc‐mod3は13563g/molである)結果であるとも考えられる。
【0223】
いくつかの化学的改変は、siRNAの安定性を高めることが観察された(
図8)。rNrNは6時間以内にほぼ完全に分解し、よってdTdT突出端を備えたsiRNA及び化学的に改変されたバリアントほどは安定でないことを示した。6時間のインキュベーション後には標準設計(siLuc‐dTdT)の分解されていないsiRNAがごく少量だけ検出されたが、この配列は24時間で完全に分解された。24時間の時点で、siLuc2‐mod1は分解されずに残っているsiRNAがごく少量だけであることを示したので、2’OMeのみを用いた部分的な化学的改変はヌクレアーゼ抵抗性に対してほとんど効果がなかった。対照的に、最大限改変されたsiLuc2‐mod2は0~24時間では安定性を示した一方、48~72時間では量が減り始めた。しかしながら、この化学的改変はノックダウンについてかなりの相対的低下を引き起こし、siLuc‐mod3よりも劣る候補となってしまうと結論された。最も性能が優れたバリアントはsiLuc‐mod3であり、24時間まで強い安定性を示し、48~72時間ではより少ない量のsiRNAが安定なsiRNAのままであった。78時間の時点を追加して別のアガロースゲルで視覚化すると、siLuc‐mod2及びsiLuc‐mod3の両方が未分解のsiRNAをわずかに残していてsiLuc‐mod3のほうがより多く、従って最も安定性が高いことを示していることが実証された(
図9)。
【0224】
結果に基づくと、最も性能が優れた化学的改変物はsiLuc‐mod3であることが確認され、siLuc‐mod3は、配列への化学的改変の導入により引き起こされるサイレンシング活性の低下を最小限としつつ顕著に改善された安定性を示した。よって、いくつかの実施形態では、この化学的改変がTGFBI‐R124H siRNA候補に対して適用される。
【0225】
[実施形態]
実施形態1。配列番号1~19のうち1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む鎖を含んでいるリボ核酸(RNA)複合体。
【0226】
実施形態2。鎖は配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0227】
実施形態3。鎖は、配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端の突出端、又は配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の突出端のうち少なくとも一方を備えている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0228】
実施形態4。鎖は、配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端のシチジン1リン酸(rC)、配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端のウリジン1リン酸‐シチジン1リン酸(rU‐rC)、配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個のウリジン1リン酸(rU‐rU)、配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個のデオキシチミジン1リン酸(dT‐dT)、配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル化グアノシン1リン酸(oG‐oG)、及び配列番号4に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル‐ウリジン1リン酸(oU‐oU)、のうち少なくとも1つを備えている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0229】
実施形態5。RNA複合体は配列番号23に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0230】
実施形態6。RNA複合体は配列番号23の配列を含む鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0231】
実施形態7。RNA複合体は配列番号23の配列で構成される鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0232】
実施形態8。鎖は配列番号4の配列を含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0233】
実施形態9。鎖は、配列番号4の配列の5’末端の突出端又は配列番号4の配列の3’末端の突出端のうち少なくとも一方を備えている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0234】
実施形態10。鎖は、配列番号4の配列の5’末端のシチジン1リン酸(rC)、配列番号4の配列の5’末端のウリジン1リン酸‐シチジン1リン酸(rU‐rC)、配列番号4の配列の3’末端の2個のウリジン1リン酸(rU‐rU)、配列番号4の配列の3’末端の2個のデオキシチミジン1リン酸(dT‐dT)、配列番号4の配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル化グアノシン1リン酸(oG‐oG)、及び配列番号4の配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル‐ウリジン1リン酸(oU‐oU)、のうち少なくとも1つを備えている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0235】
実施形態11。RNA複合体は、野生型の124CのTGFBI遺伝子と比較して少なくとも1つのTGFBI R124H突然変異部位を各々含んでいる第1鎖及び第2鎖を含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0236】
実施形態12。第1鎖は、1個の塩基が第2鎖の相対する塩基に対してミスマッチであることを除いて配列番号4の配列と同一の配列を含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0237】
実施形態13。第1鎖及び第2鎖は各々が1個のTGFBI R124H突然変異部位を含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0238】
実施形態14。ミスマッチである塩基はTGFBI R124H突然変異部位から3~7塩基離れている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0239】
実施形態15。ミスマッチである塩基はTGFBI R124H突然変異部位から3塩基離れている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0240】
実施形態16。ミスマッチである塩基はTGFBI R124H突然変異部位から4塩基離れている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0241】
実施形態17。ミスマッチである塩基はTGFBI R124H突然変異部位から5塩基離れている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0242】
実施形態18。ミスマッチである塩基はTGFBI R124H突然変異部位から6塩基離れている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0243】
実施形態19。ミスマッチである塩基はTGFBI R124H突然変異部位から7塩基離れている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0244】
実施形態20。第1鎖及び第2鎖は各々が16~23塩基の長さである、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0245】
実施形態21。第1鎖及び第2鎖は各々が22塩基の長さである、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0246】
実施形態22。RNA複合体はデオキシチミジンの突出端を有する、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0247】
実施形態23。第1鎖は、1個の塩基が第2鎖の相対する塩基に対してミスマッチであることを除いて配列番号9の配列と同一の配列を含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0248】
実施形態24。第1鎖及び第2鎖は各々が1個のTGFBI R124H突然変異部位を含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0249】
実施形態25。ミスマッチである塩基はTGFBI R124H突然変異部位から3~7塩基離れている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0250】
実施形態26。ミスマッチである塩基はTGFBI R124H突然変異部位から3塩基離れている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0251】
実施形態27。ミスマッチである塩基はR124H突然変異部位から4塩基離れている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0252】
実施形態28。ミスマッチである塩基はR124H突然変異部位から5塩基離れている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0253】
実施形態29。ミスマッチである塩基はR124H突然変異部位から6塩基離れている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0254】
実施形態30。ミスマッチである塩基はR124H突然変異部位から7塩基離れている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0255】
実施形態31。第1鎖及び第2鎖は各々が16~23塩基の長さである、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0256】
実施形態32。第1鎖及び第2鎖は各々が22塩基の長さである、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0257】
実施形態33。RNA複合体はデオキシチミジンの突出端を有する、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0258】
実施形態34。第1鎖は、1個の塩基が第2鎖の相対する塩基に対してミスマッチであることを除いて配列番号11の配列と同一の配列を含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0259】
実施形態35。第1鎖及び第2鎖は各々が1個のR124H突然変異部位を含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0260】
実施形態36。ミスマッチである塩基はR124H突然変異部位から3~7塩基離れている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0261】
実施形態37。ミスマッチである塩基はR124H突然変異部位から3塩基離れている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0262】
実施形態38。ミスマッチである塩基はR124H突然変異部位から4塩基離れている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0263】
実施形態39。ミスマッチである塩基はR124H突然変異部位から5塩基離れている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0264】
実施形態40。ミスマッチである塩基はR124H突然変異部位から6塩基離れている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0265】
実施形態41。ミスマッチである塩基はR124H突然変異部位から7塩基離れている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0266】
実施形態42。第1鎖及び第2鎖は各々が16~23塩基の長さである、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0267】
実施形態43。第1鎖及び第2鎖は各々が22塩基の長さである、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0268】
実施形態44。RNA複合体はデオキシチミジンの突出端を有する、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0269】
実施形態45。RNA複合体は配列番号23に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0270】
実施形態46。RNA複合体は配列番号23の配列を含む鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0271】
実施形態47。RNA複合体は配列番号23の配列で構成される鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0272】
実施形態48。鎖は配列番号4の配列で構成される、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0273】
実施形態49。RNA複合体は配列番号23に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0274】
実施形態50。RNA複合体は配列番号23の配列を含む鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0275】
実施形態51。RNA複合体は配列番号23の配列で構成される鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0276】
実施形態52。鎖は配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0277】
実施形態53。鎖は、配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端の突出端、又は配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の突出端のうち少なくとも一方を備えている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0278】
実施形態54。鎖は、配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端のアデノシン1リン酸(rA)、配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端のウリジン1リン酸‐アデノシン1リン酸(rU‐rA)、配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個のウリジン1リン酸(rU‐rU)、配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個のデオキシチミジン1リン酸(dT‐dT)、配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2’‐O‐メチル化されたシチジン1リン酸‐ウリジン1リン酸(oC‐oU)、及び配列番号11に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル‐ウリジン1リン酸(oU‐oU)、のうち少なくとも1つを備えている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0279】
実施形態55。RNA複合体は配列番号30に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0280】
実施形態56。RNA複合体は配列番号30の配列を含む鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0281】
実施形態57。RNA複合体は配列番号30の配列で構成される鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0282】
実施形態58。鎖は配列番号11の配列を含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0283】
実施形態59。鎖は、配列番号11の配列の5’末端の突出端又は配列番号11の配列の3’末端の突出端のうち少なくとも一方を備えている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0284】
実施形態60。鎖は、配列番号11の配列の5’末端のアデノシン1リン酸(rA)、配列番号11の配列の5’末端のウリジン1リン酸‐アデノシン1リン酸(rU‐rA)、配列番号11の配列の3’末端の2個のウリジン1リン酸(rU‐rU)、配列番号11の配列の3’末端の2個のデオキシチミジン1リン酸(dT‐dT)、配列番号11の配列の3’末端の2’‐O‐メチル化されたシチジン1リン酸‐ウリジン1リン酸(oC‐oU)、及び配列番号11の配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル‐ウリジン1リン酸(oU‐oU)、のうち少なくとも1つを備えている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0285】
実施形態61。RNA複合体は配列番号30に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0286】
実施形態62。RNA複合体は配列番号30の配列を含む鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0287】
実施形態63。RNA複合体は配列番号30の配列で構成される鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0288】
実施形態64。鎖は配列番号11の配列で構成される、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0289】
実施形態65。RNA複合体は配列番号30に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0290】
実施形態66。RNA複合体は配列番号30の配列を含む鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0291】
実施形態67。RNA複合体は配列番号30の配列で構成される鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0292】
実施形態68。鎖は配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0293】
実施形態69。鎖は、配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端の突出端、又は配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の突出端のうち少なくとも一方を備えている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0294】
実施形態70。鎖は、配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端のグアノシン1リン酸(rG)、配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端の2個のグアノシン1リン酸(rG‐rG)、配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個のウリジン1リン酸(rU‐rU)、配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個のデオキシチミジン1リン酸(dT‐dT)、配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2’‐O‐メチル化されたグアノシン1リン酸‐シチジン1リン酸(oG‐oC)、及び配列番号16に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル‐ウリジン1リン酸(oU‐oU)、のうち少なくとも1つを備えている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0295】
実施形態71。RNA複合体は配列番号35に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0296】
実施形態72。RNA複合体は配列番号35の配列を含む鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0297】
実施形態73。RNA複合体は配列番号35の配列で構成される鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0298】
実施形態74。鎖は配列番号16の配列を含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0299】
実施形態75。鎖は、配列番号16の配列の5’末端の突出端又は配列番号16の配列の3’末端の突出端のうち少なくとも一方を備えている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0300】
実施形態76。鎖は、配列番号16の配列の5’末端のグアノシン1リン酸(rG)、配列番号16の配列の5’末端の2個のグアノシン1リン酸(rG‐rG)、配列番号16の配列の3’末端の2個のウリジン1リン酸(rU‐rU)、配列番号16の配列の3’末端の2個のデオキシチミジン1リン酸(dT‐dT)、配列番号16の配列の3’末端の2’‐O‐メチル化されたグアノシン1リン酸‐シチジン1リン酸(oG‐oC)、及び配列番号16の配列の3’末端の2個の2’‐O‐メチル‐ウリジン1リン酸(oU‐oU)、のうち少なくとも1つを備えている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0301】
実施形態77。RNA複合体は配列番号35に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0302】
実施形態78。RNA複合体は配列番号35の配列を含む鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0303】
実施形態79。RNA複合体は配列番号35の配列で構成される鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0304】
実施形態80。鎖は配列番号16の配列で構成される、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0305】
実施形態81。RNA複合体は配列番号35に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0306】
実施形態82。RNA複合体は配列番号35の配列を含む鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0307】
実施形態83。RNA複合体は配列番号35の配列で構成される鎖をさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0308】
実施形態84。配列番号20~38のうち1つに対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む鎖を含んでいるリボ核酸(RNA)複合体。
【0309】
実施形態85。鎖は配列番号23に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0310】
実施形態86。鎖は、配列番号23に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端の突出端、又は配列番号23に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の突出端のうち少なくとも一方を備えている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0311】
実施形態87。鎖は配列番号30に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0312】
実施形態88。鎖は、配列番号30に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端の突出端、又は配列番号30に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の突出端のうち少なくとも一方を備えている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0313】
実施形態89。鎖は配列番号35に対して少なくとも80%の同一性を有する配列を含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0314】
実施形態90。鎖は、配列番号35に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の5’末端の突出端、又は配列番号35に対して少なくとも80%の同一性を有する配列の3’末端の突出端のうち少なくとも一方を備えている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0315】
実施形態91。トランスフォーミング増殖因子ベータ誘導(TGFBI)タンパク質のメッセンジャーRNA(mRNA)の配列と重複する配列を有する鎖であってTGFBI遺伝子のエキソン4のc.371G>Aという一塩基多型(SNP)に対応する位置にアデニンを含んでいる鎖を含む、リボ核酸(RNA)複合体。
【0316】
実施形態92。センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、センス鎖及びアンチセンス鎖のうち少なくとも一方はdTdT突出端を含む、リボ核酸(RNA)複合体。
【0317】
実施形態93。センス鎖及びアンチセンス鎖は各々がdTdT突出端を含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0318】
実施形態94。センス鎖は突出端としてGGヌクレオチドを含み、アンチセンス鎖は突出端としてUCヌクレオチドを含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0319】
実施形態95。(a)センス鎖は一連の繰り返される2’‐OMeを含み、かつ(b)アンチセンス鎖は2’‐OMeを含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0320】
実施形態96。(a)センス鎖は、15個の塩基と、交互パターンをなす2’‐OMe及び2’‐Fとを含み、かつ(b)アンチセンス鎖は交互パターンをなす2’‐OMe及び2’‐Fを含み;RNA複合体は、センス鎖及びアンチセンス鎖両方の3’及び5’末端に追加のホスホロチオエート結合を含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0321】
実施形態97。(a)センス鎖は、5’末端に2ユニットの2’‐OMe、及び9位以外のU又はG残基のいずれかに少なくとも2個の2’‐OMe修飾を含み;かつ(b)アンチセンス鎖は、5’末端から2番目の位置に1個の2’‐OMe、dTdT突出端にPS結合を含み、すべてのピリミジンが2’F‐RNAユニットに置換されている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0322】
実施形態98。RNA複合体は短鎖干渉RNA二重鎖を備えている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0323】
実施形態99。RNA複合体は、短鎖干渉RNA二重鎖を形成するために構成された二本鎖RNA複合体を備えている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0324】
実施形態100。RNA複合体はRNAヘアピンを備えている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかのRNA複合体。
【0325】
実施形態101。対象者に対して本明細書中に記載の任意のRNA複合体を投与するステップを含む、対象者の顆粒状角膜変性症2型を予防、改善、又は治療する方法。
【0326】
実施形態102。投与するステップはRNA複合体を対象者に注射することを含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかの方法。
【0327】
実施形態103。投与するステップはRNA複合体を含有する溶液を対象者に対して施用することを含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかの方法。
【0328】
実施形態104。投与するステップは、RNA複合体を、トランスフォーミング増殖因子ベータ誘導(TGFBI)遺伝子のエキソン4のc.371G>Aという一塩基多型(SNP)を有しているデオキシリボ核酸(DNA)分子を含有及び発現している細胞に導入することを含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかの方法。
【0329】
実施形態105。対象者は脊椎動物である、上記又は下記の実施形態のうちいずれかの方法。
【0330】
実施形態106。対象者はヒトである、上記又は下記の実施形態のうちいずれかの方法。
【0331】
実施形態107。方法は、対象者にRNA複合体を投与するステップの前に:対象者の配列情報を入手するステップ;及び、対象者がTGFBI遺伝子のエキソン4のc.371G>AというSNPを有するアレルと、TGFBI遺伝子のエキソン4のc.371G>AというSNPを有していないアレルとを有することを判定するステップをさらに含む、上記又は下記の実施形態のうちいずれかの方法。
【0332】
実施形態108。対象者の配列情報はTGFBI遺伝子のエキソン4の配列情報で構成される、上記又は下記の実施形態のうちいずれかの方法。
【0333】
実施形態109。対象者の配列情報は、TGFBI遺伝子のエキソン4のうち全部ではなく一部の配列情報を備えている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかの方法。
【0334】
実施形態110。対象者の配列情報は、TGFBI遺伝子のエキソン4のc.371G>AというSNPの配列情報のみを備えている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかの方法。
【0335】
実施形態111。対象者の配列情報は、対象者の全ゲノムの配列情報を備えている、上記又は下記の実施形態のうちいずれかの方法。
【0336】
別段の指示のないかぎり、明細書及び特許請求の範囲において使用される成分量、分子量のような特性、反応条件などを表現する全ての数字は、いかなる場合でも「約」という用語で修飾されているものとして理解されなければならない。従って、相反する指示のないかぎり、明細書及び添付の特許請求の範囲において記載される数的パラメータは、本開示により得られるように求められた所望の特性に応じて変化してもよい。最低限でも、かつ特許請求の範囲への均等論の適用を限定しようとするものではなく、各々の数的パラメータは少なくとも、報告された有効数字の数に照らして、かつ通常の丸め方を適用して、解釈されるべきである。
【0337】
本開示の広い範囲を示している数的な範囲及びパラメータは近似値であるものの、具体的な実施例において示される数値は可能なかぎり正確に報告されている。しかしながら、いかなる数値も、それぞれの実験計測値に見られる標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を本質的に包含している。
【0338】
本開示について説明する状況において(特に以降の特許請求の範囲に関連して)使用される用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」及び同様の指示対象は、本明細書中に別段の指示があるか又は文脈から明白に否定されるのでないかぎり、単数及び複数の両方を対象とすると解釈されるべきである。本明細書中における値の範囲についての記述は、その範囲内にある各々の個別の値に個々に言及する簡便な方法としての役割を果たすように意図されているにすぎない。本明細書中に別段の指示がないかぎり、個々の値はそれぞれ、その値があたかも本明細書中に個々に記述されているかのように明細書中に組み込まれる。本明細書中に記載された方法は全て、本明細書中に別段の指示があるか又は他の点で文脈から明白に否定されるのでないかぎり、任意の適切な順序で実施することが可能である。本明細書中に提供されるあらゆる実施例、又は例示の言葉(例えば「のような」)の使用は、単に本開示の理解をより容易にするように意図されており、他の形で特許請求の範囲に記載された本開示の範囲に対する限定を提示するものではない。明細書中のいずれの言葉も、本開示の実行にとって不可欠な特許請求の範囲に記載されていない何らかの要素を示していると解釈されるべきではない。
【0339】
本明細書中に開示された本開示の別例の要素又は実施形態がグループ化されても限定として解釈されるべきではない。グループを構成する各々の要素は、個々に、又はグループの他の構成要素や本明細書中に見出される他の要素との任意の組み合わせで、言及すること及び特許請求の範囲に記載することが可能である。便宜上及び/又は特許性の理由から、グループの1以上の構成要素がグループに包含されるか又はグループから削除される可能性があることは予想されることである。何らかのそのような包含又は削除が生じた場合、明細書は、そのグループを修正されたものとして、したがって添付の特許請求の範囲において使用される全てのマーカッシュグループの書面による説明を満たすものとして、含有するとみなされる。
【0340】
本開示のある一定の実施形態が、本開示の実行のための本発明者らが承知している最良の態様を含めて、本明細書に記載されている。当然ながら、これらの記載された実施形態の変形形態は、先述の説明を読めば当業者には明白となろう。本発明者は当業者がそのような変形形態を必要に応じて使用することを見込んでおり、かつ本発明者らは本開示が本明細書中に具体的に記載されたのとは別の形で実行されることを意図している。従って本開示は、適用法で認められるように本明細書に添付された特許請求の範囲に記述された主題の改変形態及び等価物を全て含む。さらに、上記要素のあらゆる可能な変形形態における任意の組み合わせも、本明細書中に別段の指示があるか又は他の形で文脈から明白に否定されるのでないかぎり、本開示によって包含される。
【0341】
本明細書中に開示された特定の実施形態は、特許請求の範囲において、「~で構成される(consisting of)」又は「~で本質的に構成される(consisting essentially of)」という言葉を使用してさらに限定される可能性がある。特許請求の範囲において使用される場合、出願時であるか補正による追加であるかに関わらず、結びの語句(transition term)「~で構成される」は、請求項において特定されないいかなる要素、ステップ、又は成分も除外する。結びの語句「~で本質的に構成される」は、請求項の範囲を、特定された材料又はステップ及び基本的かつ新規な特徴を実質的にもたらさないものに限定する。そのように特許請求の範囲に記載された本開示の実施形態は、本明細書中に本来的かつ明白に記載されており、かつ利用可能である。
【0342】
本明細書中に開示された本開示の実施形態が本開示の原理の例証であることは理解されるはずである。使用可能なその他の改変形態は本開示の範囲内にある。よって、例として、ただし限定するものではないが、本開示の別例の構成を本明細書中の教示に従って利用することができる。従って本開示は、図示及び記載された全くそのとおりのものに限定はされない。
【0343】
本開示について、様々な具体的な材料、方法及び実施例に言及することにより本明細書中に記載及び例証してきたが、本開示はその目的のために選択された材料及び方法の特定の組み合わせに限定されないものと了解される。そのような細部の数多くの変形形態が、当業者に認識されるように黙示されることが可能である。詳説及び実施例は、以降の特許請求の範囲によって本開示の真の範囲及び思想が示されたうえでの例示にすぎないと見なされるように意図されている。本出願において参照された参考文献、特許文献、及び特許出願は全て、参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【国際調査報告】