(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-10
(54)【発明の名称】冷凍食品又は深冷食品を解凍する方法、装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
A23L 3/365 20060101AFI20230203BHJP
【FI】
A23L3/365 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536570
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-07-12
(86)【国際出願番号】 IB2020062012
(87)【国際公開番号】W WO2021124137
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】102019000024093
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102020000021958
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522233717
【氏名又は名称】オロ コイ エスアールエル
【氏名又は名称原語表記】ORO KOI S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173473
【氏名又は名称】高井良 克己
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィデ カッシ
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル ジョバネッティ
【テーマコード(参考)】
4B022
【Fターム(参考)】
4B022LA02
4B022LA03
4B022LA05
4B022LA06
4B022LB01
4B022LF05
4B022LQ04
4B022LQ09
4B022LT07
(57)【要約】
冷凍食品又は深冷凍食品を解凍するための本発明による方法は、S1.1)冷凍又は深冷凍食品(7)の一部を提供するステップと;S1.2)処理対象食品(7)の一部を処理液(5)と接触させるステップと;S1.3)処理対象食品(7)の中に超音波を拡散するために、処理液(5)を通して処理対象食品(7)に超音波を送信するステップと、を備える。これにより、食品をより早く解凍し、その有機的品質をよりよく保持することができる。本発明はまた、前記方法を実行するための装置及びコンピュータプログラムに関するものである。本装置は、内壁が氷の層で覆われた処理容器(3)備えてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップ:
S.1.1)処理対象冷凍食品又は深冷食品(7)の一部を提供するステップ;
S.1.2)前記処理対象食品(7)の一部を処理液(5)と接触させるステップ;及び
S.1.3)処理液(5)を通じて、超音波を前記処理対象食品(7)に拡散させるように前記処理対象食品(7)に超音波を送信するステップ
を含む、冷凍食品又は深冷食品を解凍する方法。
【請求項2】
少なくともステップS1.2)及び/又はS1.3)において、前記処理対象食品(7)の一部が前記処理液(5)の槽に少なくとも部分的に浸漬する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
以下のステップ:
S.3.1)内面を備える処理容器(3)を提供するステップ;
S.3.2)処理液(5)の槽を形成するように、前記内面に処理液(5)の量を充填するステップ;
S.3.3)処理容器(3)の前記内面の少なくとも一部を氷の層で覆うステップ;及び
S.3.4)前記ステップ S.1.2)及びS.1.3)を実施するステップ
を含み、
ステップS.3.3)は、ステップ S.3.2)の前に実施することもできる
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
少なくともステップS1.2)及び/又はS1.3)において、少なくとも処理液(5)を冷却することによって処理液(5)の温度を制御するステップを含む、1つ以上の前述の請求項に記載の方法。
【請求項5】
少なくともステップS1.2)及び/又はS1.3)において、処理液(5)の温度を、目標温度付近に維持するか又は前記目標温度と同等にするために、少なくとも処理液(5)を加熱及び/又は冷却することによって制御するステップを含み、前記目標温度は0℃~21℃の間に含まれる、
少なくとも請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記目標温度は0℃~12℃の間に含まれる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記目標温度は0℃~5℃の間に含まれる、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記目標温度は0.5℃以上である、請求項5~7の1つ以上の項に記載の方法。
【請求項9】
前記目標温度は4℃以下である、請求項5~8の1つ以上の項に記載の方法。
【請求項10】
前記目標温度は5℃以下である、請求項5~9の1つ以上の項に記載の方法。
【請求項11】
処理液(5)の温度を前記目標温度を含む許容範囲内に維持するステップを含み、前記許容範囲は4℃以下の範囲を有する、請求項5~10の一項に記載の方法。
【請求項12】
少なくともステップS1.2)及び/又はS1.3)において、前記処理対象食品は、前記処理対象食品を処理液(5)から分離する収容膜(9)に封入される、1つ以上の前述の請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記収容膜(9)は真空ケーシングを形成する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記超音波は、20~1000キロヘルツの間に含まれる周波数を有する、1つ以上の前述の請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記超音波は、38~40キロヘルツの間に含まれる周波数を有する、1つ以上の前述の請求項に記載の方法。
【請求項16】
前記超音波は、35~40キロヘルツの間に含まれる周波数を有する、1つ以上の前述の請求項に記載の方法。
【請求項17】
前記処理対象食品は、肉、魚、冷肉、甲殻類、魚介類、チーズ、乳製品、野菜、果物、ブイヨン、スープ、甘い又は塩味の生地、場合によっては、甘い又は塩味のクリーム、ソース、缶詰野菜、菓子、ケーキを含む群から選択される、1つ以上の前述の請求項による方法。
【請求項18】
前記処理液(5)は水又は実質的に非共晶の水溶液又は混合物である、1つ以上の前述の請求項による方法。
【請求項19】
以下:
大量の処理液(5)を収容することが可能な処理容器(3);及び
前記処理容器(3)内に収容された前記処理液(5)に超音波を拡散するように構成された超音波発生器(15)
を備える、冷凍食品又は深冷食品(7)を解凍する装置(1、1’)。
【請求項20】
処前記理容器(3)内に収容された前記処理液(5)を冷却するように構成された冷却システム(11、11’)を備える、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記冷却システム(11、11’)は、適切な冷媒流体を流すことが可能で前記処理容器の壁に沿って及び/又は近接して延伸するダクト(1100)を備える、請求項19又は20に記載の装置。
【請求項22】
前記冷却システム(11、11’)の前記ダクト(1100)が、前記処理容器(3)を冷却するように、処理容器(3)の周囲及びその外部又は内部に延びる1つ以上のターンを形成する、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記冷却システム(11、11’)の前記ダクト(1100)は、前記処理容器(3)の周囲及びその外部に延びる1つ以上のターンを形成する、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記冷却システム(11、11’)は、圧縮機(4)と、蒸発器として動作する第1熱交換器(110、110’)と、凝縮器として動作する第2熱交換器と、及び膨張弁とを含む冷凍機を備える、請求項20から23の1つ以上の項に記載の装置。
【請求項25】
論理ユニット(17)と、温度センサ(21、22)及び氷プローブ(19)の群から選択される1つ以上のセンサ及び/又はプローブとを備え、前記論理ユニット(17)は、前記1つ以上のセンサ及び/又はプローブの検出に基づいて、前記冷却(11、11’)システム及び/又は加熱(13)システムを制御するよう構成される、請求項20~24の1つ以上に記載の装置。
【請求項26】
容器(3)内に存在する処理液の温度を予め選択された目標温度近辺に維持するか又は前記目標温度と一致させるように前記冷却(11、11’)システム及び/又は加熱(13)システムの動作を制御するように構成された論理ユニット(17)を備える、請求項20から25の1つ以上の項に記載の装置。
【請求項27】
処理容器(3)から処理液(5)の一部を引き出して前記処理容器(3)内に再び供給するように構成された再循環システム(23)を備える、請求項19から26の1つ以上の項に記載の装置。
【請求項28】
コンピュータの論理装置で実行された場合に、請求項1~18の1つ以上に記載の方法を実行するように構成された、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、イタリア国特許出願番号IT102019000024093号及びIT102020000021958号の優先権を主張するものであり、その内容全体を、ここに参照のために取り込む。
【0002】
本発明は、冷凍食品又は深冷食品を解凍する方法、装置及びコンピュータプログラムに関する。
【0003】
本方法、装置又はコンピュータプログラムは、例えば卸売業者、スーパーマーケット及び大規模流通チェーン一般、レストラン又はホテルに供給するための工業的規模、及び家庭用又は単一のレストラン、旅館又は小規模食料品店の両方における、食品の解凍に特に適している。
【背景技術】
【0004】
現在、以下の方法が、冷凍食品又は深冷凍品の解凍に使用されている。
P.1)静止雰囲気セル内での解凍
P.2)強制対流を伴う空気中又はその他のガス状物質中での解凍
P.3)強制対流を伴う又は伴わない水中での解凍
P.4)無線周波数による解凍
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
静止空気による解凍 P.1)は、大量の製品に対して、物流上の利点とそれぞれの費用対効果がある。
【0006】
強制対流を伴う空気中での解凍 P.2)は、P.1)による解凍よりも高速であるが、環境及び製品の配置に応じた大きさの特定の装置が必要である。
【0007】
水中解凍P.3)は、水槽の管理が必要なため製品の数量が少ない場合に適しており、強制対流式は工程を早めるものの、管理がより複雑になる。
【0008】
電波式解凍P.4)は非常に高速であるものの、食料への加熱ムラが大きい。
【0009】
一方で、このことは食品安全規則又はいずれにせよ管轄官庁が定めた食品安全温度を局所的に超えてしまうことの強いリスクを伴い、他方では、解凍された食品が非常に不均一になり、その官能特性を大幅に劣化させる。
【0010】
特に、高周波解凍P.4)は、現在のところ、関連する安全温度を超えないことを保証するものではない。
【0011】
本発明の目的は、上記の欠点を解消し、特に、冷凍食品又は深冷食品をより均一に及び/又は急速に解凍するための方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様において、前記目的は請求項1に記載の特徴を有する方法で達成される。
【0013】
本発明の第2の態様において、前記目的は、請求項19に記載の特徴を有する装置で達成される。
【0014】
本発明の特定の実施形態において、前記装置は、処理容器に収容された処理液を加熱するように構成された加熱システムを備える。
【0015】
本発明の特定の実施形態において、前記装置は、前記処理容器に収容された前記処理液の温度を制御するように構成された温度制御システムを備える。
【0016】
本発明による装置の特定の実施形態において、前記温度制御システムは、前記処理液の温度を目標温度付近で維持する、又は前記目標温度と同等にするように構成される。
【0017】
本発明による装置の特定の実施形態において、冷却システムは、前記処理容器内に存在する冷却液の平均温度よりも実質的に低い温度で処理液の流れを提供するように構成された冷熱源を備える。
【0018】
本発明による装置の特定の実施形態において、前記冷熱源は、前記処理容器の実質的に高い領域に配置される。
【0019】
本発明の第3の態様において、前記目的は、請求項28に記載の特徴を有するコンピュータプログラムで達成される。
【0020】
本発明のさらなる特徴は、従属請求項の主題である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明によって達成可能な利点は、以下の概略図を参照して説明される、特定の非限定的な実施形態の以下の詳細な説明によって、当業者にとってより容易に明らかになるであろう。
【
図1】本発明の第1の特定の実施形態による食品を解凍するための装置の側面図及び機能図である。
【
図2】本発明の第2の特定の実施形態による食品を解凍するための装置の斜視図である。
【
図4】
図2の装置の断面IV-IVによる部分断面図である。
【
図6】
図2の装置の冷熱源及び残りの冷却システムの一部の第1斜視図である。
【
図7】
図6の冷熱源及び残りの冷却システムの一部の側面図である。
【
図8】
図2の装置の氷プローブ及び温度センサが配置されている処理タンクの部分の斜視図である。
【
図9】
図2の装置の断面IX-IXによる部分断面図の詳細である。
【
図10】
図2の装置の氷プローブ及び温度センサの、断平面X-Xによる部分断面図の詳細を示す。
【
図11】
図2の装置の再循環システムの斜視図である。
【
図12A】
図2の装置のコンプレッサの発熱体の斜視図である。
【
図13】
図2の装置の冷熱源及び残りの冷却システムの一部の第1斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の第1の特定の実施形態による冷凍食品又は深冷食品を解凍するための装置に関する。
【0023】
図2~11は、代わりに、本発明の第2の特定の実施形態による冷凍食品又は深冷食品を解凍するための装置に関するものである。
【0024】
本装置は、全体的な参照1、1’でそれぞれ示され、大量の処理液5及び処理対象食品7の1つ以上の部分を収容するように構成された処理容器3を備える。
【0025】
処理容器3内において、処理対象食品7の各部分は、少なくとも部分的に処理液5に浸漬することができ、より好ましくは完全に処理容器3に浸漬することができる。
【0026】
本発明の一態様による冷凍食品又は深冷食品7を解凍する方法は、
S.1)処理対象の冷凍食品又は深冷食品7の一部を提供するステップと、
S.2)処理対象食品7の前記一部を処理液5と接触させるステップと、及び
S.3)処理液5を介して、処理対象食品7に超音波を送信するステップと、
を含む。
【0027】
すでに部分的に述べたように、ステップS.2)では、処理対象食品7の部分を、処理液5に少なくとも部分的に浸漬することによって、より好ましくは完全に浸漬することによって、処理液5と接触させる。
【0028】
処理対象食品7が少なくとも部分的に浸漬される前記処理液5は、実質的に静止している、すなわち自然対流運動によってのみその内部が移動することができる、あるいは、流動している、すなわち強制対流運動によって移動するか、多少急速に入れ替わることが可能である。
【0029】
好ましくは、ステップS.1、S.2、S.3のうちの1つ以上において、処理対象食品7の一部は、収容膜9と、収容膜9に封入された所定量の処理対象食品7とを含む。
【0030】
有利には、収容膜9は、少なくとも化学的に所定量の処理対象食品7を処理液5から分離して、後者が前記所定量の対象食品7を濡らす及び/又は含浸することを防止する。
【0031】
好ましくは、収容膜9は、前記所定量の処理対象食品7を収容する袋を形成する。
【0032】
前記袋、より一般的には膜は、好ましくは気体及び液体に対して不浸透性である。
【0033】
好ましくは、S.1、S.2又はS.3の少なくとも1つ以上のステップの間、袋9の内側で外部環境の大気圧に対する空気圧の降下があり、少なくともいくつかの領域で処理対象食品7を収容する膜を付着させる。
【0034】
このことは、例えば、超音波を処理対象食品7の表面により均一に広げ、それによって食品に伝達されるエネルギーの量を増加させることによって、処理対象食品7への超音波の伝達を改善する。
【0035】
前記空気圧降下の絶対値は、例えば、0.1-0.2相対バー以上であり得る。
【0036】
より好ましくは、S.1、S.2又はS.3の少なくとも1つ以上のステップの間、袋9は実質的に真空パッケージを形成する。
【0037】
より一般的には、好ましくは、S.1、S.2又はS.3の少なくとも1つ以上のステップの間、収容膜9及び収容膜9に封入された所定量の処理対象食品7は、実質的に真空パッケージを形成する。
【0038】
処理対象食品7は、肉、魚、甲殻類、シーフード、チーズ、乳製品、野菜、果物、ブイヨン、スープ、甘味又は塩味のパスタ、場合によっては、甘味又は塩味のクリーム、ソース、保存食、トマトソース、菓子類、及びケーキを含む群から選択することができる。
【0039】
少なくともステップS.3において、前記超音波は、好ましくは20kHzから1000kHzの間で構成される周波数を有する。
【0040】
この点において、前記超音波は、例えば20~40kHz、40~80kHz、80~120kHz、120~160kHz、200~250kHz、250~300kHz、300~350kHz、350~400kHz、400~450khz、450~500kHzの間で構成される周波数を有することが可能である。
有利には、前記超音波は、35~40kHzの間又は38~40kHzの間で構成される周波数を有する。
【0041】
これらの2つの周波数帯は、解凍された製品に良好な官能特性を与えるために特に効果的であることが証明されている。
【0042】
処理液5は、例えば、水又はミネラル塩の水溶液であり得る。
【0043】
有利には、S.2又はS.3の少なくとも1つ以上のステップの間、好ましくはそれらの両方において、処理液5は、0~12℃の間、例えば、0~2℃、2~4℃、4~5℃、4~6℃、6~9℃、9~12℃、12~15℃、15~18℃、18~21℃又は21~23℃の間の温度を有する。
【0044】
有利には、S.2又はS.3の少なくとも1つ以上のステップの間、好ましくはそれらの両方において、処理液5は、摂氏0°よりも高い温度を有する。
【0045】
この目的のために、S.2又はS.3の少なくとも1つ以上のステップの間、好ましくはそれらの両方において、処理液は、0.5℃以上の温度を有することができる。
【0046】
また、この目的のために、前記温度は、好ましくは21℃以下、より好ましくは5℃以下である。
【0047】
前述の温度及び後述の目標温度は、容器3の内部、すなわち解凍が行われる処理液槽の温度をそれぞれ直接測定又は考慮することによって、及び容器3及び/又は処理液槽の外部の適当な箇所、例えば温度センサ22又はより一般的には後述の再循環システムの出口ダクト27で前記温度を測定又は考慮することによって、それぞれ測定し求めることが可能である。
【0048】
後述する目標温度は、好ましくは前述の温度範囲内に含まれる、及び/又は好ましくは前述の温度値を有する。
【0049】
0.5~5℃、0.5~4℃の間で構成される処理液5の温度範囲及び/又は目標温度は、35~40kHz又は38~40kHzの間で構成される周波数の超音波と組み合わせた場合において特に、優れた官能特性を有する解凍製品を得るために特に有効であることが証明されている。
【0050】
好ましくは、収容膜9は、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン酢酸ビニル(EVA)のうち1つ以上の材料で構成される。
【0051】
収容膜9は、例えば50~400μmの間、70~150μmの間、又は90~130μmの間で構成される平均厚さを有する。
【0052】
有利には、S.2又はS.3の少なくとも1つ以上のステップの間、処理液5の温度は、所定の許容範囲に維持される。
【0053】
前記所定の許容範囲は、好ましくは0~23℃の間、より好ましくは0~21℃の間、0~12℃の間又は0~5℃の間で構成される。
【0054】
より好ましくは、前記許容範囲は、好ましくは処理対象食品7の種類ごとに固有である所定の解凍温度より4度以上又は以下、さらに好ましくは2度以上又は以下、1度以上又は以下、0.5度以上又は以下によって構成される。
【0055】
この目的のために、上述した解凍工程に関する以前の教示は、部分的には既に述べたように、
大量の処理液5を収容することが可能な処理容器3;及び
処理容器3に収容された処理液5中に超音波を拡散するように構成された超音波発生器15
を備える解凍装置を用いて有利に実施することができる。
【0056】
処理容器3は、例えば、任意に多少の平行六面体(
図1)、立方体又は円筒形の、上部が開いたタンク(
図1)で構成することができる。
【0057】
処理容器3は、発生器15によって生成された超音波の液体5中への送信及び拡散をとりわけ促進するように、例えばステンレス鋼製の金属製であることが好ましい。
【0058】
有利には、処理容器3は、外側が熱絶縁カバー6で被覆されており、これは、処理液槽の温度を低く維持することと、箇所から箇所へより均一にすることの両方に寄与し、装置1のエネルギー効率を増進させる。
【0059】
各超音波発生器15は、例えば、圧電タイプ又は磁歪効果を有するものとすることができる。
【0060】
好ましくは、装置1の通常運転中に、超音波発生器15は、容器3及び容器3に収容された大量の処理液5に対して外部に配置されて、容器3の壁を通して液体5に超音波を送信する(
図1)。このようにして、超音波エネルギーは、液体及び処理対象食品7においてより均一に分配される。しかしながら、図示しない他の実施形態において、超音波発生器15はまた、容器3及び容器3に収容された大量の処理液5の中に、例えば液体5中に浸漬して配置することが可能である。
【0061】
装置1、1’は、好ましくは複数の超音波発生器15を備えており、これらは好ましくは容器3の底部の下に配置される。
【0062】
好ましくは、超音波発生器15は、容器3の底部又はいずれの場合も壁部に固定され、例えば、容器3の底部又はより一般的には壁部の1平方メートルあたり10~60個の密度で発生器17を有し、かかる密度は、例えば、20~50個の発生器17/平方メートル、40~50個のトランスデューサ/平方メートル、又は45~48個のトランスデューサ/平方メートルで構成することが可能である。
【0063】
代替的に又は組み合わせて、装置1、1’は、1~30、2~20又は15~18の間で構成される総数の発生器17、又は例えば17に等しい個数の超音波発生器17を備えることが可能である。
【0064】
好ましくは、超音波発生器15は圧電アクチュエータであるか、又は圧電アクチュエータを備えるが、それらは明らかに異なるタイプのアクチュエータから構成することも可能である。
【0065】
有利には、装置1は、処理容器に収容された処理液5の温度を制御するように構成された温度制御システムを備える。
【0066】
有利には、前記温度制御システムは、処理容器3に収容された処理液5を冷却するように構成された冷却システム11、11’を備える。
【0067】
冷却システム11、11’は、例えば、処理容器内に存在する冷却剤5の平均温度、又は液体処理の適切な箇所で正確な時間に検出される冷却剤5の温度よりも実質的に低い温度で処理液5の流れを供給するように構成された冷熱源110、110’を備えることが可能である。
【0068】
冷熱源110、110’は、例えば、処理容器3に収容された処理液5中に直接浸漬するように構成された熱交換器を備えることができる。
【0069】
熱交換器110、110’は、例えばアンモニア、二酸化炭素、水、プロパン、フレオン、液体窒素等の冷媒液体、又は適切な冷却された冷媒液体が流れるコイルを備えることができ、例えば、処理容器3の外部に位置してコンプレッサ4と、蒸発器として機能する第1熱交換器(図示せず、又は例えば熱交換器110と一致)と、凝縮器として機能する第2熱交換器(図示せず)と、及び拡張弁(図示せず)とを備える冷蔵機であってもよい。
【0070】
あるいは、冷熱源110は、例えば、容器3内に既に存在するものより実質的に冷たい何らかの処理液5又は他の流体、例えば適切に吹き込まれた液体窒素を容器3に導入する流体回路の出口を備えることができ、このような流体回路は、例えば、処理容器3の外に配置されて、圧縮機と、蒸発器として機能する第1熱交換器と、凝縮器として機能する第2熱交換器と、拡張弁(図示せず)とを備える冷凍機で構成することができる。
【0071】
有利には、冷却システム11、11’は、タンク又は他の処理容器3の内壁の少なくとも一部、より好ましくは全体上に氷の被履を形成し維持するように構成される。
【0072】
前記氷の層は、好ましくは1センチメートル以上、より好ましくは2、4、6センチメートル以上及び好ましくは10センチメートル未満の平均厚さを有する。
【0073】
この目的のために、処理液5は、共晶混合物とは実質的に異なり、特に低温でなくても氷の被覆、すなわち氷殻を形成することを容易にするように、例えば、水のみ又は非共晶水性混合物又は溶液から構成される。
【0074】
氷の適切な層を形成し保存するために、冷却システム11、11’は、好ましくは、1つ以上の氷プローブ19(
図9)を備える。
【0075】
各氷プローブ19は、連続的又は離散化された測定値、例えば2つ以上の状態で離散化された、すなわち可能な測定値、例えば3、5、10、20、50又はそれ以上の状態又は可能な測定値を、例えばアナログまたはデジタルの電気信号の形態で提供することによって、例えば容器3の内壁を覆う氷の層の厚さを測定することができる。
【0076】
あるいは、各氷プローブ19は、0-1又はオン-オフの2つの可能な状態のみを有する出力信号を単に提供することができ、これは、プローブ19またはその周辺でタンクの内部を覆っている氷が特定の所定の厚さ限界に達したか否かを単に示すものである。
【0077】
この場合、有利には、装置1、1’は、処理容器3の内壁に対するプローブ19の位置を調整するために、例えばプローブ19の感応部を遠ざけたり近づけたりして、その上に形成される氷の厚さを調節するように構成された、プローブ位置調整システムを備えることが可能である。
【0078】
前記プローブ位置調整システムは、有利には手動で、例えばノブ、クランク又はレバーによって操作することができる。
【0079】
氷の層によって、解凍槽又は流体回路の他の箇所で検出される、又はプローブ21及び/又は22によって検出される処理液5の平均温度を特に狭い許容範囲、例えば4℃以内に維持し、及び/又は処理液槽5の温度を0.5~5℃又は0.5~4℃の範囲に正確に維持することが可能となる。
【0080】
また、この目的のために、有利には、冷熱源110’は、例えば、適切な冷媒流体が横断することができて、氷殻の形成を促進するように処理容器3の壁に沿って、好ましくはその上に延びる、ダクト1100で構成することができる(
図6、7)。
【0081】
好ましくは、ダクト1100は、処理容器3の周囲及びその外側に延伸する(
図6、7)。しかしながら、図示しない実施形態では、ダクト1100は容器3の内壁に沿って、又はいずれにせよ容器3に近接して、前記内壁の内側に延びることができ、その場合、ダクト1100は処理液5の槽中に直接浸漬することができる。
【0082】
好ましくは、ダクト1100は、例えば実質的に螺旋状の巻線を形成し、好ましくは容器3を囲むかいずれにせよ容器3を収容する、1つ以上のターンを含む。
【0083】
前記ターンは、好ましくは、処理容器3の断面と実質的に同じ形状、例えば長方形(
図6、7)、正方形、ひし形、多角形、円形、長円形、楕円形の断面を有する。
【0084】
ダクト1100の螺旋状の前記巻線は、容器3の内壁を氷の層で覆うために特に効果的である。
【0085】
好ましくは、ダクト1100のらせん状巻線は、処理容器3の側面およびその周囲又はその内部の表面の少なくとも20%にわたって延在し、より好ましくは、処理容器3の側面の少なくとも約30%、50%、70%又は90%の表面にわたって延在する。
【0086】
有利には、温度冷却又は制御システム11、11’は、容器3(
図8、9、11)内に存在する処理液浴5の温度又は装置1、1’の他の箇所の温度を検出するための1つ以上の温度センサ21、22を備える。
【0087】
装置1の通常の動作の間、第1センサ21は容器3内に存在する処理液槽5内に浸漬することができる。
【0088】
第1センサ21は、例えば、単に検出された温度の読み取りを提供することを意図した機械的又は電気機械的温度計のプローブ、又は電気、電気機械又は電子センサであって、それが検出する温度を電気、電子又は光学信号の形式で論理ユニット17又は他の論理ユニットに送信することができるものすることができる。
【0089】
第2温度センサ22は、例えば容器3の外に、例えば再循環システムの出口ダクト27に沿って、又はより一般的には処理液を容器3に向けて導く出口ダクトに沿って、及び/又は処理液を容器3から排出する流出ダクトに沿って配置することが可能である。
【0090】
図示しない実施形態では、第2温度センサ22は、容器3内に配置されて、好ましくは解凍液5の槽中に浸漬する。
【0091】
装置1はまた、2つの温度センサ21、22のうちの1つのみ、又はその両方、及び場合によっては更なる温度センサ(図示せず)を有することができる。
【0092】
容器3内の処理液5の温度をより均一にするために、装置1は、好ましくは、容器3から処理液を引き出して再び、好ましくは連続的に供給するように構成された再循環システム23を備える(
図3、11)。
【0093】
再循環システム23は、入口ダクト25、出口ダクト27及び再循環ポンプ29を備えることができる。
【0094】
入口ダクト25は、入口開口250を介して容器3に流体的に接続されている。
【0095】
出口ダクト27は、出口270を通して容器3内に開口している。
【0096】
再循環ポンプ29は、ダクト25を通して容器3から処理液を吸い上げ、ダクト27を通して再び供給するように構成される。
【0097】
好ましくは、入口開口250及び出口270は、容器3内で互いに比較的離れて配置されて、例えば、入口開口250は好ましくは容器3の底部に配置されて、一方で出口270は好ましくは容器3の上部に配置される。
【0098】
容器3が実質的に長方形又は正方形のプランを有する場合、取出口250及び送出口270は、好ましくは、プラン自体の対角線の対向する両端の角又はその近くに配置される。
【0099】
有利には、温度制御システム11、11’は、処理容器に収容された処理液5を加熱するように構成された加熱システムから構成される。
【0100】
前記加熱システムは、例えばジュール効果抵抗器を備える温熱源13d、温流体が内部を横断するコイルを備える熱交換器、又は処理容器3に収容された処理液5に直接浸漬するように構成された他の加熱要素を備えることができる。
【0101】
温流体が横断する前記コイルは、例えばヒートポンプのような冷凍サイクル機の一部、又は好適にはヒートポンプとして動作する、圧縮機4が属する同じ冷凍機とすることができ、この場合、前記コイルはダクト1100を備えることができる。
【0102】
あるいは、温熱源13は、例えば、容器3内に既に存在するものよりも実質的に温かい多少の処理液5を容器3内に導入する流体回路の出口を備えることができる。
【0103】
有利には、温度制御システムは、有利には超音波発生器15が作動して処理対象食品7内に超音波を拡散している間、処理容器に含まれる処理液5の温度を所定の閾値より上及び/又は下に維持するように構成される。
【0104】
この目的のために、温度制御システム11、11’は、例えばマイクロプロセッサのような論理ユニット17を備えることができ、この論理ユニットは、例えば温度センサ21、22のうち1つ以上の及び/又は氷プローブ19の検出に基づいて、可能な冷熱源110、110’及び/又は温熱源13の作動を制御する。
【0105】
この目的のために、論理ユニット17は、フィードバック又は開ループで、特に、例えば、圧縮機4、冷凍機、ポンプ29のうちの1つ以上の部品の動作を制御することによって、可能な冷熱源110、110’及び/又は温熱源13の動作を制御するように構成されることが可能である。
【0106】
特に、論理ユニット17は、好ましくは、容器3内に存在する処理液の温度を予め選択された目標温度近辺に維持するか又は前記目標温度と一致させるように、及び/又は予め選択された基準点で測定された処理液5の温度を前記予め選択された目標温度近辺に維持するか又は前記目標温度と一致させるように、冷却システム11、11’及び/又は加熱システムの動作を制御するよう構成される。
【0107】
この目的のために、論理ユニット17は、例えば1つ以上のサーモスタットを備えてもよい。
【0108】
論理ユニット17又は他の論理ユニット(図示せず)は、1つ以上の超音波発生器15の動作、及び場合によっては装置1の動作全般を制御することができる。
【0109】
氷被覆の形成を促進するために、論理ユニット17は、容器3の内壁を覆う氷の層が不十分な厚さ及び/又は延伸を有するとき、例えば氷プローブ19が閾値厚さより低い又はそれに等しい氷の厚さを検知して論理ユニット17に信号を送るときに、圧縮機4又はより一般的には冷凍機又は他の冷熱源110を起動するように有利に構成される。
【0110】
また、氷被覆の形成を促進するために、論理ユニット17は、容器3の内壁を覆う氷の層が十分な厚さ及び/又は延伸に達したときのみ、例えば、氷プローブ19が、閾値厚さに等しい又はそれより高い氷の厚さを検出して論理ユニット17に対して信号を送るときのみ、再循環システム23を起動するように有利に構成される。
【0111】
この閾値の厚さは、好ましくは1センチメートル以上、より好ましくは2、4、6センチメートル以上である。
【0112】
より一般的には、論理ユニット17は、容器3の内壁を覆う氷殻を生成し保存するように冷却システム11、11’を制御するように有利に構成される。
【0113】
有利には、冷熱源110は、容器3内に収容された処理液5により強く広い対流を生じさせるように、処理容器の実質的に高い領域に、すなわち処理容器3の最大深さの半分より高い領域に配置される。
【0114】
有利には、温熱源13は、容器3内に収容された処理液5により強く広い対流を生じさせるように、処理容器の実質的に低い領域に、すなわち、処理容器3の最大深さの半分よりも低い位置に配置される。
【0115】
容器3は、好ましくは0.05~0.2立方メートルの間、又は0.05~0.2立方メートルの間の容量を有する。
【0116】
そのような比較的小さな寸法は、装置1、1’を、例えば単一のスーパーマーケット店、魚屋、レストラン又は食堂などの小売業者又はいずれにしても中程度の規模と考えられるエンドユーザに特に適したものとする。
【0117】
容器3は、いずれにせよさらに小さい又は大きい、例えば0.4立方メートルに等しい又はそれよりも大きい容量を有することができる。
【0118】
装置1、1’は、実質的に、平行六面体(
図2、3、5)、立方体、プリズム又は円柱の全体形状を有するキャビネットとして製造することができる。
【0119】
前記キャビネットは、場合によっては、車輪(
図2)で滑ることができる。
【0120】
容器3は、好ましくは、キャビネットの上部に取り付けられる。
【0121】
処理液5を冷却するコンプレッサ4、もしあればより一般的には冷凍機は、好ましくは、タンク3の下に収容されたキャビネットに囲まれる。
【0122】
論理ユニット17及び/又は他のいずれかの電気的及び/又は電子的制御ユニットは、箱170(
図13)又は例えば適切なプラスチック材料で作られた他の保護シェル内に配置することができる。
【0123】
有利には、圧縮機4は、圧縮機4の本体から滴下する凝縮水があればそれを集めるように構成されたトレイ40を備えており、装置1、1’を形成し得るキャビネットの内側底面に前記凝縮水が広がって箱170、その内容物、その他の電気装置又は部品を濡らして漏電又は他の故障を引き起こす危険を防止する(
図12)。
【0124】
トレイ40に溜まったいかなる水もジュール効果によって加熱して蒸発させるように構成された電気抵抗(図示せず)は、有利にはトレイ40内に配置することができ、前記水のためのさらなる抵抗が、前記水を蒸発させるように正確に適合して配置される。
【0125】
この電気抵抗は、連続的に、例えば常にオンで動作させることもでき、又は好ましくはサーモスタットによってオンとオフで作動又はさらには調整したりすることもできる。
【0126】
有利には、圧縮機4は、1つ以上の加熱要素42を備え、その各々は圧縮機を加熱するように構成されて、圧縮機がゼロ以下の温度又はいずれにせよ非常に低い温度で長時間動作する場合に凍結することを防止し、したがってその内部機構を潤滑する油の痕跡がコイル1100又は他の冷却ダクト1100に向けられた冷媒流体を汚染する、又はそこから来ることを防止する(
図12、12A)。
【0127】
圧縮機4によって圧縮された冷媒流体中の油又は他の潤滑油の痕跡は、実際に、膨張弁及び冷凍機の他の構成要素を損傷する可能性がある。
【0128】
加熱要素42はそれぞれ、例えば、ジュール効果によって圧縮機4を加熱する電気抵抗とすることができる。
【0129】
この電気抵抗は、例えば、圧縮機4の本体を取り囲むか、又はその周囲に延びる帯状の形状を有することができる。
【0130】
また、潤滑剤によって引き起こされる冷媒液の汚染を回避するため、又はいずれにせよ低減するために、圧縮機4又はいずれにせよ各冷凍機は、冷媒液をろ過してそれに伴う潤滑剤粒子を留めるように構成された1つ以上のフィルタ44を有利に備える。
【0131】
これらのフィルタ44の少なくとも1つは、好ましくは、冷媒液が通常は液体状態にある回路の箇所に配置される。
【0132】
また、潤滑油による冷媒液の汚染を回避するため、又はいずれにせよ低減するために、圧縮機4又はいずれにせよ相対する冷凍機は、1つ以上の電磁弁46を有利には備えており、電磁弁46は閉じており、例えば冷媒液が適切な温度閾値に達するか又は超えるとき、及び/又は圧縮機4がスイッチオフされるときに、冷媒液が通過するダクトを閉じるように構成されて、冷媒液が圧縮機へ逆流してラミネートバルブを損傷することを回避する。
【0133】
前記キャビネットは、キャビネット自体の上部に好ましくは適切なヒンジによって折り畳み可能に固定されてタンク又は他の容器3をそれぞれ見せたり覆ったりするために開閉可能な蓋31を備えることができる(
図2、
図3)。
【0134】
有利には、蓋31は、下げられたときに解凍された製品を切断することが可能なまな板を形成するか、又はそれを構成する。
【0135】
この目的のために、蓋31は好ましくはポリエチレン製である、又は十分に厚く剛性のあるポリエチレン層で被覆することができる。
【0136】
可能な蓋31が閉じられたとき、又はいずれにせよ下げられたとき、キャビネットは、
好ましくは0.6~4メートルの間、1~3メートルの間、1.2~2メートルの間又は1.2~1.5メートルの間で構成される全長LM;
好ましくは0.3~2メートルの間、0.4~1メートルの間又は0.4~0.5メートルの間で構成される全幅WM;及び
好ましくは0.3~1.5メートルの間、0.5~1メートルの間、0.6~0.9メートルの間又は0.8~0.9メートルの間で構成される全高HM
の外部全体寸法のうちの1つ以上を有する。
【0137】
これらの外部全体寸法は、装置1を、小売業者又はいずれにせよ中規模業者と考えることができるエンドユーザに特に適したものにすることにも寄与する。
【0138】
有利には、装置1、1’は例えば魚類を解凍するためのグリッド33を備えることができる(
図3)。
【0139】
グリッド33は、グリッド33に載せられた処理対象食品7の様々な部分を超音波発生器15から好適に間隔をおくことで、後者が損傷することを防止するように、処理容器3の底部に、又はいずれにせよその近辺に配置することが可能である。
【0140】
次に、解凍装置1、1’の操作及び使用法の一例を説明する。
【0141】
操作者は、好ましくは前述の袋又は他の収容膜9及び所定量の処理対象食品、例えば冷凍又は深冷凍された肉又は魚の一部で構成される処理対象食品7の一部を処理槽3内に導入する。
【0142】
食品部分7は、好ましくは水又は水溶液であって処理容器3に収容された液浴に、完全に浸漬する。
【0143】
装置1の解凍サイクルが起動されると、1つ以上の超音波発生器15は、処理容器3の壁及び食品部分7内の大量の処理液5を通して拡散する超音波の放射を開始して食品部分7を解凍するが、これは、超音波によって振動させられた食品7の組織又はいずれにせよ材料が加熱されるため、及び超音波によって生じる機械的振動が食品7に存在する可能性のある巨視的及び微視的氷晶を破壊して同結晶の露出表面を増加させ、したがって熱拡散によってその解凍を加速させるためである。
【0144】
一方、温度制御システムは、有利には、水又は他の処理液5の温度を所定の限度内に維持して、食品7が過度に過熱して局所的に又はさらに悪いことには全体的に、微生物、特に病原体の増殖に臨界と考えられている温度に達することを防止する。
【0145】
特に、温度制御システム11、11’は、処理液5が超音波の効果により又は周囲環境との単純な熱交換により過度に加熱される傾向がある場合には、処理液5を冷却することができ、処理液5が過度に冷却される傾向がある場合、例えば処理液5の温度が摂氏0℃又は摂氏数℃未満に低下する傾向がある場合には、処理液5を加熱することができる。
【0146】
有利には、温度制御システム11、11’は、容器3の内面を覆う氷の層を生成して維持し、処理液槽5の温度を安定させて、前述のように、比較的安価なセンサ、プローブ、及び一般的な電気/電子部品を使用してもこの温度を狭い公差で制御することができるようにする。
【0147】
処理液5は、このように、実質的に氷の槽に収容される。
【0148】
袋又は他の防水及び水密の収容膜9は、液体5が食品7を濡らし又はいずれにせよ含浸することによって直接、少なくとも化学的に接触してそれを汚染することを防ぎ、同時にキャビテーションによって引き起こされる機械振動をより有効かつ均質な方法で伝達し、キャビテーション自体によって引き起こされる機械又は熱損傷から、又は水中への空製品の浴によって生じる化学、物理又は微生物汚染の危険から食品の表面を保護する。
【0149】
食品パッケージ7は、解凍されたら、処理液槽5から取り出して例えば調理又は消費などに使用するか、又は食品施設、スーパーマーケット又は他の販売所、食料品卸売業者の倉庫、レストラン、食堂、魚屋又は肉屋、家庭又は他の個人消費者などの使用先へ送ることができる。
【0150】
例えば勤務シフトの開始時などの非稼働状態から開始して、装置1’は、処理液5として機能する水を容器3に充填し、圧縮機4及び相対する冷凍機を作動させることによって起動させることができ、これにより例えばラミネート弁によって急速に膨張した冷媒ガスなどの冷えた冷媒液を熱交換器110’のダクト内1000に流入させる。
【0151】
このため、熱交換器110’は、容器3内に収容された処理液5、つまり水を、それ自体及び/又は容器3の内壁を氷殻で覆うまで冷却し始める。
【0152】
氷プローブ19が、例えばその周囲で氷殻が所定の限界厚さに達したことを検出すると、論理ユニット17又は他の論理ユニットはこの事象を検出し、圧縮機4又はいずれにせよ冷凍機を停止させることができる。好ましくは、同時に、論理ユニット17又は他の論理ユニットは再循環システム23を作動させることで、例えば可能なポンプ29を作動させて入口ダクト25内の容器3から水又は処理液を吸水してそれを出口ダクト27に送り、そこから前記水又は他の処理液が容器3内に再び供給されて、容器3内の水又は他の処理液5を混ぜてその温度をより均一にして、より強固な対流で処理対象食品7をより有効に冷却する。
【0153】
その後、論理ユニット17又は他の論理ユニットは、例えば、氷殻の厚さが再び減少した場合、及び/又は水又は他の処理液の温度を予め選択された目標温度に再び十分に近づけるために、圧縮機4及び/又は冷凍機及び可能な温熱源13を再起動することが可能である。
【0154】
食品7を摂氏0度よりわずかに高い温度で解凍することは、その有機的特性を維持することに非常に貢献する。
【0155】
先の教示のおかげで、静止雰囲気又は強制対流セルよりもはるかに迅速に冷凍又は深冷食品を解凍することが可能であり、現行の空調セル又は現行の逆風冷却器における解凍時間と比較して、解凍時間を半減又は最大で3分の1に減少させることができることを示している。
【0156】
同時に、先の教示は、超音波によって解凍された食品の有機的特性を非常によく保存することを可能にし、既知の解凍方法P.1~P.4よりもよい結果をもたらし、過度に貴重及び高価ではない電子又は電気機械部品及びセンサを用いた非常に有効な解凍装置の創作を可能にする。
【0157】
無線周波数による公知の解凍と比較して、上述の超音波解凍方法及び装置は、食品における局所的過熱をより少なくしてより均一に加熱するので、局所的過熱を減らし、その保存性をかなり延長し、いったん解凍されて販売、消費又は加工を待つ際の劣化及び細菌汚染のリスクを低減させる。
【0158】
冷凍食品に存在する可能性のある微生物叢は、装置1、1’による処理によって減少し、不活性化されることが観察されている。
【0159】
装置1、1’はまた、欧州連合立法令853/04で要求されるように、製品を、実質的に冷蔵室のように氷の融解温度で保存することを可能にする。
【0160】
上述した実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく、多数の修正及び変形が可能である。
【0161】
例えば、図示しない実施形態において、処理対象食品7の部分は、収容膜9を欠いて、例えば所定量の処理対象食品7の部分のみから構成されることも可能である。
【0162】
冷熱源110、110’は、例えば、容器3の壁に内部又は外部で固定された1つ以上の共晶板を備えることもできる。
【0163】
容器3の壁は、中空であってもよく、その内部に、容器3内に収容された処理液槽7を冷却するグリコール又は他の冷却液体を収容することができる。
【0164】
換言すれば、容器3は、一方が他方を含む2つのタンクを備えて、解凍液は最も内側のタンクに収容され、グリコール又は他の冷却液は内側と外側のタンクの間の空間に収容されることが可能である。
【0165】
本明細書における「実施形態」、「実施形態例」へのあらゆる言及は、かかる実施形態に関連して説明される特定の特徴又は構造が、本発明の少なくとも1つの実施形態、及び特に主請求項に定義される本発明の特定の変形例に含まれることを意味する。
【0166】
このような表現が明細書の様々な箇所に現れることは、それらが必ずしも同じ実施形態にのみ言及されることを意味しない。
【0167】
また、ある特徴、要素又は構造が特定の実施形態に関連して記載されている場合、当該特徴、要素又は構造を他の実施形態に適用することは、当業者の能力の範囲内であることが認められる。
【0168】
特に指定しない限り、異なる引用だけで異なる参照数字、例えば21’、21"、21IIIは、同様の名称の要素の異なる変種を示す。
【0169】
さらに、すべての細部は、技術的に同等な要素で置き換えることができる。
【0170】
実際には、使用される材料及びその寸法は、技術的要件に従ってどのようなタイプであってもよい。
【0171】
「Aは B、C、Dを備える」又は「Aは B、C、Dによって形成される」というタイプの表現は、「AはB、C、Dから成る」という特定の場合も含んで説明することが理解されなければならない。
【0172】
特に指定がない限り、「AはB要素を備える」という表現は、「Aは1つ以上のB要素を備える」として理解されるものとする。
【0173】
「第1、第2、第3、・・・第n番目の実体」への言及は、それらを互いに区別することが唯一の目的であるが、n番目の実体の表示は、必ずしも第1、第2・・・第(n-1)番目の実体の存在を示唆するものではない。
【0174】
本願の実施例及び可能な変形例のリストは、非網羅的リストとして解釈されるべきである。
【国際調査報告】