(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-13
(54)【発明の名称】骨移植片を準備するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/56 20060101AFI20230206BHJP
A61B 17/15 20060101ALI20230206BHJP
A61B 17/17 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
A61B17/56
A61B17/15
A61B17/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022522851
(86)(22)【出願日】2020-11-30
(85)【翻訳文提出日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 EP2020083860
(87)【国際公開番号】W WO2021105495
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】102019132412.2
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516118659
【氏名又は名称】マティス アクチェンゲゼルシャフト ベットラッハ
【氏名又は名称原語表記】MATHYS AG BETTLACH
【住所又は居所原語表記】Robert Mathys Strasse 5, 2544 Bettalach, Schweiz
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】アレキサンダー セットケ
(72)【発明者】
【氏名】クラウディア ヘスキー
(72)【発明者】
【氏名】フランク ダルマン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL01
4C160LL07
4C160LL12
4C160LL26
4C160LL28
(57)【要約】
【要約】人体又は動物の体の外側に骨移植片を準備するための本発明による装置(100)は、本体部(101)及び少なくとも1つの保持部(102)を有する。少なくとも1つの保持部(102)が、骨移植片を準備するための装置(100)の本体部(101)に挿入される。本発明による装置の構成のための方法では、少なくとも1つの保持部(102)が、骨移植片を準備するための装置(100)の本体に挿入される。本発明の装置(100)を用いて人体又は動物の体外に骨移植片を準備するための方法において、準備される骨片は、本体部(100)に挿入された保持部(102)に配置され、準備する骨片は、挿入された保持部で固定され処理される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体又は動物の体外で骨移植片を準備するための装置(100、200)であって、
本体部(101、201)と、少なくとも1つの保持部(102、202)と、を有し、
少なくとも1つの前記保持部(102、202)は、前記本体部(101、201)に挿入されることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1記載の骨移植片を準備するための装置において、
第1の保持部(202)は案内挿入部(206)を形成し、第2の保持部(202)は保持挿入部(206)を形成することを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2記載の骨移植片を準備するための装置において、
前記本体部(101、201)は、材料切出工具(228)を案内するための少なくとも1つの案内口(104、105、204、205)又は平坦面(430)を有することを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3記載の骨移植片を準備するための装置において、
前記案内挿入部(206)の接触面(216)は、前記材料切出工具(228)を案内するための前記案内口(204、205)に対して角度を有し、
前記保持挿入部(207)は、前記材料切出工具(228)を案内するための前記案内口(204、205)に対する案内挿入部(206)の角度に対応する角度を有することを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4記載の骨移植片を準備するための装置において、
前記案内挿入部(206)の別の接触面(217)は、前記材料切出工具(228)を案内するための前記案内口(204、205)に対して異なる別の角度を有し、
前記保持挿入部(205)は、前記材料切出工具を案内するための前記案内口(204、205)に対する前記案内挿入部の前記別の角度に対応する角度を有することを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5記載の骨移植片を準備するための装置において、
前記案内挿入部(206)の前記接触面(216)及び前記別の接触面(217)は、互いに反対側に配置されることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項2乃至6の何れかに記載の骨移植片を準備するための装置において、
前記保持挿入部(207)は、少なくとも2つの案内部(222、223)を有し、
少なくとも2つの前記案内部(222、223)は幾何学的に異なり、
前記本体部(201)は、前記保持挿入部(207)の案内を受け入れるための少なくとも2つの案内受け部(210、211)を有することを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項2乃至7の何れかに記載の骨移植片を準備するための装置において、
前記保持挿入部(207)は、少なくとも1つの指かけ凹部(226)を有することを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項4乃至6の何れかに記載の骨移植片を準備するための装置において、
前記案内挿入部(206)は、骨移植片(227)を受けるための少なくとも1つの半円形又は半円筒形の凹部(214)を有し、その軸(218)は、前記案内挿入部(206)の前記接触面(216)に対して直角に配置されることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項5記載の骨移植片を準備するための装置において、
前記案内挿入部(206)は、骨移植片(227)を受けるための別の半円形又は半円筒形の凹部(215)を有し、その軸(219)は、前記案内挿入部(206)の前記別の接触面(217)に対して直角に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れかに記載の人体又は動物の体外での骨移植片を準備するための装置を構成するための方法であって、
少なくとも1つの前記保持部(102、202)の前記本体部(101、201)への挿入を含むステップを伴うことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11記載の人体又は動物の体外での骨移植片を準備するための装置を構成するための方法において、
第1の保持部(202)の案内挿入部(206)は、前記本体(201)に挿入され、
第2の保持部(202)の保持挿入部(207)は、前記本体(201)に挿入される
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト又は動物の骨に挿入するための骨移植片を準備するための装置、及び装置を構成するための関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病気、事故、又は過負荷による摩耗の兆候は、人体や動物の体の関節に損傷を与える可能性がある。保存治療で関節を治癒出来ない場合には、その関節を交換する必要がある。人体では、損傷した肩関節、股関節、膝関節を関節インプラントに交換する必要があることがよくある。損傷した関節に対応して、人工関節を移植するさまざまな方法が利用可能である。例えば逆型肩関節プロテーゼは、肩関節の部分で使用されることがある。逆型肩関節プロテーゼは、人工ソケットが損傷した上腕骨頭に置き換わり、人工関節球が損傷した関節窩に置き換わるという特徴を有する。
【0003】
現在の逆型肩関節プロテーゼの特徴の1つとして、関節窩の部分で骨移植片を使用することがある。骨移植片を使用した場合には、骨量が減少してもインプラントを確実に固定することができる。
【0004】
一般的に、使用される骨移植片は、手術された肩の上腕骨頭から採取される。この目的のために、ガイドワイヤーは、位置決め器具によって上腕骨頭に配置される。次のステップで、骨移植片の表面を切削して平らにする。このステップで、軟骨の残留物と上腕骨頭の硬い骨の部分が除去される。抜去する骨は、コアドリルで上腕骨の側縁から取り除かれる。これで、ガイドワイヤーの領域に抽出される骨片に穴が開けられ、同時にガイドワイヤーが取り外される。センタードリルを備えたコアドリルを使用して、抽出される骨片の側縁を1つのステップで分離及び穴開けすることができる。抽出の最後のステップでは、切断案内器具が使用される。この切断案内器具は、切断面に正確に合うように設計されている。骨鋸は、切断案内器具に取り付けられた案内口で、抽出される骨移植片が所定の角度で切断されるように案内される。切断案内器具の他のバリエーションには、骨鋸を案内するための突起を有するものがある。ここでは、骨鋸は突起側に対する支持のみによって案内される。
【0005】
特許文献1は、前述した骨移植片を抽出するための切断案内器具について説明している。切断案内器具には、抽出する骨片の上に配置される基盤が設けられている。更に、切断案内器具は、骨鋸の鋸刃を受け、案内するように設計された鋸案内部を有する。この鋸案内部は、間隔を空けて配置されたフランジ部を介して基盤に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許公開第2019/0209186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
骨移植片を抽出するためのこの切断案内器具では、切断案内器具が患者の体内で使用される欠点がある。その結果として、鋸刃を案内する型、特に片側に案内する型では、抽出された骨移植片の寸法精度は低い。
【0008】
したがって、本発明は、言及された不利な点を考慮することを必要とせずに、人又は動物の骨から骨移植片を抽出するための装置および装置を構成するための関連する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、請求項1に記載の人体又は動物の体の外側で骨移植片を準備するための本発明の装置、および請求項11に記載の人体又は動物の体の外側で装置を構成する方法による有利な態様、方法で達成される。さらなる特徴は、これらの請求項に関連する従属請求項で示される。
【0010】
人体又は動物の体の外側で骨移植片を準備するための本発明による装置は、本体部及び少なくとも1つの保持部を有する。骨移植片を準備するために、少なくとも1つの保持部が装置の本体部に挿入される。前もって人体から取り除かれた骨片は、本体部に配置された保持部によって準備のために極めて有利に保持することができる。正確に指定された位置での骨移植片の確実な保持は、保持部によって達成される。保持部による骨移植片の安定した保持のみで、骨移植片の非常に正確な準備処理を保証することができる。
【0011】
有利なことに、骨移植片を準備するための装置は、第1の保持部および第2の保持部を有し、第1の保持部は案内挿入部であり、第2の保持部は保持挿入部であることが好ましい。特に有利な態様で、準備される骨移植片は、案内挿入部によってその位置に確実に導かれ、保持挿入部によってこの位置に固定される。
【0012】
有利な態様として、本体部は、材料切出工具を案内するための少なくとも1つの案内口を有することが好ましい。少なくとも1つの案内口によって、材料切出工具は、案内口によって定められた位置及び角度が正確に厳守されるように案内される。
【0013】
有利なことに、案内挿入部は接触面を有し、接触面は、材料切出工具を案内するための案内口に対して角度を有することが好ましい。保持挿入部は、材料切出工具を案内するための案内口に対する案内挿入部材の角度に対応する角度を有することが好ましい。ある角度に配置された案内挿入部の接触面により、定められた角度を厳守しながら、抽出された骨片を正確に処理できる。保持挿入部の適切な角度により、切断処理全体を通して角度の変化が起こらないように骨片を固定することが可能である。
【0014】
有利なことに、案内挿入部は、材料切出工具を案内するための案内口に対して異なる角度を有する別の接触面を有することが好ましい。更に、保持挿入部は、材料切出工具を案内するための案内口に対する案内挿入部材の別の接触面の角度に対応する角度を有することが好ましい。これにより、骨移植片の準備のために、1つの装置により異なる切断角度で骨片を準備することが可能となる。
【0015】
有利な態様として、案内挿入部の接触面及び別の接触面は、互いに反対側に配置される。このような配置により、利用者は案内挿入部をプロテーゼの仕様に合わせて簡単に切断パラメータを調整できる。
【0016】
有利なことに、保持挿入部は、少なくとも2つの案内部を含み、少なくとも2つの案内部は、幾何学的に異なることが好ましい。同様に、本体部は、保持挿入部の案内部を受け入れるための少なくとも2つの案内受け部を有することが好ましい。2つの案内部の異なる実施形態は、保持挿入部が誤って挿入されることを防ぐ。これにより、骨移植片の準備処理の安全性が大幅に向上する。
【0017】
保持挿入部材が少なくとも1つの指かけ凹部を有することが好ましく、また有利である。指かけ凹部により、保持挿入部に大きな押力を加えることができる。したがって、信頼できる保持力が骨移植片に与えられる。更に、準備者が指を滑らせるリスクが指かけ凹部によって大幅に減少する。
【0018】
有利なことに、案内挿入部は、好ましくは、骨移植片を受けるための少なくとも1つの半円形又は半円筒形の凹部を有し、その軸は、案内挿入部の接触面に対して直角に配置されることが好ましい。これにより、骨移植片を準備するための装置内の必要な位置に、抽出された骨片が確実に配置されることが保証される。
【0019】
案内挿入部が、骨移植片を受けるための別の半円形又は半円筒形の凹部を有し、その軸が案内挿入部材の別の接触面に対して直角に配置されることが好ましく、この場合には更に有利である。この配置により、案内挿入部を本体部に対応して挿入することにより、異なる形状の骨移植片を準備することができる。
【0020】
人体又は動物の体外で骨移植片を準備するための装置を構成するための方法では、少なくとも1つの保持部が、骨移植片を準備するための装置の本体部に挿入される。
【0021】
骨移植片の準備のための装置を構成するための方法において、第1の保持部の案内挿入部は本体部に挿入され、そして、第2の保持部の保持挿入部が本体部に挿入される。これにより、骨移植片を準備するための装置を、インプラントに適合した構成で組み立てることができる。
【発明の効果】
【0022】
したがって、本発明による装置を用いた人体又は動物の体外での骨移植片の準備中に、準備される骨片は、本体部に挿入された少なくとも1つの保持部に配置して、少なくとも1つの挿入された保持部で固定することができ、準備された骨片を処理することができる。これにより、特に安全で正確な方法で患者のために骨移植片を準備することができる。
【0023】
人体又は動物の体の外側で骨移植片を準備するための本発明による装置の例示的な実施形態及び関連する方法は、以下の記述及び図面に基づいてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】保持部を備えた骨移植片を準備するための本発明による装置の例示的な実施形態の斜視図
【
図2】案内挿入部および保持挿入部を備えた骨移植片を準備するための本発明による装置の第2の例示的な実施形態の斜視図
【
図3】骨移植片を準備するための装置の第2の例示的な実施形態における本体部の3面投影図
【
図4】骨移植片を準備するための装置の第2の例示的な実施形態における案内挿入部の3面投影図
【
図5】骨移植片を準備するための装置の第2の例示的な実施形態における案内挿入部の断面図
【
図6】骨移植片を準備するための装置の第2の例示的な実施形態における保持挿入部の3面投影図
【
図7】骨移植片を準備するための装置の第2の例示的な実施形態における保持挿入部の断面図
【
図8】案内挿入部及び保持挿入部を備えた骨移植片を準備するための本発明による装置の第2の例示的な実施形態の分解図
【
図9】案内挿入部、保持挿入部及び挿入された骨移植片を備えた骨移植片を準備するための本発明による装置の第2の例示的な実施形態の上面図
【
図10】案内挿入部、保持挿入部及び位置付けられた骨移植片を備えた骨移植片を準備するための本発明による装置の第2の例示的な実施形態の断面図
【
図11】骨移植を伴う骨移植片を準備するための装置の第2の例示的な実施形態における案内挿入部の斜視図
【
図12】案内挿入部及び保持挿入部を備えた骨移植片を準備するための本発明による装置の第3の例示的な実施形態の3面投影図
【
図13】骨移植片を準備するための装置の第4の例示的な実施形態における本体部の3面投影図
【
図14】骨移植片を準備するための本発明による装置の使用図
【発明を実施するための形態】
【0025】
すべての図面で、互いに対応する部品には同じ符号が付けられている。
【0026】
図1は、骨移植片を準備するための本発明による装置100の例示的な実施形態を示す。骨移植片を準備するための装置100は、本体部101および保持部102を有する。保持部102は、本体部101に挿入される。この例示的な実施形態では、保持部102は、正面から本体部101に押し込むことができる。接触面103は、準備される骨片を受け入れるために本体部101に形成される。更に、案内口104、105は、本体部101に切り込まれている。これらの案内口104、105は、本体部101の支持面120に対して垂直に延びる。
図1には、例として2つの案内口104、105が示されている。但し、本体部には任意の数の案内口を設けることができる。
【0027】
骨移植片を準備するために、抽出された円盤状の骨片が接触面103に沿って本体部101に挿入される。この抽出された円盤状の骨片は、保持部102によって所定の位置に固定される。骨移植片に必要な円盤状の骨片の厚さに応じて、切断工具は2つの案内口104、105のうちの1つに案内される。
【0028】
骨移植片が準備された後、保持部102を本体部101から取り外すことができる。したがって、骨移植片を準備するための装置100の各部品は、特に簡単な方法で洗浄することができる。更に、接触面103を容易に検査することができるので、洗浄結果の確認を簡単にする。
【0029】
図2は、骨移植片を準備するための本発明による装置200の第2の例示的な実施形態を示す。第2の例示的な実施形態の骨移植片を準備するための装置200は、本体部201及び2つの保持部202からなる。第1の保持部202は、案内挿入部206である。第2の保持部202は、保持挿入部207である。第2の例示的な実施形態の骨移植片を準備するための装置200の構成要素は、以下でより詳細に説明される。
【0030】
図3は、骨移植片を準備するための装置200の第2の例示的な実施形態の本体部を3面投影図で示している。視覚的な明瞭さを向上させるために、図面を理解するために必要な場合を除いて、3面投影図の各面で符号が繰り返されない。
【0031】
図3の正面図は、2つの案内口204および205を有する本体部201を示している。これらの案内口204、205は、本体部201の支持面220に対して垂直に延びる。
図3は、例として2つの案内口204、205を示している。但し、本体部201は、必要な任意の数の案内口を備えることができる。薄い骨移植片が準備される場合、第1の案内口204が使用される。第2の案内口205は、厚い骨移植片のために使用される。
【0032】
本体部201は、2つの案内凹部208を有する。これらの案内凹部208は、本体部201の上面図に示されている。これらの案内凹部208は、
図3に示される溝の形状又は半円形の形状で実現することができる。案内凹部208の形状として他の形状も考えられる。これらの案内凹部208は、案内挿入部206(
図3に図示なし)を案内するものとして使用される。
【0033】
更に、案内挿入部206を挿入することができる領域において、本体201は、凹部209を有する。凹部209は、本体部201内の案内挿入部206(
図3に図示なし)のためのスペースとして利用可能である。
【0034】
図3は、本体部201に設けられた2つの案内受け部210、211を示している。これらの案内受け部210、211は、本体部201内に保持挿入部207(
図3には示されていない)を受け入れるために、凹部212の領域に長手方向に設けられている。図示されているように、2つの案内受け部210、211は形状が異なる。
図3では、左側の案内受け部210は、右側の案内受け部211よりも高さが大幅に高い。これらの異なる実施形態の2つの案内受け部210、211により、保持挿入部材207(
図3に図示なし)が正しい位置でのみ本体部201に挿入されることが保証される。
【0035】
骨移植片を準備するための装置100、200の本体部101、201は、金属又は合成材料で作られる。本体部101、201はステンレス鋼から作られることが好ましい。本体部101、201が合成材料から作られている場合、PA(ポリアミド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PPSU(ポリフェニレンスルホン)またはPOM-C(ポリオキシメチレンコポリマー)が使用される。これらの材料は一例であり、その他選択可能な材料の選択を制限するものではない。
【0036】
図4は、骨移植片を準備するための装置200の第2の例示的な実施形態の案内挿入部206を3面投影図で示している。案内挿入部206を更に視覚化するため、
図5で断面図を示しており、
図5の断面図は
図4の断面線V-Vで示された断面を示している。
【0037】
案内挿入部206は、2つの案内凸部213を有する。これらの案内凸部213は、本体部201の案内凹部208と正確に適合し、着脱可能な接続を形成するように実現される。
【0038】
準備される骨片を案内するために、案内挿入部206は、反対側のそれぞれに2つの半円形凹部214、215を有する。半円形凹部214、215の直径は、準備される骨片の直径に対応する。上腕骨頭全体から骨移植片を準備する場合、半円形凹部214、215の直径は上腕骨頭の直径に適合する。半円形凹部214、215は、それぞれ接触面216、217を形成している。半円形凹部214、215の軸218、219は、対応する接触面216、217に対して直角に調整されている。案内挿入部の接触面216、217は、本体201内の切断工具を案内するための案内口204、205(
図4に図示なし)に対する角度を有する。
【0039】
骨移植片の準備中の案内挿入部206への損傷を防ぐために、溝221が案内挿入部206に切り込まれている。溝221が本体201の案内口204、205(
図4に図示なし)に対して正確に適合するように、溝221は案内挿入部206の2つの配置位置に配置される。
【0040】
案内挿入部206は、金属又は合成材料で作られる。案内挿入部206はステンレス鋼から作られていることが好ましい。案内挿入部206が合成材料から作られている場合、ここでも、PA(ポリアミド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PPSU(ポリフェニレンスルホン)またはPOM-C(ポリオキシメチレンコポリマー)が使用される。これらの材料は一例であり、その他選択可能な材料の選択を制限するものではない。
【0041】
図5は、案内挿入部206の接触面216、217の各々が、本体部201内の切断工具を案内するための案内口204、205に対して角度を有することを明確に示している。要求される骨移植片に応じて、接触面216、217の角度は、0°と45°の間の角度を含むことができる。この例示的な実施形態における案内挿入部206では、片側の接触面217は7.5°の角度を有し、反対側の接触面216は15°の角度を有することが好ましい。
【0042】
図6及び
図7は、骨移植片を準備するための装置200の第2の例示的な実施形態の保持挿入部207を示している。
図7は、保持挿入部207の断面図を示しており、断面図は、
図6の断面線VII-VIIによる断面を示している。ここで、保持挿入部207は、幾何学的に異なって形成された少なくとも2つの案内部222、223を有することが好ましく、その結果、前述した本体201の案内受け部210、211と共に、それらは着脱可能な接続を形成する。着脱可能な接続は、ポカヨケの原理に従って実現されることが好ましい。ポカヨケの原理による着脱可能な接続は、正しい位置でのみ押し込むことができる。
【0043】
保持挿入部207の前面224、225はそれぞれ、本体201内の切断工具を案内するための案内口204、205に対して角度を有する案内挿入部206に対応して実現される。案内挿入部206の対応する角度に応じて、前面224、225の角度は、0°と45°の間の角度を含むことができる。第1の前面225は7.5°の角度を有し、反対の第2の前面225は15°の角度を有することが好ましい。
【0044】
保持挿入部207の表面は、少なくとも1つの指かけ凹部226を有することが好ましい。指かけ凹部226は、利用者の1つの指先又はいくつかの指先を収容するように形成される。また、指かけ凹部226は、より大きな保持力のために、手又は他の適切な身体部分がその中に保持できるような球体の態様で実現することができる。指かけ凹部226の目的は、準備処理のステップで指の滑りを防止することである。これにより、怪我のリスクが軽減されると共に、骨移植片との接触による汚染のリスクが軽減される。
【0045】
骨移植片を準備するための装置200の保持挿入部207は、金属又は合成材料から作られている。保持挿入部材207はステンレス鋼から作られることが好ましい。保持挿入部材207が合成材料でできている場合、ここでもPA(ポリアミド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PPSU(ポリフェニレンスルホン)、またはPOM-C(ポリオキシメチレンコポリマー)が使用される。これらの材料は一例であり、その他選択可能な材料の選択を制限するものではない。
【0046】
図8は、骨移植片を準備するための本発明による装置200の第2の例示的な実施形態を示している。この分解図に基づいて、以下に、骨移植片を準備するための本発明による装置200を構成するための方法を説明する。骨移植片を準備する前に、骨移植片200を準備するための装置の構成要素は、以下のように組み立てられる。
【0047】
第1のステップでは、案内挿入部206が本体部201に挿入される。このステップは、2つの案内凸部213を備えた保持挿入部206を、この目的のために設けられた本体部「201の案内凹部208に挿入することによって実施される。このステップにおいて、求められる角度を有する接触面216、217の何れかが本体部内の切断工具を案内するために案内口204、205に面するように配置される。
【0048】
第2のステップでは、保持挿入部207が本体部201に挿入される。このステップにおいて、保持挿入部207は、端面224、225を案内挿入部206の向きにおいて求められる角度で配向されるように配置される。案内受け部210、211の形状と併せて、保持挿入部207の案内部222、223の形状は、保持挿入部207が間違った方向に挿入されないことを確実にする。仮に誤って挿入された保持挿入部207が骨片に押し付けられると、骨片は不正確な切断案内又は瞬間的な力の衝撃によって損傷し、使用できなくなる可能性がある。
【0049】
図9は、配置された骨移植片227を備えた骨移植片を準備するための本発明による装置200の第2の例示的な実施形態を示す。準備される骨移植片227は、案内挿入部206の接触面217上で平らに支持される。保持挿入部207によって、骨移植片227が接触面217に押し付けられる。この目的のために、利用者は、指かけ凹部226を利用して、案内挿入部206に向かう方向に保持挿入部207を押す。骨移植片227の準備処理中、利用者は、骨移植片227を保持挿入部207上に確実に保持する。準備、即ち骨移植片227の切断は、本体部201の案内口204、205の1つを介して行われる。使用する案内口204、205は、要求される骨移植片227に応じて選択される。
【0050】
さらなる説明として、
図10は、位置付けられた骨移植片227を備えた骨移植片を準備するための装置200の第2の例示的な実施形態を断面図で示している。断面図は
図9の断面線X-Xで示された断面を示している。ここで、半円形凹部215の支持面が、対応する接触面217に対し、どのようにして直角に配向されているかが明らかになっている。したがって、準備前に円筒形である骨移植片227は、正確に配置される。この例では、骨移植片を準備するための装置200は、準備処理のための2つの可能な角度のうちの小さい方が使用されるように構成される。保持挿入部206は、本体部201の案内口204、205に対して小さい角度を有する接触面217が向けられるように挿入される。それに対応して、保持挿入部207は、その前面225が、骨移植片227に対して2つの可能な角度のうちの小さい方で支持されるように挿入される。指かけ凹部226によって、保持挿入部207は、骨移植片227に向かう方向に押され、それによって確実に保持される。
【0051】
例として、
図11は、案内挿入部206の形状と、案内挿入部206の片側で抽出された骨移植片との間の関係を視覚化したものである。これらの関係は、案内挿入部の他のすべての使用可能な側面に転用できる。この説明において、骨移植片227は、骨の円筒形の円盤である。この骨円盤の直径は、骨を抽出するために使用されるコアドリルによって決定され、例えば上腕骨頭から挿入する関節インプラントに適合する。骨移植片227の円形の表面は、抽出処理を通してその円筒形の壁と位置合わせされる。案内挿入部206の半円形凹部215は、骨移植片227に対応する直径を有する。半円形凹部215の壁及び対応する接触面217は、骨移植片に対して互いに垂直に配置されている。
図11に示されるように、半円形凹部215の半円形の実施形態により、案内挿入部材206に骨移植片227を挿入することが可能である。また、これは骨移植片227を準備するための組み立てられた装置200を用いて実施することができる。
【0052】
図12は、本体部、案内挿入部306、および保持挿入部307を備えた骨移植片を準備するための本発明による装置300の第3の例示的な実施形態を3面投影図で示す。示されている正面図は、上方から骨移植片を準備するための装置300を示している。
【0053】
本体部301は、一方で、本体部301の支持面320に垂直に延びる3つの案内口335を有する。他方、本体部301は、対角線上に延びる1つの案内口334を有する。この図において、角度は、本体部301に挿入された案内挿入部306に対応している。案内口334、335は、材料切出工具がそれらの中で正確に案内されるように実現される。
図13に例として示されている案内口334、335の数は、必要に応じて変えることができる。この第3の例示的な実施形態では、骨片は、3つの異なる長さ、及び対角線上に延びる案内口334によって定義される角度で準備することができる。要求される骨移植片に応じて、対角線上に延びる案内口334の角度は、0°から45°の間の角度を含むことができる。この例示的な実施形態では、対角線上に延びる案内口334の角度は10°である。
【0054】
本体部301は、2つの案内凸部343、363を有する。案内凸部343、363は、案内挿入部306を案内するために使用される。案内凸部343、363の1つにおける案内挿入部306の着脱可能な案内を確実にするために、案内挿入部306は、案内凸部343、363に対応する案内凹部338を有する。準備される骨片が骨移植片に必要な長さに切断される場合、第1の案内凸部343が使用される。準備される骨片の表面が角度を付けて準備されなければならない場合、案内挿入部306は、第2の案内凸部363に挿入される。更に、
図12は、本体部310内の溝形状の案内口322、362を示している。これらの溝形状の案内口322、362は、保持挿入部307の案内のために実現される。保持挿入部307は、円筒形凸部311を有する。円筒形凸部311は、それらが着脱可能な案内を提供するような直径で実現される。この説明において、着脱可能な案内は、不必要な遊びが骨移植片を準備するための装置の精度を損なわないような方法で実現される。
【0055】
第1の溝形状の案内口322は、L字型で実現されている。L字形は、保持挿入部307を上方から本体部301に導入することを可能にする。保持挿入部307によって、準備される骨片が案内挿入部306に押し付けられる。この説明において、案内挿入部306は、骨片を切断するために案内凸部343内の位置に押し込まれる。第2の溝形状の案内口362は、本体部301の一端から実現される。ここで、保持挿入部307は、対応する端部から本体部301に挿入される。案内挿入部306は、骨片に角度を付けるための位置で案内凸部363に挿入される。保持挿入部307によって、準備される骨片は、案内凸部363に挿入された案内挿入部306に押し付けられる。
【0056】
骨移植片を準備するための装置300の本体部301、保持挿入部306及び又は案内挿入部307は、金属又は合成材料で作られている。本体部301、保持挿入部306及び又は案内挿入部307は、ステンレス鋼から作られていることが好ましい。本体部301、保持挿入部306及び又は案内挿入部307が合成材料、PA(ポリアミド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PPSU(ポリフェニレンスルホン)、またはPOM-C( ポリオキシメチレンコポリマー)が優先的に使用される。これらの材料は、一例であり、その他選択可能な材料の選択を制限するものではない。
【0057】
図13は、骨移植片を準備するための装置の第4の例示的な実施形態の本体部401を3面投影図で示している。側面図では、本体部401は、3つの案内口404が示され、案内口404の数は3つに制限されない。これらの案内口404は、本体部401の支持面420に垂直に延びる。案内口404を用いて、必要な厚さで骨移植片を準備することができる。骨移植片の厚さは、案内挿入部(
図13に図示なし)から適切な距離となる案内口404の1つを準備者が選択することによって決定される。
【0058】
更に、本体部401は、骨移植片に傾斜面429を準備するための領域を有する。傾斜面429の準備のために、平坦面430を有する。この平坦面430は、材料切出工具を案内するために使用され、所定の角度を持って本体部401の支持面420に対して垂直に提供される。要求される骨移植に応じて、平坦面430の角度は、0°から45°の間の角度を含む。この例示的な実施形態の本体401部において、平坦面430は20°の角度を有することが好ましい。
【0059】
第4の例示的な実施形態の骨移植片を準備するための装置の本体部401は、金属又は合成材料から作られている。本体部401はステンレス鋼から作られていることが好ましい。本体が合成材料でできている場合は、PA(ポリアミド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PPSU(ポリフェニレンスルホン)、又はPOM-C(ポリオキシメチレンコポリマー)が優先的に使用される。これらの材料は、一例であり、その他選択可能な材料の選択を制限するものではない。
【0060】
図14は、一例として、骨移植片を準備するための本発明による装置100、200の使用例を示している。本発明及び関連する方法による装置において、骨移植片227は、人体又は動物の体の外側で準備される。ここでは、明確な利点を持つ、いわゆる「バックテーブルでの準備」と呼ばれる準備とする。「バックテーブル」での患者の体外での準備は、準備された骨移植片227の精度を大幅に向上させる。更に、骨移植片227が取り除かれる領域は、正確な切断が可能であるように位置合わせされる必要がなく、したがって、筋肉及び腱への更なる負荷が回避されるため、患者への負荷は十分に低減される。
【0061】
図14に示されるように、骨移植片227は、本体部201に挿入された案内挿入部206及び本体部201に挿入された保持挿入部207によって、骨移植片を準備するための装置200に固定される。材料切出工具228、ここでは手動鋸を使用して、準備される骨移植片227を所定の大きさに切断する。この目的のために、材料切出工具228は、骨移植片227として準備される長さを指定する本体201の案内部205に導入される。これにより移植片227は所望の長さに切断される。準備処理が完了すると、骨移植片227は、骨移植片を準備するための装置200から取り外される。骨移植片227は、さらなる使用のために必要な形状で利用可能になっている。
【0062】
次に、骨移植片を準備するための装置200は、解体され、洗浄され、そして消毒される。骨移植片を準備するための装置200の独自の構造により、洗浄および消毒処理は、非常に高い安全性の上で実施することができる。
【0063】
説明及び又は図示されたすべての特徴は、本発明の範囲内で互いに有利に組み合わせることができる。本発明は、記載された例示的な実施形態に限定されない。
【手続補正書】
【提出日】2021-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体又は動物の体外で骨移植片を準備するための装置(100、200)であって、
材料切出工具(228)、本体部(101、201)、
及び少なくとも1つの保持部(102、202)を有し、少なくとも1つの前記保持部(102、202)は、前記本体部(101、201)に挿入され、
第1の保持部(202)として案内挿入部(206)を形成し、第2の保持部(202)として保持挿入部(207)を形成し、
前記本体部(101、201)は、前記材料切出工具(228)を案内するための少なくとも1つの案内口(104、105、204、205)を有し、
前記案内挿入部(206)の接触面(216)は、前記材料切出工具(228)を案内するための前記案内口(204、205)に対して角度を有し、
前記保持挿入部(207)は、前記材料切出工具(228)を案内するための案内口(204、205)に対する前記案内挿入部(206)の角度に対応する角度を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項
1記載の骨移植片を準備するための装置において、
前記本体部(101、201)は、材料切出工具(228)を案内するため
の平坦面(430)を有することを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項
1記載の骨移植片を準備するための装置において、
前記案内挿入部(206)の別の接触面(217)は、前記材料切出工具(228)を案内するための前記案内口(204、205)に対して異なる別の角度を有し、
前記保持挿入部(207)は、前記材料切出工具を案内するための前記案内口(204、205)に対する前記案内挿入部(206)の前記別の角度に対応する角度を有することを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項
3記載の骨移植片を準備するための装置において、
前記案内挿入部(206)の前記接触面(216)及び前記別の接触面(217)は、互いに反対側に配置されることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項
1乃至
4の何れかに記載の骨移植片を準備するための装置において、
前記保持挿入部(207)は、少なくとも2つの案内部(222、223)を有し、
少なくとも2つの前記案内部(222、223)は幾何学的に異なり、
前記本体部(201)は、前記保持挿入部(207)の案内を受け入れるための少なくとも2つの案内受け部(210、211)を有することを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項
1乃至
5の何れかに記載の骨移植片を準備するための装置において、
前記保持挿入部(207)は、少なくとも1つの指かけ凹部(226)を有することを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項
1乃至
4の何れかに記載の骨移植片を準備するための装置において、
前記案内挿入部(206)は、骨移植片(227)を受けるための少なくとも1つの半円形又は半円筒形の凹部(214)を有し、その軸(218)は、前記案内挿入部(206)の前記接触面(216)に対して直角に配置されることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項
3記載の骨移植片を準備するための装置において、
前記案内挿入部(206)は、骨移植片(227)を受けるための別の半円形又は半円筒形の凹部(215)を有し、その軸(219)は、前記案内挿入部(206)の前記別の接触面(217)に対して直角に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1乃至
8の何れかに記載の人体又は動物の体外での骨移植片を準備するための装置を構成するための方法であって、
少なくとも1つの前記保持部(102、202)の前記本体部(101、201)への挿入を含むステップを伴うことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項
9記載の人体又は動物の体外での骨移植片を準備するための装置を構成するための方法において、
第1の保持部(202)の案内挿入部(206)は、前記本体(201)に挿入され、
第2の保持部(202)の保持挿入部(207)は、前記本体(201)に挿入される
ことを特徴とする方法。
【国際調査報告】