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▶ エピノバテック、アクチボラグの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-13
(54)【発明の名称】半導体層構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20230206BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20230206BHJP
   H01L 29/201 20060101ALI20230206BHJP
   H01L 21/337 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
H01L29/80 H
H01L29/06 601N
H01L29/201
H01L29/80 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022533545
(86)(22)【出願日】2020-12-08
(85)【翻訳文提出日】2022-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2020085010
(87)【国際公開番号】W WO2021116073
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】19215267.6
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520404964
【氏名又は名称】エピノバテック、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】EPINOVATECH AB
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】マルティン、アンドレアス、オルソン
【テーマコード(参考)】
5F102
【Fターム(参考)】
5F102GB01
5F102GC01
5F102GD01
5F102GD04
5F102GJ03
5F102GK04
5F102GK08
5F102GM04
5F102GM08
5F102GQ01
5F102GR01
5F102GS09
5F102GV07
5F102HC01
5F102HC11
5F102HC16
(57)【要約】
上面(104)を有するSi基板(102)と、
基板上に構成された第1半導体層(110)であって、第1半導体層は基板の上面に垂直に構成された複数の縦ナノワイヤー構造(112)を含み、第1半導体層はAlNを含む、第1半導体層と、
第1半導体層上に構成された、ナノワイヤー構造を横方向及び縦方向に囲う第2半導体層(120)であって、第2半導体層は0≦x≦0.95であるAlGa1-xNを含む、第2半導体層と、
第2半導体層上に構成された第3半導体層(130)であって、第3半導体層は0≦y≦0.95であるAlGa1-yNを含む、第3半導体層と、
第3半導体層上に構成された第4半導体層(140)であって、第4半導体層はGaNを含む、第4半導体層と、
を備える、半導体層構造(100)が提供される。
高電子移動度トランジスタ装置及びこのような構造及び装置を製造する方法もまた提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面(104)を有するSi基板(102)と、
前記基板上に構成された第1半導体層(110)であって、前記第1半導体層は前記基板の前記上面に垂直に構成された複数の縦ナノワイヤー構造(112)を含み、前記第1半導体層はAlNを含む、第1半導体層と、
前記第1半導体層上に構成された、前記ナノワイヤー構造を横方向及び縦方向に囲う第2半導体層(120)であって、前記第2半導体層は0≦x≦0.95であるAlGa1-xNを含む、第2半導体層と、
前記第2半導体層上に構成された第3半導体層(130)であって、前記第3半導体層は0≦y≦0.95であるAlGa1-yNを含む、第3半導体層と、
前記第3半導体層上に構成された第4半導体層(140)であって、前記第4半導体層はGaNを含む、第4半導体層と、
を備える、半導体層構造(100)。
【請求項2】
前記基板の前記上面と前記第1半導体層の間に構成された底部半導体層(210)をさらに含み、前記底部半導体層はAlNを含む、請求項1に記載の半導体層構造。
【請求項3】
前記底部半導体層と前記第1半導体層の間に構成される中間半導体層(220)をさらに含み、前記中間半導体層はAlNを含む、請求項2に記載の半導体層構造。
【請求項4】
前記Si基板の前記上面は、{111}のミラー指数を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体層構造。
【請求項5】
前記第4半導体層は、1~5nmの範囲内の縦厚さを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体層構造。
【請求項6】
前記第2半導体層は少なくとも2つの縦方向に構成された副層を含み、第1副層(121)のxは第2副層(122)のxより大きく、前記第2副層は、前記第1副層より前記基板から遠くに位置する、請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体層構造。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の前記半導体層構造(100)と、
前記第2半導体層(120)上に直接隣接して構成された金属ソースコンタクト(301)と、
前記第2半導体層上に直接隣接して構成された金属ドレインコンタクト(303)であって、前記ドレインコンタクトはソースコンタクトと離間している、ドレインコンタクトと、
前記第4半導体層(140)上に構成された金属ゲートコンタクトであって、前記ゲートコンタクトは前記ソースコンタクト及び前記ドレインコンタクトの横方向の間に構成され、前記ゲートコンタクトは前記ソースコンタクト及び前記ドレインコンタクトと離間している、ゲートコンタクトと、
を備える、高電子移動度トランジスタ装置(300)。
【請求項8】
前記第4半導体層は、縦フィン(307)として構成され、前記縦フィンは前記第3半導体層に直接隣接して構成され、前記ゲートコンタクトは前記縦フィンを横方向及び縦方向に囲うように構成され、前記縦フィンはpドープされたGaNを含む、請求項7に記載の高電子移動度トランジスタ装置。
【請求項9】
上面(104)を含むSi基板(102)を提供すること(S4001)と、
前記基板上に第1半導体層(110)を形成すること(S4003)であって、前記第1半導体層は前記基板の前記上面に垂直に構成された複数の縦ナノワイヤー構造(112)を含み、前記第1半導体層はAlNを含む、第1半導体層を形成することと、
前記ナノワイヤー構造を横方向及び縦方向に囲う前記基板構造上に、第2半導体層(120)を堆積すること(S4005)であって、前記第2半導体層は0≦x≦0.95であるAlGa1-xNを含む、第2半導体層を堆積することと、
前記第2半導体層上に第3半導体層(130)を堆積すること(S4007)であって、前記第3半導体層は0≦y≦0.95であるAlGa1-yNを含む、第3半導体層を堆積することと、
前記第3半導体層上に第4半導体層(140)を堆積すること(S4009)であって、前記第4半導体層はGaNを含む、第4半導体層を堆積することと、
を含む、半導体層構造(100)を製造する方法。
【請求項10】
前記第1半導体層を形成することは、
前記基板上に前記第1半導体層を堆積すること(S5001)と、
前記第1半導体層から前記複数の縦ナノワイヤー構造をエッチングすること(S5003)と、
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1半導体層を形成することは、前記基板上に前記複数の縦ナノワイヤー構造をエピタキシャルに形成すること(S5005)を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記基板を提供することと前記第1半導体層を形成することとの間に、底部半導体層(210)を堆積すること(S5007)をさらに含み、前記底部半導体層はAlNを含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記底部半導体層を堆積することと前記第1半導体層を形成することとの間に、中間半導体層(220)を堆積すること(S5009)をさらに含み、前記中間半導体層はAINを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2半導体層を形成することは、
前記第1半導体層上に第1副層(121)を形成すること(S5011)と、
前記第1副層上に第2副層(122)を形成すること(S5013)であって、前記第1副層に対するxは前記第2副層に対するxより大きい、第2副層を形成することと、
を含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項9~14のいずれか一項に記載の、半導体層構造(100)を製造する前記方法の前記ステップと、
前記第3及び第4半導体層の一部をエッチングすることで、前記第3及び第4半導体層(130、140)を貫通して、少なくとも2つのトレンチ(702)を形成すること(S6001)と、
前記トレンチを貫通して、且つ第2半導体層(120)上に第1金属層(704)を堆積すること(S6003)と、
前記第1金属層の一部をエッチングして、前記トレンチの中に金属ソースコンタクト(301)及び金属ドレインコンタクト(303)を形成すること(S6005)と、
前記ソースコンタクト及び前記ドレインコンタクト上に酸化物層(310)を形成すること(S6007)と、
前記酸化物層の一部をエッチングして、前記第3及び第4半導体層を貫通する前記少なくとも2つのトレンチの間であり、且つ離間して、前記酸化物層を貫通するゲートトレンチ(708)を形成すること(S6009)と、
前記ゲートトレンチを貫通して第2金属層(710)を堆積すること(S6011)と、
前記第2金属層の一部をエッチングして、前記ゲートトレンチの中に金属ゲートコンタクト(305)を形成すること(S6013)と、
を含む、高電子移動度トランジスタ装置(300)を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物半導体層構造、それに基づく電子機器、及びこのような構造及び装置を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化物半導体、つまり元素周期表の3番目の族からの元素と窒素の化合物は、シリコンと比べて多くの利点を提供する。これに基づく装置も、シリコンに基づく電子機器を代替する有望な選択肢になる。例えば、このような装置はより速いスイッチング速度、増加した電子移動度、より低い抵抗、より大きい絶縁破壊電圧等を提供し得る。
【0003】
しかし、窒化物装置の不断の問題は、窒素の利点を得るために必要な高品質の、例えば低欠陥の材料をどの様に製造するかである。バルク窒化物材料をそのまま使うことは殆どの場合可能な選択肢ではない。これは窒化物の性質上、単結晶シリコンの効率的な形成を可能とするチョクラルスキー法(Czochralski process)を代替する明らかな手段がないためであるかも知れない。また、元素シリコンの相対的な物質的豊富さはウェーハや基板を形成するときバルクシリコン材料をそのまま使うことを可能とする。窒化物に対して同じ豊富さが存在するとは言えない。したがって、窒化物半導体材料及び装置を効率的に製造するためには代替が必要である。
【0004】
シリコン基板上に窒化物層及び構造を形成することは、より少ない窒化物材料が要求され、その上に形成された電子機器が同じ基板上に形成されたシリコン電子装置とより密接に統合できるため、有益であり得る。シリコン基板を使うことは、既存の製造ツール及びインフラを大幅に活用することをさらに可能とする。
【0005】
しかし、シリコンと窒化物材料の結晶格子定数及び熱膨張係数が違うなどの原因により、シリコン基板上に単に窒化物層を形成することは、例えば材料特性の不一致により、殆どの場合、形成された窒化物層の亀裂、欠陥、及び全体的な結晶品質の低下をもたらす。
【0006】
このような欠乏をただす様々な方法は、厚く複雑なバッファ層構造を利用して結晶欠陥を除去することを含む。時折、これは5μmを超える厚さの窒化アルミニウムガリウム層構造を意味し得る。このような方法は、多くの場合に実行が複雑なうえ、高品質の窒化物半導体材料の生成に満足的な進歩を依然として提供できない。サファイアと炭化ケイ素は時折、窒化物の基板として使え得る。しかしながら、これらもまた豊富ではなく、すべての種類の装置に対して一致する材料特性を提供しない可能性がある。したがって、技術分野において発展が必要である。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一つの目的は、上述した問題の一部を解決又は少なくとも緩和することである。
【0008】
本発明の第1の様態において、
上面を有するSi基板と、
基板上に構成された第1半導体層であって、第1半導体層は基板の上面に垂直に構成された複数の縦ナノワイヤー構造を含み、第1半導体層はAlNを含む、第1半導体層と、
第1半導体層上に構成された、ナノワイヤー構造を横方向及び縦方向に囲う第2半導体層であって、第2半導体層は0≦x≦0.95であるAlGa1-xNを含む、第2半導体層と、
第2半導体層上に構成された第3半導体層であって、第3半導体層は0≦y≦0.95であるAlGa1-yNを含む、第3半導体層と、
第3半導体層上に構成された第4半導体層であって、第4半導体層はGaNを含む、第4半導体層と、
を備える、半導体層構造が提供される。
【0009】
ここで元素材料はそれらの元素記号又は略語で参照されている。例えば、シリコンはSiで参照され得る。ここで複数の元素を含む化合物は元素記号の組み合わせで参照され得る。例えば、窒化ガリウムはGaNとして、窒化アルミニウムはAlNとして参照され得る。いくつかの化合物はそれらの相対的な元素組成の比率で提供され得る。例えば、窒化アルミニウムガリウムは、x及びyが0から1の間の値を想定する変数であるAlGa1-xN又はAlGa1-yNで参照され得る。下付きされた接辞は先行する元素の相対的な比率を示す。例えばx=0.5又はAl0.5Ga0.5Nなら、元素含有量の25%がアルミニウム、Al、25%がガリウム、Ga、そして50%が窒素、N、と理解されてもよい。あるいは、比率無しのただのAlGaNなら、様々な構成の窒化アルミニウムガリウムを参照し得る。一般的に、特定の材料又は元素を含むと言われる層又は構造は、少なくとも部分的に、又は実質的にその材料又は元素を含むと理解されてもよい。
【0010】
半導体層構造の層は、ボトムアップ順に順序付けされていると理解されてもよい。この文脈で、「上」とは、層又は構造を他の層又は構造の上に構成することを言及する。「縦」とは、層がそれぞれに構成される方向を言及する。「縦方向」とは基板の上面に垂直である任意の方向を言及する。「横方向」とは縦方向に垂直である任意の方向を言及する。
【0011】
発明者は、他の半導体材料で横方向及び縦方向に囲われた複数の縦ナノワイヤー構造を有する窒化物半導体層構造は、ナノワイヤー構造のシェルに沿って転位(dislocation)の封止(encapsulation)と蓄積(accumulation)を促進して、したがってその効率的なフィルタリングを提供し、半導体層構造の表面に伝播する材料欠陥や亀裂を減らすことに気づいた。他の半導体材料とは、例えば縦ナノワイヤー構造のものと比べて元素組成又は内容が違う材料として理解されてもよい。
【0012】
封止された転位は、窒化物半導体材料ではよく観測されるウルツ鉱結晶構造の所謂M方向に、ナノワイヤー構造から横方向に伝播する傾向が特にあり得る。転位が他のナノワイヤー構造からの転位と横方向に癒合すると、転位のない薄膜が形成され得る。薄膜はナノワイヤー構造から縦方向に、又はウルツ鉱結晶構造の所謂C方向に核形成され得る。転位のない薄膜は、封止又は閉じ込められた転位が伝播せず亀裂を形成できないように、薄膜と層構造を強化して形成され得る。そうして、高品質の窒化物半導体材料は、性質の向上した電子機器を形成するためにSi基板上に提供され得る。
【0013】
本発明において、薄膜内の転位は、それがまず縦ナノワイヤー構造の間の二次元癒合層より高い弾性率の他のナノワイヤー構造に移る必要がある場合、例えばAlGaN/GaNインタフェースに縦方向に伝播することを防止されてもよい。ナノワイヤー構造が細かいほど、転位伝播防止の領域は大きくなる。AlGaN過成長はナノワイヤー周辺のシェル内の転位を封止し、特にウルツ鉱結晶構造のM方向に成長する。その後に薄膜が主なC方向に成長されてもよい。これらナノワイヤーシェルはそれからC方向に成長し始める薄膜に、横方向に結び付け得る。閉じ込められた転位は亀裂が発生するようにC方向に広がることができなくなるので、薄膜は強化され、埋め込まれたナノワイヤー構造を有する癒合された薄膜から転位のない薄膜が核形成され得る。
【0014】
さらに、発明者はこのような層構造を薄く作って、したがって従来のバッファ層接近より簡単で材料集約的に低くできることに気づいた。層構造は従来の製造ツールやインフラとの有益な製造拡張性と互換性をさらに提供し得る。層構造は最大12”、又はそれを超える大きさのウェーハまで適用され得る。半導体層構造はさらに、基板の上面と第1半導体層の間に構成された底部半導体層を構成してもよく、底部半導体層はAlNを含む。
【0015】
一般的に「中間」とは、2つの層又は構造の間に層又は構造を構成することを言及し得る。中間構成は、例えば縦方向及び/又は横方向であり得る。間とはさらにステップとイベントの時順に関係され得る。例えば、方法の第2ステップは同じ方法の第1ステップと第3ステップの間に実行され得る。
【0016】
AlNを含む底部半導体層を半導体層構造に含むことで、Si基板からのよりスムースな材料移行を遂げ得る。
【0017】
半導体層構造は、底部半導体層と第1半導体層の間に構成された中間半導体層をさらに含んでもよく、中間半導体層はAlNを含む。
【0018】
上記のように、AlNを含む中間半導体層を半導体層構造の中に包含することは、Si基板からのよりスムースな材料移行に繋がれ得る。
【0019】
Si基板の上面は{111}のミラー指数を有してもよい。
【0020】
表記{111}は、ミラー指数(111)を有する平面と同等なすべての平面のセットを示す。上面はさらに任意の結晶方向<111>に垂直に伸ばされたと理解されてもよい。表記<111>は結晶方向[111]と同等なすべての結晶方向のセットを示す。
【0021】
このように標定されたSi基板は、ウルツ鉱窒化物半導体に対して理想的な結晶成長方向を提供され得る。本質的に、これはナノワイヤー構造がウルツ鉱[0001]結晶方向又は任意の同等な方向<0001>に沿って縦方向に効率的に標定されることを促進し得る。これら方向はSi基板の方位[111]及び<111>に対応する。
【0022】
第4半導体層は1-5nmの範囲内の縦厚さを有してもよい。
【0023】
第4半導体層は活性装置層として利用されてもよく、したがって非常に薄い必要があり得る。半導体構造は材料品質を犠牲することなくこのような薄い構造を形成されることを可能とする。このような薄い層を有することで、その製造により少ないGaが要求され得る。これは、Gaが例えばAl、N、又はSiと比べて相対的に希少な要素であることに関連する。より少ない時間に薄い層が形成されることができ、より大きい製造スループットを可能とする。第2半導体層は少なくても2つの縦方向に構成された副層を含んでもよく、第1副層のxは第2副層のxより大きく、第2副層は、第1副層より基板から遠くに位置する。
【0024】
そのようにして、第2半導体層構造は本質的に、Si基板及び/又はナノワイヤー構造のベースからさらに離間している層に対して、より低いAl含有量に縦方向に段階的になり得る。発明者は、段階的なAl及びGa含有の2以上、例えば3つの副層を有する構造は向上した転位の封止を提供することに気づいた。したがって、より高品質の窒化物材料を遂げることができる。さらに、例えば格子定数と熱膨張係数などの材料特性がより徐々に変化してもよいので、材料含有量のより徐々な変化が望ましくてもよい。GaN下ひずみ緩和のためのAlGaN合金の必要な層の結果、シリコン上の従来の薄膜は3-10μm程度に非常に厚いことを理解されたい。本発明において、過去の必要で退屈なAlGaN層なしにも結晶品質を向上させるため、より太いホモエピタキシャルGaNはシリコン基板上に堆積/成長されてもよい。
【0025】
発明の第2の態様において、
本発明の第1の様態に係る半導体層構造と、
第2半導体層上に直接隣接して構成された金属ソースコンタクトと、
第2半導体層上に直接隣接して構成された金属ドレインコンタクトであって、ドレインコンタクトはソースコンタクトと離間している、ドレインコンタクトと、
第4半導体層上に構成された金属ゲートコンタクトであって、ゲートコンタクトはソースコンタクト及びドレインコンタクトの横方向の間に構成され、ゲートコンタクトはソースコンタクト及びドレインコンタクトと離間している、ゲートコンタクトと、
を備える、高電子移動度トランジスタ装置(HEMT:High-electron-mobility transistor)が提供される。
【0026】
直接隣接する層又は構造は、縦方向に他の層又は構造の上に構成、そして上層又は構造が下層又は構造と物理的界面を共有すると理解されてもよい。このような物理的界面は導電性コンタクトを提供するように、例えば界面を横切る電子及び/又は正孔の輸送を可能とするように構成され得る。導電性コンタクトは、例えばオーミックコンタクト、ショットキーコンタクト、及び/又はpn接合又はトンネル接合を横断するコンタクトを言及し得る。
【0027】
HEMTは従来の金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)と比べて、より高いスイッチング周波数と向上された高電力特性を可能とする。これは主に、このような装置のチャネルを介しての、実質的に二次元の電子及び/又は正孔の郵送に起因し得る。主に二次元電子ガス(2DEG:two-dimensional electric gas)と参照されるHEMTのチャネルは、わずかに異なる大きさのバンドギャップを有する2つの半導体材料の間のヘテロ接合界面に存在する。
【0028】
窒化物HEMTがAlGaN/GaN界面に必要なヘテロ接合を生成するためには、時折10-30オングストローム程の非常に薄い層が必要、又は少なくても望まれ得る。そのように薄い層は非常に高い結晶品質の半導体材料で生成される必要があり得る。したがって、転位を封止して、AlGaN/GaN界面と干渉してトランジスタチャネルのパフォーマンスに悪影響を与えることを防止することは重要である。
【0029】
一般的に、窒化物半導体層及び構造の材料品質は装置、例えばその上に形成されたHEMTの性能に対応する。第1の様態は、向上した特性と性能を有する窒化物HEMTを製造するに適切な高品質な半導体層構造を提供し得る。
【0030】
第4半導体層は、縦フィンとして構成されてもよく、縦フィンは第3半導体層に直接隣接して構成され、ゲートコンタクトは縦フィンを横方向及び縦方向に囲うように構成され、縦フィンはpドープされたGaNを含む。
【0031】
このようなpドーピングは縦フィンGaN結晶内に少量の不純物原子を包含させることで遂げ得る。pドープされた縦フィンは、特にノーマリオフ作動のための高周波、電流、及び/又は電圧において、チャネルをオンとオフに切り替えるより良い静電ゲート制御を促進する。pドープされたGaN縦フィンは、ノーマリオフモードで作動するGaN HEMTの閾値電圧を変更するようにさらに利用されてもよい。
【0032】
本発明の第3の様態において、
上面を含むSi基板を提供することと、
基板上に第1半導体層を形成することであって、第1半導体層は基板の上面に垂直に構成された複数の縦ナノワイヤー構造を含み、第1半導体層はAlNを含む、第1半導体層を形成することと、
ナノワイヤー構造を横方向及び縦方向に囲う基板構造上に、第2半導体層を堆積することであって、第2半導体層は0≦x≦0.95であるAlGa1-xNを含む、第2半導体層を堆積することと、
第2半導体層上に第3半導体層を堆積することであって、第3半導体層は0≦y≦0.95であるAlGa1-yNを含む、第3半導体層を堆積することと、
第3半導体層上に第4半導体層を堆積することであって、第4半導体層はGaNを含む、第4半導体層を堆積することと、
を含む、半導体層構造を製造する方法が提供される。
【0033】
形成するステップとは、既存の材料の除去、新しい材料の追加、及び/又は既存の材料の変更で層又は構造を作るいずれかの方法を一般的に言及し得る。堆積とは、既存の層及び/又は構造の上に新しい材料を加えることを一般的に言及する。
【0034】
このような方法は発明の第1の様態において半導体層構造を形成することに利用され得る。したがって、同様の利点及び有益な効果が期待できる。さらに、第1半導体層及びナノワイヤー構造にAlNを使うことは、AlNが、例えばプラズマ処理又はスパッタリングを通じてSi基板上に良い結晶化度で堆積され得るので、有利である。
【0035】
加えて、AlNをエピタキシャルに形成する代わりにスパッタリングさせることで、Alがリアクター(reactor)のメモリーに残る傾向があり、したがって、続いて成長する層の材料組成を汚染するので、リアクターの汚染は主に回避できる。
【0036】
第1半導体層の複数のナノワイヤー構造を形成することは、
基板上に第1半導体層を堆積することと、
第1半導体層から複数の縦ナノワイヤー構造をエッチングすることと、
を含んでもよい。
【0037】
エッチングは、この文脈で、材料を選択的に取り除くことを言及し得る。取り除かれなかった材料はしたがって縦ナノワイヤー構造として考えられてもよい。
【0038】
第1層から複数の縦ナノワイヤー構造をエッチングすることは、高品質なGaN層のために要求されるバッファの厚さを減らすのに有利であり得、代わりに大きなGaN層の厚さに起因するSi基板の曲がりを少なくとも減らすか排除し得る。
【0039】
複数の縦ナノワイヤー構造を形成することは、基板上に複数の縦ナノワイヤー構造をエピタキシャルに形成することを含んでもよい。
【0040】
エピタキシャルに形成することは、ここではエピタキシャル結晶成長での層及び構造の形成を言及し得る。
【0041】
このような方法は、既存の製造ツール及びインフラを活用して縦ナノワイヤー構造を製造することに有利に採用できる。
【0042】
方法は、基板を提供することと第1半導体層を形成することとの間に、底部半導体層を堆積することをさらに含んでもよく、底部半導体層はAlNを含む。
【0043】
方法は、底部半導体層を堆積することと第1半導体層を形成することとの間に、中間半導体層を堆積することをさらに含んでもよく、中間半導体層はAINを含む。
【0044】
底部及び中間AlN層を考慮するこのような方法の変形例は、第1の様態の対応する変形形態のものと同様の利点を提供し得る。
【0045】
第2半導体層を形成することは、
第1半導体層上に第1副層を形成することと、
第1副層上に第2副層を形成することであって、第1副層のxは第2副層のxより大きい、第2副層を形成することと、
を含んでもよい。
【0046】
このような方法の変形例は、第1の様態の対応する変形形態のものと同様の利点を提供し得る。
【0047】
例示的な実施形態において、GaNを含む第4層は例えばMOCVDの手段でエピタキシャルに成長する間に、AlNを含む第1層はスパッタ、例えば基板上にAr/N2プラズマを利用してマグネトロンスパッタされる。
【0048】
この実施形態において、第2層は第1層上にスパッタされたマグネトロンであり得る。あるいは、第2層は、例えばMOCVDの手段でエピタキシャルに成長され得る。
【0049】
ナノワイヤー構造はUVリソグラフィーでパターン化され、第2層からエッチングされてもよい。
【0050】
この実施形態において、AlGaNを含む第3層は、第2層上にスパッタされたマグネトロンであり得る。あるいは、第3層は、例えばMOCVDの手段でエピタキシャルに成長され得る。
【0051】
Alを含むマグネトロンスパッタリング層はリアクターの汚染を減らし、したがって次の、例えば純度と結晶構造が装置性能に不可欠なGaN層の、汚染を防ぐことができる。
【0052】
本発明の第4の様態において、
本発明の第3の様態における、半導体層構造を製造する方法のステップと、
第3及び第4半導体層を貫通して、第3及び第4半導体層の一部をエッチングすることで、少なくとも2つのトレンチを形成することと、
トレンチを貫通して、且つ第2半導体層上に第1金属層を堆積することと、
第1金属層の一部をエッチングして、トレンチの中に金属ソースコンタクト及び金属ドレインコンタクトを形成することと、
ソースコンタクト及びドレインコンタクト上に酸化物層を形成することと、
酸化物層の一部をエッチングして、第3及び第4半導体層を貫通する少なくとも2つのトレンチの間であり、且つ離間して、酸化物層を貫通するゲートトレンチを形成することと、
ゲートトレンチを貫通して第2金属層を形成することと、
第2金属層の一部をエッチングして、ゲートトレンチの中に金属ゲートコンタクトを形成することと、
を含む、高電子移動度トランジスタ装置を製造する方法が提供される。
【0053】
このような方法は発明の第2の様態においてHEMTを製造することに採用され得る。したがって、同様の利点及び有益な効果が期待できる。
【0054】
本発明の更なる適用範囲は下述する詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、発明の範囲内の様々な変形又は修正はこの詳細な説明から当業者にとって明らかであるはずなので、詳細な説明及び具体的な例は発明の好ましい実施形態を示しながら、例としてのみ与えられたことを理解されたい。
【0055】
したがって、その装置及び方法は変わってもよく、この発明は説明された装置の特定な構成部品や方法に制限されるものではないことを理解されたい。また、ここで使われた用語は特定の実施形態を説明するためであり、制限されるためではないことを理解されたい。
【0056】
なお、明細書及び添付された請求項において使われるように、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、文脈がそうでないことを明確に指摘しない限り、1つ以上の要素があることを意味することを意図する。したがって、例えば、「a device」又は「the device」への参照は複数の装置などを含んでもよい。さらに、言葉「comprising」、「including」、「containing」及び同様の言葉は他の要素又はステップを除外しない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
本発明の上の及び他の態様は、次において、添付された図面を参照しながらより詳しく説明される。図面は制限されるものとして理解されるべきではなく、代わりに説明及び理解のために考えられるべきである。
【0058】
図面に示されたように、層や領域の大きさは例示目的で誇張され得、したがって、一般的な構造を示すように提供されている。同じ参照番号は通しで同じ要素を参照する。
【0059】
断面図は主に概略図として考えられてもよい。装置、層、及び/又はその中の構造は相互に正確に縮尺すると考えられるべきではない。さらに、断面は装置、層、及び/又は構造を横方向の支点から見たものと考えられてもよい。
【0060】
破線の境界線を有するフロー図の四角形は任意選択及び/又は方法のいくつかの変形形態のための追加的なステップとして考えられてもよい。
【0061】
図1】本発明に係る半導体層構造の断面を示す図。
図2】半導体層構造変形形態の断面を示す図。
図3】半導体層構造変形形態の断面を示す図。
図4】半導体層構造変形形態の断面を示す図。
図5】本発明に係るHEMTの断面を示す図。
図6】HEMT変形形態の断面を示す図。
図7】半導体層構造を製造する方法のフロー図。
図8】半導体層構造を製造するステップの更なる詳細を含むフロー図。
図9】半導体層構造を製造するステップの更なる詳細を含むフロー図。
図10a】製造の異なる時間順状態の間の半導体層構造の断面を示す図。
図10b】製造の異なる時間順状態の間の半導体層構造の断面を示す図。
図10c】製造の異なる時間順状態の間の半導体層構造の断面を示す図。
図10d】製造の異なる時間順状態の間の半導体層構造の断面を示す図。
図10e】製造の異なる時間順状態の間の半導体層構造の断面を示す図。
図10f】製造の異なる時間順状態の間の半導体層構造の断面を示す図。
図10g】製造の異なる時間順状態の間の半導体層構造の断面を示す図。
図11】HEMTを製造する方法のフロー図。
図12a】製造の異なる時間順状態の間のHEMTの断面を示す図。
図12b】製造の異なる時間順状態の間のHEMTの断面を示す図。
図12c】製造の異なる時間順状態の間のHEMTの断面を示す図。
図12d】製造の異なる時間順状態の間のHEMTの断面を示す図。
図12e】製造の異なる時間順状態の間のHEMTの断面を示す図。
図12f】製造の異なる時間順状態の間のHEMTの断面を示す図。
図12g】製造の異なる時間順状態の間のHEMTの断面を示す図。
図12h】製造の異なる時間順状態の間のHEMTの断面を示す図。
図12i】製造の異なる時間順状態の間のHEMTの断面を示す図。
図13】HEMTコンタクトの上面図。
【発明の詳細な説明】
【0062】
本発明は、発明の現在好ましい実施形態が示された添付された図面を参照して、以下により詳細に説明される。この発明は、しかしながら、様々異なる形態で実施されてもよく、以下に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されてはならず、むしろ、これら実施形態は徹底性と完璧性のために提供され、発明の範囲を当業者に完全に伝えるためのものである。
【0063】
図1には、
上面104を有するSi基板102と、
基板102上に構成された第1半導体層110であって、第1半導体層110は基板102の上面104に垂直に構成された複数の縦ナノワイヤー構造112を含み、第1半導体層110はAlNを含む、第1半導体層と、
第1半導体層110上に構成された、ナノワイヤー構造112を横方向及び縦方向に囲う第2半導体層120であって、第2半導体層120は0≦x≦0.95であるAlGa1-xNを含む、第2半導体層と、
第2半導体層120上に構成された第3半導体層130であって、第3半導体層130は0≦y≦0.95であるAlGa1-yNを含む、第3半導体層と、
第3半導体層130上に構成された第4半導体層140であって、第4半導体層140はGaNを含む、第4半導体層と、
を備える、半導体層構造100の断面図が提供される。
【0064】
Si基板102の上面104は{111}のミラー指数を有してもよい。Si基板は面心ダイヤモンド立方結晶構造を有すると考えられてもよい。
【0065】
Si基板102とその上面104は実質的に平面であってもよい。Si基板102は100-1000μmの範囲内の縦厚さを有してもよい。Si基板102はより好ましくは275-525μmの範囲内の縦厚さを有してもよい。一般的に、そして、そうでないと明示的に述べない限り、ここで厚さとは縦厚さを言及する。
【0066】
Si基板102は、好ましくは1”以上の直径を有する、実質的に円形のウェーハの形であってもよい。ウェーハはさらに好ましくは2-12”の範囲内の直径を、最も好ましくは2-4”範囲内の直径を有してもよい。
【0067】
第1半導体層110は好ましくは100-500nmの範囲内の厚さを、より好ましくは200-300nmの範囲内の厚さを有してもよい。
【0068】
第1半導体層110の縦ナノワイヤー構造112は、好ましくは50-500nmの範囲内の縦長さを、より好ましくは150-250nmの範囲内の縦長さを有してもよい。
【0069】
縦ナノワイヤー構造112は、好ましくは実質的に円形又は六角の横断面を有してもよい。縦ナノワイヤー構造112は、好ましくは5-50nmの範囲内の横径を、より好ましくは10-30nmの範囲内の横径を有してもよい。
【0070】
複数の縦ナノワイヤー112は、縦方向から見て繰り返し配列パターンとして構成されてもよい。繰り返し配列パターンは、各縦ナノワイヤー構造112が6つの等距離の際も近い他の縦ナノワイヤー構造112を有する、六角パターンであってもよい。繰り返し配列パターンはあるいは、各縦ナノワイヤー構造112が4つの等距離の際も近い他の縦ナノワイヤー構造112を有する、正方形パターンであってもよい。最も近い他の縦ナノワイヤー構造112までの距離は好ましくは10-500nmの範囲内であってもよい。最も近い距離はより好ましくは50-200nm範囲内であってもよい。この最も近い距離は、あるいは、縦ナノワイヤー構造112間の間隔として理解されてもよい。
【0071】
第2半導体層120は、好ましくは100-500nmの範囲内の厚さを、より好ましくは200-300nmの範囲内の厚さを有してもよい。第2半導体層120は縦ナノワイヤー構造112を横方向に囲う、封止、又は覆うように、すなわち縦ナノワイヤー構造112の間の空間を埋めるものと考えられてもよい。第2半導体層120はさらに縦ナノワイヤー構造112を横方向に囲う、封止、又は覆うように、すなわち縦ナノワイヤー構造の上に縦方向に伸びて上部を覆うものと考えられてもよい。
【0072】
第3、第4半導体層130、140は相対的に薄いエピ層、すなわちエピタキシャルに形成された薄膜層として考えられてもよい。第3半導体層130は好ましくは1-100nmの範囲内の厚さを有してもよい。第4半導体層140は1-5nmの範囲内の縦厚さを有してもよい。
【0073】
一般的に、すべての窒化物に基づく層及び構造、例えば第1乃至第4半導体層110、120、130、140及び縦ナノワイヤー構造112に対して、材料は結晶構造ウルツ鉱を有すると考えられてもよい。結晶構造はC平面、すなわちミラー指数{0001}を有する平面が、Si基板102の上面104と整列又は平行であるように整列されてもよい。ウルツ鉱結晶構造はここに開示されたすべての更なる窒化物に基づく層及び構造に対して追加的に考慮されてもよい。GaN薄膜に対して好ましい結晶標定、例えば第4半導体層140は、垂直のC面が薄膜の外面で得られるように、ウルツ鉱C方向に対応され得る。このようなC平面は、例えばHEMT及びLED(light-emitting diodes)など、様々な装置の処理又は製造のための有利な基盤として考えられてもよい。
【0074】
図2は、基板102の上面104と第1半導体層110の間に構成された底部半導体層210をさらに含む半導体層構造100を示し、底部半導体層210はAlNを含む。
【0075】
底部半導体層210は、好ましくは10-100nmの範囲内の厚さを有してもよい。
【0076】
図3は、底部半導体層210と第1半導体層110の間に構成される中間半導体層220をさらに含む半導体層構造100を示し、中間半導体層220はAlNを含む。
【0077】
中間半導体層220は、好ましくは10-100nmの範囲内の厚さを有してもよい。
【0078】
図4は、少なくとも2つの縦方向に構成された副層121、122を含む第2半導体層120を示し、第1副層121のxは第2副層122のxより大きく、第2副層122は、第1副層121より基板から遠くに位置する。
【0079】
1つの例示的な第2半導体層120は3つの縦方向に構成された副層を備えても良い。最下副層、すなわち基板102に一番近い副層は、x=0.9を有してもよい。最上副層、すなわち基板102から一番遠い副層は、x=0.2を有してもよい。中間副層、すなわち最上副層と最下副層の間の副層は、x=0.5を有してもよい。
【0080】
副層121、122はそれぞれ20-250nmの範囲内の厚さを有しても良い。
【0081】
図5には、
半導体層構造100と、
第2半導体層120上に直接隣接して構成された金属ソースコンタクト301と、
第2半導体層120上に直接隣接して構成された金属ドレインコンタクト303であって、ドレインコンタクト303はソースコンタクト301と離間している、ドレインコンタクト303と、
第4半導体層140上に構成された金属ゲートコンタクト305であって、ゲートコンタクト305はソースコンタクト301及びドレインコンタクト303の横方向の間に構成され、ゲートコンタクト305はソースコンタクト301及びドレインコンタクト303と離間している、ゲートコンタクト305と、
を備える、高電子移動度トランジスタ装置300の断面図が提供される。
【0082】
ソースコンタクト301及びドレインコンタクト303は、Ti、Al、Cu、Ni、及び/又はAuなどの金属材料を含んでもよい。ソースコンタクト301及びドレインコンタクト303は、例えばAlCuなどの、化合物又は合金を含んでもよい。
【0083】
ゲートコンタクト305は、ソースコンタクト301及びドレインコンタクト303に対して言及された材料に加えて、Pd及び/又はAuを含んでもよい。ソースコンタクト301及びドレインコンタクト303と同様に、化合物及び合金もゲートコンタクト305の選択肢になり得る。
【0084】
HEMT300は、半導体層130、140上に配置された酸化物層310をさらに含んでもよい。酸化物層310は、ソースコンタクト301、ドレインコンタクト303、及びゲートコンタクト305の間の寄生容量を減らす低比誘電率材料で構成されてもよい。酸化物層はSiO、又は他の種類のSiベースの酸化物を含んでもよい。
【0085】
AlGa1-yNを含む第3半導体層は、HEMT300のバリア層として考えられてもよい。
【0086】
図6は、縦フィン307として構成された第4半導体層140を示し、縦フィン307は第3半導体層130に直接隣接して構成され、ゲートコンタクト305は縦フィン307を横方向及び縦方向に囲うように構成され、縦フィン307はpドープされたGaNを含む。縦フィン307は第4半導体層140からエッチングされてもよい。縦フィン307は横方向に長いフィン、又はあるいは横方向に短いメサ構造として理解されてもよい。
【0087】
GaNのpドーピングのための不純物原子は、元素周期表の2番目の族からの元素、例えばMgを含んでもよい。不純物は、例えば熱/加熱処理又は電子衝撃/調査によって活性化され得る。第4半導体層140は、図5の場合のように、ソースコンタクト301、ドレインコンタクト303、及びゲートコンタクト305の間に連続層をさらに形成しなくてもよい。
【0088】
図7には、
上面104を含むSi基板102を提供することS4001と、
基板102上に第1半導体層110を形成することS4003であって、第1半導体層110は基板102の上面104に垂直に構成された複数の縦ナノワイヤー構造112を含み、第1半導体層110はAlNを含む、第1半導体層を形成することと、
ナノワイヤー構造112を横方向及び縦方向に囲う基板構造102上に、第2半導体層120を堆積することS4005であって、第2半導体層120は0≦x≦0.95であるAlGa1-xNを含む、第2半導体層を堆積することと、
第2半導体層120上に第3半導体層130を堆積することS4007であって、第3半導体層130は0≦y≦0.95であるAlGa1-yNを含む、第3半導体層を堆積することと、
第3半導体層130上に第4半導体層140を堆積することS4009であって、第4半導体層140はGaNを含む、第4半導体層を堆積することと、
を含む、半導体層構造100を製造する方法のフロー図が提供される。
【0089】
Si基板102は、例えば上述したチョクラルスキー法を含んで、従来のSiウェーハ製造方法を使って形成されてもよい。
【0090】
第1半導体層110は、物理気相成長(PVD:physical vapor deposition)、化学気相成長(CVD:chemical vapor deposition)、プラズマ化学気相成長(PECVD:plasma-enhanced chemical vapor deposition)、有機金属化学気相成長(MOCVD:metalorganic chemical vapor deposition)、有機金属気相エピタキシー(MOVPE:metalorganic vapor-phase epitaxy)、スパッタリング(sputtering)、又は同様の方法を利用して形成S4003されてもよい。
【0091】
第1半導体層110の縦ナノワイヤー構造112は、ドライエッチング、ウェットエッチング、ケミカルエッチング、プラズマエッチング、反応性イオンエッチングなどのエッチング方法を利用して形成されてもよい。エッチングはナノワイヤー構造112を規定することを目指すパターニングステップに続いて実行されてもよい。縦ナノワイヤー構造112はMOCVD又はMOVPEなどエピタキシー方法を利用してさらに形成されてもよく、両方とも同じ手法を言及する。ナノワイヤー構造112に対し、先行するパターニングに基づく選択的領域成長が使われてもよい。
【0092】
パターニング、パターン転送、又はナノワイヤー構造112の定義は、リソグラフィーベースであってもよい。紫外線(UV)リソグラフィーなどの光リソグラフィーが使われてもよい。電子ビームリソグラフィー(EBL:electron beam lithography)、ナノインプリントリソグラフィー(NIL:nanoimprint lithography)、及び同様の様々なリソグラフィー方法が使われ得る。代替として、パターニングは、エッチング又は堆積されるべき層又は構造の表面上、又は近くに整列されたソリッドマスクを介する単なるエッチング又は堆積を含んでもよい。
【0093】
図7はまた、方法が基板102を提供することS4001と第1半導体層110を形成することS4003との間に、底部半導体層210を堆積することS5007をさらに含んでもよいことを示し、底部半導体層210はAlNを含む。
【0094】
底部半導体層210は第1半導体層110と同様の方法を利用して堆積S5007されてもよい。下層120は好ましくはPVDを利用して堆積されてもよい。
【0095】
図7はまた、方法が底部半導体層210を堆積することS5007と第1半導体層110を形成S4003することとの間に、中間半導体層220を堆積することS5009をさらに含んでもよいことを示し、中間半導体層220はAINを含む。
【0096】
中間層220第1半導体層110と同様の方法を利用して堆積S5009されてもよい。中間層220は好ましくは高温MOCVD/MOVPEを利用して堆積されてもよい。
【0097】
第2、第3、第4半導体層120、130、140は、MOCVD/MOVPEを利用して堆積S4005、S4007、S4009されてもよい。異なる前駆体のガス圧力及び温度はAlNからAlGaNの様々な構成、GaNまでの異なる構成の固体結晶材料を生成するように使われ得る。GaN MOCVD/MOVPEに対しては1000℃以上の温度を使うことが好ましい。
【0098】
前駆体ガスはTMAl(trimethylaluminium)、TEAl(triethylaluminium)、TMGa(trimethylgallium)、TEGa(triethylgallium)、phenylhydrazine、DMHy(dimeth
ylhydrazine)、TBAm(tertiarybutylamine)、NH(ammonia)などを含み得る。
【0099】
第2半導体層120を堆積S4005するステップは、縦ナノワイヤー構造112から、縦ナノワイヤー構造112のウルツ鉱結晶のM方向にシェル又は複数のシェルを横方向又は放射状にエピタキシャルに成長させるものとして理解されてもよい。縦ナノワイヤー構造112からのシェル又は複数のシェルは第2半導体層120である1つの薄膜を形成するように癒合し得る。
【0100】
図8は、第1半導体層110の複数の縦ナノワイヤー構造112を形成することは、
基板102上に第1半導体層110を堆積することS5001と、
第1半導体層110から複数の縦ナノワイヤー構造112をエッチングすることS5003と、
を含んでもよいことを示す。
【0101】
エッチングすることS5003は、例えば先行するパターニングステップに基づく、選択的エッチング手順であってもよい。エッチングすることS5003は縦ナノワイヤー構造112を製造し得る。エッチングすることS5003は、例えば塩素基板のプラズマエッチングであってもよい。
【0102】
図8は、複数の縦ナノワイヤー構造112が、例えば選択的領域成長MOCVD/MOVPEを介して、基板102上に複数の縦ナノワイヤー構造112をエピタキシャルに形成することS5005を含んでもよいことをさらに示す。
【0103】
図9は、第2半導体層120を形成することは、
第1半導体層110上に第1副層121を形成することS5011と、
第1副層121上に第2副層122を形成することS5013であって、第1副層121のxは第2副層のxより大きい、第2副層を形成することと、
を含んでもよいことを示す。
【0104】
副層121、122の組成の違いは温度及び前駆体のガス圧力などのパラメータを徐々に変更することで遂げ得る。
【0105】
図10a-gは、半導体層構造を製造する方法の異なる時間順状態の間の断面図を示す。
【0106】
図10aは、単に提供S4001された基板102とその上面104を示す。
【0107】
図10bは底部半導体層210が、基板102の上面104上に堆積S5007されたことを示す。
【0108】
図10cは中間半導体層220が、底部半導体層210上に堆積S5009されたことを示す。
【0109】
図10dは第1半導体層110が、縦ナノワイヤー構造112を含んで、中間半導体層220上に形成S4003されたことを示す。なお、第1半導体層110は基板102の上面104上に直接形成S4003されてもよい。
【0110】
図10eはナノワイヤー構造112を横方向及び縦方向に囲う第2半導体層120が、第1半導体層110上に堆積S4005されたことを示す。
【0111】
図10fは第3半導体層130が、第2半導体層120上に堆積S4007されたことを示す。
【0112】
図10gは、第4半導体層140が第3半導体層130上に堆積S4009されたことで、完成された半導体層構造100を示す。
【0113】
図11には、
半導体層構造100を製造する方法のステップS4001-S4009、及び任意選択でステップS5001-S5013と、
第3及び第4半導体層130、140を貫通して、第3及び第4半導体層130、140の一部をエッチングすることで、少なくとも2つのトレンチ702を形成することS6001と、
トレンチ702を貫通して、且つ第2半導体層120上に第1金属層704を堆積することS6003と、
第1金属層704の一部をエッチングして、トレンチ702の中に金属ソースコンタクト301及び金属ドレインコンタクト303を形成することS6005と、
ソースコンタクト301及びドレインコンタクト303上に酸化物層310を形成することS6007と、
酸化物層310の一部をエッチングして、第3及び第4半導体層130、140を貫通する少なくとも2つのトレンチの間であり、且つ離間して、酸化物層310を貫通するゲートトレンチ708を形成することS6009と、
ゲートトレンチ708を貫通して第2金属層710を堆積S6011することと、
第2金属層710の一部をエッチングして、ゲートトレンチ708の中に金属ゲートコンタクト305を形成することS6013と、
を含む、高電子移動度トランジスタ装置300を製造する方法のフロー図が提供される。
【0114】
少なくとも2つのトレンチ702の形成S6001、及びゲートトレンチ708の形成S6009は、上述したようなパターニングに基づく選択的エッチングを含み得る。パターニングはすべてのトレンチ702、708に対して同様に実行されてもよいが、エッチングはエッチングされる材料に合わせてカスタマイズされる必要があり得る。例えば、プラズマベースエッチングは、第3及びだ4半導体層130、140を貫通する少なくとも2つのトレンチを形成することS6001に利用されてもよい。酸化物エッチング方法、例えば、フッ化水素酸(HF:hydrofluoric acid)ウェットエッチングは、酸化物層310を貫通するゲートトレンチ708を形成することS6009に利用されてもよい。トレンチ702、708は、横方向に長いトレンチ又は、あるいは横方向に短い穴として理解されてもよい。
【0115】
第1及び第2金属層704、710の堆積S6003、S6011は、スパッタリング又は金属蒸発で実行されてもよい。堆積されたとき、第1金属層704は金属ソースコンタクト301及びドレインコンタクト303と関連して上述したものと同じ材料を含み得る。堆積されたとき、第2金属層710は金属ゲートコンタクト305と関連して上述したものと同じ材料を含み得る。
【0116】
ソースコンタクト301、ドレインコンタクト303、及びゲートコンタクト305の形成S6005、S6013は、エッチングされる金属材料に適合する金属エッチング方法を利用して第1及び第2金属層704、710をエッチングすることで実行されてもよい。また、エッチングは取り除く層の領域を定義するパターニングステップにてなされてもよい。このようなパターニングステップは上述したパターニング方法に従って実行されてもよい。
【0117】
酸化物層310の形成S6007は、上述した堆積方法を介して酸化物層310を堆積することを含んでもよい。例えば、CVD、PECVD、及びスパッタリングが酸化物層310を形成することに利用されててもよい。
【0118】
図12a-gは、HEMT300を製造する方法の異なる時間順状態の間の断面図を示す。
【0119】
図12a、HEMT300を製造する、続きのステップの基となる半導体層構造100を示す。
【0120】
図12bは、第3及び第4半導体層130、140を貫通して形成S6001された少なくとも2つのトレンチ702を示す。
【0121】
図12cは、トレンチ702を貫通して、且つ第2半導体層120上に堆積S6003された第1金属層704を示す。
【0122】
図12dは、ソースコンタクト301及びドレインコンタクト303を最初に物理的に繋いでいた第1金属層704の一部の選択的除去で、トレンチ702の中に形成S6005された金属ソースコンタクト301及び金属ドレインコンタクト303を示す。
【0123】
図12eは、ソースコンタクト301及びドレインコンタクト303並びに半導体層上に形成S6007された酸化物層310を示す。
【0124】
図12fは、酸化物層310を貫通して、ソースコンタクト301及びドレインコンタクト303の横方向の間に形成S6009されたゲートトレンチ708を示す。
【0125】
図12gは、ゲートトレンチを貫通して、且つ第4半導体層140上に堆積S6011された第2金属層710を示す。
【0126】
図12hは、第2金属層710の選択的除去でゲートトレンチ708の中に形成6013された金属ゲートコンタクト305を示す。HEMTは今、完全であると考えられてもよい。
【0127】
図12iは、HEMT300の上部を平坦化される追加的なステップを示す。これはソースコンタクト301及びドレインコンタクト303へのアクセスを易くし、総合接続の複雑さを減らすためにされ得る。このような平坦化ステップには化学機械研磨(CMP:Chemical mechanical polishing)が利用されてもよい。
【0128】
さらに、図面、開示、及び添付された請求項の工夫から、当業者が請求された発明を実施することで、開示された実施形態への変形が理解され、影響され得る。
【0129】
図13は、HEMT300コンタクトレイアウトの上面図を示す。ソースコンタクト301、ドレインコンタクト303、及びゲートコンタクト305は、ここでマルチフィンガレイアウトとして構成されている。ソースコンタクト301は3つのフィンガを有し、ドレインコンタクト303は2つのフィンガを有する。ゲートコンタクト305はソースコンタクト301及びドレインコンタクト303の間に曲がりくねったことが示されている。例えば図5に示されたもののようなHEMT装置断面は、図13に示された断面802に対応すると理解されてもよい。
【0130】
レイアウトは、装置の効率的な領域間隔と均等に分配された電流を促進する。レイアウトは、より長い有効チャネル幅のおかげで、より高い電流を可能とする。有効チャネル幅は、フィンガの総数(ソース及びドレイン両方)引き1、掛け1つのフィンガの長さと理解されてもよい。レイアウトはまた、ゲート抵抗を減らし、ゲートチャネル電気容量と共にローパスフィルタが形成されることを防止できる。したがって、このようなレイアウトでHEMTスイッチング速度は向上する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図10c
図10d
図10e
図10f
図10g
図11
図12a
図12b
図12c
図12d
図12e
図12f
図12g
図12h
図12i
図13
【国際調査報告】