(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-13
(54)【発明の名称】式(I)の化合物の製造のための方法および中間体
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20230206BHJP
C07D 407/14 20060101ALI20230206BHJP
C07D 403/04 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
C07D487/04 144
C07D407/14 CSP
C07D403/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533631
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(85)【翻訳文提出日】2022-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2020084580
(87)【国際公開番号】W WO2021110893
(87)【国際公開日】2021-06-10
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008951
【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】デュビエ,ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ターナー,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】チャブ,リチャード
【テーマコード(参考)】
4C050
4C063
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB08
4C050CC05
4C050EE03
4C050FF10
4C050GG03
4C050HH04
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB01
4C063CC29
4C063CC71
4C063DD25
4C063EE05
(57)【要約】
式(I)
の化合物を製造するための方法および中間体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
の化合物の製造方法であって、式(II)の化合物、(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(メトキシメチル)-2-(5-メチル-2-メチルスルホニル-ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン:
【化2】
と2-メチルピラゾール-3-アミン(VIII):
【化3】
の反応の工程を含む、製造方法。
【請求項2】
式(III)の化合物、(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(メトキシメチル)-2-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン:
【化4】
と酸化剤の反応から式(II)の化合物を製造するさらなる工程(ii)を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
式(IV)の化合物、(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(ヒドロキシメチル)-2-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン:
【化5】
とメチル化剤の反応から式(III)の化合物を製造するさらなる工程(iii)を含む、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
式(V)の化合物、N-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-4-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-1-[[(2R)-オキシラン-2-イル]メチル]イミダゾール-2-カルボキサミド:
【化6】
と臭化リチウムの反応から式(IV)の化合物を製造するさらなる工程(iv)を含む、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
式(VI)の化合物、N-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-4-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-カルボキサミド:
【化7】
と(S)-(+)-エピクロロヒドリン(IX):
【化8】
の反応から式(V)の化合物を製造するさらなる工程(v)を含む、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
式(VII)の化合物、4-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-カルボン酸:
【化9】
と(3,4-ジフルオロフェニル)メタンアミン(X):
【化10】
の反応から式(VI)の化合物を製造するさらなる工程(vi)を含む、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
式(II)の化合物、(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(メトキシメチル)-2-(5-メチル-2-メチルスルホニル-ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン:
【化11】
【請求項8】
式(III)の化合物、(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(メトキシメチル)-2-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン:
【化12】
【請求項9】
式(IV)の化合物、(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(ヒドロキシメチル)-2-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン:
【化13】
【請求項10】
式(V)の化合物、N-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-4-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-1-[[(2R)-オキシラン-2-イル]メチル]イミダゾール-2-カルボキサミド:
【化14】
【請求項11】
式(VI)の化合物、N-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-4-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-カルボキサミド:
【化15】
【請求項12】
式(VII)の化合物、4-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-カルボン酸:
【化16】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I):
【化1】
の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは共結晶の製造のための方法および中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
国際特許出願国際公開第2017/080979A1号には、ERK阻害剤としての式(I)の化合物が記載され(前記出願の実施例18)、当該化合物が癌の処置に有用であることが記載されている。さらに、国際公開第2017/080979A1号には、式(I)の化合物のアジピン酸共結晶が記載されている(前記出願の実施例34)。式(I)の化合物はまた、化学名:(R)-7-(3,4-ジフルオロベンジル)-6-(メトキシメチル)-2-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-6,7-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8(5H)-オンで知られている。
【0003】
さらに、国際公開第2017/080979A1号には、下記のスキーム1に要約される方法を用いた、式(I)の化合物の製造のための方法が記載されている。次の略語がスキーム1において使用される:SEM=2-(トリメチルシリル)エトキシメチル;NBS=N-ブロモスクシンイミド;pin=ピナコラト;Ac=アシル、TFA=トリフルオロ酢酸;18-クラウン-6=1,4,7,10,13,16-ヘキサオキサシクロオクタデカン;およびBoc=tert-ブチルオキシカルボニル。
【0004】
先行技術に記載の合成経路は、実験室規模で式(I)の化合物を製造するための確実な方法を提供するが、その経路はいくつかの欠点を有する。それには、次のものが含まれる:
(i)合成経路が比較的長く、最長直線工程において10個の単離された中間体が存在する;
(ii)経路が、高コストであり、室温での化学的安定性が限られる、化学名tert-ブチル (4S)-4-(メトキシメチル)-2,2-ジオキソ-オキサチアゾリジン-3-カルボキシレートとしても知られる式(A)の化合物に依存する;および
(iii)この方法により形成される式(I)の化合物が、大規模では高価なクロマトグラフィーによる精製を必要とする。
【化2】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、スキーム1に示す合成経路は、実験室規模で式(I)の化合物を製造するために適切であるが、式(I)の化合物の大規模製造のために適切な方法についての必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
我々は今回、上記の欠点を実質的に克服する改善された合成方法を発見した。改善された合成を下記のスキーム2に要約する。
【化3】
【0007】
スキーム2において、次のさらなる略語が使用される:Piv=ピバロイル;RuPhos Pd G3=(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジイソプロポキシ-1,1’-ビフェニル-クリスタ)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II) メタンスルホネート;CDMT=2-クロロ-4,6,-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン;DIPEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン;mCPBA=メタ-クロロペルオキシ安息香酸;およびLHMDS=リチウムビス(トリメチルシリル)アミド。角括弧は、合成工程中に化合物を単離する必要がないことを示す。
【0008】
スキーム2の改善された方法は、マルチキログラム規模での式(I)の化合物の製造に適切であることが示された。特に:
(i)式(V)または式(III)の化合物を単離する必要がなく、6個の中間体のみ単離が必要であり;
(ii)改善された方法は式(A)の化合物についての必要性を回避し、製品コストを削減し;および
(iii)式(I)の化合物が、アジピン酸を用いて結晶化して、式(I)の化合物のアジピン酸共結晶を形成することにより単離され得るのに十分な濃度で形成されクロマトグラフィーの必要性を回避する。
【0009】
第一の態様において、本発明は、式(I):
【化4】
の化合物の製造方法であって、式(II)の化合物、(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(メトキシメチル)-2-(5-メチル-2-メチルスルホニル-ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン:
【化5】
と2-メチルピラゾール-3-アミン(VIII)
【化6】
の反応を含む、製造方法を提供する。
【0010】
次の態様において、本発明は、式(II)の化合物、(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(メトキシメチル)-2-(5-メチル-2-メチルスルホニル-ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン:
【化7】
を提供する。
【0011】
次の態様において、本発明は、式(III)の化合物、(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(メトキシメチル)-2-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン:
【化8】
を提供する。
【0012】
次の態様において、本発明は、式(IV)の化合物、(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(ヒドロキシメチル)-2-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン:
【化9】
を提供する。
【0013】
次の態様において、本発明は、式(V)の化合物、N-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-4-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-1-[[(2R)-オキシラン-2-イル]メチル]イミダゾール-2-カルボキサミド:
【化10】
を提供する。
【0014】
次の態様において、本発明は、式(VI)の化合物、N-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-4-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-カルボキサミド:
【化11】
を提供する。
【0015】
次の態様において、本発明は、式(VII)の化合物、4-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-カルボン酸:
【化12】
を提供する。
【0016】
上記のとおり、式(I):
【化13】
の化合物の製造方法であって、式(II)の化合物、(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(メトキシメチル)-2-(5-メチル-2-メチルスルホニル-ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン:
【化14】
と2-メチルピラゾール-3-アミン(VIII):
【化15】
の反応の工程(i)を含む、製造方法が提供される。
【0017】
ある実施態様において、反応は、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムtert-ブトキシドまたは水素化ナトリウムなどの塩基の存在下で実施される。さらなる実施態様において、塩基はリチウムビス(トリメチルシリル)アミドである。
【0018】
ある実施態様において、方法は、式(III)の化合物、(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(メトキシメチル)-2-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン:
【化16】
と酸化剤の反応から式(II)の化合物を製造するさらなる工程(ii)を含む。ある実施態様において、酸化剤は、過酸化水素またはmCPBAである。さらなる実施態様において、酸化剤はmCPBAである。
【0019】
ある実施態様において、方法は、式(IV)の化合物、(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(ヒドロキシメチル)-2-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン:
【化17】
と、ヨウ化メチル、硫酸ジメチルまたはトリフルオロメタンスルホン酸メチルなどのメチル化剤との反応から式(III)の化合物を製造するさらなる工程(iii)を含む。さらなる実施態様において、メチル化剤はヨウ化メチルである。さらなる実施態様において、反応は、水素化ナトリウム、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはカリウムtert-ブトキシドなどの塩基の存在下で実施される。さらなる実施態様において、塩基は水素化ナトリウムである。
【0020】
ある実施態様において、方法は、式(V)の化合物、N-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-4-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-1-[[(2R)-オキシラン-2-イル]メチル]イミダゾール-2-カルボキサミド:
【化18】
と臭化リチウムの反応から式(IV)の化合物を製造するさらなる工程(iv)を含む。
【0021】
ある実施態様において、方法は、式(VI)の化合物、N-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-4-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-カルボキサミド:
【化19】
と(S)-(+)-エピクロロヒドリン(IX):
【化20】
の反応から式(V)の化合物を製造するさらなる工程(v)を含む。
【0022】
ある実施態様において、反応は、4-ジメチルアミノピリジンの存在下で実施される。さらなる実施態様において、反応は、DIPEA、トリエチルアミンまたはトリブチルアミンなどの塩基の存在下で実施される。さらなる実施態様において、塩基はDIPEAである。
【0023】
ある実施態様において、方法は、式(VII)の化合物、4-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-カルボン酸:
【化21】
と(3,4-ジフルオロフェニル)メタンアミン(X):
【化22】
の反応から式(VI)の化合物を製造するさらなる工程(vi)を含む。
【0024】
さらなる実施態様において、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジンと4-メチルモルホリンの組合せ、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドとヒドロキシベンゾトリアゾールの組合せ、ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、プロパンホスホン酸無水物、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート、1,1’-カルボニルジイミダゾール、酸ハライド形成剤または酸無水物形成剤などのペプチドカップリング剤の存在下で実施される。さらなる実施態様において、ペプチドカップリング剤は、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジンと4-メチルモルホリンの組合せである。
【0025】
ある実施態様において、式(II)の化合物、(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(メトキシメチル)-2-(5-メチル-2-メチルスルホニル-ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン:
【化23】
が提供される。
【0026】
さらなる実施態様において、式(II)の化合物は、≧95%、≧98%または≧99%のエナンチオマー過剰率(%ee)である。さらなる実施態様において、式(II)の化合物は、≧99%のエナンチオマー過剰率(%ee)である。
【0027】
ある実施態様において、式(III)の化合物、(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(メトキシメチル)-2-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン:
【化24】
が提供される。
【0028】
さらなる実施態様において、式(III)の化合物は、≧95%、≧98%または≧99%のエナンチオマー過剰率(%ee)である。さらなる実施態様において、式(III)の化合物は、≧99%のエナンチオマー過剰率(%ee)である。
【0029】
ある実施態様において、式(IV)の化合物、(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(ヒドロキシメチル)-2-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン:
【化25】
が提供される。
【0030】
さらなる実施態様において、式(IV)の化合物は、≧95%、≧98%または≧99%のエナンチオマー過剰率(%ee)である。さらなる実施態様において、式(IV)の化合物は、≧99%のエナンチオマー過剰率(%ee)である。
【0031】
ある実施態様において、式(V)の化合物、N-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-4-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-1-[[(2R)-オキシラン-2-イル]メチル]イミダゾール-2-カルボキサミド:
【化26】
が提供される。
【0032】
さらなる実施態様において、式(V)の化合物は、≧95%、≧98%または≧99%のエナンチオマー過剰率(%ee)である。さらなる実施態様において、式(V)の化合物は、≧99%のエナンチオマー過剰率(%ee)である。
【0033】
ある実施態様において、式(VI)の化合物、N-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-4-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-カルボキサミド:
【化27】
が提供される。
【0034】
ある実施態様において、式(VII)の化合物、4-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-カルボン酸:
【化28】
が提供される。
【0035】
本明細書に記載の化合物は、酸付加塩または塩基付加塩を形成し得る。
【0036】
一般に、酸付加塩は多様な無機酸または有機酸を用いて製造され得る。このような塩は、典型的に、例えば、当分野で既知の多様な方法を用いて、化合物と酸(例えば、化学量論量の酸)を混合することにより形成され得る。この混合は、水、有機溶媒(例えば、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリル)または水性/有機混合物中で行い得る。酸付加塩は、例えば、塩酸から成る群から選択される無機酸を用いて形成され得る。
【0037】
塩基付加塩を形成し得る化合物について、例えば、水性媒体中でアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属ヒドロキシドもしくはアルコキシド(例えば、エトキシドまたはメトキシド)または適切な塩基性有機アミン(例えば、コリンまたはメグルミン)を用いて化合物を処理することにより、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウム)またはアルカリ土類金属(例えばカルシウム)塩を製造することができる。
【0038】
塩を製造する一般的な原則および技術は、Berge et al., J. Pharm. Sci., 66, 1-19 (1977)において見ることができる。
【0039】
本明細書に記載の化合物は、溶媒和物形態および非溶媒和物形態で存在し得る。例えば、溶媒和物形態、例えば、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物などの水和物形態またはその代替量であり得る。本発明は、全てのこのような溶媒和物および非溶媒和物形態を含む。
【0040】
本明細書に記載の化合物および塩の原子は、それらの同位体として存在し得る。本発明は、原子がその同位体の1以上で置換された全てのこのような化合物(例えば、1以上の炭素原子が11Cまたは13C炭素同位体であるか、または1以上の水素原子が2Hまたは3H同位体である化合物)を包含する。
【0041】
本明細書に記載の方法により製造される式(I)の化合物は、癌の処置のための医薬として使用するための製剤、例えば錠剤を提供するために使用され得る。そのようにして製造された医薬の適切な製剤および治療的使用は、参照によりその内容を本明細書に包含させる国際公開第2017/080979A1号に記載されている。
【0042】
多様な実施態様は、以下の実施例により説明される。本発明は実施例を限定するものとして解釈されるべきではない。実施例の方法において、一般に:
i.特に断らない限り、操作は環境温度、すなわち約17~30℃の範囲で、窒素などの不活性雰囲気下で実施され;
ii.収量は、存在するとき、必ずしも達成できる最大限のものではなく;
iii.化合物は核磁気共鳴(NMR)分光法により、デルタスケールで測定したNMR化学シフト値で確認した。プロトン磁気共鳴スペクトルは、Bruker advance 700 (700 MHz), Bruker Avance 500 (500 MHz), Bruker 400 (400 MHz)またはBruker 300 (300 MHz)機器を用いて決定し;特に断らない限り、測定は20~30℃付近で実施し;次の略語を使用し:s=シングレット;d=ダブレット;t=トリプレット;q=カルテット;p=ペンテット/クインテット;m=マルチプレット;dd=ダブレットのダブレット;ddd=ダブレットのダブレットのダブレット;dt=トリプレットのダブレット;td=ダブレットのトリプレット;qd=ダブレットのカルテット;bs=ブロードシグナル;
iv.また、化合物を液体クロマトグラフィー(LC-MS)後に高分解能質量分析により特徴化した。Waters Synapt G2-Si ESI質量スペクトロメーターを接続したWaters H-Class Bio UPLCを用いてLC-MSを実施し、90/5/5 A/B/C~5/90/5 A/B/Cで12分間、その後5/90/5 A/B/Cで1.2分間保持する、A=水、B=アセトニトリルおよびC=250mM 酢酸アンモニウム水溶液溶媒系を用いて、流速0.6mL/分で、ポジティブエレクトロスプレーモードおよびAcquity BEH RP18カラム(2.1×100mm、1.7mm)で作動させ;
v.BIOVIATM Draw、バージョン16.1を用いてIUPAC名を付し;
vi.次の略語を使用し:CDMT=2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン;CPME=シクロプロピルメチルエーテル;DIPEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン;DMF=ジメチルホルムアミド;LHMDS=リチウムビス(トリメチルシリル)アミド;mCPBA=メタ-クロロペルオキシ安息香酸;Piv=ピバロイル;およびRuPhos Pd G3=(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジイソプロポキシ-1,1’-ビフェニル)[2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II) メタンスルホネート
vii.(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(メトキシメチル)-2-[5-メチル-2-[(2-メチルピラゾール-3-イル)アミノ]ピリミジン-4-イル]-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン アジピン酸共結晶種は国際公開2017/080979A1号の実施例34(180頁)に対応し、そこに記載される方法に従って製造され得る。
【0043】
エチル 1-(2,2-ジメチルプロパノイルオキシメチル)イミダゾール-2-カルボキシレート
【化29】
40℃で、撹拌中のエチル 1H-イミダゾール-2-カルボキシレート(80.58g、575.0mmol)、炭酸カリウム(690.0mmol、95.36g)およびアセトニトリル(730mL)の混合物に、ピバリン酸クロロメチル(632.5mmol、95.25g、91.15mL)を2時間かけて滴下した。その後、得られた混合物を40℃で20時間撹拌した。その後、これを20℃まで冷却し、ろ過し、アセトニトリル(160mL)で洗浄した。得られたろ液を真空中で濃縮した。残渣をヘプタンで3サイクル処理することにより残りのアセトニトリルを除去し、その後、得られた混合物を真空中で濃縮した。その後、得られた懸濁液をろ過し、ヘプタン(160mL)で洗浄し、表題化合物を灰白色固体(134g、92%)として得た;
1H NMR(500MHz、DMSO-d
6)δ ppm 1.1(s、9H) 1.3(t、J=7.1Hz、3H) 4.3(q、J=7.1Hz、2H) 6.2(s、2H) 7.1(d、J=1.1Hz、1H) 7.6(d、J=1.1Hz、1H);m/z=254.28。
【0044】
エチル 1-(2,2-ジメチルプロパノイルオキシメチル)-4-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)イミダゾール-2-カルボキシレート
【化30】
撹拌中のエチル 1-(2,2-ジメチルプロパノイルオキシメチル)イミダゾール-2-カルボキシレート(138mmol、35.0g)、ビス(ピナコラト)ジボロン(145mmol、36.7g)および3,4,7,8-テトラメチル-1,10-フェナントロリン(4.13mmol、0.976g)の混合物のCPME(140mL)溶液に(1,5-シクロオクタジエン)(メトキシ)イリジウム(I)二量体(2.06mmol、1.37g)を添加し、得られた混合物を53℃で1時間撹拌した。その後得られた混合物をろ過し、CPME(35mL)で洗浄し、粗製の中間体、エチル 1-(2,2-ジメチルプロパノイルオキシメチル)-4-メチル-イミダゾール-2-カルボキシレートを得た。
【0045】
RuPhos Pd G3(3.44mmol、2.88g)を4-クロロ-5-メチル-2-(メチルスルファニル)ピリミジン(138mmol、24.0g)、炭酸カリウム(275mmol、38.0g)、CPME(280mL)および水(140mL)の混合物に添加し、得られた混合物を55℃で撹拌した。粗製の中間体エチル 1-(2,2-ジメチルプロパノイルオキシメチル)-4-メチル-イミダゾール-2-カルボキシレートを得られた混合物に添加し、その後これを55℃で1時間撹拌した。その後、40℃で混合物をセライトTM(35.0g)でろ過し、CPME(35mL)で洗浄した。得られたろ液の水層を除去し、有機層を水(140mL)で洗浄した。その後、有機層を真空中で濃縮し、5℃に冷却し、固体を得て、これをろ過し、CPME(35mL)で洗浄し、表題化合物を明桃色固体(54.0g、138mmol)として得た;1H NMR(500MHz、クロロホルム-d)δ ppm 1.0(s、9H) 1.5(t、J=7.1Hz、3H) 2.3(d、J=0.5Hz、3H) 2.6(s、3H) 4.5(q、J=7.1Hz、2H) 6.7(s、2H) 7.5(s、1H) 8.5-8.5(m、1H);m/z=392.47。
【0046】
N-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-4-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-カルボキサミド
【化31】
15℃で、撹拌中の1-(2,2-ジメチルプロパノイルオキシメチル)-4-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)イミダゾール-2-カルボキシレート(55.07g、140.3mmol)の混合物のTHF(330mL)および水(550mL)溶液に、水酸化ナトリウム水溶液(2.0M、441.2mmol、220.6mL)を15分間かけて滴下添加した。混合物を15℃で12時間撹拌した後、15℃で、リン酸(646mmol、85質量%、74.5g、44.06mL)の水(275mL)溶液を15分間かけて滴下添加した。さらに10分後、混合物をろ過し、水(275mL)で洗浄し、中間体4-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-カルボン酸を得た;
1H NMR(400MHz、DMSO-d
6)δ ppm 2.5(s、3H) 2.6(s、3H) 8.0(s、1H) 8.5(s、1H); m/z=250.28。
【0047】
中間体をDMF(720mL)に溶解し、0℃に冷却し、その後、CDMT(210.5mmol、36.95g)で処理した。反応混合物を0℃で10分間撹拌し、その後、反応混合物を0℃に保持しながら、予め15℃に冷却した(3,4-ジフルオロフェニル)メタンアミン(168.4mmol、24.10g、19.9mL)および4-メチルモルホリン(168.4mmol、24.10g、19.9mL)のDMF(83mL)溶液を15分間かけて滴下し、処理した。反応混合物を0℃で2時間撹拌し、その後5℃で、水(250mL)で10分間処理した。その後、得られた混合物をろ過し、DMF(55mL)および水(55mL)の混合物で洗浄し。得られたろ過ケーキを真空中で乾燥させ、その後20℃でメタノール(275mL)を添加した。得られたスラリーを撹拌し、20℃で、炭酸カリウム(199.2mmol、27.54g)の水(253mL)溶液で処理した。混合物を20℃で12時間撹拌した後、ろ過し、その後水(275mL)およびメタノール(275mL)で洗浄した。ろ過した固体を真空中で乾燥させ、表題化合物を固体(42.9g、114mmol)として得た;1H NMR(500MHz、DMSO-d6)δ ppm 2.5-2.5(m、3H) 2.6(brs、3H) 4.5(d、J=6.4Hz、2H) 7.1-7.2(m、1H) 7.3-7.5(m、2H) 7.7-8.2(m、1H) 8.4(s、1H) 9.0(brs、1H) 13.6(brs、1H); 19F NMR(470MHz、DMSO-d6)δ ppm -141.7~-141.4(m、1F) -139.1~-138.9(m、1F); 13C NMR (126MHz、DMSO-d6) δ ppm 13.5(s、1C) 16.8(s、1C) 41.3(s、1C) 116.3(d、J=17.3Hz、1C) 117.2(d、J=16.8Hz、1C) 121.9(s、1C) 123.1(s、1C) 124.0(dd、J=6.6、3.4Hz、1C) 137.3(dd、J=4.3Hz、1C) 140.3(s、1C) 141.2(s、1C) 148.4(dd、J=244.1、12.5Hz、1C) 149.2(dd、J=245.2、12.7Hz、1C) 156.8(s、1C) 158.3(s、1C) 159.7(s、1C) 167.7(s、1C);m/z=375.4。
【0048】
(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(ヒドロキシメチル)-2-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン
【化32】
N-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-4-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-1H-イミダゾール-2-カルボキサミド(115.8mmol、43.47g)、4-ジメチルアミノピリジン(3.474mmol、0.4244g)、DIPEA(115.8mmol、14.97g、20.2mL)および(S)-(+)-エピクロロヒドリン(926.4mmol、85.71g、72.51mL)の混合物のTHF(535mL)溶液を20℃で撹拌した後、1時間かけて50℃まで加熱した。その後、得られた混合物を50℃で24時間加熱し、N-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-4-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-1-[[(2R)-オキシラン-2-イル]メチル]イミダゾール-2-カルボキサミドのスラリーを得た。その後、これを30℃に冷却し、30℃で10分間かけて、臭化リチウム(162.1mmol、14.08g)を分割量で添加して処理した。その後、混合物を40℃で16時間撹拌した後、20℃に冷却した。その後、混合物をろ過し、THF(87mL)で洗浄した。その後、ろ過した固体をメタノール(430mL)中、20℃で1時間撹拌した後、混合物をろ過し、メタノール(87mL)で洗浄した。ろ過ケーキを真空中で乾燥させ、表題化合物を固体として得た(49.97g、115.8mmol);
1H NMR(500MHz、DMSO-d
6)δ ppm 2.5(s、3H) 2.5-2.6(m、3H) 3.2-3.3(m、1H) 3.4-3.5(m、1H) 3.8-3.8(m、1H) 4.4(d、J=15.5Hz、1H) 4.4(dd,J=13.6、4.9Hz、1H) 4.5-4.5(m、1H) 5.1(d、J=15.5Hz、1H) 5.2(t、J=5.4Hz、1H) 7.2-7.3(m、1H) 7.4(dt、J=10.8、8.5Hz、1H) 7.5(ddd、J=11.6、7.9、2.0Hz、1H) 8.2(s、1H) 8.5(d、J=0.6Hz、1H);m/z=431.46。
【0049】
(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(メトキシメチル)-2-(5-メチル-2-メチルスルホニル-ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン
【化33】
(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(ヒドロキシメチル)-2-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン(61.2g、142mmol)の混合物のTHF(551mL)を20℃で15分間撹拌した後、0℃に冷却した。その後、0℃で20分間かけて、水素化ナトリウム(鉱油中60質量%、170mmol、6.81g)を分割して添加し、混合物を処理した。混合物を0℃で1時間撹拌し、その後、0℃で、ヨードメタン(213mmol、30.2g、13.3mL)を10分間かけて滴下添加した。混合物をライン洗浄としてTHF(61mL)で処理し、その後、0℃で30分間撹拌し、その後、1時間かけて35℃まで昇温させ、35℃で1時間撹拌した。その後、混合物を20℃に冷却し、塩化ナトリウム(314mmol、18.4g)の水(122mL)溶液で処理した。混合物を20℃で10分間撹拌した後、水層を除去した。有機層を撹拌し、塩化ナトリウム(314mmol、18.4g)の水(122mL)溶液で処理した。混合物を20℃で10分間撹拌した後、水層を除去した。有機層を真空中で濃縮し、その後、ジクロロメタン(612mL)および水(122mL)で処理した。得られた混合物を20℃で10分間撹拌した後、水層を除去し、(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(メトキシメチル)-2-(5-メチル-2-メチルスルファニル-ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン[
1H NMR(400MHz、クロロホルム-d)δ ppm 2.6(s、3H) 2.7(s、3H) 3.3(s、3H) 3.4(m、1H) 3.7(m、1H) 3.8(m、1H) 4.2(m、2H) 4.4(d、1H) 5.4(d、1H) 7.1-7.2(m、3H) 7.9(s、1H) 8.4(s、1H);m/z=445.49]を得た。これを5℃に冷却し、5℃で20分間かけてmCPBA(312mmol、77質量%、69.9g)を分割して添加し、処理した。混合物を5℃で1時間撹拌し、その後30分間かけて20℃まで昇温させ、その後、20℃で10時間撹拌した。その後、混合物を亜硫酸ナトリウム(486mmol、61.2g)の水(282mL)溶液で処理し、20℃でさらに10分間撹拌した。その後、水層を除去し、有機層を炭酸カリウム(221mmol、30.6g)の水(282mL)溶液で処理した。混合物を10分間撹拌した後、水層を除去し、有機層を炭酸カリウム(221mmol、30.6g)の水(282mL)溶液で処理した。混合物を10分間撹拌した後、水層を除去し、硫酸マグネシウム(153mmol、18.4g)を分割して添加し、有機層を処理した。混合物を10分間撹拌した後、セライト
TM(18.4g)でろ過し、ジクロロメタン(245mL)で洗浄した。ろ液を真空中で濃縮し、その後、20℃で20分間かけて、ジイソプロピルエーテル(918mL)へ添加した。ジクロロメタン(12.2mL)を用いて残りのろ液を洗浄し、混合物へ添加した。その後、混合物を20℃で3時間添加した後、ろ過し、ジイソプロピルエーテル(122mL)で洗浄した。ろ過ケーキを真空中で乾燥させ、表題化合物を固体(67.7g、142mmol)として得た;
1H NMR(500MHz、DMSO-d
6)δ ppm 2.7(s、3H) 3.2(s、3H) 3.3-3.4(m、1H) 3.4(dd、J=10.1、4.8Hz、1H) 3.4-3.4(m、3H) 4.0-4.1(m、1H) 4.4(d、J=15.6Hz、1H) 4.5(d、J=3.0Hz、2H) 5.1(d、J=15.6Hz、1H) 7.2-7.3(m、1H) 7.4(dt、J=10.7、8.5Hz、1H) 7.4-7.5(m、1H) 8.4(s、1H) 8.9(s、1H);
13C NMR(126MHz、DMSO-d
6) δ ppm 17.5(s、1C) 39.0(s、1C) 44.3(s、1C) 47.5(s、1C) 54.3(s、1C) 58.6(s、1C) 70.8(s、1C) 116.7(d、J=17.3Hz、1C) 117.4(d、J=17.3Hz、1C) 124.5(dd、J=6.4、3.6Hz、1C) 126.3(s、1C) 129.6(s、1C) 135.5(s、1C) 138.4(s、1C) 139.9(s、1C) 148.6(dd、J=244.8,12.3Hz、1C) 149.4(dd、J=245.5、12.9Hz、1C) 155.6(s、1C) 157.4(s、1C) 160.8(s、1C) 163.1(s、1C);
19F NMR(470MHz、DMSO-d
6)δ ppm -140.9(d、J=22.1Hz、1F) -138.6(d、J=22.1Hz、1F);m/z=477.48。
【0050】
(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(メトキシメチル)-2-[5-メチル-2-[(2-メチルピラゾール-3-イル)アミノ]ピリミジン-4-イル]-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン、およびそのアジピン酸共結晶
【化34】
(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(メトキシメチル)-2-(5-メチル-2-メチルスルホニル-ピリミジン-4-イル)-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン(35.0g、73.3mmol)および2-メチルピラゾール-3-アミン(21.4g、220mmol)の混合物のTHF(875mL)溶液を20℃で撹拌した。その後、混合物を常圧で蒸留することにより濃縮した。さらに、THF(175mL)を混合物に添加し、混合物を常圧で蒸留することにより、再び濃縮した。カール-フィッシャー分析により、混合物の水含有量が400ppm未満であることを確認した。その後、混合物を-10℃に冷却し、-10℃で30分間かけて、予め調製したLHMDS(1M THF溶液)とTHF(220mL)の混合物で処理した。ライン洗浄としてTHF(17.5mL)を混合物に添加した。混合物を-10℃で45分間撹拌した後、リン酸(366mmol、85質量%、42.3g)の水(131mL)溶液で15分間かけて処理した。混合物を15℃でさらに10分間撹拌し、その後、水層を除去した。15℃で、有機層を塩化ナトリウム(427mmol、25.0g)およびリン酸(366mmol、85質量%、42.3g)の水(150mL)溶液で処理した。混合物を15℃で10分間処理し、水層を除去した。有機層を塩化ナトリウム(427mmol、25.0g)の水(150mL)溶液で処理し、15℃で10分間撹拌した。水層を除去し、15℃で、有機層を重炭酸ナトリウム(12.0g)の水(169mL)溶液で15分間かけて処理した。混合物を15℃でさらに10分間撹拌し、水層を除去した。有機層を常圧で蒸留することにより濃縮した。残渣をエタノール(599mL)で処理し、得られた混合物を常圧で蒸留することにより濃縮し、粗生成物(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(メトキシメチル)-2-[5-メチル-2-[(2-メチルピラゾール-3-イル)アミノ]ピリミジン-4-イル]-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オンを得た。
【0051】
粗生成物をエタノール(7mL)で処理し、得られた混合物を70℃に加熱し、粗生成物の溶液を得た。アジピン酸(0.510当量、37.4mmol、100質量%、5.46g)をエタノール(70mL)で処理し、溶液になるまで30℃に加温した。その後、粗生成物の溶液を70℃に保持しながら、30%アジピン酸溶液を15分間かけて粗生成物の溶液に添加した。その後、粗生成物の溶液を55℃に冷却し、(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(メトキシメチル)-2-[5-メチル-2-[(2-メチルピラゾール-3-イル)アミノ]ピリミジン-4-イル]-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン アジピン酸共結晶種晶(3.09mmol、1.75g)を添加した。得られた混合物を55℃で1時間保持した。粗生成物の溶液を55℃に保持しながら、ライン洗浄としてエタノール(7mL)を用いて、3時間かけて、残りのアジピン酸溶液を粗生成物の溶液に添加した。得られた混合物を3時間かけて5℃に冷却し、その後、さらに3時間、5℃で保持した。得られた混合物をろ過し、エタノール(70mL)で洗浄した。その後、n-ヘプタン(175mL)を用いて固体を20℃で1時間撹拌し、再びろ過し、n-ヘプタン(70mL)で洗浄した。その後、固体を真空中で乾燥させ、(6R)-7-[(3,4-ジフルオロフェニル)メチル]-6-(メトキシメチル)-2-[5-メチル-2-[(2-メチルピラゾール-3-イル)アミノ]ピリミジン-4-イル]-5,6-ジヒドロイミダゾ[1,2-a]ピラジン-8-オン アジピン酸共結晶を固体(41.6g、73.3mmol)として得た。1H NMR(500MHz、メタノール-d4)d ppm 1.5-1.7(m、4H) 2.2-2.4(m、4H) 2.5(s、6H) 3.2(s、6H) 3.4(dd、J=9.4、7.2Hz、2H) 3.5(dd、J=10.0、4.6Hz、2H) 3.7(s、6H) 3.9-4.1(m、2H) 4.4(dd、J=13.2、5.1Hz、2H) 4.5(d、J=15.2Hz、2H) 4.5(dd、J=13.6、1.1Hz、2H) 5.2(d、J=15.2Hz、2H) 6.3(d、J=2.0Hz、2H) 7.2-7.2(m、2H) 7.2-7.3(m、2H) 7.4(ddd、J=11.3、7.7、1.6Hz、2H) 7.4(d、J=2.0Hz、2H) 7.8(s、2H) 8.2(s、2H); 19F NMR (470MHz、メタノール-d4)d ppm -142.0(d、J=20.4Hz、2F) -139.9(d、J=20.4Hz、2F);13C NMR (126MHz、メタノール-d4) d ppm 17.0(s、1C) 25.5(s、2C) 34.6(s、2C) 35.6(s、2C) 45.7(s、1C) 56.4(s、2C) 59.5(s、2C) 72.3(s、2C) 100.1(s、2C) 118.2(d、J=18.2Hz、2C) 118.4-118.8(m、2C) 120.2(s、2C) 125.2(s、2C) 125.7(dd、J=6.6、3.9Hz、4C) 136.2(s、1C) 139.1(s、2C) 139.2(s、2C) 140.6(s、2C) 143.6(s、2C) 151.2(dd、J=247.5、12.7Hz、2C) 151.6(dd、J=247.0、12.7Hz、2C) 158.3(s、2C) 159.0(s、2C) 160.0(s、2C) 161.7(s、2C) 177.3(s、2C);m/z=567.57(遊離塩基=494.5)
【国際調査報告】