(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-13
(54)【発明の名称】ロール装置
(51)【国際特許分類】
F16C 13/00 20060101AFI20230206BHJP
【FI】
F16C13/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534360
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(85)【翻訳文提出日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 US2020062764
(87)【国際公開番号】W WO2021118834
(87)【国際公開日】2021-06-17
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】カール,ベンジャミン ローガン
(72)【発明者】
【氏名】モーガン,ケネス スペンサー
(72)【発明者】
【氏名】ウーリヒ,ケヴィン ウィリアム
【テーマコード(参考)】
3J103
【Fターム(参考)】
3J103AA02
3J103AA13
3J103AA24
3J103AA36
3J103CA05
3J103CA13
3J103CA23
3J103FA18
3J103FA26
3J103GA02
(57)【要約】
ロール装置は、第1のテーパボア部を備える第1の外側部と、第2のテーパボア部を備える第2の外側部と、を備える中心ボアを有する円筒ロール体を備えることができる。ロール装置は、中心ボアを通って延在するシャフトと、シャフトに摺動可能に取り付けられる第1の結合部材と、シャフトに摺動可能に取り付けられる第2の結合部材と、をさらに備えることができる。第1の結合部材は、円筒ロール体の第1の内向きテーパ面部に押し付けられる第1の内向きテーパ面を有することができる。第2の結合部材は、円筒ロール体の第2の内向きテーパ面部に押し付けられる第2の内向きテーパ面を有することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の軸方向端部、及び該ロール装置の回転軸に沿って前記第1の軸方向端部から離間した第2の軸方向端部を有する円筒ロール体であって
前記第1の軸方向端部と前記第2の軸方向端部の間に延在する外筒面と、
前記回転軸を通って前記第1の軸方向端部から前記第2の軸方向端部まで延在する中心ボアであって、前記第1の軸方向端部から第1の方向に内向きにテーパをつけた第1のテーパボア部を備える第1の外側部と、前記第2の軸方向端部から第2の方向に内向きにテーパをつけた第2のテーパボア部を備える第2の外側部と、を備える中心ボアと、
をさらに有する円筒ロール体と、
前記中心ボアを通って延在するシャフトと、
前記シャフトに摺動可能に取り付けられる第1の結合部材であって、前記第1のテーパボア部を画定する前記円筒ロール体の第1の内向きテーパ面部に押し付けられる第1の内向きテーパ面を有する、第1の結合部材と、
前記シャフトに摺動可能に取り付けられる第2の結合部材であって、前記第2のテーパボア部を画定する前記円筒ロール体の第2の内向きテーパ面部に押し付けられる第2の内向きテーパ面を有する、第2の結合部材と、
を備えるロール装置。
【請求項2】
前記第1の結合部材が、前記回転軸の方向に延びる長さを有するとともに、前記シャフトを摺動可能に受け入れる中心ボアを有し、
前記第1の結合部材の前記中心ボアの直径に対する前記長さの比率が、約1~約3である、請求項1に記載のロール装置。
【請求項3】
前記第1の結合部材の前記第1の内向きテーパ面と前記回転軸との間のテーパ角が、約7°~約60°である、請求項1又は2に記載のロール装置。
【請求項4】
前記第1の結合部材の全体が、前記円筒ロール体の前記中心ボア内に配置されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のロール装置。
【請求項5】
前記第1の結合部材の前記第1の内向きテーパ面を前記円筒ロール体の前記第1の内向きテーパ面部に対して押し付ける第1のばねをさらに備える、請求項1~4のいずれか1項に記載のロール装置。
【請求項6】
前記第1のばねの全体が、前記円筒ロール体の前記中心ボア内に配置されている、請求項5に記載のロール装置。
【請求項7】
前記シャフトに取り付けられる第1の押圧部材をさらに備え、
前記第1のばねが、前記第1の結合部材と前記第1の押圧部材との間に配置される、請求項5又は6に記載のロール装置。
【請求項8】
前記第1の押圧部材が、該第1の押圧部材の中心穴から半径方向に離間した複数の放射配列穴を有し、
前記シャフトが、前記第1の押圧部材の前記中心穴を通って延在する、請求項7に記載のロール装置。
【請求項9】
前記第1の押圧部材の全体が、前記円筒ロール体の前記中心ボア内に配置されている、請求項7又は8に記載のロール装置。
【請求項10】
前記シャフトが、前記円筒ロール体の前記第1の軸方向端部より外側に位置する第1の軸方向端部と、前記円筒ロール体の前記第2の軸方向端部より外側に位置する第2の軸方向端部と、を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載のロール装置。
【請求項11】
第1の軸方向端部、及び、該ロール装置の回転軸に沿って前記第1の軸方向端部から離間した第2の軸方向端部を有する円筒ロール体であって、
前記第1の軸方向端部と前記第2の軸方向端部の間に延在する外筒面と、
前記回転軸を通って前記第1の軸方向端部から前記第2の軸方向端部まで延在する中心ボアであって、前記第1の軸方向端部から第1の方向に内向きにテーパをつけた第1のテーパボア部を備える第1の外側部と、前記第2の軸方向端部から第2の方向に内向きにテーパをつけた第2のテーパボア部を備える第2の外側部と、を備える中心ボアと、
をさらに有する円筒ロール体と、
前記円筒ロール体の前記第1の軸方向端部より外側に位置する第1の軸方向端部と、前記円筒ロール体の前記第2の軸方向端部より外側に位置する第2の軸方向端部と、を有し、前記中心ボアを通って延在するシャフトと、
第1の内向きテーパ円錐面を有し、前記シャフトに摺動可能に取り付けられる第1の結合部材と、
前記シャフトに取り付けられる第1の押圧部材と、
前記第1の結合部材と前記第1の押圧部材との間に力を加えて、前記第1の結合部材の前記第1の内向きテーパ円錐面を、前記第1のテーパボア部を画定する前記円筒ロール体の第1の内向きテーパ円錐面部に押し付ける第1の圧縮ばねと、
第2の内向きテーパ円錐面を有し、前記シャフトに摺動可能に取り付けられる第2の結合部材と、
前記シャフトに取り付けられる第2の押圧部材と、
前記第2の結合部材と前記第2の押圧部材との間に力を加えて、前記第2の結合部材の前記第2の内向きテーパ円錐面を、前記第2のテーパボア部を画定する前記円筒ロール体の第2の内向きテーパ円錐面部に押し付ける第2の圧縮ばねと、
を備えるロール装置。
【請求項12】
前記第1の結合部材が、前記回転軸の方向に延びる長さを有するとともに、前記シャフトを摺動可能に受け入れる中心ボアを有し、
前記第1の結合部材の前記中心ボアの直径に対する前記長さの比率が、約1~約3である、請求項11に記載のロール装置。
【請求項13】
前記第1の結合部材の前記第1の内向きテーパ円錐面と前記回転軸との間のテーパ角が、約7°~約60°である、請求項11又は12に記載のロール装置。
【請求項14】
前記第1の結合部材及び前記第1の圧縮ばねの全体が、前記円筒ロール体の前記中心ボア内に配置されている、請求項11~13のいずれか1項に記載のロール装置。
【請求項15】
前記第1の押圧部材が、該第1の押圧部材の中心穴から半径方向に離間した複数の放射配列穴を有し、
前記シャフトが、前記第1の押圧部材の前記中心穴を通って延在する、請求項11~14のいずれか1項に記載のロール装置。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、2019年12月11日を出願日とする米国仮特許出願第62/946,632号の米国特許法第119条に基づく優先権の利益を主張するものであり、この仮出願のすべての開示内容は、参照することによって本明細書の一部をなすものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、ロール装置に関し、より詳細には、第1の結合部材と第2の結合部材とを含むロール装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ロール装置として、ロール装置の回転軸を通って延在するボアの両端にザグリ穴を有し、一対のブッシュを、対応するザグリ穴内に配置することによってロール体をシャフトに取り付けたロール装置が知られている。加熱時に生じるブッシュの膨張は、いくつかの実施形態では有益な場合もあるが、ロール体に亀裂が生じさせたりロール体の摩耗を早めたりする原因となる可能性がある。さらに、これらブッシュは平坦面を有しており、当該平坦面を対応するザグリ穴の平坦な端面に当接させているが、そのために、軸偏心量(total indicator runout:TIR)が大きすぎる場合には対応できない恐れがあることが知られている。
【0004】
また、ロール体の両端にエンドキャップを設け、回転中のロール体を支持するロール装置も知られている。エンドキャップを追加することは、いくつかの実施形態では有益な場合もあるが、これにより、ロール装置において、ロール装置の加工対象である物品との接触に最適とはいえない部分がその分だけ長くなってしまう。その結果、エンドキャップを追加すれば、ロール装置全体の有効長が短くなり、エンドキャップが望ましくない形で物品に接触したり、場合によっては物品に損傷を与えてしまったりする可能性がある。またエンドキャップによって、TIRの最小化がさらに困難になる可能性もある。
【発明の概要】
【0005】
以下に、本開示の簡単な要約を示す。これにより、発明の詳細な説明に記載のいくつかの実施形態の基本的な理解が得られよう。
【0006】
いくつかの実施形態では、本開示のロール装置は、ロール装置のシャフトに円筒ロール体を取り付けるために用いられる第1の結合部材と第2の結合部材とを備えることができる。各結合部材は内向きテーパ面部を有しており、各内向きテーパ面部を、円筒ロール体の中心ボアの第1の外側部を画定する第1の内向きテーパ面部と、中心ボアの第2の外側部を画定する第2の内向きテーパ面部とにそれぞれ押し付けることができる。結合部材の各内向きテーパ面部を円筒ロール体の内向きテーパ面部にそれぞれ押し付けることにより、円筒ロール体の中心をロール装置の回転軸に合わせて、軸偏心量(TIR)を最小限に抑えることができるようになる。さらに、テーパ面部同士が一体化するように付勢力を加えることで、本開示の結合部材が加える圧力を、従来の固定式取付金具と比べて抑えながら、加熱時に生じる円筒ロール体の膨張に対応することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ばね(例えば、圧縮ばね)を各結合部材と組み合わせ、これにより、いくつかの実施形態では、加熱時に圧縮する力が加わり、結合部材がシャフトに対して摺動して、円筒ロール体の膨張に対応するようにすることができる。円筒ロール体の膨張を許容するばねを設けることで、従来の固定式取付金具の場合に起こり得た円筒ロール体の亀裂の発生や摩耗の促進を防ぐことができる。さらに、いくつかの実施形態では、結合部材を円筒ロール体の中心ボア内に沈めて、ロール装置全体の有効長を長くすることもできる。
【0007】
いくつかの実施形態では、ロール装置は、第1の軸方向端部、及び、ロール装置の回転軸に沿って第1の軸方向端部から離間した第2の軸方向端部を有する円筒ロール体を備えることができる。円筒ロール体は、第1の軸方向端部と第2の軸方向端部の間に延在する外筒面と、回転軸を通って第1の軸方向端部から第2の軸方向端部まで延在する中心ボアとをさらに有することができる。中心ボアは、第1の軸方向端部から第1の方向に内向きにテーパをつけた第1のテーパボア部を備える第1の外側部と、第2の軸方向端部から第2の方向に内向きにテーパをつけた第2のテーパボア部を備える第2の外側部と、を備える。また、ロール装置は、中心ボアを通って延在するシャフトと、第1の結合部材と、第2の結合部材と、をさらに備えることができる。第1の結合部材は、シャフトに摺動可能に取り付けることができる。第1の結合部材は、第1のテーパボア部を画定する円筒ロール体の第1の内向きテーパ面部に押し付けられる第1の内向きテーパ面を有することができる。第2の結合部材は、シャフトに摺動可能に取り付けることができる。第2の結合部材は、第2のテーパボア部を画定する円筒ロール体の第2の内向きテーパ面部に押し付けられる第2の内向きテーパ面を有することができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1の結合部材が、回転軸の方向に延びる長さを有するとともに、シャフトを摺動可能に受け入れる中心ボアを有することができる。第1の結合部材の中心ボアの直径に対する長さの比率は、約1~約3である。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1の結合部材の第1の内向きテーパ面と回転軸との間のテーパ角が、約7°~約60°である。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の結合部材の全体を、円筒ロール体の中心ボア内に配置することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、ロール装置が、第1の結合部材の第1の内向きテーパ面を円筒ロール体の第1の内向きテーパ面部に対して押し付ける第1のばねをさらに備えることができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、ロール装置が、第2の結合部材の第2の内向きテーパ面を円筒ロール体の第2の内向きテーパ面部に対して押し付ける第2のばねをさらに備えることができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1のばねの全体が、円筒ロール体の中心ボア内に配置されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、ロール装置が、シャフトに取り付けられる第1の押圧部材をさらに備えることができる。そして、第1のばねを、第1の結合部材と第1の押圧部材との間に配置することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1の押圧部材が、第1の押圧部材の中心穴から半径方向に離間した複数の放射配列穴を有することができる。そして、シャフトは、第1の押圧部材の中心穴を通って延在することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1の押圧部材の全体を、円筒ロール体の中心ボア内に配置することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、円筒ロール体が溶融シリカを含むことができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、シャフトが、円筒ロール体の第1の軸方向端部より外側に位置する第1の軸方向端部を有することができる。シャフトは、円筒ロール体の第2の軸方向端部より外側に位置する第2の軸方向端部をさらに有することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の結合部材の第1の内向きテーパ面を円錐面で構成し、円筒ロール体の第1の内向きテーパ面部を円錐面で構成することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、円筒ロール体の外筒面の軸偏心量を約50マイクロメートル以下とすることができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、ロール装置は、第1の軸方向端部、及び、ロール装置の回転軸に沿って第1の軸方向端部から離間した第2の軸方向端部を有する円筒ロール体を備えることができる。円筒ロール体は、第1の軸方向端部と第2の軸方向端部の間に延在する外筒面と、回転軸を通って第1の軸方向端部から第2の軸方向端部まで延在する中心ボアとをさらに有することができる。中心ボアは、第1の軸方向端部から第1の方向に内向きにテーパをつけた第1のテーパボア部を備える第1の外側部を備えることができる。中心ボアは、第2の軸方向端部から第2の方向に内向きにテーパをつけた第2のテーパボア部を備える第2の外側部をさらに備えることができる。また、ロール装置は、中心ボアを通って延在するシャフトをさらに備えることができる。シャフトは、円筒ロール体の第1の軸方向端部より外側に位置する第1の軸方向端部を有することができる。シャフトは、円筒ロール体の第2の軸方向端部より外側に位置する第2の軸方向端部をさらに有することができる。ロール装置は、シャフトに摺動可能に取り付けられる第1の結合部材をさらに備えることができる。第1の結合部材は、第1の内向きテーパ円錐面を有することができる。ロール装置は、シャフトに取り付けられる第1の押圧部材と、第1の結合部材と第1の押圧部材との間に力を加える第1の圧縮ばねと、をさらに備えることができる。第1の圧縮ばねによって、第1の結合部材の第1の内向きテーパ円錐面を、第1のテーパボア部を画定する円筒ロール体の第1の内向きテーパ円錐面部に押し付けることができる。ロール装置は、シャフトに摺動可能に取り付けられる第2の結合部材をさらに備えることができる。第2の結合部材は、第2の内向きテーパ円錐面を有することができる。ロール装置は、シャフトに取り付けられる第2の押圧部材と、第2の結合部材と第2の押圧部材との間に力を加える第2の圧縮ばねと、をさらに備えることができる。第2の圧縮ばねによって、第2の結合部材の第2の内向きテーパ円錐面を、第2のテーパボア部を画定する円筒ロール体の第2の内向きテーパ円錐面部に押し付けることができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の結合部材が、回転軸の方向に延びる長さを有するとともに、シャフトを摺動可能に受け入れことができる中心ボアを有することができる。第1の結合部材の中心ボアの直径に対する長さの比率は、約1~約3である。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1の結合部材の第1の内向きテーパ面と回転軸との間のテーパ角が、約7°~約60°である。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1の結合部材及び第1の圧縮ばねの全体を、円筒ロール体の中心ボア内に配置することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1の押圧部材が、第1の押圧部材の中心穴から半径方向に離間した複数の放射配列穴を有することができる。そして、シャフトは、第1の押圧部材の中心穴を通って延在することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、円筒ロール体が溶融シリカを含むことができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、円筒ロール体の外筒面の軸偏心量を約50マイクロメートル以下とすることができる。
【0028】
以下の詳細な説明において、本明細書に記載の実施形態のさらなる特徴及び利点を示す。下記のさらなる特徴及び利点は、当業者にとっては、ある程度はその説明から明らかであろうし、あるいは、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付の図面を含む本明細書に記載の実施形態を実施することによって理解されるであろう。上述の概略的な説明及び以下の詳細な説明はいずれも、実施形態を提示するものであり、本明細書に開示する実施形態の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することが意図されていることを理解されたい。また、添付の図面は、さらなる理解のために添付するものであり、本明細書に組み込まれ、その一部をなすものとする。図面は、本開示の種々の実施形態を例示的に示すものであり、以下の詳細な説明と併せて、その原理及び作用を説明するものである。
【0029】
上記及び上記以外の特徴、実施形態及び利点は、以下の添付図面を参照しながら、後述の詳細な説明を読むことにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本開示の例示的なロール装置を示す分解正面図
【
図2】
図1の2A部分に示す分解したロール装置の第1の端部を拡大し、ロール体の一部を切り取って正面から見た図であり、かつ、
図1の2B部分に示す分解したロール装置の第2の端部を拡大し、ロール体の一部を切り取って背面から見た図
【
図3】例示的なロール装置の結合部材の例示的な実施形態の端面図を示す、
図2の3-3線断面図
【
図4】例示的なロール装置の押圧部材の例示的な実施形態の端面図を示す、
図2の4-4線断面図
【
図5】組み立て後の
図1の例示的なロール装置を示す正面図
【
図6】本開示の実施形態に係る組み立て後の例示的なロール装置を示す、
図5の6-6線断面図
【
図7】
図6の7A部分に示す組み立て後のロール装置の第1の端部を、第1の断面方向から見たときの拡大断面図であり、かつ、
図6の7B部分に示す組み立て後のロール装置の第2の端部を、第1の断面方向とは反対の第2の断面方向から見たときの拡大断面図
【
図8】組み立て後のロール装置を示す、
図7の8-8線断面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、例示的な実施形態を示す添付の図面を参照して、実施形態についてより詳細に説明する。図面全体を通して、同一又は類似の箇所には、可能な限り同一の参照番号を用いて示す。なお、本開示は、多種多様な形態で実施することができるものであり、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈すべきではない。
【0032】
図1は、円筒ロール体103を備えたロール装置101の例示的な実施形態を示す図である。
図1に示すように、円筒ロール体103は、第1の軸方向端部105と、ロール装置101の回転軸501(
図5参照)に沿って第1の軸方向端部から離間した第2の軸方向端部107と、を有することができる。
図1、
図2及び
図5~
図7に示すように、第1の軸方向端部105が平坦面を有してもよく、及び/又は、第2の軸方向端部107が平坦面を有してもよい。ただし、さらなる実施形態においては、非平坦面を有することも可能である。
図5及び
図6にさらに示すように、第1の軸方向端部105は、ロール装置101の回転軸501の方向503に垂直な平坦面を有することができる。また、
図5及び
図6にさらに示すように、これに加えて又は代えて、第2の軸方向端部107が、回転軸501の方向503に垂直な平坦面を有することもできる。
【0033】
図1、
図2及び
図5~
図8に示すように、円筒ロール体103は、第1の軸方向端部105と第2の軸方向端部107の間に、回転軸501の方向503に延びる長さ505(
図5参照)を有する外筒面109をさらに有することができる。そして、
図5、
図6、及び
図8に示すように、外筒面109は直径507を有することができる。直径507は、ロール装置101によってプレス加工される基板の主面に係合する外筒面109の長さ505の実質的に全長に亘って実質的に同一とすることができる。なお、図示は省略するが、さらなる実施形態においては、例えば、曲面を有する基板、及び/又は、ロール装置101によるプレス加工中に曲面構成に曲げられる基板に対応するため、円筒ロール体の直径が、円筒ロール体の長さ方向に沿って変化しいてもよい。図示の通り、いくつかの実施形態では、円筒ロール体103の外筒面109が、滑らかな表面を有することができる。滑らかな表面を有することにより、ロール装置101によってプレス加工される基板表面の滑らかさを維持し、かつ基板を平坦化する効果が得られ得る。
【0034】
図2及び
図6に示すように、円筒ロール体103は、ロール装置101の回転軸501を通って第1の軸方向端部105から第2の軸方向端部107まで延在する中心ボア201をさらに有することができる。図示の通り、中心ボア201の中心軸は、ロール装置101の回転軸501と実質的に一致し得る円筒ロール体103の幾何学的中心軸801(
図2及び
図6~
図8参照)で構成され得る。
図6に示すように、中心ボア201は、中心ボア201の第1の端部を含む第1の外側部601aと、中心ボア201の第1の端部とは反対側の第2の端部を含む第2の外側部601bと、を備えることができる。図示の通り、中心ボア201の第1の外側部601aの第1の端部は、円筒ロール体103の第1の軸方向端部105に開口し、中心ボア201の第2の外側部601bの第2の端部は、円筒ロール体103の第2の軸方向端部107に開口している。
【0035】
中心ボア201の第1の外側部601a及び第2の外側部601bはいずれも、内向きにテーパをつけたテーパ部を備えることができる。例えば、
図2及び
図6に示すように、中心ボア201の第1の外側部601aは、第1の軸方向端部105から円筒ロール体103の中央部に向かって、円筒ロール体103の幾何学的中心軸801の第1の内向き方向205aに、内向きにテーパをつけた第1のテーパボア部203aを備えることができる。また、
図2及び
図6にさらに示すように、中心ボア201の第2の外側部601bは、第2の軸方向端部107から円筒ロール体103の中央部に向かって、円筒ロール体103の幾何学的中心軸801の第2の内向き方向205bに、内向きにテーパをつけた第2のテーパボア部203bを備えることができる。図示の通り、第1の内向き方向205aと第2の内向き方向205bとは反対の方向であってよく、第1のテーパボア部203a及び第2のテーパボア部203bは、互いに向かう方向に内向きにテーパをつけることができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、中心ボア201の第1の外側部601a及び/又は第2の外側部601bが、外側ボア区間を有することができる。その場合、テーパボア部は、中心ボアの外側ボア区間と中間ボア区間との間に位置する。例えば、
図2及び
図6に示すように、中心ボア201の第1の外側部601aは、中心ボア201の第1の外側ボア区間207aと中心ボア201の中間ボア区間208との間に位置する中心ボア201の第1のテーパボア部203aを備えることができる。また、
図2及び
図6にさらに示すように、中心ボア201の第2の外側部601bは、中心ボア201の第2の外側ボア区間207bと中心ボア201の中間ボア区間208との間に位置する中心ボア201の第2のテーパボア部203bを備えることができる。なお、図示は省略するが、いくつかの実施形態では、中心ボア201の第1の外側部601a及び/又は第2の外側部601bを、外側ボア区間207a,207bを持たない構成とすることもできる。その場合、一方又は両方のテーパ部を、円筒ロール体の対応する軸方向端部における中心ボアの開放端から中心ボアの中間ボア区間まで延在させることができる。
【0037】
図2及び
図8に示すように、外側ボア区間207a,207bはそれぞれ、対応する軸方向端部105,107から長さ209だけ延在する円形の空洞で構成され得る。中心ボア201の外側ボア区間207a,207bは、幾何学的中心軸801に垂直な平面に沿って第1の断面直径211を有することができる。図示の通り、いくつかの実施形態では、第1の断面直径211は、外側ボア区間207a,207bの長さ209の実質的に全長に亘って実質的に同一とすることができる。ただし、さらなる実施形態では、第1の断面直径211は、長さ209の一部又は全長に亘って変化してもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、中心ボア201の中間ボア区間208は、中間ボア区間208の長さに沿って延びる円形ボア区間で構成され得る。いくつかの実施形態では、中間ボア区間208は、幾何学的中心軸801に垂直な平面に沿って第2の断面直径213を有する円形ボア区間で構成され得る。図示の通り、また、
図6から分かる通り、第2の断面直径213は、中間ボア区間208の実質的に全長に亘って実質的に同一とすることができる。ただし、さらなる実施形態では、第2の断面直径213が、中間ボア区間208の一部又は全長に亘って変化してもよい。図示の通り、いくつかの実施形態では、外側ボア区間207a,207b及び中間ボア区間208の全てを同じ幾何学的中心軸801に沿って一直線に整列させ、外側ボア区間207a,207bの第1の断面直径211を中間ボア区間208の第2の断面直径213より大きくした構成とすることができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、円筒ロール体103を様々な材料で構成することができる。いくつかの実施形態では、ロール装置101を、例えば約400℃~約900℃の温度など、最大約1000℃の温度を有し得る基板(例えば、ガラス系基板、セラミック系基板)をプレスする目的で使用することができる。いくつかの実施形態では、円筒ロール体103を、最大1100℃の動作温度でも熱劣化(例えば、溶融や変形による劣化)せずに構造健全性を保つ材料で構成することができる。いくつかの実施形態では、円筒ロール体103を、溶融シリカ、ニッケルクロム系超合金のインコネル(INCONEL(登録商標))、窒化ケイ素、グラファイトなどの最高約1100℃の温度に耐え得る材料で構成することができる。円筒ロール体103を溶融シリカで製造すれば、使用時の過度の摩耗を防ぎ、円筒ロール体103の寿命を伸ばすことができる。また、溶融シリカには、プレス加工される基板(例えば、ガラス系基板又はセラミック系基板)の汚染、及び/又は、基板をプレス加工する場所近傍の汚染を防ぐ効果もあると考えられる。したがって、清浄な環境を維持して、ロール装置101がプレス加工する基板の汚染を防ぐことができる。いくつかの実施形態では、円筒ロール体103を、溶融シリカなどの材料(例えば、上記の材料)の一体成形体で構成することができ、中心ボア201は、この一体成形体内部に機械加工で形成することができる。複数の部材を互いに連結して、円筒ロール体103を形成することもできるが、円筒ロール体103を一体成形体とすることにより、装置使用時の円筒ロール体103の加熱冷却時(例えば、20℃~1000℃の間)、及び/又は、装置使用時の冷熱サイクル中、又は、ロール装置101の起動時又は停止時において、円筒ロール体103の寸法安定性と構造健全性を維持できるようになる。
【0040】
図1,
図2及び
図5~8に示すように、ロール装置101は、中心ボア201を通って延在するシャフト111をさらに備えることができる。また、
図5にさらに示すように、シャフト111は、シャフト111の第1の軸方向端部113aと、それとは反対側の第2の軸方向端部113bとの間に、回転軸501の方向503に延びる長さ509を有することができる。図示の通り、シャフト111の第1の軸方向端部113aが円筒ロール体103の第1の軸方向端部105より外側に位置し、シャフト111の第2の軸方向端部113bが円筒ロール体103の第2の軸方向端部107より外側に位置することにより、シャフト111の長さ509を、円筒ロール体103の外筒面109の長さ505より大きくすることができる。
図5に示すように、円筒ロール体103の軸方向端部105,107を越えて延在するシャフト111の各部分が、シャフト111の軸方向端部を把持するように設計された取付構造(図示せず)へのシャフト111の取り付けを容易にするために任意選択的に設けられる、円周溝511などの任意選択的な特徴を有することもできる。
【0041】
図示の通り、いくつかの実施形態では、シャフト111を管で構成することができ、管の中空部によりロール装置101の冷却を促進することができる。例えば、シャフト111の中空部を自然気流が通過してもよく、いくつかの実施形態では、中空部に冷媒液を循環させて、ロール装置101の各部の過熱防止に貢献し得る対流熱伝達を促進することもできる。いくつかの実施形態において、シャフト111を、ステンレス鋼などの材料で構成することができる。さらに、任意選択的に、シャフト111に腐食防止のための処理を施してもよい。いくつかの実施形態では、
図2に示すように、円筒ロール体103がシャフト111に接触しないよう、中心ボア201の中間ボア区間208の第2の断面直径213をシャフト111の外径215より大きくすることができる。シャフト111と円筒ロール体103との接触を防ぐことで、後述するように、円筒ロール体103の外筒面109の軸偏心量(TIR)を約50マイクロメートル以下に保つことができるようになる。
【0042】
シャフト111と円筒ロール体103との接触防止は、一対の結合部材で円筒ロール体103の各端部をシャフト111にそれぞれ摺動可能に結合することにより実現することができる。
図1~
図3、
図6及び
図7に示すように、ロール装置101のいくつかの実施形態は、第1の結合部材115a及び第2の結合部材115bを備えることができる。
図7に示すように、第1の結合部材115a及び第2の結合部材115bはいずれも、ロール装置101の回転軸501の軸方向に摺動できるように、シャフト111に摺動可能に取り付けられ得る。
図3に示すように、第1の結合部材115a及び第2の結合部材115bは、それぞれ中心ボア301を有することができる。結合部材115a,115bの中心ボア301は、シャフト111の外径215を摺動自在に受け入れるのに十分な大きさの直径303を有することができる。
図7に示すように、各結合部材115a,115bは、回転軸501の方向503に延びる長さ701を有している。長さ701は、結合部材115a,115bがシャフト111に対して並進する間に、結合部材115a,115bがシャフト111に対して大きく傾いてしまうことを防ぐのに十分な長さとすることができる。いくつかの実施形態では、結合部材115a,115bがシャフト111に対して大きく傾いてしまうことを抑制するために、中心ボア301の直径303に対する結合部材115a,115bの長さ701の比率(すなわち、長さ701を直径303で割った値)を、約1~約3、例えば、約1~約2とすることができる。いくつかの実施形態では、結合部材115a,115bがスリーブ703を備え、スリーブ703によって、結合部材115a,115bの長さ701を大きくして、直径303に対する長さ701の比率を所望の比率(例えば、約1~約3)とすることもできる。
【0043】
図7にさらに示すように、第1の結合部材115aは、第1の内向きテーパ面705aを有することができ、第2の結合部材115bは、第2の内向きテーパ面705bを有することができる。第1の結合部材115aの第1の内向きテーパ面705aは、円筒ロール体103の幾何学的中心軸801の第1の内向き方向205aに、第1の軸方向端部105から円筒ロール体103の中央部に向かって、内向きにテーパがつけられ得る。第2の結合部材115bの第2の内向きテーパ面705bは、円筒ロール体103の幾何学的中心軸801の第2の内向き方向205bに、第2の軸方向端部107から円筒ロール体103の中央部に向かって、内向きにテーパがつけられ得る。
図6に示すように、第1の内向き方向205aと第2の内向き方向205bとは反対の方向であってよく、第1の内向きテーパ面705a及び第2の内向きテーパ面705bは、互いに向かう方向に内向きにテーパをつけることができる。いくつかの実施形態では、
図3及び
図7から分かるように、第1の内向きテーパ面705a及び第2の内向きテーパ面705bそれぞれが、回転対称面を有することができるが、いくつかの実施形態では、回転非対称面を有してもよい。いくつかの実施形態では、
図3及び
図7に示すように、回転対称面を円錐面で構成することができる。そのような例においては、第1の内向きテーパ面705aを、図示の第1の内向きテーパ円錐面で構成し、第2の内向きテーパ面705bを、図示の第2の内向きテーパ円錐面で構成する。さらなる実施形態においては、テーパ面を放物面で構成することもでき、回転軸501を中心にテーパ面に沿って放物線関数を回転させることにより放物線テーパ面が得られる。このように、テーパは、線形テーパ(例えば、円錐面)で構成することも、放物線関数などの関数の形状の非線形テーパで構成することもできる。
【0044】
図2及び
図7にさらに示すように、円筒ロール体103は、第1のテーパボア部203aを画定する第1の内向きテーパ面部707aと、第2のテーパボア部203bを画定する第2の内向きテーパ面部707bとをさらに備えることができる。円筒ロール体103の第1の内向きテーパ面部707aは、第1の結合部材115aの第1の内向きテーパ面705aに合う形状とすることができる。例えば、
図7に示すように、第1の内向きテーパ面部707aを、第1の結合部材115aの第1の内向きテーパ円錐面705aの円錐面形状に合う形状の円錐面で構成することができる。
図7にさらに示すように、いくつかの実施形態では、第1の結合部材115aの第1の内向きテーパ面705a(例えば、第1の内向きテーパ円錐面)を、第1のばね709aによって、円筒ロール体103の第1の内向きテーパ面部707a(例えば、第1の内向きテーパ円錐面部)に対して押し付けることができる。
【0045】
円筒ロール体103の第2の内向きテーパ面部707bは、第2の結合部材115bの第2の内向きテーパ面705bに合う形状とすることができる。例えば、
図7に示すように、第2の内向きテーパ面部707bを、第2の結合部材115bの第2の内向きテーパ円錐面705bの円錐面形状に合う形状の円錐面で構成することができる。
図7にさらに示すように、いくつかの実施形態では、第2の結合部材115bの第2の内向きテーパ面705b(例えば、第2の内向きテーパ円錐面)を、第2のばね709bによって、円筒ロール体103の第2の内向きテーパ面部707b(例えば、第2の内向きテーパ円錐面部)に対して押し付けることができる。
【0046】
図示は省略するが、いくつかの実施形態では、円筒ロール体のテーパ面部が、結合部材のテーパ面に合う形状でなくてもよい。例えば、円筒ロール体のテーパ面部と結合部材のテーパ面のうちの一方が円錐面で構成され、円筒ロール体のテーパ面部と結合部材のテーパ面部のうちの他方が球台(spherical segment)で構成されてもよい。しかし、面の形状を互いに合わせることで、接触面積を増大させることができるため、これにより増大した摩擦力によって、結合部材と円筒ロール体とが互いに対して回転することが抑制(例えば、防止)されるなどして、装置の摩耗や性能劣化を抑えることができる。
【0047】
そして、第1の結合部材115aの第1の内向きテーパ面705aを円筒ロール体103の第1の内向きテーパ面部707aに押し付け、第2の結合部材115bの第2の内向きテーパ面705bを円筒ロール体103の第2の内向きテーパ面部707bに押し付けることで、円筒ロール体103の幾何学的中心軸801がロール装置101の回転軸501に実質的に一致するように整列させることができるようになり、円筒ロール体103の外筒面109の軸偏心量(TIR)を、約50マイクロメートル以下、約20マイクロメートル以下、及び/又は、約10マイクロメートル以下に抑えることができる。なお、この場合、TIRの測定は以下のように行う。まず、固定された支持体に、シャフトの各端部を固定して取り付ける。次に、プローブを、シャフト111の第1の軸方向端部113aと第2の軸方向端部113bとの横方向の間に位置する外筒面109の横位置で、外筒面109に係合させる。そして、ロール装置101の回転軸501を中心に円筒ロール体103を一回転させて、円筒ロール体103が一回転する間にプローブが半径方向に動く距離を測定する。この手順を、外筒面109の各横位置で繰り返し、すべての横位置の中で最大の半径方向変位を、軸偏心量(TIR)とする。
【0048】
いくつかの実施形態では、
図7に示すように、第1の結合部材115aの第1の内向きテーパ面705aと回転軸501との間にテーパ角「A」を定めることができる。また、第2の結合部材115bの第2の内向きテーパ面705bと回転軸501との間にもテーパ角「A」を定めることができる。
図7に示すように、テーパ角「A」は、回転軸501を含む横断面による内向きテーパ面の断面形状と回転軸501との間の角度である。線形テーパの場合、断面形状の線形方向と回転軸501との間の角度がテーパ角「A」として測定される。非線形テーパの場合、回転軸501に沿ったテーパ面の平均角度をテーパ角「A」と見なす。いくつかの実施形態では、テーパ角「A」を、約7°~約60°及び/又は約10°~約45°とすることができる。テーパ角「A」を、約7°を上回る角度又は約10°を上回る角度とすることにより、結合部材の内向きテーパ面が、円筒ロール体の対応する内向きテーパ面部に圧入固定されてしまうことを防ぐことができる。さらに、円筒ロール体103の幾何学的中心軸801をロール装置101の回転軸501に実質的に一致させるように働く、テーパ面間の相互作用がもたらす自動整列現象を(うまくいけば)促進させることができるとして、圧縮力を過剰に加えてしまう場合があるが、テーパ角「A」を、約60°を下回る角度又は約45°を下回る角度とすることにより、これを防ぐことができる。過剰な力が加われば、望ましくない食い込みが発生し、その結果、円筒ロール体103に亀裂などの損傷が生じる恐れがある。さらに、いくつかの実施形態では、テーパ角「A」を、45°を上回る角度又は60°を上回る角度とすることによって、幾何学的中心軸801を回転軸501に実質的に一致させるように働く自動整列現象を促進する効果が、低下ないし消失する可能性もある。
【0049】
図2に示すよう、第1のばね709a及び第2のばね709bは、圧縮ばねで構成することができるが、さらなる実施形態では、他の種類のばねを用いることもできる。いくつかの実施形態では、図示の通り、圧縮ばねを、コンパクトな設計で所望のばね特性を実現できる波形ばねで構成することができる。いくつかの実施形態では、第1のばね709aを、第1の結合部材115aと第1の押圧部材711aとの間に配置することができる。さらなる実施形態では、第2のばね709bを、第2の結合部材115bと第2の押圧部材711bとの間に配置することができる。押圧部材711a,711bは、止め輪、クランプ、又は、ブロック状の部材で構成することができる。いくつかの実施形態では、
図1,
図2,
図4,
図7及び
図8に示すように、押圧部材711a,711bは、図示の環状押圧板などの押圧板で構成することができる。また、
図4に示すように、いくつかの実施形態では、第1の押圧部材711a及び第2の押圧部材711bの一方又は両方が、押圧部材711a,711bの中心穴403から半径方向に離間した複数の放射配列穴401を有することができる。複数の放射配列穴401は、ロール装置101の使用時に暖められた空気を中心ボア201から排出して、ロール装置101の冷却を促進することができるように、任意選択的に設けることができる。そして、シャフト111を中心穴403に挿通することにより、押圧部材711a,711bをシャフト111に摺動自在に装着することができる。
【0050】
以下に、ロール装置101の例示的な組み立て方法について、まず
図1を参照して説明する。なお、本説明は例示的なものであり、さらなる実施形態ではこれに代わる方法も可能であることを理解されたい。例えば、下記の各組み立て工程の順序は一例に過ぎず、さらなる実施形態では、これらの工程を異なる順序で実施することができる。例示的に、いくつかの実施形態では、本方法は、
図1に示すように、シャフト111の第1の軸方向端部113aが円筒ロール体103の第1の軸方向端部105より外側に位置し、シャフト111の第2の軸方向端部113bが円筒ロール体103の第2の軸方向端部107より外側に位置するように、シャフト111を中心ボア201に挿通することを含む。いくつかの実施形態では、第1の結合部材115aの第1の内向きテーパ面705aが円筒ロール体103の第1の内向きテーパ面部707aに向き合うように、シャフト111の第1の軸方向端部113aを第1の結合部材115aの中心ボア301内に軸方向に挿通することによって、第1の結合部材115aを、シャフト111上に摺動可能に配置することができる。次に、第1のばね709aの中心穴にシャフト111の第1の軸方向端部113aを軸方向に挿通することによって、第1のばね709aをシャフト111上に配置することができる。次に、第1の押圧部材711aの中心穴403にシャフト111の第1の軸方向端部113aを軸方向に挿通することによって、第1の押圧部材711aをシャフト111上に摺動可能に配置することができる。第1の押圧部材711aがシャフト111上に取り付けられると、第1のばね709aは、第1の結合部材115aと第1の押圧部材711aとの間に配置される。第1の結合部材115aと、第1のばね709aと、第1の押圧部材711aとは、シャフト111の第1の止め溝217aが、シャフト111の第1の軸方向端部113aと第1の押圧部材711aとの軸方向の間に位置するまで、シャフト111上を摺動することができる。そして、いくつかの実施形態では、次に、第1の止め輪713aをシャフト111の第1の止め溝217aに取り付けることができる。これにより、第1の止め輪713aは、第1の押圧部材711a、第1のばね709a、及び/又は、第1の結合部材115aが第1の止め溝217aを乗り越えて軸方向に戻ってしまうのを防ぐ軸方向ストッパとして機能することができる。
【0051】
本組み立て方法では、これに続いて、第2の結合部材115bの第2の内向きテーパ面705bが円筒ロール体103の第2の内向きテーパ面部707bに向き合うように、シャフト111の第2の軸方向端部113bを第2の結合部材115bの中心ボア301内に軸方向に挿通することによって、第2の結合部材115bを、シャフト111上に摺動可能に配置することもできる。次に、第2のばね709bの中心穴にシャフト111の第2の軸方向端部113bを軸方向に挿通することによって、第2のばね709bをシャフト111上に配置することができる。次に、第2の押圧部材711bの中心穴403にシャフト111の第2の軸方向端部113bを軸方向に挿通することによって、第2の押圧部材711bをシャフト111上に摺動可能に配置することができる。第2の押圧部材711bがシャフト111上に取り付けられると、第2のばね709bは、第2の結合部材115bと第2の押圧部材711bとの間に配置される。第2の結合部材115bと、第2のばね709bと、第2の押圧部材711bとは、シャフト111の第2の止め溝217bが、シャフト111の第2の軸方向端部113bと第2の押圧部材711bとの軸方向の間に位置するまで、シャフト111上を押し下げることができる。そして、次に、第2の止め輪713bを第2の止め溝217b内に挿入することができる。これにより、第2の止め輪713bは、第2の押圧部材711b、第2のばね709b、及び/又は、第2の結合部材115bが第2の止め溝217bを乗り越えて軸方向に戻ってしまうのを防ぐ軸方向ストッパとして機能することができる。第2の止め輪713bが取り付けられると、上述のように、第1の結合部材115aと第2の結合部材115bとを介して、円筒ロール体103がシャフト111に取り付けられ、ロール装置101が組み立てられる。ロール装置101が組み立てられると、第1の押圧部材711aと第1の結合部材115aとの間で、第1のばね709aを圧縮することができる。そして、圧縮された状態の第1のばね709aによって、第1の結合部材115aの第1の内向きテーパ円錐面705aを円筒ロール体103の第1の内向きテーパ円錐面部707aに押し付けることができる。さらに、ロール装置101が組み立てられると、第2の押圧部材711bと第2の結合部材115bとの間で、第2のばね709bを圧縮することができる。そして、圧縮された状態の第2のばね709bによって、第2の結合部材115bの第2の内向きテーパ円錐面705bを円筒ロール体103の第2の内向きテーパ円錐面部707bに押し付けることができる。結合部材115a,115bの内向きテーパ円錐面705a,705bを円筒ロール体103の内向きテーパ円錐面部707a,707bに押し付けることにより、円筒ロール体103を結合部材115a,115bに対して位置合わせして、これにより、円筒ロール体103をシャフト111と適切に整列させて、円筒ロール体103の幾何学的中心軸801がロール装置101の回転軸501に実質的に一致した状態とすることができる。結合部材のテーパ円錐面と、これに対応する円筒ロール体103のテーパ円錐面部とを嵌合させることにより、円筒ロール体103をシャフト111と適切に整列させることができ、これにより、円筒ロール体103の外筒面109の軸偏心量(TIR)を、約50マイクロメートル以下、約20マイクロメートル以下、及び/又は、約10マイクロメートル以下に抑えることができる。TIRが大きいと、ロール装置101のプレス加工によって得られる基板の厚さや形状などの特性のばらつきが大きくなってしまう可能性があるが、TIRを抑えることによりこれを回避し、ロール装置101は、ばらつきなく基板をプレス加工することができる。
【0052】
組み立てが完了すると、圧縮された状態のばね709a,709bが、結合部材115a,115bのテーパ面705a,705bを円筒ロール体103のテーパ面部707a,707bに押し付け、これにより嵌合された面同士の摩擦によって、結合部材115a,115bと円筒ロール体103とが相対的に回転してしまうことが防止される。さらに、圧縮された状態のばね709a,709bの各端部を、結合部材115a,115b及び押圧部材711a,711bに、それぞれ押し付けることができるため、圧縮された状態のばね709a,709bの端部と結合部材115a,115b及び押圧部材711a,711bとの間の摩擦によって、圧縮された状態のばね709a,709bと結合部材115a,115bとが相対的に回転してしまうこと、ならびに、圧縮された状態のばね709a,709bと押圧部材711a,711bとが相対的に回転してしまうことが防止される。さらに、圧縮された状態のばね709a,709bによって、押圧部材711a,711bが止め輪713a,713bに押し付けられるため、摩擦が増大して、止め輪713a,713bと押圧部材711a,711bとが相対的に回転してしまうことも防止することができる。また、止め輪713a,713bがシャフト111にスナップフィットで嵌着されていること、さらに、圧縮された状態のばね709a,709bが止め輪713a,713bを止め溝217a,217bの内壁に対して押圧することにより摩擦が増大していることによって、止め輪713a,713bとシャフト111とが相対的に回転してしまうことも防止することができる。その結果、
図5及び
図6に示す組み立て後のロール装置101は、ロール装置101の回転軸501を中心に一体的に回転するように構成される。いくつかの実施形態では、シャフト111の軸方向端部113a,113bを含むシャフト111の端部を、回転ベアリング(図示せず)内に取り付けることができる。この回転ベアリングは、シャフト111がロール装置101の他の構成と一体となって、回転軸501を中心に回転することを許容するものである。ロール装置101を一体的に回転させることにより、ロール装置101のTIR低減に寄与して、円筒ロール体103の幾何学的中心軸801とロール装置101の回転軸501が一致している状態を維持することができる。
【0053】
図5~
図7に示すように、いくつかの実施形態では、組み立てが完了すると、第1の結合部材115a及び第2の結合部材115bのうち一方又は両方の一部又は全体が、円筒ロール体103の中心ボア201内に配置され得る。また、
図5~
図7にさらに示すように、いくつかの実施形態では、組み立てが完了すると、第1のばね709a及び第2のばね709bのうち一方又は両方の一部又は全体が、円筒ロール体103の中心ボア201内に配置され得る。また、
図5~
図7にさらに示すように、いくつかの実施形態では、組み立てが完了すると、第1の押圧部材711a及び第2の押圧部材711bのうち一方又は両方の一部又は全体が、円筒ロール体103の中心ボア201内に配置され得る。例えば、図示の通り、第1の結合部材115aと、第1のばね709aと、第1の押圧部材711aとは、いずれもその全体が、中心ボア201の第1の外側部601a内に配置されてもよいが、さらなる実施形態では、第1の結合部材115a、第1のばね709a、及び第1の押圧部材711aのうち1つは、その一部が、中心ボア201の第1の外側部601a内に配置されてもよい。例えば、さらに図示するように、第2の結合部材115bと、第2のばね709bと、第2の押圧部材711bとは、いずれもその全体が、中心ボア201の第2の外側部601b内に配置されてもよいが、さらなる実施形態では、第2の結合部材115b、第2のばね709b、及び第2の押圧部材711bのうち1つは、その一部が、中心ボア201の第2の外側部601b内に配置されてもよい。結合部材115a,115b、圧縮された状態のばね709a,709b、及び/又は押圧部材711a,711bのうち1つ以上の一部又は全体を中心ボア201内に配置することにより、円筒ロール体103の外筒面109の有効長を長くして、ロール装置101の全長に占める、潜在的に基板のプレス加工に割くことのできる長さの割合が大きくなり、これにより、ロール装置101がプレス加工することが可能な基板幅をロール装置101の全長まで拡大することができるとともに、ロール装置101の使用時に、取付金具と基板が接触する危険性を排除することができる。
【0054】
装置使用時には、圧縮された状態の第1のばね709aによって、第1の結合部材115aの第1の内向きテーパ面705a(例えば、円錐面)が、円筒ロール体103の第1の内向きテーパ円錐面部707aに押し付けられ得る。さらに、圧縮された状態の第2のばね709bによって、第2の結合部材115bの第2の内向きテーパ面705b(例えば、円錐面)が、円筒ロール体103の第2の内向きテーパ円錐面部707bに押し付けられ得る。図示の通り、いくつかの実施形態では、第1の結合部材115aに第1の圧縮ばね709aを組み合わせ、第2の結合部材115bに第2の圧縮ばね709bを組み合わせるという形で、2つの圧縮ばねを備えることができる。ただし、図示は省略するが、圧縮ばねを1つ設ける構成とすることもできる。例えば、いくつかの実施形態では、1つの圧縮ばね709aを第1の結合部材115aと組み合わせて設けることができ、その場合、この1つの圧縮ばね709aによって加えられる力によって、結合部材の内向きテーパ面の両面を円筒ロール体の対応する内向きテーパ面部に対してそれぞれ押し付けることができる。いくつかの実施形態では、ばねを単独で設ける構成とすることで、設計を簡素化し、部品点数を抑えることができる。いくつかの実施形態では、2つのばねを設ける構成とすることで、それぞれのばねが加える力を小さくすることができる。そして、1つのばねを設ける構成と2つのばねを設ける構成のいずれにおいても、テーパ面同士の嵌合によって、円筒ロール体103をシャフト111に対して位置合わせして、円筒ロール体103の幾何学的中心軸801をロール装置101の回転軸501に実質的に一致させることができる。そしてこれにより、円筒ロール体103の外筒面109の軸偏心量(TIR)を、約50マイクロメートル以下、約20マイクロメートル以下、及び/又は、約10マイクロメートル以下のような所望の値に抑えることができる。基板(例えば、ガラス系基板、セラミック系基板)の搬送過程においては、基板の平坦化プレス加工中に基板が変形しやすくなる温度まで基板の温度が上昇する場合があるが、TIRの低減により、そのような基板の変形を防ぐことができる。さらに、結合部材115a,115bがシャフト111に摺動自在に取り付けられているため、円筒ロール体103の熱膨張にも対応することができる。例えば、いくつかの実施形態では、円筒ロール体103を、円筒ロール体103をシャフトに回転可能に取り付けるための金具の材料(例えば、ステンレス鋼)とは異なる熱膨張係数を有する材料(例えば、溶融シリカ)で作製することができる。結合部材115a,115bがシャフト111に摺動可能に取り付けられるとともに、円筒ロール体103と係合するように付勢されているため、熱膨張や熱収縮により、シャフト111に対して円筒ロール体103の長さが伸び縮みし、これに対応して結合部材115a,115bがシャフト111に対して摺動する場合に、その動きに応じて、圧縮ばね709a,709bを圧縮又は弛緩させることができる。さらに、(押圧部材711a,711bに放射配列穴401が設けられる場合には、)押圧部材711a,711bの放射配列穴401の助けにより、装置使用時に暖められたガス(例えば、空気)を中心ボア201内から逃がすことができる。中心ボア201内にガスが閉じ込められれば、ロール装置101の各部を過熱させる可能性があるが、放射配列穴401によりこれを防ぐことができる。
【0055】
本明細書において、「the(その/前記)」、「a」又は「an」は、「1つ又は複数」を意味し、特にそうではない旨が明記されている場合を除き、「1つだけ」を意味するものと限定されるべきではない。したがって、例えば、ある構成要素を冠詞「a」で導く表現は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、その構成要素を2つ以上有する実施形態も包含する。
【0056】
本明細書において、「約(about)」という用語は、量、サイズ、配合、パラメータなどの量や特性が、必ずしも厳密なものではなく、厳密である必要もなく、むしろ、公差や、換算係数、端数処理、測定誤差などの当業者に公知の他の因子を必要に応じて織り込んだ、その量や特性の近似値、及び/又は、前後する値であってもよいことを意味している。よって、「約」という用語が、ある値又はある範囲の端点の記述に使用されている場合には、その特定の値又は端点自身が本開示に含まれるものと理解されたい。なお、本明細書において、ある数値又はある範囲の端点が「約」で導かれているか否かにかかわらず、当該数値又は範囲の端点は、「約」による修正を加えた実施形態と「約」による修正を加えない実施形態という2つの実施形態を含むことが意図されている。また、各範囲の両端点が、互いに相関する意味とともに互いに独立した意味も有していることも理解されるであろう。
【0057】
本明細書において、「実質的な(substantial)」や「実質的に(substantially)」という用語、及びその変化形は、記載した特徴が、値又は説明に等しいか、ほぼ等しいことを注記することを意図するものである。例えば、「実質的に平坦な(substantially planar)」面は、平坦又はほぼ平坦な面を指すことが意図されている。また、上記で定義している通り、「実質的に類似(substantially similar)」は、2つの値が等しいか、ほぼ等しいことを示すことが意図されている。いくつかの実施形態では、「実質的に類似」は、互いの誤差が約10%以内、又は、例えば、互いの誤差が約5%以内、又は、互いの誤差が約2%以内である複数の値を示し得る。
【0058】
本明細書において、「備える」「含む」「有する」「構成される」(comprising,including)という用語、及びその変化形は、特に断りのない限り、オープンエンドな用語として同義的に解釈すべきである。
【0059】
以上、種々の実施形態を、例示的な実施形態や特定の実施形態に関連させて、詳細に説明してきたが、本開示は、これらに限定されると見なされるべきではなく、添付の特許請求の範囲から逸脱しない範囲で、開示した各特徴の変形や組み合わせを数多く想到することが可能である。
【0060】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0061】
実施形態1
第1の軸方向端部、及び、該ロール装置の回転軸に沿って前記第1の軸方向端部から離間した第2の軸方向端部を有する円筒ロール体であって、
前記第1の軸方向端部と前記第2の軸方向端部の間に延在する外筒面と、
前記回転軸を通って前記第1の軸方向端部から前記第2の軸方向端部まで延在する中心ボアであって、前記第1の軸方向端部から第1の方向に内向きにテーパをつけた第1のテーパボア部を備える第1の外側部と、前記第2の軸方向端部から第2の方向に内向きにテーパをつけた第2のテーパボア部を備える第2の外側部と、を備える中心ボアと、
をさらに有する円筒ロール体と、
前記中心ボアを通って延在するシャフトと、
前記シャフトに摺動可能に取り付けられる第1の結合部材であって、前記第1のテーパボア部を画定する前記円筒ロール体の第1の内向きテーパ面部に押し付けられる第1の内向きテーパ面を有する、第1の結合部材と、
前記シャフトに摺動可能に取り付けられる第2の結合部材であって、前記第2のテーパボア部を画定する前記円筒ロール体の第2の内向きテーパ面部に押し付けられる第2の内向きテーパ面を有する、第2の結合部材と、
を備えるロール装置。
【0062】
実施形態2
前記第1の結合部材が、前記回転軸の方向に延びる長さを有するとともに、前記シャフトを摺動可能に受け入れる中心ボアを有し、
前記第1の結合部材の前記中心ボアの直径に対する前記長さの比率が、約1~約3である、実施形態1に記載のロール装置。
【0063】
実施形態3
前記第1の結合部材の前記第1の内向きテーパ面と前記回転軸との間のテーパ角が、約7°~約60°である、実施形態1又は2に記載のロール装置。
【0064】
実施形態4
前記第1の結合部材の全体が、前記円筒ロール体の前記中心ボア内に配置されている、実施形態1~3のいずれか1つに記載のロール装置。
【0065】
実施形態5
前記第1の結合部材の前記第1の内向きテーパ面を前記円筒ロール体の前記第1の内向きテーパ面部に対して押し付ける第1のばねをさらに備える、実施形態1~4のいずれか1つに記載のロール装置。
【0066】
実施形態6
前記第2の結合部材の前記第2の内向きテーパ面を前記円筒ロール体の前記第2の内向きテーパ面部に対して押し付ける第2のばねをさらに備える、実施形態5に記載のロール装置。
【0067】
実施形態7
前記第1のばねの全体が、前記円筒ロール体の前記中心ボア内に配置されている、実施形態5又は6に記載のロール装置。
【0068】
実施形態8
前記シャフトに取り付けられる第1の押圧部材をさらに備え、
前記第1のばねが、前記第1の結合部材と前記第1の押圧部材との間に配置される、実施形態5~7のいずれか1つに記載のロール装置。
【0069】
実施形態9
前記第1の押圧部材が、該第1の押圧部材の中心穴から半径方向に離間した複数の放射配列穴を有し、
前記シャフトが、前記第1の押圧部材の前記中心穴を通って延在する、実施形態8に記載のロール装置。
【0070】
実施形態10
前記第1の押圧部材の全体が、前記円筒ロール体の前記中心ボア内に配置されている、実施形態8又は9に記載のロール装置。
【0071】
実施形態11
前記円筒ロール体が溶融シリカを含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載のロール装置。
【0072】
実施形態12
前記シャフトが、前記円筒ロール体の前記第1の軸方向端部より外側に位置する第1の軸方向端部と、前記円筒ロール体の前記第2の軸方向端部より外側に位置する第2の軸方向端部と、を有する、実施形態1~11のいずれか1つに記載のロール装置。
【0073】
実施形態13
前記第1の結合部材の前記第1の内向きテーパ面が円錐面で構成され、
前記円筒ロール体の前記第1の内向きテーパ面部が円錐面で構成される、実施形態1~12のいずれか1つに記載のロール装置。
【0074】
実施形態14
前記円筒ロール体の前記外筒面の軸偏心量が約50マイクロメートル以下である、実施形態1~13のいずれか1つに記載のロール装置。
【0075】
実施形態15
第1の軸方向端部、及び、該ロール装置の回転軸に沿って前記第1の軸方向端部から離間した第2の軸方向端部を有する円筒ロール体であって、
前記第1の軸方向端部と前記第2の軸方向端部の間に延在する外筒面と、
前記回転軸を通って前記第1の軸方向端部から前記第2の軸方向端部まで延在する中心ボアであって、前記第1の軸方向端部から第1の方向に内向きにテーパをつけた第1のテーパボア部を備える第1の外側部と、前記第2の軸方向端部から第2の方向に内向きにテーパをつけた第2のテーパボア部を備える第2の外側部と、を備える中心ボアと、
をさらに有する円筒ロール体と、
前記円筒ロール体の前記第1の軸方向端部より外側に位置する第1の軸方向端部と、前記円筒ロール体の前記第2の軸方向端部より外側に位置する第2の軸方向端部と、を有し、前記中心ボアを通って延在するシャフトと、
第1の内向きテーパ円錐面を有し、前記シャフトに摺動可能に取り付けられる第1の結合部材と、
前記シャフトに取り付けられる第1の押圧部材と、
前記第1の結合部材と前記第1の押圧部材との間に力を加えて、前記第1の結合部材の前記第1の内向きテーパ円錐面を、前記第1のテーパボア部を画定する前記円筒ロール体の第1の内向きテーパ円錐面部に押し付ける第1の圧縮ばねと、
第2の内向きテーパ円錐面を有し、前記シャフトに摺動可能に取り付けられる第2の結合部材と、
前記シャフトに取り付けられる第2の押圧部材と、
前記第2の結合部材と前記第2の押圧部材との間に力を加えて、前記第2の結合部材の前記第2の内向きテーパ円錐面を、前記第2のテーパボア部を画定する前記円筒ロール体の第2の内向きテーパ円錐面部に押し付ける第2の圧縮ばねと、
を備えるロール装置。
【0076】
実施形態16
前記第1の結合部材が、前記回転軸の方向に延びる長さを有するとともに、前記シャフトを摺動可能に受け入れる中心ボアを有し、
前記第1の結合部材の前記中心ボアの直径に対する前記長さの比率が、約1~約3である、実施形態15に記載のロール装置。
【0077】
実施形態17
前記第1の結合部材の前記第1の内向きテーパ円錐面と前記回転軸との間のテーパ角が、約7°~約60°である、実施形態15又は16に記載のロール装置。
【0078】
実施形態18
前記第1の結合部材及び前記第1の圧縮ばねの全体が、前記円筒ロール体の前記中心ボア内に配置されている、実施形態15~17のいずれか1つに記載のロール装置。
【0079】
実施形態19
前記第1の押圧部材が、該第1の押圧部材の中心穴から半径方向に離間した複数の放射配列穴を有し、
前記シャフトが、前記第1の押圧部材の前記中心穴を通って延在する、実施形態15~18のいずれか1つに記載のロール装置。
【0080】
実施形態20
前記円筒ロール体が溶融シリカを含む、実施形態15~19のいずれか1つに記載のロール装置。
【0081】
実施形態21
前記円筒ロール体の前記外筒面の軸偏心量が約50マイクロメートル以下である、実施形態15~20のいずれか1つに記載のロール装置。
【符号の説明】
【0082】
101 ロール装置
103 円筒ロール体
105 円筒ロール体の第1の軸方向端部
107 円筒ロール体の第2の軸方向端部
109 外筒面
111 シャフト
113a シャフトの第1の軸方向端部
113b シャフトの第2の軸方向端部
115a 第1の結合部材
115b 第2の結合部材
201 円筒ロール体の中心ボア
203a 第1のテーパボア部
203b 第2のテーパボア部
205a 第1の内向き方向
205b 第2の内向き方向
207a 第1の外側ボア区間
207b 第2の外側ボア区間
208 中間ボア区間
209 外側ボア区間の長さ
211 第1の断面直径
213 第2の断面直径
215 シャフトの外径
217a 第1の止め溝
217b 第2の止め溝
301 結合部材の中心ボア
303 結合部材の中心ボアの直径
401 放射配列穴
403 中心穴
501 回転軸
503 回転軸の方向
505 外筒面の長さ
507 外筒面の直径
509 シャフトの長さ
511 円周溝
601a 第1の外側部
601b 第2の外側部
701 結合部材の長さ
703 スリーブ
705a 第1の内向きテーパ面
705b 第2の内向きテーパ面
707a 第1の内向きテーパ面部
707b 第2の内向きテーパ面部
709a 第1のばね
709b 第2のばね
711a 第1の押圧部材
711b 第2の押圧部材
713a 第1の止め輪
713b 第2の止め輪
801 幾何学的中心軸
【国際調査報告】