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特表2023-505826セルラネットワークのネットワーク最適化方法
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  • 特表-セルラネットワークのネットワーク最適化方法 図1
  • 特表-セルラネットワークのネットワーク最適化方法 図2
  • 特表-セルラネットワークのネットワーク最適化方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-13
(54)【発明の名称】セルラネットワークのネットワーク最適化方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/10 20090101AFI20230206BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20230206BHJP
   H04W 16/32 20090101ALI20230206BHJP
【FI】
H04W24/10
H04W16/28
H04W16/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535178
(86)(22)【出願日】2020-12-08
(85)【翻訳文提出日】2022-08-03
(86)【国際出願番号】 EP2020084992
(87)【国際公開番号】W WO2021116062
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】19214661.1
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521196512
【氏名又は名称】タレス ディアイエス エイアイエス ドイツ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100086368
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 誠
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー ブロイアー
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD24
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE56
5K067HH22
5K067KK02
5K067LL11
(57)【要約】
本発明は、セルラネットワークで動作し、第1のセルエリアをカバーする第1の基地局であって、ビーム形成をサポートし、第2のセルエリアをカバーする第2の基地局に接続的に結合された第1の基地局のための方法であって、複数のユーザ装置が上記第1のセルエリアに位置し、方法が、‐少なくとも1回の自動隣接関係測定の実行命令を表すメッセージを上記第1のセルエリアに位置する複数のユーザ装置の少なくとも1つに送信するステップと、‐少なくとも1つの自動隣接関係メッセージを上記少なくとも1つのユーザ装置から受信するステップと、‐上記ユーザ装置が第2のセルエリア外に位置していることを上記自動隣接関係メッセージが示す場合に、上記少なくとも1つのユーザ装置を更なる自動隣接関係評価のための更なる検討から除外するステップとを含む方法に関する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルラネットワーク(1)で動作し、第1のセルエリア(4)をカバーする第1の基地局(2)であって、ビーム形成をサポートし、第2のセルエリア(5)をカバーする第2の基地局(3)に接続的に結合されている第1の基地局のための方法であって、複数のユーザ装置(7)が前記第1のセルエリア(4)に位置しており、前記方法が、
‐少なくとも1回の自動隣接関係測定の実行命令を表すメッセージを前記第1のセルエリアに位置する複数の前記ユーザ装置(7)の少なくとも1つに送信するステップと、
‐少なくとも1つの自動隣接関係メッセージを少なくとも1つの前記ユーザ装置(7)から受信するステップと、
‐前記ユーザ装置(7)が前記第2のセルエリア(5)外に位置していることを前記自動隣接関係メッセージが示す場合に、少なくとも1つの前記ユーザ装置(7)を更なる自動隣接関係評価のための更なる検討から除外するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記自動隣接関係メッセージが、前記ユーザ装置(7)が前記第2のセルエリア(5)内に位置していることを示す場合に、少なくとも1つの前記ユーザ装置(7)を考慮するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
以下の条件
‐前記自動隣接関係メッセージが前記第2の基地局(3)に関連する測定結果を含むこと、
‐前記第1の基地局(2)へのタイミングアドバンスが所定の閾値よりも低いこと、
‐前記自動隣接関係メッセージに含まれる位置の値が推定される前記第2のセルエリア(5)の地理的境界と一致すること、
のうちの少なくとも1つが適用される場合に、前記ユーザ装置(7)が前記第2のセルエリア(5)内に位置していることを前記自動隣接関係メッセージが示す、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記自動隣接関係メッセージが前記第2の基地局(3)の測定結果を含んでいない場合にのみ、前記自動隣接関係メッセージが位置表示を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
‐前記第2の基地局(3)に関する情報が含まれているかどうかについて複数の自動隣接関係メッセージを解析するステップと、
‐前記第2の基地局(3)に、前記複数の自動隣接関係メッセージの位置表示を考慮してビーム形成を変更するように命令するステップとを更に含む、請求項1乃至4の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の基地局(3)に関する前記情報が、
‐前記第2の基地局(3)のセル識別子、
‐前記第2の基地局(3)に関するビーム識別子、
‐前記第2の基地局(3)から受信した信号の電力測定値、
‐測定が命令された正体に関する情報
のグループのうちの少なくとも1つである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
メッセージを少なくとも1つの前記ユーザ装置(7)に送信する前記ステップが、ブロードキャスト又はマルチキャストシグナリングの少なくとも1つによって実行され、
前記方法が、更なる自動隣接関係評価のために更に検討される少なくとも1つの前記ユーザ装置(7)に専用型のシグナリングで信号通知する第2のステップを実行するステップを更に含む、請求項1乃至6の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項8】
メッセージを少なくとも1つの前記ユーザ装置(7)にブロードキャスト又はマルチキャストにより送信する前記ステップが、前記第1の基地局(2)の範囲内にあり、かつ前記第2の基地局(3)に通信可能な全てのユーザ装置と比較した、前記第2の基地局(3)の範囲内にあり、かつ前記第1の基地局(2)の範囲内にあるユーザ装置(7)の割合を考慮して実行される、請求項1乃至7の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項9】
セルラネットワーク(1)で動作し、第1のセルエリア(4)をカバーする基地局(2)であって、ビーム形成をサポートし、第2のセルエリア(5)をカバーする第2の基地局(3)に接続的に結合された基地局において、
複数のユーザ装置(7)が前記第1のセルエリアに位置しており、
前記基地局(2)が、
‐少なくとも1回の自動隣接関係測定の実行命令を表すメッセージを前記第1のセルエリア(4)に位置する複数の前記ユーザ装置(7)の少なくとも1つに送信し、
‐少なくとも1つの自動隣接関係メッセージを少なくとも1つの前記ユーザ装置(7)から受信し、
‐前記ユーザ装置(7)が前記第2のセルエリア(5)外に位置していることを前記自動隣接関係メッセージが示す場合に、少なくとも1つの前記ユーザ装置(7)を更なる自動隣接関係評価のための更なる考察から除外するように構成された基地局(2)。
【請求項10】
以下の条件
‐前記自動隣接関係メッセージが前記第2の基地局(3)の測定結果を含むこと、
‐前記第1の基地局(2)へのタイミングアドバンスが所定の閾値よりも低いこと、
‐前記自動隣接関係メッセージに含まれる位置の値が推定される前記第2のセルエリア(5)の地理的境界と一致すること、
のうちの少なくとも1つが適用される場合に、前記ユーザ装置(7)が前記第2のセルエリア(5)内に位置していることを前記自動隣接関係メッセージが示す、請求項9に記載の基地局。
【請求項11】
‐前記第2の基地局(3)に関する情報が含まれているかどうかについて複数の自動隣接関係メッセージを解析し、
‐前記第2の基地局(3)に、前記複数の自動隣接関係メッセージの位置表示を考慮してビーム形成を変更するように命令するように更に構成された、請求項9又は10に記載の基地局(2)。
【請求項12】
前記第2の基地局(3)に関する前記情報が、
‐前記第2の基地局(3)のセル識別子、
‐前記第2の基地局(3)に関するビーム識別子、
‐前記第2の基地局(3)から受信した信号の電力測定値、
‐測定が命令された正体に関する情報
のグループのうちの少なくとも1つである、請求項11に記載の基地局(2)。
【請求項13】
メッセージを少なくとも1つの前記ユーザ装置(7)に送信することを、ブロードキャスト又はマルチキャストシグナリングの少なくとも1つによって実行し、
更なる自動隣接関係評価のために更に検討される少なくとも1つの前記ユーザ装置(7)に専用型のシグナリングで信号通知する第2のステップを実行するように構成された、請求項9乃至12の少なくとも一項に記載の基地局(2)。
【請求項14】
メッセージを少なくとも1つの前記ユーザ装置(7)にブロードキャスト又はマルチキャストにより送信することを、前記第1の基地局(2)の範囲内にあり、かつ前記第2の基地局(3)に通信可能な全てのユーザ装置(7)と比較した、前記第2の基地局(3)の範囲内にあり、かつ前記第1の基地局(2)の範囲内にあるユーザ装置(7)の割合を考慮して実行するように更に構成された、請求項9乃至13の少なくとも一項に記載の基地局(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルラネットワークで動作する基地局のための方法に関する。本発明はまた、上記方法を用いる基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
無線セルラ通信の分野では、どの基地局とどの基地局が近くにあるか、つまり具体的にはユーザ装置のハンドオーバがどの基地局に対して行われ得るかを示すネイバーリストをセルラネットワークの基地局が保持することはよく確立された手順である。
【0003】
このネイバーリストはもともとネットワークオペレータによって設定されていたが、セルラ技術標準の後世代において、自己組織ネットワーク(SON)と呼ばれる手順が導入された。このアプローチは、基地局で動作しているユーザ装置であって、例えば基地局にキャンプオンするとき又は接続モードにあるときに、隣接セルの信号を測定し、他の全ての基地局からの復号可能な情報を提供するユーザ装置からの信号によってネイバーリストが変更されることを含んでいた。これによって保守作業の著しい軽減がもたらされ、ネイバーリストは、新しい基地局が現場に設置されたとしても迅速に更新された。このアプローチは、自動隣接関係(ANR)とも呼ばれ、すなわちアイドル状態で実行されるときにMDT(ドライブテストの最小化)と呼ばれ、ユーザ装置が上記セルラネットワークの基地局に再接続するとすぐにキャンプオンした全てのセルを報告することを含む。
【0004】
しかしながら、このアプローチは、セルラネットワークによりカバーされることが想定されるエリアが既に各基地局のセルエリアでほぼ完全にカバーされており、全ての基地局が基本的に同じ無線アクセスネットワークにおいて同じタスクを実行するというコンセプトに基づいている。
【0005】
これらの提案は、5G(新無線、NR)一般、特に6GHz超、すなわち周波数範囲2(FR2)の5Gの展開にはもはや適用することができない。
【0006】
FR2は現在、屋内、人気の場所又は高データスループットに対する需要があるエリアが想定されている。ここでは、より低い周波域の基地局が利用可能でカバレッジ志向である一方、より高い周波域の基地局がよりスループット志向であるがより大きいエリア、又はより大きい連続したカバレッジエリアからのその範囲内のセルを恒久的にカバーせず、その代わりに、一般的にビーム形成を使用しており、いくつかのビームである小さいエリアをカバーすることになる。第1のタイプの基地局は、現在定義されている非スタンドアロン(NSA)5Gの導入において4Gもサポートしていることがある。
【0007】
第1のタイプの基地局、すなわち低周波数域(FR1とも呼ばれる)の基地局は、MDT(ドライブテストの最小化)などのLTE用に開発されたよく知られているコンセプトに依拠することができ、ユーザ装置は、それまでの間にキャンプオンした全てのセルIDを次の接続設定において報告する。あるいはより接続志向の方法では、専用モードにあるユーザ装置は、予想される隣接セルが隣接セル関係を構築するための専用の測定命令を受信する。これらのコンセプトは直ちにNRにも標準化される。
【0008】
しかしながら、これらのアプローチは、FR2で展開される5Gには不十分である。なぜならこのタイプの基地局のアーキテクチャでは、一般的なANR/SONアプローチが機能しないためである。低周波基地局は、ユーザ装置の登録を維持した後、高スループット通信を実行するためにより高周波の基地局へハンドオーバするとき、より高周波の隣接基地局の測定結果を受信する必要がある。
【0009】
したがって、ユーザ装置は、アイドル状態で移動しているとき、MDT報告のためだけにそのサービング基地局を必ずしも変更することはない。なぜならユーザ装置は、FR2では連続カバレッジが確保されないために常に前後にホッピングする必要があるからである。
【0010】
更に、FR2の基地局はそのエリアを複数のビームを介してカバーするため、それらの基地局にとってはどのビームが実際にユーザを引き寄せる又はカバーし、どのビームがこれを行わないかを評価することが重要である。
【0011】
したがって、ANRメッセージを処理し、更にFR2におけるユーザ装置に対するカバレッジを改善するためのアプローチが必要である。したがって、本発明の目的は、上述の欠点を克服すること、及び新無線の新しいシナリオ、すなわちより高い周波数範囲(FR2)における基地局の自動隣接関係管理の取り扱いを改善するための解決策を提案することである。
【0012】
したがって、更なる代替的かつ有利な解決策が当該技術分野で望ましいであろう。
【発明の概要】
【0013】
このため、本発明の第1の態様によれば、請求項1に記載の第1の基地局のための方法が提案される。本発明の第2の態様によれば、請求項9に記載の基地局が更に提案される。
【0014】
本発明の第1の態様によれば、セルラネットワークで動作し、第1のセルエリアをカバーする第1の基地局であって、ビーム形成をサポートし、第2のセルエリアをカバーする第2の基地局に接続的に結合された第1の基地局のための方法であって、複数のユーザ装置が上記第1のセルエリアに位置しており、方法が、
‐少なくとも1回の自動隣接関係測定の実行命令を表すメッセージを、上記第1のセルエリアに位置する複数のユーザ装置の少なくとも1つに送信するステップと、
‐少なくとも1つの自動隣接関係メッセージを上記少なくとも1つのユーザ装置から受信するステップと、
‐上記ユーザ装置が第2のセルエリア外に位置していることを上記自動隣接関係メッセージが示す場合に、上記少なくとも1つのユーザ装置を更なる自動隣接関係評価のための更なる検討から除外するステップと、を含む方法が提案される。
【0015】
本発明の第1の態様は、セルラネットワークで動作する第1の基地局に関連する。セルラネットワークは、少なくとも技術標準4G及び5Gをサポートしているものである。
【0016】
第1の基地局は、セルエリアのカバレッジ志向のサービス提供に指定された基地局である。つまり、セルラネットワークに属する第1の基地局のタイプの複数の基地局がセルラネットワークのカバレッジエリアをシームレスにカバーすることが目標である。カバレッジホールが存在することは当然あるが、それは一般的なアプローチを変更するものではない。
【0017】
かかる第1の基地局のタイプの基地局は、5G導入の非スタンドアロン(NSA)アプローチにおける4G基地局である。スタンドアロン運用の後の段階では、第1の基地局は、セルエリア全体をカバーするために指定されている第1のタイプの5G以上の基地局である。かかる基地局(gNB)は、アンカーセル又は広域基地局とも呼ばれる。
【0018】
典型的には、かかる基地局は、FR1の一部である周波数範囲で、好ましくは妥当な数の基地局を含む完全カバレッジを実行することができる2GHz未満でも動作する。
【0019】
第1の基地局は、第2のセルエリアをカバーし、ビーム形成をサポートしている第2の基地局に通信可能に接続されている。
【0020】
特により高い周波数領域において増加するMCL(最小結合損失)を克服するためのMIMO技術であるビーム形成は、NRの通常動作に適用される既知の技術である。NRのためのビーム管理はRel.14において研究されており、最も重要なビーム管理機能は、例えばTR38.802、第6.1.6.1章、ビーム管理に記載されている。
【0021】
NRでは、ビーム管理は以下のように定義される。
‐ ビーム管理:DL及びULの送受信に使用され得る1つ以上のTRP及び/又はUEのビームのセットを取得して維持するための一連のL1/L2手順であり、少なくとも以下の側面を含む。
‐ ビーム決定:1つ以上のTRP又はUEが、それ自身の1つ以上のTx/Rxビームを選択すること。
‐ ビーム測定:1つ以上のTRP又はUEが、受信したビーム形成信号の特性を測定すること。
‐ ビーム報告:UEが、ビーム測定に基づいて、1つ以上のビーム形成信号の情報を報告すること。
‐ ビーム掃引:所定の方法で、ある期間に送信及び/又は受信されるビームで、空間エリアをカバーする動作。ULの同じ又は別のビームで報告され得る、DLのビームに関連する測定結果も含む。ただし、測定及びUL/DLビームと適用される技術との関係はこの発明の対象ではなく、むしろかかるメカニズムが知られており、ここでは上記技術の範囲内で適用され得ると考えられる。ユーザ装置が1つのビームだけではなく隣接ビームも測定し得ることも知られている。しかしながら、後述する技術は、最強ビームを1つだけ報告する場合、ビームを報告しない場合、最強ビームに加えて一定レベルを超えるビームのセットを報告する場合、又は一般に一定レベルを超えるビームを報告する場合に適用可能である。本質は、潜在的なカバレッジエリア、すなわち一時的に第2のセルエリアにあるユーザ装置が通信に適した少なくとも1つのビームを受信するかどうか、又はこれがビームの更なる調整の後に達成され得るかどうかである。
【0022】
その意味では、カバーリングは、第2のセルエリアの各場所でユーザ装置と第2の基地局との通信リンクが恒久的にあるいはほとんどの時間可能であることを意味しない。これはスループット志向の基地局であり、高周波数範囲(FR2)の5G以上の技術標準をサポートしている。
【0023】
5G技術標準は、第1の基地局のタイプの基地局が、ユーザ装置がキャンプオンするのに利用可能である一方、特に要求されるスループットに応じて、接続設定については第2の基地局のタイプの上記基地局への切り替え、すなわちハンドオーバ、又は上記基地局を含むマルチキャリア設定が必要とされるように設計されている。
【0024】
このことは、第2のセルエリアのどの部分が、近くにある少なくとも1つの第2の基地局によってカバーされているかについての正確な知識を第1の基地局が有すること、具体的には接続の設定を希望し得るキャンプオン中のユーザ装置が現在のカバレッジによってそうする機会を有することも必要とする。
【0025】
ここで本発明が役に立つ。
【0026】
自動隣接関係メッセージの一般的なコンセプトは知られているが、この新しいシナリオに対する適応が必要である。
【0027】
したがって、本発明の第1の態様によれば、第1の基地局が、少なくとも1回の自動隣接関係測定の実行命令を表すメッセージを、現在第1のセルエリアに位置しているユーザ装置の全て又は一部に送信することが提案される。
【0028】
事実上、これらのユーザ装置は第1の基地局にキャンプオンしているため、そのメッセージの送信にこれが必要であるかどうかについてその時に知らされる。
【0029】
このANRメッセージによって、第1の基地局はかかる自動隣接関係測定をトリガすることになる。かかる自動隣接関係測定は、1つ以上の基地局が信号を受信し、信号強度を測定することを実行することを少なくとも含む。具体的には、必要ならば1つ以上の隣接基地局のシステム情報のブロードキャストを復号することを含むことがある。
【0030】
どの1つ以上の基地局から送信されたメッセージで測定が実行されることになるかを第1の基地局が示すことも含まれる。
【0031】
好ましくは、ユーザ装置はかかる測定を実行し、その測定結果に基づいて、具体的には動作するのに十分に強力かどうかを示す評価を実行する。
【0032】
かかる測定及び評価は、理想的には現在接続されているものだけではなく上記エリア内の全てのユーザ装置によって行われる必要がある。
【0033】
これは、異なる状態のユーザ装置が、これが状態変更も実行するいくつかのユーザ装置にとって意味を持つときでも上記アプローチに同様に関与し得るという解決すべき更なる問題を既にもたらしている。
【0034】
その結果、第1の基地局は、上記ユーザ装置から少なくとも1つの自動隣接関係メッセージを受信する。好ましくは、それは第1の基地局がANR測定を指示するためにメッセージを送信した全てのユーザ装置からの複数のメッセージである。
【0035】
かかるメッセージは、ユーザ装置からの自動隣接関係測定結果、具体的にはかかる測定結果の評価を表している。
【0036】
第1の基地局は、送信したユーザ装置が第2のセルエリア外に位置するかどうかを判断するために受信したANRメッセージを評価する。第2のセルエリアは第2の基地局によりカバーされ得るセルエリアであるが、これはユーザ装置が第2の基地局から信号を受信したことを必ずしも意味するわけではない。
【0037】
ユーザ装置が第2のセルエリア外に位置する場合、そのユーザ装置は、この第2の基地局についての次のANR測定要求から除外される。このことは、静止して動作しているユーザ装置にとって特に有利であり、完全に無駄に測定を実行し、ANRメッセージを送信するための電力消費を削減する。
【0038】
一方、自動隣接関係メッセージが、上記ユーザ装置が第2のセルエリア内に位置していることを示す場合に上記少なくとも1つのユーザ装置を考慮するステップが提案される。
【0039】
自動隣接関係評価の更なる処理において、第2のセルエリア内に位置することを示すユーザ装置が評価される。したがって、更なるANRメッセージにおいて、第2の基地局の第2のセルエリア内にあることが分かっているユーザ装置だけが一定期間後に更なるANR測定を実行するように指示される。
【0040】
この区別は、ユーザ装置が第2のセルエリア内に位置するかどうかを判断することを要求する。これはいくつかの異なる操作又は提出データによって可能である。
【0041】
好ましくは、上記ユーザ装置が、以下の条件
‐自動隣接関係メッセージが第2の基地局に関連する測定結果を含むこと、
‐第1の基地局へのタイミングアドバンスが所定の閾値よりも低いこと、
‐自動隣接関係メッセージに含まれる位置の値が推定される第2のセルエリアの地理的境界と一致すること、
のうちの少なくとも1つが適用される場合に、第2のセルエリア内に位置することを上記自動隣接関係メッセージが示すことが提案される。
【0042】
第1のオプションは、第2の基地局から送信された信号からの測定結果が各ユーザ装置において受信され、ユーザ装置からのANRメッセージで報告されることを含む。具体的には、これは測定結果が予め定められた適合性レベルのような一定の閾値を超える場合である。測定は、1つのビーム、ビームのセット、又は一定の閾値を超えて受信した複数のビーム(すなわちユーザ装置は、2つのビームの重複するエリアに位置する)を考慮することができる。
【0043】
ユーザ装置は、第2の基地局から十分に上手く信号を受信できるとき、第2のセルエリアに位置している。
【0044】
ただし、反対の結論は適用されないため、測定結果が供給されなかった場合、ユーザ装置がセルエリアに位置するかどうかを判断する追加のオプションが必要である。
【0045】
したがって、第2のオプションは、第1の基地局に対するタイミングアドバンス(TA)の値が予め定められた閾値よりも低いことである。このタイミングアドバンス値は、特に第1の基地局及び第2の基地局が一緒に近くに位置する場合、具体的には同じタワーに設置されている場合には関連がある。
【0046】
そのため、好ましくはタイミングアドバンス値は、少なくとも任意選択でユーザ装置からの自動隣接関係メッセージの一部であることになる。
【0047】
タイミングアドバンス値によって、第1の基地局からの距離の概算が可能であり、これによってユーザ装置が第2のセルエリア内に位置するか否かが上手く描写される。NRは専用のユーザ装置への全てのリソース配分に時間周波数グリッドを適用するため、上記TAは、ユーザ装置によってとにかくULレポーティング中に知らされる必要がある。したがって、上記値は、一部又は全てのユーザ装置によって負担なしにULレポートに含められる可能性がある、又はユーザ装置が報告しようと試みるときに基地局によって知らされる。
【0048】
しかしながら、特に全てのユーザ装置に到達する第1のステップと同様に、測定アドバイスは、ブロードキャストによって提供される可能性があり、TAの報告は有効である可能性がある。これは具体的には、大きすぎるTAを有するために更なるステップで考慮されるユーザ装置の数をより小さい数に減らす空レポートを送信したユーザ装置の切り捨て後に適用される。
【0049】
第3のオプションによって、自動隣接関係メッセージに位置の値を与えることが提案される。これは、絶対的な又はビットを節約するための基準点に対する差分値である、緯度/経度による地理座標ペアである場合がある。具体的には調整可能な分解能を有する、空間クアッドコードのようなジオコードも、位置の値の代表的なものを提供するのに使用されることがある。そして、かかる位置の値をセルエリアの地理的境界内で一致させることがある。典型的には、これらの地理的境界は、中心位置の経度/緯度及び半径のベクトルによって規定される。好ましくは、良好なシグナリング条件の状況をカバーするために半径に許容値が追加される。
【0050】
これによって、ユーザ装置が第2のセルエリア内に位置しているかどうかの質問に答えるための正確な計算を確実に与えることができるが、ユーザ装置からのANRメッセージがその値ベクトルによって拡張されることが要求される。
【0051】
様々なオプションの関係について、更に有利な実施形態では、自動隣接関係メッセージが第2の基地局の測定結果を含んでいない場合にのみ、上記自動隣接関係メッセージが位置表示を含むことが提案される。
【0052】
この実施形態は、ANRメッセージの重複情報が避けられるため、情報及び処理労力を節約する。第1の基地局は、測定結果が受信された場合に、ユーザ装置が第2のセルエリア内にあることを知る。したがって、第1の基地局は、ユーザ装置が第2のセルエリアにあるかどうかを評価するために、位置表示(又はタイミングアドバンス値)を見ることもない。
【0053】
したがって、この重複情報は省略され、結果としてユーザ装置側における労力が節約されることがある。
【0054】
別の好適な実施形態によれば、
‐第2の基地局に関する情報が含まれているかどうかについて複数の自動隣接関係メッセージを解析するステップと、
‐第2の基地局に、上記複数の自動隣接関係メッセージの位置表示を考慮してビーム形成を変更するように指示するステップとが更に提案される。
【0055】
この実施形態によって、第2の基地局を介してセルエリアカバレッジの現状を評価するだけでなく、カバレッジがユーザ装置、具体的には計量デバイス、ホームオートメーション及び防犯設備などのいくつかのタイプのIoTデバイスのような、静止状態で動作しているものの空間分布と一致していない場合に対策を講じることが提案される。
【0056】
したがって、この実施形態の一部として、第1の基地局が、少なくとも1つの自動隣接関係メッセージを受信する方法ステップを通じて確認される複数の自動隣接関係メッセージを更に解析することが提案される。
【0057】
この一環として、ANRメッセージに第2の基地局に関連する情報が含まれているかどうかがチェックされる。
【0058】
第2の基地局に関するかかる情報は、具体的には
‐第2の基地局のセル識別子、
‐第2の基地局に関するビーム識別子、
‐第2の基地局から受信した信号の電力測定値、
‐測定が命令された正体に関する情報
のグループのうちの1つから構成される。
【0059】
したがって、ANRメッセージに提供された情報は、具体的には第2の基地局のセル識別子又は第2の基地局のビーム識別子のグループのうちの1つをカバーする。これによって、ユーザ装置が第2の基地局からの少なくとも1つのビームの信号を復号できたことは第1の基地局に明らかである。したがって、ユーザ装置は第2のセルエリア内に位置している。
【0060】
同じ知見は、基地局から受信した信号の電力測定値がANRメッセージとともに送信される場合にも当てはまる。
【0061】
これは、ANRメッセージの設計目的であるために最も好ましい状況である。測定が成功した場合、すなわち信号が十分に強力であった場合は、ユーザ装置は第2のセルエリアで動作している。
【0062】
最終的に、測定が命令された正体に関する情報が考慮される。これはユーザ装置に専用の測定指示に関連する。かかる専用の測定指示は、あるセルにおけるある値を測定することに関連することがある。各第2の基地局に特定の値が利用可能である場合、これはユーザ装置が第2のセルエリアに位置していることを示す。
【0063】
驚くべき数のユーザ装置が第2のセルエリアに位置していることが、ユーザ装置の位置から判明しているが、基地局からの信号を十分に測定できない場合、第1の基地局はこの状況を改善する措置を講じることがある。
【0064】
したがって、第1の基地局は第2の基地局にビーム形成の変更指示を送信する。かかる指示は、具体的にはANRメッセージに受信した位置表示を考慮することによって、第2の基地局により多くのユーザ装置をカバーするためにビーム形成を変更するように促す。
【0065】
好ましくはユーザ装置は、例えば高スループットを得るために第2の基地局で動作することに関心がある(又は高スループットを得ることが許可されている)どうかについての情報を特に登録時にANRメッセージに又はその機能を通じて示す。そうでない場合は、そのユーザ装置、すなわちその位置は、第2の基地局のビーム形成を変更するために無視されることがある。ここでは特に、NSSAI、すなわち新規登録時にユーザ装置により提供されるスライス選択補助情報が使用される可能性もある。つまり各ユーザ装置は、登録時にQoS情報(TS23.501 5.7項参照)を含むHPLMNのS‐NSSAI(単一ネットワークスライス選択補助情報):登録済みセッションAMBR、デフォルト5QI及びデフォルトARPを提供する。5QIは、ユーザ装置が受けることを希望し得る要求されたサービスのタイプに関連する表示を含むため、サブスクリプションが上記要求されたサービスと一致しているかどうか、ひいてはサービス要求が第2の高スループット基地局によって処理される場合に上記ユーザ装置が適切な候補となるかどうかもチェックされる可能性がある。
【0066】
ネットワーク最適化のターゲットが特にFR2のNR展開について変化するため、連続カバレッジを達成することは(可能でないため)もう意図されておらず、むしろ第2のセルエリアに存在する全てのユーザ装置のできるだけ多くが上記第2の基地局によってサービス提供され得るようにFR2に提供するとされるユーザ装置のビームを最適化し集束させること、すなわちサービス提供されるユーザ装置のエリアではなく数を最大化しないことが意図されている。
【0067】
好ましくは、かかる測定の指示は専用の指示を通じて実行される。メッセージを少なくとも1つのユーザ装置に送信するステップが、ブロードキャスト又はマルチキャストシグナリングの少なくとも1つによって実行されることが提案され、
方法が、更なる自動隣接関係評価のために更に検討される少なくとも1つのユーザ装置に専用型のシグナリングで信号通知する第2のステップを実行するステップを更に含む。
【0068】
この実施形態は、ANRメッセージの第1の要求について専用シグナリングが使用されないことを意味する。したがって、共通のブロードキャスト又はマルチキャスト(グループ用)命令によって、セルエリア内の全てのユーザ装置が第1のANRメッセージを送信するよう命令される。
【0069】
このブロードキャストアプローチは、いくつかのユーザ装置が第2のセルエリアに位置していないと認められる場合は役に立たない。したがって、第1の基地局側についての第1の評価の後、残りのユーザ装置への更なる命令は、専用型のシグナリングで実行される。
【0070】
かかる専用型のシグナリングは、具体的には開放接続の間又は専用のダウンリンクチャネルを通じて敏感である。つまり、ユーザ装置は、第1の測定要求の報告後直ちにRRCシグナリングを介して上記第2の要求を受信することがある。あるいはユーザ装置は、準備が行われない限り接続状態に保持された後、C-DRXを適用することによって待ち時間を克服できるように指示されるが、高性能のユーザ装置はいずれにせよ問題にならないはずである。あまり好ましくない方法では、そのようなユーザ装置はアイドル状態に解放され、しばらくしてから命令のために呼び出されることもある。
【0071】
好ましくは、メッセージを少なくとも1つのユーザ装置にブロードキャスト又はマルチキャストにより送信するステップは、第1の基地局の範囲内にありかつ第2の基地局に通信可能な全てのユーザ装置と比べて、第2の基地局の範囲内にありかつ第1の基地局の範囲内にあるユーザ装置の一部を考慮して実行される。
【0072】
この実施形態は、本発明の方法の第1のステップが実行された後にブロードキャスト/マルチキャストされた命令にいつ再び切り替わるかという問題に関するものである。第1及び/又は第2の基地局の設置又は起動の後に、第1のステップがブロードキャストされた命令によって実行されることは明らかである。しかしながら、具体的には移動しているユーザ装置及び第2の基地局の変更可能なビーム形成のシナリオにおいて、かかるアプローチに決して戻らないことは有利ではない。
【0073】
例えばユーザ装置を有する一組のユーザが、あるエリア、例えばレストランテラスで活動している場合、このテラスに対応するために第2の基地局のビーム形成を変更することが好ましい。
【0074】
天気が変わると、ほとんどの人はレストランに入るか、待避所を見つけるか、その場を完全に去る。このときビーム形成をテラスに集中させることは、同じユーザ装置のグループにANR測定を要求することと同様に意味をなさないが、第1の基地局の周りの第1のセルエリアに依然としてとどまりながら、各第2の基地局のセルエリアを離れていたかもしれない。
【0075】
したがって、第1の基地局が、受信したANRメッセージ、具体的には専用シグナリングに応答したものを評価することが提案される。
【0076】
単純なアプローチは、タイムトリガを適用すること、つまり1時間などの所定の時間後にブロードキャスト/マルチキャストメッセージが第1の基地局にキャンプオンしている全てのユーザ装置に送信されることである。またトポロジーが変化する場合に、例えば第1の基地局に近接した第1又は第2の基地局のタイプの新しい基地局が、ブロードキャスト/マルチキャストされた命令シグナリングのためのトリガとして使用される可能性がある。
【0077】
より複雑なアプローチでは、第2の基地局に通信可能な第1のセルエリアに位置しているものと比較した、第2の基地局の範囲内にあるユーザ装置の割合が考慮されることが提案される。したがって、その割合は、第2の基地局の範囲内にあるものと第1のセルエリアに位置し、かつ第2の基地局が到達し得るものとの割合を表す。
【0078】
後者の状況は、4G基地局でしか動作できないユーザ装置が割合に計上されないことがあるという事実に関連する。
【0079】
第1の基地局は、ユーザ装置が第2の基地局と通信可能である場合に、接続されたコア要素、具体的にはMME又はAMFについて知っている。
【0080】
したがって、ブロードキャスティングを再び開始して全体的な状況をリセットするために、かかる割合の一定の閾値を定めることは有利である。
【0081】
かかる割合閾値は、一定のパーセンテージ、例えば50%未満に設定することによって固定される。
【0082】
好ましくは、閾値は、最後の期間、例えば10分又は1時間内の反応の必要に応じたパーセンテージの減少が、上記のテラスの事例のような下落を識別するために考慮されるという点で適応的である。この適応的閾値は自動的に現在の状況に適応するために有利である。たとえレストランテラスが人でいっぱいだったとしても、かなり広い場所に均等に分布しているためにユーザ装置のかなりのシェアに第2の基地局のビームが届かないことがある。したがって、ここではかなり低い割合が、固定の閾値の場合にブロードキャスティングを恒久的に再起動する可能性があるが、例えばビームを変更することによって改善が達成される可能性はない。
【0083】
したがって、割合の下落をより低いレベルからも通知することが好ましい。
【0084】
本発明の第2の態様によれば、セルラネットワークで動作し、第1のセルエリアをカバーする基地局であって、ビーム形成をサポートし、第2のセルエリアをカバーする第2の基地局に接続的に結合された基地局において、複数のユーザ装置が上記第1のセルエリアに位置しており、基地局が、
‐少なくとも1回の自動隣接関係測定を実行する命令を表すメッセージを上記第1のセルエリアに位置する複数のユーザ装置の少なくとも1つに送信し、
‐少なくとも1つの自動隣接関係メッセージを上記少なくとも1つのユーザ装置から受信し、
‐上記ユーザ装置が第2のセルエリア外に位置することを上記自動隣接関係メッセージが示す場合に、上記少なくとも1つのユーザ装置を更なる自動隣接関係評価のための更なる検討から除外するように構成された基地局が提案される。
【0085】
本発明のこの態様の基地局は、本発明の第1の態様の第1の基地局に関連する。
【0086】
基地局は、送受信回路と、少なくとも1つのアンテナとが装備されている。基地局は、送受信回路を制御するための更なる処理回路を備える。基地局は、好ましくは少なくともオペレーティングソフトウェア及び構成データを保持するための揮発性及び永久メモリを更に備える。
【0087】
基地局は、基地局が属するセルラネットワークの、MME又はAMFのようなコアネットワークコンポーネントと通信するための通信回路が装備されている。かかる通信回路は具体的には有線で設定される。
【0088】
基地局は、非スタンドアロン動作用のLTE(4G)、新無線(NR、5G)、又はそれ以上の技術標準をサポートするように構成されている。
【0089】
直接的又は間接的に、基地局は、第2の基地局と通信するための更なる通信回路を有する。
【0090】
好ましくは、第2の基地局は同じ場所、具体的には同じタワーに設置される。第1及び第2の基地局が、アンテナ、処理回路及び/又はメモリのような、そのタスクを実行するためのハードウェアコンポーネントを共有することが更に想定される。
【0091】
第1の基地局は、第2の基地局に命令を送信するように構成されている。
【0092】
第2の基地局は更にビーム形成を実行するように構成されている。つまり、第1の基地局よりも高い周波数領域で動作し、その結果、第1の基地局よりも高いスループットで通信タスクを実行することができる。
【0093】
送受信回路及びアンテナを通じて、第1の基地局は、第1の基地局と同じ技術標準をサポートすることができる複数のユーザ装置にサービス提供するように構成されている。
【0094】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の利点を共有する。
【0095】
このように、この発明は有利には示された問題を解決し、5G以上のカバレッジ志向及びスループット志向の基地局の新しいシナリオに有利な方法で対処する解決策を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0096】
以下の記述及び添付図面はいくつかの例示的な態様を詳細に示しているが、実施形態の原理を用いることができる種々の方法のほんの一部しか示していない。本発明の特徴及び利点は、限定的ではなく例示的な例として与えられる有利な実施形態の以下の記述及び添付図面を読むときに現れるだろう。
【0097】
図1】第1の基地局のセルエリア内の第2の基地局及びユーザ装置と関連する、本発明がある実施形態として適用されるタイプの基地局の図。
図2】第2の例示的な実施形態における基地局の図。
図3】基地局のための本発明の方法の例示的な実施形態のシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0098】
図1は、本発明がある実施形態として適用されるタイプの第1の基地局2を模式的に示している。第1の基地局2は第2の基地局3に通信可能に結合されている。両者はセルラネットワーク1の一部であり、セルラネットワーク1は、第1の基地局2及び第2の基地局3のタイプの複数の基地局を備える。
【0099】
第1の基地局は、特に4G又は5G、及びそれ以上の技術標準で動作している。第1の基地局はカバレッジ志向の通信のための基地局である。第1の基地局は第1のセルエリア4をカバーする。カバレッジ志向であるため、第1のセルエリア4に位置しているユーザ装置7は、十分な能力がある限り第1の基地局で動作することができる。
【0100】
第2の基地局3については状況が異なる。第2のセルエリア5は、第2の基地局の理論的なカバレッジエリアである。この例示的な状況では、第1及び第2の基地局は同じタワーに設置されている。したがって、第1及び第2のセルエリアは重複する。この例では、第2のセルエリアは完全に第1のセルエリア内に位置している。
【0101】
前述のように、第2のセルエリアは、第2のセルエリアに位置するユーザ装置7にとっての理論的カバレッジエリアである。実際には、それらのユーザ装置は、ユーザ装置7が現在位置している位置にビーム6が向けられる場合にのみサービス提供される可能性がある。
【0102】
したがって、図1に示すような様々なユーザ装置には様々な条件が適用される。全てのユーザ装置が第1の基地局と第2の基地局の両方で動作可能であるという仮定の下では、ユーザ装置7.1~7.9は全て第1の基地局にキャンプオンしている。
【0103】
第1の基地局が、ユーザ装置に自動隣接関係メッセージの第1の基地局への送信を命令する場合、以下のことが当てはまる。
【0104】
ユーザ装置7.6及び7.7は、第2の基地局から信号を受信していない。その結果、ユーザ装置7.6及び7.7は、ANRメッセージに位置表示、例えば地理位置(経度/緯度)を付与するであろう。
【0105】
それから第1の基地局2は、それらが第2のセルエリア5外に位置しているため、第2の基地局3についてのANRメッセージに使用可能なユーザ装置のリストから削除できることを導き出すことができる。
【0106】
ユーザ装置7.5、7.8及び7.9は、測定結果及び/又は第2の基地局3に関する追加情報を含むANRメッセージを送ることになる。それから第1の基地局2は、これらのユーザ装置が第2のセルエリア5内に位置していること、及び第2の基地局3のビーム6の範囲内にあるため、第2の基地局で動作可能であることを導き出すことができる。かかる動作は、高データスループット通信セッションである場合がある。
【0107】
一方、ユーザ装置7.1、7.2、7.3、及び7.4は、ユーザ装置7.6及び7.7のように、ビーム形成がこれらのユーザ装置の位置をカバーせず、信号を受信できないため、位置の表示を含むが測定結果を含まないANRメッセージを送信する。
【0108】
ただし、第1の基地局は、第2のセルエリア内に位置しているためこれらのユーザ装置を削除しないであろう。ビーム形成の変更によって、それらが実際に第2の基地局3と通信可能な状況になる可能性がある。
【0109】
したがって、後続のANRメッセージの送信命令について、第1の基地局は、命令を好ましくは専用モードで、ユーザ装置7.6及び7.7を除く図示された全てのユーザ装置に送信することになる。
【0110】
第1の基地局2で受信したANRメッセージの結果から、好ましくは第2の基地局3のカバレッジ状況を改善するための追加措置を講じることがある。図2にはかかる措置の結果が示されている。
【0111】
図2には、第2の基地局3が、第1の基地局2から受信した命令に基づいてそのビーム形成設定を変更したことが示されている。
【0112】
第1の基地局は、ユーザ装置7からの位置情報を解析し、ユーザ装置の大部分がビーム6でカバーされていないことが分かった。
【0113】
したがって、ビームの変更が行われる結果、第2のセルエリアに位置するユーザ装置のはるかに大きい割合がカバーされる。これは、第2のセルエリアに位置していることを示していた単一のユーザ装置から要求されたANRメッセージによって可能である。第2のセルエリア外にあるユーザ装置7.6及び7.7からの情報は、ビーム6を上手く変更することに貢献できないため省略される可能性がある。したがって、第2の基地局3に関するANRメッセージの送信命令が行われないことは、関与しているユーザ装置及び第1の基地局の双方にとって好ましい。
【0114】
図3には、第1及び第2の基地局と選択されたユーザ装置7.2、7.5及び7.6の間の例示的なシーケンス図が示されている。ユーザ装置は、図1及び2に示すものを図1のビーム形成設定で補う。
【0115】
メッセージフローは、第1の基地局2から、第1の基地局にキャンプオンしている、シーケンス図に示すものを含む全てのユーザ装置への命令メッセージM1から始まる。この命令メッセージは、具体的にはブロードキャストを介して、例えばシステム情報と一緒に送信される。このオプションには、ユーザ装置のグループに対するものであるマルチキャストも含まれる。
【0116】
この命令メッセージによって、受信側のユーザ装置は、少なくとも1つの隣接基地局、具体的には第2の基地局のタイプの1つについての測定を実行するように命令される。
【0117】
かかる測定は、受信側のユーザ装置のそれぞれによってメッセージM2~M4で実行される。メッセージは、図に示すように第2の基地局3から信号を測定する試みとして理解されるものである。ただし、ユーザ装置7.2、7.5、7.6が、第2の基地局、すなわち第2の基地局のビームの範囲内にない場合は、メッセージは第2の基地局3に到達しないことになる。
【0118】
測定試行の後、ユーザ装置は、測定レポートの結果について自動隣接関係(ANR)メッセージM5、M6、M7で第1の基地局2に報告する。
【0119】
ANRメッセージM5は、第2の基地局3のビーム6の1つの方向に位置しているユーザ装置7.5の信号強度値を含む。したがって、測定を実行し、結果として第1の基地局にかなり高い測定信号値を示す可能性がある。これは第1の基地局に、ユーザ装置7.5が第2のセルエリアのしかもビームで動作しており、更なるANRメッセージングのために考慮されるべきであることを示す。
【0120】
ANRメッセージM6は、ユーザ装置7.2からの位置表示を含む。この位置表示は、測定試行M3が結果をもたらさないときに報告される。当然のことながら、ANRメッセージM6と一緒に測定信号値が報告されることがある。
【0121】
ANRメッセージM7もまたユーザ装置7.6からの位置表示を含む。この状況は、ユーザ装置7.2と同様、測定試行M4が結果をもたらさないときのユーザ装置のものである。
【0122】
ステップM8において第1の基地局は、受信したANRメッセージM5、M6、M7を評価する。この評価ステップの主なタスクは、更なるANR命令について考慮すべきはどのユーザ装置7.2、7.5、7.6であるかを見つけ出すことである。
【0123】
ユーザ装置7.5は、信号強度の測定結果を提供しているため明らかに保持される。
【0124】
一方、ユーザ装置7.2及び7.6については、第1の基地局は、ユーザ装置が第2のセルエリアに位置しているか否かで受信した位置表示を区別しなければならない。結果として更なるANR動作について考慮されないユーザ装置7.6は当てはまらない。
【0125】
ユーザ装置が第2のセルエリア5内に位置していれば、第1の基地局は、このユーザ装置を後続のANR動作について考慮し続ける。
【0126】
その結果、好ましくはしばらくして実行される次のANR要求は、ユーザ装置7.5への命令メッセージM9で実行される。この命令メッセージは専用シグナリングで実行される。すなわちユーザ装置7.5だけがこの命令を受信する。
【0127】
これに対してユーザ装置7.5は再び測定試行(図示せず)実行し、その結果を第1の基地局に報告する。この場合、ユーザ装置は再び第2の基地局の信号強度を測定することができ、その結果、ANRメッセージM10で第2の基地局3の測定信号強度を示す値を提供する。
【0128】
次に、ユーザ装置7.2に専用シグナリングでANR要求M11が送信される。このユーザ装置7.2は、別の測定試行を実行するが、依然として第2の基地局からの信号を測定することができない。
【0129】
具体的にはANR要求M9、M11は、特定の基地局からの、この場合は第2の基地局3からの特定の測定を実行するように受信側のユーザ装置に命令する。ユーザ装置7.2は、第2の基地局のタイプの別の基地局のセルエリアにある場合は、要求されていないため、可能性のある肯定的な測定結果を報告しないことになる。
【0130】
その結果、メッセージM12に、ユーザ装置7.2は測定が実行できなかったことを示した。
【0131】
任意選択で、ユーザ装置7.2の位置に関連する別の表示がANRメッセージM12で送信される。ただし、ユーザ装置7.2が第2のセルエリア5から離れた場合、次のANRメッセージングから削除される可能性がある。
【0132】
ここではそうではないため、動作はこの場合、ステップM13を続ける。このステップでは、第1の基地局2は、ANR要求の最後のセットの後に受信したANRメッセージを評価する。
【0133】
この評価ステップの結果は、メッセージM14で第2の基地局3に送信された命令であって、ビーム6でカバーされていない第2のセルエリア5内にあるユーザ装置の位置情報に基づいたビーム形成の変更命令である。
【0134】
その結果、第2の基地局3はステップM15でビーム形成の変更を実行する。
【0135】
次回のANR要求において、第1の基地局は、メッセージM16及びM18でANR要求をユーザ装置7.2及び7.5に送信する。両者は今や(図2に示すように)ビームでカバーされているため、両ユーザ装置は、第2の基地局3から受信した信号からの測定試行の実行に成功することになる。
【0136】
ANRメッセージM17及びM19で、結果は結果として第1の基地局2に報告される。
【0137】
好ましくは、動作は今やかなり最適なこのビームの設定を続ける。ただし状況は、時間とともに又はユーザ装置7の移動を通じて変化することがある。
【0138】
したがって、更なるANR要求/メッセージ動作が、理論的に到達可能なユーザ装置と比較したカバーされているものの割合が著しく減少したときは、動作は再びANR要求M1のブロードキャストを開始する。
【0139】
以上の詳細な説明において、例示により、本発明が実施される特定の実施形態を示す添付図面が参照される。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施することができるように十分詳細に記載される。異なっていたとしても、本発明の様々な実施形態は必ずしも互いに排他的ではないことは理解されるべきである。例えば、一実施形態と関連して本明細書に記載される特定の特徴、構造、又は特性は、本発明の範囲を逸脱することなく、別の実施形態において実現されてもよい。加えて、開示される各実施形態の範囲内の個別要素の位置又は配置は、本発明の範囲を逸脱することなく変更されてもよいことは理解されるべきである。したがって、以上の詳細な説明は、限定的な意味で受け取られるべきではなく、本発明の範囲は、請求項が権利を得ることができる全範囲の同等物とともに、適切に解釈された、添付の請求項によってのみ定義される。
図1
図2
図3
【国際調査報告】