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特表2023-505843超音波またはレーザ切断された横側面を有するコンベヤベルト、特にスピンドルテープ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-13
(54)【発明の名称】超音波またはレーザ切断された横側面を有するコンベヤベルト、特にスピンドルテープ
(51)【国際特許分類】
   F16G 1/10 20060101AFI20230206BHJP
   B65G 15/30 20060101ALI20230206BHJP
   F16G 1/00 20060101ALI20230206BHJP
   B23K 26/38 20140101ALI20230206BHJP
   B23K 26/382 20140101ALI20230206BHJP
   B26D 1/14 20060101ALI20230206BHJP
   B26D 7/08 20060101ALI20230206BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20230206BHJP
   B32B 5/02 20060101ALI20230206BHJP
   B32B 3/24 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
F16G1/10
B65G15/30 A
F16G1/00 D
B23K26/38 Z
B23K26/382
B26D1/14 H
B26D7/08 A
B26D7/06 E
B32B5/02 Z
B32B3/24 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022535245
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(85)【翻訳文提出日】2022-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2020085348
(87)【国際公開番号】W WO2021116209
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】19214896.3
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591270796
【氏名又は名称】ハバシット アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】マレン,ヨスヴィヒ
【テーマコード(参考)】
3C027
3F024
4E168
4F100
【Fターム(参考)】
3C027PP06
3C027PP07
3F024AA11
3F024CA04
3F024CB02
3F024CB09
4E168AD07
4E168DA23
4E168DA40
4E168JA17
4F100AJ01A
4F100AK01A
4F100AK42A
4F100AK51B
4F100AL09A
4F100BA02
4F100CC00B
4F100DB01
4F100DC11
4F100DG12A
4F100EJ30
4F100EJ61
4F100GB51
4F100JB16A
4F100JB16B
(57)【要約】
2つ端部エッジ(6,7)を有して開放された端部を有し、長手方向において長手長さLを有するコンベヤベルト、パワートランスミッションベルト、またはマシンテープ(1)であって、a)長手方向に延び、横断幅Wによって互いから離された2つの平行な横エッジ(1a,1b)と、b)第1織物層(2)と、c)第1コーティング層(3)と、選択的に、d)全体厚みTを通じて前記ベルトを貫通し、それぞれが孔エッジ(5a)によって形成される1つまたは複数の貫通孔(5)と、を備え、i)前記第1織物層(2)は、熱可塑性樹脂の繊維またはフィラメントを有し、及び/または前記第1コーティング層(3)は、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーを有し、ii)前記横エッジ(1a,1b)は超音波切断またはレーザ切断され、及び/または選択的な孔エッジ(5a)はレーザ切断される。ベルトまたはテープは、溶融によってシールされたエッジを有し、従来の端部接合によって端部無しにされてもよく、スピンドルテープ等の毛が発生する環境で使用されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ端部エッジ(6,7)を有して開放された端部を有し、長手方向において長手長さLを有するコンベヤベルト、パワートランスミッションベルト、またはマシンテープ(1)であって、前記コンベヤベルト、パワートランスミッションベルト、またはマシンテープ(1)は、
a)それぞれ前記長手方向に延び、横断幅Wによって互いから離された2つの平行な横エッジ(1a,1b)と、
b)第1織物層(2)と、
c)第1コーティング層(3)と、選択的に、
d)全体厚みTを通じて前記ベルトを貫通し、それぞれが孔エッジ(5a)によって形成される1つまたは複数の貫通孔(5)と、
を備え、
i)前記第1織物層(2)は、熱可塑性樹脂の繊維またはフィラメントを有し、及び/または前記第1コーティング層(3)は、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーを有し、
ii)前記横エッジ(1a,1b)は超音波切断またはレーザ切断され、及び/または選択的な孔エッジ(5a)はレーザ切断される、コンベヤベルト、パワートランスミッションベルト、またはマシンテープ(1)。
【請求項2】
前記第1織物層(2)は、自然繊維または自然フィラメントを有する、請求項1に記載のコンベヤベルト、パワートランスミッションベルト、またはマシンテープ(1)。
【請求項3】
前記第1織物層(2)は、ポリエステル、特にPETの繊維またはフィラメントを有する、請求項1または2に記載のコンベヤベルト、パワートランスミッションベルト、またはマシンテープ(1)。
【請求項4】
前記第1コーティング層(3)は、TPUを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンベヤベルト、パワートランスミッションベルト、またはマシンテープ(1)。
【請求項5】
前記横断幅Wは、10から25mm、望ましくは10から20mmの範囲内にある、請求項1から4のいずれか一項に記載のコンベヤベルト、パワートランスミッションベルト、またはマシンテープ(1)。
【請求項6】
1つまたは複数の前記貫通孔(5)を有し、
前記貫通孔(5)の前記孔エッジ(5a)は、レーザ切断される、請求項1から5のいずれか一項に記載のコンベヤベルト、パワートランスミッションベルト、またはマシンテープ(1)。
【請求項7】
2つの前記横エッジ(1a,1b)は、超音波切断またはレーザ切断される、請求項1から6のいずれか一項に記載のコンベヤベルト、パワートランスミッションベルト、またはマシンテープ(1)。
【請求項8】
貫通孔を有せず、
2つの前記横エッジ(1a,1b)は、超音波切断またはレーザ切断される、請求項1から5のいずれか一項に記載のコンベヤベルト、パワートランスミッションベルト、またはマシンテープ(1)。
【請求項9】
前記長手長さLによって前記長手方向において互いから離された2つの端部エッジ(6,7)は、超音波切断またはレーザ切断される、請求項1から8のいずれか一項に記載のコンベヤベルト、パワートランスミッションベルト、またはマシンテープ(1)。
【請求項10】
前記幅Wと前記長手長さLとの比が、1:100から1:2000の範囲内にある、請求項1から9のいずれか一項に記載のコンベヤベルト、パワートランスミッションベルト、またはマシンテープ(1)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のコンベヤベルト(1)を端部無しにすることによって取得される端部無しコンベヤベルトであって、または、
請求項1から5または請求項7から9のいずれか一項に記載のパワートランスミッションベルト(1)を端部無しにすることによって取得される端部無しパワートランスミッションベルトであって、または、
請求項1から5または請求項7から9のいずれか一項に記載のマシンテープを端部無しにすることによって取得される端部無しマシンテープであって、
端部無しの形態は、2つの前記端部エッジ(6,7)を接合することによって取得する、コンベヤベルト、パワートランスミッションベルト、またはマシンテープ。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載の超音波切断された横エッジ(1a,1b)を有するコンベヤベルト、パワートランスミッションベルト、またはマシンテープ(1)のN個の見本の同時製造のためのプロセスであって、
Nは1以上の整数であって、
前記プロセスは、
i)請求項1から4のいずれか一項において規定された層構造と、L以上の長手長さと、N×Wより大きい横断幅Wと、を有する本質的に長方形状の多層シート材料を提供するステップと、
ii)少なくとも1つのソノトロード(9)とN+1個のブレード(8,10)とを有する超音波カッターに前記多層シート材料を通すステップと、
iii)選択的に、レーザ切断によって、N個の見本のそれぞれに1つまたは複数の貫通孔(5)を形成するステップと、
を有し、
前記シート材料を同時にN個の見本に切断するように、それぞれの前記ブレード(8,10)が前記シート材料に切り込むように、隣接ブレードは、距離Wによって互いから離される、プロセス。
【請求項13】
前記超音波カッターは、M超音波ソノトロードを有し、それぞれのi番目のソノトロードは、K個のブレードを駆動して、MとそれぞれのKとは1以上の整数であって、
が成立する、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記ブレードは、周囲円形切断面(10a)を有する円形ディスクブレード(10)であって、
前記円形ディスクブレード(10)は、前記見本の超音波切断において、前記多層シート材料の上を転がる、請求項12または13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記多層シート材料が、2から10m/min、望ましくは3から8m/minの範囲内の進行速度において前記超音波カッターに通され、
それぞれのソノトロードにおいて、30kHzの超音波と、前記ソノトロードに取り付けられたブレード毎に250から350Wのパワーとを使用する、請求項12から14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
2、4または8スピンドルテープドライブを有するリング回転フレームであって、
請求項11に記載の端部無しのマシンテープをスピンドルテープとして有し、
前記横断幅Wは、10から25mm、望ましくは10から20mmの範囲内にある、リング回転フレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト、特にコンベヤベルト、マシンテープ、パワートランスミッションベルトまたはスピンドルテープ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンベヤベルト、パワートランスミッションベルトまたはマシンテープは、一般的に、より大きい幅を有するマスターシート材料からストリップとして切り出される。したがって、もっとも一般的な切断方法は、ナイフ切断またはパンチングであった。このような切断方法は、形成されたエッジが切断されたフィラメント端部を有するとのデメリットを有し、切断されたフィラメント端部は、エッジが解れやすくなり、土及び水分を収集しやすくなることをもたらす。
【0003】
他方で、エッジの超音波切断及びレーザ切断は、通常の織物の分野において知られている。このように形成された切断エッジは、少なくとも部分的に溶融しており、このように形成されたエッジの近くにおける織物は、織物の嵩(bulk)よりも大きい厚みを有してもよく、即ち、織物は、超音波切断またはレーザ切断されたエッジの近くで盛り上がる傾向にある。
【0004】
通常の織物の超音波切断に関する文献の例示を以下に挙げる。
【0005】
EP0143513A2は、コート無し、含浸無しの織物布の超音波切断と、布から望ましくない端(selvage)を切り落とし、その長手方向の切断エッジをシールする超音波切断及びシーリング手段とを開示する。
【0006】
CH604930A5は、織物の物品のための超音波切断装置を開示する。織物自体はさらに特定されていない。この文献は、熱切断溶融エッジを有する盛り上がったエッジ(「surepaisseurs」)の問題点を指摘する。この問題に対する解決策は、超音波カッターと、鉄床(anvil)とを同一の支持部(「support commun」)に取り付けることである。開示される装置は、長手方向に切断すると、単一の超音波ブレードにそれぞれ作用する2つのソノトロード(sonotrode)を有する。超音波周波数は、20kHzであると開示され、超音波カッターの進行速度は開示されていない。
【0007】
US4,693,771Aは、コート無し、含浸無しの織物布において、端を除去するための超音波切断方法を開示し、超音波切断エッジの近くの2~4本の平行な縦糸または横糸は、融合された固まりに融合される。超音波切断エッジは、布の嵩からエッジの頂点に向かってテーパし、これは、専用設計された鉄床を用いることによって実現される。開示された装置は、単一の超音波ブレードにそれぞれ作用する2つの超音波ソノトロードを有する。この文献は、充分にシールされたエッジを実現するために、超音波周波数と、超音波カッターの進行速度との間の関係を示唆する。
【0008】
US5,230,761は、ウエストバンドの製造を開示し、そこで、熱可塑性の仕上げ(finish)を有する布が、縦糸に実質的に平行な線に沿って超音波切断の対象となる。仕上げは、布またはウェブに適用または塗布されているが、フィルと縦糸の糸を保持することが求められていることから、布含侵として開示されている。7から9インチのホーン幅毎に7ナイフが使用されてもよく、25.4mmから32.7mmの範囲内の横断幅を有する切断されたウエストバンドを生成する。この超音波切断プロセスは、盛り上がったエッジを生成するらしい。
【0009】
コンベヤベルトのための上述のマスターシート材料の切断は、超音波を用いて既に実現されている場合がある。出願人は、インターネット上で、フランスの企業Decoup(Spoolexのアフィリエイト)による広告を見て、広告では、複数の20kHzのソノトロードを有するこのようなマスターシート切断機械を提供し、それぞれのソノトロードは、単一の超音波ブレードに作用する。
【0010】
さらに、(横方向に)適切な長さにコンベヤベルトの超音波切断は知られているらしい。CN104227782は、超音波切断機械を開示し、ベルト10は、異なる端面に、超音波カッターによって横方向に切断される。インターネットでは(例えば、アリババでは)、このような目的のためのハンド-ヘルド(hand-held)超音波カッターが入手可能である。
【0011】
織物のレーザ切断も知られている。レーザ切断は、層が互いに溶融されるような横側面を得るために適切であると宣伝されている。EP1394316は、布と、特にTPUの底面接着層とから構成される多層構造の化合物を開示する。この底面接着層は、織物を貫通するように加熱され、その後、接着層と選択的に織物とは、プレスされ、平面を形成するように平にされる。そこに接着層が貫通された布は、レーザ切断またはレーザ穿孔によく適していると言われているが、それから準備されたいずれかのレーザ切断製品を単体で開示しない。レーザ切断が「黒くなったエッジ」を生成し、「切断エッジのワッシュアウト(washing out)に対して耐久性をもたらさないように、ほとんどシーリングを生成しない」ため、上述のUS4,693,771Aは、レーザ切断は有効でないと教示する(teach against)。
【0012】
解れない(non-fraying)横ベルトエッジを形成し、コンベヤベルトの分野において知られている手法は、非加熱ナイフ切断またはパンチングによって以前形成されたエッジに熱可塑性樹脂のシームを溶接することである。他の方法は、非加熱ナイフ切断またはパンチングによってベルトの横エッジをまず形成し、2つのエッジのいずれかの上に熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー層の少量の突出があるように、ベルトに、少し大きい幅の熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーのさらなる層を適用し、切断エッジの上に熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーの余分な幅を曲げて、そこに融合することを有する。この2つのタイプのベルトは、市場で流通しており、「解れないエッジ」を有するものとして宣伝されている。
【0013】
用語「ソノトロード」は、通常、1つまたは複数のブレードを保持する超音波駆動サポートのために使用される。
【0014】
複数のソノトロードを有する多くの知られている超音波織物切断装置であって、それぞれのソノトロードが1つのみの切断ブレードに作用する装置は、ソノトロード自体のせん断横断方向によって、コンベヤベルトまたはマシンテープを直接切断するように、横断方向における切断ブレードの充分に近い間隔を可能にしないようである。
【0015】
他方で、食品加工の分野において、1つのソノトロードが、横断方向において互いの近くに配置され、単一の工具として構成された複数の切断ブレードを駆動する超音波カッターは知られている。超音波カッターは、しかしながら、ソノトロードと切断ブレードとの組み合わせの共振周波数において操作しなくてはならない。複数の切断ブレードを有することは、この組み合わせの質量を増加させ、慣性を増加させ、共振周波数を低くする。さらに、ソノトロードが越えなければならない切断抵抗は、そこに取り付けられた切断ブレードの数とともに直線的に増加し、超音波カッターが共振しなくなることをもたらす可能性がある。工業的織物は、必ず1つのみのブレードに操作する1つのソノトロードを有し、即ち、ソノトロードと切断ブレードとの数値比が1:1である超音波カッターによって切断される。
【0016】
解れないエッジを有し、エッジ付近において、ベルトの嵩における厚みと同様または同一の厚みを維持し、「解れないエッジ」を有する上述の先行技術の商業的なベルトより容易に製造される前述のタイプのベルトを提供することに問題がある。
【発明の概要】
【0017】
[1]本発明は、以下を提供する。
1.長手方向において長手長さLを有して開放された端部を有する、または周囲の長さLを有し、端部無しであるベルトであって、前記ベルトは、
a)それぞれ前記長手方向に延びる、または前記周囲の長さを形成し、横断幅Wによって互いから離された2つの平行な横エッジ(1a,1b)と、
b)第1織物層と、
c)第1コーティング層と、選択的に、
d)全体厚みTを通じて前記ベルトを貫通し、それぞれが孔エッジ(5a)によって形成される1つまたは複数の貫通孔(5)と、
を備え、
i)前記第1織物層は、熱可塑性樹脂の繊維またはフィラメントを有し、及び/または第1コーティング層は、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーを有し、
ii)前記横エッジは、超音波切断またはレーザ切断され、及び/または選択的な孔エッジはレーザ切断される。
2.上述の[1]によるベルトであって、前記第1織物層は、自然繊維または自然フィラメントを有する。
3.上述の[1]または[2]によるベルトであって、前記第1織物層は、ポリエステル、特にPETの繊維またはフィラメントを有する。
4.上述のいずれかの項目によるベルトであって、前記第1コーティング層はTPUを有する。
5.上述のいずれかの項目によるベルトであって、前記横断幅は10から25mm、望ましくは10から20mmの範囲内にある。
6.上述のいずれかの項目によるベルトであって、1つまたは複数の前記貫通孔(5)を有し、前記貫通孔(5)の前記孔エッジ(5a)はレーザ切断される。
7.上述のいずれかの項目によるベルトであって、前記2つの横エッジは超音波切断またはレーザ切断される。
8.上述のいずれかの項目によるベルトであって、貫通孔を有せず、前記2つの横エッジは超音波切断またはレーザ切断される。
9.上述のいずれかの項目によるベルトであって、開放された端部を有し、前記長手長さLによって長手方向に離され、超音波切断またはレーザ切断された2つの端部エッジを有する。
10.開放端部の形態において、超音波切断された横エッジを有する上述のいずれかの項目によるベルトのN個の見本(specimen)の同時製造のためのプロセスであって、Nは1以上の整数であって、プロセスは、
i)上述の[1]から[4]の1つにおいて規定された層構造と、L以上の長手長さと、N×Wより大きい横断幅W0と、を有する本質的に長方形状の多層シート材料を提供するステップと、
ii)少なくとも1つのソノトロードとN+1個のブレードを有する超音波カッターに前記多層シート材料を通すステップと、
ここで、シート材料を同時にN個のベルト見本に切断するように、それぞれのブレードがシート材料に切り込むように、隣接ブレードは、距離Wによって互いから離されて、
iii)選択的に、レーザ切断によって、N個のベルト見本のそれぞれに1つまたは複数の貫通孔(5)を形成するステップと、
を有する。
11.上述の[10]のプロセスであって、前記超音波カッターは、Mソノトロードを有し、それぞれのi番目のソノトロードは、K個のブレードを駆動して、MとそれぞれのKとは1以上の整数であって、
12.上述の[10]または[11]のプロセスであって、ブレードは、周囲円形切断面(10a)を有する円形ディスクブレード(10)であって、前記円形ディスクブレード(10)は、前記ベルト見本の超音波切断において、前記多層シート材料の上を転がる。
13.上述の[9]から[12]のいずれかのプロセスであって、前記多層シート材料は、2から10m/min、望ましくは3から8m/minの範囲内の進行速度において超音波カッターに通され、それぞれのソノトロードにおいて、30kHzの超音波と、そのソノトロードに取り付けられたブレード毎に250から350Wのパワーとを使用する。
14.2,4または8スピンドルテープドライブを有するリング回転フレームであって、上述の[5]によるスピンドルテープベルトを有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のスピンドルテープの模式図である。
図2】100倍の拡大において、図1に示すように構成されたスピンドルテープの2つの異なる見本の超音波切断された横エッジの2つの写真を示し、左が第1見本であって、右が第2見本である。
図3】150倍の拡大において、図2と同じ2つのスピンドルテープ見本の横断面の2つの写真を示し、左が第1見本であって、右が第2見本である。
図4】リング回転フレームにおいて、2月間使用した後における従来のように切断されたスピンドルテープ(上)と、図1に示す本発明のスピンドルテープ(下)との両方の写真を示す。
図5図1に示すように構成された本発明のスピンドルテープのレーザ切断された横エッジの写真を示す。
図6図5におけるスピンドルテープと同一の見本の横断面の写真を示す。
図7】望ましい超音波切断ブレードの断面を示す。
図8】超音波切断において使用される円形ディスクの形態における望ましい超音波切断ブレードを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のベルトまたはテープは、少なくとも1つの超音波切断またはレーザ切断されたエッジを有する。本明細書にて、さらなる説明なく使用される「エッジ」は、本発明の目的において、以下の1つまたは複数を意味する。
a)ベルトまたはテープの移動方向に本質的にまたは完全に平行に延びるベルトまたはテープの横エッジ、望ましくベルトまたはテープの両方の横エッジ
b)端部エッジであって、長手方向Lにおいて互いに対して間隔を有する2つのベルトまたはテープのエッジのうちの1つであって、例えば、熱及び圧力及び選択的に共通に使用されるホットメルト接着剤によって、互いに接合されると、ベルトまたはテープを端部無し(endless)にするようなエッジであって、これらの端部エッジは、望ましくは直線状、または鋸歯状のいわゆる「フィンガーエンド(fingerend)」エッジ(下記参照)の形態である
c)ベルトの厚みの全体を貫通するように切断された窪み孔(trough hole)のエッジ
d)上記a)、b)、及びc)の2つ以上の組み合わせ。
代わって、本明細書にて、エッジの個別のタイプは、必要なまたは適切な場合において、特に上記a)~c)に沿って、名付けられている。
【0020】
本発明の概要の項目[1]及び請求項1の特徴ii)は、超音波切断またはレーザ切断された少なくとも横エッジ(1a、1b)が存在する、または、いずれかの横エッジが超音波切断またはレーザ切断されていない場合、レーザ切断孔エッジ(5a)を有する1つまたは複数の貫通孔(5)が存在する。
【0021】
いずれかの超音波切断またはレーザ切断されたエッジは、このように形成されたエッジ上に観察可能な後続の構造特徴を有する。
a)第1織物層の材料、及び/または第1コーティング層の材料は、これらの層のいずれかが熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーを有する、またはこれらから構成される程度において、少なくとも部分的な軟化または溶融の後に再凝固しているように見える。ナイフまたはパンチングによって切断がされた場合のように、第1織物層のいずれかの繊維端は、鋭利な先端として切断されたエッジから通常突出するが、超音波またはレーザによって切断すると、上記の軟化または溶融及び再凝固によって、第1織物層のいずれかの繊維端は、鈍く見えて、第1織物層及び/または第1コーティング層からの熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーに、少なくとも部分的に埋め込まれている。
b)第1織物層自体の多孔性またはふんわり感は、上記長手断面において視認できる布の多孔性またはふんわり感に対して、減少している。
【0022】
さらに、超音波及びレーザ切断エッジは、後者が、レーザの熱によって、新しく形成されたエッジにおける有機材料の焦げまたは炭化によって生成される、黄色っぽい、または暗い、または黒に近い少量の付着物を示す点において、互いに異なる。
【0023】
さらに、超音波またはレーザ切断エッジは、特に第1織物層に沿った表面粗さが測定されると、表面粗さにおいて、互い及び従来のナイフ切断エッジと異なる。
【0024】
長手または端部エッジの場合において、エッジ粗さは、本発明の目的において、いずれかの収容された層、特に第1織物層に沿って、焦点変化を用いて、高さプロファイルz(x)として測定され、これは、よく知られた光学的高さプロファイル測定方法である。分析するエッジは、x(横)及びy(縦)方向に延びるものとして考慮され、プロファイル高さは、z方向に延びるものとして考慮される。分析されるエッジが横エッジであると、x方向は長手ベルト方向と一致して、y方向は、ベルトの厚み方向と一致して、z方向はベルトの横断方向と一致する。エッジの表面断面は、レンズとベルト見本との間において特定の一定距離において、特定の焦点において、デジタル方式で、グレイスケールで撮影される。エッジの同じ表面断面は、レンズとベルト見本との間において同じ距離において、デジタル方式で、グレイスケールであるが、異なる焦点において、再撮影され、それぞれの焦点は、例えば、圧電素子等の微調整用焦点移動機構によって、特定の焦点まで移動され、表面の中心が最も焦点にあっているときに写真が取得される。表面断面の中心は、エッジの1つの測定点xである。点xにおける中心の最も焦点にあっている条件は、ラプラスフィルタLによって得られてもよい。
式(2)において、l(m、n)は、表面の中心を示す画像ピクセルのグレイスケールの強度であって、この中心に対して、距離(したがってz方向における高さ)が測定される。l(m,n+1)、l(m+1,n)、l(m,n-1)及びl(m-1,n)は、中心ピクセルに隣接した画像ピクセルのグレイスケール強度であって、それぞれ中心ピクセルに対して、上(y方向に+1でオフセット)、右(x方向に+1でオフセット)、下(y方向に-1でオフセット)、及び左(x方向に-1でオフセット)である。「~0」は、Lが最小であるまたは0に可能な限り近いことを意味する。式(2)において、l(m、n)、l(m,n+1)、l(m+1,n)、l(m,n-1)及びl(m-1,n)は、望ましくは、それぞれ、ラプラスフィルタのノイズ感度を減少させるように、対応する2×2または3×3の隣接算出平均値と、交換されてもよい。
【0025】
上述の最も焦点が合った条件は、特定の測定点xとして、対象の表面部分の中心において満たされると、例えば、ガウスのレンズの法則を用いて、写真カメラと、xに対応する表面部分の中心との間の絶対距離zに変換される。
ここで、oは、写真カメラのレンズの中心平面と、表面の中心との間の未知の距離である。dは、写真カメラのレンズの中心平面と、デジタル写真カメラのCCDとの間の知られている距離であって、これは、焦点機構によって変更可能であって、表面部分の中心において最も焦点が合っている条件が得られるように選択される。fは、写真カメラのレンズの知られている焦点距離(レンズ特有の定数)である。ガウスレンズの法則は、未知のoについて解かれて、xに対応するzは、例えば、oと直接的に同じであってもよく、またはoと一定の任意に選択されたスケールオフセットとの合計であってもよい。
【0026】
上記の写真プロセス及び距離評価は、エッジに沿った他の測定点(即ち、その他の表面部分)において繰り返されている。高さプロファイルz(x)が完成されるまで、それぞれの後続の測定点xi+1は、前の測定点xに対して、x方向にさらなる通常一定であるオフセットによってシフトされる。
【0027】
焦点変化によるこのような高さプロファイル特定においては、商業装置が存在する。
【0028】
この方法は、例えば、第1織物層のエッジに沿って、本発明のベルトまたはテープ見本における個別の層のエッジに沿って、高さプロファイルを測定することを可能にする。層のエッジに沿ってこのような高さプロファイルz(x)を測定するためには、ベルトまたはテープ見本は、平面を有する2つの剛性を有する直方体ブロックの間に挟まれて、測定される横または端部エッジが、2つの直方体ブロックのそれぞれの横側面の1つと密着する。このような挟まれた状態において、測定される横または端部エッジが上を向いた状態で、ベルトまたはテープ見本は、通常モータ駆動の進行サポートを用いて、測定(x)方向に進められてもよい。測定の結果は、対象の層に沿った可変位置xの関数として、エッジの1次元的横断高さプロファイルz(x)である。例示によって、複合材料のジャーナル(Journal of Composite Materials)0(0)、ページ1-14(2016)におけるアーティクル「加工された炭素繊維強化プラスチックの複合材の表面粗さを測定する光学方法」を参照する。高さプロファイルz(x)の測定は、通常、粗さが測定される層の厚みの半分である縦高さyにおいて行われる。
【0029】
上記の焦点変化によって得られる分析された層に沿った長手エッジまたは端部エッジの表面粗さは、よく知られている標準偏差(s)、歪度(Rsk)、尖度(Rku)のパラメータを用いて、高さプロファイルz(x)を用いて特徴付けられている。
ここで、xは、進行移動の開始点に対して、エッジに沿った進行方向(x)におけるi番目の測定点の位置である。zは、上述の焦点変化によって測定される位置xにおけるi番目の測定点で測定された高さである。Nは、対応する高さz(x)が測定されるエッジに沿った測定点の数である。合計は、N測定点の全てにわたる。
ここで、全ての記号は、式(4a)、(4b)及び(4c)において規定されており、全ての合計は全ての測定点にわたる。
【0030】
ナイフ切断、レーザ切断、及び超音波切断された横エッジまたは端部エッジの表面粗さは、特に第1織物層に沿って測定され、高さプロファイルz(x)として測定され、Rsk及びRkuを用いて特徴付けられると、互いから異なる。ナイフ切断、超音波切断、及びレーザ切断された横エッジまたは端部エッジのRsk及びRkuの絶対値は、ベルト構造及び切断プロセス特徴に依存し、本発明のベルトまたはテープのための絶対値または絶対値の範囲は予め示すことはできない。しかしながら、本発明の目的のために必要ない。
【0031】
上記式(4b)によるRskは、レーザ切断エッジにおいて最も良くなり(高さプロファイルz(x)はベルトまたはテープの内側の嵩に向かってのみ小さくなる(tail))、超音波切断エッジにおいて良くなくなり、ナイフ切断エッジにおいて最も良くなくなり、またはゼロに最も近いと予想される。これは、ベルトの外側(切断するエッジ)から内側(嵩)に向かう温度分布がレーザ切断において最も高く、超音波切断においてより低く、ナイフ切断においてほとんど存在しなくなるためである。したがって、新しいナイフ切断された参照エッジがベルトまたはテープの見本の元の横エッジまたは端部エッジと平行に延びるように、本発明のベルトまたはテープの見本をナイフ切断することと、ベルトまたはテープの元の横エッジまたは端部エッジと新しく形成されたナイフ切断された参照エッジとの両方を測定/分析することと、上記の式(4b)によるそれらのRsk値を比較することによって、第一に、ベルトまたはテープの見本の元の横エッジまたは端部エッジがナイフ切断されたか、レーザまたは超音波切断されたかを特定することができる。前者の場合において、元の横エッジまたは端部エッジのRsk値と、新しく形成されたナイフ切断された参照エッジとの間で統計的に大きな違いがないはずである。後者の場合において、元の横エッジまたは端部エッジは、新しく形成されたナイフ切断された参照エッジの1つのRsk値より大幅に良いRsk値を有するはずである。
【0032】
レーザ切断された横エッジまたは端部エッジの上記式(4a)による標準偏差は、超音波切断またはナイフ切断された横エッジまたは端部エッジのいずれかの上記式(4a)によるsより低くなると予想される。レーザ切断された横エッジまたは端部エッジの上記式(4c)によるRkuは、超音波切断またはナイフ切断された横エッジまたは端部エッジのいずれかのRkuより高くなると予想される。これは、3つの方法のうち、レーザは最も鋭利であって、したがって最も滑らかなエッジをもたらすためである。本発明のベルトまたはテープの見本に、ベルトまたはテープの見本の元の横エッジまたは端部エッジに最も外観が近い切断をもたらす超音波切断条件下で、新しく切断された参照エッジがベルトまたはテープの見本の元の横エッジまたは端部エッジと平行に延びるように、超音波によって1つまたは複数の参照切断を実行することと、ベルトまたはテープの元の横エッジまたは端部エッジと新しく形成された切断された参照エッジとの両方を測定/分析することと、上記の式(4a)によるs値または式(4c)によるRku値を比較することとによって、第二に、ベルトまたはテープの見本の元の横エッジまたは端部エッジがレーザ切断されたか、超音波またはナイフ切断されたかを特定することができる。前者の場合において、元の横エッジまたは端部エッジのs値は、新しく超音波切断された参照エッジのs値より低くなるはずであって、元の横エッジまたは端部エッジのRku値は、新しく超音波切断された参照エッジのRku値より高くなるはずである。後者の場合において、元の横エッジまたは端部エッジのs値またはRku値のそれぞれは、新しく超音波切断された参照エッジのs値またはRku値のそれぞれに対して、統計的に大きな違いがないまたは大幅に大きくならないはずである。
【0033】
本発明のベルトまたはテープが織られた第1織物層を有すると、横エッジの特定のための上述参照エッジは、その横エッジからz方向におけるオフセットにおいて望ましくは形成され、オフセットは、z方向における織られた布の空間周波数ξの逆数の整数倍、即ちn/ξである。nは1以上の整数である。そうでなければ、横エッジと参照エッジの表面粗さの比較は意味を有しない。対応する横ベルトエッジからオフセットn/ξにおけるこのようなさらなる参照切断の位置は、図1の下部において点線によって示されている。
【0034】
鋸歯状のいわゆる「フィンガーエンド」エッジ(下記参照)の形態におけるそれぞれの端部エッジにおいて、対応するさらなる参照切断エッジは、単にベルトまたはテープの内部への直線の延在として形成される。2つの鋸歯状のエッジのこのように延在されたさらなる切断は、図1の下部において斜めの点線によって示されている。
【0035】
いずれかの参照ナイフ切断エッジは、例えば、ドイツのKrug&Priesterによって提供されるIDEALトリマー等のトリマーを用いて形成されてもよい。
【0036】
いずれかのさらなる参照切断は、図1の下部において点線の参照切断線によって示されて、ベルトにおいて存在するいずれかの窪み孔を回避すると理解されよう。
【0037】
孔エッジの場合において、エッジ粗さは、上述の方法によって、直接的に特定できない。しかしながら、対象となる孔エッジが溶融及び再凝固材料のサインを示すと、レーザ切断されたと仮定すべきである。出願人の経験において、ベルトに溶融したエッジを有するこのような孔を切断する他の方法がない。特に、強制的に極めて低い曲率を有する切断、または直線状の切断のみを形成するものであるため、超音波切断は不可能である。
【0038】
本発明のベルトまたはテープは、必要な構成要素として、(通常、ベルトまたはテープのトラクション層を形成する)第1織物層と、第1コーティング層とを有し、第1織物層が熱可塑性樹脂を有し、または第1コーティング層は熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーを有し、または第1織物層は熱可塑性樹脂を有し、同時に第1コーティング層は熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーを有する。
【0039】
1つの代替案において、第1織物層は、シート状の構成を有するファイバを含む層のいずれかであってもよい。このようなシート状の層は、本質的に幾何学的な長さ、幾何学的な幅、幾何学的な厚みを有する直方体の形状を本質的に有し、幾何学的な長さ及び幾何学的な幅は、それぞれ、幾何学的な厚みより大幅に大きい。織物は、織られた布(平織りまたは綾織など)、編まれた布、不織布(フェルト、フリースなど)であってもよい。
【0040】
第2の代替案において、第1織物層は、互いに平行に延びる非織り込み補強糸のアレーを有してもよく、またはそれから構成されてもよい。
【0041】
望ましくは、第1織物層は、織られた布または非織り込み補強糸のアレーである。
【0042】
第1織物層は、望ましくは、ベルトのトラクション層を形成するまたはそこに構成される。織物の張力の性質を最大限に利用するためには、織られた布の形態である場合、織られた布の縦糸(=ピック)フィラメントが横エッジに対して平行に延びて、織られた布の横糸(=フィル)フィラメントが横エッジを横断するように延びるように切断されることが望ましいようである。
【0043】
第1織物層は、熱可塑性樹脂の繊維またはフィラメントの一方によって完全に構成されてもよく、代わって、第1織物層は、天然繊維またはフィラメントを有する混合物において、熱可塑性樹脂の繊維またはフィラメントを有してもよい。望ましい熱可塑性樹脂は、熱可塑性ポリオレフィン、ポリエステル、特に、PET等の芳香族ポリエステル、特にナイロン等の脂肪族ポリアミド、またはアラミドのような芳香族ポリアミドである。天然繊維またはフィラメントは、望ましくは、亜麻、ジュート、麻、羊毛、綿およびラミーから構成されるグループから選択され、最も望ましくは、天然繊維は綿である。第1織物層が熱可塑性樹脂の繊維またはフィラメントと天然繊維またはフィラメントとの組み合わせを有すると、熱可塑性樹脂の繊維またはフィラメントに対する天然繊維またはフィラメントの比は、望ましくは、2:8から9:1の範囲内にある。
【0044】
第1コーティング層は、熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーを有するまたは望ましくはそれから構成される。第1コーティング層において望ましい熱可塑性樹脂は、熱可塑性ポリオレフィン(ポリエチレンまたはポリプロピレンなど)、実質的にランダムなエチレン/C3-12-α-オレフィンコポリマー(α-オレフィンの例は1-プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセンおよび1-オクテン)、熱可塑性ポリアミド、エチレン-酢酸ビニルコポリマー及びポリ(酢酸ビニル)である。塩化ビニル(PVC)のホモポリマー、または塩化ビニルと二塩化ビニリデンとのコポリマーも、技術的には可能であるが、レーザまたは超音波切断において発生し得る有毒ガスの観点において、望ましくない。カバー層のための熱可塑性エラストマーの望ましい例示は、熱可塑性エラストマーブロックコポリマー(スチレン系ブロックコポリマー、特にスチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-イソプレン-スチレン、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンブロックコポリマー)、中密度ポリエチレンのハードブロックとエチレン/α-オレフィンコポリマーのソフトブロックのコポリマー、熱可塑性ポリウレタン(ポリエステルジオールまたはポリエーテルジオールとジイソシアネートのコポリマーなど)、ポリエーテル/エステルブロックアミド、及び熱可塑性エラストマーアイオノマーである。
【0045】
第1コーティング層において、材料のさらなる望ましい例示は、特にTPU等の熱可塑性エラストマーである。このような適切なTPUは、一般的に、ジイソシアネート含有ハードブロックセグメントとポリエステルジオールソフトブロックセグメントとを反応させることによって入手可能である。ジイソシアネート含有ハードブロックは、ジイソシアネートとジオール鎖延長剤とを反応させることによって入手可能である。ジイソシアネートは、純粋な化合物またはジイソシアネートの混合であってもよい。望ましい1つの実施の形態において、ジイソシアネートは、芳香族ジイソシアネートであって、さらに望ましくは、異性体の2,2’-、2,4’-、または望ましくは4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートの1つである。適切なジオール鎖延長剤は、脂肪族C-C-ジオール、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-プロパンジオール、2-メチルプロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、3-メチルペンタン-1,5-ジオール、またはジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどのグリコールエーテル、及びエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン等のアミノアルコール等を含む。使用されるポリエステルジオールソフトセグメントは、望ましくは、500と2000との間の分子量を有する。これらは、ジオールとジカルボン酸を反応させることにより調製されてもよく、より簡便には、ジオールとジカルボン酸のジメチルエステルを反応させ(トランスエステル化)、低沸点メタノールを煮詰めることにより調製されてもよい。ポリエステルジオールのためのジオールは、脂肪族直鎖または分岐C-Cジオールであって、選択的に炭素環式飽和C-C環を含んでもよい。したがって、例示は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチルプロパンジオール、3-メチルペンタン-1,5-ジオール、1,6-ヘキサンジオールまたはシクロヘキサンジメタノール、及びこれらのジオール類の混合物である。ポリエステルジオールのためのジカルボン酸は、脂肪族直鎖または分岐C-Cジカルボン酸である。したがって、例示は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、及びアジピン酸、またはそれらのジメチルエステル、セバシン酸、無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸またはテレフタル酸ジメチル、またはそれらの混合物である。TPUは、それぞれの自由及び反応性末端グループを用いて、ジイソシアネート含有ハードブロックセグメントとポリエステルジオールソフトブロックセグメントとを反応させることによって生成される。最も望ましいTPUsは、エステーン(登録商標)タイプのルーブリゾールである。より望ましいTPUsは、エステーン(登録商標)58277、エステーン(登録商標)54600及びエステーン(登録商標)54610である。最も望ましいTPUsは、エステーン(登録商標)58277である。TPUは、望ましくは、他のタイプのポリマーとブレンドされなく、アロイ化(alloyed)されない。
【0046】
第1コーティング層に適切な熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー、特にTPUは、望ましくは、室温において、60から100、より望ましくは70から95の範囲内のショアA硬度を有する。
【0047】
第1コーティング層は、少なくとも質量の80%、さらに望ましくは少なくとも質量の90%、またさらに望ましくは少なくとも質量の95%、及び最も望ましくは質量の100%において、下記の例示のように、熱可塑性樹脂材料または熱可塑性エラストマー材料を有することが望ましい。これらの量の示唆は、第1コーティング層の全質量に基づく。
【0048】
第1織物層における熱可塑性樹脂と、第1コーティング層における熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーは、互いと親和性を有しなくてもよい。用語「親和性を有しない(incompatible)」は、第1織物層の熱可塑性樹脂と、第1コーティング層の熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーとのブレンドが、示差走査熱量測定(DSC)において2つの個別のガラス転移温度を示すことを意味する。超音波またはレーザ切断は、このような親和性を有しない場合においても、形成されたエッジにおいて、2つの層の融合をもたらす。親和性を有しない材料の対の具体的な例示は、第1織物層におけるポリエステル(特にPETまたはPBT)と、第1コーティング層における熱可塑性ポリウレタン(TPU、特に上述のTPU)とである。このような織物層とこのようなコーティング層とは、アクリル酸エステルのホモポリマー、及びアクリル酸エステルとスチレン、オレフィン及び/またはアクリロニトリルとのコポリマーなどの加工助剤が無い場合においても、超音波またはレーザ切断を用いて、横エッジにおいて互いに融合されてもよい。
【0049】
第1織物層と第1コーティング層とが、互いに直接隣接している、または接着層のみによって互いに対して分離されていることが望ましく、接着層は、ホットメルト接着剤または架橋ポリウレタン等の架橋接着剤のいずれかを有してもよい。
【0050】
その最終的な適用において、ベルトまたはテープの向きは、重要でない。即ち、第1織物層は、駆動プーリーを面してもよく、(ベルトはコンベヤベルトとして使用される場合)商品が運搬されるための運搬表面を形成してもよく、または(例えば、ベルトがパワートランスミッションのために使用される場合)アクセルまたはプーリーのための駆動表面を構成してもよい。
【0051】
本発明のベルトまたはテープは、さらなる織物層と1つまたは複数の上コーティング層を選択的に有してもよい。さらなる織物層の構成は、第1織物層において上述したものと類似してもよい。選択的に上コーティング層は、耐摩耗性、耐薬品性、抗菌性、耐湿性、帯電防止性を付与してもよい。このような上コーティング層は従来からある。
【0052】
上コーティング層は、摩擦係数を変更するようにエンボス加工されたプロファイルを有して設けられてもよい。望ましい実施の形態において、似た横断幅、望ましくは同じ横断幅を有する2つの長手方向に延びる部分を有する上コーティング層が設けられている。2つの部分は、横断方向において互いに隣接して、2つの部分は、鋼鉄またはカードボードに対して異なる静止摩擦係数(COF)を示す。
【0053】
本発明のベルトは、さらに、選択的に、その厚み方向において、ベルトを穿孔する1つまたは複数の貫通孔を有してもよい。この場合において、このようなベルトの望ましい用途は、ベルトの運搬表面上に真空吸着によって、運搬する商品を吸着することを可能にする真空吸着ベルトである。この場合において、ベルトは、望ましくは、複数の貫通孔を有し、さらに望ましくは、貫通孔は特定のパターンにおいて配置され、隣接する貫通孔の間の距離は、運搬される商品の寸法以下であって、望ましくはそれより大幅に小さく、したがって、ベルトに配置されるそれぞれの商品の真空吸着を保証する。複数の貫通孔5の例示的な長方形パターンは、図1の下部において示されている。図1の下部において示すように、これらの貫通孔は、望ましくは円形の断面を有し、その場合において、直径が望ましくは1から3mmの範囲にある。出願人の経験において、レーザ切断は、部分的に溶融したまたはシールされた孔エッジを有する貫通孔を生成する唯一の可能な方法である。
【0054】
ベルトまたはテープの全体の幾何学的な厚みTは、通例として、上記において説明した対応する先行技術のベルトまたはテープのタイプの1つの全体の幾何学的な厚みに対応するように選択される。本明細書にて、「幾何学的な厚み」は、0.2barの規定された過圧(ここで、過圧とは、通常約1barである雰囲気の圧力より高い圧力を意味する)において、厚みゲージを用いて測定された厚みであると理解されよう。望ましくは、前滝の幾何学的な厚みTは、0.5mmから15mm、より望ましくは0.5mmから5mm、さらに望ましくは0.5mmから2.5mmの範囲内である。
【0055】
本発明のベルトまたはテープは、望ましくは、特定量の封じ込まれたガスを有する。これは、第1織物層及び/または選択的なさらなる織物層にあってもよく、即ち、これらの織物層は、部分的に含浸されてもよく、完全に含浸されていなくてもよい。あるいはまたは加えて、第1コーティング層は、開放セルフォームの形態であってもよい。このようなガスの封入は、超音波またはレーザ切断において有益的であり、なぜなら、超音波またはレーザ切断において、ガスは周囲の環境に排出されてもよく、よって、超音波またはレーザ切断される横エッジに近いベルトまたはテープのいずれかの体積膨張(盛り上がり)の影響を小さくできる(compensating)。望ましい実施の形態において、ベルトまたはテープのガス含有量[vol%]は、望ましくは、5%から20%の範囲にあって、Gは、式(5)のよって計算される。

ここで、VGeoBは、検査される直方体のベルトまたはテープの幾何学的な体積であって、直方体のベルトまたはテープサンプルにおいて、体積は、上述のように0.2barの過圧下で、厚みゲージによって幾何学的な長さ、幾何学的な幅、及び幾何学的な厚みを測定することで得られる。
は、規定の知られた体積を有する参照サンプルの体積である。
は、ヘリウム透過リーク標準器を用いて、完全に空な真空チャンバがヘリウムで満たされたときの時間に伴った初期の圧力増加(t=0におけるdP/dt)である。
は、ヘリウム透過リーク標準器を用いて、参照サンプルを収容し、完全に空な真空チャンバがヘリウムで満たされたときの時間に伴った初期の圧力増加(t=0におけるdP/dt)である。
は、ヘリウム透過リーク標準器を用いて、直方体のベルトサンプルを収容し、完全にからな真空チャンバがヘリウムで満たされたときの時間に伴った初期の圧力増加(t=0におけるdP/dt)である。
及び
は、回転ロータ真空ゲージを用いて、室温において、真空チャンバにおいて測定される。
【0056】
異なる圧力における上記の体積パーセント特定自体は知られている。Setina J.とErjavec B.による、XIX回IMEKO World Congress「基礎及び応用計測技術」、2009年9月6日~11日、リズボンで発表された文献「圧力増加方法による真空容器の体積特定」及び引用文献を参照されよう。「時間に伴った初期の圧力増加」は、初期の圧力増加は直線であるため、dP/dtの代わりにΔP/Δtのように、無限小でない小さい時間間隔から取得されてもよい。
【0057】
単体であっても、上述のガス封入の望ましい実施の形態と組み合わせられてもよいさらなる望ましい実施の形態において、織物は、縦糸及び横糸フィラメントを有する織られた布であって、縦糸フィラメントは、本質的に、一方で完全に一致せず、ベルトの長手方向に延びる。具体的には、いずれかの方法(従来または本発明によるもの)によってベルトまたはテープの横エッジの切断において、横切断エッジは、縦糸に完全に平行であることを保証できない。したがって、縦糸がベルトまたはテープの長手方向に完全に沿って延びることも保証できない。横エッジが(先行技術のように)ナイフ切断されて、縦糸が横エッジに完全に平行に延びないと、解れる傾向が強くなり、なぜなら、開放された端部を形成するように、横エッジにおける縦糸が損傷され、または分離されるように切断される可能性がある。(小さい半径を有するプーリー上でベルトまたはテープの曲げやすさを改善するために通例であるように)、縦糸が複数の細かい繊維を有するマルチフィラメントの形態である場合において、この問題は悪化する。織られた布と超音波またはレーザによって切断された横エッジとを有するベルトは、布の縦糸が、例えば、0.1から1°、または0.1から0.5°の角度によって、ベルトの長手方向に対して少しスキューされている場合においても、解れを示さない。ここで、用語「スキュー」は、ベルトの全長にわたって平均化された縦糸の平均方向は、示された角度によってスキューされることを意味してもよい。また、「スキュー」は、例えば、2-5cmのベルトまたはテープの長手方向の部分における縦糸の局所的な方向が、ベルトまたはテープの長手方向に対してこのような角度を有してもよいことを意味する。
【0058】
本発明によるベルトまたはテープは、開放端部の形態にあってもよく、図1の下部に示すように2つの端部エッジ6、7を有し、端部エッジ6,7は、対応する端部無し形態を形成するように接合されてもよい(下記参照)。この開放端部の形態において、形態は長手長さLを有し、一方で、対応する端部無しの形態において、周囲の長さLを有する。2つの端部エッジがまっすぐであれば、ベルトは、上面から見ると、延在ストリップの形状、望ましくは、延在長方形または平行四辺形の形状を有する。しかしながら、端部を接合する目的において、2つの端部エッジが、規則的な鋸歯状の形状を有することが望ましく、それぞれの端部エッジは、同一の歯と同一の凹部を交互に有し、よって、端部の接合において、一方の端部エッジのそれぞれの歯は、他方の端部エッジの対応する凹部にぴったりフィットして、その逆も成立する。この端部接合方法は、一般的に「フィンガーエンド」接合方法と称されて、本発明の目的において望まれている。このような鋸歯状の端部エッジの場合において、本発明の開放端部のベルトは、図1の下部に示されているものと似た上面図を有する。
【0059】
本発明のベルトまたはテープは、開放端部または端部無しであっても、概ね一定であって、工業的用途のためのベルトにおいて通常である幅Wを有する。パワートランスミッションベルト及びマシンテープにおいて、幅Wは、望ましくは、10mmから25mmの範囲であってもよく、より望ましくは10mmから20mmの範囲であってもよく、これは、本発明のマシンテープにとって望ましい用途である(下記参照)。横エッジは、望ましくはまっすぐで、互いに平行で、一定の幅Wによって横断(z)方向において互いから離されている。
【0060】
本発明の開放端部のベルトまたはテープの長手長さL、または本発明の端部無しベルトまたはテープの周囲の長さLは、ベルトまたはテープの幾何学的な表面積を一定の幅Wによって割ることで得られる商として理解される。幾何学的な表面は、ベルトまたはテープの重量を測定し、この重量を、例えば、0.01m等の知られている幾何学的な面積を有する同じベルトまたはテープの平面見本の重量と比較することによって、開放端部または端部無しベルトまたはテープにおいて一般的に入手可能である。上記の望ましい開放端部ベルトまたは引き延ばされた長方形またはまっすぐな端部エッジを有する平行四辺形の形状において、(長方形の)1つの横エッジの長さ、または(平行四辺形)の2つの横エッジの長さの平均として、実験誤差の範囲内における同様な結果で、長手長さLも入手可能である。鋸歯状の「フィンガーエンド」端部エッジを有する上記の望ましい開放端部ベルトまたはテープにおいて、図1の下部に示すように、1つの端部エッジ6の歯の半分の高さから、他方の端部エッジ7の歯の半分の高さまでの長手距離として、実験誤差の範囲内における同様な結果で、長手長さLも入手可能である。
【0061】
本発明の他の望ましい実施の形態において、ベルトまたはテープは端部を有しない。この端部無し形態において、ベルトまたはテープは、それが形成された開放端部ベルトまたはテープの長手長さLに本質的に対応する周囲の長さLを有する。周囲の長さLは、端部無しベルトの「ピッチライン」または「中立ライン」、即ち、端部無しベルトが使用されているときに長さが変更しない端部無しベルトの内側のラインに沿って延びてもよい。本明細書にて、用語「周囲」は、先行技術のように、端部無しベルトの物理的な周囲横エッジと、そのような周囲横エッジに関連した長さLとの両方を意味する。ベルトまたはテープを端部無しにする端部接合は、通常最終ステップとして実行され、通例のように、ホットプレス及び選択的にホットメルト接着剤が用いられる。
【0062】
前述の場合において、幅Wに対する長手長さL(または周囲L)の比は、望ましくは1:100から1:2000、望ましくは1:150から1:2000、及びより望ましくは1:200から1:2000の範囲である。
【0063】
本発明のいずれかのベルト及びテープは、望ましくは、いわゆる「フラットベルト」の形態であって、即ち、上面及び下面において横断して延びる歯及び関連する凹部を有しない、及び/または上面及び下面において長手方向に延びる溝及び関連するリッジを有しないベルトまたはテープである。
【0064】
本発明のベルトまたはテープは、ナイフ切断エッジを有し、対応する従来のコンベヤベルト、パワートランスミッションベルトまたは同一の層構造を有するマシンテープが採用されたいずれかの用途において使用されてもよい。含まれる全てのエッジは、超音波またはレーザ切断されている場合、ベルトまたはテープは、使用において粒子状ダストまたは繊維毛が形成され、エッジを汚染する可能性があるいずれかの用途において、特に適用可能である。本発明のこのようなベルトまたはテープは、そのメルトシーリングによって、エッジにおけるまたはエッジ内のこのようなダストまたは毛の蓄積に耐えることができる。この有利は性質によって、本発明のこのようなベルトまたはテープは、例えば、帯電防止粒子が埋め込まれたコーティングまたは帯電防止フィラメントを有する布等の帯電防止設備を有しない場合においても、このようなダストまたは毛を発生させる環境において使用されてもよい。全てのエッジが超音波切断またはレーザ切断された本発明のベルトまたはテープのさらなる用途は、アセトン等の溶媒がベルトまたはテープを汚染する環境である。部分的な溶融によってエッジをシールすることは、このような溶媒がベルトまたはテープに浸入することを抑制することが観察された。このような用途の例示は、このような溶媒が製造及び梱包されるペイントまたは化粧品業界または化学プラントである。
【0065】
全てのエッジが超音波切断またはレーザ切断された本発明のベルトまたはテープのさらなる用途は、カビまたは菌がベルトまたはテープを汚染する可能性がある環境である。部分的な溶融によるエッジのシーリングは、ベルトまたはテープに雑菌が進入することを抑制することを観察した。このような用途の例示は、食品業界である。
【0066】
しかしながら、望ましい用途は、スピンドルテープとしての本発明のマシンテープの使用である。スピンドルテープは、通例、スピンドルテープによって形成される端部無しテープループによってスピンドルが駆動されるリング回転フレームのタイプにおいて使用される。この使用は、その操作において毛が形成されるものである。2、4または8スピンドルが1つのスピンドルテープによって駆動される変形例があり、本発明のスピンドルテープは、その全てに適している。本発明のスピンドルテープは、長時間の使用の後においても、超音波切断またはレーザ切断されたエッジにおいてすれた毛の全てを蓄積しないことが確認されている(実施例及び関連図面を参照)。
【0067】
図1の上部に、本発明のベルトまたはテープ1の模式図が示されている。ベルトまたはテープは、第1織物層2と、第1コーティング層3とを有する。第1織物層2は、混合されたPET/綿のフィラメント(50:50)の織られた布を有する。超音波切断またはレーザ切断された横エッジの1つは、符号1aによって示されている。第1織物層2及び第1コーティング層3は、架橋ポリウレタンを有する接着層4によって互いに接着される。さらに、ベルトまたはテープは、それを穿孔する(1つに符号5が付されている)選択的な貫通孔を有する。それぞれの貫通孔5は、レーザ切断される孔エッジ5aによって形成される。図1の下部は、(1つのみが符号5を付された)複数の貫通孔を有する本発明のベルトまたはテープの上面図を示す。
【0068】
本発明のベルトまたはテープのエッジの切断は、下記において詳細に説明される。
【0069】
超音波切断プロセスは、1つまたは複数のベルトがより幅広い多層シート材料(マスターテープ)から切断される場合においていずれかの横エッジの切断のために、または端部エッジの切断のために使用される。
【0070】
一般的に、超音波切断は本質的に断熱的である。即ち、切断されるエッジの特定の位置において超音波カッターによって導入されるいずれかの熱は、少なくとも超音波切断ブレードがその位置にあるときの間、その位置に噴射されまたは他の方法で直接適用される空気または不活性ガス等のいずれかの明確な冷却手段によって除去されない限り、本質的にその位置に留まる。したがって、本発明のプロセスにおいて使用されると、超音波カッターは、空気または不活性ガス等の冷却手段をベルトまたはテープの表面における切断領域に直接送達するダクト、パイプ、ホース、ノズル、またはファン等の明確な冷却手段を有せず、採用せず、または必要としない。しかしながら、超音波切断の場合において、ブレード、及び/またはホーン、及び/またはソノトロードは、このような冷却手段によって冷却されてもよいと理解されよう。
【0071】
超音波は、望ましくは、20kHzから100kHz、より望ましくは20kHzから40kHz、最も望ましくは約30kHzの周波数範囲にある。これは、1つまたは複数の切断ブレードとの組み合わせにおけるソノトロードが通常操作する共振周波数に関し、ソノトロードと切断ブレードとの組み合わせに特化した定数である。
【0072】
(切断方向における)超音波振動の縦方向の振幅は、望ましくは10μmから100μmの範囲内であって、より望ましくは15μmから60μmの範囲内である。
【0073】
しかしながら、横ベルトまたはテープの側面の単位表面積当たりに特定の量のエネルギ(Joule/m)が付与されるように、超音波のパワー、及びブレードの進行速度が選択される。そのため、切断されたエッジは、ベルトまたはテープの嵩の厚みに対して厚みが大幅に盛り上がらない一方で、切断エッジが、トラクション層またはトラクション層にコートまたはラミネートされた他の層における織物からの溶融した熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー材料によってシールされる充分な加熱がある。30kHzの周波数において、切断ブレード毎に200から400のパワーを使用することが望ましく、250から350ワットを使用することがさらに望ましい。より低い周波数は、切断ブレード毎により高いパワーを要する可能性があり、例えば、周波数の40kHzから20kHzに(2倍)減少させることによって、切断ブレード毎に4倍のパワーを要する可能性がある。
【0074】
十分なエッジシーリングと、盛り上がらないこととの両方を、あるベルトまたはテープタイプにおいて実現するためには、ある切断方向(例えば、織られた第1布の縦糸に平行、または織られた第1布の横糸に平行)、あるソノトロード/ブレードの共振周波数、ソノトロードに駆動されるブレードのあるタイプ及び数において、シート材料に対するブレードの最適な進行速度v[m/min]があって、進行速度は、採用された超音波カッターの公称パワーP[ワット]に略比例する。
【0075】
式(6)の定数(constant1)は、シート材料、ソノトロード/ブレード及び超音波周波数の特定及び固定された組合せにおいて、進行速度vを変更して、上記の両方の目的が達成されるvを観察することによって発見される。最適な値vを使用される超音波パワーPで割ることによって、式(6)の定数が求められる。
【0076】
図2及び図3は、他のプロセスパラメータを一定にして、ブレードの進行速度を変化させた効果を示す。主に図2における左の写真と、図3における左の写真とは、それぞれ、ブレードの進行速度vが少し大きすぎた場合における、図1に示す構造を有するスピンドルテープの超音波切断横側面1aと、断面とを示す。図2の左の写真は、充分の横エッジシーリングを示す。第1コーティング層からの白い布及び黒いTPUは、広範囲ににじんでおり(smear)、互いに溶融されている。しかしながら、図3における左の写真は、右側において横エッジ付近において盛り上がりがあることを示す。テープの嵩は、0.6mmより少し大きい厚みを有し、横エッジの近くでは、0.8mmより少し大きい厚みに増加する。これに関わらず、このスピンドルテープは、実用的な使用に適している。他方で、図2における右の写真と、図3における右の写真とは、それぞれ、ブレードの進行速度vが明らかに小さすぎた場合における、図1に示す構造を有するスピンドルテープの超音波切断横側面1aと、断面とを示す。図2の右の写真は、不充分の横エッジシーリングを示す。第1コーティング層からの白い布及び黒いTPUは、本質的ににじんでおらず、互いに溶融されていない。図3における右の写真は、右側において、盛り上がりがなく、横超音波切断エッジ付近において厚みの少量の減少があることを示す。不十分なエッジシーリングにおいて、このスピンドルテープ見本は、使用において、性能が良くないことが予想される。
【0077】
切断ブレードの進行速度vが、振動振幅における明らかな下降によって特に検知可能であるように、超音波カッターが共振から外れるほど、切断抵抗が大きくなる臨界進行速度以下であることが望ましい。市場においては、振動周波数と振幅を監視して、共振から外れると自動的に付与されるパワーを増加させる超音波カッターが存在する。上記において説明したベルトタイプにおいて、適切な最適進行速度vは、ブレード毎に250から350ワットにおいて、多くの場合においてまたは一般的に、2m/minから10m/min、望ましくは3m/minから8m/min、より望ましくは5m/minから7m/minの範囲内である。
【0078】
式(6)の定数が知られていると、シート材料、ソノトロード/ブレード、及び超音波周波数のために同じ特定及び固定された組合せにおいて、式(6)によって、特定の超音波パワーのためにどの進行速度vが選択されるべきかをおおよそ予想することができる。
【0079】
切断ブレードは、望ましくは、Cs対称性を有し、対称面は、切断されるベルトまたはテープに対するブレードの前向き移動方向に平行であって、長音振動方向と平行である。このように、ブレードの両側に向かって均等なパワーフローが保証され、よって、同様に超音波切断された2つの横エッジを形成する。ブレード8の切断面8a、8bは、望ましくは平面状であって、望ましくは、図7に示すように、互いに対して、60°から100°、望ましくは70から80°にある。より望ましくは、ブレードは、(図8に示すように)周囲の円形切断面を有するディスク10の形態を有する。円形の周囲の切断面の1つは、符号10aを有する。このようなディスク型ブレード10は、アクセル11上にソノトロード9に回転可能に取り付けられる。進行速度vにおける超音波切断の間、このようなディスク型ブレード10は、1つまたは複数のベルトまたはテープに切り込むように、ベルト材料12の上を同時に転がる。ブレードについて一般的に上記で説明した切断面及びそれぞれの角度に関する望ましい特徴は、このような回転可能なディスク型ブレード10にも適用される。
【0080】
望ましいプロセス実施の形態において、複数のベルトまたはテープの見本は、複数のブレードを用いて、シート材料(マスターテープ)から同時に切断される。この実施の形態において、シート材料は、望ましくは400から500mmの幅Wを有し、望ましくはそれぞれが10から12ブレードを駆動する3から4ソノトロードを有する超音波カッターによって切断され、超音波周波数は約30kHzであって、それぞれのソノトロードのパワーは、望ましくは300から400ワットの範囲であって、進行速度は、望ましくは3から5m/minであって、進行速度に関する上記事項が考慮されていると理解されよう。
【0081】
ソノトロード9は、望ましくは、サイドスリットするもの、即ち、望ましくは、パンチング動作ではなく、鋸動作によって切断する。この望ましい切断方向において、少なくとも1つの変形例において、超音波振動の方向に対して5から45°の範囲における角度で、ブレード先端に向かってテーパする直線状の横切断エッジを有する。サイドスリット/鋸動作の代替的な望ましい実施の形態において、ブレードは、下向きの切断エッジを有してもよく、略円形または楕円形のアークの形状を有してもよい。
【0082】
超音波振動の方向、したがって、切断におけるブレードの振動方向は、望ましくは、切断方向から見ると、ベルトに切断されるシート材料の表面に対して望ましくは垂直であって、切断方向を横断する方向から見ると、ベルト表面の垂線に対して少し傾斜している。シート材料表面の垂線に対する傾斜角度は、望ましくは5°から40°、より望ましくは20から40°、最も望ましくは約30°である。
【0083】
ソノトロードとブレードとを含む超音波切断装置は、従来品である。望ましくは、超音波切断装置は、通例において、食品スライシングまたは衣服切断の分野において使用される装置である。
【0084】
レーザ切断プロセスは、ベルトまたはテープのいずれかのエッジにおいて使用されてもよい。レーザ切断プロセスにおいて、レーザカッターによって導入される熱は、望ましくは、切断領域に空気または不活性ガス等を直接送達する冷却手段によって、切断領域から除去される。したがって、本発明のプロセスにおいて使用されるレーザカッターは、望ましくは、ベルトまたはテープ表面の切断ゾーンに直接空気または不活性ガス等の冷却手段を送達するダクト、パイプ、ホース、ノズル、またはファン等の明確な冷却手段を有し、採用する。
【0085】
レーザ切断で、十分なエッジシーリングと、盛り上がらないこととの両方を、あるベルトまたはテープタイプにおいて実現するためには、ある切断方向(例えば、織られた第1布の縦糸に平行、または織られた第1布の横糸に平行)、あるベルトまたはテープの厚みd[m]、あるレーザタイプにおいて、シート材料に対するレーザの最適な進行速度v[m/min]は、採用されたレーザビームの強度に略比例する。
【0086】
式(7)における定数(constant2)は、固定されたレーザ強度及び固定された切断方向において、進行速度vを変更して、上記の両方の目的が達成されるvを観察することによって、発見される。これは、当業者の能力の範囲内である1パラメータ変形例である。最適な値を使用レーザ強度で割りことで式(7)の定数が得られる。
【0087】
同様に、式(7)の定数が知られていると、同じベルトまたはテープタイプと切断方向において、式(7)によって、特定のレーザ強度において、どの進行速度vが選択されるべきかをおおよそ予想できる。
【0088】
採用されるレーザは望ましくはCO(赤外線)レーザである。より望ましくは、「スラブ」COレーザであって、さらに望ましくは、2つの反射ミラーは、共振器における制限されていない方向における不安定な態様を提供するような形状を有する。スラブレーザの共振器は、望ましくは、Al、BeO、及びAlNを有するグループから選択されるセラミックからなる。励起電極は、電極においてより良好な冷却を可能にするように、セラミック共振器の外側にある。金属(アルミニウム)共振器の代わりにセラミック共振器を使用することで、切断されたエッジの形状を改善できた。
【0089】
レーザにおいて望ましいパワー範囲は、100から200ワットである。
【0090】
図5及び図6は、それぞれ、図1の上部に示すように構成された本発明のスピンドルテープの見本のレーザ切断横エッジと、横断断面との写真を示す。エッジ材料の溶融による白い布と黒いTPUとの本質的に完全なにじみは、図5において明らかである。他方で、図6は、横エッジの付近においてテープの盛り上がりがないことを示す。
【0091】
本発明は、後続の非限定的な例示によって説明される。
【0092】
(実施例)
実施例1:マスターテープから横エッジの超音波切断による複数のスピンドルテープの同時製造
【0093】
出願人の商業スピンドルテープD-8において示されている層構造と類似の構造を有し、500mmの幅、0.7mmの厚み、及び0.7kg/mの単位面積当たりの重量のマスターテープが、初期の多層シート材料として使用された。
【0094】
このマスターテープは、(TCU400のFabotex、4ソノトロードと合計40ブレードとを有し、30kHz及び合計1500ワットにおいて操作する)商業マルチ-ブレード超音波カッターのフィーディングロールに取り付けられている。ブレードは、互いから12.7mmの間隔を有する。マスターテープは、3m/minの進行速度で超音波カッターを通過した。それぞれは12.7mmの幅を有する本発明のスピンドルテープの39見本が同時に得られた。マスターテープのそれぞれの境界から数ミリメートルの端が破棄された。
【0095】
実施例2:従来のスピンドルテープ(横エッジナイフ切断)と本発明のスピンドルテープ(横エッジ超音波切断)のフィールドテスト
【0096】
4つのスピンドルテープドライブを有するリング回転フレームは、実施例1の手順によって準備されたスピンドルテープ見本、または横エッジの毛の汚染に対してさらなる対応が取らず、横エッジが単にナイフ切断された点を除き、同様に構成された参照スピンドルの見本のいずれかが装着された。それぞれの場合において、リング回転フレームは、2カ月間動作されて、スピンドルが少なくとも18000rpmで動作する。2カ月のサービス時間の後で、スピンドルテープは、毛の汚染のために検査された。図4は、スピンドルテープの2つのタイプの写真を示す。上の写真は、参照スピンドルテープの状態を示す。エッジは、エッジから垂直に突出する顕著な量の白い毛を有する。対照的に、本発明のスピンドルテープは、(図4の下の写真に示すように)エッジにおいて毛を完全に有しない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】