(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-13
(54)【発明の名称】センサの電子ノイズの補正に適した光学フィルタ
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20230206BHJP
H01L 27/144 20060101ALI20230206BHJP
H04N 25/61 20230101ALI20230206BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L27/144 K
H04N5/357 200
G02B3/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535771
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(85)【翻訳文提出日】2022-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2020085380
(87)【国際公開番号】W WO2021116231
(87)【国際公開日】2021-06-17
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513257535
【氏名又は名称】イソルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ブティノン,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ピエール
(72)【発明者】
【氏名】バロット,ノエミ
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
【Fターム(参考)】
4M118AA05
4M118AB01
4M118BA05
4M118BA14
4M118CA02
4M118CB06
4M118CB20
4M118FA06
4M118FB13
4M118GB09
4M118GC08
4M118GC20
4M118GD04
5C024CX01
5C024CY47
5C024EX43
5C024EX51
5C024GY31
(57)【要約】
本開示は画像センサ用の光学フィルタ(17)に関する。光学フィルタ(17)は、不透明な第1のゾーン(263)を含み、各第1のゾーン(263)は、同じ第1のゾーン(263)に含まれる少なくとも1つの第1のレンズ(253)の表面積と等しい表面積を占める。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する第1のレンズ(253)及び第2のレンズ(251)で構成され、基板(27)の第1の面側に位置するレンズのアレイと、
前記基板の第2の面側において少なくとも前記第2のレンズに対向する開口部(33)と、
前記基板の第2の面側において前記第1のレンズに対向する不透明な層と
を備え、
前記第1のレンズは不透明な第1のゾーン(263)に含まれ、前記第2のレンズは第2のゾーン(261)に含まれ、各第1のゾーンは、該第1のゾーン内に含まれる少なくとも1つの第1のレンズの表面積と等しい表面積を占める
画像センサ(19)用の光学フィルタ(17)。
【請求項2】
前記第1のゾーン(263)の透過率は、約0.1%よりも低く、好ましくは約0.00001%よりも低い
請求項1に記載の光学フィルタ(17)。
【請求項3】
各第2のゾーン(261)は、少なくとも1つの第2のレンズ(251)の表面積と等しい表面積を占める
請求項1または2に記載の光学フィルタ。
【請求項4】
前記第1のレンズ(253)及び第2のレンズ(251)は同一平面上にある
請求項1~3のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
【請求項5】
前記第1のゾーン(263)及び第2のゾーン(261)は、隣接し、行及び列で編成されている
請求項1~4のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
【請求項6】
前記第1のゾーン(263)は、隣接するとともに前記フィルタ(17)の一側に位置する列で編成されている
請求項5に記載の光学フィルタ。
【請求項7】
前記第1のゾーン(263)は、前記フィルタ(17)の2つの縁部に分布された列で編成されている
請求項5に記載の光学フィルタ。
【請求項8】
前記第1のレンズ(253)の曲率半径は、前記第2のレンズ(251)の曲率半径よりも小さい
請求項1~7のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
【請求項9】
前記第1のレンズ(253)の曲率半径は、前記第2のレンズ(251)の曲率半径よりも大きい
請求項1~7のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
【請求項10】
前記第1のレンズ(253)は、局所的に劣化している
請求項1~7のいずれか1つに記載の光学フィルタ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つに記載の光学フィルタ(17)の製造方法であって、特に、
印刷によって前記レンズのアレイを前記基板(27)の第1の面側に形成するステップと、
レジスト(31)の第1の層(29)を前記基板(27)の第2の面側に堆積させるステップと、
前記レンズ(25;251,253)を介するフォトリソグラフィによって、前記第1の層(29)に開口部(33)を形成するステップと
を備える方法。
【請求項12】
第2の層(39)を第1のゾーン(263)の前記開口部(33)内、または前記開口部(33)の第1の面側もしくは第2の面側に形成する
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第2の層(39)を前記第1のゾーン(263)に形成する
請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
レーザ(45)によって前記第1のレンズ(253)を部分的に劣化させる
請求項10を引用する場合の請求項11に記載の方法。
【請求項15】
角度フィルタとして考慮されることが可能な請求項1~10のいずれか1つに記載の光学フィルタ(17)と、
放射線(13)の源(11)と、
前記放射線(13)を検出可能な光検出器(191)を備える画像センサ(19)と
を備えるシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムを備える指紋センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像取得システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像取得システムは、一般的に、画像センサと光学系とを備え、光学系は、画像センサの感光部と画像化される物体との間に介在し、画像センサの感光部に画像化される物体の鮮明な画像を形成することができる。光学系は、光学フィルタであってもよく、より詳細には、角度フィルタであってもよい。
【0003】
角度フィルタは、入射した放射線をその入射角に応じてフィルタリングして、所望の角度(最大入射角度と呼ばれる)よりも大きい入射角を有する光線を遮断することができる装置である。
【0004】
これにより、画素間のクロストーク現象を回避することができる。
【発明の概要】
【0005】
画像取得システムを改良する必要がある。
【0006】
一実施形態では、画像取得システムの欠点の全てまたは一部を克服する。
【0007】
一実施形態では、画像センサ用の光学フィルタを提供する。光学フィルタは、不透明な第1のゾーンを備え、各第1のゾーンは該第1のゾーンに備えられる少なくとも第1のレンズの表面積と等しい表面積を占める。
【0008】
一実施形態では、画像センサ用の光学フィルタを提供する。光学フィルタは、
隣接する第1のレンズ及び第2のレンズで構成され、基板の第1の面側に位置するレンズのアレイと、
前記基板の第2の面側において少なくとも第2のレンズに対向する開口部と、
前記基板の第2の面側において第1のレンズに対向する不透明な層と
を備え、第1のレンズは不透明な第1のゾーンに含まれ、第2のレンズは第2のゾーンに含まれ、各第1のゾーンは、該第1のゾーンに含まれる少なくとも1つの第1のレンズの表面積と等しい表面積を占める。
【0009】
一実施形態によれば、第1のゾーンの透過率は、約0.1%よりも低く、好ましくは約0.00001%よりも低い。
【0010】
一実施形態によれば、光学フィルタは、透明な第2のゾーンを備え、各第2のゾーンは該第2のゾーンに含まれる少なくとも1つの第2のレンズの表面積と等しい表面積を占める。
【0011】
一実施形態によれば、第1のレンズ及び第2のレンズは同一平面上にある。
【0012】
一実施形態によれば、第1のゾーン及び第2のゾーンは、隣接し、行及び列で編成されている。
【0013】
一実施形態によれば、第1のゾーンは、隣接するとともにフィルタの1つの縁部に位置する列で編成されている。
【0014】
一実施形態によれば、第1のゾーンは、フィルタの2つの縁部に分布された列で編成されている。
【0015】
一実施形態によれば、第1のレンズの曲率半径は、第2のレンズの曲率半径よりも小さい。
【0016】
一実施形態によれば、第1のレンズの曲率半径は、第2のレンズの曲率半径よりも大きい。
【0017】
一実施形態によれば、光学フィルタは、順に、
基板の第1の面側に位置し、隣接する第1及び第2のレンズで形成されたレンズのアレイと、
第2のレンズと対向する開口部を備え、前記基板の第2の面側において第1のレンズと対向する中実の第1の層と
を備える。
【0018】
一実施形態によれば、光学フィルタは、順に、
基板の第1の面側に位置するレンズのアレイと、
前記基板の第2の面側において開口部のアレイを備える第1の層と、
各第1のゾーンにおける不透明な第2の層と
を備える。
【0019】
一実施形態によれば、光学フィルタは、順に、
基板の第1の面側に位置し、局所的に劣化した第1のレンズ、及び隣接する第2のレンズで形成されたレンズのアレイと、
前記基板の第2の面側において開口部のアレイを備える第1の層と
を備える。
【0020】
一実施形態では、光学フィルタの製造方法を提供する。方法は、特に、
印刷によって、基板の第1の面側にレンズのアレイを形成するステップと、
基板の第2の面側にレジストの第1の層を堆積させるステップと、
フォトリソグラフィによってレンズを介して開口部を第1の層に形成するステップと
を備える。
【0021】
一実施形態によれば、第2の層は、第1のゾーンにおける開口部内、または前記開口部の第1もしくは第2の面側に形成される。
【0022】
一実施形態によれば、第2の層は第1のゾーンに形成される。
【0023】
一実施形態によれば、第1のレンズは、レーザによって部分的に劣化する。
【0024】
一実施形態では、システムを提供する。システムは、
角度フィルタとして考慮されることが可能な光学フィルタと、
放射線源と、
前記放射線を検出することが可能な光検出器を備える画像センサと
を備える。
【0025】
一実施形態では、システムを備える指紋センサを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
上記及び他の特徴及び利点は、添付図面を参照して本発明を限定するものではない実例として与えられる以下の特定の実施形態に詳細に記載されている。
【
図1】画像取得システムの一実施形態を示す部分概略断面図である。
【
図2】画像取得システムの一実施形態を示す部分概略上面図である。
【
図3】画像取得システムの他の実施形態を示す部分概略上面図である。
【
図4】画像取得システムのさらに他の実施形態を示す部分概略断面図である。
【
図5】角度フィルタ製造方法の第1の実施態様のステップを示す部分概略断面図である。
【
図6】角度フィルタ製造方法の第1の実施態様の他のステップを示す部分概略断面図である。
【
図7】角度フィルタ製造方法の第1の実施態様のさらに他のステップを示す部分概略断面図である。
【
図8】角度フィルタ製造方法の第2の実施態様のステップを示す部分概略断面図である。
【
図9】角度フィルタ製造方法の第2の実施態様の他のステップを示す部分概略断面図である。
【
図10】角度フィルタ製造方法の第2の実施態様のさらに他のステップを示す部分概略断面図である。
【
図11】角度フィルタ製造方法の第2の実施態様のさらに他のステップを示す部分概略断面図である。
【
図12】角度フィルタ製造方法の第3の実施態様のステップを示す部分概略断面図である。
【
図13】角度フィルタ製造方法の第3の実施態様の他のステップを示す部分概略断面図である。
【
図14】角度フィルタ製造方法の第3の実施態様のさらに他のステップを示す部分概略断面図である。
【
図15】角度フィルタ製造方法の第3の実施態様のさらに他のステップを示す部分概略断面図である。
【
図16】角度フィルタ製造方法の第4の実施態様のステップを示す部分概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
同様の特徴は、様々な図面で同様の参照符号によって指定されている。特に、様々な実施形態の間で共通である構造的および/または機能的特徴は、同じ参照符号を有し得、同一の構造的、寸法的および材料的特性を有し得る。
【0028】
明確にするために、本明細書に記載された実施形態の理解に有用なステップ及び要素のみが図示され、詳細に説明されている。特に、画像センサの形成及び角度フィルタ以外の要素の形成は詳述されておらず、説明される実施形態及び実施態様は、センサ及びこれらの他の要素の通常の実施形態と互換性がある。
【0029】
特に明記されていない限り、接続された2つの要素に言及する場合、これは、導体以外のいかなる中間要素も伴わない直接接続を意味し、結合された2つの要素に言及する場合、これは、これら2つの要素を接続することができる、または、それらが1つ以上の他の要素を介して結合されることができることを意味する。
【0030】
以下の開示では、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」などの絶対位置を述べる用語、または、「の上」、「の下」、「上方」、「下方」などの相対位置を述べる用語、または、「水平」、「垂直」などの方向を述べる用語に言及する場合、特に明記されていない限り、図面に示されている向きへの参照がなされる。
【0031】
特に明記しない限り、「およそ」、「約」、「実質的に」および「のオーダーで」という表現は、10%以内、好ましくは5%以内を意味する。
【0032】
以下の説明では、特に明記しない限り、層または膜を通る放射線の透過率が10%未満であるとき、その層または膜は、放射線に対して不透明と呼ばれる。以下の説明では、層または膜を通る放射線の透過率が10%を超えるとき、その層または膜は、放射線に対して透明と呼ばれる。一実施形態によれば、同一の光学系に関して、放射線に対して不透明な光学系の全ての要素の透過率は、前記放射線に対して透明な光学系の要素の最も低い透過率の半分より小さく、好ましくは5分の1より小さく、より好ましくは10分の1より小さい。本開示の残りの部分では、「有用な放射線」という用語は、動作中に光学系を横切る電磁放射線を指す。以下の説明では、「マイクロメートル範囲の光学素子」という表現は、支持体の表面と平行に測定された最大寸法が1μmより大きく1mmより小さい前記表面に形成された光学素子を指す。以下の説明では、40℃での酸素に対する膜または層の透過率が1.10-1cm3/(m2・day)より小さい場合、その膜または層は酸素気密性とする。酸素に対する透過率は、「Standard Test Method for Oxygen Gas Transmission Rate Through Plastic Film and Sheeting Using a Coulometric Sensor」というASTM D3985法に従って測定することができる。以下の説明では、40℃での水に対する膜または層の透過率が1.10-1g/(m2・day)より小さい場合、その膜または層は水密性とする。水に対する透過率は、「Standard Test Method for Water Vapor Transmission Rate Through Plastic Film and Sheeting Using a Modulated Infrared Sensor」というASTM F1249法に従って測定することができる。
【0033】
光学系の実施形態は、各マイクロメートル範囲の光学素子がマイクロメートル範囲のレンズ、または2つのディオプタによって形成されたマイクロレンズに対応する場合、マイクロメートル範囲の光学素子のアレイを備える光学系について説明される。しかしながら、これらの実施形態が他のタイプのマイクロメートル範囲の光学素子でも実施可能であり、各マイクロメートル範囲の光学素子が、例えば、マイクロメートル範囲のフレネルレンズ、マイクロメートル範囲の屈折率分布型レンズ、またはマイクロメートル範囲の回折格子に対応し得ることは、明らかなはずである。
【0034】
以下の説明では、「可視光」は、400nm~700nmの範囲内の波長を有する電磁放射光を指し、「赤外線」は、700nm~1mmの範囲内の波長を有する電磁放射線を指す。赤外線では、700nm~1.7μmの範囲内の波長を有する近赤外線を特に識別することができる。
【0035】
説明を簡単にするために、特に指定しない限り、製造ステップは、該ステップの終わりに得られた構造と同様に指定される。
【0036】
図1は、画像取得システムの一実施形態を示す部分概略断面図である。
【0037】
画像取得システム1は、上から下へ、
放射線13を放射する光源11と、
物体15と、
光学フィルタ17と、
画像センサ19と
を備え、画像センサ19は、例えば、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサ、または薄膜トランジスタ(TFT)で構成されたセンサであり、無機フォトダイオード(CMOSセンサの結晶シリコン、もしくはTFTセンサのアモルファスシリコン)または有機フォトダイオードに結合され得る。
【0038】
画像取得システム1は、さらに、画像センサ19により提供された信号を処理するための回路(不図示)を備え、例えば、マイクロプロセッサを備える。
【0039】
光源11は、物体15の上方に図示されているが、変形例として、物体15と光学フィルタ17との間に位置してもよい。
【0040】
放射線13は、例えば、可視範囲及び/または赤外線範囲にあるが、単一の波長の放射線、または複数の波長(または波長範囲)の放射線であってもよい。
【0041】
画像センサ19のフォトダイオードは、一般的に、画素化されたアレイを形成する。各フォトダイオードは、画像センサ19の画素を定義する。アレイ内では、フォトダイオードは、例えば行及び列で位置合わせされている。
【0042】
アレイのフォトダイオードのいくつかは、一般的に、センサ19及びその電子システムのノイズを検出し記録するためのみの基準として使用される。そして、センサ19の他のフォトダイオードによって捕捉された信号からノイズを推定して補正する。この目的のために、基準フォトダイオードに入射する放射線は、一般に、不透明なマスクによって遮断(吸収又は反射)される。
【0043】
従来の実施形態では、マスクは、一般的に、光学フィルタ17の隣に配置され、即ち、光学フィルタの外側のセンサ19を覆う。マスクは、一般的に、光学フィルタ17と同一平面上にある。
【0044】
以下の説明では、「画素」という用語は、フォトダイオードを指すために用いられ、「基準画素」という表現は、有用な光放射を受けないフォトダイオードを指すために用いられ、「有用画素」という表現は、取得された画像の有用な信号を伝える画素を指すために用いられる。
【0045】
図2は、画像取得システム1の一実施形態を示す部分概略上面図である。
【0046】
より詳細には、
図2は、画像取得システム1内の有用画素21の分布と基準画素23の分布の例を示している。
【0047】
画素21及び23は、行及び列で位置合わせされることが好ましい。例えば6インチの画面を有する携帯電話に適応可能な画像取得システム1の場合、500dpi解像度(即ち、50.8μmの画素ピッチ)を有するイメージャに対して、画素21及び23は例えば約2500行及び約1300列で編成される。画像の解像度は、例えば、254dpi(即ち、100μmの画素ピッチ)及び1,000dpi(即ち、25μmの画素ピッチ)の間で変化してもよい。
【0048】
画素21及び23は、1行につき少なくとも1つの基準画素23が存在するように、アレイに編成されている。基準画素23は全て同じ列に位置合わせされている。例えば、約4列から約64列までは基準画素23のみを備える。好ましくは、約16列から約32列までは基準画素23のみを備える。
【0049】
図2に示す実施形態では、基準画素23の列は全て隣接し、システム1の1つの縁部(
図2の向きで、システム1の左側)に位置する。
【0050】
図3は、画像取得システムの他の実施形態を示す部分概略上面図である。
【0051】
図3に示す実施形態は、
図2に示す実施形態と実質的に同一であるが、基準画素23の列がシステム1の2つの縁部に位置する点で異なる。好ましくは、同じ数の基準画素23の列が、システム1の各縁部に存在する。
【0052】
図2及び
図3の実施形態では、電子ノイズは基準画素23の全てのフォトダイオードによって検出される。同じ行の基準画素23のフォトダイオードによって検出された電子ノイズは平均化される。そして、平均化されたノイズは、同じ行の有用画素21のフォトダイオードによって検出された有用信号の補正に使用される。
【0053】
図4は、画像取得システムの一実施形態を示す部分概略断面図である。
【0054】
図4に示す画像取得システム1は、
角度フィルタ17、及び
フォトダイオードまたは光検出器191を備える画像センサ19
を備える。
【0055】
角度フィルタ17は、
図4の向きで上から下へ、
レンズ25のアレイと、
基板または支持体27と、
開口部33または孔、及び壁35を備える第1の樹脂31の第1の層29と
を備える。
【0056】
説明した実施形態では、角度フィルタを形成する光学フィルタ17の場合を例として説明したが、そのような実施形態は、例えば、赤緑青RGBカラーフィルタのような他のタイプの光学フィルタに適用されてもよい。
【0057】
角度フィルタ17は、レンズ25の光軸24に対する放射線の入射に応じて、入射放射線をフィルタリングすることが可能である。角度フィルタ17は、画像センサ19の各光検出器191が、光検出器191と関連するレンズ25のそれぞれの光軸24に対する入射角が最大入射角度よりも小さい光線のみを受けるように適合される。最大入射角度は、45°よりも小さく、好ましくは30°よりも小さく、より好ましくは10°よりも小さく、より好ましくはさらに4°よりも小さい。角度フィルタ17は、角度フィルタ17のレンズ25の光軸24に対するそれぞれの入射角が最大入射角度よりも大きい入射放射線の光線を遮断することが可能である。
【0058】
各開口部33は、単一のレンズ25と関連することが好ましい。レンズ25の光軸24は、第1の層29の開口部33の中心と位置合わせされることが好ましい。レンズ25の直径は、開口部33の(レンズ25の光軸に垂直な)断面の最大サイズよりも大きいことが好ましい。
【0059】
図4の例では、各光検出器191は、単一の開口部33に関連するものとして示されており、各光検出器191の中心は、関連する開口部33の中心と位置合わせされている。実際には、角度フィルタ17の解像度は、画像センサ19の解像度の少なくとも2倍である。言い換えれば、システムは、光検出器191の少なくとも2倍の数のレンズ25(または開口部33)を備える。したがって、フォトダイオード191(
図4)は、少なくとも2つのレンズ25(または開口部33)に関連している。
【0060】
本開示では、「ゾーン」は、少なくとも1つのレンズ25及びその下部の層を備えるフィルタ17の各部を指す。例えば、1つのゾーンは単一の画素に関連するが、1つの画素は、少なくとも2つのゾーンに関連する。
【0061】
各ゾーンは、ゾーンに関連するレンズ25の表面積と実質的に同一の表面積を有する。さらに、第1のゾーンは基準画素23(
図2及び
図3)に対向する光学フィルタ17の部分に対応し、第2のゾーンは有用画素21(
図2及び
図3)に対向する光学フィルタ17の部分に対応する。
【0062】
以下の説明では、
図4の向きで、構造体または層の上面は表側であると考えられ、
図4の向きで、構造体または層の下面は裏側であると考えられる。
【0063】
図5~
図7は、第1の実施態様による角度フィルタ17の製造方法の一例の連続するステップを模式的にかつ部分的に示している。
【0064】
図5は、角度フィルタ17の製造方法の第1の実施態様を示す部分概略断面図である。
【0065】
より詳細には、
図5は、同一平面上にある第1のレンズ253及び第2のレンズ251のアレイと、基板27とを備える初期構造体を示している。
【0066】
基板27は、少なくとも考慮される波長(ここで、可視範囲及び赤外範囲の波長)を吸収しない透明なポリマーで作られてもよい。ポリマーは、特に、ポリエチレンテレフタレートPET、ポリ(メチルメタクリレート)PMMA、環状オレフィンポリマー(COP)、ポリイミド(PI)、またはポリカーボネート(PC)であってもよい。基板27の厚さは、例えば、1~100μm、好ましくは20~100μmで変化してもよい。基板27は、カラーフィルタ、偏光板、半波長板、または1/4波長板に対応してもよい。
【0067】
基板27の上で基板27と接触するレンズまたはマイクロレンズ251及び253は、シリカ、PMMA、ポジ型レジスト、PET、ポリエチレンナフタレート(PEN)、COP、ポリジメチルシロキサン(PDMS)/シリコーン、エポキシ樹脂、またはアクリレート樹脂で作られてもよい。マイクロレンズ251及び253は、レジストブロックを流動させることにより形成されてもよい。マイクロレンズ251及び253は、さらに、PET、PEN、COP、PDMS/シリコーン、エポキシ樹脂、またはアクリレート樹脂の層上に成形することにより形成されてもよい。マイクロレンズ251及び253は、印刷によって形成されてもよい。
【0068】
マイクロレンズ251及び253は、収束レンズであり、各々は1μm~100μm、好ましくは20μm~70μmの範囲の焦点距離fを有する。
【0069】
図5に示す実施形態では、マイクロレンズ251及び253は同一ではない。実際に、第1のレンズ253の曲率半径は第2のレンズ251の曲率半径よりも大きい。レンズ253の高さは、例えば、レンズ251の高さよりも小さい。
【0070】
第1のレンズ253は、第1のゾーン263(基準ゾーン)に割り当てられ、第2のレンズ251は、第2のゾーン261に割り当てられる。
【0071】
他の実施形態によれば、図示しないが、第1のレンズ253の曲率半径は、第2のレンズ251の曲率半径よりも小さくてもよい。そして、レンズ253の高さは、例えば、レンズ251の高さよりも大きい。
【0072】
図6は、角度フィルタ17の製造方法の第1の実施態様の他のステップを示す部分概略断面図である。
【0073】
より詳細には、
図6は、
図5に示す構造体の表側に膜37、該構造体の裏側に第1の樹脂31の不透明な層29を堆積させるステップを示している。
【0074】
図5のステップの終わりに得られた構造体の表側に、第2の材料38の膜37を堆積させる。膜37は、構造体の表側を平坦化することができる。膜37は、さらに、下部にあるレンズ251及び253の焦点距離を変更して、それらの収束を改善することができる。膜37は、例えば、光検出器(191、
図4)に検出される放射線に対して透明で、空気の屈折率と異なる屈折率を有する。膜37は、光学透明接着剤(OCA)、特に液状光学透明接着剤(LOCA)、または低屈折率を有する材料、またはエポキシ/アクリレートグルーから得られてもよい。膜37は、マイクロレンズ(251及び253)の形状に沿い、マイクロレンズ251及び253の材料の屈折率よりも低い低屈折率を有する材料38で作られることが好ましい。
【0075】
膜37は、例えば、遠心分離によって堆積された後に、紫外線への露光によって架橋される。
【0076】
層29は、例えば、約1μm~約1mmの範囲、好ましくは約12μm~約15μmの範囲の厚さにわたってフルプレートで堆積される。層29は、例えば、遠心分離、コーティング、または印刷によって堆積される。
【0077】
不透明な層29は、例えば約0.1%よりも低い透過率を有し、透過率は、約0.00001%よりも低いことが好ましい。
【0078】
一実施形態によれば、樹脂31は、ポジ型レジストであり、例えば、着色されたもしくは黒色のDNQ-ノボラック樹脂、またはDUV(Deep Ultraviolet)レジストである。DNQ-ノボラック樹脂は、ジアゾナフトキノン(DNQ)とノボラック樹脂(フェノールホルムアルデヒド樹脂)との混合物で構成されたものである。DUV樹脂は、ポリヒドロキシスチレンで構成されたポリマーを備えてもよい。
【0079】
図7は、角度フィルタ17の製造方法の第1の実施態様の他のステップを示す部分概略断面図である。
【0080】
より詳細には、
図7は、層29に開口部33を形成するステップを示している。
【0081】
開口部33の製造方法の一実施形態では、
マイクロレンズ251及び253のアレイを介してコリメートされた光(UV)に第1の樹脂31をその表側で露光させること(フォトリソグラフィ)によって、層29に開口部33を形成するステップ、及び
現像によって樹脂31の露光部分を除去するステップ
を備える。
【0082】
この実施形態によれば、マイクロレンズ251及び253と基板27とは、好ましくは、露光時に使用される波長に対応する波長範囲にわたって透明な材料で作られる。
【0083】
第1のマイクロレンズ253及び第2のマイクロレンズ251は、露光時において、入射光線に対して同じ影響を与えない。実際に、第2のマイクロレンズ251は、出射光線が層29の一点に収束(集束)するようなサイズ(高さ、曲率半径、及び焦点距離)である。しかし、第1のレンズ253は、出射光線が層29の外側の一点で収束するようなサイズである。このような集束の違いは、第1のレンズ253及び第2のレンズ251の曲率半径の差に起因する。
【0084】
第1の樹脂31は、ポジ型であり、即ち、紫外線に露光された部分が現像剤に可溶となる。より詳細には、露光時間に樹脂31によって局所的に吸収される紫外線の最小量は、樹脂を現像剤に溶解可能にするために必要である。
【0085】
曲率半径と焦点距離との違いにより、第1のレンズ253の下部にある層29の部分によって露光時に吸収される紫外線の量は、第2のレンズ251の下部にある層29の位置によって露光時に吸収される紫外線の量と異なる。
【0086】
図7の実施形態では、露光時間は、以下のように定義される:
第2のレンズ251の下部にある層29の部分によって吸収される紫外線量は、最小量に達する、及び
第1のレンズ253の下部にある層29の部分によって吸収される紫外線量は、最小量に達しない。
【0087】
よって、開口部33は、例えば、層29において、第2のレンズ251の下部にある部分、即ち第2のゾーン261のみに形成される。よって、第2のゾーン261は透明である。
【0088】
第1のレンズ253の下部にある層29の部分、即ち第1のゾーン263における層29の部分は、好ましくは、中実で不透明である。
【0089】
図7において、開口部33は、断面が台形断面図によって示されている。一般的に、露光パラメータに従って、断面図において、開口部33の断面は、正方形、三角形、長方形であってもよい。さらに、上面図において、開口部33の断面は、円形、楕円形、または、例えば三角形、正方形、長方形などの多角形であってもよい。開口部33の断面は、上面図において、好ましくは、円形である。開口部33は、実質的に同じ寸法を有してもよい。開口部33の幅または直径(開口部の底部、即ち基板27との界面で測定されたもの)を「w」と呼ぶ。幅wは、5μm~30μmで変化してもよい。幅wは、好ましくは5μm~20μmの範囲であり、例えば、約10μmに等しい。
【0090】
図8~
図11は、第2の実施態様による角度フィルタ17の製造方法の一例の連続するステップを模式的に、かつ部分的に示している。
【0091】
第2の実施態様は、構造体の裏側に開口部33においてレンズ25に対向する不透明な第2の層39が形成されたため、第1のゾーン263が不透明にされるという点で、第1の実施態様と異なる。第2の実施形態のレンズ25は、全て第1の実施態様の第2のレンズ251と同一である。
【0092】
図8は角度フィルタ17の製造方法の第2の実施態様のステップを示す部分概略断面図である。
【0093】
より詳細には、
図8は、全てのレンズ25が実質的に同一であるという点を除き、第1の実施態様による方法の初期構造体(
図5)と同一の初期構造体を示している。
【0094】
図9は、角度フィルタ17の製造方法の第2の実施態様の他のステップを示す部分概略断面図である。
【0095】
より詳細には、
図9は、
図8に示す構造体の表側に膜37を堆積させるとともに、
図8に示す初期構造体の裏側に開口部33のアレイを備える第1の樹脂31の層29を形成するステップを示している。このステップは、第1の実施態様の
図6及び
図7のステップと実質的に同一であるが、第2の実施態様において開口部33が各レンズ25に対向して形成される点で異なる。
【0096】
図10は、角度フィルタ17の製造方法の第2の実施態様の他のステップを示す部分概略断面図である。
【0097】
より詳細には、
図10は、
図8及び
図9のステップの終わりに得られた構造体の裏側に第1の材料41の第2の層39を形成するステップを示している。
【0098】
図10の例では、構造体の向きは、前図の断面図に対して反転していることに留意されたい。
【0099】
図10に示す実施形態では、第1の材料41の第2の層39は、
図8及び
図9のステップの終わりに得られた構造体の裏側に堆積される。第2の層39は、第1のゾーン263のレンズ25に対向する全ての開口部33に局所的に堆積される。第2の層39は連続的ではない。よって、第1のゾーン263の各開口部33は、第2の層39の部分39’を備える。
【0100】
材料41は、例えば、約0.1%よりも低い透過率を有する不透明な材料であり、透過率は、好ましくは約0.00001%よりも低い。
【0101】
材料41は、例えば金属又はインクである。材料41は、銀、銅、またはグラフェンで構成されてもよい。材料41は金属ナノ粒子または染料で構成されてもよい。
【0102】
材料41は、例えば第1の樹脂31と同じ組成を有する。
【0103】
層39は、例えば、インクジェット技術、シルクスクリーン、シリンジ支援局所堆積技術、フレキソグラフィー、ヘリオグラフィー、またはスプレー印刷技術によって堆積される。
【0104】
層39は例えば遠心分離によって堆積され、露光(フォトリソグラフィ)及び現像により、部分39’のみが残る。
【0105】
他の実施形態によれば、
図10に示されないが、第2の層39は、層29を形成する前に形成されてもよい。このように、部分39’は、基板27の裏側に第1のゾーン263のレンズ25に対向して局所的に形成される。第2の層39の各部分39’は、それに関連する部分39’を有するレンズ25の表面と実質的に同一の表面上に延在する。次に、層29が形成され、部分39’または部分39’の間の基板27の裏側のいずれかを覆う。開口部33を形成するステップは、
図9で説明したステップと同様である。層39が不透明である観点から、このステップの終わりに得られた構造体は、
図9に示す構造体と同様ではない。実際に、開口部33は、第2のゾーン261のレンズ25に対向して形成されるのみである。
【0106】
図11は、角度フィルタ17の製造方法の第2の実施態様の他のステップを示す部分概略断面図である。
【0107】
より詳細には、
図11は、
図8~
図10のステップの終わりに得られた構造体の裏側に第3の材料44で作られた第3の層43を形成するステップを示している。
【0108】
選択的に、充填されていない開口部33は、空気または光検出器(191、
図4)により検出される放射線に対して少なくとも部分的に透明な充填材料(例えばPDMS)の層39で充填される。変形例として、開口部33は、角度フィルタ17によって角度的にフィルタリングされた光線を色彩的にフィルタリングするために、部分的に吸収する材料で充填されてもよい。
【0109】
図10に示すステップの終わり、または開口部33の選択的な充填の後に、構造体の裏側に、第3の層43をフルプレートで堆積させる。言い換えれば、第1の層29、第2の層39、及び可能な充填材料が、第3の層43で覆われる。第3の層43下面(
図11の向きで)は、このステップの後、実質的に平坦である。開口部33の充填のステップが事前に実施されていない場合、開口部33はこの層43で充填される。
【0110】
層43の材料44は、好ましくは、光検出器(191、
図4)により検出される放射線に対して少なくとも部分的に透明である。材料44は、例えば、PDMS、エポキシグルー、アクリレート、または商品名SU8で知られる樹脂で構成される。開口部33の選択的な充填時に使用される充填材料、及び層43の材料44は、同じ組成を有していてもよいし、異なる組成を有していてもよい。
【0111】
他の実施形態によれば、図示しないが、第2の層39は、開口部33を充填する選択的なステップの後、第3の層43を堆積させるステップの前に形成される。層39の部分39’は、開口部33の裏側に第1のゾーン263のレンズ25に対向して局所的に形成される。第2の層39の各部分39’は、それに関連する部分39’を有するレンズ25の表面と実質的に同一の表面上に延在する。
【0112】
図12~
図15は、第3の実施態様による角度フィルタ17の製造方法の一例の連続するステップを模式的に、かつ部分的に示している。
【0113】
第3の実施態様は、構造体の表側に第1のゾーン263のレンズ25に対向する不透明な第2の層39が形成されたため、第1のゾーン263が不透明であるという点で、第2の実施態様と異なる。
【0114】
図12は、角度フィルタ17の製造方法の第3の実施態様のステップを示す部分概略断面図である。
【0115】
より詳細には、
図12は、
図8に示す第2の実施態様による方法の初期構造体と同一の初期構造体を示している。
【0116】
図13は、角度フィルタ17の製造方法の第3の実施態様の他のステップを示す部分概略断面図である。
【0117】
より詳細には、
図13は、
図12に示す構造体の表側に膜37を堆積させるとともに、
図12に示す初期構造体の裏側に開口部33のアレイを備える第1の樹脂31の第1の層29を形成するステップを示している。
【0118】
このステップは、第2の実施態様による方法の
図9に示すステップと実質的に同一である。
【0119】
図14は、角度フィルタ17の製造方法の第3の実施態様の他のステップを示す部分概略断面図である。
【0120】
より詳細には、
図14は、
図12及び
図13のステップの終わりに得られた構造体に、膜37上に、第1のゾーン263のレンズ25に対向するように第1の材料41の第2の層39を堆積させるステップを示している。
【0121】
第1の材料41で作られた第2の層39は、第1のゾーン263の各レンズ25に対向するように、膜37の表側に形成されている。第2の層39は、連続的ではなく、部分39’に分割されている。各部分39’は、第1のゾーン263の1つのレンズ25に対向して配置されている。各部分39’は、それに関連する当該部分39’を有するレンズ25の表面積と実質的に同一の表面積にわたって延在している。材料41は、例えば約0.1%よりも低い透過率を有する不透明な材料で作られており、透過率は約0.00001%よりも低いことが好ましい。
【0122】
材料41は、例えば第2の実施態様(
図10)の材料41と同様である。
【0123】
層39は、例えば第2の実施態様の層39と同様に形成される。
【0124】
選択的に、膜37と同一の組成を有する第2の膜(不図示)を、
図12~
図14のステップの終わりに得られた構造体の表側に堆積させて前記表面を平坦化することが想定され得る。
【0125】
図15は、角度フィルタ17の製造方法の第3の実施態様の他のステップを示す部分概略断面図である。
【0126】
より詳細には、
図15は、
図12~
図14に示すステップの終わりに得られた構造体の裏側に、第3の材料44で作られた第3の層43を形成するステップを示している。
【0127】
このステップは、第2の実施態様による方法の
図11に示すステップと実質的に同一である。
【0128】
図16は、角度フィルタ17の製造方法の第4の実施態様のステップを示す部分概略断面図である。
【0129】
第4の実施態様は、第1のゾーン263がそれに関連する第1のレンズ253の劣化によって不透明にされるという点で、第3の実施態様と異なる。よって、第2の層(39、
図14)は存在しない。
【0130】
より詳細には、第3の実施態様による方法の
図13に示す構造体と同一の構造体に基づいて、第1のレンズ253が劣化する。レンズ253の劣化は、その光学特性の変更、特に不透明度の変更を意味する。
【0131】
劣化は、例えば、照射されたレンズ(特定の波長又はレーザの特定のエネルギーレベルに敏感な材料)を不透明化するように選択されたレーザ45によって実行される。
【0132】
一実施形態によれば、劣化は、各第1のレンズ253上で、その表面全体にわたって実行される。
【0133】
一実施形態によれば、劣化は、各第1のレンズ253において、その表面よりも低い面で局所的に実行される。劣化面は、例えば、考慮されたレンズ253の光軸を中心とする。
【0134】
よって、劣化後、第1のレンズ253は、局所的にまたは全体的に、約0.1%よりも低い透過率、好ましくは約0.00001%よりも低い透過率を有する。
【0135】
さらに他の実施形態によれば、基板27は、全体的にまたは局所的に第1のレンズ253に対向してレーザによって劣化する。
【0136】
劣化は、層29を形成する前または後に実行されてもよい。
【0137】
図16に示すステップの後、第3の実施形態による方法の
図15に示すステップと同様の構造体の裏側に第3の層43を堆積させる追加のステップが提供されてもよい。
【0138】
記載された実施形態の利点は、不透明なマスクを角度フィルタに統合することを可能にすることである。これは、特に、画像取得システムの製造コストを低下させながら、マスクの光学フィルタとの分離距離をなくすことを可能にする。実際に、マスクと光学フィルタとの組み合わせは、光学系の組立工程における工程数を減少させることを可能にする。
【0139】
記載された実施形態の他の利点は、形成された光学フィルタが通常の画像センサと互換性があることである。
【0140】
様々な実施形態及び変形例が説明されている。当業者は、これらの様々な実施形態及び変形例の特定の特徴が組み合わせられてもよく、他の変形例が想到されることを理解するであろう。
【0141】
最後に、本明細書で説明した実施形態及び変形例の実用的実現は、本明細書で提供した機能表示に基づいて、当業者の能力の範囲内である。
【0142】
本特許出願は、参照によって本明細書に組み込まれる仏国特許出願第19/14198号明細書の優先権を主張している。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する第1のレンズ(253)及び第2のレンズ(251)で構成され、基板(27)の第1の面側に位置するレンズのアレイと、
前記基板の第2の面側において少なくとも前記第2のレンズに対向する開口部(33)と、
前記基板の第2の面側において前記第1のレンズに対向
し、少なくとも1つの第1のレンズの表面と等しい表面を有する不透明な層と
を備え、
前記第1のレンズは不透明な第1のゾーン(263)に含まれ、前記第2のレンズは第2のゾーン(261)に含まれ、各第1のゾーンは、該第1のゾーン内に含まれる少なくとも1つの第1のレンズの表面積と等しい表面積を占める
画像センサ(19)用の光学フィルタ(17)。
【請求項2】
前記第1のゾーン(263)の透過率は、約0.1%よりも低く、好ましくは約0.00001%よりも低い
請求項1に記載の光学フィルタ(17)。
【請求項3】
各第2のゾーン(261)は、少なくとも1つの第2のレンズ(251)の表面積と等しい表面積を占める
請求項
1に記載の光学フィルタ。
【請求項4】
前記第1のレンズ(253)及び第2のレンズ(251)は同一平面上にある
請求項
1に記載の光学フィルタ。
【請求項5】
前記第1のゾーン(263)及び第2のゾーン(261)は、隣接し、行及び列で編成されている
請求項
1に記載の光学フィルタ。
【請求項6】
前記第1のゾーン(263)は、隣接するとともに前記フィルタ(17)の一側に位置する列で編成されている
請求項5に記載の光学フィルタ。
【請求項7】
前記第1のゾーン(263)は、前記フィルタ(17)の2つの縁部に分布された列で編成されている
請求項5に記載の光学フィルタ。
【請求項8】
前記第1のレンズ(253)の曲率半径は、前記第2のレンズ(251)の曲率半径よりも小さい
請求項
1に記載の光学フィルタ。
【請求項9】
前記第1のレンズ(253)の曲率半径は、前記第2のレンズ(251)の曲率半径よりも大きい
請求項
1に記載の光学フィルタ。
【請求項10】
前記第1のレンズ(253)は、局所的に劣化している
請求項
1に記載の光学フィルタ。
【請求項11】
請求項
1に記載の光学フィルタ(17)の製造方法であって、特に、
印刷によって前記レンズのアレイを前記基板(27)の第1の面側に形成するステップと、
レジスト(31)の第1の層(29)を前記基板(27)の第2の面側に堆積させるステップと、
前記レンズ(25;251,253)を介するフォトリソグラフィによって、前記第1の層(29)に開口部(33)を形成するステップと
を備える方法。
【請求項12】
第2の層(39)を第1のゾーン(263)の前記開口部(33)内、または前記開口部(33)の第1の面側もしくは第2の面側に形成する
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第2の層(39)を前記第1のゾーン(263)に形成する
請求項1
1に記載の方法。
【請求項14】
レーザ(45)によって前記第1のレンズ(253)を部分的に劣化させる
請求項11に記載の方法。
【請求項15】
角度フィルタとして考慮されることが可能な請求項
1に記載の光学フィルタ(17)と、
放射線(13)の源(11)と、
前記放射線(13)を検出可能な光検出器(191)を備える画像センサ(19)と
を備えるシステム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムを備える指紋センサ。
【国際調査報告】