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特表2023-505890自動車に組み込まれた加速度病に対処することを意図した装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-13
(54)【発明の名称】自動車に組み込まれた加速度病に対処することを意図した装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20230206BHJP
【FI】
B60R11/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535780
(86)(22)【出願日】2020-11-17
(85)【翻訳文提出日】2022-07-25
(86)【国際出願番号】 FR2020052097
(87)【国際公開番号】W WO2021116549
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】1914358
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518379522
【氏名又は名称】ノバレス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボリエール フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】カズ クリストフ
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BB01
3D020BC01
3D020BD03
3D020BD09
3D020BE03
(57)【要約】
本発明は、自動車(10)に取り付けられ、自動車(10)の3軸に沿った加速度を検出し、対応する加速度信号を発するように構成された3軸加速度計と、自動車(10)の第1の内面(13)に少なくとも1つの第1の人工水平線(14,14')を形成すると共に自動車(10)の第2の内面(15,15')に少なくとも1つの第2の人工水平線(16,16')を形成するのに適した光マーカを表示し、第1及び第2の人工水平線(14,16;14',16')が互いに垂直又は実質的に垂直である、表示手段(12,12',12'')と、3軸加速度計によって発せられた加速度信号を受信し、第1及び第2の人工水平線(14,16;14',16')が、自動車の加速度にかかわらず、重力ベクトルに垂直又は実質的に垂直な水平面(A)に整列されるように、表示手段(12,12',12'')を駆動することができる制御ユニットとを備え、水平面(A)の位置は、第1の内面(13)のすぐ隣及び第2の内面(15,15’)のすぐ前に配置されることによって、自動車に座っている人に関する物理的パラメータの機能として変化することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3軸に沿った自動車(10)の加速度を検出し、対応する加速度信号を発するように構成された3軸加速度計と、
前記自動車(10)の第1の内面(13)の高さに少なくとも1つの第1の人工水平線(14,14')を形成し、前記自動車(10)の第2の内面(15,15')の高さに少なくとも1つの第2の人工水平線(16、16')を形成することができ、前記第1及び第2の人工水平線(14,16;14',16')は互いに垂直又は実質的に垂直である、光マーカを表示するための表示手段(12,12',12'')と、
前記3軸加速度計によって発せられた加速度信号を受信し、前記第1及び第2の人工水平線(14,16;14',16')が、前記自動車の加速度にかかわらず、重力ベクトルに垂直又は実質的に垂直な水平面(A)に整列されるように、前記表示手段(12,12',12'')を駆動することができる制御ユニットとを備え、
前記水平面(A)の位置が、第1の内面(13)のすぐ横に、かつ第2の内面(15,15')のすぐ前に配置されることによって、前記自動車に座っている人に関する物理的パラメータに従って変化することができる重力ベクトルに平行な方向に沿っている
ことを特徴とする、自動車(10)に取り付けられた加速度病抑制装置。
【請求項2】
前記物理的パラメータが、前記自動車の着座位置における前記人の高さである
ことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御ユニットが、前記自動車の乗客の1人によってコマンドインタフェースによって手動で入力されたコマンドに応答して、前記第1及び第2の人工水平線(14,16;14',16')によって画定される水平面(A)の位置を修正することができる
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記コマンドインタフェースが、前記自動車のダッシュボード(18)に一体化されている
ことを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記コマンドインタフェースが、前記自動車の中央直立部材(11,11')に一体化されている
ことを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記コマンドインタフェースが、容量性型の検出手段に機能的にリンクされた外面を備え、
前記検出手段が、前記外面上の指の接触を検出し、対応する信号を前記制御ユニットに送信することができる
ことを特徴とする、請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記制御ユニットが、前記第1の内面(13)のすぐ横に、かつ前記第2の内面(15,15')のすぐ前に着座した人の、少なくとも1つの物理的パラメータ、特に眼の位置を検出するように構成されたセンサによって発せられる信号に応答して、前記第1及び第2の人工水平線(14,16;14',16')によって画定される水平面(A)の位置を自動的に修正するように適合される
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項8】
前記センサが、前記自動車の座席の1つに配置されたカメラ、超音波センサ、無線周波数センサ、及び重量測定センサの中から選択される
ことを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記表示手段(12,12',12'')が、
前記第1の内面(13)に投射され、前記第1の人工水平線(14,14')を形成する第1の光線と、
前記第2の内面(15,15')に投射され、前記第2の人工水平線(16,16')を形成する第2の光線とよりなる、
直線形状の少なくとも2つの光線をそれぞれ、を放射することができる
ことを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記表示手段(12,12',12'')が、
主光線を放射する少なくとも1つの光源と、
前記主光線を2つの副光線に分離し偏向させる分離及び偏向手段とを備える
ことを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記分離及び偏向手段が、
前記光線を2つの二次光線に分離することを意図されたプリズムと、
前記二次光線の経路を修正することを意図されたミラー及び/又はレンズの組合せとを備える
ことを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記表示手段(12,12',12'')が、
前記第1の光線を放出する第1の光源と、
前記第2の光線を放出する第2の光源とよりなる、
一対の光源を少なくとも一対備える
ことを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
それぞれ一対の光源よりなる前記光源が、それぞれ一対のレーザである
ことを特徴とする、請求項10から12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記表示手段が、
前記第1の内面(13)と整列して配置されると共に、前記第2の内面(15,15')と整列して配置される第1の光柱(12)と、
前記第1の光柱(12)の左又は右に整列して配置され、前記第2の内面(15,15')と整列して配置される第2の光柱(12')と、
前記第1の内面(13)と整列して配置され、前記第1の光柱(12)よりも自動車の後部に近い第3の光柱(12'')とを含む
それぞれ垂直に配向した光柱(12,12',12'')を備え、
前記光柱(12,12',12'')のそれぞれが、複数の垂直に整列した光点から形成され、
前記光点のそれぞれが、活性化状態で光を放出し、非活性化状態で光を放出することができず、
前記第1の人工水平線(14)が、第1及び第3の光柱(12,12'')上の最高又は最低の活性化光点(17,17'')をそれぞれ通過する仮想線によって形成され、
前記第2の人工水平線(16)が、第1及び第2の光柱(12,12')上の最高又は最低の活性化光点(17,17')をそれぞれ通過する仮想線によって形成される
ことを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記光柱(12,12',12'')のそれぞれが、垂直に並ぶ発光ダイオードの線形網を備え、
各発光ダイオードが、発光点を形成する
ことを特徴とする、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載の加速度病抑制装置を備えた、自動車(10)。
【請求項17】
少なくとも1つの中央直立部材(11,11')を備え、
前記中央直立部材は、前記表示手段(12,12')を支持し、
前記表示手段は、
前記第1の光線を、前記自動車の後部横窓又は後部ドアパネル(13)上に投射し、
前記第2の光線を、前記後部横窓又は前記後部ドアパネル(13)に対して実質的に垂直に配置された乗客室の内面(15,15')、例えば前記自動車の前部座席のうちの1つの背もたれ上に投射するように構成される、
請求項9から13のいずれか1項に記載の加速度病抑制装置を備えた自動車(10)。
【請求項18】
前記表示手段(12,12')は、固定水平面(H)に対する人工水平線(14,16;14',16')の高さの調整を可能にするように、前記中央直立部材(11,11')に沿って変位可能である
ことを特徴とする、請求項17に記載の自動車(10)。
【請求項19】
自動車(10)の加速度を3軸に沿って検出し、対応する信号を制御ユニットに送る工程と、
前記自動車に座っている人に関する物理的パラメータを検出し、対応する信号を前記制御ユニットに送る工程と、
前記自動車の第1の内面(13)の高さに少なくとも1つの第1の人工水平線(14,14')を形成すると共に前記自動車の第2の内面(15,15')の高さに少なくとも1つの第2の人工水平線(16,16')を形成することができる光マーカを表示する表示手段(12,12',12'')を制御ユニットによって駆動する工程とを含み、
前記第1及び第2の人工水平線(14,16;14',16')は、互いに垂直又は実質的に垂直であり、
その結果、前記第1及び第2の人工水平線(14,16;14',16')は、前記自動車の加速度にかかわらず、重力ベクトルに垂直な水平面(A)に整列し、重力ベクトルに平行な方向に沿った前記水平面(A)の位置が、検出された物理的パラメータに従って変化することができる、
乗り物酔いに対処することを意図した光マーカを表示する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に一体化された状態で加速度病に対処することを目的とする装置及びその装置を搭載した自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、飛行機、又はボートで移動する人々が経験する共通の問題は、加速度病(kinetosis)としても知られている、乗り物酔いである。乗り物酔いは、内耳の前庭系で経験する感覚と、人の視覚など他の感覚で経験する感覚との不一致によって起こる。内耳のバランス受容器は、重力(例えば、向きの変化)、速度、及び自動車が変位するときに生じる速度の変化(加速度)に敏感である。内耳が感じる感覚が、本人が感じる視覚信号に対応しないと、本人に乗り物酔いを起こすことが多く、特に吐き気や頭痛の形で現れる。
【0003】
例えば、自動車で曲路上を走行する乗客は、カーブを介して自動車が変位するたびに直線加速度及び角加速度を経験する。自動車の動きによって引き起こされる加速度に応答する前庭感知システムは、人が道路を連続的に見下ろさない限り、視覚的知覚と一致せず、したがって、その内耳知覚は、曲線で視覚的に知覚される自動車経路と一致する。この理由のために、自動車の運転者は、通常、乗り物酔いに苦しむことはないが、自動車の乗客は乗り物酔いに苦しむことがある。実際、運転者は、道路を常時監視し、視覚的知覚が内耳の感覚に対応するように自動車の動きを視覚的に知覚する。逆に、自動車の乗客は、自動車の内側のみを確認したり見たりするか、又は道路を見ることを妨げる他の活動に従事するが、その乗客は、内耳の視覚と一致しない視覚的知覚を有することになる。
【0004】
乗り物酔いを回避するために、1つの解決策は、乗客が自動車を運転しているかのように道路を見ることであり、その結果、乗客が受け取る視覚情報は、乗客の前庭系の感覚により密接に対応する。しかし、自動車の後ろに座ると、通常、部分的に道路を見る。したがって、前庭耳の内部聴覚装置によって知覚される乗客の実際の移動は、この移動の視覚的知覚と容易に関連付けることができない。したがって、この場合、乗り物酔いは回避することができない。
【0005】
特許文献1に記載されている、乗り物酔いに対する別の解決策は、自動車の乗客室の内部直立材に光マーカを使用することにあり、前記光マーカは、乗客室の両側に光柱を形成する。光柱の高さは、電子制御手段によって制御され、車内に座った乗客の内耳の知覚に対応する人工的な水平線を作り出すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0083739号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それにもかかわらず、この解決策は、乗客の大きさ及び乗客室内での乗客の位置を考慮しない人工水平線を規定するという欠点を有する。したがって、この公知の解決策では、小さい子供は、人工水平線が眼の上に位置する場合、人工水平線を見ることが困難であり得る。同様に、背の高い人は、眼が光柱の最も高い光マークよりも上にある場合、人工水平線を見ることが困難であることが分かる。さらに、この公知の解決策は、乗客室内に単一の人工水平線を作り出すことを可能にするだけである。しかし、異なる高さの2人の人が自動車の後部に並んで座っている場合には、2つの異なる高さの2つの人工水平線を画定することが望ましく、人工水平線の各々は、乗客のうちの1人に特別に割り当てられる。
【0008】
したがって、本発明は、自動車に組み込まれ、前述の従来技術の欠点を有さない、加速度病に対処することを意図した装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明の自動車に装着される加速度病抑制装置は、
3軸に沿った自動車の加速度を検出し、対応する加速度信号を発するように構成された3軸加速度計と、
自動車の第1の内面に対する少なくとも1つの第1の人工水平線及び自動車の第2の内面に対する少なくとも1つの第2の人工水平線を形成することができ、前記第1及び第2の人工水平線が互いに垂直又は実質的に垂直である、光マーカを表示するための手段と、
前記第1及び第2の人工水平線が、前記自動車の加速度にかかわらず、重力ベクトルに対して水平面、垂直面、又は実質的に垂直面に整列されるように、3軸加速度計によって発せられた加速度信号を受信し、表示手段を駆動することができ、重力ベクトルに平行な方向に沿った前記水平面の位置が、前記第1の内面のすぐそばで前記第2の内面のすぐ前に配置されることによって、前記自動車に座っている人に関する物理的パラメータに従って変化することができる、制御ユニットと、を含む。
【0010】
このような構成により、本発明の加速度病抑制装置は、2つの人工水平線を、一方は自動車に座っている人の前に、他方は前記人のそばに、水平面に整列された2つの人工水平線をそれぞれ表示することによって、乗り物酔いを排除することを可能にする。前記装置はまた、人に関する物理的パラメータの関数として人工水平線の高さを変化させることを可能にする。
【0011】
本発明の装置はまた、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0012】
前記物理的パラメータは、自動車内の着座位置における人の高さである。
【0013】
前記制御ユニットは、コマンドインタフェースによる自動車の乗客の1人によって手動で入力されたコマンドに応答して、前記第1及び第2の人工水平線によって画定される水平面の位置を修正することができる。
【0014】
前記コマンドインタフェースは、前記自動車のダッシュボードに組み込まれている。
【0015】
前記コマンドインタフェースは、前記自動車の中央直立部材に一体化されている。
【0016】
前記コマンドインタフェースは、容量型の検出手段に機能的にリンクされた外面を含み、前記検出手段は、前記外面上の指の接触を検出し、対応する信号を制御ユニットに送信することができる。
【0017】
前記制御ユニットは、第1の内面のすぐそばに着座した人の、及び、第2の内面のすぐ手前に着座した人の、少なくとも1つの物理的パラメータ、特に眼の位置を検出するように構成されたセンサによって放射される信号に応答して、人工水平線の第1及び第2の線によって画定される水平面の位置を自動的に修正することができる。
【0018】
前記センサは、カメラ、超音波センサ、高周波センサ、及び自動車の座席のうちの1つに配置された重量測定センサの中から選択される。
【0019】
前記表示手段は、直線形状の少なくとも2つの光線をそれぞれ放射することができ、第1の内面に投射され第1の人工水平線を形成する第1の光線と、第2の内面に投射され第2の人工水平線を形成する第2の光線とを形成することができる。
【0020】
前記表示手段は、主光線を放射する少なくとも1つの光源と、前記主光線を2つの二次光線に分離及び偏向する手段とを備える。
【0021】
前記分離及び偏向する手段は、前記光線を2つの二次光線に分離するように意図されたプリズムと、前記二次光線の経路を修正するように意図されたミラー及び/又はレンズの組合せとを備える。
【0022】
前記表示手段は、前記第1の光線を出射する第1光源及び前記第2の光線を出射する第2光源それぞれからなる少なくとも一対の光源を備える。
【0023】
前記光源(それぞれ一対の光源)は、レーザ(それぞれ一対のレーザ)である。
【0024】
前記表示手段は、垂直に配向された少なくとも3つの光柱である、それぞれ第1の内面と位置合わせされると共に前記第2の内面と位置合わされる第1の光柱と、第2の内面に位置合わさせれると共に前記第1の光柱の左右に位置合わせされて配置された第2の光柱と、前記第1の内面と位置合わせされ、前記第1の光柱よりも前記自動車の後部に近接して配置された第3の光柱とを含み、前記柱の各々は、垂直方向に位置合わせされた複数の光点から形成され、前記光点の各々は、活性化状態で光を放出することができ、非活性化状態で光を放出することができず、前記第1の人工水平線は、前記第1及び第3の光柱上の最高又は最低活性化光点をそれぞれ通過する仮想線によって形成され、前記第2の人工水平線は、前記第1及び第2の光柱上の最高又は最低活性化光点をそれぞれ通過する仮想直線によって形成される。
【0025】
前記光柱の各々は、垂直に並ぶ発光ダイオードの直線アレイを備え、前記発光ダイオードの各々は、光点を形成する。
【0026】
本発明はまた、上記で定義されたような加速度病抑制装置を装備した自動車に関する。
【0027】
本発明の特定の構成では、自動車は、少なくとも1つの中央直立部材を含み、前記中央直立部材は、表示手段を支持し、前記表示手段は、第1の光線を自動車の後部横窓又は後部ドアパネルに投射し、前記窓又は前記ドアパネルに実質的に垂直に配置された乗客室の内面、例えば自動車の前部座席の1つの背もたれに第2の光線を投射するように構成される。
【0028】
本発明の別の特定の構成では、表示手段は、固定水平面に対する人工水平線の高さの調整を可能にするように、中央直立部材に沿って変位可能である。
【0029】
本発明はまた、加速度病に対処することを意図した光マーカを表示するための方法に関し、
3軸に沿った自動車の加速度の検出及び対応する信号の制御ユニットへ送信する工程と、
自動車に座っている人に関する物理的パラメータを検出し、対応する信号を制御ユニットに送る工程と、
自動車の第1の内面の高さで少なくとも1つの第1の人工水平線を形成することができる光マーカと、自動車の第2の内面の高さで少なくとも1つの第2の人工水平線とを形成することができる光マーカとを表示する手段の制御ユニットによる駆動工程とを含む加速度病抑制装置に関し、前記第1及び第2の人工水平線は、互いに垂直又は実質的に垂直であり、その結果、前記第1及び第2の人工水平線は、自動車の加速度にかかわらず、重力ベクトルに垂直な水平面に整列され、前記重力ベクトルに平行な方向に沿った前記水平面の位置は、検出された物理的パラメータに従って変化することができる。
【0030】
他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、非限定的な例として与えられる、本発明の2つの特定の実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】加速度病抑制装置の第1の動作モードによる、自動車が加速されていない、本発明の第1の実施形態による自動車の乗客室後方から見た斜視図である。
図1a図1に示す自動車の背面図である。
図1b図1に示す自動車の側面図である。
図2】加速度病抑制装置の第2の動作モードにおける、図1相当図である。
図2a】コマンドインタフェースの第1の例が示されている、図2相当図である。
図2b】コマンドインタフェースの第2の例が示されている、図2相当図である。
図2c】センサの一例を示す、図1に示す自動車の乗客室前方から見た斜視図である。
図3】自動車が、Y軸に沿った加速度を受けている、図1相当図である。
図3a図3に示す自動車の背面図である。
図3b図3に示す自動車の側面図である。
図4】自動車がX軸に沿った加速度を受けている、図1相当図である。
図4a図4に示す自動車の背面図である。
図4b図4に示す自動車の側面図である。
図5】自動車が、X軸に沿って、かつY軸に沿って加速度を受けている、図1相当図である。
図5a図5に示す自動車の背面図である。
図5b図5に示す自動車の側面図である。
図6】自動車がY軸に沿った加速度を受けている、図1相当図である。
図6a図6に示す自動車の背面図である。
図6b図6に示す自動車の側面図である。
図7】自動車が加速度を受けていない、本発明の第2の実施形態による自動車の乗客室の斜視図である。
図7a図7に示す自動車の背面図である。
図7b図7に示す自動車の側面図である。
図8】自動車がY軸に沿った加速度を受けている、図7相当図である。
図8a図8に示す自動車の背面図である。
図8b図8に示す自動車の側面図である。
図9】自動車がX軸に沿って加速度を受けている、図7相当図である。
図9a図9に示す自動車の背面図である。
図9b図9に示す自動車の側面図である。
図10】自動車がX軸に沿って、かつY軸に沿って加速度を受けている、図7相当図である。
図10a図10に示す自動車の背面図である。
図10b図10に示す自動車の側面図である。
図11】自動車がY軸に沿った加速度を受けている、図7相当図である。
図11a図11に示す自動車の背面図である。
図11b図11に示す自動車の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
この明細書の残りの部分では、図1及び図7に示されたデカルト座標系XYZを参照して、「長手方向」という用語は、X軸に沿った方向に対して使用され、「横方向」は、Y軸に沿った方向に対して、「垂直方向」は、Z軸に沿った方向に対して使用されることになる。さらに、慣例的に、「前」という用語は、自動車の前方に向けられた方向を示すために使用され、「後」という用語は、自動車の後方に向けられた方向を示すために使用されている。
【0033】
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態による自動車10の乗客室が示されている。この実施形態では、垂直に配向された第1の光柱12は、自動車の中央直立部材11によって支持され、自動車後部に座っている乗客の視野に対して左側に配置され、垂直に配向された第2の光柱12'は、自動車の別の中央直立部材11'によって支持され、自動車後部に座っている乗客の視野に対して右側に配置される。各光柱12,12'は、第1の直線光線を自動車の後部横窓又は後部ドアパネル13に投射し、第2の直線光線を自動車の前部座席15又は15'の一方の背もたれに投射するように構成された少なくとも1つの光源を含む。第1の光柱12によって放射される第1の光線は、第1の人工水平線として後述される、第1の線14に沿って第1の光柱12に直接隣接し、後方側面窓又は後部ドアパネル13上に投射し、第1の光柱12によって放射される第2の光線は、第2の人工水平線として後述される、第2の線16に沿って第1の光柱12に直接隣接し、前部座席15の背もたれ上に投射する。同様に、第2の光柱12'によって放出される第1の光線は、第1の人工水平線と後述される、第1の線14'に沿って第2の光柱12'に直接隣接する後部横窓又は後部ドアパネル(図示せず)上に投射され、第2の光柱12'によって放出された第2の光線は、第2の人工水平線と後述される、第2の線16'に沿って第2の光柱12'に直接隣接する前部座席15'の背もたれ上に投射される。この構成では、第1及び第2の人工水平線は、互いに垂直又は略垂直である。
【0034】
したがって、光源を適切に駆動することによって、第1及び第2の人工水平線14,16及び14',16'を、常に重力ベクトルに垂直な水平面A内に整列させることができる。したがって、後部横窓13の隣で前部座席15の後ろに座り、前記人工水平線14,16をじっと見る人は、道路を見ている運転者と同じ視覚感覚を有することになり、したがって、もはや乗り物酔いにさらされないことになる。この結果を達成するために、自動車10は、3軸X、Y及びZに沿った自動車の加速度を検出し、対応する加速度信号を発するように構成された3軸加速度計と、この3軸加速度計によって発せられた加速度信号を受信し、第1及び第2の人工水平線14,16及び14',16'が、自動車の加速度にかかわらず、重力ベクトルに垂直な水平面Aに位置合わせされるように光源を駆動することができる制御ユニットとを備えると有利である。
【0035】
図1図1a、図1b、図3図6図3a~図6a及び図3bから図6bは、いくつかの可能な走行状態及び本発明の自動車に取り付けられた加速度病抑制装置の対応する動作を示す。
【0036】
このように、自動車10が平坦な道路を移動する場合には、図1a及び図1bに示すように、原理的に加速度の対象とならない。この場合、人工水平線14,16,14',16'によって規定される平面Aは、自動車のフロアパンPと平行である。
【0037】
自動車10が固定水平面Hに対して左に傾斜した道路を走行している場合には、重力ベクトルに垂直に、図3a及び図3bに示すように、Y軸に沿った加速度を受ける。この加速度は、対応する加速度信号を制御ユニットに送信する、3軸加速度計によって検出される。この加速度信号に応じて、制御部は、第1及び第2の光柱12,12'の対応する光源を制御して、前記光源が出射する光線を固定水平面Hに揃えるようにしており、この場合、図3に示すように、人工水平線14,16,14',16'で定められる平面Aは、Y軸の高さで自動車のフロアパンPに対して傾斜している。
【0038】
また、自動車10が固定水平面Hに対して下方に傾斜した道路を走行している場合には、重力ベクトルに垂直に、図4a及び図4bに示すように、X軸に沿った加速度を受ける。この加速度は、制御ユニットに対応する加速度信号を送信する3軸加速度計によって検出される。この加速度信号に応じて、制御部は、第1及び第2の光柱12,12'の対応する光源を制御して、前記光源が出射する光線を固定水平面Hに揃えるようにしており、この場合、図4に示すように、人工水平線14,16,14',16'で規定される平面Aは、X軸の高さで自動車のフロアパンPに対して傾斜している。
【0039】
自動車10が、図5a及び図5bに示すように、重力ベクトルに垂直な固定水平面Hに対して左下がりに傾斜した道路を走行している場合、自動車10は、X軸及びY軸に沿った加速度を受ける。この加速度は、対応する加速度信号を制御ユニットに送信する、3軸加速度計によって検出される。この加速度信号に応じて、制御部は、第1及び第2の光柱12,12'の対応する光源を制御して、前記光源から出射される光線を固定水平面Hに揃えるようにしており、この場合、図5に示すように、人工水平線14,16,14',16'で定められる平面Aは、X,Y軸の高さで自動車のフロアパンPに対して傾斜している。
【0040】
自動車10が平坦な道路を走行して左折した場合、図6a及び図6bに示すように、Y軸に沿った加速度を受ける。この加速度は、対応する加速度信号を制御ユニットに送信する、3軸加速度計によって検出される。この加速度信号に応じて、制御部は、第1及び第2の光柱12,12'の対応する光源を制御して、前記光源から出射される光線を固定水平面Hに揃えるようにしており、この場合、図6に示すように、人工水平線14,16,14',16'で定められる平面Aは、Y軸の高さで自動車のフロアパンPに対して傾斜している。
【0041】
光柱12,12'の各々からの光線は、2つの別個の光源によって、又は主光線を放出する単一の光源によって生成されてもよく、前記主光線は、続いて分離及び偏向手段によって2つの二次光線に分離及び偏向される。前記分離及び偏向手段は、例えば、光線を2つの二次光線に分離するように意図されたプリズムと、前記二次光線の経路を修正するように意図されたミラー及び/又はレンズの組合せとからなってもよい。
【0042】
光源は、固定された水平面に対する人工水平線14,16及び14',16'の高さを変更するように、光柱12,12'の各々に沿って有利に変位させることができる。従って、図2に示すように、第1の光柱12に沿った光源(複数可)の位置は、例えば、第2の光柱12'に沿った光源(複数可)の位置よりも高くすることができる。この構成は、左後部座席17に座っている人が右後部座席17'に座っている人よりも背が高い場合に特に適している。光柱12,12'に沿った光源の位置のこの変更は、制御ユニットによって制御される変位手段を用いて、また、図2aに例示されているように例えばダッシュボード18内に、又は図2bに例示されているように自動車の中央直立部材(複数可)11,11'内に統合することができるコマンドインタフェース19によって、自動車の乗客のうちの1人によって手動で入力されたコマンドに応答して行うことができる。このレベルで使用可能なコマンドインタフェースは、容量性型の検出手段に機能的にリンクされた外面を備えることができ、前記検出手段は、前記外面上の指の接触を検出し、対応する信号を制御ユニットに送信することができる。別の可能な構成では、光柱12,12'のうちの1つに沿った光源の変位は、光柱に最も近接して座った人の少なくとも1つの物理的パラメータ、特に眼の大きさ又は位置を検出するように構成されたセンサによって放射される信号に応答して、自動的に実行することができる。センサは、例えば、図2cに示すように、カメラ21、超音波センサ、高周波センサ、又は自動車座席のうちの1つに一体化された重量測定センサであってもよい。
【0043】
図7を参照すると、本発明の第2の実施形態による自動車の乗客室が示されている。この実施形態では、加速度病抑制装置は、自動車の後部に着座した乗客の視野に対して左側に配置された中央直立部材11によって支持され、自動車の後部に着座した乗客の視野に対して左側に配置された第1の光柱12と、自動車の後部に着座した乗客の視野に対して右側に配置され、別の中央直立部材11'によって支持され、自動車の後部に着座した乗客の視野に対して左側に配置された第2の光柱12'と、後部横窓又は後部ドアパネル13の一部をなす側方直立部材11''によって支持され、自動車の後部に着座した乗客の視野に対して左側に配置された第3の光柱12''とをそれぞれ備える。各光柱12,12',12''は、垂直方向に整列された複数の光源によって形成され、各光点は、活性状態で発光可能であり、非活性状態では発光しない。したがって、第1及び第3の光柱12,12''上の最高活性光点17,17''をそれぞれ通過する仮想的な直線によって第1の人工水平線14が形成され、第1及び第2の光柱12,12'上の最高活性光点17,17'を通過する仮想的な直線によって第2の人工水平線16が形成される。この構成では、第1及び第2の人工水平線14,16は、互いに垂直又は略垂直である。本発明の有利な変形例では、光柱12,12'及び12″の各々は、例えば、垂直に並ぶ発光ダイオードの線形網を備えることができ、発光ダイオードの各々は、光柱の光点のうちの1つを形成する。本発明の別の構成では、光点は、各光柱の頂部から始めて活性化することができる。この場合、第1の人工水平線14は、それぞれ第1及び第3の光柱12,12''上の最低活性化光点を通過する仮想直線によって形成され、第2の人工水平線16は、それぞれ第1及び第2の光柱12,12'上の最低活性化光点を通過する仮想直線によって形成される。さらに、自動車10は、後部横窓又は後部ドアパネルの一部を形成する側方直立部材によって支持され、自動車の後部に座っている乗客の視野に対して右側に支持される第4の光柱(図示せず)を有利に備えることができ、前記第4の光柱は、第2の光柱12'と組み合わせて、自動車の右側に第3の人工水平線14'を画定することを可能にする。
【0044】
このように第1、第2、第3の光柱12',12',12″の各発光ダイオードを適切に駆動することにより、第1、第2の人工水平線14,16を、常に重力ベクトルに垂直な水平面A内に整列させることができる。したがって、後部横窓又は後部ドアパネル13の隣で前部座席15の後ろに座り、前記人工水平線14,16をじっと見る人は、道路を見ている運転者と同じ視覚を有することになり、したがって、運転者はもはや乗り物酔いにさらされないことになる。図1の実施形態のように、発光ダイオードの駆動は、3軸加速度計と、加速度計が発する加速度信号を受け取ることができる制御ユニットとによって行われる。制御ユニットはまた、後部座席のうちの1つに座っている人に関する物理的パラメータに応じて、光の最高点又は最低点の高さを制御することができる。特に、乗客室内に配置されたセンサは、後部座席の1つに座っている人の少なくとも1つの物理的パラメータ、特に眼の大きさ又は位置を検出し、制御ユニットに対応する情報を送信するように構成されてもよい。センサによって送信された情報に応答して、制御ユニットは、例えば、センサによって以前に検出された、後ろに座っている人の眼の位置と整列するように、光柱のそれぞれの最高又は最低光点の高さを修正することができる。
【0045】
図7図11図7a~図11a及び図7b~図11bは、可能性のある導電のいくつかの条件及び自動車に取り付けられた発明の加速度病抑制装置の対応する動作を示す。
【0046】
このように、自動車10が平坦な道路を走行している場合には、図7a及び図7bに示すように、原則として加速度を受けない。この場合、人工水平線14,16によって規定される平面Aは、自動車のフロアパンPと平行である。
【0047】
自動車10が固定水平面Hに対して左に傾斜した道路を走行している場合には、重力ベクトルに垂直に、図8a及び図8bに示すように、Y軸に沿った加速度を受ける。この加速度は、制御ユニットに対応する信号加速度が送信する、3軸加速度計によって検出される。この加速度信号に応じて、制御部は、第1及び第2の人工水平線14,16を固定水平面Hに合わせるように第1、第2及び第3の光柱12,12',12''の発光ダイオードを制御する。この場合、図8に示すように、人工水平線で規定される面Aは、Y軸の高さで自動車のフロアパンPに対して傾斜している。
【0048】
自動車10が固定水平面Hに対して下方に傾斜した道路を走行している場合には、重力ベクトルに垂直に、図9a及び図9bに示すように、X軸に沿った加速度を受ける。この加速度は、対応する加速度信号を制御ユニットに送信する、3軸加速度計によって検出される。この加速度信号に応じて、制御部は、第1及び第2の人工水平線14,16を固定水平面Hに揃えるように、第1、第2及び第3の光柱12,12',12''の対応する発光ダイオードを制御する。この場合、図9に示すように、人工水平線によって規定される平面Aは、X軸の高さで自動車のフロアパンPに対して傾斜している。
【0049】
自動車10が、図10a及び図10bに示すように、重力ベクトルに垂直な固定水平面Hに対して左下がりに傾斜した道路を走行している場合、自動車10は、X軸及びY軸に沿った加速度を受ける。この加速度は、対応する加速度信号を制御ユニットに送信する、3軸加速度計によって検出される。この加速度信号に応じて、制御部は、第1及び第2の人工水平線14,16を固定水平面Hに整列させるように、第1、第2及び第3の光柱12,12',12''の対応する発光ダイオードを制御する。この場合、図10に示すように、人工水平線によって規定される平面Aは、図10に示すように、軸X,Yの高さで自動車のフロアパンPに対して傾斜している。
【0050】
自動車10が平坦な道路を走行し、左折する場合には、図11a及び図11bに示すように、Y軸に沿った加速度を受ける。この加速度は、対応する加速度信号を制御ユニットに送信する、3軸加速度計によって検出される。この加速度信号に応じて、制御部は、第1及び第2の人工水平線14,16を固定水平面Hに揃えるように、第1、第2及び第3の光柱12,12',12''の対応する発光ダイオードを制御する。この場合、図11に示すように、人工水平線によって規定される平面Aは、Y軸の高さで自動車のフロアパンPに対して傾斜している。
【0051】
上述の2つの実施形態は、明らかに本発明を限定するものではない。他の実施形態は、このレベルで想定することができる。
【0052】
さらに、本発明はまた、加速度病に対処することを意図した光マーカを表示するための方法を保護することを目的とする。この方法は、特に、以下の工程を含むことができる。
【0053】
3軸に沿った自動車の加速度の検出、特に3軸加速度計による検出、及び対応する信号の制御ユニットへの送信工程と、
自動車に座っている人に関する物理的パラメータを検出し、対応する信号を制御ユニットに送る工程と、
自動車の第1の内面の高さで少なくとも1つの第1の人工水平線を形成することができる光マーカと、自動車の第2の内面の高さで少なくとも1つの第2の人工水平線とを形成することができる光マーカとを表示する手段を制御ユニットにより駆動する工程と、前記第1及び第2の人工水平線は、互いに垂直又は実質的に垂直であり、その結果、前記第1及び第2の人工水平線は、自動車の加速度にかかわらず、重力ベクトルに垂直な水平面に整列され、前記重力ベクトルに平行な方向に沿った前記水平面の位置は、検出された物理的パラメータに従って変化することができる。
図1
図1a
図1b
図2
図2a
図2b
図2c
図3
図3a
図3b
図4
図4a
図4b
図5
図5a
図5b
図6
図6a
図6b
図7
図7a
図7b
図8
図8a
図8b
図9
図9a
図9b
図10
図10a
図10b
図11
図11a
図11b
【国際調査報告】