(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-13
(54)【発明の名称】調整可能な表面特性を備えた光重合性レリーフ前駆体
(51)【国際特許分類】
G03F 7/00 20060101AFI20230206BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20230206BHJP
G03F 7/031 20060101ALI20230206BHJP
G03F 7/029 20060101ALI20230206BHJP
G03F 7/075 20060101ALI20230206BHJP
B41N 1/00 20060101ALI20230206BHJP
B41C 1/00 20060101ALI20230206BHJP
【FI】
G03F7/00 502
G03F7/004 504
G03F7/004 501
G03F7/031
G03F7/029
G03F7/075 511
B41N1/00
B41C1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022536669
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(85)【翻訳文提出日】2022-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2020086029
(87)【国際公開番号】W WO2021116496
(87)【国際公開日】2021-06-17
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522235674
【氏名又は名称】エックスエスワイエス・ジャーマニー・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】XSYS GERMANY GMBH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1,77731 WILLSTATT,GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・バイエル
(72)【発明者】
【氏名】アルミン・ベッカー
(72)【発明者】
【氏名】トーベン・ヴェンドランド
(72)【発明者】
【氏名】イザベル・シュレーゲル
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ジェイ・フロンチキエビッチ
(72)【発明者】
【氏名】アンヤ・ヴンドリング
【テーマコード(参考)】
2H084
2H114
2H196
2H225
【Fターム(参考)】
2H084AA14
2H084BB05
2H084CC01
2H084CC03
2H114AA00
2H114AA02
2H114BA02
2H114DA04
2H114DA25
2H114DA45
2H114DA46
2H114DA52
2H114DA55
2H114DA56
2H114DA57
2H114DA61
2H114EA02
2H196AA03
2H196BA05
2H196EA02
2H196FA02
2H196FA10
2H225AC15
2H225AC21
2H225AC58
2H225AC59
2H225AD02
2H225AD05
2H225AN02P
2H225AN41P
2H225AN51P
2H225CA02
2H225CB02
2H225CC01
2H225CC13
2H225CD06
(57)【要約】
以下を含む、光重合性レリーフ前駆体:(A)寸法的に安定したキャリア、(B)少なくとも、架橋可能なエラストマーバインダー、エチレン性不飽和モノマー、移動可能な表面活性添加剤、UVA光で活性化可能な光開始剤及びUVC光で活性化可能な光開始剤を含む光重合性レリーフ形成層。本発明はさらに、レリーフ構造を製造するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、光重合性レリーフ前駆体:
(A)寸法的に安定したキャリア、
(B)少なくとも、架橋可能なエラストマーバインダー、エチレン性不飽和モノマー、移動可能な表面活性添加剤、UVA光で活性化可能な光開始剤及びUVC光で活性化可能な光開始剤を含む光重合性レリーフ形成層。
【請求項2】
前記移動可能な表面活性添加剤は、イオン性又は非イオン性界面活性剤、長鎖炭化水素、ワックス、特にパラフィンワックス、有機ケイ素化合物、特にシリコン油、シランとシロキサン、又はそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の光重合性レリーフ前駆体。
【請求項3】
前記移動可能な表面活性添加剤はパラフィンワックスであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光重合性レリーフ前駆体。
【請求項4】
前記移動可能な表面活性添加剤は、ポリシロキサンポリエステルアクリレートであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光重合性レリーフ前駆体。
【請求項5】
前記UVA光で活性化可能な光開始剤は、ベンジルケタール、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、アミノフェニルケトン、フェニルオキシムエステル及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の光重合性レリーフ前駆体。
【請求項6】
前記UVC光で活性化可能な光開始剤は、ヒドロキシフェニルケトン、ギ酸ベンゾイル、ベンゾフェノン、アリールアルキルケトン、アリールベンジルケトン及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の光重合性レリーフ前駆体。
【請求項7】
前記UVA光で活性化可能な光開始剤は、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ベンジルジメチルケタール及びベンジルジエチルケタールからなる群から選択され、前記UVC光で活性化可能な光開始剤は、オキシフェニル酢酸2-[2-オキソ-2-フェニルアセトキシ-エトキシ]エチルエステル、オキシフェニル酢酸2-[2-ヒドロキシエトキシ]エチルエステル、ギ酸メチルベンゾイル、p-トリルウンデシルケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項5又は6に記載の光重合性レリーフ前駆体。
【請求項8】
前記光重合性レリーフ形成層は、光重合性レリーフ形成層の重量に基づいて、前記移動可能な表面活性添加剤を、0.1~10重量%、好ましくは0.2~5重量%、より好ましくは0.5~1.5重量%の量で含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の光重合性レリーフ前駆体。
【請求項9】
前記光重合性レリーフ形成層は、光重合性レリーフ形成層の重量に基づいて、前記UVA光で活性化可能な光開始剤を、0.5~20重量%、好ましくは0.5~15重量%、より好ましくは0.5~10重量%、非常に好ましくは0.5~6重量%の量で含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の光重合性レリーフ前駆体。
【請求項10】
前記光重合性レリーフ形成層は、光重合性レリーフ形成層の重量に基づいて、前記UVC光で活性化可能な光開始剤を、0.1~20重量%、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは0.5~5重量%、非常に好ましくは0.25~3重量%の濃度で含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の光重合性レリーフ前駆体。
【請求項11】
前記UVA光で活性化可能な光開始剤と前記UVC光で活性化可能な光開始剤との質量比は、0.1~50、好ましくは0.5~40、より好ましくは0.5~30、非常に好ましくは0.5~15であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の光重合性レリーフ前駆体。
【請求項12】
次のステップを含むレリーフ構造の製造方法:
(i)少なくとも1つの移動可能な表面活性添加剤を含む光重合性レリーフ前駆体の提供、
(ii)前記光重合性レリーフ形成層の上へのマスクの適用、又は構造化されたマスク層の生成、
(iii)任意選択で、キャリア層を介した電磁放射への裏面の露光、
(iv-a)前記マスク又は前記マスク層を介した電磁放射への光重合性レリーフ形成層の露光、
(v)前記マスク又は前記マスク層、存在する場合にはさらなる層、及びステップ(iv)で露光されていないレリーフ形成層の非光重合領域の除去、それにより、レリーフを生成し、
(vi)任意選択で、レリーフの乾燥、
(vii)前記キャリア層とは反対側からの前記レリーフの、315~380nmの波長範囲のUVA光及び/又は200~280nmの波長範囲のUVC光への再露光、それにより、前記レリーフの表面特性を調整するために、前記レリーフが再架橋され、前記移動可能な表面活性添加剤の透過性が調整され、
(viii)任意選択で、さらなる処理ステップ。
【請求項13】
次のステップを含むレリーフ構造の製造方法:
(i)少なくとも1つの移動可能な表面活性添加剤を含む光重合性レリーフ前駆体の提供、
(iii)任意選択で、キャリア層を介した電磁放射への裏面の露光、
(iv-b)前記光重合性レリーフ形成層の電磁放射への画像露光、
(v)存在する場合にはさらなる層、及びステップ(iv)で露光されていないレリーフ形成層の非光重合領域の除去、したがってレリーフを生成し、
(vi)任意選択で、レリーフの乾燥、
(vii)前記キャリア層とは反対側からの前記レリーフの、315~380nmの波長範囲のUVA光及び/又は200~280nmの波長範囲のUVC光への再露光、それにより、前記レリーフの表面特性を調整するために、前記レリーフが再架橋され、前記移動可能な表面活性添加剤の透過性が調整され、
(viii)任意選択で、さらなる処理ステップ。
【請求項14】
ステップ(vii)では、UVA光とUVC光への再露光が行われ、それによって、UVA光とUVC光への再露光が同時に、連続して、又は交互に行われることを特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
再露光条件は、印刷インクのために前記レリーフの表面特性を調整するために、印刷インクのタイプの関数として調整されることを特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項16】
再露光条件を選択することにより、印刷版が溶剤ベースのインク、水性インク、又はUV硬化インクでの印刷に適するように表面特性を調整できることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
最適化されたレリーフ構造を製造するための、請求項12~16のいずれか1項に記載の方法であって、前記方法はステップ(i)から(viii)で複数回実行され、それによって、ステップ(vi)において、UVA光及び/又はUVC光への再露光は、レリーフの表面特性を最適化するために、UVA及びUVCの再露光ステップの線量及び/又は時系列シーケンスに関して変化することを特徴とする方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの移動可能な表面活性添加剤の移動は、再露光ステップの露光パラメータの選択によって制御されることを特徴とする、請求項12~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
100~30,000mJ/cm2、好ましくは100~20,000mJ/cm2、より好ましくは100~7,000mJ/cm2、非常に好ましくは500~7,000mJ/cm2のUVA光への再露光があることを特徴とする、請求項12~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
100~20,000mJ/cm2、好ましくは100~20,000mJ/cm2、より好ましくは100~8,000mJ/cm2、非常に好ましくは500~8,000mJ/cm2のUVC光への再露光があることを特徴とする、請求項12~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
UVA対UVC光の線量の比(DUVA/DUVC)は、0.2より大きく、好ましくは0.4より大きく、より好ましくは0.6より大きく、非常に好ましくは0.8より大きいことを特徴とする、請求項12~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
UVC光への露光は、浸透の深さが浅いため、層の表面をシールし、UVA光への露光は層全体のより強い架橋を確実にすることを特徴とする、請求項12~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
請求項12~22のいずれか1項に記載の方法を使用して得られるレリーフ構造。
【請求項24】
パッド印刷版、フレキソ印刷版、活版印刷版、グラビア版、マイクロ流体コンポーネント、マイクロリアクター、フォレティックセル、フォトニック結晶又は光学コンポーネントとしての、請求項23に記載のレリーフ構造の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光条件によって調整することができる表面特性を有する光重合性レリーフ前駆体、レリーフ前駆体からレリーフ構造を生成するための方法、レリーフ構造自体及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
溶媒ベースのインクを使用して印刷するには、画面ドット間の間質スペースにインクが流れるのを防ぐために、インク補充表面を印刷版にする必要がある。これは通常、印刷面の表面張力を低下させるレリーフ層に移動可能な表面活性添加剤(MSA)が存在することで実現される。ただし、この添加剤の存在は、UV硬化インク又は水性インクで印刷する場合に問題になり得る。これは、例えば、固体領域でのインクの転写が不十分になるためである。したがって、溶剤ベースのインク、UV硬化インク、又は水性インクを使用した印刷には、さまざまな印刷版が使用される。そのような印刷版の例は、欧州特許出願公開第1014194号明細書に示されているが、そのような印刷版は、特定のタイプの溶剤ベースのインクにのみ適している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、同じ印刷版を異なる用途分野に普遍的に使用できるように、その表面特性を露光パラメータによって調整できるように「切り替え可能」である印刷版を提供することである。溶剤ベースのインクで印刷する印刷版の要件は、UV硬化又は水性インクで印刷する印刷版の要件とは異なる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、以下を含む光重合性レリーフ前駆体で達成される:
(A)寸法的に安定したキャリア、
(B)少なくとも、架橋可能なエラストマーバインダー、エチレン性不飽和モノマー、移動可能な表面活性添加剤、UVA光で活性化可能な光開始剤及びUVC光で活性化可能な光開始剤を含む光重合性レリーフ形成層。
【発明の効果】
【0005】
本発明によるレリーフ前駆体は、露光パラメータの選択を通じて、MSAの表面への移動を制御することを可能にする。MSAは、レリーフ層の表面に拡散し、それによってこの表面を疎水性にする傾向があると想定されている。より深い浸透深さへのUVA光への露光は、レリーフ層全体のより大きな架橋を確実にし、レリーフ全体を安定させる。UVC光にさらされると、光活性層への浸透の深さが浅くなり、まだ存在しているモノマーとポリマーの優れた再架橋が保証される。これにより、MSAのレリーフの表面への移動が減少又は防止され、より親水性の高い表面になる。これにより、親水性の印刷インクで印刷領域を濡らすことができる。UVC露光は、製剤成分の酸化も引き起こす可能性があり、極性基と親水性基の形成につながる。
【0006】
印刷版として使用される本発明によるレリーフ前駆体は、とりわけ、以下の利点を実現することを可能にする。
【0007】
表面特性は、印刷中のスクリーンドット間の隙間への溶剤ベースのインクの流入が防止又は低減されるように調整することができる。これにより、プレートのクリーニングが必要になるまでの印刷時間が長くなる。
【0008】
表面の特性を調整することにより、表面の粘着性、したがって表面にほこりや汚れが蓄積する傾向を減らすことができる。
【0009】
印刷版が溶剤ベースのインク、水性インク又はUV硬化インクでの印刷に適するように、再露光条件を選択することで表面特性を調整できるという点で、同じ印刷版を使用して、さまざまな種類の印刷インクで印刷できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】さまざまな再露光時間の日数の関数としての光沢単位(GU)での光沢の変化を示す。
【
図2】さまざまな再露光時間の日数の関数としての光沢単位(GU)での光沢の変化を示す。
【
図3】さまざまな再露光時間の日数の関数としての光沢単位(GU)での光沢の変化を示す。
【
図4】所定の再露光時間での7日後の719及び729cm
-1でのIRバンドの積分を示す。
【
図5】所定の再露光時間での7日後の719及び729cm
-1でのIRバンドの積分を示す。
【
図6】所定の再露光時間での7日後の719及び729cm
-1でのIRバンドの積分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
任意選択でさらなる層を持つことができる寸法的に安定なキャリア材料は、寸法的に安定なキャリア(A)として使用することができる。適切な寸法安定性のあるキャリアの例は、プレート、フィルム、円錐形及び円筒形の、鋼、アルミニウム、銅、ニッケルなどの金属製、又は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネートなどのプラスチック製、又は、ガラス繊維織物などの織布と不織布(若しくはガラス繊維とプラスチックから作られた複合材料)製のスリーブである。特に適切な寸法安定性キャリアは、寸法安定性キャリアフィルム又は金属シートであり、例えば、ポリエチレンフィルム又はポリエステルフィルム、鋼板又はアルミニウムシートである。これらのキャリアフィルムは、一般に50~1100μm、好ましくは75~400μm、例えば約250μmの厚さを有する。プラスチックフィルムを使用する場合、その厚さは100~200μm、好ましくは125~175μmの範囲である。キャリア材料として鋼を使用する場合は、厚さ0.05~0.3mmの鋼板が好ましい。腐食を防ぐために、錫メッキ鋼板が好適である。これらのキャリアフィルム又はキャリアシートは、基板層に面するキャリアフィルムの側に、薄い接着促進層、例えば、0.05~5μmの厚さの層でコーティングすることができる。この接着層は、例えば、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、及び多機能イソシアネートの混合物から構成され得る。
【0012】
これらのキャリアフィルム又はキャリアシートは、すでに薄い接着促進層(AH)を備えているか、又はそれを設けることができる。接着層には、例えば、層の厚さが0.5~50μm、特に2~30μmのポリイソシアネート架橋ポリエーテルワニス又はポリエステルワニスに基づく、ポリウレタン接着ワニス(例えば、独国特許出願公開第3045516号明細書に準拠)を使用することが可能である。
【0013】
接着層のキャリア層と反対側に、追加の接着促進中間層(AH)があり得る。これらの層の厚さは0.1~50、特に1~10μmであり、例えば、乾燥及びベーキングを伴う、部分的に(例えば、最大80モル%)加水分解されたポリビニルエステル、フェニルグリセリルエーテルモノアクリレート及びグリオキサールの希釈された水性アルコール溶液から得ることができる。
【0014】
接着促進層又は中間層は、個々の層間の接着を高め、層構造を安定させることを目的とする。これには、両方の層との相互作用を確立できる材料の選択が必要である。その好ましい例は、界面活性剤、疎水性と親水性領域を有する両親媒性分子及びブロックコポリマー、ならびに両方の層又は層中のポリマーと相容性のあるブロックを含むオリゴマーである。寸法安定性のあるキャリア(A)とレリーフ形成層(B)の間の接着力は、剥離角度90°、剥離速度30mm/minの剥離試験で測定した場合、0.5N/cmを超える必要がある。
【0015】
レリーフ前駆体は、少なくとも1つの光重合性のレリーフ形成層(B)を含む。光重合性のレリーフ形成層は、キャリアに直接塗布することができる。しかしながら、キャリアとレリーフ形成層との間に、接着層又は弾性又は圧縮性下層などの他の層が存在し得る。
【0016】
レリーフ形成層(B)はまた、複数の層からなり得、その場合、それは、一般に、2~30層、好ましくは2~5層、より好ましくは2~3層、そして非常に好ましくは2層を含む。層は、同じ構成要素又は異なる構成要素を、同じ又は異なる比率で含むことができる。好ましくは、これらの層は同じ構成要素を含む。好ましくは、キャリア層に最も近いレリーフ形成層は、すでに固定され、架橋され、及び/又は反応されている。これらの固定された、架橋された、及び/又は反応された層上に、レリーフ形成層が配置され、これも、固定又は架橋され、又は反応し得る。
【0017】
当業者は、フレキソ印刷要素のレリーフ形成層を製造するためのエラストマーバインダーを知っている。例としては、スチレン-ジエンブロック共重合体、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチロール-ブタジエンゴム、ニトリル-ブタジエンゴム、ブチルゴム、スチレン-イソプレンゴム、スチレン-ブタジエン-イソプレンゴム、ポリノルボルネンゴム又はエチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)が含まれる。疎水性バインダーの使用が優先される。このようなバインダーは、有機溶媒又はそれらの混合物に可溶である。
【0018】
好ましくは、エラストマーは、アルケニル芳香族化合物と1,3-ジエンとの熱可塑性エラストマーブロックコポリマーである。ブロックコポリマーは、線状、分岐状又は放射状のいずれかのブロックコポリマーであり得る。通常、それらはタイプA-B-Aのトリブロックコポリマーであるが、タイプA-Bのジブロックポリマー、又は複数のエラストマーブロックと熱可塑性ブロックが交互になっているもの、例えばA-B-A-B-Aもあり得る。2つ以上の異なるブロックコポリマーの混合物を使用することもできる。市販のトリブロックコポリマーは、特定の割合のジブロックコポリマーを含むことが多い。ジエンユニットは、1,2又は1,4にリンクできる。スチレン-ブタジエン又はスチレン-イソプレンタイプのブロックコポリマーとスチレン-ブタジエン-イソプレンタイプのブロックコポリマーの両方を使用することができる。これらは、例えば、Kraton(登録商標)という名前で市販されている。スチレンの末端ブロックと統計的スチレン-ブタジエン中間ブロックを備えた熱可塑性エラストマーブロックコポリマーも使用できる。ブロックコポリマーはまた、SEBSゴムのように、完全に又は部分的に水素化され得る。好ましいエラストマーバインダーは、タイプA-B-Aのトリブロックコポリマー又はタイプ(AB)nのラジアルブロックコポリマー(Aはスチレン、Bはジエン)、及びスチレンとジエンの統計的共重合体とランダム共重合体である。
【0019】
本発明の好ましい実施形態において、熱可塑性エラストマーバインダーは、少なくとも1つのスチレン-イソプレンブロックコポリマー、特にスチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーを含み、それにより、ポリマーはまた、ある割合のジブロックスチレン-イソプレンコポリマーを含み得る。スチレン-イソプレンタイプの好ましいバインダーは、一般に、10~30重量%、好ましくは12~28重量%、より好ましくは13~25重量%のスチレンを含む。さらなる実施形態において、バインダーは、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)ブロックコポリマーである。好ましいSBSポリマーは、一般に、20~35重量%、好ましくは22~33重量%、より好ましくは24~31重量%のスチレンを含む。これらのブロック共重合体は、一般に、平均分子量MW(重量平均)が100,000~300,000g/molである。もちろん、異なるスチレン-イソプレンブロックコポリマー又はスチレン-ブタジエンブロックコポリマーの混合物を使用することもできる。
【0020】
本発明の第2の実施形態では、放射状イソプレン-スチレンブロックコポリマーを優先的に使用することができる。ポリイソプレンブロック内のイソプレン及び/又はブタジエンユニットは、1,4に結合して、残りの二重結合が鎖内に配置されているか、又は3,4に結合して、残りの二重結合がペンダントに配置されている場合がある。本質的に1,4結合を有するブロックコポリマー、及び3,4結合の特定の比率を有するバインダーを使用することができる。3,4-結合単位を有するバインダー中のペンダントビニル基は、好ましくは、光重合性層の架橋の過程で反応し、その結果、高い架橋度を有するプレートを生成することができる。例えば、ビニル基含有量が20~70%のブロック共重合体を使用することができる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態では、10%未満のビニル基含有量を有するラジアルスチレン-イソプレンコポリマーを使用することができる。本発明の第2の好ましい実施形態では、2つの異なるスチレン-イソプレンブロックコポリマーの混合物が使用される。好ましくは、それらのうちの1つは、少なくとも20%、特に20~70%、好ましくは25~45%のビニル基含有量を有する。もう一方は、ビニル基の含有量が低く、例えば10%未満であり得る。また、好ましくは、2つのスチレン-イソプレンコポリマーの混合物を使用することができ、そのうちの1つは40重量%を超える高いジブロック画分を有し、他方は30重量%未満のより低いジブロック画分を有する。上記の熱可塑性エラストマーブロックコポリマー、特にスチレン-イソプレンブロックコポリマーに加えて、光重合性層はまた、ブロックコポリマーとは異なるさらなるエラストマーバインダーを含み得る。二次バインダーとも呼ばれるこのような追加のバインダーは、光重合性層の特性を変更することを可能にする。ビニルトルエン-α-メチルスチレン共重合体は、二次バインダーの例である。一般に、そのような二次バインダーの量は、使用されるすべてのバインダーの合計量に基づいて、25重量%を超えてはならない。好ましくは、そのような二次バインダーの量は、15重量%を超えない、より好ましくは10重量%を超えない。バインダーの総量は、一般に、レリーフ形成層のすべての構成要素の合計に基づいて30~90重量%、好ましくは40~85重量%、より好ましくは60~85重量%である。
【0022】
水性で現像することができるレリーフ前駆体の場合、水溶性、膨潤性、分散性又は乳化性ポリマーが使用される。完全に又は部分的に加水分解されるポリ酢酸ビニルに加えて、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリウレタン、ポリアミド(欧州特許出願公開第0085472号明細書又は独国特許出願公開第1522444号明細書に記載されているものなど)及びそれらの任意の組み合わせを使用することができる。このようなポリマーの例は、欧州特許出願公開第0079514号明細書、欧州特許出願公開第0224164号明細書、又は欧州特許出願公開第0059988号明細書に記載されている。これらのポリマーは、線状、分岐状、星型、樹枝状のいずれでもよく、ホモポリマー、統計的コポリマー、ブロックコポリマー、又は交互コポリマーとして存在し得る。非常に多くの場合、記載されたポリマーは、溶解度を増加させ、及び/又は架橋反応に関与することができる官能基を備えている。これらの基には、例えば、カルボキシル、SO3、OH、チオール、エチレン性不飽和、(メタ)アクリレート及びエポキシド基、ならびにそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0023】
レリーフ形成層(B)の場合、バインダーの総量は、一般に、レリーフ形成層の全成分の合計に基づいて、一般に30~90重量%、好ましくは40~85重量%、より好ましくは45~85重量%である。
【0024】
レリーフ形成層(B)は、以下からなる群から選択されるさらなる成分を含み得る:可塑剤、溶剤、その他のバインダー、着色剤、安定剤、調整剤、UV吸収剤、分散助剤、架橋剤、粘度調整剤、界面活性剤及びそれらの任意の組み合わせ。これらの添加剤、補助剤及びアジュバントは、放射線感受性混合物に、配合物全体に基づいて、0.001~60重量%の範囲、好ましくは0.01~50重量%の範囲、より好ましくは0.1~50重量%の範囲、そして非常に好ましくは1~50重量%の範囲での全体的な濃度で含まれる。個々の添加剤は、配合物全体に基づいて0.001~40重量%の濃度、好ましくは0.01~40重量%の範囲、より好ましくは0.1~40重量%の範囲、そして非常に好ましくは0.1~35重量%の範囲で含まれる。
【0025】
光重合性レリーフ形成層(B)はまた、既知の方法で、バインダー又は複数のバインダーと適合性のある少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを含む。エチレン性不飽和モノマーはまた、2つ以上の異なるモノマーの混合物であり得る。適切な化合物は、少なくとも1つのオレフィン性二重結合を有し、重合可能である。したがって、それらは以下ではモノマーと呼ばれる。特に有利であることが確認されたモノマーは、単官能性又は多官能性アルコールを有するアクリル酸又はメタクリル酸のエステル又はアミド、アミン、アミノアルコール又はヒドロキシエーテル及びエステル、フマル酸又はマレイン酸のエステル、ビニルエーテル、ビニルエステル及びアリル化合物である。
【0026】
一般に、これらのモノマーは室温では気体の化合物ではない。好ましくは、エチレン性不飽和モノマーは、少なくとも2つのエチレン性不飽和基、より好ましくは2~10個のエチレン性不飽和基、そして非常に好ましくは2~6個のエチレン性不飽和基を含む。C-C三重結合を有する化合物もまた、放射線感受性混合物に使用され得る。好ましくは、エチレン性不飽和基は、少なくともアクリレート及び/又はメタクリレート基であるが、スチレン誘導体、アクリルアミド、ビニルエステル及びビニルエーテルもまた使用され得る。エチレン性不飽和モノマーは、一般に600g/mol未満、好ましくは450g/mol未満、より好ましくは400g/mol未満、非常に好ましくは350g/mol未満、特に300g/mol未満の分子量を有する。
【0027】
可能なものは、特に、一価又は多価アルコールとのエステルなどのアクリル酸又はメタクリル酸の誘導体、例えば、1~20個の炭素原子を有するアルカノールのアクリル酸又はメタクリル酸エステル(メチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートなど)、2~20個の炭素原子を有する多価アルコールの(メタ)アクリルエステル、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリボルジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、ジ-、トリ-及びテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート又はペンタエリスリットテトラ(メタ)アクリレート、またポリ(エチレンオキシド)ジ(メタ)アクリレート、m-メチルポリ-(エチレンオキシド)-イル-(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルアクリレート、1モルのグリセリン、1モルのエピクロロヒドリン、3モルのアクリル酸とグリシジルメタクリレートからの反応生成物及びビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリレートを含む。
【0028】
アクリルアミド及びメタクリルアミドの誘導体、例えば、それらのN-メチロール誘導体と一価及び多価アルコール(例えばエチレングリコール、グリセリン、1,1,1-トリメチロールプロパン、オリゴマー又はポリマーのエチレンオキシド誘導体)とのエーテルも適切である。これらは、ポリアミド又はポリビニルアルコールがバインダーとして使用される場合に特に適している。
【0029】
エポキシ及びウレタン(メタ)アクリレートとして知られているもの、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応、あるいは、ジイソシネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又はポリエステル若しくはヒドロキシル基を含むポリエーテルとの反応によって得られるものも適している。使用できる他のオレフィン的に不飽和の化合物には、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル、特に、蒸気圧が低いもの、及び相溶化剤によって、例えば、ヒドロキシル、アミド、スルホン化エステル又はスルホンアミド基で修飾されているものが含まれる。上記の共重合可能なエチレン性不飽和有機化合物の混合物を使用することもできる。
【0030】
好ましいエチレン性不飽和モノマーは、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、ジ-、トリ-及びテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリットテトラ(メタ)アクリレートである。
【0031】
一実施形態では、エチレン性不飽和モノマーは、配合物全体に基づいて、0.5~60重量%の範囲、好ましくは1~50重量%の範囲、より好ましくは1~40重量%の範囲、非常に好ましくは2~40重量%の範囲の濃度で含まれる。
【0032】
光重合可能なレリーフ形成層には、移動可能な表面活性添加剤も含まれる。
【0033】
好ましい移動可能で表面活性な添加剤は、イオン性又は非イオン性界面活性剤、長鎖炭化水素、ワックス、特にパラフィンワックス、有機ケイ素化合物、特にシリコン油、シランとシロキサン、又はそれらの混合物からなる群から選択される。特に適切な有機ケイ素化合物は、ポリシロキサン(メタ)アクリレート、ポリシロキサンアミン、ビニル末端ポリシラン及びポリシロキサン、ポリエーテルポリシロキサン及びそれらの混合物である。上記のクラスの化合物の例は、次の商品名で入手できる:Polyvest ST-E100、Silico Glide T-41、Silico Glide T-57、AFCONA-3700、Silicon F.1000、Silicon F.60000、Rad2010、Rad2200N、Rad2300、Rad2500、Rad2700、Rad2800、Miramer SIU2400、X-22-2445、X-22-174BX、KBM-5103、X-22-161B、KF-8010、Silmer OH ACR C50、Silmer OH ACR Di-400、Silmer ACR Di-10、Silmer OH ACR D4、AFCONA-3835及びSartomer CN9800。
【0034】
1つの好ましい実施形態では、移動可能な表面活性添加剤はパラフィンワックスである。鎖長が15個のC原子を超える、より好ましくは20個のC原子を超える、非常に好ましくは30個のC原子を超える分岐及び/又は非分岐パラフィンワックスが好ましい。20~40個のC原子の領域の鎖長も好ましい。
【0035】
光重合性レリーフ形成層はまた、UVA光で活性化可能な光開始剤及びUVC光で活性化可能な光開始剤を含む。
【0036】
UVA光で活性化可能な好ましい光開始剤は、ベンジルケタール、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、アミノフェニルケトン、フェニルオキシムエステル及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0037】
UVC光で活性化可能な好ましい光開始剤は、ヒドロキシフェニルケトン、ギ酸ベンゾイル、ベンゾフェノン、アリールアルキルケトン、アリールベンジルケトン及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0038】
1つの特に好ましい実施形態において、UVA光で活性化可能な光開始剤は、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ベンジルジメチルケタール及びベンジルジエチルケタールからなる群から選択され、UVC光で活性化可能な光開始剤は、オキシフェニル酢酸2-[2-オキソ-2-フェニルアセトキシ-エトキシ]エチルエステル、オキシフェニル酢酸2-[2-ヒドロキシエトキシ]エチルエステル、ギ酸メチルベンゾイル、p-トリルウンデシルケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0039】
移動可能な表面活性添加剤は、一般に、光重合性レリーフ形成層において、光重合性レリーフ形成層の重量に基づいて、0.1~10重量%、好ましくは0.2~5重量%、より好ましくは0.5~1.5重量%の量で含まれる。
【0040】
UVA光で活性化可能な光開始剤は、一般に、光重合性レリーフ形成層において、光重合性レリーフ形成層の総重量に基づいて、0.5~20重量%、好ましくは0.5~15重量%、より好ましくは0.5~10重量%、非常に好ましくは0.5~6重量%の量で含まれる。
【0041】
UVC光で活性化可能な光開始剤は、一般に、光重合性レリーフ形成層において、光重合性レリーフ形成層の総重量に基づいて、0.1~20重量%、好ましくは0.1~10重量%、より好ましくは0.5~5重量%、非常に好ましくは0.25~3重量%の濃度で含まれる。
【0042】
一般に、UVA光で活性化可能な光開始剤とUVC光で活性化可能な光開始剤との質量比は、0.1~50、好ましくは0.5~40、より好ましくは0.5~30、そして非常に好ましくは0.5~15である。
【0043】
一般に、UVA光で活性化可能な光開始剤の量と、移動可能な表面活性添加剤との比は、0.01~10、好ましくは0.1~5、より好ましくは0.1~3である。
【0044】
本発明による光重合性レリーフ前駆体は、以下からなる群から選択される1つ又は複数のさらなる層を示し得る:キャリア層とレリーフ形成層との間の接着層及び/又は圧縮性層、レリーフ形成層の上に配置された機能層、例えば、構造を与える層、バリア層、カバー層、デジタル的に再現可能なマスク層、及びこれらの層の2つ以上の組み合わせ。
【0045】
例えば、光重合性レリーフ前駆体は、キャリア層と光重合性レリーフ形成層との間に、中間層、好ましくは接着層及び/又は圧縮性層を示し得る。
【0046】
光重合性レリーフ前駆体は、キャリア層とは反対側の光重合性レリーフ形成層の側面に、マスク層、バリア層、カバー層、及びこれらの層の2つ以上の組み合わせからなる群から選択されるさらなる層を示し得る。
【0047】
1つの好ましい実施形態では、光重合性レリーフ前駆体は、以下を含む:
(A)寸法的に安定したキャリア;
(AH)任意選択の接着促進層;
(B)少なくとも、架橋可能なエラストマーバインダー、エチレン性不飽和モノマー、移動可能な表面活性添加剤、UVA光で活性化可能な光開始剤及びUVC光で活性化可能な光開始剤を含む光重合性レリーフ形成層;
(C)少なくとも、非ラジカル架橋性弾性ポリマー、UVA光吸収材料、及びIR光吸収材料を含むレーザーアブレーダブルマスク層;そして、任意選択で
(D)剥がすことができるカバー層。
【0048】
本発明によるレリーフ前駆体は、好ましくは、レリーフ形成層(B)の上に配置され、溶媒を使用して、又は加熱及び吸着/吸収によって除去することもできるレーザーアブレーダブルマスク層(C)を含む。この層は、高エネルギー電磁放射による選択的照射によって加熱及び揮発されるため、構造をレリーフ前駆体に転写するために利用される画像ごとの構造を備えたマスクを生成する。そのためには、UV範囲で不浸透性であり、VIS-IR範囲で放射線を吸収し、層を加熱してアブレーションする必要がある。
【0049】
330~420nmのUV範囲におけるマスク層の光学密度は、1~5の範囲、より好ましくは1.5~4の範囲、非常に好ましくは2~4の範囲である。光学密度は、UVフィルターを使用した「濃度」設定でX-rite361TX濃度計を使用して測定することにより決定される。
【0050】
レーザーアブレーダブルマスク層(C)の層厚Mは、一般に0.1μm~5μmである。層の厚さが0.1μm未満の場合、十分な光学密度を達成することは困難である。層の厚さが5μmを超える場合、エレメントのレーザー感度が低すぎるため、イメージングに長いレーザー時間が必要になる。層の厚さは、好ましくは0.3μm~4μm、特に1μm~3μmである。マスク層のレーザー感度(層の1cm2をアブレーションするために必要なエネルギーとして測定)は、0.1~10J/cm2、好ましくは0.3~5J/cm2、より好ましくは0.5~5J/cm2である必要がある。
【0051】
マスク層(C)は、電磁放射を吸収する成分を均一に分散させることができ、加熱されると可能な限り効率的にアブレーションされる、少なくとも1つの非ラジカル架橋性弾性ポリマーを含む。弾性ポリマーは、線状、分岐状、星型、櫛形、又は樹枝状のホモポリマー又はコポリマーであり得る。コポリマーは、統計的及び/又はブロックコポリマーとして存在し得る。弾性ポリマーはまた、例えば、構造、モノマー組成、ブロック長、分子量、官能基、それらの数及び/又は分布が異なるポリマーの混合物であり得る。ポリマーの混合物も使用できる。
【0052】
マスク層(C)に非常に適した、非ラジカル架橋性弾性ポリマーの例には、以下が含まれる:エチレン酢酸ビニル、可撓性弾性ポリアミド、可撓性弾性ポリウレタン、ニトロセルロース、ポリ(ビニルブチラール-ビニルアルコール)コポリマー(又はポリ(ビニルブチラールビニルエチル-ビニルアルコール)コポリマーなどのポリビニルアセタール。もちろん、例えば部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニルなどの他の可撓性弾性材料をバインダーとして使用することもできる。マスク層(C)に好ましいバインダーは、可撓性弾性ポリアミド、ポリビニルアルコール、部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル、又は部分的に加水分解されたポリビニルアセタールである。
【0053】
このマスク層(C)は、酸素に対して透過性又は不透過性であり得る。
【0054】
一般に、レリーフ形成層(B)及びアブレーダブルマスク層(C)は、一般に溶媒混合物又は水溶液からなる、一般的な市販のウォッシュアウト媒体に可溶である。これらのウォッシュアウト媒体は、主成分として1つ又は複数の非極性炭化水素溶媒で構成され、2次成分は、ベンジルアルコール、n-ペンタノール、シクロヘキサノール、エチルヘキサノール、ヘプチルアルコールなどの中程度の極性のアルコールの形態である。水溶液は、通常、界面活性剤及び/又は凝集剤を含み、一般に、pH>7を有する。レリーフ形成層(C)は、通常、これらのウォッシュアウト媒体で処理することができる。
【0055】
さらに、レリーフ形成層(B)及びアブレーダブルマスク層(C)もまた、熱的に現像又は除去され得る(例えば、欧州特許出願公開第1239329号明細書又は欧州特許出願公開第1170121号明細書参照)。この場合、画像ごとの露光に続いて、レリーフ構造は軟化又は溶融温度に加熱される。これにより、レリーフ構造の未露光及び非架橋領域が部分的に液体で粘着性になり、不織布又は織布で吸引(吸収)されることによって連続的に除去される。
【0056】
さらなる実施形態では、本発明によるレリーフ前駆体の層(B)と(C)の間に、酸素を透過しないさらなる層(E)が存在する。酸素不透過性層(E)が存在する場合、層(B)及び/又は(C)は、好ましくは、酸素に対して透過性である。ここでの層(E)の層厚は3~5μmの範囲である。補助剤に加えて、この層は主に、低酸素透過性を有する1つ又は複数の弾性ポリマーを含み、それらの酸素透過性は、1.5×105cm3・μm/(m2・d・bar)以下の値である。層(E)中のポリマーは、好ましくは、同様に非ラジカル架橋可能である。
【0057】
熱的に現像することができ、及び/又は有機溶媒に可溶であり、酸素に対して十分なバリア効果を有する適切な弾性ポリマーの例は、30から最大80mol%までの加水分解度を有する部分的に加水分解されたポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びエチレン-ビニルアルコール共重合体、及びエチレン-酢酸ビニル-ビニルアルコール共重合体である。また、ポリビニルブチラール、ポリビニルエチル、ポリビニルフォーマル、ポリビニルプロピラルなどのポリビニルアルコールの環状アセタール、及びビニルフォーマル、ビニルエチル、ビニルプロピラル、及びビニルブチラール単位から選択される2つ以上の異なるビニルアセタール単位を含むコポリマーも非常に適している。ポリビニルアルコールの完全なアセタールへの反応は統計的及び立体的理由から不完全であるため、ポリビニルアセタールは常にビニルアルコール単位との共重合体である。したがって、正確には、ポリ(ビニルブチラール)はポリ(ビニルブチラール-ビニルアルコール)である。記載されたポリビニルアセタールの残留OH含有量は、通常、10~30重量%である。例えば、ビニルエチル-ビニルブチラール-ビニルアルコールコポリマー(ポリ(ビニルエチル-ビニルブチラール))が非常に適している。
【0058】
本発明の目的はまた、以下のステップを有するレリーフ構造の製造方法である:
(i)少なくとも1つの移動可能な表面活性添加剤を含む光重合性レリーフ前駆体の提供、
(ii)前記光重合性レリーフ形成層の上へのマスクの適用、又は構造化されたマスク層の生成、
(iii)任意選択で、キャリア層を介した電磁放射への裏面の露光、
(iv-a)前記マスク又は前記マスク層を介した、好ましくは315~380nmの波長範囲の電磁放射への光重合性レリーフ形成層の露光、
(v)前記マスク又は前記マスク層、存在する場合にはさらなる層、及びステップ(iv)で露光されていないレリーフ形成層の非光重合領域の除去、それにより、レリーフを生成し、
(vi)任意選択で、レリーフの乾燥、
(vii)前記キャリア層とは反対側からの前記レリーフの、315~380nmの波長範囲のUVA光及び/又は200~280nmの波長範囲のUVC光への再露光、それにより、前記レリーフの表面特性を調整するために、好ましくは特定の印刷インクを使用するために、前記レリーフが再架橋され、前記移動可能な表面活性添加剤の透過性が調整され、
(viii)任意選択で、さらなる処理ステップ。
【0059】
本発明の目的はさらに、以下のステップを有するレリーフ構造を製造するための方法である:
(i)少なくとも1つの移動可能な表面活性添加剤を含む光重合性レリーフ前駆体の提供、
(iii)任意選択で、キャリア層を介した電磁放射への裏面の露光、
(iv-b)前記光重合性レリーフ形成層の、好ましくは315~380nmの波長範囲の電磁放射への画像露光、
(v)存在する場合にはさらなる層、及びステップ(iv)で露光されていないレリーフ形成層の非光重合領域の除去、したがってレリーフを生成し、
(vi)任意選択で、レリーフの乾燥、
(vii)前記キャリア層とは反対側からの前記レリーフの、315~380nmの波長範囲のUVA光及び/又は200~280nmの波長範囲のUVC光への再露光、それにより、前記レリーフの表面特性を調整するために、好ましくは特定の印刷インクを使用するために、前記レリーフが再架橋され、前記移動可能な表面活性添加剤の透過性が調整され、
(viii)任意選択で、さらなる処理ステップ。
【0060】
好ましい実施形態では、ステップ(vii)での再露光は、UVA光及びUVC光で行われる。UVA光とUVC光への再露光は、同じ時間(同時に)又は順に(交互に)行うことができる。
【0061】
UVA光への再露光の場合、これは通常100~30,000mJ/cm2UVA光の線量で行われる。100~20,000mJ/cm2のUVA光が好ましく、100~7,000mJ/cm2のUVA光がより好ましく、500~7,000mJ/cm2のUVA光が非常に好ましい。
【0062】
UVC光への再露光の場合、これは通常100~20,000mJ/cm2UVC光の線量で行われる。100~20,000mJ/cm2のUVC光が好ましく、100~8,000mJ/cm2のUVC光がより好ましく、500~8,000mJ/cm2のUVC光が非常に好ましい。
【0063】
UVA光及びUVC光への再露光は、同時に、連続して、又は交互に起こり得、それにより、UVA対UVC光の線量の比(DUVA/DUVC)は、一般に、0.2より大きく、好ましくは0.4より大きく、より好ましくは0.6より大きく、非常に好ましくは0.8より大きい。浸透の深さが浅いため、UVC光への露光は好ましくは層の表面をシールするが、UVA光への露光は、層全体にわたるより強い架橋を確実にし、その結果、機械的に安定したレリーフが得られる。
【0064】
最初のステップ(i)では、前述のレリーフ前駆体が提供される。それは任意選択で洗浄することができ、その場合、例えば、ブラッシング、ブロー、拭き取り(溶媒あり及びなし)、洗い流し、及びそれらの任意の所望の組み合わせなど、当業者によく知られているすべての技術を使用することができる。
【0065】
照射される電磁放射の波長は、200~2,000nmの範囲、好ましくはUV範囲、より好ましくは200~550nmの範囲、非常に好ましくは300~450nmの範囲である。電磁波の広帯域照射に加えて、対応するフィルター、レーザー、又は発光ダイオード(LED)を使用して生成できる種類の狭帯域又は単色の波長範囲を使用することが有利であり得る。これらの場合、好ましい波長は、個別に(及び約5~10nm上及び/又は下)又は組み合わせて、350、365、385、395、400、405、532、830、1064nmの範囲にある。
【0066】
カバー層(D)が存在する場合、それは除去される。好ましくは、カバー層は保護フィルムであり、剥がされる。
【0067】
ステップ(ii)において、マスク層は、マスク層がイメージングに使用される波長範囲で少なくとも部分的に透明になるような方法で、層の除去、及び/又は吸収及び/又は反射特性の位置的に分解された変更のいずれかによってイメージングされる。マスク層は、好ましくは高エネルギーレーザーによってアブレーションされ、レーザービームはコンピューター制御下でマスク層上に導かれる。この場合に主に使用されるのは、500~20,000nmの範囲、好ましくは800~10,000nmの範囲、より好ましくは1,000~2,000nmの範囲の波長を有するIRレーザーである。約830nm、980nm、1064nm、及び10.6μmの波長、又はそれらの組み合わせが特に好ましい。
【0068】
任意選択のステップ(iii)では、レリーフ前駆体に少なくとも片側からの電磁放射を広範囲に照射することができる。この照射は、生成されるレリーフ構造の固定(裏面露光)を達成するために、マスク層の反対側のレリーフ前駆体の側から行われることが好ましい。この裏面露光は、好ましくは、キャリア材料として、例えば、ポリマーフィルム、特にポリエステルフィルムなどの透明で寸法的に安定な材料を通して行われる。不透明なキャリア材料の場合、ステップ(iii)は省略される。
【0069】
層(C)及び任意選択で層(E)を介したステップ(iv-a)の電磁放射への本発明によるレリーフ前駆体の露光は、層の露光領域(C)の下にある層(B)の領域において反応を誘発し、これは、層に存在する構成要素の架橋につながる。この架橋の結果として、これらの領域は安定化され、後の現像ステップで除去することはできない。照射は一般に広範囲であるが、代わりに、ガイド付きレーザービーム又は電磁放射の位置分解投影によって小さな領域(実質的にドット状)に実行することもできる。この露光に使用される電磁放射は、一般に、200~2,000nmの範囲、好ましくは315~380nmの範囲の波長を有する。
【0070】
ここでの照射は、連続的又はパルス状で、あるいは連続的な放射線を用いて複数の短い期間で行うことができる。ここでの放射線の強度は広範囲にわたって変化することができ、後の現像ステップのために層(B)を架橋するのに十分な線量が使用されることを保証する。放射線の強度は一般的に10~1,000mW/cm2の範囲である。放射線量は、一般に3~100J/cm2の範囲であり、好ましくは6~20J/cm2の範囲である。エネルギー源への露光は、例えば、希ガス、CO2及び/又は窒素などの不活性雰囲気中で、又は多層元素を損傷しない液体の下で実施することもできる。
【0071】
直接イメージング露光は、架橋される領域を選択的に露光することによって達成することができる。これは、例えば、それに応じて制御される1つ又は複数のレーザービームで(放射線を放出する特定のピクセルがアクティブ化される画面の使用を通じて、モバイルLEDストリップの使用を通じて、個々のLEDのオンとオフを意図的に切り替えるLEDアレイを通じて、放射線源の放射線を通過させるピクセルが透明にされる電子制御可能なマスクの使用を通じて、ピクセルが対応するミラーの向きを介して放射線源からの放射線に露光される投影システムの使用を通じて、又はそれらの組み合わせ)達成することができる。制御されたレーザービーム又はミラーを備えた投影システムによる直接露光が好ましい。ここで、開始剤又は開始剤システムの吸収スペクトルと放射線源の発光スペクトルは、少なくとも部分的に重なっている必要がある。
【0072】
ステップ(v)では、層(C)と、存在する場合は層(E)と、層(B)の非架橋領域が除去され、レリーフが生成される。ステップ(v)において、レリーフ形成層の非露光、非光重合領域は、ウォッシュアウト媒体での処理又は熱処理によって除去することができる。
【0073】
レイヤーは、個別に、グループで、又はすべて一緒に、同時に除去できる。好ましくは、(B)のすべての層及び非架橋領域は、単一のステップで除去される。層の性質に応じて、これは、溶剤ベース又は水ベースのウォッシュアウト媒体(例えば、層(B)中の非架橋領域を溶解、乳化及び/又は分散させることができる有機溶媒、それらの混合物、水、水溶液又は水-有機溶媒混合物など)で処理することによって達成することができる。
【0074】
別の実施形態では、ステップ(v)における層(C)、及び存在する場合は層(E)、ならびに層(B)の非架橋領域の除去は、熱的に、言い換えれば、熱を導入し、層の軟化又は部分的に液化した材料を除去することによって行われる。露光したレリーフ前駆体の加熱は、当業者に知られているすべての技術、例えば、IR光の照射、高温ガス(例えば、空気)の作用、ホットローラーの使用、又はそれらの任意の所望の組み合わせなどによって実施することができる。(視覚的に)液体領域を除去するために、当業者によく知られているすべての技術及びプロセス、例えば、ブロー、吸引、叩き、ブラスト(粒子及び/又は液滴を用いて)、ストリッピング、拭き取り、現像媒体への移送、及びそれらの任意の所望の組み合わせなどを使用することが可能である。好ましくは、液体材料は、レリーフ前駆体の加熱された表面と連続的に接触させられる現像媒体によって取り込まれる(吸収される及び/又は吸着される)。この手順は、目的のレリーフ高さに達するまで繰り返される。利用できる現像媒体は、紙、織布及び不織布、ならびに液化材料を取り込むことができ、天然繊維及び/又は高分子繊維からなり得るフィルムである。セルロース、綿、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、及びそれらの任意の所望の組み合わせなどのポリマーの不織布又は不織布繊維ウェブを使用することが優先され、これらは現像時に使用される温度で安定している。
【0075】
本発明の目的はまた、最適化されたレリーフ構造を製造するための方法であり、この方法は、ステップ(i)から(viii)で複数回実行され、それにより、ステップ(vii)において、UVA光及び/又はUVC光への再露光は、レリーフの表面特性を最適化するために、UVA及びUVCの再露光ステップの線量及び/又は時系列シーケンスに関して変化する。
【0076】
本発明の目的はまた、上記の方法に従って得ることができるレリーフ構造、及びその使用である。レリーフ構造は、パッド印刷版、フレキソ版、活版版、グラビア版、マイクロ流体コンポーネント、マイクロリアクター、フォレティックセル、フォトニック結晶、又は光学コンポーネントとして使用できる。マイクロ流体コンポーネント又はマイクロリアクターの場合、非極性流体を使用するとき、壁との相互作用を減し、又は親水性の表面を生成するように、水性又は非常に極性の高い流体を使用するために表面特性を疎水性にすることが有利であり得る。フォレティックセル、フォトニック結晶、又は光学コンポーネントの場合、表面をそれぞれ疎水性又は親水性にすることは、汚染及び洗浄の点で有利であり得る。
【0077】
本発明は、以下の実施例によってより詳細に解明される。
【実施例】
【0078】
方法:
流入の評価
流入を評価するために、10%~50%までの色調値フィールドを評価することにより、約1,000リニアメートルの印刷後にプレートを評価した。有意な流入(隙間空間に大量のインク)は分類「-」、中程度の流入は分類「0」、ほとんど又はまったく流入なし(隙間空間にインクがない)は分類「+」が与えられた。
【0079】
光沢測定方法
光沢測定は、プレートの表面に移動可能な表面活性添加剤(MSA)の証拠を提供するために実行された。光沢は、マイクロTRI-gloss μ光沢計(BYK-Gardner GmbH)を使用して、視射角60°で測定した。光沢計は、統合された校正標準を使用して、測定前に校正された。結果は、プレートの表面の異なるポイントのそれぞれでの3回の測定の平均である。溶剤で表面を洗浄してMSAを除去すると、光沢が40~50GUに増加する。
【0080】
図1~3は、さまざまな再露光時間の日数の関数としての光沢単位(GU)での光沢の変化を示す。
【0081】
IR測定の方法
プレートの表面にMSAの証拠を提供するために、FT-IR測定を実施した。プレート表面のFT-IR測定には、PIKE MIRacle Diamant/ZnSe ATR-IRユニット(PIKE Technologies)を備えたテンソル27 FT-IR(Bruker)を使用した。データは、Opusソフトウェアバージョン7.5(Bruker)を使用してキャプチャされ、分析された。スペクトルのバックグラウンド補正は自動的に実行された。MSAの存在の尺度として、719及び729cm-1のIRバンドの積分を使用した。そのために、それらは1730cm-1のIRバンドの積分に標準化され、ゼロ値(MSAなしの結果)が差し引かれた。MSAに起因する信号は、純物質のIR分光法によって決定された。溶媒で表面を洗浄してMSAを除去した後、IRスペクトルのMSAに起因する信号は表示されなくなる。
【0082】
図4~6は、所定の再露光時間での7日後の719及び729cm
-1でのIRバンドの積分を示す。
【0083】
接触角測定方法
水による表面の濡れに対するMSAの影響を、接触角測定によって調査した。そのために、10μLの脱塩水を印刷版の表面に滴下した。水滴のプロファイルは、VH-Z20RレンズとVH-S30三脚を使用してKeyence VHX-500F光学顕微鏡で撮影した。液滴の半径rと高さhは、関連するソフトウェアを使用してこれらのキャプチャから測定した。接触角θは三角法を使用して計算した(式1)。
θ=arccos(1-h/r) (1)
【0084】
例1:
SBSベースのレリーフ前駆体(全体の厚さ1.14mm)は、MSAとして50~57℃の融点を持つ1重量%のパラフィンワックス(>C20)、及び2重量%のベンジル-α,α-ジメチルアセタール(IGM Resins B.V.)を含む、ポリエステルキャリア上に製造された。リリーフ前駆体は、蛍光管(Philips TL80W/10-R)を使用して、nyloflex(登録商標)Combi FIII露光ユニット(Flint Group)で16mW/cm2の強度で25秒間裏面から露光された。保護フィルムを剥がした後、前駆体をThermoFlexX20(Xeikon)でイメージングし、続いて蛍光管(Philips TL80W/10-R)を使用して、nyloflex(登録商標)Combi FIII露光ユニット(Flint Group)内で40℃で16mW/cm2の強度でマスク層を通して15分間露光した。露光した前駆体を、nyloflex(登録商標)Digital Washer FIII(Flint Group)で、nylosolv Aを使用して220mm/minの速度で洗い流した。乾燥は60℃で120分かけて行った。次に、nyloflex(登録商標)Combi FIII露光ユニットでさまざまな再露光を実行し、これにより、なし、UVA(Philips TL60W/10-R、強度11mW/cm2)のみ、UVC(Philips TUV 75WHOG75T8、強度13mW/cm2)のみ、及び連続的かつ同時のUVAとUVC露光が使用され、各場合は40℃であった。この文脈では、同時とは、両方の露光(UVAとUVCを使用)が同時に開始されたことを意味する。次に、このように形成された印刷面のIR及び光沢測定を、時間間隔で実施した。参照にはMSAが含まれていなかった。1AはUVA光への1分間の再露光を意味し、1CはUVC光への1分間の再露光を意味する。
【0085】
図1、2、及び3は、さまざまな再露光条件下での時間の経過に伴う印刷版の表面の光沢の進行を示す。MSAが表面に拡散すると、光沢値が低下する。
図4、5、6と比較すると、光沢値の低下はIR信号の増加に関連していることがわかる。UVCへの3分間の再露光(
図1)では、MSAの移動に対するUVAの再露光時間の明確な影響はまだ認識できない。UVCへの10分間の再露光(
図2)では、再露光時間が長くなるにつれてMSAの量が急激に減少する。MSAの移動に対するUVCへの再露光の影響は、UVAへの10分間の再露光と組み合わせると最も強く感じられる。UVAへの10分間の露光とUVCへの10分間の再露光の場合、UVCへの露光なしでUVAへの10分間の再露光の場合よりもはるかに少ないMSAが印刷面に到達する(
図3)。したがって、印刷面の特性を制御することができる。
【0086】
【0087】
表1は、再露光条件の関数として、2日後の印刷面のIR積分と光沢を示している。IR積分の値が大きいほど、プレートの表面にあるMSAが多くなる。IR積分は、光沢の逆数と相関関係がある。低光沢は、表面にMSAが存在する証拠である。MSAがない場合、IR分光法ではMSAを見つけることができない。UVAへの10分間の露光とUVCへの10分間の再露光の場合、再露光なしの場合、又はUVCへの露光なしのUVAへの10分間の再露光の場合よりも、印刷面に到達するMSAははるかに少なくなる。したがって、印刷面の特性を制御することができる。
【0088】
【0089】
表2は、プレート表面のMSAの存在に対するUVA及びUVC露光の影響を示している。MSAが実際に表面に到達しないことを確認するために、7日間の期間が選択された。参照1は、MSAなしで発生する値を示している。MSAを使用して印刷版に適用されるUVA及びUVC光が少ないほど、7日後に表面に存在するMSAが多くなる。ここでのUVC光の影響はUVA光の影響よりも大きくなる。UVAとUVCの再露光の組み合わせで得られた値は、MSAを使用しない印刷版の値に対応している。
【0090】
例2:
a)SISベースのレリーフ前駆体(厚さ1.14mm)は、MSAとして融点58℃のパラフィンワックス(>C35)1重量%、5重量%のベンジル-α,α-ジメチルアセタール(IGM Resins B.V.)、及び0.5重量%の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IGM Resins B.V.)を含む、ポリエステルキャリア上で製造された。
b)1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを含まない第2のレリーフ前駆体もa)と同様に製造された。
【0091】
両方のプレートタイプは、蛍光管(Philips TL80W/10-R)を使用してnyloflex(登録商標)Combi FIII露光ユニット(Flint Group)で16mW/cm2の強度で15秒間(a)及び10秒間(b)裏面から露光した。保護フィルムを剥がした後、前駆体をThermoFlexX20(Xeikon)でイメージングし、続いて、蛍光管(Philips TL80W/10-R)を使用して、nyloflex(登録商標)Combi FIII露光ユニット(Flint Group)で、40℃で16mW/cm2の強度でマスク層を通して15分間露光した。前駆体は、nyloflex(登録商標)Digital Washer FIII(Flint Group)で、nylosolv Aを使用して200mm/minの速度で洗い流した。乾燥は60℃で120分かけて行った。次に、nyloflex(登録商標)Combi FIII露光ユニットで40℃でさまざまな再露光を実行した。これにより、UVAとUVCの露光が並行して使用され、同時に開始された。前者の場合、強度11mW/cm2のUVA露光(Philips TL60W/10-R)が10分間、強度13mW/cm2のUVC露光(Philips TUV75W HOG75T8)が3分間であった。後者の場合、10分間のUVA露光と10分間のUVC露光があった。次に、このように形成された印刷されていない領域(床)の光沢測定が、時間間隔で実行された。
【0092】
【0093】
表3は、3日後の印刷版の表面の光沢と、溶剤ベースのインク(LM)で印刷した後の印刷版の流入を示している。
再露光なし(例2a)又は10分間のUVAと3分間のUVC再露光(例2b)に対して、10分間のUVA及び10分間のUVC再露光の場合でより低い光沢値が観察される(例2c)。これは、床の表面にMSAが存在することを示している。印刷試験において、実施例2a及び2bからの印刷版は、減少した流入を示す。
【0094】
例3:
a.SBSベースのレリーフ前駆体(厚さ1.14mm)は、MSAとして58℃の融点を有する1重量%のパラフィンワックス(>C35)及び2重量%のベンジル-α,α-ジメチルアセタール(IGM Resins B.V.)を含む、ポリエステルキャリア上に製造された。これは、蛍光管(Light Emission Tech F100T12/10-R100W)を使用して、Next FV露光ユニット(Flint Group)で19mW/cm2の強度で26秒間裏面から露光された。保護フィルムを剥がした後、前駆体をCDI2530(Esko)でイメージングし、続いて蛍光管(Light Emission Tech F100T12/10-R100W)を使用して、Next FV露光ユニット(Flint Group)で19mW/cm2の強度でマスク層を通して10分間露光した。前駆体は、nyloflex(登録商標)Flowline Washer FV(Flint Group)で、nylosolv A(Flint Group)を使用して255mm/minの速度で現像した。乾燥は60℃で120分かけて行った。次に、UVA露光(Philips TL80W/10-R SLV G13、強度12mW/cm2)及びUVC露光(Philips TUV TL-D95W HO SLV/25、強度11mW/cm2)を使用して同時に開始し、並行して実行して、室温で再露光を行った。UVA露光時間は10分であり、UVC露光時間は2分間隔で0から10分に増加した。
b.SBSベースのレリーフ前駆体(厚さ1.14mm)は、MSAとして58℃の融点を有する1重量%のパラフィンワックス(>C35)及び5重量%のベンジル-α,α-ジメチルアセタール(IGM Resins B.V.)を含む、ポリエステルキャリア上に製造された。これは、蛍光管(Light Emission Tech F100T12/10-R100W)を使用して、Next FV露光ユニット(Flint Group)で19mW/cm2の強度で14秒間裏面から露光された。保護フィルムを剥がした後、前駆体をCDI2530(Esko)でイメージングし、続いて蛍光管(Light Emission Tech F100T12/10-R100W)を使用して、Next FV露光ユニット(Flint Group)で19mW/cm2の強度でマスク層を通して8分間露光した。前駆体は、nyloflex(登録商標)Flowline Washer FV(Flint Group)で、nylosolv A(Flint Group)を使用して285mm/minの速度で現像した。乾燥は60℃で120分かけて行った。次に、UVA露光(Philips TL80W/10-R SLV G13、強度12mW/cm2)及びUVC露光(Philips TUV TL-D95W HO SLV/25、強度11mW/cm2)を使用して同時に開始し、並行して実行して、室温で再露光を行った。UVA露光時間は8分であり、UVC露光時間は2分間隔で0から10分に増加した。
c.SBSベースのレリーフ前駆体(厚さ1.14mm)は、MSAとして58℃の融点を有する1重量%のパラフィンワックス(>C35)及び5重量%のベンジル-α,α-ジメチルアセタール(IGM Resins B.V.)を含む、ポリエステルキャリア上に製造された。これは、蛍光管(Light Emission Tech F100T12/10-R100W)を使用して、Next FV露光ユニット(Flint Group)で19mW/cm2の強度で26秒間裏面から露光された。保護フィルムを剥がした後、前駆体をCDI2530(Esko)でイメージングし、続いて3×250mm/min及び800mW/cm2の強度のUV LEDストリップを使用して、Next FV露光ユニット(Flint Group)でマスク層を通して露光した。前駆体は、nyloflex(登録商標)Flowline Washer FV(Flint Group)で、nylosolv A(Flint Group)を使用して255mm/minの速度で現像した。乾燥は60℃で120分かけて行った。次に、UVA露光(Philips TL80W/10-R SLV G13、強度12mW/cm2)及びUVC露光(Philips TUV TL-D95W HO SLV/25、強度11mW/cm2)を使用して同時に開始し、並行して実行して、室温で再露光を行った。UVA露光時間は8分であり、UVC露光時間は2分間隔で0から10分に増加した。
【0095】
印刷パラメータ:
溶剤ベースのインクであるFlexistar MV Process Cyan(Flint Group)は、F&K Flexpress6S/8印刷機(Fischer&Krecke)を使用して、片面がコロナで前処理された幅400mm、厚さ55μmのLD-PEフィルム(Delo)に印刷された。Lohmann 5.3フォーム粘着テープ(Lohmann)を使用して印刷版を固定した。使用したアニロックスローラーは、420ライン/cmの画面解像度と3.5cm3/m2のボリュームで提供された。印刷速度は200m/minで、横方向の給紙は印刷ユニットで70μm、スクリーンローラーで60μmであった。乾燥は40℃と60℃の2段階で行った。
【0096】
【0097】
表4は、UVAとUVCの同時再露光のさまざまな比率で溶剤ベースのインクを使用して印刷した後の印刷版の流入の評価を示している。適用されるUVC再露光線量が高いほど、すなわちUVAとUVC再露光の線量の比率が小さいほど、印刷版の間質腔への流入が多くなる。一方、適度なUVC再露光線量では、MSAの移動により、間質空間への流入が大幅に回避される。
【0098】
例4:
MSAの移動
SISベースのレリーフ前駆体(厚さ1.14mm)は、MSAとして58℃の融点を有する1重量%のパラフィンワックス(>C35)及び5重量%のベンジル-α,α-ジメチルアセタール(IGM Resins B.V.)を含む、ポリエステルキャリア上に製造された。これは、蛍光管(Philips TL60W/10-R)を使用して、Combi FIII露光ユニット(Flint Group)で28mW/cm2の強度で14秒間裏面から露光された。保護フィルムを剥がした後、前駆体をCDI2530(Esko)でイメージングし、続いて蛍光管(Light Emission Tech F100T12/10-R100W)を使用して、Next FV露光ユニット(Flint Group)で19mW/cm2の強度でマスク層を通して8分間露光した。前駆体は、nyloflex(登録商標)Flowline Washer FV(Flint Group)で、nylosolv A(Flint Group)を使用して290mm/minの速度で現像した。乾燥は60℃で120分かけて行った。次に、UVA露光(Philips TL80W/10-R SLV G13、強度12mW/cm2)及びUVC露光(Philips TUV TL-D95W HO SLV/25、強度11mW/cm2)を使用して同時に開始し、並行して実行して、室温で再露光を行った。UVA露光時間は8分であり、UVC露光時間は0と2分であった。
【0099】
UV硬化インク印刷パラメータ:
Flexocure Force UV硬化インク(Flint Group)を使用した印刷には、FA4フレキソユニットを備えたMO4印刷機(Nilpeter)を使用した。使用した印刷媒体は、幅330mm、厚さ130μmのPEベースの粘着ラベル素材(Raflatac)又は幅330mm、厚さ120μmの紙ベースの粘着ラベル素材(Raflacoat、UPM)であった。中程度の硬度のテサブルーフォーム粘着テープ(Tesa)を使用して、印刷版を固定した。使用したアニロックスローラーは、500ライン/cmの画面解像度と2.5cm3/m2のボリュームで提供された。印刷速度は100m/minであった。
【0100】
【0101】
表5は、PEフィルム又は紙にUV硬化インクを使用して印刷した場合のMSAの効果を示している。UVC再露光により、印刷版の表面に拡散するMSAが少なくなる。PEフィルムに印刷する場合、MSAがないため、フルトーンの色濃度が低下する;紙に印刷する場合、リーディングエッジが発生する。UVCの再露光を行わないと、MSAは印刷版の表面に拡散し、関連する印刷媒体へのインクの転写を促進する。PEフィルムに印刷する場合、MSAの存在により、観察されるフルトーンの色濃度が増加する;紙に印刷する場合、リーディングエッジが消失する。
【0102】
例5:
SBSベースのレリーフ前駆体(厚さ1.14mm)は、MSAとして58℃の融点を有する0.1又は2.5重量%のパラフィンワックス(>C35)及び5重量%のベンジル-α,α-ジメチルアセタール(IGM Resins B.V.)を含む、ポリエステルキャリア上に製造された。これは、蛍光管(Philips TL60W/10-R)を使用して、Combi FIII露光ユニット(Flint Group)で28mW/cm2の強度で17秒間裏面から露光された。保護フィルムを剥がした後、前駆体をCDI2530(Esko)でイメージングし、続いて蛍光管(Philips TL60W/10-R)を使用して、Combi FIII露光ユニット(Flint Group)で28mW/cm2の強度でマスク層を通して8分間露光した。前駆体は、nyloflex(登録商標)Flowline Washer FV(Flint Group)で、ウォッシュアウト媒体としてCyrel(登録商標)Flexosol-i(DuPont)を使用して250mm/minの速度で現像した。乾燥は60℃で120分かけて行った。次に、UVA露光(Philips TL80W/10-R SLV G13、強度12mW/cm2)及びUVC露光(Philips TUV TL-D95W HO SLV/25、強度11mW/cm2)を使用して同時に開始し、並行して実行して、室温で再露光を行った。UVA露光時間は8分であり、UVC露光時間は2分であった。
【0103】
印刷条件:
溶剤ベースのインクであるFlexistar MV Process Cyan(Flint Group)は、F&K Flexpress6S/8印刷機(Fischer&Krecke)を使用して、片面がコロナで前処理された幅400mm、厚さ55μmのLD-PEフィルム(Delo)に印刷された。Lohmann5.3フォーム粘着テープ(Lohmann)を使用して印刷版を固定した。使用したアニロックスローラーは、420ライン/cmの画面解像度と3.5cm3/m2のボリュームで提供された。印刷速度は200m/minであった。
【0104】
【0105】
参照5aでは、プレートの顕著な流入が観察された。MSAを追加することにより、流入量が大幅に減少した(例5b及び5c(表6))。
【0106】
例6:
SBSベースのレリーフ前駆体(厚さ1.14mm)は、MSAとして融点58℃の1重量%のパラフィンワックス(>C35)、5重量%のベンジル-α,α-ジメチルアセタール(IGM Resins B.V.)及び0%、0.25%又は0.5%の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(C1)、又は0.5%のオキシフェニル酢酸2-[2-オキソ-2-フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸-2-[2-ヒドロキシエトキシ]エチルエステル(C2)の混合物(それぞれIGM Resins B.V.)を含む、ポリエステルキャリア上に製造された。これは、蛍光管(Philips TL60W/10-R)を使用して、Combi FIII露光ユニット(Flint Group)で28mW/cm2の強度で22秒間裏面から露光された。保護フィルムを剥がした後、前駆体をCDI2530(Esko)でイメージングし、続いて蛍光管(Philips TL60W/10-R)を使用して、Combi FIII露光ユニット(Flint Group)で28mW/cm2の強度でマスク層を通して10分間露光した。前駆体は、nyloflex(登録商標)Flowline Washer FV(Flint Group)で、ウォッシュアウト媒体としてCyrel(登録商標)Flexosol-i(DuPont)を使用して250mm/minの速度で現像した。乾燥は60℃で120分かけて行った。次に、UVA露光(Philips TL80W/10-R SLV G13、強度12mW/cm2)及びUVC露光(Philips TUV TL-D95W HO SLV/25、強度11mW/cm2)を使用して同時に開始し、並行して実行して、室温で再露光を行った。UVA露光時間は8分であり、UVC露光時間は2分であった。
【0107】
印刷条件:
溶剤ベースのインクであるFlexistar MV Process Cyan(Flint Group)は、F&K Flexpress6S/8印刷機(Fischer&Krecke)を使用して、片面がコロナで前処理された幅400mm、厚さ55μmのLD-PEフィルム(Delo)に印刷された。Lohmann5.3フォーム粘着テープ(Lohmann)を使用して印刷版を固定した。使用したアニロックスローラーは、420ライン/cmの画面解像度と3.5cm3/m2のボリュームで提供された。印刷速度は200m/minであった。
【0108】
【0109】
MSA又はUVC光開始剤(参照6a)がない場合、プレートの有意な流入が観察される。MSAとUVC光開始剤を追加すると、流入が大幅に減少する。このプレート配合では、0.5%UVC光開始剤C2を添加することで流入も減少する(表7)。
【0110】
例7:
SISベースのレリーフ前駆体(厚さ1.14mm)は、MSAとして融点58℃の1重量%のパラフィンワックス(>C35)、5重量%のベンジル-α,α-ジメチルアセタール(IGM Resins B.V.)、及び0%、0.25%又は0.5%の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(C1)(IGM Resins B.V.)を含む、ポリエステルキャリア上に製造された。これは、蛍光管(Philips TL60W/10-R)を使用して、Combi FIII露光ユニット(Flint Group)で28mW/cm2の強度で14秒間裏面から露光された。保護フィルムを剥がした後、前駆体をCDI2530(Esko)でイメージングし、続いて蛍光管(Philips TL60W/10-R)を使用して、Combi FIII露光ユニット(Flint Group)で28mW/cm2の強度でマスク層を通して8分間露光した。前駆体は、nyloflex(登録商標)Flowline Washer FV(Flint Group)で、ウォッシュアウト媒体としてCyrel(登録商標)Flexosol-i(DuPont)を使用して150mm/minの速度で現像した。乾燥は60℃で120分かけて行った。次に、UVA露光(Philips TL80W/10-R SLV G13、強度12mW/cm2)及びUVC露光(Philips TUV TL-D95W HO SLV/25、強度11mW/cm2)を使用して同時に開始し、並行して実行して、室温で再露光を行った。UVA露光時間は8分であり、UVC露光時間は2分であった。
【0111】
印刷条件:
溶剤ベースのインクであるFlexistar MV Process Cyan(Flint Group)は、F&K Flexpress6S/8印刷機(Fischer&Krecke)を使用して、片面がコロナで前処理された幅400mm、厚さ55μmのLD-PEフィルム(Delo)に印刷された。Lohmann5.3フォーム粘着テープ(Lohmann)を使用して印刷版を固定した。使用したアニロックスローラーは、420ライン/cmの画面解像度と3.5cm3/m2のボリュームで提供された。印刷速度は200m/minであった。
【0112】
【0113】
流入は、UVA光開始剤の含有量を同じに保ちながらUVC光開始剤の含有量を増やすことによって減少する。0.5%UVC光開始剤(例7c)を使用すると、流入はほとんど観察されない(表8)。
【0114】
例8:
SISベースのレリーフ前駆体(厚さ1.70mm)は、融点58℃の1重量%のパラフィンワックス(>C35)、5重量%のベンジル-α,α-ジメチルアセタール(IGM Resins B.V.)、及び0%、0.25%又は0.5%の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(C1)(IGM Resins B.V.)を含む、ポリエステルキャリア上に製造された。これは、蛍光管(Philips TL60W/10-R)を使用して、Combi FIII露光ユニット(Flint Group)で28mW/cm2の強度で40秒間裏面から露光された。保護フィルムを剥がした後、前駆体をCDI2530(Esko)でイメージングし、続いて蛍光管(Philips TL60W/10-R)を使用して、Combi FIII露光ユニット(Flint Group)で28mW/cm2の強度でマスク層を通して8分間露光した。前駆体は、nyloflex(登録商標)Flowline Washer FV(Flint Group)で、ウォッシュアウト媒体としてnylosolv A(Flint Group)を使用して230mm/minの速度で現像した。乾燥は60℃で120分かけて行った。次に、UVA露光(Philips TL80W/10-R SLV G13、強度12mW/cm2)及びUVC露光(Philips TUV TL-D95W HO SLV/25、強度11mW/cm2)を使用して同時に開始し、並行して実行して、室温で再露光を行った。UVA露光時間は8分であり、UVC露光時間は4分であった。
【0115】
印刷条件:
溶剤ベースのインクであるFlexistar MV Process Cyan(Flint Group)は、F&K Flexpress6S/8印刷機(Fischer&Krecke)を使用して、片面がコロナで前処理された幅400mm、厚さ55μmのLD-PEフィルム(Delo)に印刷された。Lohmann5.3フォーム粘着テープ(Lohmann)を使用して印刷版を固定した。使用したアニロックスローラーは、420ライン/cmの画面解像度と3.5cm3/m2のボリュームで提供された。印刷速度は200m/minであった。
【0116】
【0117】
参照8aと比較した場合、プレートの流入は、MSA及び光開始剤C1(実施例8b及び8c)の添加によって急激に減少した。UVC光開始剤の含有量を0.5%(例8b)から1%(例8c)にさらに増やしても、流入に関してそれ以上の改善は見られなかった(表9)。
【0118】
例9:
SISベースのレリーフ前駆体(厚さ1.70mm)は、融点58℃の1重量%のパラフィンワックス(>C35)、1重量%のベンジル-α,α-ジメチルアセタール(IGM Resins B.V.)、及び0%、0.5%、1.0%、1.5%又は2.0%の1-(4-メチルフェニル)-1-ドデカノン(C3)(BASF)を含む、ポリエステルキャリア上に製造された。これは、蛍光管(Philips TL60W/10-R)を使用して、Combi FIII露光ユニット(Flint Group)で28mW/cm2の強度で40秒間裏面から露光された。保護フィルムを剥がした後、前駆体をCDI2530(Esko)でイメージングし、続いて蛍光管(Philips TL60W/10-R)を使用して、Combi FIII露光ユニット(Flint Group)で28mW/cm2の強度で、真空で固定された取り付けられたマスク層を通して9分間露光した。マスク層除去後、前駆体は、nyloflex(登録商標)Flowline Washer FV(Flint Group)で、ウォッシュアウト媒体としてCyrel(登録商標)Flexosol-i(DuPont)を使用して250mm/minの速度で現像した。乾燥は60℃で120分かけて行った。次に、UVA露光(Philips TL80W/10-R SLV G13、強度12mW/cm2)及びUVC露光(Philips TUV TL-D95W HO SLV/25、強度11mW/cm2)を使用して同時に開始し、並行して実行して、室温で再露光を行った。UVA露光時間は10分であり、UVC露光時間は5分であった。
【0119】
印刷条件:
溶剤ベースのインクであるFlexistar MV Process Cyan(Flint Group)は、F&K Flexpress6S/8印刷機(Fischer&Krecke)を使用して、片面がコロナで前処理された幅400mm、厚さ55μmのLD-PEフィルム(Delo)に印刷された。Lohmann5.3フォーム粘着テープ(Lohmann)を使用して印刷版を固定した。使用したアニロックスローラーは、420ライン/cmの画面解像度と3.5cm3/m2のボリュームで提供された。印刷速度は200m/minであった。
【0120】
【0121】
参照9aでは、プレートの有意な流入が観察された。MSAと光開始剤C3(例9b~9e)を追加することにより、流入が大幅に減少した。UVC光開始剤C3(例9c)の1.0%の濃度から、流入はほとんど観察されなかった。同じことは、UVC光開始剤濃度を1.5%又は2.0%にさらに増加させる場合にも当てはまる(例9d及び9e)(表10)。
【0122】
例10:
SISベースのレリーフ前駆体(全体厚さ1.14mm)は、MSAとして融点が50~57℃の1重量%のパラフィンワックス(>C20)、2重量%のベンジル-α,α-ジメチルアセタール(IGM Resins B.V.)、及び0%又は0.5%の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IGM Resins B.V.)を含む、ポリエステルキャリア上に製造された。リリーフ前駆体は、蛍光管(Philips TL80W/10-R)を使用して、nyloflex(登録商標)Combi FIII露光ユニット(Flint Group)で16mW/cm2の強度で10秒間裏面から露光された。保護フィルムを剥がした後、前駆体をThermoFlexX20(Xeikon)でイメージングし、続いて蛍光管(Philips TL80W/10-R)を使用して、nyloflex(登録商標)Combi FIII露光ユニット(Flint Group)で16mW/cm2の強度で、40℃でマスク層を通して15分間露光した。露光された前駆体は、nyloflex(登録商標)Digital Washer FIII(Flint Group)で、nylosolv Aを使用して200mm/minの速度で洗い流した。乾燥は60℃で120分かけて行った。次に、nyloflex(登録商標)Combi FIII露光ユニットでさまざまな再露光を実行し、これにより、UVA(Philips TL60W/10-R、強度11mW/cm2)のみ、UVC(Philips TUV 75W HO G75T8、強度13mW/cm2)のみ、又はUVAとUVCの同時露光が、それぞれ40℃使用された。この文脈では、同時とは、両方の露光(UVAとUVC)が同時に開始されたことを意味する。印刷版の現像後少なくとも1週間の保管後、このように形成された印刷面で接触角測定を実施した。使用したリファレンスは、融解とその後の冷却によって得られた純粋なMSAの表面であった。
【0123】
接触角は、表面の濡れの尺度である。液体(印刷インク)で表面を均一に濡らすことは、印刷プロセスを成功させるための基本的な前提条件である。完全に濡らしていない場合、印刷フォームを印刷媒体に完全に転写することはできない。濡らしは、印刷インクの表面張力と印刷版の表面エネルギーの差によって決定的に決定される。液体の表面張力と印刷版の表面エネルギーの間に有意差がある場合、表面上の液体の液滴は大きな接触角を示す。差が小さいと、表面が液体で均一に濡れ、接触角が小さくなる。MSAは疎水性の表面を生成する。例えば、水などの極性液体では、大きな接触角が予想される。
【0124】
表11は、印刷版の表面にMSAがある場合とない場合の印刷版の水滴の接触角を示している。MSAの存在は、再露光によって制御される。純粋なMSAが参照として機能する。
【0125】
【0126】
表面上のMSAの存在は、表面の水による濡れに影響を与える。印刷版の表面にMSAが存在する場合、水滴の接触角は、表面にMSAが存在しない場合よりもはるかに大きくなる。MSAがプレートの表面に存在する場合(例10b、10d、及び10f)、水滴の接触角は純粋なMSAの接触角に近づく(参照10a)。MSAが存在しない場合、光開始剤の濃度は接触角に特に影響する。1%UVC PIを使用すると(例10e)、使用しない場合(例10c)よりも小さい接触角が得られた。水性インクで印刷する場合、MSAの存在は結果的に濡れの問題を引き起こす可能性がある。MSAの移動は、再露光によって制御できる。
【0127】
例11:
SBSベースのレリーフ前駆体(全体厚さ1.14mm)は、MSAとして融点が50~57℃の1重量%のパラフィンワックス(>C20)、及び5重量%のベンジル-α,α-ジメチルアセタール(IGM Resins B.V.)を含む、ポリエステルキャリア上に製造された。リリーフ前駆体は、蛍光管(Philips TL80W/10-R)を使用して、nyloflex(登録商標)Combi FIII露光ユニット(Flint Group)で16mW/cm2の強度で18秒間裏面から露光された。保護フィルムを剥がした後、前駆体をThermoFlexX20(Xeikon)でイメージングし、続いて蛍光管(Philips TL80W/10-R)を使用して、nyloflex(登録商標)Combi FIII露光ユニット(Flint Group)で16mW/cm2の強度で、40℃でマスク層を通して15分間露光した。露光した前駆体は、nyloflex(登録商標)Digital Washer FIII(Flint Group)で、nylosolv Aを使用して220mm/minの速度で洗い流した。乾燥は60℃で120分かけて行った。次に、nyloflex(登録商標)Combi FIII露光ユニットで、印刷版をUVA光(Philips TL60W/10-R、強度11mW/cm2)に10分間、UVC光(Philips TUV 75W HO G75T8、強度13mW/cm2)に5分間再露光した。両方の露光(UVAとUVC)は同時に開始され、40℃で実行された。印刷版の現像後少なくとも1週間の保管後、このように形成された印刷面で接触角測定を実施した。使用したリファレンスは、融解とその後の冷却によって得られた純粋なMSAの表面であった。
【0128】
【0129】
印刷版の表面にMSAが存在する場合(例11b)、接触角は純粋なMSAの接触角に近づく(参照11a)。プレートの表面にMSAがない場合(例11c)、他の処理条件が同じであっても、はるかに小さい接触角が得られる。
【0130】
例12:
SBSベースのレリーフ前駆体(厚さ1.14mm)は、MSAとして融点が58℃の1重量%のパラフィンワックス(>C35)、及び2重量%のベンジル-α,α-ジメチルアセタール(IGM Resins B.V.)を含む、ポリエステルキャリア上に製造された。プレートは、MSAを含まないか、58℃の融点を有する1重量%のパラフィンワックス(>C35)、又はMSAとして0.5重量%のポリシロキサンポリエステルアクリレート(PPA)のいずれかを含んでいた。リリーフ前駆体は、蛍光管(Philips TL60W/10-R)を使用して、Combi FIII露光ユニット(Flint Group)で26mW/cm2の強度で20秒間裏面から露光された。保護フィルムを剥がした後、前駆体をCDI2530(Esko)でイメージングし、続いて蛍光管(Philips TL60W/10-R)を使用して、Combi FIII露光ユニット(Flint Group)で26mW/cm2の強度で、マスク層を通して10分間露光した。前駆体は、nyloflex(登録商標)Flowline Washer FV(Flint Group)で、nylosolv A(Flint Group)を使用して255mm/minの速度で現像した。乾燥は60℃で120分かけて行った。次に、UVA露光(Philips TL80W/10-R SLV G13、強度12mW/cm2)及びUVC露光(Philips TUV TL-D95W HO SLV/25、強度11mW/cm2)を使用して同時に開始し、並行して実行して、室温で再露光を行った。UVA露光時間は10分であり、UVC露光時間は6分であった。
【0131】
印刷条件:
Flexocure Ancora Process Cyan UV硬化インク(Flint Group)を使用した印刷には、FA4フレキソユニットを備えたMO4印刷機(Nilpeter)を使用した。使用した印刷媒体は、片面コロナ処理されたPEベースの粘着ラベル素材(Raflatac)又は厚さ120μmの紙ベースの粘着ラベル素材(Raflacoat、UPM)であった。中程度の硬度のテサブルーフォーム粘着テープ(Tesa)を使用して、印刷版を固定した。使用したアニロックスローラーは、500ライン/cmの画面解像度と2.5cm3/m2のボリュームで提供された。印刷速度は100m/minであった。流入は約500リニアメートル後に評価された。
【0132】
結果:
表13:PEフィルム及び紙に印刷した後のプレートの流入。使用した再露光:強度UVA7200mJ/cm2;UVC=3960mJ/cm2。UVA/UVC再露光強度の比率=1.8。
【0133】
【0134】
表13は、UV硬化インクで印刷した場合のプレートの流入に対するMSAの影響を示している。MSAがない場合、顕著な流入が観察される。MSAとしてパラフィンワックスを添加することにより、ブロックの流入を大幅に減らすことができる。ポリシロキサンポリエステルアクリレートをMSAとして使用すると、流入のさらなる改善が観察される。
【国際調査報告】