(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(54)【発明の名称】粒子発泡体から成形部品を製造する方法
(51)【国際特許分類】
B29C 44/44 20060101AFI20230207BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20230207BHJP
C08J 9/224 20060101ALI20230207BHJP
C08J 9/236 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
B29C44/44
B29C44/00 G
C08J9/224 CER
C08J9/236 CEZ
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502850
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(85)【翻訳文提出日】2022-03-01
(86)【国際出願番号】 IB2020056737
(87)【国際公開番号】W WO2021009720
(87)【国際公開日】2021-01-21
(31)【優先権主張番号】102019119488.1
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522018804
【氏名又は名称】ワルツウィーン テウバート ジービーア
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ニーマイヤー ギャルド
(72)【発明者】
【氏名】ワルツウィーン ハンス
(72)【発明者】
【氏名】テウバート ヴォルフガング
【テーマコード(参考)】
4F074
4F214
【Fターム(参考)】
4F074AA24
4F074CA45
4F074CA46
4F074CA49
4F074DA32
4F074DA33
4F074DA35
4F074DA37
4F214AA11
4F214AA13
4F214AB02
4F214AC01
4F214AG20
4F214UA21
4F214UB01
4F214UE02
4F214UE21
4F214UF01
(57)【要約】
粒子発泡体粒子を提供するステップと、粒子発泡体粒子を少なくとも1種のポリオレフィンの水性エマルションで湿潤し、それによって官能化可能な粒子発泡体粒子を得るステップと、湿潤した官能化可能な粒子発泡体粒子を乾燥するステップと、官能化可能な粒子発泡体粒子を賦形するステップと、賦形された官能化可能な粒子発泡体粒子を、粒子発泡体粒子の溶融範囲よりも低い温度まで加熱し、それによって、賦形された官能化可能な粒子発泡体粒子を官能化するステップと、を含む、粒子発泡体から成形部品を製造する方法であって、上記粒子発泡体粒子は互いに接合され、冷却されて、粒子発泡体成形体を生じ、上記少なくとも1種のポリオレフィンの水性エマルションは、不飽和カルボン酸の無水物で液体状態に変換され、且つメタクリル酸エステルコポリマーで変性された、少なくとも1種のポリオレフィンを含む水性エマルションである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子発泡体から成形部品を製造する方法であって、
a)粒子発泡体粒子を提供するステップと、
b)前記粒子発泡体粒子を少なくとも1種のポリオレフィンの水性エマルションで湿潤し、それによって官能化可能な粒子発泡体粒子を得るステップと、
c)前記湿潤された官能化可能な粒子発泡体粒子を乾燥するステップと、
d)前記官能化可能な粒子発泡体の粒子を賦形するステップと、
e)前記賦形された官能化可能な粒子発泡体粒子を、前記粒子発泡体粒子の溶融範囲よりも低い温度に加熱し、それによって、前記賦形された官能化可能な粒子発泡体粒子を官能化するステップであって、前記粒子発泡体粒子が接合される、ステップと、
f)冷却し、それによって、前記賦形された粒子発泡体粒子を得るステップと、
を含み、前記少なくとも1種のポリオレフィンの前記水性エマルションは、不飽和カルボン酸の無水物で液体状態に変換され、且つメタクリル酸エステルコポリマーで変性された、少なくとも1種のポリオレフィンを含む水性エマルションである
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記水性エマルションが、無水マレイン酸で液体状態に変換され、且つアクリレート樹脂で変性された、少なくとも1種のポリオレフィンの塩素フリー水性エマルションである
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
不飽和カルボン酸の無水物で液体状態に変換され、且つメタクリル酸エステルコポリマーで変性された、前記少なくとも1種のポリオレフィンの前記水性エマルションに、少なくとも1種のエポキシ末端シランが添加されてもよい
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
不飽和カルボン酸の無水物で液体状態に変換され、且つメタクリル酸エステルコポリマーで変性された、前記少なくとも1種のポリオレフィンの前記水性エマルションへの前記少なくとも1種のエポキシ末端シランの前記添加は、前記ステップb)の直前に起こる
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
不飽和カルボン酸の無水物で液体状態に変換され、且つメタクリル酸エステルコポリマーで変性された、前記少なくとも1種のポリオレフィンの前記水性エマルションに、少なくとも1種のエポキシ樹脂が添加される
請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップa)で提供された前記粒子発泡体粒子は、2種以上の異なる粒子発泡体材料を含む
請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記ステップd)の前に、
d0)前記粒子発泡体粒子と共に複合材成形部品を形成する異種材料を提供するステップ
を更に含み、前記ステップd)において、前記官能化可能な粒子発泡体粒子の成形が、前記異種材料と直接接触して実施される
請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記ステップf)の後、既に完成した粒子発泡体成形部品が、更なる粒子発泡体成形体と継ぎ合わされる、または異種材料が提供され、それに対して、前記ステップb)と同様に、不飽和カルボン酸の無水物で液体状態に変換され、且つメタクリル酸エステルコポリマーで変性された、前記少なくとも1種のポリオレフィンの前記水性エマルションを、継ぎ合わせようとする部品の関連する表面に適用し、それを前記ステップc)に従って乾燥し、次いで、前記ステップd)と同様に継ぎ合せた後、前記ステップe)に従って、製造しようとする複合材を継ぎ合わせのため加熱し、前記ステップf)に従って冷却する
請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記ステップd)における前記賦形が、少なくとも一時的に機械的圧力下で実施される、
及び/または
前記ステップf)における前記加熱が無加圧で起こる
請求項1ないし8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
-改良ステップd)において、前記賦形は、官能化可能な粒子発泡体粒子の個別の層及び/または構造で実施され、且つ
-改良ステップe)において、加熱は、局所集中可能なエネルギー源を用いて実施され、その結果、前記個別の層または構造内の前記官能化可能な粒子発泡体粒子が接合され、且つ
-改良ステップf)において、冷却は、局所集中可能なエネルギー源を不活化し、部分的な粒子発泡体成形部品を最初に得ることで実施され、
ここで、前記改良ステップf)に続いて、ステップg)において、官能化可能な粒子発泡体粒子の少なくとも1つの更なる層及び/または1つの更なる構造が、前記部分的な粒子発泡体成形部品と接触して提供され、
前記改良ステップd)、前記改良ステップe)及びf)並びに前記ステップg)が、最終的な粒子発泡体成形部品が達成されるまで繰り返される、
請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の方法によって得られる
ことを特徴とする粒子発泡体成形部品。
【請求項12】
不飽和カルボン酸の無水物で液体状態に変換され、且つメタクリル酸エステルコポリマーで変性された、少なくとも1種のポリオレフィンを含む、少なくとも1種のポリオレフィンの塩素フリー水性エマルションの、粒子発泡体成形部品の製造のための使用であって、前記粒子発泡体が熱可塑性材料から選択される
ことを特徴とする使用。
【請求項13】
不飽和カルボン酸の無水物で液体状態に変換され、且つメタクリル酸エステルコポリマーで変性された、少なくとも1種のポリオレフィンを含む、少なくとも1種のポリオレフィンの塩素フリー水性エマルションの、粒子発泡体成形部品の製造のための使用であって、前記粒子発泡体が天然の再生可能原料から選択される
ことを特徴とする使用。
【請求項14】
不飽和カルボン酸の無水物で液体状態に変換され、且つメタクリル酸エステルコポリマーで変性された、少なくとも1種のポリオレフィンを含む、少なくとも1種のポリオレフィンの塩素フリー水性エマルションの、金属表面の永久接合のための使用。
【請求項15】
前記塩素フリー水性エマルションは、無水マレイン酸で液体状態に変換され、且つアクリレート樹脂で変性された、少なくとも1種のポリオレフィンの水性エマルションである
請求項12ないし14のいずれかに記載の少なくとも1種のポリオレフィンの塩素フリー水性エマルションの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子発泡体から成形部品を製造する方法及び粒子発泡体成形部品自体に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子発泡体から製造された成形部品及びその製造方法自体は公知である。例えば、EPP(発泡ポリプロピレン)製の成形部品は、従来技術で公知の方法に従って、アルミニウムツール内で温度約160℃のスチームによって製造される。ツールは、例えば、発泡ポリスチレン(EPS)製の成形部品を製造するための同等ツールよりも安定でなければならない。それ自体の製造は、焼結プロセスの一種として説明でき、当該プロセスでは、個別のEPP粒子を金型に充填した後、スチームで加熱及び軟化し、それによって粒子内に封入された空気が発泡圧力を発生し、それによって粒子が最終的に焼結されて成形部品になる。
【0003】
このようなプロセスと同等のプロセスでは、スチーム及びそれに伴う高い圧力の取り扱い、並びにスチームを導入するためのキャビティの必要性から、結果として、成形部品製造に対する要求が複雑さを増し、より大きな投資が必要となる。したがって、経済的観点から、公知のプロセスは、大量品種にしか適さない。粒子発泡体製の成形部品の少量品種、または個別ピースの製造さえも、採算性がない。同様に、複合材料(サンドイッチ)を、この技術を用いた単一操作で製造することができない。
【0004】
本発明者らは、EPP成形体の製造方法を既に開発しており、それは特許文献1に記載されている。このプロセスは、適度なプロセス条件、すなわち、本質的に無加圧及びEPPの溶融範囲よりも低い温度で実施される。この方法では、塩素と無水マレイン酸により変性された少なくとも1種のポリオレフィンの水性エマルションによりEPP粒子を湿潤させることで官能化して、当該粒子を適度に加熱することで賦形し、接合させる(ただし、焼結または溶接はされない)。
【0005】
本発明者らが開発し、特許文献1に記載されている方法は、実用において基本的に有利であることが証明されている。しかし、一方で、使用されるポリオレフィンの水性エマルションは塩素を含有し、これがリサイクル性または少量のクロロホルムの存在による問題等を招くという事実から、欠点が明らかにされている。
【0006】
しかし、粒子発泡体は、高温スチームの適用を伴う従来プロセスの使用が合理的である大規模用途(例えば、自動車製造)、及び高品質の再利用可能包装用を除き、特殊な利用分野への使用が増え続ける可能性がある。その例としては、スポーツ、ロジスティクス(機械的に敏感なコンポーネントの保管及び輸送)、家具及び設計(試作品建設)またはモデル作製(カスタマイズした製品)等が挙げられる。したがって、粒子発泡体成形部品の少量品種または個別ピースに対する需要増加に加え、容易に短時間で大量に製造可能であり、上記の塩素含有活性化剤の欠点がない、粒子発泡体とその他の材料とから作製された複合材料に対する需要もある。これらのプロセス及び製品は、自動車分野にとっても非常に興味深く(キーワード e-モビリティ)、特に断熱及び軽量化に関してそれが言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第2937379号B1明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの従来技術に固有の欠点に基づき、本発明は、一方では粒子発泡体成形体の少量品種及び個別ピース、他方では粒子発泡体とその他の材料とから作製された複合材料の大量品種を、簡易かつ安価に製造できる、改善されたプロセスを明確にすることを基本的な課題とする。更なる目的は、簡易で安価な粒子発泡体成形及び粒子発泡体複合材成形体自体である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、本発明の第1の態様において、粒子発泡体から成形部品を製造する方法によって解決され、当該方法は、
a)粒子発泡体粒子を提供するステップと、
b)粒子発泡体粒子を少なくとも1種のポリオレフィンの水性エマルションで湿潤し、それによって官能化可能な粒子発泡体粒子を得るステップと、
c)湿潤された官能化可能な粒子発泡体粒子を乾燥するステップと、
d)官能化可能な粒子発泡体の粒子を賦形するステップと、
e)賦形された官能化可能な粒子発泡体粒子を、粒子発泡体粒子の溶融範囲よりも低い温度に加熱し、それによって、賦形された官能化可能な粒子発泡体粒子を官能化するステップであって、粒子発泡体粒子が接合される、ステップと、
f)冷却し、それによって、賦形された粒子発泡体粒子を得るステップと、
を含み、上記少なくとも1種のポリオレフィンの水性エマルションは、不飽和カルボン酸の無水物で液体状態に変換され、かつメタクリル酸エステルコポリマーで変性された、少なくとも1種のポリオレフィンを含む水性エマルションであることを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の態様では、本発明の方法によって入手可能な粒子発泡体成形体によって上記の問題が解決される。
【0011】
本発明は、粒子発泡体粒子を適度なプロセス条件で処理し、塩素及びその生成物(クロロホルム等)を含まない成形体を形成できる点で、従来技術と比べて全体的に有利である。
【0012】
本発明を以下に詳細に説明する。本発明のプロセスの記載において対象の特徴を記載する場合は常に、特に、本発明による粒子発泡体成形体を参照している。同様に、本発明による粒子発泡体成形体の説明に記載されるプロセスの特徴は、本発明によるプロセスに関するものである。
【0013】
本発明の第1の態様は、粒子発泡体から成形体を製造する方法に関する。
【0014】
ステップa)では、製造しようとする粒子発泡体成形体のための粒子発泡体粒子が提供される。
【0015】
本発明によると、「粒子発泡体」は、製造業者によって既に加工されて発泡により個別の粒子を形成した熱可塑性材料を指す。これらの粒子発泡体は、発泡ビーズまたは発泡ペレットの形態を有する。粒子発泡体は、未加工状態では、自由流動材料を形成する。粒子発泡体は、15kg/m3~300kg/m3の範囲の密度を有し、一部の特殊な発泡体は300kg/m3を超える密度を有し、非常に優れた固有の機械的特性、高い断熱能力及び軽量構造の大きな可能性を特徴とする。
【0016】
本発明で使用される粒子発泡体粒子は、本質的に完成中間製品であり、例えば、市販の材料である。市販の材料の例は、EPP(発泡ポリプロピレン)についてはBASF SEのNeopolen(登録商標)P及びKanekaのEperan(登録商標)-PP、EPS(発泡ポリスチレン)についてはBASF SEのStyropor(登録商標)、Neopor(登録商標)及びPeripor(登録商標)、EPE(発泡ポリエチレン)についてはKanekaのEperan(登録商標)-EP、EPET(発泡ポリエチレンテレフタレート)についてはarmacellのArmaShape(登録商標)である。加えて、更にEPC(発泡ポリカーボネート)、ETPU(発泡熱可塑性ポリウレタン)、EPMI(発泡ポリメタクリルイミド)またはEPBT(発泡ポリブチレンテレフタレート)製の粒子発泡体が入手可能である。上記及びその他の粒子発泡体材料は全て、本発明で使用できる。
【0017】
本発明によると、「粒子発泡体」は、熱処理によって発泡して個別の粒子になる再生可能原料でもあり得る。この目的で、ポップコーン(「パフコーン」)の製造に似たプロセスが使用される。水は、使用した再生可能原料のデンプン質組織に結合する。これらの原料が急速に加熱されると、水は、ごく短時間でその凝集状態を液体から気体へ変化し、その結果、熱と圧力によって液化したデンプンが組織の発泡構造内で急速に膨張した後、直ちに冷めて固化する。
【0018】
ステップb)における湿潤は、好ましくは、密閉容器内または部分的に開放した容器内での粒子状発泡粒子の噴霧、特に定量噴霧によって実施される。本発明に従って使用される、不飽和カルボン酸の無水物で液体状態に変換され、且つメタクリル酸エステルコポリマーで変性された、少なくとも1種のポリオレフィンの水性エマルションを、読みやすくするため、本明細書で以後「水性AMPエマルション」と呼ぶ。
【0019】
本発明によると、ポリオレフィンは、通常条件下の室温で固体として存在し、不飽和カルボン酸の無水物によって液体状態の水性AMPエマルションに変換されることから、粒子発泡体粒子に容易に適用できる。
【0020】
本発明で本発明者らが開発した水性AMPエマルションは、現在、完成した活性化剤として商品流通用に製造されつつあり、その安全データシートは既に作成されている。完成した活性化剤の提供及び商品流通は、特許法に基づく新規性の保護の理由から、本出願の公開後まで開始されない。
【0021】
不飽和カルボン酸の無水物は、特に好ましくは無水マレイン酸である。更に、用語「ポリオレフィン」は、より正確には、ジュネーブ命名法による「ポリアルケン」を表わす。好ましくは、水性AMPエマルション中の変性ポリオレフィンは、粒子状発泡体材料に物質的に好適であるように、または少なくとも物質的に関連するように、選択され得る。例えば、粒子発泡体材料としてのEPP中の変性ポリオレフィンは、特にポリプロピレン(PP)である。ポリプロピレンに加えて、ポリエチレン(PE)が、変性用ポリオレフィンとして非常に好適であることが判明している。
【0022】
別の方法として、粒子発泡体粒子は、ステップb)における湿潤のために、密閉容器内で粒子発泡体粒子を水性AMPエマルション中で撹拌することで混合されてもよい。本発明の別の変形では、粒子発泡体粒子と水性AMPエマルションとを一緒に、別々の容器の間にポンプで送る。本発明の別の変形では、粒子発泡体粒子を、篩底(sieve bottom)を有する容器に入れ、無加圧で水性AMPエマルションを溢流させてもよい。
【0023】
いずれの場合も、ステップb)で湿潤する目的は、一つには粒子発泡体粒子を完全に湿潤することであり、もう一つには不要な水性AMPエマルションを回収及び再使用することである。
【0024】
ステップb)で湿潤し、ステップc)で乾燥した後、粒子発泡体粒子を、水性AMPエマルションの固体のごく薄い層でコーティングする。この固体層があっても粒子発泡体粒子は光学的には不変のままであるが、その表面を官能化できる。
【0025】
乾燥は、特に、官能化可能な粒子発泡体粒子の物理的特性にプラスの効果を与える。したがって、乾燥することにより、官能化可能な粒子発泡体粒子を、直ちに梱包(例えば、袋詰め)して、中間製品として出荷するために作り上げることができる。
【0026】
本発明の目的で、「官能化可能な」は、粒子発泡体粒子上の水性AMPエマルションの固体薄層が周囲条件(約1barの常圧、約25℃の標準温度)下で不活性にふるまうこと、すなわち、粒子発泡体粒子の物理的特性(例えば、流動性)を大きく変更しないことを意味すると理解される。以下に更に詳細に示すように、水性AMPエマルションの固体薄層が下記のやり方で官能化されるのは、高温のみである。
【0027】
このように事前処理された官能化可能な粒子発泡体粒子は、ステップd)における賦形まで、ほぼ無期限で保管できる。
【0028】
ステップd)における賦形では、官能化可能な粒子発泡体粒子を、単純で好適な金型内に入れ、必要であれば圧縮することができる。本発明による粒子発泡体粒子は、官能化可能であるにもかかわらず、注入性が維持され、金型への充填が何ら問題なく実施できる。
【0029】
粒子発泡体粒子は、その実際の材料に応じて100℃~220℃の溶融範囲を有することから、ステップe)において、成形された官能化可能な粒子発泡体粒子の加熱は、この溶融範囲よりも低い温度(実際の材料に応じて異なる)で実施され、それによって、成形された官能化可能な粒子発泡体粒子が官能化される。
【0030】
必要な温度に達すると、非極性であった粒子発泡体粒子の表面が、官能化層(水性AMPエマルションからの固体層)からのヘテロ原子がその上に付着することによって極性化される。
【0031】
しかし、本発明によると、本発明者らに付与された特許に明記されているように、粒子発泡体粒子の互いへの接着は、水素を塩素で置換することで、それ以上もたらされない。むしろ、必要とされる粒子発泡体粒子の互いへ接着は、水性AMPエマルションによって引き起こされる接着によって達成される。
【0032】
具体的には、本発明による水性AMPエマルションは、粒子発泡体粒子そのものをコーティングし、乾燥後に、きわめて薄い、機械的接着性のフィルムを形成する。この不飽和カルボン酸の無水物は、水中で加水分解してカルボン酸を形成し、その不飽和化合物により容易に付加反応を起こす。結果として、これは、粒子発泡体粒子の表面間に電気化学的相互作用と結合とをもたらし、その結果、個別の粒子発泡体粒子の安定で永久的な接合をもたらして、すぐに使用できる粒子発泡体成形体を形成する。
【0033】
ステップe)における加熱は、多数の方法で実施され得る。伝統的には、加熱はオーブンまたは相当する加熱デバイス中で実施できる。しかし、完全に密閉した金型を必要としない、2枚の加熱板の間での加熱も可能である。この変形は、例えば、異形材、半製品、または非常に長尺の成形部品の連続的な製造が必要な場合に使用できる。これは、現在公知のプロセスを用いて、実施可能であったとしても、非常に限られた範囲のみである。更なる実施形態では、放射を利用したエネルギー源(レーザー、赤外)を加熱に使用できる。
【0034】
ステップf)における冷却は、粒子発泡体成形体が周囲温度で離型された後、きわめて簡易に起こり得る。しかし、粒子発泡体成形体を取り出す前に、金型自体が冷却されてもよい。
【0035】
従来技術と比較すると、本発明の方法は、まず、粒子発泡体粒子が、適度なプロセス条件、すなわち1bar~5bar、好ましくは2bar~3barの低圧、及び粒子発泡体粒子の溶融範囲よりも低い温度で(焼結または溶接ではなく)接合されるという利点を有する。
【0036】
重大な利点は、水性AMPエマルションの活性化は塩素または塩素化合物を含有しない点である。第一に、これは、環境面及び健康有害性に関する重大な進歩である。更に、塩素は、それ以上使用されない粒子発泡体成形体が後日リサイクルされる場合に問題となる。更に、過去に本発明者らが使用した、塩素含有活性化剤、例えば、塩素及び無水マレイン酸で変性された少なくとも1種のポリオレフィンの水性エマルション(「水性CMPエマルション」)は、クロロホルム(<0.5%の範囲)を、少量ではあるものの常に含有する。しかし、このような少量でも安全データシートに記載しなければならず、このような活性化剤が受け入れられない大きな原因となる。本発明者らは、塩素化ポリオレフィンが特定量のクロロホルムを含有しないような塩素化ポリオレフィンの製造業者または供給業者を知らない。
【0037】
本発明による水性AMPエマルションを用いて製造された粒子発泡体成形体は、本発明者らが特許文献1に記載した部分と定性的に等しい。
【0038】
最後に、本発明による水性AMPエマルションの使用により、従来技術から公知の方法と比べて、本発明による方法の適用可能性が大幅に拡大される。これについて以下に更に説明する。
【0039】
水性エマルションが、無水マレイン酸で液体状態に変換され、且つアクリレート樹脂で変性された、少なくとも1種のポリオレフィンの塩素フリー水性エマルションである場合、特に好ましい。
【0040】
非常に特異な実施形態において、使用する水性AMPエマルションは、アクリレート樹脂及び無水マレイン酸の塩素フリーエマルションで変性されたポリプロピレンである。
【0041】
粒子発泡体粒子への官能化層の接着を改善及び増加するために、本発明による方法の更なる実施形態では、不飽和カルボン酸の無水物で液体状態に変換され、且つメタクリル酸エステルコポリマーで変性された少なくとも1種のポリオレフィンの水性エマルションに、少なくとも1種のエポキシ末端シラン、例えばエポキシシクロヘキシルをベースとするエポキシ末端シランを添加する。
【0042】
エポキシ末端シランは、水性AMPエマルション中での加水分解された後、それに続くカルボキシル化ポリマーの生成による縮合の後、粒子発泡体粒子への官能化層の接着の改善をもたらし、それによって更に、高沸点エステルアルコールが合体剤として機能し得る。
【0043】
好ましくは、不飽和カルボン酸の無水物で液体状態に変換され、且つメタクリル酸エステルコポリマーで変性された、少なくとも1種のポリオレフィンの水性エマルション(水性AMPエマルション)への少なくとも1種のエポキシ末端シランの添加は、ステップb)の直前に起こる。エポキシ末端シランは、簡易な撹拌によって水性AMPエマルションに添加されてもよい。
【0044】
本発明の別の更なる発展によると、少なくとも1種のエポキシ樹脂が、不飽和カルボン酸の無水物で液体状態に変換され、且つメタクリル酸エステルコポリマーで変性された少なくとも1種のポリオレフィンの水性エマルション(水性AMPエマルション)に添加されてもよい。
【0045】
エポキシ樹脂は、具体的には二官能ビスフェノールA/エピクロロヒドリン誘導体であり、好ましくは未希釈及び/または液体であり、無色及び/または透明である。一方で、エポキシ樹脂はエマルションを安定化する。他方で、エポキシ樹脂はアミンまたはイソシアネートで架橋されないことから、例えばラッカー、鋳造用樹脂等において慣例的であるように、エポキシ樹脂は官能化層の弾性付与成分として作用する。
【0046】
本発明の好ましい実施形態によると、ステップa)で提供される粒子発泡体粒子は、2種以上の異なる粒子発泡体材料を含む。粒子発泡体材料は、本明細書において、特にEPP、EPE、EPC、EPS、EPET、ETPU、EPMIまたはEPBT等の種々のプラスチックを指して使用される。異なる材料(及びその固有の特性)を簡易なやり方で互いに組み合わせることができることから、本発明による水性AMPエマルションの使用は、多種多様な粒子発泡体成形体の可能性を広げる。
【0047】
同様に、本発明の別の更なる実施形態では、ステップa)で提供される粒子発泡体粒子は、それぞれの粒子発泡体材料の少なくとも2種の混合物であってもよく、これは、例えば、多孔質または部分的に多孔質の密度分布及び勾配を生じることを可能にする。
【0048】
本発明の水性AMPエマルションを使用することで、上記のように、可能な用途を拡大することができ、これは、本発明の好ましい実施形態において、本発明の方法が、ステップd)の前に、粒子発泡体粒子との複合成形体を形成する異種材料を提供するステップd0)を更に含むことを意味し、ステップd)において、官能化可能な粒子発泡体粒子の成形は異種材料と直接接触して実施される。
【0049】
本発明の目的で、「外材」は、まず、粒子発泡体材料との化学的及び/または物理的関係を有さない全ての材料、例えば、織物、金属、高密度プラスチック、天然材料(木材等)等を意味すると理解されるべきである。別の種類の異種材料は、機能的コンポーネント、例えば、電気接続ケーブル、または機械的若しくは物理的条件(例えば、圧力、温度、湿度等)の検出のためのセンサである。
【0050】
これらの異種材料を使用して、製造しようとする粒子発泡体成形体に、積層、機械的強化、物理的封止、または光学的仕上げを提供できる。同様に、製造しようとする粒子発泡体成形体に、機能的コンポーネントを提供し得る。以下に更に詳述する実施形態において、粒子発泡体材料と異種材料とのいくつかの組み合わせを例示する。
【0051】
ステップd0)における上記提供は、特に、異種材料を用いて製造しようとする粒子発泡体成形部品のための金型を、当該金型に粒子発泡体粒子を充填する前に、少なくとも部分的に装備またはライニングすることによって実施されてもよい。同様に、強化材料は、粒子発泡体粒子がこの強化材料の周囲に充填される前に、最初に金型内に提供されてもよい。
【0052】
更に、ステップd0)における上記提供は、別の方法として、例えば最初に異種材料(例えば、フィルム)を配置し、次いで官能化可能な粒子発泡体粒子の最初の注入を行い、その上に更なる異種材料(例えば、補強リブの形態で)を配置し、その後官能化可能な粒子発泡体粒子の最後の注入を行うことでも実施できる。同様に、ステップd)で賦形を行う前に、別の異種材料を、最後の充填物の上に配置することができる。
【0053】
「直接接触」という句は、粒子発泡体粒子が異種材料の上、中、または周囲に、異種材料の更なる前処理なしで充填され、その結果、粒子発泡体粒子が異種材料の表面に直接接触することを意味する。
【0054】
驚くべきことに、本発明による方法を用いて、この更なる発展によると、得られた粒子発泡体成形体と1つ以上の異種材料との組み合わせが提供されるように、多種多様な粒子発泡体材料から多種多様な異種材料への耐久性のある接合を生じることが可能であることが見出された。特にこれは、特殊な前処理、例えば接着促進剤等を用いた前処理を、異種材料に施すことなく実施できる。
【0055】
本明細書において、用語「積層」は、特に、得られた粒子発泡体成形体を保護及び/若しくは装飾するため、及び/または有利な材料特性の追加を達成するために、同一または異なる材料の複数の層を継ぎ合わせることを意味すると理解される。用語「強化」は当業者によく知られている。強化は、特に、成形部品の機械的特性を改善する役割を果たす。
【0056】
通常、積層材または類似の異種材料は、成形部品の製造プロセスとは別の第2の操作で、最初に、完成した成形部品に積層剤(例えば、ラッカー、グルー、ワックス)を適用し、その後実際の積層材を適用することによって実施される。本発明によると、粒子発泡体成形部品は、単一操作で異種材料と共に製造できる。主な利点は、粒子発泡体材料との組み合わせが可能な異種材料が多種多様であり、本発明の方法において、本質的に前処理なしで使用できることである。
【0057】
更なる実施形態によると、既に完成した粒子発泡体成形体が、別の粒子発泡体成形体と継ぎ合わされる、または異種材料が提供される。この目的で、ステップb)と同様に、不飽和カルボン酸の無水物で液体状態に変換され、且つメタクリル酸エステルコポリマーで変性された、少なくとも1種のポリオレフィンの水性エマルションを、継ぎ合わせようとする部品の関連する表面に適用し、それをステップc)に従って乾燥し、次いで、ステップd)と同様に継ぎ合わせた後、本発明の方法に従って、製造しようとする複合材を継ぎ合わせのため加熱する。
【0058】
この実施形態では、既に完成した粒子発泡体成形体を後で更に処理または操作することも可能である。この目的で、これらの完成した粒子発泡体成形体は必ずしも本発明の方法で製造されていなくてもよく、従来技術での製造が困難または高コストである市販の成形体であることもできる。この実施形態は、更に、より複雑な粒子発泡体成形体の製造を可能にし、成形体は、本発明による幾何学的に単純な粒子発泡体要素から組み立てることができる。
【0059】
本発明の方法の更なる実施形態では、ステップd)における成形は、少なくとも一時的に機械的圧力下で実施され、これは、製造しようとする粒子発泡体成形体の安定性にとって有利であることが明らかとなっている。
【0060】
適用される圧力は、粒子発泡体成形体の意図する用途に応じて、少なくとも一時的に、1bar~5bar、特に2bar~3barである。特に、完成した粒子発泡体成形体の密度は、ステップd)で適用される圧力を用いて広範囲で調節できる。個別の粒子が互いに完全に接合する必要がないことから、これは密度勾配の設定も可能にする。こうして形成された多孔質構造は、更なる利用分野を提供する。
【0061】
得られる結果、すなわち、製造された粒子発泡体成形部品の特性及び品質は、適用する圧力に大いに依存する。しかし、この圧力への依存は、十分に高い圧力でしか良好な結果が達成できないことを意味するものではない。むしろステップd)で金型に充填するときの圧力は、本発明の方法の多様性を反映する。
【0062】
代替的実施形態では、ステップd)において、機械的圧力は断続的にしか適用されない。これは、圧力が、粒子発泡体粒子の充填物を賦形または圧縮するためだけに、例えばプランジャを用いて適用され、その後再度開放されることを意味する。本発明によると、1.5~2の圧縮度が好ましい。
【0063】
本発明の方法の別の好ましい更なる発展では、ステップe)における加熱は無加圧で実施される。本明細書において、「無加圧で」は、従来技術で一般的であるような、加熱中の外部からの(追加)圧力の適用がないことを意味する。本発明によると、好ましくは加圧安定性の金型を使用する必要がないことから、本質的に加熱中に高い圧力が蓄積することは起こり得ない。本発明の意味で「無加圧」とは、ステップd)で官能化可能な粒子発泡体粒子の賦形のために適用される圧力が、少なくともステップe)における加圧の開始時点でなおも維持し得ることを更に意味する。
【0064】
最新技術によると、従来の焼結において、粒子発泡体粒子は、まだ低温の金型に充填されるときに最初に圧縮される(充填注入機)。しかし、この圧力は、後の焼結プロセスにはまだ十分ではない。水蒸気で加熱した場合のみ、粒子発泡体粒子内に封入された空気が膨張し、圧力の更なる上昇を引き起こす。その後でしか、焼結は起こらない。対照的に、本発明の方法では、ステップd)における金型充填及び成形の後に圧力はそれ以上上昇せず、後続のステップで低下する。
【0065】
本発明の更なる展開では、ステップd)における成形の後、適用された圧力を完全に開放することができ、本発明のプロセスを実施することもできる。この場合、非常にルーズな開放した構造を有する粒子発泡体成形体が、粒子発泡体粒子の比較的ルーズなバルクから得られる。このような特殊な粒子発泡体成形体は、ベントまたはドレンとしての使用に望ましい。更に、これらの特殊な粒子発泡体成形体は、耐荷重面間の互いの距離を空けることが主な問題となるサンドイッチ構造に使用できる。
【0066】
異なる粒子発泡体材料は100℃~250℃の異なる溶融範囲を有することから、本発明において、ステップe)の加熱を80℃~220℃、特に110℃~160℃の温度で実施することが有利であることが判明している。このようにして、加熱は「乾燥」を、おそらく液相を乱すことなく実施できる。更に、上記の温度では、機能的コンポーネント(特にセンサー)が破壊されず、本発明による賦形プロセスの後でも機能を維持することが確実となる。
【0067】
本発明の特定の実施形態は、改良した(modified)ステップd)において、成形が、官能化可能な粒子発泡体粒子の個別の層及び/または構造で実施されるプロセスを提供する。換言すると、所望の幾何学的形状は、官能化可能な粒子発泡体粒子を用いて最初に指定できる。
【0068】
その後の改良ステップe)において、加熱は、局所集中可能なエネルギー源を用いて実施され、その結果、個別の層または構造内の官能化可能な粒子発泡体粒子が接合される。このエネルギー源は、例えば、レーザーまたは赤外源であってもよい。集中可能なエネルギー源は、官能化可能な粒子発泡体粒子の個別領域を、列状、格子状、または点状に加熱し、その場所のみを本発明の方法を使用して接合し得る。
【0069】
改良ステップf)において、冷却は、局所集中可能なエネルギー源を不活化し、部分的な粒子発泡体成形体を最初に得ることで実施される。この部分的な粒子発泡体成形体は、改良ステップd)で指定された幾何学形状を実質的に複製する。
【0070】
改良ステップf)に続いて、ステップg)において、官能化可能な粒子発泡体粒子の少なくとも1つの更なる層及び/または1つの更なる構造が、部分的な粒子発泡体成形体と接触して提供される。こうして、上記で生成された幾何学形状を更に構築することができる。
【0071】
最終的な所望の幾何学形状を得るため、改良ステップd)、e)及びf)並びにステップg)を、最終的な粒子発泡体成形体が得られるまで繰り返す。
【0072】
特定の実施形態によると、本発明の手段を用いた3Dプリントの形態が提供される。これにより、本発明に従って、キャビティ、アンダーカット等を有する、より複雑な幾何学形状を粒子発泡体粒子から製造することも可能である。異種材料の挿入、及びその粒子発泡体粒子または部分的な粒子発泡体成形部品との接続も可能である。
【0073】
第2の態様では、本発明の目的は、本発明の方法によって入手可能な粒子発泡体成形体によって達成される。
【0074】
かかる粒子発泡体成形体は、従来技術の同等の成形体よりも製造が容易かつ安価であるという利点を有する。更に、本発明によると、塩素フリー水性AMPエマルションを製造に使用することから、塩素またはクロロホルム等の塩素化合物の残渣を含有しない。
【0075】
少量品種及び個別部品さえも、妥当な労力で製造できる。同様に、複合材を単一のプロセスステップ(「金型内」)で製造できる。本発明による粒子発泡体成形部品は、個別に対応した特性を得るために、多孔質または部分的に多孔質の密度分布を有することもできる。
【0076】
本発明の粒子発泡体成形体の場合、達成しようとする成形体の密度を、本発明のプロセスによってより広範に変動できる。こうして、異なる密度の成形体を製造できるだけでなく、個別の粒子発泡体粒子の間の小さい接触面積でも接合を生じ、成形体の形成が可能になることから、部分的多孔質構造も製造できる。
【0077】
更に、本発明の第3の態様は、不飽和カルボン酸の無水物で液体状態に変換され、且つメタクリル酸エステルコポリマーで変性された、少なくとも1種のポリオレフィンを含む、少なくとも1種のポリオレフィンの塩素フリー水性エマルションの、粒子発泡体成形体製造への使用であり、ここで粒子発泡体は熱可塑性材料から選択される。
【0078】
本発明者らの以前の発明では、全ての実施形態が、塩素を含むエマルションをベースとしていた。実際には、以前の発明では、塩素の存在なしでは、成形部品は不可能であった。更に、塩素があることで、入念な安全対策を講じた使用が必要であった。実際には、トリクロロメタン(「クロロホルム」)の形態での塩素残留物は、成形体に常に残っていることが確認され、これは使用済み部品のリサイクル及び廃棄の両方で問題を呈した。本発明者らの以前の発明による方法は、この理由から、ユーザーに受け入れられなかった。更に、自動車業界で要求されるいわゆる噴霧試験(成形部品を加熱したときの健康関連の蒸気)で得られた結果は、完全に不十分な値しか示さなかった。これは、全く新たな開発を必要とし、それが本発明につながった。
【0079】
本発明によるこの態様を使用することで、いかなる残留塩素分も含まない粒子発泡体成形体を製造することが可能になる。更に、使用したAMPエマルションは、本発明者らの以前の発明で使用したエマルションと比べて、ポリオレフィンとして発泡ポリプロピレンを用いて実質的に官能化するだけでなく、上記のように幅広いポリオレフィンに適用可能であるという利点を有する。
【0080】
本発明の第4の態様は、不飽和カルボン酸の無水物で液体状態に変換され、且つメタクリル酸エステルコポリマーで変性された、少なくとも1種のポリオレフィンを含む、少なくとも1種のポリオレフィンの塩素フリー水性エマルションの、粒子発泡体成形体製造への使用を拡大し、ここで粒子発泡体は天然の再生可能原料から選択される。
【0081】
本明細書で使用するとき、「天然の再生可能原料」は、粒子発泡体または発泡粒子に変換できる全ての天然物質を指す。当該物質としては、とりわけ、温度の影響下でそれ自体が発泡するデンプン含有天然物質が挙げられる。外部発泡剤で発泡し得る天然物質も挙げられる。
【0082】
本発明によるAMPエマルションは、再生可能原料から作製した粒子発泡体を組み合わせて成形部品を形成するためにも使用できる。単純な例は、トウモロコシデンプンをベースとする粒子発泡体を成形部品に加工する、「ポップコーン」のタイプである。
【0083】
特殊な特徴として、再生可能原料ベースの粒子発泡体は、混合ステーションにおけるAMPエマルションでの処理が、プラスチックベースの粒子発泡体と同じやり方ではない。なぜなら、この場合、具体的な材料に応じて、これらの粒子発泡体が水を吸収しすぎて膨潤する可能性があるからである。したがって、未希釈のAMPエマルションを、噴霧プロセスにより、再生可能原料製の粒子発泡体に適用することが好ましい。その後の空気乾燥の後、再生可能原料製の粒子発泡体は、プラスチックベースの相当品と同程度の自由流動性であり、同じ方法を用いて成形部品へと加工できる。
【0084】
この使用及びプロセスは、環境上の理由からプラスチックを再生可能原料で置き換える必要があるとき、特に有利である。
【0085】
更に、本発明の第5の態様は、不飽和カルボン酸の無水物で液体状態に変換され、且つメタクリル酸エステルコポリマーで変性された、少なくとも1種のポリオレフィンを含む、少なくとも1種のポリオレフィンの塩素フリー水性エマルションの、永久接合金属表面への使用である。
【0086】
驚くべきことに、本発明によるAMPエマルションは、人工ベースまたは天然ベースの粒子発泡体から成形部品を製造するのに好適なだけでなく、金属表面への永久接合、すなわち金属物体を接合するのにも好適である。
【0087】
使用できる金属は、当該金属から作製した物体が、同様の相対する平滑または平坦面に接合するための平滑または平坦な接合面を有する限り、限定されない。本発明において、特定の制限を受けることなく、同類金属対を異種金属の対の場合と同じやり方で継ぎ合わせることができる。
【0088】
金属部品を継ぎ合わせるためには、その接触面に、好ましくは本発明のAMPエマルションの薄層を軽くまたは薄く塗る。完全に乾燥した後、処理済みの部品を、最大限の接触面積で継ぎ合わせ、高温でアニールし、冷めるまで安定な状態で一緒に保持する。実際には、1~5分、特に1~2分の時間、及び100℃~140℃の温度が特に好適であることが判明している。
【0089】
かかるプロセスを実施した後、金属部品は、しっかりと永久的に接合される。異なる金属(鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、真鍮)を用いた最初の機械的試験において、5.6N/mm2の引張強度が測定できた。
【0090】
この実施形態は、例えば、労働安全または省エネルギーの理由から、溶接プロセスを置き換えまたは少なくとも削減する必要がある用途に有利である。
【0091】
第3、第4、第5の態様のいずれかによる少なくとも1種のポリオレフィンの塩素フリー水性エマルションの上記使用において、塩素フリー水性エマルションは、特に、無水マレイン酸で液体状態に変換され、且つアクリレート樹脂で変性された、少なくとも1種のポリオレフィンの水性エマルションである。
【0092】
更なる目的、特徴、利点及び可能な用途は、本発明を制限しない以下の実施形態の説明から、及び図の参照からも、明らかになるであろう。本明細書において、記載及び/または図示された全ての特徴は、個別または任意の組み合わせで、特許請求の範囲における要約または遡及とは関係なく、本発明の主題を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【
図1】本発明の方法で製造したEPP製の粒子発泡体成形体の写真画像である。
【
図2】織布が適用された、本発明の方法で製造したEPP製の粒子発泡体成形体の写真画像である。
【
図3】アルミニウム箔が適用された、本発明の方法によるEPP製の粒子発泡体成形体の写真画像である。
【
図4】アルミニウムシートが適用された、本発明の方法で製造した粒子発泡体成形EPP部品の写真画像である。
【
図5】GRPシートが適用された、本発明の方法で製造したEPP製粒子発泡体成形体の写真画像である。
【
図6】鋼板が適用された、本発明の方法を使用したEPP製の粒子発泡体成形体の写真画像である。
【
図7】木材装飾が適用された、本発明による方法を使用したEPP製の粒子発泡体成形体の写真画像である。
【
図8】木材装飾が適用された、本発明による方法で製造したEPC製の粒子発泡体成形体の写真画像である。
【
図9】有機シートが適用された、本発明の方法で製造したEPC製の粒子発泡体成形体の写真画像である。
【
図10】GRPシートが適用された、本発明の方法で製造したEPS製の粒子発泡体成形体の写真画像である。
【
図11】鋼板が適用された、本発明の方法を使用したEPS製の粒子発泡体成形体の写真画像である。
【
図12】織布が適用された、本発明の方法で製造したETPU製の粒子発泡体成形体の写真画像である。
【
図13】本発明の方法で製造したEPP及びETPU製の粒子発泡体成形体の写真画像である。
【
図14】粒子発泡体粒子の表面へのAMPエマルションの接着の概略図である。
【
図15】本発明に好適な全自動混合デバイスの概略図である。
【
図22】加工後の開放された金型の写真画像である。
【
図23】加工後の開放された金型の写真画像である。
【
図24】本発明の方法で製造された発泡トウモロコシ粒で作製された粒子発泡体成形体の上面の写真画像である。
【
図25】
図24に示す発泡トウモロコシ粒子発泡体成形体の断面の写真画像である。
【
図26】電力ケーブルが埋め込まれた、本発明の方法で製造された発泡トウモロコシ粒製の粒子発泡体成形部品の断面の写真画像である。
【
図27】本発明の水性AMPエマルションで接合されたアルミニウムブロックの写真画像である。
【
図28】本発明の水性AMPエマルションで接合されたステンレス鋼の写真画像である。
【
図29】本発明の水性AMPエマルションで接合された真鍮環の写真画像である。
【
図30】本発明の水性AMPエマルションで接合された鋼製ボルトの写真画像である。
【
図31】本発明の水性AMPエマルションで接合された鋼及びアルミニウム金属部品の写真画像である。
【
図32】本発明の水性AMPエマルションで接合された鋼及び真鍮金属部品の写真画像である。
【発明を実施するための形態】
【0094】
図1~13は、上に説明したように、粒子発泡体成形体を形成するための、粒子発泡体粒子と異種材料との組み合わせの幅広い可能性を示す。上記の写真図は、それ自体は説明を要するものではないが、可能な組み合わせを網羅するものではあり得ない。例えば、EPEを用いて実験に成功している。
図1~13に示す粒子発泡体材料は全て、図に示す異種材料の全てと組み合わせることができる。
図1~13に示す粒子発泡体成形体は、それぞれ、いわゆる成形プロセスを使用した単一操作で製造した。
【0095】
好ましくは、異種材料は、フィルム、織物、シート、固形物及びこれらの組み合わせから選択できる。フィルムは、ポリマーフィルムまたは金属フィルムであり得る。織物は、天然繊維、ポリマー繊維、金属繊維及びこれらの組み合わせであってもよく、且つ織布、スクリム、粗紡、編布、組物、網布、及びこれらの組み合わせであってもよい。シートは、その面積が厚さの倍数である物体と理解される。プレートも、天然材料、ポリマー材料、金属材料及びこれらの組み合わせからなり得る。固形物とは、その3つの寸法が本質的に同じ桁数である物体を意味する。これらの物体は、天然材料、ポリマー材料、金属材料及びこれらの組み合わせも含み得る。
【0096】
以下の略語が使用される:「EPP」=発泡ポリプロピレン、「EPC」=発泡ポリカーボネート、「EPS」=発泡ポリスチレン、「ETPU」=発泡熱可塑性ポリウレタン、「EPE」=発泡ポリエチレン、「GRP」=ガラス繊維強化プラスチック。用語「有機シート」は、ガラス、アラミド(芳香族ポリアミド)または炭素等の繊維が熱可塑性マトリックスに添加された繊維複合材を説明するために使用される。
【0097】
以下は、水蒸気なしで粒子発泡体成形体を製造するための、ナノスケールの界面材料を含有するエマルションの反応機構の一例である。
【0098】
超微粒子状の無水マレイン酸変性ポリオレフィンの水性エマルションを1%~2%(ポリオレフィン固体を基準とする)のエポキシ末端シランと混合する。このシランは、簡易な撹拌によって水性AMPエマルションに添加できる。しかし、AMPエマルションとシランの混合物を保管中に安定した状態に保ためには、保管容器内でじゃ所望の反応が起こらず、粒子発泡体粒子の官能化の間のみ起こる必要がある。
【0099】
エマルションの水中でのシランの早期加水分解を避けるため、ジエチルエタノールアミンを添加することによって、水性AMPエマルションをpH8.3~8.4に調節することが特に好ましい。適用後のフィルム形成中に、pHは8.8~9.2まで上昇し、下記の反応が起こる:
【0100】
i)水性AMPエマルションの水中でのエポキシ末端シランの加水分解
【0101】
【0102】
(式中、置換基Y及びRは異なる種類であってもよい)。
【0103】
ii)縮合
【0104】
【0105】
この縮合は、水性AMPエマルションの粒子発泡体粒子への接着及びその架橋を引き起こす。
【0106】
下記のエポキシシランとの反応は水性AMPエマルション中で起こる:
iii)下記のシランのアクリル酸エステル基への結合及びその後の加水分解
【0107】
【0108】
iv)架橋(化学的及び物理的弾力性)
【0109】
【0110】
v)水性AMPエマルションの粒子発泡体粒子表面への接着。接着の概略図を
図14に示す。
【0111】
以下に、本発明による粒子発泡体成形体の製造方法を、具体的なプロセスの説明によって示す。
【0112】
ステップ1:粒子の調製
市販の粒子発泡体を使用する。PPベースの粒子発泡体、例えば、JSP社のARPRO、BASF社のNeopolen PまたはKaneka社のEperan Pの商標名のものを、例として挙げることができる。PSをベースとする粒子発泡体は、とりわけ、BASFからのStyroporの名称で知られる。他の加工可能な粒子発泡体は、ほんの少しを選択すると、例えば、SekisuiのPiocelan、 BASFの Infinergy、ArmacellのArmaShapeである。
【0113】
粒子発泡体粒子は、好適なプラント/デバイス/容器内で、少量の活性化剤(すなわち、本発明による水性AMPエマルション)と混合される。粒子発泡体粒子が、出来るだけ均一なフィルムを表面上に形成することが確実となるように注意する必要がある。過剰投与は製造プロセスに有害ではないが、プロセスを長引かせる可能性があり、これは不経済である。均一混合の後、官能化可能な粒子発泡体粒子を、自由流動となるまで混合デバイス内で再度乾燥する。これで、活性化剤は官能化可能な粒子発泡体粒子の表面にしっかりと接合される。
【0114】
ステップ2:粒子発泡体粒子の中間保管または乾燥
官能化可能な粒子発泡体粒子を、更なる加工の前に、短時間保管することが推奨される。後の加工のために粒子発泡体粒子を準備する場合、活性化剤が完全に乾燥されていれば、保管はプロセスに有害ではない。最大保管時間は、現在の開発段階では、まだ決定されていない。
【0115】
ステップ3:金型及び機械の準備
経済的製造のため、間接加熱される金型を作製することが賢明である。全般的な基本設計は、射出成形金型に非常に似ている。意図する金型は、広い温度範囲にわたって高速且つ絶対的な乾燥サイクルを再現できることが重要であり、ここで温度範囲は、使用する粒子発泡体に応じて、60℃~220℃となり得る。従来の射出成形で使用されているもののような、外部温度制御ユニットの使用は、非常に有効であることが判明している。変温(variothermic)制御も有利に使用できる。
【0116】
使用を意図する成形ツールは、粒子発泡体とツール表面との間の脱着不可能な接続を避けるように、好適な非粘着シール、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン/テフロン(登録商標))を備えていなければならない。金型は、適切に改良された粒子発泡体プレスに取り付けされる。改良は、主に、温度制御ユニットの組み込み、並びにスチームフリー及び水フリーのプロセスにプロセスソフトウェアを適応させることを指す。
【0117】
ステップ4:金型充填
2つの半金型を閉じた後、官能化可能な粒子発泡体粒子を、粒子発泡体の標準的な充填デバイスを用いて、圧力ホース及び充填物注入機を介して、金型に充填する。充填デバイスは、官能化可能な粒子発泡体粒子を金型内で圧縮する(油圧で、機械的に、または併用して)ことができ、それによる圧縮比は最大で当初のかさ密度の50%までとなり得る。金型内での圧縮は、その後の成形部品密度に大きく影響する。
【0118】
片側または両側で特殊な被覆層または積層体(サンドイッチコンポーネント)と接続した成形部品の製造の場合、官能化可能な粒子発泡体粒子を充填する前に、接続しようとする材料(すなわち、異種材料)を金型内に固定する。充填物注入機の位置が自由なままであること、または官能化可能な粒子発泡体粒子の流入を妨げないように配置されていることを確実としなければならない。
【0119】
ステップ5:プロセスシーケンス
官能化可能な粒子発泡体粒子が充填された金型を、上記の温度制御デバイスによって必要なプロセス温度にする。加熱の持続時間は、使用する粒子発泡体及び成形部品の最大肉厚に大きく依存する。必要なコア温度に達すると(コア温度は必要に応じて温度プローブを使用して成形部品の内側で測定できる)、金型を、約40℃~80℃の離型温度まで冷却する。
【0120】
ステップ6:離型
離型温度に達した後、金型を開放する。成形部品は通常、金型のいわゆるボンネット部分に残っている。次いで、成形部品を、手作業で、またはハンドリングロボット等の吸引及び除去デバイスを補助的に用いて、取り除く。充填物注入機の特殊なイジェクタ機能による機械的な離型も可能である。成形部品は、直ちに加工することができる。更なる加工ステップは必要ではない。
【0121】
【0122】
図15は、好適な全自動混合デバイスの概略図である。対照的に、
図16は、粒子発泡体粒子と活性化剤が既に混合されているが、まだ乾燥されていない状態の半自動混合デバイスの写真画像を示す。
図17は、粒子発泡体粒子と活性化剤が既に混合され、乾燥された状態の半自動混合デバイスの写真画像を示す。ここで、自由流動の官能化可能な粒子発泡体粒子を取り除くことができる。
【0123】
図18は、準備した機械に設置された開放金型の写真画像を示す。(緑色の)金型表面は、テフロン(登録商標)を用いた非粘着性コーティングによるものである。金型の右半分に、間接的テンパリングの閉じた深い穴がはっきりと見える。
【0124】
図19は、金型のボンネット側の写真画像を示す。2つの充填物注入機と、完全に閉じた金型表面が見える。
【0125】
図20は、充填デバイスの写真画像を示す。官能化可能な粒子発泡体粒子は、圧力容器に入っている。部分的に透明な圧力穴により、プロセス内の官能化可能な粒子発泡体粒子が充填物注入機へ導かれる。
図21は、密閉金型の写真画像を示す。
【0126】
プロセスの後、金型が開放される。
図22は、例として、形成された粒子発泡体成形体が黒色のEPPで、ボンネット側にある写真画像を示す。ほぼ同様に、
図23は、例として、形成された粒子発泡体成形体が白色のEPSで、ボンネット側にある写真画像を示す。
【0127】
図24~26は、既に上に述べたように、本発明による水性AMPエマルションを使用する更なる範囲を示し、この実施形態では、発泡トウモロコシ顆粒を粒子発泡体成形体に加工することができる。プロセスは、プラスチック製の粒子発泡体の場合と本質的に同じである。
図24及び
図25に見られるように、寸法安定性があり機械的に一体化した(solid)粒子発泡体成形体もここで得られる。
図25に示す実施形態では、電気ケーブルが発泡トウモロコシ顆粒に埋め込まれ、一緒に成形される。
【0128】
図27~32では、金属が本発明の水性AMPエマルションで接合された、非常に特殊な実施形態及び使用の例を示す。
【0129】
例えば、
図27では、2つのアルミニウムブロックが、本発明による水性AMPエマルションから予想されなかった形で継ぎ合わされていることがわかり得る。2つアルミニウムブロックの右側はテーブル上面に一部が載っており、そこで手で保持されているが、左のアルミニウムブロックは空中に浮いており、本発明の方法による接続でのみ保持されている。
【0130】
更なる例として、
図28では、2つのステンレス鋼部品が本発明による水性AMPエマルションで継ぎ合わされており、保持している手が部分的に見えている。2つのステンレス鋼部品の下側は空中に吊り下げられており、本発明の方法による継ぎ合わせのみによって保持されている。同様に、
図29は、本発明の方法の接続による2つの真鍮環の固定接続を示す。
【0131】
更に、
図30は、本発明の方法の接続によって互いに接続された2本の鋼製ボトルを示す。左側の鋼製ボルトは部分的にテーブル上面に載り、そこで手で保持されているが、右側の鋼製ボルトは空中に浮いている。ここで注目すべきは、この2つの部品が高密度(質量)であるにもかかわらず、2本の鋼製ボルトの間の接続面積が他の例と比べて小さいことである。
【0132】
最後に、
図31及び32に、本発明の方法によると、異なる金属の対もしっかりと継ぎ合わせできることが示されている。
図31では鋼とアルミニウム、
図32では鋼と真鍮が組み合わされ、後者では、より重い鋼製ボルトが空中にあり、本発明の方法による接続でのみ真鍮部品に保持されている。
【国際調査報告】