(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(54)【発明の名称】PCBアルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化する方法
(51)【国際特許分類】
C23C 18/18 20060101AFI20230207BHJP
C23C 18/36 20060101ALI20230207BHJP
H05K 3/42 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
C23C18/18
C23C18/36
H05K3/42 610A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515939
(86)(22)【出願日】2020-12-08
(85)【翻訳文提出日】2022-03-09
(86)【国際出願番号】 CN2020134593
(87)【国際公開番号】W WO2022104942
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】202011288123.1
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522093786
【氏名又は名称】勝宏科技(惠州)股▲分▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】522093797
【氏名又は名称】廣東工業大學
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【氏名又は名称】中島 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】張 亞鋒
(72)【発明者】
【氏名】夏 國偉
(72)【発明者】
【氏名】潘 湛昌
(72)【発明者】
【氏名】陳 濤
(72)【発明者】
【氏名】王 斌
(72)【発明者】
【氏名】趙 ▲啓▼祥
(72)【発明者】
【氏名】胡 光輝
(72)【発明者】
【氏名】王 輝
(72)【発明者】
【氏名】施 世坤
(72)【発明者】
【氏名】崔 子雅
【テーマコード(参考)】
4K022
5E317
【Fターム(参考)】
4K022AA02
4K022AA31
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5E317AA24
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(57)【要約】
本発明は、PCBアルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化する方法を提供し、前記方法は順次、脱脂処理、エッチング、シラン化、ベーク硬化、活性化及びニッケルめっきなどのステップを含み、前記シラン化処理に使用されたシラン液は、質量比が1~5:0.1~10:0.1~1であるシランカップリング剤、安定剤及び助触媒を備える。本発明は、孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化することを実現でき、且つ孔内のめっきの欠落問題を解決でき、構造が緻密で均一なニッケルめっき層を取得する。本発明は、コロイド状パラジウムの活性化及び解膠手順を実行する必要がなく、生産プロセスを簡素化させ、且つアルミニウム基板への腐食が小さく、該方法で得られた孔の金属めっき層は、平坦性、結合力に優れた特性を有し、工業用の大規模で安定した生産に適する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PCBアルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化する方法であって、
S1、アルミニウム基板をアルカリ脱脂液中に置き、アルミニウム基板孔内に対して脱脂処理を行い、孔内金属層表面の酸化皮膜を除去するステップと、
S2、ステップS1で処理されたアルミニウム基板をアルカリエッチング液に入れてエッチングするステップと、
S3、ステップS2で処理されたアルミニウム基板をシラン液に入れてシラン化するステップと、
S4、ステップS3で処理されたアルミニウム基板をオーブンに入れてベーク硬化するステップと、
S5、ステップS4で処理されたアルミニウム基板を活性化液に入れて活性化するステップと、
S6、ステップS5で処理されたアルミニウム基板をニッケルめっき液に入れて金属化し、ニッケルめっき製品を取得するステップとを含み、
前記シラン液は、質量比が1~5:0.1~10:0.1~1であるシランカップリング剤、安定剤及び助触媒を備えることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記助触媒は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムのうち一種以上であることを特徴とする、請求項1に記載のPCBアルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化する方法。
【請求項3】
前記安定剤は、アルコール及び/又は界面活性剤であり、前記安定剤の濃度は1~100ml/Lであることを特徴とする、請求項1に記載のPCBアルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化する方法。
【請求項4】
前記アルコールは、メタノール、エタノール及びプロパノールの一種であり、前記界面活性剤は、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル及びラウリル硫酸ナトリウムのうち一種であることを特徴とする、請求項3に記載のPCBアルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化する方法。
【請求項5】
前記シラン液の温度は0~70℃であり、シラン化時間は10~120秒間であり、ベーク硬化温度は50~120℃であり、前記ベーク硬化時間は1~5分間であることを特徴とする、請求項1に記載のPCBアルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化する方法。
【請求項6】
前記アルカリ脱脂液は、リン酸ナトリウムと、炭酸ナトリウムと、水酸化ナトリウムとを備え、前記リン酸ナトリウムの濃度は10~50g/Lであり、前記炭酸ナトリウムの濃度は10~50g/Lであり、前記水酸化ナトリウムの濃度は5~10g/Lであることを特徴とする、請求項1に記載のPCBアルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化する方法。
【請求項7】
前記アルカリエッチング液は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムのうち一種又は二種であり、前記アルカリエッチング液の濃度は10~100g/Lであることを特徴とする、請求項1に記載のPCBアルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化する方法。
【請求項8】
前記活性化液は、塩化パラジウムと、塩酸と、塩化アンモニウムとを備え、塩化パラジウムの濃度は30~500ppmであり、塩酸の濃度は1~100ml/Lであり、塩化アンモニウムの濃度は10~1000ppmであることを特徴とする、請求項1に記載のPCBアルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化する方法。
【請求項9】
前記アルカリ脱脂液の温度は30~80℃であり、前記脱脂処理時間は3~6分間であり、前記アルカリエッチング液の温度は20~80℃であり、前記エッチング時間は10~100秒間であり、前記活性化液の温度は20~50℃で、活性化時間は30~120秒間であり、前記ニッケルめっき液の温度は70~90℃であり、ニッケルめっき時間は5~15分間であり、前記ベーク硬化温度は50~120℃であり、前記ベーク硬化時間は1~5分間であることを特徴とする、請求項1に記載のPCBアルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化する方法。
【請求項10】
前記ニッケルめっき液は、質量比が(15~30):(20~30):(5~15):(10~20):(5~10):(6~12):(5~10)であるニッケル塩、次亜リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸系化合物、リンゴ酸、乳酸及びコハク酸ナトリウムを備えることを特徴とする、請求項1に記載のPCBアルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板の分野に関し、具体的には、PCBアルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PCB回路基板は、プリント回路基板と呼ばれ、電子部品の電気接続のプロバイダである。プリント回路基板は、単層プリント配線板から両面プリント配線板、多層プリント配線板及びフレキシブルプリント配線板へ発展し、且つ高精度、高密度、高信頼性の方向に絶えず発展し、体積を絶えず縮小し、コストを削減し、性能を向上させる。軽量、薄型、小型、高密度、多機能の電子製品の開発に伴い、プリント回路基板の部品組み立て密度及び集積度も高くなり、消費電力も大きくなるため、PCB基板の放熱性に対する要件が非常に差し迫り、PCB基板の放熱性が良くないと、回路基板上の部品が過熱し、機器全体の性能に悪影響を与える。
【0003】
ユニークな金属ベースの銅張積層板としてのアルミニウム基板は、熱伝導性、電気絶縁性、耐圧性、耐曲げ加工性、耐機械加工性などに優れたので、アビオニクス、自動車、通信、医療、オーディオなどの業界で広く使用される。しかし、アルミニウムは活性の高い金属元素の1つであり、標準電極電位が低く、空気中で酸化して軟らかい酸化皮膜を形成しやすく、耐食性、硬度、耐摩耗性に劣った。PCBアルミニウム基板の過程において、金属アルミニウムの活性が高いため、銅を直接堆積させる場合、銅堆積溶液が強アルカリ溶液になり、アルミニウムの基板と反応し、銅を正常に堆積させることができない。この研究では、特許文献1の技術的解決手段により、上記の問題を首尾よく解決し、無電解ニッケルめっきによってアルミニウム合金を金属化し、次に銅の堆積を行うことができる。
【0004】
しかし、PCBアルミニウム基板の構造は、エポキシ樹脂-アルミニウム合金-エポキシ樹脂であるため、アルミニウム基板孔内には、エポキシ樹脂層とアルミニウム合金層、即ち非金属層と金属層が同時に存在する。従来のアルミニウム合金の金属化処理は、亜鉛浸漬法を使用し、亜鉛層が無電解ニッケルめっき液中のニッケルイオンと置換することにより、無電解ニッケルめっきを行い、ニッケルめっき層を取得するが、該方法は樹脂上で化学反応を実現できないため、樹脂上で金属化が完了できず、金属層及び非金属層を同期して金属化することを実現できない。特許文献1は、イオン性パラジウム活性化液を使用して基材を活性化し、アルミニウム合金層の金属化の問題を十分に解決することができるが、活性化する時にエポキシ樹脂などの非金属層はイオン性パラジウム活性化液を吸着できないため、無電解ニッケルめっきを実現できず、従って、PCBアルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化することを実現できず、それは、孔壁の後続のめっき層の結合力に深刻な影響を与える。
【0005】
FR-4銅張積層板などの従来のPCB基板について、その孔の金属化プロセスは、脱脂→孔壁調整→粗大化→プリプレグ→コロイド状パラジウムの活性化→解膠→化学的銅堆積であり、しかし、該プロセスは、PCBアルミニウム基板孔の金属化に適せず、主な原因は、コロイド状パラジウムの活性化が酸性環境で行われ、PCBアルミニウム基板を活性化液に入れると、孔内の非金属層(エポキシ樹脂)の表面がパラジウムコロイドを吸着し得るが、金属層(アルミニウム合金)の標準電極電位が低いため、酸中で反応しやすく、それによって得られたパラジウム層が軟らかくなり、後続の金属化プロセスでめっき層の性能に悪影響を与え、次に、コロイダル状パラジウムの活性化を行った後、解膠処理を行う必要があり、解膠が十分ではない場合、触媒活性のあるパラジウム層が露出せず、めっきの欠落現像を引き起こし、解膠液が通常に酸又はアルカリであることにより、アルミニウム層を腐食し、後続の金属めっき層の結合力に悪影響を与え、最後、該プロセスが複雑であり、且つ多数のステップが強酸又は強アルカリ環境で反応するため、アルミニウム合金層の過度のエッチングを引き起こし、アルミニウム層を不均一にし、それによって後続のめっき層の不均一性を引き起こし、大量生産に不利であることである。
【0006】
要約すると、PCBアルミニウム基板孔の金属化を実現する方法はまだ開示されず、従来の基板孔の金属化プロセスは多くの欠陥があり、プロセスが複雑であり、現在の企業の要件を満たすことができない。従って、工業的な大量生産に適し、プロセスが容易であり、環境にやさしいPCBアルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化する技術の研究開発は、当業者の研究の重点となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【0008】
プロセスが複雑であり、めっきの欠落が発生し、めっき層が不均一であり、及び孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化できないなどの従来技術の欠点及び欠陥を克服するために、本発明は、PCBアルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化する方法を提供する。
【0009】
PCBアルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化する方法であって、
S1、アルミニウム基板をアルカリ脱脂液中に置き、アルミニウム基板孔内に対して脱脂処理を行い、孔内金属層表面の酸化皮膜を除去するステップと、
S2、ステップS1で処理されたアルミニウム基板をアルカリエッチング液に入れてエッチングするステップと、
S3、ステップS2で処理されたアルミニウム基板をシラン液に入れてシラン化するステップと、
S4、ステップS3で処理されたアルミニウム基板をオーブンに入れてベーク硬化するステップと、
S5、ステップS4で処理されたアルミニウム基板を活性化液に入れて活性化するステップと、
S6、ステップS5で処理されたアルミニウム基板をニッケルめっき液に入れて金属化し、ニッケルめっき製品を取得するステップとを含み、
前記シラン液は、質量比が1~5:0.1~10:0.1~1であるシランカップリング剤、安定剤及び助触媒を備える。
【0010】
本発明では、まず上記ステップの間に脱イオン水で処理されたアルミニウム基板を洗浄してから、次のステップを行い、それによって次のステップに溶液汚染を引き起こすことを回避する。
【0011】
選択可能には、前記助触媒は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムのうち一種以上である。
選択可能には、前記安定剤は、アルコール及び/又は界面活性剤であり、前記安定剤の濃度は1~100ml/Lである。
【0012】
選択可能には、前記アルコールは、メタノール、エタノール及びプロパノールの一種であり、前記界面活性剤は、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル及びラウリル硫酸ナトリウムのうち一種である。
【0013】
選択可能には、前記シラン液の温度は0~70℃であり、シラン化時間は10~120秒間であり、それは、シラン化の効果を改善することに役立つ。
【0014】
選択可能には、前記アルカリ脱脂液は、リン酸ナトリウムと、炭酸ナトリウムと、水酸化ナトリウムとを備え、前記リン酸ナトリウムの濃度は10~50g/Lであり、前記炭酸ナトリウムの濃度は10~50g/Lであり、前記水酸化ナトリウムの濃度は5~10g/Lであり、アルカリ脱脂液は、アルミニウム基板の表面や孔内の油汚れを除去し、後続に形成されためっき層の結合力を向上させることに役立つ。
【0015】
選択可能には、前記アルカリエッチング液は水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの一種又は二種であり、前記アルカリエッチング液の濃度は10~100g/Lであり、エッチングは、後続のニッケルめっきの効果を改善し、めっき層の品質を確保することに役立つ。
【0016】
選択可能には、前記活性化液は、塩化パラジウムと、塩酸と、塩化アンモニウムとを備え、塩化パラジウムの濃度は30~500ppmであり、塩酸の濃度は1~100ml/Lであり、塩化アンモニウムの濃度は10~1000ppmであり、後続のニッケルめっきの効果を改善し、電気めっき効率を高めることに役立つ。
【0017】
選択可能には、前記アルカリ脱脂液の温度は30~80℃であり、前記脱脂処理時間は3~6分間であり、前記アルカリエッチング液の温度は20~80℃であり、前記エッチング時間は10~100秒間であり、前記活性化液の温度は20~50℃で、活性化時間は30~120秒間であり、前記化学的ニッケルめっき液の温度は70~90℃であり、ニッケルめっき時間は5~15分間であり、前記ベーク硬化温度は50~120℃であり、前記ベーク硬化時間は1~5分間である。
【0018】
選択可能には、前記ニッケルめっき液は、質量比が(15~30):(20~30):(5~15):(10~20):(5~10):(6~12):(5~10)であるニッケル塩、次亜リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸系化合物、リンゴ酸、乳酸及びコハク酸ナトリウムを備える。
【0019】
従来技術に比べ、本発明は以下の効果を有し、
【0020】
1.本発明は、シラン化処理を行い、次に活性化し、アルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層は、ニッケルめっき液中に活性中心を形成し、活性中心と2つの表面は強い吸着能力を有するため、めっきの欠落の問題を十分に回避でき、且つ無電解ニッケルめっきと活性化の効率を大幅に高めることができ、めっきは迅速に開始され、めっき層は均一で緻密である。
【0021】
2.アルミニウム合金に金属化する従来方法は、亜鉛浸漬法であり、それは、樹脂に金属化することを実現でき、従来の基板孔の金属化方法は、孔内のアルミニウム層の深刻な腐食を引き起こし、それによって後続のめっき層の結合力に悪影響を与え、それに比べ、本方法は、プロセスが容易であり、コロイド状パラジウムの活性化及び解膠プロセスが不要であり、生産コストを削減し、PCBアルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化することを実現することができ、得られためっき層と孔壁は良好な結合力を有する。
【0022】
3.本方法は、PCBアルミニウム基板のアルミニウム合金層への腐食性が低いため、金属めっき層が優れた平坦性を有することを確保する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明によって提供されたPCBアルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化する方法のプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、具体的な実施例を参照しながら、本発明の内容を更に説明する、本発明の保護範囲を制限することを意味するものではない。
【0025】
PCBアルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化することをよりよく示すために、以下の実施例1~5は、アルミニウム合金層及びエポキシ樹脂層を使用し、アルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層構造をそれぞれ表し、そのプロセスフロー図は、
図1に示される。
(実施例1)
【0026】
以下の溶液の調製、
1.アルカリ脱脂液の調製について、アルカリ性脱脂液は、水酸化ナトリウムと、炭酸ナトリウムと、リン酸ナトリウムとを備え、水酸化ナトリウム10g、炭酸ナトリウム20g、リン酸ナトリウム10gを水に溶解した後、均一に混合して撹拌し、1リットルのアルカリ脱脂液として調製する。
【0027】
2.アルカリエッチング液の調製について、50gの水酸化ナトリウムを量り、500mlの脱イオン水に加え、加えながら撹拌し、それらの全てを加えた後、均一に撹拌し、最後に脱イオン水を加えて1Lに定容し、アルカリ性エッチング液が得られる。
【0028】
3.シラン液の調製について、シラン液は、質量比が1~5:0.1~10:0.1~1であるシランカップリング剤、安定剤及び助触媒を備え、安定剤はアルコール又は/及び界面活性剤であり、安定剤の濃度は1~100ml/Lである。本実施例において、シランカップリング剤の濃度は30ml/Lであり、安定剤は50ml/Lのエタノールであり、助触媒は2ml/Lのアンモニア水である。
【0029】
4.活性化液の調製について、活性化液は、30~50ppmの塩化パラジウム、1~100ml/Lの塩酸及び10~1000ppmの塩化アンモニウムを備え、本実施例において、50mgの塩化パラジウム、1mlの塩酸(37%濃度)及び10mgの塩化アンモニウムを水に溶解した後、均一に混合し、1リットルの活性化液として調製する。
【0030】
5.ニッケルめっき液の調製について、ニッケルめっき液は、質量比が(15~30):(20~30):(5~15):(10~20):(5~10):(6~12):(5~10)であるニッケル塩、次亜リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸系化合物、リンゴ酸、乳酸及びコハク酸ナトリウムを備え、ニッケル塩は、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、次亜リン酸ニッケル、又は硝酸ニッケルの一種以上であり、クエン酸系化合物は、クエン酸又は/及びクエン酸のナトリウム塩である。本実施例において、20g/Lの硫酸ニッケル、20g/Lの次亜リン酸ナトリウム、5g/Lの無水酢酸ナトリウム、6ml/Lの乳酸、10g/Lのクエン酸ナトリウム、5g/Lのリンゴ酸及び5g/Lのコハク酸ナトリウムを使用する。
【0031】
本実施例において、本発明の方法は順次、
(1)アルミニウム基板をアルカリ脱脂液に置き、即ち、金属層及び非金属層を同時にアルカリ脱脂液に置き、アルミニウム基板孔内に脱脂処理を行い、孔内の金属層の表面の酸化皮膜を除去し、脱脂処理が5分間であり、アルカリ脱脂液の温度が50℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(2)脱脂後のアルミニウム基板をアルカリエッチング液に入れてエッチングし、エッチング時間が30秒間であり、エッチング液の温度が50℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(3)アルミニウム基板をシラン液に入れてシラン化し、シラン化時間が60秒間であり、シラン液の温度が50℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(4)シラン化後のアルミニウム基板をオーブンに入れてベーク硬化し、ベーク硬化時間が2分間であり、ベーク硬化温度が80℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(5)ベーク硬化後のアルミニウム基板を活性化液に入れて活性化し、活性化時間が60秒間であり、活性化液の温度が25℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(6)活性化後のアルミニウム基板をニッケルめっき液に入れて金属化し、ニッケルめっき反応時間が10分間であり、ニッケルめっき液の温度が80℃であり、ニッケルめっき製品を取得し、金属層及び非金属層を同期して金属化することを実現するステップとを含む。
(実施例2)
【0032】
以下の溶液の調製、
1.アルカリ脱脂液の調製について、水酸化ナトリウム20g、炭酸ナトリウム20g、リン酸ナトリウム8gを水に溶解した後、均一に混合して撹拌し、1リットルのアルカリ脱脂液として調製する。
【0033】
2.アルカリエッチング液の調製について、40gの水酸化ナトリウムを量り、500mlの脱イオン水に加え、加えながら撹拌し、それらの全てを加えた後、均一に撹拌し、最後に脱イオン水を加えて1Lに定容し、アルカリ性エッチング液が得られる。
【0034】
3.シラン液の調製について、シラン液は、質量比が1~5:0.1~10:0.1~1であるシランカップリング剤、安定剤及び助触媒を備え、安定剤はアルコール又は/及び界面活性剤であり、安定剤の濃度は1~100ml/Lである。本実施例において、シランカップリング剤の濃度は20ml/Lであり、安定剤は40ml/Lのエタノール及び1ml/Lのポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(OP-10)であり、助触媒は0.2g/Lの水酸化ナトリウムである。
【0035】
4.活性化液の調製について、活性化液は、30~50ppmの塩化パラジウム、1~100ml/Lの塩酸及び10~1000ppmの塩化アンモニウムを備え、本実施例において、40mgの塩化パラジウム、1mlの塩酸(37%濃度)及び10mgの塩化アンモニウムを水に溶解した後、均一に混合し、1リットルの活性化液として調製する。
【0036】
5.ニッケルめっき液の調製について、ニッケルめっき液は、質量比が(15~30):(20~30):(5~15):(10~20):(5~10):(6~12):(5~10)であるニッケル塩、次亜リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸系化合物、リンゴ酸、乳酸及びコハク酸ナトリウムを備え、ニッケル塩は、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、次亜リン酸ニッケル、又は硝酸ニッケルの一種以上であり、クエン酸系化合物は、クエン酸又は/及びクエン酸のナトリウム塩である。本実施例において、25g/Lの硫酸ニッケル、25g/Lの次亜リン酸ナトリウム、7g/Lの無水酢酸ナトリウム、8ml/Lの乳酸、12g/Lのクエン酸ナトリウム、5g/Lのリンゴ酸及び7g/Lのコハク酸ナトリウムを使用する。
【0037】
本実施例において、本発明の方法は順次、
(1)アルミニウム基板をアルカリ脱脂液に置き、即ち、金属層及び非金属層を同時にアルカリ脱脂液に置き、アルミニウム基板孔内に脱脂処理を行い、孔内の金属層の表面の酸化皮膜を除去し、脱脂処理が3分間であり、アルカリ脱脂液の温度が60℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(2)脱脂後のアルミニウム基板をアルカリエッチング液に入れてエッチングし、エッチング時間が60秒間であり、エッチング液の温度が60℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(3)アルミニウム基板をシラン液に入れてシラン化し、シラン化時間が90秒間であり、シラン液の温度が60℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(4)シラン化後のアルミニウム基板をオーブンに入れてベーク硬化し、ベーク硬化時間が5分間であり、ベーク硬化温度が100℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(5)ベーク硬化後のアルミニウム基板を活性化液に入れて活性化し、活性化時間が60秒間であり、活性化液の温度が25℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(6)活性化後のアルミニウム基板をニッケルめっき液に入れて金属化し、ニッケルめっき反応時間が10分間であり、ニッケルめっき液の温度が80℃であり、ニッケルめっき製品を取得し、金属層及び非金属層を同期して金属化することを実現するステップとを含む。
(実施例3)
【0038】
以下の溶液の調製、
1.アルカリ脱脂液の調製について、アルカリ性脱脂液は、水酸化ナトリウムと、炭酸ナトリウムと、リン酸ナトリウムとを備え、水酸化ナトリウム15g、炭酸ナトリウム15g、リン酸ナトリウム5gを水に溶解した後、均一に混合して撹拌し、1リットルのアルカリ脱脂液として調製する。
【0039】
2.アルカリエッチング液の調製について、30gの水酸化ナトリウムを量り、500mlの脱イオン水に加え、加えながら撹拌し、それらの全てを加えた後、均一に撹拌し、最後に脱イオン水を加えて1Lに定容し、アルカリ性エッチング液が得られる。
【0040】
3.シラン液の調製について、シラン液は、質量比が1~5:0.1~10:0.1~1であるシランカップリング剤、安定剤及び助触媒を備え、安定剤はアルコール又は/及び界面活性剤であり、安定剤の濃度は1~100ml/Lである。本実施例において、シランカップリング剤の濃度は30ml/Lであり、界面活性剤は10ml/Lのポリエチレングリコールであり、助触媒は0.1g/Lの水酸化ナトリウムである。
【0041】
4.活性化液の調製について、活性化液は、30~50ppmの塩化パラジウム、1~100ml/Lの塩酸及び10~1000ppmの塩化アンモニウムを備え、本実施例において、50mgの塩化パラジウム、1mlの塩酸(37%濃度)及び20mgの塩化アンモニウムを水に溶解した後、均一に混合し、1リットルの活性化液として調製する。
【0042】
5.ニッケルめっき液の調製について、ニッケルめっき液は、質量比が(15~30):(20~30):(5~15):(10~20):(5~10):(6~12):(5~10)であるニッケル塩、次亜リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸系化合物、リンゴ酸、乳酸及びコハク酸ナトリウムを備え、ニッケル塩は、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、次亜リン酸ニッケル、又は硝酸ニッケルの一種以上であり、クエン酸系化合物は、クエン酸又は/及びクエン酸のナトリウム塩である。本実施例において、20g/Lの硫酸ニッケル、25g/Lの次亜リン酸ナトリウム、5g/Lの無水酢酸ナトリウム、8ml/Lの乳酸、10g/Lのクエン酸ナトリウム、5g/Lのリンゴ酸及び5g/Lのコハク酸ナトリウムを使用する。
【0043】
本実施例において、本発明の方法は順次、
(1)アルミニウム基板をアルカリ脱脂液に置き、即ち、金属層及び非金属層を同時にアルカリ脱脂液に置き、アルミニウム基板孔内に脱脂処理を行い、孔内の金属層の表面の酸化皮膜を除去し、脱脂処理が5分間であり、アルカリ脱脂液の温度が70℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(2)脱脂後のアルミニウム基板をアルカリエッチング液に入れてエッチングし、エッチング時間が20秒間であり、エッチング液の温度が50℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(3)アルミニウム基板をシラン液に入れてシラン化し、シラン化時間が120秒間であり、シラン液の温度が50℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(4)シラン化後のアルミニウム基板をオーブンに入れてベーク硬化し、ベーク硬化時間が2分間であり、ベーク硬化温度が100℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(5)ベーク硬化後のアルミニウム基板を活性化液に入れて活性化し、活性化時間が30秒間であり、活性化液の温度が25℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(6)活性化後のアルミニウム基板をニッケルめっき液に入れて金属化し、ニッケルめっき反応時間が15分間であり、ニッケルめっき液の温度が80℃であり、ニッケルめっき製品を取得し、金属層及び非金属層を同期して金属化することを実現するステップとを含む。
(実施例4)
【0044】
以下の溶液の調製、
1.アルカリ脱脂液の調製について、アルカリ性脱脂液は、水酸化ナトリウムと、炭酸ナトリウムと、リン酸ナトリウムとを備え、水酸化ナトリウム50g、炭酸ナトリウム10g、リン酸ナトリウム5gを水に溶解した後、均一に混合して撹拌し、1リットルのアルカリ脱脂液として調製する。
【0045】
2.アルカリエッチング液の調製について、30gの水酸化ナトリウム及び10gの水酸化カリウムを量り、500mlの脱イオン水に加え、加えながら撹拌し、それらの全てを加えた後、均一に撹拌し、最後に脱イオン水を加えて1Lに定容し、アルカリ性エッチング液が得られる。
【0046】
3.シラン液の調製について、シラン液は、質量比が1~5:0.1~10:0.1~1であるシランカップリング剤、安定剤及び助触媒を備え、安定剤はアルコール又は/及び界面活性剤であり、安定剤の濃度は1~100ml/Lである。本実施例において、シランカップリング剤の濃度は30ml/Lであり、安定剤は20ml/Lのメタノール及び20ml/Lのプロパノールであり、助触媒は8g/Lの炭酸ナトリウム及び10g/Lの重炭酸ナトリウムである。
【0047】
4.活性化液の調製について、活性化液は、30~50ppmの塩化パラジウム、1~100ml/Lの塩酸及び10~1000ppmの塩化アンモニウムを備え、本実施例において、50mgの塩化パラジウム、1mlの塩酸(37%濃度)及び20mgの塩化アンモニウムを水に溶解した後、均一に混合し、1リットルの活性化液として調製する。
【0048】
5.ニッケルめっき液の調製について、ニッケルめっき液は、質量比が(15~30):(20~30):(5~15):(10~20):(5~10):(6~12):(5~10)であるニッケル塩、次亜リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸系化合物、リンゴ酸、乳酸及びコハク酸ナトリウムを備え、ニッケル塩は、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、次亜リン酸ニッケル、又は硝酸ニッケルの一種以上であり、クエン酸系化合物は、クエン酸又は/及びクエン酸のナトリウム塩である。本実施例において、20g/Lの硫酸ニッケル、25g/Lの次亜リン酸ナトリウム、5g/Lの無水酢酸ナトリウム、8ml/Lの乳酸、10g/Lのクエン酸ナトリウム、5g/Lのリンゴ酸及び5g/Lのコハク酸ナトリウムを使用する。
【0049】
本実施例において、本発明の方法は順次、
(1)アルミニウム基板をアルカリ脱脂液に置き、即ち、金属層及び非金属層を同時にアルカリ脱脂液に置き、アルミニウム基板孔内に脱脂処理を行い、孔内の金属層の表面の酸化皮膜を除去し、脱脂処理が6分間であり、アルカリ脱脂液の温度が30℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(2)脱脂後のアルミニウム基板をアルカリエッチング液に入れてエッチングし、エッチング時間が10秒間であり、エッチング液の温度が80℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(3)アルミニウム基板をシラン液に入れてシラン化し、シラン化時間が10秒間であり、シラン液の温度が70℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(4)シラン化後のアルミニウム基板をオーブンに入れてベーク硬化し、ベーク硬化時間が5分間であり、ベーク硬化温度が50℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(5)ベーク硬化後のアルミニウム基板を活性化液に入れて活性化し、活性化時間が100秒間であり、活性化液の温度が50℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(6)活性化後のアルミニウム基板をニッケルめっき液に入れて金属化し、ニッケルめっき反応時間が12分間であり、ニッケルめっき液の温度が70℃であり、ニッケルめっき製品を取得し、金属層及び非金属層を同期して金属化することを実現するステップとを含む。
(実施例5)
【0050】
以下の溶液の調製、
1.アルカリ脱脂液の調製について、アルカリ性脱脂液は、水酸化ナトリウムと、炭酸ナトリウムと、リン酸ナトリウムとを備え、水酸化ナトリウム25g、炭酸ナトリウム50g、リン酸ナトリウム10gを水に溶解した後、均一に混合して撹拌し、1リットルのアルカリ脱脂液として調製する。
【0051】
2.アルカリエッチング液の調製について、40gの水酸化カリウムを量り、500mlの脱イオン水に加え、加えながら撹拌し、それらの全てを加えた後、均一に撹拌し、最後に脱イオン水を加えて1Lに定容し、アルカリ性エッチング液が得られる。
【0052】
3.シラン液の調製について、シラン液は、質量比が1~5:0.1~10:0.1~1であるシランカップリング剤、安定剤及び助触媒を備え、安定剤はアルコール又は/及び界面活性剤であり、安定剤の濃度は1~100ml/Lである。本実施例において、シランカップリング剤の濃度は25ml/Lであり、安定剤は30ml/Lのラウリル硫酸ナトリウムであり、助触媒は0.2g/Lの水酸化カリウム及び0.3g/Lの酢酸ナトリウムである。
【0053】
4.活性化液の調製について、活性化液は、30~50ppmの塩化パラジウム、1~100ml/Lの塩酸及び10~1000ppmの塩化アンモニウムを備え、本実施例において、30 mgの塩化パラジウム、1mlの塩酸(37%濃度)及び15 mgの塩化アンモニウムを水に溶解した後、均一に混合し、1リットルの活性化液として調製する。
【0054】
5.ニッケルめっき液の調製について、ニッケルめっき液は、質量比が(15~30):(20~30):(5~15):(10~20):(5~10):(6~12):(5~10)であるニッケル塩、次亜リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸系化合物、リンゴ酸、乳酸及びコハク酸ナトリウムを備え、ニッケル塩は、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、次亜リン酸ニッケル、又は硝酸ニッケルの一種以上であり、クエン酸系化合物は、クエン酸又は/及びクエン酸のナトリウム塩である。本実施例において、22g/Lの硫酸ニッケル、25g/Lの次亜リン酸ナトリウム、6g/Lの無水酢酸ナトリウム、8ml/Lの乳酸、11g/Lのクエン酸ナトリウム、5g/Lのリンゴ酸及び6g/Lのコハク酸ナトリウムを使用する。
【0055】
本実施例において、本発明の方法は順次、
(1)アルミニウム基板をアルカリ脱脂液に置き、即ち、金属層及び非金属層を同時にアルカリ脱脂液に置き、アルミニウム基板孔内に脱脂処理を行い、孔内の金属層の表面の酸化皮膜を除去し、脱脂処理が4分間であり、アルカリ脱脂液の温度が80℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(2)脱脂後のアルミニウム基板をアルカリエッチング液に入れてエッチングし、エッチング時間が100秒間であり、エッチング液の温度が20℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(3)アルミニウム基板をシラン液に入れてシラン化し、シラン化時間が110秒間であり、シラン液の温度が0℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(4)シラン化後のアルミニウム基板をオーブンに入れてベーク硬化し、ベーク硬化時間が1分間であり、ベーク硬化温度が120℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(5)ベーク硬化後のアルミニウム基板を活性化液に入れて活性化し、活性化時間が120秒間であり、活性化液の温度が20℃であり、その後に脱イオン水で十分に洗浄するステップと、
(6)活性化後のアルミニウム基板をニッケルめっき液に入れて金属化し、ニッケルめっき反応時間が5分間であり、ニッケルめっき液の温度が90℃であり、ニッケルめっき製品を取得し、金属層及び非金属層を同期して金属化することを実現するステップとを含む。
【0056】
上記実施例1~5の方法で得られたニッケルめっき製品について、その孔内の断面を観察する金属顕微鏡からの画像により、孔内の樹脂層とアルミニウム合金層の両方にニッケルめっき層が設けられ、ニッケルめっき層には欠落や破損の現象が発生しないことを発見し、それは、孔壁上のニッケルめっき層とアルミニウム基板との結合力に優れ、PCBアルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化することを実現することを示す。
【0057】
GB-5270-85金属基板における金属被覆層(電気めっき層及び無電解めっき層)の付着強度試験方法に従って、スクラッチ試験法で上記プロセスで得られたニッケルめっき製品を3回試験し、且つ熱衝撃試験を行い、試験結果は以下の表のとおりであり、
【表1】
【0058】
アルミ基板に対して脱脂処理を行う目的は、アルミ基板表面の有機グリースと孔内のアルミニウム合金層の酸化皮膜を除去することであり、有機グリースは、生産及び輸送中にアルミニウム基板の表面に付着したエンジン油、又は労働者の残留指紋などであり得、有機グリースは、後続のめっき層とアルミニウム基板との間の結合力に悪影響を与えるため、ニッケルめっき液に入れる前に完全に除去する必要があり、表面酸化皮膜は、アルミニウムが空気中で容易に酸化して軟らかい酸化皮膜を形成しやすい特殊性に起因し、アルミニウム基板の耐食性が低下し、めっき層の性能に深刻な影響を与える。
【0059】
本発明は、アルミニウム基板に対してシラン化処理を行うことにより、アルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層の表面にシラン膜を生成し、次に活性化液に入れて活性化処理を行い、その後に無電解ニッケルめっきを行い、それによって孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化することを実現し、緻密なニッケルめっき層を取得する。その主な原理は、シラン溶液がシランカップリング剤を含有し、シランカップリング剤分子が2つの異なる反応基を含有し、その化学構造がY-R-SiX3で表され得、XとYが異なる反応特性を有し、Xが加水分解によってシラノール基(Si-OH)を生成できるシリコン原子に結合した基であり、Yがアミノ基、エポキシ基、ビニル基、スルフヒドリル基などの有機官能基であり、それが一部の金属イオンと錯体を形成し得るため、金属イオンを表面に吸着させることである。アルミニウム合金とエポキシ樹脂をシラン液に入れる場合、シラン液中のシランカップリング剤の加水分解及び凝縮反応により、シラノール基(Si-OH)を生成するが、アルミニウム合金とエポキシ樹脂の表面には、より多くのヒドロキシル-OHを含有するため、溶液中のSi-OHは、アルミニウム基板の表面のヒドロキシル-OHと結合し、水素結合を形成し、その後、加熱及びベーク硬化により、脱水反応を伴ってアルミニウム基板と共有結合を形成し、それによってアルミニウム合金と樹脂の表面にシラン膜の層を形成し、結合力に優れた。シランカップリング剤Y-R-SiX3のXはアルミニウム基板と共有結合を形成し、その外端にY基が吊り下げられ、広く使用されたY基はアミノであり、Pd2+などの一部の金属イオンと容易に錯体を形成する能力があり、この特徴を利用し、シラン化されたアルミニウム合金層と樹脂層をパラジウム活性化液に入れ、シラン膜上のアミノ基は、パラジウム活性化液中のPdと容易に錯体を形成し、パラジウムイオンをアルミニウム基板の表面に付着させ、ニッケルめっき液に還元剤と反応してパラジウム原子を生成し、活性中心を形成し、その後、無電解ニッケルめっき反応を促進し、それによってアルミニウム合金の金属層及びエポキシ樹脂の非金属層を同期して金属化することを実現でき、ニッケルめっき層を取得する。
【0060】
本発明は、PCBアルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化する方法を提供し、シラン化処理してから、活性化し、それによってめっきの欠落の問題を十分に解決でき、無電解ニッケルめっきと活性化の効率を大幅に向上させることができ、めっきを迅速に開始し、めっき層が均一で緻密であり、本方法は、プロセスが容易であり、生産コストを削減し、PCBアルミニウム基板孔内の金属層及び非金属層を同期して金属化することをよく実現でき、得られためっき層と孔壁との結合力に優れ、本方法は、PCBアルミニウム基板のアルミニウム合金層への腐食性が低いため、金属めっき層の平坦性に優れたことを確保する。
【0061】
本発明の上記実施例は、本発明を明確に説明するための単なる例であり、本発明の実施形態を限定することを意図するものではない。当業者にとって、上記説明に基づいて他の異なる形式の変更又は修正を行うこともでき、ここで全ての実施形態をリストする必要はなく、不可能である。本発明の精神及び原則の範囲内で行われた修正、同等の交換及び改良などは、本発明の特許請求の範囲に含まれるべきである。
【国際調査報告】