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特表2023-505926トンネルシステム用自動自己清掃式排水システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(54)【発明の名称】トンネルシステム用自動自己清掃式排水システム
(51)【国際特許分類】
   B08B 9/04 20060101AFI20230207BHJP
   B08B 13/00 20060101ALI20230207BHJP
   B08B 9/049 20060101ALN20230207BHJP
【FI】
B08B9/04
B08B13/00
B08B9/049
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522613
(86)(22)【出願日】2019-10-17
(85)【翻訳文提出日】2022-06-01
(86)【国際出願番号】 AT2019060346
(87)【国際公開番号】W WO2021072459
(87)【国際公開日】2021-04-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522148994
【氏名又は名称】ドレインボット ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レオポルド、フィリップ
【テーマコード(参考)】
3B116
【Fターム(参考)】
3B116AA13
3B116AB52
3B116AB54
3B116BA02
3B116BA12
3B116BA15
3B116BA35
3B116CD42
3B116CD43
(57)【要約】
第1の態様では、本発明は、排水管(2)を備えるトンネルシステム用の排水路清掃システム(1)に関し、排水路清掃システム(1)は、前記排水管(2)上に少なくとも1つの充電ステーション(5)を備え、充電ステーション(5)は、排水管(2)内に配置された自走式清掃ロボット(6)のバッテリを充電し、清掃ロボット(6)によって記録された測定データを排水路清掃システム(1)の外部に配置されたサーバに送信することを可能にするように設計されている。第2の態様では、本発明は、自走式清掃ロボット(6)に関し、第3の態様では、前記排水路清掃システム(1)及び前記清掃ロボット(6)から構成される自己清掃式排水システム(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水管(2)を備えるトンネルシステム用の排水路清掃システム(1)であって、前記排水路清掃システム(1)が、前記排水管(2)上に少なくとも1つの充電ステーション(5)を備え、前記充電ステーション(5)が、前記排水管(2)内に配置された自走式清掃ロボット(6)のバッテリを充電し、前記清掃ロボット(6)によって記録された測定データを前記排水路清掃システム(1)の外部に配置されたサーバに送信することを可能にするように設計されていることを特徴とする、排水路清掃システム(1)。
【請求項2】
前記排水路清掃システム(1)が、前記排水管(2)上に少なくとも1つの通信ステーションをさらに有し、前記通信ステーションは、前記清掃ロボット(6)によって記録された測定データを受信し、前記清掃ロボット(6)を充電することなく前記測定データを前記サーバに送信するように設計されている、請求項1に記載の排水路清掃システム(1)。
【請求項3】
前記充電ステーション(5)の少なくとも2つを備え、前記充電ステーション(5)が、互いに所定の距離だけ離間している、請求項1又は2に記載の排水路清掃システム(1)。
【請求項4】
前記充電ステーション(5)が、50m~1000m、好ましくは450m~600mの相互間距離で配置されている、請求項3に記載の排水路清掃システム(1)。
【請求項5】
前記充電ステーションが、前記清掃ロボット(6)によって記録された測定データを受信し、好ましくは無線接続を使用して、特に好ましくは移動無線接続を使用して、前記排水路清掃システム(1)の外部に配置されたサーバに前記測定データを送信するように設計されたトランシーバを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の排水路清掃システム(1)。
【請求項6】
前記充電ステーション(5)が、前記排水管(2)の内径の外部に配置され、前記清掃ロボット(6)を前記内径の外部で充電するために、前記清掃ロボット(6)を前記内径の外に運ぶように設計されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の排水路清掃システム(1)。
【請求項7】
前記充電ステーション(5)が、前記清掃ロボット(6)の動作状態を変更するために、前記サーバによって受信された制御データを前記清掃ロボット(6)に送信するようにさらに設計されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の排水路清掃システム(1)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の排水路清掃システム用の自走式清掃ロボット(6)であって、前記排水路清掃システム(1)の前記自動清掃のための駆動部と、前記駆動部用のバッテリと、測定データを記録するための少なくとも1つのセンサとを備え、前記清掃ロボット(6)が、前記充電ステーション(5)を使用して前記バッテリを充電し、前記センサによって記録された測定データを前記充電ステーション(5)に送信するように設計されている、自走式清掃ロボット(6)。
【請求項9】
動作中に100mm~500mmの直径を有するブラシ(14)を備え、前記清掃ロボット(6)は、前記進行方向(R1)に対して見たときに、前記ブラシ(14)の円周内に位置する走行体(13、15、17、19)をさらに有する、請求項8に記載の清掃ロボット(6)。
【請求項10】
前記記録された測定データが傾斜データを含み、そのデータによって前記排水管(2)の下降を判定することができる、請求項8又は9に記載の清掃ロボット(6)。
【請求項11】
前記測定データが、温度、pH値、前記排水管内の流体の導電率、走行距離の測定値、並びに前記清掃の出来具合を監視するためにカメラ(14)によって記録された画像及び/又はビデオデータをさらに含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の清掃ロボット(6)。
【請求項12】
前記バッテリが、100m~2000m、好ましくは450m~1200mを走行する容量を有する、請求項8から11のいずれか一項に記載の清掃ロボット(6)。
【請求項13】
前記清掃ロボット(6)が、前記排水路清掃システム(1)内で乗り越えられない障害物が検出されたときに、最後に訪れた充電ステーション(5)に行き、前記充電ステーション(5)へと到達すると前記サーバにエラーメッセージを送信するように設計されている、請求項8から12のいずれか一項に記載の清掃ロボット(6)。
【請求項14】
前記清掃ロボット(6)が、前記清掃ロボットが前記充電ステーション(5)にあるときに、記録された測定データを前記サーバに直接送信するように設計されたトランシーバを備える、請求項9から14のいずれか一項に記載の清掃ロボット(6)。
【請求項15】
請求項1から7のいずれか一項に記載の前記排水路清掃システム(1)と、請求項8から13のいずれか一項に記載の前記清掃ロボット(2)とを備える、自己清掃式排水システム(1)。
【請求項16】
請求項8から13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのさらなる清掃ロボット(2)を備える、請求項15に記載の自己清掃式排水システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの地下排水管を備えるトンネルシステム又は構造用の排水路清掃システムに関する。さらなる態様では、本発明は、前記排水路清掃システム用の自走式清掃ロボット、並びに、前記排水路清掃システム及び前記自走式清掃ロボットを備える自己清掃式排水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に知られているように、トンネルは、例えば、山を通る車道を敷設するために、山又は同様の石塊を貫通して建設される。しかしながら、そうすることで、山から流れ出た水がトンネルに流れ込み、車道が冠水するという問題が生じる。このため、従来技術から知られているように、車道の安全な運用を確保するために、山から流れ出る水を車道の下で受け取る排水システムが車道の下に設置される。
【0003】
これらの排水システムを清掃するために、例えば、排水システムに導入された砂利又は排水管上の堆積物を除去することによって、流体力学的工具又はノズルをそれぞれ有する排水システムのパイプラインを清掃するための装置が従来技術で使用される。これらの装置は、常に、装置を駆動するためのホース又はそれぞれのケーブルを有する。利用可能なホース及びケーブルがそれぞれ特定の長さしか有していないため、結果として、これらのシステムは、使用できる長さが制限される。さらに、特にトンネルシステムでは、空間的条件が非常に制限されており、そのため、既存の排水システムはサイズに関して非常に制限され、その結果、使用できる長さが短縮される。
【0004】
トンネルシステムにおいて特に生じる別の問題は、従来技術の既存のシステムを現場の従業員が管内に導入しなければならないことである。特に、混雑するトンネルシステムでは、これにより動作中にオフ時間が発生し、トンネルシステムが稼働している状態では、それぞれ極めて危険である。
【0005】
独国特許第69221161号明細書(T2)、韓国特許出願公開第10-2015-0064565号明細書、韓国特許第10-0190751号明細書及び欧州特許出願公開第3315219号明細書に記載されているような、例えば、建物内の換気シャフトなどの関連性のない技術分野からは、例えば、流体力学的に駆動されない清掃ロボットを用いて空気シャフトを清掃することが知られている。
【0006】
米国特許第77993469号明細書からは、下水道清掃のために有線式清掃ロボットを使用することが知られているが、一方で、このロボットは、下水道開口部で使用されるので、このロボットが搬送するケーブルによってその走行長が制限される。
【0007】
さらに、上記で引用された文献から、清掃されるシャフトの汚れに関する情報を得るために、清掃中に測定データを記録すること、又はそれぞれカメラを携行していることが知られている。しかしながら、これは、トンネルシステム用の排水システムの場合、排水システムがトンネルの下に設置されている結果、無線データ伝送のための適切な受信が提供されないため、これまでほとんど実現できていなかった。これに対する解決策は、清掃装置が取り外された後に、記録されたデータをインタフェース経由で手動で読み出すことであるが、これもまた、従業員が清掃装置を排水システムから取り外さなければならないという欠点を伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許第69221161号明細書(T2)
【特許文献2】韓国特許出願公開第10-2015-0064565号明細書
【特許文献3】韓国特許第10-0190751号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第3315219号明細書
【特許文献5】米国特許第77993469号明細書
【発明の概要】
【0009】
したがって、本発明の目的は、従来技術の欠点を克服し、特に人手を介さずに独立した動作を可能にする排水路清掃システム、又はそれぞれに清掃ロボット及び自己清掃式排水システムを作ることである。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、これは、トンネルシステム用の排水路清掃システムによって実現され、排水路清掃システムは、少なくとも1つの排水管を備え、排水路清掃システムは、前記排水管上に少なくとも1つの充電ステーションを備え、充電ステーションは、排水管に配置された自走式清掃ロボットのバッテリを充電し、清掃ロボットによって記録された測定データを排水路清掃システムの外部に配置されたサーバに送信することを可能にするように設計される。
【0011】
第1に、本発明による排水路清掃システムは、排水路清掃システム内に配置された清掃ロボットを充電することができる少なくとも1つの充電ステーションを備えるという利点を有する。その結果、流体駆動部又はそれぞれ有線式駆動部を備えた装置なしで清掃することができる排水路清掃システムを初めて得ることができる。このようにして、清掃装置はもはや排水路清掃システムの一端に手作業で挿入する必要がないため、排水路清掃システムの全長も長くすることができる。
【0012】
排水路清掃システムの第2の利点は、データ送信用充電ステーションによって初めて、排水路清掃システムに関する情報を連続的に、すなわち、手動での清掃動作中だけでなく、清掃ロボットが充電ステーションにドッキングするたびに、サーバに提供可能になることであり、このことは、これまで排水システムでのデータ接続が不十分なために不可能であった。
【0013】
全体として、一体型充電ステーションを備えた排水路清掃システムは、自走式清掃ロボットと協働して、人の介在がなくてもそれ自体を連続的に清掃する完全自給型の排水路清掃システムを作り出す。こうして、自走式清掃ロボットは充電プロセスのためだけにその清掃作業を中断するので、一方ではトンネル内の走行動作をもはや中断する必要がなくなり、他方では、清掃の改善が実現され、それにより、とりわけ、排水路清掃システムに蓄積する堆積物が少なくなる。
【0014】
さらに、排水路清掃システムは、好ましくは、排水管上に少なくとも1つの通信ステーションを有し、通信ステーションは、清掃ロボットによって記録された測定データを受信し、清掃ロボットに充電することなくそれらを上述のサーバに送るように設計されている。この通信ステーションは、充電機能なしで設けられているため、清掃ロボットは、測定データをサーバに送信するために、通信ステーションに留まる時間をより短くすることができる。例えば、通信ステーションは、排水路清掃システムの一端、すなわち、清掃ロボットの清掃中の反転点に配置されることが想定され得る。
【0015】
さらに、排水路清掃システムは、好ましくは、所定の最小距離だけ互いに離間した上述の充電ステーションの少なくとも2つを備える。このようにして、有線式清掃装置を用いた清掃でできるよりも効果的に長い排水路清掃システムが可能になる。
【0016】
2つの充電ステーション間の距離は、有利には、清掃ロボットのバッテリの容量より小さいか、せいぜい半分であり、その結果、充電ステーションの直前に障害物がある場合に清掃ロボットは最後の充電ステーションに戻ることができる。例えば、充電ステーションは、典型的な電池容量の半分に相当する50m~1000m、好ましくは450m~600mの相互間距離に配置される。
【0017】
清掃ロボットによって記録された測定データを排水システムの外部に配置されたサーバに送信できるようにするために、清掃ロボットは、例えば、それ自体のトランシーバを有することができる。例えば、通常はサーバへの適切な通信リンクがない排水管の内径の外に、上述したように、充電ステーションによって清掃ロボットが運ばれる場合、清掃ロボットは、サーバへの通信リンクが設けられた位置に搬入することができる。あるいは、充電ステーションは、例えば、記録された測定データをサーバに送信することができるように、清掃ロボットのトランシーバが結合することができるアンテナを提供することができる。
【0018】
しかしながら、充電ステーションは、好ましくは、清掃ロボットによって記録された測定データを受信し、それらを排水システムの外部に配置されたサーバに送信するように設計されたトランシーバを備える。これは、清掃ロボットを単純かつ費用効率の高い方法で設計することができ、充電ステーションとサーバとの間のデータ接続が存在するかどうかをいつでも判定することができる、すなわち、通信リンクの完全性を連続的にチェックすることができるという利点を有する。
【0019】
前述の事例では、サーバへの充電ステーションの接続は、例えば、サーバがトンネルの近くに配置されている場合は、例えば有線であってもよい。しかしながら、好ましい実施形態では、充電ステーションは、無線接続を使用して、好ましくは移動無線接続を使用して、測定データをサーバに送信するように設計される。第1に、これにより、ケーブルを敷設する必要がないため、充電ステーションの設置に必要な労力が低減され、第2に、プロバイダの充電ステーションのすべてが、簡単な方法で測定データを中央サーバに送信することが可能となる。
【0020】
充電ステーションは、特に好ましくは、排水管の内径の外部に配置され、清掃ロボットを内径の外部で充電するために、清掃ロボットを内径の外に運ぶように設計される。例えば、充電ステーションは、清掃ロボットを排水管から持ち上げることができる。これは、汚水が排水管を通って滞りなく流れ出ることができるように、清掃ロボットのバッテリの充電中に内径に自由にアクセスすることができるという効果を有する。これに関連して、その回転ブラシによって、排水管を通って水を流すことができ、ブラシが適切に設計されている場合、汚水の排出をさらに促進するので、清掃ロボットによって、清掃中に障害物が発生しないことに留意されたい。
【0021】
さらに、充電ステーションは、有利には、清掃ロボットの動作状態を変更するために、サーバによって受信された制御データを清掃ロボットに送信するように設計される。このように、清掃ロボットと充電ステーションとの間のデータの流れが双方向になることで、例えば、清掃ロボットをブラシ速度の遅い動作状態からブラシ速度の速い動作状態へと手動で移行させることが可能になる。したがって、再プログラミングのために清掃ロボットを排水システムから手動で取り外すことなく、特定の障害物又は汚染物質に個別に反応することが可能である。
【0022】
第2の態様では、本発明は、排水システムの自動清掃のための駆動部と、駆動部用のバッテリと、測定データを記録するための少なくとも1つのセンサとを備えた、上述の実施形態のいずれかによる排水路清掃システム用の自走式清掃ロボットに関し、清掃ロボットは、充電ステーションを使用してバッテリを充電し、センサによって記録された測定データを充電ステーションに送信するように設計されている。
【0023】
したがって、前記清掃ロボットは、排水システム内で自給的に動作する可能性、すなわち、排水システム内のデータ接続が不十分であるにもかかわらず、それ自体を独力で充電すると同時に、一定の間隔で測定データをサーバに送信する可能性を初めて生み出す。例えば、バッテリは、トラクション駆動部のための、及び、清掃駆動部、例えばブラシのためのエネルギー供給を同時に示すことができる。駆動部は、例えば、プログラムメモリを有するプロセッサなどのコントローラを備え、その結果、清掃ロボットは、予めインストールされたプログラムに従って排水システム全体をナビゲートし、プロセス中にそれを清掃することができる。
【0024】
清掃ロボットは、好ましくは、動作中、100mm~500mmの直径を有するブラシを備え、清掃ロボットは、さらに、進行方向から見てブラシの円周内に位置する走行体を有する。ブラシの円周は、一般に、清掃ロボットの進行方向に本質的に対応する軸を中心にブラシを回転させることによって得られる。ブラシの直径は、有利には、排水管の内径を1回の通過で完全に清掃できるようにするために、排水管の内径に対応している。
【0025】
有利な実施形態では、記録された測定データは、傾斜データを含み、そのデータによって排水管の下降を判定することができる。汚れに関する清掃に特有の測定データのみが記録される関連のない従来技術と比較して、傾斜データの記録によって、排水システムの部分が経時的に沈下しているかどうかに関する分析が可能になり、排水システムの上方の車道自体の状態について結論を導き出すことも可能になる。したがって、清掃に加えて、清掃ロボットは、トンネル構造全体又はトンネルシステム全体の品質管理に使用することができる。
【0026】
追加的に、又は代替的に、測定データはまた、温度、pH値、導電率、走行距離の測定値、並びに清掃の出来具合を監視するためにカメラによって記録された画像及び/又はビデオデータを含むことができる。測定データは、例えば、充電ステーション、サーバ又は清掃システム自体において自動的に評価することができる。測定データに応じて、例えば、個々の汚れをより徹底的に清掃するために、清掃ロボットの動作状態を自動的に又は手動で変更することができる。
【0027】
バッテリは、好ましくは、排水管内で清掃ロボットとともに100m~2000m、好ましくは450m~1200mの距離にわたって移動し、走行することが可能な容量を有する。ほとんどの実施形態では、これは、2つの充電ステーション間の長さの少なくとも2倍に相当し、充電ステーションの前に障害物があっても方向転換して最後の充電ステーションに到達するのに十分なバッテリ容量がある。
【0028】
これを実現するために、清掃ロボットは、排水システム内で乗り越えられない障害物が検出された場合、最後に訪れた充電ステーションに行き、充電ステーションに到達するとサーバにエラーメッセージを送信するように設計することができる。そのような障害物は、例えば手動で除去することができるが、障害物の位置が、通常、清掃車両によって記録された測定データから分かるため、特定の方法で行うことができる。
【0029】
既に説明したように、清掃ロボットは、好ましくは、清掃ロボットが充電ステーションにあるときに、記録された測定データを直接、すなわち充電ステーションのトランシーバを介さずにサーバに送信するように設計されたトランシーバを備えることができる。これにより、充電ステーションが通信を確立するための第三者手段として使用されないので、データ接続のセキュリティが高まる。
【0030】
したがって、充電ステーションを備える本発明による排水路清掃システムと、本発明による自走式清掃ロボットとは、上述の利点を有する自己清掃式排水システムを共同で形成する。
【0031】
好ましくは、例えば排水システムの長さが長い場合、2つ以上の清掃ロボットをこの自己清掃式排水システムにさらに提供することが可能である。
【0032】
本発明の有利かつ非限定的な実施形態を、図面を参照して以下にさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】清掃ロボット及び充電ステーションを備えた自己清掃式排水システムを示す。
図2図1の充電ステーションの側面図である。
図3図1の充電ステーションの第1の斜視図である。
図4図1の充電ステーションの第2の斜視図である。
図5図1の充電ステーションの平面図である。
図6図1の清掃ロボットの斜視図である。
図7図1の清掃ロボットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、汚水を排出するための(通常は地下の)排水管2を有するトンネルシステム用の自己清掃式排水システム1を示す。図示の例では、排水管2は車道3の下でトンネル内に配置されているが、他の用途の分野の排水管として使用することもできる。排水システム用の排水管2は、通常、DN160~250のサイズ、すなわち152mm~238mmの内径を有するが、より一般的には100mm~500mmの内径も有する。
【0035】
排水管2を車道3の下でアクセスできるようにするために、例えば、少なくとも1つの排水シャフト4が排水管2と車道3との間に配置される。排水シャフト4は、通常、60cm~100cmの深さがあり、例えば、互いに60m離れている。しかしながら、排水シャフト4間の距離は、10mだけのこともあれば、200m以上に及ぶこともある。排水管2は、排水シャフト4の上流側と下流側とに延びている。すなわち、排水管2は、一体で製造される必要はなく、排水シャフト4などの断続部があってもよい。排水路清掃システム1は、通常は直線状であるが、分岐を設けることもでき、すなわち、別の排水管が排水管2から出てきてもよい。
【0036】
本発明による排水路清掃システム1では、以下に説明するように、少なくとも1つの排水シャフト4内に清掃ユニットとして自走式清掃ロボット6用の充電ステーション5が設けられている。しかしながら、充電ステーション5は、排水シャフト4内だけでなく、別の場所にも、例えば、別個の凹部又は排水管2自体の中/上に配置することができることは言うまでもない。
【0037】
自走式の非有線式清掃ロボット6は、排水管2を自動的に、すなわち人の介在なしに移動し、その過程で排水管2を清掃するように設計されている。この目的のために、清掃ロボット6は、以下に詳細に説明するように、清掃ロボット6の連続運転を確実にするために、充電ステーション5によって一定の間隔で充電されるバッテリを有する。したがって、通例、清掃ロボット6は、充電ステーション5から出発し、次の充電ステーション5まで排水管2の管部を清掃し、そこで再び充電するために停止する。清掃ロボット6が、なおも十分なバッテリ容量を有する場合、次の充電ステーション5まで充電を省略することすらできる。清掃ロボット6に自走式の構成を持たせるために、例えば、1つ又は複数の動作状態を有するプログラムを提供することができ、このプログラムは、清掃ロボット6のメモリに格納され、清掃ロボット6のマイクロプロセッサによって実行される。
【0038】
図2図5は、本発明による排水路清掃システム1の充電ステーション5の実施形態を詳細に示す。したがって、清掃ロボット6が充電ステーション6に入ることができるように、充電ステーション5は、その下端が排水管2の一部に取り付けられる。充電ステーション5の領域では、清掃ロボット6を排水管2の内周から持ち上げることができるように、排水管2は、上部が開いている。この目的のために、充電ステーション5は、昇降式台座8を備えた昇降装置7を備える。昇降式台座8は、清掃ロボット6を持ち上げるために清掃ロボット6と係合することができるように設計されている。清掃ロボット6が持ち上げられるとすぐに、充電ポイント9が清掃ロボット6上の対応する接点に結合し、その結果、清掃ロボット6内のバッテリを充電することができるようになる。物理的な電気接点を使用する代わりに、誘導的に充電することもできる。
【0039】
充電ステーション5は、充電に適した電子機器を有し、この電子機器は、充電ステーション5内に配置された技術キャビネット10内に収容することができる。バッテリは、通常、直流で充電されるため、電子機器は、そのために必要な充電回路を含むことができる。さらに、電子機器は、適切な安全装置を示すことができる。次いで、充電ステーション2は、例えば、送電網で、又は局所的に設けられた光電池又は他のエネルギーシステムで清掃ロボット6を充電するために、外部電源に接続することができる。
【0040】
充電ステーション5を排水シャフト4に設置するために、充電ステーション5は、排水シャフト4内の充電ステーション2を支えるために排水シャフト4に取り付けることができる支持フレーム11などのさらなる構造手段を備える。この場合、支持フレーム11は、昇降装置7及び技術キャビネット10を支持して、それらが排水シャフト4に定位置に固定されるようにする。この実施形態では、充電ステーション5はユニットとして販売することができ、既存の排水シャフト4に設置するだけでよい。動作中に充電ステーション5を車道3から密閉するために、その後、排水シャフト4は、蓋12で覆うことができる。
【0041】
さらに、充電ステーション5は、清掃ロボット6によって記録された測定データを受信し、それらを排水路清掃システム1の外部に配置されたサーバに送信するように設計されたトランシーバを備える。トランシーバは、例えば、技術キャビネット10内に配置することができる。清掃ロボット6から測定データを受信するために、測定データは、例えば、充電ポイント9を介して送信することができ、すなわち、充電用のインタフェースをデータ送信用と同じものにすることができる。
【0042】
代替的又は追加的に、例えば、近距離無線通信(Near Field Communication:NFC)、専用狭域通信(Dedicated Short Range Communication:DSRC)又は無線ローカルエリアネットワーク(Wireless Local Area Network:WLAN)を介して、別のデータ送信方法を提供することもできる。このために、充電ステーション5及び清掃ロボット6の両方は、適切なトランシーバを装備することができる。別の物理的な接触を提供することもできる。
【0043】
清掃ロボット6から受信した測定データをサーバに送信するために、充電ステーション5は、ケーブルを介してサーバに接続することができる。代替的又は追加的に、充電ステーションは、移動無線モジュールを有し、これにより、充電ステーション5は、例えば、ユニバーサル移動体通信システム(Universal Mobile Telecommunications System:UMTS)、グローバル移動通信システム(Global System for Mobile Communications:GSM)、第4世代移動通信システム(4th Generation Mobile Communication System:4G)又は第5世代移動通信システム(5th Generation Mobile Communication System:5G)を使用して、移動無線ネットワークを介してサーバに測定データを送信することができる。この場合にも、異なる変形態様を提供することができ、例えば、数個の充電ステーション5を、ケーブル若しくはWLANを介して接続して、1つの移動無線モジュールを共有するか、又はWLANを介してトンネル内若しくは周辺に配置されたサーバと直接通信することができる。
【0044】
図2図5に示す構造の代わりに、特に、それらの構造が排水シャフト4に配置されていない場合は、充電ステーションを構築するための他の選択肢も提供され得る。例えば、排水管2の内径を空けるために、清掃ロボットを上方ではなく、側面の1つに、又はさらには下方に移動させることが可能である。あるいは、例えば、充電ステーションが、排水管1に設けられた接点から充電され、それを介して測定データも送信される場合、昇降装置7は省略することもできる。充電プロセス中に清掃ロボット6が排水管6内に残っていても、ブラシが静止していても、流出する水は正常に排水管を通過することができる。
【0045】
図6及び図7では、一実施形態による清掃ロボット6が示されている。したがって、清掃ロボット6は、排水管2を清掃するために清掃駆動部13によって駆動されるブラシ14を有する。排水管2内を移動するために、清掃ロボット6は、少なくとも1つの車輪16を有する少なくとも1つのトラクション駆動部15を有する。さらに、清掃ロボットは、さらなるトラクション駆動部17又はさらなる車輪18をそれぞれ備えてもよい。トラクション駆動部15、17はまた、数個の車輪16、18を有することができる。以下、清掃駆動部13及びトラクション駆動部15、17を合わせて、清掃ロボット6の駆動部と呼ぶ。
【0046】
例えば、清掃ロボット6の基体19の内部に配置されたバッテリは、清掃ロボット6を駆動させるためのエネルギー供給源となる。この場合、基体19自体は、充電ステーション5の充電ポイント9用の外部接点20を有することができ、昇降式台座8によって持ち上げることができるように設計することができる。清掃ロボット6が充電ステーション5と通信するためのトランシーバを有する場合、これは、基体19内に配置することもできる。
【0047】
清掃中に測定データを記録するために、清掃ロボット6は、1つ又は複数のセンサを備えることができる。測定データは、例えば、基体19内に配置されたメモリに格納することができ、充電ステーション5が読み出された後に削除することができ、又は所定の期間保存することができる。したがって、データのセキュリティを高めるために、排水管2を一方向に完全に通過したときの測定データ、又は1日若しくは数日間の測定データも、清掃ロボット6のメモリに格納することができる。
【0048】
測定データを記録するためのセンサは、例えば、第1の進行方向R1の写真又はビデオを撮影する前方カメラ21とすることができる。また、清掃ロボット6の反対側の端部に取り付けられる後方カメラを設けることができ、その結果、第1の進行方向R1とは反対の進行方向R2で写真又は映像を撮影することができる。撮影された写真は、例えば、清掃の出来具合を監視するために、又は、排水管2が敷設若しくは損傷された方法を分析するために評価することができる。
【0049】
他の測定データは、例えば、温度又は走行距離の測定値、すなわち長さの測定値であり得る。排水管では通常、GPS受信が不可能であるため、走行距離は推測航法システムを使用して判定されることが好ましい。特に、排水管2の下降はこの方法で判定され得るため、傾斜データの記録は、例えばジャイロセンサによって行うのが有利である。排水管2又はその1つの区間が沈下しているかどうかに関する評価は、特に清掃ロボット6、充電ステーション5又はサーバで実施することができる。その際、例えば、評価は以下のように行うことができる。第1のステップでは、排水管2の少なくとも1つの区間の傾斜が測定される。第2のステップでは、同じ区間の傾斜は、後で排水管2を通過する際に再度測定される。傾斜が経時的に変化し、特に増加したことが判明した場合、排水管2の上方に位置する車道が沈下したと結論付けることができる。
【0050】
充電ステーション5を介して清掃ロボット6からサーバに測定データを送信することに加えて、充電ステーション5は、清掃ロボット6の動作状態を変更するために、サーバによって受信された制御データを清掃ロボット6に送信することも想定され得る。例えば、走行速度又はブラシの回転速度は、制御することができる。しかしながら、例えば、排水管2内で進む経路は変更することも可能であり、例えば、全体の清掃ではなく、排水管2の半分のみを清掃することが可能である。
【0051】
前記ブラシ14は、例えば、軸の周りを回転又は振動中、すなわち動作中に、ブラシ14が100mm~500mmの直径を有するように、軸の周りに配置された毛を有することができる。別のタイプのブラシ、例えば独自の清掃駆動部13を有していない非駆動型ブラシを提供することもできる。ほとんどの実施形態では、ブラシ14は、進行方向R1に対して見たときに、(構造によって円筒形である場合、又は毛の回転若しくは振動によって実質的に円筒形になる場合のいずれかで)排水管2の断面に実質的に対応する円形の円周を有する。この場合、清掃ロボット6の走行体、すなわちその駆動部13、15、17及びその基体19は、進行方向R1に対して見たときに、ブラシ14の円周内にある。
【0052】
さらに、ブラシ14は、進行方向R1に進むときに、進行方向R1に流れる汚水の速度をさらに増加させるように設計することができる。これは、例えば、ブラシ14が本質的に航空機のロータの形状を得るように、毛の千鳥配列によって達成することができる。
【0053】
なお、充電ステーション5がトランシーバを有する上述の実施形態の代わりに、又は上述の実施形態に加えて、清掃ロボット6自体がサーバと通信するためのトランシーバを有してもよい。このトランシーバは、例えば、基体19内に配置することができ、充電ステーション5のトランシーバと同様に、WLAN、UMTS、GSM、4G又は5Gトランシーバであってもよい。清掃中は、通常、排水管2には通信リンクがないため、清掃ロボット6も、この場合、充電ステーション5がサーバとの通信リンクを可能にするまで待機する。これは、例えば、昇降装置7が、通信リンクがある位置に清掃ロボット6を持ち上げたり押し込んだりすることで行うことができる。あるいは、充電ステーション5は、インタフェースを提供することができ、そのインタフェースによって、清掃ロボット6のトランシーバを充電ステーション5のアンテナに結合することができる。さらに、サーバからのケーブル接続は、充電ステーション5に直接設けることもでき、その結果、清掃ロボット6のメモリは、サーバによって直接読み出すことができる。
【0054】
図1に示す自己清掃式排水システム1の全体的なレイアウトに戻ると、通信ステーションをさらに設けることもでき、通信ステーションは、基本的に充電ステーション5と同様に設計することができるが、充電機能を想定していない。原則として、通信ステーションはまた、充電プロセス中に充電ステーション5よりも短い期間だけ清掃ロボット6と通信リンクするため、昇降式台座8を有さない。したがって、最も単純なケースでは、通信ステーションは、清掃ロボット6から測定データを受信し、それらをサーバに転送する中継装置となる。
【0055】
排水路清掃システム1では、通信ステーションは、特に、清掃ロボット6の反転点、例えば、排水路清掃システム1の各端部、例えば、排水管2の数メートル外側でも使用することができ、その結果、通信ステーションは、走行路を介してのみ排水管2に取り付けられる。
【0056】
最も単純なケースでは、排水路清掃システム1は、充電ステーション5が本質的に中央に配置された排水管2からなる。この場合、排水管2の両側の長さは、本質的に清掃ロボット6のバッテリ容量の半分に相当する。これが選択されるのは、これにより、清掃ロボット6が排水管2の一端に到達すると方向転換することができ、再充電のために充電ステーション5に再び到達することができるためである。例えば、バッテリは、100m~2000m、好ましくは450m~1200mを走行する容量を有することができる。排水システム1のレイアウトに関係なく、清掃ロボット6は、排水管2内の最後の充電ステーション5に再び到達するために、バッテリ容量の半分に達したときに進行方向を変えるようにプログラミングすることができる。
【0057】
排水路清掃システム1には、複数の充電ステーション5を配置することもできる。2つの充電ステーション5は、例えば50m~1000m、好ましくは450m~600mの相互間距離でそこに配置される。この場合、清掃ロボットのバッテリは、2つの充電ステーション間の長さの少なくとも2倍に相当する容量を有することができる。これは、充電ステーション5の直前に乗り越えられない障害物が検出された後でも、清掃ロボット6が、最後の充電ステーション5に到達するのに十分なバッテリ容量を持ち続けているべきだからである。したがって、一般に、清掃ロボット6は、排水路清掃システム1、特に排水管2内で、乗り越えられない障害物が検出されたときに、最後に訪れた充電ステーション5に行き、充電ステーション5に到達すると、充電ステーション5を介してサーバにエラーメッセージを送信するように設計することができる。
【0058】
排水路清掃システム1はまた、清掃ロボット6を複数台、例えば排水管2の1キロメートル当たり1台有することができる。したがって、数個の充電ステーション5と数個の清掃ロボット6とを組み合わせることで、ほぼ連続的にそれ自体を清掃する長さ無制限の自己清掃式排水路清掃システム1を作ることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】