(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(54)【発明の名称】空間的に変化するリターダ光学系を備えたヘッドマウントディスプレイ(HMD)
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20230207BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20230207BHJP
G01M 11/02 20060101ALI20230207BHJP
G01M 11/00 20060101ALI20230207BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20230207BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/30
G01M11/02 B
G01M11/00 T
H04N5/64 511A
G02B3/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523482
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(85)【翻訳文提出日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 US2020061293
(87)【国際公開番号】W WO2021102148
(87)【国際公開日】2021-05-27
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517160525
【氏名又は名称】バルブ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハドマン、ジョーシュア・マーク
(72)【発明者】
【氏名】マククラッケン、イヴァン・エー
【テーマコード(参考)】
2G086
2H149
2H199
【Fターム(参考)】
2G086EE09
2G086EE12
2G086HH07
2H149AA01
2H149AA22
2H149BA03
2H149DA01
2H149DA04
2H149DA12
2H149EA02
2H149FA24Y
2H149FC10
2H199CA04
2H199CA12
2H199CA23
2H199CA24
2H199CA25
2H199CA30
2H199CA42
2H199CA45
2H199CA46
2H199CA47
2H199CA62
2H199CA63
2H199CA64
2H199CA65
2H199CA86
2H199CA94
(57)【要約】
ヘッドマウントディスプレイ、または他のニアツーアイディスプレイは、空間的に変化するリターダ(SVR)を含む光学系を組み込んでいる。SVRは、システムの光学系に含まれる成形レンズおよび/または偏光ビームスプリッタに提示される1つ以上の製造誤差を補償するために、それに適用される補正係数を用いて製造され得る。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
レンズアセンブリに含まれることになる、成形レンズまたは偏光ビームスプリッタのうちの少なくとも1つにおける製造誤差の程度を判定することと、
前記製造誤差の前記程度に少なくとも部分的に基づいて、前記レンズアセンブリに含まれることになる空間的に変化するリターダ(SVR)の補正係数を判定することと、
前記補正係数を適用することによって前記SVRを形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記製造誤差の前記程度が、前記成形レンズ内の応力複屈折の量を含み、前記補正係数が、前記成形レンズ内の前記応力複屈折の量に基づいて判定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記製造誤差の前記程度が、前記偏光ビームスプリッタ内の偏光変動を含み、前記補正係数が、前記偏光ビームスプリッタ内の前記偏光変動に基づいて判定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記製造誤差の前記程度を前記判定することが、前記成形レンズ内の第1の製造誤差の程度を判定することと、前記偏光ビームスプリッタ内の第2の製造誤差の程度を判定することと、を含み、前記補正係数が、前記第1の製造誤差および前記第2の製造誤差に基づいて判定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記成形レンズまたは前記偏光ビームスプリッタのうちの前記少なくとも1つにおける前記製造誤差の場所を判定すること、をさらに含み、
前記補正係数を適用することによる前記SVRの前記形成が、前記成形レンズまたは前記偏光ビームスプリッタのうちの前記少なくとも1つにおける前記製造誤差の前記場所に対応する前記SVR上の場所に前記補正係数を適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記補正係数が、
前記SVRを製作するために使用される複屈折材料のタイプの調整、
前記SVRに含めるいくつかの複屈折層の調整、または
前記SVRに含める1つ以上の特徴に対する調整、のうちの少なくとも1つに関する補正の係数である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記レンズアセンブリが、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)に組み込まれることになる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
方法であって、
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)の光学サブシステムに含まれることになるレンズまたは反射偏光子のうちの少なくとも1つにおける製造誤差の程度を判定することと、
前記光学サブシステムに含まれることになる空間的に変化するリターダ(SVR)を製造する間に適用される補正係数を判定することと、
前記補正係数を適用することによって前記SVRを製造することと、を含む、方法。
【請求項9】
前記製造誤差の前記程度が、前記レンズ内の応力複屈折の量を含み、前記補正係数が、前記レンズ内の前記応力複屈折の量に基づいて判定される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記製造誤差の前記程度が、前記反射偏光子内の偏光変動を含み、前記補正係数が、前記反射偏光子内の前記偏光変動に基づいて判定される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記製造誤差の前記程度を前記判定することが、前記レンズ内の第1の製造誤差の程度を判定することと、前記反射偏光子内の第2の製造誤差の程度を判定することと、を含み、前記補正係数が、前記第1の製造誤差および前記第2の製造誤差に基づいて判定される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記補正係数が、
前記SVRを製作するために使用される複屈折材料のタイプの調整、
前記SVRに含める重合性液晶のいくつかの複屈折層の調整、または
前記SVRに含める特徴のタイプ、数、もしくは密度のうちの少なくとも1つに対する調整、のうちの少なくとも1つに関する補正の係数である、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記SVRが、四分の一波長板の一部として製造される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記補正係数が、前記製造誤差の場所に対応する前記SVR上の場所に適用される、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
システムであって、
集合的に画像を形成するように構成されているピクセルを含む情報ディスプレイと、
前記情報ディスプレイの前記ピクセルを照明するためのバックライトアセンブリと、
前記情報ディスプレイからの前記画像の光をユーザの目に向けて方向づけるための光学サブシステムと、を備え、前記光学サブシステムが、
成形レンズと、
前記成形レンズと前記光学サブシステムの出射面との間に位置する偏光ビームスプリッタと、
前記レンズと前記偏光ビームスプリッタとの間に介在する空間的に変化するリターダ(SVR)であって、前記SVRが、成形レンズまたは前記偏光ビームスプリッタのうちの少なくとも1つにおける製造誤差を補償するように構成されている、空間的に変化するリターダ(SVR)と、を含む、システム。
【請求項16】
前記SVRが、前記成形レンズ内の応力複屈折の量を補償するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記SVRが、前記偏光ビームスプリッタ内の偏光変動を補償するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記SVRが、前記成形レンズ内の応力複屈折および前記偏光ビームスプリッタ内の偏光変動の量を補償するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記SVRが、前記成形レンズまたは前記偏光ビームスプリッタのうちの少なくとも1つにおける前記製造誤差を補償する特性を含み、前記特性が、
前記SVRを製作するために使用される複屈折材料の特定のタイプ、
前記SVRに含まれる複屈折層の特定の数、または
前記SVRに含まれる特徴の特定のタイプ、特定の数、もしくは特定の密度のうちの少なくとも1つ、のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記SVRが、四分の一波長板の一部である、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
これは、2019年11月22日に出願された「HEAD-MOUNTED DISPLAY(HMD)WITH SPATIALLY-VARYING RETARDER OPTICS」と題する米国特許出願第16/692,823号の優先権を主張するPCT出願であり、現在は米国特許第10,778,963号である、2018年8月10日に出願された「HEAD-MOUNTED DISPLAY(HMD)WITH SPATIALLY-VARYING RETARDER OPTICS」と題された係属中の米国特許出願第16/101,333号の一部継続として、35U.S.C.§120の下で優先権を主張し、これらのすべては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ニアアイディスプレイ技術は、仮想現実(「VR」)または拡張現実(「AR」)システムの一部として、ユーザに情報および画像を提示するために使用され得る。そのようなニアアイディスプレイは、ヘッドマウントディスプレイ(「HMD」)デバイスまたはヘッドセットに組み込まれ得る。これらのニアアイ情報ディスプレイは、直視型として方向づけることができる一方、多くの場合、情報ディスプレイは、HMD内の1つ以上のレンズと結合されている。レンズシステムは、レンズ、様々な光学素子、開口絞り、および互いに光学的に整合した様々な構成要素を収容するためのレンズハウジングを備え得る。このようなレンズは、VRまたはARの体験を向上し得るが、レンズシステムの性能は、一部、システムの素子の各々の設計、ならびに素子間の光学的相互作用を定めるシステムの全体的な設計に依存する。
【0003】
液晶ディスプレイなどの従来の情報ディスプレイは、通常、広い角錐または視野にわたって光を放出する。これらの従来のディスプレイの角度発散は、160度を超える範囲にわたり、180度に近づくことさえあり得る。直接見た場合、この角度的に広い光は、望ましくない効果を引き起こし得ない。しかしながら、従来の情報ディスプレイが、VRまたはARシステム内などのHMD内に用いられる場合、角度的に広い放出は、望ましくない結果につながる可能性がある。これは、情報ディスプレイによって放出された光が、レンズの結像能力を超える入射角でHMDのレンズに当たる場合に当てはまる。そのような光は、少なくとも部分的には、軸外光が、いくぶん楕円形である偏光を提示するという事実のために、ユーザの目に適切に画像化されない。つまり、軸上光が、直線偏光される一方、軸外光は、ある程度の楕円偏光を提示する。したがって、HMDのレンズの合焦能力を超える角度の光は、フラッド照明、ゴースト、グレア、散乱、および他の迷光効果などの望ましくない視覚効果をもたらす可能性がある。この画像化されない迷光により、VRまたはARヘッドセットのユーザは、望ましくない視覚的アーティファクトを体験する結果になる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
添付の図を参照して、発明を実施するための形態を説明する。図において、参照番号の左端の数字は、参照番号が最初に現れる図を識別する。異なる図における同じ参照番号は、同様または同一の項目を示す。
【0005】
【
図1】ユーザ、および本明細書に記載の技法および構成が実装され得るウェアラブルデバイスを示す概略図である。
【0006】
【
図2】ユーザの目に対して位置づけられた例示的なウェアラブルデバイスの一部の概略断面図である。
【0007】
【
図3】いくつかの実施形態による、ディスプレイと、空間的に変化するリターダ(SVR)を含む光学サブシステムと、を含むシステムの概略断面図である。
【0008】
【
図4】いくつかの実施形態による、ディスプレイと、空間的に変化するリターダ(SVR)を含む光学サブシステムと、を含むシステムの概略断面図である。
【0009】
【
図5】いくつかの実施形態による、ディスプレイと、空間的に変化するリターダ(SVR)を含む光学サブシステムと、を含むシステムの概略断面図である。
【0010】
【
図6】いくつかの実施形態による、例示的な空間的に変化するリターダ(SVR)の概略図である。
【0011】
【
図7】いくつかの実施形態による、ディスプレイと、空間的に変化するリターダ(SVR)を含む光学サブシステムと、を含むシステムの概略断面図である。
【0012】
【
図8】いくつかの例示的な実施形態による、合焦された画像をディスプレイデバイスのユーザの目に提供するためのプロセスを例解する流れ図である。
【0013】
【
図9】空間的に変化するリターダ(SVR)の製造中に補正係数を適用して、成形レンズおよび/または偏光ビームスプリッタ内の既知のまたは判定された製造誤差を補償するためのプロセスを例解する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に記載の様々な実施例では、技法およびアーキテクチャを使用して、ウェアラブルデバイスのユーザの目(片方または両方)に合焦された画像を生成することができる。ウェアラブルデバイスの例としては、ヘッドマウントディスプレイ(「HMD」)デバイスまたはヘッドセットなど、ユーザの頭の上に、またはヘルメットの一部として着用されるディスプレイデバイスが挙げられ、ウェアラブルデバイスの慣性位置または配向を測定するための位置および/または動きセンサが含まれ得る。ディスプレイデバイスは、片方の目、各目、または両方の目の前にディスプレイを備え得る。ディスプレイデバイスとしては、ほんの数例を挙げると、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)、リキッドクリスタルオンシリコン(LCOS)、または陰極線管(CRT)が挙げられ得る。ウェアラブルデバイスは、仮想画像と称されるコンピュータ生成画像を表示し得る。例えば、ウェアラブルデバイスのプロセッサは、以下に説明するように、視聴者(ウェアラブルデバイスの着用者)がシーンを現実(または拡張現実)として知覚するように、合成(仮想)シーンをレンダリングし、表示し得る。
【0015】
いくつかの実施例では、LCDディスプレイデバイスは、いくつかの構成要素を備える。構成要素のうちの2つは、粒状またはピクセル化された様式で光を遮って画像を作成するディスプレイマトリックス、および光源またはバックライトである。光源は通常、ディスプレイマトリックスの後ろに位置づけられ、画像を照射する。カラーディスプレイの場合、バックライトは通常、例えば、白色光などの広いスペクトル光を放出する。
【0016】
ニアアイディスプレイ技術は、上記で紹介したものなどのウェアラブルデバイスの形態であり得る仮想現実(「VR」)または拡張現実(「AR」)システムの一部として、ユーザに情報および画像を提示するために使用され得る。VRまたはARのHMDは、1つ以上のレンズを使用して、1つ以上の情報ディスプレイ(例えば、ピクセル化されたLCDディスプレイデバイス)上に表示された画像に関連づけられた光をユーザの目に指向し得る。とりわけ、レンズは、情報ディスプレイが、実際よりも遠くにあるようにユーザに見えるようにするために、情報ディスプレイからの光を曲げるために使用される。これにより、仮想環境でより大きい被写界深度がユーザに提供され、ユーザが、表示された画像により容易に焦点を合わせることを可能にする。レンズはまた、ユーザに対する情報ディスプレイの視野を広げるために、VRまたはARヘッドセット内で使用することができる。より広い視野は、VRまたはARシステムの没入効果を高めることができる。レンズはさらに、ユーザによって受容される光が、ユーザの左目および右目用に別々に調整されるように、単一のディスプレイからの光を成形するために、VRまたはARヘッドセット内で使用され得る。各目のために別々に調整された画像の使用は、ユーザに、例えば、立体画像または三次元画像を知覚させることができる。レンズはさらに、目の近くの環境で、ユーザの目が情報ディスプレイに比較的近いという制約で設計される。
【0017】
様々な実施例において、ウェアラブルデバイスの光学システムは、空間的に変化するリターダ(SVR)を組み込んでいる。とりわけ、情報ディスプレイも含むシステムは、情報ディスプレイに比較的近いユーザの目の上に画像を合焦させることを伴うニアツーアイ(near-to-eye)アプリケーションを可能にする。SVRは、(情報ディスプレイによって生成された画像の)光の位相を、SVRの異なる部分ごとに異なる量だけ変更するために使用される。したがって、SVRは、様々な入射角に対して適切なレベルの位相差を提供し、これにより、従来の光学システム設計に存在するフラッド照明、ゴースト、グレア、散乱、および他の迷光効果などの望ましくない視覚効果が軽減される。SVRによるそのような位相変更は、以下に説明するように、光学システム内の様々な光学素子と協調して機能する。
【0018】
また、本明細書では、空間的に変化するリターダ(SVR)が説明されており、これは、本明細書に記載のシステムの構成要素内で生じ得る製造上の誤差を補正するために、補正係数を用いて製造され得る。本明細書に記載のSVRの製作中に補正され得る1つの例示的な製造誤差は、製造中にレンズを成形することの副産物であり得る成形レンズにおける応力複屈折である。本明細書に記載のSVRの製作中に補正され得る別の例示的な製造誤差は、偏光ビームスプリッタ(本明細書では「反射偏光子」または「反射フィルム」と称されることもある)にわたる偏光変動である。例示的なプロセスでは、成形レンズまたは偏光ビームスプリッタのうちの少なくとも1つにおける製造誤差の程度が判定され得る。製造誤差の程度に少なくとも部分的に基づいて、空間的に変化するリターダ(SVR)の補正係数が判定され得る。次いで、SVRは、製造誤差を補償する(または補正する)ために、SVRの製作中に補正係数を適用することによって形成され得る。また、本明細書に記載されるように、成形レンズまたは偏光ビームスプリッタのうちの少なくとも1つにおける製造誤差を補償するために、補正係数を使用して製造されたSVRを含むシステムも、本明細書に記載されている。この補正係数がSVRの製作中に適用されると、光学システムの全体的な性能が改善され得る。例えば、SVRを含む光学サブシステムは、光学サブシステムの他の構成要素部品の製造欠陥によって引き起こされ得る望ましくない視覚効果をさらに軽減し得る。
【0019】
当業者は、以下の説明が例解的であるにすぎず、決して限定するものではないことを認識するであろう。本開示の利益を享受する当業者には、他の実施形態もおのずから容易に示唆されるであろう。ここで、添付の図面に例解されるような特定の実装形態を詳細に参照する。図面および以下の説明全体にわたって、同じまたは類似の部品を参照するために同じ参照番号が使用される。
【0020】
図1は、いくつかの実施形態による、ユーザ102およびウェアラブルデバイス104を示す概略図である。ウェアラブルデバイス104に関連づけられたコンピューティングデバイスは、個々の仮想コンテンツアイテムに関連づけられたレンダリングデータをウェアラブルデバイス104に提供し、個々の仮想コンテンツアイテムを、ウェアラブルデバイス104に関連づけられたディスプレイ上に提示させ得る。レンダリングデータは、デバイスのディスプレイを介して、仮想コンテンツアイテムのグラフィック表現をレンダリングするための命令を含み得る。例えば、レンダリングデータは、仮想コンテンツアイテムに関連づけられた幾何形状、視点、テクスチャ、照明、陰影、等を説明する命令を含み得る。例解的な実施例では、仮想コンテンツアイテムは、ユーザ102が、ウェアラブルデバイス104を使用してプレイすることができるゲームの一部として、ウェアラブルデバイス104のディスプレイ上に提示され得る。
【0021】
いくつかの実施例では、コンピューティングデバイスは、インターネットなどのネットワーク内にウェアラブルデバイス104から遠く離れて位置し得る。他の実施形態では、コンピューティングデバイスは、ウェアラブルデバイス104と併置され得る(例えば、ウェアラブルデバイス104内に埋め込まれる)。さらに、ウェアラブルデバイス104は、グローバルまたはローカルの有線または無線接続(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、Bluetooth、等)によってなど、任意の様態でネットワークに通信可能に結合され得る。ネットワークは、コンピューティングデバイスと、ユーザ102などの1人以上のユーザに関連づけられたウェアラブルデバイス104との間の通信を容易にし得る。
【0022】
図2は、ユーザの目206に対して位置づけられたウェアラブルデバイス204の一部202の概略断面図である。例えば、ウェアラブルデバイス204は、ウェアラブルデバイス104と同じまたは類似であり得る。特定の実施形態では、ウェアラブルデバイス204は、ユーザの左目および右目の両方によって見られる画像を表示するように構成され得る。これは、別々の左および右のLCDディスプレイを使用して達成することができ、または単一のLCDディスプレイを使用して達成することができる。同様に、ウェアラブルデバイス204(例えば、VRまたはARヘッドセットの形態の)は、単一のレンズアセンブリを備え得るか、または個々の左および右のレンズアセンブリを使用し得る。
【0023】
例示的な光線208および210は、ウェアラブルデバイス204から目206の角膜212までの可能な光の経路を例解している。角膜212は、実質的に球形を有するものとして扱われ得る。ウェアラブルデバイス204は、例えば、約20ミリメートルのアイレリーフを提供するように、光線208および210の経路が比較的短くなるようにニアツーアイディスプレイを含み得る。この場合、ウェアラブルデバイス204の光学系は、ウェアラブルデバイスに比較的近い表面(例えば、角膜212)上に光を合焦させるように構成される。そのような構成は、ユーザの目206からの物理的クリアランスを可能にしながら、パンケーキ光学システムがウェアラブルデバイス204内に収まることを可能にする、比較的薄いプロファイルを有するパンケーキ光学システムを伴い得る。
【0024】
図3は、いくつかの実施形態による、ディスプレイと、空間的に変化するリターダ(SVR)を含む光学サブシステムと、を含むシステム300の概略断面図である。システム300は、例えば、ウェアラブルデバイス104/204などのヘッドマウント可能デバイス内に組み込まれ得る。しかしながら、システム300は、カメラ、双眼鏡、事務機器、科学機器などを含むがこれらに限定されない他のタイプのデバイス内に組み込まれ得ることが理解されるべきである。システム300は、情報ディスプレイ302と呼ばれることもあるピクセル化されたディスプレイデバイス302と、バックライトアセンブリ304と、光学サブシステム306と、を含み得る。ユーザの目308の概略図もまた、例解されている。そのような要素は、光軸310に沿って整合されている。
【0025】
光を放出するバックライトアセンブリ304は、1つ以上の発光ダイオード(LED)、1つ以上のOLED、1つ以上の冷陰極蛍光灯(CCFL)、1つ以上のレーザ、1つ以上の量子ドット、またはこれらの例示的な光源の任意の組み合わせなどの光源を含み得る。バックライトアセンブリ304内の光源は、情報ディスプレイ302が、可視スペクトルにわたってカラー画像を生成することができるように、広域スペクトル(例えば、白色光)にわたって光を放出し得る。バックライトアセンブリ304は、例えば、約160~180度の範囲にわたり、その前面全体にわたって均一に光を放出し得る。
【0026】
情報ディスプレイ302は、バックライトアセンブリ304と連携して、最大約180度の範囲の角度にわたって光(バックライトアセンブリ304の面とほぼ平行な光)を放出し得る。この範囲の放出角度は、バックライトアセンブリ304の視野、またはバックライトアセンブリ304の光錐と称されることもある。いくつかの実施形態では、情報ディスプレイ302は、1つ以上の偏光層、液晶層、および薄膜トランジスタ層を含むLCDマトリックスであり得る。LCDマトリックスは、バックライトの部分をピクセル化された様式で覆い隠すことによって画像を作成する。光312がバックライトアセンブリ304から放出され、情報ディスプレイ302(例えば、LCDマトリックス)を通過するときに、画像が表示される。明確にするために、
図3は、バックライトアセンブリ304と、情報ディスプレイ302との間の分離を示している。しかしながら、これら2つの構成要素は、それらの間に、あったとしてもごくわずかのスペースを有して、一緒に挟みこまれ得る。
【0027】
光学サブシステム306は、情報ディスプレイ302からの光をユーザの目308に向けて方向づけるためのレンズアセンブリを備え得る。光学サブシステム306は、例えば、パンケーキ構成を有し得る。この場合、光学サブシステム306は、以下に説明するように、光の偏光に少なくとも部分的に基づく軸上光学折り曲げを使用して、情報ディスプレイ302からの光をユーザの目308に向けて方向づけるように構成された光学素子のアセンブリを備え得る。いくつかの実施形態では、光学サブシステム306のレンズアセンブリは、レンズ以外の様々な光学素子を含む。例えば、光学サブシステム306は、少なくとも1つの偏光ビームスプリッタ338と、空間的に変化するリターダ(SVR)316と、を含み得る。偏光ビームスプリッタ338は、SVR316と、光学サブシステム306の出射面(または側)314との間に位置され得る。SVR316は、SVR316を通過する光の位相を、SVR316の異なる部分ごとに異なる量だけ変更するように構成される。例えば、ディスプレイの周辺からユーザの目に向けて放出された光は、比較的大きな入射角で光学サブシステム306に入射し得る。SVR316は、SVR316全体にわたって位相変更の程度を変化させるように構成された場合、望ましくない視覚効果を軽減する(例えば、望ましくない迷光がユーザの目308に到達するのを排除する)ために、あらゆる角度からの光に対して適切なレベルの位相差を提供し得る。
【0028】
偏光ビームスプリッタ338は、直線偏光された光のみを通過させ、それによって、直線偏光されていないすべての他の光を反射するビームスプリッタを表し得る。偏光ビームスプリッタ338は、直線偏光子反射器、または反射直線偏光子と見なされ得る。すなわち、偏光ビームスプリッタ338は、直線偏光子およびビームスプリッタの機能を単一の素子に組み合わせ得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、偏光ビームスプリッタ338は、部分反射ミラー(例えば、50/50ミラー)で置き換えられ得る。すなわち、いくつかの実施形態によれば、光学サブシステム306は、SVR316と、光学サブシステム306の出射面(または側)314との間に位置する少なくとも1つの部分反射ミラーを含み得る(例えば、部分反射ミラーは、
図3の参照番号338の位置にあり得る)。
【0030】
図3は、情報ディスプレイ302によって生成された画像の光の例示的な光経路318を例解する。簡潔にするために、光学サブシステム306は、少なくとも1つのレンズ形状の素子を含むものとして概略的に例解されている。しかしながら、光学サブシステム306は、レンズである必要のないいくつかのタイプの光学素子のいずれかを含み得る。ここで、光学サブシステム306の特定の実施例について説明する。
【0031】
光学サブシステム306は、前面322と、裏面324と、を有する第1の四分の一波長板326を含み得る。前面322は、光が光学サブシステム306に入射する、光学サブシステム306(例えば、レンズアセンブリ)の入口側と見なされ得る。第1の四分の一波長板326の前面322は、情報ディスプレイ302上に配設され得る。本明細書で使用される「上に配設される」は、「接触している」か、または別の層上に配設された層との間にスペースが存在し得るように「隣接している」ことを意味し得る。したがって、第1の四分の一波長板326は、情報ディスプレイ302と接触し得るか、または情報ディスプレイ302から距離を置いて離間し得るが、情報ディスプレイとレンズ330との間に介在している。また、「上に配設される」は、上に直接配設されるか、または(例えば、1つ以上の中間層を伴って)上に間接的に配設されることを意味し得ることも理解されるべきである。レンズ330は、第1の四分の一波長板326と、SVR316との間に介在し得る。SVR316は、偏光ビームスプリッタ338上に配設され得る(または、代替的に、SVR316は、
図3の参照番号338の位置にある部分反射ミラー上に配設され得る)。
【0032】
一例では、SVR316は、第2の四分の一波長板の一部であり得る。この様態において、(レンズ330と、偏光ビームスプリッタ338(または部分反射ミラー)との間に介在する)第2の四分の一波長板は、SVR316を通過する光の位相を、SVR316の異なる部分ごとに異なる量だけ変更する材料、特徴、または別の適切な機構を含むことができる。SVR316は、レンズ330と、偏光ビームスプリッタ338(または部分反射ミラー)との間に介在するものとして
図3に示され、説明されているが、代替的に、SVR316は、そうしないで、第1の四分の一波長板326の一部になり得ることが理解されるべきである。この代替的な実施形態では、
図3に示されるSVR316は、標準的な四分の一波長板(すなわち、SVRを有さない四分の一波長板)で置き換えることができる。すなわち、光学サブシステム306は、2つの四分の一波長板(1つは326の位置に、今1つは316の位置に)を含み得、SVRは、2つの四分の一波長板のいずれかの一部であり得る。いくつかの実施形態では、光学サブシステム306が、2つの四分の一波長板(1つは326の位置に、今1つは316の位置に)を含む場合、SVRは、両方の四分の一波長板の一部であることができる。
【0033】
光学サブシステム306の動作原理を例解すると、光経路318は、第1の四分の一波長板326の前面322で偏光された(例えば、1つの配向pに直線偏光された)第1の四分の一波長板326に入射する。第1の四分の一波長板326の裏面324を出射する光は、円偏光され得る。この光は、レンズ330を通過する。次に、レンズ330から出てくる光は、SVR316を通過し、偏光ビームスプリッタ338から反射される(または、代替的に、SVR316を通過する光は、
図3の参照番号338の位置にある部分反射ミラーから反射される)。この反射光は、SVR316を逆方向に通過し、円偏光されて45度に配向されたまま、光にその利き手を変えさせる。SVR316を逆方向に通過した光は、再びレンズ330によって反射され、光を、SVR316を順方向に(すなわち、ユーザの目308に向かって)3回目の通過をさせる。この反射光は、偏光ビームスプリッタ338を通過して(または、代替的に、光は、
図3の参照番号338の位置にある部分反射ミラーを通過して)、光学サブシステム306の出射側(または面)314から出てくる。
【0034】
SVR316は、SVR316を通過する光の位相を、入ってくる光がSVR316に入射するSVR316上の位置の関数として適切なレベルの位相差で変更する。この様態において、SVR316から出てくる光は、水平偏光されている。偏光ビームスプリッタ338が、水平偏光された光がユーザの目308に向かって通過することを可能にし、さもなければ垂直偏光された光を遮断するので、SVR316は、後期段階の位相変更を行って、光が、偏光ビームスプリッタ338を通過することを可能にする。
図3の実施例では、例示的な光経路318が軸外れであるため、SVR316に入射する光経路318は楕円偏光され、光経路318がSVR316に入射するSVR316上の位置は、光の位相を適切な量だけ変更して、入ってくる楕円偏光された光を水平偏光された光として出現させる材料(例えば、複屈折材料)および/または特徴を含む。これは、ゼロに等しい入射角で光学サブシステム306に入射する軸上光経路(図示せず)と対比することができる。位相が変更される量は、SVR316のエリア全体で異なり、SVR316の中心では位相変更がほとんどないか全くないので、このような軸上光経路は、SVR316によってその偏光状態が変えられることはない。しかしながら、さらに軸外れである入射光については、SVR316は、その軸外れで入ってくる光の位相を、入射角、したがってSVR316上の位置の関数として適切な量に変更するように構成される。偏光ビームスプリッタ338は、水平偏光された光がユーザの目308に向かって通過することを可能にし、さもなければ、水平偏光されていないすべての他の光を反射することを、実施例は説明しているが、偏光ビームスプリッタ338は、垂直偏光された光がユーザの目308に向かって通過することを可能にし、さもなければ、垂直偏光されていないすべての他の光を反射し得ることが理解されるべきである。
【0035】
図4は、いくつかの実施形態による、ディスプレイと、空間的に変化するリターダ(SVR)を含む光学サブシステムと、を含むシステム400の概略断面図である。システム400は、例えば、ウェアラブルデバイス104/204などのヘッドマウント可能デバイス内に組み込まれ得る。しかしながら、システム400は、カメラ、双眼鏡、事務機器、科学機器などを含むがこれらに限定されない他のタイプのデバイス内に組み込まれ得ることが理解されるべきである。システム400は、情報ディスプレイ402と呼ばれることもあるピクセル化されたディスプレイデバイス402と、バックライトアセンブリ404と、光学サブシステム406と、を含み得る。ユーザの目408の概略図もまた、例解されている。そのような要素は、光軸410に沿って整合されている。
【0036】
光を放出するバックライトアセンブリ404は、1つ以上の発光ダイオード(LED)、1つ以上のOLED、1つ以上の冷陰極蛍光灯(CCFL)、1つ以上のレーザ、1つ以上の量子ドット、またはこれらの例示的な光源の任意の組み合わせなどの光源を含み得る。バックライトアセンブリ404内の光源は、情報ディスプレイ402が、可視スペクトルにわたってカラー画像を生成することができるように、広域スペクトル(例えば、白色光)にわたって光を放出し得る。バックライトアセンブリ404は、例えば、約160~180度の範囲にわたり、その前面全体にわたって均一に光を放出し得る。
【0037】
情報ディスプレイ402は、バックライトアセンブリ404と連携して、最大約180度の範囲の角度にわたって光(バックライトアセンブリ404の面とほぼ平行な光)を放出し得る。この範囲の放出角度は、バックライトアセンブリ404の視野、またはバックライトアセンブリ404の光錐と称されることもある。いくつかの実施形態では、情報ディスプレイ402は、1つ以上の偏光層、液晶層、および薄膜トランジスタ層を含むLCDマトリックスであり得る。LCDマトリックスは、バックライトの部分をピクセル化された様式で覆い隠すことによって画像を作成する。光412がバックライトアセンブリ404から放出され、情報ディスプレイ402(例えば、LCDマトリックス)を通過するときに、画像が表示される。明確にするために、
図4は、バックライトアセンブリ404と、情報ディスプレイ402との間の分離を示している。しかしながら、これら2つの構成要素は、それらの間に、あったとしてもごくわずかのスペースを有して、一緒に挟みこまれ得る。
【0038】
光学サブシステム406は、情報ディスプレイ402からの光をユーザの目408に向けて方向づけるためのレンズアセンブリを備え得る。光学サブシステム406は、例えば、パンケーキ構成を有し得る。この場合、光学サブシステム406は、以下に説明するように、光の偏光に少なくとも部分的に基づく軸上光学折り曲げを使用して、情報ディスプレイ402からの光をユーザの目408に向けて方向づけるように構成された光学素子のアセンブリを備え得る。いくつかの実施形態では、光学サブシステム406のレンズアセンブリは、レンズ以外の様々な光学素子を含む。例えば、光学サブシステム406は、少なくとも1つの直線偏光子438と、空間的に変化するリターダ(SVR)416と、を含み得る。直線偏光子438は、SVR416と、光学サブシステム406の出射面414との間に位置し得る。SVR416は、SVR416を通過する光の位相を、SVR416の異なる部分ごとに異なる量だけ変更するように構成される。例えば、ディスプレイの周辺からユーザの目に向けて放出された光は、比較的大きな入射角で光学サブシステム406に入射し得る。SVR416は、SVR416全体にわたって位相変更の程度を変化させるように構成された場合、望ましくない視覚効果を軽減する(例えば、望ましくない迷光がユーザの目408に到達するのを排除する)ために、あらゆる角度からの光に対して適切なレベルの位相差を提供し得る。
【0039】
図4は、情報ディスプレイ402によって生成された画像の光の例示的な光経路418を例解する。簡潔にするために、光学サブシステム406は、少なくとも1つのレンズ形状の素子を含むものとして概略的に例解されている。しかしながら、光学サブシステム406は、レンズである必要のないいくつかのタイプの光学素子のいずれかを含み得る。ここで、光学サブシステム406の特定の実施例について説明する。
【0040】
光学サブシステム406は、反射および屈折素子430(「素子430」と称されることもある)を含み得る。反射および屈折素子430は、入ってくる光の約50パーセントが素子430を通過することを可能にする一方、入ってくる光の約50パーセントが素子430によって反射されて離れる、50/50ミラーを含み得る。光学サブシステム406は、前面422と、裏面424と、を有する第1の四分の一波長板426をさらに含み得る。第1の四分の一波長板426は、第1の四分の一波長板426の裏面424に隣接する前面と、裏面428と、を有するビームスプリッタ436上に配設され得る。ビームスプリッタ436は、SVR416上に配設され得る。SVR416は、直線偏光子438上に配設され得る。「上に配設される」は、上に直接配設されるか、または(例えば、1つ以上の中間層を伴って)上に間接的に配設されることを意味し得ることが理解されるべきである。加えて、「上に配設される」は、「接触している」か、または別の層上に配設された層との間にスペースが存在し得るように「隣接している」ことを意味し得ることが理解されるべきである。
【0041】
一例では、SVR416は、第2の四分の一波長板の一部であり得る。この様態において、(偏光ビームスプリッタ436と、直線偏光子438との間に介在する)第2の四分の一波長板は、SVR416を通過する光の位相を、SVR416の異なる部分ごとに異なる量だけ変更する材料、特徴、または別の適切な機構を含むことができる。SVR416は、ビームスプリッタ436と、直線偏光子438との間に介在するものとして
図4に示され、説明されているが、代替的に、SVR416は、そうしないで、第1の四分の一波長板426の一部であり得ることが理解されるべきである。この代替的な実施形態では、
図4に示されるSVR416は、標準的な四分の一波長板と置き換えることができる。すなわち、光学サブシステム406は、2つの四分の一波長板(1つは426の位置に、今1つは416の位置に)を含み得、SVRは、2つの四分の一波長板のいずれかの一部であり得る。いくつかの実施形態では、光学サブシステム406が、2つの四分の一波長板(1つは426の位置に、今1つは416の位置に)を含む場合、SVRは、両方の四分の一波長板の一部であることができる。
【0042】
光学サブシステム406の動作原理を例解すると、光経路418は、光学サブシステム406の入口側(または面)で(例えば、素子430の入口側で)偏光された(例えば、1つの配向pに直線偏光された)光学サブシステム406に入射する。光の一部は、反射および屈折素子430を通過する一方、光の残りは、素子430によって反射されて離れる。素子430の出射側から出てくる光経路418は、素子430を通過する光の部分を表す。次に、素子430から出てくる光は、第1の四分の一波長板426を通過して円偏光される。この円偏光された光は、ビームスプリッタ436から反射し、第1の四分の一波長板426を逆方向に通過し、円偏光されて45度に配向されたまま、光にその利き手を変えさせる。いくつかの実施形態では、ビームスプリッタ436は、別の50/50ミラーを含む。第1の四分の一波長板426を逆方向に通過した光は、再び反射され、光を、第1の四分の一波長板426を順方向に(すなわち、ユーザの目408に向かって)3回目の通過をさせる。この反射光は、ビームスプリッタ436を通過し、次に、SVR416(例えば、SVR416を含む第2の四分の一波長板)を通過し、その後、直線偏光子438を通過して、光学サブシステム406の出射側(または面)414から出てくる。
【0043】
SVR416は、SVR416を通過する光の位相を、入ってくる光がSVR416に入射するSVR416上の位置の関数として適切なレベルの位相差で変更する。この様態において、SVR416から出てくる光は、水平偏光されている。直線偏光子438は、水平偏光された光がユーザの目408に向かって通過することを可能にし、さもなければ垂直偏光された光を遮断するので、SVR416は、後期段階の位相変更を行って、光が、直線偏光子438を通過することを可能にする。
図4の実施例では、例示的な光経路418が軸外れであるため、SVR416に入射する光経路418は楕円偏光され、光経路418がSVR416に入射するSVR416上の位置は、光の位相を適切な量だけ変更して、入ってくる楕円偏光された光を水平偏光された光として出現させる材料(例えば、複屈折材料)および/または特徴を含む。これは、ゼロに等しい入射角で光学サブシステム406に入射する軸上光経路(図示せず)と対比することができる。位相が変更される量は、SVR416のエリア全体で異なり、SVR416の中心では位相変更がほとんどないか全くないので、このような軸上光経路は、SVR416によってその偏光状態が変えられることはない。しかしながら、さらに軸外れである入射光については、SVR416は、その軸外れで入ってくる光の位相を、入射角、したがってSVR416上の位置の関数として適切な量に変更するように構成される。
【0044】
図5は、いくつかの実施形態による、ディスプレイと、光学サブシステムと、を含むシステム500の概略断面図である。システム500は、例えば、ウェアラブルデバイス104/204などのヘッドマウント可能デバイス内に組み込まれ得る。しかしながら、システム500は、カメラ、双眼鏡、事務機器、科学機器などを含むがこれらに限定されない他のタイプのデバイス内に組み込まれ得ることが理解されるべきである。システム500は、情報ディスプレイ502と呼ばれることもあるピクセル化されたディスプレイデバイス502と、バックライトアセンブリ504と、光学サブシステム506と、を含み得る。ユーザの目508の概略図もまた、例解されている。そのような要素は、光軸510に沿って整合されている。
【0045】
光を放出するバックライトアセンブリ504は、1つ以上の発光ダイオード(LED)、1つ以上のOLED、1つ以上の冷陰極蛍光灯(CCFL)、1つ以上のレーザ、1つ以上の量子ドット、またはこれらの例示的な光源の任意の組み合わせなどの光源を含み得る。バックライトアセンブリ504内の光源は、情報ディスプレイ502が、可視スペクトルにわたってカラー画像を生成することができるように、広域スペクトル(例えば、白色光)にわたって光を放出し得る。バックライトアセンブリ504は、例えば、約160~180度の範囲にわたり、その前面全体にわたって均一に光を放出し得る。
【0046】
情報ディスプレイ502は、バックライトアセンブリ504と連携して、最大約180度の範囲の角度にわたって光(バックライトアセンブリ504の面とほぼ平行な光)を放出し得る。この範囲の放出角度は、バックライトアセンブリ504の視野、またはバックライトアセンブリ504の光錐と称されることもある。いくつかの実施形態では、情報ディスプレイ502は、1つ以上の偏光層、液晶層、および薄膜トランジスタ層を含むLCDマトリックスであり得る。LCDマトリックスは、バックライトの部分をピクセル化された様式で覆い隠すことによって画像を作成する。光512がバックライトアセンブリ504から放出され、情報ディスプレイ502(例えば、LCDマトリックス)を通過するときに、画像が表示される。明確にするために、
図5は、バックライトアセンブリ504と、情報ディスプレイ502との間の分離を示している。しかしながら、これら2つの構成要素は、それらの間に、あったとしてもごくわずかのスペースを有して、一緒に挟みこまれ得る。
【0047】
光学サブシステム506は、情報ディスプレイ502からの光をユーザの目508に向けて方向づけるためのレンズアセンブリを備え得る。光学サブシステム506は、例えば、パンケーキ構成を有し得る。この場合、光学サブシステム506は、以下に説明するように、光の偏光に少なくとも部分的に基づく軸上光学折り曲げを使用して、情報ディスプレイ502からの光をユーザの目508に向けて方向づけるように構成された光学素子のアセンブリを備え得る。いくつかの実施形態では、光学サブシステム506のレンズアセンブリは、レンズ以外の様々な光学素子を含む。例えば、光学サブシステム506は、少なくとも1つの直線偏光子538と、空間的に変化するリターダ(SVR)516と、を含み得る。直線偏光子538は、SVR516と、光学サブシステム506の出射面514との間に位置し得る。SVR516は、SVR516を通過する光の位相を、SVR516の異なる部分ごとに異なる量だけ変更するように構成される。例えば、バックライト/ディスプレイが様々な角度で光を放出する場合、ディスプレイの周辺からユーザの目に向けて放出された光は、比較的大きな入射角で光学サブシステム506に入射し得る。SVR516は、SVR516全体にわたって位相変更の程度を変化させるように構成された場合、望ましくない視覚効果を軽減する(例えば、望ましくない迷光がユーザの目508に到達するのを排除する)ために、あらゆる角度からの光に対して適切なレベルの位相差を提供し得る。
【0048】
図5は、情報ディスプレイ502によって生成された画像の光の例示的な光経路518を例解する。簡潔にするために、光学サブシステム506は、少なくとも1つのレンズ形状の素子を含むブロックとして概略的に例解されている。しかしながら、光学サブシステム506は、レンズである必要のないいくつかのタイプの光学素子のいずれかを含み得る。ここで、光学サブシステム506の特定の実施例について説明する。
【0049】
光学サブシステム506は、前面522と、裏面524と、を有する直線偏光子520を含み得る。直線偏光子520は、直線偏光子520の裏面524に隣接する前面と、裏面528と、を有する四分の一波長板526上に配設され得る。四分の一波長板526は、レンズダブレット530上に配設され得る。実施例では、レンズダブレット530は、平面532と、凹面534と、を有する平凹シングレットを備え得る。凹面534の曲率は、光学サブシステム506の焦点距離を確立し得る。光学コーティング(例えば、金属薄膜または多層誘電体膜)を備え得る第1の反射偏光ビームスプリッタは、レンズダブレット530の凹面534に位置(例えば、上に配設)し得る。レンズダブレット530は、SVR516上に配置され得る。SVR516は、第2の反射偏光ビームスプリッタ536上に配設され得る。第2の反射偏光ビームスプリッタ536は、任意選択的な第2の直線偏光子538上に配設され得る。「上に配設される」は、上に直接配設されるか、または(例えば、1つ以上の中間層を伴って)上に間接的に配設されることを意味し得ることが理解されるべきである。加えて、「上に配設される」は、「接触している」か、または別の層上に配設された層との間にスペースが存在し得るように「隣接している」ことを意味し得ることが理解されるべきである。
【0050】
光学サブシステム506の動作原理を例解すると、光経路518は、光学サブシステム506の入口側(または面)に無偏光で光学サブシステム506に入射し、光経路518は、直線偏光子520によって、例えば、1つの配向pに偏光される。四分の一波長板526を通過した後、光は、右旋円偏光される。レンズダブレット530を通過し、続いてSVR516を通過した後、結果として生じるs偏光された光は、第2の反射偏光ビームスプリッタ536から反射し、SVR516を逆方向に通過し、レンズダブレット530の凹面534で第1の反射偏光ビームスプリッタから再び反射し、SVR516を3回目の通過をして、p偏光された光として光学サブシステム506の出射側(または面)514から出てくる。いかなるs偏光された迷光も、任意選択的な第2の直線偏光子538によって除去され得、その結果、純粋なp偏光された光が、目508に到達する。
【0051】
図6は、いくつかの実施形態による、例示的な空間的に変化するリターダ(SVR)600の概略図である。SVR600は、例えば、
図3/
図4/
図5に例解されたSVR316/416/516と同じか、または類似であり得る。
【0052】
いくつかの実施例では、SVR600は、基板602と整合層604と、液晶素子のM個のねじれ複屈折層606A、606B、...606Mと、を備えたモノリシック構造であり得、ここで、Mは、2以上の整数である。そのような層は、重合性液晶を含み得る。
図6の円筒は、光軸(およびネマチックダイレクタフィールド)に対応する。後続のねじれ複屈折層606は、先行するねじれ複屈折層606によって整合される。楕円608および610は、それぞれ、入射光612および出射光614の偏光を概略的に示す。
【0053】
SVR600は、広帯域偏光変換の効果的な制御などの多くの便益を提供する。SVR600は、前の層によって直接整合される後続の液晶層を含むので、SVR600の製作は比較的単純であり、自動的な層位置合わせを達成し、連続的に変化する光軸を有するモノリシックフィルムをもたらす。SVR600は、概して、パターン化されたアクロマティックリターダに最適であり、可視光から赤外線までの波長内で、広帯域および/または低変動の位相差を実現することができる。例えば、SVR600は、450~650ナノメートル(nm)および400~800nmの帯域幅にわたって比較的高い収色性で動作し得る。
【0054】
図6に示される例示的なSVR600は、本明細書に記載の技法およびシステムにおける実装に好適であるSVR416/516の一例のタイプにすぎないことを理解されたい。いくつかの実施形態では、例示的なSVR416/516は、SVRを通過する光の偏光状態を、SVRの異なる部分ごとに異なる量で変更するメカニズムとして作用する、ポリマーなどの複屈折材料の1つ以上の層を備えることができる。いくつかの実施形態では、例示的なSVR416/516は、SVRを通過する光の偏光状態を、SVRの異なる部分ごとに異なる量で変更するメカニズムとして作用する薄膜ダイクロイック材料(例えば、スタック)を備えることができる。いくつかの実施形態では、例示的なSVR416/516は、SVRを通過する光の偏光状態を、SVRの異なる部分ごとに異なる量で変更するメカニズムとして作用するナノ特徴を有する基板を備えることができる。これらの例示的な構成のいずれにおいても、SVR416/516は、SVR416/516上の位置の関数として異なる程度/量で偏光を変更する(例えば、SVR416/516の周辺に向かってより大きな量だけ偏光状態を変更する、およびSVR416/516の中心に向かってより少ない量だけ偏光状態を変更する)。
【0055】
図7は、いくつかの実施形態による、ディスプレイと、光学サブシステムと、を含む、システム700の概略断面図である。システム700は、例えば、ウェアラブルデバイス104/204などのヘッドマウント可能デバイスに組み込まれ得る。システム700は、情報ディスプレイ702と、バックライトアセンブリ704と、光学サブシステム706と、を含み得る。ユーザの目708の概略図もまた、例解されている。そのような要素は、光軸710に沿って整合されている。
【0056】
システム700は、
図5に例解されたシステム500と同様であり得、光学サブシステム706の入口側(もしくは面)714に配設されたフレネルレンズ712、または光学サブシステム706の出射側(もしくは面)718上のフレネルレンズ716が追加されている。例えば、フレネルレンズ712は、
図4を参照して説明したような、第1の四分の一波長板426の前面422上に、または
図5を参照して説明したような、直線偏光子520の前面522上に配設され得る。代替的に、(
図3/
図4/
図5を参照して説明されるように)偏光ビームスプリッタ338、第2の反射偏光ビームスプリッタ536、または直線偏光子438/538が、フレネルレンズ716上に配設され得る。
図7は、光学サブシステム706の一部としてフレネルレンズ716および718の両方を示しているが、光学サブシステム706は、フレネルレンズ716なしで、フレネルレンズ712を含み得るか、または光学サブシステム706は、レネルレンズ712なしで、フレネルレンズ716を含み得ることが理解されるべきである。光学サブシステム706へのフレネルレンズ(712または716)のそのような追加は、光学サブシステム706を出射する光の焦点距離を変更するために使用され得る。追加的または代替的に、他のタイプのレンズが、光学サブシステム706の側面714、および/または側面718に使用され得る。
【0057】
図8は、いくつかの例示的な実施形態による、合焦された画像をディスプレイデバイスのユーザの目に提供するためのプロセス800を例解する流れ図である。例えば、そのようなディスプレイデバイスは、ウェアラブルデバイス104と同じか、または類似であるHMD内に含まれ得る。ブロック802において、ディスプレイデバイスは、例えば、LCDディスプレイなどのピクセル化されたディスプレイデバイスを使用して画像を生成し得る。そのような生成は、例えば、照明バックライトと連携し得る。ブロック804において、ディスプレイデバイスは、画像の光を、光学サブシステム506などのレンズアセンブリに向けて、画像の焦点距離を変更された焦点距離に変更し得る。例えば、レンズアセンブリは、空間的に変化するリターダ(SVR)316/416/516/600を含み得、これは、SVR316/416/516/600を通過する光の位相を、SVR316/416/516/600の異なる部分ごとに異なる量だけ変更するように構成されている。ブロック806において、ディスプレイデバイスは、変更された焦点距離を有する画像をユーザの目に投影し得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の空間的に変化するリターダ(SVR)316/416/516/600は、本明細書に記載のシステムの構成要素内で生じ得る製造誤差を補正するために、補正係数を用いて製造され得る。本明細書に記載のSVR316/416/516/600の製作中に補正され得る1つの例示的な製造誤差は、製造中にレンズを成形することの副産物であり得る成形レンズ内の応力複屈折である。例解すると、等方性材料に応力がかかりまたは変形され(すなわち、延伸または曲げられ)、物理的等方性の損失を引き起こし、結果として材料の誘電率テンソルの等方性の損失を引き起こすときに、応力複屈折が生じる。したがって、レンズが成形されるとき、これは、成形レンズに応力複屈折をもたらす可能性がある。例えば、
図3を参照すると、光学サブシステム306は、第1の四分の一波長板326とSVR316との間に介在するレンズ330を含み得る。このレンズ330は、レンズ330の材料が、最終部品の所望される特性(例えば、形状)を作り出すために応力が加えられるか、または変形される、成形技法を使用して製造された成形レンズであり得る。この製造プロセスの結果として、製造されたレンズ330は、本明細書で説明されるように、応力複屈折を提示し得る。成形レンズ330内のこの応力複屈折は、本明細書に記載のSVR316の製造中に補償することができ、これは、レンズ330から出てくる光の偏光を、応力複屈折が成形レンズ330内に存在しなかった場合に存在したであろう状態に効果的に戻すことができる。別の言い方をすれば、(レンズ330を製造することの結果として)応力複屈折を含む成形レンズ330は、所望されない仕方でそれを通過する光を偏光し得、これらの所望されない偏光の影響は、所望されない偏光の影響を補償する補正係数を用いてSVR316を製造することによって効果的に「元に戻す」ことができる。例えば、SVR316の製造中(例えば、SVR316の材料シートをレイアウトする製造プロセス中)、補正係数をSVR316に適用して、製造された、または製造されることになる成形レンズ330内の既知のまたは判定された量の応力複屈折を考慮に入れることができる。この補正係数は、これらに限定されないが、SVR316を製作するために使用される複屈折材料のタイプの調整、SVR316に含める複屈折層606の数M(
図6を参照)の調整、SVR316に含める特徴(例えば、ナノ特徴)に対する調整(例えば、特徴のタイプ、数、および/または密度を変更することによって)などを含み得る。いくつかの実施形態では、応力複屈折が局所的である場合、補正係数は、成形レンズ330内の局所的応力複屈折に対応するSVR316上の場所でSVR316に適用さ得る。いくつかの実施形態では、SVR316は、成形レンズ330内の製造誤差を補正または補償するために、補正係数を有するフィルムとして適用され得る。したがって、製造されたSVR316は、成形レンズ330内の製造欠陥の程度および/または場所の関数として適切なレベルの位相差を提供することができる。
【0059】
本明細書に記載のSVR316/416/516/600の製作中に補正され得る別の例示的な製造誤差は、偏光ビームスプリッタ(本明細書では「反射偏光子」または「反射フィルム」と称されることもある)にわたる偏光変動である。例解すると、ロールツーロールプロセスを使用して、偏光ビームスプリッタを製造し得る。そのような製造プロセスでは、偏光ビームスプリッタのための材料は、ロールアウトされ(例えば、シートに)、ロールアウトされるにつれて材料を延伸し得、次いで、フィルムの層がロールアウトされた材料に適用されて、最終部品を作製し得る。例として、再び
図3を参照すると、光学サブシステム306は、SVR316と光学サブシステム306の出射面(または側)314との間に位置する偏光ビームスプリッタ338を含み得る。この偏光ビームスプリッタ338は、本明細書に記載のように、偏光ビームスプリッタ338の材料が延伸または変形されて、最終部品を作成するロールツーロール技法を使用して製造され得る。この製造プロセスの結果として、製造された偏光ビームスプリッタ338は、製造誤差を有し得、これは、偏光ビームスプリッタ338にわたる偏光において所望されない変動を含み得る。偏光ビームスプリッタ338内のこれらの製造誤差はまた、本明細書に記載のSVR316を形成する間に補償することができる。例えば、SVR316の製作中(例えば、SVR316のための材料シートをレイアウトする製造プロセス)に、補正係数をSVR316に適用して、製造された、または製造されるべき偏光ビームスプリッタ338内の既知のまたは判定された量の偏光変動を考慮に入れることができる。この補正係数は、これらに限定されないが、SVR316を製作するために使用される複屈折材料のタイプの調整、SVR316に含める複屈折層606の数M(
図6を参照)の調整、SVR316に含める特徴(例えば、ナノ特徴)に対する調整(例えば、特徴のタイプ、数、および/または密度を変更することによって)などを含み得る。いくつかの実施形態では、偏光ビームスプリッタ338内の所望されない偏光が局所的である場合、補正係数は、偏光ビームスプリッタ338内の局所的な所望されない偏光に対応するSVR316上の場所でSVR316に適用され得る。いくつかの実施形態では、SVR316は、偏光ビームスプリッタ338内の既知のまたは判定された製造誤差を補正または補償するために、補正係数を有するフィルムとして偏光ビームスプリッタ338に適用され得る。いくつかの実施形態では、(SVR316を形成している間に適用される)この補正係数は、製造プロセス中に偏光ビームスプリッタ338に直接適用することができ、これは、偏光ビームスプリッタ338の全体的な性能、およびそれによる、本明細書に記載のように、これらの構成要素を含むシステムの全体的な性能に役立ち得る。
【0060】
成形レンズ330内の第1の製造誤差および偏光ビームスプリッタ338内の第2の製造誤差は、上記で別々に考察されているが、SVR316/416/516/600は、本明細書に記載のように、成形レンズ330および偏光ビームスプリッタ338の両方における製造誤差を補正または補償するために、補正係数を用いて製造され得ることを理解されたい。すなわち、SVR316/416/516/600の製作中にSVR316/416/516/600に適用される補正係数は、成形レンズ330内の第1の製造誤差および偏光ビームスプリッタ338内の第2の製造誤差の両方に基づき得る。この様態において、SVR316/416/516/600は、両方の製造誤差を補償する仕方で製作することができる。
【0061】
図9は、空間的に変化するリターダ(SVR)316/416/516/600の製造中に、補正係数を適用して、成形レンズおよび/または偏光ビームスプリッタ内の既知のまたは判定された製造誤差を補償するためのプロセス900を例解する流れ図である。プロセス900は、ウェアラブルデバイス104と同じまたは類似であるHMDなどの、HMD内に含まれることになるディスプレイシステムの光学サブシステムの製造プロセス中に実装され得る。
【0062】
ブロック902において、光学サブシステムの製造された構成要素における製造誤差の程度が判定され得る。例えば、サブブロック904では、成形レンズ内の応力複屈折の量が判定され得る。これは、成形レンズの材料を通過する光の偏光の変化を測定することによってなど、偏光測定技法を使用して測定され得る。いくつかの実施形態では、成形レンズの材料内の構成要素の屈折率の差は、応力複屈折の量を判定するために測定され得る。いくつかの実施形態では、応力複屈折が成形レンズ内で不均一である場合、応力複屈折が提示される成形レンズ上の場所が、サブブロック904で判定され得る。別の例として、サブブロック906で、偏光ビームスプリッタ内の偏光変動が判定され得る。これは、消光比、レーザ誘導損傷閾値(LIDT)、波長範囲、および/または偏光ビームスプリッタ全体にわたる厚さの観点から測定され得る。いくつかの実施形態では、所望されない/望まない偏光が偏光ビームスプリッタ内で局在化されている場合、所望されない偏光が提示されている偏光ビームスプリッタ上の場所は、サブブロック906で判定され得る。
【0063】
ブロック908において、補正係数が判定され得、これは、空間的に変化するリターダ(SVR)316/416/516/600の製造プロセス中(例えば、形成または製作中)に適用される。ブロック908で判定された補正係数は、ブロック902で判定された製造誤差を補償するように構成される。例えば、補正係数は、成形レンズの第1の製造誤差を補正するため、偏光ビームスプリッタの第2の製造誤差を補正するため、または成形レンズおよび偏光ビームスプリッタの両方の製造誤差を補正するために判定され得る。いくつかの実施形態では、補正係数は、SVR316/416/516/600を製作するために使用される複屈折材料のタイプの調整、SVR316/416/516/600に含める複屈折層606の数M(
図6を参照)の調整、SVR316/416/516/600に含める特徴(例えば、ナノ特徴)に対する調整(例えば、特徴のタイプ、数、および/または密度を変更することによって)などに関する補正の係数である。いくつかの実施形態では、補正対象である製造欠陥が欠陥部に局所化されている場合、補正係数は、欠陥部の局所化された製造欠陥に対応するSVR316/416/516/600上の場所で、SVR316/416/516/600に適用され得る。
【0064】
ブロック910において、SVR316/416/516/600は、ブロック908で判定された補正係数を適用することによって製造され得る(例えば、形成され得る)。上記の実施例に対して多くの変形および変更が行われ得、その要素は、他の許容可能な実施例の中にあるものとして理解されるべきである。そのようなすべての変更および変形は、本開示の範囲内で本明細書に含まれることが意図されている。
【国際調査報告】