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特表2023-505942スーパージャンクションデバイス及び製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(54)【発明の名称】スーパージャンクションデバイス及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20230207BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20230207BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20230207BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
H01L29/78 652H
H01L29/78 301D
H01L29/78 301S
H01L29/78 652T
H01L29/78 652Q
H01L29/06 301D
H01L29/06 301V
H01L29/78 652N
H01L29/78 658A
H01L29/78 658E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525446
(86)(22)【出願日】2021-10-09
(85)【翻訳文提出日】2022-06-20
(86)【国際出願番号】 CN2021122725
(87)【国際公開番号】W WO2022078248
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】202011081612.X
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520339091
【氏名又は名称】セミコンダクター マニュファクチュアリング エレクトロニクス(シャオシン)コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダイ,イン
(72)【発明者】
【氏名】レン,ウェンジェン
【テーマコード(参考)】
5F140
【Fターム(参考)】
5F140AA25
5F140AC21
5F140AC23
5F140BA01
5F140BA05
5F140BA16
5F140BC12
5F140BF04
5F140BH05
5F140BH13
5F140BH30
5F140BK13
5F140CB01
(57)【要約】
スーパージャンクションデバイス及びかかるデバイスを製造する方法が開示され、遷移領域とコア領域との間の界面に位置する第2導電型のピラーが、少なくともその上部の厚さにわたって幅が狭くなり、これにより、遷移領域におけるピーク電界強度を低下させ、遷移領域の耐電圧性を高め、遷移領域で最初にアバランシェ降伏が発生することを防ぐ。さらに、遷移領域からコア領域への方向に増加するドーパントイオン濃度プロファイルが、コア領域の第2導電型のいくつかのピラーの上部にわたって作成され、これは、コア領域の表面の周辺の第2導電型のドーパントの存在を増加させ、こうして、第2導電型のウェルに到達できる前に垂直電界を止める。すなわち、コア領域の有効エピタキシャル厚さが抑えられ、その耐電圧性が低下する結果となる。このようにして、アバランシェ降伏が最初にコア領域内で発生することを可能にし、結果として、EAS性能が向上する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型のエピタキシャル層を備えるスーパージャンクションデバイスであって、
前記エピタキシャル層は、コア領域と、前記コア領域を囲む終端領域と、前記コア領域と前記終端領域との間に介設されている遷移領域とを画定し、
前記エピタキシャル層は、前記コア領域及び前記遷移領域内に、交互に配置されている、前記第1導電型の多数のピラー及び第2導電型の多数のピラーを含み、
前記遷移領域に近接している前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーのいくつかの上部が前記遷移領域から前記コア領域への方向に増加するドーパントイオン濃度プロファイルを呈し、
前記遷移領域と前記コア領域との間の界面に位置付けられている前記第2導電型のピラーの少なくとも部分的な厚さの幅は、前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーの幅未満である、
スーパージャンクションデバイス。
【請求項2】
前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーの前記上部の前記ドーパントイオン濃度は全て、前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーの残りの任意の部分のドーパントイオン濃度、及び前記遷移領域と前記コア領域との間の前記界面における前記第2導電型の前記ピラーの任意の部分のドーパントイオン濃度の両方よりも高い、請求項1に記載のスーパージャンクションデバイス。
【請求項3】
前記第1導電型の前記エピタキシャル層は、複数のエピタキシャル層の積み重ねであり、前記複数のエピタキシャル層の最上部の2つによって提供される前記遷移領域と前記コア領域との間の前記界面における前記第2導電型の前記ピラーの一部は、前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーよりも狭い幅を有している、請求項1に記載のスーパージャンクションデバイス。
【請求項4】
前記複数のエピタキシャル層の最上部の2つによって提供される前記遷移領域と前記コア領域との間の前記界面における前記第2導電型の前記ピラーの前記一部の前記幅は、前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーの前記幅よりも7%~14%小さい、請求項3に記載のスーパージャンクションデバイス。
【請求項5】
前記遷移領域と前記コア領域との間の前記界面における前記第2導電型の前記ピラーの前記幅は、前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーの前記幅よりも全体として3%~5%小さい、請求項3に記載のスーパージャンクションデバイス。
【請求項6】
前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーは、前記遷移領域から前記コア領域への前記方向で1からnまでの番号が付けられ、1からiまでの番号が付けられている前記第2導電型の前記ピラーの前記上部は、前記増加するドーパントイオン濃度プロファイルを呈し、iからnまでの番号が付けられている前記第2導電型の前記ピラーの前記上部の前記ドーパントイオン濃度は等しく、ここでnは、1よりも大きな自然数であり、1<i<nである、請求項1に記載のスーパージャンクションデバイス。
【請求項7】
前記コア領域及び前記遷移領域内の前記第2導電型の前記ピラーの上部にある前記第2導電型のウェル群と、
前記コア領域内の前記第1導電型の前記エピタキシャル層上に設けられているゲート群と、
前記ゲートの反対側の前記第2導電型の前記ウェルに設けられているソース領域群と、
前記第1導電型の前記エピタキシャル層の裏側に形成されているドレイン領域と、をさらに備える、請求項1に記載のスーパージャンクションデバイス。
【請求項8】
前記終端領域内の前記第1導電型の前記エピタキシャル層に交互に配置されている、前記第1導電型の多数のピラー及び前記第2導電型の多数のピラーと、
前記遷移領域に近接している前記終端領域内の前記第2導電型の前記ピラーの少なくとも1つの上部にある主接合部と、
をさらに備える、請求項1に記載のスーパージャンクションデバイス。
【請求項9】
コア領域と、遷移領域と、終端領域とを画定する基板を設けることと、
前記基板上に前記第1導電型の前記エピタキシャル層を形成すること、及び少なくとも前記コア領域及び前記遷移領域内の前記第1導電型の前記エピタキシャル層に、交互に配置されている、前記第1導電型の多数のピラー及び前記第2導電型の多数のピラーを形成することと、
を備え、
前記遷移領域に近接している前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーのいくつかの上部が前記遷移領域から前記コア領域への前記方向に増加するドーパントイオン濃度プロファイルを呈し、
前記遷移領域と前記コア領域との間の前記界面に位置付けられている前記第2導電型の前記ピラーの少なくとも部分的な厚さの前記幅は、前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーの前記幅未満である、請求項1~8のいずれか1項に記載のスーパージャンクションデバイスを製造する方法。
【請求項10】
前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーの前記上部の前記ドーパントイオン濃度は全て、前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーの残りの任意の部分のドーパントイオン濃度及び前記遷移領域と前記コア領域との間の前記界面における前記第2導電型の前記ピラーの任意の部分のドーパントイオン濃度の両方よりも高い、請求項9に記載のスーパージャンクションデバイスを製造する方法。
【請求項11】
前記基板上の前記第1及び第2導電型の前記交互に配置されているピラーを含む前記第1導電型の前記エピタキシャル層の前記形成は、
a)前記基板上に前記第1導電型の下側エピタキシャル層を成長させることと、
b)前記下側エピタキシャル層の領域に前記第2導電型のイオンを注入する第1イオン注入を行うことと、
c)必要な回数だけステップa)からb)を繰り返すことであって、前記繰り返し中、それを通して第1イオン注入処理が行われる開口部のサイズが、前記遷移領域と前記コア領域との間の前記界面に形成される前記第2導電型の前記ピラーの幅のばらつきによって、及び前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーの前記上部のドーパントイオン濃度のばらつきによって、必要に応じて調整される、繰り返しと、
d)前記第1イオン注入処理が行われた拡散領域が拡散して前記下側エピタキシャル層の垂直に隣接する2つと接触するようにアニーリング処理を行うことであって、前記第2及び第1導電型の前記交互に配置されているピラーが形成される結果となる、アニーリング処理を行うことと、を備える、請求項9に記載のスーパージャンクションデバイスを製造する方法。
【請求項12】
前記基板上の前記第1及び第2導電型の前記交互に配置されているピラーを含む前記第1導電型の前記エピタキシャル層の前記形成は、
a)前記基板上に前記第1導電型の下側エピタキシャル層を成長させることと、
b)前記下側エピタキシャル層に多数の深いトレンチを形成するために、前記下側エピタキシャル層の部分的な厚さのエッチングを行うことであって、前記遷移領域と前記コア領域との間の前記界面の前記深いトレンチのうちの1つの幅は、前記コア領域内の深いトレンチのそれぞれの幅未満となる、エッチングを行うことと、
c)前記深いトレンチ内に前記第2導電型のエピタキシャル層を充填することによって、前記下側エピタキシャル層に前記第2及び第1導電型の前記交互に配置されているピラーを形成することと、
d)前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーの前記上部の所望のドーパントイオン濃度プロファイルによって必要に応じて、前記上部に前記第2導電型のイオンを注入することであって、これにより、前記上部にわたって前記遷移領域から前記コア領域への方向に増加する前記ドーパントイオン濃度プロファイルを作成する、イオンの注入を行うことと、
を備える、請求項9に記載のスーパージャンクションデバイスを製造する方法。
【請求項13】
前記コア領域及び前記遷移領域内の前記第2導電型の前記各ピラーの上部に前記第2導電型のウェルを形成することをさらに備える、請求項9に記載のスーパージャンクションデバイスを製造する方法。
【請求項14】
前記コア領域及び前記遷移領域の前記第1導電型の前記エピタキシャル層に前記第1及び第2導電型の前記交互に配置されているピラーの前記形成中に、交互に配置されている前記第1導電型の多数のピラー及び前記第2導電型の多数のピラーを前記終端領域に形成することと、
前記終端領域に前記第1及び第2導電型の前記交互に配置されているピラーの前記形成に続いて、前記遷移領域に近接している前記終端領域内の前記第2導電型の前記ピラーの少なくとも1つの上部に位置する主接合部を前記終端領域に形成することと、をさらに備える、請求項9に記載のスーパージャンクションデバイスを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスの技術分野に関し、より具体的には、スーパージャンクションデバイス及びそのデバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最先端技術では、そのコア領域及びコア領域を囲む終端領域の両方のスーパージャンクション構造から結果として生じる降伏電圧を効果的に上げる、垂直二重拡散金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(VDMOS)デバイスに構造的に基づいている、いわゆるCoolMOSスーパージャンクションデバイスが提案されている。各スーパージャンクションは、本質的に、交互に配置されているp型ピラー及びn型ピラーから成る耐高電圧性を有する層と、層を垂直に挟むn+とp+領域とで構成されている。単一パルスのアバランシェエネルギー(EAS)、すなわち、単一パルスアバランシェ動作中にオフ状態のデバイスによって消費できる最大エネルギーを定めるパラメータは、CoolMOSデバイス、とりわけ、そのドレインとソースとの間に存在する高いオーバーシュート電圧を有し得るCoolMOSデバイスの性能を評価するための重大な測定基準である。一般的に、アバランシェの発生は、接続されている外部スナバによって防止できる、又は、高パルス電流(dv/dt)は、大きな抵抗(Rg)を追加で一体化させることで防止できる。しかしながら、これらのアプローチは、使用中におけるコストの増加又は損失の増加を招く。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、そのコア領域で最初にアバランシェ降伏を発生させることを可能にすることで単一パルスのアバランシェエネルギー(EAS)性能を向上させるスーパージャンクションデバイス、及びこのようなデバイスを製造する方法を提供することである。
【0004】
この目標を達成するために、本発明は、第1導電型のエピタキシャル層を備えるスーパージャンクションデバイスであって、前記エピタキシャル層は、コア領域と、前記コア領域を囲む終端領域と、前記コア領域と前記終端領域との間に介設されている遷移領域とを画定し、前記エピタキシャル層は、前記コア領域及び前記遷移領域内に、交互に配置されている、前記第1導電型の多数のピラー及び第2導電型の多数のピラーを含み、前記遷移領域に近接している前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーのいくつかの上部が前記遷移領域から前記コア領域への方向に増加するドーパントイオン濃度プロファイルを呈し、前記遷移領域と前記コア領域との間の界面に位置付けられている前記第2導電型のピラーの少なくとも部分的な厚さの幅は、前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーの幅未満である、スーパージャンクションデバイスを提供する。
【0005】
任意選択で、前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーの前記上部の前記ドーパントイオン濃度は全て、前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーの残りの任意の部分のドーパントイオン濃度及び前記遷移領域と前記コア領域との間の前記界面における前記第2導電型の前記ピラーの任意の部分のドーパントイオン濃度の両方よりも高くてもよい。
【0006】
任意選択で、前記第1導電型の前記エピタキシャル層は、複数のエピタキシャル層の積み重ねであってもよく、前記複数のエピタキシャル層の最上部の2つによって提供される前記遷移領域と前記コア領域との間の前記界面における前記第2導電型の前記ピラーの一部は、前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーよりも狭い幅を有している。
【0007】
任意選択で、前記複数のエピタキシャル層の最上部の2つによって提供される前記遷移領域と前記コア領域との間の前記界面における前記第2導電型の前記ピラーの前記一部の前記幅は、前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーの前記幅よりも7%~14%小さくてもよい。
【0008】
任意選択で、前記遷移領域と前記コア領域との間の前記界面における前記第2導電型の前記ピラーの前記幅は、前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーの前記幅よりも全体として3%~5%小さくてもよい。
【0009】
任意選択で、前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーは、前記遷移領域から前記コア領域への前記方向で1からnまでの番号が付けられてもよく、1からiまでの番号が付けられている前記第2導電型の前記ピラーの前記上部は、前記増加するドーパントイオン濃度プロファイルを呈し、iからnまでの番号が付けられている前記第2導電型の前記ピラーの前記上部の前記ドーパントイオン濃度は等しく、ここでnは、1よりも大きな自然数であり、1<i<nである。
【0010】
任意選択で、前記スーパージャンクションデバイスは、前記コア領域及び前記遷移領域内の前記第2導電型の前記ピラーの上部にある前記第2導電型のウェル群と、
前記コア領域内の前記第1導電型の前記エピタキシャル層上に設けられているゲート群と、
前記ゲートの反対側の前記第2導電型の前記ウェルに設けられているソース領域群と、
前記第1導電型の前記エピタキシャル層の裏側に形成されているドレイン領域と、をさらに備えてもよい。
【0011】
任意選択で、前記スーパージャンクションデバイスは、前記終端領域内の前記第1導電型の前記エピタキシャル層に交互に配置されている、前記第1導電型の多数のピラー及び前記第2導電型の多数のピラーと、
前記遷移領域に近接している前記終端領域内の前記第2導電型の前記ピラーの少なくとも1つの上部にある主接合部と、をさらに備えてもよい。
【0012】
本発明はまた、コア領域と、遷移領域と、終端領域とを画定する基板を設けることと、
前記基板上に前記第1導電型の前記エピタキシャル層、及び少なくとも前記コア領域及び前記遷移領域内の前記第1導電型の前記エピタキシャル層に、交互に配置されている、前記第1導電型の多数のピラー及び前記第2導電型の多数のピラーを形成することと、を備え、
前記遷移領域に近接している前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーのいくつかの上部が前記遷移領域から前記コア領域への前記方向に増加するドーパントイオン濃度プロファイルを呈し、
前記遷移領域と前記コア領域との間の界面に位置付けられている前記第2導電型の前記ピラーの少なくとも部分的な厚さの前記幅は、前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーの前記幅未満である、スーパージャンクションデバイスを製造する方法も提供する。
【0013】
任意選択で、前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーの前記上部の前記ドーパントイオン濃度は全て、前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーの残りの任意の部分のドーパントイオン濃度及び前記遷移領域と前記コア領域との間の前記界面における前記第2導電型の前記ピラーの任意の部分のドーパントイオン濃度の両方よりも高くてもよい。
【0014】
任意選択で、前記基板上の前記第1及び第2導電型の前記交互に配置されているピラーを含む前記第1導電型の前記エピタキシャル層の前記形成は、
a)前記基板上に前記第1導電型の下側エピタキシャル層を成長させることと、
b)前記下側エピタキシャル層の領域に前記第2導電型のイオンを注入する第1イオン注入を行うことと、
c)必要な回数だけステップa)からb)を繰り返すことであって、前記繰り返し中、それを通して前記第1イオン注入処理が行われる開口部のサイズが、前記遷移領域と前記コア領域との間の前記界面に形成される前記第2導電型の前記ピラーの幅のばらつきによって、及び前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーの前記上部のドーパントイオン濃度のばらつきによって、必要に応じて調整される、繰り返しと、
d)前記第1イオン注入処理が行われた拡散領域が拡散して前記下側エピタキシャル層の垂直に隣接する2つと接触するようにアニーリング処理を行うことであって、前記第2及び第1導電型の前記交互に配置されているピラーが形成される結果となる、アニーリング処理を行うことと、を備えてもよい。
【0015】
代替的に、前記基板上の前記第1及び第2導電型の前記交互に配置されているピラーを含む前記第1導電型の前記エピタキシャル層の前記形成は、
a)前記基板上に前記第1導電型の下側エピタキシャル層を成長させることと、
b)前記下側エピタキシャル層に多数の深いトレンチを形成するために、前記下側エピタキシャル層の部分的な厚さのエッチングを行うことであって、前記遷移領域と前記コア領域との間の前記界面の前記深いトレンチのうちの1つの幅は、前記コア領域内の深いトレンチのそれぞれの幅未満となるエッチングを行うことと、
c)前記深いトレンチ内に前記第2導電型のエピタキシャル層を充填することによって、前記下側エピタキシャル層に前記第2及び第1導電型の前記交互に配置されているピラーを形成することと、
d)前記コア領域内の前記第2導電型の前記ピラーの前記上部の所望のドーパントイオン濃度プロファイルによって必要に応じて、前記上部に前記第2導電型のイオンを注入することであって、これにより、前記上部にわたって前記遷移領域から前記コア領域への方向に増加する前記ドーパントイオン濃度プロファイルを作成する、イオンの注入を行うことと、を備えてもよい。
【0016】
任意選択で、前記方法は、前記コア領域及び前記遷移領域内の前記第2導電型の前記各ピラーの上部に前記第2導電型のウェルを形成することをさらに備えてもよい。
【0017】
任意選択で、前記方法は、前記コア領域及び前記遷移領域の前記第1導電型の前記エピタキシャル層に前記第1及び第2導電型の前記交互に配置されているピラーの前記形成中に、交互に配置されている前記第1導電型の多数のピラー及び前記第2導電型の多数のピラーを前記終端領域に形成することと、
前記終端領域に前記第1及び第2導電型の前記交互に配置されているピラーの前記形成に続いて、前記遷移領域に近接している前記終端領域内の前記第2導電型の前記ピラーの少なくとも1つの上部に位置する主接合部を前記終端領域に形成することと、をさらに備えてもよい。
【0018】
本発明は、先行技術と比較して、以下の利点のうちの少なくとも1つを有する。
1.少なくともその上側厚さにわたって幅が狭くなっている遷移領域とコア領域との間の界面に位置している第2導電型のピラー(例えば、p型ピラー)は、結果的に遷移領域でのピーク電界強度を低下させ、こうして、その耐電圧性を高めることができる。コア領域内の第2導電型のいくつかのピラーの上部にわたって遷移領域からコア領域への方向に増加するドーパントイオン濃度プロファイル、すなわち、遷移領域から最大レベルまでの距離を有するコア領域の表面周辺に存在する第2導電型のドーパントの増加は、遷移領域からコア領域に向かって減少し、コア領域内における最小強度に達するピーク電界強度プロファイルを結果的に生じる。その結果、垂直電界は第2導電型のウェル(例えば、pボディ領域)に到達できる前に止まる。このことは、結果的にコア領域の耐電圧性を抑えることとなり、この領域で最初にアバランシェ降伏が発生することを可能にし、こうして、EAS性能が結果として向上する。
2.さらに、その上側厚さにわたる遷移領域とコア領域との間の界面で第2導電型のピラー(例えば、p型ピラー)を局所的に狭くすることで、コア領域内又はその下の2導電型のピラーの1つの下部でアバランシェ降伏が発生する可能性の増加を容易にでき、こうして、デバイスのEAS性能がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】既存のスーパージャンクションデバイスの構造を示す概略断面図である。
図2図1のスーパージャンクションデバイスの遷移領域でいかにアバランシェ降伏が発生するかを概略的に示す。
図3】本発明の実施形態によるスーパージャンクションデバイスの構造を示す概略断面図である。
図4】本発明の他の実施形態によるスーパージャンクションデバイスの構造を示す概略断面図である。
図5】本発明の実施形態によるスーパージャンクションデバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
図6】本発明の実施形態によるスーパージャンクションデバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
図7】本発明の実施形態によるスーパージャンクションデバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
図8】本発明の実施形態によるスーパージャンクションデバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
図9】本発明の実施形態によるスーパージャンクションデバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
図10】本発明の他の実施形態によるスーパージャンクションデバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
図11】本発明の他の実施形態によるスーパージャンクションデバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
図12】本発明の他の実施形態によるスーパージャンクションデバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
図13】本発明の他の実施形態によるスーパージャンクションデバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
図14】本発明の他の実施形態によるスーパージャンクションデバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
図15】本発明のさらなる実施形態によるスーパージャンクションデバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
図16】本発明のさらなる実施形態によるスーパージャンクションデバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
図17】本発明のさらなる実施形態によるスーパージャンクションデバイスを製造する方法を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1及び図2を参照し、既存のスーパージャンクションデバイスでは、以下の理由によってアバランシェ降伏がその遷移領域IIで最初に発生する傾向があることが我々の研究においてわかった。遷移領域IIとコア領域Iとの間の界面に位置する第2導電型のピラー101は、実際、部分的にコア領域I及び部分的に遷移領域IIに位置していると考えることができる。コア領域I内のピラー101の部分は、遷移領域IIの部分と比較して、ピッチ、ドーパント濃度、及び幅の点において2倍である。スーパージャンクションデバイスの電界は、垂直電界と結合している水平電界とみなすことができる。水平電界の強度は、理想的には、破線Aで示される位置でゼロになり、遷移領域IIの部分(以下、簡潔に「右部」と呼ぶ)のように、コア領域I内のピラー101の部分(以下、簡潔に「左部」と呼ぶ)で2倍の高さになると予想される。しかしながら、実際には、ピラー101の右部での水平電界の強度の左部での水平電界の強度に対する実際の比率は、0.5よりも大きく、水平電界の強度がゼロになる実際の位置は、破線Bで示される通りである。すなわち、予想よりも多くの電荷がピラー101の右部に引き付けられ、ピラー101の左部からの不均衡な電荷空乏を招く。また、コア領域Iの右部へと過剰な電荷が空乏化するため、アバランシェ降伏は、単一パルスアバランシェ動作(EAS)中に最初に遷移領域IIで発生する傾向にある。
【0021】
これにより、本発明の核心概念は、一方で、遷移領域における不平衡な電界分布が改善され、こうして、遷移領域への耐電圧性が増すことであり、他方で、遷移領域からコア領域への方向に減少するコア領域の耐電圧のプロファイルは、可能な限りアバランシェ降伏の位置をコア領域へとシフトするように作られることであり、これにより、アバランシェ降伏が、単一パルスアバランシェ動作(EAS)中に最初に遷移領域で発生する傾向があるという問題を克服する。
【0022】
本発明は、図3から図17を参照して、特定の実施形態を手段として以下にさらに詳細に説明される。本発明の利点及び特徴は、以下の説明からより明らかとなるであろう。図面は、必ずしも正確な縮尺で描かれているわけではない非常に単純化された形態で提示され、単にそれらの実施形態の説明を容易で明確にすることを高めるために提供されていることに留意する。
【0023】
図3を参照し、本発明の実施形態によるスーパージャンクションデバイスは、第1導電型のエピタキシャル層201を含み、エピタキシャル層201は、コア領域Iと、コア領域Iを囲む終端領域IIIと、コア領域Iと終端領域IIIとの間に介設されている遷移領域IIとを画定する。本実施形態では、コア領域Iから終端領域IIIまでのエピタキシャル層201全体にわたって、第1導電型の多数のピラー及び第2導電型の多数のピラーが交互に配置されている。
【0024】
エピタキシャル層201は、n型イオン又はp型イオンでドープされ、シリコン基板、シリコンオンインシュレータ(SOI)基板又はシリコンゲルマニウム(SiGe)基板等の当業者には公知の基板(不図示)上に形成されている半導体層であってもよい。エピタキシャル層201は、複数のエピタキシャル層の積み重ねであってもよい。第2導電型のピラーは、第1導電型の隣接するピラー間のエピタキシャル層201によって提供されてもよい。本実施形態では、エピタキシャル層201は、n型単結晶シリコンである。
【0025】
さらに、ゲート206が、第2導電型のピラー202b及び202cが個々のゲート206の両側に位置するように、コア領域I及び遷移領域IIのエピタキシャル層201上に設けられている。第2導電型のウェル204が、ピラー202b及び202cの上部にあり、ソース領域208が、ウェル204内に設けられている。
【0026】
さらに、第2導電型の主接合部203は、遷移領域IIに近接するいくつかのピラー202a及びこれらのピラー202a間の第1導電型のピラーの両方の上部にあるように、終端領域III内に設けられている。さらに、終端領域IIIにおいて、局所フィールド酸化膜205及びポリシリコンゲート207が、局所フィールド酸化膜205が主接合部203の表面の一部まで伸びて覆い、それと共に、ポリシリコンゲート207が局所フィールド酸化膜205と局所フィールド酸化膜205によって覆われていない主接合部203の表面の残りの部分との両方を覆うように、エピタキシャル層201上に形成されている。
【0027】
さらに、ドレイン領域209が、エピタキシャル層201の裏側に、ゲート206から反対側を向いて形成されている。
【0028】
ゲート206、第2導電型のピラー202b、第1導電型のピラー、第2導電型のウェル204、ソース領域208、ドレイン領域209、及び、ある場合はコア領域I内の他のコンポーネントが、コアコンポーネントである一方、ポリシリコンゲート207、主接合部203、ドレイン領域209、及び、ある場合は終端領域IIIの他のコンポーネントが、入力/出力回路等の周辺回路を構成している。コア領域I内のコアコンポーネントは、必要に応じて構造的な形態で提供されてもよい。任意選択で、コア領域I内のピラー202bは、終端領域IIIのピラー202aの密度とは異なる密度で存在してもよい。上部から見た場合、コア領域I内のピラー202bは、終端領域III内のピラー202aと同一の形状であってもよいし、そうでなくてもよい。例えば、コア領域I内の第1導電型のピラー及び第2導電型のピラー202bは、平行な細長い棒状であってもよく、一方、終端領域III内の第1導電型のピラー及び第2導電型のピラー202aは、コア領域Iを囲むリング状であってもよい。
【0029】
本実施形態では、エピタキシャル層201はn型エピタキシャル層であり、第1導電型のピラーはn型ピラーであり、第2導電型のピラーはp型ピラーであり、ソース領域208及びドレイン領域209は両方ともnドープ領域であり、第2導電型のウェル204はp型ボディ領域である。
【0030】
さらに、図3に示すように、遷移領域IIに近接しているコア領域Iの第2導電型のピラー202bのいくつかの上部は、遷移領域IIからコア領域Iへの方向に増加するドーパントイオン濃度プロファイルを呈する。
【0031】
一例として、図3を参照し、コア領域I内の第2導電型のピラー202bが、遷移領域IIからコア領域Iへの方向に2021から202nまでの番号が付けられ、2021から202iまでの番号が付けられている第2導電型のピラー202bの上部が、p型ドーパントイオンの増加する濃度プロファイルを示す一方、202iから202nまでの番号が付けられている第2導電型のピラー202bの上部は、同じ濃度でドーパントのイオンを含むことが想定され、ここでnは4より大きな自然数であり、i=4である。また、2021から202nまで番号が付けられているコア領域I内の第2導電型のピラー202bの上部におけるp型ドーパントのイオン濃度は、すべて、第2導電型のこれらのピラー202bの残りの任意の部分のp型ドーパントのイオン濃度及び遷移領域IIにおける第2導電型のピラー202cの任意の部分のp型ドーパントのイオン濃度の両方よりも高いことが想定される。
【0032】
本発明の他の実施形態では、iは2、又は3、又は≧5であってもよい。iの値は、コア領域Iのアバランシェ降伏位置から遷移領域Iの境界までの距離を決定し、デバイスの設計における要求事項に応じて決定されてもよい。
【0033】
任意選択で、コア領域I内の第2導電型のピラー202bの上部の最も高いドーパント濃度がXであり、コア領域Iと遷移領域IIとの間の界面に最も近傍にある第2導電型のピラー202bの上部のドーパントイオン濃度がYであると想定し、これら2つの値の差がZ=X-Yと定義する場合、遷移領域IIからコア領域Iへの方向に増加する、2021から202iまでの番号が付けられている第2導電型のピラー202bの上部におけるp型ドーパントのイオン濃度プロファイルは、任意選択で、25%×Zから50%×Zの範囲であってもよい。
【0034】
本実施形態では、コア領域I内の第2導電型のピラー202bの上部にわたる上記のドーパントイオン濃度プロファイルは、少なくとも以下の利点を提供できる。1)コア領域Iと遷移領域IIとの間の界面の周囲の水平電界分布の改善を結果としてもたらし、このことは、コア領域Iから遷移領域IIへの電荷空乏を抑える。2)コア領域I内の第2導電型のピラー202bの表面周囲のp型ドーパントの存在を増やし、こうして、第2導電型のウェル204に到達できる前に垂直電界を止め、コア領域Iの有効エピタキシャル厚を抑え、その耐電圧性を低下させる。3)遷移領域IIからコア領域Iへの方向に減少する第2導電型のピラー202bの耐電圧性プロファイルを作り、こうして、アバランシェ降伏位置を、より低い耐電圧性を呈するコア領域I内へとシフトさせる。
【0035】
さらに、本実施形態では、遷移領域IIとコア領域Iとの間の界面に位置するピラー202cの全体的な幅L1は、コア領域I内の各ピラー202bの幅L0よりも小さい。すなわち、ピラー202cの全体的な高さがHとして示される場合、その幅は高さH全体にわたって減少する。その結果、第2導電型のピラーは、コア領域Iから終端領域IIIまで変化する幅プロファイルを有する。このことは、結果として、遷移領域IIのピーク水平電界強度を低下させ、従って、遷移領域IIの耐電圧性を上げ、こうして、遷移領域II内で最初にアバランシェ降伏が発生することを回避する。換言すると、コア領域I内のピラー202bの配置は、アバランシェ降伏がコア領域Iで最初に発生することを確実にするために考慮され、これにより、デバイスのEAS性能の向上を結果としてもたらす。
【0036】
試験結果は、コア領域I内のピラー202bの幅に対してピラー202cの全体的な幅L1を3%~5%減少させることで、これはスーパージャンクションデバイスの第2導電型のピラーの許容可能製造プロセスのばらつき範囲内にあるが、コア領域I内でアバランシェ降伏が最初に発生する場所をうまく制御できるため、遷移領域の電界に悪影響を与えることなく、デバイスの性能を最適にできることを示している。
【0037】
遷移領域IIとコア領域Iとの間の界面でのピラー202cの全体的な幅L1は、終端領域III内の各ピラー202aの幅L2を超え得ることに留意されたい。
【0038】
また、上記の実施形態では、ピラー202cの全体的な幅が減少することを一例として説明してきたが、本発明は、その他の実施形態のように、そこまで限定されておらず、遷移領域IIとコア領域Iとの間の界面におけるピラー202cが上側の厚さにわたってのみ幅が減少し、コア領域I内のピラー202bの上部が遷移領域IIからコア領域Iへの方向に増加するドーパントイオン濃度プロファイルを呈することも可能なことに留意する。このような実施形態は、上記の実施形態と同様の効果を達成できる。
【0039】
例えば、図4を参照し、本発明の他の実施形態によるスーパージャンクションデバイスにおいて、遷移領域IIとコア領域Iとの間の界面のピラー202cの上部(ピラー202cの上部から深さH1まで延びている)は、減少した幅L1’を有し、一方、ピラー202cの残りは、コア領域I内のピラー202bの幅L0に等しい幅を有する。この設計は、遷移領域IIの表面周辺のピーク電界強度を低下できるため、表面周辺の遷移領域IIの降伏を防止し、遷移領域IIの耐電圧性を上げる。このようにして、アバランシェ降伏が最初に遷移領域IIで発生することが回避される。この実施形態では、コア領域Iのピラー202bの上部は、遷移領域IIからコア領域Iへの方向に増加するドーパントイオン濃度プロファイルを呈し、これにより、第2導電型(p型ボディ領域)のウェル204に到達できる前に垂直電界を停止する。さらに、これはまた、コア領域Iの耐電圧性を低下させ、コア領域Iで最初にアバランシェ降伏が発生することを確実にし、EAS性能が向上する結果となる。
【0040】
試験結果は、この場合、L0からL1’への7%~14%の減少が、これはスーパージャンクションデバイスの第2導電型のピラーの許容可能製造プロセスばらつき範囲内にあるが、コア領域I内でアバランシェ降伏が最初に発生する場所をうまく制御でき、表面周辺の遷移領域の降伏を防止することができるため、遷移領域内の電界に悪影響を与えることなく、デバイスの性能を最適にできることを示している。
【0041】
図4に示される実施形態では、エピタキシャル層201が複数のエピタキシャル層の積み重ねである場合、一例として、エピタキシャル層201の少なくとも2つの最上層(不図示)によって提供されるピラー202cの一部の幅が、コア領域Iのピラー202bに対し、7%~14%減少されていてもよい。
【0042】
遷移領域IIとコア領域Iとの間の界面に位置する第2導電型のピラーの全体的な幅が減少されている上記の実施形態と比較すると、この実施形態によれば、このピラーは上側厚さにわたってのみ幅が減少されている。このことは、ピラーの幅のばらつきを実現しやすくするのみならず、単一パルスアバランシェ動作(EAS)中にコア領域Iの第2導電型の1つのピラーの下部で最初にアバランシェ降伏が発生する可能性を高めることもでき、こうして、デバイスのEAS性能がさらに向上する。
【0043】
図3から図4に示すスーパージャンクションデバイスの構造に基づき、本発明は、スーパージャンクションデバイスを製造する方法も提供し、以下のステップを含んでいる。
コア領域と、遷移領域と、終端領域とを画定する基板を提供することと、
基板上に第1導電型のエピタキシャル層と、少なくともコア領域及び遷移領域内に第1導電型のエピタキシャル層に、交互に配置されている第1導電型の多数のピラーと第2導電型の多数のピラーとを形成することであって、遷移領域に近接しているコア領域内の第2導電型のピラーのいくつかの上部は、遷移領域からコア領域への方向に増加するドーパントイオン濃度プロファイルを呈し、遷移領域とコア領域との間の界面に位置する第2導電型のピラーの少なくとも部分的な厚さの幅は、コア領域内の第2導電型の各ピラーの幅よりも小さい。
【0044】
スーパージャンクションデバイスを製造する方法をよりよく理解するために、その特定の実施形態を、図5から図17を参照して以下において詳細に説明する。
【0045】
図5から図9を参照し、本発明の実施形態によれば、スーパージャンクションデバイスを製造する方法は、以下のステップを含んでいる。
S1a)図5に示されるように、コア領域Iと、遷移領域IIと、終端領域IIIとを画定し、基板上に下側エピタキシャル層を形成する基板(不図示)を設けることと、
S1b)第2導電型のイオンを下側エピタキシャル層の領域へと注入する第1イオン注入処理を実行することと、
S1c)ステップS1aからS1bを必要な回数繰り返すことであって、繰り返しの間、それを通して遷移及びコア領域において第1イオン注入処理が行われる開口部のサイズが、遷移領域とコア領域との間の界面に形成される第2導電型のピラーの所望の幅プロファイルによって、及びコア領域に形成される第2導電型のピラーの上部の所望のドーパントイオン濃度プロファイルによって必要に応じて調整される、繰り返しと、
S1d)上側エピタキシャル層を成長させること、及び第2導電型のイオンを、第1イオン注入処理が実行される領域のいくつかと併せて、上側エピタキシャル層の領域に注入する第2イオン注入処理を実行することと、
S1e)領域が垂直に合流して、交互に配置されている第2及び第1導電型のピラーを形成するように、第1イオン注入処理でイオン注入を受けた下側エピタキシャル層の領域のイオンが拡散するように、及び領域が延びて、第2の導電性タイプの各ピラーの上部が接触するように、第2イオン注入処理でイオン注入を受けた領域のイオンが拡散するようにアニーリング処理を実行することであって、第2導電型のウェルを形成する結果となる、アニーリング処理の実行と、
S1f)終端領域の上側エピタキシャル層への第3イオン注入を実行して第2導電型のイオンを遷移領域に近接している終端領域の上側エピタキシャル層の部分へ注入することにより、その下部が終端領域内の第2導電型の少なくとも1つのピラーの上部に接触する主接合部を形成することと、
S1g)少なくとも終端領域で第1導電型のエピタキシャル層の表面上にフィールド酸化膜層を形成することであって、これは主接合部の上面の一部を露出させる、フィールド酸化膜層の形成と、
S1h)コア、遷移、及び終端領域にゲート酸化膜層とポリシリコンゲートとを形成することと、
S1i)ソース領域が個々のポリシリコンゲートの反対側に位置するように、コア領域及び遷移領域の第2導電型のウェルにソース領域を形成することと、
S1j)第1導電型のエピタキシャル層の裏側に、ポリシリコンゲートの反対側を向くようにドレイン領域を形成すること。
【0046】
図5を参照し、ステップS1aで設けられるコア領域Iと、遷移領域IIと、終端領域IIIとを画定する基板(不図示)は、例えば、単結晶シリコン基板であり、次に、最下部のエピタキシャル層300が、化学蒸着又は原子層堆積法等の堆積技術を使用して基板上に形成される。最下部のエピタキシャル層300は、第1導電型のイオン(例えば、ゲルマニウム及び/又はヒ素イオン等のn型イオン)がドープされている半導体層である。最下部のエピタキシャル層300は、例えば、n型単結晶シリコン層である。次に、最下部のエピタキシャル層300上にフォトレジストがコーティングされ、露光及び現像を含む一連のフォトリソグラフィステップが行われて、第1パターン形成フォトレジスト層40が形成され、これは、コア領域I内の幅L0を有する開口部と、遷移領域IIとコア領域Iとの間の界面の幅L1を有する開口部と、終端領域III内の幅L2を有する開口部とを含む第2導電型のピラーを形成するためのイオン注入用の開口部を有する。L1はL0未満である。例えば、L1はL0よりも3%~5%小さくてもよい。任意選択で、L2はL1未満であってもよく、これは、ひいてはL0未満となってもよい(L2<L1<L0)。
【0047】
図5を引き続き参照し、ステップS1bにおいて、第1パターン形成フォトレジスト層40がマスクとして機能することで、第2導電型のイオンが正常に最下部のエピタキシャル層300の上部に注入され、結果として、同じ深さで第2導電型のイオンの注入されている領域310が形成される。第2導電型のイオンは、例えば、ホウ素、フッ化ホウ素、リン、又はそれらの組み合わせであってもよい。次に、第1パターン形成フォトレジスト層40が剥ぎ取られる。
【0048】
ステップS1cにおいて、ステップS1aからS1bは、製造されているデバイスにより必要に応じて何度も繰り返される。本実施形態では、ステップは4回繰り返される。具体的には、図6を参照し、領域310を形成するために使用されたものと同じフォトマスクを使用して、新たに成長した下側エピタキシャル層上に第1パターン形成フォトレジスト層40が形成され、新しい第1パターン形成フォトレジスト層40がマスクとして機能することで、第2導電型のイオンが正常に新しい下側エピタキシャル層の上部に注入され、結果として、同じ深さで第2導電型のイオンが注入されているさらなる領域310が形成され、続いて第1パターン形成フォトレジスト層40が除去される。この処理が繰り返されて、第1導電型の下側エピタキシャル層301、302、303が最下部のエピタキシャル層300に連続して積み重ねられる。下側エピタキシャル層301、302、303は、同じ厚さで、最下部のエピタキシャル層300よりも薄くてもよい。下側エピタキシャル層301、302、303は、最下部のエピタキシャル層300と同じ濃度の第1導電型のイオンがドープされており、第2導電型のイオンが注入されている領域311は下側エピタキシャル層301に、第2導電型のイオンが注入されている各領域310と整列して形成され、第2導電型のイオンが注入されている領域312は下側エピタキシャル層302に、第2導電型のイオンが注入されている各領域311と整列して形成され、第2導電型のイオンが注入されている領域313は下側エピタキシャル層303に、第2導電型のイオンが注入されている各領域312と整列して形成されている。続いて、図7を参照し、下側エピタキシャル層303上に他の下側エピタキシャル層304が形成され、第2導電型のピラーを形成するためのイオン注入用の開口部を有する新しいフォトマスクを使用して、第2パターン形成フォトレジスト層50が下側エピタキシャル層304上に形成され、遷移領域IIとコア領域Iとの間の界面及び終端領域IIIにおける第1パターン形成フォトレジスト層40にあるものと同じ開口部を含む。しかしながら、遷移領域Iから離れる方向に増加するドーパントイオン濃度プロファイルを、遷移領域IIに近接しているコア領域I内の第2導電型の第1から第iのピラーの上部にわたって作成する(すなわち、第2導電型のi番目のピラーの上部が最も高いドーパントイオン濃度を有する)ため、及び第2導電型の他の全てのピラーの上部にわたって、第2導電型のi番目のピラーの上部と同じドーパントイオン濃度を維持するために、第2パターン形成フォトレジスト層50における開口部は、遷移領域IIからコア領域Iへの方向におけるその幅を所定の値に達するまで徐々に増加させ、その後、幅を不変に保つ。図7に示す例では、i=4であるため、L01<L02<L03<L04が満たされ、第2導電型の(i+1)番目からn番目のピラーに対応する第2パターン形成フォトレジスト層50の開口部の幅は全てL04に等しい。このようにして、第2導電型ピラーを形成するためのイオン注入用の異なるサイズの開口部は、同じフォトリソグラフィ処理で同時に行うことができる。その後、第2パターン形成フォトレジスト層50がマスクとして機能することで、第2導電型のイオンが下側エピタキシャル層304に注入され、結果として、下側エピタキシャル層304に、第2導電型のイオンが注入されている各領域313と整列して、第2導電型のイオンが注入されている領域314が形成される。
【0049】
図8を参照し、ステップS1dにおいて、化学蒸着又は原子層堆積法等の堆積技術を使用して、下側エピタキシャル層304に上側エピタキシャル層305が形成される。上側エピタキシャル層305は、第1導電型のイオン(例えば、ゲルマニウム及び/又はヒ素イオン等のn型イオン)がドープされ、下側エピタキシャル層304の厚さよりも薄い厚さを有する半導体層である。上側エピタキシャル層305のドーパントイオン濃度は、下側エピタキシャル層304のドーパントイオン濃度と同じであってもよい。次に、上側エピタキシャル層305上にフォトレジストがコーティングされ、露光及び現像を含む一連のフォトリソグラフィステップが行われて、コア領域I及び遷移領域IIに形成される第2導電型のウェルに対応する上側エピタキシャル層305の上面部を露出する開口部を有する、第3パターン形成フォトレジスト層60が形成され、上側エピタキシャル層305の残りの部分を覆う。その後、第3パターン形成フォトレジスト層60がマスクとして機能することで、第2導電型のイオンが正常に上側エピタキシャル層305の上部に注入され、結果として、同じ深さで第2導電型のイオンが注入される複数の領域315が形成される。領域315のドーパントイオン濃度は、領域314のドーパントイオン濃度よりも低くてもよい。その後、第3パターン形成フォトレジスト層60が除去される。
【0050】
図8及び図9を参照し、ステップS1eにおいて、領域315の形成から結果として生じる構造全体のアニーリングを行うために急速なアニーリング技術が利用されて、領域315及び310から314内の第2導電型の注入イオンが垂直及び水平の両方に拡散される。領域310から314における第2導電型の注入イオンの垂直拡散の結果として、領域314は下向きに延び、領域313は上向きに延びて、各下向きに延びる領域314に結合し、領域313は下向きに延び、領域312は上向きに延びて、各下向きに延びる領域313に結合し、領域312は下向きに延び、領域311は上向きに延びて、各下向きに延びる領域312に結合し、領域311は下向きに延び、領域310は上向きに延びて、各下向きに延びる領域311に結合する。その結果、第2導電型のピラー318bとコア領域I内の各ピラー318bの上部にある第2導電型のウェル315’、遷移領域IIとコア領域Iとの間の界面における第2導電型のピラー318aとピラー318aの上部にある第2導電型のウェル315’、及び終端領域III内の第2導電型のピラー317が形成される。最下部のエピタキシャル層300、下側エピタキシャル層301から304、及び上側エピタキシャル層305は、共に積み重ねられて、第1導電型の前述のエピタキシャル層を作り上げる。第2導電型の隣接するピラー間に挟まれている第1導電型のエピタキシャル層の部分は、第1導電型の前述のピラーとして機能する。このようにして、第1及び第2導電型のピラーは、第1導電型のエピタキシャル層に交互に配置されている。さらに、遷移領域IIに近接しているコア領域I内の第2導電型のピラー308bのいくつかの上部は、遷移領域IIからコア領域Iへの方向に増加するドーパントイオン濃度プロファイルを呈する。遷移領域IIとコア領域Iとの間の界面における第2導電型のピラー308aは、コア領域I内の第2導電型の各ピラー308bの幅よりも小さい全体的な幅を有する。
【0051】
図9を参照し、ステップS1fにおいて、フォトレジストは上側エピタキシャル層305上にコーティングされ、露光及び現像を含む一連のフォトリソグラフィステップが行われて、形成される主接合部に対応する上側エピタキシャル層305の上面部分を露出する開口部を有し、上側エピタキシャル層305の残りの部分を覆う、第4パターン形成フォトレジスト層(不図示)が形成される。続いて、第4パターン形成フォトレジスト層をマスクとして、第3イオン注入処理が行われ、第2導電型のイオンを上側エピタキシャル層305の上部に正常に注入し、続いて第4パターン形成フォトレジスト層のアニーリングを行い、これにより、主接合部316が形成される結果となり、その底部は終端領域IIIの第2導電型の少なくとも1つのピラー317の上部と接触している。
【0052】
図3及び図9を組み合わせて参照し、ステップS1gにおいて、局所的なフィールド酸化膜が、酸化シリコンの堆積、フォトリソグラフィ、及びエッチングによって形成される。終端領域III内の主接合部316の上面は、全体的又は部分的に局所的なフィールド酸化膜から露出している。ステップS1hでは、ゲート形成処理が行われ、ゲート酸化物層及びポリシリコンゲート層が積み重ねとして連続して形成され、その後、積み重ね上でフォトリソグラフィ及びエッチング処理を行うことによってゲートが形成される。ステップS1iにおいて、ソース領域は、コア領域I及び遷移領域II内の第2導電型のウェルに形成されて、ソース領域が個々のポリシリコンゲートの反対側に位置することとなる。ステップS1jにおいて、ドレイン領域は、ポリシリコンゲートから反対を向くように第1導電型のエピタキシャル層の裏側に形成される。ステップS1gからステップS1jは、従来技術を使用して達成できるため、その詳細な説明は、本明細書では省略されている。
【0053】
この実施形態の方法では、第1及び第2導電型のピラー及び第2導電型のウェルは、エピタキシャル層堆積及びイオン注入の繰り返しサイクルによって形成される。また、従来技術と比較して、遷移領域に第2導電型のピラーを形成するためのイオン注入用開口部のサイズを微調整し、コア領域I内に第2導電型のピラーを形成するためのイオン注入用上側エピタキシャル層に最も近い下側エピタキシャル層の開口部のサイズが若干拡大されているため、遷移領域IIからコア領域Iへの方向に増加するドーパントイオン濃度プロファイルが、遷移領域IIに近接しているコア領域I内の第2導電型のピラーのいくつかの上部にわたって作成され、遷移領域II内の第2導電型のピラーが、コア領域I内の第2導電型のピラーよりも少なくとも部分的な厚さにわたって狭くなっている。従って、この方法は低コストで実施が容易な単純な処理を含む。
【0054】
上記の実施形態では、主接合部及び第2導電型のウェルが、2つの別個のイオン注入処理で形成されるものとして説明されてきたが、本発明の他の実施形態では、図8に示す第3パターン形成フォトレジスト層60が、形成される主接合部に対応する部分が露出される他の開口部を有することで、主接合部及び第2導電型のウェルが単一のイオン注入処理で形成されることを可能にして、さらに処理を単純化することもできることに留意されたい。本発明のさらなる実施形態では、第2導電型のピラーの上部にわたって遷移領域IIからコア領域Iへの方向に増加するドーパントイオン濃度プロファイルは、複数のフォトリソグラフィ処理を使用して開口部を連続して形成し、コア領域内に第2導電型のピラーを形成するために、異なるドーズで開口部からイオンを注入することによって代替的に形成されてもよい。
【0055】
本発明の他の実施形態では、ステップS1cにおけるステップS1aからステップS1bの繰り返しの中で、遷移領域IIとコア領域Iとの間の界面のピラーに関して、イオン注入のためのより小さなサイズの開口部を少なくとも最後の2回の繰り返しで形成してもよい。このようにして、遷移領域IIとコア領域Iとの間の界面に位置する第2導電型の結果的なピラーは、コア領域内の第2導電型のピラーよりもその厚さの少なくとも一部にわたって幅が狭くなる。このような実施形態の特定の例では、図10から図14を参照し、ステップS1cは以下のサブステップを含んでいる。
【0056】
まず、図10を参照し、同じフォトマスクを使用してフォトリソグラフィ処理を行い、同一のパターン形成フォトレジスト層70を連続して形成し、次に、対応するイオン注入処理を行い、最下部のエピタキシャル層300ならびに下側エピタキシャル層301及び302にそれぞれ第2導電型のイオンが注入される領域310、311、312を形成する。ここで、パターン形成フォトレジスト層70は、コア領域I内及び遷移領域IIとコア領域Iとの間の界面に同じサイズの開口部を有し、開口部は全てL0の開口幅を有し、終端領域の開口部はそれぞれL2の開口幅を有する。つまり、パターン形成フォトレジスト層70は、コア領域I及び終端領域IIIにおいて上記の第1パターン形成フォトレジスト層40と同じ方法でパターン形成されるが、遷移領域IIとコア領域Iとの間の界面にあるパターン形成フォトレジスト層70の開口部は、第1パターン形成フォトレジスト層40の開口幅よりも広い開口幅を有する。
【0057】
次に、図11を参照し、下側エピタキシャル層303と第1パターン形成フォトレジスト層40が下側エピタキシャル層302に連続して形成され、イオン注入処理を使用して、第2導電型のイオンが注入される領域313が下側エピタキシャル層303に形成され、続いて第1パターン形成フォトレジスト層40が除去される。このステップの詳細に関しては上記の説明を参照でき、簡潔さのために、そのさらなる説明はここでは省略されている。
【0058】
その後、図12を参照し、下側エピタキシャル層303に下側エピタキシャル層304及び第2パターン形成フォトレジスト層50が連続して形成される。コア領域I内の第2パターン形成フォトレジスト層50の開口部の幅は、遷移領域IIからコア領域Iへの方向で定められるように、L01<L02<L03<L04=L05=…=L0nを満たす。L05からL0n(不図示)は、コア領域I内のL04の左側にある第2パターン形成フォトレジスト層50の開口部の幅を表す。第2導電型のイオンが注入される領域314が、イオン注入処理を使用して下側エピタキシャル層304に形成された後、第2パターン形成フォトレジスト層50が除去される。このステップの詳細に関しては上記の説明を参照でき、簡潔さのために、そのさらなる説明はここでは省略されている。
【0059】
以降のステップは上記と同じであるため、そのさらなる詳細な説明は省略されている。上側エピタキシャル層305の形成、イオン注入、及びアニーリングに続いて、結果的な第1導電型のピラー、第2導電型のピラー、及び第2導電型のウェルが図13及び図14に示されている。遷移領域IIに近接するコア領域Iの第2導電型のいくつかのピラーの上部は、遷移領域IIからコア領域Iへの方向に増加するドーパントイオン濃度プロファイルを示す。さらに、遷移領域IIとコア領域Iとの間の界面における第2導電型のピラーは、コア領域I内の第2導電型のピラーよりも少なくとも上側の厚さにわたって幅が狭くなる。
【0060】
本発明によれば、遷移領域IIに近接しているコア領域I内の第2導電型のピラーのいくつかの上部にわたって、遷移領域IIからコア領域Iへの方向に増加するドーパントイオン濃度プロファイルを有し、遷移領域IIとコア領域Iとの間の界面に、コア領域I内の第2導電型のピラーと比較して、全体的な幅が小さい第2導電型のピラーを有する交互に配置された第1及び第2の導電型のピラーは、エッチング、トレンチの充填、及び補足的なイオン注入によるトレンチの形成を含む代替的な一連の処理を使用して代替的に形成されてもよいことに留意されたい。
【0061】
具体的には、本発明の実施形態によれば、以下に詳述されるステップを含む、スーパージャンクションデバイスを製造する他の方法が提供されている。
【0062】
S2aにおいて、第1導電型の下側エピタキシャル層30が、コア領域Iと、遷移領域IIと、終端領域IIIとを画定する基板(不図示)に成長する。図15に示すように、第1導電型の下側エピタキシャル層30は、エピタキシャル層堆積処理を複数回繰り返すことによって形成されてもよく、最下部のエピタキシャル層300と、図7に示すようにその上に積み重ねられている下側エピタキシャル層301から304との合計の厚さに等しい厚さを有してもよい。
【0063】
S2bにおいて、下側エピタキシャル層30の部分的な厚さのエッチングを行うことによって、いくつかの深いトレンチが形成される。図15に示すように、深いトレンチは、それぞれ幅L0を有するコア領域Iのトレンチ、幅L1を有する遷移領域IIとコア領域Iとの間の界面に位置するトレンチ、及びL1未満であってもよい幅をそれぞれ有する終端領域IIIのトレンチを含む。
【0064】
S2cでは、第2導電型のエピタキシャル層が深いトレンチに充填され、こうして、下側エピタキシャル層30に第2及び第1導電型の交互に配置されたピラーが形成される。具体的には、図15を参照し、エピタキシャル層は、結果的なエピタキシャル層が第2導電型となるように、エピタキシャル層堆積処理を使用して深いトレンチ内に充填され、堆積されつつ、第2導電型のイオンでその場でドープされてもよい。充填が完了した後、化学機械研磨処理を採用して、下側エピタキシャル層30の上面の上のエピタキシャル層の望ましくない部分を除去してもよく、こうして、第2導電型のピラー318bをコア領域Iの個々の深いトレンチ内に、第2導電型のピラー318aを遷移領域IIとコア領域Iとの間の界面に位置する深いトレンチ内に、第2導電型のピラー317を終端領域IIIの個々の深いトレンチ内に形成する。第2導電型の隣接するピラー間の下側エピタキシャル層30の部分は、第1導電型のピラーを提供する。
【0065】
S2dにおいて、コア領域I内の第2導電型のピラーの上部の所望のドーパントイオン濃度プロファイルによって必要であれば、第2導電型のイオンは、異なるドーズで遷移領域IIに近接しているコア領域I内の第2導電型のピラーのサブセットの上部に注入され、こうして、遷移領域IIに近接しているコア領域I内の第2導電型のピラーのサブセットの上部にわたって遷移領域IIからコア領域Iへの方向に増加するドーパントイオン濃度プロファイルを作成し、コア領域I内の第2導電型のその他の全てのピラーの上部は、最も高いドーパントイオン濃度を有するサブセットの1つと同じドーパントイオン濃度を維持している。例として、図16を参照し、パターン形成フォトレジスト層80は、終端領域III及び遷移領域IIの両方を覆い、遷移領域IIからコア領域Iへの方向にサイズが徐々に増加する開口部を有する、下側エピタキシャル層30上に形成されてもよい。図16に示されるように、開口部の幅はL01<L02<L03<L04=L05=…=L0nを満たしてもよく、ここで、L05からL0nは、コア領域IのL04の左側のパターン形成フォトレジスト層80の開口部(不図示)の幅を表している。このようにして、1つのフォトリソグラフィ処理及び補足的なイオン注入の結果として、遷移領域IIに近接しているコア領域I内の第2導電型のいくつかのピラーの上部にわたって、遷移領域IIからコア領域Iへの方向に増加するドーパントイオン濃度プロファイルが得られる。
【0066】
S2eにおいて、上側エピタキシャル層305が下側エピタキシャル層30上に成長し、この2つが共に第1導電型の前述のエピタキシャル層を作り上げる。このことに関し、図17が参照できる。
【0067】
S2fにおいて、第2導電型の各ピラー308a、308bの上部に接合されている第2導電型のウェル315’及び終端領域IIIで第2導電型の複数のピラー317に接合されている主接合部316が、上側エピタキシャル層305に浅いトレンチを形成し、その後、第2導電型のエピタキシャル層でそれらを満たすことにより、又は上側エピタキシャル層305に第2導電型のイオンを注入することにより、上側エピタキシャル層305に形成される。
【0068】
本実施形態では、局所フィールド酸化膜、ゲート酸化膜層、ポリシリコンゲート、ソース領域、及びドレイン領域が、ステップS2fの完了に続いて形成されてもよく、こうしてスーパージャンクションデバイスが完成する。この点に関する詳細については上記の説明が参照でき、簡潔さのために、そのさらなる説明はここでは省略されている。
【0069】
本実施形態の方法によれば、第2導電型のピラーは第1導電型の十分な厚みのある下側エピタキシャル層をエッチングしてその中にトレンチを形成し、その後、トレンチを第2導電型のエピタキシャル層で満たし、複数のイオン注入処理の必要性を排除してさらに単純な処理を必然的に伴うことにより、簡単に形成することができる。
【0070】
上記の実施形態では、ステップS2dにて、コア領域内で徐々に増加していくサイズの開口部を形成することにより、増加するドーパントイオン濃度プロファイルが、コア領域I内の第2導電型のいくつかのピラーの上部にわたって作成されることが説明されたが、本発明はそれに限定されず、本発明の他の実施形態においてのように、他の任意の適切な処理を使用して、このような増加するドーパントイオン濃度プロファイルが、コア領域I内の第2導電型のピラーの上部にわたって作成されることも可能であることに留意されたい。例えば、上部の下のコア領域I内の第2導電型のピラーの部分は、ステップS2aからステップS2cで形成されてもよく、その後、ステップS1cにおいて、エピタキシー及びイオン注入によって、これらの上部のいくつかが遷移領域からコア領域への方向に増加するドーパントイオン濃度プロファイルを呈するような方法で、上部が形成されてもよい。他の例として、第2導電型のピラー全体がステップS2aからステップS2cで形成されてもよく、その後、エッチングバック処理が形成されて、コア領域内の第2導電型のピラー及び第1導電型の周囲のピラーの上部を除去してもよく、異なるサイズの開口部を残す。その後、第2導電型のピラーの新しい上部を、個々の開口部でエピタキシャル成長させてもよい。第2導電型のピラーの新しい上部は、遷移領域からコア領域への方向に徐々に増加する幅を有してもよく、このことは、コア領域I内の第2導電型のピラーのいくつかの上部にわたって同じ方向に増加するドーパントイオン濃度プロファイルを作成できる。
【0071】
上記の説明は、本発明のいくつかの好ましい実施形態の説明に過ぎず、いかなる意味においてもその範囲を限定する意図はない。当業者によって上記の教示に基づいてなされる、いくつかの及び全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲に定義されている範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】