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特表2023-505964反応エンタルピーが高いポリウレタンの製造方法
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  • 特表-反応エンタルピーが高いポリウレタンの製造方法 図1
  • 特表-反応エンタルピーが高いポリウレタンの製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(54)【発明の名称】反応エンタルピーが高いポリウレタンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/10 20060101AFI20230207BHJP
   C08G 18/08 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
C08G18/10
C08G18/08 095
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022531057
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(85)【翻訳文提出日】2022-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2020085473
(87)【国際公開番号】W WO2021122279
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】19216835.9
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520204744
【氏名又は名称】コベストロ・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・アンド・コー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】マットナー,マサイアス
(72)【発明者】
【氏名】ケーニッヒ,トマス
(72)【発明者】
【氏名】ガルスカ,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】シューベルト,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】アクテン,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】ベリングハウゼン,ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ホーベン,クラウディア
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA02
4J034CA04
4J034CC03
4J034CC26
4J034CC45
4J034CC52
4J034CC61
4J034CC62
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC03
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA44
4J034PA03
4J034QB08
4J034QD04
(57)【要約】
本発明は、1つ以上の脂肪族、脂環式および/または芳香脂肪族ジオールを1つ以上の脂肪族、脂環式および/または芳香脂肪族ジイソシアネートと反応させることによる熱可塑性ポリウレタンの連続製造のための多段階プロセスであって、その総反応エンタルピーは、ジオール対ジイソシアネートのモル比が1.0:1.0である場合、全てのプロセス段階にわたって、≦-500kJ/kgである、多段階プロセスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分:
A)1つ以上のジオール、
B)脂肪族、脂環式および/または芳香脂肪族ジイソシアネートを含む1つ以上のジイソシアネート、
C)任意に1つ以上の触媒、および
D)任意にさらなる補助剤または添加剤
を反応させることによって熱可塑性ポリウレタンを製造するための連続的な無溶媒多段階プロセスであって、
ここで、成分Aの少なくとも1つのジオールは、62g/mol~250g/molの分子量を有し、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーは、前記多段階プロセスの少なくとも1つのプロセス段階において、成分Aの総量または第1の部分および成分Bの第1の部分から形成され、前記多段階プロセスの全てのプロセス段階にわたる成分Aの全ての部分の合計または成分Bの全ての部分の合計は、全体で、使用される成分Aまたは成分Bの総量であり、成分Aおよび成分Bは、それらが1.0:1.0のモル比で転化される場合、全てのプロセス段階にわたる総反応エンタルピーが、DIN 51007:1994-06によって決定され、-900kJ/kg~-500kJ/kgであるように選択されることを特徴とする、前記連続的な無溶媒多段階プロセス。
【請求項2】
少なくとも1つのプロセス段階において、形成される総反応エンタルピーの一部、好ましくは総反応エンタルピーの25%~98%が取り除かれることを特徴とする、請求項1に記載の連続的な無溶媒多段階プロセス。
【請求項3】
全てのプロセス段階にわたる総反応エンタルピーが、-900kJ/kg~-550kJ/kgの範囲内、好ましくは-900kJ/kg~-580kJ/kgの範囲内、より好ましくは-900kJ/kg~-600kJ/kgの範囲内、さらにより好ましくは-900kJ/kg~-650kJ/kgの範囲内にあることを特徴とする、請求項1~2のいずれか一項に記載の連続的な無溶媒多段階プロセス。
【請求項4】
成分A対成分Bの総モル比が1.0:0.95~0.95:1.0であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の連続的な無溶媒多段階プロセス。
【請求項5】
前記少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーが、少なくとも1つのプロセス段階において、成分Aの総量および成分Bの第1の部分から形成され、好ましくは、成分Bの第1の部分が、それぞれの場合において、プロセスで使用される成分Bの総モル量に対して、40%~95%、好ましくは60%~95%、より好ましくは75%~93%であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の連続的な無溶媒多段階プロセス。
【請求項6】
前記少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーが、少なくとも1つのプロセス段階において、成分Aの第1の部分および成分Bの第1の部分から形成され、ここで、使用される成分Bの前記部分対成分Aの前記部分のモル比が、0.65:1.0~0.98:1.0、好ましくは0.70:1.0~0.97:1.0、より好ましくは0.75:1.0~0.96:1.0、最も好ましくは0.75:1.0~0.95:1.0であり、使用される第1の部分Aは、プロセスで使用される成分Aの総モル量に対して、少なくとも50%、好ましくは70%、より好ましくは90%であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の連続的な無溶媒多段階プロセス。
【請求項7】
前記少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーの形成に続く少なくとも1つのさらなるプロセス段階において、前記少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーを成分Bのさらなる部分と反応させて前記熱可塑性ポリウレタンを与え、好ましくは、ここで、成分Bの前記さらなる部分が、それぞれの場合において、プロセスで使用される成分Bの総モル量に対して、5%~60%、好ましくは5%~40%、より好ましくは7%~25%であり、ただし、前記多段階プロセスの全てのプロセス段階に亘って使用される成分Bの全ての部分の合計は、全体で、使用される成分Bの総モル量である、請求項1~6のいずれか一項に記載の連続的な無溶媒多段階プロセス。
【請求項8】
前記少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーが、少なくとも1つのプロセス段階において、成分Aの第1の部分および成分Bの第1の部分から形成され、前記ヒドロキシ末端プレポリマーの形成に続く少なくとも1つのさらなるプロセス段階において、前記少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーを少なくとも1つのNCO末端プレポリマーと反応させて前記熱可塑性ポリウレタンを与え、ここで、前記少なくとも1つのNCO末端プレポリマーは、少なくとも1つのさらなるプロセス段階において、成分Aの第2の部分および成分Bの第2の部分から形成されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の連続的な無溶媒多段階プロセス。
【請求項9】
1つ以上の脂肪族または脂環式ジイソシアネートが成分Bとして使用され、好ましくは1,4-ジイソシアナトブタン(BDI)、1,5-ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-または2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,8-ジイソシアナトオクタン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,3-および1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4-ジイソシアナト-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-2-メチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-4-メチルシクロヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート;IPDI)および/またはこれらのうち少なくとも2つの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の連続的な無溶媒多段階プロセス。
【請求項10】
1つ以上の脂肪族ジイソシアネートが成分Bとして使用され、好ましくは1,4-ジイソシアナトブタン(BDI)、1,5-ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)および2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタンおよび/またはこれらのうち少なくとも2つの混合物であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の連続的な無溶媒多段階プロセス。
【請求項11】
成分Aの前記ジオールの90mol%~100mol%、好ましくは前記ジオールの95mol%~100mol%、特に好ましくは前記ジオールの98mol%~100mol%、さらにより好ましくは前記ジオールの99mol%~100mol%が、62g/mol~250g/molの分子量を有し、最も好ましくは、成分Aの前記1つ以上のジオールがすべて62g/mol~250g/molの分子量を有することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の連続的な無溶媒多段階プロセス。
【請求項12】
1つ以上の脂肪族、脂環式および/または芳香脂肪族ジオールが成分Aとして使用され、好ましくは1つ以上の脂肪族または脂環式ジオールであり、より好ましくは62g/mol~250g/molの分子量を有する1つ以上の脂肪族ジオールであり、さらにより好ましくはエタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ヘプタン-1,7-ジオール、オクタン-1,8-ジオール、ノナン-1,9-ジオール、シクロブタン-1,3-ジオール、シクロペンタン-1,3-ジオール、シクロヘキサン-1,2-、-1,3-および-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、および/またはこれらのうち少なくとも2つの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の連続的な無溶媒多段階プロセス。
【請求項13】
前記少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーが、1,4-ジイソシアナトブタンとエタン-1,2-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとペンタン-1,5-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとヘキサン-1,6-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとヘプタン-1,7-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとオクタン-1,8-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとノナン-1,9-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとデカン-1,10-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとシクロブタン-1,3-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとシクロペンタン-1,3-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとシクロヘキサン-1,2-、-1,3-および-1,4-ジオールおよび/または少なくとも2つの異性体の混合物、1,4-ジイソシアナトブタンとシクロヘキサン-1,4-ジメタノール、1,5-ジイソシアナトペンタンとエタン-1,2-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとペンタン-1,5-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとヘキサン-1,6-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとヘプタン-1,7-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとオクタン-1,8-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとシクロブタン-1,3-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとシクロペンタン-1,3-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとシクロヘキサン-1,2-、-1,3-および-1,4-ジオールおよび/または少なくとも2つの異性体の混合物、1,5-ジイソシアナトペンタンとシクロヘキサン-1,4-ジメタノール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとエタン-1,2-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとペンタン-1,5-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとヘキサン-1,6-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとヘプタン-1,7-ジオール、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサンとエタン-1,2-ジオールおよび1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオールよりなる群から選択される成分Aと成分Bの少なくとも1つの組み合わせの重付加により形成されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の連続的な無溶媒多段階プロセス。
【請求項14】
全てのプロセス段階にわたる平均滞留時間が10秒~110分であることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の連続的な無溶媒多段階プロセス。
【請求項15】
少なくとも0.5kg/h、好ましくは2kg/h、より好ましくは少なくとも100kg/h、最も好ましくは少なくとも1000kg/hのポリウレタンポリマーの全処理量が達成されることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の連続的な無溶媒多段階プロセス。
【請求項16】
前記プロセスが、以下の工程:
i)成分Aの総量または第1の部分を、成分Bの第1の部分および任意に成分Cおよび/またはDと連続的に混合する工程、
ii)少なくとも1つの第1のプロセス段階において工程i)からの混合物を連続的に反応させて、前記少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーを形成させる工程であって、前記少なくとも1つの第1のプロセス段階における反応混合物の温度が、前記少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーの分解温度よりも低く保たれる工程、
iii)工程ii)で形成された前記少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーを第2のプロセス段階に連続的に移送する工程であって、前記第2のプロセス段階が、少なくとも1つの物質移送導管によって、前記第1のプロセス段階に接続される工程、
iv)任意に、少なくとも1つのNCO末端プレポリマーを調製するために、第3のプロセス段階において成分AおよびBの残りの部分を連続的に混合し、反応させる工程であって、前記第3のプロセス段階における反応混合物の温度が、前記少なくとも1つのNCO末端プレポリマーの分解温度よりも低く保たれ、前記第3のプロセス段階が、少なくとも1つの物質移送導管を介して、第1および/または第2のプロセス段階に接続される工程、
v)前記少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーを、成分Bの残りの部分と、任意に成分Aの残りの部分および/または工程iv)からの前記少なくとも1つのNCO末端プレポリマーと連続的に混合する工程、
vi)工程v)からの混合物を連続的に反応させて前記熱可塑性ポリウレタンを得る工程であって、プロセス段階における反応混合物の温度が、前記熱可塑性ポリウレタンの分解温度よりも低く保たれる工程、
vii)前記熱可塑性ポリウレタンを連続的に冷却し、ペレット化する工程
を含むことを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の連続的な無溶媒多段階プロセス。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の連続的な無溶媒多段階プロセスから得られる熱可塑性ポリウレタン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ以上のジオールと、脂肪族、脂環式および/または芳香脂肪族ジイソシアネートを含む1つ以上のジイソシアネートとの反応による熱可塑性ポリウレタンの連続的な無溶媒製造のための多段階プロセスであって、イソシアネート成分およびジオール成分は、それらを1.0:1.0のモル比で反応させる場合、全てのプロセス段階にわたる総反応エンタルピーが、DIN 51007:1994-06に従って決定され、-900kJ/kg~-500kJ/kgであるように選択される、多段階プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
それらの優れた物理的特性のために、ポリウレタン、特に熱可塑性ポリウレタンは、長年、多種多様な最終用途に使用されてきた。ポリウレタンの幅広い有用性にもかかわらず、利用可能な適切な物理的特性を有するポリウレタンがないか、またはこれらは困難を伴ってのみ提供することができるといった理由で、他のプラスチック、例えばポリアミドプラスチックが使用される適用分野がある。
【0003】
短鎖脂肪族ジオールおよび脂肪族ポリイソシアネートから形成されるポリウレタンは、ポリアミドプラスチックに匹敵するかまたはそれより良好な特性を有する。しかしながら、今日まで重大な化学工学的問題を解決することができなかったため、工業的規模でそれらを満足に製造することはまだ不可能であった。高密度の反応性基のために、短鎖脂肪族ジオールと脂肪族ポリイソシアネートとの重付加は、高い発熱性/反応エンタルピーを有しており、これは、熱の不十分な除去の場合に、モノマーの再形成およびポリウレタンの分解(灰化)までの損傷につながる。
【0004】
US2284637は、ジイソシアネートまたはジチオイソシアネートおよびジオールまたはチオールから線状ポリウレタンを調製するためのバッチプロセスを開示している。この目的のために、共反応物は、溶媒の存在下、および溶媒を含まない系で転化される。
【0005】
US3038884は、ポリマー鎖中に環状の基を有さないポリウレタンと比較して、より高い融点および改善された熱安定性を有する、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオールから誘導されるポリウレタンを開示する。この目的のために、共反応物は、溶媒の存在下、および溶媒を含まない回分式の系で転化される。
【0006】
O.Bayer(Angew.Chem.1947,59,257-288)は、回分式のプロセスでの脂肪族ジイソシアネートおよび脂肪族ジオールからのポリウレタン、特にヘキサメチレンジイソシアネートおよびブタン-1,4-ジオールから形成されるポリウレタン(Perlon U、Igamid U)の調製を開示しており、これは、ジクロロベンゼン中での沈殿重合から細かい砂のような粉末として得られる。重付加反応は、重大な発熱と関連していること、そして、溶媒を含まない反応の場合では、溶融物の温度を約200℃に上昇させる必要があることが指摘されている。
【0007】
DE728981およびUS2511544は、溶媒を含有するプロセスまたは溶媒を含まないプロセスにおける、ポリウレタンまたはポリウレアを得るための、ジイソシアネートとジオールおよび/またはジアミンとの反応のための回分式プロセスを開示している。
【0008】
上述の回分式プロセスの欠点は、パイロットプラントスケールから困難を伴ってのみスケールアップすることができることである。特に、≦-500kJ/kgの反応エンタルピーを伴う反応の発熱性が高い系の場合、断熱的な温度上昇は問題であり、大規模な生成物のボリュームに対して利用可能な冷却面積の比率が明らかに小さいため、熱の除去は不十分である。触媒されていない反応のライトオフに十分な温度(>50℃)でモノマーから進行すると、反応生成物の温度は、断熱モードでは300℃をはるかに超えて上昇するであろう。>200℃の温度でのポリウレタンの調製および加工は、多数の熱副反応のために品質の損失につながる。過度に高い生成物温度は、原則として、2つのモノマーの少なくとも1つが反応器の冷却出力に従って徐々に計量供給される回分式の操作モードによって防止することができる。しかしながら、回分装置における高粘性ポリマーの冷却には、伝熱器の表面積および流速の理由から、技術的な制限がある。長い滞留時間は、高温と相まって、望ましくない副反応の数を増加させ、生成物の特性に悪影響を及ぼす。
【0009】
工業的実施においては、ここでスケールアップ操作を行うことがより容易であり、一定の品質でより多くの量を製造できることから、連続的な製造プロセスが好ましい。
【0010】
回分式プロセス後の熱可塑性プラスチックからのペレットの製造は、回分容器が空になるまで可融性ポリマーを高温に保つ必要をもたらす。熱に敏感な生成物の場合、これは、造粒プロセス/造粒時間にわたって連続的に変化する生成物特性のプロファイルをもたらす。
【0011】
プロセス手順を回分式プロセスから連続プロセスに適用することも困難または不可能である。化学工学の観点から特に注意が払われていることは、放出される反応熱の制御された除去であり、これは、高発熱性を有する反応は困難を伴ってのみでしか扱うことができないことを意味している。
【0012】
生成物中に残存する残留溶媒は、環境中に放出され、望ましくない特性、例えば臭気、毒性および/または機械的特性の劣化を引き起こすことがあるので、溶媒の使用も同様に不利である。ポリマーからの残留溶媒の完全な除去は、原則として達成することができない;特定の限界までそれを取り除くことは、基本的に、技術的な複雑さおよびエネルギー消費の増加に関連している。
【0013】
US5,627,254は、ジイソシアネート、短鎖ポリエチレングリコール、ブタンジオールおよび25重量%を超える高分子量を有するジオールから熱可塑性ウレタンを調製するための連続プロセスを開示している。メチレンジフェニルジイソシアネートとブタンジオールとの重付加生成物も同様に記載されている。この目的のために、成分は、二軸押出機中で触媒の存在下で転化される。しかしながら、芳香族イソシアネートと脂肪族ポリオールとの反応の場合、厄介な副反応の傾向は、脂肪族イソシアネートの対応する転化の場合よりもはるかに小さい。したがって、一般に、このような方法を本質的に脂肪族の反応物に適用することは不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】US2284637
【特許文献2】US3038884
【特許文献3】DE728981
【特許文献4】US2511544
【特許文献5】US5,627,254
【発明の概要】
【0015】
従って、本発明の目的は、工業的規模で、反応混合物1kg当たり高い負の反応エンタルピーを伴う重付加反応の実施を初めて可能にする、ポリウレタン製造のための連続的な無溶媒プロセスを提供することであった。
【0016】
この目的は、以下の成分:
A)1つ以上のジオール、
B)脂肪族、脂環式および/または芳香脂肪族ジイソシアネートを含む1つ以上のジイソシアネート、
C)任意に1つ以上の触媒、および
D)任意にさらなる補助剤または添加剤
を反応させることによって熱可塑性ポリウレタンを製造するための連続的な無溶媒多段階プロセスであって、
ここで、成分Aの少なくとも1つのジオールは、62g/mol~250g/molの分子量を有し、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーは、前記多段階プロセスの少なくとも1つのプロセス段階において、成分Aの総量または第1の部分および成分Bの第1の部分から形成され、前記多段階プロセスの全てのプロセス段階にわたる成分Aの全ての部分の合計または成分Bの全ての部分の合計は、全体で、使用される成分Aまたは成分Bの総量であり、成分Aおよび成分Bは、それらが1.0:1.0のモル比で転化される場合、全てのプロセス段階にわたる総反応エンタルピーが、DIN 51007:1994-06によって決定され、-900kJ/kg~-500kJ/kgであるように選択されることを特徴とする、前記連続的な無溶媒多段階プロセスによって達成される。
【0017】
総反応エンタルピーは、DIN 51007(1994年6月)に従って、3K/minで-50℃から+450℃まで気密に封止されたガラスアンプル中で20mg~30mgの成分Aと成分Bの混合物を加熱し、熱電対によって混合物の温度と不活性酸化アルミニウム基準の温度の間の差を決定することによって決定され、ここで、成分Aと成分Bは混合物中に1.0:1.0のモル比で存在する。
【0018】
本発明によるプロセスの利点は、本発明の実施における反応混合物の温度を非常に良好に制御することができ、従って、実質的な熱関連損傷、例えば、ポリウレタン生成物における斑点形成または変色がないことである。さらに、本発明によるプロセスは、実験室規模から工業規模への良好な拡張性を可能にする。
【0019】
本発明の文脈において「総反応エンタルピー」は、成分Aと成分Bのモル比が1.0:1.0で、希釈せずに、全てのプロセス段階全体における成分Aと成分Bとの重合反応(重付加)で進行するエンタルピーの質量比変化(mass-specific change)を意味すると理解される。反応エンタルピーは、成分Aと成分Bのモル比が1.0:1.0で、成分Aと成分Bの反応混合物全体1kg当たりのkJでここに報告される。負の反応エンタルピーを伴う反応は発熱反応として説明され、これは、反応の過程においてエネルギーが熱の形で放出されることを意味する。
【0020】
本発明の文脈において「無溶媒プロセス」は、追加の希釈剤、例えば有機溶媒または水のない成分AおよびBの反応を意味すると理解され、成分AおよびBは希釈されていない形態で互いに反応させることが好ましいことを意味している。成分Cおよび/またはDは、任意に、適切な希釈剤中に存在してもよく、成分Aおよび/またはBに溶液として加えられてもよい。本発明の文脈において、プロセスは、反応混合物の総重量に基づいて、溶媒含量が1重量%まで、好ましくは0.1重量%まで、さらにより好ましくは0.01重量%までである場合、まだ無溶媒であるとみなされる。溶媒は、成分AおよびBならびに任意にCおよび/またはDの少なくとも1つを溶解、分散、懸濁または乳化させることができる物質であるが、成分AおよびBならびに任意にCおよび/またはDのいずれとも、またはポリマーおよび(1つまたは複数の)プレポリマーとも反応しない物質を意味すると理解される。本発明の文脈において、成分AおよびBならびに任意にCおよび/またはDのいずれとも、または反応混合物中のポリマーおよび(1つまたは複数の)プレポリマーとも反応しないあらゆる非反応性プレポリマーおよび/または非反応性ポリマーは、「溶媒」とはみなされない。
【0021】
本発明の文脈において「非反応性末端プレポリマー」は、反応性基(NCO基またはOH基)が、適切な共反応物(連鎖停止剤)との反応によって、言及される反応条件下でNCO基またはOH基のいずれとも反応しない化学基に転化されたプレポリマーを意味すると理解される。適切な連鎖停止剤は、例えば、メタノールなどのモノアルコール、ジエチルアミンなどのモノアミン、およびブチルイソシアネートなどのモノイソシアネートである。連鎖停止剤のモル比は、例えば、それぞれの場合において対応するモノマー成分の総モル量に対して、0.001mol%~2mol%、好ましくは0.002mol%~1mol%とすることができる。
【0022】
本発明の文脈において「プロセス段階」は、成分Aおよび/またはBおよび/またはヒドロキシ末端プレポリマーおよび/またはNCO末端プレポリマーの少なくとも一部の投与量と組み合わせた、少なくとも1つの基本的な操作、例えば混合、反応、移送、伝熱などの技術的実施を意味する。プロセス段階は、少なくとも1つの与えられた装置において、規定された処理量で行われる。装置としては、その目的に必要とされる反応器、機械、パイプラインならびに測定および制御機器が挙げられる。1つのプロセス段階は、1つ以上の装置で行うことができる。ポリマー反応に使用できる反応器は、当業者に知られており、例えば、Moran,S.and Henkel,K.-D.2016,Reactor Types and Their Industrial Applications,Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,149に記載されている。
【0023】
本発明の文脈において「連続プロセス」は、少なくとも1つの装置での連続的な製造中における反応物の供給および少なくとも1つの同一または異なる装置からの生成物の排出が同時に起こるものであり、他方、回分式プロセスは、反応物の供給、化学変換および生成物の排出が時間的に連続して起こることが一般的である。工場の停止時間が充填および排出プロセスの結果として回避されるので、連続的な手順は、通常、経済的に有利である。
【0024】
当業者は、ポリマーひいてはプレポリマーがポリウレタン化学において単離された種として存在しているのではなく、むしろ常に、異なる数の繰り返し単位、ひいては異なる分子量、および場合によっては異なる末端基を有する分子の混合物として存在していることを知っている。分子当たりの繰り返し単位の数と場合により末端基はいずれも一般に統計的分布を有する。
【0025】
本発明の文脈において、用語「プレポリマー」は、使用される成分Bの量対成分Aの量のモル比が0.1:1.0~0.95:1.0であるか、または使用される成分Aの量対成分Bの量のモル比が0.1:1.0~0.95:1.0である、成分A、Bおよび任意にCおよびDの全ての反応生成物または反応生成物混合物を意味すると理解される。
【0026】
本発明の文脈において、「ヒドロキシ末端プレポリマー」は、分子の末端の(数による)少なくとも90%がヒドロキシル基を有し、分子の末端の(数による)残りの10%がさらなるヒドロキシル基、NCO基および/または非反応性基を有するプレポリマー混合物を意味すると理解される。本発明の文脈における「非反応性基」は、本発明による反応条件下で、本発明による反応時間に相当する単位時間内にNCO基とOH基のいずれとも反応しない基を意味すると理解される。非反応性基は、例えば、反応性NCO基またはOH基から、適切な共反応物(連鎖停止剤)との反応によって、非反応性基に変換することができる。適切な連鎖停止剤は、本発明による反応条件下でイソシアネート基またはヒドロキシル基のいずれかと反応する全ての単官能性化合物、例えば、メタノールなどのモノアルコール、ジエチルアミンなどのモノアミン、およびブチルイソシアネートなどのモノイソシアネートである。ヒドロキシ末端プレポリマーは、例えば、分子の一方の末端に水酸基を有し、例えば、分子の(1つまたは複数の)他の末端にアルキル基を有することができる。ヒドロキシ末端プレポリマーが本発明の文脈において言及されている場合、これは、常に、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーと非反応性末端プレポリマーの混合物を意味する。さらに、反応の統計に基づき、副反応を無視して、それは、非ヒドロキシ末端からジヒドロキシ末端までのプレポリマーの混合物であってもよい。好ましくは、それは、主に、ジヒドロキシ末端プレポリマーの混合物である。本発明によれば、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーはまた、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーと少なくとも1つの非反応性末端プレポリマーの混合物であってもよい。
【0027】
本発明によるプロセスの好ましい実施形態では、少なくとも1つのプロセス段階において、次のプロセス段階に到達する前に、生じる総反応エンタルピーの一部を取り除く。好ましくは、1つのプロセス段階において、熱可塑性ポリウレタンが完了する前に、生じる総反応エンタルピーの25%~98%、より好ましくは30%~95%、さらにより好ましくは35%~90%、最も好ましくは40%~85%を取り除く。好ましくは、取り除かれる反応エンタルピーの大部分は、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーおよび/または少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーと少なくとも1つの非反応性末端プレポリマーの混合物の調製における熱伝導によって取り除かれる。
【0028】
本発明によるプロセスの好ましい実施形態では、全てのプロセス段階にわたる総反応エンタルピーは、成分AおよびBを1:1のモル比で互いに反応させる場合、DIN 51007:1994-06によれば、-900kJ/kg~-550kJ/kgの範囲内であり、好ましくは-900kJ/kg~-580kJ/kgの範囲内であり、より好ましくは-900kJ/kg~-600kJ/kgの範囲内であり、さらにより好ましくは-900kJ/kg~-650kJ/kgの範囲内である。対応する反応エンタルピーは、DIN 51007(1994年6月)に従って、選別示差熱分析(DTA)の手段によって決定される。このプロセスでは、対応するモノマーが1:1のモル比で混合され、特定の温度プロファイルの間において反応エンタルピーを決定する。ここで使用される温度プロファイルは、-50℃で始まり、+450℃で終わる。使用される加熱速度は、3K/minである。使用される不活性な参照は、酸化アルミニウムである。
【0029】
本発明によるプロセスの好ましい実施形態において、成分A対成分Bの総モル比は、1.0:0.95~0.95:1.0である。
【0030】
本発明によれば、成分Aおよび成分Bは、任意に成分CおよびDの存在下で、互いに連続的に反応させる。熱可塑性ポリウレタンの製造のためのプロセス段階は、単一の装置または多数の装置で行うことができる。例えば、1つのプロセス段階は、最初に第1の装置(例えば、ループ反応器または冷却可能なミキサー)で行うことができ、次いで、その反応混合物をその反応が続けられるさらなる装置(例えば、押出機または他の高粘度反応器)に移すことができる。
【0031】
ヒドロキシ末端プレポリマーの調製のための少なくとも1つのプロセス段階における平均滞留時間は、それぞれの場合において1つのプロセス段階に対して、5秒~90分、好ましくは10秒~60分、より好ましくは30秒~30分である。
【0032】
多段階プロセスにおける少なくとも1つのプロセス段階において、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーは、成分Aの全体または第1の部分および成分Bの第1の部分から形成される。本発明によれば、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーはまた、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーと少なくとも1つの非反応性末端プレポリマーの混合物であってもよい。
【0033】
本発明によるプロセスのさらに好ましい実施形態において、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーは、少なくとも1つのプロセス段階において成分Aの全体および成分Bの第1の部分から形成される。好ましくは、成分Bの第1の部分は、それぞれの場合において、プロセスで使用される成分Bの総モル量に基づいて、40%~95%、好ましくは60%~95%、より好ましくは75%~93%である。
【0034】
成分Aの総量は、例えば、第1の装置において、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーを形成するために、成分Bの第1の部分と反応させることができる。
【0035】
1つ以上の後続の工程において、成分Bのさらなる部分、すなわち、第2、第3などの部分は、次いで、本発明に従って、一般的には高い分子量の、さらなるヒドロキシ末端プレポリマーを形成するために添加されてもよい。成分Bのさらなる部分を第1の装置に加えることができ、または、第1の装置からの反応混合物を第2の装置に移し、その中で成分Bの第2の部分と反応させることができる。次いで、全てのさらなる部分を、例えば、第2の装置に加えることができ、または、反応混合物を、成分Bの一部との各反応後に、次の装置に移すことができ、ここで、成分Aの総量が成分Bの総量と反応するまで、成分Bのさらなる部分と反応させる。成分Bを別々に連続的に加えることは、空間および/または時間の観点から、結果として、放出される反応熱を段階的に発生させることができ、それ故に、例えば、成分AおよびBを反応器に供給する前に成分AおよびBを予熱するために、より良好に除去および/または利用することができるという利点を有する。個々の形成工程において、本発明の量の非反応性末端プレポリマー、1つ以上のNCO末端プレポリマーおよび/または連鎖停止剤、例えばモノアルコールを加えることも可能である。本発明によれば、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーはまた、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーと少なくとも1つの非反応性末端プレポリマーの混合物であってもよい。
【0036】
本発明の文脈において「NCO末端プレポリマー」は、分子の末端の(数による)少なくとも90%がNCO基を有し、分子の末端の(数による)残りの10%がさらなるNCO基、水酸基および/または非反応性基を有するポリマーまたはプレポリマーを意味すると理解される。NCO末端プレポリマーが本発明の文脈において言及される場合、これはまた、NCO末端プレポリマーの混合物であってもよいし、NCO末端プレポリマーと非反応性末端プレポリマーの混合物であってもよい。好ましくは、それはNCO末端プレポリマーの混合物である。NCO末端プレポリマーは、成分Aの一部を成分Bの一部と反応させることによって得ることができ、ここで、成分Bは過剰である。重付加は、成分CおよびDの存在下で行うことができる。本発明によるプロセスによって少なくとも1つのNCO末端プレポリマーを形成するための温度は、使用される化合物に応じて選択することができる。しかしながら、ここでは、反応は、≧60℃~≦260℃、好ましくは≧80℃~≦250℃、より好ましくは≧100℃~≦245℃、最も好ましくは≧100℃~≦240℃の温度で行われる場合が好ましい。NCO官能価は統計的分布を有し、NCO末端プレポリマーの平均NCO官能価は、1.8~2.2、好ましくは1.9~2.1、最も好ましくは1.95~2.05である。少なくとも1つのNCO末端プレポリマーは、少なくとも1つのNCO末端プレポリマーと少なくとも1つの非反応性末端プレポリマーの混合物であってもよく、ここで、NCO官能価は統計的分布を有し、NCO末端プレポリマーの平均NCO官能価は、1.8~2.2、好ましくは1.9~2.1、最も好ましくは1.95~2.05である。少なくとも1つのNCO末端プレポリマーが結晶化する傾向を有し、融点を有する場合、反応は、好ましくは、少なくとも1つのNCO末端プレポリマーの融点よりも30K低い~150K高い、好ましくは15K低い~100K高い、より好ましくは10K低い~70K高い温度範囲内で行われる。
【0037】
特定の実施形態では、全てのプロセス段階において、成分Aおよび/または少なくとも1つのNCO末端プレポリマーおよび/または少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーとの成分Bの理論転化率の>50%、好ましくは>70%、より好ましくは>85%、最も好ましくは>90%が得られる。
【0038】
本発明によるプロセスのさらなる好ましい実施形態では、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーは、少なくとも1つのプロセス段階において、成分Aの第1の部分および成分Bの第1の部分から形成され、ここで、使用される成分Bの部分対成分Aの部分のモル比は0.65:1.0~0.98:1.0、好ましくは0.70:1.0~0.97:1.0、より好ましくは0.75:1.0~0.96:1.0、最も好ましくは0.75:1.0~0.95:1.0であり、使用される第1の部分Aは、プロセスで使用される成分Aの総モル量に対して、少なくとも50%、好ましくは70%、より好ましくは90%である。
【0039】
次いで、1つ以上の後続のプロセス段階において、本発明に従って、一般には高分子量の、さらなるヒドロキシ末端プレポリマーを形成するために、成分Aおよび成分Bのさらなる部分を加えることができる。好ましくは、成分Bのさらなる部分を加えることによって、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーから形成されるNCO末端プレポリマーはない。統計的に反応の過程で一時的に形成されるが、不安定であるNCO末端プレポリマーは、ここではカウントされない。成分AおよびBのさらなる部分、任意に少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーおよび/または少なくとも1つのNCO末端プレポリマーならびにモノアルコールなどのあらゆる連鎖停止剤を、さらなる装置、すなわち第2、第3などの装置に導入することもでき、ここで、それぞれは、さらなるプレポリマーに変換することができる。本発明によれば、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーはまた、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーと少なくとも1つの非反応性末端プレポリマーの混合物であってもよい。
【0040】
本発明のプロセスのさらなる好ましい実施形態において、成分AおよびBおよび/または上述のプレポリマー(ヒドロキシ末端プレポリマー、非反応性末端プレポリマー)および/またはそれらの相溶性混合物は、反応混合物に、反応混合物の温度より少なくとも30K、好ましくは少なくとも50K、より好ましくは100K低い温度で供給される。これは、成分AおよびBおよび/または上述のプレポリマーを加熱することによって、反応エンタルピーの一部が取り除かれるという利点を有する。
【0041】
ヒドロキシ末端プレポリマーまたは少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーを含有する混合物は、反応条件下の溶融物中において低粘度または高粘度を有することができる。低粘度は、例えば0.1Pa・sであり、高粘度は、例えば500Pa・sである。ここで検討されているのは、低せん断速度でのニュートン極限粘度である。熱可塑性ポリウレタンの粘度と比較して、ヒドロキシ末端プレポリマーまたは混合物の粘度が低いことは、使用される熱伝達器が効率的に働くことができ、構造サイズまたは表面積が小さい熱伝達器を使用することが可能であるという利点を有する。さらに、優先的に使用されるフロースルー熱伝達器では、より高い粘度のプレポリマーの処理において生じる圧力降下と比較して、低い圧力降下が生じる。好ましくは、第1のプロセス段階からのヒドロキシ末端プレポリマーの粘度または少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーと少なくとも1つの非反応性末端プレポリマーの混合物の粘度は、プロセス温度および剪断に関して典型的なプロセス条件下での溶融物において測定され、0.1Pa・s~10Pa・sの範囲内である。
【0042】
さらなる好ましい実施形態において、粘度の決定または計算は、好ましくは、そのプロセスにおいて、例えば、パイプラインセクションまたはスタティックミキサーにおける圧力降下の測定を介して行われる。円形のパイプラインセクションでは、層流の場合、圧力降下(Δp単位パスカル)の計算のための
【数1】
で表されるハーゲン・ポアズイユ(Hagen-Poiseuille)の式は、粘度の決定式
【数2】
に再構成することができる。
【0043】
好ましくは、取り除かれる反応エンタルピーは、この反応エンタルピーを熱として熱伝達媒体に放出する熱伝達器の助けを借りて取り除かれる。この熱伝達媒体は、例えば、液体状態の水、蒸発水または液体状態の熱伝達オイル、例えば、Marlotherm SH(Sasol社製)またはDiphyl(Lanxess社製)であってもよい。
【0044】
熱伝達器に入れる際の熱伝達媒体は、好ましくは、反応混合物の結晶化および/または凝固に起因する閉塞が回避される十分に高い温度である。
【0045】
熱伝達媒体はまた、最初に熱伝達器内の生成物流を反応が開始する温度に予熱するために使用することもできる。
【0046】
熱伝達器は、様々な方法で設計することができる。例えば、それらは、排出パイプを有するシェルおよびチューブ熱伝達器または熱伝達の改善のための内部構造を有するシェルおよびチューブ熱伝達器(例えば、スタティックミキサー、例えば、Kenicsタイプのもの、SulzerからのSMXまたはSulzerからのSMXLまたはFluitecからのCSE-Xなど)であってもよく、あるいは、それらは、例えば、プレート熱伝達器であってもよく、あるいは、例えば、それらは、温度制御可能なスタティックミキサーであってもよく、これは、例えば、SMRタイプ(Sulzer社製)またはCSE-XRタイプ(Fluitec社製)であってもよい。
【0047】
本発明によるプロセスによって少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーを形成するための温度は、使用される化合物に応じて選択することができる。しかしながら、ここでは、≧40℃~≦260℃、好ましくは≧60℃~≦250℃、より好ましくは≧100℃~≦240℃、特に好ましくは≧120℃~≦220℃の温度でその反応を行う場合が好ましい。これに関連して、反応中に生成物が経験する上述の範囲からの反応温度の短い(<60秒)逸脱は許容される。
【0048】
少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーが結晶化する傾向を有し、融点を有する場合、反応は、好ましくは、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーの融点よりも30K低い~150K高い、好ましくは15K低い~100K高い、より好ましくは10K低い~70K高い温度範囲内で行われる。
【0049】
さらに好ましい実施において、ヒドロキシ末端プレポリマーは、反応物の官能価から算出される平均OH官能価が、それぞれの場合においてプレポリマー混合物全体のモル量に基づいて、1.8~2.1、好ましくは1.95~2.05、より好ましくは1.97~2.0、最も好ましくは1.975~2.0である。
【0050】
少なくとも1つのさらなるプロセス段階において、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーは、熱可塑性ポリウレタンに転化される。
【0051】
本発明によるプロセスの好ましい実施形態では、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーの形成に続く少なくとも1つのさらなるプロセス段階において、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーを成分Bのさらなる部分と反応させて、熱可塑性ポリウレタンを得る。好ましくは、成分Bのさらなる部分は、多段階プロセスの全てのプロセス段階にわたる成分Bの全ての部分の合計が、全体で、使用される成分Bの総モル量であるという条件で、それぞれの場合において、プロセスで使用される成分Bの総モル量に基づいて、5%~60%、好ましくは5%~40%、より好ましくは7%~25%である。少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーは、残りの成分Bの総量と一度に全て反応させることができ、または、最初に成分Bの一部のみと反応させ、次いで成分Bのさらなる部分を段階的に供給し、成分Bの総量が消費されるまで反応させる。ここでも、段階的な転化は、反応の過程をより良好に制御することができ、熱可塑性ポリウレタンを選択的に構築することができ、反応熱をより良好に除去することができるという利点を有する。
【0052】
本発明によるプロセスの好ましい実施形態では、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーの形成に続く少なくとも1つのさらなるプロセス段階において、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーを成分Bの第2の部分および成分Aの第2の部分と反応させて、熱可塑性ポリウレタンを与えるが、ただし、多段階プロセスの全てのプロセス段階にわたる成分Aの全ての部分の合計および成分Bの全ての部分の合計は、全体で、使用される成分Aまたは成分Bの総モル量である。少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーは、残りの成分Bおよび成分Aの総量と一度に全て反応させることができ、または、最初に成分Bの第2の部分のみと反応させ、次いで成分Bのさらなる部分を段階的に供給するか、または、最初に成分Aの第2の部分のみと反応させ、次いで成分Aのさらなる部分を段階的に供給するか、または、成分Aのさらなる部分および成分Bのさらなる部分を加えて、成分Bおよび成分Aの総量が消費されるまで一緒にまたは交互に反応させる。ここでも、段階的な転化は、反応の過程をより良好に制御することができ、熱可塑性ポリウレタンを選択的に構築することができ、反応熱をより良好に除去することができるという利点を有する。
【0053】
本発明によるプロセスの好ましい実施形態において、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーは、少なくとも1つのプロセス段階において、成分Aの第1の部分および成分Bの第1の部分から形成され、ヒドロキシ末端プレポリマーの形成に続く少なくとも1つのさらなるプロセス段階において、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーを少なくとも1つのNCO末端プレポリマーと反応させて熱可塑性ポリウレタンを与え、ここで、少なくとも1つのNCO末端プレポリマーは、少なくとも1つのさらなるプロセス段階において、成分Aの第2の部分および成分Bの第2の部分から形成される。
【0054】
例えば、最初に成分Aの第1の部分および成分Bの第1の部分から少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーを調製し、別々に成分Aの第2の部分および成分Bの第2の部分から少なくとも1つのNCO末端プレポリマーを調製することが可能である。成分Aの第1および第2の部分は成分Aの総量に対応してもよく、成分Bの第1および第2の部分は成分Bの総量に対応してもよい。また、転化された成分AおよびBの第1および第2の部分だけでなく、成分Aおよび/またはBのさらなる未転化の部分も存在する可能性もある。次に、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーを、少なくとも1つのNCO末端プレポリマーと反応させて、熱可塑性ポリウレタンを得ることができる。成分Aおよび/またはBの総量がヒドロキシ末端プレポリマー、NCO末端プレポリマーおよび任意の非反応性末端プレポリマーを調製する際に消費されていない場合には、成分Aおよび/またはBの残りの部分を、プレポリマー(ヒドロキシ末端プレポリマー、NCO末端プレポリマーおよび非反応性末端プレポリマー)を別のプロセス段階において互いに反応することによって生じる反応生成物と反応させるか、または、1つのプロセス段階においてプレポリマーと一緒に反応させて、熱可塑性ポリウレタンを得る。反応物は、任意の所望の部分の添加によって段階的に、または、総量の添加によって1段階で転化させることができる。部分の添加の順序は自由に選択することができる。しかしながら、1つの好ましい選択肢は、最初に少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーを装入し、それに少なくとも1つのNCO末端プレポリマーを添加することである。
【0055】
例えば、製造された少なくとも1つのNCO末端プレポリマーの総量を、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーの総量と一度に全て反応させることができ、または、少なくとも1つのNCO末端プレポリマーの一部を、最初に少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーの総量と反応させ、その後のプロセス段階において少なくとも1つのNCO末端プレポリマーのさらなる部分を加えて転化させる。
【0056】
同様に、例えば、少なくとも1つのNCO末端プレポリマーの第1の部分を、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーの第1の部分と反応させ、さらなる後続のプロセス段階において、生成された少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーの総量および生成された少なくとも1つのNCO末端プレポリマーの総量が反応するまで、さらなる部分を加えて転化させることも可能である。
【0057】
好ましくは、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーと少なくとも1つのNCO末端プレポリマーを1.0:0.95~0.95:1.0のモル比で、好ましくは1.0:0.98~0.98:1.0のモル比で反応させる。
【0058】
特に好ましい実施形態では、この場合、段階的な添加後に生じるOHまたはNCO官能性プレポリマーは、25℃にて、好ましくは>50℃、好ましくは>90℃、より好ましくは>120℃、最も好ましくは>140℃の融点を有する固体である。
【0059】
形成される熱可塑性ポリウレタンの数平均モル質量(M)は、使用される成分AおよびBの分子比率によって、および/または転化率によって、および/または連鎖停止剤の使用によって、または、全ての選択肢の組み合わせによって調節することができる。成分Aと成分Bの分子比率、連鎖停止剤の含有量、転化率および達成可能な数平均モル質量間の相関は、カロザース(Carothers)の方程式として当業者に知られている。
【0060】
上述の実施形態における熱可塑性ポリウレタンの製造は、多数のプロセス段階で行うことができることは当業者に明らかである。成分CおよびDは、独立して、個々のプロセス段階においてのみ、または、全てのプロセス段階においてここに添加することができる。
【0061】
本発明のプロセスのさらなる好ましい実施形態において、成分AおよびBおよび/または上述のプレポリマー(ヒドロキシ末端プレポリマー、NCO末端プレポリマー、非反応性末端プレポリマー)および/またはそれらの相溶性混合物は、反応混合物の温度より少なくとも30K、好ましくは少なくとも50K、より好ましくは100K低い温度で反応混合物に供給される。これは、成分AおよびBおよび/または上述のプレポリマーを加熱することによって反応エンタルピーの一部が取り除かれるという利点を有する。
【0062】
本発明によるプロセスにおいて少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーと成分Bの第2の部分との反応によって熱可塑性ポリウレタンを形成させるための温度は、使用される化合物に応じて選択され得る。しかしながら、ここでは、反応が≧60℃~≦260℃、好ましくは≧80℃~≦250℃、より好ましくは≧100℃~≦245℃、最も好ましくは≧120℃~≦240℃の温度で行われる場合が好ましい。これに関連して、反応中に生成物が経験する上述の範囲からの反応温度の短い(<60秒)逸脱は許容される。
【0063】
熱可塑性ポリウレタンが結晶化する傾向を有し、融点を有する場合、反応は、好ましくは、熱可塑性ポリウレタンの融点よりも30K低い~150K高い、好ましくは15K低い~100K高い、より好ましくは10K低い~70K高い温度範囲内で行われる。
【0064】
本発明によるプロセスのさらなる好ましい実施形態において、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーは、少なくとも1つの第1のプロセス段階で調製され、少なくとも1つの第2のプロセス段階において成分B、成分Aおよび/または少なくとも1つのNCO末端プレポリマーの第2の部分と反応させて熱可塑性ポリウレタンを与え、ここで、第1のプロセス段階は、少なくとも1つの第2のプロセス段階と比較して温度、圧力および/または剪断速度に関して異なる反応条件を有してもよく、プロセス段階は、少なくとも1つの物質移送導管を介して互いに接続されている。少なくとも1つのNCO末端プレポリマーは、好ましくは、少なくとも1つの第1および第2のプロセス段階とは別であり、少なくとも1つの第1および第2のプロセス段階と比較して温度、圧力および剪断速度に関して異なる反応条件を有し、少なくとも1つの物質移送導管を介して少なくとも1つの第1または第2のプロセス段階に接続される第3のプロセス段階において調製される。
【0065】
別の実施形態において、少なくとも1つのNCO末端プレポリマーはまた、少なくとも1つの第2のプロセス段階において独立して調製することができ、そして、成分の少なくとも1つのNCO末端プレポリマーへの変換の完了時に、少なくとも1つの第3のプロセス段階において少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーと反応させて、熱可塑性ポリウレタンを得ることができる。
【0066】
本発明によるプレポリマーの1つが結晶化の傾向を有し、それが融点を有する場合、装置の壁温度は、本発明によれば、転化段階において、ヒドロキシ末端プレポリマーまたは任意にNCO末端プレポリマーおよび/または任意に非反応性末端プレポリマーまたはこれらの少なくとも2つの混合物のそれぞれの融点よりも30K低い~150K高い、好ましくは15K低い~100K高い、より好ましくは10K低い~70K高い温度範囲内に保たれる。
【0067】
好ましい変形形態では、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーまたは少なくとも1つのNCO末端プレポリマーの製造に使用される装置は、成分AおよびBが所望の割合で計量され、任意に、成分CおよびDが所望の割合で計量されるポンプ循環反応器であり、ここで、発生する反応エンタルピーは熱伝達器において取り除かれる。さらなる好ましい変形形態では、ミキサー-熱伝達器は、成分の転化のために使用され、反応および熱の除去が同じ場所で行われる。
【0068】
少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーからの熱可塑性ポリウレタンの形成に適したプロセス段階における平均滞留時間は、5秒~60分、好ましくは30秒~60分、より好ましくは1分~50分、最も好ましくは10分~50分である。
【0069】
少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーを成分B、成分Aおよび/または少なくとも1つのNCO末端プレポリマーまたはそれぞれの成分と少なくとも1つの非反応性プレポリマーとの任意の混合物の第2の部分と反応させて、熱可塑性ポリウレタンを得るためには、この段階における粘度の急激な上昇にプロセスを適合させることが必要である。そのためには、機械的エネルギーによって生成物を能動的に移動させる装置を使用することが好ましい。特に好ましいのは、クリアランスを考慮しつつ、材料表面が互いにきれいになる装置を使用することである。このような装置は、例えば、共回転多軸押出機、例えば2軸または4軸押出機またはリング押出機など、共回転多軸押出機、共混練機または遊星形ロール押出機およびロータ-ステータシステムである。さらなる適切な装置は、単軸または二軸大容量混練機である。二軸大容量混練機は、共回転でも逆回転でもよい。大量混練機の例は、例えば、CRP(List Technology AG社製)、Reacom(Buss-SMS-Canzler GmbH)、Reasil(Buss-SMS-Canzler GmbH)、KRC混練機(Kurimoto,Ltd)である。好ましい実施形態では、この種の少なくとも1つの装置が、少なくとも1つのスタティックミキサー、ダイナミックミキサーまたはミキサー-熱伝達器と組み合わされ、ここで、スタティックミキサー、ダイナミックミキサーまたはミキサー-熱伝達器は、成分B、成分Aまたは少なくとも1つのNCO末端プレポリマーまたはこれらの任意の所望の混合物とヒドロキシ末端プレポリマーとの混合物を生成する。混合物中の成分の1つが結晶化の傾向を有する場合、混合物の温度は、適した手段によって、最高温度で溶融する成分の融点または最高温度で溶融する成分の反応生成物の融点よりも30K低い~150K高い、好ましくは15K低い~100K高い、より好ましくは10K低い~70K高い温度範囲内に保たれる。本発明によれば、スタティックミキサー、ダイナミックミキサーまたはミキサー-熱伝達器における滞留時間は十分に短く、粘度の上昇(反応性成分の相互の重付加反応によって引き起こされるもの)が、スタティックミキサー、ダイナミックミキサーまたはミキサー-熱伝達器の閉塞につながらない、および/または、圧力の上昇が、<50bar、好ましくは<30bar、より好ましくは<20bar、最も好ましくは<10barに制限され、そして、形成される混合物は、上記リストに対応する装置に供給される。スタティックミキサー、ダイナミックミキサーまたはミキサー-熱伝達器中の滞留時間と下流の装置中の滞留時間の比は、好ましくは1:100~1:2、より好ましくは1:50~1:5、最も好ましくは1:30~1:10である。特定の実施形態では、成分はまた、少なくとも1つの非反応性プレポリマーとの混合物の形態をとり得る。
【0070】
さらなる好ましい実施形態では、最終プロセス段階は、押出機において行われる。
【0071】
さらなる好ましい実施形態では、最終プロセス段階は、スタティックミキサー、ダイナミックミキサー又はミキサー-熱伝達器と加熱されたコンベアベルトとの組み合わせにおいて行われる。
【0072】
さらなる好ましい実施形態では、最終プロセス段階において、上述の装置のうちの少なくとも2つが組み合わされ、例えば、押出機とさらなる押出機、または、押出機と大容量混練機である。この実施において、第1の装置における滞留時間と第2の装置における滞留時間の比は、好ましくは1:100~1:2、より好ましくは1:50~1:3、最も好ましくは1:30~1:5である。
【0073】
さらなる好ましいバージョンでは、最終プロセス段階において、上述の装置のうちの少なくとも1つは、ベルト反応器と組み合わされ、ここで、上述の装置のうちの1つからの生成物は、循環ベルトに適用され、そこでさらに反応させる。熱可塑性ポリウレタンが結晶化の傾向を有し、融点を有する場合、ベルト反応器上の生成物の温度は、適した手段によって、その融点よりも100K低い~50K高い、好ましくは80K低い~10K高い、より好ましくはその融点よりも50K低い~10K高い、最も好ましくはその融点よりも30K低い~10K高い温度範囲内に保たれる。
【0074】
熱可塑性ポリウレタンを与える反応の後、生成物は、市販の形態、典型的にはペレットに変換される。最終プロセス段階での変換後、生成物は、溶融状態にあり、溶融状態で粉砕され、冷却によって固化されるか、または、最初に冷却によって固化され、次いで粉砕される。これは、例えば、当業者に知られているストランドペレット化、水中ストランドペレット化、水環ペレット化および水中ペレット化の方法によって達成することができる。冷却は好ましくは水で行われ、空気または他の媒体による冷却も可能である。
【0075】
ベルト反応器での変換後、生成物を冷却し、破砕し、細かくすることもできる。
【0076】
本発明によれば、このようにして得られた熱可塑性ポリウレタンを固体状態混合プロセスで混合し、さらなる押出機中で再び溶融およびペレット化することができる。これは、生成物が冷却され、ベルト反応器の下流で粉砕される場合、この操作は生成物の形態の均質化もするため、特に好ましい。
【0077】
本発明によるプロセスのさらなる好ましい実施形態では、少なくとも0.5kg/hのポリウレタンポリマーの総処理量が達成される。好ましくは、少なくとも2kg/h、より好ましくは少なくとも100kg/h、最も好ましくは少なくとも1000kg/hのポリウレタンポリマーの総処理量が達成される。
【0078】
本発明による連続的な無溶媒多段階プロセスのさらに好ましい態様において、当該プロセスは、以下の工程:
i)成分Aの総量または第1の部分を、成分Bの第1の部分および任意に成分Cおよび/またはDと連続的に混合する工程、
ii)少なくとも1つの第1のプロセス段階において工程i)からの混合物を連続的に反応させて、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーを形成させる工程であって、少なくとも1つの第1のプロセス段階における反応混合物の温度が、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーの分解温度よりも低く保たれる工程、
iii)工程ii)で形成された少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーを第2のプロセス段階に連続的に移送する工程であって、第2のプロセス段階が、少なくとも1つの物質移送導管によって、第1のプロセス段階に接続される工程、
iv)任意に、少なくとも1つのNCO末端プレポリマーを調製するために、第3のプロセス段階において成分AおよびBの残りの部分を連続的に混合し、反応させる工程であって、第3のプロセス段階における反応混合物の温度が、少なくとも1つのNCO末端プレポリマーの分解温度よりも低く保たれ、第3のプロセス段階が、少なくとも1つの物質移送導管を介して、第1および/または第2のプロセス段階に接続される工程、
v)少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーを、成分Bの残りの部分と、任意に成分Aの残りの部分および/または工程iv)からの少なくとも1つのNCO末端プレポリマーと連続的に混合する工程、
vi)工程v)からの混合物を連続的に反応させて熱可塑性ポリウレタンを得る工程であって、プロセス段階における反応混合物の温度が、熱可塑性ポリウレタンの分解温度よりも低く保たれる工程、
vii)熱可塑性ポリウレタンを連続的に冷却し、ペレット化する工程
を含む。
【0079】
本発明によれば、1つ以上のジオールを成分Aとして使用し、ここで、成分Aの少なくとも1つのジオールは62g/mol~250g/molの分子量を有する。本発明によれば、ジオールの一部のみが62g/mol~250g/molの分子量を有し、ジオールの残りの部分が>250g/molの分子量を有するジオールの混合物を使用することも可能であり、ここで、全てのプロセス段階にわたる総反応エンタルピーは、請求された範囲内でなければならない。ジオールおよび/またはその前駆体化合物は、化石または生物学的供給源から得られたものであってもよい。当業者は、ジイソシアネートと種々のジオールとの反応における総反応エンタルピーがジオールの分子量に依拠することを知っている。1,6-ジイソシアナトヘキサンと、例えば、短鎖ジオール、例えば、ブタン-1,4-ジオールとの反応は、1,6-ジイソシアナトヘキサンと、例えば、長鎖ジオール、例えば、1000g/molの数平均分子量を有するポリテトラメチレングリコールポリオールとの反応よりも明らかに高い総反応エンタルピーを有する。有用な長鎖ジオールの例としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(メタ)アクリレートポリオールおよび/またはポリウレタンポリオールが挙げられる。
【0080】
例えば、分子量が62g/mol~250g/molのジオールと分子量が>250g/molのジオールの混合物と1つ以上のジイソシアネートとの反応は、請求された範囲内ではない全てのプロセス段階にわたる総反応エンタルピーを有する場合、当業者は、例えば、混合物中において分子量が62g/mol~250g/molのジオールの含有量を増加させ、分子量が>250g/molのジオールの含有量を低下させることによって、所望の総反応エンタルピーを請求された範囲内となるように調整できることを知っている。
【0081】
好ましい実施形態において、成分Aのジオールの90mol%~100mol%、好ましくはジオールの95mol%~100mol%、特に好ましくはジオールの98mol%~100mol%、さらにより好ましくはジオールの99mol%~100mol%は、62g/mol~250g/molの分子量を有し、最も好ましくは、成分Aの1つ以上のジオールは全て62g/mol~250g/molの分子量を有する。
【0082】
本発明によれば、62g/mol~250g/molの分子量を有する1つ以上の二官能性アルコール、特に脂肪族、芳香脂肪族または脂環式ジオールが使用される。これらは、例えば、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ヘプタン-1,7-ジオール、オクタン-1,8-ジオール、ノナン-1,9-ジオール、デカン-1,11-ジオール、ウンデカン-1,11-ジオール、ドデカン-1,12-ジオール、シクロブタン-1,3-ジオール、シクロペンタン-1,3-ジオール、シクロヘキサン-1,2-、-1,3-および-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、2-シクロヘキセン-1,4-ジオール、2-メチルシクロヘキサン-1,4-ジオール、2-エチルシクロヘキサン-1,4-ジオール、2,2,4,4-テトラメチルシクロブタン-1,3-ジオール、水素化ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、シクロヘプタン-1,3-ジオール、シクロヘプタン-1,4-ジオール、2-メチルシクロヘプタン-1,4-ジオール、4-メチルシクロヘプタン-1,3-ジオール、4,4’-(1-メチルエチリデン)ビスシクロヘキサノール、シクロオクタン-1,3-ジオール、シクロオクタン-1,4-ジオール、シクロオクタン-1,5-ジオール、5-メチルシクロオクタン-1,4-ジオール、5-エチルシクロオクタン-1,4-ジオール、5-プロピルシクロオクタン-1,4-ジオールおよび5-ブチルシクロオクタン-1,4-ジオールとすることができる。上記アルコールの混合物を使用することも可能である。ジオールおよび/またはその前駆体化合物は、化石または生物学的供給源から得られたものであってもよい。成分Aが本発明の文脈において言及される場合、これは、少なくとも2つの成分Aの混合物または成分Aと非反応性末端プレポリマーの混合物であってもよい。それは、好ましくは、1つの成分Aまたは少なくとも2つの成分Aの混合物である。
【0083】
好ましい実施形態では、1つ以上の脂肪族、脂環式および/または芳香脂肪族ジオールが成分Aとして使用され、好ましくは1つ以上の脂肪族または脂環式ジオールであり、より好ましくは62g/mol~250g/molの分子量を有する1つ以上の脂肪族ジオールであり、さらにより好ましくは、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ヘプタン-1,7-ジオール、オクタン-1,8-ジオール、ノナン-1,9-ジオール、シクロブタン-1,3-ジオール、シクロペンタン-1,3-ジオール、シクロヘキサン-1,2-、-1,3-および-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、および/またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物よりなる群から選択される。エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ヘプタン-1,7-ジオール、オクタン-1,8-ジオール、ノナン-1,9-ジオール、シクロブタン-1,3-ジオール、シクロペンタン-1,3-ジオール、シクロヘキサン-1,2-、-1,3-および-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、および/またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物よりなる群から選択される脂肪族または脂環式ジオールを使用することが好ましい。成分Aとして、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ヘプタン-1,7-ジオール、オクタン-1,8-ジオールおよび/またはこれらのうちの少なくとも2種の混合物、好ましくはエタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ヘプタン-1,7-ジオールおよび/またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物、より好ましくはブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオールおよび/またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物、より好ましくはエタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオールおよび/またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物、さらにより好ましくはエタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオールおよび/またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物、さらにより好ましくはエタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、特にブタン-1,4-ジオールおよび/またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物よりなる群から選択される脂肪族ジオールを使用することが好ましい。ジオールおよび/またはその前駆体化合物は、化石または生物学的供給源から得られたものであってもよい。
【0084】
成分Aとして、62g/mol~250g/mol、より好ましくは62g/mol~150g/mol、さらにより好ましくは62g/mol~120g/molの分子量を有する脂肪族、芳香脂肪族または脂環式ジオールを使用することが好ましい。成分Aとして、62g/mol~250g/mol、より好ましくは62g/mol~150g/mol、さらにより好ましくは62g/mol~120g/molの分子量を有する脂肪族または脂環式ジオールを使用することが好ましい。ジオールおよび/またはその前駆体化合物は、化石または生物学的供給源から得られたものであってもよい。
【0085】
本発明による成分Bとして使用されるジイソシアネートには、脂肪族、脂環式および/または芳香脂肪族ジイソシアネートが含まれる。当業者は、脂肪族、脂環式および/または芳香脂肪族ジイソシアネートとジオールとの反応における総反応エンタルピーは、芳香脂肪族ジイソシアネートと同一のジオールとの反応よりも高いことを知っている。従って、全てのプロセス段階にわたる総反応エンタルピーが請求された範囲内であるという条件で、成分Bとして1つ以上の脂肪族、脂環式、芳香脂肪族および/または芳香脂肪族ジイソシアネートの混合物を使用することも可能である。例えば、脂肪族ジイソシアネートと芳香族ジイソシアネートの混合物と1つ以上のジオールとの反応が請求された範囲内にない全てのプロセス段階にわたる総反応エンタルピーを有する場合には、当業者は、例えば、混合物中において脂肪族ジイソシアネートの含有量を増加させ、芳香族ジイソシアネートの含有量を低下させることによって、所望の総反応エンタルピーを請求された範囲内にあるように調整できることを知っている。好ましい実施形態において、芳香族ジイソシアネートは、成分Bのモル量に基づいて2mol%までの割合で使用される。
【0086】
適切な成分Bは、全て、脂肪族、脂環式、芳香族または芳香脂肪族ジイソシアネートであり、特にモノマージイソシアネートであり、これらは当業者に知られているものである。ジイソシアネートおよび/またはその前駆体化合物は、化石または生物学的供給源から得られたものであってもよい。好ましくは、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)は、生物学的供給源から得られる1,6-ヘキサメチレンジアミンから製造される。適切な化合物は、ホスゲン化またはホスゲンなしの方法によって得られたかどうかにかかわらず、≧140g/mol~≦400g/molの分子量のものであることが好ましい。成分Bが本発明の文脈において言及される場合、これはまた、少なくとも2つの成分Bの混合物または(1つまたは複数の)成分Bと非反応性末端プレポリマーの混合物であってもよい。それは、好ましくは、1つの成分Bまたは少なくとも2つの成分Bの混合物である。
【0087】
適した脂肪族ジイソシアネートの例は、1,4-ジイソシアナトブタン(BDI)、1,5-ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-または2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,8-ジイソシアナトオクタンおよび1,10-ジイソシアナトデカンである。
【0088】
適した脂環式ジイソシアネートの例は、1,3-および1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4-ジイソシアナト-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-2-メチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-4-メチルシクロヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート;IPDI)、1-イソシアナト-1-メチル-4(3)-イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4’-および4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H12MDI)、1,3-および1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン(NBDI)、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジイソシアナト-3,3’,5,5’-テトラメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジイソシアナト-1,1’-ビ(シクロヘキシル)、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチル-1,1’-ビ(シクロヘキシル)、4,4’-ジイソシアナト-2,2’,5,5’-テトラメチル-1,1’-ビ(シクロヘキシル)、1,8-ジイソシアナト-p-メンタン、1,3-ジイソシアナトアダマンタンおよび1,3-ジメチル-5,7-ジイソシアナトアダマンタンである。
【0089】
適した芳香族ジイソシアネートの例は、2,4-および2,6-ジイソシアナトトルエン(TDI)、2,4’-および4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)および1,5-ジイソシアナトナフタレンである。
【0090】
適した芳香脂肪族ジイソシアネートの例は、1,3-および1,4-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(キシリレンジイソシアネート;XDI)、1,3-および1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン(TMXDI)である。
【0091】
同様に適切なさらなるジイソシアネートは、例えば、HOUBEN-WEYL“Methoden der organischen Chemie”[有機化学の方法],volume E20“Makromolekulare Stoffe”[高分子材料],Georg Thieme Verlag,Stuttgart,New York 1987,p.1587-1593またはJustus Liebigs Annalen der Chemie volume 562(1949)p.75~136にさらに見出すことができる。
【0092】
≧140g/mol~≦400g/molの分子量を有する脂肪族および脂環式ジイソシアネート、特に1,4-ジイソシアナトブタン(BDI)、1,5-ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-または2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,8-ジイソシアナトオクタン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,3-および1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4-ジイソシアナト-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-2-メチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-4-メチルシクロヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート;IPDI)および/またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物よりなる群から選択される脂肪族および脂環式ジイソシアネートを使用することが好ましい。別の好ましい実施形態では、1,4-ジイソシアナトブタン(BDI)、1,5-ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、1,8-ジイソシアナトオクタン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,3-および1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-2-メチルシクロヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート;IPDI)および/またはこれらの少なくとも2つの混合物、さらにより好ましくは1,4-ジイソシアナトブタン(BDI)、1,5-ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタンおよび/またはこれらの少なくとも2つの混合物、さらにより好ましくは1,4-ジイソシアナトブタン(BDI)、1,5-ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)および/またはこれらの少なくとも2つの混合物からなる群から選択されるジイソシアネートが使用される。
【0093】
これに関連して、ポリイソシアネートは、これらがホスゲン化またはホスゲンなしの方法によって得られたかどうかにかかわらず、3つより多くのイソシアネート基を有する有機化合物を意味すると理解される。適したポリイソシアネートの例は、トリフェニルメタン4,4’,4’’-トリイソシアネートまたは4-イソシアナトメチルオクタン1,8-ジイソシアネート(TIN)である。特に、以下に述べる脂肪族、脂環式および/または芳香脂肪族ジイソシアネートの誘導体を使用することも可能である。これらの例は、1,4-ジイソシアナトブタン(BDI)、1,5-ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサンまたは2,4’-および4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンの市販の三量体(ビウレット、アロファネートまたはイソシアヌレート)である。これらのポリイソシアネートは、最終生成物の熱可塑性が保存される量まで加えることができる。
【0094】
好ましい実施形態において、成分Bは、芳香族ジイソシアネート、そのポリイソシアネートおよび/または誘導体を全く含有しない。
【0095】
熱可塑性ポリウレタンの調製のために、成分A、Bおよび種々のプレポリマー(ヒドロキシ末端プレポリマー、NCO末端プレポリマー、非反応性末端プレポリマー)は、本発明によるプロセスにおいて、任意に1つ以上の触媒、助剤および/または添加剤の存在下で転化させることができる。
【0096】
本発明による適切な触媒は、従来技術から知られている慣用の第三級アミン、例えばトリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N,N’-ジメチルピペラジン、2-(ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどであり、また、特に、有機金属化合物、例えば、チタンエステル、鉄化合物、スズ化合物、例えば二酢酸スズ、スズジオクトエート、スズジラウレートまたは脂肪族カルボン酸、例えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレートなどのジアルキルスズ塩などである。好ましい触媒は、有機金属化合物、特にチタンエステル、鉄化合物および/またはスズ化合物である。
【0097】
触媒は、ジイソシアネート成分Bに対して0.001重量%~2.0重量%、好ましくは0.005重量%~1.0重量%、より好ましくは0.01重量%~0.1重量%の量で使用される。触媒は、そのままの形態で使用されるか、または、ジオール成分Aに溶解される場合がある。ここでの1つの利点は、その後に得られる熱可塑性ポリウレタンが、追加的に使用されるあらゆる触媒溶媒の結果として、あらゆる不純物も含有しないということである。触媒は、反応の全期間にわたって、例えば適切な計量ポンプの助けを借りて、1つ以上の部分で、または連続的に加えることができる。
【0098】
あるいは、(1つまたは複数の)触媒と触媒溶媒、好ましくは有機触媒溶媒との混合物を使用することも可能である。触媒溶液の希釈レベルは、非常に広い範囲内で自由に選択することができる。触媒活性溶液は、0.001重量%以上の濃度のものである。
【0099】
適した触媒溶媒は、例えば、イソシアネート基に対して不活性である溶媒、例えば、ヘキサン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールおよびブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、1-メトキシプロパ-2-イルアセテート、3-メトキシ-n-ブチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ラクトン、例えばβ-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトンおよびε-メチルカプロラクトンなどとともに、N-メチルピロリドンおよびN-メチルカプロラクタム、1,2-プロピレンカーボネート、塩化メチレン、ジメチルスルホキシド、リン酸トリエチル等の溶媒またはそのような溶媒の任意の所望の混合物である。
【0100】
あるいは、本発明によるプロセスでは、イソシアネートに対して反応性の基を有し、ジイソシアネートに組み込むことができる触媒溶媒を使用することが可能である。そのような溶媒の例は、モノおよび多価の単純アルコール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、n-ヘキサノール、2-エチル-1-ヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、異性体ブタンジオール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオールまたはグリセロール;エーテルアルコール、例えば1-メトキシ-2-プロパノール、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールまたは液体高分子量ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、混合ポリエチレン/ポリプロピレングリコールおよびそれらのモノアルキルエーテル;エステルアルコール、例えばエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノラウレート、グリセロールモノおよびジアセテート、グリセロールモノブチレートまたは2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオールモノイソブチレート;不飽和アルコール、例えばアリルアルコール、1,1-ジメチルアリルアルコールまたはオレイルアルコール;芳香脂肪族アルコール、例えばベンジルアルコール;N-モノ置換アミド、例えばN-メチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、シアノアセトアミドまたは2-ピロリドン、またはそのような溶媒の任意の所望の混合物である。
【0101】
成分AおよびBならびに触媒に加えて、補助剤および/または添加剤を使用することも可能である。これらは、染料、充填剤、加工助剤、可塑剤、核形成剤、安定剤、難燃剤、脱型剤または強化添加剤等の、熱可塑性プラスチック技術の分野における標準的な添加剤であってもよい。言及された補助剤および添加剤のさらなる詳細は、専門書、例えば、J.H.SaundersおよびK.C.Frischによるモノグラフ:“High Polymers”,volume XVI,Polyurethane,parts 1 and 2,Interscience Publishers 1962および1964、R.GaechterおよびH.MuellerによるTaschenbuch fuer Kunststoff-Additive[プラスチック添加剤のハンドブック](Hanser Verlag Munich 1990)、またはDE-A 29 01 774において見られる。同様に、複数のタイプの複数の添加剤を使用することが有利であり得ることが理解される。
【0102】
別の好ましい実施形態では、少量で使用される添加剤は、成分Aの総モル量に基づき0.001mol%~2mol%、好ましくは0.002mol%~1mol%の割合の、イソシアネートに対して反応性のある、慣用の単官能性、二官能性、三官能性または多官能性の化合物であってもよく、例えば、連鎖停止剤、補助剤または脱型助剤である。例としては、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、異性体ペンタノール、ヘキサノール、オクタノールおよびノナノール、n-デカノール、n-ドデカノール、n-テトラデカノール、n-ヘキサデカノール、n-オクタデカノール、シクロヘキサノールおよびステアリルアルコールなどが挙げられる。適切なトリオールの例は、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンまたはグリセロールである。適切なより高い官能性のアルコールは、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールまたはソルビトールである。ブチルアミンおよびステアリルアミン等のアミンまたはチオールも同様に適している。
【0103】
本発明によるプロセスでは、多段階プロセスにおける少なくとも1つの段階において、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーは、成分Aの全体または第一の部分および成分Bの第一の部分から形成される。少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーは、本発明によるプロセスにおいて、原則として、ジオール成分Aが過剰であるジオール成分Aとジイソシアネート成分Bとの重付加によって、単離可能な中間体として得られる。重付加は、成分CおよびDの存在下で行うことができる。
【0104】
少なくとも1つのNCO末端プレポリマーおよび少なくとも1つの非反応性末端プレポリマーは、原則として、成分AおよびBならびに任意に少なくとも1つの連鎖停止剤の重付加によって、単離可能な中間体として得ることができる。重付加は、成分CおよびDの存在下で行うことができる。
【0105】
少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーと同様に、使用される添加剤に応じて、非反応性末端プレポリマーを得ることも可能であり、または、それらがヒドロキシ末端プレポリマーとの混合物中にあることも可能である。NCO末端プレポリマーは、同様に、非反応性末端プレポリマーとの混合物の形態であってもよい。非反応性プレポリマーは、成分A、B、任意にCおよびDから形成されている。非反応性プレポリマーは、当業者に知られている調製方法によって形成される。非反応性プレポリマーは、成分Cの存在下で調製することができる。好ましくは、非反応性プレポリマー対ヒドロキシ末端プレポリマーおよび/またはNCO末端プレポリマーの比は、それぞれの場合において全てのヒドロキシ末端プレポリマーおよび/またはNCO末端プレポリマーの総重量に基づいて、<20:80重量%、好ましくは<10:90重量%である。少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーへの非反応性末端プレポリマーの制御された混合は、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーと成分Bのさらなる部分または少なくとも1つのNCO末端プレポリマーとのその後の反応において生じる反応熱をより良好に制御することができるという利点を有する。さらに、非反応性末端プレポリマーの混合は、本発明によるポリウレタン全体の分子量分布に影響を与えることができる。
【0106】
本発明によるプロセスの好ましい実施形態において、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーは、1,4-ジイソシアナトブタンとエタン-1,2-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとペンタン-1,5-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとヘキサン-1,6-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとヘプタン-1,7-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとオクタン-1,8-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとノナン-1,9-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとデカン-1,10-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとシクロブタン-1,3-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとシクロペンタン-1,3-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとシクロヘキサン-1,2-、-1,3-および-1,4-ジオールおよび/または少なくとも2つの異性体の混合物、1,4-ジイソシアナトブタンとシクロヘキサン-1,4-ジメタノール、1,5-ジイソシアナトペンタンとエタン-1,2-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとペンタン-1,5-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとヘキサン-1,6-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとヘプタン-1,7-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとオクタン-1,8-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとシクロブタン-1,3-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとシクロペンタン-1,3-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとシクロヘキサン-1,2-、-1,3-および-1,4-ジオールおよび/または少なくとも2つの異性体の混合物、1,5-ジイソシアナトペンタンとシクロヘキサン-1,4-ジメタノール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとエタン-1,2-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとペンタン-1,5-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとヘキサン-1,6-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとヘプタン-1,7-ジオール、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサンとエタン-1,2-ジオールおよび1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオールからなる群から選択される成分AおよびBの少なくとも1つの組み合わせの重付加によって形成される。本発明によるプロセスの好ましい実施形態において、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーは、1,4-ジイソシアナトブタンとエタン-1,2-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとペンタン-1,5-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとヘキサン-1,6-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとヘプタン-1,7-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとオクタン-1,8-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとシクロブタン-1,3-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとシクロペンタン-1,3-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとシクロヘキサン-1,2-、-1,3-および-1,4-ジオールおよび/または少なくとも2つの異性体の混合物、1,4-ジイソシアナトブタンとシクロヘキサン-1,4-ジメタノール、1,5-ジイソシアナトペンタンとエタン-1,2-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとペンタン-1,5-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとヘキサン-1,6-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとヘプタン-1,7-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとエタン-1,2-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとペンタン-1,5-ジオールおよび1,6-ジイソシアナトヘキサンとヘキサン-1,6-ジオールからなる群から選択され、さらにより好ましくは1,4-ジイソシアナトブタンとエタン-1,2-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとペンタン-1,5-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとヘキサン-1,6-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとエタン-1,2-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとペンタン-1,5-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとヘキサン-1,6-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとエタン-1,2-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオールおよび1,6-ジイソシアナトヘキサンとペンタン-1,5-ジオールからなる群から選択され、さらにより好ましくは1,4-ジイソシアナトブタンとエタン-1,2-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとペンタン-1,5-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとヘキサン-1,6-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとエタン-1,2-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとペンタン-1,5-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとエタン-1,2-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオールおよび1,6-ジイソシアナトヘキサンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオールからなる群から選択される成分Aおよび成分Bの少なくとも1つの組み合わせの重付加によって形成される。本発明によるプロセスのさらに好ましい実施形態において、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーは、1,4-ジイソシアナトブタンとエタン-1,2-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとペンタン-1,5-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとヘキサン-1,6-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとエタン-1,2-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとエタン-1,2-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオールおよび1,6-ジイソシアナトヘキサンとブタン-1,2-、-1,3および/または-1,4-ジオールからなる群から選択される成分Aおよび成分Bの少なくとも1つの組み合わせの重付加によって形成される。
【0107】
本発明は、同様に、本発明によるプロセスによって得ることができる熱可塑性ポリウレタンを提供する。
【0108】
好ましい実施形態において、熱可塑性ポリウレタンポリマーは、30重量%~80重量%、好ましくは40重量%~75重量%、より好ましくは50重量%~70重量%、最も好ましくは55重量%~70重量%の成分Bの割合を有する。
【0109】
好ましい実施形態において、熱可塑性ポリウレタンポリマーは、ポリマーのkg当たりで4.0mol/kg~10.0mol/kg、好ましくはポリマーのkg当たりで6.0mol/kg~9.0mol/kg、より好ましくはポリマーのkg当たりで6.5mol/kg~9.0mol/kg、最も好ましくはポリマーのkg当たりで7.0mol/kg~9.0mol/kgのウレタン基の割合を有する。ウレタン基の割合は、繰り返し単位の分子量から計算により決定される。
【0110】
さらに好ましい実施形態において、本発明によるプロセスからの熱可塑性ポリウレタンポリマーは、98重量%~100重量%の脂肪族ジイソシアネートを含むジイソシアネート成分および62g/mol~250g/molの分子量を有する少なくとも1つの脂肪族および/または脂環式ジオールの反応によって得られる。好ましくは、ジイソシアネート成分は、脂肪族ジイソシアネートのみを含有する。
【0111】
さらに好ましい実施形態において、本発明によるプロセスからの熱可塑性ポリウレタンポリマーは、98重量%~100重量%の直鎖脂肪族ジイソシアネートを含有するジイソシアネート成分Bと、62g/mol~250g/molの分子量を有する98重量%~100重量%の直鎖脂肪族ジオールを含有するジオール成分Aとの反応によって調製される。特に好ましいのは、成分Bの総量に基づき98重量%~100重量%の、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ブタン1,4-ジイソシアネートおよび/またはこれらの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される、ジイソシアネートを含有する成分Bと、成分Aの総量に基づき98重量%~100重量%の、ブタン-1,4-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、エタン-1,2-ジオールおよび/またはこれらの少なくとも2つの混合物からなる群から選択されるジオールを含有する成分Aとから調製されるポリウレタンポリマーである。非常に特に好ましいのは、成分Bの総量に基づき98重量%~100重量%の、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネートおよび/またはこれらの少なくとも2つの混合物からなる群から選択されるジイソシアネートを含有する成分Bと、成分Aの総量に基づき98重量%~100重量%の、ブタン-1,4-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、エタン-1,2-ジオールおよび/またはこれらの少なくとも2つの混合物からなる群から選択されるジオールを含有する成分Aとから調製されるポリウレタンポリマーである。
【0112】
非常に特に好ましい実施形態において、熱可塑性ポリウレタンポリマーは、本発明によるプロセスから、成分Bの総量に基づき98重量%~100重量%の線状脂肪族ジイソシアネートを含有するジイソシアネート成分Bと、成分Aの総量に基づき98重量%~100重量%の62g/mol~250g/molの分子量を有する線状脂肪族ジオールを含有するジオール成分Aとの反応によって得られる。特に好ましいのは、成分Bの総量に基づき98重量%~100重量%のヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートを含有する成分Bと、成分Aの総量に基づき98重量%~100重量%のブタン-1,4-ジオールを含有する成分Aとから得られるポリウレタンポリマーである。
【0113】
好ましい実施形態において、本発明によるプロセスからの生成物は、CIE-Lab色空間において、L値が>70であり、b値が<3であり、好ましくはL値が>75であり、b値が<2であり、より好ましくはL値が>80であり、b値が<1.5である。色値は、DIN EN ISO 11664-1(2011年7月)に従って、D65光源、10°観測器を備えたコニカミノルタCM5分光光度計で決定される。
【0114】
特に以下の実施形態が好ましい:
【0115】
1.以下の成分:
A)1つ以上のジオール、
B)脂肪族、脂環式および/または芳香脂肪族ジイソシアネートを含む1つ以上のジイソシアネート、
C)任意に1つ以上の触媒、および
D)任意にさらなる補助剤または添加剤
を反応させることによって熱可塑性ポリウレタンを製造するための連続的な無溶媒多段階プロセスであって、
ここで、成分Aの少なくとも1つのジオールは、62g/mol~250g/molの分子量を有し、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーは、多段階プロセスの少なくとも1つのプロセス段階において、成分Aの総量または第1の部分および成分Bの第1の部分から形成され、多段階プロセスの全てのプロセス段階にわたる成分Aの全ての部分の合計または成分Bの全ての部分の合計は、全体で、使用される成分Aまたは成分Bの総量であり、成分Aおよび成分Bは、それらが1.0:1.0のモル比で転化される場合、全てのプロセス段階にわたる総反応エンタルピーが、DIN 51007:1994-06によって決定され、-900kJ/kg~-500kJ/kgであるように選択されることを特徴とする、連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0116】
2.総反応エンタルピーは、DIN 51007(1994年6月)に従って、3K/minで-50℃から+450℃まで気密に封止されたガラスアンプル中で20mg~30mgの成分Aと成分Bの混合物を加熱し、熱電対によって混合物の温度と不活性酸化アルミニウム基準の温度の間の差を決定することによって決定され、ここで、成分Aと成分Bは混合物中に1.0:1.0のモル比で存在することを特徴とする、実施形態1による連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0117】
3.少なくとも1つのプロセス段階において、生じる総反応エンタルピーの一部、好ましくは総反応エンタルピーの25%~98%、より好ましくは30%~95%、さらにより好ましくは35%~90%、最も好ましくは40%~85%を取り除くことを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0118】
4.全てのプロセス段階にわたる総反応エンタルピーは、-900kJ/kg~-550kJ/kgの範囲内であり、好ましくは-900kJ/kg~-580kJ/kgの範囲内であり、より好ましくは-900kJ/kg~-600kJ/kgの範囲内であり、さらにより好ましくは-900kJ/kg~-650kJ/kgの範囲内であることを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0119】
5.成分A対成分Bの総モル比は、1.0:0.95~0.95:1.0であることを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0120】
6.ヒドロキシ末端プレポリマーの調製のための少なくとも1つのプロセス段階における平均滞留時間は、それぞれの場合において1つのプロセス段階に対して、5秒~90分、好ましくは10秒~60分、より好ましくは30秒~30分であることを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0121】
7.少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーは、少なくとも1つのプロセス段階において成分Aの総量および成分Bの第1の部分から形成され、好ましくは、成分Bの第1の部分は、それぞれの場合においてプロセスで使用される成分Bの総モル量に基づいて、40%~95%、好ましくは60%~95%、より好ましくは75%~93%であることを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0122】
8.少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーは、少なくとも1つのプロセス段階において、成分Aの第1の部分および成分Bの第1の部分から形成され、ここで、使用される成分Bの部分対成分Aの部分のモル比は0.65:1.0~0.98:1.0、好ましくは0.70:1.0~0.97:1.0、より好ましくは0.75:1.0~0.96:1.0、最も好ましくは0.75:1.0~0.95:1.0であり、使用される第1の部分Aは、プロセスで使用される成分Aの総モル量に対して、少なくとも50%、好ましくは70%、より好ましくは90%であることを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0123】
9.少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーは、反応物の官能価から算出される平均OH官能価が、それぞれの場合においてプレポリマー混合物全体のモル量に基づいて、1.8~2.1、好ましくは1.95~2.05、より好ましくは1.97~2.0、最も好ましくは1.975~2.0であることを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0124】
10.少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーの形成に続く少なくとも1つのさらなるプロセス段階において、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーを成分Bのさらなる部分と反応させて熱可塑性ポリウレタンを与え、好ましくは、成分Bのさらなる部分は、それぞれの場合においてプロセスで使用される成分Bの総モル量に基づいて、5%~60%、好ましくは5%~40%、より好ましくは7%~25%であり、ただし、多段階プロセスの全てのプロセス段階にわたる成分Bの全ての部分の合計は、全体で、使用される成分Bの総モル量であることを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0125】
11.少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーの形成に続く少なくとも1つのさらなるプロセス段階において、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーを成分Bの第2の部分および成分Aの第2の部分と反応させて熱可塑性ポリウレタンを与え、ただし、多段階プロセスの全てのプロセス段階にわたる成分Aの全ての部分の合計および成分Bの全ての部分の合計は、全体で、使用される成分Aまたは成分Bの総モル量であることを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0126】
12.少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーは、少なくとも1つのプロセス段階において、成分Aの第1の部分および成分Bの第1の部分から形成され、ヒドロキシ末端プレポリマーの形成に続く少なくとも1つのさらなるプロセス段階において、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーを少なくとも1つのNCO末端プレポリマーと反応させて熱可塑性ポリウレタンを与え、ここで、少なくとも1つのNCO末端プレポリマーは、少なくとも1つのさらなるプロセス段階において、成分Aの第2の部分および成分Bの第2の部分から形成されることを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0127】
13.少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーと少なくとも1つのNCO末端プレポリマーを1.0:0.95~0.95:1.0のモル比で、好ましくは1.0:0.98~0.98:1.0のモル比で反応させることを特徴とする、実施形態12による連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0128】
14.少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーは、少なくとも1つの第1のプロセス段階で調製され、少なくとも1つの第2のプロセス段階において成分B、成分Aおよび/または少なくとも1つのNCO末端プレポリマーの第2の部分と反応させて熱可塑性ポリウレタンを与え、ここで、第1のプロセス段階は、少なくとも1つの第2のプロセス段階と比較して温度、圧力および/または剪断速度に関して異なる反応条件を有してもよく、プロセス段階は、少なくとも1つの物質移送導管を介して互いに接続され、好ましくは、少なくとも1つのNCO末端プレポリマーは、少なくとも1つの第1および第2のプロセス段階とは別であり、少なくとも1つの第1および第2のプロセス段階と比較して温度、圧力および剪断速度に関して異なる反応条件を有し、少なくとも1つの物質移送導管を介して少なくとも1つの第1または第2のプロセス段階に接続される第3のプロセス段階において調製されることを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0129】
15.少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーからの熱可塑性ポリウレタンの形成のためのプロセス段階における平均滞留時間は、5秒~60分、好ましくは30秒~60分、より好ましくは1分~50分、最も好ましくは10分~50分であることを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0130】
16.少なくとも0.5kg/h、好ましくは2kg/h、より好ましくは少なくとも100kg/h、最も好ましくは少なくとも1000kg/hのポリウレタンポリマーの総処理量が達成されることを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0131】
17.当該プロセスは、以下の工程:
i)成分Aの総量または第1の部分を、成分Bの第1の部分および任意に成分Cおよび/またはDと連続的に混合する工程、
ii)少なくとも1つの第1のプロセス段階において工程i)からの混合物を連続的に反応させて、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーを形成させる工程であって、少なくとも1つの第1のプロセス段階における反応混合物の温度が、少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーの分解温度よりも低く保たれる工程、
iii)工程ii)で形成された少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーを第2のプロセス段階に連続的に移送する工程であって、第2のプロセス段階が、少なくとも1つの物質移送導管によって、第1のプロセス段階に接続される工程、
iv)任意に、少なくとも1つのNCO末端プレポリマーを調製するために、第3のプロセス段階において成分AおよびBの残りの部分を連続的に混合し、反応させる工程であって、第3のプロセス段階における反応混合物の温度が、少なくとも1つのNCO末端プレポリマーの分解温度よりも低く保たれ、第3のプロセス段階が、少なくとも1つの物質移送導管を介して、第1および/または第2のプロセス段階に接続される工程、
v)少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーを、成分Bの残りの部分と、任意に成分Aの残りの部分および/または工程iv)からの少なくとも1つのNCO末端プレポリマーと連続的に混合する工程、
vi)工程v)からの混合物を連続的に反応させて熱可塑性ポリウレタンを得る工程であって、プロセス段階における反応混合物の温度が、熱可塑性ポリウレタンの分解温度よりも低く保たれる工程、
vii)熱可塑性ポリウレタンを連続的に冷却し、ペレット化する工程
を含むことを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0132】
18.成分Aのジオールの90mol%~100mol%、好ましくはジオールの95mol%~100mol%、特に好ましくはジオールの98mol%~100mol%、さらにより好ましくはジオールの99mol%~100mol%は、62g/mol~250g/molの分子量を有し、最も好ましくは成分Aの1つ以上のジオールは全て62g/mol~250g/molの分子量を有することを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0133】
19.成分Aの1つ以上のジオールは全て62g/mol~250g/molの分子量、好ましくは62g/mol~150g/molの分子量、より好ましくは62g/mol~120g/molの分子量を有することを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0134】
20.1つ以上の脂肪族、脂環式および/または芳香脂肪族ジオールが成分Aとして使用され、好ましくは1つ以上の脂肪族または脂環式ジオールであり、より好ましくは62g/mol~250g/molの分子量を有する1つ以上の脂肪族ジオールであり、さらにより好ましくは、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ヘプタン-1,7-ジオール、オクタン-1,8-ジオール、ノナン-1,9-ジオール、シクロブタン-1,3-ジオール、シクロペンタン-1,3-ジオール、シクロヘキサン-1,2-、-1,3-および-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、および/またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0135】
21.成分Aとして、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ヘプタン-1,7-ジオール、オクタン-1,8-ジオール、ノナン-1,9-ジオール、シクロブタン-1,3-ジオール、シクロペンタン-1,3-ジオール、シクロヘキサン-1,2-、-1,3-および-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、および/またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物よりなる群から選択される脂肪族または脂環式ジオールを使用し、好ましくは、成分Aとして、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ヘプタン-1,7-ジオール、オクタン-1,8-ジオールおよび/またはこれらのうちの少なくとも2種の混合物、好ましくはエタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ヘプタン-1,7-ジオールおよび/またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物、より好ましくはブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオールおよび/またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物、より好ましくはエタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオールおよび/またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物、さらにより好ましくはエタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオールおよび/またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物、さらにより好ましくはエタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、特にブタン-1,4-ジオールおよび/またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物よりなる群から選択される脂肪族ジオールを使用することを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0136】
22.1つ以上の脂肪族または脂環式ジイソシアネートが成分Bとして使用され、好ましくは1,4-ジイソシアナトブタン(BDI)、1,5-ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-または2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,8-ジイソシアナトオクタン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,3-および1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4-ジイソシアナト-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-2-メチルシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-4-メチルシクロヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート;IPDI)および/またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0137】
23.≧140g/mol~≦400g/molの分子量を有する脂肪族および脂環式ジイソシアネートが成分Bとして使用されることを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0138】
24.成分Bは、成分Bの総モル量に基づき2mol%までの割合で芳香族ジイソシアネートを含有することを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0139】
25.成分Bとして、1,4-ジイソシアナトブタン(BDI)、1,5-ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、1,8-ジイソシアナトオクタン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,3-および1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナト-2-メチルシクロヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート;IPDI)および/またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物、さらにより好ましくは1,4-ジイソシアナトブタン(BDI)、1,5-ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタンおよび/またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物、さらにより好ましくは1,4-ジイソシアナトブタン(BDI)、1,5-ジイソシアナトペンタン(PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)および/またはこれらのうちの少なくとも2つの混合物よりなる群から選択されるジイソシアネートが使用されることを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0140】
26.少なくとも1つのヒドロキシ末端プレポリマーは、1,4-ジイソシアナトブタンとエタン-1,2-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとペンタン-1,5-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとヘキサン-1,6-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとヘプタン-1,7-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとオクタン-1,8-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとノナン-1,9-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとデカン-1,10-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとシクロブタン-1,3-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとシクロペンタン-1,3-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとシクロヘキサン-1,2-、-1,3-および-1,4-ジオールおよび/または少なくとも2つの異性体の混合物、1,4-ジイソシアナトブタンとシクロヘキサン-1,4-ジメタノール、1,5-ジイソシアナトペンタンとエタン-1,2-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとペンタン-1,5-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとヘキサン-1,6-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとヘプタン-1,7-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとオクタン-1,8-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとシクロブタン-1,3-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとシクロペンタン-1,3-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとシクロヘキサン-1,2-、-1,3-および-1,4-ジオールおよび/または少なくとも2つの異性体の混合物、1,5-ジイソシアナトペンタンとシクロヘキサン-1,4-ジメタノール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとエタン-1,2-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとペンタン-1,5-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとヘキサン-1,6-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとヘプタン-1,7-ジオール、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサンとエタン-1,2-ジオールおよび1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオールからなる群から選択され、好ましくは1,4-ジイソシアナトブタンとエタン-1,2-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとペンタン-1,5-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとヘキサン-1,6-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとヘプタン-1,7-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとオクタン-1,8-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとシクロブタン-1,3-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとシクロペンタン-1,3-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとシクロヘキサン-1,2-、-1,3-および-1,4-ジオールおよび/または少なくとも2つの異性体の混合物、1,4-ジイソシアナトブタンとシクロヘキサン-1,4-ジメタノール、1,5-ジイソシアナトペンタンとエタン-1,2-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとペンタン-1,5-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとヘキサン-1,6-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとヘプタン-1,7-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとエタン-1,2-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとペンタン-1,5-ジオールおよび1,6-ジイソシアナトヘキサンとヘキサン-1,6-ジオールからなる群から選択され、さらにより好ましくは1,4-ジイソシアナトブタンとエタン-1,2-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとペンタン-1,5-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとヘキサン-1,6-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとエタン-1,2-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとペンタン-1,5-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとヘキサン-1,6-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとエタン-1,2-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオールおよび1,6-ジイソシアナトヘキサンとペンタン-1,5-ジオールからなる群から選択され、さらにより好ましくは1,4-ジイソシアナトブタンとエタン-1,2-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとペンタン-1,5-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとヘキサン-1,6-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとエタン-1,2-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとペンタン-1,5-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとエタン-1,2-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオールおよび1,6-ジイソシアナトヘキサンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオールからなる群から選択され、最も好ましくは1,4-ジイソシアナトブタンとエタン-1,2-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとペンタン-1,5-ジオール、1,4-ジイソシアナトブタンとヘキサン-1,6-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとエタン-1,2-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオール、1,5-ジイソシアナトペンタンとブタン-1,2-、-1,3-および/または-1,4-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとエタン-1,2-ジオール、1,6-ジイソシアナトヘキサンとプロパン-1,2-および/または-1,3-ジオールおよび1,6-ジイソシアナトヘキサンとブタン-1,2-、-1,3および/または-1,4-ジオールからなる群から選択される成分Aおよび成分Bの少なくとも1つの組み合わせの重付加によって形成されることを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0141】
27.熱可塑性ポリウレタンポリマーは、ポリマーのkg当たりで4.0mol/kg~10.0mol/kg、好ましくはポリマーのkg当たりで6.0mol/kg~9.0mol/kg、より好ましくはポリマーのkg当たりで6.5mol/kg~9.0mol/kg、最も好ましくはポリマーのkg当たりで7.0mol/kg~9.0mol/kgのウレタン基の割合を有することを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0142】
28.熱可塑性ポリウレタンポリマーは、成分Bの総量に基づき98重量%~100重量%の線状脂肪族ジイソシアネートを含有するジイソシアネート成分Bと、成分Aの総量に基づき98重量%~100重量%の62g/mol~250g/molの分子量を有する線状脂肪族ジオールを含有するジオール成分Aとの反応によって得られることを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0143】
29.熱可塑性ポリウレタンポリマーは、成分Bの総量に基づき98重量%~100重量%の、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ブタン1,4-ジイソシアネートおよび/またはこれらの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される、ジイソシアネートを含有する成分Bと、成分Aの総量に基づき98重量%~100重量%の、ブタン-1,4-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、エタン-1,2-ジオールおよび/またはこれらの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される、ジオールを含有する成分Aとの反応によって得られることを特徴とする、先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセス。
【0144】
30.先行する実施形態のいずれかによる連続的な無溶媒多段階プロセスから得ることができる熱可塑性ポリウレタン。
【0145】
熱可塑性ポリウレタンポリマーは、ポリマーのkg当たりで4.0mol/kg~10.0mol/kg、好ましくはポリマーのkg当たりで6.0mol/kg~9.0mol/kg、より好ましくはポリマーのkg当たりで6.5mol/kg~9.0mol/kg、最も好ましくはポリマーのkg当たりで7.0mol/kg~9.0mol/kgのウレタン基の割合を有することを特徴とする、実施形態30による熱可塑性ポリウレタン。
【0146】
本発明によるプロセスによって製造される熱可塑性ポリウレタンは、成形体、特に押出成形品、射出成形品、フィルム、熱可塑性発泡体、または粉末を与えるように加工することができる。
【0147】
以下に説明される図面および実施例は本発明をさらに説明するのに役立つが、これらは特定の実施形態の例示的な実施例を構成するに過ぎず、本発明の範囲を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0148】
図1】温度制御重合反応器および押出機における反応順序による、本発明による熱可塑性ポリウレタンの2段階連続調製の実施のための構成の好ましい実施形態である。
図2】ループ反応器および押出機における反応順序による、本発明による熱可塑性ポリウレタンの2段階連続調製の実施のための構成の好ましい実施形態である。
【実施例
【0149】
全てのパーセンテージは、特に明記しない限り、重量に基づく。
【0150】
使用された原料:
ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート(PDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H12MDI)およびキシリレンジイソシアネート(XDI)は、Covestro AGから供給された。
【0151】
ブタン-1,4-ジオール(BDO)は、Ashlandから供給された。プロパン-1,3-ジオール(PDO)、ヘキサン-1,6-ジオール(HDO)およびシクロヘキサン-1,4-ジメタノールは、Sigma-Aldrichから供給された。原料それぞれの純度は、≧99%であった。
【0152】
色値
CIE-Lab色空間における色値は、DIN EN ISO 11664-1(2011年7月)に従って、D65光源、10°観測器を備えたコニカミノルタCM5分光光度計で決定された。
【0153】
示差走査熱量測定(DSC)
融点は、DIN EN 61006(2004年11月)に従って、Mettler DSC 12E(Mettler Toledo GmbH、Giessen、Germany)を備えたDSC(示差走査熱量測定)によって決定された。較正は、インジウムおよび鉛の溶融開始温度を介して行った。10mgの物質を標準カプセル中で秤量した。測定は、20K/minの加熱速度で-50℃から+200℃までの3回の加熱ランと、その後の20K/minの冷却速度での冷却によって行った。冷却は、液体窒素によって行った。使用されたパージガスは窒素であった。報告された値は、それぞれ2回目の加熱曲線の評価に基づいている。
【0154】
示差熱分析(DTA)によるスクリーニング
エンタルピーデータは、スクリーニングDTAによって確認され、ISO 17025認定実験室で実施した。試料をガラスアンプル中で計量採取し、気密に封止し、測定機器中、3K/minで-50℃から+450℃まで加熱した。熱電対により、試料温度と不活性基準(酸化アルミニウム)の温度の差を決定した。開始重量は20mg~30mgであった。全ての測定は、DIN 51007(1994年6月)に基づいて行った。装置の測定誤差は±2%である。
【0155】
【表1】
【0156】
比較例1:
二軸押出機(Werner&PfleisererからのZSK53)のハウジング1に、105℃に加熱された64.4kg/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートと、110℃に加熱された32.9kg/hのブタン-1,4-ジオールと22.8kg/hのポリ-THFジオール(1000g/mol、BASF社製)との混合物とを計量供給した。押出機速度は270rpmであった。押出機中の滞留時間は約42秒であった。押出機出口では、メッシュサイズが200マイクロメートルである単層金属篩を通して溶融物を濾過し、ストランドとして引き出し、水浴中で冷却し、ペレット化した。
【0157】
最大限の冷却にもかかわらず、12のハウジングのうちの7つにおける押出機内の温度は240℃を超える値に上昇した。得られた生成物は、かなりの加熱の結果として黄色がかった変色を有し、暗褐色から黒色の斑点を有しており、それ故に商業的に使用できなかった。
【0158】
比較例2:
アンカー撹拌機、基部出口および内部温度計を備えた窒素不活性化5L圧力タンクに、最初に、窒素(1bar)下でブタン-1,4-ジオール(1.35kg)を装填し、これを90℃の内部温度に達するまで撹拌した。次いで、2時間かけて、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートの総量を圧力タンク中に連続的に計量供給し(2.5kg)、同時に反応器温度を190℃まで連続的に上昇させた。重付加の際に放出された反応熱のために、全反応時間にわたる反応混合物の温度は、それぞれの規定された反応器温度よりも最大15℃高かった。ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートの添加が終了した後、その混合物を200℃でさらに10分間撹拌した。この間、106Pa・sへの粘度の上昇を検出した(周波数1Hz、レオメーター:Anton Paar MCR-302;ISO 6721-10(2015年9月)による測定)。この粘度の上昇は、撹拌機の破損をもたらした。高粘度のために、圧力タンクからのポリマーの排出はできなかった。
【0159】
ポリマーの融点は174.9℃である(20K/minでの冷却後のDSC2回目の加熱)。
【0160】
比較例3(EP0135111A2):
EP0135111A2は、ポリエステルポリオール、MDI、NDI、およびブタン-1,4-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオールおよびトリメチロールプロパンの反応による熱可塑性ポリウレタンの調製を開示している。3.72質量%の4,4’-MDI(χMDI=0.0372)と23.13質量%の1,5-NDI(χNDI=0.2313)の混合物を異なるOH末端成分と反応させる。完全な転化が想定される。4,4’-MDIは、Mm,MDI=250.25g/molの分子量を有し、1,5-NDIは、Mm,NDI=210.19g/molの分子量を有する。
【0161】
従って、4,4’-MDIのモル濃度は、
【数3】
であり、1,5-NDIのモル濃度は、
【数4】
である。4,4’-MDIおよび1,5-NDIの分子はそれぞれ2つのイソシアネート基を有するため、イソシアネート末端基の濃度は、
【数5】
である。
【0162】
イソシアネートの1モル当たりのウレタンの反応モルエンタルピーは、およそ
【数6】
である。従って、質量ベースの反応エンタルピーは、
【数7】
であり、そのため、発明の範囲内にない。
【0163】
比較例4(EP0900812A1、例1-4):
EP0900812A1は、ポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオール、MDI、ならびにブタン-1,4-ジオールおよび一部の場合にヘキサン-1,6-ジオールの反応による熱可塑性ポリウレタンの調製を開示している。例1~4では、nPBA=1.0molのポリブタン-1,4-ジオールアジペート(分子量はMm,PBA=2200g/molとして報告される)、質量mPBA=nPBA・Mm,PBA=2.2kg、nBDO=2.5molのブタン-1,4-ジオール(分子量Mm,PBA=90.12g/mol)、質量mBDO=nBDO・Mm,BDO=0.225kgおよび3.5molの4,4’-MDI(分子量Mm,MDI=250.25g/mol)、質量mMDI=nMDI・MmMDI=0.876kgを使用した。従って、反応性成分の総質量は、m=mPBA+mBDO+mMDI=3.301kgである。
【0164】
さらに、総質量に基づき、χBSA=0.007の質量割合のビスエチレンステアリルアミドを使用した。従って、総質量は、
【数8】
である。
【0165】
4,4’-MDIのモル濃度は、
【数9】
である。
【0166】
4,4’-MDIの1つの分子は2つのイソシアネート基を有するため、イソシアネート末端基の濃度は、
【数10】
である。
【0167】
BSA イソシアネート基1モル当たりのウレタン反応の反応モルエンタルピーは、およそ
【数11】
である。従って、質量ベースの反応エンタルピーは、
【数12】
であり、そのため、発明の範囲内にない。
【0168】
比較例5(EP0900812A1、例5~6):
EP0900812A1の例5および6では、nPPEG=0.4molの、Mm,PPEG=2000g/molの分子質量を有するポリプロピレンエーテルグリコール、即ちmPPEG=nPPEG・Mm,PPEG=800gの質量、nPMEG=0.6molの、Mm,PMEG=1000g/molの分子質量を有するポリテトラメチレンエーテルグリコール、即ちmPMEG=nPMEG・Mm,PMEG=600gの質量、nBDO=1.84molの、Mm,BDO=90.12g/molの分子質量を有するブタン-1,4-ジオール、即ちmBDO=nBDO・Mm,BDO=165.82gの質量、nHDO=0.08molの、Mm,HDO=118.18g/molの分子質量を有するヘキサン-1,6-ジオール、即ちmHDO=nHDO・Mm,HDO=9.45gの質量、およびnPPEG=2.92molの、Mm,MDI=250.25g/molの分子質量を有する4,4’-MDI、即ちmMDI=nMDI・Mm,MDI=730.73gの質量を使用した。
【0169】
従って、反応性成分の総質量は、m=mPPEG+mPMEG+mBDO+mHDO+mMDI=2306gである。
【0170】
さらに、総質量に基づき、χBSA=0.007の質量割合のビスエチレンステアリルアミドを使用した。従って、総質量は、
【数13】
である。
【0171】
NDIの濃度は、
【数14】
である。4,4’-MDIの1つの分子は2つのイソシアネート基を有するため、イソシアネート末端基の濃度は、
【数15】
である。
【0172】
イソシアネート基1モル当たりのウレタン反応の反応モルエンタルピーは、およそ
【数16】
である。従って、質量ベースの反応エンタルピーは、
【数17】
であり、そのため、発明の範囲内にない。
【0173】
発明例1(図1):
図1は、熱可塑性ポリウレタンの2段階連続調製の実施のための構成の概略図を示す。
【0174】
リザーバ1から、311.7g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートを、ポンプ100(モデル:SyrDos2、10mlシリンジ付き、HiTec Zang社製)を用いてミキサー100に搬送した。同時に、リザーバ2から、208.7g/hのブタン-1,4-ジオールを、同様に、ポンプ200(モデル:SyrDos2、10mlシリンジ付き、HiTec Zang社製)を用いてミキサー100に搬送した。室温にて2つの物質流をミキサー100中で混合した。使用したミキサーは、Ehrfeld Microtechnik BTS GmbHからのカスケードミキサーであり、これを加熱バンドによって200℃の温度に加熱した。ミキサーの出口においてその混合物の温度は100℃であった。その後、混合物を170℃に加熱した反応器100内に導いた(モデル:CSE-X/8G,Form G、内径=12.3mm、長さ=500mm、Fluitec社製、1立方メートル当たり60キロワットの熱交換能力およびケルビン)。反応器中の滞留時間は5分であった。反応器100から連続的に出るプレポリマーを、200℃に加熱したパイプラインを通して、2軸押出機(Miniextruder Process 11/Thermo Fisher)の第2のハウジングに移した。押出機はその全長にわたって200℃に加熱され、シャフトの速度は100rpmであった。続いて、70.1g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートを、ポンプ300(モデル:SyrDos2、10mlシリンジ付き、HiTec Zang社製)を用いて押出機のハウジング3に搬送した。得られた乳白色の生成物を、押出機ノズルを通して、排出し、ストランドとして取り出し、水浴(25℃)中で冷却し、ペレット化した。
【0175】
全てのプロセス段階にわたる平均滞留時間は約6分であった。
【0176】
反応器100への入口での加熱媒体の温度は170℃であった。反応器100の出口での生成物温度は172℃であった。このようにして、反応器100において総反応エンタルピーの71%を取り除いた。
【0177】
調製されたポリマーの融点は、182.9℃である(20K/minでの冷却後のDSC2回目の加熱)。L値は82.7であり、b値は0.2である。
【0178】
発明例2:
例1において説明された実験設定において、311.7g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートをポンプ100で計量供給し、273.7g/hのヘキサン-1,6-ジオールをポンプ200で計量供給し、70.1g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートをポンプ300で計量供給し、反応させた。反応器100への入口の温度は50℃であった。反応器100の熱媒体温度は170℃であった。その出口での温度は176℃であった。このようにして、反応器100において総反応エンタルピーの61%を取り除いた。
【0179】
全てのプロセス段階にわたる平均滞留時間は約6分であった。調製されたポリマーの融点は、168.6℃である(20K/minでの冷却後のDSC2回目の加熱)。
【0180】
発明例3:
例1において説明された実験設定において、311.7g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートをポンプ100で計量供給し、240.2g/hのペンタン-1,5-ジオールをポンプ200で計量供給し、73.9g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートをポンプ300で計量供給し、反応させた。反応器100への入口での温度は100℃であった。反応器100の加熱媒体温度は155℃であった。その出口での温度は160℃であった。このようにして、反応器100において総反応エンタルピーの70%を取り除いた。
【0181】
全てのプロセス段階にわたる平均滞留時間は約6分であった。調製されたポリマーの融点は、152.7℃である(20K/minでの冷却後のDSC2回目の加熱)。
【0182】
発明例4:
例1において説明された実験設定において、311.7g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートをポンプ100で計量供給し、176.1g/hのプロパン-1,3-ジオールをポンプ200で計量供給し、73.9g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートをポンプ300で計量供給し、反応させた。反応器100への入口での温度は162℃であった。反応器100の加熱媒体温度は165℃であり、その出口での温度は168℃であった。このようにして、反応器100において反応エンタルピーの76%を取り除いた。
【0183】
全てのプロセス段階にわたる平均滞留時間は約7分であった。調製されたポリマーの融点は、161.8℃である(20K/minでの冷却後のDSC2回目の加熱)。
【0184】
発明例5:
例1において説明された実験設定において、285.7g/hのペンタメチレン1,5-ジイソシアネートをポンプ100で計量供給し、176.2g/hのプロパン-1,3-ジオールをポンプ200で計量供給し、64.3g/hのペンタメチレン1,5-ジイソシアネートをポンプ300で計量供給し、反応させた。反応器100への入口での温度は130℃であった。反応器100の加熱媒体温度は150℃であり、その出口での温度は152℃であった。このようにして、反応器100において反応エンタルピーの78%を取り除いた。
【0185】
全てのプロセス段階にわたる平均滞留時間は約7分であった。調製されたポリマーの融点は、153.3℃である(20K/minでの冷却後のDSC2回目の加熱)。
【0186】
発明例6:
例1において説明された実験設定において、285.7g/hのペンタメチレン1,5-ジイソシアネートをポンプ100で計量供給し、208.7g/hのブタン-1,4-ジオールをポンプ200で計量供給し、67.8g/hのペンタメチレン1,5-ジイソシアネートをポンプ300で計量供給し、反応させた。
【0187】
反応器100への入口での温度は30℃であった。反応器100の加熱媒体温度は176℃であり、その出口での温度は180℃であった。このようにして、反応器100において反応エンタルピーの78%を取り除いた。このようにして、反応器100において反応エンタルピーの61%を取り除いた。
【0188】
全てのプロセス段階にわたる平均滞留時間は約7分であった。調製されたポリマーの融点は、160.9℃である(20K/minでの冷却後のDSC2回目の加熱)。L値は81.5であり、b値は0.7である。
【0189】
発明例7:
例1において説明された実験設定において、311.7g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートをポンプ100で計量供給し、192.5g/hのブタン-1,4-ジオールとプロパン-1,3-ジオールとの混合物(モル量1:1)をポンプ200で計量供給し、70.1g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートをポンプ300で計量供給し、反応させた。反応器100への入口での温度は90℃であった。反応器100の加熱媒体温度は135℃であり、その出口での温度は140℃であった。このようにして、反応器100において反応エンタルピーの75%を取り除いた。
【0190】
全てのプロセス段階にわたる平均滞留時間は約7分であった。調製されたポリマーの融点は、137.0℃である(20K/minでの冷却後のDSC2回目の加熱)。
【0191】
発明例8:
例1において説明された実験設定において、305.5g/hのペンタメチレン1,5-ジイソシアネートをポンプ100で計量供給し、259.1g/hのブタン-1,4-ジオールとシクロヘキサン-1,4-ジメタノールとの混合物(モル量7:3)をポンプ200で供給し、68.4g/hのペンタメチレン1,5-ジイソシアネートをポンプ300で供給し、反応させた。反応器100への入口での温度は60℃であった。反応器100の加熱媒体温度は175℃であり、その出口での温度は180℃であった。このようにして、反応器100において反応エンタルピーの64%を取り除いた。
【0192】
全てのプロセス段階にわたる平均滞留時間は約6分であった。調製されたポリマーの融点は、166.1℃である(20K/minでの冷却後のDSC2回目の加熱)。
【0193】
発明例9:
例1において説明された実験設定において、310.0g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートとm-キシリレンジイソシアネートとの混合物(モル量8:2)をポンプ100で計量供給し、208.1g/hのブタン-1,4-ジオールをポンプ200で計量供給し、83.9g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートとm-キシリレンジイソシアネートとの混合物(モル量8:2)をポンプ300で計量供給し、反応させた。反応器100への入口での温度は40℃であった。反応器100の加熱媒体温度は176℃であり、その出口での温度は180℃であった。このようにして、反応器100において反応エンタルピーの61%を取り除いた。
【0194】
全てのプロセス段階にわたる平均滞留時間は約7分であった。調製されたポリマーの融点は、163.6℃である(20K/minでの冷却後のDSC2回目の加熱)。
【0195】
発明例10:
例1において説明された実験設定において、313.3g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートとの混合物(モル量8:2)をポンプ100で計量供給し、208.1g/hのブタン-1,4-ジオールをポンプ200で計量供給し、96.1g/hのヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートとイソホロンジイソシアネートとの混合物(モル量8:2)をポンプ300で計量供給し、反応させた。反応器100への入口での温度は40℃であった。反応器100の加熱媒体温度は174℃であり、その出口での温度は180℃であった。このようにして、反応器100において反応エンタルピーの61%を取り除いた。
【0196】
全てのプロセス段階にわたる平均滞留時間は約6分であった。調製されたポリマーの融点は、163.7℃である(20K/minでの冷却後のDSC2回目の加熱)。
【0197】
発明例11(図2):
ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートのための250リットルのリザーバ1から、歯付きリングポンプ2(HNP社製、MZR 7255)を用いて、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート流Aをスタティックミキサー7に搬送した。ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート流Aの処理量は、質量流量計3(Bronkhorst社製、Mini Cori-Flow M1X、最大流量12kg/h)によって測定され、2.911kg/hの値に調整された。ブタン-1,4-ジオールのための250リットルのリザーバ4から、歯付きリングポンプ5(HNP社製、MZR 7205)を用いて、ブタン-1,4-ジオール流Bをスタティックミキサー7に搬送した。ブタン-1,4-ジオール流の処理量を、質量流量計6(Bronkhorst社製、Mini Cori-Flow M1X、最大流量8kg/h)によって測定し、2.000kg/hの値に調整した。ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートの温度は、周囲温度、約25℃であった。ブタン-1,4-ジオールの温度は40℃であった。スタティックミキサー7(Sulzer SMX、直径6mm、直径に対する長さの比L/D=10)において、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート流Aおよびブタン-1,4-ジオール流Bを互いに混合した。これが流れCである。
【0198】
混合され、分散している流れCを、循環システムにおいて、循環ポリマー流Dと共に、スタティックミキサー8(Sulzer SMXと同等のスタティックミキサー、内径34mm、L/D=20)において混合し、流れHを得た。流れDの温度は182℃であった。
【0199】
混合され、すでに部分的に反応している流れHは、温度制御可能なスタティックミキサー9に導かれた。そこで反応の大部分が進行し、生じた反応熱を取り除いた。温度制御可能なスタティックミキサー9は、内部交差チューブを有するSulzer SMX反応器と同様の構造であった。それは、1.9リットルの内部容積および0.44平方メートルの熱交換面積を有していた。それを熱キャリヤオイルで加熱/冷却した。その入口での加熱媒体温度は180℃であった。
【0200】
生成物流は、183℃の温度で大部分が反応した流れEとして温度制御可能なスタティックミキサー9から出た。ブランチ11において、流れEを2つのサブストリームFおよびGに分けた。サブストリームFの圧力はギアポンプ10で上昇させた。サブストリームFは、ポンプの下流で上述のサブストリームDとなった。
【0201】
ギアポンプ10(Witte Chem 25,6-3)は、25.6立方センチメートルのサイクル当たりの体積および50/分の速度を有していた。
【0202】
循環システム全体はいっぱいであり、ポリマーは大部分非圧縮性であった。したがって、流れGの質量流量は流れCのものと同一であった。流れGはオリゴマーからなるものであった。
【0203】
循環システム全体は、ジャケット付きパイプラインおよび装置からなり、熱オイルで加熱された。加熱媒体温度は182℃であった。
【0204】
圧力保持バルブ12の下流で、流れGは、三方バルブ13を通過した。始動時および停止時または故障の場合には、前述の流れGを廃棄容器14、空気抽出付きオープン200リットル金属タンクに流すことが可能であった。通常の操作では、流れGを押出機18に導いた。
【0205】
ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートリザーバ1から、マイクロ歯付きリングポンプ15(HNP社製MZR 6355)を用いて、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート流Jを引き出した。ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート流Jの処理量は、質量流量計16(Bronkhorst社製、Mini Cori-Flow M1X、最大流量2kg/h)によって測定され、0.784kg/hに調整された。ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート流Jの温度は、同様に室温、約25℃であった。この流れは同様に押出機18に導かれた。
【0206】
押出機18はCoperion社のZSK 26MCであり、温度200℃、速度66回転/分で作動させた。この押出機では、周囲圧力に対して約1mbarの減圧にて操作される通気システム17によって、流れGから、物質AおよびBの流れに混ざった不活性ガスと、可能性のある揮発性反応生成物を除去した。オリゴマー流Gの添加の下流で、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート流Jを添加し、ポリマーを与える反応を行った。押出機の終わりの前に、脱気操作19を介して、得られたポリマー流から揮発性成分を除去した。この脱気の際の圧力は、周囲圧力より200mbar低かった。ポリマー流Kを2つのノズルを通して搾り出し、脱塩水で満たした水浴中で冷却し、ペレタイザー21によってペレットに細断した。
【0207】
全てのプロセス段階にわたる平均滞留時間は51分であった。ポリマーの融点は185.2℃である(20K/minでの冷却後のDSC2回目の加熱)。
【0208】
総反応エンタルピーの58%を温度制御可能なスタティックミキサー9で除去した。
【0209】
発明例12(図2):
例11において説明された実験設定で、この際に、2.711kg/hのペンタメチレン1,5-ジイソシアネート(流れA)をリザーバ1からスタティックミキサー7に搬送し、2.000kg/hのブタン-1,4-ジオール(流れB)をリザーバ4から搬送した。ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート流Jの処理量を0.677kg/時に調節した。
【0210】
原料の温度ならびに他の物質流およびプラントコンポーネントおよび加熱媒体の温度は、例11において説明したものに対応するものであった。押出機速度及び脱気圧力もまた、例11のものに対応した。加熱温度は165℃であった。
【0211】
全てのプロセス段階にわたる平均滞留時間は53分であった。調製されたポリマーの融点は、159.0℃である(20K/minでの冷却後のDSC2回目の加熱)。総反応エンタルピーの62%を温度制御可能なスタティックミキサー9で除去した。
図1
図2
【国際調査報告】