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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(54)【発明の名称】骨組織工学のための生体材料
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/36 20060101AFI20230207BHJP
   A61L 27/22 20060101ALI20230207BHJP
   A61L 27/20 20060101ALI20230207BHJP
   A61L 27/24 20060101ALI20230207BHJP
   A61L 27/52 20060101ALI20230207BHJP
   A61L 27/56 20060101ALI20230207BHJP
   A61L 27/38 20060101ALI20230207BHJP
   A61L 27/32 20060101ALI20230207BHJP
   A61L 27/30 20060101ALI20230207BHJP
   A61L 27/34 20060101ALI20230207BHJP
   A61L 27/40 20060101ALI20230207BHJP
   A61L 27/48 20060101ALI20230207BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20230207BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20230207BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230207BHJP
   A61K 35/32 20150101ALI20230207BHJP
   A61K 6/58 20200101ALI20230207BHJP
   A61K 6/60 20200101ALI20230207BHJP
   A61K 6/75 20200101ALI20230207BHJP
   A61K 6/77 20200101ALI20230207BHJP
【FI】
A61L27/36 200
A61L27/22
A61L27/20
A61L27/24
A61L27/52
A61L27/36 410
A61L27/56
A61L27/38
A61L27/36 110
A61L27/36 100
A61L27/36 400
A61L27/32
A61L27/30
A61L27/34
A61L27/40
A61L27/48
A61L27/38 111
A61L27/36 311
A61L27/36 312
A61L27/38 112
A61L27/38 200
A61P19/08
A61P1/02
A61P43/00 105
A61K35/32
A61K6/58
A61K6/60
A61K6/75
A61K6/77
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022531356
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2022-07-26
(86)【国際出願番号】 CA2020051750
(87)【国際公開番号】W WO2021119830
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】62/950,544
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】521499871
【氏名又は名称】スパイダーワート インク.
【氏名又は名称原語表記】SPIDERWORT INC.
(71)【出願人】
【識別番号】504347337
【氏名又は名称】ユニバーシティ・オブ・オタワ
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】レブラン ラトゥール マキシム
(72)【発明者】
【氏名】ヒッキー ライアン
(72)【発明者】
【氏名】クエリエ シャルル エム.
(72)【発明者】
【氏名】ペリング アンドルー イー.
(72)【発明者】
【氏名】タラル マリアム
(72)【発明者】
【氏名】カテラス イザベル
【テーマコード(参考)】
4C081
4C087
4C089
【Fターム(参考)】
4C081AB02
4C081AB04
4C081AB06
4C081CD011
4C081CD022
4C081CD041
4C081CD081
4C081CD111
4C081CD121
4C081CD171
4C081CD28
4C081CD31
4C081CD32
4C081CD34
4C081CE02
4C081CF012
4C081CF032
4C081CF112
4C081CF132
4C081CG01
4C081DA12
4C081DB03
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB46
4C087CA03
4C087MA05
4C087MA67
4C087NA14
4C087ZA96
4C087ZB21
4C089AA07
4C089BA14
4C089BA15
4C089BE14
4C089BE17
(57)【要約】
脱細胞化された植物組織又は真菌組織を含み、脱細胞化された植物組織又は真菌組織から組織の細胞性物質及び核酸が除去されており、脱細胞化された植物組織又は真菌組織が3次元多孔質構造を有する、足場生体材料であって、脱細胞化された植物組織又は真菌組織が少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化されていてもよく、足場生体材料がタンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲル、又はその両方をさらに含んでいてもよい、足場生体材料が本明細書に提供される。製造の方法並びに例えば骨組織工学のための方法及び使用を含む、そのような足場生体材料の方法及び使用も、本明細書に提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織の細胞性物質及び核酸が除去され、3次元多孔質構造を含む、脱細胞化された植物組織又は真菌組織、並びに
タンパク質ベースのヒドロゲル、多糖ベースのヒドロゲル、又はその両方
を含む、
足場生体材料。
【請求項2】
タンパク質ベースのヒドロゲルが、コラーゲン、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質、オステオカルシン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、骨形成タンパク質、他のマトリックスタンパク質、若しくはそれらの任意の組合せを含むか、多糖ベースのヒドロゲルが、アガロース、アルギネート、ヒアルロン酸、若しくは別の糖質、若しくはそれらの組合せを含むか、又はその両方である、請求項1に記載の足場生体材料。
【請求項3】
タンパク質ベースのヒドロゲルがコラーゲンヒドロゲルを含む、請求項1又は2に記載の足場生体材料。
【請求項4】
タンパク質ベースのヒドロゲルがコラーゲンIを含む、請求項1~3のいずれかに記載の足場生体材料。
【請求項5】
脱細胞化された植物組織又は真菌組織が約100~約200μm又は約150~約200μmの孔サイズを含む、請求項1~4のいずれかに記載の足場生体材料。
【請求項6】
脱細胞化された植物組織又は真菌組織が脱細胞化リンゴ花托筒組織を含む、請求項1~5のいずれかに記載の足場生体材料。
【請求項7】
前骨芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞、間葉系幹細胞、分化した骨及び/若しくは頭蓋冠組織細胞、又はそれらの任意の組合せなどの1又は2以上の骨関連細胞型をさらに含む、請求項1~6のいずれかに記載の足場生体材料。
【請求項8】
約20kPa~約1MPaのヤング率を有する、請求項1~7のいずれかに記載の足場生体材料。
【請求項9】
脱細胞化された植物組織又は真菌組織の孔璧が骨芽細胞によりミネラル化されている、請求項7に記載の足場生体材料。
【請求項10】
脱細胞化された植物組織又は真菌組織が少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化されている、請求項1~9のいずれかに記載の足場生体材料。
【請求項11】
脱細胞化された植物組織又は真菌組織が、アパタイト、リン酸オステオカルシウム、生体適合性セラミック、生体適合性ガラス、生体適合性金属ナノ粒子、ナノ結晶セルロース、又はそれらの任意の組合せで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化されている、請求項10に記載の足場生体材料。
【請求項12】
脱細胞化された植物組織又は真菌組織が、アパタイトで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化されている、請求項10又は11に記載の足場生体材料。
【請求項13】
アパタイトがヒドロキシアパタイトを含む、請求項12に記載の足場生体材料。
【請求項14】
組織の細胞性物質及び核酸が除去され、3次元多孔質構造を含む、脱細胞化された植物組織又は真菌組織を含む足場生体材料であって、
前記脱細胞化された植物組織又は真菌組織が少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化されている、前記足場生体材料。
【請求項15】
脱細胞化された植物組織又は真菌組織が、アパタイト、リン酸オステオカルシウム、生体適合性セラミック、生体適合性ガラス、生体適合性金属ナノ粒子、ナノ結晶セルロース、又はそれらの任意の組合せで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化されている、請求項14に記載の足場生体材料。
【請求項16】
脱細胞化された植物組織又は真菌組織が、アパタイトで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化されている、請求項14又は15に記載の足場生体材料。
【請求項17】
アパタイトがヒドロキシアパタイトを含む、請求項16に記載の足場生体材料。
【請求項18】
脱細胞化された植物組織又は真菌組織がリンゴを含む、請求項14~17のいずれかに記載の足場生体材料。
【請求項19】
脱細胞化された植物組織又は真菌組織が、塩化カルシウムの溶液及びリン酸二ナトリウムの溶液への交互曝露により、アパタイトで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化されている、請求項14~18のいずれかに記載の足場生体材料。
【請求項20】
タンパク質ベースのヒドロゲル、多糖ベースのヒドロゲル、又はその両方をさらに含む、請求項14~19のいずれかに記載の足場生体材料。
【請求項21】
タンパク質ベースのヒドロゲルが、コラーゲン、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質、オステオカルシン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、骨形成タンパク質、他のマトリックスタンパク質、若しくはそれらの任意の組合せを含むか、多糖ベースのヒドロゲルが、アガロース、アルギネート、ヒアルロン酸、若しくは別の糖質、若しくはそれらの組合せを含むか、又はその両方である、請求項20に記載の足場生体材料。
【請求項22】
タンパク質ベースのヒドロゲルがコラーゲンヒドロゲルを含む、請求項20又は21に記載の足場生体材料。
【請求項23】
タンパク質ベースのヒドロゲルがコラーゲンIを含む、請求項20~22のいずれかに記載の足場生体材料。
【請求項24】
脱細胞化された植物組織又は真菌組織が、セルロースベース、キチンベース、キトサンベース、リグニンベース、ヘミセルロースベース、若しくはペクチンベース、又はそれらの任意の組合せである、請求項1~23のいずれかに記載の足場生体材料。
【請求項25】
植物組織又は真菌組織が、リンゴ花托筒(セイヨウリンゴ)組織、シダ(モニロフィテス)組織、カブ(ブラッシカ・ラパ)根組織、イチョウ枝組織、ツクシ(トクサ)組織、ワスレグサ属ハイブリッド葉組織、ケール(ブラッシカ・オレラセア)茎組織、針葉樹ベイマツ(シュードツガ・メンジエシ)組織、サボテン果実(ピタヤ)果肉組織、マキュラータビンカ組織、水生ハス(ネルンボ・ヌシフェラ)組織、チューリップ(チューリッパ・ゲスネリアーナ)花弁組織、オオバコ属(バナナ)組織、ブロッコリー(ブラッシカ・オレラセア)茎組織、カエデ葉(アメリカスズカケノキ)茎組織、ビート(サトウダイコン)一次根組織、ネギ(タマネギ)組織、ラン(ラン科)組織、カブ(ブラッシカ・ラパ)茎組織、ニラ(リーキ)組織、カエデ(カエデ属)木枝組織、セロリ(オランダミツバ)組織、ネギ(タマネギ)茎組織、マツ組織、アロエベラ組織、スイカ(キトルルス・ラナタス・バル・ラナタス)組織、クリーピング・ジェニー(オカトラノオ属ツル植物)(コバンコナスビ)組織、カクタエ(cactae)組織、リクニス・アルピナ組織、ルバーブ(ショクヨウダイオウ)組織、カボチャ果肉(ペポカボチャ)組織、ドラセナ(キジカクシ科)茎組織、ムラサキツユクサ(オオムラサキツユクサ)茎組織、アスパラガス(オランダキジカクシ)茎組織、マッシュルーム(真菌)組織、フェンネル(ウイキョウ)組織、バラ(バラ属)組織、ニンジン(ダウクス・カロタ)組織、又はセイヨウナシ(リンゴ類)組織、又は直接的ゲノム改変により若しくは選択的育種を通して生産された遺伝子変更組織、又はそれらの任意の組合せからの組織を含む、請求項1~24のいずれかに記載の足場生体材料。
【請求項26】
脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織上及び/又は脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織内に、生細胞、特に、非ネイティブ細胞をさらに含む、請求項1~25のいずれかに記載の足場生体材料。
【請求項27】
生細胞が動物細胞である、請求項26に記載の足場生体材料。
【請求項28】
生細胞が哺乳動物細胞である、請求項27に記載の足場生体材料。
【請求項29】
生細胞がヒト細胞である、請求項28に記載の足場生体材料。
【請求項30】
一緒に接着され、架橋され、又はかみ合わされている2又は3以上のサブユニットを含む、請求項1~29のいずれかに記載の足場生体材料。
【請求項31】
脱細胞化された植物組織又は真菌組織が、異なる組織又は異なる供給源に由来する2又は3以上の異なる脱細胞化された植物組織又は真菌組織を含む、請求項1~30のいずれかに記載の足場生体材料。
【請求項32】
2又は3以上の異なる脱細胞化された植物組織又は真菌組織が一緒に接着され、架橋され、又はかみ合わされている、請求項31に記載の足場生体材料。
【請求項33】
骨組織工学に使用するための、請求項1~32のいずれかに記載の足場生体材料。
【請求項34】
請求項1~33のいずれかに記載の足場生体材料を含む、骨移植片。
【請求項35】
骨組織工学のための、骨移植のための、骨の修復若しくは再生のための、骨芽細胞分化のための、又はそれらの任意の組合せのための、請求項1~32のいずれかに記載の足場生体材料の使用。
【請求項36】
頭蓋顔面再建手術、歯科及び/若しくは顎顔面再建手術、広範な骨欠損及び/若しくは外傷再建、骨充填物適用、インプラント安定化、並びに/又は薬物送達、又はそれらの任意の組合せのいずれか1又は2以上のための、請求項1~32のいずれかに記載の足場生体材料の使用。
【請求項37】
歯科用骨充填物適用における、請求項1~32のいずれかに記載の足場生体材料の使用。
【請求項38】
大きいインプラントのための応力遮蔽低下剤としての、請求項1~32のいずれかに記載の足場生体材料の使用。
【請求項39】
活発な骨形成を促進するための;臨界及び/若しくは非臨界サイズの欠損部を修復するために移植するための;骨修復中に機械的支持を提供するための;長骨、頭蓋冠骨、顎顔面骨、歯の骨、及び/若しくは顎骨の喪失若しくは傷害において代用するための;歯槽堤造成、歯牙欠損、歯インプラント、及び/若しくは再建手術などの歯科矯正用及び/若しくは歯周用移植片のための;骨粗鬆症からの減少、年齢、以前のインプラント、及び/若しくは傷害による骨量減少による骨量を増加させるための特定の部位における移植のための;又は骨-インプラント組織一体化を向上させるための;又はそれらの任意の組合せのための、請求項1~32のいずれかに記載の足場生体材料の使用。
【請求項40】
骨組織を構築するための;骨移植のための:骨の修復若しくは再生のための;頭蓋顔面再建手術のための;歯科及び/若しくは顎顔面再建手術のための;広範な骨欠損及び/若しくは外傷再建のための;歯科若しくは他の骨充填物適用のための;インプラント安定化のための;大きいインプラントの応力遮蔽のための;活発な骨形成を促進するための;臨界及び/若しくは非臨界サイズの欠損部を修復するための;骨修復中に機械的支持を提供するための;長骨、頭蓋冠骨、顎顔面骨、歯の骨、及び/若しくは顎骨の喪失若しくは傷害について代用するための;歯槽堤造成、歯牙欠損、歯インプラント、及び/若しくは再建手術などの歯科矯正用及び/若しくは歯周用移植のための;骨粗鬆症からの減少、年齢、以前のインプラント、及び/若しくは傷害による骨量減少による骨量を増加させるための特定の部位における移植のための;骨-インプラント組織一体化を向上させるための;又は薬物送達のための、又はそれらの任意の組合せのための方法であって、
請求項1~32のいずれかに定義されている足場生体材料を提供するステップ、及び
前記足場生体材料を、それを必要とする対象へそれを必要とする部位又は領域において移植するステップ
を含む、前記方法。
【請求項41】
足場生体材料を生産するための方法であって、
脱細胞化された植物組織又は真菌組織を提供するステップであって、前記脱細胞化された植物組織又は真菌組織から前記組織の細胞性物質及び核酸が除去されており、前記脱細胞化された植物組織又は真菌組織が3次元多孔質構造を含む、ステップ、及び
タンパク質ベースのヒドロゲル、多糖ベースのヒドロゲル、又はその両方を前記脱細胞化された植物組織又は真菌組織に導入するステップ
を含む、前記方法。
【請求項42】
タンパク質ベースのヒドロゲルが、コラーゲン、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質、オステオカルシン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、骨形成タンパク質、他のマトリックスタンパク質、若しくはそれらの任意の組合せを含むか、多糖ベースのヒドロゲルが、アガロース、アルギネート、ヒアルロン酸、若しくは別の糖質、若しくはそれらの組合せを含むか、又はその両方である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
タンパク質ベースのヒドロゲルがコラーゲンヒドロゲルを含む、請求項41又は42に記載の方法。
【請求項44】
タンパク質ベースのヒドロゲルがコラーゲンIを含む、請求項41~43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
足場生体材料を生産するための方法であって、
脱細胞化された植物組織又は真菌組織を提供するステップであって、前記脱細胞化された植物組織又は真菌組織から前記組織の細胞性物質及び核酸が除去されており、前記脱細胞化された植物組織又は真菌組織が3次元多孔質構造を含む、ステップ、及び
前記脱細胞化された植物組織又は真菌組織を少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化するステップ
を含む、前記方法。
【請求項46】
脱細胞化された植物組織又は真菌組織が、アパタイト、リン酸オステオカルシウム、生体適合性セラミック、生体適合性ガラス、生体適合性金属ナノ粒子、ナノ結晶セルロース、又はそれらの任意の組合せで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化されている、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
脱細胞化された植物組織又は真菌組織が、アパタイトで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化されている、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項48】
アパタイトがヒドロキシアパタイトを含む、請求項46又は47に記載の方法。
【請求項49】
脱細胞化された植物組織又は真菌組織をコーティング又はミネラル化するステップが、前記脱細胞化された植物組織又は真菌組織を塩化カルシウムの溶液及びリン酸二ナトリウムの溶液への交互曝露に供することを含む、請求項45~48のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
タンパク質ベースのヒドロゲル、多糖ベースのヒドロゲル、又はその両方を足場生体材料に導入することをさらに含む、請求項45~49のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
タンパク質ベースのヒドロゲルが、コラーゲン、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質、オステオカルシン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、骨形成タンパク質、他のマトリックスタンパク質、若しくはそれらの任意の組合せを含むか、多糖ベースのヒドロゲルが、アガロース、アルギネート、ヒアルロン酸、若しくは別の糖質、若しくはそれらの組合せを含むか、又はその両方である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
タンパク質ベースのヒドロゲルがコラーゲンヒドロゲルを含む、請求項50又は51に記載の方法。
【請求項53】
タンパク質ベースのヒドロゲルがコラーゲンIを含む、請求項50~52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
生細胞、特に、非ネイティブ細胞を脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織上及び/又は脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織内に導入するステップをさらに含む、請求項41~53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
生細胞が動物細胞である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
生細胞が哺乳動物細胞である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
生細胞がヒト細胞である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
細胞が、前骨芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞、間葉系幹細胞、分化した骨及び/若しくは頭蓋冠組織細胞、又はそれらの任意の組合せである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
組織の細胞性物質及び核酸が除去され、3次元多孔質構造を含む、脱細胞化された植物組織又は真菌組織;
タンパク質ベースのヒドロゲル;
多糖ベースのヒドロゲル;
アパタイト;
塩化カルシウム;
リン酸二ナトリウム;
リン酸オステオカルシウム;
生体適合性セラミック;
生体適合性ガラス;
生体適合性金属ナノ粒子;
ナノ結晶セルロース;
前骨芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞、間葉系幹細胞、分化した骨及び/若しくは頭蓋冠組織細胞、又はそれらの任意の組合せなどの1若しくは2以上の骨関連細胞型などの哺乳動物細胞;
植物若しくは真菌組織、脱細胞化試薬、若しくはその両方;
緩衝液;のいずれか1又は2以上並びに/又は
請求項40~58のいずれかに定義されている方法を実施するための使用説明書;
を含むキット。
【請求項60】
タンパク質ベースのヒドロゲルが、コラーゲン、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質、オステオカルシン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、骨形成タンパク質、他のマトリックスタンパク質、若しくはそれらの任意の組合せを含むか、多糖ベースのヒドロゲルが、アガロース、アルギネート、ヒアルロン酸、若しくは別の糖質、若しくはそれらの組合せを含むか、又はその両方である、請求項59に記載のキット。
【請求項61】
タンパク質ベースのヒドロゲルがコラーゲンヒドロゲルを含む、請求項59又は60に記載のキット。
【請求項62】
タンパク質ベースのヒドロゲルがコラーゲンIを含む、請求項59~61のいずれかに記載のキット。
【請求項63】
アパタイトがヒドロキシアパタイトを含む、請求項59~62のいずれかに記載のキット。
【請求項64】
軟骨又は骨組織細胞になるように軟骨又は骨前駆細胞を分化させるための方法であって、
前記軟骨又は骨前駆細胞を、分化培地中、請求項1~33のいずれかに定義されている足場生体材料上で培養するステップを含み、
前記培養するステップが、前記培養された細胞を周囲圧力より高い上昇した気圧に少なくとも1回曝露させることを含む、前記方法。
【請求項65】
軟骨又は骨組織細胞になるように軟骨又は骨前駆細胞を分化させるための、請求項1~33のいずれかに記載の足場生体材料の使用であって、前記足場生体材料が、前記軟骨又は細胞前駆細胞を分化培地中で培養するのに使用するためのものであり、前記培養するステップが、前記細胞を周囲圧力より高い上昇した気圧に少なくとも1回曝露させることを含む、前記使用。
【請求項66】
軟骨又は骨組織細胞になるように軟骨又は骨前駆細胞を分化させるための方法であって、
前記軟骨又は骨前駆細胞を、分化培地中、請求項1~33のいずれかに定義されている足場生体材料上で培養するステップを含み、
前記培養するステップが、前記培養された細胞が周囲圧力より高い上昇した気圧に処理期間の少なくとも一部の間曝露される少なくとも1つの処理期間を含み、前記処理期間が少なくとも約10分間持続し、週に少なくとも1回実施され、
それにより前記軟骨又は骨前駆細胞を軟骨又は骨組織細胞に分化させる、前記方法。
【請求項67】
培養された細胞が、上昇した気圧への各曝露後、低圧力又は周囲の圧力条件に戻される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
処理期間が、培養された細胞を、低圧力又は周囲の圧力条件と上昇した気圧条件との間を交互にすることを含む、請求項66又は67に記載の方法。
【請求項69】
処理期間が、細胞が曝露される気圧を、低圧力又は周囲圧力と上昇した気圧との間で振動させることを含む、請求項66~68のいずれかに記載の方法。
【請求項70】
処理期間が、細胞が曝露される気圧を、低圧力又は周囲圧力と上昇した気圧との間で約1~10Hzの周波数で振動させることを含む、請求項66~68のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
処理期間が、細胞が曝露される気圧を、低圧力又は周囲圧力と上昇した気圧との間で振動させることを含み、前記低圧力又は周囲圧力が約101kPaなどの周囲圧力であり、前記上昇した気圧が、約381kPaなど、周囲圧力より約+280kPa高く、前記振動させることが約1~10Hzの周波数であってもよい、請求項66~70のいずれかに記載の方法。
【請求項72】
処理期間が、培養された細胞を、上昇した気圧に持続的期間の間曝露させることを含む、請求項66又は67に記載の方法。
【請求項73】
処理期間が、培養された細胞を、実質的に一定の上昇した気圧に持続的期間の間曝露させることを含む、請求項66、67、及び72のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
処理期間が約1時間又はそれより長く持続する、請求項66~73のいずれかに記載の方法。
【請求項75】
処理期間が1日1回又は1日2回以上実施される、請求項66~74のいずれかに記載の方法。
【請求項76】
培養するステップが少なくとも約1週間実施される、請求項66~75のいずれかに記載の方法。
【請求項77】
培養するステップが約2週間又はそれより長く実施される、請求項66~76のいずれかに記載の方法。
【請求項78】
上昇した気圧が静水圧として印加される、請求項66~77のいずれかに記載の方法。
【請求項79】
上昇した気圧が、培養された細胞より上の気相の圧力を調節することにより印加される、請求項66~78のいずれかに記載の方法。
【請求項80】
上昇した気圧が、約381kPaなど、周囲圧力より約+280kPa高い、請求項66~79のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月19日に出願された、「Biomaterials for Bone Tissue Engineering」と題された米国仮特許出願第62/950,544号の優先権を主張し、その内容全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、概して、足場生体材料に関する。より具体的には、本発明は、骨組織工学に使用するための、脱細胞化された植物組織又は真菌組織を含む足場生体材料に関する。
【背景技術】
【0003】
傷害又は疾患により引き起こされる大きな骨欠損は、完全に再生するのに生体材料移植片を必要とする場合が多い(J. P. Schmitz and J. O. Hollinger, ''The critical size defect as an experimental model for craniomandibulofacial nonunions.,'' Clin. Orthop. Relat. Res., no. 205, pp. 299-308, Apr. 1986)。典型的には、骨組織再生を増強するように設計された技法は、一般的に、自己の、同種の、異種の、又は合成の移植片を利用している(X. Yu, X. Tang, S. V Gohil, and C. T. Laurencin, ''Biomaterials for Bone Regenerative Engineering.,'' Adv. Healthc. Mater., vol. 4, no. 9, pp. 1268-85, Jun. 2015)。材料が患者に由来している自己骨移植は、大きな骨欠損修復における「ゴールドスタンダード」の移植実践と考えられているが、サイズ及び形の制限、組織入手可能性、及びドナー部位の罹患を含む幾つかの欠点がある(S. N. Parikh, ''Bone graft substitutes: past, present, future.,'' J. Postgrad. Med., vol. 48, no. 2, pp. 142-8)。自己移植手順は、ドナー又は修復部位における感染、その後の骨折、血腫形成、及び術後痛を起こしやすい(J. S. Silber et al., ''Donor site morbidity after anterior iliac crest bone harvest for single-level anterior cervical discectomy and fusion.,'' Spine (Phila. Pa. 1976)., vol. 28, no. 2, pp. 134-9, Jan. 2003)。骨組織工学は、伝統的な骨移植方法の可能な代替法を提供する(A. R. Amini, C. T. Laurencin, and S. P. Nukavarapu, ''Bone tissue engineering: recent advances and challenges.,'' Crit. Rev. Biomed. Eng., vol. 40, no. 5, pp. 363-408, 2012)。
【0004】
骨組織工学(BTE,Bone tissue engineering)は、構造的生体材料と細胞の使用を組み合わせて、新しい機能性骨組織を作出する。BTEに使用される生体材料は、典型的には、ネイティブの骨マトリックスと類似した機械的特性及びアーキテクチャを提供することを目指す(D. L. Butler, S. A. Goldstein, and F. Guilak, ''Functional tissue engineering: the role of biomechanics.,'' J. Biomech. Eng., vol. 122, no. 6, pp. 570-5, Dec. 2000)。以前の研究は、BTEに使用される生体材料についての最適な孔サイズがおよそ100~200μmであり(V. Karageorgiou and D. Kaplan, ''Porosity of 3D biomaterial scaffolds and osteogenesis,'' Biomaterials, vol. 26, no. 27, pp. 5474-5491, Sep. 2005)、弾性係数が移植部位に依存して0.1~20GPaである(S. Bose, M. Roy, and A. Bandyopadhyay, ''Recent advances in bone tissue engineering scaffolds.,'' Trends Biotechnol., vol. 30, no. 10, pp. 546-54, Oct. 2012)と示している。さらに、多孔度及び孔の相互接続性が、細胞遊走、栄養拡散、及び血管新生に影響を及ぼし得る2つの重要な因子である(S. Bose, M. Roy, and A. Bandyopadhyay, ''Recent advances in bone tissue engineering scaffolds.,'' Trends Biotechnol., vol. 30, no. 10, pp. 546-54, Oct. 2012)。BTEは、有望な結果を示しており、多様な生体材料が骨移植片の代替物として開発されている。これらの生体材料には、骨誘導性材料、ハイブリッド材料、及び高度ヒドロゲルが挙げられる(S. Bose, M. Roy, and A. Bandyopadhyay, ''Recent advances in bone tissue engineering scaffolds.,'' Trends Biotechnol., vol. 30, no. 10, pp. 546-54, Oct. 2012)。骨誘導性材料は、新規の骨構造を形成するように周囲環境を誘導する。ハイブリッド材料は、合成及び/又は天然ポリマーでできている(S. Bose, M. Roy, and A. Bandyopadhyay, ''Recent advances in bone tissue engineering scaffolds.,'' Trends Biotechnol., vol. 30, no. 10, pp. 546-54, Oct. 2012)。高度ヒドロゲルは、ECMを模倣し、必要とされる生物活性剤を送達して、骨組織一体化を促進する(S. Bose, M. Roy, and A. Bandyopadhyay, ''Recent advances in bone tissue engineering scaffolds.,'' Trends Biotechnol., vol. 30, no. 10, pp. 546-54, Oct. 2012)。カルシウムアパタイトである、ヒドロキシアパタイトは、それの生体適合性、組成、及びネイティブの骨でのミネラル構造におけるそれの役割により、BTEに使用され得る材料である(H. Yoshikawa and A. Myoui, ''Bone tissue engineering with porous hydroxyapatite ceramics,'' J. Artif. Organs, vol. 8, no. 3, pp. 131-136, Oct. 2005)。BTEのための別の型の生体材料は、生物活性ガラスであり、それは、特異的な細胞応答を刺激して、骨形成についての遺伝子を活性化する(Q. Fu, E. Saiz, M. N. Rahaman, and A. P. Tomsia, ''Bioactive glass scaffolds for bone tissue engineering: state of the art and future perspectives.,'' Mater. Sci. Eng. C. Mater. Biol. Appl., vol. 31, no. 7, pp. 1245-1256, Oct. 2011、I. D. Xynos, A. J. Edgar, L. D. K. Buttery, L. L. Hench, and J. M. Polak, ''Ionic Products of Bioactive Glass Dissolution Increase Proliferation of Human Osteoblasts and Induce Insulin-like Growth Factor II mRNA Expression and Protein Synthesis,'' Biochem. Biophys. Res. Commun., vol. 276, no. 2, pp. 461-465, Sep. 2000)。ポリ(グリコール酸)及びポリ(乳酸)などの生分解性ポリマーもまた、BTEに使用される(R. Kroeze, M. Helder, L. Govaert, and T. Smit, ''Biodegradable Polymers in Bone Tissue Engineering,'' Materials (Basel)., vol. 2, no. 3, pp. 833-856, Jul. 2009)。キトサン、キチン、及び細菌セルロースなどの天然の(又は天然由来の)ポリマーも同様にBTEについて試験されている(J. Venkatesan, P. A. Vinodhini, and P. N. Sudha, ''Chitin and Chitosan Composites for Bone Tissue Regeneration,'' Adv. Food Nutr. Res., vol. 73, pp. 59-81, Jan. 2014)。これらのポリマーは、天然でも合成でも、BTEにおいてある程度の可能性を示し得るが、機能性生体材料及び/又はマクロ構造を得るために、大規模で、困難で、及び/又は費用のかかるプロトコールが利用され、それぞれが、それぞれの制限を有する。
【0005】
骨組織工学(BTE)のための代替の、追加の、及び/若しくは改善した生体材料、並びに/又はその調製のための方法が望ましい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】J. P. Schmitz and J. O. Hollinger, ''The critical size defect as an experimental model for craniomandibulofacial nonunions.,'' Clin. Orthop. Relat. Res., no. 205, pp. 299-308, Apr. 1986
【非特許文献2】X. Yu, X. Tang, S. V Gohil, and C. T. Laurencin, ''Biomaterials for Bone Regenerative Engineering.,'' Adv. Healthc. Mater., vol. 4, no. 9, pp. 1268-85, Jun. 2015
【非特許文献3】S. N. Parikh, ''Bone graft substitutes: past, present, future.,'' J. Postgrad. Med., vol. 48, no. 2, pp. 142-8
【非特許文献4】J. S. Silber et al., ''Donor site morbidity after anterior iliac crest bone harvest for single-level anterior cervical discectomy and fusion.,'' Spine (Phila. Pa. 1976)., vol. 28, no. 2, pp. 134-9, Jan. 2003
【非特許文献5】A. R. Amini, C. T. Laurencin, and S. P. Nukavarapu, ''Bone tissue engineering: recent advances and challenges.,'' Crit. Rev. Biomed. Eng., vol. 40, no. 5, pp. 363-408, 2012
【非特許文献6】D. L. Butler, S. A. Goldstein, and F. Guilak, ''Functional tissue engineering: the role of biomechanics.,'' J. Biomech. Eng., vol. 122, no. 6, pp. 570-5, Dec. 2000
【非特許文献7】V. Karageorgiou and D. Kaplan, ''Porosity of 3D biomaterial scaffolds and osteogenesis,'' Biomaterials, vol. 26, no. 27, pp. 5474-5491, Sep. 2005
【非特許文献8】S. Bose, M. Roy, and A. Bandyopadhyay, ''Recent advances in bone tissue engineering scaffolds.,'' Trends Biotechnol., vol. 30, no. 10, pp. 546-54, Oct. 2012
【非特許文献9】H. Yoshikawa and A. Myoui, ''Bone tissue engineering with porous hydroxyapatite ceramics,'' J. Artif. Organs, vol. 8, no. 3, pp. 131-136, Oct. 2005
【非特許文献10】Q. Fu, E. Saiz, M. N. Rahaman, and A. P. Tomsia, ''Bioactive glass scaffolds for bone tissue engineering: state of the art and future perspectives.,'' Mater. Sci. Eng. C. Mater. Biol. Appl., vol. 31, no. 7, pp. 1245-1256, Oct. 2011
【非特許文献11】I. D. Xynos, A. J. Edgar, L. D. K. Buttery, L. L. Hench, and J. M. Polak, ''Ionic Products of Bioactive Glass Dissolution Increase Proliferation of Human Osteoblasts and Induce Insulin-like Growth Factor II mRNA Expression and Protein Synthesis,'' Biochem. Biophys. Res. Commun., vol. 276, no. 2, pp. 461-465, Sep. 2000
【非特許文献12】R. Kroeze, M. Helder, L. Govaert, and T. Smit, ''Biodegradable Polymers in Bone Tissue Engineering,'' Materials (Basel)., vol. 2, no. 3, pp. 833-856, Jul. 2009
【非特許文献13】J. Venkatesan, P. A. Vinodhini, and P. N. Sudha, ''Chitin and Chitosan Composites for Bone Tissue Regeneration,'' Adv. Food Nutr. Res., vol. 73, pp. 59-81, Jan. 2014
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
損傷した、分解された、欠損した、及び/又は喪失した骨構造の修復及び/又は再生などの骨組織工学適用に使用され得る材料(生体材料)が本明細書に提供される。本発明者らは、今、脱細胞化された植物組織又は真菌組織を含む足場生体材料であって、脱細胞化された植物組織又は真菌組織が少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化されていてもよく、足場生体材料がタンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲル又はその両方をさらに含んでいてもよい、足場生体材料を開発した。本明細書に記載の実験研究は、そのような足場生体材料が生体適合性であり得、かつ前骨芽細胞の増殖を支持し得、前骨芽細胞が足場生体材料内で分化し得ることを示している。したがって、本明細書に記載の足場生体材料は、骨組織工学のために、例えば、損傷した、分解された、欠損した、及び/又は喪失した骨構造の修復及び/又は再生などにおいて、使用され得る。結果は、コラーゲンヒドロゲルなどのタンパク質ベースのヒドロゲルがそのような足場生体材料に使用され得ること、及び足場生体材料の、例えばヒドロキシアパタイトでの事前ミネラル化が使用され得ることを示している。
【0008】
一実施形態では、
脱細胞化された植物組織又は真菌組織であって、組織の細胞性物質及び核酸が除去され、3次元多孔質構造を含む、脱細胞化された植物組織又は真菌組織、及び
タンパク質ベースのヒドロゲル、多糖ベースのヒドロゲル、又はそれらの組合せ
を含む、足場生体材料が本明細書で提供される。
【0009】
上記の足場生体材料の別の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルは、コラーゲン、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質、オステオカルシン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、骨形成タンパク質、他のマトリックスタンパク質、又はそれらの任意の組合せを含み得る。
【0010】
上記の足場生体材料のいずれかの別の実施形態では、多糖ベースのヒドロゲルは、アガロース、アルギネート、ヒアルロン酸、又は別の糖質ベースのヒドロゲルを含み得る。
【0011】
ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織及び/又はタンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲルは、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質、オステオカルシン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、又はそれらの任意の組合せなどの骨形成分化の1又は2以上のマーカーを含み得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織及び/又はタンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲルは、正常な骨マトリックスに見出される1又は2以上のタンパク質を含み得る。
【0012】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかのまた別の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルはコラーゲンヒドロゲルを含み得る。
【0013】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかのさらに別の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルはコラーゲンIを含み得る。
【0014】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかの別の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、約100~約200μm又は約150~約200μmの孔サイズを含み得る。
【0015】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかのまた別の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、脱細胞化リンゴ花托筒組織を含み得る。
【0016】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかの別の実施形態では、足場生体材料は、前骨芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞、及び/又は間葉系幹細胞、又はそれらの任意の組合せなどの1又は2以上の骨関連細胞型を含み得る。別の実施形態では、足場生体材料は、前骨芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞、及び/又は間葉系幹細胞、又はそれらの任意の組合せなどの1又は2以上の骨関連細胞型が事前に播種され得る。
【0017】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかのまた別の実施形態では、足場生体材料は、約20kPa~約1MPaのヤング率を有し得る。
【0018】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかのまた別の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織の孔璧が骨芽細胞によりミネラル化され得る。
【0019】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかのさらに別の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。
【0020】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかの別の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、アパタイト、リン酸オステオカルシウム(osteocalcium phosphate)、生体適合性セラミック、生体適合性ガラス、生体適合性金属ナノ粒子、ナノ結晶セルロース、又はそれらの任意の組合せで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。
【0021】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかのさらに別の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、アパタイトで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。
【0022】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかのまた別の実施形態では、アパタイトはヒドロキシアパタイトを含み得る。
【0023】
別の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織を含み、脱細胞化された植物組織又は真菌組織から組織の細胞性物質及び核酸が除去されており、脱細胞化された植物組織又は真菌組織が3次元多孔質構造を含む、足場生体材料であって、
脱細胞化された植物組織又は真菌組織が少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化されている、足場生体材料が本明細書に提供される。
【0024】
上記の足場生体材料の別の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、アパタイト、リン酸オステオカルシウム、生体適合性セラミック、生体適合性ガラス、生体適合性金属ナノ粒子、ナノ結晶セルロース、又はそれらの任意の組合せで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。
【0025】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかのまた別の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、アパタイトで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。
【0026】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかのさらに別の実施形態では、アパタイトはヒドロキシアパタイトを含み得る。
【0027】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかの別の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、リンゴを含み得る。
【0028】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかのまた別の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、塩化カルシウムの溶液及びリン酸二ナトリウムの溶液への交互曝露により、アパタイトで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。
【0029】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかのさらに別の実施形態では、足場生体材料は、タンパク質ベースのヒドロゲル、多糖ベースのヒドロゲル、又はその両方をさらに含み得る。
【0030】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかのまた別の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルは、コラーゲン、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質、オステオカルシン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、骨形成タンパク質、他のマトリックスタンパク質、又はそれらの任意の組合せを含み得る。
【0031】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかの別の実施形態では、多糖ベースのヒドロゲルは、アガロース、アルギネート、ヒアルロン酸、又は別の糖質ベースのヒドロゲルを含み得る。
【0032】
ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織及び/又はタンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲルは、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質、オステオカルシン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、又はそれらの任意の組合せなどの骨形成分化の1又は2以上のマーカーを含み得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織及び/又はタンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲルは、正常な骨マトリックスに見出される1又は2以上のタンパク質を含み得る。
【0033】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかのさらに別の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルはコラーゲンヒドロゲルを含み得る。
【0034】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかの別の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルはコラーゲンIを含み得る。
【0035】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかのまた別の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、セルロースベース、キチンベース、キトサンベース、リグニンベース、ヘミセルロースベース、若しくはペクチンベース、又はそれらの任意の組合せであり得る。
【0036】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかの別の実施形態では、植物組織又は真菌組織は、リンゴ花托筒(セイヨウリンゴ(Malus pumila))組織、シダ(モニロフィテス(Monilophytes))組織、カブ(ブラッシカ・ラパ(Brassica rapa))根組織、イチョウ枝組織、ツクシ(トクサ(equisetum))組織、ワスレグサ属(hermocallis)ハイブリッド葉組織、ケール(ブラッシカ・オレラセア(Brassica oleracea))茎組織、針葉樹ベイマツ(シュードツガ・メンジエシ(Pseudotsuga menziesii))組織、サボテン果実(ピタヤ)果肉組織、マキュラータビンカ(Maculata Vinca)組織、水生ハス(ネルンボ・ヌシフェラ(Nelumbo nucifera))組織、チューリップ(チューリッパ・ゲスネリアーナ(Tulipa gesneriana))花弁組織、オオバコ属(バナナ(Musa paradisiaca))組織、ブロッコリー(ブラッシカ・オレラセア)茎組織、カエデ葉(アメリカスズカケノキ(Acer psuedoplatanus))茎組織、ビート(サトウダイコン(Beta vulgaris))一次根組織、ネギ(タマネギ(Allium cepa))組織、ラン(ラン科(Orchidaceae))組織、カブ(ブラッシカ・ラパ)茎組織、ニラ(リーキ(Allium ampeloprasum))組織、カエデ(カエデ属(Acer))木枝組織、セロリ(オランダミツバ(Apium graveolens))組織、ネギ(タマネギ)茎組織、マツ組織、アロエベラ組織、スイカ(キトルルス・ラナタス・バル・ラナタス(Citrullus lanatus var. lanatus))組織、クリーピング・ジェニー(オカトラノオ属ツル植物)(コバンコナスビ(Lysimachia nummularia))組織、カクタエ(cactae)組織、リクニス・アルピナ(Lychnis Alpina)組織、ルバーブ(ショクヨウダイオウ(Rheum rhabarbarum))組織、カボチャ果肉(ペポカボチャ(Cucurbita pepo))組織、ドラセナ(キジカクシ科(Asparagaceae))茎組織、ムラサキツユクサ(オオムラサキツユクサ(Tradescantia virginiana))茎組織、アスパラガス(オランダキジカクシ(Asparagus officinalis))茎組織、マッシュルーム(真菌)組織、フェンネル(ウイキョウ(Foeniculum vulgare))組織、バラ(バラ属(Rosa))組織、ニンジン(ダウクス・カロタ(Daucus carota))組織、又はセイヨウナシ(リンゴ類(Pomaceous))組織、又は直接的ゲノム改変により若しくは選択的育種を通して生産された遺伝子変更組織、又はそれらの任意の組合せからの組織を含み得る。
【0037】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかのまた別の実施形態では、足場生体材料は、脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織上及び/又は脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織内に、生細胞、特に、非ネイティブ細胞をさらに含み得る。
【0038】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかのまた別の実施形態では、生細胞は動物細胞であり得る。
【0039】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかのまた別の実施形態では、生細胞は哺乳動物細胞であり得る。
【0040】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかのまた別の実施形態では、生細胞はヒト細胞であり得る。
【0041】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかのまた別の実施形態では、足場生体材料は、一緒に接着され、架橋され、又はかみ合わされている2又は3以上のサブユニットを含み得る。
【0042】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかの別の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、異なる組織又は異なる供給源に由来する2又は3以上の異なる脱細胞化された植物組織又は真菌組織を含み得る。
【0043】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかのさらに別の実施形態では、2又は3以上の異なる脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、一緒に接着され、架橋され、又はかみ合わされ得る。
【0044】
上記の1又は2以上の足場生体材料のいずれかの別の実施形態では、足場生体材料は、骨組織工学(BTE)に使用するためのものであってもよい。
【0045】
別の実施形態では、本明細書に記載の1又は2以上の足場生体材料のいずれかを含む骨移植片が本明細書に提供される。
【0046】
別の実施形態では、骨組織工学(BTE)のための、骨移植のための、骨の修復若しくは再生のための、又はそれらの任意の組合せのための、本明細書に記載の1又は2以上の足場生体材料のいずれかの使用が本明細書に提供される。
【0047】
別の実施形態では、頭蓋顔面再建手術、歯科及び/若しくは顎顔面再建手術、広範な骨欠損及び/若しくは外傷再建、骨充填物適用、インプラント安定化、並びに/又は薬物送達、又はそれらの任意の組合せのいずれか1又は2以上のための、本明細書に記載の1又は2以上の足場生体材料のいずれかの使用が本明細書に提供される。
【0048】
別の実施形態では、歯科用骨充填物適用における本明細書に記載の1又は2以上の足場生体材料のいずれかの使用が本明細書に提供される。
【0049】
別の実施形態では、大きいインプラントのための応力遮蔽低下剤としての本明細書に記載の1又は2以上の足場生体材料のいずれかの使用が本明細書に提供される。
【0050】
さらに別の実施形態では、活発な骨形成を促進するための;臨界及び/若しくは非臨界サイズの欠損部を修復するために移植するための;骨修復中に機械的支持を提供するための;長骨、頭蓋冠骨、顎顔面骨、歯の骨、及び/若しくは顎骨の喪失若しくは傷害において代用するための;歯槽堤造成、歯牙欠損、歯インプラント、及び/若しくは再建手術などの歯科矯正用及び/若しくは歯周用移植片のための;骨粗鬆症からの減少、年齢、以前のインプラント、及び/若しくは傷害による骨量減少による骨量を増加させるための特定の部位における移植のための;又は骨-インプラント組織一体化を向上させるための;又はそれらの任意の組合せのための、本明細書に記載の1又は2以上の足場生体材料のいずれかの使用が本明細書に提供される。
【0051】
別の実施形態では、骨組織を構築するための、骨移植のための、骨の修復若しくは再生のための、頭蓋顔面再建手術のための、歯科及び/若しくは顎顔面再建手術のための、広範な骨欠損及び/若しくは外傷再建のための、歯科若しくは他の骨充填物適用のための、インプラント安定化のための、大きいインプラントの応力遮蔽のための、活発な骨形成を促進するための;臨界及び/若しくは非臨界サイズの欠損部を修復するための;骨修復中に機械的支持を提供するための;長骨、頭蓋冠骨、顎顔面骨、歯の骨、及び/若しくは顎骨の喪失若しくは傷害について代用するための;歯槽堤造成、歯牙欠損、歯インプラント、及び/若しくは再建手術などの歯科矯正用及び/若しくは歯周用移植のための;骨粗鬆症からの減少、年齢、以前のインプラント、及び/若しくは傷害による骨量減少による骨量を増加させるための特定の部位における移植のための;骨-インプラント組織一体化を向上させるための;又は薬物送達のための、又はそれらの任意の組合せのための方法であって、
本明細書に記載の1又は2以上の足場生体材料のいずれかを提供するステップ、及び
足場生体材料を、それを必要とする対象へそれを必要とする部位又は領域において移植するステップ
を含む方法が本明細書に提供される。
【0052】
別の実施形態では、足場生体材料を生産するための方法であって、
脱細胞化された植物組織又は真菌組織を提供するステップであって、脱細胞化された植物組織又は真菌組織から組織の細胞性物質及び核酸が除去されており、脱細胞化された植物組織又は真菌組織が3次元多孔質構造を含む、ステップ、及び
タンパク質ベースのヒドロゲル、多糖ベースのヒドロゲル、又はその両方を脱細胞化された植物組織又は真菌組織に導入するステップ
を含む方法が本明細書に提供される:
【0053】
上記の方法の別の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルは、コラーゲン、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質、オステオカルシン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、骨形成タンパク質、他のマトリックスタンパク質、又はそれらの任意の組合せを含み得る。
【0054】
上記の1又は2以上の方法のいずれかの別の実施形態では、多糖ベースのヒドロゲルは、アガロース、アルギネート、ヒアルロン酸、又は別の糖質ベースのヒドロゲルを含み得る。
【0055】
ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織及び/又はタンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲルは、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質、オステオカルシン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、又はそれらの任意の組合せなどの骨形成分化の1又は2以上のマーカーを含み得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織及び/又はタンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲルは、正常な骨マトリックスに見出される1又は2以上のタンパク質を含み得る。
【0056】
上記の1又は2以上の方法の別の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルはコラーゲンヒドロゲルを含み得る。
【0057】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのまた別の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルはコラーゲンIを含み得る。
【0058】
別の実施形態では、足場生体材料を生産するための方法であって、
脱細胞化された植物組織又は真菌組織を提供するステップであって、脱細胞化された植物組織又は真菌組織から組織の細胞性物質及び核酸が除去されており、脱細胞化された植物組織又は真菌組織が3次元多孔質構造を含む、ステップ、及び
脱細胞化された植物組織又は真菌組織を少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化するステップ
を含む方法が本明細書に提供される。
【0059】
上記の方法の別の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、アパタイト、リン酸オステオカルシウム、生体適合性セラミック、生体適合性ガラス、生体適合性金属ナノ粒子、ナノ結晶セルロース、又はそれらの任意の組合せで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。
【0060】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのまた別の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、アパタイトで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。
【0061】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのさらに別の実施形態では、アパタイトはヒドロキシアパタイトを含み得る。
【0062】
上記の1又は2以上の方法のいずれかの別の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織をコーティング又はミネラル化するステップは、脱細胞化された植物組織又は真菌組織を塩化カルシウムの溶液及びリン酸二ナトリウムの溶液への交互曝露に供するステップを含み得る。
【0063】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのまた別の実施形態では、方法は、タンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲルを足場生体材料に導入するステップをさらに含み得る。
【0064】
上記の1又は2以上の方法のいずれかの別の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルは、コラーゲン、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質、オステオカルシン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、骨形成タンパク質、他のマトリックスタンパク質、又はそれらの任意の組合せを含み得る。
【0065】
上記の1又は2以上の方法のいずれかの別の実施形態では、多糖ベースのヒドロゲルは、アガロース、アルギネート、ヒアルロン酸、又は別の糖質ベースのヒドロゲルを含み得る。
【0066】
ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織及び/又はタンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲルは、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質、オステオカルシン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、又はそれらの任意の組合せなどの骨形成分化の1又は2以上のマーカーを含み得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織及び/又はタンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲルは、正常な骨マトリックスに見出される1又は2以上のタンパク質を含み得る。
【0067】
上記の1又は2以上の方法のさらに別の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルはコラーゲンヒドロゲルを含み得る。
【0068】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのまた別の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルはコラーゲンIを含み得る。
【0069】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのさらに別の実施形態では、方法は、生細胞、特に、非ネイティブ細胞を脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織上及び/又は脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織内に導入するステップをさらに含み得る。
【0070】
上記の1又は2以上の方法のいずれかの別の実施形態では、生細胞は動物細胞であり得る。
【0071】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのさらに別の実施形態では、生細胞は哺乳動物細胞であり得る。
【0072】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのまた別の実施形態では、生細胞はヒト細胞であり得る。
【0073】
上記の1又は2以上の方法のいずれかの別の実施形態では、細胞は、前骨芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞、及び/又は間葉系細胞、又はそれらの任意の組合せなどの1又は2以上の骨関連細胞型であり得る。別の実施形態では、方法は、前骨芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞、及び/又は間葉系幹細胞、又はそれらの任意の組合せなどの1又は2以上の骨関連細胞型を事前に播種するステップを含み得る。
【0074】
別の実施形態では、
脱細胞化された植物組織又は真菌組織であって、組織の細胞性物質及び核酸が除去されており、3次元多孔質構造を含む、脱細胞化された植物組織又は真菌組織、
タンパク質ベースのヒドロゲル、
多糖ベースのヒドロゲル、
アパタイト、
塩化カルシウム
リン酸二ナトリウム
リン酸オステオカルシウム、
生体適合性セラミック、
生体適合性ガラス、
生体適合性金属ナノ粒子、
ナノ結晶セルロース、
前骨芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞、及び/若しくは間葉系幹細胞、若しくはそれらの任意の組合せなどの1若しくは2以上の骨関連細胞型などの哺乳動物細胞(ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織及び/又はタンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲルが、そのような哺乳動物細胞並びに/又は前骨芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞、及び/若しくは間葉系幹細胞、若しくはそれらの任意の組合せなどの骨関連細胞型の1又は2以上を事前に播種され得る)、
植物組織若しくは真菌組織、脱細胞化試薬、若しくはその両方、
緩衝液、のいずれか1若しくは2以上並びに/又は
本明細書に記載の1若しくは2以上の方法のいずれかを実施するための使用説明書
を含むキットが本明細書に提供される。
【0075】
上記のキットの別の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルは、コラーゲン、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質、オステオカルシン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、骨形成タンパク質、他のマトリックスタンパク質、又はそれらの任意の組合せを含み得る。
【0076】
上記の1又は2以上のキットのいずれかの別の実施形態では、多糖ベースのヒドロゲルは、アガロース、アルギネート、ヒアルロン酸、又は別の糖質ベースのヒドロゲルを含み得る。
【0077】
ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織及び/又はタンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲルは、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質、オステオカルシン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、又はそれらの任意の組合せなどの骨形成分化の1又は2以上のマーカーを含み得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織及び/又はタンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲルは、正常な骨マトリックスに見出される1又は2以上のタンパク質を含み得る。
【0078】
上記の1又は2以上のキットの別の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルはコラーゲンヒドロゲルを含み得る。
【0079】
上記の1又は2以上のキットのいずれかのまた別の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルはコラーゲンIを含み得る。
【0080】
上記の1又は2以上のキットのいずれかのまた別の実施形態では、アパタイトはヒドロキシアパタイトを含み得る。
【0081】
別の実施形態では、軟骨又は骨組織細胞になるように軟骨又は骨前駆細胞を分化させるための方法であって、
軟骨又は骨前駆細胞を、分化培地中、本明細書に記載の1又は2以上の足場生体材料のいずれかの上で培養するステップを含み、
培養するステップが、培養された細胞を周囲圧力より高い上昇した気圧に少なくとも1回曝露させることを含む、方法が本明細書に提供される。
【0082】
別の実施形態では、軟骨又は骨組織細胞になるように軟骨又は骨前駆細胞を分化させるための方法であって、
軟骨又は骨前駆細胞を、分化培地中、本明細書に記載の1又は2以上の足場生体材料のいずれかの上で培養するステップを含み、
培養するステップが、培養された細胞が周囲圧力より高い上昇した気圧に処理期間の少なくとも一部の間曝露される少なくとも1つの処理期間を含み、処理期間が少なくとも約10分間持続し、週に少なくとも1回実施され、
それにより軟骨又は骨前駆細胞を軟骨又は骨組織細胞に分化させる、方法が本明細書に提供される。
【0083】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのさらに別の実施形態では、培養された細胞は、増加した気圧への各曝露後、低圧力又は周囲の圧力条件に戻され得る。
【0084】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのさらに別の実施形態では、処理期間は、培養された細胞を、低圧力又は周囲の圧力条件と増加した気圧条件との間を交互にすることを含み得る。
【0085】
上記の1又は2以上の方法のいずれかの別の実施形態では、処理期間は、細胞が曝露される気圧を、低圧力又は周囲の圧力と上昇した気圧との間で振動させることを含み得る。
【0086】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのさらに別の実施形態では、処理期間は、細胞が曝露される気圧を、低圧力又は周囲の圧力と上昇した気圧との間で約1~10Hzの周波数で振動させることを含み得る。
【0087】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのさらに別の実施形態では、処理期間は、細胞が曝露される気圧を、低圧力又は周囲の圧力と上昇した気圧との間で振動させることを含み得、低圧力又は周囲の圧力が周囲圧力であり(すなわち、典型的には、約101kPa+約0kPa)、上昇した気圧が、周囲圧力より約+280kPa高く(すなわち、典型的には、約101kPa+約280kPa=約381kPa)、振動させることが約1~10Hzの周波数であってもよい。
【0088】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのまた別の実施形態では、処理期間は、培養された細胞を、上昇した気圧に持続的期間の間曝露させることを含み得る。
【0089】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのさらに別の実施形態では、処理期間は、培養された細胞を、実質的に一定の上昇した気圧に持続的期間の間曝露させることを含み得る。
【0090】
上記の1又は2以上の方法のいずれかの別の実施形態では、処理期間は、約1時間又はそれより長く持続し得る。
【0091】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのまた別の実施形態では、処理期間は、1日1回又は1日2回以上実施され得る。
【0092】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのさらに別の実施形態では、培養するステップは少なくとも約1週間実施され得る。
【0093】
上記の1又は2以上の方法のいずれかの別の実施形態では、培養するステップは約2週間又はそれより長く実施され得る。
【0094】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのまた別の実施形態では、上昇した気圧は静水圧として印加され得る。
【0095】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのさらに別の実施形態では、上昇した気圧は、培養された細胞より上の気相の圧力を調節することにより印加され得る。
【0096】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのまた別の実施形態では、上昇した気圧は、周囲圧力より約+280kPa高くあり得る(すなわち、典型的には、約101kPa+約280kPa=約381kPa)。
【図面の簡単な説明】
【0097】
これら及び他の特色は、以下の説明及び付属の図面についてさらに理解される。
図1図1は、植物細胞及び界面活性物質の除去後のリンゴ由来セルロース足場(A)(スケールバー=2mm - B及びCにも適用される)、並びに骨形成分化培地での4週間後のむき出し足場(B)及び石灰化した複合ヒドロゲル足場(C)の写真を示す。むき出し足場(D)(スケールバー=50μm - Eにも適用される)及び複合ヒドロゲル足場(E)上に播種した細胞を示す代表的な共焦点レーザー走査型顕微鏡画像。足場をセルロース(赤色)及び細胞核(青色)について、それぞれヨウ化プロピジウム及びDAPI染色を使用して染色した。各実験条件に対し3つの異なる足場を分析した。図1Aは、植物細胞及び界面活性物質の除去後のリンゴ由来セルロース足場を示し、図1Bは、骨形成分化培地での4週間後のMC3T3-E1播種足場を示し、図1Dは、足場に播種した細胞を示す代表的な共焦点レーザー走査型顕微鏡画像を示す。
図2図2は、共焦点画像のZ軸における最大投影に基づく、MC3T3細胞播種前の脱細胞化リンゴ由来セルロース足場の孔サイズ分布を示すグラフである。合計で54の孔を3つの異なる足場において分析した(足場1つ当たり3つの無作為に選択した領域における6つの孔)。
図3図3は、非分化培地又は分化培地のいずれかでの4週間の培養後の細胞播種むき出し及び複合ヒドロゲル(コラーゲン含有)足場のヤング率を示すグラフである。細胞を有しない脱細胞化リンゴ由来セルロース足場は対照として役立った。統計的有意性は、一元配置ANOVA及びテューキー事後検定を使用して決定した。(N-D)及び(D):それぞれ、非分化及び分化培地中でインキュベートした足場。データは、条件1つ当たり3つの複製試料の平均±S.E.M.として提示する。
図4図4は、5-ブロモ-4-クロロ-3’-インドリルホスフェート及びニトロブルーテトラゾリウム(BCIP/NBT、5-bromo-4-chloro-3'-indolyphosphate and nitro-blue tetrazolium)(A~E)又はAlizarin Red S(ARS)(F~J)(A中のスケールバー=2mm - すべてに適用される)で染色した足場の写真を示す。BCIP/NBT染色を使用してアルカリホスファターゼ(ALP、alkaline phosphatase)活性を可視化した。対照足場(細胞を有しないむき出し足場、「CTRL」)(A)はBCIP/NBTで染色しなかった。分化細胞「D」を含有するむき出し足場(D)及び複合ヒドロゲル足場(E)において、非分化細胞「N-D」を含有するそれらの対応物(それぞれB及びC)と比較してより強力なALP活性が、より明確な青色のコントラストにより可視化された。ARS染色の場合、対照足場(細胞を有しないむき出し足場)(F)、非分化細胞を有するむき出し足場(G)、及び非分化細胞を有する複合ヒドロゲル足場(H)は、薄い赤色を提示した。カルシウム堆積物は、分化細胞を含有するむき出し足場(I)及び複合ヒドロゲル足場(J)において濃く暗い赤色により強調された。各実験条件に対し3つの異なる足場を分析した。
図5図5は、足場組織学的断面の代表的な画像を示す。パラフィン包埋足場を5μm厚の切片に切断し、ヘマトキシリン及びエオジン(H&E、Hematoxylin and Eosin)で染色して細胞浸潤を可視化するか(A、B、E、及びF)、又はVon Kossa(VK)で染色してミネラル化を可視化した(C、D、G、及びH)(A中のスケールバー=1mm - すべてに適用される)。むき出し足場及び複合ヒドロゲル足場には、周縁部及び足場全体にわたって可視であった多数の核及び細胞質を有するMC3T3-E1細胞が浸潤した(A、B、E、及びF、それぞれ青色及びピンク色)。コラーゲンもまた、淡いピンク色で可視であり、複合ヒドロゲル足場においてより明瞭であった。むき出し足場及び複合ヒドロゲル足場における孔壁は、非分化培地で培養した場合、足場の周縁部にのみミネラル化の存在を示した(C、G)。むき出し足場及び複合ヒドロゲル足場における孔壁は、分化培地で培養した場合、全体が黒色に染色された(D、H)。非分化培地で培養したむき出し足場は切片作製により損傷した(A、C)。(N-D)及び(D):それぞれ、非分化及び分化培地中でインキュベートした足場。分析を、非分化培地で培養した各型の1つの足場及び分化培地で培養した各型の2つの足場に対して実施した。
図6図6は、代表的な走査型電子顕微鏡法による顕微鏡写真(A~C)及びエネルギー分散型スペクトル(D~F)を示す図であり、分化後のMC3T3-E1細胞を有するむき出し足場(A)及び複合ヒドロゲル足場(B)、並びに非播種セルロース足場(C)は、金コーティングし、JEOL社製JSM-7500F FESEM走査型電子顕微鏡を2.0kVで使用して画像化した(A中のスケールバー=20m - すべてに適用される)。コラーゲン線維は可視である(Bの挿入図、スケールバー=3μm)。エネルギー分散型分光法スペクトルを各足場の凝集体に関して獲得した。リン(2.013keV)及びカルシウム(3.69keV)ピークを各スペクトルにおいて示す。各実験条件に対し3つの異なる足場を分析した。
図7図7は、塩化カルシウム及びリン酸二ナトリウムの交互溶液での生体材料(円板形)のコーティングを示す図である。左上隅の数字はインキュベーションサイクルの数を示す。
図8図8は、円筒の形の生体材料を示す図である。非コーティング移植片(A)、ラットへの4週間の皮下移植後のプレコーティング移植片(B)(1匹にN=3のインプラント)、ラットへの4週間の皮下移植後の移植片のCtスキャン(C)(1匹にN=3のインプラント)。
図9図9は、円板形プレコーティング生体材料の組織学的染色を示す図である。ヘマトキシリン及びエオジン(A~C)、マッソントリクローム(D~F)、及びVon Kossa/Van Gieson(G~I)。
図10図10は、円筒形プレコーティング生体材料(横切断)の組織学的染色を示す図である。ヘマトキシリン及びエオジン(A~C)、マッソントリクローム(D~F)、及びVon Kossa/Van Gieson(G~I)。
図11図11は、脱細胞化リンゴ花托筒組織の間に接着されて挟まれる、ぶら下がっている膜(脱細胞化オレンジ中果皮)を示す図である。
図12図12は、4週(A)及び8週(B)時点の臨界サイズの欠損部における移植生体材料(穿孔を有する)の3次元レンダリングを示す図である。
図13図13は、欠損の内側の総体積に対する骨量の割合を示すグラフである。所望の円筒形領域を、CTスキャンスライスにおいて、欠損とほぼ同じ寸法を有する円筒を嵌合させることによって得た。4週時点はN=6の欠損部(3匹)、8週時点はN=6の欠損部(3匹)。
図14図14は、転位実験を示す図である。押出し実験中に得た典型的な力-距離及び力-変位曲線を(A)に示す。転位は力-距離グラフにおけるほぼ最大の力とみなされる(赤色矢印)。検体を有する押出しデバイスを、一軸圧縮デバイスの写真を提供する(B)の左及び右に示す(星印はロードセルを示し、矢印は試料を示す)。
図15図15は、実施例4に記載の8週時点の移植足場組織学的断面の代表的な画像を示す。切片をヘマトキシリン及びエオジン(H&E)又はゴールドナートリクローム(GTC、Goldner's Trichrome)のいずれかで染色した。矢印は赤血球を示す。コラーゲンの存在は8週時点において可視である(スケールバー=1mm、挿入図については200μm)。
図16図16は、移植の4週間後の組織学的切片(4WCH2)を示す図である。ヘマトキシリン及びエオジン染色を(A)に示し、Von Kossa/Van Gieson染色を(B)に示し、マッソン・ゴールドナートリクローム染色を(C)に示す。(A)、(B)、及び(C)について、スケール=2mm。
図17図17は、移植の8週間後の組織学的切片(8WCH1)を示す図である。ヘマトキシリン及びエオジン染色を(A)に示し、Von Kossa/Van Gieson染色を(B)に示し、マッソン・ゴールドナートリクローム染色を(C)に示す。(A)、(B)、及び(C)について、スケール=2mm。
図18図18は、ラット臨界サイズ頭蓋冠欠損モデルにおける移植を示す図である。直径5mm×厚さ1mmの穿孔生体材料を(A)に示す。生体材料の両側欠損部への移植を(B)に示す。左側に生体材料を移植し、右手側は空の欠損部とする。ラットID:4WME。(A)は、足場インプラントを示し、(B)は、両側欠損部を有する露出した頭蓋骨を示す(矢印は移植部位を示す)。
図19図19は、8週間の移植後の組織摘出を示す図である。頭蓋冠の完全摘除の前の図を(A)に示し、摘除した頭蓋冠の上面図を(B)に示し、摘除した頭蓋冠の底面図を(C)に示す。
図20図20A~Dは、リンゴ及びニンジンのかみ合わせた複合材(SCC)を示す図である。
図21図21は、実施例5に記載のMC3T3 E1細胞含有複合材におけるカルシウム堆積物のためのAlizarin Red S染色を示す図である。左から右に、ヒアルロン酸及び脱細胞化リンゴ(分化前)、アルギン酸及び脱細胞化リンゴ(分化前)、ヒアルロン酸及び脱細胞化リンゴ(分化後)、アルギン酸及び脱細胞化リンゴ(分化後)。
図22図22は、実施例5に記載のMC3T3 E1細胞含有複合材におけるBCIP NBT SigmaFast(商標)錠剤でのアルカリホスファターゼ染色を示す図である。左から右に、ヒアルロン酸及び脱細胞化リンゴ(分化前)、アルギン酸及び脱細胞化リンゴ(分化前)、ヒアルロン酸及び脱細胞化リンゴ(分化後)、アルギン酸及び脱細胞化リンゴ(分化後)。
図23図23は、(A)実施例6に記載の周期的静水圧デバイスの概略図を示す。特注製造の圧力チャンバー中の培養ウェルより上の気相の圧力を調節することにより、静水圧を印加した。圧縮機を使用してインキュベーター雰囲気からの空気を圧縮し、電磁弁を使用して圧力チャンバーに注入した。(B)は、実施例6に記載の実験条件を示す。1週間の増殖後、周期的静水圧刺激を、1日当たり1時間、最大で2週間にわたり、1Hzの周波数で、周囲圧力に関して0~280kPaの間で振動させて印加した。試料を各サイクル後に圧力チャンバーから取り出し、刺激相間は周囲圧力に保った。
図24図24は、実施例6に記載の1週間又は2週間の刺激後の細胞の密度を示すグラフである。統計的有意性(*はp<0.05を示す)は、一元配置ANOVA及びテューキー事後検定を使用して決定した。データは、試料1つ当たり3つの領域を有する、条件1つ当たり3つの複製試料の平均±S.E.M.として提示する。結果は、2週間の培養後、対照と比較して有意に多い細胞が周期的圧力負荷を経験した足場に存在することを明らかにする。
図25図25は、実施例6に記載の1週間又は2週間の刺激後のアルカリホスファターゼ(ALP)活性を示すグラフである。統計的有意性(*はp<0.05を示す)は、一元配置ANOVA及びテューキー事後検定を使用して決定した。データは、条件1つ当たり3つの複製試料の平均±S.E.M.として提示する。結果は、2週間の培養後、対照と比較して有意に上昇したALP活性(分化のマーカー)が周期的圧力負荷を経験した足場に存在する細胞に存在することを明らかにする。
図26図26は、実施例6に記載の1週間又は2週間の刺激後のAlizarin Red S(ARS)染色でのミネラル堆積物定量を示すグラフである。統計的有意性(*はp<0.05を示す)は、一元配置ANOVA及びテューキー事後検定を使用して決定した。データは、条件1つ当たり3つの複製試料の平均±S.E.M.として提示する。結果は、2週間の培養後に、対照と比較して有意に多い、周期的圧力負荷を経験した足場のミネラル化が存在することを明らかにする。
図27図27は、実施例5に記載の、細胞を有しない(対照)及び分化後の細胞を有する(Diff)、ヒアルロン酸(HA)又はアルギン酸ヒドロゲルを有する脱細胞化AAのヤング率を示すグラフである。
図28図28は、播種細胞足場を示す代表的な共焦点レーザー走査型顕微鏡画像を示す(スケールバー=100μm - すべてに適用される)。図24及び実施例6に記載の通り、足場をセルロース(赤色)及び細胞核(青色)について染色した。
図29図29は、実施例6に記載の1週間又は2週間の刺激後の足場のヤング率を示すグラフである。統計的有意性(*はp<0.05を示す)は、一元配置ANOVA及びテューキー事後検定を使用して決定した。データは、条件1つ当たり3つの複製試料の平均±S.E.M.として提示する。
【発明を実施するための形態】
【0098】
足場生体材料、その調製のための方法、並びに、例えば、骨組織工学(BTE)を含む様々な適用におけるその方法及び使用が本明細書に記載されている。実施形態及び例は、当業者のために、意図される例示的な目的について提供され、いかなるようにも限定であるとは意味しないことが理解される。
【0099】
損傷した、分解された、欠損した、及び/又は喪失した骨構造の修復及び/又は再生におけるなどのBTE適用に使用され得る材料(生体材料)が本明細書に提供される。本発明者らは、今、脱細胞化された植物組織又は真菌組織脱細胞化された植物組織又は真菌組織を含む足場生体材料であって、脱細胞化された植物組織又は真菌組織脱細胞化された植物組織又は真菌組織が少なくとも部分的に(例えば、アパタイトで)コーティング又はミネラル化されていてもよく、足場生体材料がタンパク質ベースのヒドロゲル(例えば、コラーゲンヒドロゲル)及び/又は多糖ベースのヒドロゲル(例えば、アガロース若しくはアガロースベースのゲル/ヒドロゲル、又はアルギネート若しくはアルギネートベースのゲル/ヒドロゲル、又はヒアルロン酸若しくはヒアルロン酸ベースのゲル/ヒドロゲル)又はその両方をさらに含んでいてもよい、足場生体材料を開発した。本明細書に記載の実験研究は、そのような足場生体材料が生体適合性であり得、かつ前骨芽細胞の増殖を支持し得、前骨芽細胞が足場生体材料内で分化し得ることを示している。したがって、本明細書に記載の足場生体材料は、BTEのために、例えば、損傷した、分解された、欠損した、及び/又は喪失した骨構造の修復及び/又は再生において、使用され得る。結果は、コラーゲンヒドロゲルなどのタンパク質ベースのヒドロゲルがそのような足場生体材料に使用され得ること、及び足場生体材料の、例えばヒドロキシアパタイトでの事前ミネラル化が使用され得ることを示している。
【0100】
足場生体材料
一実施形態では、
脱細胞化された植物組織又は真菌組織脱細胞化された植物組織又は真菌組織であって、組織の細胞性物質及び核酸が除去されており、3次元多孔質構造を含む、脱細胞化された植物組織又は真菌組織脱細胞化された植物組織又は真菌組織、及び
タンパク質ベースのヒドロゲル、多糖ベースのヒドロゲル、又はその両方
を含む、足場生体材料が本明細書で提供される。
【0101】
ある特定の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルは、1又は2以上のタンパク質又はその誘導体を含む任意の適切なヒドロゲルを含み得る。ある特定の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルは、コラーゲン、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質、オステオカルシン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、骨形成タンパク質、他のマトリックスタンパク質、又はそれらの任意の組合せを含み得る。ある特定の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルはコラーゲンヒドロゲルを含み得る。ある特定の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルはコラーゲンIを含み得る。
【0102】
ある特定の実施形態では、多糖ベースのヒドロゲルは、1又は2以上の糖質又は多糖又はその誘導体を含む任意の適切なヒドロゲルを含み得る。ある特定の実施形態では、そのヒドロゲルは、アガロースベースのゲル/ヒドロゲル、又は別の糖質ベースのヒドロゲルを含み得る。
【0103】
ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織及び/又はタンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲルは、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質、オステオカルシン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、又はそれらの任意の組合せなどの骨形成分化の1又は2以上のマーカーを含み得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織及び/又はタンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲルは、正常な骨マトリックスに見出される1又は2以上のタンパク質を含み得る。
【0104】
別の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織脱細胞化された植物組織又は真菌組織を含み、脱細胞化された植物組織又は真菌組織脱細胞化された植物組織又は真菌組織から組織の細胞性物質及び核酸が除去されており、脱細胞化された植物組織又は真菌組織脱細胞化された植物組織又は真菌組織が3次元多孔質構造を含む、足場生体材料であって、
脱細胞化された植物組織又は真菌組織脱細胞化された植物組織又は真菌組織が少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化されている、足場生体材料が本明細書に提供される。
【0105】
ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、1又は2以上のリン酸塩ミネラルで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、アパタイト、リン酸オステオカルシウム、生体適合性セラミック、生体適合性ガラス、生体適合性金属ナノ粒子、ナノ結晶セルロース、又はそれらの任意の組合せで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、アパタイトで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。ある特定の実施形態では、アパタイトはヒドロキシアパタイトを含み得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、脱細胞化された植物組織又は真菌組織脱細胞化された植物組織又は真菌組織の剛性を増加させるために、ナノ結晶セルロースで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。
【0106】
また別の実施形態では、
脱細胞化された植物組織又は真菌組織脱細胞化された植物組織又は真菌組織であって、組織の細胞性物質及び核酸が除去されており、3次元多孔質構造を含み、少なくとも部分的にコーティング若しくはミネラル化されている、脱細胞化された植物組織又は真菌組織脱細胞化された植物組織又は真菌組織、並びに
タンパク質ベースのヒドロゲル、多糖ベースのヒドロゲル、又はその両方
を含む、足場生体材料が本明細書に提供される。
【0107】
ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、1又は2以上のリン酸塩ミネラルで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、アパタイト、リン酸オステオカルシウム、生体適合性セラミック、生体適合性ガラス、生体適合性金属ナノ粒子、ナノ結晶セルロース、又はそれらの任意の組合せで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、アパタイトで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。ある特定の実施形態では、アパタイトはヒドロキシアパタイトを含み得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、脱細胞化された植物組織又は真菌組織脱細胞化された植物組織又は真菌組織の剛性を増加させるために、ナノ結晶セルロースで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。
【0108】
ある特定の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルは、1又は2以上のタンパク質又はその誘導体を含む任意の適切なヒドロゲルを含み得る。ある特定の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルは、コラーゲン、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質、オステオカルシン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、骨形成タンパク質、他のマトリックスタンパク質、又はそれらの任意の組合せを含み得る。ある特定の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルはコラーゲンヒドロゲルを含み得る。ある特定の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルはコラーゲンIを含み得る。
【0109】
ある特定の実施形態では、多糖ベースのヒドロゲルは、1又は2以上の糖質又は多糖又はその誘導体を含む任意の適切なヒドロゲルを含み得る。ある特定の実施形態では、そのヒドロゲルは、アガロースベースのヒドロゲル又は別の糖質ベースのヒドロゲルを含み得る。
【0110】
ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織及び/又はタンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲルは、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質、オステオカルシン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、又はそれらの任意の組合せなどの骨形成分化の1又は2以上のマーカーを含み得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織及び/又はタンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲルは、正常な骨マトリックスに見出される1又は2以上のタンパク質を含み得る。
【0111】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の生体材料は、植物及び真菌界で見出される細胞壁アーキテクチャ及び/又は管束構造に由来して、細胞浸潤、細胞増殖、骨組織修復及び/又は骨再構築などを促進し得る3D足場を作出し得る。理解される通り、本明細書に記載の生体材料は、植物又は真菌生物の任意の適切な部分から生産することができる。生体材料は、例えば、セルロース、キチン、リグニン、ヘミセルロース、ペクチンなどの物質及び/又はこれらの生物で天然に見出される他の任意の適切な生化学物質/生体高分子を含み得る。
【0112】
理解される通り、別に示されない限り、本明細書で使用される植物及び真菌界の意味/定義は、キャバリエ=スミス分類(1998年)に基づく。
【0113】
ある特定の実施形態では、植物組織又は真菌組織は、一般的に、特定の適用に適当な、適切な足場構造を含有する任意の適切な植物組織若しくは真菌組織又は部分を含み得る。
【0114】
上記の1又は2以上の足場材料のある特定の実施形態では、植物組織又は真菌組織は、リンゴ花托筒(セイヨウリンゴ)組織、シダ(モニロフィテス)組織、カブ(ブラッシカ・ラパ)根組織、イチョウ枝組織、ツクシ(トクサ)組織、ワスレグサ属ハイブリッド葉組織、ケール(ブラッシカ・オレラセア)茎組織、針葉樹ベイマツ(シュードツガ・メンジエシ)組織、サボテン果実(ピタヤ)果肉組織、マキュラータビンカ組織、水生ハス(ネルンボ・ヌシフェラ)組織、チューリップ(チューリッパ・ゲスネリアーナ)花弁組織、オオバコ属(バナナ)組織、ブロッコリー(ブラッシカ・オレラセア)茎組織、カエデ葉(アメリカスズカケノキ)茎組織、ビート(サトウダイコン)一次根組織、ネギ(タマネギ)組織、ラン(ラン科)組織、カブ(ブラッシカ・ラパ)茎組織、ニラ(リーキ)組織、カエデ(カエデ属)木枝組織、セロリ(オランダミツバ)組織、ネギ(タマネギ)茎組織、マツ組織、アロエベラ組織、スイカ(キトルルス・ラナタス・バル・ラナタス)組織、クリーピング・ジェニー(オカトラノオ属ツル植物)(コバンコナスビ)組織、カクタエ組織、リクニス・アルピナ組織、ルバーブ(ショクヨウダイオウ)組織、カボチャ果肉(ペポカボチャ)組織、ドラセナ(キジカクシ科)茎組織、ムラサキツユクサ(オオムラサキツユクサ)茎組織、アスパラガス(オランダキジカクシ)茎組織、マッシュルーム(真菌)組織、フェンネル(ウイキョウ)組織、バラ(バラ属)組織、ニンジン(ダウクス・カロタ)組織又はセイヨウナシ(リンゴ類)組織を含み得る。植物及び真菌組織の追加の例は、「Decellularised Cell Wall Structures from Plants and Fungus and Use Thereof as Scaffold Materials」と題された国際公開第2017/136950号パンフレット(その全体を参照により本明細書に組み込む)の実施例18に記載されている。
【0115】
また、理解される通り、植物組織又は真菌組織の細胞性物質及び核酸は、細胞小器官(例えば、葉緑体、ミトコンドリア)、細胞核、細胞核酸及び/又は細胞タンパク質などの細胞内内容物を含み得る。これらは、植物組織若しくは真菌組織から、及び/又は足場生体材料から、実質的に除去してもよく、部分的に除去してもよく、又は完全に除去してもよい。それでも、微量のそのような成分は、本明細書に記載の脱細胞化された植物組織又は真菌組織脱細胞化された植物組織又は真菌組織中に存在してもよいことが認識される。また、理解される通り、本明細書の脱細胞化された植物組織又は真菌組織についての言及は、植物又は真菌の組織供給源において見出されるそのような細胞性物質が実質的に除去されていることを反映すると意図され、これは、脱細胞化された植物組織又は真菌組織が、ある特定の実施形態では、次いで導入又は再導入された、全般的に任意の種類の細胞、細胞性物質及び/又は核酸、例えば、動物又はヒト細胞、例えば、骨又は骨前駆細胞/組織を含有するか又は含む可能性を排除しない。
【0116】
本明細書に記載の足場生体材料を生産するために、様々な方法を使用することができる。例として、上記の足場生体材料のある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、熱ショック、洗剤(例えば、SDS、Triton X、EDA、アルカリ処理、酸、イオン性洗剤、非イオン性洗剤及び双性イオン性洗剤)による処理、浸透圧ショック、凍結乾燥、物理的溶解(例えば、静水圧)、電気的破壊(例えば、非熱不可逆的エレクトロポレーション)若しくは酵素消化又はそれらの任意の組合せによって脱細胞化された植物組織又は真菌組織(複数可)を含み得る。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の生体材料は、非限定的に、熱ショック(例えば、急冷解凍)、化学的処理(例えば、洗剤)、浸透圧ショック(例えば、蒸留水)、凍結乾燥、物理的溶解(例えば、圧処理)、電気的破壊及び/又は酵素消化を含む、幾つかの手法のいずれか(個々に、又は組合せで)を含み得る脱細胞化プロセスを用いることによって植物及び/又は真菌から得ることができる。
【0117】
ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、洗剤又は界面活性剤による処理によって脱細胞化された植物組織又は真菌組織を含み得る。洗剤の例には、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS:sodium dodecyl sulphate)、Triton X、EDA、アルカリ処理、酸、イオン性洗剤、非イオン性洗剤及び双性イオン性洗剤が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0118】
またさらなる実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、SDSによる処理によって脱細胞化された植物組織又は真菌組織を含み得る。さらに別の実施形態では、残留のSDSは、水性二価塩溶液で洗浄することによって、植物組織又は真菌組織から除去することができる。水性二価塩溶液は、SDSミセルを含有する塩残基を、溶液/足場から沈殿/駆逐するために使用することができ、dHO、酢酸若しくはジメチルスルホキシド(DMSO:dimethylsulfoxide)処理又は超音波処理を使用して、塩残基又はSDSミセルを除去することができる。ある特定の実施形態では、水性二価塩溶液の二価塩は、例えば、MgCl又はCaClを含み得る。
【0119】
別の実施形態では、植物組織又は真菌組織は、水、エタノール又は別の適切な有機溶媒などの溶媒中の0.01~10%、例えば、約0.1%~約1%、又は例えば、約0.1%のSDS又は約1%のSDSのSDS溶液による処理によって脱細胞化してもよく、残留のSDSは、約100mMの濃度の水性CaCl溶液を使用して除去し、続いてdHO中でインキュベートしてもよい。ある特定の実施形態では、SDS溶液は、脱細胞化を促進し得る0.1%超の濃度であってもよく、残留のSDSを除去するための洗浄の増加を伴ってもよい。特定の実施形態では、植物組織又は真菌組織は、水中の約0.1%SDSのSDS溶液による処理によって脱細胞化してもよく、残留のSDSは、約100mMの濃度の水性CaCl溶液を使用して除去し、続いてdHO中でインキュベートしてもよい。
【0120】
本明細書に記載の足場生体材料のための脱細胞化された植物組織又は真菌組織を生産するために適合され得る脱細胞化プロトコールのさらなる例は、「Decellularised Cell Wall Structures from Plants and Fungus and Use Thereof as Scaffold Materials」と題された国際公開第2017/136950号パンフレット(その全体を参照により本明細書に組み込む)において見出すことができる。
【0121】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の足場生体材料は、約100~約200μmの、又は約150~約200μmの孔サイズを含む脱細胞化された植物組織又は真菌組織を含み得る。ある特定の実施形態では、足場生体材料は、約20kPa~約1MPaのヤング率を含み得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、脱細胞化されたリンゴ花托筒組織などの脱細胞化リンゴを含み得る。
【0122】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の足場生体材料は、多糖ベースのヒドロゲル、及び/又はコラーゲンヒドロゲルなどのタンパク質ベースのヒドロゲルを含み得、そのヒドロゲルは、脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織の3D多孔質構造の中に浸し、及び/若しくは浸透され得、脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織の上若しくはその周囲にコーティングされ得、又はその両方であり得る。
【0123】
理解される通り、ある特定の実施形態では、本明細書に記載のヒドロゲルは、主成分として水を含む任意の適切な希薄な3D架橋系を含み得、実質的に非流動性であり得る。ある特定の実施形態では、架橋は、ヒドロゲルに形/機械的安定性を提供し得る。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルは、足場生体材料及び/又は脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織の周囲にそれを作出することにより強化され得る。ある特定の実施形態では、本明細書に記載のヒドロゲルは、例えば、1又は2以上のECMタンパク質、ヒアルロン酸、又はその両方を含み得る。様々なヒドロゲルは、本明細書の教示に関する技術分野の当業者であれば当然のことであろう。ある特定の実施形態では、ヒドロゲル粘弾性特性は、低周波数での機械的歪み下で硬化し得る非ニュートン性ヒドロゲルを作出するように調整され得る(すなわち、歩行中に歪みが固まって、細胞を機械的に刺激し、例えば骨を成長させるための構造を提供する)。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルが非架橋型であり得、その代わりに、例えば、絡まったポリマーを含み得ることが企図される。
【0124】
ある特定の実施形態では、コラーゲンヒドロゲルはコラーゲンIを含み得る。
【0125】
ある特定の実施形態では、足場生体材料は、前骨芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞、及び/又は間葉系幹細胞、又はそれらの任意の組合せなどの1又は2以上の骨関連細胞型を含み得る。別の実施形態では、足場生体材料は、前骨芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞、及び/又は間葉系幹細胞、又はそれらの任意の組合せなどの1又は2以上の骨関連細胞型を事前に播種され得る。本明細書に記載の足場生体材料の、ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織の孔璧が、骨芽細胞によりミネラル化され得る。
【0126】
ある特定の実施形態では、ヒドロゲルは、骨前駆細胞又は骨若しくは骨組織細胞、例えば、非限定的に、前骨芽細胞及び/又は骨芽細胞を含み得る。ある特定の実施形態では、幹細胞(例えば、間葉系、骨格系、又は他の幹細胞)が、ヒドロゲルに添加され得、及び/又はそうでなければ、足場生体材料に添加され得る。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルは、リン酸オステオカルシウム、生体適合性セラミック、生体適合性ガラス、生体適合性金属ナノ粒子、ナノ結晶セルロース、又はそれらの任意の組合せを含み得る。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロキシアパタイトなどのアパタイトを含み得る。
【0127】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の足場生体材料の脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、1又は2以上のリン酸塩ミネラルで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、アパタイト、リン酸オステオカルシウム、生体適合性セラミック、生体適合性ガラス、生体適合性金属ナノ粒子、ナノ結晶セルロース、又はそれらの任意の組合せで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、アパタイトで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。ある特定の実施形態では、アパタイトはヒドロキシアパタイトを含み得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、脱細胞化された植物組織又は真菌組織の剛性を増加させるために、ナノ結晶セルロースで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、ヒドロキシアパタイトなどのアパタイトで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。
【0128】
ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織が、様々な適切な技法のいずれかにより少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得ることが企図される。例として、ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、例えば、塩化カルシウムの溶液及びリン酸二ナトリウムの溶液への交互曝露により、アパタイトで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織が、模擬体液中での浸漬、溶射、スパッタコーティング、ゾルゲル沈着、熱間等静圧圧縮、浸漬コーティング、エレクトロスピニング、又はそれらの任意の組合せにより少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得ることが企図される。コーティング又はミネラル化技法の例は、Shin et al., 2017, Biomimetic Mineralization of Biomaterials Using Simulated Body Fluids for Bone Tissue Engineering and Regenerative Medicine, Tissue Engineering Part A, 23:19-20, https://dx.doi.org/10.1089%2Ften.tea.2016.0556(その全体を参照により本明細書に組み込む)に記載されている。
【0129】
ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、セルロースベース、キチンベース、キトサンベース、リグニンベース、ヘミセルロースベース、又はペクチンベース、又はそれらの任意の組合せである。ある特定の実施形態では、植物組織又は真菌組織は、リンゴ花托筒(セイヨウリンゴ)組織、シダ(モニロフィテス)組織、カブ(ブラッシカ・ラパ)根組織、イチョウ枝組織、ツクシ(トクサ)組織、ワスレグサ属ハイブリッド葉組織、ケール(ブラッシカ・オレラセア)茎組織、針葉樹ベイマツ(シュードツガ・メンジエシ)組織、サボテン果実(ピタヤ)果肉組織、マキュラータビンカ組織、水生ハス(ネルンボ・ヌシフェラ)組織、チューリップ(チューリッパ・ゲスネリアーナ)花弁組織、オオバコ属(バナナ)組織、ブロッコリー(ブラッシカ・オレラセア)茎組織、カエデ葉(アメリカスズカケノキ)茎組織、ビート(サトウダイコン)一次根組織、ネギ(タマネギ)組織、ラン(ラン科)組織、カブ(ブラッシカ・ラパ)茎組織、ニラ(リーキ)組織、カエデ(カエデ属)木枝組織、セロリ(オランダミツバ)組織、ネギ(タマネギ)茎組織、マツ組織、アロエベラ組織、スイカ(キトルルス・ラナタス・バル・ラナタス)組織、クリーピング・ジェニー(オカトラノオ属ツル植物)(コバンコナスビ)組織、カクタエ(cactae)組織、リクニス・アルピナ組織、ルバーブ(ショクヨウダイオウ)組織、カボチャ果肉(ペポカボチャ)組織、ドラセナ(キジカクシ科)茎組織、ムラサキツユクサ(オオムラサキツユクサ)茎組織、アスパラガス(オランダキジカクシ)茎組織、マッシュルーム(真菌)組織、フェンネル(ウイキョウ)組織、バラ(バラ属)組織、ニンジン(ダウクス・カロタ)組織、又はセイヨウナシ(リンゴ類)組織、又は直接的ゲノム改変により若しくは選択的育種を通して生産された遺伝子変更組織、又はそれらの任意の組合せからの組織を含み得る。
【0130】
本明細書に記載の足場生体材料のある特定の実施形態では、足場生体材料は、脱細胞化された植物組織又は真菌組織上及び/又は脱細胞化された植物組織又は真菌組織内に、生細胞、特に、非ネイティブ細胞をさらに含み得る。ある特定の実施形態では、生細胞は、動物細胞であり得る。ある特定の実施形態では、生細胞は、哺乳動物細胞であり得る。ある特定の実施形態では、生細胞は、ヒト細胞であり得る。
【0131】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の足場生体材料は、一緒に接着され、架橋され、又はかみ合わされている2又は3以上の足場サブユニットを含み得る。本明細書に記載の足場生体材料の、ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、異なる組織又は異なる供給源に由来する2又は3以上の異なる脱細胞化された植物組織又は真菌組織を含み得る。ある特定の実施形態では、2又は3以上の異なる脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、一緒に接着され、架橋され、又はかみ合わされ得る。
【0132】
別の実施形態では、骨組織工学に使用するための本明細書に記載の足場生体材料が本明細書に提供される。また別の実施形態では、本明細書に記載の足場生体材料を含む骨移植片が本明細書に提供される。別の実施形態では、本明細書に記載の足場生体材料を含むBTEインプラントが本明細書に提供される。
【0133】
ある特定の実施形態では、多くの市販の生体材料とは異なり、本明細書に記載の植物/真菌由来生体材料は、実質的に非吸収性又は低吸収性であり得る(すなわち、それらは、実質的に崩壊せず、身体によって吸収されない)。これらの足場の非吸収性特徴は、ある特定の利点を提供し得る。例えば、ある特定の実施形態では、本明細書に記載の生体材料は、外形変化に抵抗性であること、及び/又は長期間にわたりそれらの意図される形状を保持することができる。ある特定の実施形態では、それらは、ある特定の他の製品と比較して最小限のフットプリントを有し得るので、それらは、身体にとって有効に不可視であると考えられ、免疫応答をほとんど誘発しないことがある。一部の場合では、一部の吸収性生体材料が崩壊した場合、それらの副産物は、有害免疫応答を誘発し、かつ酸化的ストレスを誘導し、回復組織のpHの増大をもたらし得る(これらのことは、非吸収性生体材料を使用することによって避けることができる)。
【0134】
実際に、ある特定の実施形態では、本明細書に記載の脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織及び/又は足場生体材料は、足場生体材料上及び/又は足場生体材料内に生細胞をさらに含み得る。ある特定の実施形態では、生細胞は、動物細胞、哺乳動物細胞又はヒト細胞であり得る。ある特定の実施形態では、生細胞は、前骨芽細胞、骨芽細胞、及び/又は他の骨若しくは骨組織関連細胞を含み得る。
【0135】
ある特定の実施形態では、植物組織又は真菌組織は、直接ゲノム改変により又は選択的育種を通して遺伝子変更されて、組織を物理的に模倣するように、及び/又は、目標の組織効果、特に骨組織効果及び骨構築効果を機能的に促進するように形成され得る追加の植物又は真菌アーキテクチャを創出してもよい。本明細書の教示に関係する当業者は、特定の適用に適合する適切な足場生体材料を選択することができる。ある特定の実施形態では、適切な組織は、例えば、測定され、特定の適用に適応され得る、大きさ、構造(多孔質/管状)、剛性、強度、硬度及び/又は延性などの物理的特徴に基づいて特定の適用のために選択され得る。
【0136】
さらに、また、反応性、配位数、形成のエンタルピー、安定性、毒性及び/又は結合の種類などの化学的特性は、特定の適用に適合するように選択について考慮され得る。また、そのような特徴(物理的及び化学的)は、特定の適用に応答するように脱細胞化及び/又は官能基化前又は後に直接的に改変され得る。
【0137】
ある特定の実施形態では、足場生体材料は、植物若しくは真菌の同じ組織若しくは部分から、又は植物若しくは真菌の異なる部分若しくは組織から得てもよい。ある特定の実施形態では、足場生体材料は、同じ個々の植物若しくは真菌から、又は同じ種の多数の植物若しくは真菌から得てもよい。ある特定の実施形態では、足場生体材料は、足場が、2つ以上の種からの構造を含むように、異なる種の植物又は真菌から得てもよい。ある特定の実施形態では、足場生体材料は、特定の特色を提供するように選択してもよい。例えば、ある特定の実施形態では、骨組織再生、修復、及び/又は構築に関与する天然組織及び/又は構造を模倣するために、ある特定の範囲内に入る多孔質及び/又は強剛性を有する足場生体材料が選択してもよい。ある特定の実施形態では、植物組織又は真菌組織は、リンゴ若しくはリンゴ花托筒組織、又は同様の多孔質及び/若しくは強剛性特徴(複数可)を有する別の植物若しくは真菌組織を含み得る。
【0138】
ある特定の実施形態では、足場生体材料は、対象の組織を物理的に模倣するように及び/又は対象において目標の組織効果を機能的に促進するように形成された足場生体材料であり得る。本明細書に記載される、そのような足場生体材料を使用する方法は、ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織が、対象の組織を物理的に模倣するように及び/又は対象において目標の組織効果を機能的に促進するように形成された、本明細書に記載の足場生体材料を選択するステップを含み得る。理解される通り、組織は、典型的には、骨関連組織であり、目標の組織効果は、典型的には、骨再生、修復、成長、及び/又は骨構築効果である。本明細書の教示に関係する当業者は、特定の適用に適合する適切な足場生体材料を選択することができるだろう。
【0139】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織及び/又は足場生体材料は、植物若しくは真菌組織上、及び/又は植物若しくは真菌組織内に生細胞をさらに含み得る。ある特定の実施形態では、生細胞は、動物細胞、哺乳動物細胞又はヒト細胞であり得る。ある特定の実施形態では、細胞は、例えば、足場生体材料及び/又は脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織内、及び/又はそれら上に導入又は播種された細胞であってもよく、又は足場生体材料及び/又は脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織の、生存動物又は植物対象への移植後に、足場生体材料及び/又は脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織内、又はそれら上に浸潤する細胞であってもよい。ある特定の実施形態では、生細胞は、骨組織細胞又は骨前駆細胞を含み得る。ある特定の実施形態では、生細胞は前骨芽細胞又は骨芽細胞を含み得る。
【0140】
別の実施形態では、
脱細胞化された植物組織又は真菌組織であって、組織の細胞性物質及び核酸が除去されており、3次元多孔質構造を含む、脱細胞化された植物組織又は真菌組織、
タンパク質ベースのヒドロゲル、
多糖ベースのヒドロゲル、
アパタイト、
塩化カルシウム
リン酸二ナトリウム
リン酸オステオカルシウム、
生体適合性セラミック、
生体適合性ガラス、
生体適合性金属ナノ粒子、
ナノ結晶セルロース、
前骨芽細胞、骨芽細胞、分化した骨及び/若しくは頭蓋冠組織細胞、又はそれらの任意の組合せなどの哺乳動物細胞、
植物若しくは真菌組織、脱細胞化試薬、又はその両方、
緩衝液、並びに/又は
本明細書に記載の1又は2以上の方法のいずれかを実施するための使用説明書
のいずれか1又は2以上を含むキットが本明細書で提供される。
【0141】
ある特定の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルは、コラーゲン、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質、オステオカルシン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、骨形成タンパク質、他のマトリックスタンパク質、又はそれらの任意の組合せを含み得る。ある特定の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルはコラーゲンヒドロゲルを含み得る。ある特定の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルはコラーゲンIを含み得る。ある特定の実施形態では、多糖ベースのヒドロゲルは、アガロースベースのゲル/ヒドロゲル、アルギネートベースのゲル/ヒドロゲル、ヒアルロン酸ベースのゲル/ヒドロゲル、又は別の糖質ベースのヒドロゲルを含み得る。ある特定の実施形態では、アパタイトはヒドロキシアパタイトを含み得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織及び/又はタンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲルは、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質、オステオカルシン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、又はそれらの任意の組合せなどの骨形成分化の1又は2以上のマーカーを含み得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織及び/又はタンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲルは、正常な骨マトリックスに見出される1又は2以上のタンパク質を含み得る。
【0142】
生産の方法、並びに足場生体材料の方法及び使用
別の実施形態では、足場生体材料を生産するための方法であって、
脱細胞化された植物組織又は真菌組織を提供するステップであって、脱細胞化された植物組織又は真菌組織から組織の細胞性物質及び核酸が除去されており、脱細胞化された植物組織又は真菌組織が3次元多孔質構造を含む、ステップ、及び
タンパク質ベースのヒドロゲル、多糖ベースのヒドロゲル、又はその両方を脱細胞化された植物組織又は真菌組織に導入するステップ
を含む方法が提供される。
【0143】
ある特定の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲルは、本明細書の教示に関する技術分野の当業者に公知の任意の適切な技法により、脱細胞化された植物組織又は真菌組織へ導入され得る。ある特定の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲルは、例えば、浸漬、注入、成形、電場下、誘導リソグラフィ、又はエレクトロスピニングにより、脱細胞化された植物組織又は真菌組織へ導入され得る。
【0144】
ある特定の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルは、1又は2以上のタンパク質又はその誘導体を含む任意の適切なヒドロゲルを含み得る。ある特定の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルは、コラーゲン、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質、オステオカルシン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、骨形成タンパク質、他のマトリックスタンパク質、又はそれらの任意の組合せを含み得る。ある特定の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルはコラーゲンヒドロゲルを含み得る。ある特定の実施形態では、タンパク質ベースのヒドロゲルはコラーゲンIを含み得る。
【0145】
ある特定の実施形態では、多糖ベースのヒドロゲルは、1又は2以上の糖質又は多糖又はその誘導体を含む任意の適切なヒドロゲルを含み得る。ある特定の実施形態では、ヒドロゲルは、アガロースベースのヒドロゲル、アルギネートベースのヒドロゲル、ヒアルロン酸ベースのヒドロゲル、又は別の糖質ベースのヒドロゲルを含み得る。
【0146】
ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織及び/又はタンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲルは、オステオネクチン、オステオポンチン、骨シアロタンパク質、オステオカルシン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、又はそれらの任意の組合せなどの骨形成分化の1又は2以上のマーカーを含み得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織及び/又はタンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲルは、正常な骨マトリックスに見出される1又は2以上のタンパク質を含み得る。
【0147】
さらに別の実施形態では、足場生体材料を生産するための方法であって、
脱細胞化された植物組織又は真菌組織を提供するステップであって、脱細胞化された植物組織又は真菌組織から組織の細胞性物質及び核酸が除去されており、脱細胞化された植物組織又は真菌組織が3次元多孔質構造を含む、ステップ、及び
脱細胞化された植物組織又は真菌組織を少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化するステップ
を含む方法が本明細書に提供される。
【0148】
ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、1又は2以上のリン酸塩ミネラルで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、アパタイト、リン酸オステオカルシウム、生体適合性セラミック、生体適合性ガラス、生体適合性金属ナノ粒子、ナノ結晶セルロース、又はそれらの任意の組合せで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、アパタイトで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。ある特定の実施形態では、アパタイトはヒドロキシアパタイトを含み得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、脱細胞化された植物組織又は真菌組織の剛性を増加させるために、ナノ結晶セルロースで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。ある特定の実施形態では、アパタイトはヒドロキシアパタイトを含み得る。
【0149】
ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織をコーティング又はミネラル化するステップは、脱細胞化された植物組織又は真菌組織を塩化カルシウムの溶液及びリン酸二ナトリウムの溶液への交互曝露に供するステップを含む。
【0150】
ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織が、様々な適切な技法のいずれかにより少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得ることが企図される。例として、ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、例えば、塩化カルシウムの溶液及びリン酸二ナトリウムの溶液への交互曝露により、アパタイトで少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織が、模擬体液中での浸漬、溶射、スパッタコーティング、ゾルゲル沈着、熱間等静圧圧縮、浸漬コーティング、エレクトロスピニング、又はそれらの任意の組合せにより少なくとも部分的にコーティング又はミネラル化され得ることが企図される。コーティング又はミネラル化技法の例は、Shin et al., 2017, Biomimetic Mineralization of Biomaterials Using Simulated Body Fluids for Bone Tissue Engineering and Regenerative Medicine, Tissue Engineering Part A, 23:19-20, https://dx.doi.org/10.1089%2Ften.tea.2016.0556(その全体を参照により本明細書に組み込む)に記載されている。
【0151】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、タンパク質ベースのヒドロゲル及び/又は多糖ベースのヒドロゲルを足場生体材料に導入するステップと、脱細胞化された植物組織又は真菌組織をミネラル化するステップの両方を含み得、コーティング及び/又は負荷されたヒドロゲルを含む事前にミネラル化された足場生体材料を提供し得る。
【0152】
また別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、生細胞、特に、非ネイティブ細胞を脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織上及び/又は脱細胞化された植物組織若しくは真菌組織内に導入するステップをさらに含み得る。ある特定の実施形態では、生細胞は動物細胞を含み得る。ある特定の実施形態では、生細胞は哺乳動物細胞を含み得る。ある特定の実施形態では、生細胞はヒト細胞を含み得る。ある特定の実施形態では、生細胞は、前骨芽細胞、骨芽細胞、分化した骨及び/若しくは頭蓋冠組織細胞、又はそれらの任意の組合せを含み得る。
【0153】
植物組織又は真菌組織の単離及び脱細胞化のための方法、並びに足場生体材料を調製するための方法は、本明細書で詳細に記載されている。その上、そのような方法の実験例は、下記の実施例セクションで詳細に記載されている。
【0154】
本明細書に記載の足場生体材料のための脱細胞化された植物組織又は真菌組織を生産するために適合され得る脱細胞化プロトコールのさらなる例は、「Decellularised Cell Wall Structures from Plants and Fungus and Use Thereof as Scaffold Materials」と題された国際公開第2017/136950号パンフレット(その全体を参照により本明細書に組み込む)において見出すことができる。
【0155】
上記の1又は2以上の方法のまた別の実施形態では、植物組織又は真菌組織は、リンゴ花托筒(セイヨウリンゴ)組織、シダ(モニロフィテス)組織、カブ(ブラッシカ・ラパ)根組織、イチョウ枝組織、ツクシ(トクサ)組織、ワスレグサ属ハイブリッド葉組織、ケール(ブラッシカ・オレラセア)茎組織、針葉樹ベイマツ(シュードツガ・メンジエシ)組織、サボテン果実(ピタヤ)果肉組織、マキュラータビンカ組織、水生ハス(ネルンボ・ヌシフェラ)組織、チューリップ(チューリッパ・ゲスネリアーナ)花弁組織、オオバコ属(バナナ)組織、ブロッコリー(ブラッシカ・オレラセア)茎組織、カエデ葉(アメリカスズカケノキ)茎組織、ビート(サトウダイコン)一次根組織、ネギ(タマネギ)組織、ラン(ラン科)組織、カブ(ブラッシカ・ラパ)茎組織、ニラ(リーキ)組織、カエデ(カエデ属)木枝組織、セロリ(オランダミツバ)組織、ネギ(タマネギ)茎組織、マツ組織、アロエベラ組織、スイカ(キトルルス・ラナタス・バル・ラナタス)組織、クリーピング・ジェニー(オカトラノオ属ツル植物)(コバンコナスビ)組織、カクタエ(cactae)組織、リクニス・アルピナ組織、ルバーブ(ショクヨウダイオウ)組織、カボチャ果肉(ペポカボチャ)組織、ドラセナ(キジカクシ科)茎組織、ムラサキツユクサ(オオムラサキツユクサ)茎組織、アスパラガス(オランダキジカクシ)茎組織、マッシュルーム(真菌)組織、フェンネル(ウイキョウ)組織、バラ(バラ属)組織、ニンジン(ダウクス・カロタ)組織、又はセイヨウナシ(リンゴ類)組織、又は直接的ゲノム改変により若しくは選択的育種を通して生産された遺伝子変更組織、又はそれらの任意の組合せからの組織を含み得る。別の実施形態では、植物組織又は真菌組織は、リンゴ花托筒を含み得る。植物組織又は真菌組織の追加の例は、「Decellularised Cell Wall Structures from Plants and Fungus and Use Thereof as Scaffold Materials」と題された国際公開第2017/136950号パンフレット(その全体を参照により本明細書に組み込む)の実施例18に記載されている。
【0156】
本明細書に記載の足場生体材料のための脱細胞化された植物組織又は真菌組織を生産するために適合し得る脱細胞化プロトコールの例は、「Decellularised Cell Wall Structures from Plants and Fungus and Use Thereof as Scaffold Materials」と題された国際公開第2017/136950号パンフレット(その全体を参照により本明細書に組み込む)に見出すことができる。
【0157】
脱細胞化のために様々な方法が使用され得る。例として、ある特定の実施形態では、脱細胞化には、熱ショック、洗剤(例えば、SDS、Triton X、EDA、アルカリ処理、酸、イオン性洗剤、非イオン性洗剤及び双性イオン性洗剤)による処理、浸透圧ショック、凍結乾燥、物理的溶解(例えば、静水圧)、電気的破壊(例えば、非熱不可逆的エレクトロポレーション)、若しくは酵素消化、又はそれらの任意の組合せによる脱細胞化が挙げられ得る。ある特定の実施形態では、脱細胞化プロセスは、非限定的に、熱ショック(例えば、急冷解凍)、化学的処理(例えば、洗剤)、浸透圧ショック(例えば、蒸留水)、凍結乾燥、物理的溶解(例えば、圧処理)、電気的破壊、及び/又は酵素消化を含む、幾つかの手法のいずれかを(個々に、又は組合せで)含み得る。
【0158】
ある特定の実施形態では、脱細胞化は、洗剤又は界面活性剤による処理を含み得る。洗剤の例には、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS:sodium dodecyl sulphate)、Triton X、EDA、アルカリ処理、酸、イオン性洗剤、非イオン性洗剤、及び双性イオン性洗剤が挙げられ得るが、それらに限定されない。
【0159】
またさらなる実施形態では、脱細胞化された植物組織又は真菌組織は、SDSによる処理によって脱細胞化された植物組織又は真菌組織を含み得る。また別の実施形態では、残留のSDSは、水性二価塩溶液で洗浄することによって、植物組織又は真菌組織から除去することができる。水性二価塩溶液は、SDSミセルを含有する塩残基を、溶液/足場から沈殿/駆逐するために使用することができ、dHO、酢酸、若しくはジメチルスルホキシド(DMSO:dimethylsulfoxide)処理、又は超音波処理を使用して、塩残基又はSDSミセルを除去することができる。ある特定の実施形態では、水性二価塩溶液の二価塩は、例えば、MgCl又はCaClを含み得る。
【0160】
別の実施形態では、植物組織又は真菌組織は、水、エタノール、又は別の適切な有機溶媒などの溶媒中の0.01~10%、例えば、約0.1%~約1%、又は例えば、約0.1%のSDS又は約1%のSDSのSDS溶液による処理によって脱細胞化してもよく、残留のSDSは、約100mMの濃度の水性CaCl溶液を使用して除去し、続いてdHO中でインキュベーションしてもよい。ある特定の実施形態では、SDS溶液は、脱細胞化を促進し得る0.1%超の濃度であってもよく、残留のSDSを除去するための洗浄の増加を伴ってもよい。特定の実施形態では、植物組織又は真菌組織は、水中約0.1%SDSのSDS溶液による処理によって脱細胞化してもよく、残留のSDSは、約100mMの濃度の水性CaCl溶液を使用して除去し、続いてdHO中でインキュベーションしてもよい。
【0161】
本明細書に記載の足場生体材料の設計考察の幾つかは、「Decellularised Cell Wall Structures from Plants and Fungus and Use Thereof as Scaffold Materials」と題された国際公開第2017/136950号パンフレット(その全体を参照により本明細書に組み込む)の足場生体材料について記載されたものの幾つかと関連し得るが、本明細書に記載の生体材料は、例えば、1若しくは2以上のヒドロゲルの包含、及び/又は事前ミネラル化の包含から生じる利益を提供し得る。したがって、本明細書に記載の生体材料は、例えば、骨組織の構築、修復、再生、成長、及び/又は置換が望まれる適用にとって特に有利であり得る。
【0162】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の生体材料は、例えば、生物医学的実験研究並びに/又はヒト及び/若しくは獣医学的適用における臨床再生医学に適用され得る。そのような生体材料は、産業的/学術的生物医学研究者のための、生物医学的インプラント及び/若しくは骨移植片のための、並びに/又は足場が使用され得る他の適切な適用における、研究用ツールとして使用され得る足場として有効であり得る。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の足場生体材料は、骨の再生に使用され得る。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の足場生体材料は、単純な又は複雑な組織として使用され得る。例として、足場は、骨への事故、奇形、傷害、又は他の損傷後に骨組織を置換/再生するために使用され得る。
【0163】
別の実施形態では、上記の1又は2以上の方法のいずれかは、植物又は動物生細胞を植物組織又は真菌組織に導入するステップをさらに含み得る。別の実施形態では、上記の1又は2以上の方法のいずれかは、足場生体材料上及び/又は足場生体材料中で植物又は動物の生細胞を培養するステップをさらに含み得る。一実施形態では、生細胞は、ヒト細胞などの哺乳動物細胞を含み得る。ある特定の実施形態では、細胞は、例えば前骨芽細胞及び/又は骨芽細胞などの1又は2以上の骨組織細胞を含み得る。
【0164】
ある特定の実施形態では、特にBTE及び/又は修復適用について、患者由来の骨前駆細胞が、修復及び/又は回復を促進するために本明細書に記載の足場へ添加され得ることが企図される。
【0165】
また別の実施形態では、BTEのための、骨移植のための、骨の修復若しくは再生のための、又はそれらの任意の組合せのための、本明細書に記載の1又は2以上の足場生体材料のいずれかの使用が本明細書に提供される。さらに別の実施形態では、頭蓋顔面再建手術、歯科及び/若しくは顎顔面再建手術、広範な骨欠損及び/若しくは外傷再建、骨充填物適用、インプラント安定化、並びに/又は薬物送達、又はそれらの任意の組合せのいずれか1又は2以上のための、本明細書に記載の1又は2以上の足場生体材料のいずれかの使用が本明細書に提供される。また別の実施形態では、歯科用骨充填物適用における本明細書に記載の1又は2以上の足場生体材料のいずれかの使用が本明細書に提供される。別の実施形態では、大きいインプラントのための応力遮蔽低下剤としての本明細書に記載の1又は2以上の足場生体材料のいずれかの使用が本明細書に提供される。
【0166】
さらに別の実施形態では、活発な骨形成を促進するための;臨界及び/若しくは非臨界サイズの欠損部を修復するために移植するための;骨修復中に機械的支持を提供するための;長骨、頭蓋冠骨、顎顔面骨、歯の骨、及び/若しくは顎骨の喪失若しくは傷害において代用するための;歯槽堤造成、歯牙欠損、歯インプラント、及び/若しくは再建手術などの歯科矯正用及び/若しくは歯周用移植片のための;骨粗鬆症からの減少、年齢、以前のインプラント、及び/若しくは傷害による骨量減少による骨量を増加させるための特定の部位における移植のための;又は骨-インプラント組織一体化を向上させるための;又はそれらの任意の組合せのための、本明細書に記載の1又は2以上の足場生体材料のいずれかの使用が本明細書に提供される。
【0167】
さらに別の実施形態では、骨組織を構築するための、骨移植のための、骨の修復若しくは再生のための、頭蓋顔面再建手術のための、歯科及び/若しくは顎顔面再建手術のための、広範な骨欠損及び/若しくは外傷再建のための、歯科若しくは他の骨充填物適用のための、インプラント安定化のための、大きいインプラントの応力遮蔽のための、活発な骨形成を促進するための;臨界及び/若しくは非臨界サイズの欠損部を修復するための;骨修復中に機械的支持を提供するための;長骨、頭蓋冠骨、顎顔面骨、歯の骨、及び/若しくは顎骨の喪失若しくは傷害について代用するための;歯槽堤造成、歯牙欠損、歯インプラント、及び/若しくは再建手術などの歯科矯正用及び/若しくは歯周用移植のための;骨粗鬆症からの減少、年齢、以前のインプラント、及び/若しくは傷害による骨量減少による骨量を増加させるための特定の部位における移植のための;骨-インプラント組織一体化を向上させるための;又は薬物送達のための、又はそれらの任意の組合せのための方法であって、
本明細書に記載の足場生体材料を提供するステップ、及び
足場生体材料を、それを必要とする対象へそれを必要とする部位又は領域において移植するステップ
を含む方法が本明細書に提供される。
【0168】
ある特定の実施形態では、足場生体材料は、傷害の部位(例えば、骨折、空間充填剤、損傷骨組織)に移植され得る。ある特定の実施形態では、足場生体材料は、細胞を含まず、又は患者由来(すなわち、自己の)若しくはドナー由来(すなわち、同種の)であってもよい細胞を事前播種され得る。ある特定の実施形態では、足場生体材料は、欠損又は傷害部位に適応するように、事前に形成され、モジュール式であり、又はインサイチューで形作られ得る。ある特定の実施形態では、骨形成成長因子が、移植前に足場生体材料へ事前負荷され得、又は移植後及び/若しくは手術後投与され得、又はその両方であり得る。
【0169】
小さい破壊又は亀裂を治療することについてなどのある特定の実施形態では、足場生体材料の巻き付け又は挿入が望ましくあり得る。より大きい欠損についてなど、ある特定の実施形態では、足場生体材料の挿入が望ましくあり得る。
【0170】
ある特定の実施形態では、足場生体材料は、骨折又は骨破壊の部位に移植され得、骨の周りに巻き付けられ又は破壊若しくは裂け目へ挿入され得、或いは両方であり得る。ある特定の実施形態では、骨細胞は、足場生体材料へ事前に播種され得、又は後で、足場生体材料へ導入され得る。ある特定の実施形態では、前骨芽細胞の分化を惹起する作用物質が、足場生体材料内に存在し又は足場生体材料へ導入され得る。ある特定の実施形態では、移植のための足場生体材料は、それらが除去される必要がないように、又はそれらが、例えばある期間後、除去され得るように、形成され得る。
【0171】
ある特定の実施形態では、方法は、移植前に、骨前駆細胞又は骨若しくは骨組織細胞を足場生体材料へ添加又は播種するステップをさらに含み得る。ある特定の実施形態では、骨前駆細胞又は骨若しくは骨組織細胞は、患者由来の細胞を含み得る。ある特定の実施形態では、細胞は、前骨芽細胞、骨芽細胞、分化した骨及び/若しくは頭蓋冠組織細胞、又はそれらの任意の組合せを含み得る。
【0172】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の足場生体材料は、セルロース、ヘミセルロース、キチン、キトサン、ペクチン、リグニン、又はそれらの任意の組合せに由来し及び/又はそれらを含み得ることが企図される。
【0173】
足場生体材料、及びBTEのためのその使用が本明細書に提供される。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の足場生体材料は、調節され得るミネラル化表面を提供するために使用され得、様々な分子比が、所望される通りに生物活性、骨誘導、及び/又は骨結合を調節するように選択されることが企図される。
【0174】
本明細書に記載の足場生体材料は、それらの天然に存在する植物供給源に由来した複雑な形状、多孔度、及び/又は構造から恩恵を受け得る。そのような足場生体材料はまた、それらの化学組成のおかげで、インビボで生分解性が低く又は全くなくあり得、そのことは、骨組織工学(BTE)適用において有益であり得る。
【0175】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の足場生体材料は、実質的に又は少なくとも部分的にセルロースベースであり得る。そのようなセルロース足場は、有益なことには、インビボで生分解性が低くあり得、並びに有益なことには、容易にコーティング可能及び/又は事前ミネラル化可能であり、所望のBTE特性を有する事前コーティングされた足場生体材料を提供し得る。
【0176】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の足場生体材料及び/又は移植片は、異なる分子比で(例えば、インキュベーションサイクルの数、及び/又は試薬の濃度を変化させることにより)事前コーティングされ得、調整可能性を提供する。ある特定の実施形態では、足場生体材料/移植片が由来する植物組織供給源は、特定の適用に適するように選択され得る。例えば、ある特定の実施形態では、根本をなす多孔度及び/又は孔の相互接続性が、足場生体材料/移植片内での細胞の動員及び/又は一体化のために選択され得る。多くの巨視的及び微視的アーキテクチャが天然で見出され得るため、多くの選択肢が利用可能であり、適切な供給源を選ぶことが、所望の特定の適用のために足場生体材料/移植片の性能を最適化することを可能にし得る。例えば、ある特定の実施形態では、不均質で、多孔性の低い、緻密な材料は、ある特定の適用について、特定の孔サイズ及び孔相互接続性を有する均質な多孔質足場より効率が低く又は望ましくなくあり得、それゆえに、植物組織供給源は、それに応じて選択され得る。
【0177】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の足場生体材料/移植片は、事前コーティングのより良い接着を提供するために、表面化学的性質を変更させるように修飾され得ることが企図される。ある特定の実施形態では、例えば、コーティングのより良い接着のために、1又は2以上の官能基が表面に付加され得る。ある特定の実施形態では、そのような手法は、薬物、ホルモン、代謝産物などを、本明細書に記載の足場生体材料へ添加するために使用され得る。ある特定の実施形態では、ある特定の細胞型についての誘引物質及び/若しくは抑止物質が使用され得、並びに/又は局所的環境(生化学的及び/又は物理学的)が特定の適用に適するように変更され得る。ある特定の実施形態では、別個の局所的な空間的及び/又は時間的足掛かりが細胞へ提供され得る。
【0178】
ある特定の実施形態では、コラーゲン及び/又は成長因子及び/又は幹細胞(又は前駆細胞)及び/又は他の構造的若しくは機能的タンパク質の添加が、所望の特定の適用のために本明細書に記載の足場生体材料/移植片をさらに調整し及び/又は適合させるために実施され得ることが企図される。
【0179】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の足場生体材料/移植片は、頭蓋顔面再建手術、歯科及び/若しくは顎顔面再建手術、広範な骨欠損及び/若しくは外傷再建、骨充填物適用、インプラント安定化、並びに/又は薬物送達のいずれか1又は2以上において使用するためのものであってもよい。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の足場生体材料/移植片は、歯科用骨充填物適用に使用するためのものであってもよい。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の足場生体材料/移植片は、大きいインプラントのための応力遮蔽低下剤として使用するためのものであってもよいことが企図される。
【0180】
ある特定の実施形態では、足場生体材料は、化学量論的及び/又はカルシウム欠損ヒドロキシアパタイトで、足場生体材料の表面又は完全なミネラル化のために処理され得る。ある特定の実施形態では、化学量論的及び/又はカルシウム欠損ヒドロキシアパタイトでの時間依存性又は非依存性表面ミネラル化が実施され得る。ある特定の実施形態では、材料の時間依存性又は非依存性表面電荷改変が実施され得る。ある特定の実施形態では、異なる機械的特性の複合材料が、応力遮蔽(すなわち、例えば、骨-材料の応答)を調節するために使用され得る。ある特定の実施形態では、応力遮蔽は、周囲骨組織などの隣接組織において骨分解を回避又は低減するために、関連したインビボ環境の剛性が実質的に整合している(すなわち、機能にとって十分強いが、過度には堅くない)ように調整され得る。
【0181】
別の実施形態では、軟骨又は骨組織細胞になるように軟骨又は骨前駆細胞を分化させるための方法であって、
軟骨又は骨前駆細胞を、分化培地中、本明細書に記載の1又は2以上の足場生体材料のいずれかの上で培養するステップを含み、
培養するステップが、培養された細胞を周囲圧力より高い上昇した気圧に少なくとも1回曝露させることを含む、方法が本明細書に提供される。
【0182】
別の実施形態では、軟骨又は骨組織細胞になるように軟骨又は骨前駆細胞を分化させるための方法であって、
軟骨又は骨前駆細胞を、分化培地中、本明細書に記載の1又は2以上の足場生体材料のいずれかの上で培養するステップを含み、
培養するステップが、培養された細胞が周囲圧力より高い上昇した気圧に処理期間の少なくとも一部の間曝露される少なくとも1つの処理期間を含み、処理期間が少なくとも約10分間持続し、週に少なくとも1回実施され、
それにより軟骨又は骨前駆細胞を軟骨又は骨組織細胞に分化させる、方法が本明細書に提供される。
【0183】
ある特定の実施形態では、軟骨又は骨前駆細胞は、間葉系幹細胞、骨格系幹細胞、誘導多能性幹細胞、前骨芽細胞、前破骨細胞、骨軟骨前駆細胞、軟骨膜細胞、軟骨芽細胞、軟骨細胞、又は肥大軟骨細胞、又はそれらの任意の組合せのいずれか1又は2以上を含み得る。
【0184】
ある特定の実施形態では、得られる軟骨又は骨組織細胞は、完全に分化した細胞、又は最初の軟骨若しくは骨前駆細胞と比較してさらに分化し若しくはより成熟した前駆細胞である細胞を含み得る。特定の適用に依存して、分化の異なるレベルが望まれ得る。ある特定の実施形態では、得られる軟骨又は骨組織細胞は、骨芽細胞、骨ライニング細胞、骨細胞、破骨細胞、軟骨細胞、肥大軟骨細胞、又はそれらの任意の組合せのいずれか1又は2以上を含み得る。
【0185】
骨前駆細胞分化の一般的な原理は、(Rutkovskiy, A., Stenslokken, K. O., & Vaage, I. J. (2016). Osteoblast Differentiation at a Glance. Medical science monitor basic research, 22, 95-106. https://doi.org/10.12659/msmbr.901142)(その全体を参照により本明細書に組み込む)に記載されている。
【0186】
ある特定の実施形態では、分化培地は、前駆細胞の所望の軟骨又は骨組織細胞への分化を可能にするのに適した任意の適切な細胞培養培地を含み得る。本明細書の教示に関係する当業者は、所望の型の分化型細胞を調製するのに適した様々な細胞培養培地又は培養液を知っているだろう。ある特定の実施形態では、分化培地は、以下を含有する骨形成培地などの骨形成培地を含み得る:ダルベッコ改変基本培地又は最小必須培地α、ウシ胎仔血清、ペニシリン-ストレプトマイシン、デキサメタゾン、アスコルビン酸、B-グリセロリン酸塩又は無機リン酸塩。ある特定の実施形態では、分化培地は、以下を含有する軟骨形成培地などの軟骨形成培地を含み得る:ダルベッコ改変イーグル培地、ウシ胎仔血清、ペニシリン-ストレプトマイシン、デキサメタゾン(例えば、Sigma社)、アスコルビン酸-2-リン酸塩、ピルビン酸ナトリウム、形質転換成長因子-ベータ1(TGF-β1(Transforming growth factor-beta 1)、例えば、Peprotech社、Rocky Hill、NJ)。
【0187】
ある特定の実施形態では、上昇した気圧は、周囲圧力より高い任意の適切な気圧であり得る。ある特定の実施形態では、周囲圧力は約1GPa未満の圧力を含み得る。ある特定の実施形態では、上昇した気圧は、骨組織に通常、かけられる負荷を模倣するように選択され得る。ある特定の実施形態では、上昇した気圧は、周囲圧力より約100~約1000kPa高く、例えば、約200~約500kPa、又は約250~約350kPa、又はこれらの範囲のいずれかの範囲内の任意の整数値、又はこれらの範囲のいずれかの範囲内の任意の2つの整数値の間に及ぶ任意の部分範囲分、高くあり得る。
【0188】
ある特定の実施形態では、処理期間は、少なくとも約10分間、持続し、少なくとも約30分間、持続し、少なくとも約1時間、持続し、又は少なくとも約2時間、持続し、少なくとも約5時間、持続し、少なくとも約10時間、持続し、少なくとも約1日間、持続し、少なくとも約2日間、持続し、少なくとも約1週間、持続し又はそれより長くあり得る。ある特定の実施形態では、処理期間は、約10分間~約2週間、持続し、又はその間にある任意の整数の時間値、又は任意の2つのそのような整数時間値の間に及ぶ任意の部分範囲であり得る。
【0189】
ある特定の実施形態では、処理期間は、少なくとも週に1回、少なくとも週に2回、少なくとも週に3回、少なくとも週に4回、少なくとも週に5回、少なくとも週に6回、少なくとも週に7回、少なくとも週に14回、又はそれより多く実施され得る。ある特定の実施形態では、処理期間は、週に1回~週に168回、又はその間の任意の整数値、又は任意の2つのそのような整数値の間に及ぶ任意の部分範囲の頻度で実施され得る。ある特定の実施形態では、処理期間は少なくとも1日1回、実施され得る。
【0190】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのさらに別の実施形態では、培養された細胞は、上昇した気圧への各曝露後、低圧力又は周囲の圧力条件に戻され得る。ある特定の実施形態では、培養された細胞は、上昇した気圧より低い圧力、典型的には、周囲圧力に近い低い圧力を含む低い圧力条件に戻され得る。ある特定の実施形態では、培養された細胞は、周囲圧力(典型的には、例えば約101kPa)であり又はそれに近い周囲圧力条件に戻され得る。
【0191】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのさらに別の実施形態では、処理期間は、培養された細胞を、低圧力又は周囲の圧力条件と上昇した気圧条件との間を交互にすることを含み得る。ある特定の実施形態では、交互にすることは、低圧力/周囲の圧力相及び増加した圧力相がより長い持続期間であるようにゆっくりであり得、又は交互にすることは、低圧力/周囲の圧力相及び増加した圧力相が短い持続期間であり、かつ迅速に交代するように速くあり得る。ある特定の実施形態では、低圧力/周囲の圧力から増加した圧力への移行はゆっくり又は速くあり得る。ある特定の実施形態では、増加した圧力から低圧力/周囲の圧力への移行はゆっくり又は速くあり得る。ある特定の実施形態では、移行の速度は、実質的に線形であり得、又は非線形であり得る。
【0192】
上記の1又は2以上の方法のいずれかの別の実施形態では、処理期間は、細胞が曝露される気圧を、低圧力又は周囲の圧力と上昇した気圧との間で振動させることを含み得る。上記の1又は2以上の方法のいずれかのさらに別の実施形態では、処理期間は、細胞が曝露される気圧を、低圧力又は周囲の圧力と上昇した気圧との間で約1~10Hzの周波数又はその間の任意の値又はその間の任意の部分範囲で振動させることを含み得る。
【0193】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのさらに別の実施形態では、処理期間は、細胞が曝露される気圧を、低圧力又は周囲の圧力と上昇した気圧との間で振動させることを含み得、低圧力又は周囲の圧力が周囲圧力であり(すなわち、典型的には、約101kPa+約0kPa)、上昇した気圧が、周囲圧力より約+280kPa高く(すなわち、典型的には、約101kPa+約280kPa=約381kPa)、振動させることが約1~10Hzの周波数であってもよい。
【0194】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのまた別の実施形態では、処理期間は、培養された細胞を、上昇した気圧に持続的期間の間曝露させることを含み得る。上記の1又は2以上の方法のいずれかのさらに別の実施形態では、処理期間は、培養された細胞を、実質的に一定の上昇した気圧に持続的期間の間曝露させることを含み得る。ある特定の実施形態では、持続的期間は、少なくとも約10分間であり得る。ある特定の実施形態では、持続的期間は、約10分間~約3週間、又はその間の任意の時間値、又はその間の任意の部分範囲であり得る。
【0195】
上記の1又は2以上の方法のいずれかの別の実施形態では、処理期間は、約1時間、持続し又はそれより長くあり得る。
【0196】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのまた別の実施形態では、処理期間は、1日1回又は1日2回以上、実施され得る。
【0197】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのさらに別の実施形態では、培養するステップは、少なくとも約1週間実施され得る。
【0198】
上記の1又は2以上の方法のいずれかの別の実施形態では、培養するステップは約2週間又はそれより長く実施され得る。
【0199】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのまた別の実施形態では、上昇した気圧は静水圧として印加され得る。
【0200】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのさらに別の実施形態では、上昇した気圧は、培養された細胞より上の気相の圧力を調節することにより印加され得る。
【0201】
上記の1又は2以上の方法のいずれかのまた別の実施形態では、上昇した気圧は、周囲圧力より約+280kPa高くあり得る(すなわち、典型的には、約101kPa+約280kPa=約381kPa)。
【実施例1】
【0202】
骨組織工学のための植物由来生体材料 - 骨組織工学のためのセルロース足場のインビボ及びインビトロでの生体力学的特徴付け
天然巨視的セルロース構造は様々な植物に由来し得る。界面活性剤処理を使用した、植物に由来するセルロースベースの足場は、植物の天然構造を利用することにより、様々な組織再構築のための材料として使用され得ることが実証されている(D. J. Modulevsky, C. Lefebvre, K. Haase, Z. Al-Rekabi, and A. E. Pelling, ''Apple Derived Cellulose Scaffolds for 3D Mammalian Cell Culture,'' PLoS One, vol. 9, no. 5, p. e97835, May 2014)。これらの生体材料は、インビトロでの哺乳動物細胞培養のために使用することができ(D. J. Modulevsky, C. Lefebvre, K. Haase, Z. Al-Rekabi, and A. E. Pelling, ''Apple Derived Cellulose Scaffolds for 3D Mammalian Cell Culture,'' PLoS One, vol. 9, no. 5, p. e97835, May 2014)、生体適合性であり、皮下で自発的に血管新生し得る(D. J. Modulevsky, C. Lefebvre, K. Haase, Z. Al-Rekabi, and A. E. Pelling, ''Apple Derived Cellulose Scaffolds for 3D Mammalian Cell Culture,'' PLoS One, vol. 9, no. 5, p. e97835, May 2014、D. J. Modulevsky, C. M. Cuerrier, and A. E. Pelling, ''Biocompatibility of Subcutaneously Implanted Plant-Derived Cellulose Biomaterials,'' PLoS One, vol. 11, no. 6, p. e0157894, Jun. 2016、R. J. Hickey, D. J. Modulevsky, C. M. Cuerrier, and A. E. Pelling, ''Customizing the Shape and Microenvironment Biochemistry of Biocompatible Macroscopic Plant-Derived Cellulose Scaffolds,'' ACS Biomater. Sci. Eng., p. acsbiomaterials.8b00178, Mar. 2018)。生体材料は、意図されている適用に応じて、特定の植物から得てもよい(D. J. Modulevsky, C. Lefebvre, K. Haase, Z. Al-Rekabi, and A. E. Pelling, ''Apple Derived Cellulose Scaffolds for 3D Mammalian Cell Culture,'' PLoS One, vol. 9, no. 5, p. e97835, May 2014、D. J. Modulevsky, C. M. Cuerrier, and A. E. Pelling, ''Biocompatibility of Subcutaneously Implanted Plant-Derived Cellulose Biomaterials,'' PLoS One, vol. 11, no. 6, p. e0157894, Jun. 2016、R. J. Hickey, D. J. Modulevsky, C. M. Cuerrier, and A. E. Pelling, ''Customizing the Shape and Microenvironment Biochemistry of Biocompatible Macroscopic Plant-Derived Cellulose Scaffolds,'' ACS Biomater. Sci. Eng., p. acsbiomaterials.8b00178, Mar. 2018、G. Fontana et al., ''Biofunctionalized Plants as Diverse Biomaterials for Human Cell Culture,'' Adv. Healthc. Mater., vol. 6, no. 8, p. 1601225, Apr. 2017、J. R. Gershlak et al., ''Crossing kingdoms: Using decellularized plants as perfusable tissue engineering scaffolds,'' Biomaterials, vol. 125, pp. 13-22, May 2017)。例えば、植物の茎及び葉からの管束構造は、動物組織において見出される構造と同様の管束構造を提示する(J. R. Gershlak et al., ''Crossing kingdoms: Using decellularized plants as perfusable tissue engineering scaffolds,'' Biomaterials, vol. 125, pp. 13-22, May 2017)。また、植物由来セルロース足場は、特定の形へと容易に切り出すことができ、表面生化学を変更するように処理することができる(R. J. Hickey, D. J. Modulevsky, C. M. Cuerrier, and A. E. Pelling, ''Customizing the Shape and Microenvironment Biochemistry of Biocompatible Macroscopic Plant-Derived Cellulose Scaffolds,'' ACS Biomater. Sci. Eng., p. acsbiomaterials.8b00178, Mar. 2018)。塩緩衝液は脱細胞化プロセスに含まれてもよく、インビトロ及びインビボの両方での細胞付着の増加をもたらすことができる(R. J. Hickey, D. J. Modulevsky, C. M. Cuerrier, and A. E. Pelling, ''Customizing the Shape and Microenvironment Biochemistry of Biocompatible Macroscopic Plant-Derived Cellulose Scaffolds,'' ACS Biomater. Sci. Eng., p. acsbiomaterials.8b00178, Mar. 2018)。植物由来セルロースは、ヒドロゲルを足場表面にキャスティングすることにより、複合生体材料に使用することができる。足場は、動物に生体適合性となることができ、皮下で自発的に血管新生し得る(D. J. Modulevsky, C. M. Cuerrier, and A. E. Pelling, ''Biocompatibility of Subcutaneously Implanted Plant-Derived Cellulose Biomaterials,'' PLoS One, vol. 11, no. 6, p. e0157894, Jun. 2016、R. J. Hickey, D. J. Modulevsky, C. M. Cuerrier, and A. E. Pelling, ''Customizing the Shape and Microenvironment Biochemistry of Biocompatible Macroscopic Plant-Derived Cellulose Scaffolds,'' ACS Biomater. Sci. Eng., p. acsbiomaterials.8b00178, Mar. 2018)。リンゴ花托筒組織は、直径が100~200μmの範囲の相互接続した孔を有する骨様アーキテクチャを提供し得る(D. J. Modulevsky, C. Lefebvre, K. Haase, Z. Al-Rekabi, and A. E. Pelling, ''Apple Derived Cellulose Scaffolds for 3D Mammalian Cell Culture,'' PLoS One, vol. 9, no. 5, p. e97835, May 2014)。
【0203】
他の研究はBTEのために細菌性セルロースを使用して有望な結果を示しているが(S. Torgbo and P. Sukyai, ''Bacterial cellulose-based scaffold materials for bone tissue engineering,'' Appl. Mater. Today, vol. 11, pp. 34-49, Jun. 2018)、植物由来セルロースは、本方法におけるこの特定の適用に対してこれまで用いられてこなかった。重要なことに、花托筒組織は、海綿骨と同様の幾何学的特質を有するマイクロ構造を所有する(V. Karageorgiou and D. Kaplan, ''Porosity of 3D biomaterial scaffolds and osteogenesis,'' Biomaterials, vol. 26, no. 27, pp. 5474-5491, Sep. 2005)。以下の研究では、リンゴ由来セルロース足場がBTEに適切な生体材料として働き得ることが実証される。リンゴ花托筒組織に由来する足場は、2つの調合物において脱細胞化により調製した((D. J. Modulevsky, C. Lefebvre, K. Haase, Z. Al-Rekabi, and A. E. Pelling, ''Apple Derived Cellulose Scaffolds for 3D Mammalian Cell Culture,'' PLoS One, vol. 9, no. 5, p. e97835, May 2014、D. J. Modulevsky, C. M. Cuerrier, and A. E. Pelling, ''Biocompatibility of Subcutaneously Implanted Plant-Derived Cellulose Biomaterials,'' PLoS One, vol. 11, no. 6, p. e0157894, Jun. 2016、R. J. Hickey, D. J. Modulevsky, C. M. Cuerrier, and A. E. Pelling, ''Customizing the Shape and Microenvironment Biochemistry of Biocompatible Macroscopic Plant-Derived Cellulose Scaffolds,'' ACS Biomater. Sci. Eng., p. acsbiomaterials.8b00178, Mar. 2018)を参照されたい)。
【0204】
以下の研究では、MC3T3-E1前骨芽細胞を、むき出しセルロース足場上、又はセルロース足場に埋め込まれたタンパク質ベースのヒドロゲル(コラーゲンヒドロゲル)で構成された複合足場生体材料上に播種した。両方の足場調製物は細胞の大規模な浸潤及び増殖を支援し、その段階において細胞を含有する足場を骨誘導培地に入れた。細胞骨形成分化後、両方の足場型は、より高いヤング率、アルカリホスファターゼ活性、並びにカルシウム堆積及びミネラル化を示した。結果は、低コストで持続可能かつ再生可能な植物由来足場のBTE適用に対する適切性を支持する。
【0205】
天然由来セルロース足場は、幾つかの組織に関連する構造的特色を所有し、哺乳動物細胞の浸潤及び増殖、並びに高度のインビボ生体適合性を支援し得る。脱細胞化リンゴ花托筒組織は、海綿骨と同様の孔サイズ及び特性を所有し得る。本明細書に記載の通り、本明細書に記載の足場は、骨芽細胞分化の場を提供することができる。この研究では、リンゴ由来セルロース足場の骨組織工学(BTE、bone tissue engineering)のための生体材料としての可能性を調査した。インビトロ及びインビボでの関連する機械的特性も調査した。それらのインビトロでのミネラル化能を調査するために、MC3T3-E1前骨芽細胞を、むき出しセルロース足場上、又はセルロースとコラーゲンIとで構成された複合足場上に播種した。化学誘導分化後、足場を機械的に試験し、ミネラル化について評価した。ヤング率は、両方の条件下で分化後に増加することが見出された。Alizarin Red及びアルカリホスファターゼ染色は、足場の骨形成能及び足場におけるミネラル化をさらに強調した。足場コンストラクトの組織学的切片作製は、細胞による完全な浸潤と、ミネラル化がコンストラクト全体にわたって生じたこととを明らかにする。最後に、走査型電子顕微鏡法及びエネルギー分散型分光法は、分化後に足場に堆積したミネラル凝集体の存在を実証し、ホスフェート及びカルシウムの存在を確認した。無細胞足場をラット頭蓋冠欠損部に移植し、転位力及び組織学について評価した。機械的評価は、転位力が天然頭蓋冠骨及び他の種類の無細胞インプラントと同様の量であったことを明らかにした。要約すると、これらの結果は、植物由来セルロースを骨組織工学(BTE)適用のために用いることができることを支持する。
【0206】
材料及び方法
足場調製:
試料を確立されている方法に従って調製した(R. J. Hickey, D. J. Modulevsky, C. M. Cuerrier, and A. E. Pelling, ''Customizing the Shape and Microenvironment Biochemistry of Biocompatible Macroscopic Plant-Derived Cellulose Scaffolds,'' ACS Biomater. Sci. Eng., p. acsbiomaterials.8b00178, Mar. 2018)。簡潔に述べると、マンドリンスライサーを用いて、マッキントッシュアップル(Canada Fancy)を8mm厚のスライスに切断した。リンゴスライスの花托筒組織を5mm×5mmの正方形に切断した。正方形組織を0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS、sodium dodecyl sulfate、Fisher Scientific社、Fair Lawn、NJ)中で2日間脱細胞化した。次いで、脱細胞化試料を脱イオン水において洗浄し、続いて100mMのCaCl中で一晩インキュベートして、残っている界面活性剤を除去した(さらなる詳細については、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「Decellularised Cell Wall Structures from Plants and Fungus and Use Thereof as Scaffold Materials」と題された国際公開第2017/136950号パンフレットを参照されたい)。その後、試料を70%エタノールで30分間滅菌し、脱イオン水で洗浄し、24ウェル培養プレートに入れた後、細胞を播種した。足場(8mm厚)は、以下に説明される通り、未処理のままであった(むき出し足場)か、又はコラーゲンゲル溶液でコーティングされた(複合ヒドロゲル足場)。
【0207】
細胞培養及び足場播種:
MC3T3-E1サブクローン4細胞(ATCC(登録商標)CRL-2593(商標)、Manassa、VA)をこの研究において使用し、95%空気及び5%COの湿潤雰囲気中37℃で維持した。細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS、Fetal Bovine Serum、Hyclone Laboratories Inc.社、Logan、UT)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Hyclone Laboratories Inc社)を補充した最小必須培地(α-MEM、Minimum Essential Medium、Gibco、ThermoFisher社、Waltham、MA)で培養し、80%コンフルエンシーまで増殖させた後でトリプシン処理した。次いで、それぞれむき出し足場又はコラーゲン溶液でコーティングした足場の調製のためのα-MEM又は1.5g/Lコラーゲン溶液に、10細胞/mLで以下の通りに再懸濁した。簡潔に述べると、50%(容積/容積)の3mg/mL 1型コラーゲン(ThermoFisher社)を、2.5%の1N NaOH、1%FBS、10%の10×リン酸緩衝生理食塩水(PBS、phosphate-buffered saline、ThermoFisher社)、及び36.5%の滅菌脱イオン水と4℃で混合することによりコラーゲン溶液を調製した。α-MEM又は1.5g/Lコラーゲン溶液のいずれかの細胞懸濁液の40μLアリコートをピペットで足場に移した。細胞を細胞培養条件(すなわち、95%空気及び5%COの湿潤雰囲気中37℃)で1時間付着させた。その後、2mLの培養培地を各培養ウェルに添加した。培養培地は、14日間、2~3日ごとに交換した。これらの14日のインキュベーション後、50μg/mLのアスコルビン酸及び4mMリン酸ナトリウムを培養培地(分化培地)に添加することによりMC3T3-E1の分化を誘導した。分化培地は、4週間、3~4日ごとに交換した。非分化培養培地(分化を誘導するための補充物質を有しない)中の足場を同じ期間、同じ培地交換頻度でインキュベートし、陰性対照として役立てた。その後のすべての分析は、この4週間のインキュベーション期間の最後に行った。最後に、脱細胞化リンゴ足場並びに細胞播種むき出し及び複合足場を、4週間のインキュベーション後に12メガピクセルデジタルカメラを使用して画像化した。
【0208】
共焦点レーザー走査型顕微鏡法を使用した孔サイズ測定及び細胞分布分析:
足場孔サイズを測定するために、脱細胞化リンゴ足場(コラーゲン処理及びMC3T3-E1細胞播種前)をPBSで十分に洗浄し、1mLの10%(容積/容積)カルコフロールホワイト溶液(Sigma-Aldrich社、St. Louis、MO)で暗所及び室温にて25分間染色した。その後、足場(n=3)をPBSで洗浄し、高速共鳴共焦点レーザー走査型顕微鏡(Nikon Ti-E A1-R、Nikon社、Mississauga、ON)で画像化した。ImageJソフトウェア(J. Schindelin et al., ''Fiji: an open-source platform for biological-image analysis,'' Nat. Methods, vol. 9, no. 7, pp. 676-682, Jul. 2012)を使用して、共焦点画像を処理及び分析した。簡潔に述べると、Z軸における最大投影を作成し、Find Edges機能を使用して孔の端部を強調した。合計で54の孔を分析した(足場1つ当たり3つの無作為に選択した領域における6つの孔、n=3の足場)。ImageJにおいてフリーハンド選択ツールを使用して、孔を手動で描画した。選択物を楕円として近似し、長径を出力した。
【0209】
足場におけるMC3T3-E1細胞分布を分析するために、むき出し及び複合細胞播種足場(各実験条件に対しn=3)をPBSで十分に洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで10分間固定した。次いで、それらを脱イオン水で徹底的に洗浄した後で、細胞をTriton-X100溶液(ThermoFisher社)で5分間透過処理し、PBSで再度洗浄した。足場の染色を以前に記載の通りに実行した(D. J. Modulevsky, C. Lefebvre, K. Haase, Z. Al-Rekabi, and A. E. Pelling, ''Apple Derived Cellulose Scaffolds for 3D Mammalian Cell Culture,'' PLoS One, vol. 9, no. 5, p. e97835, May 2014、R. J. Hickey, D. J. Modulevsky, C. M. Cuerrier, and A. E. Pelling, ''Customizing the Shape and Microenvironment Biochemistry of Biocompatible Macroscopic Plant-Derived Cellulose Scaffolds,'' ACS Biomater. Sci. Eng., p. acsbiomaterials.8b00178, Mar. 2018)。簡潔に述べると、足場を1%過ヨウ素酸(Sigma-Aldrich社)中で40分間インキュベートした。脱イオン水ですすいだ後、それらを、100μg/mLヨウ化プロピジウム(Invitrogen社、Carlsbad、CA)を補充した100mMピロ亜硫酸ナトリウム(Sigma-Aldrich社)及び0.15M塩酸(ThermoFisher社)中で、暗所及び室温にて2時間インキュベートした。最後に、それらをPBSにおいて洗浄し、5mg/mL DAPI(ThermoFisher社)で暗所にて10分間染色し、再度洗浄し、PBS中で保存した後、画像化した。足場の細胞播種面を高速共鳴共焦点レーザー走査型顕微鏡(Nikon Ti-E A1-R)で画像化した。ImageJソフトウェア(J. Schindelin et al., ''Fiji: an open-source platform for biological-image analysis,'' Nat. Methods, vol. 9, no. 7, pp. 676-682, Jul. 2012)を使用して共焦点画像を処理し、画像分析のためにZ軸における最大投影を作成した。
【0210】
ヤング率測定:
非分化及び分化細胞を有する足場(各実験条件に対しn=3)のヤング率測定値を、特注製造の一軸圧縮装置を使用して得た。細胞を有しない脱細胞化リンゴ由来セルロース足場を対照として使用した。力及び位置を150gロードセル(Honeywell社)及び光学定規で記録した。3mm分-1の一定速度及び10%の最大歪みで試料を圧縮することにより力-変位曲線を得た。応力-ひずみ曲線の線形部分を近似することによりヤング率を得た。
【0211】
アルカリホスファターゼ及びAlizarin Red S染色:
5-ブロモ-4-クロロ-3’-インドリルホスフェート及びニトロブルーテトラゾリウム(BCIP/NBT、ThermoFisher社)又はAlizarin Red S(ARS、Sigma-Aldrich社)のいずれかで染色する前に、足場をPBS(Ca2+及びMg2+非含有、Hyclone Laboratories Inc.社)で3回洗浄し、10%中性緩衝ホルマリンで30分間固定した。
【0212】
BCIP/NBTを使用して、細胞播種足場のアルカリホスファターゼ(ALP)活性を評価した。1錠のBCIP/NBT錠剤(Sigma-Aldrich社)を10mLの脱イオン水に溶解することによりBCIP/NBT染色溶液を調製した。固定後、足場(各実験条件に対しn=3)を0.05%Tween溶液で洗浄し、BCIP/NBTで室温にて20分間染色した。最後に、それらを0.05%Tweenで洗浄し、PBS(Ca2+及びMg2+非含有)中で保存した後、画像化した。
【0213】
ARSを使用して、足場のカルシウム堆積及びミネラル化を評価した。固定後、足場(各実験条件に対しn=3)を脱イオン水で洗浄し、2%(重量/容積)ARSに室温で1時間曝露した。次いで、それらを脱イオン水で洗浄して過剰なARS染色溶液を除去し、PBS(Ca2+及びMg2+非含有)中で保存した後、画像化した。
【0214】
最後に、すべての足場を、12メガピクセルデジタルカメラを使用して画像化した。
【0215】
走査型電子顕微鏡法及びエネルギー分散型分光法を使用したミネラル化分析:
足場(各実験条件に対しn=3)を4%パラホルムアルデヒド中で48時間固定し、続いて、以前に記載の通りに(M. Das Murtey and P. Ramasamy, ''Sample Preparations for Scanning Electron Microscopy - Life Sciences,'' in Modern Electron Microscopy in Physical and Life Sciences, InTech, 2016)、漸増濃度のエタノール(50%~100%)において連続脱水した。次いで、臨界点乾燥装置を使用して試料を乾燥した。乾燥した試料を5nmの最終コーティング厚に金コーティングした。走査型電子顕微鏡法(SEM、scanning electron microscopy)画像を、JEOL社製JSM-7500F FESEM走査型電子顕微鏡(JEOL社、Peabody、MA)を2kVで用いて獲得した。エネルギー分散型分光法(EDS、energy-dispersive spectroscopy)を、MC3T3-E1細胞を播種した足場又は非播種足場に対して実施した。各足場表面の3つの異なる領域をミネラル凝集体について分析した。
【0216】
ラット頭蓋冠欠損モデル
両側開頭術を確立されているプロトコールに従って実施した(P. P. Spicer, J. D. Kretlow, S. Young, J. A. Jansen, F. K. Kasper, and A. G. Mikos, ''Evaluation of bone regeneration using the rat critical size calvarial defect,'' Nat. Protoc., vol. 7, no. 10, pp. 1918-1929, Sep. 2012)。雄Sprague-Dawleyラット(n=5)を、意識を消失するまで3%イソフルランで麻酔し、手術全体にわたって2~3%イソフルラン下に維持した。1.5cm切開してその下にある頭蓋を露出した。5mm径トレフィンを備える歯科用ドリルを使用して、欠損を両方の頭頂骨のそれぞれ矢状縫合の側に、0.9%NaClの連続灌注を行いながら作出した。周囲の骨を0.9%NaClで穏やかに浄化して、あらゆる骨断片を除去した。この場合において、脱細胞化足場は、上記の通りに正確に調製したが、生検穿孔器を用いて円板状にし、5mmの欠損サイズに適合させた。対照動物には足場を移植しなかった。上にある皮膚を縫合糸で閉じた。ラットに食事及び水を無制限摂取させ、University of Ottawaの動物実験委員会の認定動物技術者により毎日モニターした。移植の8週間後に、ラットをCO吸入、及び二次的安楽死措置としての胸部穿孔により安楽死させた。メス刃を使用して頭蓋骨を覆う皮膚を除去し、頭蓋を露出した。歯科用ドリルを使用して、頭蓋骨を、前頭骨及び後頭骨、並びに両方の頭頂骨の側面で切断して、頭蓋骨の上部切片を完全に摘出した。試料を、冷PBSに入れて機械的評価について直ちに評価するか、又は10%ホルマリン(Sigma-Aldrich社、St. Louis、MO)で72時間固定した。固定後、頭蓋骨を70%エタノール(Sigma-Aldrich社、St. Louis、MO)中で保存し、組織学のために処理した。
【0217】
押出し試験
インプラントを周囲の骨から除去するために必要とされる力の量を評価するために、一軸圧縮デバイス(MTI Instruments社、Albany、NY)及び500lbsロードセル(Omega Engineering社、Norwalk、CT)を使用して、移植の8週間後に転位押出し試験を実行した。摘出後、試料(n=7のインプラント;4匹)を、骨の背側を上向きにして試料ホルダーに設置した(図14)。プランジャーを、欠損部の1つにわずかに触れるまでゆっくりと下げた。力-距離曲線は、0.5mm/分でインプラントの完全な転位を通過するまで記録した。最大の力は力-距離曲線の破断点で記録された。
【0218】
組織学的分析:
インビトロ足場(非分化培地における足場はn=1、及び分化培地における足場はn=2)を、4%パラホルムアルデヒド中で48時間固定し、70%エタノール中で保存した後にパラフィン包埋した。包埋、切片作製、及び染色は、University of OttawaのPALM Histology Core Facilityにより実施された。簡潔に述べると、足場の内側1mmから始めて、5μm厚の連続切片をヘマトキシリン及びエオジン(H&E;ThermoFisher社)又はVon Kossa(VK;ThermoFisher社)で染色した。Zeiss社製AXIOVERT 40 CFL顕微鏡(Zeiss社、Toronto、ON)を使用してスライド(足場1つ当たりn=2)を画像化して、細胞浸潤(H&E)及びミネラル化(VK)を評価した。ImageJソフトウェアを使用して画像分析を実施した。インビボ足場は上記の通りに固定したが、その後の包埋、切片作製、及び染色のすべてはAccelLAB Inc.社(Boisbriand、QC)により実施された。包埋をメチルメタクリレートにおいて行い、試料を、3つの異なるレベルにおいて、欠損の端部からインプラントの中心に向かって6μmの切片に連続的に切断した。切片は両方の外側欠損部を含有した。切片をヘマトキシリン及びエオジン(H&E)又はゴールドナートリクローム(GTC)のいずれかで染色した。Zeiss社製AXIOVERT 40 CFL顕微鏡を使用して組織学的スライドを画像化して、インプラントの細胞浸潤(H&E)及びコラーゲン堆積(MTC)を評価した。ImageJソフトウェアを使用して画像を分析した。
【0219】
走査型電子顕微鏡法(SEM)及びエネルギー分散型分光法(EDS)を使用したミネラル化分析。足場(各実験条件に対しn=3)を、4%パラホルムアルデヒド中で48時間固定し、続いて、以前に記載の通りに(M. Das Murtey and P. Ramasamy, ''Sample Preparations for Scanning Electron Microscopy - Life Sciences,'' in Modern Electron Microscopy in Physical and Life Sciences, InTech, 2016)、漸増濃度のエタノール(50%~100%)において連続脱水した。次いで、臨界点乾燥装置を使用して試料を乾燥した。乾燥した試料を5nmの最終コーティング厚に金コーティングした。SEM画像を、JEOL社製JSM-7500F FESEM走査型電子顕微鏡(JEOL社、Peabody、MA)を2kVで用いて獲得した。EDSを、MC3T3-E1細胞を播種したむき出し足場及び複合ヒドロゲル足場に対して実施した。各足場表面の3つの異なる領域をミネラル凝集体について分析した。
【0220】
統計分析:
すべてのデータを平均±平均の標準誤差(S.E.M.、standard error of the mean)として報告する。データは正規分布すると仮定した。ヤング率平均比較について、一元配置ANOVAと、それに続くテューキー事後検定とを使用して統計分析を実施した。骨量密度比較についてはスチューデントのT検定を実施した。p<0.05の値を統計的に有意とみなした。
【0221】
結果
本研究は、これらの足場の機械的特性をインビトロ及びインビボで検討した。本結果は、分化骨芽細胞を有する足場が193.8±16.4kPaのヤング率を有し、非分化細胞を有する足場(23.9±1.2kPa)及び無細胞足場(24.4±0.9kPa)よりもはるかに高いことを示す。さらに、げっ歯類頭蓋冠欠損モデルへの8週間の移植後、細胞は足場を周囲の骨に一体化させることができ、以前の皮質骨変位の報告(J. Zhao et al., ''Enhanced healing of rat calvarial defects with sulfated chitosan-coated calcium-deficient hydroxyapatite/bone morphogenetic protein 2 scaffolds.,'' Tissue Eng. Part A, vol. 18, no. 1-2, pp. 185-97, Jan. 2012)と同様の114±18Nの転位力の測定をもたらす。
【0222】
足場画像化及び孔サイズ測定
リンゴ組織の天然細胞成分の完全な除去を、SDS及びCaCl処理後に達成した(図1A、1B、1D)。このプロセスは、本明細書で詳細に記載されており、多くの細胞型の浸潤及び増殖を支援する3次元(3D)足場をもたらす。足場にMC-3T3前骨芽細胞を播種した後、細胞をコンフルエンスまで増殖し、分化培地に最大4週間維持した(図2)。この時点で、白色のミネラル堆積物が、細胞の分化の成功について予想される足場全体にわたって観察された。白色のカルシウム堆積物は、分化培地で4週間培養したむき出し及び複合ヒドロゲル足場全体にわたって観察された(それぞれ図1B及びC)。分化細胞を有する両方の型の足場は、細胞を有しない対照足場(図1A)には存在しなかった明瞭な不透明な白色を有した。
【0223】
共焦点レーザー走査型顕微鏡法は、細胞がむき出し足場及び複合ヒドロゲル足場において均一に分布したことを示した(それぞれ図1D及びE、並びに4B)。足場の高度多孔質性は共焦点画像において容易に観察される。画像定量化は、脱細胞化リンゴ由来セルロース足場(コラーゲン処理前かつMC3T3細胞播種前)が154±40μmの平均孔サイズを提示したことを明らかにする。孔サイズ分布は73μm~288μmの範囲であり、大多数の孔は100~200μmの間であった(図2)。
【0224】
アルカリホスファターゼ(ALP)活性及びミネラル化を分析するために、それぞれBCIP/NBT及びARSで足場を染色した(それぞれ図4A~E及びF~J)。BCIP/NBT染色結果は、細胞を伴わずに、又は分化培地に維持しなかった細胞と共にインキュベートした足場と比較して、ALP活性が有意に向上した(濃い紫色により示される)ことを明らかにする。同様に、分化培地で培養した足場の細胞は、ARS染色後に、対照足場(無細胞)又は非分化培地で培養した細胞を有する足場よりも高度のカルシウムミネラル化を示す、より濃い赤色を提示した。しかしながら、一部の背景染色は対照において明確に可視であり、本発明者らは、これは脱細胞化プロトコールにおけるCaClの使用に起因し得ると推測する。
【0225】
機械的特性
足場の機械的特性を検討するために、足場のヤング率を、培養で維持した後に決定した。両方の足場型(むき出し及び複合ヒドロゲル)並びに対照足場(細胞を有しない)のヤング率を、非分化培地又は分化培地のいずれかでの4週間のインキュベーション後に測定した(図3)。
【0226】
結果は、対照足場(細胞を有しない足場)(24.4±0.9kPa)と、非分化培地で培養したむき出し足場及び複合ヒドロゲル足場(それぞれ23.9±1.2kPa p=0.9及び36.9±1.0kPa)との間でヤング率の有意差を示さなかった(図3)。他方、対照足場(24.4±0.9kPa)と、分化培地で培養したむき出し足場及び複合ヒドロゲル足場(それぞれ193.8±16.4kPa及び178.9±32.4kPa;両方の場合においてp<0.001)との間では有意差が観察された。さらに、非分化培地で培養した足場のヤング率と分化培地で培養した足場のヤング率とは、むき出し足場及び複合ヒドロゲル足場の両方の場合で有意に異なった(両方の場合においてp<0.001)。しかしながら、非分化培地又は分化培地のいずれで培養した場合であっても、むき出し足場のヤング率と複合ヒドロゲル足場のヤング率との間に有意差は存在しなかった。
アルカリホスファターゼ及びAlizarin Red S染色
ALP活性及びミネラル化を分析するために、それぞれBCIP/NBT及びARSで足場を染色した(図4)。
【0227】
BCIP/NBT染色(ALP活性を反映)は、分化細胞を有するむき出し足場及び複合ヒドロゲル足場(それぞれ図4D及びE)において、非分化細胞を有する足場(両方の型)(それぞれ図4B及びC)よりもはるかに強力であった。対照足場(細胞を有しない足場)はいかなる染色も示さなかった(図4A)。加えて、むき出し足場と複合ヒドロゲル足場との間では、非分化培地で培養した場合(図4B及びC)も、分化培地で培養した場合(図4D及びE)も染色の差は観察されなかった。
【0228】
分化培地で培養したむき出し足場及び複合ヒドロゲル足場の両方の細胞は、ARS染色後に、非分化培地で培養した足場(両方の型)の細胞(図4G、H)よりも濃い赤色を提示した(図4I、J)。対照足場(細胞を有しない)及び非分化培地で培養した細胞を有する足場は、非特異的染色を提示したが、この着色ははるかに淡かった(図4F~H)。
【0229】
組織学分析
足場表面へのカルシウムの堆積におけるCaCl及び骨芽細胞の寄与をさらに検査するために、組織学的染色、走査型電子顕微鏡法(SEM)、及びエネルギー分散型分光法(EDS)を用いた。組織学的分析を使用して、細胞浸潤及び足場ミネラル化を評価した。足場を固定し、パラフィンに包埋し、H&E又はVKで染色した。細胞浸潤はH&Eを使用して実証され(図5A、B、E、F)、足場ミネラル化はVK染色を使用して分析された(図5C、D、G、H)。
【0230】
むき出し足場及び複合ヒドロゲル足場には、MC3T3-E1細胞が完全に浸潤した(図5)。H&Eで実証される細胞浸潤(図5)は、非分化足場及び分化足場の両方がMC3T3-E1細胞に関する良好な浸潤を提示したことを示す。多数の核及び細胞質が、周縁部及びコンストラクト全体において可視であった(図5A、B、E、F、それぞれ青色及びピンク色)。コラーゲンもまた、淡いピンク色で可視であり、複合ヒドロゲル足場においてより明瞭であった。むき出し足場及び複合ヒドロゲル足場における孔壁は、分化培地での4週間の培養後、全体が黒色に染色された(それぞれ図5G及びH)。非分化培地で培養したむき出し足場及び複合ヒドロゲル足場の孔壁は、コンストラクトの外側周縁部にのみミネラル化の存在を示した(それぞれ図5C及びD)。
【0231】
走査型電子顕微鏡法及びエネルギー分散型分光法を使用したミネラル化分析
試料を固定し、SEMを使用してミネラル凝集体について画像化した。EDSを実施して、凝集体の化学組成を分析した。
【0232】
局在化したミネラル化は、分化培地での4週間の培養後の、細胞を播種したむき出し足場及び複合ヒドロゲル足場において可視であった(それぞれ図6A及びB)。ミネラル堆積物は、どちらの型の足場の場合にも、孔の端部に球状の凝集体として出現した。細胞を有しないむき出し足場において、可視であるミネラル凝集体は存在しなかった(図6C)。EDSスペクトルを、選択した所望の領域に関して、すなわち、細胞播種足場のミネラル凝集体(図6D及びE)並びに対照として使用した非播種足場の孔壁(図6F)に関して獲得した。スペクトルは、分化培地で培養した両方の型の足場において、非播種足場と比較してより強力なリン(P)及びカルシウム(Ca)のシグナルを提示した。
【0233】
VK染色は、分化培地での4週間の培養後、足場の孔壁の全体が黒色に染色されたことを明らかにした。非分化培地で培養した足場の孔壁は、コンストラクトの外側周縁部にのみミネラル化の存在を示し、これは、大部分が脱細胞化処理からのカルシウムの吸収に起因し得ると企図される(理論に拘束されることを望むものではないが)。また、試料を固定し、SEMを使用して画像化し、未分化及び分化足場のミネラル堆積物の化学組成を分析した(図6A及びDはミネラル化を示し、図6C及びFは対照を示す)。局在化したミネラル化は、分化培地での4週間の培養後の、細胞を播種した足場において可視であった。ミネラル堆積物は、孔の端部に球状の凝集体として出現した。対照足場において、可視であるミネラル凝集体は存在しなかった。EDSスペクトルを、選択した所望の領域に関して、すなわち、細胞播種足場のミネラル凝集体(図6)及び対照の孔壁に関して獲得した。スペクトルは、分化培地で培養した足場において、非播種足場と比較して別個の、リン(P)及びカルシウム(Ca)の堆積に対応する特徴的なシグナルを明確に提示した。
【0234】
考察
植物由来セルロース生体材料は、再生医療の様々な分野において可能性を有する。インビトロ及びインビボ研究は、植物由来セルロースの生体適合性及びそれらの組織工学のための潜在的な使用を示している(D. J. Modulevsky, C. Lefebvre, K. Haase, Z. Al-Rekabi, and A. E. Pelling, ''Apple Derived Cellulose Scaffolds for 3D Mammalian Cell Culture,'' PLoS One, vol. 9, no. 5, p. e97835, May 2014、D. J. Modulevsky, C. M. Cuerrier, and A. E. Pelling, ''Biocompatibility of Subcutaneously Implanted Plant-Derived Cellulose Biomaterials,'' PLoS One, vol. 11, no. 6, p. e0157894, Jun. 2016、R. J. Hickey, D. J. Modulevsky, C. M. Cuerrier, and A. E. Pelling, ''Customizing the Shape and Microenvironment Biochemistry of Biocompatible Macroscopic Plant-Derived Cellulose Scaffolds,'' ACS Biomater. Sci. Eng., p. acsbiomaterials.8b00178, Mar. 2018、G. Fontana et al., ''Biofunctionalized Plants as Diverse Biomaterials for Human Cell Culture,'' Adv. Healthc. Mater., vol. 6, no. 8, p. 1601225, Apr. 2017、J. R. Gershlak et al., ''Crossing kingdoms: Using decellularized plants as perfusable tissue engineering scaffolds,'' Biomaterials, vol. 125, pp. 13-22, May 2017)。本記載の研究の目的(及び実施例4の目的)は、植物由来セルロースの、BTEのための材料として使用される可能性を、2種類の手法、すなわちインビトロ及びインビボでの手法を使用して検討することであった。これは、インビトロでの足場のヤング率の変化をさらに検討すること、及びインビボでのインプラントの転位力を測定することにより遂行された。本研究は、BTEにおける使用のための植物由来足場生体材料を支持する。
【0235】
リンゴ組織から天然細胞を除去した後、前骨芽細胞(MC3T3-E1)をむき出し足場又は複合ヒドロゲル足場(コラーゲン溶液でコーティングした足場)のいずれかに播種した。細胞を14日間増殖させ、足場コンストラクトに浸潤させた後で、分化培地を4週間使用することにより骨形成分化を誘導した(非分化培地で培養した足場は対照として役立った)。
【0236】
共焦点顕微鏡法、圧縮測定、ミネラル化染色、組織学、SEM、及びEDSを使用して、これらの研究は、細胞が足場内で増殖及び分化することができたことを示し、それにより骨の形成を支援するための植物由来セルロース足場の使用を支持する。共焦点レーザー走査型顕微鏡法は、細胞がむき出しセルロース足場及び複合ヒドロゲル足場に付着したことを確認した(それぞれ図1D及びE)。興味深いことに、カルシウム堆積は足場、より具体的には孔の端部に観察された(図1B及びC)。両方の型の足場に関して、これらの凝集体の形(球状)が認められた。加えて、数多くの細胞核がセルロース孔の周囲及び足場孔の内側に観察された(図1D及びE)。さらに、足場の個々の孔の直径は約154μmであり、大多数の孔は100~200μmの間であったことが観察された(図2)。これは、100~200μmの範囲であることが示されている骨成長に最も適した孔サイズに一致する(V. Karageorgiou and D. Kaplan, ''Porosity of 3D biomaterial scaffolds and osteogenesis,'' Biomaterials, vol. 26, no. 27, pp. 5474-5491, Sep. 2005)。
【0237】
さらに、分化培地での培養後の、むき出し足場及び複合ヒドロゲル足場の両方のヤング率の有意な変化(約3~8倍の増加)が実証された(図3、5、6)。他方、非分化培地で培養したむき出し又は複合ヒドロゲル足場における細胞の添加は、コンストラクトのヤング率に有意には影響を及ぼさず、ヤング率は対照足場(細胞を有しない)のヤング率と同様であった。興味深いことに、非分化培地又は分化培地のいずれで培養した場合であっても、むき出し足場と複合ヒドロゲル足場との間に有意差は観察されなかった。全体として、これらの結果は、分化培地で培養したどちらの型の足場においても、ミネラル化はヤング率の増加をもたらしたが、複合足場における1型コラーゲンゲルの存在がヤング率をさらに増加させることはなかったことを示す。分化培地で培養した場合における両方の型の足場のヤング率の増加にもかかわらず、ヤング率は骨のヤング率(海綿骨は0.1~2GPa、皮質骨は15~20GPa(S. Bose, M. Roy, and A. Bandyopadhyay, ''Recent advances in bone tissue engineering scaffolds.,'' Trends Biotechnol., vol. 30, no. 10, pp. 546-54, Oct. 2012))よりも低く、そのため、この実施例の特定の足場は、耐荷重適用と比較して非耐荷重適用(例えば、手及び手首の骨折)により望ましい場合があることに留意されたい。
【0238】
染色結果は、分化培地での4週間の培養後の両方の型の足場(図4I及びJ)内における、対照足場(図4A及びF)並びに非分化培地で培養した両方の型の足場(それぞれ図4B、C、及びG、H)よりも高いALPの発現(図4D及びE)並びにより多いカルシウム堆積物の存在(図4D及びE)を明らかにした。組織学的分析は、両方の型の足場におけるMC3T3-E1細胞の浸潤及び増殖(図5A、B、E、F)、さらに同様の細胞分布を示した。コンストラクトの孔壁は、4週間の分化期間後、両方の型の足場において骨芽細胞によりミネラル化された(図5D及びH)。非分化細胞を有するコンストラクトの周縁部もまたVKで染色されたことは注目すべきである。この非特異的染色は、脱細胞化プロセス後の足場に残留していたCaClによるものであった可能性がある。ミネラル化の目視による確認を、SEM写真の定性的分析によりさらに評価した。分化培地での4週間の期間後、両方の細胞播種足場型は、ECMミネラル化の徴候を提示した。実際、ミネラルの凝集体は足場コンストラクト、具体的には孔の端部において可視であり(図6)、MC3T3-E1細胞外マトリックスを使用したAddison et al.による研究と一致する(W. N. Addison et al., ''Extracellular matrix mineralization in murine MC3T3-E1 osteoblast cultures: An ultrastructural, compositional and comparative analysis with mouse bone,'' Bone, vol. 71, pp. 244-256, Feb. 2015)。これらの凝集体は、細胞を有しないむき出し足場においては可視でなかった。凝集体のEDS分析は、高レベルのP及びCaを明らかにし、それにより足場コンストラクトにおけるアパタイトの存在を示唆した。
【0239】
脱細胞化リンゴ足場をラットの5mmの臨界サイズの頭蓋欠損部に移植した。インプラントを機械的評価、又は組織学のために処理するために8週間後に摘出した。転位力の機械的評価は、114±18Nの平均値を示した。インプラントを周囲の骨から転位させるために必要とされる力の量は、Zhao et al., 2012によって報告されたインタクトな頭蓋冠骨の変位に必要とされる力の量(127.06±9.58N)と同様である(図14A)(J. Zhao et al., ''Enhanced Healing of Rat Calvarial Defects with Sulfated Chitosan-Coated Calcium-Deficient Hydroxyapatite/Bone Morphogenetic Protein 2 Scaffolds,'' Tissue Eng. Part A, vol. 18, no. 1-2, pp. 185-197, Jan. 2012)。したがって、インプラントが周囲の骨及び結合組織に結合することを示す。さらに、転位力は、骨形成タンパク質2を負荷したカルシウム欠損ヒドロキシアパタイト足場を使用した8週間の移植後に報告されたもの(119.12±17.82N)と同様である(J. Zhao et al., ''Enhanced Healing of Rat Calvarial Defects with Sulfated Chitosan-Coated Calcium-Deficient Hydroxyapatite/Bone Morphogenetic Protein 2 Scaffolds,'' Tissue Eng. Part A, vol. 18, no. 1-2, pp. 185-197, Jan. 2012)。組織学的分析は、H&E染色により明らかにした4及び8週時点において、足場及び穿刺した管の内部の細胞の存在を明らかにした(図14、18)。血管もまた足場内において可視であった(図14、18)。さらに、MTC染色により、1型コラーゲンが4及び8週時点の足場内に観察された。
【0240】
これらの研究では、前骨芽細胞が、未処理であるか又はコラーゲン溶液でコーティングされたリンゴ由来セルロース足場コンストラクトに付着し、そこで増殖することができることが実証される。ミネラル化は、事前に播種した前骨芽細胞の骨形成分化を化学的に誘導した後、両方の型の足場内で生じ、コンストラクトのヤング率の増加をもたらした。興味深いことに、これらのリンゴ由来足場は、BTE適用に適切な孔サイズを有した。移植された植物由来セルロース足場は、インプラント部位から転位するために、頭蓋冠骨及びBTEのために使用される他の型の足場と同様の量の力を必要とした。細胞はインプラントに浸潤し、1型コラーゲンを堆積させた。全体として、結果は、BTE適用のための生体材料としての植物由来セルロースを支持する。
【実施例2】
【0241】
アパタイトでプレコーティングした(事前にミネラル化した)骨組織工学のための植物由来生体材料
骨組織工学適用のための特注の3次元足場、マトリックス、移植片、及び/又は人工組織が望ましい。そのような材料を構築するために、天然供給源(すなわち植物)を脱細胞化し、所望の特色(多孔質構造、マイクロ及びマクロチャネル、半透膜)を抽出し、その後、塩化カルシウム及びリン酸二ナトリウムの交互溶液でプレコーティングした。
【0242】
骨組織が外傷性傷害又は様々な疾患のいずれかにより重度に損傷する場合、移植片又は骨代用材が望ましい場合がある。そのような骨移植片は、活発な骨形成を促進し得る。それは、臨界及び/又は非臨界サイズの欠損部を修復するために移植され得る。そのような骨移植片は、骨修復中に機械的支持を提供し得る。例えば、そのような移植片は、長骨、頭蓋冠骨、顎顔面骨、歯の骨、及び/又は顎骨の喪失又は傷害において代用するために使用することができる。そのような移植片は、歯槽堤造成、歯牙欠損、歯インプラント、及び/又は再建手術などの歯科矯正用及び歯周用移植片のためにも使用され得る。また、それは、骨粗鬆症、年齢、以前のインプラント、及び/又は傷害による骨量減少による骨量を増加させるために特定の部位に移植され得る。そのような移植片は、例えば骨-インプラント組織一体化を向上させるためにも使用され得る。
【0243】
これらの研究の移植片/足場生体材料を製造するために、リンゴをスライス(所望の移植片のサイズに応じたサイズ及び厚さ)に切断した。試料をリンゴスライスから切り出し、成形し、抽出した。次いで、試料をリン酸緩衝溶液(PBS、phosphate buffered solution)で洗浄し、48時間室温での撹拌下で0.1%SDS溶液により脱細胞化した。さらに、試料を蒸留水で十分に洗浄し、24時間室温での撹拌下で100mM塩化カルシウム溶液に浸沈した。試料を蒸留水で十分に洗浄し、70%エタノール溶液で1時間滅菌した後、蒸留水で十分に洗浄した。最後に、試料を、コーティングまで0.9%灌注生理食塩水又は滅菌PBS中4℃で保存した。脱細胞化に関するさらなる詳細については、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「Decellularised Cell Wall Structures from Plants and Fungus and Use Thereof as Scaffold Materials」と題された国際公開第2017/136950号パンフレットを参照されたい。
【0244】
移植片をコーティングするために、移植片を24時間室温での撹拌下で滅菌50mM塩化カルシウム溶液に浸沈した。移植片を滅菌蒸留水で穏やかに洗浄し、24時間室温での撹拌下で滅菌100mMリン酸二ナトリウムに浸沈した。移植片を滅菌蒸留水で穏やかに洗浄し、塩化カルシウム-リン酸二ナトリウムの交互浸漬サイクルを、移植片の所望の厚さが達成されるまで繰り返した(厚さは目視により評価した。図6を参照されたい)。移植片を、使用まで0.9%灌注生理食塩水又は滅菌PBS中4℃で保存した。
【0245】
移植片の2つの形、すなわち5mm×1.5cmの円筒及び5mm×1mmの円板を作出した(図7及び8、並びに付属の図面の説明を参照されたい)。両方の形をラット(形1つ当たりN=1)に3つ異なる領域において皮下移植した。インプラントを4週間後に取り出し、組織学的スライス化及び染色のために処理した。組織学的染色を図9及び10に示す。
【0246】
図7はコーティングの時間発展を示す。図8は、移植前、移植後の棒状材料、及び移植後のx線写真を示す。図9は、移植後の円板形材料の組織学的染色を示す。図10は、移植後の棒状材料の組織学的染色を示す。
【実施例3】
【0247】
複合生体材料
これらの研究では、本明細書に記載の2又は3以上の足場生体材料及び/又は移植片を組み合わせて、本明細書に記載の足場生体材料及び/又は移植片にさらなる調整可能性をもたらす複合生体材料を開発することが求められた。理解される通り、そのような複合生体材料は、本明細書に記載のBTE適用だけでなく、足場生体材料を使用することができ、足場構造及び/又は化学特性の調整性が望ましい多種多様な他の適用にも望ましい場合がある。
【0248】
この研究では、異なる生体材料サブユニットを接着により組み合わせた。多くの接着剤が考えられるが、この研究では、グルタルアルデヒド接着剤(水素化ホウ素ナトリウムで還元された)で架橋されたゼラチンを使用した。まず、出発物質を所望の形へと切り出した。次いで、マンドリンスライサーでスライスすることにより、バルク材料から所望の形を取り出した。マンドリンスライスの厚さを使用して、材料のz厚さを設定する。その後、上記の実施例、及びその全体が参照により本明細書に組み込まれる「Decellularised Cell Wall Structures from Plants and Fungus and Use Thereof as Scaffold Materials」と題された国際公開第2017/136950号パンフレットに従って、材料を脱細胞化及び滅菌した。
【0249】
それ以降、材料は、細胞培養/移植の準備ができており、接着により容易に最終単位へとアセンブルされた。接着剤は急速に固まり、フィブリン接着剤よりも強力であった。強度は、ゼラチンとグルタルアルデヒドとの比を調整することにより変更してもよい。ゼラチンは、ゼラチン粉末を培地又は水中でオートクレーブすることにより調製した。次いで、ゼラチンを37℃まで加熱し、グルタルアルデヒドを導入した(典型的な比は、1mLの10%ゼラチンと5μLのグルタルアルデヒドとからなる)。溶液を迅速に混合し、次いでピペットで付着部位に塗布した。
【0250】
図11は、上に記載した通りに調製した脱細胞化リンゴ花托筒組織の間に接着されて挟まれる、ぶら下がっている膜(脱細胞化オレンジ中果皮)の画像を示す。
【0251】
結果は、そのような方法での接着が、2若しくは3以上のサブユニットをアセンブルしてより大きなサイズを実現することにより、出発物質のサイズ制限を克服すること;より小さな材料を使用し、次いで一緒にアセンブルすることにより、大きな材料の長期脱細胞化を克服すること;大きなコンストラクトの拡散の問題を克服すること;個々のサブユニット中の足場生体材料の天然複雑性を活用しつつ、通常は天然には見出されないある特定の構造及び/若しくは特色の設計を可能にすること;生み出されるより複雑な物理的及び/若しくは機械的特性(すなわち、応力遮蔽、及び/若しくは部位特異的弾性率、チャネル、細孔など)を可能にすること;並びに/又は異なる領域における異なる細胞型の組合せを可能にすること;或いはそれらの任意の組合せの点で利益を提供し得ることを示す。
【0252】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の手法は、そのうちのいずれか又はすべてが材料の機能性の調整性を大きく拡張及び/又は実現し得る、接着、ゲルキャスティング、化学的官能基化、負荷(すなわち、薬物、シグナル伝達分子、成長因子、代謝産物など)などの様々な修飾が可能であり得ることが企図される。
【0253】
ある特定の実施形態では、本明細書の手法は、薬物、シグナル伝達分子、成長因子、代謝産物、ECMタンパク質、及び/又は他の成分が修飾物質として足場生体材料及び/又は移植片に添加されることを可能にし得ることが企図される。ある特定の実施形態では、本明細書の手法は、例えば、ヒドロゲルキャスティング、接着、化学修飾、及び/又は架橋に関して特注を可能にし得る。
【0254】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の足場生体材料が、セルロース、ヘミセルロース、キチン、キトサン、ペクチン、リグニン、又はそれらの任意の組合せに由来する及び/又はそれを含み得ることが企図される。ある特定の実施形態では、セルロース、ヘミセルロース、キチン、キトサン、ペクチン、及び/又はリグナン足場の生化学的、生物物理学的、及び/又は機械的特性が調整可能であり得ることが企図される。
【0255】
ある特定の実施形態では、薬物、シグナル伝達分子、成長因子、代謝産物、ECMタンパク質、及び/又は他の成分の時間依存的/非依存的放出が、本明細書に記載の足場生体材料及び/又は移植片により実現し得ることが企図される。
【0256】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の足場生体材料及び/又は移植片の形及び/又は構造が、複合材、接着剤、コーティング、ゲル、及び/又はペーストの選択及び/又は操作を介して特注可能であり得ることが企図される。
【0257】
ある特定の実施形態では、様々な度合いの可撓性及び/又は連接性を有する大きなマクロ物体が作出され得ることが企図される。ある特定の実施形態では、例えば、より大きなマクロ構造を作製するために2又は3以上のサブユニットが組み合わされ得ることが企図される。ある特定の実施形態では、接着剤ではなく、又はそれに加えて、サブユニットを一緒に保持するための形状が使用され得ることが企図される。ある特定の実施形態では、そのような手法が、関与し得る異なる構造(例えば、海綿質骨と皮質骨など)のために骨組織工学に有用であり得ることが企図される。
【0258】
ある特定の実施形態では、本複合材料及び接着方法が、特注インビトロ3D細胞培養デバイス;インビボ調査研究;医療デバイス;骨、結合組織、皮膚、筋肉、神経、及び/若しくは界面;複雑な組織の修復及び/若しくは置き換え;膜及び/若しくはフィルター(すなわち、人工腎臓及び/又は単純な生化学的分離カラム);部位特異的及び/若しくは時間特異的薬物送達用のベクター;本足場生体材料を有する複合材をコーティング若しくは作出することによる、既存医療デバイスの生体適合性の増加;初代細胞培養用のベクター;美容処置(すなわち、インプラント及び/又は皮下トポグラフィー);ステント及び/若しくはシャント;合成バイオロボティクス用の連接部品などの非医療適用;電気回路集積;又はそれらの任意の組合せのうちのいずれか1又は2以上において使用するためのものであり得ることが企図される。ある特定の実施形態では、本複合材料及び接着方法が、複雑な組織設計及び/又は組織修復/再生のための生体材料インプラントにおいて使用するためのものであり得ることが企図される。
【実施例4】
【0259】
インビボ臨界サイズ頭蓋冠欠損モデル
本研究は、本明細書に記載の足場生体材料の骨再生適用に関する可能性をラット臨界サイズ両側欠損モデルにおいて評価するために行った。生体材料(非処理)をラットに4及び8週間の期間にわたり移植した。5mmの両側円形欠損をラット頭蓋冠に作出した。骨欠損部を切除した後、生体材料(直径5mm×厚さ1mm)を欠損部内に配置した。上にある皮膚を縫合し、ラットを4~8週間の期間にわたり回復させた。検体を各時点で回収し、コンピュータ断層撮影(CTスキャン)、インプラント転位機械試験、及び組織学を実施した。
【0260】
この研究を2つの群において実施した。第1の群(CD0~CD20)では、リンゴ及びニンジンの両方を脱細胞化された植物組織の供給源として使用したが、リンゴ供給源インプラントのみを組織学、CTスキャン、及びインプラント転位のためにさらに試験した(以下を参照)。第2の群(4WCH1~8WME3、分類の節を参照)では、リンゴを供給源とする生体材料に200μm針で穿孔し、500μmずつ格子様パターンに分離して、足場全体にわたる拡散及び細胞遊走を向上した。ここに示すデータは第2群の動物から得られる。
【0261】
試験された条件下で起こり得るニンジン供給源の細胞浸潤の欠如又は減少のために、ニンジンは本骨関連適用における最適な候補として選択されなかった。図20に示す通り、細胞浸潤は、リンゴ対応物と比較した場合かなり少なかった(ラットに4週間の期間にわたり皮下移植した、リンゴ及びニンジンのかみ合わせた複合材(SSC))。より好適な特質を有するリンゴにおいて、足場のマイクロ構造(孔サイズ、孔相互接続性、及び孔形状)は細胞浸潤における役割を果たすと考えられる。例えば、リンゴ花托筒組織は、海綿骨に似ているマイクロアーキテクチャを提供し得る。したがって、同様のアーキテクチャを有する組織は、骨再生適用のための優れた候補となり得る。すなわち、相互接続した孔及び約100~200μmのおおよその範囲の孔サイズを有する植物由来足場は、そのような適用に最適であり得る。
【0262】
【表1】

【0263】
結果:
図12は、4週(A)及び8週(B)時点の臨界サイズの欠損部における移植生体材料(穿孔を有する)の3次元レンダリングを示す。
【0264】
図13は、欠損の内側の総体積に対する骨量の割合を示す。円筒形体積ROIを、CTスキャンスライスにおいて、欠損とほぼ同じ寸法を有する円筒を嵌合させることによって得た。4週時点はN=6の欠損部(3匹)、8週時点はN=6の欠損部(3匹)。
【0265】
図14は、転位実験を示す。典型的な力-距離曲線を(A)に示す。転位は力-距離グラフにおけるほぼ最大の力とみなされる(赤色矢印)。検体を有する押出しデバイスを(B)に示す。
【0266】
図16は、移植の4週間後の組織学的切片(4WCH2)を示す。ヘマトキシリン及びエオジンを(A)に示し、Von Kossa/Van Giesonを(B)に示し、マッソン・ゴールドナートリクロームを(C)に示す。(A)、(B)、及び(C)について、スケール=2mm。
【0267】
図17は、移植の8週間後の組織学的切片(8WCH1)を示す。ヘマトキシリン及びエオジンを(A)に示し、Von Kossa/Van Giesonを(B)に示し、マッソン・ゴールドナートリクロームを(C)に示す。(A)、(B)、及び(C)について、スケール=2mm。
【0268】
図18は、ラット臨界サイズ頭蓋冠欠損モデルにおける移植を示す。直径5mm×厚さ1mmの穿孔生体材料を(A)に示す。生体材料の両側欠損部への移植を(B)に示す。左側に生体材料を移植し、右手側は空の欠損部とする。
【0269】
図19は、8週間の移植後の組織摘出を示す。頭蓋冠の完全摘除の前を(A)に示す。摘除した頭蓋冠の上面図を(B)に示す。摘除した頭蓋冠の底面図を(C)に示す。
【0270】
図20A~Dは、リンゴ及びニンジンのかみ合わせた複合材(SCC)を示す。
【0271】
前骨芽細胞の分化を支援することにおける、リンゴ由来足場の構造的及び機械的特性、並びにインビトロ性能を特徴付けた後(さらなる詳細については実施例1を参照されたい)、この研究を実施して、そのような足場がインビボでどの程度機能するかを検討した(P. P. Spicer, J. D. Kretlow, S. Young, J. A. Jansen, F. K. Kasper, and A. G. Mikos, ''Evaluation of bone regeneration using the rat critical size calvarial defect,'' Nat. Protoc., vol. 7, no. 10, pp. 1918-1929, Sep. 2012)。一般的なラット頭蓋冠欠損モデルを用いて、足場が骨にどの程度一体化するかを研究した。開頭術をSprague-Dawleyラットに対して実施した。5mmの両側欠損を両方の頭頂骨に作出し、無細胞むき出しリンゴ由来セルロース足場を欠損部に移植した(図18A、B)。インプラントを8週間放置し、安楽死後、頭蓋骨の上部切片を取り出し、組織学又は機械的評価のいずれかのために処理した。
【0272】
8週間後、目視検査において、足場は頭蓋骨由来の周囲組織が良好に浸潤しているように見えた。したがって、足場が骨組織とどの程度一体化したかを定量的に測定するために、機械的押出し試験を実施した。移植したインプラントの測定を、一軸圧縮デバイスを使用して、動物の安楽死の直後に評価した(図14B)。簡潔に述べると、プランジャーを足場に押し付け、ロードセルはインプラントを押し退けるために必要とされる力の測定を可能にする。結果は、この研究における、インプラントを周囲の骨から転位させるために必要とされる力の平均が114±28Nであることを明らかにする。最後に、組織学的切片作製及び染色を使用して、動物に移植した8週間後の移植片内の細胞浸潤及び細胞外マトリックス堆積を評価した(図15)。H&E染色は、細胞のインプラントの孔内への浸潤を示した。本発明者らの以前の動物研究と矛盾しない、足場内での血管新生の形態学的証拠も存在する(D. J. Modulevsky, C. M. Cuerrier, and A. E. Pelling, ''Biocompatibility of Subcutaneously Implanted Plant-Derived Cellulose Biomaterials,'' PLoS One, vol. 11, no. 6, p. e0157894, Jun. 2016、R. J. Hickey, D. J. Modulevsky, C. M. Cuerrier, and A. E. Pelling, ''Customizing the Shape and Microenvironment Biochemistry of Biocompatible Macroscopic Plant-Derived Cellulose Scaffolds,'' ACS Biomater. Sci. Eng., p. acsbiomaterials.8b00178, Mar. 2018)。GTC染色は、インプラント内の1型コラーゲンの有意な存在を示した。総合すると、結果は、骨組織工学適用における使用のためのこれらの足場の使用を支持する。
【0273】
方法:
図20に示す足場のための足場生産は、全般に、先述の実施例に既に記載されている通りに実施し、複数の形をCNCフライス盤で切削した。簡潔に述べると、マッキントッシュレッドアップル(Canada Fancy)を切断して、2つの平坦な平行面を作出した。Carbide 3D Shapeoko 3 CNC機械及びChilipeppr jpadieソフトウェアを用いて、リンゴを、ペグ(5mm×5mm×2mmであり、中央から2mmのペグが延在する)及び穴(5mm×5mm×2mmであり、中央に直径2mmの穴がある)レゴ小片へと切断した。直径0.8mmのドリルビットを用いて180°の角度で1mm/秒の速度にて足場を切断した。Inkscapeを使用してサブユニットを設計し、Jscutを使用してGコードに変換した。逆さまにして、適切な厚さ(ペグの場合は4mm、穴の場合は2mm)に設定されたマンドリンスライサーに対してスライスすることにより、試料をバルクリンゴ組織から取り出した。試料を0.1%SDS溶液に移し、180RPMで振盪しながら72時間脱細胞化した。脱細胞化後、試料をdHOで3回洗浄した。次に、サブユニットを100mM CaCl中で24時間室温にてインキュベートして、一切の界面活性剤残留物を除去した。試料をdHOで3回洗浄して塩残留物を除去した後、70%エタノールと共にインキュベートして滅菌した。エタノールを除去した後、dHOによる3回の洗浄を実施して、夾雑物を含まない滅菌足場を得た。応力遮蔽実験では、ニンジンを、上記に記載の穴サブユニット形に切断した。
【0274】
足場をラット(N=1匹)に背中の3つ異なる領域において皮下移植した。インプラントを4週間後に取り出し、組織学的スライス化及び染色のために処理した。組織学的染色を図19に示す。
【実施例5】
【0275】
骨芽細胞分化のための脱細胞化リンゴの周囲にキャスティングされたヒアルロン酸及びアルギン酸の複合足場
本研究は、ヒアルロン酸ゲル又はアルギン酸ゲルと組み合わせた脱細胞化リンゴ足場が骨芽細胞培養に適切な生体材料であることを示す。MC3T3 E1サブクローン4前骨芽細胞の分化を遂行した。カルシウム堆積及びアルカリホスファターゼ活性を検出した。
【0276】
生体材料調合
この研究について、本明細書に記載の脱細胞化AA(リンゴ)材料を使用して細胞培養のための複合足場を作製した。脱細胞化プロセスは、マッキントッシュアップルを1mm厚のスライスにスライス及び剥離するステップから開始し、次いでこれらのスライスを0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)中で3日間インキュベートし、インキュベーション溶液は毎日新しいSDSに交換した。3日目のSDSインキュベーション後、AAスライスを蒸留水で3回洗浄し、0.1M塩化カルシウム(CaCl)中で1日間インキュベートした。翌日、スライスを水で3回洗浄し、70%エタノール(EtOH)中での30分間のインキュベーションにより滅菌した。滅菌後、AAスライスをさらに3回水洗浄し、蒸留水中で保存した。次いで、滅菌4mm生検穿孔器を使用して脱細胞化AAスライスから円形パックを打ち抜いて、細胞培養のための足場を作製した。試料を、細胞播種のために使用するまで、約4℃の冷蔵庫内において、適当な細胞培養培地(すなわち、α-MEM)中で保存した。
【0277】
これらのAA複合足場上での細胞培養のために、細胞播種前に、MC3T3細胞を再懸濁する2つの異なるヒドロゲル、すなわちヒアルロン酸(HA)ヒドロゲル及びアルギン酸ヒドロゲルを調製した。HAヒドロゲルパックについては、Advanced BioMatrix HyStemキットを使用して、HA溶液を予め調製した。アルギン酸ヒドロゲルパックについては、0.5%アルギネート溶液(生理食塩水ベースかつオートクレーブ済み)を予め調製し、37℃まで加熱した後、細胞培養を行い、細胞をアルギネート溶液に再懸濁し、パック上に播種した後、次いでゲルを0.1M CaClの添加により化学的に架橋した。
【0278】
細胞培養
MC3T3 E1サブクローン4前骨芽細胞を、10%ウシ胎児血清並びに1%ペニシリン/ストレプトマイシン(それぞれ100U/mL及び100μg/mL)を補充したMEM-アルファで培養した。前骨芽細胞の分化を引き起こすために、4mM無機リン酸(Sigma社)及び50μg/mL酢酸(Sigma社)を添加した。継代培養のために、細胞培養プレート上で培養した細胞をトリプシン処理し、適当な培地に再懸濁した。細胞を計数し、遠心分離して、細胞をトリプシン及び培地から分離した。上清を吸引し、細胞を適当な培地に再懸濁した。2.5×10個の細胞を1日目及び7日目に足場上に播種した。細胞を2週間増殖させ、足場に浸潤させた後、さらに2週間、分化培地に交換した。培養培地を1日おきに取り換えた。
【0279】
固定、染色、及び画像化
アルカリホスファターゼ染色:
固定前に足場をPBSで洗浄した。次いで、足場を3.5%パラホルムアルデヒドで90秒間固定し、次いで洗浄緩衝液(すなわちPBS中0.05%Tween)で洗浄した。BCIP-NBT SigmaFast(商標)錠剤を使用し、各錠剤を10mLのdHOに溶解した。BCIP濃度は0.15mg/mLであり、NBT濃度は0.3mg/mLであり、トリス緩衝液濃度は100mMであり、MgCl濃度は5mMであり、pHは9.25~9.75の間であった。染色中、試料を暗所に保ち、モニターした。染色を完了したら(5~10分)、試料を洗浄し、撮像した。染色及び画像化は、染色溶液を作製してから1時間以内に完了した。
【0280】
Alizarin Red S染色:
染色前に試料を、固定プロセスの継続時間が1時間であったことを除いては上に概説した通りに固定した。次いで、生体材料をPBSで洗浄した。4.1±0.1のpHの既製のMilliporeSigma社製Alizarin Red S染色液でカルシウム染色を実施した。試料を染色液に浸沈し、45分間インキュベートした。カルシウム染色後、試料から色が抜けなくなるまで試料をdHOで十分に洗浄した。その直後に試料を画像化した。
【0281】
結果
Alizarin red S:
試料は、脱細胞化リンゴ足場と、ヒアルロン酸(HyStemキット)又はCaClと架橋したアルギン酸のいずれかとの複合材料であった。
【0282】
簡潔に述べると、細胞を固定し、PBSで洗浄した。試料を完全に覆うようにAlizarin Red Sを45分間添加した(pH4.2)。次いで、染色液を除去し、試料を、色が抜けなくなるまで蒸留水で穏やかだが十分に洗浄した。
【0283】
染色した試料は、分化前アルギン酸及びヒアルロン酸材料、並びに分化した材料であった。濃い赤色はカルシウム堆積を示した。両方の分化した試料は染色後にこの色を呈した。対照ヒアルロン酸試料は呈しなかった。対照アルギン酸試料は、カルシウムがヒドロゲルにおける架橋剤であるため、中等度の赤色を提示した。にもかかわらず、アルギン酸対照は分化した試料ほど暗くなく、分化に起因するミネラル化からのカルシウム堆積が生じたことを示した。
【0284】
図21は、MC3T3 E1細胞含有複合材におけるカルシウム堆積物のためのAlizarin Red S染色を示す。左から右に、ヒアルロン酸及び脱細胞化リンゴ(分化前)、アルギン酸及び脱細胞化リンゴ(分化前)、ヒアルロン酸及び脱細胞化リンゴ(分化後)、アルギン酸及び脱細胞化リンゴ(分化後)。
【0285】
アルカリホスファターゼ:
短い固定時間をアルカリホスファターゼアッセイのために使用して、酵素活性の喪失を防いだ。試料を3.5%パラホルムアルデヒドで90秒間固定し、次いでPBS中0.05%Tweenで洗浄した。BCIP-NBT SigmaFast(商標)錠剤をdHOに溶解して、即時使用可能な染色溶液を作出した。紫色は、この文脈における骨芽細胞分化のマーカーであるアルカリホスファターゼ活性を示す。
【0286】
染色した試料は、分化前アルギン酸及びヒアルロン酸材料、並びに分化した材料であった。両方の分化した試料は染色後に紫色を呈した。対照ヒアルロン酸及びアルギン酸試料は呈しなかった。
【0287】
図22は、MC3T3 E1細胞含有複合材におけるBCIP NBT SigmaFast(商標)錠剤でのアルカリホスファターゼ染色を示す。左から右に、ヒアルロン酸及び脱細胞化リンゴ(分化前)、アルギン酸及び脱細胞化リンゴ(分化前)、ヒアルロン酸及び脱細胞化リンゴ(分化後)、アルギン酸及び脱細胞化リンゴ(分化後)。
【0288】
収集された結果に基づくと、分化した試料の剛性は未分化試料よりも大きいと予測される。実際、図27は、ヒアルロン酸ゲル又はアルギン酸ゲルと組み合わせた脱細胞化リンゴ足場が骨芽細胞培養に適切な生体材料であることを示す結果を提供する。MC3T3 E1サブクローン4前骨芽細胞の分化を遂行した。カルシウム堆積及びアルカリホスファターゼ活性を検出し、剛性の増大を成し遂げた。機械試験:ヤング率を応力-ひずみ曲線の線形領域から算出した。ゲル型間に統計的有意差は存在せず、二元配置ANOVAにおいても統計的に有意な交互作用は一切存在しなかった(p=0.05)。しかしながら、対照と分化した試料との間には有意差が存在した(p=8.9×10-4)。不均一な初期接触領域及び材料の複合性のために、応力-ひずみ曲線の始まりにつま先領域が存在した。分析は、このつま先領域後に対して実施した。図27は、細胞を有しない(対照)及び分化後の細胞を有する(Diff)、ヒアルロン酸(HA)又はアルギン酸ヒドロゲルを有する脱細胞化AA(リンゴ)のヤング率を示す。対照及び分化した試料のヤング率の記述統計量は以下の通りである。
【0289】
【表2】
【0290】
上記の結果及び図27の結果は、脱細胞化リンゴ足場と、この実施例ではヒアルロン酸又はアルギン酸のいずれかである、材料の周囲にキャスティングされたヒドロゲルとから作製された複合材料が、骨芽細胞分化及び骨組織工学のための生存足場として働くことができることを示す。
【0291】
この研究の結果は、脱細胞化足場(本明細書に記載のリンゴに由来するものなど)と、この実施例ではヒアルロン酸又はアルギン酸のいずれかである、材料の周囲にキャスティングされたヒドロゲルとから作製された複合材料が、骨芽細胞分化及び骨組織工学のための生存足場として働くことができることを支持する。
【実施例6】
【0292】
骨組織工学のための天然セルロース足場に対する静水圧縮の効果
傷害又は骨折時、骨は自己再生の能力を有する。しかしながら、傷害又は疾患のいずれかにより生じる大きな欠損は、骨組織の偽関節又は変形治癒を回避するために移植片の留置を必要とする場合がある(P. Andrzejowski and P. V. Giannoudis, ''The ‘diamond concept’ for long bone non-union management,'' Journal of Orthopaedics and Traumatology, vol. 20, no. 1. Springer-Verlag Italia s.r.l., 01-Dec-2019)。そのような移植片は、患者自身の身体、通例、再生整形外科における「ゴールドスタンダード」とみなされる腸骨稜に由来し得る(自家移植片)(A. Sakkas, F. Wilde, M. Heufelder, K. Winter, and A. Schramm, ''Autogenous bone grafts in oral implantology-is it still a ‘gold standard’? A consecutive review of 279 patients with 456 clinical procedures,'' Int. J. Implant Dent., vol. 3, no. 1, Dec. 2017、S. N. Parikh, ''Bone graft substitutes: past, present, future.,'' J. Postgrad. Med., vol. 48, no. 2, pp. 142-8、W. Wang and K. W. K. Yeung, ''Bone grafts and biomaterials substitutes for bone defect repair: A review,'' Bioactive Materials, vol. 2, no. 4. KeAi Communications Co., pp. 224-247, 01-Dec-2017、V. Campana et al., ''Bone substitutes in orthopaedic surgery: from basic science to clinical practice,'' J. Mater. Sci. Mater. Med., vol. 25, no. 10, pp. 2445-2461, Sep. 2014)。しかしながら、移植片のサイズ制限、ドナー部位の罹患及び感染、費用、並びにドナー及び受容者の両方の部位における術後疼痛は、例えば、死体ドナー由来(同種移植片)、動物供給源由来(異種移植片)、又は人工由来(異物)といった、移植片の代替供給源をもたらし得る(S. N. Parikh, ''Bone graft substitutes: past, present, future.,'' J. Postgrad. Med., vol. 48, no. 2, pp. 142-8、W. Wang and K. W. K. Yeung, ''Bone grafts and biomaterials substitutes for bone defect repair: A review,'' Bioactive Materials, vol. 2, no. 4. KeAi Communications Co., pp. 224-247, 01-Dec-2017)。そのような代替物はすべて、それぞれの利益及び欠点を有するが、昨今のものは、疾患及び感染症の伝染のリスクがより低く、かつサイズ制限の障壁を克服する可能性がある代替物を実現し得る(S. N. Parikh, ''Bone graft substitutes: past, present, future.,'' J. Postgrad. Med., vol. 48, no. 2, pp. 142-8、W. Wang and K. W. K. Yeung, ''Bone grafts and biomaterials substitutes for bone defect repair: A review,'' Bioactive Materials, vol. 2, no. 4. KeAi Communications Co., pp. 224-247, 01-Dec-2017)。また、異物移植片は、同種移植片及び異種移植片よりも倫理的な代替物とみなされている(R. F. Fernandez, C. Bucchi, P. Navarro, V. Beltran, and E. Borie, ''Bone grafts utilized in dentistry: an analysis of patients’ preferences,'' BMC Med. Ethics, vol. 16, no. 1, p. 71, Oct. 2015)。孔サイズ、孔相互接続性、及び弾性係数などの物理的特性は、異物移植片開発のための重要なパラメータである(V. Campana et al., ''Bone substitutes in orthopaedic surgery: from basic science to clinical practice,'' J. Mater. Sci. Mater. Med., vol. 25, no. 10, pp. 2445-2461, Sep. 2014、X. Gao, M. Fraulob, and G. Haiat, ''Biomechanical behaviours of the bone-implant interface: A review,'' Journal of the Royal Society Interface, vol. 16, no. 156. Royal Society Publishing, 2019、S. P. Nukavarapu, J. W. Freeman, and C. T. Laurencin, Regenerative Engineering of Musculoskeletal Tissues and Interfaces. Elsevier Inc., 2015)。これらのパラメータの微調整は、インプラントのより良好な機械的支援、すなわち安定性をもたらし得る、並びに/又は骨伝導性及び骨誘導性の向上をもたらし得る。したがって、そのような骨組織工学(BTE)適用のための材料を設計することは、周囲環境に応じた微調整の恩恵を受けることができる。
【0293】
長骨は、身体支持から身体運動に及ぶ機能を有する高度に動的な構造組織である。あらゆる範囲の力が骨格系の異なる領域に作用している。例えば、成人の大腿骨頭に見出される圧力は、通常の運動中は5MPaに達し得、他の活動の場合では最大18MPaに達し得る(K. C. Morrell, W. A. Hodge, D. E. Krebs, and R. W. Mann, ''Corroboration of in vivo cartilage pressures with implications for synovial joint tribology and osteoarthritis causation,'' Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., vol. 102, no. 41, pp. 14819-14824, Oct. 2005)。顕微鏡レベルでは、これらの力は、小腔-細管ネットワークにおけるWnt/β-カテニン機械感受性経路を介して骨細胞に伝達される(L. F. Bonewald and M. L. Johnson, ''Osteocytes, mechanosensing and Wnt signaling,'' Bone, vol. 42, no. 4. NIH Public Access, pp. 606-615, Apr-2008)。そのような力制御機構は、骨リモデリングプロセスにより骨組織の形成及び除去をもたらす(L. F. Bonewald and M. L. Johnson, ''Osteocytes, mechanosensing and Wnt signaling,'' Bone, vol. 42, no. 4. NIH Public Access, pp. 606-615, Apr-2008)。小腔-細管ネットワークの内側の圧力は280kPa付近であることが示されている(D. Zhang, S. Weinbaum, and S. C. Cowin, ''Estimates of the peak pressures in bone pore water,'' J. Biomech. Eng., vol. 120, no. 6, pp. 697-703, Dec. 1998)。培養骨芽細胞(及びその下にある基質)に応力を印加して、天然骨環境をより良好に再現するバイオリアクターが開発中である。そのようなバイオリアクターは、接触一軸圧縮力/張力、接触二軸圧縮力/張力、流動誘導剪断応力、電気的機械的剪断応力、又はこれらの刺激の組合せを印加することができる(M. Brunelli, C. Perrault, and D. Lacroix, ''A Review of Bioreactors and Mechanical Stimuli,'' Springer, Singapore, 2019, pp. 1-22、R. Portner, S. Nagel-Heyer, C. Goepfert, P. Adamietz, and N. M. Meenen, ''Bioreactor design for tissue engineering,'' Journal of Bioscience and Bioengineering, vol. 100, no. 3. Elsevier, pp. 235-245, 01-Sep-2005)。また、非圧縮性培地より上の気相を圧縮することにより、又は培地の直接圧縮により静圧又は周期的静水圧を印加するバイオリアクターが播種細胞に対して使用され得る(J. R. Henstock, M. Rotherham, J. B. Rose, and A. J. El Haj, ''Cyclic hydrostatic pressure stimulates enhanced bone development in the foetal chick femur in vitro,'' Bone, vol. 53, no. 2, pp. 468-477, Apr. 2013、Y. Reinwald et al., ''Evaluation of the growth environment of a hydrostatic force bioreactor for preconditioning of tissue-engineered constructs,'' Tissue Eng. - Part C Methods, vol. 21, no. 1, pp. 1-14, Jan. 2015、Y. Reinwald and A. J. El Haj, ''Hydrostatic pressure in combination with topographical cues affects the fate of bone marrow-derived human mesenchymal stem cells for bone tissue regeneration,'' J. Biomed. Mater. Res. - Part A, vol. 106, no. 3, pp. 629-640, Mar. 2018、Y. H. Zhao et al., ''Hydrostatic pressure promotes the proliferation and osteogenic/chondrogenic differentiation of mesenchymal stem cells: The roles of RhoA and Rac1,'' Stem Cell Res., vol. 14, no. 3, pp. 283-296, May 2015、C. Liu, Y. Zhao, W. Y. Cheung, R. Gandhi, L. Wang, and L. You, ''Effects of cyclic hydraulic pressure on osteocytes,'' Bone, vol. 46, no. 5, pp. 1449-1456, May 2010、J. D. Gardinier, S. Majumdar, R. L. Duncan, and L. Wang, ''Cyclic hydraulic pressure and fluid flow differentially modulate cytoskeleton re-organization in MC3T3 osteoblasts,'' Cell. Mol. Bioeng., vol. 2, no. 1, pp. 133-143, Mar. 2009、E. Stavenschi, M. A. Corrigan, G. P. Johnson, M. Riffault, and D. A. Hoey, ''Physiological cyclic hydrostatic pressure induces osteogenic lineage commitment of human bone marrow stem cells: A systematic study,'' Stem Cell Res. Ther., vol. 9, no. 1, Oct. 2018)。
【0294】
機械的刺激に加えて、細胞の3次元培養は、インビボ条件をより良好に再現するのに望ましい。3次元構造は、細胞の成長及び増殖を支援することができ、特定の組織に見出される細胞外マトリックスを模倣することができる。特定の組織配向性足場構造(又は生体材料)及び印加される適当な機械的刺激のために、インビボでのより良好な骨一体化及び全体的性能が実現し得ることが企図される。植物に由来するセルロースベースの足場は、組織工学足場として使用することができる(D. J. Modulevsky, C. Lefebvre, K. Haase, Z. Al-Rekabi, and A. E. Pelling, ''Apple derived cellulose scaffolds for 3D mammalian cell culture.,'' PLoS One, vol. 9, no. 5, p. e97835, Jan. 2014、D. J. Modulevsky, C. M. Cuerrier, and A. E. Pelling, ''Biocompatibility of Subcutaneously Implanted Plant-Derived Cellulose Biomaterials.,'' PLoS One, vol. 11, no. 6, p. e0157894, 2016、R. J. Hickey, D. J. Modulevsky, C. M. Cuerrier, and A. E. Pelling, ''Customizing the Shape and Microenvironment Biochemistry of Biocompatible Macroscopic Plant-Derived Cellulose Scaffolds,'' ACS Biomater. Sci. Eng., p. acsbiomaterials.8b00178, Mar. 2018)。これらの生体材料は、複製される組織のマイクロ構造と厳密に適合する植物から得ることができる(R. J. Hickey, D. J. Modulevsky, C. M. Cuerrier, and A. E. Pelling, ''Customizing the Shape and Microenvironment Biochemistry of Biocompatible Macroscopic Plant-Derived Cellulose Scaffolds,'' ACS Biomater. Sci. Eng., p. acsbiomaterials.8b00178, Mar. 2018)。インビトロ及びインビボでの成功した実験は、これらの生体材料が、様々な細胞型を宿すことができ、生体適合性であり、活発な血管新生を支援することを示した(D. J. Modulevsky, C. Lefebvre, K. Haase, Z. Al-Rekabi, and A. E. Pelling, ''Apple derived cellulose scaffolds for 3D mammalian cell culture.,'' PLoS One, vol. 9, no. 5, p. e97835, Jan. 2014、D. J. Modulevsky, C. M. Cuerrier, and A. E. Pelling, ''Biocompatibility of Subcutaneously Implanted Plant-Derived Cellulose Biomaterials.,'' PLoS One, vol. 11, no. 6, p. e0157894, 2016、R. J. Hickey, D. J. Modulevsky, C. M. Cuerrier, and A. E. Pelling, ''Customizing the Shape and Microenvironment Biochemistry of Biocompatible Macroscopic Plant-Derived Cellulose Scaffolds,'' ACS Biomater. Sci. Eng., p. acsbiomaterials.8b00178, Mar. 2018)。足場は分化骨芽細胞によりミネラル化し得る(J. Lee, H. Jung, N. Park, S. H. Park, and J. H. Ju, ''Induced Osteogenesis in Plants Decellularized Scaffolds,'' Sci. Rep., vol. 9, no. 1, pp. 1-10, Dec. 2019)。さらに、一部の足場は、模擬体液に浸すことにより人工的にミネラル化させることができる(G. Fontana et al., ''Biofunctionalized Plants as Diverse Biomaterials for Human Cell Culture,'' Adv. Healthc. Mater., vol. 6, no. 8, p. 1601225, Apr. 2017)。
【0295】
この研究では、リンゴ由来3D足場生体材料上で培養した前骨芽細胞の分化能に対する(印加した周期的静水圧によって)上昇した気圧の効果を調査する。細胞を周期的圧力サイクル(最大280kPa、1Hz)に1日当たり1時間、合計で2週間曝露した。結果は全般に、骨形成培地において細胞圧力の周期的変化が、細胞の数の増加、アルカリホスファターゼ(分化マーカー)活性の向上、及びミネラル化の増加を経時的にもたらすことを明らかにする。
【0296】
材料及び方法
足場製造
試料を本明細書に記載のプロトコールに従って調製した。簡潔に述べると、マンドリンスライサーを用いて、マッキントッシュアップル(Canada Fancy)を1mm厚のスライスに切断した。生検穿孔器(Fisher社)を使用して、リンゴスライスの花托筒組織に5mm径の円板を作出した。円板を0.1%ドデシル硫酸ナトリウム溶液(SDS、Fisher Scientific社、Fair Lawn、NJ)中で2日間脱細胞化した。次いで、脱細胞化円板を脱イオン水において穏やかに洗浄した後で、100mM CaCl中で2日間インキュベートした。試料を70%エタノールで30分間滅菌し、脱イオン水において穏やかに洗浄し、96ウェル培養プレートに入れた後、細胞を播種した。
【0297】
MC3T3-E1サブクローン4細胞(ATCC(登録商標)CRL-2593(商標)、Manassas、VA)(L. D. Quarles, D. A. Yohay, L. W. Lever, R. Caton, and R. J. Wenstrup, ''Distinct proliferative and differentiated stages of murine MC3T3-E1 cells in culture: An in vitro model of osteoblast development,'' J. Bone Miner. Res., vol. 7, no. 6, pp. 683-692, Jun. 1992)を培養し、95%空気及び5%COの湿潤雰囲気中37℃で維持した。細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS、Hyclone Laboratories Inc.社、Logan、UT)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Hyclone Laboratories Inc社)を補充した最小必須培地(α-MEM、ThermoFisher社、Waltham、MA)で培養した。細胞をトリプシン処理し、培養培地に懸濁した。足場を96ウェルプレートに個々に入れた。細胞播種前に、足場を培養培地に浸漬し、95%空気及び5%COの湿潤雰囲気中37℃で30分間インキュベートした。培養培地をウェルから完全に吸引した。細胞をトリプシン処理して懸濁し、5×10個の細胞を含有する細胞培養懸濁液の30μLの液滴をピペットで各足場に移した。細胞を足場に2時間付着させた後で、200μLの培養培地を培養ウェルに添加した。培養培地は、1週間、3~4日ごとに交換した。次いで、細胞播種足場を、静水圧(HP)の印加を行うか又は行わずに2週間、骨形成培地(OM、osteogenic media)中で、50μg/mLのアスコルビン酸及び10mM β-グリセロリン酸を培養培地に添加してインキュベートするか、又は培養培地(CM、culture media)中でインキュベートした。
【0298】
周期的静水圧刺激
特注製造の圧力チャンバー中の培養ウェルより上の気相の圧力を調節することにより、周期的静水圧を印加した(図23、A)。簡潔に述べると、圧縮機(Mastercraft社)を使用して95%空気及び5%CO湿潤インキュベーター雰囲気を圧縮し、電磁弁を使用して圧力チャンバーに注入した。マイクロコントローラ(Particle Photon社)を使用して、印加圧力の周波数及び継続時間を、特注作製の携帯電話アプリケーションにより遠隔制御した。周期的静水圧刺激を、1日当たり1時間、最大で2週間にわたり、1Hzの周波数で、周囲圧力に関して0~280kPaの間で振動させて印加した(図23、B)。圧力変換器を使用して圧力をモニターした。試料を各サイクル後に圧力チャンバーから取り出し、刺激相間は周囲圧力に保った。
【0299】
細胞播種足場を、骨形成培地の存在下及び非存在下において、周期的静水圧を用いて刺激して、4つの実験条件:通常の培養培地での周期的静水圧(CHP)、骨形成培養培地での周期的静水圧(CHP-OM)、骨形成培地での非刺激(OM)、及び通常の培養培地での非刺激(対照)をもたらした(図23、B)。OM及び対照条件は、37℃の5%CO湿潤インキュベーターにおいて圧力チャンバーの外側に保った。
【0300】
足場画像化
1週間又は2週間後、足場をPBSで十分に洗浄し、10%中性緩衝ホルマリンで10分間固定した。足場をPBSで洗浄し、0.01%コンゴレッド染色溶液(Sigma社)中室温で20分間インキュベートした。足場をPBSで3回洗浄した。細胞核を1:1000Hoechst(ThermoFisher社)で暗所にて30分間染色した。試料をPBSで3回洗浄し、洗浄緩衝溶液(PBS中5%FBS)中で保存した後、画像化した。10倍の対物レンズを備えた高速共鳴レーザー走査型共焦点顕微鏡(Nikon Ti-E A1-R)で足場の細胞播種面を画像化した。画像スライスの最大強度投影をImageJソフトウェアでの細胞計数のために使用した(J. Schindelin et al., ''Fiji: an open-source platform for biological-image analysis,'' Nat. Methods, vol. 9, no. 7, pp. 676-682, Jul. 2012)。細胞を1.3×1.3mmの領域において計数した(足場1つ当たり3つの無作為に選択した領域を伴う実験条件1つ当たりN=3)。
【0301】
アルカリホスファターゼ活性アッセイ
培地におけるアルカリホスファターゼ(ALP)活性を、ALPアッセイキット(BioAssay Systems社、Hayward、CA)を使用して測定した。簡潔に述べると、標準溶液を、製造業者のプロトコールに従って、アッセイ緩衝液中5mM酢酸マグネシウム及び10mM pNPPの濃度に調製した。150μLの標準溶液をピペットで96ウェルプレートに移した。200μLの較正溶液及び200μLのdHOをピペットで、同じ96ウェルプレートの別々のウェルに移した。1週間及び2週間時点で、20μLのインキュベーション培地(CM又はOMのいずれか)をピペットで標準溶液のウェルに添加した。すべてのウェル(試料、較正、及びdHO)を405nmで10分間、30秒ごとに読み取った。405nmでの読み取りの時間に対する傾きを求めることによりALP活性を算出し、較正溶液及びdHOで較正した。ウェルを3連で読み取った(実験条件1つ当たりN=3)。
【0302】
Alizarin red S染色及びミネラル堆積物定量
1週間又は2週間後、試料を10%中性緩衝ホルマリンで10分間固定した。確立されているプロトコール(その全体が参照により本明細書に組み込まれる、C. A. Gregory, W. G. Gunn, A. Peister, and D. J. Prockop, "An Alizarin red-based assay of mineralization by adherent cells in culture: Comparison with cetylpyridinium chloride extraction," Anal. Biochem., vol. 329, no. 1, pp. 77-84, Jun. 2004、(C. A. Gregory, W. G. Gunn, A. Peister, and D. J. Prockop, ''An Alizarin red-based assay of mineralization by adherent cells in culture: Comparison with cetylpyridinium chloride extraction,'' Anal. Biochem., vol. 329, no. 1, pp. 77-84, Jun. 2004))を使用してカルシウム定量を実施した。簡潔に述べると、試料を24ウェルプレートに移し、脱イオン水で慎重に洗浄し、1mLの40mM(pH=4.1)alizarin red s(ARS)溶液中室温で20分間、軽く撹拌しながらインキュベートした。次いで、試料を脱イオン水で3回洗浄し、10mLのdHOを満たした15mLファルコンチューブに入れた。チューブをロータリーシェーカーに120rpmで60分間載せ、dHOを15分ごとに取り換えた。その後、試料を60rpmのオービタルシェーカー上の800μLの10%酢酸中で30分間インキュベートした。溶出したARS/酢酸溶液をピペットでウェルから回収し、1.5mL遠心チューブに移した。チューブを17×10gで15分間遠心分離した。500μLの上清を新たな遠心チューブに移し、200μLの10%水酸化アンモニウムをピペットでチューブに添加した。最後に、150μLの溶液をピペットで96ウェルプレートに移し、プレートリーダーを使用して405での吸光を読み取った。ウェルを3連で読み取った(実験条件1つ当たりN=3)。
【0303】
ヤング率測定
以前に記載した方法に従って(R. J. Hickey, D. J. Modulevsky, C. M. Cuerrier, and A. E. Pelling, ''Customizing the Shape and Microenvironment Biochemistry of Biocompatible Macroscopic Plant-Derived Cellulose Scaffolds,'' ACS Biomater. Sci. Eng., p. acsbiomaterials.8b00178, Mar. 2018)、特注製造の一軸圧縮装置を使用して足場のヤング率測定を実施した。簡潔に述べると、1週間又は2週間後、足場を3mm分-1の速度で10%の最大歪みまで機械的に圧縮した。力-変位曲線を500gロードセル(Honeywell社、Charlotte、NC)及び光学定規(Honeywell社)で記録した。得られた応力-ひずみ曲線の線形部分を近似することにより、異なる実験条件下での足場のヤング率を得た。
【0304】
統計分析
この実施例において報告された値は、平均値±平均の標準誤差(SEM)である。統計的有意性は、一元配置ANOVA及び事後テューキー検定を使用して決定した。p<0.05の値を統計的に有意とみなした。
【0305】
結果
図23は、(A)周期的静水圧デバイスの概略図を示す。特注製造の圧力チャンバー中の培養ウェルより上の気相の圧力を調節することにより、静水圧を印加した。圧縮機を使用してインキュベーター雰囲気からの空気を圧縮し、電磁弁を使用して圧力チャンバーに注入した。(B)は、実験条件を示す。1週間の増殖後、周期的静水圧刺激を、1日当たり1時間、最大で2週間にわたり、1Hzの周波数で、周囲圧力に関して0~280kPaの間で振動させて印加した。試料を各サイクル後に圧力チャンバーから取り出し、刺激相間は周囲圧力に保った。
【0306】
図24は、1週間又は2週間の刺激後の細胞の密度を示す。統計的有意性(*はp<0.05を示す)は、一元配置ANOVA及びテューキー事後検定を使用して決定した。データは、試料1つ当たり3つの領域を有する、条件1つ当たり3つの複製試料の平均±S.E.M.として提示する。結果は、2週間の培養後、対照と比較して有意に多い細胞が周期的圧力負荷を経験した足場に存在することを明らかにする。
【0307】
図25は、1週間又は2週間の刺激後のアルカリホスファターゼ(ALP)活性を示す。統計的有意性(*はp<0.05を示す)は、一元配置ANOVA及びテューキー事後検定を使用して決定した。データは、条件1つ当たり3つの複製試料の平均±S.E.M.として提示する。結果は、2週間の培養後、対照と比較して有意に上昇したALP活性(分化のマーカー)が周期的圧力負荷を経験した足場に存在する細胞に存在することを明らかにする。
【0308】
図26は、1週間又は2週間の刺激後のAlizarin Red S(ARS)染色でのミネラル堆積物定量を示す。統計的有意性(*はp<0.05を示す)は、一元配置ANOVA及びテューキー事後検定を使用して決定した。データは、条件1つ当たり3つの複製試料の平均±S.E.M.として提示する。結果は、2週間の培養後に、対照と比較して有意に多い、周期的圧力負荷を経験した足場のミネラル化が存在することを明らかにする。
【0309】
足場画像化及び細胞計数:
細胞計数を共焦点スライスの最大投影に対して実施した(図28、24)。データは、静水圧にかけたOM中でインキュベートした足場において、1週間後ではCMと比較して有意な細胞の密度の増加を示した(それぞれ723±80細胞/mm及び353±71細胞/mm、p=0.02)(図28、24)が、2週間の刺激後では有意ではない増加を示した(それぞれ611±149細胞/mm及び350±71細胞/mm、p=0.23)。有意ではない増加は、静圧の場合のOM中でインキュベートした足場における、CMと比較した細胞の密度においても、1週間(それぞれ125±27細胞/mm及び88±16細胞/mm、p=0.99)並びに2週間の刺激(それぞれ291±52細胞/mm及び221±50細胞/mm、p=0.99)で観察された。静水圧の印加は、OM中でインキュベートした足場の場合、1週間の刺激後に、細胞の密度を静圧の場合と比較して有意に増加する(それぞれ723±80細胞/mm及び125±27細胞/mm、p=10-5)。有意ではない増加は、同様の条件での2週間の刺激後でも観察された(それぞれ611±149細胞/mm及び291±52細胞/mm、p=0.07)。さらに、細胞の密度の有意ではない増加は、CMで培養した足場でのHPの印加によって、1週間(それぞれ353±71細胞/mm及び88±16細胞/mm、p=0.21)並びに2週間の刺激(それぞれ350±71細胞/mm及び221±50細胞/mm、p=0.92)後に観察された。それぞれの実験条件において、HPにかけた足場について、第1週と第2週との間で細胞密度の有意な変化は観察されなかった(OM-HP足場の場合は723±80細胞/mm及び611±149細胞/mm、p=0.96;CTRL-HP足場の場合は353±71細胞/mm及び350±71細胞/mm、p=1)。最後に、静圧の場合の足場について、第1週と第2週との間で細胞密度の有意な変化は観察されなかった(CM-HP足場の場合は125±27細胞/mm及び291±52細胞/mm、p=1;CM-CTRL足場の場合は88±16細胞/mm及び221±50細胞/mm、p=0.91)。
【0310】
アルカリホスファターゼ活性アッセイ:
アルカリホスファターゼ活性を、1又は2週間後にpnpp動態反応により製造業者のプロトコールに従って評価した(図25)。骨形成培地中でインキュベートした静水圧を印加した足場において、静圧の場合と比較して有意なALP活性の向上が、1週間(それぞれ0.245±0.003IU/L及び0.189±0.002IU/L、p=4×10-8)並びに2週間(それぞれ0.214±0.002IU/L及び0.159±0.002IU/L、p=4×10-8)の刺激後に観察された。さらに、静水圧の印加は、培養培地のALP活性も1週間(それぞれ0.203±0.001IU/L及び0.195±0.001IU/L、p=0.03)並びに2週間(それぞれ0.213±0.001IU/L及び0.152±0.001IU/L、p=5×10-8)後に有意に向上させた。ALP活性は、静水圧を印加した骨形成培地中でインキュベートした試料において、1週間後は培養培地と比較して有意に向上した(それぞれ0.245±0.003IU/L及び0.203±0.001IU/L、p<10-8)が、2週間後は有意には異ならなかった(それぞれ0.159±0.002IU/L及び0.152±0.001IU/L、p=0.99)。最後に、ALPは、骨形成培地中でインキュベートした試料について、静水圧の非存在下では、培養培地と比較して、1週間時点(それぞれ0.189±0.002IU/L及び0.195±0.001IU/L、p=0.25)においても2週間時点(それぞれ0.159±0.002IU/L及び0.152±0.001IU/L、p=0.08)においても有意には変化しなかった。
【0311】
Alizarin red s染色及びミネラル堆積物定量:
ミネラル化を定量するためのARSアッセイを1又は2週間後に実施した(図26)。静水圧の印加は、1週間時点において、ミネラル堆積物の量を分化培地(0.73±0.03a.u.及び0.55±0.02a.u.、それぞれHPとCTRL、p=2×10-7)についても培養培地(0.59±0.03a.u.及び0.42±0.02a.u.、それぞれHPとCTRL、p=1×10-6)についても有意に増加した。ミネラル堆積物の量は、2週間のインキュベーション後も分化培地(0.68±0.01a.u.及び0.22±0.02a.u.、それぞれHPとCTRL、p=2×10-8)並びに培養培地(0.69±0.02a.u.及び0.17±0.02a.u.、それぞれHPとCTRL、p=2×10-8)において有意に増加した。また、ミネラル堆積物は、1週間時点では、静水圧下(0.73±0.03a.u.及び0.59±0.03a.u.、OMとCM、p=2×10-4)並びに非圧縮実験(0.55±0.02a.u.及び0.42±0.02a.u.、OMとCM、p=10-3)の試料について、骨形成培地中でのインキュベーションにより培養培地と比較して有意に増加した。骨形成培地中でのインキュベーションによる、培養培地と比較したミネラル堆積の有意な変化は、2週間時点では、静水圧下(0.68±0.01a.u.及び0.69±0.02a.u.、OMとCM、p=0.99)並びに非圧縮実験(0.22±0.02a.u.及び0.17±0.02a.u.、OMとCM、p=0.75)の試料について観察されなかった。
【0312】
ヤング率測定:
1週間又は2週間の刺激後、足場をヤング率の変化について評価した(図29)。データは、骨形成培地中でインキュベートした試料の、静水圧を印加した場合と静水圧を印加しなかった場合との間では、1週間後(0.016±0.002MPa及び0.017±0.003MPa、HPとCTRL、p=0.99)も2週間後(0.014±0.001MPa及び0.019±0.001MPa、HPとCTRL、p=0.85)も有意な変化を示さなかった。さらに、培養培地中でインキュベートした試料においては、静水圧を印加した場合であれ静水圧がない場合であれ、1週間(0.014±0.002MPa及び0.014±0.001MPa、HPとCTRL、p=1)の実験後も2週間(0.020±0.002MPa及び0.014±0.005MPa、HPとCTRL、p=0.64)の実験後もヤング率の有意な変化は観察されなかった。さらに、静水圧の印加下の、骨形成培地中の試料と培養培地中の試料との間において、1週間時点(0.016±0.002MPa及び0.014±0.002MPa、OMとCM、p=0.99)でも2週間後(0.014±0.001MPa及び0.020±0.002MPa、OMとCM、p=0.6)もヤング率の有意な変化は観察されなかった。同様に、気圧下の、骨形成培地中の試料と培養培地中の試料との間において、1週間時点(0.017±0.003MPa及び0.014±0.001MPa、OMとCM、p=0.98)でも2週間後(0.019±0.001MPa及び0.014±0.005MPa、OMとCM、p=0.88)もヤング率の有意な変化は観察されなかった。
【0313】
考察
身体環境の厳密な再現は骨組織回復に望ましい(S. N. Parikh, ''Bone graft substitutes: past, present, future.,'' J. Postgrad. Med., vol. 48, no. 2, pp. 142-8、W. Wang and K. W. K. Yeung, ''Bone grafts and biomaterials substitutes for bone defect repair: A review,'' Bioactive Materials, vol. 2, no. 4. KeAi Communications Co., pp. 224-247, 01-Dec-2017、V. Campana et al., ''Bone substitutes in orthopaedic surgery: from basic science to clinical practice,'' J. Mater. Sci. Mater. Med., vol. 25, no. 10, pp. 2445-2461, Sep. 2014、X. Gao, M. Fraulob, and G. Haiat, ''Biomechanical behaviours of the bone-implant interface: A review,'' Journal of the Royal Society Interface, vol. 16, no. 156. Royal Society Publishing, 2019、S. P. Nukavarapu, J. W. Freeman, and C. T. Laurencin, Regenerative Engineering of Musculoskeletal Tissues and Interfaces. Elsevier Inc., 2015)。同様に、周囲の骨組織の厳密な適合は、異物移植の成功の重要な因子であり得る(X. Gao, M. Fraulob, and G. Haiat, ''Biomechanical behaviours of the bone-implant interface: A review,'' Journal of the Royal Society Interface, vol. 16, no. 156. Royal Society Publishing, 2019、S. P. Nukavarapu, J. W. Freeman, and C. T. Laurencin, Regenerative Engineering of Musculoskeletal Tissues and Interfaces. Elsevier Inc., 2015)。身体環境と厳密に適合する植物組織に由来するセルロース生体材料は、標的とされた組織工学について有望な結果をインビトロ、インビボで示している(D. J. Modulevsky, C. Lefebvre, K. Haase, Z. Al-Rekabi, and A. E. Pelling, ''Apple derived cellulose scaffolds for 3D mammalian cell culture.,'' PLoS One, vol. 9, no. 5, p. e97835, Jan. 2014、D. J. Modulevsky, C. M. Cuerrier, and A. E. Pelling, ''Biocompatibility of Subcutaneously Implanted Plant-Derived Cellulose Biomaterials.,'' PLoS One, vol. 11, no. 6, p. e0157894, 2016、R. J. Hickey, D. J. Modulevsky, C. M. Cuerrier, and A. E. Pelling, ''Customizing the Shape and Microenvironment Biochemistry of Biocompatible Macroscopic Plant-Derived Cellulose Scaffolds,'' ACS Biomater. Sci. Eng., p. acsbiomaterials.8b00178, Mar. 2018)。この実施例では、ヒト運動の機械的環境を再現することにより生体材料を検討した。外圧を、小腔-細管ネットワークと同様の規模において、ヒト運動を模倣する周波数(1Hz)で足場に印加した(D. Zhang, S. Weinbaum, and S. C. Cowin, ''Estimates of the peak pressures in bone pore water,'' J. Biomech. Eng., vol. 120, no. 6, pp. 697-703, Dec. 1998、J. R. Henstock, M. Rotherham, J. B. Rose, and A. J. El Haj, ''Cyclic hydrostatic pressure stimulates enhanced bone development in the foetal chick femur in vitro,'' Bone, vol. 53, no. 2, pp. 468-477, Apr. 2013)。足場に前骨芽細胞(MC3T3-E1)を播種した。増殖後、足場を標準培養培地(CM)又は骨形成誘導分化培地(OM)のいずれかで培養した。次いで、これらの足場を1又は2週間、周期的静水圧(HP)にかけるか又は気圧(CTRL)下で保った。印加したHPは、気圧下での安静期間後の1日当たり1時間1Hzに設定した。同様の細胞株(J. D. Gardinier, S. Majumdar, R. L. Duncan, and L. Wang, ''Cyclic hydraulic pressure and fluid flow differentially modulate cytoskeleton re-organization in MC3T3 osteoblasts,'' Cell. Mol. Bioeng., vol. 2, no. 1, pp. 133-143, Mar. 2009、J. D. Gardinier, V. Gangadharan, L. Wang, and R. L. Duncan, ''Hydraulic pressure during fluid flow regulates purinergic signaling and cytoskeleton organization of osteoblasts,'' Cell. Mol. Bioeng., vol. 7, no. 2, pp. 266-277, Apr. 2014)、ヒト若しくは動物骨髄骨格系幹細胞(BMSC、bone marrow skeletal stem cell)(Y. Reinwald and A. J. El Haj, ''Hydrostatic pressure in combination with topographical cues affects the fate of bone marrow-derived human mesenchymal stem cells for bone tissue regeneration,'' J. Biomed. Mater. Res. - Part A, vol. 106, no. 3, pp. 629-640, Mar. 2018、Y. H. Zhao et al., ''Hydrostatic pressure promotes the proliferation and osteogenic/chondrogenic differentiation of mesenchymal stem cells: The roles of RhoA and Rac1,'' Stem Cell Res., vol. 14, no. 3, pp. 283-296, May 2015、E. Stavenschi, M. A. Corrigan, G. P. Johnson, M. Riffault, and D. A. Hoey, ''Physiological cyclic hydrostatic pressure induces osteogenic lineage commitment of human bone marrow stem cells: A systematic study,'' Stem Cell Res. Ther., vol. 9, no. 1, Oct. 2018)、又はエクスビボヒヨコ大腿骨(J. R. Henstock, M. Rotherham, J. B. Rose, and A. J. El Haj, ''Cyclic hydrostatic pressure stimulates enhanced bone development in the foetal chick femur in vitro,'' Bone, vol. 53, no. 2, pp. 468-477, Apr. 2013)を使用した他のグループは、2D表面、ランダム若しくは配列PCLメッシュ、又はエクスビボ骨に対する周期的HPの効果を報告している。この実施例は、MC3T3-E1細胞を播種した天然セルロース足場に対するHPの効果を測定した。レーザー走査型共焦点顕微鏡法による細胞計数は、骨形成培地において細胞の密度が1週間のHPの印加後に有意に増加し、2週間のHPの印加後に増加した(有意ではない、p=0.07)ことを明らかにした。増加は、培養培地においても1週間及び2週間のHPの印加後に認められたが、この場合もまた有意ではなかった。これらの結果は、HPの印加がOMで培養した場合にMC3T3-E1増殖を増強することを示した。この結果は他の研究によって裏付けられる(Y. Reinwald and A. J. El Haj, ''Hydrostatic pressure in combination with topographical cues affects the fate of bone marrow-derived human mesenchymal stem cells for bone tissue regeneration,'' J. Biomed. Mater. Res. - Part A, vol. 106, no. 3, pp. 629-640, Mar. 2018、Y. H. Zhao et al., ''Hydrostatic pressure promotes the proliferation and osteogenic/chondrogenic differentiation of mesenchymal stem cells: The roles of RhoA and Rac1,'' Stem Cell Res., vol. 14, no. 3, pp. 283-296, May 2015)。同様の機械的刺激(270kPa;2週間のうちの5日間、1日当たり1時間1Hzの刺激)を使用して、Reinwald et al., 2018は、ヒトBMSC代謝活性が非刺激試料との比較において上方制御したことを示した(Y. Reinwald and A. J. El Haj, ''Hydrostatic pressure in combination with topographical cues affects the fate of bone marrow-derived human mesenchymal stem cells for bone tissue regeneration,'' J. Biomed. Mater. Res. - Part A, vol. 106, no. 3, pp. 629-640, Mar. 2018)。Zhao et al., 2015は、ラットBMSCへの静水圧の印加が細胞周期開始の上方制御により細胞増殖を加速することを示した(Y. H. Zhao et al., ''Hydrostatic pressure promotes the proliferation and osteogenic/chondrogenic differentiation of mesenchymal stem cells: The roles of RhoA and Rac1,'' Stem Cell Res., vol. 14, no. 3, pp. 283-296, May 2015)。同様に、Stavenschi et al., 2018は、MC3T3-E1細胞の物理的刺激が細胞増殖の増強を引き起こすパラクリン因子の発現を誘導したことを報告した(E. Stavenschi, M. A. Corrigan, G. P. Johnson, M. Riffault, and D. A. Hoey, ''Physiological cyclic hydrostatic pressure induces osteogenic lineage commitment of human bone marrow stem cells: A systematic study,'' Stem Cell Res. Ther., vol. 9, no. 1, Oct. 2018)。したがって、物理的刺激は3次元足場での細胞の増殖に影響を及ぼす。インキュベーション培地の性質が細胞の密度に与える影響は、1週間のHP後におけるOM試料のCM試料と比較した有意な増加、及びHPにおける2週間後の有意ではない増加によって例示された。OMとCMとの間の有意ではない増加は、1及び数週間後の非刺激試料の場合で観察された。また、Quarles et al., 1992は、アスコルビン酸及びβ-グリセロリン酸を含有する培地で培養したMC3T3細胞数の時間依存的かつ有意な増加を報告した(L. D. Quarles, D. A. Yohay, L. W. Lever, R. Caton, and R. J. Wenstrup, ''Distinct proliferative and differentiated stages of murine MC3T3-E1 cells in culture: An in vitro model of osteoblast development,'' J. Bone Miner. Res., vol. 7, no. 6, pp. 683-692, Jun. 1992)。さらに、複製速度の時間依存的低下もまた報告された(L. D. Quarles, D. A. Yohay, L. W. Lever, R. Caton, and R. J. Wenstrup, ''Distinct proliferative and differentiated stages of murine MC3T3-E1 cells in culture: An in vitro model of osteoblast development,'' J. Bone Miner. Res., vol. 7, no. 6, pp. 683-692, Jun. 1992)。Hong et al., 2010は、同様の骨形成培地中でインキュベートしたMC3T3-E1細胞の培養培地と比較した有意な減少、及び2週間の培養で有意差が存在しないことを報告した(D. Hong et al., ''Morphological and proteomic analysis of early stage of osteoblast differentiation in osteoblastic progenitor cells,'' Exp. Cell Res., vol. 316, no. 14, pp. 2291-2300, 2010)。本実施例の知見は、OMで培養した試料について、HPの印加が刺激の早期段階での複製速度に影響を与えることをさらに示唆する。アルカリホスファターゼは、骨芽細胞の分化の早期段階で発現する酵素である(E. E. Golub and K. Boesze-Battaglia, ''The role of alkaline phosphatase in mineralization,'' Curr. Opin. Orthop., vol. 18, no. 5, pp. 444-448, Sep. 2007)。本結果は、周期的静水圧の印加が細胞播種足場のALP活性を静圧の場合と比較して有意に向上させることを示す。ALP活性の有意な向上は、2D培養系に関する報告と同様に(L. D. Quarles, D. A. Yohay, L. W. Lever, R. Caton, and R. J. Wenstrup, ''Distinct proliferative and differentiated stages of murine MC3T3-E1 cells in culture: An in vitro model of osteoblast development,'' J. Bone Miner. Res., vol. 7, no. 6, pp. 683-692, Jun. 1992、D. Hong et al., ''Morphological and proteomic analysis of early stage of osteoblast differentiation in osteoblastic progenitor cells,'' Exp. Cell Res., vol. 316, no. 14, pp. 2291-2300, 2010)、骨形成誘導分化培地中での足場のインキュベーションによっても認められた。HPの印加は、両方の種類のインキュベーション培地において、1週間及び2週間の刺激後の足場のミネラル含有量を有意に増加した。Stavenschi 2018 et al.は、ヒトBMSCに対する2Hzの周波数での300kPaの周期的圧力が有意なミネラル堆積を促進したことを示した(E. Stavenschi, M. A. Corrigan, G. P. Johnson, M. Riffault, and D. A. Hoey, ''Physiological cyclic hydrostatic pressure induces osteogenic lineage commitment of human bone marrow stem cells: A systematic study,'' Stem Cell Res. Ther., vol. 9, no. 1, Oct. 2018)。Henstock et al., 2013もまた、同様の静水圧力印加で、エクスビボ骨試料におけるミネラル堆積物の増加を認めた(J. R. Henstock, M. Rotherham, J. B. Rose, and A. J. El Haj, ''Cyclic hydrostatic pressure stimulates enhanced bone development in the foetal chick femur in vitro,'' Bone, vol. 53, no. 2, pp. 468-477, Apr. 2013)。さらに、骨形成培地中でのインキュベーションは足場のミネラル含有量を増加し、これは他の系での他の研究と矛盾しない(L. D. Quarles, D. A. Yohay, L
. W. Lever, R. Caton, and R. J. Wenstrup, ''Distinct proliferative and differentiated stages of murine MC3T3-E1 cells in culture: An in vitro model of osteoblast development,'' J. Bone Miner. Res., vol. 7, no. 6, pp. 683-692, Jun. 1992、D. Hong et al., ''Morphological and proteomic analysis of early stage of osteoblast differentiation in osteoblastic progenitor cells,'' Exp. Cell Res., vol. 316, no. 14, pp. 2291-2300, 2010)。ALP発現と共に、ミネラル含有量の発現は、HPの印加、化学的(OMでの誘導)、又はその両方の組合せのいずれかによるMC3T3-E1の骨芽細胞への進行中の分化をさらに確認する。最後に、動的機械的分析は、すべての実験条件間、及び実験法の第1週と第2週との間で、ヤング率の有意な変化を明らかにしなかった。MC3T3-E1を播種した同様の足場のヤング率は、骨形成培地中でインキュベートした足場について、ここでの足場(OM-HP及びOM-CTRL)よりもはるかに高い値を提示した。骨形成培地中でのインキュベーションの継続時間と初期播種密度とが異なっており、これが値の差を説明し得る。
【0314】
この実施例では、リンゴ由来3D足場生体材料上で培養した前骨芽細胞の分化能に対する上昇した気圧の効果を調査した。細胞を周期的圧力サイクル(最大280kPa、1Hz)に1日当たり1時間、合計で2週間曝露した。結果は、静水圧の印加が、骨形成誘導培地との組合せにおいて、細胞の数の増加、アルカリホスファターゼ(分化マーカー)活性の向上、及びミネラル化の増加を経時的にもたらすことを明らかにする。
【0315】
1又は2以上の例示的な実施形態が、例として記載された。特許請求の範囲において定義される本発明の範囲から逸脱することなく、幾つかの変形及び改変を行うことができることが当業者に理解される。
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【0316】
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【国際調査報告】