(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(54)【発明の名称】鉄含有バインダーを含む多結晶ダイヤモンド
(51)【国際特許分類】
C04B 35/528 20060101AFI20230207BHJP
C22C 29/08 20060101ALI20230207BHJP
C22C 26/00 20060101ALI20230207BHJP
C22C 1/05 20230101ALI20230207BHJP
C22C 1/10 20230101ALI20230207BHJP
B24D 3/00 20060101ALI20230207BHJP
B24D 3/06 20060101ALI20230207BHJP
B23B 27/14 20060101ALI20230207BHJP
B23B 27/20 20060101ALI20230207BHJP
B23C 5/16 20060101ALI20230207BHJP
B23B 51/00 20060101ALI20230207BHJP
B28D 1/26 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
C04B35/528
C22C29/08
C22C26/00 Z
C22C1/05 P
C22C1/10 E
B24D3/00 320B
B24D3/00 340
B24D3/06 A
B23B27/14 B
B23B27/20
B23C5/16
B23B51/00 M
B28D1/26
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022534385
(86)(22)【出願日】2020-11-26
(85)【翻訳文提出日】2022-06-07
(86)【国際出願番号】 EP2020083522
(87)【国際公開番号】W WO2021115795
(87)【国際公開日】2021-06-17
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517007574
【氏名又は名称】エレメント シックス (ユーケイ) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】カン アンティオネッテ
(72)【発明者】
【氏名】チャン シャオシュエ
(72)【発明者】
【氏名】ペトルーシャ イーゴリ
(72)【発明者】
【氏名】オシポフ アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ストラティチュク デニス
(72)【発明者】
【氏名】トゥルケヴィチ ウラジーミル
【テーマコード(参考)】
3C037
3C046
3C063
3C069
4K018
4K020
【Fターム(参考)】
3C037FF04
3C037FF06
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4K018BA13
4K018KA15
4K020BB29
(57)【要約】
本開示は、ダイヤモンドネットワークを形成する連晶ダイヤモンド砥粒及び鉄含有バインダーから形成されるPCD材料を含む多結晶ダイヤモンド(PCD)体に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤモンドネットワークを形成する連晶ダイヤモンド砥粒及び鉄含有バインダーから形成されるPCD材料を含む多結晶ダイヤモンド(PCD)体。
【請求項2】
前記鉄含有バインダーがFe
xNを含む、請求項1に記載のPCD体。
【請求項3】
前記鉄含有バインダーが析出物を含む、請求項1又は2に記載のPCD体。
【請求項4】
前記析出物がダイヤモンド砥粒の境界及び/又は前記ダイヤモンド砥粒内に位置する、請求項3に記載のPCD体。
【請求項5】
前記析出物の最大線寸法が500nm以下である、請求項3又は4に記載のPCD体。
【請求項6】
前記析出物の最大線寸法が80~120nm、好ましくは90~110nmの範囲である、請求項3~5のうちいずれか一項に記載のPCD体。
【請求項7】
前記PCD体が超硬合金基材で裏打ちされている、請求項1~6のうちいずれか一項に記載のPCD体。
【請求項8】
前記鉄含有バインダーが、モリブデン、タングステン、鉄、及び/又は炭素のうちいずれか1つ又は複数を含有する析出物を含む、請求項3~6に従属する場合の請求項7に記載のPCD体。
【請求項9】
コバルトを含むバインダープールを含む、請求項1~8のうちいずれか一項に記載のPCD体。
【請求項10】
モリブデン及び/又はタングステンを含有する前記析出物が前記バインダープール内に存在する、請求項8に従属する場合の請求項9に記載のPCD体。
【請求項11】
前記PCD体の厚さが3.0mm以下である、請求項1~10のうちいずれか一項に記載のPCD体。
【請求項12】
前記PCD体の厚さが2.5mm以下である、請求項1~11のうちいずれか一項に記載のPCD体。
【請求項13】
切削加工、研削加工、機械加工、衝撃による岩石破砕などの岩石除去用途における、請求項1~12のうちいずれか一項に記載の多結晶ダイヤモンド(PCD)体の使用。
【請求項14】
金属、金属マトリックス複合材料(MMC)、セラミックマトリックス複合材料(CMC)、又はセラミック材料の機械加工における、請求項1~13のうちいずれか一項に記載の多結晶ダイヤモンド(PCD)体の使用であって、前記機械加工に、旋盤加工、フライス加工、及び穴あけ加工を含む使用。
【請求項15】
以下のステップを含む多結晶ダイヤモンド(PCD)体の製造方法:
a.Fe
xNとグラファイト粉末の前駆体バインダー混合物を形成すること;
b.前記前駆体バインダー混合物を耐熱カップに層として添加すること;
c.ダイヤモンド供給原料を、前記前駆体バインダー混合物に隣接させて前記カップに添加すること;
d.前記カップ内で前記前駆体バインダー混合物及びダイヤモンド供給原料を圧縮成形し、グリーン体を形成すること;
e.前記グリーン体を、1700~2300℃の温度及び約7GPa以上の圧力で少なくとも30秒間焼結し、PCD焼結体を形成すること。
【請求項16】
前記PCD体が、請求項1~12のうちいずれか一項に記載のものである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記グリーン体を1800~1900℃の範囲の温度で焼結する、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記グリーン体を2200~2300℃の範囲の温度で焼結する、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項19】
焼結前に前記前駆体バインダー混合物の第2の層を添加するステップを更に含む、請求項15~18のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
焼結前に炭化物基材を前記カップに添加するステップを更に含む、請求項15~19のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記ダイヤモンド供給原料が前記前駆体バインダー混合物の第1の層と前記前駆体バインダー混合物の第2の層の間にあり、且つ前記炭化物基材が、前記前駆体バインダー混合物の第2の層に隣接し、前記ダイヤモンド供給原料から離間している、請求項19に従属する場合の請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記基材が、約8.5質量%、10質量%、又は13質量%のコバルトを含有する、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
ダイヤモンドに対するバインダーの割合が、5~30質量%、好ましくは5~25質量%、より好ましくは5~20質量%、又は更により好ましくは5~15質量%である、請求項15~22のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
ダイヤモンドに対するバインダーの割合が、7.5質量%、10.0質量%、又は12.5質量%である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記前駆体バインダー混合物中のグラファイトに対するFe
xNの割合が40~60容量%である、請求項15~24のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記前駆体バインダー混合物中のグラファイトに対するFe
xNの割合が約50容量%である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ダイヤモンド供給原料が二峰性である、請求項15~26のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記ダイヤモンド供給原料が単峰性である、請求項15~26のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記ダイヤモンド供給原料が、砥粒粒径が17~19μmのダイヤモンド源を含む、請求項15~28のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記ダイヤモンド供給原料が、砥粒粒径が3~4μmのダイヤモンド源を含む、請求項15~28のうちいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鉄含有化合物を含む多結晶ダイヤモンド体を含む超硬構造体、及びそのような物体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多結晶ダイヤモンド(PCD)及び多結晶立方晶窒化ホウ素(PCBN)などの多結晶超硬材料は、岩石、金属、セラミック、複合材料、及び木材含有材料などの硬質材料又は研磨材料を切削加工、機械加工、穴あけ加工、又は削剥加工するための多種多様な工具で使用し得る。
研磨用成形体は、切削加工、旋盤加工、フライス加工、研削加工、穴あけ加工、及びその他研磨作業に広範に使用される。これらは一般に、超硬質研磨用粒子が分散した第2の相マトリックスを有する。マトリックスは、金属又はセラミック又はサーメットであり得る。超硬質研磨用粒子は、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(CBN)、炭化ケイ素、又は窒化ケイ素などであり得る。これらの粒子は、一般に使用される高圧高温圧縮製造工程中に互いに結合して多結晶の塊を形成し得る、又は1つ若しくは複数の第2の相材料のマトリックスを介して結合し、焼結多結晶体を形成し得る。そのような物体は、一般に多結晶ダイヤモンド又は多結晶立方晶窒化ホウ素として知られ、それぞれ超硬質研磨剤としてダイヤモンド又はCBNを含有する。
焼結多結晶体は基材上に形成することによって「裏打ち」し得る。好適な基材を形成するために使用し得る超硬炭化タングステンは、例えば、炭化タングステン粒子/砥粒とコバルトとを混合した後に加熱して凝固させることによって、炭化物粒子をコバルトマトリックス中に分散させて形成する。PCD又はPCBNなどの超硬材料層を用いて切削要素を形成するには、ニオブ筐体などの耐熱金属筐体内でダイヤモンド粒子若しくは砥粒又はCBN砥粒を超硬炭化タングステン体に隣接配置し、高圧高温処理することで、ダイヤモンド砥粒又はCBN砥粒の粒子間結合を引き起こし、多結晶超硬ダイヤモンド又は多結晶CBN層を形成する。
タングステン(W)とコバルト(Co)は共に欧州では重要な原材料(CRM)に分類されている。CRMは、欧州経済にとって経済的且つ戦略的に重要とみなされている原材料である。原則的に、これらは供給に関連するリスクが高く、家電、環境技術、自動車、航空宇宙、防衛、健康、及び鉄鋼といった欧州経済の主要部門にとって非常に重要であり、また(実用的な)代替品がない。タングステンとコバルトは共に、2種類の重要な硬質材料、超硬合金/WC-Co、及びPCD/ダイヤモンド-Coの主成分である。
本発明の目的は、岩石除去用途や機械加工作業において、過酷な条件下で十分に機能する実用的な代替材料を開発することである。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様では、ダイヤモンドネットワークを形成する連晶ダイヤモンド砥粒及び鉄含有バインダーから形成されるPCD材料を含む多結晶ダイヤモンド(PCD)体が提供される。
本発明の第1の態様の任意選択の及び/又は好ましい特徴は、従属請求項2~12で提供される。
本発明の第2の態様では、以下のステップを含む多結晶ダイヤモンド(PCD)体の製造方法が提供される。
a.FexNとグラファイト粉末の前駆体バインダー混合物を形成すること;
b.前駆体バインダー混合物を耐熱カップに添加すること;
c.ダイヤモンド供給原料を前駆体バインダー混合物に隣接させてカップに添加すること;
d.カップ内で前駆体バインダー混合物及びダイヤモンド供給原料を圧縮成形し、グリーン体を形成すること;
e.グリーン体を、1700~2300℃の温度及び少なくとも7GPaの圧力で少なくとも30秒間焼結し、PCD焼結体を形成すること。
FexN及びグラファイトをダイヤモンド成長の触媒として使用し、従来使用されているコバルトにうまく置き換えることができる。FexN、グラファイト、及びコバルトが共にダイヤモンド成長の触媒として同時に作用することで、裏打ちされたダイヤモンド体に必要なコバルトの量を減らすこともできる。
本発明の第2の態様の任意選択の及び/又は好ましい特徴は、従属請求項16~30で提供される。
以下に、非限定的な実施形態を、例として、添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】ダイヤモンドと金属の界面で生じる、ファセットを有する相互貫入金属ネットワークを有するダイヤモンド砥粒の連晶ネットワークを示すPCD材料の微細構造の概略図である。
【
図2】従来の裏打ちされたPCD体における侵入過程の概略図であり、矢印はPCD層の2~3mmに及ぶ侵入の方向と長さを示す。
【
図4】一実施形態におけるグリーン体(即ち焼結前)の概略図である。
【
図5】方法の更なる実施形態を示す概略流れ図である。
【
図7】PCD台を通るCo及びFeの侵入を示すグラフである。
【
図8】性能試験で使用する標準的な手動旋盤と赤色花崗岩の塊の図である。
【
図9】様々な試料の経時的な工具摩耗(mm)をプロットしたグラフである。
【
図10】各摩耗痕VB=0.5mmにかかる時間を調べるVB摩耗試験を示す棒グラフ。
【
図11】第1の析出の走査電子顕微鏡(SEM)による顕微鏡写真である。
【
図12】
図11の析出のエネルギー分散型X線分光分析(EDS)写真である。
【
図17】裏打ちされた試料及び裏打ちされていない試料の粉末X線回折(XRD)パターンである。
【
図18】二峰性のダイヤモンド粉末Yのダイヤモンド供給で、2mmのPCD台を用い、1800℃で焼結した、10.0質量%のバインダーを含む裏打ちされた試料のSEM顕微鏡写真である。
【
図19】単峰性のダイヤモンド粉末Xのダイヤモンド供給で、1900℃で焼結した、10.0質量%のバインダーを含む裏打ちされていない試料の、倍率500倍でのSEM顕微鏡写真である。
【
図20】
図19の倍率2,500倍でのSEM顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示で検討する多結晶ダイヤモンド材料(PCD)は、相互貫入金属ネットワークを有するダイヤモンド砥粒の連晶ネットワークからなる。これを概略的に図示した
図1は、ダイヤモンドと金属の界面14で生じる、ファセットを有する相互貫入金属ネットワーク12を有するダイヤモンド砥粒10の連晶ネットワークを含む既知のPCD材料の微細構造を示す。砥粒はそれぞれある程度の塑性変形16を生じている。
本図の挿入図に示すように、新たに結晶化したダイヤモンド結合18はダイヤモンド砥粒と結合する。ダイヤモンド砥粒のネットワークは、高圧高温で炭素用溶融金属触媒/溶媒で促進してダイヤモンド粉末を焼結することによって形成される。ダイヤモンド粉末は、粒子数又は質量粒度分布に単一の最大値が存在し、それによりダイヤモンドネットワークの砥粒粒度分布が単峰性となる単峰性粒度分布を有し得る。或いは、ダイヤモンド粉末は、粒子数又は質量粒度分布に2つ以上の最大値が存在し、それによりダイヤモンドネットワーク内の砥粒粒度分布が多峰性となる多峰性粒度分布を有し得る。本工程で使用される典型的な圧力は約4~7GPaの範囲であるが、10GPaまで、又はそれ以上の高圧も実質的に利用可能であり、且つ使用できる。使用する温度は、そのような圧力における金属の融点よりも高い。金属ネットワークは、溶融金属が通常の室内条件に戻る際に凍結した結果であり、必然的に炭素含有量の高い合金となる。原則的に、このような条件でのダイヤモンド結晶化を可能にする任意の炭素用溶融金属溶媒を使用し得る。このような金属には、周期表の遷移金属及びこれらの合金などがあり得る。
【0006】
従来、先行技術において主流の慣習及び慣例では、硬質金属基材のバインダー金属を使用し、高温高圧でそのようなバインダーを溶解してダイヤモンド粉末の塊に侵入させる。これは、従来のPCD構造の巨視的スケールでの溶融金属の侵入、即ちミリメートルのスケールでの侵入である。先行技術で最も一般的な状況では、炭化タングステン、及び硬質金属基材としてコバルト金属バインダーを使用する。これにより必然的に、得られたPCDに硬質金属基材がin situで結合される。これまでのPCD材料の商業利用の成功は、そのような慣習及び慣例によるところが極めて大きい。
溶融金属焼結助剤の供給源として硬質金属基材を使用し、指向性侵入及びこの基材へのin situでの結合を行うPCD構造が知られている。これを
図2に示すが、これは従来のPCD体における侵入過程の概略図であり、矢印はPCD層の厚さの2~3mmに及ぶ侵入の方向と長さを示す。挿入
図20の矢印も、侵入範囲が多くのダイヤモンド砥粒を越えていることを示している。従来のPCD体におけるPCD層22は、通常、厚さ2~3mm程度である。基材24は主に炭化タングステン/コバルト合金で作られている。番号26は、高圧高温工程中にPCD層の厚みを通るコバルト溶浸材の侵入方向を大まかに示している。楕円形の領域28は炭化物基材とPCD層の界面にあり、
図2の挿入図は、コバルトの長距離侵入が起こるこの領域におけるダイヤモンド砥粒を有する領域28の拡大図を概略的に示している。挿入図は、指向性侵入がPCD層の厚みを通して多くの砥粒を越えて進んでいることを強調している。ダイヤモンド砥粒30及び32は、通常、様々な大きさの物体であり得、ダイヤモンド粒子の多峰性の混合物で作ることが可能である。
本発明の裏打ちされていない実施形態では、従来のコバルト(Co)金属バインダーを、焼結前にFe
xNとグラファイトの混合物34に置き換える。本発明の代替的な裏打ちされた実施形態では、従来のコバルト(Co)金属バインダーがバインダーに侵入し、焼結及び最終的な微細構造に影響を及ぼす。以下に詳細を示す。
【0007】
方法
図3は例示的な方法のステップを示す流れ図であり、以下の番号は
図3の番号に対応する。
S1.Fe
xNとグラファイトの前駆体粉末を混合し、前駆体バインダー混合物34を形成する。
S2.前駆体バインダー混合物34を、ニオブ、タンタル、又はモリブデンなどの耐熱材料で作られたカップ36に添加する。
S3.次いで、ダイヤモンド供給原料38をカップに添加する。カップ36の底にある前駆体バインダー混合物34の上にダイヤモンド供給原料38を配置する。
任意で、カップ36のダイヤモンド供給原料38の上に、前駆体バインダー混合物34の第2の層を添加し得る。そうすると、中間のダイヤモンド供給原料38の片側に前駆体バインダー混合物34の第1の層、もう片側に第2の層がある、前駆体バインダー混合物34とダイヤモンド供給原料38のサンドイッチが作られる。
前駆体バインダー混合物/ダイヤモンド34の比率は5~30質量%であり得る。好ましくは、前駆体バインダー混合物/ダイヤモンド34の比率は5~20質量%であり得る。より好ましくは、前駆体バインダー混合物/ダイヤモンド34の比率は5~15質量%であり得る。任意で、前駆体バインダー混合物/ダイヤモンド34の比率は7.5質量%、10質量%、又は12.5質量%に定められている。
S3a.任意で、炭化物基材をカップ36に添加し得る。
前駆体バインダー混合物34の層が単一である場合、炭化物基材はダイヤモンド供給原料38に隣接して配置される。積層系は、前駆体バインダー混合物34-ダイヤモンド供給原料38-炭化物基材となる。
前駆体バインダー混合物34が2層、即ち第1の層及び第2の層が存在する場合、炭化物基材は、好ましくは前駆体バインダー混合物34の第2の層に隣接して配置され、これにより前駆体バインダー混合物34の第1の層と第2の層の間にダイヤモンド供給原料38が挟まれ、炭化物基材が前駆体バインダー混合物34の第2の層に隣接する。積層系は、前駆体バインダー混合物34の第1の層-ダイヤモンド供給原料38-前駆体バインダー混合物34の第2の層-炭化物基材となる。
得られる物品が裏打ちされない、即ち炭化物基材を有さない場合、前駆体バインダー混合物34が2層あることが好ましい。
S4.次いで、前駆体バインダー混合物34とダイヤモンド供給原料38をカップ36内で、通常は手で圧縮してグリーン体を形成する。
S5.次いで、乾燥した圧縮グリーン体を、HPHTベルトプレス又はHPHTキュービックプレス内のHPHTカプセルで、少なくとも1700℃の温度及び約7GPaの圧力で少なくとも30秒間焼結する。
S6.焼結後、得られた焼結品は室温に冷却してから、HPHTプレスから取り除く。冷却速度は制御しない。
【実施例1】
【0008】
S1.サイズが325メッシュの窒化鉄(Fe
2-4N)粉末(Alfa Aesar(登録商標)GmbH&Co KG)を、特別な低灰分の天然グラファイト(コード:GOST17022-81、Zavalevsk鉱山(ウクライナ)産)であるグラファイト粉末(GSM-1、サイズ160mkm)に添加した。X線データより、Fe
xNはFe
4N(53%)とFe
3Nがおおよそ等量であった。25gのFe
xNを11.6gのグラファイトに添加し、Fe
xNを含む混合物で、約50容量%のグラファイトを得た。
Fe
xNとグラファイト粉末は実験用のPlanetary Mono Mill PULVERISETTE6(登録商標)、窒化ケイ素研削用カップ(250mL)、及び直径10mmの窒化ケイ素ボール50個を用いて混合した。
混合工程の詳細は以下の通りである。
- Fe
xNとグラファイトの混合物36.6gをプラネタリーミキサーに添加する;
- 250rpmで30分間乾式混合する;更に
- 混合後、1mmふるいを用いて窒化ケイ素を取り除く。
次いで、Fe
xNとグラファイトの混合物0.42gを、鋼製金型を用いて圧縮し、直径8mmのディスクを製造した。加えた荷重は1.15メートルトン(成形圧力は2.3メートルトン/cm
2)であった。圧縮後、ディスクの厚さは約2.5mmであった。
S2.Fe
xN/グラファイトのディスクをモリブデン製のカップ内に配置した。
S3.ダイヤモンド供給原料には以下の2種類のダイヤモンドが含まれていた。
・粒径:17.1~18.9μm、量:15g
・粒径:3.05~3.37μm、量:5g
粉末は、150mLのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ポットで直径3mmのZrO
2ボール(混合ポットの充填物のうち50mLを占める)を用いて、10分間60rpmで乾式混合した。混合後、1mmふるいを用いてZrO
2ボールを取り除いた。次いで、得られた混合物を150℃のオーブンで2時間乾燥させ、密閉容器に保管した。
続いて、上述のダイヤモンド粉末の混合物を、Fe
xN/グラファイトディスクが入ったカップに添加した。より具体的には、約1.35~1.40gのダイヤモンド粉末を取り、軽く圧縮した後、カップ内のFe
xN/グラファイトディスクに隣接して配置した。
S3a.
図4及び
図5に示すように、任意で、カップ内のダイヤモンド供給原料に隣接させて炭化物の裏打ち40を挿入し、PCD体の裏打ちを促進する。実施例1の試料ではこれは行わなかったが、実施例2(詳細は後述)など他の試料には含まれている。
S4.カップ内のFe
xN/グラファイトディスク及びダイヤモンド砥粒を手で圧縮してグリーン体を形成する。カップ内のグリーン体の最終的な厚さは約4.6mmであった。
S5.次いで、グリーン体が入ったカップをHPHTカプセルに入れ、続いてHPHTプレスに入れた。圧力は1分間で7.7GPaまで高めた。温度は次のように変化させた。
- 30秒間:温度を安定的に約2200~2300℃に上昇(HPHTプレス内のグラファイトヒーターで電力を5.8kWに上昇)
- 90秒間:この温度範囲で維持
- 10秒間:10秒かけて温度を安定的に低下(電力をゼロに)
焼結により、前述のコバルトの場合と同様に、Fe
xN/グラファイトをディスクからダイヤモンドに濾過させることができた。
S6.次いで、焼結成形体をHPHTプレスから取り出し、室温まで放冷した。
【0009】
図6は、後処理(例えばサンドブラスト)され、最終的な外径に至った裏打ちされたPCD焼結体の一例を示す。
図7は、PCDを通る鉄とコバルトの侵入プロファイルの一例、及びこれらがPCD焼結体の底部から上部へ、又はその逆に移動する程度を示す。
【0010】
更なる試料の範囲
他の試料では、次の変動要素を調べた。
・2種類のダイヤモンド供給原料(X、Y)
- 単峰性のダイヤモンド粉末Xの平均粒径は約30μmであった。
- 二峰性のダイヤモンド粉末Yは、平均粒径が2μmのダイヤモンド粉末15質量%、及び平均粒径が22μmのダイヤモンド粉末85質量%を含んでいた。
・ダイヤモンドに対するバインダーの含有量は、7.5質量%、10.0質量%、12.5質量%
・PCD台の厚さ:2~3.5mm
・裏打ちされた試料及び裏打ちされていない試料、即ちコバルトを含有する炭化タングステン基材の有無
・裏打ちされた試料では、基材中のコバルト含有量が、8.5%、10%、及び13%、並びに
・更に2つの焼結温度(1800℃、1900℃)
焼結成形体を岩石の機械加工用工具にろう付けすることが困難であったため、炭化物の裏打ちにダイヤモンドを焼結する追加作業を実施した(詳細は後述)。裏打ちされた試料は約1800℃前後で焼結した。
厚いPCD台(厚さ=3mm)ではクラックが発生したため、その後の試験ではPCDの厚みを減らした。
初期の調査では、PCD台の厚さが2mm、13質量%のCoを含有する基材、10質量%のFexN+C(グラファイトの形態)バインダーを有する裏打ちされたPCD体を1800~1900℃で焼結するのが最良の開始組み合わせであることが判明した。
【実施例2】
【0011】
実施例2は、ダイヤモンドに対するバインダーの含有量が10質量%である裏打ちされたPCD体である。実施例1と同様の方法で、ただし、低めの焼結温度1800~1900℃で作製した。
【0012】
プレスクリーニング試験の実施
プレスクリーニング試験のために、次の表1及び表2の変動要素を選択した。
【表1】
【表2】
プレスクリーニング試験は、以下の切削条件下で選択したPCD変形体を用いて、赤色花崗岩の機械加工で実施した:表面切削速度v
c=100m/分、送り速度f=0.2mm/rev、切り込み量a
p=0.25mm、水道水を使用した湿式加工条件。
図8に示す標準的な手動旋盤を使用した。
力はKistler(登録商標)9129AA圧電式動力計を用いて測定した。
側面摩耗は光学顕微鏡Olympus(登録商標)SZX7を用いて測定した。
経時的な工具摩耗(mm)を
図9に示す。
図10は、各工具でVB摩耗が0.5mmに達するのにかかる時間を示す。
実施例2が最高性能のPCD変形体であり、実施例1がそれに近いことが確認された。実施例2は、参考試料CT1099E01及びCT1099E02と比べて、有意な性能向上(70%)を示した。
参考までに、参考試料CT1099E01及びCT1099E02は、以前の試験で、選択した岩石切断用途において従来の炭化物材料よりも性能が優れていたPCDグレードである。
【0013】
微細構造分析
最も結果が良かった変化形の微細構造を調べた。
微細構造を詳細に調べると、ダイヤモンド砥粒の連晶ネットワークに特定の析出42が存在することが判明した。
図11と
図12、
図12と
図14、及び
図15と
図16で最もよくわかるように、析出の証拠が認められた。EDSを用いてそのような析出を調べると、Mo、W、及びCを含有することがわかった。これらは主にFe
xN析出を含み、x=2、3などであった。SEMで二次電子と透過モードを組み合わせると、析出がダイヤモンド砥粒構造内に存在し、ダイヤモンド砥粒構造の上には存在しないことが確認された。
Moは、HPHT焼結の際に使用した耐熱(refractive)カップから侵入したと考えられる。
図17で、裏打ちされた試料及び裏打ちされていない試料に存在する相が確認できる。
裏打ちされた試料では、例えば
図18に示すように、バインダープールに更にFe及びCoが含まれていた。
裏打ちされていない試料では、例えば
図19及び
図20に示すように、C、Fe、O、及びNの証拠が認められた。
析出は、小板状、針状、及び球状のうちいずれか1つ又は複数の形状である。析出の最大線寸法は、走査電子顕微鏡(SEM)で測定して1μm以下、通常は500nm未満であった。析出の平均最大線寸法は約100nmであった。
こうした析出が、参考変化形に匹敵する摩耗性能に寄与していると考えられる。
【0014】
結論
要約すると、本発明者らは、過酷な工具用途での使用に適し、CRMの実用的な代替品となるいくつかの材料の特定に成功した。特に、FexNバインダーを用いたPCD材料は、従来のCo-PCD参考グレードと同等の性能を有しており、従って、Coの使用量を削減するための相応の代用品となるであろう。
PCD材料は、切削加工、研削加工、機械加工、衝撃による岩石破砕などの岩石除去用途に有用である。同様にPCD材料は、金属、金属マトリックス複合材料(MMC)、セラミックマトリックス複合材料(CMC)、及びセラミック材料の機械加工にも有望である。機械加工は、旋盤加工、フライス加工、及び穴あけ加工などであるとみなされる。
実施形態を参照して本発明を具体的に示し、説明してきたが、当業者は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細に種々な変更をなし得ることを理解するであろう。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを含む多結晶ダイヤモンド(PCD)体の製造方法:
a.Fe
xNとグラファイト粉末の前駆体バインダー混合物を形成すること;
b.前記前駆体バインダー混合物を耐熱カップに層として添加すること;
c.ダイヤモンド供給原料を、前記前駆体バインダー混合物に隣接させて前記カップに添加すること;
d.前記カップ内で前記前駆体バインダー混合物及びダイヤモンド供給原料を圧縮成形し、グリーン体を形成すること;
e.前記グリーン体を、1700~2300℃の温度及び約7GPa以上の圧力で少なくとも30秒間焼結し、PCD焼結体を形成すること。
【請求項2】
前記PCD体が、
ダイヤモンドネットワークを形成する連晶ダイヤモンド砥粒及び鉄含有バインダーから形成されるPCD材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記グリーン体を1800~1900℃の範囲の温度で焼結する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記グリーン体を2200~2300℃の範囲の温度で焼結する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
焼結前に前記前駆体バインダー混合物の第2の層を添加するステップを更に含む、請求項1~4のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
焼結前に炭化物基材を前記カップに添加するステップを更に含む、請求項1~5のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ダイヤモンド供給原料が前記前駆体バインダー混合物の第1の層と前記前駆体バインダー混合物の第2の層の間にあり、且つ前記炭化物基材が、前記前駆体バインダー混合物の第2の層に隣接し、前記ダイヤモンド供給原料から離間している、請求項5に従属する場合の請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記基材が、約8.5質量%、10質量%、又は13質量%のコバルトを含有する、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
ダイヤモンドに対するバインダーの割合が、5~30質量%、好ましくは5~25質量%、より好ましくは5~20質量%、又は更により好ましくは5~15質量%である、請求項1~8のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ダイヤモンドに対するバインダーの割合が、7.5質量%、10.0質量%、又は12.5質量%である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記前駆体バインダー混合物中のグラファイトに対するFe
xNの割合が40~60容量%である、請求項1~10のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記前駆体バインダー混合物中のグラファイトに対するFe
xNの割合が約50容量%である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ダイヤモンド供給原料が二峰性である、請求項1~12のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ダイヤモンド供給原料が単峰性である、請求項1~12のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ダイヤモンド供給原料が、砥粒粒径が17~19μmのダイヤモンド源を含む、請求項1~14のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ダイヤモンド供給原料が、砥粒粒径が3~4μmのダイヤモンド源を含む、請求項1~14のうちいずれか一項に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
結論
要約すると、本発明者らは、過酷な工具用途での使用に適し、CRMの実用的な代替品となるいくつかの材料の特定に成功した。特に、FexNバインダーを用いたPCD材料は、従来のCo-PCD参考グレードと同等の性能を有しており、従って、Coの使用量を削減するための相応の代用品となるであろう。
PCD材料は、切削加工、研削加工、機械加工、衝撃による岩石破砕などの岩石除去用途に有用である。同様にPCD材料は、金属、金属マトリックス複合材料(MMC)、セラミックマトリックス複合材料(CMC)、及びセラミック材料の機械加工にも有望である。機械加工は、旋盤加工、フライス加工、及び穴あけ加工などであるとみなされる。
実施形態を参照して本発明を具体的に示し、説明してきたが、当業者は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細に種々な変更をなし得ることを理解するであろう。
次に、本発明の好ましい態様を示す。
1. ダイヤモンドネットワークを形成する連晶ダイヤモンド砥粒及び鉄含有バインダーから形成されるPCD材料を含む多結晶ダイヤモンド(PCD)体。
2. 前記鉄含有バインダーがFe
x
Nを含む、上記1に記載のPCD体。
3. 前記鉄含有バインダーが析出物を含む、上記1又は2に記載のPCD体。
4. 前記析出物がダイヤモンド砥粒の境界及び/又は前記ダイヤモンド砥粒内に位置する、上記3に記載のPCD体。
5. 前記析出物の最大線寸法が500nm以下である、上記3又は4に記載のPCD体。
6. 前記析出物の最大線寸法が80~120nm、好ましくは90~110nmの範囲である、上記3~5のうちいずれか一項に記載のPCD体。
7. 前記PCD体が超硬合金基材で裏打ちされている、上記1~6のうちいずれか一項に記載のPCD体。
8. 前記鉄含有バインダーが、モリブデン、タングステン、鉄、及び/又は炭素のうちいずれか1つ又は複数を含有する析出物を含む、上記3~6に従属する場合の上記7に記載のPCD体。
9. コバルトを含むバインダープールを含む、上記1~8のうちいずれか一項に記載のPCD体。
10. モリブデン及び/又はタングステンを含有する前記析出物が前記バインダープール内に存在する、上記8に従属する場合の上記9に記載のPCD体。
11. 前記PCD体の厚さが3.0mm以下である、上記1~10のうちいずれか一項に記載のPCD体。
12. 前記PCD体の厚さが2.5mm以下である、上記1~11のうちいずれか一項に記載のPCD体。
13. 切削加工、研削加工、機械加工、衝撃による岩石破砕などの岩石除去用途における、上記1~12のうちいずれか一項に記載の多結晶ダイヤモンド(PCD)体の使用。
14. 金属、金属マトリックス複合材料(MMC)、セラミックマトリックス複合材料(CMC)、又はセラミック材料の機械加工における、上記1~13のうちいずれか一項に記載の多結晶ダイヤモンド(PCD)体の使用であって、前記機械加工に、旋盤加工、フライス加工、及び穴あけ加工を含む使用。
15. 以下のステップを含む多結晶ダイヤモンド(PCD)体の製造方法:
a.Fe
x
Nとグラファイト粉末の前駆体バインダー混合物を形成すること;
b.前記前駆体バインダー混合物を耐熱カップに層として添加すること;
c.ダイヤモンド供給原料を、前記前駆体バインダー混合物に隣接させて前記カップに添加すること;
d.前記カップ内で前記前駆体バインダー混合物及びダイヤモンド供給原料を圧縮成形し、グリーン体を形成すること;
e.前記グリーン体を、1700~2300℃の温度及び約7GPa以上の圧力で少なくとも30秒間焼結し、PCD焼結体を形成すること。
16. 前記PCD体が、上記1~12のうちいずれか一項に記載のものである、上記15に記載の方法。
17. 前記グリーン体を1800~1900℃の範囲の温度で焼結する、上記15又は16に記載の方法。
18. 前記グリーン体を2200~2300℃の範囲の温度で焼結する、上記15又は16に記載の方法。
19. 焼結前に前記前駆体バインダー混合物の第2の層を添加するステップを更に含む、上記15~18のうちいずれか一項に記載の方法。
20. 焼結前に炭化物基材を前記カップに添加するステップを更に含む、上記15~19のうちいずれか一項に記載の方法。
21. 前記ダイヤモンド供給原料が前記前駆体バインダー混合物の第1の層と前記前駆体バインダー混合物の第2の層の間にあり、且つ前記炭化物基材が、前記前駆体バインダー混合物の第2の層に隣接し、前記ダイヤモンド供給原料から離間している、上記19に従属する場合の上記20に記載の方法。
22. 前記基材が、約8.5質量%、10質量%、又は13質量%のコバルトを含有する、上記20又は21に記載の方法。
23. ダイヤモンドに対するバインダーの割合が、5~30質量%、好ましくは5~25質量%、より好ましくは5~20質量%、又は更により好ましくは5~15質量%である、上記15~22のうちいずれか一項に記載の方法。
24. ダイヤモンドに対するバインダーの割合が、7.5質量%、10.0質量%、又は12.5質量%である、上記23に記載の方法。
25. 前記前駆体バインダー混合物中のグラファイトに対するFe
x
Nの割合が40~60容量%である、上記15~24のうちいずれか一項に記載の方法。
26. 前記前駆体バインダー混合物中のグラファイトに対するFe
x
Nの割合が約50容量%である、上記25に記載の方法。
27. 前記ダイヤモンド供給原料が二峰性である、上記15~26のうちいずれか一項に記載の方法。
28. 前記ダイヤモンド供給原料が単峰性である、上記15~26のうちいずれか一項に記載の方法。
29. 前記ダイヤモンド供給原料が、砥粒粒径が17~19μmのダイヤモンド源を含む、上記15~28のうちいずれか一項に記載の方法。
30. 前記ダイヤモンド供給原料が、砥粒粒径が3~4μmのダイヤモンド源を含む、上記15~28のうちいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】