(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(54)【発明の名称】マルチターゲット検出のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/21 20060101AFI20230207BHJP
G01N 21/359 20140101ALI20230207BHJP
【FI】
G01N21/21 Z
G01N21/359
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535640
(86)(22)【出願日】2020-12-14
(85)【翻訳文提出日】2022-08-02
(86)【国際出願番号】 US2020064937
(87)【国際公開番号】W WO2021119620
(87)【国際公開日】2021-06-17
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507252100
【氏名又は名称】ケムイメージ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】タジク・ショーナ
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン・マシュー
(72)【発明者】
【氏名】トレッド・パトリック・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】プライア・ライアン・ジェイ
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB01
2G059BB04
2G059BB08
2G059BB11
2G059BB12
2G059BB13
2G059BB20
2G059EE02
2G059EE07
2G059EE12
2G059FF01
2G059FF04
2G059GG01
2G059GG02
2G059HH01
2G059HH02
2G059HH03
2G059JJ02
2G059JJ19
2G059KK04
(57)【要約】
マルチターゲット検出のための方法及びマルチターゲット検出のための装置が、リアルタイム又は準リアルタイムで少なくとも2つのターゲットを検出することができる。リアルタイムの検出又は準リアルタイムの検出は、レシピグループアプローチ、エンドメンバグループ化アプローチ及びピクセル化グループ化ベースアプローチのうちの少なくとも1つによって実現することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチターゲット検出装置であって、
第1のターゲットからの第1の相互作用した光子と第2のターゲットからの第2の相互作用した光子のうちの1つ以上の一部分を分離するための少なくとも1つの光分離器と、
前記第1の相互作用した光子及び前記第2の相互作用した光子のうちの1つ以上の光路内に配置された、コンフォーマルフィルタ(CF)及び多共役フィルタ(MCF)のうちの少なくとも一方と、
前記第1の相互作用した光子及び前記第2の相互作用した光子のそれぞれを、単一の第1のレシピによって調整させることにより、フィルタリングされた第1の相互作用した光子及びフィルタリングされた第2の相互作用した光子を生成させる、少なくとも1つのCF又はMCFと、
前記フィルタリングされた第1の相互作用した光子及び前記フィルタリングされた第2の相互作用した光子のうちの1つ以上を収集するために、前記1つ以上の第1の相互作用した光子の前記光路内及び前記第2の相互作用した光子の前記光路内に配置された画像センサと、
前記マルチターゲット検出装置の動作中に、前記CF又は前記MCFを前記単一の第1のレシピに調整することにより、前記第1の相互作用した光子及び前記第2の相互作用した光子を生成させる、少なくとも1つのプロセッサと、を備える、マルチターゲット検出装置。
【請求項2】
前記光分離器が偏光子であり、動作中に、前記第1の相互作用した光子及び前記第2の相互作用した光子がそれぞれ、別々に偏光される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記CF又は前記MCFを調整する前記第1のレシピが、前記装置の動作中に変化しない、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのCF又はMCFが、マトリックス構成で配置された複数のCF又はMCFを備えるピクセル化フィルタである、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記装置の動作中に、前記第1のターゲット及び前記第2のターゲットが、リアルタイムで検出される、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記装置の動作中に、前記第1のターゲット及び前記第2のターゲットが、リアルタイムで検出される、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記装置の動作中に、前記第1のターゲット及び前記第2のターゲットが、リアルタイムで検出される、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも2つのターゲットを検出するためのコンピュータプログラム製品であって、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体上の命令によって具現化されており、前記命令が、プロセッサによって実行されると、
少なくとも光分離器に、前記第1の相互作用した光子及び前記第2の相互作用した光子のうちの1つ以上を光学的に分離させることと、
コンフォーマルフィルタ(CF)及び多共役フィルタ(MCF)のうちの少なくとも一方を、単一の第1のレシピによって調整させることにより、フィルタリングされた第1の相互作用した光子及びフィルタリングされた第2の相互作用した光子を生成させることであって、前記CF又は前記MCFが、前記第1の相互作用した光子及び前記第2の相互作用した光子のうちの前記1つ以上の光路内に配置されている、ことと、
画像センサに、前記フィルタリングされた第1の相互作用した光子及び前記フィルタリングされた第2の相互作用した光子のうちの1つ以上を収集させることであって、前記画像センサが、前記1つ以上の第1の相互作用した光子の前記光路内及び前記第2の相互作用した光子の前記光路内に配置されている、ことと、
前記プロセッサに、前記CF又は前記MCFを前記単一の第1のレシピに調整させることにより、前記マルチターゲット検出装置の動作中に、前記第1の相互作用した光子及び前記第2の相互作用した光子を生成させることと、を行わせる、コンピュータプログラム製品。
【請求項9】
前記光分離器が偏光子であり、前記命令が、プロセッサによって実行されると、更に前記偏光子に、前記第1の相互作用した光子及び前記第2の相互作用した光子を別々に偏光させる、請求項8に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項10】
前記CF又は前記MCFを調整する前記第1のレシピが、動作中に変化しない、請求項8に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項11】
前記少なくとも1つのCF又はMCFが、マトリックス構成で配置された複数のCF又はMCFを備えるピクセル化フィルタである、請求項8に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項12】
動作中に、前記第1のターゲット及び前記第2のターゲットが、リアルタイムで検出される、請求項9に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項13】
動作中に、前記第1のターゲット及び前記第2のターゲットが、リアルタイムで検出される、請求項8に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項14】
動作中に、前記第1のターゲット及び前記第2のターゲットが、リアルタイムで検出される、請求項11に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項15】
前記命令が、前記プロセッサによって実行されると、更に照明源に照明用光子を調節させる、請求項8に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項16】
前記命令が、前記プロセッサによって実行されると、前記CF又は前記MCFを第2のレシピに調整することにより、前記第1の相互作用した光子及び前記第2の相互作用した光子のフィルタリングを更に引き起こす、請求項1に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項17】
少なくとも2つのターゲットを検出する方法であって、
照明用光子によって第1のターゲットを照明することによって第1の相互作用した光子を生成することと、
照明用光子によって第2のターゲットを照明することによって第2の相互作用した光子を生成することと、
前記第1の相互作用した光子及び前記第2の相互作用した光子の一部分を光学的に分離することと、
前記第1の相互作用した光子及び前記第2の相互作用した光子を、コンフォーマルフィルタ(CF)及び多共役フィルタ(MCF)のうちの少なくとも一方によってフィルタリングすることであって、前記CF又は前記MCFが、単一の第1のレシピによって調整されることによって、フィルタリングされた第1の相互作用した光子及びフィルタリングされた第2の相互作用した光子を生成する、フィルタリングすることと、
前記フィルタリングされた第1の相互作用した光子及び前記フィルタリングされた第2の相互作用した光子を分析することにより、画像センサによって、前記第1のターゲット及び前記第2のターゲットのスペクトルシグネチャを検出することと、を含む、方法。
【請求項18】
前記第1の相互作用した光子と前記第2の相互作用した光子が、偏光によって光学的に分離され、それぞれ別々に偏光される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記CF又は前記MCFを調整する前記第1のレシピが変化しない、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つのCF又はMCFが、マトリックス構成で配置された複数のCF又はMCFを備えるピクセル化フィルタである、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記第1のターゲット及び前記第2のターゲットが、リアルタイムで検出される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のターゲット及び前記第2のターゲットが、リアルタイムで検出される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のターゲット及び前記第2のターゲットが、リアルタイムで検出される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記照明用光子が調節される、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の相互作用した光子及び前記第2の相互作用した光子を、前記CF及び前記MCFのうちの前記少なくとも一方によってフィルタリングすることを更に含み、前記CF又は前記MCFが、単一の第2のレシピによって調整される、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月13日に出願された米国仮出願第62/947,808号の優先権を主張し、その内容の全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
分光イメージングは、物質の化学分析を行うために、デジタルイメージングと、ラマン散乱、蛍光、光ルミネセンス、レーザ誘起ブレークダウン、紫外線、可視及び赤外線吸光分析を含む、光分光技術とを組み合わせる。いくつかの文献では、これは、ハイパースペクトルイメージング又は化学的イメージングと呼ばれる。そのような技術は、様々な化合物を分析するのに有用である。
【0003】
1つの継続的な課題は、リアルタイムで、又は少なくともリアルタイムに近い状態で検出タスクを実現することである。リアルタイムで検出タスクを実現することにより、外科的イメージング、禁制品検出、爆発物検出などを含む新たな用途で分光イメージングを使用することができる。これら用途ではそれぞれ、ユーザが、ターゲット、若しくはターゲットを含む可能性がある人若しくは物体と相互作用しようとする、又は現在相互作用しているため、ユーザのためにターゲットをリアルタイムで視覚化する必要がある。別の課題は、検出する必要がある異なる複数のターゲットを伴う複雑なシナリオで分光イメージングが使用されることである。本開示は、現在の分光イメージング技術のこれら及び他の課題に対処する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、マルチターゲット検出のための装置及び方法のいくつかの実施形態を提示及び記載する。以下の実施形態は、例示であり、本開示を限定することを意図していない。
【0005】
一実施形態では、少なくとも2つのターゲットを検出する方法であって、照明用光子によって第1のターゲットを照明することによって第1の相互作用した光子を生成することと、照明用光子によって第2のターゲットを照明することによって第2の相互作用した光子を生成することと、第1の相互作用した光子及び第2の相互作用した光子の一部分を光学的に分離することと、第1の相互作用した光子及び第2の相互作用した光子を、コンフォーマルフィルタ(CF)及び多共役フィルタ(MCF)のうちの少なくとも一方によってフィルタリングすることであって、CF又はMCFが、単一の第1のレシピによって調整されることによって、フィルタリングされた第1の相互作用した光子及びフィルタリングされた第2の相互作用した光子を生成する、フィルタリングすることと、フィルタリングされた第1の相互作用した光子及びフィルタリングされた第2の相互作用した光子を分析することにより、画像センサによって、第1のターゲット及び第2のターゲットのスペクトルシグネチャを検出することと、を含む、方法が存在する。
【0006】
別の実施形態では、第1の相互作用した光子と第2の相互作用した光子が、偏光によって光学的に分離され、それぞれ別々に偏光される。
【0007】
別の実施形態では、CF又はMCFを調整する第1のレシピが変化しない。
【0008】
別の実施形態では、少なくとも1つのCF又はMCFが、マトリックス構成で配置された複数のCF又はMCFを備えるピクセル化フィルタである。
【0009】
別の実施形態では、第1のターゲット及び第2のターゲットが、リアルタイムで検出される。
【0010】
別の実施形態では、照明用光子が調節される。
【0011】
別の実施形態では、方法は、第1の相互作用した光子及び第2の相互作用した光子を、CF及びMCFのうちの少なくとも一方によってフィルタリングすることを更に含み、CF又はMCFが、単一の第2のレシピによって調整される。
【0012】
一実施形態では、マルチターゲット検出装置であって、第1のターゲットからの第1の相互作用した光子と第2のターゲットからの第2の相互作用した光子のうちの1つ以上の一部分を分離するための少なくとも1つの光分離器と、第1の相互作用した光子及び第2の相互作用した光子のうちの1つ以上の光路内に配置された、コンフォーマルフィルタ(CF)及び多共役フィルタ(MCF)のうちの少なくとも一方と、第1の相互作用した光子及び第2の相互作用した光子のそれぞれを、単一の第1のレシピによって調整させることにより、フィルタリングされた第1の相互作用した光子及びフィルタリングされた第2の相互作用した光子を生成させる、少なくとも1つのCF又はMCFと、フィルタリングされた第1の相互作用した光子及びフィルタリングされた第2の相互作用した光子のうちの1つ以上を収集するために、1つ以上の第1の相互作用した光子の光路内及び第2の相互作用した光子の光路内に配置された画像センサと、マルチターゲット検出装置の動作中に、CF又はMCFを単一の第1のレシピに調整することにより、第1の相互作用した光子及び第2の相互作用した光子を生成させる、少なくとも1つのプロセッサと、を備える、マルチターゲット検出装置が存在する。
【0013】
別の実施形態では、光分離器が偏光子であり、動作中に、第1の相互作用した光子及び第2の相互作用した光子がそれぞれ、別々に偏光される。
【0014】
別の実施形態では、CF又はMCFを調整する第1のレシピが、装置の動作中に変化しない。
【0015】
別の実施形態では、少なくとも1つのCF又はMCFが、マトリックス構成で配置された複数のCF又はMCFを備えるピクセル化フィルタである。
【0016】
別の実施形態では、装置の動作中に、第1のターゲット及び第2のターゲットが、リアルタイムで検出される。
【0017】
一実施形態では、少なくとも2つのターゲットを検出するためのコンピュータプログラム製品であって、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体上の命令によって具現化されており、命令が、プロセッサによって実行されると、少なくとも光分離器に、第1の相互作用した光子及び第2の相互作用した光子のうちの1つ以上を光学的に分離させることと、コンフォーマルフィルタ(CF)及び多共役フィルタ(MCF)のうちの少なくとも一方を、単一の第1のレシピによって調整させることにより、フィルタリングされた第1の相互作用した光子及びフィルタリングされた第2の相互作用した光子を生成させることであって、CF又はMCFが、第1の相互作用した光子及び第2の相互作用した光子のうちの1つ以上の光路内に配置されている、ことと、画像センサに、フィルタリングされた第1の相互作用した光子及びフィルタリングされた第2の相互作用した光子のうちの1つ以上を収集させることであって、画像センサが、1つ以上の第1の相互作用した光子の光路内及び第2の相互作用した光子の光路内に配置されている、ことと、プロセッサに、CF又はMCFを単一の第1のレシピに調整させることにより、マルチターゲット検出装置の動作中に、第1の相互作用した光子及び第2の相互作用した光子を生成させることと、を行わせる、コンピュータプログラム製品が存在する。
【0018】
別の実施形態では、光分離器が偏光子であり、命令が、プロセッサによって実行されると、更に偏光子に、第1の相互作用した光子及び第2の相互作用した光子を別々に偏光させる。
【0019】
別の実施形態では、CF又はMCFを調整する第1のレシピが、動作中に変化しない。
【0020】
別の実施形態では、少なくとも1つのCF又はMCFが、マトリックス構成で配置された複数のCF又はMCFを備えるピクセル化フィルタである。
【0021】
別の実施形態では、動作中に、第1のターゲット及び第2のターゲットが、リアルタイムで検出される。
【0022】
別の実施形態では、命令が、プロセッサによって実行されると、更に照明源に照明用光子を調節させる。
【0023】
別の実施形態では、命令が、プロセッサによって実行されると、CF又はMCFを第2のレシピに調整することにより、第1の相互作用した光子及び第2の相互作用した光子のフィルタリングを更に引き起こす。
【0024】
他の実施形態も提供される。
【0025】
一実施形態では、少なくとも2つのターゲットを検出する方法であって、照明用光子によって第1のターゲットを照明することにより、第1の相互作用した光子を生成することと、照明用光子によって第2のターゲットを照明することにより、第2の相互作用した光子を生成することと、第1の相互作用した光子及び第2の相互作用した光子を偏光することと、第1の相互作用した光子及び第2の相互作用した光子を、コンフォーマルフィルタ(CF)及び多共役フィルタ(MCF)のうちの少なくとも一方によってフィルタリングすることであって、CF又はMCFが、単一レシピによって調整されることにより、フィルタリングされた第1の相互作用した光子及びフィルタリングされた第2の相互作用した光子を生成する、フィルタリングすることと、フィルタリングされた第1の相互作用した光子及びフィルタリングされた第2の相互作用した光子を分析することにより、画像センサによって、第1のターゲット及び第2のターゲットのスペクトルシグネチャを検出することと、を含む、方法が存在する。
【0026】
別の実施形態では、第1の相互作用した光子と第2の相互作用した光子がそれぞれ、別々に偏光される。
【0027】
別の実施形態では、CF又はMCFを調整するレシピが変化しない。
【0028】
別の実施形態では、少なくとも1つのCF又はMCFが、マトリックス構成で配置された複数のCF又はMCFを備えるピクセル化フィルタである。
【0029】
別の実施形態では、第1のターゲット及び第2のターゲットが、リアルタイムで検出される。
【0030】
一実施形態では、マルチターゲット検出装置が、第1の相互作用した光子及び第2の相互作用した光子のうちの1つ以上を偏光するための、少なくとも1つの偏光子と、第1の相互作用した光子及び第2の相互作用した光子のうちの1つ以上の光路内に配置された、コンフォーマルフィルタ(CF)及び多共役フィルタ(MCF)のうちの少なくとも一方と、単一レシピによってそれぞれ調整されることにより、フィルタリングされた第1の相互作用した光子及びフィルタリングされた第2の相互作用した光子を生成する、少なくとも1つのCF又はMCFと、フィルタリングされた第1の相互作用した光子及びフィルタリングされた第2の相互作用した光子のうちの1つ以上を収集するために、1つ以上の第1の相互作用した光子の光路内及び第2の相互作用した光子の光路内に配置された画像センサと、マルチターゲット検出装置の動作中に、CF又はMCFに単一レシピに調整させることにより、第1の相互作用した光子及び第2の相互作用した光子を生成させる、少なくとも1つのプロセッサと、を備える。
【0031】
別の実施形態では、第1の相互作用した光子及び第2の相互作用した光子がそれぞれ、別々に偏光される。
【0032】
別の実施形態では、CF又はMCFを調整するレシピが、動作中に変化しない。
【0033】
別の実施形態では、少なくとも1つのCF又はMCFが、マトリックス構成で配置された複数のCF又はMCFを備えるピクセル化フィルタである。
【0034】
別の実施形態では、動作中に、第1のターゲット及び第2のターゲットが、リアルタイムで検出される。
【0035】
本明細書に記載される実施形態の態様、特徴、利益及び利点が、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面に関して明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】試料を表すスコア画像出力を示し、SWIRの相互作用した光子のCFイメージングを実証する。
【
図2】試料を表す偽色複合検出画像出力を示し、SWIRの相互作用した光子のCFイメージングを実証する。
【
図3】HME1及びHME2それぞれに関連する基礎となるSWIR吸収分光シグネチャを示す。
【
図4】シーンにおけるCONOP指定試料からのターゲットの区別(
図5)に対して、シーンにおける残り全ての試料からのターゲットの区別(
図4)を評価する場合の、デュアル偏光対単一偏光のコンフォーマルフィルタ(CF)イメージング結果を示す。
【
図5】シーンにおけるCONOP指定試料からのターゲットの区別(
図5)に対して、シーンにおける残り全ての試料からのターゲットの区別(
図4)を評価する場合の、デュアル偏光対単一偏光のコンフォーマルフィルタ(CF)イメージング結果を示す。
【
図6】調整可能なフィルタ(MCF)によって得られた連続的なマルチスペクトル結果を示す。
【
図7】調整可能なフィルタ(MCF)によって得られた連続的なマルチスペクトル結果を示す。
【
図8】残り全てのCSS物質に対するターゲット又はターゲットグループの評価を示す。
【
図9】CSS内の代表的なCONOP指定物質のみに対するターゲット又はターゲットグループの評価を示す。
【
図10】シーンにおける残り全てのCSS物質及びCONOP指定物質のそれぞれに対して、指定されたターゲットを分析することによって得られたコンフォーマルイメージング結果を示す。
【
図11】シーンにおける残り全てのCSS物質及びCONOP指定物質のそれぞれに対して、指定されたターゲットを分析することによって得られたコンフォーマルイメージング結果を示す。
【
図12】試料が回転された場合の、AUROC性能に対する影響を実証する。
【
図13】試料が回転された場合の、AUROC性能に対する影響を実証する。
【
図14】指定されたターゲットを評価する場合の、単一偏光マルチ検出装置に対するデュアル偏光マルチ検出装置の結果を示す。
【
図15】指定されたターゲットを評価する場合の、単一偏光マルチ検出装置に対するデュアル偏光マルチ検出装置の結果を示す。
【
図16】10個の爆発物試料の反射スペクトルを示す。
【
図17】10個の爆発物及び爆発物前駆体ターゲットの反射スペクトルの、特定の実施形態における主成分分析を示す。
【
図18】ターゲットがターゲットグループに追加される場合の、ISNR及びAUROCメトリクスの、特定の実施形態における漸進的な低減を示す。
【
図19】単一カメラ、デュアルチャネルとしての装置、またデュアル偏光を有する装置として構成されている、マルチターゲット検出装置の一実施形態を示す。
【
図20】デュアルカメラ及びデュアルチャネルを備えて構成されている、マルチターゲット検出装置の別の実施形態を示す。
【
図21】単一カメラ及び単一チャネルを備えて構成されている、マルチターゲット検出装置の別の実施形態を示す。
【
図22】本開示の様々な実施形態による、例示的なデータ処理システムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本開示は、記載される特定のシステム、デバイス及び方法に限定されない。これは、それらが変化し得るためである。本説明で使用される用語は、特定のバージョン又は実施形態を記載することのみを目的としており、範囲の限定を意図していない。
【0038】
本書類で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈によって別段の明確な指示がない限り、複数の参照を含む。別段の定義がない限り、本明細書で使用される技術的及び科学的な用語は全て、当該技術における当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本開示におけるいかなるものも、本開示に記載される実施形態が、先行発明により、そのような開示に先行する権利が与えられないことを認めるものと解釈されるべきではない。本書類で使用される場合、「備える(comprising)」という用語は「含む(including)」を意味するが、それに限定されない。
【0039】
本明細書で使用される場合、「ターゲット」は、スペクトルイメージングによって検出できる単一の対象物質を意味する。ターゲットは、限定されず、身体組織、体液、爆発物、薬物、毒素、果物、チーズ、肉、アルコール、風味化合物、化学兵器剤(CWA)、毒性工業化学物質(TIC)、及び非従来型薬剤(NTA)のうちの1つ以上を含む。
【0040】
本明細書で使用される場合、「ターゲットグループ」は、スペクトルイメージングによってそれぞれ検出できる2つ以上の対象物質を意味する。ターゲットグループを構成するターゲットは、限定されず、身体組織、体液、爆発物、薬物、毒素、果物、チーズ、肉、アルコール、風味化合物、化学兵器剤(CWA)、毒性工業化学物質(TIC)、及び非従来型薬剤(NTA)のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、単一レシピを用いたスペクトルイメージング装置の動作により、ターゲットグループを構成する対象物質のうちの2つ以上の検出がもたらされる。代替的な実施形態では、単一レシピを用いたスペクトルイメージング装置の動作により、ターゲットグループを構成する2つ以上の対象物質の検出をもたらすことができない。
【0041】
本明細書で使用される場合、「リアルタイム」は、ユーザが装置若しくは方法が十分に即時的であると感じるようなレベルの応答性で、又は装置の動作若しくは方法の性能が所与のプロセスの要求を満たすのに十分であるようなレベルの応答性で、マルチターゲット検出装置が動作するか、又は方法が行われることを意味する。所与の装置又はプロセスがリアルタイムであるかどうかの測定は、限定されず、フレームレート、周波数及び待ち時間の尺度のうちの1つ以上を含む。リアルタイムの適用又は運用概念(CONOP)の例としては、(1)1つ以上の静止ターゲットを検出するように構成された静止センサ、(2)移動ターゲットを検出するように構成された静止センサ、(3)静止ターゲットを検出するように構成された移動センサ、及び(4)移動ターゲットを検出するように構成された移動センサが挙げられるが、それらに限定されない。
【0042】
本明細書で使用される場合、「レシピ」は、マルチターゲット検出装置の動作構成を意味する。レシピを構成する動作構成は、限定されず、電気的測定によって定義されるフィルタの指定された調整状態、フィルタによって許容されるパスバンド波長によって定義されるフィルタの指定された調整状態、及び検出を生成するために調整状態によって生成される画像を処理するための方法を含む。レシピは、マルチターゲット検出装置の物理的構成を記述するのではなく、むしろ、フィルタが動作中にどのように挙動するか、かつ/又は動作中にプロセッサによってどのように制御されるかを記述する。
【0043】
いくつかの実施形態では、マルチターゲット検出装置は、リアルタイムで動作することにより、少なくとも毎秒約10フレーム、少なくとも毎秒約15フレーム、少なくとも毎秒約18フレーム、少なくとも毎秒約20フレーム、少なくとも毎秒約24フレーム、少なくとも毎秒約25フレーム、少なくとも毎秒約30フレーム、及びそれらの範囲の任意の組み合わせの速度で複合検出画像を生成する。いくつかの実施形態では、マルチターゲット検出装置は、リアルタイムで動作することにより、毎秒約10フレーム、毎秒約15フレーム、毎秒約18フレーム、毎秒約20フレーム、毎秒約24フレーム、毎秒約25フレーム、毎秒約30フレーム、毎秒約50フレーム、毎秒約60フレーム、又は上記のフレームレートのうちの2つ以上によって定義される任意の範囲の速度で画像を生成する。
【0044】
いくつかの実施形態では、マルチターゲット検出装置は、切開外科手術の実施に関してリアルタイムで動作する。いくつかの実施形態では、マルチターゲット検出装置は、内視鏡外科手術の実施に関してリアルタイムで動作する。いくつかの実施形態では、マルチターゲット検出装置は、爆発物化合物の静的物体の検査に関してリアルタイムで動作する。いくつかの実施形態では、マルチターゲット検出装置は、シーンにおいて移動する1つ以上のオブジェクトの検査に関してリアルタイムで動作する。
【0045】
いくつかの実施形態では、画像センサが、少なくとも1つのターゲットからの相互作用した光子を収集するために光路に配置される。例として、画像センサは、CCD検出器、InGaAs検出器、CMOS検出器、InSb検出器、MCT検出器、又はそれらの組み合わせなどの1つ以上のイメージングデバイスを含むことができるが、他のタイプ及び/又は多数の画像センサを採用することもできる。ミラー及び/又はレンズなどの1つ以上の光学部品を利用して、相互作用した光子を画像センサに向けることができる。相互作用した光子は、ターゲットによって吸収された光子、ターゲットから反射された光子、ターゲットによって散乱された光子、又はターゲットによって放出された光子のうちの1つ以上を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロセッサが、本明細書に記載及び例示される機能のうちの任意の数のために、マルチターゲット検出装置のメモリに記憶されたプログラムされた命令を実行するように、マルチターゲット検出装置に含まれる。マルチターゲット検出装置のうちの少なくとも1つのプロセッサは、1つ以上の中央処理装置(CPU)、又は、例えば、1つ以上の処理コアを備えた汎用プロセッサを含むことができるが、他のタイプのプロセッサも使用することができる。
【0047】
マルチターゲット検出装置のメモリは、本明細書に記載及び例示されるような、本技術の1つ以上の態様のために、これらのプログラムされた命令を記憶するが、プログラムされた命令のいくつか又は全てが、他の場所に記憶されてもよい。ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、ハードディスク、ソリッドステートドライブ(SSD)、フラッシュメモリ、及び/又はプロセッサに結合されている磁気、光学若しくは他の読み出し及び書き込みシステムによって読み出されて書き込まれる任意の他の非一時的コンピュータ可読記憶媒体などの様々な異なるタイプのメモリ記憶デバイスを、メモリに使用することができる。
【0048】
リアルタイム検出及びデュアル偏光イメージング
少なくとも1つの実施形態では、マルチターゲット検出装置が、少なくとも2つの液晶フィルタを含む。液晶フィルタは、それぞれ独立して調整できるように構成されている。一実施形態では、2つの液晶フィルタは、互いに反対の偏光状態で動作される。少なくとも2つの液晶フィルタが異なる2つの状態に調整されるとき、液晶フィルタの相互作用によって形成される画像が、1つ又は2つのカメラを使用することによって収集される。スコア画像を生成するために必要とされる2つの測定が同時に収集されるため、またスコア画像がターゲット検出の基礎を成すため、少なくとも1つのカメラのフレームレートに近づく速度で検出を実現することが可能である。
【0049】
いくつかの実施形態では、マルチターゲット検出装置は、デュアル偏光コンフォーマルイメージング装置の要素を含む。デュアル偏光コンフォーマルイメージングは、例えば、「SYSTEM AND METHOD FOR ASSESSING ANALYTES USING CONFORMAL FILTERS AND DUAL POLARIZATION」と題され、2015年10月13日に特許取得された、Priore等に対する米国特許第9,157,800号明細書に記載されており、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0050】
またさらなる実施形態では、マルチターゲット検出装置は、光子が選択された1つ以上の光波長を有する場合に、光子の通過を許容するように構成又は調整されている任意のフィルタ又は任意の複数のフィルタを含む。そのようなフィルタの例としては、液晶フィルタ(多共役フィルタ、コンフォーマルフィルタ、リオ液晶調整可能フィルタ、エバンス分割素子液晶調整可能フィルタ、ソール液晶調整可能フィルタ)、多変量光学素子(MOE)フィルタ、スナップショットフィルタ、又はファイバアレイスペクトル変換(FAST)フィルタのうちの1つ以上が挙げられる。いくつかの実施形態では、フィルタは、ファブリペロー干渉計又は空間ヘテロダイン分光計を含む。
【0051】
他の実施形態では、フィルタは省略され、マルチターゲット検出装置は、調節できる照明源と併せて使用される。調節できる照明源の例としては、発光ダイオード(LED)又はレーザのうちの1つ以上が挙げられる。
【0052】
光路構成
ここで
図19を参照すると、マルチターゲット検出装置の一実施形態が示されており、これは、単一カメラ、デュアルチャネルとしての装置、またデュアル偏光を有する装置として構成されている。試料30は、照明源25によって照明及び/又は励起される。
図19では、直交成分のための別個の直交ビーム経路に沿った独立して調整可能な2つのCF42a、42bが、偏光ビームスプリッタ72から発生する。図示される実施形態は、偏光ビームスプリッタを記載しているが、この特徴は限定されず、偏光子、偏光ビームスプリッタ、反射ビームスプリッタ(例えば、部分的に銀メッキされた鏡)、又はダイクロイックミラープリズムのうちの1つ以上を含む、光子を分離する任意の光学構造(本明細書では光子分離器「光子分離器」と呼ばれる)を含むことができる。一実施形態では、CFは、多共役液晶調整可能フィルタ、音響光学調整可能フィルタ、リオ液晶調整可能フィルタ、エバンス分割素子液晶調整可能フィルタ、ソール液晶調整可能フィルタ、強誘電体液晶調整可能フィルタ、及びファブリペロー液晶調整可能フィルタのうちの1つ以上を備える。いくつかの実施形態では、CFは、改質液晶調整可能フィルタ、及びルックアップテーブル(LUT)と組み合わせて動作するように構成された液晶調整可能フィルタのうちの1つ以上を備える。
【0053】
照明源は限定されない。いくつかの実施形態では、照明源は調節されず、このことは、マルチターゲット検出装置の動作中に、照明源によって放出される光(光子)の波長、強度及び他の特性が実質的に変化しないことを意味する。調節されない照明源の例としては、白熱灯、ハロゲン灯、発光ダイオード(LED)、量子カスケードレーザ、量子ドットレーザ、外部共振器レーザ、化学レーザ、固体レーザ、有機発光ダイオード(OLED)、エレクトロルミネッセント素子、蛍光灯、ガス放電灯、金属ハロゲン化物ランプ、キセノンアーク灯、誘導灯、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上が挙げられる。調節されない照明源は、紫外線(UV)、可視(VIS)、近赤外線(NIR)、可視近赤外線(VIS-NIR)、短波赤外線(SWIR)、拡張短波赤外線(eSWIR)、近赤外線拡張短波赤外線(NIR-eSWIR)を含み得る、1つ以上の波長若しくは波長範囲を放出する、又は放出するように構成されている。これらの分類は、約180nm~約380nm(UV)、約380nm~約720nm(VIS)、約400nm~約1100nm(VIS-NIR)、約850nm~約1800nm(SWIR)、約1200nm~約2450nm(eSWIR)及び約720nm~約2500nm(NIR-eSWIR)の波長に対応する。
【0054】
他の実施形態では、照明源は調節され、このことは、マルチターゲット検出装置の動作中に、照明源によって放出される光(光子)の波長、強度又は他の特性が変化することを意味する。調節される照明源の例としては、白熱灯、ハロゲン灯、発光ダイオード(LED)、量子カスケードレーザ、量子ドットレーザ、外部共振器レーザ、化学レーザ、固体レーザ、有機発光ダイオード(OLED)、エレクトロルミネッセント素子、蛍光灯、ガス放電灯、金属ハロゲン化物ランプ、キセノンアーク灯、誘導灯、又はそれらの組み合わせのうちの1つ以上が挙げられる。調節される照明源は、紫外線(UV)、可視(VIS)、近赤外線(NIR)、可視近赤外線(VIS-NIR)、短波赤外線(SWIR)、拡張短波赤外線(eSWIR)、近赤外線拡張短波赤外線(NIR-eSWIR)を含み得る、1つ以上の波長若しくは波長範囲を放出する、又は放出するように構成されている。これらの分類は、約180nm~約380nm(UV)、約380nm~約720nm(VIS)、約400nm~約1100nm(VIS-NIR)、約850nm~約1800nm(SWIR)、約1200nm~約2450nm(eSWIR)及び約720nm~約2500nm(NIR-eSWIR)の波長に対応する。
【0055】
この配置では、フィルタリングされたビームの経路は、コンフォーマルフィルタ42a、42bを通って平行ではないが、適切な反射器(例えばミラー)76a、76bによって、ビームコンバイナ78(例示されるような偏光キューブ又は偏光ビームスプリッタであり得る)に向けられ、そこで、同じ又は異なるスペクトル形状であり得る直交成分が組み合わされる。一実施形態では、レンズアセンブリ50によって成分を組み合わせ、検出器60に向けることができる。別の実施形態では、成分を、それらが検出器60に向けられるときに別個のままにすることができる。しかし、一方のビームスプリッタ72から他方78への(個々のLCTF42a、42bを介した)ビーム経路は、例えば、無限補正された光学部品の必要性を避けるために対称にすることができる。
【0056】
また
図19を参照すると、検出器60はCCD検出器を備える。しかし、本開示は、検出器60が、CCD検出器、CMOS検出器、InGaAs検出器、ケイ化白金(PtSi)検出器、アンチモン化インジウム(InSb)検出器、テルル化カドミウム水銀(HgCdTe)検出器、コロイド量子ドット(CQD)検出器、及びそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない、他のタイプの検出器を含み得ることを企図している。いくつかの実施形態では、上で列挙された検出器のそれぞれ又は組み合わせは、FPA検出器である。いくつかの実施形態では、上記の検出器はそれぞれ、それらのバンドギャップを調整するための、かつ/又は異なる波長に対する感度を変化させるための量子ドットを含むことができる。
【0057】
図19では、2つのコンフォーマルフィルタ42a、42bを、コンフォーマルフィルタコントローラ82を使用して一斉に調整することができる。入力の直交成分をそれぞれ処理するコンフォーマルフィルタ42a、42bを独立して調整するようにコントローラ82を構成することが可能である。したがって、適切な制御により、コンフォーマルフィルタを同じスペクトル形状に、又は異なる2つのスペクトル形状に同時に調整することができる。コントローラ82は、ユーザが必要に応じて各コンフォーマルフィルタ42a、42bを選択的に調整することを可能にするために、プログラム可能にすることができ、又はソフトウェアで実装することができる。
【0058】
図19では、コンフォーマルフィルタ42a、42bのそれぞれから検出器60によって収集されたスペクトルデータに対応する2つのビュー(又はスペクトル画像)を切り替えるために、高速スイッチング機構(図示せず)を設けることができる。代替的に、(別個の2つのコンフォーマルフィルタからの)2つのスペクトルビュー又は画像を、例えば、コントラスト又は強度を高めるために、若しくは比較の目的で、組み合わせるか、若しくは重ね合わせるかして単一の画像にすることができる。
図2の実施形態には、コンフォーマルフィルタ42a、42bから受信されたフィルタリングされた信号を取り込むために単一のCCD検出器60を含むことが示されている。
【0059】
別の実施形態では、反射器76a、76b及びビームコンバイナ78を無くすことができ、2つの検出器を使用することができる。そのような構成の例示的な実施形態が
図20に示されている。各検出器60a及び60bは、コンフォーマルフィルタからフィルタリングされた信号を取り込むために、また照明された試料30のスペクトル画像の表示を可能にする電子信号を応答的に生成するために、2つのコンフォーマルフィルタ42a、42bのうちの対応する一方に光学的に結合することができる。本開示は、本明細書に記載されるようなデュアル偏光の利益を実現するために、任意の数の光学フィルタ及び関連する検出器を使用し得ることを企図している。
【0060】
一実施形態では、フィルタリングされた2つの信号は、同時に検出することができる。本明細書で論じられるように、異なる2つの波長の同時検出により、重複しない構成(左右、上下など)で表示される場合のリアルタイム検出の可能性が維持される。別の実施形態では、フィルタリングされた2つの信号は、連続的に検出することができる。
【0061】
ここでは、レーザ光がコヒーレントであり得るが、試料30から受信した光(例えば、放出、散乱、吸収及び/又は反射された光)であって、コンフォーマルフィルタ42a、42bに供給される光は、コヒーレントでない場合があることに留意されたい。したがって、各コンフォーマルフィルタ42a、42bによって非コヒーレント光を処理するため、
図20及び
図21の2つのコンフォーマルフィルタバージョンでは、波面誤差を無くすことができ、又は実質的に避けることができる。
【0062】
別の実施形態では、
図21に示すように、単一カメラ、単一チャネルの装置が、単一偏光で動作し、これは、照明源25によって生成される光子によって照明される試料30からの光を分析するために、単一の検出器60a及びフィルタ42aのみを含む。
【0063】
マルチターゲット検出:レシピグループアプローチ
「レシピグループアプローチ」と呼ばれるマルチターゲット検出の第1の実施形態では、複数のレシピが作成され、単一レシピグループ内に含まれる。この第1の実施形態では、各レシピは、単一のターゲット又はターゲットグループに対応し、各レシピは、ターゲット又はターゲットグループに関連する適切な波長又はパスバンド選択情報を含む。よって、レシピは、ターゲット又はターゲットグループが未知の試料中に存在する場合、対応するターゲット又はターゲットグループの検出をもたらす。
【0064】
レシピグループアプローチでは、マルチターゲット検出装置を構成するための所与の時間に単一レシピのみが選択される。したがって、所与の時間に、マルチターゲット検出装置は、1つのレシピに従ってフィルタリングされた相互作用した光子を収集し、よって、その単一レシピに対応するターゲット又はターゲットグループのみを検出することができる。動作中、マルチターゲット検出装置は、第1のレシピ、第2のレシピ、第3のレシピ、第4のレシピなどのために構成される。結果として、いくつかのレシピグループ、レシピ、ターゲット及びターゲットグループにとって、この技術は、リアルタイムアプローチではない。しかし、レシピグループが限られた数のレシピのみを含み、ターゲット又はターゲットグループがそれらのレシピに十分に対応する構成では、レシピグループアプローチは、リアルタイム性能に到達しないが、リアルタイム性能に近づく検出をもたらす。
【0065】
例えば、そのようなリアルタイム可能なレシピグループの1つは、レシピグループが、単一レシピのみを含み、単一波長の2つの選択又はマルチパスバンドの2つの選択における必要なスペクトル情報を取り込み、デュアル偏光イメージングを実現するように構成されている場合である。
【0066】
マルチターゲット検出:エンドメンバグループ化アプローチ
「エンドメンバグループ化アプローチ」と呼ばれるマルチターゲット検出の別の実施形態では、少なくとも2つの「エンドメンバ」ターゲットが、単一のターゲットグループにグループ化される。エンドメンバターゲットは、単一レシピに従って構成されているマルチターゲット検出装置によって検出可能であることが知られているターゲットである。分析のために適切なエンドメンバを選択することにより、エンドメンバグループ化アプローチは、デュアル偏光マルチターゲット検出装置内で動作する場合、リアルタイム検出を実現する。
【0067】
エンドメンバターゲットは、限定されず、場合によってはグループを組成的に表す。一実施形態では、例えば、グループは爆発物である。爆発物のグループでは、エンドメンバターゲットは、アンモニア、尿素、-NO
2基を含む有機化合物、-ONO
2基を含む有機化合物、-NHNO
2基を含む有機化合物、2,4,6-トリニトロトルエン(TNT)、1,3,5-トリニトロ-1,3,5-トリアジンアン(RDX)、C-4(組成物C-4、RDXを含むプラスチック爆発物)、及び1,3,5,7-テトラニトロ-1,3,5,7-テトラゾクタン(HMX)のうちの1つ以上を含む。しかし、
図1~
図3に示されるような他の実施形態では、グループ化は、改善された検出を実現しながら、基礎となる異なる分光光を有する複数のエンドメンバについて行うことができる。
【0068】
マルチターゲット検出:ピクセル化フィルタアプローチ
「ピクセル化フィルタアプローチ」と呼ばれるマルチターゲット検出の別の実施形態では、複数のコンフォーマルフィルタ(CF)又は多共役フィルタ(MCF)が、マトリックス構成で配置され、マルチターゲット画像装置の光路に配置される。この実施形態では、光子が、試料の表面に移動し、試料の表面と相互作用した後に、任意選択的に、試料の表面に存在する任意のターゲットと相互作用した後に、本開示のマルチターゲット検出装置によって収集される。試料の表面及び試料の表面に存在する任意のターゲットと相互作用した後、光子は、相互作用した光子として説明される。
【0069】
ピクセル化フィルタアプローチでは、光路内に配置される複数のCF又はMCFは、マトリックス構成で配置される。マトリックス構成は限定されない。いくつかの実施形態では、フィルタのマトリックス構成は、2×2タイル、3×3タイル、4×4タイル、5×5タイルなどである。この構成によれば、CF又はMCFタイルのそれぞれの挙動を制御する異なるレシピを選択することが可能である。さらに、対応する異なるレシピを必要とする異なるターゲット又はターゲットグループを、それでも同時に、同じ光路によって検出することができる。ピクセル化されたコンフォーマルフィルタを異なるターゲット又はターゲットグループに対応するように同時に構成できる結果として、ピクセル化フィルタアプローチは、リアルタイム検出を実現する。
【0070】
図22は、例示的な実施形態の態様が実装される例示的なデータ処理システム2200のブロック図を示す。データ処理システム2200は、本発明の例示的な実施形態のプロセスを実装するコンピュータ使用可能コード若しくは命令が置かれる、サーバ又はクライアントなどのコンピュータの一例である。いくつかの実施形態では、データ処理システム2200は、サーバコンピューティングデバイスであることができる。例えば、データ処理システム2200は、本明細書に記載されるようなマルチターゲット検出装置に動作可能に接続されたサーバ又は別の同様のコンピューティングデバイスに実装することができる。データ処理システム2200は、例えば、本開示のマルチターゲット検出装置によって分析されるターゲット及び/又は画像に関連する情報を送受信するように構成することができる。
【0071】
図示の例では、データ処理システム2200は、ノースブリッジ及びメモリコントローラハブ(NB/MCH)2201並びにサウスブリッジ及び入力/出力(I/O)コントローラハブ(SB/ICH)2202を含む、ハブアーキテクチャを採用することができる。処理ユニット2203、メインメモリ2204及びグラフィックスプロセッサ2205を、NB/MCH1301に接続することができる。グラフィックプロセッサ2205は、例えば、AGP(accelerated graphics port)又はPCIe若しくはPCI-e(peripheral component interconnect express)ポートによって、NB/MCH2201に接続することができる。
【0072】
図示の例では、ネットワークアダプタ2206が、SB/ICH2202に接続されている。オーディオアダプタ2207、キーボード及びマウスアダプタ2208、モデム2209、リードオンリーメモリ(ROM)2210、ハードディスクドライブ又はソリッドステートドライブ(HDD/SDD)2211、光ドライブ2212(例えば、CD又はDVD又はBluRay(商標))、USB(universal serial bus)ポート及び他の通信ポート2213、並びにPCI/PCIeデバイス2214を、バスシステム2216によってSB/ICH2202に接続することができる。PCI/PCIeデバイス2214は、イーサネットアダプタ、アドインカード、及びノートブックコンピュータ用のPCカードを含むことができる。ROM2210は、例えば、フラッシュBIOS(basic input/output system)又はUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)であることができる。HDD/SDD2211及び光ドライブ2212は、IDE(integrated drive electronics)、シリアルATA(SATA:serial advanced technology attachment)又はPCIeインターフェースを使用することができる。スーパーI/O(SIO)デバイス2215をSB/ICH2202に接続することができる。
【0073】
オペレーティングシステムを処理ユニット2203で実行することができる。オペレーティングシステムは、データ処理システム2200内の様々な部品を連係させ、かつ制御を提供することができる。クライアントとして、オペレーティングシステムは、市販のオペレーティングシステム、例えば、Microsoft Windows、MacOS(登録商標)などの市販のUnixベースのシステム、又はLinux(登録商標)の任意のバージョンであることができる。Java(商標)プログラミングシステムなどのオブジェクト指向プログラミングシステムを、オペレーティングシステムと併せて実行し、データ処理システム2200上で実行されるオブジェクト指向プログラム又はアプリケーションからオペレーティングシステムに呼び出しを提供することができる。サーバとして、データ処理システム2200は、Advanced Interactive Executiveオペレーティングシステム又はLinux(登録商標)オペレーティングシステムを実行するIBM(登録商標)eServer(商標)System(登録商標)、又はMicrosoft Windows Serverであることができる。データ処理システム2200は、処理ユニット2203に複数のプロセッサを含むことができる対称マルチプロセッサ(SMP)システムであることができる。代替的に、単一プロセッサシステムを採用することができる。
【0074】
オペレーティングシステム、オブジェクト指向プログラミングシステムのための命令、本明細書に記載される1つ以上のレシピ、及びアプリケーション又はプログラムは、HDD/SDD2211などの記憶デバイスに置かれ、処理ユニット2203による実行のためにメインメモリ2204にロードされる。本明細書に記載される実施形態のプロセスは、例えば、メインメモリ2204、ROM2210、又はバス2216に接続された1つ以上の周辺デバイスなどのメモリに置くことができるコンピュータ使用可能プログラムコードを使用して、処理ユニット2203によって行うことができる。
【0075】
バスシステム2216は、1つ以上のバスで構成することができる。バスシステム1316は、任意のタイプの通信ファブリック又はアーキテクチャに取り付けられた異なる部品間又はデバイス間のデータの転送を提供できる、ファブリック又はアーキテクチャを使用して実装することができる。(GSM、CDMA、LTE及び/又は5G技術のうちの1つ以上を採用する無線モデムを含み得る)モデム2209又はネットワークアダプタ2206のような通信ユニットが、データを送受信するために使用できる1つ以上のデバイスを含むことができる。
【0076】
当業者は、
図22に示されるハードウェアが実装態様に応じて変化し得ることを理解するであろう。フラッシュメモリ、同等の不揮発性メモリ又は光ディスクドライブなどの他の内部ハードウェア又は周辺デバイスを、図示のハードウェアに加えて、又はその代わりに使用することができる。その上、データ処理システム2200は、クライアントコンピューティングデバイス、サーバコンピューティングデバイス、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、シンクライアント、電話又は他の通信デバイス、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタントなどを含むが、それらに限定されない、いくつかの異なるデータ処理システムのうちのいずれかの形態をとることができる。本質的に、データ処理システム2200は、アーキテクチャ的な制限なしで、任意の既知の又は後で開発されるデータ処理システムであることができる。
【実施例】
【0077】
実施例1
実施例1は、準リアルタイムが実現されたマルチターゲット検出である。
図1~
図3は、代表的なブレッドボードテストデータを示し、SWIRの相互作用した光子のCFイメージングを実証する。シーンは、HME1と表記されたターゲット、HMEかく乱物質と表記されたかく乱物質、及びHME2と表記された干渉物質を含む。これらの実施例では、「HME」は「自家製爆発物」を意味する。これらのうち、かく乱物質は、ターゲットに近い同等物である。干渉物質は、別の類似物であるが、別個の自家製爆発物質である。
【0078】
マルチターゲット検出のステップ中、ターゲット(HME1)と干渉物質(HME2)を組み合わせて単一のターゲットグループにした。この実施例では、CFは、ターゲット(HME1)を残りの物質から区別するように訓練された。残りの物質は、特に限定されず、視野にわたって存在する。
図1に示すCFスコア画像が、(T1-T2)/(T1+T2)として計算され、CFスコア画像は、局所意思決定アルゴリズムを適用することによって検出画像に変換される。局所意思決定アルゴリズムによれば、(T1-T2)/(T1-T2)の演算からスコア画像が生成されると、シーンのどのオブジェクトが候補検出であるかを決定するために一連のデータフィルタが適用され、誤認警報の除去が続く。データフィルタが適用され、誤認警報が除去された後、オブジェクトは持続し、局所意思決定アルゴリズムは、アルゴリズムに対応する検出があると判定する。局所意思決定アルゴリズムによるCFスコア画像の変換に続いて、
図2の画像が生成される。
図2では、HME1及びHME2に対応する左下の2つの試料は、グレースケール図に明白色で示されており、色は、ターゲット(HME1)又は干渉物質(HME2)を指定する緑色などの偽色で示されるであろう。
図3は、ターゲット(HME1)、干渉物質(HME2)、及びターゲットに近い同等物であるかく乱物質と関連付けられたスペクトルを示す。ターゲット(HME1)と干渉物質(HME2)とのスペクトルの相違にもかかわらず、実施例1のマルチターゲット検出装置は、ターゲット及び干渉物質を含むターゲットグループを、近い同等物であるかく乱物質及びシーンに存在する他の材料から区別することができた。実施例1のマルチターゲット検出装置は、複数のターゲットのリアルタイム検出が可能である。
【0079】
実施例2
別の実施例では、
図4及び
図5は、デュアル偏光対単一偏光のイメージング結果を示しており、それぞれのグラフが比較を含む。
図4及び
図5は、シーンにおける残り全ての共通の試料セット(CSS)ターゲット及び運用概念(CONOP)指定のCSSターゲットそれぞれに対して、指定されたターゲットを評価する場合のコンフォーマルイメージング結果を示す。
図4及び
図5では、単一偏光及びデュアル偏光について受信者操作特性曲線下の面積(AUROC:Area Under the Receiving Operating Curve)を示す。AUROCは、
図4及び
図5では、全ての脅威、HME-1、HME-2、HME-1とHME-2の組み合わせ、CWA-1又はCWA-3、CWA-2、CWA-1又はCWA-3及びCWA-3、サボキソン、コカイン、並びにサボキソンとコカインの組み合わせについてプロットされている。これらはそれぞれ、マルチターゲット検出装置の有効性を決定するために試験された異なる試料であった。以下の表1は、AUROC値の意味を要約する。
【0080】
【0081】
実施例3
図6及び
図7は、調整可能なフィルタ(MCF)によって得られた連続的なマルチスペクトル結果を示す。
図6は、残り全てのCSS物質に対するターゲット又はターゲットグループの評価を示している。
図7は、CSS内のそれぞれのCONOP指定物質のみに対するターゲット又はターゲットグループの評価を示している。
図8は、残り全てのCSS物質に対するターゲット又はターゲットグループの評価を示す。
図9は、CSS内の代表的なCONOP指定物質のみに対するターゲット又はターゲットグループの評価を示し、調整可能なフィルタによって得られた連続的なハイパースペクトル結果も示す。
図10及び
図11は、シーンにおける残り全てのCSS物質及びCONOP指定物質それぞれに対して、指定されたターゲットを分析することによって得られたコンフォーマルイメージング結果を示す。
図6~
図11に示すデータは、InGaAsカメラチップ及びCQD(コロイド量子ドット)カメラチップの両方を組み込んだマルチターゲット検出装置によって分析された異なる結果を含む。AUROC値は、各試験についてプロットされており、改めて、表1は、AUROC値の意味を提示している。
【0082】
実施例4
マルチターゲット検出装置は、検出を避けるか、又はマルチターゲット検出装置の有効性を低減する試みで、所定の位置で物理的に回転されたターゲットを分析した。
図12は、試料が回転された場合に、AUROC性能に対する影響が無視できるほどであり、全ての試料が0.9を超えるAUROC値を達成したことを実証する。
図13は、
図12と同じであるが、0.8のより低いAUROC限度によって拡大され、全ての試料が0.9を超えるAUROC値を達成することを詳細に再び示す。試料の大部分は、0.95を超えるAUROC値を達成している。
【0083】
実施例5
図14及び
図15は、指定されたターゲットを評価する場合の、単一偏光マルチ検出装置に対するデュアル偏光マルチ検出装置の結果を示す。
図14は、同じシーンにおける残り全てのCSS物質に対して評価されたターゲットについてのCSS AUROC結果を示している。
図15は、同じシーンにおけるCONOP指定CSS物質に対して評価されたターゲットを示している。
図14及び
図15では、CP/CFは単一偏光コンフォーマルフィルタを示し、DP/CFはデュアル偏光コンフォーマルフィルタを示している。
【0084】
実施例6
複数のターゲットグループの選択性又は検出を決定するために実験を行った。10個の爆発物及び爆発物前駆体ターゲットを、それらの反射スペクトルの主成分分析に基づいて、5つ(5個)のターゲットグループのうちの1つに配置した。
図16は、NIR-SWIRスペクトル範囲において正規化強度対波長(nm)によってプロットされた、10個の爆発物全ての反射スペクトルを示す。10個の爆発物及び爆発物前駆体ターゲットの反射スペクトルの主成分分析を
図17にプロットする。
【0085】
スペクトル的に最も類似する材料が最初に追加されるようにターゲットグループにターゲットを追加した。本発明者らは、ターゲットがターゲットグループに追加されると、画像信号対雑音比(ISNR)及びAUROCの両方が徐々に減少したことを見出した。この低下は
図18に示されており、図は、ターゲットグループに存在する爆発物ターゲットの総数に対するAUROC値及びISNR値をそれぞれ左右の垂直スケールにプロットしている。
【0086】
上記の詳細な説明では、その一部を成す添付の図面を参照する。図面では、文脈によって別段の指示がない限り、同様の記号が、典型的に同様の部品を特定する。詳細な説明、図面及び特許請求の範囲に記載される例示的な実施形態は、限定することを意味していない。本明細書に提示される主題の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態を使用してもよく、他の変更を行ってもよい。本明細書に概して記載され、図に例示されるような本開示の態様が、多種多様な異なる構成で配置、置換、組み合わせ、分離及び設計でき、それらは全て本明細書で明示的に企図されることが容易に理解されるであろう。
【0087】
本開示は、様々な態様の例示として意図される、本出願に記載される特定の実施形態に関して限定されるべきではない。当業者には明らかであるように、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの修正及び変形を行うことができる。本明細書に列挙されるものに加えて、本開示の範囲にある機能的に同等な方法及び装置が、前述の説明から当業者にとっては明らかであろう。そのような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。本開示は、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる同等物の全範囲と共に、限定されるべきである。本開示が、特定の方法、試薬、化合物、組成物又は生物系に限定されないことを理解されたい。これらは、当然のことながら変化し得るためである。また、本明細書で使用される用語が、特定の実施形態を記載することのみを目的としており、限定することを意図していないことも理解されたい。
【0088】
本明細書における実質的に任意の複数形及び/又は単数形の用語の使用に関して、当業者は、文脈及び/又は用途に適切となるように、複数形から単数形に、かつ/又は単数形から複数形に変換することができる。明確にするために、様々な単数形/複数形の置換を本明細書に明示的に記載する場合がある。
【0089】
概して、本明細書で、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語が、一般に「オープン」用語として意図されることが、当業者には理解されるであろう(例えば、「を含む(including)」という用語は、「を含むが、それらに限定されない」として解釈されるべきであり、「を有する(having)」という用語は、「を少なくとも有する」として解釈されるべきであり、「を含む(includes)」という用語は、「を含むが、それらに限定されない」として解釈されるべきである)。様々な組成物、方法及びデバイスが、様々な部品又はステップ「を備える」(「含むが、それらに限定されない」を意味すると解釈される)という観点で記載されるが、組成物、方法及びデバイスは、様々な部品及びステップ「から本質的になる」又は「からなる」こともでき、そのような用語は、本質的にクローズドな要素グループを定義すると解釈されるべきである。導入された請求記載事項の特定の数が意図される場合には、そのような意図が請求項に明示的に記載されており、そのような記載がない場合には、そのような意図がないことが、当業者によって更に理解されるであろう。
【0090】
例えば、理解の助けとして、以下の添付の特許請求の範囲は、請求記載事項を導入するために導入句「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」の使用を含む場合がある。しかし、そのような語句の使用は、不定冠詞「a」又は「an」による請求記載事項の導入が、そのような導入された請求記載事項を含む任意の特定の請求項を、同請求項が、導入句「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」及び「a」又は「an」などの不定冠詞(例えば、「a」及び/又は「an」は、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味すると解釈されるはずである)を含む場合でも、そのような記載事項を1つのみ含む実施形態に限定すると解釈されるべきではない。同じことが、請求記載事項を導入するために使用される定冠詞の使用にも当てはまる。
【0091】
加えて、導入された請求記載事項の特定の数が明示的に記載されている場合でも、当業者は、そのような記載が、少なくとも記載された数を意味する(例えば、他の修飾子を含まない「2つの記載事項」だけの記載は、少なくとも2つの記載事項、すなわち2つ以上の記載事項を意味する)ものと解釈されるべきであることを認識するであろう。さらに、「A、B及びCなどのうちの少なくとも1つ」と同様の常套句が使用される場合、一般に、そのような構文は、当業者が常套句を理解するであろう意味を意図している(例えば、「A、B及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみを有する、Bのみを有する、Cのみを有する、AとBを共に有する、AとCを共に有する、BとCを共に有する、かつ/又はAとBとCを共に有するシステムなどを含むが、それらに限定されない)。「A、B又はCなどのうちの少なくとも1つ」と同様の常套句が使用される場合、一般に、そのような構文は、当業者が常套句を理解するであろう意味を意図している(例えば、「A、B又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみを有する、Bのみを有する、Cのみを有する、AとBを共に有する、AとCを共に有する、BとCを共に有する、かつ/又はAとBとCを共に有するシステムなどを含むが、それらに限定されない)。説明、特許請求の範囲又は図面にあるかどうかにかかわらず、2つ以上の代替的な用語を提示する実質的に任意の離接的な単語及び/又は語句が、用語のうちの1つ、用語のいずれか、又は両方の用語を含む可能性を企図すると理解されるべきであることは、当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、「A又はB」という語句は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されるであろう。
【0092】
加えて、本開示の特徴又は態様がマーカッシュグループに関して記載される場合、当業者は、本開示がマーカッシュグループの要素のうちの任意の個々の要素又は部分グループに関しても記載されることを認識するであろう。
【0093】
当業者によって理解されるように、記載された説明の提供に関してなどの、任意の及び全ての目的について、本明細書に開示される全ての範囲は、任意の及び全ての可能な部分範囲及びそれらの部分範囲の組み合わせも包含する。任意の列挙された範囲が、同範囲を少なくとも等しい2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分解することを十分に記載し、可能にするものと容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書で論じられる各範囲は、下側3分の1、中央3分の1及び上側3分の1などに容易に分解することができる。当業者によって理解されるように、「最大で」、「少なくとも」などの文言は全て、記載された数を含み、上述したように後で部分範囲に分解され得る範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲は個々の各要素を含む。よって、例えば、1~3個の細胞を有するグループは、1、2又は3個の細胞を有するグループを指す。同様に、1~5個の細胞を有するグループは、1、2、3、4又は5個の細胞などを有するグループを指す。
【0094】
上記で開示された、及びその他の様々な特徴及び機能、又はそれらの代替物を、多くの他の異なるシステム又は用途に組み合わせることができる。現在予期又は予想されていない様々な代替、修正、変形又は改善を、当業者が後で行うことができ、それらもそれぞれ、開示された実施形態によって包含されることが意図される。
【0095】
〔実施の態様〕
(1) 少なくとも2つのターゲットを検出する方法であって、
照明用光子によって第1のターゲットを照明することによって第1の相互作用した光子を生成することと、
照明用光子によって第2のターゲットを照明することによって第2の相互作用した光子を生成することと、
前記第1の相互作用した光子及び前記第2の相互作用した光子の一部分を光学的に分離することと、
前記第1の相互作用した光子及び前記第2の相互作用した光子を、コンフォーマルフィルタ(CF)及び多共役フィルタ(MCF)のうちの少なくとも一方によってフィルタリングすることであって、前記CF又は前記MCFが、単一の第1のレシピによって調整されることによって、フィルタリングされた第1の相互作用した光子及びフィルタリングされた第2の相互作用した光子を生成する、フィルタリングすることと、
前記フィルタリングされた第1の相互作用した光子及び前記フィルタリングされた第2の相互作用した光子を分析することにより、画像センサによって、前記第1のターゲット及び前記第2のターゲットのスペクトルシグネチャを検出することと、を含む、方法。
(2) 前記第1の相互作用した光子と前記第2の相互作用した光子が、偏光によって光学的に分離され、それぞれ別々に偏光される、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記CF又は前記MCFを調整する前記第1のレシピが変化しない、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記少なくとも1つのCF又はMCFが、マトリックス構成で配置された複数のCF又はMCFを備えるピクセル化フィルタである、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記第1のターゲット及び前記第2のターゲットが、リアルタイムで検出される、実施態様2に記載の方法。
【0096】
(6) 前記第1のターゲット及び前記第2のターゲットが、リアルタイムで検出される、実施態様3に記載の方法。
(7) 前記第1のターゲット及び前記第2のターゲットが、リアルタイムで検出される、実施態様4に記載の方法。
(8) 前記照明用光子が調節される、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記第1の相互作用した光子及び前記第2の相互作用した光子を、前記CF及び前記MCFのうちの前記少なくとも一方によってフィルタリングすることを更に含み、前記CF又は前記MCFが、単一の第2のレシピによって調整される、実施態様1に記載の方法。
(10) マルチターゲット検出装置であって、
第1のターゲットからの第1の相互作用した光子と第2のターゲットからの第2の相互作用した光子のうちの1つ以上の一部分を分離するための少なくとも1つの光分離器と、
前記第1の相互作用した光子及び前記第2の相互作用した光子のうちの1つ以上の光路内に配置された、コンフォーマルフィルタ(CF)及び多共役フィルタ(MCF)のうちの少なくとも一方と、
前記第1の相互作用した光子及び前記第2の相互作用した光子のそれぞれを、単一の第1のレシピによって調整させることにより、フィルタリングされた第1の相互作用した光子及びフィルタリングされた第2の相互作用した光子を生成させる、少なくとも1つのCF又はMCFと、
前記フィルタリングされた第1の相互作用した光子及び前記フィルタリングされた第2の相互作用した光子のうちの1つ以上を収集するために、前記1つ以上の第1の相互作用した光子の前記光路内及び前記第2の相互作用した光子の前記光路内に配置された画像センサと、
前記マルチターゲット検出装置の動作中に、前記CF又は前記MCFを前記単一の第1のレシピに調整することにより、前記第1の相互作用した光子及び前記第2の相互作用した光子を生成させる、少なくとも1つのプロセッサと、を備える、マルチターゲット検出装置。
【0097】
(11) 前記光分離器が偏光子であり、動作中に、前記第1の相互作用した光子及び前記第2の相互作用した光子がそれぞれ、別々に偏光される、実施態様10に記載の装置。
(12) 前記CF又は前記MCFを調整する前記第1のレシピが、前記装置の動作中に変化しない、実施態様10に記載の装置。
(13) 前記少なくとも1つのCF又はMCFが、マトリックス構成で配置された複数のCF又はMCFを備えるピクセル化フィルタである、実施態様10に記載の装置。
(14) 前記装置の動作中に、前記第1のターゲット及び前記第2のターゲットが、リアルタイムで検出される、実施態様11に記載の装置。
(15) 前記装置の動作中に、前記第1のターゲット及び前記第2のターゲットが、リアルタイムで検出される、実施態様12に記載の装置。
【0098】
(16) 前記装置の動作中に、前記第1のターゲット及び前記第2のターゲットが、リアルタイムで検出される、実施態様13に記載の装置。
(17) 少なくとも2つのターゲットを検出するためのコンピュータプログラム製品であって、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体上の命令によって具現化されており、前記命令が、プロセッサによって実行されると、
少なくとも光分離器に、前記第1の相互作用した光子及び前記第2の相互作用した光子のうちの1つ以上を光学的に分離させることと、
コンフォーマルフィルタ(CF)及び多共役フィルタ(MCF)のうちの少なくとも一方を、単一の第1のレシピによって調整させることにより、フィルタリングされた第1の相互作用した光子及びフィルタリングされた第2の相互作用した光子を生成させることであって、前記CF又は前記MCFが、前記第1の相互作用した光子及び前記第2の相互作用した光子のうちの前記1つ以上の光路内に配置されている、ことと、
画像センサに、前記フィルタリングされた第1の相互作用した光子及び前記フィルタリングされた第2の相互作用した光子のうちの1つ以上を収集させることであって、前記画像センサが、前記1つ以上の第1の相互作用した光子の前記光路内及び前記第2の相互作用した光子の前記光路内に配置されている、ことと、
前記プロセッサに、前記CF又は前記MCFを前記単一の第1のレシピに調整させることにより、前記マルチターゲット検出装置の動作中に、前記第1の相互作用した光子及び前記第2の相互作用した光子を生成させることと、を行わせる、コンピュータプログラム製品。
(18) 前記光分離器が偏光子であり、前記命令が、プロセッサによって実行されると、更に前記偏光子に、前記第1の相互作用した光子及び前記第2の相互作用した光子を別々に偏光させる、実施態様17に記載のコンピュータプログラム製品。
(19) 前記CF又は前記MCFを調整する前記第1のレシピが、動作中に変化しない、実施態様17に記載のコンピュータプログラム製品。
(20) 前記少なくとも1つのCF又はMCFが、マトリックス構成で配置された複数のCF又はMCFを備えるピクセル化フィルタである、実施態様17に記載のコンピュータプログラム製品。
【0099】
(21) 動作中に、前記第1のターゲット及び前記第2のターゲットが、リアルタイムで検出される、実施態様18に記載のコンピュータプログラム製品。
(22) 動作中に、前記第1のターゲット及び前記第2のターゲットが、リアルタイムで検出される、実施態様17に記載のコンピュータプログラム製品。
(23) 動作中に、前記第1のターゲット及び前記第2のターゲットが、リアルタイムで検出される、実施態様20に記載のコンピュータプログラム製品。
(24) 前記命令が、前記プロセッサによって実行されると、更に照明源に照明用光子を調節させる、実施態様17に記載のコンピュータプログラム製品。
(25) 前記命令が、前記プロセッサによって実行されると、前記CF又は前記MCFを第2のレシピに調整することにより、前記第1の相互作用した光子及び前記第2の相互作用した光子のフィルタリングを更に引き起こす、実施態様10に記載のコンピュータプログラム製品。
【国際調査報告】