(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(54)【発明の名称】変化するねじれ角を有する熱交換器コンポーネント
(51)【国際特許分類】
F28D 7/02 20060101AFI20230207BHJP
F28D 7/12 20060101ALI20230207BHJP
F28F 13/06 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
F28D7/02
F28D7/12
F28F13/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535690
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(85)【翻訳文提出日】2022-08-05
(86)【国際出願番号】 US2020064571
(87)【国際公開番号】W WO2021119466
(87)【国際公開日】2021-06-17
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593150863
【氏名又は名称】サン-ゴバン セラミックス アンド プラスティクス,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】SAINT-GOBAIN CERAMICS AND PLASTICS, INC.
【住所又は居所原語表記】One New Bond Street, Worcester, MA 01615, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブリセルデン、ジェイコブ ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ライリー、トーマス エム.
(72)【発明者】
【氏名】ブリセルデン、トーマス ディー.
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA37
3L103DD05
3L103DD84
(57)【要約】
熱交換器用コンポーネントは、セラミックを含む本体であって、本体の長さに沿って延びる中央空洞と、中央空洞のまわりに延びる複数の螺旋と、複数の螺旋の間に配置された複数の螺旋間チャネルと、複数の螺旋内部に含有された複数の螺旋内チャネルとを有することが可能な本体を有することが可能であり、本体の長さ方向に関して、複数の螺旋の各螺旋のねじれ角が変化している。熱交換器コンポーネントは、熱交換器に3つの流路を持たせるために使用可能であり、経済的な製造を可能にしながら、例外的な効率に到達可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックを含む本体であって、
前記本体の長さに沿って延びる中央空洞と、
前記中央空洞のまわりに延びる複数の螺旋と、
前記複数の螺旋の間に配置された複数の螺旋間チャネルと
を有する本体を有する熱交換器用コンポーネントであって、
前記複数の螺旋のうちの少なくとも1つの螺旋が、前記本体の長さに沿って、変化するねじれ角を有する、熱交換器用コンポーネント。
【請求項2】
前記複数の螺旋の各螺旋が1つの螺旋内チャネルを有する、請求項1に記載の熱交換器用コンポーネント。
【請求項3】
前記複数の螺旋の各螺旋が、前記本体の長さ方向に沿って、変化するねじれ角を有する、請求項1に記載の熱交換器用コンポーネント。
【請求項4】
前記ねじれ角が少なくとも15度である、請求項1に記載の熱交換器用コンポーネント。
【請求項5】
前記ねじれ角が、前記本体の0.1メートル長さ方向当たり少なくとも1度ずつ変化する、請求項1に記載の熱交換器用コンポーネント。
【請求項6】
前記中央空洞がチューブによって囲まれており、前記複数の螺旋が前記チューブの外表面に取り付けられている、請求項1に記載の熱交換器用コンポーネント。
【請求項7】
前記複数の螺旋が少なくとも4つの螺旋を含む、請求項1に記載の熱交換器用コンポーネント。
【請求項8】
前記複数の螺旋の各螺旋が、前記本体の長さ方向において1メートル当たり少なくとも2巻き、且つ1メートル当たり10巻き以下を有する、請求項1に記載の熱交換器用コンポーネント。
【請求項9】
前記複数の螺旋の各螺旋内チャネルの平均断面積が少なくとも245mm
2である、請求項2に記載の熱交換器用コンポーネント。
【請求項10】
前記本体の材料が炭化ケイ素を有し、前記材料の平均密度が、少なくとも2.50g/cm
3である、請求項1に記載の熱交換器用コンポーネント。
【請求項11】
前記本体が、少なくとも450℃の温度で作動するように適合されている、請求項1に記載の熱交換器用コンポーネント。
【請求項12】
請求項1に記載の熱交換器のコンポーネントを有する熱交換器であって、動作中の圧力低下が5kPa以下であるように適合されている、熱交換器。
【請求項13】
3つの流れ経路を有する、請求項12に記載の熱交換器。
【請求項14】
セラミックを含む本体を有する熱交換器用コンポーネントであって、
前記本体は、流体が前記本体を通過するように適合された中空容積を有し、
前記本体の交換率(ER)が少なくとも39m
-1、且つ196m
-1以下であり、
SAを前記本体の外表面面積、Vを前記本体の中空容積として、ER=SA/Vである、
熱交換器用コンポーネント。
【請求項15】
前記本体が、
前記本体の長さに沿って延びる中央空洞と、
前記中央空洞のまわりに延びる複数の螺旋と、
前記複数の螺旋の間に配置された複数の螺旋間チャネルと
を有し、
前記複数の螺旋の各螺旋が、前記本体の長さに沿って変化するねじれ角を有している、請求項14に記載の熱交換器用コンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セラミック本体を有する熱交換器用コンポーネント、及び熱交換器用コンポーネントを含む熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
800℃を超える温度で動作する標準的な工業用高温熱交換器は、通常、70%近くの効率をサポートする。再生式熱交換器では、最大88%の向上した効率が得られる。しかし、再生式熱交換器には、2つのバーナー、再生式ベッド、及びコンピュータ制御バルブの複雑な組合せが必要であり、これらは再生式システムのコストを非常に高くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
標準的な工業用システムと再生式システムの間のギャップを埋めて、効率とコストを向上させた熱交換器を開発することに対する需要が存在する。
【0005】
本開示は、添付の図面を参照することによって、より詳細に理解され、その多数の特徴及び利点が当業者に明白にされる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施例による熱交換器用コンポーネントの本体のセクションを示す図である。
【
図2】一実施例による熱交換器用コンポーネントを含む熱交換器の断面の側面図である。
【
図3】一実施例によるチューブ壁の表面に取り付けられた螺旋の断面の側面図である。
【
図4】一実施例によるチューブ壁の表面に取り付けられた2つの螺旋の断面の側面図である。
【
図5】一実施例による熱交換器用コンポーネントの本体の斜視図である。
【
図6】一実施例による熱交換器用コンポーネントの本体の長さ方向の断面の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書で使用される場合、用語「comprises(有する)」、「comprising(有している)、「includes(含む)」、「including(含んでいる)」、「has(有する)」、「having(有している)」、又はそれらの任意その他の変形は、非排他的な包含を含むことが意図される。例えば、特徴のリストを有する、プロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されるものではなく、明示的に列挙されていないか、又はそのようなプロセス、方法、物品、若しくは装置に固有の、その他の特徴を含む場合がある。
【0008】
本明細書で使用される場合、反対に明示的に言明されない限り、「又は」は、排他的論理和ではなく、包括的論理和を意味する。例えば、条件A又はBは、Aが真(又は存在)且つBが偽(又は不在)、Aが偽(又は不在)且つBが真(又は存在)、及びAとBの両方が真(又は存在)のいずれかによって満たされる。
【0009】
また、「a」又は「an」の使用は、本明細書に記載される要素及び構成要素を記述するために用いられる。これは、便宜上、及び本発明の範囲の一般的な意味を与えるためにだけ行われる。この説明は、1つ又は少なくとも1つを含むと読むべきであり、単数形はまた、それがそうでないことを意味することが明白でない限り、複数形も含む。
【0010】
本開示は、セラミックを含む本体を有する熱交換器用コンポーネントを対象とする。本体は、本体の中央空洞のまわりに延びる複数の螺旋を含み、本体の長さ方向に関する各螺旋のねじれ角が変化している。本開示の熱交換器用コンポーネントは、例えば鋼の焼鈍、コーティング、又は熱処理炉に通常、使用されるようなラジアントU又はWチューブにおいて使用するためのインサートとして適合させることができる。本開示の熱交換器インサートの具体的な使用は、廃エネルギーを回収するための大口径熱交換器のためのものとすることができる。本明細書で使用される場合、用語「熱交換器用コンポーネント」は、用語「熱交換器インサート」と互換的に使用される。
【0011】
熱交換器用コンポーネントの本体の非限定の実施例が
図1に示されている。本体は、複数の螺旋(11)を含むことができ、複数の螺旋(11)は、中央空洞(見えない)を囲むチューブ(12)のまわりに延びることができる。本体の近位端(18)における第1のねじれ角α1は、本体の遠位端(19)における第2のねじれ角α2と異なることが分かる。
【0012】
一態様では、複数の螺旋(11)は、複数の螺旋内チャネル(intraspiral channel)(
図1には図示せず)を含有することができる。特定の態様において、複数の螺旋の各螺旋は、少なくとも1つの螺旋内チャネルを含むことができる。螺旋は、螺旋間に、本明細書では螺旋間チャネル(interspiral channel)(14)と呼ばれる空間を有して互いに隣り合って配置され得る。本明細書で使用される場合、螺旋内チャネルという用語は、螺旋内の中空チャネルを意味し、一方、螺旋間チャネルという用語は、2つの螺旋の間の空間によって形成されるチャネルを意味する。
【0013】
別の実施例では、
図2に例示されるように、熱交換器用コンポーネントを、螺旋を囲むように正確に嵌合するパイプに挿入することができ、それによって熱交換器を形成することができる。熱交換器は、異なる流体が熱交換器の近位端から遠位端まで、又はその逆を流れることを可能にするために、3つの流体流路を有することができる。第1の流路は、本明細書では熱発生の気体とも呼ばれる、熱発生の場所から来る高温気体(16)、例えば、バーナーの燃焼炎によって発達する高温気体の経路である。熱発生の気体(16)は、近位端(18)において熱交換器に進入し、複数の螺旋(11)間の螺旋間チャネル(14)を通って流れ、遠位端(19)において熱交換器から出ることができる。第2の流路は、熱交換器の遠位端(19)において進入し、複数の螺旋(11)の螺旋内チャネル(17)を、熱発生の気体(16)の流れと逆方向に流れる冷気(15A)の経路とすることができる。螺旋内チャネル(17)を通って流れる間、空気(15A)は、熱発生の気体(16)との熱の交換によって加熱され、ここで、2種類の気体が混合され得ないように、熱は複数の螺旋の壁を通って伝達される。熱交換器の近位端(18)に到達する加熱された空気の一部分は、燃料気体との混合に使用して、バーナー(図示せず)に供給してもよいが、加熱された空気の別の部分は、第3の流路としての、中心チューブ(12)に囲まれた中央空洞(13)を通って戻され、導かれてもよい。ある実施例では、すべての加熱された空気(15B)は、熱交換器の近位端(18)に戻すことが可能であり、チューブ(12)の中央空洞(13)を通って遠位端(19)に戻して流し、さらなる使用のために熱交換器から出すことができる。
【0014】
なお、本開示の熱交換器を流通することができる流体は、気体に限定されず、上述の実施例で説明したように、液体、又は気体と液体の両方とすることができる。
【0015】
特定の実施例では、
図1に示すように、本体の近位端(18)における第1のねじれ角α1は、本体の遠位端(19)における第2のねじれ角α2よりも大きくすることができる。別の特定の実施例(図示せず)では、本体の近位端における第1のねじれ角α1は、本体の遠位端における第2のねじれ角α2よりも小さくすることができる。
【0016】
一態様では、ねじれ角は、本体の0.1メートル長さ方向当たり少なくとも1度、例えば、0.1メートル長さ当たり少なくとも3度、又は0.1メートル長さ当たり少なくとも5度、又は0.1メートル長さ当たり少なくとも7度、又は0.1メートル長さ当たり少なくとも10度、又は0.1メートル長さ当たり少なくとも15度、又は0.1メートル長さ当たり少なくとも20度ずつ変化することができる。本明細書で使用される場合、用語「本体の長さ方向」は、本体の近位端(18)から遠位端(19)への方向、又はその逆の方向を意味することを意図する。
【0017】
特定の一実施例では、螺旋のねじれ角は、本体の長さ方向に沿って連続的に増加又は減少させることができる。別の特定の実施例では、螺旋のねじれ角は、本体の長さ方向に沿って不連続に増加又は減少してもよい。
【0018】
一実施例では、本体の長さ全体にわたる螺旋のねじれ角は、少なくとも15度、又は少なくとも20度、又は少なくとも25度、又は少なくとも30度、又は少なくとも35度、又は少なくとも40度、又は少なくとも45度、又は少なくとも50度、又は少なくとも60度とすることができる。別の態様では、ねじれ角は、90度以下、例えば、85度以下、80度以下、75度以下、70度以下、65度以下、又は60度以下としてもよい。さらに、ねじれ角は、上記に記載した最小値及び最大値のいずれかを含む範囲内、例えば、少なくとも15度であって90度以下、又は少なくとも20度であって80度以下、又は少なくとも25度であって75度以下、又は少なくとも30度であって70度以下等とすることができる。
【0019】
さらなる実施例では、複数の螺旋の各螺旋は、本体の長さ方向にメートル当たり(1メートル当たり)少なくとも2巻き、例えば、メートル当たり少なくとも3巻き、又はメートル当たり少なくとも4巻き、又は少なくともメートル当たり5巻き、又はメートル当たり少なくとも6巻き、又はメートル当たり少なくとも7巻きを有することができる。別の態様では、各螺旋のメートル当たりの巻きの量は、メートル当たり10巻き以下、例えば、メートル当たり9巻き以下、又はメートル当たり8巻き以下とすることができる。また、各螺旋のメートル当たりの巻きの量は、上記の最小数及び最大数のいずれかを含む範囲内とすることができる。
【0020】
図3は、1つの例示的な螺旋に基づく、中心チューブに関する複数の螺旋の形状及び位置の特定の実施例を示す。螺旋(31)は、螺旋内チャネル(33)の枠となる2つの螺旋壁(32)を含有することができ、2つの螺旋壁(32)は、互いに平行に配置され、チューブ壁(34)の長さ方向(x方向)に直交して(y方向に)延びてもよい。
【0021】
特定の実施例では、螺旋内チャネル(33)は、少なくとも3mm、又は少なくとも5mm、又は少なくとも10mm、又は少なくとも15mm、又は少なくとも20mm、又は少なくとも25mm、又は少なくとも30mmの厚さ(TC1)を有することができる。別の態様では、螺旋内チャネルの厚さ(TC1)は、125mm以下であってもよく、例えば、100mm以下、又は80mm以下、又は50mmを以下、又は45mm以下、又は40mm以下、又は35mm以下としてもよい。また、螺旋内チャネルの厚さ(TC1)は、上記した最小値及び最大値のいずれかを含む範囲内であってもよい。
【0022】
別の態様では、螺旋(31)の壁厚(TWS)は、少なくとも1mm、又は少なくとも1.5mm、又は少なくとも2mm、又は少なくとも3mm、又は少なくとも4mmとすることができる。さらなる態様では、螺旋壁の厚さ(TWS)は、5mm以下、又は4mm以下、又は3.5mm以下とすることができる。さらに、螺旋の壁厚(TWS)は、上記した最小値及び最大値のいずれかを含む範囲内とすることができる。
【0023】
さらなる実施例では、中央空洞を囲むチューブ(34)は、少なくとも1mm、又は少なくとも1.5mm、又は少なくとも2mm、又は少なくとも3mmの壁厚(TWT)を有することができる。別の態様では、チューブ壁の厚さ(TWT)は、5mm以下、又は4mm以下、又は3.5mm以下としてもよい。また、チューブの壁厚(TWT)は、上記した最小値及び最大値のいずれかを含む範囲内とすることができる。
【0024】
さらに別の実施例では、螺旋(31)の高さ(HS)は、少なくとも7.5mm、又は少なくとも15mm、又は少なくとも20mmとすることができる。別の態様では、螺旋の高さ(HS)は、43mm以下、又は40mm以下、又は35mm以下としてもよい。螺旋の高さ(HS)は、上記した最小値及び最大値のいずれかを含む範囲内とすることができる。
【0025】
別の実施例では、螺旋内チャネル(33)の断面積(cross-sectional surface area)は、少なくとも245mm2、又は少なくとも500mm2、又は少なくとも800mm2、又は少なくとも1000mm2、又は少なくとも1200mm2とすることができる。さらなる態様では、螺旋内チャネルの断面積は、1500mm2以下、又は1450mm2以下、又は1300mm2以下としてもよい。さらに、螺旋内チャネルの断面積は、上記した最小値及び最大値のいずれかを含む範囲内とすることができる。
【0026】
さらに別の態様では、螺旋内チャネルの高さHCは、少なくとも6.4mm、又は少なくとも7.0mm、又は少なくとも10.0mm、又は少なくとも15mm、又は少なくとも20mm、又は少なくとも25mmとすることができる。別の態様では、螺旋内チャネルの高さHCは、38mm以下、又は35mm以下、又は30mm以下としてもよい。さらに、螺旋内チャネルの高さHCは、上記した最小値及び最大値のいずれかを含む範囲内とすることができる。
【0027】
図4は、2つの螺旋(41)が互いに隣り合って配置されて、チューブ壁(44)に取り付けられた本体の、側面図セクションの断面を示している。上述のように、複数の螺旋の間の空間は、本明細書では複数の螺旋間チャネル(42)と呼ばれ、本体の長さ方向への流体の流れを可能にする。
【0028】
一実施例では、複数の螺旋間チャネルの平均厚さ(TC2)は、少なくとも3mm、又は少なくとも4mm、又は少なくとも5mm、又は少なくとも10mm、又は少なくとも15mm、又は少なくとも20mm、又は少なくとも25mm、又は少なくとも30mm、又は少なくとも40mmとすることができる。別の態様では、螺旋間チャネルの厚さ(TC2)は、50mm以下、又は45mm以下、又は40mm以下、又は35mm以下、又は30mm以下、又は20mm以下としてもよい。また、複数の螺旋間チャネルの厚さは、上記した最小値及び最大値のいずれかを含む範囲内とすることができる。
【0029】
さらなる実施例では、複数の螺旋の螺旋壁厚TWSと、螺旋内チャネルの厚さTC1の比は、1:1以下、又は1:5以下、又は1:10以下、又は1:15以下、又は1:20以下とすることができる。
【0030】
特定の実施例では、複数の螺旋は、互いに平行に配設することができる。
【0031】
別の実施例では、
図5に示すように、複数の螺旋の各螺旋(51)は、近位端における第1の直線セクション(52)と、本体の遠位端における第2の直線セクション(53)とを有することができ、ここで、第1の直線セクション(52)及び第2の直線セクション(53)は、螺旋間チャネル(54)を延長して、本体の長さ方向に配向されている。
【0032】
図6は、一実施例による、長さ方向の熱交換器インサートのセクションの断面を示す。中央空洞61がチューブ62によって囲まれ、複数の螺旋(63)をチューブに取り付けることが可能であり、螺旋は螺旋内チャネル(65)を含有し、螺旋間の空間は螺旋間チャネル(64)である。
【0033】
熱交換器用コンポーネントの本体のセラミックは、炭化ケイ素、金属、金属合金を含むことができる。特定の実施例において、セラミックは、実質的に炭化ケイ素で構成することができる。
【0034】
さらなる実施例では、本体の材料は、実質的に炭化ケイ素で構成することが可能であり、少なくとも2.50g/cm3の平均密度、例えば少なくとも2.55g/cm3、又は少なくとも2.57g/cm3、又は少なくとも2.60g/cm3、又は少なくとも2.70g/cm3の平均密度を有することができる。さらなる実施例では、炭化ケイ素セラミック本体の平均密度は、2.9g/cm3以下、又は2.8g/cm3以下、又は2.75g/cm3以下としてもよい。また、本体の材料の平均密度は、上記した最小値及び最大値のいずれかを含む範囲内とすることができる。
【0035】
特定の実施例では、熱交換器コンポーネントの本体は、例えば、開示全体が本明細書に参照として組み込まれる、米国特許第8,162,040号に記載されているような、粉末プレス法により製造することができる。
【0036】
本開示の熱交換器用コンポーネントは、高い熱交換効率を提供する利点となる交換率ER(Exchange Ratio)を有し得る、本体を有することができる。本明細書で使用される場合、交換率は、SAを本体の外表面面積、Vを本体の中空容積(hollow volume)として、ER=SA/Vとして定義される。一実施例において、本体の交換率(ER)は、少なくとも39m-1、例えば少なくとも45m-1、又は少なくとも50m-1、又は少なくとも60m-1、又は少なくとも70m-1、又は少なくとも80m-1、又は少なくとも90m-1、又は少なくとも100m-1、又は少なくとも110m-1、又は少なくとも120m-1、又は少なくとも130m-1、又は少なくとも140m-1、又は少なくとも150m-1とすることができる。別の実施例では、交換率は、196m-1以下、又は185m-1以下、又は180m-1以下、又は170m-1以下としてもよい。また、本体の交換率(ER)は、上記した最小値及び最大値のいずれかを含む範囲内とすることができる。
【0037】
本発明の熱交換器のコンポーネントの本体は、亀裂や変形を形成することなく、本体の任意の場所で少なくとも0.035MPaの圧力に耐え得る。
【0038】
一実施例において、本開示の熱交換器用コンポーネントのヌセルト数は、少なくとも1000、例えば、少なくとも1050、又は少なくとも1100、又は少なくとも1200とすることができる。
【0039】
熱交換器コンポーネントの本体は、少なくとも450℃の温度、例えば、少なくとも500℃、又は少なくとも600℃、又は少なくとも700℃、又は少なくとも800℃、又は少なくとも900℃、又は少なくとも1000℃等で作動するように適合させることができる。別の態様では、本体は、1350℃以下、又は1300℃以下、又は1200℃以下、又は1100℃以下、又は1000℃以下の温度で作動するように適合させることができる。さらに、熱交換器の本体は、上記の最小値及び最大値のいずれかを含む範囲内の温度で作動するように適合させることができる。
【0040】
さらなる実施例では、本開示の熱交換器のコンポーネントを、システム中に挿入して熱交換器を形成することができる。例えば、熱交換器インサートは、嵌合するパイプに挿入し、ねじを介して燃焼チューブに接続することができる。
【0041】
熱交換器は、(上記のように)少なくとも3つの流路を有することが可能であり、動作中の圧力低下が5kPa以下、例えば、4kPa以下、3kPa以下、又は2kPa以下となるように適合させることができる。
【0042】
一態様では、本開示の熱交換器コンポーネントを含む熱交換器は、少なくとも70%、又は少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも84%、少なくとも86%、少なくとも88%、又は少なくとも90%の効率を有することができる。
【0043】
本開示の熱交換器インサートを含有する熱交換器は、3つの流路と、変化するねじれ角の螺旋とを有することにより、断面流れ面積に関する表面積を最大化することが可能であり、それによって圧力低下を低くし(<5kPa)、極めて高い効率に達することができる。
【0044】
本開示の熱交換器コンポーネントは、さらに、螺旋のねじれ角を変化させることによって、螺旋の内部チャネル(本明細書では螺旋内チャネルと呼ばれる)のサイズを同じに維持することができ、本体の長さ方向全体にわたって変更する必要がなく、このことにより、製造を簡素化し、効率を最適化することができるという利点を有することができる。
【0045】
多くの異なる態様及び実施例が可能である。それらの態様及び実施例のいくつかが、本明細書に記載されている。本明細書を読んだ後、当業者は、それらの態様及び実施例は例示にすぎず、本発明の範囲を限定しないことを理解するであろう。実施例は、以下に列挙するような実施例のいずれか1つ又は複数によるものとしてもよい。
【実施例】
【0046】
「実施例1」
セラミックを含む本体を有する、熱交換器用コンポーネントであって、本体が、流体が本体を通過するように適合された中空容積を有し、本体の交換率(ER)が、少なくとも39m-1、196m-1以下であり、SAを本体の外表面面積、Vを本体の中空容積としてここでER=SA/Vである、熱交換器用コンポーネント。
【0047】
「実施例2」
セラミックを含む本体であって、
本体の長さに沿って延びる中央空洞と、
中央空洞のまわりに延びる複数の螺旋と、
複数の螺旋の間に配置された複数の螺旋間チャネルと
を有する本体を有する熱交換器用コンポーネントであって、
複数の螺旋の内の少なくとも1つの螺旋が、本体の長さに沿って変化するねじれ角を有する、熱交換器用コンポーネント。
【0048】
「実施例3」
複数の螺旋内部に含有された複数の螺旋内チャネルをさらに有する、実施例2に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0049】
「実施例4」
複数の螺旋の各螺旋が、1つの螺旋内チャネルを有する、実施例2又は3に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0050】
「実施例5」
複数の螺旋の各々が、本体の長さ方向に沿って変化するねじれ角を有する、実施例2に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0051】
「実施例6」
ねじれ角が、少なくとも1つの螺旋の近位端において第1のねじれ角α1を有し、少なくとも1つの螺旋の遠位端において第2のねじれ角α2を有し、第1のねじれ角α1が、第2のねじれ角α2と異なる、実施例2から5までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0052】
「実施例7」
第1のねじれ角α1が、第2のねじれ角α2よりも大きい、実施例6に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0053】
「実施例8」
第1のねじれ角α1が、第2のねじれ角α2よりも小さい、実施例6に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0054】
「実施例9」
ねじれ角が、本体の長さ方向の全体を通して、少なくとも15度、90度以下であり、例えば、少なくとも20度、80度以下、又は少なくとも25度、75度以下、又は少なくとも30度、70度以下である、実施例2から8までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0055】
「実施例10」
ねじれ角が、本体の近位端と遠位端との間で連続的に増大する、実施例2から9までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0056】
「実施例11」
ねじれ角が、本体の長さの全体にわたって不連続に変化する、実施例2から9までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0057】
「実施例12」
ねじれ角が、本体の0.1メートル長さ方向当たり少なくとも1度、例えば、0.1メートル長当たり少なくとも3度、又は0.1メートル長当たり少なくとも5度、又は0.1メートル長当たり少なくとも7度、又は0.1メートル長当たり少なくとも10度、又は0.1メートル長当たり少なくとも15度、又は0.1メートル長当たり少なくとも20度ずつ変化する、実施例2から11までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0058】
「実施例13」
中央空洞が、チューブによって囲まれており、複数の螺旋が、チューブの外表面上に取り付けられている、実施例2から12までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0059】
「実施例14」
複数の螺旋の各螺旋が、螺旋を通る流体のための流れ経路を画定する1つの螺旋内チャネルを有する、実施例2から13までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0060】
「実施例15」
複数の螺旋が、少なくとも4つの螺旋、例えば、少なくとも6つの螺旋、少なくとも8つの螺旋、少なくとも10の螺旋、又は少なくとも12の螺旋を含む、実施例2から14までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0061】
「実施例16」
複数の螺旋が、少なくとも10の螺旋を含む、実施例15に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0062】
「実施例17」
複数の螺旋が、12以下の螺旋を含む、実施例2から15までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0063】
「実施例18」
複数の螺旋が、互いに平行に配設されている、実施例2から17までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0064】
「実施例19」
複数の螺旋の各螺旋が、本体の長さ方向にメートル当たり少なくとも2巻き、例えば、メートル当たり少なくとも3巻き、メートル当たり少なくとも4巻き、メートル当たり少なくとも5巻き、メートル当たり少なくとも6巻き、又はメートル当たり少なくとも7巻きを有する、実施例2から18までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0065】
「実施例20」
複数の螺旋の各螺旋が、メートル当たり10巻き以下、又はメートル当たり9巻き以下、又はメートル当たり8巻き以下を有する、実施例2から19までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0066】
「実施例21」
中央空洞を囲むチューブの平均壁厚が、少なくとも1mm、又は少なくとも1.5mm、又は少なくとも2mm、又は少なくとも3mm、又は少なくとも4mmである、実施例2から20までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0067】
「実施例22」
中央空洞を囲むチューブの平均壁厚が、5mm以下、又は4.5mm以下、又は4mm以下、又は3.5mm以下である、実施例2から21までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0068】
「実施例23」
複数の螺旋の各螺旋が、1つの螺旋内チャネルの枠となる2つの螺旋壁を有し、2つの螺旋壁が、互いに平行に位置づけされて、中央空洞壁の長さ方向に直交して延びている、実施例2から22までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0069】
「実施例24」
複数の螺旋内チャネルの各螺旋内チャネルの平均厚さが、少なくとも3mm、又は少なくとも5mm、又は少なくとも10mm、又は少なくとも15mm、又は少なくとも20mm、又は少なくとも25mm、又は少なくとも30mm、又は少なくとも40mmである、実施例2から23までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0070】
「実施例25」
複数の螺旋内チャネルの各螺旋内チャネルの平均厚さが、50mm以下、又は45mm以下、又は40mm以下、又は30mm以下、又は20mm以下である、実施例2から24までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0071】
「実施例26」
螺旋間チャネルの各螺旋間チャネルの平均厚さが、少なくとも3mm、又は少なくとも4mm、又は少なくとも5mm、又は少なくとも10mm、又は少なくとも15mm、又は少なくとも20mm、又は少なくとも25mm、又は少なくとも30mm、又は少なくとも40mmである、実施例2から25までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0072】
「実施例27」
複数の螺旋間チャネルの各螺旋間チャネルの平均厚さが、50mm以下、又は45mm以下、又は40mm以下、又は35mm以下、又は30mm以下、又は20mm以下である、実施例2から26までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0073】
「実施例28」
複数の螺旋間チャネルの各螺旋間チャネルの平均厚さが、本体の長さ方向に沿って変化する、実施例2から27までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0074】
「実施例29」
複数の螺旋の螺旋壁厚TSWの、複数の螺旋内チャネルの厚さTICに対する比が、少なくとも1:1であり、1:20以下である、実施例2から28までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0075】
「実施例30」
複数の螺旋内チャネルの各螺旋内チャネルの平均断面積が、少なくとも245mm2、又は少なくとも250mm2、又は少なくとも300mm2、又は少なくとも500mm2、又は少なくとも1000mm2、又は少なくとも1200mm2である、実施例2から29までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0076】
「実施例31」
複数の螺旋内チャネルの各螺旋内チャネルの平均断面積が、1470mm2以下、又は1450mm2以下、又は1400mm2以下、又は1300mm2以下である、実施例2から30までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0077】
「実施例32」
複数の螺旋の各螺旋が、遠位端に第1の直線セクションと、近位端に第2の直線セクションとを有し、第1の直線セクション及び第2の直線セクションは、螺旋間チャネルを延長し、本体の長さ方向に平行に配向されている、実施例2から31までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0078】
「実施例33」
本体のセラミックが、炭化ケイ素を有する、実施例2から32までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0079】
「実施例34」
本体のセラミックが、実質的に炭化ケイ素で構成されている、実施例2から33までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0080】
「実施例35」
本体が、亀裂又は変形を生じることなく、本体の任意の場所で少なくとも0.035MPaの圧力に耐えることができる、実施例2から34までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0081】
「実施例36」
本体の材料が、炭化ケイ素を有し、材料の平均密度が、少なくとも2.50g/cm3、又は少なくとも2.55g/cm3、又は少なくとも2.57g/cm3、又は少なくとも2.60g/cm3、又は少なくとも2.70g/cm3、又は少なくとも2.80g/cm3である、実施例2から35までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0082】
「実施例37」
本体の材料が、炭化ケイ素を有し、材料の平均密度が、3.05g/cm3以下、例えば、3.0g/cm3以下、2.9g/cm3以下、2.8g/cm3以下、2.7g/cm3以下、又は2.6g/cm3以下である、実施例2から36までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0083】
「実施例38」
本体のヌセルト数は、少なくとも1000、例えば、少なくとも1050、少なくとも1100、又は少なくとも1200である、実施例2から37までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0084】
「実施例39」
本体が、少なくとも450℃の温度、例えば、少なくとも500℃、又は少なくとも600℃、又は少なくとも700℃、又は少なくとも800℃、又は少なくとも900℃、又は少なくとも1000℃の温度で作動するように適合されている、実施例2から38までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0085】
「実施例40」
本体が、1350℃以下、又は1300℃以下、又は1200℃以下、又は1100℃以下、又は1000℃以下の温度で作動するように適合されている、実施例2から39までのいずれか一例に記載の熱交換器用コンポーネント。
【0086】
「実施例41」
実施例2から40までのいずれか一例の熱交換器用コンポーネントを有する、熱交換器であって、動作中の圧力低下が5kPa以下、例えば、4kPa以下、又は3kPa以下となるように適合されている、熱交換器。
【0087】
「実施例42」
実施例2から40までのいずれか一例の熱交換器用コンポーネントを有する、熱交換器であって、気体、液体、又はそれらの組合せの流体流を導くように適合されている、熱交換器。
【0088】
「実施例43」
気体流を導くように適合されている、実施例42に記載の熱交換器。
【0089】
「実施例44」
3つの流れ経路を有する、実施例41から43までのいずれか一例に記載の熱交換器。
【0090】
「実施例45」
熱交換器の効率が、少なくとも85%、例えば、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、又は少なくとも90%である、実施例41から44のいずれか一例に記載の熱交換器。
【0091】
以上の明細書では、具体的な実施例を参照して概念を説明した。しかしながら、当業者は、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができることを理解する。したがって、明細書及び図は、限定的な意味ではなく例示的な意味とみなされるべきであり、そのような改変はすべて本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【国際調査報告】